衆議院

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第6号 平成15年6月3日(火曜日)

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平成十五年六月三日(火曜日)
    午後一時三十二分開議
 出席委員
   委員長 上田 清司君
   理事 小野 晋也君 理事 実川 幸夫君
   理事 松岡 利勝君 理事 島   聡君
   理事 松原  仁君 理事 江田 康幸君
   理事 一川 保夫君
      荒井 広幸君    荒巻 隆三君
      伊藤信太郎君    今村 雅弘君
      岩崎 忠夫君    岩屋  毅君
      梶山 弘志君    左藤  章君
      高木  毅君    谷本 龍哉君
      星野 行男君    堀之内久男君
      山本 幸三君    鎌田さゆり君
      今野  東君    津川 祥吾君
      土肥 隆一君    伴野  豊君
      細野 豪志君    前田 雄吉君
      赤羽 一嘉君    井上 義久君
      丸谷 佳織君    黄川田 徹君
      藤木 洋子君    松本 善明君
      大島 令子君    菅野 哲雄君
      中川 智子君    松浪健四郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (防災担当大臣)     鴻池 祥肇君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   内閣府大臣政務官     阿南 一成君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本繁太郎君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            有冨寛一郎君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           樋口 修資君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           素川 富司君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教
   施設部長)        萩原 久和君
   政府参考人
   (文化庁文化財部長)   木曽  功君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (水産庁次長)      川口 恭一君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院審議官)   薦田 康久君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省国土地理院長
   )            星埜 由尚君
   政府参考人
   (気象庁長官)      北出 武夫君
   衆議院調査局第三特別調査
   室長           石田 俊彦君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任         補欠選任
  北村 誠吾君     山本 幸三君
  中本 太衛君     荒巻 隆三君
  原田昇左右君     伊藤信太郎君
  小泉 俊明君     鎌田さゆり君
  葉山  峻君     今野  東君
  丸谷 佳織君     井上 義久君
  塩川 鉄也君     松本 善明君
  中川 智子君     菅野 哲雄君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     中本 太衛君
  伊藤信太郎君     原田昇左右君
  山本 幸三君     北村 誠吾君
  鎌田さゆり君     小泉 俊明君
  今野  東君     葉山  峻君
  井上 義久君     丸谷 佳織君
  松本 善明君     塩川 鉄也君
  菅野 哲雄君     中川 智子君
    ―――――――――――――
五月二十三日
 火山災害に対応できるような被災者生活再建支援法の改正に関する請願(赤羽一嘉君紹介)(第二三三六号)
 同(大島令子君紹介)(第二三三七号)
 同(島聡君紹介)(第二三三八号)
 同(津川祥吾君紹介)(第二三三九号)
 同(土井たか子君紹介)(第二三四〇号)
 同(鳩山由紀夫君紹介)(第二三四一号)
 同(保坂展人君紹介)(第二三四二号)
 同(山内惠子君紹介)(第二三四三号)
 同(山谷えり子君紹介)(第二三四四号)
同月二十六日
 火山災害に対応できるような被災者生活再建支援法の改正に関する請願(岩倉博文君紹介)(第二五三八号)
 同(大野松茂君紹介)(第二五三九号)
 同(高鳥修君紹介)(第二五四〇号)
 同(滝実君紹介)(第二五四一号)
 同(野中広務君紹介)(第二五四二号)
 同(松原仁君紹介)(第二五四三号)
 同(八代英太君紹介)(第二五四四号)
同月二十八日
 火山災害に対応できるような被災者生活再建支援法の改正に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二六二一号)
 同(志位和夫君紹介)(第二六二二号)
 同(春名直章君紹介)(第二六二三号)
 同(不破哲三君紹介)(第二六二四号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二六二五号)
 同(三ッ林隆志君紹介)(第二六二六号)
 同(武藤嘉文君紹介)(第二六二七号)
 同(山口富男君紹介)(第二六二八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第二七〇七号)
 同(谷洋一君紹介)(第二七〇八号)
六月二日
 火山災害に対応できるような被災者生活再建支援法の改正に関する請願(相沢英之君紹介)(第二七六二号)
 同(岩永峯一君紹介)(第二七六三号)
 同(柿澤弘治君紹介)(第二七六四号)
 同(高橋嘉信君紹介)(第二七六五号)
 同(河村たかし君紹介)(第二八二九号)
 同(左藤章君紹介)(第二八三〇号)
 同(仙谷由人君紹介)(第二八三一号)
 同(中林よし子君紹介)(第二八三二号)
 同(東門美津子君紹介)(第二八八一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 災害対策に関する件(平成十五年宮城県沖を震源とする地震による被害及び対策状況)


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     ――――◇―――――
上田委員長 これより会議を開きます。
 災害対策に関する件について調査を進めます。
 本日は、特に平成十五年宮城県沖を震源とする地震による被害及び対策状況について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官山本繁太郎君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君、消防庁長官石井隆一君、文部科学省大臣官房審議官樋口修資君、文部科学省大臣官房審議官素川富司君、文部科学省大臣官房文教施設部長萩原久和君、文化庁文化財部長木曽功君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、水産庁次長川口恭一君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官薦田康久君、国土交通省河川局長鈴木藤一郎君、国土交通省鉄道局長石川裕己君、国土交通省港湾局長金澤寛君、国土交通省国土地理院長星埜由尚君及び気象庁長官北出武夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
上田委員長 政府から説明を聴取いたします。鴻池防災担当大臣。
鴻池国務大臣 去る五月二十六日十八時二十四分ごろ、宮城県沖を震源とするマグニチュード七・〇の地震が発生し、岩手県南部及び宮城県北部で震度六弱が観測されました。
 まず、今回の地震で被害に遭われた方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
 本日までに明らかになりました被害の状況及び政府の対応につきまして、御報告申し上げます。
 今回の地震では、消防庁の調べによりますと、負傷者百七十一名、住家は全壊二棟、半壊八棟、一部破損千四百五十一棟の被害が発生しております。
 ライフライン関係では、経済産業省の調べによりますと、ピーク時には電力が三万五千八百三十七戸、ガスについては三千百戸が供給停止いたしましたが、電力については二十六日二十二時に、ガスについては三十日十三時に完全復旧いたしました。
 また、東北電力女川原子力発電所三号機が自動停止しましたが、異常がないことを確認して、二十七日中には再起動しております。
 水道については、厚生労働省の調べによりますと、岩手県、宮城県で断水が四千七百九十二戸発生し、六月二日時点でも二百四戸が断水となっており、現在、応急給水が実施されております。
 次に、通信障害の状況であります。総務省の調べによりますと、NTT東日本で約四百五十の加入者電話で不通となりましたが、二十七日二時には復旧しております。さらに、東北地方への通信にふくそうが発生したため固定電話、携帯電話について通信規制が実施されましたが、二十七日二時までに解除しております。
 また、国土交通省の調べによりますと、道路につきましては高速自動車国道、国道、県道、有料道路、四十五路線が通行規制され、ほとんどが二十六日中に解除されました。なお国道、県道では路面亀裂により現在も全面通行どめが三カ所ありますが、すべて迂回路は確保されております。
 また、東北新幹線は、地震発生当初は東京―八戸間で運休しましたが、順次復旧し、二十七日二十一時十分から全線運行しております。また、JR在来線、私鉄も一部運休しておりましたが、二十九日からすべて平常どおり運行しております。
 なお、東北新幹線の高架橋の被害でありますが、水沢江刺駅から盛岡駅間の六カ所の高架橋の二十三本の橋脚においてコンクリートのひび割れ、または剥離による鉄筋の露出が見られました。二十八日には補修が完了し、復旧しております。
 また、地すべり一カ所、がけ崩れ五カ所が発生し、港湾施設、河川管理施設等につきましても被害を受けております。
 農林水産業関係でも、農林水産省の調べによりますと、農業用施設、林道、漁港等計九百九十五カ所で被害を受けております。
 また、文教施設につきましては、文部科学省の調べによりますと、公立学校施設等計千二百十一カ所に被害を受けております。
 次に、政府の対応でありますが、当日十八時三十分、官邸危機管理センターに官邸対策室を設置するとともに、私も出席をいたし、関係省庁の局長級等の幹部から成る緊急参集チーム会議を開催し、被害の実態把握に全力を挙げ、対応に万全を期したところであります。
 また、当日二十二時三十分に災害対策関係省庁連絡会議を開催し、政府の情報を共有するとともに、二十八日には岩手県及び宮城県に内閣府企画官等内閣府及び消防庁の職員四名を派遣し、現地の状況の調査を行ったところであります。
 なお、発災による被害状況を踏まえ、二十七日十二時に官邸対策室を官邸連絡室に改組し、二十九日十三時には同室を閉鎖し、以降は内閣府で情報収集等の対応をしているところであります。
 今回の地震では、亡くなられた方がいなかったことは不幸中の幸いでありました。今回の経験を生かし、訓練を重ね、初動体制、防災体制を充実していく考えであります。
 今後とも、関係省庁等が密接に連携し、防災体制に万全を期すとともに、被災地の一日も早い復旧に政府が一丸となって対応することといたしております。
 以上、報告といたします。
上田委員長 次に、北出気象庁長官。
北出政府参考人 去る五月二十六日に発生いたしました宮城県沖の地震について御説明いたします。
 まず初めに、この地震に際しまして、気象庁が発表いたしました「震源・震度に関する情報」第三号におきまして、震度六弱を観測した市町村名が九カ所欠落するなど、震度情報に混乱を来しましたことにつきまして、災害対策特別委員会の先生方、住民の皆様、防災関係諸機関に御迷惑をおかけしましたことを、心からおわびいたします。これは、地震直後から送信されてきた五千通余りの震度データが計算機の処理容量をオーバーしたため、震度データが欠落したもので、関係部局には今回の件に対して直ちに対処するよう私から指示し、既にシステムの改良措置をとらせていただいております。
 さて、五月二十六日十八時二十四分ごろ、宮城県沖でマグニチュード七・〇の地震が発生いたしました。この地震により、岩手県南部(大船渡市、衣川村、平泉町、室根村、江刺市)と、宮城県北部(高清水町、桃生町、石巻市、涌谷町、栗駒町、金成町)で震度六弱を観測し、北海道から近畿地方にかけての広い地域で震度一以上を観測いたしました。
 この地震は、陸側のプレートの下に沈み込んでいる太平洋プレート内部の深さ約七十一キロメートルで発生したものと推定され、地震発生の切迫性が高いと言われている、いわゆる宮城県沖地震とは、発生場所、深さ、地震発生のメカニズムが異なることから、別の地震であると考えられます。
 この本震以降、同日二十二時三十四分ごろのマグニチュード四・八の地震と、翌二十七日零時四十四分ごろのマグニチュード四・九の余震により、それぞれ岩手県室根村、宮城県気仙沼市で最大震度四を観測しております。現在も余震活動が続いておりますが、徐々に減衰しております。
 今後の余震の発生確率でございますが、震源付近で最大震度四程度の揺れとなるような、マグニチュード五・〇以上の余震が今後三日以内に発生する確率は六月三日現在で二〇%となっており、引き続き余震に対する注意を呼びかけております。
 また、地震による地盤の緩み等が発生していることから、気象庁は、大きな揺れを観測した岩手県と宮城県の両県において、大雨注意報・警報の発表基準を引き下げて運用し、大雨による土砂崩れやがけ崩れ等について注意、警戒を呼びかけることといたしております。
 気象庁では、気象庁、防災科学技術研究所及び大学の地震データを一元的に解析、処理し、今後の余震活動に対して厳重に監視してまいる所存であります。
 お手元の資料に、参考といたしまして余震の状況を示させていただいておりますが、順調におさまりつつあるという状況でございます。
 以上でございます。
上田委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤信太郎君。
伊藤(信)委員 自由民主党の伊藤信太郎でございます。
 まず初めに、今回の三陸南地震で被害に遭われた皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 今回の宮城沖を震源とするマグニチュード七の三陸南地震では、宮城、岩手両県で重軽傷者百七十名以上、宮城県だけで建物被害五百五十五棟以上、地すべり、落石、農地の崩落、液状化、新幹線の橋脚剥離、道路の亀裂、陥没、断水、停電など、宮城県の被害総額の推定は三十三億を超えて多岐にわたる大きな被害が発生いたしました。また、行政や民間の情報網も、この地震の前後から大変混乱し、その多くが正常に機能しなかったという事実がございます。
 私は、五月三十一日土曜日から六月一日日曜日にかけて、このたび三町合併して誕生したばかりの加美郡加美町と松島町の被災地を視察しまして、現地の被害状況の撮影をするとともに、関係者の話を多く聴取してまいりました。その結果、今回のことは、災害時における縦割り行政の弊害の実例等、多くの教訓を示していると思います。
 本日は、その具体的事例から帰納的に今後の地震対策の問題点を探り、国の地震調査委員会が公表した数字によると、二〇三〇年までに九八%の確率で発生すると言われている宮城沖地震に対しての対策に関して、政府に質問したいと思います。
