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第6号 平成22年4月6日(火曜日)

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平成二十二年四月六日(火曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 齋藤  健君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      阿知波吉信君    石田 三示君

      稲富 修二君    大谷 信盛君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    小林千代美君

      田島 一成君    田名部匡代君

      玉置 公良君    村上 史好君

      森岡洋一郎君    矢崎 公二君

      吉川 政重君    小池百合子君

      近藤三津枝君    古川 禎久君

      山本 公一君    中島 隆利君

    …………………………………

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   環境副大臣        田島 一成君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  斎藤やすのり君    阿知波吉信君

  山崎  誠君     稲富 修二君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     斎藤やすのり君

  稲富 修二君     山崎  誠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

樽床委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として環境省地球環境局長寺田達志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢崎公二君。

矢崎委員 皆さん、おはようございます。

 民主党の長野四区選出の矢崎公二でございます。本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。理事の皆様方には感謝申し上げます。

 初めての質問でございまして、非常に緊張しております。環境委員の皆様方は、政党の枠を超えて、大きな視点で、目指すものは同じものであるというふうに思っております。広い心で質疑を温かく見守っていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、人々の生活や暮らしの視点から環境を考えながら、小沢大臣の環境政策についてのお考えを伺っていきたいというふうに思っております。

 私は新聞記者をしておりましたけれども、環境の勉強を始めて、やはりちょっと難しい。生物多様性と聞いても、なかなか一般の方にはわかりづらいものがあるというふうに思います。その意味では、ふだんの生活の中から環境の重要性について考えるということがまず第一歩ではないかというふうに私は思っております。

 そこで、まず、お祭りの話から始めたいというふうに思います。

 私の地元長野県の諏訪地域では、諏訪大社のお祭り、御柱祭が四月の二日から始まっております。七年に一度の日本の三大奇祭の一つでございまして、とら年とさる年に開かれております。大社の宝殿を新築して、社殿の四隅にあるモミの大木を建てかえるという意味がございまして、諏訪地域の六市町村すべての二十一万人の人たちがこぞって参加する天下の大祭でございます。

 このお祭りがいつから始まったかということでちょっと調べてみましたが、室町時代の諏訪大明神画詞という記録に、平安時代の桓武天皇時代、七八〇年ごろから八〇〇年ごろにこの御柱祭が行われていたという記述が残っております。千二百年の歴史と伝統のある祭りでございます。

 このお祭りはとてもシンプルで、いわゆる巨木を山から切り出して、十六本の柱を人力で各神社まで運びます。途中、木落としと申しまして、角度が三十度もある急斜面から柱を落としたり、雪解けの冷たい水が流れる川を越えたりいたします。

 小沢大臣は、私の地元のお隣の甲府市の御出身でございますので、このお祭りのことを御存じかというふうに思いますが、いわゆる諏訪地域にゆかりのない方々にとっては、ただ木を運ぶだけのお祭りで何であれほどエネルギーと情熱を注いでいるのかなと、不思議に思っているのではないかというふうにも思います。私もこの週末、三日間にわたって木を引きました、ちょっと日焼けをしておりますが。今週末もこのお祭りがございまして、五月にもございます。

 実はこの祭り、私は、いわゆる地域主権の一つの試みだというふうに思っております。地域の特性を生かしながら、個性的な地域づくりをする。住民が一丸となってお祭りに参加して盛り上げ、地域のきずなをさらに深める。そして、地域のよさをPRして、多くの方々にその地に足を運んでいただく。何と、全国から二百万人の方々が訪れるというふうにも言われています。

 住民の方々はみんな寄附をします。それから、祭りを支えます。民主党の掲げる地域主権が本格的に実現すれば、財源が地方に移譲されます。その意味では寄附金は少なくて済むかもしれませんけれども、古来は、祭りのいわゆる責任者、総代と申しますが、地元の名士が総代を務めます。その名士が多額の寄附をして、お祭りに参加する人々に与えた。いわゆる富の再配分が地域の中で大木の祭りを通じて行われていたというふうにも言えると思います。

 環境の話から相当ずれてしまいましたが、私は、ある意味、御柱祭は、人々の自然との共生の一端を示すものではないかというふうに思っています。

 このお祭り、実は近年、祭りを続けることに大変な苦労がございます。お祭りでは、長さが十七メートル、直径が一メートル、重さにして十トンの大木を山から切り出します。ところが、この大木が今なかなか見つかりません。昔は八ケ岳山ろくの社有林から運ぶことが通例でしたが、山の手入れがきちんと行き届いていない。木がないわけです。そこで、最近は、国有林の方にお願いして木を分けていただいているということでございます。

 巨木が少なくなったのは、今から五十年前、昭和三十四年、一九五九年九月二十六日、伊勢湾台風の日に木々がすべて倒れてしまいました。私が生まれた日でございますけれども、それ以後、山の手入れや植林もきちんと計画的に行われなかった、森が育っていなかったというわけでございます。現在は、ボランティアの方々が植林や間伐をしたりして御柱の森を育てる、そういう取り組みをしているところでございます。

 森を育てるということは古来から行われてきましたけれども、温暖化対策のみならず、人々の自然との共生を進める上でとても重要だと考えています。

 地球温暖化に係る中長期ロードマップの試案が提示されましたけれども、その中を見てみますと、森林についての記述が少ないような印象を受けております。いわゆる農水省の所管の部分もあるとは思いますけれども、こうした森の荒廃が問題となっている中で、自然との共生や森林対策について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

小沢国務大臣 諏訪の御柱のお祭りを大臣も知っているはずだ、こういう御指摘がありまして、私も本当に、今委員がおっしゃっていただいたように、隣の県でありますし、実は母方が長野出身で、岡谷に親戚もいるものですから、そういう意味では、かねてから御柱の話もよく聞かされて育ちました。

 個人的な話で恐縮ですが、申し上げますと、選挙の必勝祈願で、私の婦人部の皆さん方が、花の会と呼んでいるんですが、計画を立ててくれて諏訪大社に行きまして、私の三回目の選挙に向かうときだったんですけれども、おかげでその三回目の大変厳しい選挙を勝ち抜くことができました。そういった意味では、私にとっても諏訪大社というのは、本当に忘れがたい、大変感謝をしている神社でございます。

 さて、自然とのかかわり、こういう御質問でございますが、おっしゃるように、森林は、温暖化対策でも、あるいはまた生物多様性でも、まさに本当に大事なところだ、こういう認識は持っております。

 先般、私の知人の方がスウェーデンの自然学校の先生方を大臣室の方にお連れいただきまして、意見交換をさせていただきました。その際に、極めて環境省的に里山の話を申し上げて、まさに日本人というのは自然とともに生きてきているそういう国民だという話を申し上げましたら、残念なことに、そのスウェーデンの自然環境教育の皆さんから見ると不十分だ、極めて不十分だという御指摘をいただきました。

 確かに、私も一回しか行ったことがありませんが、スウェーデンのあの森と湖の国から見ると、日本の都市近郊というのは、里山があるといっても、それは圧倒的に自然が少ないのも事実で、そういった意味では、残念ながらそういう指摘を彼ら彼女らからいただいても仕方がないところなのかな、こう思って聞かせていただきました。

