衆議院

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第12号 平成22年5月14日(金曜日)

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平成二十二年五月十四日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 齋藤  健君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    大谷 信盛君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    小林千代美君

      斎藤やすのり君    田島 一成君

      田名部匡代君    玉置 公良君

      村上 史好君    森岡洋一郎君

      矢崎 公二君    山崎  誠君

      吉川 政重君    小池百合子君

      近藤三津枝君    福井  照君

      古川 禎久君    山本 公一君

      中島 隆利君    吉泉 秀男君

    …………………………………

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   外務副大臣        福山 哲郎君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   環境副大臣        田島 一成君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 中野 雅之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         上田 隆之君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            増田 優一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  中島 隆利君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  吉泉 秀男君     中島 隆利君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策基本法案(内閣提出第五二号)

 低炭素社会づくり推進基本法案(野田毅君外四名提出、衆法第七号)

 気候変動対策推進基本法案(江田康幸君提出、衆法第一五号)


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     ――――◇―――――

樽床委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策基本法案、野田毅君外四名提出、低炭素社会づくり推進基本法案及び江田康幸君提出、気候変動対策推進基本法案の各案を一括して議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。

山崎(誠)委員 おはようございます。民主党の山崎誠でございます。

 早速、今議題となっております、大切な法案だと思います、地球温暖化対策基本法について質問をさせていただきます。

 もう本法案については、自民党の案、そして公明党さんの案とあわせて、さまざまな議論をしてまいりました。私は、まとめの意味も込めまして、内閣提出の地球温暖化対策基本法に基づきまして質問をさせていただきます。三本柱の一つであります国内排出量取引制度、それから国際交渉の過程に焦点を絞って質問をさせていただきたいと思います。

 まず、地球温暖化対策の大切な柱であります国内排出量取引制度について質問してまいります。

 まだ今は基本法の議論の段階ですから詳細についてさまざまお聞きするのは難しいかもしれませんが、現時点でどういう状態だか、お聞かせをいただきたいんです。国内排出量取引制度は現時点でどんな議論がなされているのか。環境省内の検討、それから経済産業省内の検討が進んでいると思いますけれども、それぞれどんな状況か、またどんな論点が提示されているのか。環境副大臣、それから経済産業省の大臣政務官にお聞きしたいと思います。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 現在、基本法案に沿った形で、次期通常国会への関連法案の提出に向けて、幅広く関係者、また国民の皆様からの意見を聞きつつ、検討を始めさせていただいたところでございます。

 具体的に申し上げますならば、先月、中央環境審議会に国内排出量取引制度の小委員会を設置いたしまして、ちょうどきのうより、関係団体からのヒアリングを始めたところでございます。引き続きまして、幅広い見地からの意見を聞きつつ、専門的な検討、また論点整理を進めていただくこととしておるところでございます。

 また、四月の二十六日から一カ月間、国民の皆様からのパブリックコメント、意見募集も行っております。加えまして、五月の十八日、東京を皮切りに全国各ブロックで、チャレンジ25日本縦断キャラバンと銘打った国民との直接対話を政務三役が中心となりまして実施することとしております。

 これからのプロセスにおきましては、排出枠の総量をどの程度にしていくのか、また、排出枠の設定対象をだれにするのか、各対象者に排出枠をどのように設定していくのか、国際競争力への影響にどのような配慮をしていく必要があるのかといったような論点を具体的に示しまして、御意見を伺っていきます。

 環境省といたしましては、これまで自主参加型の国内排出量取引制度の運営等にも取り組んでまいりましたので、こうした知見であるとか経験を生かしまして、基本法案の規定に沿った形で、総量規制を基本とした制度をぜひ検討していきたいと考えております。

近藤大臣政務官 山崎先生にお答えいたします。

 国内排出量取引制度については、我が国の産業界のこれまでの排出削減に向けた取り組みや省エネ努力の状況、現行の試行的実施の経験を踏まえて、国際競争力の確保や雇用の安定にも十分に配意しながら、我が国の実情に適合した実効性のある制度にすることが極めて大事だろう、こう考えております。

 経済産業省としては、早急に検討の場を立ち上げ、基本法案に規定しているとおり、学識経験者、産業界、労働界を初めとした国民各層の御意見を幅広くお聞きしながら、環境と経済の両立が図られるよう検討してまいりたいと思います。

 論点等につきましては田島副大臣からも御答弁されましたけれども、まさしくそういった論点かと思っておりますが、いずれにいたしましても、大事な点は実効性のある制度だろうと。マネーゲームにゆめゆめ踊らされることのないようにしなければいけない点も肝要かと思っているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。詳細な御説明で、今、状況は見えてきたと思います。議論はそれぞれに進んで、社会的にも関心が大きい制度ですから、いろいろな議論が進んでいるんだろうなと思っています。

 私がここで一つお伝えしておきたいのは、やはりそれぞれの省庁の意向で話が進んでいく傾向にあるんじゃないかなという点を危惧しております。いつもお話しのとおり、経済と環境をどうやって調和させるのかというのが課題ですから、この制度設計についても、ぜひ省庁横断での議論を早く立ち上げていただきたい。地球温暖化対策の閣僚委員会もあります。それから、その中に副大臣会合もある。早く立ち上げていただいて、まず大枠の考え方みたいなものを早くすり合わせていただいて、詳細な議論に入っていくというのがよろしいかと思うんですが、今後の進め方について、環境大臣にお伺いいたします。

小沢国務大臣 各省庁の取り組みは先ほど御答弁があったとおりでありますが、それに対して山崎委員の方から、政府一体となってやっていく仕組みを早くスタートさせるべきだ、こういうお話がございました。私も全くそのとおりだと思っておるところであります。

 鳩山内閣というのは、いわゆる縦割り行政の弊害を排して、各閣僚も自分の所管以外の発言も大いにやるべきだ、こういう方針、あるいはまた、それを政府一体とするためにいわゆる閣僚委員会をつくってやってきているのは御承知のとおりであります。そのもとに今度は、いわゆる実務ベースといいますか、副大臣級検討チームというのもつくってございます。

 そういった意味では、この基本法を一日も早くまず仕上げさせていただいて、そして今度はそれぞれの制度設計に今申し上げたようなスキームで入っていきたい、こう思っているところでございます。何とぞ、この基本法の制定をぜひともよろしくお願いしたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 小沢環境大臣、リーダーシップを期待しておりますので、ロードマップも含めてぜひ引っ張っていただければと思います。

 では、次の論点ですが、キャップをかけるというお話、これがいつも大きな話題になっております。総量キャップを基本として原単位方式のキャップについても検討を行うというのが本基本法の大きな流れになっていると思うんですけれども、この原単位のキャップを導入する可能性についてどのように考えておられるか。これは環境大臣でよろしいでしょうか。

小沢国務大臣 制度設計はこれからでございますので、一般論として申し上げておきたいと思います。

 閣僚委員会あるいはまた副大臣級検討チームでもいろいろな議論がございました。そうした中で今回の結論を得た、こういうことでございますけれども、やはりそこは、柔軟な制度設計、先ほど経産省の近藤政務官からも、日本に適した制度、こういう言葉がありましたけれども、そういったことが大変重要なんだろう、こういうふうに思っています。

 そういう中にあって、では、日本に適した制度という意味でいえば、日本だけで特別ということでいえば、例えば電力供給は、日本の場合は供給義務が課せられているんですね。これはアメリカ、ヨーロッパではそういう形になっておりません。供給義務が課せられているという意味は、いわゆる需要者の方から、消費者の方から電気をちゃんと売ってくださいよと言われたら、それはどんな状態でも売らざるを得ない、こういう話でありますので、そういった供給義務がかかっているようなところというのは、では一体どういうふうに考えていったらいいんだろうと。そういうことも一つの特別な、日本的な例なんだろう、こう思っておりまして、そういったことを踏まえて、日本に最も適した制度を考えていきたい。

 そういう中にあって、今回はキャップ・アンド・トレードをベースとしながら原単位制度のあり方も加えて考えていきたい、こういう意味でございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 フレキシブルで日本に合った制度というのは、私も賛成であります。

 というのは、日本の企業は、やはりすばらしい先進的な取り組みをする、そういうマインドがありますし、また、そういう意味で、当然ですが非常に信頼の置ける日本の産業界。ですから、そういった方々の考え方をいろいろと生かすのは重要です。賛成です。

 ただ、排出量の削減の実績というのを見ていくと、例えば、省エネ法にのっとって効率化を義務化して進めてきた。実際にその中で総量はどうだったかという数字を見ると、調べたところ、やはりふえてしまっているという実績もあります。いろいろな経済環境の、生産量の伸びだとか経済状況によってこの総量というのは動くんだとは思うんですけれども、今、これから地球温暖化に向かっていくときに、総量が伸びてしまった、それでよしとするかどうかというのは、やはり議論のあるところだと思います。

 そういった意味では、原単位にするのか、あるいは総量にするのか。これは、ある基準と明確なルールを持って適用していかないと、今までのように、どちらでもいいですよ、自主的に選んでくださいということでは立ち行かなくなるのではないかな、少し弱いのではないかなという気がしております。その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

小沢国務大臣 まだ具体的な制度設計に入ったわけではないので、繰り返しになりますが、現時点の一般論としてお聞きをいただきたいと思います。

 まず、少なくとも今決めていることは、総量規制、キャップ・アンド・トレードをベースとして、原単位のあり方も含めて考えていく、こういうことを決めているわけでありまして、そういった意味では、原単位のあり方そのものも、必ず導入するとか決めているわけではありません。

 ただ、同時に、今委員が御指摘のように、では何のためにこれをするのかという大もとの議論でいえば、CO2の排出を総枠としてコントロールしていく、それがやはり排出量取引制度の本質だ、こう思っております。ですから、そういったものがある程度有効に機能する制度でなければ意味がない。

 そういう意味では、今委員が具体例として出された、企業によって選択制だみたいな話はあってはならない、こういうお話でありましたが、それは本当にそのとおりでありまして、政府としてしっかりとしたルールを決めていく、それが大事だ、こういうことはそのとおりだと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 制度設計はこれからですので、ぜひいろいろな意見を集めていい制度にしていただきたい。お願いをしておきます。

 次に、きょうは、近藤政務官に来ていただきましたので、経済産業省関係でお聞きをしたいんです。

 日本の産業界にあって、この地球温暖化対策の積極的な推進が競争力のアップにもつながるんだ、成長につながるんだというのが、今、環境省、小沢環境大臣が出しているロードマップのベースだと思うんですね。そこが一つのみそだと思うんですが、このような考え方あるいはこのロードマップについて、現時点でどのように御評価しているか、お伺いしたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、環境立国をすることは日本の成長につながるんだという小沢環境大臣のお考えはまさしくそのとおりであろう、こう考えておりますし、経済産業省としても、そうした観点から、成長戦略全体を取りまとめる中でも、環境・エネルギー立国という大きな柱の中で位置づけているわけでございます。

 また、御質問の、環境省の中期ロードマップ試案、中期目標の達成に向けた対策、施策のパッケージ案についてはどのような所見かということでございますけれども、こちらにつきましては、小沢環境大臣の試案としてお取りまとめになったものと承知しているわけであります。

 いずれにいたしましても、経済産業省においても、現在、エネルギー基本計画の見直しの議論、さらには、成長戦略の観点も踏まえつつ、全体のあるべき姿というものを検討している最中でございます。最終的には、政府全体として、成長戦略の中に位置づけられるものとして整合性のとれた形として取りまとめられるものだろうと承知しておりますし、そうあるべきだろう、こう考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 これから低炭素社会が当然進んでいく、世界的な潮流になっていく、そうすると、企業もそういった物づくりの低炭素化が一つの評価基準になって格付もされていくんだろうなと思います。

 そういった中で、やはり日本企業が本当に率先してそういった取り組みを進めていくことの意義というのは本当に大きいだろう。特に、中国だとかインドだとか新興国とどうやって対峙していくかというときに、日本があるべき姿をきちっと示すことができれば、それは本当に尊敬もされ、地位を向上させながら世界に貢献できるということで、すばらしいだろうなと思います。

 もう一つ、もっと実利的なことで言えば、低炭素を求めるということは、化石燃料大量消費から早く抜け出すということだと思うんですが、ピークオイルだとかそういった議論も含めると、やはりこれから化石燃料への依存というのはすごくコストがかかっていくわけですから、そういったところもやはり視野に入れながら、まあ当然皆さんお考えだと思います。設備投資の前倒しだとかそういったもの、競争力のアップをやはり積極的にこの機に進めていただければと思います。要望させていただきます。

 次に、今の排出をどうやって抑えていくかというときに、日本の産業界あるいは製造現場というのは非常に生産プロセスの効率化が進んでいて効率が上がっている、省エネ等世界に先進したすぐれた取り組みをしている、これは事実だと思います。

 今後の削減の可能性についてはどのように認識をしているか、近藤政務官にお伺いいたします。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 先生の御指摘の点、我が国は、振り返りますと、公害問題や石油危機に際して、課題を解決する中で世界最高水準の環境技術を獲得するに至ってきた、こう認識しております。こうした環境技術を積極的に導入、普及をすることで、我が国全体の排出量が二〇〇八年度において一九九〇年比で増加している中で、産業部門については一割以上の削減を達成している。すなわち一定の取り組みの成果を上げているんだろう、こう考えております。ですから、産業部門における排出削減というのは今後も推進しなければいけない、こういう認識であります。

 ただ、同時に、暮らしの部分といいましょうか、こういった部分も重要であろうかと思っておりまして、省エネ製品等の普及を通じて、やはり大幅に増加している暮らしの部分、すなわち家庭部門や業務部門における削減もこれまた重要であろう、こう考えておりまして、全体として排出量の削減につなげてまいりたい、こう考えておるところでございます。

 どの部門だけにひずみという話ではなくて、やはりこれはトータルで、そういう暮らしを実現するための製品を供給する産業界というのがやはりあるのであろう、こう考えておりますので、日本全体の排出量を削減していくというプログラムをつくることが肝要であろう、こう考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

 御説明いただいたとおりで、企業の貢献はどうしても必要なので、今回のこの制度においても、やはりそういう声にしっかりと耳を傾けるのは当然だと思います。これは産業界がそっぽを向いてしまったら目標達成なんか到底無理ですから、そういった意味での協力関係をしっかりとつくっていくということ、そして、全体として低炭素化を目指すということをぜひ進めていただきたいと思います。

 一点だけちょっとつけ加えさせていただくと、そうはいってもという話になります。乾いたぞうきん論というようなことで言われているらしいんですが、では、果たして日本の企業の取り組みもこれで終わりかというと、これは東京都の地球温暖化対策計画書制度に基づく立入調査の結果ということで、東京都の資料を読ませていただくと、例えば施設単位で見たときに、生産プロセス周辺というのは得意分野で非常に効率が上がっているんだけれども、ユーティリティーの部分、熱を供給したりとか水を処理したり、そういった部分でのエネルギー消費とかあるいはCO2削減の余地というのはまだあるよということを東京都は調査の結果明らかにして、そういったところで指導をしているとお聞きをいたしました。

 そういった意味で、せっかくこの制度を導入する以上は、やはりこういった例も踏まえながら、ある意味厳しさも持って、もっといけるという部分を見つけ出す取り組みも並行して進めていただきたいな、これは要望をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 次の項目に参りまして、特にCO2の排出量という意味では大きな分野であります発電事業について、少しお伺いしておきます。

 発電事業におけるCO2削減のポイントはどういうところにあるのか。その中でも特に石炭火力がCO2の排出が多い。今、石炭火力は一九九〇年から二・五倍以上になっているというようなデータもある。そういった中で、発電事業全体でCO2を削減していくにはどういうふうに考えているのか、お伺いいたします。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 電気事業におけるCO2削減のポイントはどこかという御質問でありますけれども、基本的にはやはり安定供給、安全の確保、とりわけ安定供給を基本にした上で安全確保を前提とした原子力発電の推進、そして火力発電効率のさらなる向上、そして再生可能エネルギーの導入、この三つの柱であろう、こう考えております。

 御指摘の石炭火力でありますが、発電時のCO2排出量は確かに多いわけでありますが、他方で、エネルギーの安定供給や経済性にすぐれているという側面も重要であろうか、こう考えているわけであります。全体のベストミックスということを考えて、全体の電源構成を考えていくことが必要だろう、こう考えています。

 石炭火力については、CO2排出量削減のために当面は超超臨界圧発電、USCといった最新設備や、バイオマスの混焼であるとか、そうした最新の技術を導入してまいりたい。さらには、中長期的には石炭ガス化複合発電の普及、こういったものを進めて石炭火力の高効率化を進めてまいりたい、こう考えています。

 世界に目を転じますと、やはり石炭火力が相当広がっています。我が国で石炭火力の高効率化を進めることで、あわせてそれを世界に出していく、そういうことで地球全体の温室効果ガスを削減することに資するのであろう、こう考えているところでございます。

山崎(誠)委員 今のお話で、やはり石炭火力のかなり熟した技術、そしてまたそれにプラスアルファで今新しい技術という分野だと思うので、ぜひ今の海外へ売り込むというようなお話も含めて、これは海外への貢献の大きな要素だと思いますので進めていただければと思います。

 発電事業はやはり大きなウエートを占めていますから、これはある種、電気事業者に任せきりではなくて、政府としてあるいは国として、方針をやはり一緒につくっていくような取り組み、そのためにエネルギーの基本計画があるのは承知しておりますが、ぜひ未来にしっかりとつながる計画をつくりながらリードしていただきたいと思います。

 次に、原子力発電所について一つだけ触れさせていただきます。

 この基本計画の中でも、原子力を推進するということをうたっております。ただ、私はやはり原子力にはさまざまな課題があるんだろうなと思っております。

 現時点でやはり大事な電源ですから、これをすぐにとめるという必要はもちろんないし、それは難しいのは承知の上でございますが、例えば新設にかかるコストだとか時間、あるいは全体の安全性、それからCO2以外の環境負荷等、さまざま課題がまだあると思いますが、どのようにお考えかお伺いいたします。

近藤大臣政務官 原子力発電の課題について幅広い御質問でございます。簡潔にお答えできればと思っているんですが、御指摘の原子力発電のさまざまなコストについてどのように考えるか、こういう点に絞ってお答えしたいと思います。

 原子力発電の新設に際しては、法令上の手続も含め、建設までに相当のリードタイムが必要でございます。そのコストについては、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会のコスト等検討小委員会の報告によれば、原子力発電所について、建設単価はキロワット当たり約二十七万九千円、発電単価は一定の前提のもとでキロワットアワー当たり五・三円と見積もられ、他の電源と比較しても遜色ない、こうされておるところでございます。

 また、原子力発電所の安全確保、環境への影響評価でございますが、こちらは法令に基づき厳正に審査が行われているところであります。

 原子力発電については、エネルギーの安定供給のみならず、低炭素社会の実現に不可欠であり、安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら着実に推進してまいりたい、こう考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 今もございました、安全の確保を旨とし、国民の理解と信頼を得て推進という言葉が、怒られるかもしれませんが、原子力のまくら言葉になっては困るというふうに思います。

 というのは、やはりまだ電気事業者の一部では、例えば点検漏れが発生をしたりとか、さまざまな手続、マニュアルの不備が見つかったりとか、そういう報道もございます。一々指摘している時間はありませんので省略しますけれども、やはりそういったところがまだこの分野にも残ってしまっている。

 本当に厳しいチェックをしているのはよくわかっております。これ以上ないチェックをし、マニュアルをつくって、でも漏れがあったり、それは人為的なものもあれば、いろいろな手続の不備もあると思います。そういったところを前提にしてやはり考えていかないと、いろいろなところでふぐあいが起きる、そして最終的には大きな事故、起こってはいけないことですけれども、そういった危険性がやはりあるんだということを念頭に置いていただきたいなと思います。

 それから、CO2以外の環境負荷という意味では、今問題になっているのは、例えば温排水の問題。これがやはり、もちろん通常の発電所からも出ますけれども、原子力発電所からは本当に多くの熱が排出される、熱エネルギーの三分の二が海に捨てられるというお話です。上関の原発のデータをいただいたんですけれども、二基で毎秒百九十トンの海水が冷却水として循環をする、何か一級河川並みの水量を温水として出していくということです。

 もう一つは、その中で、次亜塩素酸ソーダですか、要するに生物が付着しないようにということで、そういったものもまぜながら海水を使って冷却をしているということで、さまざまな影響をやはり原子力発電所そのものが、今のシステムとしては環境に負荷を与えている。例えば、今の殺生物剤については、これは水道の消毒のようなものだというお話なんですけれども、それが果たして生態系にどういう影響を、人間にはいいかもしれませんけれども、微妙な生態系にどういう影響を与えるかというのはまだ未知数だと思います。

 そんなことも考えますと、本当にCO2を削減するという目標と、原発がもたらすそういういろいろな環境負荷とを、ちゃんとてんびんに乗せて、はかりにかけながら考えていただきたいなと思っているところでございます。

 繰り返しになりますけれども、当面、現状維持は必要だと思うんですが、新設等については慎重に議論をしていただきたいと要望させていただきます。

 最後に、国際情勢、国際交渉についての質問をさせていただきます。

 今、国際交渉の中で、排出量削減の目標として、拘束力がある京都議定書の枠組み、それとCOP15から出てきました米中も含む新しい枠組みづくりがパラレルで進んでいるというふうに認識しております。京都議定書の単純延長はないという方針をお聞きしているんですが、究極の目標はこの両者の交渉の統合にあると思います。すなわち、米中も含む主要国の参加のもとで、拘束力のある削減目標をしっかりと各国が約束していくことであろうと思うんですが、こういった国際的な枠組みづくりについてのお考えを環境大臣にお伺いいたします。

小沢国務大臣 委員がおっしゃられた、今の京都議定書の単純延長はないというのは、政府の方針として確立をさせていただいているところです。

 ですから、今後は、京都議定書の枠組みの中に、例えば米国が戻ってくるとか、あるいはまた、中国は扱いは途上国になっておりますから、そういった意味ではいわゆる附属書1国とは違ってもいいんですけれども、何らかの形で数値目標的なものを誓約していただくとか、そういう形での京都議定書の改正が行われるということがあれば、それは当然日本としては大歓迎だ、こういうことだろうと思います。

 一番大事な話は、とにかく我々としては温暖化をストップさせる、そのためには温室効果ガス、特にCO2を削減させる、それに必要なことは一体何かということでありまして、世界の四割を排出する米中が全くそこに関係しないという枠組みであれば実効性がない、こういう判断だということでございまして、米中だけではありませんけれども、いわゆる主要排出国と呼ばれる国々をとにかく巻き込んだ形を何としてでもつくっていきたい、こう思っています。

 そのためには、一つは、この前のときにも申し上げましたけれども、全体のいわゆる議論、これはボンで閣僚級会合に出席させてもらいましたが、そういう全体会合の話と、それから、あるいは米国、あるいは中国、あるいはインド、ブラジル、そういった各国との二国間の協議、あるいはまた、この前、実は私、GRULACといって、南米の大使の皆さん方との会合に出させてもらいましたけれども、そういった地域の皆さんとの会合、ありとあらゆる場面を通じてやはり日本としての立場を訴えていくことが必要だ。そのためにも、こういった基本法をつくって、日本は着実にやっているんだ、だからあなたもやってください、こう言える、これが大事だ、こういうふうに思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 本当に大変な交渉をお引き受けになって進めているのはよくわかります。ぜひ、この二つの今進んでいる枠組みをうまく活用していただいて、ある意味、どちらか宣言するのもどうかと思うところもあります。うまく活用されて、日本としてうまいリードをとっていただきたいと思いますので、引き続き御努力よろしくお願いをしたいと思います。これは国際的にやらなければ本当に意味がない、おっしゃるとおりですので、そのように応援をさせていただきたいと思います。

 時間になりましたので、質問を用意していたんですが、省略させていただいて、最後にちょっとまとめさせていただきたいと思います。申しわけございません。

 地球温暖化対策、今議論していますけれども、この本当の意味がどこにあるのかなというのを、さきの本会議でも少し触れさせていただいたんですが、CO2削減というのは一つの手段であって、本当の目標というのはやはり低炭素、その先には脱化石燃料であったり、私はやはり低エネルギーだと思うんですよ。エネルギーを今じゃぶじゃぶ使う、そういう社会ではなくて、もっとエネルギーをセーブしながら、例えば生態系も守り、地球のいろいろなキャパをしっかり守りながら人間が暮らしていける、そういう社会をつくらなきゃいけないんだろうなと思っています。

 それで、長期目標、二〇五〇年に九〇年比八〇%削減の社会というのを想像しますに、これは相当大きく変わっている社会ですよね。皆さんとお話をする中で、技術革新があるので、技術革新をもって低炭素、高効率のエネルギーの社会というのを実現していくんだというお話があると思います。私は、それの可能性ももちろんあると思いますが、もう片方にあるのは、やはり低エネルギー社会への移行だと思うんですね。暮らし方、生き方を変えていく、これは私たち一人一人の人間の問題です。

 これはどちらが実現性があるかというと、科学技術の革新というのは可能性としてありだとは思いますけれども、本当にできるかどうかというのはまだ不確実ですけれども、我々の意識を変えて生活を変えることというのは、やる気さえあればできるんだろうなと思っています。そういった意味で、社会に働きかける部分もできるだけ充実をさせていただきたいと思っています。

 時間も来ましたけれども、一つだけ紹介させていただきたいんですが、イヴァン・イリッチという、ウィーン生まれで世界で活躍した思想家の、現代産業社会をいろいろ批判した「エネルギーと公正」という本です。これは昔大学のときに読んで非常に感銘を受けて、常にそばに置きたい本なんですけれども、何が言いたいかというと、大量のエネルギー消費というのは必然的に自然破壊をもたらす、それと同時に、社会的な諸関係をも退廃させてしまうという主張です。

 エネルギーをたくさん使うということが、さまざまな社会の矛盾を生んでいるということを指摘しています。矛盾というのはさまざまなところで生じていると思うんですけれども、例えば通勤渋滞みたいなもの。本来、人間が持っている、徒歩だとかあるいは自転車でもいいです、そういったもので生活圏が構成されている間はそういう格差はなかった。でも、一部の人が自転車を自動車に乗りかえた、あるいは飛行機に乗るようになった。そういうことによって社会の構成が変わってきて、持てる者、持てない者、社会の構造が変わっていく。それで何が起きたかというと、都市への集中になったりして渋滞が起きていく。渋滞が起きると時間を浪費しなければいけない。

 あるいは、もう一つ例を挙げればヒートアイランドなんかもそうだと思うんですね。みんながエアコンをつけてエネルギーをどんどん消費すれば、ヒートアイランドで気温が上昇してきて、みんなつけなければ暮らせないような社会になっていく。そんなような矛盾を考えたときに、もっとエネルギーをセーブすることで解決できるんじゃないかというところを考えています。

 大臣のお話の中で、今までどおりの豊かな暮らしをとにかく確保しながら、便利な暮らしは維持しますよというお話があるんですけれども、私はもう一歩踏み込んでいただいて、もっと豊かな暮らしというのはどういうものかというのを、今のを読んだところで考えたいなと。長くなって済みません。例えば、テレビを見ている時間を、二時間見ている家庭は、二五%削減だから三十分スイッチを切ったら家庭の団らんが戻ってくるかもしれません。そこが本当の豊かな暮らしなんじゃないかな。だから、エネルギーに頼らないでどういう豊かな暮らしができるかというのをもっと考えたらおもしろいんではないかなと。

樽床委員長 まとめに入ってください。

山崎(誠)委員 経団連の環境安全委員長の坂根さんのお話の中でも、中央集権の問題点みたいなものが出てきました。私はそういったところのポイントというのが大事かなと思っております。済みません、長くなりました。意見させていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

樽床委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 民主党の櫛渕万里でございます。

 さきの衆院本会議では、政府提出の地球温暖化対策基本法案につきまして代表質問をさせていただきまして、ありがとうございます。委員会質問も、きょうは私、生まれて初めての機会をいただきました。大変ふなれな質問になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 早速でありますけれども、今、アメリカ南部のメキシコ湾岸では、石油掘削基地ディープウオーターホライズンの爆発事故による原油流出の被害が大変深刻化しております。オバマ大統領はこのように述べられました、過去に例のない規模の被害を環境にもたらす可能性があると。私は改めて、人類が石油依存の経済モデルから脱出するときが来ているのではないか、このように考えるところです。

 今回、政府提出の地球温暖化対策基本法案では、目的が記されました第一条に、脱化石燃料化を図ることが明記されております。また、先日、十一日の環境委員会でも、鳩山総理から、新成長戦略において再生可能エネルギーの拡大を基本姿勢とすることがはっきりと示されました。

 本日は特に、地球温暖化対策基本法案で明記された重要な三つの経済手法、すなわち、総量規制を基本とした排出量取引制度、地球温暖化対策税、そして再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度、その一つであります再生可能エネルギーについて集中的に質問をさせていただきます。

 まず、国家戦略担当副大臣にお伺いをいたします。

 鳩山政権の新成長戦略において、環境分野で五十兆円規模の新規産業、そして百四十万人の雇用創出を掲げられておりますけれども、環境エネルギーの分野で国際市場シェアを拡大させて、国際標準、いわば日本のOSというものを確保するということが日本の国家戦略上非常に重要ではないかと考えますけれども、御認識をお聞かせください。

古川副大臣 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、この環境分野、日本は今のところ大変強い技術力を持っているわけであります。しかし、そうした分野で他国の追い上げは非常に進んでおりますので、そういう意味では、今のアドバンテージがあるうちに国際標準をとって、そして日本のすばらしい技術を世界にも広げていくということが、日本の成長にとってはもとより、世界の持続的な発展のためにも重要なことだというふうに認識をいたしております。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 きょうは資料を何点か用意させていただきました。まず、一ページ目の資料をごらんいただきたいと思います。

 今、世界的に再生可能エネルギーの市場が急速に拡大をしております。資料にありますとおり、二〇〇三年から二〇〇八年、たった五年間で十倍の伸び、ここ二、三年のアジアや南米の伸びも大変著しい、こういった状況があります。しかし、我が国は、全体で一千百八十九億ドルの新規投資のうちたった一、二%しかないということがこのグラフの中でわかるわけです。

 国家戦略担当副大臣、鳩山総理も再生可能エネルギーの導入拡大を基本姿勢とすることを述べられておりますけれども、新成長戦略において再生可能エネルギーが非常に重要となるのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。

古川副大臣 再生可能エネルギーにつきましては、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーとして世界的に市場も拡大しておりまして、そういった点でも、成長戦略においても重要なテーマとして検討を進めていきます。

 実際、太陽光発電の買い取り制度の開始などによりまして、政策を強化いたしております。そのことによって、太陽光パネルや製造工場の増設が活発に行われるなど、国内でもそれが新しい雇用を生み、成長につながる動きが出てきております。

 そういった意味では、この再生可能エネルギーというものを一つのてこにして、新たな成長というものをぜひつくり上げていきたいというふうに考えております。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 ただいま副大臣から太陽光発電のお話もありましたので、次の資料をごらんいただきたいと思います。

 二ページ目の資料になりますけれども、これは太陽光発電の世界市場における日本のシェアをグラフで示したものでございます。ただいま御答弁いただいたように、太陽光発電の導入、拡大ということを日本も得意としてきたはずなんです。しかし、このグラフによりますと、もともと太陽光発電の市場を開いた日本であったはずなんですが、二〇〇五年に世界シェアの四七%を占めていたものが、二〇〇九年には一二%に縮小しているのが実は現状であります。

 太陽光発電の世界市場の拡大に逆行するかのように日本は縮小している。リードしていた日本が世界市場の波に乗れなかったのはなぜなのか、経済産業副大臣にお伺いをいたします。

増子副大臣 お答えをいたしたいと思います。

 今の御質問のとおり、確かにかつては日本も大変大きな市場を獲得しようということで頑張っておりましたし、世界的に太陽光発電の導入が拡大する中で、それでも私どもの国は生産量が九・五倍、〇〇年から〇八年の比較でございますが、着実に普及拡大していることは御案内のとおりであります。一方で、生産量の世界シェアは、二〇〇〇年には四五%を占めていたものが、今御質問のとおり、二〇〇八年には本当に一気に低下をしまして、一八%と低下をしてしまっているという事実があります。

 我が国としては、これまで補助金や税制などの導入支援策、研究開発支援によるコスト低下等の政策を行ってきたものでございます。国内パネルメーカーの生産拠点の人件費が相対的に高いなどの複合的な要因などと相まって、生産量のシェア低下が生じたものと私どもは今考えております。

 太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの導入拡大は、エネルギー源の多様化や地球温暖化対策の観点のみならず、環境関連産業の育成の観点からも大変重要だと思っております。そういう意味で、鳩山総理の目指す二五%削減については、私どもは、新しい産業を興して、それによって技術も革新されて、かつ雇用も増大するということで、大変重要なものだと認識をしながら、基本法も我々はつくってまいったわけであります。

 したがって、需要拡大や研究開発に対する支援など、従来以上に支援策を講じて、さらなる導入拡大をしっかりと私どもやっていきたいと思っておりますし、国際競争力の向上を図ることもあわせて大変重要になってくるものと認識をいたしております。

