衆議院

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第4号 平成25年11月8日(金曜日)

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平成二十五年十一月八日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 田中 和徳君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 吉田  泉君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      小倉 將信君    大久保三代君

      鬼木  誠君    川田  隆君

      小林 史明君    助田 重義君

      武井 俊輔君    藤原  崇君

      牧原 秀樹君    荒井  聰君

      生方 幸夫君    小沢 鋭仁君

      百瀬 智之君    浮島 智子君

      中島 克仁君    小宮山泰子君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      牧原 秀樹君

   環境大臣政務官      浮島 智子君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房原子力規制組織等改革推進室長)     鎌形 浩史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   森本 英香君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     鬼木  誠君

  井林 辰憲君     川田  隆君

  岩田 和親君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     穴見 陽一君

  川田  隆君     井林 辰憲君

  武井 俊輔君     岩田 和親君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房原子力規制組織等改革推進室長鎌形浩史君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、原子力規制庁次長森本英香君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁でございます。

 本日、独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律案、三日目になりまして、与党の方と野党の一部からも御質問があったと思いますが、私にも少し時間を拝借させていただきたいと思います。

 改めまして、JNES、この法律案は、昨年の六月に成立した原子力規制委員会設置法、その附則における条項の法制化の処置として、今国会に提出をされております。

 相次ぐ福島第一原発事故後のトラブルを踏まえて、規制委員会の専門性をより一層高めることを目的に、今回、統合されるということですが、JNES自体は、もともと、原子力の安全規制にかかわる国内外の最新の知見を踏まえて、原子力規制委員会を技術的にサポートしている。主に、研究業務、検査業務、防災業務ということであります。

 改めて、単純明快にお聞きします。なぜ今のままではだめなんでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 まず、福島第一原発事故の国会事故調の報告書などにおきまして、当時の規制当局が、推進側から独立をしておらず、また、専門性の欠如などから、十分な役割を果たせなかったことが指摘されております。

 こうした指摘も踏まえまして、原子力規制委員会が昨年九月に発足したところでありますが、原子力の安全確保に向けて、原子力規制組織の一元化をさらに推し進め、その専門性を一層強化していくことが重要と考えております。

 今回の統合は、規制委員会の専門性のさらなる強化を狙いとするものであります。規制委員会設置法附則第六条第四項においても、原子力安全基盤機構の統合が求められているところであり、速やかに統合することが必要と考えております。

 この統合によって、原子力規制への最新知見の反映や東京電力福島第一原発への対応などに当たって、原子力安全基盤機構の専門技術的能力を規制委員会がより直接的、一体的に活用できる体制に変わるもの、そのための統合というふうに認識をしております。

中島委員 この法案の中にもございます、専門性をより一層高める、福島第一原発事故後の処理に当たってもということでございますが、実際に、具体的に統合によって何が変わるのか。

 私、地元が山梨県でございますが、山梨県にも、福島の方がたくさん、被災されて来られております。そういう方たちにこの法案の内容を、その方たちだけではないですが、お尋ねをしました。今度こういった処置がなされますよと。ほとんどの方が、それによって今のたび重なる福島第一原発事故のトラブルが解決できるんですか、そのように具体的なことを求めてきます。

 もちろん、より一層専門性を高めるということは、非常に私自身も、そういうことは必要だなという認識は持っておるわけですが、福島は、今たび重なり過ぎて整理もできないぐらいになっておりますが、そのことが実際に、具体的に解決に導けるんですよね。

田中政府特別補佐人 今般の統合によりまして、専門的な技術を持っております原安機構、これを一体的に活用することによって、今御指摘のような福島第一についての対応も前進できるというふうに判断しております。

中島委員 やはり、国民の皆さんの率直な意見としますと、これだけたび重なっている事故、トラブル、それが解決に導けるためであるならばということです。先ほども、三層構造、指示系統で、専門性があったJNESのアドバイスがなかなか生かされない、そのために今回、統合という御説明だと思うんですけれども、一方で、以前から、規制委員会と東電さんとの関係で、規制当局が専門性において東電よりも劣る、いわゆるとりこ状態ですね、この解消ができるんでしょうか。

