衆議院

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第2号 平成20年3月18日(火曜日)

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平成二十年三月十八日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      鈴木 俊一君    土屋 品子君

      とかしきなおみ君    中川 泰宏君

      並木 正芳君    西本 勝子君

      藤野真紀子君   山本ともひろ君

      末松 義規君    田島 一成君

      田名部匡代君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  針原 寿朗君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           内山 俊一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 平工 奉文君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   小林  光君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  渡部  篤君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     渡部  篤君

    ―――――――――――――

三月十七日

 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

同月七日

 アスベスト被害の根絶と補償を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇六号)

 同(石井郁子君紹介)(第三〇七号)

 同(笠井亮君紹介)(第三〇八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長鵜瀞恵子君、外務省大臣官房地球規模課題審議官鶴岡公二君、外務省大臣官房審議官草賀純男君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働省労働基準局労災補償部長石井淳子君、林野庁森林整備部長針原寿朗君、経済産業省製造産業局次長内山俊一君、資源エネルギー庁次長平工奉文君、環境省大臣官房長小林光君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君、環境省総合環境政策局環境保健部長石塚正敏君及び環境省地球環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あかま二郎君。

あかま委員 環境委員会に配属をされてから初めてのこちらでの質問となります。今般、質問をさせていただく機会をいただきました先輩、同僚議員には感謝を申し上げながら、質問をさせていただきたいと思っております。

 本来でしたら、環境大臣が当初お見えになられる予定でおったということになっていますが、大臣がお見えになれば、今国会については、いわゆる道路特定財源のことについていろいろと議論があります。その件について、大臣もさまざま御発言をされておられるようでございます。そのことも含めながら、大臣の御見解さらには今後の取り組みについて伺おうかなと思ったところでございますが、きょうは閣議の都合もあって大臣がお見えになられないということでございますので、桜井副大臣、私と同じ神奈川県内の選出でございますので、また私と同様に地方議会出身ということでございます。そういった意味では、いわゆる地域まちづくり、そんな視点からの環境保全の取り組み、施策についてお伺いをさせていただければ、そう思っております。

 まず、先般、この通常国会の最初の大臣の所信表明演説で、最後のくだりでございます。「環境問題は、今や地域社会や経済の問題とも深く密接にかかわっています。社会や経済の問題に対応する上でも環境保全への取り組みを中心に位置づけていくべきです。環境を守る努力が経済的に報われ、生きがいにもなるといった仕組みをあらゆるところに設けて、地域が活性化し、日本の国際競争力も高まるという好循環を形成することが重要」だと大臣は所見で述べられておりましたけれども、あらゆるところで環境保全の取り組みというものが必要だということは論ずるまでもなく、それは個人で、また家庭で、さらには広く地域で、さらにさらには広く国全体として、さらには国際社会という中で、さまざまなステージ、レベルの中での取り組みが必要であろうと思っております。

 ただ、ややもすると、ありとあらゆるところに施策ということになると、意識という部分でいえば、ついつい総花的になりがちだろうというふうなことを思っておりますし、そういった意味では、特段今般は、いわゆるまちづくり、地域づくりという視点からの環境保全の取り組みの重要性について問いただしたい、そう思っております。

 まず前段として、我が国のいわゆる地球温暖化、さらには排出量の抑制等について、まず基本的には、我が国は運輸部門さらには民生部門におけるCO2の排出、この伸びが大きいということでございますけれども、そういった部分を考えれば、地域また暮らしといった部分でとりわけ取り組みが重要であろうと考えますが、そういった地域また暮らしというレベルでの取り組みの必要性、また、今後どう取り組んでいかれるのか、それらについてお伺いをさせていただければと思います。

桜井副大臣 おはようございます。あかま議員にお答えをさせていただきます。

 最初にお話しでしたように、同じ神奈川県でございますので、ある程度生活基盤というんですか、そういうものが同一でございますから、環境に対する目線というのが非常に似ているのかな、こんなことも感じておりますので、きょうは大臣のいない中、しっかり環境行政についてのお答えをさせていただきたいというふうに思うわけであります。

 今お話のありましたように、運輸部門や民生部門が非常に伸びがあるわけでございますが、それも、日本の経済成長が非常に高くなってきて、あるいは生活水準が高くなって、自動車が普及してくるとか、あるいは暑い寒いという、クーラーをつけるとか、そういう部門において非常に伸びがあるというのは先生が御指摘されたとおりでございます。そういう地域や暮らしにおいて、低炭素地域づくりの取り組みというものを進めていくことが大変重要ではないだろうかというふうに思っているわけでございます。

 こうした中では、富山市におけるライトレールを軸としたまちづくり、あるいは、大規模な緑地を確保しながらコンパクトな地域熱供給システムの導入を図っているコペンハーゲン市、あるいは、日本におけますと、私も先日お伺いしたんですが、西新宿地域に熱供給を集中してやっていくというようなところがございます。こういうようなことを、国内外にさまざまな取り組みをしておりますので、そういう広がりをしっかりしていきたいなというふうに思っているところでございます。

 環境省といたしましても、こうした取り組みを一層推進するために、地球温暖化対策推進法の一部改正法案を提出して、都道府県や政令指定都市、これから政令指定都市になるあかま先生の相模原などは特にこういうような計画をしっかりやっていただく必要があろうかというふうに思うわけでございます。こういうような計画策定を盛り込んで、この一部改正をさせていただいているところでございます。

 また、公共交通や自然資本を活用した地域のCO2削減計画の策定や町全体での熱供給システムの導入などに対し、各省庁や自治体とも連携しながら幅広く支援をしていくところでございます。

あかま委員 今、桜井副大臣の方から御答弁ございました低炭素社会地域づくりは極めて必要であるし、また、それぞれ各自治体、町において取り組みもされておられる。

 その中で、今コンパクトなまちづくりというお話がございました。コンパクトなまちづくり、もちろんさまざまな定義、意味合いもあろうと思っておりますが、基本的にはその町において衣食住すべて、また労働も、遊ぶということも含めて、その地域で完結ができる、そんな定義というふうに理解しております。ただ、地域というものの取り組みについては、やはり財源の問題、さらには地理的な要件等々も含めながら、それぞれ一様にはいかない部分、もしくは、逆に言えば特性を生かしながらやらなきゃならない部分があるんだろう、そう思っております。

 そんな中で、今般、通常国会の中で総理が打ち出した例の環境モデル都市というのは、一つの大きな今後の環境行政の試金石になるんだろうというふうに私は理解をしております。前段申し上げたとおり、環境施策というものがありとあらゆる分野に必要になってくる。そして、生活もそういった環境というものをキーワードに、中心に展開をするという方向に持っていくという中でいくと、各市町村、自治体の取り組みをしながらも、象徴的なシンボリックな取り組みがなされなければなかなか環境行政の牽引役にはならないのかな、そんな気がしております。

 そういった意味で、今般、総理の方から、環境モデル都市構想という形で全国十カ所に先駆的な取り組み、またCO2の削減目標を数値的にとらえ、まちづくりという観点で幅広に取り組むようなことを考えておられますけれども、まずその意義について、環境省としてどのようにとらえておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

桜井副大臣 地球温暖化の危機を回避するために、総理も発言をしているところでございますが、世界全体の温室効果ガス排出量を二〇五〇年までに半減をするということが必要になってくるんだろうというふうに思います。そのためには、温室効果ガスの排出を大幅に削減するとともに、生活の豊かさを実感できる低炭素社会への転換が不可欠であろうと思うわけであります。

 こうした観点から、温室効果ガスの大幅な削減、高い目標を掲げて先駆的なチャレンジをする都市を環境モデル都市として十カ所選びまして、政府一体となって支援していくところでございます。

 来月から提案募集が行われる予定でございます、この環境モデル都市への応募が起爆剤となって、都市における最先端の環境技術の導入から、地産地消としての地域内のバイオマス資源利用といった取り組みに至るまで、さまざまな取り組みが各地域において一層進められていくことを期待しておるところでございます。

 さらに、環境モデル都市の事例を国内外に広く発信していくことで、世界全体の都市の環境問題の解決に貢献するとともに、都市づくりに関する日本の知恵や技術がビジネスとして展開されていくことが重要であり、環境省としても積極的に支援していくところでございます。

あかま委員 今、副大臣の方からお話ございました、国内においてそうしたモデル都市をつくる、それらが起爆剤となって、環境問題、地球温暖化、さらには数値目標という形で提示することによって、それらを着実にこなしていくという形になればという話でございます。また、それら環境モデル都市というものが日本国内のみならず世界に発信し、そしてそれが都市づくりのモデルとなるというところまでお話もございましたが、もちろん、そのためにはそうした全省庁的な取り組みが不可欠ですし、ことしについては洞爺湖サミットがございます。日本が議長国として環境に対する強いメッセージを発信する、そういった意味合いでもこの取り組みについては積極的かつ大胆に取り組んでいただきたい、そう思っております。

 もちろん、今前段で二問させていただいて、いわゆる地域づくり、まちづくりという視点の中で、ありとあらゆる仕掛け、仕組みが必要だというお話、これについては認識の一致が得られました。今後、いわゆる先駆的なモデル都市づくりが進みながら、都市間で、まさに環境というキーワードでいい意味での競争が行われれば、当初の我々が目指すべき目標というものもクリアに近くなるのかな、そう思います。

 今、ハード面の整備といった視点がまちづくりといった部分では極めて強いものだと思っております。もちろんハード面で、まちづくりの中で、例えば公共交通機関を推進します、そのことによって車社会から脱却しますという話であろうし、また、町全体でバイオマスの活用等、いろいろな取り組みといったハード面ということは極めて重要である一方で、やはりソフトといった意味合いもまた必要なんだろうと思います。まちづくり全体をやる中で、ソフトといった面でいえば、いわゆる環境施策に取り組む人的なパワー、マンパワーなんだろうと思っております。

 先般、環境省の有識者の検討会議でいわゆる環境人材という形で考え方が示されたところでございますが、やはり地域にあってこれからどのような方々を環境人材として育成していくのか。もちろん有識者という方々、また地域で事業所、会社、商工関係団体、農業、いろいろな方々があろうかと思っておりますが、地域まちづくりといった意味でいえば、やはりメーンアクターは地域、地場に生きる方々、それは例えば商店街であったり、とりわけ商店街などは、地域にあって、その商店街活動の一環で、例えばエコ活動等をさまざま推進していようかと思っています。もちろん、地域にあっては小学校、中学校といった生徒、学生といったものもまた環境施策に対する意識づけが必要、その意味では環境人材としてとらえなければならないんだろうと思っております。

 その環境人材の育成についてどのように今後お考えで、いわゆるメーンアクターとしてどのような方々をとらえながらどう後押ししていくのか、お聞かせいただければと思います。

桜井副大臣 今、先生のお話がありましたようなハード面、都市のインフラ整備や新エネ、省エネ設備、こういうものも大変必要だろうというふうに思っておりますが、それよりもこれらを使いこなして温室効果ガス排出量を削減していくためには、個人や家庭の取り組みがどうしても不可欠でございます。先生御指摘のとおり、エコポイント等の経済面での取り組み、環境教育による人づくりといったソフト面の取り組みが重要であろうというふうに思っておるわけであります。

 まず、エコポイントについては、省エネ商品の導入や省エネ行動に伴いポイントがたまり、そのポイントを商品などに交換するというようなモデル事業の立ち上げを支援していきたいというふうに思っております。もう既に早稲田商店街などは、マイバッグやマイはしというようなものを使えば、それ相応に交換できるというようなシステムができているわけであります。

 あるいは、地域に着目した場合には、商店街によるレジ袋の削減、こんなようなことも一緒に行っているようなわけであります。そのような取り組みをエコポイントに発展させて、商店街が中心となり関係者の参加を得て展開される事業についても支援をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

 また、環境教育に関しましては、生涯にわたる質の高い環境教育、環境学習の機会を提供する、二十一世紀環境教育AAAプランというものを進めております。我が家の環境大臣事業を通じた環境家計簿の普及や持続可能な地域づくりを担う人材育成のモデル事業などを積極的に行っていくところでございます。

