衆議院

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第7号 平成23年5月27日(金曜日)

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平成二十三年五月二十七日(金曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 中野  譲君

   理事 横光 克彦君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    川内 博史君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    近藤 昭一君

      阪口 直人君    玉置 公良君

      樋高  剛君    室井 秀子君

      森岡洋一郎君    山崎  誠君

      吉川 政重君    井上 信治君

      伊東 良孝君    近藤三津枝君

      高木  毅君    丹羽 秀樹君

      福井  照君    古川 禎久君

      松野 博一君    佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         松本  龍君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    佐藤ゆうこ君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     室井 秀子君

  齋藤  健君     伊東 良孝君

  福井  照君     高木  毅君

  町村 信孝君     松野 博一君

同日

 辞任         補欠選任

  室井 秀子君     岡本 英子君

  伊東 良孝君     齋藤  健君

  高木  毅君     福井  照君

  松野 博一君     町村 信孝君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)(参議院送付)

 環境の基本施策に関する件

 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議してまいりましたが、本日、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ましたので、委員長から、本起草案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 現行の環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律は、持続可能な社会を構築する上で事業者、国民、そして民間の団体による環境保全活動とその促進のための環境保全の意欲の増進及び環境教育が重要であることから、これらの取り組みを促進するための第一歩として、平成十五年に制定されたものであります。

 そして、法の施行後七年が経過する間、家庭、学校、職場、地域等においてさまざまな取り組みが進められてきております。

 また、国連持続可能な開発のための教育の十年に係る取り組みや学校における環境教育の関心の高まり等を踏まえ、自然との共生の哲学を生かし人間性豊かな人づくりにつながる環境教育を一層充実させる必要性、並びに環境保全活動や環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進に当たり、行政、企業、民間団体等、各主体間の協働取り組みの重要性が増してきております。

 このような現状にかんがみ、環境の保全のための国民の取り組みをさらに促進する措置を講ずるため、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、各主体間の協働取り組みを推進するため、法の目的等に協働取り組みの推進を明記するとともに、具体的な措置として、国民、民間団体等による環境教育等に関する政策形成への参加や政策提言、公共サービスへの民間団体の参入機会の増大への配慮、各主体の役割分担を定めた協定の締結を促進する仕組みの整備等を図るものとしております。

 第二に、学校教育等における環境教育の充実を図るため、学校施設の整備などでの環境配慮の促進に係る規定を追加するとともに、学校教育において体系的な環境教育が行われることを目指し、教育職員の研修内容の充実、参考となる資料等の情報の提供、教材の開発等の措置を講ずるものとしております。

 第三に、環境保全活動、環境保全の意欲の増進もしくは環境教育または協働取り組みを行う国民、民間団体等を支援するための環境教育等支援団体の指定、自然体験活動の場その他の環境保全の意欲の増進に係る体験の機会の場の認定等の新たな仕組みを導入するものとしております。

 また、これらの改正の趣旨が明確に法律名にあらわれるように、法律名を環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律に変更することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。田島一成君。

田島(一)委員 ただいま委員長から趣旨説明がございました環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、民主党を代表いたしまして発言させていただきます。

 平成十五年に議員立法で制定されたこの環境保全活動・環境教育推進法は、制定から七年の間、持続可能な社会の実現に向けて、さまざまな主体による環境保全活動と環境保全の意欲増進及び環境教育を促進するために、一定の成果を上げてきたものでございます。

 一方、社会は大きく変化をし、環境保全活動や環境教育を一層推進することはもちろんでありますが、体験学習に重点を置く取り組みから、幅広い実践的な人材づくりとその活用が求められるようになってまいりました。

 このような社会の変化にこたえるべく、このたび環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律と題名を変えて、与野党の調整を経てまとまるに至ったことは喜ばしいことであり、御尽力いただいた皆様に心より感謝を申し上げます。

 本法律案が成立をいたしますと、環境保全活動や環境教育がより一層促進される土台が整備されることとなります。しかし、重要なのは、この法律をどのように運用していくのか、どのように具体的措置を講じていくかであります。ここに私の期待する点を何点か申し上げたいと思います。

 まず、本法律案には、地方公共団体による環境教育等の推進の枠組みの具体化に関する事項として、行動計画や推進協議会に関する規定が盛り込まれております。これは、地方分権との関係から努力規定になっておりますが、地域間で環境教育等の推進に温度差があってはなりません。それぞれの地域の特性、こだわりや、らしさを大切にしながら、積極的に取り組んでください。

 次に、本法案では、学校教育等における環境教育について内容の充実が図られており、体系的な環境教育が行われることを目指し、環境教育に関する教育職員の資質向上のための措置や、参考となる資料等の情報提供などが盛り込まれております。本法案の運用に当たりましては、国は、現場の実情や教育職員を初めとする関係者の意見もしっかりと把握をし、これを研修内容の充実や情報提供に適切に反映し、実効性のあるものとしてください。

