衆議院

メインへスキップ



第2号 平成28年3月8日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十八年三月八日(火曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 伊藤信太郎君 理事 石川 昭政君

   理事 北川 知克君 理事 助田 重義君

   理事 藤原  崇君 理事 福田 昭夫君

   理事 松田 直久君 理事 江田 康幸君

      青山 周平君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    小倉 將信君

      鬼木  誠君    白石  徹君

      田中 和徳君    高橋ひなこ君

      寺田  稔君    長坂 康正君

      福山  守君    堀井  学君

      前川  恵君    牧原 秀樹君

      吉野 正芳君    田島 一成君

      中島 克仁君    馬淵 澄夫君

      松野 頼久君    真山 祐一君

      塩川 鉄也君    河野 正美君

      小沢 鋭仁君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         丸川 珠代君

   環境副大臣        平口  洋君

   環境副大臣        井上 信治君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           樽見 英樹君

   政府参考人

   (水産庁次長)      長谷 成人君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   森本 英香君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     秋本 真利君

  高橋ひなこ君     長坂 康正君

  菅  直人君     松野 頼久君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     青山 周平君

  長坂 康正君     高橋ひなこ君

  松野 頼久君     菅  直人君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

三月三日

 建設アスベスト問題の早期解決と被害者の救済に関する請願(横路孝弘君紹介)(第五一〇号)

 同(小川淳也君紹介)(第五四六号)

 同(真島省三君紹介)(第五四七号)

 同(吉川元君紹介)(第五六八号)

 同(田嶋要君紹介)(第六〇〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官金子修君、厚生労働省大臣官房審議官樽見英樹君、水産庁次長長谷成人君、環境省大臣官房長森本英香君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局長三好信俊君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省地球環境局長梶原成元君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、環境省自然環境局長奥主喜美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 おはようございます。民主党の福田昭夫でございます。

 本日は大臣所信に対する質疑の時間でありますけれども、大臣が今回の原発事故に対してどういう認識を持っているのか、そんなことを含めて、きょうは、丸川大臣の福島と原発事故被災地への対応についてを中心として質問をしてまいりたいと思いますので、ぜひ簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 予定した質問に入る前に、先日の問題について鬼木政務官にお伺いをいたします。

 先週、塩谷町への全戸訪問は中止にしたのかどうなのか、改めて確認をしたいと思います。

鬼木大臣政務官 塩谷町への全戸訪問への御質問でございますが、指定廃棄物の処理や詳細調査の実施に関して、地元の御意見や御質問を直接お聞きすることは重要と考えております。

 先日、私は中断と申し上げまして、一時途絶えるという意味でございますが、一旦取りやめる旨を申し上げたところでございます。

福田(昭)委員 非常に言葉にはいろいろあやがありまして、一旦中断ということは、またやるということなのかどうか、確認をしたいと思います。

鬼木大臣政務官 それも含めて、地元関係者の皆様と御協議をさせていただきたいと思っております。

福田(昭)委員 それはだめだね。はっきり、中止すると言ってください。

鬼木大臣政務官 冒頭申し上げましたとおり、指定廃棄物の処理や詳細実施に関して、地元の御意見、御質問を直接お聞きすることは重要だと考えておりますし、この廃棄物の問題は答えを出すことが必要でございますので、あらゆる可能性を検討するということで、しっかりと地元の皆様の御意見を聞きながら検討いたしたいと思います。

福田(昭)委員 では、政務官じゃだめだ。

 大臣、塩谷町が候補地を返上したことは御存じですか。

丸川国務大臣 報道等でそのように、まず返上という言葉でおっしゃっているというふうには確認をしておりますし、井上副大臣に対してもそのような御発言があったやに聞いておりますけれども、そもそも、候補地ではありますけれども、これは詳細調査をやってみないと真に候補地たるのかどうかということも含めてまだわかりませんので、返上ということは我々にとってはそもそも理解がしがたいという認識でございます。

福田(昭)委員 大臣、あなた宛てに塩谷町の町長から詳細候補地を返上しますという文書が行っているんですよ。見ていないんですか。どうなんですか。

丸川国務大臣 それも含めて、総合的に話を聞き、また見ておるわけでございますが、いずれにしても、そもそも決定したわけではないので、それに返上というのは、私どもはちょっと理解が難しいということを申し上げております。

福田(昭)委員 候補地としては決めたんでしょう。決めていないんですか。決めていないの。

丸川国務大臣 詳細調査の候補地ではありますが、処分場となることの候補地かと言われると、これは詳細調査をしてみないと確定的には申し上げられないんだというふうに理解をしております。

福田(昭)委員 大臣、塩谷町は詳細候補地を返上したんでしょう。その文書は井上副大臣に直接渡しているわけ、町長が。井上副大臣といろいろすったもんだあったけれども、私もそれに立ち会ったわけ、去年。詳細候補地を返上したわけ。そういう認識はないんですか。

井上副大臣 福田先生よく御承知のように、この返上につきましては、我々の方としては、塩谷町に対して、受け入れていただいていない以上、返上するというのは理解しがたいというようなことを言っております。

 そういう意味では、詳細調査の候補地としても、我々は決定はいたしましたけれども、それを塩谷町に受け入れていただいていないので、返上というのは論理的におかしいのではないか、そういうことでございます。

福田(昭)委員 それじゃ、これ以上これから詳細候補地として相手に交渉することはやめてください。まだ決めていないんじゃ返上がおかしいと言うんじゃ、要するに、じゃあ、もう塩谷町を相手として説得するなんということはやめてください。大臣、どうですか。

丸川国務大臣 詳細候補地の選定の手法について、まずこれは、栃木県知事のほか、県内全ての市町村が参加する市町村長会議において数次にわたって議論を重ねた上で確定した、その手法に基づいて選定をされたものと理解をしておりますので、私どもとしては、引き続き、まず調査をさせていただいて、本当に適地なのかどうかということを調べさせていただきたいというお願いを続けさせていただきます。

福田(昭)委員 市町村長会議で決めた手順の中には、洪水地域は除くと書いてあるんですよ。先日、環境省が、昨年の台風十八号での豪雨災害のときに現地を確認して、候補地が一部侵食され、しかも冠水をしていたということもはっきり認めているんですよ。ですから、もともと選定手順の中にも洪水地域は除くと書いてある。

 ただし、あそこは国も県も管理していない普通河川ですから、記録は残っていないんです。しかも、河川のすぐ隣接地だから当然除くべき場所なんだけれども、選定手順の中に、なぜか河川との距離というのが今度なくなっちゃっていたの。当初は、河川との距離というのも点数として評価することになっていたの。でも、その次に決めた選定手順には、河川との距離がなくなっちゃっていたんですよ。それで塩谷町の上寺島が選ばれたんですよ。

 こんなでたらめな評価の方法をして選んだ場所、河川の隣ですよ、川のすぐ隣接ですよ、そんなところが適地であるはずがない。しかも、水源地ですよ。そんなところを選んでおいて、洪水ですぐそこが冠水をして、一部冠水したことを環境省も認めておきながら、県の選定手順では洪水地域は除くと書いてある。

 既に国や県に記録が残っていた地域は除いたんですよ。でも、そこは記録が残っていないんですよ、国も県も管理していないから。河川には、一級河川、二級河川、準用河川、普通河川とありますけれども、これは普通河川ですからね。どこも管理していないからないんですよ、記録が。

 いいですか。ですから、そういう場所を選んでしまったという環境省の不徳をおわびして、白紙に戻すべきです。どうですか、大臣。

丸川国務大臣 選定手法では、まず、既存の地図情報等を用いて詳細調査の候補地の絞り込みを行いました。

 御指摘の件については、まさに、地図情報に残っていない、もしくは記録がないことについて、実際に現地を調査させていただくことによって適地かどうかを判断させていただくのがふさわしいと考えております。

福田(昭)委員 そんなもの、現地なんか確認しなくたって地図情報でわかるでしょう。

 宮城県の場合なんかもそうだけれども、宮城県も、環境省が選んだ地質の先生と加美町が選んだ地質の先生で議論しました。そうしたら、加美町が選んだ地質の先生は何と言ったか。こんなものは現地調査しなくたって判断できる、今までの文献調査で十分不適地だというのはわかると。それは塩谷町も一緒です。地図を見ただけで地質の専門学者にわかっちゃう。地図の等高線がまず乱れている。地すべりや地崩れがあったところだ。だから、今までの文献調査を見れば、それだけで候補地が適地か適地じゃないかすぐ判断できるというのが地質専門学者の考えですよ。

 そんなことも考えずに、環境省はただ早くできればいいということで、ただ早くつくるためには国有地が一番、用地買収の苦労が要りませんからね。そういうことで山をみんな選んできたんでしょう、宮城県にしても栃木県にしても。

 私が一生懸命、東京電力の第一原発の未利用地があるから、百町歩あるから、そこへ持っていけと言っていたものですから、千葉市の場合は、海辺の東京電力の火力発電所の空き地に今度は候補地を選んだと。

 三県とも全部だめじゃないですか。宮城県は、三市町とも候補地を返上すると市町村長会議で宣言しているでしょう。いずれ、そのうち市町村長会議で宮城県は決めるのかもしれませんけれども。栃木県も、塩谷町が候補地返上だと。千葉市は、全く詳細調査を受け入れず。三県とも、候補地を選んだところ、どこも進んでいないじゃないですか。

 だから、選び方がまず間違っているんだ、基本的に。そもそも選定手順が。

 宮城県の場合は、津波があったために、津波が来た市町村は除くということになったから、もう自然と山側になったの、これは。しかも、山は水源地ばかりで、しかも本当に、加美町のあそこなんかは、宮城県の水道水源地として条例で指定されてある場所ですよ、基本的に。

 だから、みんな不適地ばかり選んだ。それは、いち早くつくろうという思いはわかるけれども、しかし、そのために候補地選びを間違っちゃっている。だから全然進まないというのが、この指定廃棄物の候補地選び。大臣、そういうふうに認識していますか。

丸川国務大臣 選定手法について、市町村長会議での議論が全て否定されるということは私どもは考えておりませんで、これは県も入っていただいて、全市町村長が入った中でどのようにして選ぶかということを決めさせていただいたわけでございます。

 加えて、詳細調査というのはあくまで文献にない情報を確認させていただくわけでございまして、それはそれぞれの県において状況が異なるものという認識でございますので、いずれにせよ、現地における詳細調査は必要だと考えております。

福田(昭)委員 それは、大臣、文献調査でわかっちゃうものを、だめだとわかるものを、何でさらに現地に行くんですか。いいですか。文献調査で不適地だとわかっちゃうんですよ、地質の専門学者に見せれば。それを何で、文献調査でだめだとわかるものをさらに詳細調査に行く必要があるんですか。どうなんですか。

丸川国務大臣 文献調査だけではわからない情報を得るために詳細調査を行います。

福田(昭)委員 どうしようもない大臣だね、これは。文献調査でこれは不適地だとわかっちゃうんだよ。だから、そこを候補地と選ぶこと自体が間違っているんだ、基本的に。大体、大臣の認識というのはおかしいね。大臣やめた方がいいかもしれないね、本当に。

 まあ、この問題をやっていてもしようがないので、とにかく、塩谷町にこれから行くということはもうよしてください。わずか人口一万二千人、世帯にして四千世帯。小さいところだから攻めちゃうべなんという考えはよした方がいい。もしやるんだったら、千葉市をやってみろ。百万都市をやってみろ。それだけのエネルギーがあるんだからやってみろ。

 大体、小さい町だからといって、そんなことをやっちゃだめ。まさに安倍政権そのものじゃないか、強権的な。沖縄はどうしたの、沖縄。こんなことをやっちゃだめだよ。幾ら小さい町だからといったって、こんな強権的にやっちゃいけないよ。皆さんが選んだ方が間違っているんだから。

 栃木県が選んだ選んだと言っているけれども、栃木県じゃ選んでいないでしょう。選んだのは環境省でしょう。どうなんですか。

丸川国務大臣 選定手法において御議論いただきまして、最終的に決定したのは環境省でございます。

福田(昭)委員 それで、栃木県の選定手順を読むと、民主党政権時代はいきなりここが候補地だと突然副大臣がやってきて言ったから混乱したということで、栃木県の選定手順では、候補地をある程度決めたらまず当該自治体に相談、意見を聞いてから決めると書いてあるんだけれども、塩谷町に聞いていなかったじゃないですか。どうですか。

丸川国務大臣 調査候補地の絞り込みにおいては、県が入っていただいて、市町村長会議でも御議論いただいた選定手法に基づいて決めさせていただいたものでございますが、あくまでこれは詳細調査の候補地でございまして、まず詳細調査をやらせていただいて本当に適地かどうかというのを確認させていただけないと、実際そこに建設できるかどうかもわからないというのが本当のところだと私は理解をしております。

福田(昭)委員 大臣、いいですか。民主党政権時代の、突然通告したのが間違いだということで、栃木県の選定手順には、一応候補地が挙がったら当該自治体の意見を聴取した上で発表すると書いてあるんですよ。でも、今回、自民党政権でも全く同じだった。塩谷町の意見は聞かないうちに発表しちゃった、突然訪問した。手順にのっとっていないじゃないですか。どうなんですか。

丸川国務大臣 最終的に決定する際には当然御同意が必要かと思いますけれども、調査においては、単なる調査でございますので、必ず調査をやったからその土地に決まるということではないという認識でございます。

福田(昭)委員 調査をやったから必ず決まるという話じゃないと。では、調査をやっても、塩谷町が絶対だめだと言ったらやらないんですか。

丸川国務大臣 仮定の話でございますので、まず調査をやらせていただいてから、しっかりと専門家の、有識者の会議の評価を経まして、最終的な決定に至らせていただきたいと存じます。

福田(昭)委員 そういうふうに逃げるから、宮城県でも詳細調査は絶対だめということで実力阻止されたんじゃないですか。塩谷町も同じように実力で阻止されたんじゃないですか。絶対詳細調査に入れないというのが、宮城県もそうだったし、塩谷町もそうですよ。そういうふうに逃げるからだめなんだ。

 地元自治体がだめだと言ったらやりませんと言わなくちゃ、入らせませんよ、詳細調査。どうなんですか。

丸川国務大臣 いずれにせよ、まず適地かどうかというのを調べるということが、そもそも適地かどうかもわからないのに御相談申し上げるというのも変な話でございますので、実際にボーリング調査等をやらせていただいて、地盤の下も含めて大丈夫かどうかということを確認させていただきたいと思っております。

福田(昭)委員 大臣、先ほどから言っているように、文献調査で不適地だとわかっちゃう。それをわざわざお金をかけてボーリング調査とかそんなことをやる必要は全くない。だから、今回塩谷町に入るということになれば、塩谷町の皆さんが多分、全戸で反対運動をさらに強力に展開するということになると思います。

 この問題をやっていると肝心な問題に行けないのでこの程度にしておきますが、絶対、鬼木政務官、そういう中途半端な言葉を使っちゃだめですよ。しっかり、やめるとやはり断言しないとね。延期ですなんという、そんなことを言ったんじゃだめですよ。

 それでは、時間がかなり過ぎちゃったので、予定された質問がなかなかできなくなっちゃいましたけれども、まず一番目の、放射性物質の飛散状況及び被害状況について、一点だけ大臣に御質問いたします。

 五つ目でありますけれども、過日、長野県松本市の講演で細野元環境大臣を誹謗中傷されましたが、どの部分を取り消して謝罪したのですか。また、どうして予算委員会ではなく記者会見で取り消したのですか。誰に謝罪したのですか。

丸川国務大臣 済みません、一点だけ、さっきの話に戻らせていただいて恐縮なんですけれども、今回の豪雨の影響も含めて調査が必要だというふうに思っておりまして、残念ながら今回の豪雨の影響は文献調査ではわかりませんので、それもあわせてぜひ現地の調査をさせていただきたいと思っております。済みません。

 それから、先ごろの私の発言でございますが、当時環境大臣でいらっしゃった細野議員に対しては、二月十日の予算委員会で、大変な御苦労をされてさまざまな基準等をお決めになられてきたということを、私もこの件については敬意を表しておりまして、決してその当時の細野大臣の御努力を否定するものではないということは、改めて御本人に委員会の場でお伝えをさせていただいたところでございます。

 そして、私の発言についてでございますけれども、二月七日の講演のうち、福島に関する部分については全て撤回をさせていただきました。私が謝罪をしたのは、福島を初めとする被災者の皆様でございます。

 そして、なぜ予算委員会でなく記者会見で取り消したのかということでございますが、済みません、私、あのとき一人で出張しておりまして、ずっと一人で会社員のときから出張する習慣があったものですから、議員になっても一人で出張しておりまして、記録をとってございませんでした。ですので、何とか記録が手に入らないかということで、いろいろ探させていただいておりましたけれども、ようやく報道関係者が持っていらっしゃるメモが、これは講演の一部分だけが書いてありましたけれども、このメモが手に入りましたので……(福田(昭)委員「だから、いいから。どこを取り消したんだか言えばいいの」と呼ぶ)ええ、福島に関する部分です。御質問に答えておりまして、なぜ予算委員会ではなく記者会見で取り消したのかという件を今説明しているんですけれども。

 それで、そのメモが入ったので、その講演の場におられた方に、そのメモを基準に、こういうことを言っておりましたでしょうかということで、何人か、その会を主催されていた方を通じて確認をしていただいて、その結果、その内容がほぼほぼそういう発言であったということが確認をとれましたので、それがわかった日に直ちに記者会見をさせていただいて、皆様に撤回と謝罪をお伝えしたわけでございます。

 ですので、即やったという意味で、予算委員会ではなく、わかった当日ということになりました。

 いずれにしても、発言は、福島に関する発言を撤回させていただきました。

福田(昭)委員 細野大臣を誹謗中傷した件は撤回していないんですね。何の理由もなく一ミリシーベルト以下と細野大臣が言った、決めた、そういうふうに発言していますが、そこに対して全くおわびしていないんですか。

丸川国務大臣 私の発言の趣旨というのは、面的除染を五ミリシーベルトのところまでやりましょうという専門家の提案があったところ、これを取り下げて一ミリシーベルトの範囲までやると決めましたというときに、細野大臣がお決めになったということを申し上げたわけでありまして、かつ、専門家の議論の場ではこの取り下げについての具体的な数字の議論がなかったということを御指摘申し上げました。

 細野大臣に対しては、私の発言の趣旨は、決して当時の細野大臣の御努力、これはもう委員もよく御承知だと思いますけれども、ICRPの参考レベル、バンドというのはあくまで放射線防護上の目安であって、その中から下方をとるという、ある意味政治的判断あるいは政策的判断をしなければならない中で大変御苦労されたということについては、その努力を否定するものではないということを細野議員にもお伝えをさせていただいたところでございます。

福田(昭)委員 きちっとやはり記者会見なり予算委員会の中で細野大臣にも謝罪すべきですよ。

 大臣、今、国が避難指示解除基準を年二十ミリシーベルト以下に下げたことによって、南相馬市の市民がそれは違法だということで訴訟を起こしているということもあります。またさらに、復興庁の有識者検討会で座長を務めている大西隆日本学術会議会長が、年一ミリシーベルトが望ましいと言っているわけでありますので、そうした政府の有識者会議の座長まで年一ミリシーベルト以下にすることが望ましい、こういうふうに発言をしておりますから、ぜひ大臣もしっかり認識を改めてやっていただきたいと思います。

 残念ながら時間がなくなっちゃうので次の方へ行きますけれども、福島と周辺五県の原発被災地の再生についてであります。

 大臣、一つ目でありますが、被災地の再生の前提条件は何だと思いますか。これは大臣の認識を、復興大臣じゃなくて環境大臣としての認識をお伺いします。

丸川国務大臣 一点申し上げておきますと、細野大臣のもとで行われておりました低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループにおきましては、除染に対しての五つの提言という中で、「除染の実施に当たっては適切な優先順位をつけ、参考レベルとして、例えばまずは二年後に年間十ミリシーベルトまで、その目標が達成されたのち、次の段階として年間五ミリシーベルトまでというように、漸進的に設定して行うこと。」という提言がありまして、たびたび細野大臣も国会の答弁等でこの点についてお触れになっているということは御承知かと思いますので、一応御案内をさせていただきます。

 被災地の再生の前提条件ということでございますが、三月十一日で東日本大震災から丸五年が経過をいたします。平成二十八年度以降は復興・創生期間ということで、被災地の復興、そして自立につながっていくように我々は最優先課題として取り組んでいくわけでございますが、とりわけ福島においては、やはり除染を平成二十九年三月末までにしっかりと完了させるよう、ことし、一生懸命そちらに向かって努力をしていくということ。

 また、中間貯蔵施設の整備の加速化、そして指定廃棄物の処理といった課題に懸命に取り組んでまいりますけれども、その際に、やはり被災地の皆様の思いに寄り添っていくということが重要と思っておりまして、この中間貯蔵施設の事業等に関しましても、地元の区長さん、また住民の皆様方のふるさとに対する思い、御先祖様に対する思いということにも寄り添って、今、丁寧に交渉を進めさせていただいているところでございます。

