衆議院

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第5号 平成27年5月15日(金曜日)

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平成二十七年五月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 熊田 裕通君 理事 助田 重義君

   理事 平井たくや君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 田島 一成君

   理事 松田 直久君 理事 浮島 智子君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      石川 昭政君    小倉 將信君

      金子万寿夫君    笹川 博義君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      橋本 英教君    福山  守君

      堀井  学君    前川  恵君

      吉野 正芳君    篠原  孝君

      中島 克仁君    福田 昭夫君

      馬淵 澄夫君    小沢 鋭仁君

      篠原  豪君    真山 祐一君

      島津 幸広君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         望月 義夫君

   環境副大臣        北村 茂男君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水越 英明君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       三宅  智君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           谷  明人君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     坂口 利彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 田中 聡志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   環境委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     金子万寿夫君

  穴見 陽一君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     橋本 英教君

  金子万寿夫君     赤枝 恒雄君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 英教君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案(内閣提出第三六号)

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官水越英明君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長三宅智君、経済産業省大臣官房審議官谷明人君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長坂口利彦君、環境省大臣官房審議官田中聡志君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省水・大気環境局長三好信俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小倉將信君。

小倉委員 おはようございます。自由民主党の小倉將信です。

 本日は、環境委員会で貴重な御質問の機会を与えていただきましたことを、北川委員長初め各委員の皆様方に厚く感謝を申し上げたいと思います。

 本日は、水俣条約に我が国が参加をするに当たって、その前提となる国内措置を担保するための法案審議であります。

 ことしで水俣病の公式確認から六十年が経過をいたします。水俣の海は、かつて公害の舞台になったとは思えないほど今では美しい姿を取り戻しておりますが、当時被害に遭われた方々の塗炭の苦しみというものは今なお続いております。

 事ほどさように、公害というものは、一度発生をしてしまうと、とてつもない長い期間、多くの人たち、罪のない人たちに苦しみを与えてしまうものだというふうに思っております。決してこのような苦しみは金銭的な価値に換算することはできません。

 ですから、公害対策におきまして、我が国は、決して経済優先主義のドグマに陥ることなく、予防的な措置に努め、そして、むしろ、そういった措置を講ずることによって、環境分野に新しいイノベーションを起こして健全な発展へとつなげてきたわけでございますし、むしろ、これからはそういった我が国の姿勢を世界に積極的に発信していかなければならないというふうに思っております。

 しかしながら、世界各地で水俣病と同様の水銀による大規模な環境汚染と深刻な健康被害が多発をいたしております。水俣病の公式認知から六十年が経過をして、ようやく世界的な取り組みが発効に向けて視野に入ったわけでありますけれども、これ自体非常に喜ばしいことでありますが、一方で、遅きに失しているというような評価も免れ得ないものだと思っております。

 水銀に関する水俣条約は、我が国が世界で初めて水銀による深刻な健康被害を経験したことを踏まえて、あえて水俣という地名を付して、我が国で採択をされたものであります。そうである以上は、我が国は水銀対策において世界をリードする使命を与えられたものだ、こう理解をしておりますし、それと同時に、我が国が世界の水銀対策の取り組みを率先して後押しすることは、水銀被害によって苦しんでいらっしゃる方々に対して責任を未来に向けて果たすことにつながる、こう信じております。

 望月大臣は、先日、環境大臣として初めて水俣病の犠牲者の慰霊式典に参加をされたと伺っております。この式典に参加をされて、改めて、大臣として、水俣病に苦しんでいらっしゃる方々の苦しみと、そして、水俣病のような公害被害を二度と起こさないようなことについて、かたい決意を新たにされたことだろうというふうに思っております。

 そこで、まず大臣に、水俣病を起こしてしまった我が国の教訓と、そして水銀対策における我が国の役割、これについてどのように認識をしていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

望月国務大臣 ただいま先生から御指摘ございましたように、水俣病という深刻な健康被害を経験した、そういったことを踏まえて、やはりこれは未然に防止対策が必要であるということ、そしてまた、一旦問題が生じてしまうとその解決が容易ではない、そういったことを重要な教訓としていかなくてはいけないな、こんなふうに我々は認識をしております。

 そしてまた、水俣条約でございますが、これは、水俣病の我が国の経験をしっかりと踏まえながら、我が国で開催された外交会議、二年前でございますが、そこで採択をされまして、我が国にとっても大変重要な条約である、このように思っております。

 そして、我が国としてこの条約を担保するために、世界のどこの地域でもこのような公害を二度と起こしてはならない、二度と繰り返してはいけない、そういった意味で、世界の水銀対策をリードしていきたい、こんな決意を持ってこの法案を提出させていただいた、こういうことでございます。

小倉委員 大臣、御丁寧な答弁ありがとうございました。

 三日前に衆議院の本会議で、水銀に関する水俣条約が全会一致で承認されたわけでございます。外務委員会での質疑を参考にいたしますと、途上国も含めてできる限り多くの国に条約に参加をしてもらうとの趣旨からさまざまな配慮がなされ、条約にも、いいように捉えれば、弾力的かつ柔軟な、あるいは悪いふうに捉えれば、ある意味緩い措置が盛り込まれております。

 例えば、一次採掘についても、現在の鉱山を最長十五年の限度において採掘を認めているほか、途上国が条約を遵守できるように、技術的、資金的支援を行い、それでもなお遵守できない場合に備えて見直し条項も設けられております。

 我が国は、世界の水銀汚染防止対策をリードするためにも、条約よりもさらに踏み込んだ規制を国内法で設けると伺っておりますが、どのような点において条約以上の規制を国内法で設けているのか、製品製造等の規制、大気排出抑制対策、水銀の輸出規制について、それぞれ個別具体的にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

高橋大臣政務官 我が国においては、水俣病の教訓を踏まえまして、世界の水銀対策をリードするという観点から、条約の義務を満たす措置のみならず、条約以上の措置も両法案においてあわせて講じることとしております。

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案においては、条約上は努力義務となっている実施計画策定を政府に義務づけること、特定水銀使用製品について、条約の求める水銀含有量基準及び廃止期限を深掘り、前倒しができる規定としていること、廃棄された水銀使用製品の適正な回収については、条約上は規定されていませんが、本法案では関係者の努力義務を規定したことなど、条約以上の措置を規定しています。

 また、大気汚染防止法の一部を改正する法律案においては、条約上の大気排出規制の対象は石炭火力発電所等の五種類の施設に限定されているのに対し、我が国において水銀を相当程度多く排出する施設については、我が国独自の措置として、排出抑制の自主的取り組みを求めることなどを規定しております。

小倉委員 同じような観点から、どのような条約以上の国内法上の措置を行っているのか、水銀の輸出規制について改めて経産省からお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国から輸出される水銀が、輸出先国で不適切な使用が行われ、健康被害や環境汚染を引き起こさないことを一層確実にする必要があることから、我が国といたしましては、外国為替及び外国貿易法に基づきまして、水銀に関する水俣条約の規制以上の厳しい規制を行う予定でございます。

 具体的に申し上げますと、条約で求められております水銀の輸出規制に加えまして、塩化第一水銀等六種の水銀化合物の輸出を原則禁止することといたしております。

 加えまして、周辺環境の汚染や健康被害のおそれのある零細及び小規模の金の採掘用の水銀及び水銀化合物の輸出、並びに、暫定的保管のみを目的とする水銀及び水銀化合物の輸出を禁止することとしております。

小倉委員 ありがとうございました。

 観光、環境先進国としての日本の態度をあらわすには十分な国内法上の措置が見込まれているということが理解をできました。

 特に、水銀の輸出規制についてなんですけれども、統計を見ると、EUやアメリカでは、水銀自体の輸出は減っているものの、水銀化合物の輸出は依然として相当の量があるように見受けられます。一説によりますと、水銀化合物から水銀を容易に抽出できるため、水銀化合物の輸出が水銀の輸出規制自体のループホール、抜け穴になっているとも伺っております。

 我が国が独自に水銀化合物の輸出に規制を設けたこと自体すばらしいと思いますので、米国やEUに対しても、国際協調の観点から、日本と歩調を合わせるように要請をしていく姿勢もまた必要だというふうに考えております。

 水銀の輸出規制について、条約では、この条約に基づいて許可される用途及び環境上適正な暫定的保管のために行われる場合に限り、輸出締約国に対し書面による同意を与えた締約国への輸出を除くほか、水銀の輸出を許可してはならないとあります。

 つまり、輸出先で水銀がどのような用途で使用、加工されるのか厳密な確認が必要になるわけでございますが、外国為替及び外国貿易法に基づく水銀の輸出規制について、どのように相手国における使用状況等を確認するのか、経産省にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 外国為替及び外国貿易法に基づき行います水銀の輸出審査におきましては、輸出相手国から書面による同意が得られていること、試験研究用を初め条約上許可される最終用途であることなど、輸出される水銀が輸出相手国で適切に使用されることが確認できた場合に限りまして、例外的に輸出を認めることとしております。

 加えまして、事後的にも適宜輸出者に対して報告を求めることによりまして、最終需要者、最終用途等につきまして、輸出承認時の内容とそごがないということを確認する予定でございます。

 以上申し上げましたとおり、我が国から輸出された水銀が輸出相手国において適正に使用されるよう、厳格に確認することといたしております。

小倉委員 ありがとうございました。

 今回の条約では、締約国に対する輸出のみならず、非締約国に対する輸出にも規制がかけられていることとなっておりますけれども、経産省におかれましては、それらの国々に対しましても水俣条約の趣旨をよく理解していただいて、この枠組みがさらに拡大をする努力を続けていただきたいと思っております。

 それぞれの法律において、国内法上で条約以上の措置を講じていくということではございますけれども、ただ、その規制が産業界にとって、高いハードルであっても頑張ればクリアできる現実的なものでなければ、せっかくつくった規制が空文化をしてしまうおそれもあるわけでございます。

 そこでお伺いをいたしますけれども、水銀汚染防止法案における特定水銀使用製品の製造規制が我が国産業に与える影響、また、特定製造工程における水銀使用の禁止が我が国産業に与える影響、並びに、大気汚染防止法の改正で新たに水銀の排出規制が追加されることによって我が国の産業に与える影響をそれぞれお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

北村副大臣 我が国では、水俣病や大気汚染公害の教訓を踏まえまして、市民、行政、産業界などの関係者が一体となって既に水銀の使用、排出削減等の先進的な取り組みが進んでいるという認識のもとに、水俣条約を担保するために提案した今回の二つの法案により、いわゆる国内措置を講じようとしているものであります。

 具体的な措置としては、例えば、水銀汚染防止法案における特定水銀使用製品の製造規制については、我が国は他国に比べ先進的な技術を有していることに加え、我が国の水銀代替、低減の技術レベル等について製造事業者へのヒアリングを行う等により、適切に設定することといたしております。

 また、大気汚染防止法の一部改正案の規制対象となる水銀排出施設からの大気排出については、従来からのばい煙規制等によって水銀についても既に一定の排出抑制はなされており、同法案においては、排出削減に関する技術水準、経済性を勘案し、現実的に排出抑制が可能なレベルで、排出が可能な限り削減されるよう、排出基準を設定することといたしております。

 そのため、今般、水俣条約の担保措置として両法案により導入する規制によって、我が国産業界に新たな過度な負担が生じるものではないという認識をいたしているところでございます。

小倉委員 北村副大臣、御丁寧な答弁ありがとうございます。

 我が国の環境対策のいいところというのは、政府が上から産業界に対して押しつけるのではなくて、産業界の公共性に訴えて官民一体となって日の丸で努力を続けていることにあるんだろうと思います。今回の法案の策定に当たっても、十分に産業界とすり合わせができているということが確認できましたので、非常に安心をいたしました。

 これは経産省にお伺いをしたいんですけれども、水銀使用製品の代替製品や水銀使用量が少ない製品への転換の促進を図っていくことも必要だと思っております。

 今どこでも使われている蛍光灯ですけれども、これも、条約によれば、二〇二〇年に製造、輸入が禁止をされ、その多くがLED照明にかわっていくことになると思われます。

 ただ、代替製品を促進するにしても、その代替製品が単に水銀を使用していないからよいというだけではなくて、安全性や寿命など環境面に配慮する視点も必要だろうと思っております。

 今回の法案では、国の責務として、水銀使用製品の代替製品への促進等については規定をされておりませんが、水銀使用製品の代替化、水銀使用の低減化に向けた取り組みについて、経産省に方針をお伺いします。よろしくお願いします。

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、産業界におけます自主的努力によりまして、他国に先駆けて水銀使用製品の代替や低減技術の開発と導入が進められていると認識しております。こうした我が国の水銀代替や低減技術が国際市場において競争力を獲得し、世界で導入が進みますことは、水俣条約の目的にも資する望ましいことでございます。

 このため、官民密接な連携を行いつつ、産業界には引き続き技術革新を進め、地球規模でも水銀に依存しない社会づくりに大いに貢献していただきたいと考えております。

小倉委員 どうもありがとうございました。

 産業に対するこれまでの影響、あるいは産業界の方針についてそれぞれ伺ってまいりましたが、水俣条約は、水銀の採掘、輸出入、使用、環境への排出、放出、廃棄など、そのライフサイクル全体を包括的に規制するものとなっております。

 そこで、次に、水銀の回収、廃棄について方策をお伺いいたします。

 まず、現状、産業廃棄物、家庭用のごみ、それぞれの水銀を含む廃棄物の取り扱いをどうしているのか、お伺いをしたいと思います。

鎌形政府参考人 水銀を含む廃棄物の取り扱いの現状についてのお尋ねでございます。

 まず、水銀を含む産業廃棄物につきましては、廃棄物処理法に基づきまして、排出事業者が処理責任を有するということになってございます。産業廃棄物として処理する場合には、廃棄物処理法の基準に基づいて、排出事業者において適切に処理を行うということが求められているというところでございます。

 また、水銀を含む一般廃棄物、いわゆる家庭ごみにつきましては、廃棄物処理法におきまして、市町村が処理責任を有するということになってございます。そういうことで、一般廃棄物として処理する際には、廃棄物処理法に基づき、市町村において適切に処理を行うことが求められている、こういう構造になってございます。

小倉委員 御答弁ありがとうございます。

 家庭用のごみについては自治体の負担によって回収をして、産業廃棄物については事業者負担になるということでございますが、統計を見ると、現状、自治体による回収が七割ほどということで、七割ほどの自治体でしか分別回収が行われていないというふうに伺っております。

 やはり我が国として七割で満足をするのではなくて、限りなく十割に近づけるような努力が必要だと思いますし、環境省におかれましては、各自治体に対して指導や技術援助が必須だというふうに思われますが、環境省のこの点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、水銀の分別回収を行っている市町村は、私どもの調査ですと約七割ということでございます。

 家庭から排出される水銀添加製品につきましては、各市町村の実情に応じて回収、処理が行われているということでございますが、さらに水銀による将来的な環境リスクの低減に万全を期す必要があるということから、分別回収の徹底、拡大を後押ししていく必要がある、このように考えてございます。

 特に、水銀体温計などの退蔵品につきましては、今後、水銀の使用規制を強化していく中で、相対的にリスク管理の重要度が増すと考えられます。このことから、集中的に分別回収を促進していく必要があると考えております。このため、昨年度、環境省といたしまして、旭川市や九州の阿蘇地域におきましてモデル回収事業を行っているというところでございます。

 今後とも、御指摘を踏まえまして、分別回収の徹底、拡大を後押ししていくというために、引き続き退蔵品の回収について、関係機関の協力を求めるということとともに、市町村に対して、分別回収に関するさまざまな先進的な取り組みもございますので、そういったものも紹介するなどの助言、技術的支援をしっかりと行ってまいりたい、このように考えてございます。

小倉委員 御答弁ありがとうございました。

 続きまして、今の御答弁の中にもありました、水銀を使った体温計やあるいは血圧計、医療用計測機器についてどのようにお考えか、お話を伺いたいと思っております。

 先ほど答弁にもありましたように、水銀使用製品の中でも、この水銀体温計というのはとりわけ既製品も多うございまして、また、水銀の使用量の多くの割合を占めているというふうに伺っております。

 家庭用の体温計にも、私も子供のときによく目にしましたけれども、水銀式がかつて多く使われておりました。現在販売されている製品は電子式がほとんどでございますが、今でも、かつて購入をされました各御家庭に相当量の水銀式体温計が退蔵されているやに伺っております。

 また、医療機関においても、血圧計に水銀が使われておりますので、この水銀を使った血圧計が医療機関に相当量退蔵されていると伺っております。

 こういった製品を、今後確実かつ適切に廃棄物として管理するスキームの中に入れていくことが必要だと考えております。

 資料を見ますと、データを見ますと、血圧計や体温計といった医療用計測機器に使用されている水銀の推計ストック量は合わせて五十トン近くに上りますが、回収量では〇・五トンにすぎないということで、ほかの水銀添加製品に比べてストック量は桁違いである一方で、回収量はほかの製品とほぼ同程度ということで、回収が余り進んでいない現状が統計上も見てとれます。

 例えば、私の選挙区でもございます東京都では、医師会が中心になって自主回収の取り組みを進めておられますけれども、政府として、特に重点課題といたします医療用計測機器の回収に向けた取り組みをどのようにそれぞれ支援されていくのか、改めてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

