衆議院

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第1号 平成20年2月22日(金曜日)

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本国会召集日(平成二十年一月十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      鈴木 俊一君    土屋 品子君

      とかしきなおみ君    中川 泰宏君

      並木 正芳君    藤野真紀子君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      末松 義規君    田島 一成君

      田名部匡代君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君

平成二十年二月二十二日(金曜日)

    午前九時四十七分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      木挽  司君    坂井  学君

      杉田 元司君    鈴木 俊一君

      土屋 品子君  とかしきなおみ君

      並木 正芳君    藤野真紀子君

      松本 洋平君    安井潤一郎君

      山本ともひろ君    末松 義規君

      田島 一成君    田名部匡代君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            大内 捷司君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     杉田 元司君

  中川 泰宏君     安井潤一郎君

  渡部  篤君     松本 洋平君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     近藤三津枝君

  松本 洋平君     渡部  篤君

  安井潤一郎君     中川 泰宏君

    ―――――――――――――

一月十八日

 環境健康被害者等救済基本法案(末松義規君外二名提出、第百六十六回国会衆法第三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件

 公害紛争の処理に関する件


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 環境保全の基本施策に関する事項

 循環型社会の形成に関する事項

 公害の防止に関する事項

 自然環境の保護及び整備に関する事項

 快適環境の創造に関する事項

 公害健康被害救済に関する事項

 公害紛争の処理に関する事項

以上の各事項につきまして、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

小島委員長 環境保全の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。

 この際、環境大臣から所信を聴取いたします。鴨下環境大臣。

鴨下国務大臣 環境大臣及び地球環境問題担当大臣の鴨下一郎でございます。第百六十九回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に対する私の考えを申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。

 地球環境は、二十世紀型の大量生産、大量消費、大量廃棄型のシステムにより、危機的な状況にあります。環境への負荷の増大は、世界的な水不足や食料危機等の深刻化にもつながるため、人間の安全保障とも密接に関連するものです。

 中でも最大の課題である地球温暖化問題に関しては、昨年末に、すべての主要排出国が参加して二〇一三年以降の枠組みについて交渉する道筋を定めたバリ・アクションプランが合意されました。今後、我々は二酸化炭素排出制約の中で暮らしつつ、発展していく道筋をとる必要があり、バリ・アクションプランはまさにこの人類史を画する動きであると考えております。

 この中で、我が国は、クールアース推進構想に基づき、地球全体の排出量の早期のピークアウトと二〇五〇年までの半減を目指し、北海道洞爺湖サミットの議長国として世界の議論をリードしていく必要があります。

 我が国にはすぐれた環境・エネルギー技術や豊富な人材、深刻な公害克服の経験と知恵があります。これらを生かした環境対策を経済成長や地域活性化の原動力とすることにより、二十一世紀型の持続可能な社会の日本モデルを創造します。そして、北海道洞爺湖サミットやG8環境大臣会合を初めとするさまざまな機会を通じて世界に発信することにより、環境立国日本として国際的なリーダーシップを発揮します。

 まず、地球温暖化問題につきましては、本年が京都議定書第一約束期間の最初の年であることを十分に踏まえ、京都議定書の六%削減目標を確実に達成するために全力を尽くします。

 京都議定書目標の達成に関しては、今後策定される新しい京都議定書目標達成計画に基づき、オフィスや店舗、家庭を初めとするあらゆる分野で対策を加速します。

 具体的には、省エネ性能の高い住宅・建築物や製品の普及及び廃木材などを活用したバイオ燃料等の再生可能エネルギー導入拡大を進めます。また、地方公共団体において地域の特色と創意工夫を生かした対策が講じられるよう、国においても足元の取り組みを強化します。さらに、事業者に対する排出抑制の強化や地方公共団体による計画の策定などを内容とする地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出いたします。

