衆議院

メインへスキップ



第5号 平成26年4月8日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君

   理事 田中 和徳君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 吉田  泉君

   理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      勝俣 孝明君    菅野さちこ君

      熊田 裕通君    小林 史明君

      助田 重義君    高橋ひなこ君

      中山 展宏君    藤原  崇君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      生方 幸夫君    篠原  孝君

      足立 康史君    小熊 慎司君

      小沢 鋭仁君    百瀬 智之君

      浮島 智子君    濱村  進君

      中島 克仁君    林  宙紀君

      野間  健君

    …………………………………

   環境大臣         石原 伸晃君

   環境副大臣        北川 知克君

   環境副大臣        井上 信治君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   環境大臣政務官      牧原 秀樹君

   環境大臣政務官      浮島 智子君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            氷見野良三君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           藤井 康弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         清水  亨君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            清水 康弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  星野 一昭君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   森本 英香君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役副社長)       相澤 善吾君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     菅野さちこ君

  井野 俊郎君     高橋ひなこ君

  大久保三代君     堀内 詔子君

  荒井  聰君     篠原  孝君

  小沢 鋭仁君     小熊 慎司君

  百瀬 智之君     足立 康史君

  浮島 智子君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  菅野さちこ君     中山 展宏君

  高橋ひなこ君     井野 俊郎君

  堀内 詔子君     熊田 裕通君

  篠原  孝君     荒井  聰君

  足立 康史君     百瀬 智之君

  小熊 慎司君     小沢 鋭仁君

  濱村  進君     浮島 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     勝俣 孝明君

  中山 展宏君     赤枝 恒雄君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     大久保三代君

    ―――――――――――――

四月八日

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)

 環境の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役副社長相澤善吾君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として金融庁総務企画局審議官氷見野良三君、厚生労働省大臣官房審議官藤井康弘君、国土交通省大臣官房技術参事官清水亨君、環境省大臣官房長鈴木正規君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、環境省総合環境政策局長清水康弘君、環境省総合環境政策局環境保健部長塚原太郎君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省水・大気環境局長小林正明君、環境省自然環境局長星野一昭君、原子力規制庁次長森本英香君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、環境委員会におきまして質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 私、二月末に、地球環境国際議員連盟、GLOBEジャパンの一員として、ワシントンDCに行ってまいりました。その御報告も兼ねて、本日は質問をさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 このGLOBEジャパンの一員として行かせていただいた会議ですけれども、世界四十五カ国の国々から約百名の各国の国会議員が参集して、各国の気候変動関連についての立法あるいは政策について、さまざま最新の情報を共有し合うというような場でございました。

 そうした中で、二日間みっちりと、朝から晩までディスカッションを行ってきたということでありましたけれども、成果物といたしましては、第四次気候変動立法報告書あるいは第二回GLOBE気候変動立法サミット声明文というものが発行されたということでございました。

 これは、オフィシャルにはそういうことで成果物もあったわけですけれども、本日、私、参加した者として、ぜひ皆様に御報告申し上げたいところは、基調講演があったんですけれども、その基調講演の中で、日本の温室効果ガス削減目標、マイナス三・八%でございますけれども、ここに対して数値目標が引き下げられたということで、非常にマイナス評価を得ているわけですね。オーストラリアと並び称されて、日本の取り組みは後退したというふうに言われているわけでございます。

 この状況としましては、福島の原発事故以降、日本の状況は、原発稼働がない中で目標を立てた、このこと自体も非常に野心的な目標なんだということを理解していただきたいという状況があるにもかかわらず、数字だけが先走ってしまうというのは、これはもう仕方がないところではありますけれども、非常に強い強い批判を受けたわけでございます。

 これに対しまして、日本からは、小池百合子GLOBEジャパン会長から、しっかり日本の立場について公式に発表させていただいたというわけでございますけれども、私自身も、イタリアとかドイツ、こういった国々の国会議員と直接話をさせていただきました。その中で、日本の取り組みについてしっかりと話をするということも含めて、彼ら自身がどういう状態にあるかというのも聞いてまいりました。

 ドイツ、イタリア、こういった国々も、EUの中で、各国レベルでどういった数値目標を達成するかというのが定まっていないということも、非常にイタリアの議員なんかは懸念しているということを言っていたり、あるいはドイツ。ドイツも、原発をなくしましたというふうに言っているんですが、隣の国であるフランスから電力を買っていたりするわけでございます。そういうところはちょっとまやかしなんじゃないかとみずからも思っているということは、彼らもしっかりと問題意識として持っていたという状況であります。

 そんな中で、温室効果ガス削減については、世界各国がそれぞれ目標を掲げて実現をしていかなければいけないということで、これは世界各国の信頼関係がベースにあってこそ初めてできるものであるというふうに思うわけでございますけれども、ここの信頼関係が損なわれることになると、世界の外交においても信頼を失うことにつながるというふうに考えられるわけでございます。

 日本は、現状、温室効果ガス削減については、世界でまれに見る後ろ向きな国であるというふうに言われているわけですので、しっかり対策をしていかなければいけないというふうに思うわけでございます。

 今後、二〇一五年のCOP21に向けて、新たな削減目標案を出すこととなるわけでございますけれども、この大臣の現状認識と、世界を納得させられるだけの新たな目標について、御決意をお聞かせください。

石原国務大臣 濱村委員がワシントンに行かれて、GLOBE、私もメンバーの一人でございますが、そこで世界各国の方々と、日本の置かれている現状、そして日本の取り組みについてお話をいただいたということは、我が国にとりまして、環境行政をつかさどる者として、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 委員が冒頭おっしゃいましたとおり、二五と三・八を単純に比べたら、それは小学生でも、何だ、二五から三・八かという話になると思うんですね。しかし、私は、その二五という数字を打ち出した政権のときの積み上げをいろいろ聞いたんですけれども、十分に省庁間で話ができた数字ではないんですね。

 一つ例をとりますと、原発は五割ですか、もちろん三・一一の前でございますけれども、どういうふうにその五割に持っていくというような工程表もない。そんな中で出た二五という数字が世界で躍っている。これをしっかりと改めて、現実的な数字として、委員御指摘のとおり野心的なものにしていかなきゃならないというのが日本の置かれた役割だと私は思っております。

 三・八というのは、もう委員が御質問の中で御開陳いただきましたとおり、原発による排出量というものが含まっていない現時点での数字であるということを私も強く世界各国に申したわけでございますし、三・八の内訳は、森林の吸収が二・八、そのほかの部分でも、今もう既に世界最高水準と言われているエネルギー効率、これはこの十年間で一〇%ぐらい削減することができたんですけれども、これをさらにもう二〇%深掘りするんだ。ここのところを話しますと、COP19での話でございますけれども、各国の方々も、おお、それはすごいなということを称賛してくれたところでもございます。

 あるいは、再生可能エネルギー、御党の皆様方が大変熱心に御議論をいただいておりますが、省エネ努力の実施とともに再生エネルギーの割合を深掘りしていく。あるいは、フロン対策の強化、JCMと言われるような二国間クレジット、こういうものを総合的に進めることによりまして、野心的な目標というものをつくっていくことができるんじゃないかと思っております。そしてまた、それをやっていかなければ、環境先進国として、日本の国際社会での発言力というものはなくなってしまう。ここは、これからもう一度体制を立て直すつもりで取り組んでいかなければならない。

 委員が御指摘されましたとおり、二〇一五年のパリまでにしっかりと示していくということで、来年の第一・四半期までには新たな目標を提出する、その目標が野心的かつ実行可能な目標になる、そして、世界からもなるほどなと言われるものをつくっていくべく全力で努力をしていきたい、こんなふうに考えております。

濱村委員 今大臣からもございましたとおり、野心的な目標を掲げるということは非常に大事であるんですけれども、根拠のある実行可能な目標であることもあわせて非常に大事であるというふうに思うわけでございます。この目標につきましては、ぜひしっかりと根拠のあるものにしていっていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、その根拠のある数字を積み上げるためには、原発をどのように扱うかというのは非常に大事な論点であるというふうに思うわけでございます。

 当然、原発の再稼働についてしっかりと方針を見通せた上で、その根拠ある数字を出さなければいけないということになるかと思うわけでございますけれども、今現状、原発再稼働について見通しが立っているかどうか。あるいは、これは、再稼働する、しない、いずれにいたしましても、どうするのかなかなか見えてこない状況であるというふうに思います。

 九州電力の川内原発について、優先的に審査を進めていくということが発表されているわけでございます。このこと自体はしっかりと評価していきたいというふうに思うわけですが、私自身も近畿比例ブロック選出議員でありますけれども、関西地域に電力を供給する福井県の大飯、高浜、こういったところで働く方々に私は話を聞いてまいりました。

 そういった方々の中で、原発の補修一式工事を請け負うような業者の社長さんとお話をさせていただいたりもしたんですけれども、今現状でいうと、シビアアクシデント対応やバックフィット対応のために、工事として仕事はあるんだということはおっしゃっておりました。しかしながら、仕事はあるんだけれども、次の世代まで続けられる仕事なのかどうかわからない、見通せないという話がありました。いち早く国が方針を出してほしいという話があったわけでございます。

 そんな中で、原発再稼働に関して、排出量削減の目標を出すためだけではなくて、しっかり、そこで働く方々についても、審査をできる限り迅速に行っていただきたいというふうにお願い申し上げたいわけでございますけれども、川内原発以降の話、これについて、大飯、高浜も含めてどのように対応して迅速化を行っていかれるのか、この点について取り組みをお示しいただけますでしょうか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会におきましては、昨年七月八日に新規制基準を施行して以来、事業者からの申請を受けて精力的に今審査を行ってございます。

 御指摘のとおり、九州電力の川内一、二号機、これにつきましては、審査の基礎となります地震動と津波高さ、これが確定できるというめどがつくところまで審査が至ったということで、かつ、ほかに重要な審査上の問題点がないというような状況に至ったものですから、今御指摘のございましたように、少し優先をして、申請書の補正と審査書案の作成の準備に入るということにいたしました。

 他方、川内原子力発電所以外につきましては、このような地震や津波の観点から川内原発と同様に審査が進捗したというように判断できる状況に至ったものは、御指摘の関西電力大飯、高浜の発電所を含めまして今のところまだ出てきていないという状況にございます。

 このようなやり方にしました背景をちょっと御説明いたしますと、今回の審査は、これまでの基準を抜本的に改めた新しい基準に基づく初めての審査ということでございますので、十分に質の高い審査書案をつくるということによりまして、ほかのプラントの審査も含めて、審査全体を効果的、効率的に進めることができるんじゃないか、こういう観点で進めているものでございますので、今、最初の例を早く上げるべく全力で取り組んでいる、そういう状況でございます。

濱村委員 先ほど大臣からもございましたとおり、二〇一五年の第一・四半期には目標を掲げなければいけないという中でございます。非常に時間的には限られているというふうに思っていいわけでありますけれども、これは麻生目標を立てたときとかは、目標を出すのに大体半年かかったということであります。逆算すると本当に時間がない中ですので、ぜひ迅速に対応していただきたいというふうに思うわけでございます。

 話を排出量削減に戻しますけれども、排出削減におきまして一番重要なのは、そもそもエネルギーを使わないということでありまして、省エネの取り組みが非常に大事であるというふうに思うわけでございます。これは環境省の皆さんもそのように対応されているわけでございますけれども、大きく言いますと、企業がどのように対策をするかというものと、家庭においてどのように対策するか、二つに分けられるのかなというふうに思うわけでございます。

 企業活動、これは、大企業についてはCSRの観点からとか、取り組みが進んでいるわけですが、中小企業はまだまだ進んでいない状況であるわけでございます。ぜひ、中小企業における省エネ対策、どのように対策に取り組まれるのか、あるいは家庭においてどのように取り組まれるのか、環境省の方からお答えいただけますでしょうか。

関政府参考人 御指摘のとおり、エネルギーの効率的な利用を進めるというのは温暖化対策の上で極めて重要だと考えておりまして、この一環といたしまして、環境省におきまして、三月でございますけれども、L2―Tech・JAPANイニシアティブ、こういうものを発表させていただきました。

 これは、大幅な省エネにつながります先導的な低炭素技術、リーディング・アンド・ローカーボン・テクノロジー、この略でL2―Techと呼ばせていただいておりますけれども、これをリスト化いたしまして、わかりやすく、日本にはたくさん技術がございますので、どういうものがどういう分野ですぐれたものがあるのかということをリスト化いたしまして、開発、導入、普及等を国内外で強力に推進したい、こういうものであります。

 このリストを用いまして、自治体とも連携いたしまして、中小企業を含みます産業界におけるL2―Techの導入状況を環境省の方でフォローアップさせていただきまして、この結果を踏まえて導入支援策等を展開していきたい。こうすることによって、中小企業等の産業分野での省エネを一段と進めていきたい。

 一方、家庭におきましては、各家庭に診断員を派遣いたしまして、省エネにつながります効果的な対策やライフスタイルを提案する、家庭エコ診断と呼んでおりますけれども、これを、これまでモデル的に行っておりましたけれども、今年度から本格的に実施することとしておりまして、何が、どういうことができるのかということを御家庭の方に知っていただくことによって対策を進めていきたい、このように考えております。

濱村委員 ありがとうございます。

 L2―Techのリスト化とか家庭エコ診断、しっかりと取り組みをしていただきたいというふうに思いますが、省エネだけでなくて再エネについても質問をさせていただきたいと思います。

 再生可能エネルギーの導入促進について、今般検討されているエネルギー基本計画におきましても、さらに上回る水準ということで目指されているわけでございます。ぜひ前向きに検討をいただきたいと思うわけでございますけれども、環境省として、再エネの導入促進については数値目標も含めてどのように取り組むのか、御教示ください。

石原国務大臣 委員が御指摘されましたとおり、再生可能エネルギーをさらにふやしていくということは、私、極めて重要だと思いますし、環境省の立場もまさに委員御指摘のとおりだと思っております。

 そんな中で、地球温暖化対策の観点から、二〇三〇年にどの程度の割合というものが必要かということでございますけれども、これは先ほどの議論と本当に一緒なんですが、野心的でかつ実現可能である、そこが一つ私は大切なんだと思っております。

 そんな中で、私、就任以来、事務方に指示をさせていただいておりますのは、やはり、三〇%、こういう数字を積み上げることができるのか、しっかり数字を出せと。何をやることによって、何を利用することによって、太陽光、洋上風力等々が考えられると思いますけれども、こういうものを積み重ねて、現時点で一体どこまでが可能なのか、これが将来的に一つキーポイントになるんじゃないかと思っております。

 私個人としては、麻生目標が二〇%でございました、ヨーロッパの方では、EUは四五%という数字を出してくるということもうわさされております。そんな中で、委員のGLOBEでのお話等々にあったように、日本が積極的にこの地球温暖化対策に関与していく上では、再生可能エネルギーの割合をしっかりしたものを示していくということが非常に肝要なんだと思っております。

濱村委員 時間もなくなってまいりましたので、最後、一つだけ質問して終わりたいと思うんです。

 再生可能エネルギーも大事なんですが、本当に積み上げがどこまでできるのかというのが非常に大事であります。そうした中でも、自給電源をしっかり普及させていかなければいけない、地域においてどのように電力を賄っていくのか、こういった取り組みも必要であるというふうに思うわけでございますけれども、地方公共団体が主役となって推進していっていただかなければいけないということもあります。

 この地公体に対してどのように支援していくのか。環境省として、窓口の一元化を図るとか、そういったところについても、現状の認識と今後の取り組みについてお答え願えますでしょうか。

清水(康)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、低炭素社会の構築のためには、自立分散型のエネルギーの導入を初め、地域の特性に応じた取り組みによる対策の深掘りが重要であり、地方公共団体との連携が極めて重要というふうに認識しております。

 この観点から、環境省においては、自治体職員向けの研修を実施しているほか、防災拠点への再生可能エネルギーの導入を進めるグリーンニューディール基金による支援を進めてきました。また、平成二十六年度から、事業化計画の策定から設備導入までを総合的に支援するグリーンパートナーシップ事業を実施することとしております。

 地域における多様なニーズに対応し、創意工夫のある施策を進めていただけるよう、今後とも、ソフト、ハード両面からの地方公共団体に対する支援を総合的に実施してまいりたい、このように考えております。

濱村委員 ぜひ、環境省の皆様にはリーダーシップを、大臣も特にリーダーシップを発揮していただきながら、さまざま取り組みがありますけれども、皆様一体となって排出削減に向けて取り組んでいただきたいというふうにお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、吉田泉君。

吉田委員 民主党、吉田泉であります。

 私の方からは、福島の原発事故関連で何点かお伺いをしたいと思います。

 四月になって新年度がスタートしたところですが、四月の一日には、これは東京電力の社内組織ですけれども、福島第一廃炉推進カンパニーというのが発足をいたしました。最高責任者に就任された増田さんは、一つミスをすれば放射性物質が環境中に漏れるんだ、そういう意識づけを徹底したいという発言をされました。状況のさらなる改善を期待したいと思います。

 それから、その翌日、二日には、国連放射線影響科学委員会、やっと最終報告書が出ました。事故によるがん発症率への影響は小さく、明確ながんの増加は予想していないという結論でありました。事故の直後の早期避難、さらには食物の制限、こういった手段が功を奏したということだと思うんですが、この報告書が福島県民の不安解消に役立てられますように期待をしたいと思います。

