衆議院

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第14号 平成25年6月4日(火曜日)

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平成二十五年六月四日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 北川 知克君 理事 土屋 品子君

   理事 冨岡  勉君 理事 篠原  孝君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      川田  隆君    熊田 裕通君

      小林 史明君    齋藤  健君

      助田 重義君    藤原  崇君

      務台 俊介君    生方 幸夫君

      三日月大造君    吉田  泉君

      小沢 鋭仁君    阪口 直人君

      田沼 隆志君    江田 康幸君

      杉本かずみ君    中島 克仁君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        田中 和徳君

   環境大臣政務官      齋藤  健君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 黒田武一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           平山 佳伸君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  須藤 徳之君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  香川 謙二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 星野 一昭君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月四日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     務台 俊介君

  井林 辰憲君     川田  隆君

  大久保三代君     熊田 裕通君

  生方 幸夫君     三日月大造君

  小沢 鋭仁君     田沼 隆志君

同日

 辞任         補欠選任

  川田  隆君     井林 辰憲君

  熊田 裕通君     大久保三代君

  務台 俊介君     穴見 陽一君

  三日月大造君     生方 幸夫君

  田沼 隆志君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)

 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案及び特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官黒田武一郎君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省大臣官房審議官平山佳伸君、水産庁資源管理部長須藤徳之君、水産庁増殖推進部長香川謙二君、環境省大臣官房審議官星野一昭君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川知克君。

北川委員 おはようございます。自民党の北川知克でございます。

 六月に入りまして全国各地で環境関連の行事が行われておりますが、その中で、きょうは自然に関する二法案について、自民党を代表して質問させていただく機会をいただきました。皆さんに感謝をすると同時に、石原大臣初め政府の関係者の皆様方にもよろしくお願いを申し上げる次第であります。

 さて、今回の野生生物に関連する二法案でありますが、我が国における絶滅危惧種や生態系の保全が今後一層促進され、地球規模の生物多様性の保全に対しても日本として責任を果たしていく点についても、非常に重要な改正であると思っております。

 また、自然環境でありますが、人為的と言われている気候変動、温暖化、さまざまな課題が山積をしております。地球という生命体の上で生きる我々人間、またあらゆる動植物、こういうものに対して、それぞれが理解をしていくことが必要であると思っておりますし、そういう点においては、知恵といいますか意思も持つ我々人類、人の役割の重要性と同時に責任の重さも感じるところであります。

 ただ、だからといって、私は、過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉がありますが、何でもかんでも人類といいますか人間が関与していっていいものかどうか、こういう点もあると思います。

 そういう中で、自然に対する、我々日本国民だけではなくて、人類が責任を果たす一つの大きなテーマがこの二つの法案であるという思いであります。そういう認識の中からも質問を進めていきたいと思っております。

 まず、これは参議院先議ということで、先般、参議院で審議をされました。その中で、水産庁と環境庁がこれまで合意をされてこられた、平成四年の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案に関する覚書というものがあります。参議院での審議でも、この覚書が指定の障害になっているのではないかという指摘もありまして、当時の環境庁であります環境省の方は、もうこの指定というものは取り除かれているという確認をされたと思うんです。

 水産庁にもきょうは来ていただいておりまして、あれは環境庁と水産庁との覚書でありますので、水産庁としての立場からもこの確認をしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

香川政府参考人 過去におきましては、法律の制定時に省庁間で覚書を交わす慣習がございましたが、私どもとしては、こうした覚書に法的拘束力はないものというふうに認識をいたしております。

 国内希少野生生物種の指定につきましては、十分な科学的情報に基づきまして、個々の種の状況に応じて関係省庁間で個別に協議され、判断されるものというふうに認識をしております。

 水産庁といたしましては、持続的に利用すべき漁業対象種につきましては、捕獲や販売が原則禁止される国内希少野生生物種に指定されることのないよう、しっかりと資源の保存管理に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

北川委員 ありがとうございます。

 一部の方々から、これがあるから水産関係といいますかそれに関しての指定がおくれているという指摘もありましたので、まずこの点を確認させていただいた次第であります。

 それでは続きまして、国内希少野生動植物種の指定についてであります。

 環境省として、二〇二〇年までに新たに三百種、国内希少野生動植物種に指定する意向と伺っております。このような目標が示されたことは大変いいことだと思っておりますが、三百種追加されたからといって、それで十分という話ではないと考えております。

 環境省のレッドリストには、最も絶滅のおそれの高い1A類に六百九十三種が選定されているわけであります。これらは全て国内希少野生動植物種に指定すべきではないかと思うんですが、この点についていかがでしょうか。

伊藤政府参考人 環境省が作成しておりますレッドリストは、全国を対象に、専門家が科学的情報をもとに、絶滅のおそれのある種とその絶滅のおそれのある度合いを大まかに把握し取りまとめたものであり、普及啓発や野生生物保全のための基礎資料として活用されております。

 一方、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種は、レッドリスト掲載種のうち捕獲等の規制を講じなければ保全が図られないものについて、詳細な追加調査を行った上で指定しているものでございます。

 1A類につきましては、絶滅危惧種の中で最も絶滅の危険性が高いランクでございますので、当然、種の指定の検討対象としてまいりたいというふうに思っておりますが、レッドリストの見直しにより指定がえがあるといった変化もございますことから、一概に、現在の1A類だからといって全てを指定するということまでは言えないというふうに考えております。

 しかし、二〇二〇年以降も、科学的知見を踏まえながら、二〇三〇年までにさらに三百種を追加する、こういったことを目指して必要な指定を進めてまいりたいというふうに考えております。

北川委員 ありがとうございます。今後、しっかりとした対応をお願いしておきたいと思います。

 続きまして、今回の改正法案では、国際希少野生動植物種の登録制度について、幾つかの改正が提案をされております。このうち、生きている個体から剥製に加工した場合など個体の性状が大きく変化した場合に、取引に当たって変更登録が必要になる制度としたことは、登録票と個体などが一対一対、対応の確保に向けた改善点であると理解をいたしております。

 しかしながら、登録票につきましては、生きた個体が死んでしまっても適切に返納されず、違法に輸入された別の個体に流用される可能性があるという問題があると思います。

 所有者に登録票の返納を義務づけるだけではなくて、生きている個体については、それぞれ種の寿命を勘案して登録票に期限を設けるべきではないかと考えておりますが、この点について、環境省はどのようにお考えでありましょうか。

伊藤政府参考人 登録票に期限を設けることにつきましては、ワシントン条約の趣旨に照らして、生きた個体とそれ以外とで差異を設けることが妥当なのかどうかなど、十分な検討が必要と認識しておりますが、御指摘の登録票の流用を防止するといったことも極めて重要なことであると認識しております。

 したがいまして、御提案の手法が可能かを初めとして、適切な登録制度をしっかり今後も検討してまいりたいというふうに考えております。

北川委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 本来であれば、登録票の不適切な利用に対しては、個体を個別に識別する措置をとることが最も有効と考えております。

 例えば、動物の保護の中でもマイクロチップの話がよく出てまいります。マイクロチップを使用できる種については、その装着を義務づけて、個体識別を徹底すべきではないかと考えておるのでありますが、環境省の見解をお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 マイクロチップの装着を義務づけることにつきましても、生きている個体とそれ以外とで差異を設けることが妥当か、また、生きている個体でも、技術的に装着が困難な種と差異を設けられるかといった点などについて十分な検討が必要であるとは考えておりますが、流通管理に当たって個体識別が非常に有効な手段であるということは、我々も十分認識しております。

 したがいまして、御指摘の趣旨も踏まえまして、マイクロチップ等の個体識別措置についてはしっかりと検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

北川委員 そのマイクロチップについてでありますが、具体的に実際に使われているところというので、海外から輸入されているアジアアロワナの多くにはマイクロチップが装着されていると聞き及んでおります。

 アロワナの生産国というのはちょっと表現に語弊があるかもわかりませんが、アロワナを有しておられて、それを輸出される、こういう国々においてどのような事情でマイクロチップの装着が実施されているのか、その理由をお伺いしたい。

 同時に、そのような既存のものを国内で流通管理に今後活用することは考えられるのかどうか、この点について、環境省の御意向をお願いします。

伊藤政府参考人 ワシントン条約事務局では、アロワナにつきまして、個体を商業的に生産している施設からの出荷に当たりましてマイクロチップを装着することを奨励している、こういうことでございます。このため、輸出国では生産事業者にマイクロチップの装着を指導している、こういうふうに聞いております。

 ただし、現状では、輸出国政府からの輸出に当たって、つけてはいるんですけれども、個体ごとの番号管理は行われていないということで、我が国への情報提供もなされていない、この個体はどういうふうなものが入っているかといったことの情報提供も今はなされていないということでございます。

 このため、輸出国の状況、輸出国内でどのような管理をしているのかということも含めまして、よく情報を収集し、さらに、輸出国政府ともよく意見交換をしながら、国内の流通管理にこのような既存の取り組みをどのように活用できるのか、こういったことについて検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

北川委員 今の答えでうかがい知るのは、現状として、登録票の期限制、またマイクロチップの導入をすぐに行える状況ではないということだと思いますが、制度として導入する際には、やはり実際に管理運用が可能でなくてはならないと思いますし、それが大前提であろうと思います。

 その中で、三年後の見直し規定も盛り込まれているわけでありますから、今後しっかり検討を進めていただきたいと思います。海外からこのようにマイクロチップが、当該国の事情もあるんでしょうけれども、その点もきちっと精査をして、今後、この導入に当たってしっかりと検討をしていっていただきたいなという思いでありますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは次に、もう一方の法案であります。

 種の保存法と同時に外来生物種の問題がありますが、希少野生動植物の交雑個体が問題になっております。種の保存法では規制の対象となっていないところでありますが、規制対象の個体であるのに、交雑個体であると偽って法規制から逃れようとする事案もあると聞いております。

 このような問題にどのように対応し、また今後対応していこうと考えているのか。今回、法改正の中で随分罰則、罰金等も引き上げられているわけでありますが、この点について、環境省の御意向というか意見をお伺いできればと思います。

伊藤政府参考人 先般、種の保存法の規制対象でありますシャムワニの剥製、これが違法に譲り渡しをされたということで検挙された事例がございます。

 この事例におきまして、裁判におきまして被告側が、その個体はシャムワニそのものではなく交雑個体である、交雑個体はワシントン条約でも規制の対象となっていない、さらに、種の保存法の対象にも当然なっていないということで、無罪だ、こういうふうな主張で争われた裁判がございました。

 この裁判では、環境省から捜査当局に対しまして、判別のマニュアルあるいは専門家に関する情報提供を行い、いろいろな協力をしてまいりました。

 そういったこともあってだと思いますけれども、一審におきましては、去る四月十八日に東京地裁において有罪判決が言い渡されたということで、法規制から逃れようとすることは、一応この事案については一審においては阻止しているという状況でございます。

 なお、本件は控訴中であると聞いておりますが、我々としても、必要があれば、さらなる情報提供等を関係機関に行ってまいりたい、こういうふうに考えております。

 また、今後も、環境省としましては、虚偽による法規制逃れが行われないように、識別マニュアルの充実でありますとか、あるいは主要な輸出国の担当当局との連携体制の構築、問い合わせてすぐ答えが返ってくるような、そういった体制もぜひ構築していきたいというふうに考えておりますし、基本的には専門家の先生方に聞くということが最も的確な判断ができるということでございますので、各種学会との連携体制の強化ということを図ってまいりたい。さらには、捜査当局とも積極的に協力をしてまいりたい。こういうふうに考えている次第でございます。

北川委員 ありがとうございます。

 前回でしたか、この委員会でも指摘があったと思いますが、たしか篠原委員からの質疑の中で、我が国の法体系が性善説の上に成り立ってきている中で、社会も随分変化をしてまいりまして、それぞれの価値観のもとで、性善説の法体系で対応するのではもう難しくなってきているので、性悪説に立っての対応が必要ではないかというような意見もありました。

 そういう中で、環境省としても、大変でしょうけれども、こういう点についてしっかり対応をしていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、この二法案、今回改正でありますが、いずれにいたしましても、改正をしていくに当たって、先ほど来からマイクロチップの話もありました、予算や人員等も必要になってくるわけでありまして、こういう点について、今後、大幅な指定種の増加や三年後の見直しに向けた検討など、法改正後も課題が多く残っていると考えておるわけであります。外来生物法に関しましても、今般、輸入品に対して特定外来生物の検査等の制度を創設されるわけでありますが、実際に水際で防ぐ体制面、また、これまでの予算では非常に心もとないような感じを受けるわけであります。

