衆議院

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第43号 平成15年6月12日(木曜日)

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平成十五年六月十二日(木曜日)
    正午開議
 出席委員
   委員長 大野 功統君
   理事 佐田玄一郎君 理事 佐藤 静雄君
   理事 原田 義昭君 理事 岸田 文雄君
   理事 下村 博文君 理事 高木 義明君
   理事 藤村  修君 理事 長浜 博行君
   理事 西  博義君
      小渕 優子君    北村 誠吾君
      左藤  章君    松浪 健太君
      三ッ林隆志君    森岡 正宏君
      鎌田さゆり君    手塚 仁雄君
      永田 寿康君    三井 辨雄君
      江田 康幸君    都築  譲君
      児玉 健次君    日森 文尋君
      江崎洋一郎君
    …………………………………
   議長           綿貫 民輔君
   副議長          渡部 恒三君
   議員           高木 義明君
   議員           藤村  修君
   議員           長浜 博行君
   議員           都築  譲君
   議員           児玉 健次君
   議員           日森 文尋君
   事務総長         谷  福丸君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十二日
 辞任         補欠選任
  伴野  豊君     鎌田さゆり君
同日
 辞任         補欠選任
  鎌田さゆり君     伴野  豊君
    ―――――――――――――
六月十一日
 イラク復興支援に予算を出さない衆議院決議に関する請願(植田至紀君紹介)(第三五一八号)
 同(川田悦子君紹介)(第三六三三号)
同月十二日
 イラク復興支援に予算を出さない衆議院決議に関する請願(生方幸夫君紹介)(第三九九〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 食品安全委員会委員任命につき同意を求めるの件
 議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案(野田佳彦君外九名提出、決議第三号)
 本日の本会議の議事等に関する件


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     ――――◇―――――
大野委員長 これより会議を開きます。
 まず、食品安全委員会委員任命につき同意を求めるの件についてでありますが、同委員に、お手元の印刷物にあります諸君を任命するについて、内閣から本院の同意を求めてまいっております。
    ―――――――――――――
 一、食品安全委員会委員任命につき同意を求めるの件
   小泉 直子君
   寺尾 允男君
   寺田 雅昭君
   見上  彪君
   坂本 元子君
   中村 靖彦君
   本間 清一君
    ―――――――――――――
大野委員長 本件は、本日の本会議において議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
大野委員長 次に、本日の議事日程第二、保険業法の一部を改正する法律案に対し、民主党・無所属クラブの松本剛明君、自由党の中塚一宏君、日本共産党の吉井英勝君、社会民主党・市民連合の植田至紀君から、それぞれ討論の通告があります。
 討論時間は、おのおの五分以内とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
大野委員長 次に、本日総務委員会から提出された市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案、農林水産委員会の審査を終了する予定の農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案、農業災害補償法の一部を改正する法律案の各法律案について、それぞれ委員長から緊急上程の申し出があります。
 右各法律案は、本日の本会議において緊急上程するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
大野委員長 次に、野田佳彦君外九名提出の議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。長浜博行君。
    ―――――――――――――
 議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
