衆議院

メインへスキップ



第4号 平成18年2月27日(月曜日)

会議録本文へ
平成十八年二月二十七日(月曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 大野 松茂君

   理事 秋葉 賢也君 理事 斉藤斗志二君

   理事 原田 令嗣君 理事 福井  照君

   理事 宮下 一郎君 理事 奥村 展三君

   理事 下条 みつ君 理事 谷口 隆義君

      小川 友一君    岡本 芳郎君

      木村  勉君    近藤 基彦君

      坂井  学君    平  将明君

      高鳥 修一君    谷  公一君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      西村 明宏君    林   潤君

      林田  彪君    平口  洋君

      三ッ矢憲生君    望月 義夫君

      盛山 正仁君    森  英介君

      山本  拓君   吉田六左エ門君

      大島  敦君    黄川田 徹君

      小平 忠正君    田村 謙治君

      西村智奈美君    松本  龍君

      横山 北斗君    鷲尾英一郎君

      石井 啓一君    谷口 和史君

      高橋千鶴子君    菅野 哲雄君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  正剛君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡本  保君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         桜井  俊君

   政府参考人

   (消防庁長官)      板倉 敏和君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤木 完治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  舌津 一良君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         金子 順一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       本川 一善君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           吉田 岳志君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   衆議院調査局第三特別調査室長           佐藤 廣平君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  三ッ矢憲生君     吉田六左エ門君

  岡本 充功君     西村智奈美君

  松本  龍君     横山 北斗君

  森本 哲生君     大島  敦君

  菅野 哲雄君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田六左エ門君    三ッ矢憲生君

  大島  敦君     森本 哲生君

  西村智奈美君     岡本 充功君

  横山 北斗君     松本  龍君

  日森 文尋君     菅野 哲雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

大野委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官榊正剛君、総務省大臣官房審議官岡本保君、総務省総合通信基盤局電波部長桜井俊君、消防庁長官板倉敏和君、文部科学省大臣官房審議官藤木完治君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官舌津一良君、厚生労働省大臣官房総括審議官金子順一君、農林水産省大臣官房政策評価審議官本川一善君、農林水産省大臣官房審議官吉田岳志君、国土交通省都市・地域整備局長柴田高博君、国土交通省河川局長渡辺和足君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君及び気象庁長官長坂昂一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川友一君。

小川(友)委員 自由民主党の小川友一でございます。

 質疑に先立ちまして、この冬、豪雪によりまして亡くなられた方々そしてまた被害を受けられた方々に、心から弔意とお見舞いを申し上げたいと思います。あわせまして、沓掛防災担当大臣を初め関係の皆様方には大変な御尽力をいただきました。当委員会の委員の一人として、そしてまた国民の一人として、敬意を表したいというふうに思います。

 さて、今般は、首都直下、いつ来ても不思議ではないと言われている首都東京の地震対策について何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 御案内のとおり、相模トラフ沿いではマグニチュード八以上の関東大地震クラスの大規模地震が大体三百年ぐらいに一回は来るというふうに想定されています。そしてまた、その間にマグニチュード七クラス、いわゆる中規模の地震が三十年以内に七〇%の確率で発生するんではないかという想定が地震調査研究推進本部長期評価に示されているところであります。

 ちなみに、平成七年に発生しました兵庫県の南部地震、いわゆる六甲・淡路島断層帯では、三十年以内に地震の発生する確率はたったの〇・〇二から八%であったように示されています。言いかえますと、この阪神・淡路震災と東京の首都直下の率を見てみましても、非常に切迫性があるということが言えるのではないかと思います。

 まず初めに、首都直下地震の発生可能性の評価を担当部局はどのようにお考えなのか、御答弁をいただきたいというふうに思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、大正十二年の関東大震災といったようなもの、マグニチュード八クラスでございますが、これは二百年から三百年間隔ということでございますので、次の発生というのは今後百年から二百年程度先かというふうに考えております。その間にマグニチュード七クラスの地震が数回発生するというふうに指摘されるところでございます。

 地震研究推進本部におきましても、南関東地域で三十年以内にマグニチュード七クラスの地震の発生確率が七〇%と予想していることも委員御指摘のとおりでございます。このため、私どもとしましてもマグニチュード七クラスの首都直下地震の発生がある程度の切迫性を有しているというふうに考えておりまして、したがいまして、首都直下地震の被害想定なり、対策大綱を取りまとめたところでございます。

小川(友)委員 ただいま御発言をいただいたとおり、首都直下の地震に関しましては、多くの都民そして国民の非常に問題を含んだ案件ではないかということは双方が理解するところだと思います。

 一昨日、東京都の防災課の方から、首都直下地震が発生した際の被害想定が新聞等に掲載をされました。いわゆる首都直下地震の対策専門調査会の調査によりますと、被害想定は死者はおおむね一万一千人クラスでしょう。建物全壊そしてまた火災消失棟数は八十五万棟、そしてまた避難者は七百万人というふうに想定されているところであります。

 あわせまして、民間のシンクタンクの調査によりますと、被害額は四十五兆円以上でしょう。そしてまた、復興復旧にかかる経費が六十兆円から八十兆円というふうに民間のシンクタンクは示しているところであります。あわせまして、これを復興するには五年以上の歳月がかかり、日本の経済は二けた以上のマイナス成長になるのではないかということが示されているところであります。

 首都東京は国会や行政、経済そしてまた金融等の中枢機能が集約されているところであることは言うまでもないというふうに思います。そこで、被災によって首都中枢機能が機能麻痺を起こす可能性があるとするのであれば、ここでお伺いをしたいんですけれども、いわゆる首都中枢機能のバックアップセンターを、国の責務として一定の基準の下にデータをバックアップしておけるような施設整備をすることが必要ではないかと思います。言うなれば、災害が発生した後、一刻も早く国家機能がオペレーションできるように体制を整えていくこと、これが国のいわゆる責務と私は思いますが、御所見をいただければと思います。

沓掛国務大臣 今、小川委員から御指摘のあったことは本当にもっともだというふうに思っております。

 被害想定については、東京都で先日出したものと中央防災会議で昨年出したものがございますが、これは初期条件をいろいろ変えてやっております。東京都の場合は、東京都二十三区の区単位で物事を見ているし、いわゆるインプットするデータ、あるいはそれを受けるデータもいわゆる二百五十メートルメッシュで考えている。これに対して中央防災会議は、二十三区は一つのもの、一都三県で見ておりますから、二十三区は一体としている。

 それから、メッシュも一キロ四方であるとか、あるいはまた風についても、関東大震災のときは一番強くて毎秒十五メートル吹いておりました。それから、阪神の場合は三メートルでございましたが東京都はその平均の六メートルをとるとか、そういうデータの違いがいろいろありますが、大筋では一致しておりまして、いずれも大きな被害が出るということには間違いございません。

 そのこと自体が、政治や行政、経済といった首都中枢機能に障害が発生することは当然であり、我が国全体の国民生活、経済活動に支障が生じるほか、海外への被害の波及が想定されることなどから、首都中枢機能の継続性確保は首都直下型地震対策の重要な柱だというふうに思っております。

 そのため、首都中枢機能のバックアップの充実を初め、事業継続計画、BCPの策定、実行、首都中枢機関のインフラ、ライフラインの多重化等により首都中枢機能の継続性を図っていくことが非常に重要というふうに認識いたしております。

 実は、国会で国会等移転に関する政党間両院協議会というのが衆議院と参議院で平成十五年の五月につくられまして、衆議院十一名、参議院十一名、二十二名でやっているわけですけれども、ここにおいても、バックアップ機能は非常に重要だということで、昨年の暮れ、その方向でいろいろ検討を始めています。小川先生にも、ぜひそこへ入って、いろいろやっていただけたらありがたいなと思っています。

 私、今の立場になる前、そこの座長をずっとやっておりましたので、そういう点で先生の御指摘は本当にごもっともだというふうに思っており、政府としても、バックアップ機能、いざというときの対応をしっかり考えておくことが重要と考えております。

小川(友)委員 今大臣から、非常に国としての責任を憂えている、しっかりとやっていこうというふうな御答弁をいただきました。大変心強く感じたところであります。

 今大臣の方からお話がありましたとおり、中央防災会議のいろいろな試案が出ています。私は、この問題を取り上げるときに、いろいろな方から御示唆をいただきました。その中に、今中央防災会議の座長をしております伊藤滋先生とお会いをし、この問題に取り組む旨の調整を図らせていただきまして、二度ほどお話をする機会をいただきました。先生も、非常にこの問題に対しては大きい問題だということで、このようなお話をしていました。

 今、活断層の破壊開始地点がピンポイントでおおむね想定ができている、今調査能力も非常に高くなっている、あえて言うのであれば舞浜の付近から南東二キロ地点、海底三十から四十キロの付近が今の相模湾トラフのマグニチュード七クラスの破壊開始地点である、そこが地震のいわゆるスタート地点になるということも想定ができている段階で、国としてはいち早くこの問題に取り組むことが望まれる、こんなお話をお伺いしたところであります。

 今大臣からお話がありましたのは、多分、昨年、国家危機管理都市推進議員連盟ができて、その中で伊丹空港跡地に首都東京のバックアップシティーをつくろうという議連ができたということもお伺いをしたところであります。

 しかしながら、今の現状を見たときに、伊丹空港では、今からつくるとなれば、三十年以内にはちょっと無理でしょうということが一つ。それからまた、膨大な経費がかかってしまうのではないか、こんなことも懸念がされます。そしてまた、東京からもかなりの距離がある。こんなことも想定した中で、私の個人的な私見ではありますが、多少無理があるのではないかと想定をします。

 そこで、きょう、皆さんに配付させていただきましたこの資料を見ていただきたいんですけれども、この立川には立川広域防災基地があるわけでありまして、ここには災害関連の多くの施設が、ちょうど真ん中の道路の下側、右側に病院や備蓄倉庫や航空自衛隊や、多くの国の防災に関連する施設が今あるわけであります。そしてまた、ここには広大な土地の中に国有地も点在しているわけであります。この地は東京の都心より三十キロということで、いわゆる首都直下の地震が発生しても、ここには一緒に地震が発生することはないということも想定されています。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、伊丹空港に首都機能を移転して、国の方針を、将来的に担保していこうということも一法とは思いますけれども、今の時代、今の切迫性の中で、当面、この立川あたりに、要するにデータも含めてバックアップできるような施設整備をすることが国の責任として必要な時期に来ているのではないかなというふうに思いますけれども、大臣の御所見をいただきたいのが一点。

 そして、もう一点お伺いをさせていただきますが、この資料のグリーンの部分、これが現行の都市計画道路です。しかし、施設をつくるときに、この道路はきれいに整備されていますけれども、南と北、立三・一・三四号線、そしてまた南の三・一・三四号線は未整備のままであります。この備蓄倉庫から災害時搬出するにしても、ここの部分しか道路整備がされておりません。

 この立三・一・三四号線とあわせて社会資本整備、道路整備を進めていかなくては、この防災基地は基地としてあっても、災害時にはここが孤立してしまうような可能性があるのではないかなというふうに想定がされます。大臣の御所見とあわせて国交省の御答弁もいただければありがたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

沓掛国務大臣 ただいま御指摘のありました立川のいわゆる広域防災基地の問題でございますが、中央防災会議で想定いたしておりますマグニチュード七クラスの首都直下地震では、立川は千代田区などの都心部と同時被災の可能性は低いと考えられております。したがって、立川は各機関がバックアップ施設の整備を検討する際の候補地の一つであるというふうに考えております。

 バックアップ施設の整備につきましては、首都中枢機能を有するそれぞれの機関が実施することになると思いますが、内閣府といたしましては、昨年八月に公表いたしました企業向けの事業継続ガイドラインの活用や、今後予定している中央省庁版の事業継続計画、BCPガイドラインの検討等を通じまして、各機関に対してバックアップ機能充実について働きかけていきたいというふうに考えております。

 なお、先生おっしゃられましたこの大阪の方については、これは石井先生がいろいろ御検討いただいたりして議員連盟という形ができておりますが、それよりも、もう一つ、先ほど申しましたように、国会としては、国会等の移転に関する政党間両院協議会ということで、全党の方が入っておられるところでいろいろ広域的に検討もさせていただいております。

 そこでは、ことしから予算もいろいろ、衆議院、参議院でとっていただきまして、立川の基地を見にいこうということにもなっておりますので、そういう点でまた先生の御指導もいただければと思っています。

柴田政府参考人 お尋ねの道路でございますが、本路線は、立川の広域防災基地と周辺地域を結ぶ南北方向のアクセスルートといたしまして重要な路線でございます。さらに、本路線上には、主要な渋滞ポイントとなってございますJRの青梅線などとの踏切が存在いたしておりまして、東京都の踏切対策基本方針におきまして二〇二五年までに重点的に対策を実施、検討すべき踏切として位置づけられております。

 このため、事業主体でございます東京都では、現在、多摩地域におきます都市計画道路の整備方針、これは第三次の事業計画の案を公表し、意見募集中でございます。この中では、本路線のうち新奥多摩街道からJR青梅線の区間約一・二キロメートルを平成十八年度以降の十年間で優先的に整備すべき路線として位置づけいたしております。JR青梅線などとの踏切をどのように解消するかについては、交差点方式で行うなど多くの課題を抱えてございます。東京都におきまして、これらの課題について検討を進め、鉄道事業者など関係機関との調整を行っていく予定であると伺ってございます。

 国といたしましても、防災機能を初めとする本路線の重要性を認識いたしておるところでございまして、速やかに事業が進められますよう、積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。

小川(友)委員 大臣におかれましては同じような思いでこの問題に取り組んでいただけるということで、非常に安心をしたところであります。ぜひ私もその中の一員としてチームに加わらせていただければありがたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

 それから、今の国交省の答弁でありますけれども、再度質問させていただきたいと思いますが、今の御説明ですと、立川三・一・三十四は、南側の奥多摩街道までが平成十八年から十年度の中で重要路線として位置づけをしていくというお話だったように受けとめますが、この道路は、災害の発生時に南の中央道に接続し、北側は圏央道に接続し、この広域防災基地の重要な路線として位置づけられているというふうに思います。

 都市計画決定されたのは昭和五十二年でありまして、もう三十年近くたつわけでありまして、今御説明いただいた以南、以北、この件に関しまして国としてはどのようにお考えなのか、最後に御答弁をいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

柴田政府参考人 東京都の都市計画決定につきましては、今委員の方から御指摘いただきましたように、かなりの部分の道路の都市計画決定をやっているわけでございますが、いまだ事業化されていないという部分も残されておるわけでございます。

 そういった中で、東京都といたしましては、やはり都民の皆様に対してもわかりやすく、いつまでにどうやるかということを、重点的に絞って整備を進めていこう、それをまた公表していこうということをやっているわけでございます。その中でも非常に重要な部分でございます御指摘の路線について今後進めていこうということでございまして、それ以降の路線につきましては、これらが完成しますか、あるいはこれが進んでいってその後に、また東京都の方としてもきっちりした計画を出されるのではないかというように考えております。

小川(友)委員 災害時に有効に機能するような大切な路線であります。そしてまた、慢性的な混雑区間でありまして、多摩地域全体の町づくりにとっても大変重要な路線であります。どうぞ国交省としてもその役割をしっかりと担っていただきたい、こんなことをお願いし、私、小川友一の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大野委員長 次に、吉田六左エ門君。

