衆議院

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第8号 平成22年4月16日(金曜日)

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平成二十二年四月十六日(金曜日)

    午前九時四十二分開議

 出席委員

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 齋藤  健君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    大谷 信盛君

      川越 孝洋君    川島智太郎君

      工藤 仁美君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    小林千代美君

      斎藤やすのり君    田島 一成君

      田名部匡代君    玉置 公良君

      道休誠一郎君    森岡洋一郎君

      矢崎 公二君    山崎  誠君

      吉川 政重君    小池百合子君

      近藤三津枝君    長島 忠美君

      古川 禎久君    山本 公一君

      吉泉 秀男君

    …………………………………

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   環境副大臣        田島 一成君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   谷津龍太郎君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  園田 博之君     福井  照君

同月十六日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     川島智太郎君

  村上 史好君     道休誠一郎君

  福井  照君     長島 忠美君

  中島 隆利君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  川島智太郎君     櫛渕 万里君

  道休誠一郎君     熊田 篤嗣君

  長島 忠美君     福井  照君

  吉泉 秀男君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 篤嗣君     村上 史好君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

樽床委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長谷津龍太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。工藤仁美君。

工藤委員 民主党の工藤仁美でございます。

 私、委員会質問は初めての経験でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ですが、私は、いただいた二十分の時間を、廃棄物の発生抑制、リデュースについて、また、建築系産業廃棄物の問題について質問をさせていただきます。

 今回、この廃棄物処理法改正について質問する機会をいただき、私も過去の法律の制改定の経緯を少し勉強いたしました。

 この法律は、戦後の経済の発展に伴い廃棄物の量が増加したことや、し尿処理が問題となったために、昭和二十九年にいわゆる清掃法として制定されております。その後、さらに経済の発展や国民生活が豊かになるに従い、廃棄物の量の増加だけでなく質も変化したことから、昭和四十五年に清掃法から廃棄物処理法へと全面改定されたということであります。

 その後、平成三年の改正によって廃棄物の処理体系について抜本的な見直しがなされ、以降、平成九年、十二年、十五年、そして十六、十七、十八年と頻繁に改正されてきました。このような法改正の経緯、改正の頻度からだけでも、廃棄物を適正に処理するということがいかに大変であるか、また、さまざまな問題が生じているかをうかがい知ることができると言えます。

 改正の内容を見てみますと、いずれの改正においても、取り組むべき課題として、一つは、排出量を減らすこと、二つ目には、産業廃棄物の不法投棄を減らすこと、そして三つ目には、最終処分場が残り少なくなっているにもかかわらず住民の理解が得にくいなどから新規の建設が困難であること、これらが共通の課題として常に取り上げられ、都度改正が行われてまいりました。

 そこで、お尋ねいたします。

 廃棄物は不要なごみではなく利用する資源であるという考え方で、スリーR、リデュース、リユース、リサイクルを目指すことに政策転換したのは、平成九年の改正ごろから徐々に始まり、そして平成十二年に公布された循環型社会形成推進基本法によって確立したと考えますけれども、このような認識で間違いないでしょうか。

谷津政府参考人 御説明申し上げます。

 先生御指摘のように、平成十二年に制定されました循環型社会形成推進基本法におきまして、廃棄物・リサイクル対策の優先順位として、まず発生抑制、次いで再使用、再使用できないものは再生利用する、そうした上で熱回収をして適正処分する、こういう基本原則が定められたところでございます。これによりまして、スリーRを進めるということが明確にされたところでございます。

工藤委員 ありがとうございます。

 このスリーRは同列、並列ではなく、優先順位があります。その第一番目は、リデュース、廃棄物の発生そのものを抑制するということとなっております。今回の改正は、平成九年から十三年を経過し、見直しの時期であるということからですが、この間、一体リデュースは進んだのかということについてお尋ねいたします。

大谷大臣政務官 一言で言うならば、一定以上の効果はあったというふうに考えています。

 三つに分けて数字で報告いたします。排出量については、平成十二年に比べると、一般廃棄物では大体四%から五%の減少、産業廃棄物については平成九年以降はほぼ横ばいの状態にある。今度は再生利用率ですが、これは、一般廃棄物も産業廃棄物も、ともに大きく向上をしております。そしてもう一つ、最終処分場における最終処分量は大きく減少しておりまして、一般と産廃合わせて半分以下に減っているというような状況でございます。

 以上です。

工藤委員 ありがとうございます。

 産業廃棄物、一般廃棄物ともに、今大谷政務官よりお答えありましたけれども、しかし、最終処分場には限界があります。環境省の資料によりますと、大変逼迫した状況となっていることが報告をされております。また、新たに処分場を建設することは、住民の理解を得ることの困難などから、大幅な増加は見込めない状況でもございます。

 また、何より、廃棄物を処理する際にも当然多量のCO2を排出するわけでございます。平成二十年のCO2総排出量に占める廃棄物分野のCO2排出量は二%と、全体から見て多いとは言えないのかもしれませんけれども、しかし、京都議定書の基準年、一九九〇年と比較をした場合、平成二十年の廃棄物分野からのCO2排出量は二四%増と大幅に増加をしており、大変問題であります。

 スリーRの一番目、廃棄物の発生そのものを抑制するということになお一層取り組んでいただくことをお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。

 たびたびの法改正で特に問題となっておりますのが不法投棄の問題であります。特に、産業廃棄物のうち、土木建設工事から排出されるいわゆる建築系廃棄物の不法投棄の問題は一向に改善されておらず、直近の二十年のデータで、件数では不法投棄全体の七割、投棄量では全体の九割弱となっており、しかも、前年の十九年よりふえております。

 この間のたびたびの法改正で罰金の引き上げなど罰則強化が行われ、今回もまた、罰金を一億円から最高三億円にまで引き上げることが盛り込まれております。また、今回の改正案では、建設工事で排出される廃棄物の処理責任を元請業者に一元化するという内容となっております。

 このように、たびたびの改正でも改善されない建築土木工事から出る建築系産業廃棄物にかかわる実態、一体どういった特殊な問題があるのか、具体的に御説明をお願いいたします。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 建設産業は、御承知とは存じますけれども、元請業者があり、またその下には下請業者、中には孫請業者と言われる、構造がいわゆる複層的になっており、非常に複雑な存在にあることがまず一つの大きな特殊性だというふうに考えます。こうしたことから、建設現場で出てまいります個々の廃棄物が、一体だれが出したものなのか、その処理責任を有する排出した事業者がなかなか特定しにくいという問題がございました。

 こうした状況の中から、問題となるような事態が生じた場合には、都道府県知事等が行政処分を行う相手方が明確でなくなってくるという問題が起こりまして、改善命令を出すにしても、適正処理を確保するための措置を適切に執行することができないという問題が生じてきております。

 今なお多く発生している建設系廃棄物の不法投棄も、こうした要因の大きな一つになっているというふうに考えております。

工藤委員 今、田島副大臣から、建築土木工事の特殊性ということについてお答えいただきましたけれども、新たな建築物をつくるときに、人の目に触れる新しい建物にコストをかけ、ごみとして捨てるものにはできるだけコストをかけたくないという意識は、発注者にも、また元請であるゼネコンや建築会社にも当然あると考えられます。とすれば、この法案が仮に成立したとしても、元請となる建設業者やゼネコンに相当の意識改革をしてもらわなければ、法律は絵にかいたもちになってしまいます。

 元請となるゼネコンや建築会社に今回の改正内容が果たして実行できるのか、不満や反発は起こっていないのか、もし業界の意見などをお聞きになっていることがあれば、お伺いいたします。

谷津政府参考人 法案の作成過程での関連業界の意見聴取の状況ということで御説明を申し上げます。

 この改正案につきましては、中央環境審議会に設置されました廃棄物処理制度専門委員会において一年以上にわたり御審議いただいたものでございます。その結果、意見具申をちょうだいいたしまして、それを踏まえてこの法案を作成いたしました。

 この専門委員会には建設業界を含む幅広い関係者の方々に御参画いただいておりますし、その過程で、日本建設業団体連合会などの産業界からもヒアリングを実施しております。そうした中で、元請業者に処理責任を一元化すべきとの御意見も建設業界からいただいております。

 このように、元請業者に排出事業者としての責任を一元化することにつきましては、実現可能性の観点からも十分御審議いただいているというふうに認識しております。

工藤委員 先日、私は、私の地元であります札幌市で、廃棄物処理事業者に雇用されて働く人たちから、日ごろの苦労話を含めてお話を聞いてまいりました。その会社は、中間処理施設も最終処分場も持っている会社でございます。

 集まってくださった皆さんから言われたことは、環境問題が重要だと言われるようになって相当たつけれども、廃棄物処理という仕事への理解が高まったとは言えず、また、業界の社会的地位も低いままである。請負料が上がるどころか低下している傾向であり、請負料金が上がらないので、自分たちの賃金も一向によくならない。また、景気が悪いことから、仕事量が減っている上に、発注する側は少しでも安い料金で業者を選ぼうとするし、業者は仕事が欲しいので、料金をダンピングしている。そのような低料金で仕事を引き受けている業者が果たして法律を守って適正な処理をしているのか、非常に疑問である。

 集まっていただいた皆さんからこのようなお話をお聞きしてまいりました。もしこのような実態があるとすれば、やはり処理業者よりも優位な立場にある元請業者の方に相当な努力をしてもらわなければならないと思います。