 現在、経済産業省では、再生可能エネルギーの全量買い取り制度の検討を行っております。こうした取り組みを通じながら、太陽光発電のさらなる導入拡大をしっかりとやっていきたいと思っております。

 いずれにしても、再生可能エネルギー、先ほどの御質問のとおり、基本法の中でも一〇%達成を目標といたしております。この中で太陽光の占める比率もかなり大きなものがございますので、これからさらに、私ども、太陽光発電の普及拡大にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

櫛渕委員 ありがとうございました。

 今、経済産業副大臣より、今後の再生可能エネルギー導入拡大に向けての決意もお伺いできました。期待したいところでございます。

 しかし、この間の状況は大変残念なものでありました。もう一つグラフを見ていただきたいと思うんですが、これは、かつて太陽光発電の市場をリードしていた日本と、先駆けて固定価格買い取り制度を実施したドイツの伸びを示しております。スペインの急激な伸びも、固定価格買い取り制度の導入や太陽エネルギーの利用の義務づけなどによるものであります。

 日本は、先ほど大臣から御答弁もありましたように、ここ近年は伸びているということでありますが、しかし、実は九四年に、まだ高価だった時代に家庭に対する補助金制度を導入したにもかかわらず、二〇〇五年にはこれを廃止してしまったという経緯がございました。また、RPS制度という中で、再生可能エネルギーの中で特に太陽光発電に集中した形で伸びを見せることが結果的にはできなかったということがございます。

 私は、これは旧政権の中での政策の失敗であるというふうに思うわけです。まさに、官僚主導、再生可能エネルギーの軽視、全量全種の固定価格買い取り制度を導入しなかった、こういったことが本質にあり、日本でも二〇〇〇年ごろ、民主党を初めとする超党派で固定価格買い取り制度の導入を進めました。しかし、旧政権はそれを採用しなかったという経緯がございます。そのときにもしも固定価格買い取り制度を導入していたとすれば、もともと日本は優位を示していたわけですから、国際市場で今ごろ圧倒的なシェアになっていたはずだと思いますけれども、経済産業副大臣、もう一度お考えをお聞かせください。

増子副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 今委員の御質問のとおりだと私どもも認識をいたしております。

 私ども、昨年の十一月から導入されましたこの余剰電力買い取りの倍額ということについては、基本的には、前政権もある意味ではよく思い切ったなと、この部分については大変評価をさせていただいております。

 しかしながら、それ以前にずっと採用してまいりましたこの買い取り制度、やはり私どもが主張してまいりましたような形でしっかりと全量買い取り制度をもっと早く導入すれば、御質問のとおり、私どももこの部分については大きく伸びてきたものと思っております。

 しかし、改めて過去のことを言っても仕方がありませんので、我が省としても、今、全量買い取り制度の制度設計をようやく終えることがほぼできました。現在、全国二十三カ所において国民の皆さんとの対話フォーラムをしっかりとやって、四つのオプションを提示させていただきまして、これらを最終的には六月中旬までにまとめ上げていきたい、そういうふうに思っております。

 その上で、環境省ともよく横ぐしを刺しながら、しっかりと連携をとりながら、日本における再生可能エネルギーの導入をしっかりとやっていきたいと思っておりますし、加えて、太陽光等を含めたこの買い取り制度をしっかりと制度設計を決めた上でやっていけば、前政権を上回る大きなものが期待できるものと私は思っておりますので、今後とも御支援をよろしくお願いいたします。

櫛渕委員 ありがとうございました。

 では、成長戦略に話を戻します。

 国家戦略担当副大臣、海外への資金流出、つまり、輸出を抑制し、国内の資金循環となる国内投資を高め、海外からの資金獲得、すなわち輸出を拡大させる、このことが成長戦略の基本となると考えますけれども、まず国家戦略担当副大臣の基本的な御認識をお聞かせいただけますでしょうか。

古川副大臣 一般論としては委員御指摘のとおりだというふうに思っております。

 ただ、私どもは、今、このグローバリゼーションの時代に、いわゆる内需、外需という、そういう分けるという発想ではなくて、これはまさに、グローバルなマーケット中で、日本もその一つとして、全体としてパイを大きくしていく。特に日本の場合には、近隣のアジア諸国など大きなマーケットがどんどん成長しているところがあるわけでありますから、そういうマーケットと一緒になって日本もやはり成長していく。

 そういう意味では、基本的な考え方はもちろんでありますけれども、余りそこで明確に国内と国外と区分けをして、外に出ているものだけを、ここを閉じて中に入れていく、そこを使えばいい、そういう閉じた発想ではなくて、やはり開かれた発想の中で、今大きく躍動しているアジアのマーケットを中心にして、そういうところと一緒に日本も成長させていきたいというふうに考えております。

櫛渕委員 そういった中では、一部の状況ということになるかもしれませんけれども、次の資料をお示ししたいと思います。

 これは、日本の化石燃料輸入額の推移を示したものでございます。

 これは、先日の代表質問のときにも数字をお示しさせていただいたものでありますけれども、日本の化石燃料にあります石炭、原油、LNGなどの輸入額、これは九八年には五兆円、名目GDPに占める割合が一%だったところ、国際価格の高騰によって二〇〇八年の輸入額約二十三兆円、名目GDP比は四・六%まで急増しております。何と十年間で十八兆円といった大量の資金が海外へ流出していると言わざるを得ない状況は、一国民としても大変残念なことであります。

 こうした化石燃料の輸入によって海外へ流出している資金を減らして、その資金を再生可能エネルギー技術及び産業を初めとする国内投資へ回す、再生可能エネルギー関連の輸出を拡大させる必要があるのではないかと考えますが、国家戦略担当副大臣のお考えをお聞かせください。

古川副大臣 委員お示しのとおり、ここのところの化石燃料の価格の高騰によりまして、その分だけ日本からお金が出ていっているというのは、おっしゃるとおりだと思っています。

 だからこそ、私どもも、日本が特に脱化石燃料に頼れる時代というのが、持続可能な世界経済の成長ということを考えれば、いずれかの時点で、もちろんなくなるわけではありませんが、化石燃料を中心とするエネルギー構造から、そうでない、まさに今御指摘あったような、再生可能エネルギーを初めとする、化石燃料以外のそうしたエネルギーを中心とするエネルギー構造に変えていかなければいけない。そういう大きなエネルギー革命を世界は経ていかないと、持続的な成長というものは、これから五十年、百年ということを考えれば期待できないわけであります。

 そういった意味では、そういう分野において大変強い技術を持っている日本が率先して、世界に先駆けて、この化石燃料に頼るエネルギー構造からそうでない構造に変えていく。そのことが結果として日本の将来的な持続可能な成長を実現すると当時に、そういう社会を日本の中でつくるということが、結局世界にも先駆けることになって、そのことが、日本の強みというものを単に日本だけでなく世界にも広げていく。そういった意味で、大きな成長の源泉になっていくというふうに考えておりますので、今御指摘がありましたような、そうした海外への化石燃料でかかっている費用が少しでも減っていくような、そういう構造というものを国内につくり上げていくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

櫛渕委員 旧政権にできなかった環境エネルギー、すなわち再生可能エネルギー導入の拡大、これを軸とした成長戦略を新政権の国家戦略としてぜひ実行していただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 そして、そのことが、地球温暖化対策基本法案の本会議審議のときにも環境大臣よりお示しをいただきました環境と成長の両立という考え方を根本からお支えし、環境を核とする新しい経済を切り開いていく道であると考えております。

 さて、それを地球温暖化対策として牽引されるのがまさに環境大臣でありまして、その実行プランを小沢試案としてロードマップでお示しいただいているところでございます。二〇二〇年までに温室効果ガス排出量の九〇年比二五%削減を目指して、この試案の中では、これまでの御答弁にもありますように、全体で経済効果四十五兆円、そして雇用百二十五万人を見込んでいらっしゃいますけれども、特に再生可能エネルギー分野では、環境大臣、その経済効果と雇用はどれぐらいになるか、お聞かせいただけますでしょうか。

小沢国務大臣 今の質問に入る前に一言申し上げたいのですが、この再生可能エネルギーの重要さというのは、鳩山内閣の中でもさまざまな議論がありました。そういった中で、今回はいわゆる供給ベース一〇%という話になっておりますが、これは、ある意味でいうと、それをさらに上回るような努力をみんなでしていこうという話は議論の中に出ていたところでございまして、ぜひそういったところも御紹介をしておきたい、こういうふうに思います。

 それから、委員にいただいた資料で恐縮でありますけれども、お使いにならなかったんですが、一番最初にお示しになった株式の時価総額のところですけれども、これを見ていただければおわかりのとおり、いわゆる世界の自然エネルギー関係の企業というのは大変大きくなっているということがわかるわけであります。

 では、日本のそういった自然エネルギー関係の企業は一体どうかという今の御質問でありますが、我々のお示した国立環境研究所のAIMモデルの分析結果は、約四分の一、全体の十・五兆円という形でお示しをしているところでございます。まさにこの分野が最も経済成長の牽引になっていっていただける、さらに雇用もここで増大していくという数字をお示しさせていただいたところでありまして、全力を挙げてこの分野で努力をしてまいりたいと思います。

櫛渕委員 まさに今、次に御質問しようと思ったことを先に環境大臣にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 そうした再生可能エネルギー導入拡大に向けてということで、引き続きもう一問、環境大臣にお尋ねをしたいと思います。

 先ほども御答弁の中にありましたように、本法案の中で、再生可能エネルギー導入量を第一次エネルギー供給比で二〇年までに一〇%以上を達成するという目標が掲げられておりますけれども、国内における再生可能エネルギー利用の潜在力、これはどれぐらいあるとお考えでしょうか。また、どのような再生可能エネルギーが利用可能か。このあたりについて環境大臣にお伺いをしたいと思います。

小沢国務大臣 二〇〇五年現在の再生可能エネルギーの導入量は原油換算で二千八百万キロリットルでありますが、中長期ロードマップの私の試案におきましては、二〇五〇年に一・四から一・六億キロリットルに拡大するという目標を掲げているところでございます。二〇五〇年時点での再生可能エネルギーの一次エネルギー供給量に対する割合は三七から四六%程度を見込んでおりまして、これは十分可能な数字というふうに思っているところでございます。

櫛渕委員 いろいろ再生可能エネルギーはあるかと思うんですけれども、再生可能エネルギーのどのような種類か、そのあたりについてはいかがでしょうか、それぞれの潜在力について。

小沢国務大臣 種類にしましては、太陽光発電あるいは風力発電、水力発電、地熱発電、太陽熱及びバイオマス等々を合計したものでございまして、このほか、現在研究開発等が推進されている海洋エネルギーあるいは温度差エネルギーなんかも想定されるところでございまして、まさにそういった分野を後押ししていきたい、こういうふうに思っております。

櫛渕委員 三月に環境省から発表されています再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査を見てみますと、本当に、大臣おっしゃるとおり、大変な潜在力がこの我々日本の国土にはあるなということを感じております。そして、例えば都市部では太陽光発電や太陽熱利用、沿岸部では洋上風力、農山村では木質バイオマスや小水力発電というように、豊かな自然、国土をフル活用して地域ごとに適切な再生可能エネルギーを普及していくということが、技術や産業の育成、国産エネルギーの拡大、そして地域活性化の観点から必要であると思いますけれども、環境大臣のお考えをお聞かせください。

小沢国務大臣 まさにそのとおりだと思います。まさに地域それぞれの特性に応じた再生エネルギーのつくり方という話があり得ると思っています。

 先ほど増子経産副大臣の方から、各地域でのいろいろな国民対話の話がございました。環境省も、経産省ほどではないんですが、八カ所、ブロックごとにまずやっていきたい、こう思っておりまして、そういった中では、いわゆるこういった再生エネルギーの海外事例といったものをビデオにして示していきたい、こう思っているんです。

 なぜ今それをするかというと、来年の四月は御案内のとおり統一地方選ですから、各地域でそういったことをお示しすることによって、来年の統一地方選は首長選も各級議員選挙も環境政策の公約の花盛り、そういうものを目指したい、こう思っているんです。

 各地域それぞれいろいろな特性があると思います。例えば、具体的に言えば、この間私、ボンへ行きましたら、ちょうど春ですから、物すごくきれいな菜の花畑ですよ。一面真っ黄色の菜の花畑。美しいな、こういうのと同時に、それはいわゆる菜種油を使っているわけです。そういう話もあれば、あるいはまた、農業関係でいうと、今までそのまま排せつをしていた豚とか牛とかのふん尿をこれまたメタンガスのところで再利用していくという話になると、農家の皆さんたちには肉を売ることと同時にそういった副収入があり得るわけでありまして、そういった話を、海外ではこれだけやれていますよということを示したいと思っているんです。

 そうすれば、それをそれぞれの地域の政治家、行政の皆さんたちが公約に出していく、それをそういう形で競い合うことによって、今まさに櫛渕委員がおっしゃったように、各地域ごとがこれで競い合うような、まさにそんな日本をつくっていきたい、こう思っているところでございます。

櫛渕委員 大臣、ありがとうございました。そういった意味では、来年の統一地方選が本当に歴史的な選挙になることを大変期待していきたいと思います。

 経済産業副大臣が退室ということで、御質問をさせていただきましたので、ありがとうございました。

 環境大臣、まさにそのお考え、この法案の中では、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、これは一年以内に成案を得ると示されております。今のお話のような考え方、つまり、自然豊かな国土をフル活用してさまざまな再生可能エネルギーを普及させていく、このことを柱にこの制度もつくっていくということで理解してよろしいでしょうか。

小沢国務大臣 そのとおりでございます。

 ただ、残念ながら今経産副大臣がお出になっちゃいましたが、再生エネルギーの買い取り制度は、基本的には経産省を中心に、しかし内閣一体でもちろんやらせていただきたい、こういうふうに思っています。

 大事なポイントは、やはり、さっき言ったようないわゆるエネルギーの作成手段と同時に、今委員がおっしゃったような、それを本当に買い取ってもらえるかどうかですよね。さっきの太陽光の話もそうでありますけれども、ドイツの買い取り制度、これが一気に太陽光発電を伸ばした要因になっているわけでありまして、そういった意味では、太陽光発電以外のいわゆるエネルギーの買い取り制度をどういうふうに設計していくか、これが極めて重要な話になっていると私は思っております。

 今後一年以内に基本計画をつくってまいりますが、そういった中でお示しをしていきたい。その間においては、国民各界各層の皆さんの十分な意見を聞かせていただいて中身を詰めていきたい、こう思っております。

櫛渕委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 こういった再生可能エネルギーについての国民負担がどれぐらいになるかということについては、国民へのコストリテラシーを高めるということで、実際幾らかかるかということではなくて、どんな種類のものがそれぞれ幾らで、それをやらなかったら逆にどうなるのかといった長期的な比較ということも国民が判断できる、そういった形でのプロセスも重要であるかと思います。

 それでは、時間も限られておりますので、国際交渉と国内対策について何点かお伺いをしたいと思います。

 外務副大臣にお越しいただいておりますけれども、国内対策によって温室効果ガスの削減を着実に進めること、並びに国内で気候変動に対応した産業構造が確立するといったことが、気候変動をめぐる国際交渉において日本の立場を強めることにつながるのではないか、このように考えますが、外務副大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

福山副大臣 櫛渕委員にお答えをさせていただきます。

 まさに委員おっしゃるとおりでございまして、日本は、昨年九月の鳩山総理の国連演説から始まりまして、鳩山イニシアチブの提言、そして小沢環境大臣にコペンハーゲンに行っていただき、間違いなくこの気候変動交渉の中ではプレーヤーの一人として国際社会に認知をされてきているというふうに思います。

 その中で、今回、小沢大臣を中心にこの地球温暖化対策基本法を御審議いただいているということは、日本は国際社会の中で約束したことを実際に国内対策としても準備を始めているんだというメッセージが国際社会に伝わりますし、この基本法の中に書かれております具体的な国内対策を進めていただくことによって、国際交渉上発言力がより増していくというふうに思います。そのことをもって、我々の目指します、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築ということについて、一つの法的文書を将来的につくっていく、そのための交渉のてこにさせていただければというふうに思っているところでございます。

櫛渕委員 今回の法案では、中期目標について、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的な枠組みの構築及び意欲的な目標の合意、これが前提ということになっているわけですけれども、まさにこれは、国際交渉と国内政策のリンクを示すものであるわけです。こういった合意形成に向けて国際交渉で強力なリーダーシップを発揮する使命を日本外交に課すものと言っていいとも思いますが、どのようにお考えでしょうか。

福山副大臣 全くそのとおりでございます。交渉の立場としても、国内対策の進捗状況をしっかりいただきながら頑張ってまいりたいと思っております。

櫛渕委員 先日、ゴールデンウイークには、環境大臣がドイツのボンで気候変動に関する非公式の閣僚級会合に御出席をされております。その報告を伺いましたけれども、改めて、出席していただいた状況と、日本が国際イニシアチブをとれるかどうか、そのあたりの可能性について御所見をお伺いいたします。

小沢国務大臣 ここでも御報告をさせていただきましたが、ある意味では、昨年のCOP15、コペンハーゲンの会合以来初めての閣僚級の会合ということでございまして、そういった意味では、ことしのメキシコのカンクンのCOP16に向けて大変いい弾みになった、まず総合的にはそういうふうに思っております。

 しかし、同時にまた、御案内のとおり、COP16では全体合意というのがなかなか難しいのではないか、こういう意見もあちこちから聞こえてきたのも事実でございまして、全体会合の中で具体的にそういう発言というのは私は余り気がつきませんでしたけれども、いわゆるバイの会談あるいはまたいろいろな報道を通じての発言等々では、そういった話が聞こえてきているのも事実であります。

 しかし、日本は絶対にまだあきらめないぞ、こういう話を今申し上げているわけでありまして、COP16に向けて、先ほど申し上げましたように、全体での話、それからあと、アメリカ、中国あるいは新興国を初めとしたそれぞれの関係国との話、あるいはまた、先ほどは南米の話をしましたけれども、そういう地域の皆さんとの話し合いの場、あらゆる場面を通じてこれからも頑張っていきたい、こういうふうに思っています。

 全体の中でも、やはり二〇一二年を間近に控えて、COP15のあの場面よりも、もう少しそれぞれの出席者が何とかしなければいけないという思いは持ってきているなというふうには感じています。ただ、メキシコに全部それを負わせて、メキシコでどうしても成功させなければいけないというプレッシャーも余り与えたくないというような発言も、実は個々の会合の中ではあったりするわけであります。

 もちろん、それが全部メキシコの責任になるわけではありませんけれども、逆に私なんかは、これは鳩山総理とカルデロン大統領のときもそうでしたが、とにかく全面的に議長国を支えるんだ、そのかわり、いわゆる議長国としての発言力、あるいはまた提案力、取りまとめの能力、そういったものも大いに発揮してもらいたい、こうも申し上げてきているわけでありまして、そういった全体の会合の進め方の仕組みも極めて重要なのかなと。ありとあらゆる方法をこれから総合的に考えていきたい、こう思います。

櫛渕委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 もう時間なので終わりたいと思いますけれども、最後に、これは非通告なんですが、同じくゴールデンウイークに外務副大臣がアメリカでパーシング温暖化問題担当次席特使と会談したということをお聞きしておりますので、もし関連の国際交渉にかかわる最新情報があればお聞かせいただけますでしょうか。

樽床委員長 簡潔にお願いします。

福山副大臣 簡潔にお答えいたします。

 アメリカのパーシング気候変動次席特使と会談をしてまいりました。基本的には、今、小沢大臣が言われましたように、メキシコに向けてモメンタムを上げていこうという話でございました。また、アメリカの気候変動に関する法案の行方等についても意見交換をしてまいりましたのと、重要なのは、長期の資金の問題について、アメリカとEUと日本で、この資金をどこから調達してくるかについて具体的な議論を早急に進めていかなければいけませんねというような議論をしてまいりました。

 以上、御報告申し上げます。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 きょうは、環境委員会での初質問ということで大変ふなれな中、環境大臣を初め各省庁からも副大臣においでいただきまして、本当にありがとうございました。

 環境と経済とエネルギー、この三つのトライアングルをどのようにしっかりと回すことができるのか、このことがこれからの先進国として大変重要であり、国際社会の中でしっかりと存在感を示していけるかどうか、大きな歴史的な局面に我々は立っていると思います。ぜひとも、一体化して、この温暖化対策基本法を一刻も早く成立させ、具体的な実行に進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

樽床委員長 与党の皆さんに申し上げますが、時間を厳守していただきますように、よろしくお願いをいたします。時間が常に超過をしておりますので、注意を申し上げさせていただきます。

 次に、木村たけつか君。

木村(た)委員 民主党の木村たけつかでございます。

 質問に先立ちまして、本日、このような質問の機会をいただきましたことに対しまして、樽床委員長を初め理事の皆様に感謝を申し上げたいと思います。初質問でございますので大変緊張いたしておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 先般、環境と観光、そして健康の三分野を中心とした需要創造型の新たな国家戦略が示され、まさに環境と経済の両立こそが日本経済の原動力となると大きく掲げられたところであります。とりわけ、このたびの政府提出基本法案は、国内の温室効果ガス排出削減量の実効性を担保するのはもとより、環境と経済の両立の実現、そしてさらには、将来において環境が経済を牽引していくといった大変力強いメッセージを、特に国民各界各層に対しまして発信するよりどころであると私は認識をいたしております。

 しかしながら、現下の日本経済の状況を見ますと、国民は長期的なデフレ不況にあえいでおり、企業の収益も低迷している。スイスの国際経営開発研究所の調査によりますと、我が国の国際競争力は、一九九三年は世界第一位でありましたが、二〇〇九年には世界第十七位まで転落をし、凋落の一途をたどっていると言われております。このような我が国の経済の閉塞状況をいかに打開しながら地球温暖化対策を展開していくかがまさに本基本法案の肝であり、本旨であると私は認識をいたしております。

 しかし、残念ながら、世界に目を転じますと、原子力発電に関しましては、韓国において李明博大統領みずからが先行してトップセールスを展開し、官民一体となった戦略的な売り込みを行い、成果を上げておられる。そして、水環境ビジネスにおいても、水メジャーと呼ばれるフランスのスエズ社やヴェオリア社などが、世界の至るところで、上下水道施設の設計、建設のみならず、運営管理まで一元的に担うことで受注をふやし、さらに売り込みを図っていると伺っております。

 こうした中、我が国において、ようやく昨今、水ビジネスに関しまして、官民出資ファンドと日本企業の連合体がオーストラリア第二位の水道事業会社を買収し、海外の水ビジネスに官民共同で初めて乗り出すことが明らかになりました。そして、原子力発電や新幹線など低炭素型のインフラをパッケージとして海外に輸出するという動きが出てきていることは大いに歓迎するものであります。この大型連休中にも、前原国土交通大臣が米国、ベトナムを訪れ、高速鉄道における日本のすぐれた技術をアピールし、トップセールスを展開されたと伺っております。

 こうした官民一体の取り組みは、まさに政権交代による政治主導の大きな変化の最たるものだと私は認識をいたしております。

 そこで、新興国、途上国に対するインフラ輸出に向けた政府の後方支援について、今日までの取り組みの状況と今後の見通しに対しまして、近藤経済産業大臣政務官に御質問させていただきたいと思います。

    〔委員長退席、横光委員長代理着席〕

近藤大臣政務官 木村委員にお答えいたします。

 木村委員におかれましては、日ごろから積極的に政策提言をしていただきまして、心から感謝を申し上げるわけであります。

 御指摘の新興国、途上国に対するインフラ輸出、どのような状況か、どういうことで取り組むのかという御質問でございまして、大変幅広い御質問であります。

 御指摘のとおり、現在、政府一丸となってこの分野に取り組んでいるわけでございます。とりわけ、アジアなど新興国、途上国に大きなインフラ需要が見込まれる中、我が国企業が持つ強み、とりわけ環境配慮などの高い技術、ノウハウを生かしてインフラ案件を獲得していくことは極めて重要な課題だろう、こう考えております。

 具体的には、さまざまなインフラ事業の運営、維持管理を含めた受注体制の構築、さらには、貿易保険、JBIC、JICAといった公的金融の機能の強化、さらには、各国の開発段階から政府として計画の策定への協力、また、相手国のニーズに合わせた支援や協力をパッケージにしてトップ外交を進める等々といった具体的なプログラムを各分野別に今策定しているところでございますし、既に進めているところでございます。

 システムで稼ぐということが一つのキーワードかな、こう思っているわけでありますが、単品ではなくてシステムで稼ぐということを成長戦略の柱として位置づけ、現在策定中の新成長戦略の大きな柱にする予定でもございますし、今後とも官民一体となってインフラの海外展開を推進してまいりたい、こう考えております。

木村(た)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 我が国において、目下不況下にあるといっても、ある意味では、国民の多くが物質的に満たされた生活を享受しているとも言えます。そしてさらに、今後は、少子化による人口減少が見込まれる中におきまして、国内需要のパイが限られていくのは自明の理と言えます。

 今日まで我が国は、ODAを軸に、途上国の経済成長に手を差し伸べて、その見返りとして、国際交渉の場面で我が国日本の立場に賛同してもらう、あるいは資源獲得に役立てるといった外交を展開してまいりました。

 しかし、今後は、急成長を遂げている中国を初めとするアジア市場に対し、我が国の環境産業がいかに進出をし、いかに国が積極的に後押しをするか、そして政府が前面に立って日本企業の環境技術、産業を売り込んでいくか、その手助けをするか、まさに国が商社のような役割を果たす、官民一体となった戦略的な環境外交が展開されることが必須であると私は考えておりますが、大谷政務官の御所見をお伺いいたします。

大谷大臣政務官 委員おっしゃるとおりだというふうに思います。常日ごろ、経済再生の政策、現場で拾ってきたものを提案されている木村委員だからこそ、本当に鋭い指摘だというふうに思っております。

 今、近藤政務官の方からもありましたが、そういうインフラ整備、セット、パッケージでビジネスモデルとして輸出をしていくというようなこと、このためには、直接的、間接的にいろいろな支援を政府がしていかなければいけない、そのとおりです。例えばスリーR、リサイクルをアジアの中で普及させていくためには、そういう啓発をしっかりとしなければいけませんし、何よりも法整備、だれがどこでどんな方法で処理をするのか、こんなルールもこの中でつくっていかなければなりません。

 間接的には、スリーR推進フォーラムというものを開催させていただき、アジア各国の皆さん方にお集まりいただいて、日本のノウハウや日本の経験みたいなものをお伝えするとともに、自国に合ったようなものを考えていただく、そんな場を提供させていただいたりとか、環境経済成長ビジョンにおいては、水、それからいわゆる静脈産業の中で日本の国内市場をしっかりとつくり直していって、それをもって、ノウハウでアジアに出ていくようなことを直接リードできるように提言させていただいたりというような役割をさせていただいております。

木村(た)委員 世界の中での戦略的な環境外交として、今日までEUにおいては、化学物質やさまざまな製品の規格においてEU基準を国際標準化することで、EU域内の企業の国際競争力を高めることに成功していると伺っております。

 我が国は、今こそグリーン技術を用いて、米国とも共同して、中国やインドを初めとするアジア太平洋地域の新興国、途上国の温暖化対策の環境問題に貢献していくべきであると考えております。

 オバマ大統領は、昨年十一月に来日した際に、米国の対アジア政策に関する演説を行い、米国をアジア太平洋国家の一員と位置づけるとともに、自身を太平洋地域出身の最初の米国大統領と呼ばれたそうであります。アジア太平洋に軸足を置いて環境を含めた外交戦略を展開していく考えを示唆しているわけでありますが、私は、地政学的にも、我が国が、中国、ASEAN諸国などアジア諸国と、太平洋を挟んだ米国とをつなぐアジア太平洋のかけ橋国家としての役割を果たすべきであると考えております。

 そこで、鳩山総理は、東アジア共同体構想を掲げ、鳩山イニシアチブを具体化しようといたしておりますが、私は、総理の東アジア共同体構想は、まずアジア太平洋地域の環境経済共同体からスタートするべきだと考えております。そして、アジア太平洋の共同体づくりは、まず環境分野、経済分野の協力関係、グリーン同盟を結ぶところから始めるべきであると考えておりますが、大谷政務官そして近藤政務官の御所見をお伺いさせていただきたいと存じます。

小沢国務大臣 大谷政務官ということでありましたが、僣越ながら私が答弁させていただきたいと思います。

 まず、木村委員が御指摘の点は私も全く同感であります。今、東アジア共同体構想の取りまとめを戦略室を中心に行っているところでございますが、環境分野をその大きな柱に据えるべきである、我々としてはそういう話を一生懸命させていただいているところでございます。

 では具体的にどうしていくのか、こういう話でありまして、先ほど大谷政務官からスリーRの話をしていただきましたが、もちろんそういった話、あるいはまたさまざまな技術協力の話になるわけでありますが、今、木村委員がグリーン同盟というお言葉をお使いになったかと思いますけれども、そういった話まで高めていくために、どういう最終的な姿を描き、どういうステップでやっていくのか、今本当に重要な局面だというふうに思っています。

 例えば、EPAといった話があります。普通、同盟というと、まず外交、安全保障、それで経済、EPAという話があるわけですが、そのもう一つ大きな柱はまさにそういった環境問題だ、こういう御指摘だと思います。まさにその三本の柱をしっかりと立てた共同体構想というのをつくることが必要だ、こう思いますし、この五月には、日中韓ではありますけれども、環境大臣会合が日本で開かれます。そういったときにも私としても率直な意見交換をさせていただきたい、こう思っておるところでございます。

近藤大臣政務官 大変重要な点を御指摘いただきました。

 問題意識は全く同じ思いであるわけでありますが、特に、具体的には、我が国の有する技術や製品による海外貢献を適切に評価する新たな仕組みをアジア太平洋地域で構築することで、すぐれたエネルギー・環境技術のアジア全体への効果的な普及を進めていきたい、こうした仕組みができないかということを今検討しておるところであります。

 こうした環境・エネルギー分野における協力関係づくりを初め、経済連携の推進等を含めた幅広い観点からアジア太平洋の共同体づくりに貢献してまいりたいと考えておるところでございますし、ことしはAPECの議長国でもございます、さまざまなステージがあろうかと思いますので、ぜひ折々に触れて委員からも御提言いただければありがたい、このように思います。

木村(た)委員 ありがとうございます。

 先月二十七日、政府の地球温暖化問題に関する閣僚委員会において鳩山イニシアチブの基本方針が決定したと伺っております。そこで、どのような内容であったのか、あるいは具体的な支援対象国や規模、そしてまたそれにより期待される効果などについて、大谷政務官に御説明をいただきたいと存じます。

大谷大臣政務官 簡単に内容を説明させていただきます。

 支援内容の規模の方なんですけれども、これは三年間で最大百五十億ドル規模ということで、官民合わせて百五十億ドルのうち公的資金が百十億ドルぐらいというふうに考えています。すべての主要国が参加する公平かつという前提のために使っていくということでございまして、どの国がこの国がというようなことではなく、温暖化に対して脆弱な国にももちろん支援をしていかなければなりませんし、戦略的にしっかりと使っていかなければいけないというふうに考えております。

木村(た)委員 次に、スマートグリッドについてお伺いさせていただきます。

 とりわけ新興国の経済成長を背景に、世界のエネルギー需要は二〇三〇年には二〇〇六年の約一・五倍に増加する見通しとされております。それに伴い、世界のエネルギー起源のCO2排出量も大幅に増加することが予想されております。このようにエネルギー需要の拡大が見込まれる中において、再生可能エネルギーの導入の拡大とエネルギー利用の効率化が大きな課題となります。

 しかし、再生可能エネルギーには、天候に依存する太陽光発電のように、不安定な出力の調整や効率的なエネルギーの利用などの課題があります。そのため、IT技術を駆使して不安定な出力を調整し、効率的にエネルギーを使用できるスマートな電力送配電ネットワーク、次世代電力網としてのスマートグリッドの整備拡大が必要となると考えます。

 我が国は、発電や送配電を制御し、安定した電力を供給する技術では世界のトップクラスにあり、個別の関連製品の技術力にもすぐれているとされております。しかし、米国では既にスマートメーターの設置や各種の実証実験など、スマートグリッド関係予算として四十五億ドルが計上されているほか、韓国では、グリーン成長国家戦略を策定し、スマートグリッドを成長分野に位置づけていると言われております。まさに世界では、スマートグリッドを単なる電力網の刷新や再生可能エネルギーの導入のための技術としてだけではなくて、国際標準化が進んだ暁には第二のインターネットに大化けすると踏んでいるからにほかならないと私は認識をいたしております。

 そこで、お伺いさせていただきます。このようなスマートグリッドの導入に向けた各国の動きをどのように認識されておられるのか、また、我が国が国際基準の規格づくりにおいて後塵を拝することがないのか、近藤政務官にお伺いさせていただきます。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 スマートグリッドにおいては、御指摘のように、標準化、すなわちつながるためのルール化の役割が非常に大事だ、こう考えております。

 欧米においては、例えば、米国国立標準技術研究所が本年一月にスマートグリッドのロードマップを公表しており、我が国も他国に先駆けて戦略的に標準化に取り組む必要があると認識しております。