 今後、絶滅危惧種や生態系の保全に日本として責任を果たしていかなければならないわけでありまして、生物多様性の分野のより一層の進展を図るためには、野生生物に関連する体制と予算の充実が不可欠であると考えるわけであります。

 参議院での議論も含めて、両法案の質疑に対し、環境省から今後の取り組み等答弁をいただいたわけでありますが、これらも踏まえまして、改めて大臣に、両法律に関する取り組みに対する決意、また、今後の予算、そして人員等についての決意をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

石原国務大臣 ただいま北川委員と政府参考人のやりとりを聞かせていただきまして、まさに委員御指摘のとおり、生物の多様性を守るということは、地球の長い歴史の中で時間をかけて育まれてきた動植物、かけがえのない命のつながりをこれからも次の世代にしっかりと維持していこうということが非常に、私もなるほどなと理解をさせていただいたところでございます。また、これによって、私たちが暮らす、食料とか水とか安定した気候というものをもたらす、実はこの種の保存というものが基盤にあるんじゃないかと認識をしているところでございます。

 そしてまた、委員の御指摘のとおり、種の保存法に基づく種の指定の推進の件も含めて、これから両法律案の改正に伴い取り組むべき課題というのは次から次へと出てきます。マイクロチップのお話をされておりましたけれども、予算面あるいは人員面で、効率的で効果的な法の執行に資する体制をしっかりとつくっていかなければならない、こんなことを強く思わせていただいたところでございます。

北川委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、石原大臣、先頭に立って、政府の皆さん方も協力をしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、種の保存法について質問をさせていただきます。

 生物多様性の確保は、私たち人間にとっても我々の存在の基盤であるということ、この認識はかなり広がってきたと思います。特に、生物多様性に関する国際会議であったCOP10名古屋大会もございまして、この日本において、生物多様性がいかに大事か、また、それを守る日本の里山がいかに世界の中で貴重なものであるかという認識もできてきたところでございます。

 そういう意味では、非常に大事さはわかってきたんですが、かといって、その議論が情緒的、感情的になってはいけない、このようにも思っております。

 いわゆる生態系の中に人間が人間の知識と判断で手を加えていくということもあり得るわけですから、ここは科学的な見地から、科学的な知見に基づいて行っていかなきゃいけないということで、科学的知見の充実を図るということ、これが今回の法改正の最も大きな点ではないかと私は思っておりますが、ということが改めて基本理念として定められたことは大変重要なことではないか、このように考えております。

 この科学的知見が今回加わったこと、そして、科学的知見に向けて環境省としてこれからどのように取り組んでいくかということについて、まずお伺いをしたいと思います。

田中副大臣 御指摘のとおり、絶滅危惧種の保存に当たっては、その種に関する科学的知見の充実が重要だと認識しております。公明党の方からも御指摘をいただいておりまして、そのとおりだと思っておるところでございます。

 今後、絶滅危惧種に関する科学的知見を充実させるとともに、情報を効果的に収集するため、情報や知見を有する現場の皆さんからの国内希少野生動植物種の指定対象とする種に関する提案を定期的に受け付けるなどの仕組みを検討してまいりたいと思っております。

 また、得られた知見は、保護増殖の取り組み強化のため関係者に情報共有を行うほか、絶滅危惧種への捕獲の圧力を高めることがないよう配慮しながら、種指定の検討に生かしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

斉藤(鉄)委員 科学的知見ということで、政府における科学の総合司令塔は総合科学技術会議、総合科学技術会議が科学技術基本計画を五年ごとに定めている。その方針に基づいて、科学技術研究費等が配分されているわけです。

 この科学技術基本計画によりますと、これは当然のことですが、社会的課題に対応するということで、基本的に、やはり今日本経済が直面している大きな問題に対して科学技術がどう貢献するかという観点が非常に強いということで、こういう絶滅危惧種とか種の保存という非常に基礎理学的な項目について、しっかりお金もつけてやっていこうという文言はなかなか見えないような気がいたします。

 そういう意味では、環境省が総合科学技術会議に対してもしっかり発言をして、こういう研究がいかに大切であるかということを訴えていく、これは立法府である我々の仕事としてもそうですけれども、ぜひお願いをしたいと思います。

 副大臣、連携体制というお言葉がございましたが、連携という意味では、そういう研究をする大学等との連携も大切ですが、絶滅危惧種ですから、ある一部の地域に存在しているということで、その地域の地方自治体との連携も非常に大切だと思います。その認識を十分地方自治体と共有しなければ効果的な対策は打てないということでございまして、地方自治体との連携、これも環境省でイニシアチブをとってほしいと思うわけですが、この点についてお伺いします。

齋藤大臣政務官 御指摘のとおり、都道府県でも、それぞれ地域でレッドリストを作成するなど、絶滅危惧種を含む野生生物の保全に努められているところであります。

 今までもこういった担当者レベルの連絡会はやっていたんですけれども、今後は、絶滅危惧種について情報交換を行う担当者レベルの連絡会を定期的に開催するようにいたしまして、絶滅危惧種の保護増殖に関する技術の共有をスムーズに行えるよう、一層連携を深めていきたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 熱心な自治体もございまして、三十一の自治体では個別の条例をつくって、環境省と連携しながら進めているというところもあります。そうでない自治体も実はあるということで、その点は今大臣政務官がお答えになった方向でしっかり頑張っていただきたい、このように思います。

 それから、今回の改正法案では、希少野生動植物種のインターネット上などでの広告ということも規制の対象になりました。

 これまでは、陳列ということへの規制があって、インターネット上でも、写真等を載せればそれは陳列ということとみなして規制の対象になり得るということでしたけれども、そういう写真のない文字だけの広告等は、ある意味で規制の対象になっていなかったわけでございます。

 今回、この対象を広げる、広告に対しても規制の網をかけていくということは非常に重要なことだと思います。

 希少動植物が売り買いの対象になって、インターネット上でやりとりされているというのも現実としてございます。そこをどう実効あらしめる形で規制していくのか。法律で定めるだけでは、なかなか世の中変わりません。それを実効あらしめる具体策があって初めて効果を及ぼしてくるわけですけれども、どのような形で広告規制を実行されようとしているのか、お伺いします。

伊藤政府参考人 御指摘のとおり、法制定から約二十年がたち、法制定当時想定していなかったインターネット上での販売が行われるようになりました。また、雑誌や看板などさまざまな媒体を通じた販売も行われる、こういった状況にございます。このため、御指摘のように、今回、陳列に加えて広告についても規制をしようとしたわけでございます。

 この改正法の運用につきましては、まずは、取引を行おうとする者の正しい理解を得る、こういったことが重要であるというふうに考えております。したがいまして、新しい規制につきまして、環境省ホームページや業界誌等さまざまなツールを活用して周知徹底に努めたい、こういうふうに考えております。

 また、インターネット上の販売状況につきましては、環境省におきましても定期的に監視をしたいというふうに考えております。その上で、警察とも十分連携しながら厳正に対処してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。

斉藤(鉄)委員 そこは実効あるように、どうかよろしくお願いをします。

 次に、外来生物法について質問をいたします。

 外来生物法は平成十七年に施行されました。当時は大変大きな話題になりまして、ブラックバスを指定するかどうかということが大きな社会的な論議にもなったところでございます。今回、外来生物種と交雑して生じた生物についても規制の対象とするということでございますが、まず、外来生物法、本来の法律について、ひとつ質問をさせていただきたいと思います。

 外来生物種の侵入を防止するということは、現実には水際対策ということになると思います。これだけたくさんの物資が輸入されている、動植物についても輸入をされているということですので、水際対策ということが極めて重要だと思いますが、環境省としては、この水際対策、今後どのように対処していく方針か、お伺いいたします。

田中副大臣 水際対策でございますけれども、輸入時の検査で、切り花などにアルゼンチンアリ等の、生態系等への被害を及ぼすものとして指定されている特定外来生物が付着、混入していることが確認されることがありました。このような場合に、これまでは環境省が行政指導により輸入者に消毒等を行わせてまいりましたけれども、法的根拠がないため強制力がなく、また消毒方法等が不十分な場合がありました。

 今回の改正案において、輸入品に特定外来生物の付着または混入が発見された場合には、輸入者に消毒または廃棄等の措置を命じることができる規定を設けたほか、消毒方法についても基準を定めてまいりたいと思っております。これにより、特定外来生物の侵入防止に係る水際対策の強化を図りたいと思います。

 近年の特定外来生物の付着、混入事例でありますけれども、平成二十二年に十二件、二十三年に九件、平成二十四年は十五件というふうになっておるところでございます。

 しっかりと対応してまいりたいと思います。

斉藤(鉄)委員 水際対策で外来生物を防ぐということで、検査体制をこれからしっかりやっていく、また罰則等についても厳しくするということでございましたが、実際の検査というのは、物すごい量、例えば材木等は大きな船いっぱいに入ってくるわけで、現実に一つ一つの木を見て、アリが付着しているかどうかというのはなかなか見つけにくいと思うんです。

 どんなイメージで検査しているんでしょうか。ちょっと教えていただければと思います。

伊藤政府参考人 輸入品につきましては、植物防疫所において、植物に有害な病害虫の侵入、蔓延を防止する観点からいろいろな検査を行っている、また、税関におきましては、輸入が禁止されている物品等の密輸防止の観点から必要な検査が実施されているということでございます。

 我が国の輸入申告件数は約二千万件ございまして、植物、動物検疫の対象となるのは全体の二%の約四十七万件である、こういうふうに聞いております。

 税関などでは、いろいろ調べた上で、これは危ないというものを集中的に調べる、こういうふうなことをやっておりますので、植物防疫所においても、必要な効果的な対応を行っていただいているものというふうに考えている次第でございます。

斉藤(鉄)委員 イメージとして、いわゆるサンプリング検査のような形でやるんですか、それとも全数検査みたいな形でやるのか。サンプリングの場合は、大体どのぐらいの割合でやっているのか。イメージとしてで結構です。

伊藤政府参考人 サンプル検査をやっていることは事実で、全てを細かく、全部開披したりして検査することは事実上難しいだろうというふうに考えております。

 このサンプル検査については、どの程度を対象にしているのかというのはちょっと私どもは承知しておりませんが、当然、危なそうなものについては集中的にやっているというふうに承知しているところでございます。

斉藤(鉄)委員 そうしますと、植物検疫所や税関などとの連携というのが非常に大切だと思います。問題意識を共有して、また、検査方法についても、科学的知見から、環境省からのアドバイスも必要、こういうふうに思いますが、この連携についてはいかがでしょうか。

齋藤大臣政務官 斉藤先生おっしゃるように、まず、植物防疫所や税関で特定外来生物の判定ができなければ事態は阻止できないということでありますので、これらの関係機関の方々に判定がしやすいような、きちんとしたマニュアルを提供していくということが大事だと思っております。

 これは従来からも行っているのでありますが、今後は、改正法が施行されましたら、さらに充実強化に努めていって、実際に現場にいる職員の人たちがきちんと判定できるようにしていきたいと思っております。

 また、逆に、疑いがある場合に環境省の職員が駆けつけるわけでありますが、環境省の職員の方も実際の防疫の現場の手続ですとか税関の手続もよくわかっていなくちゃいけないわけでありますので、相互にやはりこれから連携を深めていかなくてはいけないと思っております。

斉藤(鉄)委員 そこはぜひ、実際に水際対策に当たっていらっしゃる他省庁の方との連携もしっかりとる必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、大臣にお伺いします。

 けさもテレビを見ておりましたら、タマゾン川ということで、きのう、ある学者さんがかごに入れて亀を捕獲したら、いわゆるミドリガメですかね、小さなかごの中に亀が百匹入って、あのかご自体には百匹入っていませんでしたが、百匹以上とれたという報道がございました。ひょっとしたら多摩川にはもう日本古来の亀はいなくなったのではないかとも言われておりまして、こういう報道がされるにつけ、我々国民の意識も今少しずつ向上しております。

 そういう意味では、大臣、先ほど各省庁との連携が必要だという答弁が齋藤政務官からありましたけれども、大臣がリーダーシップをとっていただいて、ハイレベルでの体制を強化していくということも必要ではないか、このように思いますが、最後に大臣の決意をお伺いします。

石原国務大臣 まさに斉藤委員が今皆さんと御議論をしていたとおりでありまして、水際が大切でありますし、多省庁にまたがりますので、他省庁の責任者にも、こういうことが起こっているぞと。

