衆議院

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第5号 平成25年5月10日(金曜日)

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平成二十五年五月十日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員  

   委員長 坂本 剛二君

   理事 うえの賢一郎君 理事 小里 泰弘君

   理事 林田  彪君 理事 原田 憲治君

   理事 平口  洋君 理事 吉田  泉君

   理事 山之内 毅君 理事 石田 祝稔君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      泉原 保二君    大見  正君

      神山 佐市君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    笹川 博義君

      高鳥 修一君    竹下  亘君

      二階 俊博君    林  幹雄君

      藤丸  敏君    古川 禎久君

      松本 文明君    務台 俊介君

      湯川 一行君    吉川  赳君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      津村 啓介君    中川 正春君

      今村 洋史君    杉田 水脈君

      高橋 みほ君    伊佐 進一君

      濱村  進君    樋口 尚也君

      佐藤 正夫君    椎名  毅君

      高橋千鶴子君    小宮山泰子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       古屋 圭司君

   復興副大臣        谷  公一君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   総務副大臣        柴山 昌彦君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   農林水産大臣政務官    長島 忠美君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  種谷 良二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  田河 慶太君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 保夫君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     安藤 友裕君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           大庭 誠司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石川 晴雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  近藤 洋介君     奥野総一郎君

  三日月大造君     津村 啓介君

  上野ひろし君     今村 洋史君

  宮沢 隆仁君     杉田 水脈君

  樋口 尚也君     伊佐 進一君

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     近藤 洋介君

  津村 啓介君     三日月大造君

  今村 洋史君     上野ひろし君

  杉田 水脈君     宮沢 隆仁君

  伊佐 進一君     樋口 尚也君

  畑  浩治君     小宮山泰子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

 大規模災害からの復興に関する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、災害対策基本法等の一部を改正する法律案及び大規模災害からの復興に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官種谷良二君、内閣官房内閣審議官田河慶太君、内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君、内閣府政策統括官原田保夫君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長安藤友裕君、消防庁国民保護・防災部長大庭誠司君、厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君及び気象庁長官羽鳥光彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 自民党の務台俊介でございます。

 昨日は本会議で、古屋大臣、五十四問の質問にお答えになって、本当にお疲れさまでございました。私がきょう委員会で質問する質問がなくなってしまうのではないかと心配だったんですが、私は、昨日の質疑に余り重ならないような形で、別の観点からの質問をさせていただきたいと思います。

 私は、十年ほど前に総務省消防庁の防災課長をさせていただきまして、その際に、日本の災害法制の歴史を勉強させていただく機会がございました。

 お手元に資料をお配りさせていただいておりますが、日本の重要な災害法制というのは、大きな災害がある都度、制度がつくられてきた、そういう歴史がございます。ある意味で後追いの制度改正の歴史だということでございます。南海地震があって災害救助法、伊勢湾台風があって災害対策基本法、新潟地震があって地震保険の法律、ジェー・シー・オーの臨界事故で原子力災害対策特別措置法、そんな形で行われてきました。

 本来であれば、起こり得る災害を予想し、それに対して法制度をあらかじめつくっておくというのが理想ではございますが、法律をつくる際には社会的な力が必要でございまして、その力を引き出すにはインパクトがないといけない、災害に関して言うと、それがまさに大災害の発生ということになろうかというふうに思います。

 この災害対策の履歴の中で、位置づけが異なる災害法制が一つだけあるというふうに私には感じられます。それは、昭和五十一年の地震学会での東海地震発生可能性の研究発表を受けて、起こり得る災害に備えるという意味で大規模地震対策特別措置法が制定された。これは昭和五十三年でございます。起きた後の対策ではなくて、起きる前に事前に備えるという意味では、これは画期的ではないかというふうに私には思えます。

 そういう意味で、今回の災害法制を見た際に、東日本大震災の甚大な被害に鑑みてはいますが、今後起こり得る大災害に備えるという意味で、あらかじめ仕組みを用意するという観点からは、有意義な改正内容が二つの法律に盛り込まれているものと認識しております。

 その観点から伺いたいと思うんですが、大臣が今回の法改正の中で特に国民の皆様に訴えて強調したい点、この点について伺いたいと思います。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 務台委員におかれましては、消防の防災課長として、本当にプロの見地から取り組んでいただいたと私もよく承知いたしております。私は消防議連の、今会長ですけれども、当時は幹事長でございまして、いろいろ技術的なアドバイスもいただきまして、ありがとうございます。