鎌形政府参考人 医療機関などにおきます水銀体温計などの廃棄物の扱いでございますが、まず、環境省におきまして、平成二十六年度、川崎市医師会の協力を得まして、水銀体温計等の回収促進事業を実施したというところでございます。

 また、御指摘がございましたが、東京都医師会におきましては、会員が保有する水銀体温計などのうち不要となったものを自主的に回収いたしまして、水銀を回収する取り組みを進めているものと私どもも承知してございます。

 今後、こうした回収促進事業あるいは先進的な事例で得られた知見などを踏まえまして、マニュアルを策定するということとともに、セミナーなどを通じてそうしたものの周知を図りまして、医師会等民間団体による回収の促進を支援していきたい、こういうふうに考えてございます。

小倉委員 御回答どうもありがとうございます。

 先ほどの市町村におけます旭川市のモデル事業もそうですし、川崎市医師会のモデル事業もそうでありますけれども、うまくいっている、関係各所の協力も得ているというように伺っておりますので、今後は速やかに横展開を図っていただきたいと思います。

 適正に水銀使用製品を回収ルートに乗せていくためには、先ほどから申し上げております自治体や事業者だけではなくて、一般消費者の方々にも、水銀使用製品を正しく認識して、廃棄の際には確実に分別をしていただく必要があります。

 ただ、製品そのものに表示できれば非常にわかりやすいのですけれども、例えばボタン電池などは製品そのものが非常に小さくて、適当な印字面がないという問題もあります。また、水銀の表示自体が統一をされていなければ、消費者がかえって混乱をしてしまうとの問題点も指摘をされております。

 そこで、政府として、消費者に対して適切な情報提供のあり方、これを検討すべきだと思いますけれども、この点について政府の基本的な考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

北島政府参考人 お答えいたします。

 条約におきましては、水銀使用製品の水銀含有に関する情報を提供することは求められておりませんが、正確な情報を消費者に伝達することで、廃棄する際に当該製品に水銀等が使用されていることを認識できるようにすることは重要です。また、この情報の伝達は、消費者が製品を選択する際にも効果があると考えております。

 このため、本法案におきましては、条約の要請より踏み込んだ措置として、水銀使用製品の製造や輸入を行う者に対して、水銀等の使用に関する表示を行うことなどにより、消費者が適切に分別排出するために必要な情報を消費者へ提供する努力義務を規定しております。

 法案を成立させていただきましたら、速やかに、対象範囲や消費者にとってわかりやすい表示のあり方も含め、情報提供に関する一定の指針を作成し、事業者に求められる具体的な取り組みの内容を明らかにしてまいりたいと考えております。

小倉委員 どうもありがとうございました。

 これまでの答弁を通じまして、国内におけます担保措置についてはしっかりと準備を進めていらっしゃるということが理解できました。

 ただ、世界の水銀利用量三千八百トンのうち、我が国の利用量は、昔は二千五百トンぐらいあったそうでありますけれども、不断の努力によりまして今では八トンにすぎないということでございます。

 我が国が単独で幾ら努力をしても、これでは世界の水銀被害を根絶することはできないわけであります。重要なのは、水銀をいまだに大量消費、生産し続けている国にいかに条約に参加をしてもらい、そして、条約発効後にこうした国々に対して日本と同様のより高い規制基準をいかに達成をしてもらうかだと思っております。

 既に我が国は、水俣条約外交会議におきまして、水銀汚染防止に特化した人材育成事業を含む三年間で二十億ドルの途上国支援や水俣から水銀対策技術や環境再生を世界へ発信するMOYAIイニシアティブを表明していると伺っております。

 そこで、これまで表明してきたこれらの取り組みについて、どのような成果があったのか、今後どのような取り組みをしていくのか、簡潔に、外務省、環境省にそれぞれお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

水越政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年十月の水俣条約外交会議におきまして、我が国から、途上国の大気汚染対策、水質汚濁対策及び廃棄物処理のため、平成二十六年一月から三年間で総額二十億ドルを支援することを表明いたしました。

 これらのうち、環境汚染対策に該当する計画等として、下水道整備計画、火力発電所建設計画等、七カ国計九件の計画に対する支援を決定しております。また、今後、これらの国における環境問題の改善等の具体的な成果につながることが期待されております。

 また、これに加えまして、外交会議で発表したとおり、水銀汚染の防止に特化した人材育成支援プログラムを開始しております。昨年は、中国、ブラジル等七カ国から約十名の研修生が参加いたしました。

小倉委員 MOYAIイニシアティブも同様のことだとは思っておりますが、水銀の大気への排出量を見ますと、アジアが五割を占めていて、さらにそのまた三割を中国が占めているということでありますので、水銀対策もそうですけれども、アジア地域の経済成長とともに、環境分野においてアジア各国が果たすべき国際的な責任も増しているように感じております。そうなると、アジア一の環境先進国であります日本に期待される役割も一層拡大していくことは間違いございません。

 そこで最後に、上海で開催をされたTEMM17、日中韓三カ国環境大臣会合に参加をされて、そこで二年ぶりの日中環境大臣会合も実現をされた望月大臣に御見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

望月国務大臣 今先生御指摘のとおり、アジア地域が世界の水銀の排出の半分を占めている、こういうことでございまして、まさに日本の果たすべき役割は大変大きい、このように思っております。

 先月、日中韓の大臣会合をやりました。三年ぶりに中国の大臣が出席をいたしました。中国でも、PM二・五を初め、水俣条約に関心が非常に深くて、習近平首相の肝いりで清華大学の学長の陳大臣が就任をしたということで、バイ会談で積極的にさまざまな意見交換をして、やはりこれからは中国も環境問題は大変重要だというようなことの話し合いもさせていただきました。

 そういったことで、やはりアジアにおける日本の役割というものは大変重要であるということで、今後とも、我が国の経験や知見あるいはすぐれた環境技術、こういったものの普及を通じて、国際貢献にしっかりと努めてまいりたいと思います。ありがとうございます。

小倉委員 大臣、力強い御答弁ありがとうございました。

 先日、我が国は、二〇三〇年までに温暖化ガスを一三年比で二六%削減するという目標案を公表いたしました。産業界との綱引きがある中で、またエネルギー政策にも不確実性が残る中で、当初見込まれたよりもかなり大胆で野心的な数字を公表することができたと評価をいたしております。

 これも、望月大臣が、外務大臣政務官や自民党の経産部会長等の要職を歴任されながら、関係各省と関係団体とのパイプを密に構築されて、リーダーシップを持って調整に臨んでこられたからだと推察をいたしております。

 大臣には、これからも環境問題全般において強力なリーダーシップを発揮していただきますことを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

北川委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 民主党の篠原です。

 小倉委員に引き続きまして、リレー質問ということで、中国問題から入らせていただきたいと思います。

 今、小倉委員が指摘されましたけれども、アジアが圧倒的に水銀の排出量が多い、五割だと。そのうちの三割じゃなくて、中国が三割ですね、圧倒的に大きい。PM二・五もそうですけれども、放射能の汚染もそうですけれども、こういう問題は国境を越えてくるわけですね。ですから、日本だけがきちんとやってもままならない。だから、外交というか、隣の国とかにもきちんとやってもらわなくちゃいけないんです。

 今、日中韓三カ国でやっている。これは理屈に合うわけです。アメリカとは関係なくはないですけれども、やはり隣近所の国にきちんとしてもらわなかったら、我が国の大気も汚染されるわけですから。

 やたら中国に厳しい態度をとるのが趣味の方がおられますけれども、そっちの方ではそれは抑えなければいけないと思いますけれども、環境問題については、私はだめなものはだめと厳しく言っていいんじゃないかと思っておるんです。その点については、穏やかにですけれども、大臣のようなお人柄の方が厳しく言われるときくんですよ。もともと高飛車な人ではこのやろうめと思われますけれども。

 こういうところについてはぴしっと言って、慎んでほしいよ、日本と同じようなことは決してするな、阿賀野川水銀、水俣の水銀、これは大変なんだ、じわじわじわじわと中国人の、あるいは日本人の、韓国人の体をむしばんでいるんだと。これは反論できないはずですよ。ですから、友好的な云々というのは防衛とか外交のところでこそやらなくちゃいけないのであって、こういうところは、私はびしばしやっていいんだと思うんです。

 びしばしやってこられたんでしょうか。あるいは今後も僕はやっていただきたいと思うので、その点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

望月国務大臣 先生が御指摘ありましたように、我々、ついこの間の日中韓の大臣会合も、先ほどお話ししましたが三年ぶりの会合でございまして、いろいろなことがございましても、やはり、特に韓国、中国、日本は本当に隣り合わせの国でございまして、何があってもそういう影響はお互いにある。そういうことで、しっかりとお互いに主張して、それからまた、協力できるところは協力する。これは先生の御指摘のように、大変大事なことだと我々も思っております。

 そういったことで、特に地球規模の水銀の汚染防止というものは、我が国の経験というのは非常に大きなものがございます。もう二度とこういうようなことを繰り返してはいけないということで、アジアを初めとする各国の水銀条約の締結を促していく、これは大変重要なことでございまして、昨年九月の国連の総会を含めて、諸外国に対しては、さまざまな機会を通して、我が国がこういう状況があったんだという経験も踏まえまして、そして条約の締結を促していく、こういう形でございます。

 中国につきましても、先ほどお話しさせていただきましたが、中国も、この三年ばかり一度もこういった会合はさまざまな問題があって開かれませんでしたが、今回は、清華大学の学長であった陳元学長が肝いりで環境大臣になった。

 まさに私も上海で、強行軍で行って、すぐバイ会談を何回もやって帰ってきたんですけれども、その間も、朝、窓をあけてみると向こうのビルが見えないというような、これは日本も、もしかしたら昔こういうようなことがあって、大気汚染訴訟とかさまざまな問題があったように、それを乗り越えてきたんだな。でも、中国の問題は人ごとではないな。中国も多分、ここでそういうような方が大臣になってきたということは、相当いろいろな問題を抱えているんだな。ですからこそ、お互いに言うべきことは言って、そして協力するべきことは協力しよう、そういうことでお話し合いをしてまいったところでございます。

 中国側も率直な意見がございまして、そして、水銀対策については協力を進めていきたい、そういう発言もございました。非常によかったな、こんなふうに思っております。

 先生が御指摘いただいたこと、言うべきことは言い、協力するべきところは協力するんだ、我々もそういう御指摘をしっかりと胸に入れて、今後もこの水銀対策、環境問題に取り組んでいきたい、このように思います。

篠原(孝)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 これは何でこういうことを申し上げるかというと、意外なんですが、私が携わった漁業関係の仕事です、日中漁業協定というのがあるわけです。二百海里を引いて、かつては日本が中国沿岸に押し寄せている、今は逆になって、中国漁船、韓国漁船が日本に押し寄せてくる。二百海里を引くと、もちろん尖閣列島とか竹島の問題ではごちゃごちゃするわけですけれども、そこは大人ですから、共同水域というのを設けてやる。

 では、とり過ぎを抑えるといったときに、魚は自由にとらなくちゃいけないんだというふうに、中国側はそう主張するかと思ったら、逆なんですよね。日本にびしばし言ってほしいと。中国の漁民も、資源管理意識がなくてついついとり過ぎてしまう、一生懸命仕事して、魚がいたらとらないと気が済まない、そういうのを違うんだよと抑えつけるためには、むしろ日本の取り締まり船にびしばし取り締まってほしい、そういう本音も言ったんですよ。そういうのがあるんだろうと思います。

 あるいは、例えば食品の安全についてだって、日本が大輸入国なわけです。日本はそんなでたらめなものだったら買ってくれないよと言うと、しようがないかなといって、中国国民もそれで安全なものを食べられるようになるということなんです。

 日本からきつく言ってもらう。こんなでたらめをやっていたら困る、日本の空気を汚されちゃ困ると日本にこっぴどく言われている。ほかの問題では日本はおかしなことをしているけれども、この問題では日本の言うとおりだという部分だろうと思うんです。ですから、ここのところはぜひ、仲よくやりつつ厳しくやっていただきたい。

 なぜこれを申し上げるかというと、私の大学時代の政治学の恩師、国際協力問題の高坂正堯教授というのがおられました。外交とかそういうところではなかなかいかない、日ソの雪解けというものも漁業でやったと。要するに、漁業はごちゃごちゃきれいごとを言っていられないわけですよ、海は接しているし。だから、その同じことが、そのころはそんなに問題じゃなかったんですけれどもね、今や環境がそういうものになってきているんだろうと思います。環境を窓口にして、そしていろいろ話し合っていく、正論で。

 まして、今お聞きした、知らなかったですけれども、大学の学長さん、業界団体の圧力には屈しない、正論でやっていかれると。いや、政治家や何かは屈しているという意味じゃないですけれども、学者の先生はど正論で言ってくる。ど正論でいくべき世界だと思います、環境のところは。

 先ほど小倉委員が、何か、日本は業界と話し合ってよくやっていると。でもそれはよくないので、嫌われるような環境省でなくちゃいけないので、僕はその点は全く逆でして、びしばしやっていかなくちゃいけない。参入規制とかそんなものじゃないんですね。環境規制はきちっとやらなくちゃだめですから、そのつもりでやっていただきたいと思います。

 協力のことですけれども、これは同じですね、前石原大臣のときにMOYAIイニシアティブというものをやっておられた。僕はこれは本当に大事だと思っております。日本は、言ってみればフロントランナーなんですね、第一走者なんですよ。昔、公害でばかにされていたんですよ、我々は気がつかなかったけれども。大臣が今言われたように、日本もかつてはそうだったんだろうな。四日市や何かもそうですよ。四大公害病がそうなんですよ。それが、同じことが起こっている。

 だから、二番手ランナー、三番手ランナーの皆さん、日本の轍を踏まないようにしてくださいよと言っていけば、みんなわかってくれるはずなんです。恥は恥として、水俣病なんか恥ですよ。それはさらけ出していいんだろうと僕は思います。だから、こんなことを二度としないようにということで、いいことだと思いますよ。

 京都議定書が一九九七年にできて、だからこっちについては、せっかく京都議定書という名前がついているのに日本の態度がなまくらでアメリカも入らず。ところが、びっくりしましたけれども、アメリカはイの一番に入っているんですね、締約国になっているんです。いいこともたまにする国なんですね。

 だから、こっちは水俣条約という名前がついたんです。ここはもう相当懐を広くして、ODAとかいろいろなものがありますけれども、どこか余計な国へ行って何か、紛争当事国へ行ってどうこうというのはやはりよくないと思いますが、こういう分野できちんと日本のリーダーシップを発揮していくべきだと思うんです。このMOYAIイニシアティブもいい例なんですからね。

 やっておられると思います、これを拡充していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

望月国務大臣 このMOYAIイニシアティブでございますけれども、条約の早期発効に向けた途上国に対する支援あるいはまた公害防止、環境再生について水俣から世界に向けて発信を行っていく、先生御指摘のとおりに、石原大臣のときにこういったものを発案させていただいたわけであります。

 昨年十月には、国立水俣総合研究所が各国の水銀研究者を水俣にお招きいたしまして、水俣条約一周年フォーラムを開催いたしました。現在は、日本の水銀対策技術に関する国際展開あるいはまたアジア太平洋地域で水銀モニタリングネットワークの形成に取り組んでおります。

 こうした取り組みを踏まえて、先月、たしか日米の首脳会談でありましたけれども、ここの中でも、両国が条約の推進に向けて共同の取り組みを行うことが盛り込まれました。

 今後は、これらの取り組みをさらに進めて、途上国の条約の早期締結と効果的な実施に向けた取り組みを支援してまいりたいな、こんなふうに思っております。

篠原(孝)委員 あめもやらなくちゃいけないですが、むちも必要だと思うんです、厳しい意見ですけれども。

 日本は中国からいろいろなものを輸入しています。日本で幾ら表示をして水銀を使わないようにやっていたって、中国側が、簡単に言うとちょろまかして平気で使ってやっているというのはよくある話ですが、エコダンピングですね。先進国は厳しい環境規制がある、発展途上国はない。でたらめにつくって、そして安く売って。労賃が安いとかいうのはそれはしようがないんです、安い労働力しかないんですから。しかし、環境のルールを守らずに、そして安くつくっている、フロン製品なんかにもあるわけですけれども、僕はこれは相当厳しくやったっていいんだと思います、国境措置で。

 例えば、よくわからないんですが、そういうのがないのかどうか知りませんけれども、おもちゃをつくっている、あるかどうか知りませんよ、おもちゃに水銀が塗ってあって、それを日本の子供がおしゃぶりで口の中に入れてしまう。これは大問題です。そういうのがあったらすぐ輸入ストップをしたりしていいと思っているんですよ。こういうことをきちんとやれる体制になっているのかどうか。

 何か輸入制限すると非関税障壁だとか言われますけれども、環境を理由とする、安全を理由とする規制は輸入国側に、でたらめにやると科学的根拠がないとすぐ言われます。今、台湾との間で放射能で汚染されている云々というので問題になっていますけれどもね。これは、私は、悪いんですけれども、台湾の国民の方が神経質なんですよ、忘れかかっている日本人よりも。韓国人もそうですよ。輸入国側の安全、それこそ科学的じゃなくて心の問題で、科学的に安全かどうかじゃなくて、安心も規制の対象になったっていいんだろうと思うんです。

