衆議院

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第4号 平成25年3月26日(火曜日)

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平成二十五年三月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      小林 史明君    齋藤  健君

      助田 重義君    藤原  崇君

      生方 幸夫君    吉田  泉君

      小沢 鋭仁君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    江田 康幸君

      杉本かずみ君    中島 克仁君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        田中 和徳君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           尾藤  勇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           坂   明君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           渡辺 一洋君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 杉田 伸樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 平岡 英治君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     中丸  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  中丸  啓君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     阪口 直人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房審議官尾藤勇君、国土交通省大臣官房審議官坂明君、国土交通省総合政策局次長渡辺一洋君、国土交通省政策統括官杉田伸樹君、環境省大臣官房審議官平岡英治君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長関荘一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤原崇君。

藤原委員 おはようございます。自民党の藤原です。まだ新人で、ふなれな点もあって御迷惑をかけるかと思うんですが、どうぞよろしくお願いします。

 本日は、温暖化対策推進法について、改正の個別的なお話についてお尋ねをしていきたいと思います。

 まず、今回の改正案で、温室効果ガスに三弗化窒素ということで、これが温室効果ガスに、定義規定に加えられたということなんですが、この経緯についてお尋ねをしたいと思います。

関政府参考人 三弗化窒素は、二酸化炭素の一万七千二百倍もの強い温室効果を持つことなどから、平成二十三年の十二月のCOP17におきまして、二〇一三年の排出量の報告から対象のガスに追加することが国際的に合意されたものでございます。

 これを受けまして、今回の地球温暖化対策推進法の改正におきましては、事業者が排出量を算定、報告する温室効果ガスにこの三弗化窒素を加えることとしたものでございます。

藤原委員 そういう経緯で加えられるということですが、その結果、現在三弗化窒素ガスを使用している民間事業者等については、新たに算定、報告の義務がこれから課されていくことがあるかと思うんです。

 その点について、民間業者に対して、経済活動等について何らかの悪影響等はあるのかないのか。また、ある場合については、それについてどのような対策をとるのかとらないのか。また、対策をとる場合には、その中身についてお尋ねをしたいと思います。

関政府参考人 この三弗化窒素というのは、半導体製造分野におきましてドライエッチング剤ということで使用されておりまして、既にそういう産業におきましては三弗化窒素の除害装置等を設置している場合が多いと聞いております。したがいまして、一定の削減対策というのは既に我が国におきましては施されていると考えております。

 また、この改正におきまして、三弗化窒素の使用や製造に係る個別的な規制が新たに設けられるということではございませんけれども、温室効果ガスに加えますことによりまして、今後さらに排出削減対策が進むものと期待しているところでございます。

藤原委員 わかりました。ありがとうございます。

 次に、本法の改正に基づいて行われる地球温暖化対策計画の件についてお聞きするんですが、現時点で、エネルギー計画の見直し、それから原発安全基準の策定等が行われていると思うんです。

 私の認識としては、温暖化対策の計画をつくる場合には、国のエネルギー計画の問題、それから原発の安全基準、これから日本がどのようなエネルギー政策をとっていくかということ、このことが定まらないと、なかなか具体的な温暖化対策の計画を定めるのは難しいのではないかなというふうにちょっと考えているところなのです。

 その点について、温暖化対策の計画は、今後、エネルギー計画の策定や原発の安全基準の策定とは別で、もう進めていくのか、それとも、それらの策定を待って計画の策定に入るのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま藤原委員が御指摘されたとおりでございまして、エネルギー基本計画の議論の進展を見なければなかなか物は進みませんし、もう一点、本年の七月に予定をされております原発の安全基準の策定後の状況、どれだけの原発を稼働するという申請を事業会社が出してくるのかこないのか、こういうものを勘案しながら検討を進めていくことになると承知をしております。

 安倍総理からは、十一月のCOP19までに現行の二五%削減目標をゼロベースで見直すようにとの指示を受けておりますので、これまでに新たな計画を策定させていただきたい、こんなふうに認識をしているところでございます。

藤原委員 済みません、そうすると、確認なんですが、エネルギー基本計画の見直し、原発安全基準を受けて、COP19、これまでにある程度の大枠を決めていきたい、そういうことでよろしいでしょうか。

石原国務大臣 やはり環境先進国として世界の国々に対してこれまで温暖化対策、CO2の削減をリードしてきた日本としては、しっかりとした数値をCOP19までに決めさせていただきたいと考えております。

藤原委員 わかりました。

 次に、日本が今回参加しなかった京都議定書の第二約束期間の件なんです。

 京都議定書の第一約束期間については、前回の委員会では、恐らくは達成できるであろうというお答え、お話だったんですが、第二約束期間に参加しないことによって、例えば排出削減の法的義務、これは一応負わないといえば負わないということになるんですが、その点が、そのように京都議定書の第二約束期間に参加しないということで国内の温暖化対策の取り組みに何かふぐあい、あるいは不利益、マイナスという点はないのかどうなのか。また、もしそういうのがあれば、その点についてはどのように政府として対応していくと考えているのか。その点についてお尋ねしたいと思います。

関政府参考人 世界全体の温室効果ガスの排出削減という観点からは、排出量が大きく、かつ京都議定書のもとでの削減義務を現在負っておりません中国、米国、インド等が参加します国際的な枠組みが必要不可欠だ、このように考えております。

 こういう観点から、我が国では、主要排出国全てが参加しておりますカンクン合意を出発点としまして、これをさらに発展させることが、望ましい将来的枠組みの実現に向けた現実的かつ有効なアプローチであると考えまして、京都議定書の第二約束期間には参加しないという判断をしたものでございます。

 この第二約束期間への不参加が国内対策に不利益をもたらすことは考えておりませんけれども、国内外で我が国の地球温暖化対策が後退したとの誤解を与えないようにすることが肝要だと考えております。

 このためにも、本法案をぜひとも早期に成立させていただきまして、二〇一三年以降も我が国が法に基づき地球温暖化対策を積極的に取り組むという姿勢を内外に明らかにすることが極めて重要だと考えております。

藤原委員 わかりました。

 ぜひ、この地球温暖化対策、原発、三・一一後なかなかクローズアップされていないので、その点についてしっかり取り組んでいただければと思います。

 それで、今後、温暖化対策計画が新しく策定が進んでいくかと思うんです。それの前提として、京都議定書の目標達成計画について、ことしの三月末まで計画としては有効なわけなんですが、この京都議定書目標達成計画、しばらく運用してみて、現時点で改善点等、もしそういうのがあれば、その点についてお聞かせいただければと思います。

関政府参考人 京都議定書目標達成計画は、平成十七年に策定いたしまして、この中で計画の進捗管理の方法も定めてございます。具体的には、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会議や地球温暖化対策推進本部における定期的な点検、点検結果を踏まえた対策、施策の強化や追加、すなわちPDCAサイクルの実施を通じまして、目標達成に向けた取り組みを進めてきたところでございます。

 平成二十年には、計画全体の改定も行っているところでございます。

 昨年度の点検におきましては、家庭部門や業務その他部門、あるいはエネルギー転換部門におきまして、計画で目安としておりました排出量を上回る状況でありまして、削減量が不足していることが明らかとなってございます。

 こういう点も踏まえまして、新たな計画を策定する際には、より改善されたものを策定していきたい、このように考えております。

藤原委員 済みません、先ほどの点についてちょっと詳しくお聞きしてしまうんですが、家庭部門、その他部門で排出量が予定を上回ったということなんですが、これは具体的にどういう要因だというふうに考えているかという点までは、ちょっとわかりますか。

関政府参考人 実績が計画の目標を下回る見込みのものの例えばの例でございますけれども、廃棄物発電の発電量を増加させようというものがございまして、これがなかなか発電量がふえておりません。

 この要因分析をいたしましたところ、3Rの取り組みで廃棄物の量が減少してきたということで、施設はございますけれども発電量が減っている。これは、環境対策が進んで、いいことではあるのですけれども、思わぬところでごみ発電の量が減った、例えばこういうものでございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 そのような点については、今後策定される地球温暖化対策計画、あるいは、京都議定書目標達成計画後、温暖化対策計画策定までの間の指針においてはどのようにフォローアップをしていくのか、その点についてお尋ねします。

関政府参考人 まず、今年度の点検につきましては、今週の金曜日、二十九日でございますけれども、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会議を現在予定しておりまして、今年度の取り組みにつきまして、対策、施策の進捗状況の点検を専門家に行っていただく予定にしております。

 現在御審議中の法案が成立いたしましたら、新たな計画をつくってこの点検結果というのを反映させたいと考えておりますけれども、来年度以降、四月以降、とりあえずの間、計画というのがない状態が続きますので、三月の十五日に温暖化対策本部を開催いたしまして、当面の方針というのを決定させていただきました。その中で、四月以降も、新たな計画ができるまで、現在の計画に定められております対策と同等以上の対策を関係者の方に実施していただきたいということを決定したものでございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間があれなんですが、最後の質問なんです。

 この地球温暖化対策の推進に関する法律というのは、基本的には情報公開、こういう手法が主になっている法律だと私の方では理解しております。

 もちろん情報公開は非常に重要な手法として近年取り入れられているわけなんですが、例えば大気汚染防止法だとか水濁法、このような法律は直接規制ということで排出基準等を示しているということでございます。もちろん二酸化炭素の排出というのはいろいろなところがあるので大防法等とは同列には考えられないんですが、情報公開以外の手法で二酸化炭素の排出抑制をするというのを法律に規定すること、今いろいろな、補助金等でやっているとは思うんですが、法律のレベルで情報公開以外の手法を取り入れる、そういうことの必要性についてはどのようにお考えでしょうか。

田中副大臣 今回の法改正案の附則第四条の改正の規定において、「平成二十七年までに、長期的展望に立ち、国際的に認められた知見を踏まえ、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずる」こととしておりますので、委員からの御指摘があった具体的な施策については、新たに策定する計画の実施状況を初め、平成二十七年までの法律の施行状況を踏まえて、さらなる法整備の必要性を検討していきたいと思っておるところでございます。

 以上でございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 この地球温暖化対策について、どうしても排出源が多数あるという点で、点の規制、直接規制的な手法はなかなかなじまないとは思うんですが、今後、それを研究していただいて、もっと直接的、あるいは強い規制というのも一つは検討していくことが必要ではないかというふうに思いますので、その点についてもぜひ御検討いただければということで、時間については多少余ったんですが、私の方の質問はこれで終了となります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 きょうは、地球温暖化対策推進法の改正案について私の方から質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 地球温暖化については、もう十分御承知のことでございますけれども、これは人類生存の脅威であります。また、世界全体の温室効果ガス排出量について、大幅な削減を進めていくことが国際社会における最重要課題であるということをまず最初に確認していきたいと思うものでございますが、そのために、二〇一〇年の国連気候変動枠組み条約COP16においては、産業革命以前からの地球全体の平均気温の上昇幅を二度C未満に抑えるために、二〇五〇年に世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも半減すること、また先進国全体では八〇%削減を目指す長期目標が合意されたわけでございます。

 これを踏まえて、各国の二〇二〇年までの中期目標を登録して対策を進めるとともに、二〇一一年のダーバン合意では、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みに関して、遅くとも二〇一五年までに採択し、二〇二〇年から発効させて実行に移す、こういう道筋が合意をされた。これが、世界の地球温暖化対策の大きな流れであると思います。

 先進国である、また世界最高水準の環境技術を持っている我が国、低炭素社会に向けて、国内削減と海外貢献、その両面で努力を継続していく必要があるわけでございますが、こういう共通認識のもとで、三年ほど前から、政府、公明党そして自民党、それぞれが地球温暖化対策のための基本法案を提案してまいりました。

 これらの基本法案は、中期目標のあり方には多少差がございましたけれども、大きな方向性は共通しておりました。すなわち、地球温暖化対策の向かうべき方向を中長期目標そして基本原則といった形で明らかにして、また、基本的施策を位置づけることによって、地球温暖化対策の全体像を明らかにするものでございました。

 東日本大震災以降、原発事故を経ても、環境委員会は、この三つの基本法案を継続審議として、この成立に向けて与野党で努力を重ねてきたところでございます。残念ながら、衆院解散に伴って三つの基本法案ともに廃案となってしまいましたけれども、与野党が入れかわった今でも、基本法案の必要性は何ら変わりはないと私は思っております。

 今回、政府が提出されましたこの地球温暖化対策推進法の改正案には、二〇一三年以降の計画策定に法的根拠を与えるということに絞った、必要最低限の改正となっているのではないかと思います。三月二十二日の当委員会においても、我が党の斉藤委員が述べられたように、これは、切れ目のない地球温暖化対策を行うためには、そのつなぎ法案ではあろうと。これはこれで大変重要であるわけでございますけれども、我が国に、中長期目標や基本原則、そして基本的施策を盛り込んだ基本法の必要性はいささかも減じていないということを、この質疑を通じて明らかにしたいと思っております。

 まず、地球温暖化対策計画についてでございますが、東日本大震災以降、原発の停止、電力需給の逼迫、また化石燃料の増大による電力料金の上昇、そしてまた原発にかわり得る省エネや再生可能エネルギーの加速的な導入の必要性などなど、我が国のエネルギー政策は大きな岐路に立っております。

