衆議院

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第11号 平成25年3月4日(月曜日)

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平成二十五年三月四日(月曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 高木  毅君 理事 古川 禎久君

   理事 御法川信英君 理事 秋元  司君

   理事 平沢 勝栄君 理事 櫻田 義孝君

   理事 渡辺  周君 理事 石関 貴史君

   理事 大口 善徳君

      越智 隆雄君    鈴木 憲和君

      田野瀬太道君    根本 幸典君

      藤丸  敏君    星野 剛士君

      牧島かれん君    菊田真紀子君

      津村 啓介君    木下 智彦君

      中田  宏君    中野 洋昌君

      浅尾慶一郎君    山内 康一君

      佐々木憲昭君    小宮山泰子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   議長           伊吹 文明君

   副議長          赤松 広隆君

   事務総長         鬼塚  誠君

   参考人

   (日本銀行総裁候補者(アジア開発銀行総裁))   黒田 東彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月四日

 辞任         補欠選任

  郡  和子君     津村 啓介君

  今村 洋史君     中田  宏君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     郡  和子君

  中田  宏君     今村 洋史君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

  畑  浩治君     小宮山泰子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案(遠藤利明君外十二名提出)の取扱いに関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本銀行総裁任命につき同意を求めるの件

 本日の本会議の議事等に関する件


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 まず、決議案の取扱いに関する件についてでありますが、去る一日、遠藤利明君外十二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、生活の党の六会派共同提案による第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案が提出されました。

 この際、発言を求められておりますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 オリンピックは、国際親善とスポーツの発展にとって大変意義深いものであると我々は考えております。

 しかし、東京オリンピック招致について、我が党は、オリンピックを利用して大規模な東京開発を進めるものだと指摘して、反対してまいりました。今、国と都が力を注ぐべきは、大震災、原発事故からの復興であり、国民、都民の暮らし、社会保障を立て直すことでございます。この立場は、現時点でも変わっておりません。

 既に、日本共産党東京都議団は、二〇二〇年夏季オリンピック東京招致に対して反対の意思表明をしております。昨年十一月の都議会においても、招致を断念するよう求めております。

 したがって、国会決議案の本会議上程には、私どもは反対でございます。

 以上です。

佐田委員長 それでは、本決議案は、本日の本会議において議題とするに賛成の諸君の挙手を求めます。

    〔賛成者挙手〕

佐田委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。

 なお、本決議案の趣旨弁明は、提出者の浮島智子君が行います。

 また、本決議に対しまして、内閣を代表して、下村文部科学大臣から発言があります。

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、国務大臣の演説に対する質疑についてでありますが、本日の本会議においては、まず民主党・無所属クラブの大畠章宏君、次に自由民主党の小池百合子君、次いで日本維新の会の藤井孝男君の順序で行います。

 なお、質疑者の要求大臣は、お手元の印刷物のとおりであります。

    ―――――――――――――

 一、国務大臣の演説に対する質疑

  質 疑 者     時間   要求大臣

 大畠 章宏君(民主) 35分以内 総理

 小池百合子君(自民) 35分以内 総理、外務、財務、甘利国務(経財、一体改革)

 藤井 孝男君(維新) 35分以内 総理、環境、国交

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。

鬼塚事務総長 まず最初に、動議により、第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案を上程いたします。提出者を代表して浮島智子さんが趣旨弁明をされまして、共産党が反対でございます。採決の後、下村文部科学大臣の発言がございます。

 次に、国務大臣の演説に対する質疑に入ります。

 三人目の藤井孝男さんの質疑に対する答弁が終わりましたところで、動議により、残余の質疑は延期し、明五日にこれを行うことを決定していただきます。

 本日の議事は、以上でございます。

佐田委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、日本銀行総裁任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る二月二十八日の理事会において、加藤内閣官房副長官から、内閣として、日本銀行総裁にアジア開発銀行総裁黒田東彦君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会申し合わせに基づき、日本銀行総裁候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として日本銀行総裁候補者・アジア開発銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、黒田参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、黒田参考人、お願いいたします。

黒田参考人 黒田でございます。本日こうした機会を与えられましたことに対しまして、深く感謝を申し上げたいと思います。

 私は、二〇〇五年の二月から、アジア開発銀行総裁として、アジア諸国の経済発展と貧困削減に取り組んでまいりました。この間、幸いに、アジア諸国は大変高い成長を遂げまして、世界経済をいわば牽引しているという形になっております。

 日本は、さまざまな形でこれら諸国に対して支援を行っておりまして、その成長に大きく貢献をしてきました。

 また、日本は、アジア諸国の重要な貿易・投資の相手国でありまして、そういった意味でも、重要な位置を占めておると思います。その意味で、日本がデフレを脱却して持続的な経済成長に復するということは、アジアにとっても、また、ひいては世界経済にとっても、重要であり、期待されていることだと思います。

 しかしながら、日本経済は、十年以上、十五年近くデフレに苦しんでまいりました。これは、世界的に見ましても極めて異例なことです。物価が下落する中で企業の収益あるいは人々の賃金、給与が圧縮されて消費や投資がさらに減少するということで再び物価の下落につながるという、いわば悪循環に陥っているわけでございます。

 デフレからの早期脱却ということは、日本経済が抱えている最大の課題であると思います。

 物価安定は中央銀行の責務でありまして、デフレ脱却における日本銀行の役割は極めて重要だと思います。

 過去十数年間、日本銀行はさまざまな取り組みを行ってまいりましたけれども、残念ながらデフレ脱却には至っておりません。しかし、このところ、政府がデフレ脱却と経済再生を実現するという方針を明らかにして緊急経済対策などの対応をとったということが好感されて、いわば、景気の回復を先取りする形で株価も上昇しているという状況にあると思います。

 そうした中で、特に、本年一月の共同声明というものは、政府と日銀が、それぞれの課題を明確に設定して、責任を持ってそれを実現することを宣言したという意味で、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けた大きな第一歩だと思います。

 特に、日本銀行が、二%の物価安定目標を設定して、これをできるだけ早期に実現するということをはっきり宣言したということは、極めて画期的なことだと評価をしております。

 もし私が総裁に選任されましたならば、この物価安定目標を一日も早く実現することが何よりも重要な使命となるというふうに考えております。

 もちろん、これまで日本銀行は、デフレ脱却に向けて、国債だけでなく、社債その他の資産を買い入れてまいりました。この点は評価されるわけですけれども、その規模あるいは具体的な買い入れ対象等については、できるだけ早期に二%の物価安定目標を達成するという強いコミットメントを実現するためにはまだ十分ではないというふうに思います。

 資産買い入れを初めとする具体的な金融緩和の手法については、市場への影響等も見きわめつつ、何が最も効果的かということを探っていく必要があると思います。

 また、金利引き下げの余地が乏しいという現状では、金融政策の運営に当たっては、市場の期待に働きかけるということが不可欠だと思います。

 もし私が総裁に選任されましたならば、市場とのコミュニケーションを通じて、デフレ脱却に向けて、やれることは何でもやるという姿勢を明確に打ち出していきたいというふうに思っております。

 さらに、政府との連携確保ということも非常に重要です。

 具体的な金融緩和の手法は日本銀行に任せるべきだと思いますけれども、金融政策は、政府の経済政策と整合性を持って運営することでより高い効果を発揮できるものですので、政府と日銀のより緊密な意思疎通が重要だというふうに思います。

 一方、共同声明では、政府は、機動的な財政政策、成長力、競争力強化、中長期的な財政健全化に取り組むということになっております。

 もとより、日本銀行は、みずからの責任において、物価安定目標の早期実現を目指して金融緩和を推進するものであります。

 ただ、金融緩和と並行して、政府が実需をつくり出し、消費、投資の拡大を通じて賃金、雇用を改善することができれば、そこからさらなる物価上昇につながる好循環も期待できます。

 また、財政運営への信認低下による金利上昇を避けるため、中長期的な財政健全化に取り組むことも重要です。

 日本銀行として、金融、経済のグローバル化に対応するということも大変重要です。

 日本銀行は、物価の安定だけではなく、金融システムの安定という使命を負っているわけですけれども、近年、金融規制等についての中央銀行間の連携協力というのは重要性を増しているわけでございます。また、金融政策の意図や方向性について、諸外国に説明する機会もふえております。

 こうした各国中央銀行等との連携、調整に努めることは、極めて重要であるというふうに思っております。

 最後に。

 私は、これまで、政府機関、国際金融機関、大学等で勤務してまいりましたけれども、どのような職務にあるときも、与えられた職務を果たすために最善を尽くしてまいりました。

 日本経済が重要な局面にある中で、日本銀行総裁の果たすべき役割というものも重要性を増している、極めて重大であるというふうに存じております。

 したがいまして、もしその重責を果たすべき機会を与えていただければ、これまでの経歴で培ってきた経済、金融についての知見、内外の人的なネットワーク、そして組織のトップとしてのマネジメント経験も生かしまして、全身全霊を込めて、その職務に邁進していく所存でございます。

佐田委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

 理事会の申し合わせに基づき、許可された記者以外の報道関係の方々は御退室をお願いいたします。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより黒田参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次二十分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 黒田総裁候補には、本当にお疲れさまでございます。

 ただいま、デフレ脱却、そして持続的な経済成長にかける意気込みを聞かせていただきまして、大変に心強く思った次第でございます。

 黒田さんは、財務省で国際金融局長、財務官等をやられ、国際金融に関しましては大変な経験そして知識をお持ちと聞いております。そして、海外にも幅広い人脈をお持ちと聞いているわけでございます。

 一部、財務省出身がどうのこうのと言う向きもありますけれども、これが大事なんじゃなくて、財務省であろうが何であろうが、いい人はいいし、悪い人は悪いということだろうと思います。

 いずれにしましても、今お話ありましたけれども、アジア開発銀行の総裁としても大変にすばらしい実績を残され、そして、アジア開発銀行の組織運営力といいますか統率力を示されたわけでございまして、私は大変に適任ではないかなと思います。

 そこで、まずお聞きしたいんですけれども、黒田さん、もし日銀総裁になられた場合には、今までの経験とか知見とか、あるいは海外の人脈、これをどう生かして日銀のかじ取りをされていかれようとなされているのか、もう一度、詳しくお聞かせいただけますか。

黒田参考人 ただいま平沢委員の御指摘のように、私、財務省で国際金融局長、国際局長、財務官を務めまして、その後、アジア開発銀行総裁として八年強仕事をしてまいりましたけれども、その間に、幅広い人的なネットワークというものを培うことができました。

 これは、お互いに、単に知り合って情報交換するというだけではなくて、当然、さまざまな利害関係の調整ということが必要になるわけです。

 日本の国際金融の代表として、もとより日本の国益というものを最大限に生かす、あくまでも、グローバル化した世界経済の中で、調和をとりつつ、しかし日本としての国益を最大限発揮するという意味で、かなりタフな交渉というのもやってきました。

 アジア開発銀行総裁としては、もとより日本の代表ではありませんので、六十七カ国の加盟国の全体の利益、利害を代表し、アジアの途上国の支援をするということですが、その中でも、やはり非常にいろいろな利害の調整というものがありました。大変難しい課題だと思いましたが、何とかやってこられましたのは、加盟国の支援、日本政府も含めてですが、それがあったと思います。

 そういったことを通じて培った知見とかあるいは人的ネットワークというものを、仮に日銀総裁に任命されましたならば、もちろん最大限活用して、日本の金融政策の趣旨、目的、その効果について広く海外の理解を求めるとともに、海外のさまざまな金融政策との調整ということにも、日本の国益を最大限生かすように努めてまいりたいというふうに思っております。

平沢委員 ありがとうございました。

 今回、人事案が報道されてから、市場関係者はもとより、海外の識者の間でも、歓迎する声というか高く評価する声が出ているわけでございまして、ぜひ、選ばれた場合には、しっかり頑張っていただきたいなと思います。

 次にお聞きしたいと思うんですけれども、円高、デフレがずっと続いている中で、GDPがふえない、経済成長の期待が高まらないで閉塞感が漂っているわけでございまして、そういう中で、政府は、いわゆるアベノミクス、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、この三本の矢、これによってデフレ脱却に持っていこうということで今取り組んでいるわけでございます。

 先ほどの所信表明の中でもちょっとありましたけれども、黒田さん、マスコミのインタビューに応えられて、こういうことを言っておられます。

 三つのエレメントでデフレを克服する一方、中期的な財政再建を堅持し成長力を高めていくのは適切な政策だと思う、日本のデフレは十五年続いている、先進国でこんな例はない、グローバルスタンダードでは物価安定は中央銀行の責任だ、日銀が過去十五年にわたって十分責任を果たせていなかったのは事実だ、二%の物価目標を設定し、できるだけ早期に実現するというのは、非常に画期的で正しい、こういったことを答えられているわけでございます。

 そこで、もう一度、アベノミクスについてどういうふうにお考えになられているか、それをお聞きしたいと思います。

 あわせて、近年、一部の途上国からは、先進国の金融緩和、これが自国に影響することについての懸念というか心配する声も聞かれているわけでございますけれども、これについてはどうお考えになられるか、お答えください。

黒田参考人 ただいま御指摘になったように、私も、この三つの矢と申しますか、大胆な金融緩和、弾力的な財政政策、そして中長期的な成長を生むための成長戦略という、この三つの組み合わせで現在の日本経済の課題を克服していくという方向は正しいというふうに思います。

 そこで日本銀行としてなすべきことというのは、まさに、大胆な金融緩和を行うことによってデフレから脱却し、二%という物価安定目標をできるだけ早期に実現することであるというふうに思います。私は、それは可能であり、また、そうしなければならない、それが日本銀行の使命であるというふうに確信をしております。