 僕は、水銀のことについては、二度と同じ間違いをしでかさないために相当厳しくやっていいと思うんですが、国境措置などはきちんと行われるようになっているんでしょうか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 水銀に関する水俣条約におきましては、水銀が使用されております血圧計、体温計、一定以上の水銀が使用されているボタン形電池とかランプなどの水銀添加製品につきましては、条約で定められております研究用等の特定の目的に使用される場合を除きまして、二〇二一年以降の輸出及び輸入が原則として禁止されることとなっております。

 これらの水銀添加製品の輸出入禁止に伴いまして、水銀添加製品を組み込んだ製品、例えば水銀電池を組み込んだようなおもちゃのようなものに対しましても、同様に二〇二一年以降の輸出及び輸入が原則として禁止されることとなります。

 なお、我が国といたしましては、世界の水銀対策をリードする観点から、条約で定める水銀添加製品を水銀汚染防止法案では特定水銀使用製品と定義をいたしておりまして、条約上の水銀含有量基準値よりも一層厳しい含有量基準を設けることや、廃止期限、先ほど二〇二〇年末と申し上げましたけれども、その前倒し等を我が国独自の措置として検討することといたしております。

 特定水銀使用製品、さらには特定使用製品を組み込みました製品に対しまして、以上申し上げましたとおり、外国為替及び外国貿易法に基づきまして、しっかりと水際の措置を対応してまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 ぜひ厳しくやっていただきたいと思います。僕は食の安全のところなんか特にきちんとしてもらわなくちゃいけないと思っておるんですけれども、水銀も同じです。安全を確保するためには輸入国側に絶対的な権限があるんだ。

 国際的なものになると、いろいろ話し合いし出すと、必ず環境に、僕は環境グループの皆さんなんかとつき合ったりしているんですけれども、ハーモナイズダウンという言葉を覚えておいてください。ハーモナイズ、調和をとる。国際的なものになるとハーモナイズダウンになるんです。ハーモナイズダウン、つまり、基準を緩くする。常にそうなっていってしまう。僕は逆にしなくちゃいけないと思うんです。

 BSEについてだって、日本は二十カ月でやっていると、アメリカがぎゃあたらぎゃあたらと言って三十カ月に緩める。BSEは大変なんです。だから、日本が全頭検査したから、二十カ月齢以下だったら絶対発生していない。二十カ月から三十カ月というのも、何万頭も検査して数例あるわけです。だからだめだと言っているのに、アメリカが三十カ月でやっているからとそっちに合わせられて、そしてオープンしてしまっているわけです。とんでもないことだと思います。こういうことばかり日本はしているんですよ。

 僕はこういうところは絶対譲っちゃいけない分野だと思いますので、ぜひ、農林水産省だけ、厚生労働省だけがやると何をやっているんだと言われますけれども、環境の分野も、みずからを律していれば相手国に対してやったっていいんです。外国に対してだけ厳しくやるというのはよくないんですけれども、日本がこれだけやっているんだから日本と同じ基準を守ってくれというのは、正々堂々と言っていいんです。それを頭の中に入れておいていただきたいと思います。

 それで、こっちの方はいいんですけれども、次に、ちょっとよくない話というか、よくないというのは過去のことですけれども、水俣病はやはり日本の恥だったと思います。かわいそうだと思います。ですけれども、この人たちをちゃんと救済しなきゃいけない。

 環境省のお役人の皆さん、聞いていてください。私は、山内豊徳さんという、委員長なんかはおつき合いがあったんじゃないかと思います。立派な局長さんでした。私は、役所は違いますけれども、結構親しく接していただきました。

 どういうのかというと、どうでもいい話ですけれども、霞が関の役人、法律の解説なんというのは、自分がつくった法律ですから書きますよね。そうじゃなくて、ちょっと意欲があり過ぎて、物を書く。霞が関で、法律の解説とかいうんじゃなくて、本を出版しているという人たちで、言ったら、山内さんが声をかけられて、霞が関ペンの会というのをつくったんです。現職の役人で本を書いている。

 経産省なんかはおおらかな役所で、そういうのを許しているし、文部省なんかにもいたわけですけれども、あんまり黒子に徹してもいなかったんですけれども、そんなことない、発言していこう、発信していこうというので、そして、二カ月に一回ぐらい勉強会をしたりしていました。非常に立派な方でして、私は、ですから、お声がかかればほとんど欠席したことはなく、出ておりました。

 この方は水俣病の患者の救済に心血を注がれました。それで、余り言いたくはありませんけれども、真剣に仕事をやり過ぎていて、事務次官になってちゃんとやられる方だったろうと思いましたが、途中で亡くなってしまわれました。非常に気にかけておられたんです。

 私は、だから、そういうのがあって今日本はもうだめだというふうに厳しくやっているわけですけれども、やはり過去の救済というのも忘れちゃいけない。こういう立派な法律をつくって、条約をつくって、水俣条約ができて、二つの法律も直して、ほかにも法体制ができ上がっているわけです。ですけれども、認定しないとか、あるいは、本当は水俣病にかかっているんだけれども、かかっているなんて言って認定されたりするといろいろ差別待遇を受けたりするから黙っているとか、こういう人がいっぱいいるわけです。こういうのには救いの手を差し伸べなければいけないと思う。悪いことをしたりしてちょろまかしているところには厳しく接しなくちゃいけませんけれども。

 この実態というのはどうなっているんでしょう。これは余り追及したりはしませんけれども、こうやってちゃんとやっているんだ、これからもちゃんとやっていくということを御答弁いただきたいと思います。

北村副大臣 お答えをいたします。

 公害健康被害補償法に基づき認定された患者の数は、平成二十七年三月末現在で二千九百七十九名いらっしゃいます。このほかに、水俣病特措法等により救済された方も多くいらっしゃいます。

 環境省としては、水俣病の被害に遭われた方々が地域で安心して暮らしていけるよう、取り組んでいるところでございます。

 具体的には、胎児性、小児性患者の地域生活支援や、離島等における介護予防事業、相談、支援体制の整備等を行っておりまして、今後も、地域のニーズを踏まえながら、水俣病問題に真摯に取り組んでまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 私はここは一番力を入れてやっていただきたいと思います。

 それから次に、細かいことですけれども、いろいろ環境省の方から資料を出していただいた中に、主要排出源としては結構大きい、何トン何トンというところに明確にきちんと書いていないというのがあって何番目かわかりませんけれども、比較的大きい鉄鋼製造施設が、私が見ると主要排出源になっているような気がするんですけれども、条約の中に入っていないからといって対象になっていないという。

 僕は、こんなのはよくなくて、ほかの国はどうあろうと、日本は率先垂範してびしばしやるというふうにしていいんだろうと思います。条約は指定していないけれども、日本はこの施設も対象にするというようなことをしていいと思うんですが、そういうことはなぜされなかったんでしょうか。

高橋大臣政務官 御質問いただいた件ですが、水俣条約においては、世界における大気排出量が多い石炭火力発電所等の五種類の施設が大気排出規制の対象とされています、こちらの方は。ですが、鉄鋼製造施設は、相対的に排出量が少ないということで、条約の規制対象とはされておりません。

 今般の大気汚染防止法の改正案において、我が国の水銀の大気排出量は世界の一%であるということ、それから、大気環境中の濃度は水銀の直接吸入による健康影響は想定されないレベルであることを勘案しまして、条約上排出規制が求められている施設を排出規制の対象としております。

 しかし、水俣病経験国として、条約の趣旨を積極的に捉える観点から、鉄鋼製造施設のように、我が国において条約対象施設と同等に水銀を相当程度排出している施設については、条約対象施設に準じた排出抑制の取り組みを求め、水銀の大気中への排出をできる限り抑制していくこととしたものでございます。

篠原(孝)委員 自主的に云々じゃなくて、では、日本は率先して法律の中に決めてというか、省令でみんなやって、同じようにやっていただきたいと思いますよ。日本はこうやっているんだという見本を示す。日本がどうやっているかというのを中国や韓国やほかは見ていると思うんです。だから、ほかの国にこうやってほしいという見本で、日本は一%だからいいし、日本人の健康にはそうかかわりはないからというのでやっていたらだめなんですね。見本を示さなくちゃいけないんだろうと私は思います。

 そういう点では、これもお役所の皆さんがちゃんとやっているんだからいいんだろうと思います、条約と国内法の関係ですね。要は、条約によっては、国内法をきちんと整備しなかったら発効させない、締約国にしないというような厳しいものがあります。これはそうなっていなくて、五十カ国が締約国になって、そしてその後、九十日後に発効というふうになって、そんなに厳しくはないと思いますが、条約によっては厳しいものがあります。

 条約と国内法のそごというのも出てきているわけですね。これは大したことないと思っていた共謀罪の関係のが、外務委員会ではぱっと通っていって、国内法になったら大問題になっているのがあるので、僕はこういうのがこれからいっぱい起きてくると思うんです、条約と国内法というのは。

 みんなあるんだけれども、条約の第四条の水銀使用製品の製造規制とか、十条の水銀等の貯蔵とか、条約の十一条の水銀廃棄物の管理とかいうものについては、努力規定みたいになっているのか義務規定になっているのかよくわからないんですが、今回の二法の中にきちんと組み込まれていないんですよね。この点はどうなっているんでしょうか。

 何を申し上げたいかというと、いやいや、もう日本はやっているからいいんだという答えが多分出てくる。もうこの部分はやっているからまだ日本はいいんだというのがあるんだろうと思いますけれども、同じ法体系の中にきちんと入れて、きちっとやるというのは美しいんじゃないかと思うんですが、その点、どうなっていますでしょうか。

高橋大臣政務官 今御質問のありました、まず、条約第四条の水銀使用製品の製造規制についてでございます。

 水銀が使用されている血圧計、体温計等の製品を特定水銀使用製品と規定し、原則として製造を禁止した上で、代替製品がないものに限って例外的に製造を許可すること等の措置をとることとしております。

 また、第十条の水銀等の貯蔵等については、貯蔵に関する指針の策定、一定量以上の貯蔵を行う者に対する事業所管大臣への報告の義務づけ等の措置を講じてまいります。

 また、第十一条の水銀廃棄物の管理に関しては、廃棄物処理法における廃棄物については、同法に基づき廃金属水銀を新たに特別管理廃棄物として規制対象に追加するとともに、環境上より適正な管理を図るため、硫化、固型化により安定的なものにして処分するための基準を設けることとしております。

 また、新法における水銀含有再生資源については、環境上適正な管理のための指針の策定、事業所管大臣への報告を義務づける等の措置をしっかりと講じてまいりたいと思っております。

篠原(孝)委員 なぜこういうことを申し上げるかというと、我々が考える以上に日本はもう見本にされつつあるんです、アジアの国々から。日本のアニメとか日本の歌が東南アジアや何かではやるというのもそうですけれども、法律なんかも、役所の世界でも、日本がどうやっているかと日本の法律を見て、同じような法律をつくろうというふうになるんですよ。そういうときに、日本が、いいからといって手を抜いていたら、入れていなかったら、まあいいのかというふうになってしまったりするんです。

 だから、日本のことだけじゃなくて、世界のことを考えて体系を組んでいっていただきたい。それは、水俣条約という名前までついて、それで国際会議をやって、ここでもって条約ができ上がったのですから、そういう責任を持ってやっていただきたいということで申し上げております。

 その延長線上ですけれども、計画をつくるという。計画をつくって、そしてそれに基づいて、法律だけでは内容がわからないからもっと具体的にしてやる。これも、日本がどういう計画をつくるのかとみんな見ているはずなんです。

 日本の国会はぐちゃぐちゃしているからちょっとおくれちゃっていますけれども、さっさとやるべきだと思います、さっさと。これは、ほかのものと違って。もっと時間をかけなくちゃいけないのは山ほどありますけれども、大事だから、さっさとやっていくべきだと思います。

 だから、計画もさっさとつくって、はい、日本はこんなに立派な計画をつくったよといって、そして、日本がもうサービスで英文にしてしまって世界に発信するということを、水俣発で、僕は発信ということでやるべきだと思いますが、その準備はちゃんとできているんでしょうね。

    〔委員長退席、助田委員長代理着席〕

高橋大臣政務官 大変すばらしい御指摘、ありがとうございます。

 条約の対象とする範囲は水銀のライフサイクル全体にわたり、関係者も広範であることから、関係する法令に基づく水銀対策の全体像や将来像を包括的に示し、各種施策の密接な連携を図ることは、より効果的かつ着実な施策の実施を確保する上で大変重要だと考えております。

 法施行に必要な政省令の整備を行った上で、関連する取り組みも計画に盛り込む必要があることから、これらの政省令が整い次第、可能な限り速やかに策定を仕切っていきたいと考えております。

 御指摘のようにしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

篠原(孝)委員 大臣、それで、この次ですけれども、計画はまだこれからやっていくというので、政令、省令の方が先で、その次に計画だと思いますが、先ほどの話、もうこれでちゃんと通っていくので、こういう機会は一回だけしかないので申し上げておきたいと思いますけれども、計画をちゃんとつくると、計画をつくったからいいやというふうになりがちなんですね。

 日本は、もう水俣は過去の話だ、いいやと。患者の救済も、忘れているわけじゃないですけれども、もう出てこない。例えば、これは今さらですけれども、これをやるときに、患者の救済の資料なんていうのは全然出てこないわけですよ。関係ないといえば関係ないかもしれません。

 関係なくはないんです。隠そうとする、僕はそれはよくないと思うんですよ。そういうところにちゃんと、きちんとこういうものもこの計画の中に入れなくちゃいけないとは思いませんけれども、やはり、法律の条文を見ていても、お役人スタイルになっていますから、何が書いてあるんだかわからない、一般の人は。県庁のお役人、市町村のお役人、一般人は。

 だから、計画を見て、そしてわかりやすく書いてきたら、これに基づいてやるというふうになるわけです。計画は、私は非常に大事で、そして、その後どうやってやっているかというフォローアップもきちんとしなくちゃいけないと思います。

 全然違う話ですけれども、今原発の方で、避難計画をちゃんとつくって、そしてやるというのがあります。避難計画ができなかったら再稼働させないというのがあったりします。計画というのはそれだけ重要な意味を持っているわけです、法律以上に。

 この点について、今、条文を見たら、何とか計画だったら、五年ごとに見直すとか報告とかが普通あるんですが、余りきちんとしていないような気がするんですけれども、その点は、制定時の大臣として、慣例をつくっていただいて、きちんとやっていくんだということをルール化していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

    〔助田委員長代理退席、委員長着席〕

望月国務大臣 先生の御指摘のように、やはり計画はつくればいいというものではございません。フォローアップはまさに重要なことだ、我々もそのように認識をしております。

 このフォローアップの進め方や改定の時期について御指摘がございました。法律がまだできる前にこういう先のことを考えるということは、せっかくつくって、動かない、回らないじゃないかということを考えると、御指摘としては大変いいことだと思います。

 ただ、やはり実施計画を策定し、それからまた、条約の締約国会議における国際的議論の動向というのがございます。やはり、それぞれの国、さまざまな国が参加しておりますので、そういった動向も踏まえ、それからまた、我が国では、中央環境審議会あるいはまた産業構造審議会、そういったところで学者の方々がけんけんがくがく、さまざまな御意見がございますので、そういったものも参考にしながら、我々としてはしっかりと対処していきたいなと思います。

 ただ、これは私のあれですけれども、さまざまな条約でございますけれども、バーゼル条約とかロッテルダム条約とかストックホルム条約、こういうものは二年ごとに開催されて、会議がされております。そういうようなことも含めて参考にしながら、この法案ができた後には、フォローアップができ、それからまた次の見直しということもさまざま考えながら、我々はやはり、今言ったように、役所的につくればいいのではなくて、それが実質的に人々のために役立つような、そういうものをしっかりと取り入れていきたい、このように思っております。

篠原(孝)委員 では、そうしていただきたいと思います。

 水銀、我々の世代は当然、社会科の教科書に出てきます。四大公害病というので、水俣と阿賀野川の水銀と、四日市ぜんそくとか、そうしたものはわかっています。僕なんかは長野県の農村で生まれ育ち、百姓の真面目なせがれなので、農薬ですよ、有機水銀。今、ネオニコチノイド系農薬が大問題になっている。これはこの後の環境委員会の一般質疑で質問させていただいて、ちゃんとやっていただこうと思っていますけれども、有機水銀系の農薬が一世を風靡したというふうになっている。だから、水銀というのは、化合物によっては、メチル水銀が典型的ですけれども、それが非常に体に害がある。

 私の記憶が正しければ、ホリドールという、これはもう死語になっていると思いますけれども、福山政務官がうなずいておられますが、ホリドールというのは劇薬で、日本は二十年間使ったんです。

 僕はリンゴ農家ですけれども、ホリドールを打ったときだけは、その畑に赤いリボンが、黄色いリボンじゃないんです、赤いリボンが張ってある、危険だから近づくなと。悪餓鬼どもに、とって食べるなというのでもあって、だから、それは父ちゃんや母ちゃんに絶対やっちゃいけないぞと言われていました、おかしくなるからというので。だから、水銀というのは怖いものだというのは植えつけられています。だから、ぱあっとなくなっていったんだろうと思います。水俣病もあったかと思いますけれども、水銀というのはだめなんだというのがあった。

