衆議院

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第3号 平成25年3月22日(金曜日)

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平成二十五年三月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      小倉 將信君    大久保三代君

      大西 英男君    小林 史明君

      國場幸之助君    齋藤  健君

      助田 重義君    武井 俊輔君

      橋本 英教君    藤原  崇君

      生方 幸夫君    吉田  泉君

      小沢 鋭仁君    阪口 直人君

      江田 康幸君    杉本かずみ君

      中島 克仁君    野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        田中 和徳君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           関  靖直君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            清谷 伸吾君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     大西 英男君

  穴見 陽一君     武井 俊輔君

  井野 俊郎君     青山 周平君

  石川 昭政君     國場幸之助君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     井野 俊郎君

  大西 英男君     赤枝 恒雄君

  國場幸之助君     石川 昭政君

  武井 俊輔君     橋本 英教君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 英教君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官関靖直君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、国土交通省自動車局次長清谷伸吾君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省水・大気環境局長小林正明君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋品子君。

土屋(品)委員 自由民主党の土屋品子でございます。

 私は、第一次安倍内閣のもとで環境副大臣を務めていた平成十八年から平成十九年にかけて、そのころは、地球温暖化問題に関して世界的に注目が集まっていた時期でありました。特に、平成十八年には、スターン・レビューが公表され、気候変動問題の緊急性と経済的側面からの分析は、私自身、危機感を持つに十分なものであったと記憶しております。

 また、同じ年の十月には、イギリスのベケット外相により、クライメートセキュリティー、いわゆる気候安全保障の考え方が提唱されたこともあって、脱温暖化は世界共通の認識となった年であったと考えております。

 また、平成十九年には、安倍総理が、二〇五〇年世界半減を提唱され、我が国の地球温暖化対策は国際的にも評価が高いものでありました。同年には、IPCCの第四次評価報告書も公表されるなど、地球温暖化対策に対する関心がかつてなく高まった時期であったと思っております。

 しかしながら、今や地球温暖化問題は、さまざまな政策課題の中に埋没し、すっかり忘れられてしまったような気がいたします。確かに、東日本大震災を経た我が国の最大の課題が、震災復興や経済再生にあることには間違いありません。とはいえ、地球温暖化という世界規模の重大問題が目の前から消えたわけではありません。この間も世界の排出量は増加し続けており、その対策が急務であることに変わりはないのです。

 そこで石原大臣、地球温暖化問題に対する国民の意識を再び呼び起こし、地球温暖化対策を強力に前進させていくという明確なメッセージを最初にいただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいま土屋委員が、第一次安倍内閣の御自身の環境副大臣としての取り組みと、また、危機意識を持たれたということ、私も当時、幹事長代理あるいは政調会長として、この問題が本当に全世界的にクローズアップされたのを、本当についこの間のことのように覚えております。

 しかし、これもまた委員が御指摘されましたように、発災以降、この話題は埋没しがちであるということも、またその一方で事実なんだと思います。

 しかし、目を外に転じますと、地球温暖化の影響というものは、アメリカでのハリケーン・カトリーナ、あるいは、昨年十二月に東南アジアの国々、フィリピンあるいは島嶼諸国を襲った巨大台風、あるいは各地域で起こっております干ばつ、こういう形で、私たちにもう目に見える形で脅威をもたらしているんだと思います。

 これらの脅威から、私たちの世代というよりも、私たちの次の世代、将来の世代をしっかり守るために、これからの経済活動のあり方や私たちの日々の暮らしを見詰め直して、やはりいま一度、委員御指摘のとおり、責任ある行動というものを我々はとっていかなければならないのではないかと考えております。

 そういうことを国民の皆様にぜひ当委員会の審議を通じて訴えさせていただければ、また、御質問をいただければと考えているところでございます。

 同時に、これまでの日本社会、大量生産、大量消費、こういうものにかわる低炭素社会のビジョン、やはり、二〇三〇年、二〇五〇年、日本の社会はどうなっているんだ、どういう社会をつくるんだ、国際的にはどういうことをやっていくんだというものをしっかりと見せて道筋というものをわかりやすく示していきませんと、やれ省エネだ、やれ再エネだ、低炭素社会を目指そうと言っても、なかなか難しいのではないかというような認識を持っております。

 きょうから御審議をいただいております温対法の改正案は、まさに低炭素社会実現に向けた第一歩を踏み出すための新たな地球温暖化対策計画策定を規定するもの。政府として速やかに計画策定に着手したいと考えておりまして、そんな中で皆様方の御議論を集大成してCOP19に続けていかなければならないんだ、こんなふうに認識しております。

土屋(品)委員 どうもありがとうございます。私も、今、石原大臣が答弁いただいたように、まさにその思いは共有していると確信した次第でございます。

 今後、二〇二〇年の削減目標を見直していくことになるわけですけれども、その方向性は、地球温暖化対策を諦めてしまうという方向であっては決してならないということだと思います。原発事故を受けて苦しい中でありますが、再生可能エネルギーの普及拡大や省エネルギーの推進に全力で取り組むことで、むしろ、世界の範となる日本を目指すべきだと考えております。

 日本にはまだまだ活用されていない再生可能エネルギーが存在すると確信していますが、環境省はどのような分野の再生可能エネルギーに重点的に取り組んでいくお考えか、大臣にお願いいたしたいと思います。

石原国務大臣 ただいまの点も大変重要な点だと私どもも認識をさせていただいております。

 再生可能エネルギーのうち、太陽光発電、陸上風力発電、あるいは水力発電などは、もう既に日本の中で技術的にもコスト的にも実用化されているんだと思っております。FITのような導入推進策によりまして、引き続きこれを後押ししていきたいと考えております。

 それであるならば、これから先、今あるものの先に何があるのかという御質問だったと思うんですけれども、私も先日、五島列島の洋上風力を視察させていただいてまいりました。今は二十二メートルのプロペラで百キロワットですけれども、これが、夏には八十メートルのプロペラになって二メガ、二千キロワットに拡大される。そうしますと、八百世帯分の電力をその洋上風力一基で賄うことができるというような大きさでございます。

 こういうものをしっかりと、これ以外にも、日本は火山の国でありますから地熱発電もございます、バイオマス発電もあります、こういうものを育てていくために、再エネ導入加速化プログラムというものを策定させていただいているところでもあるわけであります。

 やはり、今御紹介をさせていただいた洋上風力は、季節によって風の方向が一定な地域というのは、調査の結果、意外に日本でも明らかになっております。島、あるいは東北地方、北海道、こういうところでやはり、今また委員御指摘になりましたように、福島でも、発災の後の福島の再生ということで、これは経産省のプログラムでございますけれども、洋上風力をやっていこうという大きな計画もございます。

 やはり二〇二〇年には、洋上風力だけでも今の二・五万キロワットから四十倍ぐらいの百万キロワット、原発一基分ぐらいなものをつくっていくという心構えで頑張っていきたいと思っております。

 そして、そのポイントは、さっき五島列島の話をさせていただきましたけれども、自立分散型なんですね。ですから、そのエネルギー源によってその地域が成り立っていく、こういう形でこれを進めていかなければならない。

 ぜひ、委員にもこれまでどおりの御支援をお願い申し上げたいと思います。

土屋(品)委員 ありがとうございます。

 洋上風力発電のお話がありましたけれども、私自身、実際にそれを見たことがないので、ぜひ一度視察をしてみたいなと思った次第でございます。

 さて、今、地方の自立ということをお話しなさいましたけれども、これからの地球温暖化対策を推進していくに当たっては、まさに、地方自治体の役割は極めて重要かつ不可欠であると考えております。

 従来、バイオディーゼル燃料の活用や太陽光発電の集中導入など、それぞれの地域ごとに、地域特性を生かしながらさまざまな対策が実施されていますが、一方で、財政的に余裕がないとかノウハウ、人材が不足していることから、なかなか対策に取り組めずに悩んでいる自治体も少なくないと聞いております。

 地域の地球温暖化対策の取り組みは、地域を活性化させ、経済成長を促すとともに、エネルギー自給率を高めることになります。また、結果的には防災対策に結びつくものも多いことから、さらなる取り組みを進めていくことは肝要であると考えますが、こうした自治体による地球温暖化対策の取り組みを促すため、環境省としてどのような支援策を講じていくのかをお聞かせいただければと思います。

田中副大臣 土屋品子先生が長年環境関係の専門家としてお取り組みをいただいておりますことに敬意を表しつつ、先輩の副大臣でいらっしゃいますので、また御指導のほど、よろしくお願いしたいと思います。

 お尋ねの点についてお答えをいたしたいと思います。

 温対法の第二十条第二項において、地方公共団体は、地域の自然的社会的条件に応じた計画策定や施策の実施に取り組むことと規定されております。低炭素社会の実現に向けて、こうした重要な役割を担う地方公共団体を国としても支援することが極めて重要だと認識をしております。

 そのため、平成二十五年度予算において、国より都道府県と政令指定都市、また、都道府県からは、市町村による災害拠点への自立分散型エネルギー導入等を支援するグリーンニューディール基金事業の大幅拡充を盛り込んでおります。百二十一億円から二百四十五億円ということになっておりまして、自治体の取り組みを積極的に支援をしてまいりたいと思っております。

 また、自治体に向けた地球温暖化対策の計画策定のためのマニュアルを整備するほか、自治体職員に向け研修を実施することなどにより、ソフト面での支援にも取り組んでまいります。

 こうした地方自治体への支援を通じて、災害に強く、低炭素社会を地域から進めていく、こういう体制を整えていければと思っております。

 私の方もちょっと今メモをチェックしてみますと、非常に意欲があって先進的に取り組んでいる自治体というのは幾つかあるわけでございますが、例えば、兵庫県の淡路市が太陽光だとか風力の面で非常に熱心でありますし、また、大分県の日田市のバイオマスや小水力発電等の関係についても、非常に熱心な取り組みをしておられます。

 以上でございます。

土屋(品)委員 どうもありがとうございます。

 実は私、地元が埼玉県春日部市を中心とした選挙区でございますけれども、春日部市の方から環境省の方に役人さんを派遣ということでお世話になっております。これは、市としても非常にやはり人材を育成するに当たってはありがたいというお話がありまして、こういう交流を深めていただければありがたいと思います。

 さて、次に視点を少し変えまして、海外での貢献という面から質問をしたいと思います。

 国内での削減にしっかり取り組んでいくことはもちろんでございますが、我が国の持つ高い環境技術を生かして海外での削減につなげていくことが、国際的な地球温暖化対策において日本の存在感を高める有力な手段であると考えます。

 私は、発展途上国を中心に、発生抑制による環境面からの技術支援を国際貢献の柱にしていくべきと考えております。その具体的な手段として制度設計が進められています二国間オフセット・クレジット制度の概要と今後の展開についてはどのようになっているのでしょうか。お願いいたします。

齋藤大臣政務官 まさに、土屋先生おっしゃいますように、これから温暖化を地球規模で対策を講じていく上に当たりましては、気候変動枠組み条約という、二百カ国近い国が集まって議論することももちろん大事でありますけれども、それと同時並行的に二国間での協力を積み重ねていくということも大事だと考えているところでございます。

 こういう観点から、我が国も、自分たちの持つすぐれた環境技術ですとか、それから、製品やサービスなどにおけるノウハウなどを途上国に移転することによりまして、地球全体のCO2などの温室効果ガスの削減につなげると同時に、我が国の貢献としてもカウントしていきたいというふうに考えているところでございます。

 具体的な中身はそれぞれの国によって異なってまいりますので、しっかりとした協議をしながら進めていきたいと考えているところでございます。

 現状におきましては、ことし一月にモンゴルと、また、今月十九日にはバングラデシュと、この制度の開始をしようということで合意をいたしておりまして、今後は、アジア、アフリカを中心とした数カ国とも進めていきたいということで現在協議をしているところでございます。また、ほかの国々とも早期に協議が開始できるように努力していきたいと思っております。