 なお、日本あるいは米国、ヨーロッパといった大きな経済大国が金融緩和をした場合に、他の事情で変わらなければ当該金融緩和国の為替が下落する傾向があるということは、これは理論的にも実証的にもそう言われているわけでございます。

 ただ、そのことは、日本銀行の金融政策が為替の下落を狙っているというものでは全くないわけです。

 日本銀行の法律を見ても、また、これまでの政策を見ても、何よりも重要なことは、物価の安定、今の状況でいえば二%の物価安定目標を実現するということであって、その過程で為替とか何かに一定の影響が出るということはあり得ると思いますけれども、それも、実は、いろいろな研究結果によりますと、一〇〇%そのように、金融緩和した国が必ず為替が下落するというわけでもないんですね。ただ、そういう傾向があるということは否定できないので、そういうことも踏まえつつそれぞれの国が金融政策をやっているわけです。

 しかし、日本経済は、欧米諸国と違って、デフレ状況、物価が下落しているという状況にあるわけです。これは一日も早く直さなければならない。そのために、大胆な金融緩和をとって、二%の物価安定目標を、早期に、できるだけ早期に達成するということは、日本にとっていいことだけでなくて、アジアや世界経済にとっても好ましいことだというふうに思います。

平沢委員 ありがとうございました。

 続いて、二%の物価目標についてお聞きしたいと思うんです。

 十二月十六日の総選挙で、私たち自民党は、二%の物価目標を公約に掲げて戦ったわけでございます。

 具体的には、読んでみますと、「明確な「物価目標(二%)」を設定、その達成に向け、日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みを作り、大胆な金融緩和を行います」、これを公約に掲げて戦って、勝たせていただいて、政権についたわけでございます。

 そういう中で、さきに、今、黒田さんも言われましたように、政府と日銀で共同声明というのを出しまして、この共同声明の中では、「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%とする。 日本銀行は、上記の物価安定の目標の下、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す」、こういうふうにうたっているわけでございます。

 そこで、黒田さんにお聞きしたいんです。

 政府と日銀間で結ばれたこの共同声明、物価目標二%、これについてどう考えられるか。二%というのはかなり厳しいんじゃないかという声もありますけれども、これについてどう考えるか。

 そして、その二%実現の道筋、これについてどう考えられるのか。

 あわせて、そもそもデフレの原因とそれへの対策、これについてはどう考えられるのか。

 最後に、もう一つ、金融政策でデフレの脱却が可能なのかどうか、これについてもお答えいただければと思います。

黒田参考人 二%の物価安定目標というのは、いわばグローバルスタンダードでございまして、米国あるいは欧州、特に英国、さらにはカナダ、オーストラリア、ニュージーランド等、先進国のほとんど全てが二%という物価安定目標を設定しているわけでございます。

 たしか、ニュージーランドは二ないし三というふうになっていたと思いますし、また、二%と言っているところでも、二%プラスマイナス一とか、ある程度の幅を設けておるところもございますが、基本的に、二%というのは世界的ないわばスタンダードになっている。

 なぜそうなっているかというと、恐らく、消費者物価指数というのは、どうしても、新製品のウエートが入っていないとかその他のいろいろな事情で、実態よりもやや過大に出てしまう、それが〇・五%から一%ぐらいあるのではないかというふうに研究者は言っているわけです。

 さらに、その上に一%程度ののり代といいますか、景気が急速に低下したり、そういう場合に金融を大幅に緩和しなければならないんですが、物価安定目標が低いままですとすぐに金利がゼロになってしまって、それ以上の緩和というのは、いわば量的緩和という、普通の、金利を下げていくという緩和方式でないやり方でせざるを得ないということもありまして、ほとんどの国が二%という物価安定目標を掲げている。

 私は、日本銀行が二%の物価安定目標を共同声明の中でコミットし、政策委員会で決定したということは、極めて正しいというふうに思います。

 委員おっしゃるとおり、十五年続きのデフレの中で、物価がずっと下落している中でそれを二%にまで高めるということは、大変な困難が伴うということは事実でございます。

 ただ、困難であるからといって、いつまでもそれに対する挑戦をしないでいるということは、むしろ、デフレを続け、悪化させるばかりでございますので、あらゆる手法を講じて、何としてもできるだけ早期に二%の物価目標を達成するという必要があるし、私は、それは可能であるというふうに確信をいたしております。

 したがいまして、もし日本銀行総裁に任命されましたならば、全力を挙げてそういう方向に向けて努力をしてまいりたいというふうに思っております。

平沢委員 この共同声明について、先ほどの所信でも、政府との意思疎通を緊密に図ると。私は、これはいいと思うんです。

 その一方で、一部、日銀の独立性との観点から疑問の声を呈する向きもなきにしもあらずなんですけれども、それについてはどうお考えになられますか。

黒田参考人 日本銀行の独立性ということは法律でもきちっと確保されておりますし、現在の日本銀行総裁も言われていますように、こういった共同声明の中で二%の物価安定目標についてコミットし、それをきちっと政策委員会で決定したということは、日本銀行の独立性に矛盾するものではないというふうに思っております。

平沢委員 ありがとうございました。そのとおりだろうと思います。

 そこで、二%の物価上昇を目指すことに関しまして、一部では、雇用とか賃金が改善されなければ、かえって国民の暮らしは苦しくなるという批判があるわけでございます。

 雇用と賃金については今も所信の中でお話しされましたけれども、雇用と賃金の改善について、もちろんこれは、政府、日銀、両方一体となってやらなきゃならない問題ですけれども、日銀としては、どういう段取りで、雇用、賃金の改善、こういったことをやっていかれるおつもりなのか。そして、どのくらいで効果が出るとお考えになられるか。その道筋について、あるいは具体的な取り組みについて、もっと詳しくお伝えいただけますでしょうか。

黒田参考人 御指摘のように、賃金と雇用がどのように今後なっていくかということは極めて重大な問題でございます。

 過去十五年間のデフレの状況を見ますと、確かに、デフレがずっと進んできたころには、最初は、賃金はなかなか低下しなくて物価がどんどん下がっていくということですから、実質賃金はむしろ上がって、雇用が縮小するというようなことがあったんですが、それは初めにあっただけで、基本的に、十五年続きのデフレの中で、賃金も下がり、雇用もふえないということになってきたわけです。

 したがって、物価安定目標二%というものをできるだけ早く達成するという中で、私は賃金も雇用も改善していくとは思いますけれども、しかし、経過的にそうでない局面もあり得るわけですので、そこは、やはり政府と十分緊密な連携をして、特に政府におかれて景気対策その他を講じておられるわけですから、それが十分な効果が出るように、さらには、必要に応じて措置がとられるように、日本銀行としても政府と十分な連絡をしていく必要があると思います。

 なお、物価が二%のレンジに近づく過程でさまざまな事態が起こり得ますので、当然、日本銀行として、常時その状況をよく調べる必要があります。

 日本銀行は、御承知のように、日本全国に支店を展開しております。その支店を通じて各地域の経済、金融の情報が入ってくるわけですから、そういうものも十分に生かして、賃金や雇用が物価の上昇率と平仄が合った形でできるだけ早期に改善していくというふうにしていかなければならないし、それは政府、日銀の課題であるというふうに承知しております。

平沢委員 時間が来ましたので、最後の質問にさせていただきます。

 今回、同時に、副総裁候補として、岩田さん、中曽さんが提案されているわけでございます。

 もちろん、総裁は黒田さんですけれども、三人でタッグマッチを組んで、今の低迷している日本の経済を立て直してもらわなきゃならないし、物価の安定も図って、デフレからの脱却をしてもらわなきゃならないんですけれども、三人のチームを組んで、そして九人の政策委員会もあるわけですけれども、もしなられた場合の決意を改めて教えていただけませんか。

佐田委員長 時間ですので、短目にお願いします。

黒田参考人 まさに、おっしゃるとおり、お二人の副総裁が任命されましたら、三人でタッグマッチを組んで、物価安定、金融システム安定に向けて最大限の努力をしてまいります。

平沢委員 内外の期待が大変に高いわけですので、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 黒田さん、本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、少し大きな質問になりますけれども、中央銀行制度の存在意義、そして、その中で確立されてきた中央銀行の独立性について、まずお話を伺いたいと思います。

 日銀は、昨年、創立百三十年を迎えました。世界の中央銀行制度が既に三百年以上の歴史を持つ中で、それぞれの時代背景、国際的な潮流の中でさまざまな場面があったと思います。

 そうした中で、二つの世界大戦の前後の世界的なインフレの経験、そして日本では、バブル経済、バブルを生んだプラザ合意前後の長引いた低金利政策、こうした経験も踏まえて、一九九八年の日銀法改正で、現在の、先ほど、法律上も独立性は認められていると黒田さんはおっしゃいましたけれども、そうした体制につながってきたわけだと思います。

 そうした中で、近年、インフレファイターとしての中央銀行の役割だけでなく、デフレファイターとしての中央銀行の役割に改めて注目が集まる中で、中央銀行の独立性にも二つのタイプがあるのではないか、目標の独立性、そして手段の独立性、それは分けて考えるべきで、認められるのは後者のみにとどまるべきではないか、そういった御意見もあります。

 しかし、私自身は、やはり中央銀行の独立性というのは、もともと、なぜ、民主主義、民主的な正統性とは別にこういう長いスパンをもって物事を考えるかといえば、短期的な、議会制民主主義ではどうしても三、四年のスパンで結果を求める、私ども、そういう制度上のある種の制約を抱えているわけですが、中央銀行の総裁というのは、大体、日本では五年ですけれども、長いところではさらにそれ以上の任期をもって、少し長いスパンで中長期的な自国経済の潜在的な成長率を高めていく。

 日銀法でも、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資することを理念とすると、理念はしっかり書かれているわけですけれども、これを実現していく上での時間軸が、中央銀行制度というものをつくることによって、短期的な、言うなればポピュリズムに陥らない仕組みだと思うんですが、そういう観点でいえば、理念はしっかりとこれは法律で定められているわけですから、いわば政府、立法府と既に、日銀法三条ですか、合意がされているわけです。

 これを具体化していく上でのいわば中間的な目標としての物価目標というのは、これは私は中央銀行が独立性を持って設定をしていくべきだと考えますが、この点を含めて、中央銀行制度の意義、独立性の意味につきまして、御見解を伺いたいと思います。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、中央銀行の歴史というのは、たしか、イングランド銀行は三百二、三十年ぐらいの歴史がありまして、ほとんどの世界の中央銀行は、いわばイングランド銀行のモデルに従ってつくられ、そして発展してきたわけですが、御承知のように、戦後になりましていろいろな変化がございました。

 特に、今おっしゃったように、いわば中央銀行の独立性というものがしっかり維持されている中で物価安定目標というものを定める中央銀行が次第にふえてきたわけです。

 物価安定目標というのは、インフレを抑止するということだけではなくて、デフレも抑止するということで、いわば適切な物価安定というものを実現するためにその目標が必要ではないかということで、現時点では、先進国のほとんどの中央銀行が物価安定目標を設定しておるわけです。

 それで、日本銀行も、この一月の政策委員会で二%というものを決めて、できるだけ早期に達成するということにしたわけでして、これ自体は非常に好ましく、適切だと思います。

 物価安定目標を設定するに当たってのやり方というのは、それぞれの国で少しずつ違っていることは事実でございます。

 英国の場合は、政府が物価安定目標を決め、イングランド銀行がこれを実施する。実施するその金融政策のあり方については、完全にイングランド銀行が、独立、自主的に決める。

 ほかの国の場合は、多くの場合は、政府と中央銀行が協議して、そして合意で決めるというところもありますし、中央銀行が決めるというところもありますし、あるいは、非公式な協議は別として、基本的に中央銀行が決めるというところもございます。

 私は、一番重要なことは、物価安定目標は、これは経済政策全体に影響しますので、当然、政府と緊密な連携をとりつつ決めることは好ましいと思いますけれども、日本銀行が政策委員会で決定されたということで、これは現行法のもとで、当然であり、極めて正しいことだというふうに思っております。

津村委員 大変わかりやすい御答弁でした。

 端的に確認したいと思いますが、黒田参考人は、現行日銀法について、現時点で、特段改正の必要はないというお考えでよろしいですか。

黒田参考人 日本銀行総裁にまだ任命されておりませんが、候補者として申し上げますが、総裁は、当然、現行法を前提に行動するということになります。

 法律改正という問題は、これは政府、国会がお決めになることであるというふうに思っております。

津村委員 ありがとうございます。

 中央銀行の独立性、自主性とパラレルなテーマですけれども、大変国民的なあるいは世界的な関心の高いテーマに、財政ファイナンスの問題、財政と金融の分離の問題がございます。

 これは、まさに日銀の歴史自体が一つの大変大きな経験をしておりまして、バブル期に、財政と金融が、いわゆるたすきがけ人事と当時言われましたけれども、そうした日本的な金融慣行の中で、ある意味では、ゆがめられたのではないか。少なくとも、外から見て非常にわかりにくいという反省に立って、財政と金融の分離という大原則が確立をされて、そして九八年の日銀法が成り立った。そしてその後、実は財務省OBの方というのは、少なくとも総裁としては就任をされてきておりません。

 ただ、今日、そうした、表面的といいますか、一時期の経歴のみをもって人事の判断、決定的な判断材料にすることについては、我が民主党内も含めて、さまざまな反省もございます。

