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第1号 平成25年3月15日(金曜日)

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本国会召集日(平成二十五年一月二十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      小倉 將信君    大久保三代君

      小林 史明君    齋藤  健君

      助田 重義君    藤原  崇君

      生方 幸夫君    吉田  泉君

      小沢 鋭仁君    阪口 直人君

      浜地 雅一君    杉本かずみ君

      中島 克仁君    笠井  亮君

      野間  健君

平成二十五年三月十五日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      小倉 將信君    大久保三代君

      小林 史明君    齋藤  健君

      助田 重義君    武井 俊輔君

      藤原  崇君    生方 幸夫君

      吉田  泉君    小沢 鋭仁君

      阪口 直人君    江田 康幸君

      杉本かずみ君    中島 克仁君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   環境副大臣        田中 和徳君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   環境大臣政務官      秋野 公造君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            富越 和厚君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十八日

 辞任         補欠選任

  浜地 雅一君     江田 康幸君

二月二十一日

 辞任

  笠井  亮君

同日

            補欠選任

             井林 辰憲君

三月十五日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     岩田 和親君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 環境の基本施策に関する件

 公害紛争の処理に関する件


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 環境の基本施策に関する事項

 地球温暖化の防止及び低炭素社会の構築に関する事項

 循環型社会の形成に関する事項

 自然環境の保護及び生物多様性の確保に関する事項

 公害の防止及び健康被害の救済に関する事項

 原子力の規制に関する事項

 公害紛争の処理に関する事項

以上の各事項につきまして、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

吉野委員長 環境の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。

 この際、環境大臣から所信を聴取いたします。石原環境大臣。

石原国務大臣 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の石原伸晃です。

 第百八十三回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境政策及び原子力防災に関する私の考えを申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 今、環境政策は、東日本大震災からの復旧復興、低炭素社会の創出、安全、安心な生活環境の確保という三つの課題を抱えています。この三つの課題にどのように現実的な答えを見出し、現場で着実に実行に移していくか。この平成二十五年は、環境省の真価が問われる、まさに正念場の年と考えております。

 まず、一つ目の柱、震災からの復旧復興について申し上げます。

 大臣に就任して以来、できる限り現場に足を運び、福島県の佐藤知事を初め首長の皆様と直接お会いし、お話を伺うように心がけてまいりました。

 そこで感じたことは、多くの方々が、住みなれたふるさとに対する強い思いを持ちながら、今なおさまざまに思い悩んでおられることであります。環境省としては、こうした福島を初めとした被災地の皆様の思いに応えられるよう、全力で政府における役割を果たしていく所存です。

 除染は、福島の復興の大前提です。復興全体の司令塔としての復興庁、現場を預かる環境省、この連携を密にしつつ、現場主義を徹底して、除染の取り組みを本格化します。

 また、除染を進めるために必要不可欠な中間貯蔵施設についても、平成二十七年一月を目途として供用を開始できるよう、最大限の努力をしてまいります。

 災害廃棄物の処理については、被災自治体の懸命な御努力や広域処理により、本年一月末時点での進捗状況は、岩手県と宮城県の二県についてはおよそ四八%となっており、来年三月末までに処理を完了という目標に向けてさらなる加速化を図ります。

 福島県では、住民の方々が避難している地域を中心に、処理体制の復旧に時間を要していることから処理がおくれている状況にありますが、今後は、住民の方々の帰還の妨げにならないよう、災害廃棄物等の撤去、処理を着実に進めます。

 また、放射性物質で汚染された廃棄物の処理、原子力事故に伴う住民の健康管理や健康不安対策についても、着実に進めます。さらに、三陸復興国立公園を五月に創設し、観光資源としての整備を進めます。

 二つ目の柱が、低炭素社会の創出です。

 原発事故の後、残念ながら、地球温暖化の話題は埋没し、環境外交での日本の発言力も著しく低下しております。

 これを取り戻すために、前政権が立てた二五%削減目標をゼロベースで見直した上で、京都議定書目標達成計画にかわる新たな地球温暖化対策計画と、我が国のすぐれた環境技術を生かした攻めの地球温暖化外交戦略を、十一月のCOP19までにつくってまいります。

 その具体策の一つは、低炭素社会を創出するためのファイナンス・イニシアチブ、つまり、ファンドの創設など金融メカニズムを活用して、民間資金を環境投資に呼び込む仕組みづくりです。

