衆議院

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第5号 平成22年4月2日(金曜日)

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平成二十二年四月二日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 齋藤  健君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    大谷 信盛君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    小林千代美君

      斎藤やすのり君    田島 一成君

      田名部匡代君    玉置 公良君

      村上 史好君    森岡洋一郎君

      矢崎 公二君    山崎  誠君

      吉川 政重君    小池百合子君

      近藤三津枝君    園田 博之君

      松浪 健太君    山本 公一君

    …………………………………

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   環境副大臣        田島 一成君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    梶田信一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   谷津龍太郎君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  古川 禎久君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  松浪 健太君     古川 禎久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

樽床委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局長官梶田信一郎君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長谷津龍太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川越孝洋君。

川越委員 おはようございます。川越孝洋であります。初めて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、海岸漂着ごみの対策についての問題であります。

 唱歌「椰子の実」で歌われておるように、名も知れぬ遠い国より流れ寄るヤシの実一つというと何かロマンチックな感じがいたしますし、美しい海岸の情景が目に飛び込んできます。

 しかしながら、海洋国日本には、黒潮に乗って、太平洋諸国、東南アジアから大量のごみが今は流れ着きます。これはもう一面に汚れて、見るも無惨な状況を呈します。日本海側は、対馬海流に乗って、主に中国、朝鮮半島からのものが流れ着きます。近隣諸国の経済発展に伴い十数年前から目立ち始め、特にハングル文字の膨大な漂着物が長崎県対馬には流れ着き、美しい海はごみの山となりました。が、その収集は、島民ボランティアにより続けられております。平成十五年からは、日韓市民ビーチクリーンアップと称して、釜山外国語大学生と島民による海岸清掃が始まりました。

 国においても、平成十八年四月、漂流・漂着ごみ対策に関する関係省庁会議設置を皮切りに実態調査が進められ、平成二十一年七月には、美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律が制定、公布されました。事業費としては、条例により地域グリーンニューディール基金を設立し、グリーンニューディール基金より約六十億円を関係自治体に配付し、平成二十一年度から平成二十三年度の三年間、その基金の取り崩しによって海岸漂着ごみの処理に使われるようになりました。財政状況の厳しい地方自治体にとって、まことにありがたい施策であります。

 また、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針も去る三月三十日閣議決定され、これをもとに地域計画が立てられ、本格的に漂着ごみの処理が始まるものと考えます。

 ところが、三月二十五日の朝日新聞で、漂着ごみ千二百トン滞留という見出しで、地域のNPOが二〇〇七年から約二十回集めたごみが、処理されないまま海岸に一時保管されております。

 漂着ごみは、自治体が業者やNPOに委託したうち、廃棄物処理法で規定するプラスチック類など二十品目に当たれば産廃に、市民がボランティアで拾えば一般廃棄物にと、〇九年、環境省は見解を示しております。これら漂着ごみは、島内で処分し切れず、海上運搬し、本土で処分するしか方法がありません。環境省も、基金を利用してNPOのごみ処分ができないか、県と市でよく相談してほしいとコメントしております。

 そこで、まず第一番目に、海岸漂着ごみについてはすべて地域グリーンニューディール基金で処分してしまうということでやるべきだと思いますが、御見解をお伺いします。

 グリーンニューディール基金を使っての事業は、平成二十一年度から平成二十三年度の三年間と期間が限定されております。三年間で漂着ごみがなくなればいいんですけれども、きれいにすればまた新たなごみと、さいの河原の石積みとなることが想定されます。三年後につきましても同様の取り組みが必要と思われます。平成二十四年度以降についても、基金の運用にするのか一般財源化するのかも含め、御所見を賜ります。特に、韓国、中国との対応についてどのようにされるのか、お伺いをいたします。

 以上、一番目の質問をさせていただきました。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 川越委員御指摘の、離島などの海岸漂着物が現在大量に押し寄せているこの地域におきましては、御指摘いただきましたように、海上運搬などその処理費用の部分については大変大きな課題があるものと承知をしているところでございます。

 このため、環境省におきましては、一般廃棄物または産業廃棄物の区分に関係なく、先ほども御紹介をいただきました平成二十一年度の補正予算約六十億円で積み上げました地域グリーンニューディール基金におきまして、海岸管理者等が行う海岸漂着物の回収また処理等の事業に対して支援を行っているところでございます。

 今御指摘いただきました課題、また、対馬においてNPOの集めたごみが千二百トンそのままストックされているという問題についても承知をしておりまして、環境省としましては、関係する県そして市にしっかりとした連携をとっていただくようにお願いをし、話もさせていただいているところでございます。

川越委員 このごみの問題は、私どもは近くの対馬というところで十分視察もし、存じておりますが、ごみは、とにかく海岸だけじゃなくて、山の頂までポリタンクとかビニールごみが吹き上げているんですね。だから、海岸でただ拾えばいいというのではなくて、非常に危ない岩場、とにかく人がなかなか行けないようなところ、船も行けないようなところにまで、それは対馬の海岸といったら急峻なところでして、日本海側にも例えば東尋坊とかいろいろな観光地もありますが、いろいろなところに私は漂着しているものと。

 環境省の調査によりましても、海岸漂着ごみの調査をした資料によりますと、いろいろなところに漂着しておるわけですね。もちろん国内のものもあります。本当に残念だと思います。これだけ環境教育が行き届きながら残念だと思いますけれども、まだ国内の分は、何とか今、三Rも進み、いろいろなことが徹底されてきておるわけです。しかしながら、韓国、中国となると外交問題を伴いますので、ここら辺にどういうふうに対処をしていくのか、そこらのお考えがあればお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 委員の御指摘のとおり、いわゆる流れてきたものへの対応は先ほど副大臣が御答弁したとおりですが、そもそもの原因を除去しないと、同じことが繰り返し起こっても仕方がないことでございます。

 その点、外務省としっかり連携をとって、今、韓国、中国さらにロシア、こういった国と、多国間のいわゆる北西太平洋地域海行動計画の枠組みを利用して、情報共有をまずしっかりさせていただいて、さらには、その対応を各国でとっていただけるように働きかけを行っているところでございます。

 また、この五月の下旬には、日中韓の三カ国のいわゆる環境大臣会合が日本で開かれます。そのときも、私の方からこの点をしっかりと伝えて、具体的な活動につながるような成果を得たい、こう思っているところでございます。

川越委員 ありがとうございました。

 日本においても、このごみの問題は、かなり今、分別収集とかいろいろなものが進んで、しかし、ここまで来るにはやはり十年近い年月がかかっているんですね。それでもなお投棄があるわけですから、まさに大変なことだろうと。後ろ向きの施策でしかないようなことをやらないかぬわけですから。ひとつそこら辺も含めて、ぜひよろしくお願いをいたしておきます。

 さて次は、今のが海からなら、今度は空中戦であります。黄砂、光化学スモッグの対策であります。

 この間話しておりました九州だけじゃなくて、日本海側はかなりのところに飛んでおるようですけれども、特に長崎市を中心とする長崎県は、春先から五月にかけて、大陸から偏西風に乗って黄砂が飛来します。空気が黄色になり、洗濯物も干せない状況が続きます。黄砂は、上空を通過するときに大気中の物質を吸着します。特に、工業地帯を通過するときに、硫黄酸化物、SOxや窒素酸化物、NOxを吸着すると考えられます。

 ところが、近年、中国の工業化の進展とともに、光化学スモッグとして飛来しております。黄砂飛来時の大気成分は、通常の平均値に比べ砒素が二十二倍、マンガンが十三倍、クロムが七倍と、高い数値を記録しております。これは、二〇〇五年四月の鳥取県の衛生環境研究所調査の資料によるものです。

 細菌、カビの大気中濃度も通常より高くなると見られております。人間や家畜への影響が懸念されておるところであります。すなわち、視界不良などの物理的な影響以外の問題が多く存在しておるのではないかと考えております。

 以前、離島については、煙を出す工場もなく、空気もきれいだということで、環境省の測定しております光化学オキシダントの濃度は測定しておりませんでした。しかし、どうも黄砂が離島にも降るようになってきたということで、その調査をするようにいたしました。中国寄りの五島市では、平成十九年には、四月二十七日、五月八日、五月二十八日と注意報が発令されております。また、平成二十一年五月八日、九日には、対馬市で注意報が発令されております。しかも、県内最高値〇・一四〇ppm。〇・一二〇ppmを超えると注意報発令というふうになっておりますので、大きな数値を数えております。

 そこで、さらに状況を把握するために、黄砂、光化学オキシダントの測定体制というものを強化すべきではないか。特に日本海側においてはすさまじいものがあります。

 黄砂の対策についてでありますが、発生源である砂漠化の拡大防止が重要です。砂漠の拡大は、過伐採、過放牧などが原因と思われます。放牧の土地利用が、負荷の小さい移動型から定着型に変わったことも大きいでしょうし、大きなため池をつくって交代にする、地方の伝統的な天水農法から過剰耕作となったことで、乾燥化が進行したこともあると思います。

 砂漠化防止については砂漠緑化、農法改良などがありますが、NPOが中国の砂漠で植林をしている姿がテレビで放映されておるのを見たことがあります。まさに気の遠くなるような広大な土地への挑戦です。しかし、このまま砂漠化が進めば、影響をもろに受ける日本の損害ははかり知れないものがあると思います。

 光化学オキシダント対策については、汚染原因となっている化学物質の削減も必要です。日本もかつて成長過程において、大気汚染による公害対策から、環境問題に対する技術が格段に進みました。車からの排気ガス対策は自動車産業の発展につながりました。空にゃ煙のにじが立つと歌われた時代があったことがうそのように、北九州市は青空を取り戻し、環境都市として生まれ変わっております。

 砂漠緑化にしろ排ガス対策にしろ、相手は異国であり、外交ルートを通しての対応で、一朝一夕にはできないものと思います。これまで我が国が得た技術移転も含め、しっかりした対処をしなければ、我が国の受ける被害は取り返しのつかないものになると考えております。この点についての御所見をお伺いしたいと思います。

大谷大臣政務官 御指摘のとおりでございまして、空からやってくる我が国日本の健康被害というものは、しっかりと対策をとっていかなければならないというふうに思っております。

 黄砂の方ですが、観測の強化ということですが、現時点で、日本、中国、モンゴル、韓国含めて十七カ所でやらせていただいております。ライダーというんですけれども、日本の誇るレーザー工学の技術でもって観測をさせていただいておりまして、よそのどの国よりも観測のレベルは高いというふうに自負しております。性状把握調査といいまして、どんなものがひっついてこっちに来ているんだというのは、全国で六カ所でやらせていただいておりまして、まさに先生の御地元長崎でもやらせていただいております。そういうデータをしっかりと周知することによって対策を講じていく一助になるんだというふうに思っておりますので、しっかりやっていきたい。

 光化学オキシダントの方でございますが、これは、自治体を通じまして、全国で千二百カ所で調査をさせていただいております。県外から来る、それから国外からもやってくるということで、これは日中韓で、発生のメカニズムであったり防止というようなものをこれからもっともっと検討していこうじゃないかということで、研究者レベルでその調査が始まったところでございまして、こういうものをしっかりと濃度濃く議論し、データを交換し、対策を練っていくということが必要なんだろうというふうに思っております。

 外交ルートというのもいろいろございまして、こういう研究者、もしくは我々議員同士、政府同士を含めてしっかりと、こういうことが重要だ、環境を守らなきゃいけないというふうなことをやっていくことが重要だというふうに思っておりますので、引き続き、川越先生にも御指導いただきながら、ともどもに頑張っていきたいというふうに思っております。

 以上です。

川越委員 モンゴルも含めて測定もやっておるということですが、ゴビの砂漠ですか、それからモンゴルの広大な草原についても、あそこも移動型の牧畜なんですね。パオをつくって、草を羊が食べ尽くさないように次々と移っていく、そういった伝統的な放牧をやっておるわけですが、これまた、都市化によって都市への定着というのが進んでいるわけですね。そうすると今度は、モンゴルも、今でもあるんでしょうけれども、かなりの脅威になってきやしないか。今後、工業化がさらに進んでくれば、ばっと来る、あちこちから日本に降り注ぐということになると思うんですね。もちろん、朝鮮半島についても被害を受けているかもしれません。