 そういった中で、今年度の特に大きな仕事の一つが中間貯蔵の建設であります。せんだって二月の十二日、福島県知事から、二町集約、二つの町に集約すべしという提案を初めとする要請があったわけですが、それを受けて、その後の進展状況はどんなものであるか、まずそれをお伺いします。

井上副大臣 委員御指摘のように、二月の十二日に佐藤雄平知事から、地元の総意として、中間貯蔵施設の計画案の修正について、見直しについて申し入れをいただきました。それを受けまして、三月二十七日に石原環境大臣また根本復興大臣から、中間貯蔵施設につきましては、今までの三町に設置するというものを、計画面積をふやすことなく二町に集約するということ、それから、管理型処分場の活用につきましては、その中のセメント固型化施設については富岡から楢葉の波倉地区に設置するというような変更の回答をしたところであります。

 その他さまざまな課題もありますので、現在、政府で検討をし、そして地元と協議をしながら進めているところでございます。

吉田委員 政府としては、なるべく早く住民説明会を開催したいという意向だと思います。ただ、そのためには、知事の要請にもありましたけれども、生活再建策さらには地域振興策、そういったものの大枠がある程度固まっていなければならない、さらには、買い取り価格の大枠がある程度固まっていなければなかなか住民説明会まで持っていけないんじゃないか、こういうふうに思います。

 それらを含めて大臣にお伺いしたいと思いますが、地元から投げかけられたいろいろな課題がございますが、その対応状況、検討状況を教えてください。

石原国務大臣 今委員がいろいろ御説明いただきましたように、最大の関心はやはり生活支援策と復興支援策、この二つだと思います。迷惑施設をお願いする以上は、環境省としてできること、これは中心になりますのは生活再建策になると思いますので、ここの部分については前回はっきりと、多岐にわたる地元の事業ニーズに柔軟に応えられるよう必要な財政措置を講ずると方針を明示させていただきました。

 これは、これからお話を聞かせていただいて、こうこうこういう事業をやりたい、こうこうこういう再建策を、生活支援をやりたいというものを並べていって、それを財政でしっかり面倒を見ることができるということをお示ししていかなければならない。しかし、その中でやはり、ばらまき的なものというものはなかなか多くの方々の理解を得ませんので、しっかりと事業を固めていく、こういうお話をさせていただきまして、この部分につきましては一定の評価をいただいたと思っております。

 そのほか、復興支援策の方については、復興庁を中心に取りまとめられるわけですけれども、環境省としてもしっかりとバックアップをしていかなければならないと考えておりますし、実は、他省庁にもかなり多くの部分がこの復興支援策というものはまたがってまいります。ですから、ここに若干時間はかかるかもしれませんけれども、この部分についてもしっかりとしたものを示していくということが必要だと思います。

 あと、強く御要望のございましたことは、三十年以内の県外最終処分の法制化についてでございます。

 これはもう民主党政権下で、中間貯蔵施設を受け入れていただけるような環境が整えば法制化を図ると閣議決定をしていただいておりますし、これを現政権も踏襲させていただいているという旨を申し上げました。いろいろなお考えがあって、これを先にやった方がいいんじゃないかというような御意見もございましたが、私どもは、これを先にやりますと、もうそこにつくるということを地元の御理解を、了解を得ていないうちにつくるということを決めてしまうことになりませんかというようなお話をさせていただいておりまして、そこの部分はまだ議論が終わっていないということでございます。

 復興庁を初めとする関係省庁としっかり連携しつつ、できる限り早期に地元の住民の皆様への説明を生活支援策と復興支援策とあわせて行われるよう、努力をしていきたいと考えております。

吉田委員 ありがとうございました。

 それから、諸課題の一つに、土地の売買でいくのか賃貸借でいくのかという問題がございます。

 せんだって大熊町の関係者の方とちょっとお話をしたら、もし国に土地を売るとなると、大熊町の住民票がなくなる、つまり大熊の町民でなくなってしまう、それは住民にとっていろいろな面で非常に不本意なんだ、売った場合でも町民であり続けられるような措置を何とか考えてもらえないかというようなお話、御意見をいただきました。

 今、大熊町は、避難中という非常な状態にあるわけでして、何かそういう特別な措置が考えられないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 今先生から、土地の買い取りあるいは賃借というような御指摘もございました。

 これは先日知事へのお答えにもあるのでございますが、長期にわたって集中的かつ安定的な管理をしていくという意味で、土地を賃借でいくということは困難であると考えておりますが、この辺の地元の御理解を得ていくということも重要でございます。

 これに関連もいたしまして、住民票の問題も地元から御指摘をいただいております。

 これは、総務省から聞いておりますところでは、住民票というのは、各人の生活の本拠たる住所をあらわすものであり、住所の認定は、客観的居住の事実を基礎とし、これに居住者の主観的居住意思を総合して、市町村長が決定することとされている、こういう性格のものであるようでございます。

 これは総務省の所管のものでございますが、地元には、こういった住民票の話とも関連をいたしまして、今の、賃借権、あるいはどういった対応でいくかというのはさまざまな御意見がございます。このことは私どもも認識しているところでございます。そういう中で、賃借でということ自体は困難でございますが、地元の御意見も伺いながら、関係省庁と連携をして、地元の意向も踏まえた跡地利用などの可能性もしっかり考えていく、こういうことも回答したところでございますので、こういうことでしっかり追求をしてまいりたいと考えております。

吉田委員 総務省の住民票の原則からいうとなかなか難しいということのようですけれども、どうぞ交渉の中で総合的に丁寧に対応願いたいと思います。

 いずれにしても、今、仮置き場に除染をした土壌等を置いているわけですが、仮置き場もなかなかふやせないという状況でございます。福島県の中通りを中心に、住宅とか事業所の敷地の中に、仮仮置き場と呼んでいますけれども、今そういうところに置いてある。何とその数が昨年末で四万七千カ所に達したということでございます。すぐ近くで生活しているわけですよね。

 中間貯蔵施設の早期開業というのは多くの人が望むところでございます。来年一月予定の操業開始に向けて、今、これから山場だと思いますよね。ぜひ、政府を挙げての知恵を出していただきますようにお願いをしたいと思います。

 次の問題ですけれども、この中間貯蔵施設と並んで、もう一方で、指定廃棄物最終処分場という問題があります。

 指定廃棄物というのは、一キロ当たり八千ベクレル以上の主として焼却灰などでございますが、これも、当然ですけれども、発生量の八割は福島県内、福島県の発生分でございますが、それ以外の二割弱ぐらいの分については、福島県の周辺の、発生した周辺五県に県内処理をお願いしているという状況でございます。

 まず、五県における取り組みの進捗状況をお伺いしたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 指定廃棄物につきましては、今先生御指摘のように、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の五県におきまして、放射性物質汚染対処特措法並びにその基本方針に基づきまして、国が処分場を確保して、それぞれの県で処理を進める方針を進めてございます。

 この具体的な進捗につきましては、有識者会議あるいは市町村長会議というものを各県で開催させていただきまして、県知事初め市町村長の方々から直接御意見を賜りながら、それぞれの県ごとの事情に応じまして、処分場の候補地を選定する手法などについて丁寧に議論を重ねているところでございます。

 その結果、宮城県におきましては、選定作業を行い、本年一月に、今後のボーリング調査等の詳細調査の候補地としまして三カ所を提示させていただいたところでございます。また、栃木県につきましても、昨年十二月に候補地の選定方法を決定しておりまして、現在その選定作業を行っているところでございます。その他の三県におきましても、地域ごとの実情やさまざまな御意見を賜りながら、丁寧に進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、指定廃棄物の処理が着実に前進できるよう、引き続き、最大限努めてまいりたいというふうに考えております。

吉田委員 指定廃棄物については、平成二十三年十一月十一日、閣議決定がなされております。放射性物質汚染対処特措法の基本方針、その中で、この処理は排出された都道府県内において行うということが決められたわけです。その二十三年の方針を現政権も引き継いでおられるわけですけれども、改めて、なぜ発生県の県内処理なのか、その経緯ないし理由をお伺いしたい。お願いします。

梶原政府参考人 指定廃棄物の県内処理についてでございますけれども、平成二十三年の夏の段階におきまして、指定廃棄物を含め、いろいろな廃棄物につきまして、福島県で最終処分することについてお話を申し上げたときには、それは受け入れられないという形のお答えでございました。

 平成二十三年八月末に放射性物質汚染対処特措法が成立するわけでございますけれども、そのもとの基本方針を作成して閣議決定をするという段階におきまして、指定廃棄物については早期に処理をする必要があるということで、福島県だけではなく、周辺の県だけではなく、福島県も含め、各県に保管している指定廃棄物につきましては県内処理ということについて提案をし、調整をさせていただいたところでございます。

 その結果、平成二十三年十一月に閣議決定いたしました基本方針におきましては、今先生からおっしゃられたような、保管している各県内で処理をするといった方針を明記したところでございます。

吉田委員 そんな中で、これは一部の方と言っていいと思うんですけれども、指定廃棄物は福島県の東電サイトに集約して処分すべきだという主張が出されております。これは、排出者責任、つまり、排出者ということは東電ですね、東電責任論という理論に基づく主張であるということでございます。

 それに関して、これは昨年の二十五年六月ですけれども、環境省は、福島県に対して、改めてそういう考え方に対する見解を求めました。そのときの福島県の見解をちょっとここで紹介を願いたいと思います。

梶原政府参考人 先ほどもちょっと答弁させていただいたんですが、昨年の春以降、五県におきまして、それぞれ各県内で最終処分場を確保したいということで、市町村長会議を開催して、県知事または市町村長の御意見を伺ってまいりました。その中で、一部の市町村長の方々から福島県での集約処分について御意見があったということから、今先生御指摘のように、昨年六月に改めて福島県の意向を確認しております。

 その際、福島県からは、指定廃棄物のみならず、放射性物質に汚染された廃棄物の処理について見通しが立たない極めて厳しい状況にある、各県で保管されている指定廃棄物については、特措法並びに基本方針に基づいて、各県内において国の責任で確実に処理すべきであるという考え方を承ったところでございます。

吉田委員 以上の状況を踏まえて、ここで、最終処分地問題に関して大臣の見解を伺いたいと思います。

石原国務大臣 ただいま吉田委員と当方の梶原部長との、事実関係、また、どういう経緯であるのかというお話を聞かせていただいておりまして、私どもは民主党政権下での閣議決定というものを政権交代後も踏襲させていただいたということに、ある意味間違いはなかったのかな、そんな思いを持ったところでございます。

 もちろん、福島県側が全てのものを福島県の方でお受けするというような話になればまた話は違うんだろうと思いますけれども、一番多くの原子力災害の被災者たる福島県の皆様方に、こっちの方も頼むよというのは、やはり人情としてもなかなかお頼みできることではございません。

 明確に県の側の意見が示された以上は、もちろん、当委員会でもいろいろな方がいろいろな御意見を今言われているということも委員のお話の中にあったとおり事実だと思いますけれども、やはりこちらの方は、各県の処分場というのは、実は中間貯蔵施設よりもある意味では難しいのかもしれませんけれども、その方針でこの三年数カ月来ている以上は、この処分場の確保に向けて全力で取り組むというのが今の政府のスタンスでございます。

吉田委員 万が一、今までの大方針が揺らぐとなると、大変な混乱が待っていると私は思います。一部の人が言う排出者責任論という立場に立ちますと、今やっている中間貯蔵施設の後の最終処分というのも、理論的には福島県に行くべきだということになってしまいます。そうすると、一挙に交渉は決裂するというふうに思います。さらには、福島で起こした電気を使っていた受益者というのはそもそも誰だったんだ、関東の方じゃないのかというような極めて感情的な議論も起こりかねないということですので、既に決められた基本方針にのっとって、それぞれが責任を持って役割を果たす、これしかこの難局を乗り切ることはできないというふうに私は思っておりますので、今大臣おっしゃった確固たる姿勢を今後とも維持していただきたいとお願いをいたします。

 今度は、汚染水対策。きょうは東電の相澤副社長にも来ていただいていますので、お願いをいたします。

 汚染水問題ですが、大変厳しい状況が続いております。最近では、これは二月の十九日の昼間でしたけれども、H6エリアと言われているタンクから百トンの汚染水が漏えいする、もう一カ月半ぐらい前の話ですが。それで、実は、その濃度が二億三千万ベクレル・パー・リットルということで大変高いということで、これは、昨年八月、同じような漏えい事故があったときにレベル3という評価がなされていましたが、ひょっとしたらそれに匹敵するぐらいの大きな事故ではなかったのかと推測しているところでございます。

 まず、副社長の方に、その漏えいの原因、もう特定されたと思いますが、お伺いします。

相澤参考人 お答え申し上げます。

 その前に、今なお汚染水漏れ等のトラブルで、地域の皆様初め全国の皆様に大変御心配、御迷惑をおかけしていますことを心からおわび申し上げます。申しわけございません。

 先生の御指摘のトラブルでありますが、おっしゃるとおり、二月の十九日につきましては、本来の移送予定先でないエリアに汚染水を移送したことで、H6エリアタンクの上部の天板部、ここから雨どいを伝って汚染水が堰の外に漏えいしたというものでありまして、ポンプの流量や稼働時間の状況から、大体百立米漏れたのであろうというふうに考えております。

 漏えいした汚染水百立米のうち四十二立米につきましては回収し、さらに、その汚染水がしみ込んだ土壌二百立米につきましても回収しております。さらに、今後、この回収土壌につきましてはふやすということで考えております。

 また、拡散防止という観点から、地下水の観測孔や、あるいはさらに、その観測孔から汚れた水が出た場合に汚染水をくみ上げるウエルポイント五カ所等も設置をして、対策を実施しているところであります。

 先生御指摘の御質問は今回の漏えいの原因、反省点でありますが、大きく二つあると思っております。一つは、設備の異常を示す兆候があらわれたにもかかわらずそれに完全に対応し切っていない、それからもう一点は、弁の開閉管理ができていなかった、この二点であるというふうに考えております。

 この異常兆候に対しては、確実に対応がとれるようにハード並びにソフトの面から対策を施していくと同時に、現場にいて、現場の状況を見ながらファクトというものを見逃してしまった。すなわち、現場、現物、現実という三現主義にのっとって確実にファクトを導き、解明して、それに対する評価をし、そして対策を立案して、策定して、実行していくといった現場力というものが不足していたというふうに感じております。これにつきましても、徹底的に対応、育成をするべく取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上であります。

吉田委員 ありがとうございました。

 事実関係の確認ですけれども、この十九日の昼間、十時三十二分から五十七分といいますから二十五分間、ここの時間帯で配管につけられている何千という弁のうちの二つが何者かによって人為的に逆方向に操作をされてしまった、したがって、水が誤った方向に行ってタンクをあふれさせた、こういうことが東電の発表にもございます。

 誰がいつ、何のためにこの弁をいじったのか、ちょっと質問を一つ飛ばしているかもしれませんが、その事実関係の社内調査がずっとこの一カ月ぐらい行われてきたと思うんですが、その状況についてお伺いします。

相澤参考人 お答えいたします。

 弁の操作に関する事実関係につきましては、二月の二十一日から三月の十四日まで百二十四名を対象に、このうち社員が十六名、協力会社の方が百八名でございますが、この百二十四名の方を対象に延べ百六十九回、合計七十二時間のヒアリングを実施いたしました。

 しかしながら、二月の十九日午前中並びにその夜間、これは午前中はバルブを逆にして、夜間でバルブが戻ったと考えられますが、この弁操作にかかわる直接的な状況を示すといったような証言は得られていないというのが現状であります。

 また、操作が行われた弁の付近のカメラにつきましては残念ながら映像は残っておりませんでしたけれども、構内の他の場所に設置されているカメラでは録画がされておりました。その録画された映像につきましても確認をいたしましたが、有益な情報は得られておりません。

 このため、四月一日から相談窓口というのを設置いたしまして、さらに広く情報を求めていくということで考えております。この相談窓口につきましては、設置しておりますが、今までのところ、まだ新しい情報は得られていない、こんな状況でございます。

 以上であります。

吉田委員 先ほど申し上げた昼間の二十五分間、この間にいじられているわけですけれども、その二十五分間の中で、プレート取りつけ工事というのがこの二つの弁についてもなされています。これは、発注先のバルブ会社の三人のチームがそのプレート取りつけ工事をやったということなんですが、彼らはどのように説明しているんでしょうか。

相澤参考人 おっしゃるとおり、三人の協力会社の方がタグ、今まで、火事場の現場といいましょうか、応急対策でやってまいりました。バルブにもペンキで何番という番号が書いてありますが、はっきりと、これは何のためのバルブかという目印がついていない。これではやはりまだ火事場の状況であるということで、何とか恒久対策をしていかなきゃいけないということで名札、タグをつけていったわけですが、このタグつけ、三人の作業員がやっております。

 そのタグを取りつけた企業の方のお話では、特に、タグを取りつけるに当たっては、バルブに触れないように十分注意を払って実施することということで、注意喚起をしていたというお話は承っております。

 なお、調査内容につきましては、まだ現在調査中でございますので、この場での説明は御容赦いただきたいというふうに思います。

 今後も、引き続き、予断を持たず、調査を継続してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

吉田委員 その三人がタグの取りつけ工事をしたときには、彼らはさわっていないというわけですが、既にバルブは間違った方向に操作をされていたということになると思うんですが、それにバルブ会社の人たちが気がつかないのかなというところもちょっと疑問は残るんですが、なかなかはっきりした証言が得られていないということであります。