 だからこそ、本当に我々は、もっとそういった自然環境の保全というものにしっかり取り組まなければいけないんだと。スウェーデンという国は、面積が日本の一・二倍、人口は約一千万人、こういうところでございますので、これだけの人口密度を持つ我が国は、スウェーデンの自然環境教育の人の十倍も百倍も意識を持ってやらないとだめなんだろうな、こう思っているところでございまして、特に今回はCOP10がありますので、そういった意味でも、これが大きなきっかけになるように、森林を含めて自然の保全に努めてまいりたい、こう思います。

矢崎委員 ありがとうございました。ぜひロードマップの中にも森林についての記載を多く入れていただきたいというふうに思います。

 話がそれますが、私も諏訪神社にお参りをさせていただきまして、初当選をさせていただきました。

 さて、地域の話をもう一つさせていただきます。

 諏訪地域に富士見町というところがございます。そこには、釜無ホテイアツモリソウという絶滅危惧種に指定された貴重な花がございます。ランの一種で、とても大きな濃い紫色の花をつけます。ランの王者とも呼ばれているもので、希少価値が高く、ランの愛好家にも非常に人気がございます。

 二十年、三十年前、私が子供のころは、じゅうたんのように山一面に咲いていた植物でございますが、最近はその姿を見ることができなくなりました。町やボランティアの方々が、二〇〇九年、昨年確認したところ、二十株程度しか確認できなかったというのが現状でございます。原因はさまざまございますが、一つは、戦後、国が進めてきたカラマツの植林事業により植生が大きく変わったということ、それから鳥獣による食害、人為的な乱獲などが指摘されています。

 富士見町では、このアツモリソウをどうにか復活させたいということで、二〇〇六年にアツモリソウ再生会議を立ち上げました。生物多様性保全のシンボルとして、総合的な保護施策を推進してきました。保護条例を制定したり、監視活動をしたり、あるいは小中学校など教育現場での啓発に力を注いできました。二〇〇八年には、国の生物多様性保全推進支援事業から補助を受け、それから民間企業の協力も受けて、原種の遺伝子資源の保存、あるいは無菌培養にも取り組んでいるところでございます。二〇〇八年には、環境省の認可を受けて野生種の人工交配を行い、その種子を自生地にまくという、今そういうところまで進んでいます。

 このアツモリソウ再生会議というのは、環境省の補助金、それから富士見という自治体、そして企業の拠出金で運営されております。国と自治体、民間、現在政府が準備を進めている生物多様性の保全の民間活動の促進に関する法律で目指しているところの多様な主体の連携を行っていると言ってもいいと思います。そういう意味で、私は、ぜひこの法案が今国会で審議されて成立することを切に望んでおります。

 他方、環境省の生物多様性保全推進支援事業による補助金は、二年間の期限がついています。延長が行えたとしてもさらに一年ということで、最大三年の補助事業になります。先ほどの富士見の例をとりますと、遺伝子レベルの研究ですとか交配、自生、そういうことを行うには非常に長期の時間がかかります。アツモリソウですと、花が咲くまでに五年あるいは六年の時間がかかる。ことし、延長の認可を受けて、三年目の最終年度を迎えるということになりますけれども、アツモリソウの再生の兆しが見えてきたところで、その後、どうやってこの取り組みを継続していくかというところに地域の方々は非常に思案しているところでございます。

 生物多様性保全推進支援事業は平成二十年度から二十四年度までの事業でしたが、今年度から、地域生物多様性保全活動支援事業として、平成二十六年度まで延長されました。個別の支援は最大で三年の期限つきです。富士見の例のように、ちょうど端境期を迎える例がたくさんあると思います。今後、この事業がどのように発展していくか、政治の力でどういうふうに支援していくかということが非常に重要になっていくというふうに思います。現在検討されている生物の多様性の保全のための民間活動の促進に関する法律とも深くかかわってくることと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

田島副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 委員が御指摘をいただきました生物多様性保全推進支援事業は、平成二十年度にスタートいたしまして、二十一年度までに全国二十六地域で実施をしてきたところでございまして、今御指摘いただきました、委員の御地元でもあります富士見町のアツモリソウ、そしてまたホテイアツモリの環境保全事業につきましても、それこそ富士見町アツモリソウ再生会議に対しましてこれまで支援をさせてもらってきたところでもございます。

 この事業を通じて培っていただきました保全活動の手法でありますとか参加者間の連携等々を活用いただきまして、事業期間が終了した後でも引き続き活動を継続していただきたいと考えているところでございます。

 今後、環境省といたしましては、保全活動に関しての技術的な助言でありますとか、また、先進的な事例、専門家の紹介など、継続的な形での支援に努めていきたいと考えているところでもございます。

 また、現在検討しております法案についてでございますが、地域におきまして多様な主体が連携して行ってまいります保全活動を促進していくためのものでありまして、本法案を今国会に提案すべく早急に検討してまいりたいと思っているところでございます。

矢崎委員 どうもありがとうございました。ぜひ法案の審議が今国会で行われることを切に期待いたします。

 地元の話はこの辺でやめたいと思いますが、次に、地球温暖化対策ロードマップの試案が提案されましたけれども、それに関して質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、特に家庭生活、要するに暮らしに焦点を当てて、本当に二酸化炭素排出を減らすにはどうしたらいいか、エネルギーを有効に使うにはどうしたらいいかという観点から問題点の指摘や提言をして、大臣のお考えをお聞きしたいというふうに思います。

 環境への関心を高める、環境教育の重要性が言われていますけれども、私は、日々の生活の中で、大人の世代と申しますか、子供たちではない世代の方々が、それぞれの生活の中で環境について考えて、その大切さを実感していくということが非常に重要であるというふうに思っております。

 そこで、細かい質問になりますけれども、まず太陽光発電設備についてお伺いします。

 今、太陽光発電設備は非常に高くて、庶民の手にはなかなか届かないというか、手に入れられないという指摘がございますけれども、現在の価格というのはどのぐらいするんでしょうか。

大谷大臣政務官 太陽光発電、資源エネルギー庁の補助金の申請実績から割り出しますと、新築の家庭で、三・五キロワットを積んだとして、全国平均で大体百八十五万円、それから、既築の住宅に同じように三・五キロワットを乗せた場合、全国平均で大体二百二十五万円ぐらいとなっております。

矢崎委員 ありがとうございます。

 百八十五万円あるいは二百二十五万円、二百万円ぐらいというので、非常に高いですよね。

 この太陽光発電設備については、御存じのように、九〇年代の後半に非常に廉価化が進みました。九四年、一般家庭の三分の一になりますが、一キロワット当たり二百万円という額でしたけれども、これが大量生産をすることによってコストが下がって、九六年には百二十万円、九八年には一〇七万円、二〇〇〇年には八十四万円、二〇〇二年には七十一万円というふうに下がってまいりました。

 しかし、わずか八年で三分の一まで下がりましたけれども、その後、なかなか価格が安くならないという状況がございます。特別な技術革新がなくても、大量生産することであと五年で価格は半分になるんじゃないかということが言われていましたけれども、それがまだ達成できていないという状況です。もしこれが達成できていれば、実際に御家庭で電気を発電する費用と電力会社から購入する費用がほぼ等しくなる、そういう環境が生まれたわけですけれども、残念ながらそういう環境は生まれず、爆発的な普及が見込まれるという期待が裏切られたということがございます。