長浜議員 民主党・無所属クラブの長浜博行です。
 私は、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合並びに民主党・無所属クラブを代表して、本院議員松浪健四郎君の議員辞職勧告決議案について、提案の趣旨を説明いたします。
 最初に、決議案の本文を朗読いたします。
 なお、あわせて、その理由を申し述べます。
    議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案
  本院は、議員松浪健四郎君の議員辞職を勧告する。
  右決議する。
 以下、その理由を申し述べます。
 政治腐敗を根絶し、清潔な政治を実現することは、議会制民主主義の根幹にかかわることであり、政治家の責務であります。ましてや、政治家が反社会的な勢力である暴力団と関係するようなことは、断じてあってはならないわけであります。
 しかるに、松浪君は、建設会社の会長が暴力団員とわかった後も秘書給与の肩がわりを受け続け、また、約二百七十五万円の寄附を受けながら、政治資金収支報告書に記載していませんでした。さらに、松浪君は、建設会社の会長が暴力団員と知りながら、談合事件で大阪府警から手配中だった当該会長に頼まれ、電話で捜査状況を照会しています。
 これらの事実は、松浪君みずから認めています。松浪君が国民に対して真摯な態度をもって行動しようとするならば、政治家と暴力団という、反社会的な集団との関係を重く受けとめ、議員として身の処し方に思い至るのは当然のことと考えるのであります。
 選挙によって国民の信託を受けた国会議員が政治家として最低限必要な倫理観の欠如を露呈させたことは、国民の政治不信を一段と強めただけでなく、本院の権威と名誉を著しく失墜させました。
 よって、本院は、議員松浪健四郎君が速やかにその政治的道義的責任を果たすべく、議員を辞職するよう勧告する。
 以上が、本決議案を提出する理由であります。
 付言いたしますと、現内閣、連立内閣のもとで、有効な施策が講じられないまま、我が国経済は悪化の一途をたどっています。政治的にも経済的にも課題山積です。
 このような中で、相次ぐ国会議員をめぐる疑惑は、経済の閉塞状況と相まって、国民の政治不信、政治へのいら立ちを強め、政党政治の根幹を揺るがしかねない事態になっています。政党政治の否定がやがては民主政治の否定につながっていくことは、歴史を顧みれば明らかです。
 本院は、昨年、いわゆる外務省問題など一連の疑惑で逮捕された鈴木宗男君に対して、本院として初めて、議員辞職勧告決議案を可決いたしました。そして、つい先日、三月二十五日には、坂井隆憲君に対して、本院として二度目の議員辞職勧告決議案を可決いたしました。
 本院は、相次ぐ政治と金の問題で失われた国民の政治への信頼を回復するため、悪しき政官業癒着型政治の一掃に全力を挙げて取り組んでまいったわけでありますが、遺憾ながら、その鈴木宗男君、坂井隆憲君が依然として議員のいすに居座り続けているため、国民の政治不信解消と信頼回復は進んでおりません。
 こうした中、また新たに松浪健四郎君の、事もあろうに暴力団絡みの政治資金をめぐる疑惑が明らかになりました。松浪君が、暴力団組員が、当時でありますが、実質的に経営する会社から私設秘書給与の肩がわりを受けていたこと、また、松浪君は、この会社の会長が暴力団組員とは当初知らなかったと述べていますが、その事実を知った後も二カ月にわたって給与の肩がわりを受け続けていたこと、さらに、松浪君みずから認めているように、政治資金規正法違反と知りながらこの給与の肩がわりを政治資金収支報告書に記載しなかったこと、加えて、この会長に頼まれて当時指名手配中だった当該会長の捜査状況を大阪府警に照会したことなど、どう考えても、政治家としてのモラルを云々する以前の問題であり、ちょんまげを切って生まれ変われる筋合いの問題ではありません。
 松浪君が議員として居座り続けることによって生ずる本院の威信の低下、国会議員全体に対する不信は、広がりこそすれ、やむことはありません。
 本院は、松浪健四郎君が今こそ、その責任を自覚して議員を辞し、国民に陳謝し、みずからの政治的道義的責任を明らかにすることを勧告します。
 さて、先ごろ行われた政治倫理審査会での審査において、また新たに、松浪君と暴力団との関係が明らかになりました。当初の暴力団関係者とは別の暴力団幹部が経営する会社から同君の政治資金管理団体等への寄附が発覚したのであります。松浪君は、後日、政治倫理審査会幹事会に異例の「弁明書補遺」を提出、暴力団関係者であることを知らなかったと、みずから、政治資金の授受を認めています。
 かつて、政治倫理審査会規程が議決された本会議で、政治倫理綱領と行為規範も同時に議決されています。