 本年一月には、特に重点的に国際標準化を進めていくべき分野として二十六の技術分野を特定いたしました。

 米国も取り組んでおりますが、我々も負けるわけには、勝ち負けの話じゃございませんが、やはり標準をとったところがこのビジネスのイニシアチブをとる、政府が標準を握ることが極めて大事だ、このように認識しておりますので、積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

    〔横光委員長代理退席、委員長着席〕

木村(た)委員 私は、我が国がこうした世界の潮流からおくれることなく、スマートグリッドの日本主導の国際標準化を目指していくべきではないかと考えております。そのためには、政府の積極的なバックアップのもとに、電力、ガス、IT、そして家電、建設業界も加えた官民一体でのオール・ジャパンで取り組んでいくことが肝要であると考えております。

 近藤政務官、あわせて小沢環境大臣に御所見をお伺いさせていただきます。

小沢国務大臣 本当に、総合的な取り組みが必要だという点は全く同感でございます。

 私のいわゆる試案として出させていただいた中長期ロードマップの中においては、二〇三〇年、日本版スマートグリッド普及率一〇〇%ということでやらせていただいているわけでございまして、各省としっかり連携をとってやってまいりたいと思いますし、先ほど近藤政務官からお話もありました、いわゆる世界標準をどういった形で日本が獲得していくか、それに全力で関係各省と力を合わせてまいりたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、標準化をとるためには、官だけではなくて、やはり実際に事業をやられている民間の方々と連携することが極めて大事だ、このように考えております。

 こうした認識のもとで、このスマートグリッドの標準化や企業の海外展開を官民一体となって推進する母体として、四月六日に、これはNEDOが事務局になっているわけですが、エネルギー、重電、通信、ディベロッパー、こうしたさまざまな企業の方々に参加をしていただいたスマートコミュニティ・アライアンスというものを設立いたしました。既に三百を超える企業の方々に参加をしてもらっております。四月の中旬にはアメリカにミッションを派遣いたしまして、こうした標準化にかかわる政府機関も訪問をし、意見交換をしておるところでございます。

 今後とも、本アライアンスと経済産業省が連携をいたしながら、全力で国際的な標準化活動、さらには事業の展開を進めてまいりたい、こう考えております。

木村(た)委員 次に、水ビジネスについてお伺いさせていただきます。

 民主党内でも、樽床委員長を会長に据えて水議連が開設をされ、大変活発な議論がなされているところでありますが、水はまさに生命にとって必要不可欠なものでありますと同時に、今後、中国、インドを初めとした新興国及び東南アジアの国々において、人口の増加や経済発展、工業化の進展に伴い、水の利用や水の処理に対する需要が急速に高まることが見込まれております。

 地域別では、南アジア、中東・北アフリカにおいて年間一〇%以上の水市場の成長が見込まれているほか、市場規模の観点からいたしますと、東アジア・大洋州が北米、西欧の市場を今後二十年間の間に抜き去り、世界最大の水市場になると見られております。

 そこで、まず、国際水ビジネス市場及びその市場規模の現状と今後の見通しについて、近藤政務官にお伺いさせていただきます。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 世界の水ビジネスの市場規模ということでございますが、足元でありますけれども、二〇〇七年は約三十六兆円であります。この三十六兆円の市場規模から、二〇二五年には約八十七兆円に成長すると見込まれております。御指摘のとおり、中国等の新興国、中東諸国において急速に需要が高まることが予想されております。

 また、こうした世界的な水処理需要の増大に伴う水ビジネスの市場に対応するため、経産省といたしましては、水ビジネス国際展開研究会を開催し、官民挙げての水ビジネス分野での取り組み方針を先月取りまとめたところであります。

 七つの行動計画を策定いたしました。とりわけ、GGベース、政府間では、相手国との政策対話の実施、革新的な技術開発・実証、さらにはコンソーシアムの支援等々、七つの方策を取りまとめているところでございます。実行してまいりたい、こう考えます。

木村(た)委員 また、我が国の水ビジネス関連産業の強みは、海水の淡水化等に用いる水処理膜やプラントの建設技術にあるとされております。それ以外にも、耐震技術、漏水防止に関連する技術、下水再利用等の省水分野の技術についても強みであるとされておりますが、我が国の水ビジネス産業の弱み、そして代表的な国際メジャーの有する強みは何なのかについてもあわせて近藤政務官にお伺いさせていただきます。

近藤大臣政務官 我が国の水ビジネス関係の産業の弱みは何か、こういうことでございますが、端的に言うと一点に絞られるかと思うのですが、我が国においては水事業が長らく公営事業として実施されてきたため、我が国の企業が、海外案件の入札に際して必要とされる規模、例えば量であるとか対象の人口であるとか、こうした必要規模の事業運営や管理実績がないということでございます。

 他方、世界のいわゆる水メジャー、ヴェオリアであるとかスエズといった企業でありますが、こうした水メジャーは、技術的な優位性が我が国の企業と比べて特にあるとは認められないわけであります。しかし、他方、大規模な事業経験や長期にわたる事業実績を有している点が強みであります。また、設計から建設、調達、さらには運営、資金回収、管理まで一貫して元請可能なマネジメント力を持っておる、事業のリスク管理能力を持っている、さらには資本調達力もある、こういった点が強みとして挙げられております。

木村(た)委員 国際的に企業が参入できる世界の民営水市場は、給水人口ベースで見ると、九九年の三・五億人から二〇〇九年には八億人に拡大するとされております。その中で、欧州主要企業が占める割合は二〇〇一年の七割をピークに減少傾向にあるとされておりますが、そのかわりに、昨今は、シンガポール、韓国などの新興国企業や現地の企業の事業受注が増加しているとされております。

 そこで、海外企業が我が国の水施設関連に参入しようとする際に国内企業がその競争に敗れてしまうおそれすらあることについて、水の安全保障の観点からそれをどのように受けとめておられるのか、大谷政務官の御所見をお伺いさせていただきます。

大谷大臣政務官 ありがとうございます。

 現時点において、私、日本において何らかの形で外国資本が水施設に直接的に参入ということは承知しておりませんけれども、そんなことがなきよう、国内産業、水にかかわる産業をしっかりと育成していくように提言していきたいというふうに思いますので、また委員の御指導もいただけますようお願い申し上げます。

木村(た)委員 また、我が国では、上水は厚生労働省、そして下水は国土交通省、浄化槽は環境省など、省庁縦割りになっていることも問題を大変一層複雑にしている原因ではないかと考えます。

 この点について、水の安全保障の観点から、内閣府の一元的管理を検討し、水担当大臣を設置する、このぐらいの覚悟が必要ではないかと私は考えますが、大谷政務官の御所見をお伺いさせていただきます。

大谷大臣政務官 ばらばらになっているという問題意識は、私も共有をさせていただいております。

 しかしながら、本当にそういう省庁が要るのかどうなのかというのはまたこれからの議論だというふうに思っておりますが、平成十八年には閣議決定で第三次環境基本計画というのが定められておりまして、川でいうならば治水や利水との整合性を図っていくなど、いろいろな意味で水にかかわるものを内閣がしっかりとやっていくということにおいて、何も新たな大臣、新たな省庁をつくらずともできるのではないのかなと思っております。

 こんな問題意識を持ちつつ、環境省は水のことに関してはしっかりとリーダーシップをとっていきたいというふうに思っておりますし、私め、大谷信盛政務官、今は環境省の中で水環境戦略タスクフォースの座長を大臣の命のもと拝命し、取り組んでいるところでございますので、ぜひとも御指導賜りますようお願い申し上げます。

木村(た)委員 大谷政務官にぜひ水ビジネスの牽引役となっていただきますように、よろしくお願いいたします。

 最後に、中国の水ビジネス市場についてでありますが、人口増加や経済成長を背景に成長、拡大が見込まれており、二〇二五年には世界の水ビジネス市場の約一五%を占めるとされております。こうした環境問題への関心が高まるとともに、水需要の急激な増大に対応し、下水や工業用水を再利用する工場をふやしていくことも大きな課題となっているとされております。

 そこで、我が国の水環境ビジネス企業が中国を初め諸外国の水環境ビジネスに参画する上で、日本政府がそれをサポートするべき方策について、近藤政務官そして大谷政務官に御所見をお伺いさせていただきます。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 中国への事業展開にどのようなサポート策があるのかということでありますが、これは基本的にはどの国でも同じかと思うんですけれども、我々といたしましては、やはり運営主体の運営ノウハウというのが地方公共団体にある、こういうことでございます。ですから、その場合、地方公務員が有するノウハウをどのように活用できるのかといった具体的な方策だとか、さらには官民パートナーシップの推進体制であるとか、さらには、つながるという意味では水ビジネスもスマートグリッドと同様で、国際標準化の取り組みを強化しなければいけないとか、これはどの国であれ、やらなければいけないことは同様かと思っております。

 また、単体の水事業だけにかかわらず、ほかの事業も含めて、ワンストップショッピングではありませんけれども、政府がODAも含めて展開することが必要でありましょうし、また、ファイナンス、JBICなり貿易保険の活用ということも極めて重要だろう、日本の強みになるのではないか、こう考えておりますので、こうした体制を省庁連携をとりながらとってまいりたい、このように考えております。

大谷大臣政務官 経済産業省としっかりと連携をとりながら頑張っていきたいというふうに思っております。

 とりわけ、環境省的には、現場アジアの国々の水質汚染、水質の浄化であったり、まずはそういう環境インフラ整備というようなことから、公害対策みたいなことからしっかりと役割を果たしていきたいと思っております。

木村(た)委員 近藤政務官、わざわざお出ましをいただきましてありがとうございました。環境と経済の両立、持続可能な社会づくりに向けて今後とも御指導を賜りますように、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 今回審議されております基本法案に対しまして、自分自身、四月の二十三日、四月二十七日、そしてきょう三回目の質問、こういう状況にあります。これだけ質問させていただく機会を与えていただいたことに感謝を申し上げながら、質問に入らせていただきます。

 大臣試案として出されているロードマップの内容、その中のエネルギー供給は原子力発電依存が非常に大きい、このことに自分自身懸念を抱いております。現在五十四基、二〇〇八年度の稼働率六〇%、この原発を八基新増設をして、二〇二〇年度に最大六十二基にしていく、そして稼働率を八八%まで上げる、こういう姿を描いております。

 しかし、十四年五カ月ぶりに再開をされました「もんじゅ」、一週間たたずの段階で、もう操作ミス、トラブルが続いているのでございます。

 四月二十七日の参考人質疑に大変御多忙の中御出席をいただいた西岡先生そして伴先生も、将来的には原子力に頼らなくても済む状況が生まれてくるのではないか、こういう一つの予想も出されて、そして私たちに御指導もいただいたんだろうというふうに私自身思っております。

 そこで、確かに二〇二〇年までのロードマップ、こういう計画ではございますけれども、しかし、今出発点でもあるというふうに私は思っております。だとするならば、やはり再生可能エネルギーを基本としながら、エネルギー供給計画を私たちに、さらには国民全体に示すべきだ、こういうふうに自分自身は考えております。

 そういう中において、今回試案として出されてきたこのエネルギー供給について、大臣としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

小沢国務大臣 吉泉委員の原子力に対する御見解は、これまでも何度かお聞かせいただいてきたところでございます。

 私のいわゆる試案の中で出させていただいて、既に委員からも御指摘をいただいておりますけれども、いわゆる八基の新増設、あるいはまた八七から八八%の稼働率。

 しかし、これはぜひ御理解を賜りたいのは、今後温暖化対策をやっていく上で、あらゆる政策を総動員していくということの一つであるという位置づけ。さらにはまた、実はこれは新たな提案ではございません。

 これは、あくまでも今までの政府提案をそのまま、あるいはまた既に電力会社により企画をされていた八基、あるいはまた過去の政府が柏崎刈羽原発が停止する前に閣議決定した達成目標八七から八八、それを採用したものでございまして、そういった意味では、ここの部分に関して新たにさらに上の目標というものではないことはぜひ御理解をいただいて、しかし、これまで発表されているものに関してはぜひ実現をしていく中で温暖化対策を進めていきたい、こう思っているところでございます。

 再生エネルギーをもっとやったらいいじゃないかというお話はそのとおりでありまして、再生エネルギーに関しては、御案内のとおり、新たに上の目標を、さらなる目標を加えたところであります。

 また、私としては、省内あるいはまた閣内においていろいろ議論をしていく中で、今回掲げた数字よりも、もっと社会は進んで民間企業も頑張ってくれるのではないかと実はひそかに期待をしているところでございますけれども、そうはいっても、しっかり、着実に積み上げた数字という意味でああいった数字を出させていただいておりますが、再生可能エネルギー、ここのところをしっかりやっていくという委員の思いも、それは共有のものでございます。

吉泉委員 先日の連休一週間、ドイツへ視察に行ってきたところでございます。日本は新しい政権になった、その中で、各議員、政党は日本のいわゆる温暖化対策に大変興味があったというふうに自分自身は思っております。

 その中で、シンクタンクである再生可能エネルギー機構にもお邪魔をさせていただきました。やはり世界的にも相当進んでいる、そういったところをつぶさに教えていただいたところでもございます。

 八基を新増設する、このことについては今大臣から、前の政権から引き継いだものだ、こういう答弁がなされたわけでございます。しかし、ドイツそのものから見るならば、まさに再生可能エネルギーを基本にしながら、最終的に足りない、こういった場合は原発に頼らざるを得ない、こういう一つの姿勢なわけでございます。そして、日本と同じように、これからの、将来のいわゆる産業の成長戦略、このところをきちっと、再生可能エネルギーを基軸としながら物事を、戦略を描いている。

 こういったドイツの現状を見たときに、日本は確かに、口では、さらにはいろいろな文の中で文字面では出てくるわけでございますけれども、しかし、そういう中からいえば、もう少しきちっと私たちは計画を、さらには国民に発信をしていかなきゃならない、こういうふうに思っているところでございます。

 そして、自然エネルギーの一番大きな問題となっていくのが全量固定価格買い取り制度なんだろうというふうに私は思っております。この制度を確立していくことについては、電力業界、さらには電気事業法を含めたいろいろな法律の縛りもある、こういうふうに思っております。

 この法案が成立をするならば、具体的な基本計画がこれから出されるというふうに思うわけでございます。しかし、現時点において一つの基本法が今審議されているわけでございますけれども、これを可決したら具体的に進んでいくという状況であるならば、電力業界なりさらには多くの法案の縛り、こういったところが現時点の段階で、買い取り制度成立に向けて方針を具体的にしていく作業がどこまで、どういうふうに進んでいるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

小沢国務大臣 委員の方から、まず再生エネルギーでやって、足りないところを原子力というドイツ流の考え方があるではないか、こういうお話がございました。政府としてそういった話を具体的にしているわけではありませんけれども、大変貴重な御提案として私もお聞かせをいただきたい、こういうふうに思っております。

 ややもすると、やはり我が国の場合は、産業政策的、エネルギー政策的には、再生エネルギーへのある意味では期待、あるいはその現実性に対する評価が諸外国と比べて低過ぎるというふうに私も実は思っているところでございまして、ぜひまた閣内においてそういった発言を申し上げ、さらにはまた政策を大いに推進してまいりたい、こういうふうに思います。

 技術と同時に買い取り制度が重要だ、こういう委員の御指摘もそのとおりでございまして、現時点においてはまだ具体的な制度設計を政府全体で進めるというところまでは至っておりません。まず、そういった制度を行うというこの基本法を仕上げさせていただく、これがまず政府全体の今の立場でございます。

 同時に、主担当であります経済産業省の方では、先ほど来答弁がございましたけれども、既にそういった試みの案を、四パターンだったと思いますけれども提示しながら、国民各界各層と議論を始めている段階、こういうふうに承知をしております。

 それを、この基本法ができ上がりましたらば、いわゆる基本計画をつくっていくということの中で、閣僚委員会あるいはまた副大臣級検討チームになるかわかりませんが、政府の中でしっかりと議論をスタートしなければいけない、こういうふうに思っています。現段階では経済産業省で議論を進めていただいている、こういう段階でございます。

吉泉委員 大臣、ちょっと残念だなというふうに率直に思います。

 私自身、農林の方も委員として入っているわけでございますけれども、農村の地域の活性化、こういう一つの目標に向かって、六次産業化という方向も打ち出されているわけでございます。

 確かに、今経済産業省の近藤政務官の方から、原子力の推進は重要だとの答弁がなされました。しかし、これから私たちの低炭素社会、脱化石社会をつくるについては、私は、一番最初に質問に立たせていただいたときに、まさしく産業革命だという一つのとらえ方だ、こういうお話をさせてもらいながら質問をしたつもりでございます。

 ドイツにおいても、買い取り制度をやっていく段階においては、それぞれの利害の対立は確かにあった。これを乗り越えなきゃならない。日本においても、エネルギーというならば、まさに電力業界という大きな一つの産業界があるわけでございます。そして、今、産業界、電力業界から言わせれば、まさに今大臣が言いましたように原子力を進めている、こういう現状なわけでございます。

 しかし、国民からするならば安全の担保がまだなされていない、だからこそ稼働率がまだ進んでいない、こういう状況だと思います。自然エネルギーをどんどん供給するについても電力業界の方からの全面的な協力をもらわなきゃならない、こういうのが現実だというふうに思っています。

 今まだ検討の段階なのかというふうに思うんですけれども、まだそこまで至っていない。だとするならば、やはり大臣、環境省がリーダー的な役割を果たして、そして産業経済、さらには農林、いろいろなセクション、段階において大臣のリーダーシップを発揮するべきだろう、私はこういうふうに思います。

 そして、これは試案だ、こういうふうになっていますけれども、自然エネルギーのところをもっともっと、あらゆる人たちが積極的に投資される方向を打ち出していく、このことが大事だというふうに思っております。

 その面で、もう一度、大臣の方から見解をお聞かせ願いたいと思います。

小沢国務大臣 吉泉委員からの、ある意味では叱咤激励と受けとめさせていただきたい、こういうふうに思います。まさに、私としては委員と全く同じ気持ちでいると言っても差し支えない、こう思うわけでございます。

 しかし、委員がまさに御指摘のように、やはり電力業界の考え方もございますし、さらにはまた、各界各層あるいは各機関のこれまでの取り組みの度合いもございます。

 そういったことを本当に変えていく、それが新政権のある意味では役割だというふうに改めて心得て、そして、自然エネルギー、再生エネルギーを有効に使えるような仕組み。スマートグリッドの議論も先ほどありましたけれども、まさに、そういったところに大いに活用できるわけですから、そういった意味では全く新しい仕組みとして、吉泉委員の御指摘のとおり、しっかりやらせていただきたい、こういうふうに思います。

吉泉委員 私の持ち時間は二十分でございますので、あとがございません。残念です。

 ただ、鳩山総理が世界に宣言をしたわけでございます。だとするならば、私方として、国民一人一人として、その総理の発言、さらには宣言したことについて全力で私たちは向かっていかなきゃならない。これが国民のやはり任務でもあるだろうし、ましてや私たち議員としての任務でもある、こういうふうに思います。

 いろいろな業界との、さらには関係団体とのあつれき、そういうものもあると思います。しかし、先ほど申したように、大臣の強力なリーダーシップのもとで、法案は自民、公明からもそれぞれ出されているわけでございますけれども、基本的には共有する部分は皆同じだというふうに私自身思っておりますので、これから脱化石、低炭素社会に向けて全力で自分自身も踏ん張っていくという決意も新たに申し上げながら、自分の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 地球温暖化による気候変動対策の基本法案として、政府案、公明党案、そして自民党案の三法案が出そろって、政府案の問題点や課題が多くの点で浮き彫りになり、その議論が深まってきたところでございます。

 この地球温暖化、気候変動問題は、日本の温暖化対策のみならず、経済社会構造の大きな方向性、国の形を示すものでありまして、まだまだこれは十分な審議が必要とされるところでございます。委員長におかれましては、さらなる議論が大変重要となっているこの段階で、議論の途中で強行採決などよもやなさらないよう申し上げて、質問に入らせていただきます。

 次期国際枠組みについて、まず大臣に二、三お伺いをさせていただきたいと思います。

 すべての主要排出国が入った一つの国際枠組みづくりというのが日本にとっては死活的に重要であることは、これまでも述べてきたとおりでございます。しかし、現実は、京都議定書の枠組みと、そこに入っていないアメリカ、中国、インドなどの枠組み、これら二つができそうな状況にあるというのは、これまでの大臣の御報告等からも、また国際交渉の状況等からもわかりつつあるところでございます。この二つのワーキンググループを一体化して一つの枠組みをつくることが決定的に重要となっております。

 大臣も先日、ドイツでの国際交渉に臨まれまして、大変御努力、御尽力をされていることはよくわかっているつもりでございますが、現実には、京都議定書の延長と、アメリカや中国はそこに入らないで、別の枠組み、いわば緩い法的拘束力でやっていこうとする動きが進んでいるわけであります。

 大臣はどのような戦略を持ってこのような国際交渉の次期国際枠組みの状況を打開しようとされているのか、まずはお伺いをさせていただきます。

小沢国務大臣 もう江田委員もよく御存じのとおり、今の国連のこの気候変動の問題に関しては、具体的には二つの作業部会、AWGLCAとAWGKP、こういう二つの作業部会ができているわけであります。

 そういった中で、しかし、それがそのまま、将来、いわゆる京都議定書グループと、それから、それに入らないアメリカを初めとする緩やかなグループ、こういう言い方を委員はされましたけれども、そういう二つのグループにそのままいくという話でもない、こういうふうにはまず思います。

 私は、斉藤大臣から引き継いだときに、この二つの作業部会があって、斉藤大臣も大変努力をして、作業部会そのものを一本化すべきだという努力をしてきた、こういう話も承りながらそれを引き継いだわけでありますけれども、正直言って、それが実現をするのはなかなか難しいところがございます。

 もう既にヨーロッパ等々は、これは個別の会談の中ではありますけれども、全体の会合ではありませんけれども、個別の会合の中で、アメリカが改めていわゆるAWGKPの方に入ってくるのは不可能なので、とりあえずAWGKPの方の話を進めて、そして後からアメリカを入れるようなそういう仕組みを考えましょうよ、こういう発言、提案なんかがあるのも事実でありますが、それは、この前も御報告申し上げたように、日本は、それはアメリカが必ず入ってくるという保証があるんだったらいいけれども、そういうことはあり得ないので、日本としては残念ながらそれは受け入れられない、いわゆる京都議定書の単純延長というのは日本は受け入れられませんという話を一貫して申し上げてきているところでございます。

 それならば、ではどういう形で最後仕上げていくのかということでありますが、これまた先ほど来申し上げておりますように、いわゆる国連でのそうした各会合、そういった会合の全体会合の中で、しっかりと有効で実質的な、いわゆるポスト京都の条約ができることが望ましい。実質的に本当にCO2を削減でき、温暖化をストップできる、そういう枠組みをつくることが重要だということを一貫して主張し続けながら、同時にまた、各国とこれまた粘り強く交渉をしていく。特に米国、中国、あるいは新興国というところと粘り強く交渉していく。さらにはまた、先ほども申し上げましたが、GRULACという、南米、こういったグループの、まさに地域としての集合体に対しても、そういったものを主張していく。

 こういうことを粘り強くやっていくのが今の我が国としてやれることだ、こういうふうに思っております。

江田(康)委員 現在の国際交渉の状況は大変厳しいという認識を大臣も示していただいております。

 そういう中で、先般も大臣申されましたように、今は、コペンハーゲン合意を土台として、そこを出発点として一つの枠組みをまとめていこうとする動き、また、全力で各国との交渉を粘り強く続けながらその方向で行かれるということだと思いますが、このコペンハーゲン合意というのも、これまでも大臣も申されておりますように、どう評価しているのかということであります。さらには、これからの国際交渉の枠組みは、コペンハーゲン合意のようなプレッジ・アンド・レビューでいいのか、こういうような問題もこの委員会でも随分と議論をしてまいりました。

 そういう中で、このコペンハーゲン合意というのは、これは一つの出発点ではあるけれども、やはりこれは各国が勝手に自分の目標を言っているだけでありまして、今審議しているところの基本法の前提条件の公平な枠組みや意欲的な目標といった条件には当てはまらない、なかなかそういう状況ではないというのをこれまでの議論でも大臣は答弁をなされているかと思います。

 であるならば、今のような状況、このコペンハーゲン合意のような状況が続けば、政府案はいつまでたっても機能しない法案になってしまう、ここが問題であるということを公明党は一貫して懸念して、主張しているわけでございます。この前提条件がある限り、いつまでたっても有効な基本法にならない、法的拘束力を持った二五%中期目標が確定できない。こういうことが果たして基本法としてあっていいのか、このことを非常に懸念し、また重要なポイントとして一貫して質問をさせていただいているところでございます。

 そこで、基本法の前提条件について再度また深掘りしてお伺いをさせていただきたいと思うのですが、今言いましたように、政府案の最大の問題点というのが、温室効果ガスの二五%削減目標に、全主要国による公平で実効性ある枠組みの構築と意欲的な目標の合意といった前提条件をつけたことにあるわけでございます。

 何度も重ねますけれども、この前提条件が満たされたと政府が判断したならば二五%削減の中期目標が設定される、それまでは二五%削減の目標は施行されない。いわば政府案は、二五%という高い目標を掲げながら、実際には二五%を凍結してしまう、否、二五%を放棄してしまいかねない法案になっているということが最大の問題点であると思っております。

 やはり今、明確なメッセージが国民また産業界全般に必要なわけでありますけれども、持続可能な低炭素社会を築いていく、転換していく、これが必要なわけですが、明確なメッセージがなければ、国民も企業も大胆に行動を開始して投資や技術革新が進むというわけにはまいりません。やはり、新しい産業を生んでいく、こういうグリーンニューディールにもつながっていく、こういう明確なメッセージが必要とされるわけですけれども、これこそが環境を軸とした成長戦略の柱ではないかと思うわけでございます。

 これまで何度も主張してまいりましたけれども、改めてお伺いをいたします。政府案にある前提条件を外して、公明党案にあるように、国際的動向、最新の科学的知見を勘案して、必要があると認めるときは、法律の改正をもって中長期目標を見直すことができるとする規定を設けた方が適切であると公明党は一貫して考えますが、大臣、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

小沢国務大臣 まず確認をしておきたいことは、私どもも公明党の皆さん方も、とにかく二五%という高き目標を共有しているという点では同じだということなんだろうと思います。そこはお互いに確認をし合いながら、しかし、我々は、先ほど来お話があるような条件つきでいる、公明党さんは、二五%という話は、そのことそのものはないけれども、いわゆる国会審議という場を経てではあるけれども、数字そのものを変えることがあり得る、こういう話でありまして、公明党の皆さん方の考え方を私は一概に否定するつもりはありませんし、大変有力な考え方の一つだというふうに思います。

 しかし、私どもとしては、総理が国連演説でそれを表明して以来、二五%という数字はある意味で国際的に大変重要な数字になっておりますので、その二五%という数字が変わるかもしれないという懸念が出るような話は、まず避けたいというふうに思います。

 それから、同時にまた、中期目標については、そういった条件つきの中期目標にすべきであるという意見が国民からも多く寄せられているという話は委員も御承知のとおりでございます。ですから、ここは、残念ではありますが、我々は、この条件つきの中期目標でぜひやらせていただきたい、こう思っているわけでございます。

 ただ、お互いに二五%削減に向けて頑張るという気持ちは共有であるというところをぜひ確認させていただきたいと思います。

江田(康)委員 二五%削減という思いは共有でございます。であるからこそ、この主張をしておるわけでございます。

 では、今のような国際交渉の状況、コペンハーゲン合意のような状況が続けば、先ほども言ったように、政府案はいつまでたっても中期目標二五%が確定しない、機能しない法案になってしまいます。これに対して、小沢大臣も鳩山総理も、さきの審議で、国際合意が成立しなければ、二五%削減目標は法的拘束力もなく国際約束にならないが、二〇五〇年の八〇%長期目標に向けて積極的な削減努力をしていくとの規定が別途あるので大丈夫である、このような答弁をなされております。

 十一日の総理入りのこの環境委員会で、我が党の斉藤議員が、大臣並びに総理のこの御認識に大きな誤謬があるということを指摘させていただきました。覚えておいでであるかと思いますけれども、最終的な目標である二度C以内に抑える、四五〇ppmに抑えるためには、二〇五〇年に急激にそれを減らしてもこれは達成できない、四五〇ppmをはるかに超してしまう、そのような状況になる、したがって早期に減らさなければならない。ここが大変に重要でありまして、これから十年から十五年の間に世界で早期ピークアウトをすることが必要だ。日本の場合は既にピークアウトをしておりますから、早期の削減、これが大変要求されてくるわけでありますね。この指摘に対して、総理の答弁は、全く答弁になっておりませんでした。論理的でも全くございませんでした。

 中期目標が基本法で確定せずに、早期に削減する担保は一体どこにあるんですか。小沢大臣に、早期に削減する担保があるのかどうか、改めてそれをお伺いさせていただきます。

小沢国務大臣 先日の斉藤委員と総理とのやりとりというのは、私はわきで聞かせていただいていて、お二人とも本当に、いわゆる理科系御出身の、科学者同士のいい討論だなと思って実は聞かせていただきました。

 今、江田委員が御指摘のとおり、日本はもう既にピークアウトしているわけで、そういった意味では、できるだけ早期に下に水準を持っていかないと、あのとき総理は、インテグレートされた部分が大きくなる、こういう言い方をしたわけでありまして、日本語で言えば積分ですよね。そこの、まさにこういう排出量の総和が大きくなるという話を言って、ああ、この国会、委員会で本当に数学的な話が通じるんだな、こう思って聞かせていただきました。

 でありますので、そういう意味では、総理もできるだけ早くその積分、総和のところを小さくしなければいけないという思いは一緒だという意味では、ぜひ江田委員にも御理解をいただきたいと思います。

 その上で、担保はあるのか、こういう話でありますので、申し上げておきたいのは、まず一つは、基本計画という話の中で、ロードマップをしっかりと政府全体の案にしていくことが必要になると思いますし、その上で、基本計画にどこまで具体的なそういうものを書き込んでいくかということも当然議論をしていかなければならないわけであります。

 いつも申し上げているように、考え方として大きく二つございまして、例えば、これは今直接の質問ではありませんが、いわゆる真水の議論を含めて、そういったものを早く示さないと経済界あるいは国民の皆さんもなかなか対応しづらいよ、こういう意見が一つと、しかし、そこの部分はやはり国際的な交渉もあるので、あくまでもトータルで二五%削減するというのは、これは絶対の約束なわけなんだから、そこのところはまだはっきりさせないで国際交渉に臨みたい、こういう意見も片やある。

 そういう中で、恐らくこれからエネルギー基本計画を政府としても出していかなければいけません。そういった中で、ロードマップというのを一本化していかなければいけません。そういう議論の中で今の両点を詰めていくということになる、こう思っております。

 担保はあるかという話に関しては、具体的にこれだという話ではありませんけれども、今のようなことがこれから予定をされておりますので、そういった中で、この国会でもさらに議論を深めさせていただきたい、こういうふうにお願いをしたいと思います。

江田(康)委員 逆に言えば、この法案が審議される現時点においてはその担保はないと。今大臣がおっしゃったように、これから、基本計画やロードマップ、これを政府の全体の案にしていく、そしてその中に、真水、国内対策の目標を初めとする実効性のあるところがどこまで書き込んでいけるのか、確かにそういうふうに私も思うからこそ、今御質問をさせていただいております。

 一つだけ言っておきますが、現時点では、やはりその担保がない中で我々は審議をしているんですよ。だからこそ、公明党のようなこういう懸念事項が出てくるわけで、たしか先日、公明党案の見直し規定が緩いということをおっしゃいました。この前提条件つきの政府案よりも公明党の見直し規定の方が緩いのではないか、こういうことをおっしゃる閣僚がございますけれども、これは全く逆で、これは、現時点ではそういう担保がありませんから、政府案の前提条件の方が現時点でははるかに緩いというのが衆目の一致するところであると私は思うわけでございます。

 続けて質問をいたしますが、今のことと関連してまいります。

 斉藤議員から、公明党として二つの提案を先日の委員会で行いました。一つは、先ほども申されました、前提条件は外せない、そういう中でこの議論が進んできております。であるならば、少なくとも二度C目標と早期のピークアウト、先ほども申し上げましたように日本は早期削減、これをセットで条文または基本計画に書き込めないかということが大変重要になってまいります。これに対して、そういった数値を盛り込めないか検討するということを、これまでの審議で大臣も総理もおっしゃいました。これは大変前向きの答弁でございまして、評価するところでございますが、しかし、受け手としましては、どうもまだまだ不明確でございます。

 この二度C目標と早期のピークアウト、日本は早期削減、これをセットで盛り込む、こういうことを大臣に明言していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

小沢国務大臣 私もかねてから二度Cの話に関しては基本計画に盛り込みたいという話を申し上げましたし、先般、総理もそういう発言をいたしました。でありますので、最大限それで努力をしてまいりますので、御信頼をいただきたいと思います。

 早期のピークアウトをどういう形で書くかということは、ある意味ではきょう初めての議論のような気がいたしますけれども、気持ちとしては、そういったものを書いてまいりたい、こういう気持ちはございます。具体的にそれをどういう形にするのか、二〇五〇年、二度Cというのは明快に書けるわけでありますけれども、早期のピークアウトという書きぶり等は、そういう気持ちを持っておりますことは間違いありませんので、工夫をさせていただきたい、こういうふうに思います。