 まず第一でございますけれども、松島には国宝の瑞巌寺がありますが、今回、この国宝の瑞巌寺では、地震により、本堂の外壁、松の間、室中孔雀の間、上段の間、上々段の間、菊の間、廊下等で、また埋木書院、大書院で壁の剥落、ひび割れ、柱のずれ等、損傷が二十カ所以上にわたっております。
 全部お見せできないんですけれども、一部、これは外壁のところでございますけれども、その寄ったものがこの写真になって、ごらんいただけますでしょうか。中は、あちこちこういうふうに壁がひび割れたり、剥離しております。
 国宝がこのような形で損傷を受けるということは非常に痛々しいわけでございますが、前回の宮城の地震では、文化庁の予算がなかったために寺が自力で修復を行って、そのときの損傷は、崩れたところにしっくいを詰めて上塗りするというような、いわゆるパッチワーク的な修復になったために、結果としてぶちになったり、日時とともにずれが生じて、国宝の風格を落とす大変残念な結果となっております。
 そこの上で、今回また地震が起きて損傷が起きたわけで、国宝の名を辱めるような状況になっていると思いますが、こういう国宝の被害に対して、修復費の国庫負担というのが考えられるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
木曽政府参考人 国宝、重要文化財等のいわゆる指定された建造物の修復事業についてでございますが、一般的に、地震あるいは台風等により被害を受けた場合の災害復旧事業につきましては、その経費が多額に及ぶ場合、国庫補助を行っているところでございます。
伊藤(信)委員 ありがとうございます。
 一方、加美町の方には、縄文芸術館というところがありまして、ここに縄文の土器がたくさん陳列されていたわけです。てぐす等で縛っていたわけですけれども、七〇%、五十個程度の土器が破損して、直すのに約一年ぐらいかかると言われております。
 このように、まだ文化財等に指定されていない市町村や民間の持つ芸術作品や文化財、出土品の地震による損傷、修復、復元に対する助成というものはあるのかないのか。また、これから地震が来る可能性が大変高いので、ふだんより、どのような形で陳列したり保存すれば地震による被害が最小限で済むかというようなアドバイスが行われているのかどうか、お伺いしたいと思います。
木曽政府参考人 まず、一般的に、防災についてのアドバイスでございますが、美術工芸品等の文化財につきましては、平成九年六月に、「文化財の防災に関する手引」というものを文化庁は作成いたしまして、収蔵、保管、展示、公開に当たっての災害対策を具体的にマニュアル化して周知を図っているところでございます。
 また、御指摘の加美町の縄文芸術館の土器の修復についてでございますが、残念ながら、国指定の文化財ではないということから、国の補助制度は現在のところございません。
伊藤(信)委員 次に、教育関係の施設についてお伺いしたいと思います。
 同じく加美町の小野田中学校体育館では、ステージの天井に破損が起き、小野田体育館では外壁が剥離してこのように落ちております。この横はゲートボール場にもなっているわけです。今回、地震発生が運よく夜の六時二十四分だったので通行者がいなかったわけですけれども、これが在校中である、あるいはゲートボールで市民の方がプレーしているときであれば、死傷者が出たという可能性は非常に高いわけでございます。
 したがいまして、このような教育関係の施設あるいは市民が利用する施設に関して、教職員、生徒、住民に対する避難の指導、訓練というのはふだんからどのように行われているのか。また、このような修復に対する国からの補助はあるのかどうか。そしてまた、これから九八%の可能性で二十七年の間に起きると言われていますので、教育関連施設の耐震構造へのプログラムというのはどのような年次で進んでいるのかをお聞かせ願いたいと思います。
萩原政府参考人 学校施設の被害及びその復旧費のお尋ねでございました。
 今回の地震による学校施設の被害でございますが、六月二日現在で、宮城県におきましては三百七十七校が被害を受けているという報告を受けております。その被害状況につきましては、壁の落下、亀裂、窓ガラスの破損、水道管の破裂などの被害であると報告を聞いております。
 委員御指摘のように、小野田中学校におきましては、体育館のステージの上部のいわゆるブドウ棚と言われる支持するはりに一部欠損が出ているという報告を受けております。
 こういった地震による被害を受けた公立学校施設につきましては、迅速な復旧が図られるよう、設置者からの申請により、原則として復旧事業費の三分の二の国庫負担をしているところでございます。今回の地震に関しましても、設置者より事業計画の提出があり次第、文部科学省としても早急に現地調査を実施しまして、災害復旧が円滑に、かつ迅速に行われるように万全を期していきたいと考えております。
 それからもう一点、安全に対する避難訓練等でございますけれども、文部科学省では、地震などの災害時における児童生徒や教職員の安全確保について、各学校において学校防災に関する計画を作成していただき、これに基づく避難訓練を行うよう指導しているところでございまして、学校における防災管理及び防災教育の充実に努めていきたいと考えているところでございます。
 なお、平成十一年に、文部科学省、当時文部省でしたけれども、調査した結果がございまして、財団法人日本交通安全教育普及協会、こういうところに委嘱しまして、防災訓練等の実施に関する調査を行いました。その結果では、平成十年度中に地震に係る防災訓練をした学校につきましては、小学校が九五・一%、中学校が八一・四%と、多くの学校で自主訓練がされているということでございます。
 防災における児童生徒や教職員の安全確保が十分図れるよう、さらに指導に努めていきたい、このように考えております。
伊藤(信)委員 今度は通信関係の件についてお伺いしたいと思います。
 今回、地震の発生直後から携帯電話が約四時間通話不能になった模様であります。このことに対する対処が、これは民間の電話会社もあるので、直接じゃないかもしれませんけれども、どのような指導が行われているかという点と、それから、一部の市町村では防災無線が機能しなかった、また防災無線がされなかったということがありました。このことに対してどのような行政指導が行われているのか、お伺いしたいと思います。
有冨政府参考人 今回の宮城沖での地震におきまして、被災地域内外から発信されます一般の利用者の方の固定電話及び携帯電話からの通話に対しましては、電気通信事業者が規制をいたしましたので、非常に電話がつながりにくくなったという状況があったということでございますが、これは、特に携帯電話でありますと、一時的には八〇%を超える規制を行ったというような報告を受けております。
 これは、一つには、通常の何十倍もの通話が災害時に起こりますので、そういたしますと、ネットワーク全体に大きな支障を与える、これを避けなきゃならないというのが一つでございます。もう一つは、一一〇番とか一一九番といった緊急通報、あるいは消防、気象庁などの災害関係機関が行う通信、こういった重要通信を確保するために、今申しました一般通話に対する規制というものが必要だというようなことでございます。
 特に、携帯電話でありますと、周波数の制約がございますので、大幅な規制を行うということはやむを得ないというふうに思っておりますが、先生今お尋ねのとおり、つながらないという状況をどう早く解消するかということにつきましては、日ごろから、一つには、電気通信事業者等に対しまして、ふくそうを回避する手段としてのNTTの災害伝言ダイヤルの利用であるとか、あるいは通信規制を受けない公衆電話の利用、こういったものの周知をしっかり利用者に図りたい、そして国民に理解を求めていきたい、こういう観点で指導をし、協力を求めているところでございます。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 防災行政無線についてでございますけれども、これは災害時に住民に情報を伝達するために極めて有効な手段ということでございますが、いざというときに機能しないということでは困りますので、常日ごろからの維持管理、機能確認を行うことが重要であります。
 今般の地震で、先生御指摘のように、一部の市町村で同報無線が機能しなかったということでありますが、当該市町村からは、地震動でバッテリーの配線が一部断線したのではないかというふうに伺っておりますけれども、現在、その詳細な原因を当該市町村で調査していただいております。
 今後、その調査結果等も待ちまして、同報無線の維持管理のあり方等につきまして、必要な指導をしっかりしてまいりたいと思っております。
伊藤(信)委員 地震発生時、宮城県のホームページが翌日の午後二時半まで被害状況が掲載されなかった、しかも、そのとき、初めての掲載なのに、第五報と書いてあって、その情報自体は当日の午前五時半という古い情報だったわけですね。
 電話等が通じない場合、インターネットの活用というのは非常に重要なわけですけれども、こういう件に関して総務省は県にどのように指導しているか、お伺いをしたいと思います。
石井政府参考人 お答えいたします。
 宮城県では、今御指摘がありましたように、地震発生の翌日である午後二時半過ぎに、ホームページに県内の被害状況を初めて掲載したという結果になっております。
 災害時におきましては、当然、住民等関係者に被害情報をできるだけ迅速かつ確実に伝達することが必要でございますので、そのための手段としては、適宜記者発表等を行うほか、ホームページ等に掲載することも重要だと考えております。
 大規模災害時には、各地方団体は、実際の災害応急活動に加えまして、災害情報の収集ですとか関係機関への伝達ですとか、どうしても極端に多忙な状況になります。そこで今回のようなことも起こるわけですが、各地方団体において、災害応急活動でありますとか、災害情報の収集、関係機関への伝達を行う担当者とは別に、災害情報の広報を担当する職員をあらかじめ定めておく、そして情報提供体制をしっかり整備していくということが必要だと思っております。
 私どもとしますと、各地方団体、当然、適切に対応していただけるものと思っておるんですけれども、このようなこともありましたので、消防庁といたしましても、各地方団体に、こうした災害の際に、記者発表等はもちろんですけれども、ホームページ等への災害情報の掲載、あるいはその情報の更新もなるべく早くするといったようなことで、しっかり対応していただくように、今後もいろいろな機会に、会議等もございますので、しっかり徹底してまいりたいと思っております。
伊藤(信)委員 次は道路についてお伺いいたします。
 加美町漆沢の町道役場・切込線が、橋のそばで陥没したのが、これは写真でございますけれども、一方、宮崎のゆうらんどへの県道というのはすぐ修復されているんですね。五月三十日現在でも、全面通行どめになった道路二十四本のうち、国道、県道は五本とも修復が終わっております。ところが、市町村道の方は、十九本のうち、七本を除く十二本が、きょうの段階でまだ全面通行どめでございます。
 行政の立場からいうと、道路管理者が違うということでありますけれども、住民の立場から見ると、別に、県道でも町道でも、使うという意味の必要性は変わらないわけですね。ですから、役所の論理で修復の期間を変えるのではなくて、災害復旧の際は、国が緊急避難的に、一元的に、いち早く復旧工事をして、後に合理的計算で、国、県、市町村が費用分担をするというスキームが必要かと思いますが、この件についてのお考えをお伺いしたいと思います。
鈴木政府参考人 河川、道路等の公共土木施設の災害復旧につきましては、一定の基準を満たすものは、再度災害の防止と地域の安全性の確保のため、応急工事を含めて、被災箇所の復旧を可能な限り、しかも県、国、市町村などの管理者の違いによらず、迅速かつ円滑に進められるよう、制度的に措置されているところでございます。
 したがいまして、市町村は、国や県の判断を待つまでもなく、必要だと判断すれば被災後直ちに復旧工事また応急工事、必要に応じてそういったことを実施することができて、この場合においても、費用については事後的に措置することが可能だということになっております。
 ただ、今回のケースがどうかということは別としまして、現実には、市町村においてはその制度の運用の習熟に若干の違いがあったりして、県という単位で見れば毎年災害が来るんですが、市町村によっては何年に一回とか十年に一回というようなケースもあるわけでございまして、そういった対応のおくれが見られる場合もあるのも事実でございます。
 こういったことを防ぐために、宮城県においては、市町村においても迅速な対応を図れるように、市町村職員も対象とした災害復旧事業担当者会議、あるいはそれに関する実務者研修というものを毎年実施されているところでございます。国においても、こういった迅速な復旧が図られるよう、県等からの相談に応じ、助言を行ってまいります。
 国が一括してやれないかということでございますが、これは、数、事務処理能力からして、国が全部一括ということは到底かなわないわけでございまして、そういった市町村、県において迅速に災害復旧がなされますように、私どもとしても最大限助言等を行ってまいりたいと考えております。
伊藤(信)委員 今回の地震で起きたいろいろなことを勘案すると、起きる可能性が非常に高い宮城県沖地震に関する専門調査会の設置というものが必要だと考えるわけですけれども、防災担当副大臣の考えはいかようでしょうか。
米田副大臣 お答えをいたします。
 想定される地震の規模や態様に応じまして、それに対処してまいる枠組みというものが構築されているわけであります。東海地震や東南海、また南海地震は、極めて広域、そして甚大な被害が想定されることから、全国的な見地から広域防災計画を検討しなくちゃならない。そのために専門調査会を設置するということで、これまで設置がされまして、検討が進められてまいりました。
 さて、各地域における地震防災対策でありますが、阪神・淡路大震災の教訓で、全国どこででも地震が起こり得る、こういう認識に立ちまして、地震防災対策特別措置法が制定をされました。この特措法は、都道府県知事が地震防災施設整備の五カ年計画を作成して、その推進に努めてきていただいておるわけでありますが、国としてもそれに対して必要な支援を行う、こういう枠組みになっております。
 お尋ねの、宮城県沖地震についても専門調査会を設置すべきではないかという御意見でございますが、宮城県沖地震対策は、その被害規模が限定的であることから、ただいま申し上げたこの地震防災対策特別措置法の枠組みで対応してきている、こういうことでございます。
 なお、宮城県沖地震や三陸沖地震などの日本海溝沿いで発生する海溝型地震全体につきましては、地元からの要望も踏まえまして、国としても、知見を蓄積し、防災対策の検討を進めることは重要であると認識をしております。
伊藤(信)委員 時間になりましたが、最後に一問だけ大臣にお伺いします。
 規模の話が出ましたけれども、一応県の推定では、死者千二百名以上、負傷者五万名以上、建物全壊一万八千棟以上と想定されているわけですね。ですから、私は、宮城県沖地震対策の特別措置法の早期制定が必要だと考えますが、鴻池防災担当大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
鴻池国務大臣 ただいま米田副大臣が御答弁申し上げました考え方と沿っておるわけでございまして、宮城沖地震というものは、私は化学、物理学は苦手でございますけれども、比較的限定されているというふうに聞いております。そういった中で、今後、近い将来、科学的なものでいろいろな予知と申しますか、そういうものがとらえられるようになれば、これは当然検討すべきものだと考えておりますけれども、ただいまのところは、地震防災対策特別措置法というところで、県の御調査あるいは施策について国はバックアップをしっかりしていく、こういうところでございます。
伊藤(信)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
上田委員長 次に、鎌田さゆり君。
鎌田委員 民主党の鎌田さゆりでございます。よろしくお願いいたします。
 きょうは、五月二十六日に発生いたしました宮城県沖を震源とする地震について質問いたしてまいります。