あかま委員 今、ハード面のみならず、ソフト面においても商店街を中心とした形、またさらには生涯にわたって環境学習という話がございました。

 もちろん、それらが、地域にあって、環境活動また環境に対する意識の先導役となることを期待したいし、多くの方々が大臣おっしゃったように参加、環境問題に対する参画という形があることが国民運動としてのまずベースになるんだろうと思っておりますし、モデル事業を通じながら、より広範な形でさまざまな地域にそうした活動を広げていかなきゃならないんだろうと思っております。

 前段、冒頭、私が大臣の所見を引用しました。その中で、「環境を守る努力が経済的に報われ、生きがいにもなるといった仕組みをあらゆるところに設けて、」というくだりがございました。ややもすると経済活動と環境に対する取り組みといったものが相反する活動というふうな見方、考え方もございます。やはり経済活動はどうしても利益を追求する、利潤を最大限高めるといった意味でいえば、その経済活動の中で環境に配慮をするといったことが足かせになる場合がある。とりわけ、大きく産業界といった意味でいえば、それが顕著であろうと思っております。

 だからこそ、地域に根差した事業所、さらには商店街といった方々が、より意識を持って、経済的にマイナスにならない仕掛け、仕組みといったものが、今後、地場、草の根の環境活動、運動を広める上で必要なんだろうと私は思っておるんです。

 地域の商店街、地域の事業主、地域の学生生徒が環境活動に積極的に参画するために、より環境というものが、将来という中でいけば、プラスマイナスでいえば、地球環境を守るということがプラス、しかしながら現時点の、またきょうあすの短期的な経済活動といった部分からするとマイナスになり得るというならば、その部分について何らかの仕掛けといったこと、これらについて商店街は正直言うと二の足を踏むんだろうと思っております。

 そういった中でいえば、モデル事業に通じながら、環境省として経済活動に差しさわり、支障がないような形で取り組んだモデル事業があって、これは各地域により広める必要があるだろうなと。逆に言えば、モデル事業をやった中で、確かに中小零細事業主でございます、その方々にとって、環境活動に参画してください、これが負担になっている、そんな実態もあろうと思っております。

 そうしたことをどうとらえて、どう検証をして、どう今後に生かしていくおつもりでいるのか、お聞かせいただければと思います。

桜井副大臣 まず、環境問題というのは、私たち一人一人がどう意識していくかということが非常に大事だろうと思います。あるいは経済成長をやるために環境がお荷物になるというような社会をつくっていかないことがこれから大事ではないだろうか、こんなことを思っております。ですから、一人一人の自発的な環境保全の取り組み、これをまず推進していく。そして、インセンティブや意識づけを推進するということが極めて重要だろうというふうに思うわけであります。

 具体的には、法律による規制的な手法だけではなく、経済的インセンティブを与え、環境に配慮した行動へ誘導する手法や、環境負荷に関する情報の開示、提供、こういうものを進める手法として、社会経済に環境配慮を盛り込むさまざまな仕組みを活用するとともに、環境教育、環境学習などを通じて環境保全意識を高めていくことが必要だろうというふうに思うわけであります。

 こうした観点から、例えば地球温暖化対策推進法の一部改正法案においても、国民が日常生活で利用する製品やサービスについて、CO2排出量を見える形にしていくということ、あるいは情報提供のあり方に関する指針を明らかにすることとしたところでございます。

あかま委員 今、副大臣の御答弁の中で、環境保全の取り組みをしっかりとしたものにするためにインセンティブ、さらにはいわゆる意識づけというお話がございました。そうした取り組みがもちろん必要であるし、それらが功を奏す形にしなきゃならない話なんだろうと思っております。

 そのインセンティブを与えるといった観点からは、排出量の取引や環境税の導入といった経済的手法というものを積極的に取り入れる必要があろうと思っておりますが、こうしたインセンティブのあり方、経済的な手法についてどうお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

桜井副大臣 環境保全の取り組みに当たっては、自主的手法やあるいは規制的手法、経済的手法など、あらゆる政策手法を総動員して、それらの特徴を生かしながら、有機的に組み合わせる必要があると考えておるところでございます。

 国内排出量取引制度については、今後の温暖化対策の有効な選択枠の一つであると認識しておりますし、二〇〇五年から自主参加型の国内制度を実施しておりまして、排出量取引についての知見や経験の蓄積を進めておるところでございます。

 また、環境税についても、市場メカニズムを通じて低炭素社会を実現する極めて重要な政策手段であり、地球温暖化対策全体の中での具体的な位置づけ、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取り組みの現状などを踏まえて、国民、事業者などの理解と協力を得るように努めながら、真摯に総合的に検討を進めてまいりたいと思っておるところでございます。

あかま委員 今、副大臣の御答弁の中で、排出量取引については、これは有効な選択枠の一つだというお話がございました。また、環境税の導入については、市場メカニズムを活用するという話の中で、これも積極的に、前向きに検討をする必要があるという認識も示されました。

 今般の質問の中で、基本的にはまちづくりという視点の中で各都市において先駆的な取り組みをなされるべき、そしてそれを下支えするものとして、ソフト面で、地域に生きる方々の意識づけという話をさせていただきました。そして、もちろん、経済活動をするものにとっては、意識づけ、インセンティブという形であれば、こうした環境税等さまざまな形が必要だという話がございました。

 一連の質問を通じながらも、環境施策というものがどうしても総花的になりがちなものでございます。それだけに、環境モデル都市といった、かなり集約した、見える形の先駆的な取り組みというものが今後より必要なんだろうと思っております。

 環境省として、地球温暖化対策の一環で、多少ファッション的な、流行的な要素もありながら、いわゆるクールビズというのが随分と世間一般に認められたというふうに認識をしております。そうしたことに象徴されるように、地球温暖化対策、またさらにはCO2の削減です、また低炭素社会づくりですといった中でいえば、何らか象徴的な、シンボリックな動きであるとか活動であるとか、さらにはキーワードといったものが恐らく国民全体の関心という中では必要なんだろうと思っております。

 そんな意味でいえば、ぜひ環境省が、こうした大きな、いわゆる地球温暖化というテーマの中にあって、それをよりわかりやすく、国民全部が皆、経済活動するもの、また生活するもの、さらには地域に生きるものそれぞれが、環境問題についてはそうだと言われるようなキーワードのもとで今後の施策の展開が必要であろうと思っております。そうしたことを踏まえながら、今後の環境行政にぜひ取り組んでいただきたい、そう思っております。

 私の持ち時間がこれで終了いたしました。今後の環境行政への積極的な取り組みについてよろしくお願いし、私の質問を終わらせていただきます。

小島委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 おはようございます。

 鴨下大臣に環境行政全般についていろいろと質問させていただきたいと思います。

 まず、先般の温暖化防止バリ島会議、また、それを受けてのいろいろな国際会議、ダボス会議等ございましたけれども、鴨下大臣、どこでもこういった環境の問題が取り上げられるたびに大変御活躍の御様子で、我々もそれだけに期待しておりますけれども、その割には日本の評価が低かったという報道も随分目にしているわけです。

 例えば、バリ島会議においては、化石賞というものが毎年のように、これはいい方ではなくて悪い方に与えられる賞でありますけれども、この化石賞を何回も何回も日本が受けなければならなかった、それはどういう点に日本の取り組みが不十分であったのか。大臣自身、この日本の姿勢について、こういう点が足りなかった、こういう点が不十分だったと思われる反省点、今後の課題というものについて、端的に、どういった点が一番低い評価を受けなければならなかったか、それを御説明いただけませんでしょうか。

鴨下国務大臣 今、バリ島でのお話がありましたけれども、バリでは私たちは極めて重要な合意ができた、こういうふうに考えているわけでありまして、その中で一番重要なのは、これは世界全体で排出削減を実現するというようなことについてすべての国が参加をする枠組みが、これから議論ができる基礎が整った、こういうようなことだろうというふうに思っております。その中で日本がどういう形で役割を果たすかというようなことについては、それぞれ御意見もあったわけでありますけれども、私の認識では、これは調整役というような立場で、このCOP13のバリ会合での役割というのは十分に果たせたというふうに考えております。

 残念ながら、今委員御指摘のようにNGOの化石賞という、それぞれ環境問題に後ろ向きな団体あるいは国に与えるというようなことで、日本は数回にわたって受賞した。これは、ある意味で大変不名誉なことでありますけれども、あのバリでの雰囲気の中では、日本にもっと頑張れというような意味の形もあったのかなというふうに私はある種、まあネガティブな賞でありますけれども、逆にそれをモメンタムにして頑張れというようなことなんだろうというふうに意識をしておりました。そういう意味でいうと、特に日本は非常に期待をされていて、期待値が高いわけでありますから、それにこたえろと。こういうようなことは世界の中での要請だというふうに思っております。

 我々は、バリはとにかく、京都議定書の反省に立って、この次からのポスト京都の枠組みにおいてはとにかくすべての国が入る、こういうようなことを前提に考えておりましたので、そういう化石賞をいただきつつも調整役としてきちんと成果を出した、こういうふうに今の段階では総括できるんだろうというふうに思います。

岩國委員 各国が期待しておったのは、調整役としての日本ということだけではなくて、単なる調整役を一歩抜け出して先導役を果たしてほしいという期待の方が強かったんじゃありませんか。それが結果的には調整役の範囲でとどまったと。大臣の御答弁の中からもそういったニュアンスがうかがえますけれども、各国は、特に途上国は、日本の対応について非常に不満を持っておったとすれば、途上国は日本に何を期待しておったのか。

 日本がどれぐらい高い目標を掲げ、自分自身もここまでやるんだから、みんなやりましょうと。そういう先頭を切るような調整役というものを期待しておったのにもかかわらず、日本自身からはそれほど具体的な数値というものを示さなかった。例えば安倍総理が二〇五〇年までに五〇%削減という、世界がある程度驚きを感じ、そして高く評価する目標を掲げながら、内閣がかわってからは二〇五〇年までに五〇%というものを裏づけるような具体的な提案がその後続いておらないという点に不満があったんではありませんか。

 途上国は日本に何を期待しておったのか、日本は何をこたえられなかったのか、もう少し詳しくお話しいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 先生おっしゃいますけれども、途上国は日本に対してさほどフラストレーションがあったというふうに私は感じておりません。むしろこの化石賞は、ある意味で、深いところは、これは多分EUを含めた先進国が日本に対して、今先生おっしゃったように数値目標、特に中期目標について明確な意思を示さない、このことに対して不満があって、それに対してのいわばバリでのEU側からの圧力というようなことが私は一番肌で感じたところであります。

 ただ、全体的にあのバリのCOP13をまとめていく上での一番大きな問題は、今先生おっしゃるように途上国と先進国との間のいわば考え方の相違、これがいわば一番際立ったところでありました。

 その中においては、日本は、多分これから例えば新たな資金メカニズムの話、それからCDMを初め途上国側とのさまざまな連携、こういうようなことについては途上国はそれなりの期待をしてくださっている、こういうふうに考えておりまして、これからそれはもっともっと具体的にしていかなければいけないと思います。

 特に、これはまた後ほどお話があるかもわかりませんけれども、例えば南太平洋の島嶼国、あるいは氷河を抱えているような途上国に我々が気候変動に対する適応の問題でいかに資金的あるいは技術的に援助ができるか、こういうようなことについては私は日本はそれなりの評価をいただいていたというふうに思っております。

岩國委員 途上国との関連においては後ほどまたODAとの関連で質問させていただきたいと思いますけれども、こうしたバリ島やダボスの会議で、総論としてはかなりいい表現で日本の態度は表明しておられますけれども、ダボスの駄ぼらと言われることのないように、今後しっかりとそれを具体的に詰めていかなきゃならない。その総仕上げがこの環境サミットではないか、そのように思います。

 それで、洞爺湖サミットに向けて、世界にどのように日本の方針を発表されるのか、その基本方針というのはもう既にできつつありますか。日本らしい、日本だからこそこういうメッセージが出せる、日本だからこそこういうことは言わなければならない、そういった世界に対するメッセージというものは、今までのような諸会議ではなくて、仕上げともいうべき洞爺湖サミットにおいてはしっかりとした方針というものを表現の上で、もちろん数値的な裏づけも大切ですけれども、その点についてはどういう準備が進んでおりますか、お教えいただけませんか。