 政治倫理綱領の冒頭には、「政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感をもつて政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。」とあります。
 また、行為規範において、その第一条に、「議員は、職務に関して廉潔を保持し、いやしくも公正を疑わせるような行為をしてはならない。」と規定しています。
 そして、国会法第百二十四条の二には、「議員は、各議院の議決により定める政治倫理綱領及びこれにのつとり各議院の議決により定める行為規範を遵守しなければならない。」と定めています。
 松浪君の行為がこれらに違反することは明確です。
 しかし、政治倫理審査会の結論は、昨日提出されたものでございますが、与野党双方の意見を併記しただけで、松浪君に対する勧告等は一切行われませんでした。これですべてを終わらせようということでしょうか。国民が納得するとは到底考えられません。
 私どもが要求し続けていた予算委員会での参考人招致を受け、事実関係をすべて明らかにした上で、国民に謝罪し、みずからの身を処する、これこそ松浪君のとるべき態度だったのではないでしょうか。
 ところで、正直申し上げて、私自身がかつて御指導いただいた諸先輩が多数おられる保守新党は、この問題について、松浪君の役職停止という、信じられないような軽い処分を決定いたしました。他党のこととはいえ、政党政治そのものが危機に瀕しているという緊迫感が全く感じられないのは、極めて遺憾であります。
 松浪君といえば、議場での水まき事件で懲罰を受けたことも記憶に新しいことです。松浪君の身の処し方については、当初、与党内からも、議員としてのけじめを求める声が随分出ていました。松浪君はこれまでの例と違って事実関係をほぼ認めているわけですから、当然の帰結と言えます。
 以上のとおり、我々は、本院議員であり議院運営委員会の委員かつ理事会オブザーバーという責任ある地位にあった松浪健四郎君がみずから速やかに議員の職を辞することを勧告する決議を提案するものであります。
 最後になりますが、本決議案が本会議に上程されれば、本院史上三度目となり、一つの国会開会中に二人目という異常な事態になります。坂井隆憲君の件で私が行いました趣旨説明に対して、「与党批判、党利党略」とコメントされた松浪君に、どうしてそんな次元でしかこの問題をとらえられないのかなと残念な感慨を抱きましたが、何とも言いがたい、ざんきにたえない状態であることを付言いたし、良識ある諸先輩、同僚議員の御賛同をお願い申し上げ、提案理由の説明を終わります。
大野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。
佐田委員 自由民主党の佐田玄一郎であります。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案について、若干の質問をさせていただきます。
 議員辞職勧告決議案について、国民の代表である議員の身分は極めて重く、安易に国会決議をもって議員の身分を奪おうとすることには憲法解釈上疑義があると考えますけれども、この点についてはいかがなお考えでありましょうか。
 また、議員辞職勧告決議案は、法律上根拠がなく、議院の意思として辞職を求めるものでありますから、その提出は慎重を期す必要があり、安易な提出は許されてはならないと考えるところであります。今回の決議の提出に当たっては、一部マスコミの報道でしか根拠がないにもかかわらず提出した理由をお伺いしたいと思っております。
 また、政治的道義的責任というものを完全に否定するものではありませんけれども、政治的道義的責任があるという理由だけで議員辞職勧告決議案の提出は許されず、本来、裁判所での一審有罪判決や起訴という公権力の判断、客観性が認められる場合に限られるべきと考えますが、いかがですか。明確な基準が必要ではないかと考えるところでありますけれども、どのようにお考えでしょうか。
 我が党は、議員辞職勧告決議案の取り扱いにつきましては、今後、明白かつ重大な違法行為が明らかになった場合には、議員辞職勧告決議案の本会議上程を行うことを可能にすることを確認いたしました。すなわち、国会議員の刑事責任が問われる事態となった段階において党として対応していくという趣旨であります。
 今回の辞職勧告決議案は、いまだ疑惑の段階であり、政治的道義的責任だけを取り上げて議員の辞職を迫るという道を切り開いてもよいと考えられているのかどうか、お聞きしたいと思います。
 仮に、本決議を議決した後に本人が辞職しない場合、院議不服従として懲罰委員会に付することは、院外の行為により懲罰に付することになり、憲法五十八条に抵触するとの拡大解釈につながるおそれがあると考えますけれども、この辺はいかがなお考えをお持ちでしょうか。
 最後に、我々自由民主党といたしましては、本決議案の提出自体に問題があり、それを本会議に提出することは反対せざるを得ないことを表明し、質問を終わらせていただきます。
