衆議院

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第3号 平成23年4月15日(金曜日)

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平成二十三年四月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 中野  譲君

   理事 横光 克彦君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    岡本 英子君

      神山 洋介君    川内 博史君

      川越 孝洋君   木村たけつか君

      工藤 仁美君    櫛渕 万里君

      近藤 昭一君    阪口 直人君

      玉置 公良君    中野渡詔子君

      樋高  剛君    森岡洋一郎君

      山崎  誠君    吉川 政重君

      井上 信治君    近藤三津枝君

      齋藤  健君    福井  照君

      古川 禎久君    町村 信孝君

    …………………………………

   環境大臣         松本  龍君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 武藤 義哉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伊藤 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           尾崎 春樹君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           中村 英男君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   黒木 慎一君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           三好 信俊君

   政府参考人

   (観光庁次長)      武藤  浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長代理)          久木田 豊君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     中野渡詔子君

  山崎  誠君     神山 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 洋介君     山崎  誠君

  中野渡詔子君     阪口 直人君

    ―――――――――――――

四月十五日

 環境影響評価法の一部を改正する法律案(第百七十四回国会内閣提出第五五号)(参議院送付)

三月十日

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(野田聖子君紹介)(第一四七号)

 同(山本拓君紹介)(第一八七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八四号)

 同(徳田毅君紹介)(第二八五号)

同月十七日

 容器包装リサイクル法を見直し、発生抑制と再使用を促進するための仕組みの検討を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三七八号)

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(平沢勝栄君紹介)(第四二六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四四七号)

四月六日

 容器包装リサイクル法を見直し、発生抑制と再使用を促進するための仕組みの検討を求めることに関する請願(重野安正君紹介)(第四九一号)

 同(藤田一枝君紹介)(第四九五号)

 同(城井崇君紹介)(第五〇一号)

 同(中屋大介君紹介)(第五〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの東日本大震災によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。また、被災者の皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

小沢委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

小沢委員長 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長代理久木田豊君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官武藤義哉君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、文部科学省大臣官房審議官伊藤洋一君、文部科学省大臣官房審議官尾崎春樹君、農林水産省総合食料局次長中村英男君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官黒木慎一君、中小企業庁次長豊永厚志君、国土交通省大臣官房審議官三好信俊君、観光庁次長武藤浩君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長鈴木正規君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自由民主党の吉野正芳でございます。

 私は、原子力発電所の地元選出でございます。全国の皆様方から現地への温かい御支援、本当にありがたく思っております。そして、多くの方々が避難をしております。その受け入れに際しましても、温かい心で受け入れていただきまして、心から感謝を申し上げる次第です。

 原発事故はまだ収束がされておりません。私たちの地域は、地震で多くの家がつぶれ、その後、津波ですべての家が流され、そして遺体捜索もできないまま、原発事故で、八カ町村、七万二千名の方々がふるさとを離れて避難をしております。

 きのうは、十キロ圏内で福島県警の方々が捜索をして、御遺体を十体見つけた、こういう報道もされております。だれも立ち入ることのできない地域で、本当にありがたく思っておるところでございます。私たちの地域はまだ災害が継続中だ、このことをぜひ皆様方に御理解いただきたい、このように思います。

 さて、環境省で当面の最大の課題は、津波、地震で崩れた瓦れき等々の処理の問題だと思います。まず、陸にある瓦れきの処理、そして次は、海の中にある瓦れきの処理、特に港湾、漁港区域にある瓦れきの処理、これについて質問をしていきたいと思います。

 環境省で指針を出されました。一般の瓦れき、そして車、船等々について指針を出されました。負担割合は最終的には全額国持ちという形になっています。でも、私たちの福島県いわき市ですけれども、大きな集積所が三カ所ございます。そこへ、自分の家の瓦れき、これは津波被害のところは手つかずですけれども、地震被害で、また津波で床上浸水をした畳の撤去とか、これは全部自分の負担で集積所まで持ってきなさいという形で、瓦れき、ごみの集積をしております。

 全額国費持ちだということを決められておりますけれども、初期段階、一番最初の、集積所に持っていったところまで国が面倒を見てくれるのかというのが素朴な疑問なんですけれども、その辺についてまずお尋ねをしたいと思います。

樋高大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 吉野先生におかれましては、心からのお見舞いを申し上げさせていただきたいと思っております。

 先生から大変重要な御指摘をいただいた、このように考えております。今回の震災の被害、大量の、本当に想像を絶する瓦れきが発生をし、廃自動車、廃船などの災害廃棄物が発生をしておりまして、可能な範囲内でリサイクルを行った上で、適正に早急に処分をする必要がある、このように考えております。

 そのための瓦れきの撤去に関しまして、三月二十五日、指針をまとめさせていただき、また、災害廃棄物の取り扱いに関する留意事項、いわゆる撤去をするときの注意事項、とにかく危険なものが散乱をしておりますものですから、ここを注意していただきたいということを関係都道県などに周知を図らせていただいたところでございます。

 また、先生御指摘のとおりに、財政措置につきましても、災害廃棄物を市町村が処理する場合の費用負担につきまして国庫補助率のかさ上げを行うとともに、災害廃棄物処理事業費が多額に及ぶ市町村の地方負担分の全額を災害対策債により対処しまして、その元利償還金の一〇〇%を交付税措置とすることにさせていただきました。つまり、市町村が事業として行う場合は、事実上地元の御負担はゼロでという枠組みを早急にとらせていただいたというところでございます。

 さらに、環境省といたしましては、特に被害の大きかった県につきまして、福島県、先生の御地元でございますが、それに宮城県、岩手県でございますけれども、災害廃棄物処理対策協議会を設置させていただいてございます。県、市町村、国の出先機関、あるいは地元の瓦れき撤去に関する業界団体が集まりまして、その場でもまたさまざまな的確なニーズを把握して、迅速にとにかく対応できる体制を整えさせていただいた。

 国へのいろいろな、さまざまなお尋ねがございます。それはやはり、国の方が出向いていって、その場でお答えをさせていただくというスキームをつくらせていただいたところでございます。

 また、漁港、港湾の瓦れきの処理につきましては、原則としてこれらの施設の管理者が行うわけでありますけれども、この協議会での議論によりまして、市町村が特に必要と認める場合におきましては、市町村の災害廃棄物処理事業として行うことができるように、これも整備をさせていただいたということでございます。

 また、先生が今具体的なことをお話しいただきましたことについてでありますけれども、例えば、倒壊家屋等を既に個人が自主撤去した場合について補助の対象になるかといった具体的なお尋ねもいただいております。

 このことについても先生にきちんと報告させていただきたいと思うのでありますが、既に倒壊した家屋などをみずから解体業者などに依頼して撤去した場合につきましても、後日、被災市町村が、当該撤去を被災市町村が特に必要として認めて行う災害廃棄物処理事業に該当するものであったと判断をした場合、していただければ、市町村と解体処理業者との契約に変更するなどの措置を講ずれば今回は特例措置として補助対象の事業とさせていただくなど、とにかく地域の皆様方の生活を一刻も早く取り戻していただきたいという思いで、とにかく柔軟に、そして実を上げられるようなさまざまな仕組みを整えさせていただいたということでございます。

 私自身も、現地に今まで六回足を運びまして、まずは現地を見る、あの大変な状況をやはりみんなで見て、そして国全体でサポートするという思いで取り組ませていただいているところでございます。

吉野委員 市役所の撤去を待たずに自分で業者を頼んで撤去した方も、市が認めれば補助対象になるという、本当にありがたい答弁をいただきました。ありがとうございます。すぐ現地に伝えていきたいと思っています。

 車と船なんです。車は自動車リサイクル法等々がございまして、いわゆる解体処理という道筋は整っていますけれども、船については、一応、船も仮置きをして、所有者を見つけて、所有者がこれはもうだめだからごみにしてくださいと言えば、それはごみとして処理されるわけなんでしょうけれども、やはり船については、船それぞれの損害保険契約もありまして、例えば、沈没船を引き揚げる場合は損害保険の方から撤去費用は賄われる、平常の場合はそういうスキームになっています。今回の場合はどういう形で行われるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。

伊藤(哲)政府参考人 船につきましては、国交省の海事局、それから農林水産省の漁船の両方ございまして、これらの取り扱いにつきましては、両省で具体的な手順ということについて今取りまとめて各県にお知らせする、こういう作業を行っているというふうに承知しております。

吉野委員 環境省の、最初私がいただいたガイドラインといいますか指針の中には、船についてはこれから協議するということが書かれていたと思うんですけれども、その辺は、まだ協議中なんでしょうか。

伊藤(哲)政府参考人 船につきましては、自動車等とも同じなんですけれども、それは使えない、こういうふうに判断された場合におきましては、これはもう廃棄物として処理してもいいという原則はございます。

 まだ使えると思われる、なおかつ、使えるけれども所有者がわからない、こういう船についてどうするかということについては、また追って指針を取りまとめるということにしておりますけれども、まずは、もう使えないといった船について、廃棄物としてきちっと処理をしていこう。まずそちらを先行していって、その後で、まだ指針が定めていない例は少ないと思うんです。使えるけれども持ち主がわからない、そういうものよりも、まず先に、使えなくなっている船についてしっかりと対処していこう、こういう方針で今臨んでいるということでございます。

吉野委員 一応、仮置き場に瓦れき等々を集積し、その後、ある意味の最終処分という形で処分をしていくことになろうかと思います。

 私たちの福島県いわき市では、東港といって、小名浜港に島をつくるという大きな構想が今進んでいるんです。この間、近藤副大臣も小名浜港を訪れていただきまして、そこへ最終的な瓦れき処分場という形で今計画をしているやに聞いております。

 まず、港湾局にちょっと聞きたいんですけれども、阪神大震災のときに同じような形で、海にきちんと枠をつくって、最終処分という形で瓦れき等々を処分したという例がございます。私が心配しているのは、こういう大きな瓦れきをそのまま埋めても、すき間ができて、本当にその地盤が、後で港として使う場合に地盤沈下が起きないのかという、その辺が心配なんですけれども、阪神の大震災で海に投棄し、今はきちんと跡地の利用をされているかと思いますけれども、その辺の実例を御紹介いただきたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、今、阪神・淡路大震災に関する瓦れきの処分の実例についてのお尋ねでございました。

 まず、阪神・淡路大震災におきましては、家屋の倒壊等によりましておよそ一千四百五十万トンの瓦れきが発生をいたしております。この内訳といたしましては、いわゆる不燃物といいますかコンクリートなどが一千百六十五万トン、それから木くずなどの可燃物が約二百八十七万トンであったというふうに承知いたしております。

 このうち、コンクリート等の不燃物につきましては、まず先生のお尋ねでございましたが、神戸港などの埋め立ての用材として用いられるものにつきましてはおよそ四百四十九万トンございまして、これは埋立用材として用いさせていただきました。また、このほか、大阪湾広域臨海環境整備センターの廃棄物の海面埋立処分という形でもおよそ二百四万トン受け入れさせていただきまして、合計約六百五十三万トンが埋め立てられたということでございます。

 それから、木くず等の可燃物に関しましては、まず焼却をするということで減量化されるわけでございますが、焼却後の焼却灰といたしまして約四十四万トンが、これも同じく大阪湾広域臨海環境整備センターの海面埋立処分として埋め立てられたというふうに承知いたしております。

吉野委員 かなりの部分が埋立材としてある意味で再利用されたということですので、今回もそういう形で最終処分をしていってもらいたいと思います。

 一般論ですけれども、その場合に、水質汚濁防止法とか海洋汚染防止法とか、やはりいろいろな油とかが瓦れきにはついておりますので、その辺の弾力的運用、これも一般論ですけれども、この辺も図っていくべきではないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

樋高大臣政務官 私ども環境省といたしましては、瓦れきをとにかく迅速にスピーディーに処理をする。しかし、大変な量でありますけれども、そんな中にあって、さまざまな今までのルールがございます、法律もございます。しかし、とにかく一刻も早く被災地の生活を取り戻すという理念に基づきまして、今決められているさまざまな法律やルールを最大限柔軟に運用をさせていただきながら、とにかく結果を、実を早く上げられるように取り組ませていただきたい。先生の今の御指摘をしっかりと受けとめさせていただきたいというふうに思う次第でございます。

吉野委員 陸の瓦れきは今までのような取り組みで進んでいきたいと思いますけれども、海の中にある瓦れき、特に漁港、港湾、そして沿岸漁業を営んでいる、いわゆる普通の沿岸部、ここにかなりの車とか津波被害で行った家屋とか、また船も結構浮いているんですね。この辺の片づけはやはり大事な部分だと思います。先ほど政務官の方からも答弁あったんですけれども、もっと詳しく答弁願いたいと思います。

