衆議院

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第2号 平成23年10月25日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十三年十月二十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 生方 幸夫君

   理事 川越 孝洋君 理事 近藤 昭一君

   理事 篠原  孝君 理事 横山 北斗君

   理事 田中 和徳君 理事 吉野 正芳君

   理事 江田 康幸君

      阿知波吉信君    岡本 英子君

      柿沼 正明君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君   斎藤やすのり君

      空本 誠喜君    高邑  勉君

      高山 智司君    玉置 公良君

      森岡洋一郎君    矢崎 公二君

      山花 郁夫君    横光 克彦君

      吉川 政重君    井上 信治君

      岸田 文雄君    近藤三津枝君

      丹羽 秀樹君    福井  照君

      古川 禎久君    町村 信孝君

      佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         細野 豪志君

   環境副大臣        横光 克彦君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室長)   森本 英香君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           藤本  潔君

   政府参考人

   (林野庁次長)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (林野庁国有林野部長)  沖  修司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           朝日  弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房参事官)           守本 憲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            新原 浩朗君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大藤  朗君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   参考人

   (東京電力株式会社常務取締役)          廣瀬 直己君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十五日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     阿知波吉信君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     柿沼 正明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

生方委員長 これより会議を開きます。

 この際、環境副大臣横光克彦君より発言を求められておりますので、これを許します。横光環境副大臣。

横光副大臣 皆様、おはようございます。今回、環境副大臣を拝命いたしました横光克彦でございます。

 気候変動枠組条約第十七回の締約国会議、COP17の閣僚級準備会合に出席のために前回の環境委員会を欠席することとなりましたが、皆様の御理解をいただき、会合に出席することができました。この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

 環境大臣としての責任を十分に果たしていくために、細野大臣のもとに、精いっぱい環境行政に取り組んでまいる所存でございます。生方委員長初め委員各位の皆様方の御指導、御協力、よろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

生方委員長 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社常務取締役廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室長森本英香君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、農林水産技術会議事務局長藤本潔君、林野庁次長沼田正俊君、林野庁国有林野部長沖修司君、経済産業省大臣官房審議官朝日弘君、経済産業省大臣官房参事官守本憲弘君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長新原浩朗君、国土交通省大臣官房審議官大藤朗君、環境省大臣官房長谷津龍太郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君、環境省地球環境局長鈴木正規君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。空本誠喜君。

空本委員 おはようございます。民主党の空本でございます。

 本日は、環境委員会でのトップバッターの質問をさせていただきますことを皆様に御礼申し上げたいと思います。

 早速でございますので、きょうは、事故由来の放射性廃棄物、そして原子力安全規制について、環境省で設置されますので、原子力安全庁について質問させていただきたいと思います。

 まず、事故由来の放射性廃棄物の問題について質問させていただきたいと思います。

 現在、放射性廃棄物の処理に関するパブリックコメントがなされております。これは短期間で行うことになっておりまして、まだまださまざまな複雑な問題をこれは抱えておりますので、本当はしっかりと長期間にわたって対策を練っていく必要があるかと思うんですけれども、これをなすに当たって、やはり関係諸団体、専門家の皆さんの意見をしっかりと取り入れる仕組みを、今回のパブリックコメントだけではなくて、将来的にもお願いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、今回、放射性廃棄物の問題というのは、サイトの中とサイトの外、発電所の中、外の問題がありまして、環境省で扱うものは原子力発電所の外の問題でございますが、実際、クリアランスという問題がございます。どのレベルの放射性廃棄物を一般に戻していいかどうか、そういった問題がございまして、これは、一九九七年ぐらいから約七、八年かけてクリアランスの議論をなしてきました。その際に、ICRPの勧告またIAEAの勧告等を盛り込みながら、考えを取り入れながら行ってきております。

 きょうお配りの資料の2の方に原子力事故に由来する放射性廃棄物に関係する国際基準というものがございまして、こういった基準、また国内での議論の中身、そういった中身を十分に配慮いただきながら、これは原子力発電所を廃炉にする際の基準づくりで行われてきたものでありますけれども、今回の事故由来における放射性廃棄物についても、こういったクリアランスの問題についてしっかり検討していかなければなりません。

 そういった中で、汚染レベルまた汚染マップによっていろいろ区分を決めながら、この線量であるならばこういう対応をする、そういった対策が今講じられようとしていますけれども、やはり、最終的には年間一ミリシーベルト以下を目指すということになっておりますが、相当複雑な手順、対策を練っていかなきゃいけないと思います。

 安易に行っていくといろいろな矛盾を起こしてしまう、弊害が出てしまう可能性がございますので、段階的そして計画的、ある程度の汚染のレベルを考えながら、区分しながら、しっかりとお願いしたいところなんですが、今、環境省でのその取り組み、対応についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

高山大臣政務官 空本委員から今御質問をいただいた、まずパブリックコメントの件ですけれども、委員おっしゃるようにこれは非常に大事なことですので、一カ月とか長い期間をとってということも考えましたけれども、他方、一刻も早く基準を決めて除染をどんどん進めてほしい、こういう要請もございまして、今回は十日間ということで終わらせていただきます。実際、今度また省令ですとか政令ですとかつくるときにももちろんパブリックコメントをさせていただきますし、またそのときに御意見をちょうだいできればというふうに思っております。

 また、今御質問いただきました基準づくりの件ですけれども、基本的には、ICRPの勧告に従った基準でつくらせていただいたものと全く矛盾のない形で今進めさせていただいているということでございます。

空本委員 ありがとうございます。

 ICRPの勧告の中でもたくさんございます。きのうレクを受ける際に、いろいろこちらが調べた勧告の一覧表をつくっておりますけれども、全体を俯瞰しながら、矛盾がない、そして整合性がとれるようにお願いしたい。

 そこで、もう一点、発電炉のクリアランスを決める際に、今回、東海二号が今話題となって、それを基準として考えてきましたけれども、実際、事故由来の放射性物質によっての汚染も各地に広がっておりまして、多分、オンサイトの廃棄物の量もふえてくる可能性もあります。そういったものとの整合性、今度、安全庁が統一されますので、その中で、オンサイトの廃棄物の問題とオフサイトの廃棄物の問題について、本当に整合性をとりながらぜひともお願いしたい。

 プラス、世田谷でこの間見つかりました放射性物質、RIですが、これについても、こういったものが規制がまだ緩い時代に多く偏在しているといいますか、隠れている可能性があります。RI法の方で管理をし、それで最終的には処分することになっていますけれども、そちらの方のRIの管理の方も一緒に行う必要性が出てきますので、オンサイト、オフサイト、そして過去に捨てられた可能性のあるようなRI、こういったものを統一的に管理する仕組みをぜひともお願いしたいと思いますので、一言お願いいたします。

高山大臣政務官 空本委員から非常に専門的なお立場から貴重な御意見をいただきましたけれども、今のこの事故由来のものに関しましては、六月三日に原子力安全委員会が策定したものが中心となっておりますけれども、今先生がおっしゃっていただきましたように、オンサイトの問題、オフサイトの問題、また、この事故由来でないもの、もう一度考えてみたいとは思っておりますので、またそのとき御意見を賜れればと思います。

空本委員 ありがとうございます。

 続きまして、原子力安全庁、今回、環境省に設置される予定でございます安全庁についてお聞きしたいと思います。

 実際、本当ならば、三条委員会、八条委員会ですることがよいと私は思っているんですが、細野大臣の方でしっかりと考えられて、環境省の外局ということで今考られていらっしゃいます。

 その際に、各省庁、政府関係機関に対して、緊急時ではなくて、平時でも何らかの勧告なり助言なりする必要が出てくるかと思います。また、そういう勧告をするに当たっては、省をまたいでのことになってしまいます。そういったときに、どういうふうに実際勧告権を付与するか、環境省が持つのか。

 また、独立性の問題もあります。独立性の方では、人事の問題があって、人事権、実際これは、前回、科学技術特別委員会の方で公明党の斉藤鉄夫先生の方から質問がありましたけれども、植民地人事にならないようにすること、そして、実際、職員の質を上げることも大変重要になります。

 これまで、各省庁の中では人事異動で省庁間の交流がございました。省庁間の交流もいいかもしれませんけれども、原子力安全規制に特化するならば、ある程度その縛りをかけることも大切かなと。完全なる独立性を維持するためには、そして、各省庁に対しての勧告権を持つためにはどのような形をとるべきか。その点、大臣の方にお聞きしたいです。お願いいたします。

細野国務大臣 今回、原子力安全庁を新しくつくるという非常に大きなきっかけとなったのはこの事故でございまして、その事故の中でも特に大きな問題になりましたのは、やはり原子力発電を推進する側とそれの安全をしっかり確保する側というのが、これがきっちり分かれていないといけないのではないか、ここにあったわけです。

 したがって、今、空本委員が御指摘をされた、しっかりと他省庁に対して物が言えるという意味では、一番言わなければならないのは推進側である資源エネルギー庁ということになるわけですが、大きく変わると思います。保安院というのは、半ば資源エネルギー庁の身内でありますから、なかなかその身内の問題を指摘をしにくい。さらには、資源エネルギー庁の行政の指導下にある東京電力を含めた電力業界というのも、ある種そこも身内、仲間というような意識にどうしてもなりがちですので、そこにも物が言いにくかった面があったんだろうというふうに思います。

 その意味では、環境省のもとになれば、そういった組織的なつながりというのは、これはしっかりと遮断をされます。したがって、東京電力にもしっかり安全の面から物が言えるし、電力業界にも物を言うことができる、さらには、推進側である資源エネルギー庁に対してもしっかりと物を言うことができる、そういう組織が確保できるというのが、これが独立性を確保できるという面で環境省に置いた理由であります。

 今、勧告権の話がありましたけれども、監督権であるとかそういったものがあれば、基本的には、そこに権限を付せば、必ずしも勧告権という形で付与しなくても、私は十分物を言うことができる組織はできるというふうに考えています。

 なお、その一方で、あえて勧告という、何といいましょうか、特別何かおかしいことが起こったような場合にしっかりと物が言えるという権限を与えるとすれば、むしろそれは、原子力安全庁のもとに設置を予定をしております原子力安全審議会、これは仮称でございますが、そこに何らかの勧告権を持たせることによって、専門的な知見のもとでしっかりと筋を通していくという、そういう行政が行い得るのではないかというふうに思っております。

 人事権の問題についても、今、非常に前向きな御提案をいただきました。特に、植民地人事というのは私も一番気になるところでございまして、八条委員会、三条委員会を問わず、内閣府に置いた場合に、どうしてもどこかの組織に依存をするというケースが間々見られます。私も、内閣府の担当大臣をやっていましたので幾つかの組織を担当しましたが、ほとんどの組織は、どこかの役所に依存しています。それではなかなかそれこそ人事の独立性も含めて本当の意味でのしっかりとした独立した権限ということになりませんので、環境省のもとに置くことで人事も独立をさせることができるのではないかというふうに考えました。

 あと、個別にどこまでさまざまな人事交流をしていくかというのは、これは専門家を育成をするのに一番いい方法は何か、ずっと安全庁のもとで育てていく方がいいのか、やはり少し幅を持って、特に若いときは人事交流をした上で鍛えていく方がいいのか、そこは、専門家と議論をする中で一番いい形を目指していきたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 そうなると、やはり人と交流をしながらというのも大切でありますし、といいながらも、規制官庁は規制官庁としての役割がございますので、その辺の分離が絶対必要だと思います。そして、先ほど、原子力安全審議会を諮問機関として設置するような方向であるということでお聞きしましたが、やはり、外部監査をそういう点でもしっかりお願いしたいというところでございます。

 そしてもう一点は、原子力の安全規制の中で重要なのは、原子炉の本体の規制とあわせて、今回問題となりました放射線の被曝の問題も含めた放射線防護、放射線安全の規制も一体として行う必要があるであろうと。

 その中で、ちょっとお聞きしたんですが、保障措置、放射線のRI規制、また原賠法の問題、これは文科省に残されるというふうに今聞いております。実際、これを統一して原子力安全庁の方で管理、管轄する必要があるのではないかなと思うんですが、大臣の所見をいただきたいと思います。

細野国務大臣 今御指摘の部分は、この夏の前半ぐらいのときからずっといろいろな議論をしてまいりまして、現段階では、文部科学省に残すべきものと、今度の安全庁に一元化すべきものと、今、空本委員が御指摘をしたような形の整理をしております。

 その中で、現在、例えば、幅広い放射線、原子力に対する知見を有するような組織、さまざまな深みを有する組織にするために、集約できるところがないかどうか、そこについてのさらなる話し合いをしております。

 やはり、炉の規制だけということになるとかなり限定的になりますので、むしろそれよりも、幅広い放射能、放射性物質に対する理解ができるような組織にした方が、私は本当の意味で安定的な規制機関として長くやれるのではないかというふうにも思っておりますので、そこは、鋭意しっかりと検討した上でいい方向性を出していきたいというふうに考えております。

空本委員 先ほど、世田谷で見つかったRI物質の問題があります。こういった問題が出たときに、やはり、文科省と新しい安全庁の機関にまたがっていると、またここで同じようなトラブルとか問題が起きてきます。

 ぜひともここは一括管理が必要なところではないかなと思いますし、もともと原子力というのは、放射線計測、中性子、ガンマ線の計測からスタートし、それをモニタリングしながら炉を安定化させるといいますかコントロールするというのがもともとの流れでありますので、そういった意味で、そこは一体として見ていただくことが重要であって、その中でも分ける必要があるものは分けていただくということで、その辺は、私もいろいろ知っている知識も出していきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 その中で、やはり、放射線モニタリングもあわせ、今都道府県が行うことになっております。実際、この法律的な根拠というのは原災法の中で今考えられていらっしゃると。ただし、こういう平時もしくは緊急時においても、放射線モニタリングを都道府県が行うその役割分担、こういったものも法律の中で明示する必要があるかなと思うんですが、大臣いかがでしょうか。

細野国務大臣 今回の事故の中で私が当初で一番愕然としたのは、事故が起こった直後に放射線のモニタリングを国がほとんど行うことができなかった、このことには愕然といたしました。

 そして、これまでの地方と国のモニタリングの役割を見て、やはり改めてこれは不備だと思いましたのは、モニタリングは地方自治体がやることになっていて、国は直接やらないというそういう形になっておったわけですね。

 ですからそこは、当時私は補佐官でしたので、若干踏み込み過ぎだったかということになるかもしれませんけれども、これはやはり国がやるべきだ、やることができるのは文科省しかないのではないかということで、文科省にとにかくはかってくれというのを強く要請をして、若干おくれましたけれどもモニタリングが進んだという、そういう経緯がございます。

 したがって、今、空本委員が御指摘をされたように、平時のモニタリングのあり方として、地方がはかること自体は私は否定しなくてもいいと思うんですね。むしろ、身近な自治体がはかった方が住民は安心をする部分がありますので、それは残した方がいいだろうと思います。

 ただ一方で、有事のモニタリングは国というのが、これは大原則だと思いますし、有事に国がモニタリングをするためには平時にもそういう手段をしっかりと確保しておくことが必要ですので、当然、平時においてもある程度のモニタリング機能を持たなければならないということになろうかというふうに思います。

 そういったことは、原災法上のさまざまな位置づけというのも当然大事でありますし、さらに、そのもとにある、さまざまな災害に備える場面においても必要なことだ、実務上もルール上も必要なことだというふうに思いますので、今回の教訓を生かして、モニタリングについては国の責任をしっかりと位置づけるという形で進めてまいりたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 しっかりとしたモニタリング、そして航空機サーベイ、海洋モニタリング、さらにはSPEEDIによる予測、実際、原子力安全技術センターにおいては、しっかりとSPEEDIを三月十一日から単位放出で計算されておりました。そういった流れがあってしっかりやっていらっしゃるところもありますので、そういった機能、組織を有効に活用することも行っていただきたい。

 航空機サーベイも原安センターで行って、できる体制をやりました。そういうときに、自衛隊にすぐヘリを出してもらって、航空機サーベイ、つけられる状況にあったと思います。そういう勧告権も安全庁の方に持っていただきたいと思います。

 そして、研究機関の話もございますが、「もんじゅ」なんかについては、これがどうなるかわかりませんが、そういう研究面と規制面、両面あります。そのあり方についても、これは今後の議論の中身だろうと思いますので、しっかりとお願いしたいと思います。

 時間が余りありませんので、続きまして、きょうお配りの資料の1の方に、事故規制上の三つの遠因、問題点というふうに書かせていただいたんですが、先ほど、組織の問題については話をさせていただきました。法と規制の問題、質、中身の問題がございます。

 その中で、炉規法と電事法の二つに分かれて管理をしている、一元化を今後していく方向ではあるというふうに聞いておりますが、そういった中で、やはりその法律の体系をまとめていく、そして電事法の方は、原子力以外のところの配電、送電、あと火力とか水力、太陽光、そういったところで見ることになるのかと思いますが、そういったすみ分けをしっかりお願いして、原子力に対する法の規制を、二元管理ではなくて、二重管理ではなくて、一元管理をぜひお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 空本委員まさに原子力の専門家でおられて、長年、事業者の側からも見てこられたし、また、原子力政策全般についても非常に理解をしておられる方だというふうに思いますので、御提案は、本当にそこは非常にごもっともだというふうに思います。

 やはり、電気事業法の中にも規制があり、炉規制法の中にもあって、この二つが混在をしていることが、原子力の規制行政をめぐる一つの根本的な複雑さであり、さらにはわかりにくさ、そして、何といいましょうか、事業者の側の電事法にそれが入っているということも含めて、バランスの悪さにもつながっているというふうに私は考えております。

 したがって、今回の改正の中では、電気事業法の中にある、特に発電に関する規制については、炉規制法の方でしっかり位置づける。炉規制法の中でも、これまでの、例えばシビアアクシデントは起こらない、起こさないという考え方から、さまざまなアクシデントが起こった場合にも対応できるようなそういう規制をどのようにつくっていくのか、そういう観点からしっかりとした規制を炉規制法の方につくっていきたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 中身のところが一番重要でありますので、一元管理といいますか、しっかりお願いしたいのと、プラス、規制のあり方について言えば、基本的な見直しが必要であって、多分今考えられていらっしゃるんですが、構造強度上の規制から性能とか機能上の規制の方に移していく、そして、炉心がどの程度損傷するかというような確率論的な安全性のチェックが必要になります。

 こういった流れについて今どのようにお考えか、お願いいたします。

細野国務大臣 日本政府は、本年六月と九月にIAEAに報告書を提出をしておりまして、その中で、シビアアクシデント対策の法令化、法制化、さらには、今、空本委員がおっしゃった確率論的安全評価、つまり、リスクがあるんだということを前提に、それに対する対応をどう考えていくかというこういう考え方の導入についても、既に教訓として、日本政府の国際公約と言っても私はいいと思います、そういった形でお示しをしております。

 したがって、これをどう法律の中に位置づけていくのかというのは、まさに今やっているところです。

 こういう規制法をどう位置づけていくのかというのは非常に難しい作業なんですが、私も議論の中に加わりまして、どういった形でそれを法律に落としていくことが実質的な安全確保につながるのか、これを今考えているところです。

 ただ、非常に悩ましいのは、すべて法律に書いて規制機関がやるということになると、事業者の努力というのが行われない、もしくは彼らが思考停止に陥るということにもなりかねないので、そこはまずいわけですね。

 ですから、今、空本委員がおっしゃった構造強度の規制というのは、まさに、それこそ事業者の側の自主性が認められずに、個別の素材なんかで非常に厳しい規制をしてきてこれまで問題になってきたところですけれども、そういったところまで余り細かく入り過ぎて、結局事業者が自助努力しないということではいけませんので、どこまできちっとルール化をして、そして、どこを、事業者の努力をしっかりと促してチェックをしていくか、このあたりが今非常に悩ましいなと思いながら詰めの作業をしている、そういう段階であります。

空本委員 ありがとうございます。

 これはやはり海外のありようも含めて考えていただきたいというのと、その際に、人の問題が一番重要であります。今回、事業者である東京電力さん、そちらの方々、サイトでの動きは本当に一生懸命やっていただいた、けれども、実際仕組みとしてシビアアクシデントに対応するような体制であったかどうかというと、それはそうではなかったと思います。これは、国の行政責任も大きくあると私は思います。

 というのは、シビアアクシデントマネジメントのチェックがなされていなかったのがまずもってこの事故を起こした主因であって、そして、事業者も自助努力をしていただかなきゃいけません。両面からチェックする必要がありますので、人の面もあわせてやはりシステムの面といいますか、仕組みの面、物だけではなくて、人そして仕組み、組織、そういったものの確認、チェックもあわせて行えるような安全行政であるべきだろうと思いますので、ぜひともお願いしたいと思います。

 それにあわせて、やはり人の面も、安全庁側の方の行政官の資質、これは質問を一回下げたんですが、少し時間がありますので、資質も十分上げていただきたい。

 実は、三月十五日から私も一緒に頑張らせていただいたんですが、その中で、原子力安全委員会の方々とか議論をするときに悲しかったのは、原子力安全委員会で持っている図書、資料、こういったものを全然知らなかったんですよ。

 例えばここに、原子力安全技術センターで発行している防災関係法令集、そして安全委員会がどういう文書を出しているか、それがすごくまとまったものがあって、私、これを三月の十五日からずっと読みっ放しで、確認してきました。この法律どおり動いていれば、すべてとは言いませんが、ある程度はうまくいっていました。

 けれども、安全委員会がこれを知らなかったといいますか、質問させていただくときに聞いたら、ありますかと言ったら、知りませんでした。

 もう一点、これは科技庁時代、原子力局が「チェルノブイル」という冊子を出しています。これはコピーなんですが、科技庁の中で、過去にチェルノブイリの事故があったときに、ちゃんと資料を集め、情報を集め、管理しています。そういう情報が今どういう状況になっているかというと、わかりませんという回答が来ました。そういう、情報が継承されていない、まさにこれは人の問題であって、大変大きな問題だろうと思います。

 やはり、過去の科学技術庁時代に積み上げてきた財産があります。そういったものを継承できるような人材育成のあり方、ぜひともお願いしたいんです。

 最後、大臣からの見解をお願いしたいです。

細野国務大臣 空本委員には、事故直後、専門家としていろいろとアドバイスをいただいて、その中には技術的な問題もありましたけれども、今お示しをされたような、ルール上こうなっているということも含めて、いろいろなアドバイスをいただきました。改めて感謝を申し上げたいと思います。

 私も、三月十一日以降、原子力安全委員会、そして保安院、文部科学省も含めて、そういう原子力の専門分野の皆さんと相当いろいろ議論を積み重ねながらやってまいりましたけれども、やはり空本委員同様、例えば、情報の共有であるとかさまざまなこれまでの蓄積に対する理解であるとか、そういった部分で十分ではないというふうに思った場面というのはかなりございました。

 ですからそこは、これまでの蓄積をしっかりと反映をしていくということはまずベースの部分ですね。それに加えて、しっかりと人を育てていくというそういう組織にしていかないと、私は、原子力行政というのは、それこそ幾らいい規制をつくったり幾らいい組織をつくったとしても、最後、魂が入らないというふうに思っています。

 ですから、どう人材をこれから育てていくのか、新しい研修機関をつくろうということで今提案をしておるんですが、そこも含めて相当のてこ入れが必要ではないか、そのように感じております。

 貴重な御提案をいただきましたので、しっかり御提案を受けとめて、いい組織をつくってまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。

空本委員 ぜひともお願いしたいと思います。

 実は、大学、あと研究機関の方とあわせて専門職大学院があります。そこの中では今、炉主任とか核燃料取扱主任者、こういった方々の養成をしています。それは事業者側からも出ていますし、保安院の方からもその大学院に通われています。

 そういう中でお聞きしたのは、保安院の方からあった発言を間接で聞いたんですが、私たちも何も知らなかった、いろいろな実験とか試験とかやって、ようやく原子力のありようがわかったということであります。

 やはり実地が一番重要でありますので、専門職大学院、そういったものの延長線上に今考えられていらっしゃるのが細野大臣が考えていらっしゃる機関だと思いますので、今あるそういう組織をしっかりと確認いただいて、次なるよい組織をつくっていただきたいと思います。また、本当に意識ある方が多いです。そういった方々と一緒になって。