 今回の法改正の中で特に国民に何を訴えたいのかということですね。

 今、委員御指摘ありましたように、災害があると、その都度法律をつくって、相当中身は充実はしてきています。確かに後追いではあるけれども、しかし、その経験則というものをしっかり法律の中に生かしているという視点では、私は、そういう意味では非常に効果が出てきているというふうには思います。

 今回は、東日本大震災に際して、やはり災害対応に想定外というのがあっては絶対いけないですよね。それから、災害から命を守るために、やはりまず逃げるということが極めて大切である。あるいは、被災者のニーズの変化や多様性に応じた支援が必要である。それから、行政だけではなくて、地域とか市民とか企業による取り組みとの協働が必要である。あるいは、復興に関する基本的な枠組みが必要である。こういった観点でさまざまな教訓をいただきました。こうした東日本の教訓を、今後発生が懸念される大規模災害への備えの充実につなげていくことが最大の課題だというふうに思っております。

 そういった視点から、今回の改正では、さきの通常国会で行ったいわゆる第一弾の改正がございますね、これに加えて、昨年、防災対策推進検討会議の最終報告が出ておりますけれども、これも参考にしながら法制上の措置を講じるということにさせていただきました。

 具体的には、まず、国が被災自治体を支える仕組みの創設、災害緊急事態への対処の拡充、大規模広域な災害への即応力の強化、避難行動要支援者名簿の作成など住民の避難に関する規定の拡充とか、被災者台帳の作成など被災者支援のための基本的な仕組みの整備、そして、住民、企業、ボランティア等の多様な主体による連携の推進や地域レベルの防災力の向上、こういったものを新たに規定させていただきました。

 また、大規模災害からの復興に関する法案を新たに制定して、政府の復興対策本部の設置であるとか基本方針の策定、市町村による復興計画の作成など、復興の枠組みをあらかじめ制度化する、こういう対応をとらせていただいたところでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 盛りだくさんの中身で、災害法制としては久しぶりの大型改正だというふうに思います。

 その中で、大臣が最後におっしゃった、復興の枠組みをあらかじめ用意しておくという点についてなんですが、今回は、災対法の中に入れるのではなくて、復興法制として単独法でおつくりになったということでございますが、なぜ単独法制定にしたのかという、その理由について伺えればと思います。

西村副大臣 大変いい御指摘でありまして、私も改めて法制度全体を見直したわけでありますけれども、御指摘の大規模災害に対する備えの法律の方は、単なる復旧対策とは異なって、災害の被害を前提とした全体としての地域づくり、面的な地域の復興ということを進めていく必要があるわけであります。

 一方、災害対策基本法の「目的」にありますように、「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、」「必要な災害対策の基本を定める」ということで、防災の定義の中に、「災害を未然に防止し、」「発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ること」とされておりまして、この災害対策基本法は、応急対策とか災害復旧ということを念頭に置いての基本的なことを定めております。

 他方、地域づくりとしての、復旧を超えた復興というものは、その範囲を超えるところが大部分となるのではないかというふうに考えるところであります。

 こうした考えのもとにおいて、復興については、法制上、この災害対策基本法には位置づけず、新法として、別法として、大規模災害を受けた地域の面的な、円滑、迅速な復興を図ることを目的とした別の枠組みを法制化するということにしたものでございます。

務台委員 わかりやすい説明ありがとうございました。

 もう一点、ちょっと細かい点かもしれませんが、災害対策の一環をなす災害救助法というのがございます。今回、所管省庁を厚生労働省から内閣府に移管することとされておりますが、その理由と経緯を教えていただきたいと思います。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 一つの視点が、関係省庁との連携を一層強化しておくことを可能とするというのが大きな一つの理由でありまして、これまで、御指摘のとおり、厚労省で災害救助法を所管してきたわけでありますけれども、中身は、応急仮設住宅の供与については住宅との関係から国交省、福祉の観点からは厚労省、あるいは衣服であるとか寝具、こうした生活必需品の給付については経産省、それから学用品については文科省と、救助に当たってはいろいろなことをやらなきゃいけないわけでありますけれども、内閣府がこの災害救助法を所管することによって、まさに横断的な施策の総合調整をより可能としていくという点が第一点目であります。