 このような中で、政府は二五%削減目標をゼロベースで見直すとしておりますけれども、これは地球温暖化対策の優先順位を落とすというような意味なのでしょうか。まさかそういうような趣旨ではないと思いますが、二五%削減目標をゼロベースで見直すとしたその根拠と、その見直しの方向性を改めて確認したいと思います。

 我が党も、我が国のエネルギー政策の現状を踏まえれば、中期目標の見直しは私は当然だと思っております。しかし、長期的展望に立って野心的な目標を提示する考えが政府にあるのか。二〇五〇年八〇%削減という国際的な合意に基づいて、その長期目標を見据えた野心的な目標でなければならないと思うわけでございますけれども、本法案にもその長期目標は本来ならば明示すべきではなかったのかと思いますけれども、いかがでしょうか。

石原国務大臣 江田委員にお答え申し上げたいと思います。

 前段お話しになりました、当委員会で各党が出された基本法について、残念ながら衆議院の解散に伴いまして廃案となりましたが、この温対法の改正案の審議を終わられました後、また速やかに、各党の考えに寄り添って、これは、当委員会では共通な認識をこれまでの審議の中でも皆さんがお持ちであるということを強く認識しておりますので、政府としてもこの点にはしっかりと取り組ませていただきたいということを冒頭お話をさせていただきたいと思っております。

 そして、御質問でございますが、二五%削減目標をゼロベースで見直すとした根拠、これは後退ではないのかというような厳しい御指摘でございますが、全く私どもは、後退するようなことがあってはならないと政府としては考えております。

 なぜゼロベースかというお話でございますが、これももう当委員会で御答弁をさせていただいておりますけれども、二〇三〇年の電力供給のおよそ五割を原発に依存するという大前提のもとにつくられた計画が今も生きている。これは、ある意味では大きな矛盾で、それにかわる代替エネルギーの姿というものも示されておりませんので、ゼロベースから見直させていただくということにしたわけでございます。

 そして、これから長期の目標として、二〇五〇年でございますか、ここに、世界全体での排出量を半減する、先進国は八〇%削減しようという低炭素社会創出の長期目標というものは当然堅持をさせていただいております。

 また、今回の温対法の一部改正案の一条の目的規定の中に、気候変動枠組み条約の究極目的であります大気中の温室効果ガス濃度の安定化ということをしっかりと明記させていただいておりまして、長期的視野に立ってこの温対法の改正というものを出させていただいております。

 話がもとに戻りますが、法案の審議、そして成立の暁には、基本法というものもしっかりと、どういう形で、どういう与野党の枠組みをつくってまとめていくのかということについて、また江田委員を初め公明党のお力もおかしいただきたい、こんなように考えているところでございます。

江田(康)委員 今大臣が申されましたように、東日本大震災以降のエネルギー政策の根本的な見直しが迫られている中で、温暖化対策の目標の設定は、私も見直すことは大変重要なことであると思っております。

 長期的展望に立って、国際的に認められた知見を踏まえ、そして検討をするということも確かにこの法案の中に盛り込んだわけでございますけれども、そういう中において、新たな削減目標を掲げるに当たっては、エネルギー需給をどのように見通すかが重要なポイントになってまいるわけであります。

 自民党の公約では、原発の再稼働については三年かけて判断するとしておりますし、また、電源のベストミックスは十年以内に確立するとされております。このような中で、大臣が強い決意を持っておっしゃっておられる、中長期目標を含む地球温暖化対策計画をCOP19までに果たして策定することができるかということが重要なポイントでございます。また、長期的展望に立って、すなわち長期目標との整合性が図られるような形でそれが行われ得るものなのかどうか。

 原発の安全性の策定、さらにはエネルギー基本計画の見直し、こういうスケジュールとも連動して考えると、どのようなお考えで、また決意で次なる地球温暖化対策計画を策定するか、その点について大臣にもう一度お答えを願いたいと思います。

石原国務大臣 もう委員の御指摘のとおりで、エネルギーの基本計画というものも、まだ、着手して今検討中でございます。

 そんな中で、委員の御指摘のとおり、十一月までには野心的な目標を示さない限りは、実は二〇五〇年代への長期の目標に到達する可能性が低いと思われた段階でこれは非常に意味のないものになってしまう、そういう認識をしっかりと持っていかなければなりません。

 それと、ぜひ多くの委員の皆様方の意見、意識を統一させていただきたいと思いますのは、地球温暖化という問題は、近い将来の危機ではなくて、もう私たちの身の回りで大きな危機が起こっている。

 当たり前の話でございますが、昨年の北極海の溶解量、これは過去最高を記録した。北極海の氷が解ければ、その分、海全体の潮位が上がる。これによりまして、先般、パラオの大統領が私のところにお訪ねいただいて、こんな台風は経験したこともないというような台風がやってきて、しかも、潮位の上昇、満潮時と重なったということで、その打ち寄せる波の大きさは、最初はビッグウエーブという言い方をされておったんですが、三・一一のとき、日本の東北地方を襲ったあの津波と同じような危機感を自分は感じた、ですから、クライメートチェンジの問題について、日本がこれからも先駆的な役割を果たしてもらいたい、こんなことを強くおっしゃられていたことをすごく印象を持って聞かせていただきました。

 地球温暖化は、地球全体の環境に深刻な影響をもう及ぼしている大きな脅威である、これは人類の生存に関する大きな課題であるという立場にとらせていただいて、この課題の解決に全力で取り組んでいく、そんな考えの中で、COP19までにしっかりとした数字を日本として示すよう努力をさせていただきたい、こんなふうに考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 我々がかつて提出しました三つの基本法案には、それぞれ主要三政策が位置づけられておりました。地球温暖化対策税と再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度は実現しておるところでありますけれども、これらも含めて主要三政策というのは、引き続き大変重要な具体的な施策であると思われます。

 先ほど大臣が申されましたように、大事なこれからの目標を策定していくに当たって、それをなし得る、そういう施策が今後盛り込まれるかどうか、こういうところにおいては確認をしていきたいと思うわけでございます。

 まず、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について御質問をさせていただきますが、昨年七月の固定価格買い取り制度導入以来、再生可能エネルギーの導入量が加速的にふえております。現時点で評価するとすれば、これは上々の滑り出しと評価できると思いますけれども、今後、再生可能エネルギーが加速的普及を達成していく中において、それに伴ってサーチャージも増大していく。こういう中において、さらなる再生可能エネルギーの導入拡大に向けては、今後の固定価格買い取り制度の展開をどのように考えていくか。制度の安定的維持が再生可能エネルギーの加速的導入には大変重要だと思いますけれども、政府の見解をお聞きしたいと思います。

 あわせて、この再生可能エネルギーの普及拡大は、都市部そして大企業を中心に加速的な普及がなしつつありますけれども、地方にも制度の利益が還元されるよう配慮する必要があるかと思っております。具体的な施策について、これは、経産省の平政務官がおいででございますので、お答えいただきたいと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、再生可能エネルギーの発電コストは、委員御承知のとおり、現状では火力等に比して高く、市場原理に任せるのみでは大幅な拡大は困難でございます。

 昨年七月に固定価格買い取り制度を開始いたしました。発電に際して通常要する費用をカバーする価格を定め、当該価格での電気会社による買い取りを義務づけることによって、再生可能エネルギーの導入拡大を図っております。一方で、今御指摘があったように、電気利用者には同制度を支えるための賦課金の負担をお願いしているところでございますが、再生可能エネルギーの導入が拡大をすれば賦課金も拡大をしていくという相関関係にございます。

 政府は、今後三年間で最大限再生可能エネルギーの普及を加速させることとしており、今後も本制度の維持は不可欠である、そのように考えております。一方で、賦課金が過剰な負担とならないよう、買い取り価格は、法律の規定にのっとり、費用の実態を適切に反映する形で毎年見直しを行っていきたい、そのように考えております。

 また、本制度は、発電に際し通常要する費用をカバーするものでございます。この制度の中で、地域振興まで配慮することは難しいものと考えております。

 同制度を補完する形で、中小企業向けの再生可能エネルギー投資に対する低利融資制度などを設けており、平成二十五年度においても融資制度の拡充を行ったところでございます。なお、この日本政策金融公庫を活用しての環境・エネルギー対策貸し付けでございますが、一件当たりの限度額も二億七千万から四億円に拡充をし、今は三百五十億程度活用をされているということでございます。

 さらに、固定価格買い取り制度開始以降、地域の企業が主導してメガソーラーを設置する事例や、さまざまな地域で、市民から資金を募集し、それを原資にメガソーラーや小水力発電の建設を進める計画が生まれており、こうした融資制度の拡充などを通じて、今後とも、地域における再生可能エネルギーの事業展開を後押ししてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 再生可能エネルギーの普及の加速的拡大においては、固定価格買い取り制度の安定的な維持が大変重要でございます。そしてまた、地方への配慮というところで大きく加速をしてまいらなければなりませんので、しっかりと取り組んでいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、国内排出量取引制度について質問をさせていただきます。

 民主党政権時代のことではありますけれども、政府は、平成二十二年の十二月に閣僚委員会において、キャップ・アンド・トレード方式の国内排出量取引制度について、産業に対する負担や雇用への影響を見きわめつつ、慎重に検討を行うことといたしました。国内排出量取引制度の導入による効果や影響については、これまでの検討結果からどのようなことが言えるのか、まずはお伺いしたいと思います。

 あわせて、EUやアメリカの州レベルでの取り組みに加えて、最近では、豪州やニュージーランドが、さらには隣国である中国や韓国でさえも国内排出量取引制度の導入を進めている状況であります。我が国は、先進国だけでなくアジアにおいても炭素市場から取り残されつつあるのではないでしょうか。

 この国内排出量取引制度について、いつまでも慎重に検討するというだけではなくて、具体的な制度設計や導入への道筋を示すべきと考えますが、環境大臣のお考えをいただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいま江田委員が御指摘されました国内排出量取引制度というものは、私は、排出の削減を実効あるものにする施策として有効な手段であるというふうに認識しております。

 欧米の例も今委員出されましたが、東京都も、平成二十二年からですか、総量削減義務と排出量取引制度、これは、主に、一定量の負荷をかけたオフィスとか工場に対して削減目標を出して、実質の効果としては、平成二十二年度がマイナス一三%、平成二十三年度が、これは震災がございましたからその影響もあると思いますが、マイナス二三%。

 これらの状況も踏まえて、地球温暖化対策、施策について必要な検討というものは進めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 最後ではございますけれども、ここまでの答弁で、きょうは短時間でございまして十分な質問ができなかったわけでございますけれども、政府の基本的な政策に対する重視の姿勢というのは確認をできたと思っております。

 であるならば、この地球温暖化対策推進法の改正にとどまらずに、やはり地球温暖化対策の基本法についてしっかりと検討をしていかなければならないと思うわけでございますが、最後に大臣の見解と決意をお伺いして、終わりたいと思います。

石原国務大臣 冒頭も答弁させていただきましたけれども、この温対法の一部改正案の成立を見ましたら、直ちに、御指摘いただいた基本法案、地球温暖化対策の基本原則や基本的施策を位置づけたものを、公明党、自民党、民主党、各党の皆さんとの、提案があった経緯もあることから、皆様方のお考えも伺いながら、これは田中副大臣の言葉ですが、腰を据えてしっかりと取り組ませていただきたいと思っております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 きょう質問できなかった副大臣、政務官、どうも申しわけございませんでした。大変ありがとうございました。

 終わります。

吉野委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原でございます。引き続き質問させていただきたいと思います。

 この法案についてもう何人もの方が、ちょっと意欲が足りない法案ではないかということで何回も出ております。私も正直言ってそう思います。

 これは、先週の審議のときに、河野委員が、マイナーチェンジ過ぎるんじゃないか、斉藤委員は、基本法をきちんと議論したかったと言っておられました。私も全く同じ気持ちでございます。環境委員会に所属している皆さんは、環境をきちんと保全していかなくちゃいけない、地球温暖化は大問題である、そういう志を持ってこの委員会にほとんどの方が所属されていると思います。

 これも何回も話に出ておりますけれども、民主党も自民党も公明党も、基本法を制定しようということで法案を提出したりしております。皆さん承知しておられるはずなんですが、こういった動きをどの程度踏まえてこの法案をおつくりになったんでしょうか。私は、そういうことを相当踏まえてやっていただかなければいけないんじゃないかと思いますけれども、どうもそういったことが感じられないんですね。

 やはり、そこはちょっと欠けているところじゃないかなと思いますけれども、この点について、大臣、いかがでしょうか。

石原国務大臣 篠原委員に以前もお答えさせていただきまして、また物足りないという御指摘を受けるかと思いますが、足元から地球温暖化対策が行えるようにするために何が必要かというと、やはり法的な根拠というものが必要でございます。そんなところでできる限り空白期間をつくらないような形で速やかに策定するために、御批判をいただいております、つなぎ法案とか容量が少ないとか、今も御指摘がありましたような、必要不可欠な内容に絞って提出をさせていただいたわけでございます。

 先ほども同僚の江田議員にお答えさせていただきましたが、この改正案を早急に成立させていただいた後は、御党からもいろいろな御提案というものがあるわけです。そして、委員御指摘のとおり、環境委員会に所属する者は、この地球温暖化というものにしっかりと対応していこう、世界全人類の大きな危機だというような、ちょっと大それた言い方になるかもしれませんけれども、そのぐらいの認識を持って、これから、委員の御指摘の基本法についても、しっかりとこちらも勉強をさせていただき、提出をさせていただいて、また、いい成案が得られるように努力をさせていただきたい、こんなふうに考えているところでございます。