樋高大臣政務官 先生の御指摘のように、海の瓦れきというのも、これも大量にあるというふうに認識をしております。おっしゃいましたように、倒壊家屋、車、船。しかも、陸の場合は移動しないんですけれども、海の場合は回流をしておりますものですから、先般も、茨城県の方の港にもお邪魔をし、海の中の瓦れきを、とにかく、地元の市町村、そして漁協さん、あるいは地元のボランティアの皆さんで必死になって取り除いて、そして漁業を早く始めようじゃないかといって本当に一生懸命頑張っていらっしゃる。とにかく船底がつかないように、まず港に出入りができるようにしなくてはいけないなど、その現地の取り組みなども私、承ってきたところであります。

 その中にありまして、実はこの瓦れき処理に関しましても、先ほど先生がおっしゃっていました最終処分場に運び出すというのも、何か船でもできないだろうかなど、漁業を取り戻すだけではなくて、海の中を瓦れきを取り除くことによって、瓦れき処理についても資する状況を何とかつくっていきたいというふうに思っております。

 細かいことにつきましては、また、よろしければ事務方から説明させていただきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 先生には、このたびの災害でいろいろ大変な状況になりましたことをお見舞いしたいと思います。

 瓦れきの問題につきましても、ずっと私もかかわってまいりまして、発災から十日ぐらいたって、全国で処理場を見つけよう、全国で埋め立てがあるところを探せという指示をいたしました。もう県内でできないかもわからないということで、さまざま指示をいたしたところであります。

 そして、今、海の話もありましたけれども、港はどこそこ、海の沖の方はどこそこ、そして陸につきましても、ここは農水省、ここは国土交通省というのがありますという話がありましたから、とにかく、各省庁にこの間指示をしまして、ここはあなたのところじゃないですかという話は絶対やめてくれ、ここまでおれたちはやるんだ、やるんだ、そしてのり代がぶつかったときに初めて瓦れきは処理できるんだという指示をしました。

 だから、みんな、押しつけるんじゃなくて、とにかく自分でやれるところをがんがんやって、その結果が瓦れきのスムーズな処理につながるという指示を出しましたので、先生おっしゃるとおり、海の底、浮遊物、あるいは海の沖の方等々も含めて、これからまた応急復旧ということも含めて、取り組んでいきたいというふうに思っております。

吉野委員 ちょっと時間がないので、事務方の答弁は申しわけありません。

 今大臣がおっしゃったとおりなんです。役所が、自分の管轄でないからこれはできないよじゃなくて、ここまでならできるよ、ここまでならできるよという、これが大事なんです。ぜひリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 次に、これはちょっと環境省の根幹にかかわる問題なんです。

 今までは、放射性物質は日本の国に放出されていません。ある意味で医療の放射性物質がちょっとなくなった程度の問題ですけれども、これからは、日本の国に放射性物質がもう放出されている。いわゆる世の中が変わった、世界が変わった、そういう新しいステージをこれからの日本国は抱えております。

 そういう中で、今までの法律体系を見ますと、放射性物質に関しては環境省は全くさわらないという法体系になっております。でも、国民は、環境問題というと、これは全部環境省だ、水の汚染から大気の汚染から有害物質から等々、すべて環境省が担う役割だと思っているんです。そこに信頼を置いているんです。そして、環境省は中立的な立場で、本当に国民のことを思っている立場だというふうに信頼をしております。でも、現行法では、放射性物質は除くという形の法体系になっているんですけれども、これからは違うんじゃないのかな。すべて、放射性物質も環境省がかかわっていくんだ、そういう新しい時代を迎えたと思います。

 大臣の御意見をお願いいたします。

松本(龍)国務大臣 今、吉野先生おっしゃるとおりだというふうに思います。環境に関する施策の総合的な枠組みを示す環境基本法においても、環境に関する認識とその保全のあり方を基本理念として定めるが、放射性物質による環境汚染についても当然にその理念は適用されるというふうに思っております。今先生御指摘のとおり、これは文部省だ、これは経済産業省だ、保安院だというのは、この間、発災から五週間たちますけれども、いろんなところで指摘をされているところであります。

 そういう意味では、放射性物質に係る対応は、関係省庁がそれぞれの役割分担のもとに政府全体として適切に実施されて、環境省においては今離島等で放射性物質についての監視を実施しているところでありますけれども、緊急の対応が求められる当面の間は、引き続き、関係省庁との連携をしつつ、今のところは、済みません、既存の枠組みの中での取り組みを進めてきているところであります。

 ただし、今後、今御指摘のありました、政府全体としての原子力行政のあり方が検討される際には、その一環として、環境省が実施する放射線モニタリングのあり方等について検討してまいりたいと思いますし、いろんな意味で、これからは、縦で縦でということではなくて、やはり日本国全体としての、さまざま、三月十一日以前と三月十一日以降は全く違うという先生の御指摘を受けて、これから私たちも取り組みを進めていかなければならないと思っています。

吉野委員 まさに世の中が変わった、三月十一日を境にして日本の国は全く変わった。その変わった中での対応に環境省としてぜひ取り組んでほしいと思います。

 次に、所信について。まず、温対法でございます。

 きょうの日経新聞に「CO2削減計画振り出しに」という記事が載っておりました。まさに、今まで温対法、私たちも低炭素社会づくり基本法を出しております。公明党さんも出しています。政府も出しています。この温対法についての大前提、これが今度の地震、そして原発事故で大きく崩れてしまいました。

 温対法十条で言っている二五%削減、これは、前提条件つきではありますけれども、もはや私は実現不可能、実現できないと思っております。大臣の御意見はいかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 今先生がおっしゃった問題、震災の問題については、与野党問わず、この場におられるすべての方々が問題を共通にされていると思いますし、また、国内の基本法ということに関しては、この場にいるすべての方々が問題意識を共通に持っておられるというふうに思います。

 今度の地震は、原子力発電に大きな影響を与えております。二五%目標の達成方策の検討に当たって前提としておりました原子力発電の新増設や経済成長などの諸条件を大きく変化させることから、現在、その影響を今後十分に検討する必要があると考えております。また、これからは一層、再生可能エネルギー、あるいは災害にも強く、低炭素な経済社会づくりを進めていくことの必要性も、それぞれ高まっているというふうに思っております。二五%削減目標の達成を直ちに今ここで判断することは困難でありますけれども、状況を見きわめつつ、大いに議論を深めていく必要があるというふうに思っておりますし、私自身も、そこは虚心坦懐にさまざまな議論をしていただきたいというふうに思っているところであります。

 いずれにしましても、温暖化対策は人類共通の課題でありますから、各党の意見もさまざま承りながら、これからも取り組んでまいりたいと思います。お答えにまだ不十分だということもわかりますけれども、与野党の意見を真摯に受けとめて、努力をしていきたいと思います。

吉野委員 これから二五%を検討する、議論を深めていくという段階ではないです。現実をもっと認識すれば、もう大臣もおわかりだと思います。だれもが、そして世界の方々だれもが、今の日本の現実の姿を見れば、あと八年です、二〇二〇年、八年で二五%。原発がこれだけ事故を起こし、新規立地もまかりならぬ。既存の原発も、動くに当たっては本当に大きな大きな努力が必要でしょう。そういう中で、もはや二五%達成というのは不可能である、もうはっきり認めた方が、正直に認めた方が、ある意味で世界の信用というものをかち取るんじゃないのかなと私は思っています。

 そういう意味で、温対法は取り下げるべきだと思うんです。いかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 基本法案は、先ほど言いましたように、それぞれ皆さんが出されておりますし、人類共通の課題だという認識は一致をしていると思います。これは継続審議となっている二法案にも同じようなことが言えると思います。ただ、この状況の中で、一つの政党がこうなんだといって決めるような状況にはないと私は発災から思っております。

 そういう意味では、昨年のCOP16、そしてことしのCOP17に向けて、私たちはしっかりした国内法を持っていなければならないということは共通の認識だというふうに思っております。継続審議になっております温暖化基本法、それぞれ、その場で審議をしていただいて、それぞれがいろいろな知恵を出していただいて、成案を得ていただきたいということをこの場ではお願いしたいというふうに思っております。

 COP17、もう八カ月しかありません、六カ月しかありませんので、そういう意味で私どもも努力をしていきたいし、野党の皆さんにもお願いをしたいというふうに思っております。

吉野委員 四月三日、バンコクでの会議で南川事務次官が、二五%削減についての見直しは当然議論の対象になる、ある意味で正直に国際会議の場で述べたと私は思います。国連に前提条件つきの二五%を削減するという申告を我が国はしているわけですけれども、このことによって、その申告がある意味で取り下げをしたのかという問題と、ここにも書いてありますけれども、「撤回なら国際交渉阻害も」というふうに日経では言っているんですけれども、本当に正直に物を申すことが阻害になるのか、私は逆に疑問に思うんです。

 できもしないことをできるできるできるという形で言うことの方が、国際社会からはばかにされるというか、相手にされない。できないことなら、これはできないんだよということできちんと物を申していくことの方が、国際的信用は高まるのではないのかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 今おっしゃる、できないことはできないと言うのが国際社会の信用を高めるという御指摘は、私は理解はできます。ただ、今、検証といいますか、そういうことがまだできる状況にはないということも一つありまして、確かに、原子力発電の問題等々を含めますと、今先生がおっしゃることもよくわかるわけですけれども、そういう意味では、取り下げるべきだというふうな話があります。

 しかし、カンクン合意に基づいて、今文書に記載されております。先ほど申し上げていますように、やはり一刻も早く審議をしていただいて、この問題について与野党ともどもに議論をしていただきたいということをお願いしたいというふうに思っております。

吉野委員 世界の方々に日本が正直に言うことによって信用を増すと私は思うんですけれども、その辺の外国の評価といいますか、温暖化交渉にどんな影響を与えるのか、ちょっと事務方、だれでも、お答え願いたいと思います。

鈴木政府参考人 ただいま大臣から御答弁がありましたように、今回の震災が原発の政策等に大変大きな影響を与えるのではないかということはそのとおりでございますけれども、二〇二〇年断面で見たときにどの程度数量的に影響があるかということは、まだなかなか確たることが言えない状況ではないかなというふうに思っております。

 他方で、国際交渉の状況でございますが、二〇一三年以降の新しい枠組みをどうするかということをまさに今議論しようということでございます。

 日本としては、従来、すべての主要な排出国が参加する公平で実効性のある枠組みをぜひおつくりいただきたいということで、積極的にそのルール、枠組みづくりに貢献してきたというふうに思っておりますが、今後とも我が国が、やはり温暖化問題に対して積極的に取り組む、こういう厳しい状況ではありますけれども可能な限り取り組むという姿勢が内外にきちんと示せて初めてこうした交渉にも参画できていけるのではないかなというふうに思っております。

 そういう意味で、この厳しい状況ではあるけれども、可能な限りきちっと温暖化対策に取り組んでいくという日本としての姿勢を示すことは極めて国際交渉上重要ではないかなというふうに思っております。

吉野委員 先ほど大臣は、温対法をきちんと議論してくださいと言う。でも、その温対法の前提になっているものがすべてが崩れ去った。ある意味では、本当に議論してほしいんだったらば、政府として実現可能のある案をやはり出して、それをたたき台に議論してくださいというのが議会としては当然のあり方じゃないのかと私は思うんですけれども、その辺、いかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 今おっしゃることはよくわかりますけれども、いずれにしましても、継続審議で、今私たちは温対法を出しております。この場で言えることは、まさにそれを審議していただいて、我々も柔軟に対応していきたい。与野党でやはり審議をしていただいて、国内法が要るということはそれぞれの政党も認識を一にしておられると思いますので、審議をしていただきたいというのが私の回答であります。

吉野委員 大臣もよくおわかりになっている上での、厳しいというか、つらい答弁というふうに私は理解をさせていただきます。

 京都議定書の二〇一二年目標でございます。

 京都議定書、原発がないこれからの中にあって本当に達成可能なのかどうか、その辺のところを伺いたいと思います。

松本(龍)国務大臣 我が国は、京都議定書の第一約束期間である二〇〇八年から二〇一二年における六%削減目標の達成に向けて、今、懸命の努力を続けております。

 二〇〇九年までの二カ年につきましては、排出削減、森林吸収量の確保及び海外クレジットの取得を踏まえれば、既に目標を達成する水準でありました。しかし、予断を許さないということはもう去年もずっと私どもも言い続けております。

 今後の第一約束期間全体の達成に向けては、今申し上げましたとおり、予断を許さない状況でありますけれども、震災が排出量に与える影響についても今後十分検討する必要があると考えており、引き続き、京都議定書の目標の達成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

