衆議院

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第11号 平成24年7月25日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十四年七月二十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 馬淵 澄夫君

   理事 市村浩一郎君 理事 打越あかし君

   理事 大西 孝典君 理事 山本 剛正君

   理事 長島 忠美君 理事 古川 禎久君

   理事 石原洋三郎君 理事 金子 健一君

   理事 石田 祝稔君

      網屋 信介君    石津 政雄君

      稲富 修二君    梶原 康弘君

      金森  正君    神山 洋介君

      川越 孝洋君    楠田 大蔵君

      熊田 篤嗣君    黒岩 宇洋君

      阪口 直人君    高野  守君

      高橋 昭一君    玉置 公良君

      富岡 芳忠君    中林美恵子君

      中屋 大介君    橋本  勉君

      細川 律夫君    三村 和也君

      矢崎 公二君    谷田川 元君

      柳田 和己君    吉川 政重君

      岩屋  毅君    小里 泰弘君

      梶山 弘志君    木村 太郎君

      坂本 哲志君    竹下  亘君

      谷  公一君    林  幹雄君

      望月 義夫君    森山  裕君

      石田 三示君    古賀 敬章君

      福嶋健一郎君    江田 康幸君

      赤嶺 政賢君    高橋千鶴子君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       中川 正春君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   農林水産副大臣      岩本  司君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   総務大臣政務官      稲見 哲男君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   厚生労働大臣政務官    津田弥太郎君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  椎川  忍君

   政府参考人

   (消防庁次長)      長谷川彰一君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           大庭 誠司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           関  靖直君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今井  敏君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        関  克己君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       山崎 篤男君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 荒川 光弘君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  久保 成人君

   政府参考人

   (観光庁次長)      又野 己知君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   政府参考人

   (気象庁予報部長)    西出 則武君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   谷津龍太郎君

   衆議院調査局第三特別調査室長           仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十三日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     金子 恭之君

  梶山 弘志君     坂本 哲志君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  金子 恭之君     小里 泰弘君

  坂本 哲志君     梶山 弘志君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  梶原 康弘君     楠田 大蔵君

  金森  正君     川越 孝洋君

  神山 洋介君     稲富 修二君

  黒岩 宇洋君     中屋 大介君

  阪口 直人君     熊田 篤嗣君

  高野  守君     石津 政雄君

  橋本  勉君     柳田 和己君

  秋葉 賢也君     木村 太郎君

  江藤  拓君     望月 義夫君

  小里 泰弘君     坂本 哲志君

  石原洋三郎君     福嶋健一郎君

  高橋千鶴子君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     高野  守君

  稲富 修二君     神山 洋介君

  川越 孝洋君     谷田川 元君

  楠田 大蔵君     梶原 康弘君

  熊田 篤嗣君     阪口 直人君

  中屋 大介君     黒岩 宇洋君

  柳田 和己君     橋本  勉君

  木村 太郎君     秋葉 賢也君

  坂本 哲志君     小里 泰弘君

  望月 義夫君     岩屋  毅君

  福嶋健一郎君     石原洋三郎君

  赤嶺 政賢君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  谷田川 元君     金森  正君

  岩屋  毅君     江藤  拓君

同日

 理事石原洋三郎君同日理事辞任につき、その補欠として金子健一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(平成二十四年梅雨期の大雨による被害状況及びその対応)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

馬淵委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十四年梅雨期の大雨による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、現在行方不明となっている方々が一刻も早く救出されますようお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 委員会内の全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

馬淵委員長 黙祷を終わります。御着席をお願いします。

     ――――◇―――――

馬淵委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事石原洋三郎君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

馬淵委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

馬淵委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に金子健一君を指名いたします。

     ――――◇―――――

馬淵委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る十八日、平成二十四年梅雨前線による大雨の被害状況等調査のため、第一班熊本県、第二班福岡県及び大分県に委員派遣を行いましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。

 まず、第一班の派遣委員を代表して、私から御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの大西孝典君、自由民主党・無所属の会の古川禎久君、金子恭之君、坂本哲志君、国民の生活が第一・きづなの石原洋三郎君、公明党の江田康幸君、日本共産党の高橋千鶴子君、みんなの党の柿澤未途君、そして私、馬淵澄夫の九名であります。

 また、国民の生活が第一・きづなの福嶋健一郎君、社会民主党・市民連合の中島隆利君が現地参加されました。

 まず、平成二十四年七月九州北部豪雨と命名された七月十一日からの大雨及び被害の概要についてでありますが、七月十一日から十四日にかけて、本州付近に停滞した梅雨前線に向かって南から非常に湿った空気が流れ込み、九州北部を中心に大雨となりました。

 この大雨により、熊本県において、河川の氾濫や土砂災害等が発生し、七月十八日現在、二十三名の方が亡くなられ、二名の方が行方不明となるとともに、住宅、河川、道路や鉄道等の公共インフラ、農地や農業用施設などに多大な被害が発生し、住民の方々の生活や地域の経済、産業に甚大な影響を及ぼしております。

 この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞い申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告いたします。

 まず、熊本県庁において、被害状況や県の対応について説明を受けた後、蒲島県知事、馬場県議会議長等と懇談し、白川の治水治山対策の現状、今般の大雨災害時における警戒避難体制、広域災害の発生時における国土交通省地方整備局などの国の出先機関が果たす役割等について意見交換を行いました。

 また、蒲島県知事からは、災害復旧、中小企業等への支援を効果的に行うための激甚災害の早期指定、激甚災害対策特別緊急事業等の速やかな採択、財源措置への特段の配慮及び災害援護資金、農林漁業セーフティーネット資金の融資枠の確保、貸付限度額の引き上げについて要望を受けました。

 次に、熊本市内において、白川の氾濫により、住宅に取り残された住民がヘリコプターにより救出された北区龍田陳内地区の浸水現場を視察するとともに、幸山熊本市長から、熊本市内の被害状況等について説明を受け、農業被害への対応状況、白川における危険箇所の優先的な改修の必要性等について意見交換を行いました。

 続いて、阿蘇地方においては、まず、南阿蘇村の長野村長から被害や復旧の状況について説明を受けた後、立野新所地区の土砂崩れ現場を視察し、当日の避難の状況などについても意見交換をしました。

 次に、阿蘇市役所において、被害状況の説明を受けた後、佐藤市長と懇談し、市長からは早期の激甚災害指定による国の支援や阿蘇を計画停電から除外することなどの要望があり、また、被災者支援、道路等の迅速な復旧の必要性、間伐等森林整備の促進などについて意見交換を行いました。最後に、阿蘇市一の宮町三野地区及び坂梨地区の土砂崩れ現場を視察いたしました。坂梨地区では、五百メートルにわたる土石流が発生したとのことであり、一帯は山から流出した土砂で埋もれ、あたり一面に流木が散乱しており、災害の激しさを物語っておりました。

 以上が調査の概要でありますが、私は今回の調査を通じて、土砂災害の危険性、豪雨時あるいは夜間の避難の難しさを改めて痛切に感じた次第であります。当委員会としても、近年、豪雨の発生が増加していることから、水害や土砂災害を未然に防止するために、治山治水を進め、警戒避難体制の整備を図るなど、ハード及びソフトの両面にわたり、減災のための備えを一層強化する必要があると痛感した次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 次に、第二班市村浩一郎君。

市村委員 第二班の福岡県及び大分県の派遣委員を代表いたしまして、御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの打越あかし君、山本剛正君、自由民主党・無所属の会の長島忠美君、国民の生活が第一・きづなの石田三示君、古賀敬章君、社会民主党・市民連合の重野安正君、そして私、市村浩一郎の七名であります。

 また、衛藤征士郎副議長、民主党・無所属クラブの川越孝洋君、楠田大蔵君、公明党の遠山清彦君、日本共産党の赤嶺政賢君が現地参加されました。

 まず、今般の大雨及び被害の概要についてでありますが、西日本に梅雨前線が停滞し、九州付近で活動が活発となり、七月三日から九州北部で大雨となりました。また、七月十一日からの九州北部豪雨でも、再び九州北部が大雨となりました。この大雨により、河川の氾濫や土砂災害等が発生し、七月十八日現在、福岡県では四名の方が亡くなられ、一名の方が行方不明となり、大分県では三名の方が亡くなられ、一名の方が行方不明となりました。また、それぞれの県におきまして、住宅、河川、道路や鉄道等の公共インフラ、農地や農業用施設などに多大な被害が発生し、住民の方々の生活や地域の経済、産業に甚大な影響を及ぼしております。

 この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要につきまして御報告いたします。

 福岡県では、まず、朝倉市役所杷木支所におきまして、小川福岡県知事及び森田朝倉市長から、被害状況の説明を受けるとともに、激甚災害の早期指定の要望があり、また、災害に関する長期的な課題等につきまして意見交換を行いました。その後、白木谷川の被災現場を視察しました。現場では、住民の方がふだんから利用している橋が流されてなくなっており、今回の災害の爪跡が生々しく残っておりました。

 大分県では、まず、日田市役所におきまして、二日市大分県副知事及び原田日田市長初め関係者から、被害状況の説明を受けるとともに、激甚災害の早期指定の要望があり、また、河川治水対策等について意見交換を行いました。その後、日田市内におきまして、堤防が決壊するなどの被害を受けた花月川の被災現場を視察いたしました。

 次に、中津市耶馬溪町におきましては、新貝中津市長から被害状況の説明を受けるとともに、被災した小学校や住家等を視察し、ここでは、ボランティア活動の高校生が力を合わせて復旧に努力をされておりました。また、山国川にかかる第二山国川鉄橋のほぼ半分が流失しており、ここでも今回の被害の大きさを目の当たりにいたしました。最後に、中津市耶馬溪交流プラザ施設やばの駅を視察いたしましたが、山国川の濁流が流れ込み、施設内はことごとく浸水による被害を受けておりました。

 以上が調査の概要でありますが、福岡県及び大分県におきましては、二度の大雨による災害に見舞われ被害が甚大であり、また、今後も大雨や台風の襲来などが懸念されることから、早急な対策の実施が必要であると強く認識いたしました。当委員会としても、災害に対する警戒や避難のあり方の検討、被災者に対する支援、土砂災害や河川の氾濫を防ぐための治山治水対策などの取り組みを積極的に推進、強化する必要があると痛感した次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心からの御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

馬淵委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 次に、平成二十四年梅雨期の大雨による被害状況及びその対応について政府から説明を聴取いたします。中川防災担当大臣。

中川国務大臣 平成二十四年の梅雨期に発生した大雨による被害状況及びその対応につきまして御報告申し上げます。

 まず、この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 本年は、沖縄地方が四月二十八日ごろにまず梅雨入りをしまして、六月四日ごろには九州南部が、六月九日ごろまでには九州北部から東北地方南部までが、さらに、六月十六日ごろに東北地方北部が梅雨入りいたしました。そのような中、台風第四号や梅雨前線の影響により、全国的に大雨となりました。

 特に、七月十一日から十四日にかけては、本州付近で停滞した梅雨前線に向かって南から湿った空気が流れ込み、西日本から東日本にかけての広い範囲で大雨となり、とりわけ、熊本県と大分県を中心に、これまで経験したことのないような大雨となりました。

 本年の梅雨期における大雨により、七月二十四日までに把握しているところでは、死者三十二名、行方不明者四名、重傷者十四名、軽傷者九十八名の人的被害が生じております。また、全壊百九十五棟、半壊二百七十八棟、一部破損三百十二棟、床上浸水四千七百三十五棟、床下浸水一万八百八十八棟の住家被害のほか、農業用施設の損壊、農作物の冠水、文教施設の被害などが生じているところであります。

 次に、この災害に対する政府の対応を御説明申し上げます。

 まず、台風四号による大雨に対しては、六月十九日に私が出席のもとに関係省庁連絡会議を開催しまして、被害状況及び各府省庁の対応について情報共有を行うとともに、具体的な対応を協議しました。

 また、七月三日からの梅雨前線による大雨に対しては、福岡県及び大分県で甚大な浸水被害等が生じたことから、後藤内閣府副大臣を現地に派遣しまして、被害の状況や対応について調査を行いました。

 さらに、七月十一日からの梅雨前線による大雨に対しては、十二日に関係省庁連絡会議を開催するとともに、十三日から十四日にかけて、私を団長とする政府調査団が大分県及び熊本県に赴き、熊本県知事を初めとする地方公共団体の関係者から被害状況や対応状況を聴取するなど調査を行いました。帰京後、直ちに開催した関係省庁連絡会議では、私より各省庁に対し、各種手続の迅速化と弾力的な制度の適用等を求めたところであります。

 また、七月二十日には、野田内閣総理大臣が熊本県、大分県及び福岡県の現地視察を行い、被災状況をつぶさに把握するとともに、各県知事から政府への要望をいただいたところであります。

 さらに、七月二十一日から二十二日にかけて、私を団長とする政府調査団が再び大分県、福岡県及び鹿児島県に赴き、被害状況の調査を行ったところであります。

 具体的な国の支援としては、大分県、熊本県及び福岡県の各知事からの災害派遣要請に基づき、延べ約五千二百八十名の自衛隊員が、行方不明者の捜索活動や孤立者の救助活動などに従事をしました。また、熊本県警察からの要請に基づき、福岡県、佐賀県及び宮崎県警察から派遣された四十六名の広域緊急援助隊が捜索活動に従事しました。さらに、熊本県及び福岡県からの応援の求めに基づき、長崎県や福岡市等より消防ヘリ八機が派遣され、救助活動に従事しました。また、国土交通省のTEC―FORCEは、河川及び道路の復旧に係る技術指導や排水作業支援等を実施しました。

 財政的な支援としては、甚大な被害を受けた地方公共団体に対し、普通交付税の繰り上げ交付を行ったところであります。また、激甚災害の指定に向けて鋭意準備をしているところであります。

 これまでの国、地方公共団体及び関係機関の活動により、被災箇所の応急復旧やライフラインの復旧が進んでいるところでありますが、現在も行方不明となっている方がおられ、また、多くの方が不便な生活を強いられています。

 これらの大雨による被害からの復旧復興に対しては、野田内閣総理大臣からも迅速かつ柔軟な対応を指示されているところであります。引き続き、被害状況を速やかに把握し、被災地の方々が一日も早く安心した生活を送ることができるよう、地方公共団体と緊密に連携しながら、政府一丸となって対応に万全を期してまいります。

 以上であります。

馬淵委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

馬淵委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官米田耕一郎君、総務省自治財政局長椎川忍君、消防庁次長長谷川彰一君、消防庁国民保護・防災部長大庭誠司君、文部科学省大臣官房審議官関靖直君、厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君、厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君、農林水産省生産局長今井敏君、農林水産省農村振興局長實重重実君、水産庁長官佐藤正典君、国土交通省水管理・国土保全局長関克己君、国土交通省水管理・国土保全局次長山崎篤男君、国土交通省道路局長菊川滋君、国土交通省道路局次長荒川光弘君、国土交通省鉄道局長久保成人君、観光庁次長又野己知君、気象庁長官羽鳥光彦君、気象庁予報部長西出則武君及び環境省大臣官房長谷津龍太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

馬淵委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

馬淵委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。打越あかし君。

打越委員 おはようございます。きょうの冒頭の質問のチャンスを与えていただきました関係者の皆様に感謝を申し上げて、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今、大臣の御報告にもありましたように、中川防災担当大臣は、先週あるいは先々週、週末を利用して、現地、被災四県を調査、現地視察に赴いていただきました。鹿児島県にまで足を運んでいただき、本当にありがとうございました。

 この被災四県の現地に立たれた、今回の災害の実感をまずお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 これまで経験したことのないという表現が使われておりますが、とんでもない大雨で被災をされたということ、これを改めて実感いたしました。

 早期復旧、これがまずもとよりでありますが、被災された方々への万全な支援というものをしっかり考えていくということが必要だというふうに思っております。

 特に、災害時は平時と異なるという認識のもとに、激甚災害指定であるとか、あるいは、道路や河川などの公共土木及び農業施設に係る災害復旧事業の早期の採択、あるいは、手続を簡略化しながら、査定に入る前に写真を撮って残しておいたら、もうその時点で復旧に入っていただいて結構だというふうな情報も含めて、トータルで迅速化と弾力的なということの適用が必要だということで、そのように各省庁にも指示をしております。

 それから、今回の被災地というのは、過疎化それから高齢化が進んでいる地域が多いということで自治体に十分なマンパワーがないことから、ボランティアの活用も含めて、各分野で息の長い支援が必要なんだろうというふうに思っています。

 さらに、死傷者が出たのは、山崩れを起こしたところというのがほとんどであったわけでありますが、ここに対する事前の避難の情報伝達と、それから一緒に避難を高齢者の皆さんに促していくような対応というのが改めて必要なのかなと。夜中の出来事であったわけですが、そこのところに問題を残したというふうな受けとめ方をいたしました。

 それから逆に、中津市で、豪雨によって防災無線が聞こえないという中であったんですが、速やかに住民が避難できたのは、まさに日ごろからの地域全体の訓練というものが行き渡っていたということでありまして、継続的な訓練の実施というのがこういうときに生きるんだということ、このことも実感をいたしまして、これからの総合的な対策にしっかり組み込んでいきたいというふうに思っております。

打越委員 広範にわたる対応について、これからもしっかりとお願いをしたいと思います。

 気象庁長官にお聞きをしたいと思うんですが、ここ二、三年ぐらいの間に、九州各地では記録的短時間大雨情報が非常に頻発しているというふうに感じております。例えば、今回は九州だけでも十二回の大雨情報が出ておりますし、昨年は鹿児島県だけでも七回、一昨年は四回、このときには奄美の集中豪雨被害があったわけですけれども、地域によっては十年か二十年に一度と言われるような記録的な大雨情報がたびたび出ている。

 しかも、地域の古老の方々のお話を聞くと、生まれて初めて経験するようなという感想がどの地域でも出ているわけでありますが、こういったことが相次いでいる背景をどんなふうに分析しているのか。

 あるいはまた、このようなことがこれからも頻発をしていくのかということを踏まえますと、何らかの応急的な対策が必要ではないかと思うんですが、その場合にはどういったことを準備していけばいいんだろうか。長官にお伺いしたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えします。

 記録的短時間大雨情報の発表に結びつきますような短時間の強雨の発生頻度につきまして、九州地方のアメダス観測所百六十二カ所全体で観測された一九七六年以降の三十六年間の変化で見ますと、例えば一時間降水量八十ミリ以上の年間観測回数でございます、これは年々の変動が大きく、現時点では統計的に有意な増加傾向は見られません。しかしながら、一時間降水量五十ミリ以上の年間回数で見ますと、増加傾向が明瞭にあらわれてございます。

 このような増加傾向について見ますと、観測データが三十年余りということで、地球温暖化のような長期的な気候問題との関連を論じるには統計的にまだデータが少ないということで、現時点においては、地球温暖化の影響によるものかどうかというのは明らかにはできません。

 なお、国際的な気候変動に関する政府間パネル、IPCCというのがございますが、二〇一一年に極端現象及び災害のリスク管理に関する報告書というのを取りまとめております。その中で、将来において温暖化が進行しますと、世界的に極端な大雨の発生頻度が長期的には増加していくという予測が出てございます。

 なお、気象庁のこのような状況に対する対応状況についてお答えしますと、気象庁では、台風や大雨等の予報の一層の精度向上を図るということから、気象衛星やレーダー等の観測網の充実強化、さらには予測技術の高度化に努めているところです。

 また、平成二十四年度の出水期より、経験のないような大雨といった表現で情報を発信し、大雨洪水警報や土砂災害警戒情報で警戒を呼びかけている中で、雨の降り方が尋常でないということをお伝えするというような情報の改善を行ったところでございます。

 今後も、引き続き監視、予測精度の向上に努めるとともに、地方自治体等防災関係機関との連携を深め、適切な防災気象情報の発表に努めていきたいと思います。

 以上でございます。

打越委員 今回の災害では、これまでに経験のないようなという表現を使って、非常に多くの方々が関心と警戒を強めたというふうには思います。今後、できる限り、予想のできない地域で予想のできないような雨量が降るというケースについては、減災をするために、できるだけ早い避難、警戒、住民の関心というのが非常に大事だと思いますので、御努力をお願いしたいと思います。

 今回、私も第二班の現場視察の一員として参加をさせていただきましたが、地域の行政関係、議会関係の方々の最大の関心は、やはり激甚災害指定を急いでほしいと。しかも、今回の場合には、非常に長期にわたって、数次にいろいろなところで災害が起きていったというような特徴が見られますので、段階的に指定していくという可能性もあるのかな、現地の方々はそういうふうに受けとめておりましたけれども、一括してできるだけ早く指定してほしいという意見が強かったと思います。

 今回の激甚指定は、どのような考え方に基づいて指定をしていくことになるのか。総理は、二十日に入って、農業関係の被害についてはほぼめどが立ったといったようなお話もしておりますし、できるだけ手続を急ぐようにという指示もあったと伺っていますけれども、今回の指定の考え方あるいは今後のスケジュール感についてお示しをいただきたいと思います。

郡大臣政務官 お答えをいたします。

 今般の激甚災害の指定については、梅雨期を通じた一連のものとして指定することというのを想定しておりまして、被害額等の早期把握にこれまでも努めてきたところでございます。

 御指摘のあったように、農地等につきましては、災害復旧事業費に係る査定見込み額が全国を対象とする指定基準に、そしてまた、熊本県の阿蘇市においては、中小企業関係の被害額が特別の助成に係る指定基準に達する見込みとなりました。

 指定時期についてですけれども、全国の梅雨明けを確認した上でということになります。まだ東北地方が梅雨明けしておりませんものですから、七月の下旬から八月の上旬ごろになるものではないかというふうに考えています。

 また、公共土木施設等につきましては、引き続き被害額の把握に努めまして、基準に達すれば速やかに対応してまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

打越委員 では、今回、個別の事案に対するというよりも、梅雨全体に対して、全国枠の中で激甚指定をしていく方向だということでありますね。

 現地では、農業部門あるいは公共土木部門、部門別を考えているのでなくて、総合的にとにかく手を打ちたいということでありますので、できるだけ早く、広域、広範に激甚指定がかなうように努力を続けていただきたいと思います。

 今回は、七月の十一日、後半戦の降雨だけでも二十七万人近い方々への避難指示が行われたというふうに伺っています。避難勧告二十七万五千人余りを加えると、相当数の数の方々に対して避難の指示、勧告が行われたということであります。

 しかも、今、大臣の報告がありましたように、指示が出る時間帯というのが深夜であるというケースもあるし、あるいは、既に避難指示が出て逃げようとしたけれども、道路等はもう水が出て、逆に避難するのが危ないといって自宅に残らなければならないといったようなケースもかなり相次いだというふうに現地でもお話を伺っています。

 そこで、今回は特に、災害弱者と言われるような方々がたくさん住んでおられるような過疎地、山間地での降雨が多かったわけですが、避難のための誘導あるいは手助け、こういったものはきちんと行われたのか、混乱、トラブルはなかったのか、あるいは、その地域地域に、そういったことをちゃんと支えてくれるような自主防災組織がきちんと整備をされて機能していたのか、そういったことについてお伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答えをいたします。

 ただいまお話がございましたが、今般の梅雨期の大雨によりまして、熊本、福岡、大分の三県では死者が三十一名に上っておるわけでございますが、この中で、六十五歳以上の高齢者の方々が六割ぐらいあるということで、高齢者の方が多く亡くなっている傾向が見てとれるということでございます。

 そういった中で、避難誘導とか避難、そのあたりの活動がどうであったかということですけれども、災害時要援護者の避難の関係につきまして事例的に申し上げますと、例えば、一応、福祉避難所が開設されて、そこに要援護者の方が入られた事例とか、あるいは、孤立していた福祉施設がございますけれども、何とかけが人もなく対応がなされたというような事例も見受けられる一方で、例えば、災害時要援護者が孤立をしてしまって、結果として防災ヘリで救出されることになってしまった事例とか、先ほど中川大臣の方からも御答弁の中で少しございましたが、大雨で避難勧告の防災行政無線が聞き取りにくかった事例、あるいは、避難指示を電話で連絡したんだけれどもなかなかうまくつながらなかった事例などのいろいろな事例を聞き及んでいるところでございます。

 また、自主防災組織の関係につきましても事例的に申し上げますと、例えば住民と消防団が協力をして救助活動を行った事例とか、あるいは自治会として被災直後から避難所運営を行った事例など、幾つかの活動事例などもお聞きしているところでございます。

打越委員 少なくとも、人の被害を減らすためには、ふだんのトレーニング、あるいは災害弱者との連携や確認といったこと、ふだんの準備がやはり非常に大事だと思います。これについては、特に地元市町村とよく連携をとって進めていってほしいと思います。

 時間がありませんので、最後、要望にしておきたいと思いますが、今、現地の被災民の方々の心配は、決壊をした河川堤とか、あるいは相当軟弱になった山腹の地盤、そういったものを目の当たりにして、これから来る台風のシーズンに対して、大丈夫なんだろうか、そういう心配をされている被災民が非常に多いというふうに伺っています。

 ぜひひとつ、応急の復旧をしっかりとやっていくということはもちろんでありますけれども、地元の自治体とよく連携をして、特に、現在わかっている危険箇所等々の点検とか、それに応急が必要であれば応急の対策をとっておいてほしいということ。

 それからもう一つは、今回、被災地で耶馬溪とか阿蘇とか、非常に観光地も含まれています。そういったところ、特に、規模の小さい個人で営むお土産屋さんとか飲食店とか観光施設、個人商店について、相当大きな被災を受けて、しかも今後、この夏場の書き入れどきというか稼ぎどきに、観光客が、恐らく入り込みが相当減ってしまうというような、あるいは地域の消費マインドが落ち込んでしまうということで、店を閉じてしまう心配があります。一度閉じてしまいますと、事業再開というのはなかなかかなわないというふうに思いますので、これは総合的にやはり手だてを講じていただいて、地域にいろいろな火が消えていかないように、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

馬淵委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 おはようございます。このたびは、差しかえという形で質疑の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 改めまして、このたびの一連の豪雨災害で犠牲になられた方々に謹んで哀悼の誠をささげます。

 我が地元でも、古くからお世話になった後援会の方が犠牲となりました。朝食中、突如裏山が崩れ落ちて生き埋めになられてのものでありました。そうした無念さも胸に、ここに立たせていただきたいと思います。

 また、消防団、自衛隊、警察を初め多くの方々に昼夜を問わない活躍をしていただきました。敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 委員会の皆様、また政府の方々にも、何度も視察に訪れていただき、ありがとうございました。特に、中川大臣には急遽、極めてタイトなスケジュールの中、私の地元朝倉市にもお入りをいただきました。本当にありがとうございました。

 しかしその一方で、これだけお越しいただいておりますので、結果も当然伴うだろうという期待値も高まっております。ぜひ、そうした観点で前向きな答弁をお願いしたいと思います。

 そこでまず、改めてお聞きをしますが、先ほど打越委員からもお話がありました激甚災害の指定であります。既に、農地等については本激指定を出していただいたところでありますけれども、公共土木施設関係は今なお指定が出ていないという状況であります。

 先ほど来お話がありますが、特に、我が地元においては六月から、やはり梅雨前線の停滞に伴って雨が続いていた。そういう中で保水力がだんだん失われていった。そうした中で、七月三日、四日にかけて最初の豪雨がございました。先ほど申し上げた犠牲者も、この段階で既に出ていたというわけであります。その後、いわゆる九州北部豪雨と名づけられた十一日から十四日の豪雨があった。こうした長期的な影響、また県や自治体の切れ目にとらわれないような長期的な広範囲の被害となっているということであります。

 こうした特殊性を考慮して激甚災害を迅速に考えるべきと考えておりますので、改めて大臣の御見解を伺いたいと思います。

中川国務大臣 本当に、地元もお伺いをしましたけれども、甚大な被害が出ているということで、その対応に万全を期していただいておること、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 激甚の指定は、御存じのように、ある程度一定の被害額の積み上げ、累積が基準を超えた時点で激甚指定ということになるわけであります。

 今回も、でき得る限りその範囲を大きくとっていく、長くとっていくということが累積の金額を大きくしていくということでありますので、六月の六日から梅雨期で、災害が起こったという発災時を六月の八日にとりまして、それから、現在も実は、この梅雨期が続いている地域もあるので、そこで被害が起こったときにはそれも取り込んでいくというふうな思いを持って、全体を今見ているわけです。ですから、正式に手続をとっていくというのは、その辺の見きわめ、いわゆる梅雨期としての決着がついたところでやっていきたいというふうに思っております。

 さはさりながら、地方自治体としては、どうなんだろう、思い切った復旧の段取りといいますか具体的な行動に移っていくのに、その見通しが欲しいということでありますので、今回、農業の分野に関しては既にその基準を達している、あるいはそれを超えているということで想定ができますので、早目に、ここは大丈夫だという情報を見切って出させていただいたということであります。局甚で阿蘇の地域について、中小企業への被害ということについても、これも大丈夫だろうということで情報を伝達させていただきました。

 あと、さっきのお話のように、土木があるんですが、これがまだ積み上げが十分でないということなんですが、一つの原因は、救援活動にそれぞれ地方自治体の職員が今全てをかけておるということもありまして、被害状況を具体的につぶさにまとめられないということもあるんだと思うんです。その辺の状況も見ながら、でき得る限り取り込んでいきたいというふうに思っております。

楠田委員 ありがとうございます。

 特殊性を考慮してしっかりと取り組んでいただくということで、よろしくお願い申し上げます。

 また、今なお、杷木志波地区の塚原区や道目木区などは、土砂災害や土砂ダム崩壊のおそれで避難勧告が継続をされているというところもございます。避難所の居住生活や生活に対する支援をやはりここは十分に行うべきと考えておりますが、この点も大臣からお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 避難所での安心感といいますか、支援、生活環境面の改善を図っていくということが、次に頑張っていく活力のもとになってくるというふうに思っておりまして、大変重要な課題だと思っています。

 福岡県の朝倉市については、七月三日に災害救助法が適用されまして、必要な救助が実施されているというふうに承知をしています。

 国としては、七月二十三日に、同市に厚生労働省の職員を派遣いたしまして、被災地の状況を確認するとともに、災害救助法に基づく避難所の生活環境の整備等について説明を行ってきたところであります。

 その際には、避難所における冷房機器の設置による暑さ対策であるとか、あるいは高齢者等に対しては、生活環境の整った公的宿泊施設を活用した福祉避難所の設置等についてきめ細かく助言をしてきたというところでありまして、それぞれ、地方自治体と連携をしながらでき得る限りのことをしていきたいというふうに思っております。

楠田委員 いろいろ調べていきますと、被災者生活再建支援法の適用がなされるかどうかの要件、また合併特例も、平成十七年の合併でありますから、ちょうど昨年末で切れているという中で、合併によって非常に面積が広くなっている、そうした中で特例がぎりぎり合致しないということ、そうした制度のはざまとなるケースが多々今回見られております。

 そうした中で、長期間にわたり、自治体の切れ目に関係のない広範囲の被害となっておりますので、前例にとらわれずに、柔軟に対処をしていっていただきたいということを改めて要望させていただきたいと思います。

 さらに、個別に掘り下げてまいりたいと思います。

 地元をくまなく見回る中で、あらゆる道路、橋、川、農地、農業施設、山、こうしたものが大きく傷ついているのを目の当たりにいたしました。週末、私もボランティアにも参加をいたしてまいりましたが、きのうのニュースでも、朝倉三十五・一度ということで、真夏の猛暑の中での復興作業は大変苛烈をきわめております。