篠原委員 私は、安倍政権はなかなか大したものだと思います。先週の月曜日の予算委員会でもちょっと安倍総理に直接申し上げたんですけれども、政策が実行されて成果が上がるなんてないわけですね、二、三カ月ですから。口先だけでやっているんだ。アベノミクスと言われているけれども、私は、アベロノミクスといって、舌ばっかしでやっていると。だけれども、それはいいんだ、一番効率的な政策なんだと。あちらは三本の矢と、あれはいいことだと思います。

 だから、私なんかが感心するのは、民主党政権こそやらなければいけなかったことだなと反省するんですけれども、賃金ですね。上げなかったらよくないと言って経済三団体にちゃんと賃上げ要求する。経済の世界では、物価上昇二%、非常に意欲的な数値目標を掲げられて頑張っておられる。

 ところが、環境になると全くしみったれていて、逆なんですね。せっかく民主党が、環境面の方で、二〇二〇年二五%のCO2の削減をしていく、それから三〇年代に原発を廃止する。その二つともゼロベースで見直すんだと。こっちの方は突然意気消沈しているというか、意欲的じゃなくなっていくんですよ。僕は問題だと思います。

 いろいろなところであるんですが、数値目標というのがよく出てくるんです。それは、法外な数値目標はやはりよくないです。それは石原大臣の言われているとおりですね。原発を五〇%やることになっていて達成できる二五%CO2の削減だって、原発を少なくしていくというときには無理じゃないか。それはわかります。ですけれども、ラクイラ・サミットでもG8でもって約束したりしたし、閣議決定した計画の中にも含まれているんですね。

 長期の目標で二〇五〇年までに八〇%を削減するというような目標というのは、幾らつなぎ法案でも、私は、そのぐらいは、意欲を示すという点で入れ込んでもおかしくないと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。大臣にお答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 これも先ほどの同僚の江田議員にお答えさせていただきましたんですが、長期的な視野というものはしっかりと書き込ませていただいたというつもりでございます。

 しかし、委員御指摘のとおり、数値として二〇五〇年にどうするということは、この改正案の中には書いておりません。

 それはやはり、エネルギー需給の基本計画、あるいは原発については、総理も申されておりますとおり、原子力にできる限り依存しない社会をつくっていこうと。

 しかしながら、現実としては今も動いている原子力発電所がありますし、これから安全基準ができました後に、事業会社が安全性を確保した上で申請を出してくる可能性もある。こういうものも全て見きわめていかなければなりませんし、再生可能エネルギーにつきましても、まだまだ日本でのこの普及というものは低いと思っております。これが一体どの程度まで二〇二〇年、二〇三〇年に全エネルギー供給量の割合を占めることになるのか。このポイントは、蓄電技術の進歩だと思います。

 こういうものとあわせて、委員御指摘のとおり、二〇三〇年、二〇五〇年への工程表というんでしょうか、こういうものがやはり現実的に示せるような状況になって初めて、二〇五〇年、先進国マイナス八〇%というこの数字が現実味を帯びてくる。その現実的な数字を帯びさせるためにこれから努力をさせていただきたいと考えているところでございます。

篠原委員 やはり、政治は相当気合いが必要なんじゃないかと思います。安倍政権が経済政策で成功しているのは、気合いでやっておられるからだと思います。そういう点は、やはり環境の方はちょっとしみったれているんですね。

 長期的に見たら、環境行政というのは非常に重要になってきている。昔、環境庁のときは初めて大臣になるような方になっていただくことになっていますけれども、最近は、大物、そちらにも大臣を歴任された方がおられます。石原大臣も私はその典型的な方だと思います。環境行政は大事なんですよ。

 環境というのも、経済だけじゃなく、意外とこれも口でやっていける分野じゃないかと思う。要するに、運動の方でもって、いやだめだだめだとかいうのをやっていくのはよくない。誠実なのはわかるんです、ほらは吹けないと。しかし、適当なほらは吹いたっていいので、ビッグマウス、でっかい口をたたいていくという、これをぜひやっていただきたいと思います。環境行政はやはり運動も必要だと思いますから、その点、ぜひきちんとそれを心得てやっていただきたいと思います。

 それで、京都議定書という名前がみんな外れるんですね。では、外れるんですというのは、一体どういう大綱をつくり、どういう計画をつくっていくのか。いや、つなぎできちんとやる、ワルシャワの十一月の会合までには何とかするとか言って、それから、この前は副大臣に、非常にいいことで、ビッグマウスですね、でかい口なんて言ったら失礼ですけれども、きちんと意欲的な答弁をいただきまして、基本法をちゃんと議論していくというのはこれは非常にいいことだと思います。

 事務方の方で答えていただければいいかと思います、大臣じゃなくても結構でございますけれども、一体どういう計画をつくっていくという今は念頭におありになりますでしょうか。

田中副大臣 計画について今篠原先生からお話がありましたけれども、我が国が環境先進国というお互いに意識を持ってこれまで歩んできたわけですから、しかし一方においては、大震災が起こって、状況、環境の変化が大きくなっているということも事実でございますが、だからといって、環境立国として、世界の中のまさしく環境先進国としてこれから歩んでいくということについては、まさしく、環境省としても取り組んでいくことは当然のことだと思っております。

 そういう中で私たちも、今御指摘があった京都議定書の目標達成計画からどのような点が今後改善されるのかという点が非常に重要になってくるわけでございますけれども、地球温暖化対策計画の策定は、再生可能エネルギーや省エネルギーの最大限の推進、低炭素社会の創出に向けた取り組みを推進するということは当然のことでございまして、これが私たちの一番のポイントになると思います。

 特に再生可能エネルギーについては、導入を加速化していくことが必要でありますし、その第一弾としては、本年一月、石原大臣から再生可能エネルギー導入加速化プログラムを発表していただいておりますが、これも、蓄電池を活用して再エネの出力変動を緩和する技術の実証や浮体式洋上風力の実証などの施策を体系的、戦略的に展開していく、こういうことがまずございます。

 それから、長期的な視点からでありますが、自立分散型エネルギー社会をつくり上げるための新たな計画の策定を具体にしていく、こういう思いでございます。

 ぜひひとつ御指導いただき、ともに頑張らせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

篠原委員 それでは、資料をいろいろ用意してきましたので、ちょっと見ていただきたいと思います。

 意欲的にやっていただきたいという理由ですけれども、一ページ目の、「ドイツの気候変動対策」というのを見ていただきたいんです。

 皆さんこれは御存じだと思いますけれども、ドイツは、脱原発についても非常に意欲的に取り組んでいます。一番下の「原子力政策」の下から二行目を見ていただくとわかると思います。二〇二二年までに段階的に操業を廃止するということを言っているんです。では、日本と同じように原発を廃止するんだから、地球温暖化の方の問題、気候変動対策は手を抜いているのかというと、全然違うんです。

 上の方を見てください。「主な目標」で、他国の動向にかかわらずドイツはドイツでちゃんとやっていく。全然変えていないんです。それで両立しているんですよ。

 何で、同じような国、ドイツでできて日本でできないんでしょうか。私はこれが不思議なんですね。ぜひ、経済の方は安倍さんがアベロノミクスでやっている、こっちは石原大臣が、それから田中副大臣が、齋藤政務官が意欲的に取り組んでがんがん発言していっていただきたいと思います。

 それで、今は田中副大臣のところにもありましたけれども、地球温暖化対策というと、原発があってエネルギー、そちらの問題に相当関心が行っています。私はそれはそれで大事だと思う。

 ですけれども、ほかの委員の皆さんはそこに質問が集中しましたので、私は、運輸部門についてちょっと提言ですね。これは質問もいたしますが、どちらかというと、私の話を聞いていただいて御賛同いただきたいという感じで質問させていただきたいと思いますので、これからは授業を聞くような感じで聞いていただきたい。

 では二ページを見ていただきたいんですが、やれることはいっぱいあると思うんですよ。だから、どういうふうなことを計画に盛り込むつもりですかと聞いたのはそういうことなんですが、僕はばあっと地球温暖化の推進大綱を見てみました。もう本当に網羅的にいろいろ書いてありました。

 まず、狭い日本で、どういう交通機関で、輸送機関でもってその体系を組み立てたらいいかというのを考えていただきたいんです。

 ここに、CO2の排出原単位、これは皆さんおわかりになられると思いますが、旅客と貨物と分けてありますけれども、ともかく鉄道が一番CO2を出さない。ただ、この鉄道も、電気で動いていたりして、原発でというふうになると、そこまで行くといろいろな問題があるわけですけれども、一番だめなのは、だめというかよくないのは、貨物の航空ですよね。これは皆さん余り御存じないかと思う。私は水産庁という役所に三回いまして水産行政をいろいろやったんですが、成田は水産業界では成田漁港と呼ばれているんです。おわかりになりますか。陸揚げというか、あれは離陸というか、水揚げ高が一番ぐらいになっちゃうんです。高級な魚介類が飛行機で運ばれてくるんです。インド洋マグロ、新鮮だと。

 だから、飛行機で運ばれてくるそういった食べ物というのは、我々からすると非常に罪深い食べ物だ。だから、悪いことをしているんですよと思って食べていただかなくちゃいけないものなんじゃないかと私は思います。そのかわり、近くのもの、後で触れますけれども、それは、日本のものはいただきますということで食べればいいので。

 イギリスは、ナショナルトラスト運動なんてやった国ですから、徹底しているんです。エアフレーテッドというので、そういうシールがあるんです。どういうものかというと、これは地球環境を汚して航空機で運ばれてきた果物ですよ、それでもあなたは食べますか。日本人はおよそそういうことはしないと思います。そういうことをしているんです。そういう観念が我々にない。そういうのを大臣や環境省にやっていただきたいという意味でこれを書いているんです。

 だから、これを見たらおわかりだろうと思いますけれども、貨物だったら、鉄道で、あるいは船舶で、当然ですけれども、地下鉄とか、そういう公共交通機関にかわったりしていただく、そういう社会にしていかなくちゃいけないんだと私は思います。

 これはぜひ考えていただきたいんですけれども、そういったこと、モーダルシフトとかいろいろ書いてありましたよ、前の大綱のところに。ですけれども、この点についてはどうなのかということを、赤澤政務官、古巣に帰られてもう意欲満々取り組んでおられると思いますけれども、ぜひこの辺のところを直していただきたいと思います。現状それから将来の見通し、どんなふうに考えておいででしょうか。

赤澤大臣政務官 おはようございます。

 篠原委員の授業を受けさせていただいて、大変ありがたく思います。農水副大臣でおられた当時に、大分、農水委員会で私も授業を受けさせていただきましたので、その続きの講義ということで、きょうは心して答えさせていただきたいと思います。

 先ほどからお話があるように、確かに、フードマイレージの考えと地産地消の考え、委員はずっと提唱されておりますので、本当に筋金入りだということで、私も大変その重要性は受けとめているところでございます。

 モーダルシフトは、これは釈迦に説法になりますが、貨物について、その輸送をトラックからCO2排出量の小さい鉄道や船舶に転換する取り組みということで、委員の御指摘もありますし、そういったものもいただいて、国交省としても、モーダルシフトを物流政策の非常に重要な政策として位置づけております。

 鉄道や船舶の利用促進に向けて、ハードだけでなく、ソフト両面で施策を推進しておりまして、具体的には、荷主と物流事業者、関係者全体が協力をして行うモーダルシフトの仕組みに対する補助を行ったり、幹線トラックと同じサイズの三十一フィートコンテナの導入を支援したり、さらには、貨物駅の改良などによる輸送力増強などの施策を推進しております。

 国交省としては、今後とも、これらの施策を講ずることで、物流におけるCO2排出量の削減に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。

篠原委員 では、三ページを見ていただきたいんです。教授という御指名をいただきましたので、そのつもりでちょっと説明させていただきます。

 フードマイレージという言葉は、大臣、御存じですね。(石原国務大臣「はい」と呼ぶ)ウッドマイレージも多分御存じの方はたくさんいると思います。だけれども、グッズマイレージというのはほとんど使われていないんですが、この言葉は実は私がみんなつくっているんです。下にちょっと解説を書きました。

 フードマイレージはもうおわかりになりますね。昔から問題にされていました。日本の典型的な食べ物、てんぷらうどんを食べると、それぞれに国旗を立てると、てんぷらうどんは水だけだ。エビはマレーシアから、衣はオーストラリアからというふうに。というのになってしまうと思う。

 その問題をきちんと理論的に突き詰めていこうというので、今、赤澤政務官からお答えいただきましたけれども、地産地消という言葉、私は一九八七年よりこれを使ってきております。近くでとれたものを近くで、その場でとれたものをその場で食べる。そのときできた、ちょっと下に書いてある旬産旬消ですけれども、これが一番環境に優しい生き方であるし、食べ方であるし、体にもいい。

 例えば、旬産旬消なんかも日本が一番忘れているところで、いつでも同じようなものが食べられる。ホウレンソウのできるときは限られている、トマトのできるときも限られているのに、冬でもトマトを食べて当然だと思っている。こんなに変なふうになってしまっている国民は日本だけですね。