田中政府特別補佐人 一部、先ほどの繰り返しになりますけれども、今まで、国会事故調査委員会報告書において、やはり専門性の欠如ということが、今御指摘のように、事業者より劣っている、そのことが原因になってとりこになっていたということを指摘されております。

 今も、統合前でございますけれども、そのことについては十分な配慮をして、さまざまな有識者のサポート等を得ておりますけれども、今後、原子力基盤機構と一体となりまして、人事面においても一体的にそれを活用するということの中で、そういったとりこというようなことのないように、きちっとできるようになるというふうに判断しています。

中島委員 なるようにではなくて、そうしてもらわないと、国民の皆さん、やはり今回、独立行政法人が公務員化されるということは前例がないわけですよね。しかも、独立行政法人も、そのほとんどは、電気事業者やプラントメーカーに勤務していた方たち、民間の出身の方々が来られている独法。これが公務員化される、前例がないことです。そして、別にそのことをとやかく言うわけではないんですが、非公務員だった方が今度統合されることで、倍にふえるわけですよね。

 そういった中で、やはり国民の皆さんに、今回のことで何ができて、何が解消できるんだということは明確に示すべきだと思います。それはもちろん、専門性を高めたり、今までのような事故が続かないようにする、そんなことをやるのは当たり前のことですから。

 そういう中で、先ほど言ったように、専門性がなかなか規制委員会に生かされなかったということであれば、では、今まで何をやっていたんですかと。三層構造だったと言いますが、そうであれば、今回の法律案の趣旨は、より一層仲よくするため、そういう言い方もできると思われます。

 ですから、私どもは、以前から、我が党もそうです、除染、汚染水問題など、たび重なるトラブル、もし今回のJNES、こういうような処置をとるのであれば、まずやるべきは、東京電力の破綻処理をしっかりとして、その責任を問うというところが、まず先か、少なくとも同時かというふうに思うわけですが、それに対してはいかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 東京電力の経営の扱いについては、私どもが何かを申し上げる立場にはございませんけれども、先日も、私、広瀬社長に直接会いまして、まず第一に優先すべきことは、福島第一原子力発電所について国民の不安を解消することが最も大事なことであるということを申し上げました。それにつきまして、私どもは規制の立場でありますけれども、十分な専門性を持って、それをできる限り支援していきたい、いきますということを申し上げてありますので、その方向で東京電力にも進むよう指導してまいりたいと思います。

中島委員 今、田中委員長に御答弁いただいたので、東電さんの破綻処理に関しましては、先日も、生方議員からの質問に対して、被災者への補償問題、電力の安定供給、その理由で、恐らくほかにも、金融方面への影響も踏まえて、なかなか難しいと。ただ、今回このような処置をしていく上で、これも私、地元で福島の方にもお聞きします。その前にやるべきことは、やはり東電、責任を明確にするべきではないか、そういう意見が非常に多いことも確かだと思います。

 もろもろの被災者への補償、これも含めて、国有化して、国が前面に立って福島の方への補償をやる。電力供給に関しましては、我が党も電力自由化推進法をまた今国会でも出しましたが、とにかく、現場の状況と、政府側の、強い側の位置づけをしっかりと守っていかなければいけないな、そのようにも思います。

 やはり、ほとんどの多くの方々は、これだけ福島の事故が続いておる中で、除染問題やさまざまなあれで国税が使われておるわけです。その一方では、営利企業である東電さん、それを守っているんじゃないか、そういう意見があることをぜひ真摯に受けとめていただきながら、今回、どのようにされていくのかは今後のことだとは思いますが、やっていただきたいと思います。

 先ほど田中委員長の方からも御説明がありました、より一層専門性を高めて、安全性を高めるということではございますが、一方で、規制委員会の方では、新安全基準の審査、これもいろいろ審査のことも進めなければいけないという報道もなされておりますが、その専門性を強化する理由が、新安全基準、原発再稼働に向けた強化とも言える向きがあるのではないか、そんな指摘もあると思います。その辺についてはいかがでしょう。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会は、放射線からの人と環境への影響というものをなくすということを最大の目的としてつくられた組織でございます。そういった観点で、その専門性、科学的技術性というものを高めて、それを実現していくというのがその仕事でございます。