 今後は、実際に温室効果ガスの削減につながりますようなプロジェクトにつながっていきますように努力していきたいと思っておりますので、元環境副大臣としても御指導いただけたらと思っているところでございます。

土屋(品)委員 どうもありがとうございます。この政策は大変重要ですので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 さて、今後、二〇二〇年以降の国際枠組みの構築に向けた国際的な議論が活発化していくわけですけれども、ダーバン合意に基づく特別作業部会のスケジュールを説明していただければと思います。簡単で結構でございます。

関(荘)政府参考人 二〇一一年末のダーバンにおきますCOP17におきまして、二〇二〇年以降の新たな将来枠組みを議論するために、御指摘のADPと言われるプラットホームが設置されまして、二〇一五年までに結論を得るということが決まりました。

 また、昨年末のCOP18におきましては、二〇一五年までに結論を得るための、ADPにおける具体的な作業計画、いつまでにどのような議論をするかということが決まりました。

 その合意によりますと、ことし二〇一三年にはこの会合を少なくとも三回開いて、それぞれの会合の前に各国は意見を表明することができる、こういうふうな状況になっております。

 また、来年二〇一四年におきましては、COP20に向けまして、交渉テキストの要素を検討するということが合意されております。

 さらに、目標年であります二〇一五年におきましては、五月までに最終的な交渉テキストを提示いたしまして、年末に開催が見込まれておりますCOP21におきまして新しい枠組みに関する法的文書を採択する、このようになっているところでございます。

土屋(品)委員 どうもありがとうございます。

 外交交渉というのは、私も何度かいろいろ参加させていただきましたけれども、大変厳しいものがあるということを認識しております。

 今後、遅くとも二〇一五年のCOP21までに、二〇二〇年以降の国際枠組みの採択を目指し交渉が進んでいくということですけれども、近年、我が国は、発言力がない、目立たない存在になりつつあるのではないかと懸念しております。

 今後の国際交渉でいかにしてイニシアチブを発揮していくのか、大臣から答弁をいただきたいと思います。

石原国務大臣 まさに委員の御指摘のとおりで、環境分野での国際社会での発言力というのは、残念ながら、ここ数年低下しているような気がいたします。

 しかしその一方で、先ほども御紹介させていただきましたような再生可能エネルギーの分野においては、世界一のものもたくさんあるわけであります。こういうすぐれた環境技術を活用して、日本だけではなくて、やはり、全世界でCO2の大幅削減に貢献していくというのが日本の基本的なスタンスではないかと思っております。

 そして、先ほど齋藤政務官の方から御答弁をさせていただきましたけれども、二国間のオフセット・クレジット、こういう手法というのは非常に重要でありまして、日本の技術を移転して、その技術の結果によってその国で得られるCO2の削減を我が国の方にカウントをしていくというようなものでありますけれども、我が国のCO2削減への貢献を目に見えるものとして、委員の御懸念また私の懸念を払拭するために、国際交渉で日本国のプレゼンスというものを高めていきたい、こんなふうに考えております。

土屋(品)委員 どうもありがとうございました。与党としても全力でバックアップをしていきたいと考えております。

 環境省には、石原大臣のもと、ぜひ、世界の地球温暖化対策をリードするという強い意思を持ってしっかりと取り組んでいただけるようお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

吉野委員長 次に、吉田泉君。

吉田委員 おはようございます。民主党の吉田泉です。

 引き続いて、地球温暖化対策推進法の改正に関しまして質問をいたします。

 ちょうど京都議定書の第一約束期間というのがこの十二月に終わったところでございますので、その期間を総括して、そして現在の対応を確認して、これからの政策のあり方をいろいろな角度から考えてみたいと思います。私もはっきり物申すようにしますけれども、全体的に少し大きな声で御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、京都議定書の総括であります。

 二〇〇五年二月に発効したこの議定書は、言うまでもなく、地球温暖化を防ぐ、そのために世界のCO2の排出量を減らす、日本は九〇年比でマイナス六%、減らす、先進国全体としては少なくとも五%減を目指そう、こういうことでやってまいりました。

 第一約束期間というのは、二〇〇八年から二〇一二年、去年までの五年間が対象期間だったわけでございます。対象期間が終わったばかりでありますが、今のところ、この削減目標の達成度はどういうぐあいか、どう見ているか、お伺いします。

田中副大臣 お答えをいたします。

 達成は可能ではないかと考えております。

 二〇一一年度の速報値における我が国の温室効果ガス排出量は、十三億七百万トンでございます。二〇〇八年度から二〇一二年度の京都議定書第一約束期間のうち、実績値が出ている二〇一一年度までの四年間についていえば、森林吸収量及び京都メカニズムクレジットを加味すると、平均で基準年の比が、九〇年比でございますが、九・二%減であり、六%削減ですから、京都議定書の目標を達成する水準であるということであります。貯金というか余剰分が年間三・二%ありますから、四年を掛けると一二・八%ありまして、問題はないと思っております。

 また、約束期間の最終年度である二〇一二年度については、排出量の算定に必要な統計調査等の結果を取りまとめるということでございまして、ことしの十一月ごろに明らかになってまいります。その間は政府として見通しを示すのは困難、こういうことになっております。

 これまでの実績を踏まえれば、京都議定書の目標は達成が可能だ、このように申し上げておるところでございます。

 以上でございます。

吉田委員 今のお話は日本に限ってのお話だと思いますが、先進国全体ではいかがでしょうか。

関(荘)政府参考人 国際エネルギー機関によりますと、二〇一〇年の世界全体の温室効果ガスの排出量は二酸化炭素換算で四百九十五億トンとなっておりまして、九〇年の三百八十億トンに比べますと約三〇%の増加であります。

 これを先進国で見ますと、先進国全体としましては九〇年比で二〇一〇年あたり七%削減でございまして、京都議定書では、先進国でこの間五%削減しようという目標を掲げておりますので、二〇一〇年までの統計ではございますけれども、この目標は現状では達成されている、このような状況でございます。

吉田委員 二つほどおっしゃったようですが、私が聞いていた先進国のマイナス五%という目標の達成ぐあいはどうかということについては、達成できるという御答弁だったと思います。

 先進国は一生懸命やったわけですが、その結果、世界全体のCO2の排出量、この排出量のトレンドに何か変化があったのかどうか、もう一度御答弁願います。

関(荘)政府参考人 先進国におきましては七%の減少となっておりますけれども、他方、途上国におきましてはこの間で六九%の増加でございまして、世界全体では、九〇年比で、二〇一〇年時点でございますけれども、三〇%増加している状況でございます。

吉田委員 わかりました。

 ということは、排出量が少なくとも増加トレンドが続いているということは、大気中のCO2の濃度も増加トレンドが続いているということでしょうか。

関(荘)政府参考人 御指摘のとおり、世界気象機関の報告によりますと、世界のCO2の平均濃度は、季節変動はございますけれども年々上昇しておりまして、工業化以前は約二八〇ppmでございましたけれども、二〇一一年には三九〇・九ppmまで、一貫して上昇してございます。

吉田委員 要するに、日本も含めた一部の先進国の必死の努力にもかかわらず、排出量かつ濃度については、この議定書の第一約束期間、減少というわけにいかなかったということだと思います。

 一方で、この間の世界の平均気温、これが我々の最終目標なわけですが、これはどのように推移したんでしょうか。

関(荘)政府参考人 気候変動に関する政府間パネル、IPCCと呼んでおりますけれども、この第四次報告書によりますと、世界の平均気温は、十年当たりにしますと〇・〇七四度Cの割合で上昇しております。

 最近の五十年で見ますと、十年当たりにしますと〇・一三度Cの割合で上昇しておりまして、過去百年の傾向のほぼ二倍となっておりまして、全体で見ますと、最近の気温上昇の方が大きくなっている、こういう状況でございます。

吉田委員 最近の気温上昇の方が大きくなっているという結論のようですが、私、環境省からいただいた、日本の気象庁が出している世界の年平均気温偏差という一八九〇年以降二〇一二年ぐらいまでの温度のグラフを見ていると、ここ十年、何か温度が上がっていない。少なくとも、二十世紀末、一九九八年ぐらいでずっと上がったんですが、それ以降の十年ぐらい、温度は横ばいであるというようなグラフの読み方ができると思うんですが、その辺はどうでしょうか。

関(荘)政府参考人 まず、先ほどのIPCCの報告書では、温室効果ガスの増加に伴いまして世界の気温が上昇しているという事実は間違いないというふうに結論づけておりますけれども、最近のこの十年程度、二十一世紀に入りました世界の平均気温の観測データでは、委員御指摘のように、やや横ばい程度の傾向になってございます。

 ただ、これを歴史的に振り返ってみますと、地球のさまざまな自然現象に応じまして、ある一定期間、温度の上昇が横ばいになっている期間がございまして、例えば一九六〇年代の十年間も同じような傾向になってございます。全体のトレンドとしては、そういう増減はございますけれども気温は上昇している、このように考えてございます。

吉田委員 わかりました。

 一方で、今度はお金の問題ですが、この温暖化対策には、我が国はもちろんですけれども、各国で多額の予算が使われてきたわけでございます。

 二〇〇五年以来、議定書発効以来、我が国における予算の執行状況を教えていただきます。

関(荘)政府参考人 我が国は、平成十七年に京都議定書目標達成計画の閣議決定を行いまして、平成十八年度、二〇〇六年度より目標達成計画関係の予算を取りまとめてございます。

 政府の支出につきましては、予算額は年度ごとに変動がございますけれども、毎年約一兆円前後の予算が計上されておりまして、このうち、特に京都議定書六%削減に直接効果があるものは約五千億円でございました。

 また、累計で見てまいりますと、平成十八年度、二〇〇六年度から平成二十四年度、二〇一二年度までの七年間の予算額を累計いたしますと七・六兆円の予算が計上されておりまして、このうち、京都議定書六%削減約束に直接効果があると思われますのは三・四兆円でございます。

吉田委員 七年間、累計で七・六兆円、直接間接両方入っているということでございます。

 これ以外に、先ほど土屋委員からも御質問ございましたが、地方でも、交付税交付金等からこの目的に支出が出ている。さらには、民間でも、政府の方針に協力して相当なお金が使われたということだと思います。総計で幾ら使ったというのはなかなか難しいかもしれませんが、学者の計算によると、この議定書発効以来、お金が日本だけで大体二十兆円ぐらい使われたんじゃないかということを言う方もおられます。

 ここで環境大臣にお願いしたいと思いますが、今までの答弁をまとめますと、日本は少なくとも七兆円というお金を国家予算として使ってきた。しかしながら、世界全体のCO2排出量の削減、ひいては大気中の濃度の低下ということに関しては、今のところ、効果がなかったと私は言わざるを得ないというふうに思います。

 一方では、この地球温暖化問題、昔からですけれども、学者の間でもいろいろな議論がございます。

 例えば、東大の渡辺正教授の御本によると、この地球温暖化問題、つまり人為的なCO2脅威論ということですが、そもそも三つの考え方から成っている。要するに、人間が大気中のCO2をふやすんだ、そうすると、そのCO2が地球を暖めるんだ、その結果として悪いことがあれやこれや起こるんだ。

 この三つの考え方にのっとって、IPCCを中心に世界の各国がやってきたわけでありますが、この三つの考え方のうち一つでも誤りだとなったら、全ては崩壊してしまいます。

 実のところ、この三つの考え方というのはどれもまだ仮説の段階だ、そして、ここ数年間に、例えばクライメートゲート事件というデータ改ざん事件などが表面化したこともあって、仮説の質がどんどん劣化しているんじゃないかという指摘をこの渡辺教授がしている。こういう問題も片っ方にございます。

 今までのやりとりを踏まえて、環境大臣から、この京都議定書の成果について総括的な評価をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいまの吉田委員と環境省との議論を聞かせていただいて、吉田委員の方からサマリーとして、日本を含む先進国は努力をしたけれども、結果としてはCO2換算レベルで三割程度CO2の排出がふえ、全世界の平均気温ということから見ても、平均気温が上がってしまったというようなことを私も今聞かせていただいて、そのとおりなんだろうというふうに認識をさせていただきました。