吉田(六)委員 きょうは、おかげさまをもちましてこうした時間を授かりましたこのことを、委員長初め委員の各位に心からお礼を申し上げさせていただきます。

 そして大臣、一月七日、まだ松の取れないうちから、それこそ豪雪でどうにも身動きのつかないようなあの地にお出かけいただきまして、本当にありがとうございました。行く先々の首長並びに町村民がどのぐらい励まされたか、このことは言うに余りがあります。心からお礼を申し上げますと同時に、また二月の一日には委員各位にそろって豪雪地帯へ踏み入れていただいて、そして状況をつぶさに御視察いただき、具体的な提言までちょうだいできました。このことについても、ありがたく、感謝を申し上げさせていただきます。

 さて、「雪はういもの、つらいもの。」これは天保六年に発行されました、越後の国塩沢の文人であります鈴木牧之の著作であります。このとおりの二百年もの昔そのままが、豪雪になりますと御視察いただいたあの地に再現されるわけでございます。

 私は、六一豪雪の折には県議会議員であったものですから、川口、守門、広神、入広瀬、こういったところを視察させていただいて、雪崩防止、道路改良、除雪対策、これらにせっぱ詰まった思いで陳情する住民の声を聞いて歩いたことを今さらながら痛感し、これ以来、災害を教訓とし、何とか事前に防ぐことをしなければならない、これを持論としております。

 日本の面積の約六〇%が豪雪地帯であり、そこに日本の人口の約二五%の人々が住んでおります。こうしたところに、この豪雪を踏まえて、従来の公共事業予算の枠を超えて予算を確保し、豪雪地帯においてスノーシェッドなどの道路の雪害対策をしっかりと進めていくべきだと考えていますが、このことについてはいかがでございましょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、ことしの冬は例年よりも早く、十二月中旬から記録的な豪雪に見舞われております。このため、道路の雪崩災害は既に四十四件発生しているという状況になっております。道路災害による交通の寸断は、集落の孤立の発生等、地域の生活に重要な影響を与えているところでございます。

 こうしたライフスタイルの変化、またことしの冬のような豪雪による道路災害の経験を踏まえまして、今後必要な予算の確保に努め、雪崩の危険箇所に対する雪崩防止策や、道路に屋根を設ける委員御指摘のスノーシェッドの整備などの対策を、費用対効果を考慮し、重点的に推進させていただきたいと考えております。

吉田(六)委員 ありがとうございました。

 大臣、大臣に見ていただいたあそこ十日町は、雪が解ければ越路の春は梅も桜も一緒に咲くんだというところなんですけれども、このたびの雪が解けますと、土砂崩れ、そして雪崩が発生します。そして、最後は地すべりです。雪のないところでも、青森、岩手、福島、長野、栃木、これらには凍上災という災害が起きるんです。私も知らずにいまして、初めて最近知り得たことなんですけれども。

 こうしたものに対して、ぜひこれらの復興について、県、市、町村道が主かと思われますけれども、除雪費の支援もあるわけですから、これらについても枠を超えた予算措置で支援がちょうだいできたらな、こんな思いを強くいたしますが、御所見を賜りたいと思います。

沓掛国務大臣 吉田委員には、一月七日、当地を視察に参りましたとき、御案内また御説明をいただきまして、本当にありがとうございました。一月七日の雪の中でございましたけれども、本当に有意義な日を過ごせて、その後の対策にいろいろ活用させていただきましたことを感謝申し上げます。災害救助法あるいは自衛隊の災害派遣などなどに大いに役立たせていただきましたことに、心から感謝いたします。

 さて、吉田委員は余り時間をお持ちでないので、そこで、まず凍上災でございますが、これは本当に私も現場でいろいろやっているんですけれども、雪が解けると必ずそういう弱いところで、水が上がってきたところで凍り、そうすると、それが解けると土がぐしゃぐしゃになってしまうんです。

 それで、寒さの程度によって被害の程度が異なってくるので、最近では、これがいわゆる国庫負担法の対象になったのは平成十三年、それからその前が今おっしゃった昭和六十一年で、特別なときだけが対象になっているというようなものでございます。

 しかしまた、その災害の金額も非常に大きいんです。平成十三年度、いわゆる決定工事額だけでも九百二十五億とか大変大きな金額でございますので、やはりそれぞれ市町村にとっては、県にとっては、大変な額でございます。

 しかし、今申しましたように、採択基準がいろいろございますので、その採択基準の中でどうするかという問題もございますが、これからこの冬の凍上災による被害の状況につきましては、現在、国土交通省が地方自治体を通じて調査中であるというふうに聞いております。被災地の速やかな復興に向けて、国としても、被害の実態に応じた支援について災害復旧事業として取り扱うことも含めて検討して、できる限り努力していきたいというふうに思っています。

吉田(六)委員 大臣初め、関係各位から温かい前向きな御答弁がちょうだいできましたこと、心から感謝して、終わります。ありがとうございました。

大野委員長 次に、横山北斗君。

横山委員 横山北斗といいます。

 私は、県庁所在地で唯一市内全域が特別豪雪地帯に指定されております青森の市民です。そういうところに住んでいる者たちの声をぜひお届けしたくて、きょう質問に立たせていただきました。何とぞよろしくお願いいたします。

 まず、三八豪雪に匹敵することしの大雪につきまして、全国の被害状況、それから政府のこれまでの対応、また、大臣として今後どのような対策をとられることが最善とお考えかについて、全般的なお話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

沓掛国務大臣 先生は青森御出身でございますが、私も東北に二回勤務いたしましたので、青森の冬の厳しさというのをよく存じ上げております。

 さて、今の御質問でございますが、まず最初に、この冬の大雪により、不幸にしてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、困難な生活を余儀なくされている方々に対して心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 この冬は、十二月上旬以降、北極から寒気が数回にわたって南下したため、日本各地で低温となり、日本海側の地域は暴風を伴った大雪に見舞われ、記録的な積雪となりました。そのため、雪おろし中の転落や屋根からの落雪などで、現在までに百三十八名の死者が発生いたしております。これは、昭和三十八年豪雪の死者・行方不明者二百三十一名、昭和五十六年豪雪の死者・行方不明者百五十二名に次ぎ、戦後三番目の大雪被害となっております。

 政府といたしましては、総理の指示のもと、これまで災害救助法の適用や自衛隊の災害派遣などによる雪おろしへの支援、特別交付税の繰り上げ交付、道府県道、市町村道の除雪費補助の緊急措置など種々の対策を講じて、国民生活の安全と産業の円滑な活動のため万全を期しているところであります。

 今後は、気温が高くなることが見込まれ、雪崩、落雪、融雪災害、先ほど来のお話しの地すべりなどに注意が必要となるため、引き続き政府一丸となって対応してまいりたいと考えております。

横山委員 ありがとうございました。

 今、青森の場合ですと、一月二十四日の段階で積算の降雪量が三百九十八センチ、二月十三日で七百四十三センチとなっております。

 青森というところは、私は実は東京生まれの東京育ちで、三十三歳で青森に行きました、そろそろ八年目、九年目になるんですけれども、夜中も三時過ぎぐらいに大体除雪車が来るわけですね、その音で目を覚まさせられます。それで、朝起きてみると、雪の塊が家の前にごろごろしている。車で出かける人は、青森の場合には、電車、バスというのは、地方ですから本当に一時間に一本、極端なことを言えばそういう状況で、みんな車で通勤する。その除雪した雪の塊をもう一回道路に投げ出して出ていくという、非常に非生産的なことを繰り返しながらずっときたわけです。あるいは、それで困るというのであれば、深夜に除雪車が来たときに起きて、それが往復して戻ってくるときにその固まった雪を道路に投げて全部持っていってもらうとか。本当に、市民は厳しい、苦しい生活をしている。それは一戸建ての場合です。

 そして、例えば、マンションに住んでいる人でも、冠水とかがありますから地下駐車場とかそういうのがほとんどなくて、駐車場は青空駐車場ですね、仮に三日車に積もった屋根の雪おろしをしなければ、その年は大体車は使えません。それを落として出ていくというようなことができない程度に雪が積もっています。それぐらい市民生活というのが、雪かきなしでは一気に麻痺してしまう状況なわけです。

 それではこの雪かきに一体どれぐらいのコストがかかっているのかということを、青森市にあります雪国学研究センターというところが算出したことがあります。ちょっと話が長くなって恐縮なんですが、ここは市内の青森公立大学、大学の中にある公の研究施設です。ここが世論調査をとって算定したところ、市民一人当たり、雪かきの一日の平均時間はどれぐらいですか、一冬で何回雪かきに出ますかとか、そういうことでアンケートをとった結果出した数字なんですが、大体二万五千二百十円という数字が出ております。

 それで、青森の場合は、青森市に限って言えば、十二万九千六百九十四世帯あります。世帯といっても、一世帯一人が代表して出て雪かきするか、お父さんもお母さんも、学校から帰ってきたばかりの子供もみんなで雪かきするか、いろいろなケースがありますし、それから一戸建てとマンションではもちろんいろいろな負担も違います。そういうこともすべて含めて考えて、単純にこの二万五千二百十円に十二万九千六百九十四世帯を掛けますと、三十二億六千九百五十八万。結局、これだけのお金が、市民の自助努力によって、雪かき労働費として消えていっているわけです。

 この労働費なんですが、実は問題はその時給ですが、労働局に問い合わせて、最低賃金を六百六円と聞いて、その六百六円に掛けた数字です。したがって、雪かきを一時間やった人、この中にいらっしゃればわかると思いますが、一時間雪かきやって、はい、時給だよと言って六百六円渡したら、まず普通みんな怒ります。六百六円という対価ということはないと思います。最低でも、お年寄りなどのために、本当にボランティアみたいな感覚で安くやってくれているところでも大体二千五百円ぐらいは時給を払いますから。二千五百円として計算しますと、百三十五億円になるんですね。これは青森市内だけの数字です。ほかにも弘前市などいろいろあります。青森市内だけで、その市民が、年間百三十五億の費用を自分たちが雪かきすることによってつくり出している。この金額は本当に相当なものだと思うんです。

 ですから、何もしないで、何もしないでという言い方はおかしいですが、ただ、雪が降ってきて、大雪だ、ああ、どうしようどうしようと言っている間に災害になってしまって、それで五億下さい、十億下さいと言っているのと違うんですね。百三十五億ものお金を自分たちの労働によって、要するに自助努力によってつくり出している中で、それでもなお五億助けてください、十億助けてくださいと言っている声を、私は何としても届けたいと思っております。

 少し長くなって恐縮ですが、今のは青森の市民の努力です。

 一方、行政の方もしっかりとした努力をしておりまして、青森市ではコンパクトシティー構想というのが、全国的にも紹介されております。これは、一九七〇年から二〇〇〇年の三十年ぐらいで市街の中心地から郊外に一万三千人ぐらいの人口が流出した、それによるインフラ整備が三百五十億ぐらいだったということなんですが、結局、それによって道路を延長していかなければいけませんから、また、そこに雪が降れば雪かきをする必要がある、除雪費がかさむということで、除雪費が非常に市の財政を、県の財政を圧迫していくということで、青森市の市街、中心部に人口を集めてしまおうということを政策として青森市は始めております。

 その結果、市外の方に行くと、うちは下水道も整備されていないというようなところもあって、私としてはそういう声を聞くからこのコンパクトシティー構想はすばらしいですよというふうにはなかなか言いにくい面もあるんですが、しかし、少子高齢社会に向けた先進的な取り組みとして、NHKであるとか日本経済新聞であるとかにも相当高い評価を与えられていたように記憶しております。

 具体的には、市内の中心部に、駅周辺にいろいろな多目的なビルを建てる。そのビルに入ると、地下には卸売市場みたいなものがあって新鮮な食材が手に入る、一階から上は若者向けのお店もあるし、骨とう品なんかを扱っているところもあるし、もっと上の方に行くと公立の図書館もあるというような形で、とにかくコンパクト化していく。市内中心部にはお年寄りが住むのにも便利なバリアフリーのマンションなんかもどんどん建設されているというような形で、コンパクトシティー構想というのも進めております。

 私は、市民は多大な自助努力、行政も、もちろん批判する人も大勢いますが、先進的な試みをしている、そういう努力に対して、長くなって恐縮ですが、防災担当大臣のお立場から、国としても本当に十分な支援をお願いしたいと考えますが、特別交付税、特例的な国庫補助等、大臣の御所見を述べていただければと思います。よろしくお願いいたします。

沓掛国務大臣 これは町づくりとも関連した、まさに地域をどうしていくかという根本的なお話だというふうに思います。

 私自身は建設省出身ですから、戦後の町づくりをずっと一緒に歩いてきました。モータリゼーションの発達、それから大きな店舗の進出、そういうことが郊外へどんどん物や人を移していって、中心部が非常に寂れてきた。その反対に、今度は中心市街地をどう活性化していくかという問題ができてきたというふうに思いますし、法律自体も、都市計画法が昭和四十四年にできましたが、その法律はいわゆる都市のスプロール化をなくしようというような、そういう意味でいろいろ広げてきたわけです。そのことがまたずっと広域化を広めていったんでしょう。

 しかし、また今改めて中心市街地の問題がいろいろ出てきて、そのことをどうしていくかというのは各都市で今大きなテーマとなっているし、今、委員のおっしゃられたように、青森では雪の問題等を加味しながらそういう政策をやっておられるんだというふうに思います。

 これは、それぞれその地域の特性を生かしてどう町づくりをしていくかという、市民の声、地方公共団体、そういうもののみんなの総意によっていくものですから、私自身、このことがよい悪いという一長一短は必ずあるわけでございまして、余りに広がり過ぎた、そして、そこへすべてのいろいろないわゆる広域利便施設を用意しろと言われてもなかなかできない、そういう反省というか、そういう結果、経過を含んでの青森市のやり方だというふうに思っております。

 しかし、それも当然一つの政策ですし、私自身は、国土政策はやはり均衡ある国土の発展というのが一番中心だというふうに思っています。ただ、均衡ある国土の発展というのは、何でも同じものをつくるというのではなくて、それぞれの地域の特性が十分機能できる、発揮できる、そういうような形での均衡を図っていくということでもありますので、雪国においては雪を克服するために一番いい方法をとっていく、それに対して国が全力を挙げて支援していく、それがまさに国の国土政策だというふうに思っておりますので、そういう面で、これから新しい地域政策について国その他いろいろな面でできる限りの支援をしていきたいというふうに思っております。

横山委員 申しわけありません、大臣、もう一言だけ。

 百三十五億という金額は、市民が労働で負担している金額というのは私は相当なものだと思うんですけれども、そのあたりはいかがお考えか、お願いいたします。

沓掛国務大臣 除排雪のいろいろなお話からでございましたけれども、私も、建設省時代、東北地方建設局の仙台工事事務所長をやって、夜の夜中は三時に起きて、朝四時から出動するんです。除雪というのは朝やらなきゃだめなんです。都会の人は、何で朝やるの、昼やればいいじゃないかと言われますけれども、昼になったら除雪できないんです。かんかんに凍ってしまったらもう除雪できない、何とか降った雪をすぐどかさないとだめなんです。ですから、朝勝負、四時から五時までが勝負なんです。それを超えてしまうと、かんかんに張ってしまって除雪できません、今先生の、途中で車のお話等があったように。そういう面で除雪というのは大変で、私も、三時に朝起きる、外を見てきょう出動するかしないかを決定して、すぐ事務所の出張所やその他に配置して、出ていったりやるんです。ですから、除雪の苦労というのは雪国の方でないとわからない話なんです。