 三月十一日というのは、私ごとながら自分の誕生日でございます。本当にこの震災、災害というのを天命と思って、私は原爆の地の広島の出身であり、さらに、原子力を大学時代ずっと研究し、そして社会人になっても原子力発電所をつくってきた人間として、天命としてこの対策に取り組んでまいりますので、細野大臣、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

生方委員長 次に、田中和徳君。

田中(和)委員 おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。

 細野大臣の尊敬する人は吉田松陰先生とこういうふうに伺いましたけれども、実は、私は山口県の長門の国の出身でございまして、地元のまさしく英傑であり、大思想家であり、憂国の士であり、大変尊敬する吉田松陰先生でございます。ただ、細野大臣は滋賀県の御出身ですか。井伊大老の御出身の地でございまして、安政の大獄ということで、これもまた皮肉な関係でもあるな、このように思っておるわけでございます。

 細野大臣、大変若々しい大臣で私は大いに期待をするのでございますが、残念ながら、民主党政権では、三代続いて環境大臣が他の重要閣僚との兼務となっています。

 まず、細野新環境大臣におかれては、もうおわかりのとおり、原発事故の対応を内閣総理大臣補佐官として尽力されてきて大変御苦労さまでございましたし、そういう経験もお積みでございますが、しかしながら、私は、兼務で今回の環境大臣を務められるということについては、正直なところ、どうなのかなと。私自身は、はっきり言うと反対の立場でございます。総理大臣の任命権者の立場の中で大臣を指定されるんですけれども、本当にこれだけの環境大臣、また、今回の原子力関係の諸問題を担当する大臣、これは本当に大丈夫なのかな、こういう懸念を持っております。

 私は、松本環境大臣が御就任されて最初の大臣所信に対する御質問で幾つか取り上げてこの問題を申し上げました。また、先般の江田大臣にも、腰かけじゃないでしょうね、ちゃんと仕事ができるんでしょうねと不退転の決意を伺ったところでございます。しかしながら、不幸にしてというのか、私の言ったことがそれぞれ的中をしてしまった。これ以上を語る必要はないと思いますが、残念な形になっております。

 そして細野大臣でございます。細野大臣は、こういう重要閣僚の兼任、また、みずからが就任された早々でどういう思いを持っておられるのか。当然、何かがあったらこれは責任をとらなければいけない重要な閣僚という立場でございますね。(発言する者あり)全部重要だけれども、特に今これは重要なんですよ。そういう認識を皆さんお互いに持っていらっしゃると思う。どれかをとり、どれかを優先をする、これができないですよね。全部優先しなきゃいけない。物理的にもこれは大変なことですよ。これはどうですか。お答えください。

細野国務大臣 野田総理から閣僚の打診といいますかお話をいただいたときに、原子力に関する問題と、加えて環境省をという話をいただきました。

 確かに、抱えているその仕事の量からすると、原子力一つとっても大変重うございましたし、特に菅政権で二カ月やってみて、まさに寝る間を惜しんで仕事をしてきました。自分のすべてをかけて仕事をしてきて、それがさらに範囲が広くなるということに関しては、果たして自分にできるだろうかということについて自問したのは事実です。しかし、逆に私は、環境大臣を兼ねることでむしろ本当の意味でやれることがあるのではないかというふうに考えまして、お受けをしました。

 どういうことを申し上げているかというと、事故が発生をして半年がたち、状況が少しずつ変わってきています。これまでは、原発の事故収束というのは、まさに、サイトの中の冷温停止状態を目指すべくすべてをかけるというのが役割だったわけですが、そこから、事故の影響というものに関して言うと、いろいろな広がりを見せてきていて、そこの方が非常に今重要になってきている。

 もちろん、事故の収束は大事です。ですから、そこは緩めることなくやっておりますけれども、それプラス、例えば放射性廃棄物の問題、これもこれまでいろいろな議論の経緯がありましたけれども、環境省がやることになりました。そして除染です。放射性物質の拡散によって、日本の国内でかなりのところにいろいろな御負担、御迷惑をおかけをしています。これに対応しなければなりません。それで、これをやるのが環境省なわけですね。

 私は自分にも言い聞かせていますし、環境省の職員にも言っています。この今の放射線汚染は我が国の歴史上究極の環境汚染だ、これに手をこまねいて見ているようでは環境省の存在意味はない。まずは環境問題ということを考えたときに、これに全力を挙げて問題を解決することでみんなで努力しようじゃないかということを呼びかけて、環境省も初めは、放射性物質を扱ったことありませんから、若干いろいろみんな迷いもあったと思いますけれども、今は、小なりとはいえど、みんな気概を持って物事に当たろうという状況になっておりますので、私は、ここは矛盾をする、さらには、それこそ仕事が散漫になるというよりは、むしろ明確になり、やり切ることができる体制になったのではないかというふうに考えております。

 加えて、環境省がやってきた温暖化の問題や生物多様性の問題や公害問題、水俣問題、いろいろあります。それはいずれも犠牲にすることができないテーマでございますので、私は、寝る間を惜しんででもそういう仕事をやり遂げたいと考えております。

田中(和)委員 ただいまの大臣の決意のほどを承りましたけれども、実際に二十四時間しかありませんし、身は一つですね。これは私は本当に、不退転の決意を伺いましたが、大変なことだろうと思います。ぜひ頑張っていただくと同時に、私たちも遠慮なく、問題があれば指摘をさせていただきます。

 早速でございますけれども、十一月二十八日から十二月九日までの二週間の予定で、南アフリカのダーバンでの気候変動枠組み条約第十七回締約国会議、いわゆるCOP17が開催をされます。ここに大臣は行かれますか。

細野国務大臣 国会中ではございますけれども、ぜひ皆さんからお許しをいただいて、ダーバンには行って、しっかり交渉に参加をしてまいりたいと考えております。

田中(和)委員 私も、このダーバンのCOP17は、まさしく国民の利益、国益をかけた極めて重要な国際会議でありますから、大臣が行かれなければならないのは当然だと思うんです。

 副大臣にも後ほど伺いますけれども、私が今伺う限り、先日の二十日、二十一日、ケープタウンで開催された閣僚級非公式準備会合、あるいは、先日のパナマで事務レベル会合も開かれておりますけれども、京都議定書の延長論が大分強い勢いになってきている。数の上でも大変な勢いになる。

 当然、我々は単純延長は絶対だめだという、それこそ不退転の決意を前の大臣もお示しになってきたところでございますけれども、大変な指導力が発揮される、交渉力が発揮される国際舞台だと思うんですね。相当時間をかけて、早目に入っていかなきゃいけないんじゃないかな、こういう思いもありますけれども、どうですか。

細野国務大臣 田中先生の方から本当にありがたい御発言を今いただいたと思っております。

 十一月の末からもう始まっておりまして、十二月に入ってから閣僚のさまざまな折衝が行われるというスケジュールになっておるんですが、できれば早目に行って、私もこの分野の交渉という意味ではまさに新参者でございますので、できるだけ個別の交渉もしっかりとした上で本番の交渉に臨みたいというふうに思っております。

 ですので、もし国会の方でお許しをいただければ、できるだけ早く南アフリカに入らせていただいて、交渉に参加をぜひさせていただきたいというふうに考えております。

田中(和)委員 私は、もうここで重複大臣の問題が浮上してくるなという懸念を持っているんですよ。

 横光副大臣にお尋ねします。

 今回の、先日行かれた会議の状況というのはどんなふうなのか、私大変心配しているんですね。空白期間が起こってくるときに、日本が一番の原因者と言われる国際的な批判を受ける可能性もあるわけですし、まとまらなければ日本に向かってきます。しかし、現実は非常に厳しい。日本の国内事情は、これから議論しますけれども、大変ですよね。

 その前に一つ。横光副大臣、ベテランの議員にしては、国会ルール、出張のときの手続に落ちがあったということで指摘をさせていただいたんですが、二度とこういうことのないようにお願いしたいと思っておりますが、ダーバンの状況についてお知らせください。

横光副大臣 お答えいたします。

 手続の点では本当に御迷惑かけましたけれども、幸いにも御理解いただいて、プレCOPに出席することができました。

 今、ダーバンでの報告ということですが、ケープタウンで実は行われたんです。(田中(和)委員「ダーバンではない、ケープタウン。ごめんなさい」と呼ぶ)

 それで、今度のプレCOPは、お話しのとおり、本年末に行われますダーバンでのCOP17に向けての成果を求めよ、そういうことを中心に、各国からそれぞれの率直な意見が出されたわけでございます。

 その結果、COP17ではバランスのとれたそういった成果を目指すべきであるということの認識は、かなり共通認識となっております。そのために、昨年のカンクン合意、これの着実な実施をするということ、これが具体的な成果になるんだ、この認識も大体一致しております。

 また、ルールにのっとった多国間の仕組みを維持することの重要性、これも認識は確認されておりまして、多くの国から、将来の枠組みと同時に、京都議定書の双方についての進展が必要であるということも指摘されたところでございます。

 私からは、世界の平均気温の上昇を二度以内に抑える、この共通の目標を認識をして、そして二〇五〇年までに排出量の半減を目指すべきであるということ、これを訴えました。そして、そのためには、世界全体の排出量の二七%しかカバーしていない京都議定書の第二約束期間では無理なんだ、すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある新たな国際的な枠組みが必要であるということ、これが我々の最終目標であるということを訴えました。

 今お話にございましたように、これを直ちに実現するということは非常に難しい状況ではございますが、COP17では、将来の包括的な枠組みに向かって道筋を明らかにするよう、必要な作業に着手する必要があるということを訴えてきたわけでございます。

 私たちの国は、議定書の第二約束期間ではもうだめなんだ、参加しないんだという方向をとっておりますが、この方向をとりつつ、それでも、新たな合意形成を目指して引き続き頑張ってまいりたいと思っております。

 以上です。

田中(和)委員 副大臣の行ってこられたばかりのお話でございましたが、率直に言って、京都議定書の第二約束期間の設定が不可欠ということでございますけれども、状況は大変厳しいんだということを私もいろいろとお聞きしております。

 一方では、日本の国が孤立してはならない、しかし地震が起きている。これだけの状況が起こっているときに、お話をしてまいりますけれども、本当に今、二五%マイナスというものの、国際社会における国民にとってのコンセンサスになる話かどうかということも含めて、実は非常に大変な状況の中での会議に臨むわけでございまして、これはぜひひとつ、大変なことでございますけれども、我々も、できることは精いっぱい協力する、頑張らせていただく、こういうことでちょっと先に進みます。

 もう一つ、細野大臣が御発言されたこととして、オーストリアのウィーンで開催されたIAEAの年次総会で、先ほどもございましたけれども、冷温停止を公約をされましたね。年内ということでございます。これは前倒しでございます。

 しかしながら、百度の温度も含めて不安定な要因が幾つもあってなかなか難しいんじゃないか、大臣はどういう根拠や見通しを立てて国際公約をされたんだ、こういう意見もあるわけでございますけれども、このことに関して、相当重大なことですから、担当大臣として現場に張りついてでも頑張らなければいけない、こういう思いがするわけでございますが、この状況についてお聞かせください。

細野国務大臣 あの九月のIAEAの総会で、御指摘のとおり私は、冷温停止状態を年内に達成するという目標を国際社会に明示をいたしました。それ自体は非常に重い話でございますし、重大な発表でもありますので、関係者との調整というのは、相当事前に綿密にやらなければならないとずっと思ってまいりました。

 ロードマップをつくらせていただいたのが四月十七日だったんですけれども、そこから第一ステップの達成が七月十七日、そこで三カ月ということで、第一ステップから第二ステップに行きました。そのときに、第二ステップの終了がいつできるかということについては、実は関係者の中で随分議論をしたんです。もちろん、保安院や安全委員会のさまざまな専門家とも議論いたしましたし、私は、当時かなりの時間、東京電力におりましたので、東京電力の役員や、あと大事なのは現場ですね、現場の作業に当たっている皆さんとも議論をして、私はそのときに、あ、この感覚だと年内にはできるなと正直思いました。

 しかし、余り前倒しを早目に言って、それこそ楽観論を世の中に広めることはよくないし、現場にプレッシャーを与えることもよくないと思いましたので、ここは慎重にやろう、むしろ目標は変えずにやろうということで第二ステップに入ったわけです。

 そこから、できるかどうかということについて、八月一カ月、九月の頭も含めていろいろなことを話をいたしました。

 その中で、もちろんまだいろいろな課題はありました。ですから、すべて確実に、もう何の問題もなくいけるという状況ではないけれども、これぐらいの課題であれば、みんなで頑張れば乗り越えられるだろうということについて合意ができたものですから、それで、国際社会に対して冷温停止状態を年内に達成できるということを申し上げたわけであります。

 御指摘のように、確かに冷却機能がかぎでございますが、ここ数日の間に、一番温度が高かった二号機についても八十度を割ってきています。この温度は、相当この間安定をしてきています。

 あとは冷却機能の多重化ですね。さまざまなトラブルがあってもしっかりと継続をできる、万が一ストップすることがあっても、それを代替する手段が確保できる、これを確認をしなければ冷温停止状態ということはできませんので、そこを確実に確認をして、多重性を必要があればさらに確保した上で、しっかりと国民の皆さんや国際社会に対して、この事故の一定の収束、すなわち、冷温停止状態が達成をしたということを皆さんに御報告を申し上げたい、しかるべき時期に申し上げたいと思っております。

田中(和)委員 非常にこれは重い御発言でありますし、本当に、日本のまさしく信用がかかっている大変な御発言でございます。ぜひ現場で陣頭指揮、そして的確にチェックをしていただいて、ぜひひとつわかる範囲で我々にも状況をお知らせをいただきたい。大変なお仕事だと思いますが、頑張っていただきたい。

 これも重複しておるんですよ、この仕事も。続いて、瓦れき処理なんです。

 放射線の汚染の瓦れきはまた後で議論をいたしますけれども、一般の瓦れき、この状況について、先日、順調にというお話が環境省からあったようですが、とても国民も地元の人たちも順調になんて思っていません。大臣、認識をお聞きします。

細野国務大臣 この廃棄物の処理については、非常に膨大な量がございますので、問題が順調に解決をしていて、このままいけば大丈夫というふうには私も思っておりません。むしろ、まだ幾つか解決をしなければならないというふうに考えています。

 特に、宮城県、岩手県を初めとした放射性を帯びていない廃棄物、これを一刻も早く処理をするためには、やはり広域処理を進めていかなければならないというふうに思っております。

 先日、非常に幸いにも、ありがたいことに、東京都の方で受け入れを宣言をしていただいて、宮古市の方から移動するということで今準備を進めておりますが、東京都以外にもそうした余力があるところについては、安全性は国がしっかりと確認をしますので、ぜひ広域処理をお願いをしたいと思っております。

 先日、市町村の関係者の皆さんに私直接伺って、皆さんの前でぜひということでお願いをいたしましたけれども、これからは個別に、そういう余裕がある、もしくはそういうお考えを持っている自治体の皆さんには直接働きかけをする中で、何とか支援をしていただきたい、そういうお願いもしていこうと思っております。

 したがって、これまでもちろん我々も努力をしてきましたけれども、至らない点たくさんございました。さらにこれから幾つも恐らく課題がありますので、そこにはしっかりと省を挙げて、そして三役も含めて、前面に立って取り組んでいかなければならない、こう認識しております。

田中(和)委員 答弁は完璧であろうと今のところ思いますね。私もそう思います。

 本当にここまで行政に対する不信が募った。瓦れき処理に対して、地元は地元、国民全体でも大変な批判が起こっている。民主党政権の支持率がつるべ落としに下がっていった、こういうことというのは、この問題と無関係ではないです。

 石原知事の指導力で東京都が先鞭をつけていただくというのは、私も本当に心からありがたいな、このように思っています。私の地元の川崎も、早く処理について協力しようということで表明をしたのでございますが、放射能の誤解に基づく批判が市民からごうごうと起こりまして、なかなかそれ以降、ごみの引き取りをして川崎で焼却をさせていただくというような作業に至っていないんですね。

 今、大臣みずからが足を運んで自治体を訪ねて説得をして、日本全国で被災地の皆さんの痛みを共有し協力してもらおうじゃないか、こう訴えていこうとおっしゃったことは、私も全くそうだなとこう思うのでございますが、どんなスケジュール観を持っておられますか。

細野国務大臣 環境省の方では、先日、都道府県を通じまして、それぞれの市町村の処理の余力がどれぐらいあるのか、また、お考えはどういったことにあるのかということについてのアンケートをとらせていただきました。まだすべてを集約することができておりませんので、それはしっかりとまず見たいと思っております。

 その上で、そこからは個別の対応だと思っています。余力があり、また、受け入れについてある程度の意欲を持っていただいている自治体に個別に働きかけるということをやってまいりたいと思います。

 もちろん、我々政務も努力をしたいと思うんですけれども、当然、いろいろな反対意見も出てくる可能性がありますので、確実に安全確保できるということを納得していただくという意味で、事務的なすり合わせはやはり前提として必要だろうと思っております。

 ですから、まずは自治体の現場の職員の皆さんに納得をしていただいて、これなら住民の皆さんにしっかり説明できるという状況を我々がつくる。そして、そういう中で、仮に、例えば首長の皆さんが判断をされるのに私が行くことでこれはプラスになるなと思ったら、いつでも行きたいと思います。

 早ければ早いほどいいと思いますので、いつでも行きたいと思いますし、地域住民の皆さんに説明をして納得をしていただく必要があるということであれば、専門家を派遣をしたいと思います。そこに政治家が行くことでプラスになるのであれば、そこにも私は行ってもいいと思っています。

 ですから、アンケートをとって全体を把握しますので、そこからは個別にどういう状況かというのを見きわめながら、ここがタイミングとしていいのではないかというところでさまざまなアクションを起こしていく、そういう形でやってまいりたいと考えております。

田中(和)委員 事務方の調整は当たり前のことなんですが、環境大臣がみずから頭を下げて御協力を求めるということは、私はすごいアピールがあると思いますね。いかに真剣に、国を挙げて、今、東北の皆さんと一緒に苦しみを共有して対応していくかという姿勢が見えなければいけません。

 ああだこうだ言っている時間がもったいないわけでございまして、ぜひ行けるところにどんどん足を運んでいただく。これも実は、仕事の上で、限られた時間の中で、国会もあり、どうされるんだろうか、私は危惧しているんです。

 もう一つ、いよいよ放射線のいろいろと除染の土もあるでしょう、瓦れきもあるでしょう、いろいろなヘドロもあるでしょう、もろもろの放射線のかかった仮置き場、さらには、その先にある中間の管理場、こういうものを設置するということがすぐ求められておるわけでございます。

 このことでも地元の皆様のところに大臣が相当真剣なお運びをされないと、きょう地元の先生もおいででございますけれども、とても簡単にいく話ではないだろうと思いますが、どういうスケジュールをお持ちですか。

細野国務大臣 この仮置き場そして中間貯蔵施設というのが、私はある意味で福島の再生のかぎを握っているというふうに考えております。除染なくして福島の再生はなしというのは私も申し上げていますし、多くの皆さん、同じ思いを持っておられると思うんですけれども、この仮置き場と中間貯蔵施設なくして除染がないというのも現実でございまして、この問題は、我々がしっかりと責任を持って対応して、そして、もちろん努力をすることは大事ですけれども、最後はやはり結果を出さなければいかぬ、結果がほとんどすべてを決める、そのように考えております。

 そこで、この仮置き場と中間貯蔵施設については、現在、私ももちろんやっておりますが、高山大臣政務官が非常に主体的に動いていただいてロードマップをつくっておりまして、月内にはしっかりと皆さんにお示しをしたいと考えております。月内と申し上げても、月末は来週の月曜日にやってまいりますので、今、最終的な調整に入っております。

 その中でぜひお示しをしたいと思っておりますのは、中間貯蔵施設というのはごみ捨て場ではないということです。管理施設です。したがって、何か放射性廃棄物を単に埋めておくとか、それこそそこに人が近づけないような施設になるということではないんですね。むしろ安全に、安定的に、整然と管理をする施設をつくるんだということをしっかりと皆さんにお示しをしたいと思います。

 そしてそれは、かなり長い間、一定の期間お願いをしなければならないことであるけれども、福島県内で一定の期間お願いしなければならないことであるけれども、それをつくることが福島の再生にもどうしても必要なんだということを皆さんに御理解をいただきたいと思っております。

 そういう皆さんに御理解をいただけるようなロードマップを月内には出したい、そして、確実にそれは出すということをこの場でお約束を申し上げます。

田中(和)委員 これは本当に大変な仕事だと思います。これも兼任ですよ、大臣。後ほど福島の地元の吉野先生からもいろいろと質問があるんだろうと思うんですけれども、本当に私は、一つ一つ兼任の大変さ、問題点を今指摘させていただいたんです。

 現政権が本当に大変な時期の政権であるということは私も認めますけれども、環境大臣と放射能汚染の原子力の担当大臣が兼任だというのは、本当に、できればいいですよ、一人の方がいいかもしれません、何でもかんでも。だけれども、これだけのことを、まだまだありますよね、本当に大丈夫なのかなと心配しているんです。

 これ以上言ったってあれですから、とにかく、責任は細野さんがおとりになるという強い決意を先ほど述べられたので、重ねません。

 さて、次の質問に入る前に、空本委員が質問されたときに、いい質問だったんですけれども、大変気になることがありました。三条委員会の、我々はすぐぱっと三条委員会というと公取委のことを考えるんですけれども、どこかの役所に依存しちゃっていてうまく機能していないという大臣の発言があった。私は今速記録を見ていないんだけれども、これは失言じゃないですか。どうなんですか。

細野国務大臣 若干誤解を生む部分があったかもしれません。おわびを申し上げます。

 私が申し上げたのは、三条機関、八条機関も含めて、そういう部分がある組織もあるということを申し上げたんです。限定しては申し上げませんでしたが、私なりにちょっと問題を感じている組織があったものですから、そういうことを申し上げました。

 正確にお伝えをするために、私の頭の中にあるそういう内閣府、内閣官房の組織の中に公正取引委員会というのは入っておりませんので。あそこは私も担当しておりましたが、極めて独立性の高い、強い権限を持った組織でございますので、そういった公取のような組織をイメージして申し上げたわけではありません。そのことは、済みません、こうやって説明の機会をいただきましたので、申し上げたいと思います。御指摘ありがとうございます。

田中(和)委員 大臣ですから、御発言はひとつお気をつけをいただかなきゃいけないのと同時に、また法案が出たりする時点で議論をいたしますけれども、私たちは、原子力の安全上についての独立性、これほど国民に重大な悪影響を与えた事態の後ですから、独立性と同時に、捜査権も付与するほどの安全庁でなければいけないんじゃないかなと。独立性があるといいながらも、環境省のいわばくくりの中でいいのかどうか、非常に危惧しております。懸念をしております。

 今後、我々も党内の議論を取りまとめてまいりますけれども、先ほどお話の中でそういう答弁もありましたので、この独立性あるいは捜査の権限、こういうものについて大臣はどういう思いを持っておられるのか、確認だけしておきます。

細野国務大臣 独立性というのは、この新しい規制機関をつくるときの最も核になる考え方でございますので、最も重要な御指摘をいただいたと思っております。

 これまでも、例えばIAEAのさまざまな助言の中でも、日本の独立性について、国際機関ですから余りあからさまには言いませんけれども、やはりそこについての意見が出されてきたわけですね。残念ながら、それに対して日本政府は的確に答えてきませんでした。

 このIAEAが言っている独立性はどこなのか、実際に今回のことを受けてどこの部分に独立性の観点から問題があったのかというふうに考えてみますと、これは、エネルギー政策の推進側、原子力発電の推進側からの独立性なんです。ですから、私が考えたのは、まずそこの独立性をできるだけしっかりとつくるべきだろうと考えたわけです。

 先ほど誤解を生んでしまった私の発言ですけれども、内閣府の中に置いてしまうと、初めは人がいませんから、特に初めは人を送り込む側の組織から非常に強い影響を受けるということを危惧したわけです。むしろ、内閣府に置くという考え方でなくて環境省に置くということになれば、人事上は完全に環境省のもとにマネジメントが行われます。ですから、資源エネルギー庁や経済産業省からの遠隔操作はできません。内閣府に置いた場合にどうしてもそういう影響を受けないか、そういう危惧を申し上げるのに先ほどのような若干言い過ぎがあったということでございまして、この危惧自体は私は今も持っています。