 そこでお尋ねしますけれども、これまで、法律の周知、また啓発などを徹底する取り組みについて一体どのようなことをされてきたのか、お伺いいたします。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 これまでの周知、啓発につきましては、建設系廃棄物の排出事業者の責任と役割、また具体的な処理手順でありますとか委託処理の手続等を詳しく定めました建設廃棄物処理指針を作成いたしまして、都道府県等を通じまして関係者に周知をお願いしてきたところでもございます。

 しかしながら、現行法におきましては、廃棄物の処理責任は実際に排出した事業者が負うために、建設系廃棄物については、元請業者から下請業者への請負方式によっては、下請業者も排出事業者としての処理責任を負うことがございました。

 したがいまして、先ほど申し上げましたように、建設系廃棄物の不適正処理問題は、やはり法改正をして元請業者の処理責任を明確にしなければ解決できないというふうに考えたものでございます。

 今回、この改正案におきまして制度的手当てを講じてまいりたいと思っておりますし、改正内容につきましては、今後、通知はもちろんのこと、説明会等を通じて、建設業界などの関係業界に対してしっかりと周知、啓発を図っていきたいと考えているところでございます。

工藤委員 ぜひとも、さまざまな工夫で、場合によっては他の省庁とも連携をして、徹底されるようにお願いをいたします。

 産業廃棄物の不適正処理という問題は、それを放置することが後々重大な問題となって国民みずからにのしかかってくるという苦い教訓、実例を私たちはたくさん持っております。水俣病問題しかり、アスベスト問題しかりです。有害物質の不適正処理による労働者や周辺住民への被害、また環境汚染は、被害者救済や環境回復のために莫大な税金を投入するという結果となります。そして何より、被害者の皆さんに長期にわたって多大な苦しみを与える結果を引き起こしております。この間、小沢大臣初め政府の皆様、過去に発生した公害、環境被害の解決と被害者救済のために大変な御苦労をされておられます。

 先ほど私は、直接の当事者である元請や処理業者への法の周知徹底、そして啓発などについて触れましたが、実はこれは、国民全体の問題であるはずです。廃棄物の適正処理にはコストがかかる、だからこそ、第一番目には廃棄物の発生を抑制する必要があり、そして、発生してしまった廃棄物は再利用することも含めて適切に処理をしなければならない。そういう意識を国民全体が持つよう、国が国民に対して、また産業界に対しても強く働きかけることが必要ではないかというふうに考えます。この点について、小沢大臣の御所見をお伺いいたします。

小沢国務大臣 工藤委員御指摘のとおり、廃棄物の発生抑制などのスリーR促進や適正処理の推進については、国民一人一人の関心を高めていく、その努力が必要だというふうに思っております。環境省としても、積極的な情報提供や普及、啓蒙活動に取り組んでまいっているところでございます。

 具体的には、スリーR推進全国大会といったものをこなしていただいておりまして、先進事例の発表や表彰を行っております。

 さらにはまた、地域に根差したNPO、そういった皆さん方の活動を支援し、その成果をインターネット等を通じて全国に発信もしております。リ・スタイルというウエブサイトでありますけれども、閲覧者数は平成二十一年度で月二万人ということで、結構見ていただけているんだなというふうに喜んでいるところでございます。

 さらにはまた、地域のリーダーや著名人をスリーR推進マイスターに委嘱して、地域セミナーの講師等で活躍もしていただいているところでございます。

 こういった活動もしているわけでありますが、いずれにしても、委員が先ほど地域の皆さんたちとの話し合いの中での実情を御披露していただきましたけれども、言ってみれば、よく動脈産業と静脈産業という言葉がありますね。いわゆる通常の生産活動が動脈だとすれば、廃棄物の処理といったものを静脈産業と呼んだりいたしますけれども、この静脈産業にどうやって関心を持っていただくか、光を当てていくかということは、これは本当に避けては通れない重要な課題だと思っております。

 私が今環境省の皆さんと議論をしているのは、この静脈産業の技術革新を大いに進めようじゃないか、こういう話をしております。ICTとか、いわゆる省エネ技術等々は、結構いろいろな役所の皆さんが競い合ってやっているところがありますが、静脈産業の技術革新といいますと、これはある意味では環境省の専売特許みたいな分野になるんだろう、こう思っておりまして、そこに徹底的に力を入れていこうと。そして、ある意味でいうと、ここのところが発展することによって、逆に言うと世界の廃棄物処理の先進国に日本がなっていって、本当にそれは、逆に廃棄物を輸入もし、これは今回もそういう制度が一環としてありますけれども、そして日本の中で処理していく、さらには有効活用していく、そういったまさに世界のセンターになれるくらいの気持ちで頑張ろうじゃないか、こういう話を今しているところでございます。

工藤委員 小沢大臣、ありがとうございました。

 私も、議員として、また環境委員の一員として、環境委員の皆様とともに、今小沢大臣が話されましたような動脈産業だけでなく静脈産業にも光を当てるといったような取り組み、また、環境にかかわるさまざまな課題について積極的に取り組んでまいります決意を述べまして、私の質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、森岡洋一郎君。

森岡委員 民主党の森岡洋一郎です。

 きょうは、質問の機会をいただきましてありがとうございます。また、経済産業省からは松下副大臣にもお越しいただいています。まことにありがとうございます。

 本日は、廃棄物処理法の改正に当たり、大きく分けて二つのテーマについて質問をさせていただきます。張り切って質問をつくり過ぎまして、時間いっぱいいっぱいなので、早目早目に進めることをどうぞお許しください。

 まず一つ目に、現地確認についてお伺いしたいと思います。

 今回の改正案第十二条の関係ですが、今回の改正案で「当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、」という文章を新たに加えました。この「確認」というのは一体何を意味するのか、現地確認のことなのか、それ以外も含むのか、田島副大臣にお伺いいたします。

田島副大臣 産業廃棄物の排出事業者は、現行の廃棄物処理法のもとで、最終処分が終了するまでの一連の処理工程を通じて適正処理を行う排出事業者責任を有しております。事業者の処理状況の確認は、この排出事業者責任を果たすために必要となるものでございまして、今回の改正によりましてこの点を明確にさせていただきました。

 確認とは、例えば、焼却施設でありますとか最終処分場が適切に維持管理されているかなど、委託先の処理施設を実地に確認することだけではなく、処理施設の稼働状況を公開情報によって把握し確認することも含んでおりまして、事業者が個別のケースに応じて方法を組み合わせて行うことを期待して設けたところでございます。

森岡委員 どうもありがとうございます。

 それでは、資料一を皆さんごらんになっていただければとお願いします。

 今、確認の中には、現地を実地に確認するものとそれ以外の形も含まれるということですが、きょうは、その現地確認について少し御質問させていただければと思います。

 この資料一にありますとおり、実は、現地確認をそれぞれの条例で定めているところがございます。これは北海道や岩手のような県だけでなく、盛岡市も、あるいは久留米市も、あるいは名古屋市、豊田市という政令市、中核市、その他が定めているものなんですが、実は、この確認の義務が、排出する会社としては、自分のごみがどこの中間処理施設、どこの最終処分場に持っていかれるかで確認の義務がかかったりかからなかったりしますし、また確認の仕方も変わってくるといった状況になって、基準が非常にばらばらになっているところでございます。

 今回、環境省の方から、確認というものを新たに加えるに当たって、最低限の部分でもいいから何らかの基準なりを示すことができれば、あるいは上乗せ分は自治体はこうなんだよという部分を一覧で見せるようなものもあれば、非常に使い勝手がいいのではないかなというふうに考えたんですが、副大臣、いかがでしょうか。

田島副大臣 御指摘いただいておりますこの処理状況の確認につきましては、努力義務でございまして、事業者が強制されるような確認方法など、画一的な基準を定めるということは予定をしておりません。しかしながら、今御懸念いただいている部分もございまして、ある程度統一的な確認が可能となるような事業者の処理状況の確認についてのガイドラインをぜひ検討していきたいと考えております。

森岡委員 どうもありがとうございます。

 この基準が不明瞭なままだとばらばらに物事が進んでいくので、そうすると、自治体がそれぞれつくっていく、あるいは各企業が独自の基準をつくる。不法投棄をしているのはこういった努力義務を守る人たちじゃないですから、努力義務を守るまじめな事業者ばかりが負担が重くなるようなことになってはいけないと思っております。今、ガイドラインというお話も出ましたが、取り組んでいただけると。よい御回答をどうもありがとうございます。

 それでは、続きまして、二番目の大きな論点なんですが、国外廃棄物の輸入についてお尋ねをしたいと思います。改正案の第十五条の関係のところでございます。

 その前段として、少し突飛な感じがするかもしれませんが、レアメタルなどの資源をめぐる日本の置かれている状況について考えてみたいと考えております。

 資料二、三、四をごらんになってください。

 皆さんがお持ちの携帯電話ですが、携帯電話の中にはいろいろなレアメタルが使われております。例えば、液晶の画面にはインジウムと言われるレアメタルが使われております。中の小型モーターには、レアメタルの親戚みたいなものですが、レアアースと言われるものが使われております。

 ところが、これは日本ではとれません。とれないというよりは、かつてはとっていたんですが、どんどん押し流されて、今や、資料三にごらんになっていただくように、南米の国、そして特に中国がこういったレアメタルの主な生産国となっております。例えば、インジウムについては中国は七三%ということです。このインジウムが足りずに、液晶テレビをつくっている日本のメーカーがインジウムの値が高騰したときに生産調整に追い込まれるといったことも今まで起こっております。あるいはレアアースと言われるものも、資料四にありますように、中国がこうやって占めているところでございます。