 そうした中で、迅速な復旧、先ほどお答えがありましたように、簡素化を図っていく、迅速かつ柔軟に対処していくというお答えもございました。ここを強く要望させていただきたいと思います。

 もう一つ、そうした復旧作業にかかわりながら、赤谷川、白木谷川、大山川など川が数々ありますが、ここに土砂が堆積をして、次の大雨でもすぐに、水かさがなかなか下がらずにまた氾濫してしまう、そうした中で、夜も眠れないという状況が続いております。

 こうしたしゅんせつへの措置というのはどのようになっているか。この点もお聞かせいただきたいと思います。

津川大臣政務官 お答えいたします。

 河道が土砂あるいは流木等により著しく埋塞したことで、堤防や護岸等が決壊をし、甚大な被害が生じた場合には、その閉塞した土砂等の撤去に係る費用を災害復旧事業の対象というふうにしているところでございますが、今、先生から御指摘がありましたとおり、これ以降の出水でそのような被災が発生をするおそれが大きい場合、こういった場合も、そういった閉塞した土砂等の撤去に係る費用を災害復旧事業の対象とさせていただいているところでございます。

楠田委員 時間が限られておりますので、短くやっていきます。

 また、地元の桂川というところが筑後川との境でありまして、高低差があって逆流防止の堤防ができて、これによって被害がある程度抑えられるところでもありますけれども、逆に、それを閉めることによって、もともと流れてくる流れがあふれてしまうという慢性的な状況もございます。

 これは羽田大臣にもあえて上空から御視察をいただいたと伺っておりますけれども、この内水排除施設の設置がかねてより要望されております。この点、どのように考えておられるか。

 もう一つ、あわせて、国交省ですが、博多の奥座敷と言われる原鶴温泉地域というのがございまして、筑後川と分水路に囲まれた中州地域になっておりまして、ここも慢性的な浸水が起こり得るところであります。この浸水対策もどのように考えておられるか、この点もお答えをお願いします。

津川大臣政務官 今御指摘をいただきましたとおり、先日、羽田国土交通大臣も、現地、筑後川と桂川の合流地点を上空からヘリで調査させていただいたところでございます。

 御指摘いただきましたとおり、筑後川の片ノ瀬水位観測所におきましてのピーク水位が十・〇七メートル、観測史上第一位と、大変水かさが高くなったところでございます。

 現在、その地域、合流地点におきまして内水被害が発生をしたということにつきまして、雨量、水位データ等、被害の発生要因をまずしっかりと調査させていただきたいというふうに考えております。その上で、桂川の管理者であります県と連携をし、対応方針を検討してまいりたいというふうに考えております。

 また、原鶴地区における浸水被害でございますが、原鶴温泉街で温泉ホテルが一軒床上浸水をしたところでございますが、原鶴分水路排水ポンプにつきましては、朝倉市において設置、管理をされている施設でございます。地元の要望につきまして、施設管理者であります市から十分お話を伺いまして、国交省としても、技術的助言等、可能な支援をしっかりと行ってまいりたいと考えているところでございます。

楠田委員 国土交通省の管理の川、また分水路に囲まれた中州地域でもありますので、特に重点的に取り組んでいただければと思います。

 また、きょうは、農水省岩本副大臣にもお越しいただいております。

 先日は、大変暑い中、初めて隣の東峰村までお入りをいただきまして、一緒にくまなく回らせていただきまして、本当にありがとうございました。

 そうした中で、例えば久喜宮地区などでは、これからの収穫期に向けて農業施設の復旧が急務であります。これからに向けての迅速な措置をしていただきたいという点がございます。

 また、共済保険の対象外の作物被害の補償なども救済のはざまとなっている。こうした被害を想定せずに共済に入っていないという方がほとんどでありますので、こうした作物被害への救済ということも対応が重要だと考えております。あわせてお答えをいただければと思います。

岩本副大臣 お答えいたします。

 農作物の被害につきまして、農業共済に加入していない農業者も含めまして、農林漁業セーフティーネット資金や農林漁業施設資金等の長期また低利の融資等により被災農業者を支援していく考えであります。

 このため、例えば、最低金利〇・五%の農林漁業セーフティーネット資金等が十分に活用されるように、被災農業者に対する窓口における親身な対応、また適時適切な貸し付けの徹底について関係金融機関に要請したところであります。引き続き、被害状況を迅速的確に把握しつつ、農作物被害に対する救済に最善を尽くす所存であります。

 また、セーフティーネット資金枠の確保でございますけれども、株式会社日本政策金融公庫の災害関連資金につきましては、セーフティーネット資金に関して、過去五年間の当初予算ベースでは最大の三百十三億円を用意するなど、近年の融資実績も踏まえて十分な融資枠を確保いたしております。

楠田委員 時間が参りましたので、最後に要望だけ。

 こうしたさまざまな制度があるにせよ、地元負担は必ず高まらざるを得ないという状況であります。先ほど申した、制度のはざまの問題、またこれから、特別交付税などの財源措置も非常に重要だと思っておりますので、こうしたことを最大限講じていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

馬淵委員長 次に、望月義夫君。

望月委員 今回の大雨によって被害を受けられた皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、一日も早い復興を祈念したいと思います。

 実は、今回の九州北部豪雨の被害は甚大でありまして、自民党の谷垣総裁を初め、我々も一緒に同行させていただきまして、現地を訪ねて、そしてまた現場を視察し、説明をさまざま聞かせていただきましたが、視察をさせていただき、そしてまたお話を聞くにつけて、本当にひどい災害だったんだなというようなことをつくづく感じさせていただき、これは一日も早い激甚災害の指定とそしてまた復興をしていかなきゃいけない、我々自身もそういう決意をした次第でございます。

 その中で、全てのことを聞くわけにいきませんので、私は、竹田水害緊急治水ダム建設事業、俗に言う稲葉ダム、玉来ダムの現場について、象徴的な場所であるということで若干質問をさせていただきたい、このように思います。

 我々が話を聞きますと、この地域では十年か二十年に一度は水害に見舞われていると。そういうようなことで、ひもといてみると、江戸時代から、十年、二十年には必ずそういうような災害がある。

 そういうようなことで、このことについてはやはり特段の災害対策をしていかなきゃいけない、こういうような形で進んできたわけでありますけれども、特に昭和五十七年の集中豪雨によって多大な、とうとい命が奪われる、それから河川の氾濫、大水害、そういうようなことがございました。この水害を契機として、ダム建設の調査などが進められたわけでございます。

 そして、八年後の平成二年、昭和五十七年の水害を上回るかつてない豊肥大水害が再び竹田地方を襲ったわけでございます。そういうような形の中で、さまざまなことが検討されてまいりました。

 そこで、この大水害を契機に、平成三年に、竹田市街地上流に稲葉ダム、玉来ダムを建設する竹田水害緊急治水ダム建設事業が事業採択されました。ここで河川改修とダムの組み合わせによる複合的な治水対策が行われるということにやっとなったわけであります。

 そこでお聞きしたいんですけれども、稲葉川については河川改修を平成十一年に完了し、また、平成二十二年に稲葉ダムも完成をしております。治水事業はほぼ完了したんですけれども、玉来川については、河川改修は平成九年にはほぼ完成した状況にありますが、玉来ダムの整備がまだできていない状況にある。

 今回の九州北部豪雨において、稲葉川流域と玉来川流域でどのくらいの被害の違いがあるのか、それについてちょっと御質問したいと思います。細かくなくていいですよ、大体のことで。

関(克)政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の豪雨によりまして、大野川水系支川の玉来川、それから稲葉川についても出水があったところでございます。

 こういう中で、概略でございますが、玉来川におきましては大体百四十戸以上の床上浸水が発生しており、稲葉川の流域についても多少の被害は出ておりますが、このような規模の被害は発生していないというふうに聞いているところでございます。

望月委員 今、被害が出たところと、ほぼ出ていないというような形のものがありました。

 中川大臣が調査団としてこの十四日に被災地の竹田市を視察した際は、玉来ダムについては、被害を検証して、緊急性があるとわかれば、いつものペースではなく迅速に対応する、こういう発言をしたということが報道されております。

 いち早くここに出向いて、そしてこういうような発言をしていただいたということは非常に私は評価したいな、このように思ってはおりますが、地元にしてみますと、さまざまな地元の新聞を我々も見ているんですけれども、市長や住民が怒りの声を上げている。

 これは人災だ、そういうようなことを言っている方たちが非常に多くて、こういうような記事を見るにつけ、地元にしてみれば、逆に、何をのんきなことを言っているんだ、すぐにでも取りかからなければしようがないじゃないか、こういう甚大な被害が出てからでは遅い、何をしていたんだというようなことが非常に、我々も行ってみて、各首長さんからそういう話を聞きました。

 そして、我々自民党が主張するように、未然防止ということ、事前防止といいますか、そういうことがいかに大切かということを我々ももう一度確認し、認識してきたわけでありますけれども、玉来ダムさえ完成していれば、今回のようなこんな大きな被害は出なかったと考えている地元の皆さんに対して、大臣は、この玉来ダムの必要性について、視察も踏まえてどのように思われたのか、率直なお話を聞かせていただきたい、気持ちを聞かせていただきたいと思います。

 稲葉ダムに比べて玉来ダムの建設がなかなか進まなかった理由というのを把握しているかどうか、それについてお聞きしたいと思います。

中川国務大臣 私も現地に入りまして、この二つの河川、稲葉川と玉来川の状況というのをそれぞれ担当機関から聴取いたしました。

 御指摘のとおり、ダムとそれから治水が完成している稲葉川についてはほとんど被害が出ていないという状況、それに対して、玉来川については今回甚大な被害が出てきているということ、この違いというのを改めて、事前防災という考え方からいけば、しっかりと踏まえて、やはり必要なところにはしっかりとした投資をしていかなきゃいけないということ、これは大事なことだということを再確認いたしました。

 その上で、この玉来川のダムについては、平成二年七月の豊肥大水害などを受けて計画されたということを聞いておりますが、平成二十三年度時点で進捗率が一三%ということなんですね。

 確かに、我々政権交代してから、途中でそれぞれのダムについて見直しをやった期間というのがありました。そこの部分で事業のおくれはあったんだろうと思うんですが、ダムというのは非常に長い期間かけて完成をさせていかざるを得ないというところがありまして、そこのところが、考えていくと、このダムについても改めて見直しをした結果、やるということで国交省の方も結論を出しておりまして、それに向けての準備を今進めております。

 そういう意味で、今回の災害も含めてしっかりそれを受けとめて、できるだけ早い時期に、ダムだけではなくて、それぞれ河川の治水、それからもう一つは、ソフト事業として、どういうところを想定しながら、避難ということについても、あるいは災害を未然に、特に人災ということに対して防いでいくかというふうな工夫も含めて、総合的に考えていくということだと思っております。

 そういう意味で、今回の災害をしっかり受けとめて、これからの政策の基本にしていきたいというふうに思います。

望月委員 非常に真摯な気持ちで、今、大臣の気持ちを聞いていて、我々もう少しきつくやろうかなと思ったんですけれども、そういう気持ちでこの災害については当たっていただきたい、こんなふうに実は思います。

 しかし、民主党は、平成二十一年に政権交代以来、できるだけダムに頼らない政治へ政策転換するといって、ダムの検証を行うこととしたわけですけれども、個別ダム事業の検証がスタートしてから二年もたっているわけですね。それから、政権交代以後三年もダムの事業が進んでいないという状況にあるんです、こういう検証をしているところについては。

 これは玉来ダムについて私は聞いているわけで、この後、全体的なダムについて聞きたいんですが、もちろん八ツ場ダムについてもそうでありますけれども、この状況について、ようやく昨年十月に対応方針が決定されて、継続ということで事業が進められる、こういう形になった。

 今回、特にこの災害を見て、こういう形になったんですけれども、では、この二年、この三年は一体何だったんだ、そういうふうに実は我々は思わざるを得ないし、地域の、災害が毎年といいますか、十年に一度、二十年に一度大災害で町を潰されてきた皆さんにとってみれば、命を失ったり、そうした人たちにとってみたら、この検証とは一体何だったんだと。

 よく、高速道路もそうですけれども、とりあえず実験をするというようなことを言う。要するに、さまざま実験をしてみたいというようなことですけれども、政権をとる前にそういう実験だとか検証をするべきであって、そうして、政権をとったら実際にやらなきゃならない。

 実験をするなんというのは、よく言われる科学の言葉で言えば、我々人間はモルモットじゃないんだ、冗談じゃない、そういうようなことを言う人たちが非常に多いし、そのとおりだと私は思っております。

 そういうようなことを考えると、この二年間は、あるいはこの三年間は一体何だったんだ、そういう責任を大臣は、政府の防災担当の代表として、このことについて一体どういうふうに考えているのか、これについてお聞きしたいと思います。

 そしてまた、早期に完成することが重要であって、このことについて大臣は、現地でさまざまなそういう発言をしているわけではございますけれども、これは今後、おくれた二年を特段にスピードを進めてやっていくつもりなのか、やっとここで検証が終わったから、これからぼちぼちということになるのか、その辺についての決意をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 ダムについて、あるいは河川そのもののトータルな河川改修ということについては、今回のそれこそ経験もしたことのないような大雨という想定を超えた被害について、本当に、隣の川と比べるとやはりこれだけの災害が出たんだなという、結果が出たんだと思うんです。

 ところが、検証自体は、その中で必要のあるダムとそうでないダムと、あるいはダムという手法でなくとも、また違った形でさらに効果のある治水事業というのがあるということ、こんなことを総合的に検証することによって、それでやめたダムもその中にあって、それがまた財源として違った必要なところへ向いて転換ができるというような、そういう一連の予算の組み替えができたんだというふうに思っております。そういう意味で、検証というのはやはり大事なプロセスだったというふうに思っております。

 その上で、確かに必要なところについては、これから集中的にぜひ予算を向けていくというふうな、めり張りのきいた予算措置ということを心がけていきたいというふうに思っております。

望月委員 今、検証は大事だ、それはもう当たり前なんですけれども、この検証によって、事業を進めているものをとめているんですよ。それで災害が起きるんですよね。

 では、事業を進めているのを検証したというのは、これは……(発言する者あり)今どこかから犯罪だと言いますけれども、それは、事業を進めているものをとめて、検証したらもう一度必要だった、そしてその間にこういうような大水害が起きた。

 私は、決して、玉来ダムが今回の水害までにできていたかどうか、その前の我々の政権のときから間に合ったかどうかというのは、これはさまざまございます。しかし、この二年、三年の検証という間に事業がとまったんです、ストップしていたんです。では、完成が二年、三年おくれた、この間に必要だったものはもう一回検証させてもらいたい、政権がかわったから検証させてもらいたいと。事業は継続、そのまま進めなくてはいけないのをそこでとめているんですよ。そこで災害が起こって、いや、それは検証するというのも大事だったからとめたんですよと。それで人が亡くなった、うちが流された。どうするんですか、これ。

 そして、稲葉川の方はほとんどそういう災害がなかったんですよ。それから、玉来ダムは検証するもしないも関係ない、今回の災害でこれだけの被害が出ているんですよ。そうしたら、これは誰が責任を持つんですか。政府が責任を持つ。それをとめた政府が責任を持つのは当たり前じゃないですか、そんなこと。それを認識できないということが、私はこういうことについての甘さがある。これは、本当にそういう意味では、玉来ダムについては、地元に行って本当はおわびしなきゃいけないと思うんですよ、見てくるだけじゃなくて。

 そして、これは、私はここまで言うつもりはなかったけれども、大臣を評価している、よくここへ飛び込んでいった。多分、相当苦情を言われたと思う。だけれども、総理はその後、被害が大きかったところを回っているはずなんですよ。なぜ総理はここを避けたんですか。冗談じゃないよ、本当に。

 こういうようなところへ総理は絶対行くべきだ、謝るべきだ、防災担当大臣がそういうことをしなきゃいけないのに、こういうようなところを避けさせたのか避けたのか我々はわからないけれども、それでは、こういうような総理の日程をつくったのは一体誰なんですか。こういう報告を、総理が行く前にちゃんとしているんですかどうですか。それを聞きたい。

中川国務大臣 あのとき、市町村長さんあるいは県のサイドの皆さんともいろいろ話し合いを私たちも持ったんですけれども、三年おくれたから、それが原因で今回の被害が出たというふうな認識というのは私も持つことはできなかったというか、そうじゃないんだというふうに思うんですね。

 もうわかった上で発言をしていただいておるんだと思うんですが、もともとの計画からいって、それは、自民党時代からの計画の中で、ダムをつくるというのは、そう短兵急に完成を見込めるということではなくて、ある程度の時間的な経過というのを見ながら精いっぱいの予算づけをしていくということでありまして、仮にそのまま続いていったとしてもダムの完成まではいかなかったというような前提の中での話でありますので、そういうことだと思うんです。

 しかし、ダムが必要だということについては、改めて検証した結果、政府としても、それは完成をさせていくということで地元に説明をさせていただいて取り組んでいるということであります。

望月委員 今、さまざま大臣がおっしゃったように、そのときまでにダムができていたかどうかということは、これは間に合わなかったのかもしれないということは先ほどから私も話をしています。しかしながら、では、この二年、三年の間、検証した部分だけ、その間ずれた分だけで今度は災害が起きたら、そうしたらどういうことなんですか。これは気持ちとしては同じことなんですよ。

 ですから、そういうことを踏まえて事に当たらないと、これはそのときまでに間に合ったか間に合わないかという問題ではなくて、基本的な考え方がやはり違う、そういうことでこういうような状況が非常にさまざま起こっている、そういうことを私は言いたいのであって、そういう気持ちでないと、今後もこのような、実は皆さんの大きな題目の中にコンクリートより人へというような形で、要するに、ダムにできるだけ頼らない治水対策をやると言っているんですよ。河川改修はしてあるんですよ。しかし、ダムはできていないんですよ。では、これからどうするんですか。

 さまざまなところで検証して、私の地元でもやはりダムは中止になった。我々は地元の皆さんに謝りましたよ、本当に申しわけないと。ダムを検証した結果、そういうような形になったのかもしれないけれども、でも、地元の皆さんは、我々はもう何年もここに住んでいるけれども、こういうような水が出たとき、こういうような大豪雨が来たときに、さまざまつらい思いをして大変な思いをしている。

 何としてもやってもらいたい。検証というものが一体どうなのか。川の流れる水量だとか台風が来たときの雨量とか、そういう単なる計算だけで本当にできるかどうか、そういうさまざまなことを勘案して、やるということになったのではないのかね。ところが、それをやめてしまった。それを何年もとめてしまって、我々はそういうつもりで命を守りたいというようなことを政府にお願いしているのに、なぜやめてしまうんだ、なぜ延ばしてしまうんだと。

 だから、そういうようなことを、これはコンクリートより人だなんというような形が、それは当たり前なんですよ、コンクリートより人というのは。自動車よりも金よりも何よりも人でしょう。こんなのは言葉のロジックですよ。こういうことによって、さまざまなものがおくれてしまったということ。特に防災というもの。

 最近は、非常に局地的な大雨が降ったりする。特に、日本の場合には年間雨量が非常に少なくなっているんですよ。少なくなっているけれども、実際には被害が多くなっている。それは局地的な気候変動とかいろいろなことがありますから、そういうことでこういう災害対策をますますしていかなきゃならないときに、こういうような検証をやらなきゃならないとかなんとかというような形の中でおくれてしまうということになると、これはコンクリートより人だ、ダムにできるだけ頼らない治水、こういうようなものについての政策転換を図る。今回の災害、さまざまな災害について、この政権は一回反省をしなきゃいけない。

 これはもう一回見直します、看板をおろします、そういうことでよろしいんですか、大臣。

中川国務大臣 こういう防災計画というのは、不断の見直しをしていくということが大事だと思うんですね。

 ダムということについて検証を一旦行ったわけでありまして、これについて、やはり必要なダムもあるんだという結論をそれぞれ個別には出しております。ですから、今回出した想定の中で必要な投資はしていくということであります。

 さらに申し上げれば、集中的な豪雨といいますか、さっき気象庁の方からもお話があったように、やはり五十ミリ以上の集中的な豪雨という現象については、非常に全国的にもふえてきているというふうなこともありまして、私の立場としても、そうした想定の中で治水をどう考えていくかというのはやはり、もう一回も二回もまた想定を見直していきながら、全体の防災計画というものを立てていくということが大事だというふうに思っておりまして、一回やったからそれで全てということではなくて、さらにそうしたプロセスを繰り返して、真に安心のできる防災計画にしていきたいというふうに思っております。

望月委員 ここはしっかりやっていただきたいんですけれども、実際に、この検証によって十二のダムが今ストップしているわけですね。これについて、やはりいたずらに時間を費やしてしまっている場合がございます。

 それで、もちろん、もう一回やるということになった、それをやるはやるでいいんですけれども、結局、時間を費やしてしまった。それから、では、やらないというような形がどういうような形なのか我々もわかりませんけれども、やめてしまったダムをもう一回検証し直すのかどうなのか。こういうような、気象とか雨量とか、世の中が若干変わってきている状況の中で、では、やめたというようなものももう一回検証をし直すのかどうなのか。

 これについて、時間と、さまざまなことが変わればそういう形になるのかということをお聞きしたいと思います。

 それから、必要なダムまで完成をおくらせてしまったというようなことで、これに対する被害は非常に甚大だ。

 我々は今回、今後の自由民主党の公約の中に国土強靱化と。要するに、事後防災ではなく、事後防災だと十倍の費用がかかる。事後防災というのは当たり前ですよ、災害が起きたんですから。事前防災としてその十分の一でも二十分の一でもかければ、その被害がほとんどなくなるというようなことを考えると、これは絶対的にやるべきことはやらなきゃいけないというような形の中で、もちろん、では財源はどうかといったら、建設国債六十年、あるいは、百年に一度の災害だったら、百億かかるものだったら、百年で分担すれば一年間に一億という形になるんです。

 もちろん、これはある意味では景気対策、そういうことにもなりますけれども、こういう形の中で、総合的に、トータル的に、では、やめたところももう一度見直す、そういうつもりなのかどうなのか。

 そういうことについて認識しておりますけれども、検証についておくれたダムについても、今後早急な完成が望まれると思いますけれども、今の一連の話の中で、それについてどのようにお考えなのか、最終的にお聞きしたいと思います。

奥田副大臣 まず、九州北部の豪雨で命をなくされた皆さんの御冥福をお祈りするとともに、また、多くの被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今、玉来ダムの例をもとに、ダム検証のあり方ということについてさまざまな御意見をいただいておりますけれども、今、三十二ダムの検証が終わったところであります。その中で約三分の一のダムが中止、あるいは、別の治水の方法あるいは利水の方法によってその機能を代替するという結論を出させていただいているところであります。

 ダムの機能の大きさあるいは防災の必要性、そのことは十分に承知いたしておりますけれども、また、大きな事業費のかかるダム事業というものがどういう治水の機能あるいは利水の機能、環境保全の機能に置きかえることができるかということを私どもは真剣に検討させていただいているつもりでもあります。

 今、中止を判断したものをまた再検討するかというお話がありましたけれども、今、私どもが全力を挙げてやっておることは、事業主体、検討主体がみずから持ってきた結果を省内にため込まない、すぐに省内としての判断をしっかりとお返しできるようにということにまず第一の全力を挙げさせていただいているところでもあります。

 今、再度この事業を実施したいという申し入れがあるわけではありませんけれども、そういう背景があれば、そのことはまた真摯に受けとめることであろうかというふうに考えます。

望月委員 時間がございませんので、最後に一言言わせていただきたいんですが、私も、自民党が政権時代、副大臣をしていましたので、皆さんからさまざまな質問を受けて、今思えば、BバイC、費用対効果とかさまざま何回も質問されました。

 しかし、こういうことを考えると、十年に一度、二十年に一度の災害、こういうものに対して、単にBバイCとかそういったことで割り切れるものではない、やはりそういうものを本当に幅広く、時間、空間的なものを含めて考えていかなくてはいけないということを、私自身、野党になって初めて、今度は、ただ政権を攻めればいいだけではなくて、もう一度、そういうことに立ってやっていかなきゃいけないなということをつくづく感じました。

 そこで、私たちの国はやはり、風光明媚ですばらしいといって眺めているだけではだめな国なんだ。地震は多い。もちろん、世界の面積の〇・二五%ぐらいしかなくて、マグニチュード四以上は、地球上の一割は毎年来る、マグニチュード六以上は二割来る。それから、台風の通り道だ。災害が非常に多い国である。だからこそ、手を抜いてしまえば一気に荒れ果てていく。そういう国なんだということを、私、今回の台風によってますます確信を持ったわけでございます。

 そういう宿命があり、少しでも住みやすく、災害から人や命を守る、町を守るために自然に手を入れてきた環境というもの、今あるこの環境は、我々のずっと前の人たちが、食べるものも食べないで手を入れてきた、そして先祖からもらったものだ、そういう認識をやはり強くしていかなくちゃいけない。

 私たちはまた、これをよりよい形にしていかなきゃならない。ちゅうちょしている間がない。そして、公共事業というような名のもとに、こういったものを否定するような形の中で手を抜いてきた、そういうことが決してあってはいけない。私たちの子孫に、私たちの時代が苦労して、どんなに苦労しても、これをまた次の世代につなげていかなくてはならない、そういう使命がある。

 特に防災担当大臣は、ほかの国の大臣、防災担当よりもより責任の重い大臣だ、私はこのように思っております。ですから、公共事業なんというようなことで、名を変えてこれを否定するようなことが決してあってはならない、私はこのように思います。

 それでなければ、先ほどちょっとやじが飛んだわけでありますけれども、人の命までも奪ってしまう、これは犯罪でないのか、歴史的にそういうようなものが残ってしまう。そういうことにならないように、やはり民主党政権、せっかく国民から支持されてここまで来たんですから、最後までしっかりとその気持ちを持って、最初掲げたものは失敗したんだ、それだったら、しっかりとその看板をおろして、しっかりとこの国土を守るんだ、そういう気持ちをぜひひとつ持っていただきたいなと思いますけれども、大臣、最後に一言、大臣の御感想を聞かせていただきたいと思います。

馬淵委員長 簡潔に答弁をお願いします。

中川国務大臣 見直すということはどういうことかというと、必要なものにはしっかり金をかけていく、必要でないものについてはやめる、そうしためり張りのきいた見直しをしていくということだと思っております。

 その上で、防災ということから考えれば、何が今必要なのかということをしっかり整理していくということだと思いますので、これからもぜひよろしくお願いをしたいと思います。

馬淵委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは三十分の時間を与えられました。それぞれ簡潔に答弁をお願いしたいと思います。

 今回の九州の豪雨、多くの方が亡くなられました。また負傷されました。心よりお悔やみを申し上げたいと思います。

 私は、先週の月曜日に谷垣総裁と、その一週間前も党の災害対策委員長として現地に入り、二回、政府にも申し入れをさせていただきました。今お手元に申し入れの文書がございますけれども、最初は中川防災担当大臣に、そして先週の金曜日には藤村官房長官に、茂木政調会長ともども、あるいは坂本先生を初め地元の先生方と申し入れをさせていただいたところであります。

 その申し入れの趣旨をしっかり踏まえて、政府におきましても、スピード感を持ってやっていただきたいと思います。

 そういう中で、先ほど望月委員とのやりとりを私聞いておりまして、大変残念に思いました。災害に、今回も大臣が二日間行かれた。やはり現地を見るということは大変大事なことで、そういう速やかに現地に行かれたというのは私は評価をさせていただきます。しかし、さまざまな要望を聞いて、早く激甚指定にするとか、あるいは被災者生活支援法の柔軟な運用とか復旧復興工事の速やかな執行、これは当然であります。それに加えて大事なことは、今まで自分たちがやってきたことでどこか問題があったのではないか、何が問題だったのかな、そういう問題意識。自分たちの施策を検証するといいますか、そういう姿勢がなければ何も学ばないと思うんです。何も学ばない。そういう姿勢がやや欠けているのではないかと私は思いました、今の望月委員とのやりとりの中で。

 ダムのあれでさまざまなやりとりがありましたので、では、直接ダムではなくて、事業仕分けの話をさせていただきたいと思います。

 行政刷新会議、事業仕分けというのが、華々しく、政権交代してやられました。各省庁の役人を呼びつけて、テレビの見ている前でさまざまに追及して、そして、問題点はこうだ、これはこのように直すべきだとメディアでも何度も報じられ、また新聞でも報じられたところであります。

 さて、では、ダムを含む治水事業をどう評価していたか。改めて二年前の行政刷新会議の事業仕分けを見ると、地方との二重行政による無駄の排除、国と地方の役割分担の明確化、地方との連携などによる地方管理の拡大の検討、選択と集中をさらに行うべき、膨張への歯どめをルール化、優先順位の見直し、先送りなどにより事業費の縮減を行うべき。結果的に、ワーキンググループの評価結果は、もう治水事業は予算要求を一〇%から二〇%縮減すべき、これが結論なんです。

 では、この事業仕分けのそういうワーキンググループの、ワーキンググループといいますか蓮舫さんの報告というか、それを受けてどうなったか、結論的にどういう予算を組んだか。一〇%の縮減です。河川とか砂防とか、そういう予算がしっかり一〇%切られた。これが、この政権交代以降の、今日まで続く治水事業、河川事業への姿勢なんです。

 こういう姿勢というのは、大臣、間違っていませんでしたか。お尋ねします。

中川国務大臣 一つ一つの事業を、それが本当に効果あらしめるものなのかどうかということを改めて検証していくというプロセス、これは必要であったというふうに思っております。

 その中で、先ほども議論が出たように、必要なものはやはり投資を続けていく、あるいは、さらに見直しの中で、これから地震対策や津波対策、南海トラフあるいは首都直下、あるんですが、私の立場としては、恐らく、それに対してどのような形の整備をしていくかという議論、これは改めて持ち出さなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 そういう中で、ハードだけではなくてソフト事業も含めて、あるいは民間から資金を引っ張り込む、その中で全体の防災ということに対しての備えをつくっていくという、そんないろいろな知恵がこれから必要になってくるんだというふうに思いまして、そういう意味で、検証するというプロセスというのは必要なことだというふうに思っております。

谷委員 大臣、答えていませんよ。事業仕分けで、ダムを含む治水事業は一〇%から二〇%抑えるべきだと。要は、無駄があると判断しているんです。判断して、政府はどういう対応をしたかというと、一〇%予算を削減したでしょう。そういうことが今の時点で正しいかどうかを聞いているわけです。一つ一つ云々なんということじゃないんです。治水事業全体を事業仕分けしたんですよ。こういう粗っぽいやり方がいいかどうかは別問題として、現に平成二十二年にやっていますよ。公表されています。私はそれを見て言っている。

 明治七年から延々と続いてきた治水事業を、このように、私に言わせれば、現場も知らない方たちが粗っぽく、表面だけで、いわば唯我独尊的に評価した結果がこれなんです。こういう評価なんです。そして、それは予算にしっかりと、まあ、財務省も喜んだと思いますよ、減らせと言うんですから。はい、わかりました、そのとおり減らしますと、見事なぐらいに一〇%削減しています。