 だから、遠くから運ばれてきているものをなるべく食べないようにしようという考え方がある。旬のものを食べようというんです。こういうことを忘れ過ぎているんです。

 イギリスのティム・ラングという、アメリカにラルフ・ネーダーという運動家がいますが、あれのイギリス版みたいな人なんですが、この方がフードマイルズと言っていたんです。私はそれをちょっとひねりまして二〇〇一年の朝日新聞に初めて使ったんですが、フードマイレージ、積み重ね、トンキロメートル、これは環境の負荷のときも常に使われますね。こういうやり方でやって、私のところの研究員が使って各国の比較をしたりしているんです。

 国際的にももうヤフーのUSAにもちゃんと出ていまして、英訳、私は下手くそですよ、プロデュースゼア・コンシュームゼムとかいっていた。プロデュースローカリー・コンシュームローカリー、プロデュースシーズナリー・コンシュームシーズナリー、これが食べ物にとっては一番いいんだ。日本食が広まっていますけれども、それと同じようにこの言葉も実は広まっているんです。これが環境に優しい生活態度だと。こういうことをやっていっていただきたいというのがいっぱい転がっているんです。

 ウッドマイレージというのも、もう白書にも使われています。

 次、問題はこのグッズマイレージなんです。おわかりになりますか、韻を踏んでいるんです。だから、外国人の方が、アメリカ人の方がこれはわかるんです、考え方が。

 どういうことかというと、物の輸送はなるべく少なくするという考え方を持っていただきたいということなんです。こういう感覚が、日本が狭かったりするし貿易立国だという固定観念があるので、全く忘れ去られているんです。

 どういうことかというと、工業の世界でも、これは当然のごとく、コストのことを考えても、でき上がっているんです。

 長野県の諏訪とか岡谷、僕はそこの選挙区じゃないです、北の端なんですが、そこにセイコーエプソンとかいう会社があります。世界的に知れていますけれども、軽薄短小ですよ。そこに重化学工業なんかがあったら、中央道や信越道、みんなトラックや何かで満杯になっちゃうでしょう。だから軽薄短小しかない。

 それから車、今日米間で問題になっていますけれども、そんなすかすかのを船に載っけていくよりも、最終消費地、アメリカの現地生産にした方がいいというのは、みんなこれは、食べ物だけじゃなくて、地産地消になっている。それで、輸送はなるべく少なくというのなんですね。これを徹底していけば相当CO2は減らせる。

 だけれども、これは危険な考え方で、過激なんです。対立する概念というのがありますけれども、自由貿易とか国際分業には反するんです。反するけれども、二十一世紀、環境の世紀と言われています。こういうことを考えていかなけりゃいけないんじゃないかと思っているんですよ。

 それで、ちょっと考えます。飛びますけれども、一番最後のページのところを見てください。

 そういうので、輸送のときに伴う気遣い、結構できるんですよ。だけれども、そういうのを全く是正しようというふうな感じになっていない。

 一番下の長野―東京間の新幹線と高速道路の比較、東京と二百三キロなんです。では、新幹線と車で来るのとどれだけどうなっているかというと、長野の人は、一人で行くときは、しようがない、新幹線で行くかというふうに、東京にですね。ところが、二人で、夫婦で行くというふうになったら、運転疲れちゃうという人もいるかもしれませんけれども、普通、運転できたりすると、軽自動車か普通車で行くんです。なぜかというと、おわかりいただけると思います。新幹線だと倍かかっちゃいますけれども、こうやって安いんですよ。

 日本ほど車ばかりある国ないですよ。これはもう少なくていいんだろうと思います。七千万台か八千万台。日本で一番車が人口当たり多いのは群馬県だそうですね。次が長野県なんです。百人に九十とかいって、赤ん坊や寝たきり老人まで含めて一人一台に近いぐらいになっちゃっている。では、一体それだけ必要かということを考えていただきたいんです。

 それで日本の自動車産業が栄えているからいいじゃないかと言う人がいるかもしれませんが、それは二十世紀の考え方であって、地球温暖化のことを考えていく場合、我々政治家が考えなくちゃいけないのは、そういう生活態度は改めてくださいよということを言わなければいけないんだろうと思います。

 それで、物流についてのモーダルシフトは考えられているわけですね。だけれども、人の移動についてほとんど余り考えられていないんじゃないかと思うんですけれども、この点こそ考えていただきたいと思う。

 なぜかというと、ビジネスの方は結構いろいろな工夫をして、コストダウンにつながりますから、ほっておいたってやっていく部分があるんです。さっきの、長野県には軽薄短小の工業しか存立し得ない、重化学工業は臨海型というのは当たり前です。原材料を持ってきてまた外国に持っていくんだから、そんなの海の際が一番いいに決まっているんです。

 だけれども、人の移動とかいうふうになってくるとそうじゃないんです。だから、これは政府がきちんと誘導するような形でやっていかなければいけない。人の移動についてこそ総合交通体系が必要だと思います。

 そういう点は、道路ばかりつくっていた建設省、それと一緒になって国土交通省になったんだから、ここは何でいくかというようなことを考えてやっていただいてもいいと思うんですが、そういうことは考えておられるんでしょうか。赤澤政務官にお伺いしたいと思います。

赤澤大臣政務官 御指摘の点は大変傾聴に値する考え方だと思います。

 CO2の排出量を抑えるといった地球温暖化対策などの考え方からも、バランスのとれた交通体系をきちっとつくっていく必要があると考えております。総合的な交通ネットワークの整備に当たって、各交通機関がその特性を生かし十分な連携を図る、そして、交通機関間の競争を通じて、利用者の、特に人流、旅客の場合は、自由な選択が可能となるようにすることがかなり大事だという部分も押さえていかなければなりません。

 国交省では、平成二十年七月に国土交通省環境行動計画、それから、平成二十四年八月には社会資本整備重点計画、それぞれ策定をしておりまして、その中で公共交通機関の利用促進をするということを打ち出しております。路面電車やバス走行環境の改善など公共交通機関の利用促進の実施、あるいはあかずの踏切など、これは渋滞で非常にCO2の排出を呼んでしまうということで、連続立交の事業でありますとか、そういったことによる交通渋滞緩和などを図って、環境負荷低減に資する交通体系の形成に向け、今後とも取り組んでいくつもりでございます。

篠原委員 残念ながら、この点では非常に私はおくれていると思うんです。

 先週の質問の中にも出てきたと思いますけれども、ヨーロッパの国々では、不便だけれども、都市の中に車を入れないとかということもやっている、みんな路面電車にするとか。日本で何でそういうことを、環境先進国だ、環境技術立国だと言いながら、それで、こんなに小さいコンパクトな国であるのに。

 これは、車を都市に入れないというのは、あっちは城塞都市で、ここからこっちが都市ですよ、ここからこっちが農村ですよという区分けがあるせいも僕はあるとは思いますけれども、そういうことをびしばしやって、みんな、不便になるんだけれども文句を言わないんですよ。ここが不思議だと思うんです。日本だとすぐぶうたらぶうたら言って、効率が悪くなるだなんだ、経済的にやっていけないとかいってすぐそういう声が出てくるんです。私はそれは抑えていかなければいけないんじゃないかと思う。

 だから、原発政策についてだってそうですよ。それは、安全でやっていったらやっていってもいいと思いますが、だけれども、これだけ事故を起こしたりしたら、抑えなくちゃいけないと思う。だから、そうやって抑えていくというところは誰がやるかといえば、やはり我々政府がやらなくちゃいけないんじゃないかと思います。

 それで、五ページの上を見てください。フランスと比較していただきたいんです。フランスをもっと褒めようかと思ったら、余り褒められる試算になってきていないんですけれども。

 これはよく言われていますけれども、ガソリン価格はもうずっと高いわけです。アメリカが一番低くて、ヨーロッパ諸国は高くて、そして日本は真ん中だと。ガソリンの価格を高くして、抑制的にして使わないようにする。

 これは国土交通省さんにお願いして資料をつくってもらったんですが、一番安いのを比較した。レンタカーですね。これはなぜレンタカーのを出しているかというと、私はちょっとパリに三年ほどいたことがあるんですが、余り渋滞が起きないというのでよく見ていると、観光シーズンも、拠点から拠点はTGVで行くんですよ。ずっと一週間単位で休みをとる。毎日車に乗っているわけじゃないから、そして必要なときに、車であちこち動き回るときだけレンタカーを借りるんです。そういうふうになっているんですね。

 もう仕組みが違うわけです。五週間の休みがあって、ちょっと下に高速鉄道料金とか書きましたけれども、これは物すごい差があるんです。日本もやっと鉄道にもこういうのができてきましたけれども、すごく混まないようにしてあると思うんですね。これはCO2の削減とはちょっと関係ないんですが。

 つまり、拠点から拠点は列車で行って、現地の観光地でもってレンタカーを借りる。それで、現地のレンタカー代は安いんです。だから、三百キロも運転していってへとへとになって疲れる、また帰りに三百キロも運転してくるというのも嫌なので、列車で行って、現地で必要なときだけレンタカーを借りる。レンタカーの仕組みはきちんとできているんです。そういうふうな形に日本こそ持っていくべきだと思います。

 東京の家から戸口から戸口みたいな感じで行くというのは一つのやり方としてあると思いますけれども、それはやはりよくないんですね。

 それで、非常に基本的なことなんですが、民主党政権はこの間から余りよくないので僕はよかったと思います、高速道路の無料化。私が初めて選挙に出るとき、それを前面に立てて戦っていたんです。僕はあのスローガン、もう昔になったから言ってもいいと思いますが、嫌で嫌でしようがなかったです。高速道路の無料化なんて、高速道路なんかなるべく使わない方がいいんだ。

 うちの幹部が私の応援に来て、私は長野県中野市で、リンゴの産地で、私はリンゴ農家の生まれでして、専業農家です。弟がリンゴをつくっております。某幹部は、中野市を東京の隣の市にするんです、輸送コストをゼロにして、安いリンゴで売れて、もっとリンゴを食べてもらえるように。みんなげらげら、そんなことができるか、そんなこと大したことないという意味で笑っていました。そんなことをさせるべきじゃないです。新鮮なリンゴは長野の人がとりたてで、東京にいるんだから、少しはぼけたリンゴを食べていればいいと思う。それでたくさん、たくさんということはないですけれども、それは高くなって当然だと思います、輸送コストがかかるんです。そんなことまでしなくたっていいと。

 だから、環境と経済とを両立するとなっている。我が方は経済ばかりなんです。悪いことを考えていたわけじゃないです。我が政権の私が入る前、入った後もそうですけれども、地方を活性化しなければいけないということで安く安くと言っていたんですよ。それはもっと違う方法で活性化すればいいんだと思うんです。

 単純なんです。何でこれをやらないのかと。国土交通省の皆さんも絶対知っているはずなんです。フランスの高速道路料金はどうなっているかというと、大臣はツェルマットへ行ったことがないとか、ええと思いましたよ。パリには行かれてパリの列車には乗られた。パリのペリフェリックという環状道路がある。そこはただなんです、高速道路ですが。それで、そこからマルセイユに行こうと思って出ると、何キロか忘れましたけれども、ちょっと南に下るとばかでかい料金徴収所があるんです。そこから長距離輸送だけ取るんです。生活道路はただなんです。この考え方が正しいんです。アイドリングもならないですね。排ガスが少なくて済む。それで、長距離輸送をなるべく抑えるようにしているわけです。

 こんな簡単なことを何でできないのかなと。私が今度政権をとってやったらやると思いますけれども、自公政権でもやっていただきたい気がするんです。

 こういう考え方をとっていただきたいと思うんですけれども、赤澤政務官、いかがでしょうか。

赤澤大臣政務官 交通機関の分担を距離帯別に見ると、委員の用意された資料が二百キロということだったのでそこでお話をしますが、国内貨物輸送の場合、二百キロ以上の自動車交通が六四%。それで、国内旅客、委員が今本当に御関心を持って御議論いただいている旅客、人流の方は、二百キロ以上の自動車交通が一三%です。貨物六四、旅客一三ということで、御指摘のとおり、貨物については三分の二ぐらいということでありますけれども、旅客の場合は非常に少ないということであります。それぞれの役割に応じた分担が図られた結果であろうというふうに考えています。

 高速道路の料金については、債務の償還という観点がどうしてもあるものですから、適正な料金水準とする必要があります。委員が高速道路無料化について必ずしもいいとは思っていないというお考えを開陳されていることについては、長らく敬意を払っているところでございます。

 距離別の利用状況を見ますと、例えば、利用距離百キロ未満の短距離利用者の割合が八一%、それから、百キロ以上の長距離利用の割合が一九%ということで、長距離利用の方の御負担のみで債務の償還を行う場合には、相当に割高な料金水準に今のままだとしなければならないという問題がございます。

 長距離利用の料金水準を割高にすると、委員が狙われた効果がうまく出る場合もあるかとは思うんですけれども、一方で、内航海運などにうまく転換せずに、自動車交通が一般道路へ流出して渋滞を引き起こしたりと、他の課題もあり得るなと。考慮すべき点はほかにもあるのではないかという感じがしているところでございます。

