衆議院

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第33号 平成26年6月12日(木曜日)

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平成二十六年六月十二日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 逢沢 一郎君

   理事 平沢 勝栄君 理事 松野 博一君

   理事 長島 忠美君 理事 永岡 桂子君

   理事 御法川信英君 理事 大塚 高司君

   理事 後藤  斎君 理事 石関 貴史君

   理事 大口 善徳君

      あべ 俊子君    鈴木 憲和君

      田野瀬太道君    根本 幸典君

      藤丸  敏君    藤原  崇君

      星野 剛士君    牧島かれん君

      大島  敦君    大西 健介君

      後藤 祐一君    近藤 洋介君

      桜内 文城君    丸山 穂高君

      浜地 雅一君    樋口 尚也君

      山内 康一君    井出 庸生君

      畠中 光成君    佐々木憲昭君

      小宮山泰子君

    …………………………………

   議員           中谷  元君

   議員           町村 信孝君

   議員           大島  敦君

   議員           後藤 祐一君

   議員           藤井 孝男君

   議員           大口 善徳君

   議員           畠中 光成君

   国務大臣         森 まさこ君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   事務総長         鬼塚  誠君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  千野啓太郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北村 博文君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河野  章君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   参考人

   (拓殖大学特任教授)   森本  敏君

   参考人

   (法政大学人間環境学部教授)           永野 秀雄君

   参考人

   (弁護士・日本弁護士連合会情報問題対策委員会委員)            清水  勉君

   参考人

   (特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長)          三木由希子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     藤原  崇君

  泉  健太君     大島  敦君

  大西 健介君     近藤 洋介君

  椎木  保君     丸山 穂高君

  樋口 尚也君     浜地 雅一君

  畠中 光成君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     鈴木 憲和君

  大島  敦君     後藤 祐一君

  近藤 洋介君     大西 健介君

  丸山 穂高君     桜内 文城君

  浜地 雅一君     樋口 尚也君

  井出 庸生君     畠中 光成君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤 祐一君     泉  健太君

  桜内 文城君     椎木  保君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会法等の一部を改正する法律案(町村信孝君外二名提出、衆法第二七号)

 国会法の一部を改正する法律案(大島敦君外四名提出、衆法第三二号)

 衆議院規則の一部を改正する規則案(町村信孝君外二名提出、衆規第二号)

 衆議院情報監視審査会規程案(町村信孝君外二名提出、規程第一号)

 次回の本会議等に関する件


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     ――――◇―――――

逢沢委員長 これより会議を開きます。

 町村信孝君外二名提出の国会法等の一部を改正する法律案、大島敦君外四名提出の国会法の一部を改正する法律案、町村信孝君外二名提出の衆議院規則の一部を改正する規則案、衆議院情報監視審査会規程案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、拓殖大学特任教授森本敏君、法政大学人間環境学部教授永野秀雄君、弁護士・日本弁護士連合会情報問題対策委員会委員清水勉君及び特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長三木由希子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。各案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人の方々から一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いを申し上げます。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御了承ください。

 それでは、まず森本参考人にお願いを申し上げます。

森本参考人 当委員会にお招きをいただき、大変光栄に存じます。

 私個人について言えば、社会に入っておよそ三十年、十五年間を防衛省に、あと十五年を外務省に勤務し、その後、防衛大臣補佐官、国務大臣の防衛大臣と勤務する間、職務を通じてほとんど外交と防衛に関する秘密を扱いながら、職務を遂行してまいりました。

 テロやスパイに関する秘密はよく存じ上げません。しかし、我が国の秘密保全の体制というものは、戦後、いろいろな問題が指摘され、かつ、周辺安全保障環境を見ると、どんどんと日本の秘密保全の体制並びに秘密を守ることが難しくなっている状況にあり、過去を振り返ると、周辺国の者によって我が国の情報が、リークした不祥事がなかったとは言い切れません。

 政府は今まで情報保全のあり方について長い間検討し、最近では平成十八年から、自民党、そして民主党、そして今回の安倍政権と、幾つもの政権にわたり、計八年に及ぶ検討を行った結果、特定秘密保護法が、昨年十二月六日、参議院本会議で採決をされ、成立したところでございます。

 このような日本の情勢の中で、今なぜ特定秘密保護法が必要になったのかという背景を考えると、当然のことながら、先ほど申し上げたように、我が国には統一された国家の情報機関が必ずしもあるわけではなく、依然として縦割り制度の中で情報が管理され、一貫した情報活動がなかなか難しいこと、さらに、先ほど申し上げたように、周辺国が我が国の情報を狙っていて、他の先進国の情報保全制度が非常に厳しいものですから、比較してやや緩い制度にある日本が情報収集の場として専ら狙われてきたということもあると思います。

 さらに、我が国は、同盟国あるいは友好国との情報交換の際、我が国に情報保全の制度が完備していないことが同盟関係や友好関係の情報交換の際の信頼性という問題にかかわってきて、この状態を取り戻すことが喫緊の課題であると思います。今回の法律はそれを、完全とは言いませんが、かなり有効に、この法体系のもとで施行が始まれば、十分な体制ができ、情報保全ができるのではないかと思います。

 今年末の施行に向けて、現在、政府及び国会が必要な準備をしていただいていると承知しておりますけれども、既に情報保全諮問会議は一回開かれ、さらに、情報監視委員会並びに独立公文書管理監及び情報保全監察室など、幾つかの機関をこれからつくり、これを動かしていき、施行の日まで必要な準備を整えるということが今求められているということであります。

 国会との関係でいうと、国会議員の皆様方は、憲法第五十一条で秘密というものについての基本的な権能が守られているわけでありますけれども、この特定秘密保護法の法律の運用あるいは適用及び検討を含め、必要な措置を、常に立法府として審議し、監視するという責務を持っていると思います。その意味において、今回与党の提出された国会法の改正案は、かかる国会の機能を果たすべく十分に考慮された、理にかなうものではないのかと考えているところです。

 特に、国会が行う情報の管理については、政府が年次報告を出し、あるいは、必要に応じ政府から秘密の提出を求め、常時監視する機能を果たすことができることに加えて、審査についても、国会の特別委員会や常任委員会についても情報の管理について審査をできることになっているわけで、全体として、政府並びに各委員会の情報管理の審査を監視あるいは審査する機能をこの法律のもとで実施できるのであれば、国会における機能を果たす十分かつ有効な手段をこの法律によって確保できるのではないかと思います。

 他方、この制度の中で、国会が情報をどのように保護するかということについては、今までになく、非公開の制度を設け、事務局も適性検査を行い、物理的に守られた施設の中で審議をするなど、記録も原則公開されず、漏らした場合は憲法五十八条に基づく懲罰規定があるなど、一応、国会の保護体制としては、考え得る措置がとられているということではないかと思います。

 このような法律が実際に実行されても、やはり、国家の特定秘密が漏れるというおそれは常に我々は持っているわけで、国会が持つ機能が、これを十分に審査、管理するだけではなく、情報保全に重要な役割を果たし、かつ、国家が持っている情報が、国会の審議あるいは政策を評価する場合に、国会の議論で十分活用されることが望ましいと思います。

 そのことによって、政府と国会の信頼関係ができ、かつ外国との情報交換の信頼性が高まるということであり、この国会法の改正によって我が国の情報管理の体制がおおむねそろっていくということについて、私は、この国会法の改正を心から期待するところであります。

 以上でございます。

 委員長、ありがとうございました。(拍手)

逢沢委員長 森本参考人、ありがとうございました。

 次に、永野参考人より発言をいただきます。

永野参考人 法政大学の永野と申します。

 本日は、本委員会にお招きいただき、感謝しております。

 私は、与党が提出された国会法等の一部を改正する法案、衆議院規則の改正案及び衆議院情報監視審査会規程案に賛成する意見とともに、民主党などが提出された国会法の一部を改正する法律案には多くの問題があることから賛成し得ないという点につき、日米比較法の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。

 私は、今回与党が提出された国会法等の一部を改正する法案等は、議院内閣制を前提として、国権の最高機関である国会と実際に特定秘密を扱う行政機関とのバランスをとった、非常にすぐれた制度設計がなされていると思います。

 また、米国と比べますと、特定秘密を実際に情報監視審査会等に提出する場合を前提とした規定となっており、非常にリベラルなものであると考えております。

 ちなみに、米国では、機密情報が議会に提供される場合には、一定の条件のもとで、コーテシー、すなわち礼譲に基づいてなされております。

 米国の上下院の情報特別委員会が行っているのは、インテリジェンス機関による活動の監視と、予算に関する審議等であります。また、上院の情報特別委員会は、大統領が指名したインテリジェンス機関の長等に対する承認を公聴会で行う権限を持っております。

 今回の与党による改正法案等は、各院が、特定秘密に係る行政運用の監視、及び委員会等による国政調査への政府の対応への審査を定めており、大きな意義がある法改正であると考えております。

 なお、私からしますと、一点だけ、できればこうあってほしかったという点が実はございます。

 それは、私もいただきました同法案に関するポンチ絵に言う情報監視委員会における国会が定める保全措置Aと、常任・特別委員会における国会が定める保全措置Bという二種類の保全措置が予定されているという点です。

 米国では、その機密レベルごとに保全措置が定められ、機密情報が連邦議会に提示される場合や、インカメラ審理のために司法機関に提示される場合においても、当該機密において行政機関がとっているのと同じかそれ以上の保全措置が要求されており、これは当然のことであると考えております。

 この点につき、我が国の特定秘密は、秘密のレベルが一種類しかないので、行政機関がこれに対してとる保全措置も、最高度の保全措置一種類しかないはずです。そうしますと、国会が定める保全措置も、これと同等の保全措置一種類になろうかと思います。

 これに対して、Aより軽いBという保全措置がなされた場合にどうなるかを考えてみたいと思います。

 特定秘密保護法第十条では、国会に特定秘密が提供される場合の要件は二つあり、一、国会における保護について措置を定めること、かつ、二、行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときとなっておりますので、前者の国会の定める措置が軽い場合、すなわちBの場合、恐らく後者のおそれが増大することが予想されます。したがって、軽い保全措置Bがなされた常任・特別委員会には特定秘密が提出されにくくなるというおそれがあると思います。

 もっとも、本改正案では、その場合であっても、常任・特別委員会は、情報監視審査会に要請して、同会から行政機関の長に対しまして特定秘密の提出、提示を要求できる制度になっておりますので、保護措置Bに伴う問題に関する制度的な担保はなされていると考えております。

 次に、民主党が提出された国会法の一部を改正する法律案の問題点につき、私見を述べさせていただきます。

 まず、同改正案第百四条の二において、「内閣又は官公署は、報告又は記録の内容に事前に同意を得ることなく第三者に提供しないことを条件に提供された情報であつて現にその提供に同意が得られていないもの又は人的情報源に関する情報が含まれる場合を除き、その求めに応じなければならない」と規定されておりますが、ここには三つの問題があると考えております。

 第一に、ここで適用除外とされている二つの類型が限定され過ぎているという問題でございます。

 これ以外の特定秘密であっても、特定秘密保護法第十条が規定する、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある事案も想定し得るところであり、この点に関する行政機関の長による個別具体的な判断を無視する規定は、現実的ではないというふうに考えております。

 第二に、先ほど述べた部分の中で、いわゆるサードパーティールールについて、「現にその提供に同意が得られていないもの」との規定は、同ルールにつき誤解があることから生じた規定であり、関係する論文等を読んだ記憶からいたしますと、個別に同意を得ることは一般的ではありません。

 また、相手に対して、当該情報が国会に提出される可能性があると言っただけで、相手国のインテリジェンス機関や軍等から信用を失い、我が国に情報が入ってこなくなる可能性があると考えております。

 第三に、このような形で情報提供を義務化いたしますと、行政機関の長が、行政機関情報公開法に規定されている存否応答拒否、米国で言うグローマー拒否を行った場合、その後、全く機能しないということになるのではないかというふうに考えております。

 次に、同改正法案第百四条の二において、行政機関の長が同条第一項の求めに応じない場合につき、議長にその理由を疎明し、その受諾等については副議長等の意見を聞くこととなっております。また、このほかにも、議長、副議長が大きな役割を果たされるという規定になっております。

 私は、両院の議長及び副議長は、長年にわたって議員として御活躍になった、高い見識をお持ちの方であると考えておりますが、必ずしもインテリジェンスに関する知識と御経験がある方が選ばれているわけではございません。

 したがって、本改正案で予定されている判断を行うのは適当ではなく、やはり、インテリジェンスに関する専門家を擁している行政機関の長の判断を尊重すべきであると考えております。

 特に、本条第七項において、議長が、議院または委員会に提出された場合には国家の極めて重大な利益に回復しがたい悪影響を及ぼすこととなると認めたときを除き、行政機関の長は特定秘密を提出しなければならないという規定になっておりますが、このような規定は、外国のインテリジェンス機関等から大きな疑念を持って見られ、重要な情報が我が国に入ってこないという事態を引き起こす可能性が相当に高いというふうに考えております。

 最後に、民主党が提出された本法案では、特定秘密保護法第十条で予定している、国会において定める保護措置が含まれておらず、その点を通常国会で明らかにして審議しなければ、特定秘密保護法の施行に間に合わない懸念がある点を指摘しておきたいと思います。

 以上で私の意見陳述とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

逢沢委員長 永野参考人、ありがとうございました。

 次に、清水参考人より御発言をいただきます。

清水参考人 おはようございます。

 やっと国会がこの制度で主役の地位を回復しつつある制度ができるようになってきたということで、陰ながらといいますか、協力をしてきた立場として、かなりの成果だったというふうに思っています。ありがとうございました。

 本日は、一弁護士という立場で参加をさせていただいております。

 と申しますのは、もともと、私、日弁連の情報問題委員会で、情報公開の問題と、その裏腹に、秘密保全の問題も取り組んできたわけでありまして、その中で、国会の地位がどうあるかということも委員会で議論をしてきましたが、国会の位置づけについては十分議論を尽くしていないものですから、きょうの意見は、私の個人の意見として述べさせていただきます。

 秘密保護法案が出てきたときに気になった最大の点というのは、きょうも話題になっています、十条の一項一号のイという規定であります。今成立している法律では条文が変わっておりますけれども、当初の法案では、政令の基準に従わなければ、しかも、行政機関の長の裁量によって国会の場に情報提供するかどうかということでありまして、国会には重要な情報が出てこない仕組みになっているというふうに読みました。

 これを変えるためにはどのようにすればいいのかということを考えなければいけなかったわけですけれども、国会が行政機関にコントロールされる対象にすぎなくなっているというのが、もともとの制度設計になっていたかと思います。主権者である国民の代表者である議員によって構成される国会が官僚にコントロールされていいのかということが課題だというふうに考えています。

 しかし、他方、なぜ行政機関は国会議員に行政秘密を出し渋るのか。

 この点を考えてみますと、といいますか、幾人もの国会議員の方やいろいろな方とお話をしてみると、国会議員は秘密を守らない、国会議員は自分の地位の確保強化のために情報を使う、官僚は仕事がやりにくくなる、取り返しのつかない重大な支障が生じても個々の国会議員が責任をとってくれるわけではないと。はっきりとは申しませんが、国会、国会議員に対する根強い不信感があるということを感じます。

 そうしますと、憲法の構造と現実の政治の間に非常に大きなギャップがあります。どちらかが他方に全面的に従属するしか、このギャップは解消できません。しかし、それはどちらもあり得ないわけでありまして、ギャップの解消はあり得ません。

 しかし、情報の取り扱いルールは、現実的に考えなければ意味がありません。非現実的なルールは守られません。

 これは、公的な情報の管理を全般的に考えたときに、あるべきだ論を幾ら言ったとしても、現実にそれが実行できるかどうか。実行できないものを幾ら厳しくつくっても、できませんし、逆に、意味のないルールを幾らつくっても、効果はないわけです。

 国会の秘密会のこれまでの規定を見ますと、運用ルールがほとんど書かれていません。これでは、秘密は名ばかりになりかねません。

 この場合の秘密会の秘密は何かというふうに考えてみますと、議論そのものが秘密なのか、そこに提供される資料が秘密なのか、これもはっきりしません。議論は公になってもいいけれども、資料はだめだというのもありますし、その逆ということもあり得るわけです。しかし、その点の検討は、この秘密会の規定では、ほとんどなされていなかったのではないでしょうか。

 行政秘密を引き出すためには、情報を外部に出さないためのそれなりの構えが必要だというふうに考えます。このような構えはおよそ嫌だというのであれば、行政秘密は出てきません。国会は、みずからを縛る実効性のある構えをつくり、実行する必要があります。

 構えの骨格としては、考え方は、秘密を漏えいしない体制ということになります。

 会議の非公開。特定秘密を見る場所の限定。見る者の範囲の限定。独立の事務局体制とその強化。議員についての適性評価にかわる研修、これも必要だと思います。それから、議員に対する牽制の手段があります。

 この六番目の、牽制の手段ですけれども、懲罰、これは議会の運営の一部ですので、当然必要なことになってくると思います。現に、これまででも、参議院の規則の中にはこの規定が盛られていますが、衆議院の方には盛られていないという事実があります。

 罰則ですけれども、これは秘密保護法の方で既に罰則が規定されていますので、これを前提にこの制度も考えざるを得ないわけですけれども、効果は強いのですが、強過ぎるかもしれないという懸念があります。

 実際問題として、名誉毀損や秘密漏示の刑事事件などでは、家宅捜索が行われて、パソコンですとかアイフォンですとかそういったものが根こそぎ押収されていって、中のデータが全部分析されるということが現に行われています。

 そうしますと、国会議員について処罰をするということは、議員事務所や所属政党事務所などの家宅捜索も可能ということになります。そうなりますと、議員、政党の保有情報が警察組織に包括的に吸い上げられることになります。

 大もとは、特定秘密保護法が国会議員を処罰対象にしていることに起因しています。国会議員を罰則規定から解放するためには、特定秘密保護法を改正するしかありません、この部分については。

 そのかわり、私は、懲罰については、問題がある場合にはきちんと運用するということで、現実的な問題としては、いかに刑罰権を行使させないか、その前提として、管理運用のルールをきちんと守るかというところだろうと思います。

 それから、もう片方で、七番目はちょっと違う種類の話ですけれども、議事録の作成。これは、この審査会を継続的に運用していく上で、議員が交代をしても、また事務局の職員が交代をしても、継続的に監視をしていく上で必要なことだろうというふうに思います。

 ただ、これについては、当面、不開示情報とするのは、これも当然のことだろうと思います。

 それから、提出拒否できる場合の限定ですけれども、これは、構えを厳格にするのと引きかえに、提出拒否できる場合を限定する必要があるという、相関関係があります。永野先生の先ほどの御説明も、考え方も、多分これと同じような考え方だろうと思います。

 私は、むしろ二重にしておいていいのではないかというふうに考えたのは、つまり、非常に限定したところで見られる方というのは、議員の数を絞らざるを得ません。そうなりますと、ここのところは構えをかなり厳格にしなければいけません。しかし、それ以外の議員の方々が、およそランクのもう少し低いものにしても見ることができないというのは、これはまずいだろうというふうに考えましたので、二重構造というのはあり得るだろう。

 ただ、これは現実の運用としてどこまでできるかというのは、結局のところは、この審査会の方で確認をして、これはB基準のところで、見ても構わない、見せても構わないのではないかというような検討が必要になるかとは思います。

 あとは、問題は、非秘密化による議論ということは、考えていいのではないかと思います。

 委員は、委員以外の議員に秘密を伝えてはなりません。また、もちろん情報資料を見せることもできません。秘密の具体的内容は不可であります。

 しかし、特定秘密の内容を曖昧化し要約した形にすれば、情報は特定秘密ではなくなります。また、情報そのものは持ち出せなくても、一定の議論はできます。どの範囲を可とするかは各審査会で検討する必要がありますし、行政機関側への一定の配慮は必要かと思います。

 つまり、特定秘密についての議論というものを、生のものを見ながらきちんと議論する方は限られた者になりますけれども、これに関連する議論というのは、もう少し広げて実行できるような方策も考える必要があるだろうと思います。

 権限ですけれども、指定解除権がないことが問題だというようなことが報道されたりすることがありますけれども、これは問題ではないというふうに考えます。

 国会議員に秘匿性の高い情報を見せたら指定を解除されてしまった、そういう事態が起こる条件のもとでは、秘匿性の高い情報は出てきません。

 指定解除ができないのでは意味がないかというと、そうではなく、与野党の国会議員が秘匿性の高い行政情報について活発な議論をすることに意味がある。何が秘匿性の高い情報なのか、なぜ秘匿性が高いのか、どういう条件になれば指定解除ができるのか、そういったリアルな問題を、現物を見ながら議論する。

 官僚からすれば、そういった議論を国会議員にされてしまうということ自体が、非常に牽制する意味を持っているんだろうと思います。指定解除を勧告するということだけで十分ではないかと思います。

 ただ、私としては、気になるのは、委員構成が八人であり、各会派所属議員の比率による割り当てになっておりますので、与野党議員の比率が不安定であり、少数与党の場合は与党の方が少なくなってしまうのかというような問題もあります。

 私は、常に与党側の方が幾らか多くなっている形の方が、議院内閣制の運営としてはよいのではないかというふうに考えています。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

逢沢委員長 清水参考人、ありがとうございました。

 次に、三木参考人にお願いを申し上げます。

三木参考人 情報公開クリアリングハウスの三木と申します。きょうは、よろしくお願いいたします。

 本日は、このような機会をいただいて、大変光栄に感じております。本日は、国会法等の一部改正に関する法案等について、意見を述べさせていただこうと思います。

 私は、情報公開の問題にかれこれ二十年ほどかかわってまいりまして、団体としても、公的機関の拡充について三十四年間活動をしている団体でございます。そういう視点から、今回の法案については、監視機関の機能という面について特に意見を述べさせていただこうと思います。

 初めに、特定秘密保護法というものが存在をする以上は、監視機能を設けるということは決定的に重要であるというふうに考えております。それが、行政機関の中でだけではなく、国会においてもそのような機能を設けるということは、非常に重要だと思っております。

 ただ、監視機関は、設ければいいというよりは、その目的と役割を明確にして、効果的に、かつ機能的にあるということが非常に重要ではないかというふうに考えています。

 監視というと、とかく不正とか違法とか問題の追及という側面が強調される傾向は確かにございますけれども、監視は、もともとは、よりよく政府が活動する、より正しく政府が活動するということを行うために必要なものであるという位置づけもあると私は思っています。なので、監視は、マイナスの意味ではなく、むしろ積極的に、よりよいものを目指すということを、それぞれが協力をし、かつ独立をしてやるということがとても大事ではないかというふうに感じています。

 この監視機能というのは、非公開とか、秘密が強いですとか、それから一般からのチェックが難しいというような、むしろ、信頼を一般的にかち得るのが難しい分野について特に求められているというものであると考えています。ですので、監視機関そのものが効果的かつ機能的でないと、そもそも、制度に対する信頼全体を損なっていくということになるのではないかというふうに思いますので、その信頼性にかかわる問題であるということを十分に御検討いただきたいというふうに考えています。

 それから、国会だけではなく行政機関においても監視機能が設けられるという方向で検討されていると承知をしていますけれども、国会が、より独立した立場で監視を行い得る、そういう存在であるということを、十分に御検討の際に考慮していただきたいというふうに考えております。

 情報監視審査会の活動についてなんですが、特定秘密の運用について、指定や解除についてどのような実態かということは、恐らく数字の報告を受けてもわからないだろうというふうに思います。

 何を監視するのかということが決定的に重要であるというふうに考えておりますが、この点で少し懸念を持っております。

 それは何かというと、何を端緒に具体的な特定秘密についての監視を行うのかということがよく見えないということであります。それは、公益通報のようなものを受け付ける、それを合法的かつ安全に受け付ける仕組みというものが、現在の仕組みの中では、ないというふうに考えるからです。

 特定秘密保護法に定める情報漏えいというものは、外部に対する情報漏えいという意味合いでよく理解をされがちであるとは思うんですが、これは、情報漏えいということをアンオーソライズドディスクロージャーというふうによく言いまして、権限のない開示ということになります。権限を持って秘密にアクセスしている人間が、その秘密を見る立場、権限のない人に対してその情報を提供すること自体が情報漏えいに当たるということであります。

 お配りいただいた資料の二ページ目を見ていただくと、イージスシステムに係る情報漏えい事件というものについてまとめたものがございます。これは、内閣官房がおつくりになったものを、わかりやすいのでそのまま引用いたしました。

 これを見ていただくと、イージスシステムの情報は、これは海上自衛隊の中にとどまっていて外に出ておりません。しかし、これは情報漏えい事件として、罰則、刑事罰の対象になりました。

 こういうことがございますので、誰が特定秘密に関して通報を受ける合法的かつ権限を持つのかということが、実は非常に重要なのであります。

 公益通報のようなものは、具体的な監視の調査の端緒として非常に重要なのではないかというふうに考えております。ですので、こうした公益通報について、合法的に受け付けられるような仕組みというものをぜひ御検討いただけないかというふうに考えています。

 ちなみに、アメリカの仕組みを少し調べたところによりますと、インテリジェンスコミュニティーに関しては、議会に対して公益通報ができるという法的な仕組みがあるというふうに認識しております。ぜひ御検討いただければと思っております。

 それから、審査会に対して、特定秘密の提出、提示の要求についてなんですが、これはとても重要な仕組みであるというふうには認識をしております。ただ、この仕組みは、審査会が提出、提示を求めるということになっており、全体での意思決定というか、そういうものが必要な仕組みになっております。

 審査会の構成については、八人の構成で、所属議員の数に応じて会派で割り振られるというふうに承知をしております。そうしますと、多数で提示、提出の要求がなければ、実は特定秘密が国会に来ないという構造もあり得るというふうに思うわけであります。

 そういうことを考えますと、実は、どういう条件であれば提出、提示を求めるのかということについて、例えば三分の一程度が要求をすれば提出を求められるようにするとか、そういうような仕組みがあった方が、独立性という意味でもとてもよいのではないかというふうに考えております。

 それから、特定秘密の提示、提出要求について、どういう場合については政府が拒否できるかというその問題は、とても重要なポイントだと思っております。

 特に、審査会については、十分な保護措置を講ずるということで、かなり厳格に、施設も含めた要件を定めておられるということでございますので、そこを通じた情報漏えいリスクとかそういう支障というのは、基本的には、ないのではないかというふうに考えております。したがいまして、極めて限定的な場合にのみ政府が拒否できるような厳格性の要件というものを設けるということは、非常に重要なのではないかというふうに考えております。

 それから、審査会の議事録に関してですが、会議が非公開で行われるということは、事の性質上ある程度やむを得ないのではないかというふうには思うのでありますが、国会に関しては、非公開で行った議事録がこのまま非公開とされ続けますと、特定秘密については解除の仕組みを設けるということになっておりますが、国会で非公開、秘密にしたものについては、その解除なり公開の仕組みというものが、今の状況では、ないというふうに考えております。

 ですので、議事録の非公開というものについても、すぐに公開できないものに関してもいつかは公開するというような行政機関レベルの情報公開の仕組みというものは、ぜひ御検討いただきたいというふうに考えています。

 これはなぜ申し上げるかと申しますと、公文書管理法というものがございまして、歴史文書としての公開というものが行政機関についてはございます。

 しかし、立法府については、公文書管理法そのものの適用を直接受けておりません。したがいまして、国会におきましてこういうような取り扱いをどうするのかということを御検討いただかない限りはここの情報公開が進まないということになりますので、十分に御検討いただきたいというふうに思っております。

 最後に、情報公開という観点から、別の視点で意見を述べたいと思います。

 それは、先日、私、アメリカに行きまして、いろいろと現地で秘密指定の仕組み等について調査をしてまいりました。そのときに、非常に印象に残ったことがございます。それは、秘密は過剰になりやすいということについて、立場を超えて、アメリカの関係者、政府機関それから元政府機関の人、それからNGOも含めて、多くの人がその問題を共有していたということであります。

 過剰機密がなぜ問題になっているのかということをよくお聞きしますと、それは何よりも機密指定を最小限に絞ることに失敗した結果であるというふうな説明の仕方をされています。つまり、機密はいつかは解除されるという仕組みはございますが、ふえ過ぎると実は解除の仕組みもうまく機能しないという問題が出てくるというわけであります。

