衆議院

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第7号 平成27年5月22日(金曜日)

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平成二十七年五月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北川 知克君

   理事 熊田 裕通君 理事 助田 重義君

   理事 平井たくや君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 田島 一成君

   理事 松田 直久君 理事 浮島 智子君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      笹川 博義君    瀬戸 隆一君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      根本 幸典君    福山  守君

      堀井  学君    前川  恵君

      村井 英樹君    篠原  孝君

      中島 克仁君    福田 昭夫君

      馬淵 澄夫君    小沢 鋭仁君

      篠原  豪君    真山 祐一君

      島津 幸広君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         望月 義夫君

   環境副大臣        北村 茂男君

   環境大臣政務官      高橋ひなこ君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       尾池 厚之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           谷  明人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石川 正樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           佐々木 良君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     坂口 利彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 田中 聡志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

   環境委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     村井 英樹君

  吉野 正芳君     根本 幸典君

同日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     小田原 潔君

  村井 英樹君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     吉野 正芳君

  瀬戸 隆一君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案(内閣提出第三六号)

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)


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     ――――◇―――――

北川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官尾池厚之君、経済産業省大臣官房審議官谷明人君、経済産業省大臣官房審議官石川正樹君、経済産業省大臣官房審議官佐々木良君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長坂口利彦君、環境省大臣官房審議官田中聡志君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省水・大気環境局長三好信俊君、環境省自然環境局長塚本瑞天君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 大臣以下皆様には誠意ある答弁をぜひいただきたく、冒頭、お願いを申し上げたいと思います。

 水銀条約関連二法案、今週には参考人の意見聴取もさせていただき、大変充実した審議をさせていただいていることを感謝申し上げたいと思いますし、また、この参考人からお伺いをした話も交えてきょうは質問させていただきたいと思います。

 まずは、水銀による環境汚染防止に関する法律案でありますか、冒頭、計画についてお尋ねをしようと考えておりました。しかしながら、これまでも随分出ておりますし、答弁でもいただいておりますので、ぜひ要望として、計画の早期策定、さらには適時適切な見直しを明確にしっかりとやっていただきたいということを強く要望させていただき、続いての、国、また製造、輸入者の責任の問題についての質問から始めさせていただきたいと思います。

 水銀使用製品が廃棄物となった際の適切な回収、処理を行っていくために、今回の新法では、国、また市町村、事業者の責務が規定をされております。しかしながら、国は適正回収のために市町村に対しては技術的な助言をする、水銀使用製品の製造、輸入業者が情報提供を行うとあるのみでありまして、適正な回収等が本当に確実に行えていけるのかなという心配を持っております。

 国や事業者が果たすべき責務、どうもこのままではちょっと弱いんじゃないかなというのが正直な私の感想でありますが、今後、この回収の枠組みに積極的に国が関与していくことが重要だというふうに思いますけれども、まず、どのようにお考えなのか、その姿勢を明確にお答えいただきたいと思います。

望月国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 回収について、国が一体どういう形なのか、弱いのではないか、そういうお話でございました。

 家庭から排出される水銀添加廃製品でございますけれども、現在は廃棄物処理法に基づきまして環境保全上適正な処理が行われておりますが、さらに、水銀による将来的な環境リスクの低減に万全を期していかなくてはならない。これで、先生が今おっしゃったように、国、市町村、そしてまた事業者が一体となって、分別収集の徹底、拡大を推進していくという、これはもう大変大切なことであると思っております。

 そのため、国としては、市町村がそれぞれの事情や状況を踏まえて、これは、市町村は大きいところもあれば小さいところもある、さまざま状況が異なります。そういったことを踏まえて、水銀使用製品を、やはりこれはどういった町におきましても適正に回収していかなくてはならないということでございまして、これはもうさまざまな、皆さんいろいろなやり方をやっております。

 ただ、そういう中で、低コストな取り組み事例、あるいはまた、水銀が飛散しやすい蛍光管や体温計の回収時における留意点、それから住民への広報を行う際の留意点など、ガイドラインをやはりしっかりつくって示していきたい、こんなふうに思っております。

 それから、水銀体温計など、こういった退蔵品、古くてそれぞれ家庭にまだまだあると言われております、そういったものを一体どうするのか。これは、集中的に分別の回収を促進していくために、昨年度、これは実はモデル回収事業を行ったところでございます。

 引き続き、関係機関の協力を求めていくことによって、市町村に対してしっかりと支援をさせていただきたいな、こんなふうに思います。

田島(一)委員 この後に、実は退蔵されている血圧計や体温計の質問を用意しておりましたけれども、先に御答弁をいただきましたので、せっかくですから、その部分に少しだけ触れさせていただきたいと思います。

 モデル事業、していただいたことも承知しておりますし、集中的にやりたいという御答弁も今いただきました。

 これは本当に一気にやらないと、家庭の中から、押し入れの中だとか蔵を掃除すれば、古い古いものがぽろっと出てきたなんということが三百六十五日いつあってもおかしくない。しかしながら、集めるのが毎日毎日事細かくやろうといったって、そんな簡単にいく話ではありません。

 そうなると、広報で何月は体温計もしくは血圧計の回収集中月間ですぐらいのPRをあらかじめやって、あらゆる販売店、流通業者だとかまた製造者も含めて、いろいろな人たちと協力して一気にやらないと、これはやはり無駄も出てくるわけですね。退蔵品というのは本当にどこにあるかもわからないし、気づいて捜してくれといったって、わざわざそのためだけに捜してくださる消費者というのはそういらっしゃいません。そう思うと、やはり環境省が音頭をとっていろいろな、あらゆる手段を使ってでもPRをしていかないと、これは本当に難しいんだと思います。

 ぜひ、回収スキームの早期構築、実施については、覚悟も多分おありだろうというふうに思いますので、この点についてはもう改めて問うことはいたしません。

 もう一点、製造、輸入業者についての質問をさせていただきたいと思います。

 回収義務をぜひ、製造、輸入業者、もしくは場合によっては流通業者も含まれるのかもしれませんが、負わせた方が効率的だという考え方も一方ではございます。企業の責任についてどのようにお考えなのか。

 ちょうど参考人質疑の折には、藤原参考人の方から、ボタン電池については電池工業会が回収を始めておりますし、また、蛍光灯については照明工業会が、それぞれ自主回収を始めているということもお伝えいただきました。

 今後、回収率向上が期待をされるところであるとの御発言ではありましたけれども、民間の自主的な回収に委ねるだけで本当にいいのかどうか。残念なことに、このボタン電池を回収していただいている電池工業会にあっては、回収対象の製品というのは工業会所属企業の製品に限られているということでもあります。必ずどこかで抜け穴が出てくる、全ての回収がカバーできるわけではないという実態があるわけであります。

 こういったことも踏まえて、どのようにお考えなのか、ぜひお聞かせをください。

谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、水銀使用製品の適切な回収を進めていく上で、水銀使用製品の製造、輸入事業者も積極的に貢献していくことが重要でございます。

 参考人質疑にございましたように、ボタン電池につきましては、現在も、事業者団体の自主的取り組みといたしまして、全国のスーパーやホームセンター、家電量販店など、約一万三千店の店頭にボックスを設置し、回収を行う等の活動をさせていただいております。

 法案では、水銀使用製品の製造、輸入業者に対しましては、さらなる貢献を求めるため、条約の要請よりも踏み込んだ措置といたしまして、水銀等の使用に関する表示を行うなどにより、適切に回収をするために必要な情報を消費者に提供する努力義務を規定しておるところでございます。

 本法案を成立させていただきましたら、国として速やかに情報提供に関する一定の指針を作成し、事業者に求められる取引の内容を明らかにしていく予定でございます。

 具体的には、製品本体への表示だけではなく、製品ごとの特性も踏まえ、製品の包装や説明書、製品カタログ、製品を紹介するウエブサイト等による情報提供など、消費者にとってわかりやすいものとするように、国も事業者と一体となって今後検討してまいります。

 経済産業省といたしましても、今回の水俣条約を踏まえ、水銀使用製品の回収対策等の趣旨を水銀使用製品の製造、輸入事業者に対して周知徹底してまいります。

田島(一)委員 今、一万三千店の店舗で回収されているという御説明がありました。

 一万三千店と聞くと何かすごく多そうに聞こえるんですけれども、スーパーによっても、窓口でやってくださっているスーパーと、していないところ、やはり差はあるんですね。マルエツではやっているんだけれども残念ながらイオン系ではやっていなかったり。というようなことを考えると、やはり、回収ボックスを置いてくださいというのを、工業会と一緒になって個別個別にどこまで協力をお願いしていくかにかかっているんだと思います。

 一万三千という数字に絶対満足せずに、今後やはり広げていっていただきたい。そうすることによって漏れなく水銀が回収できるんだという気持ちで取り組んでいただかなければ、十分な回収、自治体でも十分にまだやっていないところもありますから、そこのところだけはぜひ肝に銘じて取り組みをしていただきますように心からお願いをしておきたいと思います。

 さて、廃金属水銀等の長期管理における国の関与について質問させていただきたいと思います。

 廃金属水銀等の処理体制とか長期的なモニタリングに関して、廃棄物処理法に基づいて、まず、排出事業者においては適切に管理することが何よりもやはり重要だと考えます。

 この長期的な管理のために、国を含めた関係者の適切な役割分担を検討するということが必要なのではないかと、さきの参考人質疑においても大塚先生から指摘をされたところでもあり、また、先般の質疑にあっても同様の答弁をいただいたところでもあります。しかしながら、もう一方、藤原参考人の方からの話ですと、やはり水俣公害の経験から、国民の水銀に対するアレルギーというのが非常に強いということを感じられるというお話もありました。

 そのような中で、保管、また処分場所確保という問題もありまして、水銀はダイオキシンやPCBのように分解してなくなるようなものではありませんから、長期間水銀を処分するためには十分な科学データに基づいて計画を検討していくことが必要だというふうに考えますが、それ以上に、この処分場所の付近住民がしっかりとした情報を蓄えて安心できるような、国が積極的に管理にかかわっていく長期管理体制というものを構築していくことがやはり必要だというふうに考えます。

 今後、廃金属水銀等の長期的管理において、国民の安全や安心を確保していくために国がどうかかわっていくのか、私は積極的にもっともっと関与していかなければならないというふうに考えるわけでありますけれども、お考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

望月国務大臣 まさに先生のおっしゃったように、水銀に対する国民の、水俣病等さまざまなことがございましたので、そういったアレルギーといいますか、心配事は大変多い、このように思っております。

 我が国としては、廃金属水銀の埋立処分に当たっては、硫化により硫化水銀の状態にした上で固型化する、そういったことの義務づけを検討しております。硫化水銀は、水銀が天然に鉱石として存在する形の形態でございまして、非常に安定した状態であると考えられますが、まずは排出事業者において適切に管理をされることが重要だ、このように思っております。

 実は、このやり方というのは、アメリカは少なくとも水銀のまま容器に入れて埋めている。それから、EUの国々におかれましてもこういう状況になっておりません。ですから、今、日本の国はこういう形でということで世界の最先端を走っている、そんなふうに我々は認識をしております。

 しかしながら、その一方で、硫化水銀の長期安定化については、国としては継続した調査研究や検証を行うことが重要と認識をしております。このため、国を含めた関係者のやはり適切な役割分担がございますので、そのもとで処理体制及び長期間の管理体制を含めて、全体の仕組みを最適なものとするように検討を深めまして、廃金属水銀の長期的な管理の徹底を図っていきたい、こんなふうに思っております。