 実際、今でも価格は、今申し上げましたように二百万円ということで、なかなか厳しいものがございますが、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会が二〇〇八年九月に出した緊急提言において、この価格は三年から五年で半額程度に低減されるだろうというのがあります。ロードマップの試案もちょっと見させていただきましたが、数年先の価格として百四十万円という額が提示されていますが、ちょっと控え目過ぎかなというような印象を持っております。

 ぜひ、この価格をできるだけ早く安くするように、実現のために御努力をしていただきたいというふうに思いますが、これから将来安くなる見込みはございますでしょうか。

小沢国務大臣 十分あると思っています。

 委員が御指摘のように、ロードマップでは百四十万という数字を使わせていただいております。これは、これまでの傾向を習熟率で修正をして推測した数値を使っている、こういうことであります。私も個人的には、もっと安くなる可能性はあるんじゃないか、こういうふうに言っているわけですが、あくまでも役所の皆さんはかたいところ、かたいところということで、この数字を使わせていただきました。

 一つは、今委員が御指摘のように、要は量産効果ですよね。これは、同じ技術であっても、量産効果によって相当安くなる、こういうことは重要なわけですから、それは今後の政策展開、いわゆる再生エネルギーの全量買い取り制度といったような話が進むことによって大変期待できる、こう思っております。

 同時に、家庭の皆さんが太陽光パネルを設置していただくいわゆるインセンティブをつくりたいと私は思っていまして、もう既に民間の皆さんが始めてくれていることでありますが、例えばある住宅メーカーは、それを全部セットで入れて、そのかかる費用を後から、いわゆる売電によって得た利益で回収する、そういう仕組みを住宅販売の中に取り入れていただくという話を実は伝えてきてくれています。

 あるいは、私は、金融機関の皆さんにぜひそういったサービスを提供してくれというふうに呼びかけておりまして、要するに、それはもう民間経済ですから、契約をする個人の責任になるわけですが、個人は最初何らかの初期投資をちょっとして、後は契約にきちっとサインさえすればお金は一切かからずにそれが設置され、さらにはまた、将来的に電気を売ることによってその元利合計が回収される、そういう仕組みが進めば、あらゆる家庭でそういったことはやっていただけるんじゃないかな、こう思っています。

 御案内のように、五分の一の世帯、こう言っておるわけでありますけれども、そういった意味では、それがさらに進むように努力をしてまいりたい、こう思います。

矢崎委員 ありがとうございます。

 インセンティブですとか民間企業の工夫ですとか、さまざまな取り組みがあると思いますけれども、もう一つ、大臣がおっしゃられたように、全量固定価格買い取り制度を実施して、民間の、一般の方々が用意するお金が少なくても済むというような状況がぜひ生まれてほしいというふうに思います。

 次に、同じように住宅の屋根につける太陽熱温水器についてお伺いします。

 お手元の表をちょっと見ていただきたいんですが、上から四段目にエネルギーの変換効率の欄がございますけれども、太陽光発電設備のエネルギーの変換効率というのは七から一八%でございます。これに対して、太陽熱温水器は四〇から六〇ということで、これははるかに効率がよいものでございます。電気をつくることとお湯をつくることを単純に比較することはできませんけれども、太陽のエネルギーを無駄なく活用して家で使うエネルギーにという点では、はるかにすぐれているんではないかというふうに私は思います。

 しかも、価格は、お手元の資料にございますように、二十万円から三十万円という、非常に安い、一般の御家庭でも手が届くものでございます。太陽光の発電設備に比べると一割から二割の額でいいというものでございますので、ぜひ大々的にPRして、こういった太陽熱の温水器の普及に努めていただきたいというふうに思います。

 前年度の二次補正で家庭用太陽熱利用システム普及加速化事業というのがございまして、その推進のために一役を買っていると思いますが、国の方で推進しているものの価格は、百万円というものを推進しているようでございますけれども、実際それだけ払わなくても、二十から三十万円できちんとしたものが今手に入る時代でございます。かつて業者が押し売りまがいで高く売ってメンテナンスもしないというような状況もありましたけれども、そういう状況ももうございませんので、ぜひ温暖化対策としての知名度が低いという点も留意されて、大臣の肝いりでPRをしていただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 おっしゃるように、確かに知名度は低いところがあります。そういうこともあって環境省としてはそういった予算措置もやらせていただいたわけでありますが、最近はかなり、テレビの広告等を見ていても、ああ、出ているなと、こういうふうに私も大変うれしく思いながら見ているところでございます。

 商品の固有名詞を挙げて私がここで宣伝するわけにはいきませんけれども、まさに委員がおっしゃっていただくように初期費用も小さいですし、効率も極めて高いということでございまして、太陽光もでありますが、太陽熱の方も大いにこれから環境省としても推進してまいりたいと思います。

矢崎委員 ありがとうございます。太陽熱のPRをぜひお願いしていただきたいというふうに思います。

 三十分というのは意外に短いですね。もう時間のようでございますけれども、いわゆる政府の成長戦略の中で、環境は大きな柱でございます。環境に対する議論が激しくなって、あるいは大きな政治運動ぐらいになれば、さらに前進できるのではないかというふうに考えております。政権交代が実現して、まさに今このときがそのときだというふうに私は思っております。多くの国民が身近な生活の中で環境を考える、生活や暮らしの視点から環境について提言するということを積極的に進めていただいて、低炭素社会を実現していただきたい。私も一生懸命そのために頑張りたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

樽床委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 おはようございます。

 小沢大臣、きょうもよろしくお願い申し上げます。自由民主党の齋藤健でございます。また、近藤政務官、きょうはお忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

 前にも少しお話をいたしましたけれども、私は、卒業して就職先を選ぶときに、当時の通産省と環境省で悩んで、結局通産省に入ったわけでありますが、きょうこういう形で質問を国会でするということは、よほど御縁があるなと個人的に感慨深いものがございます。いつも申し上げておりますように、私の信念として、ひねった球、カーブやフォークは投げません。直球しか投げませんので、御答弁の方も直球でお願いできたらうれしいなと思っております。

 きょうは、時間も限られておりますので、温室効果ガスの二五%削減問題と雇用という切り口から質問をさせていただければと思っております。

 まず初めに、きょうのテーマにつきまして、大変基本的ではありますけれども、極めて重要な質問を小沢大臣にさせていただきたいと思います。

 地球温暖化対策基本法案も審議を早くしてほしいというお話もございます。また、先日のこの環境委員会での小沢大臣の御答弁の中にも、雇用に対する影響については、基本法案の審議までの間にきちんと示させていただく、任せてくださいという御発言もございました。また、一番最初にこの件を私が質問させていただいた昨年十一月の予算委員会以降、随分日数もたちました。

 きょうこそ、大臣の口から、ロードマップを読んでくれということではなくて、二五%削減目標というものの設定が雇用にいかなる影響を与えるのか、まずはこの一点について、心配している国民各層もたくさんおられますから、こうだということを国会のこの場で説明責任を果たしていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

小沢国務大臣 お答え申し上げます。

 今回、ロードマップで示させていただいたモデルの中の、伴先生のモデルでございますけれども、その試算によりますと、鉄鋼、非鉄金属・金属製品、電気機械、一般機械などの雇用が増加する、石炭製品、火力発電などの雇用が減少する。

 具体的に言いますと、鉄鋼が七・九%、非鉄金属・金属製品が七・六%、電気機械が四・四%、一般機械が三・五%、火力発電がマイナス一〇・一%、石炭製品がマイナス二二・七%、こういう数値が出ておりまして、全体では約〇・四%の雇用の押し上げ効果がある、こういうふうにロードマップではお示しをしております。