 やはりこういった問題というのは、先ほどもおっしゃられましたように、日本だけでやってはいかぬということで、確かに今連携しておるそうですけれども、やはり強化をして、学者レベル、政治家レベルで、また外交ルートを通してさらにそれを広げていく、そういったロードマップというんですか、そういったものも組み合わせながらしっかりやっていかないと大変なことになると私は思いますけれども、いかがでしょうか。

大谷大臣政務官 発生源のメカニズム、それからNGO、NPOの皆さん方がやっている努力、それと、我々政府間同士でもしっかりと、さっきも言いましたように外交ルートにはいろいろなチャンネルがあるかと思いますが、全力を尽くしていかなければいけないというふうに思いますので、御指導いただけますようお願いいたします。

川越委員 どうも日本の外交というのは、弱腰だとか、いろいろな面で言われたり、相手に対しておもんぱかるところが多いようですが、他の国はなかなかしたたかですので、やはり十分に胸襟を開いてやっていかないと、遅きに失しているぐらいですけれども、本当にこれから甚大な被害を及ぼすことになると思いますので、ぜひその点について御留意を願っておきます。

 次に、産業廃棄物対策について御質問させていただきます。

 産業廃棄物処分については、一廃はちゃんと行政の方でやりますが、業者がこれを担っております。特に安定型処分場は、現在の廃棄物処理法に基づく処分基準等では周辺環境へ影響を及ぼす可能性が高いため、立地場所を規制するなど新たな基準を設ける必要があります。また、処分場に許可品目以外を受け入れたり、容量をオーバーしてもなお受け入れるなど、山積みとなってしまって、不適切な処理も見られます。

 これは全国各地で起こっているわけですけれども、監督指導について強化もし、やはり美しい国土を、今度は陸の方から、自分の国の方からしっかりした対応ができなければ、外国に対していろいろ物を言うこともできないと思います。ただ、今、法があるからこれでやっています、監督しておりますだけではだめだと思いますので、ひとつ踏み込んだ御答弁をお願いしたいと思っております。

谷津政府参考人 安定型最終処分場に関するお尋ねでございます。

 廃棄物処理法では、最終処分場の許可の要件といたしまして、構造基準などに適合していることに加えまして、周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものであることを求めておるわけでございます。こうした最終処分場の基準につきましては、今までも随時見直しを行ってまいりまして、強化もしてきたわけでございます。今後とも引き続き、実態を把握しつつ必要な見直しに努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

 特に、御指摘の安定型最終処分場に関しましては、安定型五品目以外の付着あるいは混入を防止するために、展開検査という検査の実施を義務づけているところでございますけれども、今後、安定型処分場の構造上の課題、何か改善の余地がないのか、また、展開検査の記録を保存するような義務づけなど、安全対策を一層強化するための検討を今行っているところでございます。

 また、この国会に御提出を申し上げました廃棄物処理法の改正案の中には、最終処分場につきまして都道府県知事による定期検査を新たに義務づけておるところでございまして、このような新たな仕組みも活用しながら監視指導の強化を図ってまいりたい、このように考えております。

川越委員 県知事等の立ち入りまで考えたということでございますが、これは、指導とか条例、法律でもそうですけれども、実際そういうふうにしてあるんですね。しかし、よほどのことがない限り、地域住民が本当に困って、二年も三年もかけていろいろな闘いをした後にようやっと動き出すというのが、これはどこの県でも同じじゃないんでしょうかね。

 やはり、そういったものも迅速に動く。確かに調査も必要でしょうし、いきなりというわけにいきませんので、こちらもそのための調査をしていくのに時間もかかるかもしれませんが、そういったものについては迅速な対応をしないと、あることに二年も三年もかかって、そしていよいよ周りから盛り上がらないと動かないというような事例が過去にも実際に散見いたしました。

 ですから、そういったものも含め、こういった人の嫌がる仕事というのはだれしもしたくないことでありますけれども、しかし、美しい国土を守らずして、やれ排気ガスを出すなとか、そんなことは外国に言えないわけで、そういった点について、しっかりとそういうことがないように、陸から、いわゆる自然が廃棄物のために崩されていく、そういうことがあってはならないわけです。それはもちろん、どこかで処分をしなきゃならぬ。今までのようにただ埋立処分だけでよかったのか、そういうことも考えながら対応していかなきゃいかぬと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

田島副大臣 御指摘いただきました安定型最終処分場の問題、全国各地でまだまだ課題として残っているのが現実でありまして、また、委員が御指摘いただいております不法投棄の対策につきましても、やはり強化していかなければならない、その思いは全く同じ考え方を持っているところでもございます。

 不法投棄等の不適正処理に関しましては、これまで、全国ごみ不法投棄撲滅運動等を展開していただきまして、こうした中で監視活動を展開していただくとか、またもう一方では、IT等を活用いたしまして、早期発見、早期対応のための取り組みをこれまで進めてきたところでございます。まだまだ十分と言えない現状は、一刻も早く、また、ムードが盛り上がらなければ動かないといったような後手後手に回るような対応があっては、結果的には、国民生活、また、安心できる国土を共有し合うということに対して大きなブレーキがかかってしまうことだと思っております。

 今後、地方環境事務所が一つの拠点となりまして、都道府県等ともしっかりと緊密に連携をとりながらこの監視体制の強化にしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、また御指導いただきたいと思います。

川越委員 きょうは、環境問題につきまして、海から、空から、そして陸ということで質問させていただきました。

 海からも空からも、これは相手国のあることで、なかなかできませんし、海の場合と陸の場合につきましては、これはやはり自国の、自分のところをいかにちゃんとするか、いろいろ言う前に、一体自分たちの国がどうなのか、自分たちのやっていることが果たしてちゃんとした善政になっておるのか、そういったことを考えなければ、私は、世の中というのはうまくいかないと思っています。

 そういった意味で、これからも、環境行政というのは、言うのは非常にきれいなんですけれども、やることは非常に大変なことが多いというのはよく存じております。ひとつ、皆さん力を合わせて美しい日本、国土を守っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

樽床委員長 次に、山本公一君。

山本(公)委員 自由民主党の山本でございます。

 小沢大臣や田島副大臣の前でこういう機会を与えていただきまして、川越議員じゃありませんけれども、改めて上がっております。

 私は、御承知のように、随分長いこと環境に携わってまいりました。お若い、新しい議員さんもたくさんいらっしゃいますけれども、環境という分野ほど議員立法をたくさんつくっている分野はないんです。その議員立法をつくる上において、これは与党も野党もありません。もっと言えば共産党もありません。みんなの合意のもとに、きのうよりはきょう、きょうよりはあしたがよくなるように、そのような思いで仕事をやってきたような気がいたしております。

 とりわけ田島副大臣には、いろいろな分野で一緒に仕事をやってきたことを誇りに思いたいと思います。そしてまた、そのあなたが、ことし名古屋で行われるCOP10、環境副大臣として、議長国として参画されることを心からお喜び申し上げたいと思います。

 その上で、小沢大臣にはまことに失礼でございますけれども、我が同僚であった、同僚という表現がいいかな、仲間であった田島副大臣に先に生物多様性のことについて御質問申し上げたいと思います。

 名古屋で十月に行われるわけでございますが、この生物多様性条約を批准して以来、国内法の整備等々いろいろやってまいりました。この条約そして国内法、これほど一般国民に理解しがたい法律はないなと。平たく言えばわかっていただけるんだけれども、文字にしたときに、生物多様性、この言葉から始まった世界というのは非常に説明しにくいなと私はかねがね思っているんですけれども、副大臣、何かお考えというか御所見はありますか。

田島副大臣 山本委員にはこれまで、議員歴の浅い私にいろいろと御指導をいただいてきました。その私がこうして山本委員からの質問に答えられることを大変名誉に思っておるところでございまして、私も先生以上に緊張して今ここに立たせていただいております。

 生物多様性につきましては、それこそ二年前、議員立法で法を成立させていただいた折にも、山本委員にも当時から大変御尽力またお力添えをいただいてきたことを懐かしく思い出させていただいております。

 二年前、それこそまだCOP9のときでございましたし、日本でCOP10が開催されるかもしれないという状況の中で、この生物多様性基本法をつくることについては、多くの皆さんが生物多様性とは何だというような状況にまだありましたが、ようやくここに来て、このCOP10の時期が迫ってまいりまして、その機運の高まりを肌身で感じるようにもなってまいりました。

 しかしながら、内閣府の調査の結果によりますと、生物多様性というキーワードを理解している国民はまだまだ三分の一程度というような状況にありまして、その字面の複雑さ、難しさから、理解が進んでいるとはまだまだ言いがたい状況にあります。

 そういったことも含めまして、今回このCOP10で議論されますさまざまな課題につきましては、今、議長国を務めます日本として、精いっぱい取りまとめ、また提案の内容について精査をさせていただいているところでございますが、まずは、私たち国民一人一人が生きていく上で、暮らし、地域そしてビジネス、さまざまな分野でこの生物多様性にかかわりを持っているんだということを理解していただくことが何より大切だと思っております。

 基本法もようやくできました。また、このCOP10の議長国を務めるということで、今このタイミング、チャンスをしっかりと国民の皆様と共有し合っていくこと、これが何よりの国民運動としての大きな役割だと思っております。

 私どもも、今回議長国を務めるという大きな責任を背負っております国際的な舞台でさまざまな課題を解決していかなければならない状況にありますが、まずは、国民の皆様にも、この生物多様性条約第十回締約国会議を、この難しい漢字だけの会議ではなく、大臣からの発案でもあり、地球生き物会議という非常にわかりやすい会議として位置づけた中で、多くの皆さんに、生き物と向き合うこと、生態系の重要性、生物多様性を保全することの重要性を少しでも御理解いただけるように努力を重ねていきたいと思っております。

山本(公)委員 多分、衆参の国会議員の中でも、この問題に関しては田島さんが一番お詳しいのではないかと私も思っておりまして、今の私の問いかけは通告をしていなかった話なんですけれども、非常に簡潔明瞭にお答えをいただきました。ありがとうございました。

 ただ、副大臣もおっしゃいましたように、なかなか生物多様性というのは説明しにくいんですね。今度、多分百カ国以上、一万人ぐらい名古屋に集まる国際会議になるんだろうと思います。せっかくのそれだけの会議ですから、まだ少し時間もありますので、ぜひこの会議の意義について、関係省として国民に向けてPRをしていただきたいなと思います。

 その中で、SATOYAMAイニシアチブというのがありますよね。これは副大臣が提唱されたお話みたいなところが一種あるんですけれども、里山といったときに、通常我々がイメージしている里山、同じ日本国内においても定義づけというのが極めて難しいなと私はずっと考えてきたんです。里山というものの定義づけ、農林水産省的にこれだけの山がこうだから里山なんだというような、我々はただイメージだけで今まで里山議論をしてきたような気がするんです。

 改めて今回SATOYAMAイニシアチブをお出しになるというふうに伺っておりますけれども、ちょっとそのイメージをお聞かせ願えませんか。

田島副大臣 今、地球上の生態系が壊れていっている大きな原因は、三つと言われています。

 まず一つは、人間が国土開発また都市開発等々で自然を破壊してきたことによりさらされている危機。二つ目の危機と申しますのが、今回提唱していこうと思っているSATOYAMAイニシアチブに含まれているものでありますが、例えば、農地でありますとか森、林等、人間が手を加えることによって守られてきた環境、これが今、過疎化でありますとか、今までは山で間伐材等々を使って燃料に使ってきた薪だとかを使わなくなった。燃料革命等々も踏まえて、人の手が入らないことによって農地また里地里山が今崩壊している。そのことによって生態系が脅かされているという課題であります。

 こうした二つ目の危機を、何とかして世界各地で行われている農業また林業とあわせて皆さんに理解をしていただきたいということから、SATOYAMAイニシアチブというものを今回提唱してまいります。

 私たちの日本におきましては、それこそ中山間地域もそうですけれども、山そして田畑とともに暮らしを営む中で生態系を守ってきたという経緯があります。これは日本だけではなく、世界を見渡しても、各地でこのように人の営みによって守られてきた生態系、里山のようなものがたくさんありますが、その重要性というものについてまだまだ認識が十分だとは言えない状況にございます。