田島(一)委員 欧米のように大きな地中の岩塩坑があるわけでもありませんし、ましてや地震大国でもあります。いろいろな不安要素があるのがこの日本でありますから、今から検討されても決して早過ぎることはないと思いますので、並行してぜひお取り組みいただきますことをまずお願いしておきたいと思います。

 次に、適正な回収の促進についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今、多くの消費者に対しても、水銀含有製品がなぜ有害なのか、どういった問題が起こってくるのかというような正しい認識、知識を持つことが、さきの参考人質疑でも指摘をされました。今、数多くの、例えば水銀含有製品にあっても、入っているものと入っていないもの、電池にあってもそうです、蛍光灯にあってもそうです、なかなかこれはわかりにくいんですね。

 皆さん、今回この法案をおつくりになられ、提出されるに当たって、そのあたりの製品情報というのをどこまで把握していらっしゃるでしょうか。例えば蛍光ランプにあっても、これは数多く種類があるんですね。水銀含有ランプの見分け方、政務三役の皆さん御存じですか。どこを見ればこれは水銀が入っているか御存じですか。

望月国務大臣 ちょっと私は細かくは認識はしておりません。というのは、私がちょっとそういったものを買ったことがないものですから、大変申しわけないんですけれども。

 しかしながら、これは、先生がおっしゃるように、そういったことを理解しないで買っていってしまってというようなことにならないようにしていかなくてはならないな、こんなふうに思っております。

田島(一)委員 意地悪な質問をして申しわけなかったです。

 ちなみに、せっかく問題を提起しましたので申し上げますが、Fから始まる品番の蛍光灯には水銀が含まれています。そうですよね。経産省だけがうなずいてくれました。

 ちなみに、電球形の蛍光ランプ、あの渦巻きになったりしているものの場合はEFから始まるのが水銀含有製品です。

 こういった、何に水銀が入っているのかすら法案提出者の皆さんも御存じない。消費者の皆さんに分別して分けろといったって、しょせん無理な話なんですよ。それぐらい、何に水銀が入っているか入っていないかをまだまだ知られていないんだという現状、これはやはり何が問題かといえば、こうした水銀含有の製品かどうか見分けるための情報がしっかり広報されていないんだという問題なんですね。

 例えば啓発活動。参考人も御指摘いただきました。ヨーロッパに行けば、教育現場や駅のポスター等でPRがなされ、官民一体となって取り組みがされ、回収率を上げている、そんな情報もありました。

 例えば政府広報。いろいろと各省庁、その月間のPR等々も含めてやっていらっしゃいますけれども、水俣特措法ができたときは、たしか広報、PRを使いましたよね。しかしながら、この水銀含有製品の回収についてのPRというのは、私の知る限り一度も見たことがありません。

 こうした手段を使って、国が積極的にやっているんだということをやはりPRする、それが政府の大きな責任ではないかと思うんですけれども、こうしたPRをやってこなかったという反省、また、今後どのようにお考えなのかをぜひお聞かせください。

望月国務大臣 大変我々も、今先生から指摘を受けて、なるほどな、やはりそういったことは気をつけなければいけないなということを認識させていただきました。今そんなことを言って大変申しわけなかったなと思いますけれども。

 水銀が、水俣条約とか、我が国で被害を受けたということを考えると、人の健康に及ぼす影響というものは、やはり正確に皆さんにお知らせするというか、そういった知識を持ってもらう、そしてまた、水銀等が適切に取り扱われるよう普及啓発を行うことは大変重要だということ、また改めてこれは私たちは認識させていただきました。

 まして、さまざまなことをやはり我々はしていかなくてはいけない。啓発というのは環境省だけがやるのではなくて、今言った教育の現場だとかさまざまなところでやはりそういったものを広げなきゃいけないということを、一方通行で、こういったふうに書かれているからいいのではないかということだけではいけないなということを改めて認識させていただきました。

 ただ、そういう中で、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案における水銀等における環境の汚染の防止に関する計画においては、国や自治体の役割としてこれをしっかりと位置づけておりますので、今先生の御指摘いただいた面も十分に考慮しながら広く周知をしてまいりたい、このように思います。

田島(一)委員 PRするのもただではなかなかできません。当然お金がかかります。ましてや、身近な回収等々を進めていこうと思うと、やはり自治体の協力もいただかなければなりません。

 しかしながら、今後、適正な回収を進めていくために、自治体にもやはり大きな負担がかかってまいります。水銀の有害性等々の認識から、また回収自体にかかる費用も含めて、今後、財政的な支援、自治体に対して取り組みを促進させるための支援策というものもやはり十分に講じていく必要があるのではないかというふうに考えますけれども、このあたり、財政的な支援というのが法案の中にはなかなか見当たりませんけれども、どのような姿勢で臨まれるのか、お答えいただきたいと思います。

望月国務大臣 家庭から排出する水銀添加廃製品については、現在も廃棄物処理法に基づいて環境保全上適正な処理が行われている、処理はそういうことだと考えておりますが、やはり水銀による将来的な環境リスクの低減に万全を期すべく、何回か御質問ございましたが、分別回収の徹底そして拡大を後押ししていく必要があると考えております。

 そのための方策として、市町村が財政事情も含めたそれぞれの状況に応じて回収を工夫できる、一つの例でありますけれども、パッカー車に専用ボックスを設置して他の分別の区分のごみと同時に収集するといったような、そういったことだとか、さまざまな御指摘がございましたので、低コストの取り組み事例、こういったいい例を我々はしっかり調べて情報発信をしていかなきゃいけない、助言とか技術的支援を行ってまいりたい、このように思っております。

 先ほど、モデル事業の回収事業がございましたが、先生が先ほどおっしゃったように、思ったよりたくさんのものが出てきて、こんなにあったんだというような、実を言いますと環境省の中でもそういうことが若干話題になりました。

 やはりそういった意味で、関係機関の協力を求めていくこと、それから、市町村による分別回収をこういった面から情報を集めてお知らせするというようなことをしていかなきゃいけない、このように思っております。

田島(一)委員 時間がもうなくなってまいりましたので、次は大防法の方に移らせていただきたいと思います。

 排出抑制策のあり方についてでありますけれども、今回条約第八条を担保する措置がなされたところであります。条約が要請していないものとして、要排出抑制施設の設置者の自主的取り組みという概念が規定されたところでもあります。

 この要排出抑制施設の指定施設ということで、水銀の国内排出量の割合約二五%を占めている鉄鋼製造施設が予定もされておりますが、この施設は残念ながら規制ではなく、自主的な形での排出抑制を講じることとされております。

 果たして、この自主的な取り組みで水銀等の大気中への排出抑制というのが本当に可能なのかどうか。同僚議員からも質問がありましたけれども、やはり疑問に感じているところでもあります。

 この自主的取り組みの対象となります一般社団法人の日本鉄鋼連盟、平成二十七年度の事業計画の中で、水銀「条約を踏まえた関係法案等の検討に際し、鉄鋼業を含め産業界が所有する条約対象施設(石炭燃焼産業用ボイラー等)に係わる国内担保措置等が合理的な枠組みとなるよう、適宜、意見具申等を行う。 条約対象外の焼結炉についても、水銀排出抑制のための自主的な取り組みの実施に向け、具体的な検討を進める。」というふうに事業計画の中で記されております。どこまで前向きにこの検討をし、進めていただけるのか、期待もしたいところでありますけれども。

 ちなみに、政務三役のどなたか、法案審議の前に、鉄鋼製造施設を抱える鉄鋼連盟の会長であるとか政策担当役員等にお出ましいただいて協力要請というのはなさいましたか。あったかどうかだけ聞かせてください。担当者ではなく。

望月国務大臣 直接我々は、陳情、そういったものを受けたりすることがなかったものですからお会いすることはなかったんですけれども、経団連等の会合で、何しろさまざまな面で環境問題がこれから大切なので我々に協力をしていただきたいというようなことは、常々申し上げているところでございます。

田島(一)委員 ぜひ、ついでではなくて直接やはりお出ましいただいて、お願いをしていただく、そこから具体的な検討に入っていただけるんだと思います。足を使って、汗をかいて、そして業界の協力も本当にいただいてやらないと、このままでは自主的な取り組みも本当にわからないまま進んでいくと思います。今後のそういった真面目な、真摯な取り組みを心から期待をしたいところでもあります。

 さて、最後に、大気中への排出状況の公表のあり方、インベントリーについてお伺いをして終わりたいと思います。

 国の努力規定というふうに定められた大気中への排出状況の公表についてでありますが、「我が国における水銀等の大気中への排出の状況を把握し、その結果を公表すること」「に努めなければならない。」というふうに本法案の中では記されているところでありますけれども、この公表のもととなる事業者の測定結果の報告義務は、残念ながら明確に定められてはおりません。事業者の責務規定では、「国が実施する水銀等の大気中への排出の抑制に関する施策に協力しなければならない。」と定められているにすぎません。水俣病を経験した我が国にとって、このような姿勢で果たして本当にいいのかどうか。

 水銀等の大気中への排出状況を国が把握すること、これは、条約で規定されているインベントリー、目録作成においても必要不可欠な情報であり、事業者に水銀等の大気中への排出状況の報告を求めるための実効ある枠組みを構築することが必要であるというふうに考えますけれども、事業者の測定結果の報告義務づけについてどのようにお考えか、確認をさせていただきたいと思います。

望月国務大臣 排出規制の対象となる水銀排出施設については、これはもちろん、排出口の水銀濃度を測定、記録、保存する義務づけがございます。

 多分、先生が今おっしゃっているのは要排出抑制施設だ、そういうふうに認識をしますが、条約ではそちらの方についてはございませんけれども、我が国といたしましては、それに上乗せ規制といいますか、要排出抑制設備についても、結果の記録、保存、取り組みの実施状況の公表を求めております。

 そういった中で、我々としては、今般の大気汚染対策としては、水俣条約において規制が求められる施設については厳格な排出規制を設け、それから、作成が求められている大気排出インベントリーについて国が作成、公表し、事業者に対しても作成に協力する責務を設けている、そういうことでございます。

田島(一)委員 もっと突っ込みたい話ではありますよ。参考人から補足いたしますか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 測定結果の公表の件でございますけれども、まず、規制の実効性の確保という観点からは今大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、都道府県知事の方では適宜必要に応じまして報告徴収も行うことができておりますので、排出規制の実効性は確保されるというふうに考えております。

 それから、御指摘がございました自主的取り組みの要排出抑制施設につきましては、審議会等におきまして、排出抑制の状況を把握、評価、公表する際に、必要な情報の提供を求めていきたいというふうに考えております。

 それで、国はインベントリーを作成することが義務づけられているところでございまして、事業者は排出状況を把握するとともに、排出状況に関する広範なデータを提供するなど協力しなければならないというふうにもさせていただいております。

 インベントリーを作成するに向けまして一体どういう仕組みが必要かということにつきましては、引き続き中央環境審議会等で検討を進めていくことにしておりまして、その中で、具体的な事業者の協力の内容につきましても、検討を含めまして、協力を求めていきたいというふうに考えているところでございます。

田島(一)委員 時間がなくなりました。

 水俣病を引き起こしたのは原因企業だけではない、日本の経済志向のために産業が多くの犠牲をこうして起こしてしまったんだということをどの業界もぜひ自覚をしていかなければならない、大きなこれはきっかけになるんだと私は思います。