 もう一点、内閣府は、御案内のとおり、被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給を所管しておりまして、これとあわせて、避難段階における救助から生活再建の支援に至るまで、被災者支援の一連の流れを内閣府に一元化して、国、地方との関係も含めて連絡体制を簡素化できるということもメリットとして挙げられると思います。

 いずれにしましても、内閣府に移すことによって、防災行政全体として横断的に一連の流れをスムーズにやっていくというメリットが大きいというふうに判断したものでございます。

務台委員 ありがとうございます。

 今回の所管がえについては、こういう役所間の一種の縄張り意識を超えて、より迅速果敢な対応を弾力的にするという意味では、これから、きのうの本会議の質問でも大臣お答えになっていましたけれども、危機管理の組織のあり方がどうかという議論もあるので、それがひょっとしたら一つの分水嶺になり得るかなというふうに私ちょっと聞いておりました。ありがとうございます。

 さて、今回の法改正で、相当中身が充実していると思いますが、これで完全ではないというふうに私も理解しております。大臣、なお残された課題としてどういうものがあるかということについて、ちょっとお考えを承りたいと思います。

古屋国務大臣 昨年の第一弾法律改正をしまして、そして今回、この御審議をいただいている法案で法制度上は一応整いつつあるのかなという認識ではおりますが、一方、今後の課題ということでいいますと、やはり常に見直しをしていく。それは、現場主義という視点から、常にその見直しをしていくことが大切でありまして、そのためにも実効ある運用を図っていくということがまず大切ですね。

 それから、法制度の整備を前提として、その運用面も含めて、今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震であるとか首都直下地震を初めとする大規模災害への備えの充実につなげていく、これが極めて重要だというふうに認識をしています。

 こういった取り組みに当たっては、先般、中央防災会議で設置が決定をされました防災対策実行会議、これはあらゆるジャンルのメンバーに参画をいただくことになりましたので、この場も活用して、関係省庁が一体となって災害対策の一層の充実強化に努めていきたいと思います。常にそういった視点に立って、見直しをしていくという視点に立って取り組んでいきたいというふうに思います。

務台委員 ありがとうございます。

 実効ある運用、それが大規模災害への備えにつながるという御認識、全く正しいと思います。私は、そういう大臣と同じ認識に立ちつつ、ちょっと私の考え方を申し上げたいと思います。

 まず、資料の二というのを御用意させていただいております。これは災害対策基本法における市町村長の権限、権能を項目に挙げたものです。権限と責任。

 実は、市町村長の権限というのは非常に大きいです。市町村で対応が難しい場合には、三にありますように国に職員の派遣の要請ができる。あるいは、五にありますように放送事業者に対して放送を要求できる。あるいは、六番目にありますように設備の除去などもできる。立ち退き勧告は七です。それから、住民に対して応急措置業務への従事命令ができる、こんな権限まであるんです。すごいんです。でも、こういう権限があると知って動いている市町村長はほとんどいません、実は。いるかもしれませんけれども。

 責務も大きいですね。職員の派遣要請を受けたら職員を派遣しなければいけないという責務があったり、さまざまな権限と責任の束が、災対基本法上、市町村長に委ねられているということがあるんです。

 問題は、大臣まさに今おっしゃったように、与えられた権限をしっかり理解し、行使できる実態が備わっているかどうかということではないかというふうに思います。

 実は、私、神奈川大学で行政学をこれまで教えてきたんですけれども、大学院の学生と一緒に自治体のアンケートをとってみました。それが三ページにありますが、自治体の危機管理の責任者、危機管理監とかありますけれども、実際どのぐらいの経験があるかと聞いたら、経験がなくてさっと座ったという人が過半です。どういう部局から来たかというと、一般部局から来たという、これが実態だと思うんです。処遇でつけているというのが実態でございまして、こういう人の面の問題をどう考えたらいいかということ、つまり制度を動かす場合に、人の面の、人づくりをどういうふうに考えていくかということがこれから重要ではないかというふうに思います。