 タマゾン川はたまたま私も拝見いたしまして、あんなにどうもうな亀が、しかも、ペットで飼っていたものを飼い切れなくなって川に放出して、悪意があるのかないのかはわかりませんけれども、放流する、それによって生態系が著しく崩れている。そして、今委員が御指摘されましたように、多摩川でこれまで生息している日本固有の種が著しく毀損している。こういうことをやはり多く広めて、内閣としてもこの問題に真剣に取り組むということを、この議論を契機に、より一層浸透していくように頑張らせていただきたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 この二つの法案は、そういう意味で非常に意義のある法案だという評価を申し上げて、私の質問を終わります。

吉野委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律一部改正案及び特定外来生物による生態系に係る被害の防止に関する法律一部改正案ということで、関連した質問をさせていただきます。

 まず、絶滅のおそれのある野生動植物ということでお尋ねを申し上げます。

 先ほど斉藤委員の質問にもありましたけれども、希少性の高い個体が近年インターネット等を利用して高額で取引されているということで今回の法改正に至ったということでございますが、現状では、陳列禁止とされていながらインターネット等で簡単に見られてしまう、いわば抜け道があったというわけでございます。これまでの監視体制をどのようにされていたのか、ネット上の違法掲示についてどのように検索をしておられたのか、お尋ねいたします。

伊藤政府参考人 監視につきましては、これまで環境省は定期的にオークション等における出品状況を確認しておりました。

 また、適法に取引ができる個体等に登録票を発行する機関として環境大臣から登録を受けております一般財団法人の自然環境研究センター、さらには民間の組織、個人からも随時情報提供を受けて対応を行ってきたという状況でございます。

河野(正)委員 そうしましたら、オークション等を見る方がいらっしゃって、定期的にずっとパソコンで見ていたということでよろしいんでしょうか。はい。

 また、これによりきちんと摘発ができていたのか、インターネット上に掲示を発見した場合に削除等を命令できていたのか、今まで何らかの法的根拠を持ってされていたのかどうか、その点についてお尋ねいたします。

伊藤政府参考人 インターネット上で不適切な出品が見られた場合は、環境省としましては、その者に指導を行うとともに、必要に応じて法律に基づく報告徴収や立入検査、措置命令を行うこととしておりました。また、オークション管理者に対しては、出品画面の削除等の依頼を行ってきたところでございます。

 インターネット記事の削除につきましては、売買の責任を持つ出品者に対しては法律に基づく措置命令をすることができる、そういった法的な根拠がございました。一方、ネットオークションの管理者につきましては、売買の当事者ではないということから措置命令の対象とはなりませんが、環境省から削除の依頼、お願いを申し上げていた、そういう状況でございます。

河野(正)委員 ところで、今回の改正によりまして、罰則が、行為者で、一年以下の懲役または百万円以下の罰金から五年以下の懲役または五百万円以下の罰金、法人に対しましては、百万円以下の罰金から一億円以下の罰金へと、一億円ということで百倍ですね、大幅に引き上げられるということになりました。行為者で五倍、法人で百倍ですね。大きく引き上げてきた数値について、その根拠をお教えください。

田中副大臣 希少野生動植物種は、その希少性から高額で取引されるものが多くて、違法な譲り渡しの再犯事例も発生しております。悪質な違法取引が後を絶たないというのが実情でございます。

 例えば、去る三月五日、スローロリスという小型の猿を六十頭不正に取引した、その結果、約一千五百万円もの利益を得ていた業者が逮捕されており、現在、取り調べが行われておるところでございます。このほか、イニホーラリクガメ、マダガスカル産の二匹の亀が七百万円で販売されたという違反事例もございます。

 このように、不正取引で得られる高額な利益に対して、現行の罰則では抑止力が十分ではない、こういう状況になっております。

 このため、不正な譲り渡しや譲り受けに対して、法人への罰金の上限を百万円から一億円に引き上げるなど、罰則を大幅に強化することにより、悪質な違法取引を減らすことが期待できると考えておるところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 大きく引き上げられたことによって、抑止効果が出てくればいいのかなと思っております。

 次に、我が国で絶滅の危機に瀕しているセンカクモグラというものについてお尋ねいたします。

 沖縄県石垣市の尖閣諸島におきましては、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に選定されているものが二十四種類あるということでございます。そのうち、尖閣諸島に固有の種としては、センカクモグラやセンカクサワガニという十種類があるということでございます。また、現在、これが尖閣諸島に放牧されて増殖したヤギによって危機的状況にあるということも伺っております。

 センカクモグラに関しましては、我が党の西野弘一議員が、本年三月に質問主意書を提出いたしまして、同じく三月二十八日、衆議院予算委員会におきまして安倍総理大臣に対して質問を行っております。その際、石原大臣からも御答弁をいただいているところでございます。

 簡単に要約させていただきますと、西野議員が、環境省職員が立ち入りの上でモニタリングする予定があるのかをただしまして、立ち入りがないとすれば、生物の多様性に関する条約に違反しているのではないかという見解を述べたことに対して、政府見解は、きちんと航空写真の解析や専門家からのヒアリング等で情報収集しているので、生物の多様性に関する条約の義務違反には当たらないということのやりとりだったと思います。

 ところで、実は、二〇一〇年十月十二日の衆議院予算委員会におきまして、当時野党のお立場でございましたが、自民党の石原伸晃委員が、「日本固有の領土に絶滅危惧種の調査、保護のために上陸することは私は何の問題もないし、これは人類の共通した願いではないかと思っております。」途中略しますが、「上陸許可をいただけませんでしょうか。」というふうに質問をされております。

 当時の仙谷国務大臣、官房長官や菅総理大臣が御答弁されておりますが、民間の方から借りている土地であるなどの答弁がありまして、石原委員は再度、絶滅危惧種を救わなくてはいけない旨を強く訴えられております。

 また、翌二〇一一年七月十四日の衆議院決算行政監視委員会におきましては、下村委員が、現在大臣をされておりますけれども、野生ヤギの駆除という観点からも質問をされております。

 予算委員会や決算委員会ではなく、ここは環境委員会でございますが、現在、尖閣諸島は国の所有地になりまして、お立場も石原委員から環境大臣という立場になられたわけですが、絶滅危惧種を救わなくてはならないという観点から、考えにお変わりはないでしょうか、大臣。

石原国務大臣 今、私もセンカクモグラの資料をこちらに持っておるんですけれども、一九九一年に新種として記載され、尖閣諸島の魚釣島のみに生息すると。環境省としても、第四次レッドリスト、二〇一二年公表ですけれども、その中で、最も絶滅のおそれの高い絶滅危惧1A類として記載しているところでございます。

 環境省としては、やはり、尖閣諸島における自然環境について、さまざまな方法で情報収集に努めて、個体の維持というものに努めていかなければならないという気持ちには何の変わりもございません。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 そういう絶滅危惧種をしっかりと救っていくという御決意は変わりないと受けとめました。

 西野委員の質問に対しましては、安倍総理も、「ちゃんと国として保護しているのか、国際社会におけるその責任を果たしているのかという観点からも、我々も、政府として何をなすべきかということは検討していきたい、」とお答えになっておられます。

 絶滅前にしっかりと対応していただきたいと考えておりますが、この点、何か進展がありましたでしょうか。政府参考人の方で構いません。

伊藤政府参考人 尖閣諸島の自然環境につきましては、環境省では従来から、既存の文献や専門家からのヒアリングをもとにした情報収集、航空写真の解析等による植生図の作成等を行っているところでございます。

 環境省としましては、尖閣諸島の自然環境について、引き続き、航空写真の解析、既存文献、専門家からの動植物の生息または生育状況に関するヒアリング等による情報収集に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 安倍総理から、そういったことで引き続きという解釈でよろしいんでしょうか。それとも、この西野委員の質問を受けて、何らかの進展等はございましたでしょうか。

伊藤政府参考人 環境省としましては、航空写真の解析や既存文献、専門家からの動植物の生息または生育状況に関するヒアリング等による情報収集をさらに進めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 では、話題をかえさせていただきます。

 先日の当委員会におきまして、外国資本による土地買収によって、水資源が危ないんじゃないかという趣旨の質問をさせていただきました。

 実は、この問題は以前から興味がありまして、昨年、長崎県の対馬に行ってまいりました。その際、ずっと対馬をレンタカーを借りて回ってきたんですけれども、かなり奥の方に入っていきますと対馬野生生物保護センターというところがございまして、いい機会だなと思って、立ち寄ってまいりました。

 そこで絶滅危惧種であるツシマヤマネコが公開、展示をされているんですけれども、この個体は実は福岡市動物園生まれということで、私の自宅から歩いて行けるぐらいの距離にある。はるばる対馬へ行って、かなりレンタカーでドライブして、御近所さんに会ったような気持ちがしたというのを覚えております。

 この施設は環境省の施設のようですけれども、人工的に繁殖や保護を行う自治体運営の動物園等に対して国の支援が行われているのか。あるいは、支援策や補助金の実施状況があれば教えていただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 ツシマヤマネコは種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定されておりまして、さらに、保護増殖事業計画が策定され、生息域内の保全にとどまらず、飼育下繁殖などを含むさまざまな取り組みが実施されているところでございます。

 御指摘の福岡市動物園につきましては、保護増殖事業における飼育下繁殖に参加されておりまして、参加に当たっては、福岡市長が、飼育下繁殖を実施する者として保護増殖事業計画を策定し、環境大臣の確認を受けた上で実施していただいている、こういう状況でございます。

 このような種の保存の取り組みを行う自治体等に対しましては、仕組み的には、環境省が地域生物多様性保全活動支援事業という事業を実施しており、この事業によりまして地域の取り組みの支援を行うことが可能となっている、こういう状況にございます。

河野(正)委員 市営動物園等、自治体の動物園は非常に経営的にも厳しい状況かもしれませんので、ぜひそういったのは検討いただきたいと思います。

 次に、外来生物についてお尋ねを申し上げます。

 私の地元であります福岡県では、二〇〇七年ごろから、セアカゴケグモという問題がございます。

 セアカゴケグモに関しましては、一九九五年に大阪で確認されたのが国内初と思いますけれども、近年、西日本各地で発見されております。この特定外来生物であるセアカゴケグモの生態について教えていただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 セアカゴケグモは、オーストラリア原産のクモでございまして、自然環境では崖地や岩のすき間などに生息しておりますが、都市部においても適応し、植木鉢の底や室外機の裏などあらゆるすき間に巣をつくることができる、こういうものでございます。

 そのものに攻撃性はないものの、さわるとかまれることがございます。メスが神経毒を持っているため、メスにかまれますと、痛みや時に筋肉痛や頭痛が生じ、重症化しますと筋肉麻痺が起こることがございます。

 なお、原産地では、血清が開発される前に死亡した事例がありますが、日本においては、毎年十件程度の咬傷の例はございますが、死亡例の報告はない、こういう状況でございます。

 日本では、平成七年に大阪で生息することが確認されましたのが最初の発見でございますが、港湾やそれに隣接する地域で多く発見されていることから、コンテナなどに付着して侵入してきたものではないかというふうに考えているところでございます。

 国内では、貨物や自動車などに付着して運ばれた結果、生息地が広範囲に拡大されたものというふうに考えられ、現在、西日本を中心に、宮城県から沖縄県までの二十四府県で生息が確認されている、こういう状況でございます。

河野(正)委員 今、侵入経路等を、コンテナに付着して、車を通じてかなりの広範囲に広がってしまったということですが、今後、水際で食いとめる方法とか、対策をとられているのか。かなりの数で増殖していく生物のようですので、その辺、食いとめる方法、対策をお教えいただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 セアカゴケグモにつきましては、平成十七年に特定外来生物に指定し、輸入や飼養等が規制されている、こういう状況にございます。

 環境省におきましては、生息状況や注意点等について、ホームページなどを通じて広く情報提供を行っております。また、セアカゴケグモは貨物等への付着によって侵入、分布拡大していると考えられることから、平成二十三年には、社団法人日本トラック協会などに対し、セアカゴケグモなど貨物などに付着して拡散する特定外来生物について注意喚起の通知を行うなど、普及啓発に努めているところでございます。

 また、地方公共団体におきましては、住民への呼びかけや防除活動が実施されております。例えば、福岡市におきましては、防除活動の実施に加えまして、市内の生息地マップをホームページなどで公開しておられますし、また、血清が配備されている病院の紹介や防除手法の紹介等も行っておられるというふうに承知しております。