 こういう予算の組み方がよかったか悪かったか、どう思われますかということを大臣に聞いているんです。端的に答えてください。

中川国務大臣 事業仕分けを受けて、国交省の中では個別に改めて見直していったということだと思います。その中で、今必要とされるもの、そうでないもの、これを具体的に個別に仕分けをしながら予算づけをしているということでありまして、それは国交省なりの根拠を持ちながらそうした対応をしたということだと思っております。

谷委員 よくわかりません。よくわからない答弁でありました。

 きょうは、国土交通省から関水管理・国土保全局長が来られています。別に政治的な発言を求めているわけではなくて、今のように毎年一〇%削減して、日本の治水対策、安全性は守れますか。局長のお考えをお尋ねします。

関(克)政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどから御議論いただきましたように、今回の九州豪雨災害においても、各地において大きな被害が出ているところでございます。こういった被害を減らし、治水安全度を上げていくということは大事な施策であるというふうに私ども考えているところでございます。

 そういう中で、特に、優先地域の危険度、状況、そういったものを踏まえ、極めて限られた厳しい予算ではございますが、集中と選択、重点的に対応することによって少しでも治水安全度を上げていくことが求められているというふうに考えているところでございます。

谷委員 これ以上言うと関局長に御迷惑をかけますので言いません。非常に優秀な答弁だったと思います。満足は全くしておりませんけれども。

 大臣、政治家としての大臣にお尋ねします。

 私は、先ほどのお話を聞いていて、自分たちの政権のやったことを間違っていたということをこういう公の場で言うということはなかなか難しいかもわかりませんけれども、しかし、完全でなかったかもわからない、やや考察が足りなかったかもわからない、それぐらいの答弁ぐらいいただけるのかなと思っていたんですけれども、そういうこともございませんか。

中川国務大臣 私も政権の中に入っている立場でこの事業仕分けというのを受けた、受けてきた、こういうことなんですが、事業仕分けで、さっきお話があったように、その中にいる人たちにとっては緊急性があったり、あるいはそれなりの理論の上でこの予算が必要だ、こういうことを積み上げて、それで予算化してきているわけですが、やはり国民の目線からいくと、その論理が必ずしも正しいものではない、あるいは全く理屈のための理屈でつけているんだというような、そういう予算の組み立てもあるということの中で、全く違った分野から事業仕分けのメンバーが予算を切る、あるいは無駄を指摘するというプロセスがありました。

 それを実は、政権の中に入っている、三役を中心にした我々の立場からもう一度再検証をして、そういう切り方が正しいのかどうかということを精査しながら、その中でやはり無駄なものは省いていく、その中で出た予算を、確実に必要なところへ向いて集中的に予算配分をしていく、そういうプロセスを重ねてきました。

 そういう意味では、効果的にこの事業仕分けというのを使えば、それなりの無駄の排除と、それから、これまで何とか村、それぞれの分野で生きてきた人たちが、ある意味で自分たちの都合のいい理論構築をしてきたような部分についてはそれなりの排除ができてきているというふうに思っておりまして、そういう形でこの事業仕分けを見ていくものだというふうに思っております。

谷委員 もう一つよくわかりませんでした。済みません、理解力が悪くて。

 いずれにしても、大臣、それぞれの現場をよく見ていただいて、プロの意見もよく聞いてください。それは官僚のシナリオに乗っているとかそういうことではなくて、彼らはプロですから、国土交通省の立派な、そういう技術者がいっぱいいるんじゃないですか。その財産をうまく使っていない、私はそう思います。昨年の三・一一の復旧復興の過程でも活用できていない。それが今回の復旧のおくれの一つの原因だと私自身は見ておりますので、十分そういうプロの意見を聞くようにしていただきたいと思います。

 もう一度お手元の資料を見ていただきたいと思います。

 七月十一日に中川大臣に申し入れさせていただいた七項目、それから先週の金曜日に官房長官に申し入れをしました九項目。三枚目が、先ほど来議論のありました、望月委員がいろいろ言われました、稲葉川と玉来川の違いであります。

 右上の竹田市役所、竹田の市街地を取り囲むようにして、北の稲葉川、南の玉来川が流れ、稲葉川はおととしダムが完成し、そして玉来川は事業見直しによって二年間凍結された。そして昨年の秋、やっと再開ということが政府の方で言われた。

 上の稲葉川はほとんど氾濫しておりません。玉来川、このピンクのエリアが氾濫区域、浸水区域でありますけれども、みんな玉来川の流域だということであります。

 さて大臣、これから国土を強く、しなやかにするために、具体的にどう取り組んでいかれますか。予算は相変わらず、それでも一〇%削減で治水事業はやっていくんですか。要求省庁としての考え方、防災担当大臣としての考え方をお尋ねします。

中川国務大臣 防災は、国家の基本的かつ極めて重要な任務であるというふうに考えておりまして、特に、東日本の大震災というものを受けて、これを徹底的に検証していくということによってこれからの日本の基本をつくっていくということをしっかりわきまえていきたいというふうに思っております。

 自民党の強靱化社会、この提案にもありますように、事前防災というものについては、これは非常に大事な考え方だというふうにも思っておりまして、インフラ整備を、被害の最小化を主眼とする減災という考え方に立ってしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

 これは、ハザードマップを作成する、治水ということであれば、それぞれ、恐らくこれまでの想定の見直しもしていかなければいけないということになっていくと思いますが、特に地震や津波ということになると、ハードだけでそれを防いでいくということについて、御党の議論もまさにそういうことでありますが、なかなか限界がある。それだけに、ソフトと一体となった組み立て、それから都市計画の中でそういうものをしっかり組んでいくためにも、民間の資金も合わせた資金調達の工夫等々、さまざまな考え方を組み込みながら計画を立てていくということだと思います。

 さらに、御党からも御指摘いただいておるように、予防的な修繕あるいは計画的な更新ということについても、災害が起きてからの復旧復興と比べると、それに耐えていくような、そういう予算の使い方をしっかりしていくということ、こんなことも大切なことだということを考えておりまして、具体的に今もう既に取りかかっております。あるいはまた、自民党時代からそういう計画がなされておりますが、そうしたものを改めてしっかり組み合わせながら対応していくということだと思っています。

谷委員 もう少し明確な決意をお尋ねしたかったんですけれども。今までと違ってしっかり上向きに予算が確保できるように防災担当大臣として全力で取り組みたいとか、そういう決意を。何も中川大臣が予算を査定するわけじゃないんですから。少なくとも要求時点は、もう今のままではだめですよ。このままの、こういう予算を毎年組んでいては、人が災害によって亡くなって、財産も失って、地域が疲弊するだけです。しっかり取り組んでいただくよう要望をいたします。

 さて、具体的に何点か、残りの時間でお尋ねしたいと思います。

 激甚災害の指定の話が民主党の議員の方からございました。恐らく指定はされると思います。けれども、今、総理が現地に行かれて明らかにされているのは、農地関係について激甚指定のめどが立ったと。しかし、御存じのように、地元にしてみれば、別に農地は大した話じゃないんです。公共土木なんです。

 ただ、今の仕組みがいいかどうかというのは、私はちょっと疑問に思います。要は、大きな災害を受けた、公共土木等という概念があります、それで、その被害が、それぞれの自治体の財政規模によって、一定額以上であれば激甚になります、農地は農地であります、また、ほかのあれも、いわば縦にばらばらにあります、こういうやり方、縦であるということ。また、公共土木施設の中に庁舎は入っていないでしょう。公民館も入っていないですよ。では、これは実態に合っているのかな。例えば、大分の竹田、川のそばにある文化会館がやられました。相当やられています。あんなのも、あれだけ被害を受けても、公共土木施設等の中には入りません。

 大臣の所見といいますか、見直す必要があるのではないか、まあ、私もまだ具体論を持っているわけではございませんけれども、それについての所見をお尋ねします。

中川国務大臣 この激甚というのは、災害を前提にした、第一弾の、災害に対する補助金のかさ上げが一つあって、それにもう一つ、激甚という形で、二段構えの適用ということになります。

 先ほどのお話のように、それぞれ個別の項目、公共土木あるいは公共的なインフラ、それから農業あるいは中小企業というような形であるわけですが、確かに、遅い、もっと早くそれを表明すべきではないかという議論に対しては、基本的に、災害が起きて、その災害の積み上げによって基準を決めているということがありまして、その災害の査定あるいは災害自体の積み上げが終わらないと結論が出せないというところに時間的な経緯の問題があるんだというふうに思うんですね。

 しかし、では、それ以外の基準をどういうふうに考えられるか。例えば、一つの台風が来て、その台風の大きさとかあるいはその台風自体の勢力とかというもので、それが来たときには、それから被害を受けたところには例えば激甚を適用しますよというような、そんな基準が決められるのであれば、相当早くそうした意味での対応はできるんだと思うんですが、今の前提というのはそうじゃなくて、それが来てから、被害が起きて、その被害がどれだけ積み上がるかということなものですから、どうしても時間がかかるということが一つのネックなんだと思うんです。

 それで、できるだけ工夫をしたいと思っていますのは、一つは、見込みでやれと。今回も農業は見込みなんですが、大体積み上がってくる中で、正式に手続を経ずとも、これはいけるだろうというところは、いけるという形で我々が情報を出して、それに対して市町村長さんを中心に元気よく復旧対策をやっていくというふうな環境をつくっていきたいということで、今の制度の中で最大限の工夫をしている、それが一つ。

 それからもう一つは、一つの災害の期間というのがありまして、集中豪雨がぽんと一回来て、一日、二日の集中豪雨だけをとって激甚という積み上げをするのか、梅雨時期で、前線が行ったり来たりしているあの一連のものをトータルでもって積み上げるのか、ここも大きな違いが出てくると思うんです。

 ここも今の制度で工夫ができるとすれば、でき得る限り、前線が行ったり来たりして、梅雨期であるということを、トータルな一つの災害期間として激甚災害をとっていくという形で積み上げていくという工夫をしています。

 それを超えて、さっきお話のあったような形でトータルで見直していくとすれば、恐らく、この激甚の考え方自体、根幹になっているものも含めて考え直していかなきゃいけないプロセスになるというふうに思います。

 そこについてもまたお知恵をいただいて、では、見直すとすれば、どういうふうにこれを使い勝手のいい、そして市町村長としては、これでもって元気の出る形になっていくのかということ、ぜひまた御提言もいただいて、一緒に次のステージに持っていければというふうに思っておりますので、そのことも含めて、検討はしっかりしていきたいというふうに思います。

谷委員 今、災害対策法制全般を見直しているわけであります。これについても大きく見直す必要があるのではないかと私自身も思っていますので、またいろいろお互いにこの問題についても協力しながら進めさせていただきたいと思います。

 時間ももうなくなってしまいましたが、最後に気象庁の羽鳥長官にお尋ねします。

 今回の九州の後半の豪雨を九州北部豪雨と名づけられました。自民党の方も災害対策本部を設けていろいろ御説明を伺ったんですが、そのときに気象庁の説明では、九州は北部と南部しかない、南部というのは鹿児島、宮崎だけなんだ、それ以外は北部なんだ、そういう、機械的に決めているんだという説明でありました。

 しかし、この後、坂本議員の方からも質問があるかもわかりませんが、九州の方にしてみれば、熊本、大分が北部なのか、熊本は長いですわね、五木の方も北部なのかと。感覚が何か相当ずれている、これは名称を考えるべきではないか。先週金曜日に藤村官房長官にもその旨を申し入れさせていただいたんですが、再度、その点について、見直しの方向があるのかないのか、お尋ねします。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、顕著な災害、例えば浸水一万棟ですとかそういった災害が発生したときに、顕著な災害ということで命名をしてきてございます。

 今回の大雨につきましては、熊本県、大分県、福岡県を中心として大きな被害ということ、あるいはさらには顕著な雨ということで、平成二十四年七月九州北部豪雨と命名したわけでございます。

 この九州北部という地域名につきましては、気象庁の天気予報等の通常の発表で、福岡県、佐賀県、大分県、熊本県、長崎県、さらに山口県を含むという形で、山口県はちょっと特異でございますので、いつも九州北部(山口県を含む)という形で一般の方に公表させていただいているところでございます。

 今回の命名に当たりましても、これまで使ってきた従前の方式で地域名を考えまして、九州北部豪雨と命名したところでございます。

 このような天気予報等で用いている名称につきましては、広く一般に周知する必要がございますので、当然これまでも何度か見直しをしておりまして、地域名も含めて、関係機関やインターネットのホームページを通じて意見を伺って定めてきてございます。

 最新のものは、平成十九年三月ということで定めて、それを今まで使ってきてございますが、ただいまの先生の御指摘のように、情報で用いる用語といいますのはさまざまな受けとめ方があるということもございますので、引き続き、関係機関等の御意見を踏まえながら、適切な用語を用いた情報の発表に努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

谷委員 ぜひ、今まで以上に地元の方によく聞いていただいて、また検討を進めていただくように御要望を申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

馬淵委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今回、当特別委員会で質問の時間を与えていただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 今回の九州の豪雨、阿蘇地方、それから菊池地方、さらには熊本市の一部となっております植木地方、全部私の選挙区でございます。責任の重さを痛感しているところでもありますが、なぜ私のこの選挙区だけがこういった被害を受けたかといいますと、やはりそれは、阿蘇に源流を発して、そして政令指定都市になりました七十二万の熊本市を貫通する一級河川白川があるということ、それから、阿蘇あるいは鞍岳という山がありますけれども、その地方に源流を発して、そして山鹿、玉名市を通って有明海に注ぐという菊池川、これも一級河川でございますけれども、この二つの一級河川があるということがやはり大きなその要因でございます。改めて、治山治水の重要性を、私たちも含めて再認識したところであります。

 当特別委員会でも早速視察をいただきました。中川大臣にも視察をいただきました。また、自民党におきましてもいち早く災害対策本部を設けていただきまして、谷垣総裁も来ていただきましたし、あるいは総理も来ていただきました。各地からお見舞いもいただいております。心から感謝をいたしたいと思います。

 また、昨日は台湾の方から、熊本県の東京事務所、それから大分県の東京事務所に多額のお見舞金をいただきました。これは日本と台湾がいろいろな形で親交を結んでいる、そのあかしでありますし、昨年の東日本大震災に続いて、こういう地方の災害につきましても台湾の方からいろいろと心配をしていただく、心から敬意とそして感謝を申し上げたいと思っております。

 そういう中で、まず第一点として、今回の豪雨のパターンといいますか、これを考えてみますと、九州におきましては大体通常のパターンであるわけです。梅雨に入りまして、しとしととずっと長雨が続きます。そして、梅雨明けから大体一週間から二週間前に一気に豪雨が訪れるというのが通常のパターンでございます。そのときにどのくらいの豪雨になるのか、そしてどのくらいの土石流が発生するのか、あるいはどのくらいの河川の増水になるのかということで、被害が甚大になったりあるいは最小限度に済んだりというようなことになります。

 今回の場合も、七月の二十三日に九州地方梅雨明けということになりました。ですから、いつものパターンで考えてみますと、それから一週間前あるいは二週間前、七月の初めからが一番危険な時期であるということは、結果的に、梅雨明けから計算してみますとそういうパターンになるわけです。

 今、語り継がれております、昭和二十八年、熊本で四百二十二人の死者を出しました六・二六水害、これも六月二十六日で梅雨明けの一週間ほど前でございました。その後の平成二年の七・二水害というのがありました。これも今回の阿蘇地域と同じように土石流によって十数人の死者が出たところでございますが、これも七月の二日でございました。

 ですから、大体六月の下旬から七月の十日前後、この辺が一番危険な期間であるということで、この期間に何らかの国民への周知を徹底すること、特に九州地方においてはこれがやはり大事かと思います。

 そこで、気象庁長官にお尋ねいたします。

 大体、いつも同じような形、期間を繰り返しているわけですので、この期間に、梅雨期の末期に対して、もっと細かな情報あるいは注意を促す工夫、こういったものが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 九州では梅雨末期において梅雨前線が活発化し、集中豪雨が発生しやすい環境にあります。特に梅雨末期の場合は、前線が九州の北部あるいは日本海の南部ということで、湿った暖気が入りやすいということで集中豪雨が発生しております。大規模な被害が繰り返し発生するということでございますので、引き続き気象庁としても、梅雨末期における大雨について注意を喚起するとともに、情報の的確な発表に努めていきたいと思います。

 以上でございます。

坂本委員 いつも同じことを繰り返しているわけでありますので、私たち、地元に、九州地方に住んでいる者としては、そろそろ大雨が降るころだなというような警戒はするわけですけれども、それに対してさらなる工夫をぜひお願いしたいと思っております。

 そして、次の質問に移りますけれども、気象庁の予報の方法あるいは雨量の伝達の表現方法についてでございます。

 昨年の紀伊半島の大水害で、五十ミリの雨が降っている、あるいは六十ミリの雨が降っているということが非常に、実感としてわからない、わかりにくいということで、表現方法が変えられました。かつて経験したことのない大雨が降っているというような、より一般の方々に、市民にわかるような形での表現方法となりました。

 しかし、問題は、その表現がどれだけ、どういう意味を持っていたか、何の目的でその表現方法が変えられ、その目的を達していたかどうかというのが一番のポイントであるというふうに思います。

 かつて経験したことのない雨ということであるならば、それを自治体が受けとめて、かなりの警戒をしなければならない。そして、自治体がそれを受けて各住民の方々に、危険な地域の方々に避難勧告を出す、あるいは避難指示に引き上げる、そういうことをしなければいけない。そして、それを受けとめた住民の方々がいち早く避難をする、あるいは警戒態勢に入る。また、消防団が警戒する。こういう、気象庁の発表、予報と、自治体の受けとめと、そして現場の住民の方々の行動移行、これが結びついていなければ、どんなに表現方法を変えても、これは気象庁だけの自己満足になってしまうというふうに思うわけです。

 そこで、私の方でつくりました資料を用意してみました。気象予報それから避難勧告、指示、さらに、土砂崩れが起きた地域、さらには死者、行方不明、これを時系列的に並べてみました。

 雨は七月の十一日から降り始めましたので、十一日の十六時五分に大雨洪水・浸水注意報というのが出ております。そして、非常に雨が強くなった七月の十二日午前零時三十分に大雨洪水・浸水警報というのが出されております。この警報は二時間置きにそれぞれ出されております。零時三十分には、同時に、土砂警報というのもそのときに出されております。そして、これまでに経験したことのない大雨になっているという警戒を呼びかけたのが十二日の六時四十一分、明け方でございます。

 一番雨が降っていた時期はどの時間か、どの時刻かといいますと、この右下を見ていただきたいと思いますが、阿蘇の乙姫地区というのがあります、ここにアメダスの降雨計がございますので、そこではかられた雨量でございますが、七月の十二日の三時の時点で、時間百六・〇ミリの雨が降っております。四時の時点で八十七ミリが降っております。さらに、五時の時点で九十五・五ミリ、六時の時点で九十六・〇ミリ。この四時間の間で四百ミリあるいは五百ミリ近い雨が一気に降っているわけですね。

 そして、かつて、これまで経験したことのない大雨になっていると警戒を呼びかけたのは、この雨がやや小雨、やや小さくなった六時四十一分ということになっております。

 では、それに対して、あらゆる警報やこういった表現方法に対して自治体がどういう措置をとったかといいますと、阿蘇市の場合には、七月の十二日午前四時、市内全域に避難勧告あるいは避難指示というのを出しております。それから、阿蘇市に隣接いたします南阿蘇村、これは立野地区というのが被害を受けたわけですけれども、ここには、十二日の七時十一分、避難指示が出されました。多分これは、かつて経験したことのない大雨になっているという六時四十一分の気象庁の予報を受けてのことであろうというふうに思います。

 そして、土砂崩れはいつ、何時に起きているかといいますと、阿蘇市の坂梨地区が六時三十分と七時、両方に起きております。これは住民からの連絡でありますので、起き始めた時間はこれよりも早いということになります。三野地区で四時五十五分、そして六時、あるいは六時五十二分と、相次いで土砂崩れ、土石流が発生をいたしております。三久保地区では六時、そして南阿蘇では五時に土砂崩れの連絡があっております。

 そして、それぞれに、一番右の方に書いてありますように、七人の死者、四人の死者に一人行方不明、五人の死者、三人の死亡、二人の死亡というふうになっております。

 つまり、警報を出すというのは、気象庁の警報でしょうけれども、それを自治体がどう受けとめるかということが一番大事であります。かつて経験したことのない大雨になっているというこの表現方法で予報を出していたときは、既に全てのところで土砂崩れが起きていた。また、地元の自治体については、避難勧告をしていた、あるいは指示をしていた、しかしそれが十分ではなかったということであります。

 予報、あるいは表現方法、そしてそれをいかに自治体にしっかりと根づかせるか、あるいは自治体との間でそこの相互理解をどういうふうにやっているかというのは一番大事なことでありますし、そして自治体から避難指示あるいは避難勧告をどういうふうなタイミングで出すかというのも大事なことである。

 本当を言うならば、七月十二日になる前に、これは明け方でありますので、熟睡期の一番深夜でございますので、かつて経験したことのないような大雨になる可能性があるということで、十二日の前の十一日の日に避難を呼びかけている、そういう連携が気象庁と自治体と住民の間でとれていたならば、この二十三人の中の何人かの命は救えたのではないかというふうに私は思います。

 その発表方法、表現、そして自治体との相互理解、さらに、それをどこまで住民の方々に理解していただけるか。そのことについて、今回の反省があるならばどういう反省をされるのか、そして、これから改善するということであればどういう改善をされるのか、お伺いをいたしたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、気象庁はさまざまな情報を発表しておりまして、これに伴って、自治体あるいは住民の行動をどう結びつきを高めていくかというものは重々、気象庁としての大きな課題ということで、地方自治体等との連携を深めることとしてございます。

 先ほど御紹介ありましたこれまでに経験したことのないような大雨という表現でございますが、これについては、基本的に、実況から、雨の降り方に基づいて、尋常ではない状況にあるとの気象台の持つ危機感を伝えるということでございますが、この前の、前提としまして、大雨洪水警報あるいは土砂災害警戒情報というものを通常発表してございますので、その前提の上でさらに危機感を一層伝えるということで今回新たに発表したものでございます。

 先ほど先生御指摘いただきましたように、昨年の台風第十二号のときに雨量という形で発表してございますが、雨量では一般の方あるいは自治体の方もわかりづらいということで、今回このような、経験のないというような表現を用いた次第でございます。

 また、自治体等における避難指示等の判断を支援する情報といたしましては、先ほど申しましたように、この新たな情報の発表の前に大雨警報あるいは土砂災害警戒情報を発表しておりまして、従前からこれについて避難等の判断に利用していただきたいという形で整理はしてきてございます。

 この六月に新たに開始した、経験したことのないような大雨の状況について伝える情報でございますが、これにつきましては、さらなる行動ということで、避難等の安全確保行動をさらに促す、あるいは大規模災害に備えて迅速的確な応急対応に資するといったことでスタートしたものでございますが、先生御指摘のような予報という観点ではまだまだ不十分でございますので、今後予報技術を高めて、さらに、前もって情報を発表できるような努力というものが必要かと思いますが、技術的にはかなり困難なところがございます。

 いずれにしましても、今回の情報につきましても、地方自治体等に事前には説明しておりますが、やはり不十分な点はあったということは反省すべきだと思いますので、今後、大雨警報あるいは土砂災害警戒情報も含めてトータルとして、自治体等の十分な御理解を得て、連携を深め、具体的な行動に結びつけるように努力してまいりたいと思います。

 以上でございます。

坂本委員 結果として、やはり、自治体あるいは住民と気象庁、県も含めてでしょうけれども、連携がとれない、その結果、こういうふうになったと思います。

 それで、今言われましたけれども、注意報ではもう余り誰も驚かなくなりましたね。警報も、やはり昔の警報ほどではない、これだけ局地的な災害が多いと。そうすると、また新たにもう一ランク引き上げた形の、警報の上に存在するもの、こういったものも必要ではないか、もっときめ細かに、幾つかに段階的に分けて発表する、そういった予報の仕組み、工夫も必要ではないかと思いますけれども、長官、いかがですか。

羽鳥政府参考人 気象庁の発表する情報は極めて多岐にわたり、複雑になってきているというのは先生御指摘のようでございまして、現在、気象庁としましては、やはり情報体系をそろそろ全体的に見直して、さらに改善する必要があるということで考えてございます。

 したがいまして、先生の御指摘も踏まえまして、今後検討を進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

坂本委員 今回は梅雨でありましたけれども、やがて夏が過ぎますと台風もやってまいります。それまでには何らかの改善をしておく必要があるというふうに私は思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、最後の、避難行動についてでありますけれども、これは、時間的にも、ちょうど夜中の二時、三時、四時、五時であったということ。そして、かつて経験したことのないような、時間百ミリ前後の激しい雨音がするということ。そして、当時は雷も鳴っておりました。雷鳴もとどろいておりました。避難というところまでなかなかいきません。

 各市町村では、それぞれ防災無線を流して避難勧告をしたということでありますが、防災無線というのは、こういうときは全く役に立ちません。家は閉まっておりますので、聞こえるはずがありません。

 最終的には、これは、危険を冒して地域の消防団の方が出動して、それぞれの戸をたたいて、あるいはポンプ車で避難を呼びかけるというアナログ的な方法しかありませんでした。あとは、地域の方々が心配をされて、四トントラックやワンボックスカーにお年寄りを乗せて、そして避難所に午前四時に向かわれた、あるいは午前五時に向かわれた。そこで、残った人、あるいはワンボックスカーに乗った人、これで生死の分かれ目になったというようなケースが今回の場合には多数ありました。

 ですから、避難のためのシステムをどうしていくかというようなことは一番難しい問題です。しかも、こういう土石流が起きる地域は、やはり中山間地域、山間地域であります。急峻な勾配があって、集落が四戸、五戸ある、あるいは十戸、二十戸あるというところであります。こういうところにいち早く避難指示をして、そして避難を行動に移すということ、これは総務省の仕事である。そこは、各市町村、自治体あるいは集落と十分に連携をとっておかなくてはなりません。そして、防災無線も役に立たないということになると、あとはどういう方法があるのかということになってまいります。

 今、地域コミュニティー無線施設というのがありまして、これは防災無線で流したものがそのまま無線で各家に届くというものであります。ただ、これは設置するのに三万円から五万円かかります。ですから、各集落が、それぞれ宝くじの益金の割り当てがありますので、これを目指して今要望が殺到しているというような状況であると私は聞きました。

 今後、それぞれ末端に至るまで、きめ細かな、避難に対する、あるいはその他の災害に対する状況を説明する、そしてそれを行動に移させる、避難という行動に移させる、そのためにどういうことを総務省はこれからさらに進めていったらいいというふうに考えますか、お答えをお願いいたしたいと思います。

稲見大臣政務官 七月六日に総務大臣政務官を拝命いたしました稲見哲男です。皆様の格段の御指導をよろしくお願いいたします。

 坂本委員にお答えをいたします。

 緊急時の住民への情報伝達につきましては、市町村の防災行政無線等により、その実情に応じてさまざまな手法をとっているということでありますが、今委員の御指摘などもあるわけでございます。

 したがいまして、総務省では、この防災行政無線に限らず、メール等の多様な手法で住民への災害情報の伝達を行うことが重要であるというふうに認識をいたしておりまして、昨年の第三次補正でいただきました予算で、住民への災害情報伝達手段の多様化の実証実験というのを六団体で今行っているところでございます。その有効性の検証をこれからしていこうというふうに考えております。

 さらに、ことしの五月の茨城県等におきます竜巻被害等を踏まえまして、地方公共団体における災害情報等の伝達のあり方等に係る検討会、こういうものを開催いたしておりまして、住民への情報伝達について全体像を明らかにしていきたい、その結果を踏まえて、Jアラートや市町村防災行政無線を初めとする住民への多様な災害情報伝達手段の整備促進に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

坂本委員 防災無線が機能しないということをやはり重く受けとめていただきたいと思うんです。

 そして、先ほど言いました地域コミュニティー無線施設というのは、防災無線がそのまま各戸の、各家のスピーカーにつながります。そのスピーカーが無線でつながるわけですけれども、大体三万円するそうです。それから、メールというのは、お年寄りにはわかりませんし、それから台風時には停電もありますので、メールそのものが見えないというようなさまざまな課題があると思います。

 今、そのコミュニティー無線にセットして備えつけられているのが、グリップシステムといって、ばっとお年寄りの方が握れば、今からどこかに避難したいんだけれども助けてくださいというようなことが自動的に消防本部あるいは市町村役場の方に流れるというようなシステムがあるようでありますので、今、多様なシステムを今後研究する、検討するということでありましたけれども、一番大事な部分はこの部分、転ばぬ先のつえ対策、これをぜひ早急にやっていただいて、平成二十五年度の予算等にやはり盛り込むこと、私は、これは本当に大切なことであるというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 先ほど谷委員の方からもありましたけれども、この命名の問題です。

 九州北部豪雨、私たちには全く北部という認識はありません。大分と熊本は九州の中部であります。

 中九州地域高規格道路、中九州横断道路というのが今建設中であります。以前は、甲子園の出場は各県ではなくて中九州大会というのがあっておりまして、熊本はいつも大分に負けて、大分の津久見高校とか大分商業がいつも甲子園に行って、多分、連続大分になったこともあると思います。中九州駅伝大会というのもやっておりました。

 ですから、これは気象庁の方で北部、南部ということに分けること自体に無理があるのではないだろうか。やはり、自然現象というのは、山間部あるいは海岸部。そして、例えば福岡県の中でも福岡北部、福岡南部、今度豪雨がありました八女とかあるいは久留米以南は、私たちは普通は福岡南部というふうに言っておりますし、少なくとも九州の北部ではない。今度災害がありました球磨郡の相良村などは、これは当然、南部には属するけれども北部ではないというふうに思います。

 ですから、この命名というのは、簡単につけていただくと困るし、やはりこれは大事なんです。最初、大震災のときも、神戸大震災とか阪神大震災とか言っておりました。しかし、やはり被害がいろいろなところに広がっているということで、最終的には阪神・淡路大震災ということになりました。昨年も、これは政府の方だったと思いますが、当初、東北大震災というふうに呼んでおりました。しかし、これは長野もある、あるいは千葉もある、そして茨城もある、さまざまなところに被害があるというようなことで、やはり住民の方々にとりましては、この命名というのは、救済策の範疇に入るかどうかというのは非常に重要な要素であります。

 この命名に対して、先ほど、今後の見直しも検討するやの答弁にも受けとめられましたけれども、この命名の問題、それから気象区分を改めて検討するという問題について、長官どう思われますか。

羽鳥政府参考人 命名の問題の経緯につきましては先ほどお答えしたとおりでございますが、これまで予報の用語で使っていますものについては、関係機関、先ほど説明しましたように、一般からの意見も踏まえて改定はしてきてございますが、時代とともに、あるいは受け手によって受け取り方が違うということも重々承知してございますので、今後必要に応じて、的確な用語になるように見直しは進めていきたいと思っています。

坂本委員 ぜひ見直し、そして改善をお願いいたしたいと思います。

 続きまして、激甚、激特事業の採択の問題であります。

 市町村の財政は非常に弱まっております。住民の方からも、これは激甚に指定していただかなければ到底、町村でやれるものではないという多くの声が出ております。そういうことで、ぜひ激甚への指定、あるいは激特事業の採択というものをお願いいたしたいと思います。