 それだけに、ぜひ今回は、生物資源をしっかりと今後も利用していく、その上で、手を加えて環境を守っていくという取り組みを世界的に広げていきたい。これを顕著な例として、里山という、日本語ですけれども、これは今やもう世界共通語にさえなろうとしている状況にありますので、里山という一つの象徴的なモデルを大きな運動体として今後このCOP10におきまして提唱させていただいて、その推進については主導的な役割を果たしていきたいと思っているところであります。

 畑や山をだめなものと見捨てるのではなく、そこに持続的に手を加えていくことによって守っていける自然環境、生態系もあるんだということを理解していただけるよう努めていきたいと思っています。

山本(公)委員 おっしゃるとおりでございます。

 里山という日本語が世界に広がっていくように、COP10で頑張っていただきたいと思います。環境でいえば「もったいない」があっという間に世界じゅうに広がったような、そのような会議におけるリーダーシップを発揮していただきたいなと思います。

 もう一つ、このCOP10で、今まで私自身、最初から課題としてはあったんだと聞いてはおりましたけれども、生物多様性というのが幅広いということは確かによくわかります。微生物の話が出てまいりました。微生物の話が出てきて、それでABSの話等々を聞いておりますと、またこの国際会議も、先進国と途上国との対立の構図、いわゆる国益のぶつかり合いの国際会議になってくるのかななんてちょっと予感をしているんです。

 このABSの問題についての副大臣の御所見、また、この会議、今、作業部会が着々と進んでいるやに聞いておりますけれども、見通し等々がありましたらお聞かせを願いたいと思います。

田島副大臣 今委員御指摘いただきましたABS、遺伝資源の取得とその利益配分につきましては、今回、国際的な枠組みの検討完了を目指しまして、せんだって、三月の二十二日から二十八日の間、コロンビアのカリで第九回の作業部会が開催されたところでございます。

 この会合におきましては、遺伝資源の提供国となりますいわゆる途上国と、遺伝資源を利用する側の先進国の間で、今御指摘いただいたように一定の歩み寄りがなされてきたものでありますけれども、まだまだ意見が収束しなかったという論点項目も幾つかございます。

 歩み寄りが見られた点といいますと、遺伝資源へのアクセスの手続への配慮でありますとか伝統的知識の取り扱いなどにつきましては一定の歩み寄りが見られたんですけれども、不正利用の防止でありますとか、製品の扱いはいいんですけれども、その派生物にまで適用範囲を設けるのかどうか、それから、この条約が発効する前に起こったものに遡及して適用させるのかどうかといったような点については、まだまだ意見が収束している状況にはございません。

 しかしながら、今御指摘いただいたとおり、遺伝資源への円滑なアクセスというものをきちっと確保していかないとならない。また、私たちの暮らしを取り巻く、さまざまな医薬品もそうですし、私たちの暮らし、また福利に相当貢献してきているこうした製品等についても、しっかりと、お互いの国にとって、先進国にとっても途上国にとっても利益につながるようなものでないと仕組みとしては十分だとは言えません。途上国は、先進国が得た利益を少しでも自国に持ち帰りたいと思っています。しかしながら、そこも強引にやり過ぎると、今度は先進国も出すに出せなくなってしまうということで、非常に今微妙な状況に来ております。

 ただ、これから先、COP10におきましては、ABSの主要論点をきちっと解決していかなければ、今後、それこそ気候変動のときのような先進国と途上国の対立構造をまたこのCOP10でも再燃させるかのような印象を想像される部分もございますので、短い期間、あともう半年というふうにはなりましたけれども、私どももしっかりとこの状況を見守りながら、共同議長とも連携をとって、今後、先進国、途上国、双方にとって利益になるような仕組みを目指していくために努力を重ねていきたいと思っております。

山本(公)委員 お話を伺いまして、COP10は大きな課題を抱えた国際会議になるだろうと思います。小沢大臣が議長をお務めになるんだろうと思いますが、田島副大臣という心強い片腕がいるということで、ぜひこの会議を成功に導いていただきたいなとお願いをいたしておきたいと思います。

 残り、地球温暖化の問題に入らせていただきたいと思います。

 おととい、小沢試案なるロードマップを御提示をいただきました。その論理的な議論については、我が党の論客である吉野、齋藤、近藤委員にお任せいたしますが、私は、この問題、幾分違う思いでお話し申し上げたいと思います。

 御承知のように、私は、COP3、京都会議のときの政務次官を務めておりました。もめにもめて、私自身、十二泊十三日、京都のあの会議場におりました。最終日、まとまりませんでした。時間が来ました。当時の大木大臣は、新幹線の駅にいました。急遽、六、七、八が決まった世界で、大臣は新幹線の駅から引き返して帰ってきて、よくテレビの映像に出る木づちをたたく場面になっていくんですけれども、大変な会議でした。

 よく言われたんですけれども、多分、国際会議なんというのは、疲れて疲れて疲れ切って、もうみんな考えるのが嫌になって、妥協の世界なんだなというようなことを当時先輩に言われたりするぐらい、大変な冬の京都でございましたけれども、それから十数年たちました。

 私は、京都会議の後、自民党において環境部会長というのを異例の三期務めさせていただきました。そのときにずっとやってきたことといいますのは、京都会議において日本は国際的に約束をしたんだ、約束をした以上は守らなければいけない、守らなかったら、あのときにこの責任はすべて先進国にありと言った途上国の方々がとても参加はしてくれない、たとえ日本の排出量が世界の中でごくわずかなものであったとしても、やればできるんだという姿勢を示すことがこの第一約束期間の日本の役割だという思いでこの十数年間見詰めてまいりました。六という数字を出すためには、国内的にも相当な苦労があった、できるんですかと。

 十年間、さまざまな国際変化もありました。国内的にも変化がありました。

 私が覚えている象徴的な出来事が、京都会議のとき、あるシンポジウムで、私がおりまして、隣にトヨタ自動車のトップの方がいらっしゃいました。その方が私におっしゃいました、ハイブリッドというのは商売にならぬのですよと。わずか十年前ですよ。今、ハイブリッドがどういう状況であるかは、お互いおわかりだろうと思います。わずか十年前、ハイブリッドは商売にならぬですよと。十年間で世界を席巻する日本の技術になりました。電気自動車などというものは夢のまた夢と思っていた。もう市場に出回ろうとしている。

 そして、私自身、この間に政治というものに何ができたんだろうと思うときに、六%に貢献するために、ライフスタイル、いわゆる民生の分野における政治の役割というのはあるんじゃないかと。当時、環境庁の皆さんに何かアイデアを出せよと言うと、朝のシャンプーを何分短くしますなんというアイデアが出てきた。それぐらいしかアイデアが出てこなかった。

 しかし、国民の各界各層がいろいろなことを考えていただいて、多少ライフスタイルは変わってきたなと思う中で、政治のヒットは何だと思いますか、この十年間の政治の最大のヒット。これは僕の解釈です。クールビズ。これは、最初はばかみたいだと思ったけれども、定着しましたよね。もう完全に定着した。これで果たしてどれほどライフスタイルが変わって、CO2の削減効果が出てくるのか、エネルギー消費量が減ってくるのか。数字的なものはなかなか後でつけるような話ですから。いずれにしても、ライフスタイルが変わった。

 ただ、一方では、大臣、多分、お互いが宿舎で生活しながら、また地元で生活しながら、めちゃめちゃ便利になってきましたよね、電気製品を初めとして。それで、こんなくだらないことにエネルギーを使っているのかと思うようなことがいっぱいできてきたような気がしませんか。トイレの前に立ったらぱかっと自然にふたがあいて、離れていったら自然に流れていくなんて、本当に必要かなと思うときがあるんですけれども。

 私が政務次官が終わって環境部会長になったころは、待機電力をゼロにしましょうという運動を一生懸命やってみた。でも、便利さを追求していったら逆のことばかり、そういう世界が逆に生まれてきた。だけれども、便利さを一度享受するとなかなか放棄できない、これは当たり前のこと。であるならば、その時代時代に合ったライフスタイルの変更というのをまた考えていかなければいけないんだろうと思います。

 ところで、小沢大臣、予算委員会から始まっていろいろと御感想を述べられただろうと思いますけれども、改めてデンマークの感想をお聞かせ願いたいと思います。

小沢国務大臣 敬愛する山本委員とこういう議論ができますこと、まず心から感謝申し上げたいと思います。

 今、感想ということでございましたので、率直に申し上げたいのでありますが、委員もお話がありましたように、本当に疲れました。コペンハーゲンのホテルと会場の行き来で、私も十日ちょっといたわけでありますけれども、会議自体もなかなかスムーズな進行にならない。

 よく新聞や雑誌に机にうっぷして寝ている写真が出ておりますけれども、あれは会議をやっている間に寝ているわけではないわけで、要は、会議がとまっているのでしようがない、でも持ち場を離れるわけにもいかない、だからそこのところでうっぷして寝ている、こういうような話の連続でありました。

 そういった意味では、片や国益が激突しているという部分があるんですが、同時に、それだけで、ずっとヒートした議論で行われているという話だけではなくて、国益が激突しているからこそ、いろいろな手段で会議をとめたりという話も起こるんだろうと思いますが、多くの時間が大変むなしく過ぎているなというのが率直な私の思いでありました。

 でありますので、帰ってきてから、それに対応する話を、今の国連のあの決定方式でいいのか、コンセンサス方式だと百九十カ国を超える国の合意なんてなかなかできませんよというような発言もしてまいったり、また、今、環境省あるいはまた外務省の事務方を国連にやって潘基文さんを初めとする担当の皆さんと話をさせたりしているところでございます。

 いずれにしても、最終日の前日に各国首脳が入るまでは、委員が御案内のとおり、ほとんど何も決まらなくて、もともと議長国のデンマークが用意していたいわゆる政治的合意案も一切テーブルされなかった、できなかったということでありました。

 最終日の前日、鳩山総理も入りましたし、各国の、メルケルさん、あるいはまたブラウンさん、みんな入ってくる中で、まさに女王陛下の晩さん会が終わったその後、各国首脳の会合をやろうという話があって、恐らく十時くらいからだったと思いますが、十時くらいから各国の首脳が入った二十数カ国の会議が行われて、そこで初めて議長国の案がテーブルされて、それもずっと逐条で議論をしていく、こういう話でありました。そこは私は正式なメンバーに入れませんので、陪席ということで見させていただいたわけであります。これは外務省のベテランの事務方も驚いていましたけれども、各国首脳がとにかく逐条で議論をしていく、この姿は本当に初めて見たと。ただ、EUの会議というのはどうもそういうことが結構あるらしいという話で、そういう話が行われていったわけであります。

 翌日、本当はいろいろなセレモニーもあったんですが、セレモニーも全部吹っ飛んで、ずっと会議を行い、さらにはまた、帰国の時刻も、鳩山総理もたしか五、六時間延ばして出ましたし、オバマ大統領もそうだったんですが、そういった形でいわゆる首脳級のコペンハーゲン・アコード、合意ができた。本当はもう終わっている翌日、時計がとまった状態の中で、全体的な総会で、これは反対の国がありましたので、留意する、テークノートする、こういう条件はつきましたけれども、何とかコペンハーゲン・アコードがそういう条件のもとで決まった、こういう状態でありました。

 一言で言うと、さっきも申し上げましたように、大変疲れたし、むなしい時間だったな、こうは思いますが、同時に、現場にいられた臨場感といいますか、それはありまして、私は体は決して強い方じゃなくて、病弱だといつも言っているんですけれども、その病弱な私が、十日間、ほとんどベッドでゆっくり寝ることもなくもてたのは、そういった臨場感とか、あるいはまた歴史の現場にいる高揚感が支えてくれたのかな、こう思っておりました。

山本(公)委員 大変な国際交渉の場ということは承知をいたしております。

 このCOP15の評価というのは、政府の当事者の方々がそれなりの成果を強調されるのはよくわかります。しかし、客観的に見たら、やはり成功とは言えなかったんだろうと思います。ただ、それ以降のさまざまな動きを見る中で、さっきちょっと申し上げた京都会議に比べれば、その数字がいいかどうかはわかりませんが、途上国が数字をとりあえず奉加帳に書いた、これはやはり十年かかってのある種の進歩かなと、私もその点は評価をしたいと思います。ただし、その数字の中身は、全く評価するものではないとは思います。