 市場メカニズムを活用して確実かつ効率的に温室効果ガスを削減していくために、国内排出量取引の具体化に向けた検討を進めるとともに、環境税の総合的な検討など地球温暖化対策のための税制の推進に取り組んでまいります。また、化石燃料への依存を減らすライフスタイルへの転換に向け、国民運動のさらなる展開を図ります。あわせて、エコポイントなど温暖化対策への取り組みにメリットが生じるといった努力が報われる仕組みづくりを進めるなど国民一人一人の行動を促していきます。さまざまな活動に伴う温室効果ガス排出量を相殺するカーボンオフセットについては、G8環境大臣会合など環境関連の会合での導入を初めとして、その普及を図ります。

 二〇一三年以降の国際的取り組みについては、すべての主要排出国が参加する実効ある枠組みの構築が重要です。このため、我が国は、クールアース推進構想に基づき、国別総量目標の設定等を通じた排出削減、適応、資金、技術などの主要課題の検討を強力に進めます。これにより、次期枠組みの全体像や国際的な目標設定についての基本的な考え方を示しながら、国際的に公平で世界全体の排出削減につながる実効性のある枠組みとなるよう議論を主導します。

 また、途上国の排出削減を促すために温暖化対策と公害対策等を相乗的、一体的に進めるコベネフィット対策による国際協力を進めるとともに、温暖化の影響を受けやすいツバルに代表される島嶼国などに対して協力を強化します。

 中長期的には、大気中の二酸化炭素濃度を低い濃度で安定化させるため、先進国が率先して削減を行い、二〇五〇年の世界の排出量半減につなげる必要があります。このため、生産の仕組み、ライフスタイルや、都市、交通のあり方など社会の根本を変えることにより、カーボンミニマムを実現し、持続可能な低炭素社会を構築します。

 先日、ストップ温暖化一村一品大作戦において表彰も行ったとおり、全国各地で地域資源を活用し創意工夫を生かした取り組みが動き出しています。このような動きを加速すべく、温室効果ガスの大幅な削減など、高い目標を掲げて先駆的な取り組みにチャレンジする環境モデル都市づくりを政府一体となって進めます。その一環として、公共交通機関を活用し、生活に必要なさまざまな都市機能が集約された歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりを支援します。これにより、子供や高齢者の方々にも暮らしやすく、にぎわいと活力にあふれた低炭素のまちづくりを全国に広げていきます。さらに、低炭素社会の具体的なビジョンを世界に提案するとともに、その実現のため、低炭素で発展する日本モデルを構築し、アジアを初めとする各国に発信します。

 地球温暖化は生態系にも深刻な影響を与えることが懸念されています。我々の毎日の暮らしや文化を支える豊かな自然を将来の世代に引き継ぐために、生物多様性の保全と持続可能な利用を進め、自然と共生する社会をつくっていく必要があります。

 このため、昨年十一月に閣議決定した第三次生物多様性国家戦略に基づく取り組みを国民各界各層の参加を得ながら進めます。具体的には、生物多様性に関する国民の理解を深めつつ、さまざまな主体が地域で展開する生物多様性保全活動への支援などを行います。また、鳥獣の保護管理について広域的管理や担い手の育成などの取り組みを強化します。

 さらに、二〇一〇年の生物多様性条約第十回締約国会議の愛知県名古屋市における開催の実現を視野に入れつつ、自然との共生を図る知恵や伝統を生かした取り組みをSATOYAMAイニシアチブとして世界に提案します。これに加え、サンゴ礁保全についての連携の推進など国際的なリーダーシップを発揮します。

 また、愛玩動物について飼料の安全性の確保を図るため、愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律案を今国会に提出します。