江田(康)委員 二度C目標については基本計画の中に明確に盛り込むということを大臣から今明言をしていただきました。

 早期のピークアウトについてなんですけれども、そもそもこの二度C目標というのは、世界全体の温室効果ガスを四五〇ppmに抑える、これは人類の危機を回避するために絶対必要だ、これがIPCCの一つの科学的根拠でございますが、そのためには、二〇五〇年に世界全体で五〇%削減しなければならない、先進国は八〇%削減する必要がある、そしてそれを達成するためには世界は早期にピークアウトしていく必要がある。

 先ほどの鳩山総理の、彼は統計学者でございましたでしょうか、理系の方でございますので、積分ということをおっしゃいましたが、面積ですよね。いろいろなカーブがある。五〇年までに世界は五〇%、そして先進国は八〇%。しかし、全体がやはり四五〇ppmを超えてはならない。そうなると、そのカーブは最初に、早期にピークアウトしていかないと、この囲まれた面積が大きくなると、こんな感じでこの五〇年に急激に減らせば、その年度は五〇%もしくは先進国においては八〇%になるかもしれないけれども、そのときには遅い、こういうわけであります。

 であるからして、早期ピークアウトというのは、二度C目標、四五〇ppm、そして早期ピークアウト、これはセットでIPCCが科学的根拠として示した、どうしてもこれをやっていかなければならない目標である。このようなことからして、早期のピークアウト、日本は既にピークアウトはしていますけれども、先ほど言ったように、早期の削減をやらんがために二五%という中期目標を決めたわけでございます。それが、国際合意が成立せずにずっと決まらない中でどうやって担保できますかということ、これが非常に大事なわけでございます。

 したがって、二度C目標、四五〇ppm、そして早期のピークアウト、早期の削減、これを何とかこの基本計画に明記していく。これが一つには、前提条件が外せないとしても、内外に対する明確なメッセージ、日本は本気で温暖化対策をやるという、そのメッセージになり得るということでございますので、どうぞ、それについては十分な検討をしていただきたいと思います。

 もう一つは、前提条件が外せないとすれば、条文または基本計画の中に中期目標の真水分、国内削減分を明記することを主張させていただいたんです。

 これは先ほど大臣も既に答弁をなされておりますけれども、これに対して総理は、真水は大きければ大きいほどよいとの答弁に終始されました。どうも総理は二五%は簡単にできるように思われているような感覚を私は受けました。とんでもない。一五%をやるのでも、麻生内閣の試算では、これは大変な経済構造の転換なんですよ。努力が要るんです。ところが、総理の答弁は、公明党が例示した、これは一例でございましたけれども、国内分一五%よりもはるかに大きい目標を期待させるような答弁をなされました。

 しかしこれは、一五%を下回らないという約束をしたわけではなくて、可能な限り二五%と言いつつも、皆さん方が批判している八%という低いレベルになる可能性も否定していないということであります。ここが問題なのでございまして、私は主張をさせていただきます。

 国際合意が成立せずにこの二五%削減目標が確定しない中で、日本が先頭に立って温暖化対策をリードする、低炭素社会構造への転換をなし遂げていく、こういう強い意思を示すためには、国際約束が決まらない海外貢献分は除いても、国内で少なくともこれだけは減らすということ、明確にそれを示すこと、これが基本法の担保となるのではないかということであります。基本計画または条文に明記すべきと考えますけれども、もう一度大臣の答弁を求めます。

 大臣、よもや一五%を下回るようなことはないでしょうね。大臣の明確な答弁を求めたいと思います。

 また、何らかの真水の目標を明示しなければ、これから創設する、導入する国内排出量取引制度とか地球温暖化税の制度設計上大変大きく影響してしまって、実効力のある制度にならない可能性も出てくると思いますけれども、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 環境大臣としては、これまでもずっと申し上げておりますように、でき得る限り二五%に近い実質の国内での排出削減を求めていきたいということでございます。

 よもや一五%を下回ることはないでしょうね、そういう具体的な御質問でございますが、最近私も、発言を少し慎重にしなければいけない、こう思っておりまして、でき得る限り二五%に近い数字をやらせていただきたいということで御理解をいただきたいと思います。

 具体的には、先ほども申し上げましたように、これから本当に、エネルギー基本計画あるいはまたロードマップの具体的な議論が進んで、政府として一体的に議論をしていくわけであります。でありますので、そうした中で私としては最大限の努力をしてまいるということで、何とぞ御理解をいただきたいと思います。

江田(康)委員 二五%という目標を世界に日本として明らかにされて、それが国内分一五%となって、もしそれを、大臣もしくは総理の口から国内一五%と言った場合、二五%がいきなり一五%に低くなった、また総理は発言がぶれたとか、そういうふうに思われることはないですよ。

 よくよく見れば、政府の法案にも、二五%の中に国内対策分と海外貢献分が含まれるということを明示されているわけですから、一五%というのは、先ほども申しましたように、麻生内閣で八%という目標を提示したときに、一五%はその倍でございます。大変厳しい目標ではあるけれども、私どもはそれを可能ということで、一五%は国内対策として日本は少なくとも明示をしていく、それが大変重要になってくるのではないか、前提条件がある限り、いつまでも決まらない中で日本がリーダーシップをとっていくことができるのではないか、そういうことを強く申し上げたいし、また、基本計画の中で、これからこの件についても十分に、国内対策分、真水分についても、どのような盛り込み方をしていくか、ここについては検討をしていくということでございますので、大臣、頑張ってください、大いに応援をしておりますので。ここで明確にしていくことは大変重要であると思っております。

 そういう中で、国際交渉による合意を経て中期目標が定められるまでの間にあっても、可能な限り九〇年比二五%削減を目指すことを大臣は答弁で何度もおっしゃっておられます。それを基本計画に明記していくのも大変重要かと思いますが、この点についても、大臣、御答弁をいただければと思います。

小沢国務大臣 今、江田委員が御質問の趣旨は、基本計画でしっかりそれを明示していくことが重要だ、そういう意味ですね。それはもう全くそのとおりだ、こういうふうに思います。

江田(康)委員 時間が少なくなってまいりましたので、国内排出量取引制度について御質問をさせていただきます。

 政府案において、国内排出量取引制度において温室効果ガス排出量の限度を定める方法について、総量方式を基本としつつ、生産量などの一単位当たりの排出量の限度として定める原単位方式の検討も盛り込んでいるところでございます。このことについてお伺いをしていくことにいたします。

 これは外務省にお聞きいたしますが、原単位目標を認めることは、まずは現行の京都議定書目標達成計画では、産業界の自主行動計画において、原単位目標に加えて総量目標を設定するよう働きかけることとしております。また、国内排出量取引制度とは、排出枠の交付総量を設定した上で個々の企業に配分するものであることが明確に定義をされております。そして総理は、この基本法の閣議決定の前に、基本法を骨抜きにさせないということで強く答弁をされました。原単位目標を検討していくというこの表記は、旧政権で閣議決定された内容よりも明らかに後退していると言わざるを得ないんです。

 それで、外務省にお聞きいたしますが、原単位目標を認めることは、排出量取引制度の根幹である総量削減の担保を放棄するもので、次期国際枠組みのもとで設定される我が国の国別総量削減目標を達成するための柱となる政策としては不適当であるということを一貫して我々は申し上げてまいりました。これは諸外国に日本の政策の後退を強く印象づけるものになるのではないか、次期枠組み交渉の進展に大きな影響を及ぼすものであると思いますけれども、その見解をお聞きしたいんです。

西村大臣政務官 お答えいたします。

 まず先ほど委員おっしゃった、閣議決定よりも後退しているのではないかという点でございます。私に対する質問ではありませんが、部分含まれていると思いますので申し上げますと、閣議決定を前政権でされた後、前政権では法案立案というところまでは至らなかったわけでございます。今まさにCOP16に向けて議論が始まっている中で、我が国において環境対策基本法案がまさにプロセスにあるということは各国から高く評価をされておりますので、決して後退はしていないということをまず申し上げたいと思います。しかも前進をしているということを申し上げたいと思います。

 そこで、お尋ねの件でございますけれども、本法案の立案過程におきましては、閣僚の間で大変真剣な議論が行われました。その結果として、総量方式を基本としつつ原単位方式も検討するとされたところでございます。これは先月、福山副大臣から委員に答弁を申し上げていることの繰り返しになってしまうんですけれども、この法案の規定からも、両方式の重要度の違いはおのずと明らかであろうというふうに考えております。

 着実な排出削減が図られる制度となるように、早期に具体的な制度設計を行い導入を図るべきでありまして、外務省としても積極的に議論に関与してまいりたい考えでございます。

江田(康)委員 イギリスは失敗いたしました。原単位目標について、経験豊富なイギリスのエネルギー・気候変動省の担当官も、先日日本でワークショップが行われ、原単位方式は国全体の総量目標の達成につながらない、日本政府に対して推奨するものではないということを明言しております。そういうような意味から、原単位方式を一部盛り込んで検討して、これがどうなるのかということが大変重要でございますので、さらに質問を続けさせていただきます。

 金融庁にお聞きいたしますが、これは私は本当に思うんですが、この原単位方式は、目標達成の可否が年度末もしくは期末まで確定せずに、排出枠の取引が期末に集中するという欠陥を持っております。したがって、排出削減コストを社会全体で最小化するための取引の機会が限定されるわけですよね。そして、取引が一定期間に集中するために、取引価格の乱高下も危惧されます。

 さらに、将来、世界全体で削減効率の最大化を目指して世界の排出量取引制度がリンクしていく際に、総量方式と原単位方式ではリンクが不可能となってまいります。日本は、すぐれた環境技術を持って、排出量取引制度においてその先頭を走っていくことができるのでございますけれども、しかし、こういうような原単位方式をもし採用して、導入して混乱してくれば、世界のカーボンマーケットから日本は取り残されて、東京市場の地位が一層低下するおそれがございます。

 こうした点は、経済金融政策の観点から大きな問題があるのではないか。このことについて金融庁の答弁を求めます。

田村大臣政務官 お答えをいたします。

 金融庁といたしましては、現在まさに、国内排出量取引制度につきまして、総量方式そして原単位方式、それぞれの問題点ですとか、メリット、デメリット、研究を進めているところでございます。

 まさに今委員がおっしゃっていただいたような、そういう懸念を指摘する専門家もいらっしゃいますし、そういった御意見も伺っているところでございまして、金融庁としては、とにかく、まさに金融の観点から、公正かつ円滑な取引が確保されるという観点から、ベストな制度は何かということを金融庁としても意見しながら、政府全体での議論に貢献をしていきたいと考えているところです。

江田(康)委員 その検討は現在進んでいるんですね。そして、その成果を期待して大きく議論が進んでいるかと思いますが、もう一度答弁を。

田村大臣政務官 はい、そこは鋭意進めているところでございまして、政府全体の議論にしっかり合わせて検討をさらに進めてまいりたいと思っています。

江田(康)委員 国内排出量取引制度について、今るる申し上げましたように、きょうは時間のない中でかなりはしょっておりますけれども、炭素を固定化するという原理からすれば、済みません、ここもお伺いをしておきたいと思います。

 総理や経産相は成長産業に原単位方式を適用することを示唆しましたけれども、成長産業の定義も非常に難しいと思うんです。生産量の増加が予測される成長産業に適用すれば、総量コントロールは困難になるのではないですか。また、環境省は電気事業者への適用を考えていると聞きますが、どのようなものなんでしょうか。総量コントロールができるのか、これについてまず簡単にお伺いをさせていただきます。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 先日総理がされた答弁につきましては、成長分野への原単位方式の適用を示唆するといったものではなく、そのような意見もあったということを御紹介されたというふうに受けとめております。

 電気事業者についてどのようにされていくのかというような御質問でございますけれども、あくまで可能性の話でございますが、供給義務があって総量削減の担保に困難が伴うという現実を考えると、需要側で電力消費量を抑制しながら、電力会社には原単位の改善に責任を持っていただくということも考えられるのではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、原単位方式につきましては、あくまでも検討の対象ということを明記させていただいたに過ぎませんので、採用するということを今この段階で決めたわけではございません。今後、全体の総量を着実に削減できる範囲で、補足的に原単位をどのように活用できるかも検討を進めながら、総量削減を基本とした制度設計を着実に進めていきたいと考えております。

高橋大臣政務官 今環境省の方から答弁があったとおりでありますけれども、御存じのように、排出量というのは原単位と生産量を掛けたものでございますから、どれか一つか、もしくは全部を減らすということが一番排出量を減らすことになるわけでありますけれども、成長ということもやはり考えていかなければなりませんので、省エネ技術開発などの企業の効率化努力を促していくということもやはり大変重要になってまいります。

 今後、成長が見込まれる産業であります省エネ製品なんかの生産効率を改善する、そういう努力もしていかなければならないというふうに思っています。それによって生産拡大が可能となれば、ひいては日本全体の排出量削減となるというふうに期待をしております。

 ただ、先ほど環境省の方からお話があったように、地球温暖化問題に関する閣僚委員会とか副大臣級検討チームだとか、いろいろな真剣な議論をずっと行っておりまして、総量方式、原単位方式とも基本法案において今後の検討対象として位置づけられたところでございます。我が国の実情を踏まえた環境と経済の両立ということを考えて、温室効果ガスの排出削減に資する実効性のある制度を構築していけるように、経産省としても議論に貢献をしていきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 今、国内排出量取引制度の制度設計において、また原単位方式の検討ということにおいて、外務省や金融庁、経産省、そして環境省にお話をお伺いしてまいりました。

 これは環境大臣と経済産業省にお聞きいたしますが、今検討されている状況の中で、炭素を固定化する、そういう原理からするならば、成長産業も電気事業者も、総量規制をしていくということをあくまで検討していくべきではないのかと思います。

 公明党案は、総量方式による制度の創設を明確に法案に規定しているところでございます。国内排出量取引制度については、温室効果ガスの総量削減が確実に達成されるように制度設計を行うということを答弁されてはおりますけれども、そのことを法案に盛り込むべきではないですか。それについて、大臣、また経産省の考えをお伺いいたします。

小沢国務大臣 制度設計はこれからでございます。

 法案には、「温室効果ガスの排出の量の削減が着実に実施されるようにするため、」と制度の趣旨を明記したところでございまして、今後、全体の総量を着実に削減していくためにはどういった制度が必要なのか、前の委員へのお答えでも申し上げましたが、日本の特質といったものも踏まえながら、しっかりとした議論をしてまいりたいと思っております。

高橋大臣政務官 地球温暖化対策を講ずるに当たりましては、国内排出量取引のみならず、さまざまな取り組みをやはり総合的に考えていかなきゃならないというふうに思います。

 当然、生産量を減らすということになった場合に、経済ということを考えたら、日本で生産できないからといって簡単に中国とかそういう国に行ってしまって、結果的に排出量がふえるようなことになる可能性もないことはありません。いろいろな分野からやはり考えていかなければならないんだろうと思います。

 その意味で、地球温暖化対策の全体像を検討する中で、環境と経済の両立、産業の国際競争力、それから雇用、国民生活への影響といったさまざまな観点から、我が国の実情に合った国内排出量取引制度を検討していきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 時間がございませんので、先に再生可能エネルギーの目標についてちょっと確認をさせていただきます。

 政府案では、中長期目標の達成に関して、一次エネルギー供給量に占める再生可能エネルギー供給量の割合を二〇年までに一〇%とする目標を掲げていらっしゃいます。

 そこで、一つ確認をしておきたいのですが、法案の議論の過程で、最終消費ベースで二〇%という目標にするか、一次供給ベースで一〇%とするか、これについて議論がございましたね。結局は後者で決着したという経緯があります。したがって、私どもは、この法案の一〇%目標にはヒートポンプによる空気熱利用は含まれていないとの認識でおりますけれども、これでよいか、確認をさせていただきます。

大谷大臣政務官 ヒートポンプは、今のところ含まれていないというふうに思っていただいて結構だと思っております。

 ただ、今後、どれぐらいCO2を削減するのに貢献できるのかという数値的なしっかりとした裏づけ等々が出てくると、また検討するようなことになってくるんだというふうに思っております。

江田(康)委員 今のところと政務官はぼそっとおっしゃいましたが、これは政令でも確かにヒートポンプを含めて規定していくことが可能ということを聞いております。だからこそ今確認をしているんです。

 再生可能エネルギーのこの一〇%というのは、我々はこれでも低いと思っております。この低い一〇%にさらにヒートポンプというようなものが入れば、この大部分を占めてしまえば、主体であるところの太陽光や風力や水力や地熱や太陽熱やバイオマス、この六種の真の再生可能エネルギーが普及し得ないことにもなってくるということを懸念するからこのことを確認させてもらったわけでございますが、そこのところを環境省はよくよく踏まえた上で、政令においても、そこは責任を持って、再生可能エネルギーの一〇%以上が達成できるようにしていっていただきたいということを強く要望しておきます。

 先ほども申しましたように、再生可能エネルギーの一〇%目標というのは、我々は低いと思っております。鳩山総理が二五%という画期的な目標を世界に宣言してこの基本法となったわけでございます。この固定価格買い取り制度の導入が決まっていない段階でも、八・二%の政府見通しはあったんですよ。そのとき、太陽光発電は現状の十倍でございました。これは、麻生内閣の試算では、九〇年比七%削減の水準なんですよ。

 環境省のロードマップでは、大規模水力を含めず一〇%導入が可能としておりまして、大規模水力を含めれば一三%導入が可能としております。政府案のように大規模水力を含めるというのであれば、目標をせめて一三%にするのが整合性がとれているのではないですか。

 公明党案では再生可能エネルギーの導入目標を一五%としておりますけれども、新たな産業の育成を進めるというような点においてもこの一〇%については低いと思われますが、意欲的な目標に改める考えはございませんか。

小沢国務大臣 先ほども答弁をした中で申し上げたんですが、さまざまな議論がございました。

 まず、整理して申し上げると、今回の目標は供給ベースで一〇%、こういうことを決めたものでございまして、そこにおいてはヒートポンプというのは入っておりません。さらに、その一〇%を決めましたけれども、これからの取り組みによってはさらにそれを上回ることもできるではないかという意見も多数ありまして、法案の中は一〇%という目標数値に決めましたが、それは努力をして、みんなで一〇%を超えるように努力をしてまいろう、そういう議論が大変多かったという点も御指摘をしておきたいと思います。

 ただ、現時点においての数値から考えますと、二〇〇五年時点、一次エネルギー供給は五%弱にとどまっておりまして、そこから一次エネルギーの供給ベースを一〇%と決めたところでございます。意欲を持って取り組んでまいることはお約束をしたいと思います。

江田(康)委員 ぜひとも再生可能エネルギーの大規模な拡大に向けて進めていただきたいと思います。

 西村政務官、公務が大変多忙でございます。もう質問は終わりましたので、どうぞ退席して結構でございますので。ありがとうございました。

 最後に大臣に質問になるかと思うので、政策形成への民意の反映ということについてお伺いをさせていただきたいんです。

 この政策形成への民意の反映等を定めた基本法案の第三十三条には、「国は、地球温暖化対策に関する政策形成に民意を反映し、並びにその過程の公正性及び透明性を確保するため、地球温暖化対策に関し学識経験のある者、消費生活、労働及び産業の領域を代表する者その他広く事業者及び国民の意見を求め、これを考慮して政策形成を行う仕組みの活用を図るものとする。」と規定しております。

 しかし、労働組合や産業界というのは明記されておりますけれども、今、国際交渉の中でも国際社会の中でも大変大きな発言力と経験等を持っておられるような環境NGOなどを明記すべきではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

 また、科学の知見を重視することが今、大変大切だと思います。この委員会でも、IPCCの温暖化に関する疑惑、またIPCCのデータ捏造等の科学的根拠が揺らぐような問題が最近では起こり、それを最終的には、これはイギリス議会でも否定されたわけでありますけれども、このような科学的な根拠、科学的な知見、これを重視して、このような民意の反映の中に組み込んでいくべきだと思うのです。

 環境NGO、また科学の知見を重視するそういう分野の方々をこういうところにおいて明記していく、それを担保する具体的な取り組みが必要ではないかと思いますが、大臣、どうでしょうか。

小沢国務大臣 法案の第三十三条に「民意の反映等」というのをあえて入れましたことは、これはもうある意味では当然のことを書かせていただいたわけであります。

 私どもとしては、この間、これは何度もこの委員会でも申し上げましたが、途中で政権交代というのがあったものですから、通常の政府の一貫した法案形成の流れとはちょっと違ってはきましたが、野党であったときの民主党として、十分民意というのも酌み取らせていただき、そしてマニフェストに書き、選挙を戦い、そして政権を獲得した後、でき得る限りのパブコメ等も行ってやってきたつもりではいたわけでありますが、それでも、今までと流れがちょっと違ったということもあったんでしょう、そういう意見が大変強かったものですから、これはあえて私が主張させていただいて、民意の反映という一条を加えさせていただきました。

 今、委員から御指摘のNGO等も当然含まれます。消費者あるいは消費生活というような言葉も入っておりますから、そういった意味では、一般の国民の皆さん、NGOの皆さんも当然含まれます。

 さらには、科学的知見につきましては、温暖化対策の策定及び実施の基礎として不可欠、こう思っておりまして、第三十一条において科学的知見の充実を明記しているほか、第三十三条の民意の反映においても学識経験者の意見を求めているところでございまして、科学の知見を大事にしたいという思いは共通だと思っております。

江田(康)委員 大臣の御尽力に敬意を表しますし、この政策形成への民意の反映というのは大変重要であり、これは全く私どもも同意でございます。明記されているかどうかがわからないような表現がこの法律には多い、また意図的にそういうことになっているようなところもあったかとは思いますけれども、せっかく政策形成への民意の反映をきちんと規定されたわけでございますので、どうぞ、環境NGO、また科学の学識経験者の方々の参加を大いに集めていただきたい、そのように思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

樽床委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

樽床委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省政策統括官中野雅之君、経済産業省大臣官房総括審議官上田隆之君、国土交通省総合政策局長増田優一君及び環境省地球環境局長寺田達志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 質疑を続行いたします。山本公一君。

山本(公)委員 環境委員会での質問も三回目になりました。

 きょうは、小沢大臣にはまことに失礼とは思いましたけれども、きのうのきょうでございまして、準備する時間がなかったので、大臣に通告を一切いたしておりませんことをお許し願いたいと思います。その上で、大臣とさまざまな議論を交わしてみたいと思います。

 漏れ承りますと、随分と急いでこの法案の採決をしようとする動きもあるやに聞いております。

 私ども長い間この地球温暖化問題に関心を持ってきた議員の一人として、本来ならば、政府の方針また国家の方針を決めるときに、この種の話はオール・ジャパンでやりたい、そういう思いでいっぱいでございました。にもかかわらず、今回、政府が全く修正の余地のない法案を提出されました。

 今申し上げたように、通常ならば、この種の法案というのは、審議を通して、それぞれが知恵を持ち寄って、よりよいものに仕上げていって、結果において、産業界や国民の皆さん方に負担を強いていく、お願いをしていく、まさにオール・ジャパンでやるべきだと私はかねがね思っておりました。ところが、今回、マニフェストに書いてあるから、総理が政権をとった高揚感でニューヨークで発言されたから、先に数字が来ちゃった。とても修正とかの雰囲気が漂ってこない状況の中で審議が行われてきたことを極めて残念に思います。

 一回目の質問で申し上げましたように、私ども、政府がお出しになった目標、その意気やよしと、大いに評価をしたいと思っておりました。ところが、今日までのさまざまな議論を通じ、また、私どもに寄せられる情報等々に思いをいたすとき、これはいかがなものかなという思いが日々強くなってまいりました。とりわけ、今回政府がお出しになった基本法案の中で、いわゆる前提条件というものに対して一つの縛りがかかっている。こんな法律ってあるのかな、そういうことを今さら思いました。小沢大臣はすべてわかった上で今回の法案をお出しになったんだろうと、前も申し上げました。

 きのう大臣が毎日新聞に寄稿をされた一文を読んでおりました。ちょうどきのう出たと思うんですけれども、私も、ああいうページまで余り見ないことが多いんですけれども、たまたま見ていたら、見なれた顔がぽっと写真に写っていたので、読んでみました。

 その中で大臣が環境と成長の両立ということをうたっておられました。環境と成長の両立がなければ、我々が考えていた一つの地球温暖化防止の方策というのはあり得ないということは、我々もよくわかっております。

 ところが、よくよく考えてみたら、この両立という言葉、我が国で環境行政が出発をしたとき、開発と保護というテーマがありました。開発を優先すべきか保護を優先すべきか。随分と長い議論を尽くし、また、社会もそのようなことを意識しながら動いてまいりましたけれども、残念かな、一〇〇%のいい状況にはなってきておりません。

 自然との共生という言葉もありました。人間が暮らしを豊かにするにつれ、動物が植物がそれぞれの生態域を奪われていって、それはいかがなものかという声もありました。これも声として上がってきて、さまざまな法律をやっていきましたが、結果においては、もう御承知のとおりだろうと思います。

 田島副大臣の、あそこの琵琶湖でも、きのうきょう、新たな事象が判明してまいりました。

 環境と成長の両立、環境と経済の両立、目指す目標はいいんです。どちらもがうまくいくということなんです。ただ、ややもすれば、こちらを立てればこちらが衰退していく、そういう事象が我々を取り巻く問題の中には随分多いような気がいたしております。

 改めて、大臣、きのうの新聞に投稿をされた、その一つの思いというのをちょっとお聞かせ願いたいと思います。

小沢国務大臣 山本委員に毎日新聞の投稿を読んでいただいて、大変光栄でございます。

 その思いを、こういう御質問でございますので若干申し上げさせていただきますと、まず、先ほど開発か保護か、こういうお話がありました。自然系の世界ではそういう話だったと思います。いわゆるCO2、温暖化の分野でいいますと、今までは環境対策はコストアップ要因、成長への阻害要因、こういうことがある意味では一般的な受けとめだったように思います。

 委員長を引き合いに出して申しわけありませんが、委員長も、きのう夕方の新聞の中で、今までの温暖化の問題に関して、環境対策が経済成長の阻害要因という話から、この新しい内閣は、まさに環境こそが経済を引っ張っていく、環境分野で頑張った国が競争力をつけていく、そういうふうに大きな転換があったのだ、こういう委員長の御指摘もありました。

 そういった意味では、我々新しい内閣の人間たちは、ほぼそこは共通認識だ、こういうふうに思っておりまして、逆に言うと、その中でも書きましたけれども、二十一世紀に日本が世界の中で競争力を持ち続けていくためにはその道しかない、こういう思いでいるわけであります。

 もう既に、価格競争、こういうことであれば、新興国の安価な労働力にはかないません。そういった意味では、付加価値で勝負をする、よくこう言われるわけでありますけれども、その付加価値とは一体何かといったときに、いろいろなものがあり得ると思いますが、環境という付加価値こそ、世界的に普遍的な大変重要な付加価値の一つだ、こういう認識であります。そういった中で、日本がこれからも世界の中でしっかり競争力を持って生き残っていくためには、この競争で勝っていくことが必要不可欠と思ったわけであります。

 私は、山本委員も御承知のとおり、どちらかというと経済政策からこの環境問題に入ってきた人間でありまして、そういった意味では、ちょうど時代がそういった転換点に当たって、めぐり合わせでなったのか、あるいはまた、鳩山総理から経済政策をある意味では環境政策の中で生かしてやれ、こういう意味で私を任命していただいたのか、そこはわかりませんけれども、いずれにしても、大きくそこは環境と経済の両立、それを一歩進めて環境と成長と言っているわけでありますけれども、環境と成長の両立を目指す、環境政策を自信を持って推進していく、揺るぎなくここは推進していくことが重要だ、こう今は思っております。

山本(公)委員 私どもも、基本的にはそういう考え方で環境問題、地球温暖化問題というのは考えていきたいとずっと思ってまいりました。

 そういう中で、さっきから何回も言いましたように、いきなり数字を入れ込んだ法律が出てきて、そういう法律がぽんと出てきたときに、出る前といいましょうか、経済界、産業界、こぞって危惧する意見を出されたことは御承知だろうと思います。

 今大臣がおっしゃいましたように、大臣は特に経済にお強い大臣ですから、当然そのあたりは配慮をされた上での今回の御決定だと思ってはおりますが、この法律が出る前後、そして現在に至るまで、経済界に対して大臣としてどういう接触のされ方をしてこられて、またどういうお話をしてこられたか、ちょっとお聞かせを願いたいなと思います。

小沢国務大臣 率直にということなので、本当に率直に申し上げたいと思います。

 いわゆる団体として、経団連、同友会、商工会議所あるいはまた鉄鋼連盟、電気事業連合会等々、そういった団体の皆さん方とさまざまな意見交換もしてまいったつもりでございます。さらには、そういった組織に入っていらっしゃる会社のいわゆる役員の皆さん方とも個別に議論もしてまいりました。

 率直に申し上げて、そういう皆さんたちがもろ手を挙げて二五%歓迎だという話では決してありませんでした。しかし、御案内のように、同友会は全体として二五%の目標は賛成だ、こういう話をおっしゃっていただきました。でありますので、そういった意味では、経済界の皆さん方にはさまざまな受けとめ方があるというのは十分わかっております。

 ただ、これは本音と、それからある意味で、例えば特に組織ということになると、その組織の構成員の皆さんたちの意見を担った責任者の言葉、こういう話もあるわけでありまして、構成員が全部賛成だということはどんな問題でもなかなかあり得ないでありましょうから、そういった意味で各団体がすべて賛成だという話では当然ありません。ただ、個別に話をさせていただいていくと、当然のことながら、さまざまな本音の話も出るわけであります。

 実は私は、商品で、息をしている商品、こう言っているんですが、例えば、実際に工場でつくられた製品で、例えば家電だとか車だとか、消費者に渡ってからなおかつCO2を排出する、そういう商品を息をする商品と呼んで、例えば鉄鋼とか鉄、素材なんかは、渡っちゃうともうそれは息をしていない、CO2を出していないわけですから、息をしている商品、息をしていない商品、こういう分け方を個人的にしているんです。

 息をしている商品を扱っている業態の皆さんたちは、本音で言うと、基本的にほとんど賛成をしてくれていました。少し時間がかかるから時間的な余裕を見てくれよみたいな話はありましたけれども、基本的には賛成でした。なぜかといったら、当然のことながら、だからこそ国際競争力がつくわけでありまして、世界にそれが売れていく、こういう話だと思います。

 息をしていない商品の皆さん方というのはなかなか厳しい、こういうことかなというのが私の頭の中の整理であります。そういった皆さん方が、では海外に出ていくしかない、こういうお話をされます。そういった皆さん方が海外に出ていく、そのことを私は好ましいと思ったわけでは決してありませんから、税あるいは排出量取引制度等々を活用して、日本の中でも十分やっていけるだけの環境整備というのを我々としてはいろいろな場面でやらせていただきたい。

 諸外国を見てもそういった例は決しておかしな話ではありませんので、そういう対応をさせてもらいたいので、ぜひ我々のところに具体的な要望を持ってきていただきたい、こうお願いをしてありますが、今までのところ、ありません。これまた内々に事務方の方に話が来ているという話もないわけではないんですが、何で正式に持ってこないんだろう、こういう話をしましたところ、大臣のところに正式に持ち込むと、制度改革そのものを受け入れて、それを前提にして、ではこれだ、こういう話で、今はその制度改革に反対しているんだから持ち込めないんだ、こういう話でありますが、そんなかたいことを言わないで持ってきてくださいよというのが私の今の率直な気持ちであります。

 そういった皆さんたちも日本の中で生き残っていける政策対応、そういったことも十分したい、こう思っております。

 総じて、これはまた繰り返しになりますが、日本の経済が国際社会の中で競争力を持ち続ける、そのためにはこの分野で頑張っていくことが不可欠だ、こう思っておるところでございます。

山本(公)委員 私は、自民党に長いこと籍は置いておりますけれども、樽床委員長の、さっき出ましたこの記事も読みましたが、自民党の中でも、経済界に密着しているような議員ばかりじゃありません。

 私は、この問題に取り組み始めたときに、ある先輩議員に言われました、樽床先生の記事の中にもありました、おまえ、票にも金にもならぬことをよくやるねと。考えてみれば、環境問題みたいなのは、おまえみたいな田舎者じゃないとできないんだと言われた。田舎者。おまえのところには、考えてみれば大企業も何もないな、産業界との癒着なんておまえはないもんな、だからおまえは言いたいことを言えるし、やっていけるんだという言い方をしてもらいました。

 そういう立場で今回のこの問題をずっと見てきて、だけれども、考えてみたら、日本の国力というのは、やはり外を向いて頑張ってくれる企業がある種牽引していく、そういうものなんだろうと思わざるを得ません。経済界が首をかしげておられる。それだけは、大臣、頭に常に置いて、接触を保って、お互いに理解をしながらこの問題の解決に向けて大臣というお立場でやっていただきたい、かように思います。