篠原委員 今の数字を聞いてほっとしました。貨物は六四%、旅客は一三%というのは、はあそうなのかなと思う。

 そうすると、都市周辺、百キロ未満が八一%。だから、都会からお金を取って地方はただにするという、これも、地方を何とかして活性化しなくちゃいけないという考え方に立つとそうなるわけですよね。だけれども、環境重視ということだったら、長距離輸送を抑えてと。そうすると、高速道路はそんなに要らなくなるというふうになって困る人がいるかもしれませんけれども、それでいいんだろうと思います。

 こんなに道路ばかりある国もないわけですね。それはまあしようがない。人口密度が高いし、こんなに小さな国にいっぱいいるんですから道路もある程度必要だと思いますけれども、国際比較すると、日本はやはり道路が多過ぎるんですね。そんなにしなくたっていいと。私なんかは非常にせつないんですね。

 長野電鉄というのがある。私が高校に通っていたときに乗っていた長野電鉄木島線というのは、当然廃線になっています。また、もうちょっと行くと、志賀高原に行く長野電鉄も廃線になってしまうかもしれない。これはよくないんだろうと思います。そんなに急がなくたっていい。車は便利だけれども、電車に乗ってそして観光地に来ていただく、地元の人もそういうふうにするというふうに何とかして誘導していくべきじゃないかと私は思います。しかし、残念ながらそうなっていない。

 それからもう一つ、これはお答えいただかなくて結構だと思いますけれども、内航海運の数字をちょっと調べましたら、輸送量は減っているんですね。

 ですけれども、ちょっとこれはCO2とは関係ないかもしれませんけれども、私が副大臣のときに食料を届けるというのをやったんです。高速道路はめちゃくちゃです。水産庁の船を使って島やなんかにもやって。ガソリン、重油が不足して困った困ったというのに、食料不足に全くなっていないから新聞記事にもならなかったですけれども、それは相当苦労してやったんです。食糧事務所というのがあったのは御存じだと思いますけれども、食糧事務所のDNAが残っていますから、あれは米をどこにどうやって持っていくかというのをやっていましたから、同じようにできて、てきぱきやって、船でも運んだんです、餌も運んだりと。いざというときにも内航海運は役立ちますね。それから、船が一番CO2を出さないというんだから、これをやっていただきたいと思います。

 それで、もう一つ、いろいろなところにCO2のが関係しているということで、四ページ、これはちょっと手間がかかって、農林水産省の林野庁に手伝ってもらってつくった資料です。秩父材とカナダ材で、春日部市でやろうと思ったんですけれども、余り有名じゃないから川越市にしたんです。

 川越市に一戸建ての住宅を建てた場合の、その材木の輸送に伴うCO2の排出がどうかというの、こういう発想が皆さんにはないんですよ。環境に優しい生き方をしようと言う、食べ物は有機農業というふうになって産地を気にするようになりましたけれども、木は、吉野の杉とか、ばか高いそういうので威張って、この柱は一本三十万円だとか言ってやる人はいますけれども、普通の材木に、どこの産地のだということがないんです。やはりそれを考えていただきたい、さっきのエアフレーテッドじゃないんですけれども。

 ちょっと見ていただきたいんです。平均が、埼玉県が百十平米、それで一平方メーターで〇・一九八を使う。これで木材使用量が約十トンだと。秩父材とカナダ材でつくった場合の輸送に伴うCO2の排出量が一体どれぐらいか。

 秩父だと、山林から製造所に二十六キロ、製造所から川越まで五十三キロ、トラックを十二トン、八トントラック、普通のものでこうやってやりました。なるべく近いように、こういう仮定です。これは、今やっているTPPのあの変な計算と比べたら、こっちの方がずっときちんとしていますよ、あれはインチキ計算ですけれども。

 カナダは、これは五百キロにしました。だけれども、五百キロじゃなくて二千キロのところもあるんですね、陸路。これはトラックで運ぶ。列車で運ばれている部分もあると思いますが、五百キロという想定にしました。船は少ないんです、七千七百キロ。横浜港に来て、横浜から川越まで行くというのでやる。このところで、上の、山林からバンクーバー港のが千キロ、二千キロになったら、こんなものじゃないんです。

 百五十キロと七百十四キロです。五倍近く違うわけです。だから、こういうことは考えていっていただきたい。

 うちをつくるときに、埼玉県の人、あれ、おられなくなっちゃいましたけれども、埼玉にうちをつくるといったら、埼玉県の振興に役立つようにということで秩父の材木を使ってやろうと。こんなのは常識なんです。ドイツへ行きます。ドイツは、住宅を建てるときに、半径五十キロ以内での材木を使うというのが常識になっているんです。当たり前なんです。

 これは御存じだと思います。木が立っていたと同じような方向でもって、柱の方向、南向きの家だったら、柱を全部南向きの方にして建てると長もちする。それが逆になるとゆがんできたりするんです。自然のままがいい。南の方でつくった木を寒いところへ持ってきたりしたら、やはり傷みが激しいんです。木も地産地消なんです。

 僕は、選挙運動のときに、政治家も地産地消と言ってやりましたけれどもね。それはどうでもいい話ですけれども、みんな地産地消なんですよ。ぜひこういうことを考えていただきたい。こういう行政をしていただかないといけないんです。

 公共建築物で木材を使うというのを国土交通省や農林水産省がやりました。しかし、県、市町村の人は地元材となりますが、国全体だと、何しろ材木を使っていればいいじゃないかというふうになっちゃう。だけれども、それだけではやはりいけないんじゃないかと私は思っております。

 これはちょっと聞いておいていただくだけでいいと思います。こういうことを考えていただきたいと思います。

 いいこともありまして、ふるさとの木のにおいを嗅いで死にたいということで、そういうこだわりが生まれてきたんです。ふるさとの木材で家を改築したいという人がふえてきている。いい傾向だと思います。自分の生まれ育ったところの木のにおいを嗅ぎながら一生を送りたい、こういう人が出てきているんです。

 そういうのがありますので、ぜひ赤澤政務官、大臣になられたときには、なられると思いますけれども、もっときちんとしたシフトをやっていただきたいと思うんです。

 最後、時間がなくなりましたけれども、済みません、今問題になっているTPPについて平政務官においでいただいています。

 何かマランティスUSTR代表代行が、これは、アメリカ人はしょっちゅうでっかく大口をたたきますね。三月二十日に記者会見をして、自動車についていろいろ日本に要求しておる。これが解決がつかなかったらTPPの交渉は始められないということを言っているそうです。透明性だとか基準だとか販売網とか、日本はいろいろいかがわしいところがあると言っている。

 けしからぬのは、日本が全然アメリカ車を差別するなんという気はなくて、大型車はガソリンをいっぱい使ったし、余りよくないから小型車を使ってください、そっちを優遇している、税制もそうだ、それから、環境基準もきちんと決めてCO2を出さないようにしている。それをあたかも非関税障壁だなんて言ってくる。こんなのは徹底的に蹴散らしていいんだろうと思うんです。

 地球温暖化の問題が大問題になっているわけです。アメリカは京都議定書のときも入らなかった。そういうわがままな国ですよ。そういう国と日本は違うんだ、環境基準をこうやって守っているんだ、だからこの方針は絶対変えないんだというふうにやっていただきたいと思う。

 僕は、あんなので前払いさせられて、それでTPPに入るなんてもともと反対なんです。こんなので譲ってやるというのは名折れだと思いますよ。絶対拒否すべく、もっと厳しい環境基準にしていくという方針をこういうときにこそ打ち出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まずは、経産省としては、環境対応車の導入、普及は極めて重要であると認識をしておりますので、エコカー減税や購入補助金など、税制措置を実施をしているところでございます。

 大々的にやはりエコカーを優遇するべきだということでございますが、現状でも諸外国に比べて優遇政策をとっているということでありますし、今後もこの重要性は変わらない、そのように思います。

 私自身も車は好きで、ドイツ車とか米国車とかいろいろな車に乗りましたが、アメリカ車が売れないのは、非関税障壁ではないと思います。魅力がないということなんだと、そのように思います。

 いずれにしても、与党の方からも、「排ガス規制、安全基準等の原則をまげないこと、軽自動車の存続を図ること等を主張すべきである。」という決議もいただいておりますので、そういうことをしっかり念頭に置いて協議をしていくべきだと考えております。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

篠原委員 どういう方が交渉されるのかはわかりません。安倍総理は、自民党は交渉力がある、誰のことを言っておられるのかわかりませんけれども、平政務官は若いですし元気もありそうですから、アメリカに負けないようにびしばし交渉していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 維新の会の小沢鋭仁でございます。

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部改正案、質問をさせていただきたいと思います。

 この問題は私にとっては大変思い入れが深いテーマでありまして、きょうは、こういう機会を頂戴して大変ありがたく思っているところでございます。

 また、我が党にとりましても、我が党代表であります石原代表も大変関心が深いテーマでありまして、先般の予算委員会の中でもこの問題を取り上げて質問をさせていただいたわけであります。

 我が党の石原代表、それから今の環境大臣、親子二代で環境大臣を、石原代表のときは長官でありましたけれども、親子二代で環境行政のトップを務めるということでございまして、まず、心からお祝いを申し上げたいと思いますし、筋金入りの環境派としてぜひお取り組みをいただきたいと、冒頭、お願いを申し上げるわけでございます。

 さて、この温暖化の問題でありますけれども、いろいろと質問の中でも出てきておりますが、あるいはまた答弁の中でも出てきておりますが、私が二〇〇九年に大臣を拝命したとき、この年は、ここに皆さん関係者もいらっしゃいますけれども、大変、世界じゅうのある意味では関心が高まったときでございました。

 大臣を拝命して直後の国連総会で、御案内のとおり、時の鳩山総理が二五%削減目標を世界に向けて宣言をし、そして、その年の冬のCOP15の場面では、これはもう世界じゅうの首脳がデンマーク・コペンハーゲンに集まって、私も覚えておりますけれども、大変狭い会議室で、本当に徹夜に近い状態で、あの当時、オバマ大統領、クリントン国務長官もいました、メルケルさんもいました、サルコジさんもいました、ブラウンさんもいました、そういった皆さんたちが本当に熱い思いで議論をした姿が忘れられないわけでございます。

 今日、そういったムードが本当になくなってしまっている。それは確かにそのとおりだと、こう思うわけでありますが、しかし同時に、この温暖化の問題の深刻さは変わっていない。変わっていないというよりも、さらにあの当時よりも悪化しているというのが私の認識であるわけでありますけれども、まず大臣におかれましては、そういった現状に関しての認識、温暖化のいわゆる問題点、それがよくなったのか、少しはよくなってこの問題がある意味では埋没しているのか、あるいは、温暖化の問題は決してよくなっていない、悪くなっている、しかし埋没しているのか、そのあたりの現状認識をお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 小沢委員にエールを送っていただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 私も、当委員会に戻ってきたのは大変久しぶりで、平成十年から大臣になるまでの二年半ほど、こちらで理事をずっとやらせていただきまして、PRTRとかペットボトルのリサイクルとか、当時は割と牧歌的な雰囲気でこの環境行政に取り組ませていただいたことを覚えております。

 今はまた、委員御指摘のとおり、この地球温暖化が当時と比べても、また、小沢委員が大臣に御就任されていた時分よりも、私は、素人考えでありますけれども、悪くなっているような気がしてなりません。

 観測によりますと、世界の平均気温、十年当たりにすれば〇・〇七四度の割合で上昇しておりますし、さらに、最近の五十年間は、十年当たりにすれば〇・一三度の割合で上昇しており、過去百年の傾向のほぼ二倍となっている。

 この近々の十年をとると率が低いんじゃないかということを言われる方もいますが、それは一時的なものであって、トレンドとしては、やはり、先ほども議論のあった、産業革命以降、二度を超えてしまうというようなことが現実味を帯びているんだと思っております。

 それによって陸上の氷が解けまして海面も年々上昇しておりまして、二十世紀を通じた上昇は十七センチと見積もられておりますし、エベレストの氷河とか高いところの氷河も、写真の比較で、素人が見てもわかるぐらい痩せ細っている。

 こういう厳しい状況を、全人類の生存の危機と、大げさな言い方に聞こえるかもしれませんけれども、そういう意識を持ってこの問題にこれからも日本が先駆的に取り組んでいかなければならない、こんなふうに考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 大臣の認識をいただいたわけでありますけれども、本当にこの地球環境問題、若干テーマとして埋没感はあるけれども、やはりこの大切さは依然として大きいということを我々は共通な認識として持たなければいけない、こういうことだろうと思います。

 ただ、その中で最近、今大臣の御答弁の中にもありましたが、ここ数年の温度上昇が割とフラットになっていることもあって、いわゆる懐疑説という話が出ております。

 これは二つポイントがあると思います。一つは、温暖化自体がとまるんだ、地球は寒冷化に向かっていてとまるんだ、こういう話と、それから、温暖化とCO2を中心とするいわゆる温室効果ガス、それとの因果関係は関係ないんだ、この二つのポイントがあると思うんですが、こうした懐疑説に対して大臣はどのようにお考えになっていますか。

関政府参考人 私の方から御説明させていただきます。

 委員も御承知のとおり、温暖化というのは、地球の周りに温室効果ガスがふえまして、太陽からの熱エネルギーというのは地球に到達いたしますけれども、地面で温められましたエネルギーというのは、いわゆる赤外線分野のエネルギーになって宇宙に出てまいります。それを、温室効果ガスというのは、太陽から来る可視光線、紫外線の部分は通過いたしますけれども、受けとめてしまうということで、あたかも温室になったようなことでございますので、原理的に、この温室効果ガスの濃度が高くなりますと当然それに応じて地球の気温は上昇するというのは、科学の事実でございます。