福田(昭)委員 時間がなくなってきたのでここでは議論いたしませんけれども、原発の周辺の四町で一番復興のまちづくりが計画が立って進み出しているところが浪江町です。

 浪江町の復興のまちづくりに当たっての前提というのが三点あります。

 一つは、今大臣も言いましたけれども、除染による放射線量の低下や放射線管理、食品安全管理、健康管理、情報連絡体制の整備などにより、放射線に対して安心して生活できる環境がつくられること。二つ目、生活再建に向けた賠償の問題が解決していること。三点目、福島第一原発事故の収束及び廃炉作業に当たり、詳細な放射線モニタリングとその結果の公表、作業リスクを事前に知らせたりするなど、作業状況と緊急時の情報連絡体制及び避難体制が確立されていること。浪江町がこういうふうに前提を挙げております。

 こうしたことがしっかりできていかないと福島の復興にはつながらないという話でありますが、そこで二点目ですけれども、福島の帰還困難区域の除染について、今までは、平成二十五年度、二十六年度のモデル除染事業をやった結果を見てどうするか決めると言っておりましたけれども、その後、判断がなされておりません。

 この帰還困難区域の除染を今後どうするのか、環境省としてどう考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

丸川国務大臣 除染を含めた帰還困難区域の取り扱いにつきましては、具体的な政府方針の早急な策定を求める地元の声を強く受けとめているところでございまして、今後政府全体としてできるだけ早く対処すべき大きな課題であるという認識をしております。

 五日の土曜日に、総理から、その前日に与党から、地域の持続的な道筋を国が中長期的な視点に立って責任を持って夏ごろまでに示していくことが望ましいという提言をいただいておりまして、これについて、政府として検討していくという旨の御発言がございました。

 ですので、環境省としても、その検討の中で積極的に役割を果たしていきたいと考えております。

福田(昭)委員 では、この夏ごろまでに帰還困難区域の除染をどうするかを政府として決める、こういう話ですね。環境省の果たす役割は大きいと思います。

 それではその次、三つ目でありますが、福島の被災地の帰還困難区域と住民の意向調査についてであります。

 資料の二をごらんください。これは、復興庁と環境省の資料をもとに私の事務所で合成した資料でございます。

 大熊町、双葉町、富岡町、浪江町、上の四町をちょっとごらんいただきたいと思います。

 これを見ると一目瞭然なんですけれども、大熊町と双葉町は、事故当時、全人口の九六%が帰還困難区域に住んでおりました。地図とよく見比べながら、ピンクのところが帰還困難区域ですから、見ていただきたいと思いますが、第一原発の周辺の大熊と双葉、これは九六%が帰還困難区域に住んでいました。したがって、当然のことながらアンケートに答える人も少ない。大熊町は回収率五〇%、双葉町は四九・五%。戻りたいという人も、わずか一一・四%と一三・三%。人数にすると六百十四人、四百十二人。判断がつかない人が一七・三%で九百三十二人、二〇・七%で六百四十二人。戻らないともう決めている人が、大熊町は六三・五%、人数にして三千四百二十二人、双葉町は五五%、千七百六人。

 まさに、帰還困難区域に住んでいた人たちが多い町ほど、戻らないと決断した人が五割、六割になっているわけです。居住制限区域や避難指示解除準備区域、除染が可能だと言われている区域に住んでいる町の、浪江、富岡の戻る人の割合が多い。これはそういう資料になっています。

 町の計画そのものも、浪江町が、戻りたいという人が二千八人ですけれども、浪江町の復興計画は、二千五百世帯五千人を想定して復興の拠点を整備しようという計画を立てて、今取り組みを始めたところです。富岡町は、平成二十九年の帰還開始を目指して、平成二十七から二十九の三年間で復興拠点を整備しようとしております。

 双葉町は、残念ながら、具体的な計画を立ててもすぐに始められないので、ステップワンからステップスリー、三段階で復興拠点を長期的に整備しようとしています。大熊町は、平成三十年度を目標に復興拠点を整備しようとしておりますが、帰還困難区域が多くて、復興拠点を整備するというのはなかなか容易ではない。仮に復興拠点を整備できたとしても、戻ってくるという人が一割、回収率を含めると五、六%かもしれません。これだけの人しか戻ってこないとしたら、町の復興というのは本当にできるんでしょうか。町の復興にならないんじゃないでしょうか。

 ですから、政府が一日も早く、帰還困難区域の除染はするとかしないとか、あるいは放射線量は年間一ミリシーベルト以下にするまでは帰還宣言しないとか。二十ミリシーベルト以下で帰還宣言した楢葉町、戻ってきた人はたった六%だそうです、今のところ。もう少し時間の推移を見なくちゃならないとは思いますけれども。富岡町などは、帰還困難区域に住んでいた人は二九・四五%です。しかし、戻らないという人が既に五〇%を超えています。ですから、富岡町としては、きっと、再生の計画をやりたいと思っても、半分戻ってこないかもしれない。あるいは、それ以上戻ってこないかもしれない。

 こういう状況の中で、政府が帰還困難区域を除染するかしないかを決めるということは、特に、判断がつかない人、この人に対しての決断を促すことになるかと思いますし、戻りたい人も戻らないということになるかもしれない。これは、実は福島の再生にとって大事な大事な判断なんですよ。

 もう震災から間もなく五年、特措法ができてから四年、こういうことを考えると、福島の人たちが、一日も早く決断をして、第二の人生をどこで送るのか、次の仕事を、どういう仕事を持って、仕事に取り組むのか、そういうことをやはり決断していただく、そういうことを政府がやる必要があると私は思っているんですが、復興から五年ということで、いよいよこの夏までには決断するということになったので、それはよかったなと思っています。

 私が避難住宅に住んでいる人にお伺いしますと、これは大熊町の方でしたけれども、会津若松で避難住宅に住んでいる人たちのお話を聞くと、三年が限度だと言っていました。もう五年たちました。それで、一緒に避難している人たちは八十代以上の人が多いから、政府が決めないうちに残念ながら亡くなっちゃうという人がどんどん出てきちゃうよと。私は何度も話をしてきました、環境委員会でも復興委員会でも、ぜひ政府が一日も早く決断すべきだと。

 しかも、福島の問題も、それから指定廃棄物の問題も、民主党政権が決めたんじゃないか、こういう話が出ました。しかし、最近は環境省からはそういう話が出なくなりました。それは私が言いましたからね。確かに民主党政権下で決めた話でありますけれども、政権がかわったんだから改めろと。安倍政権は、民主党が決めたことをことごとく覆したじゃないですか。子ども手当も覆した。農家の戸別所得補償政策も覆した。ことごとく覆しているじゃないですか。

 だから、この問題もしっかり覆して、一点覆してよかったなと思っているのは、全員帰還を諦めて、住民の方々に選択をしてもらうことにした。帰還したい人は帰還する。ほかのところで住みたい人は住みたい。これを変えたのはよかったと思いますが、そのことも、私も地元の富岡町の人に聞いて、この委員会なり復興委員会でそういう提言もしてきました。自民党と公明党から提言書が出て、政府がそういうふうに改めました。私も主張していたわけですけれども。

 まさにこういうふうに、この大熊、双葉、富岡、浪江、四町の皆さんと膝を交えてきちっと意見交換をして、公式の場じゃなくて、しっかり意見交換をして、どうしたらいいんだということを判断しないとだめだと思いますよ。

 私は実は、この四町の町長とは、二年連続、一時間以上議論しています。矢板の塩田が候補地になったときに、私が福島の第一原発の空き地へ持っていけと言ったことを知っていて、私とちゃんと意見交換しました。一時間以上議論しました。私は、仮設の役場まで行って、そこで町長さんたちと話をしてきた。

 そうした中で私があれっと思ったのは、臨席していた総務課長が、私の場所は第一原発から三キロです、絶対帰ります、こう言っていた。ところが、今私のところへ入ってきた情報では、今あるところに調べてもらっていますけれども、今復興の拠点づくりを始めたら、この大熊、双葉、富岡、浪江では、町役場の若い職員が退職する、そういう職員が出てきたというんですよ。

 震災から、原発事故から対処するために一生懸命頑張ってきた若い職員がやめる。復興の拠点をつくって、役場がそこへ戻るとなったら、嫌だよ、自分たちの子供たちはどうなるのということで、やめたい、やめるという職員が出だしてきたというんですよ。これは尋常なことじゃないですよ。

 そうしたことを、皆さん、しっかり四町の皆さんとも議論をしながらこの問題の解決に当たっていかなくちゃならないと思うんです。もちろん、環境省だけじゃなくて復興庁も含めて、当然やっていかなくちゃならない話だと思います。

 きょうは時間がなくなりましたのでやめますけれども、まだ、特措法の進捗、施行状況の見直しも、平成二十八年度、改めて検討会を設けてやるということになっていますし、また、指定廃棄物の放射線量もだんだん減衰していくということを何か環境省でも調べたようでありますから、そうしたことも含めて、特措法と基本方針をしっかり見直して、本当にどういう方法なら解決ができるんだということをやはりしっかり検討していかなくちゃならないんじゃないかなと思っております。

 環境委員会として福島の視察をお願いしておりますけれども、福島の視察を我々もして、しっかり福島の皆さんの考えも聞いた上で、福島の知事じゃなくて、四つの町の町長や町議会の皆さんとやはりしっかり意見交換をして、この問題をどう解決していくかということをやっていく必要があるということを提案して、私の質問を終わります。

 以上です。

赤澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。おはようございます。

 きょうは、石炭火力発電の問題について質問をいたします。

 この間、石炭火力発電所の新設が相次いでおります。石炭火力発電所は、最新鋭の発電所でも、天然ガスを燃料にしたLNG火力に比べて約二倍近い温室効果ガスを排出するとされております。新規に建設されれば、何十年にもわたってCO2を排出し続けることになり、パリ協定で合意をした地球温暖化対策にも逆行するのではないかという批判の声が上がっております。

 最初に環境省にお尋ねしますけれども、二月九日の環境大臣と経産大臣の合意、電気事業分野における地球温暖化対策について、この内容について簡単に紹介をしてもらえますか。

梶原政府参考人 電力分野におきます実効ある地球温暖化対策について、丸川環境大臣から、林経済産業大臣と御相談された結果につきまして、二月九日に公表されたところでございます。

 中身につきましては、大きく四点ほどあるのではないかなと思っております。

 まず第一点目は、電力業界の自主的な枠組みが発表されております。これにつきましては、引き続き実効性、透明性の向上等を促していくということでございます。

 そして第二点目。加えて、政策的な対応といたしまして、これまで両省間で検討してまいったわけでございますけれども、経済産業省が、省エネ法に基づきまして、火力発電所について、エネルギーミックスと整合的な運転時の発電効率のベンチマーク指標等を設定する。そして、加えて、エネルギー供給構造高度化法に基づきまして、非化石電源の割合につきまして、エネルギーミックスと整合的な数値を設定する。そして、これらを指導、助言、勧告、命令を含め適切に運用すること、これにより、エネルギーミックス達成に向け責任を持って取り組んでいただくということとしておるところでございます。そして、こういったような取り組みによりまして、電力業界の取り組みの実効性を確保するということでございます。

 また、三点目でございますけれども、こういったような取り組みが継続的に実効を上げていくかどうか、毎年度、進捗状況をレビューいたしまして、目標の達成ができないと判断される場合には、施策の見直し等について検討するということとしております。

 こういった全体を含めまして、最後でございますけれども、二〇三〇年の二六%削減を達成するように取り組んでいくということでございます。

塩川委員 電力業界としての自主的な枠組みがあり、経産省を含めた政策的な対応を行って、その上で環境省としてもしっかりとこの問題についてチェックも行って、場合によっては必要な対策もとるという話であります。ベースになるのは、やはり電力業界の自主的な枠組みであるわけです。

 そこで、お尋ねしますが、電事連を中心とした電力業界は、低炭素化社会実行計画の目標達成を進めるとしておりますが、そのために電気事業低炭素化社会協議会を設立したと聞いております。

 環境省にお尋ねしますが、このスキームにおいて、協議会の会員事業者ごとの取り組み計画というのは公表されるんでしょうか。

梶原政府参考人 御存じのとおり、協議会におきましては、各社ごとの対応計画について出されて、中で御審議をされるというふうに聞いております。

 そして、取り組みにつきましては、全体としての取り組みの評価が公表されるものだと考えてございます。

塩川委員 各社ごとの計画は協議会の中で審議ということで、出てくるのは丸めたものというお話であります。事業者ごとの責任ある分担がどうなのか、不透明、不明確ではないのかということを指摘せざるを得ません。

 また、今、電力自由化が始まっている、そういう競争のもとで、個社ごとのそういった取り組みというものをどのように達成するのか、そういう見通しというのはあるんでしょうか。

梶原政府参考人 個社ごとの取り組みでございますけれども、協議会の中におきましては、会員企業から個社ごとの取り組み計画を提出され、そしてそれぞれが実施されていくわけでございますけれども、それぞれの実施状況につきましては、チェックを行い、そしてその見直しも含めてなされるというふうに考えております。

 また、省エネ法の規制、そしてエネルギー供給構造高度化法の規制につきましては、それぞれの発電事業者あるいは小売事業者にかかります。そういう意味におきまして、そういう指導もしっかりと経産省の方からなされるというふうに理解をしております。

塩川委員 行政指導の範囲ということでもありますけれども、命令云々といっても改善命令ということですから、実際に措置命令とかという段階に行くのかどうかというところも、この点では曖昧であります。

 お聞きしたのは、電力自由化のもとで、競争下で、実際に達成する見通しというのは立つんだろうか、そういう疑問なんですけれども、その点はいかがですか。

梶原政府参考人 電力の自由化ということでございますけれども、環境保全上の対応につきましては、それとは独立をした形で、先ほども言いました省エネ法でありますとかエネルギー供給高度化法が適用されますし、また、自由化を前提とした上で、業界におきましても協議会が立ち上げられ、対応が図られていくということだと理解をしております。

塩川委員 電力自由化で新規参入の事業者がたくさんふえてまいります。今のこの協議会は三十五社で、いわば電力事業者、小売事業者の全てを網羅するかというと、そういうわけではありません。

 そういう点でも、新規参入の電力小売事業者というのはカバーできるんでしょうか。

梶原政府参考人 協議会の加盟社でございますが、現時点におきまして、九九%以上、小売電気事業者としては電気量でカバーをされております。

 そして、この業界につきましても、今後とも、新規の事業者さん、小売事業者さんが出てくることにつきましては、それを前提として、そういったような人たちが協議会に入っていただけるように取り組まれる、そしてまた、その旨経済産業省におきましても指導をしていただくということで理解をしております。

塩川委員 そういう点では、協議会に参加しない事業者についても自主的な枠組みになって、いわば指導の範囲であって、何らかの規制や枠を定めるということにまで至っていないわけであります。実際、電力自由化のもとで安いのがいいという話にどんどんなっていけば、結果とすればCO2が減らないということにもなるわけです。

 そこで、大臣にお尋ねをいたします。

 このように電力業界が協議会をつくって温室効果ガスの低減対策に取り組むといいますが、枠組みはやはり自主的な取り組みであります。各事業者の目標が明らかではありません。今回の対応策というのが、環境省が石炭火力を容認したんじゃないか、こういうメッセージにつながるのではないかと思うわけですけれども、そうは思いませんか。

丸川国務大臣 電力業界の自主枠組みに関しては、私ども、まず、ずっとお願いしてきたところ、規制の作成、また枠組みそのものをつくることについて御尽力をいただいたということについては一定の評価をしておりますが、やはり一方で政策的な措置が必要であるということで、我々としては、経済産業省にも御相談を申し上げて、経済産業省の方で政策的な措置、先ほどございました省エネ法またエネルギー供給高度化法について新しく基準を設け、また、運用についてもこれを達成すべく徹底していただくということになったわけでございます。

 石炭火力については、今後、当然一度つくりますと長くそれが影響する可能性があるという一方で、実際にこの規制の基準をクリアしていく上で、果たして計画が実際に実行に移されるのかどうか、計画というのはつまり増設の計画という意味でございますけれども、あるいは、古い施設がコストに見合うのかどうかといった個々の事業者の判断がございましょうし、その中で、果たして、効率の悪い施設設備、こうしたものを維持していくことがマーケットの動きに見合うものかどうかというのは、個別の電気事業者の判断の中でこの基準をクリアするために努力がなされるものというふうに理解をしております。

塩川委員 マーケットというお話がありましたけれども、しかし、電力自由化のもとで新規の参入が相次いでいるという状況の中でこういった矛盾が広がっているわけですから、やはり個社の自主的な枠組みに依拠する上でこのスキームというのが本当にワークするのかということは問題ではないのかということを言わざるを得ません。

 もともと、石炭火力発電所のアセスに対する環境大臣の意見、二点、ずっと去年述べてきたわけですけれども、こういった目標を達成するために石炭火力のCO2排出量をどのように削減するのか、こういう点についてずっと昨年指摘してきたわけですけれども、率直に言って、個社単位で見て、担保する仕組みが不十分だということは言わざるを得ません。効率の悪い発電所を停止させる強制力にもなっておりませんし、電力会社などに排出削減を義務づけるというものではない、そういう点での実効性が伴わないということを言わざるを得ません。

 石炭火力の総発電量に占める割合を二〇三〇年に二六%程度に引き下げるなど、温室効果ガスの排出を三〇年までに一三年比で二六%削減するという政府の国際的な約束も達成することが困難になると言わざるを得ません。

 こういった点でいいますと、大臣にお尋ねしますが、今回の石炭火力発電の新設の容認というのは、二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すという目標と相入れないんじゃないのかと率直に思いますが、どのようにお考えですか。

丸川国務大臣 二〇五〇年に八〇%削減するという、ここを目指していく上においては、我々としては、既存の取り組みの延長では達成できないというふうに考えておりまして、革新的な技術の開発はもとより、それを社会に実装していくこと、また、社会構造、ライフスタイルの変化、こうしたものに長期的、戦略的に取り組んでいかなければならないということを考えております。

 長期戦略懇談会においても、その絵姿を示していく上で、例えばリスクについても触れられておりますし、またCCSということについても触れられておりますけれども、特に石炭火力を含む電力の低炭素化については、やはりCCSの実用化を含めて検討していくということを考えております。

塩川委員 今、気候変動長期戦略懇談会の提言のお話もいただきました。やはり、そこのポイントというのは、二〇五〇年までの残りの年数を踏まえると、四十年以上稼働すると言われている火力発電所に投資をするということが極めて大きなリスクを伴うことなんだ、そういう観点での対策こそ必要なんじゃないのかということなんですが、改めて、いかがですか。

丸川国務大臣 先生御指摘のとおり、この気候変動長期戦略懇談会の御提言の中に、「新規の火力発電への投資、特に初期投資額が大きく排出係数の高い石炭火力発電への投資には大きなリスクが伴うことをあらかじめ理解しておく必要がある。」ということが書かれております。

 これは、環境省自身がこのリスクを認識して、これから向き合っていくということはもちろんでございますが、同時に、今新しい基準を設けていただいた中で、電気事業者個々にも、この課題を自分たちの経営判断の中でしっかりと認識していただくことになるんだろうと思います。

 リスクというものを考えない経営というのはありませんので、我々も努力をしていきますし、また、電力事業者の皆様におかれても、この自主的枠組みと、そして経済産業省に設けていただいた今回の基準とその運用の中で、しっかりと透明性の確保、また実効性の確保に取り組んでいただくよう、我々も促してまいります。

塩川委員 リスクについて電気事業者も経営判断することになるだろうということですけれども、その前提として、政府の方がこういう石炭火発について基本的に容認姿勢なのではないのかということがリスク判断にも影響を与えるんじゃないのかということを指摘しておきたいと思います。

 今世紀後半に温室効果ガスの人為的排出を実質ゼロにするというパリ協定の合意に反するものになりはしないのか、こういうことが厳しく問われているわけで、石炭火力容認の方針というのは撤回をすべきだと考えます。

 というのも、やはり、この間の新増設計画をどう見るかということがあります。

 環境省にお尋ねしますが、この間の石炭火力発電所の新増設計画というのはどのようになっているでしょうか。

梶原政府参考人 各社の公表資料をもとに環境省にて把握しているところでございますけれども、現在、新増設が計画されている石炭火力発電所は、全国で三十五カ所四十一基、容量にいたしますと約千八百万キロワットでございます。

塩川委員 三十五カ所四十一基、容量では千八百万キロワットということであります。

 これが全て実行されると、老朽火力が稼働四十五年で廃止と想定しても、二〇三〇年には約五千九百万キロワットの容量になるとなっております。二〇三〇年度の削減目標、四千五百万キロワットを大きく上回ることになります。

 大臣にお尋ねしますが、こういった石炭火力発電について、主要国を見ると、エネルギー対策や温暖化対策として、石炭火力抑制の方針を出しています。日本の石炭火力発電の新設計画というのは、こういう世界の流れにも逆行するものではないかと考えますが、いかがですか。