 この理由がなぜかということを考えますと、先進国は努力しましたけれども、実は、京都議定書の中では途上国は目標さえ持っておりません。そして、最終段階になってアメリカが離脱し、全世界の排出量を減少に向かわせるというような事実には至っていないということも、委員の御指摘のとおり、私もそのとおりだと思います。京都議定書の締約国のうち、第一約束期間で排出削減義務を負う国の排出量というのは、考えてみますと世界全体の四分の一でありますので、こういう結果は当初から予想されたのかもしれません。

 しかし、私、COP3のときにちょうど通産政務次官をさせていただいておりまして、エネルギーの観点から会議にも出席をさせていただいたんですけれども、各国ごとに数値目標を、もちろんアメリカは離脱してしまいましたけれども、設定するというのは、これはすごいことだなということを思ったことを今でも覚えております。

 また、目標を達成するための算定や報告などの仕組みというものも導入されたということは、これまでの答弁でも明らかになっております。そして、温室効果ガス排出削減に法的拘束力を持たせる制度となっている。これは、第一歩としては意味があったのではないかと私は思っております。

 また、京都議定書のもとで発展してきた国際的なルールや経験というものは、これから、COP19、二〇一四年のCOP20が一つポイントになってくるんだと思いますけれども、将来の途上国も含めた枠組みをつくる上で非常に有益なのではないかと思っております。

 そういうことを考え合わせますと、やはり、一定の成果はでき、評価に値するものであるというのが率直な印象でございます。

吉田委員 第一歩として意味があったというのが大臣の結論だと思います。問題は、その意味の大きさが、本当に大きな意味があったのか、これっぽっちの意味なのか、そこがいろいろ見解が分かれるところじゃなかろうかと思います。

 一つだけちょっと追加で申し上げると、今大臣は、CO2の濃度も上がった、温度も上がったという受けとめ方をされたということですが、先ほどの答弁ですと、この十年は実は温度は上がっていないという見方もあると。ふえているのに上がっていないということは、先ほどの三つの考え方のうちの二番目の考え方が本当に正しいのかということにも直結するということでございます。

 さて、今度は、今現在の日本国の対応についてお伺いしたいと思います。

 日本は第二約束期間には参加しませんでした。その背景、理由をお伺いしたいと思います。

齋藤大臣政務官 当時、我が国政府は、全ての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みを何とかつくり上げていこう、そして同時に、意欲的な目標をみんなで掲げていこう、そういう合意を目指して国際交渉において努力をしていたところでございました。しかし、残念ながら、それがどうもなかなか難しいという事態に立ち至りました。

 そしてまた同時に、先生も御案内だと思いますが、京都議定書を結んで以降、途上国の排出量がどんどんふえてまいりまして、こういう人たちを取り込んでいかないと合意は意味がないという事態に変わってまいりました。

 そういう状況を踏まえて、二〇一〇年のカンクンで行われましたCOP16のぎりぎりのところで、京都議定書の第二約束期間に日本が入ってしまうと現状がまた固定されてしまうのではないかという懸念もございましたので、そういう方法をとるよりは、望ましい将来の枠組みの実現に向けまして、主要排出国全てが参加しているカンクン合意を出発点として各国の排出削減を促進させることがむしろ現実的かつ有効であろうという判断をいたしまして、第二約束期間に参加しないこととしたわけでございます。

吉田委員 二〇一〇年、カンクンで第二約束期間への不参加を表明した。当時は菅内閣、松本環境大臣のときだったと思いますが、私も、この不参加の判断、よくぞされたと支持をしているところでございます。

 もう一つ、そのカンクンの前、不参加を判断する前に、コペンハーゲン合意というのがあります。これに基づいて、このときは鳩山内閣の時代ですが、二〇二〇年まで、主要国参加という前提条件をつけながら、二五%削減するんだという日本の目標を国連に提出したわけであります。そして、次のカンクン合意によって、これをCOPとしてテークノートするというのが今現在の状況だと思いますが、この我が国が提出した二五%削減目標というのは今現在も国際的な約束として生きているのかどうかをお伺いします。

齋藤大臣政務官 現在、登録されたままになっておりまして、取り下げる措置をとっておりませんので、生きているという理解で結構だと思います。

吉田委員 二五%目標、これは二〇〇九年に出した目標でございます。今現在、その国際的な約束が生きているということでございますが、一方で、日本は大震災を経験いたしました。その後、この二五%目標をゼロベースで見直して再提出するということを国連に通告しているんじゃないでしょうか。

関(荘)政府参考人 昨年の年初に、我が国の状況を、新たな目標について検討中であるという旨の正式なレターをドイツ大使から条約事務局に発出しております。

吉田委員 この大震災を経て、いろいろな状況の変化がございました。二五%のこの目標の見直しは私は避けられないというふうに思っておりますが、そこで、これからのエネルギー政策のあり方等について、きょうは経産の平政務官にもおいでいただいていますので、何点か、まず政務官にお伺いしたいと思います。

 安倍総理は、先日の施政方針演説で、省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進める、そして、できる限り原発依存度を低減させていくというふうに言明をされました。それがこれからの日本のエネルギー政策の大方針ということだと思います。

 今までは、原発をふやす、それによって地球温暖化対策を推進していく、いわば実質的には私はこれが最大の温暖化対策の柱だったと思います。ところが、今度は原発の依存度を逆に下げていくんだということになると、温暖化対策全体の大きな変更にならざるを得ないと思いますが、政務官、いかがでしょうか。

平大臣政務官 委員にお答えをいたします。

 エネルギー政策については、まずは、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないように、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提でございます。

 今後三年間に再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進を最大限加速させていくとともに、原発の安全性については、委員御承知のとおり、原子力規制委員会が世界最高レベルの科学的安全基準のもとで判断をしていくこととしております。今後は、できる限り原発の依存度を低減させていくという方向で検討をしてまいります。

 地球温暖化対策については、こうしたエネルギー政策の検討状況を踏まえつつ、二五%削減目標をゼロベースで見直す、そして、御審議いただいている法案に基づいて、新たな温暖化対策計画の策定を進めたいと考えております。委員の御質問では、温暖化対策、柱から見直す、抜本的に見直す必要があるのではないかということでありますが、まさに目標をゼロベースに見直した上での計画策定ということになってまいります。

 なお、現在の計画は二〇一二年度末で終了いたしますが、先般の三月十五日、地球温暖化推進本部で決定した当面の地球温暖化対策に関する方針に基づき、新たな計画の策定に至るまでの間においても、現行の計画に掲げられたものと同等以上の取り組みを切れ目なく推進することとしているところでございます。

吉田委員 今の御答弁でも、原発依存度を低下させる、しかし、その前提条件として、省エネ、さらには再生可能エネルギーの導入ということだと思います。この二つができないと、本当に原発依存低下というのは絵に描いた餅のようなことになってしまうと私も思います。

 一方で、再生可能エネルギー、風力、太陽光、地熱、バイオマス、いろいろございますが、技術としてはこれからの技術だ、少なくとも当面は、コストも高いし、電源としての安定度が低いという現実もございます。短期間で日本のエネルギー電源の主役になるのは簡単ではないというふうにも思いますが、政務官、いかがでしょうか。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、再生可能エネルギーの発電コストが高いです。現状では火力などに比べても高い状態にありますし、市場原理に任せるのみでは大幅な拡大は困難というのが現状だと思います。

 電源の不安定性については、今さまざまな技術、イノベーションが加速度的に進展をしていると承知をしております。

 いずれにしても、固定価格買い取り制度などを昨年七月に開始いたしましたが、そういった制度を使いながら普及を図っていく。この制度開始以来、着実に再生可能エネルギーの導入が進んでいる。特に、太陽光発電においては、発電設備の価格の下落が進んでいるところでございます。

 また、風力、地熱など、相対的に発電コストは安いんですが、こちらの方は、再生エネルギーの導入に当たっては、まず最適地が限られるということもございます。例えば、北海道、東北地方が最適地と言われておりますが、送電網が脆弱であるということもありますので、こちらについては、送電網の整備など、実証試験を行うための予算を二百五十億円措置したところでございます。あわせて、地熱開発についても、地元の理解を得られるために、地域振興を目的とした事業を支援する予算二十八億円を二十五年度当初予算に計上しているところでございます。

 固定価格買い取り制度の着実な運用に加え、予算、税制措置、規制改革などにより、今後三年間で最大限再生可能エネルギーの普及を加速していきたいと考えております。

吉田委員 三年間で集中的に加速政策をとるというお話でした。

 時間がかかるでしょうけれども、日本のエネルギーの政策の主役にこれらを押し上げていくということは私も賛成でございます。

 一方で、いろいろ電源がある中で、従来、温暖化対策の面から評価が低くなった、評価を下げたというのが石炭火力発電だと思います。

 私の地元の福島県いわき市で、石炭を使った石炭ガス化発電という実証試験がしばらくの間続けられました。そして、所期の目標を達成して終了した、今後は商業運転に移行するというところまで来たわけでございます。いろいろ現場を見せてもらったりすると、この実証試験の結果、旧世代の微粉炭火力発電に対して発電効率が二割アップするということが大体確認できたということでございます。

 そもそも、石炭発電というのは発電単価が非常に安いわけですよね、キロワットアワーで十円。太陽光は四十円とかいうような話もありますが、全ての電源の中でも極めて安い。それから、石炭の世界的な可採年数、採掘可能な年数というのも百二十年と、相対的に、比較的に一番長い。それから、今PM二・五という問題が大変大きい問題として出ていますが、ガス化にしますとその心配が全くなくなるというその研究所の所長のお話でございました。そういうメリットも石炭にはあるというふうに思います。

 そこで、改めて、これからの石炭火力発電への対応、可能性を考える上で、コストとか安定供給、それからあとは環境に対する影響、そういった問題のメリット、デメリットをここで伺いたいと思います。

平大臣政務官 私も、先般、磯子の最新鋭の火力発電所を見学してまいりました。

 前提としては、震災以降の原発停止により、当面の火力発電への依存が避けられない中、安定供給や経済効率性を確保する観点から、まずは電源の多様化、そして燃料調達先の多角化、火力発電の高効率化を推進することが極めて重要であると考えております。

 委員の御質問でございますが、石炭火力は、他の化石燃料に比べて価格が安く、経済性にすぐれています。また、調達先の地政学的リスクも低いということで、安定的な調達が可能というメリットがあると考えます。

 一方で、石炭火力は、御承知のとおり、CO2の排出量が多いという課題があるため、その活用に当たっては、高効率な最新技術の導入を促進することが重要であると考えております。

 我が国は、既に世界最高効率の超超臨界圧火力発電、通称USCなどの高効率発電技術を有しており、国内のみならず世界全体のCO2削減に貢献することが可能であると考えております。

 また、将来、さらなる発電設備の高効率化に向けて、先進超超臨界圧火力発電、通称AUSC、また、石炭ガス化燃料電池複合発電、通称IGFCなどの技術開発にも今後取り組んでまいりたい、そのように考えております。

吉田委員 石炭にかかわるいろいろな技術開発を進めるという御答弁だったと思います。

 それで、今までの御答弁を踏まえてでございますが、今回の大震災、千年に一度という事故があって、日本のエネルギー環境は大きく変わった、原発は減らさざるを得ないという状況だと思います。しかし、それに取ってかわろうという再生可能エネルギーというのは、今現在ではなかなか技術的な成熟に至っていない、まだ時間がかかるという面は否めないと思います。

 一方で、今政務官がおっしゃったように、安価で安定した電力供給の必要性というのも非常に要求されているわけであります。

 私は、LNG発電というのは大変結構です、この推進も必要でありますが、石炭火力発電の見直しというのを政府全体として検討したらどうかな、ここでゴーサインを簡単には出せないんでしょうけれども、少なくとも検討はしたらどうかなというふうに思っております。