 ただ、先ほど長官が言われましたように、どの期間からの豪雨を激甚の期間とするかというような問題があると思います。私たちの感覚では、やはり七月二日から三日、大分県の耶馬溪を中心に大変な豪雨となりました。大分豪雨というふうなことを最初私たちは言っておりました。そして、その十日後に、今度は熊本、竹田、こういったところで豪雨大災害となりました。そして追い打ちをかけるように、八女地方、黒木地方、こういったいわゆる福岡の南部地方の豪雨ということになりました。

 今回の場合には、七月の初旬から七月の十四日にかけて三連発の大変な豪雨があった、時間当たり百ミリ前後の、百ミリに近い豪雨があったということでありますので、私は、この激甚を考える際の基準、これは七月の初めからということで計算をする、あるいは考慮すべきであるというふうに思います。そのことをまず第一点、お伺いいたします。

 それから、激甚の中に、激甚災害以外に、局地的に大きな被災をした場合の局地激甚災害というのがあります。いわゆる本激と局激というふうに分かれているものでありますけれども、この局激について、その基準が余りにもハードルが高過ぎるというふうに私は思います。

 自主的に入る各市町村の財政に対して査定レベルで五〇%以上の被害額がなければ局激に指定されない、それが基準であると。自主税収の五〇%以上というのは、これはもう壊滅的な状態であります。自治体の規模によって、それは二〇%になったり二五%になるというようなこともありますけれども、この局激に関してはやはり弾力的に運用すべきである。しかも、それぞれの今の自治体は非常に財政的に疲弊をしております。なかなか自主財源、あるいは県とともに復旧復興作業等をするというところまではいきません。

 ぜひ弾力的な運用と、そして改めて激甚への指定をお願いいたしたいと思いますけれども、これは防災担当大臣、そして激特事業につきましては国土交通省にお伺いをいたしたいと思います。

中川国務大臣 今回の激甚災害指定については、先ほどの気象庁の北九州にこだわりません。全体、いわゆる本激については、梅雨期を通じた一連のものとして指定をしていくということにしております。

 具体的には、先ほどお話のありましたように、六月の八日から前線が出てきて、そこから被害が出てきておりますので、そこから始めて、梅雨明けが日本の国内で大体調っていくまでということでありますので、現在も被害が起きているところについては、それを入れ込んでいく、それで積み上げていくというような形で、でき得る限り幅広くとっていくということに努めていきたいというふうに思って、そのように指示をしております。

 それから、農地等についての災害復旧事業に係る査定見込み額、これが大体全国を対象とする指定基準に達してきておりますので、閣議決定なんかを含めた正式な手続を経ることなく、政治的にといいますか、私たちの思いの中でこれは大丈夫だということを発表させていただいております。この間、野田総理が現地に入られたときにそのような判断をさせていただいて、できるだけ早くその判断がそれぞれの地方自治体に伝わって、その前提で復旧事業をやれるということを考えていきたいと思います。

 それから、局激については、熊本県の阿蘇市で、中小企業関係の被害額が特別の助成に係る指定基準に達する見込みとなっておりますので、これについても大丈夫だろうということを発表させていただきました。

 さらに、残っておるのは公共土木施設関係なんですが、これがなかなか積み上げに達してきておりません、基準に達してきておりませんものですから、できるだけ弾力的に運用するように、迅速にその辺の対応をするようにということを指示しております。

奥田副大臣 坂本先生の御地元の皆様にも心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 今、激特事業に関しての御質疑をいただきました。

 まずは、再度災害防止のための応急復旧ということで全力を挙げております。そして、白川、菊池川水系に関しましては、緊急対策、応急復旧というものは完了をさせていただきました。

 本格復旧について、またこれからの調査結果を踏まえ、必要な堤防整備、堤防強化の治水対策、そして河川激甚災害特別緊急事業、激特事業も含め、どのような事業手法であればより速やかに対応ができるのかということについて早急に検討し、対策を実施してまいりたいと思います。

 今現在におきましては、一般被害調査という形で水系に係る被害状況をまとめさせていただいているところでもあります。

 以上です。

坂本委員 中川大臣におかれましては、本激への指定もぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。それから、激特事業の方も、河川改修がこれから本格復旧あるいは復興になるわけですので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 そしてもう一つ、やはり今回は土石流が人命を奪いました。この阿蘇の場合の土石流というのはやはり非常に難しいものがあると思います。熊大の先生、あるいは熊本にあります崇城大学というところの地盤工学の先生、こういった方々によりますと、桜島とはまた違う、三千六百年前につくられた非常にかたい地盤層があって、その上に二メートルぐらいの黒ぼく土というやわらかい粗い土が乗っている、それが崩れるんだと。ですから、各地から証言があっておりますけれども、杉の木が立ったまま土石流として流れてきた、山腹が崩壊してきたというのがあちこちで聞かれました。

 ですから、今後、砂防対策、単なる砂防だけではなくて、スリットダムあるいは砂防のスリット化も含めて、各地域地域に応じていろいろな砂防対策が必要であると思います。

 ちょうど、九州大学を中心としました土壌あるいは土石流調査団というのが七人によって結成されまして、今入っております。そういった調査団、一年かけて調査するということでありますけれども、やはりもっとスピーディーに対応していただいて、そして国との連携を図って、それぞれの地域にマッチした土砂どめ対策、土石流対策、砂防対策というものをお願いいたしたいと思いますけれども、国土交通省の御意見をお伺いいたします。

奥田副大臣 坂本委員御指摘のように、阿蘇の方に特質な地質というものがございますし、また、幾つかの激しい災害を経験してきた地域でもあります。砂防事業などを進めておりましたけれども、効果を発揮した砂防、そして、今お話しのように山腹崩壊という形でまた大きな犠牲を出したという、ある意味の教訓と反省というものもあります。

 今、熊本県の方と緊急砂防事業を調整しておりまして、阿蘇の緊急砂防事業の後に、また激特ということも継続して考えていかなければいけない状況かなというふうに思います。

 土石流対策、これは地域の安全確保のために全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

坂本委員 災害関連緊急砂防事業というのがありますけれども、これが多分県の方から上がってくると思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 あと二問ありましたけれども、これにつきましては要望にかえさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

 先ほども言いましたように、地域にとって一番頼りになるのは、それは国の組織でいえば自衛隊あるいは警察でありますが、地域の組織でいえばやはり消防団であります。避難一つにいたしましても、その後の復旧にしましても、捜索にいたしましてもそうであります。それと、さらにその後さまざまなお手伝いをするためのボランティアであります。この消防団の育成、さらにはボランティアの育成、これにぜひ力を入れていただきたいと思います。

 それから、もう一つは農業関連でございますが、民主党政権になりまして、土地改良事業とか、あるいはそのほかの共済事業とか、こういった目に見えないものに対しての予算が削られました。所得保障という形で、目に見える形でお金はばらまかれるんですけれども、生産基盤となる土地改良事業あるいは基盤整備事業、そして農業用水事業、さらには、今回のように災害に遭った場合の共済事業、こういったものが大幅に予算が削減されております。

 今後、やはり、それぞれ農業基盤がしっかりして、生産手段がしっかりしてこそ、将来にわたる農業生産や農業への意欲が湧くというものでありますので、その辺の予算措置も、これからこういった災害を機に十分考えていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

馬淵委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 続きまして、自民党の岩屋でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。委員長を初め理事の皆様にお礼を申し上げたいと思います。

 そして、今般の豪雨災害によって亡くなられた方々、また被災をされた方々に対しまして、心からお悔やみを申し上げ、またお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の豪雨は九州全域に甚大な被害をもたらしたわけでございますが、先ほど質問された坂本先生の地元の阿蘇も大変な被害でしたが、私どもの大分県におきましても、二度の豪雨によりまして県下全域に被害が広がったと言っても過言ではないと思います。特に、日田市、竹田市、豊後大野市、そして、私のちょうど地元になるわけですけれども、耶馬溪を中心とする中津市。本当に、今まで経験したことのないような集中豪雨によって、地域の古老の方々もこれほどのことは今まで長く生きてきたけれどもなかったと言うほどの被害が発生をしております。

 私ども自民党の調査団も、一回目の豪雨の直後に現地に入りまして、その結果を大臣に御報告に上がらせていただきました。大臣もできるだけ早く行きたいというお話でございましたけれども、二回目の被害の直後になったと思うんですけれども、まさに生々しい現場を見ていただいたと思います。大臣の迅速な対応を私は評価したいと思うし、感謝申し上げておりますが、率直に、現場を見られて大臣はどういう感想を持たれたか、まず聞かせてください。

中川国務大臣 中津市には二回目だったんですが、ちょうど一回目に入ったときにまだ雨が降っておりまして、時間にしたら四十ミリから五十ミリということなんですが、それでもすごい雨だと感じましたけれども、百ミリというのはそれこそ想像を絶する雨だったんだなということを改めて実感いたしました。

 さらに、二回目には中津の方にもお邪魔したんですが、一回目がやっと片づいて、なえた心が何とか起き上がってきたというところに、また改めて、本当に前よりもひどい形で冠水をした、あるいは浸水をして流された、そんなことでありましたので、本当に住民の皆さんにとって、いろいろお話もさせていただいたんですが、やるせない思いであったというふうに思っております。

 改めて、心よりお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。

 平時とは異なるということでありますので、復旧に対して手続を、余り平時のいろいろなことは言うな、それは後でちゃんとするという前提の中で工事に入ってもらっていいですよ、そういうメッセージをそれぞれ地方自治体の担当者の皆さんにもしっかりとお話をしてまいったつもりでありますので、市長さんや知事、県の担当者を初め、ぜひ早急に、迅速に発注して頑張っていただきたいというふうに一つは思っております。

 それからもう一つは、ここでも先ほどから御指摘がありましたけれども、ボランティアの皆さんが現地に入っておられるんですけれども、過疎化あるいは老齢化でそうした対応がなかなか進んでいないもっと多くの地域があるというふうにもお聞きをしておりまして、これは息の長い形でやっていくと同時に、広域的なボランティアに対しての呼びかけといいますか、そういうものも国としてやっていくようにということで、これも指示をしたところであります。

 何せ息の長い話になると思いますので、そのような下支えを、我々もこれからもシステムとして考えていきたいというふうに思っています。

 それから、中津では特に、日ごろからの訓練が非常に行き届いていて、その結果、速やかに住民が避難できたということを改めてお聞きしまして、その状況もつかませていただきましたけれども、これは非常に大事なことであるということ。それと、継続的な訓練のあり方というのを非常に参考にさせていただいて、また、モデルとして皆さんにも説明をしていきたいというふうに思っております。

 最後に、阿蘇など、先ほどお話が出ましたが、たくさんの犠牲者が出ました。ほとんどが山崩れ、土砂災害なんですね。そのときに、先ほど御指摘もありましたが、避難の対応というのが夜中であったということ、それから、警報が本当に行き届いていたかどうか、多重化できていたかどうか、消防団の必死の活動も恐らくあったんだろうと思うんですが、それにもかかわらず犠牲が出たということ、ここについては、やはり改めて検証をして、避難が迅速にできる、あるいは、その地域として一つの問題意識を持ちながらそれに対応していくというような体制をつくっていく必要があるというふうに思っております。

 そんなことを検証しながら、これからも制度を見直していく、あるいは、それぞれ地方自治体との連携をとってその地域でしっかり対応ができるような体制をつくっていくということで、頑張っていきたいと思います。

岩屋委員 やはり災害というのは、政府の指揮官が一刻も早く現場を見る、見ていただくということが一番大事だと思いますね。そういう意味で、生々しい被災直後の状況を大臣が見ていただいたということは、私は非常に意義があったと思います。

 地域の皆さんも生活がありますから、やはりすぐに片づけにかからなきゃいかぬ。一週間も二週間もたてば、写真だけは残っているけれども、一体、当時はどういう状況だったのか、これがきちんと把握できないと適切な対応につながっていかないと思います。

 悲しいかな、我が日本列島は災害列島ですよね。だから、これから先も、いつ何どきどういう災害が発生するかわかりませんが、大臣におかれては、一刻も早く現場を見るということをこれからもぜひ心がけていただきたいと思います。

 野田総理も現場に入っていただきました。大分県にお見えになった際に、激甚災害の指定を急ぎたいというふうに表明していただいたことも、地域にとっては本当に心強いことでございました。

 しかし、この激甚災害指定ですが、従来の積み上げ方式でいったのでは、いつのことになるやらわからない。国のバックアップが早目に表明されなければ、県も市町村も安心して作業に取りかかることができないということでもございます。

 また、先ほど坂本委員の質問にもありましたが、数次にわたる災害が重なっておりますので、一体、いつごろにどういうやり方でこの激甚災害指定をおやりになるおつもりか。

 質問が重複いたしますけれども、重ねて、政府の今の考え方を聞かせていただきたいと思います。

後藤副大臣 私も、七月三日の大雨直後の三日目の六日の日に大分、日田市と福岡県朝倉市に行って、その二度目の災害のときに、二十日、先週の金曜日でありますけれども、総理に同行しまして、阿蘇、熊本、大分、そして福岡という三カ所を集中的に視察させていただきました。

 特に感じたことは、先生の御地元のお隣の日田市には二度行って、二度の比較をして一番強く印象に残ったのは、一級河川である花月川が、一次のときには、下流の方がやはり堤防が決壊をして、大きな被害を受けたと。二回目のときには、この上流の方で四時間の四百ミリ以上の集中豪雨が集中して、十メートル近い堤防、ぎりぎりのものが四時間近くもったんですが、四時間たったときに決壊をして、また大きな被害を受けたと。

 いろいろなお話を聞きながら、やはりできるだけ、先ほどから大臣がお話をしているように、今回の大雨というのは、梅雨前線という形で、六月八日から梅雨前線が停滞をしながら大雨をもたらしているということで、六月八日以降、まだ梅雨が明けておりませんから、期間としたら、梅雨全体が明けるまでという一つの期間を持ちながら、そして、先生がおっしゃるように、私も、一番初めの七月の六日の日に、できるだけ激甚災害に向けて国としても努力をするので、査定に向けたいろいろな協力をお願いしたいと、県、市町村にもお願いをいたしました。

 その際に、やはり人的に、先ほども大臣が繰り返しお話をされているように、まず応急復旧ということを、人命を助けるということに、市町村、基礎自治体の方々、職員の方は特にそこに集中をしたということで、なかなか災害査定が進んでいないという現状があると思います。

 そういう意味で、二十日の日に総理と御同行した際に、農地等の部分につきましては、まず、全国的に激甚に見込めるという、これは積み上げということでありますけれども、指定をさせていただくめどがついたという指示を関係省庁に出したということで、それ以降、今やっているのは、特に公共事業の激甚ということが大きな課題の一つだというふうに思っています。

 これは、昨年のあの東日本大震災の際にも、早期の復旧復興の支援ということで、いわゆる平面図をたくさん積み上げてというこの作業を、設計図面の大幅な簡素化ということで、平面図面を航空写真で代用するとか、計画図を標準断面図で作成するとか、そこで迅速にして査定を早くするということにしていきたいというふうに思っています。

 あわせて、今まで国交省の方では、九州整備局を中心に、前半の大雨と後半の大雨、大分、熊本、福岡、それぞれ集中的でありますけれども、七月四日から二十四日までの間に延べ五百五十六人の職員を、被害状況の調査と復興方針の技術的支援ということで人的には対応をさせてもらっておりますし、あわせて農水省の方でも、水土里災害派遣隊ということで、七月の六日から二十日の日まで、これはほとんど日帰りということで少なくなっていますが、延べ十四人。国交省の方では延べで五百五十六人という形での人的なサポートも行っているところでございます。

 いずれにしましても、このような査定事務の簡素化等をできるだけ行いながら、国の方でも、人的支援を通じまして、早期に復旧事業に取り組んでいけるように対応を進めていきたいというふうに考えております。

岩屋委員 かなりいい意味の政治的判断をしていただいて、手続をできるだけ簡素化していくとか、今、副大臣からお話があったように、人的なサポートも行っているということでしたが、特に人的なサポート体制を充実していただきたいと思うんですよ。

 大分県は、全国でも一番と言っていいぐらい、真面目に合併をやったところなんですね。だから、耶馬溪とか本耶馬溪とか山国というのは、この間までは一つの自治体を構成していたわけですが、中津市と合併をしたということで、昔の役場は全部支所になっていて、当然その職員もどんどん計画的に減らしていくということをやってきておりますので、現場の職員の皆さんも手いっぱいですよね。

 だから、大方、見込みで激甚災害を指定いただいても、もちろん、血税を投入することですから、査定はしっかりしなくちゃいかぬ。その査定がやはりできるだけスピードアップできるように、これからもしっかり国からの人的サポートをよろしくお願いしておきたいと思います。

 それから、被災者生活再建支援法についてでございます。

 これは、私も不勉強で詳細の仕組みをついこの間まで存じ上げなかったんですけれども、いざ地元で災害が起こってみて調べてみると、かなり事細かに基準が決められているという仕組みなんですね。わからないではありません。やはり当該市町村の体力に応じて、体力が乏しいと判断されれば県の連合や国が応援してあげようということですから、同じような被害が発生しておっても、すぐに適用になるところと適用にならないところが出てくる。これはわかるんですけれども、ただ、当該地域の皆さんにしてみると、同じ被災をしたのに何で隣町は適用になって俺たちのところはそうじゃないのかという不満だとか不安だとかいうものが出てきたこともやはり事実でございます。

 今般については、特に柔軟な対応が、柔軟な適用が必要なのではないか、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

郡大臣政務官 お答えをいたします。

 岩屋先生御指摘のように、被災者生活再建支援法の趣旨というのは、被災した市町村ですとか都道府県だけでは対応ができない、困難な、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助、そしてまた国の財政支援により対応しようというものでございます。

 規模の小さな災害に対する対策は、被災地方公共団体において対応することが可能でありまして、当該地方公共団体による対応が期待されるとの、むしろその方がいいのではないかというような考えを前提としているものでございます。

 こうした制度におきましては、今の御指摘もございましたけれども、それぞれの地方公共団体の対応で、同じような被害を受けた被災者でも、見舞金的性格を有する支援金を受け取ることのできる人と受け取れない人、そういうふうな差が出てくるというのも事実なんだろうと思います。こうした問題につきましては、不公平の問題というふうに捉えるということもある一方で、それぞれ地方の自主性の領域の問題というふうな捉え方もあるというふうにも考えているところです。

 なお、お尋ねの例で申し上げれば、支援法の適用対象とならない、都道府県の相互扶助の対象とならないところですけれども、そういう場合、都道府県が自主的に支援法と同水準の支援金等を被災者の方々に支給した場合には、この支給額の二分の一を特別交付税措置をさせていただいております。

 いずれにいたしましても、さまざまな観点から総合的にじっくりと対応していかなくちゃいけない、検討していかなきゃいけない課題の一つであろうという問題意識を持っているところでして、知事会の方々も含めて、さまざまな関係の方々の意見もお聞かせいただきたいというふうに考えているところでございます。

岩屋委員 具体的に申し上げると、今般、大分県でいえば、日田市と竹田市は直ちに適用になったんですね。市街地を流れる川が氾濫しているので、住宅密集地を流れる川が氾濫したので、被害戸数は当然多くなるわけですが、私どもの中津耶馬溪地方というのは、どっちかというと中山間地帯を流れる川が氾濫をしているので、もともと戸数そのものが少ないということもあったわけですね。

 支援法の仕組みを見ると、人口十万人以上だったらどうだ、以下だったらどうだ、床上浸水は三戸あれば全壊一戸にみなすんだみたいな規定がずっとあって、それは数が足らなきゃ適用にならないんだみたいなことで、現地では、これはどうしても数が足らない、もう一回全職員歩いて回って、もっと被害があったはずだ、数えて回れみたいな騒動になっておったわけですね。だから私は、ちょっとこの仕組み、今回の教訓も踏まえて、見直していってはどうかと。

 それから、今、県によっては同様の措置がとれるように準備しているところもあるというお話でしたが、ない県もあるんだろうと思うんですね。だから、全国的にほぼ同様の対応がこの種の被害においてはとれるんだという仕組みにやはりしておく必要があると思うんですけれども、制度を見直す、あるいは知事会とももう一回よく相談をする、そういうおつもりはございますか。

中川国務大臣 じっくり相談を始めています。

 ちょうど竜巻があったときも同じような問題が出てきまして、県によっては条例化しているところとそうでないところが出てきまして、ちょっと困ったんですが、対応は、あと条例化していない県が予算措置でそれに対応したということであります。

 今の制度でいけば、県がそうした準備をしておっていただく、その上にこの支援法が、広域的に大きな被害があったときに互助会的な組織としてかぶさっていく、こういう前提になっています。しかし、被災者にとっては、そんなことはわからないですから、さっきのようなお話が出てくるんだと思うので、それをしっかり理解できるような制度に変えていくにはどうしたらいいかということ、知事会と協議しながら考えていきたいというふうに思います。

岩屋委員 大臣、ぜひその協議を続けていただいて、より国民の皆様にわかりやすい、納得していただける仕組みに変えていっていただきたい。災害に与党も野党もないので、私どもも全面的に協力をさせていただきたいと思います。

 それから、農林水産業、たくさんの被害が出ておりますし、中小零細企業にも出ております。耶馬溪の地域の皆さんが店を出し合ってつくっている小さな商店街なんというのは、二度にわたって被害に遭って、せっかく泥を全部掃き出して、商品を全部並べかえたところにまた泥が入ったということで、二回目に私が行ったときは、ちょっと声をかけるのも何か申しわけないなというぐらいの感じでした。

 こういう方々の事業再開支援についても、しっかり国として対応していただきたいと思いますが、農林水産業に関しては、天災融資法の発動をやっていただきたいと思うし、また、政府系金融機関等によって、中小零細企業者の事業再開もしっかり支援していただきたいと思いますが、どういう対応をとっていただけますでしょうか。

佐々木副大臣 被災を受けられた地域の皆さん方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 九州地方、今、農林水産省で、七月十八日現在ですが、約一万二千カ所、約百三十億円の被害というふうに我々はまとめているところでございます。

 今お尋ねの資金繰りの関係でございますが、天災融資法の発動を待たずして、農林漁業セーフティーネット資金という長期低利の資金がございますので、それの利用が可能でございますので、ぜひ御利用いただきたいというふうに思ってございます。

 今お尋ねの天災融資法に基づく資金でございますが、実は、それに比べて、このセーフティーネット資金の方が、償還期限あるいは資金の使途などの面で有利でございます。さらに、借入も迅速にできるというようなことがございますので、ぜひ先生の方からも地元の皆さん方にお伝えをいただきたいというふうに思っているところでございます。

 制度が、セーフティーネット資金の方が後からできているものですから、天災融資法を待たずしてこれが使えるということでありますので、直ちにこのセーフティーネット資金の円滑な供給ができるように、あるいはまた、既往の貸付金の償還猶予などについて農水省から依頼を申し上げているところでございます。

 以上でございます。

柳澤副大臣 お答えさせていただきます。

 経済産業省としましては、今般のこの豪雨災害による大分県、福岡県、熊本県の被災中小企業に対する政府系の金融機関による支援としましては、別枠の融資制度、いわゆる災害復旧貸し付けの適用、それから、既往債務の返済条件の緩和等の措置は既にとらせていただいております。

 現在、政府系金融機関の各支店では特別相談窓口も設置しまして、あるいは中小企業団体のところも含めて、相談窓口は七十一カ所になります。そこで、被災中小企業からの事業再建等に係る資金繰りの相談をきめ細かくさせていただきたいというふうに思っております。

 これからも、被災中小企業の実情に応じて柔軟に対応させていただいて、できるだけ早期復旧に経産省挙げて御支援をさせていただきたいと考えております。よろしくお願いします。

岩屋委員 ありがとうございます。

 しっかりお取り組みを願いたいと思います。私も、地元の皆さんに今の御答弁の内容をしっかりお伝えしてまいりたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、ダムについて、二件お伺いしたいと思うんです。

 山国川は、ダムがありながら、二回にわたって氾濫をしてしまったわけですね。地域の皆さんの気持ちからすると、ダムをつくってくれているのに、しかも、最近、気象庁がかなり正確な予報をしてくれていたにもかかわらず、二回も氾濫した、やはりダムの水量調整というのは本当に適切だったんだろうかという思いを抱いても不思議ではないと私は思うんですね。

 だから、私は、今回、本当に適切な調整ができておったのかどうか、しっかり分析する必要があると思っているんですけれども、この点については、国交省はどういうふうに分析をしておられますか。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 耶馬溪ダムの水量調整について御質問をいただきました。

 私どもも、被災地の皆様方からそういった思いをお聞かせいただいているところでございますが、実際の現場での水量調整につきましては、現段階、私どもとしては、河川整備基本方針に基づきます計画にのっとった形で適切に対応されたものというふうに考えております。

 ただ一方で、被災者の方々の思い、特に二度も水につかるといった大変な御苦労をされている方々に対しまして、私どもとしても、まず、河川全体の基本方針を含め、いかにして治水安全度を高めていくかということ、それから、地域の方々に御協力、御理解をいただき、整備を進めてまいりましたダムの調整のあり方につきましても、しっかりと、被災者の皆様方、地域の皆様方に丁寧に御説明をさせていただきたいと考えているところでございます。

岩屋委員 今回は、適切な水量調整をしたにもかかわらず、その想定をもはるかに超える豪雨であったというふうに私は理解をしておりますけれども、やはり、地域住民の皆さんが、そういうダムの水量調整の仕組み、やり方について、十分に理解をしていただけるように、これからも、これは大分県のダムだけではない、全国のダムにおいて、国交省はしっかり努力をしていただきたいと思います。

 一方、ダムがなくて氾濫をしてしまったというのが竹田市でございまして、お手元に資料を配っていると思います。大臣、この前にもそういう質問が出たと思いますが、玉来川ですね。

 これは、私は民主党だけのせいにするつもりはありません。もう随分前に同種の被害が起きたにもかかわらず、自民党政権時代も、結果としてはきちんと対応できなかったわけですね。しかし、そこで民主党政権に交代して、ダムに対する政策、あるいは治水に関する予算などを大幅に見直すことに至った。そこにこの災害が襲ったということですから、お互いの反省に基づいて、これは抜本的な対応をしていかなくちゃいかぬと思うんですね。

 この豪雨は何十年に一回と言っていますが、本当にそうかどうかわかりません。来年もまた同じことが起こるかもわかりません。同じような被害がもう一回起こったら、国は一体何をしていたんだということになると私は思います。

 ぜひ、玉来川、ダムについては、整備推進という方向にかじを切っていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

津川大臣政務官 玉来川でございますが、平成二年の七月に発生をいたしました豊肥大水害を受けまして、大分県が事業主体として、平成三年にダムの建設事業に着手をしたものでございます。

 まず、国土交通省といたしましても、全国の治水安全度を高めるということについては待ったなしであって、一刻も早くその事業を進めていかなければならないと基本的に考えております。

 一方で、治水事業そのものは、言ってみれば、全国、上限がないものでございますが、その中で、基本方針あるいは整備計画、そういったものに従いまして、順次、治水安全度を高めるということを進めております。

 そのペースを決めるものは幾つもございますが、用地の確保といったものもございますが、一つの大きな要素が財政制約でございます。その中で、私どもとしては、これは補助ダムでございますが、ダム事業につきまして検証というものを行わせていただき、現在、三十数ダムについて検証を終わらせていただいているところでございます。その中で本当に必要なものについては、ぜひダム事業として速やかに整備をしていきたい。

 現在、検証が済んだ中でも三分の一程度につきましては、ダム以外の手法の方がよりすぐれている、そういった結果を出していただいているところでございますので、その他の手法を使いながら、速やかに治水安全度を高めるということを進めているところでございます。

 この玉来ダムにつきましては、昨年の十月に検証を終了しておりまして、補助交付を継続するという方針を国として決定しているところでございますので、事業主体であります大分県にもしっかりと補助を出させていただきながら、速やかな整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

岩屋委員 速やかな整備に向けて、国としてしっかり支援をお願いしたいと思います。

 ちょっと質問が残りましたが、時間が参りましたので、政府、与野党、一体となって、一日も早い復旧復興のために努力をしていきたいというふうに思いますので、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

馬淵委員長 次に、木村太郎君。

木村(太)委員 午前中の最後ですので、大臣、皆さん、お疲れさまですが、よろしくどうぞ。

 まず、九州地方の豪雨によって被災された皆様方、お亡くなりになった方々にお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 九州地方の豪雨被害とは全く規模は違うわけですが、私の地元で竜巻も発生しまして、さらに局地的豪雨という被害が出てまいりました。

 そこで、以下質問していきたいと思いますが、まず、竜巻に関してなんですが、五月にも茨城、栃木で発生しまして、七月五日、今度は私の地元で竜巻が発生し、住宅家屋、あるいはまた、主産業であるリンゴもかなりの被害を受けております。

 七月十一日、我が党の九州の豪雨の申し入れの際に、中川大臣に、私は今、自民党の青森県連の会長もやっていますので、県連としての要望もさせていただいて、大臣はしっかり頑張りますというお話をしてくれました。ただ、その後私は質問主意書を出しまして、きのう返ってきた内容を見ると、まことに冷たい内容だな、こう感じたものですから、以下質問させていただきたいと思います。

 先ほど岩屋委員と皆さんとのやりとりにもありましたが、竜巻によって住宅の被害を受けた皆さんの一番の願いは、やはり住宅の復旧をしてもとの生活に早く戻りたい、そのために、お話があった被災者生活再建支援法に基づく制度を何とか適用できないかということなんですね。しかし、先ほど岩屋委員も指摘しておりましたが、ある程度の全壊の戸数がなければならないとか、いろいろな条件があるわけであります。ただ、どうなんでしょうか、九州のこういう豪雨もそうですが、竜巻というのは局地的でありますし、また雨だって、今、ゲリラ豪雨という言葉が当たり前になって局地的に降るわけですから、実態に即した見直しをすべきであるというふうに思っております。

 ちなみに、同じ選挙区であります国土交通政務官も視察されて、地元紙に答えているんですが、住宅については内閣府の被災者生活再建支援制度があるので、できる限りの応援をしたい、こう言っておりますから、地元の市長も被災者も、ああ、これは何とかなるんだな、現場ではそう思っているわけであります。

 先ほどの答弁ですと、制度の適用の見直しをこれからするというようなことを言っておりますが、見直しをしなければ適用はならないわけですけれども、特例的にもこれはやってくれるんだな、政府高官のお話を聞いて地元ではそう思っています。どうですか、大臣。

中川国務大臣 竜巻を契機にしまして、この支援法の運用についてはさまざまに議論をいただいております。御指摘のように、狭い範囲なんだけれども、一人一人の被災者にとっては、激甚といいますか非常に災害のレベルが高い、そういうことに対して支援法をどう適用するかということだと思うんですね。

 これは、阪神・淡路の大震災を受けて、この支援法の枠組みをつくってきたわけですが、あのときからさまざまな議論があって、特に、個人に対して財政的にというか税で支援していくということに対してのかたい抵抗があったものを突き破ってこれをつくったんだと思うんですね。

 それだけに、互助会的に、県を中心にして、県の方も支出をしていただいて、国の方も半分寄って基金をつくって、それで、互助会で、それぞれの個別の自治体で賄っていけないような範囲の広い歳出レベルの高いものについてこれを適用していこうという前提で組んだということなんですが、その前提は、では、今回のように個々で甚大な被害が起こったものにはどうするんだということになると思うんです。