 だけれども、赤チンにも使われていたし、それから、今、小倉委員も言われましたけれども、体温計ですよね。僕なんかおっちょこちょいで、学校でもやりましたね、ひっかけまして折っちゃって、それで水銀の玉がころころしているという、これは僕らの世代だったらみんな経験があると思います。

 それで、回収と言っていましたけれども、我が家などは物もちがいいので、ちゃんと使っています。どうするかなと悩むところです。ここは環境でスリーRとか言っていますけれども、そんなものはスリーRだけじゃなくて、リユースとかリサイクルじゃなくて、余計なものをつくるな、物を丁寧に使えと。

 どうでもいい話で済みませんけれども、僕なんかは服なんかもよっぽど変なふうにならない限り捨てないので、僕が好きなTシャツとかはいつの間にかなくなっているんです。こんなぼろなもの着ちゃ嫌と女房が勝手に捨てちゃっているんです。そういうことはしちゃいけないと言うのですが。

 水銀体温計をどうするかと悩むところですけれども、やはりこれはよくないんだから、ほったらかしになって何だかわからなくなっていくので、回収をきちんとすべきだと思います。

 聞きましたら、小倉委員も触れておられます、東京都医師会、川崎市医師会や何かが中心になって回収をしているということですけれども、だから、こんなものは一気呵成にやらなくちゃいけないと思います。

 それで、僕は不思議だなと思って、資料を見させてもらったらこういうのがあったんですね。

 東京都医師会が二〇一二年にやって、一万カ所、お医者さん、そうしたら、水銀血圧計が二千五百九十二本、水銀体温計が四千三百七十八点あったんです。そうしたら、この二年後の二〇一四年に川崎市医師会、小さいところの医師会ですけれども、一万カ所じゃなくて百二十五カ所で、百分の一の施設でやったのに、水銀血圧計が二百八十四、水銀体温計が三百三十九ということで、数字が皆さんすぐ頭に入っていないからあれだと思いますけれども、百分の一、だから、川崎市が二百八十四だったら、百二十五カ所ぽっちだったら、東京都でやったら一万カ所だから二万五千本が出てこなくちゃいけないし、四万三千本が出てこなくちゃいけないのに、そうじゃないんですよね。

 聞いてみたらびっくりでしたけれども、医療施設や何かの方がそこのところはルーズで、対応してきてくれていない。一般の国民の方がきちんと応じているという、旭川なんかがそうですよね。

 だから、僕の提案ですけれども、せっかく条約ができて、法律ができてきた。この際、ですから、法律ができたということを契機にして、一斉に働きかけて、全国で一斉にやっていただきたいんです。そんな、ボランティアで東京都医師会と川崎市医師会に任せるんじゃなくて、半ば強制でいいと思いますよ。それは法律に書いていないですよ。いないですけれども、健康診断をやっています、健康診断の日に、自分のうちの水銀体温計を持ってきて、それではかってやってください、その辺の薬箱の中に入っているんじゃないのというのをやって、一斉にもうなくすというようなこと。そうしていただけたらいいんじゃないかと思います。

 そういうのはほかの国がどの程度見習われるかどうかわかりません。日本人は真面目です。分別収集なんてできないと言っていた人たちがいっぱいいます、しかし、今なんかもうすごいですよ。日本人は真面目だなと思う。

 さっきの電池。ボタン電池、水銀電池はほんのわずかしかないですけれども、我が長野市の篠原事務所でも分別収集をちゃんとしています。環境にうるさいエコ議員ですから、自分のところもきちんとやらなくちゃいけないと、ちゃんと電池のは別にしているわけです。全部の電池をやらなくたっていいはずなんですけれども、電池はもう別扱いだというのがあって、日本人の分別収集の中に完璧に刷り込まれているんですね。真面目だと思います。

 だから、きちんとやる気になればできるんです。ぐじゃぐじゃ言っていないで、水銀体温計と水銀血圧計は、この法律の施行時に、施行の年に一斉に、検挙じゃないです、一斉にどこかに寝ているのを引っ張り出してくる。たんす預金を引っ張り出す気持ちで引っ張り出してくる、そして回収するというのを、これをぜひ大臣、副大臣、政務官、音頭をとって政治主導でやっていただきたいと思いますけれども、私の提案、いかがでしょうか。ぜひやっていただきたいと思います。

福山大臣政務官 ただいま篠原委員さんの方から質問が出ましたけれども、私も、うなずくところがたくさんございました。

 御指摘のとおり、家庭からの水銀体温計などの退蔵品については、今後、水銀の使用規制を強化していく中で、相対的にリスク管理の重要度が増すと考えられることから、集中的に分別回収を促進していく必要があると考えております。

 このため、昨年度、環境省として、旭川市や阿蘇地区において、薬局に回収ボックスを設置するなどのモデル回収事業を行ったところでございます。

 今後は、水銀体温計などの退蔵品の分別回収の徹底、拡大を後押しするため、環境省として、関係機関の協力を求めていくとともに、回収の呼びかけなどの普及啓発を図ってまいりたいと思っております。

 先ほど、医療関係の問題につきましては、本当に、先生の方から細かくいろいろ御説明をいただきました。まさにそのとおりだと私も思っております。

 環境省におきましても、川崎の医師会の協力を得て行った水銀体温計などの回収促進事業、あるいは、今の東京都のいろいろな方針等を踏まえて、今後、環境省の回収促進事業などで得られた知見などを踏まえて、マニュアルを策定するとともに、セミナーなどを通じて周知を図り、医師会など民間団体による回収の促進を力強く支援してまいりたい、かように思っております。よろしくお願いします。

篠原(孝)委員 ぜひ一気呵成でやっていただきたいと思います。

 最後の質問にさせていただきますけれども、先ほどもちょっと違うと申し上げましたけれども、つくった人たち、製造物責任ですよね。だから、業者がきちんと回収するというようにしておけばいいんですよ。でっかいものだったら、例えば、車でエアバッグに欠陥があったとアメリカで大問題になっていますけれども、車だったら、どこに売ったというのがトレースできる。ところが、小さなものは、どこへ行ったらいいというのがわからない。だけれども、販売ルート、流通ルートを通じて回収すれば一番いいわけです。

 ですから、今後ですけれども、やはり製造物責任というのをきちんと、静脈産業のことを考えて、静脈産業というのが別にでき上がるんじゃなくて、販売したところでもって回収する、そういう義務づけるのをちゃんとしていただきたいと思う。これは答弁は結構です。

 次に、国。国の責任です。

 これは、世界に対して水俣の例で率先垂範するというだけじゃなくて、廃棄物の処理、原発の廃棄物の処理。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分場の議員連盟があるんです。河村建夫さんと斉藤鉄夫さんと増子輝彦さんと、自民、公明、民主の超党派で、私はその事務局長をやっています。

 それで、スペントロットというか、使用済み核燃料をどうするかというのが全然決まっていない、いいかげんで。それでどんどん使っている。けしからぬことだと思います。北欧はちゃんとやっているわけですけれども。水銀も同じ問題があるわけです、ずっと罪は少ないとは思いますけれども。

 私は、こういうのは、一企業に、野村興産とかそういうのに任せておくわけにはいかないでしょう。国がこういうのはお金も出し、責任を持って処理するということをしていかなきゃいけないと思いますが、どうも余り明確じゃないんです。この点、きちんとやっていただきたいと思います。

 それで、高レベル放射性廃棄物のぐちゃぐちゃしているのに対して、大分危険度は違いますけれども、模範をつくっていただきたいと思いますけれども、大臣のお答えをいただきたいと思います。

望月国務大臣 水銀の埋立処分に当たりましては、実は、硫化により硫化水銀の状態にした上で固型化する、こういう形で処理をして、これの義務づけを検討しております。先生のおっしゃったように、やはりこういったものはしっかりと義務づけをしなくてはいけない。

 ただ、このことにつきましては、水銀が天然に鉱石として存在する際の形態でございまして、非常に安定した状況にございまして、これにつきましては、まず排出事業者が適切に、そういった状況にしてやりなさいという形に、適切に管理されるように、まずこれが一義的だ、このように思っています。

 ただ、そういっても、それが本当に長期的に大丈夫かどうかということもございますので、こういったものについては調査研究や検証を行うことが大変大切であると認識をしておりまして、これは、国を含めたさまざまな関係者の適切な役割分担のもとで、全体の仕組みを最適なものとするようにしっかりと検討してまいりたいと思います。

 そういった意味で、廃金属水銀の長期的な管理の徹底を先生の御指摘のように図っていきたい、こんなふうに思っております。

篠原(孝)委員 終わります。どうもありがとうございました。

北川委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪です。

 初めての法案質疑になりますので、お聞きしたいことが結構ありますので、簡潔に明快に答弁を大臣にいただければ、各局の皆さんにいただければと思います。

 水俣条約は、国連環境計画、世界水銀アセスメントを踏まえて採択、署名されたものであって、我が国の提案によって前文に水俣病の教訓が記載されています。

 水銀は、常温で液体である唯一の金属ということから、生物に蓄積するなど、いまだ世界的に深刻な汚染問題があります。

 先ほどの篠原委員からも、アジアの見本となって日本はやっていくべきであって、特に環境対策は、日本がフロントランナーだし、公害でかつて同じような経験を先にやってきた、これは、日本であれば世界に対して厳しくやっていこうというふうにお話があったと思います。そのときに、日本の経験というのがやはり何だったのかというのは、今このタイミングでもう一度振り返らなきゃいけないと思っています。

 我が国では、一九六〇年代に入って公害問題が噴出をしました。戦後の高度経済成長を続ける日本社会で、経済活動を優先させてきた社会システム、これは今アジアでもそうなのかもしれません、そのゆがみが公害という形で表面化してきたということです。

 当時、新日本窒素肥料の水俣工場からメチル水銀を含む工業排水が流されて、そのメチル水銀を蓄積した八代海の魚介類を摂取した沿岸部の住民が主に被害を受けました。聴力とか視覚障害、言語障害、手足の震え、しびれ、運動失調といった症状がありました。

 これは、四〇年代の初めごろから発生してきたんですけれども、五六年に有機水銀中毒と公式認定されるまで、原因不明の奇病というふうに呼ばれていました。このことで、水俣病の患者さんと水俣市に住まれている方々に対しての差別、風評が漁業生活者の経済力低下に拍車をかけて、より低所得者となった地元住民がさらにお魚を食べるという悪循環で被害が拡大したというふうにも聞いています。

 政府が水俣病を公害病と認定したのが一九六八年のことであります。新潟の水俣病と合わせて、認定の申請者数が一九九五年の六月までで約一万三千人、さっきお話しいただきましたけれども、約三千人の方々が認定者になりました。未認定者の救済問題と進む高齢化。地裁が、国、チッソ、熊本県に対して、この水俣病については和解勧告しましたけれども、国がなかなかそういった姿勢を示してこなかったというふうに思います。

 九四年に時の村山内閣が解決案を提示して、受け入れられた経緯があって、このときの状況を知る人から聞けば、やはりこれは政治決断なんだなということを言っていました。

 この経緯を知っている方に、最初の方のころから、どんなことだったんですかと聞いたら、猫が魚を食べておかしくなって、水俣病の症状と同じでして、しかし、原因が何だかさっぱりわからなかったと。

 先ほど胎児性水俣病の子の話がありましたけれども、もう本当に、まばたきも人によってはしないですし、動きもないといった状態。御両親は、感情もしっかりあるし、考えているし、常に私たちはそういうふうに訴えているんだけれども、それを知ってほしいんだけれどもという話をしていたそうです。でも、原因がわからなかったので、それを聞いている人たちは、御両親の思い込みじゃないのかということで偏見や固定観念があって、それが後に医学的に証明されることになりました。

 わかったのは、有機水銀は脳の運動中枢を縛って体が動かなくなるけれども、知能や情緒や感情はそのまま成長しているということです。だから、身近な人は感じるんだろうというふうに思い知らされたといったことがありました。

 こういった被害を出した水俣病ですけれども、今言いましたように、公式に確認されたのが五六年。六八年に統一見解を出すまで、水俣でのアセトアルデヒド生産は終わりませんでした。我が国の水銀利用量が最大になったのは公式確認から八年たった一九六四年、これはオリンピックの年ですね、このときに一番使われたということであります。

 国の対応が遅いということはよくこれまでも言われてきていますし、今なお、国民の方で思っている方は多いと思います。

 日本の高度経済成長期と公害病の問題で、今回は水俣の条約と法案というのがフォーカスされていますけれども、あわせて、やはり忘れちゃいけないのが新潟の水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくなど、同様の苦しみがあって、その歴史を我々は決して忘れてはいけないんだと思います。

 そこで、まず伺います。

 五六年以降、これまで国内ではどのような水銀対策がとられてきたのかということです。そして、新潟の水俣病も、わかってから十年たってということでありますので、そういったことも対処の仕方があったんじゃないかと。

 それは過去の話ですので、今国会で関連法案を提出している大臣として、いま一度、四大公害病の経験を振り返って今どう考えていらっしゃるのか、御認識をお伺いします。

望月国務大臣 先生大変よく勉強なさって、そういう患者の皆さんのことも今こうやって披瀝していただきましたが、私も、先日、水俣で、胎児性の皆さんや患者のグループの皆さん、いろいろな団体の皆さんとお会いをして、それぞれお話し合いをさせていただきました。まさにそのお話し合いをさせていただく前に、我々は国としておわびをさせていただきました。

 今言ったように、一九六八年に認定されましたが、その前の十年間は、患者の皆さんや胎児性の皆さんの親御さんと話をしても、全然相手にされなかった、どんな苦しい思いをして、どんなに冷たい目で見られたかわかりますかというような話で、そういったことを含めて、もっと早くこういったものが認定され、あるいはまた、国がしっかりと対応できればよかったな、そういったことで、私は、環境大臣として、大変申しわけなかったというまずおわびを実はさせていただきました。

 そういう意味では、今後、そういう皆さんのためにどういったことができるか。ですから、今回の水俣条約は、そういう意味では、日本の経験を世界に二度とこういうことを繰り返してはいけないということで、大切な法案だ、このように思っております。

 そして、我が国では、その認定後、政府の統一見解まで、今言ったように十年間ぐらいございましたが、ちょうど高度成長時期でございまして、水銀は、製造プロセスといいますか、早く言えば、さまざまな触媒といいますか、そういったところで大量に使用されたというのが現実でございます。

 その後は、水俣病や大気汚染公害の教訓を踏まえて、市民と行政、あるいはまた産業界、こういった関係者が一体となって、水銀の排出等の規制及び使用の削減が進められてきました。

 具体的には、製造プロセス、製品製造における水銀の使用の削減、代替製品の開発、それからまた廃棄物の回収策、さまざまなお話がございましたが、リサイクルシステムの構築などを進めてきたわけであります。

 本法案の提案に当たっては、水俣病という深刻な健康被害の経験を踏まえまして、未然防止対策が重要であること、それから、一旦問題が生じてしまうとその解決は容易ではない、それから、非常に長くさまざまな皆さんが御苦労する、そういう重要な教訓として認識をしております。

 我が国といたしましては、この条約を担保することはもちろん、先ほどお話ししましたように、世界のどこの国でも二度とこのような公害健康被害を繰り返さないように、我が国が世界の水銀対策をリードしていく、そういう気持ち、決意でございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

 本当に、大変なことだというのは、我々日本だからわかる経験というのがあって、それもいろいろなところに響いて、世代を超えていろいろと背負っていかなきゃいけないという部分は続きますので、ぜひ、これは世界に向けてと思います。

 今もお話を少しさせていただいたんですが、激甚な公害問題が社会的にこれでクローズアップされることになりました、日本の歴史では。政府も公害対策を、この水俣病を契機に、あるいは四大公害病を契機に当然やることになって、一九七〇年だったと思うんですけれども、第六十四回の臨時国会、これは公害国会と言われていた国会です。この公害国会の後、環境省の前身である環境庁ができたというふうに聞いています。この意味でも、我が国の環境政策の転換点だったと思いますので、今、水俣病についてお話しいただきましたけれども、公害を審議した大切な国会でしたので、その国会の中でどういう状況にあって、きょうもこれを国会で話しているんですけれども、もう半世紀近くたった今、大臣はどういうふうに思っているか、その認識を伺います。

望月国務大臣 委員御指摘のとおりに、一九七〇年、昭和四十五年の十一月に、いわゆる公害国会ということがございました。そういう意味では、国民の皆さんが大変この国会に、公害というか環境問題に初めて目を向けたといいますか、そういうときだったと思います。それで、水質汚濁防止法を初めとする公害関係の十四の法案の可決、成立を国会でしていただきました。

 環境問題の重要性にここで本当に認識が高まって、一九七一年に、国民の健康と良好な環境の確保を基本任務とする環境庁が初めて発足をしたわけでございます。これはちょうど今から四十四年前ということでございます。

 この公害国会と、専ら環境保全を任務とする環境庁の発足を起点として、公害対策のさらなる発展、その後の地球環境対策の展開、それが結局環境省の発足につながった、このように思っております。

 ちょうど十数年前に、まだ環境庁から環境省に変わるころに私も環境大臣政務官というのをたまたまやっておりまして、まだまだ本当に小さな環境庁でございましたが、やはり、世論といいますかそういったものが高まり、国会のさまざまな先生方の御指摘、これも国民のためにということで後押ししていただいて環境省が発足をした、そういうことでございます。