 確かに、石炭というのはどうしてもCO2の排出は多い。したがって、温暖化対策という面から見れば、なかなかふやせないという電源でございます。しかし一方で、京都議定書の第一約束期間が終わった今、日本が置かれている国際的な状況というのも、温暖化対策一辺倒でいかなくちゃいかぬという状況から少し変わってきたんじゃないかなというふうに私は感じております。

 大震災、原発事故という千年に一度の非常時でもあります。できたら、柔軟に、もちろんバランスをとりながら、政策の優先順位をもう一度検討した方がいいんじゃないかな、そういうときが来たのではないかと私は思います。国際的な合意、これも大変重要でありますから、それは踏まえなくちゃいけませんが、静かに政策を見直すべきときではないか、こういうふうに感じております。

 環境大臣の御所見を伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいまの議論を拝聴させていただきまして、やはり日本のエネルギー政策が、委員御指摘のとおり、エネルギー環境の変化に対応していかなければならない、これはもっともな御指摘だと思います。

 では、これから安くて安定的なエネルギーを供給する形にしたときに、日本の目指すべき国家像というものはどういう社会なのか。

 もう少し平たく言うと、二〇三〇年あるいは二〇五〇年の日本の社会は、工業化が進んでさらにエネルギーを必要とするような社会が来るとは私は絶対思えません。というのは、生産年齢人口と高齢者の人口が逆転をして、二〇五〇年でいいますと、日本国は一億人の人口を切る。そういう社会に対応するには、やはり再生可能エネルギーというものを自立分散型で推し進めていくということが肝要なのではないかと思っております。

 そして、近い将来を見ると石炭火力は魅力的に映るんですけれども、やはりLNGの倍のCO2を排出するということは、国際社会の中で、二〇二〇年に対して日本がどれだけの削減目標を出すかということは世界の国々が非常に注目をしております。そして、日本が二〇二〇年に、いや、もう技術的に難しいから石炭火力に、安いのに依存をしていくんだと。二〇二〇年に新しい石炭火力ができるということから、それから三十年間は動くわけですから、二〇五〇年という社会に到達してしまうわけですね。

 そういうことを考えたときに、私は、過度に石炭火力に依存するエネルギー政策を今日本は実はとる必要がないんじゃないか、これは全く個人的な考えでありますけれども、そんなことを思っております。

吉田委員 一応、予定した質問は終わったんですが。

 私も、日本が第二約束期間に参加をしていて、新たな削減義務というのを負う状況であれば、なかなか石炭というのは、再活用というのは考えにくいと思いますが、結果として、参加をしなかった。自主的な目標をもう一回ゼロベースで見直すということですが、半年ぐらいかけて見直す、そのときに、余りがちがちな、温暖化対策一辺倒でいくような目標を立てて、それに日本のエネルギー政策が余りにも縛られてしまうというのは、今現在の状況から見ていかがなものかなというふうに思っているところでございます。

 一番最初に随分細かいデータもお伺いしましたけれども、やってもやっても、CO2を減らすという作業はなかなか成果を生みにくい。だから努力をやめようということは言いませんが、そういう現実を踏まえて、かつ再生可能エネルギーの現実も踏まえて、もちろん、長期的には、人口が半分になって、エネルギーもそんなに要らぬという見方もあるかもしれませんが、当面、この震災後、どうやって日本の経済的な基盤をなるべく安定的に維持していこうかというときでありますから、いわば合理的な、かつ常識的な判断で政策を進めていっていただきたいと思います。

 そろそろ時間ですが、もし大臣、もう一言ございますればお願いします。

石原国務大臣 もう吉田委員が総括をしていただいたと思っております。

 CO2を減らす努力をやめない、これは多分、環境委員会所属委員の共通なコンセンサスだと思っております。

 そこで、委員が最後に御指摘されましたように、合理的で常識的な判断、政府の行う政策について、合理的であるか、常識的であるかということをぜひこれから、COP19に向けて、環境省として目標を策定していきます。その目標自体も、合理的であるのか、常識的であるのか。

 また、世界の国々からそれを眺めたときに、日本が野心的な目標を失った段階で、日本が地球温暖化に対してネガティブ、否定的になったから話がまとまらないんだというようなことの言われることのないように数値をつくり出していかなければならない。

 また、委員の皆様方の卓越した英知の御結集というものを当委員会でもお願いを申し上げて、感想とさせていただきます。

吉田委員 ありがとうございました。終わります。

吉野委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 原発事故以降、日本の環境分野、特にCO2を削減していくということに関するイニシアチブ、これが薄れている、迷走しているということ、これは本当に、世界に対して日本独自の価値を提供していくという我々の理想からすれば、大変に憂慮しなくてはいけない。今こそ政治がイニシアチブをとって明確な方向性を出していかなくてはいけない、このように思っています。

 まず、基本的なところから再度確認をしたいと思っているんですが、ことしの十一月のCOP19においてCO2削減の目標を設定するということですが、今どのようなプロセスでその準備をしているのか。このCO2削減目標をつくっていく上での基本的な戦略、考え方について、まずお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、土屋(品)委員長代理着席〕

関(荘)政府参考人 一月に総理大臣より、現在の二五%の削減目標をゼロベースで見直すようにというふうな御指示をいただいておりまして、環境省を中心といたしまして、関係省と連携をとりまして、見直しの作業を進めているところでございます。

 具体的には、外部の専門家の御意見を伺うということで、中央環境審議会、経済産業審議会等々の関係審議会でもこれから御議論を開始させていただきまして、幅広い御意見、国民の御意見も踏まえて、現在のエネルギー情勢等々も勘案しながら新しい目標を検討してまいりたい、このように考えてございます。

阪口委員 一方で、二〇五〇年までにCO2を八〇%削減するという大きな目標がございますが、こちらの方は現在も生きているという考えでよろしいんでしょうか。

関(荘)政府参考人 ただいま御指摘の点は、ラクイラ・サミットにおきましてG8の合意文書の中に書き込まれたものでございまして、我が国はこれを受けまして、昨年改定いたしました環境基本法に基づきます環境基本計画の中に二〇五〇年八〇%削減ということを明記してございます。

阪口委員 この点について、中央環境審議会が、再生可能エネルギーそして省エネ社会を構築するためには、二〇三〇年までに百三十五兆円から百六十三兆円の追加投資が必要だという指摘をしています。これは二〇一二年の六月に発表されているということですが、その中では、回収額が二百五兆円から二百四十一兆円であると。

 要するに、それだけの投資をすれば、それに見合う、それ以上の成果があるということでございますが、二〇五〇年というのは大変に先のことです。三十数年後というのは人口動態や社会の構造が大きく変化している可能性はありますけれども、中心になる戦略と、そして、この追加投資百三十五兆円から百六十三兆円の中で、政府による支出が大体累計でどれぐらいと見込まれているのか、もしその件に関して何らかの数字が出されているのであれば、お伺いをしたいと思います。

    〔土屋(品)委員長代理退席、委員長着席〕

関(荘)政府参考人 二〇五〇年八〇%目標というのは大変甚大な目標でございまして、以前、環境省におきまして審議会等で御議論いただきました中では、まずは再生可能エネルギーというのを最大限に普及するということでございまして、ただ、再生可能エネルギーだけで日本の電力を賄うことは極めて困難でございますので、化石燃料によります火力発電所から出てまいりますCO2を回収、固定化するCCSというもので、現在実証実験等が世界で行われておりますけれども、これをいかに早く経済的にもペイする価格で普及するかというのが鍵になると考えております。

 また、こういうことに向けました総合的な戦略につきまして、政府の支出がどの程度になるか等々につきましては、残念ながら試算をしておらない状況でございます。

阪口委員 その中で、原発の位置づけというのはどのようになっているんでしょうか。

関(荘)政府参考人 ただいま御紹介させていただきました二〇五〇年に向けた道筋につきましては、震災以前に審議会等で検討したものでございまして、そのときでは、原発も電源供給に一定の役割を果たす、こういうふうに位置づけられてございます。

阪口委員 今私が申し上げたとおり、二〇一二年の六月にこの報告書が出ている。すなわち、震災が起こって、原発事故が起こってから一年三カ月程度たった後の報告書ということですから、その中で今の御答弁というのはちょっと矛盾すると思うんですね。

 震災が起きて一年三カ月たった時点で震災前の状況を想定した報告書というのは、私は矛盾すると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

関(荘)政府参考人 失礼いたしました。

 私が申し上げましたのは、震災以前の、斉藤委員が環境大臣に御就任いただいたときに検討したものを申し上げたものでございます。民主党政権下でも、エネルギー・環境戦略ということで、そのときに中央環境審議会、産業構造審議会で議論をやっておりまして、その際には、原発に依存しないということで、自然エネルギーを最大限に普及させる、このようなシナリオも検討されております。

阪口委員 民主党政権は、基本的には二〇三〇年代には原発依存度をゼロにするという大きな方針を出しておりましたが、二〇一二年の六月に出されたこの中央環境審議会の報告書というのは、基本的には、では原発には全く依存しないという考え方に基づいているということでしょうか。

関(荘)政府参考人 この報告書は、いろいろなシナリオを分析、検討したものでございまして、原発に依存しない二〇五〇年の姿というのもそのシナリオの一つとして記載されてございます。

阪口委員 ちょっと繰り返しですが、重要なところなのでもう少しお聞きをしたいんです。

 原発に依存しないということを想定した上で二〇五〇年までに八〇%のCO2を削減するためには百三十五兆円から百六十三兆円の追加投資が必要である、このような理解でよろしいんでしょうか。

関(荘)政府参考人 必要費用とシナリオにつきましては、大変申しわけございませんが正確な資料を現在手に持っておりませんけれども、おおむねそのような方向だというふうに私どもは理解してございます。

阪口委員 世界に先駆けて脱原発、原発に依存しない経済システムのモデルをつくっていく、これは本当に日本が果たすべき使命であると思いますし、そのための司令塔になっていくのが環境省である。そのための意識を共有するのが我々にとって大変重要なことであると思っています。

 質問をちょっと先に進めたいと思うんですが、環境省は、今年度、低炭素社会創出ファイナンス・イニシアチブということで、平成二十五年度に百五十七億円、補正を含めると二百十八億円の予算を計上するということでございます。

 この金額の根拠についてお伺いをしたいんですが、二百十八億円の根拠と、その金額がどれぐらいの民間の投資を生み出すことが想定されているのか、伺いたいと思います。

白石政府参考人 お答えいたします。

 低炭素社会創出ファイナンス・イニシアチブでございますけれども、今御指摘のように、補正予算を含めますと、来年度の当初予算を含めまして二百十八億計上しておりますが、その主なものというのは、例えば、低炭素のまちづくりであるとか、オフセット・クレジットの構築事業であるとか、それからグリーンビルディング普及促進の基盤整備、そういったものでございます。

 これらのものを合わせた投資効果というふうな形での試算は、今のところ行っておりません。

阪口委員 民間の資金をとにかく呼び込むことが大切で、その上で予算を計上しているわけですから、この予算の計上が実際にどれぐらいの民間の資金を呼び込むのか、そういった想定、シミュレーションというのは当然あってしかるべきではないかと思います。現に、先ほど質問をした中央環境審議会においては、二〇五〇年までにCO2削減八〇%を実現するためには百三十五兆から百六十三兆の追加投資が必要だというふうな数字が出ているわけですから、そういった大きな目標に到達するプロセスとしてこういった予算を計上する限りは、そこにどれほどの民間資金が動くのかということがしっかりと想定されているのが当然だと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

白石政府参考人 恐れ入ります。全体の金額に対する投資というふうなことで、それは計算しておりませんということを申し上げましたけれども、ファンドのお尋ねであれば、おおむねのことでございますけれども、総事業費というのは出資する金額の大体四倍ぐらいというふうに私どもは見積もっておるところでございます。