 それは、恐らくこの法律の想定しているのは、それぞれの県がみずからの制度の中で条例化して、そこの個別の部分については見ていくということが前提だと思うんですが、なかなか県も、それをやってくれている県とそうでない県とがありまして、向こうはやっているじゃないかというような、茨城と栃木でそういう話があったんですが、それは予算措置を慌ててやっていただいて、竜巻では、全部を賄えるというかカバーできるような形になりました。

 青森、御地元も、そうした前提でいくと、この法の趣旨からいくと、県が頑張ってもらわなきゃいけないということになるんですね、今のところは。しかし、こんなことを毎回毎回繰り返していてはということで、ちょっと知事会と話し合いを今始めておりまして、その誤解がないようにということと、この趣旨をどういうふうに持っていくかということを含めてしっかり検討していきたいと思います。

 また、仕組みとしてどうつくっていくかというのを、知恵をおかりできればというふうに思っていますので、そんなことも含めてこれからの議論ということになってまいります。

木村(太)委員 私は、県政与党ですから、県の方にも申し上げておりますので。しかし、国全体としても知事会とも連携していただきたい。

 ただ、大変恐縮なんですが、被災者にしてみればきょうあすの生活なわけですから、検討するということでなくて、やはり今、国として何ができるかということを最大限考えていただいて、県や市とも連携して取り組んでいただきたい。

 全壊が何戸以上なきゃいけない、半壊がどうだとかありますけれども、全壊、半壊、一部破損みたいな区分けも、同じ半壊でも明らかに違いがあるじゃないか、現場を見てもそう感じるんですね。そういうところからも、一度見直しをしなきゃいけないんじゃないかなというふうに感じておりますので、ただ、今困っている被災者をぜひ助けていただきたい。お願いしたいと思います。

 リンゴに関しても被害が出ておりますので、農水省、どのような対応をしますか。

今井政府参考人 竜巻によるリンゴ被害につきましてお答え申し上げます。

 七月に青森県で発生しましたリンゴの竜巻被害につきましては、弘前市におきまして、枝折れが六十四本、倒伏が百四本という被害報告を受けております。農林水産省といたしましては、こうした枝折れや倒伏等の被害につきまして、ことしの春先の大雪による被害対策と同様に、被害果実の植えかえ、あるいは、これにより生ずる未収益期間の支援等により復旧を支援していくという考え方でございます。

木村(太)委員 のこぎりで切ったんじゃなくて、本当に鋭い日本刀で切ったような折れ方をしておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

 私の方でも、九州ほどではありませんが、局地的な豪雨が発生しましてかなりの被害が出ております。地元に、国直轄の一級河川三本が合流する地域が、リンゴ園地が泥をかぶっちゃって大変な被害であるんですが、現場を見ますと、やはり、土手のかさ上げをちゃんとしたところとそうでないところがはっきりしております。国交省もいろいろやってくれているんですが、抜本的な河川の改修に至っていないというのが、地元の地域の皆さんの率直な思いなんですね。

 ですので、河川の整備計画というものを根本的に見直してきちっと災害に対応していく、このことが今一番大事だと思うんですが、河川の整備計画の見直しというのが余りされていないような気がするんですが、国交省、どうでしょうか。

関(克)政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、ことしの七月十六日も、岩木川の中流部で、河川敷にあるリンゴ園において冠水被害が発生したところでございます。

 私ども、御案内のように、この岩木川の河川改修については、まだ堤防のないところもございます、こういったところ、それから、水が流れるところを掘削し、少しでも治水安全度の向上を図っているところでございます。

 また、特にリンゴ園の冠水につきましては、農業団体を初めとする関係機関の皆様方と連携し、川を掘る、そしてその土を、今先生御指摘のように、管理用通路として堤防のような盛り土にすることによって冠水被害の軽減を図るとともに、現在、この岩木川上流では津軽ダムを建設してございます。これが平成二十年より本体工事に着手しておりまして、現在、二十八年度の完成を目標にしてございます。こういったことをまずは進めることによりまして、リンゴ園の冠水頻度を減らしていくということに取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 その上で、御指摘のように、被害の状況あるいは岩木川の治水安全度の状況、こういったものを十分検討する中で、御指摘の河川整備計画の見直しの必要性、こういったものについても検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

木村(太)委員 整備計画の見直しは検討をするということなんですか。見直しをするんですか、しないんですか。

関(克)政府参考人 現時点では、まず、対策を今進めております、そういったものの進捗を図ると同時に、この岩木川全体の安全度をどうしていくかということをよく検討した上で、整備計画の見直しをする必要があるのかどうかということも踏まえて次に進んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

木村(太)委員 時間が参りましたので、九州の皆さん、大変ですので、そちらが主ということになりますが、一義的には現場でやはり市町村が対応していますので、私の地元の方にも財政的な支援を総務省もお願いしたいと要望を申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

馬淵委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

馬淵委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福嶋健一郎君。

福嶋(健)委員 国民の生活が第一の福嶋健一郎でございます。

 冒頭、質問に入ります前に、本委員会、一時からきちんとスタートをしていただきたいというふうに思っております。非常に大事な委員会でございます。特に私は地元でございますので、いいかげんな気持ちで臨まれても困る、そういうふうな思いでございますので、ぜひ定刻にスタートするようによろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭、この九州北部豪雨におきまして、大勢の皆様方がお亡くなりになられました。心からお悔やみを申し上げますとともに、また、たくさんの方が被災をされました。心よりお見舞いを申し上げるところでございます。

 私の地元熊本県でも、今現在、お亡くなりになられた方が二十三名、そして行方がまだ判明されていない方が二名、床上、床下浸水が三千六百戸超という大きな被害状況となっておるところでございます。

 このような中で、熊本でも、最前線で災害救助あるいは生活再建支援に当たられている陸上自衛隊の皆さん、あるいは熊本県警察の皆さん、消防の皆さん、そして地元の自治体の皆さん、ボランティアの皆さん、献身的に活動されておられます。心から敬意を表するところでございます。

 また、午前中の質疑にもございましたけれども、国内外からたくさんのお見舞いやお励ましをいただきました。台湾からも、きのう、熊本県の東京事務所にお励ましをいただいたということでございます。心から感謝をしているところでございます。

 また、七月十八日に本委員会で、熊本県被災状況、現場を調査されました。私も、現地の参加議員ということで参加をさせていただきました。この場をおかりいたしまして、馬淵委員長を初め皆様方に心から感謝を申し上げます。

 我々国民の生活が第一でも、七月の十一日が党の結党でございました。七月十二日には熊本では現地の対応の体制をしいて、自治体の皆様方からの情報収集、あるいは実際に被災をされた皆様方からの御要望というものを酌み上げているところでございます。

 きょうは幾つか質問させていただきますけれども、通告に対して、場合によっては全部質問できないかもしれませんけれども、そこは御容赦をいただきたいというふうに思っているところでございます。

 まず、中川大臣にお伺いをします。

 大臣は、七月十三日金曜日、まさに豪雨の中に熊本に調査に来られました。ちょうど熊本市の龍田陳内という白川が蛇行したところとか、あとは阿蘇の坂梨地区、一番土砂災害が多かった先を、午前中の岩屋委員のお言葉をおかりすれば、まさに生々しい現場を調査されて、意見交換も含めると五時間超の長い時間、熊本に滞在していただいて、情報収集に腐心をしていただきました。本当に感謝を申し上げます。

 大臣の目からごらんになられて、この九州北部豪雨の率直な感想、そして、特に先ほど申し上げました自衛隊、大臣が来られたときももう自衛隊、警察、消防、全部動いていますけれども、彼らに対する評価、感想も含めて、この九州北部豪雨について一言御所見をお願いします。

中川国務大臣 私も現地に入らせていただいて、特に阿蘇地域の山崩れを中心に多くの犠牲者を出してしまったということ、これがまず残念でなりません。

 先ほどのお話のように、自衛隊初め地域の消防団の皆さんあるいは地域住民の皆さんが、救援活動あるいは行方不明者の捜索に本当に全てをなげうって当たっておられた姿というものに対して、改めて感銘を受けた次第であります。

 その上に立って、いろいろ反省をすることもあります。

 ちょうど、行ったとき、雨がやはり降っておりまして、私の肌感覚ではこれはすごい雨だなという感じだったんですが、そのときの専門家の話では、それでもやはり五十ミリを切っているだろう、こういうことでありました。

 当時、一時間に百ミリを超える雨が夜中に降っていたわけでありますが、そのことを考えると、想定外とよく言われますけれども、ああいう集中的に、一部の局所的なところで降る雨に対して、改めて、対策の見直しといいますか、予測、予知ということも含めてしっかりした対応をしていくということ、これがまず必要であろうと思います。

 予知した上で、さっきの、山崩れに対して避難を勧告して、みんなで逃げるという体制をつくるわけですけれども、ここで反省されなきゃいけないのは、消防団が回ってできるだけのことをしても、やはり全てが逃げるという体制にはならなかったということ、これについてさらに分析をして、先ほども議論に出ていましたけれども、多重な方法を使って告知をして、それで一緒に逃げるという体制を地域でどうつくっていくかということ、これは一つ課題として真剣に組み立てなきゃいけないというふうに思いました。

 さらに、過疎地域でありますので、先ほど申し上げたとおり、ボランティアの活用も含めて、これは息の長い支援が必要だということ、その体制をネットワークの中でつくっていく、この基盤もつくっていかなきゃいけないということだと思います。

 それから、自衛隊それから消防、あるいは警察、あるいはまた地域の住民の皆さんの発災時での瞬発力といいますか、これについては改めて評価をしたいというふうに思います。これは日ごろからの訓練によって培われたものでありまして、そうした連携をさらに密にしながら、今回は限られたところですが、これが広域に起こったのが東日本なんですけれども、そういう体制もしっかり準備がしていけるような、そうした広域的な連携ということも含めた体制をさらに強化していくということ、こんなことが大事かなというふうに思いました。

福嶋(健)委員 昨日、衆議院の総務委員会がございまして、私、総務委員でもございますので質疑をいたしました。

 そのときに、二つ。一つは、今回のこの豪雨災害を踏まえた、いわゆる消防団、消防の体制のあり方、これについて議論をいたしました。こちらの方は当該委員会でまた議論を深めていこうというふうに思っております。

 もう一つ、本日、そういう意味では、熊本、福岡、大分、三県に対して普通交付税の繰り上げ交付というのが現金でなされています、きのう決定したのだというふうに思っていますが。川端大臣も、今後、特別交付税の措置だとか地方債だとか、そういったことを通じて、地方財政に支障がないように取り組んでいきたいというふうに御答弁をされておられました。

 それはそれで非常に大事なんですけれども、午前中からずっと質疑に出ていると思いますけれども、地域の自治体の皆さんや住民の皆さんにとって一番落ちついて復旧復興に取り組めるのは、やはり激甚災害に指定をするということではないかなというふうに思っております。野田総理も、七月二十日に熊本に来られまして、滞在時間は非常に短かったわけですけれども、農地等の事業について、激甚災害の指定に向けて所要の手続を速やかに進めるよう指示をしたところというふうなコメントを発表されています。

 実は、熊本県の試算というか発表によれば、これは七月の二十二日現在なんですけれども、水稲とか葉たばこで約三億円、農地、農業用施設で二十九億円、林業関係で百四十億円、計百七十二億円の被害額を見積もっています。これが直接の激甚の指定基準の数字ではないにしても、客観的に見てこれぐらいの大きな数字が出ているわけですから、総理のおっしゃったことというのももう現実的なものになってきているのかなというふうに思っているところであります。

 実際、私も現地に入っていろいろ見ていますと、例えば、せっかく土地基盤整備をして段階的にやっているところにも土砂が入ったりとか、あと、ちょうど田植え直後ですから、一見すると青々とした稲があるんだけれども、見ると泥だらけというのもあるし、田んぼは大丈夫なんだけれども、用水とか排水のところに流木とか土砂が埋まって、熊本弁では、やおいかんと言いますけれども、どうしようもない状況になっているところが実はたくさんございます。

 こういったところから見ても、やはり農地等関係事業、まずここの激甚災害指定というのは一刻も早くお願いをしたいところであるんですけれども、仕組みとして、どういう段階があって、いつをめどで指定されるのか。総理は速やかにというお言葉をおっしゃっておられるんですけれども、速やかのイメージがちょっと湧きませんので、ここについて、大臣、ぜひめどを教えていただきたいと思います。

中川国務大臣 手続といいますか、仕組みとしてはこういうことになっています。災害が発生して、被害状況の調査を市町村、都道府県がやって、それを各省庁がまとめて、見込み額の算定をやる。それを内閣府、財務省と協議しながら、基準を満たしたものかどうかということを判定しまして、中央防災会議の方でこれをかけて、閣議にかけて、それから指定政令の公布ということなんですね。これがおおむね一カ月から一カ月半ぐらいかかるというのが正式な手続であります。

 今回、我々が判断したのは、これを待っていればなかなか各市町村あるいは県も思い切った形になっていかないということで、大体の見込みを立てておいて、その上で、これで大丈夫だというところを大丈夫だと言ったわけです。そうなっていくだろうということを総理の方から発表していただいたということであります。

 そういう意味では、まだその発表がないところはそうした見込みの数字もそこまでなかなかいっていないということでありまして、鋭意、各市町村の方で、どこに特に公共事業の関連の被害があったかというのをこれから集めて、そして累積をしていくという作業をやっていただくというふうに思います。その辺をもう少し見きわめるということになります。

福嶋(健)委員 質問を先取りしていただきましたけれども、農地については、今のお話だと、一カ月、一カ月半、お盆が一つのタイミングなのかなと私は理解しておりますし、今、本来質問をしようと思ったんですが、公共土木の分野とか中小企業の分野、一部指定はなっているやに先ほど午前中の質疑ではございましたけれども、確かに積み上げ方式でありますし、今この段階で何日というのはおっしゃれないのはよくわかっております。

 そういう中でも、後から質問をさせていただきますけれども、熊本から阿蘇というのは一つの大きな観光地域でもございますので、やはりこういった地域の公共土木の一刻も早い復旧というのは県民の願いでございますので、そういう意味も込めてぜひ、迅速にとしか今は言えませんけれども、お願いをしたいというふうに思っているところでございます。

 次に、これは被災者生活再建支援制度ということで、郡政務官かなと思います。郡政務官は宮城県の御出身ということで、東日本大震災のときに、お地元で恐らく多くの住宅が被害に遭われた現場に寄り添っておられたかと思います。

 実は、熊本のあるところで、年老いた方がしみじみおっしゃっておられました。自分たちは熊本で東北のことを人ごとのように思っていた、だから罰が当たったんだと。その人の家は倒壊こそしていないんですが、泥だらけで、もう今にも倒れそうな、そういう家に一人で住んでおられるおばあちゃんがおられましたけれども、そういうふうに自分を責めておられたんですね。自分を責めるまでもありません。もちろんこれは自然災害でありますから。

 ただ、我々ができることは、やはり、こういった被災をされた皆さんに、こういういわゆるメニューがあるのであれば、一刻も早く生活再建支援制度というものを適用して対応していくというのが大きな仕事ではないかなというふうに思っております。

 今回、熊本県における豪雨と水害があったわけですけれども、熊本県内の住宅被災世帯については、本被災者生活再建支援制度の対象にそもそもなっているのかどうか、これを伺いたいと思います。

郡大臣政務官 お答えをいたします。

 熊本県下における被災者生活支援法の適用状況でございますけれども、まず、今月の十三日に、熊本市それから阿蘇市、これが十世帯以上の住宅全壊被害が発生をいたしまして、この再建支援法の施行令の第一条第二号に該当したということです。それから、南阿蘇村、五世帯以上の住宅全壊被害が発生いたしまして、同じく第一条の四号に該当いたしました。また、相良村、二世帯以上の住宅全壊被害が発生いたしまして、一条第六号に該当したということでございまして、熊本県におきまして、被災者生活再建支援法を適用させていただいたということでございます。

 その後、十七日にも、五木村におきまして二世帯以上の住宅全壊被害が発生をいたしまして、同条六号に該当することから、被災者生活再建支援法を適用したところです。

 また、さらに、十八日には、熊本県内で百世帯以上の住宅全壊被害ということが確認をされまして、熊本県全域についてこの被災者生活再建支援法を適用したということでございます。

福嶋(健)委員 今のお話で、実際に適用対象になって、実際にもう熊本県下でそういう申請というのは始まっているのでしょうか。教えていただきたいと思います。

郡大臣政務官 お答えをいたします。

 既に南阿蘇村では七月の十七日から申請を開始しておりますし、熊本市も七月の二十日から、菊池市が七月の二十三日から、産山村が七月二十四日、きのうから、それぞれ申請の受け付けを開始したところでございます。

 また、阿蘇市、大津町、相良村、五木村、また球磨村、これは八月一日からの申請受け付け開始を予定しているところでございます。

福嶋(健)委員 ありがとうございます。

 ぜひ政府にお願いしたいことが二点ございます。

 まず一つは、今の制度で、一義的にはそれは政府の仕事ではないかもしれませんけれども、被災している自治体の皆さんが、今、ほかのいろいろなところに人手がとられています。こういったことを周知、広報しようと思ってもなかなか、はっきり言ってマンパワーが足りないこともあります。この辺については、ぜひ政府の方からも、こういった自治体の告知あるいは広報についてバックアップをしていただく手だてについて御検討いただきたいというふうに思っているところでございます。

 そしてもう一つは、これも午前中の質疑にもございましたけれども、今回、熊本は県内全域こういう制度を受けることができます。しかしながら、午前中の議論にありましたように、やはりこの制度自体が本当に今のままでいいのか、多くの委員がそういう観点から質疑をしていたというふうに私は受けとめております。だからこそ、この制度については、それは一義的には地方公共団体というか都道府県の基金があって云々という話ではありますけれども、この制度について、引き続き知事会等も含めてぜひ御検討いただきたいということでございます。これについては、答弁は結構でございます。

 そして、今回の熊本市内から阿蘇に向けて、先ほど申し上げましたけれども、これは日本有数の観光地に向かうルートであり、阿蘇は日本有数の観光地であるというふうに私は自負をしておるわけでございます。これは馬淵委員長も、そしてここにおられる多くの委員の皆様方も現地を視察されたと思いますが、阿蘇市で国道五十七号線がちょうどループを描いているところに土砂が崩れて通行どめになっている。迂回路は迂回路でありますけれども、熊本から例えば大分に抜ける、あるいは大分から熊本に抜ける、相当時間が今かかっているという状況であります。

 やはりこの国道五十七号線というものの復旧が急務であるというふうに思っておりますが、国土交通省さんからその復旧のめど等について御答弁をいただきたいと思います。

荒川政府参考人 お答えさせていただきます。

 国道五十七号につきましては、先生御指摘のように、今般の豪雨によりまして、合計十一カ所、斜面崩壊等が発生しまして、七月十二日より全面通行どめとなっておるところでございます。

 これまで、十一カ所のうち十カ所につきましては十六日までに応急復旧を完了させていただいて、残る一カ所が、先生御指摘のように、まだ応急対策が実施されていないということでございます。

 これにつきましては、専門家による現地調査を実施していただいたところ、斜面からまだ流水が続いている、また、大きな浮き石もあるといったような御報告がありましたので、崩壊箇所を回避するような形で仮橋を設けまして応急復旧を進めることといたしたところでございます。七月の十六日から着手いたしておりまして、現在、地質調査を終え、設計も終え、工事用道路の施工も終わったといったような状況にございます。

 こういった状況をさらに加速いたしまして、九月の上旬ごろを目途に、私ども、通行どめを解除いたすべく全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

福嶋(健)委員 やはり当該地域は工法を含めて非常に難しいというふうな説明を前回の視察のときに担当の方から伺っております。加えて、九月の上旬ということであれば、観光シーズンから、やや終わったかなというふうには思いますけれども、そういう状況の中で、一刻も早い復旧、国道の回復について、ぜひ最優先で取り組んでいただきたいというふうに重ねてお願いをするところでございます。

 そういう中で、再三申し上げておりますけれども、阿蘇というのは観光地であり、実は、一部のところでは、あってはならない風評被害的なものも出てきています。こういったものは何としても抑えていかないといけないところでありますが、早晩、それを払拭するためにも観光地阿蘇の復活というのは急務だと思うんです。

 まず、そもそも、きょう観光庁さんにおいでいただいておりますので、いわゆる観光政策における阿蘇の位置づけというものについて、この場をおかりしてぜひ教えていただきたいと思います。

又野政府参考人 お答えいたします。

 今、先生御指摘のとおり、阿蘇地域といいますと、世界最大級のカルデラを初めとして、非常に世界的にもまれなる自然観光資源に恵まれておりますが、かてて加えて、特に最近では、水資源の涵養、保護に加えて、町並みの復活、保全といった地域の方々の取り組みが非常に熱心になされておりまして、そういう意味で、自然環境だけでなくて、文化、文物を含めて、観光資源には極めて恵まれた豊かな土地だと認識しております。

 住んでおられる方々が、自分たちが住んでいて誇りがあるというのが一番大事なことなんですけれども、それをよその方とか、さらには海外の方に見ていただく価値がある、つまり、住んでよし、訪れてよしという意味では、非常に阿蘇地域というのは、ポテンシャルも含めて、観光地域としては立派な地域になっておると思います。

 先生の方から御指摘ありました風評被害の問題も、先行したいろいろな、紀伊半島の方ですとか、あるいは東北の大震災の件で苦い経験がございますので、我々観光庁としてもいろいろな手段で、例えば、国内観光ですと観光圏整備法というのがございますし、あるいは国際観光では、インバウンドの方ですけれども、ビジット・ジャパン・キャンペーンということで、地域を特定していろいろな形で力を入れて売り出すということをやっております。

 最近、国際観光の方が、特に東アジア圏の伸びが大きい。逆に言いますと、そちらのお客さんが減ると非常に深刻な被害が、風評の被害も含めて出るということですので、我々自身もそこの点は注視して、きめ細かく、正確な情報を前広に出していくように気をつけてまいりたいと思っております。

福嶋(健)委員 今、御答弁いただいたように、やはり重要な観光地でございます。なぜこういうお話をしているかというと、住民の方もそうですけれども、例えば阿蘇の旅館やホテルの経営者の皆さん、もう泥だらけで、今、いつ再開できるともわからない中で一生懸命作業されています。そういった皆さんにやはり光を何とか当てたいという思いで質問をさせていただきました。

 残り時間が少なくなりましたので、最後に一つ、これは気象庁さんに質問をさせていただきます。

 本年四月十三日に北朝鮮のミサイル発射がありました。四月の十七日の衆議院安全保障委員会で私質問をしたんですけれども、なぜJアラートは鳴らなかったのか。そのときに、Jアラートの仕組みというものはちゃんと消防庁が管理をしたんだけれども、情報を流すのは、あのときは官邸ですと。官邸がいろいろな判断をして、流さなくていいというふうなことで、結果流れていないというふうなやりとりを実はいたしました。

 今回のいろいろな災害について、実はJアラートの業務規程というのがございます。この第四条というところに、流すべき情報という中で、気象警報、土砂災害警戒情報、記録的短時間大雨情報、指定河川洪水予報等々いろいろありますけれども、実際に今回の豪雨で、気象庁さんとして、このJアラートに乗せて、そして自治体に流したのか、その事実確認をさせてください。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 警報等の防災情報につきましては、多重ルートを確保して確実に住民あるいは自治体に伝えることが重要でございます。このため気象庁では、警報等につきまして、みずからの専用回線あるいはインターネット等さまざまな手段で自治体、都道府県や市町村に伝えるとともに、報道機関に協力を求めて、一般の方々に周知しているところでございます。

 さらに、先生御指摘のように、今回も気象警報等を、Jアラートも活用いたしまして、消防庁とも協力して、市町村に伝達してございます。

 以上でございます。

福嶋(健)委員 ミサイル発射のときもそうでしたけれども、今回も恐らく、当該省庁から地方自治体、そして地方自治体から地元、いろいろな情報伝達の円滑さについてどうだったのかという検証というのは今後なされてくると思います。

 そういう中では、今、多重ないろいろなチャネルで流されたということは一つ、それはそれで大事なことだと思います。Jアラートも使われたということは評価をすべきことなんですが、その流す情報の量とか、要するに、受け取る側の自治体から見て処理し切れないぐらいのせっぱ詰まっているときにそんな情報が来るとかということも、ひょっとしたらあったのかもしれません。これは今後の検討によるところだと思いますけれども、こういった面を含めて、とにかく我が国の危機管理体制というものについて、ぜひ今後もそういう観点から御検討いただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

馬淵委員長 次に、古賀敬章君。

古賀(敬)委員 国民の生活が第一の古賀敬章でございます。

 去る十八日、私も当委員会の派遣で福岡、大分の被災地視察をしてまいりました。聞くと見るとでは大違いでございまして、大水害の爪跡を目の当たりに見まして、愕然といたしました。

 特に、山国川の川沿いに古い造り酒屋がありますけれども、そこの奥様、相良さんとおっしゃいますが、そのお父様は、もう故人となられましたけれども、大分県の県会議長も務められた方でございます。その奥様が、雨が降って一時間半後にはもう水位が四メートルも上がったということでございまして、その山国川沿川の皆さんの不安たるや、大変なものがあっただろうというふうに想像をされるところでございます。

 そこで、まず最初に、国として今回の北部九州豪雨の被害をどのように把握されておられますか、そのことをまずお聞かせください。

中川国務大臣 現在のところでありますが、人的被害は、死者三十二名、行方不明者四名、負傷者百十二名となっております。住宅被害としては、全壊が百九十五棟、合わせて一万六千四百八棟が被害を受けているということであります。

 また、このほかにも、土砂災害では、二十六府県で二百七十五件。それから、矢部川水系の矢部川で堤防決壊したほか、河川の護岸崩壊等で百四十六カ所。断水戸数は、現時点で、福岡県と熊本県で七百六十六戸。鉄道の運休は、現時点で三事業者五路線。それから、農業用施設の損壊や農作物の冠水が四十四都道府県で発生をしております。それから、病院や社会福祉施設等の被害は百三十一施設、文教施設等の被害は二百三十九施設ということになっております。

古賀(敬)委員 大臣、ありがとうございました。

 大変な被害が発生したわけでありますけれども、特に大分県の日田市、そして山国川流域、中津市の耶馬溪を中心として、この場所を視察したときに、住民の皆さんはもう心身ともに疲労こんぱいされておりました。

 と申しますのも、御承知のとおり、七月三日の豪雨で被災をして、そして、ようやく片づけも終わったかなといったところに、十四日、また同規模の豪雨という形でございまして、その思いたるや、想像を絶するものがあるのではないかなというふうに思っておりまして、一日も早い激甚災害指定が地元の自治体から要望されておるわけでございます。

 先ほども質問がありましたけれども、政府としてその指定をできるだけ早くということでございますが、そのことを、ぜひ文字どおり早く指定していただきますように要望させていただいておきます。

 激甚災害制度というのは、特別の助成を行うことが必要と認められる災害が発生した場合に激甚災害として指定する制度でございますけれども、そのためには災害を特定しなければならないということになるわけでありまして、今回の平成二十四年七月九州北部豪雨とはどの範囲、時間的な、また地理的な範囲で命名されたか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、大災害の経験や教訓を伝承するという観点と、円滑な災害対応に資するということから、これまでも、顕著な災害を起こした自然災害に、地震もそうでございますが、命名をしてきております。

 例えば、豪雨の場合ですと、命名の基準につきましては、損壊家屋等一千棟程度、浸水家屋一万棟程度以上などを目安としてこれまでつけてきてございます。

 今回の豪雨につきましては、七月十一日から十四日にかけての大雨によって、熊本県、大分県、福岡県を中心とする九州北部地方、これについては後で御説明をしますが、において大きな災害、さらには、大雨についても極めて顕著な分布であったということもございまして、平成二十四年七月九州北部豪雨と命名したところでございます。

 なお、気象庁といたしましては、九州北部地方といいますのは、福岡県、佐賀県、大分県、熊本県、長崎県、さらには山口県を含むという形で発表してございまして、山口県の場合は中国ということが適当でございますので、例えば、九州北部(山口県を含む)といったような形で情報の発表はさせていただいています。これにつきましては、梅雨明けですとか梅雨入りとか、こういう気象情報の中で、九州北部というのは一般的にこういう呼び方をしてございます。

 このような名前でございますが、これは天気予報に用いる用語ということで、地域も含めてかなりの数に上るということで、一般にも十分御理解いただく必要がありますので、これまでも、関係機関あるいは一般からインターネットを通じて御意見も伺いながら、例えば平成八年あるいは平成十九年に改定し、現在に至っている次第でございます。

 今回の名称につきましても、これまで使っておりました天気予報等の用語で九州北部ということで使ってございますので、その地方名を付して豪雨の名前とした次第でございます。

 以上でございます。

古賀(敬)委員 そこで、大臣にお尋ねしたいんですけれども、今回の激甚指定の対象災害はどの発生災害を指すのか、明確にお答えいただければありがたいと思っております。

中川国務大臣 この議論を聞いていて、なるほど、ちょっと誤解されやすいところがあるのかなというふうに感じました。

 気象庁の命名というのは、どこに被害の中心というか大雨の中心があるかということを念頭に入れた名前のつけ方だというふうに思うんですが、それとは関係なく、実際の状況をトータルで判断して、我々の範囲を決めています。

 今回の場合は、日本全国ということで激甚の対象になっていく。農業はもうそれでそのようになっていきますという話をさせていただきました。土木の方もそのように積み上げておりますが、なかなか基準の数字にはまだ達してきていないということでございます。

古賀(敬)委員 今の大臣の御答弁で安心をいたしました。

 と申しますのも、被災自治体においては、例えば大分県に限って言いますと、七月十四日、いろいろな資料に七月十一日以降の梅雨前線の停滞によるという文字が躍っておったものですから、七月三日に受けた、いわば一次被害には適用されないのではないかという自治体の首長さんたちの御心配を耳にしたものですから、そこで確かめたということでございます。それは、そういう心配は要らないということでよろしゅうございますか。

中川国務大臣 期間については、梅雨前線が停滞していたところを全体取り上げていきたいということで、スタートが六月の八日ということで、梅雨が晴れるところまでということなので、今も実は実際には続いているということであります。

古賀(敬)委員 よくわかりました。ありがとうございます。

 次の質問に移りたいと思います。

 今回の豪雨で、特に九州地方、鉄道沿線が広範囲にわたりまして被害を受けております。平成筑豊鉄道の田川線、それにJR九州の豊肥線、久大線、日田彦山線。豊肥線におきましては、現在でも、立野―豊後荻間四十二・九キロ、久大線は、うきは―日田間十七・六キロ、日田彦山線、添田―夜明間二十九・二キロが不通の状態でございます。

 また、トンネルの崩壊等も起きておりまして、被災箇所が約二百カ所というふうに聞いております。

 この復旧費用だけでも莫大な金額が恐らく必要になってくると思っておりますが、どれくらいの額になるかは政府としてはまだ把握はされていませんでしょうか。

津川大臣政務官 鉄道事業者が今回の水害の中で受けた被害額につきましては、現在調査中でございます。

古賀(敬)委員 いずれにいたしましても、JR九州の経営の根幹を揺るがしかねないような大規模な額になるのではないかなということが想像されます。

 こういった大災害のときに、鉄道事業者に対してどのような救済方法が国としてあるのか、お教えください。

津川大臣政務官 鉄道事業者が災害等で被災をした場合の支援のメニューでございますが、鉄道軌道整備法に基づきます災害復旧事業費の補助制度というものがございます。これは、まず、その災害の程度、災害の大きさあるいはその被害を受けた鉄軌道事業者の経営状況、こういったものを勘案して判断をするところでございます。