鴨下国務大臣 おっしゃるように、洞爺湖サミットで日本がきちんとした形で明確な意思とリーダーシップを示すということは、国際社会の中での日本の役割として極めて重要だというふうに思っております。

 ただ、バリで合意ができたすべての国が参加する新たな枠組み、こういうようなことがまず土俵としてでき上がりつつありますけれども、その中に具体的なものとして何をインプットしていくかということでありますけれども、今お話しになった一月のダボス会議では、福田総理がクールアース推進構想というようなことで二〇五〇年、五〇%温室効果ガス削減というような中身について発言をしました。加えて、国別総量目標というような話をしまして、これは大変評価を受けたというふうに思っております。

 ただ、その中で、今度はその国別総量目標を算出していく上で、例えばセクター別のアプローチというようなことで積み上げていくという方法論について、これから私たちはどういうふうにしていくかということを考えないといけないんですが、この週末に行われましたG20のグレンイーグルズ対話、これの第四回目の会合がございまして、その中でもセクター別アプローチについての提案を日本からいたしました。

 結果的には、多少賛否両論のところもあったんですけれども、多分に誤解に基づいたところもあるなというふうに私自身は感じて、その第二日目の私の基調講演の中で、これは共通だが差異ある責任の基本原則を貫いた上でセクター別のいわば積み上げ式の算出も一部の主要排出セクターについては考え得る、こういうようなことも含めてお話をさせていただきました。

 結果的には多くの国から御理解いただけたというふうに思っておりますけれども、こういうような国際会議を、これからエネルギー大臣会合、さらにはG8の環境大臣会合、こういうようなプロセスを経まして、最終的にG8のサミットにおいていかに日本が次のポスト京都フレームワークの中で貢献できるか、今こういうようなことを積み上げていく段階だろうというふうに思っておりますので、先生からもいろいろとまた御提言もいただければというふうに思います。

岩國委員 これは洞爺湖サミットにおいて総理がどういうメッセージを、環境問題が中心になろうと思いますけれども、発信されるのか。これは外務省の方で主に担当されるんですか。環境省が全部サミット会議を仕切られるわけではありませんから、外務省の方に通告してありますけれども、どういうメッセージを用意していらっしゃるのか。クールアース、クールアースで最後までいくのか。それ以外に、日本の主体性をにじませた、こういうことを訴えようという腹案というものはできつつありますか。

草賀政府参考人 お答え申し上げます。

 サミットにおきましては、非常に広範な議題がございます。重立ったところで言いますと、この環境・気候変動の問題、それ以外にも、開発・アフリカ問題、今問題になっている世界経済の問題、それから不拡散を初めといたします政治問題といった幅広い重要問題があろうかと思いますので、全般にわたりまして日本として、議長国として前向きなメッセージを発信していきたいと思っておりまして、今お話も出ましたように、いろいろなG8の関連閣僚会合等も踏まえまして、その成果を積み上げていって洞爺湖サミットにつなげていきたい。まだちょっと時間もございますが、それを政府部内で今鋭意やっているところだというふうに思っております。

岩國委員 外務省所管のODAの中身にも、環境関連のものが相当重視されておるのかどうか、具体的な例を一、二挙げていただけますか。環境問題に直結するような、あるいはそういう相手国の期待にこたえるような具体的なものとしてはどういうものが出ておりますか。

鶴岡政府参考人 環境・気候変動関連につきまして、総理がダボスで公表いたしましたクールアース推進構想の一部に、国際環境協力の柱が立っております。その中で、クールアース・パートナーシップと名前をつけまして、途上国に対する気候変動、環境問題への協力を呼びかけております。

 昨日、総理はペルーの大統領との首脳会談を行われましたが、その後、日・ペルー首脳間の共同声明が出ておりますけれども、その中でもペルーの今後の気候変動問題への取り組みに対しまして我が国としての協力を行うということをうたっております。具体的な内容といたしましては、多岐にわたりますけれども、プロジェクトで申し上げれば、例えば上下水道の整備であるといったような水についての配慮を行うもの、あるいは先方政府の環境行政に当たる役人、専門家の育成についての人材育成協力等々、多岐にわたる協力を今回ペルーとの間でも推進していくことで首脳間で合意をしております。

 これまでにも、インドネシア、マダガスカル、セネガル、ナイジェリアなどの国々との間で、今申し上げましたクールアース・パートナーシップという考え方に基づいて、相手国の気候変動問題への取り組みを支援していく協力をODAを通じて実施する話し合いを進めてきているところでございます。

岩國委員 そういった中で排出量削減に直結しておるかなり大きな貢献をするプロジェクトとしては、ほかにどういうものがありますか。もちろん上下水道、そういったものも大切でしょうけれども、排出量削減に直結するようなもの。

鶴岡政府参考人 具体的なプロジェクトといたしまして代表的な例がございますので、御紹介申し上げます。

 既にこれは実施されているものでございますが、エジプトにおけるザファラーナ風力発電計画というものがございます。これは風力発電の装置を日本側からエジプト側に供与するものでございますが、案件といたしましては円借款による実施でございまして、供与額は上限百三十五億円、また、予測される排出削減量につきましては、二〇〇七年からの七年間で年間二十四・八万CO2トンの予想を立てておりまして、これを平成十九年六月に登録しております。

 もう一件、インドとの関係でございますけれども、デリーにおきます温暖化ガス排出量の少ない車両の地下鉄への導入計画、これはデリー高速輸送システム建設計画の一部でございますけれども、この排出量の少ない車両の地下鉄への導入計画によりまして、今後の排出削減量につきましては二〇〇八年からの十年間につきまして年間七・六万CO2トン、これを平成十九年十二月に登録しておりますが、そういった削減量が実現されることを想定しております。

岩國委員 ただいま御答弁いただいたエジプトとインドの二つのケース、これは非常にわかりやすい排出量削減につながる例だと思いますけれども、これはODAの大きな枠組みの中でその事業が行われる。結果として、エジプトでは二十五万トンが七年間ですから百七十五万トン、それからインドでは七・六万トンが十年間、この百七十五万トン、七十六万トン、この排出量削減の枠というものは日本に帰属するんですか。

 ODAのお金は日本が出す、結果としてその国において排出量が削減される。その削減された排出権というものは、インドやエジプトに帰属するのか、お金を出した日本に帰属するのか。これは日本の納税者から見ても、それだけのお金が使われた結果、排出権が出てくるのであれば、排出権も日本に帰属するのか。排出権は先方のものであって、日本にはさっぱりその見返りはないのか。日本は日本でまたお金を出して、どこか別の国からそれだけの排出権というのを買ってこなきゃいかぬのか。このODAのメリットの中に計算できるものなのか、それは計算してはいけないものなのか、この辺を明確に御説明いただきたいと思います。

鶴岡政府参考人 まず、ODAといわゆるCDM、今委員御指摘の排出権とおっしゃっておられるものは、排出量の削減によって生じるCDMと言われている一種の取引の可能な権利のことだと思いますけれども、これは二つの別々の枠組みで組み立てられているものでございます。

 CDMに相当する、すなわち、その事業を展開することによって通常以上に排出量の削減が実現する場合、そのような事業をCDM事業として登録することが可能となります。そのような事業によって削減されます温室効果ガスの排出量、これはクレジットと言ってもいいかと思いますが、この取引はCDM事業を実現するときに用いられた資金がODAであるか否かにかかわらず発生する一つの権利でございまして、それは途上国及び先進国のプロジェクトに参加する民間企業などの事業者自身が契約によってこの取引を行うものでございます。

 したがいまして、CDM事業によって成立いたしましたクレジットがある場合には、そのクレジットの売買、取引というものは、そのクレジットを取得した事業者、それからそれを購入する希望を持っている事業者の間の取引によってなされるものであるということでございまして、ODAとの関係においては直接出てこないものであります。

 ただ、我が方のODAを活用いたしまして事業が展開されて、それがCDM事業と認定された場合、そこで生じたクレジットについては、当然のことながら我が国が深く関与して進めた事業でありますので、一定の意味におきまして日本企業に購入の意図があれば有利な立場に立つということは想定されております。最終的な売買は民間契約でございますので、政府の直接介入はございませんけれども、今申し上げました関連の動きというものは当事者の一方である日本政府といたしましても承知をしておりますので、民間と情報の共有を図ることによって、場合によってはクレジット購入を勧めるということもございます。

 先ほど御紹介いたしましたザファラーナの案件については、そのような形で日本の関心を持った企業の購入につながっているということも一言あわせて申し上げます。

岩國委員 そうすると、このエジプト、インドの二つの件はCDMに既に登録されておる、したがって、排出量削減から生ずる排出権の取引、その一定の対価というものは、ODAのお金を払った日本国政府の収入にはならないということですね。ならないで、その事業を引き受けた三菱商事とかそういう民間企業の収入になるであろう。

 排出権というものを取引するあるいは売却するのは相手国の政府なのか、事業に参加した日本の企業がそれをだれかに売るのか、この売り手、買い手はどういうふうになるのか。そのとき、日本国政府の収入には一銭もならないのか、なるのか。その点を端的にもう一度繰り返してください。

鶴岡政府参考人 例えば発電所を建造する場合、その発電所を発注した相手方の発注主が発電所を最終的には所有することになろうかと思います。そういたしますと、その事業を行った責任者であるところの発注主の側に排出量取引の権利というものが生まれますので、クレジットは発注側に属しております。

 その発注側が持ったクレジットを今度は民間が買いに行くということでございますので、日本政府はODAは供与いたしますけれども、相手方の発電所を所有するということはODAの仕組み上は想定されておりませんので、あくまでも日本政府から先方の事業者が相手方政府を通じて入手した資金的な手当てを活用して事業を展開しておるところでございますので、その事業から出てきます一つの派生的な権利とも言えるかと思いますけれども、クレジットというものは相手方の事業主体に属することになります。

 一言で申し上げれば、それを売買したからといって、我が方の、資金を提供しております日本政府に対する収入に直結するものではございません。

岩國委員 今そういう仕組みが我が国の中でどの程度理解されているかどうか、私は非常に心配ですけれども、日本はお金は出す、事業はできる、事業から発生するメリットは配当として日本に入ってこないで向こうが受け取るということであれば、ODAにかけるお金はその分だけ少なく日本が使うという考え方は出てこないものですか。

 その事業の結果、排出権という配当を先方だけは持って、そしてまたそれを民間企業同士で売買して、日本の国民の財布の方には返ってこない。そういう排出権というものまでが、事業と同時に排出権という一つのメリット、クレジットというものがあるならば、そのお金の出し手である日本政府も当然その排出権のクレジットに参加する権利を持つべきではないか、私はそのように思うわけです。この辺は仕組みがそうなっていないということのようですから、ぜひとも……。

 そういった点では、日本はお金の出しっ放し、事業のやりっ放し、向こうはもらいっ放し。日本の納税者から見た場合には、よその国をきれいにすることに日本のお金が使われている。

 では、質問を変えて、もう一つ、これは環境省にお伺いしたいと思います。

 日本の産業界で五千億円という記事が出ておりました。産業界としても五千億円ぐらいでこの排出権を購入しなければならない、こういう記事が最近出ておりますけれども、これは鉄鋼業界だけで出すのか、日本の産業界全体で出すのか、日本の政府が窓口となって購入するのか、これについて御説明いただけませんか。

鴨下国務大臣 五千億は産業界全体で購入する、こういうようなことでありまして、主要な排出というような意味においては鉄鋼が極めて大きな要素を占めていることは間違いございませんけれども、トータルでの話でございます。

岩國委員 その五千億円という、今計画段階でしょうけれども、それは相手国はどこなんですか。相手国、個別の国の名前までは決まっておらないでしょうけれども、国外から購入するということを前提としておられるんですね。

鴨下国務大臣 具体的にはなかなか申し上げにくいところもございますけれども、国別に契約量で申し上げますと、中国が六割ぐらいですね。それから韓国が二割ぐらい、そしてメキシコ、インドネシア、インド、こういうようなところが主要な国でございます。