 今回の改正によって原子力規制委員会の専門性が強化されるということはまさにその狙いでございますが、その結果として、もちろん適合性審査に役立つという面はございますけれども、それがメーンではございませんで、全般として専門的な能力を高めて、そして各原子力発電所の安全性をしっかりと確保する、そのための体制の強化だというふうに認識してございます。

中島委員 まずお約束していただきたいのが、原安の、JNESさんの内容、やはり今御説明したとおりだと思います。これが本当に本末転倒で、冒頭にも聞きました、何が変わるのか。とにかく、今たび重なるトラブルが解消できるのか、解消するために今回のJNESの統合がなされるということをしっかりと示してもらいたいんですね。

 実際に、そのおかげでこうなったということをちゃんと検証していかなければ、ただただ国民の見えないところで国費が使われながらこういうことになる、そして一方では、新安全基準の審査を早める。今御説明がありましたが、どうか約束していただきたいんですね。人員体制が整わないということはあるとは思います。以前からも指摘されていたことだとは思いますが、今回、統合して職員も倍になるわけですよね。煩雑な、今も報道でも、全国各地、何カ所かの原発が再審査ということもされておるようです。その審査の強化のためだということは絶対ないということを断言していただきたいんです。

森本政府参考人 原子力規制委員会、いろいろな仕事をしてございます。やはり、人と環境を守るという観点からは、福島第一原子力発電所の対応、これは非常に重要なこと、プライオリティーの一番であろうと考えてございます。

 それ以外に、もちろん、法律上の義務といたしまして、原子力発電所の安全性の審査、適合性の審査、あるいは防災の指針といったものを策定するといった仕事がございます。

 適合性審査につきましては、今でも原安、原子力安全基盤機構の職員が参画してございまして、今回の統合によって審査体制が直接強化されるというものではございません。中に入ること、一つの組織に入ることによって人員配置が柔軟になるということでございますけれども、基本的には、先生のおっしゃった趣旨、福島第一原子力発電所への対応といったものを常に念頭に置いて取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

中島委員 整理して確認しますが、とにかく、今たび重なっている汚染水の問題、そういうトラブルが今回のことで確実に前進する、要するに起こらなくなる、そのことを第一番の目標に考えていられるということでよろしいですね。

 もう一つ、絶対に、新安全基準、その審査の強化のためではないということはお約束していただけますね。

森本政府参考人 もちろん安全審査の強化にも役立つとは思いますけれども、目的としましては、おっしゃるとおり、人と環境を守るという観点から、福島第一原子力発電所の対応が第一というふうに考えてございます。

中島委員 間違いなくそこのためではないということを、やはり国民の皆さん、特に福島の方々に示していただきたいと思います。

 要するに、前段でも、冒頭にも言いました、今回のことが国民の皆さんにはほとんど知られていない中で、こういうことが起こるというか、統合される。それは、名目的には、名目ではないのかもしれませんが、専門性を高めて、今起こっていることに対応していく、その強化ということだと思いますが、一方で、そういうことが明確にされない。

 今も答弁いただきましたが、私としましては、今回、実際に何が変わるのか、やはり私にはよくわかりません。JNESが以前からそういう支援をしていたということは知っておりますが、統合されたことで具体的に何が変わるのか。やはり、そのことが私にはいま一つ明確に理解できない思いであります。

 ちょっと確認しておきたいこともありますので、確認させていただきます。

 JNESの財務諸表、財務会計表をちょっと見させていただいたんですが、これは二十四年三月三十一日ですから恐らく二十三年度になると思いますが、資産の部では現金及び預金が百十億、そして、純資産でいきますと四十八億円がJNESにはあると思います。二十四年度はちょっと違うのかもしれませんが。確認ですが、これの処理についてちょっと御説明いただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する今度の法律案の第一条に基づきまして、機構が保有する資産及び債務は、国に承継されることとなります。具体的には、原子力安全基盤機構が保有する現金及び預金、それから固定資産等の資産に加えて、未払い金等の債務についても国に承継されるということでございます。