 そうした中で、ぜひここは明確に伺っておきたいんです。

 黒田さん御自身のお人柄なり日本の金融慣行を必ずしも理解されない方からは、今これだけ財政といいますか国債残高が積み上がっているときに財務省出身の方が、大胆な金融緩和、何でも買うというようなことを公言されて就任されるというのは、財政ファイナンスの批判といいますか、非常にデリケートな状況にあると思うんですが、ぜひ、そうした批判、懸念を払拭するような、財政と金融の分離についてのお考えを伺いたいと思います。

黒田参考人 財政と金融の分離につきましては、さまざまな議論が行われ、そして、特に財政政策と金融行政とは、既に完全に分離をされております。

 それから、委員御指摘のとおり、日銀法自体も、九七年に改正されて九八年から施行されているわけでございまして、先ほど申し上げたとおり、あくまでも現行法のもとで行動するということに変わりはありません。

 なお、大胆な金融緩和と申しましたけれども、これは、ある意味で、日本銀行が、非常に短期の、政府短期証券のマーケットオペレーションで金融政策を行う、それによって短期金利の上下をするという状況はもう既に相当前になくなってしまいまして、量的緩和とか、その他、長期国債をオペレーションの対象にするというふうに変わってきているわけですね。

 それは、実は、米国もそうですし、欧州もそういうふうになってきているわけですね。

 といいますのは、米国も欧州も短期金利がほとんどゼロに近くなっておりまして、短期の国債のオペレーションでは金融の緩和ができないわけでして、それを行うために、長期の国債、あるいは米国もそうですけれども、アセットバックト・セキュリティーとかその他、各種の金融資産の購入を大胆にやってきているわけですね。

 ですから、そういうものとして大胆な金融緩和が必要であるということであって、国債の日銀引き受けとか、そういった、法律で原則的に禁じられているようなことを日銀がやるべきではない。

 ですから、おっしゃるように、いわゆる財政ファイナンスといったようなことは中央銀行として考えるべきでないということは、そのとおりだと思います。

津村委員 続きまして、物価目標の導入とその達成時期について伺いたいと思いますが、まず、そのテーマに入る前に、責任の所在をはっきりさせておきたいと思います。

 一月の共同声明は、デフレ脱却について、幅広い主体の取り組みというものが必要だということで、日銀だけじゃできないということをある意味では読み取れるような文面になっております。

 また、麻生副総理・財務大臣は、三本の矢ということを強調されて、金融緩和だけではなくて、財政、それから成長戦略、こういったことをある意味では並列的にお述べになっていますが、安倍総理は、一義的には日銀の責任であるという趣旨のことをおっしゃっていますし、あすお話を伺うわけですけれども、岩田副総裁候補も、悪いのは全て日銀だ、金融政策さえ正しければ全て解決するということを非常に端的におっしゃっていますし、黒田参考人も、金融緩和でしかデフレ脱却はできないという趣旨のことを御発言になっているとも報道されていますが、デフレ脱却の責任というのはどこにあるのか、ここを明確にしていただきたいと思います。

黒田参考人 私は、デフレ脱却、物価安定の責任は、責務は、中央銀行にある、日本では日本銀行にあるというふうに思います。

 ただ、物価は、毎月毎月あるいは毎年毎年いろいろな水準で動くわけですね。

 物価の変動に影響を与えるのは、金融政策だけでなくて、ありとあらゆる要素があるわけです。

 例えば、バブル崩壊後、日本の金融機関が不良債権を抱えて、いわゆるデレバレッジングということをやった。そういう過程で、景気が悪くなる、あるいは投資が伸びない、さらには、行き過ぎた円高が起こるとか、一時的に石油価格が下がるとか、いろいろな要素でデフレに影響が出てくることは事実なんですね。

 ただ、そのことと、デフレ脱却というか物価安定の責務、責任はどこにあるかと言われれば、それは、どこの国でも中央銀行にあるというのがいわばグローバルスタンダードだと思います。

 したがって、そういう意味では、デフレを脱却しなければならないし、そのために、あらゆる許されている範囲内でのできることは何でもやるという形で二%の物価安定目標を達成する、できるだけ早期に達成するということは必要だし、できると思いますけれども、それに対していろいろな要素が物価の毎月毎月の変動に影響を与えることは、そのとおりなんですね。

 したがって、政府が財政政策、成長戦略などで雇用とかあるいはデフレギャップの削減に貢献されればされるだけ、もちろん二%の物価安定目標がより達成しやすくなるということは事実なんです。

 そういう意味では、三本の矢というか、共同声明というのは非常に意味があると思いますが、この共同声明自体でも、はっきりと、日本銀行が二%の物価安定目標を設定して、これをできるだけ早期に達成すると言っているわけで、それは、私は、そのとおりであるというふうに思っております。

津村委員 少し意地悪な質問になることを前置きいたしますが、できるだけ早くということ、これは共同声明の文言そのままですね。先ほどの所信では、一日も早くとおっしゃいました、違うのか違わないのかよくわかりませんが。岩田副総裁候補は、二年ということを明言されています。

 やはり、デフレファイターとして大きな期待を集めていらっしゃる黒田さんですから、ここははっきりさせておいていただきたいと思うんですが、これは、岩田さんのように、例えば二年、あるいはそれより早いというイメージなのか、それとも、責任者でいらっしゃいますので、五年間の任期中というイメージなのか、それとも、今幾つかおっしゃられたことがマイナスに働けば、五年間の任期中に実現できない場合でも、できるだけ早く努力したと後ほどおっしゃる可能性もあるのか、そこはいかがですか。

黒田参考人 二年と申しますのは、恐らく、イングランド銀行が政府から物価安定目標を示されて、それを実現する通常のタイムスパンが二年と言われているわけですね。

 多くの中央銀行は、直ちにいつも二%というものをびしっと達成するというのは、さっき申し上げたように、いろいろな要素で物価は動きますので、不可能ですし、そういうことをコミットしているわけではなくて、あくまでも、中長期的にそういう水準に常にコンバージするというか近づくように金融政策を運営していくということであります。

 したがいまして、多くの中央銀行は二年程度というのを念頭に置いていると思いますし、私もそういったものを念頭に置くことは正しいと思いますけれども、あくまでも、物価安定目標というのは、経済状況を踏まえつつ、それに対応して、できるだけ迅速に金融政策を運営していくことによって、できるだけ早期にそういった物価安定目標を達成するということでありまして、私も、できれば二年というのがいいことだとは思いますけれども、二%の物価安定目標ということ自体、毎月毎月二%上昇というようなことは、どこの国でも求めておりませんし、適切でもないでしょうから、そこは、できるだけ早期にという共同声明、そして政策委員会の決定を踏まえて、まさに、できるだけ早期に実現していくということであろうと思います。

津村委員 ちょっと失礼な言い方になりますが、少し黒田さんの御答弁の歯切れが悪くなってきているような気がいたします。それは、やはり、二%を二年間で達成するということに、率直に申し上げて、自信をお持ちでないのではないかと思います。

 それは、今から申し上げる三つのことについての懸念をお持ちなのではないか。そうでなければ、ぜひ明快に御答弁いただきたいんです。

 一つは、具体的にそのような手段が本当にあるのか。

 リスク資産、先ほどABSの話をされましたが、日本の市場規模を考えたときに、海外のようにうまくいくのか。リスク資産を買い入れるということは、本当にどれだけ現実的なのか。あるいは、長期国債の年限の拡大ということも言われていますが、これも、出口戦略が非常に難しくなっていく、つまり、償還がすぐに来ないので、いざ出口戦略を考えたときに、なかなか市場に売却できない、そうすると出口戦略がおくれるのではないか。こういった懸念もあると思います。

 そして、先ほど平沢先生も少しお触れになっていましたが、御答弁が必ずしもなかったような気がするんですけれども、一つは、やはり金融システム不安を招くおそれがあるのではないか。

 昨年、白川総裁に、仮に長期金利が一%全年限について上がった場合の金融機関の含み損について御質問を差し上げたところ、大手行で三・五兆円、地方金融機関で二・八兆円の含み損が発生する試算になると。これは大変な金融システム不安になる可能性があります。

 あるいは、先ほどもお話がありましたが、まず物価が上がって、しかし、今、春闘の時期ですが、なかなか賃金が仮に上がらなかったとすれば、生活苦になりますね。こういったこともあろうかと思います。

 まとめますと、実際にどういう具体的な方法があるんですか、本当にお持ちですか、ABSですか、あるいは国債の年限拡大ですか、それは本当に実現可能なんですかということが一点。

 もう一つは、金融システム不安等の副作用について、これをどうお考えになっているか。

 最後に、出口戦略についてのお考えも伺いたいと思います。

黒田参考人 私は、二%の物価安定目標のできるだけ早期の実現ということは、可能であるし、実現しなければならないと思っていますが、そのための手段というのはさまざまにあり得るわけでして、それは、その時々の金融資本市場の動向に合わせて考えていかなければならないと思います。

 ただ、御指摘のように、実は、日本銀行自体、既に社債とかETFとかいろいろなリスク資産を買っておりますし、かつて株も買ったわけでございます。そういう場合に、そういうことのプラスマイナスというものを考えてやっているわけですから、当然のことながら、リスク資産を買うときには、そういうもののマーケットへの影響とか、そういったことを当然考慮しながらやっていくということは間違いございません。

 そういう意味でいいますと、国債のマーケットというのが一番大きいわけですね。したがって、ある意味でいうと、一番自然な形での金融緩和の拡大というものは、国債の購入額をふやす、あるいは、より長期の国債の購入をふやしていく。

 というのは、まさに委員がおっしゃったように、マーケットというのはそれぞれあるわけでして、余り短期のものばかり買っていますと、短期のマーケットの、短期証券とか国債が少なくなって、大半が日銀に買い上げられているという形になってきますと、マーケットが薄くなって、流動性が低下してきてしまいますね。

 ですから、バランスを持って量的な拡大をしていくということになりますと、やはり国債の、より長期のものを大量に買っていくということが、ある意味で自然だと思います。

 ただ、これも、あくまでも、その時々の市場の動向を十分調査して、副作用ができるだけ少なくなるような形で二%の物価安定目標を達成していくということになると思います。

 それから、金融システムにつきましても、まさにそのとおりでありまして、当然、金融システムに対する影響というものも十分考慮してやっていかなければならない。

 特に、三つ目の御質問の出口戦略との関係でいいますと、そのとおりでありまして、御承知のように、FRBなども出口戦略についての議論はしているわけです。ただ、バーナンキ議長自身、まだ出口をどうこうするときではないとおっしゃって、緩和を続けるということであります。

 私も総裁に任命されましたら当然そういうことも考慮しなければならないと思いますけれども、今は、まだデフレが十五年続いているわけですから、何とかこれをできるだけ早期に脱却するということを第一に、大胆な金融緩和をするということが第一義的に必要だというふうに思っております。

津村委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 終わります。

佐田委員長 次に、中田宏君。

中田委員 日本維新の会の中田でございます。どうぞよろしくお願いします。

 今回の日銀人事ほど、ある意味では注目されている人事はないんじゃないかな、こう思っていますけれども、我々日本維新の会も、きょう、あすの所信の聴取並びに質疑を受けて賛否を決めてまいりたい、こういうふうに考えております。

 注目されていること、それは、とりもなおさず、この日本のデフレを脱却できるのかということでありまして、そのために日銀の果たす役割、責任ということについて、それが人事にあらわれるということでありますから、注目をされているということなんだろうと思います。

 我々日本維新の会も、デフレの脱却、いわゆるリフレということについては、見解を同じくするものであります。

 その意味で、政策的手法ということもお聞きをしたいのではありますけれども、それ以上に、むしろ、日本維新の会としては、日本のガバナンスを変えていくということが大きな哲学でありますから、こうした観点から、ガバナンスということについて特にお聞きをしてまいりたいと思います。

 先ほど来、目標の達成について、時期等について質疑がありました。私も、これをまず最初にお聞きをしておきたいと思います。

 そもそも、その時期もありますけれども、黒田さんの場合は、これは三月一日の新聞報道にありましたけれども、二%上昇の物価目標の達成については日銀だけで達成可能というふうに報道では出ておりますが、ここについて考えをお聞きしたいと思います。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、物価安定目標というか二%の達成というのは日本銀行の責務でありまして、日本銀行として達成しなければならない目標であると思います。物価安定は、そもそも、世界的に見ましても、中央銀行が責任を負っているというのがグローバルスタンダードでございまして、私は、それは当然であるというふうに思います。

 ただ、先ほど申し上げたように、物価に影響するファクターというのがたくさんありますので、デフレギャップがどのくらいあるかとか、あるいは為替がどのように動いているかとか、一次産品の世界的な価格がどうなっているかとか、その他もろもろの状況が物価に影響していることは事実なんですね。

 そういうことを踏まえて、そういうファクターで、より物価が下がっていくというかデフレが強くなっていくというような状況になれば、むしろ金融政策としては、それを押しとどめるように、あるいは物価が安定するように、より思い切った大胆な金融緩和を図って物価上昇率を適切な水準に、日本の場合は二%というところに近づけるように全力で努力していく。しかも、それは、長い金融政策の歴史を見ても可能であり、中央銀行の責務であるというふうに思っております。

中田委員 そこで、それを達成していく時期ということでありますけれども、これは先ほど来も議論がありました。

 二年というふうに総裁就任前はかなり明瞭に答えているわけでありますが、もちろんまだ総裁就任前でありますけれども、二年で達成ということについて、できる、こういうふうにしっかりと我々としては確認してよろしいんでしょうか。

