衆議院

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第2号 平成27年3月24日(火曜日)

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平成二十七年三月二十四日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 熊田 裕通君 理事 助田 重義君

   理事 平井たくや君 理事 藤原  崇君

   理事 田島 一成君 理事 松田 直久君

   理事 浮島 智子君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      小倉 將信君    笹川 博義君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      福山  守君    堀井  学君

      前川  恵君    吉野 正芳君

      篠原  孝君    中島 克仁君

      福田 昭夫君    馬淵 澄夫君

      小沢 鋭仁君    篠原  豪君

      真山 祐一君    島津 幸広君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         望月 義夫君

   環境副大臣        北村 茂男君

   環境副大臣        小里 泰弘君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     熊谷  敬君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として復興庁統括官熊谷敬君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長小林正明君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長三好信俊君、環境省自然環境局長塚本瑞天君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀井学君。

堀井委員 皆さん、こんにちは。自由民主党の堀井学でございます。

 このように質問の機会を与えていただきました委員長を初め理事の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。

 二期目から、初めて環境委員会に所属することとなりました。先輩諸兄の御指導をいただきながら、職責を全うしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 北海道議会議員を務めていたときでありますけれども、環境生活部の副委員長を拝命し、北海道の環境行政推進に取り組んでまいっておりましたので、引き続き国政の場でこの仕事ができることを大変うれしく思っております。一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。

 また、そうした御縁もございますので、最初に私の選挙区の環境省にかかわる案件も少しお話をさせていただきたいと思います。

 地元室蘭市には、PCBの廃棄物処理事業所があります。これは北日本を一手に担っているわけであります。事業実施の際には、そのときの大臣初め副大臣、担当職員が何度も室蘭市、地元に足をお運びいただいて、丁寧に御説明をいただき、そのことによって地元の理解を得ることができたわけであります。現在の進捗も順調であると伺っております。

 そしてまた、室蘭市では、こうした環境省の大きな仕事を担うことで、町が未来に向けて、環境に優しい町づくりを目指す機運が醸成されております。また、最近では、大手製造業、鉄鋼業の企業でありますけれども、水素の研究開発に成功をおさめるなど、低炭素社会の実現に向けたさまざまな取り組みがなされております。

 室蘭市では、北九州市をお手本にと、北日本の環境、新エネルギーのモデル都市を目指していくと意気込んでおります。環境省の所管する分野を生かした地方創生につながるものとも考えます。この点については、また改めて御相談をさせていただきたいと思います。

 また、地元のえりも町というところがございます。そこでは、田中前副大臣、あと北川前副大臣、現委員長にも大変お世話になりまして、絶滅危惧種のゼニガタアザラシが生息する地域でもあります。一時は、定置網に入ったシャケの頭とおなかを食い荒らして、漁業に甚大な被害となったわけであります。

 私も、この問題は農林水産委員会で指摘をさせていただきました。また、地元の漁業組合長が大臣と面談をと駆け寄るときもあり、そのときは、副大臣を初め担当職員の皆さんも大変お心を痛めながらも漁業者の気持ちをしっかりと酌み取っていただきました。大変そのときのことを感謝申し上げたいと思います。

 また、現場においては、早急に対応していただいて、自然保護官まで送っていただきました。その自然保護官が大変今評判がいいのであります。漁師さんにまじって地元との連携を図り、円滑に作業を進めていっていただいております。

 現在は、個体数管理に必要なゼニガタアザラシの調査、網の改良等、引き続き取り組みを進めていただいております。

 また、シャケの稚魚を二百万尾放流させ、四年後に帰ってくる全体数をふやす事業が、国と道、町、そして漁協でスタートしております。四年後ですから気の長い話ではありますが、漁業被害を物ともしない数のシャケが戻ってくることを願いたいというふうに思っております。

 実は、昨年、シャケの値段が非常によかったんです。そしてまた昆布も豊漁で、値段もよかったものですから、ゼニガタアザラシ騒動は大きな漁業問題に発展しなかったのも事実であります。しかしながら、予断を許さない状況であることには違いありませんので、望月大臣におかれましては、こうした問題があり、さらなる改善策が必要となる可能性もあることについては御理解をしていただければ幸いであります。

 ほかには、支笏洞爺国立公園を有しており、洞爺湖有珠山そしてアポイ岳に、ジオパークが二カ所あります。鹿による鳥獣被害に農民が悩まされており、さらにはニホンザリガニを全滅させるウチダザリガニが生息する地域でもあります。

 環境省にかかわる案件が盛りだくさんの地域でありますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 前置きが大変長くなりましたけれども、今回は大臣所信に対する一般質疑でありますので、通告に従いまして順次質問をしてまいりたいと思います。

 最初に、東日本大震災からの復旧復興についてであります。

 あの悪夢のような大災害から四年が経過いたしました。日本人誰しもが、この大震災は生涯忘れることのできない出来事であります。そしてまた、決して忘れられない経験と記憶であります。

 今もなお避難生活を余儀なくされている方々がいらっしゃいます。深い悲しみと憤りを乗り越えて、一日も早い被災地の復旧復興を願っておられます。また、生まれ育ったふるさとへ戻るという願いを胸に秘め、被災前の生活を取り戻すことを信じて、一日一日を過ごしているのであります。環境大臣、副大臣、政務官を初め環境省の皆様、委員長を初め委員各位は、被災された方々のこの思いを胸にしっかりと刻み、一日も早い復旧復興の思いを共有し、与野党力を合わせて取り組んでいく必要があります。