 そういうもので、今先生おっしゃったのは、それぞれの除雪云々という形でありますが、非常な金額だというふうに思います。しかし、それをどうするかということになると、これはまたいろいろあって、きょうは総務省は来ていませんけれども、寒冷地補正とかいろいろな補正で幾分のことは見てくださっているんですが、そういう形で、すぐこの形のものが、百三十五億が地域にというわけにもなかなかいかないところに先生の御指摘があるんだと思います。

 これは、この問題だけということではなくて、雪国全体としての中でこの問題も含めながら対策をしっかり立てていくということは大切だというふうに思っています。

横山委員 どうもありがとうございました。

 大臣は金沢ですから、御自身も小さいころから十分雪のつらさ、厳しさをわかった上で、しかし、では、何でそんな青森みたいなすごいところに住んでいるのかというと、それは春、夏がはるかにいいからなわけです。私も腰が悪かったのが、春、夏の涼しさとか、クーラー漬けにならないおかげで、青森にいたおかげですっかりよくなったので、父、母も青森に呼んで、今はずっと青森で暮らしているわけですけれども。そういう大きなハンディを負っている。とりわけこういう経済的な損失というのがある分、これから国から地方へということを考えても、また、雪が慢性的に大雪ですから、そういう気持ちのわかる方が大臣であられることは大変うれしいです、何とぞこれからもよろしくお願いいたします。

 その上で、青森県の場合は、平年、市町村の除雪費が大体二十億、昨年の冬が三十億で、この冬はもう既に三十五億を超えています。

 きのう、私は夜の便で青森から東京へ来たんですけれども、きょう朝一便は、青森からの飛行機は羽田まで飛んでいなかったそうです。きょう、もし私が雪のために質問できなくて時間があいてしまったらどうするのかな、そのときは本当の雪害だったということで笑って許してもらえるのかなと思いながら、きのうの夜この東京に入ってまいりました。いや、飛行機が飛ばなかったら新幹線があるだろうと言いますけれども、そういうものだってみんなとまるわけですね。道路もとまります、高速道路も動きません。地吹雪で前が見えないわけです。青森県の各自治体、例えばさまざまな各種の福祉のためのお金、介護費等々の徴収でも、通常十五分で行けるようなところが一時間も二時間もかからないと行けない。そういう意味で、社会福祉を行うためのお金を集めるのにも青森は弊害が出ているという道路の状況があります。

 こういう除排雪費用、現実に毎年のように底をつく状況が続いております。道路の除排雪作業の予算措置の展望についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 冒頭、防災大臣の方からも御答弁の中にございましたが、ことしの冬は、例年よりも早く、十二月中旬から日本海側を中心に大雪に見舞われております。現在の全国平均の累加降雪深が平年の約二倍となっている状況でございます。また、平年の三月末までの累加降雪深をも上回るなど、記録的な降雪となっているということでございます。

 このような状況を踏まえまして、寒波、雪害対策をしっかりと実施していくことが必要でありますが、委員御指摘のとおり、中でも道路の除雪や排雪作業は、地域の住民の方々の生活また経済社会活動等々に密着するものでありますから、非常に重要であると考えておるところでございます。

 都道府県の管理の道路と市町村の管理につきましては対応が異なっているということでございます。道府県管理道路につきましては、毎年補助を実施させていただいておるところでございます。ことしの冬におきましては、降雪状況等を踏まえ、例年より早く、一月の十三日に二十六道府県・政令市を対象に、事業費で約百六十九億円、国費で約百十三億円を緊急的に配分させていただいているところでございます。

 市町村道の除雪につきましては、通常、普通交付税及び特別交付税により措置されているというところでありますが、降雪の著しい土地で地方財政の措置だけでは間に合わないような場合には、国土交通省が市町村に補助する措置を講じさせていただいているところでございます。ことしの冬におきましても、著しい降雪状況を受け、除雪費の不足が著しい市町村や豪雪による被害が著しい市町村を対象として、既に、二月の三日でございますが、二十二道府県の百九十七市町村に、事業費ベースで約五十五億円、国費ベースで約二十八億円を緊急措置させていただいているところでございます。これで十分ということではございません。現在、降雪状況等について再度調査を行わせていただいているところでございまして、この結果を踏まえまして、さらに必要な支援措置を講じる考えでございます。

 いずれにしましても、各地方公共団体の除雪や排雪作業に支障を来すことがないよう、関係省庁と調整を図りながら対応してまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

横山委員 どうもありがとうございました。

 私も週末に地元に帰ってたまった新聞を見ると、雪が怖いとか、もううんざりとか、そういう言葉が新聞の活字として出るぐらいの状況です。うちも私が重要な雪かきの戦力でしたから、それを失ったことによって、家族からは衆議院議員になって本当に迷惑しているということをいつも言われております。何とぞ温かな御支援をよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大野委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 衆議院議員の大島です。

 きょうは、阪神・淡路大震災の経験を踏まえまして平成七年に制定されました地震防災対策特別措置法につきまして、まず冒頭に質問をさせてください。

 これまで、この計画は五カ年計画で一度延長されて十年たったわけですけれども、実施状況につきまして御説明していただければ幸いでございます。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 現在実施してございます地震防災緊急事業五カ年計画でございますが、平成十三年度から十七年度を計画期間としたものでございまして、最終的には平成十七年度の事業が完了しないと確定をしないというところでございます。私どもの方で見込みを立てましたところ、計画額十四兆一千億円に対しまして平成十七年度末見込み額が約九兆九千億円近くございまして、進捗率といたしまして約七〇%になるのではないかというふうに思っておるところでございます。

大島(敦)委員 今質問させていただいております地震防災対策特別措置法につきましては、予算規模は今御説明ありました十兆円前後で、非常に大きな予算規模とは思うんですけれども、その内容として一番大きいところは国庫補助率のいわばかさ上げということで、消防用施設とか公立の小中学校等の耐震改修など、国庫補助率をかさ上げすることによって耐震、防災を図っていくことと考えております。

 そうしますと、今後どのような措置が求められているのかなと考えますと、特に私たち民主党はこれまで学校関係につきましては大分熱心に取り組んでおりまして、二〇〇二年の十月には、公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法案ということで法案も提出をさせていただいております。

 その内容というのは、かいつまんで申し上げますと、耐震診断の義務づけということで、やはりよく言われておりますとおり、昭和五十六年の新耐震設計基準の施行前の建築物については国が責任を持ってまずは耐震診断を行う。そして、耐震の補強につきましては、私たちの二〇〇二年十月の法案の中ですと、公立小中学校の校舎は三分の二、そして体育館は二分の一、しっかりと耐震の補強については国が支援するという内容になっておりまして、やはりこの耐震補強については本当に必要であると考えております。

 特に、私の経験から申しますと、中越地震の際に、昨年一月と五月に長岡に行ってまいりましていろいろとお話を聞きましたところ、まず皆さんが長岡市内でどこに避難をするかというと、やはり小中学校の体育館が多いわけなんです。小中学校の体育館にまず避難されてから生活を立て直していくということです。

 これまで国は小中学校の体育館については補助率のかさ上げ、補助は行っていたのか。私が聞くところによりますと、体育館については三分の一の補助率だったと記憶しておるんですけれども、それでよろしいでしょうか。

榊政府参考人 御指摘のとおり、体育館につきましては、補修でございますけれども、三分の一の補助率ということになっております。

大島(敦)委員 そうしますと、二〇〇二年時点ですと、私たちの政党としては、校舎は三分の二、体育館については二分の一ですから、政府の考え方よりも、若干ですけれども耐震の補強に関しては補助率が高かったのかなと考えております。

 今後につきましてはどのような考え方をとっていくべきなのか。やはりまずは、校舎も大切なんですけれども、体育館に皆さんが収容されることを考えれば、学童の安全そして災害時の対応としても、体育館についての補強が必要ではないかなとは思うんですけれども、いかが考えればよろしいでしょうか。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、小中学校の体育館、これは児童生徒の活動の場でもございますけれども、非常災害時には、御案内のとおり地域住民の避難場所になっているわけでございます。

 こういうようなことから、体育館につきましても耐震性の確保が重要であるというのが私どもの基本的な考え方でございます。さはさりながら、実際は小中学校の体育館につきましては耐震化率が半数程度にとどまっておりますので、今後一層の推進が必要であるという考えに立っております。

 このようなことから、文部科学省としても、国の財政状況が非常に厳しいわけでございますけれども、公立及び私立学校の耐震関連予算の確保に最優先で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 文部科学省としては、小中学校の耐震の補強に関しては非常に関心を持たれておりまして、かつ強力に政府の方に働きかけていきたいという御答弁だと理解をしておりまして、国の防災担当としては、やはりその点につきましてお考えがあるかどうかについて、お話を伺えれば幸いでございます。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 地震対策特別措置法に基づきます地震防災施設の整備についての国庫補助率のかさ上げ措置でございますけれども、これは学校の耐震化にかかわらず、ぜひ伸ばしていただきたいというふうに私ども思っておりますと同時に、先生御指摘の、地震発生時に避難所として活用される小中学校の体育館の耐震化ということでございますけれども、これを計画的に進めるための支援措置をぜひ充実させていただきたいというふうに思っているところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 文部科学省さんに引き続き質問したいんですけれども、文部科学省さんは小中学校とともに幼稚園につきましても所管されているかと思うんです。

 その点につきましての、やはり子供の安全を考えれば園舎等の耐震構造の強化も必要であると考えまして、幼稚園の場合ですと公立と私立もあるんですけれども、その点についてのお考えを伺わせていただければ幸いでございます。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 幼稚園につきましても、公立の小中学校と同様に、いわゆる園児の安全性の確保ということが大変重要なことでございますので、小中学校と同様に、必要な予算を確保してその整備の推進に努めていきたいというふうに考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。ぜひその点についてもお取り組みいただければ幸いと存じます。

 続きまして、きょうの質問の中でも取り上げておりました首都直下型の地震につきまして、何点か質問をさせていただきたいと考えております。

 これまでの政府の発表ですと、今後たしか三十年の間に七割の確率で、大きい、かつ多い推定ですと一万三千人から四千人の死亡が予想されているという首都直下型の地震につきまして、先ほども質問にございました企業とか行政機関のバックアップの機能を首都の周辺地域に持たせる必要があるのかなと考えておりますけれども、その点につきまして再度お考えを伺わせてください。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 首都地域は企業本社、行政機関が集積いたしておりますので、昨年九月に中央防災会議で首都直下地震対策大綱というものをつくりまして、事業継続性の確保が首都直下地震の枢要な対策の一つというふうにいたしておるところでございます。企業や行政機関は、事業継続計画の策定、実行をしていただく、施設の耐震化、ライフライン系統の多重化をやっていただく、こういったようなことをお願いしたいというふうに思っております。

 では、どういうところでやるかということでございますけれども、同時に被災する可能性の低い地域でバックアップ機能の充実を図ることが重要だというふうに考えておりまして、我々の方から、企業はこっちの方がいいですよとか、あれはこっちの方がいいですよというふうに、どちらかというと露骨に指導するというような話はなかなかできかねるということでございまして、私ども、ゆれやすさマップというのを昨年十月に公表いたしておりまして、そういったような地域を見ていただければある程度わかるのではないかというふうに考えておるところでございます。

大島(敦)委員 これはもしもお答えできればお答えしてほしいんですけれども、立川に政府の防災の拠点を置くということが今進んでおりまして、立川が安定しているから、やはり民間の企業の方もデータベースのバックアップを置いている会社も多いと伺うこともあるわけなんですけれども、立川に政府の防災の拠点を置くという考え方について御説明していただければ幸いでございます。

榊政府参考人 正確にお答えできるかどうかちょっとよくわかりませんが、立川の広域防災基地につきましては、官邸が機能しなくなったときには、まず私どもが今入っております五号館、そこがだめなら自衛隊の市谷のところ、それがだめなら立川広域防災基地に。そこで実は閣議が開けるような、いわゆる行政としてのバックアップ機能ということで、例えばヘリコプターで総理以下すべての大臣を運び込めるとか、そういうことから、立川基地跡地の有効利用ということもございましてでき上がっておりまして、現在は私どもの政府災害対策予備施設のほかに、自衛隊、警視庁、東京消防庁、海上保安庁それから東京都の防災機能の部分、こういったものが立地しているというふうに理解をいたしております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 今、御答弁の中で、地震の発生するおそれが少ない地域であるということが一点、それから立川基地の有効利用という観点がもう一つの理由かと思うんです。

 この二つを勘案しながら、立川に国の防災の拠点を設け、私も、昨年の暮れなんですけれども、内閣府にある防災のオペレーションルーム、そして防衛庁の地下三階にあるオペレーションルームを見させていただきまして、やはり、その二つがもしも機能しなくなったら立川の方にいらっしゃるというお考えはよくわかります。御答弁の中で、国の防災拠点はやはり基地の跡地利用もあったと推察をしておりまして、そうしますと、立川での地震の確率です。

 私も今回さすがに地震については、地震調査研究推進本部がちょうど特別措置法の中で設置をされておりまして、その中の地震調査委員会が非常にいい資料を今インターネット上で公開しておりまして、日本を一キロの升目ごとに、どれだけ今後三十年間で地震が起きるのかを見られるようになっているわけなんですよ。これは非常におもしろい、非常に意味深い数字でございます。そうしますと、立川が今後三十年以内に震度六以上の強い揺れに見舞われる可能性はどのくらいあるのかについて伺えれば幸いでございます。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お話しいただきました地震調査研究推進本部は、平成七年の阪神・淡路大震災を契機として設置されておりまして、その後、全国の主要な九十八断層ないし主要な海溝型地震について、今先生おっしゃいました発生確率、発生規模等について評価を実施いたしまして、その結果を随時公表してきてございます。

 今先生からお話がありました、立川市が今後三十年以内に震度六弱以上の強い揺れに見舞われる可能性でございますが、地震調査研究推進本部がまとめました「全国を概観した地震動予測地図」を公表しておりまして、これによりますと約一〇%ということになってございます。

大島(敦)委員 先ほど政府の委員の方から、民間企業の方については、どこにバックアップの本社機能とかバックアップのデータベース機能、バックアップの倉庫機能を持たせるかについては国の方からは言えないと。しかしながら、マップがあるので、そのマップを見ながら勘案をしていただければいいのかなというふうに私は理解しております。

 例えば、この関東を見た場合に、首都直下型の地震を囲むようにして圏央道という道路が走っております。これは、大野委員長の御地元の日高、そして狭山、入間ももうできているかと思うんですけれども、やはり道路網というのも非常に大切だと思っておりまして、例えば入間市あるいは狭山市ですと、立川が一〇%なんですけれども、大体六%ぐらいなんです。

 ですから、非常に安定した地域が多分委員長の今住まわれている地域なのかなと考えておりまして、そうしますと、やはりバックアップを考えたときに、交通網を勘案しながら考えるというのも一つの考え方かなとは思うんですけれども、その点について情報の公開をどのように進めていくのか。もしもお考えがあれば、伺わせていただければ幸いでございます。

