衆議院

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第6号 平成25年4月16日(火曜日)

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平成二十五年四月十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      小田原 潔君    大久保三代君

      小林 史明君    齋藤  健君

      助田 重義君    山田 美樹君

      生方 幸夫君    福田 昭夫君

      吉田  泉君    小熊 慎司君

      小沢 鋭仁君    阪口 直人君

      江田 康幸君    杉本かずみ君

      中島 克仁君    野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   環境副大臣        井上 信治君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   環境大臣政務官      秋野 公造君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       山崎 篤男君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 星野 一昭君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     山田 美樹君

  生方 幸夫君     福田 昭夫君

  小沢 鋭仁君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 美樹君     小田原 潔君

  福田 昭夫君     生方 幸夫君

  小熊 慎司君     小沢 鋭仁君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     藤原  崇君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省水管理・国土保全局次長山崎篤男君、環境省大臣官房審議官星野一昭君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省水・大気環境局長小林正明君、原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉原保二君。

泉原委員 おはようございます。

 私は、自由民主党の泉原保二でございます。

 ちょうど三年半前に、麻生内閣の後半に約二カ月、繰り上げ当選させていただきました。二期目ということですが、新人と全く変わりありません。年はとっていますけれども、新人でございます。よろしくお願いします。

 三年半前に私が繰り上げ当選したときにおられた、本当に尊敬する先輩の皆さんがもう引退されて、若い世代にかわって、堂々と意見を述べられて、本当に頼もしく思いました。この若い皆さんが順調に育っていって、日本の国を支えてほしいなと感じました。それをまず冒頭からお願いしたい。ただ、心配なのは、なかなか男前なので、変な誘惑に乗らぬように、日々頑張ってほしいな、こう思います。

 翻って私を考えますと、私は自由民主党の地域支部長を約三十年近くやっております。私が選出されたのは、つい先日、選抜が終わりましたけれども、選抜で選ばれる二十一世紀枠の中で、自公連立のかなめとして頑張ってきたということで私は選ばれたと思います。この場をかりまして、関係者の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。

 さて、私は五十数年間、廃棄物の処理一筋にやってまいりました。作業員とともに前線をしっかり踏まえてやってきまして、それ以外は、私は何の知識もありません。その点、よく御理解していただいて、お願いしたいと思います。何が飛び出すかわかりませんが、適度に、やる気を持ってやりますので、できるだけ頑張りますから、お願いします。

 まず、廃棄物には産業廃棄物と一般廃棄物がございます。これの定義をお聞かせいただきたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 廃棄物処理法に基づきまして、廃棄物につきましては、一般廃棄物と産業廃棄物の二つに大別されております。

 特に、定義の仕方といたしましては、まず産業廃棄物を定義して、それ以外のものが一般廃棄物ということになっております。

 産業廃棄物につきましては、まずもって事業活動に伴って生ずる廃棄物であるというものが基本でございます。その上で、汚染者負担の原則に立ちまして、量的または質的に環境汚染源として問題とされるものにつきましては産業廃棄物として定義をし、排出事業者の責任によって処理することとしております。

泉原委員 その点は私もよく知っておりますが、再確認させていただきました。

 私は、平成七年一月十七日の阪神・淡路大震災を陣頭指揮して、現場の維持管理、復旧復興の最前線でやってまいりました。先日、淡路でまた大きな地震がありました。幸い死者がなくて終わったことを、本当にうれしく思います。ただ、二千近くの民家が被害を受けたということが報道されております。災難は忘れたころにやってくる、全くそのとおりでございます。私は、淡路の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 それと同時に、東北の大災害につきまして、きょう私の提案書をお配り申し上げておりますが、これは、その当時の副大臣、近藤副大臣でしたかの要請で、私の友人から、ぜひ、あなたは現場の第一線でやっておったので何とか提案してくれという要望がございまして、提出させていただきました。

 まず、環境省の皆様にお聞きしたいのですが、これを見ていただけましたか。

梶原政府参考人 拝見させていただいております。

泉原委員 ありがとうございます。

 そうしたら、何らかの参考になったでしょうか。

梶原政府参考人 参考にさせていただいております。

泉原委員 ありがとうございます。

 私がなぜこれを再確認したかということは、災害廃棄物、大きな震災が起きたときに、一般廃棄物、産業廃棄物の定義について非常にもめるんですね。それで、復旧作業がこのためにおくれていきます。今回の東北の大震災も、これの位置づけがはっきりせずして費やしたということを聞いております。

 この震災廃棄物は、最近、アメリカの西海岸その他各国の方へ漂流した、こう報道されております。例えば、これがアメリカあたりの、立派な処分地、処分方法がある国はいいですが、そういうことが確立されていない、一般も産業廃棄物もない国もあります。そういうときに、それが漂流した場合、どういうような扱いがされるか。

 また、日本は今外国で、すごい勢いで現地で生産活動をやっております。その中で、その国で廃棄物が処理できないということが起こる可能性もあります。それを日本が逆輸入してこなければいかぬということになると思いますが、これの位置づけは産業廃棄物ですか、一般廃棄物ですか。

梶原政府参考人 まず、諸外国におけます廃棄物の扱いにつきましては、それぞれの法制度によって異なりますが、私ども諸外国の法制度を見るときに、一番大きなポイントは、例えば規制法を見ていきますと、有害廃棄物については、例えば連邦政府とか国レベルで相当の規制をやっているといったような形になっているのが一般だと思います。

 それと、第二点目の御質問でございますが、廃棄物を輸入した場合はどうなるのかという点でございます。

 これにつきましては、先生おっしゃられるように、これからアジアが生産拠点として、世界の工場として、産業活動が非常に頻繁になってくる。片や、我が国では、産業廃棄物の処理、あるいは産業廃棄物に含まれている有益な物質の回収といったような技術にたけておりますので、今後とも、アジア大でそういったような物質循環の輪ができればというふうに考えて、施策を進めているところでございます。

 それで、輸入した場合にどうなるかということでございますが、輸入した場合は、輸入者の廃棄物という形で処理をすることになるというふうに考えております。

泉原委員 結局、それは産業廃棄物としてみなされるわけですね。

 そうしましたら、震災廃棄物は産業廃棄物ですか、一般廃棄物ですか。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭お答え申し上げましたように、産業廃棄物の考え方は、事業活動に伴って生じたものというのが基本になっております。

 そういう観点で考えますと、例えば東日本大震災で発生いたしました災害廃棄物につきましては、災害そのもの、地震そのものと、さらにはその後の津波によって破壊された瓦れきであるということでございますので、事業活動に伴って生じたものではない。したがいまして、基本的には、市町村が処理することとなる一般廃棄物という形で整理されております。

泉原委員 先日、吉野委員長からお話を聞いたんですが、今、福島の原発で放流水が漏れておるということで非常に問題になっておりますが、これについて、規制委員会の皆さん並びに環境省の皆さんが一度も現場に行っていないということを耳にしました。

 なぜかといいますと、私は現場を歩いた人間として、表だけではわからぬことがたくさんあります。私は、それをみずから試行錯誤しながら現場の作業員と一緒にやってきた実績を持っております。その中で、あの大きな阪神・淡路大震災が東北大震災に生かされていない、また同じようなことで悩んでおられるということを業界の皆さんに聞きました。環境省の皆さんは一生懸命日ごろやっておられるのはわかるのですが、本当にあの震災を参考に、次なる震災に備えて考えておられたかどうか、私は疑問に思います。

 なぜかといいますと、一般廃棄物と申しましたら、もう限られるんですね。一般廃棄物の中には形状がいろいろなものがございまして、非常にその判断に苦しむことがあります。過日、大阪府のホームページで、廃棄物については非常に困難をきわめている、法改正を求めていく、そういうようなことを言うておりました。

 それで、私は一言申し述べますが、例えば、飲食店から出る、おしぼりを包んでいるビニール、これは聞くと産業廃棄物になるということですね。それなら、産業廃棄物で処理しているか。一々マニフェストを切ってやっているような実態は見られません。やはり一般のごみと一緒に捨てている、こういうふうに聞いております。

 だから、そういう位置づけ、木くずにしてもそうです。解体で発生した木くずは産業廃棄物で、一般の剪定した木くずは一般廃棄物だ、こういうふうに聞いておりますが、間違いありませんか。

梶原政府参考人 木くずにつきましては、特定の行為、具体的には、例えば建物の解体から出てくるものでありますとか、あるいは一定の、例えば引っ越しをしたときにリース業なんかで家具がまとめてどっと出てくるといったような、一時的に大量に出てくるものについては産業廃棄物としております。

 したがいまして、今先生のおっしゃられるように、木くずについては、発生の形態によって、特に大量に出てくるところは産業廃棄物としておりますけれども、それ以外の場合は一般廃棄物として整理されているところでございます。

泉原委員 例えば、工場の従業員が食べたカップラーメン、この容器は産業廃棄物ですか、一般廃棄物ですか。

梶原政府参考人 事業活動に伴って生ずる、事業活動に一体として従業員の方々も含めた形で出てくるものについては産業廃棄物という整理をしております。

 ただ、先ほど先生から御指摘もございましたように、例えば一般商店でありますとか一般の食堂でありますとか、そういったようなところから出てくるものについては、実態としては市町村の処理事業で処理をされている。歴史的にもそう処理されてきているということもありまして、市町村事業の中では、制度的には産廃でございますけれども、一般廃棄物とあわせて処理をする。先生よく御存じの、あわせ産廃という用語のもとで、一般廃棄物の処理の流れの中で処理をされているという性格のものだと解しております。

泉原委員 立場の相違でして、一般の排出者の方になれば、これは一廃なのか産廃なのか、皆苦労しています。そこで、各行政も、産廃なのか一廃なのか、行政によって考え方が違ってくるところがあります。これも国民が皆困るわけです。ここらも今後はっきりしてほしいと思います。

 それから、大震災が起きますと、さまざまなことがございます。さっきの解体廃棄物で、家を解体したものは産業廃棄物とわかりますが、自然に倒れた、解体せずしてもう倒れている、この木くずは一廃ですか、産廃ですか。お願いします。

梶原政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、産業廃棄物になる場合の大前提、出発点と申しますか、事業活動に伴ったものという整理をさせていただいてございます。これは、廃棄物処理法全体が、処理責任を明確にして、適正な処理を推進するという基本的な考え方に基づくものでございます。

 それで、今先生御指摘の、例えば震災で潰れた家屋、この家屋は当然処理をする必要が生ずるわけでございますけれども、それについては、事業活動に伴って生じたものというよりは、震災に伴って生じたものという整理でございます。したがいまして、一般廃棄物として処理をするということになります。

泉原委員 しつこいようですけれども、例えば道路に、国道でもよろしいが、植木が植わっていますね。それを剪定した場合、これは事業活動から生まれる剪定くずですか、それとも一般的な剪定くずとみなしますか。

 済みません、これから廃棄物はちょっと抜かしてもらって、時間の関係上、一廃と産廃と略して質問させてもらいます。

 だから、ああいう道路に植わっている植木なんかは一廃ですか、産廃ですか。

梶原政府参考人 道路工事に伴って生じてくるものにつきましては産廃という整理になりますけれども、通常のメンテナンスとして剪定というような行為の中で出てくるものにつきましては一般廃棄物という形で整理されることになると思います。

泉原委員 ああいう剪定作業というのは、一般家庭の剪定と同じ扱いをするということですか。そうしたら一般廃棄物ですね、産廃じゃないですね。はい、わかりました。

 次に、一般廃棄物でいろいろ困っておるものがございます。

 例えば、市役所で集めてというのに、物干しがありますね。物干しの下に皆コンクリで重みをつけています。これを集めて処理してくれるというような自治体があります。これは行政の焼却炉では受けられません。それは当然、産廃としてその行政が出しております。そうしたら、今の言う定義は当てはまらぬわけです。

 それから、枕木、あれは寸法が大きいですね。枕木は、一般廃棄物として扱いますか、産廃でしょうか。

梶原政府参考人 一般に、枕木というものを外した場合は、工作物の除去に伴って生ずるという整理だと思います。したがいまして、いわゆる建設廃材、建設系の木くずという形で整理されるものと考えております。

泉原委員 ちょっと部長、勉強不足だと思いますね。これは一般廃棄物として位置づけておられます。

梶原政府参考人 先ほど申し上げましたように、どういう形で出てくるかということなんですが、線路を撤去した形で出てきた場合、それは工作物の除去ということで定義されると思いますので、産廃として整理されるものと解しております。

泉原委員 枕木は線路以外に使っているんですか。

梶原政府参考人 線路に使うから枕木というと思います。

泉原委員 このように、一般廃棄物と産業廃棄物の区分は非常に複雑なんです。

 それで、震災のときに一番これが困って、要するに我々が阪神大震災で経験したことを提言したわけですけれども、早いこと、産業廃棄物としてみなすか、一般廃棄物としてみなすか、それよりは災害廃棄物としての位置づけをきちっとつけていただきたい。それによって、これを法律できちっとカバーしておれば、すぐにそれを使えるわけです。

 ところが、各自治体におきましたら、他府県のものは受け入れないという規約がありまして、この提言に基づいて、急遽、環境省の方から、事前の届け出でいいということで、各産業廃棄物の処分場で処理できるということは位置づけでしていただきました。これは大いに結構だと思います。

 ところが、今、福島でも岩手でもいいんですが、簡易炉でやっておりますね。簡易炉をつくって木くずを処理していますね。これは、業界にとっては、かなり設備を皆持っておるんです。ああいうものを要らぬ費用を使ってやるよりは、あの簡易炉は、私がやっているときに経験がありまして、それをつけるより、これは、周りの市民とかいわゆる業界の一部がそういうことで訴えたわけですね。だから、簡易炉も皆できたんだけれども、私らは、あんな簡易炉は本当に排ガスのいろいろな問題がクリアできておるのか、非常に疑問に思います。

 というのは、震災廃棄物だから、完全に分別せずして炉に入れている可能性があります。そういうことがあったときに、排ガスはそのままいけるのかどうかということでございます。その点についてお答え願えますか、排ガスの濃度。

梶原政府参考人 仮設の焼却炉の排ガス処理につきましても、例えば、現在、仮設炉はほとんどがバグフィルターというものをつけております。先生よく御存じだと思いますが、バグフィルターによりまして、例えば、今、東日本大震災で住民の方々あるいは行政の方々の最大の御懸念となっているセシウムも含めて、ほぼ一〇〇%取れるということでございます。