 安倍総理は、閣僚全員が復興大臣として全力を尽くすよう指示を出されました。我々、当選後間もない、そしてまた期数の少ない国会議員であっても、同じ責任と役割を背負っていることを自覚して、取り組んでいかねばならないものと思っております。

 既に大臣所信にて東日本大震災からの復旧復興の決意を述べられておりますが、いま一度、被災地の皆様に、国の取り組む姿勢と大臣の被災地に対する思い、決意についてお伺いをしたいと思います。

望月国務大臣 議員御指摘のとおり、環境大臣への再任に当たっては、総理から再度、閣僚全員が復興大臣になったつもりで全力を尽くすようにという指示を受けたところでございます。

 現在、皆さんもニュース等でごらんになっていると思いますが、除染や中間貯蔵施設の整備あるいはまた指定廃棄物の処理は、まさに重大な局面を迎えていると言って過言ではないと思います。引き続き全力で取り組んでいきたい、このように思っております。

 また、これらの取り組みを進めていく前提としてやはり大切なのは、被災地の人々の立場に立つということ、それからまた被災地の人々に寄り添い、親身になって説明それからまた対応していくことが何よりも大事である、大切なことであると私たちは考えております。

 被災地の復興はまだ道半ばでございますが、いまだ多くの方が避難生活をされている。福島で十二、三万程度、それからまた東北では二十三万人という、お正月にうちに帰れないという方々がいらっしゃいます。こういう事実を我々も重く受けとめて、そして被災地の一日も早い復興に向けて、環境省の総力を挙げて誠心誠意取り組んでいきたい、このように思います。

堀井委員 望月大臣の思い、決意を聞かせていただきました。必ずや被災地の皆様にも国の思い、決意として御理解いただけるものと受けとめさせていただきたいと思います。

 さて、国の定める集中復興期間は五年とあります。最重点政策として取り組み、財源確保も約束される期間であるものと認識をしております。被災地からは、この期間が終わると復旧復興財源の確保は大丈夫なのか、進み始めた作業も期間が終われば時間がかかってしまうのではないか等、不安な声が届いているのも事実であります。

 被災された全ての方に安心した生活を取り戻すことができるそのときまでが期間とするならば、集中という期間を終えても国の取り組む姿勢と財源確保、復旧復興への決意は変わらないものだということを、被災地の皆様には御理解をしていただかなくてはなりません。

 環境省所管の分野においても、これと同じことが言えるわけであります。そこで、中間貯蔵施設についてお伺いをいたします。

 福島の除染から発生した土壌や廃棄物を貯蔵する中間貯蔵施設については、今月十三日から搬入が開始されました。福島の除染や復興を推進するための必要不可欠な施設であります。引き続き、政府一丸となって取り組みを進めていただきたいものと考えます。

 その際、地権者を初め地元の方々にしっかりと御説明をし、御理解を得ながら進めていくことが重要と考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。

福山大臣政務官 建設予定地の住民の皆様には、先祖伝来の土地を手放さなければならないなどのさまざまな思いがあると承知をしております。地権者を初めとする皆様に親身に寄り添って、丁寧な説明をしていくことが重要であると考えております。

 昨年の十月には、大熊、双葉両町長より、地権者への丁寧な説明を行うよう、小里副大臣とともに要請を受けております。私からも日ごろ、職員に対して、地元の方々の御事情に合わせて、これまで以上に親身に寄り添った丁寧な説明をするように指示をしているところでございます。

 また、地権者以外の方も含め全町民の皆様を対象として、今春には、生活再建相談窓口を開設し、ワンストップで町民の皆様のさまざまな相談に対応してまいることといたしております。

 さらに、既に中間貯蔵施設に関するコールセンターや輸送の総合窓口も設置しており、引き続き、住民の皆様からのさまざまな御質問や御意見に丁寧に対応してまいりたいと思っております。

 特に、中間貯蔵施設への搬入に当たっては、周辺自治体、輸送ルートの沿線住民の皆様に対し、輸送実施計画に基づいた具体的な搬入手順やスケジュールなどについて公表し、輸送の安全性などについて御理解をいただけるようにしてまいります。

 引き続き、こうした取り組みを進め、地元の皆様に御理解が得られるよう政府一丸となって努めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

堀井委員 福山守政務官に当たっては、徳島県議会で議長もお務めになられて、さまざまなこうした取り組みに対しての県での御経験が多分あるんだろうと思っております。まさに大事な、重要な時期を務めるに当たって、その地域との意見交換や地権者への御説明に際しては、人的にはもう適材適所であると思っておりますし、我々の同期としてお二方の政務官が出られておりますけれども、しっかり頑張っていただいて、同期の皆さんの気持ちにもお応えいただきたいなというふうに思っておりますので、これは応援として述べさせていただきたいと思います。

 次に、低炭素社会の構築についてお伺いしていきたいと思います。

 最近の天気はおかしいと日本人の誰もが感じているところであります。まさに、これは日本だけではなく、地球全体の気候と天気に変化があることは間違いありません。短時間に集中して降り続くゲリラ豪雨、今まで経験したことのない風速を伴う台風や低気圧、満潮時に高潮を伴って岸壁を乗り越え押し寄せる越波、四十度近い異常な高温から、一日に二メートル近く降り続く豪雪害まで、ここ数年、日本列島には多くの災害が発生をしております。世界各国の異常気象による災害の発生も、皆様承知のとおりであります。