 さまざまな課題がある中、また、十分な対策がまだ見えてこない中での今回の二法案ではありますが、ぜひ、水俣条約批准国を一国でもふやし、すき間を減らしていくためにも、そのフロントランナーとして日本が先進的な取り組みを十分に進めていただくことを大いに期待し、またお願い申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

北川委員長 次に、松田直久君。

松田委員 おはようございます。維新の党の松田でございます。よろしくお願いいたします。

 早速、二法案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、法案のあり方についてでありますけれども、この法案の大切な部分をまずお伺いさせていただきたいと思います。

 水銀の排出量に関しては世界の一%程度ということでございますけれども、たくさんある環境問題の中では、地球温暖化の問題や酸性雨など地球全体の環境問題と、廃棄物や水質の汚濁、そして本法案の水銀に関する問題は地域の環境問題と考えるところでございます。

 そうすると、世界で一%の排出量といっても、我が国の環境を守るという観点と世界の環境汚染を未然に防止するという観点からは、決して軽視をすることはできない問題であるというふうに考えて、本法案は大きな意味を持っているのではないかなというふうに感ずるところでございます。

 それらを踏まえて、参考資料に含まれている、水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策、世界の水銀対策をリードという背景には、水俣病を経験しました我が国として、同条約を早期に締結をするとともに追加的措置を講じ、世界の水銀対策をリードすることが求められているというふうに明記をされているわけであります。

 しかし、水銀に関する水俣条約が二〇一三年十月に採択をされ、現在までアメリカを含む十カ国が我が国より先に締結を済ませているということでありまして、早期締結では少しおくれをとったのではないのか、世界をリードするという言葉と行動がかみ合っているのかなというような思いがあります。

 ここで、水俣条約に署名している国の中にマリ共和国というところがあるんですけれども、このマリ共和国は、幼い子供たちが手掘りで金鉱山で働いている。六歳の子供までが働いて、二万人の子供たちが非常に過酷な労働条件の中で、それも、水銀を吸い込むというんでしょうか、僕も詳しいメカニックはわかりませんけれども、水銀を砂金なんかに噴射して、その中で分けるというか金を掘り出すというようなことで、非常にそういう悪い環境の中で働いているということがレポートで出ているところです。

 日本の水銀対策に対する途上国への支援については、条約の署名した国さらには締結した国によって支援の違いを設けるのか。例えば今ちょっと例を出したマリ、これはゴールドベルトといって、マリだけじゃないんです、何カ国もありまして、そういうところに対してどういった支援というか考え方があるのか。

 ODAは支援総額が一千五百億円ですけれども、これらの支援効果は世界の水銀対策をリードすると言えるのかどうか、また、本法案の成立は世界の水銀対策をさらにつなげていくものにつながっていくのか。

 また、水俣条約の締結に必要な五十カ国ということになっております。五十カ国が必要なわけですけれども、この五十カ国に対して、我が国はどういった対策、努力をしていくのか。

 あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。

尾池政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、我が国の方から関係各国にいろいろ働きかけるのではないかという最後の御質問でございます。

 我が国としましては、我が国がまず締結するということがもちろん大事でございます。そのために、条約の方も、昨日ではございますけれども参議院の方で御審議をいただいたところでございますが、同時に、世界から水銀による健康被害や環境汚染をなくすためにより多くの国がこの条約に参加することが極めて重要であるというふうに考えてございまして、途上国を含めました多国による条約の締結を積極的に働きかけてございます。

 例えば、我が国は昨年九月、ニューヨークの国連本部におきまして、米国、ウルグアイ、スイスとともに、水俣条約への各国の署名、締結を促進するためのサイドイベント、国連総会のサイドイベントでございますが、これを実施いたしまして、望月環境大臣の御出席をいただきまして、各国に対して本条約への参加を呼びかけているところでございます。

 今後とも積極的に、締結に向けた働きかけを行っていきたいと考えてございます。

 それから、ODAの話でございますけれども、ODAにつきましてはさまざまなことをやってございます。

 平成二十五年の水俣条約の外交会議におきまして、我が国は、途上国の大気汚染対策、水質汚濁対策及び廃棄物の処理のための対策ということで、三年間で二十億ドルのODAを供与するということを表明いたしました。

 お尋ねの水銀だけに絞った分野に関して申し上げますと、平成二十六年度からの三年間で、途上国などの水銀対策の分野で人材育成支援を行ってございます。

 この第一回目といたしまして、昨年十一月から十二月にかけて、七カ国十名の環境行政担当者の方々を招聘いたしまして、東京及び熊本で研修を行ったところであります。この研修では相当幅広いテーマを扱いまして、日本の経験を学んでいただくということで研修を行いまして、先方の環境行政の参考になったものというふうに考えております。

 それから最後に、零細及び小規模な金の採掘の関係でございますが、これが非常に大きな問題であるということは認識をしてございます。こうした問題を解決していくためには、これらの採掘を行っている国におきます能力の形成、あるいは代替技術の普及ということが重要かと考えております。

 このような認識のもとで、本条約を受けまして、地球環境基金、これは世銀の中の基金ですけれども、地球環境基金におきまして、小規模な金の採掘を行う国における水銀の排出、放出の削減のための支援を既に開始してございます。我が国はこの世銀の地球環境基金の主要ドナーの一つでございまして、条約上、この地球環境基金が条約発効後も引き続きこの条約のための資金を提供する機関ということになってございますので、引き続きこの問題に対する国際的な支援はなされていくものと考えてございます。

 なお、我が国に関しましても、これまで我が国の経験及び教訓を生かし、調査、モニタリング技術等の普及、人材育成などの支援を実施してございます。先ほど申し上げた研修におきましても、この小規模な金採掘の問題についての対応についても取り扱ったところでございます。

松田委員 まず大臣に少しお答えをいただけるのかなと思っていたんですけれども。

 こういう幼い子供がこういう劣悪な環境で、今時点も二万人、それ以上の子供が働いているわけですね。私どもは、この水銀、水俣という名前を冠した、今まで世界でもこれだけの経験をしている国はない、その国としてもちろん認識は持っていただいているとは思いますけれども、何かそれに対して思いというのがあれば、お答えをいただけないでしょうか。

望月国務大臣 まだまだ、我が国はさまざまなことがあってそういったものをしっかりと政策に反映させてきたわけでありますけれども、先生が御指摘のように、ほかの国に行きますと、そういうようなところで子供たちが働いている。児童労働について、たしかこのASGMサイトでございますか、ここで働いて大変な状況にあるというようなことも聞き及んでおります。

 このASGMは水銀の大気への最大の排出源でございますが、ただ、その中で、水銀がやはり、私もこの間、水俣で胎児性の皆さんだとか患者の皆さんとかいろいろ話をさせていただきました、まさに小児、子供の神経系に特に有害であるということ、こういったものを考えますと、これは本当に深刻な問題である、私たちはそんなふうに捉まえております。

 そういった中で、水俣条約では、ASGMにおける水銀使用等を削減し、実行可能な場合には廃絶を求める、そこまで求めておりまして、我が国としましては、削減、廃絶に向けた取り組みを進めることが、これがまさに経験であって、こういったことを二度と繰り返してはいけないということでおります。

 それから、先ほどお話がございましたように、条約の規定よりもさらに踏み込むことがそういう場合には必要でございまして、この場合には、そういった意味での水銀等の輸出を禁止すること、そういったこととして上乗せをしていきたい、こんなふうに思っております。

松田委員 これだけでそんなに時間をとれないんですけれども、今の、最初の答弁でもそうなんですけれども、基金をしています、お金を出していますよというような、平たく言えばそういう答弁でしたけれども、大臣、僕は、これだけ水俣を経験して、こういう事実、子供たちがやっているということは、日本の環境大臣、そして水俣を経験した国として、やはりすごく発言力が大きいと思うんですね。

 ですから、事務的なことで、評論家みたいな形じゃなくて、やはり一歩踏み込んで、現状を見て、ODAにしても、こういうところへ支援するのか、逆に断つのか、きちっと方向を示して、世界のそういう思いのある人たちを巻き込んでいくというようなことをぜひやっていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、二番目の質問をさせていただきます。

 先ほどの質問と少し重複しますけれども、水銀の製品の一般廃棄物の回収についてです。

 先般からいろいろ質疑がありまして、七割程度の市町村で個別分別回収が行われているという報告がありました。

 私が思ったのは、この七割程度という市町村は市町村の数なのか人口割合なのかというようなことをちょっと疑問に思ったものですから。大都会が抜けていたら、市町村の七割じゃなくて、五〇%に落ちたりとか四五%に落ちたりしますので。まあ、聞き取りで聞いたところでいきますと、大体七割程度だということでございます。

 だけれども、とにかく、人口割にしても市町村割にしても、まだ三割の市町村が回収ができていないということなんですけれども、残りの三割について、なぜ回収できないのか、また、分別回収にいろいろな課題があると思うんですけれども、把握しているのかということをお尋ねさせていただきます。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、私どもの市町村向けのアンケート調査では七割程度、人口ベースでも、あるいは自治体の数というのもおおよそ七割のところが分別回収を実施しているということでございますけれども、その他のところについては実施されていないというところでございます。

 これにつきましては、これまで水銀添加廃製品につきましては廃棄物処理法に基づく適切な処理ということがなされているということでございまして、それに基づいた対応がなされているということで、必ずしも回収をせずとも適切な対応ができていたという背景があろうかと思います。

 ただ、今後、水銀条約を批准して、より環境上の安全性を高めていくという観点からは、こういったところにもきっちりと回収に努力していただくということが求められるんだというふうに思っております。

松田委員 残りの三割がなぜできていないのかということを具体的に把握しているのかというお話をさせていただいたんですけれども。

 いろいろなことで細かいところを今から詰めていくということですけれども、ぜひ具体的に、どのようにしていくのか。それぞれの市町村でそれぞれの事情がありますよ。やはりその辺は細かく市町村別に考えていただかなければ三割というのが十割に近いところまではなかなかいかないと思いますので、ぜひそこのところをよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、国内の水銀を使用する製品がどれだけあるのかという現状確認を踏まえて、国と市町村の役割について少しお聞きをしたいと思います。

 水銀による環境汚染防止に関する法律案、これの第十六条「国の責務」では、市町村が水銀使用製品を適正に回収するために必要な技術的助言その他措置を講ずるように努める、こうなっております。また、十七条「市町村の責務」では、適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなくてはならない、努力義務ということです。

 現状、七割の市町村しか分別回収していない状況で、十割の市町村が分別回収をするための措置はどのように講じていくのか。例えば、どのように指導していくのかというのは、今具体的にと申しましたけれども、具体的に指導をしていっていただきたいというふうに思っております。

 また、法律案に伴い、水銀による環境の汚染の防止に関する計画の策定をしていくわけですけれども、水銀汚染の防止の実効性が担保された総合的な計画の策定が求められるというふうに思います。

 国と市町村の責務、責任、水銀汚染の防止が確実にできるのか。責務のところ、国と市町村の責務ということを、簡単で結構です、どういうふうに思っていらっしゃるか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

高橋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 簡単で結構だということなので、恐縮ですがそのような答弁をさせていただきます。

 今回の法案は、今御指摘の取り組みをさらに一層徹底、拡大するために、第十六条では、国の役割として市町村に対して先進的な取り組みの紹介といった技術的支援等を行うという責務、そして第十七条では、市町村の役割として地域の実情に応じた分別回収等の適切な回収を行う責務を定めているものです。