 先ほどの伊藤信太郎さんは宮城県内の四区というところが御地元でいらっしゃいます。私はちょっと離れているような近いような、二区というところ、仙台市内を地元としている者でございまして、特にその仙台で、どのような危惧を感じ、どのような取り組みを国に対して関心を寄せているか、そういうような観点からお伺いをしてまいりたいと思います。
 マグニチュード七・〇、震度六弱、このように観測されましたのは、宮城県内では六市町村でございました。ただ、この二十六日の地震は、例えば宮城県民にとりましては、一九七八年、昭和五十三年、私はうら若き十三歳、中学一年生、その当時と同じ衝撃として宮城県民は受け取っております。はっきり覚えております。この地震が、やがて来るであろうと言われております大地震につながるのかどうか、あるいは、二十八名死傷者を出して、当時、ライフラインに甚大な影響を及ぼした、あの宮城県沖地震への備えは万全になっているんだろうか、そういった思い、関心を再び呼び起こした地震でもございました。
 そして、今なお余震が続く中で、やはりこの関心というものは、引き続き持続していかなければいけないものであるとも同時に私は感じておるんですが、今回起きました地震は、先ほど気象庁からの御説明にありましたように、あの宮城県沖地震のものとは別のものというふうに考えていらっしゃる、観測をしていらっしゃるということでございますけれども、地元の新聞報道でも、それから、前回の宮城県沖地震のときにはっきり覚えているのは、ちょうど四カ月前に、今回の地震と同じような、余震と思われるようなものが起きました。
 そして、地元の専門家の学識者の方の研究の発表結果などを聞きますと、今回のような地震が余震として続く、あるいは昨年から続いている、宮城県沖地震の震源、アスペリティーと呼ばれているところ、そこの付近で、小さい半径域ですけれども、多数起きているんですね。このことが、いずれ、宮城県沖地震の震源のところに対しても影響を及ぼして、これが何らかの誘発、宮城県沖地震の発生にもつながるのではないかというふうな警鐘を鳴らしている専門家、研究者の方もいらっしゃいます。
 それに基づいて、仙台市は、この夏にあの規模と同規模の地震が発生してもおかしくないという最悪の状況を想定して、今回の地震の後、既に最高の対策を講じているという今真っただ中にあるんですけれども、その辺のところ、気象庁はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
北出政府参考人 今回の地震が宮城県沖地震に結びつくかどうかということにつきまして、気象庁の考えを述べさせていただきます。
 この地震は、陸側のプレートの下に沈み込んでいる太平洋プレートの内部の深さ七十一キロメートルで発生したものと推定されておりまして、その太平洋プレートと陸側のプレートの境界で発生するいわゆる宮城県沖地震とは別の地震であると考えられます。
 さきの昭和五十三年宮城県沖地震、マグニチュード七・四でございましたが、それに先立ちまして、約四カ月前の二月二十日に隣接した領域のより深いところでマグニチュード六・七の地震が発生しております。このような事実から、今回の地震がいわゆる宮城県沖地震の前兆であるという説が報道等でなされているということは、先ほど先生のおっしゃるとおりでございます。
 しかしながら、この二つの地震の因果関係につきましては、現在のところ、学問的に明らかになっておりませんで、前回の一回の事例で今回の地震がいわゆる宮城県沖に結びつくと結論づけることは困難だというふうに考えております。
 以上でございます。
鎌田委員 私が質問させていただきましたのは、今の点と、昨年多数起きております周辺での小さなアスペリティー、この半径域は大分、何分の一という小さいものでしょうけれども、宮城県沖地震のアスペリティーと比較をしますと。でも、多数その付近で起きているというようなことも踏まえて、その辺のところの調査などもしているのか、その調査に基づいて今と同じようなお答えになるのか、後段の部分にもお答えいただきたいんです。
北出政府参考人 今回の地震が宮城県沖地震の発生を促進するかどうかという観点から気象庁でもさまざまな調査を行っておりまして、今回発生した地震によりまして、地殻変動を計算いたしまして、この変動が宮城県沖地震の想定震源域にどのような影響を与えるかといったところを計算いたしまして、地震発生を促進するかしないかといったことを調査いたしました。
 その解析によりますと、今回の地震が仮に宮城県沖地震の発生に影響を与えたとしても、その影響はごくわずかであるという結論を得ております。
 以上でございます。
鎌田委員 私が質問させていただいたことがなかなか伝わらないのかなというもどかしい思いもいたしますが、私が伝え聞くところによれば、その宮城県沖地震のアスペリティーは直径が六十から七十キロで広いものであるけれども、昨年からずっと続いている小さなその周辺のものというのは直径がもっと小さな二、三キロですか、でも、そのところの調査というのはまだ最近始まったばかりであって、そこのところとこの宮城県沖地震の因果関係なんかもまだ調査が本格的に始まっていないのではないかなという懸念を持ちながら、そういうものを漏れ伝え聞いておるんです。
 ですから、今答弁の最後ではっきりと、影響は少ないんだろうというところで、はっきりとまるっきり関係ないということも同時に言い切れないというふうに思いますので、結局そこのところが耐え切れなくなって、周辺で小さいのがずっと起き続けることによってということもあり得ると、私はいろいろな文献などを見ますと、そのようにも感じ取れる。そういうときに、やはり最悪の状況を想定していろいろな対策を講じていくということが大事だと思いますので、これはこの辺にして、次に行きたいと思います。
 先ほど来、宮城県沖地震発生の可能性は今後三十年以内に九八%の確率で起きるという数字が紹介をされました。ところで、東南海・南海地震、こちらの方は同じ三十年以内ですと、何%になるわけですか。
素川政府参考人 お答え申し上げます。
 この海溝型地震につきましては、地震調査委員会の方で評価しておりますけれども、東南海・南海地震につきましては、南海地震につきましては今後三十年以内に四〇%程度、東南海地震につきましては五〇%程度という評価が出されておるところでございます。
鎌田委員 先ほど、例の特別措置法の制定に当たっては、予想される被害の大きさですとか区域、そういったものがお話に上りましたけれども、結論から申し上げますと、宮城県沖地震に対しましての、昨年七月に議員立法でですけれどもできましたその特別措置法と同様のものを、私も必要性を強く感じております。
 先ほどから出ておりますのは、被害が予想される区域が、東海、東南海、東海は広域であり甚大であるというふうな説明がありました。そして、宮城県沖だとその規模が若干限定されるというようなお話がありまして、そういったものが背景にあって、専門調査会の設置ですとか特別措置法の制定に少し、後ろ向きとは言いませんけれども、大切だとは感じつつも、なかなかその着手に当たれないというような御説明がありました。しかし、同じ三十年以内に九八%の確率で宮城県沖地震発生が想定をされておるわけでございます。そして、先ほど県の被害予想、伊藤信太郎議員からも紹介がありました仙台市独自で立てている予想ですと、もう大変な数字が予想として上がっております。
 改めてお聞きいたしますけれども、この特別措置法の制定に関しまして、宮城県沖地震対策としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 鎌田委員のおっしゃることはよくわかります。東海、あのあたり、ごつくて、うちも想定されておるのにどうしてなの、恐らく宮城や岩手の方はそう思われるんじゃないかと思って、答弁レクを受けているときに私もちょっと反発をしておったんです、実は。
 しかし、今のところ、先ほど伊藤委員にも申し上げましたような推移でございますので、当面、私は、観測体制というものを気象庁初め学者が努力をされて、しかるべき観測をすることが非常に大事ではないかという気がいたしております。
 ただ、それも私、内輪で話しているときに言ったんですけれども、何か置きにくいと、観測する機械を置くのが何か海の先の方なのでなかなか難しい、こういう話をしていました。東海、東南海、東海なんかは比較的陸地に近い、メカニズムは一緒らしいんですよ、ぐうっとして盛り上がってばんとはねるというもの、それがどうもはかりにくい場所だというのが宮城沖というふうに聞いております。
 しかし、東南海に関しましても議員立法という形で御提出をいただいたわけでありますし、私もそれは積極的に参加をいたしまして、立法府の方でお考えをいただければ、また政治家として私もいろいろ考えてみたい、このように思っております。
鎌田委員 政治家としてという言葉に力が込められていたと思いますので、ここのところはちょっと地元の、県を挙げて、市町村を挙げて、地域を挙げての強い要望でもございますので、一回の御答弁で引き下がるわけにはいかないものですから、もう少しお聞きしたいんです。
 例えば東南海・南海地震の特別措置法を制定したことによって、それ独特のメリットというか、特に東南海域、南海域の特徴が生かされるとか、それまでになかった拡充があったとか、拡大があったとか、そういったものがあったら御紹介いただきたいんです。
山本政府参考人 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法では、地震や津波で甚大な被害が予想される地域を地震防災対策の推進地域に指定をいたしまして、広域かつ甚大な被害を及ぼす地震を対象にして国、地方公共団体、それから民間事業者が各種防災計画をつくってこれに備えるという構造となっております。
 ただ、この法律は昨年の七月に議員立法で制定されました。一年以内にこれを施行するということになっておりまして、ことし七月にはきちんと施行するということで、今準備を進めているところでございますけれども、現在はまだ法律自体は動いておりません。七月に施行され次第、推進地域を指定して、今の防災計画をつくっていくということになります。
 それで、今の時点で、では、どういうメリット、どういう効果が地元防災対策上生じているかというお尋ねでございますけれども、基本的には、国会のイニシアチブで議員立法でこの法律をつくっていただいたということもあって、地元の防災意識が非常に高まっている。これは地震防災対策の中でも特に津波、いろいろな地域に広範に津波は発生いたしますので、地元の防災意識、非常に大事でございますが、非常に高まってきているということを防災担当としては評価しております。
 なお、念のためでございますが、この東南海・南海地震についての地震防災施設の整備でございます。これは、先ほど来、大臣、副大臣の答弁にもありましたように、全国の都道府県を対象といたします地震防災対策特別措置法に基づいて、知事が自分の管内、地震防災施設をどういうふうにつくろうかという五カ年計画をつくって進めていく、これを国が応援をするという仕組みになっております。その点は東南海・南海の地域も同じでございます。
鎌田委員 確かに今の御答弁のとおり、今国会に提出をされております、防災に関してとった措置の状況ということで、さすがに、特別措置法ができると、この中で占める割合が大したものだと。ましてや、先ほど来出ている専門調査会、こちらもありますから、国として被害想定もきっちり数字として出して、やはりこういうことを国がするということで、今の御答弁にもありましたように、地元の防災意識が非常に高まるという、私は、財政措置がこれで新たに何かできたなんということは全然、実際としてありませんから、もともとある法律で、通常三分の一、そして上限二分の一という枠の中での話でありますから、この東南海の特別措置法も、財政措置がよくなったからやってよということは言いません。ですけれども、やはり地元における防災に対する意識の向上というものに対して、とてもこれはいいものだと私は思っておりまして、議員立法の動きが出てくるときには、ぜひ御理解、また御協力をいただきながら進めていきたい、大臣にもそのことを強く要望させていただきたいと思います。
 そして、最後に私からも、専門調査会のことについてでございますけれども、この専門調査会の優先度についてちょっとお伺いしたいんです。
 先ほど、宮城県沖地震の専門調査会を中央防災会議の中に設置すべきだというのに対して理由を述べられて、今のところは検討状況だというところでしたけれども、果たして、率直なところ、南関東域の地震、これについての専門調査会の設置と宮城県沖地震の専門調査会の設置、私としては南関東の方が優先度が高いのかしらと思いつつ、その辺のところをもう一度お伺いしまして、宮城県沖地震の専門調査会、あわせて、皆様の理由、御事情、いろいろあろうかと思いますけれども、専門調査会、宮城県沖地震についてのそのことについて、お伺いしたいと思います。
山本政府参考人 中央防災会議のいろいろな能力も限られておりますので、国の優先順位に従って専門調査会を設置して、一生懸命やっていくという姿勢なんですが、まことにこの場で言いづらいんですが、今中央防災会議としては、宮城県沖地震と首都直下地震対策を比べますと、首都直下地震対策を急いでやる必要があるというふうに考えております。
 その理由を申し上げますと、海溝型地震はどの地震もそうですけれども、非常に実直、正直に、定期的に発生いたします。そのうち、東海、東南海・南海は、百年から百五十年に一回、必ずマグニチュード八レベルの地震が起きています。関東大震災は、相模湾で二百年から三百年に一回、必ず起きております。これに対して、御指摘の宮城県沖地震は、同じように定期的に、実直に起きているんですが、非常に短いピッチで起きております。過去六回の地震を平均いたしますと、約四十年に一回起きております。ですから、マグニチュード八までいかない、七・幾らとか、直近の二十五年前のものは七・四でしたけれども。そういうことで、例えば、過去、一七九三年から直近の一九七八年まで見ますと、死者も、二十五年前のものが死者・行方不明が二十八名というので、これは非常に多い部類に属するわけですけれども、そういう地震であるということでございます。
 ただ、先ほど来、大臣、副大臣の御答弁にもありましたように、この宮城県沖地震だけではなくて、あそこ、六千メートルのところにあります日本海溝に起因する地震を、トータルに、いろいろなデータを蓄積して、科学的な知識が集まってくれば、新たないろいろな勉強をしていく必要性は出てくるという認識は確かに私どもにあるんですが、今現在、どっちを先に、首都直下と宮城県沖地震のどっちを専門調査会を設置してやるかというと、首都直下の方だというふうに会議では判断しているということでございます。
鎌田委員 終わります。ありがとうございました。
上田委員長 次に、今野東君。
今野委員 民主党の今野東でございます。
 この委員会、スタートいたしまして、宮城四区の伊藤さん、二区の鎌田さゆりさん、そして一区の今野東でございまして、いずれも揺れる地域でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、私、さっきからこの委員会に出席をさせていただいて、ちょっと腹立たしい思いがしているんですけれども、例の専門調査会であります。もちろん、特別措置法は議員立法でございますから、伊藤さん、超党派で私たちが一緒にやらなければいけないというふうに思っておりますが、これはもちろん急いで提出したいと思いますけれども、専門調査会、東南海・南海地震対策は広域だから、宮城県沖を震源とする地震は比較的限定されているからと。予測はそうでありますけれども、一方は一万人あるいは二万人の死者が予想されている。宮城県は千人あるいは二千人という予測がされている。千人も一万人もこうやって差別をするんでしょうか。大臣、お尋ねします。
鴻池国務大臣 まさに今、委員が御指摘になりましたことを私は大変懸念いたしております。防災というよりも、政治の一番大事なところは、この国に住まいされる方の命、財産を守るところであるということをしっかり私は認識をしながら政治家を務めているつもりでございます。ただ、ただいまのような、結論を急がれるということは、極めて危険ではないかと思います。じっくりと私も構えて、ただいまのお話をかみしめてみたいと思っております。