 国内外の廃棄物の問題や今後の国際的な資源制約に対応していくため、スリーRを通じた循環型社会づくりを進めることが引き続き重要な課題です。

 現在、策定を進めている新循環型社会形成推進基本計画のもと、適正処理の推進と不法投棄の防止を大前提に、廃棄物系バイオマスの利活用や地元での処理が困難で高度なリサイクル技術を必要とする場合の広域処理などを推進します。これらにより、地域特性や物質の性質を踏まえた最適規模での循環型の地域づくりを進めます。さらに、各種リサイクル法を着実に実施します。また、浄化槽についても一層の普及を促進します。

 国際的には、北海道洞爺湖サミットに向け、より少ない資源でどれだけ大きな豊かさを生み出せるかをあらわす資源生産性を中心として、各国での目標づくりを呼びかけます。そして、廃棄物の適正処理を通じた環境負荷の低減と資源の有効利用を目指すスリーRイニシアチブのさらなる展開に取り組みます。

 アジア各国においても、環境問題の解決が経済発展のかぎであるという認識が拡大してきており、環境保全と経済発展を統合し、持続可能な社会を実現しようという機運が高まっています。

 我が国は、アジアの一員として公害経験や環境・エネルギー技術を活用し、水環境保全や廃棄物処理などの分野での協力を進めるとともに、黄砂や光化学スモッグなどのアジア地域に共通する問題に率先して取り組むことにより、環境汚染の少ないクリーン・アジアを目指します。さらに、環境分野でのアジア大学院ネットワークの構築等を通じて、アジアの環境リーダー育成に積極的に取り組みます。また、アジア全体での適正かつ円滑な資源循環の実現を目指し、地域ビジョンづくりに向けた各国との政策対話や戦略づくりへの支援などを進めます。

 温暖化対策を初めとする環境対策を円滑かつ実効あるものとし、経済成長の原動力とするために、環境・エネルギー技術の開発、普及と世界への戦略的な発信を進めます。さらに、グリーン購入・契約や環境ビジネスの推進に取り組みます。特に、消費者や投資家に企業や製品の環境負荷に関する情報を的確に提供する見える化などを進めます。

 古紙パルプ配合率の偽装問題に端を発したグリーン購入法の基準不適合問題については、循環型社会づくりに向けた国民の善意を踏みにじる行為です。実態の全容解明を踏まえ、偽装を行った各社に対し、国民一人一人の気持ちに立って納得できる対応を求めてまいります。その上で、グリーン購入の適正化と信頼回復に向けた方策について早急に取りまとめます。

 地域において環境を守り生かす意欲的な取り組みを進め、あわせて地域活性化を図ることが重要です。このため、我が国のすぐれた自然資源を生かし、地域の住民や民間団体など多様な主体との協働により魅力的な国立公園づくりを進めます。さらに、新名水百選の選定やエコツーリズムの定着と発展による自然の恵みを生かした地域づくりを進めます。また、北海道洞爺湖サミット及び関連会合は、日本の自然の美しさと国立公園などでの環境保全についての取り組みを世界に発信する絶好の機会です。このため、多言語による情報提供や会議周辺地域での環境モデル事業の実施などを進めてまいります。

 すべての環境対策の基盤に人づくりがあることから、二十一世紀環境教育AAAプランに基づき、家庭、学校、地域、企業等において、生涯にわたり、多様で質の高い環境教育及び環境学習が受けられる機会を拡充します。

 安全な生活環境の確保のために、自動車環境対策等の大気環境対策や湖沼、内湾等の水環境対策について、温暖化対策の観点も念頭に置きつつ、諸課題の解決を図ります。また、総合的な土壌汚染対策の検討を進めます。

 化学物質対策について、EU等の国際的な動向を踏まえつつ、今後の化学物質審査規制制度のあり方について検討し、総合的な対策の強化を進めます。

 さらに、公害健康被害対策を着実に進めるために、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出しております。石綿健康被害対策、毒ガス弾等による被害の未然防止対策についてもしっかりと取り組んでまいります。特に水俣病問題については、与党水俣病問題に関するプロジェクトチームと連携し、水俣病被害者の救済に向けた取り組みを進めます。