 今回の百トンの漏えいという事故は、もちろん原子炉規制法に抵触する、かつ、場合によっては生命の危険にもつながるような重大な事故だというふうに思います。

 そして、今回の特徴は、今までのいろいろな事故と違って、意図的になされたのか悪ふざけなのか、はたまた勘違いなのか、何者かが人為的にやったことは間違いないんですが、その動機がよくわからないというところが、何となく気持ちが悪い事故だというふうに思います。

 これからも、規模を縮小しながらも社内調査をされるというわけですが、それでらちが明かないときには、私は、捜査当局に捜査を頼むことも考えたらどうなのかなと思うんですが、東京電力としてはいかがでしょうか。

相澤参考人 おっしゃるように、四月一日から、規模を縮小したといいましょうか、相談窓口を設けましてより広く情報を集める、所内にもそういう相談窓口をつくった。こういう電話番号にもし何かあったら電話してくださいと、協力会社の方にも見えるところに掲示をしまして、広く情報収集に努めているところであります。

 これまでの調査状況につきましては、三月の二十四日に原子力規制庁にも御報告しておりますけれども、今後の対応につきましては、相談窓口の状況も踏まえて判断をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

吉田委員 原子力規制庁にお伺いしたいと思います。

 ひょっとしたら、このままでは事実関係がうやむやになるという心配があると私は思います。再発防止ということを考えても、今回の事故の真相の解明というのは極めて重要ではなかろうか。

 政府として、この真相解明へ向けた決意といいますか、考え方をお伺いしたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 この事故は、炉規制法上の法令違反ということで、規制委員会において審議させていただき、また、そのもとに置かれました特定原子力施設監視・評価検討会で、さらに原因と対策について報告を受ける、こういうことをやってございます。

 この事故は、先生おっしゃいますように、送水する弁が誤った開閉によって操作される、それが、故意なのか過失なのかわかりませんが、直接その原因ではございますけれども、規制委員会の法令上の役割としては、サイトの安全を確保して、そして、再発の防止をするというところに責任がございます。

 そういった意味で、開閉状態が操作されたことは直接の原因ですけれども、その後の、先ほど副社長の方から御説明がありましたような水位計の問題、あるいは、弁の開閉状態を適切に維持管理するという観点での対応が不十分だったということで、その辺の対策について規制委員会として要求しているということでございます。

 そして、今先生御指摘の点につきましては、原子力規制委員会はそういった意味で、再発の防止というところから事業者に対して対応を求めていくということはございますけれども、一方で、規制委員会の立入検査権限については、犯罪捜査のために認められるものとされてはならないというふうに厳格に規定されているところでございますので、そういった意味で、引き続き、再発防止という観点から取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

吉田委員 立入検査権限があるわけですので、積極的に、ひとつ東電と協力して真相解明をしていただきたいと思います。

 最初に申し上げましたけれども、増田最高責任者も、改めて、漏えいということは大変なことなんだという意識づけを強化したいというコメントを出されました。第一原発の構内というのは極めて野戦病院のような状態だと増田さんも言っていますけれども、厳しい環境の中で作業の規律を維持するというのは極めて大事なわけですが、そのためにも、今回の事故の真実、事実関係をあやふや、うやむやにしないで、何とか両者、力を合わせて解明をしていただきたいと改めてお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

森本政府参考人 大変失礼いたしました。一点、ちょっと訂正させていただきます。

 今回の汚染水漏えいにつきまして、先ほど私、法令違反と申し上げましたけれども、炉規制法上の法令報告事項ではございますが、法令違反そのものではないということをちょっと訂正させていただきます。恐縮でございます。

伊藤委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。日本維新の会の小熊慎司でございます。

 これまで予算委員会等々でも、大臣とも議論をさせていただいてまいりましたけれども、いわゆる除染で生じる除去土壌等の中間貯蔵施設、最終処分場にかかわる件について質問させていただきます。

 今、大臣を初め、政府一丸となって国が前面に立つということで、この原発事故災害について対応していただいているところであります。福島県内においては、除染も国直轄、また各市町村ごとの計画なども進んでいる中で、この汚染された土壌等の処理、今、仮置き場、仮置き場のさらにまた一時保管といった状況で、しっかりとこれを前に進めるためには、その貯蔵施設をつくっていかなければならないところでありますけれども、国側の計画案を出して、福島県とのやりとりを今しているところで、福島県からの要望に、先月末に回答を出したところであります。

 この中で議論になった点が、国有化をしていくというところで、やはり地権者の中からは、長期賃貸にしたいという意見もあったわけですけれども、私は、なかなかそれは難しいなというふうに思います。国の言うとおり国有化ということであることが、一つの方向としては現実的だなというふうには思うんです。

 一方で、ちょっと確認をしたいんですが、国有化をすると、そこに本籍、住所のあった方々が、あくまでもその対象となる大熊町、双葉町の町民であり続けたいという場合には、そこの土地が国有化されてしまうわけでありますから、ほかのところに、大熊町、双葉町以外のところに移転してしまうとその町民でなくなるということになってしまうというケースが生じてきます。

 こうした本籍、住民票のあり方についてはどのようなことを考慮に入れておられるのか、まずお聞きいたします。

小林政府参考人 先生御指摘ございましたように、今、中間貯蔵施設について地元の御理解を求める中で、住民票というような御指摘もございます。

 本籍については御本人の意思で比較的選択が可能なものというふうに承知をしておりますが、住民票につきましては、先ほども御質問がございましたが、総務省から聞いているところによりますと、認定自体は、客観的居住の事実を基礎とし、これに居住者の主観的居住の意思を総合して市町村長が決定することとされているということで、いろいろ法律の規定もありまして、なかなか厳密な、いろいろなルールがあるようでございます。こういう中で、地元から、住民票の話、また賃貸借を望む声などが絡まって、さまざまな御意見があるところでございます。

 賃借権ということは困難でございますが、地元の御意見を伺いながら、関係省庁とも連携をいたしまして、地元の御意向がどこにあるのか、地元への思いというようなことも踏まえて、それからまた、中間貯蔵施設の跡地利用がどうなるかというようなこともこれに絡んで御指摘がございます。

 こういうことについては、可能性を追求していきたいというような回答もしておりますので、そういう幅広い観点で検討してまいりたいと思っております。

小熊委員 私は、従来、もっと大幅に国有化をして、新しいところで、しっかり移住をしてもらった方が現実的ですし、時間を無駄にしないという立場に立ってはいますけれども、それはそれとして、住民、地権者のそうした要望がかなわないから土地買収が進まないということになれば、除染で生じた土壌等の搬入が進まないということにもなりますので、地権者の意向に沿った形でこういった問題が解決されることを、ぜひしっかりと対応していただきたいというふうに思っております。

 では、さらに進みます。

 これは来年の一月から搬入開始なんですけれども、実際の中間貯蔵施設のちゃんとしたもの、完成形というのは、もう建設が間に合わないのは明白な事実です。

 ひとつ搬入を目指すとなれば、ある程度、土地が、そこそこの面積が買い上げられていれば、そこの土地に仮置きをするか、少し防御して置くという方法がありますけれども、これも改めて確認ですけれども、中間貯蔵施設という完成予想図のあれはもう間に合わないですよね、来年の一月には。

小林政府参考人 先生からも御指摘ございますように、中間貯蔵施設は、福島の除染の推進、それから復興にも大変重要な、不可欠な施設だというふうに考えておりますので、そういう意味で、できる限り早期に整備を図ることが重要と考えております。

 そういった観点から、施設全体の完成を待って搬入を開始していくということではなく、完成したところから順次搬入を開始するというような考え方でございます。

 かねてから、二十七年一月の搬入開始を目指すということを申しておりまして、スケジュールが厳しくなっていることは事実でございますが、この目標が達成できるように政府一丸となって進めてまいりたいと思っております。

小熊委員 ちょっと私の質問の仕方が悪かったと思います。

 施設ができていなくても、土地が確保されていれば、今だって仮置き場みたいに野積みになっているようなところもあるわけです、県内各地で。であれば、そこの当該用地が、ある程度、全部一〇〇パーじゃなくても、そこそこ国有化できて、土地があるわけですから、施設が何らか整備されていなくても、そこに除去土壌等を持っていくという選択肢になっているんですかという話なんです。

小林政府参考人 お答えがわかりにくくて恐縮でございますが、施設全体ができてからということではなくて、順次できていきましたら、逐次搬入を開始していきたいというところでございますので、先生おっしゃるように、かなり大規模な土地を購入させていただくということになります。この御理解を得ていくというのも大作業ではございますので、御理解を得て購入ができて、施設の対応ができれば、そこから順次入れていくようにしたい、こういうことでございます。

小熊委員 だから、今まだ土地の購入がこれからで、これもどういうふうに進んでいくかわからないわけですよ。ですから、来年の一月時点で、やっと土地が買えたという状況で、土地は確保しているけれども、まだ何にも施設が構築されていなかったという場合でも、そこの更地のところに持っていくんですか、そういう場合であれば。

小林政府参考人 中間貯蔵施設は安全にしっかり管理していくということでございますので、ちょっと具体的には、これから地元の御理解を得て、どういった形で土地が入手できるかということ、それと、従来から、どういった形でやっていくかということについてはいろいろ専門家のお知恵もいただいておりますので、そういう中で、そのときの状況をしっかり見ながらしっかり検討していきたいと思っております。

小熊委員 仮に一月から搬入が何らかの形で可能になったということ、これは努力でしていただかねばなりませんけれども、その中でいうと、三年間でやり切るということなんですよね。県内の除去土壌の搬入を三年間でやっていくとなれば、大体、やはり一日五百台ぐらいのトラックがそこに搬入されなければなりませんけれども、どういうルートを通るかも今専門家の中で検討していただいているというのも聞いてはおります。

 御承知のとおり、福島県は、実際、雪国というのは私のところの会津であって、ほかのところは余り雪が降らない、降ってもすぐ解けるというような状況ですけれども、ただ、中通りから浜通りにかけての山間部はやはり雪が非常に厳しいところでもあります。

 道路に関して、どういうルートを通るかはこれからの検討でありますけれども、除去された土壌が県内各地にありますから、そうすると、あちこちからになるということは、いろいろな道路を使うということが想定をされます。国道だけではなくて県道も市町村道も使うということでありますけれども、この整備に関しては、実際の道路管理者はそれぞれの、市道であれば市になりますし、町道であれば町になりますし、県道であれば県になるわけでありますけれども、搬入のための道路の整備に関してのいわゆる財源的な措置というのはどういうふうに考えておられますか。

小林政府参考人 県内各地から、中間貯蔵施設が確保できたときにどういうような形で搬入していくか、これは大変大きな課題でございますが、先生御指摘のとおりでございまして、福島県のほぼ全域から相当量のものを持ってこなきゃいけない、こういうことがございます。その中で、当然のことながら、住民の健康、生活環境、また、一般交通への影響というものも最小化していく必要があるということでございます。

 そういう意味で、かなり幅広い検討が必要でありまして、今、輸送に関する安全対策、また効率化というようなことを基本的な観点といたしまして、専門家の検討会を開始して逐次進めているところであります。その中で、御指摘がありましたような、トラックがどうかということ、それからまた、道路のようなインフラがどうかというのは、それぞれ絡まってまいります。

 そういうことで、今先生の直接のお尋ねは、道路管理との関係でございますが、道路管理者自体はそれぞれ維持管理の責任を持っておりまして、これが変わるところではございませんが、中間貯蔵施設にあれだけのものを入れていくということになりますと、こういったインフラへの負担というのがかなり出てくると思います。そういう意味で、道路の劣化というようなことも考慮に入れなきゃいけないということでございます。

 そういう意味で、道路管理者と、私ども中間貯蔵施設を設置し管理するというその責任ある立場から、よく相談をしていきたいと思っております。具体的には、これから地元としっかり御相談をしていきたいということでございます。

小熊委員 これは、原発事故災害、国が前面に立つと言っているわけですから、何もなければ、通常の生活の中で道路がどう管理されていくかというのは、それぞれの自治体でやっていくべきだと思いますけれども、除染によって交通量が変わってくる。そして、それも尋常な数ではないわけですよ、一日当たり何百台という。となってくれば、当然、道路の維持管理。さらに、特に中通りから浜通りにかけての東西の路線というのは福島県は意外と弱い、整備されていない細い狭隘な道もある、峠もあるという状況ですから、これらの拡幅工事とか補強工事をしていかなければならないわけですよ。

 一番はやはり財源的なものですから、市町村にやってもらうということではなくて、ある意味もう国の直轄みたいなことでしっかり整備をするんだということでこそ、この原発事故災害に国が前面に立つということの具体化でもありますから、行動でもありますから、これはしっかりと、まして、今言われたとおり、地域住民にも交通量が変わっていろいろな負担をかける部分が出てくるわけですから、全面的に、財源的にも、責任としても、国が前面に立って道路の整備の仕方は、やっていくべきだと思いますけれども、これ以上は政治家の発言でなければいけませんので、大臣か副大臣、どちらか、道路の整備に関しての財源的な措置も含めて、この事業に関しては国直轄にすべきだと私は思いますけれども、御見解をお願いします。

井上副大臣 原発事故の対応については国が責任を持って行うということ、これはもう委員のおっしゃるとおりで、我々政府も、そこは基本として進めていきたいというふうに思っております。

 ただ、実際に、中間貯蔵施設の運搬の関係で、どんな経路を使うのか、そしてそれがどれぐらいの量になっていくのか、ここのところをまずやはり検討していかなければいけないということで、今、検討会を立ち上げてやっております。

 いわば並行して、委員のおっしゃる、いろいろな道路の整備をどうするか、財源をどうするか、そして実施主体をどうするか、こういったところもこれから地元といろいろ協議をしたいというふうに思っております。

 ですから、現段階では、さっき事務方が答えたように、どうしても今の状況という答え方になってしまいますけれども、しかし、もちろん大臣も私も、そういう意味では地元の意向というものをよくわかっておりますから、そこをしっかり踏まえてこれから対応させてもらいたいと思っております。

小熊委員 先ほど言ったように、一月から搬入開始するということであれば、現時点でもう道路の整備もおくれていると言わざるを得ません。中通りでも山間部は雪が降ります十一月、十二月で。今決まっていなくて、では道路をどうするといったら、間に合わないんですよね。今の状態で道路を使っていくということになれば、より危険度も増してきますから、これは早急に答えを出していただいて、やる場合は、しっかりそれは国の明確な責任のもとにやっていただくことをお願い申し上げて、次の質問に移ります。

 おおむね三年ぐらいで全部、東京ドーム二十三個分を埋めようとすれば、それを想定すれば、大体一日五百台ぐらいのトラックで運ばなければいけないんですけれども、今、福島県内の運搬事業者の保有しているトラック台数というのは二千数百台なんですね。新たに五百台要る。新たな仕事が発生しますから、会社としても設備投資ということは考えられるんですけれども、二、三年で搬入が終わってしまうとなれば、そのトラックがだぶついてしまうということにもなります。

 このトラックの確保、まさか国で買ってそれが運営するというわけにもいきませんけれども、このトラックの確保ということは、大変な、そこも大きなハードルだというふうに思います。福島県内だけのトラックではないんでしょうけれども、今、国土強靱化ということであちこち公共事業が始まっていますから、なかなかトラックもだぶついていないというふうに思いますし、私の地元からも、県内の仕事じゃなくて関東にトラックで行っていて忙しいなんと言っている状況もありますから、全体的に忙しくなっています、建設関係も。

 こういう中で、トラックの確保ですよ。十台、二十台じゃないですから。一日何百台というのを動かすとなれば、既存のトラックで全然間に合わないというのはもう想定されているわけですよ。この確保についてはどうなるんですか。どのようなことを考えていますか。

小林政府参考人 御指摘のとおりでございまして、今の道路の話とも絡みまして、輸送機関をどうするかということも、今、検討会での大きな議題になっております。

 それで、なるべく効率的に、また、いかに運ぶというようなことであれば、より大きなものがいいわけでございますが、これもまた道路との関係もございます。また、その地域との関係もございまして、台数、それからどのぐらいの規模のトラックが使えるのか、その道路との関係はどうかということで、非常に重大な問題だということは十分認識をしながら今議論が進んでいるところでございます。

小熊委員 これは一日何百台ということですから、道路整備とあわせてトラックターミナルみたいなものをつくっておかなければ、トラックの運転手が休む、交代するというようなところも現実に起きてくるわけですから、それを道路端でやってもらっても困りますし、そういう整備もしなければなりません。

 ただ、一月から搬入するということで、現時点でなかなかそういう明快なものが出ていないということは、大変おくれているなというふうに思います。簡単に解決する課題でもありませんから、今やっていないからどうだと、現状は認識するしかないんですけれども、これはもっとスピード感を上げて決めていかなければ、決めたことでもそれが実現できるかどうかもなかなか難しいところがありますから。

 今検討していますというのは、道路もあわせて、いつごろそれは出てきますか。

小林政府参考人 なるべく迅速にこれを進めていきたいという考えを持っております。

 一つ御理解をいただきたいのは、実は、先ほどの専門家の検討会もオープンな形でやっております。地元の方もなるべく参加してやっていただいておりますが、特に具体的な道路なども念頭に置いてやらなければなりませんで、ここはなかなか、まだ受け入れをお願いしている段階でありまして、地元へのインパクト、お気持ちを考えると検討が難しいところがありまして、そこは気を使ってやっているということがございます。