 さらには、全体の四つのモデルを見ながら、主に産業連関分析等でやらせていただいた数字でいえば、申し上げておりますのは、二〇二〇年には四十五兆円、百二十五万人の需要の喚起を見込んでおりまして、関連産業への波及まで含めますと三百四十五万人の雇用規模を誘発できるもの、こう思っております。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 私の質問は、この二五%削減が雇用にいかなる影響を与えるか、心配している国民各層に対して、二五%削減してもこうだよという御説明をお願いしたつもりでありまして、きょうその答弁を承りましたので、これ以上私はこの点について突っ込んだ質問をするつもりはありませんが、持ち帰りまして、自分なりに関係の方々の御意見を聞いてみて、改めてこの点については議論を深めたいと思います。

 ただ、今お聞きした率直な印象を申し上げますと、雇用について相当心配がある中で、私は十分国民各層が納得するようなものとは思えないというのが第一印象でありますが、いずれにしても、私なりに、あるいは自由民主党として、各層から今の大臣の正式な御答弁について御意見を賜っていきたい、その後でまた国会で議論していきたいと思っております。

 今の答弁につきまして、経済産業省は納得がいくでしょうか。

近藤大臣政務官 大変見識のある齋藤委員からの御質問でございますが、今環境大臣が御答弁された内容は、一つの試案として取りまとめられた、またこれはある先生の数字である、こういう御答弁でございました。

 この内容について経済産業省として納得しているかという御質問でございましたけれども、環境省から事前にこの数値についてどうであるかというお問い合わせ等は我々は受けておりませんので、この内容について特段コメントする立場にございません。

 以上でございます。

齋藤(健)委員 ということは、納得がいっていないというふうに理解をしますが、それでよろしゅうございますか。

近藤大臣政務官 納得とか云々という話ではなくて、一つの数値として承っておるわけでございますけれども、これは経済産業省の中で議論をされて打ち出された数字ではない、こういうことでございますので私どもとしてコメントできるものではない、こういうことでございます。

齋藤(健)委員 それでは、さらに御質問させていただきます。経済産業省としては、この二五%削減が経済や雇用に、きょうは雇用に絞っていきたいと思いますので、雇用にいかなる影響があるというふうに分析をされておりますでしょうか。

近藤大臣政務官 温室効果ガス削減については、現在、成長戦略の議論の中で政府全体で取りまとめをしているところでございます。この中で、エネルギー・環境大国を目指すという大きな柱をつくっているわけであります。そして、その中で、約五十兆円近くの市場をつくる、また多くの雇用を生み出すということで議論をしておりますので、この二五%云々ということではなく、環境・エネルギー大国を目指すという中で大変大きな雇用を生み出す場であるということで今プログラムをつくっている最中でございます。

齋藤(健)委員 今、この二五%削減が国内の生産ですとか雇用ですとかそういうものにどういう影響が出るかということにつきましては、私ども自由民主党の方にも経済界や労働界から大変懸念をする声が伝わっているのは事実でございます。経済産業省がこの二五%についてどういうスタンスで物を考えていくのかということは、恐らく産業界も注目をしていると思います。

 この二五%削減が雇用や国内生産にどういう影響を与えるかということにつきまして、環境省は出したけれども私どもは聞いていないということではなくて、ぜひ経済産業省として分析をし、国会の場で国民に対して説明責任を果たしていただけたらうれしいと思うんですが、政務官はいかがお考えでございましょうか。

近藤大臣政務官 おっしゃっていることは真っ当なことでございまして、全くそのとおりでございまして、現在、経済産業省ではエネルギー基本計画の見直しが、御案内のとおり閣議決定すべく作業を進めているわけでございます。この中で、環境省が示された中長期のロードマップの試案も承りながら、エネルギー基本計画の中でどういった姿になるのか、あわせて、これは成長戦略とも相互に密接に関係しておりますので、成長戦略全体を取りまとめる中で、一体どういったものになるのか、雇用についてもどういった姿になるのか、最終的に整合性のとれた形で取りまとめる必要があろうかと思います。

 いずれにしろ、二五%をやった場合こうなるという数値か、こういうふうに認識しておりますから、それが本当に二〇二〇年、果たしてどこまでどうできるのかというのはまた別の議論になるかもしれませんし、それはいろいろなシナリオがあろうかと思いますので、最終的にどのような姿になるのかというのは、これは政府全体としての取りまとめは、仙谷担当大臣が成長戦略の取りまとめの担当大臣でございますから、このもとで関係閣僚が議論をした上で取りまとめることになろうかと思いますので、国会にもきっちりお示しできることになろうかと思います。

齋藤(健)委員 いずれにしましても、二五%削減で国内の雇用にいかなる影響が出るのかということを国民各層の皆さんにきちんと政府が説明をしていくということは、私は極めて大事なことであると思います。そして、経済界、産業界あるいは労働界も含めまして、経済産業省はどういうスタンスをとるかということを見ていると思いますし、もっと言えば存在価値が問われていると言ってもいいと思いますので、ぜひ、この点については基本法案の審議までの間にきちんと国会で説明をしていただくようお願い申し上げます。

 もうこれ以上やりとりをしても、時間も限られていますので要望だけにします。どうお答えいただくかはお任せします。

 ところで、心ある経済界の方々から、二五%削減を強行された場合には、我々は本当は国内で仕事をしたいんだ、日本企業である以上国内で仕事をしたいんだけれども、一方で、企業として生き残るためにはもう海外生産シフトせざるを得ないという切実な声が私ども自由民主党に届いておりますが、経済産業省にそういう声は届いておりますか。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 この声は、二五%に限らず、現在の経済環境を見て……(齋藤(健)委員「質問は二五%」と呼ぶ)二五%も含めて大変厳しい、このことが強要された場合、業種によっては国内の拠点の存続について重大な決断をせざるを得ないという御意見は、私どものところに届いております。

齋藤(健)委員 さすがによく経済界とコミュニケーションがとれていると思います。

 三月三十一日のロードマップの小沢大臣の試案では、「二〇二〇年二五%削減に伴う社会・経済への効果・影響」という項目がございました。そこで四つのモデルで分析をされているわけでありますけれども、このモデルの中に、海外に生産を移す、二五%も削減したら移ってしまう、そういうことは盛り込まれているんでしょうか。

小沢国務大臣 今回のモデルでは、その分析は残念ながら行っておりません。今回はイノベーションの促進や価格の低下、そういった効果をどう組み込むか、こういうことに力点を置いてやっておりますので、いわゆる海外分の計算はしてございません。

齋藤(健)委員 これほど懸念をする声があるにもかかわらず、なぜそんな大事なことを盛り込んだ分析を行わないのでしょうか。

小沢国務大臣 時間の問題もあったことは事実でありますが、あくまでもモデルは、何を明らかにしたいかという話の中で、今申し上げたように今回の場合はいわゆるイノベーションあるいは価格の低下といったものがどれだけ影響するかというところに力点を置いてやらせていただいたわけでございます。ただ、同時に、いわゆる海外との関係、これも組み込んでいくことが望ましいという委員の指摘はごもっともだと思います。