 そこで、まず松下経済産業副大臣にお尋ねをいたします。

 今回の国会でも法案が出ると伺っておりますが、レアメタルをめぐる政府の資源戦略についてお教えいただければとお願いいたします。

松下副大臣 委員御指摘のとおり、我が国は資源がない、そう言われてきましたけれども、本当は、ないのは資源だけではなくて、資源戦略、資源外交もなかったんじゃないか、こういうふうに、実際に今担当していまして、危機感を持ってこの問題に対応しております。

 レアアースのほとんど、九割は中国、我が国にはほとんどありませんし、このレアメタルは偏在しているということが最大の我々のポイントでありまして、今回も、JOGMEC、この問題で海外展開している機構ですけれども、そこがやはり、ある有望なレアメタルがあるという鉱区を海外で発見したときにはそれを取得するというところから始めていかないと我々の国の産業そのものが本当に先行き立ち行かないという危機感を持っておりまして、全力を挙げて尽くしていきたい、こう思っています。

 もう御承知のとおり、携帯電話を初め、液晶テレビ、それから次世代自動車、太陽光発電用パネル、LED照明、我が国が得意とする技術力を使う分野はすべてここに頼っておりますので、全力を尽くしてやっていきたい、こう思っております。今度の新成長戦略の中でも、重要な部分としてこの資源外交をしっかり展開していく、そのための法整備やファイナンスも含めた支援体制を組み上げてつくっていくということで努力していきたい、そう思っておりまして、おっしゃるとおり、外交によるいわゆる海外資源の確保、それからリサイクルの推進、それから代替材料開発を促進していく、そして備蓄をする、この四本柱でやっていきたい、こう考えております。

森岡委員 どうもありがとうございます。

 きょうは、今副大臣からお示しをいただいた四つの柱のうち、リサイクルの推進というところに注目をして質問をさせていただければと考えております。

 まさに今、都市鉱山といった言葉が出ておりますが、こういった廃小型家電の中やあるいはいろいろなごみの中に貴金属、レアメタルが含まれているんじゃないか、こういったものをしっかりと引き出すリサイクル、循環の仕組みを国内でつくれないか、まさにその取り組みが今進んでいるところでございますが、きょうは、廃棄物処理法、特にその一歩先の世界ですが、では、国外からごみを、資源になるようなものを輸入する場合はどうしようかということについてお話を伺わせていただければと考えております。

 今回の第十五条の改正は、この廃棄物の輸入に関する規制緩和であります。今までは、処理場を自分で持っている人たちだけが輸入できたんですが、これをだれかに委託して処理できる者も輸入していいというふうに今回の改正ではなります。

 これは大体どういったケースを想定したものかということについて、大谷政務官にお尋ねしたいと思います。

大谷大臣政務官 レアメタルで、一つ、輸入をして産業をというのもあるんでしょうが、今想定しているものは、日本企業が海外で販売したもの、日本の会社、事業所が海外で使って廃棄物となったようなものを取り戻してくる。具体的には、例えばコピー機のカートリッジ、それから感光体ドラム、また、蛍光灯を回収して水銀を取り除くことなどを考えています。

 ついでに効果も説明すると、日本の企業が社会的責任を果たすということ、もう一つは、やはり途上国においてはまだまだリサイクルのキャパシティーも技術も進んでいないので、そのまま埋めちゃうような処分の仕方ではなく、日本に一回戻すことでスリーRが進むというようなことがまずは第一義的に想定できるなと。また、日本に来ることによって、技術や、また日本におけるスリーRの推進にもつながっていきますので、多々大きな意味があることの始まりになるんじゃないかなというふうに考えています。

森岡委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたような、いわゆる拡大製造者責任のような観点は非常に大切だと考えます。例えば、自社の製品を海外で売ったものを回収してくる、あるいは、自社の工場で電子基板を削ったときに出てくる廃スクラップというか電子くずの中から、レアメタルに資するものもあると思いますが、そういったものも回収してくるといったことも非常に大切だと思います。

 ただ、もう一つ、これは将来的な部分になりますが、この拡大排出者責任の観点にプラスして、やはり資源戦略という部分もこれから徐々に入れていくべきではないかと考えております。場合によっては、貴金属スクラップを買い集めてきて日本に輸入したい商社や、そういった部分も含めて今後は視野に入れていくことも検討するべきではないかというふうな意見を私としては持っております。

 そこで、実際に貴金属のスクラップを日本に輸入した実証実験がありますので、そのデータについてごらんになっていただきたいと思います。

 資料五をごらんになってください。「輸入コストの内訳」というものなんですが、シンガポールから北九州に貴金属の入ったスクラップを輸入した場合、こういった実験を数年前に行ったんですが、注目をしていただきたいのは保管コストという部分なんです。実は、この保管費用が全体にかかっている費用の三分の二を占めてしまっているというのが貴金属スクラップを輸入するときのコストであります。

 輸入するまでに複雑な手続がありまして、半年をそこで使っているそうです。その半年間、ただただシンガポールの倉庫に眠っているということで、実は輸入コストの三分の二を使ってしまっている。この手続の時間が長過ぎる間にコストがかかって、貴金属スクラップの争奪戦で買い負けをしているのではないかという懸念を私は感じております。

 そこで、資料六をごらんになっていただきたいんですが、これが輸入のときの手続であります。一言付言しておきますが、貴金属スクラップの場合は、有価物、要するに価値のあるものとして入れることもありますので、そういった場合でも、有害物質がついている場合に係るバーゼル法、バーゼル条約に基づいた手続なんですが、これは廃棄物処理法に基づいた手続ではなくて、今出しておるのはバーゼル法の方の手続であります。また、廃棄物の場合は、これにプラスして廃棄物処理法に基づいた環境大臣の許可が必要ということで、もう一手続必要だというふうに御理解いただけるかと思います。

 このように、経済産業省そして環境省、両省がかかわった手続になっているんですが、これは、時間がかかっているのが、この間の両省の間の手続にかかっているというよりは、手続自体がやはり複雑なので、最初に環境事務所に相談に行って、そして経産省の窓口に申請書類を最初に出すまでの間にえらい時間がかかっているようなんです。そこで、ぜひ両省で協力をしてこの手続を何とか簡素化していただけないかということを考えております。

 例えば、一番最初に申請する時点で、貴金属のスクラップを買った契約書というのを添付しなきゃいけないんです。でも、そうしますと、会社としては、輸入する側としては、もしかしたらバーゼル法の手続ではねられるかもしれない、けれどもその前に買い付けなきゃいけないといったリスクを負います。それから、申請手続がそこから始まって六カ月たちますと、その間、買い付けを既に終わったものがひたすら倉庫の中に眠っていることになります。こういったリスクやコストを負っていたら、やはり買い負けるのは当然ではないかというふうに私は感じております。

 その中で、こういったところ、これは一例ですが、まだまだ工夫の余地がある手続じゃないかなということを感じております。ぜひ、環境省、経済産業省、両省が協力してこのバーゼル手続の簡素化等を図っていただければとお願いをしたいんですが、小沢大臣、そしてまた松下副大臣からも一言コメントをいただければとお願いいたします。

小沢国務大臣 まず、環境省としての立場を申し上げたいと思います。

 委員の御指摘のように、今後、そういう廃棄物あるいはまたレアメタルを有効活用していくという観点は極めて重要だと思っておりますので、そういった意味において、それがしやすくなるような、例えば輸入環境の迅速化、これは私も必要なことだ、こういうふうに思っております。

 ただ同時に、バーゼル法のお話ということでございますので申し上げると、バーゼル法というのはあくまでも有害廃棄物の輸入ということにかかわるものですから、やはり有害であるというものに対する対応というのは、これはしっかりとしなければいけないという要請がございます。でありますので、その両方をしっかりと頭に置きながらバランスのとれた対応をしていかなければいけない、こういうことだろうと思っております。

 今、契約書の添付という話がございましたけれども、何が一体必要なのかというような話で、どこでおくれるのかという話を確認しましたところ、そういった必要書類をつくる、あるいはまた役所に行く機会も多いということと同時に、いわゆる必要書類漏れでまたもとに戻って時間がかかっちゃうみたいなこともあるようでありまして、そういったことがないように、事前によく業者の皆さんたちへの説明も周知徹底するということも必要かな、こうも思っております。

 いずれにしても、経済産業の皆さんとも連携をとって、しっかりと、できるだけ速やかに、そして安全に対応できるようにしたいと思います。

松下副大臣 今大臣からお話があったとおりでございます。

 有害廃棄物の輸出入手続にかかわらず、一般の貨物等についての輸出入、手続が非常に複雑で、大量の資料が必要になっていますから、その問題も含めて工夫の余地はあると思っています。

 私どもも、最長一年間の包括的な承認を可能にするというような見直しなども行いながら、保管費用があんなにかかっているとは思いませんでしたけれども、少しでも軽減することも含めて、環境省としっかりと連携をとりながらやっていきたい、こう思っています。

森岡委員 どうもありがとうございます。

 きょうは廃棄物の輸入という少し先の話をさせていただきましたが、その前に、まずは、国内の都市鉱山、まさにそこからきちんと資源を取り戻すリサイクルの仕組みをつくっていくことが大切と考えております。今、環境省、経産省、両省協力して、こういった実証調査等を三年間かけてやっていただいているというふうに聞いております。ぜひ両省協力してよりよい仕組みをつくっていただければというふうに考えております。

 本日はどうもありがとうございました。

樽床委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 おはようございます。社会民主党の吉泉秀男です。

 昭和四十五年、清掃法が全面改正されて廃棄物処理法が制定されまして、それ以降、今回で八度目の改正であります。特に、平成十五年からは毎年改正をされてきております。

 うちの方の地元の業者にとっては、改正があるたびに規制が強化をされてくる、そういう中において、資本、資金をどうしても投入せざるを得ない、もう参っている、こういうお話をよく聞くわけでございます。そして、今の現状の中において、それぞれ中小の業者にとっては、もう分野ごとにそれを担うしかない。それぞれの業者間で手を組みながら分業化が水面下で進んできている、こういう状況が今実態だろうというふうに思っております。

