衆議院

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第17号 平成14年3月20日(水曜日)

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平成十四年三月二十日(水曜日)
    午後一時一分開議
 出席委員
   委員長 鳩山 邦夫君
   理事 大野 功統君 理事 小坂 憲次君
   理事 米田 建三君 理事 小此木八郎君
   理事 馳   浩君 理事 高木 義明君
   理事 上田 清司君 理事 長浜 博行君
   理事 東  順治君
      浅野 勝人君    七条  明君
      竹本 直一君    林 省之介君
      福井  照君    三ッ林隆志君
      大石 尚子君    金子善次郎君
      手塚 仁雄君    三井 辨雄君
      丸谷 佳織君    都築  譲君
      児玉 健次君    日森 文尋君
      西川太一郎君
    …………………………………
   議長           綿貫 民輔君
   副議長          渡部 恒三君
   議員           高木 義明君
   事務総長         谷  福丸君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     七条  明君
  上川 陽子君     竹本 直一君
  桜田 義孝君     浅野 勝人君
  小池百合子君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  浅野 勝人君     桜田 義孝君
  七条  明君     伊藤信太郎君
  竹本 直一君     上川 陽子君
  西川太一郎君     小池百合子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 議員鈴木宗男君の議員辞職勧告に関する決議案(熊谷弘君外九名提出、決議第三号)


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     ――――◇―――――
鳩山委員長 これより会議を開きます。
 熊谷弘君外九名提出の議員鈴木宗男君の議員辞職勧告に関する決議案を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。高木義明君。
    ―――――――――――――
 議員鈴木宗男君の議員辞職勧告に関する決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
高木(義)議員 私は、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合並びに民主党・無所属クラブを代表して、議員鈴木宗男君の議員辞職勧告決議案について、提案の趣旨を説明いたします。
 最初に、決議案の本文を朗読いたします。
 なお、あわせて、その理由を申し述べます。
    議員鈴木宗男君の議員辞職勧告に関する決議案
  本院は、議員鈴木宗男君の議員辞職を勧告する。
  右決議する。
 以下、その理由を申し述べます。
 今、我が国を取り巻く内外情勢は殊のほか厳しく、政治的にも経済的にも重要課題が山積をしております。当然のことながら、本院の任務は極めて重大であります。このような中で噴出した鈴木宗男議員をめぐるさまざまな疑惑は、国民の政治不信を一段と増加させました。
 本院は、昨年のいわゆるKSD事件などに象徴される、相次ぐ政治と金にまつわる疑惑によって失われた国民の政治への信頼を回復させるため、あしき政官業癒着型政治の一掃に全力を挙げて取り組んでまいりました。
 しかるに、議員鈴木宗男君は、同君の秘書がコンゴ民主共和国の外交官へのID発行問題等に関与し、諸外国をして我が国の外交に重大な疑念を生じさせたこと、また鈴木宗男君自身が、北方四島人道支援事業の私物化問題や、我が国の北方領土返還政策をねじ曲げたこと、また、アフリカにおける我が国ODAと同君への政治資金供与にかかわる疑惑等々、我が国外交政策への信頼を大きく失墜させました。しかも、同君をめぐる疑惑は、こうした外務省にかかわる問題にとどまらず、在日ロシア大使館参事官をめぐる警察庁への圧力問題を初め、北海道開発庁や多くの省庁にわたって次から次へと明らかになるという、驚くべき多岐にわたっております。