 環境省としても、引き続き、セアカゴケグモの発見情報の収集に努めるとともに、生息が確認された地域の地方自治体に効果的な駆除方法等について情報提供するなどの支援を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。

河野(正)委員 実は、十日置きぐらいに卵嚢を産みまして、その中に二百五十個ぐらいの卵が入っている、それで一〇〇%成虫になるということですから、これはかなりの速度でどんどんふえていってしまうと思いますので、その辺の防除体制等をきちんとしていただかなければいけないと思います。福岡市でも、当初、東区の人工島で発見されましたが、その後、博多区、中央区、早良区と市内広域に広がっていってしまったということで、自治体単独での防除というのは厳しい状況かと思いますので、その点、しっかりとお願いしたいと思います。

 また、昨年は、福岡市や、まさに私の出身地でもございます糟屋郡においても発見されておりまして、昨年九月には、福岡市東区で八十代の女性がかまれて呼吸障害に陥っておられます。私が聞いている情報では、靴の中に潜んでいて、靴を履いたときにかまれたとかいう話も聞いたことがございます。また、新聞報道によれば、ことしに入っても、三十代の男性が、公園の自動販売機で缶コーヒーを買って取り出そうとしたところ、右手首の袖から中に入ってきて右腕の内側をかまれたということで、この方は帰宅後に痛みが増して、頭痛や吐き気を訴え救急搬送されて、先ほどもおっしゃっていたように、病院で血清を投与されたために大事に至らなかったということを聞いております。

 ところで、この血清についてなんですけれども、実は、我が国ではまだ未承認でございます。これは、新聞によれば、十本、十人分で約五十万円。有効期限も二年しかないということで、備蓄するというわけにはいかないようです。

 実際は個人輸入をされているようなんですけれども、福岡市長は、血清を国で配備してほしいということで厚生労働省に要望書を提出したというふうに言われております。この要望書について御回答はされましたでしょうか、厚生労働省。

高島政府参考人 このセアカゴケグモの抗毒素血清につきまして、昨年、国で配備していただきたいという要請を福岡市長から受けております。

 この血清でございますけれども、現在、国内で薬事法上未承認ということでございまして、有効性、安全性等が確認されていない状況のもとで直ちに国が備蓄するということは困難である、こういうふうに考えております。

 しかしながら、昨年の要請も受けまして、厚生労働省として、今年度から厚生労働科学研究事業におきまして、セアカゴケグモ抗毒素血清の有効性、安全性を評価するための臨床研究等を行うこととしております。この中で血清を使いながら研究をしてまいりたい、このように考えております。

 国が備蓄するのには薬事法上の承認が必要であるということでございますけれども、この臨床研究の結果等も踏まえまして、今後の対応について検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

河野(正)委員 検討していただくということでございますが、実際に福岡市では、市民病院と市立こども病院の院長が十本ずつ購入して備蓄しているということのようです。

 薬事法では、輸入者以外による投与が認められていないために、他の医療機関へ譲渡することもできないということだそうで、福岡市地域医療課のコメントといたしましては、薬事法に抵触するおそれはあるが、今後も、血清がない医療機関や自治体には譲渡するなどして人命を優先させたいということを言われているようです。

 また、高知県では、重症患者が出た場合はヘリで大阪府立の備蓄している病院に運ぶ、佐賀県では、福岡市が備蓄しているので福岡市の備蓄病院に搬送するという方針だそうです。これは非常に非現実的で、福岡市の対応、譲り渡すというのが現実的かつ人道的な判断ではないかなと思っております。

 新聞によれば、厚生労働省結核感染症課は、血清の備蓄などが難しい現状には問題を感じていると。先ほどもありましたけれども、国としてどのような供給体制をとるべきか内部で検討を始めているということで、臨床試験等をされているのかなと思います。

 既にかなり広範囲に入り込んでいってしまっておりますし、ことしもこれから暑くなってくるとさらに活動性を増して、悠長に臨床研究、臨床試験というような状況ではないんじゃないかなと思います。万が一死亡者が出るようなことがあれば、大変な問題にもなります。厚生労働省内部の検討は、今大体はお話しいただきましたけれども、かなりスピード感を持たないと、ことしの夏にでも問題が起きかねないと思いますが、いかがでしょうか。

高島政府参考人 先ほどもお答えいたしましたけれども、ことしから臨床研究を行うことにしております。この臨床研究の中では、オーストラリアでつくられている血清でございますけれども、この血清を使いまして、その有効性をはかる中で、実際に投与をして効果を調べていくわけですから、患者が実際出た場合には、その患者さんへの投与ということも念頭に置きながら研究を進めていきたい、このように思っております。

河野(正)委員 これは今思いまして、ちょっと通告していなかったんですけれども、では、その臨床研究用の血清というのは国の方で準備されるということになるんでしょうか。

高島政府参考人 これは厚生労働科学研究ということで、研究班を組織しまして、代表となる研究者が中心になって輸入をしまして、それを使いながら研究をしているということでございます。

河野(正)委員 ということは、各病院の院長先生なりが個人輸入ということなのかなと思います。しっかりとしていただかないと大変なことになる可能性があるということを確認しておきたいと思います。

 次に、野生化したアライグマについてお尋ね申し上げます。

 今回の質問に際しまして資料を見ておりまして初めて知ったんですが、アライグマというのは、かなりポピュラーかなと思っていましたけれども、北米原産の外来種であるということで、実際は、一九七〇年代に放送されたアライグマを題名にしたテレビアニメで人気となり、ペットとして大量に輸入されたということでございます。私自身は、当時もうアニメを余り見るという年代でもありませんでしたのであれですけれども、名前ぐらいは聞いて知っておりました。

 そもそもアライグマがどれぐらい日本に入ってきたのか、把握されていればお答えください。

伊藤政府参考人 アライグマにつきましては、平成十七年六月一日に特定外来生物に指定されております。この指定以後の輸入実績はないものと考えてございますが、指定以前の輸入頭数については環境省としても把握をしていない状況でございます。

河野(正)委員 今のお答えであれば、二〇〇五年に特定外来生物に指定されて、それ以降は入っていないということは、摘発された例もないということでしょうか。

伊藤政府参考人 環境省としては、摘発された事例については承知していないので、ないものと考えております。

河野(正)委員 入ってきた例は把握できていないということですけれども、現在、我が国でアライグマがどのような状況にあるのか、生息地の分布や推定する個体数等のデータがあれば教えていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 アライグマにつきましては、平成五年ごろには、北海道の札幌周辺、中部、関東、近畿地方の都市部を中心に生息が単発的に確認されているだけでございましたが、近年では、北海道、本州各地に広く分布しているほか、四国、九州でも分布域が拡大しつつある、こういう状況にございます。

 生息頭数については把握はしてございませんが、捕獲数につきましては、平成二十二年で二万四千七百八十二頭ということで、年次を追って増大している状況にございます。

河野(正)委員 把握されていないということでしたが、捕獲数二万四千頭といったら、かなりの数がいるのかなと思って、びっくりいたしました。

 これは、実は、農作物や、爪が鋭いということで文化財を傷つけたりとか、あるいは建造物などの被害もあるということですが、被害状況について把握されていますでしょうか。

伊藤政府参考人 アライグマの分布拡大に伴っていろいろな被害が出ているということでございますが、農業被害額につきましては、農林水産省によれば、平成十五年には七千九百万円であったものが、平成二十三年度には三億八千万円に増加したということで、被害は年々拡大傾向にあるというふうに承知しているところでございます。

河野(正)委員 かなりの頭数が捕獲されたのが現状ですから、もともとの母集団というのはかなり大きいのかな。今、三億八千万ということを聞きまして、これは何とかしなきゃいけない問題なのかなと思いました。また、狂犬病や回虫の媒介など、農作物の被害にとどまらず、放置することは人間にとってかなり有害である。極めて有害であると言っても過言ではないと思います。

 先ほど捕獲が二万四千頭ということですが、防除に対する取り組みについて、具体的に教えていただけますでしょうか。

齋藤大臣政務官 防除につきましては、環境省としては、平成十七年度より、アライグマの分布、被害状況の把握、防除手法の開発、普及啓発等を目的としたモデル事業を各地方ブロックにおいて実施してまいりました。そして、その結果をもとに、地方公共団体等が防除を行う場合の技術的なマニュアルとして、「アライグマ防除の手引き」を平成二十三年四月に作成いたしまして、ホームページにおいても公開いたしております。

 また、市町村等が外来生物法に基づいたアライグマの防除を行うための計画の確認、認定の件数は増加をしておりまして、平成二十四年度末には四百十二件に及んでおります。

 我が省としては、今後、地方公共団体との連携による広域的な防除が大事だと思っておりまして、これを推進するため、アライグマの分布情報の共有や、分布拡大が懸念される地域を警戒地域として特定するなど地方環境事務所を中心に進めて、防除の強化に取り組んでいきたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 今お話にありましたように、きちんと対策していかないと、そういうふうに外来種が入ってきて生態系を崩すという観点だけではなく、実際に被害が及ぶ、そして人間にとっても極めて問題があるということですので、しっかりと取り組みを続けていただきたいと思います。

 先ほどちょっと斉藤委員の質問にも出てきましたけれども、やはりペットとして輸入されたミドリガメ、ミシシッピアカミミガメというのが正式だと聞いておりますが、これについてお尋ねいたします。

 ミドリガメも、大きくなるとアライグマ同様に非常に攻撃的で、もてあまされて遺棄されてしまうことが多いというふうに聞いております。先ほど多摩川の例がありましたけれども、日本全国でどれぐらい野生化しているのか、これも、もし把握されている現状があれば、お答えいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 御指摘のとおり、ミドリガメはミシシッピアカミミガメの総称でございます。

 ペットとして飼育されていた個体が大量に野外に放たれることなどにより、北海道から沖縄まで全都道府県に分布し、現在では、これは残念ながらと言わざるを得ないと思いますが、我が国で最も普通に見られる亀、亀の中で最も普通に見られるのがこのミシシッピアカミミガメとなっている状況でございます。

 その生息数全体、これは、まことに恐縮でございます、不明でございますが、平成二十三年において、米国からのカメ目の年間輸入量が約二十万匹近くございます。恐らくそのほとんどがミシシッピアカミミガメではないかというふうに推定しているところでございます。

河野(正)委員 驚くべき数がまたまた出てきまして、そういうふうに日本じゅうにたくさんいる。

 実は、ミドリガメというのは、私が最後に問題提起いたしましたのは、サルモネラ感染という感染症の危険性が有名であります。サルモネラ症状というのは多岐にわたりますけれども、胃腸炎とか、あるいは、まれに、小児の方であれば意識障害やけいれんなどを起こすということもありますし、高齢者でも貧血症などで重症化して、こういったものは、場合によっては命を落とされてしまうこともあるかと思います。

 野生化したミドリガメによる人体への被害とかいう事例、報告はありますでしょうか。

伊藤政府参考人 ミシシッピアカミミガメによる生態系への影響というのは非常にたくさん事例もあり、影響を及ぼしていると思っておりますけれども、人への影響という観点からは、サルモネラ菌など、人や他の動物への感染等の可能性があるというふうに承知しております。

 ただ、現時点では、野外での定着個体による病気や感染例については環境省としては把握をしていない状況でございます。

河野(正)委員 そういうことで、またその辺を把握されていないということですけれども、いろいろ動物による、特に外来種による被害というのが実際はあるんじゃないかなと思いますし、アライグマとかミドリガメとか、ペットとしてかわいいと思われるかもしれませんけれども、かなり凶暴性を持っているということもありますので、十分注意していかなければならないのかなと思っております。

 外来種により生態系が崩れることはもちろんでございますけれども、先ほどからお話ししましたセアカゴケグモやカミツキガメなど、人間に危害を直接与えてくるものも少なくありません。絶滅危惧種を守り、一方で、生態系を崩す外来種は駆除しなければいけないという相反する事業になります。駆除するものも生命ですし、どちらも同じ生命という観点から考えますと、極めて重たい仕事になるかと思いますけれども、環境省のしっかりとした対応を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、本日は二法ありまして、途中読みますと種の保存という言葉と生態系という二つの表現があるわけですが、どちらも両方まとめてちょっと一くくりで、ある意味で全体を捉まえて認識を深めたいと思うんです。いわゆる総括的に見て、あるいは概観的に見て、あるいは生物学なのか地学なのかわかりませんが、あるいは地球の歴史、あるいは地球自体の今の日本の置かれた現状、こういった点を大きく捉えて、この日本における種だとか生態系というものはどういう解釈をすることがいいのかという意味で、あえて政府、環境省の御理解というか、認識を伺いたいと思います。