 原因は一体何なのか。地球温暖化による気候変動の影響ではないか、温室効果ガス削減をしなければならない、国民の皆さんほとんどがそう感じておられますし、世界各国でも同じように危機感を持ち、国策として取り組んでいるものと認識をしております。

 我が国は、経済大国として世界から注目をされております。その上で、最も環境に配慮する国を目指し、現在の産業構造をつくり上げました。蛇口をひねって水が飲める国を確立したのは、世界じゅうで我が国日本だけであります。こうした我が国の取り組みと、環境に配慮された技術、地球に優しい物づくりの研究開発において、我が国が世界をリードする存在となっていかねばなりません。

 年末にはCOP21が行われますが、我が国がこれにどのような姿勢で臨んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

北村副大臣 議員御指摘のとおりでありまして、近年の猛暑や豪雨等の異常気象は、これまでに我々が経験したことのないものでありまして、その多くは気候変動の影響である可能性があるというふうに指摘をされているところであります。また、昨年十一月に公表された気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCC第五次評価報告書の統合報告書によると、気候変動の影響がますます深刻になることが指摘されておりまして、気候変動問題は人類が直面する重大かつ喫緊の課題と言えると思っております。

 この問題に世界全体で対処していくため、COP21において、全ての国が参加する新しい二〇二〇年以降の法的枠組みに合意することが極めて重要と考えております。既に各国においても新たな枠組みの合意に向けた動きが加速化しておりまして、これまでにスイス及びEUが約束草案を提出いたしておりますし、米国も三月末までには提出する意向を表明されておられます。

 COP21の成功に向け、我が国としても、まず、我が国の目標についてできる限り早く定めるとともに、全ての国が参加する公平で実効的な新たな枠組みを採択できるよう、引き続き積極的に議論をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

堀井委員 地球温暖化対策への取り組みは、世界各国の共通の目標が必要であります。

 昨今、中国を初めとするアジア各国の経済の発展は急速な成長を遂げておりますが、PM二・五による大気汚染や公害が発生しているのも事実であります。こうした分野において、我が国は、過去の教訓を生かして、改善する技術を生み出し、乗り越えてきた歴史があります。

 環境省がその先頭に立たれて、日本のすぐれた技術を持つ企業がこうした問題を抱える国々で活躍できるよう、国家間で連携協力を進めることが必要と考えますが、どのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地球温暖化や大気汚染を初めとした環境問題の多くは、もはや一国では解決できないレベルの課題になってございます。環境省といたしましても、アジア太平洋地域を初めといたしまして、我が国と途上国の間の国家間におきます連携協力を一層推進することは極めて重要な課題であると認識しておるところでございます。

 このため、環境省といたしましては、さまざまな取り組みを進めておるところでございます。

 具体的には、例えば温暖化の分野でございますと、署名国が十二カ国になっておりますけれども、二国間クレジット制度を活用いたしまして、我が国のすぐれた環境技術を国際社会に展開するといったような取り組みを進めております。また、公害分野におきましても、途上国との間で政策対話あるいは都市間連携といったものを通じまして、これまで我が国が公害問題を克服してまいりました経験やノウハウ等の普及に努めているところでございます。

 さらに、二国間ということではなく、例えば日中韓の三カ国の環境協力といたしましても、毎年環境大臣会合を開催しており、大気汚染の問題等の課題につきまして緊密な連携協力を進めているところでございます。

 今後とも、世界全体の温室効果ガスの排出削減あるいは途上国におきます公害問題の解決に向けまして、積極的に貢献をしてまいりたいと考えるところでございます。

堀井委員 日本はやはり過去の歴史の中でそういうことを克服してきた歴史があり、技術を持っておりますから、ぜひこの技術を世界各国に生かしていただいて、今のこの全体で問題となっている温室効果ガス削減の一翼を担えるように取り組んでいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、環境省が取り組む地方創生についてであります。

 地方の活性化なくして国の成長はないと、選挙期間中に私も地域の皆様にお訴えをさせていただきました。この日本の抱える人口減少問題についても、環境省も地方創生を目指せると示したことは、地方でさまざまなアイデアに幅を持たせていただけるものだと考えます。

 実際に多くの相談が寄せられていると思います。環境省が進める地方創生をどのように進めていくのか、お伺いをしたいと思います。

北村副大臣 人口減少時代を迎えた我が国にとりまして地方創生は安倍政権の極めて重要なテーマでありまして、昨年末にはまち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定をされ、環境省の施策もその中に盛り込まれているところであります。

 地域には豊かな自然環境や再生可能エネルギーなど多様な資源があり、環境省としても、これらを活用することが地域の活性化につながると考えております。

 地域の側から見て、例えば、私の地元は石川県でありますが、日本海側で唯一、人口増加県を自認してきたのがこれまででありますが、約十年前の平成十六年を境に、御多分に漏れず人口減少県になりました。今やその減少傾向は極めて激しく、極めて深刻な状態になっております。また、鳥獣の生息数など、大変深刻な問題も起こっておりまして、また、外来種の侵入などによって自然環境への影響などが多く憂慮されているところでありまして、多くの県民の皆さんの大きな議論になっているところでもあります。

 したがって、環境をテーマにした創意工夫によりまして地方創生に積極的に取り組みたいと考えているのも、そういうこともまた背景にといいますか状況としてあるからこそ、今そういう議論が活発になっているんだというふうに思っております。