 大臣、何でこんなに小出しの改正になるのか。今、それぞれの粗大ごみから産業廃棄物そのものも、まさしく私たちの大きな資源である、こういう立場で模索がなされている。そうだとするならば、もう少し大局的な見地からこの廃掃法を考えていかなきゃならない、私はそう思うのでございます。

 だからこそ、平成十七年度、環境省令で創設された優良性評価制度、私は、この段階で、企業そのものも、まさにこのことに対して頑張ろう、こういう部分があったんだろうというふうに思っています。しかし今、五年目を迎えている今日の状況の中で、この制度に適合するのは三百三十二業者、全体の一割にも満たない、こういう現状でございます。

 環境、これからまさしくキーワードでございます。そして、低炭素社会を構築しようという状況の中で、もう少しやはり、展望をどうきちっと持たせていくのか、そのために、業者も含めた一つの法律を私は望むわけでございますけれども、このことについて大臣の見解をお伺いさせていただきます。

    〔委員長退席、太田委員長代理着席〕

小沢国務大臣 委員の御指摘、ごもっともだと思います。

 確かに、小出しの改正という話は、業者の皆さんたちにしたら、その都度の対応ということで、やはり大変な御苦労もかけている、こういうことでございまして、私も、過去の経緯を役所の皆さんに問いながら、どういったものですかね、こういう話を申し上げましたところ、役所は役所で、これまたその時々の、不法投棄の問題や不法輸出の問題、石綿を含む廃棄物への対応等、やはりその都度やらざるを得ない話が起こってくるんですね、こういう話なのであります。

 そういった業者の皆さん方に、とにかく大方のことは目をつぶってやってもいいというようなこともこれまた言えませんし、ですから、そういった意味では、でき得る限り先を見通して行政の方も対応していく。

 あと、先ほどもバーゼル条約の中での簡素化の話がありましたが、いろいろな申請等の手続等に関しては、でき得る限り簡素化していく努力を行政としてもしてまいりたい、こう思っているところでございます。

 もう一点の優良業者の育成に関しては、これまた今回の改正にも出させていただきましたが、これまで余り効果がなかったぞという委員の御指摘もございました。

 確かに、一言で言えばインセンティブが弱いということだったのかな、こう思っておりまして、今回は、御案内のように、優良業者の特例は、例えばいわゆる免許の更新期間を長くする、こういう話でございまして、少しそのインセンティブも強くなったのかな、こう思っているところでございます。法案が成立しましたら、さらにまたその育成に向けての努力も重ねていきたい、こう思います。

吉泉委員 本当にありがとうございます。

 ただやはり、それぞれ私方暮らしをしていく、それには業を行っていく。そういう中においては、まさしくごみは出てくるわけでございます。そういった部分をどういうふうにして資源化していくのか、これは、業を行っているその方々もそれぞれ非常に努力をなされている。そういう状況も含めて、これからの社会のあり方を追求していくためのこの法、こういった部分をもっともっと自分自身も努力をしていかなきゃならない、こういうふうに思っております。

 ましてや、産業廃棄物だけで年間四億二千万トンも出てくる。そういう状況の中で毎日毎日その処理に努力している、汗をかいている、こういう関係者の皆様には本当に敬意を表したいなというふうにも思っております。

 しかし、残念ながら、悪徳業者、そしてまた、倒産、やむを得ず廃業に追いやられる、こういう廃棄物業者が今出てきている。その中において、この処理が大変大きな問題になっているんだろうというふうに思っています。単なる不法投棄という言葉だけでは解決でき得ない問題だろうというふうに思っております。

 私の地元で、平成十四年に製造開始をし、使った油なり液をドラム缶にためておる、ドラム缶がどんどんふえてくる、そして今度は穴があいてその中から廃油や廃溶液が垂れ流し、こういう状況がございました。そして、その業者に対して再三撤去指導もやったわけでございますけれども、聞き入れることができない。

 では、その責任はどうなるのか。地元から苦情が日増しに大きくなってきた。それで、県としていたたまれなくなって、四年目になって初めて立ち上がる、こういう状況でございます。そして、四年目にまさしく行政代執行で処理をしたわけでございます。

 県として、その部分の費用について、確かに国から四分の三という一つの恩恵は受けたわけでございますけれども、しかし、そのことが立ち上がるについても、やはり財政も含めてなかなかスピーディーに立ち上がれない。こういう現状があったと思っています。

 今、全国を見た場合に、この例に類したものが非常にいっぱいあるのではないか、こういうふうに思っております。しかし、最終的には地元住民が被害をこうむるし、その部分の負担も結局地元が負わざるを得ない。そういう場合についての国と地方の関係、連携、そして対策、対応、この部分をきちっとやれるそういった方向というものについてどういうふうに考えているのか、お伺いさせていただきます。

    〔太田委員長代理退席、委員長着席〕

大谷大臣政務官 委員おっしゃるとおりでございまして、未然防止、拡大防止をしっかりと達成するためには、日ごろから、国、自治体、そして地域住民の連携、コミュニケーションが必要なんだというふうに考えています。

 国としては、日ごろから、自治体とのアドバイスやコミュニケーション、双方向でのやりとりをさせていただいておりますし、また、ホットラインというものを結んで、自治体さんからの御相談はもちろんですけれども、一般の国民の皆さんからも何か通報をいただきましたらというようなことで、ホットラインを開設させていただいております。

 せっかく悪徳業者が起訴されて消えたけれども、ごみだけはそこに残ってしまう、そんなことじゃ元も子もございません。御案内のとおりでございますが、国にはそういうほったらかされたものを処分する財政的なスキームがございますが、それを使わずとも済むような取り組みにもっともっと力を入れろということでございます。また、それ自体が、財政的なお金の量、それからスピード、ここもしっかり速めていけということでございますので、未然防止と危機管理という両方の側面から、大いに御指導をいただきながら、さらにさらに強化をしていきたいというふうに考えております。

吉泉委員 ありがとうございます。

 ただ、未然防止のところについては、やはり自治体、業者なんかも含めて、さらには住民も含めて、相当監視の目は強くなっているというふうに思っています。しかし、どうしようもなくなる。やはりそういう危機管理といったところに対して国としてもっと強く関与していかなきゃならない、こういうふうに私は思っているところでもございます。

 そうした面で、維持管理積立金が今回の法改正の中で出てきています。そういう中で、自治体の首長が業者にかわって取り崩す、こういう部分も今この法改正の中で提案がなされているわけでございます。しかし、この維持管理積立金という制度そのものが非常にわかりにくいんじゃないか。自分自身も、なかなかわかりにくい、こういう考え方を今持っています。

 現在、最終埋立処分場が全国にどのぐらいあるのか、まずこれが一つ。そしてその中で、積立金制度に加入している処分場がすべてなのか、それとも入っていない部分がどのぐらいあるのか。そしてまた、もし積立金制度に加わっていない最終処分場があるとするならば、どういうふうに今後の維持管理体制を進めていこうとしているのか。そして四つ目として、自治体の首長が業者にかわって取り崩すというときに、では、その後の管理を自治体でやるのかどこでやるのか、こういった部分も含めて非常に見えにくい、私は率直にこういう感想を持っているわけでございます。

 そういった面で、この維持管理積立金の中身の問題も含めて、もう少し御説明いただければというふうに思います。

大谷大臣政務官 簡潔にお答えいたします。

 最終処分場数は千三百でございます。そのうち、積み立てをいただいているところは千二百二十でございます。したがって、八十ほどからは積み立てをいただいておりません。ここに対しては、厳しく御協力のお願いをするとともに、場合によっては取り消しなども考えざるを得ないのかなというふうに考えております。

 それから、もしこの法が施行されますと、最終処分場の維持管理等を行政代執行する自治体が最終処分場の維持管理をしていくにおいて、この積立金を原資として使えます。

吉泉委員 千三百あるうち入っていないのはたった八十で、千二百二十、ほとんど入っていると。自分自身、大変認識を新たにしたところでもございます。

 この点について、やはり八十の業者についても一〇〇%全部入れる、ぜひそういうふうにお願いをしたい、こういうふうに希望を述べさせていただきたいと思います。

 それから、今、建設工事に関する廃棄物、これは私ども社民党も以前からずっと言ってまいりました。そして、今回、元請業者に処理責任を一元化する、このことに対しては本当に私たち大変評価をしたいし、大臣に感謝を申し上げたい、こう思っているところでございます。

 しかし、元請業者に対する処理責任の一元化と同時に、私は、今、入札も含めて大変厳しい状況になっているんだろうというふうに思っています。特に、仕事がどんどん少なくなっていく中で、入札、さらには、すべての仕事をとっていくために、いわゆる総経費というものを相当低く抑えながら仕事を確保していく、やはりこういう状況というものがあるというふうに思います。そのしわ寄せが、孫請、下請といったところに影響が出てくる、こういうふうに思っております。だとするならば、やはり発注者の責任もあるんだろうというふうに私は思っています。

 例えば、議員会館が今度それぞれ解体をされる。そうすると、その部分がどこに行っているのか。青森とか、私方の山形の方に来るのか。いわゆるゼネコンの方にお願いをしながらも、その瓦れきをどこに搬出できているのか。こういった部分は発注業者の段階でもやはりきちっとわかっていかなきゃならない、こういうふうにも思っております。