中島委員 先ほども言いました、独立行政法人がこのような形で統合されるということは今までも前例がないわけですよね。職員の年齢等も含めて、このような処置をするということは、一方で、今の福島原発事故、その強化をするという隠れみのみたいな形の中で、もし不正な部分があるようですと、これは本当に信頼性をなくすことになります。

 ですから、先ほど、前段でも申しました、今のとりこの状態を解決していくための強化、そして、もう何度も何度も言いますが、今の福島の現状を確実に解決できる、そして、新安全基準のもとで原発再稼働に向けての強化ではない、そのことをしっかりと認識していただいて、統合された後どういう効果があったのかをしっかりと報告していただきたいと思います。

 時間ですので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 福島の第一原発の事故以来、原発に関して、また、その規制のあり方、そういった周辺に関しても、大きな価値観や見方、また、何よりも、あり方や必要性というものの重要性等、さまざまなものが変わってきたんだと思います。

 繰り返しになりますけれども、本日の議題になっております独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律、これは平成二十四年六月に成立した原子力規制委員会設置法の附則から成っているものであります。法制上、速やかにということでこれが実行されていくわけでありますが、この十年間というもの、機構の評価と成果、規制委員会への統合に期待される点について、まず確認させていただきたいと思います。

 独立行政法人原子力安全基盤機構は、二〇〇三年十月に設置され、ちょうど十年を迎えたところであります。私自身、あしたが実は十年目なものですから、本当に同期と言えるようなもので、また、こうやって新しいステージに行くということに関してはいろいろな思いもありますし、この十年というのは大変な時代の変化があったかと思っております。

 まずは、独立行政法人として存在しているこの十年間について、機構による事業成果並びにその評価について政府としてどのように捉えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 原子力安全基盤機構、JNESは、まず第一に、原子力安全確保に関する最新の科学的知見の収集、それから、技術的検討を踏まえた原子力規制委員会への提言、あるいは、原子力関連施設の検査業務、それに、緊急時に備えた、原子力関連施設、緊急時応対センター、あるいはオフサイトセンターなどを結ぶ情報システムの構築とか運用等を行って、全般的に原子力規制行政を技術的に支援してまいりました。

 特に、原子力安全確保に関する最新知見の収集、技術的検討を踏まえた提言につきましては、例えば、火災防護対策の一つとして、原子力発電所内のケーブル被覆材の有効性に関するデータの集積、こういった評価も行いまして、これは今般の新規制基準にも反映されているところでございます。

 また、東京電力福島第一原子力発電所の事故の後になりますけれども、これは旧原子力安全・保安院からの業務依頼になりますけれども、保安院に専門家を派遣して技術情報を提供したり、現地対策本部に資機材、人材を提供したり、国内への情報発信とか、あらゆる支援を行ってまいりました。

 今後、原子力規制委員会としましては、これまで原安機構が有してきました専門的、技術的能力を一体的に規制行政に生かす、そういったことができるというふうに原子力安全基盤機構に対しての評価をしておりますので、非常に私自身は大きな期待を持っているところでございます。

小宮山委員 最近は、本当に相次ぐさまざまな事故や汚染水の問題、さまざまな調査をしなければいけない、技術的にしっかりと捉えなければならないことが多く出てきているようでありますので、この点をぜひしっかりとまた生かしていただければと思います。

 本当は最後に聞く方がよろしいのかもしれないんですが、本法案が成立いたしましたら、機構が規制委員会に統合される、これは、大変独立性も高くなっている委員会に統合されることで、これまでに増して期待されること、それについてどのように環境省として考えているのか、お聞かせいただければと思います。

石原国務大臣 ただいま田中委員長の方から、国民の期待にしっかり応えていくというようなお話がございました。

 私もまさに同意見でございまして、専門性が高まり、それによりまして、原子力の安全確保に向けて、国民の皆さん方が、規制官庁がしっかりしているから大丈夫だね、こういうふうに思われることがやはり一番肝要だと思いますし、これももう既に御答弁の中にありましたが、国会事故調の指摘の中で、とりこになっているという言葉が書いてあります。規制する側と利用を推進する側が一つのところにあって、それによって、専門性もなく、電力側の言いなりになっていたということはやはり否めない、そういう報告が事故調の中で示されている。