 大変、御指摘をいただきましたので、さらに環境リスクの低減に万全を期し、市町村による分別回収の徹底、拡大を後押ししてまいります。

松田委員 済みません。簡単にということで、申しわけなかったですけれども、的確にお答えをいただいたと思います。

 なかなか、やはり責任がちょっと曖昧になってきたりとかするものですから、そこは常に確認をしていただきたいなというふうに思っております。

 今、国と地方の責務について御質問をさせていただきましたが、さて、そこの中で、事業者の責務についてというところで、国と市町村の責務にかわって事業者の責務について、消費者が水銀使用製品を適正に分別して排出することを確保することに資する情報を提供するように努めるというふうになっています。

 提供する情報ですが、この間の十五日、環境委員会でも、私どもの若手のエースの篠原豪さんから質問をさせていただいて、水銀製品を網羅するリストを年内に向けて策定するという回答がございましたので、ぜひともそれに向けてひとつ鋭意努力をしていただきたいというふうに思います。

 そうして、その中で、情報の提供をするのに、一つ紹介例なんですけれども、グリーン購入の取り組みをちょっと参考にさせていただきたいと思います。

 グリーン購入は、正式には国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律という名前のとおり、国や独立法人などによる環境物品等の調達の推進、環境物品等に関する情報、環境物品等への需要の転換を促進するということを目的にしております。国には、毎年調達方針を策定、公表して、物品等を調達する、そして、その実績をまとめて公表するという責務がある。地方公共団体には、努力義務として、毎年度調達方針を策定する、その調達を推進するという責務を決めております。この法律では、製品メーカーに対して、製造する物品等について適切な環境情報の提供をするということを求めております。

 このグリーン購入は、物品購入をする事業者や国民一人一人にも環境を優先に考えたものが買えるという社会的な利点がある。

 企業と行政と消費者のネットワークで、今現在二千社ぐらいの事業所が参加をしていますグリーン購入ネットワーク、環境ラベルなんですけれども、そういう既存の仕組みを活用できるのではないかな、このネットワークを利用できるのではないかなというふうに考えているところなんですけれども、環境省の前の環境庁もこのグリーン購入ネットワークの会員の一団体でもあったわけで、当ネットワークの普及とか拡大に今まで支援をしてきていただいたということなんですけれども、こういったネットワークを使って水銀の啓発というものができないんだろうかというふうに私は考えるわけですけれども、いかがでしょうか。

鎌形政府参考人 今、グリーン購入ネットワークについての御指摘がございました。

 御指摘のとおり、グリーン調達という意味で、企業、それからNGO、そして自治体などのネットワークでございます。一定成果を上げておりまして、環境庁時代から一緒に加わって取り組んできたということでございます。

 御指摘のとおり、水銀に関してはそういったさまざまな主体が協力して取り組んでいくということが必要であると思いますので、そうしたネットワークについても十分活用の可能性があるんじゃないかというふうに考えてございます。

松田委員 このネットワークというのが、私、三重県なんですけれども、三重県と滋賀県などが、グリーン購入の地域ネットワークということで、進んでこのネットワークづくりをしているということなんです。

 せっかくこういった民間が取り組んでいるネットワークというのも、今の田島先生の御質問ではないですけれども、やはりそういったものをしっかりと利用していくということが、国民の一人一人、皆さんにも水銀の問題についてもしっかり認識していただけるものだと私は思いますので、ぜひお願いをしたい、進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、時間がなくなりましたので少し飛ばさせていただきますけれども、蛍光管と電池を使用する国民と事業者に対しての責務について質問させていただきたい、こう思っております。

 これは、国民と事業者の責務がこの法案では明記をされていないところなんですね。

 これは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、今少し出ましたけれども、いわゆる廃棄物処理法で、国民と、製品の使用者の責務が、今もお答えがありましたけれども、それだけで賄えるのかというふうに私は思って今の質問をさせていただいたわけです。

 ちなみに、家電リサイクル法では、「この法律の目的を達成するために行う措置に協力しなければならない。」そういう項目があるわけですけれども、事業者及び消費者の責務を本法案に盛り込む必要はないのかどうか、改めてちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。

北島政府参考人 環境への水銀等の排出を可能な限り抑制していくためには、多様な主体がそれぞれ役割を果たすことが重要であると考えております。

 この法律案におきましては、水銀使用製品が不適正に処理されることによる環境の汚染の防止の重要性を踏まえまして、国、市町村、事業者に対して水銀使用製品の適正な分別排出及び回収のための努力義務を規定しております。

 また、この法律に基づく水銀等による環境の汚染の防止に関する計画には、この努力義務のほかにも、国、地方公共団体、事業者及び国民が講ずるべき措置について規定することとしており、これによりまして、水銀使用製品の使用の抑制など、水銀による環境の汚染の防止のために事業者や国民等に取り組んでいただくべき事項は明確になるものと考えております。

松田委員 済みません、ちょっと時間がなくなってしまいましたので、少し飛ばさせていただいて、最後に、大気への排出、汚染防止法について御質問させていただきたいと思います。

 水銀の排出対策は、大気汚染防止法によりまして、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質として指定をして、事業者に対して排出状況の把握と排出抑制のための必要な措置を講ずることを責務としています。

 この排出抑制に関して、参考資料を見たら、排ガス処理装置について、集じん、そして脱硫・脱硝装置には水銀の排出抑制に一定の効果があるという見解がございます。

 一定の効果といった、漠然と一定の効果という形になっているわけですけれども、排出抑制として有効な効果になっているのか。排出基準の担保措置が規制されていないのですけれども、本当にこれは有効なのかどうかということを少しお伺いをさせていただきたいと思います。

三好政府参考人 御指摘の除じん設備でございますとか脱硫設備の効果でございますけれども、まず、そもそも、さまざまな公害対策を講じていく上で、例えば、ばい煙やダイオキシン類の排出を抑制するという観点から、排ガス処理工程におきまして今申し上げましたような設備が用いられてきたわけでございます。

 それで、水銀の排出の状況でございますけれども、例えば、ばいじんに付着した形の水銀というのは、そのばいじんを取り除く工程によりまして水銀もあわせて取り除けるということで、排出削減効果がございます。

 それで、効果は、実は、処理装置の稼働条件もさまざまでございますし、メーンにターゲットとしている物質が何かということによっても違ってまいりますが、例えば、一例でございますけれども、一般廃棄物の焼却施設の排ガス処理装置による水銀の除去率を分析した結果では、九〇%以上の水銀の除去率であったという報告もあるところでございまして、相当程度効果を上げてきたというふうに考えております。

 なお、一般大気環境中の水銀の濃度に関しましては、私どもが持っております、今、有害大気汚染物質の取り組みを御紹介いただきましたけれども、一定の目安を持っておりますけれども、それに比べまして一桁以上低い状況にあるということが確認できておりますので、これまでの公害対策のさまざまな取り組みによりまして、国民の健康に影響がない程度に、十分安全なサイドに水銀の排出量は抑制されてきているものと考えているところでございます。

松田委員 済みません。時間がないので、最後にちょっと要望なんですけれども、先ほども議員の御指摘にありましたように、やはり、きちっと一般の消費者や家庭にも周知をするということが非常に大切だと思うんです。

 いろいろな法案を見ても、やはり、国と市町村だけが一生懸命やっているんだけれども、一番御参加をいただいている国民の皆さん、一般の消費者の方がなかなか置き忘れになっていっている部分というのは、非常に僕は大きいと思うんですね。

 少しパナソニックさんにお尋ねをしたんですけれども、例えば水銀の蛍光灯にしても、電気器具というんでしょうか、水銀を入れる器具というのは、それは一体どうするんだろう、古い器具はどうするんだと。これですと、十年ぐらいこの器具というのはもつらしいんですね。ですから、例えば十年もつと、今購入してしまったら、今から十年、蛍光灯は違う種類にかわるのに器具はまだかえられないという状況になってきます。地デジでも、たしかあれは九年とか十年ぐらい、皆さんに周知するのに時間がかかったわけですね。

 できたらこういったことも含めて、やはりきちっと啓発をして、皆さん方に先手先手で周知をしていただかなければ、後手後手になると、家庭においてもこういう電気器具というのは一つの家庭でも十本、二十本とあるわけですから、結局経済的にも非常に僕は大きな問題だと思いますので、こういった問題も早く周知をしていただきたいというふうに思います。

 では、これで終わらせていただきます。

北川委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 おはようございます。公明党の真山祐一でございます。

 これまで、この水俣条約に関連する法案審査につきましてさまざま質疑されておりますので、多々重複する部分はあろうかと思いますけれども、確認の意味も込めて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まず初めに、水俣条約また水俣病に関してでございますけれども、この水俣病が公式に確認されましてから、今月一日で五十九年の節目でございます。また、新潟水俣病が確認されてからは、これも同じく今月三十一日で五十年の節目となりまして、私自身はまだ生まれてもいない時期の公害病でございますけれども、やはり、幼少のころから、小学校、中学校の授業を通しながら、この水俣病を認識してきたところでございます。

 この水俣病におきましては、根本的な治療法がなく、現在においてもなお多くの患者の皆様が健康被害に苦しみ続けていらっしゃる病気でございます。この水俣の反省に立ち、国内における水銀の使用、また排出量は格段に削減をされてまいりました。五十年前は年間二千五百トン程度使用していたと聞いておりますけれども、近年ではその〇・四%に当たる十トン程度というふうに聞いております。

 しかし、先ほど来議論もありましたけれども、世界に目を向ければ、いまだにさまざまな用途に使用されているわけでございまして、また、適正に管理されているとは言いがたい状況でもございます。この環境汚染、そして、それに伴う健康被害もあるように承知しておりまして、今回の議題であります水俣条約また関連する法案に関しまして、まさに水俣の悲劇、悲惨を繰り返さないためにも、水銀の拡散を防ぎ、脱水銀を目指す重要な取り組みでありまして、そこで日本の果たすべき役割は大変に大きなものがあることは言うまでもないことでございます。

 さて、この水俣条約に関しまして、発効要件として五十カ国の締結が必要となっております。現在は十カ国程度というふうに聞いておりますけれども、二〇一三年十月、水銀に関する水俣条約外交会議に寄せた安倍総理のメッセージでは、水銀による被害とその克服を経た我々だからこそ、世界から水銀の被害をなくすため、先頭に立って力を尽くす責任が日本にはあると、力強くこのメッセージの中で宣言されたわけでございます。

 そこで、大臣にお聞きさせていただきます。

 改めて、この条約締結に向けた環境大臣としての御決意をお伺いさせていただきます。

望月国務大臣 我が国は水俣病の経験を踏まえて、世界のどの地域であっても二度とこのような悲惨なことがあってはいけない、二度と繰り返さない、そういうことでございまして、我が国は世界の水銀対策をリードしていく役目、役割があると考えております。

 昨年九月の国連総会を含めて、諸外国に対し、さまざまな機会を捉え、条約の締結を促してきております。直近では、先月、私は中国の方へ出張させていただきました。日中韓の三カ国の環境大臣の会合を、三年ぶりといいますか、中国の上海で、今まで中国はそういった会合は開かれなかったんですけれども、開くということで、私は行ってまいりました。

 その中でも、大きな課題の一つとして、この水俣条約、ぜひひとつお互いに協力して、早く締結できるようにしましょうということで、実は、中国は今年度中に、韓国はできれば来年には締結をしたいと。もちろん、我が国も、一日も早く国会でこういう御承認をいただければ、我々はその手続を進めていく、そんな話をさせていただいて、どんな場におきましても、この水俣条約を一日も早く締結するというようなことをお願いしているところでございます。