 あえて例を申し上げますと、インドネシアにウォレス線というのがございまして、皆さん御案内のとおりかもしれないんですけれども、一種、そこの線をもって種の断絶というか、生態系の全く違った世界というのが展開されるやに私聞いておるんです。島国である我が国が、どういった特徴があって、我々はどういう認識を持つべきなのかを、長い説明で結構なので、この際、詳しく専門的にきちっと認識させていただきたいと思います。

田中副大臣 杉本かずみ先生の方がはるかに詳しいかもしれませんが、お答えをさせていただきたいと思います。

 我が国の生物相は、多様性に富む生物相が形成されて維持されておりますけれども、それが特徴と認識しております。

 御指摘ありましたウォレス線は、インドネシア近辺に存在する、動物種が断絶する線であります。我が国の国土はユーラシア大陸に隣接をいたしておりますし、過去、新生代第四紀に繰り返された氷期と間氷期を通じて、津軽海峡や南西諸島などで陸地化と水没を繰り返してまいりました。これに伴いまして、さまざまな経路で大陸から日本列島への動植物種の侵入だとか分断、孤立が生じたことによりまして、ウォレス線と同様の、動植物が断絶する線が日本列島各地に複数形成されております。多様性と独自性に富んだ生物相が形成、維持されていると認識をいたしております。

 ニュージーランドが比較的遅く水没したということで、動物についてはオーストラリアと類似したものもありますけれども、植物については非常に固有種が多いというのは、そういうことが一例として言われておるわけでございまして、地球全体の動きの中に極めていろいろな生態系があるということを、私どもも認識しておるところでございます。

 以上でございます。

杉本委員 比較的わかりやすく御説明いただいたと思いますが、それでも、次世代を担う子供たちのことをあえて考えると、環境教育という点が極めて重要かと思っております。

 そういった意味で、今御説明いただいたものをあえて絞って、こういう点が日本の特徴で、日本にある種というのはしっかり守っていかなきゃいけないし、あるいは、外来生物が入ってきては困るのでそういったことをしないようにというような、諭すような言い方を含めて、ちょっと文科省さんのテリトリーにもなると思いますし、地公体さんのテリトリーになるかもしれませんが、あえて、担当省であられる環境省がコンパクトに逆にそれを表現していただくと、済みません、禅問答みたいになっているかもしれないんですが、エッセンスをどうするかということは極めて重要かと私は拝察しておりますので、副大臣にまたちょっと御迷惑がかかるかもしれませんが、あるいは齋藤政務官にいただくのかもしれないですが、環境教育という観点を含めて、コンパクトな、わかりやすい説明となるとどうなるかということを教えてください。

齋藤大臣政務官 御答弁の前に、先ほど河野委員の御質問に対して、私、アライグマの防除を行うための市町村等の計画の確認、認定件数を、二十四年度末に四百十二件と申し上げたそうなんですが、四百十五件と訂正をさせていただければと思います。申しわけありませんでした。

 今の杉本委員の御質問ですけれども、これから日本においてなぜ生物多様性を守っていかなくてはいけないかということを子供たちに言うためには、日本がここまで、陸地化になったり水没したりすることを繰り返しながら、あるときは島になり、あるときは陸続きになり、そういう中で独特の生物相を形成してきた、だから日本の生物多様性は大事なんだという点を強調していくことが肝要かなと思っておりますので、そういう方向で研究をしてみたいと思います。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 では次に、今、副大臣の方からニュージーランドの例を挙げていただいたんですけれども、今回、罰則を強化する等の法律内容であるかと思います。類似的な法律を持つそういった国々の中で先駆的に取り組みをしているというような国があれば挙げていただきたいですし、その国の環境省に類する組織と情報交換をいかようにされておられるか、教えていただければと思います。

伊藤政府参考人 絶滅危惧種の保存に関しましては、著名なものとしては、アメリカが種の保存法というのを一九七三年と比較的早い時期につくりまして、絶滅危惧種の捕獲や流通等の規制、さらには回復計画の作成などを行っているところでございます。

 絶滅危惧種の保存に関する取り組みにつきましては、アメリカを初めとする各国と、ワシントン条約の関連会議などを中心に、そういったネットワークの中で情報交換を行っているという状況でございます。

 また、外来生物に関する取り組みとしましては、オーストラリアとニュージーランドで、生態系保全を目的とした法令が諸外国に先駆けて制定されておりまして、外来生物の輸入規制や、野生化した外来生物の防除が行われているところでございます。

 我が国で、奄美大島と沖縄の山原地域でマングースの防除を実施しているんですけれども、この方法につきましても、実は、ニュージーランドで成果を上げた、探索犬による捕獲手法を採用しておりまして、ニュージーランドから専門家を実際に招聘するなどして防除実施者の研修を行う、こういったことで、いろいろな側面で各国と連携をしているところでございます。

杉本委員 次に、今はちょっと逆に挙げていただいたアメリカ合衆国についてなんですが、CBDに対して未締結の状況にあられるということですが、なぜアメリカが未締結なのか、そして、今後締結をされる方向感があるかどうか等、我が国と日米同盟の関係にあるアメリカの動向というのは極めて重要だと思っていますが、この点について教えていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 外務省によりますと、米国は生物多様性条約に署名はしておりますが、議会からの承認が得られておらず、現在、締結の見通しは立っていないというふうに承知しております。

 なぜ議会の承認が得られないかということでございますけれども、米国が署名するときにも、この条約に規定する技術移転について、締約国は、民間部門を含む関係者の合意がない場合であっても、公正で最も有利な条件で技術移転を行わしめる義務があって、民間部門の経済活動が損なわれるのではないか、こういった懸念を持っている。我が国は、その辺は条文から解釈してそういった懸念はないと思っているんですけれども、そういった懸念を持っていた。こういったことが背景になっているのではないかというふうに考えております。

 我が国といたしましては、生物多様性の保全とその持続可能な利用の実現のためには、米国にもぜひ参加してもらいたいと考えておりまして、早期の締結について促してまいりたいというふうに考えております。

杉本委員 次に、ちょっと予定の質問を飛ばして、学者さんなのかタレントさんなのかはよく存じ上げないんですが、学者さんと今聞いているんですが、さかなクンという方がいらっしゃいますけれども、秋田県の田沢湖にのみ生息し絶滅したとされたクニマスを富士五湖の西湖で発見したという事例は、結構ニュースになって有名かと思っております。

 絶滅と考えられているものの実際は生息している可能性がある種というのはなかなか分類しがたいかもしれないんですが、その分類を別途設定して、完全に諦めることではなくて、発見可能性があるというものについて別建てで管理するというようなことは考える必要があるかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 環境省のレッドリストのランクは、我が国では既に絶滅したと考えられる、これを絶滅と呼んでいます。それから、本来の生息地では確認されてはいないけれども、飼育栽培下あるいは本来の生息地以外のみで存続しているものを野生絶滅、さらに、絶滅のおそれのある種につきましては、その度合いに応じて、絶滅の危機が高い順に絶滅危惧1A類、1B類、2類と、こういった分類を設けている次第でございます。

 この中で、絶滅の基準につきましては、信頼できる調査や記録により、既に絶滅したことが確認されているなどの基準によって、専門家に判断をしていただいているところでございます。

 御指摘の、絶滅したと考えられるけれども生息が確認される可能性がある種、これにつきましては、実は今、絶滅危惧1A類として取り扱っているところでございます。

 これは、絶滅の危機が非常に高い種と同じような分類にすることによって、その種についても、引き続き生息環境が確保されるようないろいろな取り組みを行ってもらう必要があるのではないかということで、同じ分類のところに挙げているということでございます。

 なお、クニマスにつきましては、本来の生息地である秋田県田沢湖以外で生息が確認されたことを受けて、最新のレッドリストでは、これまで絶滅であったものを野生絶滅というふうに変更したと、こういう次第でございます。

杉本委員 どうも御説明ありがとうございます。

 次に、国交省の関係の観光庁との連携について。自然遺産を活用して観光客増を企図されておられる国交省、観光庁でありますけれども、一方で、生物の種の保存という意味からすると相矛盾するというようなツーリストの問題といったことが出てくるかと思います。

 観光庁の方では、例えば例を挙げると、鳥取県と岡山との間、大山、蒜山というところで、エコツーリズムよりさらに進んだ生物多様性ツーリズムというタイトルのような形で、一種観光的な部分を標榜した活動がされているやに聞いておりますけれども、この相矛盾するような二つの問題について、生息地等保護区への入域禁止措置をいかにきちっとやっていくか、こういう点について、今どのようにされているか、あるいは、今後どのようにされていく予定があるかを教えてください。

田中副大臣 今御指摘がありました蒜山に、先日、大山のところで植樹祭がございまして、天皇陛下、皇后陛下もお見えでございましたけれども、視察をしてきたばかりでございます。

 この点、非常に重要だと思っております。観光の推進については、現在、観光庁を中心に、関係行政機関の連携を確保し総合的な推進を図るため、観光立国推進ワーキングチームが設置されておりまして、具体的な施策の検討が進められております。私もこの会議の議論に参加しておりまして、観光庁との連携を図っているところでございます。

 貴重な自然環境については必要に応じて立ち入り制限も含めて適切な手法で保全管理を行うことが、その観光資源としての魅力を維持する上からも非常に重要であり、貢献するものだと考えておりまして、自然環境の保全管理と観光利用は両立し得るものと認識をしております。

 環境省としましても、国内の各世界自然遺産地域においては、希少種保護や外来種対策等の自然環境保全に取り組むとともに、例えば知床の世界自然遺産地域では立ち入り制限を導入するなど、エコツーリズムを推進しつつ、観光利用による影響を軽減するための対応も進めております。

 世界自然遺産は、人類共通の財産としてその価値を保全し将来の世代へ伝えることが締約国の責務。自然遺産の保全と適切な利用の推進に取り組むことで、観光資源の保護、育成に貢献し、ひいては、地域住民による地域の再評価や自発的な地域活性化も期待されると考えております。今後も必要な保全対策を進めてまいりたいと思います。

 魅力を失わないように、種の保全に特に留意をしなければいけないと考えております。

杉本委員 ちょっと時間がなくなってきたので、また質問の順番を変えさせていただきます。

 東日本大震災、福島第一原発の教訓として、いかに科学者のデータストックをつくっておくか、いざというときに備えてという部分があります。いざというときというタイミングとはちょっと違う次元かもしれないんですけれども、種の保存あるいは外来生物といった分野に対して、やはり、専門家である学者や研究者のデータストックというのが極めて重要かと思います。

 これは、国内に限らず、海外の方を含めて環境省さんとして今どのように掌握しておられるか、また、そのデータをいかに精度を高める努力をされていく予定があるか、教えていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 環境省におきましては、山梨県に置いております生物多様性センターにおきまして、全国を対象に、自然環境保全基礎調査などを行っております。ここで自然環境に関するデータの整備を進めておりますが、これらには多くの科学者や研究者の参画を得て、広く知見を集約しているところでございます。

 この自然環境基礎調査につきましては、原則五年ごとに行うこととしておりまして、最新情報への更新により精度管理に努めているところでございます。

 また、国際的には、各国政府や国際機関が参加する生物多様性観測ネットワークのアジア太平洋地域における活動として、アジア太平洋地域生物多様性観測ネットワークが形成されております。これにつきましても、環境省の生物多様性センターがその事務局となっておりまして、共有データベースの構築などの取り組みを進めているところでございます。

杉本委員 それではちょっとまた違う質問で、絶滅危惧種には当たっておらず、むしろ、繁殖を抑えるという措置がエゾシカに対してなされていて、捕獲事業と称されて、エゾシカの命を奪うような形の措置がされていると感じております。

 日本固有の種に当たるようなこのエゾシカなどについては、動物愛護の観点からも、去勢や避妊手術等のペットに対する措置のようなことができないものかなと思っておりますけれども、予算上の制約あるいはほかの問題点等があるのであれば、ちょっと教えていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 エゾシカにつきましては、農業被害あるいは生態系への被害も非常に大きいという状況にございます。

 北海道庁によれば、北海道におけるエゾシカの捕獲数は平成二十三年度には十三万五千頭ということで、この二十三年度におけるエゾシカの推定生息数は約六十四万頭というふうにされております。今後、このエゾシカの生息数を一層減少させていくことが求められているわけでございます。そういった観点からは、さらなる捕獲が必要ではないかというふうに考えております。