 今、山本政策統括官が鎌田委員にお答えしましたように、順番からいけば、東京の直下型ということになっております。逆に、例えば、五月二十六日にこの地震が起きなければこの議論というものは起きていなかったのではないか、私はそのように思うんです。ですから、こういったことはお互いに十分研究をしながら進める必要があろうかと思います。
今野委員 二十六日に起きたから起きないからということではなくて、さっきも言いましたように、予測はあくまでも予測ですから、宮城県沖の方が起きてみると大きかった場合もあるわけですよね。これは、答弁をされる方がそこのところまで責任を持って、そして、比較的限定されているからこの専門調査会は要らないんだというような話でいいんですかと聞いているんです。
鴻池国務大臣 まさにただいまの御指摘というものは理解できると申し上げておるわけでありまして、何度も申し上げておりますように、この国に住まいされる方々の命を守る、財産を守るというのが政治の重要な、他に考えられない重要なことであるという認識に立っておることは御理解をいただきたいと思います。
 しかし、地震の予測というもの、これは、どんな立派な科学者であろうと地学者であろうと、私は余り信用できません、できません、防災大臣がこういうことを言うと何か中途半端なことになると思いますけれども。ナマズに聞いた方が早いかもしれません。
 そういったことで、これを予測しながら、来るんだから何とかしろ、それは当たり前のことでありますけれども、順次、この件に関しましては、先ほどの議員立法の話もありますけれども、この中央防災会議におけるものにつきましては、私自身も、金がかからないんだからやったらどうだと本音は思いますよ、それは。学者と評論家が集まって東南海もやっておられる。今度、東京直下型をやるんだから、こっちの方もやったらどうかと思いますよ。しかし、今のところ、二十六日に起きたところなんだから、ちょっとヒステリックに言うのはよしましょうよ、ちょっといろいろ相談しましょうよ、こういう話をしておるんですよ。わかりますか。
今野委員 人の命はどこに住んでいる人も同じでありますから、ぜひ大臣主導でこの専門調査会の設置をぜひ急いでいただきたい、このように思います。
 さて、この五月二十六日に発生した、報道で言われておりますいわゆる三陸南地震ですけれども、私は、このときにすぐ地元の事務所や家族に電話を携帯電話からしたんですが、つながりませんでした。つながったのは、午後十時過ぎ、四時間後のことでありました。地元の新聞、河北新報には、一七一を押して安否のメッセージを録音する災害用伝言ダイヤルも、携帯電話そのものが不通なので使えずじまいだったと載っております。実際には、この一七一、五万七千件ほどの利用があったということも聞いております。
 この地震では携帯電話は余り役に立たなかった。宮城県の携帯電話普及率は、人口百人中およそ六割で、東北一です。PHSは一割以上で、東京と並んで全国一なんです。これが、災害時、安否の確認、負傷した人、閉じ込められた人、今回もエレベーターや地下などに閉じ込められた人がおりましたけれども、救助に役立つかというと、必ずしもそうではなかったわけでありまして、感情的には、何だ、いざというときには役に立たないじゃないかという感想を多くの人が持ったわけであります。
 こんなに普及させた携帯電話を防災情報の端末機器として利用できるようにすべきだと思うんですけれども、災害時の発着信規制、これはどのようになっているんでしょうか、お尋ねします。
有冨政府参考人 災害時等におきます送信規制でございますけれども、これは、ネットワークが処理できる通信量にはどうしても限界がございます。したがって、通常の数十倍もの通話が殺到するというような災害時等におきましては、利用者からの一般通話を規制することによって、災害救助法の第二十八条に定める「緊急を要する通信」とか、あるいは一一〇番、一一九番などの緊急通信、こういったものについて、その確保を図るということで接続規制を行っているものでございます。
 この仕組みでございますが、今回のような災害時におきましては、被災地からかける一般の電話、あるいは被災地外から被災地向けにかける一般の電話、これは交換機において規制をしておりまして、防災関係機関等の重要通信等は、一一〇番、一一九番などについては、この交換機はスルーで流れていきます。したがって、込んでおりましても、交換機にはねられるということはありません。しかし、一般の通話はどうしてもこの交換機で規制をするというようなことでございまして、事業者は、交換機における通信量を見ながら規制の程度を設定しているというようなことでございます。
今野委員 これは、割合でいうとどれぐらい規制されるんですか、パーセンテージでいうと。
有冨政府参考人 これはそのときの事情によりますが、今回の例を挙げますと、例えばNTT東日本でございますと、全国から東北地方への発信、これは八〇%規制をしておりました。それから、携帯電話で、例えばドコモの例を挙げますと、平均で七〇%の規制をしておりました。ただ、NTT東日本の、被災地からの電話は規制をしておりませんでした。
今野委員 さて、携帯電話なんですけれども、私も、ラインのいわゆる固定電話はしばらくするとつながって、連絡ができたんです。携帯電話からの発信なんですが、これは、今おっしゃった一一〇番、一一九番は、固定電話の場合は優先電話となっているんですか。そこのところ、どうもはっきりしないのでちょっとお尋ねしたいんですが、携帯電話から一一〇番あるいは一一九番にかける場合に、優先電話として、今おっしゃったスルーでかかっていくようになっているんでしょうか。
有冨政府参考人 一一〇番あるいは一一九番等の緊急電話につきましては、携帯電話であろうと固定電話であろうと、そこは優先的に取り扱わなきゃならないというふうに電気通信事業法第八条において規定をしておるところでございます。
今野委員 優先的にかかるようにならなければいけないと規定されているということなんですが、優先的にかかるように現実になっているんですか。
有冨政府参考人 携帯電話におきましては、先ほどから申し上げておりますが、チャンネル、いわゆる無線周波数の制限がありまして、どうしてもかかりにくいということはありますけれども、かかれば必ずつなげるというように、優先的な扱いになっております。かかればということは、交換機につながればということでございます。
今野委員 その交換機に行くまでが今回なかなかつながりにくかったわけですよね。これは、一一〇番、一一九番がスムーズにつながるということにはならないわけですよね、交換機に行かないんですから。だから、これは優先電話になっていないわけでしょう、つまり。
有冨政府参考人 先生の言われるとおり、チャンネルがなければつながらないという意味においては優先電話としての機能は十分果たしてはいないと思いますけれども、しかしながら、つながる範囲でいえば最優先でつながっているということでございます。あくまでも周波数がないという前提でこの仕組みができているということでございます。
今野委員 私、ちょっとシステムのことがよくわからないのでわかりやすく説明していただきたいんですが、例えば、地下やビルが倒壊して建物の下になったような場合、自分が携帯電話を持っていて一一九番をかければ、せめて、家族や友人にはつながらないけれども、一一九番にかければそれが速やかにつながって、人命の救助になる、負傷者を助けることになるというふうになるといいなと思っているんですけれども、今そうはなっていないわけですよね。
有冨政府参考人 そういうふうにあってほしいと私も思っておりますけれども、現実は、あくまでも交換機で一一九番、一一〇番を認識するかどうか、そこで初めてつながるかつながらないかということになっているわけでございます。
今野委員 一一〇番、一一九番が真の意味の最優先電話というふうになるような方法はありますか。
有冨政府参考人 携帯電話だけでいいますと、一一〇番、一一九番について、今申しましたように周波数に限定がございます。ただ、今の割り当てられている周波数の一部につきまして、無線チャンネルを緊急通報用だけに専用的に分けて割り当てて使えるような方法はないか。そうすれば、一一〇番、一一九番については一般の利用者が接続ができないチャンネルになりますので、そういったことができれば非常にスムーズにいくんではないかという観点で、今、技術的な手法について、事業者あるいはメーカーと連携をして研究をしている最中でございます。
今野委員 ということは、できるということですね。
有冨政府参考人 一般の通話とは別にちゃんとチャンネルさえ確保できるということがあって、認識とかいろいろ細かい技術的な点はあろうかと思いますが、技術的には可能であろうというふうに考えております。
今野委員 ぜひそれを急いでほしいと思いますね。それは、何も宮城県、岩手県、今回起きた地震の地域だけではなくて、どの地域も、地震が起きる可能性があるぞと言われている地域の方々は特にそうだろうと思いますけれども、そういう機器、端末の機能を求めているわけでありまして、携帯電話がこんなに普及しているのに、いざというときに役に立たないということでは何もならないわけでありまして、ぜひそこのところを一日も早くやってほしいと思います。
 大臣、今までのところで、お聞きになっていかがでしょうか。そこをぜひ早く急いでほしいと思うんですけれども、ぜひ感想を。
鴻池国務大臣 私も、宮城、仙台に随分友人がおりまして、心配なものですから、かけました。これが逆に邪魔になったかもしれませんけれども、そういった方が随分、もう本当にたくさんおられると思います。
 そういったことで、ただいまのお話を聞いておりまして、一一〇番、一一九番というものをきちっと確保できるような方向づけをぜひとも私もお願いしたい、このように思っております。
今野委員 ぜひ速やかにそのようにしていただきたいと思います。
 さて、厚生労働省にお伺いしますが、阪神大震災を教訓に、厚生労働省は、広域災害・救急医療情報システムを充実させてまいりました。隣接都道府県の医療機関の情報を入手するとともに、患者の搬送ですとか治療の支援も受けられるようにというシステムなわけですけれども、しかし、これは、今加入しているのが全都道府県ではなくて三十八都道府県なんですね。ここから漏れている、なぜ三十八でとどまっているんでしょうか。
篠崎政府参考人 このシステムにつきましては、先生御指摘のように、四十七都道府県の中で九県がまだ入っていないということでございますが、私どもは機会あるごとにこういう制度を取り入れるように県に要望しておるところでございますが、それぞれ県のいろいろな御事情がありまして、今のところ九県が参加していない、こういうことでございます。
今野委員 実は我が宮城県もこれに入っておりません。これはなぜかというと、県独自でこういうシステムをつくっているので、とりあえずは、当面はそこのところを使っていて、徐々に厚生労働省の広域災害・救急医療情報システム、隣の県の医療機関と連携がとれたりなんかしますので、そちらに移行したいということなんですけれども、しかし、これは、厚生労働省がやっているにもかかわらず、加入にお金がかかるんです。月四十万円、年間にしますと四百八十万円。何でこういうお金が必要なんですか。国の行政サービスの中でやるべきことなんじゃないですか。そして、四十万という根拠も教えてください。
篠崎政府参考人 これは、各都道府県ごとに平時の場合の県単位の救急医療システムというのができておりまして、それを、阪神・淡路大震災以来の教訓といたしまして、隣同士の県が助け合う、あるいはブロックで助け合うということから、それぞれの平時の情報を東西二つの大きなサーバーに集約いたしまして、例えばこちらが、県のシステムが機能しなかった場合に、東西に二つありますそのセンター、サーバーに接続して情報がとれる、あるいはその情報に隣県から情報を入れ合っていろいろな情報を交換できる、そういうシステムでございます。広域災害バックアップセンターと呼んでおりますが、それの回線使用料ということでございます。
今野委員 回線使用料が月四十万で、年間四百八十万円。国民の安全、それから命を守るためにつくっている広域災害・救急医療情報システムのために都道府県からそれぞれ四百八十万円を年間徴収するというのは、どうも国民の感情としてもなじまないと思うんですが、これを撤廃する考えはありませんか。
篠崎政府参考人 回線使用料、月四十万円でございます。それの三分の一は国の補助ということでございますけれども、現在、先ほど先生がおっしゃいました九県でございますが、九県のうち四県は早期に導入をするというお答えもいただいておりますので、せっかくここまで普及してきておりますから、私どもとしてはこれをぜひ全国に広げたいというふうに思っております。
今野委員 都道府県も、私のところの宮城県も、大変財政上厳しいところがありまして、ぜひそのあたりも御配慮いただければと思います。
 さて、最後の質問になりますけれども、五月二十六日に発生した地震災害の被害額ですが、まだ調査中ではっきりしたことはわかっていないんですが、宮城県で三十三億円、岩手で八十一億円と今のところ発表されております。両県とも市町村と協力して応急対策を講じ、災害復旧に万全を期しているわけですけれども、国の側からも、宮城、岩手両県に対する災害復旧のための財政支援についてお考えをお伺いしたいんです。これは激甚を、激甚災害に対処するための特別財政措置法でしたか、これを適用して前向きに対応するという考えはありませんでしょうか。ぜひそのところをお尋ねします。
山本政府参考人 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づく激甚災害の指定につきましては、客観的な指定基準に照らしまして復旧に要する事業費を審査いたしまして、それを、被災地方公共団体の財政状況に照らしてどの程度か、あるいは農業施設被害であれば農業所得推定額に照らしてどの程度かということをもとに判断するものでございます。したがいまして、公共団体から被害報告をいただいております、今引用されましたけれども、いただいておりますけれども、災害復旧事業の所管官庁で、指定の基準に照らして復旧事業費の確認作業をしてまいります。そういうことが必要でございますので、現在作業を進めております。
 指定の見通しについてはなかなか明確に申し上げることは難しいのですが、都道府県単位のいわゆる本激という激甚災害の指定の可能性は低いというふうに見ております。ただ、市町村単位に指定をする局激という激甚災害の指定がございますけれども、これについては各市町村ごとの被害額を精査していくということが必要になります。
今野委員 それでは、質問を終わりますが、二〇二〇年までにあるいは二〇三〇年までに、八〇%の確率で起こる、九八%の確率で起こると言われている地域に住んでいる国民の気持ちもぜひお酌み取りいただきまして、実は、こういうものは有事法制よりも先にやらなきゃいけないんですよ、真っ先に。ぜひ素早い行動をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
上田委員長 次に、井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
 五月の二十六日に発生いたしました三陸南地震によりまして、宮城、岩手両県を中心に、重軽傷者百六十六人の人的被害を初め、住家、学校、医療施設などの窓ガラスの破損、壁面の落下、ひび割れなど、建物の被害が続出しました。また、落石、土砂崩れによる道路障害、東北新幹線の運休、学校の休校など、市民生活に大きな支障を来したことは先ほど御報告があったとおりでございます。
 被害に遭われた皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。あわせて、被災者に対する支援また復旧について、関係機関が総力を挙げることをまず要望しておきたいと思います。
 地震対策にはハード面、ソフト面があります。ソフト面について言いますと、私もちょうど仙台におりましたけれども、平成七年の阪神大震災では、情報の収集から連絡、出動までに時間がかかり、危機管理の甘さが指摘されましたけれども、今回は、政府や各自治体、警察、消防、自衛隊などが機敏に連絡をとり合い、まずは迅速な対応ができたのではないか。また、夕食時で、私も大変心配いたしましたけれども、火を使う家庭が多いわけでございますが、大きな被害に発展しなかったということにつきましても、市民の防災意識の高まりを評価する、そういう指摘もあるわけでございます。