 公害国会は、我が国の環境政策が本格的に発展する上で、先生の御指摘のように大変大きな転換点になった、このように思っております。

篠原(豪)委員 大臣、ありがとうございます。

 当委員会の原点でもありますし、公害国会も含めて歴史を忘れてはいけないということで、あえて振り返らせていただきました。

 こういったことを常に忘れることなく、私も、今後も環境委員会で審議に臨んでいきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、水俣条約の法案そのものに移らせていただきます。

 本条約は、水銀という一つの物質に限定して初めて条約が制定されるものです。それだけ水銀汚染が世界的な問題となっているということであります。

 まずは、水銀はどのような点が他の環境汚染物質と異なるのか。今回、ライフサイクル全体を、先ほどからありますけれども、地球規模で規制する条約がなぜ今必要なのかをもう一度伺います。

北島政府参考人 お答えいたします。

 国連環境計画、UNEPのレポートによれば、水銀の特性として、さまざまな人為的発生源から環境中に排出され、分解されることなく地球規模で循環、蓄積すること、また、毒性が強く、特に人の発達途上、胎児、新生児、小児等の神経系に有害であることなどが指摘されております。

 さらに、このような特性を持つ水銀の環境中濃度が産業革命以降に世界規模で増加していることがUNEPのレポートにより明らかとなったことから、条約の策定に向けた国際交渉が開始されたものと承知しております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 この問題は、先ほどからありますけれども、日本が率先してやっていく姿勢が評価される。日本がやっていく姿勢というのがあって、これは評価されるものだというふうに今の時点でも思っていますけれども、我が国の水銀利用は、先ほど、一九七〇年代ぐらいまで、二千五百トン、一番ピークのときがあって、今、ピークの〇・五%の八トンとか十トンとかいうふうに言われていました。

 これも先ほどありましたけれども、現在の水銀排出量は、アジアが世界の半分、次いでアフリカ、中南米といった順番になっています。水俣条約の締結国は、排出量の多い国がいかに参加するかということが大切で、せっかく条約を締結しても、締結国が排出量割合の多い国でないと実効性は期待できないですね。期待できません。言いかえれば、こうした排出量の多い条約未締約国に対して、参加していただかないと意味がないということです。

 そこで、我が国としては、このような国に対して条約の締結に向け働きかけをどう行っているのかということを大臣に伺います。

望月国務大臣 御指摘のように、特にアジアの国、先ほどからお話しさせていただきましたが、水銀排出の約半分を占める地域でありまして、やはり水銀使用を大きく減らしてきた経験と知見を持つ日本の果たすべき役割、これは非常に大きい、我々はこのように思っております。

 諸外国に対し、昨年九月の国連総会を含めたさまざまな機会を通じて、この条約の締結を促させていただいてまいりました。また、先ほどもお話ししましたが、やはり日中韓でも、中国とも三年ぶりのそういった会合の中で、中国も韓国もぜひひとつ一日も早く入っていただきたい、もちろん我々もできる限りの協力と情報交換をしましょうということで、今後五年間の連携をとって、行動計画というのをつくって、そういったものも実は署名もしてまいりました。

 今後も、依然として多くの水銀を使用、排出している途上国に対しては、水銀対策技術、我が国はテクノロジーというものは非常に進んでおりますので、そういったものの国際展開及び、やはりこれは人材育成というものも大切でございまして、そういった育成支援、それから、水銀モニタリング等に対するアジア太平洋地域における協力等を通じていきたいと思っております。

 この間も、実は、ある国の大臣が、名前は差し控えさせていただきますが、私のところに来て、ODAとかそういう形でいいから協力をしていただきたいと。というのは、その国は、今までは廃棄物は全部何しろ埋め立ててきた、数十年にわたって全て埋め立ててきてもう大変なことになってしまっている、それはだから、水銀使用のものも全て土の中に埋め立てをしてきた、このままでは大変なことになってしまうので、ぜひひとつ日本の技術をかりたいというような話がございました。

 まさにそれぞれの国が、先生おっしゃったように、日本を見本にしてやっていきたいということでございますので、我が国も、やはり水俣の経験を二度と、ほかの国にそういうことがあってはならないということで、地球規模の水銀汚染の防止に向けて、世界の水銀対策をしっかりとリードしていきたい、このように思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 私、実は横浜市というところから来ていまして、ここは、廃棄物で、海外で、国もあえて言いませんけれども、やはり全部埋め立てて、注射針から何から埋め立ててやっているところがありまして、これに対して、そこに行って、現地に対して、リサイクルをどうやってやっていくのかといった会社がありますね。やはりこれも今まではなかなか海外へ打って出ていくことができなかったというので、これも大事なことだと思いますので、ぜひそういったことも頭に入れて今後政策を打っていただければと思います。ありがとうございます。

 そういった意味で、水俣条約の第二十条についてちょっと伺いたいんです。

 この条文を読みますと、締結国は、「この条約の義務を履行するために実施計画を作成し、及び実施することができる。」となっています。これは努力目標のように読み取れるわけです。

 できるというのは、やってもやらなくてもいいというふうに読めるわけでして、なぜ、しなければならないというまでにはならなかったのか、ここのところを教えていただければと思います。

水越政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、水俣条約第二十条は、「締約国は、当初の評価の後、国内の事情を考慮して、この条約の義務を履行するために実施計画を作成し、及び実施することができる。」旨規定しておりまして、実施は義務規定とはなっておりません。努力規定となっております。

 水俣条約の交渉過程においては、実施計画の重要性、有効性につきましては多くの国が賛同いたしましたが、一方で、これを条約上の義務とすべきか否かについては最後まで意見が分かれました。最終的には、途上国等にとっては実施計画の作成が必ずしも容易でない場合もあること等にも鑑みまして、各国が柔軟に対応できるよう、そして、その結果、より多くの国が本条約に参加できるということを重視して、現在の規定ぶりとなったものでございます。

篠原(豪)委員 今のお答えを伺いますと、条約はより参加しやすい、緩い形になっているというふうに印象を受けます。

 先ほど、一番最初の委員からも指摘ありましたけれども、一次採掘の話でしたけれども、この条約の七条、零細及び小規模な金の採掘についても、ここを見ても途上国の参加を得なければいけないという、結果として緩い形になってしまったんだと思うんです。言いかえれば、かなり、策定できるところもあるとおっしゃっていましたけれども、締結国に策定そのものを委ねているように思います。

 実際に、それに対して、では、みんなこうやって、入ったはいいんだけれども、誰が進捗状況を管理していくのか。策定する国の人たちは、日本はいいですよ、経験ありますからわかります、お伝えすることもできるでしょう、MOYAIイニシアティブみたいなものもあって、人も育てていくこともできるかもしれませんけれども、本当に彼らはできるのかというのはあります。

 ですので、そのための機関というのが必要だと思うんですけれども、その設置というものはここには存在するのか、予定されているのか教えていただければと思います。

水越政府参考人 お答え申し上げます。

 本条約第二十条は、締約国が実施計画を作成及び実施できることを定めておりますが、各締約国の実施計画の進捗状況を確認する機関というものを明示的に設置するといったことは規定されておりません。ただし、本条約上、締約国が条約を実施するためにとった措置等は締約国会議に報告されることになっております。締約国が実施計画を作成した場合には、自国がとった措置として締約国会議において報告がなされ、加盟国全体として実施計画の進捗状況の確認等ができるものと考えております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 今のは有効性の評価、第二十二条の話だというふうに理解します。

 そうはいっても、やはり、それは誰かがしっかり見ていかないと、どういうふうにやっていくのかもまだこれからなのかもしれませんけれども、わからない。ないとしたら、日本が全体にどういうふうにジャパン・イニシアチブを持ってやっていくのかという話だと思うんです。

 日本の排出量はわずかで、先ほど一%とありましたけれども、日本だけが規制しても、結局、この世界的な環境の汚染というのは、これをしっかりやらないと、幾ら条約をつくって日本で国内法をつくっても、これは実態としてうまくいかないんだろうというふうに思いますし、せっかくここまで、水俣で始まった我々の経験があってやっていくので、そういうことがあって、その条約の有効性をより高めるために、では我が国としては今後どのように他国に対して働きかけていくのかということを伺いたいと思います。

水越政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国としても、まず、できるだけ多くの国がこの条約に参加すること、また、参加した国の中で能力の低い国に対していろいろな形で協力するということなどを通じて、この条約の有効性を高めていきたいというふうに考えております。

篠原(豪)委員 フォローアップについては、言葉だけで言ってもなかなか難しいところがあるんだろうと思いますので、日本しかできないことがありますから、こういったことをしっかりチェックしていただければと思います。

 では、国内に視点を移します。自治体の視点です。

 地方自治体の取り組みとして、私自身注目したのが水銀フリー熊本宣言です。これは、二〇一三年のそのときの条約外交会議の場で熊本県知事が行った。内容は、できるだけ水銀を利用しない、代替製品の利用を促進するもので、他の自治体もその方向を参考にすべきなんだろうなというふうに思います。

 そうなると、国としては、自治体が頑張っているこういった状況で、今回、熊本の取り組みについてどう評価しているのか気になると同時に、本法案でこういった熊本県の提言がどこまで生かされているのか、そういったことをお伺いしたいと思います。

北村副大臣 熊本県知事の水銀フリー宣言は、水俣という地元を有する首長として、未来への先進的な決意を述べられたものと認識をいたしているところであります。

 知事のこの宣言を踏まえた、御指摘の県の検討会提言書については、国への政策提言も含まれておりまして、中央環境審議会における水銀による環境の汚染の防止に関する法律案の検討の場でも資料として配付されるなど、重要資料として扱われたと伺っているところであります。

 我が国が世界の水銀対策をリードしていくためには、自治体におけるこのような先進的な取り組みは極めて重要であると考えておりまして、水銀対策の先進地域である熊本県とは引き続きよく意見交換をしてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 本法案に対してはちょっと今言及がなかったということで。済みません、お願いします。

北村副大臣 本法案とのかかわりについても御説明を申し上げます。

 政策提言内容と関連して本法案が定める具体的な措置内容としては、例えば、水銀使用量が少ない製品の開発を行うよう働きかけるとの提言については、この法案における特定水銀使用製品の製造規制、第五条等でありますが、これに参考事例として十分そんたくをされたものというふうに理解をしております。

 製造事業者や輸入事業者等に対して水銀製品への水銀使用の表示を働きかけるとの提言については、同法案における事業者の情報提供に関する責務、第十八条でありますが、これらに関係しているというふうに思っております。

 また、市町村における水銀含有廃棄物の効率的な収集運搬事例について情報収集に努め、広く情報発信するとの提言については、同法案における国による市町村への技術的助言等の責務、第十六条でありますが、これなどに規定されているものと理解をしております。

 なお、県提言書における国への政策提言は、水銀廃棄物の保管、処理などを主な内容としておりまして、本法案ではなく、廃棄物処理法の政省令等においても措置または検討されるものがたくさんある、こういうふうに理解をしているところであります。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 今、法律案の十六条についてのお話があって、これは先ほどから委員の中でもお話があって、医療関係と一般廃棄物という話があったと思うんですけれども、この法案を見ると、先ほど委員からもありましたけれども、せっかく水銀に対して特出しをした法案であるので、今、法案十六条を見ると、書いていることは、国の責務として、市町村はやらなければいけないということを書いているんですが、その他の団体については書かれていないということになります。

 それは産業廃棄物の方でやっているという話かもしれませんけれども、水銀は特別な、今回、名前をつけておりますし、そういったことも本法案で担保して進めていくのもよかったのかなというふうに思っています、法体系を全体的にきれいに。

 済みません、これはもう質問しません。いいです、先ほどからありますので。

 水銀の法案に生かされたことを今幾つか言っていただいた中で、熊本県の取り組みが水銀フリー製品を促進するということを言っていて、でも、実際には、上を見たって蛍光灯はついていますし、ボタン電池も入っていますし。

 先ほどもありましたけれども、水銀については七割の市町村で個別の分別回収が行われていて、残りの三割程度のところはまだ実際にはできていないということなので、例えば、先ほど拡大生産者責任で、率先しメーカーがやっていく問題とかというのも少しお話しされていたと思うんですけれども、もう一度、市町村、やっていないところに対して国としてはどういう取り組みをしていくのかといったことを教えていただければと思います。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、家庭から排出される水銀添加製品につきましては、各市町村の実情に応じて回収、処理が行われているというところでございまして、七割程度の市町村ということでございます。

 ただ、さらに水銀による将来的な環境リスクの低減に万全を期していきたいということでございまして、分別回収の徹底、拡大をさらに後押ししていく、こういう必要があるというふうにまず考えてございます。

 特に、水銀体温計などの退蔵品につきましては、今後、水銀の使用規制を強化していきますと、相対的にリスク管理の重要度が増していくというふうに考えられます。

 このことから、集中的に分別回収を推進していく必要があるということでございまして、まず、私どもとしては、先ほども御説明申し上げましたモデル事業なども進めてございますけれども、こういったことも含めて先進的な取り組み事例もさまざま紹介するなどして、その他の市町村に対しても働きかけをしていきたいというふうに思ってございます。

篠原(豪)委員 働きかけをしていただければと思うんです。

 仮に、では全国で一〇〇%分別回収が行われるようになったとしても、消費者が水銀使用製品かどうかわからないと、これは先ほどのマークの話もありましたし、どれを見たらいいかわからないということがあります。これは実は表示が義務づけられておりませんので、言いかえれば、買った人はその製品に水銀が使用されているか、実態というのはなかなかわからないと思います。

 こういったことを一度伺ったところ、製品に水銀が利用されているかどうか、今、水銀使用製品のリストを洗い出しの真っ最中というふうに聞いています。それであれば、これはいつできるのかということと、あと、海外輸入製品もこのリストの中に入っているのかということを伺いたいと思います。

北島政府参考人 条約では、環境または人の健康に対する利益が明示されない限り、新たな用途の水銀使用製品の商業上の製造及び流通を抑制することが求められております。これを踏まえまして、本法案では、既存の水銀使用製品を網羅的にリストアップし、ここに掲載されていないものを新用途水銀使用製品と定義し、抑制の対象とすることとしております。

 既存の水銀使用製品のリストは、条約担保の上で必要なものであり、早期の締結準備を進めるため、年内をめどに速やかに整備してまいります。また、本リストは、条約発効時点での既存製品を網羅的にリストアップするものであるため、国内の製品に限定せず、海外から輸入された製品も含めることとしております。

篠原(豪)委員 リストをつくるのは、いろいろとありますので大変だと思いますけれども、頑張っていただければというふうに思います。

 海外製品、やはり、日本の製品では電池とかでも水銀が入っていなくても、海外ではまだ使われているものとかもありますので、その辺も含めてわかるようにしていただければと思いますし、本来であれば表示すれば一番いいんだと思うんですけれども、その辺も検討していただければと思います。これは意見としてとどめておきます。

 今度、回収する事業者がいらっしゃるとして、これは参考人招致でいろいろとお話が聞けるということだと思いますので、また今度にしますけれども、水銀の輸出入の観点から、条約担保のための措置について伺いたいと思うんです。

 今回の両法案を見ていますと、まず、輸入の制限がこの法案にはないというふうに思います。これもどうしたのかと思ったわけですけれども、回収されたものをリサイクルして、日本は資源として輸出している。これも法案には書かれていない。どうやってそのあたりを制限するのかといえば、先ほど、経済産業省所管の外為及び外国貿易法の政省令によって措置されるというふうに聞いています。

 水俣条約の担保措置というのは多岐にわたるというふうに理解しておりますので、このように全体の担保措置の実効性をいかに確保していくのかというのはとても大事だと思っていまして、環境省は、このフォローアップについて、省庁をまたぎますので、どういうふうに考えているのか伺いたいと思います。

高橋大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、条約の求める対策の範囲は水銀のライフサイクル全体にわたっており、多くの行政機関が関係しているため、関係機関の密接な連携を図り、我が国における水銀対策の全体像や将来像を示す計画を策定することとしています。

 このため、本法案においては、本法案の規定事項に関する事業を所管する大臣全てを水銀等による環境汚染の防止に関する計画の主務大臣としており、環境省、経済産業省が中心となって、全ての関係行政機関の長とも協議をして、中央環境審議会、産業構造審議会の意見を踏まえて、本計画を策定してまいります。

 また、計画の策定後の適切なフォローアップは、御指摘のとおり大変重要だと考えております。

 具体的な進捗状況のフォローアップの進め方や改定の時期については、実施計画の策定後、条約の締約国会議での国際的議論の動向等を踏まえつつ検討してまいります。その際、中央環境審議会や産業構造審議会での御審議もいただいて、適切に対応してまいりたいと考えております。

 御指摘のように進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 次に、先ほどもちょっとあったんですけれども、長期保管の問題ですね。

 回収については民間業者が担うことになりそうだという話でした。その後、管理は一義的には民間の排出者ですか、長期管理は民間の人たちがやるのかどうかというのを検討すると。監督は誰がするかというのは調査研究をやっていって、これからどうしようかという話でしたが、海外の事例では、アメリカとかドイツを見ても、やはり国がある程度責任を持ってやっています。