 一方で、地球の平均気温というのは、いろいろな海流の影響等で少し年々変化いたしますので、短期的に見ますと、そういう効果との相殺で、右肩上がりで常に上がっているかというと、歴史的にも、ある時代は上がり方がとまって、また上がり出している。こういう観測事実がございますので、いずれにしましても、多くの科学者の間では、温暖化というのはもはや疑いがない、このように理解されているというふうに承知しております。

小沢(鋭)委員 この問題は科学の問題でありますから、政治の世界で我々が結論を出せる話ではないわけでありますが、ぜひ環境省としては、いろいろな研究所もお持ちでございますので、そこはしっかりとそういったところで作業、議論をしていただいて、国民の皆さんへのまた告知、PRもしっかりしていただきたい、こう思っているところでございます。

 二五%目標というのを、民主党政権、鳩山政権のもとで出させていただきました。この二五%目標に関していろいろな議論をさせていただきました。そちらに座っている齋藤政務官とは激しい議論をこの委員会でもさせていただいたのを覚えているわけでありますが、大臣の御発言で、二五%は大変野心的な目標ではあるけれども、ちょっとほら話に近い、こういう御発言があったと、こういうふうに承知しています。

 ここの二五%目標のある意味ではまず評価をいただきたいんですが、一点は、その目標、これはもう皆さん御案内のとおり、IPCCの第四次の報告書をベースに、我々が政治的にその目標を日本として受け入れて、そして世界に向かって表明をさせていただいたわけでありますが、それはまさに、地球環境を守る、その中のフロントランナーでありたい、こういう思いで我々が政治的決断でそれをさせていただいたわけであります。

 その目標が、今でも私は世界にとって必要な目標であると思っています、私の思いは。しかし同時に、では、今、その二五%目標というのを我が国が達成できるのかと、こういう話になりますと、三・一一のあの災害、さらには福島第一の原発事故がありまして、私もあの当時、二五%は可能なのかと、こう皆さん方から意見をいただく中で私なりのロードマップをつくらせていただきましたが、その中では、原発が九基新設、そういう目標の中で何とかこれは達成できるんだ、こういう話をさせていただいたわけでありますが、それが現状ではなかなかかないませんですね。

 こういう中にあって、二つお聞きしたいと思います。

 大臣は、この二五%目標というのは、まず、そんなもの要らないんだとこうお思いになっているのかどうか。それからもう一点は、望ましいけれども実現はなかなか難しいので、そこのところは少し考えを変えたいと言っているのか。先ほどの答弁の中で、安倍総理から、ゼロベースで見直せ、こういう指示を受けている、こういう話でありますが、そもそも、その目標自体に対する評価をいただければと思います。

石原国務大臣 環境先進国として、この地球温暖化にいろいろな学説はあるとしても、我々のポジションは、人類が発展することによって、工業化することによって、温室効果ガスを大気中に放出し地球環境に大きな悪影響を及ぼしている、そういう基本的な前提に立ちまして、やはり、日本がCOP3を京都で開会したという過去の経緯、そしてまた、最近発生しております自然現象の大きな変化、こういうものに対応していくためには、これからも、野心的と他の国から思われる数値を示していく必要が私はあると思います。

 何%という話については、現在、委員が御説明をいただきましたように、総理からゼロベースで見直せと。そして、それを行っていく上には、この七月十八日までに原子力規制委員会の方で取りまとめをいただく安全基準によって、その安全基準をクリアしていると思われる事業会社が原発の再稼働についての申請をする、しないということが全く見通せない状況において、今数字を言及するのは尚早ではないかと思っておりますので、そこのところのコメントは御勘弁いただきたいと思いますが、やはり、野心的な目標を示したということは、私は意義のあったことだと思います。

 不幸にも大震災が起こり、そして、今委員が御指摘されたように、九基原発を新設して電力の供給量のおよそ五割を原子力発電に依存するというシナリオがあればこそ二五%という数字が出てきたんだと私も思っております。しかし、今の状況から、我が党も含めてなんですけれども、やはり原子力発電の依存はなるべく避けていこう、その分、再生可能エネルギー、新たな技術革新に頼ってやっていこうということを話させていただいております以上は、二五%という、小沢環境大臣当時の数字をそのまま掲げるということには無理があるというのが基本的な認識でございます。

 しかし、この間も英国のヒッチンズ大使とお話をさせていただいたんですけれども、日本が手を挙げて、もう関係ないんだと言ってしまうことのないようにというようなお話もいただいて、そうですよねという話をさせていただきましたし、やはり、もう一つここから先のことは、この十年間でどこの国がCO2を多く出すようになったのか、すなわち、どこの国々が工業化してきたのか、途上国も行動することを定めているカンクン合意ということを、その一方で、野心的な目標とあわせて外交攻勢というものを行って、初めて、今議論をされているこの問題に対する解決を私たちは見出すことができるのではないか、こんなふうに認識しているところでございます。

小沢(鋭)委員 野心的な目標に対するプラスの評価をいただいたことは大変ありがたい、こういうふうに思います。同時にまた、これは私自身もそう思っておりますが、なかなか今の日本の現状の中でそういった数字をやり切っていけるかということになると、無理もあるんだな、こういう話は私も感じるところでございます。

 そういった中で、ぜひ、できるだけ高い目標をこれから我々は目指して掲げていかなければいけない、こういうふうに思うわけであります。

 ちょっと時間もあれなので、今、大臣からもお話がありました、国際社会との関係を少しお聞きしたいと思います。

 この二五%目標、今お話もありましたけれども、世界各国から、今現状は二五%で国連に登録しているわけですね。それを変えるということになると、やはりいろいろな日本に対する評価が出てくる、こういうふうに思います。今お話がありましたように、先進国あるいはまた途上国、そういったところからどういう反応が起こってくるのか。

 それから、よくこの問題で、先進国バーサス途上国、こういう言われ方をしますが、本質は先進国バーサス新興国なのではないか、私はこうずっと言っているわけでありまして、そういった意味では、先進国、新興国、途上国、そういったところのことを考えていく中でやはり目標設定もしていかなければいけないと思っておるわけでありますが、大臣の御所見をお尋ねしたいと思います。

齋藤大臣政務官 小沢委員とはコペンハーゲンの前に私が随分質問させていただきまして、今回、小沢委員から質問を受ける立場になるとは夢にも想像しておりませんでしたが、どうぞよろしくお願いします。

 私も小沢委員と認識を共有しておりまして、途上国といっても、立場が分かれてきております。とりわけ、この十年ぐらいのCO2排出量の伸び率を見てみますと、中国、インド、新興国が極端にふやしているというわけであります。ここをどうするかというのが実は肝ではないかと思っております。

 そういう意味では、今、小沢委員と認識を共有しておりますので、そういう方向で国際交渉に乗り込んでいきたいと思っています。

小沢(鋭)委員 私、その場合のポイントは、やはり、今の国際社会全体を見渡したときには、米国なんだろうと思うんですね。米国が、オバマ政権になって相当この問題に力を入れました。ただ、前回の後半部分は、議会との関係もあって、やや米国も失速しつつあった。そういう中にあって中国も、米国の動向を見れば、ああ、そんなに中国自身もぎりぎりやらなくても済むんだなと、若干そういうところがあった。

 今回、オバマさんが再選をされて、大統領の就任式でもそういう発言があった、こういうふうに聞いておりますが、そういった米国の動向は、ちょっと具体的な質問になって恐縮ですが、どのように捉えていらっしゃいますか。

齋藤大臣政務官 これも、小沢委員おっしゃいますように、二期目になりまして、明らかにあのオバマ政権の姿勢が、ギアが変わってきたと思います。その背景には、シェールガスがどんどん出てきて、かなり自分たちのポジションも強まったという認識が恐らく背景にあろうかと思います。

 いずれにしても、国際交渉においてアメリカの影響力は圧倒的に大きいわけでありますので、我々としては、そのアメリカの動きを歓迎いたしておりますし、アメリカとも肩を組みながら、さっき申し上げた新興国の努力を促していけたらと思っているところです。

小沢(鋭)委員 今、米国の交渉官が誰になっているのか承知しておりませんが、私がやっていたころはトッド・スターンさんという人がいて、何年もずっとやっていたわけでありますが、相当手ごわい相手でありますし、要は、米国をどう取り込むかと。京都議定書に入っていないわけですから、米国をどう取り込むかでかなり途上国への影響も違ってくるんだろうと、私はこう思っておるものですから、ぜひそこは御尽力をいただきたい、こうお願い申し上げます。

 それから、計画をつくる上でのポイントは、先ほど来話が出ております原子力の扱いだと、こう思っております。

 安倍総理の発言あるいはまた石原大臣の発言を聞いておりましても、できるだけ原発依存度を低くしていきたい、この思いは伝わってくるのでありますけれども、私は、実は原子力発電を積極的に評価をした初めての環境大臣、こういう立場でありました。ただ、あの三・一一を経験して、私はある意味では考え方を変えさせていただいて、昨年の十一月九日、反省を含めて、この委員会で公に質問をさせていただく中で私の思いを申し上げました。

 その思いは、一言で言うと、あの原発事故、まさに、とめる、冷やす、閉じ込めるの冷やすが決定的に失敗したわけでありますが、この冷やすを失敗した最大の理由が、地震の揺れなのかあるいは津波によるものなのか、これは予算委員会でも質問が出ていましたが、これがまだ結論づいていないですよね。いわゆる津波で補助電源がやられたのであれば、高いところに置けば済むだけの話なんですね。実際に福島の第二だとか女川はそれで助かっているわけです。

 ですから、そこのところをちゃんとやらなきゃいけないというのは事実なんですけれども、ただ、同時に、それが解決しても、私は、使用済み核燃料の問題、不勉強でありましたが、ああいった形でプールという状態があって、今でも、もう一回あれと同じくらいの揺れが来てごろっと使用済み核燃料が落っこっちゃったらどうなるのかと、こういう話があって、そして、これはフィンランドのオンカロの話なんかがよく出ますけれども、我が国はまさに最終処分場が見つからない、こういう状態の中で十万年先までの子孫に私どもは責任を持てない、こういう思いで脱原発という話に強力にかじを切るべきだと、こう思っておるわけであります。

 そこに関しまして大臣の御所見をいただきたいと思います。

石原国務大臣 今の御質問は、原子力の今後の利用についての御質問だと思います。

 小沢委員が環境大臣をされていたときと環境省の大きな変化は、実は、原子力の安全基準を設置いたします原子力規制委員会が環境省の外局として、もちろん私に指揮命令権限はない、独立した三条機関なんですけれども、設置をされて、予算等々の手だてを環境省の方でバックアップをしている、こういう立場でありますので、今後の原子力の再稼働も含む利用等々について、この三条機関を外局として抱える立場としては、委員会での発言というものは差し控えさせていただきたいと思っております。

小沢(鋭)委員 お立場があるのはわかるのでやむを得ないとこう思いますが、だからこれは指図をする立場にはない、こういう御発言ではありましたけれども、安全基準の中にやはりバックエンドの問題というのを考えるべきなんだろうと思うんですね。吉野委員長はまさに御地元でもありますし、ぜひそういったところを政府の中でも御議論をいただけるとありがたいなと、こういうふうに思って申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、対策計画をつくっていくのは対策推進本部、こういう話になっているわけでありますが、この対策本部、今まで何回くらい開かれていますですか。

関政府参考人 これまでに二十五回開催されておりまして、直近は今月の十五日でございます。

小沢(鋭)委員 安倍内閣になって何回ですか。

関政府参考人 安倍内閣になりまして、三月十五日の第二十五回の一回でございます。

小沢(鋭)委員 要は、この法案のある意味では承認をする、そういう会議ですね。

関政府参考人 この法案は本部での承認事項ではございませんで、同日付で閣議決定させていただきましたけれども、三月十五日の本部におきましては、四月から当面の間、法定計画がなくなる間におきまして、当面の対応方針、これまでと同等以上の対策を関係方面にとっていただくということを決定させていただきました。

小沢(鋭)委員 わかりました。

 いずれにしても、一回ではなくて、先ほど冒頭に御質問させていただいたときの大臣答弁で危機感を持っていただいているとすれば、回数が多ければいいというものではありませんけれども、これは頻繁に開いていただいて、本当にやっていく必要があるんじゃないでしょうか。安倍内閣、今、支持率は高いですけれども、これで環境問題にもっと取り組めば、もっと高くなるかもしれませんよ。ですからぜひ、本当にここはもっと積極的に大臣からも提案をいただければと思います。

 それで、あと、推進本部の構成なんですけれども、これはちょっと質問を省かせていただきますが、いずれにしても、私のささやかな経験でいうと、組織が違う縦割りの役所が集まってやったとき、やはりスムーズなコミュニケーションというのはできないんですね。