 ただ、そこのモデル構築は大変複雑になるという話も、恐らく委員も御理解がいただけることだと思います。今後の課題としてやらせていただきたいと思います。

齋藤(健)委員 いつまでにその課題は果たしていただけるんでしょうか。

小沢国務大臣 できるだけ速やかに、こう思っておりますけれども、ちょっと期限までは今のところまだ頭にございません。

齋藤(健)委員 基本法案の審議までには当然出していただけるんですよね。

小沢国務大臣 この前もたしか齋藤委員と若干すれ違いがあって、いわゆる一つだけの、とにかく政府のロードマップあるいはまた計量モデルを示さないと基本法案は審議できない、こういうお話があって、それは私どもの考えとどうも違うのではないかということを申し上げました。

 私としては、イメージをしっかり持っていただくという意味ではロードマップを私の名前で、私の責任で提示させていただきましたが、基本法案はあくまでも今後の方向、理念を示すのが基本であります。その中でも、委員も御案内のように、基本計画を作成する、こういう話があって、その基本計画のある意味ではベースになるものがロードマップでありまして、あくまでも基本法案ができた後に基本計画をつくる、これがあらゆる基本法のスタイルだ、私はこう思っておりますものですから、全くそういった計量モデルの数値が示されなければ基本法案の議論ができないということは、私は一般的に言って当たらないのではないか、こう思っています。

齋藤(健)委員 この基本法案は、国際交渉次第によっては二五%削減を日本が世界に対して公約するということが含まれている法案であります。したがいまして、二五%削減で本当に国内にどういう影響が出るのかということを国民に対して少なくとも説明する責務が政府にはあるのではないかと申し上げているわけです。

 しかも、その法案を審議するわけです。その法案が通れば、場合によっては二五%が国際公約となるわけでありますから、法案を審議しているときに、国民各層を代表している我々国会議員にこういう影響があるということをきちんとした形で示すというのは、私は当然のことだろうと思います。

 海外生産に移行することによって雇用が失われるのではないかという心配をする人は本当にたくさんいるんです。そういうものの影響を示さずに二五%を国際公約にしてしまう、そのマンデートをもらうような法案を国会に出すということは私はちょっとやり過ぎではないかと思いますが、この点について経済産業省はいかにお考えになりますか。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど小沢大臣がお答えしたとおりであろうかと思っておりまして、法案が通った後に基本計画ができる、こういうたてつけになっておりますし、そのような内容の法案でございますから、法案を十分御審議いただいて、その上でさらに国民各層のさまざまな方々と対話を重ねる中で基本計画をつくってまいりたい、このように考えております。また、それに先立つ形で、我々経済産業省としては、全国各地で環境・エネルギーに関する国民対話というのも立ち上げてまいりたい、このように思っております。

 いろいろ御批判を受けてまいりました。密室ではないか、そのつもりは全くないんですけれども、そういった御批判もございましたので、法案策定に当たってそのような御批判があったのも受けとめて、対話を重ねてまいりたいと思っております。しかし、計画については、先ほど大臣がお答えしたとおり、御審議していただいた上でしっかりとした計画をさらにつくっていく、こういうことかと思っております。

齋藤(健)委員 二五%削減目標を掲げることによって国内雇用にどういう影響が出るかということを、この国会の場で基本法案を審議するときには出さないかもしれないという理解でよろしゅうございますか。

小沢国務大臣 あくまでも、基本法の議論をさせていただいて、その後に基本計画をつくらせていただく。それは閣議決定の基本計画になることになりますけれども、順序としてはそういう順序を考えておりますし、他の一般の基本法もそういったつくりになっているもの、こう思っております。

齋藤(健)委員 ということは、国会では議論しないということですね。

小沢国務大臣 政府全体としてのいわゆるロードマップというのは間に合わないかもしれませんが、私の責任のいわゆるロードマップは提示してございますので、そこで議論は大いにやっていきたい、こういうふうに思っています。

 いわゆる海外との関係を含むモデルの構築も、もし委員からいろいろなアイデアがあれば、ぜひそれも承りたいと思っております。しかし、これはなかなか難しいモデル構築になるな、こうは私も思うものですから、そういった議論を大いにしながら基本法の審議をしていただければいいのかな、こう思っております。

齋藤(健)委員 続きは法案審議でやらせていただきます。

 もう一つですが、今回の小沢大臣が発表された分析によりますと、二五%を国内真水で削減した場合の分析結果が出ておりますけれども、これは、諸外国も厳しい目標を設定して一緒にやる場合と、日本だけが厳しい目標を掲げて、諸外国は今アメリカや中国が言っているような、十分ではないということを大臣もおっしゃっておりましたが、それほど気合いを入れて目標を設定しないで日本だけがやる場合。つまり、みんなでやる場合と日本だけがやる場合で、国内に与える影響というものは著しく違ってくると思います。

 みんなでやる場合はどこに行っても削減がきつくかかるわけでありますから、企業は、では国内で頑張ろうという気持ちになります。しかし、日本だけが厳しくやるということになりますと、海外で生産をふやそうということになります。

 みんなでやるのか、日本だけ厳しくやるのかということによって国内の影響に非常に大きな差が出てくると思いますが、この点について、今度発表された小沢大臣の試案ではどのように分析をしておられますでしょうか。

小沢国務大臣 ですから、そういったことを含めて、海外とのリンクという話をモデルの中に組み込んでいくという話は極めて難しい、こういうふうに先ほどから申し上げているわけでありまして、定性的に、委員がおっしゃる話は私も一理あると思っています。

 ただ同時に、どうも委員の御指摘は、依然としてCO2の削減はどうしてもコストがかかる、だからコストをかけない海外に企業は出していくという経営選択をするであろう、そういった大前提が強過ぎるのではないか、こう思っておりまして、日本のつくる製品がすばらしいものになっていくことによって逆に輸出の競争力は高まるわけでありますので、国内においても十分それをやっていく、そういった道筋もあり得る、こう私は思っています。

 多くの製品がそれに該当すると私は思っておりまして、確かに、鉄鋼とか化学とか、大変厳しい産業があることは事実でございます。ただ、そういった産業に関しては、税にしろ排出権取引にしろ、これから行う施策の中でいろいろな配慮をしていくことは、これは諸外国を見ても行われていることでありますので、強くなる産業は大いに強くなってもらう。それでもどうしてもしんどいというところは政策的な配慮をする。そういったことで、日本全体が二五%カットを目指すことによって経済が強くなる、成長が促進される、こういう道筋を描いていきたいというふうに思っているわけでございます。

齋藤(健)委員 大臣、お言葉ではあるんですけれども、世界の研究者がやっているモデルというものは、御案内のようにIPCCに集約されて、さまざまな分析が行われております。二〇〇七年のIPCCの第四次報告書でも、世界で十五のモデルについて分析を行っております。その結果、ほとんどのモデルが削減幅が大きいほどGDPのロスは大きくなる。つまり、雇用に与える影響も多くなる。世界のモデルのほとんどがそういう分析をしているんです。

 そして、今回小沢大臣が発表されたロードマップでは、たしか四つのモデル分析をされていると思います。そのうち、二五%削減でモデルを回しているものは二つのケースだと思います。そして、その二つのケースではともに雇用はふえるという非常に楽観的な見通しが出ているわけです。これは世界のモデルと著しく乖離をしているものでありますから、この点についてどういうふうにお考えになるか。