 ですので、解除の問題にエネルギーやコストを投入するよりも、秘密指定を最小限に抑えるということにエネルギーとコストを費やすのが最もよいということを聞いております。

 そういうことを考えますと、監視機関としても、やはり機密をふやさない、最小限に絞る、必要なものに限るということに最大限の機能と役割を果たしていただくということがとても重要だというふうに思います。

 さらに、秘密や非公開の問題については、情報公開をずっと求めてきた立場から申し上げられることが一点ございます。

 それは、秘密や非公開という判断には主観が入りやすいということであります。それから、理屈に当てはめられれば非公開が維持できてしまうということもあります。それから、公開によるリスクは過剰に見積もられやすいという問題もございます。

 資料を見ていただいて、五ページ目に、参考としてお持ちしましたけれども、これは、新聞記事が部分公開になったという判断でございます。

 これは警察庁の判断でございますが、情報公開法に基づいて情報公開請求をした結果、新聞記事が部分公開となりました。これは不服申し立てをして審査会というところで争いましたけれども、判断が変わりませんでした。これは法律の解釈論として成り立つという判断でありまして、こういう非公開も成り立つ、要は理屈の問題でなってしまうということでもあります。

 それから、もう一枚めくっていただくと、非常に見にくくて恐縮なんですが、これはレーガン政権下のホワイトハウスのEメールであります。

 これはアメリカのNGOからいただいてきた情報なんですが、これは実は、見えにくいと思いますが、全く同じEメールです。十日ぐらい異なって同じ人が公開、非公開の審査をした結果、最初に非公開にしたところと二回目の審査で非公開にしたところが別のところであるというところがございます。

 つまり、これだけ主観的であったり、判断基準というのは、実は、非公開、秘密の領域は非常に難しいという問題がございます。ですので、そこをどうやって合理的に、かつ客観的に行っていくのかということはそんなに簡単な問題ではないということが、こうした問題を通じて私たちは日々実感をしているところであります。

 ですので、こういうことも御認識いただきながら、ぜひ効果的かつ機能的な監視機関というものをつくっていただきたいというふうに思っているわけでございます。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

逢沢委員長 三木由希子参考人、ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子君。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日は、参考人の皆様、お忙しい中、この議院運営委員会にお出ましいただきまして御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。

 そうした中、安全保障にかかわる特定情報の保全、さらには国民の知る権利、この両立、バランスが私は特に重要なのだと思っております。

 情報の管理、審査に関しまして国会の機能を果たすため、政府と国会の信頼関係、これをどのようにしていくのか。情報を日本が持っている、その情報を漏らさない、必要なものは共有していく、このことでございますが、何といっても参考人の皆様から出てまいりましたのは、行政機関と審査会との関係性なのだと思っております。誰が権限を持つのか。

 そういう中におきまして、政府が、安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある場合は、秘密の提供を拒否できる、しかしながら、審査会の改善勧告には強制力がないといったときに、審査会がしっかりとした機能を果たすために今何が一番重要であるかということを、それぞれの参考人の方にお伺いいたします。

森本参考人 結局、この法律は、先生の御指摘のように、国が保有するに至った秘密のうち、特定秘密に指定してきたものをいかにして保全するかということと、しかしながら、それを、知る権利によって、どこまで国民に知っていただくか、この二つを両立するためには、何といっても一番重要なことは、国として、特定秘密として指定されたものが、リークした結果、それは保全したことにはならず、国の安全保障に著しい支障を及ぼすような状態が起こることでは、これは法律の趣旨が全く達成できないわけです。そういう事態がもし起これば、これは多分ですけれども、政府が、情報を、他の機関、国会を含めて、提供することを非常に渋るというか、消極的な対応にならざるを得ない。

 情報は、自分の国だけで全部集めるわけではなく、友好国、同盟国との情報交換によって得たものもありますから、諸外国との信頼関係が根本的に壊れてさらなる情報が入ってこないということになると、これ自身が国益の重大な損失につながるということであります。

 したがって、この場合、国会が果たすべき機能のうち最も重要なのは、やはり、国が提供した特定秘密というものを国会の責任においていかにして保護できるか、その体制をどのように整えるかということで、今の法律のできぐあいであれば、例えば、非公開で審議をする、あるいは、クローズドの部屋でやる、とられた記録は、原則、公開しない、記録をコピーしたりして配付することもしない、もし漏らしたら懲罰の対象になる、事務局も、適性評価を受けた者しかこの審議には加われない。さて、これだけで果たして十分なのかどうかということが私は問題なんだろうと思います。

 この全体のシステムというものが適正に運用され、政府が要求に応じて特定秘密を提供しても間違いなくきちっと信頼感を持って運営していただけるという確信がなければ、やはり、制度はつくっても、なかなか十分な提供は行われない。その結果として、国会でいろいろな、非公開とはいえ審議をやったときに、やはりこれだけでは足らない、もう少し追加的な情報が必要、あるいは、この情報の背後関係についてさらに必要といって、情報提供がさらにどんどんとふえてくるという結果になりかねないんだろうと思います。

 したがって、私は、なぜその情報が国会のどの審議の中でいかなる理由で必要かということを政府がどこまで納得をし、この情報を提供することによって立法府が立法府としての機能をきちっと果たしていただける、単に知りたいから持ってくるというのではなくて、国会が本来の国会の機能を果たすに必要十分な情報を理由をつけてきちっと説明してもらえるということが、やはり政府と国会の信頼関係をつくる最も重要なテーマということなのではないかと考えているわけです。

 どういう形でそれを法律に書くかというより、むしろ、運用の手順としてこれを進めていく以外になく、文章に書くとそれ自身がひとり歩きをして、なかなか文章のとおりには運用できない可能性があるので、やはり、一度、この法律を通過させるまでに、政府が考えている懸念、それから、国会が求めようとしている情報の提供、どこに接点があるのかということを率直に話し合って、信頼感のある相互関係をつくっていくということに一番大きなテーマがあるのではないか、かように考えているわけでございます。

永野参考人 時間の関係もございますので、簡潔にお答えさせていただきたいと思います。

 米国の場合には、先ほど答弁させていただきましたとおり、行政機関が例えば連邦の上院の情報特別委員会に情報を出すのは裁量、礼譲によっているわけでありまして、場合によってはメモをとることを許さないとか、あと、CIA等の場合では、CIA本部に来てくれ、それなら見せるというような場合もありまして、これに対して、我が国が政府の特定秘密の運用を監視する制度をつくったということは、非常に画期的なことであるというふうに考えております。

 先生御指摘のバランスでございますが、情報の管理は行政権に属するものでありまして、最終的な決定権は行政機関にございます。三権分立の観点から、国会議員の先生方でありましても行政機関の裁量に踏み込めないところがございますので、自主的な改善を求める勧告というのは、非常にバランスのとれたすぐれた制度設計になっていると考えております。

 以上でございます。

清水参考人 お手元に配られております衆議院情報監視審査会規程案というのがございます。この四条に宣誓の規定が入っています。こういったものを入れるべきだということを私は提案させていただきました。

 このことの意味というのは、この問題に関しては、与党と野党の対立ではなくて、国会と行政、官僚がどう向き合うかという制度を運用するという問題だからです。

 そうした場合に、知る権利といった場合に、国民の知る権利というのは知る自由というものと誤解されがちですけれども、ここで言っているのはそういうレベルではなくて、言ってみれば、国会は、知る責任を持っている。

 重要な問題について、知って、行政が適正に運用されているかどうか、運用されているのであればそれを可とするし、問題があるのであればそれについて意見を述べるということのために国民にかわって知る権利を行使するということは、知りたいから知るというものではなくて、知る責任、それを管理する責任、秘匿する責任ということを全部ひっくるめて引き受けることによって、行政の側から秘匿性の高い情報も出てくるし、議員の側も活発な議論ができて、一定の成果をもたらすことができるというのが私の考えであります。

 ありがとうございました。

三木参考人 簡潔にお答えしたいと思います。

 私自身は、国会御自身が公益とは何かということを真摯に追求されることが監視機関としての役割であると思いますし、それから、秘密は、見たいから見るということではなくて、やはり、公益を追求するために必要であるということを、多くの人に理解していただけるように活動していただくということが非常に重要だと思います。

 そういう中を通じて、政府と国会の信頼関係とか適度な緊張関係、国会審議の独立性というものが必ず出てくるのではないかと思いますので、そこをよくお願いしたいというふうに思います。

あべ委員 時間になりましたので、終わります。

逢沢委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 本日は、参考人の皆さんにおかれましては、お忙しい中、突然のお声かけにもかかわらず御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 昨年、特定秘密保護法案の審議からずっと携わっておりまして、もともと、特定秘密保護法案、前は、この秘密保護法制については野田政権のときに検討を指示したという経緯がありまして、昨年出てきた特定秘密保護法案を見たときに、若干、私としてはどうしてかなと思った点がありまして、そこは、私たち国会議員を処罰するのに閣法で出したケースはなかったはずだなと思ったんです。

 私たち国会議員を処罰する法律を内閣提出の法案として出したケースは、私の記憶だと戦後なかったのかなと思って調べてみたところ、公職選挙法あるいは政治資金規正法、もう一つが、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律、全て、もともとは議員立法で出ておりまして、その後は、内閣から、修正案が政府から出されることはあるんですけれども、原点はここだと思っています。

 この秘密保護法制というのは、今回、与党案が提出されておりますけれども、それだけではなくて、一つの秘密の保護法制として緊張感を持てるものがあるかどうかだと思っているんです。

 もともと国民主権というのは、私の理解ですと、国民一人一人が日本国のオーナーだ。国民一人一人が日本国のオーナーなので、国が持っている情報は国民の情報だという原則があって、ただ、安全保障とか外交上見せられないという情報もありますから、そこは限って、しっかり管理しようというのが秘密保護法制です。

 ですから、要は、新しく秘密保護法制をつくるのでしたら、できるだけ秘密を縛るという法律をまず出すこと。

 昨年、私たちは、特別安全保障秘密適正管理法といって、対案を出させていただいた。プラス、もちろん、国民の知る権利ですから情報公開法の改正案。その後、公文書管理法の改正案。そして、国会における監視機関と政府における監視機関がありますから、政府における監視機関も、情報適正管理委員会設置法案、これは政府。そして、国会法の改正案。国会法の改正案というのは、仕組みとしてではなくて、国会法の一〇四条のインフラを整備するという観点で出させていただいておるんです。

 こういうパッケージで出さないと、個々に議論したとしても、それは全体としてどうかと言われたときの、立法府と行政府の緊張感、国民の知る権利と秘密保護の観点の緊張感、これが必要だと思っています。

 先ほど清水先生から、要は議員の処罰についての御発言があったかと思うんですけれども、その点について、ぜひお考えを詳しく伺えればなと思いますので、よろしくお願いいたします。

清水参考人 お答えさせていただきます。

 情報を管理する上で罰則がどれほど有効かということを考えてみますと、私は、ほとんど機能しないのではないかというふうに考えています。

 それは、処罰を重くすれば、それに比例して情報漏えいがなくなる、あるいは改ざんや滅失がなくなるという問題ではなくて、管理レベルをどこまで上げることができるかという、日常的な管理を上げることの方が最優先になります。

 捜査が入ってしまいますと、その間に、証拠保全のためにそのシステムをそのまま維持しなければいけない。漏えいしていれば、それを漏えいのままにしてしまうのか。それを変えてしまうと証拠隠滅になるのか。これは、捜査をする場合にどうなるかということまで考えてやらないと、企業活動においてもそれから行政活動においても非常に大きな支障があります。

 要は、それぞれ情報を管理するその場所にいる者の一番の弱点は何かということを考えた方が効率的なわけであります。

 役人について言えば、やはりそれは、降格人事であったり左遷であったりということが一番効果があるわけであります。それから、民間の職員であれば、それは、解雇するというところに典型的にあらわれます。

 つまり、自分の生活がかかっている、将来がかかっているというところについて人間は一番ウイークポイントを持っているわけでありまして、処罰というものは、外にばれない場合というのが非常に多くあります。また、幾人もの人間がかかわっている場合には、責任を転嫁するということが起こります。上司が部下に責任を転嫁するということは、組織的な問題がある場合には、よく起こることであります。

 むしろ、航空機事故の事故調査委員会のようなやり方が非常に正しいのでありまして、とにかく原因を早急に解明し、再発を防止する、それでレベルを上げていくというのが情報管理の場合にも基本的なやり方でありまして、罰則を重くすれば国会議員でも誰でもそれを恐れてやらなくなるだろうというのは、私はやはり、制度設計としては問題があるだろうと思います。

 特に、国会が、監視する立場でありながら、そういったことをみずから、言ってみれば自分の議員活動を制限するようなことになるというのは、非常に問題があるかなというふうには考えています。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 もしも私が政府側にいてこういう法案を出すときには、国会議員の処罰の規定は外したと思います。これは議会の自治に任せた方がいいと思うからなんです。

 ですから、今回、今の与党案が通れば、そこは、懲罰ということを、これは一番重い規定です、私たちにとって議員の権限を剥奪されるということは一番重いことですから、そちらに委ねた方がいいと思っているんです。

 ですから、そこの、先ほど先生がおっしゃった、現行の法、もう成立していますから、その部分の国会議員に対する罰則規定というのは、私は見直すべきだなとは思っています。

 もう一つ伺いたいのは、百四条の改正案。

 今の、現行の百四条でも、要は、政府が宣言すれば出さなくてもいい。これは戦後ほとんど使われたことはありません、これまでは、そういう宣言は。

 ただ、行政と立法府との緊張感を持たせるために、もう一歩、今回は、議長、副議長が、これは三権の長で、相当の経験を持たれた方がそこに座られる、つかれるわけですから、その方が、その政府の情報について、見て、それについて、要は、秘密会などに公開するのか、あるいは、政府側の理由説明が正しければ、それは出さなくていいよという権限を持たせようかなという改正案を出しているんですけれども、その点についてのお二人の意見を、もう時間がありませんので手短に伺えればと思います。清水さんと三木さんからお願いいたします。

清水参考人 考え方としてはおもしろいと思うんですけれども、なかなか実務的には難しいところがあるかなと。

 その百四条につきましては、おっしゃるとおり、非常に漠然とした規定になっていますから、やはり、もっと絞り込む規定の仕方を。民主党の案にあるような限定の仕方もあるでしょう。しかし、それだけで済むかというと、確かに、まだ余地はあるかと思います。

 ただ、基本的には、絞り込んでいくというふうにしていかないと、結局は、宣言すればいいんだろう、声明を出せばいいんだろうということになってしまうといけませんので、そこは、この審査会とうまく連携をしつつ、国会の秘密会には出てくるようにする。場合によったら、それは国会議員全員で共有できるような、そういうつながり方になるような百四条の改正は必要かと思います。

三木参考人 簡単にお答えしたいと思います。

 確かに、国会と政府の間の信頼関係のような問題というのはどこかであるとは思うんですが、ただ、今回の法案の中には、保護措置を講ずるということで、かなり明確に、どのような保護をするのかということが特定秘密の取り扱いに関しては定められるということでありますので、その前提のもとにどこまで情報を出せるのかということは、これは、従来の国政調査権の中で行われていたものとは少し別枠で考えていただくのがよろしいのではないかというふうに考えております。

 一定の保護措置を制度上定め、それを遵守するという前提で国会において監視活動が行われるということでありますから、そこは、それを信頼するという前提で、よほどの支障があるという特殊な事情というものを明確にした上で政府は必要な場合に拒否をするということが、一番望ましいのではないかなと思っております。

大島(敦)委員 終わります。

逢沢委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 維新の会の丸山穂高でございます。

 本日は、いただいた時間が十分ということで大変短うございますので、早速質問に入らせていただきます。

 本日は、お忙しいところ、本当に、参考人の皆様、貴重な意見をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の与党案に対しまして、野党の方で対案という形で出させていただいておりますので、そこの違いについて、少し専門的な観点からお伺いしたいなと思っているところがございます。

 与党案と野党案の最大の違いは、政府によって情報提供をされない、情報提供を拒否する場合に、どういう条件でできるかというところだと私は思っております。

 与党案であれば、安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある場合ということでございますが、野党案でありましたらかなり限定的で、恐らく野党案の方が政府から情報が出やすいんだというふうな理解だと思いますけれども、第三者に提供しないことを条件に他国から入手した情報や人的情報源に関する情報に関しては出さなくてもよいけれどもということでございます。

 このあたり、場合分けをするとすれば、与党案でも提出されるもの、恐らく、安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないものがまず一つありまして、二つ目が、与党案では提出されないけれども野党案では提出される可能性があるもの、恐らく、安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあるけれども、第三者に提供しないことを条件に他国から入手した情報や人的情報源に関する情報ではないものが当たるのではないかと考えられる、そして三つ目が、野党案でも出てこない、もうこれは明確でございまして、先ほどの第三者の情報と、そして人的情報源の情報だと思います。

 一方で、第三者の情報や人的情報に当たりながらも安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがない場合もあるのかもしれませんが、このあたりがどうなるのかがちょっとわからないところなので、森本参考人にお伺いしたいんですけれども。

 防衛省にいらっしゃって、外務省にもいらっしゃって、そして最後には大臣もおやりになっておりますので、このあたりの場合分け、与党案でも提出されるもの、そして、与党案では提出されないけれども野党案では提出される可能性があるもの、具体的な事例を挙げていただければ大変わかりやすいんですが、このあたりにつきましてのお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

森本参考人 御質問の趣旨はよくわかりますけれども、これを具体的に例を挙げろというのは、少し難しゅうございます。

 といいますのは、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすというのは、まさにそのとき、その安全保障環境の中で個別具体的な高度な判断が必要なので、だからこういう表現になっているわけで、あらかじめこれを具体的に挙げろというのは、少し事柄の性格として無理なのではないかと思います。

 他方、第三者に提供しないことを条件に入手した情報あるいは人的情報源といいますけれども、これも正確に言うと、その情報が例えば第三者に提供しないことを条件に入手した情報などということがわかるような情報の提供の仕方というのはなかなか難しゅうございますし、人的情報源というのは、これは原則的に誰から情報が入ってきたかということであって、情報の中身を議論しているわけではないので、人的情報源を言ってみたところで情報の中身が説明できるわけではない。

 したがって、この二つの条件に限定するというのは、これでむしろ情報が出やすいと考えるのは必ずしも現実的ではないのではないかなというふうに思います。

丸山委員 貴重な御意見、ありがとうございます。

 非常に難しい問題で、でも、恐らく一番重要な問題で、一番議論しなければいけないところなんだと私は思っております。

 昨年末の特定秘密保護法案のときにも審議に何度も立たせていただきまして、ここのところ、なかなか判断しにくいのも十分わかりますし、もともとの必要性も、私は野党でございますけれども、十分に感じておりますので、そのあたりを追及することはしないようにしようと思っていました。

 ただ、一方で、先ほどの参考人のお話からもありましたように、この秘密の範囲というのは非常に広がりやすく、なおかつ、著しい支障を及ぼすおそれがあると判断するのは持っている方ですから、そうすると、全てのことに対しておそれがあると言ってしまえば、誰もそれに対して反証の反論もすることができないという、では、この審査会は何のために意味があるのかということにもつながりかねない、非常に大事な問題だと思います。

 時間がございませんので、もう一つ参考人の皆さんの御意見を伺いたい点が、先ほど少しお話がありました、清水参考人だったと思うんですけれども、審査会の人数のお話でございます。

 八名ということで、一方、秘密という性質を考えれば、少なくなければならないのは理解するんですが、例えば現在の議会構成を考えますと、恐らく、与党である自民党さん、公明党さんで五、六名、六名前後は占められて、つまり、残り二名前後、下手すると一名か二名かの野党の議員が入ってということになると思います。

 こうした中で、その一人か二人か、二人前後の野党の議員で、果たしてきちんと審査会の機能を果たせるのかどうか。そして、かなりの負担があるんじゃないか。また、ころころかわってしまうようでは、先ほど議事録の話もありましたけれども、議事録も恐らく特定秘密に指定されるぐらいの情報で、管理が難しい問題でございますけれども。

 この辺、審査会の意義という意味では、何の秘密を提供されるのかという点と、もう一つ、メンバーの人数というのは非常に大事なところだと私は考えているんですが、清水参考人、先ほどお話ございましたので、もう少しこのあたり、詳しく御説明いただけますでしょうか。

清水参考人 この八人という人数構成が非常に少ないと感じたのは、まず、私は、ここの審査会には秘匿性の高い情報がかなり来るというふうに考えています。先ほど来出ているその「おそれ」というものは、つまり、情報が漏えいしないため、さまざまな、漏れないための条件設定がされないような環境の中では漏れるおそれがあるということが言えると思うんですけれども、条件をかなり厳しく限定していくと、そのおそれは低くなっていきますから、理論的にではありますけれども、秘匿性の高いものでも出せよということは、かなり言えるのではないかと思います、議会の側としては。

 その場合、私が考えているのは、指定解除権とかがあるかないかではなくて、むしろ、この閉ざされた審査会の中でどれほど意味のある議論をするかどうかということなんだろうと思います。それは、結論が出ないまでも、そこで議論すること自体が、そこの議員たちにとって、行政秘密情報に関する認識レベルを高めるということです。議員のレベルを高めるということです。

 ですので、私は、与党の側の人数構成をふやすのは、これは当然だと思いますけれども、野党の方の議員も入って、全員が同じように宣誓をして、公共とは何かという観点からこの秘密情報について議論するということで十分に意味があると思いますので、その意味では、八人ではなくて、この倍の人数、十五、六人から二十人というような人数があって、ごくごく少数の政党は無理としても、一定の会派人数のいる野党は参加できるような形がいいのかなというふうに考えています。

丸山委員 非常に重要な御意見、ありがとうございます。私も非常に同意させていただきます。

 人数を考えれば、四百八十人なので、七十人ぐらいいないと一人出せないということにもなりかねないので、そういった意味では、非常に、人数の点というのはまだまだ検討の余地があるんじゃないかと私自身は思っているところでございます。

 その一人、二人に選ばれた議員は、ほかの議員にもなかなか相談をしにくい範囲でございますし、やはり、その審査会のメンバーの中での話し合いということがメーンになってきますので、この人数が、例えば野党側が二人ということであれば、非常に話がしづらいですし、その後の展開も審議不十分な状況になりかねないと思いますので、この点、今後、午後も審議があると思いますが、恐らく同僚の議員からお話があると思いますけれども、しっかりこのあたり、国会の責務としまして、国会のあり方、非常に大事な部分でございますので、議論していくことをお約束しまして、本当に短い時間で、まだまだお伺いしたいことがあるんですけれども、これで私の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様、本当に示唆に富む御意見をいただきまして、ありがとうございました。私、十分ずつ聞いている限りでも非常に勉強になりまして、目からうろこの部分もございまして、本当に勉強させていただきまして、改めて感謝を申し上げます。

 先ほど永野参考人の方から、サードパーティールール、人的情報源のお話がありまして、与党案、野党案でも、ここだけに絞るべきか云々がございます。

 しかし、私は、一回生議員でございまして、サードパーティールールというものに対する理解を、この審議を通じて少しずつ深めてきた人間でございます。国会の中でも、まだこのサードパーティールールというものについて正確に認識ができていないかもしれないなというふうに私は感じております。

 サードパーティールール、いわゆる情報のやりとりをするときに当事者以外の第三者には提供しないという国際慣行ということなんですが、実際に今行われておりますこのサードパーティーの運用状況、例えば、相手国の第三国、どういう国とのやりとりかさえも出せないような運用なのか。言ってみますと、例えば、疎明させるときに、これは某国とのいわゆる秘密でございます、それ以上は言えませんといったこと自体も、国際慣行上、そういったものは非常にまずくなるのか。そのあたりを、御経験に基づいて、国際法上行われていますサードパーティールールの運用の状況について、詳しく御意見をいただければと思っております。

永野参考人 御質問でございますが、私は、インテリジェンスの経験は一切ありませんで、将来的にもかかわりたくないと思っております。私は、あくまでも法律理論屋であります。

 それで、先生御指摘のサードパーティールールでございますが、専門書等におきましては、例えば、他国から提供を受けたインテリジェンスを提供元の承諾なく勝手に別の第三者に提供してはならないということで、恐らく、どこから提供されたのかということも、場合によっては秘匿しなければならないと思います。

 これは、条約とかではない、あくまでもインテリジェンスの世界の中の暗黙の慣行のようなものだと思いますので、そこの具体的な運用は全く経験がないので、残念ですが、お答えすることはできません。

 以上でございます。

浜地委員 それではと言っては申しわけないですが、森本参考人に同じ質問を。

森本参考人 サードパーティールールの定義といいますか考え方は、今、御説明あったとおりであります。

 原則、情報機関相互の情報交換を行うときに、その交換した情報の中身は第三国、第三者に漏らすことはしない。これは、慣行であり常識であります。

 この場合、原則、情報機関ですから、例えば国会議員の皆様が他の国の議員とお話しになって、特にこういうことはほかの国におっしゃらないでくださいと前置きをして相手から話されたとき、これはサードパーティールールではないんです。

 つまり、あくまで、例えば皆様が先進国の情報機関の中に入って情報のブリーフィングを受けるとき、この中身は、いかなる内容であれ、引用したり、あるいはどこの国でブリーフィングを受けたかということさえも、中身はともかく、相手の国でさえ、もちろん情報機関の名前でさえ、これは一切他に漏らさない、これが情報機関のルールで、だからこそ情報交換というのが、ルールができ上がっていて、特に同盟国や友好国との関係において、これがきちっと守られているということが情報交換の信頼性につながっているということです。

 日々、私は海外の大使館にいて、ほとんど朝から晩まで情報交換をするんですが、電報はもちろん「秘」以上の電報を打ってしまうんですけれども、そこには相手の国、内容等書いてありますが、それは一切、その他のところに、本人に断りなしに、原則そういう情報は第三者に与えるというか供与するということはあり得ないという前提で情報交換をするというルールになっていると理解していただければよいと思います。

浜地委員 具体的なイメージといいますか、それが大変理解できました。ありがとうございます。

 それで、四人の参考人の御意見を聞いておりまして、いわゆる国民の知る権利とこの秘密保護法というのはトレードオフにある関係だというふうにステレオタイプの議論がされるんですけれども、そうはいっても、四人の参考人の皆さんの共通課題は、何でも知る権利ではないんだ、どうしても知らなきゃいけない理由をきちっと国会側も開示しながらやっていくことが大事である、知る権利の中の、知る情報の選別化といいますか、そういったものが大事だということで、共通の御意見をいただいたというのも、非常に私は参考になりました。

 その上で、そういった四人の参考人の皆様だからこそ、逆に、特定秘密の監視機関ということで国会では審議ができるような道が今開かれようとしておりますけれども、そのほかの、いわゆる情報公開制度やまたは公文書管理法等について、いわゆる監視機関以外のところでどういったところが今の我が国にとって足りないのか、それは当然、全てを知るというわけではなく、本当の意味で必要な情報を国民が知るという意味での制度としてどのあたりが不足をしていると感じられるのかを、四人の参考人にお聞かせいただければと思っております。順番にお願いします。

逢沢委員長 それぞれ簡潔にお願いいたします。

森本参考人 一言で言うと、特定秘密と指定されている情報をなぜ入手しなければならないのかという、単に知りたいから知るというのではなく、知る目的というのが、自分の機関あるいは組織にとっていかなる理由で必要か、結果としてそれがどのように活用されるかということがきちっとわかるような情報の要求というものがなされるかどうか。単に、あれも知りたい、これも知りたい、これも持ってこい、あれも持ってこい、しかし何もしない、そういうのでは、恐らく誰も協力しないし、誰も提供しないということだと思うんです。

 提供されるものの目的と背景が真にその組織にとって重要かどうか、それが国民全体の利益にはね返ってくるかどうか、それが一番重要なクライテリアなのではないかと思います。

永野参考人 お答えいたします。

 これは恐らく将来の課題だと思うのですが、内部告発です。

 内部告発者、特にインテリジェンス関係の方からの内部告発者制度というのは、米国でも一般法としての内部告発者保護法の範囲から外れております。

 これに対して、軍及び情報関係者に対する特別法が制定され、また、オバマ大統領も、インテリジェンス関係者に対する大統領政策指令、また、国防授権法で従来カバーされていなかったインテリジェンス機関の下請に当たる方々に対する制度等も次々努力がなされているわけですが、私がこれまで研究したところ、それほどうまく機能しているとは考えておりません。