 以上です。
長浜議員 今、五問の質問をいただいたというふうに思っております。
 まず第一は、国会は国権の最高機関であり、国会議員は、言うまでもなく、国民からの厳粛な信託を受けております。国会議員の身分は、憲法上、手厚く保障されているわけであります。
 しかし、趣旨説明で申し上げましたように、政治倫理綱領の重要性にかんがみ、出処進退について、みずから判断しない、できない、する感性を持ち合わせていない場合には、むしろ、院としての自浄作用を発揮すべきと考えております。勧告を行うことは、憲法に抵触するとは思われません。
 また、議員辞職勧告決議案は法律上根拠がなく、議院の意思として辞職を求めるものであるから、その提出は慎重を期す必要がありという御指摘でありますが、全く同じ考え方でございます。
 ただし、後段の部分で、今回の件が一部のマスコミの報道でしか根拠がないではないかという指摘は、若干といいますか、大幅に認識が違っております。これまた趣旨説明で申し上げたとおり、御本人の告白あるいは与野党合意での政治倫理審査会の開催等で、世の中に与えた影響、政治不信の増大等、もっと事の重大さを認識すべきというふうに私は考えております。
 三番目に、政治的道義的責任というものを完全に否定するものではありませんがとおっしゃっておりますが、政治倫理綱領の問題を趣旨説明の中にたびたび織り込ませていただいたように、政治的道義的責任というのは政治家にとっては魂ともいうべき大事なことであるというふうに思われます。
 また、政治的道義的責任があるという理由だけで議員辞職勧告決議案の提出は許されずという御指摘でありましたが、それは、先ほどの二の質問のことと矛盾するのではないかというふうに思っております。
 議員の辞職に関しては慎重を期す必要があり、安易な提出は許されてはならないということでありますが、政治的道義的責任というものが、議員辞職勧告決議、勧告でありますので、許されずということには、そこまで強く言い切ることができるのかなというふうに思っております。
 そして、司法の判断のことについても触れられましたが、公権力の判断を尊重することはもちろん大事だと思いますけれども、三権分立の原則の中で院の自浄作用を院の意思で、立法府の意思で行うことが大切だということも認識しなければならないのではないかと思います。
 明確な基準はということも、これは、この勧告決議案が本会議に上程されれば全議員が対象になりますし、考えたくないことでありますが、上程されないようなときには、ここにいらっしゃる皆様方、政治家一人一人の明確な基準というのは政治的良心でありまして、この案に関して賛成したか反対したかというのは、まさに松浪君自身がおっしゃられたように、ここにおられる御自身一人一人が次の選挙で問われることだというふうに思っておるわけであります。
 それから、疑惑ではなく、趣旨説明で申し上げたこと及び政倫審等で明らかになった厳然たる事実があるということも忘れることはできません。
 政治的道義的責任だけを取り上げてということでは、これだけのことに執着しますと、それでは、捕まらなければいいのか、ばれなければいいのか。司法の判断を待つ前に、政治家の良心として、我々はなすべきことが、もちろん憲法上許される範囲の中で、なすべきことがあるのではないかというふうに思うわけであります。
 最後に、御高承のように、質問者を含めまして、現在、議会制度協議会懇談会で、この院議不服従の問題は議論している最中でございます。さらに、この質問は本件とは直接関連していないのではないか。すなわち、本人が辞職しない場合、即院議不服従として懲罰委員会に付するということは何も決まっていないわけでありますので、この問題に関しては、与野党問わず、これから慎重に審議していくものだというふうに考えておるわけであります。
 以上です。
大野委員長 西博義君。
西委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました松浪健四郎君の議員辞職勧告決議案を本会議に上程する動議に反対の立場から意見の表明を行いたいと存じます。
 松浪健四郎君は、五月二十一日の政治倫理審査会において、暴力団関係者の会社からの秘書給与の肩がわりや、捜査情報の問い合わせを行ったことを率直に認め、その経緯、事実関係を詳細に説明されました。
 弁明では、最初から暴力団関係者と知った上でのつき合いではなく、暴力団関係者と知った後は関係を絶とうと苦悩し、その葛藤などは十分理解できる部分もありますが、資金提供を受けるべきではない人からの資金提供を受け、政治資金収支報告を怠ってきたことは事実であり、手配中の相手から依頼を受けて捜査情報を捜査当局に問い合わせるなどの行為は、結果として政治家としての公正を疑わせるもので、まことに遺憾と言わざるを得ません。
 しかしながら、松浪議員は、政倫審での弁明等でも明らかなように、議員自身、深く反省しており、かつまた、現在まで当局の捜査や刑事訴追を一切受けておりません。