 以上、当面の取り組みの一端を申し上げました。

 私たちが当面する環境問題に果敢に挑戦し、解決策を見つけていくことにより、地球生態系と共生する持続可能な社会が必ずや構築され、将来世代に豊かな自然の恵みを伝えていくことができると確信しております。

 環境問題は、今や地域社会や経済の問題とも深く密接にかかわっています。社会や経済の問題に対応する上でも環境保全への取り組みを中心に位置づけていくべきです。環境を守る努力が経済的に報われ、生きがいにもなるといった仕組みをあらゆるところに設けて、地域が活性化し、日本の国際競争力も高まるという好循環を形成することが重要です。

 委員各位におかれましては、環境行政を一層推進し、人類の歴史に新しい時代を開くため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

小島委員長 以上で環境大臣の所信表明は終わりました。

 次に、平成二十年度環境省所管予算及び環境保全経費等の概要について説明を聴取いたします。桜井環境副大臣。

桜井副大臣 平成二十年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明を申し上げます。

 まず、一般会計予算では、総額二千百九十七億四千百万円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、地球環境保全対策については、本年から京都議定書の第一約束期間が始まることを踏まえ、削減目標の達成に向けた地球温暖化対策に取り組んでまいります。あわせて、そのための税制の推進については、環境税を含め、効果的な方策について総合的に検討してまいります。また、アジアを中心とする環境協力を含む地球環境保全対策の推進を図ります。これらに必要な経費として四百十七億一千四百万円を計上しております。

 第二に、廃棄物・リサイクル対策については、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆるスリーRの取り組みの推進、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として七十九億六千七百万円を計上しております。

 また、循環型社会形成推進交付金などを活用した廃棄物処理・リサイクル施設や浄化槽の整備に必要な経費として七百九十八億七千九百万円を計上しております。

 第三に、総合的な環境政策の推進については、環境配慮契約法の円滑な推進などを通じた経済のグリーン化、環境教育の推進、長期的な展望を踏まえた環境政策の研究などに必要な経費として六十五億五千二百万円を計上しております。

 第四に、自然環境の保全対策については、国立公園などのすぐれた自然環境の保護と適正な利用、里地里山の保全、重要生態系地域の保全と再生、外来生物対策などの推進に必要な経費として百四十四億八千九百万円を計上しております。

 第五に、公害健康被害対策等については、公害健康被害補償制度や石綿による健康被害に係る救済制度の適正かつ円滑な実施、水俣病対策や国内における旧軍毒ガス対策などの着実な推進に必要な経費として二百五十五億二百万円、大気、水、土壌環境等の保全対策については、日中水環境パートナーシップなどの日本の経験と知恵を生かした国際協力を初め、微小粒子状物質PM二・五対策の強化や土壌環境対策などの環境汚染のない安心して暮らせる基盤をつくるために必要な経費として四十三億百万円、環境保全に関する調査研究、技術開発については、環境汚染の監視と防止、地球環境の保全、廃棄物の適正な処理に関する調査研究、技術開発の推進に必要な経費として九十四億三百万円を計上しております。

 第六に、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開するため、地方環境事務所における経費として五十七億四千八百万円を計上しております。

 次に、特別会計予算については、家庭や職場での排出削減対策の抜本的強化、低炭素のまちづくりの推進、国内排出量取引の総合的な検討、再生可能エネルギーの導入拡大、国民運動のさらなる展開、京都メカニズムクレジットの計画的かつ効率的な取得などに必要な経費として、エネルギー対策特別会計に一般会計から三百六十億円の繰り入れを行い、総額として四百二億二千六百万円を計上しております。

 以上が、平成二十年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。

 次に、各府省の平成二十年度環境保全経費の概要について御説明申し上げます。

 まず、政府全体の環境政策を効果的に実施することを目的として取りまとめております環境保全経費については、平成二十年度におけるその総額として二兆二千百四十一億円を計上しております。