 そういう中で、これは、八月三十日に選挙があって、九月十六日に内閣が発足して間もない時期でした。間もない時期でしたがゆえに、大変失礼な言い方ですけれども、新政権としては、ある種、政権交代の高揚感もあったんだろうと思います。失礼な言い方かもしれませんけれども、マニフェストに書いてあるから、財源は後から来ますよと言わんばかりの、もう最近なれましたけれども。

 今度のニューヨークでの総理の二五%の御発言も、族という言葉は使いたくないんですけれども、我々環境族にとってみれば、おお、いいことだと思うんですよね。環境族にとってみればある種悲願ですから。だけれども、よくよく考えれば、何とか支援と一緒で、瞬間的にはおおっと思うけれども、これから後どうするのという話と共通するようなところがあって、検証すればするにつけ、ううん、京都会議の六でさえあれだけ苦労したのに、二五の世界。確かに技術の革新というのはあるんでしょう。ハイブリッドが商売にならない、十年たったら世界じゅうを席巻する、そういう技術が日本にはあるんでしょう。しかし、世界を取り巻く経済環境が十年前と若干違うのは、あの隣の中国という国が最大の排出国になりつつある中で、同時に最大の経済国にもなりつつあるというこの現実を考えていくときに、今の二五%という削減目標、目標としてはいい。大臣もよくおっしゃいます、意欲だ、気持ちの問題だと。しかしながら、現実に世界を取り巻く経済環境の中で、あえて国益という言葉は使いたくありませんけれども、日本の経済力が衰退していくという事態、これはやはり懸念せざるを得ないと思うんです。

 意欲たるやよし、私どもの立場からいったら。ただ、裏づけがない。裏づけがないことについて意欲だけを言ってしまって、二〇五〇年、長期目標ならまだしも、二〇二〇年の目標になると、冒頭申し上げたように、約束する期間になります。約束をした以上、守らなければいけない。約束をして守る目標であるならば、しっかりとした裏づけが必要だと私は思っているんです。ただ言えばいい、受けがいいから、そんな話じゃないと私は思っているんです。大臣にこれを聞くと、大臣も多分本音のところは、まあそうだろうなと思っていらっしゃると思うけれども、大臣は言うに言えないと思う。目標を高く掲げるのはいいんです。

 その中で、多分ロードマップの核になってくるのが、やはり経済的な手法だと思うんです、排出量取引。

 排出量取引というのは、私はもともとこれは好きじゃない。私どもが与党のとき、そっち側にいるとき、野党の先生方がおっしゃった。しょせん自民党、与党政権は環境をお金で買うんですかと言われた。お金で買うんですか、お金で片をつけるんですかと言われた。私はそんなやぼなことは言いませんよ。排出量取引は、これはこれで一つの手法としてあっていいんだろうと思う。

 もう一つのいわゆる環境税。今度名前が変わります。私ども自民党内において、この十年、環境税を導入しようとして、すさまじいエネルギーを使ってきた。御承知だろうと思います。党内ですさまじい論争があった。ぜひ民主党の中にもそういう議論の場ができてもらいたいと思うんですけれども、環境部会があした環境税の議論をするぞ、環境税のカと言った途端に、ばっと反対勢力が部会の部屋に押し寄せていって、すさまじい党内の議論。

 しかしながら、環境税というのは、我々がそのころ胸を張って導入しなければいけないんですよと言ってきたのは、何回総理府の世論調査をかけても、環境税といったら、導入に賛成しますという方が六割を超えていた。新税で唯一国民の皆様方の過半が賛成をしてくれている税が環境税なんだ、その思いがあったから、すさまじい党内闘争の中でも胸を張って環境税をやろうやろうと頑張ってきた。やっと一歩、一歩、一歩階段を上ってきた。さあそろそろといったときに、ばかんとおたく方がお出しになった。

 また、出した時期が悪かった。去年、皆さん方が夢のようなマニフェストを広げられた。財源が要りますね。どこかで財源見つけてきましょう、暫定税率下げますよ、環境税取りますよ、三つがうまくリンクしてしまった。財源探し、暫定税率下げ、財源は要る。下げる、何かないか、環境税。ちょうど三つがリンクしてしまった。時期が悪かった。

 我々が十年かかってやってきたものをぶち壊しやがったなと思った。申しわけない。たちが悪過ぎる。財源がないから環境税を導入しますというのは余りにもたちが悪過ぎるといって、後ろに環境省の方がいらっしゃるけれども、一緒に推進してきた仲間で、私は怒りました。国民の六割の方が取っていただいて結構ですよとおっしゃってくれていた環境税。財源がないから、暫定税率を下げるから、これは多少リンクします。暫定税率を下げる話と環境税の話は多少リンクする。財源がないという話とはリンクしない。

 そこでもう一つ、私がずっとこの税のことで思ってきた世界で、やるんだったら特定財源にしましょうねとずっと言ってきたんですよ。国民の皆さん方が、出してもいいよ、負担してもいいよとおっしゃっているこの税は、特定財源として確保すれば、地球温暖化防止、さまざまな環境の改善に役に立ちますよという世界をつくろうねと言ってきた。ところが、どうやら一般財源だと。一般財源というのは、早い話が何に使おうと勝手ですわな、借金返しに使おうが公務員の給与に使おうが。その中で環境省がどれだけ環境関係に予算としてとってこられるかという世界でしょう。

 これも私は、長いことみんなで一生懸命積み上げてきた世界からいえば、ちょっと我々が考えた世界と違うなという思いがあって、長年やってきた環境省の連中とも話して、自信があるかと。例えば二千億なら二千億とってきて、二兆なら二兆とってきて、本当にあなた方が必要だという予算をとってくる自信があるか、それだけのメニューがつくれるかと。多分、小沢大臣になって新たな環境行政が生まれてくるからメニューはできますよとおっしゃるかもしれないけれども、おいそれと簡単に、何千億円というお金、ましてや、全体が二兆かどうか知りませんけれども、大きなお金を使うような環境省のあれに今まだなっていないような気がするんです。

 この税のことについて、大臣、多分、一般財源か特定財源かについては御党の中でもいろいろ御議論があろうかと思うんです。ちょっと所見をお尋ね申し上げたいと思います。

小沢国務大臣 委員の話は、本当に今までの御尽力を踏まえた大変貴重な御意見だ、こういうふうに思います。

 まず結論から申し上げますと、委員が目指された、いわゆる全化石燃料にある意味で一律に課税をしていくという抑制型の環境税、そうするとそれほどいわゆる税収規模は大きくない、こういう話でありますと、それを特定財源化していくという話も十分あろうかというふうに私も思います。ただ、それを超えてばかんと、こういう御表現でしたから、実は、ばかんと大きく構えてしまったんですね。しまったんですねというか、構えました。そのときの私の思いはこういうことでございます。

 確かにそれは、税収の確保という話も、片方にそういう要請もある。だから環境税の名目で全部それをカバーするんだ、そういうふうにダイレクトに思ったわけではありません。基本的に、委員の御指摘のような化石燃料にかけていく、これが基本だとまず思った中で、ただ、ガソリンに関しては、これはやはり環境的にも大変重要な問題であることは委員も御理解がいただけると思います。

 では、そこのガソリンの話を一体どうするんだということを考えたときに、これは経産省がやるんだろうか、他の役所がやるんだろうか、こう思ったときに、やはりそれは、ガソリンの暫定税率をなくしていくという話のときは、これはCO2の排出に関しては完全に逆効果になるわけでありますから、そこまで環境省が思い切って絵をかいてみたらどうか、こう思ったわけです。でありますので、それによって税収がある意味では確保されるという話はもちろんわかりまして、複合的に考えて、それはそれで税収減のときだから結構なことではないか、そんな思いでやりました。

 それで、積み上げましたらば税収規模が二兆円という話になって、御案内のように環境省の予算というのは大体二千億円の予算でありますから、二兆円の税収という話になると、さすがにそれを特定財源でやれとは言えませんね。また、税の議論そのものが、昨今の議論というのは、やはり特定財源化、目的税化はやめようや、一般財源にしてそこは自由度を増そうという話が全体の流れでもあった、こう思っておりますので、私としては、それは一般財源で出していこうと。

 ただ、同時に、ある意味では環境省が提案をさせていただいた税でありますので、そういった意味では、使い方に関しても環境省は積極的な対応をしていきたい、これはもう全省みんな同じ気持ちでおります。だけれども、二兆円全部使うとか、そんなことは思っていないわけでありますけれども、温暖化対策あるいはその他の環境問題を含めてやっていきたい、こう思っています。

 特に、今年度予算は税が成り立ちませんでしたから予算要求もしませんでしたけれども、いわゆる来年度予算に向けて今省内で準備をお願いしてやっている話は、今回の基本法、ロードマップでもおわかりのように、地域の対策という話をやはり一つの大きな柱にしています。

 ですから、そういった意味では、相当地域ぐるみでやっていかないと、社会の構造が変わるくらいのやり方でやっていかないと二五%というのは達成できないと思っておりまして、そういった意味では、公共事業という言葉が今はネガティブイメージが強いんですけれども、私は、必要なものとして、環境公共事業とか、そういう言い方も含めてやっていくという形になれば、目標といいますか、やるべき事業というのは幾らでもある。それは同時に、地域の活性化を図ると同時に、日本の環境をよくしていくという意味ではかなりダイナミックな事業が組めるのではないか、こう思っているところでございます。

山本(公)委員 時間もなくなりましたので、最後に、小沢大臣初め田島副大臣に希望をいたしておきたいと思います。

 多分というか、間違いなく思いは一緒なんだろうと思うんです。今だけよければいい、後はなるようになれなんて、お互い多分全然思っていないと思う。かくあることが日本の将来のためにいいんだという信念を持ってさまざまな環境行政に取り組んでいただきたいなと重ねてお願いいたしておきます。

 冒頭申し上げました。隣の国に、物事を解決するのに一刀両断でできる国があります、独裁者。この国は違います。環境問題は一刀両断では解決がつきません。しかし、きのうよりはきょう、きょうよりはあした、よくなるために一歩ずつ前進させていくんだ、決して無理をすることなく一歩ずつ前進していくんだという思いで、ぜひ大臣、副大臣、政務官、取り組んでいただきたいなとお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

樽床委員長 近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党衆議院議員の近藤三津枝です。

 先般、三月二十三日、環境大臣所信演説に対する質問に立たせていただきました。そして私、それに先立つ三月十九日に、地球温暖化対策基本法案に関する質問主意書を提出させていただいております。質問主意書の答弁書が三月三十日に内閣から送付されてまいりました。

 本日は、先般の三月二十三日、環境大臣への質問に対して不明な点などをさらに明らかにさせていただきたいと思います。

 また、質問主意書に対する答弁書は閣議にもかかっておりますので、地球温暖化対策基本法案の所管大臣は小沢環境大臣であられますので、当然ごらんいただき、答弁の判断をされていることと思います。ですから、本日は、小沢大臣に、そして憲法解釈も伴いますことから内閣法制局長官にも質問をさせていただきます。

 まず、こちらのパネルからごらんいただきます。私は経済産業委員会の委員でもありますので、三月十日の経済産業委員会の直嶋経済産業大臣の所信表明演説をお聞きいたしました。直嶋経済産業大臣の所信演説で、地球温暖化対策に対する所信を表明されていますので、その抜粋をこちらのパネルにさせていただきました。

 「温室効果ガスを一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%削減するという我が国の目標は、米国、中国、インドなど、すべての主要国の参加による公平で実効性のある国際枠組みの構築と意欲的な目標の合意が前提であり、今後とも政府一丸となって、その実現に向けた交渉に尽力してまいります。」御発言をそのままパネルにしたものです。

 直嶋大臣の所信表明では、すべての主要国の例示として、大臣みずからインドを挙げておられます。このパネルにもありますように、政府一丸となって取り組むというのを政府の姿勢としておりますので、見解の違いはないとは思うんですが、小沢環境大臣、基本法で規定している主要国にインドが含まれていることを確認させてください。

小沢国務大臣 政府全体で今、主要国の中にインドが含まれているかどうか、あるいはその主要国というのは一体どういう国なのかということを決めているわけではございません。国際交渉上の話でございますので、先般の予算委員会でも申し上げましたが、最終段階で政府に決定させていただきたい、こう思っております。