 本来ならばみずから進んで議員辞職すべきところを、肝心の疑惑に対して何ら反省の意をあらわさず、事実を明らかにしようとしていないことは、到底看過できるものではありません。よって、本院は、鈴木宗男君が、今こそ、その責任を自覚して議員を辞し、国民に陳謝し、みずからの政治的道義的責任を明らかにすることを強く求めます。
 二十一世紀も二年目に入り、世界も我が国も大きな変動期を迎えております。とりわけ我が国の経済情勢は厳しく、企業の倒産件数は今年度末までに二万件を超えると推定され、失業率は五・三%と、五%台の深刻な状況が続いております。倒産やリストラで職を失った国民の怨嗟の声が、声なき声となって広がっております。ことし一月三十日に閉山となった釧路市の太平洋炭鉱では、約三分の二の従業員が職を失いました。解雇された従業員の再就職への道は困難をきわめております。このような厳しい現実の中で、国会議員の疑惑が年中行事のように取り上げられているのは、まことに遺憾のきわみであります。
 ところで、先日、鈴木宗男君は自由民主党を離党いたしました。与党内には、このことをもって鈴木宗男君の問題に幕引きをしようとする動きがあります。
 一般論としては、政党人が党を離れようと決断することは重い決断であります。しかしながら、鈴木宗男君について言えば、このことは全く当てはまりません。なぜなら、問われているのは、衆議院議員としての鈴木宗男君自身だからであります。また、鈴木宗男君は、自由民主党の北海道ブロック比例代表名簿第一位で当選をしております。自由民主党の諸君は、国民に対してこの責任をどのようにとられるのか。離党して済む話ではありません。
 なお、議員鈴木宗男君は、本院の議院運営委員長という要職を歴任しております。一連の疑惑は、公平にして国民の信頼と尊敬を集めるべき本院と議院運営委員会の品位を傷つけ、国民の期待に背くものであります。その責任も重大であります。
 以上のとおり、我々は、議員鈴木宗男君がみずから速やかに議員の職を辞することを勧告する決議案を提案するものであります。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げ、提案理由の説明を終わります。
鳩山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野功統君。
大野(功)委員 自由民主党を代表いたしまして、鈴木宗男議員に対します議員辞職勧告決議案につきまして質問をさせていただきます。
 今回の鈴木議員の問題につきましては、既に衆議院予算委員会におきまして参考人質疑あるいは証人喚問を行ってまいりました。その上で、自由民主党といたしましても、党の政治倫理審査会におきまして四回調査をいたしております。同議員の行為は政治的道義的責任があるという結論に達しております。その結果、党紀委員会にかけることとしておった次第でございますが、この流れの中で鈴木議員は離党したわけでございます。
 この問題につきましては、今後まだまだ解明すべき点が多いかとは存じます。しかし、そのことと、議員辞職を勧告する、このこととは絶対に混同してはならない。つまり、本件を衆議院本会議で議論する、上程するということと、鈴木議員を守るとか守らないとか政治浄化だとか問題の解明だとか、こういう問題とを混同してはならないのであります。
 次元の異なる二つの問題を峻別して考えれば、その答えは当然明快であります。議員が議員をやめる、あるいは議員をやめさせるということは、憲法上の問題であります。また、民主主義の、議会政治の制度の問題であります。このことを基本的に真剣に議論していかなければならないと思っております。
 結論を先に申し上げます。
 我々といたしましては、本決議案の提出自体に問題があり、それを本会議に上程することには反対せざるを得ません。なぜならば、本決議案について本院の判断を下すこと自体に疑義があるからであります。
 以下、問題点を指摘し、提出者の見解を伺いたいと思います。
 第一の問題点は、憲法上の問題であります。本決議案は、国会議員の身分を保障するという憲法の趣旨に反するものであります。
 議員が身分を失うという場合は、憲法で書いてある、あるいは法律で書いてある。一々詳しくは言いません。憲法の場合は、資格争訟であり、除名処分、いずれも三分の二ということでやっております。法律の場合も、国会法あるいは公職選挙法等で、公民権を失った場合、あるいは比例の場合は、選挙のときに存在した政党間を移動した場合、これは資格を失う、こういうふうになっております。これは、逆に考えますと、国会議員の身分の重要性にかんがみ、この身分を失う場合は限定的に列挙して書いてある。限定的に列挙して書いてあるということは、すなわち国会議員の身分は保障していきましょう、保障する、こういう意味であります。