 例えば、小さなそういう施設の工事の段階から見れば、そういう施設のものの処理がやはりなかなか容易でないという状況の中で、経費が相当削減されていく。そういう中において、きちっとした処理ができない。こういう部分もたまにあるのではないか。

 だとするならば、今の現状の中で、一元化は確かに一歩も二歩も進んでいるわけでございますけれども、それと同時に、やはり発注者の責任も問う必要があるのではないか、私はこういうふうに思っています。その点、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 建設系廃棄物の発注者責任ということでございますけれども、確かに、委員がおっしゃるように、今回の改正で、元請業者がその処理責任を果たすということの中では、建設工事の発注者がその建設系廃棄物の処理費用を含んだ適正な対価というものを払っていただくということが必要になるものと思っています。建設リサイクル法においても、一定規模以上の建設工事については、分別解体や再資源化等に要する費用の適正な負担などを発注者の責任ということで定めている例もございます。

 環境省としては、国土交通省と協力しつつ、発注者を含めた関係者に対して、適切な費用負担に対する理解、意識を高めるべく、より一層の情報提供及び普及啓発を行ってまいる所存でございます。

吉泉委員 どうもありがとうございました。

 やはりこれから低炭素社会に向けて、産業廃棄物の処理に対しては、国全体でやっていかなきゃならない大きな課題なんだろう、こういうふうに思っています。そんな面で、精いっぱい私たちも努力をしながら、大臣を初め関係者の皆さんの日ごろの御健闘をお願い申し上げまして、もう一つ質問があったわけでございますけれども、大変申しわけないですけれども、時間の関係で割愛をさせていただきます。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 廃棄物問題を考えますときに、廃棄物そのものの排出を抑制するということが大変大切なことだと思っております。排出の抑制を徹底し、どうしても発生してしまった廃棄物はきちんと現場で分別し、処理までの間の保管を確実にして、収集、運搬をし、中間処理などを通じて再生利用可能なものをリサイクルしていく。そして、残ったもの、残渣などは、生活など環境に影響のないように適切に最終処分することが重要であることは論をまちません。

 この発生抑制、分別、保管、収集、運搬、再生、最終処分、一連の行為が関係者の連携の中で適切に行われる、このために廃棄物処理法は逐次改正を重ねてきました。しかし、残念ながら不法投棄の問題があります。最終処分場などの廃棄物処理施設の逼迫など、廃棄物行政の抱える課題はまさに山積みです。今回の法改正がこのような諸課題の解決のために有効なものとなりますことを私も期待いたしております。

 あわせまして、この法改正によりましても残される課題の解決に向けて対応が迫られております。本日は、廃棄物処理法の改正案について、そして今回の法改正によっても残る課題について、私からの提案も含めて質問をさせていただきます。政府におかれましては、率直な答弁をお願いいたします。

 まず第一に、国外廃棄物を輸入できる者を拡充するという内容の法改正について質問させていただきます。

 改正案の第十五条の四の五では、廃棄物の輸入の許可を求める「申請者がその国外廃棄物を自ら又は他人に委託して適正に処理することができると認められること。」とあります。そして、「申請者がその国外廃棄物の処分を他人に委託して行おうとする者である場合にあつては、その国外廃棄物を国内において処分することにつき相当の理由があると認められること。」とあります。

 この条文をもう少しかみ砕いて言いますと、現行法では、国外の廃棄物を輸入できる者は、国外廃棄物をみずから処理できる産業廃棄物処分業者か、産業廃棄物処理施設を持っている者に限定されていました。今回の法改正で、日本国内で処理することに相当の理由があると認められる者は海外から廃棄物を輸入することができ、ほかの産業廃棄物処分業者や産業廃棄物処理施設を持っている者に委託することができると法改正しようとしています。

 この廃棄物を輸入できる者の拡充について、今回の法改正の経緯について調べてみました。そこで、こちらのパネルを。字が細かいですので、皆様方にも資料を配付させていただいています。

 今回の法改正は、中央環境審議会の廃棄物処理制度専門委員会で、自民党政権下の平成二十年九月九日から本年一月十五日まで、十二回にわたる委員会を開催し検討した結果が中央環境審議会からの意見具申となり、法改正に至ったと承知しています。

 このパネルの上段の方ですね、自民党政権下、昨年七月十三日の第九回の委員会報告案です。この時点では、赤字で示していますように、廃棄物の輸入ができる者の拡大の範囲ですが、自社の国外廃棄物を輸入して処分する製造事業者に限って、極めて限定的な法改正を念頭に置いて自民党政権下では議論が進められていました。つまり、海外に輸出し廃棄された自社製品と海外の自社工場などから排出された廃棄物に限って日本に輸入することができるとしていたわけです。

 その後、昨年の十一月二日から十二月一日に行われましたパブリックインボルブメント、PIの意見を反映することによりまして、報告書の内容が、このパネルにありますように大きく改められています。それが下の段を見ていただくとおわかりかと思います。下段が平成二十二年一月十五日の専門委員会の最終報告書です。

 先ほど御説明しましたように、上の段の七月十三日、去年の時点では、赤字のように、当初案は自社製品に限って輸入できるとしていたものが、下段のことしの一月十五日の最終版になりますと、「我が国において処理することが適切と認められる国外廃棄物の処分を委託して行う者」と、輸入できる対象者の範囲が大幅に広がるのです。「我が国において処理することが適切と認められる国外廃棄物の処分を委託して行う者」は、読みようによりましては、我が国において処理することが適切と認められればだれでも海外の廃棄物を輸入でき、その廃棄物をほかの者に委託して処理できるという条文に急に変更されたということです。

 まさに自公政権から民主党政権にかわってから報告書の内容が大幅に変更されたのです。そして、その報告書の内容がそのまま今回の廃棄物を輸入できる者の拡充の法改正につながるのです。

 その報告書の修正について、さらに背景を調べてみました。十月二十六日、第十一回の専門委員会で決まったパブリックコメントにかける案では、廃棄物の輸入については自公政権下の七月十三日時点のものと全く同じ文面でありました。

 パブリックコメントは三百二項目の意見が出されるんですが、こちらのパネルをごらんいただきます。お手元の資料ですと二枚目になります。

 このパネルにありますように、なぜか二百七十七番の廃棄物の輸入に関する意見に対しては、法改正の内容に直接大きな変更を及ぼす回答が環境省から示されているんです。それがこの四角い枠の中の右側の「意見に対する考え方」で、二百七十七番の環境省の回答となっています。自社の縛りが外されて、「我が国において処理することが適切と認められる国外廃棄物の処分を委託して行う者についても、輸入を可能とするべきである。」と、報告書が環境省の事務局の提案によって大幅に修正されているんです。

 このパブリックコメントを受けた修正案は、専門委員会の最終回、昨年十二月二十四日の第十二回の専門委員会にかけられます。第十二回での廃棄物・リサイクル制度企画室長の説明の議事録の抜粋を、これまたパネルにしております。文字が多いですのでパネルにしました。

 室長は、上の段なんですが、PIの意見を受けて次のように修正するというふうに説明しています。読みます。廃棄物の輸入については

 ご意見といたしまして、「廃棄物の輸入について、自社の国外廃棄物だけでなく、自社の関連会社の国外廃棄物なども可能とすることや、輸入が可能なものとして、輸入・委託処分を継続して適正に実施できる者を追加することなどにより、推進すべき」であるというご意見でございます。

  こちらのご意見を受けまして、報告書を修正しております。

「自社の国外廃棄物」の「自社の」というところを落として

 「このため、我が国において処理することが適切と認められる国外廃棄物の処分を委託して行う者についても、輸入を可能とするべきである」といった修正をさせていただいております。

このように室長は修正の説明をしました。

 これまでの専門委員会で議論してきておりません報告書の大幅な修正でしたから、委員からは懸念の意見が多く噴出しました。その一つを環境省のホームページの委員会議事録から抜粋して、こちらのパネルの下の段に示しています。専門委員会のA委員の発言として載せさせていただいています。読みます。

 今まで海外で作っておりますもの、あるいは日本から持って行って、日本の企業が出した廃棄物を日本で処理してくださいということで受け取っておるのですけれども、それと全く違う、海外の廃棄物を日本に入れるという、そういう大きな変化につながるわけで、自社関連あるいは日本製品に関連するものという限定をするのであればわかりますけれども、海外の廃棄物で適正な処理ができないものを日本に持ってきて処理するといういわば方針転換をするというならば、もっと議論が必要だという感じがしています。

このように、突然の環境省からの報告書の修正に対して異論が出ました。

 最終回の委員会の議論の結果、報告書の文言の一部修正の議論はなされますが、肝の自社の縛りが外されて、我が国において処理することが適切と認められる国外廃棄物の処分を委託して行う者までも輸入が可能となりました。まさに土壇場での修正。自社製品の縛りを大幅に緩和した、我が国において処理することが適切と認められる国外廃棄物の処分を委託して行う者も輸入できるということになった。

 運用によっては大変問題が生じる可能性のある条文が、このような経緯によって、本日ここに政府から提案されているわけです。私は、この条文が悪用されることによって、バーゼル条約、すなわち有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約に違反するような事件が起きはしないかということまでも懸念しているわけです。

 以上、少し長くなりましたけれども、廃棄物の輸入業者の拡大につきまして、報告書の取りまとめに当たりまして余りにも拙速な決め方をしているのではないか、実際の運用に当たってのきちんとした制度設計ができているのか、本当に今輸入者の拡充に踏み切ることが妥当なのかなどの疑問に対して、大臣の見解を求めます。自公政権から民主党政権にかわりまして大きく変更された法改正の項目です。小沢環境大臣の責任ある御答弁を求めます。