 今委員からも御指摘をいただきましたとおり、特にJR九州につきましては大変大きな被害を今受けているところでございますので、国交省としては、JR豊肥線等、被害状況を踏まえつつ、このケースでいいますと、JR九州の経営状況というものを勘案しながら、どのような支援が可能かということについて検討してまいりたいと考えているところでございます。

古賀(敬)委員 この事業に関して、補助対象事業者としての適格条項と申しますか、そういったものがあるのだろうと思いますので、それを教えてください。

津川大臣政務官 基本的には、被災を受けた事業者の被災年度の前の三年、この間の営業損失もしくは経常欠損、または被災年度以降おおむね五年程度を超えて営業欠損もしくは経常欠損となることが確実であること、あるいは当該災害を受けた鉄軌道の収益のみによって当該災害復旧事業に要する費用の回収が困難なこと等々でございます。

古賀(敬)委員 JR九州は、JR三島の中で唯一自己努力で黒字に転換をした会社でありまして、その最初の条項の、いわゆる赤字企業ではなくなっているのでありますけれども、それでも対象事業者となり得ますか。

津川大臣政務官 今申し上げました条件をそのまま当てはめますと、確かに、平成二十三年度は全体事業での営業利益は黒字となっているところでございます。ただ一方で、鉄道事業につきましては二十三年度においても赤字でありますし、経営状況が万全となっているというふうには必ずしも国交省として受けとめているところではございません。

 これはしっかりと検討をさせていただきながら、被害の状況もあわせて詳細に今後検討させていただきたいと思っているところでございます。

古賀(敬)委員 ありがとうございます。

 先ほどもお話がありましたが、まさに夏休み、JRとしては稼ぎどきでございまして、それでこういった大被害を受けていますので、営業収入等も恐らく今年度は大幅ダウンになる可能性もあります。ぜひともいろいろなことをしんしゃくしていただきまして、対象事業者となり得ますようにお取り計らいのほど、強く要望させていただきたいと思っております。

 次に、東日本大震災のときもそうでしたが、大災害においては、瓦れきの処理が本当に復旧復興において重要な課題であるというふうに思っております。しかしながら、地方自治体におきましては財政が大変逼迫しておりまして、この処理費用を捻出するのに大変苦労をするんだろうというふうに想像しております。

 そこで、環境省としてどのような制度でどのように対応されるのかをお聞かせください。

谷津政府参考人 御説明申し上げます。

 今回、九州北部豪雨によりまして大量の災害廃棄物が発生したということでございます。これにつきまして、市町村が事業主体となって生活環境保全上特に必要という観点から処理をするものにつきましては、私どもの災害等廃棄物処理事業費国庫補助金、この仕組みによりまして二分の一の補助を行うということでございます。

古賀(敬)委員 環境省が二分の一、そして残り二分の一はどのようになるんでしょうか。

米田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど環境省の方から御答弁ございましたように、二分の一の国庫補助で、残りの二分の一につきましては地方負担が出てまいるのでございますが、これにつきましては、その八割を特別交付税措置として講じているところでございます。

 今後、関係府省、関係省庁との連携を図りながら、その財政運営に支障がないように努めてまいりたいと存じます。

古賀(敬)委員 大変ありがたい制度があるわけでありますが、環境省、総務省以外でも、例えば河川の流木だとか道路の土砂だとか国交省関係、そしてまた農水省も、やはり農地の被災やなんかでそういった制度があるやに聞いておりますけれども、環境省、それを把握されておりますか。

谷津政府参考人 東日本大震災を初め、これまでの災害の中でも、さまざまな形でこの廃棄物の処理がなされてございます。今回を考えましても、河川あるいは海岸、また港湾、こういったところに滞留あるいは漂着している流木等の処理が今後大きな課題になってまいるかと思います。

 これらにつきましては、それぞれ観点が幾つかございますが、例えば、公物管理あるいは船舶の航行の確保、また漁業従事者の方々あるいは農業従事者の方々の支障があるのかないか、こういった観点から、それぞれ区域ごとの管理者が、例えば災害復旧工事の一環として、あるいは直接的な瓦れきの処理としてこういったものの処理を行う。環境省としては、全体をよく見ながら、すき間のない形で処理ができるように、地方自治体とともに一緒に取り組んでまいりたいと思っております。

古賀(敬)委員 いずれにいたしましても、現行の制度をフル活用していただきまして、地元自治体の負担をいかに軽くするかということを、知恵を絞って対応いただきますことを要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

馬淵委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 国民の生活が第一・きづなの石田三示でございます。

 過日の被災地の視察、私も同行させていただきまして、その中で感じたことをきょう御質問させていただきたいと思います。

 時間も短いので早速に質問に入らせていただきますが、今回、被災地を視察した中で、堤防決壊等々あるわけでございますが、私は、橋との関係をちょっと考えてみたいなというふうに思ったんですね。

 見ると、橋に流れついてきた材木とか、非常にひっかかっているということがあるんだろう。それから、被災地の地図を見せていただくと、橋の周辺に、結構住宅地に水が流れ込んだり、農地に流れ込んだというところが私は散見されるように地図を見せていただきました。私も農業をやっておりますので、水路等々も、ちょっと物が詰まると、ずっと水があふれてしまうということがあるわけですね。

 そういった中であれだけの、一時間に百ミリという雨が三時間、四時間というふうに降ったときに、今回は九州ですけれども、日本じゅうどこでもあり得る災害だろうというふうに私は思います。関東北部であの雨が降ったときに、いわゆる川下はどのくらい出てくるんだろうかと、逆に非常に寒い思いを感じたところであります。

 そういった中で、下流の川というのは結構つり橋だったりすると思うんですが、いわゆる上流の既存の橋と今回の決壊の関係、そういったところが原因であふれたというふうに考えられるようなところは今回どのくらいあったのか、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 堤防決壊の要因につきましては、現在、流速、それから水位、さらには委員御指摘の橋の構造、こういったものも含めまして、さまざまな角度から調査等を実施しているところでございますが、橋の構造が原因となっているということについては、現時点では明らかになっておりません。

石田(三)委員 私、現場を見せていただいて、あれだけ橋の橋脚にいろいろなものがひっかかっているという状況は、あの上流で水位が一メートルやそこら上がるのは当たり前の話なんですね。ですから、そのことが決壊の原因になっている、あるいは宅地に流出しているという状況は、私は安易に想像できるというふうに思います。そういったところをしっかり調査検討していただきたいというふうに思います。

 今後、多分橋のかけかえというのは非常にお金のかかることでありますし、橋の設置の基準というのは、私は、そういったことも勘案しながら設計がされているんだというふうに思いますが、できるだけそういった抵抗物のないような設計がこれから求められるのではないかなというふうに思います。

 ですから、そういったことを踏まえて、設計をされている状況をちょっとお伺いしたいというふうに思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 河川にかかる橋梁の構造につきましては、洪水の流下を阻害しないということが重要でございます。このため、河川管理施設等構造令におきまして技術的基準が規定されておりまして、これにのっとって橋梁等は整備されているところでございます。

石田(三)委員 それは、今回の、ああいった大木があそこに突っかかるというようなことも踏まえて検討されているというふうに考えてよろしいんでしょうか。

山崎政府参考人 現在の構造令の基準によりますと、橋脚をつくるときに、径間長という径と径との間の長さがございますけれども、これの基準というのは最低でも二十メートル。それに、計画高水流量に応じましてどのスパンを長くするというふうな基準が今決められておりまして、そういったことをきちんとやっていけば、流木等がひっかからないようには、基本的には、そういった基準も含めて、基準は規定されているということでございます。

石田(三)委員 実際問題ひっかかっているわけですので、その辺はしっかり検討していただいて、できるだけそういったことがないように、ひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、もう一つ質問させていただきたいと思うんですが、今回、東日本大震災のときも踏まえて、ボランティアの皆さんに大変お世話になってきたんだというふうに思いますが、今回の大雨の被害について、ボランティアの活動状況はいかがだったのか、お伺いをしたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 七月上旬から続きました九州地方の大雨を受けまして、被災地の社会福祉協議会によって災害ボランティアセンターが設置されております。

 昨日七月二十四日現在、これまでに設置されました災害ボランティアセンターは、福岡県で柳川市など七カ所、大分県で竹田市など三カ所、熊本県では熊本市など三カ所となっております。

 ボランティアの活動状況につきましては、昨日までに把握しているところでは、福岡県で延べ約三千三百人、大分県で延べ約七千四百人、熊本県で延べ約一万人、合わせまして延べ二万一千人の方々が、ごみなどの屋外への運び出しでありますとか敷地内の泥のかき出し作業、あるいは室内の清掃、泥落とし作業などのボランティア活動をされているところでございます。

石田(三)委員 たくさんの方がボランティアに参加をしていただいて、これは非常にありがたいことだなというふうに思います。

 また、日本のよさというのは、私は、自助、共助、公助の中の共助だというふうに思っています。今回視察をさせていただいたところで、高校生のサッカー部の子供たちがボランティアをしておりました。大変元気に挨拶もしていただきましたし、地域の人たちは、それによって大変元気づけられているというようなところも私は感じさせていただきました。

 高校生とか若い人たち、特に高校生、あるいは大学生もあれなんですが、そういったボランティア活動をすることに対して、私は、ある程度一定の評価をしていくべきではないかな、そういった中で、社会の共助の部分を育てていくということが非常に大切なんだろうというふうに思います。

 そういったことの中で、文科省にちょっとお伺いをしたいんですが、そういったことへの評価、あるいは、それをもっと進めていこうというところの部分でどういった施策がされているか、ちょっとお伺いしたいと思います。

関(靖)政府参考人 高校生が、ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うことは、大変重要であると考えております。新しい学習指導要領におきましては、総合的な学習の時間や特別活動の時間の中で、ボランティア活動などの体験的な活動を積極的に取り入れるようにしているところでございます。

 また、学校の内外におきますボランティア活動など社会奉仕体験活動等につきましては、生徒の指導の記録でございます指導要録に記述をいたしまして、学校での指導や、また入試や就職などの外部に対する証明などに役立たせるようにしております。さらに、学校での活動以外に、学校以外の場におきますボランティア活動につきましては、各学校長の判断によりまして、高等学校の単位として認定することが可能となっているところでございます。

 ボランティア活動を行った高校生について応援する取り組みといたしまして、地方自治体が他の模範となる高校生のボランティア活動を表彰し意欲の高揚を図っている例でございますとか、また、PTAや青少年団体、民間企業など、民間団体におきます表彰状の授与なども行われていると承知をしておりまして、文部科学省としましては、申請に応じて、後援や文部科学大臣賞の交付といったことも行っているところでございます。

石田(三)委員 ありがとうございます。

 ぜひそういったことを積極的に進めていただいて、やはり日本のよさ、共助の部分、本当にここが日本のよさだというふうに私は思いますので、そういったことを子供たちの段階からしっかり植えつけていくということが非常に大切だというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

馬淵委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、今般発生しました九州北部豪雨災害について質問をさせていただきます。

 平成二十四年七月の十一日から、これまでに経験したことのないような大雨により、私の地元の熊本県や福岡県、大分県を中心として、一時間当たりの降水量が場所によっては百ミリ以上、また降り始めた雨量が八百ミリメーターに達するなど、記録的な豪雨となりました。私も翌十二日から地元に戻り、被災者の救出、救援に全力で取り組んできたところでございます。

 各地では河川の氾濫や土砂災害が発生し、一時三十五万人以上を対象に避難指示並びに勧告が発令されました。避難勧告は現在も一部継続しているところでもございます。今なお、不自由な避難生活をされている方が多くいらっしゃいます。

 土石流や土砂崩れなどによる死者三十二名、行方不明者数は四名にも上り、特に私の地元の熊本県の阿蘇市や南阿蘇村では二十三名が亡くなられ、二名が行方不明になっておられます。

 全壊、半壊、床上浸水などの多数の住宅被害を初め、道路、河川など公共土木施設、鉄道、農地、農林水産施設等の損壊や、また山地の崩壊、さらには農林水産業や観光業等に極めて甚大な被害が発生しております。

 公明党は、十二日に九州北部豪雨災害対策本部を設置して、関係各県本部と緊密に連携をとりまして、現地調査をもとに万全を期しているところでございます。速やかな災害復旧と防災対策を講ずる、また被災者救済を講ずるよう、七月の二十日には中川防災担当大臣に対して、二十二項目にわたる緊急の申し入れを提出いたしました。

 本日は、これらの事項について、政府としてどのように対処をされているのか、関係省庁も含めてお答えをいただきたいと思っております。

 現地の最大の願いは、一日も早い激甚災害の指定でございます。この激甚災害の指定へ早急に取り組むように公明党は申し入れたところでございますが、総理が、二十日に被災四県を視察して、激甚災害の早期指定に向けて手続を速やかに進めるよう指示したとされますけれども、この指定はいつごろをめどにしておられるのか、また、指定は農地等に限らず公共土木も見込めるのか、中川大臣にお伺いをしたいと思います。

中川国務大臣 正式な手続ということになりますと、梅雨明けを待ってということになります。これは、どの範囲を激甚に累積していくかということとの関連がありまして、短くすればするほど範囲が狭くなるということでありますので、事務的な手続の上ではできるだけ長くという、この一連の梅雨の状況が晴れるまでということで、六月八日から合わせて指定をしていくということで整理をしたいというふうに思います。

 しかし、現地としては、それを待っていてはなかなか思い切った形になっていかないという、そのこともわかりますので、政治的にも、あるいは我々のできる範囲でということで、野田総理には、見通しとして、農業関連については大体の水準を超えてきているということを踏まえて、激甚でいけるであろう、そのつもりでやってほしいということを申し上げたということであります。

 土木についても、今、順次積み上げて、見通しも立てていこうとしているんですけれども、これがなかなかそうした数字に達するところまでいっていないということでありますので、政治的にも、それを見越して、発表することができないという状況でございます。これが現実なんです。

 あと、局部的な部分について、できるところからということもありまして、中小企業の救済については、阿蘇市で大丈夫だろうというので発表させていただきました。

 現状はこういう形なんですが、事務手続以上に、恐らく地元の皆さんにとっては、やれるのかやれないのか早くはっきりしてくれ、こういうことだと思いますので、この見通しをしっかり積み上げていきたいというふうに思います。

江田(康)委員 中川大臣、よくおわかりだと思っておりますが、被災地においてはこれは大変な、これからの復旧へ向けて、迅速な復旧を進めていく必要がございまして、この激甚災害の指定は必須のものでございます。迅速に指定をしていただきますように、万全を期してもらいたいと強く要望するものでございます。

 公共土木について、これからもその検討が続けられると思うわけでございますが、やはり公共インフラの整備が、これはもうまさに欠かせないわけでありまして、万全を期していただくようによろしくお願いを申し上げます。

 そしてまた、必要な全ての被災自治体に対して、特別交付税等を中心としてしっかりと交付をしていっていただきたい。そのことでございますけれども、川端総務大臣が表明した特別交付税措置についての検討はどこまで進んでおりますでしょうか。迅速な応急対策、復旧事業支援のために、予備費の活用、また補正予算により十分な予算を確保していく必要が大いにあると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

稲見大臣政務官 お答えいたします。

 普通交付税につきましては、御案内のように四月、六月、九月、十一月、特別交付税については、十二月と三月というふうに算定をしてまいります。

 それで、午前中にも御質問にお答えしたかったわけでありますが、既に、七月七日までの大雨につきましては十八日に、被害を受けました三団体に九月分の三割を前倒しで交付いたしております。それから、十一日以降の大雨につきましても、昨日交付を決定いたしまして、きょう現金交付ということで、既に、福岡県内八団体、熊本県内五団体、それから大分県内一団体につきまして、八十一億二千五百万円を繰り上げで交付したところであります。当面のさまざまな対応に係る資金繰りということでは、こういう形であります。

 それから、今御質問のありました特別交付税の件でありますが、前倒しをできるかどうかというふうなこともありましょうが、こういう形でやりましたのは、立法措置をしました東日本大震災一件でございました。実は、昨年の紀伊半島の大雨についても特例交付というのはいたしておりません。

 したがいまして、今後、被災地方公共団体の実情を十分にお伺いしながら、総務省としても、関係省庁と連携を図りつつ、先ほど申し上げました十二月分の特別交付税措置を初め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じて、その財政運営に支障が生じないように、できる限りの対処をしてまいりたいと思います。

 以上であります。

江田(康)委員 今おっしゃっていただきましたが、普通交付税の繰り上げは大変評価をいたします。特別交付税措置が大変待たれるところでございますので、しっかりとこれは進めていただきたい。強く申し上げておきます。

 ライフラインの早期復旧、また被災者支援というのが非常に大事でございますけれども、被災者支援においては、住宅に流れてきた土砂、また瓦れきの撤去のために、多くのボランティアの皆さん、また自治体の職員が派遣されておられます。しかし、圧倒的に人手が不足しておるような状況であります。また、人力で、人の力で撤去ができないほどの大量の土砂で埋まっている、こういうような状況であります。

 この中で、特に高齢者だけの世帯、またはひとり暮らしの高齢者の皆さんにとっては、これはまさに、自宅での生活を再建するのは不可能にも近いというような状況でございますので、人手と機材の両方がこういう世帯には必要であるわけでございますけれども、これに対して、国はどういうふうな対応を自治体と協力してやっているのか、やろうとしているのか、ここについてもお伺いをさせていただきます。

津田大臣政務官 厚生労働省でございます。お答えを申し上げます。

 家屋等に土砂、流木等が流入し、日常生活に著しい支障があるにもかかわらず、みずから障害物の除去ができない場合、高齢者の方等でございますが、災害救助法に基づいてその除去が行われることになるわけでございます。

 今回の水害では、特に山間部で高齢者世帯がお住まいの住宅に多くの被害があり、そこでは、みずから障害物の除去を行うことが困難な状況にあるというふうに伺っておるわけでございます。

 こうした高齢者世帯の住宅では、ボランティア活動による障害物の除去も行われているというふうに聞いておりますが、災害救助法に基づく支援もしっかり行われるよう、これは特に国と県で費用を負担する制度でございますけれども、実施主体は県でございますけれども、しっかり助言をし、取り組んでまいりたいと考えております。

江田(康)委員 さらに、農林水産業の復旧支援が大変に重要でございます。

 今回の九州北部豪雨により、農林水産業が甚大な被害を受けました。七月の二十日の熊本県の発表でございますけれども、阿蘇地域だけでも五百ヘクタール以上の水田が冠水し、農業用ハウスの損壊も相次いでおります。山腹崩壊、渓流被害、林道や立ち木の被害などの林業被害が被害額の八二%を占めているほか、農作物、畜産物、農地や農業用施設にも多くの被害が生じております。

 農業用の施設として、一級河川の、例えば白川ではございますけれども、その農業用水路の取水口が全て破壊されているような状況で、これから夏場に向けて水が要るような農業に対しては、これはもう致命的でございます。こういうことに関しても迅速な対応がなされなければなりませんけれども、こういう対応についてもいかがか、お尋ねをいたします。

 被災地における農林水産業の再生のために、これらの災害復旧、これは早急に事業採択をしていかれるべきでございますが、新たな機械の導入も含めて支援すべきでないかと強く申し上げたいが、いかがでしょうか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 今回の九州北部を中心とした農地、農業用施設の被害、農水省として七月十八日現在で取りまとめをさせていただいてございますが、これはあくまでも農地と農業用施設に限ってございまして、今御指摘があった山林等については、被害の箇所数はわかっておりますが、まだ被害額は集計しておりません。農地、施設だけで一万二千カ所、約百三十億円の被害というふうに掌握をしているところであります。

 農水省として、岩本副大臣それから森本政務官が直ちに、福岡、熊本、大分で現地視察、調査をさせていただき、九州農政局職員も一緒に調査をさせていただきました。

 今御指摘がありました白川周辺を含む九州各地の川の氾濫、あるいは山腹の崩壊、農地への土砂の流入、堆積、川岸がえぐられる等々の損壊が多く見られておりまして、ポンプ場等の用水施設にも多数被害が出てございます。

 まずは、地元農家から要請を受けております、今御指摘のありました農業用水の確保が急務でありますから、農政局から三県に二十台余りの揚水ポンプをまず貸し出してございます。

 それとともに、査定前着工をさせていただいておりまして、被害を受けた市町村、三県で約八十件の応急対策工事、これは事業としてですが、着手させていただいたところであります。

 さらにまた、緊急対策として、流入土砂の排除、それから農地のさらなる崩壊防止等々を進めてございますが、いずれにしても、迅速な復旧が大切でありますので、そのほかに、技術者の支援とかあるいは査定事務の簡素化などできる限りの支援に努めてまいりたいと思ってございます。

 以上です。

江田(康)委員 熊本の白川また緑川、一級河川でございますが、さらには福岡の筑後川等々が流れ込む有明海についても、ヘドロの流入等が大変な状況にこれからも至るのではないかということでございますが、大量のヘドロにより、名産のノリ、アサリガイの養殖への被害も心配されているところでございます。

 熊本県の白川から流れていく泥というのは、やはり火山灰で、黒ぼくと呼ばれるようなものですが、非常にきめ細かい泥なんですね。これが家屋にも多く侵入し、悩ませているわけでございますけれども、有明海においてもこういう被害が心配されるわけでございます。赤潮、また海水が薄まって種苗に悪影響を与えたりする可能性がございます。

 早急に、この除去方法も検討するとともに、支援措置を政府は講じる必要がございますけれども、どのような対策を講じようとしているのか、教えていただきたいと思います。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 有明海、今御指摘のように、ヘドロの流入が生じております。このまま放置した場合に、これから養殖期に入りますノリ等に大変な影響が出るおそれもございますので、まずは、水環境保全のために、市町村が、あるいは都道府県、市町村が行います堆積物の除去費用について、水産環境整備事業により助成するということが可能でございます。

 さらにまた、漁場の大量の土砂でございますが、激災法に基づいて、市町村の費用の全部または一部を負担する土砂排除事業等についても、堆積土砂排除事業といいますが、国から交付する事業も存在をしてございますので、これらを組み合わせて、ぜひ早期に対応してまいりたいというふうに思ってございます。

 さらにまた、影響が最小限になるように、関係機関とよく連携、調整をしながら、今御指摘をいただいた方法等についても、よく打ち合わせをさせていただきたいと思ってございます。

江田(康)委員 万全を期していただきたいと思います。

 さらに、農林水産業の復旧支援について、財政的な支援についてお聞かせをいただきます。

 これから経営再建とか施設復旧を目指す被災農林漁業者のために、資材費や労務費などの運転資金を貸し付ける農林漁業セーフティーネット資金、また、機械、施設の復旧とか漁船、漁具の修復の資金を貸し付ける農林漁業施設資金がございますけれども、これは、日本政策金融公庫を通じて、政府として十分な融資枠を確保すべきだと思います。

 また、甚大な被害を受けている被災農林漁業者の状況に鑑みて、貸付限度額の引き上げ、また金利負担の軽減、利子補給、さらに償還期限の延長、据え置きなど、これらの融資制度を柔軟に運用すべきと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

 と同時に、農業共済金についても、早期支払いを進めていくべきだということを強く申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 今御指摘をいただきましたセーフティーネット資金と施設資金でございます。これは、当初予算で三百八十八億円、五十億円と、それぞれ予算計上をあらかじめさせていただいている資金でございますが、限度額、金利、償還期限等々相当に、こういうことに対応する資金でありますので、十分に配慮した条件を設定してございます。

 今御指摘いただきました償還条件の緩和等でございますが、担保の弾力化、あるいは返済猶予などについて、日本政策金融公庫など関係機関に、過日、七月十三日に文書で要請をさせていただいたところでございます。

 さらに、農業共済金でございますが、これについても同じように、農業共済団体に指導を徹底させて、同じ日に要請をさせていただいてございますが、まずは、被災された方々に遺漏なく申告を出してもらうこと、そして、共済組合が迅速に損害評価をすることなどについて、そして、保険金の請求手続などを迅速に手続をして、早期支払いという体制を確立することなどについて、共済団体に要請をさせていただいたところでございます。

 なお、国としても、一層の指導助言をしてまいりたいというふうに思ってございます。

江田(康)委員 今回の災害は、規模も大変大きいものがございます。そういう意味で、共済金の早期支払いも決して滞りのないようによろしくお願いします。共済金で足りないところも多々ございますので、やはりこの融資において柔軟な運用をしっかりとしていくように特に申し上げておきたいと思います。

 中小企業等の復旧支援も非常に重要でございますが、まずはセーフティーネット保証に係る突発的災害の指定、これを申し入れで強く要望したところでございます。

 今回の豪雨では、観光業から商業、製造業、さまざまな中小企業者が被災しておられます。浸水、土砂による直接の被害だけでなくて、道路の通行どめにより物流や客足が途絶えて生産や販売がストップして売り上げが落ち込む、こういうような多大な被害も生じております。

 中小企業庁のセーフティーネット保証制度は、信用保証協会を通じて、突発的災害、自然災害等の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するものでございますけれども、九州北部豪雨の被災地域に対して、このセーフティーネット保証が発動される見通しについて伺いたいと思います。

中根大臣政務官 経済産業省でございます。先生御指摘のセーフティーネット保証四号につきまして答弁を申し上げます。

 御指摘のように、セーフティーネット保証四号は、自治体において中小企業者の被害状況の調査を行った上で、自然災害の発生に起因して生じている売上高の減少により、相当数の中小企業者の資金繰りに支障が生じている場合に発動しているものでございます。

 今般の豪雨災害につきましても、自治体の調査状況を踏まえ、豪雨災害に起因して相当数の中小企業者の資金繰りに支障が生じていないかを見きわめつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 中小企業にとっては、災害復旧のための設備資金、長期運転資金を貸し付ける災害復旧貸し付けもございますが、日本政策金融公庫を通じて、先ほどの農業関係と同じように、貸付限度額の引き上げや金利負担の軽減を図るとともに、既往貸し付けがある場合にはその償還を猶予するなど、柔軟な対応が望まれるわけでございます。これについても、政府の万全な対応をよろしくお願いをしておきます。

 計画停電についても配慮をすべきということを申し上げさせていただきましたが、西日本では、万が一のときでありますが、電力不足時には計画停電を実施するとしておるところであります。しかし、被災地では、いまだ住民の皆さんが避難を余儀なくされている地域もございまして、計画停電に対応することは困難であります。

 この点、九州電力が、被災地などへ配慮するとの政府の方針を受けて、被害を受けた市町村について、避難所となる施設とか防災関連の施設を計画停電の対象外とする方向で自治体と協議するということでございますけれども、これも自治体の要望に最大限沿えるように、国として強く支援をしていっていただきたいと思います。これは申し上げさせていただくだけにしておきます。

 この要望の中では最後のところでございますけれども、被災住宅の復旧支援など、被災者への十分な生活再建支援というのが大変重要になってまいります。

 まず、厚生労働省にお伺いします。

 災害救助法の弾力的な運用について、これまで経験したことのない大雨によって甚大な被害が今回出ているわけでありますけれども、避難所の設置や食品、生活用品の給与や医療等の被災者の救援救助について定めている災害救助法救助基準についても、これは弾力的に運用をすべきであると要望しているわけでございます。特に応急仮設住宅の建設、これは阿蘇市を中心としてこれもまた進行中でございますけれども、この応急仮設住宅の建設については、被災県に超過負担が生じないように限度額を引き上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

津田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 災害救助法による救助は、告示に定める救助基準に基づいて実施をすることになっております。しかしながら、委員御指摘のように、被災の状況により、この基準では適切な救助を実施することが困難な場合、こういうのがあるわけでございまして、その場合には、国と協議の上、救助の実施期間の延長あるいは基準額の引き上げ、こういう特別基準の設定をすることが可能になるようになっているわけでございまして、その旨、通知にて周知を図るとともに、適用市町村に担当者を派遣して直接説明を行ったところでございます。

 今回の水害でも、地元自治体の要望を踏まえ、被災された方に対して適切な救助ができるよう、委員御指摘の応急仮設住宅の建設に係る費用も含めて、可能な限り弾力的な運用を図ってまいりたい、そのように考えております。

江田(康)委員 津田政務官からは大変迫力のある回答をいただきまして、万全を期していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 被災者生活再建支援制度の見直しについて、中川大臣にお聞かせをさせていただきます。

 この九州北部豪雨による被災者の迅速な生活再建のために、被災者生活再建支援金の申請に必要な住家の被害認定等を迅速に行う必要があると思います。

 また、現行法では支援金の支給対象とならない半壊世帯、一部損壊世帯、さらに、住家には被害はなくても、その財産の大半や雇用を失うなどの生活基盤に著しい被害を受けた者も同制度の対象とするよう法改正を行うべきではないか、公明党はそのように申し上げてきておりますが、この点について、大臣の所見をお伺いさせていただきたいと思います。

中川国務大臣 これは午前中からもたびたび質疑の中で取り上げられております。

 当初から申し上げているとおり、これは互助会的にスタートした、いわゆる、県の持ち分が半分で国が半分で基金を入れて、広域被害でそれぞれの自治体でなかなか財政的にカバーができないということを前提にした分をこの制度で救済していこうと。これは恐らく、阪神・淡路大震災の後の、御党の主張も含めて、さまざまな主張を折り合う形でこういう今の制度になっているということだと思います。

 こういう互助会制度を基本的に見直して、最低限のところは国が突っ込んでいくんだ、そういう形にするのか、あるいは、互助会制度をそのままにしながら、その基準で、細かなところは地方自治体が、特に県が条例化をして、それでカバーをしていくのか、そういうところが判断の大事なところじゃないかなと私は思っております。

 いずれにしても、地方自治体とも相談しながら、そしてさまざま野党の皆さんとも協議をしながら、さらに納得のいくような、そして安心ができるような制度に検討を加えていくということ、これは大事なことだと思いますので、議論に参加をいただきますようによろしくお願いをしたいと思います。

江田(康)委員 大臣が今申されましたように、私も現場を回って、これはいかなる災害もそうかもしれませんけれども、今回は特に、土砂災害等、人家に大量の土砂が、またそれによって人家が損壊されている、そういうようなところがいっぱいございます。

 しかし、全壊や大規模半壊、これには相当するかどうかわからないところもいっぱいございまして、そうなると、被災者生活再建支援法はその人たちを救うことはできないわけで、ここの基準等について、確かに柔軟な運用をしていくべきことであって、やはり法の趣旨にのっとって、より多くの方々を生活再建していく制度へと、いろいろと検討することが本当にあると思います、法改正も含めて。これについては、我々も全面的に審議を進めていきたいと思っております。しかしまず、当面、この災害を受けた人たちをぜひとも幅広く生活再建へ向けて救っていけるように、これは自治体とも協力して、国も柔軟に対応をしていただきたい、そのように申し上げておきたいと思います。

 最後に、災害廃棄物でございますけれども、大量の瓦れき、流木、泥を含む災害廃棄物の処理が滞っているところも多々ございます。これらの迅速な処理を進めていくべきでございまして、これに対しての国の取り組み、そしてまた、先ほど申しました有明海に流出したごみ、流木等々についても、これは漁業者とか市町村、県だけでは限界がございます。