 その中でも特に、建物の低炭素化、町づくり、二国間オフセット・クレジット制度、低炭素技術の四つの分野に重点を置いて投資の促進を図ります。

 もう一つの策は、再生可能エネルギーの導入加速化です。これは、単に量をふやすばかりではなく、中長期的に、再生可能エネルギーを中核とした自立分散型のエネルギー社会の構築を目指します。

 具体的には、蓄電池による風力発電等の出力の安定化、浮体式洋上風力発電の実証事業、地熱開発の基盤整備などに重点を置いてまいります。

 また、新たな地球温暖化対策計画に関し、その法的根拠となる地球温暖化対策推進法の改正法案を今国会に提出します。さらに、フロン類の一層の排出抑制のため、フロン回収・破壊法の改正法案を今国会に提出します。

 環境ビジネスは、裾野の広がりが大きく、我が国にとって、新たな富を創造するための大きな成長分野の一つです。低炭素社会を創出することで経済再生も同時に実現する、そういう考え方に立って政策を進めます。また、その基盤となる、税制全体のグリーン化、環境教育の促進等に取り組みます。

 地球温暖化については、もはやある程度の影響は避けることができず、これに適応することも重要です。そのため、地球温暖化による影響に適応するための政府レベルの計画の策定に向け、検討を進めます。

 三つ目の柱は、環境行政の原点である安心、安全な生活環境の確保や、循環型社会、自然共生社会の実現です。

 水、土壌などの生活環境の保全や、化学物質の製造から廃棄に至るライフサイクル全体を通じた環境リスクの低減に取り組みます。

 今、PM二・五による大気汚染の問題に多くの国民が不安を感じています。地方自治体と協力して、常時監視体制の強化、日本の環境技術を生かした中国に対する技術協力などの取り組みを進めます。また、大気汚染はアジア地域各国の共通の課題であり、その解決に向けて地域協力の強化にも取り組みます。

 さらに、放射性物質による環境汚染に係る適用除外規定を削除するための法律案、建築物の解体等におけるアスベストの飛散防止対策を強化するための大気汚染防止法の改正法案を今国会に提出します。

 十月に我が国で採択、署名のための外交会議が開催される水銀に関する水俣条約の早期発効に向け、国内対応の検討、各国への支援や働きかけを行います。また、水俣病を初めとする公害健康被害対策、石綿健康被害者の救済について、引き続き真摯に取り組みます。

 国内外で循環型社会を実現するための取り組みも積極的に推進します。

 ことし四月に施行される使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律、いわゆる小型家電リサイクル法の効果的な運用には、多くの市町村の参加と国民一人一人の取り組みが不可欠であり、そのための支援を行います。

 また、災害に強い廃棄物処理システムの推進や、PCB廃棄物の早期処理に向けた体制の確保を図ります。

 人と自然が共生する社会の実現に向け、生物多様性国家戦略に基づき、国内外の取り組みを進めます。

 我が国を代表する傑出した自然の風景地である国立公園について、そのすばらしい自然を未来に引き継いでいくとともに、より多くの方に楽しんでいただけるよう、自然保護の推進や利用サービスの向上に地域と協力して取り組みます。

 佐渡島ではトキの野生復帰が順調に進んでいますが、これ以上我が国の野生生物が絶滅することのないよう、絶滅危惧種の保全の取り組みを進めます。また、鹿などによる鳥獣被害への対策を推進します。

 さらに、希少な野生生物の違法取引の防止や、より一層の外来生物対策を進めるため、種の保存法及び外来生物法の改正法案を今国会に提出します。

 内閣府特命担当大臣として、原子力防災にも取り組みます。

 原子力発電所の安全については、防災対策の前に、まずは事故の防止が大前提です。原子力規制委員会が科学的、技術的見地から公正中立な立場で安全規制を進めることが重要であり、環境大臣としては、原子力規制委員会が職務を全うできるよう、しっかりとサポートをしてまいります。

 一方で、どのような厳格な安全規制を行うとしても、安全神話に陥ることなく、万一の事故にも機能する地域の防災体制を日ごろから整備しておくことが重要であり、そうした観点から原子力防災に取り組みます。

 事故の教訓を踏まえ、原子力規制委員会において、原子力災害対策指針の大幅な見直しが行われています。防災対策を行う区域は半径三十キロメートル圏へと大きく広がり、緊急時の多くの住民の避難、安定沃素剤の事前配布など、これまでに類を見ない広範な対策も求められています。