榊政府参考人 実は、先ほども申し上げましたけれども、昨年十月に表層地盤のゆれやすさマップというのを私どもつくっておりまして……(大島(敦)委員「これじゃないんですか」と呼ぶ)それは文科省の方でございますが、私どもの方のホームページでも出しております。埼玉県及び茨城県の区域とかいろいろな、全国的にどこで地震が起きたときにどのぐらいの想定になるかというのを、全部を重ね合わせたものをつくってございまして、それを見ていただければどこが震度六弱とか五強でとまるとかというのがわかるような地図を公表いたしております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 そうしますと、文科省のデータそして内閣府が用意されているデータを勘案しながら考えれば、大体結論は見えてくるのかなと推察をさせていただきます。

 続きまして、防災の意識なんですけれども、昨年暮れに愛知の豊橋で、一泊二日で私も防災訓練に参加いたしまして、公園でテントを張って野宿をしてどうなるかという訓練をさせていただきました。

 そのときに、県によって防災意識が相当違うのかなと実感をいたしました。特に、やはり愛知を中心とするところは、今後東海地震が高い確度で想定をされておりますから、その意識が高い。余り地震がないところは、その意識が低いところもあるのかなと。ですから、全国でその意識を上げることがまずは必要だと思います。

 もう一つは、これは国の施策の中に反映できるかどうかはわからないんですけれども、やはり中越の地震のときにも、防災の姉妹都市を結んでいるところは、もうその日の晩に埼玉県から十日町に給水車が行って、地震の一日目、二日目というのは水と食料ですから、その点をしっかり確保できているわけなんです。そうしますと、広域的な防災の都市間での互助というんですか、助け合うというような仕組みも必要なのかなとは思うんですけれども、その点の施策について国としてお考えがあるのか。もしもあれば、伺わせていただければ幸いでございます。

沓掛国務大臣 最初に、県単位、地域単位のそういう地震についてどういうふうに考えるのか、都道府県ごとに取り組む必要があるんじゃないかということでございます。また、二点目は広域的な防災体制のお話だというふうに思います。

 昨年三月の中央防災会議におきまして、東海地震と東南海・南海地震につきましては、被害想定に基づく被害軽減の目標を定める地震防災戦略が決定されたところであります。また、この戦略におきましては、地震は全国どこでも起こり得る、今の地震予知というのは東海ではかなりの精度がありますが、その他の日本じゅうにおいてもいつ起こるかわからないというもので、現在の地震の科学的な知見によって発見、予知できるのは二つのケースなんです。

 二つのケースといっても、余り大して学術的じゃなくて、この二つのケースの一つというのは、過去に周期的にきちっと地震が来ているものについては、五十年なり百年という、その時期が来たときは危ないというのが一つです。もう一つは、やはり地震がその前に予知的に起きてきて、それがどんどん上がっていく、そういう情勢であらわれてきたときという、これが二つ目なんです。私もそっちの方をいろいろやっていた人間なものですから。東海は特別なことなんですけれども、それを言っていると時間がありません。

 そういうことで、地震は全国どこでも起こり得ることから、関係地方公共団体が、地域特性を踏まえた被害想定の実施と被害軽減についての目標の策定により、効果的かつ効率的な対策を推進することの必要性が、今申しました同戦略においてうたわれております。このような考え方を踏まえまして、地方公共団体が各地域における地震、津波による被害像を明らかにし、地震防災対策を戦略的に推進するよう、地方公共団体に積極的に働きかけてまいりたいというふうに思っております。

 なお、十七年の秋に改正されました耐震改修促進法においても、地域の実情に応じて、都道府県ごとに地震に関する実施目標や具体の施策ごとについて耐震改修促進計画を定め、対策に取り組むこととされております。先生の御指摘のような面でこれから進められていくというふうに思います。

 もう一つの広域的な防災体制の整備については、今お話のありましたように、市町村で連携しておれば、いざというときに速やかにやっていただけるということはございます。そういうことについてどうかということでございますけれども、阪神・淡路大震災の教訓に基づきまして、平成七年に災害対策基本法を改正いたしまして、地方公共団体の相互応援協定の締結の規定を整備しているところであります。

 また、中央防災会議で作成した防災基本計画におきましても、大規模な風水害等が発生したとき、あらかじめ被災地以外の地方公共団体の間で締結された広域応援協定等に基づき、速やかに応援体制を整えることが定められております。これによりまして、地方公共団体で協定締結への取り組みが進みまして、都道府県間では全県の間でそういうものがつくられております。全国知事会でも全都道府県による応援協定が締結されており、広域防災応援体制が全県、全国レベルで整備されております。

 市町村についてはそこまでいっておりませんけれども、県内の統一的な応援協定や姉妹都市など県境を越えた広域的な協定の締結に取り組む団体が増加しておりまして、平成十七年四月一日現在で、市町村だけで千八百十六団体が広域防災応援協定を有しております。

 今後とも、関係省庁と連携しつつ、引き続き広域的な応援体制の整備に向けた取り組みの促進を図っていきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 若干、最後の質問をさせていただきたいんですが、委員長、お許しください。

 河川局長と気象庁長官に若干触れてほしいんですけれども、一点は今後の大雨の予測について、もう一点が今の日本社会の人的な劣化について。

 私の経験ですと、工場の操業でも昔は職人的な名人芸で工場の安全が図られていたわけです。つい最近、考えられなかったような工場の事故がふえていまして、防災の面でも、特に河川の水量の管理について、今までだと、まずは異常気象による集中豪雨があったり、非常に複雑になってきています。

 二〇〇七年から多くの方たちが退職していきますから、人的な知識の伝承が行われないとすれば、今までとは違った観点で、人的な要素に起因する河川のはんらんとかが起こり得るかもしれないなと危惧をしておりまして、その点についての取り組みを、大丈夫だよといえば大丈夫だよという答弁でもいいんですけれども、その辺についてのお考えを最後に聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

長坂政府参考人 手短にお答え申し上げます。

 大雨につきましては、近年、御指摘のように、その発生頻度あるいは強度に増加の傾向が見られるところでございます。これから先の見通しでございますが、気象庁を初めとする内外の専門家が行っておりますコンピューターシミュレーションによりますと、今後地球の温暖化が進むに伴って、世界の多くの地域で大雨の発生頻度やその強度が増加すると見込まれておるところでございます。

 また同時に、降水量の年々の変動幅も大きくなる可能性が高いとされています。また、気象庁によります、日本付近を対象にしたより地域的な気候変動予測の中でも、今申し上げたのと同じような傾向が我が国に対しても将来見込まれるというふうに結果が出ております。

 以上でございます。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 河川管理におきます、人的継承からもう少しいろいろ技術的な継承を図るべき、こういう御質問かと思いますけれども、確かに委員のおっしゃるとおり、今、限られた人員の中で、河川管理の適正化といいますか、水準を保つということが大変大事なマターになってくるというふうに考えております。

 そういう意味で、現地の状況把握を行うに当たりましては監視カメラを使って行うとか、また、いろいろな操作を行うに当たりましては遠隔操作システムを使うとか、いろいろな新しい技術を使いながら河川管理の充実に努めてまいりたい、こう考えております。よろしくお願いいたします。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

大野委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は新潟県選出、新潟一区選出の衆議院議員でございます。おととしからの、新潟県中越地震、それに引き続いて豪雪、その前は水害と、まさにトリプルパンチでございました。

 豪雪の視察に伺ったときに、七戸しかない集落で、あるお宅へ声をかけさせていただいたんですけれども、九十歳を超える女性がひとり暮らしでいらっしゃいました。なかなか屋根の雪がおろせないものですから、やはり夜中にミシミシと音がするんだそうです。年もとったから、このまま屋根の雪が重みになって家がつぶれても、まあ、しようがないと思って寝ていたと言うんですよ。

 私はこのお話を聞いたときに、日本というのは先進国のはずなのに、本当に先進国たり得る政治が行われているのかということを痛切に感じました。本当に恥ずかしくて申しわけない思いでいっぱいでございました。

 きょうは、大臣のお考えを伺って、ぜひ、新潟の被災地の皆さんを励ますような、勇気づけられるような答弁をお聞きできることを期待して、幾つか質問をさせていただきます。

 まず、被災者生活再建支援法についてでございます。

 もう私たち民主党の方から改正案、前回も提出をさせていただいておりますけれども、やはり使いにくいという基本的な問題がございます。額は、引き上げになりまして多少多くはなりました。ただ、年収要件あるいは家族構成、こういったことが大変厳しい。そして、使い道、使途も決められているということで、自治体の方が見るに見かねて独自の施策をつくり出して、それで何とか被災者の皆さんへのお手伝いになっているということでございます。

 大臣、被災者生活再建支援法は議員立法でございました。ですので、私はやはり議員みずからの力でこれを改正するのが適切だというふうに考えておりますけれども、なかなか与党の皆さんからの賛同がいただけません。

 二〇〇八年四月に改正の時期を迎えることになっておりますけれども、私は、この法律に関するいろいろな地域からの声を聞くにつけ、やはり早期に前倒しをして改正する必要があるのではないかと思います。そのときには、全壊とか半壊、こういう被害の程度ではなくて、例えば修理をする、建てかえをする、そういう行為そのものに対して支援を行う、こういう仕組みの方がより適切ではないかというふうに考えますが、与党議員の一員たる大臣にお考えを伺います。

沓掛国務大臣 私は、この被災者生活支援法というのができたということは本当に画期的なことだったというふうに思います。

 私は、建設省におりましたから、長年災害にかかわってきました。自民党に参りましてからも、平成四年から十年まで災害対策委員長代行ということで、何か事故があれば一番先に現地へ行ってこの問題へ対応してきました。

 この中で非常につらかったことは、公共的なものについてはある程度のいろいろな支援はできるんですけれども、個人個人の方々については何一つできないのでございまして、これをどうするかということで、いろいろ自治省にお願いして、特交でお願いしていろいろしたり、いろいろなことをやってきたんです。

 それが、私がちょうど平成十年に落選しておりましたら、平成十一年からちょうどこの制度がスタートしたので、わあ、これはよかったなというふうに思いました。当時百万円だったんですね、最初百万円。私も復帰してから、二年で復帰いたしましたので、すぐまた災害でいろいろやっていたとき、当時の扇千景大臣が非常に胸を張って、こういう制度ができましたと言っておられたんですが、それが百万円でございました。

 それが一昨年、三百万円になったので、わあ、よかったな。そして、その幅もいろいろな面で広がってきたりしたので、ああ、それは非常によいことができたというふうに、私自身はこの制度ができたということは大変感動いたしました。

 もちろん、平成十年まで私は何もしなかったわけではなくて、何とかしようと思って一生懸命したんですが、これは我が国の伝統的意識なんですね。それは、やはり自分の財産、いつでも自由に売れる、自分の資産になる、そういう資産のものには税金を入れないというのが、これが日本国ができて以来の伝統的考え方なんです。自分でつくったらそれがいつでも売れる、そういうことになったところに税金を入れるというのは難しいと言われて、私ども非常に苦しんできたんですけれども、こういう形でできたというのはまず第一歩だったというふうに思っています。

 この運用についても、十六年にできてから去年に至る間、最初は全壊というのを半壊でもよく、その半壊の定義についても運用上いろいろなことをお願いしながら、かなりやってこれたと思います。

 そして、この改正について今先生いろいろおっしゃられますが、平成十六年にできるとき附帯決議で四年後に見直す、二〇〇八年に見直すということになっておりますので、その時期にひとつ皆さんの英知もいただきながら、私も長年、一生をこれにかけてきた人間ですから、また大いに頑張ってみたいというふうに思っています。

西村(智)委員 ただいまの大臣の答弁の途中に、私の左側の席の方から、耐震強度の偽装はどうなんだというような声が飛びました。この点について次にお伺いをしたいと思います。

 先ほど大臣は、日本の伝統的な考え方として、私有財産たる家には公的資金は投入しないという考え方があるとおっしゃいました。しかし、どうでしょう。この考え方は今変わりつつあるというふうに言わなければいけないのではないでしょうか。

 つまり、ここのところ問題になっております耐震強度偽装問題は、いまだにその責任の所在は明確にはなっておりません。裁判の判例などは自治体の責任というようなことも言ってはおりますけれども、まだこれは報道的にも、そして私たちの感覚からいたしましても、責任の所在というのは明確になっていない。

 むしろ、見るところ、民間業者の瑕疵担保責任が問われるべきではないかというふうに考えております。こういうときに、政府が今回、耐震強度偽装の行われた分譲マンションを所有する居住者の皆さんへの公的支援を行うというようなことを決定したわけでございます。

 私は、政府からの公的支援というようなことを考えるときに、やはり今まで責任の所在が明確になっていなかったことから国は逃げてきたではないかということを指摘したいと思います。例えば数あまたある公害、新潟も関係してまいりました水俣病もそうでありますけれども、これは責任の所在が明確でないからということで政府はこの問題から、いわば逃げてまいりました。

 そういったことからいたしますと、自然災害にせよ、いろいろな犯罪にせよ、政府が一定の被災者支援をするという方向に傾いてきつつあるのかなというふうに考えておりまして、それはそれでまた別の議論になってまいりますので、ここでは深くは問わないつもりでございます。

 一点伺いたいのは、この分譲マンションを所有する居住者への公的資金、公的支援を行うこととした法的な基準というのは一体何だろうかということでございます。これは国交省の方からお答えいただきたいと思います。

後藤大臣政務官 今回、耐震強度偽装の関係で公的資金をというお話は御指摘のとおりであります。

 この考え方について御説明をいたしますと、分譲住宅の居住者の安全それから居住の安定の確保ということは、これは非常に重要な問題である。そして、転居の問題、あるいは周りで心配をしておられる、この危険なマンションが倒れるのではないかと、そういう皆さんの安心、安全を確保するということも非常に重要で、緊急性、公益性が高い。しかしながら、一方で、今御指摘のあったように瑕疵担保責任がいかに果たされていくか、そうしたことについて十分な見通しというものが立たない。

 そういう中におきまして、従来の財政措置とのバランスを図りながら、いわゆる既存の地域住宅特別措置法に基づく地域住宅交付金を活用する、そして類似の財政措置との均衡にも十分配慮した上で相談、移転、除却、建てかえまでの総合的な、公的な支援措置のスキームを御用意したということでございます。

 なお、今委員の御指摘されております行政の法的責任とかという問題もあろうかと思いますが、その法的責任については、現時点では法的責任があるというふうに考えているわけではありませんけれども、その問題については具体的に司法の場等において今後十分な判断がなされていくだろうというふうに考えております。

西村(智)委員 ちょっと聞き逃してしまったんですけれども、従来の公的支援に倣ってとおっしゃいましたか、あるいは類似の措置と横並びでというふうにおっしゃいましたか。つまり、既にあるものと横並びにするような根拠でもって今回の公的助成を行ったというふうにちょっと私には聞こえました。従来のあるいは類似の法的措置、公的措置とは一体何ですか。

後藤大臣政務官 従来、地震等の被災者等に対する公的支援措置はいろいろございますけれども、例えば移転費あるいは家賃ということでありますれば、応急仮設住宅の建設だとか、あるいは今お尋ねの被災者生活再建支援制度の問題だとか、あるいはがけ地近接の住宅移転事業だとか、そういう事業が用意されておりまして、そういういわゆる財政的な措置との均衡に配慮しつつ、こうした制度を組み立てたということでございます。