 モニタリングをさせていただきながら、またそのデータを公開させていただきながら、処理を進めているということでございます。

泉原委員 まず、十三年の法律改正で、震災の場合において、復旧復興作業に緊急を要するときは野焼きをしてもいいというふうに我々は聞いておるんですが、どうでしょうか。

梶原政府参考人 先生御指摘のとおり、基本的には野焼きは禁止しておりますけれども、政令で、震災のときについては例外的に認めているという規定を入れてございます。

泉原委員 再確認したものです。

 それから、しつこいようですけれども、当初、パレットの木くずは一般廃棄物でしたね。それが今、産業廃棄物になっておりますが、これはどうしてでしょうか。

梶原政府参考人 今先生が御指摘のように、産廃と一廃の区分を見直した例が過去あります。

 その一つの例が先生御指摘の、いわゆる運送用で使う台のパレットで、木製パレットについては、要するに、廃棄になるときに、非常に大型であるがために、例えば、市町村の処理システムにはなかなか乗り切らない、あるいは大量に出るということで、産廃の木くずの中に指定がえをさせていただいているところでございます。

泉原委員 これは、なぜこういう質問をするかといいましたら、当初、私が陣頭指揮して野焼きをやるように指示しました。そうしたら、排ガスの規制によって、途中でだめだということになりました。それで非常に困って、ついに仮設炉が建設されてやったという記憶があります。結局、あれは莫大な費用ですね。

 その野焼きをするときには本当に知恵を絞って、我々は、昼間には皆受け入れだけして、夜中に火をつけて燃やしたという経験がございます。そこには消防車も皆位置に置いて火災態勢で、非常に敏感に皆市民が反応しますので、そういうこともやってきた、こういうわけですが、途中でやめざるを得ぬということになりまして、非常にこれは費用が高くついたという記憶があります。

 ぜひ、今災難が淡路市で起きていますので、少なくとも災害廃棄物はそういうことでスムーズにいけるように、環境大臣、どうでしょうか、法律で一遍きちっと位置づけてもらえませんか。石原環境大臣、どうでしょうか。

梶原政府参考人 災害廃棄物の定義を、例えば法律で位置づけるべきであるということでございます。

 廃棄物処理法におきましては、先ほど来から先生が御指摘されておりますように、さまざまな形で法的にも対応させていただいております。

 例えば、今回の東日本大震災におきましては、災害廃棄物処理特別措置法を定めて、国が直接瓦れき処理ができるようにするでありますとか、今回、福島第一原子力発電所の事故を踏まえまして、放射性セシウムに汚染された瓦れきが出てくるということで、それについても新たな法体系を整備していただきまして、対応を進めているところでございます。

 さらには、廃棄物処理法につきましても、例えば、産業廃棄物処理施設でより円滑に一般廃棄物であります瓦れき処理ができるように、あるいは、一般廃棄物である瓦れきを処理するに当たっても再委託ができるようにといったような制度的な対応もさせていただいておるところでございます。

 しかしながら、片方で、先生御懸念のとおり、今後とも大規模災害というものが懸念される。そのおそれがございます。そういうことを踏まえまして、政府全体として災害関連制度の中で検討をしてまいりたいというふうに考えてございます。

泉原委員 大臣初め政務三役の皆さんにもお願いしておきたいと思います。

 なぜ私がこれを今まで長々としゃべってきたかといいますのは、通常において一般廃棄物と産業廃棄物の区分が非常に曖昧で、県で一般廃棄物だと言っても、市町村ではこれは産業廃棄物だと言う。また、逆の場合もあります。それで皆苦労するわけです。

 それで、例えば一般廃棄物処理、同じような形状、同じようなものを産業廃棄物処理施設で許可がある場合に、この前お聞きしましたら、届け出だけでいい、通知するだけでいいという話を聞いておりますが、間違いありませんか。

梶原政府参考人 一般廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設ともに、一定規模以上の大きさのものについては、都道府県あるいは政令市の許可が必要だと。この許可制度につきましては、それぞれ、生活環境上の影響がないように万全を期すという観点から入れられておるものでございます。

 それで、今先生御指摘のように、産業廃棄物で処理施設の許可を受けている施設で、そこの処理施設で処理すると想定されている廃棄物と同様の性状を持っている一般廃棄物を処理する場合は、届け出で足りるということになってございます。

 通常、この届け出というのは、三十日前の届け出というのが規定されておるところなのでございますけれども、今回の東日本大震災を機に、この三十日という制度を撤廃しておりまして、都道府県がそれを短くできるということにさせていただいておるところでございます。

泉原委員 それでは質問しますが、各自治体でそれを届け出したときに、例えばある自治体で、一般廃棄物の処理基本計画に入っていないので、他市からの搬入物は当市においては一切かかわりがないということで、受け付けすら拒否します。

 そして、その施設をつくる場合に、当初、一廃、産廃含めた複合施設で申請を出したい、こう言うたら、一廃はだめだ、まず産業廃棄物で処理施設をつくってくれ、こういうことでございました。それについて、土地も都合をつけ、建物を建て、機械も入れて、全部産業廃棄物としての、中間処理としての、例えばある企業がRPFを燃料にする装置をつくりました。

 ところが、例えば大阪市なんか、近隣の市はそれを民間に委託しているわけですね。それを阪神間で受けられれば、非常に距離的に短いし、安価で行けるんですよ、運賃が。にもかかわらず、兵庫県の北の端とか、それで許可を出してそこへ運んでいる。この法律のために、こういうばかげた費用がそこへ費やされてくるんです。そういうことがやはり往々に今現在あるわけです、私ももう一回調べますけれどもね。

 そういうことで、本当に一般廃棄物の受け付けすら窓口でばんと切ってしまうわけですね。だから、幾ら法律でやっても、その理由は何ですかと言ったら、他市の自治体との委託契約がありますからと。次に何かといったら、処分業の許可を持っていますかと。持っておれば、そんなものを申請する必要はないですよ。だから、卵が先か鶏が先かという議論になってくるわけです。

 こんなばかげたことをやりながら、しまいに、高い費用をつけてやったものが受け入れできないとなれば、これは会社倒産につながりますよ。そういうことがあるということを御理解願いたいと思います。今後の課題として質問させてもらいます。

 それから、いわゆる事業所ですか、コンビニとかスーパーとか、このごみを処理するときに、これは一般廃棄物の収集運搬業の許可が要りますか、どうですか。

梶原政府参考人 今の最後の点でございますが、スーパー等々から出てくるものがみずから収集、運搬されていくという場合は、当然要らないということになります。

泉原委員 それは、許可を各自治体からもらうということになるわけですね。収集運搬業の許可をもらうことになるわけですね。

 そうしたら、例えば、そのスーパーで弁当くずがありますね。弁当くずには米粒がみんなついているわけです。入っている器は産業廃棄物です。ところが、ついている米粒は一般廃棄物なんです。こういう複雑なものがあるわけです。

 そうしたら、逆に、一般の家庭からスーパー、コンビニに持ち込んで捨てる人が多々あるわけです。これが、処理するときは産廃といって処理していく。一般廃棄物の許可がなかったら、これはできないわけです。できるときは一般廃棄物、廃プラスチックは産廃ということで、非常に困った判断があるんです。

 だから、こういうことを一掃すべきで、要するに、市行政が受けられる廃棄物は、そういう混在物がいろいろあっても全て受ける法律をつくっていただきたい。それから、それ以外のものは産業廃棄物にして、民間に委託したい、持っていきたい、そういうふうなことを今後見直しをしていただきたい。

 これは、特に環境問題に詳しい大物大臣の石原大臣にぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。法律改正です。

梶原政府参考人 今、大変御示唆に富む御指摘を賜りました。

 先生よく御存じのように、産業廃棄物と一般廃棄物、これは処理責任の違いが一番大きい。片方では、市町村が責任を持って、一般廃棄物処理計画に基づいて処理をし、片方では、排出者であります事業者が責任を持って、それぞれ生活環境保全上支障がないように処理するという体系が基本的に組まれている。

 ただ、実態は、そうはいいつつも、非常に多様な、人の活動に伴って種々出てくるものでございますので、いろいろなところで解釈をしていかなければならない、そのとおりでございます。私どもも日々問い合わせ等に応じているところでございます。

 どのような整理がいいのかという議論はございますけれども、今後とも、生活環境保全上支障がない処理ができるようなことで検討してまいりたいというふうに考えてございます。

石原国務大臣 ただいまの委員と部長との議論を聞かせていただいておりまして、廃棄物の形状、性質を問わず、どこから出たのか、例えば一般廃棄物の場合も事業系と家庭系とありますけれども、また、レストランから出たものがコンビニエンスストアのところに捨てられるとか、現実では、法律の区分と違う現状も今起こっているということも明らかになったわけでございます。

 これらの問題をどう整理していくのがこれからの廃棄物行政にとって望ましいのかということを、事務方にしっかりと検討させていただきたいと思っております。

泉原委員 ありがとうございます。ぜひ、石原大臣の手腕を期待しております。

 それで、最後になりますが、一般廃棄物の処理業の許可は各自治体の裁量権に任せておる、いわゆる市長の専決、こうなりまして、幾ら量の水増しをしたり、談合して警察に逮捕されたりいろいろあっても、それは単なる廃棄物処理法の違反じゃないので許可の取り下げはしない、そのまま継続だと。継続はセレモニーだという自治体があります。

 これについて、やはり私は今後調べていって、また詳しいことを発表しますが、こういう自治体があるということを含んでいただきたいと思います。

 最後に当たり、現行法の成立からもう約四十年になります。一九五四年に清掃法ができて、それから十六年たって、一九七〇年ぐらいに廃棄物処理及び清掃法が施行されております。今現在、この災害廃棄物、災害を捉えたときに、本当に抜本的に見直すということは必要だと思います。法律改正しようと今やっているところですから、当然やってほしいと私は思います。

 これからも私は、廃棄物に対して、やはり自分のライフワークとして頑張っていきますので、上からの目線ではなしに、川下からの目線でやっていきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

吉野委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、福島の再生なくして日本の再生なし、その福島の再生を早める方策について提案しながら、石原大臣を初め政府の考え方をただしてまいりたい、そのように考えておりますので、簡潔な答弁をお願いいたします。

 私は、昨年の十月二十八日、栃木県矢板市の放射性指定廃棄物最終処分場設置反対同盟の研修会で、指定廃棄物は福島第一原発の空き地、七号、八号機の原子炉建設予定地、ここに非常に広大な空き地がありますので、そこに持っていくべきだという提案をいたしました。

 そうしたところ、賛否両論ありましたけれども、双葉郡の方々から、福田の言うとおりだ、私たちも帰れないことはもうわかっている、政府が我々の土地を適正な価格で買い上げてくれて、第二の住みかが早くつくれるように政府は決断をしてほしい、そういうお話をいただきました。もしそのようになったときには、何も第一原発の敷地でなくてもいいよ、私たちの敷地に栃木県の廃棄物も持ってきてもいいよ、そのために、むしろ関東の人たちの応援が欲しい、そう私に言われました。

 私は、そのとき以来、福島の皆さんが一日も早く第二の住みかをつくって安心できるように、そして、関東の人たち、矢板や高萩、まだ決まっていない群馬や千葉、そして宮城の人たちも安心できる解決策はどういう解決策か、そうしたことをしっかり考えていかなければならない、そのように心に誓ったところでございます。

 そこで、きょうはまず、福島県を初め六県の指定廃棄物の最終処分場について、どんなふうになっているかお伺いをしたいと思います。五県の現状と今後の見通しについてお願いいたします。

井上副大臣 まずもちまして、福田委員には、指定廃棄物の問題、とりわけ栃木県の指定廃棄物に関しましてはいろいろと御尽力をいただいておりますこと、感謝申し上げたいと思っております。

 この指定廃棄物につきましては、前政権時代に、栃木であれば矢板、そして茨城であれば高萩ということで、突然の提示ということがあったものですから、それに対して、私どもの方としては、その前政権の取り組みというものを徹底的に検証いたしまして、新しい選定プロセスを二月の二十五日に発表させていただいたところであります。その新しい選定プロセスにのっとって、今、その選定の作業というものをスタートしたところであります。

 とりわけ、五県に応じて、やはり地域との意思疎通が大切だということで、それぞれ市町村長会議というものを開催させていただいております。今、五県のうち四県について開催をいたしまして、あと、今週、群馬の方でやらせていただきますけれども、そういった市町村長会議を開催して、いろいろと地域の御意見を賜りながら、これからしっかり進めてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 副大臣、実はこの現状は、先週の金曜日、予算委員会の分科会でやっておりますので、簡潔にお答えください。

 それで、今、栃木県を含めた五県に対して説明会をやっているということであります。

 しかし、井上副大臣がみずから説明会に出てよくわかっていると思いますけれども、私の地元の栃木県も、それから隣の茨城県も、市町村長会議を開いてみたものの、全く前に進むような状況にはないと思うんですね。特に栃木県などは、知事が前のめりで、国と一緒になって決めるんだということで市町村長会議をやりましたけれども、知事はすぐその後の記者会見で、もう余り急がない、そういうことを答弁いたしている。それぐらい、本当にこれは難しい問題だと思っております。

 先日も指摘をしたんですが、選定プロセスのこの程度の見直しでは、市町村長の理解はもちろん得られないと思うし、仮に市町村長の理解が得られたと思っても、地域の方々の理解は絶対得られない、私はそう確信をいたしておりますから、基本方針を変えることを石原大臣に提案いたしました。基本方針を変えてしっかり解決していくということが、福島の皆さんのためにもなるし、また福島県以外の五県の方々のためにもなる。そのことをぜひしっかり考えてほしいと思うんですね。

 ちなみに申し上げますと、栃木県は、県内につくろうと思っている人は知事と自民党だけですよ。申しわけないですけれども、民主党も、みんなの党も、それから社会民主党も、共産党も、また与党の公明党でさえ、矢板は白紙撤回と地元の皆さんに約束しましたよ。ですから、この程度の選定の見直しでまた矢板と決まったら、これまた大変な話だし、それ以外のところへ決まったら、これもまたまた大変な話で、絶対進まない、そういう状況になっていますよ。御存じですか。

井上副大臣 この指定廃棄物の問題に関しましては、本当に困難な課題だというふうに認識をしております。他方で、今、指定廃棄物の仮置きの状態の中で、保管状況が逼迫をしておりますので、やはり一日も早くしっかりとした最終処分をしていかなければいけないと私どもは認識しております。

 やはり多様な御意見があると思っております。市町村長会議を開催しても、委員のおっしゃるとおり、知事さん、市長さんそれぞれ、さまざまな御意見をおっしゃられます。しかし、まさにだからこそ、そういったさまざまな御意見をきっちり我々の方で伺って、その上で、よく意思疎通を重ねながら進めてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 副大臣、この話は意思疎通を図れば実現できる話じゃないんですよ。よくわかります。だから、私は昨年から、環境省の皆さんや経産省の皆さんとか復興庁の皆さんを一度も責めたことはないですよ。これは、道理が通って理解される問題じゃないんですよ。そこをよく認識しないとこの問題の解決はできない、私はそう思っているんです。