 ですから、推進側からの独立性というこの新しい安全機関の肝の肝の部分で最も厳格な線を引くやり方として、環境省のもとに置くというのが一番望ましいのではないかというふうに考えたんです。

 そして、今の環境省は同じ間違いを絶対に起こさない、つまり、究極の環境汚染を引き起こしたこの事故は絶対に起こさない。それは、とりもなおさず原子力の安全について厳格性をしっかり確保する、このことにあると思いますので、私はそのふさわしい組織に今まさになりつつあると考えております。

田中(和)委員 この独立性、国民の期待にこたえられる、国際社会の信頼も得られる新しい組織をつくるわけでございますけれども、これは日本のこれからを決定すると言ってもいいほど、今の時点では非常に重要な組織変更になってまいります。この部分については、我々も特に重要に考え、検討しておりますけれども、ぜひひとつこれは、後ほどの法案が出る時点で議論をさせていただきたいと思います。

 ただ、私は、この際環境省の皆さんに申し上げておかなきゃいけないのは、所管外と言い過ぎる。今大臣が言われたことからすれば、これからもうあっという間に自分たちの役割になっていくわけですよ。所管外、経産省に聞いてください、農水省に聞いてください、私どもの方では答えられません、わかりません。問い合わせをすると、これがやたらと多いんですよ。自覚が全くない。

 具体的に言うといっぱいあるんだけれども、そんなことを時間の関係で言いませんが、大臣以下皆さんが、やはり新しい時代の決意というものを持って対応するだけのひとつ役所にしていただきたいなと思います。

 さて、ここで新しい質問に入っていきますが、鳩山元総理が二〇二〇年のマイナス二五%を述べられて以来、騒然としたわけでございますし、また、我々自民党も公明党さんも法律案をつくって国会に出しておりますけれども、この鳩山さんの御発言、そして今の現実、現実の議論をこれからするわけですが、どう大臣は評価し、賛成なのか反対なのか、承りたいと思います。

細野国務大臣 鳩山元総理の御発言というのは、国際社会に対しても非常に大きなインパクトを与えましたし、私も、政府には入っておりませんでしたけれども、与党の一員として、これは非常に大きな発言をされ、そして、国際社会にもいろいろな意味での責任を負う形になるなというふうに感じました。

 その後、我々の方でも法案をお出しをして、そこに二五%ということについては書いてございます。ただ、もちろん前提条件がございます。主要な排出国がしっかりと枠組みに入るというそういう前提条件がついておりますが、そこは、前提条件をしっかり確保した上で、二五%という考え方自体は変えておりません、法案を出しておりますので。それは申し上げられます。

 その一方で、エネルギー政策全体は来年にかけて議論をしていかなければならないというのは、これは今回の原発の事故を受けた現実でございまして、来年の夏までかけてエネルギー政策をさまざまな場面で議論をしていく。それと全く同時に、やはり温暖化の問題についてもどのように考えていくのかということについては並行して議論をして、来年の夏に、その時点でどう考えるのかということについては、しっかりと議論を経て、皆様にも御説明を申し上げなければならない、国民の皆さんにも御説明を申し上げなければならないというふうに考えております。

田中(和)委員 来年の夏にすべて見直すということですか。

細野国務大臣 今私が申し上げたかったことは、現時点では前提条件つきの二五%という目標を変えたわけではないということ、そして、来年の夏までかけてエネルギー政策を徹底的に議論しますので、その中でこの温暖化の問題についてもしっかり議論をして、その時点での考え方を提示をする、こういうことであります。

田中(和)委員 大臣の今の話はよくわからない、はっきり言うと。

 この閣法の温対法、成立をいつさせるんですか。どのような形で環境省は臨まれるんですか。大臣、不退転の決意で臨むんですか。成立をさせるためにどう動くんですか。聞かせてください。そこと今の話と矛盾しているような話でございまして、私はとても納得いかない。

細野国務大臣 私どもは、法案を出させていただいて国会でも継続審議にしていただいておりますので、ぜひとも、御審議をいただいて成立をさせていただきたいと思っております。

 そして、今、各党各会派、特に自民党、公明党の皆さんも含めて、政務三役を経験された皆さんで、この法律をどのように扱っていくのかということについての協議もいただいているというふうに思っております。

 そういったさまざまな協議については、我々は、法律をしっかり通すということが、法案を通すということが大切だというふうに思っておりますので、その議論にはできる限り柔軟に対応していきたい、こう考えております。

田中(和)委員 大臣、正直なところ、今回の大震災、福島原発の事故を受けて、よって立つ状況は全く変わっているわけですね。そんなのはもう、お互いの話で議論する必要もないんですが。

 それで、二〇二〇年の二五%を掲げて、この法律をぜひ通してほしい、こういうことでございますか。わかりづらい話だと思いますけれども、もう一度答えてください。

細野国務大臣 まさに本当に、ずっとこの問題に取り組んでこられた田中先生に同じような答弁になって大変申しわけないんですけれども、我々は今法律を出していますので、この考え方を変えているわけではありません。

 ただ、しっかりと取り組みを進めるという意味では、やはり法律が通るということが大事でございますので、各党会派でいろいろ御議論があれば、それは真摯に受けとめて柔軟に対応していきたいと思っております。

 先ほどの、状況は変わったというお話でございますが、変わった面で、もちろん温暖化の面からいうと厳しくなった部分もありますが、逆に進んだ部分もあるのではないかと私は思っています。

 進んだところについて若干私の考えを申し上げると、例えば節電であるとか省エネ、これは世界が驚くぐらいの結果をこの夏は出しました。国民の間にしっかりとエネルギーを大事に使っていこうという考え方が定着をし、しかも行動を起こすところまで来たというのは、私は、温暖化の問題にはさまざまなプラスの要因になるというふうに考えています。

 そしてもう一つは、皆さんに御議論をいただいて、まさに再生可能エネルギーについての前向きな取り組みができる法律が通りました。ですから、これまでは、再生可能エネルギー、自然エネルギーというのは、どちらかというと量が限定をされて、本当に非常にマイナーなエネルギー源というふうにみなされてきた面があるわけですが、これが育つ余地が出てきた。

 ですから、節電、省エネルギーというのと、原発が動かなくなってきているというこの三つの要因をトータルに勘案しながら、では、これから温暖化はどのぐらい、どういった形でできるのかということについては、エネルギー政策とあわせて徹底的に議論する必要があると考えております。

田中(和)委員 国会の方では継続が決定をしたわけでございます。我々の立場とはちょっと違う形になったのでございますが、それはそれとして、提出者は環境省ですからね。

 これだけの状況の中で、だれが考えたってこれは一回仕切り直しですよ。法案をおろして、一からもう一回積み上げて、そして内外ともにしっかりしたものを数字をもって示していく。二枚舌になったりうそつきになってはいけないんですよ。

 今回の大臣の所信表明のあの文章を見たけれども、二五%というところが、もっと明確に温対法について不退転の決意を述べられるかと思ったら、何となく腰が引けていた。そうでしょう。

 来年の夏までに温対法をこのまま通してください、国会の方に一日も早く通してくださいと大臣言われますか。どうですか。

細野国務大臣 本当に、これまで取り組んでこられた御専門の田中先生に何度も同じ答弁で恐縮でございますが、私どもは、法案を出していて、私は閣僚として責任者でございますので、考え方を変えているということではございません。

 ただ、温対法というこの基本的な枠組み、方向性を定めた法律が存在をすること自体は必要なことだというふうに思いますので、さまざまな御議論があれば、それにはできる限り柔軟に対応していきたい、そういうことでございまして、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

田中(和)委員 もう横光副大臣には聞きませんが、多分、先日の会議でも、日本の二五%、話が出たでしょう。私もあちこちでいろいろな方とお目にかかりますけれども、もっと正直な姿を内外に示された方がいいんじゃないですか、日本の信用がどんどん落ちちゃうよ、外国の方も、やはりこういう心配をしていただく方が多いんですね。

 大臣の今の答弁を聞いていても、大臣だからそのようにお答えなんでしょうけれども、違う部屋に行って聞いたら、いやいやというお話に多分なるんだろうと思うんです。これは早くきちっとした方がいいですよ、だれが考えたっておかしい話なんですから。

 私も今手元に資料を持っているんですけれども、二五%削減のための原発の役割というのがあるんですね。原発の役割、もう大臣よく御存じのとおりですよ。二〇二〇年までに、現状の五十四基に加え九基を新設、増設する。廃炉が一基で、合計すると六十二基です。稼働率は八五%、発電電力量は四千六百億キロワット、すべての発電量に占める原子力発電の割合は二六%から五三%。

 確かに大臣、みんな国民を挙げて協力していただいて、節電をしましたよ。説明もした。まさしくエネルギーをみんなが使わなかった。結果、どうですか、経済はどんな影響になったですか。当然、クリーンエネルギーであれば、問題のないエネルギーだったら、もっと経済成長のために電力をどんどん使うべきだったんですけれども、事故でそういうことになったわけですよね。このことをうまく国民に説明するということは、実は非常に難しい部分があるんですね。

 私の地元で、大臣ももうお詳しいと思いますが、メガソーラー、いよいよ後の部分ができますと、私の川崎、私の住まいのそばですけれども、日本一のメガソーラー、二万キロワットですよ。これが一番です。コストが一キロワットアワー大体四十円ぐらいですかね。川崎はもう一つ、地震が起きた以降、最初の火力発電所をつくる場所なんですよ。天然ガスを使った火力発電所ができるんです。東電さんがおつくりになるんです。ありがたいんですが、この発電所の発電量は五十万キロワット。

 結局、産業、国民生活を考えたときに、電力を代替エネルギーとして調整していくためには、我々もクリーンエネルギーがいいわけですよ。太陽光がいいんです、風力がいいんです。しかし、数字で見ると、水力発電がやはり大きなシェアを占めていますよね。だけれども、これはすぐ簡単にはいきませんよ。

 そういうふうに考えたときに、なおさらのこと今の大臣の発言は、この場で正直に語られた方がいいんじゃないかと、このように思いますよ。二五%の問題を思い切って一から、ゼロから全部御破算にして、積み上げを始めます、検討を始めます、来年の夏までにきちっとしますのでというふうに、この法案の扱いも含めて述べられる方がよほど政治家としてすばらしい人物ではないかと私は思いますけれども、いかがですか。

細野国務大臣 再生可能なエネルギー、自然エネルギーをどんどんと育てていかなければならないというのは、恐らく、もう党派を超えた合意事項ではないかというふうに思うわけですけれども、一方で現実的には、原発がとまると、急場をしのぐのには化石燃料に頼らざるを得ないというそういう状況があるわけですね。その現実は直視をしていかなければならないだろうというふうに思っております。

 ですから、今、田中先生がおっしゃった、検討を始めよということに関して言うならば、来年の夏までといってもそんなに時間はありませんから、そういったエネルギーの状況の中でどうやって安定供給をしていくのか。その裏側では、それがどういう温暖化に対しての日本の姿勢になるのかということについての議論は、できるだけ早く始める必要があると思いますし、それは、できるだけプロセスも含めて国民の皆さんにお見せをすることが重要であるというふうに思います。

 ただ、その一方で、これまで日本政府が示してきた二五%の約束と環境省が提出をしている温対法のこの法律というのは、これは我々がしっかりと国会にお願いしていることでございますので、これについては、現段階では方針として変えているわけではない。それは、現実に我々が皆さんにお願いをしている以上は、なかなかそういう御指摘のような形で変えるというわけにはまいりません。

田中(和)委員 大臣、もうみずからおわかりでおっしゃっていることだと思いますが、これは全く答弁になっていないです。

 法案の審議は国会で決めることではあるんだけれども、大臣みずから、来年の夏までにこの温対法を本当に上げていただきたいと国会にお願いをするんですか。どうするんですか。今の発言だと、物すごく全然違う話を一緒にしておられるんですね。僕はとても今の答弁では納得いきません。

細野国務大臣 今は御指摘が、それこそ、化石燃料についてはどうかという部分も含めた御質問でしたのでそういうことをお答えをいたしましたが、一方で、我が国は自然エネルギーをふやしていくし、節電にもある程度成功してきたというプラスの要因もあるわけですね。ですから、プラスマイナスさまざまな要因がありますから、それをトータルに議論をした上で、来年の夏までに、どういったことにするのかということについて方針を出すということを申し上げているわけです。

 来年の夏まで検討して方針を出すということと、現段階で持っている方針が、これが両立をし得るというのは、私は矛盾した話ではないと考えます。

田中(和)委員 整理をする必要もない、今ここにいらっしゃる先生方は全部私の言っていることの方がわかりやすいと思っているんですけれども、この温対法の法案というのは、では、今すぐにでも審議をしてほしいと環境省として、提出者として強く望まれるんですか。そして、それとは別に来年の夏からはまた違うものが全然形を変えて出てくるということに対してどういうふうに整理をするんですか。

 今の答弁は全くわからないし、法案の扱いについても、もう一回ちょっと、本当にやりたいと言うのなら、こういうスケジュール観でやってほしいということを言ってくださいよ。来年の夏までにこの法案をやるんですか、やらないんですか。

細野国務大臣 それはもちろん我々としては、法案を提出して審議をお願いをしている以上、ぜひ御審議いただきたいというふうに思っております。

 ただ、衆議院、参議院、それぞれ今は各党各会派のお考えもあるし、そして、現実的に、法案を通すためには参議院は我々多数を持っていないということも含めていろいろな御議論があれば、それには真摯に対応して柔軟な対応をしていきたい、そういうことであります。

田中(和)委員 今審議すると言ったら、先日出された中期のロードマップをそのまま審議の資料として法案審議をすることになるんですよ。来年の夏新たにつくるものとは全く違うものだとだれが考えたって思うじゃないですか。そんなことを、今すぐ審議してほしい、ぜひ可決してほしいと大臣おっしゃるんですか。変えざるを得ないでしょう。今までのスケジュール観や数字や積み上げたものと全然違うんじゃないですか。正直にここはやりましょうよ。

細野国務大臣 何度も同じ答弁で恐縮でございますけれども、各党会派でいろいろな御議論があって、温暖化に対してしっかりと我が国として対応していく必要があるというのは恐らく皆さん御異論がないと思いますので、その方向性のもとでさまざまな皆さんから御意見をいただければ、それには柔軟に対応していきたいというふうに考えております。

田中(和)委員 本当のことを言って、この大臣、若い大臣ではつらつ大臣だと言われているんだから、今までの流れじゃなくて、これだけの国難ですよ、大変な事態に陥っているときに、エネルギー政策というのはまさしく国民の命じゃないですか。環境問題とエネルギー問題というのは、これは切っても切れないですよ。新しい決断をされて、新しいページをめくるという、やはり勇気を持って行動しなきゃいけない。私は、少し年かさの人間として、ぜひあなたに期待をしてそれを求めておきたいと思う。

 もう一点、コンクリートから人へ、この発言についてあなたはどのように評価し、お考えをお持ちですか。

細野国務大臣 なかなか難しい御質問をいただいたなと思いながら立たせていただきました。

 考え方として、失礼ながら申し上げれば、自民党政権のもとでやはりそういった箱物に偏り過ぎた部分があったのではないかという我々は思いがあるわけです。そして、それを考えたときに、もっと人にしっかりと投資ができるような政治を目指すべきだ、そういう考えが我々にあったわけです。私は、その考え方自体は間違っていないし、今も民主党の中に脈々と流れていて、政策としても実現をしつつある、根差しているというふうに考えております。

 ただ、私は去年まで党のサイドにおりまして、いろいろな企業や団体に逆にいろいろな要望を受けたり、いろいろなこちらからも考えていることをお伝えをしたりする中で、例えばそういう業界の方々からは、我々は人のためにコンクリートをつくっているんだ、それこそ、安全のためとか人の生活のためにコンクリートをつくっているので、コンクリートというもの自体を否定することはやめてくれという、そういう声もいただいてまいりました。

 したがいまして、もちろん、いろいろな表現の中で民主党議員で使っている議員もおりますけれども、参議院選挙のマニフェストの中からは、コンクリートから人へというその言葉自体は実はなくなっているんですね。

 ですから、そこはいろいろなとり方がありますから、コンクリートということを、それそのものを悪者にするような表現というのは私は必ずしも好ましくない、こう考えております。

田中(和)委員 もちろん、無駄な箱物は、私も我が自由民主党もそんなものは大反対ですよ。国民を守るために、生活を発展させるために必要なものはつくらなきゃいけないですよ。

 今回だって、持続可能なエネルギーの中に水の活用というのは当然出てくるじゃないですか。今、群馬県で大問題になっている。このダム、前に進むのかやめてしまうのか。前原さんが言ったようにもうやめてしまうのか、やはりやるのか。政治家として大臣はどうお考えですか。

細野国務大臣 本当にそこは、せっかく御質問いただいたんですが、さすがにちょっと、ダムの問題まで私が踏み込んで個別に言い出すと、まさに、それぞれの担当を大幅に越えてみんながそれぞれ侵食し合うというようなことになりますので、そのことについての発言は、私の方からは控えさせていただきたいと思います。

田中(和)委員 これは非常に重要なんですよ。今後、水力発電所を、我々自民党としても、もちろん自然破壊とか無駄なものをつくるというのじゃなくて、安定したエネルギーを発電していく、こういうことになれば、水力発電をもう一度見直さなければならない状況がやってきているというふうに私自身も認識しているんですね。

 民主党では、結局、コンクリートから人へという政策について、国民に向けてちゃんとしたけじめをつけた発言がないんですよ。

 ましてや、今回、環境大臣になられて、発電関係にも大変関与せざるを得ないお立場でございまして、ここの事業をどうするかということは、政治家としても、今の内閣の方向性としても、極めて私は伺っておかなければならない部分なんですね。

 もう一度お尋ねします。

細野国務大臣 そこの部分については、田中先生と私の考え方は若干違うかもしれません。

 もちろん、水力自体は否定をしませんけれども、RPS法の中で、この項目で、やはり大規模なダムが非常に大きな割合を占めていました。ダムを全部否定しません、必要なもので本当に使えるものは使ったらいいと思うんですけれども、例えば水力でも、これからチャレンジしていくべきは、例えば農村部なんかで、小規模な水力発電をどう有効活用していくのかという方により私は重点を置くべきだというふうに思っております。

 したがって、御指摘の具体的なダムの問題とエネルギー問題というと、こちらがあるからこちらも必要なんだという議論には私は立っておりません。

田中(和)委員 私は何も大型ダムと言っているんじゃないんだ。電力は地産地消、これをよしとしますよ。ソーラーでも、メガでなくたって、きっと屋根ソーラーが一番いいんでしょう、これで全部やっていければ。しかしながら、産業のエネルギーや何かを考えるときに、なかなかそうもいかない。こういう中で、私は、群馬県の象徴的なダム事業について政治家としての見解を求めたところなんですが、十分な答えがなかったことは残念です。

 時間が来ましたけれども、一言だけお願いをしておかなきゃいけません。

 実は、ベクレルのモニタリングがほとんどきちっとできていないんですよ。民間の企業の方にお願いをして、専門家も必要ですからやっていただいているんですけれども、首都圏全体で今放射能、セシウムの問題が広がっているときに、シーベルトだけでは、報道も含めて、行政のいろいろな基準も含めて、やはり現実にいつも対応ができないわけでございますね。

 ですから、ベクレルの検査を、一定の市町村単位あるいは区単位、あるいは、子供さんたちが学ぶ学校や幼稚園、保育園などでも、ある程度何らかの方法を講じて、リアルタイムであったり一定の時であったり、継続して、国民が安心できるような体制を整えていただかなければいけないと思います。大変なことだと思いますけれども、これを速やかにやらないと、五百ベクレルとか三百ベクレルとか八千ベクレルとかということが毎日のように私たちの社会の中に入ってくる重要な基準になっておりますので、大変懸念をしております。

 これだけお答えをいただいて、私の質問を終わります。

生方委員長 質問時間が来ておりますので、簡略にお願いします。

細野国務大臣 土壌の検査であるとか廃棄物の検査なんかでは、ベクレルではかるということをもちろんやっておるわけですね。ただ一方で、放射性物質を扱う専門家と議論していると、やはり、それが存在をすることがなぜ問題なのかというと、人体にどういう影響があるのかということが一つの指標になると。

 これは、これまでいろいろ議論を重ねてきた中で、やはりそれを一番重視すべきだという流れがあるわけです。ですから、シーベルト単位でどれぐらいなのかということについて計測をしているという状況です。

 御指摘は、もう少し具体的に土などもはかってお知らせをした方がいいのではないかという御指摘ですので、やれるところはやる。それで、どういうふうな形でやるのかということについては、少し検討させていただきたいというふうに思います。

田中(和)委員 終わります。

生方委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 細野大臣におかれましては、連日我が福島県にお入りいただき、精力的に除染等々、原子力の事故、そして、そのサイト以外の方々に対して御支援いただきまして、この場をおかりして、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 また、横光副大臣、副大臣御就任おめでとうございます。早速、COP17へ向けてのプレCOPに御出席をいただきました。通告していなかったんですけれども、後で感想等々を質問したいと思います。

 きのう、実は私、町村先生と一緒に長崎県の五島列島を視察してきました。長崎県の外れ、日本国のいわゆる西の外れなんです。そこの五島列島に、何と福島県の方が避難をしておりました。そして、そこの農場で働いておりました。ここまで私たちの福島県の方々が日本全国の方々のお世話になっているというこの現実を見させていただき、感謝の気持ちと同時に、この原子力災害、これを何としても収束して、そしてふるさとに戻ってきてほしい、こういう思いでこれからも取り組んでまいります。

 さて、温暖化でございます。

 先ほど田中先生の御質問の中で、いわゆるエネルギー基本計画が、これから原子力をどのくらいの位置づけにしてという形でエネルギー基本計画を来年の夏ごろまとめる、それを踏まえていかないと温暖化対策も打てない、まさにそのとおりなんです。エネルギー基本計画が来年の夏に決まらないと、どれだけの排出量を我が国として出せるのか。

 そして、温暖化法、成立をお願いしますと細野大臣はお願いしました。でも、この温暖化法は理念法じゃないんです。二〇二〇年、二五%をやる、中期目標が書いてあるんです。二〇二〇年、あと八年なんです。八年という期間で本当にできるのか。だから、田中先生がおっしゃっているように、まず取り下げてください。今の温暖化法は理念法じゃないものですから、二〇二〇年を目標に二五%削減する、できないでしょう。だから、取り下げて、本当にこれから議論して新たな温暖化基本法をつくりましょう、こう言っているんですね。その点についていかがでしょうか。

細野国務大臣 御指摘のとおり、来年の夏までは、エネルギーについては本当に国民的な議論をしなければならないし、そのためには、政府としては、単に八月に結論を出すということではなくて、もう少し早い段階で、いろいろな選択肢を国民の皆さんにお示しをしなければならないというふうに思っております。

 そして、その選択肢をお示しをする中で、当然、エネルギーの問題と温暖化の問題、環境問題というのは、これは本当に裏表どちらも欠かすことができない重要なテーマでございますので、いろいろな情報があれば、それは提示をするということはやっていきたいと思っております。

 ただ、そのことと、現段階において日本はどういう方針でいるのかということについて言うと、これはちょっと別問題でございまして、現段階で我々は前提条件つきの二五%というのを、それこそCOP17でも、もう既にカンクン合意の中でも提示をしておりますから、これは残っております。国内法としては、この温対法の中で、前提条件つきではありますけれども二五%というのを掲げておりまして、国会にこうしてお願いもしているわけであります。ですから、その方針は現段階においては変化がない。

 現段階においては、この国会に法律を提出させていただいておりますので、その審議をお願いをしたい、こういう立場でございます。

吉野委員 もう国連にもカンクン合意で申告もしちゃった、そして法律ももう出している。今、日本の国の産業構造、エネルギー構造を含めて物すごく変わっちゃったんです、それを出したときと比べると。だから、大きな変化があったにもかかわらず、なぜ出し続けるんでしょうかね。ここが私わからないんです。大きな変化、変化がなければ当たり前ですよ、出していいんです、議論していいんです。変化が起きちゃったんです、私たちの日本の国に。

 環境が変わってしまったのに、言っちゃったから、決めちゃったから取り下げられないんだ、つくらざるを得ないんだ。そして、二〇二〇年に二五減らすことができるんですか。こういう法律なんですよ。プログラム法なんですよ。理念法じゃないんですよ。二〇二〇年に二五減らすという法律なんです。できるんですか。