 こういうことに対して、今後はそういうことがないということを示していく上で、私も、一国民としても、やはり、この新しい組織に、安全確保に向けて国民の期待に応えていってもらいたい、こんな思いでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 JNESは、その誕生から現在に至るまで、業務内容の専門性、特殊性から、職員の採用についても特別な状況が見られます。当初、原子力関係事業に携わってこられた人材を集めて発足した機構は、その後も、中途採用により、知見、経験を有する人材を多く採用してきたと伺っております。機構の職員の年齢構成は六十歳以上が多く、若年の職員が少ない。また、若手を内部で教育していくことが大きな課題として認識されており、直近には新卒採用も多くされているようであります。

 若手の教育はもちろん重要とわかりますけれども、職務内容から考えると、原子力関連事業の現場に携わって、実際にそこを知っている人材を採用するということ、中途採用を続けていくということも重要かと考えます。

 そこで、非公務員型の独法から国の組織の一部へと変わることで、必要な人材採用に対し支障を生じることがないのか、所見を伺いたいと思います。

田中政府特別補佐人 中途採用に関しましては、原子力安全基盤機構にとどまらず、私どもにおいても、即戦力が非常に大事だということもありまして、原子力分野における実務経験者の採用を継続して積極的に今実施しております。そういう意味で、メーカーとか電力会社等の現場での実務経験豊富な専門人材を、なかなか思うようには集まりませんけれども、少しずつ、かなりの人数を採用してきております。

 また、新卒採用に関しましては、原子力工学分野の知見を有する学生の採用を、これまで以上に採用できるように、規制庁の採用試験において来年度から原子力工学分野の試験区分を追加するということで、今、関係省庁にもお願いしているところであります。

 いずれにしても、原子力分野の専門知識を有する者の採用は、中途採用、新卒にかかわらず、積極的に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

小宮山委員 なかなか原子力分野を専門とする学生さんたちの数が必ずしもふえていないという話もあり、大変難しいかと思うところもありますが、ぜひ、この分野に関して多くの方が興味を持ち、その道に入っていただきたいなというふうに私自身も思います。

 さて、国家公務員の退職後の再就職に当たっては、いわゆる天下りや、管理監督する業界団体への就職に対して、世論の厳しい目線が集まっているところでもあります。本機構では、その性質上、原子力関連事業者から多くの中途採用を受け入れているのも事実であります。規制委員会に統合後は国家公務員として活動するわけですけれども、関連の業界団体とのなれ合いのないようにしなければならないと感じております。やはり、批判を生じるようなことはないようにしなければならない。

 特に、原発推進といった今までの大きな流れの中で来たものでもあります。これから早急に廃炉ということも進めなければならない中で、その関係性というのは大変難しいものがあるんだとは思います。天下りや業界への再就職で多くの批判を受けていたのと、また官から民という流れ、本当は、今回は珍しくというんでしょうか、民から官になるということで、原子力規制委員会への中途採用の事例として、誤解のないようにしっかりと説明をする必要があるのではないかと考えております。

 この対策というんでしょうか、お考え、また方策などを教えていただければと思います。

森本政府参考人 お答えいたします。

 原子力分野で実務経験者の採用というのは、組織の専門性を高める上で極めて重要だというふうに考えてございます。そういう意味で、民間企業の出身の方も非常に貴重だというふうに考えてございます。

 ただ、今回の職員の採用という面におきましては、民間企業を退職した上で、これまでの経験を生かして原子力安全に貢献したいという強い志と覚悟を持って来ていただく。特に、いわゆる片道切符という形で採用させていただいているという形でございます。

 そういう意味で、関連業界とのなれ合いといったことにはならないように考えてございますが、こういった点については、先生おっしゃったとおりに、外に向かっても言うことは必要でございますので、規制庁の会見でも説明してきましたし、今後とも説明していきたいと考えてございます。

 また、規制委員会自身は、規制の判断を行う場合に、公開の場で議論を行うというルールを徹底しておりまして、全て、資料も含め、あるいはユーチューブ等で公開をするというふうに変わってございます。

 そういった意味で、社会の監視のもとにございますので、そういった、原安機構の統合が関連業界とのなれ合いといったような批判を受けることがないように、今後とも、透明性のある規制行政というやり方を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