丸川国務大臣 まず、新設計画が相次いでいるということは事実でございますが、一方で、これを実際に実行されるかどうかということについて、あるいは稼働させるときにどのような状況で稼働させるかということについては、当然、今回新しく経済産業省で設けていただいた省エネ法のベンチマークをどうやって守っていくかということを念頭に置かなければならないのではないかというふうに我々も考えます。

 御承知のように、この省エネ法のベンチマークを守っていただくと考えた場合には、当然、石炭火力だけでエネルギーを供給していただいていたのではクリアできないわけでありまして、その社においてどのようなエネルギー効率の達成の仕方をするかということを、石炭火力以外の発電方法でも知恵を絞らなければいけないわけでございます。

 計画そのものを出されるときには、当然、初期投資のコストや回収年数、また、燃料供給の安定性、環境負荷などを考えて、それぞれ経営判断をされてのことだと思いますけれども、当然その中に、今回我々が経済産業省とともに示させていただいたものについては念頭に置いて、今後この計画について検討されるのではないかと理解をしております。

塩川委員 お聞きしたのは、日本の新設計画というのは、全体として抑制方向になっているほかの主要国など世界の流れに逆行しているんじゃないのかという問いなんですけれども。改めてお答えください。

丸川国務大臣 私どもがアセスメントをやらせていただく上においては、今後も、最良技術が採用されているかということと同時に、国の計画、目標と整合的であるかという点については、引き続きチェックをさせていただきます。

 この目標というのは、まさに二〇三〇年度の削減目標の達成を確実にするために、電力業界の取り組みの実効性を確保していただけるかどうかということも含めてということになりますし、また、今後、省エネ法の達成についてもしっかりと、経済産業省の方になりますけれども、運用を見ていくと同時に、それがどう進捗しているかということについては毎年環境省でも確認をさせていただきますので、こうしたことを通じて、アセスメントもでございますけれども、その後の運用についてもしっかりと目を光らせてまいります。

塩川委員 諸外国との対比ではどうですか。

丸川国務大臣 それぞれの国にそれぞれのお取り組みがあろうかと思いますけれども、今我が国は、約束草案として出させていただきました二〇三〇年に二〇一三年度比二六%減というものと表裏一体となっておりますエネルギーミックス、これの達成をするために必要となる対策をまずもって電力部門において導入させていただく。これをまずクリアすることを念頭に、これから取り組みをさせていただきます。

塩川委員 お答えがありませんけれども、アメリカなどでは二〇〇五年比で三〇年までに火力発電から出るCO2を三二%減らすとか、ドイツでは石炭火発五カ所の操業停止をし再生エネルギーで代替をするとか、イギリスは二〇二五年までに石炭火力を全廃すると発表している。こういった中で、日本の対応というのは本当に逆行しているということが見てとれるわけであります。

 そこで、大臣は、新設計画はたくさんあるけれども、その新設計画が実行されるのかということで、ベンチマークのお話もされたわけであります。でも、そもそも何でこんなに新設計画のラッシュなのかということがあるんですよね。日本において石炭火力発電の新増設が相次ぐというのはなぜなのか、そこをお聞きしたいんですが、いかがですか。

丸川国務大臣 先ほども少し触れさせていただきましたけれども、一般に、発電所の新増設を計画するに当たっては、初期投資のコスト、投資の回収年数、また燃料供給の安定性、そして環境への負荷などを勘案して、個々の電気事業者において発電方式あるいは燃料種の選定がなされているというふうに理解をしております。

 現時点において、なぜ石炭火力発電所の新増設計画が相次ぐのかということについてですが、これは、それぞれの事業者がそうした観点から選択をした結果のものであるというふうに判断をしております。

塩川委員 個々の事業者の経営判断というお話だと思うんですけれども、そうじゃないと思うんですよ。そもそも、今、安倍政権そのものが石炭火力発電に力こぶを入れているからじゃないでしょうか。

 安倍政権が、成長戦略であります日本再興戦略、この改訂二〇一四などを見ても、「高効率火力発電の導入推進及び国際展開」とありますし、「高効率火力発電の導入をさらに促進する。」とか、「公的金融支援やトップ外交を通じアジア・東欧等の新興国へ普及させる。」と述べているわけです。つまり、国内においても火力発電についての導入推進と同時に、石炭火発の輸出、国際展開、こういうことも安倍政権のもとの成長戦略でうたっているわけですよね。

 ですから、個々の電気事業者の経営判断ではなくて、石炭火力発電の新増設計画が相次ぐというのは、このような政府による石炭火力推進政策があるからなんじゃないですか。

丸川国務大臣 海外における対応についてでございますが、これは、燃料供給の安定性あるいはコスト的な制約等を抱えておられる諸外国において、同じ石炭火力でも、より効率の高い、我々の高い技術を採用したものがCO2の削減に貢献するという意味においてなされているものと理解をしております。

 一方、我が国の国内においてどうかということについては、これは、まさに個々の事業者の判断、そして電力の自由化を見据えた個々の事業者の判断ということになろうかと思います。

塩川委員 高効率火力発電の導入推進ということをうたっているわけですから、当然、国内も視野に入れた政府の成長戦略になっているわけです。加えて、国際展開ということで輸出もやりましょうと。ですから、海外への石炭火発の輸出という点でも、国内でしっかりと火力発電を推進するということが輸出においても大きな推進力になるということが、そもそもの成長戦略のスキームだということであるわけです。

 そういう意味では、日本再興戦略の具体化でありますインフラシステム輸出戦略の改訂版が出ておりますけれども、その中では、先進的な低炭素技術の海外展開支援として、高効率火力発電や原子力発電など、我が国の先進的な低炭素技術を活用し、インフラの海外展開を促進するとうたっております。

 安倍総理自身が国際会議で石炭火力発電の活用を宣伝しております。アジアの資源とも呼ぶべき石炭をもっと効率的に活用してはどうでしょう、石炭火力発電は、世界の発電量の四割を担うにもかかわらず、地球温暖化の元凶のように言われ、敬遠されがちです、アジアならではの石炭火力の分野で、伸び行くエネルギー需要に応えていきたい。

 世界を見渡せば、石炭火発については、これを抑制していこう。そういう意味でも、海外への投資についても、石炭火発推進については抑制をしていく、やめていく、こういう例なども出ているわけですよね。でも、日本は逆に、海外への石炭火発の輸出、インフラシステムの輸出、こういったことについて、まさに安倍総理がトップセールスで推進している。

 これはやはり世界の流れに逆行する推進政策となっているんじゃないかと思いますが、違いますか。

丸川国務大臣 国内政策と今海外における対応がリンクしているかどうかということについては、私はまた別のことだろうというふうに理解をしておりまして、途上国の中には、やはり経済性、今申し上げたコストの面あるいは供給の安定性ということ、あるいはエネルギーアクセスの確保という観点から、石炭火力をまだ選択せざるを得ない国があるという認識でございます。

 これを事実として踏まえますと、より効率的な石炭火力の発電設備の導入を支援することも現実的かつ効果的な地球温暖化対策の一つであるという認識のもとに、日本の技術を生かしてそこに貢献するということが海外での対応であると理解をしております。

塩川委員 いや、ですから、成長戦略そのものでは、日本再興戦略に書いてあるように、「高効率火力発電の導入推進及び国際展開」ということで、一体なんですよ。そもそもパッケージなんです。別のものじゃありません。

 だからこそ、政府とすれば、国内における高効率の石炭火発の導入推進も図るし、そういう技術を持って海外にも展開していこうという方針であって、今問われているというのは、このインフラシステム輸出戦略においては、それぞれの分野において日本企業の海外受注額の推計まで行っているんですよ。現時点、二〇一〇年時点でどれだけの実績があるのか、二〇二〇年にどれだけの実績を上げるのか、そういう推計まで出しているんですよね。その一つの分野として電力分野がある。原子力はまた別な項目が立っていますけれども、電力分野については、世界の関連投資額は年平均約二・二%の拡大が見込まれるとして、十年間で倍以上の海外受注拡大を目指すとしているわけです。いわば、政府が目標を持って石炭火力推進政策を行っているということになるんじゃありませんか。

 これは経産省という話なのかもしれませんけれども、政府としては一体で取り組んでいる話だと思いますよ。違いますか。

丸川国務大臣 御承知のとおり、まさに海外の対応については、一義的に経済産業省がお取り組みになるということでございます。

 国内の件につきましては、もう先生御承知かと思いますけれども、発電する側においては、エネルギー効率のベンチマーク、これをクリアするためには、やはり石炭火力だけでは無理でございまして、まさに二〇三〇年のエネルギーミックスと整合した基準に対して努力していただけるような、最終的には命令、あるいは、これを達成できないとなれば施策の見直しまで我々は視野に入れて臨ませていただくものでございまして、これからもしっかりと、その点については、毎年の進捗状況を確認し、努力をしていただけるように政府としても取り組んでまいります。

塩川委員 政府の成長戦略として、国内における高効率の石炭火発の導入推進だけじゃなくて、国際展開で大きく輸出をふやしましょうと言っているときに、率直に言って、ベンチマークというのは機能するのか、こういうことがまさに問われているんじゃないでしょうか。

 日本再興戦略に基づいて石炭火力のプラント輸出を進めるために、国内でも石炭火力の建設を進めるということにならざるを得ない。これは、原発の輸出のためにも国内の原発再稼働を目指すのと、率直に言って、同じ構図だと言わざるを得ません。世界で一番企業が活躍しやすい国づくりを目指すアベノミクスというのが、地球温暖化対策に逆行するものと言わざるを得ません。安倍政権の進める原発再稼働、原発輸出と石炭火力推進政策を改めて、省エネと再生可能エネルギーの急速な普及を図る政策へと抜本的に転換することを求めて、質問を終わります。

赤澤委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 維新の党の松野頼久でございます。

 民主党、維新の党、無所属クラブの会派から時間をいただいて、きょう、当環境委員会で質問させていただきますこと、各党理事の皆さん、また各委員の皆さん、心から御礼を申し上げる次第でございます。

 しばらく、私自身、政局の中でもみくちゃにされていまして、ライフワークであります動物愛護をきょうこうして質問させていただくこと、非常にうれしく思っています。

 大臣のホームページを拝見すると、被災地のペットプロジェクトかなんかで、何か動物愛護に関してかかわっていらっしゃるということが出ていたような気がするんですが、大臣、動物愛護、特に今、日本の殺処分の問題等、どのようにお考えになるか、まずお聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 牧原政務官時代にアクションプランを立てていただいて、殺処分ゼロを目指していくという目標を掲げて今取り組んでいただいているところですが、特に、やはり自治体の皆様にも御理解をいただいて、ともに進んでいくということが非常に重要だと思っております。

松野(頼)委員 まさに大臣が今おっしゃった部分なんですね。

 ちょっと資料をお配りしました。一番上の部分を見てください。

 動物愛護法改正、私もメンバーで、この法律を改正した一人ですけれども、当時は、民主党からは私と田島一成さん、自民党からは松浪健太さん、公明党からは高木美智代さん、四党で、ある意味四人で、非常にいろいろ、かんかんがくがく議論をしながら、この法律を改正いたしました。

 「基本原則」、「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」また、二番目として、「何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境」を確保しなければならない、これがこの法律の基本原則なんですね。

 さっき大臣がおっしゃった、自治体の皆さんと連携をしということですが、各自治体を見ていると、同じ法律ですけれども、非常に頑張って殺処分ゼロを達成している自治体もあれば、そうではなくて、今でも殺処分数の非常に多い、昔ながらのやり方でひどい扱いをしている自治体というのがたくさんあるんです。そこをきちっと整理させて、ある意味、いい方の自治体に合わせるような努力をするのが国の責務であり、動物愛護法を所管する環境省の責任だというふうに私は思っているんですね。

 そこで、伺いたいのは、例えばその中に、環境省はこういうふうに定めているんです。一枚おめくりください。資料につけてあります。「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について」。要は、犬を捕獲してきたり収容した場合の措置、このように扱ってくださいというのを環境省が各自治体に出しているんですね。

 例えば、第三の一、線が引いてありますところ、「健康及び安全の保持等を図る観点から、構造等が適正な施設及び方法によって保管すること。」要は、ちゃんと保管してくださいなということですよ。そして、その下の三番、「所有者がいないと推測される保管動物、所有者から引取りを求められた保管動物及び所有者の発見ができない保管動物について、家庭動物又は展示動物としての適性を評価し、適性があると認められるものについては、その飼養を希望する者を募集する等により、できるだけ生存の機会を与える」。要は、インターネットで公表したり譲渡会をやったりして、できるだけ命を助けてくださいねということを言っているんですね。こういうことを言っています。

 一枚おめくりください。これは山口県の周南市の保健所の写真です。左上の写真を見ていただければ、これは水ですよ、水。もう何日も取りかえないでこんな色になっている水を与えている。そして、右下の死んでいる子犬の写真を見てください。これは、保健所の中で餓死して死んでいる犬です。

 一枚めくっていただいて、右上の段ボールを見ていただければと思うんですが、これに収容してきた子犬を詰めて置いているんですよ。これは、全く譲渡する意識なんかないじゃないですか。窒息してその中で死んでいる犬もいるんです。

 こんな状態で現場の自治体はやっているという状況ですけれども、大臣、このことについてどのように思われますか。

丸川国務大臣 これは山口県の事例ということでお伺いをしておりまして、県に確認をさせていただきました。

 県からの報告によりますと、捕獲をする際は、箱型の捕獲檻、捕獲のおりですね、それと手持ちの網による動物を傷つけない方法で捕獲を行っていて、今、ワイヤの写真がありましたけれども、ワイヤを使用した捕獲は行っていないということ、また、現在は、これは写真にはありませんでしたけれども、餌に毒物をまぜて薬殺することも行っていないと聞いています。

 また、段ボールによる保管については、野外から犬を収容した際に、収容施設内の一時的な保管として、数時間の間、段ボールで保管したことはあると聞いておりますけれども、いずれにしても、環境省としては、適切に飼養管理をするように県に指導してまいりたいと思います。

松野(頼)委員 これは、私もあちこち現地を歩いて、現地に行って、現地のそういう愛護をやっている人からいただいた写真なんですが、これはまだ去年の十二月とかいう話ですよ。昔の話じゃないんです。

 ですから、こういう状況が行われているということを、僕は随分環境省にも委員会での質問じゃなくて申し上げて、いろいろ連絡はしてもらって、改善はしつつあるようでありますが、ただ、要は、収容された犬を譲渡して少しでも生かしてあげようというような施設、それがさっき大臣がおっしゃった殺処分ゼロにつながっていくことなんですけれども、そういう施設は入った瞬間にわかるんですよ。

 例えば、子犬だったらば、かたい餌は食べられないからミルクを飲ませる、そういうミルクとか液体状の餌を上げるようなものが置いてあるとか、譲渡で本当に一頭でももらわれてほしいなと思っているような施設はシャンプー、カットをするようなものが置いてあるとか、入った瞬間にこの施設はやる気があるかないかというのはすぐわかるんですよね。

 僕はここに行きましたけれども、全くないです。ありません。このワイヤは、周南市の保健所に置いてあるものですよ。聞くと、使っていませんと言うんですけれども、でも、実際はあるんですよ、これが。こうやって現に保健所の中で前の写真のように死んでいるわけですよ、捕獲してきた犬が。

 きちんと管理して飼い主を見つけようということならば、やはり入った瞬間にやる気が見えてくるので、ぜひそこはしっかり指導していただきたいというふうに思います。

 そこで、この法律のルールの問題だと思うんです。物すごくいい施設もあれば物すごく劣悪な施設もあるというのが、今の各自治体がばらけている状況ですよ。

 例えば、さっきの基本原則で、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめないようにするのみではなくて、これは何人もですから、自治体ならいいという話じゃないんですよ。何人もですよ。

 では、「みだりに殺し、傷つけ、」というこの条文は、環境省としては、一体どこまでがみだりで、どれならばしようがないというふうに御判断されているかを御答弁いただけないでしょうか。

丸川国務大臣 動物愛護管理法における「みだりに」とは、正当な理由なくという意味の用語でございますけれども、具体的にどのような場合が「みだりに」に該当するかということについては、行為の目的、手段、また態様等を総合して、社会通念により適切に判断されるべきものと考えております。

松野(頼)委員 要は、そこが曖昧だから全国の自治体がばらけるんだと思いますよ。

 といいますのは、最近、随分いろいろなニュースになっていますよね、動物愛護法違反で摘発されるとかいうことが多々起こっていますが、このみだりというところのルールをきちっと定めないと、では、例えば、生後九十日以内の子犬を捕獲してきてそのまますぐ殺処分しちゃった、これはみだりかみだりじゃないか、どうお考えになります。それとも、一生懸命探したけれども、どうしても飼い主が見つからない、これで泣く泣く殺処分をしなければいけない、これは一体みだりに当たるのか当たらないか。

 そこの非常に曖昧な線引きなんですけれども、では、前段の、捕まえてきてすぐに殺処分してしまった、これはみだりに当たると思いますか。ちょっと御答弁いただけないでしょうか。

丸川国務大臣 自治体で引き取りをしていただいて、その後、譲渡をするために努力していただくということは、私どもも自治体にお願いをしているところでありまして、引き取りの数を減らす、また飼い主の皆様に責任を持って終生飼養していただくということはもちろんですが、やはり自治体においてしっかりと譲渡のためにできる限りの努力をしていただくということは重要だと考えております。

 私どもとしても、二十七年度においては、殺処分については、どうしてもちょっと譲渡に適さないのではないかというような判断のもとで殺処分されるケース、それから、それ以外に殺処分されるケース、そして、施設の中で殺処分ではなくて命を失うケースということで、分けて自治体の方にリポートしていただくようにお願いをしておりまして、こうした取り組みも進めてまいりたいと思っております。

松野(頼)委員 要は、みだりの定義ですよ。どこからがみだりで、どこからがみだりじゃないか、そこをきちっと、僕は環境省としてガイドラインを出してもらいたいと思うんですね。

 例えば、自治体に関しては、大体ガイドラインがあるような、要は、さっき言った収容動物の措置ということで、ある程度扱い等も出しているんですけれども、これも非常に曖昧なんですね。

 では、さっき言ったように、水を与えなさいといって、このもう色が変わったような水が置いてあることがこれの違反なのか違反じゃないのか。どう思われますか、大臣。

丸川国務大臣 私は、これは個人の考えになるかもしれませんが、生きとし生けるものは全て尊厳を持って扱われるべきであると思いますし、動物愛護管理法の中にもそうした思いが、改正の際、先生方の思いとして込められているものと理解をしておりますので、やはり適切に、健康にその施設の中でも過ごせるような飼養のあり方というのが行われるべきと考えます。

松野(頼)委員 いや、ちょっとこれは端的にお答えいただきたいのは、この水を見てどうですか。適切ですか適切じゃないですか、この措置に照らし合わせて。

丸川国務大臣 大変恐縮です。その入れ物が、その写真だけではどういう状況になっているのかという確認ができませんので。水の色なのか容器の色なのかちょっと、もし教えていただければ。(松野(頼)委員「水の色です」と呼ぶ)水の色。

 水は、やはり新鮮で清潔な水を与えられるべきだと考えます。

松野(頼)委員 要は、そこがはっきりしないと指導ができないんですよ。例えば、この水を飲んでもいいという人もいれば、これはちょっとおかしいんじゃないかという人もいるんですね。でも、少なくとも、その措置の条文には水を与えなさいとしか書いていないんです。ただ、健康がきちんと保てるようなという前段はついていますけれども。

 でも、これだと指導できないでしょう、自治体に。この水はだめですよと言えるんですか。どうですか。

丸川国務大臣 新鮮な水を与えるようにという指導ができます。

松野(頼)委員 ぜひそれはそうやってガイドラインをつくってください、新鮮な水と。そこはぜひお願いをしたいと思います。

 ですから、全体的なさっきの収容のルールみたいなもの、ぜひガイドラインをつくってください。要は、実際に、大臣も御存じのように、殺処分数の多い自治体と物すごく殺処分数ゼロに近い自治体が今ある状態ですから、そこはきちっとガイドラインを出していただきたい。そのことをちょっと御答弁いただきたいと思います。

丸川国務大臣 まさに自治体によっての取り組みの違いというのが大きく存在するわけでございますので、どのような指導が行われているか、また、そうした自治体の状況等を把握することを前提にして、必要性も含めて検討してまいりたいと存じます。

松野(頼)委員 次の論点としては、さっき読み上げました、「所有者から引取りを求められた保管動物及び所有者の発見ができない保管動物について、家庭動物又は展示動物としての適性を評価し、適性があると認められるものについては、その飼養を希望する者を募集する等により、できるだけ生存の機会を与えるように」。要は、この犬は飼うことができるかできないかという判断をして、飼えると判断した犬に関しては、なるべくもらい手を探して生存の機会を与えてくださいということを言っているんですね。