 福島県の現状と今後の見通しです。

 先日も指摘をいたしましたけれども、福島県の、この指定廃棄物がたくさんある地域、十一市町村ですか、ここの首長さんたちの考えもまさにまちまちじゃないですか、本当に。

 自分たちの町のそれこそ十万ベクレル以下の指定廃棄物ならば保管庫としてもいいよ、しかし自分たちの町以外はだめだよとはっきり言っている町長さんもいます。十万ベクレルを超える中間貯蔵施設はだめよと、国が、環境省がぜひつくりたいと言っている町の町長さんもそんなことを言っている、そういう状況ですよ。

 だから、調査受け入れはあったとしても、どういう展開になっていくかというのもわからないですよね。それこそ、自分の町のものも十万ベクレルを超えるものはだめよと言っているわけですね、中間貯蔵施設をつくりたいという町長さんも。そういう現状をどう考えていますか。

井上副大臣 福島県の中間貯蔵施設についても、やはり地域の意向というものをいろいろ伺いながら、最大限尊重した上で進めていくことが重要だというふうに思っております。

 福田委員がおっしゃっているのは、恐らく楢葉町のことだと思います。

 楢葉町については、おかげさまで、ここで調査受け入れを表明していただいて、先日、環境省の方で本格調査に入らせていただきました。その調査の結果を踏まえながら、しっかり町長さんの御要望も検討させていただきたいと思っております。

福田(昭)委員 町長さんの御要望を受け入れるということは、十万ベクレルを超えるものは楢葉町には置かないということになりますよ。これは非常に難しい問題だから、これぐらいにしておきます。

 そこで、次に、福島の再生を早める方策についてということで、ぜひ提案をしながら質問してまいりたいと思っております。

 まず、三月五日の読売新聞、ごらんになりましたか。三月五日の読売新聞で、こんなふうに書いてありますね。福島県の避難者は、今なお約十五万四千人。福島第一原発周辺の避難指示区域からの避難者は約八万五千人。しかし、戻ろうという人が少なくて、「遠のく 古里・福島」、その理由は、放射線を挙げる人が八割を超える。

 NHKの調査でも八七%、そういう数字が出ておりますけれども、まさに、ますますふるさと福島が遠くなっちゃった、こういう意識調査が出ているんですね。

 さらに、四月十一日の朝日新聞、これを見ると、福島第一原発事故で全住民が避難した双葉郡の七町村と飯舘村が再開した小中学校で、四月一日現在の児童生徒数が一年前より一割減った。「原発避難 縮む学校」、八町村で、本来ならば在籍したはずの五千九百二十一人のわずか一八%、千五十六人、二割弱しか小中学校に戻ってきていないというんですよ。

 いかに原発をちゃんと安全に収束させるか、放射線量の不安をなくすか、これをしっかりやらないと戻ってこないんですよ、実は。戻ってきたくても戻ってこられないんですよ、これは。こういう現実を踏まえて、どう解決をしていくかということが実は大きなポイントだ、こう考えているんですが、いかがですか。

井上副大臣 おっしゃるように、やはり私は福島に、元に戻りたい、そういった住民の方々も一定程度は今でもいらっしゃいます。ですから、そういった方々の思いを実現するために、一刻も早い帰還を実現していく。

 環境省といたしましては、例えば除染をしっかりやって線量を下げていく、そういったことによって対応していきたいと考えております。

福田(昭)委員 確かに戻りたい人もいますよ。

 後で住民意向調査をしっかりとお示ししながらお話ししたいと思いますが、例えば、私の栃木県にいまだに避難をされている方は三千人を超えます。

 この人たちは、県北を中心に避難しているんですが、ある新聞社の県北の支局長に、何でまた矢板へ持ってくるの、我々は福島から逃げてきたのに、また逃げるようになっちゃうのと。福島へ帰りたい、帰りたいという報道をマスコミがいっぱいしているけれども、それはお年寄りですよ、我々若い人間はもう帰りたくないんですよ、帰りたい、帰りたい報道ばかりしないでちょうだい、そういうメールやファクスがどんどん来ているそうです。それが、先ほど申し上げたような記事になっているんだと思いますよ。

 ですから、被災を受けた方々がこれからの第二の人生をどうやって切り開いていくのか、特に若い人たちが自分の人生をどうやってつくっていくのかということを考えたときには、やはり、厳しい決断ではあるかもしれないけれども、政府がきちっと決断をしないと、本当に中途半端のままで大変気の毒だし、申しわけないんですよ。そうした考えでぜひ進めてほしいなというふうに思います。

 そこで、まず、原子炉の廃炉の決定と収束の見通しについてお伺いしたいと思います。

 今まで、一号機から四号機までの廃炉の決定しか多分されていないと思いますけれども、福島の知事からは要望があったと思いますが、五号機、六号機の廃炉の決定、さらに第二発電所の廃炉の決定、そうしたものはどうなっているのか。そして、一号機から四号機の収束の見通しはどうなっているのか。まとめてお答えをいただきたいと思います。

赤羽副大臣 第二原発、また一Fの五号機、六号機についてでございます。

 まず、先生よく御承知のことでありますが、法律のたてつけといたしましては、原発の再稼働については、改正原子炉等規制法に基づきまして、原子力規制委員会において原発の安全性の確認が行われることになっております。そして、原子力規制委員会により安全性が確認されれば、事業者がみずからの判断により再稼働することが可能となる。法律上の仕組みはこうなっておるわけでございますが、現実には、立地自治体等関係者の再稼働に向けた御理解が当然のように必要だと考えております。

 この福島県の原発につきましては、一昨年十月に福島県議会において、福島第一、第二原発の廃炉を求める請願が採択されておりますし、一昨年十二月には福島県により、県内の原子力発電所については全て廃炉とすることを求める計画が決定されております。本年三月二十五日には、また県議会におきまして、県内の原発の全基廃炉を求める意見書が採択されたということも事実でございます。

 これまでもう二年たって、御指摘のように、十五万人以上の被害者の方が今なお不自由な避難生活を余儀なくされているという現状を考えれば、このような請願、計画、意見書が提出されるのは、十分私自身も御理解できるところでございます。

 ですから、今後の取り扱いにつきましては、原子炉の設置者である東京電力におきましても、まず規制委員会の判断、そして福島県や県議会の要請、立地市町村も含めた地元の皆様のさまざまな要望、意見なども総合的に勘案しながら、適切に判断を行っていくべきものであるというふうに考えておりますが、他の原発と同列に考えることはなかなか難しいのではないだろうかというふうに私は思っております。これが、一F、また二Fの廃炉についての答弁でございます。

 一号機から四号機の廃炉の見通しにつきまして、現在、これも御承知だと思いますが、中長期ロードマップにおきまして、本年十一月までにまず四号機の使用済み燃料プール内の燃料取り出しを開始することを当面の最優先課題として、取り組みを進めております。また、ロードマップ策定から十年以内の燃料デブリ取り出しの開始、ロードマップ策定から三十年から四十年での廃炉の完了を主な時期目標としているところでございます。

 また、廃炉をもう少し加速するべきではないかと地元の議員の皆様からも強い要望もございまして、本年の三月七日に茂木大臣を議長とする東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議を開催いたしまして、検討を開始したところ、現在、一号機から四号機まで、号機ごとに異なる状況があるわけでありまして、そのことを精査しております。

 それぞれで燃料デブリ取り出しスケジュールをできるだけ前倒しするなど、本年の六月中を目途に中長期ロードマップを見直していくという作業を今進めているところでございます。

 特に、燃料デブリの取り出しにつきましては、これまで経験のないことでございますし、技術的な困難も相当伴うものであることは当然予想されているわけでございます。今回、補正予算におきまして、最先端の放射性物質の分析、研究を行う施設ですとか、原子炉の一部を実規模で模擬した模型、モックアップ施設を使って、遠隔操作ができる機器、装置の開発、実証を行うための予算八百五十億円を計上したところでございます。

 加えまして、最近、地下貯水槽からの汚染水の漏えい事件等々が起きておりますが、こういったことにつきましても、廃炉対策推進会議のもとに汚染水処理対策委員会を設置して、政府も前面に出て、政府、東電一体となって中長期的な汚染水処理の具体策を検討していく。

 こういったことを進めながら、やはり安全な廃炉を加速的に進めていくということが、皆さんのふるさとに戻りたいというその思いにかなう努力だというふうに考えておりますので、全力を尽くして取り組んでまいりたいと思います。

福田(昭)委員 私は、一日も早く、五号機、六号機の廃炉、そして第二発電所の廃炉を決定すべきだと思います。

 そしてさらに、やはりこの原発事故の収束については、冷温停止じゃなくて、廃炉がきちっとできて原発事故の収束ということになるんじゃないかと思うんです。そこまでいかないと、この周辺の人たちは安心して帰ってこられない、私はそう思っておりますので、ぜひそういった考え方で努力をしてほしいな、こう思います。

 次に、除染特別地域の除染の現状と費用などについてお伺いをしたいと思います。

 除染をする区域が三区分に分かれております。年間五十ミリシーベルトを超える地域、それから二十ミリから五十ミリシーベルトの地域、二十ミリシーベルト以下の地域と三地域に分かれておりますけれども、それぞれ除染の進捗状況がどうなっているのか、またその費用がどれぐらいかかる見込みなのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

井上副大臣 除染特別地域の除染の現状と費用ということでございます。

 まずは、五十ミリシーベルトを超える帰還困難区域につきましては、これは非常に高線量だということでありまして、その中で、効率的な除染技術、また作業員の安全確保策を確立することが必要であるため、まずはモデル事業を行うということで、その結果に基づいて今後の方向性を検討したいと考えております。

 ですから、その費用全体についての試算というのはありませんけれども、このモデル事業の予算を、平成二十五年度であれば六十八億円ということで申請をしているところであります。

 それ以下のところでありますけれども、二十から五十ミリシーベルトの居住制限区域、それと二十ミリシーベルト以下の避難指示解除準備区域ということで、これは両方あわせて今鋭意除染をやっておりまして、平成二十四年、二十五年度の二カ年で除染を実施することとしているところであります。

 しかし、それぞれ進捗状況には差がありまして、順調に進捗しているところ、それから、仮置き場の確保あるいは同意取得に時間を要しているということでなかなか進んでいないところもあるのが現状であります。

 十一市町村のうち九市町村では計画を策定し、そのうち四市町村では本格的な除染作業を実施しているところ、また三町村については作業準備中または発注作業中、そういう状況にあります。

 それから、費用の点でありますけれども、除染に係る予算ということで、平成二十四年度に千百八十七億円、また二十五年度に二千百十五億円を計上しているところでございます。

福田(昭)委員 五十ミリシーベルトを超える地域は、今のところモデル事業で対応する。それ以外の二つの地域については、平成二十四、二十五と二カ年度で実施をして、平成二十六年度以降、その結果について点検、評価をして、その後の対応策を検討する、計画の見直しも含めて適切な措置を講ずる、こうなっておりますけれども、除染の限界についてはどんな考え方をされているんですか。

井上副大臣 私どもの方は、もう前政権時代から一ミリシーベルトということで、長期的に一ミリシーベルトを目指して除染を進めていくということでやらせていただいております。

 除染の方も、先ほど申し上げたように、二十四年、二十五年度、二年間の計画でやっておりますけれども、これは、計画が終わるのを待つのではなくて、やはりそれの事前の段階ということで、今年度中に、ことしの夏ぐらいに、除染の現状というものをしっかり検証して、そして計画の見直しというものを考えていきたいと思っております。

福田(昭)委員 一ミリシーベルトを目指すという目標は私も悪い目標じゃないとは思いますけれども、しかし、現実になかなか実は下がらないということが多分よくわかってきているんじゃないかなと思うんですね。

 チェルノブイリの事故の現状については調査をされていますか。

小林政府参考人 チェルノブイリの状況につきましては、限られた情報ではございますが、逐次入手をいたしまして、政策の参考にしているところでございます。

 また、機会を得て現場に赴くとか、そういったことも今後も考えていきたいと考えているところでございます。

福田(昭)委員 どのように参考にしているのかはわかりませんでしたけれども、ここに、チェルノブイリに、旧ソビエト連邦の原発事故の被災地であるベラルーシ共和国に五年半滞在していた松本の現市長、菅谷市長の書いたものがございます。

 私は話も直接伺いましたけれども、まさに、原発事故から二十六年たっても、事故の三十キロ圏内の地域はいまだに住むことができない。そして、どういうふうに対応したかということが書いてあります。

 御案内のとおり、セシウムは半減期が三十年だから、道路だけじゃなくて、森などをどうやって除染するかということを考えたけれども、非常に大変なことだ。そこで、チェルノブイリの場合は、当初はみんな除染をした。しかし、お金をかけている割には全然効果がない。費用対効果により、やめてしまいました、こう書いてあります。

 それからさらに、除染して、その廃棄物はどこに捨てたのですか、そう尋ねたら、三十キロメートル圏内の中ですと答えたというんですね。

 そうしたことを考えていくと、やはり、チェルノブイリの事故の後、軽度の汚染地域の子供たちには大変な問題が起きている。そこで、除染については余り過度に期待しないということを考えなければいけない。チェルノブイリのことを考えれば、福島の場合も、これから低線量被曝による健康への影響というのも十分考えていかなければならない、このように菅谷市長は指摘をいたしております。

 そうしたこともしっかり踏まえて対応しなければならないと思いますが、どうですか。

井上副大臣 おっしゃるように、チェルノブイリの経験というものを私どもしっかり参考にして進めていかなければいけないと思っております。

 実は、連休中にも、石原大臣の指示を受けまして、国会のお許しがいただければ、私と秋野政務官でチェルノブイリの方に調査に行く予定になっております。

 ですから、そういったことをしっかり踏まえながら、日本の福島でどこまでそういったことを参考にできるかということを考えていきたいと思っております。

福田(昭)委員 ぜひ、チェルノブイリも視察をして、きちっと調査をした上で、日本のどうあるべきかという解決策を考え直してほしいな、こう思います。

 次に、最終処分場の現状と費用についてであります。

 福島の場合は、十万ベクレル以下のものについては民間の最終処分場を使う、そういう話のようでありますけれども、しかし、これまたまだ全然進んでいないということであります。

 福島の場合、十万ベクレル以下のものと超えるものはどの程度の量があるというふうに積算をしているのか。その辺ははっきりしているんですか。そして、そのためのどの程度の規模の施設をつくったらいいというふうに考えているのか、お答えをいただきたい。