小宮山委員 あと、六十歳以上の職員を採用できることについてお伺いしていきたいと思います。

 本法案の附則第四条において、機構の六十歳以上の職員を、国家公務員の再任用制度を準用して原子力規制委員会に採用可能としております。

 現時点で、高度の知見と経験を有する六十歳以上の職員が多数在籍されており、また、大変、採用の過程から、長く、しっかりといていただいているんだとは思いますが、かつ、これらの貴重な人材に規制委員会においても引き続き職務についていただかなければならない。国民の期待する原子力規制業務が十分に果たせることが必要だと思っておりますし、彼らを採用する可能性ということは大変妥当であるというふうに考えております。

 その上で、そうはいいましても、いつまで、どのような形で継続して働いていただくのか、また、技術の継承、経験の継承というものをどうしていくのか、処遇、待遇についてどのように考えるのか、もう少し詳しく、明確にお聞かせください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、原安機構の六十歳以上のベテランの職員という方々は、原子力発電所の建設の最盛期を経験された方、そういう意味で、実務経験の非常に豊かな、貴重な戦力でございます。統合によって、これらの職員の専門的な知識とか経験が生かされるようにすることは、私ども、大変重要だというふうに考えてございます。

 このために、統合後の業務に必要なポスト、それから定員の確保、これについては、関係省庁とも相談をしつつ、しっかりと確保するように尽力していきたいというふうに考えてございますし、それから、採用時の給与決定などにおいて、原安機構在職時に相当する処遇を確保するということについて最大限配慮をしたいというふうに考えています。

 統合後は、こうしたベテランの職員も国家公務員制度の枠組みの中で働いていただくことになるんですが、その際には、現在原子力規制庁で働いている職員との処遇の均衡も考慮する必要はございます。その辺も考えながら進めていきたいと思ってございます。

 いずれにしても、最後に先生おっしゃったように、こういったベテラン職員の知見や経験の伝承、若手の人に伝えていくということは非常に重要でございますので、そういうことを進めて、規制委員会全体のレベルを上げていきたいというふうに考えてございます。

小宮山委員 今回、大変珍しいパターンで、独立行政法人、民間から公に入ってくるわけですけれども、正直、採用されたときに、独立行政法人に入ったわけですけれども、まさか公務員というんでしょうか、の立場に入っていくとは考えていなかったのではないか。というお話も聞いております。

 独法から原子力規制委員会に統合された後の、独立されているとはいえ、環境省の管轄下であります。一般的な省庁内の人事異動の一環という想定もできるのではないかと思います。管理職、中間職、そのほか職員として異動してくることというのも想定されるのか、その点に関しましてお聞かせください。

森本政府参考人 お答えいたします。

 やはり、原安機構で働いていた方というのはその知識経験が非常に重要、統合によっても、その知識経験を最大に生かしていくということが重要でございます。そういった意味で、原安機構で行われていた専門的な業務というのを、当面、その原安機構の職員が引き継ぐという形を考えてございまして、その必要があるというふうに考えてございます。

 一方、組織の融合を進めるに当たりまして、人事を一体的に進めていくことも重要でございます。それによって、旧規制庁の職員と旧原安機構の職員が人事交流を進めて、全体としてさらに専門性を高めていくということは、規制委員会全体として必要なことでございます。

 他省庁との交流につきましても、原子力規制庁の中だけで閉じこもるということではなくて、幅広くやっていただくのも、行政官としての視野を広くするという意味では重要だと考えてございます。

 いずれにしても、専門性の蓄積、それから原安機構の方々の専門性の活用ということを視野に入れて、しっかりと踏まえて、対応していきたいというふうに考えてございます。

小宮山委員 当然、現在の機構も、職員であっても全員が専門家ではなく、一般事務の方もいらっしゃるわけですし、実際に、規制庁の方にも、環境省の方から行かれている方もいらっしゃいます。そういう意味においては、入ったときは独法だけれども、出るときは公務員という形で、年金のあり方も恐らく変わるのかなと。うなずいているから、そうなりますよね。