 これはまず、誰がどのように判断するのかというルールは決まっていますか。

丸川国務大臣 自治体において判断をされます。

松野(頼)委員 ですから、これも非常に明確ではないんですけれども、この犬は飼える犬ですよと判断する、その判断基準がありませんでしょう、今。

丸川国務大臣 明文化された基準があるとは理解をしておりません。

松野(頼)委員 だから、殺処分数の多い自治体と殺処分数の少ない自治体があるんですよ。その判断基準が物すごく適当なんですね。ある自治体では、もうすぐに、これは飼えない、すぐ殺処分、二日間公示して三日目に処分している自治体もあれば、いや、この犬は飼える、だから何とか譲渡に回そうとして、一年でも二年でも置いている自治体もあるんです、実際に。

 そこの飼えるか飼えないかの判断基準もちゃんと定めてもらいたいんですよ。御答弁いただきたいと思います。

丸川国務大臣 譲渡を進めるために、環境省でも、自治体向けに譲渡支援のためのガイドラインを作成するとともに、自治体の譲渡に協力しているボランティアや自治体職員を対象とした適正譲渡講習会というものを平成十八年より開催しております。

 こうしたことを通じて、先生が今御指摘のような、譲渡できるようにいかに努力するかということについての意識の啓発に努めてまいりたいと存じます。

松野(頼)委員 いや、そうではなくて、譲渡する判断、これは譲渡できる譲渡できないの判断というのがありませんでしょう、今現在、環境省の中で。それをちゃんとつくってくださいねという話ですよ。

丸川国務大臣 譲渡支援だけではなくて、譲渡に関する判断のガイドラインについても、引き続き、必要性も含めて検討させていただきたいと考えます。

松野(頼)委員 いや、検討じゃなくて、つくってくださいねと言っているんです。ぜひつくってくださいよ。ちゃんと答えてください。

丸川国務大臣 ガイドラインをつくらせていただきます。

松野(頼)委員 ありがとうございます。ぜひお願いします。

 それで、あとは、法律と条例の関係について。

 この一枚目に、山口県の飼犬等取締条例というのがありますね。この条例には九十日以内の子犬とか何だとかそういうルールがないんです。

 それで、ちょっと資料をめくっていただいて、五ページ。これは昔、私が質問して、通達を出してもらったんですが、まず、狂犬病予防法第六条九項に基づく処分の決定に当たっては、犬、猫の引き取り等措置三の三に基づき、できるだけ生存の機会を与えるように努められたい。これは生存機会を与えろということですね。

 もう一枚めくっていただいて、これは厚労省の狂犬病予防法のところから各自治体に送ってもらったんですが、生後九十日以内の子犬にあっては、狂犬病予防法に基づく勾留の対象にはならない、よって、一枚めくっていただければ、この九十日以内の子犬の処分の方法は殺処分に限るものではなく、動物愛護管理法の観点から自治体の判断により、処分の方法として、家庭用動物、展示用動物としての適性があるものについては、生存の機会を与えるために飼養を延長することを否定するものではない。要は、九十日以内の子犬というのは、狂犬病予防法の登録が九十日からですから、狂犬病予防法の対象外だから、九十日以内の子犬に関しては、なるべく愛護法の精神に基づいて譲渡に回してくださいみたいなことを全国に通知しているんですよ。

 しかしながら、この山口県の条例では、これは山口だけじゃなくて全国同じだと思いますけれども、まず、九十日以内の子犬だ何だというルールはない、ただ、犬が歩いていたら捕まえて勾留しろ、二日間公示をして、三日後に飼い主が出てこないときには処分しろ、そういう内容の条例なんです。

 動物愛護法及び狂犬病予防法の法律とこの条例の関係について、僕は、ちょっと法律の中に、この条例が飛び出している部分があるんじゃないかと。さっき言ったように、命あるものに鑑み、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめることのないようにといいながら、山口県の条例では、その下に、薬殺してもいいと書いてあるんですよね。ただ、これも非常に曖昧で、人畜その他に危害を加えることを防止するため緊急に必要がある場合においてと書いてありますが。

 確かにこれは、刃向かってきたらしようがないですよ。かもうとして人間を襲ってきた場合やむを得なくというのはしようがありませんが、そうではなくて、こういうことが実際に行われているという現状があるということに対して、やはり動物愛護法の基本概念からは少し違うのではないかというふうに思うんですね。この辺どうですか、大臣。

丸川国務大臣 今、薬物を用いた処分ということについてお話がございましたけれども、これは先生方の御尽力によるものと思いますけれども、環境省から各自治体に対して確認したところ、昨年以降は、薬物を用いた野犬の駆除等の実施の有無について、実施した自治体はなかったという報告を受けております。

 加えて、動物愛護管理法の内容について、捕獲についての制限でございますが、自治体が犬を捕獲すること自体は法に抵触するものではないと考えられますが、一方、おっしゃるとおり、やはり動物愛護管理法の趣旨を踏まえて、できる限り自治体においても譲渡の努力をしていただくということが必要だと考えられます。

松野(頼)委員 ですから、要は、この条例に基づいて九十日以内の子犬も平気で捕獲してくるし、それをまた、譲渡をする努力もなしに、それほど努力もせずに、そのまま殺処分に送り込んでいるというのが現状なんですね。

 要は、国の考え方でいうと、九十日以内の子犬は狂犬病の適用範囲外だから、動物愛護法でなるべく譲渡しなさいという方針なんだけれども、これは昭和四十何年につくられた条例なので、全く昔の、愛護法が何回も何回もだんだん時代に合わせて改正するのにある意味追いついていない時代の条例がいまだに残っている自治体が多々あるんです。そういう自治体ほど、見ると、非常に殺処分数が多いんじゃないかというふうに思いますので、ぜひこの辺は各自治体に対してしっかり指導していただきたい。

 いろいろやっていらっしゃるというふうに事務方は説明するんですが、現に、確かによくなってきてはいるんですけれども、まだまだ古い、後ろ向きの自治体が多々ある。そのことはぜひ御理解いただきたいと思います。ちょっと御答弁をお願いします。

丸川国務大臣 やはり、各自治体においてさまざまな主体が働きかけをしていただいたり御尽力している中で、市あるいは地域全体の意識が高まってくるということは重要かと思いますが、ぜひそうした機運をしっかりと後押ししていけるように環境省としても努力をしてまいりたいと思います。

松野(頼)委員 あと五分になりましたので、八週齢問題について伺いたいと思います。

 一番最後から二枚目、資料八、これは動物愛護法の本文です。これは何回も議論しているのでおわかりかもしれませんが、要は、犬猫販売業者は、その繁殖を行った犬または猫であって生後五十六日を経過しないものについては、販売のためまたは販売の用に供するために引き渡し、展示をしてはならない。今の本文では、五十六日未満の子犬は販売しちゃだめですよと言っているんです。

 ただ、附則があって、施行日から起算して三年を経過するまでの間、この五十六日は四十五日と読みかえる。今は四十五日なんですね。そこから、前項に規定する期間を経過する翌日から法律で定められるまでの日は、五十六日とあるのは四十九日と読みかえるものとする。

 まず、ことしの九月から四十九日になることは間違いありませんよね。

丸川国務大臣 はい、間違いありません。

松野(頼)委員 要は、ここが論点なんですけれども、次に、この法律がある間に五十六日になることも間違いありませんよね。本文に書いてあるとおりに施行されることは間違いないですねということです。

丸川国務大臣 恐縮です。五年以内にそうなるということをおっしゃっているんでしょうか。(松野(頼)委員「この法律がある間に」と呼ぶ)この法律がある間に。この法律がある間というのは、この法律がなくならない限りそうなるという意味ですか。(松野(頼)委員「そうです」と呼ぶ)はい。

 別に法律で定める日というのもございまして、それ以降は五十六日ということになろうかと思います。

松野(頼)委員 ですから、この法律がある間に五十六日ということは実現できるということですね、本文に書いてあるとおりに。

丸川国務大臣 この法律がある間にでございます。

松野(頼)委員 五十六日を見ないで新法を改正することはありませんね。

丸川国務大臣 恐らく、五年後という見直しの期間と、この五十六日がいつ実際に施行されるかという点についてですけれども、施行されていない状況であったとしても、その状況を含めて施行の状況について検討を行えるものでありますので、本則の一部の規定が施行されないまま検討を行うこと自体は法に抵触しないということにはなりますけれども、別に法律で定める日というのはできるだけ速やかに定めるよう、引き続き努力をしてまいりたいと思います。

松野(頼)委員 いや、違うんですよ。五十六日になりますねということです、本則に書いてあるように。

 我々立法者趣旨としては、当時の議論として、五年後には五十六日にしましょう、ただ、激変緩和で、いきなり五十六というとそれは業界の皆さんも大変だから、五年後にはきちっと五十六日にしましょうね、次の法律ができるまでの間には五十六にしましょうねというのが我々四名の立法者の趣旨なんですよ。ですから、そこはきちっと行政の中でそれを酌み取ってやっていただきたいということをお願いしているんです。

丸川国務大臣 別に法律で定める日については、法施行後五年以内に検討するものとし、その結果に基づき速やかに定めるものとされておりますので、今、御承知のように、調査を進めております。一万頭ですか、調査をさせていただいておりますので、これを速やかに解析を行い、そして、別に法律で定める日についても速やかに定められるように、鋭意検討を進めてまいります。

松野(頼)委員 前石原環境大臣はこのようにおっしゃっているんです。

 僕がこういう議論をしていると、役人はそう言うんですよね。というのは、施行日から五年以内に検討し、その結果に基づき速やかに定める、しかし本則は五十六日と読む。そして、今のお話を聞いている限りでは、やはり松野委員の御指摘のとおり、可及的速やかに五十六日にした方が、犬も猫も人間も幸せなのではないか。ですから、本則にのっとって、施行日がことしの九月一日ですから、平成三十年の九月一日までが五年間でございますので、この間に早急に検討を行ってまいりますから、そこからまた早急に検討して施行日が五年後だといったら十年後になっちゃいますから、そういうことのないように原局を正していきたいと思います。

 こういうふうに前大臣は御答弁なさっているので、ぜひ五十六日を実現していただきたい、このことをお願いして、では、答弁をどうぞ。

丸川国務大臣 私も石原大臣と同じ認識でございますので、検討後、速やかに施行に移れるようにいたしたいと思います。

松野(頼)委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

赤澤委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 今国会、久々に環境委員会で質問に立たせていただきます。短い時間ですが、本日はよろしくお願い申し上げます。

 早速、本題に入っていきたいと思います。

 生物の多様性を確保し、地球環境の破壊を抑える取り組みというのは、私たち日本国民のみならず、広く人類の生存を保障するためにも重要であり、未来を生きる子供たちに対する責任でもあると思います。それを実現するためには、国際的な取り組みを交わしておくということが極めて重要でないかというふうに思います。

 しかしながら、多くの国々が参加していながら、我が国がずっと批准していない条約というのがございます。移動性野生動物の種の保存に関する条約、いわゆるボン条約というものでございます。

 野生動物に国境はなく、地球上を移動する野生の動物種を国際的に連携して保護していくという取り組みは、四方を海に囲まれ、東西南北に広い国土を有する我が国においても相応の責任があるのではないかというふうに思います。これまでも、環境委員会におきまして質問を重ねてまいりました。なぜいまだ批准していないのか、まず丸川大臣の認識を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 我が国がボン条約を締結していない理由については、この条約で捕獲が禁止される動物について意見を異にする部分があるためと認識をしております。

 さらに、我が国が既に締結をしている条約がございますが、これらによる義務関係とこの条約により新たに負うことになる義務との関係について、慎重な対応が必要だと考えております。

河野(正)委員 実は、このボン条約というのは、前の委員会でもお話をさせていただきましたが、一九七九年にドイツのボンというところで採択されたことから、いわゆるボン条約と呼ばれているところでございます。

 今までの御答弁では、やはりさまざまな、鯨であるとかアオウミガメであるとかそういったものと絡みがある、いろいろなことで検討を続けてくるということでございました。環境保護や動物保護に関係する方々の中では極めて大きな関心事だというふうに思っております。なぜ長期にわたって検討が続き、決断されていないのか、極めて不可解にも思うわけであります。

 既に締結している条約により負っている義務とボン条約締結で新たに負う義務との関係を整理する必要があるという答弁がずっと続いているのかと思いますが、一九七九年からですから、いつまで整理を続けているのか、そもそも締結する必要もないと考えているのか、改めて丸川大臣の答弁を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 ボン条約の規制対象種は随時更新をされておりまして、直近の更新は二〇一四年でございましたけれども、アカボウクジラ、それから鳥類、ノガン、ヒレアシトウネン、オバシギ、ニシブッポウソウ等が新たに追加をされました。

 こうした随時の更新がございますので、この動きを注視しながら、ボン条約を締結した場合の影響について関係省庁との慎重な検討が必要と考えております。

河野(正)委員 随時更新をされているからということで検討が続くのであれば、ずっと検討を続けていかなければならなくなると思いますので、それもやはりどこかで決断をしていただかなければならないのかなと思います。条約に関しましては環境省だけの問題ではないと思いますけれども、しっかりと政府として対応していただきたいと考えているところでございます。

 次に、これもまた条約の話になりますが、オーフス条約というのについて関連して伺いたいと思います。

 一九九二年、日本も参加した環境と開発に関する国連会議、リオ・サミット、地球サミットにおいて、環境と開発に関するリオ宣言が採択されています。その第十原則では、政策決定への参加の重要性などが定められていると思います。ところが、日本の環境基本法では、政策決定への参加は権利として位置づけられておりません。

 一九九八年には、参加原則を実現するため、環境問題に関する情報へのアクセス、意思決定への市民参加及び司法へのアクセスに関する条約、いわゆるオーフス条約というのが採択されました。先ほどからお話しするように、日本はこれも批准していないということであります。

 二〇一〇年には、国連環境計画が、環境問題における情報アクセス、市民参加及び司法アクセスに関する国内立法の発展のためのバリ・ガイドラインを採択いたしました。この採択時に我が国は理事会のメンバーでもありました。

 日本の魅力は、四方を海で囲まれ、豊かな森林と水を持つ多様な自然環境にあり、環境先進国として国民が環境問題に参加する機会を広げていくということは、その保護や保全にも極めて有益ではないかと考えるところであります。

 なぜオーフス条約を批准していないのか。これまでの検討の経過と現状認識を環境省に伺いたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のオーフス条約でございますけれども、一九九二年のリオ・サミットにおける第十原則、環境問題は関心のある全ての市民が適宜参加することで最もよく対処される、こういう考え方に基づいて条約ができてございます。

 そして、この条約については、その目的に三つございまして、先ほど先生も御指摘ございましたが、環境情報へのアクセス権の保障、それから環境に関する決定への参加権の保障、そしてそれに加えまして、環境に関する司法への参加権の保障、この三点ございます。

 先生御指摘のように、この条約、締結してございませんけれども、特にこの環境情報へのアクセス、それから決定への参加といった点につきましては、例えば環境影響評価法であるとかPRTR法等で一部具体化してございます。

 また、この条約につきまして、二〇一四年に有識者を招きまして環境省で勉強会をやっておりまして、条約について、例えば環境情報を開放するということについては、市民の認識の向上あるいは行動変化に特に役立つ、あるいは市民参加による政策の正当性の確保といった意味から非常に重要だということでございますけれども、その一方で、アクセスについての制度の確立方法、特に、司法制度の関係がございますので、他省庁を含めた関係法制度を見直す必要性については、なお検討の課題があるという指摘もいただいてございます。

 この条約についての締約国における実施状況と、それから今申し上げたような点から関係省庁とも協議しながら、引き続き検討を進めたいというふうに考えてございます。

河野(正)委員 諸外国で導入されてきた情報、参加、司法アクセスを確保するための法制度の中で、日本では、今若干御答弁がありましたが、司法へのアクセスに関し、最も導入がおくれているのではないかと思われます。

 行政事件訴訟法では、第五条に民衆訴訟についての定めがございます。一方で、第四十二条において、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、訴えを起こせるというふうに定めてあります。そのため、地方自治法に基づく住民訴訟などに限定されていて、環境法については定めがない状況にあります。

 二〇〇一年、司法制度改革審議会は、その意見書において、二十一世紀は司法の果たすべき役割が一層重要になり、行政に対する司法チェック機能の重要性、その強化の必要性を指摘しております。

 なぜ環境法にそうした定めがないのか。行政に対する司法のチェック機能のあり方を含めて、政府の問題意識を伺いたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、情報へのアクセス、あるいはその参画というところについては各法で取り入れる努力をしておるところでございますが、おっしゃるとおり、司法のチェック機能をどういうふうに環境政策に生かしていくかということにつきましては、どのような制度的対応が必要かというのを今後さらに内部で検討を進めていきたいと思って考えてございます。

 特に、環境政策について、制度的な観点から予防的な取り組みをするということと、司法的なチェックで対応するということ、相互の関係がございますので、その辺も含めまして制度的な対応を検討していきたいというふうに考えてございます。

河野(正)委員 きょうは法務省の方も来ていただいていると思いますけれども、いかがでしょうか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 今のような問題を行政事件訴訟法がどのように扱っているかということで、二つ御紹介いたします。

 まず一つは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取り消しを求める、処分の取り消しの訴えというものです。

 これは、処分の取り消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができるとされておりますけれども、法律上の利益の有無の判断に当たりましては、当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮して判断するということとされています。

 この考慮事情の規定は、平成十六年の行政事件訴訟法の改正により新設されたものでありまして、このような規定があることによって原告適格が実質的に広く認められることになると考えられておりますし、そのような運用が今進みつつあるというふうに承知しています。

 それから、既にお話に出ました民衆訴訟というものですが、これは、先ほど申し上げた処分の取り消しの訴えと異なりまして、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するというものでございます。

 民衆訴訟は、その意味で一般公共の利益の実現等を目的とするための制度ということでございますが、ただ、その民衆訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起するということがされているということは、先ほど委員御指摘のとおりでございまして、環境問題についてどのような制度を構築していくかということは、いわば政策の問題ということになろうかと思います。

河野(正)委員 米国では市民訴訟条項が環境法に定められており、欧州では団体訴権というのが位置づけられております。日本にはどちらもないということでございます。

 欧米では、環境問題に直面した国民が司法に救済チェックを求める手段が確保され、活発に利用されているとも聞いているところであります。国際的におくれをとっているようにも感じますが、今いろいろと御答弁がありましたが、政府の認識、あわせて、環境基本法やその他の環境法に、民衆訴訟について定めておく、すなわち団体訴権を導入するといった考え方について、政府の見解を伺いたいと思います。

森本政府参考人 先ほども御答弁させていただきましたけれども、いわゆる立法あるいは行政の中で国民の参加をいただき、あるいは情報を開示して政策の正当性を高めていくということは今進めているところでございますけれども、司法制度を活用してということにつきましては、先ほども申し上げました予防的な取り組みという観点からそういった行政的な取り組みを進めるのがいいのか、あるいは司法的ないわばチェックということで進めていくのがいいのか、そういうことを含めて、あるいはそれから、環境以外の他の制度との関係も含めて今後検討させていただきたいというふうに考えてございます。

河野(正)委員 環境省だけで日本の豊かな自然環境を守っていくことは厳しいというふうに思います。

 地球環境、自然環境、私たちの暮らしを取り巻く生活環境を、法的なことに国民が広く参加していくことによって、その力を最大限に活用して自然環境を守っていくということが大切かな、また、そうした仕組みを考えて築き上げていくということが政治に求められる仕事ではないかなと思います。

 丸川大臣に、我が国の環境政策を変える意気込みについてお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 今委員が御指摘になったオーフス条約の三つの柱というのは、環境政策を市民あるいは地域の住民の立場に立ったものにしていくという点から、非常に重要な指摘が含まれていると思っております。

 その趣旨が、我が国の法制度、例えば、環境影響評価法であるとかPRTR制度において、これは環境情報へのアクセスという点でございますが、一部具体化されておりますし、また、決定への参加ということになりますと、各種計画で、パブリックコメントを出させていただいたり、あるいは審議会においてもヒアリングを行っておりますが、こうしたことが導入されております。

 今後も、環境情報の積極的な提供を進めるとともに、個別の法制度の検討をするに当たっては、オーフス条約がうたう諸点をどのように私たちの国の状況に合う形で反映することが可能かという視点を常に持って、適切に議論を深めていきたいと思います。

河野(正)委員 きょうは二つ条約を伺いましたけれども、やはり、ずっと検討、検討と先送りするのではなくて、しっかりと決断をしていっていただきたいと考えます。

 残り五分になりましたので最後の質問に移りますが、先日の予算委員会第六分科会で、海洋における環境影響について取り上げさせていただきました。

 我が国は、四方を海に囲まれ、豊かな海洋資源の活用も政策課題となり、経済産業省を中心に開発が進められているかと思います。洋上風力や波動発電、海洋ガス、海底資源などのエネルギー探索、CO2を貯蔵するためのカーボンストレージの実証実験など、海洋におけるさまざまな活動が活発化をしてきています。

 こうした開発に対して産業界などから大きな期待が寄せられる一方で、開発行為によって海洋がどのような影響を受けるのか、その詳細は必ずしも明らかではないというように思います。