細野国務大臣 状況は確かに変わっています。ですから、いろいろな御議論があるのはよく私も理解をできます。ただ、その変化の中には、プラスの要因もあればマイナスの要因もあるわけですね。

 具体的に言うと、自然エネルギー、再生可能エネルギーに対する国民の理解は広がったし、それをやっていこうという合意も国会の中でできました。これはプラスの要因だと思います。節電や省エネについても、世界が驚くような結果を出した。これは非常に不幸な形で生じた事象ではありましたけれども、これも、エネルギー問題、環境問題を考えたときには、一定のプラスの要因ではあるというふうに思います。

 一方で、今、原発が例えば動かなくなっているとか、その中で化石燃料に頼っている、これは温暖化にはマイナスの要因です。

 ですから、トータルにそういったことというのは、これから状況をしっかりと見きわめて、分析をして、そして、その中でエネルギー政策や温暖化の政策についての議論をして、それは逐次提出をしていく、しっかり皆さんにお示しをしていくということは、これは必要だというふうに思っております。

吉野委員 二〇五〇年、世界で五〇%削減、我が国は八〇%削減、これは約束しています。なぜかというと、時間があるんです。長い長い時間があるんです。だから、技術開発をして、イノベーションを起こして、何とか我が国で八割削減しよう。これはできるんです、やる気になれば。でも、たった八年なんです。

 今、大臣はおっしゃいました。プラスの面、本当に省エネを我々はやりました。一五%削減、我々は罰金つきでやったんです。関西の方々は罰金なしでした。やったんです、プラスの面。マイナスの面、原発が稼働しなくなる。プラスマイナス、いいです、今おっしゃたようにありますよ。八年で二五減らせるんですか、どうやるんですか。

細野国務大臣 カンクン合意で日本が提示をしているこの約束というのは、約束というところまでいきませんが、我々の目標というのは、これは前提条件つき二五%です。そして、国内法で我々が出しているこの温対法の中に書かれているのは、これまた前提条件つきで二五%というものです。それ自体は変えておりません。

吉野委員 前提条件が厳しいから、ではやらなかった。アメリカ、中国が参加しなかった、だから前提条件は崩れたから日本はやらなかった。こんなことで世界の信頼を得ることができるんですか。正直になぜならないんですか。

 多分、米中、参加は難しいと思います、これからの国際交渉ですけれども、米中が参加しなかったから、前提条件が満たされなかったからやらない、そう法律に書いてあるからいいんだ。国連に申告していますよ、二五を前提条件で。では、やらないんですか。

 もし、米中が参加した、今度COP17で大きな変化で参加してしまった、参加したらばできるんですか、あと八年で。

細野国務大臣 私は、前提条件をつけていること自体は決して恥ずべきことでもないし、本当の意味でのそれこそ温暖化を防止をしていくという意味では、むしろその方が私は正しいやり方だというふうに思っています。

 ですから、我々が目指しているのは、京都議定書の第二約束期間がなかなか難しいと我々は反対をしていますので、そういう状況であれば、例えば、京都議定書の今の約束に入っている国々の排出量を全部足しても全体で二七%ぐらいにしかならないですから、むしろ、もう少し幅広い、アメリカとか中国も含めて全体で排出基準を少なくしていくようなことがほかの方法であるのではないか、それも含めて努力をしていこうよということを提案をしておるんですね。

 ですから、そこは横光副大臣にも今回のプレCOPで主張をしていただきましたけれども、日本がそういう方針でいくということは、世界には理解をされてきていると思います。

 そして、もう一つ申し上げると、京都議定書のあらゆる要素を全部我々は否定しているわけではないんですね。第二約束期間については、これは延長はするべきではないという考え方ですけれども、CDMであるとか途上国の支援の枠組みであるとか、京都議定書からずっと広がってきていろいろな枠組みがありますから、それ自体は前向きにとにかく生かしていこうというこういう考え方です。

 ですから、そういうトータルな主張をする中で、我が国の立場を国際的にしっかりと理解をしていただけるような努力をやってまいりたい、そして、それはできるというふうに私は考えております。

吉野委員 これは幾ら議論しても平行線です。我々はもっと正直になって、できること、できないこと、これを国際社会にきちんとアピールをしていく、これが日本の信頼を獲得する上で一番大事な点だ、このように私たちは理解をしているところです。

 副大臣、通告していませんけれども、プレCOPについての状況ですね、日本はどんな提案をしたのか。新聞で読むと、移行期間をきちんと提案をして、それに対して各国はどんな反応を示したのか、その辺をちょっとお聞かせください。

横光副大臣 このプレCOPでは、各国の意見というのは、それはさまざまでした。

 その中で私たちの国が提案したのは、まず、空白期は絶対つくるべきではない、そのためには、我々が求めている最終目標は、本当に、主要国が参加する公平で実効性のある新たな国際的な枠組みが必要なんだと。その認識は各国も持っておるんです。京都議定書の第二約束期間だけでは不十分なんだという意識はみんな持っておるんです、途上国を含めて。

 そういった中で、それでも大前提は、途上国の皆様方は第二約束期間の合意ですね。そして、アメリカやそしてまた中国は、お互いに義務を負わなければだめだという主張をし合う、EUは、さらに先進国が何らかのロードマップ、いずれは、その枠組みをつくるというような形が合意できれば第二約束期間に参加する可能性もあるという、それぞれの意見がある中で我々が提案したのは、先ほど申し上げましたけれども、二〇五〇年までに排出量半減を目指すべきだということ、これはもう大方認識が一致しておるんですが、そのためには新たな枠組みが必要であるということを私たちはずっと訴え続けてきたわけでございます。

吉野委員 日本の提案に対して各国の反応はいかがでしたでしょうか。

横光副大臣 この私たちが提案した中では、議場では、会議場の中で私が発言した後、十カ国以上からまた発言があったんですが、私の日本の国の提案に対してはこれといった発言はありませんでした。

吉野委員 副大臣は、議場で日本提案を発表して、後、議事が終わってから、各国とこの提案について、いかがでしたでしょうかというようなそんな意見交換は持たなかったんですか。

横光副大臣 それはございました。議場外でですね。そのときには、日本の提案を非常に評価したり理解してくれる国々もございました。これは、カナダあるいはオーストラリア、こういった国々は、私たちの国の提案にある意味では大変理解を示してくれたと思っております。

吉野委員 今度、COP17に細野大臣行かれます。プレCOPを経験して、日本提案がきちんと受け入れられて各国の理解を得ることができるというような雰囲気は、その場外でのお話し合いの中で感じられましたか。

横光副大臣 我々が主張している新たな枠組み、これの実現は相当厳しい状況であるということは実感しております。そういうふうな厳しさを感じました。

吉野委員 世界的な気候変動を見ると、タイでもあれだけの洪水、我が国でも台風が強大化し豪雨災害等々、まさに、人類は待ったなしの今状況下に置かれています。

 そういう意味で、日本の提案はすばらしいんです。主要国が全部参加して、そして合理的な枠組みの中でやっていこうという、そのつなぎの間はきちんと各国の自主申告したものを自分ではかって、そして自分で検証していこうというすばらしい提案だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 次、温暖化対策税であります。

 私たちは、もう三年くらい前ですけれども、環境省、当時西尾さんでございました、と一緒になって環境税をつくろうということで、私たち自民党の若手が中心になって、私たちと環境省で一緒になってつくったものがございます。

 環境税の一番の目的は、国民にきちんと理解させて、温暖化は大変なんだ、環境税を払うことによって意識を高めるというところに一番の目的を置いた法案を私たちはつくったつもりです。決して、お金が欲しいんだ、財源が欲しいんだというその考えではございません。ヨーロッパ型、たくさん取って、そして社会保障、年金等々の企業の財源のところに還元しています。政府はある意味で一円も取っていません。吸収して吐き出すポンプの役割です。これもヨーロッパ型の環境税です。

 でも、今度の温暖化対策税を見れば、石油石炭税の料金アップです。お金だけです。志がありませんと私は思います。志のない、お金が欲しいんだというだけの環境税。環境省としての志、どうしてなくなっちゃったんでしょうか。大臣、お願いします。

細野国務大臣 今回提案をしておりますこの環境税は、幅広い、しっかりとした負担をしていただく、公平に負担をしていただくという意味で、最も川上段階でかけることがやはり国民的な理解が広がりやすいだろう、しかも、全体としてエネルギーに対するコスト意識を根づかせて、実際にそのエネルギー効率を高めるという意味でもよかろうということで、石油石炭税にかけるという形になったわけです。

 ですから、そのこと自体は、そういう本当の意味での削減をしていくという意味において、効果という面で私は間違った考え方ではないというふうに思っております。

 ただ、その一方で、確かに吉野先生がおっしゃるとおり、国民一人一人が意識を持って、エネルギーを大事にしていこう、環境に対してしっかりと配慮した生活を送っていこうという観点は、やはりこれも非常に重要な要素だと思っております。

 したがって、こういう形で環境税を皆さんにお願いをしているということは、しっかり皆さんにお知らせをすることは大変重要だというふうに思います。

 加えて、後ほどもしかしたら御質問があるかもしれませんが、それをどういったことに使っているのかということについても、できるだけ国民の皆さんにお知らせをする中で、環境税に対する理解をできるだけしっかりと広めてまいりたいと考えております。

吉野委員 使い道まで先に御答弁いただきまして、ありがとうございます。本当にこれは偏った使い方なんですね。

 いわゆる温暖化対策というのは、省エネ、これも大事です。また、森林等の吸収源対策、これも大事なんです。もう一つ、忘れられているのが適応なんです。

 適応問題というと、いわゆる途上国への支援でしか考えていませんけれども、例えば、堤防の高さ、海岸の高さ、過去の雨量の百年に一遍の確率でできる高さなんです。五十年に一遍の大雨に対応できる高さなんです。これからの雨は過去のデータは全く使えないんです。これからの予測のデータなんですね。ですから、今までのやり方、基準づくり、全く違うんです。この適応の問題にも大きな大きなお金が必要になるんです。そういうところに全く使われない。

 本当に偏った石油石炭税、そして、指導力は経産省にある。環境省が指導力をとった真の意味の環境税ではないということを御指摘を申し上げておきます。

 続いて、原発問題に移らせていただきます。

 除染です。これが私たち福島県の再生の命です。細野大臣、毎日行かれてこの除染に陣頭指揮をとられております。本当に感謝を申し上げます。

 でも、地域の方々の理解不足もあって、仮置き場、中間貯蔵施設、最終処分場、この三つがどうなっているのか、私たち福島県民にはわかりません。特に中間貯蔵施設、先ほど、長期的に管理をしていく施設だ、御答弁がございました。

 では、最終処分場と中間貯蔵施設との違いはどこにあるんでしょうか。

細野国務大臣 最終処分場というのは、まさにそこで永遠に置いておく施設になるわけですね。ですから、そこは性質が大きく異なるというふうに思っています。

 一方で中間貯蔵施設というのは、ある一定の期間そこで管理をするということが求められるわけでありますけれども、例えば、減容化をすることについてもしっかりとやっていかなければなりません。つまり、大容量のものをそのまま移動するのは難しいですから、それをいかに減容化していけるのかということについても研究開発もやっていかなければなりません。私は六ケ所の低レベル廃棄物の最終処分場も行ってまいりましたけれども、あそこはそういう研究施設はありません。

 ですからそこは、最終処分場としてずっと置かれている場所と、一方で、中間貯蔵施設で管理をして減容化をしたりセシウムを取り除いたり、そういったことについてしっかりと研究開発をしていく施設というのは、性質が異なるというふうに考えております。

吉野委員 それは中間処理施設というふうに私は言います。いわゆる汚染された土壌を、そこからセシウムを取り除く処理場、中間処理施設と私は言いたいんですね。そして、セシウム、放射性物質を高濃度にしてそれを最終的に埋めていく。

 私は、原発、使用済み燃料と全く同じような形で、減容化した、いわゆる高濃度にした放射性物質は、やはり地下何百メートルの世界だと思います。その辺に堰をつくって、遮水シートを敷いてそこに入れておくというくらいの普通の管理型の処分場では、この問題は解決できないと思っているんです。

 最終的に、やはり土は洗って、きれいな土は戻す。そして、そこから高濃度の放射性物質を取り除いて、それをやはり地下に埋設していくというふうに私は思っているんですけれども、大臣の考えはいかがなんでしょうか。

細野国務大臣 この原子力発電所の世界で高レベル廃棄物というのは、これはもう本当に限定をされておりまして、本当にこれはもう高レベルのものということに特定をされておるんですね。例えば使用済み核燃料であるとか、また、直接的にそれに触れているような、例えば原子炉そのものであるとか、そういったものは高レベルと。

 一方で、今議論をしております廃棄物であるとか、さらには除染をされた土のようなものは、これは、幅広く低レベル廃棄物というふうに呼んでおります。したがって、その中で仮に吸着が非常に高濃度でされて集めたとしても、それを、これまで概念上くくってきた高レベル廃棄物と全く同じものであるというふうには考えなくてもいいんだろうというふうに思っています。

 ただ、御指摘はごもっともで、例えば、それを濃縮して吸着をさせたものを一定の形で置くということになれば、例えば、今私が申し上げたような中間貯蔵施設とは全く別の形で、相当慎重な処分場というのをまた違う意味でつくっていかなければならないというのは、御指摘のとおりであります。

吉野委員 柏市で二十五万ベクレル近い放射性物質のいわゆる濃度、これが幾ら一個一個は少ない放射線を出しても、集めれば高い放射線を出すんです。これはキログラム当たりですから、一トンあれば、十トンもあれば、百トンあれば、高い放射線出すんです。ですから、これはきちんと高レベル廃棄物と同じ形で、濃縮するわけですから、集めるわけですから、地下処分。

 ただ、半減期があります。セシウムは三十年ですから、百年たったら八分の一、だからもったいないという、そんな半減期で議論はあると思いますけれども、私たち被災地、被災者にとっては、目に見えるところではやはりだめなんです。地下何百メーターのところ、高レベル廃棄物と同じところへやはり処分をしていただきたい、このように思っているところです。コメントをお願いします。

細野国務大臣 もちろん、周辺も含めて安全が確保されるというのが大前提ですので、濃縮をされれば、それについてはより慎重な取り扱い、例えば深いところにというようなことも含めて、相当慎重に扱わなければならないというのは事実だというふうに思います。

 ただ、そこは、ぜひ御理解をいただきたいのは、どの程度濃縮をされるのか、また、濃縮されたものがどの程度の量で処分できるのかというのが、率直に言うとまだ全く見えないわけですね。ですからそこは、最終的にそういう廃棄物がどういった状態になるのかというのを見きわめて、それに適した処理の方法はどういったものなのかというのについても、少しやはり時間をかけてしっかりと研究開発をした上で最終的な姿をお示ししなければならないというふうに思っております。

 私が申し上げているのは、そういうまた違う種類の施設が必要ですから、それについては全部福島というのは、これは余りに御負担をかけ過ぎているんではないかということで、福島県を最終処分場の場所にするべきではないということを申し上げているわけです。

吉野委員 大臣の所信のあいさつの中で、除染に関する緊急実施基本方針に基づき除染を一生懸命頑張るという、この「緊急実施基本方針に基づき、」こう所信でも述べておられます。

 これに基づいて環境省の役人の方が福島県に出向いて、市町村にこの緊急基本方針の中身をもっと具体的に説明をしました。そして、それは、五ミリシーベルト・パー・イヤーのところは全部国でやるよ、五ミリ以下は、ホットスポットだけは国でやるよ、ほかは市町村でやってください。もっとかみ砕いてここは言ったんです。でも、基づいているのはこの緊急実施基本方針なんです。

 そこで、私たちの福島県の市町村、自分の負担でやる、ふざけているんでない、除染は東電だろう、国だろうということで、怒っておりました。そこへ細野大臣が入って、いや、一から五の間も国がちゃんとやるよとおっしゃっていただきました。大喜びです。

 それは、これから閣議決定されるであろう、いわゆる放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針、今概要が出ております。ここにはこう書いてあるんです。「比較的低い地域についても、子どもの生活環境を中心とした対応を行うとともに、地域の実情に十分に配慮した対応を行うことが適当である」。これによって、一から五も国が責任を持ってできるという解釈をこの文章で知ることができるようになりました。これは感謝なんです。

 だったらば、所信で述べている、いわゆる除染に関する憲法的な存在である緊急実施基本方針、ここをやはり変えてください。いかがでしょうか。

細野国務大臣 あそこで出しました緊急実施基本方針というのは、まさに緊急の方針でありまして、これはこれでもちろん大事なものですので生きてはおりますけれども、法律に基づいて方針が決まれば、当然それが優先をされることになるわけですね。

 加えて、この緊急実施基本方針の中には、五ミリ以下はやりませんということは書いてません。一ミリが目標にということで書いてあります。ですから、これも別に矛盾するものではありませんので、そういったふうに受けとめられているとすると、そういうことではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 いずれにしても、一ミリが目標で、それに向かって国として努力をするということは変わりませんので、その方針でやってまいります。

吉野委員 五ミリと書いてないから、いわゆる低線量の地域という言葉なんです。だったら、なぜ環境省が緊急実施基本方針の具体的な説明のときに、これは日本語なんです、低レベル地域と高レベル地域、やはり具体的には五で分けられているんです。

 そうやってごまかさないでください。そこがもう我々、政府に対する信頼が本当になくなっちゃった点なんです。書いてないから何でも言葉で言いくるめて、五が妥当なんだ、環境省の優秀な役人ですよ、それが現地で説明しているんですよ。それで、高い地域、低い地域、やり方が違うんですよ。高い地域は面的整備、低い地域は雨どい等々のホットスポットだけ、そこを具体的に五ミリという言葉で説明しているんです。

 だから、緊急実施方針も変えてください。そこはそうやってごまかされちゃうと、ここが我々不信感の一番のもとになりますので、もっと正直に、素直に、日本語をきちんと日本語としてお願いしたいと思います。

細野国務大臣 吉野議員は御地元ですし、本当に誠実なお人柄をよく存じ上げておりますので、私も、もう本当にここは率直にお答えをしたいというふうに思います。

 なぜ五という数字が出てきたかなんですけれども、吉野委員、ここは実は、いろいろな予算を大体これぐらいかかるのでないかと計算をするのに、一定の何らかの試算をする材料が必要だったわけですね。ですから、そのときの一つの材料として五ミリというのを使って、それがそのまま出てしまったんです。

 ただ、この緊急実施基本方針をつくったときから、私も直接関与していますから、そもそも線は引けないし引くべきではないと初めから思っていました。しかも、やり方も含めて自治体がそれぞれいろいろお考えになるし、それにできるだけ沿っていこうと思っていました。

 さらにもう一つ言うと、放射線のレベルが高いか低いかというのは、人によって違うわけですよ。子供は、当然、低い放射線量でもそれこそ受けるダメージというのは大きくなる可能性があるから、より低いレベルで求められるんです。ですから、子供にもしっかり基準をつくるべきだというふうに主張して入れたのは私ですからね。ですから、私は初めから、五ミリで線を引いてそれ以下はやらないなんというのは一回も思っていなかったし、そういうふうに方針を出したことも一回もないんです。

 ただ、一つの数字として五というところが出てきたので、私はもともと線を引く気はなかったんだけれども、それを説明の中で誤解を生むような形でやってしまったというのが真実なんです。

 ですから、ごまかすことはしません。自治体の方からいろいろ御要望があれば、それにはこたえます。お子さんが気になるということであれば、そこは重点的にやりますので、そこはぜひ信じていただきたいというふうに思います。

吉野委員 そこは、しっかりと大臣が一ミリを目指すということでありますので、一ミリを目指すためにかかった費用は全額国負担ということでお願いしたいと思います。

 次、きょうは東京電力さんいらしていただいたので、紛争審査会についてお尋ねしたいと思います。

 八月五日に出たこの中間指針なんです。東京電力さん、中間指針にきちんと基づいて今度のいろいろな賠償を立てていると思うんですけれども、その辺についてちょっと御意見いただきたいと思います。

廣瀬参考人 まず、私どもの発電所の事故によりましては、本当に皆様に多大な御迷惑をおかけしておりますことを改めましておわび申し上げたいと思います。

 今の御質問でございますけれども、私ども、八月五日に原子力賠償紛争審査会におきまして中間指針をかなり広範な形でお示しいただきましたので、それに基づいて、今まさに本賠償を始めさせていただいているところでございます。

 その指針に書かれておりますこと、すべてそれをそれ以上でもそれ以下でもないという対応をしておるつもりはございませんけれども、個々の事情をお聞きして、なるべく柔軟に対応するように今改めて対応しているところでございます。

吉野委員 基本は指針に基づいて、でも、賠償に当たっては柔軟な対応をとっていくという姿勢でこれからの賠償を果たしていくという、そういう東電さんの御意見を伺いました。

 これは文科省に聞きたいんですけれども、この指針の二十一ページなんです。精神的損害について、指針の二十一ページの(4)でこう書いてあるんです。自賠責一日四千二百円です。三十日だと十二万六千円です。これを参考にした上で、大きな精神的苦痛をこうむったこと、乗っかりますね。そして生活費が増加すること、これも乗っかります。十二万六千円を参考にした上で、精神的苦痛そして生活費の増加、乗っかりました。これは三階建てです。そういうことを考慮して一カ月十万円にした。

 これ、日本語になっていないと思うんです。自賠責を参考にした上で、そこにわざわざ大きなという言葉が入っています、大きな精神的苦痛をこうむったこと、そして生活費がふえたことを考慮して月十万円が妥当である、合理的である、こう書いてあるんです。文科省、答弁してください。

田中政府参考人 先生御指摘のとおり、八月五日に原子力損害賠償紛争審査会中間指針を策定していただきました。

 その中には「精神的損害」ということの記述がございまして、避難等の対象者が、自宅以外での生活あるいは行動の自由の制限、これを長期間余儀なくされているなどによってこうむった精神的苦痛、これを合理的な範囲において賠償すべき損害というふうに認め、損害額の具体的な算定方式ということを示してございます。

 具体的な算定方式は、先生先ほどおっしゃったとおり、事故後六カ月間は一人十万円でございます。ただし、体育館等への避難所の場合には十二万円ということでございます。その後の六カ月間、これは一人五万円ということでございます。その後の六カ月間につきましては、必要に応じ、期間は見直すということでございます。

 この中間指針には、自動車損害賠償責任保険における慰謝料を参考にしつつというふうに書いてございますが、この自動車損害賠償責任保険、これは、負傷、体の傷とかそういうことでございますが、負傷を伴うものとしての慰謝料でございます。

 今回の場合には、負傷を伴う精神的損害ではないというようなことを考慮いたしまして、十万円ということを基準として最初の六カ月ということに決めたところでございます。

吉野委員 ということは、心の苦痛といわゆるけがをした苦痛と、どちらが評価すると重いのかという問題になろうかと思うんですね。

 傷を負った方が、けがをした方が高いということは、けがをして自殺する人は余りいません、心が痛手を負って自殺しちゃうんです。なかなか心の問題をはかることはできません。だから物に例えるしかないんでしょうけれども、余りにも精神的苦痛、心の問題を、特に、自賠責という最低限の賠償、慰謝料という制度が定着している、それよりも低いとはどういうことなんでしょうか。心の方が軽いんですか。

田中政府参考人 先ほど申し上げたとおり、体の方が重いということではございませんで、その数値として参考とさせていただいたわけでございます。

 今回の精神的損害ということの構成、どんなものが精神的損害を構成しているのかということを考えた場合に、地域コミュニティーが突然喪失してしまった、あるいは、これまでの平穏な日常生活あるいはその基盤ということが奪われてしまった、自宅から離れて不便な避難生活を余儀なくされた、帰宅の見通しもつかないような不安を感じる、こういうような事柄が精神的損害を構成をしているのかなというふうに考えてございます。

 それを一体どの額にするのかということでございますけれども、そこは、現在のところ、慰謝料というようなことを考えた場合に、最も月額として大きいというふうに思われているその十二万六千円ということとどう比較をするのかということでありますが、その数値として参考とさせていただいたということで、事の軽重ということではございません。

吉野委員 東電さんに伺います。

 これが、百六十ページ、本当にマスコミでたたかれた冷たい請求書です。枝野大臣からきちんと改善せよと言われて、簡易版が出ました。書くところは三ページです、一番初めは見出しですから。三ページでおさまるものを百六十ページもの手引書をつくった。