 つまり、世界では削減すればするほど、特にIPCCの第四次報告では十五のモデルのほとんどが削減すればするほどGDPは厳しくなるということを言っているのに、なぜ特異と思われるような楽観的ケースだけを、他のものは一切顧みず、小沢大臣試案として発表をされるのか、その点について真意をお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 ここでも申し上げましたように、今までのモデル分析と違う結論が出たというところに今回のいわゆるロードマップの意味があるというふうに思っています。これはかねてから申し上げておりますように、いわゆるイノベーションであるとか、あるいは政策的な効果、それをどこまで取り入れることができるかにかかっている、こういうふうに私は思っております。

 それはしっかりと、科学者、学者の先生たちにやっていただいたわけでありまして、私、小沢鋭仁が一人でモデルを回したら性格からして楽観的過ぎるんじゃないかという御指摘はあるかもしれませんけれども、これは私がお願いをしましたけれども、しっかりとした科学的根拠に基づいた、しかし、前提条件とかモデル構築のやり方はいろいろありますよ。だから、それこそ議論がそこで行われるべき話でありまして、私は、十五のモデルがそうだとしても、今回のこのモデル分析は違う結論が出たというところが意味が大きい、こう思って提示をしているわけでございます。

齋藤(健)委員 今回小沢大臣のもとで行われた分析につきましては、私も専門家からいろいろ話を聞いております。これは多くの問題をはらんでいると思います。

 一つ私の提案ではありますけれども、このモデル分析についてはまだまだ情報開示が不十分だと思います。専門家を入れてこれを検証する。国会で精緻な議論をするのは大臣もお疲れになると思いますので、ぜひ第三者の専門家を入れて徹底的にこれを検証するという場をおつくりになったらどうかなという提案なんですが、いかがでございましょうか。

小沢国務大臣 もちろん、政府全体の閣僚委員会のもとで国民的議論をやっていくという中でもやらせていただきたいと思っておりますし、環境省は環境省で中環審という大変重要な審議会を持っておりますので、そこの中で議論もさせていただきたいと思っています。

 そこは学者の先生、あるいは産業界のいわゆる温暖化のエキスパートの皆さん、みんな集まってくれておりますので、そういったところで大いに議論をしていただいて話を詰めていただくということは、私も期待をするところでございます。

齋藤(健)委員 もうきょうは時間が来たのでこのまま最後にしますけれども、今私が少し質問させていただいただけでも小沢大臣の試案にはもっともっと深めていかなくちゃいけない論点がたくさんあると思います。海外生産の影響もそうでありますし、今言ったように世界のモデルに比べて極めて特異なものを、しかもプラスに出るものだけを二つ掲示するということについても本当にいいのかどうか、まじめな議論が必要だと思います。

 したがいまして、これから大臣が国会で審議をするに当たりましては、国民がみんな心配をしている法案でありますので、ぜひその点についてしっかりと説明責任を果たすということで、今後、この環境委員会でも議論を深めさせていただけたらありがたいなというふうに思っておりますし、私も気が短いものですから質問で時々言葉が荒くなるかもしれませんが、最後におわびを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

樽床委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 今の齋藤委員の質問、ちょっと角度を変えてお話をしてみたいと思います。

 我が党は、低炭素社会づくり推進基本法を出しております。御党は地球温暖化対策基本法。この温暖化に関する基本法は、憲法に次ぐ法律だというふうに私は思うんです、憲法に次ぐ、準じる法律。この基本法が通れば、私たちの日々の暮らし方ががらっと変わるんです。産業もがらっと変わるんです。世界もそうですけれども、日本の国の日々の歩み方をがらっと変えていかないと温暖化対策にはならない、そういう大事な大事な法案だと思います。

 憲法に次ぐ大事な法律という位置づけを私はしているんですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。

小沢国務大臣 大変重要な法案だという認識は、当然のことですが持っています。

 憲法に次ぐかどうか、こう言われますと、私はそのくらい重要な法案だと言いたい気持ちでありますけれども、世の中の人たちはまだそこまでなかなか思ってくれていないのではないかな、こう思っておりまして、そういう重要な法案をつくり審議ができることを、私としても、大変ありがたい、うれしいことだ、こう思います。

吉野委員 今大臣は、本当に重要な法案だということをおっしゃいました。全くそのとおりです。これが国民の中に広まっていくかどうかはまた別な問題で、今、国会の場で審議している我々は、本当に大事な法律なんだということを認識して議論をしていかねばならないんです。

 それで、先ほど齋藤委員とのお話の中で、経産省と環境省との閣内不一致が御答弁されました。大臣試案で、ここは国会の場なんですね。我々は、政府案を審議する場なんです。

 先ほど基本法と基本計画は違うんだとおっしゃいましたけれども、基本法と基本計画は全くそのとおりだと思います。

 ただ、ロードマップは、政府のロードマップをなぜ出せないのか。環境大臣の試案としてのロードマップは出ました。出ましたけれども、我々が審議するこの国会の場は、政府のロードマップを審議する場じゃないんでしょうか。私はそう思うんですけれども、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 まず基本法を審議いただいて、その後、基本計画につながるロードマップもしっかりと決めていくということではないでしょうか。

 政府間で、経産省と環境省が違う、こういう御指摘がありましたが、いわゆる基本法に関しては全く同一でありまして、ともに閣議で署名をして出させていただいているわけであります。

 あと、その道筋に関しては、それぞれ自分たちの、エネルギー基本計画、あるいは私の方のロードマップ、まずそれぞれのところできちっと出させてもらって、その後、閣僚委員会のもとで議論をしましょう、こういう話になっておりまして、そこのところは、役所間と同時に、国民各界各層の意見も聞いて最終的な案をつくりたい、こう思っております。

 かつて御党が政権を担っていたときのいわゆるマイナス六%のときの対応も、たしかそういった順番で、基本の方針を決め、その後、大綱を決めていらっしゃる、こういうふうに私は理解しております。

吉野委員 ここは国民の代表の国会の場なので、環境大臣の試案を審議する場ではなくて、政府案を審議する場というふうに私は思いますね。ですから、基本計画とロードマップが同じだというような意識で先ほどから答弁していますけれども、やはり法案を、基本法を審議する政府の資料としてのロードマップと、基本法ができてからつくる基本計画、これはまるっきり違う。

 政府はこういう形でデータがあるんだということをなぜ示せないのか、なぜこんなに拙速に環境大臣の試案のロードマップだけで議論を進めていくのか、その辺が我々は納得できない。答弁はいいです、時間がありませんから。

 それと、これも齋藤委員からの質問の中なんですけれども、何で伴先生のものだけを大臣は使っているのか。そして、この伴先生のモデルは、いろいろなところでちょっとそごがあるんですね。

 例えば、三月二十六日、第五回の全体検討会議に出されたこの資料です。ここの八十四ページ、「シナリオ」というところです。いわゆる基本になるデータ。ここで、実質利子率、年率五%、この数字を、モデルの基本的な、本当に心臓部に入れているわけなんですね。我が党の一番のエコノミストである山本幸三先生は、この数字を見て、何なんだこれは、大き過ぎるだろう、こういう意見を言いました。

 私の友達のみずほ総研の方にお電話をして、この数字は本当に実態に合っているのか、確認をしました。けさ、メールで出てきました。長期なのか短期なのか、期間はどのくらいなんだとみずほ総研の方は言いましたけれども、十年です、二〇二〇年だから十年ですということでお願いしたところ、一・五から三%、これが正しい、使われている数字なんだよというメールが来たんです。