 自治体の問題もさることながら、政府も同じでございまして、一昨年の大震災の中で、内閣官房、内閣府、消防庁、それぞれ大変立派に活動したと思いますが、実は、半年、一年たってどのぐらいの人が残っているか、そういうデータが一時新聞にも出たと思いますが、そこについて、半年後あるいは一年後の残留率がどのぐらいか、ちょっと教えていただきたいと思います。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災時の政府の中で災害対応を行った職員の異動状況についてでございますけれども、内閣府防災担当に限って申し上げますと、東日本大震災発生時に在職していた課長補佐級以上の職員四十名のうち、発生半年経過時点で引き続き在職していた職員は、二十二名、五五%ということでございます。

 さらに、発災後一年が経過した平成二十四年度当初の人事異動後におきましては、引き続き在職していた職員は、十四名、三五%ということになっております。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 平成二十三年の三月十一日から半年後の同年九月十一日時点における内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付課長補佐級以上の職員八十一名のうち、東日本大震災に係る災害対応を行った職員の数は四十四名でございまして、同日現在在籍職員の五四・三%でございます。

 それから、一年後になります平成二十四年度当初、四月現在でございますけれども、その人事異動後におきましては、職員の数は三十二名ということで、平成二十四年度当初在籍職員の三七・二%でございます。

務台委員 ありがとうございます。

 日本の場合は、公務員も人事異動のローテーションが激しい。自治体も同じだと思います。それぞれが、災害に当たったときは一生懸命やるけれども、次の異動で全く関係ないところに行って、それが十二分に引き継がれることがないというその連続が日本の実態じゃないかというふうに思います。いい面と悪い面、両方あると思います。ただ、それをしっかりつなぎとめる努力というのが必要ではないかと思います。

 災害対応に従事する役所の側の体制もそうですが、一方で、私の地元で自主防災組織は相当充実しています、松本、安曇。町内会単位でつくられていますが、彼らは彼らなりに一生懸命勉強しようとしています。地元の災害の履歴とか、大学の地震学者の方々を呼んで地質の問題を勉強したりしているんですが、何を手本にして体系立って勉強していったらいいかというつてがないんですね。

 そういう問題もあるのではないかというふうに思いまして、防災面の人づくりの仕組み、メンテナンスの面の目配り、これからさらに大事ではないかというふうに思います。

 そういう意味で、私、アメリカのシステムが非常にいいものがあるというふうに承知していまして、アメリカは、防災教育を徹底的に標準化していまして、全国民向けに標準化された教育訓練を施す仕組みがございます。インシデントコマンドシステム、ICSという仕組みがございますが、これは標準化が徹底しています。そして、このICSをベースに、国レベルの防災訓練所が整備されています。

 私は、去年の夏に、テキサスのA&M大学の附属機関であるTEEXを見てまいりましたが、これは防災教育のメッカでございます。FEMAにはEMIという研修所もありまして、全米に向けてさまざまなトレーニングコースを提供しています。EMIには首長向け一週間缶詰訓練コースというのがありまして、これが非常に好評を得ている。日本にも同じようなシステムがありますが、徹底という意味ではどうも足りないのではないかというふうに思います。

 そこでお伺いしたいんですが、我が国においても、防災面のシステムの標準化をさらに進めて教育訓練の場を設置する、こういった考え方について大臣の御見解を伺いたいと思います。

古屋国務大臣 今委員から御指摘があった、いわゆるインシデントコマンドシステム、この本ですよね。これは務台委員が書かれた本で、私もこれは非常に参考になりました。ここで、ICSの組織図であるとか、あるいは、それにとどまらず、TEEX、学校の教育システム、こういうことを非常に体系的にやっている。これは恐らく、御本人が行かれてチェックをされて本にされたと思うんですけれども。

 こういうところにも書いてあるとおり、確かに、アメリカは、警察とか消防とか軍などの実動機関が、自然災害だけに限らないで、事故災害とかテロとか、あるいは戦争も視野に入れた全ての緊急事態への対応に当たって、必要となる組織とか指揮命令系統の共通の基準となるシステムをつくっているんですね。それがインシデントコマンドシステムということなんですね。

 こうしたシステムを参考にして、災害対応に当たっての我が国の実動部隊がありますね、警察とか消防、こういった実動部隊の現場指揮システムを標準化するという考え方、これはメリットがあるなというふうに考えています。