阪口委員 ありがとうございます。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 低炭素社会創出ファイナンス・イニシアチブの中で、地域低炭素投資促進ファンド創設事業というのがございます。これは二十一億円、今年度、新規の事業ということで予算も計上されているわけですが、同じ質問ですけれども、この予算の根拠をまず教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 根拠というお尋ねの意味が趣旨ということであれば、以下のようなことだというふうに考えております。

 おっしゃられますように、投資を進めて低炭素社会に導くということのためには、潜在的には採算性は見込まれるものの、リードタイムが長いとか、あるいは投資回収期間が長期に及ぶということで、いわば、普通にやっていればリスクが高いのでなかなか投資に民間のお金が回らない嫌いがあるというふうな認識を私ども持っておりまして、それを何らかの工夫によって民間の資金が十分に供給されるような仕組みを、国の方が呼び水のようなファンドをつくることによってそういう民間の投資を促進していこうということを考えてみたというのが今回の趣旨でございます。

 短く申し上げれば、そういう民間の出資、投資というのを促して、官民協調の形で、低炭素社会に向けたいろいろな対象事業が円滑に進むように金融の面から支えていける仕組み、こういうふうなことで考えております。

阪口委員 これは、私が読む限りは、利子の一部を負担するというふうに読み取れるんですが、基本的にこれはもう上げっ放しということでしょうか。それとも、事業が採算がとれるようになった時点で回収するということも想定しているんでしょうか。

白石政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、利子補給という仕組みもございますが、その一方で出資という仕組みも考えておりますので、当然、出資ということになれば、それに伴うリターンというか回収というふうなことも想定しておるものでございます。

阪口委員 今私が聞いた質問は利子の補給の部分についてなんですが、この利子の補給については、事業が採算がとれた後はリターンされるという認識で大丈夫なんでしょうか。

白石政府参考人 利子補給の部分は、リターンというものは想定しておりません。上乗せという形でやるものでございます。

阪口委員 この事業、私は非常に意義がある事業になり得ると思います。

 ただ一方で、例えば、申請があったときにそれをどのように審査するのか。また、国から資金を提供して、利子に関してはリターンもないということであるわけですから、しっかりとした評価を国としてもしていかなければいけないし、事業を実施する責任者はそれをしっかりと報告する義務があると思います。

 このあたりのサイクルをどのように機能させるのか、この点についてもお答えいただきたいと思います。

白石政府参考人 御指摘もっともでございまして、やはり目ききが要る世界でございます。

 そういった意味では、専門家が何らかの法人を形成していただいて、そこが出資あるいは利子補給のもととなる。そこには当然、客観的なリスクとそれからリターンに対する目きき、判断をした上で出資を行いまして、それを、個別具体的には地域のファンドであるとかいろいろな金融機関と共同して出資をするというふうな形になると思いますので、今御指摘のような仕組みというのは、ほかのファンドなんかのことも今勉強しておりますけれども、きちんとした仕組みでやらないといけないというふうに思っております。

阪口委員 今質問してきた事業というのは、主にはさまざまな企業が中心になって行う事業であると思いますが、低炭素社会を実現するためには、家庭が排出するCO2をいかに削減していくか、これが大きなポイントだと思います。

 環境省さんの事業の中に、家庭向けエコ診断制度の創設を目指すという、これも非常に先進的な取り組みが行われると聞いておりますが、まず、各家庭のCO2の排出について把握するというのは大変なことだと思うんですね。その上での戦略、課題、そしてどのように各家庭のCO2排出を把握していくのか、この点について伺いたいと思います。

関(荘)政府参考人 その前に一言。先ほど私、委員御指摘の百三十五兆円から百六十三兆円の投資額というのは、レポートでは二〇五〇年までではなくて二〇三〇年までの累計でございまして、少し誤ってお伝えいたしました。訂正させていただきます。

 それで、今御指摘の家庭からのCO2の排出量、これは、九〇年比で家庭部門というのはCO2の排出量が五割増加しておりまして、この分野での対策というのは温暖化対策全体の中では大変重要であるというふうに考えております。

 具体的に環境省が今実施しておりますのは、うちというのは家でございますけれども、うちエコ診断という名前で、各家庭で電気の使用料等々をインプットしていただきますと、それで簡易的に計算ができて、いわゆる見える化、お住まいの住宅でどの程度CO2が今のライフスタイルで出ているのか等々についてわかるような、こういうサービスを提供する、こういうものでございます。

阪口委員 わざわざ訂正をしていただいたんですが、私、今御答弁いただいたことをベースに先ほど質問をしたと思います。要するに、目標としては二〇五〇年にCO2を八〇%削減するということですが、これは恐らく、かなり先のことだということで、実際には二〇三〇年までに百三十五兆から百六十三兆の追加投資が必要だと。その現実を踏まえた上での質問なので、特に答弁と何かが食い違っているということはないかと思います。

 それで、先ほど来ずっと政府参考人の方にお答えをいただいているんですが、私は、環境省が中心になって、世界に先駆けて脱原発そして低炭素社会のモデルをつくっていくということ、これは本当に、日本が世界に対して提供できる価値だと思います。

 ただ、ちょっと私が今いろいろと基本的なことを質問していることに対しても、少し答弁が余り明確でない印象も持たざるを得ないと思うんですが、環境大臣、まさにリーダーシップを発揮していく役割を担う上で、どうやってイニシアチブをとっていくのか、機能させていくのか、そのあたり、お考えを伺いたいと思います。

石原国務大臣 一言で言うと、実は、環境省はこういう仕事をしたことがないんです。

 私、昨年就任以来、再生可能エネルギーを普及していく上には、どうしても資金の部分で越えられないところがあります。

 というのは、自立分散型の企業体、もちろん県とか市も今入ってきてくれてはいるんですけれども、やはり信用の部分においてなかなか足りない部分がある。民間金融機関に融資を頼んでも、やはり何らかの公的なバックアップ、国を挙げて再生エネルギーというものを後押ししているんだというものを見せないと、なかなか個々の事例で、例えば風力発電にしましても、大きなコンバーターがないと電力が安定しない、この値段が高いから、この部分を会社が出すと採算性が合わなくなるとか、その数を、何百メートルおきにやるかによって幾つのものが入ってくるかというようなことで、会社が描いたものと現場との、認可の話でうまくいかない。こういうところに、今御議論のあったファンドから、当面何年間かは利子の上乗せ部分はしてあげますよとか、企業体として。

 県によっては、資金量が絶対的に足りない、メガバンクが出ていないところというのはあるんですね。例えば、沖縄なんかでも、風力をやるといいましても、沖縄公庫が出してもらわないと民間金融もついてこないみたいな現状がありますので、そういうものをやはり少し後押しをするということで、これを絶対やれ、これだけ言って、年末慌てていろいろしつらえてこういう形になってきておりまして、実績も全くございません。

 委員の御指摘のとおり、では、何でこの事業体がもらえて、うちがもらえないんだということのないような客観的な評価というものをもちろんこれから入れてまいりますし、そして、例えば、三年たった、五年たった、それでもちっとも採算性も合わないし、その地域の電力を供給できないじゃないかというようなことに対しては、やはり期限をちゃんと区切って適用を見直していく、こういうこともしっかりやるようにということで、今鋭意検討しているというのが正直ベースの現状でございます。

 そこの部分は、これは税金でございますので、しっかりと見てまいりたいと考えているところでございます。

阪口委員 今お話を伺っていると、大臣も、自信たっぷりの答弁というよりは、本当にこれから試行錯誤をしてやっていくんだ、大変大きな課題に向けての大変に大きなチャレンジをしていく、そんな思い、ちょっと不安になりながらも聞いていたところでございますが、どちらにしても、これは未知の領域に日本が進んでいく、そしてこの闘いには必ず勝たなくてはいけないということで、我々も、決して追及するだけではなくて、とにかくいろいろな提案をして、低炭素社会の実現に力を、後押しをしてまいりたいと思っておりますので、ぜひ今後ともこういった議論を継続してさせていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 重複する質問も非常に多いかと思いますが、大切な問題ということで、改めてお聞かせ願いたいと思います。

 まず最初に、民主党吉田委員の質問と重複してしまいますが、先ほど齋藤政務官が御答弁いただきました京都議定書の第二約束期間、これは平成二十五年から三十二年ということですが、当時の松本龍大臣のときに加わらないということが決せられたということですが、加わらない理由を改めてお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

齋藤大臣政務官 繰り返しになりますが、当時、我が国政府は、全ての主要国による公平かつ実効性のある国際的な枠組みを何とか構築しよう、そして、あわせて意欲的な目標をみんなで掲げていこうじゃないかということを目指して、国際交渉において努力をしておりました。しかしながら、残念なことに、この日本の目標はなかなか達成できないという現実に直面をしたのが、二〇一〇年のカンクンのCOP16のころでありました。

 一方、考えてみますと、京都議定書ができたときから大分世の中が変わってまいりまして、途上国による排出量というものが急増をしてまいりました。京都議定書の枠組みで削減を努力している国が世界の四分の一になってしまうという、そういうシェアの縮小というものもございました。

 そういうことを考えていく中で、当時の我が国といたしましては、やはり、主要排出国全てが参加しているカンクン合意を出発点として、それをさらに促進させることが現実的かつ有効なアプローチであると考え、京都議定書の第二約束期間に入ることはむしろ現状を固定化することになるのではないかというおそれから、先ほど申し上げましたように、第二約束期間に参加しないということを決定したわけでございます。

河野(正)委員 当時、民主党政権下で決断されたということでしたけれども、現政権下でも変わらないという理解でよろしいでしょうか。

齋藤大臣政務官 第二約束期間に加わらないということにおいては変わりません。

河野(正)委員 私は、京都議定書、そもそも、一九九〇年を基準にしたことというのが非常に我が国にとっては無理があったし、それによって、世界的にも加わらない国が出てきたのではないかなと考えておりますけれども、これについて御見解はいかがでございますでしょうか。

齋藤大臣政務官 まだ、二五%削減は国際的には登録をしたままという状況であります。

 自民党は、野党のときに、やはり二〇〇五年の基準に変えるべきであろうという主張をしておりました。これから新しい目標をつくる中で、先生にも御指導いただきながら、きちんとした目標をつくっていきたいと考えております。

河野(正)委員 今後は、先ほどから出ていますCOP16、カンクン合意を基準に各国が目標や行動を提出することになると言われておりますけれども、これについて、事後検証や世界的な相互監視というのはきちんとできるんでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。

関(荘)政府参考人 カンクン合意に基づきまして、先進国は二年に一度、いわゆる隔年報告書というものを提出し、その中で排出削減目標の内容やその実施の進捗状況を報告しなければならない、このようになってございます。

 その上で、先進国が提出いたしましたこの隔年報告書に対しまして、国ごとに国際的な評価、審査が行われるというふうなルールになっております。

 具体的には、専門家による技術的な審査や全ての国が参加いたします評価会合を通じまして、各国の排出削減対策の進捗等が評価される、このようになっております。

 また、途上国に対しましても、先進国と同様に、二年に一回、隔年報告書を提出いただき、その削減行動でございますけれども、これの進捗等の分析がなされる、このようなルールになってございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 名前のとおり、地球温暖化ということで地球的視野に立ったときに、我が国だけが幾ら単独で頑張っていても、地球の温暖化ということに対して防止策は限界があるのかなと思っております。

 今お答えいただきましたけれども、他国が守らない状況においては、我が国の経済だけが不利益をこうむってしまうという可能性も十分にあると思いますので、その辺きちんと対外的に対応していただけるということでよろしいでしょうか。もう一度御確認をお願いします。

関(荘)政府参考人 カンクン合意で決定いたしました国際的なこのレビュー、評価の仕組みを通じまして、相互に評価し合うことによって公平で公正な削減が進むように我が国としても努力してまいりたい、このように考えております。

河野(正)委員 ところで、第百七十四国会以降、自由民主党が低炭素社会づくり推進基本法案、公明党さんが気候変動対策推進基本法案、そして、当時の民主党政権が地球温暖化対策基本法案を提出されて、衆議院は通過しているわけでございますけれども、一旦これらは廃案となっております。