 そして、途上国、特にアジアは非常に多くの水銀、こういったものの排出国でありますので、日本の水銀対策の国際展開及び人材育成、これも、人材育成をしていかなければ、理解をしていない国がたくさんございますので、そういったこと、あるいはまた、水銀モニタリングに対するアジア太平洋地域における協力等を含めまして、条約の締結と効果的な実施を後押ししていきたいと思っておりまして、先生の御指摘のように、世界の水銀対策をリードしていく、そういう決意でございます。

真山委員 ありがとうございました。

 ぜひ、引き続き水俣条約締結に向けて、まさにこの水俣の悲惨を繰り返さない、その強い決意のもと、大臣にリーダーシップの発揮をお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、具体的な法律案について質問をさせていただきます。

 まず、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 今回の改正によりまして、一定の水銀排出施設は、その排出基準を遵守することが義務づけられることになります。水俣条約におきまして、石炭火力発電所、産業用石炭ボイラー、非鉄金属製造施設、廃棄物焼却施設、セメント製造施設がこの対象になっておりまして、国内において、以上五種類の発生源について規制がされることになっております。

 そこで、お聞きさせていただきますけれども、今回の改正によりまして、水銀排出施設の届け出制及び水銀濃度の排出基準の遵守義務づけによるその効果について、環境省にお伺いをさせていただきます。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 条約との関係で若干御説明させていただきたいと思いますが、先生御指摘のとおり、条約で大気排出の規制が求められている施設は五種類ございまして、それを大気汚染防止法の改正案におきまして水銀排出施設として位置づけて、設置の届け出、水銀濃度の排出基準の遵守、水銀濃度の測定を義務づけることといたしております。

 基準の中身でございますけれども、これは、条約上、利用可能な最良の技術、いわゆるBATというふうに呼ばれておりますけれども、の利用が求められておりますので、大気汚染防止法の改正案におきましても、その趣旨を的確に反映できますように、排出削減に関する技術水準、経済性を勘案し、現実的に排出抑制が可能なレベルで、排出が可能な限り削減されるように設定することとしておりまして、これによりまして、水銀の排出抑制対策が確実に行われることになると考えております。

 なお、万一違反したような事例がございましたら、排出基準に継続して違反していると認められるときは、改善勧告等によりまして対処いたしまして、それをもっても違反状態が是正されない場合は、改善命令等によりまして対応することといたしております。

 水銀排出施設に対しましてはこのような排出規制を講ずることといたしておりますので、条約の求める大気排出規制を担保し、地球を循環する水銀量の削減に貢献していくことができるものと考えているところでございます。

真山委員 続けて、関連いたしまして、この五種類以外にも水銀排出施設はございまして、届け出対象外の施設であっても、相当程度の排出量がある施設については、排出抑制のために、先ほども議論がありましたが、自主的責務を求めるものとして盛り込まれております。

 この届け出対象外施設の自主的取り組み、これがどのように展開されていくのか、また、事業主側にとって場合によっては負担が生じる場合もあるのではないかと考えられるところでございますが、この事業主視点での自主的取り組み及び費用負担等について、環境省の御見解をお伺いさせていただきます。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、届け出対象施設以外の施設でございましても、これも条約との対比で申し上げますと、条約の対象施設と同等に相当する程度の水銀を排出する施設につきましては、一条条文を設けさせていただきまして、自主的取り組みを求めているところでございます。

 それで、内容でございますけれども、自主的取り組みということでございますので、設置者が実施可能な範囲でまず自主的に基準を設けていただきまして、例えば、排出施設の新増設時には水銀処理設備の設置をしていただくとか、排出状況の測定、記録、保存をしていただくということでございます。

 それと、先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、これまでのさまざまな公害対策の観点で排ガス処理ということで、我が国の事業者、今回の場合は鉄鋼製造施設を念頭に置いておりますけれども、これにつきましては、これまでもさまざまな取り組みをしてきていただいているところでございます。国際的にも遜色のない、リードするような規制をしてきていただいておりますので、それをしっかりと実施していただくということでございます。

 そういう観点から、設置者に過重な負担がかかるということは想定していないところでございます。

真山委員 ただいま御答弁いただきましたとおり、日本は水銀に関してこれまでも、事業主の方々にとってもこの排出抑制、削減に向けて不断の取り組みをしてきたところでございまして、そういったことが、先ほども申しましたが、この大幅な削減につながっているわけでございます。

 そして、そういった中で、こういった規制がさらに成るわけでございますけれども、そういった場合に、政府側、また実施する事業主体の側にあっても納得と、またしっかり実効性のある展開になるように、ぜひともさらなる検討をお願いしたい、要望させていただきたいと思います。

 それでは、次に、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案について質問をさせていただきます。

 本法律案は、水銀の採掘、製造、使用、貯蔵、管理等について規制するものであり、水俣条約に沿った内容でございます。

 我が国においては、一次採掘は現在行われていないわけでございますし、特に、国際的には課題である小規模金採掘も行われておりません。

 また、今回の法律案によると、特定水銀使用製品、一定以上の水銀を含む蛍光灯、ボタン電池等の製造を原則禁止、さらに、特定水銀使用製品の組み立て製品への組み込みについても禁止する内容となっております。

 そこで、お聞きさせていただきますけれども、水銀使用製品の製造や製造工程における水銀等の使用が規制されることによる、これも事業主への影響について、環境省にお伺いいたします。

北村副大臣 今ほど先生御指摘のとおりであります。

 我が国の産業界は、これまでも水銀使用の代替、低減の努力を続けてきているところであります。

 そのため、水銀使用製品について我が国は他国に比べて先進的な技術を有しておりまして、これに加えて製造事業者へのヒアリング等を行うなど、製品の規制水準を適切に設定しているものと考えております。

 また、我が国においては、本法案の規制対象となる製造工程はいずれも既に水銀等の使用をしないものに代替されております。

 そのため、今般、水俣条約の担保措置として導入する今回の規制については、我が国産業界に新たな過度の負担が生ずるものではない、こういう認識でございます。

真山委員 ありがとうございました。

 続けて、関連してお伺いさせていただきますけれども、これも先ほど来議論がありましたが、新法において、水銀の回収について規定されております。一つ目には、国は市町村に対し必要な技術的助言その他の措置を講じる、二つ目に、市町村は廃水銀使用製品の適正な回収に必要な措置を講じる、三つ目に、事業者は水銀使用の表示等の、消費者による分別排出に資する情報を提供する、このようにございます。

 この水銀含有製品の分別回収を行っている市町村は約七割でございまして、今後、水銀回収を進めるに当たりまして国は技術的助言を行うと規定されるわけでございますけれども、現時点で具体的にどのような検討がなされているのか、また、回収キャンペーンのような取り組みが必要であると思いますが、環境省に見解をお伺いいたします。

鎌形政府参考人 家庭から排出される水銀添加製品の分別回収についてのお尋ねでございます。その拡大を後押ししていくことは非常に重要だというふうに考えてございます。

 環境省といたしましては、市町村がそれぞれの事情や状況も踏まえて水銀添加製品を適正に回収できるように、分別回収に関する先進的な取り組みを事例集にして紹介する、あるいは、水銀が飛散しやすい蛍光管や体温計の回収時における留意点などをガイドラインとして示すということも考えてございます。

 今ほど、回収キャンペーンのような取り組みというような御指摘もございましたけれども、このガイドラインの中には、住民への広報に当たっての留意点、こういったものも示していきたい、こういうふうに考えてございます。

 さらに、水銀体温計などの退蔵品については、集中的に分別回収を促進していくという必要があることから、昨年来、例えば、薬剤師会の協力を得て、薬局に回収ボックスを設置するといったモデル事業を展開してございまして、こういったモデル事業の取り組みを踏まえまして、関係機関の協力も求めて、市町村に対して技術的支援を行い、一緒になって普及啓発にも取り組んでいきたい、こういうふうに考えているところでございます。

真山委員 この件に関しましては、先ほど来議論がございましたので多くは申し上げませんけれども、具体的な取り組みとして、また時間を長くかけてできるものでもないと思っておりますので、ぜひ集中的な取り組みを要望させていただきたいと思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 水俣条約によりまして、特定水銀使用製品は、二〇二〇年以降、製造が禁止されるわけでございますけれども、日本として、条約以上の水銀含有量基準の深掘り、規制時期の前倒しを検討していると聞いておりますけれども、現在の検討状況について、これは経済産業省にお伺いさせていただきます。

谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 特定水銀使用製品の指定に際しましての水銀含有量基準の深掘りや規制時期の前倒しにつきましては、現在、環境省と経済産業省が共同で開催する検討会で事業者の意見聴取を行っております。その結果を踏まえて、中央環境審議会及び産業構造審議会で御議論いただき、この夏までに結論を得たいと考えております。

 すぐれた水銀代替、低減技術を有する我が国といたしましては、世界の水銀対策をリードする観点から、積極的に検討してまいりたいと考えております。

真山委員 ぜひ積極的に議論をしていただいて、世界をリードする取り組み、またその発信を日本としてしていきたい、そのお願いをさせていただきたいと思います。

 そして、水銀の輸出入の規制についてでございますけれども、今回、外為法によって措置されるわけでございますが、輸出相手国において適正に使用がされるかどうかという課題があるのではないかと考えられております。

 今回の本条約の趣旨であり、水俣病のような悲惨を二度と繰り返さないということを考えれば、輸出に際しての使用方法の確認、こういったことも必要ではないかと考えるわけでございますけれども、この点について経済産業省にお伺いいたします。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 水銀に関する水俣条約に基づく水銀の輸出規制につきましては、外国為替及び外国貿易法におきまして、水銀の輸出が条約上許可される使用方法、これは条約上の用語で申し上げますと用途ということでございますけれども、条約上許可される用途で使用されることなどが確認できる例外的な場合に限り、輸出を承認することを予定しております。

 具体的に申し上げますと、外為法に基づき行います事前の輸出審査におきまして、輸出国での水銀の最終用途及び最終需要者などにつき厳格に確認をいたします。それとともに、適宜輸出者から事後報告を求めるなど、適切な対応を行ってまいる所存でございます。

真山委員 ぜひ、本条約また本法律案の趣旨を踏まえて、適切な対応というか厳格な審査に取り組んでいただきたい、このこともお願いさせていただく次第でございます。

 続きまして、貯蔵についてお伺いをさせていただきます。

 本法律案では、水銀等の貯蔵について、貯蔵者に対して定期的な報告を求めると規定されておりますけれども、定期的な報告を求めるとは具体的にどのようなことになるのでしょうか。お伺いさせていただきます。

北島政府参考人 お答えいたします。

 本法律案では、水銀等を貯蔵する事業者等が環境の汚染を防止するためにとるべき措置の指針を国が定めることとしております。

 また、この指針に基づいて水銀等が適切に貯蔵されているかを確認するため、水銀等を貯蔵する者に対しては、事業所管大臣への定期的な報告の義務を課しております。

 事業所管大臣は、水銀等が不適切に貯蔵されている事案を把握した場合など指針に照らして必要な場合には、勧告等の措置を講じることとしております。

 また、その際、環境大臣は事業所管大臣に対して意見を述べることができることとしており、これによりまして、環境保全上適切な水銀等の貯蔵を確保できると考えております。

真山委員 この貯蔵による管理とも関連する話でございますけれども、水俣条約を受けまして、水銀の使用用途が減ることによって、現在の水銀のライフサイクルが変わっていくわけでございます。この水銀について、現在は有価物として扱っているわけでございますけれども、これからは廃棄物としての位置づけになります。