井上副大臣 福島の指定廃棄物に関しましては、既に指定されている福島県内の指定廃棄物ということで、これが七万八千トンございます。

福田(昭)委員 そうすると、これは十万ベクレルの以上、以下は関係なくて、総計で指定したものという意味ですね。

梶原政府参考人 今御指摘の、八千ベクレルよりも超える廃棄物を指定廃棄物ということで、例えばごみの焼却灰でありますとか下水道汚泥でありますとか、そういったものとして指定しているものが現時点で七万八千トンあるということでございます。

 それで、そういう指定廃棄物につきましては、先ほどから先生御指摘にありますように、八千ベクレルよりも超え十万ベクレル以下のものにつきましては、現在、民間でございます最終処分場、これは管理型でございますが、そこを使わせていただきたいということで地元と調整をさせていただいているところでございます。

 量的には、その処分場の残余容量が六十五万立米ございますので、その中でそういったような廃棄物を処分させていただければというふうに考えている次第でございます。

福田(昭)委員 なかなかまだ全体計画も立っていないようですから、この辺の質問はまたいずれかの機会にさせていただくこととして、次の質問の方に行きたいと思います。

 四番目の中間貯蔵施設もまだ全くこれからの見通しが立たないようでありますから、これもそのようにさせていただくこととして、五番目の避難指示区域の見直しと再生計画についてに移りたいと思います。

 私は、昨年から役所の皆さんに、早く避難指示区域の見直しと住民の意向調査をやるように要請してまいりました。それは、除染しても放射線量をある一定の限度以上は下げることができない、そういう除染の限界と帰還困難区域の決定、さらには住民意向調査の結果、それを見れば解決の方向性が見出せる、そう考えたからそういうふうに要請をしてきたわけですが、井上副大臣、どう思われますか。大臣の方がいいですか。どう思われますか。

浜田副大臣 福田委員にお答えしたいと思います。

 今、福田委員の方から、住民意向調査と区域の見直しを急ぐべきだ、これはまさに重要な御指摘でございまして、その認識は復興庁も同じでございます。

 そういうことから、既に、区域見直しにつきましては、資料もお配りいただいておりますけれども、避難指示区域、警戒区域の十一市町村のうち九市町村の方でやっと区域見直しもございましたし、住民意向調査につきましても、今お配りいただいておりますけれども、八市町村の結果も出ているところでございます。

福田(昭)委員 先に言っていただきましたが、資料の一をごらんいただきたいと思います。

 まさに、このピンクで囲まれたところ、ここが帰還困難区域となっておりますけれども、御案内のとおり、まさに放射線量の最も高いところですよね。

 双葉町と川俣町はいつごろまでに決まるんですか。双葉町は、町議会が解散されたり、町長がやめてしまったり、いろいろ問題があったようですけれども、この辺はいつごろまでに決まりそうですか。

赤羽副大臣 お答えさせていただきます。

 今御説明ありましたように、双葉町は、首長さんがかわられたというような状況もありますが、住民説明会ももう数次行っておりますので、ほどなく避難指示区域の見直しが決定できると承知をしております。

 また、川俣町につきましても、町長を初め町とも鋭意詰めておりまして、それもほどなく、我々の立場といたしましては可及的速やかに決着をつけたい、こう考えております。

福田(昭)委員 今月いっぱいぐらいには、四月いっぱいぐらいには何とかぜひまとめてください。

 そこで、避難指示解除準備区域については、被曝線量が年間二十ミリシーベルト以下の区域で、立ち入りが可能だ、事業活動も可能だ、宿泊は原則禁止だ、避難指示解除見込み時期の標準期間が事故後二年となっていますが、こうした地域はどう再生をしようとしているんですか。

浜田副大臣 今御質問いただきました避難指示解除準備区域につきましては、本年三月十九日に決定いたしました避難解除等区域復興再生計画につきまして、避難対象十二市町村の復興に向けて、今後十年間のインフラ、生活環境、産業に係る中長期的取り組みの方針を示すとともに、国、県、市町村の具体的取り組みを示したところでございます。

 特に、今御指摘いただきました避難指示解除準備区域においては、住民の早期帰還を見据え、除染、インフラ復旧に加え、以下の施策を集中的に投じたいと思っています。

 すなわち、一番目には、雇用の場の確保と事業再開の支援。二番目には、医療福祉機能の提供体制の確保。三番目には、帰還のめどが立った町村の教育施設の整備などの支援。これら、雇用、医療福祉、教育などの施設を整備する、こういうことを講じることによりまして、早期の避難指示の解除を目指したいと思っております。

 さらに、避難指示解除後に当該地域が地域復興のモデルとなるように、生活環境の整備とまちづくりの実施も中期的に目指していきたいと思っております。

福田(昭)委員 それでは、時間の関係で、続けてお答えいただきたいと思います。

 居住制限区域は、被曝線量年間二十ミリシーベルトから五十ミリシーベルトの区域、立ち入りが可能、原則宿泊禁止、避難指示解除見込み時期の標準期間が事故後三年、それから帰還困難区域については、被曝線量が年間五十ミリシーベルトを超える地域で、事故後六年を経過してもなお年間二十ミリシーベルトを下回らないおそれのある区域ということで、立ち入り原則禁止、宿泊禁止、避難指示解除見込みの時期の標準期間が事故後六年ということでありますが、これらの区域についてはどのように再生をしようとしておりますか。

浜田副大臣 ただいま、居住制限区域及び帰還困難区域の再生計画の内容について御質問いただきました。

 まず一点目には、居住制限区域につきましては、住民の被曝線量を低減する観点から、引き続き避難を継続することを求める地域でありまして、次の施策を実施いたします。

 すなわち、一番目には、作業員の安全確保に十分配慮しつつ計画的に除染する。二番目には、公的インフラを復旧する。三番目には、見守りパトロール等の防火、防犯、防災上必要な取り組みを行う。これらによりまして、これらの区域への将来的な住民の帰還及びコミュニティーの再建を目指したいと思っております。

 また、こうした復旧復興の取り組みとあわせ、避難者に対する避難先での生活支援策を講じるとともに、長期避難者のための災害公営住宅等の生活拠点の整備やコミュニティー維持などのソフト支援策を一体的に実施したいと思っています。

 二番目に、帰還困難区域でございます。

 これにつきましては、御指摘のとおりに、線量レベルが他の地域に比べて非常に高いことから、住民が帰還するまで相当長期の時間が必要となると見込まれております。こうした区域につきましては、避難者に対する避難先での生活環境を整備するために、災害公営住宅等の生活拠点の整備やコミュニティー維持などのソフト支援策を一体的に実施します。

 除染やインフラ復旧につきましては、先ほど井上副大臣からも御答弁いただきましたように、環境省で二十五年度にモデル事業を既にやっていただいています。こういう結果を踏まえまして、対応の方向性を検討したいと思っております。

福田(昭)委員 ぜひ、計画どおり再生ができれば一番いいと思うので、努力をしてほしいと思います。

 そうした中で、この三つの区域で、それぞれ解除の見込みの標準期間というのがあって、精神損害賠償については、実は、特に避難指示解除準備区域は事故後二年ということで、これはもしかして終了しちゃっているのかなというふうにも思われるんですが、その辺、実態はどうなっているんですか。これは延長されているんですか、それとも、最初の計画どおり打ち切っちゃっているんですか。どうなっているんですか。

浜田副大臣 解除準備区域の解除についてはこれからでございますが、別途、東京電力の方で、賠償については担当は赤羽副大臣でございますけれども、それぞれの区域見直しとあわせながら年数について検討されているところでございます。

福田(昭)委員 これは二十三年の十二月二十六日の原子力災害対策本部の決定事項でありますけれども、このときの決定では、避難指示解除準備区域は事故後二年で終了、居住制限区域は事故後三年で終了、帰還困難区域は事故後六年で終了、こうなっているんですね。

 ですから、そういう方針からいうと、もう実は避難指示解除準備区域は切れてしまう。月々十万円のお金ですけれども、これが消えてしまうということになるんですが、その辺、しっかり政府としても把握していないと困るんじゃないですか。大臣、いかがですか。

石原国務大臣 おっしゃるとおりで、現行計画の決定から二年を過ぎましたけれども、現実問題としては線量が下がっていませんから、そこに人が戻れていない。そのことによって住民の方々が不利益を生ずることのないように、政府は責任を持って行う必要がある。まさに委員の御指摘のとおりだと思います。

福田(昭)委員 ぜひ早急な対応をしていただきたいなというふうに思います。

 いよいよ、次の六番目の住民意向調査についてお伺いをしたいと思います。

 資料の二、三、四とつけさせていただきました。これは復興庁にまとめていただいた資料ですが、特に資料の四をごらんください。

 これは、私が実は復興庁の皆さんにお願いをしてまとめていただいた資料です。ここを見ればわかるように、住民の皆さんの意向調査がほぼでき上がってまいりました。

 原発周辺の大熊町、双葉町、富岡町、浪江町、この四町では、戻りたいという人が、一一・三%、一〇・三%、一五・六%、四・九%しか現時点でいないんですね。戻らないという人が、四二・三%、三〇・四%、四〇%、二七・六%。まだ判断がつかないという人が、四三・五%、二六・九%、四三・三%、二九・四%。これが、今の原発周辺地域の四町の皆さんの意識です。

 四町以外の皆さんも、戻りたいという人は少ないんですね。飯舘村が一番多くて二一・九%、葛尾村は七%、楢葉町九・七%、田村市六・七%です。

 そして、前の方に戻っていただいて、資料の三の方をごらんいただきますと、帰還後に求める行政支援、上位五位が書いてあります。継続的な健康管理の支援、それから住宅再建・修繕の支援、商店の再開支援が第一位で、やはりこの辺、先ほど医療から教育、福祉を充実させたいという再生計画がありましたけれども、生活環境をしっかり整えるということがなければなかなか帰れない、こういう話であります。

 逆に、帰還しない理由を見ると、一位と二位には、放射線量が低下せず不安だからというのがこの四町では全部一位ですよ。原子力発電所に不安があるからとか、家が汚損、劣化し住める状況にないからと。それは、長い間住まなければ、なかなかもう一度住めるようなうちにはならないわけであります。

 まさに、こうした町民の皆さんの意識を考えれば、どうやることが福島の皆さんの幸せに本当につながるのかということを真剣に考えていく必要がある、こう考えております。

 そうした中で、この住民の意向調査を見て、大臣いなくなっちゃったけれども、副大臣、どう思われますか。

井上副大臣 おっしゃるように、帰還しない理由ということで、一位がほぼ放射線量に不安があるからということでありますから、そういう意味では、環境省としては、やはりしっかり除染を進めていくことが大切であるというふうに考えております。

福田(昭)委員 まさに除染が本当に大切なんです。しかし、その除染にも限界があるということを認めるか認めないか、そこが大きな判断の分かれ目に実はなってくるんです。ですから、ぜひチェルノブイリに行ってしっかり勉強してきてほしい、こう思います。

 この資料の四をまたごらんいただきますと、双葉町が、正式に決まっていないので、実は面積が入っておりません。面積や人口が入っておりませんが、双葉町も、聞くところによると、議会が承認したという範囲では、何と九六%は帰還困難区域だというんですよね。避難指示解除準備区域は町の面積のわずか四%だというんですよ。それを考えたら、本当にこの四町ではほとんど帰還困難区域に属してしまうかもしれないということでございます。それは、先ほどの資料の一を見ていただければわかるんです。

 ですから、一日も早く帰還困難区域をしっかり決めて、除染の限界がちゃんとあるということをしっかり認識した上で住民の意向調査をする。そうすることによって、住民の皆さんが、ああ、私たちの地域はもう帰れないんだとわかれば、まだ決められない人もちゃんと決めると思いますし、それから、決めた人も、ううん、もう無理なのかなと思うかもしれないし、そうした正確な情報をしっかり地域住民の方々に提供して判断を求めていくということが大事だと思うんですが、いかがですか。

井上副大臣 除染の関係について、私の方から答弁させていただきます。

 おっしゃるとおりだと思っております。

 先ほど申し上げましたけれども、とりわけ高線量地域について、本当に除染でどこまで線量を下げることができるかということを、しっかりモデル事業をやりまして、その結果を踏まえ、また除染計画全体の見直しもことしの夏ごろを目途にやる予定でありますから、そういったところでしっかり私どもの方の考えを示していきたいと考えております。

浜田副大臣 福田委員おっしゃるとおりでございまして、住民意向調査をするに際しましては、しっかりとした情報提供が重要と思っております。

 御指摘いただきましたこの資料でも、判断がつかないという方が三割、四割おられるわけでございますので、今、井上副大臣からお話ございましたような除染の見通しの問題、それ以外にも、インフラ復旧の問題、また、残られる方についても、残られてもこういう支援があるという問題、これについての情報提供をしっかりした上で、既に大熊町については二回目を行いましたが、それ以外の町につきましても二回目の調査をしていきたいと思っております。

福田(昭)委員 大臣が戻りましたから大臣の御所見もお伺いしておきますが、こうした住民の皆さんの意向を見てどう思われますか。

石原国務大臣 当委員会だったか予算委員会だったかちょっと忘れてしまいましたけれども、私、現地の新聞二社、そこの世論調査を見まして、ある意味では愕然としたという話をさせていただきました。

 それによりますと、こちらにおりまして報道されている初期の住民の方々の世論調査ですと、条件が整えばというところまで合わせてですけれども、帰りたいという方が半数ぐらいいるというような認識を持っておったのでございます。しかしながら、現地の新聞社の方、あるいは新聞の記事等々を拝見しますと、今委員が御指摘されておりますように、実は七割以上の方々が無理だろうというような数字が現地の新聞では報道されている。どちらが実態に近いのかということを判断する客観的な情報は持ち得てはいないんですけれども、そういうこともあるなということを強く感じたところでございます。

 そうなってまいりますと、施策というものも大きく変わってまいります。

 ただ、井上副大臣の方から御答弁をさせていただきましたように、二十四年、二十五年で集中的に除染をやってみて、その結果をやはり皆さん待たれているということも事実だと思いますので、特に高濃度の部分については、五十ミリシーベルト以上でございますけれども、モデル事業という形で行わせていただいて、どういう結果が出るのか予断を持つことなく、その結果を見て、住民の皆様方にその調査結果等々をしっかりとお示ししていくということが肝要なのではないか。

 除染の技術も大分進歩してきたと思いますので、ともかく、二十四年、二十五年と環境省としてはできる限り除染を進めて、今委員御指摘のような点について、住民の皆様方にお話を聞かせていただくということになるのではないかと考えているところでございます。

福田(昭)委員 おっしゃるとおり、除染の結果は、二十四、二十五と二カ年度の結果を見て検証するということですけれども、しかし、チェルノブイリの例や、多くの専門家が無理だと指摘しているんですね、実は。ですから、その辺のところもしっかり踏まえて、早目に対応してあげるということが非常に大事なんじゃないかなというふうに思っております。