 水銀は、御承知のように、安定はするかもしれませんけれども、それが有害物質から有害物質じゃなくなるということは恐らくないわけで、先ほども委員からありましたけれども、これもずっと残っていくものだとすると、三百年とか五百年、超長期にわたって、今考えていかなきゃいけない問題だと思います。

 ですので、先ほど意見もありましたけれども、私からも、国の関与というものは、民間の事業者でそれこそ三百年、五百年できるという話じゃないので、やはりしっかりと前向きに検討していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

福山大臣政務官 ただいまの御質問でございますけれども、我が国における水銀廃棄物の処理については、廃棄物処理法に基づき対応することといたしております。

 具体的には、廃金属水銀の埋立処分に当たっては、硫化により硫化水銀の状態にした上で固型化することの義務づけを検討しております。硫化水銀は、水銀が天然に鉱石として存在する際の形態であり、非常に安定した状態であると考えられますので、まずは排出事業者において適切に管理されることが重要だと考えております。

 その一方で、硫化水銀の長期安定性については、国としても継続した調査研究や検証を行うことが重要だと認識をいたしております。このため、国を含めた関係者の適切な役割分担のもとでの処理体制及び長期間の監視体制を含め、全体の仕組みを最適なものとするよう検討を深め、廃金属水銀の長期的な管理の徹底を図ってまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 もう国でないとこれは当然安心できないという問題なんだと思います。その点は今回法案に明記されていないので、これはさっき大臣もうなずいていらっしゃいましたけれども、しっかりとやはり対応していただきたいと思います。

 日本が水銀で世界に、これまでの経験があって、しっかりと国として、どうやっていくのか、その規範、見本を見せていくという中で、やはり、最後のごみがどうなるかわからないというのは一つ説得力に欠けるのかなというふうに思いますので、そこを質問されると今考えていますというのはなかなか厳しいかと思いますので、ぜひ考えていただければと思います。

 途上国支援のお話を伺います。

 先ほど、今後三年間でODAに総額二十億ドルを、安倍総理が、熊本で水銀撲滅をうたったときに、適用されるのが途上国の大気汚染対策、水質汚濁対策、廃棄物処理の三分野というふうに言ったと。それで、先ほどもお話を聞きましたけれども、九案件ですか、適用されるというふうに聞いています。

 これまで、この二十億ドルの前にも、同じ分野で日本はODAを当然やってきているんだろうと思います。であれば、出す前に、やはり、これまでの成果、論点というのはどうなっているのかというのはぜひお伺いしたいところだと思っています。

 そこで、これまで今の三分野に拠出した額、わかる範囲で結構です。それで、過去に拠出した同分野のODA案件の検証の方法及び検証の結果としての効果、そして本件ODAの今後の使途、また、どのように支援を決定していくのか、あわせて伺います。

水越政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のあった三分野に対するODA拠出総額をお示しするのは少し困難もあるんですけれども、大気汚染対策、水質汚濁対策、廃棄物処理の三分野については、例えば、二〇一〇年度から二〇一二年度までの三カ年の拠出総額になりますと三千三百五十億円、それぞれの支出の際の支出官レートで計算して、約三十八億ドルということでございます。

 それから、もう少し長期にわたりますと、これはちょっと今の三分野に限らない数字になるんですけれども、二〇〇四年から二〇一三年までの十年間に、環境分野全体に対するODAとしては約四兆四千八百七十四億円というふうになっております。

 それから、御質問のありました検証につきましては、ODAの案件につきましては、過去の事例から教訓を学び、将来の案件に生かすことが重要と認識しておりまして、外務省としては、JICAと連携しつつ、ODAの評価体制の強化、より効果的な評価案件の選定、過去の教訓の今後の援助への着実な反映に努めております。

 本件に関する分野でも、例えば、過去に、ウランバートル市大気汚染能力プロジェクトについて評価をしたこともございます。

 開発協力新大綱のもと、成果を重視しつつも、対象の特殊性やそれぞれの事情を考慮した上で評価を行い、評価結果を今後、政策決定過程や事業実施に適切にフィードバックをしていく方針でございます。

 これからも、よりわかりやすい評価を実施する等、評価の充実を図っていきたいと考えております。

 それから、二十億ドルのODAの使途に関しましては、環境分野における我が国の知見を共有し、途上国における水銀を含む環境汚染対策を後押しするため、途上国の大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理の三分野への支援を表明しておりまして、環境汚染対策に該当する計画としては、下水道整備計画や高効率の火力発電所建設計画等、計九件については既に決定しておりますが、今後も、各国からの要請に基づきまして、この分野における支援を実施していく所存でございます。

 我が国としては、過去の事業評価の教訓をフィードバックしつつ、被援助国の本件分野の克服に向けた支援を実施していく方針でございます。

 よろしくお願いいたします。

篠原(豪)委員 資金、ODAの使い道ですね、二十億ドル出すということで、性善説に立っても、使い方をちゃんと厳しくチェックしなければいけないですし、あと、十三条に、これはODAじゃなくて、また、条約がちゃんと締結されて発効、批准したときに、お金をどこからどうやって出すかということが漠然と書かれていまして、その辺のこともあると思いますので、それも踏まえて、連続性のあるように、やはり最初から計画していただかないと、またこっちのお金、あっちのお金みたいになって、これはよくないんじゃないかというふうに思っていますので、御指摘をさせていただきます。

 加えて、やはり、ソフト面、無駄なばらまきにならないように、言われないように、ソフト面も、先ほどから言いましたけれども、しっかりとやっていただければというふうに思います。

 最後に、大気汚染防止法について、先ほどもちょっとお話があったんですが、鉄鋼製造施設が、これも自主的な取り組みになっていて、法律上の規制に今回なっていないです。

 どうして自主的な仕方になったのかというのは、これは先ほど質問があったとおりなんですけれども、例えば、自主的な取り組みであったとして、環境省が、それをこういうふうにしてください、大体このぐらいですよというのが多分あるとしたときに、自主的な取り組み、期待された取り組みが行われていない企業が出てくることも考えられます。そのときにどのような対策を環境省としてやっていくのか、そして逆に、積極的に取り組んでいる企業に対しては何らかの優遇措置があるのかどうかを伺います。

三好政府参考人 先生御指摘の自主的な取り組みでございますけれども、まず、私ども、今回検討いたしました法律のもととなっております中央環境審議会の答申におきましては、自主的取り組みを求める要排出抑制施設の設置者に対しまして、自主管理基準達成状況について定期的な有識者等による評価、公表の実施を求め、また、国においては、取り組みの状況を定期的に把握、評価していくことが必要とされております。

 これを受けまして、改正法案では、「水銀等の大気中への排出に関し、単独で又は共同して、自ら遵守すべき基準を作成し、水銀濃度を測定し、その結果を記録し、これを保存することその他の水銀等の大気中への排出を抑制するために必要な措置を講ずるとともに、当該措置の実施の状況及びその評価を公表しなければならない。」こととしておるところでございます。

 この評価結果を公表するということは、国民の皆様の厳しいチェックのもとに置かれるということでございまして、実質的に、しっかりとした自主的な取り組みを行う担保をする効果があると考えております。

 さらに、国といたしましても、審議会等において、自主的取り組みの状況について定期的に把握し、評価していくこととしております。

 こうした対策を通じまして、排出抑制対策の取り組みがしっかりと担保されるようにしてまいりたいというふうに考えております。

 また、積極的に取り組む企業に関しましては、もちろん、さまざまな施設の設置、改善を促進するということが必要になってまいりますので、改正法案におきましても、そのための必要な資金のあっせん等、国の援助規定を設けているところでございます。

篠原(豪)委員 時間ですので終わりますけれども、大臣、環境、水俣、これも日本が本当にやらなきゃいけないことですので、応援していますので、ぜひ頑張っていただければと思います。

 ありがとうございます。

北川委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 水銀に関する水俣条約を担保する二つの法案について質問いたします。

 水銀は、微量でも生物の体の中に蓄積、濃縮され、食物連鎖の中でさらに濃縮されます。水銀条約の目的は、「水銀及び水銀化合物の人為的な排出及び放出から人の健康及び環境を保護すること」とされています。

 まず、望月大臣に基本的な認識についてお伺いしたいと思います。

 今回審議する二つの法案も、この目的を国内で達成するために制定するものですね。

望月国務大臣 先生おっしゃるとおりでございまして、我々は、この法案を出させていただくのにはそういった決意を持って、もちろん、水俣という大変な経験がございました、もう二度とこういったことが起こらないようにという気持ちを込めております。

 我が国にとっても大変重要な条約でございまして、今のお話のように、人の健康それから環境を保護することを目的として、しっかりと対応するために規定をされているわけでございまして、この条約の的確な実施の確保に向けてしっかりと取り組んでいきたい、このように思います。

島津委員 それでは、具体的なことをお伺いいたします。

 まず、水銀による環境の汚染の防止に関する法律です。初めに、定義について伺いたいと思います。

 水銀使用製品とは、具体的にどのようなものを指すんでしょうか。乾電池、蛍光管、体温計、血圧計などを想定していると思うんですけれども、ほかにはどんなものを想定しているんでしょうか。

谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 本法案におきましては、水銀及び水銀化合物が意図的に使用されている製品を水銀使用製品と定義しております。

 また、条約では、条約附属書A第一部に規定されております、先生御指摘の電池、蛍光ランプ、スイッチ、計測器等の水銀を使用した製品につきまして、適当な措置をとることにより、製品ごとに設定された段階的廃止期限で製造を許可しないことが求められております。

島津委員 もうちょっと具体的に聞きたいと思ったんですが。

 それでは、特定水銀使用製品、これは政令で定めるとしていますけれども、具体的にどのようなものを想定しているんでしょうか。

谷政府参考人 お答え申させていただきます。

 特定水銀使用製品は、先ほど申させていただきました条約附属書A第一部に規定されております電池、蛍光ランプ、スイッチ、計測器等の水銀を使用した製品の中から、政令で定め、製造に係る規制の対象とすることを目指しております製品を特定水銀使用製品としております。

島津委員 だから、それを、例えば具体的にどういうものかというのをお答え願いたいと思ったんですけれども、時間がありませんので。

 その上でお聞きしたいんです。

 十七条で、法案では、例えば、市町村は、「その区域内における廃棄された水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」こうあります。この「適正に回収」、これは具体的にはどういうものを想定しているんでしょうか。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 法案の十七条にございます、適正に回収するということでございますが、可燃物に混入して焼却されたり、あるいは回収時に破砕によって廃棄物に含まれる水銀が飛散したり、そういったことにより環境汚染が生ずることのないように、管理された状態で回収方法をとるということを想定してございます。

島津委員 わかりました。

 乾電池、蛍光管あるいは血圧計、体温計など、いわゆる水銀含有廃棄物についての取り扱いは、今、これまでも議論がありましたけれども、全国各地の自治体でさまざまです。

 大臣がお住まいの静岡市、私も住んでいるわけなんですけれども、静岡市ではこういう「ごみの出し方・分別ガイドブック」というものを出しているんです。これは各家庭に配って、恐らく大臣の御自宅にもあると思うんです。

 この中で、では水銀の関係はどうなっているかということなんですけれども、「乾電池、ライター、水銀を使用している体温計や温度計等の出し方」ということで、不燃、粗大物を出すということで、これは見える袋に入れて出すんです。静岡市の場合は、不燃、粗大ごみというのは、市民が市役所に電話しまして、そして受け付けてもらって、月一回それで回収する仕組みになって、体温計などはそうやって出している。

 ところが、蛍光管はどうなっているかといいますと、その他の不燃、粗大ごみということで、市の指定の袋、その中に、例えば傘だとか炊飯器だとか割れたガラスだとか、そういうものと一緒になって出している。ですから、出すと、パッカー車に入れてぐわっとかき回して破砕されてしまう、こういう状況になっているわけです。

 それから、名古屋市にも伺ってきましたけれども、名古屋市も蛍光管はやはり運搬時にバリバリと割っていくという話でした。

 一方、同じ静岡県でも富士市では、同じように、ごみの分け方分別帳というのを各市民に配っていて、割れていない蛍光管はということで、ただし書きもつけて、そして回収も割らないように持っていく、こういうふうになっているわけですけれども、こうした全国の状況、実情について、どのように掌握しているんでしょうか。

鎌形政府参考人 市町村によります水銀添加廃製品の分別回収の状況ということでございますけれども、全体的な数字といたしましては、先ほど来出ておりますが、家庭から排出される体温計や蛍光灯等の水銀添加廃製品については、現時点で約七割の市町村で分別回収が行われているということでございます。

 その分別回収のあり方でございますけれども、例えば蛍光灯、電池といった分別区分で定期的な回収を行ったり、あるいは小売店の店頭に回収ボックスを設置したり、そういったさまざまな、市町村の事情に応じた工夫により分別回収が行われているというふうなところまで把握してございます。

島津委員 七割ということなんですけれども、七割というのは自治体の数なわけで、実際には、先ほど言ったように、名古屋だとか静岡市だとか、大きな都市も含まれているわけです。ですから、同じ蛍光管一つとってみても、やはり大都市の方がたくさん出るわけで、単純に七割というのが、蛍光管の七割が処理されているということではないわけですよね。

 大臣に改めて聞きたいんですけれども、少量、微量とはいえ、有害な水銀が大気中に放出されている状況が、こういう形で残されているわけです。いわば野ざらしにされている。こういう状況についてどのように思われますか。

望月国務大臣 まず今、静岡市、先生と我々の住んでいる町でございます。その御指摘がございました。私も早速ちょっと調べさせていただいたんですけれども、不燃、粗大ごみという区別でやはり収集している、パッカー車で収集する場合もある、そういうことでございますのは先生御指摘のとおりでございます。

 こういった方法で、収集時に蛍光管が割れて水銀が放出される可能性があるということ、これは、やはり静岡市に限らず、今後はこのような収集方法を改善するべきである、私もこのように思います。非常にいい御指摘をいただきました。より適切な分別回収事例の紹介を、やはり我々の方からそういう町々にお知らせをして、そういう技術的な支援もしていきたい、このように思います。

 それから、今の処理の問題でございます、環境問題でございますが。分別回収されていない自治体でございますが、水銀添加廃製品は、基本的には不燃物として取り扱われておりまして、管理型の最終処分場に埋め立てをされておるわけでございます。

 管理型の最終処分場というのは、実は、遮水工で内部の水が地下水に漏れないようになっている構造になっておりまして、水銀に係る排水基準の設定等により適正な管理が行われているということになっております。そういった意味では、生活環境保全上の支障を起こすおそれはない、こんなふうに思っております。

 それから、水銀添加廃製品が可燃物に混入した場合でございますが、廃棄物焼却施設において焼却されることになりますけれども、排ガスの処理工程では、水銀はばいじんに付着して除去されておりますので、大気中の水銀濃度は健康影響が生ずるレベルにはない、こんなふうに我々は思っております。そういったことが既に焼却場でなされておりますので、そういったことでは、レベル的には人に被害を与えるというようなことがない、このように認識をしております。

島津委員 微量とはいえ、やはり蓄積されていくわけですから、非常に大事な問題だと思うんですけれども。

 市町村では、いずれにしても、今回の条約それから法律に向けて新たな対策が求められるわけなんですけれども、やはり大きな課題として懸念されているのはコストの問題なんです。

 蛍光管は資源としても有効利用できるわけなんです。しかし今、自治体によっては、私が行ってきたところも、静岡市も名古屋もそうなんですけれども、現在の回収ルートとは別に、水銀使用製品の回収ルートを新設する、蛍光管なんかのを新設していくということなので、当然コストがかかるわけです。伺った自治体の皆さんは、皆さん口をそろえてこのことを心配されていました。

 静岡市は、実は以前は、縦長の蛍光管も、パッカー車の横に積むスペースがありまして、そこに積んで運んでいたそうなんです。ところが、行革でパッカー車が小さくなりまして、積む場所がなくなっちゃって、それでガラガラやっていくようになったということを伺ったんですけれども、コストの問題が非常に問題になっている。

 名古屋市で聞きましたら、新たに水銀製品を分別収集するとなると、今現在やっているほかの分別のものをやめて、かわりに水銀にしなきゃいけないことも考えられるという、かなり財政的にも厳しい話を伺ってきたんです。

 こういう新たに生まれるコストというのは、全て市町村の負担になるんでしょうか。

鎌形政府参考人 一般廃棄物の処理につきましては、廃棄物処理法に基づきまして市町村が行うものとされてございます。家庭から排出される水銀添加廃製品の分別回収に係る費用につきましても市町村で御負担いただくということになります。

 一方、環境省としては、水銀使用の規制が強化される中でリスク管理の重要性が高まっていくということで、水銀体温計などの退蔵品について短期間で集中的に回収できるように関係機関の協力を求めるといったことなどによりまして、市町村の負担のできる限りの軽減を図ってまいりたいと考えております。

島津委員 国はお金は出さないということに聞いたんですけれども、法案では、「市町村は、その区域の経済的社会的諸条件に応じて、その区域内における廃棄された水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」こうしているわけです。

 「経済的社会的諸条件に応じて、」こうただし書きがあるわけなんですけれども、そうしますと、その諸条件が整っていない市町村はどうすればいいのか。極論すれば、経済的、社会的諸条件が整っていない市町村では何もできない。そうなると、法律自体の実効性が問われるわけです。その場合、国としてどうするんでしょうか。