 このため、望月大臣の指示のもとに、私を本部長とする全部局長から構成される環境省地方創生プロジェクトチームを立ち上げました。

 地方自治体の御意見も伺いながら、環境政策を軸にした地方創生に取り組み、先進的、積極的に取り組む地方自治体を集中的に応援して、地域における環境と経済の好循環を生み出し、ひいては地域の活性化につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

堀井委員 ありがとうございました。

 地方創生を進めるに当たっては、環境省のさまざまな取り組みが地方と連携することによって、大いに貢献できるものと考えます。

 その一例として、水素エネルギーの活用であります。

 昨年、燃料電池自動車ミライが発売をされました。ハイブリッド自動車の普及の時間から考えても、日本の技術であればここ数年で国内全域に広がるものだと考えます。

 大気環境の保全やCO2削減の観点からも、水素燃料電池自動車の普及を強力に推進していく必要があると考えます。そのためには、ガソリンスタンドにかわる水素ステーションの普及も並行して進めていかなくてはなりません。

 水素の本格的な活用を進めることによる自立分散型の低炭素エネルギー社会の実現を目指して、二十七年度予算として計上されていることは承知をしております。水素社会の実現に向けて、環境省はどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。あわせて、地方創生にもつながる全国的な水素ステーションの普及をどのように進めていくお考えか、お伺いをしたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 水素につきましては、利用の段階におきまして二酸化炭素を出さない、水しか出さないというものでございますので、地球温暖化対策としても極めて重要なエネルギーだと認識をしております。

 ただ、一方で、水素の製造の過程等におきまして二酸化炭素が排出される場合もあります。再生可能エネルギー等の利用によりまして、水素のサプライチェーン全体が低炭素化をしていくということが重要だとも考えております。

 例えば、地域に存在いたします再生可能エネルギーを利用した低炭素な水素社会の実現というものにつきましては、エネルギーの地産地消あるいは地域資源の活用といったものを通じた地方創生の重要な手段の一つであるというふうに考えております。

 環境省といたしましては、再生可能エネルギー等から水素を製造そして輸送をしまして利用するまでの低炭素な水素のサプライチェーンの実証などを行うこととしているところでございます。

 御指摘の水素ステーションの普及につきましては、昨年の四月に閣議決定いたしましたエネルギー基本計画におきまして、平成二十七年内に百カ所程度の水素ステーションを整備するという目標が定められているところでございます。

 これを受けまして、私ども環境省といたしましても、地域で水素の製造が可能となる再生可能エネルギー由来の水素ステーションの整備を支援するということを通じまして、経済産業省とも連携しながら、全国的に水素ステーションの整備を促進してまいりたい、かように考えておるところでございます。

堀井委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会まで約五年となりました。環境省としては、環境に優しい五輪と環境都市東京の実現を目指した取り組みが進められます。水素燃料電池自動車と環境都市日本を世界に発信する好機と捉えて取り組んでいただくことと、この広がりが全国津々浦々に展開をして、地方創生に結びつける政策となるようお願いを申し上げたいと思います。

 各自治体は急ピッチで、現在総合戦略の策定の作業を行っているわけであります。環境省の所管する分野で地方創生を考える自治体には、ここが重要なポイントでありますが、総合戦略策定作業の段階においてアドバイスや助言、アイデアをともに出し合い、一緒につくり上げることが成功の鍵を握るんだと思っております。

 まち・ひと・しごと創生本部では、地方創生コンシェルジュの仕組みをつくられ、十七府省庁、総勢八百七十一名から成る相談窓口が対応に当たられますが、ぜひ、御相談に来る自治体に対して温かな手を差し伸べていただいて、環境省所管の分野の地方創生を全国に広げていただきたいと思います。

 最後に、鳥獣法改正を踏まえた取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。

 先ほどの、冒頭申し上げましたゼニガタアザラシにもつながるものでありますが、ことし五月に施行される改正鳥獣法において、環境省が特定希少鳥獣管理計画を定めることができるという制度が新たにつくられました。この制度では、特定の地域においてその生息数が著しく増加し、またはその生息地の範囲が拡大している希少鳥獣の管理を図ることを目的としております。

 ゼニガタアザラシについては、まさしく希少鳥獣でありながら特定の地域で被害を生じているものとして、そうした計画を策定し、環境省が率先して取り組むべきと考えますが、これについて、環境省の方針についてお聞かせいただきたいと思います。

塚本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、ゼニガタアザラシは絶滅危惧種ですけれども、その個体数が近年非常に増加しております。特に、一部の地域では深刻な漁業被害を及ぼしているため、環境省では、現在、暫定的に計画を策定して、漁業被害防止対策とゼニガタアザラシの存続可能性の評価のための調査を行っているところです。

 さらに、五月に施行される改正鳥獣法に基づきまして、環境省が特定希少鳥獣管理計画を定めることができるようになります。ゼニガタアザラシにつきましては、できるだけ速やかにこの法に基づく特定希少鳥獣管理計画を策定することとしております。

 今後とも、地元としっかり調整しながら、先生からお褒めいただきましたけれども、自然保護官、地元と連携しておりますので、そういう面からも対策に取り組んでいきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

堀井委員 終わります。

北川委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一と申します。

 昨年末の衆議院選挙で初当選をさせていただきまして、本委員会に所属させていただき、このような質問の機会をいただきましたことを心より感謝申し上げる次第でございます。

 私は、今現在、福島県の方に在住させていただいております。きょうは福島県の、特に避難者の皆様のお声を少しでも代弁できればという思いでこの質疑の場に立たせていただいておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、中間貯蔵施設についてお伺いさせていただきます。