 あれだけ努力されて、本当に難しいところでありますので、今回、性急にこの問題を立法化するよりも、今後どういう形で内部告発者保護法を、インテリジェンス、特に外交、防衛とか公安等に関するものをつくっていったらいいのかは、時間をかけて議論していただければありがたいというふうに考えております。

 以上でございます。

清水参考人 私は、公文書管理法の全面的な見直しが必要だろうと考えています。

 と申しますのは、日本では二〇一一年に初めて公文書管理法が施行されたわけですけれども、ここの基本的な情報が紙情報になっています。しかし、実際には電子データで扱っている部分が非常に多いわけですから、これに十分配慮した規定にする必要がありますし、やがては国民に見せていくんだという姿勢が今の公文書管理法には非常に弱いので、そういった部分も変えていく必要があります。

 それと、情報公開法の非開示事由の部分の解釈、運用というのが、審査会においても裁判所においても、先ほど三木さんが示しましたような、あれが日本の裁判所、審査会の実情ですから、ここの公開度を上げていかないと、特定秘密を国会で審査するはずのものが、本当はずっとレベルの低いものしか見せてもらえないということにもなりかねません。

 国民が一定のものを見る中で、国民にはおよそ見ることができないような秘匿性の高いものを国会が審査するというような仕組みにしていくためには、公開度をさらに高めるための情報公開法の改正が必要だと思っています。

三木参考人 情報公開というのは、総体として政府として広げていかないと、局地的にやっても余り信頼されないという問題がございます。

 そういうことを考えますと、情報公開法は、先ほどお示ししましたように、実は新聞記事も部分公開になってしまうという規定があるということもございますので、いかに不必要な非公開を減らすかということで、非公開規定ですとか、それから、市民がもっと使いやすいという形に制度を改正していく必要性は非常にあると思います。

 先ほど時間がなくて言及ができなかったのですが、お配りした資料の四ページに、オープン・ガバメント・パートナーシップというものを少し載せさせていただきました。これは国際的なプラットホームで、政府レベルでいうと、六十四カ国が今加入しているものでございます。

 これは、開かれた政府を、政府間のパートナーシップ、それから、国内においては政府と市民社会の対話とパートナーシップ、そして、国際社会における市民社会同士のパートナーシップという中で、全体的に公開性、透明性を上げていこうという取り組みをしております。日本はまだ入っておりません。

 こういうものを通じて、情報公開を進めるプラットホームを国際社会の中でもつくり、そして、国内でもそういうものをつくっていくということを、ぜひ率先して日本でもやっていただきたいというふうに考えております。

浜地委員 ありがとうございました。

 終わります。

逢沢委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一と申します。

 最初に、三木参考人に質問させていただきたいと思います。

 三木参考人から、公益通報の制度が国会でも、この法案でも必要だというお考えがありました。

 実は、みんなの党も、国会における情報監視委員会という法案をつくったんですが、議員数が少なくて国会に提出できず、残念な結果になっているんですけれども、そこで、今の与党案との一番大きな違いは、内部告発、あるいは内部告発に限らず、一般の市民やNPOからの通報の窓口を議会に置くべきだということを我が党の法案では定めておりました。

 そういったことをアメリカの議会もやっているという話がありました。そういった観点も踏まえて、先ほど簡単に御説明いただきましたが、より詳しく、議会にそういった公益通報の窓口をつくるのであれば、今の与党案のどこをどう変えればいいのか、お考えを聞きたいと思います。

三木参考人 御質問ありがとうございます。

 公益通報は非常に重要だと思っております。先ほど永野参考人からもお話がございましたが、アメリカは、インテリジェンスコミュニティーの公益通報者保護制度というものが法律としてございますけれども、実は余りうまく機能していないということは、先ほど参考人がおっしゃられたとおりでございます。

 スノーデンという方がおられますけれども、大規模監視機能について彼を通じてたくさん情報が出てきましたが、あれも、過去のインテリジェンスコミュニティーの内部告発者保護制度が機能していなかった結果、議会ではなくて、直接外に出てしまったというふうに説明をされる方がアメリカでもおられました。

 要は、何が公益かということを誰が判断するのかということが実はとても重要であるというふうに、その話を聞いて理解をいたしました。

 公益通報者保護について、現在の国会法の中でどのように取り上げればいいのかということを具体的に今お示しすることが難しいんですけれども、少なくとも、特定秘密について何か問題があったときに法的に安全に国会に通報できるという法的根拠はどこかでつくらないといけないだろうというふうに思います。

 今のままですと、国会議員に対する通報も、それから国会の事務局に対する通報も、これも全て情報漏えいの範疇に入ってしまうということであります。

 特定秘密保護法を直すのか、それとも国会法を直すのか、それとも特別の立法が必要なのかというのは幾つかの選択がございますが、とにかく重要なのは、法的に安全な通報ルートを確立するということであると思いますので、そのことをぜひ実現していただけると大変ありがたいと思います。

山内委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。

 それでは、森本参考人に、今の質問を踏まえて質問したいと思います。

 実は、我が党で、内部通報、特にインテリジェンスに関する行政機関の職員の内部告発を受け付ける窓口をつくるのが重要だと思ったのは、やはりスノーデン事件なんですね。ああいう事件が起きたせいで、アメリカの外交上の国益はかなり損なわれたと思います。逆に、ちゃんとした内部通報の受付窓口があれば、スノーデンも、いきなりメディアに暴露するんじゃなくて、内部できっちりとしかるべきところに相談していたんじゃないかなという気もいたします。

 そういった意味では、防衛省、外務省の経験の豊富な森本参考人から見て、どういう行政機関の内部通報あるいは公益通報の仕組みを整備していくことが有益とお考えでしょうか。

森本参考人 国民の生の声を聞き、その手段として内部通報という制度があってもよいと思いますが、その内部通報なるものの真偽のほどを確認し、適正なものであるかどうかということを評価し、それも、余り長くかからず、かつ、人命や国家の安全保障に重大な影響を与えるようなものであればなるべく短い時間に評価、分析をしなければならないんですが、そのようなトータルな機関あるいはヒューマンリソースというものをどこにつくって、どのような法律で運用していくかというのは、これはなかなか難しくて、我々、今後の課題だと思うんです。ある特定の役所に置くとか、全ての役所に置くというのは、必ずしも正しくないかもしれないと思います。

 といいますのは、それぞれの機構とか役所とかというのは特殊な機能を持っていて、つまり、ある仕事をやっているときに、その仕事に必要な情報がどこから入ってくるかということさえも実はその組織にとっては致命的な意味を持っている場合があるわけで、それを単に個人的な理由で通報するということをやって、それが国として真に意味のあるものであるかどうかということを判断する客観的な判断基準と判断を行う組織をつくるということになると、これはトータルでいうと、立法府につくるのか、あるいは行政府、内閣、総理府につくるのかわかりませんけれども、そのつくり方そのものは、よほど慎重に、かつトータルな国の機能として考えるというか検討する必要がある。

 余り軽々にこの組織をつくってそれを動かすということは、私は慎重にしなければならないのではないか、かように考えているわけです。

山内委員 あと三分になりましたので恐らく最後の質問になりますが、それでは永野参考人に聞きたいと思います。

 情報監視審査会、委員の数が、今、与党案で八人です。清水参考人が八人は少ないとおっしゃっておりましたけれども、私も八人は少ないなと思います。

 人数はもう少しふやす方向で検討していただきたいとは思っておりますが、仮に八人だとすると、この八人、非常に難しい仕事だと思います。相当な見識が求められ、かつ、余り派手に目立つ仕事でもありません。しかも、情報漏えいしたときは罰則、懲罰の対象になりますから、責任は重くて義務は重い。ある意味、割に合わない仕事だと思います。

 イギリス議会の情報保安委員会は、外務大臣とか防衛大臣を経験した非常に重鎮が委員に選ばれておりました。イギリスの議会はたしか九人だったと記憶しております。

 そういう意味で、日本でも仮にこの審査会ができたら、恐らく、自民党のよっぽどの方が出てこないと、委員になれないと思います。どういう方が委員になるべきか、その適性あるいは資格についてどのようにお考えでしょうか。

永野参考人 お答えいたします。

 まず、人数の点で、各会派の先生方を全て取り込むためにふやすというのは、私は現実的ではないと思っております。人数をふやせばそれだけ機密漏えいの可能性も広がるわけでございます。

 ニード・ツー・ノウ、知る必要性というものを国会の組織の中でどういうふうに担保すべきなのかという問題と、会派とのバランスだと思います。

 先生御指摘のとおり、イギリス九名、ドイツ下院九名です。

 アメリカの場合には、まず、機密解除とか指定等の審査をしておりません。アメリカのインテリジェンス機関の予算は年間約七兆円でありまして、これだけのインテリジェンス機関の活動をチェックするために、上院十五名、下院で二十一名、これは会期によっては多少人数は変動いたしますが、委員が選出されております。特定の職で、もうその職についたらここに入るという方もいらっしゃるわけですが、長年インテリジェンス特別委員会に所属されている議員の方とルーチンでかわっていく方もおります。

 もちろん一定の知識はあった方がいいわけでありまして、実は、上院なり下院の新任の情報特別委員が任命されますと、マスコミが、スンニ派とシーア派との違いを知っていますかとかいろいろ、本当にこの人は国際情勢のことをわかっているのかという意地悪な質問をして回ります。

 ですから、もちろん最初から御見識があった方がいいことはいいのかもしれませんが、なってから新たに我が国の安全保障に対して真摯に勉強してくださるということで、特に、先生がおっしゃったような何らかの資格とかいうものは必要ないというふうに考えております。

 以上でございます。

山内委員 時間が終わりましたので、終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 次に、畠中光成君。

畠中委員 結いの党の畠中光成です。

 本日は、四名の参考人の皆様、お忙しい中、ありがとうございます。

 昨年、特定秘密保護法が成立しまして、同時に、この監視のあり方というのが非常に重要な意味を持ちまして、今審議しているわけでございます。

 特に、国会による監視というのは、私どもは今、野党の立場ではありますけれども、野党にとって非常に大きな意味合いを持つものだというふうに考えております。

 委員の構成とか選任方法、こういったところにはさまざまな議論はあるわけでございますけれども、野党国会議員が特定秘密に触れることができるということは、外交や安全保障の現実に野党の時代から触れることができる、こういう意味合いというのは非常に大きなものだと思っています。

 諸外国の例を見ても、こういった国会によるオーバーサイト機関ができたことによって野党のあり方に大きな刺激を与えたというふうにも聞いております。

 そこで、結いの党というのは野党再編を掲げている政党であるという立場から、こういった質問も。

 ぜひ参考人の皆様にアドバイスも含めてお聞かせいただきたいわけでございますけれども、国会の監視による、野党に期待すること、野党の立場に対して期待することというのはどういったものがあるかということを、四名の皆様、簡潔にお聞かせいただけますでしょうか。

森本参考人 基本的には、国会における野党が、国会の活動の中で、政府がこの法律を運用する際、政府が行っている特定秘密の指定あるいは解除、あるいは公開のやり方、あるいは管理の仕方、審査の仕方など、適切な運用をやっているかどうかということを立法府としてトータルに見ていただく、もうその一言に尽きるんです。

 尽きるんですけれども、それは余りに抽象的なことなので、私は、やはり野党として一番重要なことは、国民の知る権利と国が持っている情報の管理、どのようなバランスをとっているかということを、常にできるだけ客観的に評価しながら、与党並びに政府に対して助言や勧告を遠慮なく申し立てていただく、そのことにあるのではないか、このように考えています。

永野参考人 お答えいたします。

 大きく言って、二点ございます。

 一点目は、我が国では、特定秘密保護法が制定されて初めて、機密を解除して国民にその情報を知らせることが可能となりました。

 政府も、国家安全保障上にいろいろ支障が生じるおそれがあるので機密解除が慎重になることは当然なんですけれども、野党の先生方及びマスコミの方々が、この情報はもう出てもいいだろうということを厳しく指摘していただくということです。政府の方も、アメリカと比べると何十年も機密解除の制度が、発足がおくれてしまっていますから、それを取り返すためにも、機密解除に関する指摘をしてくださればありがたいというふうに思っております。

 それから、もう一点は、この改正法の検討事項で、「海外の情報を収集することを目的とする行政機関が設置される場合」と、つまり、外国のインテリジェンス機関が将来創設されることを前提にこの附則の項目が入っていると思います。

 何かインテリジェンス機関というと怖い機関のような誤解がある。あるいは、そういうイメージに基づかないで、そのような海外における情報収集が我が国の安全保障及び国民の生命財産を保護するという基本的な理解のもとで、野党の先生方にも今後御検討いただければありがたいと思っております。

 以上でございます。

清水参考人 私は、先ほども申し上げましたように、与党、野党ということよりも、まずは、国会と官僚、国会と行政ということでその場に臨んでいただきたいと思います。

 ですが、平場に戻れば、与党と野党の関係の対立構造は、それはそれであります。その場合にも、やはり国会議員集団として特定の情報について議論する、それも、外に出ない形でとことん議論するということができることによって、野党の方の与党に対する姿勢というか、批判の仕方のレベルは違ってくる、内容が違ってくると思います。

 今現在でも、率直に申し上げまして、与党と野党では情報の落差があると私は思います。情報の落差というのが、その攻防の落差にもつながっているわけです。

 少なくも、この問題に関しては、与党、野党に情報の落差は生じないというところによって官僚に対する牽制をする。それがふだんの国政の中でも、野党の側がより深いところへの批判をしていくことによって、さらにもっと野党側に情報を出せということは、ふだんの仕事の中にも反映するんじゃないかというふうに思います。

三木参考人 お答えします。

 審査会そのものは秘密会で行われるということでございますので、見えないところで御議論がされるということになります。

 国会における審議は、私たちに対していろいろな問題点を提示する大事な啓発の場でもあるというふうに考えておりますが、事秘密に関してはそれができないということになりますので、むしろ、ここは、党派対立そのものが持ち込まれることのマイナスが非常に大きいのではないかなと思っております。

 何が問題かということを知ることによって世論が支持をするとか、世論が理解をしていくというプロセスが、この特定秘密に関してはなかなかできないということであります。

 それを考えますと、やはり、少数であっても、仮に野党であっても、よりこの審査に具体的にコミットできるような、そういう仕組みをつくっていただく。例えば、特定秘密についての提出、提示については、少数であっても一定の人数であれば提出、提示を求められるような仕組みとかも、本当は御検討いただきたいというふうに思っているところであります。

 そういう意味では、野党の立場からしては、この審査会そのもので野党の活動そのものが公益のようなものを体現していくというところで、ぜひ御努力いただけると大変ありがたいなと思っております。

 以上でございます。

畠中委員 ありがとうございます。

 この監視について、大きく、一つはマスコミによる監視、それから行政による監視、そして今議論している国会による監視とあって、それぞれが多重的に監視していくことが重要だと思っているんですが、この国会による監視の特徴というのは、私は民主的統制にあると思っております。

 そういった観点からも、先ほど三木参考人から陳述いただきましたところでそのとおりだと思っているのが、すなわち、特定秘密だけを見ていても妥当性の判断には限界があって、特定秘密を生み出す政府活動そのものの監視が必要ではないかということをおっしゃっていただいている。

 すなわち、国会による監視が一番得意とする分野というのは、秘密情報そのものの監視よりも行政機関に対する監視じゃないかというふうに私は考えるわけでございますが、今回の法案でそういったところが十分にできるのかというところについて、では、時間も限られておりますので、永野参考人と清水参考人から印象をお聞かせいただけますでしょうか。

永野参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の行政機関に対する国会のチェックというのは、この法案に限らず、国会議員の先生方が、予算委員会初め多くの委員会で既に厳しいチェック機能を果たされていると思います。

 私は、この法律は、あくまでも国の特定秘密を行政機関と立法機関の中でどうやってバランスをとってチェックするのかという、ぎりぎりのバランスをとったすばらしいものであると考えております。

 ですから、今回の法律の議論については、もう既に先生方が一般の行政機関の活動に関するチェックはされているので、私個人としては、先生はこれはまだ問題だという点も多々おありになるとは思いますが、この法律はそこに焦点を当てたものではないというふうに考えております。

 以上でございます。

清水参考人 制度というものは、それ自体でどれだけ効果を発揮するかということは何とも言えないのでありまして、実に地味な法律が偉大な効果を発揮することもあれば、非常に大きくつくったはずの制度がほとんど機能しない。私から見ると、情報公開法というのは、まだまだ機能していない分野だろうと思っています。

 今回つくった制度について言いますと、これをどう育てていくかというのは、国会、国会議員の力量の問題でありまして、つまり、自分たちでこの仕組みは変えていく、育てていくということはできるわけですし、そのときに、国際的な信頼関係、国民に対する説明責任を行政に果たさせていくという中で国会がこの新たにつくった制度をどう使いこなしていくかということが課題なのでありまして、これをさらに補強していくために私たちが協力すべきことがあれば、協力させていただきたいと思います。

畠中委員 終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、大変お忙しい中、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 私どもは、特定秘密保護法については、国民の知る権利を奪うものであるということで反対をしてまいりましたし、現在、廃止を求めているところであります。

 特定秘密保護法第十条では、政府、行政機関は、国会に、秘密保全の措置をとった場合に特定秘密を提供することができる、こういうふうに規定されていて、今提案されている法案は、これに従って、国会の委員会や国会議員が特定秘密を漏らさないような厳格な秘密保全の体制をつくるという、そのためのものであります。

 考えてみますと、国会の第一の任務というのは、政府に対する監視であります。そのため、国会は国政調査権を保障されておりまして、公開を原則とし、議員は自由に発言し、質問する権利が保障されているわけです。そのもとで、政府に資料要求をして、政治行政の実態を国民に明らかにする。この自由を失ったら、国会は監視の任務を果たせなくなるわけであります。

 ところが、この法案を見ますと、常設の秘密会である情報監視審査会に対して情報を出すかどうか、これは最終的には政府が判断する、こういうことになります。

 仮に秘密の一部が開示されても、審査会は秘密会で、議事録は公開されない。委員ですら許可なく議事録を閲覧できない。こういう仕組みになっております。

 秘密会で秘密の提示を受けても、議員はその内容を国会の外に漏らせば刑罰に処せられるし、国会の質問で取り上げたら、これは懲罰の対象になって、最高、国会から除名処分まで受けかねない。こういうものなんですね。

 そういう秘密保全の仕組みのもとで秘密の開示を受けたその議員は、発言の自由を著しく制約される。私は、これは議員としてまともな活動ができなくなると思いますけれども、この点について、清水参考人と三木参考人に御意見を伺いたいと思います。

清水参考人 抽象的な考え方としては御指摘のとおりだと思いますが、現実的にというか実際的に考えてみると、では今まで秘匿性の高い情報はこの国に存在しなかったのかと考えると、恐らく存在しました。それは国会に開示されていたかというと、恐らく開示されていませんでした。それは、行政庁内部においてもどこにどのような秘密情報があるかということがきちんと管理されていたかと考えてみると、多分、知っている人は知っているけれども、知らない人は知らないというような、大臣クラスでさえそういう状況がこれまであったんだろうと思います。

 途中でも申し上げたように、まず、情報の管理というものがベースとして重要です。それをどういう形で引き出してくるかというのにさまざまな仕組みが必要でありまして、国民にとっては情報公開法がそれであります。

 国会については、国政調査権が憲法上規定されておりまして、国会法の百四条で規定されていますが、これが十分に機能していたかと考えてみると、私は、機能していなかったろうと思います。

 機能していない理由というのは、国会でその情報に迫るだけの攻防がなされていなかったということもあるかもしれませんが、何よりも、国会と官僚との間の不信感が私はあると思います。

 不信感というのは、情報が一定の範囲から漏えいすると、特に国際的ですね、国内的な政治のやりにくさの問題というのはおいておいても、国際的な信用の問題というのはやはり国政にはあるわけですから、そこを守りつつ国会の議論をいかに活発化するかということになると、とりあえずは、まず入り口の問題としては、官僚の側がこれは非常に秘匿性が高いんだと言うものについては、ではそれなりに厳格に見ましょうと。

 見たところが、これは秘匿性が高くないじゃないですかという議論になったら、そこで、これは指定解除してくださいよという働きかけ、そういう対話が可能になるかと思います。

 そういった対話がこれまで行われていなかったのではないかという意味では、今回の仕組みというのは一歩前進だと思います。

 それから、国会での質問とか外での議論ができなくなるのではないかという指摘ですけれども、私は、必ずしもそうは思っていません。

 と申しますのは、そのデータそのものは外に出すことはできません。あるいは、どこの議員がどういうことを言ったとか、それはだめだと思います。

 しかし、秘匿性というものを落として、秘密性がなくなる状態での情報に修正してしまうならば、それは、国会でそれを明らかにしろとか、あるいは外で話をするということも、一定可能だと思います。

 それをどこまで許容するかというのは、それぞれの秘密ごと、そのときの政治情勢で、そこの閉ざされたところできちんと議論していただいて、そこだけで議論して、およそ外へ出ないという環境ではないというふうに考えています。

三木参考人 お答えします。

 私は、先ほどの意見陳述でも冒頭で申し上げたとおり、特定秘密保護法というものが現に存在をしているという前提にこの状況ではもう立たざるを得ないというふうに考えておりますので、そうしますと、誰がチェックするのかということをやはり考えざるを得ないというふうに考えております。

 そうしたときに、一つが、国会の役割としてそれが望ましいのではないかという議論は、当然、自然な流れであるというふうに思っております。

 ただ、先ほど議員が御指摘のとおり、秘密保持というものが無謬的に許容されてしまうということになりますと、逆に、行政の秘密保持というものを無謬に認めるという構造にこれが陥ってしまうということになると思います。

 監視機関が設けられる一番大きなメリットは、無謬的に、安全保障上の利益と言った瞬間に秘密や非公開を全て妥当とするというのではなくて、本当にそれが公益にかなった秘密の保護なのか、非公開なのかということを追及していただくということだと思いますので、一定の秘密保持というもののもとにそれをしっかりチェックしていただくということは、それは国会としてやっていただく必要がどうしてもあるのかなと思っております。

 先ほどの清水参考人の意見とかぶりますけれども、そういうものを通じて、不必要な秘密指定や解除の遅滞がある場合は、むしろ解除の促進を国会としてしていただくことによって、情報を外に出していただく、あるいは多くの人がそれにアクセスできるようにしていただく。あるいは、例えば、公聴会のようなものを通じて具体的に安全保障部門の政府組織から意見を聞いて、そういうものを通じて一定の情報公開をしていくというようなことなどを積極的にやっていただくことが必要なのかなと思います。

 ただ、先ほど来から出ておりますけれども、議員に対しても特定秘密保護法は処罰の対象になり得るという構造になっている。この問題は、やはり少し重過ぎるというふうに思いますので、少し全体のバランスを見ながら、本来であれば修正というものを御検討いただく必要があるのかなというふうに思います。

佐々木(憲)委員 国会にこういう秘密会を常設しても、そこに政府の情報が出されるのか出されないのか、これは政府判断で決まってくる。これが今回の仕掛けですね。そうしますと、重要な情報を今まで以上に出すのか出さないのか、これは、政府が判断して出さないとなったら出てこないわけであります。

 したがって、これに対して、国民の前に、その開示要求をしていくということが明確に示されなければならない。今までは、それを各委員会の議決によって政府に要求し、できないならできないと、その理由を説明させていた。

 ところが、秘密会になりますと、これは、国会に出しますよと言うけれども、出した中身は、どういうものが出てきたのか、国民は知ることができないんです。それで、議員は漏らしちゃいけない、漏らすと処罰される、こういう仕掛けですので、これはかえってハードルを高くしてしまうんじゃないか、私はそういうふうに思っているところであります。

 従来もそれが十分にできていなかったということがありますので、私は、その上にこういうハードルをつくるということは、極めて問題が多いというふうに考えております。

 もう時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 最後に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。

 本日は、本当に急な中、またお忙しい中、大変参考になる御意見、参考になるお話をありがとうございました。

 本日伺わせていただいていて、私としては、大変驚いたのは、まずは、やはり三木参考人のお出しになった資料でございます。この五ページ目にあります、一般にもう出された新聞記事が黒塗りで出されるという、これが現実なんだなということ。

 また、これを拝見させていただいて実感したのは、一九四一年に起きました宮沢・レーン夫妻の軍機保護法においての違反冤罪事件であります。

 これも、北海道の根室の第一飛行場のことをレーン夫妻に話したとされて、学生が逮捕されたという冤罪事件であります。結果としては、数年前にもうこのこと自体は新聞に載っていて周知の事実だったにもかかわらず逮捕ができたという冤罪事件でございまして、そのことを少々思い出したことでもございます。本当にあってはならないことですし、その後、なぜ逮捕されたかということも家族にも知らされなかったという事例でもあります。

 そういう意味においては、先ほどから何度も出ておりますが、今回の法案、自公案に関しましても、また特定秘密保護法というのには、国会がやはりきちんとした行政への監視機能を持つべきであるという、三権分立の中において重要な役割を担っているにもかかわらず、懲罰など、除名も含めての箇所があるというのは大変重過ぎるのではないかという御意見もございました。

 この点に関しまして、まず清水参考人から御意見を聞かせていただければと思います。

清水参考人 国会議員に対するペナルティーの問題としましては、先ほども申し上げましたように、刑罰の方は、私は、立法としては問題があるかと思います。

 しかし、懲罰の方につきましては、最高は除名ですけれども、私たち弁護士も会内としてそういうような処分があるんですけれども、やはりそれは、重いことをしてしまった場合にはそこまでいくことが、地位を失うことがあるというのは、それなりに責任のある仕事をしている者として、私は、これは仕方がないことなんだろうと思います。

 しかし、仮に除名になったとしてもこれをやらなければいけないとなったときに、それは国民が圧倒的に支持するかどうかというところで国会議員としてはかけるべき問題でありまして、処分が軽く、守ってもらうことによってというのは、これはちょっと違うかなと。

 法律家としましては、やはり自分の地位を一番危うくするところにペナルティーを設定しておいて、しかし、それ以外の被害はなるべく少なくする。つまり、刑罰の方はないけれども、議員の中から、あなたは議員にふさわしくない、あるいは議員として襟を正しなさいというふうに言われるのは、これはあってしかるべきことではないかなというふうに私は考えています。

小宮山委員 きのう、日本弁護士会の方からの会長声明も出されております。「情報監視審査会は、秘密保護法上の特定秘密の指定等の運用を監視するために設置されるものとされているが、特定秘密の指定等の監視の在り方は、知る権利、ひいては国民主権に関わる重大な問題である」という声明が出ております。

 ただ、今、参考人の話もございましたけれども、やはり、国民が選んだ中で、また、先ほどたびたび出ておりますけれども、秘密というものが拡大されていくという危険の中で、本当にそれが特定秘密で重要な案件だったのかというのは、後世にならなければわからない。

 また、日本におきましては、公文書等に関しての情報公開、また、それを保管する義務というものが長年にわたってないということになりますと、後世においてもそれを検証する手段を失ってしまうのではないかという思いがしております。

 そういう中において、情報公開のあり方も大変重要かと思いますし、また、委員会におきましても、情報監視審査会が形骸化することも考えられるのではないか。年一回の政府からの特定秘密の指定及び解除並びに適性評価の実施の状況報告を聞くだけと。現在においても、特別委員会においては、審議する法案がなくなると、本当に、審査することもなくなるというのも現実にございます。

 特に、与党が多いということになりますと、委員会を開かないで済むということも実際の運用上考えられるんだと思います。

 この点に関しまして、三木参考人、そして永野参考人から御意見を聞かせていただければと思います。

三木参考人 お答えします。

 審査会については、開催も、それから調査審議についても、党派対立構造がそのまま持ち込まれるということが一番公益を損なう事態だというふうに考えております。

 少数であっても、少数者に対する配慮なり少数者の権限の擁護というものが、本来であれば、やはり審査会の枠組みの中にあってしかるべきなのではないか。それがあって初めて、秘密で行われている会議について、実際に多数かどうかというものを問わずに権限の行使を行い機能しているんだということを、私たちは初めてそういう仕組みを通じて理解ができるということがございますので、そこに対する、少数に対する配慮というものは、これを機能させるためには非常に重要なのではないかと思います。