岩國委員 ありがとうございました。

 中国、韓国、そういったところに日本のお金を払って、そういう国が排出量を削減する、その排出権の枠を購入する、こういう仕組みであると御説明いただきました。

 ということは、結局、日本は外国にお金を払って外国の国をきれいにして、排出量の枠をふやして日本を汚くする、お金を払って日本の排出量がふえる、こういうことなんでしょうか。お金を払えば払うほどよその国はきれいになって、お金を払えば払うほど日本の国の排出量がふえていく、こういう構図ですね。お答えください。

鴨下国務大臣 地球温暖化というようなことにつきましては、空気は国境を越えて移動いたしますので、結果的には世界全体に貢献するというようなことにおいては、まことにこれは意義があるわけであります。

 ただ、加えまして、購入した分につきましては日本の削減量にカウントできるというようなことでございますので、トータルでいえば、世界に貢献しつつ日本の約束削減量にも貢献できる、こういうようなことでございます。

岩國委員 計算上は削減しつつ、日本の空は汚れていくということになりますでしょう。それだけ排出権を買うということは、排出量をふやしていいということになるわけですから、日本の空がきれいになることにはなりませんね。間違いでしょうか。お答えください。

鴨下国務大臣 それは、クレジットを主に買うのは例えば鉄鋼あるいは電力というようなセクターでありますから、そこが、多分先生おっしゃるのはそれぞれ削減目標を履行せずにただクレジットだけ買ってくればいいんだろうというような趣旨の話だろうと思いますけれども、やはり日本国内においてもエネルギー効率を上げて、トータルの排出量をそれぞれのセクターがしっかりと約束を守っていただき、加えて、どうしても足らない部分については、各国、特に近隣諸国に対してのCDM等で貢献し、なおかつクレジットを買うというようなことで、最終的には日本は二〇五〇年に世界で半減というようなことでクールアース50ということを提唱しているわけでありますので、日本だけが努力してそれで済むという話ではない。

 こういうような大原則にのっとって、まあ、各国に対しても貢献しなければいけないのでありますけれども、原則はやはり日本の中でしっかりと削減を努力することという先生の御指摘は、そのとおりだろうというふうに思います。

岩國委員 二〇五〇年までに世界で半減、日本は倍増ということにならないように、行政の方からもこの仕組みの運用にはしっかりと、また、この予算のめり張りもつけて、本当は、外国にその枠を買うために使う何千億円というお金は、国内で日本の空をきれいにするために第一義的に使われるべきじゃないかと思うのです。いろいろな技術開発にももっとお金を使う。外国に枠を買って、外国の空をきれいにして、日本の空はそれに反比例してどんどん汚れていくというふうな面だけが進んでいくことのないように。

 また、もう一つ大臣に申し上げたいことは、外国から排出権の枠を買うという発想の前に、日本の中から排出権を買う。静岡県でも長野県でも島根県でも、日本じゅうの山が黙々と土曜日も日曜日も休まないで一生懸命CO2を吸い続けています、貢献しているんです。外国の山や外国の川にお金を払う前に、まず日本の森林に排出権の対価を支払うべきじゃないか。日本の空を一生懸命きれいにするために、日本の国土面積の約六五%を占めているところ、その山や森を大切にする。山や森にも排出権の対価を払う、山や森に給料を払う、私の持論ですけれども、そういう方向にもっと目を向けていただきたい。

 外国の空をきれいにする前に、日本の空をきれいにしているのはだれなんだ。我々人間ではありません。山の森や木が一生懸命仕事をしてくれているからこそ、そうしたCO2の吸収が行われているわけであって、そういう日本の自治体から排出権を買う。四十七都道府県を対象にして排出権を購入するという窓口、構想をつくってみてはどうでしょうか。

 それは、それぞれの県がもっと山を大切に、森を大切に、そしてそれぞれの町の子供たちが、ああ、僕たちのあの山が、僕たちのあの森がそれだけの仕事をしてくれているんだ、だから政府はそれだけのお金をちゃんと自分たちの市に払ってくれているんだという、わかりやすい、国民への、木を大切にしよう、森を大切にしようということにもつながっていくんじゃないでしょうか。

 どこか頭の上を飛び越えて、外国の方の枠を買ってきて、その分だけ新日鉄がCO2を出す量をもっとふやすことができると。そういう金で何か解決するというよりは、日本の山や森を愛する気持ちにもっと結びつけるような排出権取引構想というのは出てこないものですか。お答えください。

鴨下国務大臣 おかげさまで、今国内での排出量取引についてさまざまな議論がかなり具体的になってまいりました。そういう中には、例えば排出枠についてもそれぞれの地域あるいは都道府県でもそれなりの枠を持ちつつお互いにやりとりする、こういうような考えもあるようでございますので、例えば大変密集している工業地域と、今先生がおっしゃるように森林があって炭酸ガスの吸収をしてくれているところとのそれぞれのやりとり、こういうようなこともその中では勉強されているようでありますので、一つの考えとして受けとめさせていただきます。

岩國委員 こうした森林を守ろうとする県別の努力というものに対する一定の評価を私はしていくべきだと思うんです。

 四十七都道府県といえども、その中で森林面積がふえた県は八つの県しかありません。残り三十九の県は、森林面積をどんどん減らしているんです。森林面積を減らせば、工場が来る、住宅地がふえる、税収がふえる。そちらの方がいいでしょう。森林面積をふやしている県は、むしろ過疎化が進んで財政的に苦しんでいるかもしれない。こういう不公平なことを放置してはならないと私は思うんです。

 やはり、山にも森にも川にも、神様、仏様がいらっしゃる。そういう日本人の感性、伝統、哲学というものを尊重しながら、日本は世界の警察にもならない、世界の軍隊にもならない、私の持論ですけれども地球のドクターを目指す。そういう日本であるならば、日本の自然に対してももっと資金を投下し、それを大切にし、そういう山や森がどういう働きをしているかということを教育の面でもわかりやすい行政に私は結びつけていただきたいと思います。

 次に、学校教育について質問したいと思います。

 学校教育については、一九九三年に環境基本法が制定され、二〇〇三年には環境教育の推進に関する法律というものが制定されております。この九三年から、あるいは二〇〇三年から、どのように環境教育についての予算というのは計上され、それが充実してきているかどうか、お答えください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 小中学校における環境教育についてでございますが、環境教育の重要性にかんがみまして、まず、学習指導要領の改訂のたびに、その内容の充実を図ってきているところでございます。

 そして、それに連動いたしまして、環境教育関連予算の過去五年間の推移を御紹介いたしますと、平成十六年度は約四億九千二百万円でございましたけれども、五年後の平成二十年度予算案では約十一億一千七百万円という形で、文部科学省で取り組んでおります環境教育の関連予算は約二倍という状況になってございます。

 また、環境省あるいは農林水産省などの関係省庁とも連携を図りながら、環境教育の充実に努めていきたいと考えております。

岩國委員 今の数字は、学校教育の中という枠の中でですか、それとも社会一般の啓蒙活動なんかも含まれている数字なのか、それが一点。

 次に、学校の教科書。小学校、中学校の学校の教科書の中に環境に関する記述、そういう自然の大切さ、極端に言えばページ数なり文字数なりで、どのようにこの十年間、二十年間、着実にふえてきているのかどうか、それを検証されたことはありますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 環境教育につきまして、先ほどの予算につきましては学校教育が中心でございますけれども、社会教育の面、地域における活動の面も含めた予算の状況でございます。

 それから、環境教育につきまして、社会科、理科などの各教科において環境に関する内容の充実を図っておると先ほど申し上げましたけれども、教科書について、環境教育に関する記述の量を小学校六年生の理科の教科書について調べてみた数字がございます。

 平成十三年度主要教科書、これは一つ前の学習指導要領に基づいた教科書でございますけれども、その段階では十二ページでございました。全体のページ数の約一〇%ぐらいでございました。現在用いられております平成十九年度主要図書では約二十八ページという形で、全体のページ数の二一・四%というカウントができるという状況で、教科書における環境教育に関するページ数も割合ともふえているというのが現状でございます。

岩國委員 ありがとうございました。

 次に、新しいエネルギー、新エネルギーについてお伺いいたします。

 この新エネルギーについては、火力、水力、原子力、風力といったようなものから、波力、地熱、太陽光、あるいは水素エネルギー、いろいろな種類の新エネルギーが旧エネルギーも含めて検討されておりますけれども、現在、日本で使用されている総エネルギー量の中での配分が十年後、二十年後にどのようにこういう新エネルギーに推移していくであろうか、こういう研究、試算というものはできておりますか。例えば十年後にはこうした原子力の比率は、あるいは太陽光の比率はどのような位置づけになっていくのか、経済産業省。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現在の一次エネルギーに占めますエネルギーの種類ごとの比率でございますが、二〇〇五年度の実績で、石油、LPGが四六%、石炭が二一%、天然ガスが一五%、原子力が一二%、水力、地熱が三%、新エネルギーが二%、その他が一%という比率になっております。

 今後、二〇三〇年までのエネルギー需給の定量的見通しにつきましては、昨年の四月から、総合資源エネルギー調査会の需給部会において御審議をいただいておりまして、まさにあしたの同部会におきまして報告書案を御審議いただく予定でございます。

 したがいまして、まだ数字は審議中でございますけれども、今後の考え方ということで申し上げますと、原子力発電につきましては、供給安定性にすぐれ、かつ発電過程におきましてCO2を排出しないクリーンなエネルギーということで、また、エネルギー安全保障の確立と地球温暖化問題との一体的な解決を図る上でも極めて重要ということでございますので、今後、安全の確保を大前提に、核燃料サイクルを含め原子力発電を着実に推進していきたいというふうに考えております。

 また、化石燃料への依存度を可能な限り下げていくということが重要であるという観点から、太陽光、風力、バイオマス等の再生可能エネルギーの開発利用、あるいは化石燃料に依存しない水素エネルギー開発等の取り組みを推進していきたいというふうに考えております。

 さらに、化石燃料の中では他の化石燃料とのバランスにも配慮しながら、CO2排出量のより少ないエネルギー、特にガス体エネルギーへの転換を推進していきたいというふうに考えております。

 加えて、石油あるいは石炭等につきましても、発電効率の向上等、より効率の高い利用技術の開発導入を進めまして、CO2の排出を抑制していきたいというふうに考えております。

岩國委員 それでは、あす発表されるというものをこの委員会にもぜひ詳細を提出していただきたいと思います。

 あす発表される二〇三〇年のその試算、その中で数量的に一番大きいのは原子力ですか。二〇三〇年にはどういう順番でこの日本のエネルギーが供給されるのか、大きいものから順番におっしゃっていただけませんか。

平工政府参考人 先ほどは一次エネルギーにおきますウエートということで申し上げました。そういう面では引き続き化石燃料のウエートが高いということはやむを得ないところでございますけれども、例えば発電電力量に占めるウエートということで考えますと、やはり原子力がかなり高いウエートになるであろうというふうに見込んでおります。それに続きまして火力。また、新エネルギーにつきましても、相応の増大を見込んでおります。

岩國委員 次は、環境行政の中での競争入札、それから随意契約について環境省にお伺いしたいと思います。

 いわゆる天下り、これは各省庁にも見られるわけですけれども、この天下りというのは、優秀な人が第二の人生を別のところで過ごされる、あるいは、全く別なところでなくても関連のあるところで御活躍される、それは私は決して否定するものではありません。ただ、問題は、人とお金が二人三脚で行ってしまうというところに問題があるのであって、人とお金が別々に天下り、人の天下りと金の天下りが別々の方向に行くならだれも問題にするわけではないんです。

 環境省のいろいろな随意契約の中に、幾つか天下りをしておられるところに対しての随意契約があります。その大きなところ、三つについて、どういうところにどういう事業を随意契約で出しておられるのか、御説明いただけませんか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省の随意契約、これは民主党の方からもそういった資料の御要求がございました。天下りというのは定義にもよりますけれども、環境省のOBが役員として就職をしています公益法人等、全部で二十二法人ございます。そうした中で随意契約をしてございます法人が、十三法人ございます。その中でさらに大きいものという御指摘かというふうに思っております。