 だけれども、それよりも何よりもやはり一番大事なことは、国民のこの問題に関する関心度を高めていくことなんです、一番大事なことは。大臣が言われるように、環境に配慮した優しい企業を国民が評価する、それが大事なんですよ。何も、排出権の取引だけで評価されますよ、報われますよという話じゃないんです。環境に配慮した企業の製品だったら、率先して、高くても買おうじゃないか、そういう国民の環境問題に対する意識を高めていくことが一番大事なことなんです。

 ところが、今回、パブコメにかけましたと言われるけれども、パブコメなんていうのは見る人は限られています。十何年、地球温暖化問題というのは、少し認知はされてきたような気がしますけれども、これだけの大目標を立てられた割には、国民の皆様方の関心がいまいち薄い。もし二五パーという大目標を掲げて、その目標に向かって出発をしていったならば、国民の皆さん方の負担というのは半端じゃないと思う、これは。ありとあらゆる面で協力もいただかなければいけないけれども、御負担もしていただかなければいけない。その国民に対する配慮がまだ少し足らない。

 やはり国会という場が、もしそれが代弁する場であるならば、短時間でこの問題を仕上げてしまおうというのは基本的に無理なんです。やはり、何度も言いますけれども、オール・ジャパンの姿勢でいかなかったら、本当の意味の地球温暖化防止のための政策にはなっていかないと私は思っているんです。どこかの政党の選挙のためだけだ、違うと思いますよ。違うと思うけれども、それだけの話じゃないはずなんです。だから各党、自民党も公明党さんも、それぞれの知恵を絞って案を出してきているんです。

 冒頭申し上げましたように、全くのり代のない法案を出してこられて、短期間でそれを仕上げるという、あえて私の言葉で言わせていただいたら、暴挙です、これは。長年これに携わってきた者に対する暴挙です。それだけは大臣、わかっておいていただきたいなと思います。

 我々は、いろいろな意味で制度設計を自分たちの中でやっていこうとしたときがありました。例えば環境税。どこにどういう税をかけていくか。そのときに、その税をかけることによって、どういう人がどういう負担を強いられていくのか、そういうことも随分考えました。その話は経団連や同友会からは出てきません。やはり、漁業団体や農業団体や、もっと言えば生産現場の声も聞かなかったら、漁船の油代に税金かかってくるんですか、いや、そんなことはありませんよというところまできめ細かく話を聞いた上で制度設計に当たろうとしました。まだまだ漠とした話ですから、いやいや、今から、これからやっていきますよという話が随分多いんだろうと思う、これは。だけれども、うたっている以上は、こうなりますよということをもう少し丁寧に国民に周知していくような努力をしていただきたい、この法案の中身そのものを。

 私は思うんです。ある日突然、法案が成立しました。それから後、こうなりますよというのは、やはり私は手順を間違えていると思わざるを得ません。もうさっきから何回も言いましたけれども、私は、修正というのがあってしかるべき案件だと思っています、いまだに。そして、オール・ジャパンで取り組むべき課題なんです。そうはいっても、どうやら、どうやらという状況だそうでございます。極めて残念、残念だということを大臣に申し上げておきたいと思います。田島副大臣ならわかってくれると思います、私の心境を。

 大体、環境委員会で数を頼りにするというのはおかしいんですよ、これは。大臣や副大臣を責めてもいたし方ないとは思うけれども、本来、そんなものだということをぜひわかっておいていただきたいなと思います。

 これからもいろいろな環境を取り巻く問題が出てこようかと思います。こちらを規制しようとすれば、こちらで不平を言う人が必ず出てきます。環境行政というのはそうなんです。規制ができた瞬間から、その裏側を抜けていこうとする人が必ず出てきます、どんな環境行政でも。きれいごとで済む世界ばかりではない。これがまさに環境行政だと私は思っています。ぜひ、賢明な小沢大臣のそういう意味の強いリーダーシップをお願い申し上げておきたいと思います。

 理想を掲げるのは結構なんです。しかし、権力を握ったときに、どこかの人じゃないですけれども、学べば学ぶほどわかってきましたじゃ困るんです。ある閣僚が予算委員会でおっしゃいました。あれは野党のときだから言ったんです、与党になったら言うことは違います、ましてや閣僚になったら違いますと平然と言い放たれた。野党のときにおつくりになったからと、大臣は、マニフェストにこう書いてあるからとおっしゃる。こだわることはないんです。やってみたらそうはいかぬよ、そういう、いい小沢さんが新たな環境行政を切り開いていただきたいことを申し上げて、私の質問を終わります。

樽床委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 まず初めに、私は、地球温暖化対策に関する基本法案が衆議院本会議で趣旨説明されました四月二十日以降から、本件につきまして環境委員会などの一般質疑で質問を重ねてきました。環境委員会では、昨年十一月二十日、ことしになりましてからは、三月二十三日、四月二日、そして四月二十七日の経済産業委員会との連合審査で、そして、経済産業委員会でも四月二十一日に低炭素投資促進法案の審議の中で、本法律案に対する経済産業省の考えをただしてきました。また、政府提案の基本法案につきまして、二回質問主意書を提出しました。このように、政権が交代してから、合わせますと七回にもわたりこの問題を国会で取り上げてきたのには、それ相応のわけがあります。

 日本がもし二〇二〇年までの中期目標を一九九〇年比二五%削減とするならば、CO2一トン当たり削減するのに必要な費用、すなわち限界削減費用を見てみますと、日本は四百七十六ドル、日本円に直しますとおよそ四万円の限界削減費用が必要となります。世界に突出した非常に重い削減目標を背負うことになるというのがこの数字です。このことは、これから十年間の国民生活や、そして社会経済、産業活動に大きな負担がかかりかねないということです。

 日本が地球温暖化問題で果たすべき役割は、まずは持続的な成長を遂げなければならないということではないでしょうか。その中で技術革新を積み重ねて、温室効果ガス削減に役立つ技術、製品、そしてサービスを生み出して世界に発信していく、これが日本にとって一番大切だと私は考えております。

 二五%削減という重い十字架を背負うことによって、多くのエネルギーを必要とする国内の産業を初めとして、国内の産業活動が立ち行かなくなる。これは国外に出ていく可能性も多く出てきているわけです。産業の空洞化。これは非常に自虐的な目標となるのではないでしょうか。これを一番心配しております。つまり、我が国経済に、そして我が国の雇用に大きなダメージを与えかねないのがこの法案であると言えると思います。

 こうした負の遺産を引き起こすような削減目標を我が国が国際的に公約するということがどういうことか、ここでもう一度考えなければならないと思います。いかに自虐的であるかということを、我々はもう一度ここで議論しなければならないのではないでしょうか。

 本日は総括質疑ということですので、これまでの国会質疑、質問主意書の答弁を通じて明らかになったことなどを再確認していただきながら、政府提案の基本法案の問題点、そして基本法案自体の法律としての不適切さを明らかにしておきたいと考えております。

 今回の審議全般を通じまして、政府の答弁は、質問者の聞いている内容に対しまして的確に答えようとしていない、また、あいまいな答弁に終始してこられたケースが非常に多かったです。先ほど申し上げましたように、本日、私はこれまでの政府答弁を確認する形で質問をいたしますので、簡潔に一言で答えていただけるように、私も質問内容を工夫いたしますので、環境大臣には的確な御答弁をお願いいたします。

 まず第一、これまでも取り上げてきました二〇二〇年までに九〇年比二五%削減を中期目標とするためにクリアしなければならない三つの条件について質問をさせていただきます。

 このパネルも何度か使用させていただきました。三つの条件、第一が、「すべての主要な国が」参加し、第二が「公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みを構築するとともに、」第三が「温室効果ガスの排出量に関する意欲的な目標について合意をしたと認められる」ことです。私は質問主意書の中で、この三つの前提条件が満たされているのかどうか、成就しているのかどうかを判断する主体はだれなのかと質問をしました。これに対し政府は、国際交渉に携わっている政府であると答弁しました。

 ここで改めて環境大臣に伺います。三つの前提条件が満たされているかどうか、成就しているかどうか最終的に判断するのは政府であり、基本法案の中には、その決定について国会が関与する規定がない、このような理解でよいのか、確認の答弁をお願いいたします。一言でお答えください。

小沢国務大臣 答弁書で申し上げましたように、政府である。具体的には閣議で決定するということになると思っております。

近藤(三)委員 政府であるということですね。もう一度明らかにさせていただきました。

 ところで、昨年十二月のCOP15の直前のAPECにおきまして、鳩山総理は、COP15はぜひとも成功させたいと意欲をにじませられました。COP15では政府合意には至らなかったわけですけれども、何とか成功させたいと臨んだCOP15ですから、小沢環境大臣を初めとした政府交渉団は、三つのこの前提条件の判断基準を政府として決めてコペンハーゲンに乗り込んだものと推察しています。

 そのようなことから私は、政府は当然判断基準を持っていると考えて、質問主意書で、このパネルにあります三つの条件が満たされているかどうかの判断基準を明らかにするように求めました。これに対する政府の答弁は、「今後、交渉の推移を踏まえつつ適切な時点で、総合的な観点から判断すべきものと考える。」このような回答でした。

 そこで、再度、環境大臣にお聞きします。現時点で政府は三条件を満たしているかどうかの判断基準を決定しているのかどうか、それとも、法律には三つの前提条件を明記はしているが、すべての主要国が示す中期目標が三条件を成就しているか否かの判断基準は現時点では決定されていないのか、また、決定していないとすればどの時点までにこの判断基準を政府として決めるつもりなのか、明快な答弁を大臣に求めます。

 もう一度、質問のポイントを申し上げます。現時点で、政府として三条件に対する判断基準を決定しているのか、また、検討中であればどの時点までに政府としての判断基準を決定するのか、端的にお答えください。

小沢国務大臣 端的にと言うので端的にお答えしたいと思いますが、現時点において定量的に決定はしてございません。

 いつの時点までにということでございますが、適切な時点で決定したいと思っております。

近藤(三)委員 判断基準は現時点では決まっていないが、ではCOP16までには決めるという答弁ですか。条件つき、条件つきというふうに政府は言いますけれども、何も決まっていないということなんですね。三つの条件をつけられました。

 主要国の背中を押すというふうに言っておきながら、実際にはその判断基準も持ち合わせずにCOP16の国際交渉に臨むおつもりなのでしょうか。条件をつけておきながら、その条件を満たしているかどうかの判断基準を持ち合わせずに国際交渉にこれから臨んでいかれるのでしょうか。そんな国どこにあるんでしょうかね。びっくりしてしまいます。このような交渉姿勢では、日本はただ大ぶろしきを広げているだけだ。最後は二五%削減を丸のみする、交渉相手に丸々なめられてしまうのが落ちではないでしょうか。

 それでは、重ねて小沢大臣に質問させていただきます。

 すべての主要国を一つ一つ決めておられるのですか。決まっているのなら国名を挙げてください。決まっているが今その国名を明らかにできないなら、その理由を申し述べてください。まさか、現時点ですべての主要国の定義が決まっていないとは思いませんけれども、もし決まっていないのなら、なぜそのような基本的なことも決められないのか、その理由も明らかにしてください。

小沢国務大臣 条件つきで交渉に臨んでいるところというのは、例えばEUなんかそうでありますけれども、決して日本だけではございません。まずそれを申し上げておきたいと思いますし、そうした三つの条件というのは、交渉過程において本当に使い勝手がいいものであります。それは交渉を実際にやってみると大変よくわかる話でございまして、総理もこの間答弁いたしておりますように、私も全く同感でございます。

 まず、主要な国ということに関しましては、米国や中国など世界全体のCO2排出量に占める割合が大きな国を指しておりまして、具体的、個別にすべての国を網羅的に決めているわけではございません。

 それから、それをなぜ決められないのかということに関しましては、日本としていわゆる二五%という条件を実行していく、そのためにはでき得る限り多くの国の背中を押したい、こう思っているからでございます。

近藤(三)委員 いつもの言葉が出てきました。各国にはそれぞれの事情があるので、国際交渉の中で地球温暖化に影響を及ぼす大きな国を決めていく、今は決まっていないという。三条件がいかにあいまいなものであるかということが今もう一度明らかになったと思います。

 昨年九月二十八日に小沢環境大臣は、温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに一九九〇年比二五%削減する中期目標に関し、国民負担を年内に試算するように指示されました。その理由として、二十二年度予算案をつくっているときに国民負担がある程度見渡せないといけない、このように見解を示されていましたが、その後どうなったか。年内はおろか、今回の政府案の提出に当たっても、小沢試案というロードマップもどきの中でも、国民負担額は示されていません。

 一言でお答えください。一体いつ政府として国民負担額を示すのか、それとも、環境大臣が昨年九月に国民に説明する必要があると言っていた国民負担額はもう示すつもりがなくなったのか、お答えください。

 もう一度申し上げます。小沢試案という個人的な見解ではなく、政府として国民負担額を示すのか、それとも示すつもりがないのか、お答えください。

小沢国務大臣 国民負担の額というのは、正確にすべて決まるものでないというのは委員も御承知のとおりだと思います。昨年の暮れには、前の政権からのタスクフォースで、あのときは三つのモデルでの国民負担の額を、公開のもとで議論をさせていただいて発表させていただきました。

 しかし、そのモデルにおいてはイノベーションや政策効果といったものが反映されていないという反省のもとで、このたび環境省の方で四つのモデルでシミュレーションをやらせていただきました。それは先般発表させていただいたとおりでございます。

近藤(三)委員 それでは、二五%削減のうち、国内削減量の場合、いわゆる真水部分について質問します、今の御答弁はよくわからないので。

 本来、自民党案のように、中期目標は一〇〇%国内削減を計上するべきだと考えております。国際交渉を前にして、海外から排出権を購入するといった、国の富、国富を流出してしまう、こんなことを前提とした高い削減目標を中期目標とするメリットは一体どこにあるのか、私には理解ができません。

 政府は、質問主意書の答弁にもありますように、主要な国の背中を押して積極的な取り組みを促すための手段として、真水一〇〇%ではない、身の丈を超えた高い目標値を設定することにメリットを見出している、このように言ってもいいのではないでしょうか。

 環境大臣、真水一〇〇%、海外での削減分を含めた削減量を中期目標とするメリットは何なのか、端的にお答えください。

小沢国務大臣 中期目標のメリット、こういう話でありますが、大きく言って二つあると思います。

 一つは、本当に、四十六億年前にできたこの地球の環境、最近の人類がまさに汚しているこの地球の環境を少しでも守り、我々後世に伝えていく、そのために科学が必要だと提出した数字が二五%から四〇%の削減、こういうことでございまして、日本はその中で、エネルギー効率が大変いい国でありますので、科学が示した数字の一番下の二五%を政治的リーダーシップにおいて受容したというのが一点でございます。

 さらにはまた、日本がみずからそうした責任を果たす姿勢を示すことによって、世界の各国にも同じようにぜひとも対応していただきたい、それを申し上げていく、この二つがメリットだと思っております。

近藤(三)委員 大臣、私が聞いているのは、真水一〇〇%ではなくて、海外での削減分を含めた削減量を中期目標とするメリットは何なのか。中期目標のメリットを聞いているのではなくて、真水一〇〇%を中期目標とするメリットは何なのかということを聞いているわけです。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

小沢国務大臣 真水一〇〇%……(近藤(三)委員「済みません、真水一〇〇%を中期目標とはしない、真水一〇〇%としないメリットは何なのかということです」と呼ぶ)

 これはこの前、総理が出席したときにも出ておりましたけれども、大事な話は温暖化をストップさせること、そのためには温室効果ガス、特にCO2の削減を行っていくということで考えれば、日本で削減しても世界で削減しても、地球全体の環境については同じであります。

 そういった意味において、世界の中でもそれを削減していっていただくことは、地球環境を守るという大目標にとっては必要なことだ、こう思っておりますし、そして、世界の各国の中には、温暖化で大変苦しんでいる島嶼国あるいは発展途上国がございます。そうした国々へのいわゆる適応問題へ日本もしっかり貢献していくことが重要であります。そういった海外での削減分を含めることは十分有意義なことだ、こう思っております。

近藤(三)委員 大臣の地球全体の背中を押すという思いを聞いているのではないわけですね。二五%削減という高い目標値を設定した場合に、海外から排出権を購入しなければならない、それは日本の経済にとって、そして我々国民にとってどのような負荷を与えるのかということまで考えなければ、国際交渉には臨めないと思っているんです。今のような感じで、とにかく世界のため、地球のためという大臣の個人的な思いでずっと答弁されては、この法案の本来の目的というものがここでしっかりと議論できないのではないでしょうか。

 ちょっと視点を変えて、もう少し伺ってみます。

 この国内削減量の数値を政府として決めていないのも、国際交渉の推移を踏まえる必要があるからとの政府の一連の言いわけと理解してよいのか。環境大臣、端的にお答えください。

小沢国務大臣 個人的な思いということではなくて、政府の思いでそういう政策決定をしているということでございます。

 例えば、先ほど申し上げたような話がただ単に富の流出だ、こういう話になるとすれば、いわゆるODAも含めて、すべてそういったものは富の流出だ、こういう話になるわけでありまして、そうではない、世界への貢献、それがまためぐりめぐっては日本にとっての恩恵、そういったお互いまさに支え合う中で世界各国は今生きている、そういうふうに思っております。

 それから、何でしたか、質問がちょっと最後わからなくなってしまったんですが、もう一回お願いしてよろしゅうございますか。

近藤(三)委員 国内削減量の数値を政府として決めているのかいないのか、国際交渉の推移を踏まえる必要があるからという政府の姿勢はどうなのかということです。環境大臣の思いなのか、政府の一体的な考えなのかというふうに聞いているわけです。

小沢国務大臣 大変失礼しました。

 もちろん、政府として最終決定をしているわけであります。現時点においてそのことを明らかにすることは政府として決して好ましいことではない、こういうことでございます。

 理由としては、先ほど来申し上げておりますように、片や、そういったいわゆる真水論、それを明快にした方が産業界、国民の皆さんへのお願いに対して対応がしやすい、こういう意見もあれば、今まさに近藤委員がおっしゃっていただいたように、そういった話を明らかにすることによって、例えば、もしそれが二五という数字から二〇というような話になると、日本政府が後退したというふうなイメージにとられる可能性もある。五%分は海外分でやるわけですけれども、そういった国際交渉の上で、現時点においてそれを明らかにすることは不必要だ。不必要というよりも、すべきではない、こういう両論がありまして、現時点では総合的に判断してまだ決めていないということでございます。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

近藤(三)委員 二五%削減のうち国内削減分を幾らにするのか、その割合によって、先ほどから話をしています国民負担の額は変わってくると思います。すなわち、国民それから産業界の削減目標達成のための義務の内容が異なってくるというふうに私は考えております。

 また、真水、国内削減量の割合によって、国民のライフスタイルを制限する、あるいは国民の権利を制約する度合いが変わってくるというふうに私は考えているんですが、環境大臣も私と同じ認識であるのかどうか、お答えください。

小沢国務大臣 その点は、私、近藤委員と意見は大変近いと思います。どちらかというと、私は、できる限り早い時点でそういった割合ははっきりさせていきたいという意見を閣内で言っている人間でございます。しかし同時に、先ほど申し上げたように、国際交渉の分野の中でそういったことは明らかにすべきではない、こういう意見が片一方で大変強くあるのも事実だということでございます。

 でありますので、環境省としては、あるいは環境大臣としては、もう既に御案内のとおり、シミュレーションは一五%、二〇%、二五%という形でシミュレーションをさせていただいて、そして、しかし環境省の試案という形では真水二五%の試案というものを出させていただいて、国民の皆さんの判断材料の一つにしていただきたいというふうに思って提出をさせていただきました。

 これは先ほど委員会の中の答弁でも申し上げましたように、この基本法を成立させていただいた後に基本計画をつくらせていただくわけでありますが、そういったときにエネルギーの基本計画等々十分協議を加えながら、そういった基本計画の中で、さらにどういう形で国民の皆さんに見ていただくか、よく政府として相談をしてまいりたいと思っています。

近藤(三)委員 つまり、国民のライフスタイルには大きな影響を与えると環境大臣もお考え、初めて意見が合いました、今回。

 次に、小沢試案の各論について質問をさせていただきます。

 小沢試案では、二〇二〇年の風力発電の導入量について、二〇〇五年の百九万キロワットから千百三十一万キロワットと十倍に増加させるというふうにしています。我が国の陸上での風力発電は六百四十万キロワットが限界とされています。もし環境大臣の試案を実現しようとするならば、海の上、洋上にも風力発電をどんどんと建てていかなければなりません。しかし、漁業補償、自然環境の保全、環境アセスの問題などを考えた場合、果たして二〇二〇年までの間にそれだけの風力発電を海上を含め設置することは可能なんでしょうか。風力発電を海上に設けた事例、日本には今のところないんです。

 小沢大臣、風光明媚な海岸線が多くて、遠浅の海も少ない我が国において、具体的にどのような海域で風力発電を行おうとしているのか、地名を挙げてお答えください。

 小沢大臣は、地球環境問題を担当する一方で、環境アセスメント、そして国土の景観についても所管されているはずです。そうした責任ある立場の環境大臣が、今回、海の上、洋上の設置も視野に入れた大胆な風力発電の導入をみずからの小沢試案に盛り込んだものと理解しております。国民の皆さんも、小沢大臣がどのような海域を念頭に風力発電を行おうとしているのか、どのように考えているのか、大変に興味深いと思います。このことは、二〇二〇年、十年後に現在の十倍の風力発電を行うという極めて野心的なロードマップもどきと推察しております。

 環境大臣、風力発電を行うことができる日本の具体的な海域、つまり地名をお答えください。

小沢国務大臣 先ほど、せっかく意見が一致したんですが、今回は残念ながら、まず基本認識が違っていると思います。

 現時点の発電量の十倍をつくらなければいけない、こういう御指摘でありますが、私どもとしては、現時点で二百六万キロワット程度と思っておりまして、導入目標は一千百三十一万キロワットで五倍程度というふうに思っておりますので、まずそこの数値が違います。

 それから、どこの地点、こういう話でありますけれども、どこの地点という話を現時点で当然のことながら決めているわけではございませんが、日本の海域の中でも十分やれるところはある、私はこう思っております。

 先般、私は三河地域に行かせていただきましたけれども、蒲郡の付近でございますが、すばらしい風力発電の施設が林立をしておりまして、その姿を見ると、ああ、自然のエネルギーを本当に活用して電気が次々とつくられていくんだなと胸が躍ったわけでありまして、そういったところは日本にこれから幾つもある、こう思っております。

近藤(三)委員 大臣、これから五十年先のことを議論しているのではなくて、あと十年で十倍というふうに書かれているわけですから、この野心的な目標を小沢試案でどのように考えておられるのか聞きたかったわけです。風光明媚で、そして水産資源が豊富で遠浅の海が少ない日本の海域、これを絵にかいたもちのような目標で一体どのように進めていくのか、甚だ疑問です。

 私の四月二十一日の経済産業委員会での質問に対し、経済産業副大臣はこのようにおっしゃいました。これはあくまで小沢試案であり政府案ではない、経済産業省としては小沢試案に沿って物事を進めるわけではない、このように言い切りました。まさに前代未聞の閣内不一致です。そのような案を示しておきながら、二五%削減のよしあしを国会で議論しろというのはしょせん無理、国会で検証などできません。

 これまでの環境大臣の答弁によって、改めて、政府提出の基本法案には三つの前提条件が記されてはいるけれども、その意味、内容、定義、判断基準が決まっていないということ、あるいは、国際交渉事だから明らかにできないとの見解が示されてきました。さらに、二五%削減を中期目標とすることによって新たに生じる国民負担額がどれだけになるのか、政府としての数値はない。また、二五%削減のうちの国内削減量も決めていない。このような答弁にきょうもまた終始されたわけです。

 そして、小沢試案というロードマップもどきについても、風力発電に代表されるように、十年後を目指すロードマップでありながら、全くリアリティーがないわけです。

 そもそも、我が国の中期目標、世界に突出した二五%削減が我が国に与える影響やその根拠も明確でなく、民主党のマニフェストに二五%と書き込まれているからそのまま突き進んでいる。これは、子ども手当がなぜ月々二万六千円なのか、その根拠が不明確であるのと全く同じです。

 さて、もう一つの問題点、基本法案そのものの法律の形式について伺います。

 この点につきましても、私は、二度の質問主意書の中で政府の姿勢をただしてきました。そして、基本法案の法律の形式が、これまでにない極めて特異な法律であるということが判明しました。基本法案の施行期日、すなわち法律の効力が発揮し始める日は、一般的に、基本法が公布された日となっています。しかし、二五%削減は、国際交渉の推移を見きわめて、三つの前提条件がクリアされたことを確認する必要がある。

 このため、こちらのパネルを見ていただきます。このパネルにありますように、温室効果ガスの削減目標、二五%削減を中期目標とする規定、つまり、これは第十条の第一項の規定のことですが、この規定については、三つの前提条件が満たされたことが認められた日、この赤のアンダーラインですね。それから、成就した日以後の政令で定める日から施行する、このようになっています。

 この附則第一条のただし書きが大変特異なんです。すなわち、二五%削減の中期目標の施行期日につきましては、具体的な期限を定めないで、三つの前提条件をクリアできたことを政府が確認し、政令で施行期日を定めるといった法律の形式になっているわけです。政府が確認して、政令で施行期日を定めると。条件つきで政令に委任するというこの法律の規定の仕方は、これまでの我が国の法令にはないことが、私が出しました質問主意書に対する政府の答弁書の中で明らかになったのです。

 本日の最初の質問でも指摘しましたように、まず初めに、二五%削減の成就のための三条件が満たされているかどうかの判断は、国会の関与が全くなく、政府が行う。さらに、法律の効力が発揮する期日である施行期日についてもまた政令で定め、国会の関与がないということ。二五%削減というこの基本法案の根幹となる決定ですよ、これにダブルで政府にフリーハンドが与えられてしまっているということなんです。

 施行期日の問題は実はこれだけじゃないんです。二五%削減に関する第十条第一項の規定は、今まで申し上げましたとおり、国際交渉の推移を踏まえるという政府答弁によりますと、法案が成立し、基本法が公布された日より後の施行期日となります。

 しかし、こちらのパネルを見ていただきます。基本的施策に関する規定である第十条第四項、そして、再生可能エネルギーの目標を定めた第十一条。下の方の赤ラインですね。上の方の赤ラインが第十条第四項の方ですね。そして下の方の第十一条の規定も、ともに二五%の温室効果ガス削減に関する中期目標の達成を引用しています。すなわち、法律の効果が発揮される施行期日がおくれる、第十条の第一項の規定をともに引用しているということです。

 このパネルにありますように、この二つの施行期日は、二五%削減の施行期日より前の法律の公布日になっているということ。規定の本文の赤線のように、上の二つの赤線のように、中期目標が引用されていて、その達成のための条文となっている。すなわち、公布の日には施行されていない中期目標の達成のための条文となっている。つまり、この二つの条文の目的である中期目標が施行されていないにもかかわらず、この二つの条文は先に施行されてしまうという、まさに施行期日の逆転現象が起こるわけなんです。

 私は、質問主意書で、この規定はミスではないかというふうにただしました。これに対する政府の答弁はこうでした。御指摘のように丁寧に施行区分を書き分ける立法例もあるが、他方、特に施行区分を書き分けない立法例もあり、今回の法案は書き分けない後者の立法例に倣ったと答弁するのです。つまり、略式の立法例に倣ったのだから不合理ではないという趣旨の答弁でした。

 何度も申し上げますが、施行期日は法律の効力が発揮するという大変大切な日です。しかも、今回の法律は基本法です。国民生活や産業活動に義務を課したり権利が発生する期日で、法案の大変大変重要な事項です。

 今回、国民だれしもが注目しているはずの基本法案です。規定を読む側に誤解が生じないようにきめ細やかな配慮が必要です。それなのに、略式の立法例に倣ったのだから不合理ではない、このように居直る政府の姿勢は大変問題であります。さらに、この施行期日の問題は、国会が唯一の立法機関であるとする憲法四十一条に抵触する疑いがあります。憲法違反の疑いもあるということです。

 これまで述べてきましたように、基本法案の施行期日についてのただし書きでは、政府は前提条件をクリアしているかどうか判断し、政令で施行期日を制定することになっています。つまり、国会の関与が全くなく、何の歯どめもありません。すなわち、政令に白紙委任した、国会軽視、いや、国会無視の法案であり、憲法四十一条の唯一の立法機関である国会の権限を侵すという、憲法違反の可能性もあるというのが私の主張です。

 この主張に対し、梶田法制局長官は四月二日の環境委員会で、「政令に委任する前提条件といたしまして、法律上附則の第一条ただし書きにおきまして明確にその条件を規定いたしまして、その上で施行期日を政令に委任している」と答弁したのです。(発言する者あり)大事なことですからパネルを使わせていただいているんです。

 政令に施行期日をゆだねることを限定的にする、すなわち、許される場合を明確にした、政府、内閣法制局長官の解釈がこちらにあります。パネルにありますように、抽象的、包括的な委任であってはならないこと、そして個別的、具体的な委任であることという要件がはっきりとこちらに述べられています。

 基本法案はこの条件を満たしているかとの質問に対し、政府の答弁書は、法案において施行期日を定めるに当たっての条件を明らかにすることが望ましいとの考えのもと、法案附則第一条ただし書きにおいて三つの前提条件を規定し、施行期日を定めるに当たっての考え方を明確にしたものであるとの、まことに回りくどい、すりかえの答弁です。要するに、政府の政令に施行期日をゆだねるためには、何らかの条件が基本法案に明記されているのでよいという解釈を今回示したということです。

 きょうの議論でもおわかりのように、三つの前提条件について、国会にも国民にもブラックボックスの状態であるということです。抽象的な条件であり、決める内容は国家の中期目標、二五%削減という包括的な内容です。法律に条件さえつけていればこの政府解釈を満たすのだという、余りにも国会軽視、いや、国会を無視した政府の対応ではないでしょうか。

 以上、政府提案の法案そのものの規定の仕方が国会軽視、憲法軽視であることを、これまでの質疑、そして質問主意書の答弁を通じ明らかにしてまいりました。

 最後に、このような不備のある法案を、小沢環境大臣は、このまま法案の修正をせずに国会を通そうとしているのか、または見直しを考えているのか、お答えください。

小沢国務大臣 幾つか論点があったと思います。

 委員には大変申し上げづらいんですけれども、実は、先ほどの風力発電の委員の使われた数字も、二〇〇〇年三月、NEDOの推計値でございまして、現段階ではポテンシャルは七千万から三億キロワットある、こういうふうなのが今日の推計値になっております。

 その委任政令も、平成三年三月四日の話でありまして、その後、この委員会で委員自身が御質問された、いわゆる法制局の答弁は四月の二日でございまして、その中では政令の委任として許される範囲のものであると法制局が答弁をしているわけでありまして、そういった意味においては、若干申し上げづらいんですが、いずれにおいても、少し古過ぎるデータをもとに議論をされているのではないか、こういうふうに思います。

 でありますので、新しいデータに基づいてつくらせていただいたこの法案は、今、変更する予定はございません。

近藤(三)委員 時間が来たようですので、これで終わらせていただきます。

 ただ、内閣の国会軽視それから憲法軽視の姿勢が、この基本法の質疑を通じてさらに鮮明になったということが今回の質問で明らかになったと思いますが、時間がないので、これに関しましてもいろいろと申し上げたいことがありますが、以上で質問を終わらせていただきます。

樽床委員長 次に、福井照君。

福井委員 自由民主党の福井照でございます。

 普通ですと、閣議決定はしているんですけれども、省庁間協議が綿密に行われまして、目標論もしかり、戦術論もしかり、中長期ロードマップもしかりということで、まさに冒頭の委員会の質疑から同じ議論が繰り返されております。政府全体として、そして各省庁それぞれ目標論と戦術論と共通するものを持たなければ意味がないんじゃないかということでございますので、きょうは代表する省庁の副大臣にお越しをいただきましたので、そういう状態のままあるところに突き進もうとしているということが議事録を読んで百年後、二百年後の方にわかるように、あのときの政権はひどかった、次の政権はよかったということがわかるように御答弁をいただきたいということでございます。

 きょうは、国交省から辻元副大臣にお越しをいただきました。小沢試案あるいは今回の地球温暖化の目標について、国交省として、あるいは辻元副大臣として、いつお話を聞かれたのか、正式なコンタクトについて御紹介いただきたいと思います。

辻元副大臣 お答えいたします。

 今回の基本法、国交省に関しますところは、主に十七条、十八条、二十六条、二十七条になるかと思います。

 この基本法をつくるに当たりまして、関係各省庁の副大臣級の会議が何回もございました。そこではかなり激論になったんですけれども、最初は例えば十八条などは入っていなかったんですが、やはり公共交通を含めての運輸部門などは二〇%というCO2排出量ですので、一項目独立して立てるべきじゃないかとか、これは私の方から申し上げた主張なんですけれども、そのような議論をかなり何回も議論を積み重ねてこの基本法をつくりました。

 その中で、小沢大臣のロードマップ、これはまだこれからのたたき台で、これに対して各省庁どのようにしていくか、議論を続けていかなければいけないと思っておりますけれども、私といたしましては、この基本法をつくるときに議論に参画し、そして国交省としても一緒につくってまいったという認識でございます。