鎌形政府参考人 法案の十七条では、「その区域の経済的社会的諸条件に応じて、」ということでございますけれども、いずれにしても市町村は、適正に回収する努力をいただくということでございます。

 いずれにしても、本条文の案につきましては、市町村の適正な回収によって水銀による環境保全上の支障の防止をするという目的を達成するということが趣旨でございます。その意味で、各市町村がそれぞれの状況に応じてやっていただくということ、できる限り適正な回収の努力をしていただくということを求めていくということでございます。

島津委員 実際に市町村が困っているわけですから、そこのところはよく耳を傾けていただきたいと思うんです。

 それでは、一般家庭から出るものはそういうことで市町村がやっていくわけなんですけれども、事業所から出される水銀使用製品についてはどのようにカバーしていくというふうに考えているんでしょうか。

鎌形政府参考人 水銀を含む産業廃棄物についての扱いということのお尋ねですが、これも廃棄物処理法におきまして、産業廃棄物につきましては排出事業者が処理責任を有するということとされてございます。その意味で、産業廃棄物として処理する際には、廃棄物処理法に基づきまして、排出事業者において適切に処理をする、そういうことが求められるということでございます。

島津委員 排出事業者の責任ということなんですけれども、規模の大きい、体力のあるところはいいわけなんですけれども、中小零細だとか体力がないところ、これは市町村も同じなんですけれども、そういうところについては、お金がないから、体力がないから、適正処理はやはりコストがかかるわけです。

 そうしますと、やはり不適切に処理するということにもなりかねないわけですけれども、そういう場合に対する支援といいますか、中小零細、そういうところは考えていないんでしょうか。

鎌形政府参考人 いずれにいたしましても、廃棄物処理法の原則といたしましては、産業廃棄物につきましては排出事業者が処理責任を有するということでございますので、水銀につきましてもその原則で対応したいと思いますけれども、技術的な助言をするとかそういうことで、できるだけ円滑に処理が進むように支援してまいりたいと思います。

島津委員 いずれにしても、しっかり支援していただきたいと思うんです。

 次に、事業者の責務について伺いたいと思います、製品製造の。

 事業者の責務としては、水銀等の使用に関する表示と情報を提供する努力義務が示されています。つまり、市民、消費者が分別するのにわかりやすいように水銀含有の表示をするというふうに理解しているわけなんですけれども、どのように情報提供を行うのがいいというふうに考えているんでしょうか。

北島政府参考人 お答えいたします。

 水俣条約におきましては、水銀使用製品の水銀含有に関する情報提供は求められておりませんが、正確な情報を消費者に伝達することで、廃棄する際に当該製品に水銀等が使用されていることを認識できるようにすることが重要だと考えております。また、この情報の伝達は、消費者が製品を選択する際にも効果があると考えております。

 このため、本法案におきましては、条約の要請より踏み込んだ措置として、水銀使用製品の製造や輸入を行う事業者が水銀等の使用に関する表示を行うことなどにより、消費者が適切に分別排出するために必要な情報を消費者へ提供する努力義務を規定しております。

 なお、情報提供とは、製品本体への表示だけでなく、製品ごとの特性も踏まえ、製品の包装、製品に添付される書類等によることも想定しております。また、事業者向けの水銀使用製品につきましては、製品カタログ、製品を紹介するウエブサイト等によることも想定しております。具体的な情報提供の方法につきましては、今後検討してまいります。

島津委員 今聞いていましても、事業者の責務としては、率直に言って軽過ぎると言わざるを得ません。

 この製品には水銀を使っていると表示するだけでメーカーの責任が本当に果たせるんでしょうか。水銀が持つ人体への悪影響を考えると、例えばメーカーに対して、使用済み商品の回収、あるいは販売店回収に協力してもらう、こういうことなんかも積極的に求めていくべきだと思うんです。

 ましてや、水銀使用製品は粗大、不燃ごみとして廃棄できなくなるのが明確になる以上、今後は処理まで見据えての製造、拡大生産者責任を徹底すべきだと思うんですが、どうでしょうか。

鎌形政府参考人 水銀の廃棄物に関しましては、廃棄物処理法に基づいての対応ということになります。条約の履行に伴いまして廃棄物になってくるものが多くなってくるということも想定されますが、いずれにしても、廃棄物処理法に基づき、排出事業者の責任でまずは処理いただくということが原則になるということだと考えております。

島津委員 なかなか納得いく答弁じゃありませんけれども。

 これまで見てきたように、市町村も非常に厳しい財政状況の中で、さまざまな苦労や努力や工夫が必要になります。事業者の責任も曖昧。

 では、国の責務、これはどうでしょうか。法案では、国の責務について、「技術的な助言その他の措置」、こうあります。これは具体的にはどういうことを意味しているんでしょうか。具体的にお答えください。

北島政府参考人 技術的助言につきましては、市町村に対して、分別回収に関する先進的な取り組み事例や、水銀が飛散しやすい蛍光管や体温計等の回収時における留意点などをガイドライン等で示すことなどを考えております。

 その他の措置につきましては、水銀の使用に関する表示等の事業者が行う情報提供に関するガイドラインを作成し、事業者に求められる具体的な取り組みの内容を明らかにすることなどを考えております。その中で、対象範囲や消費者にとってわかりやすい表示のあり方等についても盛り込んでいきたいと考えております。

島津委員 国の責任、今お答えがあったんですけれども、それだけだとやはりいろいろな問題が出てくると思うんです。とりわけ、自治体にとっては取り組みの温度差が出てくることはもう明らかだと思うんです。適正回収が徹底されないままになってしまわないのか、非常に危惧します。条約に基づいた取り組みは全国で足並みがそろうようにすべきだと思うんです。

 財源がネックだということなんですけれども、例えば静岡市は、こういうことで毎年毎年市民に出し方で徹底しているんです。例えば蛍光管一つとってみましても、蛍光管の中に水銀が入っているということを知っている市民というのは本当に少ないんです。今回、行政の担当者も初めて伺って驚いたということも聞いたんです。そういうところから始めなきゃいけないということでは、この果たす役割というのは大きいと思うんです。

 ところが、名古屋市に行きましたら、名古屋は人口も世帯も多いもので、いたし方ないなと思ったんですけれども、何年か前に一回出した後、お金がかかるものですからこれはその後は出していないというんですよ。市のホームページで見ていただきたいと。それから、転入があった場合には、こういうきちんとしたものじゃなくて、簡易版をお渡しするというんです。

 何年か前に出したものを見せていただいたんですけれども、本当に事細かくなっているんですね、あいうえお順になって。例えば、体温計のたのところを見ると、これは何ページを見なさいということになって、事細かく書いてあるんです。ところが、お金がないからそういうものが市民のところに行かない、こういう問題が実際にあるわけなんですよ。

 ですから、改めて大臣に伺いたいんですけれども、本当にこの条約に基づいて、国内担保法で水銀の排出を少なくしていく、健康を守る、環境を守る、こういう立場からやっていくんだったら、やはり国がきちんと財源も含めて援助すべきじゃないかと思うんですけれども、大臣のお考え、決意を伺いたいと思うんです。

望月国務大臣 各町によって、さまざまな、市民に対する伝達というか、そういったものが、予算的なこととかさまざまな問題で、やはりこれは首長だとかそういう皆さんの方針によるのかなと思いますが、どこが大切かということで、やはり予算の追加だとか、いろいろあると思います。でも、それはさまざまな、町の事情、大きい、小さいもございますし、財政事情もございます。

 ただ、我々としては、この条約を通させていただいて、上乗せ規制ではないんですけれども、日本の国は、やはりそういった経験を生かして、できる限り皆さんにこういったことを徹底していきたいなと思います。

 ただ、今後、予算とかそういうものにつきましては、やはり、財政当局といろいろ話し合いもしていかなきゃならないものもございますので、今的確には、そういったものについて御返事はできませんけれども、さまざまな面で、我々は、各市町村の御指導だとか、それから我々が知り得た技術開発とかそういったものをお知らせしていきたい、そういう努力を怠らないようにしていきたい、このように思います。

島津委員 財政的な支援も含めて検討していくということでよろしいですね。

 次に、大気汚染防止法の一部改正について伺いたいと思います。

 国際条約は、いろいろな国の合意ですから、全ての国が合意できる内容とすると、進んだ内容、厳しい内容ということよりも、全ての国ができることということになっていくわけです。しかし、条文では、先進的な取り組みを各国が行うことは妨げていないわけです。

 水俣病を体験した日本は、水銀の規制でやはり世界をリードする、まず大臣の答弁でありましたけれども、この役割を果たす必要があるわけです。最低限の取り組みじゃなくて、より条約の目的に資するような取り組みを行うべきだと思います。

 通告してありませんが、この点での大臣のお考え、決意をお聞かせください。

望月国務大臣 もちろんです。これは条約でございますので、各国横並びで、どこの国もこういう条約に入っていただいて、そして、二度とあの水俣のような、この水俣という名前をつけていただいておりますので、こういったことがないように、我々の国の経験を生かして、この条約をなるべく早く締結できるように、各国に入っていただく、そういうことをしていくわけであります。

 なおかつ、我が国としては、それぞれ、さまざまな状況、状態がございますので、そういったものに対して、できるところから、上乗せといいますか、そういったものでさまざまな施策をしていきたいなということでございますが、それは、これから環境審議会だとかさまざまなところで、いろいろな学識やさまざまな先生方の御意見を伺って、そういう中で、我々はそういったものを積み重ねていきたいな、こんなふうに思っております。

島津委員 時間がありませんので、幾つか聞きたかったことがあるんですけれども、鉄鋼関係の話です。

 これまでも議論がありましたように、条約の五つの施設に入っていないということですから、日本は、外さずに自主規制ということなんですけれども、鉄鋼業界を規制対象にしようという話は、全く議論の中では出てこなかったんでしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、条約交渉時点におきましても、鉄鋼関係の施設を条約の対象施設とするかどうかというのは、国際的にも議論がございました。

 また、我が国でも、先ほど御答弁申し上げました、中央環境審議会でこの条約の担保措置を検討する過程におきまして、条約で求められている五施設に加えまして、この鉄鋼製造施設を規制対象に加えるべきかどうか、あるいはどのような取り組みを求めていくかということにつきましても、中央環境審議会で議論されたところでございます。

島津委員 鉄鋼連盟は、中央環境審議会のメンバーにも入っています。一緒に審議しているわけなんですけれども、その審議の際に、昨年九月ですけれども、鉄鋼製造施設における水銀排出抑制に関する意見書というのを出しています。その中で、日本で規制対象にすると、大規模な設備投資の影響が大きい、つまりコストがかかる、こう言って、国際競争の観点から公平性を欠くなどとして、自主的な取り組みを業界として要望しているわけです。

 今回、規制、確かに条約では入っていませんけれども、日本においては大気への排出量が二五%と多いわけです。こういう中であえて自主規制というのは、やはり業界の圧力があったからなんでしょうか。

三好政府参考人 先ほど私、中央環境審議会で審議したというふうに申し上げましたけれども、水銀大気排出対策小委員会では、法律、工学、医学、地方行政等の専門家のほか、消費者や事業団体からの有識者によって構成されておりまして、御指摘の鉄鋼連盟からの意見書のほか、水銀の大気排出に関連する業界団体からのヒアリング等も踏まえて御議論いただきましたところでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、水俣条約上排出規制が求められている五種類の施設に加えまして、この鉄鋼関連施設を条約の規制対象と同程度の排出をしている施設としてどのように対処していくかということにつきましても、中央環境審議会で大いに議論されたところでございますけれども、水俣病経験国といたしまして、規制対象は条約の排出規制が求められている五種類とするものの、条約の趣旨を積極的に捉えるという観点から、鉄鋼施設のように、我が国において条約対象施設と同等に水銀を相当程度排出している施設につきましては、条約対象施設に準じた排出抑制の取り組みを求めることが適当とする旨の答申を取りまとめていただきまして、それを法案にも反映させていただいたところでございます。

島津委員 私は、今回の問題で自治体等に調査に伺ったんですけれども、ある自治体の担当者から、なぜ鉄鋼製造は排出規制の対象の施設に入っていないのですかという質問を受けました。これはやはり、多くの国民の皆さんの中にある率直な疑問だと思うんです。自分で基準値を決めて測定した値を公表する、この方法で本当に削減が進む保証があるんでしょうか。せめて基準値は環境省が決めてはどうでしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたとおり、今回の法案では、事業者がみずから管理基準を設定することを求めております。こうした管理基準の内容を含めまして、自主的取り組みの実施状況につきましては、その定期的な公表を義務づけることとしておりまして、国民の皆様の厳しいチェックのもとに置かれることから、実質的にはしっかりとした自主的取り組みを行うことが担保されると考えております。

 加えまして、必要な排出抑制措置が講じられるように、国といたしましても、審議会等におきまして、自主的取り組みの状況について定期的に把握、評価を行っていくこととしておりまして、排出抑制が適切に進められるものと考えているところでございます。

島津委員 時間が来ましたので終わりますけれども、最初に確認しましたけれども、条約の目的は、人の健康と環境を水銀から守ることです。そのために人為的な水銀の排出をできる限り抑制する、このためのものなわけです。

 排出された水銀はなくなることはなくて、世界を循環し、食物連鎖の中に入り込みます。その総量を世界で協力して減らそうとしていくという大きな大きな目的があるわけです。日本は、できる限りその貢献をしていく、大臣繰り返し答弁ありましたけれども、この分野でも世界をリードしていくべきだと思うんです。

 条約よりも一歩二歩進んだ規制、そして技術革新を求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

北川委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。

 きょうは、環境委員会で、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案、そして大気汚染防止法の一部を改正する法律案が内閣より提出されておりますので、その件に関して質問をさせていただきたいと思います。

 あわせて、私は外務委員も併任させていただいておりますが、外務委員会でも、先般、この水俣条約について委員会での議論もさせていただきました。

 この水俣条約は、先ほどから各委員から話がありますように、水銀は、環境中における残留性や生物への蓄積性を有し、人の健康や生活環境への影響を生じるおそれが大きい、その性質のある物質でございます。ですから、世界的にそれをできるだけ抑制し、減らしていくというふうなこと、さらには今、この条約の中でもありますが、大気に排出されている水銀も、小規模の金採掘で使われているということが世界で多くを占めております。

 そのことに鑑みますと、我が国での取り組みはもちろんでありますが、世界の中で日本がどのように、過去に水俣病という重い責任とその事実を有している国として、世界に意見を発し、協力していく姿勢を積極的に示していくということは、論をまたない、国民からの期待でもあるというふうに私は思います。

 きょうは、環境委員会で、この水俣条約に関して国内法を整備する件について、まず、法案提出の全体像から質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、今般、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案が提案されているわけですが、これまで、我が国における水銀及び水銀化合物への取り組みについて、まず伺いたいと思います。

北島政府参考人 お答えいたします。

 我が国におきましては、水俣病の教訓を踏まえ、市民、行政、産業界などの関係者が一体となって、水銀の排出等の規制及び使用の削減を進めてまいりました。

 具体的な例といたしましては、市民による廃棄物の分別排出、自治体における廃棄物の分別回収、適正処理、国による水質、土壌、大気についての環境基準等の設定、排水規制、地下浸透規制等の実施、産業界による製造プロセス、製品製造における水銀使用の削減、代替製品の開発、自主的な回収対策、リサイクルの推進などが進められてまいりました。

玉城委員 個別具体的な対策がこれまでとられてきたということが今の答弁にありますが、この水俣条約は、二〇〇二年、国連環境計画、UNEPがまとめました世界水銀アセスメントを公表して以降、世界規模で水銀の対策を行う必要性が認識されるということから始まっております。

 その後に、条約採択までの道のりが、これまでにもさまざまな会議において行われておりますが、二〇一三年一月、ジュネーブで開催されたINC第五回会合において、条約の条文案が合意されるとともに、条約の名称を水銀に関する水俣条約とすることが決定されております。

 その条約は、全体像として、目的、定義、供給及び貿易、それから水銀の添加製品の製造、輸出入の規制、製造工程における規制、それから零細及び小規模の金採掘における水銀及び水銀化合物使用の削減、大気への排出などなど、全三十五条の条文と五つの附属書から成り、水銀の産出から、貿易、製品の製造、排出、保管、廃棄など、そのライフサイクル全体を規制するものであります。水銀が人の健康や環境に与えるリスクを低減するため、包括的な規制を定めた初めての条約であるというふうにされております。

 この水俣条約の締結に関する件に関し、今般提案されております水銀による環境の汚染の防止に関する法律案と大気汚染防止法の一部を改正する法律案ですが、条約の締結に関して、我が国におけるこれまでの取り組みは先ほど伺いましたが、この法案を整備する意義について、改めてお伺いしたいと思います。

北島政府参考人 先ほどお答えさせていただきました取り組みに加えまして、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案では、条約の締結のため、特定の水銀使用製品の製造の規制、特定の製造工程及び金の採掘における水銀の使用の禁止、水銀等の貯蔵に関する規制、水銀を含有する再生資源の管理に関する規制などを規定しております。

 また、我が国といたしましては、条約を超える措置も講ずることにより世界の水銀対策をリードしていくことが重要と考えておりまして、本法案では、例えば、条約上は努力義務となっている実施計画策定を政府に義務づけること、特定水銀使用製品について、条約の求める水銀含有量基準及び廃止期限を深掘り、前倒しができること、条約上の要請ではありませんが、廃棄された水銀使用製品の適正な回収を関係者の努力義務とすることなどを規定しております。