 今のスピードの件でございますが、もともと、夏を目指して基本的な考え方をまとめていこうと。その中で、インフラの問題、輸送期間の問題、それからどういうところに注意を払いながらやっていくか、こういうものをまとめていこうということでございますので、しっかり進捗していくようにやってまいりたいと思っております。

小熊委員 しっかりそれは対応しなければいけませんし、そうすると、やはり一月というのはなかなか難しいなというふうに思います。雪の降っていない地域はいいですけれども、雪の降っている地域に一回埋めたものをまた出すというのはなかなか大変でありますから、これは一日も早く搬入が開始されなければいけないんですけれども、ここは厳しく、現実に沿った形で、いつから搬入というのをもう一度しっかりと情報開示していただきたいなというふうに思います。

 また、設置するに当たって、県から地域振興とかそういったことの要望があって、それを検討していきますということも回答にはなっているんですが、生活再建とか地域振興政策ですね。これは具体的にはいつごろ取りまとめて地元側に回答が出てきますか。対応はしますということではあるんですけれども。

小林政府参考人 先ほど大臣からもお答えしたところでございますが、三月二十七日に福島県からの申し入れへの回答をいたしましたときに、あわせまして地元からいろいろな御要望がありました。

 この中で、生活再建、地域振興の話というのも一つの重要な項目でございましたので、これについて基本的な考え方を申し述べたところでありまして、多岐にわたる地元の事業ニーズに柔軟に応えられるように必要な財政措置を講じるというような方針を明らかにしたところでございます。

 これにつきまして、さらに具体化をということで、これは復興庁を初めとする関係省庁もかかわりますが、政府内で連携をいたしまして、県、それから地元の町とさらに対話を進めてまとめていきたいと思っております。

 私どもとしては、極力早く住民説明会に入り、そこでまたいろいろな声も聞きながらまとめていきたいという気持ちを持っているところでございます。

小熊委員 それは、これから一回出しただけで地元も納得するかどうかわかりませんし、それなりのキャッチボールをして話し合いをしていかなければならないので、そういう意味でも、なかなか一月搬入というのは難しいなというのがこの時点でも見えています。とにかく努力をしていただいて、さまざまな課題を解決して、一日も早い搬入ができるように、体制整備、また地元の理解を求めたいというふうに思います。

 その中で、予算委員会でもやりましたけれども、最終処分場がどうなるのかというのは大きな懸念です。

 いろいろ環境省の人たちとも話し合って、最終処分というのは、中間貯蔵があって最終処分ということを法制化できるので、その前提がないと法制化できないというような意見もありましたけれども、これは全然とっぴな議論かもしれませんが、普通の一般のごみの最終処分場というのは、中間貯蔵もなくいきなり最終処分場ができるわけですよね。だから、本当は中間貯蔵なんてなくてよかったんです。ただ、現実的にはそれは無理です、これは大変な問題ですから。でも、ストレートに言えば、最初から県外で何か土地が見つかって処理できれば、中間貯蔵の建設も要らなかったわけですよ。

 そういう意味では、法制化にしてもこれは細かく私は詳細にわたった法制化だとは思っていません、その方向性とか理念とかが入って、あとはいろいろな事務的な部分も入れて法制化すると思っていますから。どうしても、並行して中間貯蔵施設の整備と法制化が、前段に中間貯蔵ができなければ法制化できないみたいな対応ではなくて、別個にどうしてできないのかなと、今でもこれは理解できないんですけれども。中間貯蔵をつくらなければ最終処分場をつくれないということ、法理論的なところは説明も受けましたが、それも一理はあるんですけれども、そんなのは私は乗り越えられる理論だなというふうに思っています。

 さらには、先ほどの吉田委員の質問にもありましたけれども、もう本当に、そもそも、受益と負担ということであれば、何なんだということがありますから。やはり、あと、この中間貯蔵が結局は恒久化してしまう、三十年以内に決めますと言っていますけれども、私は、それは福島県民の心からすれば、三十年後に、はい、どこどこの県に行きましたと。三十年間、行くのか行かないのかと悩み続けなきゃいけないわけですよ。整備されるのが三十年後だとしても、ここ数年内にもう三十年後にどこどこに行くと決まってこれからの三十年間を過ごすのと、どこに行くのか決まっていない、どこかで説明会をやる、またとまる、こんなことで三十年間待ち続けるのとでは全然意味合いが違うんですね。

 そうなると、なかなかやはり県外というのは難しいと思いますし、二十三個分ですよ、これは減容化すればどうなるかわかりませんけれども、これは、考えたってそんな土地は大体決められたところになってしまうと思いますし、あとは分散で二十カ所ぐらいに分散するという考え方もあるかもしれませんけれども、それにしたって、分散型にしろ、二十三個分減容化して一カ所にしろ、三十年間で答えは出ないなというふうに。

 それは努力しますと環境省も言っています。でも、現実論、難しいですし、きのうもちょっと環境省とやりとりしましたけれども、では、地元の理解を得て最終処分地を決定しますと言いますけれども、地元の理解といって、定量的な仕組みもないわけですよ。住民投票をやってくださいと国が言うわけにもいきませんし。

 となると、なかなか、これは政治判断になってくるんですね、その首長や自治体の方々の。となると、現時点でいやいやとなっているのであれば、三十年後もそれは地元の理解を一〇〇%得られる土地なんというのは到底見つけがたいというふうに思います。

 そういう中で、法制化をする、その法制化はまず中間貯蔵、これは法技術的なことがあるからそう言っているのは一理あるんですけれども、それを言うことによって、だから福島県民の中には、結局中間貯蔵をつくって後は置いていかれるんだな、こうした懸念があるという事実はぜひ御認識いただいて、今後の対応をしていただかねばならないというふうに思いますので、ぜひ、それは政府は政府の見解がありますけれども、私はこういった考え方に沿って今後も議論をさせていただきたいと思いますので、そこは厳しく認識をしていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 ふだんは厚生労働分野で社会保障を担当しております。また、エネルギー問題、特に原子力、原発の問題も党の担当として原子力問題調査特別委員会の理事等も拝命していますので、石原大臣には時折対応をいただいておりますことを改めて感謝申し上げたいと思います。

 本日は、同僚に御協力をいただきまして、若干お時間をいただいてこの環境委員会で、二月の下旬に私の地元大阪府の豊能町で土砂の崩落がございました、この件を取り上げさせていただくわけでございますが、決して地元の一案件ということでこの環境委員会をおかりするのではなくて、この土砂の崩落の問題というのは、実は日本全国に広がっている一つの大きな課題ではないかということで、この土砂の崩落の背景にある環境行政あるいは国土行政のあり方ということで、質問をさせていただきたいと存じます。

 そういう観点から、きょうは、石原大臣、それから、国交省から坂井政務官にもおいでいただいています。ありがとうございます。

 まず冒頭、石原大臣に、二月二十五日の夜に、私の地元の豊能町の木代という地域に積まれてあった土砂が崩落をいたしまして、府道がどおんと百メーター、二百メーターにわたって埋まり、いまだに復旧のめどが十分に立たない。どういう形でこのバイパスをつくるか、その際の地権者との調整も含めて、地元では今住民が大変な不便を強いられているところでございます。

 この点については、二月二十五日の夜に崩落が発生したわけでございますが、ちょうどその翌日の二十六日に予算委員会の第六分科会で、たまたまですが、この問題を取り上げる予定にしておりましたので、石原大臣に御答弁をいただいたところでございます。

 その際に、大臣に、私は、この土砂の問題は、地方公共団体としてももちろん、条例をつくったり、いろいろな取り組みをしておるわけでございますが、環境省がリーダーシップをとって、調査をしたり、あるいは問題の整理をしたり、対応を検討いただきたいということでお願いをいたしたわけでございまして、石原大臣はその際に、自治体がこれまで取り組んできた経緯というものを十分踏まえた上で、必要があらば検討すべきだ、こうおっしゃっていただいたわけでございます。

 それからまだ間もないわけでございますが、大臣、その後、もし環境省あるいは関係省庁の間で、この問題、必要があれば検討すべき、こうおっしゃっていただいたわけでありまして、現時点で、これは必要があるとお考えか、いや、必要がないとお考えか、端的にお答えをいただければと思います。

石原国務大臣 これはたしか、今委員が御指摘されたとおり、分科会で御質問いただきました。パネル等々も見せていただきました。

 地元にとりましては、生活にかかわる重要な問題であると私も思いますが、経緯というものもございます。そして、今、大阪府が調査をしている。そういうことにおいて、大阪府の方から私どもに特段の御問い合わせがあったということは聞いておりません。また、どのような委員会での答弁を受けて事務方がどのようにやったかという点は、事務方からお話を聞かせていただきたいと思います。

小林政府参考人 この豊能町の山積みになった土砂が崩壊したというものにつきまして、その後の経過は、情報収集しておりまして、今先生から御指摘があったとおりでございますが、大阪府が土砂の調査を行っているということで承知をしております。

 この調査自体は、私ども、土壌汚染という観点から土壌汚染対策法を持っておりますが、そういった法令に基づくものということではなくて、住民の方などからの御要望を受けて、残土に関する有害物質などの調査をやろうということで、大阪府が決定をされて進めているものということで承知しております。

 引き続き、取り組み状況は見守っていきたいと考えております。

足立委員 今、土壌調査ということをおっしゃっていただきました。これは、実は、事件が、崩落が起きまして、松井一郎大阪府知事が、現地に足を運んでいただいて、ごらんをいただいたわけであります。そのときに、知事の方から、ちゃんと土壌調査をしないといけないだろうという御指示があって、大阪府の方で、今御紹介いただいたように、土壌調査をしているわけであります。

 これは、明らかに、私も現場に行かせていただいておりますが、いわゆる土砂が積まれていて、それが崩れたということですが、これをこれからどうするか。この土砂を、またどけて原状復帰するのか。あるいは、もう土砂で埋まっているわけですから、その土砂を有効利用して、事件があって有効利用というのもなんですが、実際に土砂を取り除くには大変なコストがかかるわけでありまして、これを実際に活用して、区画整理をするとか、あるいはバイパス道路をつくるとか、いろいろな選択肢が地元にはあるわけでございますが、何といっても、その土砂はどういう土砂なんだと。

 地元の方々の声としては、見るからに、どうもこれは普通の土砂じゃないよ、やはりしっかりと土壌調査をしていただかないと、そのまま使っていいかどうかもわからない。これは、地元の住民もそう思っているし、豊能町あるいは大阪府も、あるいは松井知事もそうお感じになって、事務方に土壌調査を指示した、こういうことでございます。

 今局長の方から、いや、これは法令に基づくものではなくてということでありますが、これは、自治体が知事の判断で必要だと言っているわけですが、環境省の環境行政からいうと、土砂の土壌調査をしなければいけないなと自治体の長が指示をした。これは、環境行政上どういう位置づけになるんですかね。不法投棄なのか、あるいは、大阪府が知事の指示で取り組んでいる土壌調査というのは環境行政上どういう位置づけになるか、改めてお願いします。

小林政府参考人 土砂が崩れた、これを誰の責任でどうしていくのか、この辺は総合的にいろいろな分野から考えていくべきことだと思います。

 そういう中において、こうしたものもそうでありますし、物を建設する場合もそうでありますが、あらゆる局面において、環境というものにはしっかり注意を払って調査をしたり、考慮を払って進めていただく。このこと自体は、環境行政からも、基本的な姿勢としてあるところでございます。

 基本的にどういうような役割を持たす、今の、土壌のリサイクルというか活用のお話でしょうか、そういうようなこと、あるいはいろいろな見方があるのかもわかりません。災害の後始末という考えもあるのかもしれませんが、それをどのようにしていくかということについては、さまざまな観点から検討されることかなというふうに考えているところでございます。

足立委員 ちょっとこだわって恐縮ですが、これは、環境省としてはあずかり知らぬことということでしょうか。

小林政府参考人 大阪府の調査の結果によると思いますが、環境汚染上何か問題があるというようなことであれば、これは、第一義的には地方公共団体でやっていただくわけですが、環境省としても関心を持って見ていくべきものであると思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 私、実は、こうやって環境省にるるお伺いをしているのは、やはり現場、地元でずっと意見を聞いていて思うのは、これはもちろん自治体でやるべきことはやる必要がある、こう思っていますが、国の行政のある種の縦割りのマイナスの影響が、現場にそのしわ寄せが行っている一つの象徴的な事例のような気がするから、改めてこういう問い方をしているわけであります。

 御承知のとおり、先般の予算委員会分科会においても、私の方から環境省に、いわゆる土砂条例について質問をさせていただきました。そのときに、平成二十四年三月現在の数字として、環境省が知り得た範囲内でいうと、都道府県で十五、政令市で十九、それ以外の市町村で二百一、合計で二百三十五の自治体がいわゆる土砂条例というものをつくって、何とか、土壌の汚染防止あるいは防災、そういった観点から条例をつくっているんだということをやりとりさせていただきましたが、実は、事務方と議論しますと、いわゆる土砂条例というのは、国でいえば、どこが、もちろん、地方分権の時代ですから、地方公共団体がさまざまな事務を行う、これはいいですよ。ただ、日本は日本国ですから、国としても、当該事案について一体誰が最終責任を負っているのか、これはやはりはっきりしておく必要がある。

 私はもともと行政官でありましたからわかりますが、霞が関というのはなかなか立派なところで、あまねくこの世の中にある森羅万象、何か一つを取り上げれば、必ず所管省庁というのは一意にある、ほぼあるんですね。

 私は、この土砂条例についても、一体環境省はこれを見ているのかと。いやいや、これは一応調べていますけれども、我々が別に見ているわけじゃありませんと。では、国交省かというと、いやいや、これは我々ではありませんということで、端的に言うと、環境省と国交省の間に落ちている感が非常に強いわけであります。

 私は、きょうの限られた時間でありますが、ぜひ、この問題については、環境省が国交省とも協力をしながら、環境大臣のリーダーシップで、対応策について何らかの検討をしていただく必要が絶対にある、そう考えておりますので、時間が許す限り、そういう討論をさせていただきたいと思います。

 その入り口として、ぜひ環境省、環境大臣にお聞きをしたいのは、いわゆる公共事業等の建設事業から建設残土というものが、何をするにも、掘りますと土が出てきます。この土砂については、廃棄物処理法上、廃棄物ではないんだと。

 私は、かつて経済産業省で環境庁、環境省ともいろいろな調整をしたことがありますが、当時、必ず出てきた言葉は、無価物か有価物か。価値が有価であればそれはごみではない、無価であればそれはごみだ、そういう整理をしてきたわけです。実は、土砂というのは、仮にそれが無価であっても、無価物であっても廃棄物と言わないんだと聞いていますが、これはどういう整理になっていますか。

梶原政府参考人 法解釈の問題でございますが、廃棄物処理法につきましては、廃棄物の適正な処理等によりまして、生活環境の保全あるいは公衆衛生の向上ということを目的としておりまして、実際に対象とする廃棄物につきましては、例えば、ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、あるいは廃酸、廃アルカリ、動物の死体といったような汚物または不要物ということを対象にするというふうになってございます。

 今先生御指摘の土砂、あるいは専ら土地造成の目的となる土砂に準ずるものにつきましては、これらの今申し上げましたような汚物あるいは不要物とはちょっと性質が異なるものということで、法律の対象外となっているところでございます。

 いずれにいたしましても、廃棄物の定義につきましては、平成十一年の最高裁の決定におきまして、有か無かということだけではなく、その物の性状、あるいは排出の状況、通常の取り扱いの形態、占有者の意思等を総合的に判断するということの決定をいただいて、その運用をさせていただいているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今、最高裁の判例もお引きをいただいて解説いただいたわけですが、私も、現状の整理は理解をしています。現状の整理は今おっしゃったとおりです。

 ただ、現状の環境行政上の廃棄物、土砂に係る、土砂の扱いについての行政上の整理というものが今ある。その整理の上で、現実の現場はどうなっているかというと、さまざまな問題が起こり、実際に不適切な土砂の埋め立て等も起こり、その幾つかが、今回の私の地元の事案が象徴するような大変難しい問題が発生し、地元の首長が、これは放置できないということで、今土壌調査に入っている、これが今現状なんですね。

 私が環境省そして石原環境大臣にきょうどうしてもやはり確認をしたいことは、今役所の方から御紹介をいただいた現在の廃棄物に関する整理、土砂の扱いに関する考え方、その結果としてさまざまな事案が発生している現状、これを考えたときに、この整理で十分、この整理でいいとお考えですか。ぜひ石原大臣、ずっと聞いていただいた、予算委員会の分科会、そしてきょうの環境委員会でるる私が問題提起をさせていただいているこの問題、土砂の扱いについての整理、このままでいいんだとお考えですか。

石原国務大臣 若干委員の現場で起こった話とは違うんですが、東京でも実は、築地の移転のときに臨海部の埋立地で土壌汚染というのがございました。これは、東京都が調査して、かなりの高濃度の有害物質が発見された。その土地改良を都が行うことによりまして、また、そこのもとあった企業も負担をすることによりまして、土地改良を行い、売却と話が進んだという経緯がございます。

 今回の場合は、私も、詳細はまだ調査中だということで、どのような有害物質があるのかないのかということは断定的には申しませんけれども、仮に特定の業者が有害物質を含むようなものを不法に投棄、放棄してこのような事案を発生させたら、これは一義的には間違いなくその業者の責任である。それを都道府県、所管するところがしっかりと調査して、その原因を究明していく。これは間違っていないと思いますし、そうであるからこそ大阪府が中心になって調査を進めている、私はこのように考えております。