福井委員 非常に正直におっしゃっていただきました。目標論としては、副大臣級会議、あるいは事務的にも多分あったんでしょう、共通する認識があった。しかし、小沢試案という中長期ロードマップ、一番大事な目標を掲げて、その道行きを、各省庁、各局の、そして各課の施策をどのように動かしていくか、軍隊でいえばいわば陸軍本隊をいかに動かしていくかということについては、まだ、各省庁に根回しもなければ、業務命令もなければ、その体制もないということを今おっしゃっていただいたわけでございます。それで結構でございます。

 何ともコインシデンスですね、都市計画のことについて伺いたいんですけれども、ちょうどきょうのテーマも地球環境、産業革命、資本主義と軌を一にしているわけです。ちょうど資本主義がブルージュからマンチェスターに移ったころ、子供の労働者がふえて、女性の労働者がふえて、搾取され始めた。そこでロバート・オーウェンという社会主義者が出て、そして田園都市構想に行くわけです。つまり、何を言っているかというと、都市計画というのは、まさに資本主義の、産業革命の矛盾を解くための最初の社会主義運動として始まったわけです。

 今、辻元副大臣は都市交通の基本的な法律について役所を指導されているというふうに伺っております。都市計画という場で、都市交通という場で、中長期ロードマップとは直接リンクはしなくても、今、みずからどのように次の展開を考えておられるか、現状をどのように踏まえておられるか、ちょっと簡単に御紹介をしていただきたいと思います。

辻元副大臣 今、都市機能及び都市の公共交通など、トータルにどのようにこれからCO2の削減など環境への配慮をしていくかという御質問だったと思います。

 これは、先ほど私は基本法の作成過程についてはちょっと詳し目に申し上げましたけれども、小沢大臣が示されておりますロードマップにつきましても、実は、各原局を中心に、環境省と国交省、割と綿密に議論を開始しております。

 ですから、確かに、たたき台的な示され方であるということは、これからどのようにそれを実現していくかという意味においてはそのように申し上げましたけれども、いきなり唐突に示されたものではないということはここではっきりさせていただきたいと思います。

 その中で、多分、委員が建設省にいらっしゃったときからエココンパクトシティーという構想があったと思います。日本の都市計画は、郊外にだらだらと出ていきましたので、公共交通のあるところへの集約や、都市機能とエコロジーとの共生ということで、緑化と都市というような配慮が今まで十分であったとは言えないと思うんですね。ですから、この都市機能をどう集約していくかということを今国交省では議論しております。

 それから、公共交通が、特に都市と地方の格差が広がって、地方の公共交通が非常に脆弱になってきております。この公共交通を交通基本法で立て直すことで、公共交通と都市機能を一体化していくというようなことも今議論をしております。

 あわせてもう一つ申し上げますと、今のエココンパクトということなんですけれども、公共交通で都市と都市をつなぐとともに、歩きと自転車、都市と自転車の共生といいますか、ヨーロッパなどではかなり進んでおります。韓国などでもその考え方を今取り入れております。ですから、歩きと自転車で最低限生活ができる、そして都市と都市を公共交通を立て直すことでつないでいくというような、そういう議論を多岐にわたって今しております。

福井委員 また重ねて正直におっしゃって、開始をしたということでございます。

 冒頭申し上げたように、きょうこの時点で、国会で審議する前にすべての省庁との議論が終わっていなければならないということを申し上げたので、オンゴーイングであるということを正直におっしゃっていただきました。

 それはそれで議事録に残しておくしか……(辻元副大臣「ちょっと言わせてよ」と呼ぶ)いや、もう結構です。ないようでございます。それで……(辻元副大臣「政権交代してからですよ。もう半年くらい」と呼ぶ)もう一問聞きますから。

樽床委員長 静粛に。

福井委員 ありがとうございます。

 最後に道路。

 地球環境という問題意識がありながら、土日千円というのを自公政権のときに始めました。これはもうまさに矛盾するんですね。だけれども、土日千円で実はCO2がふえたのかふえていないのか、あるいは今回の高速道路の無料化区間を導入したときにCO2がふえるのかふえないのか、いろいろ試算によって違うんですね。全く違うんです。ふえるケースもあれば減るケースもあるということでございます。それから、先ほどおっしゃいませんでしたけれども、ロードプライシングという議論があります。道路はつくるだけじゃなくて、料金を賦課して、そしてモーダルシフトを起こして大量交通機関に乗りかえてもらうという手法もございます。

 そういう意味で、先ほど都市計画で御議論いただきましたので、道路という意味で今後の展開をどう考えておられるか。では、先ほどの御反論があるならそれも含めてどうぞ。二分以内でお願いします。

辻元副大臣 熱くなってどうも失礼いたしました。

 実は先ほど、この高速道路の件も含めてなんですが、議論をしておりますというのは、政権交代をして、九月以降、半年以上ずっと議論を続けてきております。それぞれの分野についての結論を急いで出していこうという過程ではありますけれども、半年以上ずっと議論を続けてまいっておりますので、今から始めるというわけではありません。

 その中で、高速道路政策と環境との関係だと思うんですが、今回、高速道路の無料化ということを、約二割程度なんですけれども、発表させていただきました。これはあくまで社会実験ですので、社会実験をしていく中で環境とのどのような共生が成り立つのか、それから利便性や地域の発展性、総合的に判断していこうと思います。

 ただ、難しいのは、やって、その結果を反映していくに当たっての基本の前提をどうするかということだと思います。今委員が御指摘いただきましたように、確かに、鉄道やバスなどの公共交通に乗りかえというか、そちらに移行していくということもCO2の排出を減らします。ただ、今利用していただいている車の渋滞を緩和するということもCO2が減るということになります。ですから、それをトータルに社会実験として一定の期間見させていただいて、今後の高速道路の無料化も含めて政策を決めていきたいと思っています。

 ちなみに、環境省と国交省でつい先日出しましたデータに若干の違いがあります。しかし、プラスちょっととマイナスちょっとで、割と中立的なデータが今出ていると国交省と環境省では理解をしております。

福井委員 ありがとうございました。

 環境庁ができてから、実は各局、各施策で、環境というのは目的が内在化しておりますので、今副大臣、いろいろ御指導されておりますけれども、そういう方向で、そういう文脈で今後とも御指導していただきたいと思います。

 ですから、今やっているというのではだめだということを申し上げたかったので、それはそれでわかりましたから、どうぞ、もうきょうは役所に戻ってお仕事をしていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 では、同じ質問ですけれども、山田副大臣、農水委員会ではお世話になりましてどうもありがとうございました。政府として、農水省として正式に、今回の中長期ロードマップ、道行きについて、そして今回の法案についてどのように受けとめたのか、副大臣の方から御紹介いただきたいと思います。

山田副大臣 農水省としましても、担当は郡司副大臣だったんですが、各関係副大臣級会議において、中長期目標、いわゆるロードマップ、二五%削減案については、いろいろ討議させていただいて今日まで来ております。

 私ども農林水産省の政務三役でも、一体農林水産分野でどれだけ省エネ効果というものができるのか、そういったものを随分議論させていただきました。

 その中で、大まかに言いまして、二五%削減のうちの七・九%、いわゆる三分の一相当分については我々農林水産分野でもできるんじゃなかろうかと。と申し上げますのは、農業、漁業の分野で、重油とか、漁船もほとんど重油を使っているわけですが、漁船にしましても農業機械にしましても、実際そういう漁船にも私試乗してまいりましたが、電気で、モーターで、蓄電池で可能でありますし、LEDといったものでいわゆるイカ釣りの集魚灯等々も可能でございます。あるいは温室も、CO2を出さずに一つの電気のクリーンエネルギーができるというようなことがだんだん太陽光等でわかってまいりましたし、そういう取り組みをすること。

 それと、もう一つは林業。ここで今まで間伐材を切り捨てておったんですが、それをバイオマスに利用、活用する、いわゆる石炭火力発電所で混焼するとか、そういったことも可能だ。

 今回、この国会でもって、三階より低層の公共建物は全部木造でやろうじゃないか、そういう形で、今ようやく我が国も、木材が需要期というか、これから本当に利用する時期に入りましたので、その木材を利用して、炭素として木造建物で固定するということもできる。

 いろいろなことを考えますと、大体それくらいのことはできるんじゃなかろうか、そういう議論を私ども省内でもずっと続けさせていただいておりまして、ぜひ、環境省のこの基本的な計画、この法案に賛同していただければと思っているところです。

福井委員 さすが温厚な副大臣でいらっしゃいますので、環境省を今守られておりますけれども、客観的に見て、農水省関係の所管の業界で二五%削減できるわけがないんですね。ないんですけれども、なおかつ、先ほどの辻元副大臣と同様に、まだ議論がオンゴーイングであると。スタートしたばかり。あるいは実質的にどこまでいったのかわかりませんけれども、この国会で議論する前に本当は終わっていなければ。議論が出されていない、環境省と農水省とのバイの関係でもなかったということを今おっしゃっていただきました。

 そこで、ちょっと今答弁が長かったので、あと一問だけ。バイオマスの逆の効果、食料、飼料価格への悪影響がある、高騰するということですとか、逆に温室効果ガスを排出する方向に行くとか、あるいは森林破壊、自然環境が破壊されるとかということで、バイオマスを輸入したらいいとか、あるいはセルロースの技術開発をしているからいいとかいうものじゃないんですね。

 そこで、それこそサブルーチンですけれども、農水省として、バイオマスについて今どういう現状をとらえて、そして今後どういう展開をされていくのか。もちろん二五%の三分の一なんということはあり得ないんですけれども、バイオマスは大変大事です。そういう問題を抱えて、問題をどうとらえて、どう解決して、今後どう展開するのか、最後にそこだけちょっと御紹介いただきたいと思います。

山田副大臣 バイオマスの活用については二つあると思っております。

 一つは、まずバイオマスを燃料にするということ。例えば、先ほど言いました間伐材でバイオマス発電というようなことが今現実に行われておりますし、堆肥とか、その他ふん尿等でバイオマス発電とか、そういった食物残渣等をいわゆるエネルギーに利用していくということが一つ。これはかなり今進んできているかと思っております。

 もう一つは、いわゆるセルロースを使ってのマテリアルの利用。今、私どもは、飲料水を缶で、自動販売機でやっていますが、カートカンというのが開発されておりまして、これはまさに木質の間伐材を利用したマテリアルなんです。あるいは、米でできたマテリアルでプラスチック容器等々、いろいろなことが今可能でして、そういった意味での燃料とマテリアルの活用、これに今、我々農水省としては取り組んでいるところです。

福井委員 どうもありがとうございました。

 農水省関係でも、先ほど申し上げましたように、まだ今から議論を受けるということで御紹介を賜りました。

 山田大臣、本当にありがとうございました。役所でお仕事をしていただきたいと思います。

 では、最後に、我々は、経済産業委員会との合同審査もそうですけれども、関係省庁として厚生労働委員会との審査も要求をしておりましたが、いまだに実現をしておりません。きょう、ほんのちょっとですけれども、厚生労働省の中野政策統括官にお越しをいただいておりますので、同じ質問でございます、厚生労働省として、正式に環境省から、今回の法案の協議、そして中長期のロードマップ、小沢試案についてどのように話を受けて、どのように受けとめておられるのか、御紹介いただきたいと思います。

中野政府参考人 お答えいたします。

 地球温暖化対策に係ります中長期ロードマップにつきましては、環境省に設置されました検討会において検討されまして、三月三十一日に小沢環境大臣の試案として取りまとめられたと承知しております。

 この小沢大臣試案につきましては、厚生労働省は事前に協議を受けておりませんが、昨年十二月に閣議決定されました新成長戦略におきまして、環境分野は強みを生かす成長分野として位置づけられておりまして、グリーンイノベーションによりまして、二〇二〇年までに五十兆円の新市場、百四十万人の新規雇用を生み出すことが目標とされております。この新成長戦略と小沢大臣試案は整合性があるものと聞いております。

 厚生労働省といたしましても、今後、関係省庁と連携を図りながら必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

福井委員 雇用がふえるということで、まさに五月末と同じような印象を国民は受けるわけですね。きょとんとするわけです。国民負担はふえる、そして企業が今からフライオーバーしようとしているわけですね。企業の大小を問わず、これだけ環境への投資を要求される、これだけ国民負担がふえる、だったらもう日本で立地する必要がないんじゃないかということで、企業の経営者が、そろそろ海外へ飛んでいこうかということをたくさんの経営者が思い始めているし、もう実際に出ていった方もいらっしゃるというときに、今回の二〇二〇年までの二五%という目標が重なってきているということなんですね。

 これはかなり深刻な打撃なので、役所の答弁は以上かもしれませんけれども、では一つ逆に伺いますと、今回の目標を受けて、中長期のロードマップを受けて、雇用に対してどういう影響を受けるのか。巨大な経済マクロモデルを動かす必要はないんです、簡単な推計手法があると思いますので、役所として、今回の地球環境の法案を受けて、そしてこの審議を受けて、雇用についてどういう影響があるのか、独自の推計をしているのかしていないのか、していなかったら問題だと思いますけれども、御答弁いただきたいと思います。

中野政府参考人 お答え申し上げます。

 温室効果ガスの排出量の削減を進めることが経済活動の停滞、縮小につながるものでありましたら、それに伴いまして雇用が減少するということは考えられるわけでございますが、環境分野は、我が国にとりまして国際競争力の高い分野として期待されるところでございまして、新成長戦略にあるとおり、グリーンイノベーションによります成長、雇用創出が期待できるものと考えておるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、労働者の雇用の安定を図るため、温暖化対策が我が国の経済成長の柱の一つとなって新たな雇用の創出につながっていくよう、環境省を初めとする関係省庁と連携を図りながら、必要な対策を講じてまいりたいと考えているところでございます。

 なお、厚生労働省として現在何らかの試算を行っておるところではございませんが、新成長戦略全体の具体化作業に合わせまして、厚生労働省におきましては、雇用政策研究会におきまして労働力の需給推計作業を行っているところでございます。この作業におきまして、今回の環境省の推計も踏まえながら検討を進めたいと考えているところでございます。

福井委員 今、驚くべき正直な御発言でしたね。雇用というのは一番心配されるわけです。現下の、ことしの経済状況の最大の問題も雇用です。そして、それに重ねて二〇二〇年二五%という外的条件が付与される。そのときに、今から試算しても構わないみたいな御発言でございました。ああ、だから厚生労働委員会とこの委員会との合同審査がなかったのかな、答えようがないからなんだなというふうに感じざるを得ません。

 後で小沢大臣にも御指摘させていただきますけれども、ちょうど年金問題のときに皆さんに共通した認識があるんですね。旧内務省の呪縛というのがありまして、建設省も旧内務省ですから余り大きなことは言えませんけれども、つまり、何を言っているのかというと、国と県と市があって、例えば厚生省、旧内務省の役所というのはすぐ県庁に任せるんですね。そして、県庁はすぐ市町村に任せる。市長はすぐ課長、課長は係長ということで、後ろを向く相手がいるというのが旧内務省。

 しかし、建設省にも直轄があります。実際に用地買収をするというセクションがあり、そして財務省には税務署という直接税金を取るブランチがございます。最後に直接国民と接するそういう役所の機関があって、ブランチがあって、初めて国の本当の正しい意思決定ができるというのが学習なんですね。年金問題のときに私たちはそれを学習したんです。だから、やはり社会保険庁は掛金を毎月徴収すべきだった。それを市町村に任せたものだからこんなになったんだということを学習しているわけです。

 そんな中で、今、小沢大臣に聞いていただきました。厚生労働省としては直接雇用の問題は責任がとれませんということを逆に言えばおっしゃったわけですね。では、小沢大臣は責任がとれるのか。とれないですね。では、直嶋大臣か。とれないですね。やはりたらい回しになるわけです。

 ですから、一番大事なことは、環境庁で生まれたときは、アドホックな省庁でしたから、平等とはいえ、よその大臣よりは少し権限が小さかったわけですね。そのときの方がむしろ行政としてはうまく回転していた。今、大臣がイコールになりまして、なかなかうまくいかない。一方で、国家戦略局ができようとして、国家戦略として地球環境というのが位置づけられようとしている。そのときの組織論というのを、そのときの雇用問題へのタックルの仕方、そのときの悪影響に対するタックルの仕方、これはきょう後ほどまた大臣に答弁していただきますけれども、ちょっとそれまでの質問の間、考えておいていただきたいと思います。

 厚生労働省も、環境省とのバイの関係ではその議論が終わった段階じゃなかった、今からなんだ、しかも雇用については何の責任もとれないという状況だということが今判明いたしましたので、これで、中野さん、どうぞ役所に帰ってお仕事をしていただきたいと思います。

 それでは、お待たせしました、小沢大臣。私は非常に性格がいいものですから、意地悪な質問は一切いたしませんので。

 まさかきょう終わるわけじゃないんですけれども、地球環境の法律がこの日本の国会で議論され、そしていつかは何らかの形で成立するという時期を迎えて、感慨無量だと思います。環境省も、プロパーの人が事務次官で卒業したばかり、役所としても一人前になった。そして政権交代もあった。そのときに地球環境の法律ができる。本当に、ぐっと引いて、今でも私たちは、帝国議会の議事録を読んで、ああそうだったのかと思うんですけれども、百年後、二百年後の日本人がきょうの議事録を読んで、ああ、そういうことだったのか、そういう歴史認識、時代認識で地球環境というのをとらえてこの法律を通したんだなということがわかるように、今から御答弁をしていただきたいと思うんですね。

 一つは、先ほど辻元副大臣にも御答弁いただきましたが、資本主義。産業革命以降CO2がふえたと言われていますね。その資本主義と、今回の地球環境との関係についてどうとらえるのかということなんですね。普通だったら、境界条件ができてきた、六十億人が八十億人に、八十億人が百億人に、地球は限界があるから、そのキャパシティーの中で生き抜いていかなければならないから、CO2は何トンまで、二度まで、そしてGDPは何億円までということになろうかと思いますけれども、今回の時代をそういう環境の境界条件としてとらえるのか。

 私自身は、そんなことではなくて、もっと本質的なことなんじゃないかなと思うんです。つまり、目標、目的関数は、国家の経営の目的は、すべての国民に三食おなかいっぱい食べさせることですね。それに失敗したからソ連が崩壊した。私たちは、今までは成功した。ちょっと不平等になっているけれども、しかし、三食おなかいっぱい食べることができるようになってきた。しかし、それで中国、インドが、そして今から爆発的に発展するアジアが、そのままいっていいのかという問題意識だと思います。

 つまり、この資本主義の中で今まで発展してきて、そういう環境ファクターの境界条件ではなくて、資本主義の目的関数、目標をそろそろ変更した方がいいんじゃないかというような時代が来たから、潜在意識として世界じゅうの人がそういうコンセンサスに今至っているのではないかと思うんです。

 そういう意味で、今、なぜことし地球環境の法律を通そうとしているのか、思索家、大政治家小沢大臣として、二分三十秒以内でちょっと御答弁、時代認識をお願いいたします。

小沢国務大臣 福井委員にお答えしたいと思います。二分三十秒という話でありますが、この間の本会議のときは、本会議という制約もあって細かい答弁ができないのを大変悔やんでいましたので、本当は、きょうはじっくりお答えをしたい、こう思っていたんですが、では、できるだけ口早に申し上げたいと思います。

 まず一点、先ほど来、各省の御意見を聞いていただきました。あれはそのとおりでございますが、これは福井委員が御出席にならないときに私は何度か答弁をしていたんですけれども、まず基本法をやるんだ、そしてその基本法のもとで、基本計画の中でそういったロードマップの中身のようなものを詰めていくんだ。それは、自民党がかつてやったのも同じ方法だったんです。そして、総論をやり、理念法をやり、基本方針をつくり、具体案をやっていく、この手法をやっているのであって、しかし、そうはいったって議論するときに材料の提供がなければなかなかできないだろう、こういう話の中で私としては提案をさせていただいたということをぜひ一言申し上げておきたいと思います。御理解いただけるかどうかは別ですが、私からも一言申し上げたいと思います。

 それで、質問ですが、端的に言って、私は、ワットの蒸気機関から始まって今日に至るいわゆる産業革命、そのときに、石炭を使ってエネルギーを利用してきた。そのときの資本主義の制約条件というのは、技術力であるとか、あるいは各国のいわゆる資源の問題だとか、そういった問題だったんだろうと思います。

 この二十一世紀、なぜ今なのかという話のときには、その制約条件そのものが地球規模に広がったんだと思っています。まさに地球環境という言葉にあらわされるように、この地球全体をどう考えていくかという話を考えなければ人類そのものが生きていけない。これはCO2の問題もそうでありますし、生物多様性の問題もそうであります。そういった意味で、各ネーションステートからグローバルなところに大きな問題が移った、そういう時代に我々は今立っているんだろう、こう思っております。

 何度も申し上げておりますが、四十六億年前に宇宙の中に地球ができ、そして四十億年前に命が初めてこの地球に発生した。その地球を、後世の皆さんたちにでき得る限りこのままの形で、できればさらにもっと豊かにして伝えていきたい、そういうことが今回のまさに時代の要請だと思っております。

福井委員 需要そのものが今問題になっているわけですから。ですから、本質は、先ほど言いましたように、そういう境界条件じゃないと思うんです。つまり、生き方、生きざま、文化のつくり方、文化の練り方が今問われているんだと。そのために日本というのは世界に貢献できると思うんです。

 これは、橋本龍太郎元首相が、亡くなる半年ぐらい前でしょうか、自民党本部で、元首相のいわば引き継ぎとでもいうべき一時間の講演を聞きまして、非常に感動したんですね。とにかく、橋本総理としては、日本は、水俣病を初め公害を克服した、あの公害を克服した技術を世界じゅうに移転すべきだということが一つと、そして、午前中もどなたかが質問されていました水と環境、省エネ、省資源、これはだれがどう見たって世界一。だから、これで国の形をつくっていくんだということですね。

 橋本総理がおっしゃったのはそこまでなんですけれども、ということは、やはり日本人というのは、自由と平等、自由と平等で、右足、左足、右足、左足、こうやって政治のダイナミズムをみずからつくって、みずから矛盾をつくって進んできた、これが地球の、世界の近代史。自由と平等。日本は平等なんですね。村落共同体で、みんなが平等に生き抜いていくんだということで、世界に冠たるそういう生き方、生きざま、思想、哲学をつくり上げている。それを今、世界じゅうから集まってきた文化を融合し、そして逆に世界に持っていく、そういう立場にいるんじゃないかと思うんですね。

 ですから、今、CO2が何トンとかいう境界条件じゃなくて、生きざま、まさに世界への哲学的な貢献、水と環境を通じて、地球環境を通じて、実は生きざまを世界の人々に示し、そして、日本人の生き方というのはいいんだな、だったら、中国もインドも、何億人ふえたって、原単位も徹底的に減らし、そして総量としても減らしていけるという生き方ができると思うんですね。そうでなければ絶対できません。アングロサクソンそのままで中国とインドが発展したらどうなるんですか。それは二度Cどころの話じゃないです。日本人がどうしたって、EUがどうしたって、アメリカがどうしたって、追いつかないです。今、そういう状況にあるんですね。

 ことし、中国が日本を追い越す。そして、二〇二〇年には中国がアメリカを追い越すでしょう、二〇二〇年から三〇年の間には。そして、もう二十年たったら、その中国をインドが追い越すでしょう。そういう世界の状況を見たときに、今、日本というのはこの地球環境でどういう役割を果たすべきなのか。資本主義のこの数百年の歴史の中で、日本が置かれた立ち位置、そしてやるべきこと、この法律は法律でいいんですけれども、日本の政治家として、日本人のリーダーとして、日本の役割をどうとらえているか、ぜひ、百年後のリーダーにたえる御答弁を、それこそ短くで結構ですから、よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、横光委員長代理着席〕

小沢国務大臣 まず、私は、さっき申し上げたような危機感から、日本自身がみずから律しなければいけない、こう思います。ですから、そういった意味で二五%削減という話を表明し、実行しなければいけない、こう思っております。

 それと同時に、途上国あるいは島嶼国、そういった国々に対して、先進国の歴史的な責任というのもこれまた事実でありますので、そういった責任を果たしながらお互いに支え合うという意味で、鳩山イニシアチブという形でしっかり支援を行っていく。ただ単に金を流すというだけではなくて、日本の技術も精いっぱい使ってもらって、そして世界の中でCO2を同時に削減していく、そして温暖化をストップさせていく、それが日本の責務だ、こう思います。

福井委員 やはり、毎日地球環境のことを見詰め過ぎて、本当に頭が一〇〇%そうなっていらっしゃるので、ぜひ、時々ぐっと引いて、おふろの中で歴史認識を深めていただきたいなと思います。生意気な言い方で申しわけないんですけれども。

 とにかく二十一世紀の日本は、まず金融資本主義からの脱却ですね、もうければいいという。まあ、ホリエモンを立てたのは自民党ですけれども。もう一つは、やはり環境ビジネスのプラットホームづくり、そしてそれで世界で競争していくという、まさにそれは政権がおっしゃっていることですので。だから、何が大事かというと、その二つに共通するのは、経済に対する、そして生きざまに対する哲学だということを申し上げているわけで、それをもう少し国会の場でも御紹介いただければというふうに思うんです。

 それはまた後ほどやりますけれども、今回は、いろいろな試算があって、経済活動に対する影響もプラスだ、そして環境目標も達成するということで、まさにポジティブアティチュードなんですね。日本語で言うとのうてんきというんですけれども。しかし、それはそれで一つの政治手法だと思います。それはあり得るわけですね。そうでなければ、今回のように、二〇二〇年二五%なんというとてつもない目標をいきなり掲げられるはずがないので、ポジティブアティチュードで、それはそれでいいだろう。

 しかし一方で、やはり政府ですから、国民生活に責任を持つということで、リスクマネジメントはネガティブシンキングじゃないとだめなんですね。リスクマネジメントは、こういう悪いことと、こういう悪いことと、こういう悪いことと、こういう悪いことが仮に重なっても大丈夫だということを、政府としても手として考えておかなければならない。

 そこで、二〇二〇年までの世界の地球環境における政治的な流れというのを、大臣として今どういうふうにとらえていらっしゃるのか。このまま線形的に連続してずっと、だれもが協力する、中国とアメリカもいつかはもっと協力するというふうに考えていらっしゃるのか。あるいは、波のような状況があってもある幅で行くんだということなのか。あるいは、もっと日本がプラットホームをつくって、二〇一五年でも一六年でもいいですけれども、二〇二〇年までの間に何がしかのアクションを起こすのか。世界政治の道行きというのを境界条件としてどうとらえていらっしゃるのか、ちょっと御紹介いただきたいなと思います。

小沢国務大臣 今の質問の御趣旨がわからないところがあって、ちょっと答えづらいんです。世界がどういう形で進んでいくかということに関して、どの分野でどういうふうな話かという話をもう少しいただければ、私なりに答えられる限り答えたいと思います。

福井委員 後ほどにしましょう。

 それで、気象庁のシミュレーションの中身を聞きますと、平面的には二百八十キロメッシュ、高さ方向には百二十キロメッシュということで、地球をメッシュに切りまして、それで大気密度、気温、水蒸気量、風速ということで、流体力学のナビエ・ストークスの方程式を解くんですね。それで、IPCCでかなりいいモデルだというふうに褒められたというのが日本の気象庁のモデルなんですね。

 なんですけれども、いろいろなシナリオで、日本の気温が何度上がるか。四度上がる、三・二度上がる、二・一度上がるというモデルがあるんですけれども、よく聞くと、一シグマで、標準偏差で一度あるんですよ。標準偏差で一度。だから、四度上がるという予測のときには、二シグマの、標準偏差がマイナス一からプラス一までの間でも、三度から五度という幅があるんですね。普通、こんなのは考えられないですね。しかし、データの制約上、そしてモデルの制約上、世界じゅうが知恵を集めて、世界じゅうが同じような計算をしても同じような精度しか得られないから、今のところはしようがない。

 それで、二〇一三年の第五次の準備ということで、次のモデルを計算することになっていますけれども、次のモデルで何を足すかというと、炭素循環なんですね。炭素循環なんてもう入っているんじゃないかと思ったんですけれども、炭素循環は次のモデルでしか入らないですね。そして、エアロゾルもそうなんですね。メッシュはふやしますけれども。まだまだこういう状況なんです。基本的な、何度上がるかという計算をするモデルですら、標準偏差がマイナス一から一の間でも二度の変化があるわけですね。

 そういう統計学的に計算結果の幅がある中で、どうして、どういう思考過程で、これはさっきの質問がちょっとあいまいだったかもしれませんけれども、この質問は明確に答えていただきたいんです。

 ですから、二度上がるという計算をしたときにでも、標準偏差で一ですから、六八%ぐらいですね。六八%の割合でしか言えない、三度から五度ということ。そして、後ほどまた聞きますけれども、雲の影響だと、二度とか三度とか、軽く変化するわけですね。そういう変化のある、統計学的に信頼度に限界があるというデータを受けて、だけれども、IPCCとしては世界の共通言語にした。そして、日本もそこに向かおうとしている。これは一体どういう思考過程なのか。

 一言政治判断だと言えば、そこまで。それでも結構です。後の日本人によくわかるように、そういう統計学的な、そして計算過程のシミュレーションの限界がありながら、それを知りつつ、二度、三度すぐ変わってしまうんだということをわかりつつ、二〇二〇年までに二五%という目標をセットした、その思考過程について、これはちょっと、何分かかっても結構ですから、詳しく議事録に残していただきたいと思います。

    〔横光委員長代理退席、委員長着席〕

小沢国務大臣 先ほど江田議員とのやりとりの中で、やはりこの二度Cという話がありました。私どもとしては、このIPCCの第四次報告書の分析、最も影響の少ないシナリオとして、温室効果ガス濃度を四四五から四九〇ppmで安定化すれば、先ほど申し上げた産業革命前から二・〇から二・四度Cの気温上昇にとどまり得る、そういうIPCCの報告書を受け、四五〇ppmの安定化レベルを達成するために、いわゆる先進国、附属書1国全体の排出量を一九九〇年比で二〇二〇年に二五から四〇%、二〇五〇年には八〇から九五%削減する必要がある、こうした科学の知見を受けて、政治的に民主党として勇気を持ってその数字を受け入れたということでございます。

 エネルギー効率が大変高い日本でありますので、その中の最も少ない数値ではありますけれども、二五%の数字を受容したということでございます。

福井委員 今まさに問わず語りでおっしゃっていただきました、科学的という言葉がございました。

 ですから、科学的というのはそういうシミュレーションであるということで、まず限界。そしてそのシミュレーションの結果も統計学的に幅があるということをおっしゃっていただきました。そして、勇気を持ってとおっしゃっていただきました。まさに政治判断としてロジックジャンプをしたということですね。それはそれでまたいいんです。ロジックジャンプをしたということが後々わかればいいんです。

 そして、シミュレーションを精緻に精緻にしていく、データを積み上げていくということが人類共通の課題だ。これも、与野党問わず共通して抱えていかなければならない課題だというふうに思います。

 それで、統計という意味では、経済計算、百兆円の環境投資をするんだということで、成長戦略プログラムに書かれているかどうか知りませんけれども、ございます。それが現在のGDPと十五年後のGDPの増分、三角形の面積計算をして、百兆円がそのままめり込まないであるとしたら、そのGDPの増分の何割になるんですか。半分ですか、三割ですか。そんなことはあり得ないんですね。ですから、その百兆円を計算した役所の部署と、今からGDPがどれだけふえるかという計算をした部署と、多分違うんだと思うんですよ。

 ですから、それをつなげて、今後、成長戦略の一環として、要するに、めり込みがどれだけあるかという説明をしていただければいいんです。つまり、付加価値ですから、百兆円の中でGDPがふえる分には何兆円ぐらいが見込まれるということで、まさにフェルミ推定という言葉がありますけれども、大体の原単位をもって、大体、有効数字一けたでいいんですよ。けたが合っていればいい。ですから、そのGDPの増分の半分だとか三割とか言われると、だれも信用しないわけですよね。

 ですから、それが二%、三%にすぎない、だけれどもこれがまさに戦略産業であって、これからのエンジンになるんだということで、これからの国民経済計算の中での環境産業の位置づけについて、数字でちょっと御紹介いただきたいと思います。

小沢国務大臣 今回、中長期ロードマップをつくるに当たって、CO2を削減するために何が必要か、こういう話を積み上げていきました。そして、積み上げていったものを金額ベースであらわすと、十年間で百兆円、こういう話になります。

 ただ、これは委員ももう御承知の上だと思いますけれども、十年間で百兆円といったって、十年間を均等に割ったとしたら、年間十兆円です。GDPの二%です。これは当然民間投資も含まれている数字です。年間、いわゆるGDPの二%ずつ環境投資がふえていく。それがそんな大きい数字だとは私は思っておりません。

福井委員 わかりました。推計の域を出ませんので、今の答弁は満足しませんけれども、時間も迫っておりますので、ちょっと組織論を御紹介いただきたいと思います。

 先ほどちょっと御紹介しましたけれども、内務省の呪縛がある、そして環境省は旧内務省だと。国立公園には直轄の職員がいますけれども、全部自分で国民と直接接しているわけじゃない。だけれども、これからは民生だ、業務ビルであり私たちの住宅でありということで、課題がそこに見えている。