 これらの取り扱いは今後いかがされるのでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。

田中副大臣 ただいま御指摘をいただいたことについてお答えをしたいと思います。

 本年三月末に京都議定書第一約束期間が終期を迎え、地球温暖化対策推進法に基づく京都議定書目標達成計画も終わってしまうことになります。

 今回の地球温暖化対策推進法の改正法案は、長期目標も見据えつつ、まずは足元から確実に地球温暖化対策が行えるよう、法的な根拠を持った新たな計画をできる限り速やかに策定するため、必要不可欠な内容に絞って提出をさせていただいております。

 京都議定書目標達成計画の終了を目前に控えて、地球温暖化対策を切れ目なく行っていくためには、法的根拠を持つ新たな計画を早期に策定することが必要でございます。まずはこの改正法案を早急に成立をさせていただきたいというのが思いでございます。

 御指摘ありましたように、基本法案は、地球温暖化対策の基本原則や基本的施策を位置づけたものでございまして、政権交代となったわけでございますが、自民党及び公明党から提案があった経緯もありますし、地球温暖化対策推進法の改正法案の成立後、各党のお考えを伺いながら、腰を据えて検討していきたい、この思いでございます。

 よろしくお願いいたします。

河野(正)委員 そうしましたら、今回のようなマイナーチェンジということではなく、改めて本格的に基本法案を検討されるということで理解したんですけれども、その時期とか、そういったものにつきましてはいかがお考えでしょうか。

田中副大臣 いろいろと各党の皆様方も長年にわたりまして検討をしてこられました。特に私も、自由民主党の野党時代の当事者でございます。こういうことも含めて考えれば、数値のことも含めていろいろと議論の中ではございますけれども、とにかく、御協力をいただきつつ、我々も政府として案を取りまとめ、御審議をいただける日を、大臣の御指導のもとに早くしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。ぜひ、きちんとした法案を我々も含めて頑張っていきたいなと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、ことし十一月にポーランド・ワルシャワで行われるCOP19までに、二〇二〇年までの削減目標をゼロベースで見直す、そして、技術で我が国は世界に貢献していく、攻めの地球温暖化外交戦略を組み立てるという方針が安倍総理から示されております。

 COP19の結果を受けてから目標を法律に盛り込むというのが目標の実効性を高めることにはならないのでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。

関(荘)政府参考人 ことし一月の安倍総理よりの御指示に基づきまして、十一月のCOP19までに、この温暖化対策法の改正案が成立した後でございますけれども、新たな日本としての地球温暖化対策計画をつくり、その計画項目の一つに目標というのも書き込むようになってございますので、COP19までに整えていきたい、このように考えております。

河野(正)委員 昨年十二月二十八日の時事通信の記事によれば、民主党政権が掲げた、温室効果ガスを二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減するという国際公約の取り扱いについて石原大臣は、崇高な目標を掲げるのは必要だが、達成する手段というのが伴わないのはほらだ、私はほらを吹くつもりはないとおっしゃっておられます。

 まだ会議まで半年以上ありますけれども、半年以上の空白期間が生じることを指摘した新聞記事もございますので、現時点で大臣はどのようにお考えになっているのか、おおよその数値というものが頭の中にございましたら、お聞かせ願いたいと思います。

石原国務大臣 ほらと言ったか言わなかったかちょっと覚えていないんですけれども、私の頭の中にありましたのは、二〇二〇年の二五%削減目標というのは、野心的な数字であるんですね。この世界は、やはり環境技術の先進国が野心的な目標を掲げない限り、先ほど来の議論のように、途上国の側はどんどん排出ガスをふやしていって、結果として地球全体では温暖化、もちろん先進国の努力がなければその分悪くなりますので、そういう結果になっている。

 そういうことを考えたときに、二〇三〇年の電力供給のおよそ五割を原発に依存するというシナリオでできた二五%は、どう考えても、誰が考えても、これから爆発的なイノベーションと再生可能エネルギーの普及というものがあっても、私は正直言って無理だと思いますので、やはり常識的な、先ほどの吉田委員のお話ではございませんけれども、現実的な数字、そしてなおかつ、世界の国々が日本はいまだに野心的なことをちゃんと考えているなと言われるものを出していかなければならない。

 どのぐらいのことが念頭にあるのかというお話でございますけれども、これは非常に今難しいのは、幅を持って言うことは、やろうと思えば、もうしばらくたったらできるのかもしれません。

 しかし、七月十八日までに原子力規制委員会が原発の安全基準というものをつくっていただいて、その安全基準に基づいて、各原発を所有されている事業会社の電力会社が、うちのここはこういうことをやって動かしてみようと思われれば、安全基準に合っているか合っていないかというようなことを申請されるわけですね。

 ということは、多分、この夏の段階でも、日本の電力の供給ベースが、原発が何%程度これから動いていくのかということを予見することはなかなか難しいんじゃないかと。

 そういう中で、COP19という十一月の締め切りがありますので、これから、いろいろな皆様方の当委員会での議論等も参考にさせていただいて数字を示していくということになるんだと考えております。

河野(正)委員 今、御答弁の中にも幾つか出てきたかなと思いますけれども、福島の原発事故以来、多くの原子力発電所が今は停止した状態にあります。地球温暖化という観点だけで考えると、非常に厳しい状況かなと思っております。

 石原大臣も、昨年の衆議院選挙前には、自民党幹事長というお立場で、安全性が確認された原発は再稼働させる必要がある旨の発言をされておられますが、改めて、大臣になられましてどのようにお考えか、可能な範囲でお答えいただけたらと思います。

石原国務大臣 基本的なことを言いますと、原発を再稼働する、しないという権限は環境大臣にございません。幹事長時代の考えは幹事長時代のときの考えでありまして、今、どの原子力発電所を動かせ、動かさないということは御答弁を差し控えたいと思いますけれども、安全基準というものがこれから示されてくるわけですから、やはり、そんな中でこれをしっかりと見守らせていただきたいと考えております。

河野(正)委員 それでは、時間も余りないんですけれども、最後に、ちょっとエコカー減税ということでお尋ねしてみたいと思います。

 我が国の自動車の技術、非常にすばらしいものがあると思っております。エコカーということでたくさんの車種が出ております。

 本来、エコカー減税というのは、低燃費であること、そして、燃料を節約して二酸化炭素排出量が少ない、それによって地球温暖化防止にも寄与するということで、こういった車に誘導していくという面からこういった施策がとられているんじゃないかなと思います。

 しかし、実際には、同じ車種でありながら、燃費が悪い方が減税対象になっているというものがございます。

 わずかな重量差で燃費基準が変わってしまうために、同じ車種であっても、パワーシートをつけたりサンルーフをつけて重たい車にする、オプションをたくさんつけていけば、燃費が悪くなったにもかかわらず、エコカーの減税というのが適用されてしまうということがあるやに聞いております。さらに、豪華装備でありながら減税されるということで、割安感があるためにこちらの車の方がどんどん売れていってしまうというようなこともございます。景気浮揚の面からはいいのかもしれませんが、当環境委員会の立場からするといかがなものかなと思っております。

 これは、省をまたぐ問題で非常に難しい問題かもしれませんが、お聞かせ願いたいと思います。

清谷政府参考人 エコカー減税の判断基準となっております乗用車の燃費基準につきましては、自動車のCO2削減及び省エネルギー対策を強力に推進していく観点から、最近では、平成十九年と平成二十三年にそれぞれ必要な見直しを行っております。

 平成十九年の見直しにおきましては、燃費の試験方法を見直すことで、より実態に近い燃費の測定を行えるようにするとともに、試験を行う際の重量区分をより細かく設定をすることで、区分ごとの基準値の差を小さくし、達成レベルに大きな違いが出ないように措置しております。

 さらに、二十三年の見直しにおきましては、全体で平均二四%の燃費改善を求めるとともに、サンルーフなどの装備品追加による燃費悪化を防ぎ、自動車の軽量化を促すため、重い車ほど厳しい基準とし、最も重い区分では四三%の燃費改善を求めるものとしております。

 国土交通省では、今後も自動車のCO2削減及び省エネルギー対策に努めてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 幾分改善はされているということでございますけれども、そういった重たい車が同一条件で不利になってしまうということで、そういう非常におかしな問題というか、同一車種でありながら重たくしてしまえばいい、減税幅が大きくなるという問題があったということで、こういった問題にきちんと対応していっていただきたいなと。

 今後そういうことがないようにしていかないと、少なくとも、同一車種で重たい方が、豪華装備の方が減税が大きいというのはいかがなものかなと思っております。

 時間が参りましたのでこれで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 本来であれば、この地球温暖化対策についての環境委員会での議論、基本法を議論したかった。中期、中長期、長期、それらの目標を掲げ、また、それらを達成するための政策的手段も明確にしながら議論をすれば、大変有意義だったかなと思います。

 そういう意味では、今回の法案は、税制ではありませんが、それまでのつなぎ法案のような位置づけかなと思いますけれども、しかし、つなぎ法案とはいえ、新しい自公政権の温暖化対策、環境政策の基本にかかわる大変重要な法案だと思っておりますので、その覚悟でこの審議に臨んでいきたいと思っております。

 今我々がしなくてはいけないのは、まず、近い時間距離からいいますと、三月三十一日まであと十日ちょっとですが、京都議定書の第一約束期間、十二月三十一日とはいえ、日本的には年度末の三月三十一日だと思います。あと十日間残っているこの第一約束期間についての総括、これは先ほど吉田委員から詳しい議論がございました。これがどうなっているか。

 それから二番目は、二〇二〇年までに、これはある意味では、第二約束期間には入らなかったんですけれども、だからといって努力しなくていいというわけではありません。この二〇二〇年に向けて日本がどのように努力をしていくか。

 それから三番目が、この二〇二〇年から発効する、全ての国が入るそういう公平な国際枠組み、ここに日本がどうリーダーシップを発揮して交渉を進めていくか。

 この三つが、今我々がやらなくてはならない努力だと思います。

 まずその第一、ことしの三月三十一日までですけれども、これは、先ほど吉田委員の質問で、第一約束期間の京都議定書目標は達成する、達成する見込みであるということはよくわかりました。

 その上で、その達成の中の手段として、例えば森林吸収源、それから、実はお金を出して排出枠を民間企業が買ってきた。それを今回の目標達成の中にも入れております。いわゆるCDMも入っております。

 そういう森林吸収源とかCDMとか、そういう間接的手段を取り除いて、純粋に日本が出すCO2だけを見て、一九九〇年、そして今回の約束期間、どれぐらい日本は実質的にCO2排出量が減ったのか。これをまずちょっと確認しておきたいと思います。

関(荘)政府参考人 まず、基準年でございます一九九〇年度でございますけれども、我が国からは十二億六千百万トン、CO2換算で排出されてございます。

 第一約束期間のうち、二〇〇八年度から二〇一一年度まで数値が明らかになってございまして、この間の年間当たりの排出量は十二億六千三百万トンでございますので、ほぼ基準年と同じ数値である、このように考えております。

斉藤(鉄)委員 達成したことは間違いないと思いますが、現実は、一九九〇年に比べて今の日本のCO2排出量、いわゆる真水については減っていないということをまず我々は認識してこれからの議論を進めていかなくてはならないと思います。

 これも先ほどもう既に質問としてありましたが、もう一度確認させていただきますけれども、次に二番目の問題、二〇二〇年に向けての問題です。

 現在の中期目標、二〇二〇年に向けて、先ほどの御答弁では、COP16カンクン合意で国連文書に、テークノート、日本語で留意するというふうに訳されておりますが、という形で二五%削減ということが国連の文書になっている。これはまだ生きているということでございます。しかしながら、今、政府としてこれをゼロベースで見直すという総理の発言もございます。