 そうした中で、できれば平成二十五年度の調査の実施については、除染の検証結果も本当は提供した上で、避難指示区域の見直しはしっかり双葉町も川俣町も終わらせて、そして除染についての考え方もしっかり示した上で、ぜひ二十五年度の住民意向調査はやってほしいと思うんです。そうすることによって、住民の皆さんの本当の心が、気持ちがよくわかると思います。

 私は、実際に千七百名を超える署名を集めて、環境省に、政府に対して、私たちの土地をぜひ買い上げてくれ、そこに中間貯蔵施設をつくってくれ、そういう代表の方々あるいは現職の双葉町の町会議員の方とじっくり三時間二十分話し合いをしました。徹底的に議論しましたよ。そうした中で、一日も早い政府の決断が欲しい、こう言っています、基本的に。

 ですから、私もこの間も言いましたけれども、福島の知事さんや町長さん、あるいは県会議員、市会議員、町会議員の皆さん、あるいは吉野先生や吉田先生、この人たちはそんなことは言えませんよ。口が裂けても絶対言えません。それはよくわかります。言えるのは、政府しかありませんし、または県外の人かもしれません。福島県の人は言えませんよ。福島県の政治家は誰も言えないと私は思います。きちっと現実をしっかり伝えることができるような判断をして伝えられるのは、私は政府しかないと思っています。ですから、そうした決断をぜひされるように要望しておきたいと私は思います。

 時間があと五分になりましたので次の質問に入りたいと思いますが、立入禁止区域の指定と土地の買い上げについてということであります。

 先ほども、チェルノブイリでも三十キロ圏内は立入禁止になった、こういうお話をさせていただきましたが、私は、帰還困難区域については立入禁止区域として国が指定をする、そして、そのうち福島第一原発の周辺から土地の買い上げをさせていただいて、そこについての利用を考えていくということがこの問題の解決につながっていく、そう考えているんですが、そうした考え方はどうですか。考えられませんか。

浜田副大臣 委員御指摘の、放射線量が極めて高い地域の復興につきましては、困難な課題がさまざまにあることは事実でございますが、まず、住民意向調査によりますと、戻らないと決めている方が一定の割合でいる一方、戻りたいと考えている方、まだ判断できないという方を合わせますと、いずれの自治体においても半数以上いらっしゃる、そういう住民の意向。また、被災自治体も帰還に向けた復興プランを進めておられるという、その状況。そしてさらに、今までも議論ございました、モデル除染事業の成果なども含め、線量低減の状況を見きわめることが必要と考えております。

 そういうことから、現時点で一部区域のみを一律に立入禁止区域にして公有地化することについては、慎重な検討が必要と考えております。

福田(昭)委員 おっしゃるとおり、慎重な検討が必要だと私も思います。

 しかし、環境省として、知事、町長あるいは議会議員以外の一般の住民の方々と膝を交えて話し合ったことはありますか。

小林政府参考人 環境省におきましては、まず、除染につきましては、町とよく御相談をして計画をつくってまいります。この過程で、いろいろな住民の方の御意見も承っております。

 特に、町民のいろいろな説明会がございますので、こういうときには、区域の問題、賠償の問題等含めまして、除染ですとか、あるいは中間貯蔵の問題につきましても、かなり何回にもわたって御意見を伺ってきております。

 また、中間貯蔵施設につきましては、特に行政区長さんにいろいろな場で御説明をする、こういうこともやっておりまして、引き続き、こういうことは心がけてまいりたいと思っているところでございます。

福田(昭)委員 やはり、住民の皆さんと話し合いはしているけれども、きちっと腹を割った話し合いはできていない感じですね。本当のこと、事実は何なのかということ、そのことを踏まえて議論をしないとこの問題は解決しませんよ。

 栃木県で足尾鉱毒事件というのがありました。有名な田中正造翁が本当に命をかけて闘った事件でありましたけれども、そのときに栃木県の谷中村という村は廃村になったんですね。

 今回のこの事故に当たって、私が双葉郡の現職の町会議員や元職の人と話し合ったときに、こんな話をしておりました。もしかして本当に帰れないね、そうなったときには双葉郡の四町を合わせて一つぐらいの町ができるといいな、そういう希望を漏らしておりました。それぐらい深刻に皆さんは考えているということですよ。そういう希望を聞いて、どう思われますか。

浜田副大臣 各地域の復興の姿につきましては、各自治体の首長さんだけではなくて、住民の方々の意向をしっかり踏まえてこれから進めていく決意でございます。

福田(昭)委員 これは与野党を超えた問題だと思うんです。日本がやはり世界に恥じない解決方法をして、福島の人たちが、ああよかった、こんな大変な災害に遭っちゃったけれども、第二の人生も踏み出せるわ、第二の住みかをつくれるわ、そうやって安心できる解決策をやっていくということが私は大事だと思うんです。政権交代したときに、なぜ基本方針を変えなかったんですか。チャンスだったんですよ。非常に私は残念です。

 時間が来たようでありますから、今後、時間の経過とともにぜひ政府の方針が変わるように、これからさらに質問を続けていきたいと思います。

 きょうは、大変ありがとうございました。

吉野委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 まず初めに、アスベストの対策についてお伺いをいたします。

 数多くの国会議員の方々も、被災直後、さまざまな被災地に入って瓦れきの中を見て回ったり活動された方は多いと思いますけれども、私自身もそのときに感じたのは、ほこりが舞っている中で、この中にはやはりアスベストもかなりあるんだろうな、どうなるんだろうということをその当時から懸念していたわけであります。

 昨年は阪神・淡路からもう二十年近く、十七年目、ことしは十八年目ですけれども、十七年目のときに、二カ月間だけ瓦れきの撤去作業をされた方が中皮腫になって亡くなられた、それで労災認定をされたという現状も踏まえれば、膨大な量の瓦れきが発生した東日本大震災でのこのアスベストリスクにしっかりと対応していかなければいけませんし、また、健康被害を考えれば、長期にわたっての対策もとっていかなければならないというふうに考えます。

 現状では政府の中でこの対策の合同会議もあるようでありますが、まず初めに、このアスベストの対策に係る現状と課題についてお伺いをいたします。

小林政府参考人 今御指摘ございましたように、アスベスト対策、労働環境は厚生労働省、それから一般環境は環境省ということで分担してやっておりますが、重要な課題というふうに心得ております。

 特に、今回の震災の後もいろいろな瓦れきの処理がございましたので、環境中が大丈夫か、こういう御懸念がございまして、町の御要望を承って、かなりの箇所数の調査をしております。おおむね余り高い濃度はございませんでしたが、一部に懸念されるものもございました。

 そんなことで、今御指摘ございましたように、今後どういう課題があるかということを、審議会でも、いろいろな関係者のヒアリングを通して分析をしたところでございます。

 一つは、発注者がもう少し主体的な認識を持ってもらうということが重要であるというような指摘が一つございました。それから、アスベストが本当に吹きつけられている、あるいは巻きつけられているのかどうかという事実の確認をもう少ししていく必要がある、こういうこともございました。

 こういうことを踏まえて、今回、大気汚染防止法の改正案も提案をさせていただいているところでございます。

 その中で、ぜひ事前調査を義務づけるということ、それから、今まで事業者に届け出責任がございましたが、これを発注者に義務をかけまして、そういうことを通してアスベストの適切な使用状況の把握また対策がしっかり進むようにと、こういうことをやってまいりたいと思っております。また、自治体からは立ち入り権限などの強化という御要望もございますので、これについても対応できればと考えているところでございます。

小熊委員 今の答弁のとおり、これからどうこの現状を把握していくかという意味では、この後の法改正もいろいろありますけれども、今御指摘のあった自治体の権限強化ということも必要ですし、現状でも、この今のモニタリングは地方自治体にさまざま協力を願っているところでもあるわけですから、そうした部分もしっかり早期の対応をお願いしたいなというふうに思います。

 今は把握をしているということでありますけれども、震災直後、あの混乱の中でそこを調査していたかといえばなかなかしていないという点と、阪神・淡路と今回の東日本大震災の大きな相違点は、瓦れきが、阪神・淡路のときはその建物がそこで壊れた、しかし、今回は津波の被害ですからそれが大きく移動してしまったというところで、実際そこにあった建物、アスベストを使っていたという情報がもしあったとしても、それがそこにない。その瓦れきがどこかへ行ってしまって、瓦れきを集める作業をしていた、やはり被災直後はこの把握はできていませんよね。そういうデータ、どのぐらい飛んでいたかとか、使っていた建物がどの程度どこに移動したかというのは、つかんでいませんよね。

小林政府参考人 確かに、どういうところを把握すべきかということにつきましては、地元の自治体の御協力をいただいたところでございます。

 具体的には、二十三年の六月から調査を始めまして、この二十四年度までの間に、ちょっと今数字はあれでございますが、千二百カ所を超える場所につきまして、これは、解体作業があるのではかってくれというようなことに応じたケース、それから瓦れきの集積所、また、避難場所でありますとか住宅地の状況というのも、自治体の御要望があれば極力応えるつもりでやったところでございますが、大きな混乱の中でございましたので、一定の限界もあったというようには心得ているところでございます。

小熊委員 そうすると、直後の状況がよくわからないということでありますけれども、先ほど冒頭申し上げましたとおり、阪神・淡路のときは、二カ月間だけ作業をした方が中皮腫になって亡くなられているということを考えれば、震災直後の二カ月、私もあちこち行きましたけれども、これは、業者さんだけじゃなくて、本当にいろいろな方々、ボランティアの方々も入って瓦れきの撤去作業をしていたわけですね。そうしたら、そういう人たちの健康調査というのは、今後どういうふうに対応していくつもりですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 東日本大震災によります石綿の飛散防止、暴露防止対策というのは最重要課題ということでございまして、もうこれは私から申し上げるまでもありません。

 環境省におきましても、「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル」を出すなどして普及啓発をしましたし、石綿に関するQアンドAなど、基礎知識の情報提供などを通じて、石綿の飛散防止、暴露防止を今なお呼びかけているところでございます。

 また、一般の住民の皆様に対しても、石綿が飛散していないかということをモニタリングするという視点から、アスベスト大気濃度調査というのを定期的に実施もしておりますし、また、飛散の有無の確認を行っております。

 また、これは環境省ではなくて、いわゆる旧労働省の部分になりますけれども、石綿障害予防規則三十五条にのっとりまして、今お話しありましたけれども、一月ごとに作業従事歴を記録し、どのくらいの期間従事したのかというようなことを記録をするということになっておりまして、仮に退職をされましても、そこから四十年間は記録を保存するということになっておりますので、関係省庁とも連携をとりながら、こういった長期的なフォローについても対応してまいりたいと考えております。

小熊委員 確認ですけれども、それは、明確にアスベストを使っていた建物じゃなくても、瓦れき処理全般にわたっての対象ということでよろしいですか。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 そのとおりでございまして、「石綿等の取扱い又は試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所」、こう書いてありますので、作業の細かな具体的な内容を問わず、石綿の粉じんが発生する場所ではということになっていると承知しております。

小熊委員 作業員はそれで管理はできるんですが、先ほどさまざまなお話をさせていただいたとおり、地域住民またボランティアの方々が数多く入っているわけですけれども、そこの把握はどうなっているでしょう。

佐藤政府参考人 申しわけございません。ボランティアの方について見れば、厚生労働省のボランティアを担当している、恐らくは社会・援護局になるんじゃないかと思いますが、そこが担当しておりまして、十分承知をしておりませんけれども、またそれなりに調査をしてみたいと思っております。

 それから、一般住民の皆様に関しては、個々個別の住民の皆様に対して健康調査をするという仕組みにはしておりませんが、先ほども申し上げましたように、アスベストの大気濃度調査というのを定期的に実施することで、周辺への暴露といいますか汚染といいますか、そういう状況の確認を行うことで対応しております。

小熊委員 だからその調査は、被災直後の部分は万全じゃなかったわけですよね。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 そのとおりでありまして、どこまでを直後ととるかですけれども、私ども、補正予算等を活用しながら千二百二十四地点で調査を実施して、実際にも七地点で飛散を確認しております。もちろん、いずれも敷地境界での濃度は一般環境大気濃度と同程度だったと思いますが、先生がおっしゃるように、本当に直後から対応できたかというと、なかなか難しいところがあったというふうに承知しております。

小熊委員 だから先ほど申したとおり、阪神・淡路では、二カ月間従事した人が十七年後に亡くなっているんですね。

 あの震災の当時の状況を考えれば、あの瓦れきの処理の仕方も私も見ていましたけれども、やはり、がさっとやっていましたから、ある状況であるとすればかなり飛んでいたな。それが、今ほど言ったとおり、アスベストの対策はちゃんとしてくださいよなんて、そんなの読む暇もないですし、ボランティアにしろ一般住民にしろ。マスクをつけたりしている方もいましたけれども、それは作業員がやっているようなちゃんとしたマスクでもないですし、簡易的なマスクの人が多かったですし、していない人も多かったですし、作業していなくても、その瓦れきの周辺の住民なんというのは、特段の対応をしていたというふうには考えられませんから。

 そうすると、今後二十年後、三十年後、この当該地域においては、こうした健康被害というのが数多く出てくるのではないかということが危惧されているわけですね。そういう意味で、その対応が必要だということで質問させていただいているんですけれども。

 これはやはり、そのときモニタリングなんかしていませんからわかり得ないんですけれども、ただ、推測すれば、それはかなり危険な状況であったのではないかという意味では、データはなくても、健康被害といったものに関してこれは手だてを打っていかなきゃいけないんじゃないかと考えます。その点についての見解。

佐藤政府参考人 発災直後からきちっとしたマニュアル等を通じた普及啓発や情報提供は徹底的にできたか、あるいは大気濃度調査がすぐにできたかと言われると、確かに、十分だったかどうか難しいところはあると思います。

 しかしながら、先生が今御指摘になりましたように、阪神・淡路大震災の経験はございましたので、公式な形ではなかったかもしれませんが、私も今記憶をたどってみますと、私どもの部のみならず関係部局が、アスベストについては注意しろというようなことで認識が高かった。恐らく、国のみならず地元の自治体も、一定の注意のもとに対応をしていただいていたものと記憶をいたします。

 また繰り返しになりまして大変恐縮ですが、一般の住民の皆様方に関して、例えば、個別に健診をするだとか調査票をお送りして書いてもらうというところまではいたしませんけれども、丁寧に大気濃度調査などを実施いたしますし、また、飛散防止、曝露防止の徹底もしますし、また、きょうありましたことも含めて、ボランティアや労働者の方はどうなっているかというのも、また並行して今後行政を進めていく上で、情報交換もしながら進めていきたいと考えております。