 この指針に沿って、地方自治体において新しい地域防災計画を策定していただくことになります。地方自治体に対し、計画策定に対する助言、防災施設や資機材への財政支援などきめ細かな支援を行い、万全な防災体制の構築を図ります。

 以上、環境大臣として、また原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取り組みの一端を申し上げました。

 吉野委員長を初め理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 以上で環境大臣の所信表明は終わりました。

 次に、平成二十五年度環境省所管予算及び環境保全経費の概要について説明を聴取いたします。田中環境副大臣。

田中副大臣 皆さん、おはようございます。環境副大臣を拝命いたしました田中和徳でございます。

 平成二十五年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算では、総額二千五百八十四億八千万円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、地球環境保全対策については、昨年末にカタール・ドーハで開催された気候変動枠組み条約第十八回締約国会議の成果を踏まえて、全ての国が参加する将来の法的枠組みの構築を目指すとともに、国内の各種地球温暖化対策を着実に進めてまいります。また、アジアを中心とする環境協力を含む地球環境保全対策の推進を図ります。これらに必要な経費として、六百九十八億三百万円を計上しております。

 第二に、廃棄物・リサイクル対策については、循環産業の育成や国際展開の支援、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆる3Rの取り組みの推進、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として、四十億三百万円を計上しております。また、循環型社会形成推進交付金などを活用した廃棄物処理・リサイクル施設や浄化槽の整備に必要な経費として、四百三十八億三百万円を計上しております。

 第三に、自然環境の保全対策については、国立公園や世界自然遺産などのすぐれた自然環境の保護と適正な利用、生物多様性分野の国際貢献を推進するとともに、絶滅のおそれのある種の保存や外来生物対策の推進など、国内における生物多様性関連施策の着実な実施に必要な経費として、百二十一億六千二百万円を計上しております。

 第四に、総合的な環境政策の推進については、環境、経済、社会が相互に高め合う社会経済の仕組みを構築する基礎を確立するべく、事業活動や金融のグリーン化、持続可能な地域づくりの推進、実効ある環境影響評価の推進などに必要な経費として、三十一億五百万円を計上しております。

 第五に、公害健康被害対策等については、水俣病対策、公害健康被害補償制度や石綿による健康被害に係る救済制度の適正かつ円滑な実施、国内における旧軍毒ガス弾対策、化学物質対策の着実な推進に必要な経費として二百六十八億八千九百万円、第六に、大気、水、土壌環境等の保全対策については、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五対策、自動車環境対策の推進、水環境保全対策の推進、経済発展の著しいアジア諸国において環境汚染対策と温室効果ガス削減対策を同時に進めるコベネフィットアプローチを推進する取り組みなど、良好な環境を確保するために必要な経費として五十一億八千百万円、第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発については、環境汚染の監視と防止、地球環境の保全、廃棄物の適正な処理に関する調査研究、技術開発の推進に必要な経費として百七億一千百万円を計上しております。

 第八に、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開するため、地方環境事務所における経費として、五十一億一千八百万円を計上しております。

 第九に、原子力安全の確保については、原子力利用における規制と推進の分離等の観点から環境省の外局として発足した原子力規制委員会が行う原子力規制・防災対策の推進に必要な経費として、五百十九億円を計上しております。

 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、エネルギー対策特別会計予算では、総額一千二百十二億九千二百万円を計上しております。

 以下、その内訳について御説明申し上げます。

 第一に、地球温暖化対策については、環境投資を促進するファンドの創設等低炭素社会を創出するためのファイナンス・イニシアチブの推進、自立分散型のエネルギー社会の構築を目指した再生可能エネルギー導入加速化プログラムの戦略的展開などに必要な経費として、エネルギー需給勘定に一般会計から六百六十五億円の繰り入れを行い、総額として七百六十九億七千六百万円を計上しております。

 第二に、原子力規制・防災対策については、環境放射線モニタリングの充実強化、事故の教訓や国際基準を踏まえた原子力規制の実現及び原子力規制・防災に係る専門人材の育成等を図るために必要な経費として、電源開発促進勘定に一般会計から四百四十億五千万円の繰り入れを行い、総額として四百四十三億一千六百万円を計上しております。