 ということは、今、我々の二〇二〇年中期目標というのは何なのか、何を目標に我々はこれから頑張っていけばいいのか、この点についてはいかがでしょうか。

関(荘)政府参考人 委員御指摘のとおり、国際的には取り下げという手続はまだ行っておりませんので、条件つき二五%というのが国際的にはまだ登録された状況でございますけれども……(発言する者あり)実質的には、一月に総理よりゼロベースで見直すようにということで、見直しを開始したところでございます。

 新たな目標というのはCOP19までをめどに検討することになってございまして、現時点では、新年度に入りましたときには実態的には明確な目標がない状況になるかと思いますけれども、政府といたしましては、さきの三月十五日に、温対法に基づきます本部で、新年度になりましても、新たな計画ができるまで現在の対策と同等以上の取り組みをするということを決定したところでございます。

斉藤(鉄)委員 目標はちょっと今のところ明確なものはないけれども、少なくとも今まで続けてきた努力以上のことはする、こういうことなんですが、やはり早急に目標をつくらなくてはいけない、このように思います。

 ちょっとこれから愚痴を言わせていただきます。実はもうほとんど全て忘れ去られておりますが、麻生政権時代に、いわゆる中期目標をどうするかという議論を徹底して行いました。元日銀総裁の福井先生を委員長にして、中期目標を定める会議、正確な名前はもう忘れましたけれども、を持って、全国各地で国民との対話を行い、かなりの議論が盛り上がったと思います。

 そして出した結論が、中期目標、一九九〇年比で八%減、それから、二〇〇五年比に直しますと一五%減、自公政権はもう終わる寸前でしたけれども、これがあのときに出した目標でございます。これは、日本が出す二酸化炭素の量そのものの、いわゆる真水でございます。先ほど、公明党の目標は二五%だぞという不規則発言がありましたが、当時は、二五%削減とは決して矛盾していないと思っておりました。この二五%削減というのは、真水プラス排出量取引等々間接的手段も含まれているわけでございます。

 しかしながら、三・一一以降、日本の国内のエネルギー事情は変わってきて、この二五%目標については見直さなくてはいけないのではないかと個人的には思っております。

 八%、当時麻生政権が出した、ある意味で今まだ生きていると言われている二五%減目標とも決して矛盾しない、しかし、その目標は今政府での取り扱いはどうなんでしょうか。もう完全に過去のものということになっているんでしょうか。

関(荘)政府参考人 麻生政権時代に打ち出していただきました一五%削減の目標でございますけれども、これは震災以前でございますので、取り巻く状況は変わっておりまして、私が申し上げるのも大変恐縮でございますけれども、さきの衆議院選挙における自民党の公約集の中でも、この一五%削減という目標も含めて、エネルギー情勢も踏まえてゼロベースで見直しをする、このようになっておりまして、政府としては、これも含めてゼロベースで見直すものだというふうに考えてございます。

斉藤(鉄)委員 ゼロベースで見直すということでもう既に過去のものという御答弁のようですが、このときに行ったいろいろな科学的なシミュレーション、検討、それから国民的議論、これも、ぜひゼロベースで見直すときの参考にしていただければと思います。

 率直な感想は、一九九〇年比八%減、それから二〇〇五年比一五%減、真水でやる。もうぎりぎりの、ありとあらゆる、考えられ得る、できるだけたくさん原子力を使う、再生可能エネルギーも、例えば高速道路ののり面には全部太陽光発電パネルを張る等々、考えられ得る全てのことをやってやっと出した八%減ということで、そういう意味では、技術的検討も含めてぜひ参考にしていただきたい、このように思っております。

 そうしますと、今度は第三番目の、二〇二〇年以降、新しい法的枠組みをどうやってつくっていくかという話に移っていきたいと思います。

 現在生きている政府の目標は、そうしますと、二〇五〇年八〇%削減ということだというふうにもう先ほど答弁がありました。

 この八〇%削減というのは、先ほど来議論をしております、真水で八〇%削減という認識でいいんでしょうか、それとも、排出量取引など間接的手法も含めてという認識なんでしょうか。この点をお伺いします。

関(荘)政府参考人 二〇二〇年以降に適用されます国際的な枠組みにつきましては、現在、二〇一五年を目途に取りまとめるということで国際的な議論が続いておりまして、その議論の中の一つは、二〇二〇年以降は途上国においても削減の努力をしていただきたいというのが先進国共通の考え方の方向でございますので、そうした場合に、その途上国で削減した分をどう勘案するか等々についてかなり慎重な議論が必要だと考えております。

 いずれにしましても、二〇五〇年八〇%というのは、その前提として、二〇五〇年で世界全体で半減するということの先進国分でございますので、これにつきましては、日本国において真水であるかどうかということを定義はしておりませんけれども、世界全体で最も効率的な削減を実施する、こういう方向で努力する必要がある、このように考えてございます。

斉藤(鉄)委員 多分、あのときの議論ですと、あのときの議論というか、これはサミットでの議論ですけれども、今人間が出している二酸化炭素排出量は、自然が吸収する量のちょうど倍出している。だから、基本的にCO2濃度を一定にするには、ちょうど自然が吸収してくれる量しか人間は出さないというふうにしなきゃいけない。そうすると半分にしなきゃいけない。途上国も含めて半分にするには、先進国は八〇%削減する必要がある。こういう話の流れだったと思います。

 そういう話の流れですと、これは真水分で議論している、こういうふうに当然論理的に出てくるんですが、この点はどうでしょうか。

関(荘)政府参考人 委員御指摘のとおり、世界全体で排出量を半減するというのは、これは、半減という真水の部分だと私どもも認識しております。

斉藤(鉄)委員 わかりました。

 そういう意味では、この長期目標というのが今生きている唯一の目標で、かなりチャレンジングな目標です。

 そういう意味では、つなぎとはいえ、今回のこの法案にもう既に閣議決定をしている長期目標を書いて、それに向けて中期目標や中長期目標についても努力する、現時点ではここは定性的な表現にならざるを得ないと思いますけれども、せめてこの長期的な目標ぐらい書くべきだったのではないか、このような議論も実は党内でもありましたが、大臣、ここはいかがでしょうか。

石原国務大臣 斉藤委員がつなぎ的であるともう答えられてしまったので、何と答えようか非常に考えているんですけれども、やはりこの温対法の改正案は、これまでの経緯からいって、間違いなく、長期目標というものを見据えてつくられていると思います。

 そんな中で、まず足元をどうするのか。足元の数字を固めるためには、この一部を改正してやっていかざるを得ないというようなしつらえになっているんだと思います。法的根拠を持った新たな計画を、これまでの議論のように、間があくことなく、できるだけ早く、空白期間をなく策定するための必要最小限の改正案というように考えて提出をさせていただいたわけでございます。

 きょう、田中副大臣からこの基本法について、腰を据えて検討しようと力強い答弁がありましたので、この法案が成立したら、できるだけ早く、やはり各党いろいろな考えがもうあるわけですから、これを集めて、ぜひ、今斉藤委員の方から御指摘があったそもそも論に明確な回答を出していくべく、党派を超えて御努力をいただきたい、こんなふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 わかりました。腰を据えて我々も取り組みたいと思っております。

 それから、これからの中期目標、そして、私は二〇三〇年中長期目標とあえて言っておりますが、二〇五〇年に八〇%削減する、そのためには、二〇二〇年と、ある意味では二〇三〇年中長期的な目標もきちんと議論しなくてはいけないのではないかと思います。

 また、世界で半減させるためにポイントになるのは、途上国も含めていつピークアウトさせるか。ピークアウトさせた後、ぐっとかなりのスピードで減らしていかないと、二〇五〇年に世界で半減ということになりません。

 そこに日本の技術をどう世界に使っていくかというような議論を早急に始めなくてはいけないと思いますけれども、この中期目標、そして二〇三〇年中長期目標、これは私が勝手に言っていることですが、これらをどのような手法を使って決めていくか。麻生政権のときには、先ほど申し上げたような国民対話を行いました。民主党政権でも、その対話と、それから世論調査等を使われました。

 今後この中期目標、中長期目標を決めていくのにどのような手法でどのように考えていらっしゃるかということと、それから、もう時間がありませんので、この地球温暖化対策計画はいつできるのかということを最後に質問させていただきたいと思います。

関(荘)政府参考人 中期目標二〇二〇年目標、それと、御指摘いただきました二〇三〇年目標等々、今後いろいろな目標が必要となってくると考えてございます。

 二〇二〇年目標につきましては、中央環境審議会等関係審議会で専門家の御意見をいただきつつ、なおかつ国会の先生方の御指導もしっかりと仰ぎながら、また、国民からの御意見も聴取して決定してまいりたい、このように考えております。

 また、新たな目標につきましては、COP19、ことしの十一月でございますけれども、これまでに改正温対法が成立しました暁には、これに基づきまして法定計画として地球温暖化対策計画を定め、その中に計画項目として二〇二〇年の目標を書き込んでまいりたい、このように考えております。

斉藤(鉄)委員 質問を終わりますが、ぜひこの中期目標、中長期目標、また、国民も巻き込んだ、きょう何人かの委員の方もおっしゃっておりますが、この地球温暖化対策問題は埋没しているという言葉が何度か聞かれました。そういう意味でも、国民の皆さんともう一度一緒に考えるという意味でも、国民を巻き込んだ議論をして中期目標、中長期目標を決める、そういう手法もぜひ考えていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

吉野委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。どうぞよろしくお願いいたします。

 時間が余りないので、ちょっと順番を変えて質問をさせていただく御無礼をお許しいただきたいと思います。

 石原大臣から、野心的な目標も必要である、一方で、現実的あるいは合理的、常識的というお言葉もございました。

 そんなところで、私は、象徴的なというような考え方で、むしろ大臣の政治家としてのタスクというかワークとしてお考えいただけないかなということであえて提案申し上げたいんですが、スイスのマッターホルンの麓に、ツェルマットという観光地がございます。大臣も多分お運びになられたことあるかと思います。十分御存じかと思いますが、そこは、電気自動車と馬車しか走ってはいけないというところでございまして、観光の名所で、観光立国を目指す我が国にとっても重要な参考になるところだと思うんです。

 私も、北海道に三年間勤務したことがあって、全域を担当していたので、そんな機会の中で知床半島そして羅臼岳に登りまして、その頂上から眼下に北方領土国後島を見おろしました。そして、大自然のすばらしさに会えてすごく感動したという日々を覚えておるんです。

 そこで、私は常々感じているんですけれども、あの知床半島はいまだにガソリン車が走っているという状況でございます。そんな中で、先ほど大臣がおっしゃった、事業性だとか資金力だとかということで再生可能エネルギーの普及というのはなかなかというお言葉もございましたが、あえてそこにお金はかかっても、観光立国として、知床のユネスコに認められた自然遺産としての価値により付加価値をつけるという意味もあり、あるいは、この温暖化に対する国民の皆様の思いをさらに深めていただくという意味からも、ここを電気自動車化するということをぜひ大臣にお考え賜れないかということで思っております。

 その点について、突然で恐縮なんですが、大臣の今の御所見と方向感をいただければと思います。

伊藤政府参考人 世界遺産地域における電気自動車等の導入の状況について、私の方からまず御説明申し上げます。

 御指摘の電気自動車につきましては、世界自然遺産での活用を我が国でも進めております。

 例えば屋久島では、利用の拠点である遺産地域周辺部において、電気自動車の充電設備、これは県におきまして四カ所既に設置をしております。そういうことで屋久島の中では相当電気自動車が普及は進んでいるんですけれども、むしろ島外から来られる方が、大丈夫なのかというふうなことを思っておられる方が多いようで、そういう人たちにきちっと大丈夫なんだということを普及していくことが大事だというふうに考えている次第です。

 また、知床では、マイカー規制やハイブリッドバスの運行をやっておりまして、自然環境の保全やCO2の排出削減等を図っているところでございます。

 いずれにしましても、このツェルマットの事例もよく参考にしながら、各遺産地域の自然的、社会的な状況も踏まえて、必要な検討を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。