 まずは大臣に、今回の地震被害に対する支援、復旧についての決意、また、今回の対応についてどのように評価をしているか、反省点を含めて所見を承りたい、こう思います。
鴻池国務大臣 阪神・淡路大震災のあの日あの瞬間、私も寝ておりまして、飛び起きました。ひょっとしたらミサイルをぶち込まれたのではないか、そのようなすごさが、今なお身に覚えているというか、記憶に残っておるわけであります。真っ暗な中で、比較的小高いところに頑丈な建物、マンションの一室でございました。大火はございませんでしたが、家の中はむちゃくちゃになりました。夜が明けてくると、すぐ前を通っておる高速道路が腹をこちらに向けてひっくり返ろうとしておるところでありまして、バスやトラックがしがみついている、そういう状況でありました。
 しかし、あの神戸を中心とした大震災で亡くなられた六千四百三十三名、いまだに行方不明者が三名でございますけれども、その方々の大半といいますか、九割近い方々がみずからの家の倒壊によって亡くなってしまわれました。逆に、そのような同じ状況で助かった方は、倒壊から引っ張り出されて助かった。だれが助けたかといいますと、これは自衛隊でも消防署でも、実は警察でもございません。自分の家族、あるいは向こう三軒両隣のおじさん、おばさん方でありました。だから、冗談のように言っているんですけれども、家族に愛される、また近所で愛されるおっさんでないと救ってくれない、まさにその状況でありました。
 そして、実動部隊がやってきたのは三日後でございました。初日にヘリコプターがやってきても、たった一人の重篤患者しか外に運び出せなかった、四日間で四十七人しかヘリコプターで運び出せなかったという現実がございます。
 それを反省点として、それに引きかえ、今回の、ただいま委員の、一部お褒めをちょうだいしましたけれども、初動体制と申しますか、状況把握ということに関しましては、極めて迅速にいったと思います。先ほど御報告申し上げましたように、官邸の地下二階へ私もすぐさま飛び込みましたけれども、そこで各省庁の情報連絡というものが極めて敏速にとられておったということは、担当大臣といたしまして大変うれしいことでございました。
 また阪神・淡路の話に戻りますけれども、時の村山大臣の耳に大被害が達したのは、恐らく午後になってからではなかったか。村山大臣には全く情報が入らずに、財界と昼食会にお出かけになるといったようなところであったと思います。
 そういう意味で、あの阪神・淡路大震災の反省のもとに、初動体制、まずは情報収集でございますから、それが比較的うまくいって、私の把握をいたしましたところ、死者なしではなかろうかと思いましたのが一時間後でございました。そういうことで、ある意味ではほっとしながらも、なお情報の収集に随分骨を折ったわけでございます。
 ただ、その反省のもとに、震度五になりましたら、自衛隊のヘリコプターが発災している現場に向かって飛び出す、こういうこともできておりますし、あるいは、消防庁のヘリコプター等が現場の状況を把握して、すぐさま官邸の地下二階に報告をして、一キロ以内のメッシュ状況で被害の状況を把握、想定をしていく、こういうシステムにもなっておるわけであります。
 そういう中で、特に私が印象に残りましたのは、夕食時で、火事が少なかったじゃないかと今、委員がおっしゃいましたけれども、私は、後でテレビを見ておりまして、ニュースをやっているキャスターが机につかまりながら、皆さんもごらんになったと思いますけれども、机につかまりながら、火を消してください、火元を確認してください、火を消してくださいとどなっておった、あれは大変印象的だったし、大変すばらしい効果があったのではないかと思っております。
 また、日本海の地震を記念してと申しますか、五月の十五日以降、四カ所、五カ所で訓練をされておったと聞いております。そういったことも大変いい方向の結果に導いたのではないかと私は思っております。
井上(義)委員 被災者に対する支援、先ほどいろいろ被害状況が出ておりますけれども、また復旧につきましても、万全の体制でぜひ行っていただきたいということを重ねて要望しておきます。
 幾つか問題点につきまして、先ほどから議論が出ておりますので、簡潔にお答えいただければ、こう思いますが、まず、やはり災害時の通信手段ということでございます。
 私も、現地におりまして会合をやっていたものですから、すぐさま連絡をとって、最初の十分間ぐらいは、もちろん携帯電話ですけれども、通じたんですが、それ以後はもうぴたっと通じなくなってしまった。先ほどからも指摘が出ていますけれども、携帯電話の普及というのは大変なものがあるわけでございまして、四月末で七千六百三十二万台、阪神・淡路大震災が起きた九五年初頭の約二十倍ということで、それだけ普及しているものですから、携帯電話に頼った、私もその一人なんですけれども、ところが、その携帯電話がつながらなかったことによって余計に不安が増したということが、私は、今回の非常に大きな、今後考えなければいけない問題点の一つだ、こう思います。
 先ほどから、一一〇番、一一九番につきまして、これは技術的に可能であるというふうに私も思いますので、規制された中でも優先周波数帯で、早急に、一一九番、一一〇番については常時つながるという仕組みにぜひしていただきたいということと、これだけ携帯電話に頼るという社会的な状況を踏まえて、一つは、固定電話につきましては、災害時の、緊急時の優先電話がございます、携帯電話についてもそのシステムができないのかどうか。
 報道によりますと、地元の仙台市の市長が東京出張中で、約一時間近く連絡がとれなかったというような報道もされているわけでございまして、災害対策の一番中心者が連絡もとれないというような状況では、これはもう大変なことになってしまいますので、こういう状況に合わせた新しいシステムをぜひ構築していただきたい。このことにつきましてお伺いしたいと思います。
有冨政府参考人 先ほどから御説明をしておりますが、今のような時代で、やはり一一〇番、一一九番といったような重要通信が携帯電話からつながることが非常に重要だということは認識をしております。
 ただ、現状においては、先ほども申しましたように、周波数等々の関係で難しい。しかしながら、効果は限定的ではありますけれども、周波数の一部を緊急通報用に専用的に割り当てることだってあり得るじゃないかということで、今検討しておるということを申し上げましたけれども、それ以外の方法についても、やはり今後の携帯電話の社会的な機能から見ますと、いろいろと研究しなきゃならぬ点、多々あろうと思いますので、かかる観点を踏まえながら対応していきたいというふうに思います。
井上(義)委員 固定電話と同じような、いわゆる優先使用ができるというシステムについてもあわせて検討していただきたいと思いますけれども、この点についてもう一回確認しておきます。
有冨政府参考人 現在でも、一部そういったシステムは導入しておる部分がありますけれども、改めてきちっと整理をして対応したいというふうに思います。
井上(義)委員 次に、ハード面ですけれども、やはり建物の耐震性を高めるのはハード面の中核ですけれども、現状は極めて厳しいものがございました。特に、多くの国公立学校で、亀裂が入るなどの被害が出て、休校に追い込まれたわけです。こういうところが実は第一番の避難場所というふうになるわけでございまして、これにつきましては、我が党も、国公立学校、特に小中学校の震災対策を進めるようにということで、繰り返し主張しているところでございますけれども、ことしの防災白書でも、全国の小中学校については、五四%が耐震性という面で問題を抱えているということが明らかになっているわけでございます。
 やはり最優先で手を打たなければいけないことの一つだ、こう思うわけですけれども、今回の地震による国公立学校の被害の状況、また今後の対策について、簡潔にお答えいただければと思います。
萩原政府参考人 学校施設の被害状況及びその対策についてお話しさせていただきます。
 今回の地震によりまして、学校の被害状況でございますが、六月二日現在で、岩手、宮城など六県におきまして、国公私合わせまして八百七十八校の被害を受けているという報告を聞いております。その被害状況につきましては、委員御指摘のように、壁の落下、亀裂、窓ガラスの破損等が報告されているところでございます。
 地震による被害を受けた公立学校施設につきましては、迅速な復旧が図られるよう、設置者からの申請により、原則として復旧事業費の三分の二を国庫補助、国庫負担しているところでございまして、今回の地震における被害につきましても、設置者から事業計画書の提出があり次第、文部科学省としても早急に現地調査を行いまして、災害復旧が円滑に、迅速に行われるよう万全を期してまいりたいと考えております。
井上(義)委員 しかも、それでも現状五四%程度。宮城県は大体ほぼそのぐらいなんですけれども、岩手県におきますと四〇%台ということで、これをどうやって早急に耐震化するかということは最大の課題だと思いますけれども、その辺につきましての今後の進め方について伺っておきたいと思います。
樋口政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、学校施設の多くは防災拠点とされております。児童生徒のみならず、非常災害時における地域住民の安全確保を図るためには、その耐震性能の向上を図ることが大変重要な課題であると認識しております。
 文部科学省といたしましては、学校施設の耐震化というものは公立学校施設整備における最優先課題であるというふうに認識をしておりまして、平成十五年度におきましても、学校施設の耐震化を中心といたしまして、対前年度五十五億円増の総額一千五百六十二億円を計上させていただいております。
 私どもといたしましては、学校施設の耐震化ということを公立文教施設の最重点課題として、今後とも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
井上(義)委員 それからもう一点、東北新幹線の耐震対策につきましてお伺いしたいと思います。
 今回の地震で、東北新幹線、翌日夜の運転再開まで、二日間で上下計百十八本が運休いたしまして、乗客三万八千人に影響が出ました。この東北新幹線を二十六時間もとめた原因は、高架橋の破損でございまして、岩手県内の水沢江刺―盛岡の約五十キロの区間で六カ所、二十三本にコンクリートの剥離などが起こった。迂回路のない東北新幹線の運休の影響というのは極めて大きいわけで、東北新幹線はまさに東北の大動脈になっております。これがとまりますと、北東北を含め東北全体に影響が出ますし、宮城県沖地震に備える意味でこの耐震補強は十分なのか、改めて検討する必要があるんじゃないかと。
 この五十キロについては、いわゆる補強対象外の地域であったという問題もありますし、それから、補強対象地域内であっても、いろいろな理由、いわゆる高架下に建物がある等の理由で、東北新幹線関係だけでも約九十本ですか、未補強のままになっているということが今回の地震で初めてわかりました。これが宮城沖地震だったらどんなことになるんだろうということで、改めてこの問題に対しての耐震補強についてしっかりやらなければいけないんじゃないか、こう思いますが、この点についてお伺いしておきたいと思います。
石川政府参考人 新幹線の鉄道の構造物の耐震補強でございますけれども、平成七年の阪神・淡路大震災後に設置された鉄道施設耐震構造検討委員会、これが平成七年の七月に提言を行っております。この提言を受けまして、剪断力による崩壊を防止するための対策を講ずることとしたところでございます。
 この対策においては、緊急耐震補強として、構造物の被害による人命、住民の生活活動、あるいは経済社会及び復旧の難易度等の影響を総合的に勘案して、優先度の高いものから実施をすることとしたわけでございます。具体的には、仙台地域、南関東地域、東海地域、名古屋地域及び京阪神地域、さらには、これ以外の地域であっても活断層の規模等に配慮して対処することとしたわけでございます。
 これを受けまして、先生御指摘のとおり、JR東日本は、東北新幹線については仙台地域、南関東地域を優先的に実施をしてきたわけでございますが、今回の地震で損傷を受けた水沢江刺―盛岡間の六カ所、二十三本の高架橋、これにつきましては、優先的に進める地域には入っていなかったために緊急耐震補強を実施していなかったわけでございます。この六カ所につきましては、この地震発生後、コンクリートの亀裂部に樹脂を注入し、モルタルにより柱断面を修復し、かつ、六月一日までに柱の周辺に鉄板を巻く耐震補強工事を行ったものでございますが、これ以外のものにつきまして、つまり、今回の被害状況をさらに詳細に分析いたしまして、仙台地域あるいは南関東地域以外の耐震補強工事についてもJR西日本では順次進めることを検討していくこととなっております。
 私ども国土交通省といたしましても、今回発生した地震では優先地域以外の高架橋で損傷が生じたということから、優先地域以外についても優先地域と同様に耐震補強を実施するよう指導するとともに、お話がございましたように、高架橋を利用しているなどの理由によって緊急耐震補強工事が未了となっている高架橋につきましても、必要な耐震補強工事を実施するよう新幹線を所有するJR三社を指導してまいるつもりでございます。
井上(義)委員 最後に、これまでも議論が出ていますけれども、いわゆる二〇二〇年までに八一%、二〇三〇年までには九八%の確率で発生する、こういうふうに政府の地震調査委員会が発表しております宮城県沖地震ですけれども、今回はこれとは全く別物ということで、この可能性は依然として変わっていないという現状を考えますと、やはり今回の地震を踏まえて、家屋とかあるいは公共施設の耐震補強など、いつ起きてもおかしくない大地震への備えというものが急務だ、私はこう思うわけでございます。
 先ほども出ていますように、宮城県沖地震対策の特別措置法の早期制定はぜひやらなければいけない、こう思っていますし、もう一点は、少なくとも宮城県沖地震に関する専門調査会、これについては、今回の事態を踏まえてぜひ早急に設置をして、地震・津波対策の充実強化を図るべきではないか、こう思います。
 東海や東南海に比べて規模が小さいんじゃないかと。規模が小さいからいいというものじゃないわけで、これは先ほどから議論が出ていますけれども、やはり国としてここをきちっとやっていますよというアナウンスの効果というのは、この防災対策には極めて重要なわけでございます。これは、もちろん第一義的には地元の人がやるんですけれども、国を挙げてこの地域の地震対策に取り組んでいますよ、皆さん、ぜひ一緒にやりましょう、私はこういうメッセージが実は非常に必要だと。
 そういう観点からも、この専門調査会はもう早急に、これは法律がなくてもできるわけでございますから、ぜひ大臣の決断でやっていただきたいというふうに思いますが、最後に確認をしておきたいと思います。
鴻池国務大臣 先ほど来のお話も十分承りました。まして、一番我々が心にとどめなきゃいかぬことは、当然そのように思っておりますけれども、日本列島、北の端から南の八重山群島に至るまで、それぞれが防災ということに関して区別、差別してはならない、当然のことでありますが、このように思っておるわけでございます。
 そこで、お地元から、両県知事からの御要望等がございますので、一つは、議員立法につきましては、私ども、いわゆる行政の方としてはそれをお出しいただいた時点で御検討を申し上げなきゃいかぬことでありますが、専門調査会につきましては、先ほども私、ぱっと口が滑ったんですけれども、金がかからぬことだからやったらどうなんだというふうな話もございますが、十分我々の中で検討させていただき、そしてきょうはもうほとんどの先生方がお地元の御出身でございまして、御質問なさっていらっしゃいますので、また先生方ともひざを交えていろいろなお話し合いを政治家としてさせていただきたい、このように思っております。
井上(義)委員 それでは、以上で質問を終わります。
上田委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。岩手の出身であります。