 次に、東日本大震災復興特別会計予算では、災害廃棄物の迅速な処理、放射性物質に汚染された土壌等の除染や廃棄物の処理等の推進、三陸復興国立公園への再編成を軸とした、東北の豊かな自然環境を生かした取り組みの推進などに必要な経費として、復興庁所管予算に総額七千六百十六億六千九百万円を計上しております。

 以上が、平成二十五年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。

 最後に、各府省の平成二十五年度環境保全経費の概要について御説明申し上げます。

 まず、政府全体の環境政策を効果的に実施することを目的として取りまとめております環境保全経費については、平成二十五年度におけるその総額として、一兆九千三百二十六億円を計上しております。

 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために四千九百十六億円、生物多様性の保全及び持続可能な利用のために一千三百九十九億円、物質循環の確保と循環型社会の構築のために一千九百三十六億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために七百十二億円、大気環境の保全のために二千三百二億円、包括的な化学物質対策の確立と推進のために六十七億円、放射性物質による環境汚染の防止のために六千九百八十億円、各種施策の基盤となる施策等のために一千十四億円をそれぞれ計上しております。

 以上、二十五年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費の概要について御説明申し上げました。

 以上でございます。

吉野委員長 以上で説明は終わりました。

 次に、平成二十四年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。富越公害等調整委員会委員長。

富越政府特別補佐人 昨年七月に公害等調整委員会の委員長を拝命いたしました富越和厚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 公害等調整委員会が平成二十四年中に行った公害紛争の処理に関する事務について御説明申し上げます。

 まず、公害紛争の処理に関する事務についてでございます。

 第一に、平成二十四年に当委員会に係属した公害紛争事件は、合計六十四件でございます。

 主な事件といたしましては、井戸水の汚染が養豚場等からのし尿によるものかどうかの判断を求める、島原市における養豚場等からのし尿による水質汚濁被害原因裁定申請事件、次に、地下水くみ上げの差しとめを求める民事訴訟が係属中のさいたま地方裁判所から嘱託されました、加須市における地下水くみ上げによる地盤沈下被害原因裁定嘱託事件、また、スイゼンジノリという川ノリの生産量の減少及び質の悪化がダム建設事業によるものかどうかの判断を求める、福岡県寺内ダム下流域における養殖ノリ被害原因裁定申請事件などがございます。

 また、平成二十四年中に終結した事件といたしましては、井戸水の砒素汚染のために茨城県神栖市等の住民に健康被害などが生じたとして損害賠償を求めた、神栖市における砒素による健康被害等責任裁定申請事件など、三十四件でございます。この神栖市の事件では、茨城県に総額約二千八百万円の支払いを命じる裁定を行ったところ、県と住民の間で、この裁定を踏まえた和解がなされております。

 以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に症状の変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める申請が四件係属し、うち二件について手続が終了しております。

 当委員会では、公害紛争の迅速、適正な解決に向け、多様化、複雑化する公害紛争への着実な対応と公害紛争処理制度の利用の促進を図ってまいりました。

 具体的には、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、被害発生地などの現地で審問期日等を積極的に開催すること、事実関係を明らかにする事件調査の充実を図ること、国民や関係機関に本制度を積極的に周知することなどに努めてまいりました。今後もこうした取り組みを一層進めてまいります。

 第二に、平成二十四年に都道府県公害審査会等に係属した公害紛争事件は七十三件でございます。公害の種類別では、騒音に関する事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は三十四件でございます。

 第三に、全国の地方公共団体の窓口に寄せられた公害苦情につきまして、平成二十三年度の実態を調査いたしました。

 公害苦情の総件数は、前年度からわずかに減少して、約八万件となっております。

 これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七公害に関する苦情は約五万四千件、それ以外の苦情は約二万六千件となっております。

 当委員会といたしましては、住民に身近な場で公害紛争や公害苦情の処理を担う地方公共団体との情報交換などにも努め、緊密な連携を図ってまいります。

 以上が、平成二十四年中に行った公害紛争の処理に関する事務の概要でございます。

 続きまして、平成二十五年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。

 当委員会の歳出予算要求額は、四億八千七百万円でございます。

 要求に当たっては、厳しい財政状況の中、公害紛争の迅速、適正な解決に資するよう、第一に、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、現地で審問期日等を開催する経費として千四百万円、第二に、事実関係を明らかにする事件調査の実施経費として三千百万円をそれぞれ計上しております。

 以上が、平成二十五年度公害等調整委員会の歳出予算要求額の概要でございます。

 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速、適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

吉野委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、来る十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時二十八分散会


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