 議員御提案の、捕獲によらない去勢や避妊手術等については、相当数の個体を広範囲に生体捕獲し、去勢等を行った上で放獣する、こういった必要があることに加え、鹿が十年以上生存しているということで、放獣個体が引き続き被害を出すといった問題もありますので、なかなか現実的ではないのではないかというふうに考えているところでございます。

杉本委員 時間となりました。終了いたします。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の野間健と申します。

 またきょう質問をさせていただきます。理事や委員の皆さんの御好意に感謝申し上げます。

 本日は、外来生物法のことを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 この法案で言われております、いわゆる特定外来生物の意味、定義、教えていただけないでしょうか。

齋藤大臣政務官 旧知の野間委員とこうして国会で質疑をするのは、感慨深いものがございます。

 御質問の件ですが、現行の外来生物法第二条におきまして、「海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物」、これを外来生物として定義をしておりまして、この外来生物のうち生態系等へ被害を及ぼすものについて、飼育や輸入等が規制される特定外来生物として指定をされているところでございます。現行の法解釈はそういうことでございます。

    〔委員長退席、土屋(品)委員長代理着席〕

野間委員 本来のというところが一つの基準になっていると思うんですけれども、本来というものの意味とかあるいは時間的なスパン、いつの時代からということで本来ということになるんでしょうか。

伊藤政府参考人 外来生物法におきましては、明治以降に海外から導入されたものを基本的に外来生物として指定するというふうな考え方に立っております。

野間委員 外来生物法ということは、そうしますと、一つの理想像として、では、明治以前の生態系に戻す、あるいは明治以前の生態系が理想であるというのが根本的な考え、理念であると捉えていいんでしょうか。

伊藤政府参考人 はい。現在、そのような考え方に立って法律の運用をしているところでございます。

野間委員 そうしますと、明治以降百五十年たっておりますが、これが長いか短いかはともかくとして、この間にいろいろな生物、動植物が日本に導入をされてきている。その歴史ですとか、外来のものでも日本に定着しているものについての考え方、そういったものをある種排除するようなことになりかねないのか、そこにちょっと疑問を感じているんですけれども、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 ずっと過去のことを振り返れば、例えば米なんかもこれは外来生物だったかもしれないということもありますので、産業利用でありますとか、そういったものについては一定の配慮を当然していく必要があるだろうと、こういうふうに考えている次第でございます。

野間委員 彼岸花とかモンシロチョウ、こういった、もう日本人の風物詩になっているものでも実は明治以降入ってきているわけでありまして、そういったものまで外来生物だということで排除するというのもいかがなものかというふうに思うわけであります。

 その一つの具体的な例として、今、法的な強制力はないですけれども、要注意外来生物リストに、いわゆるアカシア、ニセアカシア、ハリエンジュが入っているんですが、これが我が国の生態系にどんな被害を及ぼしているのか、あるいは、これはまた人間にとって非常に有用な、有益なものでもありますけれども、その実態について教えていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 ニセアカシアにつきましては、成長が早く、再生力が強いなどの特徴を持ち、荒廃地の緑化や庭木、街路樹等に用いられてきました。また、非常に芳香が強く、蜜が多い花をつけるため、アカシア蜂蜜として知られる良質な蜂蜜がとれる植物として、養蜂のために広く利用されているというふうに認識しております。

 一方で、河原などに定着し、河原に固有のケショウヤナギ群落や絶滅危惧種のカワラノギクを駆逐し減少させる要因となっているほか、クロマツなどの海岸の在来種を駆逐しているという報告もございます。また、土壌を富栄養化し、林を構成する植物の種を変化させてしまう等のおそれもございます。

 こうしたことから環境省では、ニセアカシアを要注意外来生物に選定し、影響の大きな場所での防除などを呼びかけているという状況にございます。

野間委員 このようにマイナスがある一方、人間の産業や特に農業、養蜂などに非常に有用な植物であることは間違いないと思います。平成二十五年度までに作成されるという侵略的な外来種リストにも、これを載せるとか載せないという話もあると聞いております。

 ただ、今お話にもありましたけれども、国産の蜂蜜、篠原先生の御地元の長野県なんかでは全国の生産高の二位ですけれども、三分の二以上の蜜源がこのアカシアからとられているという現状もありますし、非常にアカシアの蜜の生産力が強いわけでありまして、菜種とかレンゲなどよりもはるかに数倍とることができる。また、非常に樹齢が短くて蜜源に生育することができる。トチノキなんかは三十五年から百年かからないといい蜜が出ない。アカシアの場合は七年でできる。

 また、御承知のとおり、秋田県の小坂町の銀山、銅山、この鉱毒で山がはげ山になったところにアカシアを植えて、今非常に自然環境が回復したということもありますし、人間にとって非常にプラスなこういう植物があるわけであります。

 こういうものを今後伐採等をしていって果たしていいのだろうか、そういう声も非常にあると思うんですけれども、そのあたり、どうでしょうか。

    〔土屋(品)委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤政府参考人 今、要注意外来生物に選定して、法律上の特定外来生物にはしていないところでございます。

 要注意外来生物に選定した意味は、特に生態系への影響が大きいようなところで防除を進めていくといった取り組みが必要だろうということで、今はこういうことにしているところでございます。

野間委員 そして、これはもう法的な指定を受けている特定外来生物のセイヨウオオマルハナバチ、これは養蜂ではよく使われておりますし、有名な蜂でありますけれども、これもやはり被害や効用、いろいろあると思うんですか、教えていただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 セイヨウオオマルハナバチにつきましては、トマト等のハウス栽培における授粉に広く利用されているとか、非常に大きなメリットがあるわけでございますが、一方で、餌や巣の場所をめぐる在来のマルハナバチとの競合や、交雑によって在来のマルハナバチを遺伝的に攪乱してしまうなどの生態系への被害を及ぼすおそれがあることから、特定外来生物に指定しているところでございます。

野間委員 御承知だと思いますけれども、このセイヨウマルハナバチについては、環境省の許可が得られれば使えるということで、蜜の生産に非常に有用であり、今お話にもありましたけれども、トマトの施設栽培の四割の授粉がこの蜂によって行われている、あるいは、ナス、イチゴ、リンゴ、梨、梅、そういった授粉をほとんどこの蜂が担ってくれているということで、このために農薬ですとかホルモン剤を使わずに済んでいるということで、農家にとっては大きなメリットのある蜂であるわけであります。

 ことしの一月に施行されました養蜂振興法では、「国及び地方公共団体は、」「蜜源植物の保護及び増殖に関し必要な施策を講ずる」という条文も入っているように、これを、特定外来生物ということで非常にマイナスな、害虫のような捉え方をしていることについても多くの養蜂業や農家の方からは批判の声が上がっていることも御存じだと思います。

 そのあたりのバランスをとっていただきたいというのが農家の要望でもありますけれども、環境省としての姿勢はいかがでしょうか。

伊藤政府参考人 外来生物法に基づく特定外来生物の選定に当たって考慮される事項ということを法に基づく基本方針で規定しているわけでございますが、この中では、被害の防止を第一義としつつも、社会的な役割を果たしている外来生物については、代替物の入手可能性など特定外来生物の指定に伴う社会的、経済的影響も考慮する、こういった方針で指定に当たっているところでございます。

 また、既に特定外来生物に指定されているセイヨウオオマルハナバチ等につきましても、先生御指摘がございましたけれども、指定時に既に産業用として飼育されているものについては、なりわいの維持の目的として適切に飼養されるよう申請されれば、環境省はこれまでもこれを許可してきている、今後もこういった方針には変わりはないということでございます。

野間委員 外来生物法の違反といいますか、悪意があってかないかわかりませんけれども、例えば、こういう蜂を何らかのことで逃がしてしまったり外に放出してしまったりした場合、一年以下の懲役や百万円以下の罰金ということになっていますけれども、極端に言うと、一匹蜂を逃がしてしまってそんな罰則を受けるというのもいかがなものかという声が農家からもあるんです。決まっていることについてどうというのはないんですが、余りに厳し過ぎるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 外来生物法違反による検挙件数につきましては、外来生物法が施行された平成十七年度から二十三年度までの間で計五十九件、平成二十三年度は六件でございまして、最も多かったのは、平成二十年の十六件でございました。

 蜂については、検挙された例はないというふうに今承知しているところでございます。また、非意図的に出てしまったものについても、事実上検挙は行われない、こういうふうに承知しているところでございます。

野間委員 今、二つの具体的な例を申し上げましたけれども、とにかく、明治以降に入ってきたからといって、我が国の生態系を乱しているとかマイナスであるという側面もないことはないですけれども、それはやはり、この百五十年の中で我が国に定着しつつある、しようとしている動植物もあるわけでありますから、その辺の線引きを今後どうされるのか、明治以降に入ってきたものを全て排除するということは、これはもう現実問題として非常に難しいと思いますし、やるべきことではないと思うんですが、その辺の大臣の御見解、一種の文明観にもなろうかと思いますけれども、御意見を承りたいと思います。

石原国務大臣 もう既に御答弁をさせていただいておりますけれども、例えば、今養蜂業に使っている蜂、さらには菊、こういう社会的に役割を果たしている外来生物については、外来生物法に基づく基本方針の中でも、代替物の入手可能性など特定外来生物の指定に伴う社会、経済的影響も考慮し、随時選定していくものというふうに規定をしておりますし、今答弁をさせていただいたとおり、適切に対処していくということが、この法律にのっとった対処の方法だと認識をしているところでございます。

野間委員 今後も、ある種の外来生物と我が国の生態系というのはイタチごっこのような感じになってくるとは思いますけれども、なるべく、排除の理論ということではなくて、共生できるもの、共存できるものは取り込んでいくというのが我が国のある意味でのスタンス、文明的な考え方ではないかと思いますので、ぜひそういう点も考慮に入れていただきたいと思います。

 また、本当は副大臣からも御答弁をいただくことになっているところもありますので、ちょっとその辺の根本の理念のことについて、一言、副大臣から最後にお伺いしたいと思います。

田中副大臣 野間先生からいろいろと今御指摘があったわけでございます。

 被害の防止を第一義としつつも、社会的な役割を果たしている外来生物については、代替物の入手可能性など特定外来生物の指定に伴う社会的、経済的影響も考慮することとしておるところでございます。

 一方においては、やはり、きょうの議論がございますように問題もたくさんございまして、適切にそういう部分を判断しながら対応してまいりたいと思っております。

野間委員 ありがとうございました。これで終わります。

吉野委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私、琵琶湖を抱えます滋賀県を選挙区といたしておりまして、議題になっております特定外来生物被害防止法改正案につきまして、琵琶湖において近年急速に生息域を拡大しておると推計されております、また、最も注意を要する外来水生植物だと言われておりますオオバナミズキンバイを例に取り上げまして、質問をさせていただきます。

 委員長を初め理事会の御理解をいただきまして、先週とりましたオオバナミズキンバイをきょう持参をいたしました。先週とりましたので、何か枯れちゃって、またカビも生えてしまっているんですが、これをごらんいただいたらわかるように、大変長いつるの植物でございまして、それぞれのところに根のようなものがずっとあって、表層だけ切ると、それぞれの節にある根がまた根や茎を伸ばし、大変繁殖力のある植物だと言われております。

 お手元に資料もつけさせていただいておりますが、間もなくきれいな花が咲くようです。しかし、お手元一ページ目の右側にありますように、岩のところにもぐっと茎を伸ばす繁殖力、さらには、一番左下にありますように、魚の産卵にとって大事なヨシ原にもずうっと中に入り込んでしまい、右上にありますように、マット状に、琵琶湖の中に太陽が入れない、もしくは水中の酸素が不足するような形で生息域を拡大する。

 一ページ目の右下にありますように、住民の皆さん、滋賀県初め行政も防除のためのいろいろな取り組みをやっているんですが、間に合っていないという状況がございます。そして、二面目にありますように、その生息域が琵琶湖の南部を中心に非常に広がってきているという植物でございます。

 後ほどちょっとこの植物について取り上げ、質問したいと思うんですが、まずその前に、こういう水生植物が生え茂ってきた琵琶湖で、今、稚アユの漁の最盛期を迎えておるんです。きょうは水産庁にもお越しをいただいております。ことしのアユの漁獲量、私も一昨日漁に出てきたんですけれども、その上でお伺いするんですが、ことしのアユの漁獲高は非常に少ないと聞いております。国としてどのように把握をなさっているのか。また後ほど伺いたいと思いますが、よろしくお願いします。