 なぜ五%なのか。伴先生のモデルは、投資をするとそれがどんどんどんどん膨れ上がっていく、そういうモデルになっている。それを、環境大臣として、先ほども、世界のシミュレーション、たくさんいるモデル屋さんの中でなぜ伴先生だけなのか。これは国民にやはりミスリードを与えていく、そんな思いがしますので、その辺のところ、大臣の御見解をお願いします。

小沢国務大臣 まず、吉野委員、先ほどの質問のことで一言申し上げさせてください。

 いわゆる基本法とロードマップが一体だと私は申し上げていなくて、どちらかというと、吉野委員たちがそういうふうに思っているから、ロードマップが出てこないと議論ができない、こうおっしゃっているように思います。

 私は、あくまでもロードマップは基本法の参考モデルと思っているわけでございまして、そういった意味では、基本法をまずやり、そして基本計画とロードマップがある意味では一体的、全く一体とは言いませんが、一体的と思っている、こういうことをまず申し上げたいと思います。

 それから、今の金利の問題でありますが、実質利子率が年率五%というのは高過ぎるんじゃないか、こういう話でありますけれども、これはいわゆる預貯金金利ではございません。あくまでも貸出金利でございまして、プライムレートに連動して決まる住宅ローンは、十五年物固定金利が現在でも五%前後で推移しておりますので、全くおかしいものではないと思っています。

吉野委員 その辺は私も素人でございますので、エコノミスト、専門家の議論にお任せをしたいと思います。

 この大臣試案、ロードマップが出ました。そして、この概要版も出ました。私も細かいところまで見させていただいたんですけれども、これが誇大広告なんです。本当に大事なところは、米印のところを見ないと出てこないんです。

 例えば、この概要版の五ページです。一番下、二〇二〇年に四十五兆、百二十五万人の需要ができる、赤字で堂々と書いているんです、こういうふうになるんだよと。ところが、下の米印を見ると、従来型の産業が縮小することが考えられるが、本モデルではこの評価はしておりませんと。何でこんなちっちゃな字で書くんですか。それで、何でこんなに赤字で。これは誇大広告なんですね。

 まだあるんです。いっぱいあるんです、これは。この大臣試案の十七ページの上、「「新成長戦略」基本方針との関係」。これは、三十三兆円投資があるんだ、こう出ているんですけれども、またこの米印を、ちっちゃな字を読むと、三十三兆円あるけれども、従来型の給湯器や従来車の減少分、いわゆる高性能のものに切りかわると従来型は売れませんから、この減少分を考慮すると実質は二十兆円だと書いてあるんです。なぜこの二十兆を出さないんですか。何でこうやってうそをつくんですか。国民をだます、そんな意図がこの大臣試案の中にはありありなんですね。

 今、消費者問題で本当に騒いでいるんですけれども、この概要版でもいいですし、大臣のこの試案を、消費者庁の国民生活センターに行って、誇大広告だか誇大広告でないか確かめていただきたい。これが果たして、国民をミスリードする、そういう形で大臣試案は国民に言っていないのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。

小沢国務大臣 先生、米印がなければ誇大広告だと言われても仕方がないと思っております。しかし、いわゆる条件設定でございますので、出た結論をきちっとまず見てもらいたい。その場合の条件設定は若干字がちっちゃくなる、こういうのも、普通の統計なんかの、あるいはシミュレーションのときの通常のことかなというふうに思います。

 ただ、先生がおっしゃるように、いわゆるミスリードしがちであるということは、私も十分そこはわかります。特に、最近私もちっちゃい字が見えなくなってきておりまして、つくづくそう思いますので、そこは今後十分、そうでないように、できるだけ条件も出した上でやる。

 いずれにしても、それを明記している限りいろいろな議論ができることがこのモデル分析の一番大事なことだ、こう思っておりまして、私は何も、これが絶対正しくて、これのみが正しいと言っているわけではありませんといつも申し上げております。モデル分析はモデル分析でありまして、そこで議論ができることが大事だということがモデル提示の重要な意味でありますので、大いにその条件を含めて議論をしていくのはやぶさかではありません。

吉野委員 だから、さっきから政府案のものとしてのモデルを出してほしいということを私は言っています。

 もう時間がありませんから次の方に移りたいと思いますけれども、まだまだあるんですね。では、あと一点だけちょっと。

 七ページ、概要版じゃなくてこちらの七ページを見てください。本当に細かいところなんですけれども、七ページの下から三番目、エネルギー供給ワーキンググループのところの二段目です、「化石燃料利用高度化・原子力推進」。運用体制の見直しを二〇一二年までに行う、こういう形です。これは原子力の推進の方の記述なんですけれども。

 前回、私、原子力の質問をさせていただきました。まさに保安院の分離独立の問題、また保安検査の官と民の役割分担の話をしましたけれども、環境大臣の試案の中でも、あと二年後、二〇一二年までにこの推進体制をきちんとつくっていくんだ、そして稼働率を上げていくんだ、そういうふうに私は読み取れるんですけれども、それでよろしいんでしょうか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー供給分野における原子力の推進につきましては、このロードマップの中で、二〇二〇年までに稼働率最大八八%の達成というものを掲げておりまして、このため、稼働率の向上等の対応を進めるためにあらかじめ実施しておくべき政策として、二〇一二年ごろまでに運用体制の見直しを行うことが必要であるというふうな認識を示しております。

 これにつきましては、現在、経済産業省におきましてもエネルギー基本計画の見直し等をやっておりますけれども、その中で経済産業省から示されている資料等を見ましても、運用体制の見直し等が必要であるという御認識はあると考えておりまして、政府全体としてこういった運用体制の見直しをやっていくことになると心得ております。

吉野委員 では、ロードマップについては以上にして、次に移ります。

 炭素に価格をつける、これは、炭素を出さないという意味では大きなインセンティブを持ちます。排出量取引、大きな意味で、環境税、税制のグリーン化、そこにカーボンオフセット等々があって、炭素に価格をつけていくということは、炭素を本当に減らしていくという大きなインセンティブを持つと思います。

 平成二十年の十月に、我が国でも排出量取引の試行的実施をしております。そこで、もう一年以上たっているわけですので、ある程度の成果が出たと思います。試行的実施の中で、プラス面、よかった点、ここは悪かったなという、現時点での評価、どういう評価をしていらっしゃるのか、お答え願いたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 試行的実施の評価という問題でございますけれども、これについては、現在、政府部内で政府全体としての取りまとめをしております。

 ただ、今までの内容からいたしますと、試行的実施の中で予定されておりましたような取引が実は余り行われていなかった。これは、主としていわゆるリーマン・ショック以降の経済変動による影響がかなり多いというふうに考えますので、制度そのものの欠陥ではないと思いますけれども、そういったところがありますので、なかなか評価しづらい面がございます。

 また、現時点で考えてみますと、現在のこの試行というのは、既に国会に御提出いたしました基本法案におけるいわゆる義務的制度とはかなり異なる仕組みということでございます。排出量取引の試行的実施については、義務的制度の導入を前提とせずに開始されたものでございますので、例えば、業界単位での参加が認められている、あるいは各主体の目標が自由に選べたりするということでございますので、私どもとしては、今後、基本法に基づき創設しようとしている制度とはかなり異なるものでありますので、これを評価する際には、将来の制度化ということも念頭に置いて慎重な検討をすべきであろう、かように考えているところでございます。