吉野委員 京都議定書に向けて、経済界は自主行動計画をつくっています。その中で、電気事業連合会は、自主行動計画で原単位で〇・三四という目標を持っています。これをオーバーすれば、外国からお金を出して排出権を買ってくる、そういう枠組みになっております。

 もう原発がこの状態では、〇・三四という原単位、これは全く不可能です。不可能だから、オーバーした分は電事連、特に東京電力で買わせるのか。今東電は、原子力をいかに安定させるか、そしてまた、被災をされている方々へ原賠法に基づいて仮払いという形で、資金的にも大きな資金を要しているところです。さらに上乗せして、約束なんだから、京都議定書、〇・三四を守れというふうに言うのかどうか。環境省の意見を聞きたいと思います。

近藤副大臣 吉野委員に御指摘をいただきました。産業界にも共同して御努力をいただいて、地球温暖化を防止していくために官民一体となって進めていく中で、経済界にも自主行動計画をつくっていただいております。そういう中で、御指摘のところ、この今回の事故においてさまざまな影響が出てくるというところであります。

 ただ、この影響がどれぐらいになるのか。先ほど来から大変に不確かな答弁で申しわけございませんけれども、このことについてはしっかりと見きわめた中で、産業界とも、また経済産業省とも共同してしっかりフォローアップをして、目的は達成する、しかし現状はしっかりと見きわめていく、こういう姿勢でまいりたいというふうに思います。

吉野委員 今一番災害で産業界も困っているんです。だから、政府がきちんとしたメッセージ、これはやるよ、これはやらないよ、例えば、東電に対して〇・三四を守る必要はないよ、このくらいのメッセージをなぜ出せないのか。私、正直言って情けないです。

 次の質問に行きます。

 原賠法、これは基本的に民間・民間、民民の世界です。事故を起こした東京電力と損害を受けた人々との民民の世界です。東電の払い分一定額以上、特に津波の被害であればあとは全部国が面倒を見るよという、基本的には民民の法律です。

 にもかかわらず、原子力は国策なんです。国策で、その国策に協力してきた双葉郡八カ町村、七万二千名、全員今避難しているんです。着のみ着のままです。二百円しか持っていません。なのに、まだ政府として一円のお金も払っていないんです、一カ月たったって。そして、政府がやったことは、東京電力に、仮払いをやれ、一世帯に百万円やれ、この事務も東京電力に押しつけているんです。国策に基づいて協力してきた人々に、なぜ国が一歩前に出ないんでしょうか。

 今、東京電力がすることは、原子力発電所の事故を安定化させることなんです。ここに全力投球することなんです。私も、最前線基地、Jヴィレッジ、ちょうど二十キロ地点です。もう板の間に寝ています。水処理ができませんので、やっと簡易水処理機をつくって、今度はベッドも使えるような形になっていますけれども、みんな板の間に寝ています。東京電力の社員です。最前線基地です。

 こういうところに、仮払い、ここまで国は何にもしないで、ただ言うだけというふうに私は理解するんですけれども、いかがでしょうか、経産省。

松下副大臣 私も災害直後から現地に入りまして、現地災対本部の本部長としていろいろな仕事に携わってまいりました。ようやくあの原子炉のプラントも、一時の本当に危機的な状況から、窒素等を注入することによって水素爆発の危険性がかなり極小化されたというふうに聞いておりまして、ほっとしておりますけれども、相次ぐ余震の大きさ、これによってまた何か起こるのではないかという非常におびえながらの対応に全力を尽くしておるわけでございまして、その間、一カ月たちましたけれども、七万二千人にも及ぶ二十キロ以内の人たちの避難していらっしゃるところに対するケア、これが必ずしも十分でなかったと考えています。

 今全力を挙げて、支援本部を新たにつくり、また、きょう発足いたしました、第一回会合を開きましたけれども、原子力発電所事故による経済被害対応本部、大変大がかりなものになりますけれども、その中で、まず、苦労されていらっしゃる人たちに対して一時金としてお支払いするということが決議されました。

 私自身が、この前の段階として現地に赴きまして三回ほど市町村長さんたちとお話をし、こういう仕組みを受け入れていただけるかどうか、東京電力に対する屈折した思いも持っておられまして、やはり私たち国も中に入って、県も一緒に帯同しながら、市町村長さんたちをしっかりと理解していただく土俵に上げていただき、そして避難していらっしゃる人たちに対して、きちっと受け入れてもらえるような、そういう土壌をつくってまいりました。

 東電の社長、副社長も現地に赴いて、福島県の人たちのいろいろな思いはありましたけれども、とにかくおわびをしながら、そういうことに対して一時金でもいいからとにかくお支払いしたいという土壌はできました。

 あとは、隅々にまでしっかりとまず行き渡るように、東電だけに任せるのではなくて、市町村も一緒になって、窓口をどうするのか、そして、行方がまだよくわからない人たちも三割から四割いらっしゃいますので、そういう人たちを一緒になって探していくということも含めて、全力を尽くしてやっております。決して、一歩下がったり、そして見えないところでやっているということではございません。私自身が入ってやっておりますので、一緒になって、被災されている人たちに対するサポートをしっかりしていきたい、そう考えています。

吉野委員 これはやはり、一世帯百万、配るわけですから、役場機能がしっかりしていないとだめなんです。住民基本台帳も置いてきたまんまなんです。そして、どこにいるかわからないんです。まとまって避難所にいる方、千名、千二、三百名、ここはわかるけれども、どこにいるかわからない。ですから、役場にお金を渡して後は村民、町民に配ってください、これではだめなんです。国がきちんとそこまで行って、役場機能も補うだけのところを私はやってほしい、このように思うわけです。

 時間がないので、ごめんなさい。では、一言。

松下副大臣 着のみ着のままで逃げ出してこられた人たちがほとんどでございます。同時に、役場もろとも二十キロから外に出てこられた人たちがたくさんいらっしゃいますので、役場機能が喪失していますから、そこは国も、それぞれの町村に複数以上、人を派遣して、複数派遣して、しっかりとお手伝いすることにしておりますし、混乱がないように、しっかりとサポートしていきたいと考えています。

吉野委員 ぜひお願いします。これは長島先生、山古志村の村長さんです、従来の三倍の仕事がふえる、そして役場の職員も少ない中で三倍の仕事をすると。ですから、マンパワーなんです。このマンパワーをきちんと国として支援をしてほしい、このようにお願いします。今の答弁、しっかりと受けとめております。

 原子力安全委員会にお尋ねをしたいと思います。

 SPEEDI、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、これがございます。気象庁もIAEAのデータをインプットして、そしてIAEA、特にドイツの毎日の天気予報に、日本の放射性物質はこのように広がる、かなりメッシュが大きいものですから日本全体の中でしか使えません、地元の私たちが欲しい情報には余り使えませんけれども。

 でも、原子力安全委員会もSPEEDIを持っているんです。三月二十三日に公表しました。内部被曝です、この公表したのは。四月の五日にまた公表しました。これは二十キロ、三十キロで汚染は広がっているんじゃないんです。私、常に言っているんです、放射性物質が広がるのは同心円じゃないよ、風向きだよ、地形だよ、風力だよ、そのときの雨が降ったかどうかだよ。このデータを持っているのがSPEEDIなんです。なぜ刻々と毎日発表しないのか。

 そして、三月二十三日にやったのは内部被曝です。四月五日に出たのは外部被曝です。外部被曝は線量が大幅に低目です。内部被曝は線量が高目に出ます。なぜ外部被曝と内部被曝、違ったデータを出すのか、そして、四月五日には外部被曝も出すんだったらなぜ内部被曝も出さなかったのか、この辺、お尋ねをしたいと思います。

久木田参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのSPEEDIでございますが、これは既に御承知かとは思いますが、原子力施設から時間当たり放射性物質がどれだけ大気中に放出されているかということがわかれば、環境の大気中の放射性物質濃度とかあるいは放射線量率を予測することができるというものでございます。

 しかしながら、今回の事故におきましては、施設からの放射性物質の放出割合を測定することはできないという状況が今日まで続いております。したがいまして、原子力安全委員会では、これにかわる方法といたしまして、周辺の大気中の放射性物質の濃度から施設から放出されている放射性物質の量を逆に推定するという方法をとりまして、これに基づいてSPEEDIによるシミュレーション、試算を行ってきたところでございます。

 しかしながら、この方法では、ごく限られた情報、つまり地上でのモニタリングデータによる放射性物質の濃度に基づいて逆に推定し、これによって予測するというようなことを行いますので、当然のこととして大きな不確かさを伴うわけでございます。

 したがいまして、これまで原子力安全委員会から公表してまいりました御指摘の二件でございますが、これは、いずれも過去にさかのぼって施設からの放出量を推定して、さらに内部被曝あるいは外部被曝について、ある期間の集積線量を評価したものでございます。これは、日々の予測については大きな誤差があっても、集積線量を求めることによってある程度その誤差がならされるということを期待してのものでございます。

 そして、三月二十三日に公表いたしましたが、これは小児の甲状腺の内部被曝に関する量でございまして、四月五日までの集積線量として四月十一日に公表いたしました結果は、これは外部被曝に関する集積線量でございます。この線量の定義の違いから、示している数値については違いがあるというふうに御理解いただければと思います。

 四月十一日に公表いたしました結果ですが、これは、四月十日に原子力安全委員会の臨時会議を開きまして、計画的避難区域あるいは緊急時避難準備区域についての助言についての検討をいたしましたが、そのときの参考資料として準備したものでございます。この際の検討の基礎といたしましたのは実測データに基づく集積線量でありまして、SPEEDIによる結果というのは、実測線量による集積線量の分布の傾向を理解するための補助的な参考資料として準備したものでございます。そのような経緯を御理解いただきたいと思います。

 それから、内部被曝線量についてその後公表しない理由でございますが、私どもの集積線量の評価の結果といたしまして、三月二十三日以後、大きな変化はございません。その結果についても、御要請があれば公表することについてやぶさかではございません。

吉野委員 地元の人は、今、本当に科学的に線量がはかれないから、モニタリングポストで出た線量を逆算して、このくらい出たんだろうという形で、本当に科学的な話ばかりなんです。

 私たちは、どういう方向に放射性物質が流れているか、これがきちんとわかることによって、きょうは、ではマスクをしていった方がいいな、帽子をかぶっていった方がいいな、上着を着ていった方がいいな、これがわかるんです。なぜ発表しないんですか。安全委員会のホームページ、SPEEDIで調べてみました。わかりませんでした。よくよく調べたら、四月十日の会議録の中にあった。これは、もう隠しているとしか言えないんじゃないですか。

 情報をなぜ出さないんですか。国民がすぐヒットできるような、わかりやすく情報が手に入れられるような方法をなぜとらなかったんですか。そして、今回だって、なぜ内部被曝を出さなかったんですか。お答え願います。

久木田参考人 お答え申し上げます。

 日々の予測につきましては、先ほど御説明いたしましたような理由によりまして、大きな不確かさが伴うということが現状でございます。

 現状での予測でございますが、幸いなことに、現状では、原子力発電所の状態がかなり安定しておりますので、一時期に比べまして、私どもの評価によれば、時間当たりの放出量というのはけた違いに小さくなっております。

 したがいまして、今、例えば、その予測をいたしまして、それに基づいて住民の皆さん方に行動していただくというような必要はないというふうに考えております。

吉野委員 予測システムなんですから、予測、天気予報です。外れていいんです。いかに注意をしていくか、自分の健康、命を守るために、そこに住んでいる我々がどういう行動を起こせばいいか、その参考になる資料を欲しいと言っているんです。

 何ですか、その参考になる資料も、関係ないから出すことはない、今私はそう受けとめたんですけれども、出すことはないんですか。

久木田参考人 先ほど申しましたように、今般の事故におけるSPEEDIというのが、開発時に想定されていたような形とは全く異なる、つまり変則的な状況であるということをまず御理解いただきたいと思います。その結果として、繰り返し申し上げておりますような、大きな不確かさが生じるということは、これまでの検討からもわかっております。

 さりながら公開するということの意味でございますが、そのためには、SPEEDIの情報だけではなくて、現在の空間線量がどのような理由でこのような分布になっているかということまで含めて御理解いただくことが、今正しい御判断のために必要であるというふうに考えております。SPEEDIによる結果は、その意味で、非常に断片的な、全容に対するごく一部の情報でございますので、そのことだけを日々公開するということは、かえって誤解を生じるというふうに考えているところでございます。

吉野委員 気象庁は、新聞に載った次の日から全部公開しています。そして、ただし書きがついています。これは正確な放射線レベルを示しているものではありません、なぜかといえば、IAEAからこの線量で計算しろと言われているからで、実際に出ている線量ではありませんとただし書きをつけて毎日公表しているんです。