永野参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘ではございますが、先ほど私も申し上げたとおり、国会の中で特定秘密等にかかわる行政運用の監視をするというのは、アメリカではやっていない相当踏み込んだ制度でありまして、確かに少数会派の方が入らないではないかという御懸念もあるかもしれませんが、余りにも人数を多くしてしまうと、機密漏えいのリスクが高まる。

 また、これだけ正式な制度をつくった以上、私は、実際担当される先生方を信用して、ぜひとも、これはもう機密解除していいんじゃないかとか、そういう運用をしていただけるというふうに期待しているところでございます。

 以上でございます。

小宮山委員 人数というよりかは、現実の運用の問題なんだと思います。

 また、信用しているならなぜこんなに重い刑罰を科すのかということは、諸外国から見ても、きのうも視察をされた委員の方が発言をされていましたけれども、全くそのあたり、刑罰があってしまえば、当然、さまざまなことがある。

 また、最初、これは清水参考人の方が、捜査をされる対象が大変広くなり得るのではないか、そういう意味では議員だけの問題ではなくなるという懸念を示されました。

 私も、ここについては大変ごもっともな指摘だと思いますし、そういったことがあってはならないのが司法でもあり、また、この特定秘密を扱う関係の方々の、行政監視をするという本来の目的を達するためには重要なのかなというふうに考えました。

 さて、時間もなくなってまいりましたので、最後になりますけれども、最初のときには余り御説明をいただけなかったと先ほどもおっしゃられましたけれども、三木参考人の方から出されました、開かれた政府を促進するための取り組みということで、日英戦略的パートナーシップについて、改めてお聞かせいただきたいと思っております。

 何よりも、この点に関しましては、特定秘密とは相入れないようなことで、私も、共同声明が出されたときには大変驚いたものであります。

 これは、参加がおくれるということは、日本の信用がどのようになっていくのか。することのメリットを改めてお聞かせいただければと思います。

三木参考人 お答えします。

 先ほど簡単にオープン・ガバメント・パートナーシップというものを御紹介いたしましたが、これはもともとアメリカのオバマ大統領のイニシアチブで始まった取り組みでございまして、各国で、開かれた政府をつくるための国ごとのアクションプランというのをつくり、それを国際社会の枠組みに提示をし、どれだけやったかということをまたさらに提示をしながらやっていく。さらに、そのアクションプランの作成や実施については、市民社会との対話というかパートナーシップのもとに行うというものでございます。

 オープンガバメントに関しては、秘密の問題とは無縁ではございませんで、アメリカが昨年十二月に出された国内でのアクションプランを見ますと、やはり秘密指定の問題というものがかなりの実数をとっております。秘密指定の問題と大規模サーベイランスの問題と、この二つが、実はこのオープン・ガバメント・パートナーシップのアクションプランの中に入っている。

 つまり、秘密の問題というのは、開かれた政府と表裏一体の問題であり、開かれた政府というものを体現するためには、やはり秘密の問題にも向き合わなきゃいけないということがあると思います。

 資料にお示ししましたのは、これは日英共同声明で、安倍首相がキャメロン首相と会談をした際に出された声明でございますけれども、参加への検討を加速させるという意欲を歓迎するというイギリス側のコメントがここに入っております。少なくとも、高いレベルでこのような話をされたのであれば、やはり積極的に入っていくべきだろう。

 実は、いろいろな国外のNGOから連絡をいただきますけれども、なぜ日本は入らないのかということを、この二、三年、ずっと言われております。それはアメリカ政府の関係の方からも言われました、なぜ日本は入れないんだろうかと。

 非常に難しいのはわかるけれども、こういうものに前向きに取り組むことが今の国際社会の中では非常に重要であると思いますので、これは、対立という問題ではなく、政府をよりよくしていくために積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っているところであります。

小宮山委員 情報交換をする、各国との対応においてもこのような取り組みが進むことを願いまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言申し上げさせていただきます。

 参考人の方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきました。まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官北村博文君、内閣官房内閣参事官千野啓太郎君、外務省大臣官房参事官河野章君、外務省北米局長冨田浩司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 二十分間の質疑時間をいただきまして、ありがとうございます。

 午前中、四名の参考人の方の意見をお聞きしました。私も、昨年の臨時国会に参加をさせていただきまして特定秘密保護法案の質問をさせていただきましたし、また、国会の監視機関の設置につきまして、さまざま勉強させていただきました。その中で、本当に、特定秘密を守る必要性と国民の知る権利のバランス感覚というものが、私自身は、だんだん勉強する中、その相場観というものをつかませていただけたと思っています。

 特に、きょう午前中の四名の参考人の意見の中で、やはり、何でもかんでも国民の知る権利というのではないんだ、知る側も、なぜそれが必要なのか、そういったことをしっかりと提示しながら、また政府に対しても、安心をしてといいますか、国会を信頼して提出していただく、そういった姿勢が大事だろうということが、大変に参考になったわけでございます。

 しかし、私も、昨年、臨時国会でこの法案が通りまして、さまざまな市民集会に出たり、また出身母体であります弁護士会との協議をやる中、そうはいっても、我々以外の国民の方は、この法案、特定秘密の保護法案や、また国会での監視機関については、まだまだ不安を持たれているなというのが現状でございます。ですので、議論が進んでいる我々とは離れて、やはり大事な場でございますので、国民の皆様が不安になっているところを、多少基本的なところからになりますけれども、お聞きしたいと思っております。

 その上で、特定秘密は、そもそも秘密なので何が秘密かわからないんだ、だからこの法案は難しいんだ、そういった、基本的な不安がまだあるわけですね。そうなりますと、特定秘密保護法の十九条の毎年の報告書というところが、やはり我々国会の方としては、秘密をしっかりと監視していく端緒になるわけでございます。

 ですので、もうそろそろ政府の方としても、この十九条の報告書の中身、どの程度具体的に考えていらっしゃるのか、どういった報告書にするのかというのは、やはり、でき上がっていないとまずいと思っております。

 まず、その点について、森大臣、お聞かせください。

森国務大臣 十九条で国会へ報告する事項につきましては、ただいま情報保全諮問会議の有識者の御意見を聞きながら検討しているところでございますけれども、今、浜地委員の御指摘のとおり、国民が特定秘密の運用状況について不安を抱かないように、なるべくしっかりお示しをするという方向で、例えば、事項ごとの件数をお示しするなどのことを考えております。

浜地委員 森大臣、ありがとうございます。

 検討中ということでございますけれども、私、冒頭申し上げましたが、国会としても、政府が国会を信頼して出していただく機関を我々はつくっていこう、そのようにこの審議の中で決意をしておりますので、事項ごとということになりましても、なるべく具体的な内容にしていただきながら、きっちりと、端緒になるような報告書にしていただきたい、そのように切にお願いを申し上げたいと思っております。

 次に、一般の方は、こうも言われます。四十万件以上の秘密があって、その約九割は人工衛星や暗号である、でも、四万件はあるんでしょう、それが八名のいわゆる審査委員の方々では見られないでしょうというふうな素朴な疑問がございます。

 私は、秘密に触れる方が多ければ多いほど漏えいする可能性があるんだということで説明をさせていただいているわけでございます。

 委員の先生方も海外をさまざま視察されて、海外でも、全ての秘密を見るわけじゃないと。大事な端緒を摘み取ってしっかりと監視することに意味があるんだというふうに我々は理解はしておりますけれども、やはり一般の市民の方等には、そういった疑義があるわけでございます。

 その上で、この八名で監視する体制、具体的には十九条の報告書があったり、いろいろな端緒があると思うんですが、実際に摘み取るところの、どういう秘密を審査していこうか、またどういうふうにやっていこうか、その最初の初動の部分をどのようにお考えなのか、与党の法案提出者にお聞きしたいと思っています。

大口議員 浜地議員に答弁いたします。

 午前中の参考人でも、特定秘密のチェックをする国会の機関というのはないと。そういう点では、世界でもこういう制度がないというものをつくるということでありますので、これからしっかり育てていきたい、こういうふうに思っているところでございます。

 そして、数十万件の特定秘密、これを全てチェックするというのは不可能だと思うんです。そういう点では、今、森大臣からお話がありましたように、特定秘密保護法十九条の年次報告、それは、ただ単に政府からの報告だけじゃなくて、今、情報保全諮問会議、これは意見もつけるわけですね。そういうものが一つ大きな端緒となると思います。

 さらに、我々は、行政機関の長に対しても、あるいは、内閣府に今度、情報保全監察室あるいは公文書管理監というものを置きますので、こういう人たちにも来てもらって、そしていろいろ質問もし説明も求める、こういうこともやっていきたいと思う次第であります。

 いずれにしましても、その結果、しっかり勧告を出して、勧告の結果についてちゃんと報告を求める、こういうことをしていきたいと思います。

浜地委員 まさに、この監視機関ができた後に、どういった情報の端緒のとり方、その後、それをどのように吟味しているのかというところ、当然、秘密の中身を見せるわけにはいきませんが、そのあたりのことが見える体制というのが国民の皆様の安心につながるのであろう、そのように思っています。

 その上で、済みません、心配事ばかりを話しておりますけれども、やはり国家の安全保障に重大な支障が生じる場合と言ってしまえば出ないんじゃないですかということも私は言われるんですが、いや、国会はきちっと疎明をさせますと。もともとあったのは国会法百四条二項ということですが、今回は、国会法の改正の中で、百二条の十五の第三項、保護措置Aの場合は、それをとって、政府の方に疎明をさせるということでございます。

 例えばサードパーティールール、私は、午前中の質疑を聞くまでは、こう思っておりました。サードパーティー、第三国がいるのであれば、第三国に確認をとったことの疎明の資料でも出させたらどうかと、それぐらいに思っていました。

 これは勉強不足でございました。実際は、どの国とやりとりをしたかということ自体を出すことも国際慣行上疑義があるということを参考人の皆様から聞かせていただきました。

 しかし、そうはいっても、この疎明、証明ではないんですけれども、疎明の具体的な中身をどこまで求めるかというのは、非常に大事だと思っています。

 その上で、例えば、百二条の十五の第三項の疎明の具体的内容として、与党の法案提出者はどのような疎明の方法を求めるおつもりなのか、どういった運用にしていくつもりなのかをお聞かせください。

大口議員 我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれのあるということの疎明につきましては、求めに応じられない理由をできる限り具体的にわかりやすく示すことが望ましい、こういうふうに考えます。やはり、国民に対してそういう責任がありますし、国会に対してそういう責任が政府にはある、こういうふうに思います。

浜地委員 では、森大臣にお聞きします。

 この疎明の方法として、今与党の法案提出者からそういった答弁がございましたけれども、ここの共通認識がしっかりとられていないと、国会としては、できるだけ、もっともっと求めろと、しかし、政府としてはこれでいいんだということになりますと、まさに、先ほど冒頭申し上げました信頼関係、お互いの信頼関係というところが崩れると思います。

 今の御答弁を聞かれて、やはり百二条の十五の第三項、この疎明の方法として、現在のところ、どこまで開示をするおつもりなのか、お答えください。

森国務大臣 情報監視審査会からの特定秘密の提出の求めに応じられない場合にどのような理由の疎明及び内閣の声明を出すかは、個別具体的に判断する必要があることから、前もって一概に申し上げることは困難でございますけれども、国会の方から求めがあれば、それにできる限り誠実に対応してまいりたいと思いますので、できる限りの具体的な疎明をしていくということになると思います。

 例えば、過去、内閣声明が出された事例がございますが、そこでは、提出することにより、具体的にどのような支障が生じ、なぜ国家の重大な利益に悪影響を及ぼすのかということについて述べて、明らかにしております。

 こういった前例も踏まえますと、情報監視審査会からの特定秘密の提出の求めに応じない場合に、なぜ安全保障に著しい支障を及ぼすことになるのか、その理由を可能な限り具体的に明らかにする必要があると考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 森大臣の誠実にという言葉を深く私は受けとめましたし、また、先ほどの、議証法によって、一度、昭和二十九年に出したわけでございます。このときは、刑事事件に重大な影響を及ぼすという具体的な事例を示されたわけでございます。

 議証法と違うのは、議証法の場合は、どういうことが問題になっているのか大体わかった上でやっておりますので、その疎明の理由というのは納得感があろうかと思うんですが、特定秘密の場合は、どの秘密かがまだぼやっとしている段階でございます。ですので、国家の安全保障に重大な影響を及ぼすの一言では、やはりそういった信頼感というのは生まれないと思っております。

 先ほど御答弁がありましたとおり、森大臣の、国会には、とにかく国権の最高機関としてできる限り出すんだ、誠実に出すんだといった御答弁がございましたので、当然、私も、ここで細かく求めるつもりはございませんが、そのことをしっかりとぜひお願いしたい、そのように思っております。

 次に、特定秘密以外の秘密についての運用ということについても、よく問題になります。

 私も、いろいろな方と話をする上で、これまで政府では、秘密の運用基準等は通達のようなものであって、明確な基準がなかったんです、逆に、特定秘密のこの四分野に限っては、しっかりと吟味がされて、省庁をまたがった形で安全保障にかかわる秘密というのが、いわゆる特定秘密に指定する基準というのが定まったんですというふうに、皆様方には説明をしております。

 そうなると、よく出るのが、では、特定秘密以外の秘密はどうなるんですかという質問をどうしてもされてしまうわけでございます。

 これまで、昭和四十年や昭和四十七年に、秘密文書の取り扱いということで内閣官房の方で取り決めを決められておりますけれども、この特定秘密以外の秘密についてもきちっと基準を設けて、この秘密のレベルをしっかりと認識しながら秘密指定をしていく必要はあろうかと思っていますが、その取り組みは今どうなっているのかをお聞かせください。

千野政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法の成立により、特定秘密に関して政府部内における管理体制が確立されることになったことを機に、特定秘密以外の情報に関しましても各省庁統一ルールの検討が課題となりましたことから、本年の三月十八日に、内閣官房副長官補を座長とする、情報の管理の在り方に関する検討チームが立ち上げられたところでございます。

 この特定秘密以外の情報の取り扱いにつきましては、現在、行政文書の管理全般について定めております公文書管理法や、あるいは情報公開制度について定めております行政機関情報公開法のほか、先ほどございました昭和四十年の事務次官等会議申合せが秘密文書の取り扱いに関する一般的なルールを定めるなどしておりまして、これらを受けて、各省庁がそれぞれ内部規則を定めて管理を行っているところでございます。

 そこで、今回の統一ルールの検討につきましては、現在、これらの制度間の関係を整理いたしますとともに、各省庁が内部規則で定めている情報管理ルールについて調査をしている状況でありまして、今後、これらの結果を踏まえて、政府としての統一ルールのあり方を検討していくこととしております。

浜地委員 これは、ぜひお願いしたいというお願い事項になるんですけれども、できれば、十二月に特定秘密の運用が始まるわけでございますので、その他の運用についても、いわゆる特定秘密以外の秘密の基準についても、しっかりと早目に基準をつくっていただいて、特定秘密のいわゆる基準のルールは公表されるわけでございますので、特定秘密以外の秘密についても、ルールづくりが示され、それが目に見える形で進めていただきたい、そのように、切にお願いをしておきます。

 次に、公益通報者制度について。

 今回は、附則の中に盛り込まれました。午前中の参考人の質疑、永野参考人からも、知る権利を実質的に国民のために充実させるためには、公益通報者制度のような制度が必要だろうと、そのように言われております。

 公明党としては、この公益通報者制度のようなものを今回の法案に盛り込もうと思っていたわけでございますが、実際、今回は附則でとどまっております。これはしっかりと、我が党としても、なぜ附則にとどまってしまったのか、また今後どのようにこれを進めていくのか、そこは、一言、大口議員にお答えいただきたいと思っております。

大口議員 浜地委員にお答えいたします。

 今、政府におきまして、特定秘密について、まず行政で、特定秘密保護法の三条あるいは十八条の基準にのっとった適正な指定あるいは解除、こういう運用をしていくための仕組みづくりをしています。

 そういう中で、内閣府に情報保全監察室、こういうものをつくって、内閣官房とは別系統でしっかりチェックしていく、こういう仕組みも今検討されているわけです。

 そして、特定秘密を取り扱う職員等がこれはいかがかというものについて、公益通報者保護制度は、これは犯罪等違法なものですが、しかし、この三条一項あるいは十八条との関係でどうなのかというものは、必ずしも違法でないもの。ですから、これは全く新しい制度なんです。まず、それを監察室に通報する仕組み、こういうものを、要するに、行政内部での内部通報制度をしっかり構築するようにと、こういうふうに私どもは求めているところでございます。

 午前中の参考人の意見でも、この内部通報制度というものは、これをしっかり議論して、そして機能するようなものにしていかなきゃいけない、それはある程度の時間がかかる、こういうことも参考人はおっしゃっていましたけれども、それは我々も本当に同じ考えでございます。

 その上で、国会のチェックの仕組みということも、これは、この国会法の一部改正法の附則の五項に、調査能力をアップしていくために、常に検討して措置を講ずる、こう書いておりますので、そういう行政内部の通報制度等もしっかり見ながら検討していきたい、こういうふうに考えています。

浜地委員 ありがとうございます。

 常に検討していくということで、私も常に勉強していきたい、そのように思っています。

 野党の法案提出者にお聞きをいたします。

 今回、議長、副議長の役目というのが非常に重たいものになっているように感じております。

 私も、これを考えたときに、議長の役目というものを条文からもう一回ひもときました。

 国会法十九条には、議長は、議事を監督し、議院を代表しながら、議事日程、また発言の制限、傍聴人の退場など、強力な権限を持っているわけでございます。だからこそ、議長は、一党一派に偏ることなく、やはり公平中立な立場で権限を行使する。いわば、権威が高いわけでございます。

 その中で、秘密を出す出さないという、どうしても党派的な色合い、または政治的な色合いというものが出てきてしまうこういった権限に対して、私は、議長の権威というものが傷つけられないか、そのように懸念をしているわけでございます。

 先日の質疑の中でも、もともと、議長にこういった事務をやらせる負担、事務的な負担という指摘もありましたが、私は、その前に、やはりこの議長の権限というものに対して整合がとれないんじゃないかというような意見を持っておりますが、その点についてお答えください。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 議長の公平中立といったときは、恐らく二つの側面があるのではないかと思います。

 まず、国民の知る権利と必要な秘密保護という相反する価値のバランスについて考えた場合に、行政府はみずからバランスを図るということはなかなか難しいと思うんですね。行政府はどうしても秘密保護の方に偏りがちだと思いますので、だからこそ国会の監視というものが必要になってきているわけでございますけれども、これを公平中立な立場から監視するというのが、一つ目の意味での、立法府そして議長の公平中立という立場なんだというふうに思います。

 それともう一つは、浜地委員御指摘のような、党派間の公平中立という観点もあると思います。

 我々が提案させていただいている法案でも、議長が単独で提出ですとかそういったことについて判断をしていただくのではなくて、通常は野党議員がつく副議長あるいは必要な場合は議長が指名する者の意見を聞きながらこういった判断をするということで、党派間の公平中立の確保を配慮しているところでございます。

 あと、午前中の参考人質疑でもございましたけれども、情報監視審査会の運営に関してもそうですが、国会における監視機能において与野党が党派の観点から問題を起こすというのは大変よろしくないという御指摘があったのは、全くそのとおりだと思います。

 なお、午前中の永野参考人から、議長、副議長は必ずしもインテリジェンスの専門家ではないのではないかという御指摘がございましたけれども、今申し上げたように、そういう専門性のある方を指名することで適切な対応は可能だというふうに考えております。

浜地委員 時間になりました。終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。質問の機会をいただき、委員長、理事の皆様に感謝申し上げます。

 今回の国会法の改正の議論というのは、国権の最高機関たる国会が、また我が国の唯一の立法機関である国会が、引き続きその役割を果たせるかどうか、国民の負託に応えられるかどうか、議論の行方によっては大きく左右される極めて大事な案件だ、こう認識をしております。

 そこで、まず民主党提出者にお伺いをしたいと思うんですが、我々民主党は、今回、日本維新の会、結いの党の皆様と共同で国会法百四条の二を新設する改正案を提出しております。

 まず、この改正案の意義、提出の理由について改めてお伺いをいたします。

大島(敦)議員 近藤委員にお答えをいたします。

 野党案は、政府による秘密情報の保護と国民の知る権利、すなわち、政府の情報公開、提供のあり方のバランスが重要であるとの認識に立って、行政府の秘密保護法制が強化されていく中、立法府が必要とする秘密情報について、最終的には立法府の判断で取得できるよう基本的な条件を整備することを目的としております。

 しかし、現在の国会法百四条の枠組みは、あくまでも政府が国会への情報提供の可否の判断をする仕組みになっています。

 すなわち、現行の国会法百四条は、第一項で、各議院または各議院の委員会から審査または調査のため内閣、官公署その他に対し必要な報告または記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならないとされておりますが、第二項において、内閣または官公署が求めに応じない理由を疎明し、その理由を情報の提出を求めた議院または委員会が受諾し得る場合には、内閣または官公署は情報の提供をする必要がないとされております。

 さらに、特に三項において、当該情報の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明があった場合には、内閣または官公署は情報の提出をする必要がないとしており、国会に情報を提供するか否かの最終的な判断は政府に委ねられています。

 しかし、私たちは、特定秘密に限らず、国会が必要と判断した情報は国会に提出されるべきであると考えており、そのためには、国会への情報提供の判断が政府に委ねられている現行制度を改める必要があると考えます。

 よって、私たちの案では、百四条の二を新設いたしまして、各議院または各議院の委員会に提出される報告または記録に含まれる情報の保護に関し必要なものとして各議院の議決により定める措置を講じた上で、内閣または官公署に対し、必要な報告または記録の提出を求めたときは、内閣または官公署は、第三者に提供しないことを条件に提供された情報及び人的情報源に関する情報である場合を除き、国会に情報を提供しなければならないこととしております。

 秘密保護法制を考えるに当たっては、秘密を保護するという要請と国民の知る権利を守るという、この二つの要請の緊張関係が重要であると考えています。この観点からも、第百四条の二を新設することは、必要なことであると考えております。

 現行の国会法第百四条は、秘密保護法制ができる前の、国会と政府の緊張関係の一つであったと理解をしております。

 今回、特定秘密保護法案が成立をいたしまして、政府の情報管理が強化されました。これは、新たな時代が始まったと考えておりまして、新たな時代の要請に基づいた国会と政府の緊張関係を構築する必要があると考えまして、今回、百四条の二の新設を提案させていただいております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 なお、我々は、民主党としては、公文書管理法の改正案もあわせて提案をしているわけでありまして、全体として、国会法百四条の二の新設とあわせて公文書管理法の改正も急務だということを改めて主張していきたい、こう思うわけであります。

 あわせて民主党提出者に伺います。

 今審議しております与党の国会法改正案、衆議院規則改正案、また情報監視審査会規程案等は、現在政府が施行に向けて準備を進めている特定秘密に限定して、現行の国会法百四条の枠組みの範囲内で、国会において監視等を行うための情報監視審査会を設置することを柱としているわけであります。

 そこでお伺いしますけれども、今回野党が、我々が提出した国会法百四条の二を新設する改正案と与党案はどのような関係にあるのか、お答えいただけますでしょうか。

大島(敦)議員 ありがとうございます。

 まず、与党案は、特定秘密に関して、その指定等について監視等を行う機関である情報監視審査会を設立することを内容としております。

 与党案には、現行の国会法第百四条の仕組みを改正する、またはその特例を定めるような内容は含まれていないために、特定秘密に限らず、国会への情報提供の判断は政府が行うという仕組みは維持されております。

 現行の国会法百四条の仕組みを維持したままでは、情報監視審査会が特定秘密の提供を要求しても、内閣が声明を出せば、国会へ提供を拒むことが可能であります。すなわち、どんなにすぐれた監視機関が設置されていても、現行の国会法百四条が存在する限り、十分に機能する機関にはならないおそれがあると考えています。

 それに対して、私たちの案は、先ほど申し上げましたように、現行の国会法百四条の仕組みを改めるものであります。これは、特定秘密に限定した内容ではございません。

 私たちの案は、特定秘密に係る監視機関を国会に設ける与党案の対案と思われがちですが、監視機関を機能させるための前提条件を整えるものであって、監視機関の対案という関係ではございません。

 私たちの案に御賛同いただければ、国会における監視機関である現在の与党案である情報監視審査会も、より機能する機関となる可能性もあると思われますので、ぜひその点を御留意いただければと思います。

 以上です。

近藤(洋)委員 次に、与党の提出者の方にお伺いをします。

 与党の衆議院規則改正案によれば、特定秘密を漏らした国会議員に対する懲罰の規定がされております。しかし、同時に、特定秘密を漏らした場合には、免責特権の対象となる場合を除き、閣法である特定秘密保護法で定められた罰則が科せられることになると理解をしております。

 もとより、国会議員に対する罰則を定めている法律は、公職選挙法、政治資金規正法等、こうしたものは議員立法で制定をされております。三権分立の立場に立てば、本来こうした国会議員に対する罰則規定は、閣法ではなくて議員立法において定めるのが筋であり、憲政の常道ではないか、こう思うわけであります。

 そこで、与党の提出者にお伺いしたいのですが、衆議院規則改正案により国会議員による特定秘密の漏えいを懲罰事犯として扱うのであれば、特定秘密保護法の罰則の対象から国会議員を除外すべきと考えますが、いかがでしょうか。

大口議員 近藤委員にお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回、新しい規則二百三十四条の二あるいは新しい規程三十一条で、懲罰事案について、漏らした場合にはその手続の対象になるということで、懲罰を科することにしたわけでございます。その懲罰は、院内の秩序を乱した議員に対して、議院の自律権に基づいて科すものでございます。

 それに対して、特定秘密保護法は罰則がございます。今委員御指摘のように、これは内閣が提出した法案でございます。内閣が提出した法案であっても、法律の成立は、これは立法府である国会が定めたものでございます。そういう国会が定めた特定秘密保護法の罰則を罪を犯した者に対する罰則として科するということは、これは目的が違いますので、院内の秩序を守ることに対して、法秩序を守るということで、目的が違うものですから、並立できると思います。

 アメリカ、イギリス、ドイツにも視察に行ってまいりました。ちなみに、アメリカでもイギリスでもドイツでも、議員が罰則の対象になっております。免責特権ということがありますから、それで憲法上保障されている権利を確保しつつ、院外での発言に対しては罰則を科する。

 こういうことが国際的にも通例ではないかな、こう考えておる次第でございます。

近藤(洋)委員 時間ですので質問をやめますが、尊敬する大口議員の御答弁でありますが、なかなか納得のできない答弁でございました。もとより、国会は唯一の立法機関ですから、それは、閣法であれ何であれ国会を通じてしか法律は制定できませんので。

 私が申し上げたいのは、やはり議員立法において国会議員に対する罰則は決めるべきではないかということであるわけであります。

 まだまだ論点は山積みであるということを申し上げて、時間ですので質問を終わります。

逢沢委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず、自民党の提出者にお伺いしますけれども、今回の与党案の対象、すなわち情報監視審査会の対象というのは特定秘密に限定されておりますけれども、情報監視審査会で、ある情報が欲しいとなったときに、この情報を下さいと政府側に言ったときに、それが特定秘密かどうかというのはわからない場合が結構あると思うんですね。調べた結果、特定秘密になっていない場合は、所掌の範囲ではないので出せませんということになってしまう。

 つまり、特定秘密に該当していれば、適切な秘密保護措置を講じているので出せますけれども、特定秘密でない場合には、秘密保護措置もないですから、出せないということになってしまって、特定秘密よりも秘密の度合いはやや低いと思われる特定秘密以外の情報の方が逆に出てこないということになりかねないと思うんですが、ぜひ、この情報監視審査会の対象を特定秘密に限定しないで、あらゆる政府情報に広げて、秘密保護措置を講じた上で提出できるようにすべきだと考えますが、御見解をいただきたいと思います。