黒田参考人 いつ達成できるかわからないということでは物価安定目標になりませんので、適切なタイムスパンというのは当然あると思います。

 先ほど申し上げたように、グローバルスタンダードでは二年程度というのがスタンダードですので、当然それを目指すことになると思いますが、何といいましても、十五年続きのデフレを打破するということは大変なことであることも事実なんですね。ですから、それに向けて、大胆な措置をとるということで、できるだけ早期にという、まさに政府と日銀との共同声明で決まっていることを十全に達成するように努力してまいりたいと思います。

 二年というのは一つの適切なめどと思いますけれども、あくまでも、政府、日銀との共同声明、それから日銀の政策委員会での決定ということを踏まえて、できるだけ早期に達成するように全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

中田委員 そこで、二年をめどというお言葉がありましたけれども、この二年をめどとして努力をしてきたその結果として、日銀総裁として、それの達成、また、それを達成できなかった場合の方が問われますが、責任のとり方についての覚悟をお聞きしたいと思います。

黒田参考人 もちろん全力を挙げてやるわけでございますし、二%の物価安定目標は達成できると思っておりますけれども、達成できなかったときのことは現時点では考えておりません。達成する、達成しなければならないというふうに思っております。

中田委員 そういう答えが返ってくるのかな、こういうふうに予想はしておりましたけれども、しかし、政府との役割、また責任ということについて明瞭にしていくことが重要なことであるということは、特に今回、日銀総裁人事に関しては極めて問われるところであります。

 あす所信聴取になります岩田副総裁候補でありますけれども、二年で達成できないならやめるくらいの覚悟が必要、こういうふうに既に述べています。

 こうした責任に対する明瞭な覚悟というものを求めたいと思いますが、いかがですか。

黒田参考人 日本銀行は日銀法によって独立性を付与されておりますし、そうしたもとで二%の物価安定目標を決め、それをできるだけ早期に達成するというコミットメントをしているわけでございまして、当然、それに伴ったアカウンタビリティーというか、あるいは委員のおっしゃるガバナンスといいますか、説明責任のとり方というか、そういうことは十分認識していかなければならないと思っております。

 覚悟ということはよく理解しますけれども、日本銀行法における日本銀行の総裁、副総裁あるいは政策委員のあり方というものは、その法律に従って行われるということであろうと思っております。

中田委員 いま一つ明瞭ではないんですけれどもね。

 しかし、そこは極めて重要なところでありまして、やはり、政府との役割、責任というものを共有していくということについて、政府の方は、これは基本的に国会議員で構成をしているわけでありますし、選挙という洗礼を受けるということにもなるわけでありますが、では日銀総裁の場合はということになりますと、御本人の口から明瞭なる覚悟が聞かれれば私たちとしては判断のしようがありますけれども、そうでなければ、一歩先に進んだ議論をせざるを得ません、それは日銀法改正ということにもつながるわけでありますけれども。

 いま一度、御本人の覚悟といいますか、この責任のとり方について、今の答弁でよろしいですか。

黒田参考人 日銀法といいますか、あるいは中央銀行の総裁あるいは副総裁、政策審議委員などの責任のとり方ということについては、確かに各国でいろいろな形がございます。

 唯一の例外が、ニュージーランドの中央銀行総裁であります。

 御承知のように、総裁になるときに物価安定目標を政府と交渉して決めまして、それが達成できないと解任されるということになっているわけです。ただ、ニュージーランドの中央銀行総裁は、一人で金融政策を決めるわけですね。

 それに対して、FRBにしても、ECBにしても、イングランド銀行にしても、日銀にしましても、ほとんどの中央銀行は、金融政策の決定は委員会でやっているわけです。

 したがいまして、ニュージーランドのように、物価安定目標を、いわば総裁を引き受けるときの契約の条件のようにして、それが達成できないときは、解任される、解任される可能性があるというようなシステムをとっているのは非常な例外でして、ほとんどの国は、委員会という形になっていますし、物価安定目標を持っています。その目標の達成については、あくまでもアカウンタビリティーを求める、政府に対する説明責任、議会に対する説明責任ということをきちっと果たすということになっております。

 日銀法の改正云々につきましては、先ほど申し上げましたように、あくまでも、政府、国会がお決めになることであるというふうに認識しております。

中田委員 御本人からもっと明確な言葉が聞ければ我々は判断のしようがあるわけです。しかし、それがいま一つ聞けないとなると、ある意味では、今私も申し上げた日銀法改正の議論をさらに積極的に進めていく必要が出てくるだろうと思います。

 一つは、日銀法改正については、物価目標ということについても、これは日銀の責任として盛り込んでいくという論点があります。

 もう一つは、黒田さんがその立場になるかもしれないこの日銀の総裁と役員についての、いわば解任ということも盛り込んだ内容にしていくべきではないかということも一つの論点であります。

 こうした日銀法改正について、もちろんこれは国会での議論ということになりますけれども、いかがお考えになりますか。

黒田参考人 日銀法改正につきましては、先ほど申し上げたように、これは政府、国会がお決めになることだというふうに思います。

 ただ、その際に、当然のことですけれども、世界の中央銀行のいわばあり方、グローバルスタンダードということも当然お考えになってそういうことが議論されるということは望ましいと思いますが、あくまでも日銀法改正の問題は、政府と国会がお決めになることである、最終的に国会が議決されてお決めになることであるというふうに認識しておりますので、仮に総裁に任命されましたならば、現状では現行法に従いますし、もし仮に法律が変えられれば、その変わった法律に従うということは当然でございます。

中田委員 これまでの黒田さんの御発言を聞いていますと、ある意味では、今までの日銀は役割を十分に果たしていなかったというふうに総括できるわけでありまして、その役割をしっかりと明確に日銀法の中にさらに定め、そして、それに対する、政府と一体となった責任のとり方ということについて日銀法の改正の中で実現をしていくということは、黒田さんのこれまでの主張にも沿っているというふうに思います。

 日銀総裁に仮になった場合は、現行法に従ってとか、あるいはそれは国会でお決めになることだということで、いわばその立場を尊重されるべきだと思いますけれども、今、その前にあります。

 そういう中において、この日銀法改正、今私が申し上げた論点を含めて、これは受容できるものというふうに理解をしてよろしいですか。

黒田参考人 何度も申し上げますけれども、日銀法改正の問題は、政府、国会のお決めになることで、その内容についてとやかく申し上げるのは適切でないと思います。

 委員も御指摘のように、それから私も申し上げたように、過去十五年近くデフレが続いている、そして、現行日銀法は九七年に改正され九八年から施行されているという中で、物価の安定という責務を中央銀行として果たしてこれなかったということは事実でありまして、それは反省しなければならないし、その上に立って二%の物価安定目標を決めたわけですから、それはもう、全力を挙げて達成しなければならない、できるだけ早期に達成しなければならないと思っております。

 その意味では委員のお気持ちと似ていると思いますけれども、法律改正の問題につきましては、あくまでも政府と国会がお決めになることで、私からその内容とか方向についてとやかく申し上げる立場にはございません。

中田委員 ニュージーランドのように一人に任せてもらえれば必ずやるけれども、集団なのでできないと言っているようにさっきから聞こえるわけで、そうであるならば、なおさら、法的に、私どもとしては、日銀がしっかりと、方向性を、集団として同じ方向に向いていけるようにしていくという議論が必要になってくるんじゃないか、それが法改正だということにつながるということにも思います。

 さて、昨今、世界の中央銀行を見てみますと、日本のような、日銀出身者もしくは財務省出身者というようなこういうケースというのはほとんどなくなっているわけでありまして、むしろ、FRBも、ECBも、さらにはイングランド銀行も、学者出身になっているんですね。

 学者出身のこの状況について、御自身の立場と照らして、その利点など、いかがお考えですか。

黒田参考人 私、たまたま、個人的にも、バーナンキFRB議長、ECBドラギ総裁、マービン・キング・イングランド銀行総裁を前からよく存じ上げているんです。

 バーナンキ議長は、御承知のように、有名な経済学者で、特に両大戦間の大不況に対する金融政策の対応について批判的な論文を書かれて、非常に強い物価安定目標、インフレーションターゲットの論者でございます。

 マリオ・ドラギ総裁は、かつて大学の教授をしたことはございますけれども、基本的には、御承知のように、イタリアの財務次官を十数年にわたってされまして、その後、イタリアの中央銀行総裁、そして今、ECBの総裁になっておられる。

 マービン・キング総裁は、長くロンドンで大学教授をされまして、その後、マネタリーコミッティーの委員をされ、副総裁をされ、総裁をされるということです。

 いろいろな経歴の方がおありですけれども、私は、学者であるということがマイナスになるということは、誰でも人によりますので、学者だったらいいとか学者だったらだめとは言えないと思いますけれども、バーナンキ氏にしてもキング氏にしても、もともと学者ですけれども、大変立派な中央銀行総裁になっておられるというふうに思います。

中田委員 おっしゃるとおりで、学者だから、あるいは財務省出身だから、どちらがいいとか悪いとかということには当てはまらないと思います。

 まさに、日銀総裁というのは、本当にいろいろな能力が求められるわけで、これは大変だと思います。経済の実態もわからなければいけないし、地方の隅々の現状というのもわからなければいけない。さらには、市場との対話ということもしなければいけない。

 そういう中において、学者だからいいというわけではないわけですが、黒田さんに一つ、あえて懸念を申し上げると、やはり財務省出身ということにおける財務省との距離感なんですね。

 これは、やがてデフレが克服できたとして、今度は金利上昇局面というような場合に、しかし政府は、それでも国債等の引き受け、こういったことについて求める可能性もあり得るでしょうし、対立するという、こういう状況も生まれかねません。その対立をするということについての距離感。

 並びに、財務省だけではなく、政治というのがどうしても短期的な要望をしがちになります。ここについての距離感。

 政治と財務省、この距離感をお伺いして私は質問を終えたいと思いますが、明瞭にこれもお答えいただければと思います。

佐田委員長 時間になっておりますので、短目にお願いします。

黒田参考人 私も財務省に長く勤務いたしましたけれども、財務省を離れましてもう十年になります。その間、大学教授であるとか、あるいはアジア開発銀行の総裁等をやっておりまして、距離感というのは十分認識をしております。

 当然のことですけれども、中央銀行として国債の引き受けとか財政ファイナンスになるようなことをやることはできませんし、やるべきでないというふうに思っております。

 それから、政治との距離感。これは、日本の役人もしましたし、IMFやアジア開発銀行という国際機関の職員もしましたが、当然、政治との距離感というのは十分認識していかなければならないと思います。

 他方で、政治情勢、あるいは政治家を通じて得られる国民の声というものも十分聞いていかなければならないというふうに思っております。

中田委員 終わります。

佐田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 黒田東彦候補にお伺いをさせていただきたいと思います。

 我が党は、日銀総裁につきましては、実務的な能力、これは金融政策を適切に遂行するということ、それから、独立性のある日銀の組織運営をしっかりマネジメントすることができるということ、それから二番目に、やはり市場との対話能力、あるいは海外に対する発信力、また海外のさまざまなマフィアとの対話能力、交渉能力、そういうことが大事だろう、こう思っております。そういう点で黒田候補は非常に適切であるな、こういうふうに考えております。

 また、日銀は、国内経済に対しても精通していなければなりません。国内経済のメカニズムについていかに精通しているか。中小企業等も、地域の経済ということで、非常に大事でございます。

 こういうことにつきまして、要するに、日銀総裁としての求められる能力について、なかなか御自分のことは言いづらいわけでありますけれども、お話をいただけたらと思います。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、なかなか自分のことを申し上げるのも難しいわけですが、私の経験を申し上げることはできると思います。

 私、財務省に三十年強勤めましたが、さまざまな経験をさせていただいて、その中で、おっしゃるように、政策決定過程に関与させていただいたわけで、それは非常に有意義だったと思います。

 何よりも、決まった政策を実施していく、実行していくということが重要でございまして、その点で、組織のマネジメントというのは非常に重要だと思います。

 私、過去八年間、アジア開発銀行の総裁を務めてきたわけでございますが、アジア開発銀行は、三千人ぐらいの職員がおりまして、加盟国は六十七ございますが、そのうち四十八が域内、アジアの加盟国でありまして、四十カ国近くで支援を行っております。

 それぞれの社会情勢、経済情勢、まことに違いが大きくて大変ですけれども、そういう中で三千人のスタッフがどうすれば一番その開発支援を効率的にやれるかという意味で、マネジメントの必要性というものが非常に大きいわけで、それを何とか務めてこれたというふうに思っております。

 また、市場との対話、あるいは海外への発信というのはまさに重要でして、これは財務省での経験もございますし、またアジア開発銀行での経験もございますので、そういったことで職責を果たせるのではないかというふうに思っております。

 なお、最後に指摘されました中小企業あるいは地域経済というのは、実は非常に重要です。日本経済の枢要な経済活動は確かに東京、大阪、名古屋を中心に行われていますが、日本は全体としてかなり人口も経済活動も散らばっていまして、中小企業の役割は非常に高いわけですね。

 ですから、地域経済、中小企業の状況というのを十分把握して金融政策も進めていかなければならないというふうに思っております。

大口委員 次に、政府と日銀の関係についてお伺いしたいんです。

 日銀の独立性、これは日銀法に書かれているわけでありますけれども、私どもも、大事にしなきゃいけない、こう思っております。

 かつて、前川春雄氏が、奴雁を担えるかという、奴雁という言葉を書いたわけであります、やはり警鐘を発するということも大事であろうと。

 しかし、また、政府との連携ということをしっかり密にしていかなきゃいけない。

 経済対策については、日銀はやはり責任を持つわけでございます。そういう点で、アベノミクスといいますか、三本の矢、大胆な金融緩和、それから機動的な財政出動、民間資金を活用した成長戦略、この政策についてどう評価をするかということについて認識を聞いておく必要があると思います。