 なぜ安全委員会としてできないんでしょうか。

久木田参考人 繰り返して申し上げますが、私どもとしては、現在の各地域における線量率がいかなる理由でこういった分布を示しているのかということも含めて御理解いただくことが必要であるというふうに考えております。

 その中で、定量的に信頼に値するものではないというただし書きをつけた形でSPEEDIの情報を公開するということについて、その必要性については、現時点で、あるというふうには認識してございません。

吉野委員 この議論をやっても平行線です。

 ちょっと通告していませんけれども、原子力安全委員の方々、また専門委員の方々、福島県の現場に行かれて調査をしてきたことがありますか。

久木田参考人 お答え申し上げます。

 新聞報道等でも出ておりますが、私どもの原子力安全委員会の班目委員長が、事故の当初に、菅総理に同行して現地を訪問いたしております。

吉野委員 ほかの委員の方々はいかがですか。

久木田参考人 原子力安全委員会としては、これまでのところ、原子力安全委員会が現地を訪問するということが必要ないし適切であるというふうには判断してまいりませんでした。

吉野委員 現場を知らないで対策が立てられますか。なぜ現場を見ないんですか。これは通告していませんので、あれですけれども。

 私は、すべては現場に答えがある、現場を見ずしてすべての対策は立てられない。今度の震災処理も同じです。みんな行っているんです。みんな行って、現場を見て、そこの事情を聞いて、では、どうするか。原子力安全委員会だって、冷温停止にするまでどんな意見を言っているんですか。

久木田参考人 御指摘は重く受けとめる次第でございますが、原子力安全委員会からも事務局から現地に派遣して、常にそこからの情報を聴取しているところでございます。

 もちろん、原子力安全規制行政庁でございます原子力安全・保安院からも適宜報告を受けて、現場の状況を把握しているというところでございます。

吉野委員 事務局が行っている、保安院が行っている、そこから情報を得ている。だから、いいんだ、そんな原子力安全委員会は私は要らないと思います。

 これから原発事故が収束を迎えるでしょう。そのときに、制度として、今一番やるべき仕事をやっていない原子力安全委員会、情報を隠している、ホームページに載っている、私が幾ら探しても出てきませんでした。このくらい国民から情報を隠している、こういう原子力安全委員会のあり方そのものについて、存続について、大いにこれから議論をしていきたいと思います。

 時間が終了しました。これで質問を終わりますけれども、本当に原子力事故について、復興構想会議の議長さんも、原子力はここの仕事にするべきでないなんというとんでもないお話も伺っております。ぜひ、原子力事故、原子力災害について国として全力で取り組んでくれることを心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、太田和美君。

太田委員 東日本大震災が発生して一カ月が過ぎました。亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方に心からお見舞いを申し上げます。

 そして、みずからの命を顧みず活動していただいている自衛隊、警察、消防の皆さん、そして東電の社員の皆様、そしてボランティアの方々、日本のみならず、世界から本当に多くの御支援をいただいておりますことに、県民の一人として、この場をおかりして厚く感謝、御礼を申し上げる次第でございます。

 また、大臣を初めとする環境省の皆様方におかれましても、被災地のことを思い、連日政務に励まれておりますことに、深い敬意を表するものでございます。

 現在、福島県は、地震、津波、原発と三重苦に見舞われております。今もなお見えない放射線の恐怖におびえ、その苦しみ、不安は筆舌に尽くしがたいものがあります。

 東京に来ると、福島の人々と危機意識が違うことに少し残念な気持ちを持ちます。避難所で段ボールを敷いて生活を送っているおばあちゃんが言いました。何か足りないものはありませんかと私が尋ねますと、おばあちゃんは手を合わせ、みんなよぐしてくれっから何もない、ありがとねと言いました。続けて、こうなることはわかっていたんだ、出稼ぎでもいいから、んなもん、つくんねばよがったねとおばあちゃんが言っておりました。ただただ、帰りたい、もう帰りたいの一言です。私自身、返す言葉が見つかりませんでした。

 今まで四十年間にわたり、福島県は東京の皆さんの電力を支えてまいりました。人間が制御できないものを取り入れてしまった代償は余りにも大きいということを今痛感しております。結果論ではありますが、これまでの日本の原発は、安全性を犠牲にし、経済優先で推進してきたと言われても仕方がありません。研究者の間で指摘されていたにもかかわらず、過大投資を避け、十分な地震、津波対策をとってこなかった。そして、国の検査体制が十分に機能していなかったと言わざるを得ません。想定外という責任逃れは許されません。東京電力などの電力会社だけではなく、政治家、そして、民主党も含め、これまでの原子力政策を進めてきたすべての政権の責任が問われてくるのだというふうに私は思います。

 国策として進めてきた結果は、国が最終的に責任をとらなければなりません。最大限の補償を迅速に行い、また、全国の原発の安全対策にまず最優先に取り組んだ上で、設置から四十年たった老朽原発から運転を停止し、新規増設は行わない、原発は過渡的エネルギーと位置づけ、エネルギー政策を根本から見直し、安全第一を考えた自然エネルギーの最大限の活用を進めるべきだ、私はそう考えております。

 私の地元福島は、智恵子抄がうたった「ほんとの空」があるところです。毎朝、空を眺めると、雲一つないきれいな空が広がっています。原子力のことなんて本当にうそみたいです。しかし、ふるさとの空も、ふるさとの土も、海までもが汚されてしまいました。環境委員会に身を置く一人として、私はこのふるさとを守りたい、そういう思いから質問させていただきたいと思います。

 まず第一に、放射線汚染と環境省の対応についてお尋ねをしたいと思います。

 福島第一原発でベントによる放射性物質の大気への放出あるいは低レベル汚染水の大量放出をする前、環境大臣に事前の通知があったのか、御相談があったのかということをお尋ねさせていただきたいと思います。

近藤副大臣 副大臣の近藤でございます。私の方からお答えをさせていただきます。

 太田委員、今質問の冒頭に、太田委員も福島県の選出であり、地域の皆さんから本当に厳しい状況をお聞きになられ、また、お出かけになられて、本当にその苦しみを共有しておられる。私も先般、福島県いわき市に参らせていただきました。本当に、福島の皆さんが、地震、そしてその後の津波、また原発の事故、そしてさらなる風評被害で大変に厳しい思いをされておられる、そして多くの方が亡くなられました。改めて私からもお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。そして、その思いをしっかりと行政の中で発揮をしていかなくてはならない、こういう思いであります。

 今御質問いただきました事実につきましては、大気や水へ放出される放射性物質が環境等に与える影響について、特段事前の相談等はなかった、こういうふうに聞いております。

太田委員 今、事前の相談はなかったということでありますが、先ほど吉野議員からも似たような質問がありましたけれども、まず、そもそも環境省は、設置法第三条において「地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全を図ることを任務とする。」と定められております。原発による放射能汚染については任務外となっております。環境基本法第十三条においても、「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」と、放射能汚染は適用除外にされております。水質汚濁防止法、大気汚染防止法、廃掃法、環境アセス法も同じつくりです。

 そのことをわかった上でお話をいたしますが、放射能という最も深刻な環境汚染に対し、環境省は傍観するだけで悔しくないのかということです。環境汚染に余りにも無力な環境省では、存在意義がないと言われても仕方がありません。自然環境を守り、そのことを通じて国民の健康を守るべき環境省として、この事故についてどのような所感を持っておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

近藤副大臣 貴重な御質問をいただきました。

 先ほど来から松本大臣も答弁をされておられるわけでありますけれども、今の仕組みを改めて申し上げるまでもなく、今太田委員が御指摘になったとおりであります。

 ただ、少し私の思った経緯みたいなことでちょっとお話をさせていただきます。

 放射能にかかわる事故について、やはり政府一丸となって、本当に甚大な、万が一のときには大きな影響が出る、だからこそ、私は、「原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」こういうシステムがある、こういう理解でおりました。それぞれがそれぞれの省庁の中で役割を果たしていく。原子力安全委員会もそうだと思いますし、保安院もそうだと思います。そういう中で、それぞれが本来の力を発揮していく、そのことによってこうした事故に対応していく、私は、それはそれで一つの大事なやり方だなと思っておりました。

 ただ、今御指摘のとおり、環境基本法の中にある、国民ひいては人類が環境の恵沢を享受する、そのために、将来の世代に健全で恵み豊かな環境を継承することができるように適正に環境の保全を図らなければならない、それが環境基本法の本来の意味であるならば、私は、現在の状況が本当に十分に機能を発揮しているのか、こういうことを思うわけであります。

 先ほど来からも、原子力安全委員会の答弁を聞いていても、これで本当に国民の安全が守れるのか、万が一のときに安全が守れるのか、こういう不安を感じるわけであります。

 今回の原子力の事故について、津波で多くの方が亡くなられた。その津波によって、原子力の事故によって多くの方が避難をされている。一つの大きな災害の中で、これだけ多くの方が犠牲になられ、今苦しい状況の中にあられる、そして、それがいつまで続くかわからない、こういう状況の中であるわけでありますから、私は、政府として、また環境省は、まさしく今太田委員から御指摘のあったとおりであります。環境省というものは、国民の皆さんのために、日本の、この地域の環境を守るということが最大の役割であるわけですから、今御指摘をいただいたことは、今後、今から、本当にこのことは、できる限りのことを、現在できることをする、そして、やはり大きな仕組みの中で、もっと国民の皆さんに安心していただけるシステムをつくらなくてはならない、私はこういうふうに思っております。

太田委員 ありがとうございます。

 これからの環境省のあり方についても、皆様とこれから議論をしていかなければいけないというふうに思っております。

 原発、放射能汚染が環境省の守備範囲外となっていることに関して、かつて国会でも議論がありました。平成九年、アセス法の審議の際には、本委員会で公明党の田端議員が、発電所は通産省、原子力は科学技術庁、環境庁は放射性物質にはさわらないという縦割り行政ではなく、環境問題という大きな立場から統一法とすべきではないかという提案をいたしました。また、昨年の参議院環境委員会では、川田議員が、放射能の安全性についてもアセスの対象とすべきではないかと提案をされております。

 いずれの時期か、原子力安全・保安院や安全委員会などの組織改編がテーマとなると思いますが、私は、環境省が原子力に関与し、放射能から人間と自然を守る取り組みをすべきではないかと強く感じています。経産省は原発を推進したい、文科省は原子力の研究開発を守りたい、それぞれ守りたいしがらみがある。しかし、環境省が守るのは自然環境と人間の命だけです。しがらみがない、だからこそ原子力の安全性について厳しくチェックできる、私はそう思っています。人材や知見の蓄積という意味で難しい面もあると思いますが、組織改編とあわせて、これから検討すべき課題ではないかと思っているところでございます。

 放射能の汚染に無力という汚名を返上するために、環境大臣、副大臣も、環境省、閣内でエネルギー政策の転換に向けて強いリーダーシップを発揮していただきたい、それ以外にないと私は思っております。すなわち、原発の新増設はしない、古くなった原発からとめていく、動かしている原発は安全性を徹底的に強化する、今後は再生可能エネルギーを加速度的に導入していくというスタンスで、内閣の中ではっきりと物を言っていっていただきたい、私はそう思っております。

 次に、放射線の積算線量と学校教育についてお尋ねをしたいと思います。

 私も毎日、きょうの放射線量は幾つだったのかということを欠かさずチェックをさせていただいております。福島県、特に浜通り、そして中通りの県民は相対的に高いレベルの放射線を浴びています。それが今後何カ月も続くと予想されています。県民の被曝への不安感、恐怖感は極限に達しています。文科省と安全委員会の方で実測に基づく積算線量の推定値というものを出しましたが、これは、避難区域や警戒区域など高い線量の地域については報道されておりますが、それ以外の地点の数字が出ておりません。なぜもっとはっきり全部をわかりやすく情報公開していかないのかというふうに思います。

 文科省からもらった資料では、私の住んでいる郡山は、三月十二日から一年間の積算線量の推定値が七・八ミリシーベルト、選挙区の二本松市は八・五から八・〇ミリシーベルトとなっております。これまで日本の一般人の限度とされる線量は年間一ミリシーベルトであり、大変不安に思っているところでございます。本当にこのまま普通に暮らしていいのか、防護策をとらなくていいのか、健康への影響はどうなっているのか、わかりやすく教えていただきたいと思います。また、積算線量の推定値はどのような計算で導き出しているのか、その手法もわかりやすく教えてほしいんです。

 福島県は独自に学校や保育園の放射線量を測定いたしました。この測定結果を見ると、当然ながら一年間で一ミリシーベルトを超えてしまう。子供たちは特に放射線の影響を受けやすいだけに、本当に御父兄の皆さんが大変心配をされております。この不安にどうこたえてもらえるのか。