 海洋における環境影響評価の手法はまだ確立されていないとも聞いておりますが、海洋における環境への影響やその評価について教えていただきたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の海洋における事業の関係でございますけれども、まず、環境影響評価の現状でございますけれども、法令に基づきまして環境影響評価を実施しているものといたしましては、環境影響評価法におきまして、一定規模以上の風力発電所を新設する事業を位置づけておりまして、これにつきましては、洋上の風力発電も環境影響評価手続が義務づけられているところでございます。

 また、廃棄物、これはCO2とかCCSの観点も含みますけれども、海洋投入処分につきましては、海洋汚染防止法等におきまして、海洋環境への影響評価を実施した上で、海洋環境保全上の著しい支障がないことが確認された場合にのみ環境大臣は許可を行うこととしておりまして、必要な場合には個別法においてこのように環境影響評価の手続を定めているものもございます。

河野(正)委員 水産庁もきょうは来ていただいていると思いますので、お願いします。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 我が国の漁業においては、水産資源の調査に基づき、漁船隻数の制限や漁獲量管理などにより資源管理に取り組み、水産資源の保全、回復に努めているところでございます。

 そのような中で、海洋の開発に伴う影響につきましては、開発の態様によりまして、資源そのものへの影響のほか、構造物が直接操業の支障になる場合など、さまざまなことがあり得ます。

 農林水産省としては、例えば、洋上風力発電事業が行われる場合に、その海域を利用する漁業者についての情報を、水産庁等に設けた相談窓口を通じて発電事業者に提供することにより、発電事業者が漁業者の理解を得つつ事業を行えるよう、関係省庁と連携しながら取り組んでいるところでございます。

 海洋の開発を円滑に推進するためには、特に、既存利用者である漁業者の操業の実態や環境との調和等に十分配慮し、事業によって影響を受けると思われる漁業者との調整が十分に行われ、丁寧な合意形成の上で事業に着手することが重要であると考えております。

河野(正)委員 良好な海洋環境を将来にわたって保持し、受け継いでいくということは、何よりも重要なことであろうと考えます。どのようにして開発と環境を両立していけばよいのか、今後の海洋における環境影響評価について我が国としてどのように定めていくのか、最後に、改めてお伺いしたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年四月に閣議決定をいたしました海洋基本計画におきまして、海洋エネルギー、鉱物資源の開発に関しては、調査研究とあわせて環境影響評価手法も検討を継続、推進するということになっているところでございます。

 環境省といたしましては、まずは、洋上風力発電所に関しまして、環境影響評価の項目や手法につきまして技術的な検討を進めているところでございます。

 その他の開発事業につきましても、環境保全が適切に図られるよう、まずは、このさまざま進められております調査研究の中で、知見の蓄積状況を注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 時間が来ましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民主党の中島克仁です。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということでございまして、私からも質問をさせていただきたいと思います。

 前半は、大臣の環境行政に対する基本姿勢について、後半は、昨年十一月に我が国でも策定をされました適応計画について御質問をさせていただきたいと思います。

 大臣、所信では、環境大臣として、また原子力防災担当の特命大臣として、当面の取り組みについて決意を述べておられました。先ほど福田議員も冒頭に話をされておりましたが、予算委員会でもたびたび取り上げられました大臣の発言、その後、撤回、謝罪もされましたが、被曝線量の発言、さらには、反放射能派がわあわあ騒いだとか、また、環境行政について、エコだ何だと言っていればよかったとか、そのような発言、先日の所信を聞いていても、今の状況のままだとやはり説得力に欠けるなというふうな思いで私も聞いておりました。

 その後、福島県知事にも、御自身の言葉足らず、不快な思いをさせたと謝罪もされておられます。

 これ以上、その発言についてどうのこうのと言うつもりはないわけでありますが、私自身としては、やはり環境省、その役割、環境行政ですね、これは言うまでもなく大変重要だ。私は、医師、医者でもございまして、次の世代に何を引き継いでいくのか、社会保障も、次の世代にどういう制度を引き継がせるのか、一方では、環境問題、これも今だけを考えるのではなくて、次の世代にどう引き継いでいくのか、これは大変重要な観点だと。

 これについては大臣も同じ認識だというふうに私は思っているわけでございますが、やはりたび重なった発言、これを払拭してやっていくために、これはまさに行動が全てだというふうに私は思うわけですが、今後、具体的にどういう行動をとってこの指導力を発揮されるおつもりなのか、まず、お尋ねいたします。

丸川国務大臣 福島を初めとする被災者の皆様方に対しては、私の発言に関して御心配、御不安をおかけし、まことに申しわけなく思っております。

 福島にお伺いするということについては、ここしばらく、知事に特にお会いしたいということで調整を進めさせていただいておるところでございます。

 宮城県については、先週末、指定廃棄物の保管の状況を視察させていただきまして、また、村井県知事にもお目にかかってお話をさせていただきました。

 福島県における森林除染については、あす、第二回の森林また林業の再生のプロジェクトチームにおいて取りまとめをさせていただくことになっております。

 そして、中間貯蔵については、今年度中といいますか、三月中に全体的な見通しをお示しさせていただくべく、今鋭意調整を進めさせていただいております。

 また、加速化プランに基づいた物件調査済みのものについての地権者の皆様への説明は、少なくとも、昨年九月までに調査を終えさせていただいた五百件については、この三月末までに御説明を終えさせていただくということで、今作業を鋭意進めさせていただいているところでございます。

 また、土曜日に総理の方から、福島新エネ社会構想ということで、再生エネルギーの活用について御発言がございましたけれども、けさもその再生可能エネルギーについての閣僚の会議がございまして、関係閣僚とよく連携を図りながらこれを具体化する作業を今後とも進めさせていただきます。

 そして何より、復興・創生期間に入るに当たりまして、私どもが被災地の皆様にお約束をしております平成二十九年三月末の除染の完了、ここを目指して、これからも一層この努力を進めてまいりたいと存じます。

中島委員 これからさまざまなスケジュール感もあるようでございます。被災地、岩手もそうですし、また水俣病患者さんも含めて、行動で示す、これがやはり大前提ということになると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さらに、先ほども申し上げたように、環境行政は大変重要という観点、認識を共有されていると私は思っておりますが、そういった意味からも、エコだの何だのという発言に対して、やはり、もともと予算規模も少なかったり、規模も全体が大きくない環境省の職員、その環境省の職員に対して指導力を発揮していくために、もしかしたら意欲をそぐような発言だったかもしれないという意味からいきますと、具体的に環境省の職員にはどのような説明、謝罪なり何かされたんでしょうか。

丸川国務大臣 この点についても、発言は撤回をさせていただいております。

 環境大臣を務めて四カ月余りがたちました。その日々の中で心から感じておりますことは、環境省の職員の皆さん、本当に熱心に環境省の職務に邁進をしておられ、この答弁をつくるにおいても、若い皆さん方も含めて、夜中まで省に残って尽力をいただいているということでございます。

 そして、福島の環境事務所、またそれぞれの地域のオフィスにおいて、環境を守るため、またあるいは地域の皆様との折衝の中で、本当に何とかこの国をよくしたいという思い、環境をよくしたいという思いで一生懸命取り組んでおられるということを、私も改めて認識しているところでございます。

 限られた人数の中でこれまでも頑張ってきたということに加えて、今、福島の除染、しかも、二十九年三月までに帰還困難区域以外のところではこれを完了するという大変大きな任務を環境省は背負っているわけでございまして、本当に、この点についても精いっぱい努力をしていただいていると思います。

 私も、環境省の皆様方と、この件がありましてから、説明に来ていただく機会、またすれ違う機会、さまざまな機会を捉えまして、私の発言で不愉快な思いをされたと思います、本当にごめんなさいということでお話を申し上げてきたところでございます。

 今後も環境省が直面していく課題というのは非常に大きいものがございます。とりわけ温暖化対策、COP21を受けてこれから国内対策を本当に精力的に進めていかなければ、まず二〇三〇年の目標の達成ということがございますので、こうした点についても、環境省が中心となって、さまざまな主体を巻き込んでいくという思いで、これからも努力していけるように私も精いっぱい努力をさせていただきたいと思っておりますし、環境省の職員の皆様とともに頑張っていくという所存でございます。

中島委員 同趣旨の発言、メディアに向かって、記者会見等ではされておるのは承知しております。先ほども言ったように、これは企業でも、会社でもそうだと思うんですが、トップの姿勢というのは大変影響すると思います。もしかしたらやられたのかもしれませんが、ぜひ、環境省の職員を集めて、全員に対してもう一度そのような言葉をじかに説明することも必要なのではないかなというふうに私は思っております。

 時間もないので、次の質問を続けます。

 丸川大臣、今も答弁の中でおっしゃっておられました、就任間もなく、COP21、大役があったということでございまして、このCOP21、全ての国が参加する公平で実効的な新たな国際枠組みであるパリ協定が採択をされた。議長国であるフランスの調整力が大変大きかったなという印象を持っております。

 我が国も、昨年七月に決定した約束草案をもとに、二〇五〇年までに温室効果ガスを八〇%削減するとの長期目標もございます。そのための地球温暖化対策計画を本年春までに策定し、着実に実行してまいると所信でも大臣はおっしゃっておりました。

 その地球温暖化対策計画は、先週末、案も発表されまして、この計画を今後、五月の伊勢志摩サミットまでに閣議決定されるということになっていると報道されました。

 また、国内においては、家庭の分野で大幅な削減を行う必要があり、省エネの推進など、社会システムやライフスタイルの変革を含めて取り組んでいくともおっしゃっておりました。

 先週ですか、新聞の見出しでも、地球温暖化計画、家庭やオフィスにおいて四割削減、そういう見出しも大きく出されまして、この件について、丸川大臣の基本的な姿勢ということで、丸川大臣御自身が、ふだんの生活、特に家庭などで省エネや温暖化対策、具体的にどのようなことをされていますでしょうか。

丸川国務大臣 ふだんから無駄な電気は消して歩くということをやっておりまして、子供がおりますので、子供がつけっ放しにしないようにといって後ろからついて歩いております。

 ごみは当然分別して、なるべく少なくして捨てるということをやっておりますのと、あと、ペットボトルやトレー、また牛乳パック、こういうリサイクルができるものは、全て洗って、それぞれ分けて、近所のスーパー等に入れる箱がございますので、こういうところへ持っていっております。

 それから、最近洗濯機を買いかえまして、買いかえるときにはヒートポンプがついた洗濯機にいたしました。

 日常的な生活の中で常にそういうことをやっております。

中島委員 先ほど身をもってということで、以前、石原環境大臣にも同様の質問をしました。そうしたら、石原元大臣は、小さいころからおばあちゃんに小まめに電気は消せと言われていたということもおっしゃっておりまして、ふだんからそういうことを心がけていただいて、さらに、家庭、オフィスにおいて四割削減、そういったことも大きくうたっているわけでございますので、これもしっかりと行動で示していただきたい。

 さらに、お子さんという話が出ました。まだ小さいお子さんだというふうに思っておりますが、環境に対する教育、この必要性というのは言うまでもないわけでございまして、ドイツの取り組み等を見ていれば、やはり、環境教育の重要性、お子さんに対しても、これから大きく成長していく段階で、丸川大臣は環境教育ということも考えていらっしゃるというふうに思いますが、環境教育に対する丸川大臣のお考えをお聞かせ願えますか。

丸川国務大臣 地球温暖化対策ということで、これまでも環境省を初めさまざまな取り組みをしてきたところですが、やはり、国民一人一人の皆様方が、危機意識を持っていただいて、行動を変容していくということが一番の基本だと思います。

 その上において、環境教育というのは非常に重要な位置を占めていると思います。学校はもちろんですけれども、職場において、また家庭において、また地域でのかかわりの中において環境教育を実践されていくということが非常に重要であると思っておりますので、持続可能な開発のための教育、ESDについても、今、文科省と連携して、ネットワークの体制の整備を環境省はやらせていただいているところでございますけれども、こうしたことについて、平成二十八年度予算五・七億円を計上させていただいております。

 今後とも、必要な予算を確保して、この動きを推進してまいりたいと思っております。

中島委員 その重要性については認識されておるということでございますが、先ほどドイツの例も挙げました。

 ドイツは、一九一九年には、世界で初めてと言われる自然環境を保護する条例も取り決めたり、一九七一年には、個々の市民も環境に優しい行動を通じて環境づくりと保護に関与すべき、そのため、環境を意識した行動を教育目標として学習計画に入れるべきと、環境教育の必要性はもう既に大分前から打ち出しておる。

 一九八〇年代から、環境に関するテーマが多くの教科で詳しく扱われるようになりました。学校生活全般において環境に配慮した指導を行っている。小学校の生徒、教科書なんかは無料の配付でございますが、丁寧に使って次の学年へ繰り越していく、そういったことも当たり前。

 そして、学校に乾電池やアルミの回収容器が当たり前のように設けられていたり、ごみ焼却場の見学とか、ごみを出さないためどうすればいいかといったテーマの討論会、そのようなことが、やはり長い積み重ね、子供のときからしみつかせる教育というものが、もうしっかりとできている。

 そういった意味で、その重要性は認識されておるということでございますし、予算もという話がありました。教育というと、どうしても文科省ということになるのかもしれませんが、先ほども大臣、予算の話も出ました。それが高いとか安いとか言うつもりはないんですが、各分野において、これは子供たちの教育現場のみならず、さまざまな企業であったりとか、いろいろな方面、各分野に対する環境教育の重要性、指導していく重要性。

 さらには、先ほど予算の話、何度も申し上げますが、支出の無駄は十分排しつつですが、環境教育に関する予算の拡充、これを図るつもりがあるかどうか、お考えをお聞かせください。

丸川国務大臣 ただいまの予算の中においては、ESDの推進のための先導的拠点整備事業ということで、地方環境パートナーシップオフィスというものについて、環境教育プログラムの実証事業としてやっていたものですけれども、これについて、二十五年度からの三年間において、全国の小中学校における環境教育の実践支援ということを行っております。

 また、実践者に対する研修についても、これは教職員のみならず、企業経営者、環境カウンセラー、また自治体、地域のコーディネーターといった、幅広い教育の場というものを想定した研修を行っているところでありますが、やはりこうした幅広い実践を行っていくためにはより予算が必要だという思いがございますので、これからも予算の獲得には努力をしてまいりたいと思います。

中島委員 子供たちに対する教育ということであると、社会保障と環境問題は大変重要な観点だということを私は冒頭にお話ししましたが、社会保障システムが非常に煩雑になってわかりづらい、そういったことも、私は、これから先、社会保障のシステムをしっかりと子供の教育の中に組み込んで、理解をしてもらうということが大前提になってくるんじゃないかと思います。

 そういう意味で、やはり、子供たちが環境問題に敏感になっていくということは、子供がごみの分別、そして、例えばエアコンの設定にしても、それをやることで、大人たちはやらざるを得なくなる。そういう意味からいくと、やはりこの環境教育に対する予算が、先ほども言ったように、高いか安いかとか、さまざまなことを取り組みされておる、されるつもりだということでございますが、その重要性について、ぜひ環境大臣として指導力を今後も発揮していただきたいというふうに思います。

 次に、地球温暖化対策について質問させていただきます。

 COP21、就任早々の大役であったというふうに思いますが、先ほども申し上げましたように、採択されましたパリ協定において、さまざまな野心的な事項が含まれたというふうに思います。

 特に私が興味深いのは、やはり適応の長期目標設定及び各国の適応計画プロセスと行動の実施が含まれたこと。これは昨年、COP21の前の十一月に我が国でも適応計画が策定をされた。昨年の三月にも、この適応計画の策定時期についてたびたび質問させていただいたんですが、当初は夏までにということであったのが十一月になった。もうちょっと早くできなかったのかなということは、私、個人的には思うわけですが。

 これは釈迦に説法ですが、地球温暖化に対する緩和と適応、緩和は根本論、そして適応は対症論、対症的対応ということになると思います。大臣も所信の中で、適応計画を着実に実施していく、緩和と適応を車の両輪として取り組みますとおっしゃっておりましたが、私も全くそのとおりだと思います。

 改めて、パリ協定で適応の長期目標の設定及び適応計画プロセスと行動の実施が盛り込まれた意義について、大臣の御見解をお尋ねします。

丸川国務大臣 気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告書において、適応及び緩和は相互補完的な戦略とされております。我が国でも、緩和だけではなく適応も進めるために、COP21に先立って適応計画を閣議決定させていただきました。

 パリ協定には、この各国の適応計画の策定や実施、そして、適応に関する報告書の提出と定期的更新等が盛り込まれました。これらは我が国の適応計画と整合するものでありまして、このパリ協定に適応に関する規定が盛り込まれたということは高く評価するものであります。

 今後、パリ協定を通じて、各国が適応計画プロセスや行動の実施に取り組み、報告書を提出し、情報共有等の協力を強化し、適応についてお互い学び合っていくことになります。

 とりわけ、私どもの国というのは災害が多い国でありまして、事この温暖化が進む上で影響を受けることを敏感に感じる感度を持った国であり、また、それに対応する技術というものも蓄えた国だという認識を持っておりますので、我が国の国内での適応計画の実施のみならず、国外においても、こうした気候変動の影響を受けやすい国に対しての人材の育成の面、あるいは技術での貢献の面について、これからもしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

中島委員 適応が盛り込まれたことは大変意義深いという御発言もございました。私もそのように思います。

 緩和策を実行していても、やはり、今後確実に気候変動が起こってくる、その可能性は高い。ここ近年の異常気象とか夏の暑さ、突然の豪雪など、やはり実際に気候変動における影響は出ている。そういう意味では、現実論として、やはり適応、今くしくもおっしゃいましたが、例えば、世界各国でも、気象状況は全く違ったり、衛生環境も違ったり、その脆弱性をどう評価して、その適応の実効性をどう評価していくのかということは大変悩ましい問題でもある。ただ、ここは乗り越えて、各国が実行していくということは大変重要だというふうにも思います。

 昨年十一月に政府が策定をしました適応計画、関係府省庁が適応策の策定にそれぞれ取り組んで、気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議ですか、これが個々の適応策を取りまとめたということで十一月に至ったというふうに理解をしておりますが、今後も、これは各省庁がそれぞれの分野、きょう、資料にも出しておりますが、一枚目ですが、我が国において既に起こりつつある気候変動の影響ということで、農林水産省、異常気象であれば内閣府もしくは国交省、熱中症であれば環境省、厚労省と、これは各省庁がしっかりと連携をとる必要があるというふうに思います。

 計画をつくったまではいいですが、やはり、その実施状況とか、意見交換も含めてですが、これはしっかりと各省庁の連携、横串を刺して高めていく必要があると思いますが、その必要性についての大臣のお考えと、具体的に、この関係府省庁連絡会議、最後に行われたのがいつで、そして現在に至るまで何回開かれたのか、お答えいただきたいと思います。

丸川国務大臣 気候変動の影響への適応に対して、関係府省庁が緊密な連携のもとで必要な施策を総合的かつ計画的に推進するため、関係府省庁連絡会議を開催しております。

 この開催でございますけれども、第一回が平成二十七年の九月十一日でございました。第二回が平成二十七年十月二十三日。そして、平成二十七年十一月二十五日に開催をいたしました第三回におきまして適応計画の閣議決定案を取りまとめて、二十七日に閣議決定したものでございます。

 これが最後の開催ということになりますけれども、今のところ、直近の開催ということになりますけれども、現在、適応計画に基づいて関係省庁が対策を実施していただいているところでございます。我が省がリーダーシップをしっかりとりながら、必要に応じて連絡会議を開催し、よく連携して計画を着実に実施してまいりたいと存じます。

中島委員 先ほど言った、各省庁、適応の問題は、農林水産であれ、内閣府、国交省であれ、さまざまな分野が多岐にわたる、そういう意味で、必要性は認識されておるということで私は理解いたしますが、これは、適応計画の策定以降、開かれていない。今後、開く予定があるんでしょうか。

丸川国務大臣 今後とも、進捗状況の確認等、必要なときに適時適切に開いていきたいと思っております。

中島委員 適応計画をつくったまではいいですが、今後、具体的な進捗状況、先ほども言ったように、この脆弱性をどう判断するかというのは、適応の実効性に大変重要な課題です。

 さらには、適応に関しては、この後ちょっと、もう時間もないので、はしょって質問いたしますが、緩和には地球温暖化推進法という根拠法があります。一方では、適応には根拠法がない。そして、予算も、各省庁の取り組みを寄せ集めた今回の適応計画ですから、ワンストップで地方自治体におりていかない。

 そういったことを考えると、全体の状況を各府省庁がしっかりと把握していかなきゃいけないわけです。必要に応じてというよりは、必要だという認識をしっかり持っていただきたいと思います。

 これは、しっかりと計画を立ててやっていただきたいと思いますが、再度御答弁いただけますか。

丸川国務大臣 適応計画の法制化についての御質問ということと認識しておりますが、まず、計画を昨年の十一月に立てたわけでございまして、この実施状況あるいは実施に係る諸課題というものをしっかり把握した上で、引き続き検討をさせていただきたいと考えております。