 それから、十五年間、異常な事態のデフレから脱却ができなかったということであります。これは、これまでの日銀のあり方ということに対して批判をされているわけですね。

 二〇〇六年三月の量的緩和の政策の解除、こういうことは非常に問題があった、私どもはこういうふうに思います。物価の見通しについて誤っていた、こう思っているわけです。

 こういうことについても、日銀の独立性ということで警鐘を鳴らすつもりであったんでしょうけれども、やはり経済全体を見ていなかったのではないかな、政府との連携が、政府の方はまだ緩やかなデフレ状態だと言っていたわけですから、そういう点では少し踏み外したのではないかな、こう思っています。

 こういうことについてお伺いしたいと思います。

黒田参考人 御指摘のように、現在の日本銀行法が定められましたときにも、日本銀行法の中に、政府との緊密な連絡、協調をするようにということが書いてあるわけですね。その意味で、必ずしも十分な連絡、連携、協調が行われていなかったのではないかという反省をすべきであるというふうに思っております。

 十五年間のデフレが続いている、これから脱却するということは中央銀行の責務だと思いますし、その過程で、日本銀行の政策として、今から見直してみて、やや疑問があったという点が幾つかあろうと思いますし、二〇〇六年の決定も、今から見ると明らかに間違っていたと。

 さらに言えば、二〇〇〇年に量的緩和を一旦やめるわけですね。その際は、政府はそれについて議決延期を請求したんですけれども、政策委員会で否決されまして、結局、量的緩和が、量的緩和というかゼロ金利が一旦とまるということで、これも明らかに、当時、政府ははっきりと反対をしたわけですけれども、そういうことで行われてしまった。今から見ると、やはり間違っていたと。

 ですから、中央銀行は、一方で、常にマーケットの状況を見、経済の実態を把握して、前向きに、先行きを見通しながら、警鐘を出すべきときは出すということは必要ですけれども、しかし、足元の経済がよくないというか、むしろデフレが続いている中で金融緩和をとめるというのは、明らかに間違っていたというふうに思います。

大口委員 それで、二%の物価目標、これを一日も早く達成する、こう言われています。今、アベノミクスは、要するに、こういうことをやりますと。

 そして、緊急経済対策、補正も、皆さんの御協力で成立をいたしました。これからどんどん執行に入っていきます。

 金融政策は、この一月、共同声明が出されましたけれども、しかし、それを具体的にどうするかということは、総裁になられたら、まさしく黒田さんが責任を持ってやっていかなきゃいけません。

 そういう点では、絶対二%を達成するんだ、そういう強い意思の表明、デフレから必ず脱却するんだ、こういう強い思いがなきゃならない。

 コミットメントが大事だということで、以前にも、これは本当に職を賭す覚悟でやる必要があるんだ、覚悟を示すことが大事だ、それが一番欠けている、こういうお話でございました。

 ですから、デフレから必ず脱却する、それで二%目標を必ず達成する、そしてそれは日銀の責任で必ずやる、いろいろな影響はありますけれども、物価安定の目標を達成する最大の責任は日銀にあるということを明確にしていただきたい。これが一点です。

 それから、そのために具体的な手法、これをしっかりやらなきゃいけないですね。

 今どうなっているかといいますと、二〇一三年までに大体百一兆円の基金。今は六十七兆円ぐらいですね。百一兆円まで二〇一三年までにやる。二〇一四年以降、毎月十三兆円、そして二兆円程度は長期の国債ということで、二〇一四年の末には百十一兆円まで、それを期限なくずっと続けていく。こういうことが今政策決定会合で決まっているわけですね。

 しかし、それでは足りない、こういうふうにおっしゃっているわけですから、どこのところをどうやるのかという方向性を示していただきたい。具体的な方法があるんだということでありますので、そこを示していただきたい。

 この二点、お願いします。

黒田参考人 物価安定の責務が中央銀行にあるというのは、まさにそのとおりでありますし、日本銀行自体、一月に二%の物価安定目標というものを政府と協議して決めて、そして政策委員会で決定したわけでございますので、当然、物価安定の責任をより明確にされたというふうに思っております。

 最近公表された消費者物価の状況を見ますと、ことしの一月でも、対前年同月比で、全国で、総合でまだ〇・三%マイナスになっていますし、生鮮食料品を除く総合でも〇・二%マイナスになっているということで、デフレが依然として続いているわけです。これを是正してデフレから脱却し二%の物価安定目標を達成するというためには、既に決めた金融緩和では不十分であるというふうに思います。

 したがって、今御指摘になったような政策が決められて発表されているわけですけれども、さらなる緩和が必要である。

 その場合に、どういう手法でやるかということになりますと、当然、量的に拡大する、資産の買い入れを拡大するというだけでなくて、対象も、国債であればより長期のもの、それから、既に社債とかETFとかも買っていますけれども、そういったものも幅広く検討していく必要がある。

 委員御指摘のような、残高が、今年末に百一兆円、来年末に百十一兆円、そして二〇一五年以降、百十一兆円といったレベルで推移するという程度の緩和では、明らかに不十分だと思います。したがって、量的にも質的にもさらなる緩和策が必要である。

 ただ、具体的に、何をどのようにやるかということは、市場の状況、経済の動向を踏まえて、政策委員会で決めるということになると思います。

大口委員 物価の安定目標を達成するということの中で、耐久消費財といいますか、例えば価格競争の激しい薄型のテレビ、これは三二・八%になる。東京区部の二月の消費者物価指数ですね。東京区部では、二月は〇・六%下落しているんですね。ですから、こういうことをどうしていくのか。

 それから、やはり、給与がふえないと消費に火がつかないわけです。そしてまた、企業も、もうけなければ設備投資に行かないわけであります。そういう点で、労働分配率も上げなきゃいけない。また、成長戦略もしっかりやらなきゃいけない。そして、国や民間の投資というものをふやしていかなきゃいけない。財政出動あるいは成長戦略、こういうことを総合していかなければ、なかなかデフレ脱却というのは厳しいのではないかなと思うんですね。

 その中で、日銀の金融政策でどこまでできるんだと、ここまではできると、それができなかったために、これまで幾ら政府がいろいろやっても効果が上がらなかったんだと、そこを、日銀が変わる、金融政策が変わるということでいえば、わかりやすく、そのあたりがこういうふうに変わるのだということをお伺いしたいと思います。

黒田参考人 政府はいろいろな政策を過去十五年間講じてきたと思いますが、残念ながら、日本銀行の金融政策が必ずしも十分でなかったということもありましてデフレから脱却できなかったわけでして、デフレからの脱却の責任、物価安定の責任は、中央銀行、日本銀行にあるというふうに思います。

 ただ、何度も申し上げていますように、物価安定を通じて経済の持続的な成長、発展に寄与するということが中央銀行としての責務でございますけれども、やはり、経済がバランスよく成長しないと持続的な成長というのはなかなか達成できないわけでして、その観点から、政府が機動的な財政運営と民間投資を中心にした成長が可能になるような成長戦略というものをあわせて実行されるということは、大変好ましいことであるというふうに思います。

 そういうことと相まって、よりスムーズな形で物価安定目標が達成されることを期待しているわけですが、ただ、物価安定の責務が日本銀行にあることは間違いございませんので、その責務は必ず果たしていかなければならないというふうに思っております。

大口委員 これから、具体的な手法の中で、五年、十年の長期国債を買う。これを余り買い過ぎると、今度は財政赤字の穴埋めというような形になって、これは日本売りという可能性も出てくる。そこら辺はどういうふうに考えておられるのか。

 それから、介入目的でない外債の購入、こういうことについては検討されているのか。

 それから、今のペースは、二〇一三年までに百一兆円、二〇一四年以降は百十一兆円ということなんですが、これをもっと前倒しでやっていくことになるのか。そこら辺をお願いしたいと思います。

黒田参考人 長期国債につきましては、たしか一年から三年というものを買いオペの対象にしていると思いますが、長期国債は十年あるいはもっと長いものもあるわけでして、一年から三年ということに限る必要はない、もっと長いものも買うことを検討してよいと思います。

 先ほど申し上げましたように、短期のものに集中してやっていますと、そのマーケットがどんどん薄くなってしまいますので、よりバランスのとれた形で、長期金利に対する影響も考えますと、やはり、より長期の国債を買っていくということを検討するべきだと思います。ただ、これは市場の状況をよく把握しながらやっていくということだと思います。

 為替につきましては、日本銀行の目的、使命、目標というのは物価の安定でございますので、為替について何かするということはあり得ないわけですが、為替安定ではない形で何か外国為替を買うことができるかどうかということについては、いろいろな議論があるところです。

 いずれにせよ、国際的に為替レートというのは基本的に市場で決まる形で行うべきだと、経済のファンダメンタルから非常に離れているときには単独であるいは協調で政府が介入するということはありますけれども、そういう合意のもとでG7等が過去数十年にわたって為替政策の国際的な調整をやってきていますので、そういうことは十分考慮していかなければならないというふうに思っております。

 なお、御指摘の前倒しの点については、当然、検討することになると思います。

佐田委員長 大口善徳君、時間になりました。

大口委員 はい。

 ありがとうございます。以上で終わります。

佐田委員長 理事の協議に基づき、質疑順序を変更いたします。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、デフレとは何か、原因はどこにあるのかということでお聞きをしたいと思います。

 本会議で、私、質問をしたときに、政府の答弁は、デフレとは、持続的な物価下落と定義しておりますというものでした。

 問題は、なぜ物価が下落したかということですね。原因を正確に捉えることが大事だと思うんです。

 政府答弁では、長期にわたり、需要が弱い中で、成長期待の低下、デフレ予想の固定化もあってデフレが継続してきたというふうに答えました。

 やはり、基本にあるのは、長期にわたり需要が弱かったという事態だと思うんです。

 最大の要因は、私は、やはり、国民の可処分所得の低下による需要の落ち込み、とりわけ、GDPの六割を占める家計消費が落ち込んだことにあると思いますけれども、どのように認識されておられるでしょうか。

黒田参考人 デフレの原因については、今委員が引用された政府の見解が基本的に正しいと思いますが、何度も申し上げますが、デフレの原因は、そのときそのときでさまざまな要因が重なっておりまして、一九九八年以来、消費者物価がほとんど下落を続けているわけです。二〇〇八年には世界的な一次産品の価格高騰でマイナスではなかったわけですけれども、それを除きますと、ほとんど毎年のように物価が下落しているという状況にあります。

 その時々の物価の下落が続いている要因はいろいろあると思いますけれども、やはり、中央銀行として、そういう要因に対して、それをカバーする、それを克服するような、その時々に適切な金融政策をとってくればこういうことにはならなかったのではないかというのが、恐らく、ほとんど全世界のエコノミストの通説だと思います。

 御指摘の、需要が弱かった、あるいは可処分所得が下落したということもございますが、デフレの中でそういうことが起こっていまして、やはり、デフレを長期に持続させてしまったということが、またいろいろな問題を呼び、デフレを悪化させてきたというように考えております。

佐々木(憲)委員 さまざまな要因があったというふうにおっしゃいましたが、私は、長期的な需要の低迷というのがベースにあるというふうに思っております。

 一つは、雇用者所得がこの十年間で二十二兆円も減少していることです。労働者の所得、賃金が落ち込んだというのが一点ですね。

 その要因はいろいろありますが、例えば、労働法制の規制緩和で非正規雇用がふえた、それから、多国籍企業、巨大企業が外国に進出して産業の空洞化がもたらされた、そういうことから失業、雇用不安、低賃金が広がった。これが一点ですね。

 二つ目は、国民の負担がふえたというのがあります。

 それは、小泉、安倍内閣、以前の内閣が国民負担を十二・七兆円ふやしまして、その結果、大変可処分所得が低下したというのがあります。

 それから、もう一点、これは日銀にも関連があるんですけれども、金利の低下というのが家計から利子所得を奪ったということがあります。

 七年ほど前に私が財務金融委員会で日銀の福井総裁に質問したときの答弁で、一九九一年における受取利子額がその後二〇〇四年まで同じ額で継続するというふうに仮定した場合と現実の金利所得との比較で逸失金額を計算すると、累計で三百四兆円であるという答弁がありました。これは家計にとってかなりの痛手だなというふうに思ったわけです。

 こういう要因が積み重なってきて、それがデフレを引き起こしていく需要の長期低迷につながってきたというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。

黒田参考人 御指摘のような、雇用者所得の低迷、あるいは国民負担の増、あるいは金利の低下による金利収入の減ということはあったと思いますが、何度も申し上げますけれども、物価の持続的な下落というデフレの中で、特に雇用者所得の減少とか金利の低下ということも起こっているわけです。

 一方で、企業収益も低迷するとか、そういったことも同時にあったわけですが、あらゆる経済事象が、御指摘のようなことも含めて相互に関連していますので、これがあることの原因だというふうにピンポイントするのは非常に難しいとは思います。

 何度も申し上げますが、デフレ、持続的な物価の下落というのが起こった原因としては、いろいろなことが重なっているということは、私は、そのとおりだと思います。

 ただ、そういう事態に対応して金融政策がもっと機動的に、もっと大胆に行われていれば、十五年もデフレが続くことはなかっただろう。現に、欧米を見ましても、リーマン・ショック後で大不況になったんですが、デフレには全くなっておりません。全世界で、先進国で、この十五年間、デフレになったところはないと思います。

佐々木(憲)委員 私は、金融政策が間違っていたから、全てそこに原因があるというふうには思っておりません。やはり、最終的な需要の低迷というものが、いろいろな要因がある中で、一番ベースにあるというふうに私は思っております。