 安全委員会は、学校再開の目安として年間十ミリシーベルト以下とする案を示したとの報道が一時ありました。昨日、その事実はないとの御会見をされたようですが、まだその対応について検討中のことだと思いますが、それにしても、年間十ミリという、新しい避難区域の基準二十ミリの半分であります。なぜ三分の一ではなく半分なのか。また、外部被曝の十ミリ以外に、当然、呼吸や水、食料の摂取に伴う内部被曝もあるわけだが、それでも十ミリで大丈夫なのかというふうに思ってしまうところもあります。

 今議論の途中だということは十分承知した上で、今の検討状況や考え方について、父兄や先生たち、子供たちが安心できるようなわかりやすい説明を文科省の方からお願いしたいと思います。

伊藤(洋)政府参考人 お尋ねのございました質問のうち、一年間の積算線量についてどのような考え方で導いているのかという点について、まず御説明をさせていただきたいと思います。

 文部科学省では、原子力安全委員会それから原子力安全・保安院と共同で福島県の各地域における積算線量の推計を行い、また四月の十一日にその結果を公表しているところでございます。すべての地点で地震直後からのモニタリングデータがそろっているわけでございませんので、実測のデータを基本としつつも、一部推定を交えて算出しているところでございます。

 例えば、二本松市の針道の例をもとに御説明させていただきますと、事故直後の三月の十二日から四月の五日まで、この間にこの地点で実際に今観測された値、あるいは観測データがないものについては他の類似の地点のデータから推定した値、これを足し合わせまして、この期間の線量で申し上げますと、たしか〇・七ミリシーベルトになろうかと思います。その後、四月の六日から事故で一年になります来年の三月の十一日までの放射線量、この値の試算につきましては、四月の六日の時点で最新の値、これが残り十一カ月強継続するという非常に保守的な仮定を置きまして計算いたしますと、七・八ミリシーベルト。したがって、二つを足し合わせると八・五ミリシーベルトという値が推定できるわけでございます。

 なお、今の数字からわかりますように、積算線量の大部分は、四月の六日以降、三月の十一日までの、来年の三月までの予測経過に基づくものでございますけれども、本来は、放射性物質の発する放射線の量というのは時間的に減少してまいります。今回の試算におきましては、それが減衰しないという安全側に立った仮定を置いて計算しているところでございます。

 このような形で各地での積算線量を推定しているということでございます。

太田委員 ありがとうございます。

 安全委員会からも、そしてできれば、文部科学省から笠政務官が来られておりますので、御答弁のほどをお願いしたいと思います。

笠大臣政務官 今、太田委員の方から御質問ありましたように、本当に学校の現場をどうやって再開させていくのか、特に今福島県においては、外で体育、スポーツができるのか、あるいは遠足やそして運動会はどうなるのか、多くの子供たちに、あるいは御父兄を含めて地域の皆様方にそうした不安を与えていることについて、本当に申しわけなく思っております。

 なお、今御指摘ありましたように、原子力安全委員会が、昨日の記者会見において、子供が年間に受ける放射線の線量を年間十ミリシーベルト以下とするとした、そうした委員の見解として示されたわけですけれども、これはまだ組織的な見解ではないというふうに否定をされたということで承知をしております。

 今、福島県でも、四月の五日から七日にかけて、県内の保育園、幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校について、空間線量率を測定していただきました。ただ、この結果を踏まえて、より詳細に私どもとしては実態を把握しなければならないと考えており、昨日十四日に、福島県で実施した中で比較的高い測定結果が得られた五十二校の学校について、一校当たりの測定ポイントをふやして、校庭などの土壌を採取する詳細な再調査を実施いたしました。これについては今調査結果の分析、取りまとめをしておりまして、今後、取りまとめ次第、速やかにまた結果について公表をしていきたいというふうに考えております。

 そして、こうしたことも踏まえて、この調査結果を受けて、原子力安全委員会の助言等も踏まえまして、学校内外の活動についての考え方、指針というものを速やかに決めていけるように、しっかりと努力していきたいというふうに思っております。

太田委員 ありがとうございます。

 学校の新学期はもう始まっております。早く学校生活の基準を示していただきたい、そのように思っております。

 ちょっと時間がなくなってしまったので、安全委員会の方からの御答弁は切らせていただきたいと思いますが、次に、環境省にちょっとお尋ねをしたいと思います。原発停止の影響と地球温暖化対策についてお尋ねをしたいと思います。

 今回の原発事故の影響で、今、福島県民の中では、五、六号機も廃炉にしろというような声もあるぐらいですから、東京電力福島第一原発はおろか、東京電力福島第二原発も再稼働する見通しは低いというふうに思っております。県民感情が許さないと思います。

 さらに言えば、地震の影響で自動停止したほかの原発だって、再稼働できるかどうかも現在わからない、見通しも立っていないことだと思います。エネルギー政策の見直しの議論の行方によっては、現在停止中のほかの原発だって動くかどうかわかりません。ましてや新増設も難しい。

 環境省は温暖化対策のロードマップで、二〇二〇年までに九基、三〇年までに十四基の原発を新増設する提案でありましたが、このもくろみは今大幅に狂っております。

 そこで、試算をちょっとお聞きしたいんですが、まず第一に、東京電力福島第一原発六基が運転できない場合、そして第二に、それに加えて二〇二〇年までの新増設予定の九基が運転できない場合、そして第三は、さらに加えて東京電力福島第二原発の四基が運転できない場合、そして第四に、女川や東通などの、地震の影響で停止した原発も運転できない場合、この四つのケースそれぞれについて、それら原発が発電すると想定していた電力量を火力発電で代替した場合、このCO2の排出量が九〇年比で何%に相当するのかをお示しいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 これまで、大臣ほかから、今回の震災の影響によりまして、二〇二〇年断面でどういう影響があるかということはなかなか定量的に見きわめることが難しいということを申し上げておりますけれども、その前提の上で、御質問のようなケースについて、現在発表されています発電容量や火力の平均的な二酸化炭素排出係数を用いて、幾つかの仮定を置いて機械計算をしたということでございます。

 その結果を申し上げますと、福島第一原子力発電所の六基の停止で約二%、新増設予定の九基を入れないということになりますと、加えますとおよそ七%、さらに福島第二原子力発電所の四基の施設の停止を加えますとおよそ八%、現在地震により停止したすべての原子力発電所をさらに加えますとおよそ一〇%ということになります。

 繰り返しになりますけれども、これはあくまでも機械計算でございまして、現在、二〇二〇年の状況を確たる形で定量的に見通すのは難しいということはよろしくお願いしたいと思います。

太田委員 地震で停止した原子力をすべて停止させた場合、一〇%ということでございます。

 環境省はロードマップで三つのケースを示し、最もハードルの高いケースとして、国内で二五%削減するという場合を今まで試算しておりました。再生可能エネルギーを二〇二〇年に一二%まで上げると試算をしておりました。

 しかし、原子力関係の予算のうち、安全対策にかかわる部分はもっと強化していかなければならないにせよ、再処理の核燃サイクル関係などの今後不必要となると思われる多額の予算を再生可能エネルギーの方に回せるはずだと私は思います。これまでは経産省と原発に遠慮していたところがあったかもしれませんが、お金と人を再生可能エネルギーの方に集中投入すれば、二〇年に再生可能エネルギーが占める割合はもっと上げられるはずであると私は思っております。ドイツは、日本がこれまで積み上げてきた太陽光発電の累積発電量を去年一年だけで上回ってしまうような集中的な投資をしております。やってやれないはずはないと思います。

 震災からの復興計画の中で、はっきりと再生可能エネルギーへの集中投資を位置づけるべきだというふうに思います。その決意と取り組みの姿勢をお尋ねしたいと思います。

近藤副大臣 太田委員から重要な御指摘をいただきました。

 再生可能エネルギーの導入促進は極めて重要だと私どもも思っております。この間もさまざまデータを収集しておりますが、格別、東北地方は、風力においても地熱においても、事業収支も非常に有利なところがある、こういうふうに見込まれているわけであります。さらに、バイオマスの点においても、導入のポテンシャルがこの地域は非常に高いというふうに思っております。

 そうしたデータにおきましても、そしてまた先ほど来から太田委員も御指摘になられておりますように、また私の思いでもありますけれども、本当に多くの方が亡くなられたこの震災、三月十一日を境に、やはり日本はまさしく変わっていかなくてはならないと思います。そういう中で、環境省といたしましても、この再生可能エネルギーの導入促進をしっかりとさらに拡大していく。今御指摘をいただいたようなことでしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 私自身も、政府の電力需給緊急対策本部に出席をさせていただいておりますが、この会議において、再生可能エネルギーのできる限りの導入促進をさらに進めていく、この重要性を訴えさせていただいておりますし、環境省挙げて、また皆さんと一緒になって、この再生可能エネルギーのさらなる集中投資に尽力をしてまいりたいと思います。

太田委員 ありがとうございます。

 繰り返しになりますけれども、これ以上の原発をふやすことは無理です。そして、火力に頼ればCO2はふえ続けます。だから、お金と人とそして知恵を総動員して、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス発電、研究投資をあらゆるところに投入して代替エネルギーをふやすしかない、私はそう思っております。ドイツができるなら日本もできるはずだと思います。

 そして、これらの新産業を福島の復興の原動力にしていきたい、私はそう考えています。今、大変な分岐点であります。こういうときだからこそ政治家がしっかりとその方向性を示すべきだということをお伝えし、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、東日本大震災に関連して質問をさせていただきます。

 質問に入る前に、このたびの大震災によりお亡くなりになられた方々に心より御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災に遭われた方々、負傷された方々、今なお不自由な避難生活を送られている方々に心からお見舞いを申し上げるものでございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、原子力災害に対する政府の対応について伺ってまいります。

 今回、放射性物質漏れにより、各地で高濃度の放射能が検出され、農産物の出荷規制、また飲料水や海水の汚染など、国民に多大な不安を与えております。住民の皆さんは、まさに、地震、津波、そしてこの放射能被害の三重苦に苦しんでおられるわけでございます。

 今回の原発事故について、原子力安全・保安院は、十二日、国際原子力事象評価尺度、INESで、これまでのレベル5から、最も深刻な事故に相当するレベル7に引き上げました。レベル7というのは、旧ソ連、チェルノブイリ原発事故に次いで世界で二番目、二例目となる事故で、またレベルでございます。

 このレベル7の意味するところを示していただくとともに、チェルノブイリ事故との違いを正確に示してもらいたいと思います。また、この時期になってのレベル引き上げの理由についてもお聞きしたいと思います。

田嶋大臣政務官 江田先生の最初の質問に御答弁申し上げます。

 国際原子力・放射線事象評価尺度、INESでございますが、これは国際原子力機関、IAEA及び、OECDの原子力機関でございますNEAが策定してございます指標でございまして、その指標によりまして原子力事故の安全上の意味が示されてございます。

 御指摘いただきましたとおり、チェルノブイリと同じ7になったということで、大変残念でもあり、申しわけないという思いでございます。そのレベル7の定義でございますが、これは放射性物質の大規模な放出を伴う深刻な事故ということでございまして、具体的には、五万テラベクレル以上で7のランクになるということでございます。評価はゼロから7までしかございませんので、7より上という深刻さはないということでございますので、結果として、チェルノブイリと同じ7になりました。

 しかし、今回の事故の推定放出量というのは、これは二つございまして、保安院の試算は三十七万、先ほど五万と申しましたから、はるかにそれを上回る三十七万、そしてもう一方で、原子力安全委員会の試算は六十三万ベクレルでございます。(発言する者あり)ごめんなさい、六十三万テラベクレルでございます。それも大分数字が違うという感じもしますが、その両方を見て、そして五万よりどちらも上に行っているということでございますが、チェルノブイリは五百二十万テラベクレルでございますので、一けた違う。この数字をもとに、チェルノブイリの事故の一割程度というふうに申し上げてございます。

 また、炉心の爆発の起きたチェルノブイリとは違いまして、急性の大量被曝による多数の死者が、二十九名亡くなられたそうですが、そのチェルノブイリとは違う状況である、大きく異なっているということでございます。

 なお、IAEAも、せんだって、今回の事故とチェルノブイリの事故が大きく異なっているということを御指摘いただいたところでございます。

 INESの評価につきましては、はい、よろしいですか。

江田(康)委員 いいです。

 今正確に申していただきましたので、このレベル7の意味というのは国民にもわかられたと思うんですが、チェルノブイリと比較して、大気への放出量は一割程度であるということ、また、チェルノブイリでは急性の被曝による死者が出ましたけれども、福島ではそのような事態は発生していない、また、大規模な火災がチェルノブイリで起こって、その上昇気流によって大量の放射性物質が世界に拡散されたわけですけれども、福島の場合においては、水素爆発はあったものの、大規模かつ継続的な火災は発生していない、こういう状況であるということを正確にとらえる必要があると思って、質問をさせていただきました。