中谷(元)議員 御指摘のように、この審査会で扱えるのは特定秘密に限られておりまして、アンバランスが生じているというふうに思います。

 そこで、現在、政府におきまして、特定秘密に入らない秘密について、その取り扱いについて検討されていると承知しておりまして、提案者としましては、その扱いの統一ルールが完成したときには、附則五項の規定に基づいて、政府部内の取り扱いを踏まえた上で、国会における手続、その保護に関する方策を検討してまいりたいと思っています。

後藤(祐)委員 これについては、先ほど浜地委員からも話がありました。

 そこで、政府参考人に伺います。

 先ほど、三月十八日に第一回の検討チーム会合があって、これから検討していくということでありましたけれども、浜地委員から、十二月に特定秘密保護法の施行になるので、特定秘密以外のルールについてもそれに合わせて間に合わせるように切にお願いしますという話がございましたけれども、これはいつごろ施行される予定でしょうか。この特定秘密保護法の施行に間に合わせていただけないでしょうか。

千野政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としての統一ルールのあり方につきましては、現在、三月十八日に検討チームが立ち上がって以降、関係省庁が連携して検討を進めているところでございます。

 具体的な取りまとめ時期につきましては、現在のところ未定ではございますけれども、特定秘密保護法の施行に向けた検討状況も踏まえつつ、鋭意検討を進めてまいりたいと考えてございます。

後藤(祐)委員 森大臣、ぜひこれは督励していただいて、先ほど中谷議員も、やはりそこはややそごがあるというような御指摘もありましたので、特定秘密よりも秘密の度合いの低い情報の方が出てこないというおかしなことにならないように、特定秘密保護法の施行に間に合うようなタイミングでこの統一ルールを定めてほしいと思います。

 与党の提案者は二人とも大きくうなずいておられますので、このことも深く踏まえていただきたいと思います。

 次に、森大臣に聞きますけれども、今回の特定秘密保護法十条で定める保全措置というものは、今回の規程案、この議運では規程案もかかっているわけですけれども、その規程案の中で、こういった秘密保護措置をやりますよということで、秘密保護法十条の保護措置が講じられるという関係になっていると思いますが、この規程は、極めて漠然とした記述しか書いておりません。

 政府としては、この規程案でもって十分と判断するんでしょうか。つまり、特定秘密保護法十条では、そこの規定の仕方は国会に任せる、政府としてはとやかく判断しないということで、これはたしか条文修正もあった部分だと思いますけれども。

 何を申し上げたいかというと、政府としては、いかなる国会側での秘密保護措置が規定されようと、そこは国会に全て委ねるということであって、実態としてなされる秘密保護のやり方というのが例えばちょっと不十分だと政府として感じた場合に、これを特定秘密保護法の十条の「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれ」の方で出せないというふうに判断することは、ないと考えてよろしいでしょうか。

 つまり、秘密保全措置がちゃんと講じられていれば出すべき情報を、やや中途半端な保全措置だなと思って、これだと漏れるリスクがあるから、安全保障に著しい支障を及ぼすおそれの方で読んでということは、ないと考えてよろしいでしょうか。

森国務大臣 保護措置の定め方については国会で御議論いただけるものと思っておりますが、国権の最高機関たる国会から特定秘密の提供が求められた場合には、政府としては、これを尊重して適切に対応することとなるものと考えております。

 なお、自民党、公明党の両党から提出された国会法の改正案においては、各議院または各議院の委員会等に対しては特定秘密を提供しない場合であっても、情報監視審査会に対しては特定秘密を提出する場合が想定されているということを踏まえますと、国会において講じられた保護措置の度合いに応じて対応が違ってくるということは、あり得るものと考えております。

 この点、情報監視審査会については手厚い保護措置を予定していると伺っておりますので、そのことを踏まえて適切に対応していけるものと考えております。

後藤(祐)委員 適切にとは、不十分だと考えた場合には、安全保障に著しい支障を及ぼすおそれの方で読む可能性が少しはあり得るということですか。その可能性はないと答弁していただけますか。

森国務大臣 我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあるか否かにつきましては、当該特定秘密の内容や入手の経緯等を踏まえ総合的に判断するものでございますけれども、保護措置の度合いが当該判断に影響を与えることがあり得る場合もあるかというふうに考えられます。

 いずれにしても、国権の最高機関たる国会から特定秘密の提供が求められた場合には、政府として、これを尊重して適切に対応することとなるものと考えております。

後藤(祐)委員 これは問題だと思うんですよ。保護措置が不十分だから安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあるとして提出しないことがあり得るという今の答弁なんです。そうしますと、この情報監視審査会は機能しなくなっちゃうんですよ。

 だから、この規程案をもう少し具体的に書いて、外に全部言う必要はないと思うんです、こういう秘密保全措置をちゃんと講じてシールドで何とかやってといったところについて、これだけやったから政府としてはそこを理由に出さないということはないというところを、内々で結構だと思うんですけれども、せめて与党と政府の間で内々の理解を得るべきだと思いますが、これは通告していませんが、与党にちょっと確認したいと思います。

大口議員 後藤委員にお答えいたします。

 昨日も答弁をさせていただきました。国会がこの保護措置を決めるわけでありますので、政府にいろいろお伺いするということはありません。

 その上で、例えば、この情報監視審査会の部屋のシールドについては、最高度のものを今事務局に検討させております。また、議運の理事会でもいろいろと御意見をいただきまして、とにかく、しっかりとしたものをやらせていただきます。

 それに対しては、やはり政府は当然それを尊重すべきだろうというふうに考えております。

後藤(祐)委員 与党が尊重すべきだと言う今の答弁は、重いと思うんです。ぜひ、今の時点でなし得る最高度の秘密保護措置を国会は講じると言っているわけですから、それを不十分だと判断して安全保障に著しい支障を及ぼすおそれの方で読むことはないという形で運用していただくことを強く求めたいと思います。

 次に、内部通報について聞きたいと思います。

 六月四日の内閣委員会で、北村政府参考人は、特定秘密そのものを、内容を通報したという場合であれば、それは法律上免責されるというような規定はございませんと答弁しております。つまり、特定秘密保護法に、情報を提供して免責される規定はどこにも読めないということでございますが、特定秘密の内容そのものを内部通報した場合は、法律上免責するにはこの特定秘密保護法を改正するほかないということを、森大臣にもう一度確認したいと思います。

森国務大臣 特定秘密は、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿することが必要であるものでありますので、その内容を明らかにして通報した場合には特定秘密の漏えいに当たりますので、我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるわけでございます。

 したがって、その場合には、特定秘密を漏えいしたということになる、該当するというふうに思います。

後藤(祐)委員 きょう、午前中の参考人質疑でも、この内部通報制度をきちっと構築すべきだということについては、濃淡こそあれ、四人の参考人それぞれが触れておられました。そして、与党の提出者も、これについては大変強い関心をお持ちの答弁をいただいておりますが、今の森大臣の答弁で明らかになったように、少なくとも、特定秘密の内容そのものを通報する場合には、どうやっても特定秘密保護法違反になってしまうんです。逮捕されてしまうわけです。これは、法改正が必要ではありませんか。

 これは大口議員にお伺いしますけれども、今回の国会法改正案で、まずは、国会への通報については、その場合には、特定秘密保護法上、違法ではなくす、免責するというような規定を本当は置くべきだったと思うんです。ところが、今回は入っておりません。

 国会への通報、その前に、まず、大口議員は、政府の中での通報体制を検討すべきだと。それもそうだと思うんです。まず、内閣の中で通報制度をつくって、そのときには、特定秘密保護法違反にならない法改正、当然これは特定秘密保護法の改正が必要になります。それを政府がやるのを見届けて、あるいは、やらない場合は国会側が主体的になって法改正をするべきだと思いますが、大口議員の見解を問いたいと思います。

大口議員 後藤委員にお答えいたします。

 この内部通報制度につきましては、つい最近、ドイツでも導入されたわけであります。私ども公明党も、これについては検討してまいりました。そして、いろいろと協議をしました。

 今委員がおっしゃいますように、公益通報者保護法というのは、これは違法行為、犯罪行為、これについてでございますから、特定秘密保護法の三条や十八条の運用基準との関係でこれは問題があるという指摘の場合は、公益通報者保護法の適用はありません。そういう状況の中で、まずは行政内部において、きちっとそういう現場での声というのを行政内部がしっかりチェックしていくという仕組みが大事だと。

 そういうことで、四党合意というのがございます。その中でも、内閣官房とは系列の違う内閣府におきまして、情報保全監察室あるいは公文書管理監、こういうものを置いて、そしてそこでチェックをしていくと。その場合に、特定秘密の業務の取扱者等が内閣府の情報保全監察室に通報する制度、こういうものは、当然私どもは構築をすべきであると。そして、その状況をしっかりチェックさせていただきながら、さらに国会における制度も検討していきたいと思います。

 けさの参考人の御議論でも、この通報制度というものをしっかり機能させていくにはやはり時間はかかる、しかし、しっかりとしたものをつくっていく必要があるんだ、こういうお話もございましたので、そういうこともしっかりこれから見ていきたいと思います。

 この法律の附則の、先ほど五項と言いましたけれども、四項で、調査機能の充実強化のための方策について常に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということで、この法律の附則の四項に書かせていただきました。しっかりと踏まえていきたいと思います。

後藤(祐)委員 特定秘密の内容そのものを通報することもあり得ると思いますので、実際の運用を見ながらという面もあるかもしれませんが、これは法改正が必要だと思います。怖くて通報できません、このままでは。ぜひ、そこは与野党ともに、法改正を含めて検討していきたいと思います。

 一つ確認ですが、昨日の本委員会の山内委員の質問に対して大口議員は、内閣府に情報保全監察室、これをしっかりつくって、ここがチェックをしていく、当然、特定秘密の中身も見てチェックをしていく、こう答弁しております。

 森大臣に伺いますが、情報保全監察室など、特定秘密保護法附則九条に基づいて設置される新たな機関による、検証及び監察するために特定秘密の中身を見る行為は、秘密保護法十条の「公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合」に該当して、見ることができると考えてよろしいでしょうか。

森国務大臣 特定秘密保護法附則第九条による検討に基づき内閣府に設置する機関の権限及び事務については現在検討中でありますけれども、一般論として申し上げますと、特定秘密保護法に基づき、行政機関の長が他の行政機関の長に特定秘密を提供する場合、第六条に基づく「我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供」か、第十条に基づく「公益上の必要による特定秘密の提供」によることになります。

後藤(祐)委員 いずれにせよ、それは見られるということで今の答弁は解釈させていただきました。

 次に、政府の第三者機関を法律でやるか政令でやるかということについて、野党からの申し入れに対して、夏までにという回答があったんですけれども、この公益通報の話もそうですし、指定解除請求権を法的拘束力を持って行うということも国会でできないということになったわけですから、ぜひこれは、法律でもって内閣内に第三者機関を設置するということを我々要求しているわけでございますけれども、与党から内閣に対してこれを働きかけていただけないでしょうか。

 というのは、法律でないと、内部通報の話もやはり難しいということもわかりましたし、法的拘束力を持つ指定解除請求もできないということもわかりましたので、ぜひこれは、なかなか森大臣に言ってもやっていただけないので、与党から内閣に対して要請していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中谷(元)議員 後藤議員とは、米国の公文書館の情報監察局へ行きましていろいろと聞きました。やはりそのような組織を日本でもつくっていくべきでございまして、現在、第三者機関については、四党合意もございます、また、後藤議員も質疑で確認をされましたが、政府部内に情報保全監察室を設けるということでこの制度設計を検討しておりますので、我々はこの結果を見て判断してまいりたいと思っています。

後藤(祐)委員 いろいろ見直す点が明らかになりました。内部通報制度もそうです。指定の解除請求権もそうです。

 あと、政府の第三者機関がどういう形で設置されるかによって、国会の監視機能として求められるものが違ってくると思うんです。ところが、この国会法の方が先に来てしまっておりますから、きょうこの後どうなるかわかりませんが、国会の監視機関が先に成立して、政府の方の第三者機関がその後できる。その状況を踏まえて、もう一度この見直しが必要だと思うんです、内部通報のあり方も含めて。

 ぜひ、この法律が仮に成立したとしても、その後、できれば特定秘密保護法が施行されてできるだけ早い段階で、この国会法の改正、また、情報監視審査会規程なんかも、やっていくうちにいろいろ見直さなきゃいけないところが出てくると思うので、これも含めて見直しを行うべきだと思います。

 見直しをどこかの段階でするということを、与党としてお約束いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

中谷(元)議員 法律が成立してもう半年になります。政府に第三者機関をつくるということですが、いまだに明らかになっていないということは、私もどうなのかなと思っておりまして、早く政府はこれを明らかにすべきではないかなと思っております。

 したがいまして、我々としましては、政府がしっかりとした組織をつくるということを期待しておりますが、おっしゃることはごもっともでございますので、その方向で三年後にしっかり対応してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 三年後に、国会法の改正を、今回のところに関しての見直しを行うということでよろしいでしょうか。対応するというのは、法改正ということでよろしいでしょうか。

中谷(元)議員 おっしゃるとおりでございます。三年以内にその方向でしっかり対応してまいりたいと思っております。

逢沢委員長 時間が来ておりますので、簡潔にまとめてください。

後藤(祐)委員 終わります。

 最後の答弁は非常に大きなものとして受けとめさせていただきました。ありがとうございました。

逢沢委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 日本維新の会の桜内文城です。

 今回の国会法の改正、情報監視審査会の設置等に関するものでありますけれども、我が党も、昨年の臨時国会におきまして、特定秘密保護法の審議におきまして四党協議に参加をさせていただきました。特定秘密というものをしっかりと守っていくということが国益に資するという大きな方向性で与党と一致いたしまして、当時、非常に建設的な協議をさせていただいたことに感謝を申し上げます。

 きょうは、まさにこの国会法の改正によって情報監視審査会を設置するというものでございます。

 先ほど後藤委員の質疑の中にもありましたように、これは、附則九条及び十条、特に十条ですけれども、車の両輪としまして、行政府内に設置いたします情報保全監察室、これを局に格上げしていく。あるいは、我が党としては、これを独立行政委員会のような形にしていくという法案も準備しております。それと、車の両輪として、国会内におきましても、今回のこの情報監視審査会というものを設置していかなければならないというふうに認識しておりまして、あらかじめ、大口提案者初め、もろもろ相談もさせていただきました。大筋、非常にいい案に仕上がっていると評価したいと考えております。

 まず最初に、森大臣に、通告していないんですけれども、ちょっとお尋ねしたいのが、先ほど申しましたように、車の両輪として行政府内に設置します情報保全監察室、あるいはこれを局に格上げしていく、法律上、その附則九条におきましては、「独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関の設置」という明文がございます。

 先般、内閣委員会でも質疑させていただきましたけれども、これが、今ほど与党側からの答弁にもありましたように、やや検討がおくれているんじゃないかという印象を抱いておりますが、ぜひこれは、しっかりやっていただきたいと思っております。

 これからどういうふうに取り組まれるか、決意をちょっと表明していただければと思います。

森国務大臣 私は、特定秘密が国の国家機密を守って国の安全、国民の安全を守っていくという側面と、それから、国民の知る権利に応えていく、濫用を防いでいくという側面、そのバランスをしっかりとっていくということが何よりも大事だと思っています。

 そういう意味で、第三者機関というものも、しっかりしたものをつくっていきたいという思いでおります。

 現在、諮問会議の有識者の皆様の中で検討いただいておりますが、運用基準も同時につくっておりまして、その中で、有識者委員の皆様からの御質問事項が多岐にわたり、そこに丁寧に対応しているものですから、進行がおくれているというふうに御指摘もいただいておりますけれども、急ぎながら、そして内容もしっかりしたものをつくってまいりたい、施行までにそれはつくっていきたいというふうに思っております。

桜内委員 ありがとうございます。

 国会での監視組織ももちろん大事なんですけれども、その手前で、やはり行政権の内部でしっかりと適正な法の運用というのをやっていただく必要があると思っておりまして、その意味でも、情報保全監察室、あるいはこれを局に格上げしていく、さらに独立性の高いものにしていくというのは大変重要なことだと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、本題の、特定秘密保護法十条に基づいて今回与党から御提案いただいた情報監視審査会について、与党側にまずお尋ねをいたします。

 まず、総論的に、この情報監視審査会、これまでの国会法百四条に基づく国政調査権と、それからやはり、行政が持っている情報を国会に出させるという性格ですので、三権分立の観点から、なかなか微妙な問題も多々あったと思います。

 総論的にお尋ねしたいんですが、今回の情報監視審査会の趣旨といいますか、行政権と国会とのバランスをどのようにとられるよう苦心されたか、その点について、まず趣旨についてお尋ねを申し上げます。

大口議員 桜内委員にお答えします。

 もう委員とは、昨年から、本当に修正協議も熱心に行っていただきまして、その結果いいものができた、こういうふうに思っております。

 また、四党協議ということで、日本維新の会、みんなの党、そして自民党、公明党の間で、昨年十二月五日に四党合意ができました。その合意をやはり誠実に履行してまいりたい、そういう思いで、今回、この国会法の改正というものをつくらせていただいたわけでございます。

 その中で、我が国は、大統領制ではなくて議院内閣制でございます。ですから、内閣総理大臣は国会で選任するということで、その総理が内閣を組閣する、そして内閣は国会に対して連帯して責任を負う、こういうことでございますので、これは国会が生み出した内閣ですから、行政の行使についてある程度、裁量というものを、裁量権を持ってやっていただいているわけであります。

 しかし、国会は国権の最高機関であります。そして今、民主主義の要請はさらに高まっておりますので、国権の最高機関である国会がしっかり行政を監視していく、これが大事でございますし、特定秘密の指定、解除等の運用状況についてもしっかり監視していくべきだ。これは維新の会の皆さんの思いでもあるわけです。

 そういうことで、今回、百四条の仕組みを見てみますと、やはり、政府の情報については、それを出すか出さないかの最終判断権は政府にある。最後は内閣の声明という形で、内閣が国会に対して責任を負う形で、出さないという形になっております。そういう点で、百四条一項、二項、三項の構造を見ますと、国会の国政調査権と行政の情報の管理権限とのぎりぎりのところの状況というのが百四条にあらわれているわけでございます。

 今回、情報監視審査会につきましても、この百四条の仕組みは維持をさせていただきます。しかし、情報監視審査会は最高度の保護措置を国会がつくりますから、特定秘密保護法の十条一項のイを適用していただいて、これは、政府はしっかり尊重して、基本的には原則出していただくべきである、こういうふうに考えております。

桜内委員 大変丁寧な御答弁、ありがとうございます。私も、その趣旨に賛同したいと考えております。

 少し内容の細かい点についてお尋ねをしていきたいと思っております。

 今回の与党の案では、情報監視審査会の委員の人数、八人とされております。

 実は、我が党としては、九人とか、そういう奇数の方が、委員会の、審査会ですけれども、運営にとっていいんではないかという議論をしておったわけですけれども、あえて偶数の八人という数字にされた理由について、御教示いただけませんでしょうか。

大口議員 桜内委員、日本維新の会は、九名で、奇数ということで、御提案を賜っていることについては重々理解しているわけでございますけれども、アメリカ、イギリス、ドイツに行かせていただきましたが、やはり、一桁から十名前後、こういう数でございます。

 ですから、余り多過ぎると漏れる、かといって少な過ぎると、本当に任務をちゃんと遂行できるのか、こういうことがあって、一桁から十名前後の中でこれは検討する、こういうことでございます。

 それで、この奇数か偶数かということにつきましては、調べましたら、衆議院の常任委員会は十七あるわけですが、十三が偶数で、奇数が四ということでございます。特別委員会は五対五ということでございます。

 情報監視審査会の会長は、投票権を行使しません。ですから、奇数の場合は可否同数になるケースが結構出てきます。議席状況によっていろいろありますけれども、可否同数ということが出てきますと、どうしても会長がそのたびに決裁権を行使する。

 私は、情報監視審査会というのは、これは、参考人もおっしゃっていましたけれども、与党も野党もない、立法府として行政をチェックしていくのだ、こういうことですので、広いコンセンサスが必要だ。そういう点では、会長が余り決裁権を行使するという奇数についてはどうなのか、こういうこともあって八名とさせていただきました。

 さらに、常任委員会や特別委員会で特定秘密を要求する、こういう場合に、政府が拒んだ場合は、この審査会に審査を要請します。その場合は、その要請した委員会の委員長と、それから与野党の理事も入ります。そうしますと、野党の委員長も結構いらっしゃるわけですから、野党と与党は、その出席する委員会では、二対一で野党の方が多くなります。さらに、議長、副議長も出席して意見も述べることができます。マックス十三名の人が特定秘密を見るわけでございますので、国際水準からいきましても、そう少ないとは言えない、こういうふうに思います。

桜内委員 随分丁寧に御検討していただいた経緯が明らかになったと思います。ありがとうございました。

 続きまして、我が党も、この国会における監視組織について案をつくっておりました。今回、与党からお出しになった中でも、特に、今ほども少し言及ありました監視機能とそれから審査機能、二つ兼ね備えていただいたのは高く評価したいと思っております。

 この情報監視審査会における保護措置と、その他の通常の委員会の保護措置、若干の差を設けられて、若干というかしっかりした差を設けられていると思うんですけれども、条文が、国会法の中にあるものと、それから衆議院の審査会の規程に落とされているものと、なかなかこれはつくるのは難しかったと思うんです。

 随分工夫もされていると思いますが、保護措置Aと保護措置B、通称こういうふうに言われるものの内容とその違い、こういうふうに設けたという趣旨について御説明をいただけますでしょうか。

大口議員 桜内委員にお答えします。

 この保護措置A、保護措置Bというものは、日本維新の会も全く同じことを考えておられたのでびっくりしたんですけれども、これは本当に考え抜いた結果でございます。

 まず、一般の委員会の保護措置につきましては、これは特定秘密保護法の十条も要求されていますが、会議を非公開にすること、これは国会法五十二条の二項でございます。それは委員会です。それで、本会議は六十二条。

 それから、特定秘密に接する者の範囲を制限する、これは今回の百四条の三に規定させていただきました。そして、物理的に漏えいを防ぐ措置を講じさせていただいたわけでございます。これは、一般の委員会の保護措置で、いわゆる保護措置Bということでございます。

 それに対して保護措置Aの方は、さらにそのほかに、情報監視審査会のメンバーが、特別な選任方法、これは規程案の三条に書いていますが、議院の過半数の選任が必要だと。

 それともう一つ、特定秘密保護法上は要求されていませんが、新たに国会法の百二条の十八というのを設けまして、適性評価、これをつけさせていただきました。

 そういうことで、この保護措置Aと保護措置Bの違いは、一つは、メンバーの選任の仕方が、議院の過半数が必要かどうかということと、職員の適性評価が必要か否か、この二点でございます。

桜内委員 ありがとうございます。

 くしくもといいますか、我々が検討していたものと非常に共通点の多い案をつくっていただいたと思います。

 もう一つ、中身について御質問をいたします。

 まず、与党にお伺いしたいんですけれども、先ほど、国会法百四条との関係について、趣旨のところで大口提案者から御答弁いただきましたが、ちょっと詳しく見ていきますと、特定秘密保護法十条と国会法百四条との適用関係、これは実は、なかなかこれまで、与党の案が出てくるまでは、具体的にどういう手続になるのかというのがちょっと判然としないところが正直あったと思います。

 先般の内閣委員会におきまして森大臣にも随分その辺お尋ねしたりもしておったんですけれども、今回、特定秘密保護法十条の適用と、それから国会法百四条に移行するその橋渡し的な条文が置かれました。立法的に解決されたということだと思うんですけれども。

 百二条の十七、また細かい話になるんですけれども、そこの三項におきまして、特定秘密保護法十条一項云々と非常に長い文言があるわけですけれども、結局、特定秘密保護法十条がまず適用になりながらも、各行政機関の長が仮に国会に対して特定秘密を提供しない場合は理由の疎明を行う、そして、情報監視審査会がそれに納得できないというときには内閣の声明を求めるというたてつけを今回とられたと思います。

 立法上の解決の仕方ですので、これはこれで筋が通っていると評価いたしますけれども、これまで、特定秘密保護法のまだちょっと未成熟な部分と言ったら失礼なんですけれども、適用関係がちょっと不明であった点、こうやって立法的に解決されたというのは高く評価したいと思うところではありますけれども、我が党といたしましては、特に、理由の疎明の、理由をもうちょっと限定すべきじゃないかという考えを持っておりました。

 今のところ、今回の与党の改正案によりますれば、百二条の十五の四項になるわけですけれども、内閣声明を求めるときに、その理由として、「更にその特定秘密の提出が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある旨の内閣の声明」という意味で、我々は、やや広いんじゃないのか、行政の恣意性が入ってしまう、判断が入ってしまう余地がちょっと大きいんじゃないかという懸念を抱いております。

 我が党の案、そして民主党から提出いただいた今回の修正案は、ここのところをちょっと限定しております。

 理由の疎明の中の理由を、例えばサードパーティールール、もともと第三者には渡さないと決められていた場合、あるいは、情報源の生命なり安全を守るためにこれはやはり出せません、人の名前とかなので出せませんといった、いわゆるヒューミント、この二つの場合に限ってのみ理由として、内閣があるいは行政機関が国会に特定秘密を出さないという場合をより限定していくべきではないかという考えを我々持っております。

 その点については、提案者、大口議員、どういうふうにお考えでしょうか。

大口議員 桜内委員にお答えいたします。

 先生の御指摘は、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある旨の内閣の疎明とか声明ということになると抽象的ではないか、こういう御指摘なわけでございます。

 それで、この疎明につきましては、百二条の十五の三項が疎明なんですね。また、四項が内閣の声明になっているわけです。これについては、今、森大臣から、国民にわかりやすくこの疎明についてはしっかり説明をする、こういう答弁がございました。ですから、しっかり説明をしていただく。

 とともに、拒む理由をもっと制限するために、このように、これはサードパーティールールの一部の形態だと思うんですね、民主党の案は。サードパーティールールの一部の形態をここに書かれておられるわけであります。あるいは、人的情報源ということについて。

 けさの参考人の意見にもありましたけれども、それだけでない部分もあるということ、それを逐一個別的に書くことはなかなか立法技術上難しい、こういうことであります。

 しかし、私どもは、情報監視審査会は最高度の保護措置を講じますから、それこそ、原則としては、そういう一部の例外を除いては出していただく、こういうことをしっかり求めていきたいというふうに思います。

桜内委員 ありがとうございます。

 やはり、どのような法制度もそうだと思うんですけれども、こうやって国会で形をつくって、そこから魂を入れていくというのは運用による部分が大変大きいと思いますので、特に与党は、まさに政権与党でいらっしゃいますので、ぜひその運用を、特定秘密を国会に提出しないということがなるたけ起こらないように、国権の最高機関としての権限と責任を果たしていけるように、お願いしたいというふうに思います。

 ここで、民主党さんにもお尋ねをいたします。

 民主党とも我々は協議を重ねてまいりまして、ここのところ、同じ問題意識をお持ちいただきまして、今回修正案を共同提出させていただきました。この点について、ぜひ民主党の提出者から、その趣旨、及び、こうした方がいいんだという点について、御説明をお願いいたします。

後藤(祐)議員 まず、特定秘密保護法十条と百四条の関係について言いますと、一緒に出させていただいております我々の野党提案の百四条の二の第一項では「他の法令の規定にかかわらず」としておりますので、特定秘密保護法十条は適用されないという形で、百四条の二が優先適用されるという関係になっております。

 それと、政府が特定秘密を国会に提供しない理由というのをできるだけ限定すべきではないかという御意見につきましては、これも、維新の会も含めて、野党の中で議論をしてまいりました。

 もともと、昨年の臨時国会に民主党単独で提出した国会法百四条の改正では、提供する必要がない理由というのは具体的に明示しておりませんでした。ですが、維新の会の改正案の中で、限定的な意味でのサードパーティールールと人的情報源、これについては、提出しない理由として具体的に明示されておりましたので、協議の中で、この二つを明示する案にさせていただいたわけでございます。

 ただ、制度全体として見ますと、この二つの理由以外の理由を全く認めないというわけではなくて、百四条の二の第一項で、これに該当する場合はそもそも出す必要がないというのはこの二つだけなのでございますけれども、百四条の二の第三項というところで、議長が副議長等の意見を聞いた上で理由として受諾するということは、この二つ以外にも制度上可能というふうにしております。