西村(智)委員 地震の際の移転などの費用と均衡を図ってということでございましたが、そうおっしゃいますと、私は申し上げたいことがございます。

 今回の分譲マンションの耐震強度偽装問題で支援のスキームは、地方公共団体がマンションを買い取り、解体、建てかえを行う、国は引っ越し代、仮住まいの公営住宅の家賃、マンションの解体の費用は国と地方で全額負担するということでございます。

 事はやはり住宅の問題でございます。私は昨年、一昨年から被災者生活再建支援法の改正が必要だというふうに主張してまいりましたので、この被災者生活再建支援法がどうなっているかということで申し上げなければなりません。

 被災者生活再建支援法は、全壊で支給限度額は三百万円でございます。半壊以下は支給の対象外となっております。いずれも年収及び年齢の要件が課せられております。本当にこれで横並びと言えるんでしょうか。かつ、今回の分譲マンションに関して投入された公的資金は合計して約八十億円であるというふうに伺っております。これは間違いございませんね。

 それで、被災者生活再建支援に係る支援金の支給ですけれども、平成十一年の六月二十九日、広島県に適用されました六月末豪雨災害から、これは先月の一月三十一日の数字まででございますけれども、台風第十四号の豪雨災害に伴う、その間、七年間で合計九千百四十九世帯に支給された支援金の合計額は七十六億円でございます。

 本当にこれで均衡がとれていると言えるんでしょうか。もう一度お答えください。

後藤大臣政務官 今回の措置と申しますのは、地域住宅交付金特別措置法に基づく地域住宅交付金の提案事業としてやらせていただくということになっておりますので、そういう規定の要件を満たして地域住宅計画をつくっていただきましたものに対して対応していくということでございます。

西村(智)委員 地域住宅交付金は、今制度の概要を御説明いただきましたが、それでは答弁にならない、私は納得がいきません。分譲マンションの居住者の皆さんに公的支援を行うなと言っているのではない、これはおわかりいただけますよね。納得できる説明をしていただきたいということなんです。

後藤大臣政務官 地域住宅交付金の制度におきましては、ちょっと私の説明が舌足らずだったと思いますけれども、安全上問題のある危険なマンションに対する緊急除却、建てかえ等ということを考えておりますけれども、これにつきましては、対象となる分譲マンションの要件といたしまして、違反建築物が建築されたこと自体について区分所有者に責めがないとか、あるいは非常に重大な偽装が建築確認において行われているとか、あるいは保有水平耐力基準において〇・五以下であるとか、そして建築基準法九条に基づく除却命令を受けている、そうしたものに対しまして地域住宅交付金の緊急除却、建てかえ等の事業が適用になるということでございます。ですから、そういう意味では、今御指摘のように補正予算で五十億円の計上をいたしておりますけれども、そういう対象に対して行われているということでございます。

西村(智)委員 地域住宅交付金ですけれども、これは地方公共団体が主体となり、公営住宅の建設や面的な居住環境整備など地域における住宅政策を、自主性と創意工夫を生かしながら総合的かつ計画的に推進するための支援制度と書いてあります。地方公共団体が主体となる場合の支援制度と書いてありますけれども、どうも報道などで見ておりますと、地方公共団体が主体的に今回の支援を決めたというふうには読み取れないんじゃないですか。

 御答弁は要りませんけれども、私は、今回の件で、改めて中央と地方との間の格差というものについて考えさせられました。やはり、今回の件が都市部で起こったということは大きな要素だと思います。仮に新潟県中越地震が東京都内で起こっていたら、あるいは首都圏で起こっていたらどうだったんでしょうか。私はこのことを本当に大きな声で訴えたいと思っています。ぜひ、格差のない安全対策そして支援制度、これをやっていただきたい。

 まだ実際、仮設住宅には二千六百を超える世帯の皆さんがお暮らしになっています。約二千二百世帯は再建方法を決めました。新しい家をつくるとか、新たにローンを組むとか、高齢者の方は子供さんのところに身を寄せるとか、そういうふうにいろいろ決めました。しかし、まだ数百世帯は再建方法が決まっておりません。そういう方々にどう言ったらいいのか、どう説明したらいいのか、これはきっちりと心していただきたい。

 ですので、私は、今回の政府の姿勢、この件から見える政府の姿勢というのは、やはり地域に冷たい、地方に冷たい、そういうことがはっきりと出てきたというふうに申し上げておきます。またこの件については別のところで議論させていただきたいと思いますが、引き続いて、実際に今、豪雪災害の問題もございますので、豪雪災害のことについても伺いたいと思います。

 最近、ようやく地方での暮らし、中山間地でのライフスタイル、一般的に言いますと認められるようになってきましたけれども、今回の豪雪被害は、豪雪単独ではなくて、過疎と高齢化が相まってさらに問題が深刻化したものだというふうに私は思っております。

 国土交通省の方の認識を伺いたいんですけれども、過疎化と高齢化が進展しているこの状況の中で、新しい国土形成のあり方については、本当につぼにはまった、本当に適切な政策が必要だというふうに考えますけれども、その点はいかがでしょうか。また、中山間地での住宅政策、これについて答弁をいただくつもりでしたが、このことについては先ほどの部分と重なるものがあると思いますのでそれには結構ですが、国土形成上の考え方について伺います。

後藤大臣政務官 御指摘のように、今、中山間は大変大きな問題を抱えていると思っております。私の地元も大変な山の国でありまして、中山間の状況については日ごろ心を痛めているところであります。

 国土の約七割を占めます中山間地、地球環境問題への対応とか、あるいは農林業の基礎的な生産機能の維持の問題、農林あるいは森林の多面的機能の保全等、非常に重要な役割を担っているというふうに思っております。

 人口減少、あるいは高齢化等によりまして、基礎的な社会的サービスの提供が非常に困難になってきているという現状の中で、今後、二地域居住の推進だとか、あるいは情報化、農林業の活性化等、さまざまな観点から中山間地の活性化、元気の出る中山間地に向けて対応していかなければならない、そういうふうに考えております。

西村(智)委員 最後に一点、昨年暮れからの豪雪災害で、とうとう人的被害が百名を超えてしまいました。実は、我が新潟県でも、毎年雪の事故で何人かの方がお亡くなりになっていらっしゃいます。これもやはり先進国としては異常なことだと思います。雪で人が亡くなるというのは本当に異常なことだと思います。

 来年度以降、雪によります死亡ゼロ、これを何としても目指していきたいというふうに思いますが、この死亡をゼロとするために政府としてはどういう対策をとっていかれるのか、防災大臣にお伺いして終わりたいと思います。

沓掛国務大臣 今回の死亡事故、今、本日で百三十八名でしょうか、戦後三番目のたくさんの方が亡くなっておられます。その亡くなっておられる方々の多くは高齢者の方々でございますし、また、その高齢者の方々が亡くなられる原因としては、雪おろし、あるいは屋根から落ちてきた雪の下になるなど、そういう原因がほとんどでございますので、そういう方面の対策をこれから強力にしていかなければならないと思っております。

 このことにつきましては、ことしの一月七日、私も新潟へ寄せていただいて、そのとき知事からも強く言われたのは、やはり災害救助法の適用、それから自衛隊の出動、それからやはりライフラインをきちっと守っていく、その一つとして道路関係の除排雪、そういう点をいろいろ言われました。

 早速、いろいろ皆さん方の御意向も聞きながら、災害救助法の適用ということで新潟、長野県をやっていただき、それから北海道を含めた六道県で自衛隊の災害派遣をやっていただき、そのほか道路等の補助、助成等についてもいろいろやっていただきました。

 そういうことを通じて、高齢者の方々が直接自分で行動しなくても除排雪ができる、そういうことができてきたというふうに思いますが、これからはやはり、今の場合はソフト面の対応ですが、もう少しハード面でそういうことができないのかどうかというのが研究テーマで、国土交通省でそういう会を今つくって、いろいろな人に集まっていただいていろいろ検討していただいておりますが、やはりハード面でもそういう点をいろいろ考えていただきたいなというふうに思います。

 私自身は石川県で雪の中で育ったわけですけれども、やはりちゃんとそういうようにできていました、いろいろハード面が。ところが、今そういうことがなくなったものですから、そういう施設がどんどんなくなりました。例えば、屋根がこうあると、屋根の端っこに五センチぐらいの木材がずっと針金できちっと結びつけてあるんです。そうすると、雪がおりるときも全部一緒におりません。必ず、こうしてスコップで横へ掃いても、おろしても、二十センチぐらいは残るんです。そういうふうに、滑り落ちないような配慮も昔は各家庭で全部ありました。

 今はもう、最近、十数年もそういうことがないものですから、そういう施設のあるところはたまにありまして、この間、新潟へ行っても、たまに、ところどころでありましたけれども、やはりそういういろいろなハード面、ソフト面、そういう面をいろいろ生かしながら、そして対策を立てていくことがぜひ必要だというふうに思っています。

西村(智)委員 終わります。

大野委員長 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 公明党の谷口和史でございます。

 本日は、大臣の所信を受けまして、災害予防の観点から質問を幾つかさせていただきたいというふうに思っております。

 質問に入ります前に、まず、この冬の大雪被害に際しまして、お亡くなりになられました皆様方に深く哀悼の意を表したいと思います。また、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、豪雪地域で暮らされている皆様方、また関係者の方々の多大なる尽力に敬意を表したいと思います。

 豪雪地域におきます財政支援につきましては、党としても、補正予算におきましてしっかりと要望させていただき、盛り込ませていただきました。また、現地に行って視察を行い、さまざまな問題に対して、しっかり対処し、取り組んでまいりました。今後も全力で取り組んでまいりたいというふうに決意をしております。

 では、質問に入らせていただきます。

 まず、建築物の耐震化についてでございますけれども、地震大国日本では、被害をもたらす規模の地震が一、二年に一回の頻度で発生をしております。地震への備えで最も重要なことは、地震が発生した場合に被害を最小限に食いとめる減災、災害の被害を減らす減災ということであります。そのためには、家屋などの倒壊を可能な限り防ぐ耐震化が、御存じのように最も重要であります。

 一九九五年に発生しました阪神・淡路大震災では、犠牲になった方の九割近くが家屋や家具類の倒壊による圧死でございました。こうした教訓を踏まえて、建築物の倒壊などの被害から国民を守る耐震化を推進するため、この大震災の直後に耐震改修促進法が制定をされ、そして昨年十月には改正耐震改修促進法が成立をいたしました。また、昨年三月に行われました政府の中央防災会議地震防災戦略では、今後十年間で、東海地震、東南海地震、南海地震の死者数の半減を目指すということを決定いたしております。これは、国レベルで地震に対する備え、また地震に対する予防に力を入れていることは間違いございませんし、また、私自身も非常に大事な観点である、こういうふうに思っております。

 その上で、住宅の耐震化について、住宅の耐震化といってもなかなか難しい問題でありまして、家を改修する、また家を建てかえるといってもかなりお金のかかることでございますので、皆様方も改修ということにはちゅうちょされる方もいらっしゃるのではないかと思います。先日の大臣の所信では、住宅等の耐震化について強力に推進する、また助成制度の拡充、創設について今国会に提出されているところであるなどと述べられており、今後、かなり力を入れていかれるというふうに思います。

 そこで、今回、この改正耐震改修促進法に関連して、耐震診断や耐震改修に関連する支援制度がありますけれども、この支援制度について概要をまず伺いたいと思います。

山本政府参考人 御指摘いただきましたように、地震による被害を予防するといいますか、特に人の命に対する被害を防止する観点から、建築物の耐震改修を進める、耐震性を高めるという仕事は一番大事な仕事だと思っております。

 大体、戸建て住宅なんかですと、戸当たり平均で百七十万とか二百万円かかります。これは何とかして応援をして、現実に改修に取り組んでいただくということが非常に大事なんですが、国土交通省では、まず戸建て住宅について耐震診断をしていただいて、自分の住宅は大丈夫かなという部分を診断していただいて判断していただくことが大事ですので、平成十年から耐震診断助成制度を入れました。

 それから、主計局といろいろ相談をして、耐震改修に対する補助事業というのをお願いしてきたんですが、これができましたのが平成十四年でございます。ただ、個人の財産でございます住宅に補助を入れるについては、その公共性について、どうしても公共性を確認しなきゃいかぬということで、いざというときに建築物が倒れてしまって道路が閉塞されてしまう、この道路を啓開するために国、公共団体のお金が必要ですので、あらかじめ倒れないようにするという考え方で平成十四年に初めて補助事業で耐震改修事業が導入されたわけでございます。その部分の要件は現在も同じなんですが、住宅建築物の耐震改修等事業については今年度から、かつては大規模地震が想定されるようなところ、例えば東海、典型ですけれども、そういったところに限定して耐震改修の補助金を投入していたんですが、そういう地域要件は緩和してもらいました。道路閉塞要件は残っておりますけれども。

 この耐震改修補助事業を活用するということと、先ほど来御議論がありました、昨年導入していただいた地域住宅交付金の制度、これは提案制度の世界で、公共団体が公共団体の区域内にある住宅の耐震改修を進めるという方針を立てていただければ、地域住宅計画に入れていただければ、交付金で応援できるという仕組みになりましたので、ぜひ今年度以降積極的に使っていただきたいということで公共団体にお願いしているところでございます。

 さらに、十八年度の税制改正で、耐震改修工事をなさった方の耐震改修に要した費用の一定割合を税額から控除するという制度も導入していただきましたので、こういった補助制度、税制の周知を図りまして積極的に応援していきたいと考えております。

谷口(和)委員 今、補助制度、また税制での控除のお話がありましたけれども、具体的に最大幾らぐらいまで、この補助、また税制での控除をなされるんでしょうか。

山本政府参考人 税制については、工事に要した費用の一〇%でございます。それから、補助制度ですが、地域住宅交付金の場合は、地域住宅計画に基づいて、公共団体がどういう制度で助成しようと考えられる事柄によりますけれども、助成しようと考えられたことの四五%を交付金で、国費で応援するという枠組みになります。

 それから、地域住宅交付金ではなくて、先ほど言いました住宅・建築物耐震改修等事業という補助事業で応援する場合は、耐震改修は国と地方で七・六%ずつ補助金を出す。ですから、合わせて所要経費の一五・二%を応援するという制度となっております。

谷口(和)委員 そうしますと、先ほどその改修に大体百七十万から二百万というお話がありましたけれども、例えば二百万とすると、補助制度で一五%ぐらいですから約三十万、それから税制の方で最大恐らく二十万ぐらいになるかと思うんですけれども、二百万のうち五十万がそういう形で援助をされる。そうすると、残り百五十万を負担しなければいけないということで、百五十万というのはかなりな金額になるかと思うんですけれども、そういったことを踏まえて、非常に難しい、自己負担が多いというふうになるかと思うんですけれども、その点についてちょっと見解を伺っておきたいと思います。

山本政府参考人 おっしゃるように、実際に耐震診断をした上で、自分の住宅にいろいろな問題点があるということが明らかになった上でも、実際に住宅の所有者の方が具体的に耐震改修に取り組んでいただくまでには非常に大きなハードルがあるわけでございまして、その中で一番大きなものが費用面だということは、御指摘のとおりなんです。

 先ほどちょっと御説明しましたけれども、税制と補助制度は若干調整措置がありまして、税制で税額控除を受けた方は公共団体の持っている補助制度からその部分は控除するということになっていますので、ネットで五十万までは参りません。そういう控除の制度もあります。