 次に、高濃度放射性物質汚染水の処理状況について、また海洋放出に関する国際社会への対応について、ちょっとお伺いをさせていただきます。

 原発事故の発生と、事態がいまだ収束せずに危機的な状況にあることは間違いがありません。東電は、冷却機能の復旧作業を進めるために、原子炉やタービン建屋の地下にたまった高濃度汚染水を集中廃棄物処理施設、集中環境施設というのでしょうけれども、そこに移す方針で、当該施設にたまっている低濃度汚染水を海に放出することを決定して、実施したわけでございます。

 これらの高濃度放射能汚染水の処理の現状を含めて、すべての原子炉及び使用済み燃料の安定化、事故の収束に向けて、これが最も大事でありますけれども、これまで行ってきた東電並びに政府の対応についてまず伺います。

 と同時に、今回の放射能汚染水の海洋への放出については、韓国、ロシア、EUなど、批判が相次いでおります。公明党の石田議員が国会で質問をした際、外務省は、国際社会への発表は放出前と答弁をしておりましたけれども、実際は放出後だったと聞いております。この事実を含めて、今回の汚染水放出に関して、国際社会への対応は適切だったのか、外務省に伺います。

黒木政府参考人 放射性廃液の処理につきまして政府としてどのような対応をしてきたかということについて、まず私の方から御説明したいと思います。

 今般、地震発生後でございますが、福島原子力発電所におきましては、外部電源を喪失し、所内の電源を喪失したということから、すべての電源が喪失し、すべての冷却機能を喪失したということでございます。このため、炉心の冷却を最優先事項として、ベントや炉心の海水注入などの作業を行ってきたところでございます。このような状況の中で、二号機のタービン建屋に高レベルの廃液が滞留し、その一部が海水中に漏出したという状況でございます。このため、御指摘ございましたように、高レベルの汚染水の移送先を確保するということから、四月四日の日、万やむを得ないというか危機的措置ということで、集中廃棄物処理施設にございます低レベル放射性廃液の海洋放出が実施されたところでございます。

 この低レベル廃棄物の海洋放出に伴う影響としては、現時点では、近隣の魚類や海藻等を毎日摂取したとしても健康に影響のないレベルと認識しておりまして、並行して、海水、土壌等のモニタリングについても強化を図るように指示したところでございますので、ウランについても監視を強めていきたいということでございます。

 今後、こういう廃液にかかわる事柄につきましては、早期の収縮を図るべく、最大限努力を図っているという状況でございます。

武藤(義)政府参考人 放射性汚染水の放出についての諸外国への対応の件でございますけれども、四月四日の十五時半過ぎに、政府・東電統合連絡本部において執務をしている外務省職員の方から、低レベル放射性汚染水の放出予定について情報を得まして、十六時からの外交団向けブリーフィングの中で、一報を受けた旨を伝達したということでございます。また、その日の十九時五分に、全外交団向けに発出したメール、それからファクスの中で、放出が同日夕刻に開始されるという旨を連絡いたしました。さらに、より詳細な事実関係を、五日及び六日の外交団向けブリーフィングにおいて説明したところでございます。

 しかし、事態の展開が急であったこともございまして、当初、必ずしも十分な説明が行われなかったという側面もあろうかと思われましたことから、政府としては、放射性物質の拡散低減の措置に努めるとともに、近隣国や国際社会に対するできる限りの情報提供を行ってきており、引き続きこの点に意を用いてまいりたいと思っております。

 議員今御指摘の四月七日の政府参考人答弁では、以下のように言っております。「四日の日の外交団ブリーフ、これは実際の放出の前でございますけれども、この際に簡単な説明はしたところでございます。さらに、同日の夜には、関係全在外公館に事実関係を伝えたところでございます。」このように答弁してございますけれども、先ほど申し上げましたように、外交団ブリーフでの説明、これは放水が始まる前ではありましたけれども、ただ、その外交団ブリーフの説明ではいつ放出が行われるかということはまだ明らかにしてございませんで、また、すべての外交団が出席をしていたわけでもないということにかんがみますれば、外交団に対して十分な説明が行われなかったというふうに考えているところでございます。

 繰り返しになりますけれども、政府としては、近隣国に対する丁寧な説明、国際社会に対するできる限りの情報提供を行うことといたしておるところでございまして、引き続きこの点に意を用いてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 国際社会が、日本の原発事故への対応について、またその情報公開について大変に注目をしている中で、適切な対応をしていかなければ、これ以上の国際社会への信頼を失墜するというようなことは許されないとも思っております。また、大変に多くの協力をいただいている国際社会でありますので、それにこたえるというような意味でも、外務省の対応は今後も、危機的措置等があるやもしれませんけれども、そういうような対応をしっかりととるように申し上げておきたいと思います。

 次に、引き続き原発事故の対応について御質問させていただきますが、冷却システムの回復状況をお伺いいたします。

 原子炉と燃料プールの使用済み核燃料の連続冷却が当面の、これはもう本当に重要課題であると承知しております。この原子炉内の水を循環させて冷却する機能の回復の見込みはどうなっているのか、お伺いをしたい。また、既存の冷却システムが使えない場合、今後においてそういう判断がなされた場合には、機能の回復には早い場合でも数カ月かかるというような説明もあったと思っておりますが、どうなのでありましょうか。また、今回のような汚染水の海洋への放出は今後あってはならないと考えますけれども、緊急対応によっては今後もあり得るのか、これについてお答えください。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、原子炉の冷却システムの関係でございます。

 原子炉の安定的な冷却機能を回復させて冷温停止へ導くということが最重要課題でございます。現在、委員御承知のように、一号炉、二号炉、三号炉の炉心については、当初海水、現在は淡水を注入しているということでございまして、これは熱を取るというよりも、まずは水を注入するという状況でございます。これを安定した過程に持っていく必要があるわけでございますが、現在、いろいろな可能性を念頭に入れて検討し、準備を進めていくことが必要だということで、対応を図っているところでございます。現時点では、事態収束までの具体的な時期的な見通しをお示しすることは困難でございますが、できる限り早期に確たる方針を示せるよう、検討を進めてまいりたいと思います。

 また、先般の、低レベルとはいえ基準値を超える放射性廃液の放出でございますが、緊急避難的措置とはいえ、これは二度と繰り返さないようにするということがまずもって重要なことでございます。現在、そのため、陸上タンクの増設、それからメガフロートの活用等々、汚染水の貯蔵場所をふやす対策を進め、再度の海洋放出を防ぐために全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

江田(康)委員 このような厳しい状況下にあるわけでございますけれども、政府は、福島第一原発すべての原子炉及び使用済み核燃料の一日も早い安定化に向けて、今後の収束の見通しを国民に明確にその段階ごとに示していくべきだと思っております。また、迅速かつ正確にそのデータ、情報を公開するとともに、やはり想定外の事態まで見通した対処方針を国民に示していく必要があると思われます。

 これまでの事故の対応は後手後手、そういう中で生まれた国民の不安というのは、また不信というのは大変大きなものがあると思うんですね。ですから、そうやって今後の収束の見通しを国民に示して、そして情報公開を迅速かつ正確に行っていく、また対処方針も示していく、こういうことが国民の不安軽減につながることになると思います。これまでの東電と政府の対応は不十分。今後の対応について、改めてもう一度お伺いをいたします。

 あわせて、これからも緊急対応というのが続くかと思われますけれども、放射性物質の拡散防止には万全を期すべきであると思います。これについて、政府の見解をお伺いいたします。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、情報をしっかりと正確にスピーディーに提供することが国民や国際社会に対する信頼につながるというふうに考えてございます。

 そういう意味で、事故収束の見通しでございますが、これまで一進一退ということで、まだ見通しをお示しできる状態にはございませんでしたが、私ども、一日も早くお示しをしたいと思っておるところでございますが、せんだっての菅総理の記者会見、四月十二日、総理の言葉で、原子炉は一歩一歩安定化に向かっていると初めてそういう言葉が使われ、そして現に放射性物質の放出も減少傾向にあるというデータがずっと続いておるわけでございます。そういう中で、東京電力に対しまして政府から今後の見通しを示すようにという指示が既に出ておるところでございまして、その見通しが近く示されるものというふうに考えてございます。

 以上です。

江田(康)委員 よろしくお願いいたします。

 新たな避難区域の設定についてお伺いをいたします。

 これまで政府は、第一原発周辺の二十キロ圏内はもちろん避難区域、そして二十キロから三十キロ圏内は屋内退避区域として自主避難までも呼びかけていたところであります。

 ところが、枝野官房長官が十一日の記者会見で、第一原発から二十キロ圏外の五市町村を新たに計画的避難区域として設定して避難対象にすると発表をされました。また、屋内退避区域のうち、計画的避難区域に該当しない区域については、緊急時に屋内退避や圏外避難ができる準備を常に求めるという意味で、緊急時避難準備区域に設定するというふうにされたところであります。関係自治体の理解を得られ次第、菅総理が原子力災害対策特別措置法に基づいて区域設定を正式に示すことになっていて、住民に約一カ月以内をめどに避難するよう求めているとお聞きしております。

 この区域設定の科学的根拠を明確にこの議会で示していただきたいと思います。また、この対象となる住民数は把握しているんですか。いつ自治体や住民に知らせたのか、現在どのように周知徹底しているのか、これらについて明確にお答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、大谷(信)委員長代理着席〕

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、官房長官からそういう説明がございまして、現時点で、福島第一原発から半径二十キロ以遠の地域でも積算の線量が高い地域が出てございます。居住し続けた場合には、さらに線量が高水準になっていくおそれがあるということでございます。

 このため、国際的な基準値というものがございまして、実はグラフで私どもも見ておるわけでございますが、その事故発生から一年の期間内に積算量がどうかというふうに見ておるわけでございますが、国際的な基準は二十ミリシーベルトから百ミリシーベルトという外部被曝量でございます。そのうちの一番下限値でございます二十ミリシーベルトに達するおそれのある区域というものを今回計画的避難区域というふうにし、そして、その区域の住民の方々にはおおむね一カ月を目途に別の場所に計画的に避難していただくことをお願いすることといたしました。

 そういう意味では、一番安全サイドの下限値をベースに、国際的な基準の下限値をベースにしているということ、そして、おおむね一カ月ということですが、その一カ月は先ほどおっしゃっていただいた正式な決定後ということでございますので、まだ一カ月がスタートはしていないという状況でございます。

 そして、人数でございますが、これも御指摘いただきました五つの市町村でございますが、今はっきりしてございますのは、三千四百名以上ということがはっきりいたしております。しかしながら、五つのうちの南相馬市に関しましてまだ数字がはっきりわかっておらないということで、この三千四百というのは数千単位でふえる可能性があるということでございますが、三十キロの外の部分でありながら今回計画的避難区域に入ってくる地域の区画がはっきり確定をいたしてございませんので、正確な数字は現在まだわかっていないところでございます。

 また、これまでの屋内退避区域、二十キロから三十キロの屋内退避区域の中で、計画的避難区域以外の地域につきましては、発電所の事故の状況がまだ安定せず、緊急に対応することが求められる可能性があり得るということで、これを緊急時避難準備区域というふうに呼びまして、その区域の住民には、緊急時にはすぐに避難できる態勢をとっていただくことをお願いすることといたしました。

 自治体の情報でございますが、ここには少なくとも二、三万人の人口がおいでだということでございます。こちらに関しましては、南相馬がやはり同じく最大の地域でございますが、そこに二、三万ということで、あとの四つの町村は比較的小規模でございますので、極端に数字が大きく変わるということは想定してございません。

 こうした区域の設定につきましては、四月十一日月曜日に基本的考え方を官房長官から公表し、現在、その詳細は関係自治団体と調整中でございます。緊密なコミュニケーションを自治体あるいは県ととりながら、進めていきたいと考えております。

 以上です。

江田(康)委員 一カ月以内でいいとしているわけですけれども、住民は、どこに、いつまで避難すればいいのか、また、休校となる学校の教育はどうするのか、仕事や生活はどうなるのか、それを国が補償するのか、家族や地域がばらばらにならないように受け入れ先が確保されるのか、妊婦や介護が必要な人たちをどうするのか、政府はこういった住民の不安に直ちに具体的な対応を示すべきであると思います。また、生活のすべてを補償するというその明確なメッセージがなければ、住民は安心できないんです。これらに対して政府がどのように対応するのか、伺いたいと思います。