 一つが、例えば日本環境協会、財団法人でございます。それから、地球環境戦略研究機関という法人がございます。それから、自然環境研究センターという法人がございます。

 それぞれに頼んでおります仕事、一例を申し上げますと、日本環境協会でございますけれども、こちらは温暖化対策推進法によります全国の温暖化対策の推進のセンターという役割を果たしてございます。そういった関係で随意契約をしている部分がございます。逆に言いますと、それだけということでございます。この法人について見ますと、環境省との随意契約の収入は確かに高うございますけれども、それ以外にも事業収入等ございますけれども、今申し上げたようなもので七割ぐらいの収入に相なってございます。

 また、地球環境戦略研究機関につきましても、これは各国からの拠出金等々ございますけれども、環境省からの随意契約が約三割ということでございます。全体の予算規模二十一億でございますが、こちらにおきましても、先ほど申し上げましたように、具体的に申し上げますと、例えばアジアにおきますところの国際的な化学物質の研究というようなことで、実はこれは国際研究機関と共同研究をこの地球環境戦略研究機関がやるというようなことでございますので、ほかでは随契理由がない、立たないということでこの機関にお願いをしている、こういったようなものが重立ったものでございます。

岩國委員 それでは、前もっていただいた資料を見ますと、日本環境協会、地球環境戦略研究機関、自然環境研究センター、この三つの機関は環境省からの仕事以外にどれだけ多くの仕事をしているんですか。環境省の随意契約というのはどれぐらいのウエートを占めているところなのか、それを教えていただけませんか。

小林政府参考人 先ほど御答弁申し上げたところとダブりますけれども、申しわけございません、もう一度申し上げます。

 日本環境協会からの順で申し上げます。ここは予算規模が約十二億でございます。環境省の随意契約、競争性のない随意契約によりますところの収入の範囲が六八%でございます。それから、地球環境戦略研究機関、私どもIGESと言っておりますけれども、こちらが、全体の資金規模が二十一億ということでございまして、環境省からの競争性のない随意契約のシェアは二五%でございます。それからもう一つ、自然環境研究センターでございますけれども、こちらの予算規模は約十六億でございます。これに対しまして、環境省からの競争性のない随意契約によりますところの事業収入は三三%という数字になってございます。

岩國委員 ありがとうございました。

 随意契約については全体規模の中でどれぐらいの比率を占めているかということを私は前もって通告しましたけれども、その段階ではそういう相手の規模というのは調べようがない、調べていないという返事でした。そういうことはないだろうと思ってきょう改めて聞いてみたわけですけれども、今後とも、こうした随意契約については、随意契約しなければならないいろいろな要因があることは想像できますけれども、しかし、そうした世間的な疑惑のもととならないように、必ず相手機関の実績、それからトータルの規模の中で環境省の事業というものがどれぐらいのウエートを占めているものなのか、そういったことについて十分留意しながら発注していただきたいと思います。

 それでは質問をかえます。

 先ほどの環境教育にも関連いたしますけれども、樹木の大切さを守るために樹木医制度というのができております。樹木医学会、民間団体にそれは委託されておるわけですけれども、樹木医は今千六百人近くになってきておりますけれども、この樹木医と環境省とはどういう具体的な連携関係で日本の森を守るような活動が行われておるのか。樹木医センターは樹木医センターでそれぞれの自治体で弱った木、病気の木を診ているだけのことであって、日本の森や山を守っていくという観点から環境省としてはどういうふうに位置づけ、これからどのようにこの制度を活用していこうとしておられるのか、お答えいただけませんか。あるいはそれは林野庁がやっているんですか、どちらかお答えください。

西尾政府参考人 直接には自然環境局が担当していると思いますので、ちょっと私正確でないところがあるかもしれませんが、自然環境局でも、例えば巨樹、巨木といったようなものに注目して木のとうとさ、木の価値というようなことをみんなに知ってもらう、そういう作業をするときには樹木医の方々とも連携をしていたかというふうに思っております。

 それから、私どもの環境教育のところでも自然の触れ合い体験とかそういった事業をいろいろやっておりますので、ちょっと済みません、現状が必ずしもつまびらかでないところがございますが、樹木の専門家がいらっしゃるということでございますれば、自然との触れ合いといった場面でもいろいろ連携をとっていくということはしなきゃいけないことだというふうに思っております。

岩國委員 せっかくそういう制度があり、しかも、四十七都道府県に満遍なく樹木医さんがいらっしゃるわけですから、今、気候変化あるいは温暖化現象ということで農業にも大きな影響が出てきています、当然ながら山や森にもそういう影響は出てきているわけです、それに先手を打って、できるだけ早く、そういう現地の事情に一番詳しい樹木医さんの情報というのをもっとネットワークとして積極的に活用して、日本の森をしっかりと環境省は守っているんだという姿勢を示していただきたいと思うんです。

 もちろん、農水省の方でも、林野庁の方でもそういう目で活用していらっしゃると思いますけれども、これだけ温暖化で木にも変化が出てきている、あるいは花の咲く時期が変わってきている、いろいろな影響が出てきているときに、樹木医制度をもう少し環境省としても活用し、必要なら予算もつけて、いろいろなアジアの国のお手本になるような森林保全に活用してもらいたい、そういうことを要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 きょうは、三十分という時間をいただきましたので、大臣所信に対して、とりわけアスベスト問題に的を絞ってお尋ねをさせていただきたいと思います。

 昨年十二月のこの委員会でも、実は、厚生労働省に対しても質問をさせていただき、現在問題となっているアスベストを使っていた事業所名の公表について、どうなっているんだということを尋ねたところであります。できるだけ早く公開をするために、何とか来年の春までには公開をしたいというのが昨年のお話でありました。

 外を見ても、もう既に春であります。一体いつ公開をされるのか。その準備についてはもう着々と進んでいるというふうには思うんですけれども、公表するための検討状況、そしていつ公表対象事業所の公表をされていくのか、大臣の指示を受けてどのようにされているのか、まず冒頭聞かせてください。

石井政府参考人 お答えいたします。

 昨年の十二月、田島先生から御質問をちょうだいいたしまして、私も、とにかく大臣の指示がございますので、来年、当時は来年でございました、春までに事業所名公表に向けて一生懸命頑張るというふうに答弁いたしました。

 その後、時間も経過いたしているわけでございますが、とにかく膨大な数がございまして、間違ってはいけないと丁寧に仕事をいたしておりますが、片方で、待ち望んでいらっしゃる方がおられるのも事実でございます。一刻も早くということで、とにかくこれは優先順位を非常に高くして取り組んでおります。

 しかしながら、現時点で、今春までに公表ということはとにかく守りたいと思っておりますが、確定日付というふうな形で御答弁申し上げる段階にはまだ至っておりません。ただ、とにかく頑張って対応してまいりたい。今春でございます。頑張ってまいります。(田島(一)委員「今週ですか」と呼ぶ)春でございます。今春でございます。

田島(一)委員 問題は、春とはいつまでを指すのかですよ。私がこの後用意をしている質問というのは、やはりその事業所名が公表されるかどうかによって大きく進展が変わってくるわけなんですね。精査しなければならない、膨大な量だ、それもよくわかります。しかし、恐らく、皆さんはもう既にそのあたり掌握されているわけでして、墨塗りしたものをもう出していらっしゃるわけなんですよね。事実としてあるわけなんですから、それを一刻も早く出す、その姿勢をやはり徹底して守っていただきたい。

 今春ではなくて今週と聞いて、私はちょっとどきっとしたんですね。日本語は大変難しいんですが、速記の方はややこしかったんじゃないかと思いますけれども、多分、今春ではなく今週だというふうに受けとめたと私は思っているんですね。

 今週というのが無理だとするならば、この春というのがいつごろまでなのか、いつなのか、それはやはりはっきりとゴールを決めてくださいよ。

石井政府参考人 お答えいたします。

 この春ということでの大臣の指示でございますので、とにかくこれは守りたいと思っております。

 春といいましても実は幅があるわけでございますが、とにかく春の間に、頑張りたいと思っております。とにかく春の中でも早いうちということをねらって頑張っているところでございます。

田島(一)委員 まだつぼみだと言われている春ですが、四月に入ると暦の上ではもう夏に入るわけですよ。解釈の違いなので、そんな議論をする場ではないと思いますけれども、ぜひそこは早急にやっていただきたい、改めて強くお願いをしておきたいと思います。

 さて、なぜ事業所名を公表していただきたいか。この裏づけとなる事件が、きのうの朝刊で多くの皆さんもごらんになられたかと思いますが、国の不認定の方に対して企業が初めて救済金を支給したというニュースがきのうの朝刊に出ておりました。中皮腫でお亡くなりになられたけれども、生存中に申請しなかったとして国の救済法に基づく認定を国から拒否されたにもかかわらず、その被害者に対してクボタが救済金を支払ったということがわかったという知らせであります。

 クボタは、それこそあのクボタ・ショックで御承知のとおり、多くの石綿を取り扱っていた企業であり、そこが原因で、あのクボタ・ショック、今回のアスベストの救済に対する世論が大きく巻き起こったところであります。

 この被害を受けた女性は、クボタから一・五キロほど離れたところにお住まいであり、六十七歳の専業主婦であります。アスベストの工場に勤務したこともない。しかし、この方が、平成十八年の四月二十三日に胸の痛みを訴えて入院され、それから十九日目にお亡くなりになられたという、大変短い状況の中でありました。入院された当時は、がん性胸膜炎という診断を受けておられ、アスベストとの因果関係は全くないというような判断であったようでありますが、お亡くなりになられて八月に解剖されたところ、肺から労災認定基準の二倍を超える約一万三千本の石綿が見つかり、結果、中皮腫であったということが判明しました。その後、御遺族が十月に国に救済の申請をされたのですが、生存中の申請ではないということで申請は却下をされ、昨年二月に不認定通知を受け取られたということでありました。

 国は、すき間のない救済をするということからこの石綿救済新法をつくって施行されてきたところでありますが、こうした入院してわずか十九日間という短い間で、アスベストと関係のないがん性胸膜炎というような診断で、解剖しないとわからなかったという事実があったわけであり、恐らく、この女性自体が専業主婦でありアスベストとの因果関係がないというようなことから診断をされたのかと思いますが、こういった方々が随分この世の中にいらっしゃるのではないかと私は考えます。

 ある新聞では家庭内暴露という表現で見出しを出していらっしゃいますが、この家庭内暴露については、二年前の新法の審議をしている際にも私たちが随分指摘をしてきたところであります。報道によりますと、この亡くなられた専業主婦であった女性も、御主人がアスベストの関係の仕事をなさっていた。そして、その仕事中に着ていらっしゃった作業着を家庭の洗濯機で洗濯され、恐らくその洗濯で御主人の作業着についていた石綿を吸い込まれて暴露されたのではないか、そういうふうに書かれております。

 こういったケースは、どこの事業所がアスベストを使っていたのか、そして、アスベストと仕事としてかかわりを持っていた人だけではなく、専業主婦ですらこのように労災認定基準以上の石綿で暴露をし、お亡くなりになっているという事実、これは、まだまだ国内では知られていないという事実を物語る新聞記事ではなかったかというふうに私は思います。

 多くの被害者、また、アスベストによる中皮腫かもしれないと疑いを持ちながら、お医者さんが誤った診断をされたら何ともしがたい、そんな苦しむ方々がまだ今なおいらっしゃる、この現実を私は一刻も早く埋めていただきたい。だからこそ、企業名の公表を一刻も急いでいただきたいというふうに訴えてきたところであります。

 このアスベスト新法ができて、はや二年がたとうとしています。当時は、すき間のない救済をとおっしゃっていたにもかかわらず、この二年の中で、さまざまな問題点、すき間がオープンになってまいりました。

 まず冒頭大臣に、この石綿による健康被害の救済に関する法律、当時、小池大臣でございましたけれども、提案説明の中にも、すき間のない健康被害者の救済、被害の未然防止のための新たな法的措置だというふうにおっしゃっていらっしゃいました。この法律に対する大臣の御認識をまずお聞かせいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 石綿健康被害救済法は、石綿による健康被害者であって労災補償等による救済の対象とならないものを対象とし、迅速かつ安定した救済制度を実現するため、今先生おっしゃっていたいわゆる平成十七年六月のクボタ・ショック後、八カ月という極めて短期間に、平成十八年二月に成立して三月より施行されているということでございます。施行後約二年間の中で、関係者の御協力のもと、おおむね円滑に制度が運営されていると考えております。これまで三千人余りの方が認定、救済されてきております。