 しかしながら、この二つ以外の理由というのを議長が受諾する場合というのは、これら二つの理由と同等の正当性、これがあるかどうかを判断することになって、政府側も厳格な説明責任が発生するものだと考えておりまして、いずれにせよ、極めて限定的な場合ではないかというふうに思っております。

 なお、いわゆるサードパーティールールについては、限定的に解釈しなければならないというのは桜内委員と同じ考えを持っておりまして、この百四条の二の第一項において、「事前に同意を得ることなく第三者に提供しないことを条件に提供された情報であつて現にその提供に同意が得られていないもの」というのは、情報提供時点で条件とされていた場合に限定しているというふうに理解をしております。

 逆に、情報提供時点以降に第三者に提供しないことを求められた場合というのは、百四条の二の第三項の方に基づいて、議長が、副議長等の意見を聞いて、その理由が受諾できるかどうか個別ケースごとに厳格に判断していく、こういうことになるというふうに思っております。

 なお、午前中の参考人質疑で、永野参考人から理由が限定され過ぎている等の御指摘がございましたけれども、今申し上げたように、三項という規定もございますので、御懸念は当たらないものだと考えております。

桜内委員 ありがとうございます。

 後藤提出者の御趣旨に我々も賛同した上で、共同提出をさせていただいたところでございます。

 この点について、森大臣にも少しお伺いしたいと思います。

 先週の内閣委員会でも、このサードパーティールール、サードパーティールールと一言で言っても、第三者に提供しないという合意がいつ得られるのか。要は、事前に、そもそも、情報を政府に対して提出するときにサードパーティールールというふうな条件がつけられるのか。あるいは、その後、国会に提出を求められたよというときになって、これは本当に国会へ出していいですかというふうに尋ねて、やはり嫌だと言われて、これもサードパーティールールですというのは、さすがに広過ぎると思うんです。

 政府が情報を取得した時点において、全てサードパーティールールなのか否かというのをきっちりと詰めておくというのは難しいのもわかりますけれども、ただ、野方図にこれを広げ過ぎると、政府機関には情報を提出したけれども、これが国会に提出を求められて、そのときもう一遍聞いて、どうですかといったら、やはり国会には嫌だという人は結構多いと思うんですね。

 そういった意味で実際の運用がまた問われてくる場面だと思うんですけれども、しかし、やはり、もともとの特定秘密保護法十条の趣旨、そして、大口提出者が先ほど述べられたこの国会法改正の趣旨からすると、なるべく国権の最高機関たる国会で、その特定秘密というものが適正なものなのか否かというのをきっちり見る必要があると思うんです。

 その点について、サードパーティールールの広い、狭いについて、森大臣の御意見をお伺いいたします。

森国務大臣 サードパーティールールの限定解釈でございますけれども、サードパーティールールも含めて、提供する場合でございますけれども、国会から求められた場合は、私も今まで答弁をしていますとおり、政府としては、これを尊重して適切に対応するべきであると考えておりますので、提供できない場合というのは限定的に解釈していくべきだというふうに思います。

 サードパーティールールにおきましては、情報提供時に、つまり、入手時に個別具体的にそれが明示されているかどうかということは、なかなか難しいかなというふうに思います。特定秘密の性質上、また、そういったものを入手する状況、環境等を考えますと、明示的にそれがされているかどうか、その個別の情報について明示されているかどうかというのは、なかなか難しいのではないかというふうに思います。

 提供元の国の承諾なく国会を含む第三者に提供するようなことがあれば、その外国との間の信頼関係が損なわれて、以後の我が国に対する機密性の高い情報の提供というものが行われなくなる、そういうおそれもございます。ですから、そういったことを勘案しながら判断をしていくべきだと思います。

 ちなみに、衆議院の議員の皆様が欧米に調査に行ったときの報告書によれば、アメリカにおいては、サードパーティールールとして、外国政府から提供を受けた秘密情報については、ほとんどの場合、事前に外国政府の了承をとってから委員会に提供されるとなっておりますが、この「事前に」というのは、委員会の事前にというふうに読めますけれども、事前に外国政府の了承をとってから委員会に提供されるが、委員会は、外国政府の保有する情報を公開すべきか判断する立場にないため、みずから公開を要請することはないようであるとされ、イギリスにおいては、議会に対し不開示決定できる情報として、連合王国外の国または地域の政府またはその機関により提供された情報であって、当該政府がその開示に同意していないものというふうに規定をされておりまして、ドイツにおきましても、議会に対する報告義務、応答義務の例外として、サードパーティールールがかかっている情報というものが挙げられております。

 ですので、私、冒頭も申しましたとおり、国会からの要求については、政府としては、これを尊重して適切に対応していくということが実現されるというふうに考えております。

桜内委員 ありがとうございます。

 これで質問を終わりますけれども、やはり、我々、こうやって立法府におりまして、法制度をつくっていくわけですけれども、今ほどお話しになったように、運用面で、しっかりした倫理観を持って、まさに法制度に魂を入れていくということが不可欠だと思います。

 私も役人をやっておりましたけれども、つい、役人というのは、法の、立法者の意思を超えて、やや濫用的な法の適用、執行を行ってしまう場合が多々あると思いますが、しかし、しっかりした倫理観を持って、これからも適正な行政法の執行を行っていきたいという希望を申し上げて、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 四問ほど、与党提出者に続けて質問いたしますので、森大臣、休憩をとられるのであれば、どうぞ。

 ちょっと質問の順序を入れかえて質問させていただきます。午前中の質疑を踏まえ、あるいは、修正案、衆議院規則と規程の修正案等の変更もあるかと思いますので、順序を入れかえて、通告していた順序とは違う順序で質問いたしますので、済みません、混乱のないようによろしくお願いします。

 最初に、冒頭、内部告発者の公益通報制度です。行政機関内部の内部告発を受け付ける窓口を国会につくるべきではないか。みんなの党として首尾一貫して主張していた点です。

 午前中の質疑の中でも、参考人の方のお一人が、やはり国会にそういう公益通報制度の窓口的なものをつくるべきだということをおっしゃっておりました。

 そういった点も踏まえて、本当であれば、附則か何かで書いていただきたいと思っているんですが、何分会期末で審議時間が難しいということであれば、何とかこの場で与党提出者の皆さんに前向きな御答弁、前向きな回答をいただけないか、もう一度、くどいようですが質問させていただきます。

大口議員 山内委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては、我が党も内部通報制度というものを、ドイツというものを参考にして、国会に受け皿ということも検討してまいりました。

 午前中の参考人の議論もございまして、まずは行政内部でしっかりと、内閣官房とは系列の違う内閣府の情報保全監察室、ここに現場の特定秘密を取り扱う職員が通報する制度、こういうものを、実効性のあるものをつくっていくべきだということを政府に対して強く求めてまいりたい、こういうふうに思っております。

 そして、その上で、さらに、国会のチェックにつきましては、この法律の附則の「検討」の第四項に、常にこれは調査能力を充実強化するための手当てをしていくと書いてありますので、しっかり、鋭意、検討については、さらなる検討ということも考えていきたいと思っております。

    〔委員長退席、松野(博)委員長代理着席〕

山内委員 監視ということについていうと、日本の例ではありませんが、諸外国の情報機関の暴走を監視するための仕組みというのは、やはり多重である必要があると思います。いろいろな人がチェックをする。

 オーバーサイトというのは、よく言われているのは、まず、メディアもちゃんと監視する、それから行政の内部でも監視をする、そして立法府、国会も監視をする。こういうさまざまな層でそれぞれ監視することによって、情報を扱う行政機関が緊張感を持って仕事をするし、そして不正なことをやりにくい環境をつくっていく。行政の第三者機関的なところがあるからそれで十分だということにはなりません。そういった意味で、そういう公益通報の窓口も、行政だけではなくて国会にも置いていく。

 そういう、安全装置ではないですけれども、多重防護じゃありませんけれども、複数の機関がきちんとチェックをしている、監視をしている、このことが重要だと思いますので、ぜひとも、今後、なるべく早いうちに、国会における監視の仕組みづくりの一環として、公益通報の窓口、これをつくることを与党の皆さんにもお願いをしていきたいと思います。

 次に、先ほど桜内委員からも質問がありました情報監視審査会の委員の数、なぜ八人なのかという点です。

 午前中の質疑の中でも、ちょっとお名前を失念いたしましたが、参考人の方から、やはり八人では少ないんじゃないかという御意見がありました。確かに、多過ぎるのは問題だと思います。余り多いと情報漏えいのリスクが高まります。ただ、八人では少し少ない、そういう有識者の方の御意見もありました。

 それも踏まえて、なぜ八人でなくてはいけないのか。あるいは、先ほどの桜内委員の質問でいうと、なぜ九人にはできないのか。そういったことも含めて、改めてお聞きしたいと思います。

大口議員 山内委員にお答え申し上げます。

 この点につきましては委員からも御指摘がございまして、私どもも真剣に、この人数については考えさせていただきました。

 諸外国を見ますと、大体一桁から十人前後。それは、やはり多過ぎると漏れやすい、少な過ぎると十分その常時監視という任務を果たすことができない、そういうことで八名がいいのではないかなということでございます。

 今回、この八名に加えて、議長、副議長が出席し、発言することができる。議決権はございませんけれども、特定秘密を見て、そして発言する予定になっております。

 また、常任委員会、特別委員会等に政府が提供を拒んだということについての適否についてこの審査会で審査をする。この場合には、常任委員会や特別委員会の委員長、それから与野党の理事という方々が出席し、意見を述べることになります。特定秘密を当然見ます。そうしますと、マックス十三名の人が出席し、特定秘密の中身を見るという形になりますので、国際標準としても少ないということではない、こういうように思います。

 あと、偶数にしたことにつきましては、奇数でありますと、可否同数の場合がかなり多くなってきます。その場合は、情報監視審査会の会長が、伝家の宝刀を抜いて、決裁権を行使する。

 ただ、情報監視審査会というのは、これは議院の過半数によって選ばれた人たちであります。本当にお互いに尊重し合いながら、与党、野党ということではなくて、立法府としてしっかりと行政監視、特定秘密の運用状況をチェックしていく、そういうメンバーでございますので、そういう点では、広いコンセンサスを得るためにも、この審査会の場合は偶数がよろしいのではないか、こういうように考えた次第でございます。

山内委員 やはり、説明を聞いても十分腑に落ちるということでもないんですが、アメリカ議会のように、ある程度、実際の議席数よりも委員の数を野党はやや多目にとるとか、そういう工夫をやっている国もありますので、今回は無理にしても、次回、三年後と先ほど中谷先生はおっしゃいましたが、次に見直すことがあれば、もう少し野党の意見を反映させないと、本当の意味で国会の監視にはならないと思います。

 私は、別に、与党の議員だから監視しないとは思っておりません。それは、与党、野党関係なく、立法府の議員として、そういうきちんとした人を人選すれば監視はできると思っておりますが、ただ、余りにも野党が、今の議席数だけを考えて委員を選んでいるとやはりバランスがとれないと思いますので、次の改定の際には、そういった委員の選び方も、単に会派の人数、議会の構成そのままということではなくてもいいんじゃないかと思いますので、次の議論のときには、そういった点も配慮していただきたいと思います。

 次に、ちょっと細かい質問になりますが、きのうの自民党の平沢委員からの質問を受けて質問させていただきます。

 情報監視審査会に提出されて保管されている特定秘密というのは、審査会の委員のほかに、審査会の事務局の職員も見ることができるということだと思いますが、同様に、例えば外務委員会とか安全保障委員会といったほかの委員会や調査会あるいは議院に対して、衆議院に対して提出され、保管されている特定秘密についても、職員が閲覧できるように認めるべきではないか。さもないと、実務が回らないと思うんですね。

 職員がそういう情報に接することが全くできないとすると、委員が、議員が自分でキャビネットへ行ってファイルをさわるわけにもいかないと思いますので、実務的に回るように、ここはちょっと変える必要があるのではないかと思いますが、質問させていただきます。

大口議員 山内委員にお答えします。

 昨日も平沢議員から同様の御指摘がございました。山内議員からも改めて御指摘を頂戴いたしました。

 ですから、その方向で、今、検討してまいりたい、このように思っております。

山内委員 確認の意味で、ありがとうございました。

 次に、政治倫理審査会の規程の改正について質問させていただきます。

 きのうの質疑でも、これも議論のあった点ですが、政治倫理審査会の辞任勧告、その対象として情報監視審査会の会長を加えるべきじゃないか、そういう議論があったと思います。これについて、もう一度確認のために質問させていただきます。

大口議員 御指摘の点、ごもっともでございまして、その方向で検討したいと思います。

山内委員 承知しました。

 次に、与党案の提出者に質問します。それから、それを踏まえて、後ほど政府に対しても質問させていただきます。

 政府に対する勧告について質問します。

 情報監視審査会は、政府に対して、特定秘密に係る行政運用について改善すべき旨の勧告をすることができるとなっております。そういう勧告を情報監視審査会が出した場合、政府がどのような対応をとることを期待しているんでしょうか。

 例えば、私、たまたまイギリスの議会の情報保安委員会の、委員会から政府に対する勧告のレポートを読んだことがあるんですけれども、イギリスの議会が政府に勧告を出すと、翌月にはすぐ回答を文書でよこす、そういう例もあるようです。

 与党提出者の皆さんにお聞きしたいのは、そういう勧告を出した後、その後、どういうレスポンス、どういう回答を期待してイメージされているのか、それについてお聞きしたいと思います。

中谷(元)議員 これにおきましては、国会法の百二条の十六の二項によりまして、勧告の結果政府がとった措置について報告を求めるということができるとしております。

 この措置によっても、政府が勧告を軽視することなくその自主的な改善を促すことを期待いたしておりますが、残念ながら、やはり三権分立の観点から、国会であっても行政の持つ行政権を侵してはならないということでありまして、あくまでも自主的な改善を求める勧告にとどまるということでございます。

山内委員 今の与党提出者からのお答えがありました。それを踏まえて、政府のお考えを聞きたいと思います。

 イギリスもやはり議院内閣制の国ですから、別に議会の言ったことを一〇〇%政府が守っているわけではなくて、その政府から議会に出された回答を見ると、この部分はできます、この部分はできません、この部分はもう対応済みですみたいな感じで、一応整理して、それぞれにきちんと、次の月、文書で回答しているんですね。私は、そういう関係が必要なんじゃないかと思っています。別に強制力を持たすことは考えていませんが、さすがにイギリス議会も、与党の重鎮議員が並ぶ委員会からの勧告には、全く無視することはしていませんでした。

 そういった意味では、政府はどういうふうに国会に対して、勧告に対して回答していくのか、対応していくのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

    〔松野(博)委員長代理退席、委員長着席〕

森国務大臣 政府といたしましては、国権の最高機関たる国会に設置された情報監視審査会において厳正な審議が行われた結果特定秘密保護法の運用改善の勧告が行われれば、これを真摯に受けとめ、速やかに対応するとともに、その状況について、国会に対し、必要な説明を行ってまいりたいと思います。

山内委員 今、速やかに対応とおっしゃっていただきました。ぜひその言葉を守っていただきたいと思います。

 年次報告でまとめて回答とか、そういうことではやはり問題だと思います。きちんと国会に対して説明をしていただきたいと思いますし、そういう緊張感のある関係をつくるためにも、今の大臣のお言葉を重く受けとめたいと思いますので、大臣がもしかわっても、後の、次の大臣にもしっかりやっていただきたいと思います。

 次に、情報監視審査会の委員の人選についてお聞きしたいと思います。

 これは法案提出者、特に自民党の法案提出者の方に質問したいと思います。先ほど人数の話がありましたが、同時に、人選、どういう人を選ぶのかというのは非常に重要だと思います。そのときに、恐らく、どう考えても自民党の委員が一番多くなるわけですから、自民党の提出者に聞きたいと思います。

 国会議員は、通常、どの国の議会でも、適性評価の対象にはなりません。それは、国民から選挙で選ばれている議員というのは適性評価の対象にすべきではないと、どの国でも常識のように皆さんおっしゃっていました。

 国会議員が適性評価を受けなくていいというのは、逆に言うと、各政党が責任を持って人を選ばなきゃいけないということだと思います。そういう意味でも、この人選は非常に重要だと思います。

 何度も、きのうも維新の会の石関委員の発言にもありましたが、イギリス議会の情報監視の委員会、情報保安委員会ですね、非常に重鎮の、元外務大臣とか元国防大臣とか、保守党の大物がずらりと並んでいて、それから、石関委員の言葉をかりると、脂っ気の抜けたというか、余りぎらぎらしていない、ポストを狙ってとかいうそういう年齢をもう超えたような、非常に見識もあって専門性もあって、それでいて、権力闘争みたいなところからちょっと距離を置いたような、そういう高貴なイメージの方々がなられているのかなという気がいたしました。

 そういう人が、例えば自民党、どういう人がいるかなと思うと、私の口からは何とも、他党のことですから言えませんが、どういう人がふさわしいとお考えでしょうか。どういう専門性、あるいは、これまでどういうポストを経験した方がいいか、そういった点でお答えいただければと思います。

 この委員というのは、ほかの委員会みたいに、地元に行っているから差しかえをお願いします、そういう委員には、なり得ないと思います。一度なったら、それこそ三年ぐらいずっと一人の方がやっていただくということが必要だと思うんですね。

 たしか、これは特に院の議決で委員を決めるという非常に重たい決め方をしていると思いますから、一度決めると、最初に決めたメンバーというのは非常に重要だと思います。特に、最初にできたときの初期のメンバーというのは、前例をつくる人に当たりますから、とりわけ慎重に、立派な方を選んでいただかなくてはいけないということがあろうと思います。

 そういった観点から、自民党の法案提出者にお聞きをしたいと思います。

中谷(元)議員 これは個人的見解でございますが、まずもって、特定秘密を取り扱うことの重大さを認識している人物、これを絶対に漏らさないという強い、またかたい決意を持った方、そして、与えられた職務に忠実で、やはり公正無比な資質が必要だと思っております。

 考えますと、やはり、党内だけではなくて、他党からも信頼の置かれている方とか、また、非常に高潔、高邁な評を得られるような政治家でございまして、どのような方がふさわしいかというと、私の近くにいる方も含めましてたくさんおりますので、その中から、衆目の一致するところでおのずと決まってくるのではないかなというふうに思います。

山内委員 お近くとおっしゃいますと、やはり、外務大臣、官房長官を経験され、インテリジェンスの専門家としては恐らく永田町一ではないかと思います町村先生のような方が適任だとは思いますが、個人名を出すのは問題かもしれませんが、そういう方というのは、本当を言うと、八人探すのは、むしろ難しいのかもしれません。確かに、八人は少ないという意見もありましたが、それだけの経験のある現職議員の方ということになると、かなり絞られると思います。

 残念ながら、みんなの党は委員を出す資格がありませんが、委員を出す資格のある各党、ぜひ、きちんとした専門性と、正直言って、これは報われない委員だと思います。秘密を外で漏らしたら大変厳しい罰則を受ける。要するに、義務ばかりきつい割には余り目立つ仕事にはなり得ないと思います、べらべらしゃべって目立ってもらっては困るわけですから。

 そういう意味では、厳しい、専門性も高いものが要求される、それでいて地味で目立たない、そういう仕事をやっていただく委員を、かつ、その方が、その初期の最初のメンバーがつくった前例がそれからずっと前例になると思いますから、慎重に、いい方を選んでいただきたいと思います。

 次に行きたいと思います。

 それから、午前中の質疑でも、参考人の方から、機密保全のコストが物すごくかかる、それがアメリカでも問題になっているというお話がありました。

 これは、政府にお聞きしたいと思います。

 私も、アメリカのインテリジェンスコミュニティーが情報保全のためだけにかけるお金が膨大な金額になるというようなことを何かの資料で読んだ覚えもありますし、きょうの午前中の参考人の話でもありました。

 これから、特定秘密保護法、例えば国会の中だって、物理的な保護措置をとるとすると、いろいろな工事が発生するかもしれません。あるいは、インターネット関係でもいろいろな保護措置が新たに発生するかもしれません。全省庁それぞれ新たな追加的なコストがかかるかもしれませんし、それから、各省庁ばらばらにやっていくと、もしかしたら非効率かもしれませんし、省庁間の情報交換のときに不都合もあるかもしれません。そういった意味では、全省庁横断的に、ある程度標準化された手順とか効率的なやり方、そういったことも考えていく必要があろうかと思います。

 それについて政府としてどのように取り組んでいらっしゃるのか、特に、コストが余りにも大きくならないように、行政が肥大化しないように、そういった観点から、どういう工夫をされているのか、お尋ねをしたいと思います。

北村政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密の保護に必要以上にコストがかからないように注意すべきであるという趣旨かと存じますけれども、その点、委員御指摘のとおりというふうに考えてございます。

 なお、特定秘密の物的保護措置のあり方につきましては、現在も、特別管理秘密制度、あるいは防衛秘密制度というもので講じられている保護措置というものがございます。

 こういう保護措置を参考としながら、関係省庁間で円滑な情報共有の促進を図るためにも、同じ水準の特定秘密の物的保護措置というものが講じられますように、現在の特別管理秘密の管理に関しますモデル規程でありますとか、防衛秘密の保護に関する訓令といったようなものも踏まえながら、各行政機関における特定秘密の物的保護措置のひな形、これを作成するようにしてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、コストの点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現在も、特別管理秘密制度、あるいは防衛秘密制度というものがございますので、こういうものに現在用いられております施設あるいは体制というものを活用することによりまして、必要最小限の追加的なコストで特定秘密を的確に保護できるように検討してまいりたいと考えてございます。

山内委員 ちょっと時間がなくなってきましたので、途中の質問を幾つか飛ばして、最後の質問に移りたいと思います。

 特定秘密の指定等の実施状況の報告のあり方についてお聞きしたいと思います。与党案の提出者にお聞きします。

 情報監視審査会は、特定秘密保護法十九条に基づいて、毎年政府から特定秘密の指定等の実施状況の報告を受けることになっておりますが、この際、同法三条二項に基づいて作成する指定に関する記録を取りまとめたものを添付してもらうといいと思いますが、いかがでしょうか。

 特定秘密というのは膨大な量になりますので、あらゆる情報を国会の情報監視審査会がチェックするというのはなかなか難しいので、きちんとインデックス化して整理する必要があると思います。それについてお尋ねします。

大口議員 山内委員にお答えいたします。

 大変よいアイデアである、こういうふうに思っております。これは、私ども、政府にも、必ず実現するよう強く求めていきたいと思います。

 ありがとうございます。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 結いの党、信州長野の井出庸生です。本日はよろしくお願いをいたします。

 特定秘密保護法の関係の質疑に立つのは大変久しぶりなんですが、昨年の十一月の衆議院本会議で、私は当時の秘密保護法に中身不十分ということで反対をいたしまして、それに先立ちまして、それまで委員会の審議に参加してきたものもみずからおりたわけですが、きょう、そちら、提出者の席にいらっしゃる先生方に御迷惑をおかけしたという思いはずっと今もございまして、法律の成立の後もそのさらなる改善に向けて御努力をいただいてきた先生方に、この場をおかりして感謝と敬意を表したいと思います。

 さて、きょうは、与党提出法案で新設をされます情報監視審査会について伺っていきたいと思います。

 この情報監視審査会の必要性は多くの人が認めるところだと思いますが、やはり、果たして機能するのか、そこが一番の問題だと思います。

 まず森大臣に伺いたいのですが、情報監視審査会が政府から毎年の報告を受ける、これは特定秘密保護法十九条に基づくものなんですが、政府がどのようなことを報告することを想定しているのか、簡潔にお答え願います。

森国務大臣 十九条で、政府は、毎年、情報保全諮問会議の委員の意見を付して、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況について国会に報告するとともに、公表するものとすると規定しております。

 現在、報告事項の項目について、情報保全諮問会議の有識者委員の意見も伺いながら、運用基準に規定すべく、検討しているところであります。

 その項目については、例えば、過去一年に新たに指定をした特定秘密の件数、過去一年に特定秘密の指定を解除した件数、過去一年に適性評価を実施した件数などを検討しております。これら事項をわかりやすい形で報告してまいりたいと思います。

井出委員 今、件数という、具体的な項目を一つ御提示いただきました。

 重ねて伺いたいのですが、特定秘密を政府側から、秘密の中身としてはこういうものがあると特定秘密の内容そのものを政府の方から情報監視審査会に例示するですとか、そういうことはあり得るのかないのか伺います。私は、ちょっと、今までの議論を聞いていれば、ないと考えておりますが、答弁をお願いいたします。

森国務大臣 報告をする際の手法でございますけれども、この際に、三条二項に基づく指定に関する記録を取りまとめたものを添付してもらうなどを考えております。

 また、特定秘密に当たるものは膨大な量になりますので、インデックス的なものもつけて整理をするなどの方法を考えております。

井出委員 政府の側から秘密の内容がたとえ例示的にとはいえ出されるようなことは、私は、今の答弁を踏まえても、ないだろうと思っております。この特定秘密は、やはりその中身については、国会ですとか国民の知るところにはない、それがそもそも大前提だと思います。

 まず、この特定秘密の要件について、これまで三要件というものを何度も御答弁されてきたかと思いますが、その三要件について、改めて簡潔に教えてください。

森国務大臣 三要件は、法律の別表に限定列挙された四分野二十三の事項に該当すること、それから、公になっていない、非公知性、そして、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿することが必要であることの、三つでございます。

井出委員 別表を基準に秘密を指定していく、それは政府、行政の長がやることでありますし、また、その三要件の三つ目、我が国の安全保障に著しい支障を、漏えいした場合にそういうおそれがあるので、特に秘匿する必要がある、ここも政府、行政の判断だろうと思います。

 その三要件の二番目に、公になっていない、非公知性について今お話があったのですが、非公知性、公になっていない。公になったときに、特定秘密の要件を満たさなくなったときに、特定秘密として指定し得ないですとか、いろいろこれまでもお話を伺ってきましたが、その非公知性が失われた特定秘密というものは必ず開示をされるのかどうかを大臣に伺います。

森国務大臣 特定秘密保護法第四条第七項に記載してありますとおり、行政機関の長は、特定秘密として指定をした情報が非公知性を含む指定の三要件を欠くに至ったときには、速やかにその指定を解除することとなっております。

井出委員 公になったときは、速やかに指定を解除する。その速やかというところが非常にポイントだと思いますが、私は、特定秘密というものは、国会や国民からその中身をうかがい知るすべがなかなかない、そういった中で、公になったものが速やかに公表され、また検証されていくのかというところは、非常に国会にとっても重要なところだと思っております。

 もう少し具体的に実例を挙げて伺いたいのですが、これまで過去の歴史でありました外交密約ですね。

 ことしの一月三十一日、また二月二十八日の予算委員会で、民主党の岡田克也議員が安倍総理初め各閣僚と議論をされているんですが、言うまでもなく、岡田克也議員は、かつて外務大臣のときに、それまでの密約の調査に当たられた。私はこれを、本会議でも、民主党の政権交代の成果であったとお話をさせていただいたんですが、この外交密約の過去の事例、核の持ち込みの密約について伺います。

 この核の持ち込みの密約については、一月三十一日の予算委員会で、安倍総理大臣が、「これは核にかかわる話でありますから、その書類については、当然、これは特定秘密になる可能性というのもあるんだろうと思います」とお話をされております。ですから、これは特定秘密を論じていく上でも非常に重要なケースなのかなと思って伺いたいのですが、きょうは外務省からも来ていただいているので、外務省にお尋ねをします。

 同じような密約が存在して、将来それが公になったとき、これまで過去の事例を見れば、マスコミの報道ですとかアメリカの公文書、また、核の持ち込みでいえばライシャワー発言といったものもありましたが、こういったものがあったときに、政府みずから密約について公表する、存在を認めるということが、先ほどお話ありましたが、速やかにできるのかどうかを外務省に伺います。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のいわゆる密約問題につきましては、外務省におきまして徹底した調査を行いまして、その結果及び関連文書は、平成二十二年三月に公表したとおりでございます。

 核の持ち込みの事前協議の問題でございましたけれども、これは、日米間に何らかの約束があったというよりは、むしろ認識の不一致があったというふうに認識をしておるところでございます。

 そう申し上げた上で、私どもも、実は、四千を超えるようなファイルあるいは文書を対象に徹底した調査を行いまして、その結果を公表させていただいたということでございまして、十分徹底した調査を行ったということを御理解いただきたいと思います。