 この質問をやるのも、実は私は、この二十キロから三十キロ圏内の南相馬市の現地から、もうこの事故当初から市民の悲痛な声を毎日受けてまいりました。

 この南相馬の屋内退避地域においては、二万人が地域内にとどまっておられますが、放射能の危険地域という風評被害があって、一般の貨物入らない、生活物資入ってこない、コンビニもスーパーも閉鎖、病院は事実上撤収、こういう状況で食料が尽きかけていた、そこにガソリンもない、そういう状況だったわけです。

 こういう状況をつくり出したのは、政府の屋内退避区域指示なんですよ。本来は、政府がこういう屋内退避ができる環境をつくっていく、その責任を負った上で屋内退避を指示するということが本当に必要なわけですけれども、それをしなかった。そういうことに対して、政府に対する不信感が南相馬市の方々にはあります。

 今回のこの措置も、やはり政府がそうやって、住民の皆さんが思っている不安に対してこたえないで、そして明確な、その補償は国がやるんだ、安心して避難していただきたいということをなさずして、こういうような新たな区域設定を設けて、一カ月以内にどうぞ避難してくださいというのは、これはもう現実から、また現場をわかっていない、そういうような対応であると思います。

 そういう意味で、今の私の質問に対してお答えをいただきたい。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまでのいろいろな課題、反省点も踏まえまして、不信を抱かれないように、さらに努力をしてまいりたいと考えてございます。

 三月の二十九日に、こうした方々に対応する原子力被災者生活支援チームというのが立ち上がりまして、そして、今般発表された計画的避難区域の対象となる住民の方々に関しましては、御指摘のとおり、これから一カ月を目途にした移動があるわけでございます。避難先での生活の基盤となる住宅については、区域内の住民の皆様の希望を尊重して調整を進める。おおむね一カ月をめどに実行されるよう、公営住宅の受け入れ情報等、市町村を通じてわかりやすく提供してまいります。

 そして、これまで屋内退避区域内の住民の皆様への支援物資を関係各機関の協力を得つつ提供してまいりましたが、先生から言われました南相馬市、私もいろいろ情報をいただいておったところでございます。御不便をおかけしましたけれども、特に、三月十七日以降に緊急の要請を受けまして、これは震災発生から六日、一週間後ぐらいですね、燃料、食料品、医薬品等の生活物資を提供してまいりました。今般、緊急時避難準備区域への変更によりまして物流の改善が期待されておりますけれども、引き続き、物流状況を注視して、必要な場合には物資の提供をしっかり行っていくということをお約束申し上げます。

 そしてまた、経済産業省といたしましては、現在、三十キロ内にある十二の市町村プラス、三十キロ外ではございますが今回この計画的な区域に入りますところの川俣町を加えました十三自治体に対しまして、二十六名、つまり一カ所二名の常勤の職員を経産省から今派遣してございまして、日々現地で御用聞きをさせていただいております。避難所すべて回りまして御用聞きをしている、そのデーリーのレポートを私も拝見してございますが、そういう中でなるべく現地の情報を共有しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。

 また同時に、住民の方々にわかりやすく生活情報を伝えるために、三月二十九日から三度にわたりましてニュースレターを発信いたしてございます。最新号が三号で、四月の七日、一週間前でございますが、こうしたこちら側からの発信、それから現地からの情報をとるという双方向をしっかりやらせていただきたいというふうに考えております。

 以上です。

尾崎政府参考人 学校の休校の場合の取り扱いのお尋ねがございましたので、手短にお答えを申し上げます。

 原発周辺地域の公立の小中学校の場合には、避難区域外の学校その他の施設を使って学校を再開する、その方針を決めている場合あるいはその方向で検討している場合、あるいは避難先の学校に正式に転学をするか事実上の区域外就学により受け入れてもらう、このどちらかのやり方で対応しているというのが現状でございます。

 御指摘の南相馬の場合には、この両方のやり方をしておられます。例えば、三十キロ外の学校四校のうち、二校はちょっと傷みが激しくて使えませんけれども、使える学校の仮設トイレ、合併浄化槽等の修復により、四月二十二日の始業式を目指して、再開を目指しているというような状況でございます。

江田(康)委員 今答えていただきましたけれども、特に教育、学校の再開、学校に関してですけれども、これはエアポケットになっていたんですよ。文部科学省が原子力災害として被災者の支援を行うべきでありますが、原子力行政が縦割りでいろいろに分かれておりますので、被災者支援の中でも教育関係に関しては非常におくれた。南相馬でも宙ぶらりんにされて、そして教育は全くとまっていたというのが現状ですから、今後、この新たな区域において、設定された場合において迅速な対応をしていかなければいけない。それは本来は文部科学省だと思いますよ。そこが明確でない対応が非常に目立ったと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 時間がございませんので先に参りますが、原子力損害賠償法に基づく補償等に関してお伺いをいたします。

 今回の原発災害に対する補償については、原子力損害賠償法に基づいて損害賠償が行われるわけでございます。この損害賠償の範囲の判定指針を決める原子力損害賠償紛争審査会が先日設置をされました。判定指針を決定するに要する期間、支給されるまでの期間はどの程度かかるんですか。相当因果関係、こういう非常に大事なキーワードがあります。震災に原因がある、因果関係がある、それに基づいて損害認定が出されますけれども、それをできるだけ簡素化して、そして迅速な支給に努めるべきであると公明党はこれまでも何度も提言をしておりますけれども、それが反映されるのかどうか、伺いたいと思います。

 それと同時に、これはまた他省庁でございますが、一時金及び仮払金が今度は重要だ。損害賠償の政府の対応は、やはりどうしてもおくれる。そこで、被災者が生活再建への一歩を踏み出すためには、やはり早く支給すべきであります。

 そういう意味で、東電は仮払金を払うと発表しましたけれども、具体的な金額や方法はこれから決めるとしているわけであります。被災者生活支援法に基づく基礎支援金は百万円、こう決定しておりますから、直ちに同等の金額を決定して、被災者に届ければいいんですね。それを政府はしっかりと指導していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 あわせて、被災者生活支援法に基づく基礎支援金については、避難先の自治体でも手続を可能にするように、被災県が代行発行するなど、罹災証明のスムーズな発行業務をバックアップすべきである、これも強く申し上げてきておりますけれども、これについてはどのようになっておりますでしょうか。政府の見解をお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 原子力損害賠償につきましてお尋ねいただきました。

 原子力損害賠償紛争審査会は、四月十一日に設置がされまして、同日付で十名の審査委員が任命をされました。本日、第一回会合を開催するということで、準備を進めてまいります。

 原子力損害賠償紛争審査会につきましては、原子力損害の範囲の判定の指針の策定ということを、先生がおっしゃったとおり、これから大至急で作業を進めたいというふうに考えてございます。

 具体的な内容というのは、この審査会がこれから議論いたしますので確定的なことは申し上げられませんけれども、先ほどもおっしゃったような、迅速にいろいろな損害についての話し合いを進めるという観点から、原子力損害の類型の議論、あるいは賠償の対象となる距離的な意味合いをどうするのか、時間的な範囲をどうするのか、損害額の算定方法の考え方をどうするのかといったようなことについて検討してまいるというふうに考えているところでございます。

 文部科学省としては、できる限り、本当に全力で同指針を早急に策定してまいりたいというふうに考えているところでございます。

田嶋大臣政務官 経産省からは、仮払いの件について御答弁いたします。

 けさでございますが、原子力発電所事故による経済被害対応本部の第一回会合が開かれました。原子力災害被害者に対する緊急支援措置を決定したところでございます。

 政府の指示に従って避難をされている方々は、文字どおり着のみ着のままということでございますので、通常の支給では時間的に遅くなるという御指摘のとおりでございます。

 こういった点にかんがみまして、現在、政府からは東電に対して、直ちに仮払いを実現するように要請をしてございます。そして、考え方といたしましては、払われるタイミングも、そして額も、先生御指摘の被災者生活支援制度に準ずるものでなければいけないというふうに考えてございます。

 そして、手続でございますが、もうこれは申すまでもございませんけれども、もともと住んでいたところの自治体に行って手続をしてくれなどというようなことが起きないように、それぞれ避難されている場所で速やかに手続を、本人確認、住民票の提出、そして申請書というものを提出していただきまして、東京電力から指定口座に振り込まれるという形をとるというふうに考えております。

    〔大谷(信)委員長代理退席、委員長着席〕

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 被災者生活再建支援法に基づく基礎支援金の話でありますけれども、まさにこの間、四月三日に南三陸に行ってまいりましたけれども、その日から、登米市や栗原市や大崎市の方にいわゆる集団移転が始まりました。そういう意味では、移転先での、いわゆる避難先の自治体での手続を可能にすべきだという御指摘は当然のことだというふうに思っております。

 私たちも、被災地域外の市町村に避難している場合の申請手続は郵送により行うことも可能であり、支援金の支給は支援法人から直接口座振り込みにより行われるので、遠隔地の避難者が被災地まで赴く必要はないというふうに考えておりますし、御指摘の点については、被災地外の市町村にまとまって住民の方が避難している場合に、被災地の市町村の職員が当該市町村を訪問して申請を受け付けるような方法が可能かどうか、今検討してまいりたいというふうに思っております。

 なお、避難先の市町村が申請の受け付け手続を行うことについては、支給要件に該当するかどうかの確認が十分に行えるかということが問題になりますけれども、いずれにしましても、この問題につきましては、罹災証明あるいは住民票等々の発行の迅速化、簡素化を今至急指示をしておりまして、そういう意味では、面的に被災者をとらえる、あるいは長期避難エリアを設定する等々の観点から、迅速化、簡略化も今手続をしているところであります。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 原発対応が続きますけれども、最後に、原発の安全対策についてお伺いをさせていただきます。

 このたびの東日本大震災による原発の事故は、想定外の大津波によって全電源を喪失した、炉心の冷却機能や周辺インフラが壊滅的打撃を受けたことで、想定できない事態に追い込まれた。いまだに事態収拾のめどは立っていない。事故の直接の原因が想定外の大津波であったとしても、非常時に作動すべき、原子炉をとめる、冷やす、そして放射性物質を閉じ込めるの三機能が大事としてきたわけでございますけれども、とめる以外の機能が働かなかった事実は、日本の原発の安全性に大きな課題を残したわけでございます。

 まず、政府は今後の一日も早い原子炉の安定化に全力を投入すべきでありますが、同時に、全国で稼働している原発の総点検と新たな安全対策の構築に対処しなければならないと思います。

 そこで、まず、国内すべての原発の総点検と、想定外津波、全交流電源停止発生時の原子炉冷温停止と使用済み核燃料安定化のための手順の確認を早急に実施するべきであると考えますが、いかがか。また、これまで想定していなかった巨大地震や津波を想定した安全基準を早急に確立すべきであると思いますが、いかがでしょうか。また、新たな安全基準に基づいた安全総点検を着実に実施することが重要であると思います。さらに、原子力発電所関連施設の防災計画の厳格な見直しを早急に行う、その際には立地地域の意見を反映する、こういうことも大変重要であると思います。そして最後に、徹底した安全規制の見直しを行う。中長期的には、原子力安全委員会を政府から独立した機関とするようなことも検討すべきだと思います。

 このような今喫緊の課題である原発の安全対策について、どのように政府は取り組もうとされているか、お伺いをいたします。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 委員の御指摘は、すべてそのとおりだと思っております。

 まず、目先は、御指摘いただきました、とめる、冷やす、閉じ込める、二つができておりません。冷やす、閉じ込めるをまず徹底的にやるということは申すまでもございません。そして、その二つができて、その後に徹底的な事故の原因分析、検証を行っていく、そういった中から、何を今後しなければいけないかという新たなアクションも見えてくるかと思います。

 しかし、まだ現在進行形、事故が続いておる現在でも、アクションは既にとらせていただいております。

 三月三十日には、原子力安全・保安院は、各電力会社に対しまして指示を出しております。原子炉や使用済み燃料プール用の電源を供給する電源車の確保、訓練の実施等、緊急安全対策に直ちに取り組むとともに、その実施状況を早期に報告することを求めました。これはすべての電力会社に対してでございます。そして、あわせまして、この緊急対策の実効性担保のために省令の改正を行いまして、電気事業者等に保安規定の改正を指示したところでございます。

 さらに、四月の七日、大きな余震が起きました。宮城県沖地震でございますが、これによりまして、東北電力の方の東通原子力発電所一号機の非常用ディーゼル発電機が動かなくなりました。そして、それを受けまして四月九日には、さらに各電力会社に対しまして、原子炉が冷温停止中であっても、今回この東通がそうだったわけでございますが、冷温停止中であっても各原子炉について二台以上の非常用ディーゼル発電機を動作可能な状態で確保するよう、保安規定の変更を求めたところでございます。