 私も国土交通大臣をさせていただきましたので、建設残土は間違いなく国交省の所管だろうなと思っておりましたけれども、建設業者の責任において適正に行わなければなりませんけれども、その建設業者が不適切に物を行っているというような事案であるとするならば、それがどれだけあるのかということも含めて、やはり調べて現状を把握して対策を考えていくというのが本来あるべき姿ではないかと思っております。

 ですから、今回の事案は、大阪府が土壌調査をしていただいて、その結果をしっかりと示していただくということがまず肝要なことではないかと、役所と委員の議論を聞いておりまして、思ったところでございます。

足立委員 石原大臣、私は大阪府の事案をここで議論したいんじゃないんです。大阪府の事案を象徴として、象徴とする形で改めて議論したいことは、大阪府も今、条例をつくろう、こういう動きで、私の地元の選出の府会議員を中心に、知事とも連携しながら、大阪府もやはり条例が要るんじゃないか、あるいは今ある条例を強化する必要があるんじゃないか、こういう議論をしています。

 ただ、結局、条例でやるということは、先ほどあったように、二百を超える市町村、地方公共団体が条例をつくっている。私は、ただ、条例でできることは限界があると思うんです。

 条例の結果、何が起こっているかというと、モグラたたきなんですよ。きつい条例をつくったところからは、そうした不適切な取り扱いは、モグラ、要すれば、たたくと逃げるわけです。ほかで出てくるわけです。必ずほかの地域で出てきます。

 最終的には、この土砂の問題というのは、最終処分場、コストをかけずに処分できるような出口戦略をこの分野の行政が持っていない、足りていないからこういうことが起こっている。したがって、地方公共団体の取り組みも必要だけれども、それだけではモグラたたきを繰り返していくだけである。

 これから、国土強靱化ということで、今、石原大臣も国交大臣もされておられてよく御存じだと思いますが、ますます公共事業は活発になっていく。外環道路もそうだし、リニアも走る、東京オリンピックもある。しっかりとこの問題は、国としても、単に条例任せではなくて、環境大臣、そして国交省と連携しながら、何らかの対応策を検討する必要がある。自治体任せではモグラたたきに終わる。これが私の主張なんですが、改めて、大臣、検討の必要、検討をお願いできませんか。

石原国務大臣 先ほども申しましたとおり、今回の事案の、土壌にどういうような汚染物質があるのかないのかということは非常に重要でありますし、そのほかのところでもそのような類似の事案が百、二百、三百あって、同じような土壌汚染があるとするならば、委員の考え方は一つの考え方だと思いますけれども、今回は、これまでの経緯は、私がさっき思わず申しましたとおり……(足立委員「今回じゃないですよ」と呼ぶ)思わず申しましたというのは、建設の土については、国土交通省が取り扱ってきたという経緯があるわけですね。ですから、私は、その大臣のときも何の疑問も持たず、そういうふうに思っておりました。

 そして、汚染者負担の原則というものがありまして、PPPの原則がある以上は、やはり一義的には、その汚染物質を出した業者の責任を徹底的に追及していくということが必要でありますし、委員が示された今回の事案が類似するものとして多くあるとするならば、モグラたたきであるとする状態が確認されたならば、そこはしっかりと対処していく必要があるということにおいては、委員と考え方に相違はないと思っております。

足立委員 先ほど申し上げましたように、全国で二百三十五の自治体が、これは放置できないということで条例をつくっているんです。今、石原大臣は、自分の大臣経験からしてもこれは国交省の問題だ、こうおっしゃっているわけですが、坂井政務官、いかがですか。

坂井大臣政務官 建設残土の関係に関しましては、国土交通省がしっかりと対応させていただくということになっておりまして、ちょうどきょう開催予定になっておりますけれども、建設リサイクル推進施策検討小委員会というところをつくりまして、我々は、なるべく、工事をする際、残土を出さないような工夫と、出た場合は、いろいろな形を考えながら、使ってもらう、すぐさまリサイクルして再利用してもらうということを念頭に対応させていただいております。

足立委員 もう時間が来ましたが、坂井政務官、ぜひ、今おっしゃった委員会で、きょう私が取り上げたような問題についても、検討をちゃんと、検討課題として含めていく、その今おっしゃった検討会で検討していくと。

 大臣、最後に、環境省としてもそれに協力するとぜひ一言いただいて、終わりたいと思います。

石原国務大臣 足立委員が答弁と質問と全部つくっていただきましたようでございますけれども、必要とあらば、検討させていただきたいと思います。

坂井大臣政務官 小委員会の委員の先生方に足立委員の問題意識はお伝えをして、必要があれば検討していただこうかと思います。

足立委員 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、小倉將信君。

小倉委員 東京第二十三選挙区、町田市、多摩市選出、自由民主党の小倉將信でございます。

 このたび、環境委員会で初めて質問に立たせていただきます。東京の国会議員の大先輩であります石原大臣の前で、私も国会議員にならせていただいて、きょうこうやって質問させていただくことを、大げさではなく夢に見ておりましたし、大変光栄に存じております。また、このような機会を頂戴できましたことを環境委員会の理事並びに委員の皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思います。

 さて、IPCCの第三十八回総会が先月横浜で開催されました。この総会では、気候変動が環境に与える影響について、最新の科学的な知見に基づく議論が行われ、その結果、第二作業部会の報告書が約七年ぶりに改定されたと聞いております。

 この報告書によりますと、今世紀末までに世界の平均気温が二度上昇した場合、米や小麦などの主食の生産量が減少し、さらに、四度以上上昇した場合は、世界レベルで食料危機が発生し、紛争などにつながりかねないリスクに言及されたというふうに聞いております。

 今世紀末というと、恐らく今この場にいる方でその時代まで生きることになる人はいないでしょうけれども、我々とは無関係な、そんな遠い未来というふうに感じていらっしゃる方は多いかと思います。

 しかし、昨年生まれた子供が日本では百三万人おります。日本の平均寿命が八十歳を超えていることを考えると、この子供たちの多くが今世紀末を生きて迎えることになるわけですから、私も昨年結婚させていただきましたが、これから生まれてくる子供たちのことを考えると、やはり無責任な状態をこれ以上放置できないというふうに改めて感じます。

 そこでまず、石原大臣には、日本で初めてIPCCの総会をホストされた今、改めて、気候変動対策にかける意気込みをお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 IPCCの総会の開会式で私は発言をさせていただいたんですけれども、気候変動問題に対して、これまでの政策を続けるだけでは、すなわち政策の延長線上だけでは限界があって、ただいま委員が報告書の概要を御説明いただきましたけれども、そのような事態を今世紀末に迎えることになる。そうであるならば、どうしなければならないのかということが肝要だと思うんですけれども、政策を変革する必要がある。ポリシーチェンジですよね、そこまで思い切ったことをしない限り悲劇的な結末を迎える可能性が高くなったと、報告書が進むたびにIPCCの側で警鐘を鳴らしているような気が私はいたします。

 では、どうするかということですけれども、やはり国内においては、言い尽くされた言葉ではありますけれども、再エネを中核とする自立分散、そして省エネも当然行っていく、低炭素社会というものをつくっていくという決意を多くの方々とともに確認し合うことが大切だと思います。ツールはあると思います。洋上風力、地熱、あるいは太陽光、こういうものの実証を推し進めていくということでございます。省エネにつきましてもかなり進んでいると思います。ヒートポンプが各家庭の冷暖房の中に入っている。あとは、やはり熱効率というものをどういうふうにうまく高めていくのか、そこが肝要だと思います。

 そして、そういうことによりまして全世界のCO2の削減に貢献していく。そういうことを日本がリーダーシップを持ってやっていかないと、先進国と言われる日本が、もう原発も動かないし、この値の方が全然多いから、もうエネルギー効率もやめるべ、省エネも相当やっているんだからもうこれ以上やめるべ、こういう形になってしまっては、委員が御指摘いただいたような悲劇的な結末を人類が迎えることになる。そして、現世に生きる私たちとしては、そういう事態を引き起こすことのないように頑張っていくということが肝要ではないかと考えております。

小倉委員 大臣、どうもありがとうございました。

 石原大臣がおっしゃった変革、ポリシーチェンジは、これからの気候変動対策を考える上で重要なキーワードだというふうに思っております。石原大臣が掲げた技術のほか、例えば、CCSですとか水素エネルギーの活用、あるいは人工光合成といった将来有望視されている技術もございますので、連続的な取り組みじゃなくて、非連続的な仕掛けを行うということをぜひ心がけていただきたいというふうに思っております。

 日本が昨年掲げた、二〇二〇年までに二〇〇五年比で三・八%削減というのは、私は非常に難しい目標だと思っております。考え得る政策を悉皆的に実行していかなければ達成は困難だというふうに思っております。

 そういう意味では、例えば、緑の贈与税というアイデアがございます。これは、太陽光パネルなどの設置費用や再生可能エネルギーを対象とした投資証券を子や孫に贈与した場合に贈与税を非課税にする税制でございます。

 昨年の税制改正では、同じようなスキームで教育資金の贈与税が非課税扱いになる信託商品の販売が開始をされました。データを見ますと、信託大手四行の取扱件数は既に六万五千件、信託財産設定額は四千三百億円に達したと聞いております。親や祖父母が子や孫に立派な教育を受けさせてあげたいという気持ちが我が国で大きいことが改めてわかったわけですが、同様に親や祖父母が子や孫に美しい地球を残してあげたいという気持ちも大きいんだと思います。

 温室効果ガスの排出削減が思うように進んでいない家庭部門の起爆剤として、この緑の贈与税というアイデアを活用すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

石原国務大臣 この緑の贈与税につきましては、自民党、公明党の与党の税調大綱の中で、引き続き検討、こういう位置づけになっていると思います。

 環境省としても、非常に重要な政策だと考えておりますので、しっかりとフォローしていかなければならないと思いますが、問題点としては、やはりどういう政策ツールを使ってこの贈与というものに値するものにしていくのか、これは選ぶ方策によって一部の業界だけが利益をこうむるというようなこと、その理由づけがなければ不公平税制になってしまいます。あるいは、贈与税というのは相続税との相対でございますので、それによって相続回避みたいなことが起こらないようにどう税制を仕組んでいくのか、こんなことが税調大綱でも御指摘をされていたと思います。

 やはり、ポリシーチェンジということが必要でありますので、思い切った、こういうものによって、環境負荷を弱めていくことを可能にする最大限の方策というものを具体的に、制度はつくったけれどもちっともCO2が減らなかった、相続税回避ができただけだといっては全く意味を持ちませんので、この点を詰めていくことが肝要であると考えております。

小倉委員 前向きな御答弁をどうもありがとうございます。

 温室効果ガスの削減に取り組む主体としては、家庭部門もございますが、もちろん企業部門もあるわけでございます。企業というのは、コーポレートガバナンスがしっかりしていれば投資家、つまり株主の顔色を見ながら行動します。その株主が企業に対して環境に優しい行動を求めれば、企業はまたそのように行動するわけでございます。これがESG投資と呼ばれるものと私は理解しております。

 このESG投資が日本では余り普及していない。それどころか、諸外国の例を見ますと、イギリスは年金法にESG投資に関する内容開示が義務づけられておりますし、なかんずくフランス、スウェーデンの公的年金についてはESG投資そのものが義務づけられております。一方で、日本の公的年金でありますGPIFではESG投資が、現状、余り勘案されていないという議論もあります。これについてのお考えをお聞かせください。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 年金積立金は、年金給付のために強制的に徴収をいたしました保険料の一部でございまして、将来の給付の貴重な財源となるものでございますので、その運用につきましては、受託者責任等の観点から、被保険者利益以外のいわゆる他事考慮をすることは厚生年金保険法等で禁止をされておるところでございます。

 御指摘のESG投資につきましては、先般、三月十日になりますが、取りまとめられました社会保障審議会の専門委員会の報告書におきまして、年金積立金運用は専ら被保険者の利益のために管理運用されるべきとの法規定でございますとか、あるいは受託者責任原則に則して行われるものとされておりますし、また、収益確保のためにESG等を含めました非財務的情報に着目することの是非につきましても、資金運用について一般に認められた知見に基づきまして検討するべきものというふうなことが言われております。

 また、この検討につきましては、専門委員会の報告書にも記されているとおりでございますけれども、運用に特化した、先生御案内の専門の法人でございますGPIFにおきまして今後その検討が行われるものというふうに考えてございます。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 これは二〇一二年の統計なんですけれども、ESG投資の規模がアメリカ単体で三兆七千億ドルぐらいございます。それに対して日本はわずか百億ドルということで、桁が二桁以上違うということで、日本のESG投資は、表立って言っているものは非常に少なくなっております。

 そういう意味では、何かしらのてこ入れが必要だというふうにも思っておりますし、社会保障審議会のその提言内容、これをしっかりと前向きにまた検討していただきたいなということを強く望みます。

 ESG投資をこれから広めるためには、ある種の荒療治も必要だと思っております。日本では、環境に配慮すること自体、とかく企業経営にとってコストと見られがちですけれども、環境に配慮する企業ほど、ガバナンスがしっかりしていて、かつ、消費者等々のステークホルダーにも支持されやすい、結果としてリターンも高くなるという研究結果もございます。

 昨年、金融庁が、投資家の指針たる日本版スチュワードシップ・コードをまとめて、そしてことし完成いたしました。自民党内では、これに加えまして、企業の経営指針たるコーポレートガバナンスコードまでつくろうじゃないかという意見もございます。

 昨年議論されました社外取締役の導入検討とあわせまして、日本では、企業統治のあり方がこれから大きく変わろうとしておるわけでございますけれども、まずは、このスチュワードシップ・コードの中で、環境投資や環境経営に関する指針や結果の報告がどのように位置づけられているか、御教示を願いたいと思います。

氷見野政府参考人 御指摘のとおり、投資や企業経営において環境問題への取り組みが重要な課題の一つとなっております。

 こうした中、今般策定されました日本版スチュワードシップ・コードでも、機関投資家が投資先企業をモニターするに当たっての着眼点の一つとして、環境問題に関連するリスクを明記させていただいているところでございます。

 今後、この日本版コードが定着していくに伴いまして、環境問題を初めとする中長期的な観点からの投資、企業経営という考え方が一層浸透していくことが期待されるというふうに考えております。

小倉委員 ありがとうございます。

 スチュワードシップ・コードでは既に一歩先に進んでいるということですので、公的年金、日本を代表する投資家でございますので、GPIFの方もぜひこういったことに配慮していただければというふうに思います。

 企業統治のみならず、SRIなんて言われておりますけれども、社会的責任投資の面でも進んだ制度を我が国の金融制度で構築することは、日本の金融市場をより魅力的なマーケットにすることにもつながりますし、これは安倍政権が唱える成長戦略にもつながることだというふうに思っております。

 私が聞くところでは、環境面に配慮したいわゆるESGの投資への取り組みが日本ではおくれている反面、銀行の側の、環境に配慮して融資を行う環境格付融資については、比較的先進的な取り組みが行われているという意見もあります。また、一昨年のFIT導入以降、再エネ施設への銀行融資も伸びているやに聞いております。

 しかし一方で、これらの動きは大手行や一部地銀にとどまっておりまして、多くの地銀や信金は、こういった新しい分野への融資に依然として二の足を踏んでいるという声も聞かれるわけでございます。

 低炭素社会を実現する政策において、石原大臣は、ファイナンス・イニシアチブを大きな柱の一つに位置づけておられますが、環境金融に関する取り組みを、貸し出しをふやせずに預貸率が低いまま今あえいでいる地銀や信金にまで広げるため、環境省としてどのような政策でサポートすべきとお考えでしょうか、お聞かせください。

清水(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、環境金融を拡大していく上で、地域金融機関の役割は極めて重要でございます。地銀や信金が大きな役割を果たしていくということが地域経済の活力にもつながる、かように考えております。

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入を背景にいたしまして、地域金融機関に対する融資ニーズが高まっておりますが、一方、融資経験の乏しさ、あるいはノウハウの不足といった課題があるものというふうに承知しております。

 環境省といたしましては、地域金融機関が再生可能エネルギー事業の事業性を評価するための手引を作成し、普及を進めております。また、本年度からは、審査能力の向上を図るため、低炭素化プロジェクトの専門家を地域金融機関に派遣する事業も実施する予定としております。

 加えまして、地域低炭素投資促進ファンドによりまして、地域における低炭素化プロジェクトを発掘、支援することで、地域金融機関の出融資の機会の拡大を図っている、こういうことでございます。

 このように、これらの施策を着実に進めることにより、環境金融の裾野が多くの地銀や信金にまで広まるよう努めてまいります。

 以上です。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 さまざまな施策を既に進めていらっしゃるということで、本来であれば、銀行がこのようなパターナリスティックな公的な支援を受けて行うのではなくて、銀行がそれ自体の目きき力を生かして自主的に取り組むべき課題だとは思います。

 しかし、日本の銀行が、バブル崩壊以降、あつものに懲りてなますを吹くように、新しい分野への貸し出しに依然として過度に慎重になっておりまして、それが経済活動の停滞やデフレを招いているという側面もございます。

 環境と経済成長の両立を図るために、環境省には環境金融をこれからも手厚くサポートしていただきたいと思います。

 先ほどから申し上げているように、三・八%という削減は、決して楽な目標ではありません。やはり、多くの国民の共感を得て、国民運動として盛り上げていかなければ、その達成は危ういと感じております。