 ただ、今先生おっしゃったように、例えば、知らないところでいつの間にか暴露している、あるいは間接的に暴露したというようなことについては、なかなか今まで因果関係についてわからなかったというようなこともございます。

 本法については、法において、施行後五年以内に見直すということのほかに、附帯決議においても、施行後五年を待たずとも見直しを行うべきとの御指摘を受けているわけであります。

 今先生が具体的なケースとしてお話しになったこういうような方、特に、お亡くなりになった後に中皮腫とわかるというようなこともあるわけであります。私も医者になった当初は呼吸器の医者をやっておりましたので、特にがん性の胸膜炎の方は実際にどこにオリジンがあるかということがわかりにくい部分もありまして、残念ながらその後に病理解剖等で判明するというようなケースもあるわけでありますので、法施行後の未申請死亡について課題になっている、こういうようなことについては十分に承知しております。

 被害を受けた方々の御意見をしっかりと受けとめまして、本法の見直しをできるだけ適切に行ってまいりたいと考えております。

田島(一)委員 適切という言葉、先ほどの春の解釈もそうですけれども、前向きととらえていいのか、非常に微妙な表現なんですね。やはり現実問題、こうした家庭内暴露も含めた因果関係がわからない、ましてや入院して十九日目にお亡くなりになられたりすると、いわゆる生存中に究明をしていく時間的な余裕というのは本当にないという現実を、今回こうして新聞記事を通して突きつけられたというふうに思うわけであります。

 民間のクボタは、自社から一・五キロ以内の範囲に住んでいらっしゃる、中皮腫ということがわかった、だから企業として救済金を出そうというふうな決定をされた。これは前向きな取り組みということで、私はクボタのこの決定を評価したいと思っているんですが、残念なことに国の救済申請は却下をされたという、こういうすき間がやはり現実にあるわけであります。

 速やかな見直しという点について、大臣が早々に、五年を待たずとも見直しをしていきたいという前向きな姿勢をお示しいただいたわけですけれども、いつやるのか、現にこの後もう少し具体的な事例を申し上げたいと思うんですけれども、もう少しわかりやすい表現で、この見直しに対する姿勢、覚悟を決意としてお示しいただけないでしょうか。

鴨下国務大臣 適切にということは、これは、今先生からの御発言もありますので、こういうようなことを十分に我々は受けとめまして、すき間で現実に困っていらっしゃる、あるいは亡くなられた後に大変御遺族の方も悲しんでいらっしゃる、こういうようなケースもあるということは十分に承知しておりますので、ある意味でそういうような方々のお気持ちをきちんと受けとめられるような形で適切に、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、これは冷静な議論もしなければいけませんけれども、しっかりと速やかに検討に入りたいというふうに思います。

田島(一)委員 もう二年たった現段階、現実の問題をしっかりと受けとめて見直しをするというふうに受けとめてよろしいですね。

鴨下国務大臣 適切にいたします。

田島(一)委員 これ以上表現の仕方で云々してもせんないことでありますから、適切にやるとおっしゃった中身について、これから幾つか挙げさせていただきたいと思います。

 すき間と思われる点が幾つかあるわけでありますが、今回私たちが一番大きく問題だなと思っているのが、特別遺族給付金と特別葬祭料の支給の部分がまず一点目であります。

 救済法の施行日は二〇〇六年の三月二十七日でありますが、この施行日よりも前に亡くなられた方の遺族に対しては、二百八十万円の特別遺族給付金と二十万円弱の特別葬祭料が支給されることになっているわけですが、これは施行日から三年というふうになっております。施行日から三年といいますと、もう来年の三月二十六日で打ち切られるわけであります。

 これは、わずか三年で打ち切るというのが果たして本当に適切なのかどうか、権利義務関係の確定という問題も当然あるわけでありますけれども、この点について、私は、三年という時限的なものではない、しっかりとした支給の期間というものを確保すべきではないかと考えるんですけれども、環境省としてはどのように考えているのか、お聞かせください。

石塚政府参考人 特別遺族弔慰金等の支給期限のお尋ねでございますが、本制度というものは、今現にお苦しみになっておられる被害者の方に安んじて医療を受けていただくということを目的としている制度でございます。

 そうした中で、特に制度発足前に死亡した方につきましては、石綿が我が国の経済全体に大きな便益をもたらしてきた中で、一部の被害者の方々のみが犠牲を払い、石綿による被害と認識せずに、何らの救済も受けられないまま石綿による重篤な疾病により死亡したという特殊な状況にあるわけでございます。特別遺族弔慰金というものは、国が特別に弔意を表明するという趣旨でその御遺族に対して支給されるという性格のものでございます。

 権利の安定を重視するという観点からは、確定した事実に基づき発生する権利に関する請求期限について、他制度も見ますと、大体二年というのが制度として多く設けられているところでございます。これに対しまして、本制度における特別遺族弔慰金等につきましては、制度の周知を図るため、特に申請期限を三年と設定しているわけでございまして、現在、周知の徹底を図っているところでございます。

 今後も、周知活動というものに十分努力を払いまして、申請漏れがないように最大限努めてまいりたいと考えているところでございます。

田島(一)委員 もう一点挙げたいと思っている点を申し上げます。

 まず、医療費と療養手当のいわゆる救済給付の合計金額、これが二百八十万円に満たないでお亡くなりになられた場合、差額を遺族に支給するという救済給付調整金というのがあります。しかし、これも施行から二年で打ち切られるというふうになっており、施行から二年といいますと、もう今月の三月二十六日で切れてしまうわけであります。

 これについてもやはり問題であると私は思っており、この期限をもう少し延長するといったような見直しもやっていただくべきではないかというふうに思いますが、その点についての御見解をまず聞かせてください。

石塚政府参考人 救済給付調整金についてのお尋ねでございます。

 先ほども御答弁いたしましたように、この制度というものは、今現にお苦しみになっておられる被害者の方に安んじて医療を受けていただくということを目的としておりまして、御遺族という立場に着目した給付というものは定められていないという状況でございます。

 こうした中で、救済給付調整金につきましては、制度施行前に死亡した方の遺族に対して一時金として特別遺族弔慰金が給付されるのに対し、制度施行直後に死亡された方には、制度施行後生存したわずかな間の医療費と療養手当しか給付されないという状況が生じますために設けられました、言うならば他に類を見ない救済制度であるというふうに認識しております。

 以上のように、救済給付調整金というのは、いわば特例措置の中でもさらに特例というべき制度でございますので、御指摘のような措置というものが、安んじて医療を受けていただくという本法の目的に照らしまして適切と言えるかどうかは、慎重に考慮していくべきものと考えるところでございます。

田島(一)委員 何度も何度も、今現にお苦しみになっていらっしゃる被害者というふうに前置きをされるわけですけれども、今回のこの救済法の中に、今現に苦しんでいる人というような規定はどこにあるんですか。これまで苦しんだ方というものに対しても規定はあるんですか。どうしてそこで今苦しんでいるかどうかという線を引くんですか。その根拠はどこにあるのか、お示しください。

石塚政府参考人 この制度は、いわば公健法のように民事責任に立脚するというものではございませんで、言うならば、今現にお苦しみの方を救済するという趣旨で福祉的な観点から設けられた制度、そのために、公健法とは別の法体系で構成したものということでございます。その趣旨というものが、過去の民事責任に立脚する救済というものとは別に、今現にお苦しみの方を救済するという、そもそも考え方がそこで違っているということから、別法によってこれが制度化されたというふうに認識しております。

田島(一)委員 民事上の賠償責任に基づくいわゆる補償制度ではない、それが多分皆さんの根拠であろうというふうに思いますが、しかし、この法案が当時提出されたときには、すき間のない救済をする、そう大臣はおっしゃいました。

 民事上の賠償責任に基づくかどうかという問題よりも、現に起こっているすき間をどう埋めていくかというところに立たない限り、あなた方がおっしゃるように、今現に苦しんでいる人のためで、もうこれまでに苦しみ、亡くなられた方は知りませんと切り捨てて、すき間を認めているようなものだと思われませんか。私、その点を含めて今回大臣は、速やかに見直しに着手したいというふうにお答えをいただいたんだと受けとめているんです。

 家庭内暴露された方のお話を、先ほど新聞記事を引用させていただきました。こういった方々のように、自分はアスベストとは関係ないだろうと思われている方もいらっしゃる。ましてや、病院で診察してもらったら因果関係がなかなか認めていただけない、お亡くなりになられて解剖をしてようやくわかったというような、そんなケースがいっぱいあるわけですよ。

 だから、その他の、公健法となかなかなじまないとおっしゃいますが、やはり三十年も四十年もずっと潜伏をしてようやく出てくるというような特異性のある疾病ですから、ここは、しゃくし定規に今苦しんでいる人たちの救済だけというのではなく、当初法案を提出されたとおり、すき間のない救済を目指すという観点にもう一度立ち返って、今回のこの法律の見直しを五年を待たずやるべきなのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

石塚政府参考人 制度見直しにつきましては、冒頭大臣が御答弁申し上げましたように、五年を待たずに、必要なものにつきましては適切に検討を加えるというお答えを申し上げたところでございます。

 課題というものはさまざまございます。技術的に対応ができるものと、非常に時間をかけなければ難しいものとあろうかというふうに存ずる次第でございます。私どもも、大臣の指示を受けまして、必要な部分につきまして、また検討することが可能な部分につきましては、十分に対応していきたいと考えております。

田島(一)委員 もう一点、もし今回適切な見直しをされるのであるならば検討していただかなければならない問題点を指摘したいと思います。

 被害者本人が生存中に認定申請の手続がとれなかった場合、一切の救済を受ける権利が失われているというふうに考えます。もう一点、被害者本人が手続をとるまでの間、救済給付ですね、医療費の自己負担額と療養手当の月十万円強を受ける権利も失われているわけでありますけれども、認定されないとなかなかもらえない、申請の手続がとれなかったらだめだ。これをもう一度さかのぼってきちっと面倒を見る、この点もやはり必要なのではないか。

 前回の質問からも申し上げていたとおり、すぐにこれがアスベストが原因だとわからない病気だからこそ、余計にこうした配慮が必要なのではないかというふうに思うわけですが、この点については見直しをしていただけるかどうか、御意見をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

石塚政府参考人 未申請死亡という方でございますね。

 これも大臣の方からも御答弁ございましたように、未申請死亡という方々につきまして、これから適切に検討を加えてまいりたいというふうに考えております。

田島(一)委員 ちょうど二年たとうという今ですから、私は、五年を待たずとも見直しを適切に行いたいと大臣が御発言をいただいたことに対し、敬意を表したいと思います。

 実は我々民主党も、今回のこのアスベスト救済法のすき間の部分を抽出して改正法案の提出の準備をさせていただいているところでもあります。我々の問題点とするところもぜひ環境省として受けとめていただいて、今現に苦しんでいらっしゃる患者の皆さんの意見もしっかりと聞かせていただいて検討すると御答弁をいただきましたので、その点についてぜひ決意と、また、今回、不認定だった方に対して民間で救済金を支給すると決定したクボタのこの姿勢も含めてどのように大臣がお感じになっていらっしゃるのか、あわせて御答弁をお願いしたいと思います。

鴨下国務大臣 私も、クボタ・ショックのことはよく覚えております。また、加えて、与党の中でのプロジェクトチームのメンバーの一人でもあったわけでありまして、今回のこの救済法についての具体的な立案に参画した立場もありましたので、先生御指摘のことについては、これは、法施行後、さまざまな問題点の一つとして、課題として残っている、こういう認識をしております。

 ですから、先ほど申し上げましたように、適切にというのは、できるだけ早く適切にということでありますので、具体的には、検討に入らせていただきたいというふうに思いますし、いわゆるすき間のない救済ということにかなうようなしっかりとした取り組みをさせていただきたいというふうに思います。

田島(一)委員 時間が参りました。終わります。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 鴨下大臣におかれましては、日曜日のG20対話、お疲れさまでございました。