 ただ、私も個人的には、主要国の中にインドは十分含めて考えるべき、こう思っておるところでございます。

 ただ、委員も御指摘のように、インドは一人当たりの排出量という話にしますと大変低いわけでございまして、そういった意味では、総排出量としては我が国と同じ四%程度であるわけでありますが、一人当たり排出量が極めて小さいという点は他の先進国あるいはまた他の新興国とは少し異なるところがあるのかな、こう思っております。

近藤(三)委員 今、小沢環境大臣は個人的にはとおっしゃいました。国際交渉の推移によって決まってくるものという御発言でありましたけれども、主要国にインドが含まれるかどうかということは、今の段階では明らかにすることはできないということでございます。

 同じ内閣で、政府一丸となって取り組むと直嶋大臣は発言なさっているわけですけれども、閣内で見解の一致を見ていないということが今明らかになったのではないかと思います。閣内ですべての主要国の定義さえ一致を見ていない中で、COP15のコペンハーゲンでの国際会議に臨まれたわけです。そしてこれからCOP16に臨まれるということ、とてもおぼつかないのではないかと大変心配になってまいりました。

 この点につきましては、引き続き経済産業委員会でも取り上げてまいりたいと思います。また、基本法案の審議に当たりましては、経済産業委員会との合同審議なども視野に置きながら進める必要があるのではないかと考えております。

 また、先ほどのパネル一にありますように、直嶋大臣は二五%削減を目標にするに当たりまして、すべての主要国の参加、公平で実効性のある国際枠組みの構築、そして意欲的な目標の合意、三条件を挙げておられますが、この点につきましても、小沢環境大臣も同様の見解をお持ちであることを確認させていただきたいと思います。

小沢国務大臣 同じ認識だということでございます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。今の小沢大臣の御答弁で、三条件の一つがすべての主要国の参加であるということを確認させていただきました。

 さて、続いての質問ですが、次のパネルをごらんいただきます。

 三月二十三日、この委員会で私は、麻生前総理が国際的に表明した、二〇〇五年比一五%削減、それも国内ですべて削減することを前提とした目標値について、鳩山内閣が掲げる前提条件の一つの意欲的な目標に当たるかと質問をさせていただきました。

 なお、この二〇〇五年比一五%削減は、自由民主党が三月十九日に国会へ提出しました低炭素社会づくり推進基本法案の中期目標でもあります。この自民党案につきまして、こちらのパネルにありますように、小沢大臣は次のように発言されておられます。この前の御答弁をパネルにまとめました。パネルの上の枠をごらんいただいて、Aのところなんですが、申し上げにくいが少し控え目の数字過ぎるのではないか、九〇年比八%、二〇〇五年比一五%は意欲的にはやや物足りない数字というふうに思っていると御答弁されました。

 その一方で、一月三十一日までにアメリカが国連の気候変動枠組み条約事務局に提出した二〇〇五年比一七%程度削減、これは実は九〇年比では三・五%削減に当たるわけです。アメリカの削減目標はわずか三・五%削減です。鳩山政権は米国の七倍以上の二五%削減を国際的に提示しているということなんです。

 この三・五%という米国の目標値が意欲的な目標かどうかの質問に対して、小沢大臣は次のように答弁されています。パネルの下の枠のAのところです。「米国に関しましては、これは政府の統一見解として、二〇二〇年の中期目標に関してはもう少し頑張っていただきたい」と答弁されています。つまり、小沢大臣は米国の削減目標を、政府の統一見解として、もう少し上げてもらわなければならないと答弁されたわけです。

 それならば、麻生政権下の二〇〇五年比一五%削減、つまり九〇年比で見ると八%削減、これは、米国の削減目標であります三・五%を大きく上回っております。自民党案の八%削減を意欲的な目標と言いがたいと小沢大臣は答弁されたわけですから、米国は麻生政権案以上の数値目標を示さなければ意欲的な目標とは言えないということでよろしいのでしょうか。小沢大臣の認識を改めてお聞きかせいただきたいと思います。

 また、さらにわかりやすくするために、今の数字の関係を図にもう一度まとめ直してみました。関係はこのようになるのではないかと思うのですが、民主党案は二五%削減と一番削減目標が高く、二番目は自民党案の八%削減、そして米国案はわずか三・五%にすぎないというわけです。麻生政権の目標値二〇〇五年比一五%、これはすべて国内で削減する目標値です。

 第一に、自民党案の削減目標は政府の三条件のうちの一つ、意欲的な目標に当たるのか改めてお伺いさせていただきます。

 そして二つ目。その値を大きく下回る米国の一九九〇年に比べて三・五%という削減目標は、政府の統一見解としてはもう少し上げてもらわなければならないとするならば、麻生前総理が世界に表明しました二〇〇五年比一五%、つまり一九九〇年比では八%、これを上回る削減目標を米国は国際公約として示すべきだと小沢環境大臣はお考えなのかどうかお答えいただきたいということ。

 つまり、このことは、公平性を三つの前提条件に掲げている鳩山内閣ですから、意欲的な目標かどうかについては、日本には厳しく米国には甘いというような不公平な判断基準は許されないはずです。二つの質問に対して、小沢環境大臣、矛盾なく明確にお答えください。

小沢国務大臣 委員の三段論法的な論理構成には本当に痛み入ります。

 まず、日本と米国ですから、そういった意味では全く同一条件ではありませんので、数字をそうやって横並びで比較するということだけでいいのだろうか、こういう点がまず一つあると思います。これは論理的な話としてございます。

 それから、先ほども申し上げておりますように、外務省を初めとするいわゆる国際交渉を担当するところにおきましては、いわゆる決めないというところが大事だ、こういう認識が極めて強いわけであります。私は逆に言うと、この場でも申し上げましたけれども、国内、産業界の皆さんたちに対しては明示をした方が対応がしやすいのではないか、こういう話も一貫して申し上げてきているところでありますが、政府全体の議論の中では、そういったところを決めるべきではない、いわゆる交渉の手足を縛る、こういう意見がございまして、政府全体の中では今まだそういったところが、意欲的かどうか、あるいは、すべての国にどこの国が入るか等々は逆に決めていない、外交的戦略上の問題だ、こういうことでございます。

近藤(三)委員 国際交渉事だからという御答弁でしたけれども、二五%を中期目標にするに当たりまして政府が定めている三つの前提条件の一つに、公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みの構築、この条件が入っております。意欲的な目標の設定は各国の実情によると答弁されましたけれども、それならば三条件に入っている公平の枠組みとはならないと思うんですね。みずから前提条件を否定されたことになるのではないでしょうか。発言の矛盾が露呈したと私は今の御発言をとりました。国民にも国会にも納得できる御答弁を、再度お願いいたします。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

小沢国務大臣 どことどこが矛盾したのか、ちょっと今、私自分の頭がそこまでついていけませんでしたので、具体的にどことどこが矛盾したのかをもう一回御指摘いただけませんでしょうか。

近藤(三)委員 条件が入っております。三条件の中の一つ、公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みの構築、これが三条件のうちの一つに入っております。意欲的な目標を設定するということは、各国の実情による、各国の状態に合わせてということであれば、三条件が入っている公平な枠組みという条件には合致しないということで、三条件にはみずから矛盾をおっしゃっているのではないかということを今御質問させていただいたわけです。

小沢国務大臣 これは公平性に関しての議論になるわけだと思いますけれども、さまざまな見解がございます。特に、いわゆる途上国等が言っております公平性の中で、それぞれの立場による差異ある責任、こういう話がございます。ですから、一律に数字の問題だけではない、これまでの歴史的な対応を含めた、あるいはまた国の発展状況を含めた、そういった観点を十分加味しなければいけない、こういうことでございます。公平性という話に関しても、一律に数字の上だけで決められないということであれば、それぞれの国においては、やや数字が低くても意欲的、こう認めるところがあるかもしれませんし、また、数字がある程度高くても意欲的と認められない、こういう場合もあろうかと思います。

 そういったことも含めて、特に、この条件をつけた最大の理由は、鳩山総理が常日ごろから申し上げておりますのは、まさに日本がこれだけやるんだからあなたたちもやってくださいよ、そのために背中を押していくという意味もあるわけでございまして、そういったいろいろなことを加味した、ある意味では、委員にとってははっきりしないという話かもしれませんが、大変戦略的な条件だ、こういうふうに思っております。

近藤(三)委員 この三条件の定義については非常にあやふやなまま国際交渉に臨んでいるということに対して国民が非常に不安を抱いているわけですから、このことについてはまた後ほど議論を、そして質問を重ねさせていただきます。

 これからは、冒頭申し上げましたように、私が三月十九日に提出しました質問主意書に沿って質問を進めさせていただきます。

 今回の質問主意書で政府が明らかにしたことは次のことなんです。

 まず第一に、二五%削減を我が国の中期目標とするかしないかは、三つの前提条件を満たしたかどうかを国会ではなく政府が判断して決めるということ。二つ目に明らかにされたことは、その判断基準は法案に具体的に示されず、今回の主意書に対する回答でも明らかにされませんでした。第三に、この二五%削減の効力を発動する期日、すなわち施行期日は政令で定める。つまり、その期日を決める権限は国会ではなく政府にあり、その期日の期限も示されていない。以上が質問主意書で明らかになった三点です。

 このように、前提条件をつけた上でさらに条文の施行期日の定めがない法案は、いまだかつて我が国の法律にはありません。このようなことを問いただすために、私、質問主意書でどのように質問させていただいたか、ちょっと簡単に説明させていただきたいと思います。

 そもそも、法律の施行期日を定めるということは、法律の制定によって国民の権利を制約し、義務を課し、さらに経済活動に規制をかける期日を決めるものです。つまり、施行期日を決めるということは、日本国憲法第四十一条に定める、国会は国の唯一の立法機関であるとする権限にかかわる典型的な法律事項であります。したがって、その施行期日を政令にゆだねる場合は、期限などを明記するのが通例であるというふうに質問主意書では指摘をいたしました。

 しかしながら、この基本法案は、最重要事項である第十条第一項の規定、すなわち二五%削減とするかどうかを、国際情勢の進展状況を踏まえ、条件をつけた上で、国会ではなく政府が判断することになっている。しかも、施行期日の期限も示されていない。このような法律は過去にあるのか、あるとすればその立法例をすべて挙げてほしい、このように質問主意書で質問をさせていただいたわけです。

 さて、この質問主意書に対する政府の答弁書をそのまま読み上げます。「法律の施行期日について、当該法律を施行すべき期限を定めずに、当該施行期日を政令で定めることとした例は承知しているが、それに加えて、一定の前提が実現したと認められることを必要とする条件を付した上で施行期日を政令で定めることとした例については、承知していない。」以上です。まことにわかりづらい答弁書です。

 かみ砕いて言いますと、政府が提出した基本法案は、二五%削減を中期目標とするか否かは、先ほどから申し上げておりますとおり、三つの前提条件がすべて満たされているかを政府が判断し、満たされていることが認められたとき以降に初めて施行期日が決まる。そして、施行期日を政令にゆだね、かつ、それに条件づけをした法律は、日本の今までの法律には一つもない。このように答弁書は答えているわけなんです。

 小沢大臣、私が今申し上げました答弁書にあることに間違いがないかどうか、今回の基本法案が極めて特異な法律であることを、改めて小沢大臣の御答弁で確認をさせてください。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

小沢国務大臣 これも何度か答弁させていただいておりますけれども、いわゆる条件つきの法令ということであれば、財政構造改革の推進に関する特別措置法というものがありますという話を申し上げてまいりました。

 今委員の施行期日という点に関しては、そういった例はない、承知はしていない、こういう答弁書になっているわけでありますが、構成的には条件つきという意味では同じではないか、こう私は思っておりますのと、特異であるということに関しては、特異であるというふうに認めたいと思います。

近藤(三)委員 法律というものは、先人が一つ一つ、過去の立法例に照らして、法律が憲法に違反していないのか、さらにほかの法律との整合性がとれているのか、また、唯一の立法機関であります国会の権限を侵していないかなどチェックして、法制化されてきたのではないかと思います。そうした日本の立法技術の積み重ねが、今日の日本の法体系を形づくっています。

 そうした中で、今回の法律は過去に全く例のないものであることがこの答弁書ではわかりました。すなわち、先ほど申し上げましたとおり、基本法の条文が発動する日を条件をつけた上で政令に委任する、すなわち政府に決定権をゆだねている法律であるということです。