 御存じのとおり、三月十三日から中間貯蔵施設へのパイロット輸送が大熊町側で始まりました。二十五日には双葉町の方で始まるというふうに聞いておるところでございます。

 この中間貯蔵施設につきましては、昨年の八月、県が建設の受け入れを表明し、順次、大熊町、双葉町にて地権者への説明会がなされたところでございます。九月から十月の間に全十二回開かれたというふうに聞いております。その後、二十六年十二月には大熊町、そして二十七年一月には双葉町が、苦渋の決断として建設、搬入の受け入れを表明していただきました。

 原発事故によりましてふるさとを追われ、そして三十年間戻ることもできず、汚染物質の保管場所になってしまう、それが地権者の皆様にとってどれほどの苦渋であるか、自分自身を含め、そうでない人間には推しはかることができないことでもございます。

 実は先日、私、予算委員会の第一分科会で、この中間貯蔵施設へのアクセス道路の整備に関する要望、質疑をさせていただきました。地元の方の苦渋の決断でございますので、そういう中で決して痛ましい事故が起きてはならない、そういう思いで質問をさせていただいたところでございました。

 しかし、この件につきまして、中間貯蔵施設予定地の地権者の方からお叱りのお声をいただきました。既成事実のように質問するとはどういうことですかというふうにお叱りをいただきました。地権者の視点からすれば、まだ納得できる説明も受けていないし、また契約書にサインしたわけでもない、それにもかかわらずパイロット輸送として輸送が始まり、アクセス道路の整備が議論されている、そういう状況に憤っておられる様子でございました。

 その方からお手紙を頂戴いたしました。ひとつ紹介させていただきます。

 政府が言っているような地権者に寄り添った対応や丁寧な説明とはほど遠い状況の中、私たちが避難という状況に追い込まれ、さらに追い打ちをかけるような中間貯蔵施設の建設と、二重三重の苦しみを味わわされる理由が理解できません、こういうお手紙でございました。

 中間貯蔵施設の必要性は言うまでもなく、私自身も、地権者である大熊町、双葉町の皆様に御協力をお願いするしかないとも思っております。しかし、地権者の皆様の御心情を決して忘れてはならないことを改めて自覚したところでございます。

 その上でお伺いをさせていただきます。

 現在、中間貯蔵施設に関して、地権者との交渉状況はどのようになっておりますでしょうか。環境省にお伺いさせていただきます。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 地権者との交渉の状況でございます。

 登記上のベースでは約二千四百名の地権者がおられまして、このうち、これまでに環境省として連絡先を把握することができました約半分の地権者の方々には、全ての方々に連絡をとらせていただいておりまして、御了解いただければ、順次、戸別訪問等による説明を丁寧に進めているところでございます。

 また、建物など物件を所有されている地権者の方々につきましては、これも、御了解を得た上で、建物等の物件調査を進めさせていただいているところでございます。

 なお、このように取り組みを進めてきておりまして、本日までに契約をさせていただいたという事案もあるところでございます。

 ただ、連絡先が不明の地権者の方々も多数おられるわけでございます。この方々につきましては、登記記録に記載をされております地権者の方々の戸籍簿などを調査することで、地権者の特定作業をまず進めているところでございます。

真山委員 中間貯蔵施設の交渉に当たりましては、地権者のお一人お一人によりまして受けとめ方、考え方も異なりますし、また事情も、避難の実情も含めてさまざまあろうかと思います。そういう状況の中で物事が進んでいることを絶対に忘れてはならないことを一言申し添えさせていただきたいと思います。

 その上で、さらにお伺いをさせていただきます。

 地権者の方からすれば、ふるさとを追われることははかり知れない心の喪失でございます。やはりどうしても譲ることはできない、こういう思いの方もいらっしゃるかもしれません。こういった場合の対応について、環境省としてどのようにお考えになられているか、御答弁いただきたいと思います。

 また、大きな懸念材料としてございますのは、やはり三十年後に本当に県外処分ができるのかということでございます。地権者にとっては大事な判断材料の一つでもあるというふうに思っております。三十年以内の県外最終処分に向けてどのように取り組んでいくのか、また、可能な限り明確に、わかりやすくしていく意味で、時間軸の入った県外搬出の工程表が必要と考えますが、二つあわせて環境省にお伺いいたします。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地権者等への対応、特に地権者との交渉が難航した場合ということでございますけれども、先生おっしゃいますとおり、やはり地権者は個々に御事情を抱えておられると思いますので、まずは地権者の方々の声に真摯に耳を傾けまして、丁寧な御説明を尽くすことによりまして、御理解を得られるように最大限努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから、先生御指摘のとおり、三十年、県外最終処分に向けての懸念が、地権者の方を初め町民の方にあるのも事実でございます。

 せんだっての臨時国会で法律を通していただいたところでございますけれども、最終処分までの見通しに関しましては、既に公表しております八つのステップを踏みつつ進めていくこととしているところでございます。

 その中では、放射能の物理的減衰を踏まえつつ、幅広く情報収集しながら、まず、研究・技術開発、減容化、再資源等の可能性を踏まえた最終処分の方向性の検討にしっかり取り組むこととしているところでございます。

 このため、平成二十七年度予算案には、最終処分に向けた除去土壌等の減容、再生利用に関する技術開発等を実施するための予算を計上させていただいているところでございます。