 七月に我が国の北海道洞爺湖で行われますサミット、議長をどなたがやられるかはいろいろ御意見のあるところかもしれませんが、いずれにしましても、我が国が環境立国日本として我が国の科学技術を全世界に知らしめる意味でも非常に重要な会議になってまいりますし、その点において、さまざまな温暖化対策の枠組みを日本がリーダーシップを発揮してつくっていくことに関しては我が党も異論のないところであると思いますので、その点に関しましてはエールを送らせていただきたい、そんなふうに思っております。

 質問の後半でこの点についていろいろお聞かせいただきたいと思いますが、まず一点、残念な案件の方から入らせていただきたいと思います。大臣の所信の七ページでも述べていらっしゃいますけれども、例の再生紙の問題ですね。

 言うまでもなく、昨年の社会的現象等々、我が国にとって非常に残念な現象をあらわす漢字一文字が偽装の偽というところで、耐震偽装から始まり、食品のいわゆる賞味期限の話や有効成分の話等々、本当に情けないぐらい、出るわ出るわ、日本のコンプライアンスというのはどこにあるのかと残念な思いをしたわけでございますが、環境分野においてこういうようなことはないのであろうと。

 もっと言うならば、それなりの人が罪を犯してしまうならともかくも、環境の分野というのは、やはり非常に高潔であり、かつ、国民に対して呼びかける、特に子供さんたちなんかは、こういった再生紙、私の家庭においても、紙をだだくさに使おうものなら娘からしかられるといいますか、お父さん、再生紙を使いなさいとか、あるいはコピーの裏を使いなさいとか、それぐらい、いい意味でそういう点が普及、指摘されているこのときにおいて、再生紙において偽装が見つかったというのは、単にその点を賠償すればいいというだけではなく、今まで政府、環境省が推進されてきた環境政策の根幹を揺るがすぐらい残念な事件であったと私は受けとめるべきだと思いますし、そうでなければなかなか国民の皆さん方の信頼を回復できない。

 特に、頑張ってそういったことに協力されていた方というのは、現場においてはとりわけ純粋な方も多いわけでございまして、一生懸命我々が現場でやってきたのに何だ、あるいはお子さんたちからすれば、学校で教えてもらっていたようなことを実践しようと思って、自分もいろいろ節約し、あるいは紙なんかでも、年賀状を書くときにはできるだけ再生紙がたくさん入っているものをお父さん、お母さんに頼んで買ってもらおうというようなことをやっていたにもかかわらず、何だこれはということだと思いますので、その点、やはり裏切られた方のお気持ちというのは、期待していただけ、逆にそれは倍増しているんじゃないかと私は思います。

 そういう点で、きょうは、質問の前半でこの問題について質問させていただきたいと思っております。今後の見通し、計画、それからさまざまな対策等につきましてはぜひ大臣にお答えいただきたいと思いますが、事実確認や数字のデータ等々につきましては、政府参考人の方にお答えいただければ結構かと思います。

 私も、この件について関係部署から御報告いただいた最新のものといいますと三月七日付のものでございまして、言うまでもなく、これは、一月八日のTBSさんのニュース23において年賀はがきの古紙配合率不足に係る報道があって一気にこの話が出てきたわけでございますが、それからずっと、三月七日付での、三月三日に日本製紙の社長さんが環境大臣を訪問し謝罪したというところまでの報告書と一連の資料をいただいたわけでございます。

 まず、端的に、偽装の実態は現時点でどうであったのか、お答えいただけますか。

西尾政府参考人 先生御指摘の再生紙の偽装でございますが、何社からそういう偽装があったかということにつきましては、日本製紙連合会からの一月二十五日の回答を踏まえますと、大手メーカーのほとんどを含む十七社が偽装をしていたということでございます。

 それから、その実態ということでございます。製紙メーカーにも、自分たちの工場のデータを見て徹底的に洗い出すように、こう申し上げておりますが、合併やいろいろな事情があって必ずしもできていない部分もあるということでございます。二月二十日まで追加調査をやりまして、大体のことはわかった。その限りで見ますと、各製紙メーカーにおきまして、調査結果ですけれども、全般的に言って、かなり以前から多くのメーカーが多種類の製品で大量かつ大幅な配合率不足を来す形で製品を提供した、それも意図的にそういうことをやっていたということが判明しているというふうに考えております。

伴野委員 今の御報告は、経産省さんも情報としては共有されているということでよろしゅうございますか。その点だけでいいです。

内山政府参考人 お答えいたします。

 私ども経済産業省といたしましても、製紙各社に対して、乖離の実態等々調査を要請いたしまして、先ほど環境省の方から御説明がありましたような報告を得ているところでございます。

伴野委員 偽装の実態の情報は共有していると。その点において、現時点において経産省さんと環境省さんのこの案件に対するアプローチの違いがあるとすれば、それぞれ教えていただけますか。

西尾政府参考人 環境省は、より直接的に言えば、この件につきましては、グリーン購入法におきまして国の調達の基本方針ということを定めております。その取りまとめの官庁という立場がございます。それからもう一つは、私ども、環境を守る、循環型社会を築くということで、リサイクルを進めております。リサイクル社会を崩壊させかねないような、信頼を失ったということでございます。

 メーカーには三点問題があるんだと思いますが、社としてのコンプライアンスの問題、それからグリーン購入法に基づく偽装の問題、三番目は、国民が無償でやってきたリサイクルの信用を失墜した問題だと思います。特に一番のコンプライアンスの問題は、業界としてどうやっていくかということでございますから、この点につきましては経産省においてしっかりとやっておられることだと思っておりまして、それにつきましてはよく連携をとらせていただいているということでございます。

内山政府参考人 お答えをいたします。

 経済産業省としては、製紙各社に対しまして、乖離の実態、原因などを究明するような調査を要請するとともに、信頼回復に向け、再発防止に全力を挙げて取り組むよう指導してございます。

 経済産業大臣が関係者から直接謝罪を受けた際には、国民の信頼回復に向けて、会社を挙げてコンプライアンスの強化に早急に取り組むべきことを伝えてございます。

伴野委員 その上で、これは感覚的なことで恐縮です、法律にそういうものがないんだと言われちゃうとつらいんですけれども、牛肉ミンチの偽装のことを思い出すんですね。あのときに、どのタイミングで行ったかどうかまで忘れてしまいましたが、私の記憶にあるところは、すぐ農水関係部署の人が工場立ち入りというようなことをやられたと思うんですが、今回そういうことはできないんでしょうか、いかがですか。

内山政府参考人 お答えをいたします。

 経済産業省としては、立入調査の権限等は有しておりませんので、立入調査は実施していないものの、先ほど御説明申しましたように、製紙各社に実態調査を要請することなどを通じまして、製紙各社におきまして社内調査委員会による原因究明が行われるなど、自主的な対応を促してきております。

伴野委員 自主的な報告というのは聞こえはいいんですが、私は、本当に怒っていらっしゃるならば、もっと厳しい対応をしてもいいのではないか、あるいは対応していく準備をされてもいいのではないかと思うんですね。

 それで、どうでしょうか、環境省さん、国民の立場からすれば、正直言って、国民もみんなだまされた、いい仕組みをつくったのにこれは何なんだと。また後ほどお聞きしますけれども、多分業者さんのお立場はあるのかもしれませんが、現時点のここで御報告いただいたことだけからすれば、環境省もだまされたし、それから経産省もいろいろ指導していたけれども、そのとおりやらなかった。そうしたら、もっと怒ってもいいんじゃないかと思うんですが、例えば、環境省さんがこの案件で告訴するということはできないんですか。

西尾政府参考人 私ども、グリーン購入法の取りまとめをするという立場からは、だまされた、いわばそのとおりでございます。それを見抜けなかったのかということについては反省すべき点はありますけれども、しかし、大メーカーが偽装していた、これは許されるべきことではございません。

 ただ、法的な話ということになりますと、直接の契約相手方はコピー用紙を売る小売メーカーだったりとか、そういう人が間に入っているとか、経済価値があるのかとか、例えば買ってしまって答弁用紙なんかに使ってしまったものは、全部これは偽装かどうか、どれだけ証明できるかと、法的にはいろいろ難しい問題があります。

 そういうことを申しておりましたが、大臣から、それでは国民は納得しないよ、そういうことではなくて、これはちゃんと製紙メーカーがみずから考えてけじめをつけていただくべきだ、そういうことをきちんと言うんだということで、二月の二十二日に大臣からその旨を表明していただきました。

 製紙メーカーがみずからけじめをつける対応を考え、そしてそれは国民が見ているから、それを国民の目で見ていただく、それが一番ではないかということで、現在、製紙メーカーにおいてその対応方についてせっかく検討されたというふうに承知しております。

伴野委員 すべからくコンプライアンスというのは、まじめに対応していた人は、そうじゃなかった案件を見れば、これはもう怒り心頭、これにかかわらず。

 ちょっと見方を変えますが、これは公取のお立場からしたらどうですか。これは不当景品類及び不当表示防止法にひっかかるんだと思いますが、この案件から見てどうでしょうか。

鵜瀞政府参考人 個別事案の内容等についてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、現在、景品表示法違反に該当するか否かの観点から、製紙メーカー各社から報告を求めるなどして実態の把握に努めているところでございます。

伴野委員 そういうお答えしかできないのかなと思いますが、ちょっと突っ込んだ質問として、もし違反していたらどういう処置になるんですか。この案件はどこかに置いておいていただいて結構です、個別案件にはお答えできないので。法理論上、例えばこれにひっかかっていた場合は今後どういう対応になっていくんですか。そこだけお答えいただけますか。

鵜瀞政府参考人 一般論で申し上げますけれども、事業者が景品表示法上の不当表示に該当する行為をしたときには、公正取引委員会は、当該事業者に対して、景品表示法六条一項の規定に基づきまして排除命令を行うことになります。

伴野委員 ということでございますので、今後の推移を見守るしかありませんが、これはやはり大変なことに発展する可能性はあるんですよね。

 それもそれなんですが、一方で、皆で渡れば怖くないという業界の論理もなかったか。あるいは、中には、はなからそんな技術はなかったんだというような暴言を吐かれる。今の時点では暴言かもしれませんし、本音かもしれません。

 もしこれが本音だとすると、見込みもなかった仕組みをつくっただけで、形だけつくって魂入れずして、まあわからないからいいや、だまされる方が悪いんだと。国民も全部それを信用してやっていたけれども、実際、仕組みはぐるぐる回って、公金もそれに使われているけれども、全然CO2の削減にもなっていなければ、再生紙の利用ということにも全然なっていなかったということも考えられるわけでございます。

 この点は、環境省、今どういうお考えですか。

西尾政府参考人 グリーン購入法の基本方針を定めたとき、平成十三年の二月に定めておりますが、これを定めるに当たりましては、製紙連合会やメーカーにヒアリングも実施いたしまして、特定調達品目検討会という専門家の検討会でも議論をいたしました。パブリックコメントも経て決定したものでございます。

 この間、製紙メーカーからは、LCAだとか、ほかの環境の観点からどれがいいんだろうといういろいろな議論があったことは事実ですが、技術的にできないという意見はなかったわけでございます。

 その後、グリーン購入法は、毎年五、六月には基準の見直しについていろいろ意見も受け付けていますが、その際も、技術が問題だ、そこに問題があるということは聞いていないわけでございます。

 それからまた、現在は、基準を満たす紙類を供給できている、そういうメーカーもございます。

 そういうことから考えますと、大メーカーが技術がないことを理由に偽装したということ自体は論外ではないかというふうに思っております。

伴野委員 確かに環境省のお立場からはそうかもしれませんが、業者さんのお立場、別にコンプライアンスに違反した人の立場に立つつもりはありませんが、お上に堂々と物を言うというのは、なかなかやはり我が国はまだまだ十分じゃない環境があるのではないかと。ですから、一方で、こういうことが行われないためにも、業者がそう言ったから、あるいは専門家がそう言ったからということと同時に、やはりそれを検証してみるということはどこかのシステムの中に入れておかないとだめなんだと私は思うんですね。

 ですから、これは環境省さんなり経産省さんなりと、技術的なチェックができるスタッフで、あるときは抜き打ちもあるよという感じで、本当にこのルールどおり回っているのかどうかということを、ぜひグリーン購入法のシステムの中にもこれをきっかけに入れていただきたいと思いますし、ある面、技術をチェックできるというのは相当の目ききが必要でございますので、そういう能力もぜひ官庁の中に蓄えていただきたいと思います。