 そういう意味では、三党合意で、昨年、消費税の増税とか、年金、医療、介護、こういう面で、これから二〇一五年までに約二十兆円という負担増、こういうふうになっていきますと、デフレを加速させるのではないかという心配を持っているわけでございます。

 さて、そこで、次に、インフレの問題についてお聞きしたいと思います。

 物価上昇には二種類あると私は思うんですね。

 一つは、需要が伸びることによって物価が上昇の方向に行くというのが一点。もう一つは、通貨が流通必要量を超えて供給されることによって通貨価値が下落をする、そのことによって名目的な物価上昇が起こる。

 この二つがあると思うんですけれども、こういう区別というのは、黒田さん、どう認識されていますでしょうか。

黒田参考人 物価上昇の原因につきましては、先ほど申し上げたように、いろいろなファクターが絡まっているということは、そのとおりだと思います。ただ、持続的な物価の上昇であるとか持続的な物価の下落というのが防止できなかったということは、金融政策に責任があるというふうに思っております。

 したがいまして、それぞれの時点で、例えば石油価格が上がったとか、あるいは需要が過剰になったとか、あるいは為替が下落したとか、いろいろな要素が物価上昇に影響してくることは事実ですけれども、今おっしゃったような、二つに分割して物価上昇の原因を探るというか決めるということは、恐らくエコノミストの多くの人たちは合意しないのではないかというふうに思います。

佐々木(憲)委員 エコノミストはどうか知りませんが、私は、この二種類が非常に、区別して見ないと、政策的には違う問題を引き起こすというふうに思っております。

 次に、先ほどから議論がありますけれども、このインフレターゲットで二%の物価上昇目標を早期に達成する、それで、これまで日銀の金融政策は不十分であった、そういうふうにおっしゃいました。

 私は、従来の金融政策で金融緩和を相当やったと思います。マネタリーベースの増加はかなりありました。結果として、当座預金残高がふえるという結果がありました。

 ところが、実は、これから先に、銀行から先にお金が流れなかったんです。マネーストックはふえなかった。つまり、そのマネーストックの増加によって物価上昇をもたらすという効果が発揮されなかったんですね。

 そういう意味では、単に、日銀が金融緩和を大規模にやればやるほど物価が上がるんだ、そういうふうな単純なものではない。やはり、資金需要がなければ、幾らじゃぶじゃぶ日銀が資金を供給したって、先に行かないわけですね。

 問題は、どうやって先に資金が流れるようにするか、資金需要がどうふえるようにしていくか。そういう点では、需要の方が大事だと私は思うわけです。

 そういう発想でいかないと、日銀だけに責任を押しつけて、何か日銀が悪者で、日銀がやらなかったから物価が上がらない、景気が悪い、こんな話になるわけで、それは全く違うと思うんですね。どう思いますか。

黒田参考人 マネタリーベースといいますか、ハイパワードマネーといいますか、日銀券と銀行の日銀預け金の合計ですけれども、それが相当大きくふえたということは、そのとおりでありまして、欧米でも同じようにふえているわけです。

 最近の日本銀行の政策にしても、FRBやECB等の政策にいたしましても、確かに、この中央銀行の、負債側のマネタリーベースあるいはハイパワードマネーをふやすということだけで効果があるというふうには必ずしも考えていなくて、いわば資産側ですね、どういう資産を買い入れるかということによって世界的な金融危機、リーマン・ショック後の金融危機に対応して、米国の場合などは、アセットバックト・セキュリティーを買い入れたり、あるいはその後長期国債を買い入れたり、また再びそういったアセットバックト・セキュリティーを買い入れるというようなことで、同じ量的緩和でも、その時々の金融市場の動向に応じてできるだけ金融緩和が効果的になるように努力しているわけでして、当然日本銀行もそういう努力をしてきたわけですけれども、それがやはりまだ不十分だったということだと思います。

 おっしゃるように、マネタリーベースを拡充すれば自動的に銀行への貸し出しがふえる、まあ、銀行への貸し出しもふえるかもしれませんし、いろいろなチャネルはあると思いますけれども、金融緩和については、一番効果的になるような手法を活用していくということに尽きると思いますし、私は、それによってデフレから脱却できると思うし、デフレ脱却の責務はやはり中央銀行たる日本銀行にあるというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 インフレターゲットはどの国でもやっているというようなことをおっしゃいましたが、ほかの国の場合は、非常に激しいインフレになって、それを抑えるために物価安定目標を設けるというのが大体一般的で、デフレ脱却のためにインフレターゲットを掲げた国というのは今までないんじゃありませんか。

黒田参考人 御指摘のように、この二十年ぐらいだと思いますが、多くの国が物価安定目標、インフレーションターゲットを決めた契機は、インフレを抑えるという観点、あるいは安定的な物価を持続させるという観点から行われたことは事実だと思います。

 ただ、この物価安定目標というのは、インフレも抑止するしデフレも抑止するという効果がありまして、仄聞するところでは、たしか戦前にスウェーデンがデフレのもとで物価安定目標を決めたというようなことを聞いたことがございますが、いずれにせよ、物価安定目標というのは、インフレになることもデフレになることも抑止しようというものだと思います。

佐々木(憲)委員 次に、国債の引き受け問題についてですが、安倍総理は、昨年十一月十七日に、熊本市でこういう講演をされているんですね。建設国債をいずれは日銀に全部買ってもらうことで新しいマネーが強制的に市場に出ていく、景気にはいい影響がある、こういう発言をされています。

 この日銀の国債直接引き受けについて、どのようにお考えでしょうか。

黒田参考人 日銀の国債の直接引き受けにつきましては、戦前戦中の経験に鑑みて財政法で原則的に禁止されているというふうに理解しておりまして、仮に私が総裁に任命されましても、国債を直接引き受けるということは全く考えておりません。

佐々木(憲)委員 以前、私、財務金融委員会で白川総裁に質問をしたときに、大手企業の内部留保が非常に大きいということについてお聞きしたことがあるんです。

 そのときに、こういうふうに答弁をされました。「特に大企業については、手元資金は今は非常に潤沢でございます。これは各種の統計でももちろん確認できますし、私どもが企業の経営者と会いますと、手元に資金は潤沢にあります、問題はこの資金を使う場所がなかなかないんですということを、金融機関の経営者からも企業経営者からも、これはしょっちゅうお聞きします」、こういう答弁でありました。

 今、需要が非常に低迷して賃金も抑えられている、こういう中で負担が非常にふえてきている。その中で、企業としては、投資をするにしても、需要が伸びる見込みがないわけですから、どうしても投資を控える、または海外に出ていく、そういう状況がつくられていると思うんですね。したがって、もうけが上がっても、あるいは減税しても、これはもう内部留保にどんどん積み上がっていって、生きた金として社会に還流しないという問題があるわけです。

 これはやはり非常に大きな問題で、私どもは、これは還元しないと全体としての経済の活性化につながらないというふうに思いますけれども、どのようにお感じでしょうか。

黒田参考人 実は、似たような状況が、日本だけでなくて、米国でもヨーロッパでも起こっておりまして、企業部門が資金超過になっているというような状況でございます。

 それぞれに、景気の見通しとか成長見通しとか、そういうことが影響していることは間違いございませんが、特に日本の場合は、デフレがずっと続いてきたものですから、その中で企業収益も圧迫される、あるいは賃金も低迷する、雇用も伸びないというような形で悪循環がずっと続いてきておりますので、そういったことを克服できれば、より見通しは明るくなるとは思います。

 確かに、中長期的な成長というのは、やはり中長期的な成長戦略というものの実行ということが非常に重要ですし、当面のデフレギャップの縮小のために財政の機動的な運営が必要であるということは、そのとおりだと思います。

佐々木(憲)委員 物価上昇を、何かそれ自体を非常に大きな目標にしてと言いますけれども、バブル期で最も過熱した時期でも、八〇年代後半に平均で一・三%程度なんですね。八六年、八七年、八八年には一%以下、ゼロ台の物価上昇率だったわけでありまして、これを何か魔法の手法でもあるかのように、物価がぱあっと上がるというふうにならないと私は思うんですね。

 そうすると、結果として、金融緩和をばんばん続けていく、そのためには資産を買わなきゃならぬ、あるいは国債を、直接買うかどうかは別として、間接的に大量に買う形になっていく、そういう危険性が非常に大きいのではないかと思っておりまして、これは、それこそ通貨の価値を下落させてインフレにつながっていくような危険な事態になりかねないなというふうに思っております。

 これは私の個人的見解でございます。今後、注視していきたいと思います。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。本日は、本当にお疲れさまでございます。

 今までの議論で、黒田さんは、大胆な金融緩和ということをおっしゃっておられました。金融緩和の議論をするに当たっては、これまでの金融緩和の効果、評価、これをしっかり議論することが必要なんだろうと思います。

 先ほど佐々木議員の話でもちょっとありましたが、日銀がこれまでやった金融緩和がどうだったのか。

 二〇〇一年から二〇〇六年まで日銀は量的金融緩和をやったわけですが、データを見れば、これはいろいろなデータで、物価にも投資にも直接影響を与えなかったというか、まあ、変わっていなかったんだというような見解があります。

 そして、もちろん、緩和が不十分だったと言う人もいますが、逆に、不十分だったわけではなくて、日銀がマネタリーベースをふやしても市中に行くマネーストックがふえなかったんだ、そういうのがデータで出ているんだと言う人がおられるわけです。

 日銀は、さらに二〇一〇年から包括的金融緩和というのをやって、これは、従来の国債の購入ルール、日銀券ルールを変えて基金を創設してやったということは御存じのとおりだと思いますが、これでもマネタリーベースはふえたわけです。ただ、これは、マネーストック、実体経済にも影響は及んでいない。

 これはなぜかというと、もちろん金融緩和は否定しませんが、やはり、その先だったんだろうなと。投資需要がないために資金需要がなかった、ここが大きな問題だったと思います。

 こういうことを見るにつけて、金融緩和は否定しませんが、金融緩和では長期デフレは解消できないんだ、そういうことが立証されたんだと言う学者の人もおられますけれども、これに対する見解をお伺いしたいと思います。

黒田参考人 金融緩和をさまざまな形で日本銀行が行ってきたということは事実ですけれども、他方で、十五年間にわたって物価が基本的に下落を続けてデフレが続いてきたということも事実でして、私は、日本銀行の緩和政策は不十分だったというふうに思っております。

 二〇〇一年から二〇〇六年までの間に日本経済はある程度の成長はしたわけですけれども、残念ながらデフレから脱却するに至らず、そして、二〇〇八年にはリーマン・ショックから全世界が不況に陥るという中で、投資も低迷しましたし、物価の下落も続いてきたということでございます。

 したがって、緩和ということにつきましても、大胆なと申しましたのは、量的にも質的にも大胆なことをやる必要があると。

 マネタリーベース、ハイパワードマネーをふやすということも全く効果がないとは言えないわけでして、そういう形で流動性が非常に高まった場合には、その一部がいろいろな利回りの高い金融商品に行く、そういうことによってそういうものの資金コストが下がるとか、あるいは直接的に投資等に行くという説もございます。

 ただ、確かに、単なるマネタリーベースの拡充だけで効果が高いのかと言われると、そこは、先ほど申し上げたように、量的な緩和を続けている米国にしても、英国にしても、ヨーロッパのいろいろな国にしても、さまざまな工夫、量的な緩和が実際に長期金利を下げたりリスクプレミアムを下げて投資が進むあるいは消費が進むというふうになるような努力、工夫もしていますので、当然のことながら、そういう量的並びに質的な大胆な緩和を進める必要があるというふうに思っております。

畑委員 ありがとうございました。

 今の御発言で、黒田さんは貨幣数量説によるような単純なリフレ論者というかインフレターゲット論者ではないと私は理解しまして、ほっとしたところです。

 世の中、岩田副総裁候補もそうですが、貨幣数量説によってお金をどんどん流せばデフレ脱却はできるんだと言う人がおられまして、大変乱暴だと思っております。そういうことで、いろいろな経済政策が相まって上がっていくということがそうなんだと思います。

 そこで、お伺いしたいんです。

 金融緩和は、確かに日銀は不十分ながらしたと。過去の金融緩和は国内に資金需要がないというのが問題だという認識を私は持っているんですが、国内に資金需要がないがゆえに、緩和したマネーは海外に流れて、ニューヨーク市場とか商品市場や投機資金に使われた。結局、リーマン・ショックのバブル崩壊を起こしたということのマネーの三分の一は日本から行ったと言う人もいますし、また、今では、半分が日本から行ったんだということを言う人もいますが、やはり、この原資は日本の国民の預貯金なわけですから、外国に行ってそういうふうに使われるのは不幸なことだと思います。

 そこで、緩和によってしっかりと、実需、日本の国民の財産が日本のために使われるということが必要だと思いますが、そこに対する御認識というか、どうやればまさにマネーストックに行くのかも含めて、もうちょっと御見解をお伺いしたいと思います。

黒田参考人 御指摘のように、金融緩和をした際に、できるだけそれが国内需要の増加につながるということが、実需の増加につながるということが重要であり、各国の中央銀行は、さまざまな工夫をしてそういうことを行っているわけでございます。

 ただ、金融緩和をした国から資本が流出する傾向がある、その国の為替レートが下落する傾向があるということは、先ほども申し上げたように、そういうことは事実としてございますが、その程度は、状況によっていろいろ異なっていると思います。