中島委員 さっき根拠法と言ったんですが、緩和に関しては根拠法がある、さらに、適応に関しては、根拠法がない中で適応計画ができた。一方では、各府省庁の連携が大変重要になる。

 資料の二枚目でございますが、これは適応計画の中にも盛り込まれております地方公共団体における適応取り組みへの支援。これは全世界でも同様に、国内でも、例えば南は九州、そして北は北海道、その脆弱性はそれぞれです。

 そして、資料の二枚目の下の方ですが、地方公共団体における適応取り組みへの支援とその実施状況。評価実施済みと適応に関する計画を策定済みというのは現段階で非常に少ない。計画策定については、埼玉県と長崎県、二県だけになっている。

 これは、平成二十七年から支援をしているにもかかわらず、まだこの状況ということを考えると、今、私は根拠法の話をしましたが、地方自治体もなかなか、この適応計画、脆弱性をどう評価していくのかというのは大変悩ましいし、やりづらい部分があると思うんですね。

 そういった意味では、地球温暖化推進法が緩和には根拠法としてあるように、適応に関しても根拠法となる法整備が私はやはり必要だというふうに思いますが、もう一度、大臣、御答弁いただけますか。

丸川国務大臣 地方自治体における適応の取り組みへの支援、これは適応計画等を立てていただくための支援でございますが、これは平成二十七年度から始めさせていただいておりまして、まだ年度中でございます。

 現在、四十七都道府県中十六都県が既に策定をしているという回答、これは、平成二十六年度について調査したところ、回答を得ておりますが、委員御指摘のとおり、都道府県レベルでも多くのところがまだ未策定であるという回答も得ております。

 我が国の適応計画では、基本戦略の一つとして、地方公共団体における気候変動影響評価や適応計画策定等への協力等を通じて、地域における適応の取り組みの促進を図るということにしておりまして、適応計画の策定を支援するモデル事業を行い、それを通じて得られた知見をもとに、適応計画の策定手順や課題等を整理してガイドラインを策定して、他の地方公共団体への展開を図ってまいりたいと考えております。

 法制化ということについては、このような取り組みを進め、また、適応計画全体、これは国としての適応計画の取り組み状況、実施の状況を把握しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

中島委員 時間もないので、残りの質問はまたの機会にさせていただきたいと思うんですが、地球温暖化対策、緩和と適応は車の両輪とおっしゃっておりました。やはり、私、これは世界各国でもそうなんです、世界各国の脆弱性を評価して、適応の推進状況を判断していくというのは大変難しいと思うんですね。これは日本国内においても、私は山梨県出身でありますが、山梨県と例えば九州のある県と、この適応計画をつくって、そして実施状況をどう評価していくのかというのは大変難しいし、これは予算の問題もあると思います。

 そういったことを考えると、緩和に対する地球温暖化推進法、そのような根拠法がやはり私は必要だというふうに思います。計画が策定されましたが、私、この実施状況等を評価していくためには、そのもととなる根拠法が大変重要だという認識を持っておりますので、この件については、次回にもまた機会がございましたら質問させていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、終わりにします。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。

 きょうは、大臣所信に対する質疑で、大きく三つの項目に分けて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、人と自然が共生する社会の実現についてお尋ねいたします。

 森、里、川、海の恵みに支えられた四季折々の豊かな自然環境が、私たちの暮らしの中にいわゆる日本人のアイデンティティーとなる大切な文化、風土を育み、教養や感性など人間性の醸成という知的成育の恩恵のみならず、農業や漁業を初め多種多様な産業構造の基盤や供給源にもなっていることは誰もが認識しているところです。この自然の循環なくして、我が国のみならずこの地球に生きる全ての人類にとっての営みは考えられないと言っても過言ではないでしょう。

 ところが、この自然の循環をただ同然のように消費し、生態系や環境に対して負荷をかけ劣化させている状態を続けてしまったら、その資源と営みはいつか完全に失われてしまいかねません。

 我が国でも、この間、二〇〇二年のCOP6、オランダ・ハーグで採択された、二〇一〇年までに、地球、地域、国レベルで、貧困緩和と地球上全ての生物の便益のために、生物多様性の現在の損失速度を顕著に減少させるという戦略計画、二〇一〇年目標がありましたが、それが達成できなかったため、新たにCOP10で、二〇一〇年以降の世界目標となる生物多様性条約の三つの目的、これは戦略計画二〇一一―二〇二〇ですが、三つの計画が示された世界目標について取り組んでいます。

 他方、二〇〇七年、ドイツ・ポツダムで開催されたG8プラス5の環境大臣会議で、ヨーロッパとドイツによって提唱された国際的プロジェクトでありますジ・エコノミクス・オブ・エコシステム・アンド・バイオダイバーシティー、生態系と生物多様性の経済学においては、全ての人々が生物多様性と生態系サービスの価値を認識し、みずからの意思決定や行動に反映させる社会を目指し、これらの価値を経済的に可視化することの有効性を訴えています。

 これは、生物多様性の保全と生態系サービスをこれからも維持していくために、できる限り経済的な価値に置きかえて評価、認識し、政策立案や企業活動などのあらゆる意思決定の場面に反映させていくことを目指す取り組みであります。

 これについては、その頭文字をとってTEEBと言っておりますが、二〇〇七年に示され、二〇〇八年の閣僚級会合で中間報告、そして二〇一〇年に名古屋でTEEBの報告書が公表されております。

 さて、このTEEBの取り組みと関連して、自然の恵みを将来にわたって享受するため本邦ではどのように取り組んでいるかをまずお伺いいたします。

丸川国務大臣 TEEBは、愛知目標に位置づけられた生物多様性の主流化に貢献する重要な考え方と認識をしております。

 生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇においても、生物多様性が有するさまざまな価値を経済的な評価により可視化し、意思決定や行動に反映していくことや、生物多様性や生態系サービスが有する経済的価値の評価を推進していくことを記載しております。

 環境省としては、これまで、湿地が有する生態系サービスの価値を年間一兆五千億円程度と試算するなど、経済的な価値評価を行ってきたところです。

 今後とも、生態系サービスの価値の可視化を通じて、これらの価値が国民一人一人の行動や企業活動、また国の政策等における意思決定に反映されるよう、必要な施策に取り組んでまいります。

玉城委員 国の計画においてその施策に取り組んでいくということを国民に広く公表し、その活動につなげていくために、やはりさまざまな地域や団体からの多種多様な意見を聞くこと、取り上げていくことは非常に大切だと思います。

 国内それぞれの地域の自然資源などを積極的に活用することについて、地方自治体や諸団体との連携がどのように協議されTEEBの行動計画に反映されているかについて伺います。

鬼木大臣政務官 先ほど出ました生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇の基本方針におきまして、「生物多様性の恵みの価値を認識した上で、社会経済的な仕組みの中に組み込んでいく」ということを記載いたしております。

 そこで、地方と環境省との取り組みですが、現在、環境省では、私たちの暮らしを支える森、里、川、海の恵みを将来にわたって享受するために「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトを進めておりまして、本年度も全国約五十カ所で、リレーフォーラムを各都市で開催いたしたところでございます。

 私も、北海道の釧路市で開催されたフォーラムにも参加いたしまして、こうした取り組みの重要性を発信してまいりました。

 環境省としても、フォーラムで紹介された地方自治体や民間企業による先進的な取り組みやさまざまな御意見を踏まえ、地域の自然の恵みの価値を経済的に評価し、その価値を社会経済の仕組みの中に組み込むことにより、自然の恵みをまた支えていくということを目指してまいります。

玉城委員 ありがとうございます。

 決して開発だけが経済行為ではない、経済活動ではないということを国民に広く公表し、積極的に参加を呼びかけていただきたいというふうに思います。

 次に、国民の健康と良好な環境の確保についてお伺いいたします。

 テレビのニュースなどで見ていますと、やはり一番国民の皆さんが気になるのは、PM二・五などによる深刻な大気汚染の問題だと思います。この大気汚染に関する取り組み及び発生や予報などの的確な情報提供についてお伺いいたします。

 まず、中国やアジア各国と緊密に連携して、排出の抑制に対する積極的な立場からの、本邦に可能なあらゆる協力を提供し、推進することが肝要、肝心であるというふうに思料いたしますが、このことについて、現在どのような取り組みを行っておりますでしょうか。

鬼木大臣政務官 PM二・五に対してでございますが、PM二・五対策について、国際的には、日中韓三カ国環境大臣会合における合意に基づく取り組みを進めております。昨年開催された第十七回会合では、今後五年間の共同行動計画に合意したところでございます。

 具体的には、同計画に基づき、大気汚染に関する三カ国政策対話を通じた協力を進めておりまして、対策に関する科学的な研究やモニタリング技術及び予測手法について議論をしております。

 ことしの二月二十三日、二十四日には東京で第三回の政策対話を開催いたしまして、私自身もこの政策対話の挨拶の中で、三カ国が大気汚染対策を一層進めることの必要性を主張いたしました。

 大気汚染対策に関し日中韓で連携していくことは、昨年十一月に開催された第六回日中韓サミットにおいても確認しております。

 引き続き、中国を初めとするアジア各国と連携しながら、これらの取り組みを通じて大気環境の改善を進めてまいりたいと思います。

玉城委員 日中韓三カ国の協力体制について、今懸命な取り組みがなされているということですが、特に我が国から中国に対しての具体的な支援対策の協力などがありますでしょうか。

鬼木大臣政務官 私も地元が福岡でございまして、PM二・五に対しては強い問題意識を持っております。

 大陸より飛来するPM二・五の対策を進める上で、中国との協力は不可欠であると認識しております。

 中国との協力については、国レベルでは、日中韓三カ国による取り組みを進めております。また、我が国の地方自治体や産業界における知見やノウハウを中国の主要都市における能力構築や人材育成等に活用する都市間連携協力事業を推進しております。

 例えば、私の地元福岡県では、江蘇省が二十年にわたる姉妹都市でございまして、江蘇省との間で大気環境の改善に関する協力を進めております。具体的には、江蘇省の職員に対し大気汚染物質の分析のための研修を行うなどを通じて、人材育成に協力いたしております。

 引き続き、こうした具体的な協力を通じて、中国における大気汚染対策を後押ししてまいりたいと思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 次に、国立公園の指定についてお伺いしたいと思います。

 平成二十七年三月現在、全国で三十二カ所が指定されていて、面積の合計は約二百十一万ヘクタール、日本の国土面積の約五・六%を占めている国立公園ですが、本年二月二十七日、環境省から、沖縄県北部の山原地域について、私たち県民は山の原と書いてヤンバルと呼んでおりますけれども、心のふるさと、大自然のふるさとですが、その山原地域について、陸域及び海域の約一万七千三百ヘクタールを国立公園に指定する方針が発表されています。

 国立公園に指定する具体的な意義とは何でしょうか。お伺いいたします。

丸川国務大臣 沖縄本島北部の山原地域は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、ヤンバルクイナなど多種多様な固有種が生息また生育するなど、我が国を代表する傑出した自然の風景地でございます。

 国立公園の指定により、このようなすぐれた自然の風景地を保護するとともに、訪れる方々に山原地域のすばらしさを感じていただくことができるようなエコツーリズムを初めとした利用の増進を図ることで、地域の活性化にもつなげてまいりたいと考えております。

玉城委員 現在、日米両政府が合意しておりますいわゆる米軍の北部訓練場約七千八百ヘクタールの一部が返還される計画になっておりますが、この北部訓練場の一部が返還された場合、指定する国立公園の区域を返還後に拡大する計画はありますでしょうか。

平口副大臣 お答えいたします。

 今回の国立公園区域案には、米軍の施設及び区域は含んでおりません。

 北部訓練場の返還後の取り扱いにつきましては、現時点では決まっていないことから、返還された際に検討してまいる予定でございます。

玉城委員 この北部訓練場は、誰もが自由に立ち入れないことは当然なんですが、それによって自然形態が良好な形で残されているということもまた数々の報告や研究で発表されています。

 例えば、オスプレイのヘリパッドが建設される予定の東村高江区には、日本鱗翅学会が発表したチョウの群体が生息する大変貴重な地域があるということも報告されておりますので、ぜひ、これから拡大していくという計画の中には、北部訓練場ももちろんですが、それ以外の地域の貴重な資源をしっかりと保護していくために取り組んでいただきたいと思います。

 さて、環境省では、平成二十三年度から専門家による検討会を開催し、生物多様性保全をする上で重要度の高い海域、重要海域を抽出するための検討が現在行われております。重要海域の解析に当たっては、八つの抽出基準ごとに、生物の分布データ、海底地形や海流などの物理環境データなど、さまざまなデータを利用した各抽出基準とそれぞれに適用される定義や適用例などを挙げて、今取り組みを進めております。

 環境省が定める予定であります北部地域の海域に当たるとされている重要海域が発表された場合、今回の山原地域の国立公園とつなげて保全するという可能性がありますでしょうか。お伺いいたします。

平口副大臣 お答えいたします。

 今回の国立公園区域案は、これまでの調査等の結果を踏まえ、海域も含めて国立公園としての資質を有する必要十分な範囲を指定しようとするものでございます。

 他の国立公園と同様、国立公園指定後も定期的な点検を行い、重要海域の結果も参考にしながら、必要に応じて国立公園の区域の見直し等を検討してまいります。

玉城委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。

赤澤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十三分開議

赤澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 議事に先立ちまして、クリスチャンスドッティル団長を初め、ただいまアイスランド共和国国会議員団御一行が当委員会の傍聴にお見えになっております。御紹介を申し上げます。

    〔起立、拍手〕

赤澤委員長 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 質疑を続行いたします。小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 改革結集の会の小沢鋭仁でございます。

 アイスランドの議員団の皆さんを歓迎するとともに、アイスランドにも大変影響のある気候変動問題について、大臣所信に関連して質問をさせていただきたいと思います。

 時間が十五分と限られておりますので、ぱっぱっぱっといきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、今回のというか昨年のいわゆるパリのCOP21、パリ協定が成立をいたしました。私もこの問題をずっとやってまいりまして、そういった意味では、いわゆる米国、中国が入った形での、ある意味では大変いい協定がスタートしたな、こういうふうに思っています。私も、この米国、中国をどうやって入れるかという話を苦労してまいりましたけれども、米国はトッド・スターン、それから中国は解振華、恐らく大臣もいろいろお話しになった、こういうふうに思います。

 まず、この二つの国、いわゆる全体のCO2排出量の四〇%を超える、こういう話になりますが、そういったことも含めて、この二つの国が入ったことの意義、大臣がどのように対応されたか、御報告をいただければと思います。

丸川国務大臣 小沢委員におかれましては、コペンハーゲンの大変なCOPで大臣として交渉に取り組まれたということで、我々もその経験を踏まえて今回努力をしてきた次第でございます。

 御指摘のとおり、中国、アメリカといった世界第一位、第二位の排出国が前向きな姿勢で交渉に参加をしたということ、そして最終的に合意が得られたということは、世界全体の対策を進める上で非常に意義があると考えております。

 これは、先進国、途上国を問わずに、温暖化対策の重要性が十分に認識された結果であろうと考えておりますので、今後とも、先進国、途上国の立場の違いを乗り越えて、この温暖化対策に日本もしっかりと参加をしていきたいと思います。

小沢(鋭)委員 アメリカは先進国のリーダーというかトップを走る国、それから、中国はこの温暖化問題においては途上国のトップを走る国、こういう位置づけで、その二つの国が入ったということが極めて重要だ、こう思っておりますが、ただ、同時に、幾つかの懸念もあるわけですね。

 一つは、京都議定書と異なって、削減目標の達成に法的拘束力がないことであります。

 法的拘束力がないというのは、そこまで詰めれば今回の合意ができなかった、こういう話だというのは十分わかるんですけれども、これに対する懸念、それに対して対応、具体的な提案があったら、通告は二つに分けておりますが、一度でお答えいただければありがたいと思います。

丸川国務大臣 御指摘のとおり、今回のパリ協定では、全ての国が参加できる仕組みをつくるということを非常に重視して進めました。

 ですので、これを実効性を持たせるためにどうするかということで、我が国としても、レビューを受けるということについて、また、削減目標を五年ごとに提出、維持していくということ、これについては提案をし、そしてその仕組みを取り入れたわけでございますけれども、同時に、削減目標の目的を達成することの国内対策を実施する法的義務がこの協定に位置づけられております。

 こうした国内の取り組みをしっかりしていくとともに、実施の状況を透明性ある形で明らかにし、そして、全ての国がきちんとレビューを受けるということが重要かと存じます。

 こうしたサイクルにより、世界全体の長期目標の達成に向けて、ともに前進していくことが必要であろうと考えます。

小沢(鋭)委員 確かに、国内目標を達成することの義務化、こういう話があるのは事実ですが、一生懸命やりました、だけれども達成できませんでしたという話も実は起こり得るわけでありまして、そういったところがないように、やはり引き続きいろいろな工夫が今後とも必要なのではないかな、こう思っております。日本もぜひ知恵を出して全体の動きを引っ張っていってもらいたい、こう思うわけであります。

 その日本の今後の活動に関してであります。

 昨今ずっとこれに対する、いわゆる削減目標を実現するための地球温暖化対策計画というんですか、今の政府の方の計画、そのいろいろな内容が報道されているわけであります。

 まず一つは、二〇五〇年までに八〇%削減するという長期目標を明確にした、こういう報道がありますけれども、これはその計画の中には入る、あるいはまた、今後、その計画をベースにした法案には入るのか、その点はお聞かせいただけますか。

梶原政府参考人 先週金曜日に、地球温暖化対策計画につきましては、その案を審議会の方に提示しております。

 その中におきましては、二〇五〇年に向けたものとして、八〇%減を目指すという形で位置づけておるところでございます。

小沢(鋭)委員 局長、我々のときには予定した法案に数字を入れましたよね。頑張ってしっかりやってください。いいですか。もし、ありましたら。

梶原政府参考人 数字につきましては、法律の中で書くという整理をしたことも、そういう法案をつくったこともございますけれども、今回の計画の中でしっかりと二〇五〇年八〇%減と位置づけて、それに向けて、それを目指して頑張っていきたいと思っております。

小沢(鋭)委員 法的拘束力、リーガルバインディングというのは重要ですから、ぜひ、そこはもう一歩踏み込んで頑張るように要請をしておきたいと思います。

 その地球温暖化対策計画の基本方針でありますが、これも幾つか報道ベースで伝わってきておりますけれども、民生部門の対策というような話が聞こえてきますが、それについての発言をお願いします。

丸川国務大臣 二〇三〇年の目標を達成するために、家庭、業務部門で四割の削減をしなければいけないということになっておりますけれども、これを達成するためには、補助金あるいは税制、規制はもちろんでございますけれども、やはり、国民お一人お一人に地球温暖化対策に向ける行動を引き起こしていくような危機感の共有であるとか、あるいは、達成されたときの、特に長期的な目標が達成されたときの絵姿を共有するための普及運動、国民運動というものが非常に重要でありますので、今回法律にそれを位置づけたいということでやってまいりました。

小沢(鋭)委員 要するに、例えば、産業部門、地域、それから家庭、大きく三つの分野があると思っておりまして、産業部門に関しては、日本の企業はやはり対策が相当進んでいる。よく言われた話でありますが、雑巾を幾ら絞ってももう水が出ないくらいやってきたんだ、こういうふうに言っています。特に、自民党政権に戻って産業界にまたさらに甘くなったかな、こういう懸念はありますけれども、いずれにしても、確かに、日本の経済界がかなり頑張ってきたのは事実。

 地域と家庭の部門、ここは全くやれていないんですよね。やれていなかったんです。ですから、今大臣からも国民運動という話がありました。私のときも、実は加山雄三さんに国民運動のキャプテンになっていただいて、そういった話をやってきたわけでございます。ぜひ、大いに盛り上げてやっていただきたいということを要請したいと思います。

 そこで、質問は地域の対策です。地域の具体的な対策を聞かせていただきたいんですが、なぜそれを言うかというと、私が一貫して言ってきたのは、さっき話が出たコペンハーゲンですね。

 コペンハーゲンに行ったときに、これは全く知らないで私は行ったんですけれども、あそこのいわゆる暖房設備は約八〇%がまさに一括管理なんですね。熱導管で各家庭、各ホテル、各会社がつながっておりまして、廃棄物を処理したときの廃熱とか、そういう話がだあっと八割、地域をめぐっているわけですね。でありますから、家の中に一つずつの、いわゆる日本にあるようなストーブとか、そういう話は全くホテルなんかでもない、こういう話なんですね。

 やはりこの地域での取り組みというのは大変重要で、私は、環境公共事業、こういう言葉をつけて、民主党政権のときは公共事業には厳しかったんですけれども、環境についての公共事業というのは、この熱導管とかという話は個々ではできませんから国が率先してやるべきだという話を主張させていただいたんですが、そういった地域の取り組みに対しての具体的なプランはあるんでしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地域における低炭素化の取り組みは極めて重要であるというふうに認識しております。