 ところが、議員辞職勧告決議案という言葉は国会法のどこを探しても見つからない。しかも、先ほど申し上げましたように、懲罰、除名その他は三分の二の議決でございますが、決議案は二分の一ということになっております。
 こういうことを考えますとき、このような辞職勧告決議案の性格を提案者はいかに考えていらっしゃるのか、これが第一点でございます。
 それから第二点といたしまして、仮にこの勧告決議案が倫理的自覚を促すものであるというものであっても、事実上、本人に対して重大な影響力を持つということになれば、国会議員の身分を保障する憲法の趣旨に反するのではないか。だれからも拘束を受けない、そして、きちっと身分を保障されて、その議員の信念に基づいて自由な政治活動を行う、これが議会制民主主義の根幹ではないでしょうか。
 もしこういう勧告決議案を容易に考えるということになると、私は、議会制民主主義の根幹、基盤を揺るがすものになるのではないかと思います。この点、いかがお考えでしょうか。
 第二は、国会決議の権威にかかわる問題であります。
 院の決議の持つ意味というのは大変重大でありますけれども、議員辞職勧告決議案というものは、仮に可決された場合であっても拘束力がないと言われております。このように決議が実効性を欠くのであれば、院の決議の権威を著しく損なうことになってしまいます。
 他面、決議そのものが実効性を欠き、意味がないものであるにもかかわらず、提出された本人にとっては、国会決議であり、政治的、社会的に重大な、事実上の強制力を持つと同じような意味あるいは効果があるんじゃないか、このような問題点があるわけであります。
 拘束力がない決議の権威と国会議員の身分との関係について所見をお伺いしたいと思います。
 第三は、議員辞職勧告決議案の危険性というものであります。
 国会議員の身分の喪失は、先ほど申し上げましたとおり、憲法上、法律上に定められております。政治的道義的責任というのは、基本的には議員みずから判断すべき問題であり、最終的には、選挙において主権者たる国民の審判を仰ぐべきものであります。
 議員の政治的道義的責任を求める議員辞職勧告決議案が過半数をもって可決される、三分の二じゃありません、過半数であります。このようなことを考えると、仮に多数党が反対党弾圧のためにこういう決議案をどんどん持ち出したらどうなるんでしょうか。自由民主党はそんなことは一切いたしませんけれども、議会制民主主義が多数の横暴に左右される、こんなことになったら大変なことになります。この点について提案者の御所見を伺います。
 以上、三点について提案者の御所見をお伺いいたしたいと思います。
高木(義)議員 大野理事の質問にお答えを申し上げます。
 質問は、まず第一点、議員辞職勧告決議案は法律上根拠規定がなく、その性格をいかに考えればよいか、また、国会議員の身分を保障する憲法の趣旨に反するものとはならないか、こういうお尋ねであったと思います。
 国会議員の身分は憲法上手厚く保障されておる、これは言うまでもございません。だからこそ、国会議員は、政治的道義的責任は極めて重いものがございます。したがって、私たちは、鈴木宗男君の一連の疑惑、政治家としてのあり方、これを政治的に判断をして、今回の辞職勧告決議に至ったわけであります。
 もとより政治倫理の確立あるいは政治信頼の回復、金権腐敗政治の打破、こういった努力をする本院の姿勢を今回明らかにすること、これがこの決議案の一つの大きな趣旨でもあります。
 政治家、国会議員の出処進退については、これはまずみずからが決断すべきもの、これはそのとおりでありますが、鈴木宗男君については辞職の意思なしと受け取られる以上、やむを得ない措置であろう、私はこのように考えます。
 したがって、憲法等の趣旨に何ら反するものではない、このことを述べておきます。
 質問の第二は、国会決議が実効性を欠き、院の決議の権威を損なうことになりかねない、また決議の権威と議員の身分の関係はどうなるのか、このようなお尋ねでございました。
 今回の辞職勧告決議は、辞職を勧告するものであって、直ちに議員の身分を喪失させるものではありません。重要なことは、国会がみずからの力で自浄作用を発揮すること、まさにこのことが国会の権威である、私はそのように考えております。