 いずれにいたしましても、すべての事故原因の究明を踏まえて、さらなるアクションをとっていかなければいけないというふうに考えてございます。そしてまた、防災計画のあり方につきましても、関係機関とよく議論をしてまいりたいと考えております。

 以上です。

江田(康)委員 以上、原子力への対応は質問をさせていただきましたけれども、次に、残り時間で、今後のエネルギー政策と温暖化対策についてお伺いをさせていただきます。

 全国には、原発、現在五十四基あるわけでございますが、このうち、定期点検そして中越地震の影響で十四基が停止しているわけであります。今回の大震災で十五基が新たに停止したことになります。運転中の原発は現在二十五基、約半分近くになっている。今回の原発事故で原発の安全性が問われて、原発政策は大きな見直しが迫られているわけであります。新規立地は、自治体の反対で、もうできないでしょう。菅総理は、二〇三〇年までに原発を十四基ふやすとしたエネルギー基本計画を白紙にして見直す方針を表明したと聞いております。

 しかし、短期的には、私もよくわかっておりますが、原子力抜きに電力供給を維持するのは難しい、こういう状況にあることは事実であると思います。原発の安全性を徹底して見直した上で、既存の原発は稼働させていくことは必要であると思われます。しかし、中長期的には、新規建設とかリプレースなど、大きな政策転換は迫られる、これは必至だと思うんですね。今後のエネルギー基本計画の見直しについて、政府の見解を伺いたいと思います。

 時間がないのであわせて、同様でございますけれども、再生可能エネルギーを加速する施策についてお伺いをいたします。

 資源のない我が国においては、これまでのエネルギー政策の大きな流れは私は変わらないと思うんですね。二十世紀は化石燃料の時代でありましたけれども、いずれ終わる。かわって、二十一世紀後半から再生可能エネルギーの時代がやってくる。そのつなぎの役割が原発であったと思っております。再生可能エネルギーへの代替は、短期的には難しいけれども、中長期的には加速することになると思います。

 現行のエネルギー基本法では原発の割合が大きいですけれども、再生可能エネルギーへの代替を加速すべきであります。政府は二〇年に一〇%との目標を掲げておるけれども、これを大きく見直して、公明党はこれまでも一五%以上はやるべきだと言っておりましたけれども、二〇%の目標を掲げる必要も出てくるのではないかと思います。その際、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入が今検討されているわけでございますけれども、その全量買い取りやエネルギー源にかかわらない高い買い取り価格を設定するというようなことも検討すべきだと思いますが、この再生可能エネルギーへの代替を加速する政策について、経済産業省のお考えをお伺いしたいと思います。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 大変本質的かつ重要な御指摘だと思っております。

 ただ、現時点では、まずこの事故を終わりにさせるということが最重要でございますので、経済産業省といたしましても、保安院中心にそれを最優先させていただいておるところでございます。それはもう申すまでもありません。

 しかし、それを終えて、事故の徹底的な検証を行いつつ、基本的なところ、エネルギー基本計画を含めた基本的なエネルギー政策に関しまして虚心坦懐に議論をしていかなきゃいけないと考えてございます。当然ながら、原子力に関しては逆風でございましょうし、そして再生可能エネルギーに関しましてはもっと力を入れろという声が大きくなろうかというふうに思いますが、国民各層の御意見を伺いつつ、検討していきたい。

 考え方としましては、今回計画停電ということも起きてしまいましたけれども、供給側の話と需要側の話のバランスということでございますので、いずれにしても、現実的な選択肢をベストミックスという考え方に基づいて選んでいくことになろうかというふうに思ってございます。

 以上でございます。

 先ほど答弁漏れがあったんですけれども、いいですか。

小沢委員長 引き続き、どうぞ、御答弁ください。

田嶋大臣政務官 済みません。先ほど答弁漏れがございまして、保安院の話でございます。

 保安院の件に関しましても、まずは事故収束が全力でございますけれども、その後に当然、今回いろいろと課題も指摘をされております原子力安全・保安院のあり方に関しましても、そういった検証を踏まえながら議論をしていきたいというふうに考えております。

 以上です。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 次に、今回の震災は、東日本における電力供給力に大きなダメージを及ぼしたわけでありますけれども、現在は電力供給量の議論が進んでおりますけれども、需要側の対策がこれから本当に重要になってくると思われます。

 今回の震災を機に、節電やエコライフなど、企業活動のあり方とか国民のライフスタイルへの意識は劇的に変わっていると思われます。この変化に対応して、大口需要家の需要抑制や、家庭や中小企業の省エネ対策が大変重要になってくると考えますけれども、環境大臣の見解をお聞きしたいと思います。

松本(龍)国務大臣 江田先生御指摘のように、また先ほど吉野先生から御指摘がありましたとおり、三月十一日の前と後ということを私たち日本人一人一人が考えなければならないというふうに今思っています。社会のありよう、暮らし方のありよう、そして住まい方、あるいは生き方そのものも変わってくるのではないかというふうに思っております。

 今御指摘のように、ライフスタイルを変えていかなければならない。

 大口需要ということでいえば、私もすぐ環境省に指示をしまして、二五%削減あるいはそれ以上やれという指示をして、それぞれ今動いているところであります。

 そういう意味では、需要を減らすということが、民生の部門でも、また産業の部門、事業の部門でも何より大きいというふうに思いますので、まず、断熱化や省エネ設備の導入や更新、今お話がありました再生可能エネルギーの導入のもうこれは待ったなしの促進、あるいは、病院などでのコジェネなどの分散型電源の導入など、将来を見据えた抜本的な対策も必要かと思います。何か、けさテレビをちょっと見ましたら、家庭用の蓄電池とかいろいろな、前倒しで発売をされて、今高いですけれども、だんだん売れていけば安くなるんだろうという話もありました。

 とりあえず、夏季の電力の需給緊急対策を今月末にも取りまとめるべく、電力需給緊急対策本部において今検討を進めているところであります。

 いずれにしましても、環境省としては、対策の効果を具体的にわかりやすく国民の皆様に知らせることが必要だろう、そして、スマートメーターとか、やはり見える化を進めるということも大事だというふうに思っております。

 自販機の問題も、ここ一週間ほど、さまざまなところで言われてまいりました。私も、自販機の問題はいろいろ問題があるというふうに思っておりますし、環境省にも、自販機以外、いろいろなところでいろいろな無駄があるということをしっかり調べていきながら、そこに対応するようにという指示を出しているところであります。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 次に、エコポイントの効果とその復活をお聞きしたいと思います。

 家庭、オフィスでの省エネ対策は、先ほども申しましたように、節電というエネルギー対策であると同時に、二酸化炭素の排出量が大きく伸びている民生部門においては温暖化対策として非常に重要になってくるわけであります。とりわけ、夏季のピーク時に需要が伸びるエアコンなどの家電を最新の省エネ型にかえていく、こうしたエネルギーや温暖化対策にとっても、さらに我が国の強みである省エネ技術を生かした経済復興という面からも有効であると考えます。

 そこで、家電エコポイントについて、まず、その経済効果と二酸化炭素排出の削減効果についてお聞きをしたい。そして、私は、今こそ家電エコポイントを復活させていく、これが非常に重要であると思いますし、タイムリーであると思っておりますが、いかがか、お聞きをしたいと思います。

 私の試算では、といいますか、自公政権のときからこのエコポイント制度を導入してきたわけですけれども、平成二十二年の販売台数は、エアコン一・五倍、冷蔵庫一・二倍、テレビ二倍に増加していますし、平成二十二年十一月の販売台数になると、エアコンは二・九倍、冷蔵庫は二倍、テレビは五・三倍に増加しています。そして、平成二十二年の国内家電小売市場規模というのは、この前年から一兆円拡大して九兆五千億円になったというようなことが計算されておると思いますが、そこを政府にお聞きいたします。いかがでしょうか。

樋高大臣政務官 江田先生におかれましては、今回の震災対策を含めまして、さまざま大変御熱心にお取り組みをいただいております。本当に頭が下がる思いでございます。ありがとうございます。

 家電エコポイント、経済効果そして環境効果についてのお尋ねでございます。

 これは、リーマン・ショック後の厳しい経済金融情勢等を踏まえた経済危機対策によりまして、平成二十一年度第一次補正予算で開始をされ、本年三月末に購入期限が到来をしたということでございます。

 経済効果につきましては、エアコン、冷蔵庫及びテレビの売上高の合計が、前年度に比べまして、平成二十一年度は三割程度、平成二十二年度は二割程度増加をした。ちょっと細かい数字はまた省略させていただきますけれども、少なくともこういうしっかりとした効果もあらわれている。

 また一方で、環境に対する効果でございます。CO2削減効果というものでございますが、平成二十一年度、平成二十一年五月十五日から二十二年三月三十一日までというこの期間の効果でありますけれども、年間六十九万トン程度の効果もあったと試算をしているところでございます。

 この二年間の成果といたしまして、昨年末の時点において、省エネ統一ラベル四つ星以上の製品、つまり先生がおっしゃった省エネ型の商品、エアコン、冷蔵庫、テレビの出荷量全体の何と九割以上にまで上がったということでありまして、この普及に向けて大きな役割を果たしてきたということでございます。

 そして、先生がおっしゃいますように、電力需給が逼迫をしている現状、現況をかんがみましたときには、家庭部門での省エネ対策は、いわゆる温暖化対策と含めましてとても喫緊の課題である、とても大切な御指摘をいただいたと考えております。省エネ型家電の普及を通じた家庭部門の温暖化対策、あるいは電力需給対策にも貢献をする有効なものであると私は考えております。先生の御指摘を受けとめさせていただきながら、具体的に家電エコポイント制度にするかどうかは別にいたしまして、少なくとも環境配慮型製品を普及させていただくように、民間企業などと連携をさせていただきながら、全力を挙げて取り組ませていただきたいと思います。

 重要な御指摘、ありがとうございます。

江田(康)委員 家電エコポイントを復活させていただきたいと再度申し上げておきます。

 最後に、大臣にお伺いをさせていただきたいと思っているのがございます。エネルギー基本計画の見直しと二五%削減目標についてでございます。

 今回の原発事故で、福島原発六基がこれは廃炉されました、廃炉されることになると思います。二〇年までの九基の新増設ができなければ、千三百十億キロワット時の年間電力量を火力で代替すると、八千五百万トンCO2が排出されて、九〇年比七%蓄積されるという試算があります。また、福島第二原発四基が停止して、地震により停止した原発十一基がないと、千八百八十億キロワット、一億二千万トンのCO2排出で、九〇年比一〇%が蓄積されることになります。

 そこで、エネルギー基本計画の見直しとともに、先ほど来から聞かせていただいておりますけれども、二〇年二五%の目標の設定である環境省の、大臣のロードマップ、今ここに委員長いらっしゃいますけれども、このロードマップの見直し、二五%削減目標の見直し、地球温暖化対策基本法について、環境省の、大臣の見解をこの段階で伺いたいと思っております。

 私は、これについては、先ほど来からございます、やはり真正面からの議論をしなければならない。基本法においても、その土台となる、前提となるロードマップの検証、見直しは、エネルギー基本計画が見直されてくれば、当然、そこは前提が変わってきます。そういう意味で、この二五%削減は国家目標としてできるのか、そういうような真正面からの議論を、先ほど自民党の皆様方もございましたけれども、これをやる。やるために、政府はやはりビジョンを示す。ロードマップにしても、地球温暖化対策基本法においても、国際交渉におけるこの二五%の前提となることについて、やはり政府側がこれは提案をしてくるべきだと思います。そうした上で十分な審議をしていくということが大変重要であり、そして私は、やはり地球温暖化対策基本法というものは我が国になくてはならないと思っておりますので、そういう審議をしていく、これが重要だと今思うのでございますが、いかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 今おっしゃいましたとおり、かなりダメージを受けております。かなりというよりも、すごいダメージを受けているのは、みんな、私どもも共有をしているというふうに思います。ロードマップの検討に当たって前提としていた、前大臣を前にあれですけれども、原子力発電の増設やあるいは経済成長などの諸条件には、もう少なからぬ影響を与えているというふうに思います。

 そういう意味では、これからも災害に強く低炭素な社会をつくっていかなければならないという思いは、皆さん共通をしているというふうに思います。かなりのダメージを受けておりますけれども、現時点で直ちに判断することは難しいと思います。これからもしっかり現状を見ながら、一日も早い基本法の御審議をいただきながら、御意見は真摯に受けとめます、そして我々、しっかりその思いを受けとめながら誠実に対応してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

江田(康)委員 時間が過ぎてしまいました。今後、この件についてはまた十分に審議をしていきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

小沢委員長 次回は、来る十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会


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