 加えて、学校教育における環境教育の促進には現場の教育職員の資質が重要であり、教育職員を志す者の育成が附則に盛り込まれているものと考えます。この附則を踏まえ、省庁の壁を越えて、一刻も早く議論を積み上げてください。私どもも協力を惜しみません。

 また、本法案には、環境教育等を効果的に実施するための財政上の措置等を講ずることも盛り込まれております。環境教育等は、どんなに工夫を凝らしても、一朝一夕でその効果が見えてくるものではありません。しかし、次代を担う人づくりという重要な役割を担うものでありますので、しっかりと予算をつけてください。

 さらに、環境保全活動に継続的に取り組んでいく上で、事業型環境NPOの脆弱な経済基盤を強化することも大切であります。本法案の二十二条の二に環境保全に資する活動の事業化とあるとおり、みずから資金を獲得しつつ環境保全活動を行える環境NPOを育てていくために、環境NPOが資金調達手法や経営ノウハウを習得し、事業活動として経営が成り立たせられるよう、国だけでなく、地方公共団体や企業などさまざまなセクターにも強力な支援を求めたいと思います。

 そして、本法案の運用に当たっては、政府を初めとする関係主体の密接な連携による取り組みを強く求めます。特に、関係省庁にあっては、従前の縦割りではなく、本法案第二十四条の二にあります環境教育等推進会議を十分に活用し、連携を深めてください。

 環境教育、そして環境保全活動に終わりはありません。我々民主党も、環境教育、そして環境保全活動を初め、あらゆる環境政策に対し全力で取り組むことをお誓い申し上げます。

 どうぞ、委員各位の御賛同を心よりお願い申し上げて、発言を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党・無所属の会を代表いたしまして発言をさせていただきます。

 環境保全活動とそれを促進するための環境教育は、地球環境の保全や循環型社会の構築など、さまざまな環境問題を克服していく上で必要不可欠なものであると認識しております。

 現行の環境保全活動・環境教育推進法は、自発的な環境活動や環境教育の推進を目的として、持続可能な社会や経済づくりを国民全体の参加のもとに進めていくため、与野党全会派の賛成を得て、衆議院環境委員長の起草、提案という形で、平成十五年七月に制定されましたことは、御案内のとおりであります。

 同法の制定後、民間団体を初めとした各主体の活動もあり、この七年間で環境教育の充実は一定の成果を上げてきているものと認識をしております。環境NPOの数も増加する中、これら環境NPOと行政などの各主体との協働の取り組みが、社会の中でますます重要な位置を占めるようになってきております。

 他方、この間に、我が国がヨハネスブルク・サミットで提案した国連持続可能な開発のための教育の十年の取り組みが始まるなど、環境教育のための人材の育成や活動の重要性が高まるとともに、教育改革の一環として、各方面から環境教育の充実に対する強い要請が出されているところであります。

 環境保全活動・環境教育推進法の改正につきましては、二年前の平成二十一年七月、我が党のリーダーシップのもと、まさに今回と同じ内容の改正案を第百七十一回通常国会に、愛知和男先生や鈴木恒夫先生が中心となり、我が党及び公明党の共同提案による改正案として衆議院に提出しましたが、衆議院の解散により廃案となった経緯がございます。

 現行法では、施行後五年を目途に必要な見直しを行うことが規定されており、施行から既に七年経過していることもあり、環境教育等に関する施策のより一層の充実を図るべく改正を行うことが必要であると考えます。

 その意味でも、今回、環境教育が与野党の立場を超えて取り組むべき最重要課題の一つとして、委員長提案という形で改正案が提出される運びになったことは、大変喜ばしいことと思っております。

 今回の改正では、現行の体験学習に重点を置いた取り組みから、幅広い実践的人材づくりへと発展させるため、具体的規定を充実させ、各主体間の協働取り組みの推進、環境教育等を進める基盤の強化、民間団体の意欲やノウハウが発揮される仕組みが盛り込まれております。

 とりわけ、学校教育に関しては、教育活動を通じて体系的な環境教育が行われるよう、環境教育の一層の推進が盛り込まれております。環境は非常に総合的な学問であり、子供のころから環境保全に対する意識の醸成を図ることができる環境教育を、小中高等学校を通じた学校教育の中で児童生徒の発達の段階に応じて、教育活動全体を通じて教科横断的に学習が進められる必要があります。

 今回の改正の趣旨を踏まえて、総合的な学習の時間を初めとする学校教育全体を通じた教育内容を改善し、環境学習のための充実が図られるよう、学習指導要領の適宜適切な見直しが行われていくことを期待するものであります。

 最後に、政府におかれては、法案に盛り込まれた事項が着実に実施されるよう、持続可能な社会の構築のためにも、環境大臣がリーダーシップを発揮して、文部科学大臣等と緊密な連携をとりながら一層協力した取り組みが行われることを期待いたします。

 以上です。

小沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。公明党を代表して発言をさせていただきます。

 環境保全活動・環境教育推進法は、平成十四年八月に開催されたヨハネスブルク・サミットにおいて日本が持続可能な開発のための教育の十年を提唱したことなどを背景として、持続可能な社会や経済づくりを国民全体の参加のもとに進めていくための基盤として、我が党の強い意向を受けて、平成十五年七月に衆議院環境委員長提案の議員立法により制定されたものであります。