 さらには、例えば再生紙ということからすれば、ちょっと木を見て森を見ないことになっていはしないかと。いろいろ検討会議も行われていまして、再生紙だけに目をつけるよりも、もっと森林全体の大きな大きな循環の中で、原単位当たりどれぐらいの生産をできるだけCO2を少なくしてやれるか、そういう大きな大きな循環の中でとらえていただく見方、一言で言えば、森林伐採あるいは植林も含めた、そういうグリーン購入法の点検をもう一度していただくときに来ているのではないかなと思います。

 ここまでの議論をずっと大臣もお聞きいただいたと思いますが、なぜこんなにこの点に私がこだわるかというと、G20でお話しされたセクター別アプローチのお話にやはりつながっていくんですね。正直言って、私も、日本の技術あるいは日本のコンプライアンス、モラルというのを信頼したいですが、だけれども、こういう事件が起こってしまった。非常に不安になるんですね。

 やはりこの一連の流れというのは、まだ見える化のしやすい分野ではないのかなと思うんですね。その点ですらはっきり申し上げてちょっとていたらくということに対して、大臣は現状で、今後の見通しとともに、今回の事件をどうとらえられたか、お聞かせください。

鴨下国務大臣 今回の紙の偽装に関しましては、先生先ほどからお話しになっているように、一番は、善意のリサイクルを熱心になさってくれている国民の皆さんの気持ちを裏切った、このことについては、我々環境行政をつかさどる人間の一人としては容認しがたいことでありますから、ここはしっかりとけじめをつけさせていただく、これが基本的な考え方であります。

 加えて、先ほど、グリーン購入法の導入のときに、技術的なことが追いついていないのに空約束したんじゃないかと。こういうようなことについては、これは、国側あるいは行政側が圧力をかけたということはございません。むしろ、自発的に、技術も伴うからやるんだ、こういうようなメーカー側の話を我々がうのみにしたということについては反省しなければいけないというふうに思いますが、そもそもの前提が、やれるということを前提に入れていったというようなことでありますので、ぜひそういうようなことからけじめをきちんとつけるということであります。

 また、それとは全く別の意味で、これから、セクター別アプローチを含めて、いわば環境負荷の少ない生産をどういうふうにしていただくか、あるいはエネルギー効率を上げていただくか、これについてしっかりと我々は目ききをしないといけませんし、加えて、今度、京都議定書の目達計画の改定があります。

 そういう中で、産業界は特に自主行動計画をもう一度深掘りしていただけるというような話でありますから、それを信じていいんだろうと思いますけれども、私は、その中でも進捗管理を厳密にしなければいけないと思っているし、近々、特に主要排出セクターについては現地を見させていただきたいというふうに思っているところでありまして、しっかり私の目でも確認をさせてもらいたいというふうに思っています。

伴野委員 ぜひけじめをしっかりつけていただいて、それと同時に、やはりチェック機能を高めていただく。それからもう一つ、多分大臣のお人柄で優しい面が出られたのかもしれませんが、私は、国家戦略として、場合によっては、国益を増進させ、かつ国民の福祉の増加につながるならば、どういう言い方かわかりませんが、強い姿勢で業界に指示なり、こういう道筋でやれということがあってもいいとは思います。ぜひそういうことも御検討いただきながら、次のお話に行かせていただきたいと思います。

 地球温暖化対策の方へ入らせていただきたいと思います。

 正直言いまして、京都議定書ができたときは、やっと日本も経済だけではなく哲学的なことも含めて地球人類、地球環境に貢献できる時代が来たのかなと、一つの一里塚だという私自身の思いもございました。

 しかしながら、ここへ来ていろいろな評価をされる方もありまして、後から見ればいろいろ言えるんだろうということもあるのかもしれませんが、九二年にこの京都議定書の枠組みができ上がったわけでございますが、ただ一点、ここで幾つかちょっと時間の限り確認をさせていただきたいと思います。

 基準年について、一九九〇年で本当に我が国にとってよかったのかどうか。それは、あのときはそうだったんだ、最新のデータを使えば合理的にはそうだということなのかもしれませんが、これに対して御反論があれば。いかがですか。

南川政府参考人 現在、京都議定書におきまして、基準年として九〇年のデータが用いられております。これにつきましては、当時は、現在に比べまして排出ガスの集計等が非常に困難であったということから、広く各国のデータが得られる直近の年の数字として採用されたと承知をしております。

 したがいまして、先日のダボスにおける福田総理の演説の中でも、基準年の再検討が必要だということを述べたところでございます。

伴野委員 確かに、後出しじゃんけん的に後からいろいろ言うことはできるのかもしれませんが、やはりここは、基準年というのは、必ず、データをとるとき、あるいはそれによって見通し、もっと言うならば国家戦略の根本になるところですから、私は、その時点において最新のデータとともに、今回のこれをEUの笛とまでは言いませんけれども、ハンドボールには中東の笛というのがあるそうでございます、EUの笛とまでは言いませんが、そんなような批判にならず、かつ、別に日本の笛がいいという評価を言われてしまうこともいいとは思いませんが、日本がリードしていろいろ仕組みをつくっていく意気込み、やはりそれは基準年をどこにするかというのは大きい問題でございますので、ぜひ今後はそういう戦略的な将来見通しとともに選択していただければな、そんなふうに思っております。

 二つ目、ちょっと教えていただきたいのは、CDMのこれからの対応の仕方といいますか、私は、これはもっと国家戦略的に臨むべきだと思うんですね。全部とまでは言いませんが、我が国は科学立国を標榜しているわけでございますし、環境立国であるならば、その礎というのは必ず我が国の最先端の技術であるわけでございます。これを最大限武器として使わないと、我が国のように資源もない国であれば、ここを最大の武器にしていかなければいけないんだと思うんですね。

 そうした中で、今後、技術移転の話、知的財産権との絡みがいろいろ出てくると思うんです。まだまだそこは検討中だと言われてしまうと話が終わっちゃうんですが、今の時点でどこまでお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただけませんか。

南川政府参考人 次期枠組みと申しますとすぐに数字の議論が出ますけれども、それと並行しまして、その大きな要素としての技術移転の問題それから資金の問題、こういったことが当然ながら話し合われるわけでございます。

 その中で、技術にしましても、これは当然、技術として単独であるのではなくて、途上国への資金供与ということと並行して議論がされております。特にこの中で、知的所有権の問題、知的財産の問題は非常に大きな問題でございます。やはり、せっかく技術を移転しても、それがごく一部しか報いられないということもございますので、そういったことが当然これからないように、知的財産が尊重されてそれが対価として返ってくる、そういう仕組みを技術移転それから資金の枠組みの中にきちんと入れていきたい、そういう方向として交渉に臨んでいきたいと考えております。

伴野委員 我が国の技術が本当に生きる形の、これはもう国家戦略と位置づけていいと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そうした中で、十七日の月曜日の読売新聞に、今お手元にお配りしました「セクター別アプローチの仕組み」というのが出てまいりました。これは新聞報道で流れているものでございますので、かなりデフォルメされて細かいところも除かれているのかもしれませんが、確認していただいて、大体の流れはこれで結構でございますか。

南川政府参考人 これにつきましては、日本として国連の担当事務局に報告した紙がございます。

 細かいところは別にしまして、一つ大きく違いますのが、下から二つ目の「各国の産業部門別の削減目標を設定」ということは、日本が報告したレポートにはございません。したがって、この下から二つ目は全く間違いでございます。

伴野委員 そうすると、これはどこから入ってきたのか。推測でも結構です。

南川政府参考人 私ども、セクター別アプローチを議論しております中で、あくまで日本というのは、当然ながら国別総量目標をつくるんだ、その過程でどこにどういうポテンシャルがあるかということを探るんだということでこの議論を展開しております。したがって、各産業部門ごとの目標ということで独立することではない、それは各国が全体の中でまた考えればいいことであるということで考えています。

 したがって、どこから出たかは全くわかりませんし、私ども記者さんにいろいろ聞きましたが、当然ながら出どころは教えてくれませんので、全くわからないという状況であります。

伴野委員 この最後から二つ目は別として、全体の流れで、一つのフローとしては、私個人的には、やっとここまでいいものをつくっていただけたのかということがあります。ただ、これに本当に魂を入れていくためには、相当な科学的なアプローチが裏づけにないと破綻してしまうんだろうと思います。

 見える化のお話もされていますが、現状把握について、これは絶対に定量的にきちっととらえていただかなければいけませんし、分析も論理的にきちっとしていただかなければいけない。その上で、環境のすべからくは、やはり再現不可能、つまり実験室で何かできるというのはなかなか難しいものでございますから、どこで最後折り合いをつけていくかというのがあるんだと思うんですね。

 このとおり本当に流れていただければいいんだと思うんですが、例えばここで「排出国同士で相互に検証」というのがありますね。これは場合によっては紛争になる可能性もありますし、国家対国家のぶつかり合いだってあるわけです。引けば自分たちが損を受けるというようなものであれば相当な戦いになると思いますし、私は、環境だけに限っての国連における裁判所をつくっておく準備だって必要なんじゃないかぐらいのことは思っております。そのほかに、先ほど申し上げたように、これを成り立たすためには技術移転の知的財産権の話が国際的にクリアされていなければ、これは申しわけないけれども絵にかいたもちになってしまう。

 ですから、いろいろ課題は多いんですが、これを中心に臨んでいただくということに関しては異論のないところでございます。

 そうした中で、大臣、恐縮ですが、最後に。

 早速ブラジルとかインドとか厳しい御意見をいただいたみたいなのですが、それを踏まえて、技術立国日本、環境立国日本としてこれをしっかりやっていくんだという御決意をいただければ。よろしくお願いします。

鴨下国務大臣 先生がおっしゃったキーワード、気候温暖化に対しては、IPCCが、科学的だというふうな話をしましたけれども、削減についての各国の交渉については、今までは政治的でありましたけれども、これを科学的に立証していって、なおかつ、そこから先の積み上げの後には政治的な決着が必要なんだろうというふうに思います。そういう趣旨でいうと、私は、このセクター別アプローチというのは極めて論理的だと思います。

 ただ、それだけだと、今お話しになったように、例えば途上国、特にG5と言われるような新興工業国にとってみれば大変おもしろくない話が出てきますので、そういうようなところを我々は調整していかないといけない。

 ただ、このセクター別アプローチを、より科学的、特に学問的にきちんとした形で世界に訴えていく、このG20ではあっという間にこのセクター別アプローチという言葉は共有されたわけでありますから、これをさらに、実際にどうなのか。そういうようなことでいうと、おととい私は基調講演の中で申し上げたのですけれども、それは、共通だが差異ある責任という基本原則に貫かれて、なおかつセクター別アプローチをどこのセクターにどう入れられるか、こういうようなことは客観的に議論しましょうよ、こういうような話を申し上げておりますので、できるだけ日本がイニシアチブをとって、この問題については洞爺湖までしっかりとインプットしていきたい、こういうふうに思っております。

伴野委員 地球環境問題に与野党もないと思いますし、この点において我が国が技術的なアプローチあるいは科学的なアプローチによって世界各国をリードしていくということに関しても異論のないところでございます。きょう大臣の決意も聞かせていただきましたので、我が党の考え方もしんしゃくしていただきながら、ぜひリーダーシップを発揮していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

小島委員長 次に、内閣提出、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。鴨下環境大臣。

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 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

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鴨下国務大臣 ただいま議題となりました公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 公害健康被害の補償等に関する法律は、公害の影響による健康被害者の迅速かつ公正な保護を図るため、補償給付の支給等を行うものであります。

 今回の改正は、このうち、既に認定されたぜんそく等の大気汚染系疾病の患者に係る補償給付等の財源を確保するために、所要の改正を行うものであります。

 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。

 今回の法律案は、大気の汚染の影響による健康被害に対する補償給付の支給等に要する費用のうち、自動車に係る負担分について、現行の自動車重量税収からの引き当て措置を平成二十年度から平成二十九年度まで、十年間延長するものであります。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

小島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十四分散会


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