 そんなときに、直接国民と接する、民生のCO2削減について指導する、すべてNPO、NGOに任せていいのかと思うんですね。国家公務員をもっとふやして、組織をふやして、ブランチをふやして、そして怒濤のように、各県庁、各市役所の中にいるかどうかは別としまして、環境省直轄の地球環境推進官というものが、今はちょっと二千ないですけれども、各市町村にいる、各コミュニティー、三万のコミュニティーにいるという状況にしなければ、これは到底、二〇二〇年、二五%というのは無理なんですね。

 そういう意味では、環境省の中の組織論というのを考えているかどうか、考えていなかったら考えていないで結構ですけれども、御紹介いただきたい。

 それから、先ほど申し上げました、国家戦略局ができる、そして地球環境が国家戦略であるということは論をまたない。そのときに、環境省と国家戦略局との関係をこれからどう展開していくのか。今までどおりでいいのか。今課題としてあるけれども、今後どうするのか。

 その二つ、T字形で御紹介いただきたいと思います。

小沢国務大臣 国家戦略室は、今後、法案を通させていただければ国家戦略局になり、鳩山内閣の戦略的な政策の企画立案の中枢を担っていく、そういう機関である、こう思っておりまして、今後我が国が進むべき道を考えていく上で、この環境政策というのもその大変重要な、大きな柱の一つだ、こういうふうに思っているわけでございます。

 そういった意味では、国家戦略局が企画部門となり、我々もそこに最大限協力をしていく中で、今後の我が国の環境政策をともに力を合わせて立案していく。当然ながら、各省庁との横断の調整作業も国家戦略局のところで行っていくことになると私は想定をしております。

 それから、環境省の方の話でありますが、今の人員で本当に今回のような政策を実行していくのに大丈夫なのか、こういう御質問でございます。

 それは、確かに人がいていただければそれにこしたことはないと思いますし、本当に猫の手もかりたいという気持ちでおります。ただ同時に、国家財政がこういう状況であるのは事実でありますので、なかなかそれはできない相談だと。

 こういうことの中で、あらゆるネットワークを活用しながら、各自治体の皆さんにもお願いし、民間の皆さんにもお願いし、国民の皆さんにもお願いしていく、それがチャレンジ25という発想であります。

 先ほども申し上げましたが、各地域で企画、シンポジウム、イベントを行っていきますけれども、これの一つのねらいは、さっきも申し上げて恐縮でありますが、来年、統一地方選になりますので、そのときに、世界各国、先進的な事例はこういう事例ですよというのをばっと全部示させていただいて、それを見ていただいている首長さんあるいは各級議員の皆さんたちが、それぞれの統一地方選の中で、我々の地域はこれをやるぞという話で、来年の統一地方選の政策は環境政策が花盛りになる、こういう形で政治が動いていけば社会全体が大きく動いていく、こう思っているのが一点。

 それからもう一点は、私は、環境と成長の両立と、環境と経済をリンクさせて常に発言をさせていただいているわけでありますが、なかなか精神論だけでは人間は動かないといいますか、社会全体を動かしていくのは難しいところがあります。そこに経済的動機という話があって初めて社会は動いていく、そういう部分も多いわけでありますが、環境政策はこれから伸びていく産業です。一言で言えば、利益が上がっていく産業です。そういう話がだんだん浸透し始めました。ということは、自律的に民間企業が環境政策を実行していっていただける、こういうことであります。

 そういった意味でも、政治も大いに変えていく、民間の経済も大いに環境に向かって動いていく、そういう大きなムーブメントをつくっていける、そう確信をしております。

福井委員 まさに次の質問の導入をしていただきました。国民運動をつくるというのは、明治政府以来、いまだかつて我が国家はやったことがないんです。やろうとしてやろうとして、中心市街地でやろうとして、何回もやろうとして、官邸に本部をつくっていろいろなことをやりましたけれども、結局一つも成功していないんですね。だから、今回は絶対に成功しなければならない。一人一人の国家意識を芽生えさせて、まさに今大臣おっしゃいました、一社一社の企業が地球環境への意識を芽生えさせて、そして一人一人、私たち住宅に住んでいる者一人一人が国家に貢献するんだ、地球環境に貢献するんだという意識を持つ。だけれども、それを持ってねと言うだけじゃ国民運動にならないんですね。

 今回の法律にもそれらしきことはさらっと書いてあるけれども、核心には触れていないんです。我が方の法律には書いてあるんですよ、核心は。つまり、国民運動を起こすというのは、行政の今までの考え方、行政のツールではできなかったことなので、これはまさに政治主導、まさにお三人のお仕事だと思います。できなかったら次の政権でやりますけれども。とにかく政治主導、今までの行政でできなかったことは国民運動だということ。これはちょっと議事録に残していただいて、御答弁は結構でございます。

 それで、先ほどシミュレーションの結果だけ御指摘をさせていただきましたけれども、もう時間もなくなりましたので項目だけ御紹介しますと、今までも議論があったでしょう、雲の影響、エアロゾル、食料への影響、それからカーボンリーケージの問題、森林破壊によるCO2の排出の問題、レアアース、レアメタルの確保の問題、そしてライフサイクルアセスメントの問題。とにかく、擾乱要素といいましょうか、意思決定する前の条件整備、条件を考える上での数字がまさに意思決定の結果を左右する、するかしないかを左右するぐらい各項目ごとに違うのに、それが直列でつながっているという状況。その中でまさに勇気を持って政治決断をしていただいたというのが今の状況ということがわかっていただいたわけです。

 今まさに、小沢大臣がおっしゃるように時代の分岐点です。だけれども、点だから一年か二年かというと、そうじゃないですね。この分岐点は百年続きます。何となれば、アジアは今からもっと資本主義が成長するから。ひょっとしたら、もっと金融資本主義が成長するから。

 ですから、繰り返しになりますけれども、日本の私たちの生きざま、生き方というのは非常に大事。もっと大事なのは国会だと思いますね。分岐点が百年続くとしたら、先ほど山本委員からも御指摘がございました、もう与党も野党もその中で関係あるわけがございません。ましてや、そういう意味で、委員会の縦割りのあり方も払拭してこの法案というのは議決をすべきです。

 そういう意味で、経済産業委員会との連合審査しかできなかったこと、まことに残念です、今現在においては。これからは、厚生労働委員会との連合審査も必要でしょうし、もっとたくさんの時間をかけて審査しなければならないということだと思います。

 委員長には大変お世話になりまして、あれは一期目だったでしょうか、おかげさまで第二京阪ができまして、ありがとうございました。まさにあのときに、平成四年、五年に聞かせていただいたのは、おれは環境をやるんだということをおっしゃいました。それで、今、七奉行か六奉行か知りませんけれども、反小沢の急先鋒に立っておられますね。

 ですから、環境に命をかけて、そして復帰をされて環境委員長になられて、まさか強行採決はあるわけがないですよね。命をかけて環境問題に取り組もうとしている大政治家樽床先生が、まさか強行採決をすることはない。

 今から五十時間、六十時間かけて、今、小沢大臣とも議論をさせていただきましたけれども、生煮えです。役所の答弁という意味での限界はあるかもしれませんけれども、生煮えでございます。そして、各省庁の戦術的な答えもまだ返ってきておりません。今議論が始まったばかりという正直な御答弁もございましたので、ぜひ樽床先生の真摯なるリーダーシップを発揮されて、この委員会、ますます議論を深めていくことを心からお願い申し上げまして、時間が参りましたので齋藤委員に譲りたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

樽床委員長 御激励をいただきまして、ありがとうございました。

 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健でございます。

 大臣におかれましては、連日本当にお疲れさまでございます。

 私の方から、まず冒頭ですが、本日の大臣の御答弁の中で若干誤解があるかなと思うところがありますので、指摘をさせていただきたいと思います。

 今回、大臣が、二五%削減によるさまざまな分野への影響というものは、ここでは小沢試案というたたき台を出せば十分で、あとは基本計画までに詰めればいいということを再三表明されている。それはそれで、その是非はともかく一つの考え方だと承っておりますが、そのとき、かつての自民党もそうだったじゃないかというお話がありました。

 恐らくどなたかにささやかれている話だと思いますが、今の自民党は全く変わっておりまして、私が本会議でも御説明させていただきましたように、今回自民党が〇五年比一五%削減を目標として掲げるときには、福井前日銀総裁を座長にしまして、あらゆる分野の方に参加をしていただきまして、オープンに議論をしまして、そして六つの選択肢というものを福井さんに選んでいただきました。

 そして、その中から、パブリックコメントなんかをしながら、最後に麻生総理が一つ選ばせていただいた。そのときも、三十分テレビのカメラに向かって麻生総理が説明をした。そして、それと同時並行的に党の機関でも四十数回にわたって議論をして、各省も全部納得したものを目標として掲げて、それを盛り込んだ法案を今回提出させていただいているということでございますので、今、小沢大臣がおっしゃったプロセスとは全然違うプロセスを経て、自民党は一歩先を行った形で審議をして提案させていただいているということをぜひ御理解いただきたいと思います。我が党の名誉のためにも。なぜかカメラがいっぱいありますので、はっきりさせておきたいと思います。

 それから次に、私どものスタンスをはっきりさせておきたいと思いますけれども、何も私どもは環境と経済が両立しないと言っているわけではありません。恐らく、我々の法案と政府が提案されている法案と、その基本姿勢において、そんなに大きくずれているということはないと思います。

 ただ、問題は、二五%削減目標の是非というところに非常にウエートがかかってきているんだろうと私は考えております。つまり、〇五年から二〇二〇年までの十五年間に三〇%削減をするという目標の是非、これが我が党と政府案の一番大きな論点の違いではなかろうかと思っているわけでございます。

 その点を強調させていただいた上で、私の質問に入っていきたいと思います。

 四月二十三日の当委員会での質問で、私の質問の趣旨は、二五%削減がいろいろな分野に影響が出る、それについてこうだという結果はどこにありますかということを質問させていただいた際に、寺田局長の方から、「小沢試案という格好でメンションしたものは四つございます。」という答弁がございました。

 そして、その上で私が、いや、二五%削減を前提としているのは二つですよねという確認をさせていただきました。つまり、四つではなくて二つだったわけでありますが、その確認をさせていただいた上で、寺田局長の御答弁は、ちょっと読み上げますが、「二五%を前提にしてあるのは二つでございますけれども、モデルはそれぞれさまざまな用途があるわけでございまして、二五%を前提にしていないからといって、その二五%の影響を見るのに使えないということはないわけでございます。」という答弁をいただきました。

 今論点になっているのは、二五%削減というのは一体本当に深刻な影響が出るのか出ないのか、大丈夫なのかという点でございますので、なぜ四つのモデルを分析しておきながら二つしか二五%削減の影響を示さないのか。この点について、局長の方からお考えを御教示いただけたらと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私が御答弁申し上げました趣旨でございます。

 若干長くなりますけれども、今回、ロードマップで四つの分析というものを示したそのバックグラウンドには、前政権での中期目標検討会、さらには現政権でのいわゆるタスクフォースの分析など、これまでの経済分析において、例えばイノベーションというものの効果が十分把握されていない、あるいは新産業等の創出の効果もなかなか把握できない、あるいは、一般均衡モデルでございますので、例えば不況あるいは需給ギャップ等々の影響が十分見られていない。そういった反省点が示されたということも踏まえて、それらを是正する意味で、この四つの分析というものを小沢試案という格好で示させていただいたというものでございます。

 唯一、二五%の影響のみを見るわけではなくて、要するに、この二五%というような野心的な削減をやったときに、国民生活あるいは産業に一体どのような影響が出るのか、そういうことを考えるに当たって参考になるようなものを示そうというものでございます。

 すべてが二五%を前提にしなければならないというものではなくて、ただいま申し上げたことを繰り返すようでございますけれども、イノベーションというものを見た場合にどういったことが言えるのか、あるいは新産業等々が創出された場合、あるいは需給ギャップ、雇用ギャップというものがあるときに新しい投資をしたらどういうことが起こるのかということを見る、そういう意味で参考になるものだと思っております。

齋藤(健)委員 今一番議論になっているのは、二五%削減したときに、今局長がおっしゃったようなイノベーションの影響も含めてどうなるのかということが国民の皆さんの関心事でありますし、類推しろというのは国民の皆さんに対してちょっとわかりにくいんじゃないかと思います。

 その二五%削減のモデル分析をしていない二つのケースについて、私は、四月二十七日に、では、そのモデルに従って二五%削減の影響分析をしたらどうなるか、それを示していただきたいというお願いをいたしました。小沢大臣は、四月二十日の本会議でも、自分の出したモデルでいろいろ具体的な指摘があれば対応するのでという趣旨の御答弁をいただいております。

 そういう意味でいうと、この二五%削減というのを、今まさに寺田局長がおっしゃったようなイノベーションとかそういう効果を含めたら、残りの二つのモデルでどうなるのかということについて御教示をいただけたらと思うんです。

寺田政府参考人 今申し上げました二つのモデルについて、二五%という具体的な削減の案をこのモデルに落とし込んだらどうなるのかという分析をしろ、あるいはその結果を提示せよ、こういうお話かと存じます。

 まず申し上げておかなければなりませんのは、小沢試案で示しました四つの分析がございますけれども、これはいずれも、基本的には個々の研究者あるいは研究機関がおやりになったお仕事、その中で私どもが大変これは参考になるなと思ったものを中長期ロードマップの検討会という環境省の検討会で御議論いただきまして、それを載せたものでございます。そういう意味では、それぞれ先生方あるいは研究機関の御意思というものがあろうかと思います。

 ただ、これから私ども自身も、この中長期ロードマップあるいはこういった削減をした場合の経済影響等につきましては、現在のところ、中央環境審議会にロードマップの小委員会をつくりまして、さらなる分析も続けております。また、意向を大臣がたびたび申し上げておりますけれども、今後、基本法を通していただきましたらば、この基本法に基づいて基本計画をつくるという段階に入るわけでございます。そういう中でさらにこういう分析を続けていく、深めていくということは十分あろうかと思います。

 ただ、そのときには、ただいま申し上げました中央環境審議会での御議論の推移、あるいは個々のそれぞれの研究者、研究機関の方々の御意見等も十分勘案した上で考えてまいりたいと考えております。

齋藤(健)委員 局長、お言葉ですが、局長自身が御答弁の中で、「二五%を前提にしていないからといって、その二五%の影響を見るのに使えないということはないわけでございます。」と局長が答弁されているので、それを使って影響を見るとどうなるのかと私は聞いているんです、それも十日前に。どうして今出てこないんですか。

寺田政府参考人 冒頭申し上げましたように、私が申し上げましたのは、二五%という削減をするときにどういう影響があるかというのを考える際に参考になるということで申し上げたわけで、必ずしもそれでピンポイントの定量的な分析ができるということまで申し上げたわけではございません。

齋藤(健)委員 私自身頭が悪いせいでよくわからないんですけれども、二五%の影響を見るのに使えないことはないというふうにおっしゃったので、では、使ってみたらどうなるか教えてくださいと言っているだけの話なので、委員長、この資料はぜひ国会に出していただきたいと思います。

 大臣自身が、本会議でも、具体的に指摘をしてほしい、自分の出したモデルについて、どこをどうしたらいいかとか、そういう御発言をされて、私は十日も前に、しかも局長が使えないということはないとおっしゃるからでは使ってみてくださいということを言ったのに、まだ資料が出てこない。しかも、やらない理由が非常にわかりにくい。

 ですから、この資料についてはぜひこの委員会へ出していただいて、審議の参考にさせていただきたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。

樽床委員長 理事会で協議してください。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 次に、きょうはいろいろな省庁に来ていただいておりますので、また改めまして寺田局長にお伺いします。

 今回の二五%削減の中期目標が雇用に、いい面、悪い面、いろいろ影響を与えると思いますが、雇用にどういう影響を与えるか、つまり、私はこの委員会で何度も指摘をさせていただいておりますが、随分心配する向きがあります。

 十五年間で三〇%削減するということは、本当に容易なことではありません。現に京都議定書に基づいて今少しずつ皆で努力をしているものも、減少に転じたのは経済が悪化したからという要因が大きいわけです。ということは、大きく削減するということは、経済が傷むんじゃないかという素直な疑問があるわけです。これはいろいろな見方があると思います。しかし、素直な疑問を持っている方がたくさんいるわけでありますので、この二五%削減目標が雇用にはこういうふうに自分たちは考えているという見解を、国民に対する説明責任としてきちんとお話しをいただけたらと思います。これは事前に通告をしてある質問だと思います。

寺田政府参考人 今回、環境大臣試案の中で示しました伴先生の分析では、イノベーションの促進といった、従来は必ずしも十分に分析できていないプラスの効果を考慮しまして分析したところ、鉄鋼、非鉄金属・金属製品、電気機械、一般機械などの雇用が増加する一方で、石炭製品、火力発電などの雇用は減少する、全体では約〇・四%の雇用の押し上げ効果があるとの試算結果となっております。

 温室効果ガスの排出削減を強化いたしますと、省エネ家電など温暖化対策技術の需要が増加いたしまして、その分野での雇用が増加する効果をもたらす可能性がある一方で、エネルギー多消費産業において、コスト増から雇用が減少する方向に影響があらわれる可能性も考えられるところでございます。

 今回の試算では、これらのプラスマイナスの効果を加味した結果、わずかながらではありますけれども、全体としてはプラスになり得るとの結果が出たと認識しております。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 きょうは経済産業省も来ていただいていますが、経済産業省も同様の見解でございますか。

近藤大臣政務官 お答えしたいと思います。

 経済産業省の見解と申しますよりも、副大臣級検討チームのもとに設置されましたタスクフォースの会合においては、温室効果ガスの九〇年比二五%を削減する場合の試算として、いずれの研究機関からも、国民負担の増加やGDPの減少等のマイナスの影響が出るという分析が示されております。例えば日経センターではマイナス四・五%等々でございます。

 一方で、世界全体で削減の取り組みが進むこと等により、こうした経済影響は緩和できる可能性も同時に提示されているわけでございます。

 また、あわせて、すべての主要排出国が参加する公平なかつ実効的な枠組みを目指すとともに、成長戦略の議論を通じて、我が国が企業による海外での削減活動を後押しする新たな仕組みも整えていく予定でございますし、さらには、新しい成長戦略の議論の中で新産業等々が生まれる可能性も十分にあるわけでございますから、この問題については一概には言えない。

 ただ、タスクフォースの数字については、申し上げたとおりでございます。

齋藤(健)委員 私は経済産業省の見解を伺ったんです。なぜなら、環境省の見解が出ているわけですから、当然、それに対して経済産業省がどういう見解を持っているかということをお伺いしたかったんですが、ちょっと質問の角度を変えたいと思います。

 今回の伴先生のモデルというのは、きょうも局長の説明ではこのモデルしか言及をしておりませんけれども、CO2を削減すればするほど雇用がふえるという結果になっております。こういうメッセージを環境省としてどんどんどんどん流しているわけでありますが、このメッセージについて経済産業省はどのような見解をお持ちでしょうか。

近藤大臣政務官 CO2を削減すればするほど雇用がふえる。今、委員御指摘のその言葉だけをとらえれば、CO2削減をすれば雇用がふえるというのは直截的にはなかなか結びつかないな、こういう思いがややいたします。

 ただ、はっきりしているのは、CO2削減の努力をする中で技術開発が促されて、そうした先進的な技術が海外で、先ほどちょっと御答弁させていただきましたけれども、我が国の企業がシステムで輸出をする際の技術のエンジンになる可能性もあるわけでございますから、結果として、そうした全体の厳しいターゲットを示すことで国内の企業の競争力が高まり、そのことが海外に受け入れられて、そして結果として雇用がふえるという効果もあり得るのではないか。

 また、これは国土交通省と今検討している最中でありますけれども、新たなビルなりの基準をつくる。これもCO2削減でございますけれども、そこによって新しい雇用が住宅産業等々でも生まれる。こういうこともあるので、一概に、委員の御指摘のその言葉だけを聞きますと直截的ではないなという印象を受けますけれども、温暖化対策自体がイコール雇用にマイナスというのは、私どもはそうはとらない、こういうことでございます。

齋藤(健)委員 よくわからなかったんですが。ちょっとまた少し角度を変えて質問させていただきたいと思うんですが。

 要するに、この小沢大臣の試案のポイントはそこなんですよ、伴さんのモデルを使って。前にお話ししましたけれども、世界では、IPCCのレポートでは、十五のモデルを使いまして分析をしております。そのほとんどが、CO2を削減すればするほど雇用や経済に影響が出るというのが世界のモデルの主流であります。一つ二つ、若干そうじゃないというものがありますが、それももっと長期で見ればやはりマイナスだという結論になっていまして、これが世界のモデルの常識であるわけです。

 そして、自由民主党政権のもとでやりましたタスクフォースでやった分析でも、先ほど御紹介ありましたけれども、マイナスの影響が出るんじゃないかということが主流でありました。

 その中で、今回、小沢大臣試案として四つモデルが提示されて、そのうちの二つが二五%削減について分析をしたものである。残りの二つは、何か出していただけないので、後で理事会でやりたいと思いますが。いずれにしても、そのうちの二つだけ、二五%削減の影響を分析しておりまして、その二つとも雇用がふえるということでありますので、世界の潮流や、あるいは、これまで我々が議論してきたものと余りに違っているので、ですから、そういう見解を経済産業省も共有しているんですかということを聞いているわけです。

 近藤政務官がおっしゃったように、伴さんのモデルにはイノベーションによる雇用増なんかも入っています。入った上で、プラスマイナス両方見て、それでも減らせば減らすほどふえるんだということを言っているので、その点について経済産業省はどうお考えなのかということをお尋ねしているんです。わかりやすくお願いできたらと思います。

近藤大臣政務官 お答えをしたいと思います。

 委員御指摘のその先生のモデルは、ある意味ではさまざまあるモデルの中で必ずしも主流のモデルではない、そのような認識を持っております。

 ですから、まさに試案でございまして、成長戦略なり、また経済産業省としては長期エネルギー計画の中で、それぞれ環境省と議論をすり合わせながら政府全体で今後の計画をまさに現在策定をしている、こういうことでございます。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 次に、寺田局長にお伺いしたいんですけれども、今局長が御説明になりましたように、削減すればするほど雇用がプラスなんだと、プラスマイナスあってもトータルでプラスだとおっしゃったわけですね。だとすれば、なぜCOP15はもめるんですか。削減すればするほどその国の経済にとってプラス、雇用にとってプラスなら、交渉はもっと早くまとまるんじゃないですか。ほかの国はもっと高い目標を掲げるんじゃないですか。

 雇用がふえるのであれば、なぜ雇用がふえるのに国際交渉がうまくいかないのか、教えていただけたらと思います。

小沢国務大臣 局長に答弁を求められて、僣越ながら私がお答えをさせていただきたいと思うんですが、よろしゅうございましょうか。(齋藤(健)委員「どうぞ」と呼ぶ)

 二つあると思っています。

 一つは、今申し上げたような、そういう考え方がまだ世界の中で徹底されていない。しかし、同時に、昨今はドイツや米国がグリーンジョブの表明をしております。それから、先般参りましたオーストリア。オーストリアは、グリーンジョブが労働市場全体のためになる、オーストリアの環境技術分野では一二%の成長が遂げられ、雇用も六・六%上がっている、こういう発言がありました。

 こうしたことがまさに新しい流れになりつつあるというふうに我々は確信しておりますし、ですから、そういった意味で、いろいろなモデルはありますけれども、今後、世界はこういう流れになっていくんだろうと思います。

 それから二つ目は、こうしたことがあり得るのは、先ほども答弁の中に幾つかありましたけれども、新しい技術、イノベーション、そういったものが起こっていかなければならないわけでありますけれども、それを起こしていくためには、それなりに産業力が必要であります。それができるのは先進国だと。そういう意味で、新興国を初めとして、そういった国々はまだそこまでの自信を持てない、そういうこともきっとあるんだろうと思っております。

齋藤(健)委員 確かにイノベーションは切り札だろうと思いますが、ただ、二〇二〇年というのは今から見ても十年しかないわけであります。十年というのをどう見るかという議論はあると思いますけれども。

 今の小沢大臣の御答弁、せっかく来ていただいているので、経済産業省も同様の認識でしょうか。

近藤大臣政務官 基本的には小沢環境大臣の御答弁と同じ認識でございます。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 次に進ませていただきますが、経済産業省にお伺いをいたします。

 改めて、二〇二〇年に二五%削減するというこの目標、これを現実に実行していく段になると、経済産業省がらつ腕を振るっていかなくてはならない局面に入ってくるんだろうと思います。

 この二五%削減目標が、我が国の産業、経済、雇用、そして国民生活、こういったものに与える影響を経済産業省としてどう見ているのか。この二五%削減目標を含んだ法案を審議しているわけで、しかも、国民、産業界の関心が非常に高いわけであります。経済産業省はどう考えているんだという声を私もたくさん聞きます。二五%削減目標がどういう影響を与えるかということについて、そう何度も聞く機会はないと思いますので、ここできちんと国民に対して説明責任を果たしていただけたらと思います。

近藤大臣政務官 率直に申し上げて、二〇二〇年までに二五%をすべて真水で九〇年比削減する、こういうことであれば、それは、今の技術を前提にいたしますと、状況によっては、各研究機関が示している数字を見れば、影響が少なからずある可能性があると認識しているわけであります。

 ですから、日本の技術が海外に出た場合にきちんと国内カウントされるような新たな枠組みを設けるべきであろう。二国間での新たな枠組みを設ける努力であるとか、また、当然のごとく新技術の開発に力を注ぐわけでありますが、委員御指摘のとおり二〇二〇年というのは十年先のことでありますから、想定される現在の技術を前提に、真水ということを考えれば、一定の影響が出るおそれがある。

 したがいまして、そこは、政府全体としてさまざまな、CDMのメカニズムであるとかいうことを駆使して、そうならないように、また、新しい制度、固定価格買い取り制度等々で新たな枠組みで需要を国内に創出するであるとかいう成長戦略の中で、今、政府を挙げてそのプログラムを策定している。影響のない、むしろプラスに転ずる成長戦略を現在作成しているわけでございます。

齋藤(健)委員 今、多分近藤政務官は心の中の苦衷をお話しされたと思いますが、二五%削減の中で真水部分というものがわからないわけでありますね。真水がわからなくて、どの程度のアクセルを踏むのか、どういう政策を打つのか、そういうことが経済産業省としてわかるんでしょうか。真水は今わからないんですけれども。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 少なくとも政策の方向性として、今回は長期目標で二〇五〇年までに九〇年比八〇%削減、これも大変大きな目標であります。そうした大きな目標でさまざまなそういう産業社会を、そして国内の、経済産業省でありますから産業社会、こういうことかと思いますが、産業社会なり産業構造をつくっていく、こういう方向の中で施策を打ち出す、こういうことであろうかと思います。

 もちろん我々は、委員はこれは十分御理解されているわけでありますが、二〇二〇年で地球が終わるわけではございませんので、二〇三〇年、二〇五〇年と、こう続くわけでございますから、そういう中で、今現在政策を進めておる。

 また、長期エネルギー計画の中では二〇三〇年という目標を立てて、エネルギー政策上は二〇三〇年の目標を掲げて、そこで、現在、環境と表裏一体のエネルギー政策を、基本計画を策定している。間もなく六月中にはエネルギー基本計画が策定される。こういうことであります。

齋藤(健)委員 これに関連するので、ちょっと角度を変えますが、この法案の構造的欠陥ということについてお話をしたいと思います。

 この法案は、先ほど来同僚委員から質問させていただいておりますように、前提条件つきで中期目標を策定するということになっております。まず一つ、確認のための質問ですが、前提条件が満たされない場合、中期目標は存在しなくなるということでよろしいですか、法律の解釈です。

寺田政府参考人 中期目標はその時点では存在しないということになります。

齋藤(健)委員 今、国際交渉は極めて難しい状況にあると思います。私の認識では、COP15の時点よりもさらに状況は悪くなっていると思います。中国は動きません。アメリカも前へ出れなくなりました。こういう状況の中で、日本は前提条件を満たす外交努力をもちろん最後までするんです、だから頑張りますという答弁はわかります。しかし、それが満たされなかった場合には、中期目標は不在となるわけですね。

 ということは、中期目標なくしてどうやって制度設計をしていくんでしょうか。いろいろな制度をこれからつくるというふうにおっしゃっていますけれども、中期目標がないまま排出権取引の総枠をどうやって決めるんでしょうか。それから、何を目安に経済産業省は産業界を指導し、誘導していくんでしょうか。中期目標なくしてやれるんでしょうか。その点について、寺田局長と経済産業省にお伺いします。

寺田政府参考人 まず、中期目標が仮に存在しないという状況でございましても、本基本法が成立いたしますと、この基本法の中に書いてございます基本計画を定めるということになっております。その時点では、二〇五〇年までの長期の目標、あるいは二〇二〇年までの再生可能エネルギーの目標、それからさらには、二〇三〇年なり二〇四〇年なりの途中通過時点の数値等々が定められるはずでございます。そういったものを手がかりにして、その時点で決めていくということになろうかと存じます。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 中期目標が設定されるか否かにかかわらず、地球温暖化対策の推進の重要性に変わりはないわけであります。長期目標を見据えて、すなわち二〇五〇年までに九〇年比八〇%削減という長期目標に向けて、積極的な排出削減に取り組んでいく必要があるわけでございます。

 また、その中で、経済産業省としては、環境と経済の両立、そして、産業の国際競争力の確保、雇用や国民生活への影響といった観点も踏まえつつ温暖化対策を推進してまいりたい、こう考えております。

 あわせて、先ほども若干申し上げましたが、環境の、コインの裏表になりますエネルギーについては、二〇三〇年の目標値、そして、その中で電源構成についてこうあるべき、当然、電源構成が決まれば、その分野での温室効果ガスの削減というのは数値として出てくるわけでございますが、この数値目標については、エネルギー政策上は二〇三〇年というものは近くまとめさせていただく。政府全体として、少なくとも、コインの裏表の部分の、どちらが裏か表かは別にして、一定の数値目標を掲げて政策は進めていく。このようなことでございます。

齋藤(健)委員 なぜ、二〇二〇年の時点でのそういう計画をつくらないのでしょうか。今ここで議論になっているのは、二〇二〇年で二五%削減がいろいろな分野で影響が出る、それを国民各層の方が心配をしている。その中で環境とエネルギーと、それから、経産省のことですから経済をにらんだエネルギー基本計画を改定するのであれば、二〇二〇年でどうなるかというのを出すのが親切というものじゃないですか。なぜ、二〇二〇年を出さないで二〇三〇年にするんですか。なぜ、そういうわかりにくいことをするんですか。

近藤大臣政務官 一つには、エネルギーの場合は、やはり二十年というのが一つの政策の効果が出る期間であるということが現実としてございます。もちろん、途中経過として、委員御指摘のとおり、政府全体で二〇二〇年の目標を掲げているではないか、なぜ二〇二〇年の中間は出さないんだという御指摘は理解はできます。

 したがいまして、現在、成長戦略全体の観点も踏まえながら、環境省と政策目標の主要な項目、例えば次世代自動車の普及であるとか、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーの水準であるとか、そうした主要項目については、二〇二〇年の数値について、今現在、詰めの議論をまさにしている最中でもございます。

 ですから、ある時点で、そうした温室効果ガスとは違った観点で国民の皆様方の指標となるように、国民生活にかかわる、また産業構造にかかわるような中間的な数値というものは温室効果ガスとは切り離した部分でも示すべきであり、それは当然お示しをするというものが今現在議論をしている、しかし、それは成長戦略なりの議論の文脈の中で今整理をさせていただいている、こういうことでございます。

齋藤(健)委員 なぜ、この二五%削減目標を盛り込んだ国会審議をしているこの委員会までに、そういう大事なデータが出てこないんでしょうか。そういうものがないまま、この二五%削減目標がいいか悪いかをこの委員会で判断しろというんでしょうか。それは大変困難なことだと思います。環境省のものは出ました。しかし、ほかの省庁は、一番ひどい答弁になると、我々は関知していないという答弁を堂々と国会でされている省庁もあります。

 そんなことでこの国会の審議が進められるでしょうか。皆さん一人一人が胸に手を当てて考えていただきたいと思います。

 憲法第四十一条では、国会は国権の最高機関であると言っています。ところが、この二五%削減目標、審議会でも審議していない、これからですと。国会よりも審議会の審議が後回しにされているわけです。これが実態なんです。

 次に、また少し角度を変えて質問したいと思いますが、小沢大臣の試案に対しまして、多くの方々から疑問が提示されております。そのうちで私が一番深刻だなと思いますものは、専門家の皆さんが四月の二十八日に、有志ということで、「精査されることを望みたい。」と文書でアピールをしました。学者の先生が有志で、連名でアピールをするというのは、私はそれなりの出来事だと思います。皆さん、どうお感じになられているかわかりませんが。

 そして、このことを環境委員会の先日の総理の御質問で私がさせていただいたら、ちょっとその前に、このアピールについて寺田局長はどのようにお感じになりますか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の、タスクフォースメンバーの山口委員等からの御指摘だと思います。それについては承知しております。