 なお、日本の資金が外に大きく流れて海外のバブルをあおったり、あるいは、リーマン・ショックの結果非常に損をしたということは、私の知る限りは、余り起こっているように思いません。リーマン・ショック後、欧米の金融機関は、資本注入をしたり、破綻したり、大変なことになったんですが、日本の金融機関は一つもそういうことになっておりません。

 したがいまして、デフレの中で日本銀行は金融緩和の努力はしてきたわけですけれども、むしろ円高になっていたわけですので、資金需給だけからいうと、もちろん、経常収支の黒字とか、資本の流出入等の資本勘定と経常勘定と両方の効果で為替レートは決まってきますので、経常収支はずっと日本は確かに黒字でしたから、それを上回る資本収支の赤字がない限りは為替レートが上がっていくという傾向がありますので、資本収支だけでどうこう言えないわけですけれども、資本流出が大幅に起こって、それが海外のスペキュレーションを促進させて、そしてそのあげくリーマン・ショックがあって、その結果、海外に投資した日本の投資家、金融機関が大きな損失をこうむったということは、余り事実としては記録されていないというふうに思います。

畑委員 ありがとうございました。

 金融緩和の政策の意義についてもうちょっと議論したいと思うんですが、金融緩和については、それだけでは効果がないというか、要は相まってということだと私は今までの議論で認識しております。

 であれば、この金融緩和というのは、端的に言うと、日銀が一義的責任を負う金融緩和というのは、金融緩和しただけではだめなわけですが、日銀の立場からいえば、金融緩和の効果は何だというふうにお考えでしょうか。

 つまり、金融緩和そのものに、これだけで直接物価を上昇させる効果はないと私は思うんですが、今の議論で。そして、結局、マーケットに対して、これは先ほど黒田さんがおっしゃっているように、目的を明確にして、そしてその目的が達成されるまで必要な措置は何でもやる、そういうことをしっかり市場と対話して言っていくんだ、それを金融緩和ということでばんばん発信していくんだ、私は、そういうことの意義が一番金融緩和の大きな意義なのかなと今思ったんです。

 であれば、そういうクリアなコミットメントを市場に出していく、そして市場が、日銀が金融引き締めをしないんだ、そういう恐怖に対して、それは持たないんだ、そういうことを強力なメッセージで発信していく、そういうことで、あとは財政政策なり成長戦略との絡みになりますが、日銀はそういう意味で先導的役割を果たしていく、要はインフレ期待をつくるということなんだろうと思うんですが、そういう認識でよろしいんでしょうか。

黒田参考人 私自身は、金融緩和は、金融資本市場の金融資産の価格に対する影響を通じて金利の下落とか株価の上昇とかその他の影響があって、経済にも実態的な影響、プラスの効果があると思いますけれども、委員がおっしゃるように、強いコミットメントを示してマーケットにそれを伝えていくということによってデフレ期待を打破して、物価が二%程度上昇していくという期待をつくるということが金融緩和の効果をより強くするということは、まさにそのとおりだと思います。

畑委員 ありがとうございました。

 そういう文脈で申し上げますと、一月二十二日の政府と日銀との共同声明ですが、これまでこの委員会で盛んな議論が行われてまいりました。

 もう一度そこを確認したいんです。

 黒田さんがおっしゃるとおり、クリアなコミットメントを出すということであれば、一義的な責任は、これは先ほど来、日銀が負っている、これは、いろいろな政策手段があるけれども、物価の二%に関しては日銀だということだと理解しますが、それでいいのかどうかということ。

 そして、やはり、明確な、クリアなコミットメントという意味では、二%の実現時期を示すべきなんだろうと思います。

 文章の関係で、できるだけ早くとか、今の答弁で、一日でも早くということで終わっていまして、さはさりながら、二年が一つのめどだ、目途だという話もございました。

 これは、しっかりと示すとすれば、黒田さんが日銀総裁になったらば、私は総裁としては二年でやるのが最善だと考えているんだ、そのために最善、最大の努力をしたいということをおっしゃっていただきたいというか、そういうことなのかどうかというのをお聞きしたいと思います。

 新聞記事、マスコミ等でも今までいろいろなことをおっしゃっておられる。黒田さんの記事も私は持っておりますが、某大きな新聞なんかでは、二%は二年程度で達成することが望ましいとの見解を示したというのもありますので、御本人の気持ちは、二%で、日銀政策委員会を引っ張ったり、政府に対してしっかりとそういうことをコミットメントし、市場に対してもやっていくということで頑張っていくんだと、そういうことで間違いないのか。

 二%で、私はそれがいいんだと思っているんだということをここでおっしゃっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

黒田参考人 二%の物価安定目標というのは、日本経済にとって適切ですし、日本銀行として達成すべき目標であるというふうに思います。

 達成時期につきましては、御指摘の一月二十二日の共同声明の中で、できるだけ早期に達成するということを日銀としてコミットしているわけですので、そのコミットメントを全力を挙げて達成するということに尽きると思いますが、達成時期について、今の段階で私から二年とかそういうことを申し上げるのは、やや僣越だと思います。

 私個人として、そのくらいのタイムスパンを念頭に置いて大胆な金融緩和をしていくというつもりでおります。

畑委員 ありがとうございました。

 御自身の今の気持ちとして、これから二年ということでいろいろ自分はそうやって頑張っていきたいということだと承りまして、この点は非常にクリアなコミットメントだったと思います。

 この金融緩和に当たっては、これは大胆な金融緩和、工夫しながらいろいろなことをやっていかなきゃいかぬ、あらゆる手段ということだと思います。

 その中で、先ほど議論がありましたが、買う資産の中で、外債購入ということの議論がありました。

 これは、私は余り賛成ではありませんし、当面、国債があるわけですし、また、国民の資産を外国の外債でどうかということは、私はそもそも問題だと思っているし、為替介入になるということもそのとおりだと思いますので、これは否定的だと私は思っているんです。

 ちなみに、これは国会の議論だと、安倍総理はいろいろな手法の一つだという言い方をしておりまして、麻生財務大臣はこれは為替介入になるから否定的だということだったと思いますが、黒田さんは、これは手法の一つではあると思っているのか、あるいは手法として不適当だと考えているのか、そこのところをお伺いしたいと思います。

黒田参考人 あくまでも、日本銀行は、現行の日銀法の枠内で行動するということが求められておりますので、当然その枠内で行動するわけでございます。

 一方で、為替介入につきましては、G7が、ここ三十年ぐらいでしょうか、二、三十年にわたって相互に話し合いを進めて、G7諸国の財務当局の中で一定のルールができていまして、為替レートは基本的には市場で決定されるのに任せる、つまり、ペッグしたりレンジを決めたりそういうことはしない、ただ、経済のファンダメンタルズから見て行き過ぎがあるときには単独であるいは共同で介入することもあり得る、為替の動向については常に注視をしていくというのが一貫した対応でございまして、為替介入をするのは、日本の現行法のもとでは財務省ですし、米国もそうですし、G7の幾つかの国はそうです。

 そういう中で、そういうルールがありますので、そういった観点からいうと、もちろん、日本銀行として、金融緩和の手段は、できるだけ広い方がいいのは事実なんですね。しかし、介入は、法律のもとで、日本銀行の役割ではありませんし、目的は、何度も申し上げますが、物価の安定と金融システムの安定ということに尽きますので、為替の安定についての責任は、日本では政府にあると思っております。

畑委員 ありがとうございました。大変地に足がついた御答弁だったと思います。

 最後に、時間もなくなりましたが、日銀の独立性に関する質問をしたいと思います。

 これも、先ほど来議論がいろいろありました。私は、デフレ脱却のために日銀はしっかり協力すべきだと思います。これは当然のことだとして、ただ一方、日銀の独立性は維持しながらという立場であります。

 日銀法改正で、端的には、極端な人は、インフレターゲットをしっかり命令して、政府が日銀に対して目標設定を命令して、そして、達成できなければ責任をとらせるんだという勇ましい議論もございますが、私、これをやるということは、目的について一方的に命令するということは、不適当なんだと思います。

 黒田さんがおっしゃっているとおり、これは、日銀が設定するかあるいは政府と日銀の協議であってもいいと思いますが、政府が一方的に命令することはあってはならない。

 なぜならば、これは財政ファイナンスにつながる可能性がありますよね。物価上昇について、かなり政府の立場として高目の命令をして、そしてそれができない以上金融緩和を続けろということは、これは財政ファイナンスにつながるわけです。

 そういうことから考えると、命令を政府が一方的にするような法律改正というのは不適当だと思いますが、そこは答えにくいと思いますが、目標設定は、政府から一方的にされるのがいいのか、それとも協議でやるのがいいのか、その辺のところの相場観をお教え願いたいと思います。

黒田参考人 現状を申し上げますと、ほとんどの主要先進国は物価安定目標を決めておるわけですが、そのほとんどが、確かに政府と中央銀行で協議して物価安定目標を決めるということになっております。

 公式の協議がなくて中央銀行だけで決めるというところもありますし、イングランド銀行のように、政府が物価安定目標を決めて、それを中央銀行が実現するように努力するというところもございますが、多くの中央銀行は、確かに、おっしゃるように、両者で協議して決めるというようになっていると記憶しております。

 ただ、何度も申し上げますけれども、日銀法改正とか云々の件につきましては、あくまでも、政府と国会が議論し、お決めになることだと思います。

畑委員 ありがとうございました。これで私の質問を終わります。

 大変、いろいろな、地に足がついた答弁をいただいたと思います。ありがとうございます。

佐田委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 冒頭、人身事故の関係で質疑時間を繰り下げていただきましたことに対して、委員長並びに理事各位、そして質疑者の皆様方に感謝を申し上げます。

 質問に入らせていただきたいと思います。

 さて、今回、黒田さんを政府が日銀の総裁候補として指名されました。

 きょうの質疑の中でも、今まで日銀は十分金融緩和をしてこなかったんじゃないかということをおっしゃっておられましたけれども、今の畑委員の質問とも若干関係をいたしますが、現行の法律のもとでいえば、日本銀行法第一条で、「日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする」、それから第二条において、通貨及び金融調節の理念として、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」というように書いてあります。

 なぜそういうことを申し上げるかというと、金融緩和をすべきだという人をたまたま五年間の任期の中で時の政権が任命すればそういう方向になるし、全く逆の人を任命したら、あとは五年間フリーハンドだということになるのではないかなというふうに思います。

 先ほどの御答弁は、それは政府と国会で決めることだというふうな御答弁でありますが、個人の見解としてで結構でありますけれども、物価目標を含めてフリーハンドを持っている制度がこの十年来のデフレ、結果としてそれにつながっているのではないかという、これから先のことではなくて、これまでの評価としてどういうふうに思われるか、その点についてまず伺いたいと思います。

黒田参考人 私も、個人的には委員と同じ気持ちでございます。

 ただ、何度も申し上げますが、日本銀行総裁候補者として、あるいは、仮に任命されて日本銀行総裁になったとして、日銀法の改正あるいはその内容等について、こういった場で何か申し上げるというのは適切でないと思いますので、そこは控えさせていただきたいと思います。

浅尾委員 そうだろうと思います。過去の評価ということでは、同じ考えを持っておられるという理解をさせていただきたいと思います。

 その上で、現行の日銀法のもとで、総裁として、衆参両院で指名されれば総裁になられるということになりますと、物価目標二%ということに現総裁のもとで決めましたが、先ほど来、二年ぐらいで達成目標というふうに黒田さんはおっしゃっておられますけれども、現行の日銀法は、そもそも、物価目標も日銀が決めるし、その手段も日銀が持っているし、なおかつ、それが達成できようとできまいと、五年間の任期は、解任というのは、何か禁錮とかそういった場合しかないわけでありまして、その限りにおいては、目標を、コミットメントという言葉をさっき使っておられましたけれども、達成できなかったとしても、特段何かがあるわけではない。

 その現行法のもとで、仮に達成が、二年ぐらいでできればもちろんいいですが、できなかった場合には、どういうふうに振る舞われるのか、厳しい言い方をすれば、どう責任をとられるかということですが、それを伺いたいと思います。

黒田参考人 当然、仮に任命されましたら、現行日銀法に従って適切に対処するということになると思いますが、物価安定目標、今回、これはあくまでも日本銀行が政策委員会で決めたことでありますけれども、その前に政府と日銀でよく協議をして、そして共同声明という形で二%の物価安定目標を設定し、これをできるだけ早期に達成するということをコミットしたわけですね。

 ですから、これも現行日銀法のもとでできたわけでして、日本銀行の独立性を阻害したわけでもないし、かつ、グローバルスタンダードに沿って、十五年続きのデフレから脱却するというコミットメント、強いコミットメントをしたわけですので、私は、これ自体、大変画期的であり、かつ適切だと思いますし、総裁に任命されましたら、それを着実に実施して達成していく。

 達成できなかったときどうするかということは、達成できないということは考えておりませんので、それについて何か特別のことを申し上げる立場にはございません。

浅尾委員 きょうの議論の中でもありますけれども、では、達成するためにいろいろなことをやっていくと。いろいろなことの中には、現在日銀がとっていないこともやる可能性があるんだろうというふうに思いますが、例えば日銀券ルール、これは現行のとおりにされるのか、それを変えていかれるのか、伺いたいと思います。

黒田参考人 このルールも当然検討対象になると思いますが、何よりも重要なことは、法律の範囲内で、あらゆる手段を講じて、できるだけ早期に二%の物価安定目標を達成するということに尽きると思いますので、何か聖域を設けて、これはもう検討しない、あれはやらないということではなくて、市場の状況、経済の動向に応じて大胆に量的並びに質的な緩和を進めていきたいというふうに思っております。