 仮定の問いにお答えすることはなかなか難しゅうございますが、政府としましては、今後とも、情報公開法及び公文書管理法等の関連法令等に基づきまして行政文書の公開を適切に行っていきたい、このように考えているところでございます。

井出委員 少しわかりにくいお話だったかと思うのですが、その密約の関係は、安倍総理大臣が、十二月の四日だったと思いますが、参議院で、特定秘密保護法ができればこういう問題は起こらないんだ、そういう話をされて、そこを岡田元外務大臣に、果たして本当にそうなのかという指摘を受けたところで、非常に大事なのですが、過去の密約は、報道やアメリカ側の文書、重要人物の発言等で、やはりこういうことがあったのかと、世の中的にはそういうものを受けとめた。しかし、その存在について政府側がなかなか認めてこなかった。その存在について隠すといいますか、触れないといいますか、そういう答弁が続いてきたことも事実です。

 そういったことがこれからなくなってほしいと思いますし、安倍総理もそのような答弁をされているかと思うんですが、特定秘密の情報が公になったときに、果たして公になった情報が特定秘密かどうかを調べたり確認をする、そのステップを踏むことは当然想定されると思うのですね。

 去年の十一月十一日、国家安全保障に関する特別委員会で、政府側の答弁、これは民主党の渡辺委員が当時質問されたのに答えているんですが、やはり特定秘密と同一情報であるかどうかの判断は行政機関の長が判断をするものだと思いますという答弁があります。

 この御答弁は森大臣がされているんですが、森大臣はこの御答弁を覚えておりますでしょうか。その答弁の趣旨は今もお変わりないかどうか、確認願います。

森国務大臣 同一性を有するかどうかの判断ですけれども、特定秘密の指定をした行政機関の長が行うことになるものです。

井出委員 その同一性を有するかどうかというものは、公となった情報を密約として政府が認めるか認めないか、わかりやすく言えばそういうことなんですが、それを行政の長がやはり判断をしなければいけない。

 そうなってくれば、冒頭に答弁をいただきました速やかにというものが、一体どこまでこれまで以上の改善があるのかという疑問は一つありますし、また、行政の長が、同一性を認めずに、過去の歴史のように、密約について触れない答弁を何十年にわたって繰り返すということもあり得る。

 そこのところは、安倍総理がおっしゃっているように特定秘密保護法ができても、改善されるとは言い切れないと私は思っているんですが、その認識で正しいかどうか、大臣に伺います。

森国務大臣 安倍総理の御答弁の御趣旨は、今までは、法律によってしっかりと枠組みがつくられていなかった、そして、指定権者も、大臣などの行政機関の長ではない場合もあったということで、行政機関の長が責任を持って特定秘密の所在、存在、内容等も必ずしも知り得る立場にはなかった場合もあったということから、このたび、しっかりと法律で規定をしていく、行政機関の長が指定をしていくという仕組みができたということについて述べたものであると承知をしております。

井出委員 確かに、安倍総理大臣はそういう話をされておりますし、一月三十一日の予算委員会でも、総理大臣である私というのは、国民によって選ばれた国会議員から選ばれ、政府を率いる立場として、国民によって選ばれた国会議員の代表としても見るわけでありますと、御自身もその責任を果たしていくというような旨のお話をされているんです。

 しかしながら、私は、安倍総理がおっしゃったように、この法律ができても、政府側の情報公開に対する姿勢、今まで、まあ、外交秘密ですから、そのとき秘密にしておくというのは、いろいろな事情があり得ると思うんですね。しかし、それが公知の事実となって、公となって、特定秘密だという蓋然性が高ければ、それは速やかに公表して、認めていく、それで当時のことを検証するというように、これまで過去の密約でとってきた対応とその態度を変えて、臨むスタンス、政府側が臨むスタンスを変えていただかない限り、同じことはまた起こり得ると思うんです。

 運用に当たって、各行政の長ですね、公知の事実となったときに、公知の蓋然性が高いと判断したときに、そこを積極的に公開や検証をしていただきたいと思いますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

森国務大臣 今までの仕組みと違いますのは、特定秘密、最初にきちんと有効期間を決めますし、それを延長するときにはまた行政機関の長が判断をしていくということになりますので、その段階で、また、行政機関の長が同一人物でなくなった場合にも、しっかりと知り得る立場になっているということがあると思います。

 その上で、それぞれの行政機関の長が、法律にしっかりと規定をされた非公知性を含む三要件が失われた場合には速やかに解除するということを、しっかりと徹底していただきたいと思っております。

井出委員 行政の長が判断をしていく、また、指定の期間があり、解除の期間があって、その判断のタイミングは今まで以上にしっかりしたものになるというお話かと思うんですが、ただしかし、秘密の指定や解除というものに関しては、国会や国民のあずかり知らぬところでやるという大きな枠組みの中で行われるわけですから、そこについては、やはり、今までの密約の対応のようなことが繰り返されるおそれが残っていると私は考えざるを得ません。

 そこで、今回の国会の情報監視審査会のそのときの役割というものは、私は非常に大きくなってくると思っております。報道や、また、過去の密約に照らしていえば、アメリカの公文書、またアメリカの要人の発言といったもので公になったものが、特定秘密と同一である、その同一の蓋然性は極めて高い、そうなれば、当然、この情報監視審査会が持っている権限を使って特定秘密の提出を求める、そういったケースはかなりの割合で私は出てくると思うのですが、ここで、政府側の、その情報を明かすことはできないといった話で片づけられてしまうようでは、これは何のために情報監視審査会をつくるのか、そういうことにもなってくると思います。

 公知の事実が出てきて、それを政府が認めるか否かというときに、そうしたケースでこの情報監視審査会がどのようなスタンスで政府に対応を求めていくのか、お考えを伺います。

大口議員 井出委員にお答え申し上げます。

 井出委員とは協議も一緒にさせていただいたことで、本当にこの特定秘密にお詳しい方でございます。

 非公知性につきましては、公になっていないものの定義が、不特定多数に知られていないことということなわけでございまして、例えば、アメリカ公文書館でこういう事実があるということが公表された、それがマスコミを通じて日本でも報道されている、そういうような状況の中で、不特定多数に知られていないのかどうかということをしっかり情報監視審査会が吟味をする、そして、指定の要件が遵守されているか、解除すべきかどうかということについてしっかり審査をする、そして、そういう点では、運用の改善について勧告を行う、その勧告がちゃんと履行されているかどうか、どうその勧告について対応したのかという報告も速やかに出していただけると今森大臣の答弁にもありました。

 そういう形でしっかり常時監視ということをやっていくというのが、この情報監視審査会の任務であります。

井出委員 冒頭の質問で、この情報監視審査会に、政府側からふだん積極的に特定秘密の内容が例示されることはないと。

 私は、であるからこそ、なかなか、ふだん、毎年の報告ですとか、そういった何も端緒がない中で特定秘密の中身について本当に有効な役割を果たせるのかというところは少し難しいのかなという思いもあるんですが、私がきょう伺っている例えば密約ですとか端緒があるときに国会が役割を果たせなかったら、本当に何のためにこれをつくったのかと。

 そこは恐らく、そのときの世論の状況もありますし、運用の問題にも係ってくると思うんですが、私は、これから、もしそういう密約のようなケースがあって、公になった情報を政府が認めるか否か、そういう局面になったときに、必ずその役目を果たしていただきたい。

 重ねて伺いますが、答弁をお願いいたします。

大口議員 今のは、森大臣からも御答弁がありました。山内委員の質問に対する回答でも、あったわけでございます。

 要するに、特定秘密保護法の三条の二項で、特定秘密を指定する場合は、ちゃんと記録を残します。それを指定書といいます。そして、各省庁がこの指定書を集めた管理簿というものを持っているわけであります。そして、特定秘密保護法の十九条で、毎年報告をするときには特定秘密の指定の指定書をまとめたものを添付する、こういうことを答弁されたわけですね。そういう点では、これは端緒としてかなり有力なものになるんじゃないか、こういうふうに思っておるところでございます。

 いずれにしましても、さまざまな報道もあれば、あるいは行政機関の長に対しても説明を聞くわけでありますし、あるいは、内閣府に情報保全監察室、こういう部署もできるわけですから、そこの室長等にも来ていただいてその状況を聞く。さまざまなツールを駆使して、そしてしっかり常時監視をするべきである、そういう任務が与えられているんだ、こういうふうに考えております。

井出委員 今御答弁があった御決意は重く受けとめさせていただきたいと思います。

 私は、一番現実的に、これから、この特定秘密保護法、また国会の監視が問われてくるのは、恐らくこのケースではないかと思いますし、十一月、本会議の質疑で登壇をさせていただいたときも、この特定秘密保護法というのは、日本が民主主義国家になり得るか、国会が問われている問題だということをお話しさせていただいて、もちろんその上で提出者の先生方がさまざま議論を重ねてきてくださっていると思っております。

 ぜひ、今後とも先生方の英知を結集していただいて、よりよいものとなることを期待して、私の質問を終わります。

 きょうは、ありがとうございました。

逢沢委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 この情報監視審査会は、政府の特定秘密の運用を監視し、運用改善を勧告するとしておりますけれども、特定秘密を提出させる強制力はない。

 そこで、森大臣に確認をします。

 安全保障に支障を及ぼすおそれがあると判断した場合は特定秘密の提出を拒否することができる、したがって、国会が求めた資料を政府が提出するかどうか、それは最終的には政府の意思次第ということになることは、昨日の質疑でも明らかになりました。

 そういうことでよろしいかどうか、大臣に確認をしておきたいと思います。

森国務大臣 国権の最高機関たる国会から特定秘密の提供が求められた場合には、政府としては、これを尊重して、適切に対応してまいります。

 なお、特定秘密に当たるような国の重大な利益に関する秘密の提供は、現行制度のもとでは、国会法第百四条第三項の、国家の重大な利益に悪影響を及ぼすものとして内閣声明の対象となり得るものでありますが、与党案により設置される情報監視審査会に対しても、改正案の規定に基づく内閣声明を出す場合というものがあり得るというふうにされておりますけれども、新たな保護措置が講じられることにより、現在は内閣声明の対象となるような秘密であっても、今後は情報監視審査会には提供できるようになってくるものと考えております。

佐々木(憲)委員 つまり、国会に新しい機構あるいは体制ができると、それに対応して特定秘密に当たる資料を国会に出すかどうかの判断が変わる、こういうことですね。

森国務大臣 はい、そうでございます。

佐々木(憲)委員 次に、情報監視審査会は、政府の年次報告を審査するとしておりますけれども、この年次報告は特定秘密の中身を報告することではないわけであります。

 では、政府の年次報告は、何をどのような形で行うのか。大臣、その基準、その形式、これを示していただきたいと思います。

森国務大臣 特定秘密保護法第十九条の年次報告でございますけれども、その項目の内容につきましては、現在、情報保全諮問会議の有識者委員の意見も伺いながら、運用基準に規定すべく検討しているところであります。

 その項目については、例えば、過去一年に新たな指定をした特定秘密の件数、特定秘密の指定を解除した件数、適性評価を実施した件数などを検討しておりまして、これらの事項をわかりやすい形で取りまとめて報告をする必要があると考えております。

 その具体的な形式については、情報監視審査会が設置されれば、その御意見を伺いつつ、検討してまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 今の御答弁ですと、個別具体的な運用ではなくて、数字ですね、簡単に言うと。新たに指定を受けた件数、解除した件数、適性評価の件数、こういう話であります。

 そうしますと、この審査会というのは、その運用が適切かどうか、これを判断するには極めて具体性に乏しいわけであります。どういうふうにそれを見て、何を監視するのか、何をチェックするのか、そこを伺いたい、提案者に。

大口議員 佐々木委員にお答え申し上げます。

 年次報告には情報保全諮問会議の意見が付されるわけであります。そういう点では、非常に見識の高い、きょうも参考人で、清水先生もその一人であるわけでございますけれども、政府に対して批判的な方も意見を付されるということでございます。

 そしてまた、行政機関の長や職員、また、独立公文書管理監、また、情報保全監察室の室長や職員、参考人等の説明も聴取します。スタッフによる調査。それから、各委員会から審査要請もある。そういうものも端緒になってくると思います。

 また、森大臣も答弁されましたように、特定秘密保護法の三条の二項で、指定に関する記録を行政機関の長はつくることになっています。各省庁別に管理部門をつくるんです。それを、省庁横断的なものも定時報告に添付をしていただけるということでございますので、そういうものをしっかり見て監視をしていく。

 マスコミの報道や、海外からの、例えば、ある国の国立公文書館で発見されたものがマスコミに出るとか、そういうようなことも含めて、アンテナを高くしてやっていくということでございます。

佐々木(憲)委員 政府報告が極めて抽象的なものでありますので、これはなかなか、チェックをするといっても、難しいと思うんです。

 情報監視審査会が対象にするのは特定秘密ですね。しかし、何が特定秘密かは、これは、秘密が何かも秘密なんですから、わからぬわけであります。

 昨日も聞きましたが、提案者は、例えば委員会が提出を求めた資料が、政府の疎明や政府声明の中で必ず、特定秘密に当たるからそれは出せませんと言わせる、こういう答弁をされました。

 森大臣に確認したいんですが、例えば、今いろいろな委員会があります、その委員会から開示要求があったときに、特定秘密に当たるものについては、特定秘密に当たるので出せませんと必ず明示するというふうに断言できますか。

森国務大臣 委員会からなされた報告または記録の提出の求めに応じないときには、国会法百四条二項により、その理由を疎明しなければならないこととされております。

 法律上、委員会からの求めに応じないその理由として、特定秘密である旨を明らかにすることとはされておりませんが、特定秘密保護法第十条第一項において、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときには特定秘密を提供するものとする旨規定されていることを前提といたしますと、このたびの与党案による国会法改正がなされた場合には、その趣旨を踏まえて、委員会に対して理由を疎明していくことになります。

 具体的な疎明の内容については個別の事案に応じて検討する必要がありますが、基本的には、特定秘密が含まれるため委員会の求めに応じられない場合には、その旨を理由の疎明の中で触れることになるものと考えております。

佐々木(憲)委員 それは法案には書いてないということですね。これは運用ということですか。

大口議員 佐々木委員の御指摘もありました。当然、疎明では、特定秘密であるということも含めた疎明という形になる、これは特定秘密保護法の十条の規定の趣旨も踏まえての今の森大臣の答弁だと思います。

佐々木(憲)委員 これは、運用ですから、必ずそうなるかどうかというのはわからないし、また、政府がどういう疎明をするか、どういう政府声明を出すか、これは、政府自身がそれをやるわけですから。また、それをチェックする機関が別にあるわけじゃありませんね。

 これは、法律上も書いてないことでありますので、非常に曖昧だと思いますね。

 次に、国会の活動というのは、本来、国民の見えるところで行うというのが当然のことであります。そうじゃないと意味がない、何のために活動しているのか。この秘密会が常設されると、その状況が変わってくるわけですよ。

 例えば、国会の外務委員会が資料提出を求めた。それは当然、求めたということは国民が見えますよね。ところが、審査会の中で政府から、提出はできません、その理由はこうです、こう説明があった。それで審査した結果、これは秘密扱いにしてもよろしい、こういう結論が出たとします。その場合は、議事録も公開しませんので、どういう経過で、なぜ秘密のままでよいとされたか、国民は誰一人知ることができない、そういうことになるんじゃありませんか。

大口議員 審査会は、そこで議論された内容が特定秘密にかかわるものであるだけに、議事録も公開しないことを原則としています。

 委員の御指摘は、情報監視審査会で活動が秘密にされ、国民に明らかにならないのではないかとの問題意識に基づくものだと思われます。

 この点については、情報監視審査会の勧告は、特定秘密が記載されている部分を除き公表されます。勧告は公表されるわけであります。そして、情報監視審査会は、毎年一回または必要と認めるときは、アドホックにその調査や審査の経過または結果を記した報告書を作成し、議長に提出の上、公表するといったことで、その活動については国民に公表することができるものと考えています。規程案の二十二条からも、そういうことが言えると思います。

佐々木(憲)委員 しかし、今、極めてばくっとした答弁ですよね。

 勧告は公表する、それはわかりますけれども、その前の段階で、審査会で審査をした結果、秘密で結構です、こういう結論が出たときは、これは何もわからないんです。勧告が出るというのは、政府に対して、いや、それは公開しなさいとか、こういうことになります。そこの段階で国民は見ることができますけれども、あとは、その前の段階ではわからぬわけです、議事録もないし、委員はしゃべっちゃいけないし。そういうものになると、国会の委員会も、出さないという結論しかわからぬわけですよ、これは出ませんと。それだけのことになってしまって、一体、何を審査したのか、なぜだめなのか、全然わからないんじゃありませんか。

 議事録も、今回の規程では、公開しないということは書いてあるけれども、では、開示はするのかという規定は何もないんですよ。永久にこれは秘密で、永久に秘密の部屋に保管する、未来永劫誰も見ることができない、法律上そうなっているんですよ。そういうことなんですか。

大口議員 まず、アメリカ、イギリス、ドイツにおきましても、議会も機密情報が漏れないような形でいろいろな工夫をしています。ドイツの場合は、いつ、どこで、どうその委員会が開かれたかどうかも秘密にしている。我が国はとりませんけれども、そういう例もございます。

 今委員御指摘の議事録、秘密会にした場合の議事録は、昔も秘密会にしたものがありますが、いまだに実は開示されておりません。

 行政文書は、公文書管理法ですとか、あるいは行政機関の情報の公開法があるわけですが、立法文書については、実は管理法もなければ情報公開法もないわけですね。これは本当に、議会におる者の一人として、ここら辺の立法文書については今後やはり検討していかなきゃいけない課題だ、こういうふうに思っております。

佐々木(憲)委員 これは極めて、何というか、悪い言葉で言えば、闇から闇という感じになってしまうわけです。

 審査会、秘密会の委員は内容は絶対漏らしちゃならない、こうなっていますね。物が言えない議員ができるわけですよ。開示をなぜ拒否したか、その理由も説明はしてはならないと。議会が口封じされるような感じじゃないですか。

 この審査会の委員にはなりたくないという人がどうも多いのは、大体、委員になった議員は、普通は、私はこの委員会に所属してこんな立派な活動をしています、支援者、後援会の皆さん、どうでしょう、有権者の皆さん支援してくださいと、これが普通の議員ですが、ところが、この場合は、胸を張ってこういうことをやっているんですよということは一切言えないわけですね。

 そういう議員は一体何をしているんだろう、何かやっているんだろうけれども、何をしているのかさっぱりわからない、議事録も出てこないしと。そういうことで、もうこうなると議会ではなくなると私は思いますね。

 議会の自殺行為になると思いますけれども、いかがですか。

大口議員 委員にお答えします。

 まず、森大臣も答弁をされましたように、これまでだと百四条の三項で内閣声明を出して、出さない場合も、こういう情報監視審査会ができたことによって提出させることができる。そして、国会、国権の最高機関である情報監視審査会が見るわけでありますから、これはドイツでもおっしゃっていましたが、特定秘密に指定されたものについて見ることができると、抑止効果、教育効果が非常に強いんだという効果がある、こういうふうに思うわけであります。

 そして、特定秘密を出させるためには、その内容については漏らしてはいけない。漏らさないということによって、行政もその努力に対して応えるために、一生懸命出させることができる、こういうことでございます。

 確かに、そういう点では、情報監視審査会のメンバーであるということは皆さんには公表できますけれども、本当に、我が国の国民の生命と安全、国の存立のため、目に見えないところで一生懸命頑張っているんだ、こういうことだと思います。

 そういうことも気にしない、ある意味では、権力欲とか名誉欲とかそういうことじゃなくて、本当に国家国民のためと、そういう方が本来このメンバーになるべきだと思います。

佐々木(憲)委員 審査会に入ったら見ることができるだけであって、それは話すこともできないし、何をやっているかさっぱりわからぬことになるわけですよ。

 秘密会の委員は携帯を持ち込めないと。

 メモはできるんですか。そのメモを持ち出してはいけないんでしょうか。あるいは、出てから記憶に基づいてメモをつくる、こういうことは可能なんでしょうか。

大口議員 ちょっと先ほどの答弁につけ加えますけれども、毎年報告書も発表するわけでございますので、何をやっているかわからないということは、ないと思います。

 それから、メモも、これは禁じられると思います。これはしっかりこれから検討をすべきだと思いますが。

 ロックフェラー上院議員、上院の情報特別委員会の委員長でありますが、ある秘密について次から次へと映し出されたそれを必死になって見たことを、経験として私たちにお話ししてくれました。

 我々は、審査会のメンバーはもっとじっくり時間をかけてこの特定秘密をしっかり読み、熟読玩味するというような形にはしていかなきゃいけないと思いますけれども、本当に漏れないようにしていかなきゃいけないということで、具体的な方策については、これから検討することになると思います。

佐々木(憲)委員 メモも禁じられる。

 こういう話になりますと、何も持たないで、すっと審査会に入るわけですね、それで、政府が、こういうことでございますと説明がある、ああ、そうですかと、そういう話なのではないか。こんなことで果たしてまともなチェックができるのか。これは非常に奇妙な審査会になっていくのではないか。

 議会ですよ、これは。議会ですから、本来ならメモもとって、この秘密指定について、真っ当なのかどうか、自分なりにそれなりに調査したり、あるいは文献を読んだり、それで、これはやはり開示をすべきだ、あるいは秘密なら秘密、そういう結論を出すのが普通ですけれども、何も持ち込めないし、何もない中で、記憶だけで、その記憶もメモしちゃいけないという話になると、さっぱりこれは、議員として、審査会の委員としても、活動は極めて制約されるということになるわけであります。

 では、この法案の附則五について聞きたいんですけれども、特定秘密以外の公表しないとされている情報、こう書かれていますけれども、これは一体どういうものなんでしょうか。そうした情報の提供を受けるための手続、方策というふうに書いていますけれども、これはどういうことでしょうか。これは、別途、秘密保全体制をつくるということを検討するということになるんでしょうか。その辺、お聞かせいただきたい。

中谷(元)議員 佐々木委員も、情報公開、国民に知らせるという点においては非常に熱心だと思いますけれども、こういった措置は、政府の情報を国会に出していただくための手段でありまして、今回初めてこういう審査会をつくるということでございますが、最初の段階でありますので、特定秘密に至らない情報については、今回適用となっておりません。今回は特定秘密に限っての情報でございます。

 しかし、先ほども答弁したとおり、非常にアンバランスな状況が出ておりますので、附則五項を設けまして、こうした特定秘密に至らない秘密情報についても、秘密であることを維持しつつ国会に提出をさせるということがその条件でありますので、その手続と方策を検討して必要な措置を講じる旨を定めるということでございます。

 そのような措置がされない場合は、政府は国会に情報提供はできないというふうに思っておりますので、やはり国会側としては、そういう情報を得るためにも、こういったルールが必要ではないかなと思っております。

佐々木(憲)委員 今の答弁は、そういうふうに解釈もできますけれども、逆の解釈もできるわけで、そこは我々は厳しく見ていきたいと思うんです。

 次に、職員の適性評価の問題ですけれども、国会職員ですね、これは。国会職員の適性評価、これは誰が行うんでしょうか。

 両院議長がやると。しかし、両院議長が直接自分でやるわけじゃありませんから、どこかから職員を持ってこなきゃいけないですね、議運委員長がやるわけでもありませんし。

 その職員は、適性評価をやるだけの能力のある職員というのは、一体どこにいるんですか。今はいませんよね。これは一体どうするつもりなんですか。

大口議員 委員、先ほどのメモの件ですけれども、許可を受けて閲覧もできますから。

 それと、今のことにつきましては、これは、改正案の、国会法百二条の十八によって、議長が実施することとなっております。実際には、議長の委任を受けた事務総長または法制局長が情報監視審査会の事務を行うこととなる者に対して実施することとなろうか、こういうふうに思います。

 そしてまた、特定秘密保護法の十二条の二項には適性評価の項目が書いてありますので、この行政職員に準じた形になると思います。そして、国会職員についても、これらに準じて、知人その他の関係者への質問や、公務所等への照会も求めて、適性評価を行うことを考えております。

 いずれにしても、今後、両院議院の議長が協議して事項を定めることにしております。

佐々木(憲)委員 先ほどのメモに関連した件ですけれども、許可を受けなければ委員でさえ見られないわけですよね。そういう制約のある中で、見たからといって、メモをつくるわけじゃありませんからね、できないというんですから。

 一体どういうことになるかといえば、口封じされるだけなんですよ、見たことを言うな、議論したことも漏らすなと。そんなことを議会に持ち込んで、その議員は、しばらく、三年間そこで仕事をしろと、こんなことで、一体国民に開かれた国会と言えるのか。国民から見たら、何をやっているかわからない、秘密がどんどんふえるだけじゃないか、こういうことになるわけです。

 我々としては、今議論してきましたけれども、こんなものはつくる必要がないというふうに思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

 以上で終わります。

逢沢委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 大変、全体として短い審議でこれだけ大きな問題を取り扱うことにはやはり違和感を感じておりますし、本来であれば、きょうも随分出ておりますが、じっくり審議するべき内容かと思います。

 さて、四つの法案が出ております。両者に質問させていただきたいと思いますけれども、まずは、対象とする秘密の範囲の違いと意図についてお伺いしたいと思います。

 与党案においては、国会に提出を求めるものは特定秘密のみとなっておりますが、民主党、維新、結いの党から提出されました国会法の一部を改正する法律案では、現行国会法の第百四条に第百四条の二を加える法案では、どういう情報の提出を求めるかについては特に絞ってはおりません。

 国会の国政調査権を尊重し、より明確に政府に対して情報や資料の提出を求められることを示すものであり、国会による行政のチェック機能の面から、望ましい内容と考えております。

 対象とする情報の範囲とその意図について、両提出者より御説明をお願いいたします。

後藤(祐)議員 国会が、政府の保有する秘密情報を提供していただく必要があると考える場合、その情報が特定秘密に指定されているかいないか、わからない場合も多くあると考えます。現在の百四条では、国会における秘密保護措置について規定されていないために、秘密保護措置がないことを理由に提出を拒否される場合もあり得る形となっております。

 そこで、我々野党の案では、百四条の二第一項で、特定秘密に限らず、全ての政府情報を対象に、国会での秘密保護措置を講ずるとともに、提供しない場合の理由を極めて限定することで、原則提供していただく制度としているところでございます。

 情報監視審査会を設置する与党案は、基本的に特定秘密を念頭に置いているようでございますけれども、運用上、できるだけ広く対象とするよう、我々としても期待したいと思います。

大口議員 今回の国会法の改正等につきましては、これは特定秘密保護法の十条一項一号イで、また附則十条というものを実現化するために法改正をさせていただきましたので、対象は特定秘密になります。

 ただ、私たちも、特定秘密以外の秘密情報についても問題意識を持っておりまして、今、政府で、まず特定秘密以外の秘密情報について、その取り扱いの適正さを確保して、そして国会に対する提供手続をどうしていくかということについて、これは我々も問題意識を持っているわけですので、附則五項で、この法律の施行後速やかに、特定秘密以外の秘密情報についても、国会への提供に関する手続だとか国会における保護措置等も、当然、所要の措置を講じていきたい、こう考えております。

小宮山委員 きのうの質問は、どのような懲罰の規定があるかというようなことを最後に聞いて終わりました。

 さて、憲法五十一条と罰則についての関係を伺いたいと思います。

 憲法五十一条では、「両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。」とされ、本会議や委員会での発言内容について刑罰に問われないことが示されております。国会議員は、選挙を通じて基本的に適性を問われているものでもあります。

 与野党いずれの案の場合でも、秘密情報の国会への提出の妥当性について、確認に携わる議員、あるいは全く別件で、何らかのきっかけで特定秘密に相当する情報を知ってしまった議員が、これは、その議員自身が特定秘密を知っているか否かは別といたしまして、本会議や委員会で、故意であるかいかんにかかわらず、秘密に関して発言してしまった場合に、憲法五十一条の規定のとおりに、刑罰に問われぬことになるのか、あるいは、秘密保護法により刑罰に処されることとなるのでしょうか。