 これをつくるに当たって、例えば、紛争審査会の事務局である文科省といろいろ打ち合わせしたと思うんですね。どんな打ち合わせをしたんでしょうかね。特に、一番問題になった点はどこら辺だったんでしょうか。

廣瀬参考人 今お示しいただきました手引書並びに請求書につきましては、大部になってしまって、本当に被災者の皆様に配慮が足りなかったなというふうに考えております。申しわけございません。この点につきましても本当に申しわけないと思っております。

 それで、今お話しありました点につきましては、請求書であるとか手引書であるとか、この大部になってしまったものにつきましては、私ども東京電力自体として独自につくらせていただきましたので、そこの点については、本当に直前にしかお見せできなかったということでございます。

吉野委員 西澤社長が予算委員会で、私の質問に対してこう答弁しているんですね。この手引書の「作成の過程では、弁護士、それから損害保険の関係者等いろいろな専門の方、それから賠償の基準」、これは文科省ですね、「基準等は国の関係機関ともよく御相談させていただいて作成いたしました」、こう答弁しているんです。

 ですから、特に文科省、指針ですから、これに基づいてこの請求書を作成しているので、ちょっと西澤社長さんのニュアンスと、経産省にはこれは別に相談していなくても、基準をつくった文科省とは相当お話をしてこれをつくられたというふうに私は思っているんですけれども、どうなんでしょうか、今は相談していないなんということを言いましたけれども。

廣瀬参考人 申しわけございません。厚くなってしまったという請求書、完成品について申し上げましたけれども、その前段で、賠償の考え方であるとか、それから賠償の対象範囲であるとかということについては、政府の関係部局に御説明させていただいた経緯がございます。

吉野委員 もっと具体的に、こんなところを議論したんだというのがあれば出してください。相談したと言うだけでなくて、こんなところはやはり東電側と政府側でちょっと意見の食い違いがあって、こんなところはこういう形で議論してこういうふうにおさまったんだという、そこもちょっと具体的にお願いします。

廣瀬参考人 最初の御質問にもございましたように、私どもの今回の賠償基準の考え方、対象範囲は、ほぼ中間指針にのっとったものということでございますので、特に大きな議論にはなっておりません。

吉野委員 役所の方では相談は受けたんですか。

田中政府参考人 東京電力の具体的な請求ということに当たりまして、文部科学省としては、指針に沿ってやっていただきたいというようなことを、中間指針を出した八月五日の直後、八月八日に大臣から社長あてに通知をいたしました。

 具体的な、今先生がおっしゃっているような請求書の対象範囲あるいは内容等々につきましては東電の責任でつくったということでございまして、私たちとしては、国による仮払いをするに当たりまして、どういう範囲を仮払いの対象にしたのかというようなことについて、東電から、東電の本賠償についての対象範囲あるいは賠償基準の基本的な考え方ということについて説明を受けたということはございますけれども、本払いの内容そのものについては、私たちとしては、中間指針に沿ってきちんとやられるということで、具体的な相談は受けてはおりません。

吉野委員 細野大臣、今の意見のやりとりを聞いて、国と東電は細野大臣の指導のもとで一体化している、だから情報もきちんとスムーズに流れて、オンサイトの原発の収拾には東電と国は一体化している、こう大臣も言って、それなりにやってきました。こっちの方は一体化していないということなんですね。

 これはどう思いますか。本当に一体化していなかったんですか。私は一体化しているというように思うんです。いかがですか。

細野国務大臣 大変恐縮なんですが、こちらは私が直接担当しているわけでないものですから、細部について承知はしておりません。

 ただ、被災者の皆さんと話していて感じることは、きちっと賠償がなされるということについては、それが東京電力の責任か政府の責任かとか、お金を出しているのが東電なのか政府なのかということについては、被災者の皆さんからすると関係ないんですよね。両方に責任がある。その両方に責任があって、被災者の皆さんからすれば本当に困っておられるわけだから、それはもう本当に、力を合わせてしっかりとそういった皆さんを支えるという体制をつくらなければならないというふうに感じておりました。

 したがって、枝野大臣がこれは担当されているんですけれども、いろいろとこれまでの分厚いこのペーパーの経緯などもあって、とにかく、政府もしっかり支える、さらには情報をしっかり出すということで今はやっていただいているというふうに思いますので、改善できるところは政府側も改善にとにかく努めて、当事者として、意識としてもやっていくということは必要であるというふうに感じております。

吉野委員 経産省からも来ていると思うんですけれども、東電からどういう相談を受けたのか、受けていないのか。この請求書だけでなくて、賠償問題を広くとってどのような相談を受けているか、お聞かせ願いたいと思います。

守本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今、分厚いということで問題にされております個人の被災者の方々向けの賠償でございますけれども、これは、東京電力が方針として示した九月早期の本賠償の受け付け開始に向けまして、福島県それから市町村と直接の協議を行っておりました。また、私どもは、それが非常に時間的に切迫しているということも承知をしておりましたので、請求書の様式あるいは説明書等の具体的な内容に対しては、結果的に、事前の相談を強く求めてこなかったということはございます。

 それから、事業者関係の賠償でございますけれども、これにつきましては、経済産業省としまして、福島県あるいは福島県内の商工団体等と連絡をとりながら、東京電力の本賠償の基準等に関する調整の場の開催を促進をしてきたというところでございます。

吉野委員 廣瀬常務、両役所とも、きちんと東電から相談を受けて、こういうことが相談されましたと今御答弁がありました。先ほどはそこの具体的なのが出てこなかったんですね。これはやはり私は、勘ぐると、役所から圧力がかかっているのかな、東電に圧力がかかって、具体的なことは一切言っちゃだめだ、そんな思いをします。

 次に、やはりこの指針なんです。この指針の二十三ページなんです。精神的損害についてなんです。ここの(10)にこう書いてあるんです。「損害額の算定は月単位で行うのが合理的と認められるが、」十二万、十万、六カ月過ぎて五万、「の金額はあくまでも目安であるから、具体的な賠償に当たって柔軟な対応を妨げるものではない。」と書いてあるんです。

 先ほど、常務、柔軟な対応をしていく、こう答弁されました。なぜここのところを採用しなかったんですか、十万、五万を決めるときに。中間指針では「妨げるものではない。」と書かれているんです。心が温かければ、被災者のことを思えば、長々と十万、五万の理屈がここに書いてあります。ではなくて、十万円だけれども二十万にするとか、そこは「妨げるものではない。」と書いてあるんです。

 なぜここの(10)のところをとらなかったのか、指針に沿わなかったのか。指針を守ると言っていながら、なぜここは指針から外れてしまったのか。御答弁をお願いします。

廣瀬参考人 精神的損害につきましては、東京電力といたしましては、中間指針に定められました算定の方法であるとか金額であるとかということに対して合理的であるというふうに判断をさせていただきまして、したがって、その中間指針に書かれている数字をもとに基準を定めさせていただいて、現在、賠償を進めさせていただいているところでございます。

吉野委員 この請求をしている方々の意見を聞きますと、東京電力の担当の窓口の方は、五万、十万は国が決めたんだ、東京電力が決めたんじゃない、だから、国が決めたんだからどうしようもない、仕方がないんだということを言っているんです。柔軟な対応をしなかったとはだれも言っていません。

 ここはどうなんですか。なぜ柔軟な対応ができなかったんですか。ここのところは都合が悪いから言わないんですか、こういうことが載っかっているけれども十万円だよと言うならまだしも。お願いします。

廣瀬参考人 私どもの現場の担当者がそうした一部誤解を与えるような発言をしているとしましたら、本当に申しわけないと思っております。指導が足りないと思っております。

 私どもは、先ほど申し上げましたとおり、現在お示しいただいている金額や算定方法が合理的だというふうに今考えておりますので、それに従って、私どもの判断でやらせていただいているところでございます。

吉野委員 文科省に聞きます。

 いろいろこの五万、十万の算定、心の問題をやはり金額にあらわすというのはなかなか大変です。だから、物にすりかえないとできないんです。それはわかります。だから居住環境ですりかえてみたり、でも、紛争審査会の委員の方々には、心の問題を物にすりかえた。やはり、ここに申しわけないという気持ちがあったんじゃないかと私は思う。だからこの(10)が入った、こう理解しているんです。

 その辺の経緯は、なぜ、どういうことでこの(10)、目安であって、柔軟な対応を妨げるものではないというこの文章が入ったんでしょうか。

田中政府参考人 先生からも言っていただいたとおり、この中間指針というのを決めるときには、何かを目安として決めるという必要がございます。ただ、そこは目安でございまして、具体的には、それぞれのケースに応じていろいろな柔軟な対応がとられるということが、被災者の方々そして東京電力との間で円滑な話し合いを進めることが重要だというふうに理解をしてこのような文章が入ったというふうに我々理解をしてございます。

吉野委員 そして、ここのいわゆる柔軟な対応をとることを妨げるものではないということを東電はとらなかったわけなんですけれども、ここについて、役所の立場として、なぜとらなかったんだということを物を言ったのか、言って聞いたのか、その辺のどういう対応をしたのか、お聞かせ願いたいと思います。

田中政府参考人 東京電力の具体的な請求書がこの文字どおりのことを書いてあるというのは、先ほども申し上げたとおり、事前の相談ということは我々受けてございませんでした。

 まず第一に、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、大臣からもこの八月五日の指針の直後に、社長に対して、住民の方々と円滑な話し合いを進めて合意形成を図ってほしいというようなことを直接申し上げたという経緯もございまして、東京電力においてそのような線に沿ってぜひ対応するということを期待しているところでございます。

吉野委員 我々からすると、本当なら文科省が、この(10)の規定を入れた、ここのところを大切にしてほしかったんですね。東電に文句を言ってほしかったんです、何でここを採用しなかったんだと。それが被災地、被災者を思う心ではないでしょうか。国も東電も本当に冷たいなというのが、この賠償のいろいろな経過を見て私はそう感じます。

 最後に、原子力安全庁についてお尋ねをします。

 私も原発推進人間でありました。ですから、きょうよりはあしたよくなってほしい、あしたよりはあさってよくなってほしい。だから、きょうの改善すべき点を文句ばかり言ってきました。自民党の中で私と梶山弘志先生二人ぐらいだと思います。それは、原発がよくなってほしいからなんです。

 そして、そこで十年間言い続けてきたのは、保安院の分離独立です。独立性がないんです。そして、大臣、独立性の理解が小さい、狭い。公正取引委員会と比べて今度の安全庁、独立性、大きさで比べると、図にあらわすとこんなものです。公正取引委員会の独立性がこんなにあれば、十分の一もないと思います。それは環境大臣の指揮下のもとにあるからなんです。内閣府に置かれた事務局があります、公正取引委員会。事務局が幾らあっても、担当大臣の指揮下には入っておりません。命令は聞く必要ないんです。外局だと命令を聞かなきゃならないんです。

 この独立性の問題で、本当になぜ独立性のある三条委員会、公取のような形をとれなかったのか。遅くないと思います。一番は独立性なんです。いかがでしょうか。

細野国務大臣 そこは恐らくいろいろな議論があるところだと思いますが、吉野先生、私はまさに事故の当事者でしたので、一番そのことを考えたんです。この新しい組織は、もちろん、規制がしっかりと推進側から独立することは大事ですけれども、もう一つやらなければならない重大な役割は、危機管理なんですよ。危機管理を考えたときに、では、八条委員会とか三条委員会で政治から独立しているところで本当にできるかというのは、これは考えに考えに考えて、やはり行政機関の方が機能するだろうという、そういう結論に落ちついたんです。

 ですから、例えば今回の原発の事故の対応、ぜひ思い出していただきたいんですが、保安院の対応と原子力安全委員会の対応はどうだったでしょうか。安全委員会はベストを尽くしたと思いますよ。でも、危機管理の役所として機能したというふうにお考えになりますか。私は違うと思うんです。むしろ保安院は、いっぱい問題はあったし、もう本当に反省をしなければならないけれども、さあ事故が起こった、まさに当事者だ、自分たちで何とかしなきゃならない、そういう意味での危機管理の役所としては機能しましたよ、失敗ももちろんあったかもしれないけれども。

 ですから、八条委員会とか三条委員会、内閣府の中にあって、確かに権威はあるかもしれない、独立して見えるかもしれないけれども、政治から離れたところにある組織は危機管理に向かないんです。だから、外局として政治的にコントロールがきく行政機関にした方がいいと考えたんです。これは私の経験に基づいています。

 議論がいろいろあると思いますのでそこはしっかりと私もやりたいと思いますが、その思いだけは、事故を恐らく同じような思いでごらんになった吉野先生にはぜひ御理解をいただきたいと思います。

吉野委員 その点についてはこれからじっくり議論していきたいと思います。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

生方委員長 次に、井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治です。

 まずは、細野環境大臣、御就任大変おめでとうございます。

 私は、細野さんが環境大臣になりまして大変うれしく思っているんです。細野さんが、しっかり力のある、そして、若くて将来を嘱望されている、そんな若手のエースと言われるような政治家である、これはもちろんなんですけれども、それだけではなくて、やはり、これからの環境省、原子力関係の課題というものが環境省の仕事の大きな部分を占めていくわけですよね。そのちょうど端境期にあるわけです。放射性物質に汚染された瓦れきの処理、除染、そして原子力安全庁の設置、こういったことが大事な仕事となっているそのときに、いわば、それを震災以来ずっと携わってきた細野さんが責任者になられたということで、大変期待をしております。

 ただ、他方で、さっき田中理事から質問がありましたけれども、兼務については私もちょっと反対なんですね。あるいは心配をしているんです。本当に大事な仕事だからこそ、兼務でちゃんと務まるのだろうか。そういった原子力関係はまあいいんです。しかし、そうではない、地球温暖化とか生物多様性とか、いわば今までの環境省の業務であった、そこについて、兼務ということによって仕事がおろそかになってしまわないか、これを大変心配をしております。

 しかし、心配ばかりしてもしようがないので、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 それで、きょうは一時間たっぷり時間をいただきましたので、私が大事な仕事と思っております原子力の話と、それから地球温暖化の話を中心に伺わせていただきます。

 けさからもたびたびいろいろ質疑がありますけれども、原子力安全庁の設置、まず、いつこれを設置をされるか、教えてください。

細野国務大臣 現在、法案の準備をしておりまして、年内にはしっかりとした形にしたいと思っております。ですので、通常国会にはできるだけ早い段階で出させていただいて、できれば早目に御審議をいただいて、発足は来年の四月にしたいと思っております。

 来年の四月というのがなぜなのかということなんですけれども、事故が起こったのが三月十一日ですので、年度が明ければ一年経過をするわけですね。一年たって、深刻な反省に基づいて新しい組織をつくるというところまでいって初めて、国際社会が日本がそこまで本気になったんだというふうに考えると私は思うんです。

 ですから、発災後一年、一つの大きな節目でもありますので、来年の四月には新しい組織を立ち上げたい、そう考えております。

井上(信)委員 それは、残念ながら、全く我々あるいは国民の意識と私は違うと思いますよ。一年ですよ、震災から。一年以上ですよね、四月ということは。一体何をやっているんだ、さっさとやれというのが私は国民の声だと思う。反省点がたくさんあるからこそ、急いでやらなければ仕方ないですよね。

 これは、四月と言わずにもっと前倒しして、せめて年明けぐらいには設置するようにしてもらえないでしょうか。

細野国務大臣 井上委員の問題意識はよくわかりますし、私もできるだけ早く設置をしたいというふうには思ったんです。

 ただ、改正点は非常に多岐にわたりまして、組織も相当変えなければなりませんので、組織法の関係だけでも相当数に上ります。さらには、機能面で向上しなければ、新しい組織を立ち上げても中身がないということになりますので、例えば、電気事業法と炉規制法をどう整理をするのかというようなことも含めてやらなければならないんですね。しかも、国会審議があるということでございまして、相当これは早くやろうということで急がせて急がせてこれだけの大改正を今目指してやっている中で、何とかぎりぎり来年の四月というのが作業としてはいっぱいいっぱいのところなんです。

 ただ、あり方自体は早目に提示したいと思いました。したがって、私が試案を提示をしたのはことしの八月だったと思うんですが、基本的な考え方をお示しをしました。こういう国会審議を通じても実質的にはあり方を議論をしていただけるのは非常にありがたいことです。

 ですから、どちらの方向に向かっているのかというのは早目に国民にお知らせをして御理解をいただく準備をしながら、最終的な設置というものは何とか来年の四月ということで間に合わせたいというのが、これが現状でございます。

井上(信)委員 今、国会審議に時間がかかるといった答弁がありましたよね。ということは、この臨時国会に法案を提出するつもりですか。

細野国務大臣 通常国会に提出をしたいと思っております。

井上(信)委員 それで国会審議に時間をかけることはできるんですかね。通常国会ということになれば年明け。年明け冒頭、この審議ができればいいですけれども、通常であれば、まずは予算ということになります。予算が審議が終わってから、そうなるともう三月ですよ。それで本当に充実した審議ができるんですか。

 なぜ、臨時国会にこの設置法案を提出できないんですか。もう一度お答えください。

細野国務大臣 そこは非常に大きな改正になりますので、法律の改正作業にも時間がかかります。

 もう一つは、これは若干技術的な話にもなるんですけれども、新しい組織を設置をするとなると、これは予算にかかわります。ですから、予算関連の法案として通常国会に提出をするというのが通例のやり方なんですね。ですから、そこも含めて、予算と法律をセットでお出しをしてしっかり審議をしていただく、こういう形が少なくともこれまでのやり方ではとられた方法でございますので、それにのっとって通常国会に出させていただきたい、こう考えております。

井上(信)委員 それは私は細野大臣らしくないと思いますね。通常はそうでしょう。今は通常時ですか。今は通常時ですか、お答えください。

細野国務大臣 依然として原災法上の緊急事態でもありますし、まさに平時ではない状況が依然として継続していると思っています。ですから、できるだけ早く作業を進めたいと思いますし、国会でもできるだけ御議論をいただきたいというふうに思っております。

 ですから、法案の審議は確かに年明けということになってしまいますけれども、こういう御議論をいただけるのは大変ありがたいことだというふうに考えております。

井上(信)委員 例えば、同じ行政組織という意味では、復興庁、これだって、もう法案を提出して、そして年明けにもスタートするというふうに言われていますよね。これはやろうと思えばできるわけですよ。予算関連といったって、では補正予算の中に入れればいいじゃないですか。これをしないというのは私はおかしいと思う。

 そして、やはり心配しているのは、通常国会できちんと成立できればいい。しかし、なかなか新しい組織の設立というのは難しいですよ。いろいろな意見もある。そういう中で、国会審議に十分な時間がとれずに、本当に成立するかどうか。それはある意味不誠実だと思いますよ。国会軽視とも言わざるを得ませんよ。

 私は思うんですね。さっき細野大臣みずからおっしゃった、試案を発表された。これは八月五日ですよ。あのときに、私もちょうど再生可能エネルギー法案の連合審査があったものですから、そこで、当時の江田大臣にこの原子力安全庁の話をいろいろ質問させていただきました。

 なかなかいろいろな議論がある中で、あるいは、当時の枝野官房長官が反対をする中で、異論がある中で、それでも十五日には閣議決定に至っているんですよ。わずか十日間。私はこれは立派だと思う。政治主導として指導力をちゃんと発揮したんだな。やはり、新しい組織をつくるというのは政治決断ですよ。

 もちろん、細かいことはありますよ。いろいろ法律を変えなきゃいけない、条文の細かい精査もしなきゃいけない。しかし、そんなことを言っているのは、これは役人の理屈であって、やはり大臣の指導力を発揮していないと言わざるを得ませんよ。

 むしろ、ちゃんと法律を成立をさせる、そして施行までに、スタートまでに準備しなきゃいけませんよね。私はここをもっととらなきゃいかぬと思います。法律自体を提出をする、これは政治決断で幾らでも短くできますよ。臨時国会に提出をして、しかし、新しい組織ですから、いろいろ人事の配置なんかもある。そういう意味では、施行期間はある程度長くとって、では来年四月から、これならまだわかる。それなのに、なぜこういうスケジュールになっているのかわかりません。

 とりわけ、私ももともと国家公務員でした。あるいは、この政治の世界に入ってからも行政改革をいろいろ担当してまいりました。これはどうしたって、役所の縦割り、権限争い、そういった話が来るわけです。

 やはり、この検討期間を長く置けばそういう動きがたくさん出てくる。そうなると、細野大臣の理想とする原子力安全庁、この法案が骨抜きになってしまう。これを私は一番心配をしております。いかがですか。

細野国務大臣 国民から見たときに、来年の四月というのは遅過ぎるという御批判があるとすれば、それはもう私が甘んじてしっかりその御批判を受けなければならないと思っております。

 ただ、実態はこういうことだったんです。御指摘いただいたとおり、私が試案を出したのが八月五日でした。このときは、率直に申し上げると、菅政権がいつまで続くかよくわからない状況の中で、私も閣僚を菅政権で一区切りと思っておりましたから、試案を出したいと思ったわけです。そこで、かなり強引に省庁間調整もしてこれでいこうということで、八月十五日に滑り込みで閣議決定したんですね。

 あと、当時はもう菅政権がいよいよ終わりということが明らかになってきましたので、そこから私がやったことは、この新しい原子力安全庁を設置をする準備室のスタッフを集めました。これも大変なんです。私、当時は内閣府でやっていましたから、そういう一つの省庁を持ってスタッフをそろえるということができませんでしたので、したがって、保安院にも強く要請をし、文科省にも要請をし、警察にも防衛省にも要請をして人を集めたんです。大臣に頼んでもらったんです。室長や副室長は私が面接しました。約五十人のスタッフを集めました。そこまでして、一応何とかレールを敷いて次の大臣に渡そうとしたわけです。

 そこで、準備室の中で議論になったのは、とても来年の四月は無理だ、これだけの大改正は無理なので、来年の例えば下半期の九月からとか、場合によってはその次の年からという議論があったんだけれども、それじゃだめだ、最低限四月に設置しなければならないんだと相当私が口を酸っぱくしてようやく、じゃ四月にやりましょうというので準備をスタートしたのが八月の末なんですね、準備室を設置をしたのが。それはその後、結局は私が留任することになりましたので、その集めたメンバーとは、本当に頻繁に議論をしながら今法律をつくっています。

 ですから、国民の皆さんの感覚からすると、一年たって、準備に半年かかるというのは長過ぎるかという御批判はあるかもしれないけれども、私としては、少なくとも私のこれまでのこの問題に関する中でいうと、最速のスピードでやって何とか四月という状況になったということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

井上(信)委員 しつこいようですが、その話はどこかで聞いたことがあるなと思っていたら、復興庁の設置のときにも政府側は同じことを言っていましたよ。あれも当初は、年明けに通常国会に法案を出して、そして四月に設置をしますと政府側は言っていました。当時も閣内におられたから御存じだと思いますけれども。それを我々は、遅過ぎる、早くやれ、何度も言いました。そのおかげかどうか知りませんが、おかげさまで、ここで前倒しすることになりましたよね。

 ですから、少なくとも今の段階でそんなあきらめないで、努力して、頑張って、結果できなかったら仕方ないかもしれない。少なくとも、もう少し早くスタートできないかということについて、ちゃんと努力していく、そう答弁いただけないでしょうか。

細野国務大臣 できるだけ急ぎたいと思います。そして、それをできるだけ国民の皆さんにしっかりとそれこそ見ていただいて御判断をいただきたいと思いますので、作業は急いでいきたい。今御指摘のさまざまな御批判にこたえる意味でも、できるだけ早く方向性を出したい、皆さんにお示しをしたいというふうに思っております。

井上(信)委員 ぜひお願いしたいと思っております。

 それと、これは、私も説明を伺っているんですけれどもいま一歩よくわからないのは、いわば二段階論といいますか、とにかくできるだけのことをやって、そして設置をした後、いろいろな検証委員会の検証だとかエネルギー政策の見直しだとか、そういったことを踏まえて、来年末を目途にまた成案を得るという話になっておりますけれども、ここもちょっとおかしいんじゃないかなと。これは来年末ということになりますと、またこれが実際に反映されていくのは震災からもう二年後ということになりますよね。これはますます遅過ぎるんじゃないか。一体何をイメージしているか、いま一歩わからないんです。