 また、時間軸のお話がございました。

 申しわけないことでございますけれども、現時点で詳細なロードマップを取りまとめられる時期をお示しすることは困難でございますけれども、申し上げましたような取り組みを進める中で、八つのステップを可能な部分からできる限り順次具体化をしていきまして、取り組み内容と実施段階を段階的にお示しすることにつなげていきたいというふうに考えております。

 また、できるだけ早い段階から、関連技術の研究開発の成果や安全性について丁寧に説明、情報発信を行うことによりまして、県外最終処分の実現に向けて政府を挙げまして全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

真山委員 ぜひとも丁寧な対応をお願いしたいと思います。地権者の皆様にとりまして、一つ一つの判断材料、それを提示することがまさに丁寧な対応につながっていくというふうに私は思っております。

 重ね重ねになりますけれども、地権者の皆様のふるさとを追われる心の痛みははかり知れないわけでございます。そのお一人お一人の心に寄り添い、一つ一つ丁寧に御説明申し上げ、御理解が得られるよう努力し続けることが重要でございます。

 大臣も所信の中で、「地権者の皆様への丁寧な説明を進めるとともに、施設の着実な整備と安全かつ確実な輸送を推進し、除去土壌等の継続的な搬入に向けて全力を尽くしてまいります。」とおっしゃっていただきました。その第一義は、やはり地権者の皆様の御理解であり、地権者の皆様の心に寄り添ってさらに誠実に丁寧な対応をお願いしたいと思いますが、環境大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

望月国務大臣 建設予定地の住民の皆さんには、これはもう先祖伝来の何代にもわたる土地を手放さなくてはならない、さまざまな思いがあると承知をしております。

 先ほど、地権者は、わかっている方、わかっていない方がいらっしゃいますけれども、二千四百人ぐらいあると。これは、地権者は一人一人、やはり違った事情やさまざまな思いがあると思います。全て違うと思います。ですから、地権者を初めとする皆様に親身に説明をしていかなくてはならないということが本当に重要だと私たちは認識をしております。

 そういった皆さんの事情に合わせて、これまで以上に気持ちの通った対応をするよう、実は私、もう福島には、先週も参りました、その前も何回も行っておるんですけれども、その都度、用地交渉をしている職員に来ていただいて、あなた方も一生懸命やっているのはわかっている、でも、それであっても上から目線になってしまう、だから、そこからまたもう一つ下がって、そういった皆様方の気持ちになって、頭を下げてしっかりと丁寧な説明をするようにと、何回も私から職員の皆さんに、訓令といいますか、そういうことを実はやっております。指示をしているところであります。

 今後は、用地担当の職員も増員することになっております。より細かくやるためには増員していかなくてはならない、そういう予定でございまして、今まで以上に精力的に地権者の皆様に丁寧な説明を行うとともに、地権者及び地権者でない方、非地権者を含む町全体の皆さんの御理解もやはり必要でありますので、そういう皆様を対象として、今春には、生活再建相談窓口を設置いたしましてワンストップで、よく、役所へ行くと、あちらへ行ったらどうですか、向こうに行ったらと、ぐるぐるとまた回ってきてしまうなんということがないように、ワンストップで町民の皆さんのさまざまな相談に対応する、こういう形をとります。

 また、地元の皆さんの疑問に答えて、御判断の一助となるように、最終処分への取り組み状況、それからやはりモニタリング、数字を見ればそういったことがどの程度かとわかりますので、そういった情報、それから施設の安全性について、さまざまな場面で積極的に情報を発信していきたいと思います。

 こういった取り組みを進めて、地元の皆さんに御理解が得られるように、さまざまな面から総合的に努力をしてまいりたい、このように思います。

真山委員 用地交渉の体制の増員ということで、これは本当に、さらに増強していただくことをお願いしたいと思います。

 次に、除染及び廃棄物の取り扱いについて質問をさせていただきます。

 大臣の所信におかれましても、除染は福島の復興にとって極めて重要との認識を示していただいております。放射性物質汚染対処特措法に基づき、旧警戒区域、計画的避難区域に相当する除染特別地域十一市町村は、環境省の所管にて除染が実施されております。まずは、避難指示解除準備区域や居住制限区域を中心に実施されているところでございます。

 一方、帰宅困難区域についてはほぼ手つかずの状態ではございましたが、一部地域では、モデル除染として、帰宅困難区域においても除染が実施されております。また、復興拠点となる地域周辺、例えば大熊町の大川原地区、その周辺におきましても、今後除染を実施するというような計画もあるというふうにお聞きしております。

 こうした状況を鑑みて、地元からは、帰宅困難区域においてもさらに除染を進めてもらいたい、特に、復興拠点となる地域の周辺をとの御要望をいただいております。帰宅困難区域についても、地元の要望を踏まえて今後除染を進めていただきたいと思いますが、御見解を環境省にお伺いいたします。

小里副大臣 除染を含めた帰還困難区域全体への対応につきましては、放射線量の見通しや、今後の住民の方々の帰還意向がどうか、あるいは将来の産業ビジョンや復興の絵姿等を踏まえまして、政府として現地、地元と検討を深めていこうということとしているところでございます。さらに、各町村によりまして復興計画等が定められますれば、それを踏まえて対応してまいります。