浅尾委員 当然、日銀券ルールは、これは法律ではなくて自主規制でありますから、それについて見直しをするというふうに考えてよろしいですか。

黒田参考人 今申し上げたように、当然、あらゆることが検討対象になると思います。

 ただ、検討対象になるということは、それぞれのいろいろなルールについて、今何が必要で、何が障害になっているか、それを変えた場合にどういう効果が期待できるのか、あるいは副作用があり得るのかということも含めて、全て十分に政策委員会で議論をしなければならないと思っております。

 ただ、私としては、何かこの既存のルールとか仕組みとかそういうものを前提にして、そういうものを一切変えないという範囲内でやるというのでは、大胆な金融緩和にならないと思っています。

浅尾委員 大胆な金融緩和にならないということでありますけれども、金融緩和とセットで、先ほど来出ております、日本経済の中にある非効率的な部分を効率化していく、あるいは、日銀が緩和をした先に、各種金融機関がその先にお金を貸しやすくする、あるいは、例えば、期間の短い国債しか買っていないものを長い国債を買うことによって他の金融機関がほかに貸し出しをせざるを得なくなるような方式とか、あるいは、先ほど来おっしゃっていますように、海外、例えば米国でいえばアセットバック・セキュリティーのようなものを買っているという、その多様なものを買うということについては、もう既に頭の中にあるという理解でよろしいかどうか。

黒田参考人 そのとおりでございます。

浅尾委員 その先でありますけれども、日本銀行総裁は、自動的にというか、経済財政諮問会議のメンバーになっています。

 経済財政諮問会議は会議体でありますから、特にそこで最終的な決定をするというわけではありませんが、従来、日本銀行の総裁が、経済財政諮問会議においては、自分が所管をしている金融以外の分野について積極的にこういう規制改革をしろといったような発言をされたということは、残念ながら、寡聞にして聞かないわけであります。

 そのことを言ってこなかったことも、これからどうされるかはまた聞きたいと思いますが、まず、歴史的に振り返って、一つのその目詰まりを取り除かなかった原因、大きな一因かどうかは別として、可能性を封じてきたのではないかと私自身は思いますが、その点の評価を伺いたいと思います。

黒田参考人 その問題はなかなか微妙でございまして、中央銀行として、先ほど来申し上げていますように、物価の安定と金融システムの安定というのが最大の使命でございますので、それを達成していく、それを持続させていくということが、まず何よりも重要であると思います。

 ただ、その上で、例えば、先ほど来申し上げていますように、政府が機動的な財政運営に努めつつ、しかし中長期的には財政再建を達成していくという適切な財政政策を行う、あるいは、民間セクターがさまざまな投資を行って中長期的に成長を高めていくというようなことをどうやって促進するかという成長戦略ですね、そういったことは中央銀行の役目、使命の範囲内にはありませんけれども、そういったことが例えば物価とか金融システムの安定に何らかの影響があるということはあり得るわけでして、そういう観点から発言することはできると思いますけれども、何よりも、中央銀行としての使命は物価の安定と金融システムの安定であって、残念ながら十五年にわたってデフレが続いてきたということは、前者の、物価の安定という使命が果たされていなかったということではないかと思っています。

浅尾委員 もちろん、中央銀行の使命はそのとおりでありますけれども、今の私の質問は、日銀総裁として全体の経済運営にかかわる会議体に出席ができるようになる、そうだとすると、中央銀行の使命の外側、あるいは中央銀行の使命の一部になるかもしれない。

 一部というのは、例えば、今度、買う資産を多様化させていただく中で、REITのような不動産関係のものを買えば、そこのスプレッドが国債等に比べて大きいのか小さいのかとか、ETFは買っておられると思うのですけれども、その差が大きいのか小さいのかというのは、物価とは別に、信用リスクに対する経済の見方ということがそこに反映されてくる。

 その範囲においては恐らく中央銀行の使命なんだろうと思いますが、それが、単に金融調節ということを超えて、そういった場で発言をされるということは、恐らく、自分が所管しているところと関連するんじゃないか。

 ですから、私が見ていて思うのは、従来の総裁は、どちらかというとそこは控え目で、余り人の分野には口を出さない、そのかわり自分のところにも口を出すなという感じだったわけでありますが、今回は、大幅な、大胆な金融緩和をやられるということであれば、その反対側で口を出された方がいいんじゃないかと私は思いますが、その点についてどう思われるか。

黒田参考人 御趣旨はよく理解できますし、私自身、そんなに控え目の方でないと言われておりますので、御趣旨もよく考えてまいりたいと思います。

浅尾委員 もう一点、金融調節にかかわることで伺いたいと思いますが、先ほど、銀行券の発行とあわせて当座預金の話が出ました。

 当座預金、残高をふやしていこうということも言われておりますけれども、当座、どれぐらいまでという目標、目安というのがあるのかないのか。一部では大体九十兆円ぐらいが目安なんじゃないかと言われていますが、それを超えてもやる用意があるかどうか、伺いたいと思います。

黒田参考人 具体的な数字について今申し上げる立場にございませんが、いずれにいたしましても、二%の物価目標を達成するまであらゆる緩和措置を講じますので、何か特定の限度を決めて、物価がデフレのままなのにそれ以上やらないとか、そういうことはないと思います。

 ただ、具体的なその数字については、何とも申し上げかねます。

浅尾委員 恐らく、その二%の目標を掲げて達成するに当たっての道筋としては、そもそも物価目標に入っていない、要するに資産性の価格ですね、株価であったり、少しおくれて土地であったりが上がる、そして、株と同時に同じスピードで反応するのは為替なんだろうと思いますが。

 そうすると、まず一つは、私は別に株価や土地が上がること自体は、この間ずっと下がっていましたから、それ自体は悪いことではないというふうに思いますが、そのことも含めて、今の計算式を変えるというのも、これは事後になっちゃいますから、その影響を含めて判断していくことは検討対象になるのかどうか、それを伺いたいと思います。

黒田参考人 中央銀行の政策として、物価安定目標と金融システムの安定性ということが常に考慮されていることは事実でありまして、そうした中で、金融資産あるいは土地なども含めて、いわゆる資産の価格についてどの程度考慮していくのが正しいのかということについては、従来からいろいろな議論があったわけです。

 日本のバブルの経験、あるいは最近の欧米のリーマン・ショックその他の経験などを踏まえまして、多くの中央銀行では、当然、資産価格の動向も注視していく。

 ただ、資産価格を何かターゲットにして金融政策をやるということはあり得ないわけでして、あくまでもターゲットは、物価それから金融システムの安定ということであろうと思います。

浅尾委員 今おっしゃったことはそうだと思いますが、物価に大きな影響を与えるのは為替でありまして、為替については、当然、為替が円安になれば物価がその分だけ上がる。単純に言うと、日本経済の一割ぐらいが貿易依存でしょうから、そのとおりになるかどうかは別として、一割為替が安くなれば一%物価が上がるというような単純的な計算式も、多少おくれてでしょうけれども、出てくるんだと思います。

 その中において、現行の日本銀行法を読むと、これはまた解釈の話になりますが、第四十条に、日本銀行は、必要に応じみずから、または国の事務の取り扱いをする者として為替の売買をすると書いてあるんですが、いまだかつて、必要に応じみずからということでやったことは多分ないんだと思うんですね、国の事務取り扱いをする者としてやっているということで。

 先ほどの御答弁ですと、法律の関係ということなんですが、むしろ、法律そのものよりも、法律の解釈。この解釈は、日銀法については日本銀行総裁が一義的には有権解釈をするということだと思いますが、今こういうふうに書いてありますけれども、その解釈について、どういうふうにされるか、伺いたいと思います。

黒田参考人 日銀法の解釈につきましては、よく検討されないといけないと思いますけれども、いずれにいたしましても、為替介入につきましては、G7のルール、それから先ほどありましたG20の共同声明等がありまして、一定の国際協調というのが確立されていますので、そういったことを踏まえますと、日本銀行として外債を大量に買うというようなことは、国際的なルールからいってもなかなか難しいというふうに思います。

浅尾委員 終わります。

佐田委員長 持ち時間が終わりました。

 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。一分ですから、端的に伺います。

 需要をどうふやしていくかということでございますが、質が落ちないか、リスクが高まらないか、ここが、大胆な金融緩和が冒険的な金融緩和になってはいけない。つまり、資金の供給が足りないのではなくて、今、資金の運用が足りないという指摘もあるわけでございます。ですから、成長戦略が必要でございます。

 これは今のお立場ののりを越えるのかもしれませんが、例えば、医療、福祉といった分野あるいは環境や住宅といった分野、どの分野に注目をするか、端的に、どのようにお考えになっているか、お尋ねをしたいと思います。

黒田参考人 まさに、おっしゃったとおりでありまして、成長戦略は極めて重要だと思います。

 政府もそのように考えていると思いますが、私、個人的には、日本の製造業というのは依然として世界一というか世界的なレベルにあると思います。サービス業、特に委員御指摘のようなセクターについてはまだまだ成長の余地があるし、成長を促進するようなさまざまな政策がとられることが日本経済を中長期的により高い成長経路に乗せるために今必要だというふうに思っております。

 これは、日銀総裁とか総裁候補としてというよりも、個人的な意見でございます。

佐田委員長 他に質疑の方はいらっしゃいますか。

 恐縮なんですけれども、質疑した方はできるだけ御遠慮いただきたいと思います。

藤丸委員 自由民主党の藤丸です。

 マネーサプライといいますかマネタリーベースの話ですが、ちょっと気になるところは、ここ十年、マネタリーベースのグラフとかを見ると、EUでは三倍ぐらいになっておりまして、米国では四倍ぐらいになっているかと思います。それだけふえているんですが、日本は、悲しいかな、一・五倍ぐらいにしかなっていない。

 そこで、個人的な見解で結構なんですが、いろいろな金融政策の結果、二%を達した後にはどれだけになるとお考えか。EU近くになるのか、米国並みになるのか、アバウトで結構なんですが、お答え願えればと思います。

黒田参考人 特にリーマン・ショック後、欧米の中央銀行が積極的に量的緩和を進めたのに対して日本銀行がそれほど大きな緩和をしなかったということが、為替相場も含めていろいろな影響が出て日本経済のデフレが持続するということになったことは、そのとおりだと思います。

 そういう意味でマネタリーベースの拡大ということが必要になると思いますが、何度も申し上げますように、マネタリーベースが拡大したことがどのようなチャネルを通じてどのように経済に影響を与えるかということについては、必ずしも量的に拡大したことだけでその効果が非常に大きくなるとは限らない事象が欧米でも日本でも起こっていまして、それぞれのところでそれぞれの中央銀行は工夫を凝らしていろいろなことをやっているわけです。

 ただ、御指摘のように、マネタリーベースの拡大が不十分だった、欧米に比べて不十分だったということがデフレの継続に影響していたということは、否定できないと思います。

佐田委員長 他に質疑はございますか。

 津村君は一度質疑されていますので、簡単にお願いいたします。

津村委員 本日の御答弁に関連して、もう一点だけ伺います。

 本日の黒田さんの大変重要な御答弁の一つは、財政ファイナンスは中央銀行として考えるべきではないと明言をされたことだと思いますが、その後、浅尾さんとの質疑の中で、銀行券ルールに関して、これは財政ファイナンスの一つの代表的な規律といいますか歯どめだと思うんですけれども、これを、今後、撤廃も含めて検討対象にするということを御示唆されたようにお聞きしました。

 私は、この財政ファイナンスに対しての考え方というのは同意人事の判断材料として非常に重要なものだと思うので重ねて伺うわけですけれども、黒田さんは、日銀がこの財政ファイナンスに陥るべきではないと。だとすれば、それは、どういう気構えなり原則、ディシプリンを持って判断すべきとお考えなのか。あるいは、無原則なのか。そこをはっきりさせていただきたいと思います。

黒田参考人 日本銀行の今持っている日銀券ルールというのは、私の知る限りでは日本銀行だけでして、ほかの中央銀行はそういうようなルールがあるとは聞いておりません。

 ただ、ほかの中央銀行も、国債は引き受けないということを守っておりますし、財政ファイナンスになるようなことをやらないということも言っておりますので、当然、財政ファイナンスになるようなことは私も全く考えておりません。

 ただ、いろいろなルール自体は、先ほど申し上げたように、二%の物価安定目標を達成するために必要があれば見直していくというのは、ある意味で当然だと思います。

 日銀券ルールについても、見直すというふうに申し上げたわけではなくて、検討対象になるというふうに申し上げたわけでございます。

佐田委員長 中田君も質問しておりますので、ごく簡単にお願いいたします。

中田委員 はい、ごく簡単に。

 先ほど、私、政治との距離感というのを聞きましたけれども、逆に、政治からの距離感についての御見解をお伺いしたいんです。

 安倍総理も、総理就任前にかなり日銀について触れておりましたけれども、その中で、十二月二十五日、金融政策で円高を是正するのは当然のことだという発言、円高是正は政府と中央銀行の使命だという発言、これは経団連の会合での挨拶の中での話でありますけれども、日銀に対してかなり直接的に、金融政策で円高を是正するのは当然のことだという発言があるわけでありますけれども、これについて、政治からの距離感という意味においてもお伺いをしたいと思います。

 これは、発言として望ましいでしょうか。

黒田参考人 総理あるいは大臣、政治家の方の発言について、私の方からとやかく申し上げるつもりは全くございません。

佐田委員長 他にございますか。

 それでは、これにて黒田参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして日本銀行総裁候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 それでは、黒田参考人、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、明五日火曜日午後二時から開会することといたします。

 また、同日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十二分散会


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