小沢国務大臣 ずっと委員の資料を見させていただいて、聞かせていただきましたが、まず基本の部分、いわゆる輸出国では適正処理が困難であるが我が国では処理可能な国外廃棄物である場合であるとか、自社のものであればそれを輸入して企業として資源の有効活用、あるいはまた、ある意味では製造業者のCSRの実現というところに関しては委員も十分同意をしていただいている、こういうことだろうと思って聞かせていただきました。

 でありますので、基本的にはそこの部分は一緒でありまして、違ったところは自社のというところが変わった、こういう話で、歯どめがかからないのではないか、こういう御懸念だと思います。

 それに対しましては、今回あくまでも、先ほど委員御自身もおっしゃっていただいたように、関連業者であるとか子会社であるとか、そういったところを入れるということを想定しておりまして、しっかり国は厳正に審査をして許可をするという制度になっておりますので、そういった意味では今回の委員の御心配、御懸念は大丈夫だ、こういうふうに私としては思っています。

 さらに、先ほど私は答弁の中で、本当に日本がそういう廃棄物のある意味では先端的な処理センターであってもいいのではないか、こういう議論もありますというふうに申し上げましたが、それは今後の課題として、ぜひ、委員も含めて、与野党あるいはまた国会内外で議論を重ねていきたい、こう思っているところでございます。

近藤(三)委員 国際的に我が国の企業が製造者責任、排出事業者責任を果たしていくことは重要な視点と考えております。しかし、輸入者の拡大は、一つ間違えますと国際的な廃棄物問題に発展しかねませんので、非常に大きな問題をはらんでいると思います。政府には慎重な対応を今後とも求めさせていただきたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 平成二十年度の不法投棄件数の七三%までが建設系であり、不法投棄量の八八%を占めています。このような実態を踏まえまして、建設系廃棄物につきましては、排出場所が現場現場で一定しないこと、それから建設工事の請負の方法が元請、下請など多層化し複雑でありますことから、今回の法改正では工事現場から排出される廃棄物の処理責任を元請業者に一元化するとしたと理解しています。

 一方で、不法投棄された廃棄物の種類を見ますと、民間住宅などの解体から発生した混合廃棄物が多いと指摘されています。

 元請業者を排出事業者として廃棄物処理の責任の一元化を図ることも改善につながると思いますが、一方で、国土交通省の審議会が取りまとめました報告書によりますと、「一般市民を含む発注者等の関係者の中には、なるべくコストをかけたくないとの考えから、処理内容等にこだわらないという風潮が一部に見られる。」このようにあります。

 すなわち、民間住宅の解体を業者に委託する一般市民の中には、なるべく費用をかけないで解体処分したいということで、どのように我が家が解体され、そして、解体によって出てきた廃棄物がどのように処分されていくかについて注意を払わない風潮もあるというふうに指摘しているわけです。

 さらに、国土交通省の報告書によりますと、「その結果、適正な費用負担について発注者等の理解が得られないまま、処理費用を抑えるために建設廃棄物の不適正処理がなされるおそれがある」と指摘されています。

 このような商習慣の実態に照らしたときに、果たして、今回の法改正のように、元請業者の排出事業者責任の一元化だけで、安易ないわゆるミンチ解体などが引き金となった不法投棄の事案を防ぐことが本当にできるのかと、私は大変疑問に思っております。

 廃棄物処理法は排出事業者責任を中心とした法体系であると考えますが、私は、建設廃棄物の不法投棄事案の比較的少ないと言われている公共事業のように、廃棄物処理法でも発注者責任を明確化すべきではないかと考えています。次のステップでは、真の循環型社会を構築するためには、排出事業者責任から、一般市民も念頭に置いた発注者責任を民間工事についても廃棄物処理法に盛り込んでいくべきではないかと考えておりますが、環境省の見解をお聞かせください。

大谷大臣政務官 鋭い御指摘、ありがとうございます。そのとおりだというふうに思います。

 民間住宅を壊して新築にするとか、もしくは建て売りにして販売するとか、コストのことを考えますと安く安くに流れてしまうのかもしれませんが、そこはやはりしっかりと、環境意識がなかったらいけないんだよというような、処理方法への負担というものも、しっかりと責任意識を高めるような取り組みをしていかなければいけないというふうに思っております。

 今回の法律では、あくまでいわゆる建設工事の発注の責任者ということになっていますが、一般市民も含めて何らかの形でこれからは検討していかなければならないというふうに考えておりますので、引き続き御指摘と御指導をいただきたく申し上げますとともに、連携をよろしくお願いいたします。

近藤(三)委員 大谷政務官、ありがとうございました。

 例えば、一般住民がマニフェストの確認ができないということもあると思うんですね。第三者機関にマニフェストを持ち込んで鑑定してもらうということによって確認をとり、その確認が得られた段階で契約した工事代金を全額支払う、そのような仕組みも考えられるのではないかと思います。そのようにすれば、環境省の指摘された問題、課題はこれから解決できるのではないかと考えておりますので、この点について、今後の御検討をぜひお願い申し上げます。

 さて、平成九年の廃棄物処理法の改正で、すべての産業廃棄物にマニフェスト制度の導入が義務づけられています。それまでのいわゆる書面での紙マニフェストだけではなくて、電子マニフェスト制度を選択できるようになりました。

 紙マニフェストは、産業廃棄物の排出量や種類が多く、管理票の交付数が多い事業者にとっては負担も大きいと聞いております。かつ、大量のマニフェストの写しを保管しなければならないという問題も生じているというふうにも聞いております。一方で、電子マニフェストですと、パソコン、そして携帯電話などによって比較的簡単に入力や報告事務ができます。記載漏れの心配がないことやチェックが容易であるということなど、メリットが大きいと考えておりますし、また、そういうふうに言われております。

 現状のマニフェストは、あくまでも、排出事業者が適正処理を全うしているのか、責任をきちんと果たしているのかを確認する手段です。しかし、もし電子マニフェストのシステムが体系化されますと、排出事業者が出した量と、そして処理施設での処理量のつじつまが合っているのか、チェックができる体制となります。まさに、マニフェストが、確認そして証拠の域を超えて、我が国全体の廃棄物の管理の適正化、それからリサイクルの推進状況を把握できるデータベースとなります。この分野での政策決定の判断材料としての価値が飛躍的に高まると思います。

 政府は、IT戦略本部の重点計画で、平成二十二年度、すなわち今年度までに電子マニフェストの普及率を五〇%以上にするという目標を立てています。しかし、残念ながら、平成二十年度末現在の電子マニフェスト普及率は一四%と低い普及率にとまっています。電子マニフェストの加入者の内訳を見てみますと、やはり排出事業者が多いです。七八%加入をしているのですが、あと収集運搬業者が一三%、そして処分業者に至っては九%と非常に低い加入率なんですね。

 マニフェストというのはバトンタッチをしていくものです。その流れの中で、廃棄物処理に携わる方々みんなが電子マニフェストを使用してもらえる状況にしていかなければならないと考えております。みんなが電子マニフェストに加入しなければ、紙マニフェストと電子マニフェストが混在した二重構造となり、本来の電子マニフェストのメリットが発揮されないということです。

 電子マニフェストの構築のために、国も平成二十一年度までにおよそ十一億円の巨額の費用を投じて、システムを整備し、システムの普及啓発活動などをしてきたというふうに聞いております。システムの導入を決めてからもう十二年以上もたっているわけです。そして、これまでの法改正のたびに、電子マニフェストの普及、義務化などについては附帯決議がつけられてきております。

 でも、不法投棄防止の観点からも、今回の改正を踏まえて、次回の法改正に向けて、ぜひ電子マニフェストの義務化に政策のかじを切るべきだと私は考えておりますが、小沢環境大臣の見解をお伺いいたします。

小沢国務大臣 現状、先ほど委員からも若干御披瀝がございましたけれども、我々も把握しておるところでは、電子マニフェストの普及率は、平成二十年度では一四%、平成二十一年度では一九%と、若干ずつ向上はしているもののいまだ低い水準にある、こういうふうに思っております。そして、電子マニフェストの効用につきましては、委員が先ほどおっしゃっていただいたことに全く同感でございます。

 でありますので、今後の普及状況等をしっかり把握しながら、義務化に向けて検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

 電子化に関しては、それが望ましいという話は当然一致するわけでありますけれども、なかなかユーザーの皆さんたちの問題もこれある中で、本当に近藤委員のようにパーフェクトにそういうのを使いこなせる方ならいいわけでありますが、なかなかすべての人がそういうことをできない、こういう現状もある中で、どうやってそれを皆さん方に普及啓発活動をしていくのかということが極めて重要になるんだろう、こういうふうに思っています。

 聞くところによりますと、今最もスピードが速いマニフェストは携帯電話でぱっぱっぱっとやっちゃう、こういうことでありますけれども、そういう話をしましたら、おれの指は太過ぎて携帯電話を押せないんだ、こういうことをおっしゃる人もいるわけでありまして、そういったことを頭に置きながら対応してまいりたいと思います。

近藤(三)委員 今回の委員会の附帯決議に電子マニフェストの早急な義務化に向けた取り組みを行うということを盛り込んでいただきたいというふうにお願いをしたいところなんですけれども、今大臣がおっしゃったことについて一つ提案をさせていただきたいと思うんです。