 そもそも、野党が四月二十三日提出したこの辞職勧告決議案は、国会における本人の弁明も一切行われないうちに、一方的に提出されたものであります。
 言うまでもなく、国会議員は、選挙を通じ、国民から厳粛な信託を受けて選出されるものであり、その地位は、憲法上も極めて重いものでございます。議員の出処進退は議員みずからが決することが大原則であり、したがって、議員辞職勧告決議は、国会議員のこの重みを考慮した上でなお、これをはるかに超える、余りにも明白かつ重大な違法行為があった場合に、国会として議員辞職勧告を行うべきものでございます。
 公明党は、これまで、一、議員の出処進退はみずから決すべきである、二、刑事訴追を受ける等明白かつ重大な違法行為があった場合は厳しい態度で臨む、三、議員に対する疑惑の段階で数を頼んでの辞職勧告は慎重であるべきであるとの基本認識により、政治倫理問題に厳しく対処してまいりました。
 こうした認識に基づき判断すれば、松浪議員に政治倫理上の瑕疵はあるものの、野党提出の辞職勧告決議案を本会議に軽々に上程し採決に付すことは、不適当であり、かえって国会の権威を傷つけることになると判断し、本動議に反対を表明いたします。
 以上です。
大野委員長 都築譲君。
都築委員 私たち自由党は、ただいま提案のありました議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案に賛成であります。
 政治倫理審査会での審査では、松浪君自身は、みずからの弁明に終始し、関係者の暴力団員の名前を匿名にして暴力団員をかばうなど、真実を国民の前に明らかにしようとせず、また、みずからの襟を正そうともせず、国民の信託にこたえる国会議員としての姿勢は全く見られなかったのでありまして、国民の政治家に対する不信の念はますます強くなってしまいました。
 暴力団と知りながら政治献金等の支援を受け、また、虚偽の報告を届け出て、さらに、当該暴力団員の犯罪捜査の状況について警察に問い合わせ、照会していたことをみずから認めていたのでありますから、速やかにこの辞職勧告を私どもとしてすべきであります。
 国民は、政官業の癒着の問題でもうんざりなのに、政官暴の癒着にまで至っては、たまらないのであります。まして、国会議員としての権威をかさに暴力団の御用聞きのような行為をしている人を、それが国民の税金によって賄われているなどは、断じて許されません。
 殺人等の暴力行為、麻薬犯罪、やみ金融などの過酷な取り立て、あるいは一般人を巻き込んだ抗争など、その反社会的な行為によって一般国民に恐怖を与える組織犯罪から国民を守るために、国会としてさまざまな立法活動をしているのではないでしょうか。
 政治的道義的責任が問われる、あるいは潔さが求められるなどと言われておりますが、政治的道義的責任も潔さも求めません。もともとあれば、とっくにみずから辞職しているでしょう。だからこそ、議員松浪健四郎君に対して、立法府の仲間として、この衆議院の意思をみずから明らかにし、辞職すべきであると我々議員一同が彼に勧告すべきであると考えております。
 以上が、私どもの賛成の立場の考え方であります。
大野委員長 児玉健次君。
児玉委員 私は、日本共産党を代表して、議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案を本日の本会議に上程することを求めます。
 暴力団は、存在すること自体が許されない反社会的集団です。暴力団関係者が経営する企業から秘書給与の提供を受け、その見返りとして、指名手配中の暴力団関係者のために捜査状況を大阪府警に照会する、これらの議員としてあるまじき暴力団関係者との醜悪な関係が明るみに出た本年四月十五日、松浪君は、即刻、議員を辞職すべきでした。
 暴力団関係者からの秘書給与提供を政治資金収支報告書に記載することをしなかった松浪君の行為が重要な犯罪を構成することは、坂井隆憲議員が収支報告書への虚偽記載によって逮捕され、現在も起訴・勾留中であることから明白です。
 松浪君は、五月二十一日の政治倫理審査会で、「本件以外に客観的事実としても暴力団関係者と一切関係を持ったことはございません。」と弁明しました。しかし、別の暴力団関係者から再三にわたって献金を受けていたという資料を提示しての私の指摘を、松浪君は認めました。松浪君が六月四日に政治倫理審査会に提出した「弁明書補遺」なる文書は、みずからの弁明が根底から崩れ去ったことの自己表明にほかなりません。
 国政に対する国民の厳粛な信託を踏みにじった松浪君は、直ちに議員を辞職すべきです。
 松浪君を擁護し続けている保守新党、それをそのまま容認する自由民主党、公明党の責任は極めて重大です。
 松浪健四郎君の議員辞職勧告決議案を本日の本会議に上程し、議員一人一人の意思を深く問うことが国民に対する衆議院の責務であることを述べて、私の意見表明といたします。