 それで、時間もないですからもう単刀直入に申し上げるんですが、世界各国の例を見ると、原子力を含めて、流れは、いわゆる環境エネルギー省ですよ。

 維新の会というのは、御案内のとおり、統治構造を大きく変えたい、こういう話を掲げて誕生した政党でありますけれども、やはりこれは、今すぐにというわけにはいかないと思いますが、そういう方向で物をお考えになったらどうでしょうか。やはり、エネルギーの問題と環境の問題をセットにして考えないとやっていけないと思うし、産業政策としてのエネルギーの問題は、それはそれで経産省に残してもいいと思いますけれども、エネ庁は、やはり環境省の方で一緒にやるという話じゃないといわゆるトータルな環境政策ができないと思いますが、いかがですか。

石原国務大臣 大変難しい御指摘だと思うんですね。

 おっしゃるとおり、エネルギー政策と環境対応というものは、コインの裏表の関係であるから御指摘のような話が出てくるんだと思います。その一方で、過去の反省に立って、先ほど御説明をさせていただいた、原子力規制委員会を環境省の外局として、独立した三条機関ですが、抱いてしまっている、その関係をどう整理するのかという問題がきっと出てくるんだと思います。

 いずれにしても、この問題も含めまして、橋本行革の省庁再編というものについてかなりの時間がたってまいりましたので、委員の御指摘もございますので、機会があれば、行政組織のあり方みたいなことも、当委員会ではございませんけれども、総務委員会等々で、各党の意見の開陳、そしてまた政府の見解みたいなものが示される必要性があるという認識においては同感でございます。

小沢(鋭)委員 前向きな御答弁をいただいて、本当にありがたいと思います。

 原子力規制委員会はもともと三条委員会ですから、それはそれで独立機関としてちょっとまた違う形をとれば、いわゆる推進と規制と同時にという話にはならないので、ぜひそこは本当に、一緒に考えさせていただいてやらせていただければ私はありがたい、こういうふうに思います。

 時間も大分たってきておりまして、河野委員の時間も使わせてもらうというのは私申し上げていたんですが、その後また党の方の役員会もあったりして、十一時直前まででやめなきゃいけないんですが、それで幾つか省かせていただいて、具体的な話に入らせていただきたいと思います。

 温暖化対策税をつくらせていただきました。そして、その温暖化対策税を財源として、補正予算あるいはまた二十五年度予算、かなりいろいろな施策が盛り込まれています。

 大事なポイントは、温暖化対策をするときに、三つの分野があるだろうと。個人、地域、それから産業と。産業の部分は、これは、日本はもう必死になって、ある意味では省エネあるいはまた環境対策をやってきたので、よく絞った雑巾という話がありましたけれども、これ以上はなかなかできない、こういう話がありましたが、しかし、個人の分野あるいは地域の分野は、本当に何もできていなかったということなんだろうと思うんです。できていなかったという言い方がちょっと語弊があるとしたら、まだまだやれることはいっぱいある、こういう話なんだろうと思います。

 それで、個人の分野でいいますと、日々の暮らしの中で住宅に私は着目をさせていただきました。住宅エコポイントというのをつくらせていただきました。

 今、新築住宅の中で、複層ガラス、二重窓ですね、あるいは壁の断熱材、もう本当にほぼ当たり前のようになってきていると私は思います。上に太陽光パネルがくっついている、そしてヒートポンプが設置されている、そういういわゆるエコハウスが新築住宅の中ではかなり一般的になってきている、こう思います。

 問題は、それに対するお金です。補助金ももちろんあるんですけれども、全部セットでやると、やはり三百万から五百万かかるんですね。それで、リースの制度というのをつくって、やってきています。

 ただ、このリースの制度も、やはりほかの補助金との関係にあるんですけれども、ヒートポンプなんかはだめよとか、そういう話になっているんです。それを全部セットにして個人の皆さんにメニューとして出して、そして、これとこれとこれが欲しいので、だからこれはリースでいける、こういうような話をバックアップをしたらいいんだろうとこう思うんですが、いかがでしょうか。

田中副大臣 いろいろな環境省の内容については局長からも答弁があるかもしれませんが、基本的には、やはり地域や個人というものが非常に関心が高まっていますので、いろいろと方策を考えて積極的な対応をしていく時代が来ている、このように思っております。

 そのことを一つ申し上げて、あとは局長から補足があると思います。

白石政府参考人 エコリースに関しまして、特に重点的なお答えをさせていただきたいと思います。

 おかげさまで、今年度は予算十八億円ございましたが、ほとんど既に執行済みでございまして、これによりまして、リースでございますので、約三百億円をちょっと超えるぐらいの低炭素機器の設備導入が行われております。

 来年度につきましてもまた引き続き頑張っていきたいと思いますが、その中でも、今委員御指摘ありましたように、いろいろなリースの対象をセットにしてみてはどうかとか、いろいろ御指摘がございます。

 私どもも、実績でいいますと、今のお話、御案内のように、中小企業向けというのは非常に人気があるんですけれども、なかなかリースとなると、一般家庭向けというところがまだ伸びておりません。そういったところにどういうふうにして組み込まれるかということ、さらに普及するかということ、いろいろ委員の御指摘も踏まえながら工夫してまいりたいと思っております。

小沢(鋭)委員 副大臣が御担当であれば、各省庁の垣根もある意味では取っ払いながら、リースですから、政府の方はそんなに金がかかりませんので、もともとは民間ベースのものを若干バックアップする、こういう話になりますので、ぜひこれは進めていただければと思いますね。

 個人の皆さんたちは何かやりたいと思っているんです。だけれども、やはり初期投資が三百万も五百万もかかったらできない、こういう話ですが、それがかかりませんよ、こういう話なので、ぜひこれはお進めいただけるといいかと思います。

 それからもう一点、河野さんの時間に食い込んでいるんですが、もう一点だけお願いします。

 地域の話で、私は、環境エネルギー公共事業、こういう話を伸ばせとこう言っておりまして、日本じゅうの少なくても公的機関、学校や役所の上には少なくても太陽パネルぐらいは載せろ、こういう話を一点。大して金もかからない、こういうふうに思います。財源があるわけですから、こういったまさに対策を思い切ってやったらいかがかと、こう思っているんですが、いかがですか。

白石政府参考人 予算の話でございますので私の方から御説明させていただきますが、御案内のように、グリーンニューディール基金がございます。これについては来年度も大幅に増額させていただいておりますが、その中でも、公共施設における再エネの導入というのはメニューの一つでございますので、なるべくたくさん申請していただいて、この基金を使っていただくということでやっていきたいと思っております。

小沢(鋭)委員 まだまだ質問は残っているんですが、また次回に残させていただく中で、今の話も、申請をいただいてこういうのを待つのではなくて、政府として率先してやるという話を大臣ぜひ。だって、公共施設の上に太陽光を載せるぐらいいいじゃないですか。どうですか大臣、一言だけ最後。

石原国務大臣 ある意味では公共事業になる。公共事業という批判があるかと思いますけれども、やはり、再生可能エネルギーを喧伝していく意味でも、そういうところにそういうものを設置する、それに対して政府が補助をするということは一つの方法だと私も認識しております。

小沢(鋭)委員 時間が来ましたので、残念ですが次回に残させていただいて、これで終わって河野委員にかわります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 小沢委員に引き続きまして質問させていただきます。残った時間でということで、何というか応用問題として、非常に厳しい中で質問させていただきます。

 まず、前回の安倍政権時代に「美しい星へのいざない」という提唱をされまして、福田当時の首相が二〇〇八年ダボス会議においてクールアース推進構想というものを発表されておられます。それに関連してクールアースデーというものがありますが、どういったもので、何月何日に制定されるのでしょうか。どなたか、お聞かせ願いたいと思います。

田中副大臣 クールアースデーは、お話ありましたように、洞爺湖サミットが七月七日の七夕の日に開催されたということを契機といたしまして、国民みんなで地球環境を考えて行動する日として、地球温暖化対策推進本部、平成二十年六月十七日でございましたが、その決定により設定をされました。

 環境省としても、平成二十年より、クールアースデーである七月七日に全国の施設などに二十時から二時間の消灯を呼びかける取り組みを実施いたしました。

 平成二十四年度は、東京タワーや東京スカイツリーを初めとする全国一万七千百六十カ所の施設がライトダウンの呼びかけに応じていただきまして、合計で九十二万六百三十九キロワットアワーの消費電力量を削減できたものでございます。

 以上でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 七月七日、七夕の日の二十時から二十二時までということで、電気を消してCO2を削減しながら、そして天の川とか星空を眺めましょうという非常にロマンチックな企画なのかなと思っております。

 七月七日前後になれば、それなりに報道されたり、夕方のニュース等で放映、こんなことをやりましたよという東京タワーの映像とかが出てくるようなのが目に浮かぶんですけれども、現在、三月の段階で、私、周囲の人間にこういうことがあるということで尋ねたところ、誰一人、七月七日と言い当てた者がおりませんで、え、きょうですかとか言う人もいましたし、そういう状態でした。

 地球温暖化防止、そして二〇五〇年まで八〇%削減という考えのもとでは、予算、効果ともにいささか中途半端じゃないかなと考えますけれども、いかがなものでございましょうか。

田中副大臣 御指摘をいただいたように、やはりもっとPRをして、国民にひとしく御理解がいただけるようにしていくということが非常に重要だろうと思っております。

 今後、私たちも、地球温暖化防止に向けた国民の関心を高めるということは非常に重要でございますので、積極的な努力をいたしてまいりたいと思っております。

河野(正)委員 企画の中に、ホームページやソーシャルメディア等を用いて地球温暖化による影響のリアリティーを国民に伝えていくということでございますけれども、ホームページのアクセス数とかそういったものはいかがでしょうか。お詳しい方で結構です。

関政府参考人 申しわけありません。具体的なアクセスの数字というのは手元に、把握しておりませんので、後ほど御連絡させていただきます。

河野(正)委員 では、啓発ツールとしてDVD、冊子等を用意されているということですけれども、これも、もしおわかりになれば、どれぐらいの数のDVD、冊子をお配りになっているんでしょうか。

関政府参考人 冊子等につきましては、数万部という単位でさまざまなものをつくっておりまして、都道府県、地方公共団体等を通じまして、あるいはNGOの方を通じまして配付させていただいておりますけれども、正確な、どういうものをどれだけつくったかにつきましても、後ほど資料として御連絡させていただきます。

河野(正)委員 今、地方公共団体とかあれですけれども、学校とかそういったいろいろなところにもお配りになっているんでしょうか。

関政府参考人 御指摘のとおり、学校につきましても、大変重要な広報拠点だと考えておりまして、配付させていただいております。

河野(正)委員 今般、低炭素社会づくり推進事業ということで、平成二十一年度は予算十九億でしたが、八億、あるいは二十四年度には六億ということで、だんだん下がってきておられました。それで、その中で、二十五年、再び十一億円程度投入されてやっていかれるということですので、ぜひその辺、しっかり効果的に使っていただければなと思っております。

 そして、クールビズとかウオームビズという言葉はかなり定着してきたように思いますけれども、しかし、まだまだ言葉だけが先行しているという印象は否めないですし、実際、クールビズという言葉があっても、本当に寒いぐらいに冷房がきいているオフィスビルがあるとか、そういったこともあるかと思っております。

 東日本大震災以降、省エネという観点ではクールビズ、ウオームビズともに意識は非常に高くなっていると思われますけれども、CO2削減や低炭素社会づくりという、環境に配慮するという観点からはまだまだ啓発が不十分と思われますので、効果的に、かつ適切な予算を計上されることを望みます。

 では、一言、副大臣からもう一度それについてコメントいただけますか。

田中副大臣 今委員からも御指摘がありましたように、とにかく、国民がともに環境問題、地球の温暖化防止をするという視点に立って御努力をいただく、協力をしていただく、みずからが率先してやっていただく、やはりこういうことが大事だろうと思います。委員の御指摘のとおり、省を挙げて対応してまいりたいと思います。

 以上でございます。

河野(正)委員 不規則な時間でしたので、ちょっと前後しますけれども、最後に、地球温暖化税というのが先ほど小沢委員の方からも一言出ましたけれども、これを導入されて、昨年十月スタートということで、約半年が経過したわけですけれども、現時点でわかる範囲で構いませんので、どれぐらい税収があって、どれぐらいの効果があるかだけお聞かせ願えますでしょうか。

白石政府参考人 今委員御指摘のように、昨年の十月から導入されて、半年ということでございますので、今年度、平成二十四年度につきましては三百九十一億円の税収を見込んでおります。これが満年度化しまして税収が所期のとおりになりますと、平成二十八年度以降は二千六百二十三億円の税収規模というふうに考えております。

 また、これの効果ということでございますけれども、基本的には価格効果とそれを財源として使うことの効果の合計ということでお示しをさせていただきますと、幅のある数字でございますけれども、二〇二〇年度のベースでいいますと大体〇・五%から二・二%ぐらいのCO2を削減するだけの効果がある、このように見込んでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 いろいろそういう、税を徴収して、そしてまた他方では税を使っていろいろな企画をされていくということでございますので、しっかりと地球環境に配慮した政策をやっていっていただきたいと思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 さまざまな御質疑があった後、最後の質問とさせていただきます。

 私の方は、温暖化対策における緩和と適応についてまず御質問をさせていただきたいと思います。

 地球温暖化防止に向けた対策は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を削減して地球温暖化の進行を食いとめ、大気中の温室効果ガス濃度を安定させる緩和策と、気候の変動やそれに伴う気温、海水面の上昇などに対して人や社会経済のシステムを調整することで影響を軽減しようという適応策とに分類されます。