 第三点目は、決議案の危険性でございました。仮に多数党が反対党弾圧のためにこれを乱用した場合はどうなるのかという御懸念でもございました。
 これに対して、私たちは次のように考えております。
 かかって国会議員の良識に基づくものでございます。その都度判断をすべきものであります。したがって、お尋ねの御懸念は考えられない、このように私は確信をいたしております。
 以上、お答えといたします。
鳩山委員長 東順治君。
東(順)委員 公明党を代表いたしまして、議員鈴木宗男君辞職勧告決議案に対する意見を表明いたします。
 初めに、本辞職勧告決議案に対する我が党の判断を申し上げます。
 鈴木宗男議員は、いまだに国民からの疑惑、疑念を晴らしてはいません。離党したとはいえ、鈴木議員及び自民党の政治責任は極めて重く、一刻も早く真相を明らかにし、疑惑を解明すべきは当然であります。
 さりながら、鈴木氏はこれまで当局の捜査やあるいは刑事訴追を受けてはおりません。いまだ疑惑の段階にとどまっております。ゆえに、現時点で議員辞職勧告をすることは時期尚早と考えます。しかし、それは同時に、もし刑事訴追を受ける、あるいは有罪判決を受けることに発展した場合、当然のことながら、たとえ野党が言わなくても、我々はみずから辞職勧告決議案を求めることがあるということでございます。
 そもそも国会議員は、選挙を通して国民から厳粛な信託を受けて選出されるものであり、議会制民主主義の上から、その地位は憲法上も極めて重いものがございます。議員は選挙において国民の審判を受けるものであり、よって、議員の出処進退というものは議員みずからが決することが大原則であることは言うまでもございません。この大原則こそが最も重要な一点であり、鈴木問題に対して我が党が一貫して主張してきたこともこの一点でございました。
 また、議員辞職勧告決議については、国会議員の身分が憲法、国会法で保障されており、その扱いは極めて慎重でなければなりません。その重みを考慮した上で、なおこれをはるかに超える余りにも明白かつ重大な違法行為があった場合に、国会として議員辞職勧告を行うべきものと我が党は認識をいたしております。
 ちなみに、これまで議員辞職勧告決議案が本会議に諮られたのは、衆参両院で二十三件中二件のみで、可決されたのはそのうちの一人、すなわち、あの友部元参議院議員でありましたが、それはこうした重要な意味を重んじてきたゆえなのでございます。
 最後に、公明党は、一つ、議員の出処進退はみずから決すべきである、二つ、刑事訴追を受ける等、明白かつ重大な違法行為があった場合は厳しい態度で臨む、三つ、議員に対する疑惑の段階で、数を頼んでの辞職勧告は慎重であるべきだ、以上三点の基本認識により、政治倫理問題に厳しく対処するものであると訴えまして、私の意見表明といたします。
 以上でございます。
鳩山委員長 都築譲君。
都築委員 自由党の都築譲です。
 議員辞職勧告決議案に賛成の立場から意見の表明をいたしたいと思います。
 本通常国会冒頭からの予算委員会の審議や、またその後の参考人質疑、証人喚問などを通じ、鈴木宗男君に関する数多くの疑惑が明らかにされ、国民の政治に対する信頼が大きく失墜させられました。それどころか、激しい憤りを巻き起こしております。それは、国政に参画する国会議員は、国民の利益を念頭に置き、清潔で公平を旨として職責を全うするとの期待がこっぱみじんに打ち砕かれたからでありまして、民主代表政治に携わる者として、罪万死に値すると言わざるを得ません。
 本決議案に対し、議員の出処進退はみずからの判断にゆだねるべきであるとの意見もあります。
 もともと国会議員は、みずから国民の立場に立ち、国民の声に素直に耳を傾け、みずからの良識を持って決断すべき姿勢を保持する人が選ばれるべきでありますが、時としてそのことを忘れてしまうとき、国民の声を同僚の議員が院の意思として明確に伝え、本人の決断を促すことが、衆議院に負託された国民の信託にこたえる道であるとも考えます。
 また、今日の政党政治のもと、鈴木宗男君は自民党の北海道ブロック比例代表名簿一位で当選をしているのでありまして、本来なら、政党がみずからの倫理保持の観点から、離党を許すのではなく、除名などの適切な制裁を速やかにすべき事柄のように思われるのでありますが、そのようにならなかったことを考えれば、院としてこの勧告を行うことはますます意味を持つと思うのであります。
 さらに、憲法等により保障された議員の身分の重さについても意見がございます。