 また、御指摘のとおりに、帰還困難区域でありましても、復旧復興や住民の移動のために特に必要性の高い広域的なインフラや拠点につきましては、現に除染を実施しているところでございまして、既に常磐自動車道、国道六号等につきましては除染が終了いたしました。また、現在、国道二百八十八号等の除染を行っているところでございます。

 今後とも、地域の復旧復興のために重要な施設やインフラ等につきましては、個別に除染を実施してまいります。

真山委員 ただいま御答弁もございましたけれども、ぜひ、地元の復興計画、地元の意見に耳を傾けていただいて推進していただきたい。お願いさせていただきます。

 ただいまは、環境省が所管する除染特別地域の話でございました。それ以外の地域におきましても、市町村による除染実施計画のもと、国費を投入し除染が行われております。放射線量は、時間の経過も相まって確実に下がっております。それにより県外避難者が戻ってこられる、そういった傾向も見受けられるようになりました。

 さて、放射性物質汚染対処特措法が成立したのは平成二十三年の八月でございます。国の方針が決まる以前から、各自治体の判断、また個人の判断として除染が行われてきた現実がございます。現在もその際の除染廃棄物が保管されており、また、地面の上下の土を入れかえる方法で除染したところは土の中に埋まっているところでございます。

 こうした自主的に除染を行った場合の除染廃棄物の処理の方法について、環境省にお伺いいたします。

三好政府参考人 特措法の施行前に個人等が自主的に除染を行った際に排出された土壌や排出物の取り扱いについての御質問でございます。

 実は、特措法以前の措置あるいは特措法に基づかない措置で発生した土壌につきましては、先生御指摘の個人が自主的になされた場合のほかにもさまざまなケースがございまして、二月の八日に、中間貯蔵施設への搬入に当たっての確認事項という中で、ため池等の放射性物質の対策等で生じた土壌等のうち、線量が高いなどの理由により、中間貯蔵施設以外での処理が困難なものについても、状況を把握し関係機関間で整理を行った上で中間貯蔵施設に搬入することといたしますという回答を地元にさせていただいているところでございます。

 したがいまして、先生御指摘の自主的になされたものにつきましても、状況を把握し、関係機関で整理を行うということになるわけでございます。

 具体的には、実は、個人が自主的になされたものにつきましては、現時点で実態が明らかでないというのが実態でございまして、まず、地元の自治体と連携を図りつつ、実態の把握を行いました上で、関係機関との調整を行ってまいりたいというふうに考えております。

真山委員 ぜひ、早急に実態を把握していただいて、関係機関との連携をお願いしたいというふうに思います。

 次に、お伺いいたします。

 放射性物質汚染対処特措法では、一キログラム当たり八千ベクレル以下の廃棄物は、通常の廃棄物として処理されることになっております。

 福島県のある業者の方から御相談をいただきました。産廃の中間処理業者の方でございますが、八千ベクレル以下にもかかわらず最終処分業者に受け入れてもらえず、焼却灰がたまり続けておりまして、敷地内に保管するのも限界になっている、こういったお話をいただきました。

 なぜそうなるのかと申しますと、最終処分業者が独自に設けた基準がございまして、国で定めた八千ベクレル以下の数字を独自に基準としているようでございます。地域住民への配慮を含めまして、さまざまな事情はあるかと思います。このような相談は、産廃に限らず、ほかの業種でも相談を受けたことがございます。このような場合、一歩間違えますと、国の基準があたかも高いように誤解を与える可能性もあるわけでございます。

 こうした状況に対しまして、環境省の御見解をお伺いさせていただきます。

鎌形政府参考人 一キログラム当たり八千ベクレル以下の廃棄物についてのお尋ねでございます。

 八千ベクレル以下の廃棄物につきましては、周辺住民及び作業者のいずれの安全も確保した上での処理が十分可能である、こういうようなことが確認されております。このため、廃棄物処理法に基づき、従来と同様の処理方法による処理が可能でございまして、適正に処理を進める必要があると考えております。

 こうした中で、多くの市町村や廃棄物処理業者等の御努力により進んでいるところもあるというふうに承知してございます。

 一例を申し上げますと、環境省が十六の都県にアンケート調査を行ったことがございます。八千ベクレル以下の飛灰などを最終処分できずに一時保管している、そういった廃棄物処理施設の数は、平成二十三年度には四十を超えてございましたが、平成二十六年度では十カ所以下ということで、進捗が見られる部分もございます。

 しかしながら、御指摘にもございますように、いまだ地域の理解が得られず処理が滞っている、そういった地域もございますから、国としても、八千ベクレル以下の廃棄物の処理の促進に、引き続きしっかりと取り組むことが重要と考えてございます。

 これまでも、パンフレット、会議、あるいは自治体に対する通知などによりまして、八千ベクレル以下の廃棄物の処理の安全性の周知を図ってまいりました。今後も、関係自治体、関係省庁などと連携いたしまして早期処理に向けて取り組んでいくということで、廃棄物の処理が一層進むように努力していきたい、こういうふうに考えてございます。

真山委員 ぜひ、こうして困っていらっしゃる方々に寄り添っていただいて、具体的に解決策を導き出していただきたい、そのようにお願いするところでございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 避難指示区域の住宅の解体について、お伺いさせていただきます。

 現在、原発事故による避難者の皆様が残してきた住宅は、この四年の月日の経過とともに大変劣化しておりまして、また、ネズミやイノシシ、こういったものによりまして、かなり傷んでいる状況でございます。私も区域内の住宅に住民の方と一緒に入らせていただきましたが、その状況は大変ひどいものでございます。鍵をかけていてもイノシシが自力で鍵をあけて中の食物を食い荒らす、こういう状況も目の当たりにしたところでございました。