 昨日、十一日の審議で、海外視察された野党提出者の山田宏先生の御発言では、諸外国の事例で、国会議員に対して刑罰を設けている例は見られなかったとありました。

 議員に対する懲罰の内容について、与党提出者の中谷先生の御発言では、院からの除名も含まれるとの見解もございました。

 秘密保護法による国会議員への刑罰、懲罰動議による懲罰には除名も含まれるという見解、これらは、国民から選ばれ、政府をチェックする役割を担う国会議員を信用していないという根本的な考え方があって、漏らしてしまう不心得者がいるだろうから罰則などを用意しておかなければという、ある種、性悪説に立った法体系になっているのではないでしょうか。

 そのこと自身、国会議員とは限らず、特定秘密に、好むと好まざるとにかかわらず、何らかの件で近づいた一般の方に対しても、基本的人権の尊重から考えれば少々踏み外した、少々でもないですかね、踏み外した、とにかく罰則を準備するのだ、信用しないのだというような形になっている法律とも見受けられます。

 憲法五十一条との関係、国会議員への懲罰動議の提出要件についての見解、そもそも国会議員への懲罰ありきとしている考え方、これらについて、与党提出者及び秘密保護法の御担当の森大臣から見解を伺うとともに、それら見解を聞いた上で、また野党提出者、これは主に民主党でございますけれども、御見解をお聞かせいただければと思います。

中谷(元)議員 海外の事例ですが、アメリカもイギリスもドイツも、免責特権はありますが、罰則はいずれの国もあります。

 我が国も憲法で免責特権がございますが、もう一つ、憲法五十八条に懲罰規定がありまして、両院は院内の秩序を乱した議員を懲罰することができると規定をされております。その行為が議院の秩序を乱したかどうかというものでございます。

 院で、これは漏らしてはならないという前提で委員会を運営しておりますので、それに当たるかどうかということでありますが、個々の事案についてどう認定するかにつきましては、懲罰委員会において判断をされるものと承知をしておりまして、懲罰を受けるかどうかについては一概にお答えはできませんが、これは議院の、議会における自主自律のルールではないかと思っております。

森国務大臣 国会議員については、憲法上、五十一条の規定がございますけれども、国会議員が議院における活動として職務上行った行為については処罰されることはございませんけれども、国会議員が、議院における活動として職務上行った行為としてではなく、特定秘密を漏えいした場合に、その漏えいが特定秘密保護法により処罰対象となり得ることは、ほかのものと異なることはございません。

 特定秘密が漏えいした場合の我が国の安全保障に与える影響は、漏えいしたものによって異なるものではございません。このため、特定秘密保護法では、国会に提供された場合を含め、同法第十条の規定により提供された特定秘密を漏らした者は処罰の対象となる旨規定しております。

後藤(祐)議員 先ほど中谷議員より、議会における自主自律のルールという言葉がありましたけれども、この罰則及び懲罰については、やはり立法府が自律的に決めているかどうかということが非常に重要だと思うんですね。

 特定秘密保護法は閣法です。閣法で国会議員に対する罰則を定めているという例は、これまで、公職選挙法ですとか、幾つか国会議員に対する罰則を定めた法律は、私の知り得る限りは全部議員立法であって、閣法で国会議員の罰則を定めている例は、この特定秘密保護法だけではないかと思われます。

 これは大変問題だと思っておりまして、議員の身分、そして立法府と行政府の基本的な関係にかかわるものでございますので、やはり、閣法による国会議員の罰則というものは、三権分立の観点からも望ましくないというふうに考えております。行政府は本来自制すべきことではないかと思います。

 一方で、今回、議院運営委員会で、国会議員による特定秘密の漏えいを懲罰事犯として扱う衆議院規則改正案というものも今審議されているというふうに理解しておりますけれども、これは立法府がみずからの判断で国会議員の懲罰を自律的に決定するというものだと考えておりますが、この懲罰が実施されるのであれば、閣法で制定されている特定秘密保護法の罰則の適用対象から国会議員を除外したらどうかというふうに考えます。どうしても懲罰のほかに罰則が別途必要だということであれば、議員立法として別途提案していただいて、再度議論してはどうかというふうに考えます。

小宮山委員 後藤提出者、大変わかりやすい説明をありがとうございました。

 森大臣も、この手の質問は昨年から多々ありますけれども、なかなかわかりづらい御説明が続いているというのもよく言われることで、きょうもそうだったなと、大変はざまで悩まれているのが、法律家としての悩みがあられるのではないかと思います。

 また、中谷提出者の方からありましたけれども、これはきのうも話させていただきましたけれども、議院の秩序を乱すということを誰が決めるのか。

 これはけさの参考人の中にもありましたけれども、秩序という基準をつくるときには、主観的判断というものがどうしても起きているのではないか。過去の除名の案件等を見ましても、痴漢行為であったり、買収であったりとか、そういった金銭の問題、傷害の問題等あった。そのほかは、やはり発言の問題です。今思い返して後々読んでみれば、そこまででもないのかなと。

 侮辱したとかそういったいろいろな内容で処罰、除名がこの国会で行われた。その反省があって、戦後、国会として、さまざまな議員の発言というのを守ってきた。そういった歴史を積み重ねた議院の活動、そういう先人たちの知恵などは、大切にするべきだというふうに思っております。

 さて、衆議院規則、情報監視審査会規程の懲罰事犯と、秘密保護法について伺わせていただきたいと思います。

 与党提案の衆議院規則改正案、情報監視審査会規程案では、特定秘密を漏らすなどした者に対して懲罰事犯として扱うことが記されております。これらの場合について、院の懲罰委員会などでの取り扱いとともに、同時に、秘密保護法による刑罰についても国会議員に対して処されることになるのか。重なりますけれども、やはり処罰しなければならないものなんでしょうか。改めて、今までのさまざまな意見を聞いてきた、どなたかわかりませんが、提出者に伺わせていただきたいと思います。

中谷(元)議員 やはり、懲罰と刑罰、これはそれぞれの意味がございまして、懲罰というのは、院内の秩序を乱した議員に対して、議院の自律権に基づいて科せられる制裁でございます。一方、刑罰というのは、罪を犯した者に対する、法律に基づく制裁ということでありますから、その趣旨、目的が異なっておりまして、いずれの要件も満たす場合には、双方が科せられることもあり得るということでございます。

 そもそも、これは国家の重要な機密でございますので、それの取り扱いを定めた特定秘密保護法、こういう中の刑罰と、もう一つは、会議録中に秘密を要するものと議院とか委員会において議決された部分や特定秘密を他に漏らした者についてというようなことで、双方の趣旨に基づいて今回規定するものでございます。

小宮山委員 もう少し、議員同士、国民に選ばれた者同士ということで、信頼していただいてもいいのではないかという思いもございます。

 さて、国民の知る権利を保障するために、今後整えられるべき法整備について伺いたいと思います。

 野党提案の国会法百四条改正は、政府の持つ情報は本来主権者たる国民のものであり、国民の知る権利を保障する上で、国民の代表たる国会に対して政府から情報を提出させるための仕組みを整えようとするものであり、そのスタート地点とも言える改正ではないかと思っております。

 生活の党は、必要な秘密保護の仕組みは整えるべきものではあるが、その前提として、本来情報の持ち主であり所有者であるはずの国民に対していかに公開するかの仕組みをしっかりと整えることが先だと考えてもおります。

 公文書管理、情報公開、何年経過したらどのように公開するかなどといった必要な仕組みづくりの方向性について、今回、国会法百四条改正に引き続いてどのように進むべきとお考えになっているのか、野党提出者よりお伺いしたいと思います。

後藤(祐)議員 私たちは、政府が保有する全ての情報は主権者である国民のためのものであると考えておりまして、小宮山委員の認識とそこは全く同じでございます。したがって、政府による秘密情報の保護と国民の知る権利を守るという、このバランスをどうとっていくかが重要だというのがまず基本だと思います。

 行政府側の秘密保護法制が強化されていく中で、国民の知る権利を守る観点からの制度の充実がそういう意味では不可欠だと考えておりますが、昨年の臨時国会には、情報公開法の改正案、そして公文書管理法の改正案を提出させていただきました。この通常国会でも継続審議となっておりますので、一日でも早く御審議をいただいて、与野党の御協力をいただいて、成立を図ってまいりたいと思っております。

 また、本法案の審議の過程で、きょうの午前中も大変に議論がありましたし、今もありましたが、内部通報者の免責及び保護についても大きな課題があるということが、与野党を通じて共通認識になってきているのではないかなと理解しております。これについても、法改正をもって対応すべきだという課題が今後残っていると思います。

 また、政府内の方にできる第三者機関による監視、これを法律で設置するか政令で設置するかまだ不明な状態であり、これ自体が大変な問題でありますけれども、この第三者機関が、独立した立場から、法的拘束力のある形で、例えば指定解除請求権を持って監視を行う、また内部通報先になるといった制度設計も可能だと思います。こういった実効性のある法的権限を持った形で監視できる組織ができるよう、国会としてもチェックしていく必要があると考えております。

 また、この議院運営委員会で今審議されております情報監視審査会の規程案、これにも多くの課題が残っているということが明らかになっておりますので、この特定秘密保護法が施行されていく中で、運用面の課題も含めて、知る権利と秘密保護のバランスが図られているかどうか、厳しく今後ともチェックしてまいる必要があると考えております。

小宮山委員 六月四日の内閣委員会で、民主党の後藤委員の質疑の中で、森大臣は、「あらかじめ、提供できないと見込まれる特定秘密を全て列挙するということは困難であると思います。十一月の答弁では、現時点で、例示としてサードパーティールールと人的情報源を挙げましたけれども、それ以外の場合であっても、個別具体的に判断した場合に提供できない場合もあるかというふうに思っております」と答弁されております。

 サードパーティールール及び人的情報源以外の場合でも考えられる提供できない場合とはどのような場合なのか、お答えください。

森国務大臣 これまでも申し上げているとおり、国権の最高機関たる国会から特定秘密の提供が求められた場合には、政府としては、これを尊重して適切に対応することとなるものと考えております。

 例えば、第三者に提供しない条件を付された情報や人的情報源というような情報については、国会法等の規定に基づく内閣の声明を出して、提供を拒否することがあり得ます。

 国会への特定秘密の提供の適否については、個別具体的に判断する必要がございますので、提供を拒否することが見込まれる特定秘密をあらかじめ全てお示しすることは困難であります。

 例えば、内閣声明について、過去、いわゆる造船疑獄事件の捜査状況についての証言書類の提出拒否に関し、議院証言法に基づくものがございました。

 全く仮定の話ではございますけれども、仮にこのようなスパイ事件の捜査状況が特定秘密とされるようなことがあれば、その取り扱いについては、やはり、個別具体的に判断をした結果、お示しをできないこともあり得るかというふうに思います。

小宮山委員 この問題をやっていると、具体的に運用するときにどうなるのか。

 特に、国会はさまざまな調査をいたします。わかっていることを聞く場合もありますけれども、わからないからこそ国会で質問をするし、資料請求もいたします。資料請求する中に特定秘密が入っているかどうかもわからないのが、この特定秘密の保護という本質かと思います。

 そういった中で、さまざま関係する方々がいらっしゃって、本当に、現実的にどうなっていくのかというと、やはり国政調査をする側から見ると、ある日、私が質問したとしたら、知らない間に特定秘密を要求していた、また触れていたということもあると思います。また、情報を調べて出していただく調査室であったり、省庁の方々が、たまたま、どういう理由か、出しているかもしれない。それをどうやって調べるのかも非常にわからない。

 また、監視をされるメンバーに選ばれた方々においても、いつ、どんな状況でそれを漏らしてしまうかというのは、人間でありますので、だからこそ罰則規定、処罰の規定が大変厳しくかかっているんでしょうけれども、そのあたりも、いつ誰がそれを漏らしたかをどうやってチェックするのか。選ばれた委員の方には、チェックをする、どれが特定秘密かわかっている方がいつでもついて回るんだろうかというような懸念もあり得るのかなという思いもいたします。

 そこで、政府が国会への特定秘密の提供を拒否されることが妥当と認められる情報について、野党の提出者にお伺いしたいと思います。

 野党案では、報告または記録の内容に同意を得ることなく第三者に提供しないことを条件に提供された情報であって現にその提供に同意が得られていないもの、または人的情報源に関する情報が含まれる場合を除き、原則、提出することとされています。提出できないことを官公署より議長に対して疎明された場合にも、議長が、副議長等の意見を聞いて、国家の極めて重要な利益に回復しがたい悪影響を及ぼすこととなると認めたときを除き、提出しなければならないとされております。

 極端な話になるかもしれませんが、特定秘密として管理される資料の片隅に、人的情報源のような記述や、極めて重大な利益に回復しがたい悪影響を及ぼすような情報を書き加えて保存をしてしまえば、全て提出を求められなくなるということになるのか、あるいは、そういった心配は全く無用で、黒塗り資料のような形で対応されることとなるのか。どのような想定をされるのか、御見解を教えてください。

後藤(祐)議員 小宮山委員の御質問は、政府が国会への情報提供を拒否するために、あえて秘密情報に、提供に応じなくてもよいような、拒否できる情報を書き加えて提供を逃れようとするというようなケースだと思いますけれども、まず、そのような意図的な書き加えをしたような情報を特定秘密に指定することは、違法な指定であるというふうに考えられます。

 民主党が昨年の臨時国会に提出した、特定秘密保護法の対案である特別安全保障秘密の適正な管理に関する法律案においては、秘密指定に関する第三条二項によって、指定してはならない条件というのを定めております。このような指定してはならない条件の中で違法ということを読んでいくということになるのではないかと思います。

 特定秘密保護法の中では、指定してはならない条件というのは必ずしも明確に書いていないんですけれども、第十八条の、指定に関する運用基準といった規定もございます。こういったところによって、このような情報の意図的な書き加えによる秘密指定はできない旨を明確にするべきではないかなというふうに考えております。

 ただ、実際このような行為がどこで行われるかと想像しますと、担当の部署で秘密裏に行われるのではないか、こういうふうに思います。これを厳しく監視するためには、やはり内部通報の充実というのが欠かせないというふうに考えております。

 現状では、小宮山先生御指摘のような行為に対して秘密の取扱者の中でも良識のある方が通報しようにも、特定秘密保護法の罰則の対象になってしまうので、できません。

 ぜひとも、法改正を含めて、内部通報を可能にすることも含めて、今のようなことが起きないような制度的な担保は必要だというふうに考えます。

小宮山委員 時間の関係がありますので最後にいたしますけれども、けさも指摘をさせていただきましたが、情報監視審査会が形骸化することの可能性について、与党議員が基本的には多くなるかと想定されますけれども、事実上の審査会は、年一回の政府からの特定秘密の指定及び解除並びに適性評価の実施の状況報告を聞くだけの会となってしまうのではないか。なかなか開かれないというのも、実際の国会の特別委員会等、また、現実の運営の中ではよくあることでもございます。

 この点に関して、形骸化をさせる危険がないのか、また、それをさせないための知恵などがありましたら、与党提出者より御見解を伺いたいと思います。

大口議員 国権の最高機関である国会が、こういう情報監視審査会をつくったわけでございます。この任務は、特定秘密の指定ということを常時監視するとともに、外務委員会とか安保委員会からの要請によって、特定秘密の提供についての適否、これも審査するわけでございます。会期中、閉会中も活動いたしますし、そしてまた、必要があるときには、調査、審査の報告書もアドホックにもつくることができるわけでございます。

 しっかりこれが機能するように、与党としての責任も自覚しております。

小宮山委員 大口提出者の決意だと受けとめさせていただきます。

 きょうの委員会の質疑を聞いておりまして、厚生年金保険制度回顧録という、厚生官僚が書いたものでありますけれども……

逢沢委員長 時間が参っておりますので、取りまとめをよろしくお願いいたします。

小宮山委員 その中で、厚生年金は支給するまで二十年もかかるのだから、今のうちどんどん使ってしまっても構わない、厚生省の連中がOBになったときの勤め口に困らない、何千人だって大丈夫さという回顧録がございました。

 情報が開示されるころになって、今回の場合は、いつになるかもわからない、そういった案件でもあります。そういう意味においては、同じような、やはり人間がやることであります、情報開示がきちんとされてからこの法案は本来審議されるべきだということを訴えさせていただきまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 この際、町村信孝君外二名提出の衆議院規則の一部を改正する規則案、衆議院情報監視審査会規程案に対し、平沢勝栄君外二名から、自由民主党、公明党、みんなの党の三派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。大口善徳君。

    ―――――――――――――

 衆議院規則の一部を改正する規則案に対する修正案

 衆議院情報監視審査会規程案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大口委員 ただいま議題となりました衆議院規則の一部を改正する規則案に対する修正案及び衆議院情報監視審査会規程案に対する修正案につきまして、自由民主党、公明党及びみんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正は、先日来の本委員会における質疑を踏まえて提出したものであり、その要旨は、次のとおりであります。

 まず、特定秘密の漏えい等があった場合に委員の三分の一以上から懲罰の動議を出すことができる旨の規定を削除することであります。

 次に、議院または委員会もしくは情報監視審査会の事務を行う職員について、議院または委員会もしくは情報監視審査会に提出され、保管されている特定秘密等の閲覧を認める規定を設けることであります。

 最後に、政治倫理審査会が行う辞任の勧告の対象に情報監視審査会の会長を追加することであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

逢沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、民主党、日本維新の会、結いの党提出の国会法の一部を改正する法律案に対して賛成、自民党、公明党提出の国会法等の一部を改正する法律案、衆議院規則の一部を改正する規則案、衆議院情報監視審査会規程案に対して反対の立場から討論を行います。

 まず、与党案の情報監視審査会を設置する国会法改正案については、あくまで現在の国会法第百四条の枠組みを維持するものです。国会に秘密情報を提出するかしないかの最終的な判断は政府にあり、国会はそれに従わざるを得ません。政府の判断で特定秘密の提供を拒否できる限り、情報監視審査会が、その役割と機能を十分に果たせないばかりか、政府の判断を追認する機関となってしまう懸念があります。

 また、情報監視審査会は、特定秘密のみを扱い、他の政府秘密を対象としない点も問題と考えます。

 さらに、政府において特定秘密の監視や運用等をつかさどる監視機関が、どのような権限や役割を担い、本当に実効性のある機関となるのか、法的措置はどうなるのか、全くわかりません。そのような中で国会における監視機関のみを先行させることは、余りにバランスに欠けます。

 これに対して、民主党、日本維新の会、結いの党の国会法改正案は、特定秘密に限らないものです。政府は原則、国会が審査または調査のために必要とする情報については、国会の求めに応じて提供するものであって、これは、与党案の情報監視審査会がその機能を発揮するための前提になるものだと考えます。

 これまで野党案の可決に向けて努めてまいりましたが、残念ながら今もって与党の皆さんの御理解は得られない状況の中で、形ばかりの監視機関となるおそれのある与党の国会法改正案に賛成するのは難しいと考えます。

 次に、衆議院規則の一部を改正する規則案については、国会議員の懲罰を新たに可能にするものですが、そもそも、閣法である特定秘密保護法により国会議員を刑罰の対象とすることは、三権分立の観点からも問題であると考えます。国会において懲罰を自律的に決定することに伴い、少なくとも、閣法である特定秘密保護法の罰則の適用対象から除外すべきではないかと考え、本規則案には反対します。

 また、情報監視審査会規程案については、特定秘密保護法によって要請される秘密保護措置を定めなければならないにもかかわらず、米国の規定と比べても内容に具体性が欠けており、不十分な内容となっています。政府が秘密保護措置として不十分であると判断し、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあるとみなされてしまう可能性があるなどの弊害も考えられるため、賛同できません。

 以上申し述べた理由に基づき、民主党、日本維新の会、結いの党提出の国会法改正案に賛成、自民党、公明党提出の三案にいずれも反対する次第であります。

 以上です。(拍手)

逢沢委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 公明党を代表して、ただいま議題となっております議案のうち、与党提出の国会法等の一部を改正する法律案並びに衆議院規則の一部を改正する規則案及び修正案及び衆議院情報監視審査会規程案及び修正案の各案に対し、賛成の討論を行います。

 我が党は、昨年十二月の特定秘密保護法成立の際に自民、公明、維新及びみんなの四党間で合意したいわゆる四党合意を受け、同法成立直後から、この四党合意を誠実に履行すべく、党内に特定秘密保護法のフォローアップに関するプロジェクトチームを立ち上げました。

 そして、特定秘密を取り扱う関係行政機関のあり方等、国会における特定秘密の保護措置全般について議論を開始いたしました。有識者からのヒアリングを重ねるとともに、海外調査で得た知見を共有して、全党的な議論を行い、細部にわたって周到な制度設計の作業を行いました。

 その結果、政府による特定秘密の指定の恣意的な運用を防ぐための立法府の実効的な監視体制について、特定秘密保護法十条と国会法百四条の枠組みを堅持した上で構築できることを確信するに至りました。

 ただいま議題となっております与党案は、こうした我が党の基本的な考え方を、自民党の皆様と共有する形でつくり上げたものでございます。

 以下、各案に賛成する理由を具体的に申し述べます。

 第一に、各議院に情報監視審査会を常設し、政府の特定秘密の運用状況を常時監視する機能と、国会の委員会等による国政調査への政府の対応が適切かどうかを審査する機能を持たせた点であります。

 特定秘密保護法については、国民の皆様から、恣意的な運用がされるのではないかとの懸念を頂戴しているところであり、また、同法十条及び附則十条により国会の行う審査または調査に必要な特定秘密がきちんと提出されるよう、国会みずからの手で保護措置を整備することが求められております。

 与党案の情報監視審査会は、この双方の要請に応えるものであり、ここまで周到に制度設計をされた提出者の御労苦に、心から敬意を表したいと思います。

 第二に、情報監視審査会から政府に対してなされる運用改善勧告、特定秘密の提出、提示勧告について、従来からの三権分立の原則にのっとった理解に基づき、その実効性を担保する工夫がなされている点であります。

 情報監視審査会の勧告には確かに法的拘束力はありませんが、それは、三権分立の観点から、たとえ国会であっても政府の持つ行政権を侵してはならないことから、行政の自主的な行動を求める勧告を行うこととしたものであります。

 さらに、情報監視審査会が勧告をした場合には、その勧告の結果とられた措置について行政機関の長から報告を求めることができるとの規定を設け、政府が勧告を軽視しないような工夫がされております。

 第三に、情報監視審査会の組織、構成、活動の各般につき、世界標準の仕組みが取り入れられている点であります。

 情報監視審査会の委員が議院の過半数の議決を得て選任されること、委員は、選任後遅滞なく、秘密を漏らさないことの宣誓を行うこと、特定秘密の指定、解除等の権限までは持たないこと、事務局職員に適性評価を受けさせることなどは、世界では当たり前のことであります。ことし初めに与野党が加わり行われた海外調査の成果を十分に生かし、世界のどこに行っても遜色のない制度になっております。

 特定秘密保護法の施行は、ことしの十二月までとなっております。国会に設置する特定秘密に関する監視組織の枠組みづくりは待ったなしであります。国会として、国民の信頼を得られるよう、保護措置を早急に整備していかなければなりません。

 本日の参考人の皆様から、すばらしい御意見もいただきました。この仕組みについては、これからも絶えず、よりよきものに育てていくことが大事だと決意を申し上げ、同僚議員の皆様の幅広い御支持を期待して、私の賛成討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

逢沢委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、自公案、三党案、修正案、全てに反対の立場から討論を行います。

 自公案は、戦後初めて国会に秘密会を常設する、極めて重大な法案であります。会期末になって自公両党が提出し、昨日から審議に入り、きょうの参考人を含め、わずか七時間で質疑を打ち切り、採決するなど、到底許されません。厳しく抗議するものであります。

 反対する最大の理由は、この法案は、昨年末、広範な国民の反対を押し切って安倍政権が成立を強行した秘密保護法に従って、国会の委員会や国会議員が秘密を漏らさない厳格な仕組みをつくり、国会を政府の秘密保全体制に組み込むものだからであります。断固反対であります。

 提案者は、政府の特定秘密を監視すると言いますが、国会がどんなに厳格な秘密保全の仕組みをつくっても、何を特定秘密にするかは秘密であり、国会に提出するかどうかも全て政府の判断次第というのが秘密保護法であります。

 たとえ秘密が開示されても、情報監視審査会の審査は秘密会で、会議録は公開されず、委員ですら許可なく閲覧できません。秘密の開示を受けた議員は、その内容を国会の外で漏らせば刑罰に処され、国会質問で取り上げたら懲罰の対象となり、除名処分まで受けかねないのであります。

 これは、憲法が保障する議員の発言、質問の自由を奪うものであります。

 国会は、特定秘密体制にお墨つきを与えるだけでなく、政府の秘密体制にみずから取り込まれ、政府の秘密を国民の目から隠す、秘密の共犯者になってしまうのであります。到底容認できません。

 国会は、主権者国民を代表する唯一の立法機関であり、国権の最高機関であります。

 憲法は、国会に国政調査権を保障し、公開原則、議員の発言権保障を明記しております。国会は、国政調査権を行使し、政府に資料を要求し、日米安保の秘密を初め政治、行政の実態に迫り、政府監視の任務を果たすことが求められているのであります。

 秘密保護法を前提にし、政府、行政の行為を国会の上に置いたのでは、国会はその憲法上の役割を果たすことはできません。

 秘密保護法は、国民の知る権利を侵害し、日本国憲法の基本原則を根底から覆す希代の悪法であります。廃止を求める世論と運動は、成立後も広がり続けております。

 今必要なことは、秘密保護法の廃止であります。国会を秘密保全体制に組み込むこの法案を強行することは、断じて許されません。

 以上で反対討論を終わります。(拍手)

逢沢委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党を代表して、まず、自民、公明党提出の国会法等の一部を改正する法律案と衆議院規則の一部を改正する規則案及び衆議院情報監視審査会規程案原案及び修正案に反対の立場から討論を行います。

 これらは、昨年十二月に、拙速な議論経過のもと、強行な採決に至った特定秘密保護法の附則十条の規定に基づいて、与党より提出されたものが基本であります。

 私たち生活の党は、外交上あるいは安全保障上公開することができない秘密とすべき情報があり、その秘密保護のあり方についてしっかりとした仕組みを整えておくことは必要だと考えています。

 本来、そのための仕組みについては、国家公務員法の改正などで十分対応可能なものと考えていましたが、昨年暮れに成立となった特定秘密保護法は、国民主権のもとで、民主主義、基本的人権の尊重といった日本国憲法の基本的な原則に抵触しかねない内容が含まれたものであり、また、どういった場合に刑罰が処されることとなるのか明確でない、罪刑法定主義に照らして大きな問題がある、法律の体をなしていないものでもあります。

 まずは一旦廃止して、秘密保護のために本当に必要な仕組みとそのための法制度について十分な審議を行い、つくり直すことも必要だと考えております。

 国民主権の立場に立てば、本来、政府が扱う情報も、また国会が扱う情報も、国民のものであります。

 保護すべき情報を定めて、情報漏えいとなった場合の罰則を規定するという議論や法制を行うのであれば、同時に、あるいは優先して、いかに情報を開示していくのか、いつまで秘密とするのかといった、公開の仕組みを整備するべきです。

 本日、参考人からの意見陳述において指摘がされたように、本来秘密とすべき情報だけでなく、都合の悪い情報は出したくないという心理など、過剰な秘密指定、非公開が発生し、結果として、特定秘密の指定について恣意的運用を生じる可能性を否定できないこととなります。

 与党提出の法案は、問題のある特定秘密保護法を前提として、会期末に慌ただしく提出されました。こうした前提、提出、審議の持たれ方も含めまして、この法案に賛同することはできません。

 なお、民主党、日本維新の会、結いの党提出の国会法の一部を改正する法律案については、国会の国政調査権を尊重し、政府からの情報提出を求める機能の面から、望ましい内容と考え、賛成であることを述べ、私の討論といたします。(拍手)

逢沢委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより採決に入ります。

 まず、大島敦君外四名提出の国会法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決定いたしました。

 次に、町村信孝君外二名提出の国会法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

 次に、町村信孝君外二名提出の衆議院規則の一部を改正する規則案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、平沢勝栄君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、町村信孝君外二名提出の衆議院情報監視審査会規程案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、平沢勝栄君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

逢沢委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、明十三日金曜日午後一時から開会することといたします。

 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十七分散会


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