 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために六千五百九十七億円、大気環境の保全のために二千八百二十一億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために七千八百六十八億円、廃棄物・リサイクル対策のために千二百六億円、化学物質対策のために九十二億円、自然環境の保全と自然との触れ合いの推進のために二千七百九十六億円、各種施策の基盤となる施策等のために七百六十一億円がそれぞれ計上されております。

 最後に、環境省の財政投融資について御説明申し上げます。

 平成二十年度においては、中小企業金融公庫等による、中小企業向け環境マネジメントシステムであるエコアクション21の認証を取得する企業等に対する低利融資制度を創設することとしております。

 以上、平成二十年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費等の概要について御説明申し上げました。

小島委員長 以上で説明は終わりました。

 次に、平成十九年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。大内捷司公害等調整委員会委員長。

大内政府特別補佐人 昨年七月に公害等調整委員会委員長を拝命しました大内捷司でございます。

 公害等調整委員会が平成十九年中に行った公害紛争の処理に関する事務及び平成二十年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。

 まず、公害紛争の処理に関する事務について申し上げます。

 第一に、平成十九年に当委員会に係属した公害紛争事件は、富山地方裁判所に係属中の出し平ダム排砂差しとめ等請求事件に関し、同裁判所から嘱託のあった富山県黒部川河口海域における出し平ダム排砂漁業被害原因裁定嘱託事件、旧日本軍の毒ガス兵器に由来する砒素により地下水が汚染され健康被害等が生じたとして申請のあった茨城県神栖市における砒素による健康被害等責任裁定申請事件、水俣病と認定された患者とチッソ株式会社との間で患者個々人ごとに具体的な損害賠償額を定める水俣病損害賠償調停申請事件等合計十八件であって、裁定申請事件の占める割合が増加してきております。これらのうち、平成十九年中に終結した事件は、同年三月に因果関係を一部認める裁定を行った富山県黒部川河口海域における出し平ダム排砂漁業被害原因裁定嘱託事件等五件であります。

 以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に申請人の症状に変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める申請が八件係属し、現在までのところ、このうち五件については手続が終了したところであります。

 第二に、平成十九年に都道府県公害審査会等に係属した公害紛争事件は八十一件であり、工場・事業所、道路及び廃棄物処理場に係る事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は三十九件であります。

 第三に、平成十八年度における全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情は、昨年から二・二%増加し、約九万八千件となっております。

 これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七公害に関する苦情は約六万七千件で、それ以外の苦情は約三万件であります。

 以上の公害に係る事務は、公害紛争処理法に基づき、公害紛争処理については、当委員会及び都道府県公害審査会等が、公害苦情処理については、都道府県及び市町村が処理することとされております。このような公害に係る事務の迅速かつ適正な遂行のため、当委員会としては、これらの公害業務全般にわたる担当職員の研修等を行うほか、審査会との間の情報の交換や事件の引き継ぎ等における緊密な連携を図っているところであります。

 さらに、公害紛争処理制度の特徴の周知に一層努めるとともに、地方在住の事件当事者の負担を軽減する方策を検討してまいります。

 こうした取り組みを通じて、公害紛争処理の活性化を進めてまいります。

 続きまして、平成二十年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。

 当委員会の歳出予算要求額は、五億八千五百万円であり、これを前年度の当初予算額五億七千八百万円と比較いたしますと、一・二%、七百万円の増額となっております。

 次に、その内訳でありますが、第一に、当委員会に係属する公害紛争事件の審理経費等として五億七千百万円を計上し、第二に、公害紛争の処理を担当する都道府県公害審査会委員及び担当職員との連絡協議のための経費等として千四百万円を計上しております。

 以上が、平成十九年における公害紛争の処理に関する事務の概要及び平成二十年度公害等調整委員会の歳出予算要求額の概要であります。

 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速かつ適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

小島委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十八分散会


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