杉本委員 僣越です、恐縮ですが、今御答弁いただいたんですけれども、やはり屋久島も一部が電気化されているし、知床についても、マイカー規制、ハイブリッド化ということで一部ということですが、ツェルマットについては完全に除外しているというようなところが大きな違いだと思いますので、そのあたりも踏み込んで大臣のお言葉をいただければと思います。お願いいたします。

石原国務大臣 杉本先生から非常に野心的な御提案があったと思います。

 今、世界遺産に登録しようとしている、先ほど私がちょっと御紹介させていただいた五島列島では、電気自動車を集中的に走らそうということで、市の方でも急速充電のところを何カ所かつくられたり、あるいは、観光客の方に電気自動車のレンタカー、タクシーも数台走っておりましたけれども、電気自動車の町ということを計画として進められているというお話を伺ってまいりましたし、見てまいりました。

 ツェルマットは残念ながら行ったことがないんですが、知床は訪ねまして、あそこが、普通の車が入らなければやはりまた違う意味がある。というのは、私はアカプルコに昔行ったことがありまして、アカプルコというのはどんなすばらしいところだろうと思って行きましたら、排気ガスが臭くて町を歩けなかった。それの逆なわけでございます。

 これは、もちろん環境省だけで決められることではありません。関係自治体の皆様方、あるいは、観光ということであるならば国土交通省、いろいろ相談させていただきまして、ぜひ、そういうことが実現するように私も努力をさせていただきたいと思っております。

杉本委員 大変重たい発言というか、期待をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

 次に、原子力に関係する質問になります。

 これもちょっと順番を変えて恐縮なんですが、先般、民放で、フィンランドのオンカロというところの使用済み核燃料の最終処分場ですね、平均室温十四度、地下四百二十メートルにバックエンドと言われる放射性廃棄物の処分場がつくられて、この計画が、それこそ一九八〇年代だったか七〇年代だったか、かなり昔から議論がされて、そして今日に至っていよいよ使われ始めているというような状況下で、今、環境省さんが大変御苦労されて仮置き場あるいは中間貯蔵施設ということで、委員長の御地元でもあられます。

 このフィンランド、オンカロについての現在の環境省の研究状況だとか、評価だとか、学んでいらっしゃる点とかあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。お願いします。

糟谷政府参考人 御質問いただきましたフィンランドのオンカロの施設でございます。

 これは、原子力発電所で使いました使用済み燃料をそのまま直接処分をするという目的で選定をされた場所でございます。先生御指摘のように、一九八三年から選定のプロセスが始まりまして、その後、反対運動とか、それから手続を改善するとか、そういうことをやりながら、長い時間をかけて、二〇〇一年にオルキルオトというこの場所に決定をいたしました。

 その後、処分施設の建設許可を現在申請をされている状況であります。実際に使い始める操業の開始の予定は、二〇二〇年代初頭というふうになっております。

 物がこれは原子力発電所から出ました使用済み燃料ということで、プルトニウムを相応の量を含むというもので、放射性の瓦れきとは全然物は違うものでありますけれども、我が国としましては、長い年月をかけて、しかも反対運動に遭いながら、そのプロセスを見直しながらやってきたというこの経験を、使用済み燃料の処分に当たって十分参考にしてまいりたいと考えておるところでございます。

杉本委員 糟谷さん、ありがとうございます。

 まさしく、福島の廃炉四十年の長い闘いであると思いますし、それこそ、除染の問題もなかなか大変厳しいということも私も認識しておりますので、そんな意味からも、ぜひともフィンランドの事案というものを大いに我々日本国民は学ばせていただく必要があると、僣越ですが思っております。

 次に、原子力に関連して、温暖化という言葉に関連してなんですけれども、私は浜岡の原子力発電所をまだ稼働中に見学させていただいたことがありまして、浜岡の原子力発電所の場合は、その熱を海水で冷やしてというような形で、温まった海水を海にまた放水するという形をとっております。多くの原子力発電所がそういう形かと思いますが。そんなことで、余談でございますが、その海水によってヒラメが養殖しやすいとかなんとか、そんな話も聞いたことがあります。

 いずれにしても、実は原子力、今次見直しをされておりますけれども、そもそも原子力というものは、当時なかなかこういうことを聞くことは少なかったんですが、放熱という意味では、熱効率が五割前後、五割を切っている。そして、海水を実際は温めてしまって、温暖化というか、地球気候変動に実は影響を及ぼしているんではないかという感じを持っておるんです。

 この点についての今の環境省さんの御認識、あるいは環境省じゃないのかもしれないですが、政府の御認識を伺いたいと思います。

関(荘)政府参考人 環境省の方で、原子力発電所からの排熱について試算をしてみました。

 地球が太陽から受けております熱エネルギーというのは、地球全体で百二十兆キロワットというふうに言われております。一方で、原子力発電所、それぞれ熱効率は違いますけれども、IAEA等の平均値では三三%程度であるというふうに言われておりますので、残りが排熱として海水等に排出されているわけでございますけれども、世界全体でこの排熱の量を合計いたしますと、十一億キロワット程度でございます。

 したがいまして、百二十兆キロワットのうち十一億キロワットでございますので、おおむね十万分の一程度であり、地球全体が受ける太陽からのエネルギーに比べましたら、ごくわずかであると考えております。

 事実、IPCCの第四次報告書等におきましても、原子力発電所からの排熱による温暖化のことについては、特に言及されていないところでございます。

杉本委員 お話ありがとうございます。私としては、原子力というものをやはり厳しく見ていかなければならないという意識の中でちょっと質問させていただいたということです。

 次に、お隣の河野委員から質問ございましたエコカーに関連するかもしれないんですが、国土交通省並びに経産省あたりが主導して、低炭素車というか、超小型モビリティーといったものの導入実験を、豊田市でしていたかどうかはちょっと定かではないんですが、超小型の車といったものは、やはり、今後の気候変動に対しては非常に大きな効果を持つと思っております。

 一人乗りなのか二人乗りになってしまうのか、三人乗れるのか、もろもろあるかと思いますけれども、俗に言われる自動車の渋滞とか、そういった意味からも非常に評価できることかと私は思っておりますが、この点について、今の導入の可能性、汎用化の見通し等を政府の方から御答弁をいただきたいと思います。

清谷政府参考人 超小型モビリティーは、交通の省エネ化に資するとともに、人口減少、高齢化時代に対応するコンパクトなまちづくりにも適した、新たなカテゴリーの乗り物でございます。地域の手軽な移動の足として、低炭素まちづくりの実現、高齢者や子育て世代の移動支援、観光地や地域の振興などに貢献し、国内外の自動車市場で新たな需要を創出することが期待されております。

 国土交通省では、公道走行を簡単な手続で可能にするため、道路運送車両法に基づく認定制度を平成二十五年一月に創設いたしました。また、二十四年度補正予算などを活用し、その先導・試行導入を地域のまちづくりと一体的に推進するなどにより、超小型モビリティーの早期普及に取り組んでいるところでございます。

 なお、今後につきましては、このような取り組みを通じまして、平成二十七年度までに、成功事例の積み上げ、国民理解の確立を図ることを目標としております。

 その状況を踏まえ、関連制度の整備に向けた検討を進める考えでございます。

杉本委員 次に、吉田代議士からも御質問があったかと思うんですが、石炭火力のことです。

 大臣の御意向というのは、石炭について、CO2の問題、LNGの倍かかるという御答弁も先ほどありましたのですが、さっき平政務官がおっしゃっていましたけれども、私も磯子火力というのを拝見した限り、IGCCと言われる石炭ガス化複合発電、これにはCO2を分離回収する技術があるということもあり、また、石炭のガス化によって燃焼してガスタービンを回すのとともに、排熱を利用して蒸気タービンを回す、こういうことで、コンバインド型発電という方式をとっているということで聞いております。

 そういった意味で、まだ本当の実用化というところにもう一歩というところかと思いますし、先ほど平政務官が言われたUSCだとかAUSCといった技術もありますので、ちょっとこれは質問になるかどうかわかりませんが、この技術開発と両にらみで、石炭火力といったものを除外せずにやはり我が国のエネルギーの一つとして考えていく必要があると思っておりますが、現時点での政府の御見解を伺いたく存じます。お願いいたします。

齋藤大臣政務官 杉本先生おっしゃるように、今、石炭火力の技術開発は急速な進歩で進んでおりまして、私どもとしてはこれは前向きに受けとめておりますし、さらなる技術開発の進展を期待しているところでございます。

 ですが、一方、大臣も御答弁させていただきましたように、石炭火力というのは、やはり依然としてCO2の排出が大きいということもございますので、これを主力電源と位置づけてどんどん推進していくのがいいのかどうかにつきましては、政府全体の中でのきちんとした議論が必要かなと思っておりますが、技術開発がどんどん進んでいくことにつきましては、大いに評価し推進をしていきたいと思っております。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 それでは、ちょっとまた相前後して大変申しわけない。さかのぼって、そもそも論の話なんです。

 温暖化という定義について、私が尊敬する自由民主党の国会議員としか言いませんけれども、その方の著書に、実は地球は寒冷化に向かっているのではないかということを言われているという御指摘の文章がありまして、その中に英国気象庁という言葉が出てきました。

 英国気象庁を調べてみると、寒冷化を指摘しているというような情報が少しあったんですけれども、この点について、そもそも論で、何を今さらということかもしれないんですが、改めて、この寒冷化という問題意識については環境省はどうお持ちかどうかという点と、あと、先ほど、基本法の関連で公明党さんの提案の表現が気候変動というお言葉があったかと思うんですが、温暖化という表現よりは気候変動という表現の方が実はなじむのかなとも思っているんです。

 この点について二点、お伺いしたいと思います。お願いします。

関(荘)政府参考人 まず第一点目で、英国気象庁についてちょっと私ども調べてみましたところ、寒冷化しているということではなくて、将来予測を従来の予測から温度上昇を僅々下げたということは確認できましたけれども、寒冷化ということはございませんでした。

 ただ、長いスパンで見ますと、一万数千年前に氷河期が終わりまして、地球の温度が六度か七度上昇して現在に至っておるわけでありますけれども、数万年の単位で見れば、地球というのは暖かくなったり寒くなったりしているというのは歴史的事実でございますので、そういう単位では寒冷化というのが起こるという可能性も否定されているわけではございません。

 また、温暖化という名称でございますけれども、条約そのものは気候変動枠組み条約ということではございますけれども、我が国としましては、地球温暖化という言葉が国民の間でも大変わかりやすいということで、現在の法律でも地球温暖化という名前を用いて政策を進めているところでございます。

杉本委員 最後、恐縮なんですが、ちょっと整理する意味で。

 今回の改正法の附則に、「平成二十七年までに、長期的展望に立ち、国際的に認められた知見を踏まえ、」とあって、「法制上の措置その他の必要な措置を講ずる」とあります。これとことし十一月のポーランドのCOP19、時期的な問題があるかと思うんですが、この二つのターゲットに向かっていつまでに何をするかというのを、現時点で言える範囲で、ちょっと整理の意味で教えていただいて質問を終わりたいと思います。お願いいたします。

田中副大臣 時間の関係がありますから、十分時間をいただければというところもありますけれども、お話をさせていただきます。

 法律についての考え方というのは、そのとおりだと思います。今回の法律の附則第四条は、平成二十五年の法律施行から二年後、二十七年に法改正を検討する旨を規定しております。

 これは、現行法の目的規定にございますけれども、「大気中の温室効果ガスの濃度安定化」という究極目的に向けた長期的展望に立って、今後の国際交渉の進展だとか、カンクン合意に基づく国際的な報告、検証、評価の結果等を踏まえて、この法律の改正を含め必要な措置を検討、実施する、これを規定しておるわけでございます。

 地球温暖化対策の計画は、総理指示に基づく二五%削減目標の見直しとあわせて、十一月のCOP19までに策定すると先ほどより答えておるところでございまして、改正後の第九条の規定に基づいて、少なくとも三年ごとに検討を加え、必要に応じ見直すということにしてあるところでございます。

 以上でございます。

杉本委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

吉野委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十分散会


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