小熊委員 これは多分数年後にいろいろな結果が出てくるというふうに思いますから、ぜひ対策会議の中では、広くしっかり対応できるような議論をして対策を打っていただきたいというふうに思いますし、作業員の方々は、これは労災認定とかという道はあるとは思うんですけれども、それ以外でも、本当に膨大な人数の方々が被災地に入って汗水流して瓦れき撤去をしていただいた状況を考えれば、そこの部分も、今のうちからどう対応するかというのは対策を練っていただきたいなというふうに思います。

 私も福島県出身でありますけれども、福島県内においては、もうアスベストよりも原発災害の方に頭がいっていたというのもありますから、アスベストなんということよりも別の方に視点がいっていたということを考えれば、これはやはり、作業をしていた方、それは専門の方も含めて、政府が通達を出していますよ、今までの仕組みもありますよと言っても、なかなか言われたとおり、それが万全ではなかったというふうに思います。

 過ぎたことはこれはもうしようがないし、今はしっかりモニタリングをしていただいているところではありますけれども、その被災直後のアスベストのことが原因で健康被害が出た場合の補償とか、また今後の健康管理といったものは、もっと徹底的にやらなきゃいけないというふうに思います。

 今の認識よりもさらに一歩踏み込んだこと、あの当時の混乱の中でいえば万全な態勢というのはほとんどとられていなかったと思いますから、もう一歩踏み込むという点についてはどうでしょう。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 今、先生の御質問の中にもありましたように、労働者の方であれば労働災害によりますアスベストの病気に対します補償がなされますが、いわゆるこの労災制度適用以外の労働者あるいは一般の住民の方であって、明らかにアスベストによる石綿肺であるとか肺がんであるとかが発生するという不幸な事態がありました場合には、現行の環境省等で持っております石綿救済制度の中での救済がなされるというふうに理解をしております。

小熊委員 原発の低線量の影響で健康がどうなっていくかというのは、今まで世界的にも知見がないのでこれはしっかり見ていかなきゃいけないんですけれども、アスベストに関しては、出るときは確実に二十年、三十年ということで出てくるわけでありますから、しっかりとした対応、また、把握はなかなか難しいとはしても、やはり、被災直後の数カ月間の状況をもう一度振り返っていただいて、アスベストリスクがどこまで及んでいたかということをもう一度調査をしていただいて、対応をとっていただきたいというふうに思います。

 では、次に移ります。

 先ほどの福田委員の御質問も、ある意味では大変厳しい御意見でもあったわけでありますけれども、さはさりながら、先日の予算委員会での我が党の中田委員の質疑でもありましたけれども、そうした対応が、帰すということを前提にしていろいろ進めていくと、それが逆に住民の人生選択を奪っている、そうした側面も否めないというのも事実であります。

 福島県内の議員のことには福田委員はお気遣いいただきましたけれども、実は私も、日本維新の会の前の党の参議院のときに超党派で、被災の年にこの警戒区域内の借り上げ買い上げ法案というのをつくりまして、関係町村に説明をしたときにはぼろかす言われて門前払いを食らったような役場もありましたけれども、その当時から、地域住民の人たちの一部には、こうした対応も必要だ、帰さない、帰らないと言っている住民に対する対応も必要だと。

 昨日の衆議院の分科会でも議論をさせていただきましたけれども、今ほどの福田委員のは除染の話でやっていましたが、帰れる状況にあっても、きのうもお話しさせていただいたとおり、原発が収束をしない状況で帰るというのもこれはなかなか酷な話でありますし、町が成り立つかどうかということもありますし、これはやはり総合的に判断をしていかなければいけません。

 その中で、今、これは大臣、副大臣においても懸命に対応していただいているところでありますけれども、中間貯蔵の問題というのは大変大きな問題になっています。

 この中間貯蔵をどうするか、どこにつくるか、そうしたことが進まない状況の中で、福島県民、被災者の中で人生選択ができていかない。さらには、今、除染作業が進んでいても仮置き場すらもできない。仮の仮の置き場、一時保管も生じてしまっている。そういう中で、福島県民全体が不安な中で生活をしているというのが現状であることは、御承知のとおりであります。

 この中間貯蔵に関して丁寧な説明が必要であったわけですけれども、井上副大臣も説明に行かれましたけれども、調査の事前調査がちゃんと報告をされていなくて、これが不誠実な対応だということで、福島県も当該町村もこれは遺憾の意を先月は表明されていましたけれども、すべからく事細かにやはり説明をしていかないと、これは大きな不信を招いてしまうところでありますし、なかなか疑念が晴れない中で誠実な対応をとっても、それが住民の満足のいく結果にならないという非常に厳しい背景もあります。

 そこで、しっかり今後、当該町村、県、また地域住民に対する説明のあり方、これはさらに今以上に丁寧にやっていかなければいけないと思います。

 調査の事前調査だったから説明がおくれましたみたいな説明がマスコミ等で井上副大臣の言葉が載っていましたけれども、そういう言葉でもやはり納得いかないと思うんですね。ただ単純に、申しわけなかったとはっきり謝ってしまった方が納得いったんじゃないかなというふうに思いますけれども、そうした点について副大臣、どうですか。

井上副大臣 中間貯蔵の調査の件につきまして、なかなか、何をもって調査の準備段階なのか、何をもって本格調査と言うのかというのがちょっと難しい部分がありまして、そういう定義の問題というのが一つあったと思っております。

 私の方でも、あくまでこれは調査の準備段階だと考えていたという御説明を後からさせていただきましたが、ただ、そうであったとしても、やはり地元に対する説明をすべきであったということもあわせて申し上げさせていただきました。そういう意味では、小熊委員のおっしゃるとおりだと思います。

小熊委員 今後は、細かい点でも、やはりこの中間貯蔵にかかわる、別に現地の立ち入りとかじゃなくても、政府の中で議論したこともしっかりと説明を、情報を提供していくということが、これは一度失われた信頼というか、信頼があったとしても、さまざまな部分でやはり疑念を持っていますから、そういう点にはしっかり丁寧に対応していかなければいけないと思いますので、ぜひ今後その点に配慮をしていただいて、対応をよろしくお願いいたします。

 この中間貯蔵の福島県内の放射性廃棄物といったものが今は膨大な量に上っているということは、過日の予算委員会でも議論をされたところであります。一千五百万から三千万を超えるそうした量をこれは運ぶとなれば、トラックで何万台にもなってしまうということで、現実として、本当にそんな可能なのかなというぐらいの台数を使って運ばなければいけないんですね。

 では、中間貯蔵施設がどこかに設置をされました、そこに運ぶとき、今でもさまざまな震災対応の瓦れき撤去とか、特に、委員長の御地元のいわきなんかはもう本当にトラックの台数が多くて、一般の市民生活にも影響を及ぼしている。まして、道路によっては歩道もないようなところを子供たちが通学をしているとか、子供たちが通っているとか地域住民の方が通っている。そういうインフラ整備といったものもやっていかないと、膨大な数の運搬トラックが、中間貯蔵ができた後には通行するだろうということが想定をされていますね。

 だから、中間貯蔵の施設整備だけではなくて、その周辺環境またはその運搬経路に対しての整備についてはどのようにお考えですか。

井上副大臣 確かに膨大な量に及びますので、そういう意味では、運搬上の安全を確保していくということ、非常に重要な問題だというふうに思っております。

 ただ、中間貯蔵につきましては、ここでようやく調査に入らせていただいたという状況でありますから、この調査の結果を踏まえ、またその具体的な候補地選定の過程の中で、運搬経路がどうあるべきか、そのときにどう安全を確保していくか、これもあわせて考えさせてもらいたいと思っております。

小熊委員 これは参考人でも結構ですけれども、予算委員会の中で中田委員も、あの前の日にちょっといろいろ打ち合わせしていて試算していたんですけれども、およそ二百万台ぐらいトラックが必要じゃないか、福島県内の放射性廃棄物を中間貯蔵に運ぶときに。こういった試算はどうですか、今、役所の方では。

小林政府参考人 今、事前調査をぜひということでやっていきます中で、具体的にどういう場所にどんな形で中間貯蔵施設をつくるかということの具体的なものも地元にお示しをしていかなきゃいけないと思っております。それから、仮置き場も今いろいろな形でできておりますので、もちろん、国がつくっておりますので把握はしておるのでございますが、これをどういう形で把握し、コーディネートしていくかという問題もございます。

 具体的な量につきましては先生おっしゃいましたとおりで、千五百万立米から二千八百万立米という試算をしておりますが、除染が進んでまいりましたので、改めまして、これもちょっと精査をしていく必要があると思っております。

 その中で、除染土壌は、いろいろな技術はございますが、なかなか減容化するのが難しい面がございます。一方で、可燃物も結構あるということもわかってまいりまして、これを、いつ、どの段階で減容化するのか、できるのかという、ここら辺もございます。

 こういうことと、それから運搬につきましては、道路は限られておりますので、多少の充実を図りながら、どういうことができるのかと、ちょっといろいろな要素がございまして、大変大きな課題であるということを認識して、今、調査の中であわせて検討を進めたいと思っているところでございます。

小熊委員 そういう意味では、中間貯蔵ができましたけれども、その運び込みが態勢がとれていないなんというそういった不手際がないように、今、ある程度の推計はできるわけですよね。今言われたとおり、その瓦れきの量もわかっている、では、それをトラック一台で運ぶのはどのぐらいの量か、それを試算すれば何万台必要だ、実際その何万台が福島県にあるのか、なければどうするんだ、それだけの車が行ったり来たりするときに住民生活にどのような影響を及ぼすかというのは、中間貯蔵が完成しなくても、今きちっと推測をしてある程度のこういうことを準備しなきゃいけない、やらなきゃいけないということがわかっているはずだと思いますし、それを推計していくと、実は、その何万台も必要だというのが本当に現実的なのかなというところもあるわけですよ。副大臣、そうでしょう。今ある程度推測できることですよ、この対応については。

 それをやっていくと、実は運び込みまた除染の作業も、きのうも分科会で議論させてもらいましたけれども、森林なんかもやってくれというのが地域住民の願いですから、そこまでやるとなったら、さらに量がふえてきてしまうということですよね。

 そうしていくと、それを本当にやり続けるのに今度は時間がかかり過ぎるということを考えれば、先ほど福田委員のおっしゃったようなことも考えていくということが、また対応の選択肢の一つになってくるということであります。自治体も、被災して二年が過ぎて、地域住民の皆さんの意識も変わってきている。私もさまざまな方々とお話をすると、それは、町村長さんたちと言っている、ちゃんと町を復活するんだという話と、また、いや、もう帰らないよ、新しく人生を始めたいからしっかり決断を施してほしいという声も多数聞きます。

 でも、今の政府においては、徹底的に除染をしてはかっていくんだというその姿勢を崩してはいませんから、そうなったときに、今、この中間貯蔵のあり方一つとっても、本当に現実的ではない部分も、対応がとれないんじゃないかといった疑念も払えないわけですよね。これを一個一個しっかり答えを出していくことが必要なんですけれども、私は、この中間貯蔵に膨大な量を運び込むということが、本当に早期に、早期にですよ、それは何十年もかければできるでしょうけれども、早期に対応ができないんじゃないかなというふうに思っています。

 またさらに質問を進めますけれども、これは予算委員会でも私自身がやらせてもらいましたけれども、この中間貯蔵の設置に関しては、正式にというか、県も当該町村も、これは最終処分場をしっかりつくるという約束がなければつくれないというふうに言っている意見もありますし、政権がかわったって、最終処分場は県外に設置しますということをこれは崩していないんですけれども、やはり私も福島県民として、県外にできたらそれはもうお願いしたいですよ、はっきり言って、できるのであれば。

 では、それをやりますよと言っているんだったら、福島県からも求められているとおり、最終処分場は県外に設置というのを法律でちゃんと明文化すべきなんじゃないんですかね。その点についてはどうですか。

小林政府参考人 御承知のように、中間貯蔵施設自体につきましても、今、具体的な施設の提示に至る前の事前調査をさせていただいて具体的なイメージを示している、こういう段階でございます。

 そういうことで、現在は、中間貯蔵施設についての地元の御理解を得るのに全力を傾注したいというのが気持ちでございます。

小熊委員 だから、その中間貯蔵を早く設置するということは大事なんですけれども、今言ったとおり、福島県内においては、最終処分場がちゃんと決まらないと中間貯蔵が最終処分場になっちゃうんじゃないかという疑念が晴れないわけですよ。政府も、一日でも早く努力しますと言っていれば、そんな言葉なんか何ぼでも言えますから、だったら、ちゃんと法律で明文化してくださいという要請が福島県から政府にされているわけですよ。その法制化に対する対応はどうなるんですかということなんです。

 副大臣、答えますか。

井上副大臣 やはり、まずは中間貯蔵施設をしっかり全力で取り組んでいくということが大切だと思っております。

 他方で、前政権の方針だということもありましたけれども、法制化になじむのかどうかと、そういったこともございます。

 私どもとしては、三月十九日に総理大臣決定で復興再生計画というものを定めまして、その中では、「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる。」ということを盛り込ませていただいたところです。

吉野委員長 小熊議員の質問の中で、中間貯蔵施設はできたわ、では、運ぶトラック、十トン車、ダンプカーでも十立方つかりませんからね。すると、二千万立方にしても二百万台ですから、この辺の総合的な道路整備等々はどうなっているのか答弁がないので、ここについて答弁願いたいと思います。

小林政府参考人 中間貯蔵施設に運び込まなければならない量が膨大でございますので、交通のところが大変大きな課題であるということは重々承知しているところでございます。

 現在は、どういう道路が使えるのか、また、結構震災に遭っている部分もございますので、それが今どういう状況であり、それから、余り時間をかけない中でどのぐらいの充実が図れるかという基礎調査もあわせてさせていただきたいと思っております。

 それをもとにしまして、おっしゃいますように、単純に割っていくと膨大である、これはよく承知をしているところでございますが、すぐはまた難しい面がございますが、減容化をどういうふうにしていくかということも課題でございますので、これらをあわせてぜひ検討させていただきたいと考えているところでございます。

小熊委員 委員長、ありがとうございました。

 一方で、中間貯蔵から今度は最終処分場に移すときも、この道路の問題はまたさらに、そのとき、また中間貯蔵のものが半減期を迎えていて多少減容化できるという事態になっているかもしれませんけれども、そこまで先を考えなきゃいけないんですよ。最終処分場、三十年までにですか、きちっとゴールを決めないと決まらないです。

 ただ、私、福島県でありながら本当に言いにくいですけれども、最終処分場を引き受けてくれる県外の場所なんて本当にあるのかなと、信じられないですよ。だって、仮置き場だって県外でも設置できないところが数多くあったり、また、そういう廃棄物だけじゃなくて、科学的に安全が担保されていても、福島県のものを買ってくれない、旅行にも来ない。