 少なくとも、この二年後に想定しているその改正内容、これも、なるべくいわば第一段階の中に入れるように努力してもらいたいんです。いかがですか。

細野国務大臣 その点については努力をいたします。それで、今しております。

 多分、役所にもおられたのでいろいろと御経験もされていると思いますけれども、省庁を再編をするというのは物すごい膨大なエネルギーが各省間の調整で必要でございまして、各省それぞれこれまでやってきた経緯もあるし、人事もあるし、予算の権限もあるし、そういったものを異動するというのがいかにいろいろな意味で大変かというのは、多分御経験もされていると思うんですね。そういう中で、第一段階でやれることと、それからしっかり議論していかなければならない第二段階と、そういう経緯があったわけです。

 ただ、その中で、やはりこれだけ事故の問題が深刻で一元化が必要であるというのは国民の声でもあると思いますので、前倒しをできるところは前倒しをして、しっかりと方向性を改めて明確にしていくということはやっていきたいと思います。

井上(信)委員 ぜひお願いしたいと思っております。

 次に、この内容について伺いたいと思っております。

 私は、さっき申し上げた八月十日の連合審査の中でも、環境省に置いてくれ、置くべきだということを強く主張をしました。そういう意味では、結果的に環境省に置かれることになったというのは、うれしく思っております。

 ただ、大臣は本当に御苦労されたと思うんですけれども、やはり行政組織の再編というのは非常に難しくて、そしてさまざまな意見もあり、さまざまな観点から見ると、一長一短、メリット、デメリットがある。だから、環境省に置こうが内閣府に置こうが、あるいは行政組織にするのか委員会形式にするのか、どれをやっても、百点満点というのはこれは無理ですよ。ですから、そういう意味では御苦労をされたと思う。

 ですから、環境省に置くという案も、私も強く主張しましたが、これはなかなか百点満点は難しい。もちろん百点を目指してやっていく、その中で、ではデメリットをどうやって克服していくか。これから具体的な法律の法案作成になったり、あるいは詳細な制度設計をやっておかれる、あるいはその後の具体的な運用ですよね。その場で、やはりどこにメリットがあり、どこにデメリットがあるかということをよく考えた上で、なるべくデメリットを克服できるような、そういう作業をぜひしていただきたいと思っております。

 この八月十五日に閣議決定で定められた原子力安全庁設置のいわば五原則ですよね。これは私はそのとおりだと思う。この五原則は適切だと思います。独立性、これは利用と規制の分離、そして一元化、危機管理の対応、人材の育成、安全規制の強化、これはいずれも大切ですから、ぜひ順番にちょっと伺いたいと思っております。

 まず、利用と規制の分離ということで、独立性、先ほど吉野委員の方からも、これは独立性の観点が弱いんじゃないか、何とかならぬのかという御意見がありました。これは、だから、限界の中でにせよ、そのとおりだというふうに私も思っているんですね。

 そして、環境省、行政機関の中に設置したということが、おっしゃるように、やはり実効性を担保するためにはそういう選択だったという、これはこれで一定の理解を示すんです。

 ただ、よく言うように、やはり環境省も、必ずしもこれは原子力規制をやってきたわけではなくて、むしろ推進側に立っていた、地球温暖化の話ですよね。ですから、そういう意味では、推進側の環境省の中に置いたのか、こういった意見もあるわけですけれども、ここについてはどうお考えですか。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

細野国務大臣 二点、御説明申し上げたいことがあります。

 まず一つは、そもそも環境省というのは原子力に積極的だったのかどうかというところです。確かに、ここ数年は温暖化問題が非常に大きな課題として出てきましたし、目標を相当明確に明示をしなければなりませんでしたので、原子力発電というものも利用して温暖化の目標を達成していこうという方向にかじを切ったのは、これは事実だというふうに思います。

 ただ、その前どうだったのかということを考えれば、率直に申し上げると、原子力を推進をする経済産業省と自然エネルギーをやりたかったこの環境省と、予算のお互いの取り合いなどもあった中で、圧倒的にこちらの原子力が勝ってきたわけですね。例えば、今はエネルギー特会になっていますけれども、電源特会の時代から予算がどういうバランスで配分されてきたかは皆さん御存じだと思うんです。これは変えなきゃなりませんね。ここに経産省と環境省の力の差が出ていたわけですよ。

 ですから、もともと環境省は、決して、原子力発電所を推進をしてそちら側をどんどんやるという立場であったわけではなくて、本当は再生可能エネルギーをやりたくてその推進側だったんだけれども、なかなかそれが実現できなかったというのがもともとのルーツなんですよ。ですからそこは、もともとの考え方とここ数年言ってきたことというのは、これは若干のやはり変遷があるということはぜひ御理解をいただきたい、これが一点。

 もう一つは、先ほど来、答弁でも申し上げましたけれども、この事故というのをどういうふうに認識をするかです。私が環境省の職員に繰り返し繰り返し言っているのは、今回の事故は日本にとっては究極の環境破壊だと。見方によっては、歴史上最大の環境破壊と言うことができるかもしれません。

 環境破壊というのは、公害もありましたので、もう深刻な事態は幾つもあったので、これだけが最大だと言うと若干誤解を生むので、そこは、一定のいろいろなケースがあったということを想定をして私は申し上げますが、究極の環境破壊であり、最大の環境破壊の一つであることは間違いなかろうと思います。

 ですから、それに正面から向き合うのは、環境省のもともとまさに省としての出発点、庁としての出発点にあったところなんですよね。

 ですから、それを考えたときに、二度と同じ過ちを犯さない、すなわち、安全規制を緩めて事故を起こすようなことが絶対あってはならないというここのスタート台に立って安全規制を強化できる、そのように考えております。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

井上(信)委員 まず一点目ですけれども、申しわけないけれども、だからだめなんだと言わざるを得ませんよ。

 行政組織に置けば独立性がしっかり担保されない、この懸念はあるわけです。だから、やはり最大限慎重に、謙虚に受けとめてほしいんです。私が冒頭申し上げたのはそういうことなんですよ。それを、いや、経産省と環境省がいていろいろな思惑があって、実はそうじゃなかったんです、推進じゃありません、こんな言いわけしているようじゃだめですよ。期待できません。

 大臣、それは違うと思う。それは、そういう細かい議論はあったかもしれない、あるいはそういう思惑の人たちもいたかもしれない。しかし、国民には理解できませんよ、経産省対環境省みたいなことを言われたって。

 それは、政府全体で原子力を推進してきたんだ、地球温暖化対策は環境省がやってきたんだ。だから、どんな意図を持ってかは別として、環境省が原子力を推進してきたのは間違いないんですよ。それは謙虚に受けとめてください。

 ただ、その中で今、利用と規制の分離をやるんだから、ちゃんと受けとめた上で、推進側に引きずられないようにちゃんとやっていけばいいと思う。だから、私はそこはちょっと違うと思いますよ。

 それから、今の二点目ともかかわるんですけれども、五原則の次の一元化の話、これは私、本当に大事だと思う。

 私が八月十日の日に何で環境省に設置すべきかと言った最大の理由、これは、細野大臣の今までの発言を聞いていても余り見受けられないんですけれども、国民の目線なんですよ。国民がどういうふうに見ているか。おっしゃるように、最大の環境汚染ですよ。そういう中で、国民が、安全な暮らしをしたい、国民生活の環境を守ってほしい、そう思っているわけです。

 その環境というときに、やはり放射能は放射能なわけですよ。だから、それは一元化をしなければいけない。放射能といったときに、いや、これは経産省の所管です、文科省の所管です、内閣府の所管です、そんなことを国民に言われたって困る。だから、環境省が一元化して原子力安全をやっていく、これが一番大事なんですよ。だから、それを内閣府に置いてしまえば、環境省に従来からの環境行政は当然残っている、そこが二元的になってしまう、私はそう思っているんです。

 放射能だけではありませんよ。例えば、水だって、大気だって、土だって、水の安全、大気の安全、土の安全といったときに、放射能も怖いですよ。しかし、そのほかの物質だって怖いわけですよ、アスベストだろうがPCBだろうが。そして、そんなことは国民にはよくわからぬ。しかし、安全な水を飲みたい、安全な食品を食べたい、安全な土の環境で暮らしたい、ポイントはここですから。そういう意味で、この一元化は非常に大事だと思う。

 ただ、これが大事なのに、今の案、これは不十分ですよ。このポンチ絵もいただきましたけれども、これは本当におかしいと私は思いますよ。

 原子力安全の行政分野、ここに入っていないもの、たくさんあるじゃないですか。例えばモニタリングだって、モニタリングの司令塔機能は移す、しかし、実際のモニタリングはまだ文科省などが行うということですよね。放射線防護についてだってそうですよ。あるいは、もっと言ってしまえば、食品とか農産物は厚労省なり農水省がこれからもやっていくということですが、そうなると、一元化というのは絵にかいたもちになってしまうと思う。いかがですか。

細野国務大臣 まず、先ほどの私の発言に対する井上委員の御発言ですが、私も、若干謙虚さが足りなかったかなと思っております。

 確かに環境省は、地球温暖化という観点から、特にここ数年、原発については推進のサイドでいろいろな発信もしてまいりました。そして、その結果として、原子力行政そのものを担っていたわけではないけれども、政府一体として推進をしている中で、最大の、究極の環境破壊を起こしてしまったわけです。ですから、その反省は環境省自体もしなければならないと思います。

 そして、その深刻な反省に立つからこそ、原子力安全についてしっかり取り組むことができるということだというふうに思いますので、今は本当に貴重な御指摘をいただいたというふうに思います。感謝申し上げます。

 二点目の一元化の問題でございますけれども、これは関係者の間で相当議論をいたしましたが、率直に言うと、煮詰まりませんでした、少なくとも八月の十五日までの段階では。

 実は、放射線ということに関して言うと、非常にちょっと幅は広うございまして、すべてを全部集めるというのは必ずしも効率的でない部分があるんですね。

 例えば、今、井上委員が御指摘をされた食品の安全基準というのも含めて、では、この原子力安全庁が全部担うのがいいのかというと、これは実際に食の問題、農業の問題ともかなり直接的にかかわるので、ちょっとそこは、やはり全部集約するのは無理ではないかというそういう議論をいたしました。

 一方で、モニタリングやSPEEDI、これは深く関連しますが、この二つ。さらには、例えば核物質防護の問題ですね。さらには、RIというのもあります、先ほど出ましたけれども。そういったものも含めて、放射性物質全般のベースにあるもの、あと放射線審議会もありますね、そういったものをどこまで一元化するかというのは、私もできるだけ一元化の方向を目指すべきだという考えで議論をしたんですけれども、率直に言うと、そこは煮詰まらなかったところがあるわけです。

 そこで、今どういったところまで集約できるかというのは、もう一度議論をしておりまして、閣議決定したものは八月十五日に出ておりますけれども、そこからさらにどうなのかという議論を今やっているところであります。

 ですから、今貴重な御提案もいただきましたので、国会でそういう議論があったことも踏まえて、政府内で再度検討してまいりたいと考えております。

井上(信)委員 そうすると、確認なんですが、こういったポンチ絵なりあるいは文書もいただいていますけれども、これ以外の部分についても原子力安全庁に移管する可能性がある、これからもさらに検討していくということでよろしいですね。

細野国務大臣 一元化については、これまでは、原子力安全・保安院という経産省のもとに一つ、そして内閣府のもとに原子力安全委員会、文部科学省のもとにこれは放射線関係の旧科学技術庁の流れがあって、三つ並んできたわけですね。若干、国土交通省にもありました。正確に言うと四つ。

 この中で、保安院と原子力安全委員会のものは完全に一元化をします。さらに国土交通省も一元化をしますので、四つが二つにはなるわけですね。四つのうち三つが集まるわけです。そして、文部科学省のものの一部も来るということになっているのを、さらにどこまでしっかりと一元化できるかというのが今の御議論だというふうに承知をしております。

 そこで書いたのはもう既に確定をしているものですが、さらに一元化というものがどこまでできるか、それをしっかりこれから協議をしていきたいと考えております。

井上(信)委員 これはぜひ頑張ってもらいたいですね。さっき言ったいわば縦割りとか権限争いとか、まさにこういう話になるわけですよ。あの試案が出て、閣議決定されて、直後に当時の高木文科大臣が、いや、これは文科省に残しておくんだと会見されていましたけれども、やはりどうしたってそういう話になるんです。そこを乗り越えていく。国民の目線で、やはり放射能安全、原子力発電といったら原子力安全庁だねとみんな思うわけですから、これは、本当に不退転の決意でしっかりしたものを出してもらいたい。私はこれでは満足できません。おかしいと思う。

 それと、関連する話ですけれども、大臣は御存じだと思いますが、水にせよ、大気にせよ、土にせよ、放射性物質を除くといった適用除外の規定が各法律にありますよね。あれは本当に大問題ですよ。権限争いで行政組織の中での移管という話ではなくて、いわば立法の不作為で、法律がなくて措置することができないということになっているわけです。

 それは、今までは、原発などが事故を起こすことは考えられないということで、サイトの中はともかく、サイトの外に放射性物質が行くことは考えられないということで適用除外になってきたというのが、これは建前ですけれども、実際には、その都度、組織再編のときに権限争いがあったんですよ、縄張り争いが。その中で適用除外で抜かせたわけです。そういうことがあって立法の不作為になって、今回のこの大事故で国民が困っているわけです。

 立法の不作為なんというのを大至急措置するというのは、これは行政の責任です。しかし、このことに関してもほとんど発言がありません。

 私は委員会で江田大臣に何度か聞きました。江田大臣からは、一応前向きな答弁はいただいております。しかし、今回の原子力安全庁の設置に関して、ここをやらなきゃしようがないでしょう。

 だから、ここについて第一弾でしっかり措置する、これを明言してもらいたいと思いますが、いかがですか。

細野国務大臣 非常に大事な御指摘をいただいたというふうに思っております。

 今回、議員立法でお願いせざるを得なかったんですね、除染も含めて廃棄物について。これは、今、井上委員が御指摘をされたような、環境関連の法令、法制すべてにおいて放射性物質というのが除外をされていたことが原因でございます。そういう、例えば環境基本法を初めとした環境省の法令に入っていないものを閣法でなかなか出すことができなかったという、そういう限界がございました。そこを立法府にすくっていただいたと私は思っております。

 次はやはり行政の側がしっかりと改めるべきところだというふうに思っておりまして、既に、環境法令関係の放射性物質の取り扱いについては、すべての法令において改正の準備を進めるように指示は出しております。今その作業をやっているところでございます。

 できれば早く出したいというふうに思っておりますが、これもかなりの数の法律にかかわりますし、それによって玉突きで違う法律も変わるというところもあるものですから、まだいつ出せるということを確約はできませんけれども、できるだけ早く法律として提出をしたいと考えております。

井上(信)委員 そのための半年間なんじゃないんですか。四月なんでしょう。そうしたら、半年あればできるでしょう。そこは確約してください。

細野国務大臣 今私の手元に、環境基本法、その裏側には原子力基本法もあります。大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、さまざまな法律がありますので、既に作業に着手をしております。

 基本的には、この部分は環境省の所管の法律ですので、今、半年があるというのは……(井上(信)委員「四月まで」と呼ぶ)四月までには、まだ時期をしっかり明示をするところまで準備はできておりませんが、四月までには出すべく、改めて指示をしたいというふうに思います。

井上(信)委員 四月までやってくれるという答弁だと理解しますけれども。

 大臣が御紹介いただいた、我々が議員立法でやった放射性瓦れきの特措法、この附則の六条の中にもこれを書き込んでいるんですよ。抜本的な見直しを含めて検討を行って措置をすると。これは立法府の意思でもあるわけですよ。ちゃんとこれは尊重してもらうように、重ねてお願いを申し上げます。

 それと、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、次は人材です。

 この人材については、本当に私は難しいと思います。大臣もいろいろ御苦労をされたと思うんですね。この八月十二日の関係閣僚了解というペーパーがありますよね。これは、四枚のうちの一枚分ぐらいは全部人材の話であって、それだけなかなか難しいんだなと思っています。

 いわゆる原子力村、何をもって原子力村と言い、そして、個別にだれが原子力村の住人なのかというのは難しいところだと思いますけれども、限られた専門分野で人材を登用しなければいけない、活用しなければいけないということになると、どうしたって、今まで原子力利用推進側に少しでも携わっていた人間が入ってしまうというのは、これはなかなか難しいですよ。

 あるいは行政組織にしたって、保安院、安全委員会を廃止して安全庁をつくるわけですよね。そうしたら、その人材を活用しなければ、生首を切るということになりますよね。これは労務管理上もどうかなというのは確かにあると思います。でも、だからこそ、よく工夫してもらいたいんですね。

 私は、最後はやはり、職員の意識改革とか、組織文化の転換とか、あるいは、大臣初め政務三役のリーダーシップだと思いますよ。そういう中で、やはり原子力安全は大事だから、とにかくその観点から行政を担うんだということをやっていくということだとは思っています。

 そうはいいましても、制度の話をしなければいけませんから、まず、国際原子力安全研修院、この構想なんですけれども、これは一体どこに置くイメージなんですか。国の機関として新設するということですか。

細野国務大臣 そこを今詰めの作業をしておりまして、まだ確定をしているわけではありませんけれども、基本的には、国が直接人材を育てる場所として原子力安全研修院というのをつくりたいと思っております。

 既に予算でも、それを調査費という形で要求をしておりまして、どういった組織をつくるのがいいのかということについては、国際的ないろいろな知見は既にあるんですけれども、さらにもう一度、どういう形が一番人材の育成に寄与をするのかというのを今調査を始めたところであります。ですから、もう少しそこはお時間をいただきたいというふうに思います。

井上(信)委員 人材の育成自体はすごくいいことだと思うんです。

 それで、今、原子力を学ぶ学生が減っている、あるいは大学の学部がつぶれている、こういう問題意識があって、本当に人材育成は大丈夫なんだろうか。私も心配していますよ。

 しかし、やはりそれを国の機関として設置してやっていくというのは、本当にいいのだろうか。行政改革の観点からしても、国が直轄の新しい機関をつくるよりも、いわば民間でそういった人材の育成ができるように、研究開発、研修、こういったことができるように、これを後押ししていくのが私は国の仕事だと思いますけれども、いかがですか。

細野国務大臣 そこは非常に悩ましいところなんですね。

 多分、井上委員も御存じだと思うんですけれども、大学の原子力に関する学科も今非常に小さくなってきておりまして、必ずしも人気もないということで、学生が集まりにくくなっています。さらに、民間のといったときも、幾つか可能性があるところはもちろんあると思うんですけれども、それこそ、これは仮定のことですので断定は避けなければなりませんけれども、原子力発電がこれからどういった形で発電源として認められるのかということによっても変わるわけですね。

 つまり、原発はこれからも続きますよということであれば自然に人は集まると思いますよ。ただ、逆に、原発はもう減らしていこう、あるところでここで終わるんですといったときに、人材が集まるわけはないわけですね。そこは、これから原発についてどうするのかという議論を来年の夏までかけてするわけですが、不確定要因になっているわけですよ。そうなってくると、どういう状況になろうが、日本の国内で原発がなくなるまでは安全規制をしっかりしなきゃならないから、人を育てなければなりませんね。

 ましてや、東京電力の福島原発の廃炉を最後まで安全の観点から見届けなければなりませんから、これは十年で終わるわけはない。何年かというのは、これも言及は避けますが、相当の期間がかかるでしょう。これも見届けなければならない。そうなってくると、民間で不確定要素にある原子力の人材を本当に育て得るかというところに迷いがあるわけです。

 そこで、形はまだ最終的に決めているわけではないんですけれども、国が相当の程度関与する形で人材を育成をし、それで、海外にもどんどん出してそのレベルを上げていく、海外からも人を連れてきてそこで知見を学ぶ、そういう場所がやはり必要ではないかなと考えたわけです。

 ただ、そこは、それこそ行政組織を全体としては小さくするという流れもありますし、民間のいろいろな知恵を活用するという考え方もありますので、もしいろいろなアドバイスをいただけるようであれば、御党からもいろいろなアドバイスをいただいて、いいものをつくりたいというふうに考えております。

井上(信)委員 まだ検討中だということなので。

 そういう国の責任として推進していくためにある程度関与していかなければいけない、それは理解できるんです。しかし、国の直轄でということになると、私は、行政改革の観点からもやるべきではないと思います。

 民主党の中でも事業仕分けとかいろいろなことをやられて、そして、各省庁それぞれ研修機関だったり研究機関があるわけですよ。これはやはりおかしいじゃないか。統合したり再編をしたり、そうしている中でこういうものを国の直轄でつくると、何だ焼け太りじゃないかと思う国民は大勢いると思いますよ。ですから、そういった観点でこれから検討されるということですから、ぜひ御検討をお願いしたいと思っております。

 もう一つ、これも行革のような話ですけれども、長官人事をどうするのかという話が出ていますよね。これはまだこれからの話だとは思うんです。官民の英知を結集してということはわかるんですが、これはよもや役所のOBがこの長官につくということはないだろうなと。いろいろ週刊誌等々なんかだともう既に何だか下馬評が出ていて、経産省のOBだ、保安院の元院長だ何だなんて具体名まで挙がっているものですから、大変心配しています。

 これは、やはり独立性の観点からも、少なくとも経産省のOBだけはこの長官に指名する気はないということを明言してください。

細野国務大臣 この長官人事は組織のあり方を根本的に決めるぐらいの重要性がありますし、初代の長官がどういう方向にこの原子力安全庁というのを持っていくのかというのは、その後にも非常に影響すると思っています。ですから、もちろん大臣も大事ですけれども、それと同等もしくはそれ以上に大事な役職だというふうに思っております。

 したがいまして、ここは、例えばローテーションの人事であるとか、それこそ省庁のバランスをとった人事なんということはあり得ませんし、ここはもう私明確に申し上げられます。経済産業省の影響力のある人がここに座って従来どおりやるということはあり得ません。したがって、OBも含めてそれはないということは断言できます。

井上(信)委員 しっかり明言していただいて大変ありがとうございました。

 それと、ノーリターンルール、これもいいとは思うんですが、なかなかこれは制度設計が難しいですよね。ノーリターンルールといっても、全員というわけにいきませんよね。そういう中で、ではどこまでノーリターンにするのか。

 例えば、最高幹部である局長級クラス以上なんとなりますと、ノーリターンといったって、そもそも上がりポストみたいな話ですから、リターンもへったくれもない。むしろ、何だか指定席、天下りポスト、そんな植民地支配みたいな話になりかねませんよね。

 だから、例えば課長とか室長とか、それぐらいからノーリターンルールを徹底をさせる。そうすれば、いわば役人人生の半生をこの原子力安全庁で過ごすということになれば、本当の意味での独立はできると思います。だから、その辺をどうお考えなのか、教えてください。

細野国務大臣 ここも非常に悩ましいところだと思っているんです。といいますのは、人事をどのようにして人をどう育てていくのかということによって、組織の質というのは大きく変わってくるからです。

 私は今環境省を所管するようになって、若手の職員の様子も、本当に優秀な人がたくさんいますし、いろいろな思いを持っている人がいるので、できるだけ話をしたり様子を見たりするようにしているんですけれども、やはり、若手のときは違うところにも行っていろいろなそれこそ修業をしてきた方が人材は育つと思うんです。実際に、一ところにずっといる人よりは、むしろいろいろなところを経験をしてきて、それを生かして活躍をしている人の方がやはり多いですよね。

 ですから、ノーリターンルールというのを全部初めから徹底をして下からしか育てませんということになると、むしろ人材が育たない。むしろ若手のときは、環境省で採って原子力安全庁の職員にした場合も、あっちこっちに行っていろいろ経験をしてきた方がいいだろうというふうに思っておるわけです。

 ですからそこは、今の時点では、確定的に全員がノーリターンの中で育ってもらった方がいいというふうには思っていません。

 ただ、では、逆にどこからノーリターンにするのかですね。局長は当然だと思います。局長は幹部ですから、それこそ親元を見ながらやるようなことはあり得ないので、それは大前提ですね。そこからさらに下、今、課長というのを例を挙げられましたが、その辺も含めてどこまでこれを徹底することが実質的に強い組織になるのか、求心力のある組織になるのか、そして人が育っていくのか、そこは思案のしどころだと思っております。

 場合によっては、役職によってもちょっと違うかもしれませんね。ですから、本当に技術的にあっちこっちで修行してきた方がいいポジションもあるかもしれないし、ここはもう下から育てた方がいいというようなポジションも、組織を維持する上では、例えば総務的な仕事についてはあると思います。