 今後、水銀の中間処理方法及び処分方法についてどのように検討されているのか、環境省にお伺いをさせていただきます。

鎌形政府参考人 御指摘のとおり、水俣条約を受けまして、水銀の需要が今後減少していくということが見込まれている中で、これまで有価物として取り扱われていた金属水銀についても、中長期的には廃棄物として処理されるということが想定されます。

 ですから、これまでは廃棄物処理法の規制対象として想定してこなかったということが廃金属水銀については言えるわけでございますが、これを新たに、私どもといたしましては、特別管理廃棄物として規制対象としていくということでございます。

 そして、具体的な処理方法ということにつきましては、環境上より適正な管理を図っていくために、硫化、固型化ということで安定的なものにして処分するということのための基準を設けて対応していきたいというふうに考えているところでございます。

真山委員 ただいま御答弁いただきましたけれども、この貯蔵にしても、また処分に関しましても、やはり、適正に管理されているのかどうか、そのことが一般国民に対しての安心につながるわけでございまして、その適正な管理、しっかり管理されているということについては、厳格に環境省として取り組みをお願いさせていただく次第でございます。

 さて、時間もなくなってまいりましたけれども、水銀に関連いたしまして、環境省の取り組みについてお伺いをさせていただきます。

 環境省の事業といたしまして、子供の健康と環境に関する調査、エコチル調査が行われております。このエコチル調査は、胎児期から小児期にかけての化学物質が子供の成長、健康に影響を与えているのではないかという仮説のもと、平成二十三年一月より参加者を募集し、スタートをした事業と認識しております。

 この調査項目、さまざまな化学物質が入っているわけでございますけれども、その一つに水銀も含まれております。子供が成長していく過程でさまざまな化学物質に、この水銀を含めて触れることによって、場合によっては取り込むことによってどのような健康に関する影響があるのか、そういったことが調査の目的でございます。

 本調査は、十三年にわたる追跡調査というふうに私、認識しておりますけれども、その結果によって得られる知見は、将来にわたって大きな財産になるのではないかというふうに考えているところでございます。そして、これは日本の国内にとどまらず、やはり世界に対しても、特に新興国に対しても、この化学物質、また今回の条約に限って言えば水銀による環境影響、そういった意味に関しましても重要な財産になると私は認識しております。

 このエコチル調査の実施状況について、環境省にお伺いをさせていただきます。

北島政府参考人 御指摘のエコチル調査は、全国十五地域におきまして十万組の親子を対象とし、生まれたお子さんが十三歳になるまで健康状況を追跡していくことにより、環境中の化学物質と子供の健康の関連について解析を行うものです。

 本調査は、議員からお話がございましたとおり、平成二十三年一月から参加者の募集を開始し、平成二十六年三月末に目標参加登録者数である十万人に達したところでございます。平成三十九年度まで参加者の追跡調査を行うこととしております。

 この調査では、質問票による生活習慣等の調査に加え、母親の血液、尿、子供の臍帯血、尿などの生体試料の採取を行っており、昨年度から、水銀を含む重金属等の化学物質の分析も開始したところです。

 本調査を通じて、水銀等の化学物質やその他の環境要因と、子供の健康や成長との関連を解明してまいりたいと考えております。

真山委員 このエコチル調査は、先ほども申しましたとおり、また答弁もありましたとおり、非常に長期にわたる追跡調査でございますし、また、影響がある、ないということもその結果によってわかることでございまして、なかなか中間報告もしづらい調査でもあるというふうに聞いております。

 しかしながら、その重要性は私は非常に大切なものであるというふうに思っておりますけれども、一方で、この体制及び財源についても継続的に取り組める根拠が必要ではないかというふうに考えております。

 そして、この事業は健康に関することでございますけれども、健康というと厚生労働省が想定されるわけですが、厚生労働省ではなくて環境省がこのエコチル調査を実施しているということに私は非常に大きな意義を感じているわけでございますけれども、本事業、エコチル調査の意義及び今後の展開について、大臣にその御決意をお伺いさせていただきます。

望月国務大臣 このエコチル調査は、まさに妊娠、出産、そして十三歳の誕生日までですから、十三年間と長い年月、それも十万組といいますか、そういう調査でございますので、これはもう本当にさまざまな予算あるいはまた膨大な努力が必要だ、このように思っております。

 私は、今いろいろな資料を見ていて思ったんですけれども、まさにこれは、G8の環境大臣会合において斉藤鉄夫大臣がこの疫学調査に関する国際協力に合意をしていただいた。大変すばらしいことであって、今さらながら、斉藤大臣の貢献といいますか、そしてまた、これは、子供の健康や成長に影響を与える環境要因を明らかにするという意味では、安心、安全な子育てを実現するために極めて重要である。

 それからまた、先ほど先生お話がございましたが、国際的に大きな財産ですし、あるいはまた、世界的には例がないということでございまして、引き続きこのことについては環境省として最大限の努力をしていきたい、このように思います。

真山委員 力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、最後の質問をさせていただきます。

 今回の水俣条約は、水俣病経験国としての教訓を踏まえて、水銀の被害を未然に防止する内容でございます。環境被害に国境はなく、世界全体で、水銀被害はもとより、大気汚染問題、地球温暖化を解決するために国際協力を進めていくのが極めて重要でございますし、一方で、この日本のすぐれた環境技術、こういったことを発信していくのも重要な取り組みと認識しております。

 昨日、安倍総理も御発言なされたようでございますけれども、特に、CO2削減の観点とも関連する話でございますけれども、石炭火力、こういった部分も、この水銀を排出するという観点では非常に大事な技術でございまして、そういった環境技術も含めて、今後の我が国としての環境における協力責務について、最後に大臣の意気込みをお聞きさせていただきます。

望月国務大臣 これは水銀条約の審査でございますので、そういった問題では、アジアが世界の半分の排出でございますので、日本の技術の果たす役割は非常に大きい、このように我々は認識をしております。

 それから、先生御指摘のように、水銀に限らずさまざまな問題がございます。地球温暖化や大気汚染、これは、環境問題はもう今私たちの国だけで努力しても、それだけでは済みません。やはりさまざまな国と努力をしなくてはならない。

 そういう意味では、日本の環境技術は世界最高のものでございまして、我々はそういったものを特にアジアの国々等に提供していかなくてはならない、こんなふうに思っております。

 石炭火力発電所も、これはまさに我が国は最高効率のものを使っておりますし、あるいはまた太陽光発電にいたしましても、JCMといって二国間でそういったものに我々は協力をしていく、ニューヨークでも我々が議長をして、各国の皆さんが集まって、JCMの説明をさせていただきました。

 そういうことを通して、我が国が世界に貢献をしていきたい、このように思っております。

真山委員 以上で終わります。ありがとうございました。

北川委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 十五日にも質問させていただきましたけれども、引き続き質問を続けさせていただきます。

 初めに、参考人質疑で大塚先生が述べられていましたが、水銀条約というのは地球環境条約ということで、世界で水銀の排出が多くなることで極地のアザラシにも水銀がたまる。特に、大気に放出された、排出された水銀は地表に落ちてくるまでの間に移動しますので、日本が出した水銀が日本以外の地域に落ちることもある。また逆に、ほかの国が出した水銀が日本にやってくることもあります。

 過去に日本が排出していた水銀がなくなってしまったわけではなく、世界のどこかに存在しているわけです。地球温暖化問題のように、共通だが差異のある責任で、全ての国が状況に合わせて最大限の努力を払うというスタンスであるべきです。

 大臣、改めて確認したいんですけれども、今回の法案はこうした考えの上で提案されているということでよろしいですね。

望月国務大臣 先生がおっしゃるとおり、我が国としては最大限の措置を講じる、そういうこととしております。

 そういう中で、条約を担保することはもちろんでありますけれども、この世界のどの地域でも、悲惨な公害被害を二度と繰り返さない。これはもう、我が国がそういった経験を通して、一度起きたらそれをもとに戻すことはなかなかできませんので、やはりそういったことを経験している国でございますから、そういった意味で、世界の水銀対策をリードしていく、こういうつもりでございます。

 現在御審議いただいている二法案及び関係法令につきましては、条約の担保に加えて、製造を禁止する水銀使用製品の水銀含有量基準の厳格化、深掘りでございますけれども、あるいは、廃止期限の前倒しもできればどんどんしていきたい。あるいはまた大気中への排出の抑制に関する自主的取り組みなど、より踏み込んだ措置もあわせて講じることとしているわけでございます。

島津委員 その上で、本法案を真に実効性のあるものにするために、国の責任、果たすべき役割は本当に大きいと思います。

 端的にお聞きします。水銀使用製品の代替化、代替製品の促進のためにどうしていくのか、これ以上進めていく、水銀使用の低減化に向けた政府としての取り組みの方針はどうなっているのか、具体的にどのようなことをこれから想定しているのかを教えてください。

谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 我が国では、他国に先駆けて水銀使用製品の代替や低減技術の開発と導入が進められていると認識しております。例えば、蛍光ランプの代替製品として、我が国が高い技術力を有するLED照明、有機EL照明等が普及しつつございます。

 こうした我が国の水銀代替、低減技術が国際市場において競争力を獲得し、世界で導入が進むことは、水俣条約の目的にも資する望ましいことでございます。

 このため、官民密接に連携しつつ、産業界には、引き続き技術革新を進め、地球規模での水銀に依存しない社会づくりに大いに貢献していただきたいと考えております。

島津委員 もう一つは、自治体の役割です。

 これまでの議論もありましたし、私の先日の十五日の質疑でも、乾電池、蛍光管、血圧計、体温計など水銀含有廃棄物の回収、リサイクルについて、全国的には約七割の自治体で、不燃物、危険物としてほかのごみとは区別して分別収集されていることを確認したわけです。

 議論もありましたけれども、では、残りの三割の自治体が水銀含有廃棄物の回収に十分な体制がとれていない状況も残されている。こういう、三割残されているこの要因は何なのか、そして、そのことを国としてはどのように分析しているのか、これをお答えいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 分別回収がなされていない市町村の要因ということでございます。

 これまで、我が国で水銀使用が減少してきた中で、水銀含有製品の廃棄物としての排出も相当程度減少してきておりまして、基本的には、分別のいかんによらず、廃棄物処理法の基準を満たすことにより適正な処理ができているということ、そしてまた、こういった状況のもと、国においても、これまでは水銀添加製品の分別回収について特段の周知をしてこなかったというところがございます。

 こうしたことからばらつきが生じているのではないかというふうに考えておりますが、今後は、水俣条約を踏まえまして、水銀による環境リスクの低減に万全を期していく、こういう観点から、市町村に対して、分別回収の必要性について、例えば先進的な取り組みを紹介するといったような技術的支援を行うなどいたしまして、分別回収の徹底、拡大を後押ししていくこととしてまいりたいと考えております。

島津委員 三割のところでも基準を満たす措置ということなんですけれども、前回の質問でも言いましたけれども、実際には、蛍光管が割られて回収されていくと、大気中に微量であるとはいえ水銀が出るわけです。

 リスクが少ないといいますけれども、御承知のように、水銀は蓄積していくわけです。冒頭言いましたように、他の国にも流れていくわけです。日本ができることを最大限にやるというのが条約の精神であり、今回の法律の精神だと思うんです。

 十五日の質疑の中で、市町村の責務について、市町村ごとの経済的、社会的条件に応じてということについてお聞きしました。しかしながら、政府参考人の答弁は、いずれにしても市町村は、適正に回収する努力をいただくということ、こういうことでした。これでは答弁になっていなかったんですけれども、とにかく努力をせよ、こう言っているにすぎないわけです。