 そこで、質問主意書に対する政府の答弁書をもとに議論を深めさせていただきたいと思います。

 今回の質問主意書では、地球温暖化対策基本法案の骨格の部分である三つの前提条件がつきました中期目標、二五%削減に絞って質問をしました。

 第一点は、再三質問しています三つの前提条件についてです。

 こちらのパネルにあります、閣議決定されています基本法案の第十条第二項、これは抜粋です。上の枠を見ていただきますと、二五%削減を目標とするに当たり、「すべての主要な国が、公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みを構築するとともに、温室効果ガスの排出量に関する意欲的な目標について合意をしたと認められる場合に設定されるものとし、」と定めています。

 このパネルの真ん中の枠は、主意書の質問です。三つの前提条件の定義、そして判断基準などを具体的に示すように求めました。しかし、政府の答弁は、今後の国際交渉を踏まえつつ判断すべきものであるとして、全くその定義も判断基準も示しませんでした。

 パネルの下の枠です。さらに三つの前提条件を満たしているかを判断する主体がだれなのかを質問したところ、政府が判断するという答弁でありました。

 そこで、なぜ二五%削減を決定するような重要事項を国会が判断しないで政府が判断するのか、その理由を明らかにするように政府に求めました。しかし、この質問に対しても何ら回答がありませんでした。これは答弁漏れというまことに不誠実な政府の対応だと思っております。

 三つの前提条件の定義、判断基準は示されない、あいまいなまま、判断するのは政府である。その法律で定める二五%削減を最終決定する際に、例えば国会の承認あるいは同意を求めるといった国会の関与の規定もない。このような法案が政府の地球温暖化対策基本法案の実態であることが、私のこの質問主意書、そしてそれに対する答弁で判明いたしました。

 世界に突出した削減目標である二五%削減を二〇二〇年まであと十年間で本当に実行しようとすれば、それにより、国民生活それから産業活動に大きな大きな影響を及ぼす可能性があります。言いかえますと、この二五%削減という中期目標の規定は、国民の権利を制限し義務を課すことにもなりかねない法律です。

 本来は、二五%削減の決定権限は、憲法の第四十一条に定められています唯一の立法機関である国会において最終的に判断されるべきものです。にもかかわらず、今回の基本法案は、その最終判断を附則第一条ただし書きのところで政令にゆだねるとしています。すなわち、国会ではなくて政府に権限をゆだねるということです。

 中期目標の値を幾らにするかは、この基本法案の根幹をなすものです。このような法案の重要事項を政令に委任する、すなわち、国会ではなくて政府に権限をゆだねることができるのはどのような場合なのか。このことについて、政府は平成三年三月の参議院予算委員会で、当時の内閣法制局長官がこのように答弁しておられますので、パネルにまとめました。ごらんいただきます。

 これを読んでみます。委任政令については、憲法の四十一条が定めている唯一の立法機関は国会であるという趣旨を否定し、いわば実質的に国会の立法権を没却するような抽象的かつ包括的なものであってはならない、例えば、政令にゆだねることが許されるのは、手続的な事項や技術的な事項、それから事態の推移に応じて臨機に措置しなければならないことが予想される事項であり、しかも個別的、具体的に政令に委任するといった限定的なものであるべきであるという旨の答弁がなされています。

 つまり、この答弁を今回の政府提案の基本法案に照らしてみますと、次のようなことが言えます。憲法第四十一条の唯一の立法機関であります国会の権限を侵すことなく政令に委任できる、すなわち政府に権限を与えることができる、そのようなことが許されるのは手続事項や技術的事項などのほか、個別的、具体的な条件が法律本文に書き込まれている場合に限られるということです。

 つまり、二五%削減を我が国の中期目標にするかしないかといった重要な事項につきましては、その効力を発する期日を政府の判断にゆだねる場合は、その期限を示した上で、さらに明確な判断基準が基本法の本文に書き込まれなければならない、そうでなければ憲法第四十一条に違反しているというのが、このパネルの国会答弁と言えるわけです。

 つまり、この基本法案は、先ほどの質問主意書の答弁のように、三つの前提条件につきまして政府の見解が全く示されていません。さらに、国会の関与もなく、二五%削減を中期目標とするかしないかの判断は国会ではなくて政府にあるということを、政府は主意書の回答で明らかにしました。法律の制定権は、憲法第四十一条、唯一の立法機関である国会、ここに出席しておられます野党議員も与党議員も含めた、まさに国会にあります。

 以上を前提として、改めて、今回閣議決定されました地球温暖化対策基本法案は、中期目標の最終決定の権限が政府にゆだねられ、かつ、その施行期日も不明確な前提条件つきで政令に委任されている。つまり、政府にゆだねられている条文がある。以上のことは憲法に違反しているのかいないのか。内閣法制局長官の見解をお尋ねいたします。

梶田政府参考人 お答えいたします。

 今御質問にございましたように、法律の執行のための委任命令というのは、憲法七十三条の六号の規定からも明らかなように、認められております。

 問題は、その際に、一般に法律が政令に委任する場合の範囲それから限界の問題につきまして、今御指摘ございましたように、憲法第四十一条では「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」、こういうふうに定めております。このことから、この憲法の趣旨を否定し、いわば国会の立法権を没却するような抽象的かつ包括的な委任は許されるものではないというふうに考えてきております。

 その反面で、例えば、手続的な事項とか技術的な事項、事態の推移に応じ臨機に措置しなければならないことが予想されるような事項など、こういったものについて個別具体的に政令に委任する、これは行うことができる。これまでも、今御指摘ございましたように答弁をしてきておるところでございます。

 それで、法律の施行期日の御指摘がございました。

 法律の施行期日につきましては、法律で直接定める。そのほかに、今回の法律もそうでございますが、法律で政令に委任する例がたくさんございます。地球温暖化対策基本法案の十条一項の規定の施行期日につきましては、この十条一項の内容が国際交渉にかかわるものであるということから、事柄の性質上あらかじめ確定的に施行期日を定めることが困難であったということから、政令に委任して定めるというふうにしたわけでございます。

 その政令に委任する前提条件といたしまして、法律上附則の第一条ただし書きにおきまして明確にその条件を規定いたしまして、その上で施行期日を政令に委任しているというものでございます。政令への委任として許される範囲内のものであるというふうに私どもは考えておるところでございます。

近藤(三)委員 仮に、国際交渉をもって臨機の措置をしなければならないとしましても、その判断に必要となる三つの前提条件につきまして、その判断基準が基本法で具体的に条文化されていない、または、政府は一切その基準を明らかにしていないというのが現在の状態です。

 このような状態は、先ほどのパネルですね、平成三年三月の内閣法制局長官の答弁にあります、政令に委任する場合は「個別的、具体的に委任する」という状態にはなっていません。今の状態というのは、定義、判断基準が極めて抽象的な状態であり、政令に委任できるものではないと考えますが、重ねて法制局長官の見解をお聞きします。

梶田政府参考人 お答えします。

 先ほども申し上げましたように、地球温暖化対策基本法案の第十条一項の規定の施行期日につきましては、この法案の第一条のただし書きにおいて、その前提条件を法律で明確に規定した上でその施行期日を政令に委任しているものである。委任として許される範囲内のものであるというふうに私どもは理解しておるところでございます。

 前提条件が満たされるかどうかということにつきましては、この法案の附則の第一条ただし書きに規定しております、国際的な枠組みの構築及び意欲的な目標についての合意にかかわる交渉に携わっている政府が、その交渉の推移を踏まえながら、この法案の規定に基づいて適切に判断するというふうにしておるところでございます。

近藤(三)委員 二五%削減を達成するための手段として、基本法案には国内排出量取引制度それから地球温暖化対策税などの規定が盛り込まれています。まさに二五%かどうか、そして、その二五%の削減のうち国内の削減分は幾らにするかなどによって、国民の負担それから経済活動の制約の仕方が大きく変わってきます。

 このように、二五%の削減は実体的な権利義務につながる数値と考えますが、この点を考えに入れた上で、二五%削減が国民の権利そして義務に影響を及ぼす重要事項であり、本来、政府ではなく国会が判断すべき事項というふうに私は考えますが、法制局長官はどのようにお考えなのか質問をさせていただきます。

梶田政府参考人 お答えします。

 ただいまも申し上げましたように、法律でどの範囲を政令で委任するか、それから政府の判断にゆだねるかということを規定するわけでございます。先ほど申しましたように、法律の委任の範囲であれば憲法はそれを否定しているわけではないということでございますので、私どもは、この法案につきまして、これを政令に委任し、あるいは政府の判断にゆだねるという部分につきまして、憲法上問題はないものというふうに考えておるところでございます。

近藤(三)委員 内閣法制局長官には、地球温暖化対策基本法案について憲法との兼ね合いから貴重な答弁をいただきましたが、引き続き、私たちとしましても、本日の論点を議論してまいりたいと考えております。内閣法制局としましても、基本法案が政令への白紙委任などの疑いがないか御検討をいただきたいと考えております。

 さて、続いては、三月三十日に回答のあった質問主意書の答弁書に、先ほど申し上げました三つの前提条件の定義、判断基準について具体的な回答がありませんでした、先ほどから申し上げておりますように。また、二五%削減の最終決定に当たっての、唯一の立法機関たる国会の関与を法制化しない理由についても何ら答えがありませんでした。そのほかにも多くの答弁漏れのある質問主意書に対する答弁書でありました。

 二月二十六日の予算委員会で小沢環境大臣はこのようにおっしゃっています。「この国会の場が国民の皆さんとの最大の議論の場だ、こうも承知をしておりますので、何とぞ委員の先生方におかれましては、そういった観点で御指導賜りますようにお願い申し上げます。」御発言のとおり、重ねて真摯な対応をお願いしたいと思っております。

 きょうは限られた時間の中での質疑でしたので、本日の議論を踏まえて、前回お答えいただかなかったことなどを改めて質問主意書にて提出させていただきたいと考えております。また、今後の地球温暖化対策基本法案の議論が国民にわかりやすく、何より将来に禍根が残らないように議論を深める必要があると思っております。

 大臣には、国会の答弁だけではなくて、質問主意書につきましても、今回私になされたような答弁漏れという非常に不誠実な行為が発生しませんように、環境行政の長としてしっかりと対応をしていただきたいと思います。今後は明確な答弁をしていただきまして、質問主意書に答弁漏れがないよう適切に対応されることに対して、大臣の決意をお聞かせください。

小沢国務大臣 しっかりと、答弁漏れがないように全省一丸となって対応してまいりたいと思います。

近藤(三)委員 では、質問主意書への御答弁を期待いたしております。

 三月二十三日、こちらの委員会の質問で、私は、今後政府が国際交渉をするに当たって、三つの前提条件を満たしているか評価するための判断基準が全く示されていない、また、二五%の削減目標とした場合の国内削減分をいかほどにするつもりなのかも示されていない、中期目標を達成するために国民の負担額も示されていないなど、基本法案を国会で審議するに当たりまして政府の考えが決まっていないのではないかと質問しました。

 これに対して、小沢大臣は次のように答弁されました。何も決まっていない、そういう指摘は当たらない。まだ委員会であるので、委員との合意には至っていないけれども、かなりの数字を示しており、そういうものを参考に判断してほしい。さらに、基本法が審議に入る、その段階ではしっかりとそういう数字を示してやらせてもらう。

 しかし、この御答弁を聞きまして、私は、これまでの審議の中で、二五%削減目標に対する三つの前提条件などについて、その判断基準や根拠となる数値などがおよそ政府からは示されているとは思っておりません。百歩譲って、小沢大臣の二十三日の答弁にありますように、基本法が審議に入る段階までにはしっかりとした数字を示すというお言葉を信じたいと思っております。

 基本法案について、しっかりとした審議のためには、私たち野党には準備が必要です。特に、二五%削減のうち国内削減分を幾らにしようとしているのか、それに伴い国民の負担は金額ベースでどれくらい、どのようになるのか、三つの条件のうち主要国がそれぞれ定めようとする削減目標がどの水準であれば意欲的な目標と判断するのかなどの数字を審議に入る前にお示しいただきたいと思います。

 具体的にどのような項目の数字を政府が審議に入ろうとする前に示そうとしているのか、そしてそれはあと何日後に示すおつもりなのか、小沢大臣、お答えください。

小沢国務大臣 今三点あったと思います。その一点目、二点目は、私どもとしてはロードマップで示させていただいている、こう思っておりまして、いわゆる内訳の議論は、この場でも何度も申し上げてまいりましたが、今これは国際交渉にも関連する、こういうこともあって示すべきではない、こういう話でありました。