 私、きょうは総務委員会とかけ持ちで質問しておりましたので、さきの委員さん方が質疑したのを聞いておりませんから、多分重複する質問があるかと思います。今度は岩手からのメッセージということで、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それからまた、三十日の日ですか、宮城、岩手の両県知事が鴻池大臣の方に、多分、宮城県沖地震対策として要望されたと思います。その辺を踏まえて質問していきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 去る五月二十六日に発生しましたこの宮城県沖を震源とする強い地震でありますけれども、これは岩手、宮城両県で最大震度六弱、これは本当に始まって以来の大きさなんでありますけれども、これを観測しまして、両県に重軽傷者百五十二人の人的被害を初め、一般住宅、学校、医療施設等にも多大な被害をもたらしたところであります。
 しかしながら、不幸中の幸いといいますか、一人も死者を出さなかったことは本当によかったと思っております。これはひとえに自治体の防災体制の強化あるいはまた住民の防災意識の高揚によるところが大きいと私は思っております。
 今回の地震は、規模がマグニチュード七・〇と大きいにもかかわらず、深度が七十一キロと深かったことも幸いしておるようであります。ちなみに、平成七年一月十七日に発生し、六千四百三十三人もの死者を出した阪神・淡路大震災、この地震規模はマグニチュード六・九でありますけれども、深度が十六キロと浅い直下型地震であったために大惨事につながったと言われております。
 そこで、最初に、今回の宮城県沖地震の事実関係を確認しておきたいと思います。
 すなわち、今回、江戸時代の一七九三年から一九七八年に至るまで六回、平均活動間隔は三十七・一年でありますか、それで地震が発生している、このプレート間地震である宮城県沖地震とは異なるものであるのか。したがって、今回の地震でその海域の地震エネルギーが解放されたことにならず、将来の地震発生確率は、平成十三年六月八日の地震調査研究推進本部地震調査委員会の公表値と変わらぬものであること。すなわち、今後十年、二十年、三十年以内の発生確率はそれぞれ二六%、八一%、九八%と変わらず、その評価のときは二〇〇一年でありますので、むしろ現在はそれよりも確率が高くなっているというふうな感じでとってよろしいか、文部科学省の見解を求めておきたいと思います。
    〔委員長退席、島委員長代理着席〕
素川政府参考人 お答え申し上げます。
 五月二十六日に発生しました宮城県沖を震源とする地震に対しましては、翌二十七日、地震調査委員会の臨時会を開催いたしまして、その分析、評価を行ったところでございます。今回の地震につきましては、一九七八年の宮城県沖地震の震央からは離れていること、また深さとか発生メカニズムも異なっているということから、地震調査委員会におきましては、今回の地震は、想定しておりますいわゆる宮城県沖地震とは異なる地震であるというふうに評価しているところでございます。
 また、地震調査委員会では、今回の地震によって想定されているいわゆる宮城県沖地震のエネルギーが解放されたという明確な証拠は見られないということから、平成十三年に評価、公表いたしました、平成十三年一月当時での長期的な発生確率には変わりはないとしているところでございます。
 また、この発生確率は、平成十三年一月現在で、今後十年、二十年、三十年以内の発生確率ということで算定したものでございますので、先生御指摘のように、現時点ではそれから二年以上経過しているということから、現時点を基準にして今後十年、二十年以内といった観点に立つならば、発生確率の値は多少高目になっているというふうに考えられるわけでございます。
黄川田委員 三陸海岸に住む者としては、災害は忘れたころにやってくるじゃなくて、災害は必ず忘れずにやってくる。そして、津波を伴う。この津波は四十年あるいは五十年というサイクルでやってくる。人生五十年のときは一回しか経験しなかったけれども、人生八十年の時代になると二度ぐらいは経験するのじゃないか、そういうことを住んでいる住民は肝に銘じなければいけないということだと思っております。
 次の質問は、重なる質問であるわけでありますけれども、東海及び東南海・南海地震対策でありますが、これは皆さんの力によりまして特別措置法を制定しまして、国はさまざまな地震・津波対策を講じております。御案内のとおりであります。宮城県沖地震に関しては、今制度が整っておりません。そしてまた、宮城県沖地震対策については、同様な特別措置を我々が制定していかなければならない、そう思っております。
 そこで、地震観測施設等の整備あるいはまた地震・津波対策を推進する上で、必要な財政上の配慮をこの地震に関しても強く望むわけでありますけれども、鴻池大臣の見解を求めておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
    〔島委員長代理退席、委員長着席〕
鴻池国務大臣 ただいまの御質問は、本地震の被害の財政上の措置はいかがか、こういう解釈でよろしゅうございますか。
 先ほど統括官の方も同じような質問でお答えを申し上げておるのでございますが、激甚災害に指定するかどうかというのは、まだそこまで行く段階ではございません。しかし、お地元からの御要請等を十分配慮いたしながら、復興復旧に国も全力を挙げなければいかぬ、このように思っておるところであります。
黄川田委員 これも宮城、岩手の両知事に要望しているものですから、重ねて質問するわけでありますけれども、この東海、東南海・南海地震対策でありますけれども、中央防災会議に専門調査会を設置しまして、地震・津波対策の充実強化の検討を行っておるわけであります。しかしながら、それぞれ委員さんがお話しされたとおり、宮城県沖地震に関しては調査会が設置されておらない。そこで、宮城県沖地震についても同様な専門調査会を設置して、地震、特に津波対策の充実強化を検討できる体制を早期に確立してほしい、こういう形の中で両県知事に要望しておるわけであります。
 おくれて来ましたので、前の質疑がちょっとわからないのでありますけれども、鴻池大臣は、五月二十六日にあったから今こういう議論になっておるとか、日本は北から南まで長いんだ、さまざまなところであるから、それぞれ調査会をつくったら大変だという話もありますけれども、少なくとも……(発言する者あり)そうですか。では後で御答弁いただきたいのでありますけれども、この三陸地域というのは、過去の歴史において、しっかりと古文書にも残っておりますし、地域的なものもはっきりしておるところなんです。ただ、岩手は人口百四十二万という、四国四県の面積、では、人口密度が何人だと言われればそれまでなんですけれども、日本人どこで生まれ育ち、そして国家社会のためにみんな汗をかいて頑張っているわけですから、もちろん、鴻池大臣はわかっているつもりで言っているわけなんですけれども、そういう要望に対しても、大臣、要望するだけじゃなくて、我々もしなければいけないと思っておりますけれども、その決意といいますか、改めてお尋ねいたしたいと思います。
鴻池国務大臣 最初からの御質問あるいは御意見、御質疑の中で全部の先生方がお触れになったことでございまして、中央防災会議の中に専門調査会設置の問題につきましては、お地元の先生方とも十分話をしながら、私自身は後ろ向きではない態度で十分耳を傾けたい、このように思っておるところでございます。
黄川田委員 今度、岩手県側といいますか、岩手の知事からの要望なんでありますけれども、今回、震源の深度が海底七十一キロということで、岩手、宮城両県とも最も恐れていた津波は免れたわけであります。
 しかしながら、御案内のとおり、両県、過去、明治二十九年には数万人の死者であります。それから昭和八年の三陸地震津波、これも何千人という単位の死者であります。とうとい生命財産を失われてきたわけであります。そのため、湾口防波堤あるいは防潮堤の建設、あるいはまた避難地、避難場所、防災無線設置、情報伝達体制の整備、さまざま進めてまいりました。しかしながら、いまだ万全の体制でないことはおわかりのとおりであります。
 そのため、地震、津波に対して観測予知体制をより充実しまして、災害情報を迅速かつ的確に収集、伝達すべく、岩手県沿岸地域を特定観測地域に指定することをこの機会に強く望むわけでありますけれども、この関係は国土交通省ですか、見解を求めておきたいと思います。
星埜政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまの特定観測地域でございますが、これは全国八カ所にございまして、地震予知のための観測研究を効果的に行うため、地震予知連絡会により選定されたものでございます。
 地震予知連絡会と申しますものは、地震に関します専門家あるいは関係機関から構成されておりまして、地震予知を目指した、地震に関する情報交換それから学術的な検討を行う場ということでございます。これは国土地理院が事務局となっております。
 岩手県の沿岸地域でございますが、特定観測地域に選定されてはおりませんが、三陸沿岸の日本海溝付近の大地震も過去にはあったわけでございまして、地震予知連絡会においても、重大な関心を持って地殻変動等、地震に関する情報交換及び学術的検討が行われてきております。
 今後とも、地震予知連絡会において、この地域の地殻活動につきまして、特定観測地域の選定に関することも含めまして、学術的検討を一層深めていただくように図っていきたいというふうに思っております。
黄川田委員 この特定観測地域でありますが、これは既に宮城県沿岸地域が指定されておるということでありますよね。岩手県とか宮城県ということで、区分けはなっておりますけれども、海岸線とか、三陸は一体なわけなんですよね。そういう意味で、地震に境界線はないわけでありますから、一体としてとらえることが、さまざまな観測結果が災害対策に生かされると私は思っておりますから、ぜひとも、未指定のままではなくて、指定の方向でしっかりとやってほしいということは要望しておきます。
 それでは、地域課題といいますか、具体的な話に移りたいと思います。
 一九六四年の新潟地震で大規模な液状化現象が発生しまして、建築構造物に多大な被害を及ぼしたわけであります。この地震で、岩手県でも大船渡港の新設の十三メートル及び七・五メートルの深さの両桟橋ですか、埠頭に液状化現象が発生いたしまして、二十から三十センチもの段差を生じるなどの被害を生じたわけであります。
 そこで、なぜこのような新設の港湾構造物に液状化対策がとられていなかったのか、また、今後、早急な復旧を望むものでありますけれども、どのような対策を講じ、そしてまた、どの程度の復旧期間を要するのか、あわせて国土交通省に見解を求めておきたいと思います。
金澤政府参考人 お答え申し上げます。
 港湾施設の液状化対策に関しましては、いわゆる岸壁などの本体部分、そういうものの基幹的な構造物の安定性への影響を避けるという意味で、地盤が液状化するかどうか、あらかじめ予測及び判定を行ってございます。液状化が予測されまして、なおかつ本体構造物に影響があるという場合には、埋め立て材料の締め固めや置きかえなどの液状化対策工を必要な範囲におきまして実施するということとしております。これが一般的な原則でございます。
 今回の地震では、大船渡港のいわゆる本体の岸壁構造につきましては影響がございませんでした。ただし、岸壁背後に広く広がっております埋め立て造成いたしました埠頭用地におきまして、液状化現象が見られました。土砂が地表面に噴出いたしまして、二、三十センチの段差が一部において見られました。岸壁本体に影響を与えるものではございませんでしたので、地震後も、翌日より船が入港しておりまして、通常の荷役活動が行われております。
 現在、港湾管理者でございます岩手県におきまして、液状化現象が見られたところのボーリング調査等、現地の調査を行っておりまして、今後の復旧対策、いわゆる段差の修復等の復旧対策について検討を行っているところでございます。
 国土交通省といたしましても、早期に復旧が行えますよう技術的な支援を行ってまいりたいと考えておりまして、地震後すぐに、東北地方整備局の職員はもちろんでございますが、神奈川県の久里浜にございます当省所管の研究所からも翌日の二十七日には職員を派遣いたしまして、現地で指導に当たらせていただいております。
 以上でございます。
黄川田委員 今御答弁いただきましたけれども、私も現場を見てまいりました。港湾の構造物自体は本当にしっかりとしたものでありまして、六十メートルぐらい後ろですかね、そこから液状化とか、その後、県の方でもボーリング調査しまして、コンクリート自体には空洞がないみたいですし、また、なお調査するということであります。いずれ、岩手でも大事な港湾でありますので、さまざまな技術的な御指導をよろしくお願いいたしたいと思っております。
 時間も残り少ないので、最後に、学校施設等の被害についてちょっとお話しさせていただきたいと思います。
 岩手でも大分被害がありました。校舎や体育館などは幸い完全な崩落とか倒壊には至らなかったのでありますけれども、天井の脱落や壁の剥落、細かい被害が多いわけであります。
 学校施設は、一般の構造物と違いまして、学生、児童の命を守る、あるいはまた災害時には、田舎では学校は地域住民の避難場所というような形で指定されておる場合もありますので、しっかりした建物になっていなきゃいけないと思っております。これは確認なんでありますけれども、特に建築基準法等の規定が、学校の場合、異なる基準が定められておるんでしょうか。
 それから、阪神・淡路大震災の教訓を生かしまして、学校施設に対し、耐震診断、耐震補強等が実施されているものと思っております。さきにも何か質疑がありましたけれども、改めてその実施状況をお尋ねいたしたいと思います。
萩原政府参考人 学校施設の問いでございますが、委員御指摘のように、学校施設といいますのは、地震発生時に児童生徒の安全を確保するとともに、地域住民の方々の避難場所にもなる役割を果たすものでございまして、その耐震性の向上を図ることが非常に重要なことだと認識しております。
 このため、文部科学省としましては、学校施設の設計に際しまして、建築基準法等の各種法令に基づいた上で、さらに、新築時におきましては設計用地震力や、耐震改修時におきましては構造耐震指標の割り増しを行うなど、余力ある設計をするよう地方公共団体等の学校の設置者に指導しているところでございます。
 もう一点、耐震診断、耐震補強についての実施状況について御質問でございますが、文部科学省が昨年、平成十四年五月に、公立学校施設の耐震改修状況調査を行いました。その結果としまして、耐震診断の実施率は約三一%、それから、耐震性があると推定される施設の割合は約五七%となっております。数値としては低いものでございまして、このような状況を踏まえまして、文部科学省としましては、学校施設の耐震化推進方策を検討するため、調査研究協力者会議を昨年十月に発足させました。学識経験者の方々にお集まりいただきまして審議いただき、ことし四月十五日でございますが、その報告書をいただいたところでございます。
 文部科学省としましては、この報告書を各都道府県委員会等に送付いたしまして、その趣旨の徹底を図るため、現在、各地で説明会を実施しているところでございまして、今後とも、学校施設の耐震化の推進について積極的に対応してまいる所存でございます。
黄川田委員 最後に、確認の意味でなんでありますが、学校の規模によって異なると思うわけでありますけれども、この診断費用であります。施設一棟当たり約二百万から四百万円かかるということで、小中学校の診断実施率が特に低い背景には、各市町村、厳しい財政事情でありますから、それもあるわけでありますけれども、逆に、この耐震診断を受けたことで新校舎の建設を先延ばしにされるのを避けるといったような学校の思惑もあるというふうなことを耳にしますけれども、これについて一言お答えいただけますか。
萩原政府参考人 先ほどの調査研究の中身を御説明しなかったわけですが、その中身ですが、地方自治体、設置者が効率よく、迅速に耐震補強等をやるための調査研究を行ったわけでございます。その中で提言されたのは、まず、優先順位をつけることが大切だということでございまして、耐震化優先度調査、それから耐震診断をした結果の調査報告、これらについて新しい提言がなされました。