須藤政府参考人 ことしの琵琶湖におけるアユの漁獲動向でございますが、滋賀県からの聞き取りによりますと、琵琶湖におけるアユの漁獲動向の把握のため継続して聞き取り調査を行ってございます三漁協の漁獲量を取りまとめたところ、本年一月から四月まで、直近までのデータでございますが、過去五年間の平均の約三割にとどまっているということでございました。

三日月委員 そうなんです。過去五年の平均の約三割ということで、いろいろな原因が考えられると思います。こういう外来の植物による影響もあるでしょうし、先ほどもある委員が質問されておりましたけれども、ブラックバス、ブルーギル等々の影響もあると思うんですけれども、国として、県も含めてですけれども、行政として政府として、こういった日本固有の琵琶湖産のアユのこういう漁獲高の減少について、その原因についてどのように現時点で把握をなさっていますか。

須藤政府参考人 琵琶湖のアユの漁獲動向についての外来魚の影響でございますが、このところは、いろいろな考え方、御説があるようでございます。

 新聞報道等では、滋賀県の調査も含めましての考え方でございますけれども、水温の影響が高かったということ、これが川に遡上することが難しかったということ、それから、河口付近で待機している間に外来魚に食べられた可能性もあるということ、こういったことが述べられているということでお聞きしてございます。

三日月委員 水温の問題もあるでしょう。水質の問題もあると思います。そして、こういう水草の影響もあるでしょう。さらには、今答弁にありました外来生物のブラックバス等の影響もあると思うんです。

 それではちょっと法案に戻りまして、この外来生物の防除につきまして、実態として地方公共団体が主体的に行っているというものでございまして、平成十六年十月十五日閣議決定されました基本方針でも、全国的な観点から防除を進める優先度の高い地域から防除を進めるべきだということと同時に、特に、地域の事情に精通している地方公共団体や民間団体等が行う防除も重要だといったような形で位置づけられて、実質的には地域、地方で行われることが多いと思うんですけれども、この地方、地域で行われる防除に対して国はどのような対策を、また支援措置を講じていらっしゃるのか、お伺いいたします。

伊藤政府参考人 御指摘のとおり、外来生物法に基づく基本方針では、地域の事情に精通した地方公共団体や民間団体等が行う防除も非常に重要であり、積極的な防除が期待されるとされております。

 環境省では、地方公共団体が行う防除への支援としまして、広域に分布している特定外来生物についてのモデル事業を実施するとともに、その結果を踏まえて、効率的な捕獲技術等を紹介した技術マニュアルを作成し公表しているところでございます。

 さらに、地方公共団体、民間団体等が各地域で実施する野生生物の保護活動などを支援するための地域生物多様性保全活動支援事業というのを行っておりますが、この中で外来生物の防除事業も対象としておりまして、一事業につき、一年から三年間で計一千万程度の金額で支援をしている、こういう状況にございます。

三日月委員 在来種の保護と外来生物の駆除というものとこのバランスが難しく、当然、全体的な財政制約があると思うんですけれども、今環境省の方から御答弁がありました対策、国としてどのような事業名で、全体の予算規模はどの程度確保されているのか、お伺いいたします。

伊藤政府参考人 まず、国が優先度が高い地域から防除を進めるということで、この方針に基づく予算措置は、平成二十四年度について約三億四百二十三万円の事業費でございます。十四カ所で防除事業を実施しているところでございます。

 また、モデル事業でございますけれども、平成二十四年度は、二千百万円の事業費により八カ所で防除モデル事業を実施しているところでございます。

 また、地域生物多様性保全活動支援事業につきましては、これは全体の予算が二億一千百万円でございますが、この中で外来生物の防除につきましては、平成二十四年度におきまして、十六の事業を五千四百万円で実施している、こういう状況にございます。

三日月委員 ちなみに伺いますが、先ほど例に出しました琵琶湖で、植物もそうですし魚もそうなんですが、外来生物の防除に取り組んでおります。当然、県の予算もあれば国の予算もあると思うんですけれども、国として、この琵琶湖の外来生物防除にどれぐらいの国費、事業費を投じていらっしゃいますか。

伊藤政府参考人 環境省では、平成十八年度より、琵琶湖の内湖において、効果的な防除手法の開発、防除の手引の作成、地域の防除体制の構築等を目的とした、オオクチバス等の防除モデル事業を実施しているところでございます。

 当該モデル事業の予算額は、平成二十一年度から平成二十五年度において、年度により六百万から千二百万円程度でございますが、五年間の総額は四千五百万円程度になっている。環境省の予算はこういうことになっております。

三日月委員 大変小さいな、少ないなというイメージを持つんですけれども、きょうは総務省にもお越しいただいております。

 もちろん、琵琶湖は滋賀県にあるんだから滋賀県で対策を講じればいいじゃないかということもあるでしょう。しかし一方で、近畿の約一千五百万人の水がめであり、生物の多様性もそうでしょう、そして水産資源もそうだと思うんですけれども、いわば国民的財産と言ってもいいこの琵琶湖の保全に対して、ちなみに、滋賀県が水をきれいにしたり生物多様性を確保するために毎年投じている県の事業予算が約六十億円、そのうち約二十億円、一般財源から投じてきております。

 では、国から地方交付税がどの程度算入され交付をされているかというものを見ますと、約十一億円にとどまっているという状況なんですけれども、こういった琵琶湖に係る財政需要というものを地方交付税で措置するということについての総務省の考え方、お伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 琵琶湖の総合保全の取り組みにつきましては、かつては、琵琶湖総合開発特別措置法におきまして、国の負担割合の特例がございました。その法の終了後は、関係省庁が連携して取り組みを進めておりまして、現在は、琵琶湖の総合的な保全の推進のための計画、これは第二期計画でございますが、これに基づいて事業を推進している状況でございます。これらの事業につきましては、それぞれの関係省庁の補助等に対応する地方財政措置を講じております。

 特に、一部、公害財特法に基づく事業につきましては、国費のかさ上げ措置と、それに対応する地方財政措置を講じている、そういう状況でございます。

 今後とも、琵琶湖の総合的な保全に関連して、滋賀県、関係地方団体が行う事業が円滑に推進されますよう、国としてのその支援の検討状況を踏まえながら適宜対応したいと思っておりますが、今御指摘のございました、滋賀県が実際にどれぐらいかかって、どういう措置が必要かということにつきましては、毎年度、滋賀県からよく状況を伺いながら必要な対応をしてまいりたいと思います。

三日月委員 後ほど、大臣初め政務三役の方にも御見解等をお伺いしたいんですけれども、もう一点、ちょっとこれは通告にないんですけれども、環境省にお伺いするんです。

 この法律の十一条で、「主務大臣及び国の関係行政機関の長は、この章の規定により、防除を行う」ということになっておりまして、その他の、例えば地方公共団体は、主務大臣の確認を受け、そして地方公共団体以外の方々は、主務大臣の認定を受ける形で防除が行われるということなんですけれども、ちなみに、いろいろな原因で外来生物が入ってきて、さまざまな生態系を侵した場合そしてさまざまな影響を与えた場合、その駆除等々に費用がかかる。その費用について、十六条のところに、原因者負担ということにして、その費用の全部または一部を、原因となった行為をした者があるときは負担をさせることができるという規定がございますが、この規定に基づいて負担をさせた例というのはこれまであるんでしょうか。

伊藤政府参考人 現在までに適用事例はございません。

三日月委員 ここで大臣の御見解なんかをちょっとお伺いしたいと思うんです。

 もちろん、全体的な制約がございます。この法律は、国が防除に対して責任を負うというようなたてつけになり、地域の事情を知っている地方公共団体が行う場合は確認を、それ以外の方々が行う場合は認定をといった形で行っている。

 先ほど環境省にお伺いしたところ、国においてどれぐらいの予算措置をしているかということについては、その年々、限られた財政状況の中で措置はされてきているんですけれども、モデル事業で三億、そして外来魚防除対策で二千数百万、さらには二億円といったような形で、非常に心もとない数字である。

 加えて、原因者負担といったものを求められているかというと、それもなかなか求められていない状況からいたしますと、こうした外来生物の防除というものに対して、私は、さらなる踏み込んだ、もしくはより大きな財政的な支援措置が必要ではないかと考えますが、大臣を初め政務三役の方々の御認識を伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま三日月委員が、オオバナミズキンバイですか、滋賀県の琵琶湖でこのように群生しているということを、または実物もお持ちいただいて、こんなにも繁殖力があって生態系を壊しているのかということを見せていただきまして、ちょっと驚愕さえ覚えたところでございます。

 これによりまして、季節の風物詩ですよね、六月、七月、琵琶湖のアユというのは、こういうものの生態系も著しく阻害されて、その理由としてはこのオオバナミズキンバイだけではないというような説明も水産庁の方等ありましたけれども、やはり、このような外来生物の繁茂によって生態系が壊されているということに対して、しっかりと環境省が向き合う、財政的な支援というものもしっかりやっていかなければならない、こんなことを強く感じたことでございます。

 外来生物法の十一条に「特定外来生物による生態系等に係る被害が生じ、又は生じるおそれがある場合において、当該被害の発生を防止するため必要があるときは、主務大臣及び国の関係行政機関の長(以下「主務大臣等」という。)は、この章の規定により、防除を行うものとする。」としっかりと明記させていただいておりますし、また十八条でも、「地方公共団体は、その行う特定外来生物の防除であって第十一条第二項の規定により公示された事項に適合するものについて、主務省令で定めるところにより、主務大臣のその旨の確認を受けることができる。」というふうにしております。

 もちろん、環境省のレンジャーがアメリカの国立公園みたいなようにたくさんいれば、五万人ぐらいいればいいんですけれども、現実は二、三百人。環境事務所といっても限られた人数で、実態を把握することができない。ですから、どうしてもやはり地方自治体にお願いをして、ここでこういう問題が起こっているということを吸い上げて、先ほど局長が答弁させていただいたように、それに対して支援事業を行う、モデル事業を行うという形で対処をさせていただいているのが現実だと思っております。

 きょう、委員のこの御指摘を踏まえまして、予算の拡充というものにもこれからもしっかりと努めていかなければならないと認識をしたところでございます。

三日月委員 ありがとうございます。

 今、大臣から大変理解のある、また決意のこもった御答弁をいただきましたので、局長、ぜひしっかり予算の要求をしていただいて。今、北川先生初め自民党の中でも琵琶湖再生の法律を検討していただいておりますし、我々もその案を持ちながら、これからは各党持ち寄って。

 琵琶湖の問題は、滋賀県のことだけではなくて、恐らく認識を共有していると思うんですけれども、琵琶湖に限らず、こういう湖や河川、湖沼はそうだと思うんですけれども、さまざまな影響を与える。そして、生物多様性のこともそうです。水産資源に対する影響等々を考えますと、これはやはり国がしっかりとその財政措置も含めて対応していくということが私は大事だと思いますし、発見されて生息が拡大している、負の影響が出始めているこの端緒のときに手を打っておくことが、後の被害に対する補償や手当てをするよりも少なくて済むという観点があろうかと思いますので、しっかりと対応をしていただきたいと思いますし、我々もそれを確認したいと思います。

 そこで、もう一度、このオオバナミズキンバイ初め、リストの問題に戻ってちょっとお伺いをいたします。

 特定外来生物百五種以外に、先ほど来各委員の質問で話題になっておりました要注意外来生物リストというもの、これは百四十八種に対してつくられております。その他に、現在、このオオバナミズキンバイも私は十分それに値すると思うんですけれども、侵略的外来種リストというものをつくられていると思うんです。

 このリスト作成が今年度中ということでお伺いしておりますが、どのようなスケジュールでリストをおつくりになられるのか、また、既存の要注意外来生物リスト等々との関係について、環境省にお伺いいたします。

伊藤政府参考人 環境省では、平成十七年に、外来生物法の規制対象とはしないものの、生態系等に悪影響を及ぼすおそれがあり、引き続き情報を収集することが必要な生物等を要注意外来生物として現在までに百四十八種選定し、適切な取り扱いを呼びかけてきたところでございます。

 その後、平成二十二年に開催された生物多様性条約第十回締約国会議において採択された愛知目標で、侵略的外来種を特定し、優先順位をつけること、その侵入経路を明らかにすることなどが位置づけられた次第でございます。

 また、昨年十二月、中央環境審議会からなされた「外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置」という意見具申の中で、外来生物法の対象とされていない国内由来の外来種を含め、被害を及ぼす可能性のある外来種を整理し、適切な取り扱い方法などの情報を国民に提供すべきとの御指摘がございました。