 緩和策とは、いわば時間はかかるものの根本的な解決に向けた対策を行うもので、例えば、エネルギーの効率的利用や省エネ、CO2の回収、蓄積、吸収源の増加などの対策が実際に行われております。一方の適応策は、対症療法的な取り組みで、その具体例として、沿岸防護のための堤防の構築、水利用の高効率化、土壌の栄養素の改善、伝染病の予防などが挙げられます。

 そのどちらもが必要不可欠と位置づけられ、IPCC第四次評価報告書などにおいても、互いに補完し合うことで気候変動によるリスクの低減に寄与すると、バランスのとれた対策の必要性が説かれております。

 そこで、まず、地球温暖化による我々人類への悪い影響、例えば、デング熱の感染症媒介生物と言われているネッタイシマカは分布が変化すると言われておりますし、米の未熟化、着色不良のブドウ、また、気象ではゲリラ豪雨、台風の強度の増加など、環境省として行っている適応対策をお伺いいたします。

 これは、最善の温室効果ガス排出削減の努力を行っても、世界の温室効果ガスの濃度が下がるまでには時間がかかるために、今後数十年間はある程度の地球温暖化は避けられないとされるため、この差し迫った影響を避けるためには適応が重要となります。緩和と適応の融合による社会の実現に向けて、環境省が具体的に取り組んでいることをお聞きしたいと思います。

関政府参考人 温暖化対策を進めるに当たりましては、委員御指摘のとおり、緩和と適応、二本柱でやっていくというのが国際的な合意でございまして、我が国といたしましても、さまざまな分野、政府を挙げまして、平成二十六年度末を目途といたしまして政府全体の適応計画を策定すべく、現在検討を進めているところでございます。

 そういう中で、個別の、日本に特に脆弱性が高いような分野についても適応計画の中に盛り込んでまいりたい、このように考えております。

中島委員 具体的に適応策を考え実施することは、その地域の脆弱性を評価することが重要になります。

 ここで言う脆弱性とは、温暖化や極端な気候変動の悪影響による影響の受けやすさ、または対処できない度合いのことで、例えば、同じ熱波でも、高齢者の人ほどより悪影響を受けやすい。私は、医師として訪問診療というのをやっております。私の地元は八ケ岳の南麓にあって、夏も非常に涼しいところなんです。以前は夏も過ごしやすく、エアコンはもとより扇風機もないという御自宅が高齢者世帯でも数多くあります。ここ数年、実際に、私が往診をしていると、老老家庭において熱中症になる方が急激に増加しております。

 高齢化も今後避けられない、このような社会背景の中で、このような地域の脆弱性を評価するためにどのような取り組み、またそれを可能にするモニタリングなど、どのようなことを考えておられるのか、お聞かせください。

関政府参考人 委員御指摘のとおり、温暖化の影響というのは、社会的、経済的、自然的状況に応じましてさまざまでございますので、きめ細かな脆弱性のアセスメント、評価を行っていくことがまず肝要だと考えております。

 環境省のみでは対応できるものではございませんで、政府のあらゆる省庁が一体となりまして、さまざまな分野の専門家に御参加いただきまして、脆弱性のアセスメントを行いまして、それに応じた適応対策というのを現在検討しているところでございます。

中島委員 地域の行政などは、やはり指導力を発揮した中での取り組みでないとなかなか対応できないということも地域の方から、行政機関からもよくお聞きしております。脆弱性の評価が適切にされることで、緊急に対策をとるべき分野、地域が明確となり、効率的、効果的な適応が可能となると考えております。

 今のお話からも、緩和と適応が大変重要であると認識をされているのであれば、本改正案においても、温室効果ガスの排出削減、すなわち緩和と同様に重要な適応に取り組むことを規定すべきではないかと私自身は考えておりますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

関政府参考人 御説明させていただきます。

 適応の重要性については、政府としても極めて重要であると認識しておりまして、例えば環境基本計画におきましてもその旨を記述しているところでございます。

 今回の温暖化対策推進法の改正につきましては、先ほど来御議論いただきましたように、緊急的に政府としての温暖化対策計画を継続してつくる観点から、必要最小限のものについて改正をお願いしているところでございまして、今後は、適応につきましても、別途本格的に法制上の位置づけ等について検討が必要だ、このように考えております。

中島委員 ことしもまた暑い夏になるかもしれません。今後、あらゆる場面で、温室効果ガス削減に向けた緩和の取り組みと適応の取り組みの双方を組み合わせて、社会経済システムの変化の対応ともあわせて、包括的に対策を進めていくことが重要だと本当に考えておりますので、積極的な対応をお願いしたいと思います。

 さて、東日本大震災と福島原発事故からちょうど二年、原発事故の影響から、エネルギー政策の見直しが必要なことはいたし方がないことだと思います。しかし、今なお多くの方々が避難生活を送られたり、福島の子供たちがこの先も放射能の影響におびえなければならない、その現状を見れば、一刻も早く原発依存から脱却すべきであり、同時に、自然エネルギー、再生エネルギーを積極的に推進していかなければなりません。

 再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業ですが、二十四年度補正予算で九十億円の事業費を計上しております。二十五年度以降、該当する事業はどういう名称で、幾らぐらいの予算を予定しておるのでしょうか。太陽光発電の効果的な運用のためには、この蓄電池の性能アップや整備は重要なポイントと私自身認識しておるのですが、教えていただきたいと思います。

田中副大臣 太陽光や風力発電等の再生可能エネルギーは、その出力が日照だとか風の状況など気象条件で変わってくるために、蓄電池による出力安定化だとか変動緩和は、再生可能エネルギーの導入拡大を図る上で極めて重要であります。

 環境省としては、平成二十四年度補正予算において、再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業として九十億円を計上し、これまで多数の応募を受け付けております。現在、優良事例の採択に向けて選考中であります。

 今後、二十五年度中に離島だとか山間地域など基幹系統から離れた地域に立地する再生可能エネルギー発電施設に蓄電池を設置して、その後三カ年をかけて実証実験を行い、その効果的な制御方法等を確立してまいりたいと思っております。

 事業の成果に基づいて、蓄電池の効果的な活用をさらに進め、今後の再生可能エネルギーの導入拡大を図っていきたい、このように考えております。

中島委員 二十四年度の補正で、九十億円で三年計画ということですから、一年間で三十億という予算計上という理解でよろしいでしょうか。

関政府参考人 三年で九十億円ということではございませんで、二十四年度補正で九十億円を頂戴いたしまして、それをまずは執行させていただこうということで、二十五年度の通常予算では計上はさせていただいておりませんけれども、そのさらに次年度以降につきましては、状況を見つつ、また再度予算要求させていただいて、徹底的な実証を進めてまいりたい、このように考えてございます。

中島委員 蓄電池の性能アップは、非常にその効率性を高めるということで、これからのエネルギー政策の非常に大事な部分だと思います。そこにある程度の予算をしっかりとつぎ込んでいただくことは大事なことだと考えております。

 ちょっと余談になりますが、私のふるさと、地元でございます山梨県にも幾つかのメガソーラー施設がございます。前回のときにも言ったんですが、日照時間が日本でも一番と言われております。いろいろな気象条件とかもろもろの条件が整った結果だと思うんですが、日本でも日照時間が長い山梨県にメガソーラーの発電施設が、稼働中のものは三件、建設中のものが九件あります。そのうちの一つが、私の地元でございます山梨県北杜市にある北杜サイトというものでございます。

 世界初となる複数の系統安定化技術を装備した国内最大級のパワーコンディショナー、導入種類数としては世界一となる二十四種類の太陽電池及び環境性にすぐれた先進的架台から構成される、約二千キロワットの大規模太陽光発電システムです。

 国内外の二十四種類の先進的な太陽電池を導入し、太陽を追尾することにより発電量の向上が可能な追尾システムも導入されております。通常、一つのシステムにおいて多種の太陽電池を適用すると電気的バランスが悪くなるため、同一サイト内に多種のモジュールを設置している例は少なく、北杜サイトのように二十四種類の太陽電池が設置されている事例は、世界にもここだけとのことです。要するに、一カ所で全ての種類の設備が見られるということになっております。

 ぜひ一度、環境委員の方々を含め、私の地元、北杜サイトに御見学に来ていただければと思います。この山梨三区は、実は、民主党、自民党さん、そしてみんなの党、三人が出ておるところです。それぞれの党、私自身は党派を超えてですが、ぜひ一度、足を運んで見学に来ていただければと思います。

 続きまして、我がみんなの党は、選挙公約において、原子力・エネルギー教育支援事業交付金等を活用した原子力教育が推進されてきた過去を反省し、エネルギー教育を一新、環境・エネルギー問題を自己の問題として考えられる教育を目指すこととしております。

 地球温暖化対策における環境教育の重要性に関して、支出の無駄を排しつつ、環境教育に関する予算の拡充を図るお考えがあるか、石原大臣のお考えをお聞かせください。

白石政府参考人 その前に、私の方から現状の予算の御説明をさせていただきたいと思います。

 御指摘のとおり、環境教育というものは、温暖化にとどまらず、いろいろ、自然との共生であるとかあるいは循環型社会ということに対しても非常に効果のあるものというふうに考えてございます。

 そういった観点から、私どもも環境教育に関しまして、例えば、教材、事例等のネットでの供給の事業であるとか、あるいは出前講師なんかをお願いするためのカウンセラーの認定、登録であるとか、あるいは、来年、日本におきましてESD、持続可能な社会のための教育の国際会議もございます。そういったことをてこにしまして予算をお願いしておりまして、来年度につきましては全体として八億三千万の予算を計上させていただきまして、環境教育の推進にお役立ていただければ、このように考えております。

中島委員 原子力教育の過ちを地球温暖化対策でも繰り返さないように、次の世代が地球温暖化問題について正しい知識を身につけ取り組んでいけるよう、新たに制定される地球温暖化対策計画において環境教育をしっかりと位置づける必要性があると思っております。前回の委員会でも、石原大臣、田中副大臣からも力強い答弁が見られました。どうか、基本計画において環境教育に関する規定を盛り込むように、ぜひともお願いをしたいと思います。

田中副大臣 委員の御指摘のとおり、国民に、そして次代を担う子供たちにきちっとした環境教育、あるいは人材を育成するという視点から努力をすることは、環境省として当然のことだと思いますし、私も先般、文科大臣に直接お目にかかりまして、文部科学省としても積極的なお取り組みをいただきたい、このお願いをして、ある程度のお返事をいただいております。我々も、そういう視点から真剣な取り組みをしてまいりたいと思います。

中島委員 ありがとうございます。

 環境教育のヒントを、環境先進国でございますドイツにも学ぶことが本当にたくさんあります。ドイツの取り組みは、ちょっと時間もございませんので御紹介できませんけれども、非常に参考になる部分だと思います。

 まず、子供たちが率先して仕分けをしたり、いろいろと教育の中でやっていくことで、大人たちも当然ながらやらざるを得ない。これはやはり、長い期間、スタンスで見ていきますと、環境教育のあり方、重要性というのは、ドイツの取り組みを見ても、非常に大事なことだ。このドイツでの取り組みをぜひ日本にも取り入れていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間もございませんが、さて、アースデイ東京二〇一三というのがあります。地球規模で地球温暖化対策に取り組むというイベントで、ことしは四月の二十日、二十一日、代々木公園を中心に、数十万人規模で行われる予定になっております。

 全国各地といわず、世界各国でもう十数年にわたって行われているイベントですが、環境省も後援をされておられるようです。

 ただ、環境省が後援するなら、もっともっと大々的にアピールをして、大臣みずから旗を振って国民にアピールをしていただきたい。何度も質疑もございましたように、環境問題がどうしても埋没しかけている。そういう中で、先ほど篠原議員からもありました、ある意味ビッグマウス的な、そういうパフォーマンスも非常に大事なんじゃないかということを私自身考えております。

 大臣みずから出席して旗振り、いかがでしょうか。

石原国務大臣 アースデーというのは、もう委員御指摘のとおり、一九七〇年にアメリカの上院議員の方が提唱されて、何らかの形で地球への関心をみんなで持っていこうと、世界各地でこういうイベントが開かれているということでございます。

 二〇一三年の開催要領を見せていただきましたけれども、民間団体が中心になって、またこれを、各新聞社、あるいは放送局、各役所、こういうものがバックアップしているということでございます。

 時間があって、お招きをいただければ伺ってみたい、こんなふうに考えております。

中島委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間もございません。とにかく、そういったアピールも、環境省、国を挙げてこれから取り組む必要があるというふうに私自身も考えております。

 とにかく、原発事故以前から温暖化の問題はあり、事故後、見直しが迫られている中で、日本がとるべき方向性が全く見出せていないような、恐らく国民全体がそういう雰囲気なのではないかと思います。

 福島の現状、そして子供たちの未来、一体何と何を比べているのでしょう。地産地消の安全でクリーンなエネルギー政策にしっかりとかじをとるべきです。そのために多少の困難があっても、国民の皆さんはきっと理解していただけると思います。

 一刻も早くしっかりと目標を定め、脱原発、再生エネルギーが推進されることが、スムーズに温暖化対策につながると私自身考えております。大臣には、先頭に立って取り組んでいただきたいと思います。

 時間になりました。これで質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

吉野委員長 次回は、来る二十九日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十八分散会


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