 そういうような意味で、迅速な回収、広域処理のために、環境省を中心に特段の支援をやっていくべきと思いますけれども、決して縦割りで遅くならないように要望したいと思いますが、どうでしょうか。

高山大臣政務官 江田委員にお答えいたします。

 環境省といたしましては、今般の豪雨による災害廃棄物の発生、処理の状況、また廃棄物処理施設の被災状況の把握に努めまして、予算執行に支障のないように、被災自治体の支援に今万全を期しているところでございます。

 なお、災害廃棄物の処理事業や廃棄物処理施設の復旧事業については、被災自治体において、写真など、処理の復旧前の状況がわかる資料をとっておいていただければ、環境省によります現地調査を待たずに実施することが可能でありますので、速やかに実施していただけますよう、今、被災自治体と連携をとっているところでございます。

 また、加えまして、先ほどの有明海の件でございますけれども、基本的に、漂流、漂着物の件なんですけれども、河川や海岸、港湾に滞留、漂着している流木等の処理につきましては、船舶の航行や漁業従事上の支障の除去の必要性等を考慮いたしまして、河川や海岸保全区域等の区域ごとのそれぞれの管理者によって実際には処理をされております。

 環境省といたしましては、市町村が生活環境保全上必要として行う災害廃棄物の撤去処分につきましては、災害等廃棄物処理事業費補助金により支援することといたしておりますので、いずれにいたしても、今回の災害におきまして、被災自治体が過大な負担にならないように連携を図ってまいりたいと思っております。

江田(康)委員 万全を期していただきたいと思います。

 あと、残りの時間でございますけれども、防災・減災対策ということでお話をさせていただきたいと思います。

 まず、今回も大きな被害を受けたわけでございますけれども、森林の保全等についてひとつお伺いをさせていただきます。

 森林には、水源涵養機能のほかに、土砂の流出、崩壊の防止機能がありますけれども、間伐が行き届いていないために、日光が森林のもとに届かず、下草が生えないので、雨が降っても林床を洗い流して森林の保水力を低下させるという、これは全国的にも大きな問題がございます。

 今回の阿蘇地方において、戦後、外輪山の山腹に植林が行われたわけであります。人工林、杉が多いわけでございますけれども、今回の豪雨では、山から土砂とともに立木が流出しました。大きな被害となったのが、間伐が行われていなかったことがその大きな要因ではないかとも言われております。

 私も現場を、これは阿蘇市の一の宮の手野や、また大きな被害があった坂梨地区等々、当日から入ってまいりましたけれども、大きな杉が土砂、土石流とともに崩壊していった現場でございました。その杉の根を見るとわかりますけれども、非常に浅い。抱えている土が五十センチから一メーターの範囲である。

 また、特にこの阿蘇地方というのは、これはもう世界の阿蘇の火山灰、黒ぼくが歴史的に積もった山々でありますから、その上に杉が植林されている。そうなると、非常に土をしっかりと抱え込んでいない、こういうような山々もございます。

 しかし、それは間伐がきちんとなされていれば、それだけのしっかりした植林になっているわけでございますけれども、それが滞っている。このことは非常に大きな問題であるかと私は思います。

 淀川の治水工事を任された河村瑞賢という人が治水は治山にあることを説いたのは有名な話であります。治水は治山にあるわけであります。間伐の促進などによって森林を整備すれば、それだけ保水力が上がって森林の治水効果も高まるわけであります。

 今、林業、国産材の衰退、これがまた山林の荒廃を引き起こしているわけでございますけれども、今後は、土石流など土砂災害による被害の軽減など、防災、減災を目的として、森林整備などの治山対策を進めるべきと考えますが、防災担当大臣、また農林水産省の見解をお伺いいたします。

中川国務大臣 私も御指摘のとおりだというふうに、現地で流木の形を見て思いました。さらに、恐らく間伐をしてある地域は、捨て切りといいますか、間伐をしたまま放置するということもあって、さらに被害を大きくしているのではないかというふうな印象も持った次第であります。

 これから防災計画を立てていく中で、防災計画の主流化ということ、これを一つの基本的な理念にしていきたいなというふうに思っているんです。

 それはどういうことかというと、さまざまな事業、山を保全していくということの中にも防災という観点を入れ込んで、そして重点的に、例えば、防災という観点から見たらここの山合いは危ないというところについては、優先的に山の施業の施策を入れていく、投資をしていくということであるとか、あるいは、都市計画の中にも防災という観点をしっかり入れ込んで、その都市計画全体の中で防災という局面がちゃんと生きるような流れをつくっていく。

 ちょっと言葉がなかなかなじまないんですが、防災の主流化ということなんですけれども、そういう観点を持ちながらトータルな国づくりにつないでいくということだと思っております。

佐々木副大臣 先生から、治水は治山にあり、大変含蓄のあるお言葉をいただきました。我々も、農水としても、公器を一部預かっている者としてしっかりと受けとめなければならないと思ったところでございます。

 いい山をつくるためにはいろいろなことが考えられなければならないし、今、先生からも若干御指摘がありましたが、例えば、人工林で一色の山にすることが表層雪崩の原因になるのではないかというような説やら、あるいはまた、混交林の場合にはどうなんだとか、いろいろな説があるが、まだ定説になっているものはありません。

 ただ、今御指摘があったように、阿蘇地方のように、下が岩盤でその上に黒ぼくが乗っているというような地域的なことを考えると、やはりあの地域においては、こうしたことが想定される地域だというふうに考えなければならないと思うんですね。

 そういった中では、山をどうつくっていくかという意味でいうと、二つ考えなければならない。一つは治山による防災と、もう一つは、やはり森林整備をどうしていくのかという、両面で考えていく必要があるというふうに思ってございます。

 今回の災害、山地災害でありますが、まずは、災害復旧事業で緊急対策が必要かというふうに思っておりますし、その後、森林整備等による強い森林づくりというものを目指していかなければならない。具体的には、山腹斜面を安定させる治山堰堤、それから森林整備の方では、間伐や植栽、下草刈り、こうしたことをすることによって下層植生が発生して保水能力が高まる、この両面をしっかりあわせてやっていかなければならないというふうに思ってございます。

江田(康)委員 これは今後の課題ですので農水省に言っておきますけれども、林野庁の事業に間伐の支援がございます。

 新システム支援事業から流れてくる延長の、今やられている林業施策支援事業でございますけれども、間伐の支援についても問題がありまして、それは、木材搬出を目的とする間伐であれば支援措置がつくけれども、間伐だけを目的とするものは支援がなされない。私も現場は幾つも回っておりますけれども、どうせやるならば、本当に間伐だけを目的とする事業についても支援措置の対象とすべきだと思います。

 ここは、質問通告はしておりませんけれども、いかがですか。

佐々木副大臣 いわゆる切り捨て間伐でありますが、そのためにも路網をまず整備しなければ手入れができませんから、路網をやはりきちっと手入れをするということが何よりも大切だというふうに思います。

 そういった中で、今度はいわゆる再生可能エネルギーなどでも、こうしたものを燃料としてでも使えるような仕組みもつくってございますので、間伐がまずしっかり行われるというのは御指摘のとおりでありますので、いろいろなものを組み合わせる形で検討していきたいというふうに思っております。

江田(康)委員 これからも引き続きこの件については私も最大に支援してまいりますので、また検討を続けていきたいと思います。

 もう一つ、総合的な治水対策について、中川大臣また国交省にお伺いをしたいと思います。

 今回のような水害から市民の、国民の命を守るために、洪水を安全に上流から下流まで流下させるための河道の拡幅、堤防の強化、ダムの建設等治水対策がこれまでも実施されているわけでございますけれども、今回も、その未完成な部分から氾濫が起こった、また、市街地を浸水させたというところもございます。

 その完成には長い時間と多くの費用がかかることは現実だと思うわけでございますけれども、今回のような豪雨の頻度も、地球温暖化の影響やさまざま言われておりますけれども、これは着実に増加している。そういうような中で、今回、熊本の白川の氾濫に見られるような洪水による被害が増大することが懸念されます。

 厳しい財政状況の中、また時間の中で、市街地を含めた流域全体で総合的な治水対策をどのように進めていくのか、これが今後の豪雨災害の対策として重要であり、その検証もしていかなくてはならないと思うんです。

 私、今回、現地を回っている中で、特に熊本や福岡の現場を見せていただきました。熊本県の白川の氾濫は、やはり堤防が完成していないところから決壊しているというのも一つ。また、上流からの水の量が、六十年ぶり、過去最多だと思いますけれども、瞬間的な豪雨によって大変な水の量が上から流れてきておりまして、その濁流が川の、例えばこの白川というのは市内に入ってくると蛇行してブレーキがかかってくるわけなんですけれども、その蛇行に従って水が流れない。すなわち、テレビで皆さんが見られるように、越流で市街地が全て浸水したわけであります。

 こういうような状況であれば、当然、上流から貯水機能を向上させるということが必要でありますので、上流に立野ダムというのが、これは建設予定というか、いまだ検討予定で結果が出ていないわけでありますけれども、これはもう明らかであります。

 また、大分の方でも、きょうも御質問等で確認されたところであるかと思いますけれども、ダムがあるやなしやというところで、今回のような想定以上の、過去最大の水量をうまく治水していくことができるかということが決まっているかのようにも思えました。

 こういうようなことが非常に大事で、ですから、検討中で決まっていないようなところにおいて、早速に結論を出していかなければならないのが立野ダムだと思います。そういうものがほかの河川にもあるわけでございます。

 また、熊本市の白川に流れる支流とか用水路が氾濫をしておるわけで、それは非常に基本的なこと。すなわち、排水機場がございます。そこで、水位よりも低いところにこれが設置されておりますので、ポンプが水につかって起動しないというのが白川でもございました。

 また、福岡県の久留米市の城島町でも山ノ井川というのが、一級河川でありますけれども、それが、排水機場が水につかって、また、ポンプの能力がそれに伍していなくて、結局あふれてしまった。さまざまございます。

 また、古い橋でも、橋桁の間隔が狭い古い橋がいっぱいございますね。こういうような橋に大量の流木がひっかかって、その地域を氾濫させた。さまざまございます。

 いろいろ言いましたけれども、具体的に、国として、総合的な治水対策についてどのように進めていこうとされているのか、特に、熊本の白川水系や矢部川水系において考えているのか、お伺いをしたいと思います。

津川大臣政務官 国土交通省でございます。

 今、委員御指摘いただきましたとおり、河川の治水安全度の向上というものは、総合的に対策をとる必要が不可欠でございます。また同時に、河川ごとにそれぞれの特徴があるものでもございますから、河川ごと、河川整備基本方針あるいは河川整備計画に従いまして、しっかりとした対策を順次進めていくこと、これが大変重要であろうというふうに考えております。

 また、今回の白川、矢部川等における災害についてでございますが、今般の水量あるいは水位データ等の解析、あるいは洪水の痕跡調査等、一般被害調査を今鋭意進めているところでございますが、本格復旧につきましては、これらの調査結果等も踏まえまして、再度災害を防止する、こういった観点から必要な堤防整備、堤防の強化、あるいは、先生から御指摘ありました内水等につきましても含めて早急に検討を進め、自治体と協力をしながら対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。(発言する者あり)

江田(康)委員 今、的確な御意見が会場からございましたけれども、やはり具体的でなければ意味がないわけでありまして、それを私は言っているわけで、そういうことについて、自治体と協力して、迅速に、早急に、この災害を踏まえて対応をしていくということを政府に強く要望するわけでございます。

 財源がない、また、長い時間がかかる、こういうようなことがこれまでの総合的な治水対策をおくらせてきた原因でもあることは事実であるわけでございます。

 我が党公明党は、今まさに必要とされる防災・減災ニューディールというのを今提案させていただいております。これは、東日本大震災に続いて起こる南海トラフの巨大地震や首都直下型地震、大規模な災害、今の頻発してくるこういう豪雨災害等々が予測される中で、防災・減災対策の強化は、国家的な、与野党を超えた緊急の課題であるわけでありまして、我が党では、この対策を加速するために防災・減災ニューディール推進基本法案の検討を進めてまいりまして、このたびこの骨子を発表いたしました。

 この法案では、災害時における学校や病院や福祉施設や公共関係の施設、あらゆるところ、また、河川や砂防や港湾、そして道路や橋梁等々の防災上必要とする施設、これらが今まさに老朽化してきている。コンクリートの寿命は五十年から六十年と言われている中で、もう五十年がたつ公共施設が過半になってきている。こういう中で、集中的に社会資本の整備を行うことによって、防災、減災、国民の命を守り、と同時に、一方で大変経済は厳しい状況でございますけれども、デフレや景気を回復してくる決定打としていくべきだということで、これを強く今提案しているところでございますが、具体的に、法案の提出に向けてその骨子を発表させていただいたところでございます。

 これについては、国が全てを上から決めるのではなくて、自治体が集中投資の優先順位を決める、下からの積み上げ、上から言うんじゃない、こういうようなことや、また、予防的な改修で、これを早目にすることで、全部変えなきゃいけないところを補修で済む、コスト削減につながる、また、効率的な資産管理であるアセットマネジメント方式の採用で費用の軽減をしていく、これらを法律に明記していこうとしているところでございます。

 また、財源。これはさまざまございますが、決して赤字国債に頼るのではない。六十年を償還期限とする建設国債、これは将来世代に残す資産であるということをもって国民には理解ができるところかもしれない。また、復興債と同じようにある一定の年限を決めて現役世代がこれを担う、防災・減災ニューディール債というような財源、また民間の資金を積極的に活用していく、こういうような防災・減災ニューディールを進めていく財源も確保していくことができる、これを我が党は今提案させていただいているところでございます。

 今必要な防災、減災を進めて、そして景気、経済も活性化していく、こういう積極的な政策をぜひとも政府・与党一丸となって、また一緒に実現していっていただきたいということを申し上げて、きょうは時間がございませんので、これからの防災・減災対策を、本当に今まで必要な防災・減災対策ができなかったところを大きく前に進めていく、そういうことをしっかりとやっていくことを決意させていただきまして、きょうの質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

馬淵委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず、今回の災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 そこで、これだけの大きな災害が起こりまして、たくさんの被災者を出しているわけですが、まず取り組むべきは、被災者の生活とそれから住宅の再建だ、このように考えております。

 そこで、最初に、災害救助法の積極的な活用について質問をいたします。

 大分県や熊本県、それから福岡県の十二市二町三村、計十七自治体に災害救助法が適用されておりますが、災害救助法が適用されることで、避難所を設置し、そして炊き出しなどにより食事を提供するなど、当面の生活を確保する、それから、洪水や土石流で使えなくなった学用品を支給するなどのほか、仮設住宅の建設など、被災者の生活に必要な支援を国の責任で行うことになるわけであります。したがって、その全面的な活用、それから積極的に行うことが大切であります。

 そこで聞きますが、災害救助法のメニューであります、災害にかかった住宅の応急修理それから障害物の除去の活用についてでありますが、被災直後、大変慌ただしい中で、せっかく使える制度であっても、いつの間にか期限が過ぎてしまう、そういうケースが多い、このように聞いております。

 まず、厚生労働省に聞きますが、応急修理と障害物の除去、特に、今回の洪水や土砂災害の場合、どのような救助を行うことができるのか、お答えください。

津田大臣政務官 赤嶺委員にお答えを申し上げます。

 災害救助法による住宅の応急修理、これにつきましては、災害のために住居が半壊以上の被害を受け、その破損箇所を修理すれば日常生活を営むことができる場合に、必要最小限度の修理、屋根、床、あるいは、トイレ、風呂、壁、窓等でございますけれども、こういうことを行うものでありまして、みずからの資力ではその修理ができない人に対して、救助の一環として実施するものでございます。

 また、障害物の除去につきましては、家屋等に土砂あるいは流木等が流入をし、日常生活に著しい支障があるにもかかわらず、みずから障害物の除去ができない場合に救助の一環として実施をする、そういうことでございます。

 今回の水害でも、多くの住宅に被害が生じていることから、これらの救助が早急かつ円滑に実施されるよう、最大限努力をしてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 今お答えになったとおりでありますが、災害救助法で、例えば食品の提供は、一人一日千十円以内で、災害発生の日から七日以内、障害物の除去は、一世帯当たり十三万四千二百円以内で、災害発生から十日以内など、災害救助法は、先ほどの御答弁に加えて、救助の種類ごとに一般基準を示しているわけですね。

 そこで、被災地の実態は、そんな短時間では住民に制度を周知することさえできないのではないかと考えるわけであります。被災者は、そもそも支援制度の存在さえ知らされないまま放置されることになりかねません。

 特別基準を設定して救助が行えることとされております。期限内に受けなければいけないのか、特別基準というのはどういう趣旨で、その内容はどういうものか、この点についても説明をしていただけますか。

津田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 この災害救助法による救助は、告示に定める救助基準に基づいて実施をすることになっております。

 しかしながら、今赤嶺委員から御指摘がありましたように、被災の状況により、この基準では適切な救助を実施することが困難な場合がございます。この場合は、国と協議の上、救助の実施期間の延長等、特別基準の設定をすることが可能になっているわけでございます。災害救助法施行令の第二項におきまして、「厚生労働大臣が定める基準によつては救助の適切な実施が困難な場合には、都道府県知事は、厚生労働大臣に協議し、その同意を得た上で、救助の程度、方法及び期間を定めることができる。」というふうになっているわけでございます。

 今回の水害でも、地元自治体の要望を踏まえ、被災された方に対して適切な救助ができるよう、期間についても可能な限り弾力的な運用を図っていきたい、そのように考えております。

赤嶺委員 最後の弾力的な運用というのは大変大事だと思うんですね。自治体の役所の皆さんは、今、災害救助法で動き回るというよりは、やはり泥出しや避難で一生懸命、しかも、山間部というのは合併により職員も減って、膨大な仕事量を抱えているわけですね。

 国と協議の上基準を、延長することができるという、この国と協議の上という言葉に大変な困難さと難しさを持っているわけです。やはり、災害の現場で御苦労をなさっている、そういう自治体の職員のためにも、今の御答弁、弾力的に運用を図っていくんだ、今回の豪雨災害については特別基準できちんとやっていけるようにしたい、そういうことを、済みませんが、もう一度お答えしていただけませんでしょうか。

津田大臣政務官 先ほど江田委員にもお答えを申し上げましたけれども、災害の程度は大変甚大なものであるということは十分承知をしておりますので、赤嶺委員御指摘のような、本当に特別な対応がしっかりできるように努力をしてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 やはり、災害救助法、被災地の状況に応じて適用期間を延長し、そして費用の限度額も引き上げることが想定されているという、先ほどお答えになりました、そういう制度の趣旨、これを、災害が発生した今の瞬間に本当に生かしていく、生かせるよう、自治体の担当者だけでなく住民を含めて理解してもらう工夫と努力を行う、被災地と被災者の実態に応じた弾力的運用を行う必要があるということを重ねて強調しておきたいと思います。

 そこで、次に、被災者生活再建支援制度の積極活用についてであります。

 これは先ほどから大臣も答弁していらっしゃいますが、今までのさまざまな議論の経過もありました。ちょっと整理をしながら、今回の豪雨災害では何に注目してこの支援制度の運用を進めるべきかということについて質問をしていきたいと思います。

 被災地の地域社会を再建する上で、全壊世帯や大規模半壊世帯の住宅再建はもちろん、浸水被害で住み続けることが困難となった被災者、半壊や一部損壊でも自力では再建できない被災者などに対する支援が求められております。

 被災者の生活と住宅再建を支援する制度として被災者生活再建支援法がありますが、今回の豪雨災害では、熊本県の全域、大分県の三市、福岡県の三市に加え、鹿児島県の一町に被災者生活再建支援法が適用されております。

 被災者生活再建支援制度は、災害で住宅が全壊、大規模半壊した世帯のほか、住宅が半壊などして、その住宅をやむを得ず解体した世帯などを対象に、住宅の被害程度に応じて最大百万円の基礎支援金を、そして、住宅の再建方法に応じて最大二百万円の加算支援金を支給するものであります。

 今回のような災害の場合、半壊の認定を受けた世帯が、浸水などで家の中が土砂や泥に埋め尽くされ、その後の悪臭のため住宅を建て直すなどは、やむを得ず解体した場合に当たる、このようにされてきました。一部損壊などの認定では、悪臭がひどいからといって解体しても支援金の支給対象に当てはまらない、こういう議論が行われてまいりました。

 この点について、我が党の井上哲士参議院議員が二〇〇八年の九月十二日の参議院の災害対策特別委員会で質問をした際、当時の林幹雄大臣は、この悪臭などは、住宅被害の取り扱いにつきまして、被害認定の調査、判定方法に関する検討会の中で見直しを検討する、このように答弁しておられます。見直した結果について、具体的にどういうことになったんでしょうか。

中川国務大臣 済みません、具体的なさっきの見直しの点について、ちょっと私の方に事前の通告がなかったものですから、答弁は準備はしていないんですが。

 それぞれの現場で、実際、査定といいますか、被害状況を確実に確定させるのは地方自治体レベルでありますので、本来はそこのところで、いろいろな形の、弾力的なといいますか、運用ができることが前提になっているはずなんです。しかし、それが自治体によっていろいろ見方が変わってくるということ、ぎちぎちで運用しようとするのか、それともある程度弾力的にやろうとするのか、その担当者によって見方も変わる可能性がある、あるいはそういうケースもあるというふうなことを聞いております。

 そんなことも含めて、私の問題意識としては、少しこれは全体として考えていく必要がある、検討していく必要があるというふうに思っております。

赤嶺委員 私は、きのうの晩、内閣府に通告をやっているはずです。

 つまり、大臣の今の御答弁は御答弁として承りますが、認定上一定の見直しを、いわゆる半壊に当たらなければ、一部損壊でも、においが残って住み続けられなくても、解体しても何の支援も得られない問題について改善をすべきだ、このように迫ったわけですが、その結果、私たちの主張のとおりに改善されたかどうかはおいておいて、一定の見直しが行われたというぐあいに説明を受けております。

 答弁、いかがですか。

中川国務大臣 もしこの見直しがそれに該当するのであれば、こういうことでありまして、平成二十一年の六月に運用指針の改定をしております。

 これは具体的には、例えば、床下へ堆積した汚泥の除去のために床板の取り外しが必要であること、あるいは、浸水した壁の内部の断熱材を取り外すために壁板の取り外しが必要であること、これらの点についてもきめ細かく損害として考えるということ、いわゆる点数化するということですね。あるいは、二階建て住宅の中で一階が果たしている役割の重要性を考慮しまして、一階の損害を割り増しして算定をしていくということ。

 こういうふうなことで、水害に対応した見直しをしているということであります。

赤嶺委員 そういう答弁を求めておりました。

 つまり、今度見直したことについて、一部損壊であって、そして泥などのにおいが残って、それでも判定として半壊にならないために何の支援も受けられない、こういう問題提起がこれまでの委員会で繰り返しされて、今度は、被害実態に即した被害認定ができるよう判定方法を追加すると。さっき大臣がおっしゃったことですね。次の被害を損害として算定できるようにする。

 床下への汚泥堆積と汚泥除去のための床の板の取り外し。壊れていなくても、床下の泥の除去のために床板を取り外した場合、点数が加算される。それから、浸水した壁内部の部材取り外しに伴う他の部材の取り外し、これも見直しの対象とする。それと、これまで、一階はかなりの被害を受けているけれども二階が残っているからこれはいいじゃないかというような議論に対しても、二階建て住宅の中で一階が果たしている機能の重要性を考慮し、一階の損害を割り増して算定できることとする。

 こういうことだろうと思うんですが、大臣、確認の上で、もう一度お願いします。

中川国務大臣 まさにそういうことでございます。

赤嶺委員 見直しがされて、床下に積もった汚泥を取り除くために床板を剥がすとか、あるいは、浸水した壁内部の部材を取り外すため他の部材を剥がすなど、水害による住宅の被害として認定するというものであるわけです。住家としての機能を重視し、そして、外観だけによるのではなく、被災者の納得が得られるようにすることを要求し、さらなる改善を求めていきたいと思います。実際にいろいろな認定の作業はこれからだと思うんですね。そういう見直された制度も含めて、やはり現場に徹底をしていく必要があるだろうと思います。

 次は、政治家としての大臣の意見も少し聞いてみたいなと思いまして質問をするわけですが、二重ローンの問題です。

 私も、白川の水害が非常にひどかった熊本市内の龍田地区を訪ねたんですが、訪ねている中で、避難のやり方がどうであったとか、それから、住宅の中に泥が流れ込んできている状態がどうであったかとか、一軒一軒、地元の我が党の県会議員や市会議員の皆さんと一緒に訪ねていきました。

 その中で、一カ月前に住宅を新築したばかりの我が家が二メートルを超える浸水被害を受けて、家財を含め壊滅的な被害に遭ったという事例もありました。こういう家族には住宅ローンだけが残されているわけですね。それから、今までの住宅ローンがありますから、これから再建していこうにも、その負担が重くのしかかっていって、大きな障害になっているわけです。

 これは建物だけでなく、事業用の設備や機械、資材などが浸水で使えなくなった中小事業者なども、既存のローンの負担や新たな借金による二重ローンの負担がこれから重くのしかかることになります。

 一日も早く被災した地域社会を立て直すためにも、こうした負担を軽減するための手だて、やはり、そういう二重ローン解消、被災者が本当に再び立ち上がっていけるような、そういう制度をつくるべきじゃないかと思いますが、大臣の決意はいかがでしょうか。

中川国務大臣 これは支援法のときの議論と同じで、こうした個人の負債、あるいは個人に対する支援のあり方というものにさかのぼっての議論になっていくんだろうというふうに思います。

 現状では、直接資金を供給する、あるいは二重ローンを解消するということではなくて、災害援護資金の貸し付けであるとか、あるいは生活福祉資金制度による貸し付け、あるいはまた災害復興住宅融資制度による貸し付け、こういう貸し付けという形で支援制度をつくって、被災者の生活再建がなされるような形態になっております。

 その上で、実は東日本の大震災でもこの二重ローンというのは大きな問題になりました。企業に対しては、恐らく半分は破綻法制的な制度を入れて、いわゆる借入金というものをジャンプさせたり、返済を延ばしたり、あるいはその債権を買い取ったりというような形でいろいろなスキームが入れられたわけでありますが、個人に対しても、それと同じような形で一部対応がなされております。

 そこのところを考えていくと、これは将来の課題になると思うんです。東日本でコミットしたものを全国的にこれからの防災の前提としてやっていくのかどうか。ここのところを踏まえて、これから検討をしていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 東日本のときには、二重ローン解消のためのさまざまな議論が起こり、ある程度の枠組み、仕組みがつくられているわけです。やはり、被災者がぶつかっている局面は同じだと思います。今、大臣はこれからの課題だとおっしゃいましたが、ぜひ積極的に取り組んでいってほしいということを要望しておきたいと思います。

 でも、まだ抜本的に、被災者生活再建支援法を改めるべきこと、午前中から議論になっている問題、これはどうしても聞いておかなければなりません。

 先ほどの、半壊以上として認定されるかどうかというのは一つの関門でありますが、その見直しにより今後どのような判定が行われていくか注目していきたいんですが、たとえ半壊と認定をされても、解体、撤去し、新たな住宅を建設しないと住むことはできないわけです。支援金を最大の三百万円支給されても、これはもう解体費用でなくなってしまって、新たな住宅を再建するなどできない相談だということになります。

 住宅再建を支援するというのが制度の趣旨でありますから、支援金の支給額は少なくとも五百万円に引き上げることや、あるいは、支給の対象を半壊世帯以下にも拡大するなど、これも検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。

中川国務大臣 最近、特に東日本の大震災を経て、先ほどのような議論というのはあちこちでやっておっていただくということ、これを私も認識しております。

 もともと議員立法で組み立てられたこの支援法なんですが、どこかで線引きをしなきゃいけないんだろうと思うんですが、結局、見舞金的な性格ということで、トータルで住宅を再建できるようなベースになっていくところまでなかなか持っていけなかったということがあったんだというふうに理解しております。それをどこまで充実したものにしていくか、それぞれ野党の皆さんの議論も踏まえて、私たちもしっかりここは見直していく過程で考えていかなければならないというふうに思っております。

赤嶺委員 やはり、大臣としても、この制度を住宅再建という趣旨に合わせて見直していかなければいけない、そういうお考えであるということですね。

中川国務大臣 そのことも含めて、これは議員立法ですから、国会の中でもしっかり議論していただかなきゃいけないということなんですけれども、これまでの見舞金という形でいくのか、それとも、もっとしっかりとしたベースをつくっていくのかというのは、皆さんと一緒に、それも含めて議論をしていく必要があるというふうに思っております。

赤嶺委員 次に、農業について伺っていきます。

 被災地は、いずれも米どころであり、そして特産品をたくさん担ってきた農業地帯であります。水田が泥で埋まっているとか、濁流に流された畑だとか、農家が、もうことしは全滅だ、これからどうなるかと言っておられる。本当に胸が締めつけられる思いであります。

 この地域の農業、そして漁業も含めてですが、まず農業をどのように再建していくのか。具体的に伺いますが、田植えが終わったばかりの水田には瓦れきや泥が堆積し、用水路も壊れております。被害をこうむらなかった水田でも、水路が破壊されているために、全滅する危機に直面しております。これらの被害に対して今政府が持っている支援策、どのようにするつもりでしょうか。

佐々木副大臣 お答えさせていただきます。

 梅雨前線による福岡、大分、熊本を中心とする農地あるいは農業施設、あるいは林地などなどについて、大変大きな被害を受けてございます。

 二十三日現在でありますが、土砂流入で、今お話がありました用排水施設の損壊が約一万二千カ所、それから、林野関係の被害が約二千三百カ所ということの報告を受けてございます。この一週間ぐらいで約倍にふえてきてございまして、今、順次被害について集めさせていただいております。

 農林水産省としては、対策本部を設置させていただいて、七月十三日、七月十七日、それぞれ会合を持たせていただいておりまして、その中で、岩本副大臣、森本政務官も現地視察をさせていただきました。

 もちろん、いろいろな制度は、査定前着工も含めて、いろいろ早急に取り組んでいかなきゃいけないと思っているんですが、先ほど来お話があるように、人的な支援もお願いしたいということも現地から言われてございまして、例えば、それは、調査そのものの人が欲しいのか、あるいは設計をするための人が欲しいのかというようなことも今現地と具体的に相談をさせていただいておりますが、そうした人的な支援ということもぜひ応援をしていきたい。あらゆる制度について、迅速に対応できるものは迅速に対応していきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 人的な支援というのは、合併によって本当に職員数が激減をした被災地にとっては深刻であります。そのための政府の努力は必要だと思います。

 同時に、今出た農地・農業用施設災害復旧事業というのがあるわけですが、査定前着工ということもおっしゃいましたけれども、やはり自治体の方から聞こえてくる声というのは、国が審査し、農地復旧の国庫負担割合を決める、この作業が終わるのは来年度の見込みで、それまでは泥出しや流木撤去はできない、こういう声が上がっているんですね。

 今も、被害の状況の調査もままならない陣容であるわけですね。査定前着工と言われても、どこから手をつけていいかわからない。結局、国がそういう事業の負担割合を決めるのは来年度の見込みで、それまでは泥出しも流木撤去もできないんだという声が上がっておりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

實重政府参考人 査定前着工の制度につきましては、緊急に応急的な措置ができるようにということでございますので、大いにこれを活用していただきたいと思っております。その中で、今御指摘のような泥出しとか、応急的な土のうを積むといったような対応ができるように措置をしているところでございます。