 私としては、先ほど来申し上げているように、産業界等が準備をする、そういうこともあり得るので、ある程度一定の数字を示した方がいいのではないか、こういう意見は政府の中でも申し上げてきているところでありますが、今政府の中では、最終的にはそういったことの結論に至っておりません。でありますし、さらにはまた、ベストは、あくまでも国内で二五%削減するということができれば、温暖化対策としての日本の貢献という意味ではベストなことは間違いありませんので、ロードマップでは二五%という数字一本に絞ってその道筋を示させていただきました。

 国民の負担というのは、負担ではなくて投資として考えるべきだ、こういう言い方をしておりますが、十年間で約百兆円、こういう数字を示させていただいていて、そしてそれは二〇三〇年においてはほぼ回収し得る、さらにはまた、いわゆるGDPの成長も二〇二〇年の時点で押し上げることができる、そういう道筋を示させていただいたところでございます。

 それから、各国の意欲的な数字というものも明快にすべきだということに関しては、いわゆる外交上の戦略的な意味をもって現時点では示していない、こういうことでございます。

近藤(三)委員 ただいまの御答弁の中にロードマップに示しているというお話がありました。私もざっとですが目を通させていただきました。二五%の国内排出量の割合もはっきりとしない、そしてまた国民負担額もはっきりと明示されていない、これはおよそロードマップとは言えない内容ではないかと思います。いただいた資料のタイトルは「中長期ロードマップ(議論のたたき台)」とありますが、これはたたき台にすぎないのではないかと思います。ロードマップとは言えないと思います。

 国民そして国会をミスリードしないように、議論のたたき台にすぎないということをきちんと表明していただきまして、例えば国内削減分を幾らにするのか、環境大臣がおっしゃっているいわゆるロードマップ、このたたき台には全く示されておりません。政府の考えどおりに物事が進みますと、例えば最大で二五%削減が技術的に積み上げることが可能であるという、何か全く理想を追い求めるような、現実味のないたたき台となっております。

 二五%の削減を達成するために、さっき大臣がおっしゃいました、二〇一一年から二〇二〇年の十年間で約百兆円の投資が必要であると。年間で十兆円が追加的に必要だというふうにロードマップ、たたき台はなっておりますが、一体だれがどれだけ投資するのか。政府の役割分担も、その財源も示されておりません。そして、国民にとって最も関心の高い、二五%削減すると一体国民負担はどうなるのか、その点につきましてもこのたたき台には示されていません。

 また、私どもが再三求めています二五%削減を中期目標とするに当たっての三つの前提条件の定義、それから判断基準はこのたたき台には記載されていないことを申し添えさせていただきます。

 つまり、ロードマップ、議論のたたき台を公表したことをもって、先般私の質問に対して大臣が答弁されました、基本法が審議に入る段階までにはしっかりとした数字を示したということにはならないと思います。基本法案の審議前にしっかりと数字などを示していただきますよう、国会への約束をきちんと履行していただくよう求めます。

樽床委員長 答弁を求めますか。時間は一応終了していますけれども。(近藤(三)委員「はい」と呼ぶ)

 小沢環境大臣。

小沢国務大臣 ロードマップは、責任は、私の名前になっておりますが、これはあくまでも、これから閣僚委員会に提出する資料でありますので個人名にいたしましたが、環境省として取りまとめさせていただいたものでございます。

 自信を持って示させていただいておりますので、どうぞ、大部ではありますが、委員もごらんいただきまして、具体的な委員会での審議をぜひさせていただきたい、こう思っているところでございます。

近藤(三)委員 以上です。時間が来ました。

樽床委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、前回の大臣所信質疑に続きまして、地球温暖化対策についてまた質問をさせていただきます。

 まず、環境と経済という視点も踏まえまして、本質的な議論をさせていただきたいと思います。

 今、日本経済と雇用は大変厳しい状況にあります。この問題は、グローバル経済の進展によって日本の競争力が落ちてきたということに根本的な原因があるのではないかと思います。さまざまな要因はございますけれども、競争力が低下している、この問題は大変重要であるかと思います。そういう意味で、雇用問題、景気対策、長期的には日本の競争力を高めるような施策を打っていかなくてはならない。

 日本の競争力というのは何か。それは、ほかの国にはできない高付加価値をサービスや製品につけるということしかございません。その高付加価値というのは、やはり科学技術でございます。日本が優位にある科学技術分野というのはそんなに多くないわけですね。その中の数少ない一つが、環境・エネルギー技術でございます。

 この環境・エネルギー技術をどう日本の経済の発展に生かしていくか、そういう意味で、二五%CO2削減目標、これは公明党は大変評価をしております。ある意味でこれは日本が発展をしていく大きな力になり得ます。しかしながら、一歩間違うと、逆に日本が衰退していく道にもなっていく。

 最近の報道でございますけれども、経済同友会の桜井代表幹事が、温暖化対策は社会や消費者が企業に求める明確なニーズである、これほど大きなニーズはほかに見当たらない、排出削減に取り組むことは生産性を上げ省エネなどで無駄な経費を減らして結果的に利益を生み出す、イノベーションを起こし温暖化防止に積極的に取り組むことで国際社会で競争力をつけていくことが大切であるという旨を述べておられます。

 また、京都商工会議所会頭の立石オムロン会長も述べておられますが、二五%削減について、技術革新を起こすことで国際競争力を高める好機である、二五%削減にだれよりも早くこたえる方が経営を強くする、日本企業は環境分野など世界一の技術開発や事業の創造にチャレンジしていかなければ生き残れない、これからの内需経済では環境や介護、福祉などで地域の中小中堅企業がその地域のニーズにこたえるのがふさわしい、このように述べておるわけでございます。私も全くそのとおりだと思います。

 公明党がこの二五%削減目標を評価するのは、二つございます。一つは、これが技術革新を進める推進力になるからでございます。もう一つは、日本が二〇一三年以降の新たな枠組みの構築に向けて国際交渉の場でリーダーシップをとることができるからであります。そういう意味で、この野心的目標を出したことは、日本がこれからリーダーシップをとるという意味では非常に大きな材料になるかと思います。リーダーシップを発揮して一つの国際的枠組みをつくれば、世界が低炭素地球、また低炭素社会に向かって進んでいくでしょう。そうなると、日本の優秀な技術が世界に役立って、これが日本の経済を大きく飛躍させることになる。

 ところが、一歩間違うと、この一つの枠組みができなければ、いわゆる京都議定書がそのまま残り、京都議定書に参加していないアメリカ、中国、インドなど、これは二酸化炭素を一番排出している国でございますが、この国々が別の緩い枠組みをつくることになる。京都議定書とほかの枠組みの並立という状況になれば、結果として温暖化は進展してしまうわけであります。そして、日本に過大な義務が京都議定書の中でかかってきて、日本の経済は縮小していかざるを得ない。今まさにその剣が峰、岐路に立っていると思うわけでございます。

 昨年コペンハーゲンでCOP15が開催されました。COP15の目的は一つの国際的枠組みをつくるということでございました。しかし、結果的には一つの国際的枠組みはできず、京都議定書を延長させるプロジェクトであるアドホック・ワーキンググループKPが残って、京都議定書とほかの枠組みの並立という可能性が残ったわけでございます。

 まず、環境大臣にお伺いいたします。

 今私るる申し上げました環境と経済、また二五%削減目標の意義、考え方について、大臣はどのように考え、受けとめられていますでしょうか。

小沢国務大臣 環境と経済に関しては江田委員の御意見と全く同じ、一致している、こう思っております。

 あえて力点の違いということで申し上げさせていただければ、いわゆる日本経済が今ある意味では大変厳しい状況に置かれているということの中で、この日本経済の成長を引っ張っていく、そういったまさにファクターにもならなければいけないということを強く意識しているということだと思っています。

 そして同時に、危惧の念も示していただきましたが、そこも全く同じでありまして、例えば京都議定書がこのまま単純延長されて、日本だけが責務を負って、そして、いわゆる最大の排出国である米国とか中国とか、そういった国が入ってこないまま、そういった国が責務を負わないまま日本だけが責務を負っていくということは、これは本当に経済的にも大変厳しいことに直面するわけでありまして、そういったところを避けなければいけない。

 コペンハーゲンにおいての我が国の最大のポイントは、温室効果ガスを削減するためにも、最大の排出国である中国、米国をどう巻き込んでいくか、さらにはまた、逆に言うと、そういった国が入らない状態の中での京都議定書の単純延長をどうやって食いとめていくか、それが最大のポイントであったと思っておりまして、それに関しては、必ずしも条約といったようなパーフェクトな形にはできませんでしたけれども、いわゆるコペンハーゲン・アコードという形でその一歩は踏み出すことができたのかな、こう思っているところでございます。

 いずれにしても、江田委員の認識とほとんど違いはない、こう思っております。

江田(康)委員 私また公明党の認識と全く同意であるという御答弁をいただきました。

 それでは、改めて、このCOP15までの結果についてはどのように受けとめられているかということと、また、せっかく二五%という高い目標を掲げながら、国際交渉の場で日本が目立ったリーダーシップを発揮できたとは言えないと思います。アメリカ、中国等がこのコペンハーゲン合意の話を先に進めていった、そういうような傾向があったのではないかと思いますが、これは鳩山総理もでしょうけれども、小沢環境大臣、政府としてどのようにリーダーシップを発揮してきたのか、それを改めて問います。さらに、今後、一つの新たな国際的枠組みの構築の実現に向けてはどのような戦略を持っているのか、ここが大事ですけれども、お伺いをしたいと思います。

小沢国務大臣 改めてCOP15までの評価ということでございますが、これも繰り返しになって恐縮でありますけれども、とにかく温暖化をとめるためには最大排出国の中国、アメリカ、こういった国々が入らなければ意味がない、そういったものが入らない段階での京都議定書の単純延長は認めない、これが我が国の基本姿勢でありまして、それを貫くことはできたというふうに思っております。さらにまた、米国、中国がコペンハーゲン・アコードで、不十分とはいえその土俵の上で数字を提示したということは一歩前進、こういうふうに評価をしているところであります。

 我が国のリーダーシップに関してでありますが、今、江田委員からも、やはり米国、中国がCOP15でも目立った、こういう御指摘がありましたが、確かにマスコミ報道等ではそのとおりだろう、こういうふうに思います。ただ、これはあくまでも、今申し上げたように最大の排出国に対する期待がある中で、逆にやらないと、それに近い対応をしてきたことがあるものですから、そこに最大の注目が集まる、こういうのは当然のことかなというふうに思っております。

 我が国のリーダーシップということで言わせていただくと、若干面映ゆいんですが、御質問でありますから言わせていただきますと、やはり九月の国連での鳩山総理のスピーチというのは、その後各国が次々と排出量の目標を提示するまさに先頭を切った、そのきっかけになったという意味では極めて大きかった、こういうふうに私は思いますし、その後の国際会議でもいろいろな場面で各国から私に対しても直接、あるいはまた会議の中でも日本の対応の評価をいただきました。さらにはまた、COP15の場面におきましては、大きな目標の柱でありますいわゆるアダプテーションへの対応、途上国への支援という意味において日本の鳩山イニシアチブが大変大きな評価を得て、そして目標の設定が行われた、こういうふうに思っております。

 今後どうするか、こういうことでございますけれども、先ほどお話がございましたワーキンググループ、特にKPの方でありますが、等々も開かれております。あと、五月の初旬にボンで、これはメルケルさんが呼びかけをしていただきまして、閣僚級会合を開こう、こういう話になっておりまして、ぜひ私もそこに参加をしたい、こういうふうに思っておりますし、そこでは私の発言の場をぜひつくってもらいたいという話を今申し入れしているところであります。そこではそういったワーキンググループに対する対応の仕方、あるいはまた排出権の考え方等々、日本の考え方を述べたいと思って、今準備をしているところでございます。

 さらにはまた、次はメキシコでございますが、カルデロン大統領が先般来日をしたときに、鳩山総理とこの問題でも十分な意見交換をしておりますし、私も機会をとらえて、次の議長国であるメキシコ、あるいはまたラテンアメリカの諸国、そういったところと意見交換をしてみたい、こう思っております。近々、ラテンアメリカの皆さんと意見交換をする機会もつくらせていただく予定でございます。