 産業廃棄物処理業の許可の有効期間は現在一律五年となっています。今回の法改正では、許可事業者の実施能力それから実績を評価して、有効期限の特例を設ける制度が盛り込まれています。優良業者と認められた者に対して、現在の五年の許可の有効期限をどの程度まで延長しようと考えているのか、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 あわせて、平成十七年度に環境省令で設けられました優良性評価制度では、現在、三百三十八の事業者が認定されているというふうに聞いております。そのうち、先ほど申し上げました電子マニフェストを使用している事業者は百八十八の事業者にすぎないということなんです。

 このように優良事業者には特典があるわけですから、その認定の要件に、先ほど私が申し上げました電子マニフェストを使用していることを条件の一つにしてはどうかと考えておるのですが、政府の見解をお聞かせください。

大谷大臣政務官 簡潔に述べます。

 大体五年を七年ぐらいにしていくのが一つの目安かなというふうに考えております。

 それから、優良事業者の方なんですが、これは電子マニフェストを取り入れていただくという方向で検討していきたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 ぜひ優良事業者制度を活用して、電子マニフェストの普及啓発に役立てていただきたいと思います。

 限られた時間でしたので、事前に通告しました質問すべてはできませんでしたが、ぜひ環境省には、今回の改正が真に廃棄物処理行政の前進につながりますように、適切かつ公正な対応をしていただきますことをお願いさせていただきまして、質問を終えさせていただきます。

樽床委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、廃棄物処理法の改正案について質問をさせていただきます。

 我が国の循環型社会を形成する取り組みは、平成十二年に公明党が主導して成立しました循環型社会形成推進基本法の成立を機に、スリーR推進の取り組みを中心に大きく前進してきたと認識しております。循環型社会形成の方策としましては、国内においてスリーRの推進また熱回収さらには廃棄物の適正処理を着実に進めることが重要でございます。このような意味から、本日の廃棄物処理法改正案の質問をさせていただきます。

 まず、不法投棄等の不適正処理に対する責任の強化につきましては、これまでも数次にわたる法改正が行われて、不法投棄事案についても近年は減少傾向にあります。しかし、今なお後を絶たない状況に変わりはございません。その中でも、産業廃棄物の不法投棄事案について見ると、その実行者の約半数が廃棄物の排出事業者であることから、本改正案のねらいの一つとして、排出事業者に対する適正処理対策の強化が図られているものと存じます。

 そこで、排出事業者に対する責任のあり方について、まず何点かお伺いをさせていただきます。

 本改正案では、排出事業者による産業廃棄物の不適正保管事案に対処するために、事業場の外で保管する際の事前届け出制度を創設することにしておるわけでございます。そして、都道府県知事が保管場所をあらかじめ把握できるようにしているわけでございます。

 しかし、本改正案で言うところの事業場の外とは具体的にどの範囲まで指すのか。例えば、公道を一本隔てた向かい側の社有地で保管するような場合は事業場の外なのか内なのか。また、百メーター離れた社有地のような場合には外なのか内なのか。さらには、どの程度の規模が考えられておるのか。

 そこで、本改正案における事業場の外とは具体的にどのような範囲で、また保管場所の規模要件はどのようなものなのかについてお伺いをいたします。

 また、あわせて、産業廃棄物の不適正保管をなくすためには、事前届け出制度を創設すれば事足りるという話ではなくて、積極的な立入検査や、場合によっては刑事告発といった取り組みが不可欠であるかと思いますが、制度創設による現場での実効性の確保について環境省はどのようにお考えか、お伺いをいたします。

田島副大臣 ただいま二点のお尋ねがございました。

 まず、事業場の外とはどのような範囲をいうのかというお尋ねでございますが、事業場の外とは、ちょっとかた苦しい言い方に聞こえるかもしれませんけれども、産業廃棄物を生ずる事業場、もしくはそれと空間的に一体とみなされる場所の外を具体的に指しております。

 例えば、今例にも示していただきましたけれども、公道を一本隔てた場合であっても、事業場として一体であると客観的に認められる場合につきましては、同じ事業場の中というふうに考えられると認識しております。

 保管場所の規模要件につきましては、実態を踏まえて、また有識者等の意見もしっかりと参考にさせていただきながら、今後検討をさせていただきたいと思っております。

 次に、現場での実効性についてのお尋ねでございますが、まず、届け出義務違反に対する罰則規定が設けられておりますので、これを周知徹底することによって抑止力が生まれてくると考えております。また、行政のパトロールでありますとか、保管場所の近隣住民からの通報等々によりまして保管の事実が把握できるというふうに踏まえているところでございます。

江田(康)委員 次に、建設工事廃棄物の処理に関する特例措置についてお伺いをさせていただきます。

 本改正案で、産業廃棄物の不法投棄量の実に八七・五%を占める建設系廃棄物の処理責任について、元請業者を一元的に排出事業者とする処理責任の明確化が図られたことは、不適正処理を抑制する上で大きく評価できるものと思います。しかし、一方では、下請業者についても、場合によっては排出事業者としての責任が負わされるとされております。

 元請一元化の例外規定として、第二十一条の三第三項には、環境省令で定める廃棄物を運搬する下請を事業者とみなし処理基準を適用するとあります。どのような場合を意味しているのかがこれは不明であり、さまざまな関係者においても誤解が生じやすいところであると思われますので、明確な説明を求めたいと思います。例外規定が広がると、今回の特例措置はざるとなりかねないとの指摘もございます。

 また、第四項には、廃棄物の処理を委託する下請を事業者とみなして委託基準を適用するとございます。読み方によっては、下請が委託基準に従いさえすれば、処理業者に委託できるようにも読めるとの指摘があります。これらの例外規定について、環境省は、このような不明なままではなくて明確にすべきだと考えますが、大臣の所見をお伺いいたしたい。

小沢国務大臣 例外規定の御質問でございました。

 まず、第二十一条の三第三項及び第四項の例外規定はあくまでも限定的なものでございまして、元請業者に排出事業者責任があるという原則に変わりはございません。この趣旨については正しく理解されるように周知徹底を図ってまいりたいとまず思います。例外規定は、元請業者に排出事業者責任を一元化することに伴い、排出事業者でも処理の受託者でもない下請負人が生じることに対応するために不可欠なものとして置いているわけでありますが、元請一元化が原則でございます。

 具体的には、第三項は、内装工事の際にごく少量生じる廃棄物など、これまで下請負人が適正に運搬している一部の廃棄物を特定の下請負人が運搬する場合に限り、業許可を不要とするが、処理基準に従い運搬しなければならないこととしてございます。

 また、第四項の方でありますけれども、排出事業者でも処理の受託者でもない下請負人が廃棄物の処理を委託する可能性があることから設けた規定でございまして、下請負人が勝手に委託できるようにするという趣旨ではございません。これらの例外規定によっても、排出事業者としての処理責任は元請業者にございます。

 本改正によって、建設工事に係る廃棄物の処理については元請業者に一元化され、元請業者がみずから処理するか、許可業者に処理を委託することが原則となります。環境省としては、このことを明確に示すとともに、第三項及び第四項の趣旨が正しく理解されるよう周知徹底を図ってまいりたく存じます。

江田(康)委員 今大臣が明確に申されましたように、いずれの場合においても元請処理の一元化が原則である、そのことをぜひとも明確にわかるように関係者に周知徹底を図っていただくことを強く求めます。

 次の質問でございますが、廃棄物処理施設の維持管理対策の強化についてお伺いをいたします。

 本改正案では、設置許可が取り消された者に対しても最終処分場の維持管理を義務づけることとしておりますが、当該許可が取り消された者が行方不明であったり、もしくは倒産して無資力であったりするなど、施設の維持管理ができる状況にないケースも十分想定されます。本改正案では、そのようなケースの場合にどのようにして適正な維持管理を図ろうとする考えなのかお伺いしたい。

 現行でも、最終処分場の設置者は、埋め立て終了後の最終処分場の適正な維持管理を確保するために維持管理積立金をあらかじめ積み立てることとされておりますけれども、処分場設置者が埋立処分を継続中もしくは埋め立て終了後に倒産したような場合に、この維持管理積立金のみで維持管理費用が賄えるのか。もし賄えないケースがある場合にはどのようにして適正な維持管理を確保していく考えか。これについて対応方針をお伺いさせていただきます。

田島副大臣 何点かお尋ねをいただきましたので、お答えを申し上げます。

 まず、御指摘いただきましたように、設置許可が取り消された方が行方不明であるとか、また倒産等で無資力の場合、またそれ以外にも最終処分場の設置者が倒産したというような場合には、今回の法改正によりまして、その承継人が維持管理責任を引き継ぐことになります。また、これらの者が法人の場合にあっては、その役員も維持管理積立金を用いて維持管理が可能となります。

 この維持管理積立金のみで費用が賄えない場合についてでございますが、責任を負うべき者がいる場合は当然その者が維持管理を行うこととなります。一方で、ほかに責任を負う者が存在しなかったり、また、最終処分場に起因して生活環境保全上の支障などがある場合につきましては、都道府県等が行政代執行によりまして維持管理を行うことが考えられるわけでありますけれども、今回の法改正によりまして、このような場合には都道府県等が維持管理積立金を取り戻すことが可能というふうにさせていただいているところでございます。

江田(康)委員 今申しましたようなケースは、全国でもさまざまなケースで国民が、また住民が大変に不安に思っているケースでもございますので、確認をさせていただきました。しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、廃棄物処理業の優良化の推進について質問をさせていただきます。

 不法投棄防止対策のためには、今まで述べたような規制の強化のみならず、廃棄物処理業の優良化の推進が非常に重要でございまして、現在、環境省令に基づいて優良性評価制度が設けられているところであるのは承知しております。しかし、現行の評価制度では、評価基準に適合した事業者に対して果たしてメリットがあるのか。すなわち、許可更新時の申請書類を一部省略できるといったようなことでございますけれども、これはインセンティブを伴うメリットとはなっていないと思うわけでございます。