 そこで、改めて聞きます。ここで言っている経済的条件というのはどういう条件と考えているんでしょうか。具体的なことでお答えください。

鎌形政府参考人 法案十七条の「その区域の経済的社会的諸条件に応じて、」の経済的条件についてのお尋ねでございますが、具体的には、経済的諸条件とは、当該市町村の財政状況などを指すものと考えております。

島津委員 同じく、社会的条件とはどのような条件を想定しているんでしょうか。

鎌形政府参考人 法案十七条の社会的条件とは、地理的状況などを指すものと考えております。

島津委員 ですから、私は前回、その条件が整わない場合、とりわけ経済的条件、財政面でできないという場合にはやりたくてもできないという場合がある、そういう場合にはどうしたらいいかという意味で聞いたわけです。

 先ほども確認したように、現状でも三割の自治体が水銀含有廃棄物の回収に十分な対策がとれていない。一応分別回収に取り組んでいる自治体でも、さまざまな課題を抱えています。

 市町村に、分別回収に協力したい、きちんとやっていきたいという気持ちがないわけじゃないんです。私が直接お聞きした自治体でも、担当者の皆さんからは、努力していきたい、とりわけ、今回条約ができ、法律ができるわけですから、そういう気持ちが本当に伝わってきました。しかし、本当にできるのかということを心配しているわけです。

 コストをかければ分別回収は可能かもしれない。しかし問題は、限られた予算の中で、住民への周知徹底、意識づけ、回収ルートの新設、これを行えるのかどうかという不安を抱えているのが実態なんです。条件がどうであれ、いずれにしてもやっていただく、こういうことは条文と矛盾しているんじゃないでしょうか。

 水銀含有廃棄物の回収は、条約に上乗せして環境省が法案に入れた部分です。本気でやる気があるのか。結局、国は、こう決まりました、後はよろしくお願いしますという立場なのか。これで本当にいいんでしょうか。大臣、改めて考えをお聞かせ願いたいと思います。

望月国務大臣 家庭から排出される水銀添加廃製品でございます。前回も委員の方からさまざま御指摘がございました。

 ただ、現在も廃棄物処理法に基づいて環境保全上は適正な処理が行われていると考えておりますが、さらに、水銀による将来の環境リスクの低減に万全を期すべく、分別回収の徹底、拡大を後押ししていく必要がある、これは我々もそんなふうに思っております。

 そのための方策としては、さまざま、経済的、社会的条件とありましたけれども、市町村が財政事情も含めたそれぞれの状況に応じた回収方法を工夫できるように、例えば、パッカー車に専用ボックスを設置して他の分別区分のごみと同時に収集できるとか、あるいは、低コストな取り組み事例を情報発信する、そういうことの助言だとか技術的支援を行ってまいりたい、このように思います。

島津委員 現状でも適切な処理といいますけれども、前回の議論でも、適切な処理というふうに伺いましたら、破損せずに持っていくという答えがあったわけです。ですから、今、適正な処理にはなっていない状況もあるというのは指摘しておきたいと思います。

 将来的には、水銀の使用制限によって価格が下落する、需要がなくなることが予想されています。それに伴って、回収した水銀含有物の処理料金も引き上げられることになるでしょう。国は、水銀条約に上乗せの取り組みとして、水銀使用製品の適正な回収を法案に盛り込んだ。それはもちろん必要なことなんですけれども、自治体だけでできるのかということをきちんと考える必要があります。自治体が水銀の分別回収に税金を使うことへの住民の理解を得る、そのための住民への啓発、住民はどう分別に協力すればいいのかの説明が大事です。

 先日の野村興産の藤原参考人も、半数以上の自治体が自主的に行っている蛍光灯や電池の分別回収においても、なぜ有害ごみとして取り扱わなければならないのかを理解している人は少ない、まずは、この水銀というものを個々人に啓発していくことが非常に重要だ、こう陳述されていました。これは本当に大事な指摘だと思います。

 国民への啓発は、本来国がやるべきことです。先ほども議論がありましたけれども、これから国はどんなことをやろうとしているのでしょうか。

北島政府参考人 お答えいたします。

 国民の皆様には、適切に水銀使用製品を分別廃棄することに取り組んでいただきたいと考えておりまして、これらの取り組みを促すためには、議員御指摘のとおり、普及啓発が大変重要です。

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案におきましては、事業者が製品について水銀等の使用に関する表示を行うなどの消費者への情報提供を行う努力義務を規定しており、国といたしましては、今後、情報提供に関する一定の指針を作成して、事業者に求められる具体的な取り組みの内容を明らかにしてまいります。

 また、本法案に基づく、水銀等による環境の汚染の防止に関する計画におきましては、水銀が使用されている製品に関する情報や、特定水銀使用製品が原則製造禁止となっていることなどを含め、我が国の水銀対策や関連する情報について国民にわかりやすいものとなるようにしたいと考えております。

 さらに、パンフレットの作成やウエブページにおける情報提供も行い、広く国民の皆様への普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

島津委員 国の役割とともに、地方自治体も直接住民には周知徹底していくことが必要なわけですから、具体的には、人とお金、体制、財政面での支援が必要です。このことは、国もこれからぜひ検討していただきたいと思います。

 時間がありませんので、製造事業者の責任と役割についてお聞きします。

 製造事業者の回収への協力は欠かせないと考えます。現在でも、電池や蛍光管の販売店や役場での回収は一定の成果を上げているわけです。この取り組みは強化されるべきで、自治体との連携もより進めていく必要があると思います。

 分別が必要な製品の回収、処理費用は誰が負担するべきなのか。その製品で恩恵を受けた人、製造者、販売者が廃棄に係るコストを一部負担するのは当たり前のように思います。この点、大臣、いかがでしょうか。

谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のように、製品から排出される水銀量を低減するためには、関係事業者、消費者、市町村が、製品の製造の段階から廃棄の段階まで、各段階におきまして、それぞれの役割を果たすことが重要でございます。

 我が国の産業界は、これまで、製品の製造、販売段階では、資金や人材を費やし、他国に先駆けて、水銀使用製品の代替や低減技術の開発と導入を進めてまいっております。例えば、電池の製造における過程では、水銀の使用量は、ピーク時の約百七十トンから、現在、約〇・二八トン、つまり、〇・二%以下に削減しております。

 今後も、さらなる水銀の使用削減や代替製品の開発は、回収や廃棄に係るコストの低減に大いに資するものというふうに考えております。

 また、先生御指摘のように、回収、廃棄段階でも、ボタン電池につきましては、事業者団体の自主的取り組みとして、全国のスーパーやホームセンター、家電量販店などの店頭に、全国で約一万三千のボックスを設置し、回収を行う等の活動をしております。

 経済産業省といたしましては、今回の水俣条約を踏まえた対策等の趣旨を関係する事業者に対し周知し、適切な対応が進められるよう促してまいりたいと存じます。

島津委員 時間がありませんので、ちょっと議論したかったんですけれども、最後に、保管についてお聞きしたいと思います。

 野村興産の藤原さんも参考人質疑でおっしゃっていましたけれども、日本は国土が狭くて、地震や異常気象も多い、欧米と同じような管理方法がとれるわけじゃありません。長期的に水銀を安全に管理し続けるには、やはり国が責任を持ってやる必要があります。

 どこに水銀を処分するかという選定でも、国が責任を持って行うべきです。水銀が漏れたりしない何らかの形で国がきちんと監視をする、このようにした方が、当該地域の住民の皆さんにとっても安心で、スムーズに運ぶと思うんです。

 保管についての国の関与は非常に重要だと思うんですが、この点、大臣、最後にいかがでしょうか。

望月国務大臣 今、漏れたりしないというお話がございましたけれども、アメリカは、容器に入れて、そして地中に埋めるというような形をとっていますけれども、我が国は、硫化により硫化水銀の状態にした上で固型化する、この義務づけを今検討しております。

 ただ、これにつきましては、天然に鉱石として存在する形の形態であって、非常に安定をしているということでありまして、これはまずは排出事業者において適切に管理されることが重要であると思っています。

 ただ、やはり、硫化水銀の長期安定につきましては、国としても継続した調査研究や検証を行うこと、これが大切だと思っておりまして、処理体制及び長期間の監視体制を含めて、全体の仕組みを適切なものとするように検討を深めていきたい、このように思っております。

島津委員 なかなか、議論したいんですけれども、時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

北川委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 きょう最後のバッターで、この後採決という運びになりますが、この間、今週は参考人招致をし、貴重な御意見もいただきながら、与野党の筆頭及び理事の委員の皆様、そして環境委員会委員の皆様の丁寧な審議に対して感謝を申し上げたいと思います。

 さて、この間、各委員から、それぞれの見地によって、今回の水銀による環境の汚染の防止に関する法律案と大気汚染防止法の一部を改正する法律案について審議を進めてまいりました。

 私も、最後に、きょうは水銀による環境の汚染の防止に関する法律案から、その内容について改めて確認をさせていただきたいと思いますが、まず、第三条関連から質問させていただきます。

 水銀等による環境の汚染の防止に関する計画の策定についてお伺いしたいと思います。

 この中で、条約の的確かつ円滑な実施を確保するための重要な事項として述べられておりますが、「主務大臣は、第一項の計画を策定しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、中央環境審議会及び産業構造審議会の意見を聴かなければならない。」ということがあります。

 この計画策定におけるそれぞれの意見聴取について、まず、どのような形で行われ、取りまとめられるものかについてお伺いしたいと思います。

北島政府参考人 中央環境審議会は、環境の保全に関する重要事項を調査審議するという立場で、水銀による環境汚染の防止の確保の観点から計画の内容が十分であるかどうかについて意見を述べていただくことを想定しております。

 また、産業構造審議会は、経済及び産業の発展に関する重要事項を調査審議するという立場で、水銀の採掘から使用、リサイクル等に関する事業に係る事項に関して、水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保する観点から計画の内容が十分であるかどうかについて意見を述べていただくことを想定しています。

 これらの審議会等の意見を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

玉城委員 そのそれぞれの審議会、私が環境省からレクを受けましたときには、常に合同でといいますか、同じような意識を共有しながらさまざまな議論をこれまでも進めてきているというお話を伺っております。

 その意見を聴取してこの汚染防止の計画を策定していくということについては、さらに、その中で厳格に、専門的な見地からそれぞれの意見が述べられるものと思いますが、この法律案での国、市町村、事業者の責務がそれぞれ十六条、十七条、十八条で記されています。

 国の責務、市町村の責務、事業者の責務、まずは、それぞれの内容についてお伺いしたいと思います。

北島政府参考人 本法案の第十六条は、国の責務といたしまして、水銀使用製品を市町村が適正に回収するために必要な技術的助言を行う責務を規定しております。具体的には、市町村に対して、分別回収に関する先進的な取り組みを事例集で紹介することなどを想定しております。

 第十七条は、市町村に対して、その区域の経済的、社会的諸条件に応じて、廃棄された水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講じる責務を規定しております。これは、市町村には一般廃棄物の適正な処理を行う責務があることから、国の技術的助言も踏まえ、それぞれの事情や状況に応じた適切な回収に努めていただくことを想定したものです。