 非常に、人生どうなるのかなというところはありますけれども、ぜひ、そうはいいましても、大変この分野、技術者であれば、そういう意味では工学でさまざまな、世界じゅうで活動の場がある中での採用ともなります。また、その中で、それを支えてきた事務職の方、そういった方たちもきちんと処遇をしていただいて、本当の意味で新しい規制庁、ボトムアップして、多くの方が期待をしっかりと受けとめられるような、そういう規制庁にしていただきたいというふうに思っております。

 うなずいていただいたんですが、ちょっと最後にその点、改めて委員長、聞かせていただければと思います。通告はしておりませんけれども、これからの規制庁のあり方について、一言いただければと思います。

田中政府特別補佐人 そもそも、私ども原子力規制委員会が三条委員会として発足をさせていただきましたのは、やはり、福島第一原子力発電所の事故を受けて、今後これをどういうふうに、国民の信頼を原子力安全規制行政において確保していくのか、回復していくのかということが、私に課せられた最大の課題だということを再三申し上げてきました。その思いは今でも変わっておりません。そのために必要なこととして、今般の原子力安全基盤機構の統合もあるというふうに思っております。

 ですから、こういったことを踏まえながら、先生御指摘のように、きちっと私たちに課せられた役割を果たすよう、最大限の努力を傾倒してまいりたいと思います。

小宮山委員 田中委員長には、議運の理事会の席におきまして質問させていただいたところ、まだまだこの福島第一原発の事故、収束しているとも言えないと明確におっしゃっていただきました。あの言葉というのは、私にとりましては大変衝撃的でもあり、かつ、現実をしっかり捉えていらっしゃるなという思いもしております。ぜひこれからも、まだまだ事故は収束した状態ではない、また、さらに問題が発生をしているという中で、規制庁の役割は大きいと思います。これから新しい組織として、そして専門家の方々が入るからこその役割をさらに担っていただくことを期待いたしまして、私の質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、盛山正仁君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び生活の党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。吉田泉君。

吉田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 独立行政法人原子力安全基盤機構(以下「機構」という。)の職員を原子力規制委員会へ採用する際の具体的な手続について明らかにするとともに、「できる限り一体として原子力規制委員会職員とするよう努める」ことと定めた本法の規定に鑑み、原子力規制委員会への採用を希望する機構職員については可能な限り採用すること。

 二 機構を統合した後の原子力規制委員会の体制づくりや機構から採用した職員の配置に際しては、機構出身者の能力を最大限に生かせるよう十分配慮すること。

 三 原子力規制委員会に採用される機構の職員に支給される人事院規則で定める特別の手当の検討に当たっては、当該職員の高い知見や技術力を適正に勘案しつつ、国家公務員である原子力規制委員会職員になったことにより収入等に大きく影響が及ばないような給与体系となるよう十分配慮すること。

 四 原子力規制委員会への採用を希望しない機構職員に対しては、再就職の支援等に最大限配慮すること。

 五 機構職員が有する原子力安全規制行政に係る知見や技術を、原子力規制庁の若手職員等に引き継ぐための体制を構築するとともに、原子力安全規制行政の将来を見据えた人材の育成に努めること。

 六 原子力規制委員会の有する科学的知見や専門的技術の一層の向上に努めることにより、事業者の監視・監督機能の一層の適正化を図ること。

 七 原子力規制委員会が発足されてから一年以上が経過しているにもかかわらず、同委員会設置法に規定されている原子炉安全専門審査会、核燃料安全専門審査会及び放射線審議会が未だに設置されていない現状に鑑み、早期に設置すること。

 八 原子力規制委員会の研究調査機能の強化に努めるとともに、関連する大学や研究調査機関との連携を深め、原子力安全規制のための技術の向上に努めること。

 九 海外の最新の知見や技術を取り入れるため、外国人有識者の活用並びに諸外国の原子力関係機関との意見交換及び情報共有を一層推進すること。また、これまで機構が行ってきた海外の技術支援機関等との協力等を、原子力規制委員会が引き続き行えるよう体制整備を図ること。

 十 原子力に係る高い知見や技術を有する民間の人材を積極的に採用するなど、原子力規制委員会の一層の体制強化に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

伊藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石原環境大臣。

石原国務大臣 ただいま議題となりました附帯決議につきまして、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十六分散会


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