 このたび、石原大臣の肝いりで、ファン・ツー・シェアという新たな気候変動キャンペーンがスタートいたしました。きょう、私もこうしてバッジをつけさせていただいておりますが、非常にポップでおしゃれなロゴマークなんじゃないかなと思います。

 今回のファン・ツー・シェアの前に、環境省では幾つかキャンペーンを行っていると思います。前回のチャレンジ25は、私も恥ずかしながら今回の質問準備の中で初めてその存在を知ったわけでございますが、このキャンペーン自体、余り認知されていないのも、これまた事実だと思います。反対に、その前のチーム・マイナス六%は、クールビズの普及もありまして、ある程度成功をおさめたんじゃないでしょうか。今回のキャンペーンをより意味あるものとしていくためには、個々のこういった成功体験や失敗例を踏まえながら展開をしていかなければならないと思います。

 ファン・ツー・シェアがこれまでのキャンペーンと何が違うのか、これまでのキャンペーンの経験をどのような形で生かしているのか、お伺いしたいと思います。

関政府参考人 御指摘のように、気候変動キャンペーンということで、先日、新たなファン・ツー・シェアというのを立ち上げさせていただきました。

 これまでのキャンペーンは、スローガンに数値目標を掲げ、国からいわば企業や国民の方にトップダウン的に一定の取り組みをお願いする、こういうものでございました。その内容はどちらかというと我慢を強いるものが多く、残念ながら必ずしも広がりを持つものではなかったというふうに反省しております。

 その一方で、先生御指摘のように、クールビズというのは大変うまく浸透することができまして、おしゃれや快適さといった楽しみという観点も有していたからではないか、このように思っております。

 今回のファン・ツー・シェアは、このような経験を踏まえまして、企業・団体、地域で、低炭素社会づくりになる取り組みをみずから考え、宣言していただくということにしたものでございます。これらの低炭素社会づくりにつながる技術や知恵を楽しみながら共有し、一体感のある対策実践を期待する取り組みでございます。これによりまして、低炭素社会づくりに向けたライフスタイルイノベーションが図られていくのではないかなと期待しているところでございます。

 三月二十六日のキックオフイベントにおきましては、経団連の米倉会長を初め、各団体の代表者の方に御出席をいただきまして、賛同の宣言もいただいたところでございます。このようなさまざまな団体の方々とともに、また、政府を挙げまして、ファン・ツー・シェアを広げていきたいと思っています。

 一方で、これまでの経験も踏まえまして、このキャンペーンの事後評価として、どの程度浸透し、どういうふうに機能しているかということも当然のことながら把握してまいりたい、このように考えております。

小倉委員 ありがとうございます。

 この目標達成に向けて、欲しがりません勝つまではというのは、やはり今の世相には合わないと思います。ファン・ツー・シェアのファンという言葉が示すとおり、楽しみながら活動を続けているうちに結果として目標が達成できる、ぜひこのような楽しいキャンペーンにしていただきたいなというふうに思います。

 先ほど申し上げた、今回のIPCCの総会の報告書、これは、七十カ国から集まった三百九人の専門家が、科学的な最新の知見に基づいて執筆したのみならず、それを一文ごとにチェックをして、異論がなかったものだけを報告書に載せる。五日間の総会期間中、徹夜はおろか、次の日の午後まで休みなくこうした議論を緻密に続けた上で、今回の報告書は改定に至ったというふうに聞いております。その意味では、この報告書の内容や提言に異論を挟むその世界での学識経験者は余りいない、むしろほとんどいないと聞いております。

 しかし、こうした世界から一歩外に出れば、まだまだ気候変動に対する偏見が大きいのも、これまた事実だと思います。私の地元東京では、ことしの冬に二度大雪がございました。こういったことが起こると、そもそも地球は温暖化していないじゃないか、心配し過ぎだというような声が大きくなりますし、また、たとえ地球温暖化、そういったものが事実であったとしても、暖かくなれば今よりも生活しやすくなっていいじゃないかというような、寒がりの人は楽観的に考えるわけでございます。

 そういう意味では、海外ではクライメートチェンジ、気候変動という呼び名が一般的でありますように、日本も、誤解を受けやすい温暖化という言葉じゃなくて、日本語でも気候変動ないしはその事象を正確にあらわした言葉を積極的に普及していった方がいいんじゃないかというふうに思っております。

 こういった国民意識を深めると同時に、気候変動に対する正確な理解、まさにこのIPCCの総会での議論を皆さんに理解してもらえるような、そういった取り組みを環境省として進めていくべきだと思いますが、もしそこら辺に関して何か既にやっていることがあれば、お伺いしたいと思います。

牧原大臣政務官 先生御指摘のとおり、気候変動対策というものに対して、これを推進していくためには、気候変動による影響等の正確な情報を国民の皆様にわかりやすく提供していくことが大切だというふうに考えております。

 環境省では、その対策として、IPCCの第五次評価報告書に基づいた信頼性の高い、今先生がおっしゃったような気候変動の情報を伝えることについて、IPCCリポートコミュニケーター事業というものを三月から始めさせていただいております。

 このリポートコミュニケーター、ちょっとわかりにくいのですが、いわば伝道師のようなイメージでございまして、専用テキストや映像などを使って、国民の方に身近な存在であります気象キャスターや、あるいは地域で地球温暖化防止活動、今の先生のお話でいえば気候変動活動ですけれども、キャンペーンを推進している専門家の方をコミュニケーターとして養成することとしております。

 そして、この事業を通じて養成されたこうしたコミュニケーターの皆様が、地域のセミナーや出前授業等を通じて、国民の皆様に対して直接フェース・ツー・フェースで気候変動に関する情報を発信し、そして理解の促進を図ってまいりたい。これは一例としてやりまして、ほかのことでもこうした取り組みを推進していきたいと思っております。

小倉委員 牧原政務官、どうもありがとうございます。

 我々が一日のうち、必ずほぼ全ての人が見るものといったら、お天気番組だと思うんです。そこに出ている方は気象予報士の方が多いということで、そういった気候について理解の深い方がやっている番組とかで、もうちょっとこういうファン・ツー・シェアのキャンペーンとあわせてやっていけば、皆さんが見るので、一気にこういった理解も深まっていくんじゃないかなというふうに思います。

 同じような普及という意味で、角度を変えまして、今度は環境教育についてお伺いをいたしたいと思います。

 我々が今進めている対策というのは、期間限定の取り組みではないと思います。人類が温室効果ガスを排出する活動を続けている以上、それを削減する努力もまた不断に続けなければいけません。その意味では、我々の世代だけではなく、今の子供たちの世代に環境に対する意識をより高めてもらわなければならないと思います。

 ESD、持続可能な開発のための教育という取り組みがございます。ユネスコが主導して行う、環境、人権、平和などに理解の深い子供たちを育てる新しい取り組みです。二〇〇二年にヨハネスブルク・サミットで我が国が提唱して始めたものであります。

 私の地元の多摩市、牧原政務官にもおいでいただきましたけれども、市を挙げてESD教育に取り組んでおりまして、二十七の市立小中学校全校がESDの実践校となっております。昨年は全国大会も多摩市で開かせていただきました。

 ことしの十一月に岡山市や愛知県で開かれる世界会議をもって、ESDの十年というキャンペーンはひとまず区切りを迎えますが、環境問題に対する挑戦はこれからも続きます。

 今後、ESDをさらに発展させていくために環境省として何ができるのかをお伺いしたいと思います。

北川副大臣 ただいま小倉委員御指摘のように、環境問題というのは、やはり、一世代だけではなくて、連綿と次から次の世代へと引き継いでいかなきゃならない課題でもありますし、そういう意味におきましても、次の世代の子供たちに対して環境という意識をどう根づかせていくのかという点においても、このESDという取り組みは非常に重要であるということで、我々環境省も、秋に向けまして、重点化政策とまでいくかどうかわかりませんが、力を入れている問題でもあります。

 その中で、今御指摘をいただきましたように、今回、このESDを普及拡大していくためにも、それを担う人材づくり、これが急務であると考えており、環境省では、国内におけるESDの取り組みを全国に浸透させるため、平成二十五年度より、持続可能な地域づくりを担う人材育成事業として、今年度、平成二十六年度予算で一・八億円でありますが、これを開始し、取り組みを加速化しているところでもあります。

 また、平成十五年度からは、国連大学が実施する持続可能な開発のための教育に関する拠点整備、RCEと、アジア環境大学院ネットワーク、ProSPER・Netというのを設置し、運営する事業に予算を拠出いたしております。国際協力を推進していくための国連大学の拠出金、これも二十六年度予算で一・六億円拠出をいたしております。

 これらの事業とあわせまして、地域におけるESDを支援する仕組みづくりや、アジアを視野に入れた人材育成等の取り組みを構築していくため、世界会議を契機として、ESDの視点を取り入れた環境教育がさらに時代や国境を越え、着実に育まれていくよう努めていきたいと考えております。

 このため、平成二十六年一月、ことしの一月から、私が座長を務めさせていただきまして、有識者の方々、テレビでもおなじみのさかなクンなども発信をしていきたいということでメンバーに入っていただいておりますが、この参画を得て、国連「ESDの十年」後の環境教育推進方策懇談会というものを今二回開催をさせていただいておりますが、こういう場を通じて、ぜひ、秋に向けて、またその後の環境というものを、我々日本だけではなくて世界に向けて発信をしていけるような人材の育成につながればということで力を入れております。

 小倉委員も、今お話がありましたように、地元で小学校等でも活動していただいておりますので、今後とも御協力をお願いすると同時に、これからもこの問題に力を入れていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小倉委員 北川副大臣、どうもありがとうございます。ESDは、文科省とか外務省とか他省庁も関連している分野ではございますが、ぜひ環境省には、北川副大臣のもと、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。

 これまでは気候変動の緩和策についてお伺いをしてまいりましたが、これからは気候変動の適応策についてあわせてお伺いしたいと思います。

 先般、環境省の研究チームが、今世紀末までにこのまま気温が上昇した場合、我が国の砂浜の約八五%が消失してしまい、年間の洪水被害額が今の三倍以上の六千八百億円に達すると発表いたしました。たとえ気温上昇が二度以内、これは最もうまくいったケースだと思いますが、に抑えられた場合でも、世界経済の損失は総収入の最大二%に上るという試算もあります。

 こうした報告を前にすると、気候変動のこれまで述べてきたような緩和策にはひとまず全力を注ぐとしても、やはり国として同時並行で、気候変動が十分に防げなかった場合に我々の生活が受けるネガティブな影響を最小限にする策、まさに適応策でありますけれども、これも同時に講ずる必要があろうかと思います。

 イギリスやドイツ、韓国など、他国では既にこうした適応計画も策定されていると聞いております。おくればせながら、日本では、二〇一五年、来年の夏をめどにこの適応計画を策定すると伺っております。

 この適応計画を実効性あるものとするためには、環境省単体で策定するのではなく、他省庁も巻き込んでやらなければいけないと思います。例えば、疫病対策であれば厚生労働省、農作物の品種改良であれば農水省、災害対策ならば国土交通省がそれぞれ適応計画を尊重しながら行政をつかさどるのでなければ、今回の適応計画は、単なる調査結果を環境省が発表しただけに終わってしまいます。

 安倍政権は、東日本大震災で我が国が遭遇をいたしました悲惨な経験を踏まえまして、国民の命を守ることができる、災害に強い日本をつくるべく、いわゆる国土強靱化を進めております。しかし、数十年後の日本が今と同じ気象条件にあるとは限りませんので、その状況をある程度予測しながら、これからやるであろう国土強靱化計画を効果的に進めていく必要があると思います。

 その意味でも、鍵となるのが適応計画。この適応計画の実効性を高める一つのアイデアとして、例えば、国土計画やエネルギー基本計画と同様に、適応計画にも法律的な裏づけを持たせるのも一つのアイデアかと思います。この案も含めまして、一般的に適応計画の実効性を高めるために、環境省としてどのような工夫が必要だとお感じでいらっしゃいますでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。

北川副大臣 ただいま小倉委員御指摘の、環境といいますか、地球温暖化対策、気候変動に対しての対策の適応計画に関しましての御指摘であります。

 まず、これに向けたスケジュール等につきましては、昨年七月に中央環境審議会地球環境部会に気候変動影響評価等小委員会を設置し、気候変動が日本に与える影響及びリスクの評価について議論を行ってきたところであり、この小委員会の議論を踏まえまして、先月末に中間報告を取りまとめをいたしました。

 今後、地域ごとの気候変動影響評価を実施するとともに、国民の意見を幅広く聞きながら、来年二月を目途に日本における気候変動の将来影響の報告を取りまとめることとしており、その後、各省庁の協力を得ながら、来年夏に適応計画を策定する。

 こういうスケジュール感のもと、どのような政策が必要だと考えているのかという御指摘でもありますが、先ほど委員御指摘のように、気候変動への適応は、食料、水資源、生態系、自然災害、健康など幅広い分野にまたがる問題でもあり、政府一丸となっての取り組みが必要と認識をいたしております。

 このため、平成二十年十二月に地球温暖化影響への適応策に関する関係府省連絡会議を設置し、気候変動が我が国に与える影響及びリスクの分析や、具体的な適応策に向けた検討を進めているところであり、来年夏に策定する政府全体の適応計画を実効性があるものとするため、さらに関係府省との連携を深めていきたいと考えております。

 なお、議員御指摘の適応計画の法定化につきましては、適応策をより確実に実施する上では有効であるとも考えられるのでありますが、まずは、既存の関係府省連絡会議を最大限活用して、適応計画の策定を急いでいきたいと考えております。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 最後に、環境外交についてお伺いしたいと思います。

 地球全体の気候変動の具体的な目標としては、気温上昇を二度以内に抑えるというのが二〇一〇年のCOP16、いわゆるカンクン合意の中で定められております。

 このような目標を達成するためには、今非常に厳しい状況にあると考えておりまして、例えば、このまま世界が今のままの温室効果ガスの排出量を続けてしまえば、あと三十年もすれば、二度以内に抑えるためには一切それ以降は温室効果ガスを排出できなくなる、ゼロに抑えなきゃいけないというような状況でございまして、この三十年間の中でそういう状況でございますから、非常に短い期間で素早い対策を打たなきゃいけないと思います。

 このような目標でございますが、我が国は三・八%削減ということで、これは何としてもやらなきゃいけないとは思いますけれども、仮に我が国がこれをしっかり守ったとしても、今申し上げたような地球全体で二度以内、これを達成するのに必要十分条件とはなり得ないと思います。つまり、我が国が守る、そして先進国が守っても、それ以外の新興国が排出量をふやし続けてしまえば、結局地球全体としてはふえてしまうわけであります。

 データを見ますと、一九九〇年から二〇一〇年までの二十年間で、日本は一・一倍しかCO2排出量がふえていないのに対して、インドは二・八倍、中国は三・二倍になっております。二〇三〇年までに、中国、インドを含む新興国だけで七割の排出量を世界全体で占めるようになるというような予測もあります。そういう意味では、まず排出削減余地の大きいこういった新興国の手助けをするのが温室効果ガス削減の近道だというふうに私も感じます。

 その意味では、石原大臣が旗を今振っていらっしゃいますJCM、二国間オフセットクレジット制度が、こういったことを達成する上で一つの鍵になろうかと思います。

 一方で、JCMにちょっと穴があるなと感じておりますのは、京都議定書で認められておりましたCDM、クリーン開発メカニズムと違って、JCMは日本が提案しているものであって、JCMで獲得したクレジットが、二〇二〇年までならともかく、来年決まる二〇二〇年以降の国際的な枠組みでは認められないというリスクも同様にあるわけでございます。

 そういった意味では、このJCMの取り組みが国際的に認知をされて、二〇二〇年以降のデファクトスタンダードとしていくために、今から環境省には外交力を発揮していただきたいと思っておりますが、これらについて、現状をお聞かせ願いたいと思います。

牧原大臣政務官 小倉委員のまさにおっしゃるとおりでございまして、環境外交を通じてJCM、これの認知を高めていって、これをしっかりと二〇二〇年以降の新たな国際枠組みでも適切に位置づけられるようにするということは、本当に大切だと思っております。

 その前提として、まず、COP18決定において、締結国が共同で市場メカニズムを開発し実施できるということが明記されていて、現在の枠組みで、JCMは我が国の目標達成に活用可能だと考えているわけですね。この中で、現在私たちは、署名国倍増を掲げて各国に働きかけておりまして、こうしたことを通じて実績、賛同国をふやしていきたい。

 そして、ことしからは、JICA等と連携した新たな資金支援を具体的に実施される予定になっております。

 こうした、署名国をふやし、そして実績を積み重ねていって、国際的な議論を高めていって、委員おっしゃるとおり、このJCMを私たちはちゃんと国際的な枠組みでも二〇二〇年以降位置づけられるようにしていきたい、このように考えております。

小倉委員 牧原政務官、どうもありがとうございます。

 ちょっと色合いは異なりますけれども、二〇二〇年以降の枠組みに関しては、我々も一生懸命やると同時に、新興国にも共通の責任を負わせなければならないと思います。特に、経済発展を遂げていながら、温暖化交渉においては途上国のふりをして技術支援を要求するフリーライダーをつくらないよう、これはTPPと同じように、日本として守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めるという態度で臨んでいただきたいと思います。