 戦前の軍部や特高警察のごとき苛烈な言論弾圧、思想、信条、宗教の抑圧に対し、たとえ少数といえども国民の声を代弁し、国民の立場に立って活動する政治家を守ることが国の将来、国民全体の利益に立つとの観点から現憲法に規定されているものであって、権力の側に立って、権力を私するがごとき政治家を守るためにあるのではない、このように私は思います。
 また、何のために、だれのために国会議員になり活動しているのか。今日疑惑として取りざたされているさまざまな疑惑は、人間の尊厳、基本的人権の尊重、主権在民の政治と何かかかわりがありましょうか。
 先日の同君の記者会見では、国会議員を目指した原点に返って、一から出直すとのことでありました。であればこそ、潔く議員を辞職し、一国民、一庶民の立場に戻って、沛然と屋根を打つ雨の音に耳を澄ますべきことを勧めるものであります。
 以上が、本決議案に賛成する理由であります。
鳩山委員長 児玉健次君。
児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 日本共産党を代表して意見を述べます。
 鈴木宗男議員、加藤紘一議員にかかわる疑惑が日々深まる中で、国民の怒りが大きく広がっています。離党で幕引きは許さない、議員を辞職せよ、これが圧倒的多数の国民の声です。このような状況で、疑惑の真相解明と政治的道義的責任の解明に対する国会の責任が極めて厳しく問われています。
 鈴木議員が十一日、予算委員会で行った証言に関して、ムネオハウスの入札参加資格をめぐる介入、コンゴ人私設秘書の身分について民間人と認識していたと述べたことについて、野党四党は、十八日、議院証言法に基づく偽証罪で最高検察庁に告発し、捜査を担当する東京地検特捜部がこれを受理しました。
 疑惑は、外務省にとどまらず、国土交通省、防衛施設庁など省庁横断的な広がりを見せ、決議案が述べているとおり、「国民の政治不信を一段と増大させた」ことは明らかであります。一連の疑惑が鈴木議員への政治献金と深く結びついていることは重大です。日本共産党は、昨日、鈴木議員とロシアとの秘密会談記録を国民に示し、鈴木議員が国益を損なう二重外交を進めてきたことを明らかにしました。
 鈴木議員は、党に迷惑をかけたとして自民党を離党しましたが、迷惑をかけたのは国民にです。本院が、鈴木宗男議員に対して「その責任を自覚して議員を辞し、国民に陳謝し、自らの政治的・道義的責任を明らかにするよう勧告する」ことは、国会として当然なすべき責務です。
 日本国憲法の前文が示すように、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるもの」です。国会と国会議員が「国民の厳粛な信託」にこたえなければならないことは言をまちません。
 昨日、自民党臨時役員会は、国会決議で身分を奪おうとすることは慎重を要すると確認しました。辞職勧告決議は、あくまで、鈴木議員が「国民の厳粛な信託」に背いたみずからの責任を自覚して議員を辞職することを本人に勧告するものであり、国会の政治倫理確立のための自浄作用の発露です。
 また、自民党は、今後、明白かつ重大な違法行為が明らかになった場合は、議員辞職勧告決議案の本会議上程を行うことを可能にするとしています。そうであるなら、藤波孝生議員、中村喜四郎議員の場合はどうだったか、このことを見れば、自民党の確認がその場しのぎの無責任なものであることは明らかです。この決議案が問うているのは、鈴木議員の政治的道義的責任であって、刑事責任ではありません。自民党の決議案に対する態度は、鈴木宗男議員に代表される自民党政治の本性に発するものであると言わなければなりません。
 先ほど、自民党の委員は、決議が無視された場合、院の権威が問われると述べました。本院が議員辞職勧告決議を可決したにもかかわらず、それを無視する議員がいるとすれば、その議員の政治的道義的退廃を示すものであって、国民の批判が強まるのは当然のことです。この決議をなさないことこそ国会の権威をおとしめるものです。
 本決議案を速やかに本会議に上程して議員一人一人の意思を問うことが国会の国民に対する責務であることを述べて、私の意見表明といたします。
鳩山委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党・市民連合の日森文尋でございます。
 最初に、本決議案に賛成の立場で意見表明を申し上げたいと思います。
 決議案の趣旨は、るる申されているとおり、鈴木議員が政治的道義的責任を自覚し、みずから辞職するよう勧告するものであって、この限りにおいて与党の皆さん方の主張は的外れである、こう言わなければなりません。