江田(康)委員 日本が今後の一つの国際的枠組みの合意に向けて国際交渉をリードしていくためには、二五%削減目標を達成していこうとする日本の本気度が注目されてくるわけでございます。やはり、京都議定書を残してはならない、一本化していく、そういうリーダーシップが強く求められるわけでございますけれども、日本の決意とそれを裏づける政策を示す重要な戦略の一つが、今回の地球温暖化対策基本法の制定であると思っております。

 その基本法について、質問をいたします。

 公明党は、前提条件のない二五%削減の中期目標を掲げて、その達成のための具体的な政策を明示して、さらには影響を受けやすい国民生活や産業界の国際競争力にも適切に配慮をしていくという気候変動対策推進基本法案の国会提出を予定しております。

 まず、中期目標とその前提条件について、前回に引き続き確認をさせていただきたいと思うんですが、これに入る前に、先日の大臣所信質疑における公明党の中期目標について、大臣が誤解なされているところがございますので、それを修正しておきたいと思います。

 公明党の気候変動対策推進基本法案に掲げる前提条件のない二五%削減目標というのは、国内削減分だけではなくて、無論、国際貢献分や森林吸収源対策などの国際約束で認められるものも削減目標に含むことを大臣に御認識いただきたいと思います。

 前回も質問いたしましたけれども、基本法に規定された中期目標の前提条件についてお伺いをいたします。

 基本法第十条の一項、二項をどう読みこなしても、今後の国際交渉ですべての主要な国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築と意欲的な目標が合意されなかった場合には、二五%の中期目標は基本法に基づく公式目標ではないことになるのではないですか。

 前回の質問で前提条件をつけた理由についてもお聞きしました。また、何が意欲的な目標なのか、意欲的な目標の水準とは何か、それも大臣に質問いたしました。大臣は、交渉上の理由で明らかにすべきでないし、決まっているわけでもない、一般論として、二〇五〇年までに世界の排出量を半減させることに資するようなものと答弁をなさいました。

 こんないいかげんな前提条件もなければ判断基準もないわけでありまして、そもそもこの二五%削減の中期目標は基本法の柱ではないですか。今後の国際交渉で日本がリーダーシップをとれる武器ではないですか。それが前提条件つきであって、前提条件が成立しなければ二五%の削減目標は設定されないという、こんないいかげんな前提条件つきの中期目標で、すべての主要国が参加する新たな枠組みを構築する国際交渉を本当にリードできますか。日本は消極的ととらえられて、京都議定書の枠組みも残してしまって、国益を大きく損なうことになりはしないか。

 大臣の見解をお聞きしたいと思います。

小沢国務大臣 まず、御党の二五%の中には国際貢献あるいは森林吸収、そういったものが含まれているという点は私も十分理解をさせていただいております。

 それで、そういう前提条件つきで国際交渉をリードできるのか、こういう御意見でございましたけれども、前提条件をつけた二つの理由というのを改めて申し上げますと、一つは、これは鳩山総理が言っているように、他の国の背中を押していくための攻めの条件というのが一つ。それからもう一つは、いわゆるパブコメで最も意見が多かった話でございまして、それは、日本だけが国益を損なうようなことであってはいけないので各国にそういった前提条件をつけてもらいたい、これが圧倒的に多かった意見でございまして、そういった二つの理由でつけさせていただいたところでございます。

 ただ、このロードマップにおいては、先ほど来申し上げておりますように、二五%を削減していくという形で今お示しをしておりまして、こういったロードマップを示しながら基本法ができていくということにおいて日本への信頼性は委員が御指摘のとおりかなり高まる、こういうことだろうと思っております。

 そういう中にあって、先ほど来、国際交渉の場面でも排出権取引の取り扱いをどういうふうにしていくべきなのか。もっと端的に申し上げると、今の国連のCDMの枠組みだけでは不十分と私は思っておりまして、それを拡充すべきだ、こういう意見をボンでは申し上げたいと思っておるわけでありますが、そういったものが次々に明らかになっていくことによって、我が国における排出権の扱い方、あるいはまた森林吸収もそうであります、条件等が整備をされることによって、そういったことも取り入れたさらなる具体的な話も進展できる、こう思っております。

 現状のところはそこまで国際交渉は進んでおりませんので、現在の時点ではそういったあくまでも定性的な物の言い方で御理解をいただいているということだと思っています。

江田(康)委員 それでは、再度お聞きします。

 前提条件が成立しなければ、二五%の削減の中期目標も国内排出量取引制度や地球温暖化対策税等の新たな国内対策も実行されないのかと私は前回質問をいたしました。それに対して、前提条件が崩れた場合、国際公約としては成り立たない、しかし、環境大臣の立場からは、国際公約として成り立たなくても、温暖化をストップさせるためには必要不可欠であり、二五%削減を実現していくための努力をしてまいると答弁をなさいました。

 これは私は本当はおかしいなと思うんですね。こういうことであるならば、前提条件つきというのは一体何の意味があるのかということも思いますし、しかし、やはり前提条件が成立しなければ非常に弱い、法的根拠のない二五%中期目標になってきます。そうすると、二〇一一年に導入を予定しているような国内排出量取引制度とか地球温暖化対策税は、国民に大変負担のかかるものでございますし、また産業界においても本当に負荷のかかる政策でございます。こういうものが本当に導入できるのかということに大変大きな疑問を持ちます。

 そこで公明党は、気候変動対策推進基本法案には、前提条件のない二五%削減の中期目標を掲げております。大臣も先日、平場で、公明党のようにすっきりするといいねとおっしゃっておりましたが、ただし、公明党のこの基本法案には、中期的な目標の見直しとして、気候変動に関する国際的な状況の変化等を勘案して、最新の科学的知見を踏まえて、必要と認めるときはこれを見直すことができるという見直し条項も規定しております。

 日本政府として、大臣、この基本法における中期目標については、すっきりと前提条件なしの二五%削減目標を盛り込んで、そして見直し条項を規定していく、こういうことが適切ではないかなと提言をいたしますが、どうですか。

小沢国務大臣 その話を聞かせていただいて、改めて確かにそういう考え方もあるなというふうに思っているところであります。一つのやり方として私は十分あり得るやり方だと思っています。

 ただ、前提条件をつけた今回の基本法案は、これまた今までのいわゆる鳩山総理の国連での発言を踏まえて、ずっとそうした経緯もございますものですから、この前も申し上げましたように、例えばEUのように前提条件をつけて、そして二段階とか、今、江田委員がおっしゃるように見直しの規定を入れるとか、いろいろなやり方もあろうかというふうに思います。

 ただ、今までの日本の発言ぶり等々からして、それを変えるのはやはり国際的な信頼を損なうのではないか、こういう意見も極めて強くありまして、結果としてそういった条件をそのまま付している、あくまでもこれまでの経緯も踏まえたことである、こういうふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。

 委員の御指摘のようなやり方も一つの考え方としては十分成り立つと私は思っています。

江田(康)委員 これからの審議の中で再度深い議論をしていきたいと思います。

 もう残り時間が少ないですので、あと一問にさせていただきたいと思います。

 ロードマップを小沢試案として示されたわけでございます。中長期削減目標を達成するための対策、施策の道筋を提示しておられます。特に、温暖化対策は負担のみではなくて新たな成長の柱である、低炭素社会のための投資は市場、雇用の創出につながるほか、地域の活性化、エネルギーの安全保障などに貢献するという視点が今回入っている点については評価をしたいと思っております。

 この結果としてさまざまなロードマップの数字が出てきたわけでございますけれども、二〇二〇年に二五%削減するための絵姿というのが、暮らしの分野では、例えば、太陽光発電を一千万世帯に設置する、また、住宅の省エネ基準を新築の一〇〇%で達成する、次世代自動車は二百五十万台、新車台数の半分普及する。地域づくりの分野でも、自動車の走行距離を一割削減していく。物づくりの分野では、世界最先端の省エネ設備を導入する。エネルギーの分野では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを一〇%以上にしていく。これは問題だと思いますが、原子力発電を八基増設して稼働率を最大八八%に引き上げる。問題といいますのは、原子力は推進していくべきだと思いますが、安全性が前提でありまして、そういうような国民の合意を得るという意味においては、原子力発電を八基増設していく、稼働率を最大八八%に引き上げるというのは、いろいろな意味でこれは最大ではないのかなという思いもいたします。

 また、二五%を実現するための投資額として、一一年から二〇年の十年間で最大約百兆円の投資をしていく。また、二五%削減するための政策を実行することで、四十五兆円の新市場と百二十五万人の雇用が創出される。さらに、GDPの試算では、現状並みの対策のみの場合よりも、二〇年時点でGDPは〇・四%、約二・四兆円押し上げられる。こういうふうに詳細に分析をなされているわけでございます。

 ただ、これは二五%を国内ですべて削減するとした場合を分析されておりますけれども、現実的に言って、そのほか、一五%、二〇%、こういうような試算はなぜなさっていないのかということが一点。

 また、やはり都合のいい数字を並べたというような批判も産業界からはいろいろと出ているやに聞いておりますけれども、GDPの押し下げ幅が大きくなるとする試算がこれまでの報告でございました。それと大きく異なる結果でもございます。また、こういうような今回の試算の信頼性も問われると思うんですが、なぜこのように大きくこれまでの試算結果と違うのか。

 今後は、政府全体の議論にかけられてまいります。例えば、経済産業省のエネルギー基本計画との整合性も問われてくるかと思います。その後、行程表を踏まえた基本計画まで策定するわけでございますが、政府内で信頼性また説得性があるものになっているのか。

 るる御質問しましたけれども、よろしくお願いいたします。

小沢国務大臣 まず、今までの試算と結論が違って信頼できるのかという点に関してでございますけれども、基本的に何が一番大きく違ったかというと、新産業、新市場の創出、あるいはイノベーションの促進、あるいはまた再生エネルギーの買い取り制度の導入等々の話がこれまでのシミュレーションでは入っていなかった。今回は入っている。こういった点が最も違うところだと思います。

 ただ、私は前回のシミュレーションのときにも申し上げたんですが、やはりモデルの構成と、それから前提条件のつけ方によってそういったシミュレーションは変わり得るものであって、今回四つのシミュレーションをやりましたが、すべてそれが最も正しいというようなことを言うつもりはございません。これはちょっと大部ではありますけれども、それぞれの委員の皆さんにもごらんいただいて、ここのところが違うんじゃないかとか、あるいはここをこう動かしたらどうなるんだとか、それがわかることがモデル分析の最も有益なところでありますので、ぜひ、今後の基本法の審議の中でそういった具体的な議論を積み重ねていければと思っております。

 それから、今回試算を示させていただいて、そして先ほど委員が御指摘をいただいたように、やはり社会生活あるいは社会構造に相当大きな変更をもたらすことは事実でありますし、そうしないと二五%という数字はなかなか達成できない、こういうことだと思っています。

 十年間で百兆円の投資ということでありますが、これも誤解のないように申し上げておくと、官民合わせての話でありますから、予算として百兆円を投入するという話ではございません。そういった投資が行われ、そして経済が活性化され、さらにはまたその投資も二〇三〇年までには全額回収できる、そういう道筋を示しております。そういった道筋に対して、これから具体的な、それを実現するための制度を提案してまいりたいと思っています。

 政府の中の統一性の問題でありますが、今回、小沢鋭仁試案と私の固有名詞で示させていただいたのは、政府の閣僚委員会に出していく、そのための意味でございます。私、事務局長を務めておるものですから、その事務局長試案、こういう意味でそういう提案をさせていただきましたが、今回のこのロードマップの性格は環境省全体で取りまとめをさせていただいたものであります。

 そういう中で、これからまさに経産省のエネルギー基本計画とかその他の計画との整合性をとらせていただいて、そして、この基本法がもし皆様から御承認をいただいて決めていただければ基本計画というのをつくらなければいけませんから、基本計画をつくるに当たってのベースになる、そういうロードマップを積み上げていって、そして、基本計画としてしっかりとそれをつくり閣議決定をしていく、その過程で政府での統一的な案というものをしっかりつくってまいりたい、こう思っているところでございます。

江田(康)委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

樽床委員長 次回は、来る六日火曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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