 御指摘のように、人的な側面での不十分なところがあるという件につきましても、当面、現在は九州北部で大きな災害を受けておりますので、九州農政局の職員がいろいろな市町村を回りまして、どのような対応をしたらよいのか、それから、被害額の調査をどうしたらいいのか、応急的にはどういう対応をしたらいいのかというようなことを相談を受けております。

 また、災害査定の関係の査定設計書をつくる段階になりますと、より複雑な技術的な作業になりますので、これにつきましては、職員を数週間派遣いたしまして、それで御支援することも可能でございます。これは県からの要望を受けまして対応することにしております。

 そのように、できるだけ早期に対応できるような形を、いろいろな弾力的な運用をとりまして行っていきたいというように考えております。

赤嶺委員 とにかく、目の前の田んぼが泥で埋まっているような、瓦れきが散乱しているような、畑が流されている状態ですね。見るだけで農家の再建の意欲がうせていくと思うんですね。手続が遅くなってその事態がもっと先に延びるということが絶対にないように、これは人的な支援も、いろいろな面からの支援も受けて、目の前の泥が除去されるような、そういう体制をとっていただきたいと思います。

 あと、有明海への瓦れきの流出が出てきておりました。ノリは柳川の方も大きな被害を受けたんですが、ノリの加工機械、これが水につかって、設備投資で五千万円ということですが、諫早干拓事業でノリの色落ち被害に対してこれまで大問題になってきて、ノリそのものが大変な苦境に立たされているときの今度の被害であります。ノリの加工施設の設備、そういうものも支援をしていかなければいけないと思いますし、瓦れきの撤去もやっていかなければいけないと思います。

 ノリの産地を守るために、どんな施策をお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 御説明いたします。

 今回の大雨によりまして、有明海の周辺の水産業につきましても大変大きな被害が生じているところでございます。

 今、委員からの御指摘のノリ業者の方の乾燥施設、これは大変高価な機械でございますけれども、今の状態としては個人がお持ちの場合が多いんですけれども、これを協業化して再建を図ろうというような新しい取り組みをされる場合には、強い水産業づくり交付金ということで、大型の機械の共同利用施設の整備というようなことで支援が可能でございます。

 それから、個人のものを個人の形で復旧するというような場合には、日本政策金融公庫の農林漁業施設資金あるいは漁業近代化資金等の金融上の支援ができることになっております。

 また、経営上の問題として、経営再建に必要な長期運転資金ということでは、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の活用が可能となっているところでございます。

 よく現地の状況を聞きまして、先ほど流木等もございましたけれども、まだいろいろな被害が集計途中でございます。さまざまな状況が起こってきておりますので、現地からよくお話を聞きまして、十分な対応をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

赤嶺委員 終わりますが、きょうの質疑を通じて新たに感じたのが、やはり被災地の自治体の人的な体制の不足が復旧をおくらせている。国は県の報告を待ち、県は自治体の報告を待つ、こんなやり方、多分とってはおられないだろうと思いますが、そういうことではなくて、積極的に被災地に足を運んで実態をつかんで、本当に被災者が元気を出して復興に取り組めるようにしていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 以上です。

馬淵委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正でございます。

 質問に入ります前に、今回の水害、私の選挙区でございまして、水害が発生すると同時に、中川大臣は二回、後藤副大臣も、そして総理も入っていただいて、この被害の実態をしっかり目に焼きつけて、これが復興に向けて大変な努力をいただいている、そのことについて心から感謝申し上げたいと思います。

 また、国会議員の皆さんにおかれましては、各政党会派の議員団、調査団を派遣していただいて、これまた復旧に向けての力強い支援の輪を広げていただいているということ、これも被災地の一人として厚く感謝申し上げたいと思います。

 我が党も、もちろんでありますが、現地に入り、今回の被災の甚大さというものをしっかり踏まえ、これが回復によって復興に向けて、ぜひ皆さんの御支援と御協力を引き続きお願いしたい、そのことを申し上げて、質問に入らせていただきます。

 質問に入ります前に、今回の九州北部で発生した豪雨災害でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 今申し上げましたように、各界各層の皆さん方、思いを持って現地に入っていただいた、本当にありがたい気持ちでいっぱいであります。

 気象庁の、これまでに経験したことのない大雨というこの表現どおり、今回の豪雨はすさまじいものがあった。古老に聞いても、こんな雨見たことない、住民が異口同音にそのように申しておりますことに象徴されるように、本当に甚大な被害をもたらしたのであります。

 もうきょうも多くの方々が質問しましたから、私が今から質問することも重複する部分がたくさんありますけれども、それはお許しをいただきたいと思うんですが、まず最初に、激甚災害指定の問題。これは、関係自治体の皆さんもこぞってそのことを申しておりますし、被災住民も異口同音にそのことを私に投げかけてまいります。

 今回の豪雨は、大分県的にいうと、七月三日、そして七月十一日、こういうふうになるのでありますが、これを中心にして被害が拡大をするわけであります。問題は、先ほども大臣が答弁されていましたけれども、どの範囲を今回の水害の被害と位置づけるか、これが非常に関心が高いわけでありますね。ですから、その点をまず聞いておきたい。激甚災害指定の見通しと、そしてどの範囲を位置づけてくれるのかという点について答弁を求めます。

後藤副大臣 私も、先ほども御答弁しましたように、七月の六日と七月の二十日に二度にわたって先生の御地元にも視察をさせてもらいました。

 先ほども御答弁をしましたように、今回は梅雨期を通じた一連のものということで、まだ東北地方も含めて梅雨明けをしていない地域がございますけれども、全国の梅雨明けを確認した上で、時期的には、激甚災害の指定というのは、先ほど御答弁を差し上げているように、農地等の復旧事業を中心に七月の下旬から八月の上旬になるというふうなことであります。

 そして、期間でありますけれども、今もお話をしましたように、今回の激甚災害の指定というのは、梅雨期を通じた一連のものという形で指定をすることを考えております。具体的には、六月の八日をスタートの日として、繰り返しですが、全国の梅雨明けを確認した上で、災害の終期を定めていきたいというふうに考えております。

重野委員 現地の被災者の思いというのは、より早くという本当に切実な期待、また、それを束ねて、行政の側もそのことを期待しておりますので、可能な限り応えられるように頑張っていただきたいな、このように思います。

 次に、ダムによる治水という点について。もうきょうは我が県の、同じ岩屋議員からも質問をされておりましたから、重複いたしますけれども。

 結論から言うと、二つのダム、稲葉ダムと玉来ダムというのが、二本計画はあるんですね。実は、これは二本とも同時に要請を国にしたんですね。稲葉川はダムはもうでき上がりました。ところが、玉来については、なぜか一時期休眠状態に入ったわけですよね。二年間ぐらい眠ったわけです。

 今、地元においては、言わぬこっちゃない、あれがやはりもとだ、こういうふうにやはり言うんですね。私はその気持ちもわかるんです。見事に今回のこの集中豪雨で、被害の発生状況というのは、治水ダムというものの効果というのは歴然たるものがあって、稲葉川の方は何にも事故が起こらないで、玉来の方がざあっと起こったわけですね。だから、まして今地元においては、玉来川について、そもそもダムをつくる計画になったわけだから、休眠状態が二年あったけれども、今それは回復をして進行中だから、ピッチを上げて可能な限り早く、こういう事故が起こらないように、玉来川のダム、玉来についてもつくってもらいたいというのは、これは当然の地元の住民の意向ですよね。

 それについてどういうふうに受けとめていただけるのか、答弁を求めます。

津川大臣政務官 玉来川における治水計画について御質問いただきました。

 今委員からは、ダムによる治水の効果ということについて言及をいただいたところでございますが、ただ、河川整備の考え方は、ダムももちろん一つ大きな政策でありますが、総合的に堤防の整備等々含めて行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 玉来川では、平成二年の七月に発生をいたしましたいわゆる豊肥大水害を受けて、大分県が事業主として平成三年に玉来ダムの建設事業を着手したところでございます。今委員から御指摘をいただきましたとおり、平成二十二年の九月に検証対象ダムとしてダム検証を行い、昨年の十月に補助金交付を継続するという国の方針を出させていただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、治水安全度を一刻も早く高める、そのためのさまざまな河川整備計画を進行していく中で、財政制約ですとか、あるいは用地の問題ですとか、あるいは技術的な開発、こういったものを総合的に解決しながら、この当該ダムにつきましても、現在、大分県でダム本体工事のための設計等、鋭意、実施をしていただいているところでございますので、国交省としても積極的に支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

重野委員 今、経過を含めて説明がありました。そういう方向で、ひとつ省としても頑張って、一日も早い実現に向けて御支援のほどをお願い申し上げておきたいと思います。

 通告をしていなくて、きょう、先ほど委員部の方に申したんですけれども、国交省の関係でありますから。実は、この水害で、大分県には日豊線、豊肥線、久大線、それから日田彦山線という四つの線路があるんです。今回、日豊線は何もなかったんですけれども、豊肥線と久大線は、もう今ずたずたですね。途中でバスで中継ぎ運転したりしながら辛うじて運転されているという状態があるんです。

 これは、特に豊肥線は、この間、たびたびこういう事故に遭っているんですね。まず確かに地形の関係もある。線路の引き方、それはもう古い古い線路ですから、さかのぼって議論することはいかがなものかと思うんですけれども、いずれにしても、集中豪雨が出ればどこかが破壊されるという運命みたいなものがあるんですね。

 確かに、大分の地方の線路というのは、経営的には決して容易ではないんですね。極端に言うと通学列車かなというぐらいに、朝と夕方は結構多いんですが、その間はがらがらというか、お年寄りが三々五々乗っているというような、そういう形の路線ですから、やはり法的な応援体制というものができないと、JRだけでどうこうというふうなことを申すことはなかなか厳しいなという僕らの常識があります。

 今回のこの水害によってまたダメージを受けた、それが即その地域の皆さんの、特に通学する子供たちの足を奪うことになるわけで、そこら辺をどう受けとめて、この問題についてどう対処していくのか、それについてひとつ積極的な発言を期待しています。

津川大臣政務官 鉄道事業者におきまして、鉄道運行についての安全確保に努めていただくというのは、まさに事業者としての責任でございますから、まずは事業者として、そこはしっかり確保していただきたいと思っております。

 一方で、地方の民鉄のように、なかなか経営体力に限界があるというようなところにつきましては、地域公共交通確保維持改善事業、こういったものを活用していただきながら、その防災力を高めていただく、こういったものを随時進めていただいているところでございます。

 今御指摘をいただきました豊肥線等を含みますJR九州についての災害復旧についての援助の考え方だと思いますが、先生も御案内と思いますが、鉄道災害復旧事業費補助という事業がございます。これは、その対象となります災害の程度、それから、その対象となります事業者の経営状況、こういったものを勘案して判断をするところでございまして、国交省としては、まさに今御指摘をいただきましたように、豊肥線は大変大きな被害を受けているところでございますが、この被害の状況を踏まえつつ、JR九州の経営状況を勘案し、どのような支援が可能かということについて積極的に検討してまいりたいと考えているところでございます。

重野委員 ぜひ、これについて、住民の期待が裏切られたということにならないように、ひとつしっかりサポートしていただきたいな、このように思います。

 次に、災害復旧工事のありようについて。

 例えば日田市でありますが、あそこの堤防は切れて、浸水したわけですね。ここはたびたび水害に遭っているわけですよ。

 いわゆる災害復旧は、原状復旧みたいな形が常識だというふうに言われているんですね。それにプラスアルファして対策を講じるというようなところまではなかなかいっていない、現場はそう言うんですね。ですから、同じことを繰り返すわけです。

 もしあれが一メートル堤高を高くしていれば、浸水することはなかった。まあ、壊れるか壊れないかということはわかりませんけれども、そんなことが言えるのではないかというような素人考えがあるんです。

 私は、やはり災害復旧というのは、よりその効果を高らしめるということはもちろんですから、その被害を受ける前の形に戻すというところにとどまるのではなくて、もっと積極的、建設的に災害復旧工事というのはやるべきじゃないのか、そういうふうに思想を変えていく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

津川大臣政務官 御指摘をいただきましたとおり、災害復旧事業というのは原形復旧というのが原則でございます。

 ただし、昨年の三・一一東日本大震災でもそうでありましたが、単にもとに戻すだけであるということが合理的ではないというケースもございます。河川の場合であれば、例えば、上流、下流の形状に合わせて、単にもとの形に戻すだけではなくて、堤防をかさ上げするなどの復旧のあり方というものも当然この災害復旧の中に含まれてございます。

 また、今先生のお話のように、さらなる改良をするというような事業をあわせて行うということも可能というふうになっているところでございますが、被災自治体から具体的な御意見を伺いながら対策をとってまいりたいと考えているところでございます。

重野委員 私の提案は、やはりしっかり受けとめて、今後の災害復旧の思想の問題にかかわってくる問題があると思うんですね。だから、そこのところはひとつ積極的に、改革的に考えて、方針につなげていただければありがたい、このように思っております。

 それから、ちょっと災害復旧に関連をして、農水省の政務官が来ていますので。今度、いわゆる水田も本当に壊滅的な打撃を受けました。あの砂を、本当に、砂は肥沃した砂ですから、これは将来田んぼにとってプラスになると思うんですよ。しかし、今作、ことしの作はもうだめですよね。だから、それは相当な面積がありますから、これの対策をどうするかということをひとつ出していただきたいことと、農業用水路、これがもうずたずたですよ。だから、間もなく、今立っている水田もだんだん色が悪くなるんです。そして枯れるんですよね。もう水が来ないわけですから。

 水路の修復というのは、これは僕は、農業の基盤ですから、今度の水害の中でもやはり農業用水路の修復というのを忘れることのないように、これをやはり速やかに修復していく、そういう決意を述べていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

佐々木副大臣 大変な被害を受けられたということで、私ども農水省からも、副大臣、政務官、それぞれ現地を視察させていただいて、随時報告も受けて、被害も今まとめさせていただいております。

 何よりも大切なのは、やはりいかに早く迅速に対応していくかということだというふうに思っておりますので、先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる査定前着工なども含めて、できるだけ早く対応できるものは対応していきたいというふうに思っております。それから、今あった、特に排水の修復でございますが、いろいろな事業を今農水省も持っておりますので、災害復旧の事業だけではなくて、いろいろな事業を組み合わせる中でできるだけ早く対応できるような道と、それから、先ほども触れましたけれども、人的にも足りないというお話も聞いておりますので、そういったお手伝いも含めてしっかり対応していきたいというふうに思っております。

重野委員 最後に、流木対策、これがやはり大きいんですね。これは、今この国は山を粗末に扱っているというツケをこのような水害のときに流木という問題で受けているんだと思うんですね。この流木に至る経過等々は、私が言うまでもなく、本当に山が疲弊をしているというふうなものが根本的にあるわけですよね。だから、流木対策を、起こっている現象に対してどうするかということと同時に、それを、流木というふうな形で山から木がころころと流れ出てくるということを防ぐために、長期的にどうしたらいいか。これは、僕は、百年、二百年単位の仕事だと思いますよ、日本の山を健康にするというのは。そういう点について答弁を求めます。

馬淵委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

佐々木副大臣 先ほどもお話をいただきましたが、今、長期的なという視点も委員から御指摘をいただきました。

 二つ、やはりあると思います。治山というものをしっかりやるということと、もう一つは森林整備、とりわけ間伐だとかそれから植栽というものをしっかりやっていく。やはり両面やらなきゃいけない。そして、植栽、間伐というものをやることによって水をしっかり含んでいく状況をつくっていく、この両面をやはりしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思って、積極的に取り組ませていただきたいと思っております。

重野委員 終わります。

馬淵委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今月十八日の災害特の委員派遣では、私は熊本の方に行かせていただきました。被害の甚大さ、また犠牲の大きさに改めて本当に胸を痛める思いをいたしました。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、今も被災して生活を送っておられる皆さんにお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 阿蘇市や南阿蘇村では、阿蘇山のカルデラの外輪山の山裾の斜面が崩れて土石流として住宅に押し寄せた光景を幾つも見ました。これは、遠くから見ても杉の植林をしたという外輪山の緑の斜面が爪でひっかいたように崩れている箇所を無数に見つけることともなりました。

 きょうは資料として、今お配りをさせていただいていますが、航空写真を二枚、資料としてお出しをいたしております。熊本県阿蘇市一の宮町手野、百メーターにわたって外輪山の山肌が崩壊をしている、そういう写真であります。写真を見ると、斜面の下に住家があって、そこに土石流が押し寄せている、こういうことがわかります。ここ手野では、五人が土砂に埋まって亡くなっているということであります。一方、その下の平らな土地、県道二百十三号から先は、これは住家ではなくて田んぼになっている、これも写真でわかりますね。

 このような光景を見るのは今回が初めてではない。むしろ、災害の現場を見ると、私はかねてから気になっているんですけれども、こういう土石流が起きそうな斜面の直下に人が住んでいる、こういうケースが多いように思うんです。こうしたことがなぜ起きるのかというか、こうした形の住まい方がなぜ広範に見られるのか。このことについて、もし御見解があったら、お尋ねをしてみたいというふうに思います。

津川大臣政務官 委員御指摘のように、土砂災害が発生をした現場に行くと、まさに崖の下、土砂災害が起こりそうなところに住宅が建っている。なぜこういったところに住宅が建ってしまったんだろうかという疑問は、確かに私どもも感じるところであります。ただ、それがなぜそうなっているのかということについて、今、一般論として申し上げるほどの知見を持っておりませんが、それぞれの地域の歴史的な背景、経済的な構成によって生まれてきたものかと思います。

 ただ、災害のリスクとの関係で述べさせていただくならば、ある一定の災害が発生をした直後には、そのリスクの認識が非常に高まって、安全なところに住宅を建てられるという傾向がございますが、しばらく時間がたつなどいたしまして、リスクに対する認識の度合いが低下をしてきたときに、やはりそういったところに住宅が建ってしまう、そういったケースが見受けられているところかと思います。

 今委員の御指摘のように、こういった土砂災害が発生しやすいところに、なぜこのように住宅が多く建ってしまっているのかということについて、かなり、全国それぞれの事情があろうかと思いますが、我々としても、しっかりと問題意識を持ってこれから調べてまいりたいというふうに考えております。

柿澤委員 この質問については、実は、質問通告した後に、誰が答えるんだということになって、こういう形で政務官にお答えをいただく、国土交通省さんにお答えいただくということで引き取っていただいた経過があるんですが、何となく感覚的に、私と同じようなことを感じている方はいらっしゃると思うんです。津川政務官もそういう感じ方をされておられる。それについて、ぜひ調べていただきたいというか、調べようがあるのかないのかという問題もあるんですけれども、この構造的な要因にちょっと目を向けていただきたいなと思います。

 この観点に立って、もう少し質問を続けてまいりたいと思います。

 こうした土砂災害の危険箇所については、平成十三年の土砂災害防止法施行に基づいて、土砂災害警戒区域そして特別警戒区域の指定が順次行われてきております。ところが、今回被害が集中した阿蘇の外輪山内で、計二十一人の死者が出た十五カ所の土砂災害現場のうち、実に九カ所が警戒区域にも指定をされていなかったというんですね。中には、警戒区域指定に向けて調査中だった、こういう場所もあるようですけれども、この土砂災害防止法に基づく警戒区域、特別警戒区域の指定が防災上もたらす効果、そして課題というものをどのように考えているか、お伺いしたいと思います。

津川大臣政務官 土砂災害防止法は、市街地の拡大に伴いまして、土砂災害のおそれのある斜面地等に住民が居住をする、被災を未然に防いでまいりたい、そういった思いで制定をされたものでございます。土砂災害警戒区域の指定により、警戒避難体制の整備ですとか、ハザードマップの整備などが市町村に義務づけられているところでございます。

 今委員から御指摘がありましたとおり、国としては、現在約五十二万カ所の災害危険箇所というものをカウントしておりますが、現在、土砂災害警戒区域に指定をされているのがまだ二十六万カ所ということで、その指定がおくれているというのが現実でございます。

 平成十三年にこの法が施行され、最初の指定が十四年からで、ちょうど十年がたったところでございまして、これをいかにして加速していくのか、あるいは、実際にこれが指定をされた後、その期待をされた効果が発揮されているのかどうか、しっかりとフォローアップをしてまいりたいと考えております。

柿澤委員 指定が進んでいない、こういう状況があるようですが、しかし一方で、土砂災害警戒区域は、今おっしゃられたように、全国で二十六万五千二百七十六カ所、熊本県だけで実に三千七百六十二カ所も既に指定をされているんですね。こういう状況が日本全国に広がっているわけです。

 先ほど、市街地が拡大をしていって、そして土砂災害が危険な箇所にも住宅が建つようになった、こういうことがやはり土砂災害による人的被害をもたらして、そして平成十三年の土砂災害防止法の制定に至った。こういうことなんですけれども、これは確かに、一昨年も広島県を初めとした豪雨災害があって、現地に国土交通委で見に行きましたけれども、このときも同じように、やはり広島というのは平地が少ないので、どんどん住宅開発をして、人口増加に伴って、山の斜面の、本当に土石流が直撃しそうなところまで住宅が建ってしまった。こういうところを見させていただいた。このような状況があるんだということを感じさせられました。

 これは、人口がふえて、都市化が進んで、平らな土地がないんだからしようがないよね、こういうことなのかどうか。むしろ、日本における土地利用の現状が、このような豪雨による土砂災害で毎年のように犠牲者が生まれてしまう、こういう要因になってはいないか。このような疑いというか、懸念を持っています。

 先ほどの写真をもう一度見ていただきたいんですけれども、斜面直下には住家があって、斜面から離れた平らなところには、これは田んぼとして利用されているわけです。こうした平らな土地は、土地利用区分としてはどうなっているかというと、これは農地になっていることがもちろん多いわけですね。

 農地は、所有にも利用にも厳しい規制があって、農業者による農業用途の土地所有と利用だけが認められる、これが原則だと思います。転用許可がなければ、住宅等の建築物の建設は不可になっている。農地法、農振法、そして都市計画法の市街化調整区域として、いわば三重に守られている。だから、農地には原則として住宅が建たないわけですね。

 一方で、都市計画区域外の山林には、建築物に関する規制は基本的にはない。ここには住宅も建設できるわけです。だから、山林地目の土地を、急峻な崖を切り開いて住宅地として造成するような開発が行われてきたという面があるのではないかと思います。この土地利用に対する規制の違いが、農地を避けて、山林等における住宅開発を誘発する要因になってきたのではないか。平らな土地ではなく斜面直下に住家が立地する、こうした要因にもなってきたのではないか。そこが土砂災害の被害箇所となる、こういう構造的な要因があるのではないか。こういうふうに思うんです。

 どう思いますかと御答弁を求めようとしたら、このことについてはどの省庁も答えられないと言うんですね。どこが責任を持って回答すべき問題かわからない。ある意味では、こうした観点から光を当てたことが、今までこの問題はなかったんだと思います。

 今お尋ねをしながら、中川大臣がしきりにうなずいてお聞きをされているので、もし、感想でもいいですので、お伺いできれば、御答弁いただければと思います。

中川国務大臣 非常に含みのあるというか、示唆に富んだ御指摘だというふうに思っております。

 そういうところも含めて、全省庁が管轄しているその脇といいますか、その基準を超えて、我々も総合的な防災計画というのをやっていきたいというふうに思っております。

 以上です。

佐々木副大臣 農地の話が質問に出ましたものですから、私の方からお答えをさせていただきたいと思うんです。

 私は、農水省というか、私自身も農民でありますから、山を守ってきたのは、林家、林業専業家というのはほとんどいなくて、農家が林業を一緒にやっておられて、山を守ってこられた。そして、それは、この日本の長い歴史をつくってきたというふうに私は思っています。よって、その地域の農振地域というか優良農地をどう守るかという法律もそれと同じようにできてきたわけであります。これは二十一年に改正をいたしましたが、そのときも、一部緩めて、賃貸、リースの場合は一定程度規制を緩めてきたわけであります。

 私は、国土として農地は守られなければならないというふうに思っておりますが、しかし、行政としっかり話をして、そして転用というものをやっていかなければならない。ただ、転用については、行政と一緒になって、慎重に、ある程度の時間をかけてやるべきものだというふうに思っておりまして、丸々転用を否定しているわけではありませんが、余り簡易に転用できるということには私は慎重であります。

柿澤委員 しかし、今や、農地における耕作放棄地がどんどんふえる時代状況であるわけです。

 耕作放棄地、四十万ヘクタール、埼玉県の面積に相当するわけです。それが、場合によっては市街化区域の真隣にあって、戸建て住宅がびっしり並んでいるところに、住宅地から道一本を挟んだだけで草ぼうぼうの耕作放棄地がある、こういうところも見られるわけです。こうした市街化調整区域の農地の一部は、やはり、宅地として利用できるように線引きを見直し、また対応を柔軟に行っていく必要があると思います。

 今農水省からは事実上御答弁をいただいてしまいましたので、国交省、都市計画法を所管する立場から御答弁をお願いしたいと思います。

津川大臣政務官 線引き制度につきましては、都市計画地域を市街化区域と市街化調整区域に区別をするものでありますし、どこの土地を市街化区域とするかということについては、都道府県、政令市で、実情に応じて判断をするという形になっております。

 実際には、委員も御案内かと思いますが、線引きをしていないという地域も多々あるものでありまして、今お話がありましたとおり、農地転用制度等々、農業振興等の考え方の中から、土地利用については、農林水産省はもちろん、各自治体としっかりと連携をしながら国交省としても対応してまいりたいと考えています。

柿澤委員 中川防災大臣に横串を通したような形の御答弁をいただいたと思ったんですけれども、残念ながら、だんだん縦割りの世界に戻ってきてしまっているような感じもしております。

 もう一枚、資料として、全国における土地利用区分の面積割合を表にしてお出ししております。ごらんのとおり、宅地というのは五%しかないわけです。宅地の中でも、純然たる住宅地は三%しかない。都市計画法上の市街化区域は、面積割合三・八%。そこに、人口の六七・一%、八千五百万人が三%の中にひしめき合って住んでいるわけです。

 一方、市街化調整区域を初めとする農地は、仮に好条件の立地であったとしても、これは、どこでもやっていいというわけではないですよ、好条件の立地で、なおかつ耕作放棄地であったとしても、住宅建設や非農業者による所有は厳しく制限をされているわけです。だから、山林開発した崖上や斜面直下に住家が建つことになっているのではないかと思うんです。

 農地法、農振法、都市計画法、それぞれ役割もあるというふうに思いますけれども、しかし、あらゆる可住地の土地利用ににらみをきかせている三つの法律が出そろったのは、昭和四十四年のことであります。この土地利用に関する法体系を全般として見直していくことが私は課題であると感じております。しかし、省庁縦割りの中でこれに答えられる担当者は、閣僚を含めていない、こういう現状です。

 もちろん、崖崩れしそうなところを、工事をして土どめをしていくことも大事でしょう。そして、雨が降ったときに避難をする、こうしたことを迅速に行うための仕組みをつくることも大事だと思いますけれども、一方で、相当長期にわたる視点かもしれませんけれども、国土全体、土地利用のあり方として今の現状をどう捉えていくか、こうした考え方を持つべきではないかと思います。

 この問題について横串を通すに防災大臣はふさわしいお立場なのではないかと思いますので、重ねて、そう答弁はできないと思いますけれども、御感想をお願いしたいと思います。

中川国務大臣 もう一回横串を刺していきたいというふうに思うんですが、今、ちょうど防災計画の中でも、津波の、特に南海トラフでの見直しとか、あるいは首都直下等々やっております。そんな中でつくづく思うのは、やはり地域によって状況が相当違うということだと思うんです。

 さっきの過疎地域の中で、山合いの中に点在する家屋、なぜそうなんだ、それがもっと安全な地域へ向いて、いわゆる土地利用という形で誘導する方法はないのかというふうなことも一つの問題意識でもあろうかと思いますし、一般の平地、平野に行きますと、例えば今回、高知の黒潮町なんかでは、海に沿って住宅が並んで、それが、津波が来たときになかなか時間的に間に合わないということになると、本来は山合いの高台へ向いて都市計画で家を誘導していくという形が逆にいいんだろうというふうな議論が出てきます。あるいは、平地の中で山合いも何もないというふうなところについては、また違った形の都市計画の中で、避難場所といいますかビルなんかを工夫しながらつくっていく、あるいは、改めて高台もつくっていくというようなことなんだろうと思うんです。

 そういうふうに考えていくと、土地利用というのも、それぞれの地域でさまざま、全国一律で基準をつくるんじゃなくて、主体的にそれぞれの地域が自分たちにふさわしい土地利用というのを考えていく、そういう形にしていくということが私は望ましいんだろうというふうに思います。

 その上で、さっき防災の主流化ということを言いましたけれども、防災ということから考えていくと、必ずその横串として、防災を考えたときに安全性というのはどこにあるのかというのを一つ一つの政策の中に組み込んでいく、その中で国土をつくっていくというふうな、そういうあるべき姿というのを求めていきたいというふうに思っております。

柿澤委員 気象庁に来ていただいているので、一問だけやって終わります。

 今回、これまでに経験したことのないような大雨が降る、こういう気象情報を出されました。しかし、現地に行ってみると、実は雨量が最も多かったのは午前二時から五時までぐらいの三時間で、この三時間は百ミリ程度の雨が継続的に降っていたんですね。一番多かったのは四時から五時までぐらいで、ここは本当に百ミリ降っていた。異常な大雨だったんですよ。大体五時半ぐらいに土石流が起きて、どこに行っても、どこの現場に聞いても、土石流の発生時刻は五時半前後だったということです。雨が降った、物すごい雨が続いている、土石流が起きた、住家が埋まるような状態になった。そして、これまでに経験したことがないような大雨が降っていますと気象庁が発表したのは、実はその日の六時四十五分なんですね。

 一体、この時系列はどういうことなのか。初めてのことなので、私は別に責任追及しようというわけではありませんが、今後の教訓に生かすために、こういう時系列になってしまったのはなぜなのかということをお伺いしたいと思います。

馬淵委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

西出政府参考人 御案内のように、これまでに経験したことのないような大雨という、この短い表現で伝える気象情報は、大雨洪水警報や土砂災害警戒情報で警戒を呼びかけている中で、雨の降り方から、尋常でない状況であるという気象台の持つ危機感を伝えて、さらに一層の警戒を呼びかけるための情報でございます。これは、昨年の台風十二号による災害を教訓に、ことしの六月から新たに開始したものでございます。

 今回の大雨災害について、熊本地方気象台が十一日から十二日にかけて段階的に発表した情報を、時間を追って御紹介いたします。

馬淵委員長 簡潔にお願いします。

西出政府参考人 はい、済みません。

 前日の夕方から、気象情報等で注意、警戒を呼びかけ、日がかわった零時過ぎから、警報、土砂災害警戒情報を発表しました。午前三時から六時過ぎにかけて、御案内のように、非常に強い雨が降ったものですから、記録的短時間大雨情報を相次いで発表しまして、数年に一度しか発生しないような状況である、そういうことをお伝えしました。

 その後、さらに観測された雨の降り方から、尋常でない状況にある、そういうふうに考えられたことから、この、これまでに経験したことのないような大雨という情報を発表した。さらに、それで一層の警戒を呼びかけました。

 以上です。

柿澤委員 終わります。ありがとうございました。

馬淵委員長 以上で申し出の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十分散会


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