 ですから、一番大事なことは、まず耐震診断をしていただいて問題意識を持っていただくということが出発点にはなるんですが、それからさらに進んで、具体的に工事費を負担して前に進んでいただこうという気持ちになっていただくために、何といっても地域全体の取り組みが非常に大事だと思います。同じ街区の中で一部の方が耐震改修をされても、一部の方が耐震改修をしない場合は、いざというときに壊れてしまって、そこから火が出ますので、やはり地域ぐるみで、全体が地震に対して強い地域をつくり上げるということが非常に大きな課題ですので、昨年の特別会で改定していただきました耐震改修促進法でも、公共団体が、特に市町村が耐震改修促進計画をつくっていただいて、地域ぐるみで取り組んでいただくということが非常に大事だと思います。

 それに加えて、税とか補助制度で応援し、なおかつ、さらに所要の資金については住宅金融公庫の改良資金なんかも使えますので、そういった形で資金手当てをしながら前に進んでいくということが大事だと考えているところでございます。

谷口(和)委員 ありがとうございます。

 ちょっとある地域の例を御紹介したいんですけれども、例えば東京の中野区では、総合的な住宅耐震補強の取り組みとして耐震診断事業、また、体制を強化するということで窓口相談を設けて、まず職員による簡易耐震診断を行って、簡易診断で本格的な診断が必要という判定を受けた人のために無料で耐震診断の事業をやる、こういう事業を設けておるそうであります。

 また、同じ中野区ですけれども、改修工事を行った共同住宅が十年以内に震度六以下の地震で全損をした場合に、改修工事に使われた工事の相当額を補償するという建物補償型の制度を設ける、こういうことを検討しているわけであります。この制度は、補償対象となる事故発生率の算定とか測定等かなり難しい面もあるかと思うんですけれども、国レベルでも何か参考にできるのではないか、こういうふうに思っております。

 また、この中野区では、一戸建てに住む高齢者の方が、生前、生きている間はお金の負担なしで自宅の耐震改修工事ができる新制度というのを打ち出しております。これは、住宅金融公庫の高齢者向けの返済特例制度というのがある、これを利用いたしまして六十歳以上の高齢者が自宅をリフォームする際、床の段差解消などいわゆるバリアフリー化を条件に最大五百万円まで融資し、元本は死後に土地建物で一括清算し、生前は利息だけ返す、こういう仕組みでありますけれども、中野区ではこの生前に払う利息分というところに着目をいたしまして、公庫の特例制度で行う工事に耐震改修を盛り込めば利息分を区が融資する、こういうことを決めております。返済は、公庫分と同様、死後に土地建物で清算するため、生前は一切お金を使わずに耐震改修ができる、こういう仕組みになっております。

 先ほども申したように、これは国レベルでも何か参考になる、もしくは有効ではないかというふうに考えているんですけれども、この辺についての御見解をお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 御指摘のように、いろいろな公共団体がその地域の耐震改修上の課題に応じてさまざまな試みをしていただいているというのは、まことに心強い限りだと思っております。

 従来、内閣府の防災担当を中心にこの耐震化の問題については積極的に取り組んできているわけですけれども、ともすれば、例えば大規模地震の東海の地域とか、そういったところでは相当進んでいるんですが、それ以外のところでなかなか公共団体の取り組みがついてこれなかったような状況にあると思いますが、近時、特に阪神大震災以降、中越の発災、それから昨年の福岡西方の地震の発災等があって、いろいろな公共団体が正面からこの問題に取り組んでいただいていることは、非常に心強いと思っております。

 特に御指摘いただいた、例えば東京都ですね、これは東京都と各区で若干温度差はありますけれども、例に出していただいた中野区は高度成長期に環状六号線と七号線の間に非常にたくさんの木造の賃貸住宅が供給されて大変な課題を抱えているわけでして、また、そういったところに高齢者が住んでおられるということも事実でございますので、高齢者の方々、木造密集地域について、どういうふうなことをすれば実際に現場が動くのかという観点から、区が一生懸命やっていただいていることは非常に大事だと思っています。

 今例に出していただいた木造賃貸住宅の耐震改修を促進するための枠組みでありますとか、特に高齢者について公庫の資産活用型のリフォームの融資を使って具体的に動かすというような仕組み、あるいは非常にべらぼうな耐震改修コストがかからないような、簡易な、しかし効果的な耐震改修の工事法というようなのも、最初はもちろん静岡県が一生懸命やっていましたけれども、最近は東京都も、あるいは各区も取り組んでいただいていて、高齢者で生活時間の相当部分を寝室とか居間で過ごしておられる方について、その一室については耐震性能が非常に強いような枠組みを導入するというような工法も議論されておりますし、そういう公共団体の先進的な取り組み事例については、国としても、積極的に他の公共団体の取り組みにいい影響を及ぼすようにきちんと御紹介しながら、国、公共団体、それから地域の住民の方々が一体となって、国民の命を守るために非常に大事な耐震改修という仕事に取り組んでまいりたいと思います。

谷口(和)委員 ありがとうございます。今後も引き続き、国といたしましても、ぜひ耐震化に向けてあらゆる角度からあらゆる手だてを講じていっていただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 次に、集中豪雨のことについてお伺いをしたいと思います。

 昨年九月に、杉並区と中野区で百ミリを超える集中豪雨が起こり、神田川沿いの住宅地に床上浸水が起こりました。この日、杉並に降った豪雨は一時間に百十ミリを超えており、これは二〇〇〇年の東海豪雨に匹敵する激しさでありまして、東京都が治水で想定している五十ミリをはるかに上回ったわけであります。二十ミリ、三十ミリでも大雨と言えますけれども、従来になかったような百ミリを超える極端な大雨が九九年も降っております。

 昔に比べると、こういった大雨がふえる傾向にあるかと思いますけれども、今後も五十ミリを超える想定外の都市型水害の危険性はかなりあるのではないか、こういうふうに考えられると思います。引き続き、都市型水害を防ぐ貯水池等の増設はもとより、実際に水害が起こったときにどう対応していくのかが急務であるというふうに思います。

 そこで御質問ですけれども、昨年九月の杉並、中野の集中豪雨を受けて、今後の神田川における対策をまずお伺いしたいと思います。

渡辺政府参考人 ただいま谷口委員の御指摘のとおり、昨年の九月の四日から五日の未明にかけまして、杉並区、中野区で集中豪雨で大変大きな雨が降りました。時間雨量最大百十二ミリという非常に大きな集中豪雨が降りました。その結果といたしまして、床上と床下を合わせて三千五百棟という非常に大きな浸水被害が発生したところでございます。

 私どもとしては、こういう浸水被害の発生を受けまして、十七年度中から対策をしなきゃいけないということで、平成十七年度から五年間で被害を軽減する重点投資をしようということで、通常、激特事業、正式に言いますと、河川激甚災害対策特別緊急事業といいますけれども、激特事業を採択いたしまして、これは東京都の管理区間でございますので、東京都において事業を実施していただいている、こういうことでございます。

 この中身といたしましては、妙正寺川とか善福寺川とか、そういう河川の掘削、護岸の整備、それとあわせまして、環状七号の地下に放水路、貯水池がありますので、これは、これまでは神田川と善福寺川だけ結んでいたんですけれども、この激特の中で妙正寺川まで結んで対応しよう、こういうことで事業の拡大を進めていきたい、こういう事業によりまして神田川の安全度の向上に努めてまいりたい、こう思っております。

谷口(和)委員 ありがとうございます。

 また、今の御質問は杉並、中野の集中豪雨のお話でしたけれども、国として、こうした頻発する集中豪雨への対策について、河川行政としてどういった取り組みをされていくのか、またされているのか、お伺いをしたいと思います。

渡辺政府参考人 こういう集中豪雨、特に今委員の御指摘にありましたように、五十ミリで計画していたところに百ミリを超えるような集中豪雨が降る。こういう豪雨につきましては、河川改修とか調整池とか、こういうハード的な対策が必要なことは当然でございますけれども、これだけではなくて、最初に委員がおっしゃったように、減災ということが非常に大きなファクターになってくるというふうに考えております。

 こういう減災の措置といたしましては、昨年の非常な集中豪雨を踏まえまして、昨年、委員会を開いていろいろ検討していただいたんですけれども、十二月に御提言をいただいたところでございます。

 その中では、ハードな施設整備に加えまして、ソフト対策が重要であるということで、具体的に言いますと、例えば神田川流域におきましては、こういう浸水するところであるのに半地下構造の家があって、地下がつかってしまったとか、そういう問題もありますので、はんらんのときに被害に遭いにくい住まい方への転換でありますとか、はんらんをしたときに被害のエリアが拡大するのを防止するような対策でありますとか、また、迅速な避難とか救援の実現等につきまして、町づくり、住まい方、そういうものも含めまして、ハード、ソフトあわせた対策が必要だというふうに考えております。

谷口(和)委員 ありがとうございます。

 新潟県の中越地震や、それから尼崎市の列車事故等の救助での教訓で、救助活動の重要性が改めて認識をされております。新潟県の中越地震では、東京消防庁のいわゆるハイパーレスキュー隊が大活躍をされた、そういう経緯があります。救助においては自衛隊の方々の活躍はもちろんのことでありますけれども、今回、国として特別高度救助隊という隊を創設されるとのお話が副大臣の所信の中でもございましたけれども、この特別高度救助隊について、一体どういうものなのか、御説明を伺いたいと思います。

板倉政府参考人 特別高度救助隊についてのお尋ねでございます。

 救助隊は、現在、市町村の消防本部に消防法の規定に基づきまして設置をされているということでございます。人命の救助を行うために必要な特別の救助器具を装備した消防隊、これが救助隊というふうに言われているものでございます。

 これは、現在は、普通の救助隊と特別救助隊という、より装備を重くしたといいましょうか、そういう隊に分かれておりますが、現在はこの二つでございますけれども、今御指摘もございましたいろいろな事故や自然災害の教訓を得まして、このたび、私どもの消防法令の中に、市町村に設置をする特別の、言ってみれば、より強化された救助隊、これは高度救助隊と特別高度救助隊という二つのジャンルでございますけれども、それに分けまして、新たに省令改正をいたしまして設置をしたいというふうに考えているところでございます。

 ただ、これが現実に置かれますのは、特別高度救助隊は政令市と東京消防庁ということになりますし、高度救助隊は各都道府県の中核的な消防本部に置かれるということを想定しております。どこが違うかと申しますと、現在の救助隊よりもより高度な装備を有しているということと、より練度の高い隊員を擁する、こういう二つの点でございます。

 例えば高度救助隊で申しますと、生き埋めになった方の探索に使うような画像探査機というものですとか、隊員の安全の確保を図るための地震警報機というのがございます。これは、いわゆるP波、S波というのを聞かれたことがあるかと思いますけれども、地震の災害現場の場合にはいつ余震が来るかわからないということでありまして、余震が来る場合に数秒か数十秒前にP波というのが来る、これは人間には感知できないということで、これを機械的に感知して地震が来るということを教えてくれる、そういう機械がございます。これは中越地震のときにも活躍をしたわけでありますけれども、そういうものを設置する高度救助隊。

 さらに、これらに加えて、特別高度救助隊の場合には、いわゆるNBC災害と言っております、核と生物、化学の災害に対応をする車両、さらには水圧で切断をする、火花が散らないウオーターカッターというのがございます。それとか、トンネルとか地下街で大きな災害が起こりましたときに、ガスとか煙を排煙するための大型ブロワー、こういうものを特別な高度資機材として特別高度救助隊には備えるものとするということを想定して現在検討を進めているということでございます。

谷口(和)委員 ありがとうございます。

 そういった機器が使われない、使う必要がないということを望むわけですけれども、ただ、災害時にはスムーズにしっかりと活用ができるように取り組んでいただきたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、災害は日ごろからの備えが肝心で、被害を減らすためには、行政による災害対策を強化し、いわゆる公助を充実させていくことはもちろんでありますけれども、個人の備えや地域コミュニティーによる自助また共助の取り組みが必要になってくるかと思います。

 昨年、内閣府が、先ほどお話ありましたけれども、住民の自助、共助による地震防災対策を促進するという観点から、「表層地盤のゆれやすさ全国マップ」というのを発表されております。私自身すばらしいものだと思っておりますし、こうした防災情報を参照、活用した地震、津波ハザードマップ、こういったマップを作成することや、さらに住民への周知を徹底していくということが大変重要だというふうに思いますけれども、国としてどういった支援を行っていく方針か、伺いたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地震ハザードマップなり津波ハザードマップというのは、自助、共助のために大変重要な事柄だと思っておりまして、そのためのマニュアルも、昨年来、地震ハザードマップについては昨年の三月、津波に関しましても平成十六年三月、十七年三月というような形でつくらせていただいております。

 正直申し上げまして、内閣府の方にはそういうお金はないんですけれども、実は、地震防災マップ助成制度というのがございまして、これは例えば国土交通省の方のまちづくり交付金とか地域住宅交付金を活用すればできることだよというふうに応援のエールをいただいておるところでございます。揺れの防災マップにつきましても、住宅・建築物耐震改修事業ですとか都市防災総合推進事業といったような事業の中でできるだろうと。それから、津波に関しましては、津波・高潮危機管理対策緊急事業ですとか地震・高潮対策河川事業といったような事業を組み合わせることによりまして対応することはできるということでございますので、こういった制度を活用していただきまして、地震、津波ハザードマップの作成及び住民の周知を推進させていただきたいというふうに思っておるところでございます。

谷口(和)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

大野委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二月一日の災害対策特別委員会としての委員派遣に私も参加させていただきましたが、その後、長野県の党の議員さんたちと御一緒に果樹園の被害を見てまいりました。改めてことしの冬の被害の大きさに驚きました。私は地元が先ほどの横山委員と同じ青森でありますが、地元の青森のリンゴも二度続けての被害でありますので、そこら辺も非常に思いをいたしているところであります。

 農水省におかれては、三浦副大臣が、先日、青森県のリンゴ園地の被害視察に来ていただいたことは承知をしております。農業被害は春が来てから事態が表面化をいたします。今、生産者がもうこれ以上続けていけない、そういう気持ちにならないように、営農意欲をなくすことがないように国の強い姿勢を求めたいと思います。

 そこで、まず、農水省として、現時点での実態把握と取り組みについて、特にきょうは、果樹被害を最小限に食いとめるために技術指導などはどうなっているか、ここを中心にお伺いしたいと思います。

本川政府参考人 まず初めに、今回の雪により被災された方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。

 まず最初に、農林水産関係の被害でございますが、かんきつ類の雪やけでありますとか、今御指摘のあったような果樹の枝折れ、あるいはビニールハウスの倒壊などの被害が発生しておりまして、現時点で約八十八億円の被害が生じております。

 農林水産省におきましては、これまで農作物の被害防止に向けた技術対策の徹底や関係金融機関に対する資金の円滑な融通等の要請のほか、迅速な損害評価による共済金の早期支払いなどを行ってきているところであります。特に、果樹被害を防止するため、支柱による枝の補強でありますとか具体的な技術指導を行うとともに、果樹研究所に技術相談窓口を設置しているところであります。

 今回の大雪被害の全容は雪解け時期にならないと判明してまいりませんが、可能な限り早期の被害状況の把握に努め、被害を受けた農林業者の方々が一刻も早く経営再建ができるよう、引き続きその支援に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