 第十八条でございますが、事業者に対して、製品の適正な分別を確保するため、消費者に対する情報提供の責務を規定しております。これは、適正回収を行うためには消費者がその製品に水銀が使用されていることを把握することが重要であるため、水銀使用に係る製品表示等の情報提供をしていただくことを想定したものです。事業者からの情報提供に関しましても、国において、その対象範囲や消費者にとってわかりやすい表示のあり方も含め、一定の指針を作成し、事業者に求められる具体的な取り組みの内容を明らかにしてまいります。

 以上の措置はいずれも、水銀による環境汚染を防止することを目的としており、相互に関連して適正回収を促進してまいります。

玉城委員 それぞれの責務において適正に回収をする、そして、事業者はさらに、水銀が含まれているということを、消費者が適正に分別して排出、つまり回収できるように努力をしていくということで努力規定が置かれております。

 さて、お二方の参考人の意見の中からも改めて少し確認をさせていただきたいと思いますが、大塚参考人そして藤原参考人、大変貴重な、それぞれの専門的な見地からの意見もお伺いいたしました。

 大塚参考人からは、水俣条約という名を冠した条約の国内法化に恥じないような対応を今法案でも行っていただいているという、それまでかかわってこられた専門的な見地からの御意見を伺っております。

 水銀含有再生資源というのは、条約上は水銀廃棄物に該当するということで、現在は有価での取引が行われているとしても、今後、水銀の市場価値が低落していくことによって、廃棄物処理法上の廃棄物により近づくことが予想される、その場合、廃棄物処理法上の水銀廃棄物に近づけるような、そういう措置をとるべきではないかというふうなことが意見として述べられておりました。

 一方、藤原参考人からは、事業者として主に水銀含有廃棄物の処理を行っているというふうなことから、水銀の特性を利用するための意図的に製品に使用したもの、水銀廃棄物を挙げられております。つまり、取り扱っている輸入、輸出の現状についてお話を語っていただきました。

 年間平均で約五十トンの水銀を販売しており、国内では十トン、海外で四十トンから五十トンということで、水銀の用途としては、水銀スイッチ、圧力計、ポロシメーター、試薬、照明、電池、国内では伝統工芸などに使っているということですが、四十年間、水銀廃棄物の処理をした中でのさまざまな御意見をいただいております。

 その中で、水銀含有資源の循環に関する意見についても話をしていただきました。

 国民の水銀に対する感覚といいますか、水俣病の公害の経験から、そういうある種の水銀に対してのアレルギーというのが強いと感じられるということで、これからは、水銀はダイオキシンやPCBのように分解してなくなるわけではなく、十分な科学データによる検討が必要であり、長期管理体制が必須であると考えているという一方で、他国にはない資源循環システムと考えている、現在の行っている事業所の事業、営業について、資源の乏しい日本では重要な事業であるということで、このような資源循環システムもまたあわせて現段階においては崩れることがないということも述べられておりました。

 この水銀含有資源の循環に対する意見等について、特に藤原参考人の御意見に対して、改めてその所見を伺いたいと思います。

北島政府参考人 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案におきましては、非鉄スラッジのようなリサイクル目的の再生資源を水銀含有再生資源と位置づけ、それらの管理がそれぞれ環境上適正に行われるよう、管理を行う設備や容器などに関して必要な措置を示した指針を定めることとしております。

 また、水銀含有再生資源の管理者に対しましては、この指針に基づいた措置がとられていることを確認するために、事業所管大臣への定期報告を義務づけております。

 このように、水銀含有再生資源を管理する事業者には一定の役割を担っていただく必要はありますが、事業者にとって過度な負担とならないよう、指針を策定する際には、関係法令で既に措置されている対策も踏まえまして、水銀含有再生資源の量や形態に応じて環境上必要な措置を具体化していくこととしております。

玉城委員 ありがとうございます。

 もちろん、これから先、水銀の保管については長期間にわたって必要になるであろうというさまざまな取り組み、そして、それまでに行われる水銀の資源としての循環システムについても的確な、いわゆるこの場合の的確は、過度にならず、しかしてきちんと条約に対応した国の対応というものを常に検討していっていただきたい、そのように、丁寧に、事業者との協力もあわせて進めていただきたいという趣旨での御意見だったかというふうに思います。ありがとうございました。

 さて、それでは、残りの時間を少し、生物多様性に関する質問を一点させていただきたいと思います。

 実は今、その生物多様性の件で、さまざまな専門機関、関係者、学者から意見をいただいておりますのが、名護市辺野古で進められています大規模な埋め立てによる新基地建設についてです。

 実は、この環境をぜひ守っていただきたいということで、二見以北住民の会が国連環境計画アジア太平洋事務所に書簡、手紙を送りまして、そこから返答をいただいてきております。これは、国連の環境計画、それから人権理事会、実務担当特別補佐官宛ての手紙の中で、アジア太平洋事務所から返信をいただいたということなんですが、このニュースが地元でも紹介されておりました。

 新基地建設で影響を受ける名護市汀間区と二見以北住民の会に対し、ジュゴンのような絶滅危惧種の保存がかかった貴重な生態系保護の必要性、重要性は十分に理解しています、皆さんの懸念を日本の環境省と共有したいという、カヴェ・ザヘディ代表のサイン入りで四月二十四日付で届いているそうでございます。

 つまり、生物多様性については、必要な種、あるいは直接関係のない種の多様性こそが、今を生きる生物、つまり私たちの、人間としての環境もそうですが、今から未来に残していく、その保存として大変重要なものであるということで、住民の皆さんは日ごろから大変高い関心を示しているわけでございます。

 まず、大臣にぜひ御感想を伺いたいと思いますが、このように、住民から国連環境計画アジア太平洋事務所への書簡のやりとりについて、忌憚のない御意見をいただければと思います。御感想をお願いいたします。

望月国務大臣 UNEPのアジア太平洋事務所からの住民に対する返信につきましては、そういった報道については私も承知はしておりますが、特に詳しい事実関係あるいはまた経過等については承知をしておりません。

 いずれにせよ、環境省としては、大浦湾、辺野古地区における生物多様性の保全は、これは重要であるということは我々はもちろん認識をしております。

 そして、普天間飛行場代替施設の建設事業の工事の実施ということもございましたけれども、環境配慮につきましては、環境影響評価の結果等も踏まえまして、事業者である防衛省において適切に行われるべきものである、このように認識をしております。

玉城委員 この件に関しては、これまでも、これからも、さらなる質問を重ねていきたいなというふうに思っておりますが、しかし、この手紙を受け取った汀間区の新名区長さんは、いろいろな説明を国に求めても、政府は一切それを行ってくれず、我々は国連に訴えるしかなかった、県内の自治体や団体が、この我々の考え、行動に続いてくれることを期待しているというふうに述べているわけでございます。

 そこで、ぜひ、最後にお伺いいたします。

 環境省、もしこういう住民の対応が直接求められた場合には、例えば今回の埋め立て新基地建設の事業者が、所管が防衛省であろうとも、環境省としては、やはりその求められる協力に対する姿勢を示すべきではないかというふうに思います。最後にその点について質問をさせてください。

塚本政府参考人 国連環境計画アジア太平洋事務所から環境省に対して、今のところ何も御連絡をいただいておりませんので、大変申しわけございませんが、仮定のお話に答えることは難しいと思います。申しわけございません。

玉城委員 温かいはずの環境省が、なぜか冷たい答弁でした。それは笑い話ですが、笑い話にならないように、しっかり守っていただきたい、取り組んでいただきたい。住民の思いは切実ですので、それをしっかりお酌み取りください。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

北川委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北川委員長 この際、両案に対し、田島一成君外二名から、民主党・無所属クラブ、維新の党及び生活の党と山本太郎となかまたちの共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田島一成君。

    ―――――――――――――

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案に対する修正案

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田島(一)委員 ただいま議題となりました両修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案に対する修正案の趣旨について申し上げます。

 今後、水銀の需要が減少することが想定される中で、水銀を適切に保管し、あるいは処分することが一層重要となってくることから、政府は、法施行後五年を目途に、水銀等の貯蔵者や水銀含有再生資源の管理者に対する支援のあり方、水銀使用製品の製造者や輸入者による回収制度の導入、廃棄物としての水銀等の最終的な処分のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずることとしております。

 次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について申し上げます。

 水銀に関する水俣条約の的確な実施を確保するための取り組み以外にも、国内における排出実態を踏まえた規制を考える必要があることから、政府は、法施行後五年を目途に、今回の改正において自主的取り組みを行うこととされている要排出抑制施設に係る規制等のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずることとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

北川委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

北川委員長 これより両案及び両修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、田島一成君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、牧原秀樹君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党、日本共産党及び生活の党と山本太郎となかまたちの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。牧原秀樹君。

牧原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    水銀による環境の汚染の防止に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 水銀等による環境の汚染の防止に関する計画については、関係行政機関の一層の連携のもと、地方公共団体及び関係事業者等の意見を十分反映した上で早期に策定するとともに、水銀等による環境の汚染の防止に関する措置が総合的かつ一体的に推進されるよう十分配慮すること。また、適時適切に計画の見直しを行い、その実効性を中長期的に担保していくこと。

 二 水銀使用製品が廃棄物となった際の適正な回収・処理を確実に行っていくため、国は回収等の枠組みの構築に積極的に関与するとともに、水銀使用製品の製造・輸入者に対し、製品を製造・輸入した責任を踏まえ積極的に回収を促す等の措置を講ずること。また、廃金属水銀等の長期的管理において、国は積極的に関与し、国民の安全と安心を確保していくこと。

 三 水銀による環境の汚染を防止するためには水銀に関する正しい知識が重要であることに鑑み、官民一体となってその知識の普及啓発に取り組むこと。

 四 水銀使用製品が廃棄物となった際の適正な回収を徹底していくため、積極的な広報に努めるとともに、普及啓発を効果的に行っていくこと。その際、財政的支援を含め市町村等の取組を促進するために必要な措置を講ずるよう努めること。

 五 退蔵されている水銀血圧計及び水銀体温計については、将来的な不適正処理のリスクを低減するため短期間に集中的に回収・処分していくことが望ましいことから、市町村及び事業者団体等と連携し効率的に回収等を行うスキームを早期に構築、実施すること。

 六 水俣病の経験と教訓を踏まえ、国際的な水銀対策を牽引すべき我が国は、水銀を多く使用・排出している途上国の水銀に関する水俣条約への参加を促進するため、能力形成及び技術援助等の支援により貢献していくこと。また、我が国の優れた水銀の使用・排出低減技術やリサイクルシステム等の水銀管理技術の海外展開を図っていくための体制を構築し、世界的な水銀使用の低減に寄与していくこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

北川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 次に、内閣提出、大気汚染防止法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、田島一成君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

北川委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、牧原秀樹君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党、日本共産党及び生活の党と山本太郎となかまたちの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田島一成君。

田島(一)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 水銀に関する水俣条約の趣旨を積極的に捉える観点から、要排出抑制施設の設置者の自主的取組のみならず、実効的な水銀等の大気への排出抑制策となるよう、中央環境審議会等の評価を踏まえ必要に応じた措置を随時講ずること。

 二 水銀等の大気への実効的な排出抑制を実現するため、事業活動に伴う水銀等の大気への排出の状況に大幅な変化が見込まれる場合には、臨機応変に排出規制・排出抑制措置が講じられるよう、制度の在り方について検討すること。

 三 国が水銀等の大気中への排出状況を把握することは、水銀に関する水俣条約で規定される目録の作成においても必要不可欠なものであることに鑑み、事業者に水銀等の大気中への排出状況の報告を求めるための実効ある枠組みを構築すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

北川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました両附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。望月環境大臣。

望月国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、環境省として、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

北川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十分散会


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