 これを受けまして、従来の要注意外来種リストに国内由来の外来種も加えまして、さらに、種ごとの利用上の留意点を記載する侵略的外来種リストというのを平成二十五年度中に作成すべく、環境省と農水省で今作業を進めているところでございます。

 このリストでは、最新の定着状況や侵入経路、対策の方向性、利用上の留意点等の情報を提示し、今後の外来種対策の基礎資料として活用したいというふうに考えております。

 また、このリストの作成に当たりましては、有識者による検討会において検討を進めており、昨年度は選定の基本的な方針等を整理しました。リストの規模としては四百から五百種類程度を一応の目安としておりますが、今後、有識者の意見も聞きつつ、具体的な種の選定に入る予定でございます。

 なお、このリストが作成された際には、現行の要注意外来種リストは発展的にこの新しいリストに転換していく、こういうふうな位置づけでございます。

三日月委員 後ほど、せっかくの機会ですので副大臣や政務官にも、きょうの質疑を受けた御感想やなんかをお伺いしたいなと思いますが、その前にもう一点、環境省にお伺いいたします。

 先ほど来紹介しておりますこのオオバナミズキンバイ、二〇〇七年に兵庫県で生息が確認されて、先ほど資料の二につけさせていただきましたが、二〇〇九年に琵琶湖の南部で生息が確認されて、これは、滋賀県の琵琶湖環境科学研究センター等が実施した調査によりますと、二〇一〇年、二〇一一年、二〇一二年と、その生息面積を三倍、十一・五倍、三十倍といった形でううっと広げてきています。私がこの地域に住んでいて琵琶湖岸を散策しても、目に見えて生息域を拡大しているのがわかります。と同時に、今回の法改正の一つの主眼でもあります在来の近縁種との交雑の可能性、これが指摘され始めております。

 そういう意味からしますと、私は早急な対策が要ると思うんですが、先ほど御説明いただきましたこの侵略的外来種リストに当然加えられると同時に、これまでこの法に基づき特定外来生物にも指定をされ、その指定に今年度かけます、その後来年度以降対策を講じますということからすると、若干遅いのではないかという印象を持つんですが、このあたりの認識なりお考えを環境省に伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 御指摘のとおり、オオバナミズキンバイにつきましては、侵略的外来種リストのみならず、特定外来生物に指定するかどうかも含めて、早急に検討し結論を出したいというふうに考えております。

三日月委員 当然、同様の認識を持ちながら、さらっと御答弁をいただきましたので、我々の危機感とちょっと違うのかなと思うんですけれども。

 そうしますと、当然リストに加えられると同時に、先ほども大臣から御答弁いただきました、今の特定外来生物の防除にも非常に心もとない財政的支援しか講じられていない状況で、新たに群生する、そして急速に生息域を拡大するこうした植物の防除に対する財政的な措置というものについて、これをどのように政府は考えますか。

石原国務大臣 今委員が御指摘されたとおり、このオオバナミズキンバイが、絶滅危惧種の日本古来のミズキンバイとケミズキンバイ、これと交雑するおそれがあるというのは非常に重要で、それでまたできたものがこのスピードで繁殖をしていくと、またこれは大変なことになる。さらには、生育環境が競合するものも湖沼にあるわけですよね。ミズユキノシタですか、これが駆逐されつつあるという話も伺っております。

 こういうことに対して、地方公共団体に適切な情報を提供するとともに、先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、対策に必要な予算の確保をしっかりとやって支援を強化していかなければならない、こんなふうに認識しております。

三日月委員 ありがとうございます。

 東京の石原大臣に非常に御理解をいただいて、この危機感を共有できたと思うんですけれども、せっかくの機会ですので、最後に、きのうは電気の節電に随分PRで一役買われた田中副大臣、エコ診断ですか、そして、党は違いますけれども、かねてから同僚議員として切磋琢磨し、一緒に活動しております齋藤政務官に、きょうのこのアユの問題、そしてオオバナミズキンバイ、そして国が行う防除対策、大臣が御答弁された後ですからお答えしにくいところもあるのかもしれませんが、これはややもすると、私は国土交通政策を専門にし、環境政策も見ながらやっているんですけれども、国土交通省や何かの予算のとり方と比べますと環境省はちょっと弱々しくて、もっと例えば前面に出て必要性をきちんと訴えて、特に急がなければならないものに対してのめり張りというんですか、そういうものを私はつけていくべきだと思うんです。

 これには、何かわかりません、霞が関の力関係で、財務省や何かに言いくるめられるとすぐにへなへなとなってしまう環境省の職員を、石原大臣初め、委員長もそうですけれども、この環境委員会の皆様方のお力で、応援で、しっかりとこういうときこそ政治が応援をしていく、後押しをしていくということが私は必要だと思うんですけれども、最後にそのあたりの御決意や御見解を副大臣そして政務官にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

田中副大臣 昨日のエコ診断について触れていただきましてありがとうございました。私も、このかりゆしウエアで自分の家庭をチェックしてもらって、余りにも成績が悪くて大変恥をかきつつ、マスコミの皆さんの前でいろいろなことをお話しさせていただきました。

 今、滋賀県、特に琵琶湖は、世界の遺産であるという認識をしております。私も、GEFという環境基金の会議で北京へ行き、そのすぐ後に琵琶湖で大きな会が催されまして、このことに言及したこともございまして、しっかりと対応をしていかなきゃいけないと思います。

 特に、お話があったオオバナミズキンバイは、極めて深刻だということ、はっきり言って私は余り知識がなくて、今先生から御指摘があって、改めて危機感を持たせていただいたところでございます。

 政治が主導する、特に石原大臣は大物大臣でございますので、私も財務省の副大臣だとか財務金融委員長をやらせていただいた経過もありまして、しっかりと予算要求等もしてまいりたいなと思っております。

 あわせて一言申し上げますと、琵琶湖にはコイがたくさんいますけれども、ノゴイというコイが琵琶湖で呼称され、普通のコイとは別扱いで漁師の皆さんは対応しておられるようでございますが、このノゴイが、世界じゅうに分布していたかもしれませんが、全く別の種として、そして琵琶湖にしか世界じゅうでいないということが明らかになりつつあるようでございます。普通のコイはどのように日本に来たのかわかりませんけれども、外来種は普通のコイであり、琵琶湖のノゴイこそ固有種であるというような調査になりつつあるようでございまして、またいろいろと御指導いただければ幸いだと思っております。

 頑張ってまいります。

齋藤大臣政務官 きょう委員から御指摘ありましたオオバナミズキンバイもそうですし、先ほど来議論になりましたアライグマもそうですし、それからセアカゴケグモもそうでありますけれども、やはり、早期に強力な措置をもって対応するということがいかに大事かということが、この改正法案の審議の中でみんなで共有できたんじゃないかと思います。

 特にこのオオバナミズキンバイの場合は、本当にこの一、二年の話であろうと思いますので、確かに財政当局が強力ではありますけれども、先ほど委員おっしゃったように、時間がたてばたつほどもっとお金がかかる話でありますので、お金を節約する意味において、早期に強力な措置をとるということが肝要だと思っていますので、大物大臣のもとで一生懸命取り組んでいきたいと思います。

三日月委員 ありがとうございました。

 大変御理解いただいて、今後の措置に期待を申し上げ、私も滋賀のノゴイとして頑張る決意を申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、参議院送付、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

    ―――――――――――――

吉野委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、杉本かずみ君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。杉本かずみ君。

杉本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 種の保存に関する科学的知見の充実を図り、それに基づいて、「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」(以下「保全戦略」という。)を始め、総合的な施策を策定・実施すること。

 二 「保全戦略」は海洋生物を含めて策定すること。また、「保全戦略」は、種の指定の考え方や進め方を示す、大胆かつ機動性の高いものとすること。

 三 「保全戦略」に希少野生動植物種の指定に関する国民による提案の方法及び政府による回答の方法等を明記すること。

 四 改正法施行後三年の見直しに向けて、以下の取組を行うこと。

  1 「保全戦略」を法定計画とし、閣議決定することを検討すること。

  2 種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護管理計画などを勧告する、専門家による常設の科学委員会の法定を検討すること。

  3 希少野生動植物種等の指定に関して、国民による指定提案制度の法定を検討すること。

  4 国際希少野生動植物種の個体等の登録制度において、個体等識別情報をマイクロチップ、脚環、ICタグ等によって全ての個体等上へ表示するとともに、登録票上へもICタグ等により表示することによって、登録票の付け替え、流用を防止する措置、並びに登録拒否、登録の有効期間の設定及び登録抹消手続の法定を検討すること。

 五 希少野生動植物種等の指定は、科学的知見を最大に尊重して実施することとし、当面、二〇二〇年までに三百種を新規指定することを目指し、候補種の選定について検討を行うこと。そのため、中央環境審議会自然環境部会の野生生物小委員会において、種の指定の考え方や候補種の選定等について議論を行い、その結果を尊重すること。また、同小委員会の委員については、国民の理解を得られる人選を行い、自由闊達な議論を保障するとともに、明確な理由の存在しない限り、国民に対する情報の公開を徹底すること。

 六 生物多様性基本法第八条「政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない」を踏まえ、希少野生動植物種の保存のため、地方自治体への支援を含め、財政上、税制上その他の措置を講ずること。

 七 生物多様性基本法第二十四条、改正法第五十三条第二項に則り、種の保存に関し、最新の科学的知見を踏まえた学校教育・社会教育・広報活動、専門的な知識・経験を有する人材の育成、種の保存に関して理解を深める場及び機会の提供等により、種の保存に関する国民の理解を深めること。

 八 改正法附則第七条に基づき、改正法施行後、速やかに、今回の改正内容のみならず、種の保存法全体について見直しを開始し、改正法施行三年後に速やかに必要な措置を講ずること。

 九 中央環境審議会は、環境大臣の諮問を待たず、種の保存に関連して、前項の種の保存法の見直しやその他関係法令の見直しを含め、積極的に意見具申を行うこと。

 十 海洋生態系の要となる海棲哺乳類を含めた海洋生物については、科学的見地に立ってその希少性評価を適切に行うこと。また、候補種選定の際、現在は種指定の実績がない海洋生物についても、積極的に選定の対象とすること。

 十一 近年、地球温暖化に伴う急激な気候の変化によって、ホッキョクグマ、サンゴなどの種や生態系への影響が世界的に顕著になり始めていることに鑑み、我が国政府は、カンクン合意を踏まえつつ、低炭素社会に向けての新たな世界的な枠組みの構築のため、二〇二〇年からの実施を目指し法的文書の合意を二〇一五年までに得ることについて、リーダーシップを発揮すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

吉野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 次に、内閣提出、参議院送付、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

    ―――――――――――――

吉野委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、北川知克君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。北川知克君。

北川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 生態系等に係る被害を及ぼす外来生物について、科学的知見を踏まえて積極的に特定外来生物に指定するとともに、地方公共団体及び民間団体等と連携して根絶に向け防除を進めること。

 二 特定外来生物と在来生物との交雑種については、交雑が進むことにより在来生物の遺伝的かく乱等の生態系への被害が生じることに鑑み、本法の施行後、対象となる種の指定を速やかに行うとともに、防除に係る措置に早期に着手すること。

 三 特定外来生物の放出等の許可に当たっては、当該放出等による在来生物、農林水産業等への影響が抑えられるよう、関係者の意見を聴取するなど必要な対策について万全を期すよう努めること。

 四 本法実施に係る人員の確保及び予算の充実に努めるとともに、輸入時の外来生物の侵入防止のため、関係府省間の連携強化を図ること。また、輸入品等に混入・付着して非意図的に導入される特定外来生物に関して、導入経路及び生育状況の調査並びに監視について、一層の強化に努めること。

 五 現行法が対象としない国内由来の外来種への対応については、地方公共団体等が重要な役割を担っていることから、科学的知見及び防除マニュアル等の情報提供に努めるとともに、財政支援等必要な措置を講ずること。

 六 東日本大震災では下北半島から房総半島に至る広大な範囲で、大規模地震とこれに伴う巨大津波による塩害や砂浜消滅などの生息域破壊により、被災地域の生物や生態系が甚大な被害を受けるとともに、被害を被り弱体化・減少した在来固有種の生息地に侵略的外来種等が侵襲しつつあることに鑑み、被災地の生物や生態系の被害影響調査を実施し、生態系回復・保全に対する取組を強化するとともに、侵略的外来種等に対して適切な防除等の措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

吉野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました両附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石原環境大臣。

石原国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、環境省として、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

吉野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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