 その後、環境教育の充実は一定程度進みましたが、施行後七年が経過し、環境人材の必要性が高まるなど環境教育を取り巻く状況が変化する中、こうした動向を踏まえて、自民党、公明党、民主党の合意を得て、委員長提案として本法案が起草されたことは大変意義深いと考えます。

 我が党からは、特に、持続可能な開発のための教育、すなわちESDの考え方も踏まえ、地球規模の視点に立って環境の保全と経済社会の発展を統合的に推進することを盛り込むこと、また、環境保全活動の定義に、生物の多様性の保全、循環型社会の形成の視点が含まれること、また、環境教育は学校だけでなく家庭、学校、職場、地域、そのほかのあらゆる場において行われることを明記すること、また、政府が基本方針を定めるに当たっては、国際的な連携の確保並びに持続可能な社会の構築に資する経済的、社会的な取り組みの促進に配慮すること、また、国民の環境の保全に配慮する行動に対して経済的価値が付与される仕組みの普及や、すぐれた環境教育等の取り組みに関する表彰を通じ、環境保全に関する行動を促すこと、さらに、関係省庁の縦割りを排除して密接に連絡調整を行うための環境教育等推進会議、有識者による環境教育等推進専門家会議を設けること等を提案し、本法律案に盛り込まれたものでございます。

 本法案は、体験学習に重点を置いた取り組みから、社会全体のあらゆる主体が取り組む幅広い実践的人材づくりを通して社会全体の環境教育へと発展させるため、具体的規定を充実させたものでございます。

 一方、我が党の環境部会においては、例えば、里山などにおいて、体験の機会の場の認定により地権者の土地利用が制約されるかという点について、規制をかけるものではないが、認定に際し一定の期間の利用の確保を要するか検討が必要との議論がありました。

 また、学校教育における環境教育に関し、学習指導要領に環境教育の考え方が盛り込まれているかという点について、平成二十年、二十一年の改訂で環境教育に関する内容の充実が一定程度図られているとの議論がありました。

 既に学習指導要領に環境教育の考え方が盛り込まれているとのことではありますが、重要なことは、これに基づいて環境教育の取り組みが現場で効果的に実践されることであると考えます。そのためには、学校教育における体系的な環境教育の促進のため、本法案に盛り込まれた教材の開発を初めとする必要な措置を各主体が連携して推進していくべきであると考えます。また、本法案に盛り込まれている教育職員の研修の内容の充実を図り、現場でより有効な体験学習が実施されるようにすべきであると考えます。

 以上の点について、政府内の連携はもとより、関係主体が、改正案の重要な柱である協働、いわゆるパートナーシップの考えのもと、強力に連携し、持続可能な社会づくりのため、より一層取り組みを進めることを期待いたします。

 以上でございます。

小沢委員長 以上で発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

小沢委員長 次に、内閣提出、参議院送付、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。松本環境大臣。

    ―――――――――――――

 水質汚濁防止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本(龍)国務大臣 ただいま議題となりました水質汚濁防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 古来より、我が国では地下水を有効活用してきており、現在でも、我が国の水使用量の一割強、都市用水の約四分の一を占めているなど、身近にある貴重な淡水資源として広く活用されているほか、災害時等緊急時の水源としても重要であります。

 しかしながら、近年、事業場等が由来と推定されるトリクロロエチレン等の水質汚濁防止法上の有害物質による地下水の汚染が明らかとなっております。地下水は、一たん汚染されるとその回復が困難なため、その汚染の未然防止を図ることが何よりも重要であります。

 この法律案は、こうした状況にかんがみ、有害物質による地下水の汚染の未然防止を図るため、有害物質を貯蔵する施設等の構造等の基準を定め、当該基準違反時の命令規定を設けるとともに、構造等についての定期的な点検に関する必要な措置を講ずるための規定を整備するものであります。

 次に、本法律案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、有害物質の貯蔵を行う施設等に関する届け出規定の創設についてであります。

 有害物質を貯蔵する施設の設置者等に対し、当該施設の構造、設備、使用の方法等についての届け出を義務づけることとしております。

 第二に、基準遵守義務の創設についてであります。

 有害物質を貯蔵する施設の設置者等は、有害物質による地下水の汚染のさらなる未然防止を図るため、構造等について基準を遵守しなければならないこととしております。

 第三に、基準遵守義務違反時の改善命令等の創設についてであります。

 都道府県知事は、有害物質を貯蔵する施設の設置者等が基準を遵守していないと認めるときは、構造等の改善、施設の使用の一時停止を命ずることができることとしております。

 第四に、定期点検義務の創設についてであります。

 有害物質を貯蔵する施設の設置者等は、当該施設の構造等について、定期的に基準の適合状況等を点検し、その点検結果を記録することに加え、その記録の保存を義務づけることとしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十一日火曜日午後三時三十分理事会、午後三時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十二分散会


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