玉城委員 済みません、答弁をもう一方。

三好政府参考人 大気汚染防止法の改正の目的と概要につきましてお答え申し上げたいと思います。

 今回、大気汚染防止法の目的も改正させていただいておりまして、「水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保するため工場及び事業場における事業活動に伴う水銀等の排出を規制し、」という条項を入れさせていただいております。

 具体的には、条約の規制対象施設につきまして、一定の水銀排出施設を設置する場合の届け出制度でございますとか、届け出対象施設に対する水銀排出基準の遵守義務を設けております。また、条約の趣旨を積極的に捉える意味で、届け出対象外でございましても水銀等の排出量が相当程度である施設についての排出抑制のための自主的な取り組みの責務等を新たに設けているものでございます。

玉城委員 先ほどは、本案における大気汚染防止法改正の目的と概要についてお話をしていただきました。このように、水銀が大気中に出るとずっと循環するという特性を持っているところから、今般、大気汚染防止法の一部を改正せねばならないということもあわせ提案されております。

 では、水銀等による環境汚染の防止に関するこれからの総合的な計画の策定について、どのような方向性になるのかを伺いたいと思います。

北島政府参考人 条約の求める対策の対象範囲は、採掘から使用、廃棄まで、水銀のライフサイクル全体にわたっているため、関係者が広範であり、多くの既存法令が関係します。

 このため、国が水銀等による環境の汚染の防止に関する計画を作成し、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び関係法令に基づく水銀対策の全体像や将来像だけでなく、国、自治体、事業者及び国民の役割を含めて包括的に示し、各種施策の密接な連携を図ることで、より効果的かつ着実な施策の実施を確保することとしてまいります。

玉城委員 では、これから少し、法案の内容についてもあわせてお伺いをしたいと思います。

 この法案の中において、水銀使用製品等の管理及び廃棄についてが記されております。その管理及び廃棄について、内容をお聞かせください。

北島政府参考人 条約の実施のため、本法案におきましては、条約附属書Aに掲げられている特定の水銀使用製品については、製造を原則禁止し、条約で規制の適用を除外されている用途のために製造する場合に限って許可するなどの措置を講じることとしております。

 さらに、世界の水銀対策をリードしていく観点から、本法案におきましては条約を超える措置も規定しており、水銀使用製品に関しては、適切に分別廃棄されるよう事業者に対して消費者に対する情報提供の努力義務を規定し、また、適正な回収のため市町村に対して必要な措置を講じる努力義務を規定しております。

 また、廃棄された水銀使用製品につきましては、廃棄物処理法に基づき適正な処理が求められております。

玉城委員 水俣条約の早期締結の必要性として、すぐれた水銀代替、削減技術を生かし、世界の水銀対策に主導的に取り組むことが重要であるということも述べられています。

 次に質問させていただくのは、では、その水銀の代替製品等に関する技術開発についてはどのようになっておりますでしょうか。お伺いいたします。

谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 我が国では、産業界における自主的努力により、他国に先駆けて水銀使用製品の代替や低減技術の開発と導入が進められていると認識しております。例えば、蛍光ランプの代替製品といたしまして、我が国が世界最先端の技術を有するLED照明、有機EL照明等が普及しつつございます。

 こうした我が国の水銀代替、低減技術が国際市場において競争力を獲得し世界で導入が進むことは、水俣条約の目的にも資することでございまして、これを通じて、地球規模での水銀に依存しない社会づくりが進展していくことが重要と考えます。

玉城委員 確かに、昨今では、LEDの照明に切りかえて節電もあわせて環境に配慮するという国民の皆さんの意識は非常に高まりつつある、これからももっとその意識は高まっていくということが期待されるわけです。

 ですから、その技術開発がそのまま生活の利便性につながるということは、これが海外に出ていった場合でも、もちろん、日本の技術と信頼を取り戻し、それが世界的に、これからも期待される発展途上国での日本のODAにまさるとも劣らない技術協力になっていくのではないかというふうに思うわけですね。

 では次に、水銀の人体に及ぼす影響に関する、問題ですよ、問題がありますよという喚起についてお伺いしたいと思います。

 水銀を使用した製品のうち、化粧品、農薬、肥料、医薬品などの製品については、水銀使用の禁止措置、含有量の限度措置などがとられております。肥料についても、肥料取締法において、含有を許される水銀の最大量が規定されているということもあります。

 その中で、実は、直接口にする食品に含まれる水銀ということについて、少し資料に目を通してみました。

 鯨類を含む魚介類は、良質なたんぱく質や健康によいとされる高度不飽和脂肪酸、EPA、DHAなどを多く含むため、健康的な食生活にとって不可欠なもので、すぐれた栄養特性を有する食材であります。しかし、一部の魚介類については、自然界の食物連鎖を通じて、他の魚介類と比較して水銀濃度が高くなるものが見受けられるというふうに述べられています。

 魚介類を通じた水銀摂取が、例えば、胎児に与える影響を懸念する報告もなされていることから、厚生労働省は、その影響を最小限にするため、妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項を平成十七年十一月に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の乳肉水産食品部会で発出しています。

 当然、この事項についてはしっかりとQアンドAも付されておりまして、いわゆる風評被害にならないようにということでの前提で私は質問をさせていただきたいと思います。

 つまり、こういうふうに注意を呼びかけていくということが実は日常の生活においてもやはり食生活を生かしていくためには大切ですねという、その観点からの質問だというふうに受け取っていただきたいと思いますが、「わが国における食品を通じた平均の水銀摂取量は、食品安全委員会が公表した妊婦を対象とした耐容量の六割程度であって、一般に胎児への影響が懸念されるような状況ではありません。」ということも付されております。

 では、ここで厚生労働省に伺います。

 この人体に及ぼす影響に関する注意事項を発出した背景やその内容などについて伺いたいと思います。

三宅政府参考人 平成十五年当時ですが、胎児期における低いレベルの水銀による健康影響について国際的な調査結果が報告されたこと等を踏まえ、我が国としても、魚介類を通じて摂取される水銀の量などをもとに、水銀の人体に及ぼす影響について専門的見地から検討を行ったところでございます。

 その結果は、妊婦等を対象とした水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項及びQアンドAとして取りまとめ、適宜、FAO・WHO合同食品添加物専門家会議における評価等も踏まえ、改訂も行いながら周知をしてきているところでございます。

 厚生労働省としましては、魚介類が一般に人の健康に有益であることを踏まえれば、妊婦等への注意事項が魚介類の摂食の減少やいわゆる風評被害につながらないよう配慮する必要があると考えており、引き続き、注意事項が正確に理解されるよう周知に努めてまいりたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 まさにそのように、食品ですから、食べ物は、やはり極端に偏ると、当然ですが人体に、例えば体重の増加ですとかあるいは内臓への負担ですとか、特に水銀を含まない食品に関しても、そのとり過ぎについては、日ごろからの節制といいますか注意喚起が必要だというふうに思うわけです。

 ですから、このような厚生労働省が出していることに関しては、私は非常に、積極的に提起をして、国民の健康に資するための注意喚起をしてほしいと思いますが、その件に関して環境省からも伺いたいと思います。

北島政府参考人 お答え申し上げます。

 水銀が人体に及ぼす影響について、情報を正確に周知することは大変重要と考えております。

 そのため、先ほど答弁にございましたとおり、厚生労働省が公表している注意事項のように、政府が行っている周知のための取り組みについて、水銀等による環境の汚染の防止に関する計画に盛り込むことにより、情報を包括的に示し、より効果的に周知が図られるよう努めてまいります。

玉城委員 ありがとうございます。

 この資料の中で、繰り返しはいたしませんけれども、例えば、妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂食量の目安というのがありますが、これをそのまま見ると、例えば魚介類で、キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロなどがありますが、一回約八十グラムとして妊婦さんは週に二回まで、百六十グラムぐらいが適当ですねとあります。

 一回約八十グラムというのは、刺身一人前当たりが八十グラムなんですね。ですから、それを考えると、おっ、二人前食べたらとり過ぎかなというふうな印象になりがちですが、ではなく、食品のバランスとして、こういうふうに健康を心がけてくださいというふうなことと、環境省が注意を喚起することと、さまざまな省庁との協力体制については、私は、やはり適宜、連携を進めていっていただきたいというふうに思うわけです。

 では次に、大気汚染防止法が今回改正されます。大気汚染防止法が第二章十八条の二十一から三十五までが新設される条項になっておりますが、その件についての御説明をお願いいたします。

三好政府参考人 お答えを申し上げます。

 大気汚染防止法に新設する第二章の四におきましては、水銀排出施設に係る届け出制度、排出基準の遵守義務、要排出抑制施設の設置者の自主的取り組みの責務等を定めているところでございます。

 具体的には、一定の水銀排出施設、これは条約の規制対象施設五施設を想定いたしておりますけれども、の設置または構造等の変更をしようとする者は、都道府県知事等に届け出なければならないものとすること、届け出対象の水銀排出施設の排出口の水銀濃度の排出基準を定め、当該施設から水銀を大気中に排出する者は排出基準を遵守しなければならないものとすること、都道府県知事等は、当該施設が排出基準に適合しない水銀を継続して排出すると認めるときは、水銀の処理方法等の改善または施設使用の一時停止について勧告、命令ができるものとすること、届け出対象外でございましても、我が国における水銀排出量が相当程度多い施設について、排出抑制のための自主的取り組みを責務として定めるものとすることなどにつきまして規定をしているところでございます。

玉城委員 この排出規制等に関する取り組みについては、責務として、第十八条の三十三及びその前の三十二などが事業者の取り組みに課せられております。

 この大防法、大気汚染防止法の一部の改正について、新しい章立てが新設されたことによって事業者の取り組みについてさまざまな影響を与えるものというふうに思いますが、その事業者の取り組みに関してお伺いしたいと思います。

三好政府参考人 大気汚染防止法案へ盛り込ませていただいております事業者の排出抑制の責務でございますけれども、排出規制につきましては、今申し上げました中で、届け出あるいは遵守義務をもちまして担保してまいるわけでございますけれども、水俣条約上排出規制が求められている施設以外でございましても、水銀の排出量が相当程度多い施設につきましては要排出抑制施設として位置づけまして、その設置者に自主的取り組みの責務を課すこととしている点がございます。

 具体的な内容の例といたしましては、みずから遵守すべき基準の作成、排出施設の新増設時における水銀処理設備の設置、排出状況の測定、記録、保存などを想定しているところでございます。

 また、水銀の排出量が相当程度多い施設に該当しない施設の設置者に関しましても、水銀を排出する事業者一般の責務といたしまして、みずからの事業活動に伴う水銀大気排出の状況の把握、排出抑制をするために必要な措置の実施を求めているところでございますし、さらに、大気排出インベントリーの整備に用いる情報の提供等、国の水銀排出抑制施策への協力等の取り組みを想定しているところでございます。

 このほか、事業者に対しましては、水銀を含有しない、または含有量の少ない製品を購入時に選択することや、水銀を含有する廃棄物を廃棄する際に分別回収へ協力するとともに、適正処理を行うよう求めていくことが必要と考えているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 質問を一つ入れかえさせていただきたいと思います。

 先ほど、大気汚染防止法の新設される条項などについて、地方自治体のさまざまな規定などがありましたが、条例との関係が三十二条の中で述べられていて、その中で、「水銀排出施設について、」という、地方公共団体がその管理をするというふうなことについて挿入されております。

 このことから先にお伺いしたいと思います。大気汚染防止法における条例との関係性についての御説明をお願いいたします。

三好政府参考人 大気汚染防止法における条例との関係の規定に関してでございますけれども、従来の公害問題に関しましてはすぐれて地域的なものであるということから、公害規制の立法措置は地方公共団体が先行して行われてきた例が非常に多うございました。

 大気汚染防止法第三十二条は、このことを踏まえまして、条例において、規制対象の物質や施設を追加する、ちょっと俗な言い方で恐縮ですけれども、いわゆる横出し規制を定め得るということを入念的に規定したところでございます。

 今般の水銀排出規制は、環境中を循環する水銀による人の健康及び環境への影響に着目したものではございますけれども、第三十二条を改正することによりまして、大気汚染防止法における従来のほかの規制と同様に、条例による横出し規制は妨げられない旨を明確化するために措置をしたものでございます。

玉城委員 地方自治体にとって、生活する住民の健康をまず第一に考える、そのために施策を講じるあるいは計画を策定するということは、地方自治体に課せられた当然の責任でもあるというふうに思います。

 その中で、これまで以上の取り組みをしっかりと取り組んでいただきたいということはありますけれども、やはり国民全体が水銀を使っている製品を使わないというか、その量を減らしていくということも含めますと、地方自治体のその周知、告知なども、国、地方自治体が、国民にとってより理解しやすい、そして参加しやすいという形での水銀の削減に向かっていくということが非常に大きな方向性になるのではないかと思います。水俣条約も、世界各国でそのことを力を合わせて取り組んでいこうということにほかならないわけであります。

 では、最後の質問ですが、環境における水銀循環に対するその国民への周知、取り組みについて、この法律案でどのように規定されているのかをお伺いいたします。

北島政府参考人 環境への水銀等の排出を可能な限り抑制していくためには、多様な主体がそれぞれ役割を果たすことが重要であり、国民の皆様には、水銀が使用されていない製品を選択することや、適切に水銀使用製品を分別廃棄することなどに取り組んでいただきたいと考えております。

 これらの取り組みを促すためには、環境中の水銀の循環など水銀による環境への影響についての普及啓発が大変重要であり、水銀等による環境の汚染の防止に関する計画にしっかりと書き込むこととしたいと考えております。

 また、パンフレットの作成やウエブページによる情報提供も行い、広く普及啓発に努めてまいります。

玉城委員 では、時間がもう少しありますので、これは質問通告をしていないんですが、きのうきょうのニュースにおける状況を報告して、ぜひ大臣から見解を伺いたいことが一点ございます。

 それは何かといいますと、例の台湾の日本食品の輸入規制の問題です。当初は、全ての食品に都道府県別の産地証明書を添付することを義務づけるなど非常に厳しい要求をし、食品の輸入を全面禁止するという報道がなされましたが、その後、台湾の方が産地証明で譲歩したというふうに報じられています。

 台湾が東京電力福島第一原発事故後に導入した日本の食品輸入規制を十五日から強化する問題で、食品薬物管理署、FDAは、十四日の夕方、全食品を対象に求めていた都道府県別の産地証明について、日本国内で取得できる既存の証明書を提出すれば問題ないと発表しております。

 日台双方の窓口機関によります十三日の協議では産地証明の様式で合意できず、十五日からの輸入停止は不可避と見られていたものの、台湾側が直前に妥協して、最悪の事態を回避したということがあります。

 しかし、一方で、水産品、お茶類など三分類八百品目超の高リスク産品についての放射線検査証明は、日本政府や国際認証機関が認証する機関の証明書が必要だともしております。

 こういうふうな食品の輸出入に関して、福島第一原発の事故後、海外が日本の取り組みについて非常に高い関心といいますか、ある種の懸念に近いようなものを持っていることは疑いのないところであります。ですから、こういうふうに、やはり、幾ら科学的根拠に基づかない措置ですよと日本側が相手に申し入れたとしても、相手が、いや、だったらきちんと証明しなさい、証明するものが国際的に認められていれば我々も認めましょう、そういう問答になっていくと思います。

 しかし、それは、きょうこの水俣条約に関して、水銀に関する汚染を世界的に食いとめていくということを質問させていただいていることとそうそう離れている議論ではないというふうに私は感じた次第です。

 ですから、これからも、環境大臣として、環境政策における日本の果たす役割、及び、このような福島第一原発事故後派生する、一部風評被害も含めてはおりますけれども、環境省が取り組んでいく汚染の拡散の防止、あるいは諸外国との連携について、ぜひ大臣の見解を最後にお伺いしたいと思います。

望月国務大臣 台湾が、こういったことで、規制を全面的に禁止というものから原産地証明というような形ということで、我々としては大変いいことであったな、このように思っております。

 ただ、これは環境省だけの問題ではなくて、経産省、農水省、外務省、それぞれの問題がございますので、発言の深層部につきましては控えさせていただきますが、やはり、水銀の条約というもの、こういったものを我々は今、国会に提出させていただいたわけでございますけれども、やはり、この間も、中国、韓国の皆さん、こちらでも、我が国の事故以来、農産品とかそういったものについてさまざまな見解がございました。

 そういった、我々が、環境大臣会合とかさまざまなルートを通じて、我が国としては、例えば福島のお米、私の部屋で、この間、福島のお米を、刈ったものを持ってきていただいて、マスコミの皆さんに八百個ばかりおにぎりをつくって食べていただいて、ぜひひとつ、世間の皆さんに、こういったものは安心、安全だからと。国内でもそういったものを心配する向きがございます。

 ですから、よりこれから外国のそれぞれの皆さんに、日本の国のものは絶対に安全だ、そして、ぜひひとつ我々のものをしっかりと安心して使っていただきたいというものを、これからも環境省としてできる限りの努力をしてまいりたい、このように思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 安全管理こそ日本が最も誇れる技術であるということを世界に堂々と発信できるよう、取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

北川委員長 次回は、来る十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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