大野委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋です。
 私は、議員松浪健四郎君に対する議員辞職勧告決議案の本会議上程に賛成する意見表明を行います。
 議員松浪健四郎君は、一九九七年から九八年にかけて、当時、暴力団員が会長をしていた土木建設会社に秘書給与二百七十万円を肩がわりさせ、これが政治献金に当たるにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載せず、規正法に違反する行為を行ったこと、また、当該暴力団員が指名手配中であるにもかかわらず大阪府警に捜査状況を照会するかのような行為を行ったこと、これら一連の行為は、松浪議員本人が認めるとおり、金の面倒を見てもらった見返りに暴力団関係者に便宜を図ったとされても、弁解の余地のない事実であります。
 議員として、法違反を犯し、しかも、暴力団関係者と知り得た後も秘書給与の肩がわりを続けていた事実は、それだけでも国会議員としての資格を失する行為と言わなければなりません。さらに、本人が望んで弁明した政治倫理審査会においても、新たに暴力団関係者からの献金が明らかになるなど、虚偽の弁明をした事実も看過することはできません。
 この件に関して、野党は、一致して、事の本質を明らかにするためにも予算委員会での参考人質疑を求めましたが、与党は、一貫してこれを拒否しました。問題をやみに葬り去ろうとする与党の姿勢は、政治と金の関係を透明化し、さらに、癒着の温床である企業・団体献金の禁止を求める国民の声に背を向けるものであります。
 松浪議員の行為に対する国民、識者の意見の多くは極めて厳しいものであり、国会議員の身分が憲法によって手厚く保護されていることを考慮しても、松浪議員がもはや国会に籍を置くことは許されません。
 松浪議員は、政治的良心に従い、みずからの判断で直ちに議員を辞職すべきであることを申し上げ、意見表明といたします。
大野委員長 江崎洋一郎君。
江崎委員 私は、保守新党の江崎洋一郎でございます。
 保守新党は、衆議院議員松浪健四郎君の議員辞職勧告決議案の本会議上程につきまして、反対の意見表明をさせていただきます。
 国民の代表として選ばれた国会議員の身分は、憲法、国会法、公選法等により手厚く保障されており、議員は、任期の満了、自発的辞職、被選資格の喪失、懲罰による除名などを除き、一切、その身分を失うことはありません。
 国会議員の身分をこのように手厚く保障しているのは、政治的圧力や多数の横暴などから議員の言論の自由を守り、自由な政治活動を保障するためのものであり、民主政治の基本となっております。国会が一面において与野党の政治闘争の場であるとはいえ、一連の報道のみを根拠として野党が議員辞職を求める決議案を提出したことは、まことに遺憾であり、民主政治の基本を踏みにじるものと考えます。
 昭和五十八年二月の田中元首相の議員辞職勧告決議案の提出以来、これまで、衆議院、参議院において、多くの議員辞職勧告決議案が提出されてまいりました。それらはいずれも、当該議員の逮捕、当該議員に対する求刑、起訴、有罪判決など、捜査・司法当局において何らかの判断がなされたことを前提としておりました。
 しかるに、今回、野党が提出した決議案は、真偽の明らかでない一連の報道を根拠としており、辞職を求める法的根拠を示すこともなく、事実関係の確証もありません。
 松浪議員は、今回の件の真相を国民に説明するため、みずから、公開での政治倫理審査会の開催を求めました。そして、政治倫理審査会において、自分と反社会的集団との関係について深く反省を示す一方、疑惑を持たれるような行為などがなかったことにつき誠実に答え、国民に対する説明責任を果たしております。
 以上の理由から、保守新党は、衆議院議員松浪健四郎君の議員辞職勧告決議案を本会議に上程することに強く反対させていただきます。
 以上でございます。
大野委員長 この際、藤村修君から発言を求められておりますので、これを許します。藤村修君。
藤村委員 民主党の藤村修でございます。
 私は、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び民主党・無所属クラブを代表して、動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております野田佳彦君外九名提出の議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案につきましては、この際、同決議案に対する質疑を終局し、討論、採決に付されることを望みます。
大野委員長 藤村修君提出の動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の挙手を求めます。
    〔賛成者挙手〕