高橋委員 そこで、ちょっと余り写りがよくないんですが、(写真を示す)行ってきた中野市の状況なんですけれども、これがブドウの状態なんですが、本当に枝の先っちょが雪からぽつぽつと出ているだけの状態です。ですから、実際には二メートルくらいの背丈があるんですね。私たちはその上に立って見おろしている、こういう状況でございました。ですから、この間の農道の除雪の問題でも特交措置などができるよということがありましたけれども、しかし、ここまでたどり着くのには本当に生産者が負担をしなければならない、こういうことが現実としてあるわけですね。

 それと、リンゴの枝折れです。これは、ちょっと色が見えなくて残念なんですけれども、(写真を示す)根元からざっくり割れている状況が見られました。それで、今、技術指導の件でお伺いをしましたけれども、確かに、補強するとかさまざまなことが留意事項ということで通知もされているし、現場でも援助をしてくださっていると思うんですが、そうはいっても、補強しても実際にこれだけ割れてしまったものではバランスが崩れちゃって同じものはできない、そういうことは現実としてあるわけです。また、もともとどうにもならない。ですから、苗木を助成するという形で新たな木を育てなければならないわけですけれども、十年、二十年という年月を要する。その間、どうしていくかということが本当に問われているわけなんですね。

 それで、少し具体的なことを相談していきたいと思うんですが、まず、果樹共済が活用できるかどうかという問題であります。先ほどお話の中に、早期、適切な査定や早期支払いなどについても通知を出しているというふうなお話だったと思いますけれども、この点での見通しはいかがでしょうか。

本川政府参考人 今回の大雪に対処するために、昨年十二月に、適切かつ迅速な損害評価の実施と共済金の早期支払い体制の確立について、関係団体を指導申し上げたところであります。この結果、園芸施設共済につきましては、既に十四の道府県で一月から支払いを開始しておりまして、二月には二十三府県で開始または開始する予定となっております。

 また、果樹共済につきましては、その性格上、共済期間が非常に長いという性格上、直ちに共済金をお支払いするというのは難しゅうございますが、できる限り早期に支払われるように対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋委員 今のお話ですと、二十三府県ですか、道府県とおっしゃいましたか、に共済が支払われる見通しだというお話でしたけれども、ただ、実際に私が見たところは多分対象にならないんだと思うんですね。なぜかというと、冬の間は共済に入っていない、短期と長期というものがあるんだと説明を受けました。長野県は、リンゴにおいては一〇〇%短期に入っているんですね。ですから、生産をしていない冬の間は、被害が幾らあっても共済は出ない。桃でも四・九%にしかすぎません。青森県も、長期に入っているかというと、入っているのは数%だと思います。これだけ大きな被害に何ら活用できないのかということになるわけです。

 ハウスも、被害が今回大変大きくなっておりますが、同じように、冬の間は生産していない、通年加入していないため、やはり対象外だと言われました。今回は、秋田、岩手などを初め、ハウスの被害だけでも二十四億円、もっとふえていると思いますが。そうなると、さっき八十八億円とおっしゃいましたけれども、その中で、本当に大変なところはまだまだ共済の対象にはならないと思うんですね。その点の確認と、だったら、雪害対応できる共済のあり方、加入率をどう引き上げていくのか、考えを伺いたいと思います。

本川政府参考人 御指摘のように、果樹共済につきましても、それから園芸施設共済につきましても、私どもとしては、一年間通じた、雪害も含めた補償を行うような商品を用意しております。それから、施設共済につきましても、雪の降る期間も保険に掛けるようなものも用意しておりますけれども、掛金の問題でありますとか営農の実態、そういうものを反映いたしまして、農家の方々が短い方にお入りになる。その結果、冬季の雪害などのあれが対象にならないというケースが生じております。

 私どもとしては、今回のこういう災害も踏まえまして、できるだけ実態に合った、あるいは雪害も念頭に置いた共済にお入りいただくように農家の方々にお勧めしてまいりたいと思っておりますし、その旨共済団体を指導してまいりたいというふうに考えております。

高橋委員 この問題は、だったら掛金がうんと高くなるよとか、めったに降らないところは活用できないよということになっても困りますので、十分この点を勘案していただいて、本当に活用できる、せっかく入った以上は、入ってよかったと思えるような共済制度ということで引き続いて検討していただきたいと思うし、私自身も要望しておきたいと思っております。

 次に、では何が使えるかということでありますけれども、例えば、強い農業づくり交付金の活用で、ハウスの改良復旧や苗木の補強、改植などの活用はいかがかと思うんですけれども、この点について、国の考え、積極活用をするべきだと思いますが、伺いたいと思います。

吉田政府参考人 お尋ねの強い農業づくり交付金の活用でございますけれども、果樹産地におきまして、今回の災害を契機にいたしまして、優良品種への改植あるいは低コスト耐候性ハウスの導入など、力強い産地の構築に向けた構造改革を推進しようとされる場合には、私どもとしましても、強い農業づくり交付金を活用するなどによりまして積極的に支援をしてまいりたいというふうに思っております。

高橋委員 よろしくお願いしたいと思います。

 農協さんも自治体さんもいろいろな形で頑張っております。例えば、今お話しした中野市では、では園地の消雪をどうするかという点では、消雪剤を二万袋用意すると話しておりました。一反歩に大体三袋を使うそうですが、一袋が九百六十円、これを三百円で分けています、最初の段階はモニターという形で無料で分けています、そういうふうなお話をされていました。一日一回まいても、何度も何度も繰り返し使わなければならないし、大変な覚悟が要るのかなと思っています。

 何よりも農業者の強い声は、本当にこの間、リンゴもそうですが、価格が下がっている、そういう中での災害なんだと。そして、先ほどお話ししたように、苗木をたとえ助成したとしても、それが育つまでの間どうするか、そういうことが問われている。ですから、もっと思い切った補償、支援ということがやはり求められていると思うんですね。

 例えば、岐阜県の飛騨市では、大雪による農業被害への支援策として、復旧事業費の八割までを助成することを決めたそうです。これまで持っている補助金要領では四五%が上限だったんですけれども、これを思い切って改正したわけです。鉄骨パイプの倒壊、果樹折れ、畜舎倒壊などで五億八千八百七十五万円の被害が出ております。市の担当者は、なぜこの八割助成に踏み切ったかということについて、災害を機に農業をやめる人がふえれば過疎化も進む、支援策を打ち出すことが農家の不安解消につながる、産地を守るために生産を継続してほしい、このように話しているんですね。我が党の議員団も現地調査を行い、市や県にお話をして、申し入れをしたりしてきたところでした。

 私は、やはり今大事なことは、こういう立場に国が立てるかどうかということなんですね。本当にこのまま放置すれば農業離れが進むんだ、それを食いとめるために何ができるか、そういう立場での支援が求められていると思うんです。この点でもう一度見解を伺いたいと思います。

本川政府参考人 私どもとして、今回の農業被害の状況を早急に把握いたしまして、被害を受けた農林業者の方々が一刻も早く経営再建できますように、先ほど答弁申し上げました強い農業づくり交付金の活用、そういうものも含めて引き続き支援に万全を尽くしてまいる考えでございます。

高橋委員 もう一言お願いしてもいいですか。経営再建の前に、農業離れを食いとめるんだ、そういう決意をお願いいたします。

本川政府参考人 まさに、そのようなつもりで、考えでやっていきたいというふうに思います。

高橋委員 ありがとうございます。

 きょうは、農水省にこれ以上言いませんけれども、さっきリンゴの話をしましたけれども、連続しての被害である。こういうときに今農水省がやろうとしていることは、リンゴの価格安定制度を廃止して、担い手にのみ着目した経営安定制度に移行するということですね。これでは、今こうして災害が起こっている、それで構造改革だと、その中身を見たら大部分の農家切り捨てにつながるのではないかと、これでは踏んだりけったりなわけですね。私は、やはり今農業離れを食いとめる、あるいは経営再建を果たすというのであれば、せっかく地元からの要求でつくってきた大事な安定制度は拡充こそすれ放すべきではない、このことを強く要望しておきたいと思っております。

 そこで、きょうは、大臣に伺いたいと思うんですが、ここまで農業被害の話をしてまいりましたけれども、やはり中小業者の対策もしかりだと思うんですね。産業被害といいますのは、どうしても私有財産だと。先ほどちょっと議論もされていましたけれども、壁が非常に厚くて、災害対策の中でもおくれている分野ではないかと思います。

 しかし、生活基盤が奪われたというのは、単にその持ち主の被害にとどまりません、地域にとって基幹産業を衰退させて人も流出してしまう、重要な損失になります。ですから、地域の産業を守るためにも、産業被害に対しては手厚い支援が本来必要なんだ、私はそのように思うんですけれども、この点で大臣の認識を伺いたいと思います。

沓掛国務大臣 今委員言われましたように、被災地の復旧復興のために、農家や中小企業者などの個人の事業者に対する支援も大変必要でございます。

 したがって、農業者につきましては、農業経営維持安定資金などの長期低利の制度資金の円滑な融通、農業共済金の早期支払いなどの各種支援措置に取り組んでいるところでもございます。

 また、中小企業については、政府系中小企業金融機関において、一般貸し付けとは別枠での運転資金等の融資、あるいは既往債務の返済猶予等の対応を行っているところでございまして、今委員おっしゃられました被災者生活再建支援の法律は、これはそういうことの支援を何にも受けることのない全くの普通の個人について、生活再建の安定の資金を供与しようとしてつくった新しい仕組みでもございますので、それぞれの施策を組み合わせて支援を行ってまいりたいというふうに思っております。

高橋委員 何かもう少し決意が聞きたかったなと思うんですが、もし時間があれば後にして。

 もう少し、この間ずっと話し合われてきたことは、産業支援にはやはり融資しかないのかということなんですね。いや、そうではなくて、本当に必要なところには直接補償というのが、それは程度はありますよ、あるけれどももっと必要なのではないかということが私たちのこの間ずっと要望してきたことなんです。

 そこで、きょうは厚生労働省にも伺いたいと思います。

 災害救助法の二十三条、救助の種類の中には生業に必要な資金の給与または貸与が書かれてあります。この二十三条の二項には、「都道府県知事が必要があると認めた場合においては、前項の規定にかかわらず、救助を要する者に対し、金銭を支給してこれをなすことができる。」このようにも書かれております。実際には使われてきていなかったなと思うんですね。しかし、できるはずですね。この点、どうお考えになりますか。

金子政府参考人 災害救助法の適用の関係でございますが、これはもう議員御案内のとおりでございますが、災害救助法自身は昭和二十二年に制定をされました。これは、大規模な災害の初動におきまして、さまざまな応急的な救助を行うということを目的にしているものでございます。

 そういった応急的な救助の一つとして、今議員から御指摘がございましたが、二十三条の第一項第七号におきまして、生業に必要な資金の給与または貸与という項目が規定をされているわけでございます。この生業資金の給与等につきましては、災害救助法が制定をされました昭和二十二年以降、公的資金によります各種貸し付け、これは長期かつ低利の制度、こういったものが充実整備をされてきたというようなことから行ってこなかったというのは、議員の御指摘のとおりでございます。

 私どもとしては、現在でも、災害救助法によります給与等を行うまでもなく、御案内のとおりでございますが、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づきまして、広く生活の立て直しのための災害援護資金の貸し付けが行われるなど、生業を支援するための所要の施策が講じられているところでございまして、私どもとしては、今後ともこれらの施策により適切に対応してまいりたい、このように考えているところでございます。

高橋委員 昭和二十二年の通達ですね、救助は現品によって行うことを原則とし、第二項の規定による金銭の支給は事情まことにやむを得ない場合において、金銭の支給によって救助の実効を期待し得る場合に限ってこれを行うべきである。

 ですから、これは実行を伴うかどうかは現場で判断をするべきだと思うんですね。いろいろな制度があるのは当然です。いろいろな制度を活用すべきだけれども、初動の段階において、わずかであっても現金を出す方が一番効果的だともし判断されたら、そういう判断が成り立つのではないか。法律としてはまだ生きているわけですから。そうですね。この点を確認して、ぜひ実行してほしいということを主張して、終わりたいと思います。

大野委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 きょうは、雪害についてお伺いをしたいと思います。

 実は、一月の末なんですが、私ども社民党も、新潟県の小千谷、十日町、津南を調査団として視察してまいりました。そのときに、行政、それから非常に被害に遭われている住民の方々から、特に中山間部にお住みの方々なんですが、いろいろな御意見を伺ってきました。

 これは、それぞれ出ていることですから、政府側も御存じのことだと思いますが、行政側が共通して心配していたのは、今回、雪害の被害地域が非常に広域にわたっている、だから特別交付税の枠が相当広がらないと、私のところには十分な雪害からの復興のお金が回ってこないのではないかという心配もありましたし、それから、十二月中に五回も六回も除雪をしなければならないという事態に直面したけれども、例えば災害救助法を適用するに当たって、合併によって行政区域が拡大してしまった、それで今までの適用要件と大分そごが生じているようなおそれがあって、直ちにこれが発動できなかったような事態もあったのではないかというような意見もありました。そんなことも含めて、これから大きな課題になっていくと思いますが、それはそれとしてぜひ腹の中におさめておいていただきたいと思うんですが。

 問題は、百三十人を超える方々が犠牲になりました。特に、これは内閣府の資料でも、年配の方々です、高齢者の方々がお亡くなりになっているということが統計上も随分はっきりしていて、しかも除雪、屋根の雪をおろすのにここから転落して亡くなったという方が圧倒的に多いんですよ。これは内閣府の資料で明らかで、二月の段階でも屋根の雪おろし等で亡くなった方が九十二名いらっしゃる。そのうち六十三名が六十五歳以上だという結果も出て、もっとふえているかもしれません、こんな状態になっているわけです。

 聞くところによると、除雪をするのに相場があるそうなんですが、一回二万円プラス晩酌という話がありまして、本当に晩酌がつくかどうか僕はわからないんですが。そうすると、年金で暮らしている方々や、高齢者でひとり住まいの方、二人もそうなんですが、そういう方々が十二月中に五回も六回もこれをお願いするというのはなかなか厳しい話ですよ。それで無理をして、御自分で屋根に上って雪をおろしているときに転落をする。こういう悲惨なといいますか、本当に放置できないような事態が実は起きていたということだと思うんです。

 こんな実態を踏まえて、こういう雪害だけではないんですが、とりわけ今回の雪害の教訓を踏まえて、政府として、今後、人命尊重という立場から、今回どのような取り組みをしてきたのか、これからどのような取り組みをしていこうとしているのかということについてお伺いをしておきたいと思います。

沓掛国務大臣 委員も現地視察をされて、小千谷、十日町、津南町をごらんになったそうでございますが、私も、一月七日、越後、十日町、長岡、津南町等を見せていただきましたので、いろいろな現地の状況については共有させていただいているつもりでございます。

 また、死者もふえまして、今では百三十八人だというふうに思いますが、その内容については、高齢者が七〇%。そして、その方々の亡くなった原因というのは、おっしゃられましたように、屋根雪おろし、あるいはまたその屋根雪などによって亡くなられた方が八割近くいるわけでございますので、そういう方々への対応というのは緊急な対策だというふうに思っております。

 政府といたしましても、総理大臣の指示のもとに、昨年以来、全力を挙げてこの対応を図ってまいりました。

 具体的に、いろいろやった措置としては、いわゆる災害救助法の適用を、新潟県、長野県でしていただきました。これは、こういう形のものは最近ずっと行われていなかったものでございますが、厚生省にいろいろお願い申し上げて災害救助法の適用をしていただきました。また、自衛隊の出動もすぐやっていただきました。北海道、秋田県、福島県、新潟県、群馬県、長野県というように、一道五県について自衛隊の災害派遣をやっていただいて、この方々にそういう高齢者等の屋根雪おろし、あるいはまた屋根雪おろしの後の雪をどこへどうするかというのも大変な問題でございまして、こういう問題について的確に対応していただきました。