 特に、中国については、日本政府承認のCDM、先ほど申し上げたクリーン開発メカニズムのうち、約七割を中国が占めていて、CDMのことをチャイナ・ディベロップメント・メカニズムというふうにやゆする人もいるわけであります。これだけ日本が支援しても、結果として中国はCO2の排出量をふやし続けておりますし、PM二・五をめぐる対応を見ても、まだまだ公害問題、環境問題に対する認識が浅いなというふうに感じるわけでございます。

 こういった日本のせっかくの善意でやった支援が環境問題の改善につながらず、中国企業の国際競争力を高める技術だけていよく盗まれる、こんなことがないようにお願いしたいなと思います。

 環境外交は重要です。本当は質問しようと思ったんですけれども、環境省の職員が海外にどれぐらい出向しているかと聞いたところ、わずか十八名しか出向していないということで、閉じた環境省じゃなくて、これからやはり国際社会に打って出る、開かれた環境省にしなければいけないと思いますし、そういう意味では、外務省に頼るのではなくて、環境省の独自の外交ルートというものも開発していただきたいというふうに思っております。

 最後に、イギリスの国防省は、世界の安全、繁栄に対する五大脅威の一つに気候変動を挙げていると聞いております。地球温暖化は異常気象をもたらして、食糧難を通じて安全保障のさまざまな問題を惹起するという認識をイギリスは持っているからだと思います。

 イギリスにエド・ミリバンドという政治家がおりまして、二〇〇八年に新設されたエネルギー・気候変動省の初代大臣を経験した後、労働党党首に就任をして、今政治の表舞台に駆け上がっております。まさにこれは、イギリスは環境政策を重視しているあかしになると思いますが、日本ではこういった認識はまだまだ不足していると言わざるを得ません。

 こうした現状を打破すべく、大臣、副大臣、政務官、そして環境委員会の皆様方とともに環境行政を今以上に盛り上げていくことを最後にお誓い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、一般質疑ということで、私にもお時間を頂戴させていただきたいと思います。

 私からは、水俣病の認定基準、そして福島第一原発事故後の小児甲状腺がんについて御質問させていただきたいと思うわけです。

 言うまでもなく、水俣病の問題、これは環境行政の原点ということでございまして、昨年の臨時国会でも、石原大臣からもしっかりとした御答弁をいただきました。引き続いて、環境被害ではないんですが、放射能による小児甲状腺がんを初め健康被害。この水俣病の健康被害に対する今の対策、公式認定から半世紀以上たった今なお苦しまれておる方がおる。これは、福島第一原発事故後の健康被害の対策と非常に関連性、リンクする問題ではないかということで、この二点について御質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の十月に、水俣病を教訓とした水銀に関する水俣条約が採択をされました。先ほども申し上げましたように、水俣病の公式確認から五十七年、水銀中毒の恐ろしさを訴え続けた患者さん、その関係者の方々には本当に頭が下がる思いであります。

 一方で、昨年の四月、最高裁は、水俣病認定訴訟において、水俣病認定患者と熊本県に認められなかった女性を水俣病患者と認定をし、女性の遺族が勝訴を確定した。

 また、十月には、国の公害健康被害補償不服審査会が、熊本県に水俣病認定申請を棄却された男性の不服審査に対して、県の処分を取り消すという裁決もされたというふうになっています。

 昨年の最高裁の判決、環境省としては、現状の認定基準、補償制度そのものを否定するものではないとして、新たな認定制度、救済制度をつくる予定はないというふうに見解を出されております。

 認定基準の運用上の問題というのは、その直後から石原大臣からも指示が出ていたということでもございます。

 私が昨年十一月に質問したとき、認定制度の運用改善指針はまだ示されておらず、早期に改善できない理由は、実務上の問題だというふうに答弁もされました。

 そして先月、本年の三月七日、環境省は、新たな認定基準の運用方針、公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定における総合検討について、関係自治体に通知をされたという経過でございます。

 昨年四月の最高裁の判決から約一年、ようやく新たな認定基準の運用方針が策定されたということですが、約一年もたってしまったということで、先ほど言ったように、実務的な問題、諸課題があったということなんですが、きょうに至るまで、一体どのような手順によって運用改善指針が策定されたのか、まずお尋ねしたいと思います。

北川副大臣 ただいま中島委員御指摘のこの水俣病の問題につきましてでありますが、発生以来五十年以上がたち、長年この問題で苦しんでおられる方々もたくさんおられる中でありまして、今回、委員御指摘をいただきました昨年四月の最高裁の判決を受けて、今回の通知の発出まで約一年かかったではないかという御指摘の中での、これまでの、通知の発出に至った手順等の御質問であろうと思います。

 まず、昨年四月の水俣病の認定についての最高裁判決、従来の委員会でも大臣を初め我々がお答えをしていますように、この判決は、判定に基づいての水俣病の認定に当たっての検討は、「患者の原因物質に対するばく露歴や生活歴及び種々の疫学的な知見や調査の結果等の十分な考慮をした上で総合的に行われる必要がある」と判示をされたわけでありまして、それを受けて、総合的な検討を行うことの重要性が改めて指摘をされたものだと我々は理解をし、この総合的検討について、現行の認定基準である昭和五十二年に示された判断条件、これでは、水俣病であることを判断するに当たっては、総合的に検討する必要があるとされており、総合的検討が含まれているところであります。

 このため、環境省におきましては、これまでの認定審査の蓄積等を踏まえ、認定基準における総合的検討のあり方を具体化する作業を行い、その結論を三月七日付で環境保健部長名で関係県市に通知をしたものであります。

 今後、この通知に基づきまして、国と県とで協力して丁寧に認定審査を行っていきたいと考えております。

中島委員 今、北川副大臣から御答弁いただきました総合的に検討するということ、もうちょっと長いですが、今回のこの総合的に判断するということについて、今後の指針の運用によって認定の方が拡大するという見込みでおられるのかどうか、いかがでしょうか。

北川副大臣 委員御指摘の今回の通知で、認定される方が拡大されるのかどうかということでありますと、結論から申し上げますと、予断を持って我々は取り組むことではないと思っておりますが、いずれにいたしましても、現行の認定基準である五十二年判断条件には、水俣病であることを判断するに当たっては、総合的に検討する必要があると書かれ、暴露歴や症状といった総合的検討を行うための項目が簡潔に示されているにとどまっていたところであり、今回、総合的検討のあり方を具体化する通知を発出することを受けて、通知に基づいて国と県とで協力して丁寧に認定審査を行っていきたいと考えており、その結果として、先ほども申し上げましたけれども、認定申請に対する処分がどのようなものになるか我々は予断を持っておりませんので、御理解をいただきたいと思います。

中島委員 先ほど御説明いただきました今回の通知は、症状の組み合わせでなくても、有機水銀の摂取状況や症状、因果関係の有無を総合的に検討することで水俣病と認定し得るということだと思います。さらに、検討の際には、摂取時期や食生活、汚染された魚介類の入手方法を確認した上で、体内の水銀濃度とか居住歴、家族歴、職業歴を確認するとされてもおります。

 摂取歴の確認の際は、公的な書類以外でも、具体的な情報が記載されているものであれば客観的な資料とするというふうに言われております。要は、総合的検討に当たって、できる限り客観的資料により裏づけがされる必要があるというふうな要約だと思うんですが、ここで言う客観的な資料というのはどの程度のものが要求されるのでしょうか。

塚原政府参考人 お答えします。

 今回の通知で、暴露歴を確認する事項としましては、有機水銀の値のほか、居住歴、家族歴、それから職業歴というものをお示しさせていただいております。

 暴露に関します客観的な資料でございますけれども、例えば居住歴、かつての居住歴の裏づけとなる資料としましては戸籍の付票などが考えられると思いますし、それから職業歴のことで申し上げますと、例えば漁業に従事していたことの裏づけとなるような客観的資料としては、漁業許可証といったようなものが想定されるのではないかというふうに考えております。

中島委員 冒頭にも申し上げましたとおり、公式認定から半世紀以上たっておって、その客観的な資料は、申請者の方も高齢化しておって、因果関係を立証するための資料収集などには過重な負担がかかるとも思います。このようなことから、やはりこれが本当に、先ほど、拡大になるのかどうかというのはなかなかと、判断は難しいかもしれませんが、柔軟な対応をする必要があるのではないか。今、現時点で客観的な根拠というものが見出せるのであれば、以前からもっとということにもつながると思います。

 従来、水俣病の認定は、県や市が、医師らでつくる審査会の意見に基づいて、複数の症状の組み合わせを事実上認定要件としてきたわけです。それが、昨年四月の判決を受けて、環境省は、感覚障害のみで認定する上での指針を関係自治体に通知された。当面は、各自治体にかわって国が認定作業を行うとされたということですが、これは、二月に北川副大臣が熊本県知事と会って、その要望を受けてのことだというふうに聞いております。

 国がかわりに、今後、新しい運用基準、運用指針に沿って認定作業を行う臨時水俣病認定審査会ですが、従来、市や県でやっている審査会と一体何が違うのか。患者さんにとっては、行政不服審査などが行えないなど余りメリットもないように感じるわけですが、臨時水俣病認定審査会の設置意義について北川副大臣に御見解をいただきたいと思います。

北川副大臣 ただいま中島委員御指摘の臨時水俣病認定審査会の件でありますが、今回の設置意義というお話がありましたが、御承知のように、昨年の秋の熊本県の蒲島知事からの要望で、当面は、熊本県で認定審査を行うのは難しいので、国の臨水審で審査を行うことで進めていただきたいというようなお話もありました。

 そういう点も踏まえ、昨年来、蒲島知事との話もあり、現状のままでは県が認定業務を行うことはできない、このため、法律に基づく国の臨時水俣病認定審査会において環境省がみずから認定審査を行うよう要望がありました。

 現在、臨水審を開催できる状況を整えるべく準備を行っているところでもありますが、臨水審において審査を行うことは、まず国と県が二人三脚で認定業務を行う一環であり、また、各県において、通知を踏まえ統一的に認定審査を行っていただく際の参考にもなると考えており、昨年秋から、なかなか県において認定業務が進まないという中で、やはり国がまずこれを動かしていくんだ、認定を待っておられる方が、まず国の臨水審の方に審査をしていただきたいという要望があれば、それを受けてまず国が進めていく、こういう姿勢を示すべきという判断のもとで、今回、臨水審の審査を始めるという経緯に至ったものでありますので、この点も御理解をいただければと思います。

中島委員 元来、この水俣病対策は、これまでさまざまな関係者間の議論を経て、補償、救済の枠組み、合意が積み上げられてきた。ここで改めて国も関与しながらということなんですが、やはり、その経験を積み上げられた有識者というか、そういう方たちは限られると思うんですね。

 熊本の認定委員を務める医師の話、これは新聞報道で見たわけですが、今回の指針の内容に感覚障害だけの人も救済していこうという意図は感じられない、今までどおりの審査でよいと受け取った、このようにコメントもされておるわけです。

 この背景は、昨年の最高裁の判決結果が認定基準は否定されていないという環境省の見解、このスタンスがあるのではないかというふうにも思われるわけです。やはり、昨年の最高裁の判決結果の受けとめ方、これ自体を再度検討する必要があると、私自身は非常に今回の経緯を見ていて思うわけです。

 昨年の最高裁判決の環境省の見解、現状の認定基準、補償制度そのものを否定するものではないというその判断基準自体、その見解自体を見直して、新たな基準、救済制度の創設など、必要なことだと私は考えるわけですが、石原大臣、いかがでしょうか。

石原国務大臣 この点については、いろいろな方がいろいろな御発言をされ、また中島委員のようなお考えもあるということは承知しておりますが、私も、あの判決文を読ませていただいた限りにおきましては、また訟務検事の方々等々の意見を聞かせていただいた限りでは、最高裁判決で認定基準そのものを否定しているという判決にはなっていない、これはやはり事実なのではないかと思っております。

 しかし、その一方で、今委員が御指摘されましたように、今なお多くの方々がお苦しみになり、事案の発生から半世紀がたっている水俣病を解決して、真に地域の皆様方が安心して暮らせる社会を実現する努力というものは、引き続いてさらに深めていかなければならないという点においては、委員の考え方と私は一緒でございます。

 そのために今後何がやっていけるのかということでございますけれども、今、北川副大臣の方から答弁させていただきましたとおり、臨水審の準備も着々とさせていただいております。被害への補償、救済はもとより、地域医療福祉の充実、さらには地域の再生、融和、地域振興、これはかなりのものができてきているということは、何度も水俣を訪ねさせていただいて感じているところでございますが、環境省としても、公害問題の原点であるということを忘れず、しっかり取り組ませていただきたいと考えております。

中島委員 今なお認定の問題で苦しまれている方は数多くいらっしゃると思います。そして、かなりの年月が経過しておる。胎児性水俣病の患者さんや、今なおそのことを隠されている方も多いと聞きます。この水俣病の教訓というのは、やはり対応のおくれが被害を拡大させてしまった、そういうことだと思います。

 冒頭にも言いました、環境被害ではないですが、三・一一、その後の福島第一原発事故、その後の放射能被曝による健康被害対策、私はこの委員会でもたびたび取り上げさせていただいておりますが、小児甲状腺がんの問題、福島第一原発事故後、放射性核種の量、ある程度は同定されてきておるということですが、一方で、子供たちの行動動態、どのように避難したか、そういったことが明確になっていない。そして、仮にそこが明確になったとしても、もともとのヨード摂取量というのは個体差は随分開きがあるということで、チェルノブイリの例を挙げれば、四年目以降から甲状腺がんの子供たちがふえたと。

 もちろん、これはそのことを突っ込むつもりはなくて、さまざまなスクリーニング検査をやった結果と、今結果も出ておるわけです。水俣病のここまで長引いてしまっている、先ほどから言っているように環境行政の原点でもあるというこの対応策、やはり今回の福島原発事故後の放射線被害、これと大変リンクするわけです。

 二月に福島県の県民健康管理調査の検討委員会が開かれ、甲状腺がんと診断が確定した子供が昨年十一月の検討委員会から七人ふえて三十三人となり、がんの疑いは四十一人。十八歳以下のおよそ三十七万人を対象とする甲状腺の検査は本年三月で一通り一巡したということなんですが、今月からは二回目の検査が開始される。

 一方、三万人以上の子供たちが一回目の検査を受けていないことも判明しております。この子供たちについては三月に追加検査が行われたと聞いておりますが、まず、その追加検査がしっかり行われているのか、今後、対象者がしっかり検査を受けられる体制整備のためにどのような工夫をされているのか、お尋ねいたします。

塚原政府参考人 お答えします。

 一巡目の検査の未受診者に対しましては、できる限り受診の機会を確保しようということで、受診の呼びかけを行いますとともに、平成二十六年三月に、追加検査が南相馬市、福島市、郡山市、いわき市など県内六カ所の会場で合わせて八日間実施をされました結果、千八百人余りの方が受診をしておられます。

 それ以外の未受診者につきましては、平成二十六年度と二十七年度に実施をいたします予定の二巡目の検査の中で、通知案内を待たずとも、希望をすれば甲状腺検査を受けることができるようになっております。

中島委員 時間ですので、まだ質問したかったんですけれどもまたの機会にしたいと思いますが、要するに、今回、報道ステーションで特集が組まれて、結構反響があったんですね。その趣旨について、環境省としても見解についてということも出されております。ですから、私はそのことについて突っ込むつもりはないんですが、大規模なスクリーニング検査というのは従来やっておらなかったということで、環境省の見解としては、この数は放射線とは関係ない、福島第一原発事故とは関係ない数字という見解を出されておりますが、一方で、やはり、今後、自然発生したがんと放射能が影響したがんとをどのように区別していくか。これは全く区別がつかないわけです。

 今回も、放射能とは関係ない原因というのは、居住の地域とか放射線量とか、客観的な評価でしかない。実際、これから、今回の水俣病とリンクさせていけば、感覚障害のみ、これが本当に水俣病、水銀中毒から来たのかどうか、その判定で、半世紀たった今もはっきりしない。

 今後、放射能による健康被害、小児甲状腺がんのみならず、どのような障害、影響が今回の福島第一原発事故後の影響なのかということは、現時点、先ほど言いました水俣病の教訓というのは、初期動作、当初の対応のおくれが被害を拡大させたということになります。

 今後、そのようなことが起こらなければいいんですが、そのような問題が起きたときに、例えば、先ほどでいえば、甲状腺がんの子供たち、三万人以上の子たちが検査漏れをしてしまう。各地に避難している子たち、私も医者ですから、山梨県で、福島から来た子たち、風邪症状等で受診をするわけです。これも質問しようと思ったんですが、医療カルテの保存期間は五年ということになっておりますが、その子供たちにとっては、どこが初期症状だったのかというのは非常に大事な部分だと思うんです。

 そういった意味では、福島の子供たちに対する健康被害、その初期症状も含めて、しっかりと管理していく必要があるということだけお伝えをさせていただいて、時間ですので、きょうは質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。

 きょうは、先日、横浜で開かれました気候変動に関する政府間パネル、IPCCの総会、こちらを受けまして、地球温暖化についてお伺いをしていきたいなと思っております。

 先立って、先ほど小倉委員ですとか、あと公明党の濱村委員などもIPCCのこの辺につきましては幾つか触れられておりましたので、少し重複する趣旨のところはあるかもしれませんが、その点、御容赦いただきたいと思います。