 ですから、そこは全体で一律の基準にした方がいいのか、若干それぞれの役職によって差をつけながら基準をどこかで引いた方がいいのか、今はまだ結論が出ておりません。ですから、個別にいろいろ当てはめる中で場合によっては判断をしていくという必要があるかもしれません。

井上(信)委員 これからだということで、こちらの方もぜひ検討してもらいたいと思っています。

 それから、時間がなくなってまいりましたけれども、地球温暖化の問題について移りたいというふうに思います。

 もうこれは先ほど来いろいろな質疑がありまして、幾ら我々が質問しても、何だかもうすれ違いというか、全く満足いく答弁がもらえない。残念ながらそうですよね。私は細野さんに期待しているだけに、ちょっと残念ですよ。今までの松本大臣や江田大臣、同じような答弁をしていました。これじゃ全く変わらない。何だか役所に言わされているような、そんな答弁ですよ。国民の感覚からして、どう考えたっておかしいだろう、前提条件がこんなに変わって、何で出し直さないんだ、考え直さないんだ、だれだって思っていると思いますよ。

 何でそんなにこだわるんですか。むしろそれを聞きたい。マニフェストに書いてしまったからとか、あるいは国際約束をしたからとか、よくわからないですよ。何でこだわるんですか、教えてください。

細野国務大臣 こだわると言うと、何といいますか、個人的なこだわりとかひっかかりとかいうふうにどうしてもとれてしまうんですけれども、そういうことではないんですね。

 これまでの検討した経緯があり、それを国会にも提出をし、カンクンの中でも我が国は主張したという経緯からいって、現状、そういう状況だということは、これはやはり認めるべきだろうと考えるわけです。それを例えばこれからいろいろ再検討するのであれば、それはそれなりのやはり根拠が必要ですね。

 確かに状況は変わりましたよ、原発で状況は大きく変わりましたけれども、それによって、では日本はどういうエネルギーの供給を考えるのかということについての根拠を示さなければなりませんね。それによってどういう影響が出るのかというのも客観的に示さなければなりません、温暖化については。

 ただ、そのときに忘れてはならないのは、さらなる努力が何かできないかということですよ。節電や、それこそ省エネルギー、さらには自然エネルギーも含めて、努力をできる余地はたくさんあるわけだから、そこはどこまで努力をできるのかというのもチャレンジをしないと、状況が変わりましたからといって、それこそ安直に結論を出せる問題ではないわけですよ。

 ですから、私が申し上げていることは、何もこれまでの方針を、とにかくもうずっと持ち続けて変えないんだということを言っているのではなくて、今はそうなんです。あとは、状況が確かに変わっている中で、どうこの状況を整理をして、では方針を出していくのかということについては、もう少し時間がかかる。それは来年の夏ということで期限を設けているわけですから、そこはそこでしっかりと判断をしていく、そういうことを申し上げております。

井上(信)委員 大臣、それは私の質問を勘違いしていますね。

 新しい法案をつくり直すのかどうかという質問だったらそうかもしれない。根拠が必要でしょう。まずは、根拠が、前提が崩れた法案を取り下げろと言っているんです。そのためには、そんな精緻な検討をしなくても、明らかに前提条件が狂ったんだから、それはとりあえず取り下げる、そして、今の、地震を受けたその状況にふさわしいものをしかるべきときにまた出し直しますと言う方が、これは当然だし、国民に対して誠実じゃないですか。いかがですか。

細野国務大臣 ここまで井上委員と随分建設的な提案もいただきましたし、私もできるだけ率直にお答えをしましたので、そういった意味ではある程度かみ合った議論ができたかなと思ったんですが、ここのところはぜひ御理解をいただきたいわけです。

 つまり、カンクンに対しての国際的な我々が示したものもある、国会にそれこそ継続審議でかかっている法案もある、それをしょっている立場ですから、そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

井上(信)委員 しょっている立場というのが全くわからないんですけれども、何かメンツとかそういう話ですか。

 恐らく国民も、国際交渉でいえば諸外国も、おかしいと思っていて何で直さないのか、しょっているものをおろせよとみんな思っていると思いますよ。だからそこが、こだわる理由が全くわかりません。

 環境省の方なんかに聞きますと、COPという国際交渉に臨んでいるときに、いわば旗をおろすわけにいかないというようなことを言うんですね。だから、私はこれが全く逆だと思う。間違った旗はおろさなきゃだめですよ。でなければ信用されませんよ。

 横光副大臣がプレCOPに行かれて、そしてこの報告もいただきました。だけれども、この概要を見たって、我が国の取り組み、温対法の話は何も出てこないじゃないですか。いや、本当に旗をおろさないで、国際交渉のためにこれを継続審議し続けることが必要だと言うのであれば、何でこれを前面に打ち出さないんですか。それはやはり、諸外国からおかしいだろうと思われているからでしょう。だから、私はこれは全く違うと思う。いかがですか。

細野国務大臣 このCOP17に向けての先日のプレCOPも含めて、日本の立場というのは、もう少し幅広いものとして受けとめていただくべきものだと私は思うわけです。

 先進国の中でも、京都議定書以来、途上国のさまざまな支援に日本は地道にずっと取り組んできたわけですね。CDMの枠組みも含めて、国際的な協力をできるだけ広げていこうという努力もしてきたわけです。そういった意味で、これまでさまざまな努力を積み重ねてきました。

 ですから、今、この二五%前提つきのやつをおろさないと日本は信用されないということをおっしゃられましたが、私はそうは思っていないわけです。全体のトータルで我が国はこういう主張をしているんだということを横光副大臣にこの間の会議で言っていただきましたので、それをさらにできるだけ深掘りできれば、する形で私もCOPの17の会議には臨みたいというふうに思っております。

井上(信)委員 あと、先ほど来大臣が答弁をされて、会見でもおっしゃっていますけれども、政府としてはベストの案を出している、しかし、自民党案、公明党案を見ながら、国会の議論を通じて、柔軟に受け入れる姿勢で臨んでいくというような趣旨の答弁を繰り返されていますよね。これはおかしいですよ。国会に法案を提出して、審議もされていない中で、これはいわば修正の話でしょう。この修正の話を、閣法の責任者である担当大臣が審議も進んでいない段階で言うというのは、これはどういうことですか。

 今、ねじれ国会以来、ある意味、我々野党のことをちゃんとおもんぱかってくれているのかもしれません。あの補正予算だってそうじゃないですか。そんなことを言っているけれども、これは逆に国会軽視ですよ。我々自公政権時代であれば、こんなことを言ったら、まず、当時の野党の皆さんに国会をとめられて、そんなの審議に応じられない、ベストな案を出せと言われますよ。だから、ここは感覚が全然違うと思いますね。修正協議を受け入れる余地はあるけれども、ベストな案だと思っている、これは論理矛盾じゃないんですかね。

 ですから、私はうちの両理事には何の許可もいただかずに言いますけれども、これは、こんな案を出してきたって審議に応じられないですよ。もう取り下げろと。我々、継続審議も反対で出していますけれども、これはもう取り下げろと強硬に主張していく以外ありません。修正の可能性に今から触れられる、それでは我々は審議に応じられないということをこの場ではっきり言いますけれども、いかがですか。

細野国務大臣 そこは井上議員、国会の状況というのは、その時々でずっと変わってきているわけですよね。我々も野党時代のある時期からねじれ国会を経験をし、確かに今おっしゃったようなことを言っていた時期もあるかもしれませんが、その中で政府がいろいろ柔軟に対応する姿を見てきました。我々が今度与党になって、再びまたねじれ国会が実現をし、我々も柔軟に対応しなければならないという状況を迎えました。

 ですから、政府が閣法を出しているから硬直的にそれを守らなければならないとか、政府は、ベストな案なんだから、わずかでもそれについて修正に言及したらそれは法案の審議に値しないとは、ちょっとどうでしょうか、硬直的にお考えになり過ぎているんではないかという気がいたします。

 ですから、そこはいろいろな御議論があるのは承知をしておりますので、いろいろな御議論があれば、それは真摯に受けとめて柔軟に対応するという姿勢で臨みたいと考えております。

井上(信)委員 国会審議ですから、当然、その中で修正の協議とか修正ということも、これはやってもらいたいと思っています。そんなことを言っているんじゃないんですよ、おわかりだと思いますけれども。だけれども、審議に入る前からそんなことを言っているのが本当にベストな案かと、ベストな案をちゃんと出せと。そして、それが出せないんだったら、まずはベストじゃない案を取り下げろということを言っているだけですから。

 ただ、これは引き続き我々は主張してまいりますので、本当によくお考えいただきたい。ここで角突き合わせてたって何にも進展しませんよ。

 本当にこの地球温暖化を進めたいんだったら、これは取り下げることです。取り下げた上で、我々与野党で協議しましょうよ、政府とも協議をしましょうよ。それが本当に国民のためになる、ちゃんと地球温暖化を考えているということの一番のあかしですよ。細野大臣らしくない。つまんないことにこだわらないでほしい。ぜひお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

生方委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

生方委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 細野環境大臣、御就任おめでとうございます。

 この環境行政でございますが、先ほどからも議論になっていますように、従来から、重要な地球温暖化対策やごみゼロ社会を目指す循環型社会、さらには自然との共生、生物多様性、また、水そして大気、土壌等の環境問題、水俣病を初めとする公害問題等々、大変重要なテーマを担う環境省であり、また環境委員会であるわけでございます。

 その大臣となられましたが、そこに細野大臣は原発事故の担当大臣としても兼務をされているわけですが、その兼務については、先ほど来からもございましたけれども、私も懸念するところは大きいものがございます。しかし、またその一方で、今、環境省は大変重要な役目、すなわち、放射能汚染による環境問題等を所管することに、特別措置法の成立等々でそのように所管が大きくなってきたところでございます。

 その細野大臣のお役目、大変重要かと思っておりますし、また、非常に若々しい大臣でございます。そして、歯切れのいい答弁をなされてきてもおります。その環境大臣、細野大臣に私も大変期待するところ大でありまして、喜んでいる者の一人でございます。

 最初に、環境大臣としての決意についてお伺いをしたいと思います。

細野国務大臣 江田委員の方から激励をいただきました。ありがとうございます。

 今回、環境大臣を受けるに当たりまして、二つのことでしっかりと役割を果たしていかなければならないというふうに感じてまいりました。

 一つは、これだけの事故という、非常に日本が経験をしたことがない深刻な事態を受けて、この放射性物質の汚染の問題に正面から向き合っていく、そこは、これまでの経緯を最も知っている人間の一人として責任があるということが一つ。

 そしてもう一つは、この放射性物質の問題に限定されることなく、環境省が担っている役割は極めて広うございますので、そこを絶対に怠ることなくしっかりやっていきたいということであります。

 所信の中でも申し述べましたけれども、私、もともと田舎の方で育ったということもあって、生物多様性であるとか、そうした環境問題に対する、子供のときに何度か怒り、憤りみたいなことを覚えたこともありまして、そういったことについても思いは持っております。

 ただ、そこは、諸先輩方、本当にこれまで懸命に取り組んだ方々がたくさんいらっしゃいますから、そういった方々の御指導もいただきながら、これまで環境省が担ってきた役割を決してないがしろにすることなくしっかりやる。

 この二つの決意を新たに、私自身、この任に当たっているところであります。

江田(康)委員 しっかりと環境大臣として活躍をしていただきたいと思っております。

 早速に質問に入らせていただきますが、まず、除染の問題についてお聞きをさせていただきます。

 原発によって、今回、広範な土壌の汚染が発生しているわけでありまして、これは被災地においては復旧復興の大きな妨げとなって、その一刻も早い除染が待たれていることは、これは言うまでもないことであります。住民にとっては、早く安心して生活を送れるようにしたい、また、避難されている方々が一刻も早くふるさとに戻って生活をしていただく、さらには、子供が安心して生活できる環境を取り戻すためにも、もはや一刻の猶予もないというのがこの除染の課題でございます。

 しかし、除染をどのような方法で、そしていつまでにこの除染を実施するのかについて、国がいまだに具体的な内容を明らかにしていない、また、各府省間の連携がこれは本当になされているのか、除染作業がなかなか進まないその大きな要因にこれらがなっていると私は思います。

 去る十七日に、私は、この除染作業の実態を調査するために、我が党の井上幹事長や石井政調会長とともに福島県の伊達市また福島市などを訪れまして、除染の現場を視察してまいりました。この地元の首長の方々からは、政府は除染に十分な予算を確保した上で迅速に対応をしてほしい、そういう厳しい要望が相次いでおりました。

 そこで、今回の除染に向けた政府の取り組みについて、幾つか細野大臣に伺ってまいりたいと思います。

 まず、この除染モデル事業の迅速な実施について確認をさせていただきます。

 八月二十六日に原子力災害対策本部は除染に関する緊急実施基本方針を決定して、この方針に従って政府は、福島県内の十二の市町村で除染モデル事業を開始する、そして、それを検証した上で本格的な除染を一月一日から開始するということにしているところでございます。

 福島県の方では、内堀副知事、また飯舘村の菅野村長等からお声を伺いました。声をそろえて、除染の開始が遅い、政府はやるやると言いながらもいまだにスタートができていないではないか、政府は国が責任を持つと言いながらも、実際の対応には格差がある、こうおっしゃっておられましたし、もう雪が降る、降雪時期になる前に迅速に除染作業を開始してもらいたい、こういう強い要請があったわけでございます。

 政府が、十九日ですか、この除染モデル事業の説明会を川俣町においてなされました。参加された住民の方々からも、いつになったら家に戻れるのか、本当に放射線量が下がるのか、仮置き場の設置は絶対に反対する、こういう声が上がったわけでございます。

 このモデル事業にすら住民の十分な理解がなかなか得られない状態で、本格的なこの除染作業を本当に開始することを政府ができるのか。この除染事業を今後しっかりと進めていくためには、住民の理解が大前提であります。

 そのためにも政府は、あらゆる情報を包み隠さずすべて公開して、そして住民に理解を求めていく地道な努力が欠かせない、私はそのように思います。

 そこで、政府によるこの除染モデル事業、これは私は大きく二つあるかと思っております。それは、警戒区域また計画的避難区域におけるその除染モデル事業、もう一つは、特定避難勧奨地点を含む、低レベルの放射線濃度である地域ではありますが、そういう地域でのモデル事業。

 まず、警戒区域や計画的避難区域の十二市町村、これを決められたということでございますが、この市町村というのは具体的にどこで、しかもこのモデルの実施地区は決まっているのか、改めて確認をさせていただきます。

 大事なのは、市町村ごとの具体的な開始時期はいつになるのか、その課題についても明確な答弁を求めたい。また、本格的な除染作業の実施に向けてどのような具体的なスケジュールを今持っているのか。それについてもお答えいただきたいと思います。

細野国務大臣 除染につきましては、まだまだ課題が数多く残っているというふうに考えております。

 先週末、私も福島県の方に入りまして、いわき市だったんですけれども、広野町の住民の皆さんやいわき市の皆さんと懇談の機会を持ちました。そこでも、除染に対しての強い要望とともに、政府の取り組みがまだまだ不十分であるという厳しい声もいただいてまいりました。

 したがって、改めて、今週に入りましてから、除染の体制、予算はある程度つけておりますし、環境省はある程度人を出そうということでやってきているんですが、各省のさまざまな取り組みも含めて全体としてしっかりと体制をもう一度整え直すということで、再度、取り組みの加速をできる体制、それを今整備をしているところでございます。

 引き続いて、いろいろ皆さんに御心配をおかけをしていますので、もう一度体制づくりをしっかりやりたいと思っております。

 それで、御指摘のモデル事業なんですけれども、モデル事業の対象といたしましては、避難区域にかかわるすべての市町村を対象とするという形になっております。したがいまして、該当市町村といたしましては、南相馬市、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町、飯舘村、川俣町、葛尾村、田村市、川内村、この十二の市町村ということになってまいります。

 それぞれの市町村に個別にやはりきちっと対応していかなければなりませんので、それぞれの市町村を担当する政務の人間を限定をし、そしてそこに対応する官僚も、これまで比較的若い職員が対応してきたという経緯がありますので、もう少しキャリアのある人間、長く勤めている人間を該当することで、今、各市町村としっかり除染についてのモデル事業のあり方を練っているところです。

 といいますのも、今人が住んでいないとはいっても、それぞれ皆さん私有地を持っていらっしゃいますし、その市町村の中でどこの地域をモデルとするかということについては、市町村の意向をしっかり尊重しなければなりません。

 そして、もう一つ大事なのは、除染はしたはいいけれども、どこに持っていったらいいかわからないということではいけませんので、仮置き場を決めなければなりません。これも、市町村の意向をしっかりと踏まえなければなりません。

 実は、私も幾つかの市町村については、個別に、ぜひそれを具体的な案を出してもらいたいということで市町村長さんに申し上げたこともあるんですけれども、なかなかどこの市町村も難しいということで、時間が、お互いにそういう努力をしながらもかかってしまったという経緯があるんです。

 ですからそこは、直接担当者を決めて個別にしっかりとやることによって結果を出していくしかないと思っております。

 個別の市町村の名前は、それぞれ進んでいるところと若干おくれているところがありますのでぜひ御容赦をいただきたいんですけれども、幾つかの自治体では除染の地域と仮置き場の場所は決まっておりますので、十一月の早い段階からは除染にしっかり入れるというふうに考えております。

江田(康)委員 今、大臣は、スタッフを福島県に常駐させてということでしょう、そういう体制も万全です、そして市町村の方からも意見を聞いてと。しかし大臣、その認識は、少しというか大きくずれているんですよ。

 私は先日、飯舘村の菅野村長に会ってまいりました。開口一番といいますかおっしゃったのは、姿が見えないと。それは、仮役場があそこは設置されております。飯舘村の除染に関してやはりその相談をすぐにも受けられるように、その役所に常駐していくぐらい、そのくらい国は考えていいのではないか。

 それが遠くに常駐されているとしても、恐らく除染チームが県には常駐されていると思うんです。福島県庁、福島市であるかと思うんですけれども、二十人体制等々の少ない人数で、環境省だけでそれが本当になされているかということがまさに浮き彫りになったわけで、これは、常駐体制が、それぞれの十二市町村、この警戒区域等々の除染を計画するところの市町村にいていただくという、その警戒区域内じゃないですよ、行政がいるところで相談に常時乗る、こういうようなことを小まめにしていく、これが非常に大事かと思います。これについては大臣、一言どうですか。

細野国務大臣 私も、かなりの回数、菅野村長とお会いをいたしたことがございまして、先日も、福島で会議をやりましたときに村長の方から、一人一人それこそ町に常駐する形でやれないか、そういうお話をいただきました。私も直接いただきました。

 本当に申しわけないことにまだその体制ができていないんですけれども、実質的に、しっかりとそれぞれの役場にそれこそいつでも行って対応できるような体制を今つくっております。環境省を含めて、これはもうオール政府で取り組まなければならないというふうにも思っておりまして、来年一月には環境省としては五十人体制ということですが、来年度からは、各省からも集めてこれをかなりの、数倍の規模にはしなければならないとも思っております。

 ですから、本当にここまでかかってしまっていることは申しわけないんですけれども、まずはモデル事業については、飯舘村も含めていろいろな準備をしていただいていますので、もうとにかく早くやらせていただいて、そこから点を線にして面にしていかなければなりませんので、そういった段階においては町とまさに一心同体となってやっていかなければなりませんので、体制を順次しっかりと強化をしてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 しっかりと大臣、よろしくお願いいたします。

 もう一つの、特定避難勧奨地点等を含むそういう区域でありますけれども、そのモデル事業で、私は、伊達市小国地区の下小国中央集会所付近のJAEAの除染モデル事業を視察してきたんです。空間線量率が二・一から三・〇マイクロシーベルト・パー・アワーの地区、約四ヘクタールの土地で、例えば、家屋があり、グラウンドがあり、そして畑地があって、道路があって、森林が入っている、そういう四ヘクタールの土地での除染事業を視察させていただきました。

 そこにおけるデータが今後の本格的な除染に早速に応用されるということでございますが、表土の二センチ剥離除染で九〇%の除染ができておりました。しかし、仮置き場は確定されておらずに、この除去土壌は野積みされている。後々の仮置き場の問題もあるでしょう。

 さらには、福島市ではしっかりとした除染実施計画が立てられておりまして、これでございますけれども、そしてまた、これには細かく除染マニュアルまであるわけです。これに従って今除染が行われている。

 こういうところでは、これは、政府の中間貯蔵施設が公表される前に、住民の方々が断腸の思いで、仮置き場を我が町に置いていいという了承が得られて、その仮置き場に除染した土壌等が持ち込まれていたわけでございます。

 これを機にこの福島市では、多くの地区で仮置き場を確定していただいて、本格的な除染を行っていきたいということを言っておられました。

 このような特定避難勧奨地点でのモデル事業の計画、これはどのくらい進んでおるのか。先ほどは、警戒区域や計画的避難区域の点で十二市町村の実態を、またそのスケジュールを聞かせていただいたんですが、本格的な除染の実施に向けたスケジュールは、この地域においてはどのように進んでおるのでしょうか。

細野国務大臣 先生がごらんになった小国地区は私も二度行っておりまして、そこは主にJAEAがやっておるんですけれども、いち早く取り組んでいただいて少しずつ結果が出てきていますので、努力をしていただいていることに関しては、現場も含めて、あと、地域住民の方にもいろいろお手伝いをいただいていますので、感謝を申し上げたいと思っております。

 ただ、あそこも、確かに、集めた土壌が非常によくない形で依然として置かれておりまして、実は、これはモデル事業を始める前にやられたものが集まっているということで、モデル事業でああいうやり方をやっているということではないようなんですけれども、決して状況はよくございません。

 伊達市の方でも仮置き場については大変な御努力をいただいているわけですけれども、なかなかここが今まだめどが立たないという状況でございまして、そういった意味で、そういう問題は解決できていないということですので、これも本当に申しわけないなという思いでございます。

 ホットスポット、数多くあるわけですけれども、当然、市町村はそういったところから除染をしたいという意向を持っておられます。小国地区もそういったところの一つですけれども、であるにもかかわらず進まないのは、ここに代表されるように、やはり仮置き場がなかなかつくれない。それで、仮置き場がつくれない理由は、その後、これはいつどこに持っていくんだということが決まらないということにありますので、そこが国の今一番責任が重いところだというふうに思っております。

 月末には中間貯蔵についてもおおよその考え方を提示して、仮置き場のイメージと中間貯蔵のイメージもしっかり皆さんにお示しをしたいと思っております。

 イメージをお示しをする中で、こういうロードマップなのであれば非常にいろいろな意味で納得をしていただきにくいところがあるかもしれませんが、仮置き場を置くことは了承しようというそういう地域がふえるように、しっかり努力をしてまいりたいと考えております。

 したがって、お答えとしては、そうしたホットスポットも含めて確かに進んでいないところがございまして、それを解決するためにも、一刻も早くロードマップを示して、仮置き場、中間貯蔵施設という形で進んでまいりたいと考えております。

江田(康)委員 大臣、改めてその仮置き場、中間貯蔵施設について確認をさせていただきますけれども、今もう明確になっているように、仮置き場は、ずっとそこに放射性物質が放置される、もしくは常時そこに存在するということ自体が住民の皆さんのやはり理解が得られなくて、なかなか仮置き場も決定できないという状況が続いております。

 そのためにも、これ、大臣がおっしゃいましたように、その次の中間貯蔵施設を確定していくことが、例えば三年以内に中間貯蔵施設をどこどこにといいますか、これを確定いたします、ですから、この土地を仮置き場として提供していただきたい、そうやって合意を丁寧にとっていくのが今本当に大事なことだと思っておるわけでございます。

 中間貯蔵施設を設ける候補地、これを十月中に公表すること、また、その地元に説明することが果たしてできるのか。それとも、最大設置期間、何年の間には設置をしていくということをおっしゃるのか。現時点で考えられている、十月中に示されるところの中間貯蔵施設の確定のための方針、これを大臣、この内容について明確な答弁をもう一度いただきたいと思います。

細野国務大臣 何のためにロードマップを示すかということを考えれば、それを示すことによって事態が前進をするようにということでございますので、できるだけ具体的にお示しをしたいというふうに思っております。

 ただ、その一方で、特に中間貯蔵施設の場合は、合意ができていない段階で例えば場所のイメージを私の方でお示しをして、結果としてその後のいろいろな話し合いがうまくいかないということになる可能性もありますので、それも避けなければなりません。