 環境大臣の私的懇談会でございます気候変動長期戦略懇談会におきましても、先月取りまとめられました提言の中で、地域の特性を生かした多様な地域が構築され、地方創生が実現されることが不可欠であり、再生可能エネルギーの導入などの地域のエネルギー収支の改善が地方創生に寄与するとされたところでございます。

 それで、環境省では具体的に、域内の経済循環に関する分析ツールを開発、提供いたしまして、地域資源を生かした付加価値の高い財・サービスを生み出して地域外から資金を獲得するなどの対策の立案に活用するように促してきております。

 その中でも、特に、先生に御指摘いただきました再生可能エネルギーを、自立分散型ということでどうやって地域に普及拡大していくか、さらには、自治体の主導で徹底した省エネルギー対策をしていきたいということで、取り組みの計画策定や設備導入に対する財政支援も拡充することとしておりまして、例えば、来年度の予算におきましては、再生可能エネルギー電気・熱自立普及促進事業などを新規に要求させていただいているところでございます。

 今後とも、このようなさまざまな政策ツールを動員いたしまして、地域の活性化にも資するCO2削減対策を推進してまいりたいというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 また具体的な話は法案が出たときにさらに詰めさせていただきたい、こう思います。

 大臣にここで要請をし、またお気持ちを聞かせていただきたいんですが、今も三好さんから地方創生の話が出ましたね。安倍内閣は地方創生を看板の一つとしてやっている、こういう話ですが、正直言って地方創生の話は最近全く目立たないですよね。一億総活躍という言葉が何か取ってかわったような感じになりましたけれども。

 さっき申し上げた環境公共事業というのは、やはりこれは地方の、地方創生の大きな柱にすべきですよ。地方というのは、要は、人口が集中していない、自然がある。逆に、人口が集中していなくて自然があるところでまさに環境というのは生きるんですよ。環境公共事業というのは生きるんですよ。そこに資金を投入できるんですよ。そうしたら地方が元気になるんですよ。日本じゅうの環境がよくなるんですよ。

 そういう発想でいえば、大臣、地方創生の中にまさに、環境公共事業というのは私の造語だから別にそうじゃなくてもいいんだけれども、環境事業を地方創生の大きな柱にすべきだと思いますけれども、お考えをお聞かせいただければと思います。

丸川国務大臣 委員御指摘のとおり、再生可能エネルギーを生み出す自然資源というのはむしろ地方にこそ豊富にあるわけでございまして、これを生かさない手はないと私どもも考えております。

 さまざまないい取り組みを、バイオマスであったり風力であったり、いろいろな取り組みをしていただいておりますけれども、やはり地方創生の目玉としてこういうものが取り上げられるように環境省は声を上げておりますので、さらにそれを政府全体に広げていくように今後努力してまいりたいと存じます。

小沢(鋭)委員 環境省が声を上げているかどうかが聞こえてこないのでありまして、これは本当にしっかり石破大臣にも話をしていただいて、石破大臣ももう弾なしで困っていると思います。本当にそういった意味では、まさに環境関係で地方創生をしていくというのを、安倍内閣にエールを送ってもしようがないんですけれども、そういった形でぜひやっていただくことは日本の環境にとってすばらしいことになる、こういうことをお願い申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、田中和徳君。

田中(和)委員 自由民主党の田中和徳でございます。

 丸川大臣は参議院の方へ行かれるということでございます。大臣への質問もたくさん用意しておったんでございますが、残念ですが、順次、副大臣に向けて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、未曽有の自然大災害でありました東日本大震災から五年の大きな節目を迎えます。先日のマスコミの調査に基づく報道では、岩手、宮城、福島三県の沿岸と福島第一原発周辺の計四十二市町村のうち六〇%の自治体の長が、復旧復興がおくれている、こういうふうに答えておられます。

 これまでの取り組みについて振り返ると、瓦れきの処理、除染など、進んでいる一面も見られますけれども、いまだなお避難生活を余儀なくされている方々が多数おられますし、しかも、残念ながら、故郷へ戻ることを断念されたという方々もおられると伺っておるところでございます。

 国を挙げて被災地の復旧復興に、引き続き、除染、中間貯蔵施設の整備、指定廃棄物の処理などの重要な課題にしっかりと取り組んでいかなければなりません。

 この発生から五年の大きな節目に当たりまして、改めて、長年にわたり環境省の担当副大臣をお務めになっておられます井上先生に、現状についての御認識あるいは不退転の決意をお聞かせいただきたいと思っております。

井上副大臣 田中委員おっしゃるように、この三月十一日でいよいよ東日本大震災、また第一原発事故から五年が経過をいたします。引き続き、被災地の復興を最優先の課題としてしっかり取り組んでいかなければならないと考えております。

 それから、現状と今後の取り組みでございますが、除染につきましては、国直轄の除染は約七割が完了と進捗をしておりまして、平成二十八年度末の除染の完了を目指して、さらに加速化してまいりたいと思います。

 それから、中間貯蔵施設につきましては、先日公表いたしました平成二十八年度を中心とした中間貯蔵施設事業の方針に基づいて、引き続き、地権者の皆様への丁寧な説明を尽くすとともに、用地の取得状況に応じて段階的に施設の整備を進めてまいります。

 また、指定廃棄物につきましては、長期にわたる管理を確実なものとするため、地元の御理解が得られるよう、引き続き誠意を尽くして丁寧な説明に努めてまいります。

 平成二十八年度からは復興・創生期間でございます。引き続き、福島県を初めとする被災地の皆様の思いに寄り添いながら、環境省として誠心誠意取り組んでまいります。

田中(和)委員 井上副大臣の御答弁、私も大変重く受けとめておるところです。私も環境省の副大臣を井上副大臣とともにやったときがあるわけでありますし、いろいろなことが思い出されるわけです。

 ただ、行政を執行する立場と地元の受ける気持ちというのは、とかくやはりギャップがあるものでございます。今副大臣がおっしゃるように、地元の皆さんに寄り添ってという気持ちが、地元の皆さんの立場に立ってという気持ちが常に大切にされる限り、私は、この大事業をやり遂げていくことができる、このように思っておるわけでございます。

 大臣、副大臣を初め皆様方の大きなお力をぜひ地元の皆さんのために、国のために、ひとつ頑張って果たしていただければありがたいと思っております。

 続いて、少し角度の違うお尋ねをしてまいります。刑務所出所者の環境省での雇用についてであります。

 日本は、二〇二〇年東京オリパラまでに世界一犯罪の少ない国、安全な国日本を標榜して取り組んでおるところでございます。安倍総理を初め全閣僚が構成員となって犯罪対策閣僚会議を設け、政府一丸となってこの取り組みが進められております。

 御存じのように、一般刑法犯の認知件数は減少傾向にありますが、約三割の再犯者によって六〇%の犯罪が起こっておるわけでございます。この受刑者の人たちの中の再入所率も実は六〇%あるんです。安心、安全、犯罪のない社会を実現するためには、やはりここがポイントでございます。

 現在、全国の受刑者約五万三千人のうち、二万五千人が毎年出所いたします。受刑者が出所するまでに一人当たりかかる経費、すなわち税金でありますが、約一千万円のお金がかかっておるわけでございます。出所後再びこの人たちが再犯を犯して受刑をすることになれば、さらなる犯罪被害者を生むだけではなくて、多額の税金が投入をされ、国家全体の大きな損失ということになってくるわけでございます。

 これを何としても防止しよう。ここは、就労と住居の提供でございます。これは、調査で十分オープンになっている、明らかになっていることでございます。

 私たち自民党におきましても、二十六年の二月に刑務所出所者等就労支援強化特命委員会が設置されまして、自来、スタートから今日まで、私が特命委員長でございます。

 今、民間の協力雇用主の皆さんに職安や刑務所が一体となり、保護観察所が一体となって、雇用が進められ始めております。しかし、民間の皆さんにお願いするだけではなくて、当然、国や地方の役所で採用していただこう、こういうことが今大きい声となっております。先般、厚生労働省、法務省でも採用をいただいておりますし、また、私の地元の川崎でも、今般、採用をさせていただくことになりました。現在、三十七の地方自治体がこのことを実行していただいております。

 環境省でも、いろいろな仕事があると思います、厚生労働省や法務省と同様に採用をぜひ御検討いただきたい。お願いを申し上げつつ、御答弁を願いたいと思います。

平口副大臣 お答えいたします。

 御指摘の点については、どのような形であれば雇用することができるか、法務省ともよく相談をいたしまして、結論を出したいと思っております。

田中(和)委員 非常に明快な答弁でございまして、前向きな答弁だ、このように受けとめておきたいと思っております。

 環境省は、自然の環境、いろいろな取り組みをするわけですが、社会の環境も浄化するために取り組んでいくということは非常にすばらしいことじゃないか、このように思うわけでございまして、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思っております。

 続いて、スリーRについて、具体の例を引きながらお尋ねをしてまいります。

 実は、スリーRのことを私が言うまでもありませんが、これは環境の上から非常に重要なことであることは言うまでもありません。

 今、一番何に困っているかというと、私の地元でいうと放置自転車なんですよ。川崎市内は、とてつもない数の駅があって、繁華街がありますから、もう本当に大変な自転車が駐車するわけでございますし、また、放置自転車の状態が起こってまいります。それを、場所を確保して、しかも撤去して運び入れ、最後は法的な手続をして処分する。自治体でやるものですから、これは全部税金でやるわけですね。一定の義務を民間の施設などにもお願いしているんですけれども、なかなか十分機能していないのが現状でございます。

 二〇〇四年に二輪車リサイクルシステムに基づくエンジンつき二輪車、二〇〇五年スタートの自動車リサイクル法に基づく四輪自動車のケースは、劇的に解決しましたね。これは、お金をいただくということで解決したわけです。

 自転車だけではないかもしれない、いろいろなものが世の中にあるわけですから、いろいろなケースがあると思いますけれども、せめてこの自転車だけは何とか、メーカーや輸入業者、販売業者、あるいはユーザーの皆さんとともに、きちっとコンセンサスを得る努力をしていただいて、これを何とか自動車やオートバイのように対応できないものだろうか、このことについて環境省にお伺いしたいと思います。経産省にお尋ねする内容も入っていますけれども、きょうは環境委員会でありますから、環境省から御答弁を願いたいと思います。

白石大臣政務官 田中委員にお答えさせていただきます。

 委員がおっしゃっておられましたように、デポジット制度は、製品価格に一定金額のいわゆるデポジット、預託金を上乗せして販売し、同製品の返却時にデポジットを返金するというものですから、対象物の回収率を向上するという意味では随分利点があります。

 また、お話にもございましたとおり、自動車リサイクル法では、自動車を購入する際にユーザーにリサイクル料金の前払いを求めて、その自動車が使用済みになった際には当該リサイクル料金をリサイクル費用として充てております。

 さらに、お話がございましたとおり、自動二輪でございますけれども、廃棄物処理法に基づく広域認定制度を用いてメーカーが自主的にリサイクルを行っております。リサイクル費用は製品価格に内部化されておりますので、これも随分進んでおります。

 こうしたリサイクル料金の前払いや内部化は、廃棄時に新たな費用負担が発生しないために、不適正な処理の防止やリサイクルの推進にも資するものでありますし、経済的インセンティブを活用して対応すべきという考え方は、先生おっしゃるように重要であるというふうに考えております。

 一方で、川崎市の大きな問題になっております自転車でございますけれども、デポジットやリサイクル料金の上乗せによる製品需要の減少とか、料金の管理、そしてまた回収体制構築に伴うメーカーや小売店の負担など、さまざまな課題があるのも事実でございます。

 そのために、先生おっしゃいましたように、御指導も受けとめつつ、また、三Rの分野に対する経済的インセンティブの活用の可能性について、いわゆる各地域、全国の状況も把握した上でしっかりと研究をしてまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。

田中(和)委員 大変丁寧な御答弁であったと思いますが、私も環境省の立場にあったときもあって、似たようなことを繰り返しているんですね。ずっと進まないんですよ、これは。

 東京都のある特別区で、困り果ててやろうとしたんです。だけれども、これは地域が一カ所やったって意味がないんですよね。やはり全国一斉か、ある程度の人口密度の地域を指定してやっていくか考えないと、これは意味がないんです。

 それと、私も業界に幾つか聞いてみたんだけれども、業界が社会的な役割を果たすことができるということについては、余り反対はないんですよ。また、それを扱うことによって手数料をお渡しすることもできるわけですし、これは一つの事業化にもなっていくわけです。

 私の川崎は、最終的に、法的な手続をした後、自転車屋さんや何かに御協力いただいて、きちっと組み立てをし直してベトナムに差し上げているんですよ。膨大な量です。ですけれども、それはそれで喜ばれるんですけれども、根っこが解決されないわけですね。

 いつまでも同じことの繰り返しではなくて、ぜひひとつ前向きに、経産省等とも、あるいは地方自治体とも協議をしながら具体のルールをつくり上げていただきたい、このことを申し上げておきたいと思っております。

 もう一点、少し似た話でございます。

 皆さん、リターナブル瓶というのは御存じだと思います。私は、幼いときに、おやじが飲んだ酒のあいた一升瓶とかビール瓶とかというのを集めて、一生懸命酒屋さんに持っていって小遣いにしたことを覚えているんですね。一升瓶、ビール瓶の姿はお金に見えたんです。学校でもそれを集めて、廃品回収をやって、学校のいろいろなことに活用させていただいたこともあります。こういう時代の瓶は非常に大切なものでした。

 今、いろいろな、経済的な理由もありますし、管理上の問題もあって、ペットボトルだとか紙類の容器に全部移って、使い捨ての社会になっていますね。デポジットというのは、事前にお金を預かるわけでして、必要なくなったらお返しするという制度ですから、この流通もまたビジネスが成り立つわけです。

 私は、たまたまマーシャル諸島共和国の議員連盟の会長をやっておるわけですが、マーシャルは島国ですから、容器に入っているものは最初から料金をかけて販売するんです。ですから、マーシャルの島の中で廃棄物として処理するときの費用が最初から入っているわけですよ。これも一つの理屈だなと思って視察をいたしました。

 日本は、本当に今、この容器のデポジットというのはなくなってしまいましたね。これをもう少し、ヨーロッパなんか先進的な国もありますけれども、いろいろなことを考えて、全てというわけにいかないと思うんですけれども、非常に流通の多いもの、こういうものについてデポジットの制度を取り入れてお互いに廃棄物を減らしていく、スリーRの精神に基づいた処理をしていく、こういうことが可能ではなかろうかと思うのでございます。

 以前はやっていたわけですから、ぜひ環境省でもこの検討がいただけるかどうか、御答弁を願います。

白石大臣政務官 先ほどの御質問に続き、今回デポジットについて、委員御自身が視察をして、その上での御意見を頂戴させていただきました。ありがとうございます。

 環境省も、いわゆるデポジット制度の重要性というのはよく認識をしておるところでございますし、また、以前、そのような形で瓶についてもデポジット制度を取り入れていたということについても認識をしておるところでございます。

 そういう中で、委員から御提案をいただきましたように、いわゆる上乗せする製品需要の減少や、回収及び保管に伴う小売事業者の負担なども考えていかなければならないというふうに思っておりますけれども、ステーション収集式のリサイクル、既存の回収システムというようなものに対する影響も考えた上で、今後、課題として取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

田中(和)委員 これからちょっとまたCOP21のことをお尋ねしますけれども、国民の人たちは今、環境問題には非常にすぐれた、敏感な時代なんですよ。ですから、ビジネスということが常に残ってくるんですけれども、私が今まで確認をした限り、この流通を変えることによってビジネスはまた成り立つんですよ。いろいろな形ができるんです。

 ですから、これはやはり経済的なデメリットということではなくて、メリットが生まれるんだという発想でいろいろなことを考えていただきたいと思います。

 それから、流通関係等は経産省が担当するものですから、環境省は後追いになっていくんですけれども、これは逆なんですね。環境省がやはりどんどんと強い指導力を発揮してこそ、環境省の意味があるんですよ。ですから、ぜひひとつ真剣な取り組みをしていただきたい、こう思っております。そして、評価というものをやはり環境省自身が政治的に決断していかなきゃいけない。ぜひひとつよろしくお願いしたいと思っております。

 それから、COP21についてお尋ねをしたいと思います。

 先ほど来よりいろいろなお話が出ておるわけでございますが、たまたま私は、今回、衆議院から民主党の馬淵澄夫先生、公明党の真山祐一先生、参議院からは自由民主党の木村義雄先生、共産党の倉林明子先生、そして私と、議員会合に出席をいたしました。私が団長を務めたわけでございます。

 そういう中で、評価については言うまでもありませんが、大変すばらしいことなんです。議員会合の方も大変な数が参加をしておりまして、百カ国近い国から代表や地方議会の皆さんが見えていました。フランスの国会議員の本会議場で大変立派な会議が催され、私も幾つかの発言をしたわけでございます。

 そもそも、一九五〇年、昭和二十五年の世界の人口は二十五億人です。昭和二十五年と二十五億人でわかりやすいんです、これは。今は七十三億人。国連の人口推計ですと、二〇二五年に八十億人、二〇四〇年に九十億人、二一〇〇年には何と百十二億人、大変な数字が動いていくわけです。しかも、世界じゅうの人々の生活レベルが先進国並みに向上した場合は、そして産業が発展をすれば、今のままですと、大変なCO2、温室効果ガスの排出ということになってきて、地球は本当に大変なことになるわけです。

 先ほど小沢先生が御質問されていたんですけれども、産業面の話はよく出てくるんですよ。ところが、一人一人ということになると、やはり圧倒的に一人当たりCO2の排出量の多いのはアメリカの人ですし、二番目はカナダだし、私たち日本人も高い位置にあるわけですよ。国として大きいはずの中国やインドは、一人当たりにするとやはりまだまだ数値としては少ないものなんですね。

 こういう現実に基づいて、我々はいろいろな対策をみずからがとっていく、そして、日本がリーダーシップを世界で発揮できるような姿形というものが大事だと思っておるわけでございます。

 そこで、お尋ねをしておかなければならないことでございますが、今回、国連で署名式が四月にあると聞いておりますけれども、パリ協定の締結に向けてどのような対応を国会でしていかれるのか、お聞きしたいと思っております。

 アメリカでも私はいろいろな話を聞いてまいりましたけれども、国会に議案としてかけるのかかけないのか、いろいろな話が出ておりました。日本の国会にかける議案がどのようになるのか、法律案はどういうふうになってくるのか、お尋ねをしておきたいと思っております。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、四月の二十二日にニューヨークで開催されます署名式を皮切りに、一年間、署名のための手続がとられます。我が国におきましては、現在、この署名式を念頭に必要な準備を進めておりまして、その後に締結に向けた必要な国内手続を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 そして、アメリカの話がちょっと出ました。各国それぞれの国際的な合意をどういう形で締結するかということについては、必ずしも同じ協定あるいは条約が同じように手続されるということではございませんで、国によってさまざまでございます。特に、議会の承認を必要とするかどうかはそれぞれの国の体系によるものというふうに承知しております。

 我が国におきましても、どういう形でその手続を進めていくべきか、関係省庁、外務省を中心として検討してまいりたいというふうに考えております。

田中(和)委員 議定書と協定はどう違うんだ、京都議定書というふうに言ったもの、今回パリ協定というもの、どう違うんだと。同じなんですね、調べてみますと。だけれども、何となくその国によっての解釈で、国会対策をパスできるのかどうかというようなこともあるようでございまして、私たちの国日本は、国会は議院内閣制の国ですから、政府とともにあるわけでございますから、またよき方法で国民の理解を得られるように努力を願いたいと思っておるところでございます。

 いずれにしても、今後幾つかのことがあるんですけれども、もう時間がありませんので、一点だけお尋ねして終わりにしたいと思います。

 私の地元で、大分前のことなんですけれども、東京電力と川崎市の教育委員会が協力をして、小学校でフィフティ・フィフティというのをやったことがあるんですよ。前の年度に比べて、水道の使用料、電気の使用料、削減した分を、半分は役所がいただいて、半分は子供たちに御褒美として出したんです。物すごく子供たちは喜んでやったんですよ。

 ところが、ルールがよくなかったので、毎年絞っていくと、最後絞り切れなくて御褒美がなくなっちゃったんですよ。それでやめちゃった。ところが、平均値を出しながらそこに向けて努力をすれば、フィフティ・フィフティはうまくいくんですよね。ちょっと簡単なところで知恵が足りなかったような気もするんですけれども、いよいよ法律が国会の方にも国民の理解を得るために出されるわけですけれども、こういうことというのは教育にもなるし、いろいろなことで大きなことではないかな、有効なことではないかな、私はこう思っているんですね。

 きょうは幾つも、たくさん質問を用意してきたんですけれども、時間が来ましたので。

 こういう、工夫をして、本当にパリ協定、国民が、日本の一人一人が努力を当然しなければならないこと、そしてコストの問題も出てくるんですよ。量のことも大事なんですけれども、コストのことも出てきます。石炭火力発電所、どうしてもその問題があるわけですよ。今後、では原発の四十年で寿命を迎えたその後のリプレースはどうしていくのか、電源構成を考えるとそういうようなことも出てまいります。そういうことを考えると、やはり国民の皆さんにある程度の共有の思いを持っていただかなきゃいけない、このことを申し上げて、私の質問を終わりますから、最後、御答弁をお願いします。