 新潟県に伺いましたとき、地元の皆様方から大きく言われたのは、この屋根雪、除排雪の問題とライフラインの確保でございましたので、特にライフラインの中でも、いわゆる道路、幹線と生活道路の円滑な交通の確保でございました。

 そこで、国土交通省におきまして、幹線道路の補助金、あるいは市町村道につきましては、特別なときしかやらない町村道の補助、特別の補助についてもやっていただきました。この町村道の特別の補助は昭和五十九年の初めから発動したので、ちょうど私はそのころ道路局長で、五十八年暮れから五十九年は大雪で大変だったので何とかしたいと思ってやったのがこの施策でございましたが、それについてもやっていただいております。

 そのほか、特に総務省の方から特別交付税についてもこの地域について三月のものを繰り上げてやっていただく。市町村では、委員もよく聞かれたと思いますが、もう金がなくなっているんだ、ないんならわしらもやれないんだという非常に切迫した状態でございましたので、そういうものもお願いしていろいろやっていただきました。

 さて、これから将来こういう問題にどう対応するかということですが、今申し上げましたのは即効性が必要ですからソフト面でやっていただいたんですが、もう少しハード面でも何とか対応できないか、これについては国土交通省で委員会のようなものをつくっていただいて、町づくりの中でどうするかというのもいろいろ御検討いただいているところですが、私は、これについても個人個人、地域、それからやはり国、そういうものが必要ではないかというふうに思っています。

 個人個人では、私らも子供のとき、私も石川県でございましたので、屋根の一番端っこのところには角材を針金で縛って、雪が一緒にどんと落ちない、除雪しても必ず上に二、三十センチ残っている、そういう状態の形でございました。この間、新潟に行ったときは、そういうものもたまにありましたけれども、ほとんどもう最近は、雪おろしがなかったせいでしょう、ほとんどそういうものがある家は少なかったです。

 ですから、そういう形でいろいろ個人個人も工夫するし、地域地域でもいろいろ工夫する、国でも工夫する、そういう形でやはりハード的な面もぜひやっていく必要があるなというふうに思っていますので、これからまたいろいろ検討していきたいと思っております。

日森委員 お年寄りの方が無理をして屋根に上って雪をおろさなければならなかった。本当は、これについて市町村もいろいろ工夫されているところもあるんですよ。例えば雪おろしのグループをつくって準備をしておいて、そういうお年寄りの家庭に行って雪をおろす作業を代行するというようなこともあったんですが。

 実は、高齢者、ちょっと僕は勘違いしていたんですが、在宅福祉の一環としてそういう補助金制度があった。しかし、それが一般財源化されてしまって、どうも市町村の側からいうと使い勝手が悪いといいますか、個人の住宅の雪おろしに行政がお金を出すということがなかなか困難な状態になっているので、ここは何かもう少し明確な、かつてのような、そういう補助金みたいなものが出せないものかというお話があったんですが、これについてどうお考えになっているか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 この冬の豪雪におきましては、御指摘のような状況を踏まえまして、関係の地方公共団体では高齢者や障害者の方々などの雪おろしなどの支援を行っておられると承知をしております。私どもの調査では、二月初めの段階で約二百二十の団体が実施をされているということでございまして、今回の豪雪の対応ということで、地方団体としてもその取り組みとして行っていると承知しております。

 したがいまして、これらに要する経費につきましても、これまでもやってまいりました道路などの除排雪経費と同様に特別交付税措置を講ずるということで、現在関係の地方団体から事情や状況などをお聞きしているところでございまして、これらの措置を含めまして、関係地方団体の財政運営に支障が生じないように対応してまいりたいというふうに考えております。

日森委員 ぜひしっかりした対応をしていただきたいと思います。

 実は、住民の方々なんですが、小千谷市のちょっと山に入ったところの大崩地区というところと十日町の枯木又地区というところに行って、住民の方々に話を聞きました。戸数が非常に少ないところなんですね。

 それで、例えば枯木又地区というところは、分校があるんですが、中学生が三人、小学生が三人。冬季は道路が非常に危険になる。スクールバスも通らない。したがって、下宿をするんですよ。そういうところの方々が共通して、何とかしてほしいという要望があったんですが。それから、ほかの、石川県、大臣のところもそうかもしれませんが、そういう地区は携帯電話が通じない。多分、アンテナがないんですよね。道路が通れなくなる可能性が非常に高い地区で、電話があれば何とかですが、それがもし壊れたり異常を来すと連絡のとりようもなくなる。今、携帯電話はもう必需品と言ってもいいぐらいでしょう、みんながお持ちになっているけれども、残念ながら、緊急のときに使えないような地区になっている。政府の方でも、ちょっと法律は忘れましたけれども、改正をして、ともかく全国九九%ぐらいは携帯電話を使えるようにしようじゃないかという、私もその審議にちょっとかかわったことがあるんですが、そういう話になっているけれども、残念ながら一番必要なところはなかなかそうならなくて、携帯電話が通じないということに大変危機感を持っていらっしゃったんですよ。

 この辺について、今度の法律の改正もそうなんですが、今後どういう対応をされていくのか、お伺いをしておきたいと思います。

桜井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、一般の住民が利用できる無線通信システムでございます携帯電話システムというのは、災害時に外部との連絡をとる手段としても極めて有効なものであるというふうに認識をいたしております。

 委員御指摘ございましたように、平成三年度から、過疎地、豪雪地帯を含みますいわゆる条件不利地域を対象に、一般財源の補助事業ということで移動通信用鉄塔施設整備事業を実施してきておりまして、全国で平均しますと、現段階、十六年度末時点で人口カバー率九九%にはなっているところでございます。残されたところについても、こういった鉄塔整備事業を加速化しないといけないということで、昨年、特別国会で電波法を改正いただきまして、携帯電話事業者を含みますいわゆる無線局の免許人からいただいております電波利用料の一部を使って補助事業ができるという制度をつくっていただいたところでございます。

 こういった二つの補助事業等を通じまして、引き続き整備に対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。

日森委員 どうもありがとうございました。

大野委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃でございます。

 沓掛大臣の所信表明を踏まえまして、質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、災害対策についてお伺いいたします。

 災害時のボランティア活動をもっと促進するために、国として、ボランティアの交流を深め、活動環境の整備を図る必要があるというふうに考えますが、防災担当大臣の御見解をお聞かせください。

沓掛国務大臣 委員御指摘のように、防災ボランティアは、私、各方面で我が国にとって大変必要な制度だというふうに思っておりますし、かなり欧州等から比べてみるとおくれているなという思いもいたしますが、平成十七年の台風十四号、これは鹿児島、宮崎に大きな被害を及ぼしたものですが、これでも全国で十カ所以上に災害ボランティアセンターが速やかに設置されるなど、昨今の相次ぐ災害において、被災地に向けて地域の内外から多くのボランティアの方々が駆けつけられ、目覚ましい活躍をされたことは、まことに頭の下がる思いでございます。

 政府におきましても、防災ボランティア活動に対する国民の理解を広め、ボランティアの方々が相互に交流し意見を交換し合う場として、防災とボランティアのつどいを平成七年度より毎年度開催いたしております。ことしは一月二十二日に両国で開催いたしまして、私もこの会に参加させていただきました。

 また、平成十七年三月より、全国各地のボランティア関係者から成る防災ボランティア活動検討会を開催し、ボランティア活動の環境整備の具体策づくりにつき相互に意見交換を行っていただいており、その成果を情報・ヒント集等としてまとめて、内閣府のホームページにも掲載し、活動の参考としていただいております。

 内閣府としては、関係各省庁と連携し、今後とも、全国各地のボランティアの方々やそれを支援する関係者が交流、連携する場を設けていくこと等により、防災ボランティア活動のさらなる環境整備に努めてまいりたいというふうに思っております。

 ただ、豪雪時の除排雪作業のような特殊な事業につきましては、その作業をある程度熟知した方でないと危険なものもありますので、ボランティアの方々には、くれぐれも事故が起きないようにすることも必要であり、またそういう指導も必要だというふうに思っております。

糸川委員 災害が起きればボランティアが必要になるというのは、もうこれはわかっているんですが、ぜひ平時から取り組みをしっかりとしていただいて、訓練をしていただくとか、けがのないように取り組むというのも、これも政府の仕事なのかなというふうに思います。

 先ほど日森議員も質問されていたんですが、最近の災害で、特に雪害なんかでは高齢者がたくさん亡くなられているわけです。これは、私はある意味、人災なのかなと。これは、政府の方で、高齢者が雪かきをすれば当然危ないということを把握していればよかった、行政の側が把握していればそんなことにならなかったんじゃないか。長い人生を歩んできた高齢者の方が、こんなつまらないことというか、本当に災害で、雪おろしなんかしている最中におっこちてというのはもう痛ましいなというふうに感じるわけです。

 そこで、高齢者の方々を災害から救うために、地域も含め支援策を強化すべきだというふうに考えますが、現在の対策状況に関してお聞かせいただけますでしょうか。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、平成十六年に一連の風水害が発生いたしまして、多くの高齢者の方が犠牲になりました。私ども、その実態を踏まえまして、これらの災害につきまして高齢者の避難支援についての課題をきちっと整理しようということで検討会を立ち上げました。要援護者情報の収集、共有、避難支援プランの策定といったようなことにつきましてガイドラインを昨年三月にまとめまして、直ちに消防庁と一緒になって公共団体にガイドラインを通知いたしまして、その普及、浸透に努めたというところでございます。

 さらに、要援護者の避難対策を進めていくためには、要援護者自体の支援のあり方が一つ問題だというのと、保健師さんとか看護師さんとの、関係機関との連携をどうとるか、こういう話がその後明確になってまいりましたので、さらにもう一度厚生労働省さんの方にも来ていただいて、その関係の有識者の方にもみんな来ていただいて、今実はその検討をやっておる最中でございまして、本年度内にその結果をまとめたいというふうに思っております。

 そして、その内容につきまして、消防庁、厚生労働省、三者一体になって、市町村を中心とした高齢者の避難支援体制の整備に向けた取り組みを充実させたいというふうに思っているところでございます。

糸川委員 要援護者は、わかっていてしっかりとそれに取り組んでいただければ、本当に今回のような百三十人を超える方が亡くなるようなことはなかったのかなと思いますので、しっかりとそれは再度考えていただければと思います。

 次に、大規模地震対策についてお尋ねします。

 先日、私も予算委員会でも質問したんですけれども、大規模地震では水の確保などライフラインを早期に回復させる必要がある、厚生労働大臣には大体三カ月ぐらい復旧にかかるというような話をいただいたわけですけれども、特に今回、首都東京で大地震が発生した場合に水やその他のライフラインにどのような被害が生じるというふうに想定されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 首都地域における地震につきまして、マグニチュード七クラスの直下地震ということで中央防災会議の専門調査会で被害想定を行っております。ライフラインの被害でございますけれども、東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の地震ということで、断水人口千百万人、断水率二六%、停電軒数百六十万軒、停電率で六%、ガス供給停止軒数百二十万軒、支障率一二%の被害が発生するという想定になっております。

糸川委員 首都直下地震について、そうした被害の想定を踏まえて、具体的にライフラインの機能確保のためにどのような対策を講じようとされているのか、現状をお聞かせいただけますでしょうか。

榊政府参考人 実は、電力でございますと約一週間、上水道ですと一カ月とか、ガスだと六十日程度、通信ですと十日程度かかるかというふうに思っております。

 私ども、実は昨年九月に、先ほど申し上げました被害想定を踏まえまして、直下地震の対策大綱を決定いたしております。それで、いわばライフラインでございますけれども、日常生活に不可欠な施設であると同時に、救助、救命、医療、消火活動といったような応急対策活動を効果的に進める上でも重要だということでございます。

 特に、三次医療機関については、重要施設への供給ラインの重点的な耐震化を進めましょうというほか、施設が被災しても機能停止にならないように多重化、分散化を図ることにしたいということでございます。それから、被災しても先ほど申し上げましたような期間で早期に復旧できるように、人材確保なり資機材の配備体制の強化を図るということにいたしております。

糸川委員 実際には水道なんかは三カ月も復旧にかかるわけですね。一カ月というふうにおっしゃられていますけれども、大体そのぐらいかかる。かなり長い時間かかるわけです。これは、消防用水などにも使われる水ですから、しっかりとそういう水の確保に取り組んでいただければなというふうに思います。

 最後に大臣にお尋ねしますが、大規模地震対策は国民の最大の関心事であるというふうに思います。人の命を救うために、特に建物の耐震化というものを促進する必要があるのかなと。建物の耐震化促進について、今本当にこれは騒がれている事案でもございますが、担当大臣として御決意をお聞かせいただけますでしょうか。

沓掛国務大臣 阪神・淡路大震災の犠牲者の約八割が建築物の倒壊等による圧死でありましたし、また首都直下地震でも同じ要因の死者数は四千二百人と想定されるなど、大規模地震の際は建築物に起因する被害が大きいと想定されております。建築物の耐震化促進は、国民の命を守る極めて重要な施策だと思っています。

 先生は福井でございますけれども、福井は昭和二十三年の六月二十八日午後四時四十五分に大地震が起きたんですよ。私の友達の家もあったし、そこへ飛んでいってみたんですけれども、本当にみんな建物の下敷きで、三千八百人の方が亡くなったんですよ。戦後における我が国の三大、死者が出た事件なんです。

 本当に、私は金沢で歩いていたけれども、歩けないほどの地震でした。行ってみたらみんな下敷きになっていて、三千八百人、一生懸命掘り起こしたけれども、ほとんど、死んだ状態でした。そういうふうに非常に、私も今でも日にちもはっきり覚えているんですけれども、そういうものでございました。

 このため、昨年九月の中央防災会議においては「建築物の耐震化緊急対策方針」を決定し、建築物の耐震化を国家的な緊急課題として位置づけております。本方針を受けまして改正された耐震改修促進法もこの一月から施行されております。

 それを内容的に一部申し上げれば、地方公共団体が目標や施策を計画する仕組みの導入や、建築物に対する指導の強化。この建築物に対する指導の強化の中に耐震性のことがいろいろ盛り込まれているわけでございます。

 学校や老人ホームの耐震化をふやす、そのための地方公共団体への指示とか、あるいはまたメーン道路の沿道にある住宅が倒れると救難活動ができませんから、いわゆるそういう建物、メーンルートの沿道の住宅の耐震化を進めるための指導とか、そういうことがこの建築物に対する指導の強化ですが、そういうことをいろいろできるようになっております。

 また、そのために、さらにそうしたものについての助成も必要でございますので、平成十八年度予算案におきましては、耐震改修費用の一部に対して助成を行う予算制度の拡充や税額控除等を行う耐震改修促進税制が創設されたところであります。

 今後とも、耐震改修の促進にかかわる各種制度の整備並びにその適切な運用により、関係省庁と連携しながら、建築物の耐震化促進に全力を挙げてやってまいる所存でございます。

糸川委員 ありがとうございました。

 人命を伴うことでございますので、しっかりと対策を講じていただければと思います。ありがとうございました。

大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.