 したがいまして、今考えておりますのは、仮置き場の設置の期間については、やはり明確にしなければならないというふうに思っております。それがなければなかなか仮置き場の設置が進みませんので、そこはお示しをしたいと思っております。

 一方で、中間貯蔵施設の場所は、今申し上げたように、まだいろいろな意味でのこれから話をしていかなければならない状況でございますので、お示しをすることは難しゅうございます。

 あと、難しいのは中間貯蔵の期間でございまして、ここをどういった形でお示しをするのかというのは、今いろいろな調整をしておる段階でございまして、まだ確定という状況にはなっておりません。

 ですから、そういったことも含めてトータルにお示しをするということになろうかと思います。

 もう一つつけ加えますと、仮置き場の具体的な姿、例えば、ここがこれぐらいの期間となれば、その期間に見合った安全な保管の仕方というのがありますので、そこのあり方はできるだけ具体的に提示をいたします、イメージを持っていただきやすいように。また、中間貯蔵施設の具体的なイメージも、これも提示をいたします。

 ですから、それを提示することで仮置き場は安全に確保できるし、一方で中間貯蔵施設は、例えば、単なるごみ置き場とかいうそういうイメージではなくて、まさにきちっと管理をできる施設なんだという皆さんに理解をいただけるような、そういうロードマップはぜひつくりたいと考えております。

江田(康)委員 それに関して、先ほども吉野先生から御質問がございましたけれども、やはり住民の皆様というのは、仮置き場と中間貯蔵施設と最終処分場の区別がやはりなかなか御理解が届いていないところもございます。これについて大臣、明確にその違いは何なのか、おっしゃっていただきたい。

細野国務大臣 御指摘のとおり、少し概念が混在しているところがありまして、今、例えば、本当に御近所で空き地に置いておられるようなものも仮置き場という表現を一部していますので、そういった意味では、ああいうものができるならなかなか受け入れられないというような話もありますものですから、そこを明確にお示しをすることは大切であると思っております。

 したがいまして、御説明申し上げますと、仮置き場については、これはロードマップの中でお示しをしますけれども、一定の期間そこに置いていただくということになります。ただ、置いていただくのは、安全に保管をしなければなりませんので、仮置きとはいっても、置いていただく状況についてお示しをします。ただ、これはもうあくまで一時的、本当に一時的な仮置きということです。

 一方で中間貯蔵施設というのは、これは、減容化をしてできるだけ放射性物質を取り除くというようなことも含めて、かなり研究開発的な要素がございますので、そこは一定の期間というふうに申し上げたいと思います、一定の期間やはり置いていただく必要がございます。

 しかも、規模はかなり大きくなります。何カ所も中間貯蔵施設をつくるわけにはいきませんので、ある程度集中的に管理をするという意味も含めて、かなり大がかりな施設にどうしてもなってまいります。

 そこで安全に中間貯蔵しつつ、技術開発をして減容化をしていくというのをしっかりとやっていくのがこの中間貯蔵施設というイメージであります。

 最後に最終処分でございますが、先ほど吉野委員の方からも御質問をいただきましたが、これはまだ具体的な提示をすることは難しゅうございます。といいますのも、どれぐらいそれこそ減容できて濃いものになるのか、また、その放射性物質の濃度によっては、どれぐらいの深さに埋めるべきなのか、ここがまだ見えてまいりません。

 ですからそこは、かなりの時間をかけて、中間貯蔵をする中で技術開発をして、そしてあり方を提示して、最終的にそういう施設をつくっていくという、そういう流れになろうかと思います。

江田(康)委員 今は大臣、明確にそれぞれの違いをおっしゃっていただきました。そういうことも、やはり住民の皆さんに環境省また政府が説明するときに丁寧に行っていくべきだと思うんですね。

 先日の新聞に、除染を予定している自治体のうち、この中間貯蔵施設の設置を受け入れるか受け入れないか、そういうアンケートがあった結果が載っておりましたけれども、半分以上がその受け入れを拒否しておられるというような、非常に厳しい実態が出ておりました。

 やはりそこには、最終処分場は国の責任でこれは確保する、もちろん中間貯蔵施設も国の責任で確保する、これは、我々がつくったあの放射性対処特別措置法に明確に規定されているわけであります。そのことをしっかりとやはり国が責任を持って確保するということでこの御説明をまたしていくことが必要であろうかと思いますし、中間貯蔵施設の理解を深めるためには、どのような方策でこの最終処分場を確保していくのか、これについても、逃げないでやはり明確に申していくべきことだと思っております。

 それについてしっかりと取り組んでいただきたいと思うんですが、もう一度大臣の御答弁をお願いします。

細野国務大臣 御指摘のとおり、中間貯蔵施設そして最終処分のあり方も含めて、そこはまさに国の責任だというふうに思っております。

 国の責任でもちろんすべて資金的な面も、さらには場所も、つくり方も含めてしっかりとお示しをしなければならないというふうに思っておるんですけれども、一方で悩ましいのは、例えば、国の力で、国が責任を持ってと言ったところで、必ずその場所が必要なわけでありまして、仮に国有林であっても、どこかの市町村に所属をしているわけですね。そうしますと、そこの現地の市町村であるとか都道府県の理解が得られなければ、幾ら国がやると言ってもできないという事情がございます。

 ですからそこは、国が責任を持ってやるわけですが、どうすれば地元の皆さんの御理解をいただけるのか、ここがもう非常に大きなかぎを握っておりますので、丁寧にやることで責任を全うしていきたい、そう考えております。

江田(康)委員 よろしくお願いをいたします。

 次に、予算について確認をさせていただきたいわけでございますが、今回の視察でもまた開口一番に出てくるのは、国が責任を持ってやると言うけれども、そのことと予算はそれについていっていない、こういう厳しい御意見があります。

 今回、追加被曝量が年間五ミリシーベルト以上だけのものでも東京ドームの二十三杯分というふうに言われます。これは環境省の試算だと思いますが、二千八百万立方、そして面積は福島県の約一三%に及ぶ。これは五ミリシーベルト以上。これがさらに、当然一ミリシーベルトを目指すということがこの基本方針にも明確にされてきているわけでございますから、こうなると、大変なこれは除染に要する費用がかかるわけでございます。

 これに対してどれだけの費用を要すると政府は見込まれているのか、それに対して国の予算はどうなのかということをお聞きしたいわけでございますが、これは段階的に恐らく除染が進むということで措置されているかと思いますので、まずは、その明確な金額について明示をしていただきたい。

高山大臣政務官 今、江田議員からのお尋ねの件でございますけれども、本当に除染が最終的にどれだけかかるかということの前に、まず、予算を今幾ら確保しているかということですけれども、二十三年度の予備費で二千百七十九億円、そして二十三年度の三次補正予算、これは今要求している段階ですけれども、二千四百五十九億円、そして二十四年度の概算要求でも四千五百三十六億円、また、二十五年度の分としても二千三百八億円相当を想定しておりまして、合計で一兆一千四百八十二億円、今のところ要求させていただいております。

細野国務大臣 今御紹介をしたのが、当面、例えば一定の線量の中でそこを集中的にやったという中で出てきている試算です。

 ですから、それがさらに現在の一ミリシーベルトのところまで拡大をして、それぞれのところでいろいろな取り組みがされると思いますので、それが幅広くなされた場合に合計どれぐらい予算がかかるのかということの最終的な姿は、まだ描き切れておりません。

 さらに言うと、除染に伴って発生する費用として、当然、仮置き場そして中間貯蔵施設ということがありますので、そこも一部予算は計上しておりますけれども、そこも、すべてまだ見きわめができているという状況ではありません。

 ですからそこは、必要に応じて予算を確保するという必要があるというふうに考えております。

江田(康)委員 先日の視察先での話にもありますけれども、今は、モデル事業、そのモデル事業ですら一地区六億円とかそういうような単位ですけれども、その予算がまだ執行されずにおるわけです。すなわち、予備費でつくった二千百七十九億円、この予算の執行がなされていない。それが、本当に除染がおくれているシンボルになっているわけです。

 だから、これだけ予算を確保しました、予備費で二千百七十九億円、三次補正、今回のやつで二千四百五十九億円、二十四年度、五年度でまたさらに、合計一兆一千四百八十二億円とこうおっしゃいますけれども、さっき大臣もおっしゃいましたように、最終的なこの除去費用総額、また、中間貯蔵や必要な処分のためのその費用も含めてというのは、はかり切れていないというところがございます。

 こういうことが、やはり被災地の皆さんの不安につながっていっては決してならないわけであります。だから、確保している予算を早く執行した方がいいわけです。

 そのためにも、さっき言ったところがモデル事業が迅速に進んで、かつ、中間貯蔵施設の確保を明確に申されて仮置き場を確保していく、こういうことが本当に大事になってくるかと思いますので、これは、きょうは再三言って非常にくどいようでございますけれども、この除染こそがやはり復興への第一歩でありますので、しっかりとこの予算を確保してこれを執行していただきたい、そのように思います。

 この予算に関しては、特別措置法で、国がこれはまずは支払う、そして後に東電に国が求償する、こういうことを明確に規定しております。

 それを着実に実行していただきたいと思うわけでございますが、除染費用を最終的にだれがどのように負担する形となるのか、また、東電にどこまで負担させることができるのか、その求償範囲についても政府は考えておられますか。そこについてお伺いをいたします。

高山大臣政務官 今、江田先生からお尋ねの件でございますけれども、特措法に基づきまして、原賠法の規定により関係原子力事業者が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして当該原子力事業者の負担のもとに実施されるものとするという、今御紹介ありました規定がございます。でございますので、最終的な費用に関しましては、関係原子力事業者にすべて求償するということを考えております。

 そしてまた、今先生からお尋ねの具体的な求償権の範囲でございますけれども、これは、除染の取り組みがある程度進んだ段階では固まっていくものと考えておりますけれども、現段階では、基本的に、除染等を実施するために必要な費用に関しましては、全額求償していくということを考えております。

江田(康)委員 時間がなくなってまいりましたので次に進ませていただきますが、基本方針の骨子案が、パブリックコメントを経て、十一月上旬にも国の基本方針として閣議決定されるということでございます。この基本方針について幾つか確認をさせていただきます。

 この骨子案によれば、例えば二十ミリシーベルト未満である地域では、平成二十五年八月末までに除染によってその被曝量を半減するという目標が明記されました。また、長期的な目標として年間一ミリシーベルト以下にするという数値が示されたわけでありますけれども、これはいい。しかし、国の具体的な関与の仕方、実現性、こういうところにおいて私は幾つか問題があると思っております。

 その幾つかを聞かせていただきたいのでありますが、まずは、除染特別地域の除染については、農用地、森林、道路、河川等々さまざまな土地があるとしながらも、関係の行政機関と連携して環境省が行うとこれはしております。しかし、この除染は、これは一大事業ですよ。迅速にしかも行わなくてはならない。また、下水汚泥等の指定廃棄物についても、これは各省と連携して環境省が行うとされておりますけれども、この連携というのが本当に実現性があるのか、その予算、体制等環境省の準備についてはどうなのか、各省との連携をどのように担保していくのか、大臣にお伺いをいたします。

細野国務大臣 その多くの仕事が今環境省に集中をしておりまして、世帯が小さい役所でございますので、もちろん全力でやっておりますし、少しずつ前進をしておるんですけれども、まだまだ課題がやはりあるというふうには率直に感じております。

 そこで、いろいろな考え方があるんですけれども、私はやはり、一つの役所が責任を持ってやるという体制が、最後までやり切るという意味ではいいのではないかと思っております。

 したがいまして、現地の環境省の福島環境再生事務所というのをつくるわけですが、そこに例えば各省庁から出向していただいて、そこのもとで現地で作業をやる、例えばそういうやり方ですね。今、そういったことでできないかということでやっております。

 したがって、調整と言うからにはしっかりと責任を持ってやっていかなければなりませんので、横のつながりで各省で単にやるだけではなくて、人に来ていただいて、例えば、稲わらであれば農水省、上水、下水であれば国交省、厚労省、さらには国道であれば国土交通省、それぞれ来ていただいて、その皆さんにもしっかり手伝っていただいた上で除染を実行していく、それで、発注をするときにそれぞればらばらにやっているようでは話になりませんから、発注は一括してやって、全体をできるだけ面としてやっていく、そういう方針で臨みたいと考えております。

江田(康)委員 これから大変重要なところですので、それで確認をさせていただいております。

 農水や国交、省庁から来られていると思いますが、にもお聞きをいたしますが、農用地の回復、農林業の回復、道路等のインフラの復興というのは、これは除染と一体的に行われなくてはならないそういう状況にあると思っております。

 農水省、国交省は具体的に環境省の除染にどのように連携協力をしていくおつもりなのか、それについてお伺いを、簡潔にお二人、お願いいたします。

藤本政府参考人 お答えを申し上げます。

 除染につきましては、住民の方々の健康や生活環境への影響を速やかに低減させるということとあわせて、農業生産を再開できる条件の回復や、森林の多面的機能の維持といった視点を持って取り組むことが重要だと考えております。

 これを踏まえまして、農林水産省におきましては、いろいろと実証試験だとか調査といったことを進めてきたところでございます。

 今後とも、こうした除染対策や除染技術の開発ということを着実に推進する考えでございます。

 また、除染が必要な土地というのが、住宅、農地、森林等さまざまですので、事業の迅速かつ着実な実施のためには、先ほどから議論されておられますとおり、環境省を中心に関係省庁が連携して、政府全体一体となって取り組んでいくことが重要と考えておるところでございます。

 先ほど細野大臣からございましたとおり、多分、知見であるとか実務経験、こういったことを御要請されているというふうに理解してございます。

 具体的な連携のあり方については、現在、関係省庁間で協議、調整しているところでございますけれども、農林水産省といたしましては、積極的に協力していく所存でございます。

大藤政府参考人 放射性物質によります環境汚染につきましては、面的な問題でございますので、先生おっしゃるとおり、一元的に対応することが必要だというふうに考えてございまして、関係機関が十分に連携協力していくことが重要だというふうに考えてございます。

 農水省の方からお話があったように、現在、関係省庁間で具体的なやり方について調整しているところでございまして、私どもとしましては、環境省を中心として一元的に対応できるよう、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 今、お答えをいただきましたけれども、私は、環境省がこれは司令塔となって政府として一体的に除染や廃棄物処理を進める必要があると思うわけですけれども、現在の基本方針では、これが、連携という言葉で環境省が行う。しかしそれには、私だけではなく、これは特措法を議論していたときからもそうですけれども、環境省がそれを本当に実行できるのかといったときに、本当に各省庁の連携が実効性のあるものにしないといけない。

 そういう意味では、政府として何らかの各省横断的な組織をつくってそれを進める必要があるのではないか、これからますますその必要性が高まるのではないかと思うんですが、環境大臣いかがですか。

細野国務大臣 貴重な御提案だというふうに考えております。

 現地においては、余りいろいろな組織をつくるよりは、環境省が事務所を置きますので、そこに人を出していただいて集中的にやるというのが、恐らく、発注業務などにおいては一番スムーズだというふうに思います。

 一方で、霞が関、こちらで対応するということになると、各省それぞれ一定の、それこそ重みのある役職の官僚の皆さんにも入っていただいてそういう本部的な機能をつくるというのも一つの考え方だというふうに思います。

 先週ですか、総理に対して御提案もいただいたようでありますから、それも踏まえてしっかり検討してみたいというふうに思います。

江田(康)委員 よろしくお願いいたします。

 時間も残り少なくなってまいりましたが、広域処理についてお伺いをいたします。

 これはもうおわかりのことでありますけれども、被災県では、民間を含む既存処理施設の活用、そしてまた仮設焼却炉の設置等々によって、処理能力の増強は図ってきたわけであります。しかし、域内での処理能力だけではやはりこれは大きな限界がある。これはもう以前より指摘されたところであり、私も、だからこそ広域処理が重要であるということを以前より申し上げてまいりました。

 これは、通常の一般の瓦れきでもあり、かつ、一部、放射性物質によって汚染されている瓦れきでもございますけれども、この広域処理における考え方、これについては、環境省から全都道府県に通知をされています。しかし、六百自治体も手が挙がっている中で一個も実現していない。

 先日、東京都が、この広域処理の取り組みとして、この二年半の間に五十万トンの、これは岩手県と宮城県に限定してでしょうけれども、その廃棄物を都内の処理施設に搬入して処理する方針を示していただいたわけでございます。それ以外は、六百自治体、これは手が挙がっていながらも、広域処理が全く進んでいないんですよ。これは以前から強く申し上げてきているところではあるけれども、これが進んでいない。

 この問題ですけれども、これを環境省が、四月以来半年ぶりに、岩手県、宮城県、福島県と沖縄県を除く全国の四十三都道府県の全市町村を対象に、広域処理受け入れに対する検討状況について再調査を行ったというところだと思います。余りにも政府の対応は遅い、そういうことがやはり現地からこの声が上がっているわけであります。

 これについてでありますけれども、この処理を円滑に進めるためにも、まず、放射能に関する安全性について自治体の皆様の理解をきちんと得ることが不可欠であります。これがとまっている、六百自治体が手を挙げながらも広域処理ができない、踏み込めないのは、受け入れ側として、やはり放射能汚染があるからではないか。こういうような懸念、それはある一部では風評被害にもなっている。

 そういうことが受け入れられるレベルなのに、それが風評被害となって受け入れ自治体が一つも出てこないということは、これは、これから瓦れきを仮置き場に持っていくのはほぼ目標を達成していくことはできるでしょう。しかし、それから後にこれは処理、処分があります。それを一市町村が、あれだけの被害を受けた市町村がこれを処理するのは不可能です。だから広域処理が必要なんです。

 それを本気で進めていくこの気持ちが環境省にあるのか。それを具体的に進めていくための考えを大臣にお聞きしたいんです。

 この広域処理の推進に向けて、専門職員の派遣もやはり丁寧に行って、そして政府が十分な説明をしていく。また、その放射能の問題について、皆さんが安心できるような具体的な方法でそれを明示して、安心して受け入れていただく。そのことを実際に進めていくかどうか。大臣の所見をお伺いいたします。

細野国務大臣 被災地の復興のためには、廃棄物の処理が必要不可欠であります。そして、それをそれぞれの市町村で独自にやることは実質的には極めて難しくなっておりますから、広域処理が極めて大切であると考えております。確かに、御指摘のとおり、いろいろな自治体が一定の意欲なり被災地に対する配慮を示してくださったわけでございますけれども、形にはなかなかなっておりません。

 といいますのも、具体化するということになると、やはり地域の住民のいろいろな声が大きくなったり、またもう一つは、それぞれの廃棄物の処理の仕方などにおいても必ずしもうまくマッチングがいかないところがあるんですね。ある自治体はとにかく分別をしっかりするということが大前提になっていたり、ある自治体はリサイクルなら受け入れるという話をされたり、ですから、今被災地の方では、そういう分別も含めて処理をしていただける可能性がどういう形にすればあるんだろうかということで試行錯誤もされているという、そういう状況です。

 そこで、もう待っていたら問題は解決しないと思っております。説明会は何度かやりました。いろいろな自治体に来ていただいていますが、いいところまでいってなかなか形になりません。あとは、個別に我々がいってしっかりとお願いをしてくる。ある自治体がこういうお考えであれば、被災地であればこういう自治体とならいけるのではないかというマッチングをみずからやらないと、これはもう自然には成立しませんので、そういう時期が来ていると考えております。

 その環境省のマッチングをやる仕事の最大の責任者は私でございますので、必要があれば、そこは個別の自治体に行って、首長さんはもちろん、職員の皆さんや地域住民の皆さんにも御理解をいただけるように説明に参りたいと考えております。

江田(康)委員 今、力強い答弁をいただきました。ぜひとも広域処理は実現してもらいたい。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後になるかもしれませんけれども、もう一つ、これも現場の声でございます。特定避難勧奨地点の見直しについて確認をさせていただきます。

 特定避難勧奨地点、これは、設定のときからも大きな課題がございました。伊達市に私がこの前お寄りさせていただいたときに、まさに現場を見させていただきましたけれども、すぐ隣接する隣の家は特定避難勧奨地点に指定がなされ、そしてすぐ横の隣の家がされていない、そういうような地域では、やはりこれは大きな格差が生まれています。

 それは、例えばこの特定避難勧奨地点に指定されれば、自主避難の費用や、また、傷害、疾病、死亡による逸失利益、治療費、薬代、さらには検査費用や精神的損害に係る補償金、こういうこととして損害賠償の対象にもなって、指定されたこの期間、一人月額十万円、もしくはそれ以降は月額五万円、こういうような形で補償されます。そして伊達市も、これらの方々に対しては、税や保険料、負担金も減免されているんです。大きいです。これだけの補償が受けられる方が隣の家、そしてこちら側では受けられない。

 私が申し上げたいのは、特定避難勧奨地点はピンポイントで指定をしていくという政府の考えでございます。例えば、その家に住んでおられる方も、そしてまた指定されていない家に住んでおられる方も、その地域で生活をしていますから、面的なところで、すべて生活の面で放射能の影響を受けていらっしゃる方々なんですね。そういう意味では精神的苦痛は全く変わらない。そういうような規定が私は間違っていると思うんです。

 今、こういうところでは、その格差によって、こういう指定されているところ、それから指定されていないところでコミュニティーが分断されてきています。これが、私は要望書をいただいておりますけれども、これは庶民の声なんですよ。そういう市議会の声も当然ここにはありますけれども、庶民として納得できないというか、この思い、苦痛は同じではないか。子供を持っていらっしゃる方々もこの中にはいらっしゃいます。

 やはりそういうことに対して、特定避難勧奨地点の見直し、これについて大臣、動かれた方が本当によろしいかと私は思いますが、どうでしょうか。

細野国務大臣 この特定避難勧奨地点、これの指定に関してはいろいろ実は経緯がございまして、地域全体で年間換算で二十ミリを超えるという状況ではないけれども、そこで一定の高い線量があるところで、例えば、小さいお子さんであるとか妊婦の方がおられるのはやはりよくないだろう、そういう御家庭については、指定した上で避難をしていただいた方がいいだろう、そういう協議が、実は国の方と福島県や、さらには市町村との間でいろいろ重ねられて、では、個別に指定していこうということでスタートしたという経緯がございます。

 ただ、その一方で、今、江田委員御指摘のとおり、もう少し広いエリアで指定してくれという声もある。その一方で、いやいや、自分は残りたいという方もいらっしゃって、どういう形をとっても、必ず不満を持たれる方がおられたり納得していただけない方がおられるという、そういう状況になってしまうわけですね。

 ですから非常に悩ましいんですけれども、そこは、こうした個別の対応を行っていくということでぜひ御理解をいただきたいというのが政府の姿勢であります。

 こう申し上げながらも、私も、非常に苦しい答弁だというふうには自覚をしておりまして、かつ、ちょっとこの地域の指定そのものについては私は直接担当しておらないということもありますので、福島県の状況というのは個別にしっかりと見ながら、担当の大臣にもお伝えをして、できるだけ地域でそういう皆さんが不公平感を持たれないような対応というのには心がけてまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 これはシンボリックな課題なんですね。この特定避難勧奨地点の問題、これについては、やはり地域ぐるみ、面的にこれは指定すべきだと私は確信してやみません。

 大臣どうぞ、その政府の見直しを担当するところにしっかりと入れていただいて検討していただきたい、そのことを強く申し上げまして、きょうは環境大臣の所信でございまして、きょう予定していたのは、地球温暖化対策や安全庁の問題や、さまざまございました。きょうこれだけで終わらせていただくことになりますけれども、今後とも、環境行政についてまた大臣と直接このように意見交換をさせていただいて、大きく私も環境行政を支えてまいりたいし、特に、この東日本の復旧復興が今第一であります。与野党なくこれは大きく支えて、早く一歩一歩前進するように私ども全力で協力してまいる所存でございます。

 特に福島県においては、放射能からの除染、そして廃棄物の処理、これが本当にこれからの第一歩になります。そういう意味で、このことについては、とりわけ環境省が責任を持って取り組んでまいりますけれども、先ほど言いましたように、省庁が連携して取り組まなければこれは進まない問題だと思っております。

 どうか、大臣の強いリーダーシップをお願いを申し上げまして、質問とさせていただきます。

 きょうはありがとうございました。

生方委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会


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