 この間も、衆議院の予算公聴会でいわきの商工会議所の会頭さんが言っていました。あのスパリゾートハワイアンズも人が大分戻ってきました。だけれども、三月十一日以前と決定的に違うのは、子供がもう全然いない。私の会津でも、この間予算委員会でやったとおり、ことしはNHKのあの「八重の桜」で大変多くの観光客に来ていただいていますけれども、修学旅行は半分戻ってきていないです。きのうも分科会で言いましたけれども、井上副大臣の地元の中学生、福島県に修学旅行へ行ったらと言ったら、大変な議論になりますよ。残念ながら、それが今の国民の皆さんの理解の状況ですから。

 そのぐらいでもできないのに、最終処分場、だから仮に西東京に、副大臣の地元に持っていくなんという議論をしたら、大変なことになるでしょう。それは栃木だって茨城だって同じですよ。国有地だといったって、これは今風評被害で福島県も大変な思いをしていますけれども、では、何々県の何々市に最終処分場ができました、全然山奥で安全も管理されていますと言っても、何々市の最終処分場と決定した段階で、何々市のものは売れなくなったり風評被害も出たり、そんな状況になるのが現実だというふうに思いますよ。

 これは、つくる、必ずやりますと言うのは簡単なんですけれども、実際はなかなか難しいと思いますし、だらだらだらだら十年、二十年かけて努力したって、中間貯蔵は福島県に決まりました、でも最終処分場は決まっていないから、三十年で中間貯蔵を見ていますけれども、これが最終処分場になるんじゃないかという疑念が晴れない限り、そこは除染が終わって双葉郡内は住めますから帰ってくださいと言っても、一般の人たちは帰るという意識にならないですよ。それは住民の理解は得られますと言ったって、修学旅行ですら来ないんですよ、大臣の地元の人たちだって副大臣の人たちだって。そんな状況で、精神論だけでつくりますと言っても、だからそれは、我々は信じ切れないんですよ。

 これは、本当に住民の人たちの人生選択を考えれば、十年後、二十年後に百点をとる政策をやったってだめなんですよ。ここ数年で福島県内はこうなります、処分場はこうなります、だからあなたはどこに住みますか、新しい地でやり直しますか、それでも帰りますかと。本当に宙ぶらりんの状況です。

 本当の復興というのは、その一人一人が自立していかなきゃいけない、自分で働いて自分の家族を守る、地域を守る、これが本当のあり方ですよ。補償金で食っていくのは福島県民の本意じゃないです。それを考えたら、しっかりと人生選択をするためには、その判断材料が必要です。

 そういう意味では、最終処分場がいつ、どこに、どう決まるのか。決められなかったら、これは今タブー視されていますけれども、それまで含めて議論していかなきゃいけないと思っています。中間貯蔵が残念ながら最終処分場になります、そのかわり補償をしっかりしますといったことも含めて、これは厳しいことです、だけれども、一人一人の人生を考えれば、それをもって判断ができる、そうしたことが実は誠実な対応。つくります、やります、それでできない、それは大変に不誠実なことだというふうに思いますよ。

 この時間軸をしっかり考えなきゃいけませんし、先日の衆議院の予算公聴会でいわき市長が言っていました。おおむね、あの三宅島の噴火で避難されていた五年、これがマックスじゃないかと。最大限、震災から五年以内に全てのものが判断できる状況をつくらなければ、自立しないでいつまでも仮設で、働いていいのかどこに住んだらいいのかわからない状況が続く。これは、町を壊すということよりも、もともとしっかりと自分で暮らしをやっていった人の心、自立する心、それを壊しているということになるんですよ。一生懸命対応すると言って決めていないということは、その自立心を奪っていく、そういうことに今はなっているんです。

 そうしたことを考えて、もう二年、三年のうちに決定をするということを言っていかなければ、いつまでもどうしたらいいのかわからないというのが福島県民の状況です。この時間軸というものをしっかり意識していただきたいというふうに私は思います。

 その点について副大臣、最後にお願いします。

井上副大臣 この中間貯蔵、そしてまた最終処分についても、本当に困難な課題だということを我々も重々認識をしているつもりです。

 そういう意味では、まず、目の前の喫緊な課題であるこの中間貯蔵を何としてもちゃんとスケジュールどおり整備をさせてもらいたいと思っております。これは二十七年度から搬入開始というスケジュールは、もう我々の方で前政権時代から決めておりますので、まずはそこに全力を尽くしていくということに尽きると考えております。

小熊委員 先ほど言ったように、中間貯蔵と最終処分というのはほぼイコールで対応していかなければ福島県民の皆さんは納得いかないという点はしっかり受けとめていただいて、今後対応をとっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 私は、きょうは、循環型社会推進基本法に基づいて行われている容器包装リサイクル、プラスチックのリサイクルの問題について質問をさせていただきたい、このように思います。

 この容器包装リサイクルは、循環型社会を形成していく上で大きな一つの柱でございます。リサイクル法がありますけれども、その中の一つの大きな柱でございます。

 このプラスチック容器包装リサイクルの方法として三つある。材料リサイクル、ケミカルリサイクル、それからサーマルリサイクルと言われております。

 材料リサイクルというのは、地球が何億年もかかってつくり上げた高分子、その高分子の分子の形を壊さないで、材料としてリサイクルする。それからケミカルリサイクルは、CとH、炭素と水素の非常に密度の高い集合体ですから、非常にいい還元剤ということで、製鉄等で還元剤として使われる、これがケミカルリサイクル。それからサーマルリサイクルというのは、その名のごとく、燃やして熱として使う。ですから、ケミカルとサーマルは、リサイクルというよりもリカバリーというふうに言われていることもございますが、この三つの方法があるというわけです。

 この議論を進めていく上において、まず大臣に、材料、ケミカル、そしてサーマル、この三つの方法についての環境大臣としての基本的な認識を最初に確認したいと思います。

石原国務大臣 環境の専門家であられる斉藤委員からの御質問でございます。

 リサイクルについては、私、実は小泉内閣の前のときに二年半ほど環境委員会の筆頭理事をやっておりまして、ペットボトルのリサイクルを、いろいろドイツ等々にも見に行ってまいりました。そのとき考えたものと今行われているものはまた大分違うんですけれども、私は、ペットボトルをもうそのまま三回ぐらい使えばいいんじゃないかという論者だったのですが、これはメーカーに言ったら総スカンを食らいまして、今みたいなことになっております。

 それとは別にそのプラスチックの容器の包装、これも昔はそのまま捨てていましたけれども、今はちゃんと切ったり、全部分別するようになった。今御質問を聞かせていただいて、これは一体いつからやっているかなとふと思い出したところでもございます。

 そんな中で、委員が御指摘されましたように、やはり基本は、リサイクルできるものはできる限りリサイクル、だめなものは燃やす。まあ、燃やす方がサーマルリカバリーなんだと思いますけれども。

 では、リサイクルする方はどうかということについて基本的な考えをということでございますが、材料リサイクルとケミカルリサイクルがどういうものであるかという御説明をいただきましたのでこれは省略いたしますが、環境省の立場としては、両方ともしっかりと推進していかなければならない。それは用途が違うわけでございますので、それぞれ推進させていただきたいという考えでございます。

斉藤(鉄)委員 私個人の考え方は、ケミカルリサイクルも非常に有効な使い方なんですが、CとHの塊である高分子をばらばらに結局は壊してしまうわけです。

 この高分子というのはどうやってでき上がったかというと、恐竜時代が主ですけれども、二億年前から何億年間とかけて、動物の死骸がもともとですが、地球の長い時間と圧力と温度、そういうものでああいう高分子ができ上がった。

 今、その高分子を我々は使って、そこからいろいろなプラスチック等、高分子材料をつくり上げているわけですが、基本的に、地球が長年かけてつくり上げてきたこの高分子を、壊さないでできるだけリユースして使っていくというのが本来の循環型社会の考え方なのではないかと。

 先ほど大臣、ケミカルも材料も両方大事だとこのようにおっしゃったわけですが、どちらかというと材料リサイクルの方に力を入れるべきだと私は個人的には思っておりますが、環境省の環境大臣として、その点をどう考えられますでしょうか。

石原国務大臣 斉藤委員の分子構造論から入られたこの御質問、そのような観点からいえば、当然、物を壊さないでリユースするという観点に立てば、もう委員の御指摘のとおりだと思います。

斉藤(鉄)委員 では、大体方向性が一緒になったというふうに理解をさせていただきたい、このように思います。

 しかし、ケミカルリサイクルも大変有用な使い方ということで、これまで、中央環境審議会それから経産省の方の産業構造審議会、産構審、これらの議論、また合同の審査で、材料リサイクルにこれぐらい使おう、ケミカルリサイクルにこれだけ使おうというような比率が決められてきたわけでございます。

 なぜそういうところで比率を決めなきゃいけないかというと、やはりケミカルリサイクルの方が、出す方も大企業ですし、受け取って使う方も製鉄会社ですから、高炉メーカーですから、大企業ということで、システムとしてコストが安いということ。一方、材料リサイクルの方は、いわゆる一般廃棄物としての収集と、そして、材料としてこれを再利用するということですから、手間がかかって、コストがケミカルリサイクルよりも少し高くつく。何倍も高いというわけではなくて、二、三割の差でございますけれども。こういうことがあって、ややもするとケミカルリサイクルの方に流れてしまう。そういう中にあって、材料リサイクルも、先ほど申し上げたような理念のもとでしっかり推進していかなきゃいけない。こういうことで、中環審、産構審の中で決められてきた。

 つまり、この比率は環境政策、産業政策の一環である、こういうふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

秋野大臣政務官 平成十二年に容器包装リサイクル法の完全施行以来、プラスチック容器包装を再商品化するあり方というのは非常に大きな論点となっておりまして、現在のプラスチック製容器包装の再商品化手法それから入札制度につきましても、中央環境審議会、産業構造審議会の合同審議会におきまして平成十九年二月から三年八カ月かけて取りまとめられて、現在の形になっているものと承知をしてございます。

 その検討に当たっては、環境負荷の低減と資源の有効利用、経済コスト、再生利用に協力する市民に対するわかりやすさ等の多角的な検討がなされまして、これを踏まえ、容器包装リサイクル法上のリサイクル手法に関する比率につきましては、委員御指摘のとおり、環境政策、産業政策上の観点から決定したものであると私どもも認識をしてございます。

 今後開催される容器包装リサイクル法の見直しに関する審議会におきましても、改めて、環境面、それから産業面も含めた多様な議論が行われることが重要であると考えてございます。

斉藤(鉄)委員 つまり、環境政策、産業政策の観点から、長い議論の末にこの比率が決められて、今それが実行されているということだと思います。

 これに対して、今回、三月八日に政府の規制改革会議が、今後の規制改革の検討項目ということで発表がございました。その中に、エネルギー・環境ワーキング・グループの挙げている項目に「プラスチック製容器包装のリサイクル入札制度の適正化」というものがあるわけでございまして、これには二重丸がしてありまして、二重丸は、優先的に検討すべき事項というふうにございます。

 しかしながら、この規制改革会議及びそのワーキング・グループのメンバーを見ておりますと、製鉄会社の方、そして、そのプラスチック製品を出すメーカーの方が入っていらっしゃって、多分、安い方を推進することが規制改革なんだ、このような論点からの今回のテーマの取り上げではないか、このように思っております。

 これまで長年積み重ねてきたこういう議論とは別に、一方の側にいる人たちだけで、また、規制改革という観点だけでこれを議論するというのは、これまで容器包装リサイクルを議論し法体系をつくり、循環型社会を目指していこうと考えてきた我々にとっては大変大きな不安があるわけですが、この点について、規制改革会議はどのような観点でこの議論をしようとしているのかということをお伺いします。

山際大臣政務官 委員御指摘のとおり、循環型社会を実現していこうというコンセプトと経済合理性、このバランスはとっていかなくてはいけないというのは政府全体としてこれは決まっているコンセプトでございますので、そこから外れた議論をするということはまずないと思うんです。

 しかし、御案内のとおり、規制改革会議というものは、今まで行ってきたものの中で、何か効率のよいものに変えられないか、あるいは、もっと経済成長に資するようなものに変えられないかということを、タブーなく、いろいろなものを全部見ていこうじゃないかということで行われている会議でございまして、そういう意味で、今議題に上がっているような点も議題として上げられているというふうに承知しております。

 当然ながら、各委員の出身元がどういうところから出てきているかということだけで、バイアスがかかった偏った議論になるというふうには承知してございませんけれども、もちろん、バランスのとれたものになるように、最終的には政治としてもきちんとそこは見ていく、このような形で進めていきたいと思ってございます。

斉藤(鉄)委員 規制改革について議論をする、ゼロベースで見直して議論をするということ自体は必要なことだと思いますが、これまで議論が積み重ねられてきたいろいろな観点からの環境政策という側面もあります。どうか、この点を十分考慮した議論であっていただきたい。

 それからもう一点、もう一つの私の気持ちを申し上げれば、今回、ケミカルリサイクルを進めようとおっしゃっている方々というのは、高炉を持っている大企業、売ろうとしている人たちもこれもまた全国的に有名な大企業、しかし、材料リサイクルというのは、地域に根を張って、地域の環境保全のために本当に頑張っていらっしゃる中小企業群でございます。地域の雇用という面からも非常に大きな貢献をしている。しかし、大企業から見れば本当に小さな企業群で、そういう地域への貢献だとか雇用という点も非常に大きな観点として考えてほしいということを申し上げたいと思います。

山際大臣政務官 バランスのとれたというのは、今委員が御指摘になられた点も踏まえてということでございまして、経済合理性からだけで結論を出すということはいたさないような形でやってまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 どうかよろしくお願いいたします。

 次に、小型家電リサイクル法の現状につきまして質問させていただきます。

 この四月一日から施行されました。この施行がスタートしたわけですけれども、自治体にアンケートをした結果が出ておりまして、この小型家電リサイクル法に参加を前向きに検討している自治体は三割しかなかったというアンケート結果が、これは環境省のアンケートですけれども、これは我々が法律をつくったときに期待していたよりも非常に低いという思いがあるんですが、その要因はどこにあるとこのようにお思いでしょうか。

梶原政府参考人 今先生御指摘のアンケート調査、昨年の十一月に行ったものでございます。

 その結果によりますと、小型家電リサイクル制度ができたらば、それに参加を考えているという意向を示していただいた市町村が五百七十五、これは、市町村数にすれば三三・八%、人口カバー率にすれば四四・四%というものでございます。

 ちなみに、この数字自体は、容器リサイクル法に基づくペットボトルの分別回収のときの参加意思が三割程度であったということでありますと、同程度なのかなと思ってございます。