平口副大臣 温暖化対策に必要なコストについて、国民がわかりやすく理解するということは非常に大事なことでございますので、御指摘の点も踏まえて一生懸命やりたいと思っております。

田中(和)委員 ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 本日は、大臣の所信に対する質疑の機会をいただきましたことに、まずは心から感謝を申し上げる次第でございます。

 大臣所信の中で、環境省として取り組むべきテーマはさまざまあったわけでございますけれども、私自身はやはり福島県在住の国会議員ということもございまして、福島の復興に関しましてまず最初に質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 先ほど来お話に出ておりますとおり、東日本大震災から五年の節目を迎えようとしてございます。福島県では、原発事故に伴う避難指示によっていまだ多くの方々が避難生活を余儀なくされている、そんな状態でございますけれども、一方で、川内村であるとか田村市であるとか、こういったところが避難指示が解除になってございます。そして昨年は、全町避難自治体としては初めて楢葉町が解除になりまして、つい先般も商業施設がオープンしたりとか、また診療所がオープンしたりとか、歩みは決して速くはないかもしれませんけれども、復興の歩みを間違いなく歩んでいるのが現実でございます。

 そして、南相馬市であるとか、また川俣町、そして葛尾村、こういったところも今解除に向けて準備を進めている状況でございますし、また、その他の地域におきましても、平成二十九年三月を目指して、避難指示解除準備区域、居住制限区域、ここを解除していくというのが政府の方針でございます。

 言うまでもなく、帰還環境整備の前提になりますのは除染でございます。除染が完了しなければ、こういった地域の解除も見通せないわけでございますし、逆に言いますと、各自治体は、除染の実施状況を見通しながら、今さまざまな準備を進めている状況でございます。そういう意味でも、何としても除染は決めた期日までに完了しなければいけない、このように思っているところでございます。

 そういう意味で、まず、避難指示解除準備区域、避難指示地域等を含めた除染の見通しもお聞きしたいところではあるんですけれども、あわせまして、除染の完了とともに今重要な、大きなテーマになっておりますのは、森林除染と帰還困難区域の除染、私はこの二つが今除染に関連して非常に大きなテーマではないかと思っております。

 森林除染については、これまで、生活圏から二十メートルのエリアAと呼ばれる部分については除染をしますとなっておりまして、また、ほだ場やキャンプ場、人が入る地域に関してはエリアBということで除染を実施してきたわけでございます。そのほか、森林整備事業ということで別途森林対策を行ってきたわけでございます。しかしながら、農村地域におきましては、森林と生活がやはり一体になってございますので、また林業も盛んであったことから、それだけでは不安の払拭にならないということで、常に森林除染が議論をされてきたわけでございます。

 今、実証結果というか、森林の状況なんかも数値が出ておりますけれども、平成二十三年、事故当時から平成二十六年を比べますと、森林の線量というのも約六割強下がっているという状況でございますし、また一方で、流出防止対策も非常に重要な要素であるということも実証結果の中でわかってまいりました。

 次に、帰還困難区域の除染についてでございますけれども、今復興拠点の整備を進めているわけでございまして、各自治体が計画をつくられているわけでございますけれども、当然、帰還困難区域の中といっても、私も何度も現地には行っておりますけれども、この区域内であっても線量の低いところは低いんですね。そういった現実もあるわけでございまして、また、除染によってかなりの低下が、低減が見込まれるということも実証実験で出てきているわけでございまして、帰還困難区域の除染についてもやはり方針を示してほしい、見通しが何もないままではなかなか計画も立ち行かない、こういった地元の声があるわけでございます。

 ちょっと、全体的に除染のお話をしてまいりましたけれども、先ほど言いました、まず、除染の完了見通しについてと、そして今テーマになっております森林除染、帰還困難区域の除染、この方針についてお伺いさせていただきたいと思います。井上副大臣、お願いいたします。

井上副大臣 除染は、福島を初めとする被災地の復興にとって極めて重要でございます。スピード感を持って対応していく必要があると考えております。

 除染の実施対象となっている全ての地域で、平成二十九年三月までに除染実施計画に基づく面的除染を完了させるべく、自治体とも連携して全力で取り組んでいるところでございます。

 それから、次の森林除染につきましてですが、森林の放射性物質対策につきましては、除染以外の取り組みも含めて、福島の森林・林業の再生という大きな観点から検討するため、復興庁、農林水産省とともに、福島の森林・林業再生のための関係省庁プロジェクトチームを設置して検討を進めております。これはちょうどあすの九日なんですが、第二回の会合を開催いたしまして、この総合的な取り組みについて議論をし、取りまとめる予定でございます。

 環境省といたしましては、地元の御要望をよくお聞きしながら、生活環境の安全、安心を確保するための住居周辺の森林や、森林内の日常的に人が立ち入る場所の除染などを的確に実施して、関係省庁と一体となって、福島の森林とともにある暮らしの再生に向けてしっかり取り組んでまいります。

 また、帰還困難区域の取り扱いについてでございますが、具体的な政府方針の早急な提示を求める地元の声も非常に強くなっておりまして、今後、政府全体として対処すべき大きな課題であると認識をしております。

 これも四日の日に自民党、公明党の与党から提言をいただきましたことも踏まえて、ことしの夏ごろまでには政府全体として帰還困難区域の取り扱いを示すべく、環境省としても検討してまいります。

真山委員 ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、除染が終わらない限り帰還環境整備も整いませんので、ぜひこの除染も、今本当に環境省の職員の皆さんも御尽力いただいて何とかスピードアップということで取り組んでいらっしゃるのは重々承知ではございますけれども、何としても期限に間に合うように進めていただきたいということをお願いさせていただきたい。

 森林除染についても、先ほど副大臣からお話がありましたとおり、やはり地元のニーズ、その地域に暮らす人々のニーズに合った場所をしっかりやっていただくということが非常にやはり重要であろうと思います。そういった意味では、そういったところも含めて、地元に寄り添ってこの除染の問題も取り組んでいただきたい、そのことをお願いさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 除染とともに、これはもうセットと言っても過言ではないと思いますけれども、次に、中間貯蔵施設についてお伺いをさせていただきます。

 この施設建設のための用地交渉が行われているわけでございますけれども、この用地交渉は、なかなか遅々として進まないというような言われ方もいたします。しかし一方で、着実に件数がふえているという見方もできるわけでございます。しかし、全地権者の数からすれば、いまだまだ数%に満たない、そんな契約状況でございまして、なかなか難しい交渉が進んでいるわけでございます。

 この進まない要因として、やはり、土地の所有者がそもそもわからない、ただ、これは大分整理されてきたというふうに聞いておりますけれども、こういった問題もございました。そしてまた、補償額の算定に大変時間がかかっているということもあるようでございますけれども、こういったことも、補償コンサルタントを含めて、体制を強化しているというような話も聞いてございます。

 つい先日、ニュースで報道がありましたけれども、浪江町で、除染廃棄物が保管場所で火災を、ぼやを起こして、それが燃え続けるという騒ぎがあったわけでございます、これはちょっと原因とかはまだわかっておりませんけれども。また、昨年は、関東・東北豪雨で除染廃棄物が流出するという、そんなこともあって、当然管理の問題はあろうかと思いますけれども、県内の仮置き場、私も何カ所か視察してまいりましたけれども、やはり膨大なフレコンバッグが置いてあって、当然、腐食によるメタンが発生するものですから、通気口を通して、火災が起きないような、そんな対策もしながら保管をしているというのが事実でございます。

 やはり、仮置き場から早く移動しなければいけない、そのための中間貯蔵施設であるというのは言うまでもないことでございますし、そうした危険性もあることから、早く搬出をしなければいけないわけでございますけれども、一方で、やはり地権者の方々の思いというのは非常にさまざまでございます。私も、以前、環境委員会、この委員会で取り上げさせていただきましたけれども、私の知り合いにも、絶対にこの場所は譲らないという思いの方もいらっしゃいます。やはり自分が生まれ育ったその伝来の土地を手放すのはできないという思いの方々もたくさんいらっしゃるわけでございます。

 丁寧な対応というのは言うまでもないことでございますけれども、一方で、やはり交渉内容を迅速に提示するということも、これも一つ大事な、丁寧な対応だというふうに思っております。数カ月ももう連絡が何もないといって怒っていらっしゃる方々もたくさんいらっしゃいまして、そういったことも含めて、地権者の皆様に丁寧な対応をお願いしたいところでございます。

 いずれにしましても、迅速かつ丁寧な説明を実施できる体制の強化が必要不可欠でございまして、中間貯蔵施設における用地交渉、このさらなる体制強化について、環境省としてお考えがあればお伺いをさせていただきたいと思います。

井上副大臣 中間貯蔵施設整備における用地交渉について、真山委員おっしゃるとおりでして、地権者に対して丁寧かつ速やかな対応を行っていくということ、これはなかなか相矛盾しがちなものですから難しいんですが、非常に重要だというふうに考えております。

 昨年十一月には、中間貯蔵施設に係る用地取得について、用地取得のための改善策を盛り込んだ地権者説明の加速化プラン、これを策定したところでありまして、これに基づいて取り組みを進めているところであります。

 例えば、帰還困難区域の特殊性を反映した算定システム、これを作成いたしまして、補償コンサルタントの補償額の算定作業を後押ししたりとか、あるいは、用地業務経験者など、地権者の皆様としっかりコミュニケーションをとることができる職員、この確保が重要であって、来年度からは百人体制に増員をいたしまして用地業務を進めていくというところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、引き続き、地権者の皆様に丁寧な御説明を尽くし、信頼関係を築きながらも、速やかに行うことができるように全力で取り組んでまいります。

真山委員 中間貯蔵施設の用地交渉、この体制の強化もされるということでございましたし、また、県の職員の方の応援も今後入ってくるというお話も聞いてございます。また、関係団体、補償コンサルタント関係のそういった団体とのいろいろな議論というか協力要請もされていると思いますので、そういったプロフェッショナルであったり、また、地元の、非常に熟知された方々の力をやはり結集して取り組んでいくということが重要かと思いますので、その司令塔として井上副大臣には頑張っていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、これも福島に関連してでございますけれども、リスクコミュニケーションについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 チェルノブイリ原発事故の一つの知見として、放射線被曝の影響の一つとして考えられるものに、甲状腺がんが危惧されていたわけでございます。

 そういった知見がありまして、福島県においては、震災時十八歳以下であったお子さんたちの甲状腺の検査を実施いたしました。県民健康調査の一環として、三十万人の検査をいたしました。それは今も二巡目に入って継続をしているところで、先ほどもお話が出ておりましたけれども、その結果は、端的に言えば、放射能の影響とは考えにくいというのがこの県民健康調査の結論であったというふうに私は認識をしております。

 そうした中にありまして、いろいろな学説を唱えられる方々、研究される方々がいらっしゃるわけでございまして、その中に、岡山大学の津田敏秀教授という方が、福島県において甲状腺がんが多発しているという研究論文を発表なされました。

 この多発しているという表現が私としては非常にひっかかるところでございますけれども、まず、この子供の甲状腺の調査結果について、環境省に現状の見解をお伺いさせていただきます。

北島政府参考人 環境省で開催いたしました専門家会議の中間取りまとめにおきましては、今回の原発事故後の住民における甲状腺の被曝線量はチェルノブイリ事故後の線量よりも低いと評価されていること、それから、福島県の甲状腺検査の結果が、環境省の委託事業として青森県、山梨県、長崎県で行ったいわゆる三県調査の結果と比較して大きく異なるものではなかったことなどから、福島県の県民健康調査甲状腺検査の先行検査で発見された甲状腺がんについては、原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められないと評価をされております。

 また、福島県が開催した県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会の中間取りまとめにおきましても同様に、先行検査で発見された甲状腺がんについて、少なくとも原発事故由来以外のものである可能性が高いことが示されているところでございます。

真山委員 今御説明いただきましたけれども、要は、環境省としては、福島県の調査だけではなくて、他県、弘前、甲府、長崎、三市で同じような検査をいたしまして、その結果、福島県の状況と変わらないという検証結果を得ているわけです。

 これは何が非常に重要なポイントかといいますと、福島県の状況というのは、スクリーニング検査でございますので、全て検査しているんですね。その症状があろうとなかろうと全て検査をしている。しかし、一般的に言われますのは、きょうはちょっと厚労省にも来ていただいておりまして、この岡山大学の津田教授のいろいろ用いているデータは、がん登録のデータを用いていらっしゃる。がん登録というのは、つまりもう症状が出ている段階での話でございまして、このがん登録のデータが用いられているということなんです。

 ちょっと厚労省にお聞きしたいのは、福島県の県民健康調査のスクリーニング検査とがん登録のデータを比較対照するということについて、厚生労働省の見解をお伺いさせていただきます。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のデータ、福島県が行いました県民健康調査の結果ということでございますので、私どもが一義的にはそれについて評価をする立場にないものというふうに承知をしておりますけれども、がん登録を私どもやっておりますので、一般的に申し上げますと、先生がおっしゃいましたとおり、甲状腺がんはがん検診の対象になっておりませんので、そうしたがんについては、自覚症状があったり、あるいはほかの病気で経過観察中に見つかるということが多い、それががん登録の方に出てくるということでございますので、がん登録において登録される甲状腺がんの患者数は、実際に甲状腺がんを持っている患者さんの一部というふうになっている可能性が高いという関係にございます。

 一方で、今回の調査のように、無症状の地域住民一般を対象として甲状腺検査を行うということをいたしますと、それによる発見率というものは、したがいまして、都道府県のがん登録のデータよりも高くなるということが想定されるわけでございまして、WHOの専門家からもそうしたような問題点が指摘されているというふうに承知をしてございます。

 そういう関係にございますので、がん登録のデータを用いて算出をした甲状腺がんの罹患数の推計値というものと、福島県の今回の検査のような調査の結果というものについては、単純に比較することはできないのではないかというふうに考えております。

北島政府参考人 若干補足をさせていただきます。

 御指摘の津田教授の論文に関する環境省としての見解につきましては、その論文が疫学の学術雑誌に掲載された論文でございますので、その内容は疫学等の専門家によって検証、評価を受けるべきであることから、直接のコメントは差し控えさせていただきたいと考えております。

 御指摘の論文が掲載された学術誌に、その論文に対する国内外の専門家の論評、評価の記事八本とそれらに対する津田教授の再反論の記事がともに記載され、その論評、評価の八本全てが当該論文の内容の問題点を指摘しており、うち一本につきましては、WHOの国際専門家作業部会委員十名からの意見であったと承知しております。

 その論評、評価を行った記事では、研究デザインに関する問題点の指摘や、福島県では、津田教授が主張するほどがん罹患率が増加するために必要な値と比べて、甲状腺の被曝線量の測定値は相当程度低いとの御意見や、福島の甲状腺検査のデータとがん登録のデータを比較することは不適切であるとの御意見などが寄せられていることを承知しております。

 いずれにいたしましても、甲状腺検査は現在も継続されておりますので、環境省といたしましては、この検査の結果を引き続きしっかりと注視してまいりたいと考えております。

真山委員 今、環境省と厚労省さんに御説明をいただいたわけでございますけれども、私は疫学の専門家ではありませんので詳しいことはわかりませんけれども、しかし、先ほどお話しいただいた内容というのは、まさに、そもそもの大前提で使っているデータが、スクリーニングの検査のデータとがん登録のデータ、これが性質が全く違うものであるということをもって、福島県が何か甲状腺が多発しているかのようなことを主張されることは私は大変遺憾に思っているところでございますし、やはり、風化していく中で、まさに風評が定着していくんですね。

 今先ほど御紹介いただいたとおり、研究者の間でもいろいろな議論があって、反論も出ている。しかし、その反論はそれほどメディアに載らず、風評だけが、風評と言ったら失礼かもしれませんけれども、そういった研究結果だけが定着していく。こういった現状をやはりしっかりと環境省には認識をいただいて、それで、リスクコミュニケーションを強化していただきたい、私はこのように思うわけでございますけれども、環境省の御意見をお伺いします。

白石大臣政務官 真山委員にお答えいたします。

 委員おっしゃったように、さすが福島にお住まいの委員の御意見、しかも、我々も危惧しておりますのは、そういう不安を増長するようなことになってはならない、そのように思っております。

 そういう中で、委員おっしゃるように、放射線による健康不安への対策については、被災地の現状やニーズなどを踏まえつつ、関係府省庁が連携して取り組んでいくとともに、正確でわかりやすい情報提供をしっかり進めていくことが重要であると考えております。

 環境省では、放射線に関する科学的知見や関係府省庁の取り組みなども集約した資料を作成して、毎年度更新するとともに、こうした資料を活用して、保健医療福祉関係者や教育関係者等を対象とした研修会を今も開いておりますし、地域のニーズを踏まえた住民参加の意見交換などの取り組みも進めてまいるつもりでございます。

 そして、委員おっしゃるように、お子さんや保護者の皆さんの不安に十分思いをいたして、引き続き、健康不安対策に努めるとともに、正確な情報の発信にもしっかり取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

真山委員 ぜひ、環境省がもっともっとリードしていただいて、このリスクコミュニケーション、福島の現実を含めて発信をしていただきたい、このことをお願いさせていただきます。

 済みません、大分時間がなくなってまいりましたので、駆け足で次の質問をさせていただきたいと思いますけれども、話はがらりとかわりまして、地球温暖化についてお伺いさせていただきたいと思います。

 先ほど御紹介いただきましたとおり、昨年十二月、COP21の際、IPUの議員会合、田中先生の団長のもと私も参加をさせていただいた一人でございまして、地球温暖化、パリ協定が締結されたこと、大変うれしく思っている一人でございます。

 やはり、これがいかに実行されるかということがこれまでの議論の中でもされてきたところでございまして、実効性のあるものとして国内対策もしっかりと進んでいかなければいけないということでございますし、パリ協定では各国が五年ごとにレビューをしていくという中で、日本としては、今回、地球温暖化対策計画、今検討がされているところでございますけれども、ここで二〇五〇年八〇%削減目標を明示して取り組みを進められるということで聞いております。

 こういった目標がしっかり定められて、そして温暖化計画の中には個別具体的な取り組み方針も多々掲載されるというような御説明をいただいておりますけれども、こういった取り組みや目標とともに、やはり、この二〇五〇年八〇%目標に向けたロードマップが必要ではないかというふうに思っております。やはり、そのロードマップの計画が見えなければPDCAサイクルとして検証していくことはできないわけでございまして、当然これはエネルギーミックス、経済産業省とも関連してくる話でございますので、大変難しい問題かもしれませんけれども、そういったことも含めて、この地球温暖化対策計画にかける環境省としての御決意をお伺いさせていただきます。これは平口副大臣で。

平口副大臣 お答えいたします。

 先週三月四日に開催された中環審、産構審の合同会合において、温暖化対策計画の案について御審議をいただきました。

 その中では、パリ協定等を踏まえて、我が国の目指す方向に関して、長期目標として二〇五〇年に八〇%の削減を目指すということをお示しいたしました。

 この二〇五〇年八〇%削減というのは、従来の取り組みの延長では実現が困難であります。そのために、技術のイノベーション、社会構造、ライフスタイルというものの変革を含めた長期的、戦略的な取り組みが必要となるわけでございます。パリ協定でも、各国に長期の温室効果ガス低排出発展戦略の策定が求められているところでございます。

 先日、気候温暖化長期戦略懇談会から、温室効果ガス長期大幅削減のための社会構造のイノベーションが必要であるとの御提言をいただきました。長期大幅削減を実現していくためには、まず、それが実現した社会の絵姿やそこに至る道筋について議論し、広く共有することが必要でございます。この提言も踏まえながら、これからそうした努力をだんだんと積み重ねていきたいというふうに思っております。

 先生がおっしゃったことはよくわかっておりますので、しかとみずからに銘じて頑張っていきたいと思っております。

真山委員 ありがとうございます。

 地球温暖化の問題は非常に大きなテーマでございまして、それを具体的に実行していくということは非常に骨の折れる作業であることは言うまでもないわけでございますけれども、しかし、これを何としても実現していかなければいけない、そういったテーマでございます。

 時間が迫ってまいりましたので質問の方はこれにて終わらせていただきますけれども、次の質問ではSDGsのことをちょっと取り上げさせていただきたいと思っておりました。いわゆる持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダということで。

 昨年は三つの国際的な大きな合意があったと言われておりまして、三月の仙台国連防災会議の防災枠組み、そして先ほどの持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、そしてCOP21におけるパリ協定でございました。いずれも環境省が担う部分は非常に大きなテーマでございましたのでその問題を取り上げさせていただきたいと思いましたけれども、答弁を求めますと、時間が経過してございますので、それは次の機会に譲らせていただきまして、私の質疑は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.