吉野委員 確かに、リーマン・ショックがあって、経済活動が本当に縮小しちゃった。だから、どこも自分の定めたCO2の目標、抑えることができて、そういう意味では、余り取引の実例がないし、ある意味で参考にならなかったわけですね、この試行的実施も。でも、来年の一年以内には排出量取引をやるんだというと、ぶっつけ本番で排出量取引を我が国はつくってしまうのかなと。やはりある程度実験して、データをとれるだけの試行的実施をして、それから排出量取引制度をつくるべきではないかと思うんです。

 確かに、今やっているのはリーマン・ショックで全く参考にならない部分があるんですけれども、今後、二、三年かけて経済がよくなって、そして排出量取引の実験をして、それを本制度に役立てるという考え方はないんでしょうか。

小沢国務大臣 排出量取引に関しては、制度設計はこれからでございますので、そういった意味では、いつから実施かを含めて、委員のそういった御指摘も十分踏まえて対応してまいりたいと思っています。

 ただ、今も寺田局長の方から申し上げましたとおり、これまでの試行的実施のところは、やはり、業界単位で排出量を決めることであるとか、あるいはまた各企業が自由にその排出量を選べるとか、いわゆる本来的な排出量取引制度とはかなり違うスタートをしてきているものですから、そういった意味でも、リーマン・ショックのマイナス分だけをもとに戻してやるというだけでは、それをそのまま使っていくということにはなかなかならないのかなというふうに思っています。

 ですから、あくまでもそういった事柄も十分参考にさせていただく中で、さらにはまた、東京都が実際にこの四月一日からスタートをしておりますので、そういったものに対する各企業だとか事業所の対応、そういったところもしっかりと私どもも見させていただいて、委員の御指摘も取り入れながら、CO2を総量でコントロールできる、しかしそれがまた変なマネーゲームみたいな話にならない、そういった本当に日本にふさわしい排出量取引を目指してまいりたい、こう思います。

吉野委員 いわゆる業界で、例えば電事連は電事連として試行的実施に入っているんですけれども、今の御答弁を聞けば、もう業界全体でやるものは排出量取引の本設計の中には入っていないんだよというような印象を受けたんですけれども、特に電気事業者は、原単位〇・三九をいかに守るかで、それをオーバーした分はきちんと電事連としてCDMを手当てしておりますので、その辺ちょっと確認しておきたいと思います。

小沢国務大臣 まず、電事連を含めて電気事業者をどういう扱いにするかということ自体もまだ決めてはおりません。しかし、ここでも答弁させていただきましたように、日本の電力会社は供給義務を負っておりますので、それが欧米の国とは決定的に違うところで、そういったところに排出量取引制度を課していくという話がふさわしいかどうかという論点は十分勘案したい、こういうふうに私はまず思っているところでございます。

 あと、業界単位でという話に関して、私がなかなかそういうのは難しいのではないか、こう申し上げておりますのは、先般も独禁法の問題で公取から指摘がありまして、私は十分それは配慮すべき案件だ、こう思っているからでございます。

吉野委員 では、次の論点に移ります。

 炭素に価格をつけるということの中にカーボンオフセットがございます。大臣所信の中では、カーボンオフセットという言葉が一回も出てこなかったんですね。これはちょっと大臣の認識が甘いのかなと。カーボンオフセットは排出量取引と同格くらい大事な大事なものだというふうに私は位置づけをしておるのですけれども、もう時間がないですからね。

 郵便局、もう二年にわたってカーボンオフセット年賀というものを販売しています。五円高いんです。郵便局に聞くと、お客さんから五円預かって、自分も五円出して十円にして、そしてカーボンオフセットをしていくんだ、そういうお話を伺いました。

 ただ、初年度は、郵便局は外国のCDMを買ったんです、その十円で外国のCDMを買った。これからは、カーボンオフセット、特にJ―VER制度等々で我が国にも売れる部分があると思うので、その辺のところを郵便局がきちんと、外国のものも買い、我が国のものも買う、そういうことを郵便局の偉い人が約束してくれたんですけれども、現実はどうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 郵便事業株式会社が用意をしておりますカーボンオフセット年賀寄附金についてでございますけれども、従来の海外の京都メカニズムのクレジットに加えまして、ことしからオフセットクレジット、いわゆるJ―VERも対象となりました。現在、社内で具体的な寄附金の配分団体についての審査が行われている状況にあるというふうに聞いております。

 委員が御指摘いただきましたとおり、平成二十年から約一千五百万枚発行されまして、年賀状全体の売れ行きは横ばいよりもちょっと下がっているというような状況にございますけれども、このカーボンオフセット年賀状につきましては、ほぼ毎年一千五百万枚もしくは一千六百万枚というような形で、横ばいのような形で売れているということで、大変喜ばしく思っているところでもございます。

 カーボンオフセット年賀、大変評判もよろしくて、ことしは、夏に発行されます暑中見舞いの「かもめーる」にも、オフセットかもめーると申しますのでしょうか、寄附金のつくはがきが発行されるというふうに聞いているところでございます。

 こうしたカーボンオフセットの年賀で集められた、消費者五円そして郵便事業者五円、この計十円が積もり積もって、今後、国民参加型で地域活性化にもつながる温暖化対策の活動に寄与するものというふうに期待を寄せているところでございますので、私どもも今後、また郵便事業株式会社の動向も注視させていただきながら、先生が大変造詣深くとらえてこられましたカーボンオフセットに対してもしっかりと見詰めていきたいと思っているところでございます。

吉野委員 排出量取引は大きな排出をする大会社、カーボンオフセットは、国民一人一人が努力をしてこれだけCO2を削減したよと。本当に量は少ないんですけれども、これをどう集めてくるか、これが勝負なんですね。

 福島県の例では、福島県が独自に、ペレットストーブで各家庭に入っているものを全部集めて、県としてのクレジットを制度化している、こういう例もありますので、どう集めてくるか、これが勝負だと思います。

 そこで、環境省、どういう形でクレジットを集めてくるか、どういうことをしているか、お知らせ願いたいと思います。

田島副大臣 なかなかクレジット化しづらい国民一人一人の小さな削減量をまとめていく、これについては本当にいろいろと知恵を絞らなければならないと、我が省の中でも今、意見交換そして議論を重ねているところでございまして、今委員が御指摘をいただきました福島県での木質ペレットストーブの導入を対象プロジェクトの一つとして、J―VER制度も、複数の家庭の参加をNPOが取りまとめて申請をしてクレジットの認証を受けたという例もございます。

 また、地域的にもどうしても暖房器具が必要な地域に限定してしまいますけれども、例えば、BDF、廃食用油由来のバイオディーゼル燃料の車両における利用を活用した事例等々も今既に出ておりまして、コミュニティーバスの燃料として使っていた軽油に対して、町内の企業や飲食店、一般住民から回収した廃食油を原料としてバイオディーゼル燃料として使用し、運行を実施しているというようなケースもございます。

 いずれにいたしましても、こうした非常に小さなアイデアまた知恵等々を多くの国民の皆さんからちょうだいしながら、一人一人の削減努力を促していく、そして、より多くの主体の皆さんが参加をしていただける仕組みづくりを検討していかなければならないと思っておりますので、どうぞ、また今後も吉野委員からもいろいろと御指導いただきたいと思っているところでございます。

吉野委員 質問はまだちょっと残余があるんですけれども、次回の機会にしたいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

樽床委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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