 そこで、今回、優良な産業廃棄物処理事業者を育成するために、本改正案においては能力及び実績を勘案して許可の有効期間を延ばすことができるとしており、一定の評価ができると思います。

 そこで、この許可に係る事業の実施に関する能力及び実績とは、具体的にどういうようなもので、それをだれが適正に認定していくのか。また、この条件を満たす許可取得業者については許可の有効期間を現行の一律五年から何年に延長する方針なのか。政務官にお伺いをいたします。

大谷大臣政務官 重要なことでございます。

 実は、事業の実施に関する能力及び実績、具体的にはこれから検討してまいりますが、今現時点で言えることは、まず当然のことながら廃棄物処理法の違反行為を行っていないこと、二つ目が事業計画や施設に関する情報をインターネットで公表している、自分のやっていることをちゃんと透明化していること、三つ目が先ほども出ましたが電子マニフェストを使用していることなどがマストになるのかなというふうに思っております。こういう基準をしっかりとつくって、それを都道府県知事が環境大臣のつくった基準に従って判断を行うということになります。

 これも先ほどの近藤先生との議論にございましたように、今の期間五年を七年ぐらいに延長して、優良事業者の育成の部分のメリットにしていきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 続けて、収集運搬業に関する許可手続の合理化について御質問をさせていただきます。

 今回、中環審の意見具申の中に、政令事項として、収集運搬業に関する許可手続の合理化が示されました。これはこれまでも大きな課題であったわけですけれども、産業廃棄物等の運搬にかかわって複数の県並びに市の許可を得ていかなければならないという状況があったわけでございます。これは関係者にとっても大変負担のかかるところでございまして、今回の中環審の意見具申は大変大きな意味を持っております。

 具体的には、現在百九の都道府県、政令市の許可が必要な状況を、基本的には四十七都道府県に合理化するものでありますが、確実に措置されることが望まれると思います。これについて大臣の所見をお伺いしたいと思います。今回の政省令の制定に当たっては、中環審の意見具申を踏まえて、実態を十分に把握して、関係者の意見も十分に聞いた上で、実効あるものにすべきだと思いますが、大臣の所見をお伺いいたします。

小沢国務大臣 委員御指摘のとおり、施行に伴う政令改正の中で措置する予定でございます。その際には関係者の意見を十分伺ってまいりたいと思います。

江田(康)委員 政令事項として、大臣、きょうの意見を踏まえてしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、産業廃棄物の排出抑制の徹底について質問をさせていただきます。

 循環型社会の構築に向けて、産業廃棄物についてもリデュース、リユース、リサイクルの三Rの推進が重要であることは言うまでもないことでございます。この観点から、産業廃棄物を大量に排出する事業者に対しては、多量排出事業者処理計画の提出が義務づけられております。しかし、近年、産業廃棄物の排出量は年間四億トン前後で推移しております。一般廃棄物と比べて必ずしも排出抑制が進んでいるとは言いがたい状況にあります。さらには、産業廃棄物最終処分場の残余年数は平成十八年末現在で七・五年と、残余容量は依然として逼迫した状況にございます。

 そもそも産業廃棄物の排出量が減少しない原因は何なのか、また、今後それを減少させていくためにはどのような施策を政府全体として展開していくべきと考えているのか。そのことについて、大臣の基本的な認識をお伺いさせていただきます。

小沢国務大臣 産業廃棄物の排出量の減少が進まない要因としては、排出の約七割を占める下水汚泥及び家畜ふん尿は、下水道の普及率の向上や家畜の頭数の増加などにより、排出抑制が困難になっております。また、製造業につきましては、製品の生産量が増加すれば廃棄物の排出量が増加する、こういう一般的な傾向もございます。

 政府としては、平成二十年三月に第二次循環型社会形成推進基本計画を閣議決定し、製品の設計段階からの配慮や、廃棄物の発生の少ない製造プロセスへの転換など、発生抑制につながる、上流にさかのぼった対策に取り組んでいるところでございます。今後、各省庁との連携を一層緊密にしまして産業廃棄物の発生抑制に取り組んでまいりたい、こう思っております。

江田(康)委員 最後になるかと思いますが、国外廃棄物の適正な循環的利用の確保について質問をさせていただきます。

 現状では、国外廃棄物を国内に輸入できる者は、産業廃棄物処分業者、産業廃棄物処理施設を有する者など、当該廃棄物をみずから処理することができる者に限られております。環境省の統計によれば、廃棄物の輸入許可件数につきましては、平成十九年には六件、平成二十年には九件、平成二十一年には十八件と増加しつつあるわけでございますけれども、やはりこれだけの限られた件数であるのが現状でございます。

 そこで、本改正案では、廃棄物を輸入できる者の範囲の拡充が図られて、国外廃棄物を他人に委託して適正に処理することができ、国外廃棄物を日本国内において処理することに相当の理由があると認められる者を追加することになっております。

 このことによって、海外からの廃棄物の輸入が大きく増加することが予測されるわけでございますが、どれだけの効果があるのか、それについてお聞きをさせていただきます。

谷津政府参考人 御説明申し上げます。

 先ほど来審議の中でございましたように、当面は日本の企業の海外工場、あるいは自社製品をCSRの観点から日本に持ち帰って処理するということを想定しております。将来的には拡大が見込まれますが、当面はそういったところを想定しているわけでございます。

江田(康)委員 私は、CSRの観点からもそうでございますけれども、今回の法改正によって、日本のすぐれた環境技術を利用して国外の廃棄物を処理していくことのできる体制が本格的に進むことを大きく期待するものでございます。

 国外廃棄物の循環利用に関係して、大臣に最後に質問をさせていただきたいことがございます。

 今、アジアを含む途上国におきましては、適正に処理できるリサイクル設備が未整備というところが多くございます。適切な処理施設がないままに安易に解体されて、その過程でさまざまな重金属の有害物質が環境中に拡散して、そして環境汚染や健康被害の原因となっている現状があることは報告されているとおりでございます。このような憂慮すべき事態を回避するためにも、我が国は極めてすぐれた技術を持っているわけでございますが、これを生かして国際貢献していくことが大変重要であるわけでございます。

 私も環境副大臣をしていた折は、小泉政権でございましたけれども、そのときに小泉政権が打ち上げたスリーRイニシアチブということで、我が国だけがスリーRの循環型社会を形成したとしても、日本からの廃棄物もしくは中古品が海外で廃棄物となって不適正な処理をせざるを得ない、こういうような状況に至ることを避けるがためにも、日本が主導権を持ってアジア大のスリーRイニシアチブを大きく進めていくことが大変重要であり、その取り組みが進められてきたところであるかと思っております。

 地理的にも我が国との関係が深いアジア各国におけるスリーRの推進に向けて、技術支援等の国際協力が大変重要であるかと考えますが、大臣の見解をお伺いしたい。

 あわせて、アジア圏を視野に入れたリサイクル体制の構築によって、我が国の環境産業の維持発展、強化につながる施策を一刻も早く実現することが重要と考えておりますけれども、これについても大臣の基本的な見解をお伺いしておきます。

小沢国務大臣 まず、いわゆる環境産業の維持発展という点から申し上げますと、先ほど来の質疑の中でも申し上げましたように、いわゆる静脈ビジネスにも徹底的な光を当てて技術革新を促し、また、アジア全体を商圏として考え、やっていけるような政策を目指してまいりたい、こう思っておるところでございます。今、省内においていろいろな角度から、そんな議論をさせていただいているところでございます。

 それから、アジアにおけるスリーRに関しましては、これは本当に、江田委員初め皆さん方がこれまでつくってきていただいておりますスリーR推進フォーラム、これも私どもは維持継続をさせていただいているところでございまして、昨年の十一月には東京において設立会合を開催させていただき、さらにはまた、ことしの十月には第二回の会合をマレーシアで予定しておりまして、大谷政務官が今その責任者になって努力をしているところでございます。

江田(康)委員 我が国のすぐれたリサイクル技術等を駆使して、アジア大でのスリーRを大きく進めながら、また環境産業を大きな成長の糧として進めていくためにも、例えば家電並びに携帯電話等からのレアメタルのリサイクル回収というのがあるわけでございます。こういうレアメタルの回収におきましても大変重要なことだと思っておりますが、環境省、経済産業省ともに、レアメタル回収技術を駆使して希少資源を日本国内で処理してそれを使用していく、こういうような取り組みを強く進めていただきたいと思うんです。

 地球温暖化問題に対する国民的な意識が非常に高まっているわけで、今後一層の普及が期待されるところが、やはり日本の環境技術を応用したそういう貢献だと思います。ハイブリッド車また太陽光パネルさらには高効率照明、こういうような省エネルギー分野に必要不可欠とされるレアメタルの需要拡大は、非常に大きな成長分野でございます。

 そういう中でレアメタルの安定供給の確保というのは我が国の産業競争力の強化にとっても至上命題でもございまして、資源の確保とともにレアメタルリサイクルを大きく進めていく、その先頭にやはり環境省が立ってもらいたい。この件につきましては今後の質問の中でまた質問をさせていただきたいと思っております。

 きょうは、廃棄物処理法改正案について、今確認しておくべき個々の具体的な項目について質問をさせていただき、御回答をいただきました。この改正案の趣旨に沿って適正な廃棄物の処理が進むように、どうぞしっかりと取り組んでいただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

樽床委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

樽床委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

樽床委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


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