 本調査がなぜこう低いのかという御指摘でございます。

 まず第一点目は、昨年十一月ということで、制度の詳細な内容が決定される前のものであったということでございます。それと、そのときに何が心配でございましょうかということもあわせてお聞きしております。

 その際には、例えば、廃棄物の収集、運搬を一部事務組合という形で広域的にやっておられるところについては、その意思決定のための調整が必要である、あるいは体制的に十分な人手がとれるだろうか、あるいは財政的な負担はどうなんだろうといったようなものがメーンでございます。

 私どもといたしましては、そういうことも踏まえまして、例えば、小型家電を集める際の初期投資につきまして支援をさせていただきたいということで補正予算をいただき、さらには、二十五年度予算にも予算要求をさせていただいております。

 また、全国で自治体の方々に御説明会をさせていただく、あるいは、実際に業者さんに回収されたものを資源化をしていただくことになるわけでございますが、そういったような方々とのマッチングとか、そういうこともやらせていただいている次第でございます。

斉藤(鉄)委員 これは都市鉱山とも呼ばれておりまして、これから、資源に乏しい我が国の一大資源でございます。そこからの回収率を高めるということは、日本の経済の活性化にとっても非常に重要だと思います。

 附帯決議でその一番最初に、我々衆議院の環境委員会での附帯決議ですけれども、「国民からの使用済小型電子機器等の収集に当たっては、現状において市町村の回収がその大半を占めることから、市町村が主体となった回収体制の構築のため、国は必要な支援を行うこと。」このように我々全会一致で議決をしたわけでございまして、しかしながら、参加しようという市町村が三割しかいないというのは、ある意味では非常にショッキングだったわけです。

 これは、ここに書いてある「必要な支援」ということが少し足らないのではないかとも思うわけですが、今、梶原さんの答弁にありました、そういう努力を重ねていただいて、この都市鉱山が成功するように頑張っていただきたい、このように思います。

 質問を終わります。

吉野委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。

 質問の順番が相前後いたしますが、重要な御意向を伺いたいということで、委員長にも聞いていただきたいので、ちょっと順序を変えます。

 大臣にお伺いしたいんですが、五月に日中韓の環境大臣会合が北九州で開かれるという報道を知りまして、それの議長をお務めになられるということであります。

 それで、先ほどの答弁の中でも、小泉内閣の環境委員会の筆頭理事を務めておられましたし、また、我が国の重要閣僚の今は一つを占められていますし、将来日本をしょって立たれる石原大臣におかれまして、この日中韓の環境大臣の会合への環境行政としての思いと、あるいは、最近、日中関係が尖閣の問題を含めて大変冷え込んだ状態になっておりますけれども、友好的な側面、あるいはある意味で厳しく当たらなければならない側面もあると思いますが、久々に中国の閣僚が日本に来るという日程が視野に入っているという中での思いをお聞かせ賜れればと思います。

 以上です。

石原国務大臣 杉本委員が今御指摘されましたとおり、昨年秋の日中関係の関係悪化以来、日中韓の三カ国の大臣会合は開かれておりませんし、当然、安倍政権になりましてもまだ開かれておりません。

 そんな中で、この日中韓の枠組み、北東アジアの安定とそして経済発展に一国でも欠けることのできない重要な三カ国関係の中で、この環境問題というのは、特に、具体的な協力によって利益をこうむるのは三カ国全ての国民であります。そういうことであるならば、この環境分野での貢献、友好に大変資するものではないか、こんな思いでおります。

 そして、まだ決定しておりません。調整中であります。それは、さまざまな国の国内事情というものもあると思いますが、冒頭申しましたように、この環境問題というのは、中国、韓国、日本国の国民の相互の利益に資するテーマでございますので、三カ国の大臣会合が北九州で開催されるということを切に熱望しているところでございます。

杉本委員 まだ予定という段階での御答弁をいただきましたが、本当にありがとうございます。期待申し上げます。

 次に、これも質問の通告をしていないんですけれども、ちょっと感想めいたことを言わせていただければ、篠原筆頭理事は緑の羽根をしておられますし、大臣も副大臣もされておられます。

 赤い羽根の共同募金に御協力をお願いしますという言葉は、非常に耳に残って印象に残っておるんですが、この緑の羽根は、春と秋に、国土緑化ということで、私自身もしていなくてお恥ずかしい限りでございますが、いま一つ国民の皆様に浸透しているのかなと。遡ると、相当古くからこの活動はされているようでございます。

 これは御答弁は結構なんですが、政府サイドとして、やはり赤い羽根の共同募金に御協力をというレベルに達するぐらいまで、この緑の羽根のことについても、大臣、副大臣初め、我々自身ももっと広めていくという努力が必要かなということを、皆様が胸にされているので感じた次第であります。

 次に、自然といわゆる防災、減災との接点みたいなところを何とか探れないかなということで、ちょっとあえて質問をさせていただきます。

 実は、昨年の七月三十日に私の地元の木曽川の流域で、私の地元のお子様方、具体的には選挙区ではないんですけれども、お子様方が三人、とうとい命を溺れてなくされるということが起きました。非常に浅瀬で、夏場で遊びに行くというような場所というのはなかなか木曽川では少ないんです。本当の地元の人たちは危険だということを知っていてその場には踏み入らないんですけれども、ちょっと下流の方のお子さんたちが、若干上流に上がって、橋のたもとで川の中を歩いていった中で深みにはまって亡くなったという事案がございました。

 この前後に、私、とにかく現場が全てだという思いの中で、地元の漁協の方々とお会いして話す機会がありました。いわゆる川の漁協なので、アユをとられていたりとかあるいはシジミとかという漁をされるんですけれども、そういった方々が言うには、実はもうちょっと上流に、ダムというのは何メーターというルールがありますが、それの大きさに匹敵するか、それより小さいかもしれないんですが、いわゆるせきとめられているコンクリートの部分があって、あそこに実は深みができて、その下流域も、自然に川の底を石が転がっていく形で川の底を形成して安定的に深さができるというような川底の形になっていなくて、ところどころに深みができるというようなことになる中で非常に危険なところが発生し、また一方で、アユがとれなくなってしまったというようなことを直接聞かせていただくことがありました。

 その一方で、BSなんかを見ますと、四万十川の方では高知県で四万十川条例があって、あるいは、つい最近見たBSの番組ですと、お恥ずかしいですが、私の東海エリアの中では三重県の南の方の宮川という、伊勢神宮の外宮の遷宮に当たって木を流したりする川がありますが、このどちらの川も非常に水がきれいで、日本の一、二を争う川のきれいさを誇り、そして川底も非常に浅くて、川の大きさだったり流域の問題が非常に大きいとは思いますが、宮川という三重県の方については、ダムが上流の方に一つ大きいのがあります。それから四万十川は、私が確認した限りは、本流にはダムがなくて、支流にダムがあるというような構成になっています。

 石原大臣は国土交通大臣もされていて、それで環境大臣もということで、まさしく両方の難しさを御存じだと思いますけれども、御答弁はどなたからでも結構なんですが、こういった自然環境を生かす中での川底のあり方、あるいは、それによるところのいわゆる淡水での漁業のあり方みたいなことを含めて、コンクリートから人へという議論がなくなっていく中で、できる限りやはりこれをきちっと考えていくことが、緑の羽根ではありませんが、日本の緑の大切さを守っていく源泉ではないかと思うんです。

 ちょっと感想で結構なんですが、大臣か副大臣から、ダム行政と自然との共生みたいなところで御回答いただければと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 四万十川といった非常に美しい川、そういったものの自然を保護し河川環境を整備するというふうなことは、非常に大事なことだというふうに思っております。

 平成九年に河川法の改正を行いまして、河川法の目的の中に「河川環境の整備と保全」というふうなものを、大きな目的の一つに入れております。

 そういったことを踏まえまして、全国の一級河川では、それぞれの河川や地域の特性を勘案して、また、流域と連携を図りながら、河川法の目的にのっとって、洪水などによる被害の防止、軽減、これもまた重要でございます。こういったことと適正な水利用、こういったことと調和をとりながら、河川の有する良好な河川環境や景観の保全、水辺空間の利用、こういったことに配慮した河川整備というふうなことを進めてまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

杉本委員 もし大臣からも御答弁いただければありがたいです。

石原国務大臣 今国交省からも御答弁ありましたけれども、これは、県の条例で流域の振興と自然環境の保全、自然環境が保全されることによってかなり多くの観光客の方もいらっしゃっている。私もあの四万十川を訪ねたことがありますけれども、本当に水が透明で、暴れているときに行っておりませんので、落ちついた川であるという印象を持っております。

 これからも、環境省としても、こういうものはしっかりとサポートできるところはサポートしていきたいと考えております。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 次に、今度は除染の問題で、決して敵対的に質問をするわけではなくて、多分、井上副大臣は相当苦労されているだろうなという感じを持っております。

 それで、私も被災の福島の首長さんをお訪ねしていろいろ御意見を拝聴すると、中間貯蔵の問題でも、事前調査を受け入れるといった言葉だけがマスコミを通じて走って、それでもう中間貯蔵を完全に受け入れるんだというような話に進んでいってしまうというようなこととかがある中で、私が率直に感じるところは、お一人お一人のその思いというのは、先ほども福田代議士や小熊代議士が質問されたところを通じて皆さんも感じるところがあると思いますが、それぞれ相当な思いの中で今避難をされているという状況で、とにかくまとまって一網打尽で答えを求めていくというのはなかなか難しくて、むしろお一人お一人のお気持ちというか、心の機微にきちっと向かい合いながら御説明をさせていただく中で最終的な理解が得られるのかなというふうに、私は勝手ながら思わせていただいているんです。

 中間貯蔵施設の現地調査並びに最終受け入れ、そういったことについて、ある意味で御苦労話というか、なかなか言いにくいと思うんですけれども、現状、どんなことで難しい点があるか、あるいは今後の方向感みたいなところを、タイムテーブルがどうのというよりは、むしろお立場は難しいということを拝察した上で、現状の難しさみたいなところを教えていただければと思います。

井上副大臣 杉本委員おっしゃるとおり、まずは、被災者の方々もそれぞれ本当に多様な御意見があるということだと思っております。ですから、こちらの方の御意見に従えば、こちらの方の御意見には反することになってしまう。

 しかし、そうした中で、国が責任を持ってこの中間貯蔵施設の整備をやっていかなければいけないということ、それからまた、除染などをした汚染土壌などが仮置きになっていて、その保管状況が逼迫をしておりますから、一日も早い中間貯蔵施設の整備をしなければいけないということです。

 そういう状況にあるからこそ、いろいろな方々の御意見というものを丁寧に賜りながら、そういういわばしかるべき手順をしっかり踏んで、かつ、急いでやっていく。そして、最終的にはやはり国が決断をしていかなければいけない。これがこの問題についての非常に難しいところだというふうに思っております。

 そういう意味では、いわば迷惑施設ということで、誰もが自分の近くには整備をしてほしくないというのが本音だと思っておりますけれども、そうした中で、御理解をいただく努力というものを引き続き重ねてまいりたいと思います。

杉本委員 どうも御答弁ありがとうございます。大変御苦労があると思いますが、ぜひとも、丁寧にお一人お一人に当たるというような思いで理解を進めていただきたいと思っております。

 それで、ちょっとこれも通告していないんですが、あえて私の方から一方的にお話をしますと、中通りから浜通りに出る国道を通じて、特に、飯舘村あたりを通ると途中に池だとか小高い山だとかがあって、恐らく除染は実質的に不可能だなというようなところとか、あるいは、どうしても後回しにせざるを得ないだろうなというところがありますので、今の質疑の中で、ずっと二十四年、二十五年が集中除染期間という中で、この夏に一つの現状の状況、あるいは見直しという言葉になるかどうかわかりませんが、モデル事業を通じてのそういった点検がなされると伺っておりますので、そういった、全体として難しいところは難しくあるということもお伝えいただければと思っています。

 それと、ちょっとこれは正しい情報かどうかわかりませんが、いっときヒマワリが云々という話がありましたけれども、最近私が聞いてきた話ですと、いわゆるサトウキビの一種なのか、ソルゴーというものがあって、これがバイオエタノールのいわゆる燃料にも転化し得るというようなことを研究されている方がいて、かなりのセシウムを吸収する能力を持つというような話があります。副大臣、大臣、多分御存じだと思います。

 こういった分野で可能かどうかはまたいろいろな検証が必要かと思いますが、ソルゴー等を地域に植えることによってむしろ除染を、実質的に土壌をすくう、取っていくというようなことではなくて、別の展開も、中間検証になられるかどうかわかりませんが、そういったことも考え合わせていただければと思っております。

 それでは、最後の質問になると思いますが、スリーRというのか三Rというのか、マイスター制度的なものがございます。私、それも最近知ってお恥ずかしい限りでございますが、どうも地域の奥様方とかお母様方とかあるいは引退された先輩方などと接していると、やはり、ごみの問題についてはかなり思いが強い方が多いと思っています。

 地元の市民活動の方々の集会なんかに出ても、リサイクルであったりあるいはごみ問題等についての見識というのはかなりあると思いますので、マイスター制度、これをもっと広めていただいて、私マイスターになったのよみたいな話で奥様が自信満々に地元で活動できるような、こういったマイスター制度をもっと開示、拡充する必要があると思いますけれども、現状と今後の展望といったことで御回答いただければと思います。

梶原政府参考人 スリーRマイスター制度、これは略称でございまして、正式には容器包装廃棄物排出抑制推進員という、漢字がいっぱい続く難しい名前でございます。いわゆる容器包装リサイクル法に基づきまして、容器包装廃棄物の排出を抑制するための活動の推進に熱意と識見を持っておられる方々から環境大臣が委嘱をするというものでございます。

 現実の問題としましては、地方公共団体あるいは環境省の地方環境事務所が推薦をした方から委嘱をさせていただいていて、現在、百四名の方になっていただいているところでございます。この百四名の方々は、実際、いろいろな方々の求めに応じて、例えばシンポジウムで御発言していただくとか、あるいは地元のイベントで説明をしていただくとかという形で活動していただいてございます。

 先生おっしゃられるとおり、ごみの問題は、市民一人一人の好意といいますか、努力によって支えられている分野でございます。この分野におきましても、ぜひこういう取り組みを広めていって、国民の皆様方の理解を深めてまいりたい。

 そのためにも、私どもはマイスター制度をどんどん紹介するとともに、マイスターになられた方々の知識をリフレッシュしていただくといったような機会を設けながら、さらには、マスコミも使いながら広報もいたしまして進めてまいりたい、かように考えてございます。

杉本委員 残余の質問もありますが、次回にということで、時間となりました。終了いたします。

 どうもありがとうございました。

北川委員長代理 次回は、来る十九日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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