 避難先で住宅再建をされている方もおりまして、避難元の住宅にはもう戻らない、また、建てかえない限り住める状況にはならない、こういった方々が多数いらっしゃる現実がございます。

 そのような中で、環境省として、住民の希望に応じて住宅の解体を行う事業があろうかと思います。その取り組み状況について、お伺いさせていただきます。

鎌形政府参考人 被災家屋の解体についての御質問でございます。

 いわゆる汚染廃棄物対策地域、旧避難地域でございますけれども、そこにおける被災家屋のうち、市町村において半壊以上と判定された家屋につきましては、環境省が放射性物質汚染廃棄物処理事業の一環で解体撤去を行う、こういうことにしてございます。

 半壊以上の判断というところでございますけれども、地元の御要望もさまざまございまして、例えば、調査を実施した時点において損壊が確認されているかどうかを判断するとかいうことを可能にするとか、あるいは、雨漏りに伴うカビとか鳥獣のふん尿による汚損などについても判断に加えていく、こういった対応で、できるだけ寄り添って対応しているというところでございます。

 そして、半壊以上と判断されなかったものにつきましては、復興庁の事業などで対応するというふうに考えてございます。

真山委員 環境省による解体は半壊以上ということでございまして、先ほども御答弁の中にありましたけれども、半壊認定になっていない家屋につきましては、復興庁の方で取り組みを推進されているということもございますので、この件に関しましては復興庁にお伺いさせていただきます。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 半壊未満と判定された被災家屋のうち、帰還する意思のある住民の家屋につきましては、東京電力の賠償により解体、建て直しを行うことになります。

 また、帰還意思のない住民の家屋につきましては、これが放置され、帰還する住民の安全確保やあるいは区域の荒廃抑制等の観点から支障が生じるような場合には、今後、復興庁の事業により解体を検討することといたしております。

 いずれにしましても、今後とも市町村とよく相談しながら、地域の実情を踏まえて対応してまいります。

真山委員 帰還時期がはっきりと見えない避難者にとりまして、解体一つにしても判断することが大変困難な状況でございます。しかし、後になって、解体費用は自己負担、あのときやっておけばよかった、こういったことにならないように、環境省、復興庁、連携していただいて、この取り組みのさらなる充実をお願いさせていただきます。

 最後になります、次の質問をさせていただきます。

 東日本大震災から五年目に入りました。安倍総理は、東日本大震災の被災地については、二〇二〇年のことでございますけれども、復興五輪として大会が復興の後押しになり、見事に復興をなし遂げた姿を世界に向け発信するとおっしゃっていただいておりまして、二〇二〇年が東日本大震災からの復興の大きな節目になると思われます。

 さて、そこで、この見事に復興をなし遂げた姿とは何かということでございます。さまざまな観点はあろうかと思います。当然、最も大事なことは、被災者お一人お一人の生活再建であることは言うまでもありません。その上で、私が注目したいのが、やはり、東日本大震災を受け今見直されておりますエネルギーの関係でございます。

 所信におかれましても、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入とおっしゃっていただいております。復興庁事業ではありますが、新しい東北の創造の中の一つとして、持続可能なエネルギー社会というのがございます。東北の豊かな自然エネルギーを活用したエネルギーの一大拠点づくり、これは政府におかれましても共有される方向性ではないかというふうに思っております。

 東北地方におきましては、自然エネルギーが、豊富にその資源がございます。中でも風力発電の導入ポテンシャルは、環境省の調査によりますと、現在の電力供給能力を上回るポテンシャルがあるというふうに言われております。また、地熱発電についても大きな可能性がありまして、地熱発電は安定的な発電能力を秘めております。

 しかし、風力や地熱発電所の建設候補地は、自然豊かな風光明媚な場所が多く、地域住民や自治体との交渉、環境アセスメントなど、開発に至るまでのプロセスに多大な労力がかかるのが実情でございます。

 当然、豊かな自然環境の保護や地域の理解は得るにしても、東北の地域資源を生かし自然エネルギー拠点をつくるためには、そのプロセスを簡略化し、事業着手をしやすい環境をつくることも重要と考えておりますが、環境省の御見解をお伺いさせていただきます。

高橋大臣政務官 真山委員にお答え申し上げます。

 風力発電や地熱発電といった再生可能エネルギーは、低炭素社会の実現のために大変重要であり、環境への影響を回避、低減しながら、可能な限りその導入を促進する必要があると認識しています。このため、風力発電及び地熱発電の環境影響評価手続について、通常三年程度を要する環境影響評価の期間を最大で半減するということを目指して、迅速化に取り組んでいるところです。

 具体的には、審査期間の短縮、経済産業省と連携をして、環境情報のデータベース化を通じた、事業者による調査期間の短縮に取り組んでいます。さらに、地方公共団体の主導により、関係者と合意形成を図りながら、風力発電等の適地を効率的に抽出する手法について、その構築に取り組むこととしておりまして、今般、そのためにモデル地域を公募し、四地域を選定したところでございます。

 環境省といたしましては、再生可能エネルギー導入に対する支援を今後も続けてまいりたいと考えております。

真山委員 以上で質疑は終わらせていただきますが、東北の復興のために私も微力ながら尽力してまいる決意でございますので、どうか各委員の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二分散会


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