 今回の環境大臣試案につきましては、タスクフォースにおいて十分評価できなかった、先ほど来申し上げておりますイノベーション促進効果あるいは新産業の創出効果等々を試算として示したものでございます。経済モデルによる試算で、モデルの構造や前提条件により結果が異なるものでございますので、今回の結果を私どもも絶対視をするものではございませんし、一定の条件のもとでは、温暖化対策によるプラス効果を発揮し得ることを示したものだと考えております。

 いずれにいたしましても、今回の大臣試案は、中長期ロードマップにつきまして、広く国民的議論を行うためのたたき台という位置づけでございまして……(発言する者あり)

樽床委員長 御静粛にしてください。御静粛に。

寺田政府参考人 今後、議論を開始していく中で、中環審の小委員会等の場においてオープンな議論を行いまして、精査をしてまいるつもりでございます。

齋藤(健)委員 この環境委員会の総理の御答弁で、前回、このアピールをした学者について、「二五%という今回の政府の考え方に基本的には反対の方の御意見だと承っております。ある業界に近い方だというふうにも承っておりますが、」と総理が答弁されていますが、局長も同じ認識ですか。

寺田政府参考人 これはタスクフォース等々の試算を含め、ただいまの御意見の先生方につきましては、さまざまな御意見を出されている方々、個々の方々について、私としては、特別な感想と申しますか、批評というものは持っておりません。

齋藤(健)委員 少し安心しましたけれども、やはりこの人たちは、私が見る限り、かなり真剣にこのモデルについて分析をされておりますので、このアピールは真剣に受けとめていただきたいなとお願いを申し上げたいと思います。

 次に、中環審でこの小沢試案のモデルについて精査をするということになっておりますが、いつまでに結論を出されますか。

 二つ目の質問は、各省で随分見方が変わっているというのが先ほど来の質疑で明らかになってきましたが、政府全体として、このモデルをたたき台にして、各省も合意をして、どうやらこうらしいというものを国会に出すのはいつですか。(発言する者あり)

樽床委員長 不規則発言はしないようにお願いします。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来御説明しておりますように、ただいま中環審の小委員会の場で審議がされております。すなわち、これは私どもの意思というよりも、まず今現在は中環審で御審議いただいておりまして、現在、中環審のスケジュールというのは、関係団体等のヒアリングというものが予定されておりまして、いまだ中環審自身として最終的にいつまでに結論を出すのかという御結論はいただいていないというふうに承知しております。

齋藤(健)委員 一つ答弁が漏れていたと思うんですが、政府全体としていつ説明責任を果たすのかという二つ目の質問に対するお答えをお願いします。

 大臣、お願いします。

小沢国務大臣 ようやっと答弁の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 このスケジュールに関しましては、この間、総理も申し上げましたように、この基本法を上げさせていただく、そしてその中で基本計画をつくっていく、また、経産省は経産省の方でエネルギー基本計画をつくっていく、そういった作業をあわせて行って、政府としての統一的ないわゆるロードマップをお示ししたい、こう思っております。

 今回のこの議論は、あくまでも基本法の議論でございますから、基本方針と理念、これを決めていくのが今回の議論でございます。前から申し上げておりますように、世界がまさにグローバルな課題として地球環境問題を考えている、その中で、この地球の中で二五%のまさにCO2の排出カットをしていく、これは時代の要請だと思っています。同時にまた、経済的にもこのことは成長を引っ張っていく内容だと思っています。

 そういった、まさに理念それから時代認識を持った基本法でありまして、その後、具体的なロードマップをやらせていただきたいと思っております。

齋藤(健)委員 基本法に二五%という数字が書いてあって、その数字に対して、国民各層の人から本当にこれは大丈夫なんですかという声が寄せられているから、その二五%削減を含んだ法案を審議しているときに、きちんとした御答弁をいただけないというのはどういうことなんでしょうか。

 では、いつ伺えるんですか、国会で、政府全体として、この影響はこうなりそうだと。今聞いても違うじゃないですか。国会は要らないということですか。

 だったら、何で二五%削減目標を法案に盛り込むんですか。盛り込むから聞いているんじゃないですか。しかも閣議で決定して、政府提案として出しているわけじゃないですか。だから、政府としての影響分析をなぜ出さないんだと聞いているんです。

 この法案が閣議決定されたときに、私はもう何度も申し上げているんですが、産業界も経団連も、国会での審議を十分尽くしてくれというコメントを文書で発表しているんですよ。労働界も十分尽くしてくれと言っているんです。まだ十八時間です。十八時間で審議を尽くしたと民主党の人が言うなら、それは結構なことです。ただ、私が言いたいのは、産業界からも労働界からも審議を尽くしてほしいと言われている。そして研究者も、十分精査をしないと国民に誤解を与えると言っている。そして、各省も意見がばらばら、審議会もこれから。伴先生のモデルも、伴先生本人がこの国会で、検証は当然であると発言をされている。

 こんないいかげんなものを国会に出すということで本当にいいんですか。だったら、なぜ二五%削減目標を政府として閣議決定してここに出すんですか。出すから質問をしているんですよ。なぜ政府として出さないのか、はっきり御答弁をもらいたいと思います。

小沢国務大臣 申し上げておきますが、この基本法は、基本的な理念、基本方針を決めるものでございます。必ずしもロードマップは、それが全く必要不可欠だという話ではございません。私は、議論の材料として、まさにそれは、確かに必要なところはあると思っておりますので、私の責任として出させていただいたわけであります。

 どこのどの部分がどうなのか、そういう具体的な議論はいつでも応じます。

齋藤(健)委員 であるならば、大臣の要請として、この委員会でもっと議論をさせてほしいとおっしゃってください。(発言する者あり)

樽床委員長 静粛に、御静粛に。御静粛にしてください。

 小沢環境大臣。

小沢国務大臣 どうぞ、国会の議論は理事同士でお話をしていただきたいと思います。(発言する者あり)

齋藤(健)委員 済みません。ちょっと今聞こえなかったので、大臣、申しわけありません、もう一回お願いします。

小沢国務大臣 国会の議論は、国会の理事の皆さん方にお願いしてございます。

齋藤(健)委員 大臣の意向を尊重した委員会運営をぜひ私の方からもお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次にお伺いしたいんですけれども、ロードマップの中で、大臣の試案の中でさまざまな数字に言及をされているわけでありますけれども、この中で、例えば風力発電については二〇〇五年から二〇二〇年に約十倍。先ほども議論がありました。それから、太陽光発電につきましては、何とこの十五年間でエネルギー供給部門で八十五倍の供給、そういうロードマップというものが示されているわけでありますが、この点については、経済産業省も同様の認識ということでよろしゅうございますか。

上田政府参考人 環境大臣の試案の中で御指摘のような数字が示されたということかと認識しております。

 太陽光発電というものは、例えば導入限度というものは、住宅の耐震性、南向きのパネルということを考えますと、実際上、既築も含めて、相当程度な住宅にパネルを敷かなければならない。それから、風力発電であれば、現在約千五百基あるわけでございますが、これをさらに五千基程度まずふやしていく必要があるといった、かなり難易度の高い目標であるかと思いまして、その具体的な政策方法、手段等々につきまして、環境省の方から説明をいただきながら、今後検討してまいりたいと思います。

齋藤(健)委員 次に、原子力発電が温室効果ガス削減に大事なウエートを占めてくると思いますけれども、このロードマップの中では稼働率最大八八%ということを出しております。

 八八%という目標は、私もかつて原子力の仕事をしておりましたけれども、極めて高い、事故がちょっと起こったらもう達成できないという、もうぎりぎりの数字だと思いますが、この数字というものは本当に達成できるんでしょうか。経済産業省はどのようにごらんになっていますか。

上田政府参考人 原子力発電所の設備利用率でございますけれども、現状は約六〇%でございます。過去最大でも八五%ということでございまして、二〇二〇年の設備利用率の八八%という数字は極めて厳しい数字であると思っております。

 私ども現在、エネルギー基本計画の改定等の作業を行っておりますが、その考え方といたしまして、設備利用率の向上につきましては、事業者の不断の努力による安全、安定運転の実現ということが基本でありまして、まずは事業者の取り組みを図っていくことが重要であると思います。

 経済産業省といたしましては、こういった事業者による品質保証体制の充実強化、あるいは新検査制度への対応ということを期待しながら、新増設の推進あるいは設備利用率の向上に向けた立地地域との相互理解の増進など、あらゆる取り組みについて検討を行ってまいりたいと考えております。

齋藤(健)委員 今伺っていると、ロードマップを実現するに当たっては、各省とも随分意見が違うなと。もちろんこれからすり合わせを行っていくという御答弁ではありますけれども、これはかなり大変なことだな、数字も変わり得るんじゃないかなという印象を私は持ちました。恐らく多くの同僚の委員の人も持ったのではないかと思います。

 そういうものが煮詰まらないままこの二五%削減を盛り込んだ法案を、やはりきちんと一つ一つ詰めて、なぜなら政府で統一したものが出されていないので、この国会の場で意見を突き合わせながら我々は理解していかなくちゃいけないのかなという印象をきょうは強く持ちました。

 次にお伺いしたいのは、この法案は、先ほど申し上げましたように、二〇二〇年で中期目標が全くなくなってしまうという可能性があるわけであります。

 先ほど、局長の答弁では、基本計画でと言いましたが、基本計画でできるのであればそもそも法律に盛り込む必要はないわけでありまして、法律に盛り込むということは、別の基本計画を政府が勝手にやれるということではないという意思表示だと私は感じます。ですから、法律で、前提条件が満たされなくなった場合には、中期目標が不在になるということであります。

 私は、二〇二〇年に何%という数値目標がなければ、産業界にどういうお願いをしたらいいのか、それから、労働者の皆さんにどうだということを政府として示せないと思うんですね、目標がなければ。それをさっきは、二〇五〇年があって、基本的方向があるからと言っていましたけれども、何年、何%という、二〇二〇年何%という目標がないままどうやって対策を進めていくんでしょうか。私は、この法案は、そこに基本的な構造的な問題があると。

 ちなみに、オーストラリアでは、国際交渉がうまくいけばこれだけ高いのをやります、うまくいかなくても自分たちは何%の目標でやりますと、二段構えの目標をつくってやっているわけです。なぜなら、目標がなければどこへ向かって走っていいかわからないわけですよ。ですから、そういう二段構えで賢い国はやっているんです。

 ですけれども、日本の場合は、前提条件が満たされない可能性が九九%以上あるような状況の中で、中期目標が満たされなかった場合の目標はない。これは私は、法案として決定的な欠陥だと思います。

 なぜこうなったのかということでありますけれども、これはマニフェストでそう書いたからなんです。マニフェストでそう書いたからこうなった。マニフェストでこう書いてあっても、本当に法律をつくって行政が実行に移していくためには、きちんとしたものに仕上げていかなければいけないんです。その過程で官僚の皆さんがきちんとアドバイスをしなくちゃいけないんですよ。マニフェストに書いてあったからといって、それをそっくりそのまま法案にして、その方がいい子でいられるでしょう。しかし、でき上がった法律は運用不可能なものになるじゃないですか。中期目標が、前提条件が満たされなかったらなくなるんですよ。

 こんな法案を、官僚の皆さんがよしとしてつくったとは私は思えない。それは、政治主導だ、おれたちの言うことを聞かないと大変なことになる、だから、欠陥かもしれないけれどもそのままやってしまおうといってできたのがこの法案じゃないんでしょうか。私はそういう危惧がしてなりません。

 では、なぜ中期目標不在のまま各種の政策が遂行されるのか、どうやったらそれができるのか、ぜひお伺いをしたいと思います。

小沢国務大臣 今の質問にお答えする前に、先ほどの原子力の話を申し上げておきたいと思いますけれども、先ほど委員が挙げられた数字は、委員が当選する前の自民党の時代の数字そのものでございます。ぜひ、国民の皆さんに誤解がないように申し上げておきたいと思います。

 そして、今の話でありますが、中期目標がもし不在になるような国際情勢になった時点で、適切に判断して政府として対応いたします。

樽床委員長 質疑の時間が過ぎておりますので、まとめに入っていただきたいと思います。

 齋藤健君。

齋藤(健)委員 今の御答弁、この法案に基づいて排出権取引の法案は一年以内に仕上げることになるんですよ。一年以内に前提条件が満たされる可能性は少ないわけですよ。そうしたら、この法案は一年以内にどうなっちゃうんですか。新しい法案を大臣は提出されるということになるんですか。それだったら、この法案に二段構えのものをきっちり書いたらどうなんですか。

 いずれにしても、今のままでは、まず普通の人がこの法案を見たときに、前提条件が満たされるかどうかわからないから自分は何をしていればいいかわからないねというふうになるんですよ、普通は。だって、何%削減かわからないんですから、前提条件が満たされるかどうかもわからないわけですから。ですから、しっかりと、前提条件が満たされる場合は二五%、満たされない場合はこう、しかも真水はこうというふうにきちんと示さなければ、国内の人は動けないんですよ。

 だから、どうしてそういう構造の法案を出してきたのか私は本当に不思議で、それは、どうにか一つ考えられる理由としては、マニフェストに書いてあるからということ以外に理由を見出せないんですよ。何でもっと親切に法案をつくらないんですか。

小沢国務大臣 先ほども申し上げましたように、長期の目標は御党も公明党も同じでございます。IPCCの報告書に基づいて、そして同じ数字を掲げています。中期の目標でございます。

 そして、これは何度もこの委員会で私申し上げてきましたけれども、それでは、中期の目標が今までの六%、それから我々はマニフェストでさっき申し上げたように二五%、こういう数字を言っていた。何も変えないままそういう基本法を残していって、それで本当にいいんだろうかといったときに、国際情勢はまだ決まり切れていない、しかし、だからこそまさに条件つきの中期目標を加えさせていただいた、そういう経緯であります。

 今のこの国際情勢の中でそういった対応をしたということは、十分御理解をいただけるものと思っております。

樽床委員長 もう質疑の時間が経過しております。

 齋藤健君。

齋藤(健)委員 今の、大変残念ながら質問に答えていただけていないなと思うんですけれども、私が聞いたのは、真水とかそういうものを示してあげた方が、国内で準備をする人、対応する人はそれがなければ動けないでしょうと。では、それは動けるようになってから法案を出せばいいじゃないですか、目標を決めればいいじゃないですか。

 今、前提条件が満たされるかどうかもわからないものを、国際情勢がこれからどう動くかもわからないまま出すというのは非常に中途半端で、我々はそこを非常に危惧しているものですから、まず国内では一五%をしっかりやろう、そこを掲げれば、それを目がけてみんながいろいろ努力をするし、役所も、ではその方向で政策の強さはこういうふうにしていこうということができるわけです。

 ですから、我々の法案では、まず真水で〇五年から二〇二〇年まで一五%策定をして、そして国際交渉でいろいろ駆け引きがあるから、それにプラス海外の、真水以外の部分はまたそれの情勢を見て改めて決めていこう。しかし、国内の人が努力するに当たっては中期の目標がどうしても必要だろうということで、真水で一五%ということを打ち出しているわけであります。

 前提条件が満たされるかどうかもわからない、真水が幾らかもわからない、そして各省で調整もできていない、審議会もこれから、そして産業界、労働界、研究者からは次々と疑念が表明される、どうしてそういう法案を今回、こういうわかりにくい形で国民の人に出してくるんでしょうか。私には理解ができないので、多分多くの人が理解できないと思うので、そこをはっきりさせていただきたいなということであります。

小沢国務大臣 繰り返しになりますけれども、この地球は四十六億年前に生まれ、四十億年前に命が誕生し、そして人間は今まさに地球的な環境問題を抱えた時代にあるわけであります。私は、済みませんが、御党のその数字の目標では世界の環境問題を引っ張っていくことはできない、そう思っております。

 二五%は、科学が要請した二五%から四〇%ということの中の、しかし日本は最もエネルギー効率が高い国でありますから、その二五から四〇%の最低の数字でございます。かつて御党と連立を組んでいた公明党は、まさに条件なしの二五%を出しております。今やそういったことが日本に求められている、そういう時代ではないでしょうか。(発言する者あり)

樽床委員長 御静粛にしてください。

 質疑の時間が過ぎております。堂々めぐりの議論が多いと思いますが、最後の質問にしてください。(発言する者あり)

 御静粛に。

齋藤(健)委員 委員長、ありがとうございます。

 今の御答弁の中で、二五%が科学の要請だと、大臣、またおっしゃいましたね。これは大臣のロードマップにも、日本の二五%削減云々と書いてあって、科学の要求するものだと書いてありますね。でも、参考人質疑の中で、これは科学が要請するものではないということをIPCCのリードオーサーを務めた先生方が言いました。

 私が問題にしているのは、二五%削減目標を頑張ってやろうぜというのはいいんですよ。だけれども、それを科学の要求だとか科学の要請だとか、そういう言葉で、あたかもそれをやらなければ地球が滅んでしまうというような言い方で強調するのはいかがなものかということであります。

 私は、この大臣のロードマップの中で、二五%削減が科学が要求する水準であるという表現を見たときに、こんなまやかしをどうして堂々と言うんだろうかと思いました。科学は要求しておりません。IPCCも要求しておりません。それをあたかも、科学が要求しているんだから、これをやらなきゃ国民の皆さん大変になっちゃうんですよというような、そういうプレゼンテーションを堂々とペーパーにして配るということは、本当に大臣の姿勢としていかがなものかと思いますよ。そこの文章には政治的決断とは書いてありません。科学が要求する水準だというふうに書いてあります。科学は要求しておりません。

 IPCCが出したレポートの中でも、もう何度も言っておりますが、百七十七ある分析シナリオの中から六つ、二五%から四〇%というものを取り上げて、それは単にシナリオを示しただけでありまして、それをしなければ地球が滅んじゃうとか、それをしなければならないとか、それをすることを勧告するとか、それをすることを要求するとか、そういうことは一切書いていないんです。それを、科学が要求するんだ、水準なんだということを言うということは、私は国民をだましているんじゃないかと思いますよ、本当に。科学は要求しておりません。科学は要求していないということを大臣はどう考えますか。

小沢国務大臣 もう堂々めぐりだ、こういう意見がありますが、もう一回申し上げます。

 いわゆる二度C以内におさめるという長期目標は、御党もそれは採用している数字ですよね。これはIPCCの数字ですよね。そして、前政権のもとで、これはサミットでも決めた話ではないんですか。一部だけは使って一部は使わないという話は、おかしいんじゃないんですか。

 それで、要求ということですが、ニード・ツー・リデュースと書いてあるんですよ。私よりあなたの方が英語は詳しいんじゃないんですか。

樽床委員長 先ほど最後の質問ということで、では、もう一回、最後の質問で。(発言する者あり)

 時間が経過をしております。審議の時間が経過をしております。文句があるんだったら、認めませんよ。

 どうぞ、齋藤健君。

齋藤(健)委員 何でこうなるかというと、ちゃんと答えていただかないからこうなるのであって、私が要求しているのは、それならば、専門家の先生方が要求はしていないと。そのシナリオの中で、こういうふうにする場合にはニード・ツー・リデュースだと言っているだけであって、それを、日本が二五%削減することが必要であるとどこに書いてありますか、大臣。それをはっきり答えてください。

小沢国務大臣 新しい内閣の政治的責任として、まさにそれを受け入れました。(発言する者あり)

樽床委員長 ちょっと、御静粛に。

 齋藤健君。

齋藤(健)委員 それでは、なぜそう大臣のコメントに書かないんでしょうか。科学が要求する水準であるというふうにしか書いていないじゃないですか。だから、ごまかしじゃないかと言っているわけですよ。なぜそういうふうに書かないんですか。そういうふうに書かないということは、どう考えても、読んでいる人は……

樽床委員長 時間が、質疑時間が経過しておりますので、まとめに入ってください。

齋藤(健)委員 私は、一般の読んでいる人は、どう考えても、科学が要求しているんだとしか読めません。政治が決断をしたとは読めませんので、どうしてそういうことをするのかということをさっきから何度も聞いているのに、答えていただけないので長くなっているということであります。

 なぜ、政治的決断なのに、科学が要求する水準というようなことを書かれるんでしょうか。

小沢国務大臣 これは、まさにニード・ツー・リデュース、いわゆるIPCCのレポートとしてそういうことが必要であるという書き方であることは、齋藤委員も御承知のとおりだと思います。それに対して、政治がまさに政治的責任としてそれを受け入れ、政策として打ち立てたということでございまして、それをなぜ書かないのかと言われたら、幾らでも書きますけれども、そのときにはたまたま政治的責任として受け入れたと書かなかっただけのことではないんでしょうか。

 この委員会の中で私は何度も答弁をしています。科学の要請を受け入れて、そして鳩山内閣として勇気を持ってこれを決めたんです。(齋藤(健)委員「委員長、今の大臣の答弁は間違っているし、答えていないですよ。間違っているし、答えていない」と呼び、その他発言する者あり)

樽床委員長 最後の質問にしてください。

 齋藤健君。

齋藤(健)委員 今、大臣の答弁は非常に重大な答弁がありました。私は、日本の二五%削減ですよ。大臣は、そのコメントの中で、日本の二五%削減が科学の要求する水準というふうに言っているわけです、日本の二五%が。ニード・ツー・リデュースのものは、シナリオが幾つかある中の、先進国で二五から四〇%ですねということを言っているだけであって、日本の二五%削減がニード・ツー・リデュースだとは言ってません。言ってません。

 そして、その一番肝心の、政治が選んだということを書かないで、あたかも科学がこれを要求している水準なんだ、日本の二五%は科学が要求している水準であって、それをやらなければ大変なことになるみたいなプレゼンテーションをなぜ国民にばらまくんですかと。ここの場で、最近になって初めて政治的に選んだということを言い始めましたが、なぜ国民にそう言わないで、その要求する水準ということだけ言うのか、私には理解ができません。

 普通の人が読んだら、これは科学が要求しているんだからやらないとというふうに読める文章しか配らないのは、私はかなり大臣のコメントとしては問題があるコメントだと思いますし、それから、さっきから繰り返し申し上げておりますように、二五%削減目標の妥当性を、法案に盛り込んでいる以上はこの委員会で審議をしなくちゃいけないわけであります。

 その妥当性の一つが、本当に科学が要求しているものなのかどうかということでありました。なぜなら、ロードマップにも、科学が要求する水準と書いてあるわけです。ですから、科学が要求する水準なのかどうかということ、これが一つの二五%削減目標の妥当性であったわけですが、これはそうじゃなくて、政治が選んだんだということでありました。それはそれでいいでしょう。

 そのとき、次に出てくる問題は、では、二五%削減目標というもの、これは二〇〇五年から二〇二〇年までの十五年間で、何と三〇%強も削減するというものでありますから、それが本当に国民生活に深刻な影響が出たりしないかどうかということについて、政府が提案をしているから、みんなが心配をするわけであります。

 しかしながら、何度申し上げても、小沢大臣のモデルで国会の審議は十分なんだという答えしか得られない。しかし、私も長いこといろいろ行政もやってまいりましたけれども、審議会もまだ答えが出ていない、そして専門家の皆さんがペーパーでこれは問題が多いとアピールをし、そして経済界や労働界も十分審議をしてほしいということを言い、そしてさらには、分析をした先生自身も検証が必要だというようなことを言う。どうして、そんなもので国会の審議が進められるんでしょうか。各省も……(発言する者あり)同じだけれども、全然誠意ある答弁がないからですよ。誠意ある答弁がない。すれ違いだ。

 しかも、研究者から、これから大臣自身が広く関係者、国民の意見を聞いていきたいということを、このモデルをベースに発言をされております。この委員会でも参考人質疑を行いましたけれども、まだ分析の専門家からしか意見は聞いておりません。産業界からもまだ意見は聞いておりません。労働界からもまだ意見は聞いておりません。大臣がいろいろおっしゃられる技術、確かにこれは私も大いに期待するところでありますが、技術の関係者からも話を聞いておりません。

 ですから、この委員会におきましても、産業界もいろいろです、経団連もあれば、それから鉄鋼もありますし、自動車もあれば電力もあるでしょう。産業界もいろいろです。そして、労働界も幾つか団体があります。製造業もあれば、中小企業もあると思います。そういうところからも話を聞けておりません。そして、各省もこれから分析を進める、これから調整をするということでございます。

 そして、この二五%削減目標というのは、皆さん御案内のように、国民各般に大きな影響が出る法案でもあります。この委員会でも、大臣には長時間やっていただいておりますが、まだトータルで十八時間しか審議ができておりません。そして、何でそんな生煮えなもので、この法案をここに提出したのかということについても、たたき台を出せば十分なんだというお答えしかいただけていない。これは大変遺憾なことであると思います。

 経産省においても、二〇三〇年のエネルギー基本計画をつくっているということでありますけれども、二〇二〇年の姿はまだ出てきておりません。

 そして、大臣自身が、具体的に指摘していただければ何でもお答えしますということでありますので、我々の方も、大臣のモデルについては、たくさん具体的な指摘の点を今集めているところでもございます。

 したがいまして、こういう状況にあるということについて、まず大臣とそれから副大臣、政務官、そして後ろに座っている皆さんにもぜひ認識をしていただきまして、そして、これで審議が終わるというようなことがあっては、私は、この衆議院の環境委員会の歴史に汚点を残すと思いますし、委員長も傷を負ってはいけないなというふうに思いますよ。国会が、労働界や産業界、そして国民から信頼を失うような展開になりかねないということを私は大変危惧をしているところでございます。

 削減すればするほど雇用がふえる。このメッセージについては、私たちは本当に真剣に受けとめなきゃいけないと思います。

樽床委員長 まとめに入ってください。

齋藤(健)委員 これは、二〇二〇年にあと十年しかないところで、技術の進歩によって、技術開発によってそんなに大きな爆発的な需要が生じるとは、この十年で、前提が、余りにも期間が短いので、正直難しいんじゃないかとみんな思うわけです。

 それから一方で、海外に企業がどんどんどんどん出ていってしまうという懸念もあるわけでありまして……

樽床委員長 質問をまとめてください。

齋藤(健)委員 雇用に対してはかなりの方々が心配をしているわけでありますが、いや、このモデルでは雇用はふえるんだということ、技術が進歩すれば雇用がふえるんだということしか示されていない状況にあるということは、委員会のあり方として、私は大変危惧をするところでございます。

 経団連も、労働界も、大きなレポートの中で……

樽床委員長 質疑者に申し上げます。最後の質問ということでお願いしておりますので、質問のまとめに入ってください。

齋藤(健)委員 伴先生の分析結果についてこの委員会で出るのは、今から検討するということでありますから、まだまだ時間がかかるのかもしれません。それから、経済産業省の方でやられているエネルギー計画についても、二〇二〇年のものを出すのには時間がかかるということであります。

 したがって、このままではこの委員会で質問するための材料がそろわない、二〇二〇年の影響を見るために。各省がこれだけ並んでいながら、まだまだこれからだなんていうような内容のもので国会で結論を出してくれというのは、私はかなり無理があるのではないかと思います。

 国土交通副大臣とそれから経産省政務官、お越しいただいていると思いますが、もうこれから先はあと一問ですので、質問はありませんから、どうぞお帰りいただいて結構でございます。済みません。どうもありがとうございました。

樽床委員長 質問のまとめに入ってください。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 この一五%、我々が出した削減目標につきまして、一五%の積み上げをする際に私どもが注意をしたことは、やはりプロセスを大事にしなくちゃいけないということでありました。それは、プロセスにおいていろいろな意見が出るのは事実であります。そして、少なくとも国会に提出するときには、ちゃんと党内も、政府の中も、そして関係団体の皆さんとの関係においても、きっちりとしたものを国会に出して、それを国会で判断をしていただこうということで、少なくとも前政権のもとでは努力を重ねてまいりました。

 それででき上がったのが、我々が提案している低炭素社会づくり基本法案ということでありますので、それと比べまして、この法案は、各省との調整も済んでいないようなバックグラウンドのデータ。そして、審議会でもこれから。

樽床委員長 質問をしてください、質問を。最後の質問ですから。

齋藤(健)委員 そういうことをこれから議論しろと言われても、なかなか議論ができないというのが現状ではないかと私は思います。

樽床委員長 質問をまとめてください。もうまとめてください。

齋藤(健)委員 一つ伺いたいのは、二五%の削減目標というものが世界の中でリーダーシップをとるためだというふうにおっしゃいますけれども、この二五%削減目標が世界をリードした形跡もないんです。

 ですから、二五%削減目標を打ち上げたというその理由、論拠というものは、国際的なリーダーシップをとるという観点からもうまくいっていない。つまり、科学の要請でもなければ、分析も十分できていない。そして、国際的に背中を押すということも、今の時点ではほとんどその効果があらわれていない。しかも、前提条件が満たされない場合には中期目標が不在になる。

樽床委員長 質疑者に申し上げます。質問をまとめてください。質問をまとめてください。

齋藤(健)委員 そういうような法案を出すということは、私は、国会が判断をしろというのは難しいのではないかと思います。

 ですから、こういう未成熟な状態の中でこの法案を出していくということは、謙虚に受けとめて出し直すべきではないかと私は思います。そうでなければ、少なくとも、前提条件が満たされずに中期目標がなくなったときにはどうするかとか、あるいは真水をどのくらいにするのかというものがなければ、我々は、この二五%中期目標がこの国にどういう影響を与えるかということについて判断ができないということだろうと思います。もしそういう判断ができるということであれば、私は本当に不思議なことだろうと思います。

 世界の国も、日本が国内でどのくらい削減をするかということがわからなければ、世界も実行を、信頼を持ってこの目標を眺めることはできないと思います。なぜなら、二五%削減するということについては……

樽床委員長 質疑者に申し上げます。予定の時間が四十分過ぎておりますので、質問のまとめに入ってください。お約束の時間が四十分経過をしております。まとめに入ってください。

齋藤(健)委員 それでは……(発言する者あり)

樽床委員長 質問のまとめに入ってください。質問のまとめに入ってください。まとめに入ってください、まとめに。

齋藤(健)委員 二五%のこの削減目標が……(発言する者あり)

樽床委員長 もう質問はいいんですか。

齋藤(健)委員 二五%削減目標の……(発言する者あり)二五%削減目標の論拠について……

樽床委員長 質問に入ってください。質問に入ってください、質問に。質問に入ってください。

齋藤(健)委員 二五%削減目標の論拠についてすべてが崩壊をしてきているという状態の中で、今話を聞けば、強行採決をするのではないかという懸念があるわけであります。

 申し上げておきますけれども、私が先ほど、シミュレーションのデータ、シミュレーションの結果をこの委員会に出すということを寺田局長に質問したときに、理事会で諮るということを言ったわけでありますね、理事会で諮るということを。それについて……

樽床委員長 質問に入ってください、質問に。四十分以上過ぎていますから。お約束の時間が四十分以上過ぎておりますので、質問に入ってください。

齋藤(健)委員 二五%削減目標を掲げるということは、やはり国民に対する説明責任をはっきり果たしていかないといけないと私は思います。

 そして、二五%削減の根拠がいまだにはっきりしないまま、今言われているのは、強行採決があるのではないかと言われているわけであります。テレビもたくさん入っているわけでありますので。だから、この二五%削減のことについて、委員長の……

樽床委員長 質問をしてください、質問を。質問をしてください。質問をしてください。(発言する者あり)

齋藤(健)委員 委員長に強行採決がないということを確認したいんですけれども。それが最後の質問です。

小沢国務大臣 委員長に対する質問は私は答えられませんが、二五%の論拠、こういうことで、あとの議論はすべて、私がお答えしてきた話の堂々めぐりだと思っていますので、二五%の論拠ということで、一点だけ申し上げたいと思います。

 日本に対する要求ではなかったではないか、こう言っておりますが、ニード・ツー・リデュース・ゼア・エミッション、こう書いてある中の、ゼアの中には日本は含まれるんじゃないんですか。普通、英語はそういう理解をするんじゃないんですか。私はそういうことだと思っています。

 それで、この堂々めぐりの議論の中で一言申し上げたいのは、先ほど、ないない、ないないとおっしゃっていましたが、すべて私はお答えをしてきたつもりでいると思っています。そういう中において、余りにも地球環境問題に対する危機感のなさと……(発言する者あり)

樽床委員長 お静かに。

小沢国務大臣 それと環境問題と成長論を結びつけて考える、そういう政策的論点のなさ、この二つのまさに欠如が我々とあなたたちの違いだと思っています。

樽床委員長 以上で本日の質疑は終局……(発言する者あり)橋本博明君。

橋本(博)委員 動議を提出いたします。

 ただいま審査中の各案中、内閣提出、地球温暖化対策基本法案に対する質疑を終局し、討論を省略し、直ちに採決されんことを望みます。(発言する者あり)

樽床委員長 ただいま橋本議員から提出されました動議について採決をいたします。

 動議に賛成の方の、諸君の御起立を求めます。動議に賛成の方の御起立を求めます。動議に賛成の方の御起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

樽床委員長 起立多数。よって、そのように決定をいたしました。(発言する者あり)

 内閣提出、地球温暖化対策基本法案についての採決を行います。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

樽床委員長 起立多数。よって、本案は原案のように決定いたしました。(発言する者あり)

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員長報告書について、委員長に御一任いただけますでしょうか。御賛成の方の、諸君の御起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

樽床委員長 起立多数。よって、そのように決定いたしました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

樽床委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会


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