 まず、これは改めてお伺いしたいということになりますが、先日のIPCCの総会で、第二作業部会というところでの報告書というのが出されております。

 簡単に言えば、その報告書では、もう既に地球温暖化の影響、これが広い範囲にわたって観測されておりまして、この気候変動に対する生態系あるいは人間システムの著しい脆弱性というものが明らかにされておりますということなんですが、今後、温暖化の進行がより早く、あるいはその影響が大きくなるということになってきますと、適応の限界というところを超えていく、そういう可能性があるというふうに指摘された。

 この報告書を読むと非常に危機感を持つわけなんですが、温暖化に対する政府の危機意識、このあたりをまず御答弁いただきたいと思います。

北川副大臣 ただいま林委員御指摘の、三月、横浜で行われましたIPCC総会において、我が政府、環境省におきましても、この温暖化の危機をどう認識していくかということであろうと思いますし、危機だけをあおるのではなく、やはり我々、現実に冷静にこういう問題に対処をしていかなければならないと思っております。

 この報告書でも気候変動の影響や適応に関して承認、公表されたわけでありますが、その中で、今まで以上に断定的な書き方で、既に気候変動の影響があらわれているということも指摘をされております。また、海面上昇、健康への影響、食料安全保障など、八つの項目を新たに気候変動によりもたらされる主要なリスクとして取りまとめられてもおります。

 我々といたしましても、気候変動問題が科学的な観点から非常に深刻な状況にあることが示されたと受けとめており、政府としても、内外の低炭素社会の構築に一層取り組んでいくとともに、来年夏に政府全体の適応計画を取りまとめるなど、気候変動への適応の取り組みを推進していきたいと考えております。

 また、先ほど来からファン・ツー・シェアのお話がありますが、IPCC総会の機会を捉えまして、新たに気候変動キャンペーン、ファン・ツー・シェアを立ち上げたところであり、このキャンペーンは、さまざまな地域、団体・企業で生まれる低炭素社会を実現するための技術と知恵を国民全員で共有し、楽しみながら実践をしていくというものであり、このようなキャンペーンを通じ、気候変動問題への関心を再び高めるとともに、暮らしを革新するライフスタイルイノベーションにつなげていきたい、このようにも考えておりますので、御協力をお願いするところであります。

林(宙)委員 もちろん、危機感ばかりをあおったところでという今の御答弁は、そのとおりだと思うんですね。ただ、一方で、結構のっぴきならないところまで来ているんじゃないのか。

 地球温暖化は、私が覚えているところだと、私が小学生のときから、すごく話題として取り上げられている、物すごく社会問題として顕在化してきていたわけで、それが、当時私も子供でしたから、十年とか二十年たてば大分いい方向に来るんじゃないのかなと楽観的に思っていたところもあるわけなんですよ。それが、ふたをあけてみて、二十年たってみると、全くもってそういう状況にはなっていない。

 もちろん、努力で当初予想されたよりは大分減らしていると思いますので、その効果はもちろんあるとわかった上で、いまだにこういうことが指摘されている。やはりそこは、日本がもっともっとリード役を担っていかなきゃいけないんじゃないのかなと思っているわけです。

 冷静に考えていく、これは大事なことなので。ただ、一方で、野心的に目標を設定していくということも一つありなんじゃないのかなと。総理は、ことしの初めぐらいですか、攻めの地球温暖化対策という形でおっしゃっていましたので、それはもっともっと攻めていっていいんじゃないのかな、ドライブしていっていいんじゃないのかなというふうに思うわけなんです。

 そうしますと、去年の、これはCOP19の期間中、十一月ですが、二〇二〇年度、もう間もなくやってまいります、この二〇二〇年度に二〇〇五年度を基準にして三・八%温室効果ガスの排出を削減するということにしたわけなんですが、これは先ほど質問にも出ていたと思いますけれども、京都議定書で一九九〇年度が基準年になっていたわけですから、ここから考えると三・一%増加するという計算になってくるわけです。

 そうすると、いろいろな理由があるんでしょうけれども、温暖化防止というところに対して日本がかなり消極的だととられてしまう、これは間違いないんじゃないかなと、既にそういう声も上がっていますので。

 中長期の大幅削減ということを考えていった場合に、年月がたつに従って技術革新も進んでいくわけですから、むしろ、より強い目標というのを出していってもいいと私は思っていますけれども、この緩い目標になったことについて、政府としては今どのように考えられているか、改めて御答弁をお願いします。

牧原大臣政務官 委員御指摘の目標についてですけれども、これは原子力発電所が全て稼働していないという前提になっているということは、まず前提として申し上げます。

 これを前提とすると、例えば二〇〇九年のいわゆる麻生目標というのがございますけれども、これを原発ゼロで設計をすると二〇〇五年比でいうとプラス二%という目標になりますので、今回のマイナス三・八というのは、合計すると五・八%深掘りをしたという意味で、大変野心的な目標水準であるというふうに我々は考えておりますし、そのように世界にも一応説明をさせていただいている次第でございます。

 この目標も、深掘りをした分、森林吸収源についても、二〇〇五年度比で二・八%以上、吸収量の確保を目指さなければいけませんし、その他でも、現在でも世界最高水準のエネルギー効率の日本について、さらに二〇%改善する省エネの努力、あるいは再生可能エネルギーの導入の拡大、そしてフロン対策の強化、二国間クレジット制度などの総合的な政策を、ありとあらゆる制度を進めていって達成できるかどうかという目標であります。

 ただし、委員御指摘のように、この三・八%の目標は、あくまで、エネルギー政策を今検討中でございますので、原発の削減効果を含めず設定した今の時点の目標であるということは御理解いただいて、今後のエネルギーミックスの検討の進展を踏まえて見直しし、確定的な目標を設定しますので、その時点で御指摘の点も踏まえてやっていきたいと思っております。

林(宙)委員 ちょっと質問が前後しますが、この目標については、環境のNGOといった、そういうところだけじゃないんですよね、いろいろなところから失望とか批判といったことがやはり出されているわけです。EUもそうです。イギリスもそうですね。あと、これは小島嶼国連合というんですか、太平洋の小さい島の国というところになると思うんですけれども、そういったところから本当に厳しい言い方をされている。

 例えば、イギリス、エド・デービー大臣は、最初がイッツ・ディープリー・ディサポインティングとかという書き方をするわけです。非常に失望感を出しているわけです。小島嶼国連合に関しては、もちろん、いろいろな困難なところに直面している、そういうことはわかった上で、世界にはたくさんの、たくさんのというのはあえて豊富なという言い方をしていますけれども、リニューアブル・エナジー・オルタナティブスということですから、要は、再生可能エネルギーとか、そういった代替エネルギーになるものがたくさんあるじゃないかということまで言っているわけです。

 今御答弁があったように、やはり原発というところが、この目標が少し失望感を生んでいるその原因になっている。原発がもし稼働できればもっといい数字になるんですよというふうにおっしゃりたいんだろうなというふうに思いますが、こういった各国の失望というところに関して、国際的なリーダーシップを発揮していくというところでは、日本が本当にその役割を今後果たしていけるんでしょうかと非常に危惧するところがありますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

石原国務大臣 COP19の数字については、先ほども議論したとおり、二五と三・八を比較すれば、小学生でも二五の方が大きいなと。しかし、できもしない二五とかなり苦しい三・八とどちらが正しいかといえば、私は三・八が正しいということを、マルチの会談あるいはバイの会談で十数カ国の方々に言って、一定の理解は得られたと思います。

 委員が御指摘されましたコメントは、額面どおり受け取ると、私は非常に危険だと思います。マルチの会議では誰かを悪者にする。まして、イギリスのデービーと私は相当やり合ったんですけれども、彼は、やはり排出権取引でEUに日本からお金を出させようという思いがあるんですね。そういう個々のことを、額面どおり、そのとおりのことであるということは、私は、世の中を間違った方向に導くんじゃないか。

 その一つの例としては、同じイギリスのファイナンシャル・タイムズの記事の中に、日本は不可避な事態を受け入れただけだと、今、林委員が牧原政務官の答弁に対してコメントされたと同じようなことを言っておりますし、COP19の各国代表は、日本が目標をほごにしたことを非難するのではなく、自分が参加しているプロセスのあり方を見詰め直すべきだと、極めて冷静にイギリスの新聞が報じていた。こういうことも大変私は印象に残りました。

林(宙)委員 大臣だからこそわかる、そういったところもあるんでしょうから、大変こちらとしても参考にはなります。

 では、今度、原発を動かすという前提を置いていらっしゃるのは、私は、それはそれで政府の考え方ですからいいとして、ただ、今の段階で、それはいつになったらどのぐらい稼働されるんですかと言われたら、誰もお答えにならないわけですよ。一応目標みたいなものはあるそうですけれども。

 ただ、そういった不確定な要素、よく皆さんはおっしゃいますよね、不確定な要素ですとか、決まっていないことについてはお答えできませんとおっしゃるわけです。それも一つだと思いますが、では、今度、その不確定である要素を見込んで、原発の削減効果を見込んで今後新たにまた設定していくんですよみたいな説明をそういったところでもやられているというふうに事前にお伺いしましたので、それはまたそれでどうなんでしょうねという感じは私はしております。

 そうしますと、一つ、三・八%削減ということについて、皆さん本当に頑張ってお決めになった目標だということは理解をした上で、どういう根拠を置いて決められているのかなというところが非常に気になってくるわけなんですが、これについて、現時点まで、十一月にお出しになられた説明の資料、これは環境省からいただきましたけれども、「カンクン合意履行のための地球温暖化対策について」ということで、これは合計で何枚でしょうね、五枚ぐらいですか、このペーパーのみしか公表されていないということなんですね。

 お伺いしました。これはどういう根拠になっているかというのを教えてもらってもいいですかということをお伺いしたんですけれども、その後ろのデータはちょっと説明できませんというか、お教えできませんというふうに言われてしまったので、どういうことなんでしょうねというところが非常に問題意識としてあるんです。

 このペーパーの中で、例えば、エネルギー起源の二酸化炭素、各部門の排出量目安ということで、いろいろあります、産業部門とか家庭部門、運輸部門。これが、二〇一二年度の速報ではこのぐらいで、二〇二〇年度にはこのぐらいになるでしょうというような目安で、例えば産業部門なんというのは、二〇一二年度から比較するとかなり、五・四%ふえているとか、そういう試算になっているわけです。

 これはいろいろな前提があっていいと思うんです。ただ、私は、産業部門というのは主には製造業ですから、では、日本という成熟したこの社会におきまして製造業部門がどのぐらい伸びていくのかなと考えたときに、伸びていく要素はたくさんあると思いますけれども、それほど大きく伸びるというわけではないんじゃないかと思っているところがあります。ほかのサービス部門的なところ、そういったところがどんどん伸びていくんじゃないかなと。そうすると、では、産業部門でこれだけ伸びているというのは一体どういう前提なのかなと、やはり素朴に知りたいんですよね。それがいいとか悪いとかではなくて、知りたいんです、どういうことなのかということを。

 そういうことを、では、根拠、バックデータを教えてくださいと言ったときに、いや、これは出せませんと。何でですかと聞いたら、いや、いろいろな仮定を置いているから、不確定な要素が多いからとおっしゃるわけです。

 いいんですよ。経済学だって、大体、論文の最初はアシュームという言葉から始まるんですけれども、これは何とかと仮定しますというところから始まるわけです。大体、試算なんというのはほとんどが仮定を置いているわけで、その仮定も含めて政府がどう考えているんですかということを私は聞きたいだけなので、こういった情報に関して、もちろん中には、これはちょっとお教えできませんという情報があったっていいと思うんですよ。ただ、ちょっと、仮定が多いからとかそういった理由で情報公開しないというのはいかがなものかなと思うんですが、大臣、この点については、教えてくださいと言ったら教えていただけるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

関政府参考人 この三・八%の目標を策定いたしましたときには、御指摘のとおり、さまざまな不確定な要素がございまして、確定できるものにつきましては、先ほど御指摘をいただきましたあのペーパーの中で、省エネについては、答弁もさせていただきましたけれども、GDP一単位当たりに対して二〇二〇年まで二〇%効率を向上するということを各セクターごとに示したのが先ほど御指摘の表でございます。ただ、電源構成全体が不確定でありますのでいろいろな仮定を置いておりますので、いずれにしましても、こういうものは、エネルギーミックスがいずれ決まりますので、そういうときにもう一度見直しまして、明らかな数字を国民の皆様にお示ししたい、このように考えております。

林(宙)委員 先ほど私の言い方が悪かったのかなとちょっと思うんですけれども、要は、仮定があるなしにしろ、やはり何らかの計算をしてこの数値が出てきているわけじゃないですか。これは公表されている資料なんですよ。であれば、みんながこの数字を見たときに、はて、どういう論拠でこうなっているのかと。それを見て、聞いて、ああ、なるほどと思う人もいるでしょうし、これはもしかしたらおかしいんじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、要は、そういう前提になっていることは何ですかということをなぜ教えていただけないんでしょうかというだけなんです。

 不確定だからというのは私は理由にならないと思いますが、局長、その点についてはどのように今お考えでしょうか。

関政府参考人 御指摘をいただきました表の下に注として例えば記述させていただいておりますけれども、二〇二〇年度についての電源構成というのが設定できていないため、発電所の自家消費分等もわからないので、エネルギー消費量を二〇〇五年度と同等として試算しているということであります。

 これが適切かどうかという議論がありますけれども、二〇二〇年がどういう姿になるのかということを示すのが本来の姿でありますけれども、エネルギーミックス、電源構成がはっきりしないこの時点では決めることができなかったということでありますので、こういうことを正直にそのように記述させていただいている、こういうものでございます。

林(宙)委員 余りこれについてわあわあ言ったところで、そのぐらいいいじゃないかという御意見もあるとは思うんです。ただ、私がこれを最初にお伺いした動機は何だったのかというと、政府がどのようにお考えになっているのかをただ知りたいだけなんですということ。

 今、一部、その根拠的なところをお答えいただいていると思いますけれども、これは書いてあることだからわかるんですよ。さらにその先。どういう考え方を政府なり事務方の皆さんが考えておられるかということを単純に共有したいだけなんですね。そこに何ら他意はないわけです。

 ただ、それを、無理です、だめですと頭ごなしに言われてしまうと、では、何か開示したくない情報でもあるんでしょうかという考え方になってくるのはいたし方ないところなので、その説明にいらしていただくとして、例えば大変時間がかかるとか、こういうふうにこういうふうでという部分があるのはわかるんですけれども、それでも、私たちは曲がりなりにも一応国民の皆さんを代表してここにいさせていただいているわけですから、やはり、議員という立場でちょっとこれは教えてくださいと言ったときには、やましいことがないのだったら、教えていただきたいと思うんです。

 ちょっと時間もなくなってまいりましたので、大臣、この情報を、それは適時適切というのがあると思うんですけれども、できるだけ教えていただきたいんですよということについてはどのようにお考えかということをお答えいただいて、最後の質問にしたいと思います。

石原国務大臣 国会は日本国における唯一の立法機関でございますので、法案の審議等々で必要なデータ、出し得る確定的なものがあれば出すというのは当然のことでありますし、今委員の御指摘も踏まえまして、また事務方に私の方から申し述べさせていただきたいと思います。

林(宙)委員 説明がもし何時間にも及ぶというのであれば私はそれにとことんつき合いますので、ぜひそういった情報は教えていただきたいなというふうに思います。大臣、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま付託になりました内閣提出、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。石原環境大臣。

    ―――――――――――――

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石原国務大臣 ただいま議題となりました鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年、ニホンジカやイノシシなどの鳥獣については、急速に生息数が増加し、生息域が拡大しています。その結果、希少な高山植物の食害等の自然生態系への影響、農林水産業や生活環境への被害が大変深刻な状況です。

 また、これまで鳥獣の捕獲等において中心的な役割を果たしてきた狩猟者は、この四十年間で四割以下に減少しています。さらに、六割以上が六十歳以上となるなど、著しく高齢化が進んでいます。そのため、捕獲等の担い手の育成、確保が喫緊の課題です。

 我が国の美しい自然環境を守り、農林水産業や生活環境への被害を防止するためには、積極的に鳥獣を管理し、その管理体制を構築することが求められています。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化の一層の推進を図るための措置を講じようとするものです。

 次に、本法律案の主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、生活環境、農林水産業及び生態系に関する被害の防止に向けた積極的な鳥獣の管理を図るため、法の題名を、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に改めるとともに、法律の目的に、鳥獣の管理を図ることを加えます。

 第二に、都道府県知事が地域における種の状況に応じて策定する計画について、目的を明確化し、保護に関する計画と管理に関する計画に分けるなど、法における施策体系を整理しています。

 第三に、管理を図る鳥獣のうち、特に集中的かつ広域的な管理の必要があるものとして環境大臣が定める鳥獣について、都道府県または国が捕獲等をする事業を実施することができることとしました。この事業として行われる捕獲等については、捕獲等の許可を不要とすることや、一定の条件のもとで夜間の銃による捕獲等を可能とする等の制限の緩和を行います。

 第四に、鳥獣の捕獲等をする事業を実施する者が、その事業が安全管理体制等について一定の基準に適合していることにつき都道府県知事の認定を受けることができる制度を導入いたします。

 第五に、住居集合地域等における麻酔銃による捕獲等の許可制度の導入や、網猟免許及びわな猟免許の年齢制限を二十歳未満から十八歳未満へ引き下げるなどを行います。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

伊藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十五日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.