 この耐震化優先度調査といいますのは、耐震診断をやる順番を決めるということでありまして、耐震診断の項目のうち一部を先行してやり、数多くある学校のうちどれから診断していくかということを優先度をつけるために提言されたものでございます。こういった新しい提言に基づいて、効率よく耐震化を進めていこうということでございます。
黄川田委員 時間になりましたので、終わります。
上田委員長 次に、松本善明君。
松本(善)委員 鴻池防災担当大臣、阪神大震災の体験もおありになりますのでいろいろわかると思いますが、今度の三陸南地震につきましても、ほとんど与野党共通の問題点を感じて要望ないし質問をしている、前向きに受けとめていただきたいということを最初に申し上げて、質問をしたいと思います。
 ただ、政府の今までの答弁や報告を聞いておりますと、不幸中の幸い、確かに死傷者が出なくて不幸中の幸いと言われるんだが、私は、気象庁の報告で、本震と余震が二回あった、被害も大きいという気仙沼に調査に入りました。
 調査した感想は、大災害の一歩手前、本当に恐ろしい状況だということでございました。例えば、五トンから十トンぐらいある大石が、傾斜地でやっと金網にひっかかっているんですよ。これがそのまま急傾斜地で落ちていけば、何軒もの住宅が十トントラックが突っ込んだような状況になる、本当に恐ろしい状況です。それからがけ崩れ、上の家の下が崩れているんです。下の家にそのまま落ちてきそうになっている、こういうような状況で、本当に一歩手前なんですね。
 それから学校は、先ほど来文部科学省の方も、これは避難地にもなるんだと。そのとおりなんですが、私が階上小学校に行きましたら、体育館はみんな大きなガラスですから、これが壊れて、それで体育館の中にみんなガラスがいっぱいになる。そうすると、近隣の住民の皆さんが避難に来られた、ところが、ガラスがいっぱいなので使用できないということで不安な一夜を近隣の皆さんは送られた、こういうことでございます。
 それから、時間も幸いしておりまして、学校や何かで、あれは六時前後でしたね、六時過ぎだった、これは授業中に起こっていれば、もう間違いなく負傷者がいっぱい出ました。それから、当たりどころが頸動脈なんかであれば、死者も出たと思います。私は、そういう点でいうと、本当に不幸中の幸いではあるけれども、大災害一歩手前、本当によかったということで、だからといって、この対策を怠ったら大変なことになるんだ、こういうふうに思ったわけでございます。
 大臣は先ほど、地震の予測というのは信用できないというふうに言われて、私、そのとおりだと思うんです。予知できないんですよ。それが地震の特徴で、阪神大震災はだれも予想しなかった。それから、先ほども答弁がありましたけれども、新幹線の橋梁、これは優先場所じゃなかったからやっていなかった。ところが、そこへ起こるんですよ。それが地震の特徴なんです。
 私は、そういう点を考えますと、皆さんが御質問になりましたが、一つは、宮城県と岩手県の知事が要望しております、確認なんですが、特別措置法、東海及び東南海・南海地震と同様の特別措置法、これについては大臣の御答弁は、議員立法でやってくれれば前向きに受けとめる、こういうことで伺っていいんでしょうか。
鴻池国務大臣 委員おっしゃるとおり、東南海・南海は、実は私も一生懸命、一議員でやらせていただきました経験がございます。お地元を中心に議員立法が提出されれば、これはやはり前向きに検討しなければならない、このように思っておるところであります。
松本(善)委員 これは当然、財政上の配慮が必要になってくるんだと思います、やはりこの特別立法をすれば。
 その問題と、それからもう一つ、専門調査会の問題、これも皆さん、これは確認ですが、これも前向きに対応すると。財政上の措置については初めてかもしれませんが、前向きに対応するというふうにお答えいただけましょうか。
鴻池国務大臣 まず、財政的なものでございますが、これも委員御存じのとおり、地防法、地震防災対策特別措置法に基づきまして、都道府県が五カ年計画をつくってこれを遂行していこうとしているところに国が最大限の御支援をしなきゃいかぬ、こういう哲学のもとにこれが進んでおるということであります。
 それから、中央防災会議の中に宮城沖について専門調査会を置いてはどうかというのは、御質問をいただきました全委員の皆様からのお話でございました。これにつきましては、役所の方は、知見を集積して、科学的に近い将来、予知が可能であるような状況になった場合には考えてはどうか、こういうことです。それも、まさに東海、東南海のことも想定しての、前例に合わせての見解であろうかと思います。
 そこの大臣といたしまして、これも肯定しなければなりませんけれども、政治家として、これは、前向きということを言うと役所に嫌われますから余り言いませんが、後ろ向きではない、こういったことを、宮城初めお地元の先生方ともいろいろ御意見を聞きながらいい意味で議論をしましょう、こういうことでございます。
松本(善)委員 特別措置法をすると、当然、財政上の配慮が要るんだと思うんです。だから、やはりそれは内閣の方で前向きに対応してもらうということがどうしても必要ですし、両県の知事の要望の中には、さらに、岩手県沿岸地域を特定観測地域に指定をして、地震・津波の広域的な観測体制を強化するということ、それから、災害復旧について特段の配慮をするということが要望されておりますので、ひとつ考えていただきたい。
 先ほどから地震は予測できないと言うんだけれども、先ほどの御答弁では、東南海は三十年に五〇%、それから南海は三十年に四〇%。ところが、宮城沖は三十年に九八%、ほとんど間違いなく起こるというんですよ。予知はなかなかできないと言うけれども、そこまで国の地震調査委員会が言っているわけですからね。これはゆるがせにする、こっちの方は優先しないというわけにいかないんじゃないかというふうに思うんですね。
 それから、さっきは東海地震の方が優先なんだというお話がございました。ございましたが、五月の二十九日に、小泉総理大臣が会長の中央防災会議で、東海地震対策大綱を出しましたね。これでは、地震が事前に予知できると言うのは誤解が発生するという、そういうことは予知できないものなんだという前提でつくっていますよ。それから、いつ発生してもおかしくないと想定される巨大地震を対象にしなくてはならない、そして、本大綱の見直しを行っていくんだと。総理大臣が地元だからというわけではないと思いますけれども、予知できない、いつ起こるかわからないから見直しをするというんですよ。そうしたら、やはり三陸沖の地震についても同じ態度で接しなければならない。
 先ほど御質問がございましたけれども、二十五年前には四カ月前に同じことがあったわけですよ。先ほどの答弁では、一回だけでそんなふうに結論づけるわけにはいかない、それが役所の答弁かなというふうに私は思いましたけれども、やはり、どこの地震であっても、同じように皆さんは税金を払っているんですよ。命の重さはみんな同じなんですよ。大臣もそのように申されました。やはり、宮城県沖地震について、東海地震と同じように対応していただきたいということを申し上げておきます。
 そして、質問といたしましては、今度の地震では住宅の全半壊は少ないんです。だけれども、一部破損は千四百三十三棟、千百四十三世帯ですね。これは、現在の被災者生活再建支援法は適用されない。それから、内閣府では、施行から五年になることしの十一月に向けて、法の見直し作業を進めているというふうに聞いておるわけなんですが、今回の災害の全貌を調査していただきたい。
 私は、ぜひ、大臣にも一回直接行って見ていただきたいと思うんです。そして、その全貌の調査に基づいて、その教訓から、災害指定の基準の見直しでありますとか、一部破損住宅への支援を検討すべきじゃないか。先ほど御紹介いたしました、上の家が落ちそうになってきている。これは全壊でも半壊でもないわけなんです。だけれども、下の家は危険きわまりないんですよ。これは、私が調査に行ったら、皆さんお見えになって、どうしたらいいんだろうということで、やはりそういうのは基準を見直す必要があると思うんです。この点についての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
山本政府参考人 被災者生活再建支援法の適用についてのお尋ねでございますが、この法律は、災害により生活に著しい被害を受けて、自力により生活を再建することが困難な被災者に対しまして、自立した生活の開始の支援を目的としております。住家を失い支援が真に必要な全壊世帯、あるいは半壊でやむなく解体した世帯に対して、都道府県が相互扶助の観点から拠出いたしました基金の運用益を活用し、国の補助金と合わせて、最高百万円を限度額として支援金を支給するものであります。
 本法が適用される自然災害は、市町村で……(松本(善)委員「わかっているんです」と呼ぶ)わかりました。
 したがいまして、今回の地震災害につきまして、全壊二、半壊八という状況でございます。現時点では、法の対象となる自然災害には該当しないという認識でございますが、本法は、法律の施行後五年を目途として総合的な検討を行う旨の附帯決議もございます。また、適用条件などについて、いろいろな方面から意見をいただいていることは承知しております。
 現在、財源確保の問題もありますので、全国知事会においても御検討いただいていると承知しておりまして、今後、全国知事会の検討結果も踏まえまして、関係機関との協議、連携をとりながら検討し、必要な措置を講じてまいる考えでございます。
松本(善)委員 これはぜひ見直してもらいたいと思います。
 それから、先ほど来、学校の耐震化対策のお話がありました。文部科学省は答弁したんだけれども、これは、何で進まないのかというと、自治体の負担が大き過ぎるんですよ。もうみんな赤字で、とてもできないでいるんですよ。このままでいくと、なかなかできないです、進まないんですよ。これはやはり、特別の対策を考えないとできないんじゃないか。文部省は考えているのかどうか。考えていなければ大臣に聞きますから、一言で、余り時間がないから、考えていなければ考えていないと答えてください。
萩原政府参考人 お答えします。
 委員御指摘のように、耐震診断、耐震補強が進んでいないということにかんがみまして、文部科学省としましては、昨年、専門家にお集まりいただきまして、調査研究協力者会議を行いました。
 この四月にその報告書が取りまとめられたわけでございますが、その報告書におきましては、倒壊や大破するおそれのある危険の高いものから優先的に耐震事業を実施するようにということを御指摘されております。そのため、優先度それから緊急度、これらを検討するために、耐震化優先度調査や耐震診断結果の評価方法、こういったものが新しく提言されているわけでございます。
 文部科学省としましては、この報告書を都道府県と設置者の方に送付いたしまして、現在、耐震化推進について指導しているところでございます。
松本(善)委員 大臣、今の答弁では、やはり進まないですよ。それで、耐震化促進を地方自治体の財政状況を回復するまで待つわけにはいかないと思うんですよ。地震調査委員会の津村委員長は、もともと発生確率が高いので、いつ起きてもいいように、できるだけ早くやってほしいと言う。これは学校施設だけじゃなくて、内閣府がことしの一月十五日に公表した、地震防災施設の現状に関する全国調査最終報告によりますと、震災時に住民が避難する小中学校の体育館、また、けが人が運び込まれる医療機関、こうした施設の耐震化が低くて、人命にかかわる事前の対策が進んでいないということです。
 先ほども、階上小学校のことを御紹介いたしましたけれども、役に立たないんです。それから、志津川町では総合体育館が使用不能になった。だから、避難をしたりけが人が運び込まれるような施設については早急にやらなくちゃいかぬ。強力にやらないといけません。
 それで、昨年の概算要求のときに、五千億円規模の特別枠という構想があったというふうに私は聞いているんですが、通常の整備費に加えて特別枠を設けて、財政措置をやってこれを促進するという考えはないかどうか伺います。
鴻池国務大臣 松本委員が力説されておりますように、私も、子供たちが学ぶ校舎、あるいは万が一のときに地域住民が駆け込むところ、いわゆる体育館や病院等医療機関の耐震性というものはしっかりやらなきゃいかぬと思います。そして、なお急がなければならない、同じ思いであるということをまず申し上げたいと思います。
 予算等につきまして、防災担当大臣はそれに指示、命令をする権限がございませんので、じくじたるところはございますけれども、事あるごとに私の意見も表現をしているところでございますが、医療機関あるいは小学校等の耐震性というところから、平成十四年度補正予算及び平成十五年度予算においても重点的に計上をしておる、こういう報告は聞いております。
松本(善)委員 時間もありませんので、二問一緒にお聞きします。
 新幹線の問題ですが、今回の地震で二十六時間にわたって運休百十八本、乗客二万八千人に影響がありました。先ほどもいろいろ議論がありましたが、その原因は、水沢江刺―盛岡間に集中した橋脚二十三本の破損被害でありました。
 私たちの党の議員団は、すぐ調査に入りました。十本の被害が集中いたしました石鳥谷町で、町民の住家への被害は全くないんですよ。橋脚だけがやられている。これはどういうことだ、こういうことを町民が不思議がっておりました。
 一九九五年の七月二十六日の、阪神・淡路大震災を受けて、鉄道施設耐震構造検討委員会の提言に基づく、鉄道構造物の耐震性能に係る当面の措置についてという当時、運輸省鉄道局長名で通達を出しました。その通達に基づいて、仙台付近など三千本の橋脚に鉄板を巻くなどの対策がとられましたが、なぜ東北新幹線の水沢江刺―盛岡の橋脚についてはやられなかったのか不思議なんですよ。先ほどは、優先的でなかったというそれだけの答弁でしたけれども、何でそういうことになるのか、これを聞きたい。
 それから、JRのまとめでは、東海道、山陽、東北、各新幹線の未補強の橋脚が四千三百九十本ある。直ちに補強すべきであると思いますが、これはどうするのか。これは鉄道局長に。
 最後に、もう一つ、一緒にお聞きしますが、先ほど大船渡の港について御質問がございました。これは、百九十メートルにわたる岸壁で大きな亀裂と最大三十センチに及ぶ陥没障害ということで、やはりサンマやイワシ、サケなどの漁が最盛期を迎える九月までには、内部のボーリング調査と補修が必要だということです。気仙沼港の岸壁にも私は行きましたが、数百メートルにわたって十センチぐらいの段差ができている。それで、もう漁船は漁に出られなくなって、船の姿は消えておりました。
 私は、これはやはり岸壁そのものをちゃんと直さないといけないんじゃないだろうか、それから漁業についての援助も、国が支援をしなければならないんじゃないか、そういう点について水産庁はどう考えるか、それを御質問して、質問を終わります。
石川政府参考人 先ほどもお答えしたとおり、平成七年七月の阪神・淡路大震災後の検討委員会の提言を受けまして、剪断力による崩壊を防止するための対策ということでございまして、この対策として、緊急耐震補強として優先的に行っていくということでございまして、構造物の被害による人命や住民の生活活動、地域経済及び復旧の難易度等を総合的に勘案して、優先度の高いものから実施する。具体的には、仙台地区、南関東地区、その他ということでございました。
 先ほどの水沢江刺―盛岡間の六カ所二十三本の高架橋については、優先的に進める地域には入っていなかったために行っておりませんが、先ほど申し上げましたように、今後こういう地域につきましても耐震補強工事を実施するように、また高架橋を利用しているなどの理由で耐震補強工事が行われていないものについても、今後必要な耐震補強工事を実施するように指導してまいります。
川口政府参考人 この地震の水産関係の被害でございますが、岩手県、宮城県、こういったところで、四十の漁港あるいは三カ所の水産物の市場ということで被害が発生しておりまして、その累計は十六億円ぐらいと見積もっております。
 今、委員御指摘の大船渡の漁港あるいは宮城県の気仙沼の漁港、こういうところでは、コンクリート舗装が沈下したり、あるいはひび割れといったような被害が発生しておりまして、大船渡の港ですと、大体十六カ所、一億八千万ぐらいというふうな被害が見積もられておりますし、気仙沼では六カ所、三億六千万ぐらいというような被害が計算されております。