大野委員長 挙手少数。よって、藤村修君提出の動議は否決されました。
    ―――――――――――――
大野委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。
谷事務総長 まず最初に、食品安全委員会委員任命につき同意を求めるの件についてお諮りをいたします。採決は四回になりますが、順序は印刷物のとおりであります。
 次に、動議により、日程第一とともに、総務委員会の法律案を緊急上程いたしまして、遠藤総務委員長の報告及び趣旨弁明がございます。採決は二回になります。一回目は日程第一で、全会一致であります。二回目は市町村の合併の特例に関する法律の一部改正案で、共産党及び社会民主党が反対でございます。
 次に、日程第二につき、小坂財務金融委員長の報告がございます。次いで四人の方々からそれぞれ討論が行われますが、順序は印刷物のとおりであります。民主党、自由党、共産党及び社会民主党が反対でございます。
 次に、日程第三につき、佐々木内閣委員長の報告がございまして、自由党及び社会民主党が反対でございます。
 次に、日程第四につき、古屋文部科学委員長の報告がございまして、全会一致であります。
 次に、日程第五ないし第七につき、村田経済産業委員長の報告がございます。採決は二回になります。一回目は日程第五及び第六で、全会一致であります。二回目は日程第七で、共産党が反対でございます。
 次に、日程第八につき、河合国土交通委員長の報告がございまして、自由党及び共産党が反対でございます。
 次に、日程第九及び第十につき、中山厚生労働委員長の報告がございます。採決は二回になります。一回目は日程第九で、無所属の川田悦子さんが反対でございます。二回目は日程第十で、全会一致であります。
 次に、動議により、農林水産委員会の二法律案を緊急上程いたしまして、小平農林水産委員長の報告がございます。採決は二回になります。一回目は農業経営基盤強化促進法の一部改正案で、共産党及び社会民主党が反対でございます。二回目は農業災害補償法の一部改正案で、全会一致であります。
 本日の議事は、以上でございます。
    ―――――――――――――
       採 決 順 序
 一、(全会一致)
      小泉 直子君    本間 清一君
 二、(反対 民主、自由、社民)
      寺尾 允男君    寺田 雅昭君
 三、(反対 民主)
      見上  彪君
 四、(反対 民主、自由)
      坂本 元子君    中村 靖彦君
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十九号
  平成十五年六月十二日
    午後一時開議
 第一 消防組織法及び消防法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 少子化社会対策基本法案(第百五十一回国会、中山太郎君外八名提出)
 第四 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第五 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第六 下請中小企業振興法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第七 小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第八 公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第九 次世代育成支援対策推進法案(内閣提出)
 第十 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
 日程第二 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
        反対 民主、自由、共産、社民
     財務金融委員長 小坂 憲次君
   討論通告
      反 対    松本 剛明君(民主)
      反 対    中塚 一宏君(自由)
      反 対    吉井 英勝君(共産)
      反 対    植田 至紀君(社民)
    ―――――――――――――
大野委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。
    ―――――――――――――
大野委員長 次に、次回の本会議及び委員会は、追って公報をもってお知らせいたします。
 なお、明十三日金曜日午前十一時から理事会を開会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十八分散会


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