 二つ目に、鈴木議員をめぐるさまざまな疑惑は、NGO問題にとどまらず、証人喚問以後も新たな疑惑が次々と明らかにされています。疑惑は外務省、国土交通省、防衛庁など多岐にわたっており、その一部については、不十分な調査とはいえ、外務省調査報告やその他の調査で既に事実関係が明確になっています。
 こうしたことを踏まえて、野党四党は、私設秘書の旅券偽造問題及びいわゆるムネオハウス問題に関して最高検に対し偽証罪で告発をしており、これが受理をされております。これ以降、特捜部の捜査が始まるものと理解しています。今後も、野党四党は、確証を得たものから順次告発することにしております。
 さらに問題は、北方領土をめぐって、政府方針と異なる二島先行返還論や北方領土不要論まがいの発言を行うなど、政府の基本方針をねじ曲げ、それをあたかも政府方針であるかのように公言する、極めて重大な問題も指摘をされています。
 以上のようなさまざまな疑惑から、現時点で明白かつ重大な違法行為が立証されていないとしても、鈴木議員の道義的政治的責任は重大であり、直ちにみずからの意思において議員を辞職することを院の総意として勧告することが求められていると思います。
 同時に、国会の責務として疑惑の徹底究明を行うこと、このことを強く求めて、私の意見表明といたします。
鳩山委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 私は、保守党を代表して、衆議院議員鈴木宗男君の議員辞職勧告決議案に関し意見を表明いたします。
 私どもは、鈴木宗男君の議員辞職勧告決議案に反対をいたします。
 その理由は、正当な選挙で選ばれた議員がその職を辞するか否かは、みずからの行為の結果に基づき、議員本人がその責任において判断すべき問題であります。これが民主政治の基本であります。この基本に基づき、国民の代表として選ばれた国会議員の身分は憲法、公選法により保障されており、任期の満了、辞職、被選資格の喪失、懲罰による除名などを除き、一切身分を失うことはありません。
 このように憲法等により身分を保障された議員について、法的根拠や事実関係の確証もいまだなく、立法府がこれの辞職を促すような行為を認めるわけにはまいりません。立法府の存立にかかわる重大な問題だと考えるからであります。
 昭和五十八年二月の田中角栄元首相の議員辞職勧告決議案の提出以来、これまで、衆議院、参議院において、十二件、六人に対する議員辞職勧告決議案が提出されております。それらはいずれも、求刑や起訴、有罪判決が出されるなど、司法当局等において一定の判断がなされたことを前提といたしております。
 特に、平成九年四月、参議院本会議において友部参議院議員辞職勧告決議を可決したにもかかわらず、本人が辞職せず、結果として参議院の権威を傷つけてしまった経験を忘れてはなりません。
 鈴木議員の場合は、係争中の問題でさえなく、本人をめぐる疑惑に関して、本人もまた証人喚問や記者会見などにおいて、事実と違うと明言している以上、賛成するわけにはいかないのであります。
 今回の場合は、立法府として、事実関係を検証することなく、民主政治のもとで保障された議員の身分を奪おうとする行為は民主政治の否定につながると私たちは考え、断じてこれを認めることはできないと主張したいのであります。
 このことを強く申し述べ、保守党の意見表明といたします。
鳩山委員長 この際、上田清司君から発言を求められておりますので、これを許します。上田清司君。
上田(清)委員 民主党の上田清司です。
 自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合並びに民主党・無所属クラブを代表して、動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております熊谷弘君外九名提出の議員鈴木宗男君の議員辞職勧告に関する決議案につきましては、この際、同決議案に対する質疑を終局し、討論、採決に付されることを望みます。
鳩山委員長 上田清司君提出の動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の挙手を求めます。
    〔賛成者挙手〕
鳩山委員長 挙手少数。よって、上田清司君提出の動議は否決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十六分散会


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