 また、こういったコンクリートの舗装の沈下、あるいは市場の方では、舗装というか、柱のコンクリートの一部がはがれまして、一部調査中ではありますが、被害が発生をしています。
 そこで、こういう状況を踏まえまして、各県とは密接な連携をとっておりますし、担当官を派遣して、大船渡、気仙沼の被害状況の把握を進めておりますが、いずれにしましても、地元からの要望を踏まえまして、特に緊急を要する部分がありますので、災害を受けた漁港施設につきましては応急工事という対応をまずやりながら、今後の準備を整えて、災害復旧を手続を踏んで進めていくということを考えております。
 また市場の方につきましても、県と十分協議しながら、適切な対応をしていくという取り組みをいたしております。
松本(善)委員 終わります。
上田委員長 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。
 出身は宮城県の気仙沼でございまして、本当に地元に帰れないいら立たしさというのを感じたわけでございますけれども、金曜日、土曜日、日曜日に現地を見て感じたことは、被害を相当受けました。ただし、本当に紙一重だったと。もうちょっと大きく揺れたならば、相当な被害が出たんだろうなというふうな思いをいたしております。不幸中の幸いということなんですが、私は、不幸中の幸いじゃなくて、今後に対してどのような備えを行っていったらいいのか、これを契機として、きっかけとして、しっかりと対策をとっていかなければならないなというふうに強く感じているところでございます。
 二十七日に、地元の河北新報に報道された新聞記事によりますと、想定された地震とは別と、宮城県沖地震とは別なんだという報道がされて、そして、次への警戒を訴えるということで、専門家ということで、地震予知連の大竹東北大名誉教授は、次への備えということを話しているわけです。そういう意味では、今回の三陸南地震は宮城県沖地震の前兆だと、宮城県沖地震を誘発するんだという見方をしている研究者もいるんですね。
 このことに対してどう考えているのかということは、地震調査研究推進本部の地震調査委員会、五月二十六日の宮城県沖地震の評価というのが二十七日になされていますね。それで、私もこれを見て非常にびっくりしたんですが、何にも、次へのことについては一切触れていないんですね、これ見ると。五項目書いてありますけれども、「今回の地震の近傍では一九七八年宮城県沖地震の約四か月前にM六・七の地震が発生している。この地震も今回の地震と同様プレート内地震であったと」考えられるだけであって、この因果関係には触れていないということなんです。
 こういうふうに考えたときに、今回の地震を通じて、今後の想定される宮城県沖地震について、どのように政府として議論していくのかなということを聞いておきたいというふうに思っています。
 先ほど、鴻池大臣は、専門調査会は前向きに、私は設置するというふうにとらえたんですけれども、こういうものも通じて、私は真剣になって議論していかなければならないと思うんです。今後、その方向についてどう考えているのか、答弁願いたいと思います。
素川政府参考人 お答え申し上げます。
 二十六日に起きました宮城県沖を震源とする地震に対しましては、今、先生からお話がございましたように、二十七日の地震調査委員会の臨時会を開催いたしまして、評価、分析を行ったところでございます。その評価文につきましては、先生から今御指摘がございましたように、いわゆる想定宮城県沖地震とは異なる地震と考えられるという評価に加えまして、過去には、一九七八年の宮城県沖地震の四カ月前に、今回の地震の比較的近傍で、今回と同様、プレート内部が破壊するタイプの比較的大きな地震が発生しているという事実関係が評価文に書かれているわけでございます。
 これに関連いたしまして、その委員会後の記者会見におきまして、地震調査委員長の方から、今回の地震による想定宮城県沖地震への影響については、今回の地震が想定宮城県沖地震を促進すると明確に結論づけることまでは難しい旨の説明がなされたところでございます。
 なお、地震調査委員会におきましては、今回の地震を受けまして、宮城県沖の地域における地震につきまして、各資料をもとに、今後とも引き続き調査分析を行っていくこととしているところでございます。
菅野委員 私は、災害に対する備えというのは、ある程度予測を立てなければならないというふうに思っています。因果関係については何にも触れていませんね。そして一方では、前回起こったときから三十七・一年に一回宮城県沖地震が起こっていて、もう二十四・六年経過している、一方では、こういう資料を地震調査研究推進本部として出しているわけですよね。
 これを見ていくと、一七九三年からずっと宮城県沖地震というのと三陸沖南部海溝寄りの地震というものを分析しているんです。二十五年前も相関関係があった。そして、二十五年後にまたマグニチュード七・〇が発生した。そういうことを通じて、防災の立場から想定して、今後四カ月、五カ月、可能性としてはあるから対策をとっておけというのが政府としてのあり方だというふうに私は思うんですが、そういうことは考えておられないのかどうか、答弁願いたいと思います。
素川政府参考人 前回の一九七八年の宮城県沖地震に関しましては、御指摘のように、その四カ月前に今回と同じような地震が起こったわけでございますけれども、今我々が得ている資料によりまして、その数カ月後にといいますか、これから数カ月後に想定される次の宮城県沖地震が起こるんだというところまで確実に分析するといいますか、評価するところまではいっていないというのが実情でございます。
 いずれにいたしましても、平成十三年に行いました想定宮城県沖地震の発生の可能性ということについては、いささかも変わりはないわけでございますので、そういう意味におきまして、この評価、予測をもとに万全の防災体制をとっていただくということが必要かと存じているわけでございます。
菅野委員 一七九三年からずっと宮城県沖地震の発生の状況を調べてみました。そして、四十二年、二十六年、三十六年、三十九年、四十二年、ことしの二〇〇三年までというのは、先ほど言ったように二十五年かかっているわけですから、それで、こういう平均値が三十七・一年という確率が示されております。二十六年というこのときも、宮城県沖地震が前回発生して、次に発生した間隔というのは二十六年という数字も出ているわけですね。ちょうどことしが二十五年、三十年確率というと三十年後というふうにとらえがちなんですが、確率論からいえばことし起こってもおかしくないんです。そういう意味の議論というのは、私はしっかり行っていく必要があるというふうに思っています。
 そういう意味で、ぜひ、宮城県知事あるいは岩手県知事が、宮城県沖地震に関する専門調査会というのを設置して、こういう分析も含めて分析、検討する必要があるということで要望していると思いますから、大臣に強くこの専門委員会の設置について要望しておきたいというふうに思っています。
 そして、今回は幸いにして津波は発生しませんでした。これは、津波がなくてほっとしたというのが、正直、地元の人たちの率直な気持ちです。これに津波が重なったということであれば、大災害につながっただろうなというふうな思いがいたしています。
 そういう意味で、三陸沿岸地域というのは、日本全体がそうであるように、東海、東南海・南海に特別措置法というものを設置したと同じように、どこでも大地震と津波は一体であるわけですね。そして、津波防災のために、地震予知に関連した観測を強化していかなければならないというのは、私もこの災害対策特別委員会で、二〇〇二年、去年の四月十日に、参考人、溝上東大名誉教授に質問いたしました。今日的な技術は日進月歩ですから、陸上での対応となるべく近いレベルでの地震を迎え撃つ観測体制を構築していくのが、三陸沖において、技術先進国としての日本の非常に重要な役割であろうと考えているということで参考人は述べているんです。
 今、前回の宮城県沖地震が起こってから、福島県東部と宮城東部を特定観測地域というふうに指定しております。これは、宮城県沖地震が発生してから特別観測地域に指定したんです。今回の三陸南地震において、またより北の方で発生した、こういうメカニズムを観測するためにも、この三陸沿岸地域を特定観測強化地域に指定して、観測体制を強化すべきだというふうに私は思うんですけれども、この考え方について御答弁願いたいと思います。
星埜政府参考人 今、先生からお話がありました特定観測地域、それから観測強化地域、これは、地震予知連絡会において、観測研究を効果的に行うために選定しているものでございます。
 地震予知連絡会では、地震学者等の地震の専門家、それから関係機関のメンバーから成る、地震予知を目指した情報交換、学術的検討、こういったものを行っておりまして、国土地理院が事務局となっているわけでございます。
 三陸沿岸地域につきましては、ただいまもお話がありましたように、過去に三陸はるか沖地震など大地震が発生しているということもありますので、ただいまお話がありました福島県東部それから宮城県東部特定観測地域を含めまして、地震予知連絡会においても重大な関心を持っておりまして、地殻変動等の地震に関する情報交換、それから学術的検討、これが地震予知連絡会の委員の皆様によって行われてきております。
 今後とも、地震予知連絡会におきまして、この地域の地殻活動について、ただいまお話のありました地域選定に関することを含めまして、学術的に検討を一層深めていただきたいというふうに図っていく所存でございます。
菅野委員 先ほど、二〇〇二年の四月十日の私の参考人質疑で溝上参考人がどう言っているかということなんですが、日本では、地震が、ある時点で一カ所だけ起きるということは必ずしもありませんで、例えば阪神・淡路大震災の場合は、すぐ前に三陸はるか沖地震が起きて、皆さんが非常に津波のことを心配された、そういう中で神戸の地震が起きたため、視点がみんなそっちに行ってしまった、津波に対するさまざまな測器を、津波計などを海底に設置するという要望が出ているにもかかわらず、もう目が神戸に行ってしまったということでございますと言っているんですね。
 三陸はるか沖地震が起こって、本来はその時点で観測を強化しなければならないというふうにみんなが思っていたときに、阪神・淡路大震災が起こって、目はそっちの方に行って、本来、対策をとらなければならない三陸沖地震は置き去りにしてきて、そして、今言った特定観測地域についても、地震予知連絡会の中では議論がなかなか進んでいかないという状況である。
 私は、今回の三陸南地震を契機として、ぜひこれを調査研究して、分析して、特定強化地域にしていって、どう観測体制をつくるのかということは、防災対策上非常に重要だということを申し上げておきながら、早急に予知連として一つの方向性をつけていただきたいなということを強く申し上げておきたいというふうに思っています。
 それからもう一つ、津波防災対策上非常に重要な問題なんですけれども、今、いろいろな学術研究機関が機器をそろえて観測体制をそろえております。そして、それが個々の人たちの考えによって観測体制が強化されているんですけれども、これをシステム的に、ネットワーク的にシステム化を図る必要があるというふうに私は思っているんです。
 政府の取り組みとして、今取り組まれているということは承知しておりますけれども、今後、この方向性を早急にどう確立していくのかという考え方、どう考えておられるのか、答弁願いたいと思います。
山本政府参考人 地震・津波のような大規模な災害につきましては、情報の源も非常に多岐にわたっております。
 津波の観測施設も、気象庁のほか、海岸管理者、港湾管理者、海上保安庁、大学、地方自治体と、それぞれ自分の管理目的に応じて整備をしているわけでございます。これらのデータをきちんと共有して的確な津波防災対策をやっていくという問題意識を持っております。
 中央防災会議におきましても、去る三月の会議におきまして、防災情報システムの整備の基本方針というものを定めていただきました。各防災機関の情報を、例えばデータの形式を統一するといったような形で急いで共有化いたしまして、これを防災対策に生かすということで、実は国土交通省におかれましては、例えば気象庁と海上保安庁の間では共有化をしておられます。政府全体でも、同じ考え方に立って、三年以内にこれを動かせるようにしていくという計画を持ってこれに取り組んでおります。
菅野委員 私は、この観測体制、それぞれの省庁がそれぞれの省庁の設置目的によって観測体制を整えてきたというふうに思います。ぜひそれを一体的に各省庁と研究機関、あるいは地方自治体も、私の出身の気仙沼市においても自治体として音波を使った観測体制が整備になって、防災に役立てている自治体もあるんですよ。そういうところを、個々にやるんじゃなくて、統一的にネットワークをつくっていって、集中管理していくということがデータ蓄積上非常に重要なことだというふうに思っています。今、三年以内ということで、技術的に難しい面はあると思うんですけれども、できるだけその強化を図っていただきたいというふうに思っています。
 最後に、私は、質問じゃなくて、今回のこの津波防災対策をいろいろな形で検討してまいりました。これは個々の、気象庁にまたがる部分、今答弁があったように、国土交通省の国土地理院ですか、地理院がこの地震予知連絡会を統括する、そしてあと、地震調査研究推進本部というのは文部科学省の所管だと。これが本来であれば内閣府に一括統括になって、そこが司令塔になって、各省庁をコントロールするくらいの権限が私はあるんだと思っていたんです。それが内閣府の権限は一切なくて、各省庁の研究あるいは観測体制にゆだねられていて、そして、起こったときにそのデータをどう分析するのかという形で中央防災会議が機能しているというこの機構は、早急に改めるべきだというふうに私は思うんです。内閣府が拠点となって、手足として各省庁が機能するような体制になっていかなければ、私はいざというときに災害に対する危機管理というのは機能しないというふうに強く感じました。
 そういう意味で、大臣、通告なしの質問なんですが、総括的に私の考えについての御所見をお聞きしておきたいというふうに思います。
鴻池国務大臣 大変国家の防災に対する御高見を承って、私も同意をいたします。というよりも、そういった権限等々がないのでひがんで言っているように思われてはいかぬので余り言っておりませんが、この大変大事な防災という観点から、政府の中に防災と名のつく人間は私だけでございます。私だけなんです。防災担当、括弧ですね。例えば、山本統括官の名刺なんかを、気仙沼へぱっと行きますね、現場へ。行って、気仙沼の、例えば市長なり商工会議所の会頭なりと名刺を交換すると、括弧防災担当と書いてなかったらだれかわからないんですよ。
 だから、私は官房長官等とも話をしているんでありますけれども、何か合併させればすべてよしというふうな哲学で内閣府がどんどんどんどん合併されておりますけれども、少なくとも防災というものに関しては防災局なり、あるいは機構の改革が難しければ特別にそういう名刺を持たす、あるいはその動きをする。テレビで会見しても、私は防災大臣として会見すれば、あいつが何か言っておるとこれはわかりますが、政策統括官の被害についての報告なんて何だろうと国民の皆さんは思います。
 組織というのは、私はやはり小学校の子供もわかるような組織にしなきゃいかぬと思いますので、私は、これは随分もやもやしておりましたところ、委員、大変いい御質問をいただきまして、ぜひとも応援をしていただいて、日本の防災のために頑張らなきゃいかぬというふうに思います。
 私自身が賞味期限が間もなく切れると思いますので、余り大きなことは言えませんけれども、どうぞひとつよろしくお願いしたいと思います。
菅野委員 わかりました。
 委員長に最後に一言申し上げたいと思います。
 こんな重要な議論をしているのに、この定足数にも満たない状況というのは、委員会として今後の委員会の持ち方にもかかわることだというふうに私は強く抗議しながら、私の質問を終わりたいと思います。
上田委員長 ただいまの菅野哲雄君の提起については、重く受けとめます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十六分散会


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