 でも、現実には、今、各実動部隊は、それぞれ異なる組織とか、指揮命令系統が異なりますので、まずはアメリカのインシデントコマンドシステムを、しっかり検討を進めさせていただいて、これを参考にしながら、何が取り組むことができるのかなということを、関係省庁とも連携をしてちょっと勉強をしていきたいな、こんなふうに考えています。

務台委員 ありがとうございます。

 ICSの勉強会を政府でするというのは、本当に画期的なお話を伺いましてありがとうございます。

 実は、東京電力が、あの事故の後、インシデントコマンドシステムを柏崎刈羽でも入れていますし、福島第一原発でも入れております。東電は、初動対応の反省に立ち、そういうことをやっていますので、ぜひ、自治体、政府でも、こういう仕組みの勉強をして、できるだけ日本に合う仕組みを入れていっていただきたいと思います。

 さて、アメリカの場合は、特に、防災の訓練、標準化に関してアカデミズムのバックアップが非常にすごいんですね。オクラホマ州立大学は全米の防災標準化のメッカになっております。

 そういう意味では、日本はどちらかというと行政とアカデミズムが、理科系の方はある程度いいと思うんですが、文科系の方の連携がどうもいかがなものかというふうに考えておりまして、ここら辺についての御所見もちょっと伺えればと思います。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 防災危機管理等の分野の政策の企画立案でありますとか施策の実施に当たりまして、行政機関が専門的な知見を有する大学等の研究機関と連携するということは、理工学分野だけではなくて、社会科学の分野を含めて極めて重要であるというふうに考えております。

 現在の取り組みとして、例えばで申し上げますと、文部科学省におきまして、大学等の防災研究の成果の展開を図るという意味で、地域の防災、減災対策への研究成果の活用を促進する地域防災対策支援研究プロジェクトという取り組みが始まったばかりでございます。

 今後とも、政府全体としまして、防災、減災対策を効果的に進めるに当たりまして、社会科学の分野を含めまして、大学等の研究機関と連携を深めるための方策を検討してまいりたいというふうに考えております。

務台委員 ありがとうございました。

 ちょっと離れた議論になりますが、私、病院船という議論を阪神大震災以降からちょっと勉強させていただいたことがあるんですが、最近、また議連ができまして、病院船を我が国でも防災用に持つべきだという議論があります。

 諸外国を見ると、軍隊が持っているケースがほとんどでございますが、シビリアンの一般政府が病院船を持って、非常時には迅速に活躍する、ふだんは教育訓練の場としても位置づける、こういう構想について政府ではどのようなお考えであるか、伺っておきたいと思います。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、議連の方でも熱心に活動しておられるということで伺っております。

 病院船の検討については、内閣府におきまして、平成二十三年の補正予算で基本的課題を整理した上で、昨年、平成二十四年度の予備費を活用しまして、病院船を幾つかの類型、パターン分けをして、その可能性の調査等を行ったところでございます。具体的には、建造にかかる費用とか課題であるとか平時の活用、今御指摘のあったような点も含めて調査を行いました。

 その調査報告書もまとまっておりまして、病院船を新たに建造することにつきましては、一つには相当大きな費用がかかる、多数の医療スタッフも確保しなきゃいけない、それから、平時をどういうふうに活用するのか、その活用の可能性もなかなか難しい面があるといったようなところから、課題は、難しい点も含めて多数存在するということがわかったところでございます。

 一方で、急性期の医療に特化した病院船で、病床の数の小規模なもの、こうしたものであれば、ふだんも訓練船として御指摘のような活用方策も想定される。あるいは、医療モジュール、コンテナのようなモジュールをチャーターした民間船に搭載する方法であるとか、あるいは自衛艦、自衛隊の艦船を活用するといったようなことで費用の縮減もできるんじゃないか。

 こうしたことについてさまざまな可能性を追求しまして、今後、今の民間船や自衛隊の船を活用した実証訓練、御指摘のような点も有効な方策の一つとして考えているところでございます。

務台委員 病院船についてはさまざまな課題があることを私も承知していますが、ぜひこれは、国内だけの視点ではなくて国際貢献もできるという視点に立って、どうか大きく構えて検討していただきたいというふうに、これは要望でございます。

 それから、災害対策に戻りますけれども、これまで累次の改正で災害対策の法体系が非常に複雑になっております。

 実は私、消防庁防災課長をやっていたときに、災害対策基本法の逐条解説を十年前に監修してやったんですが、その後、新しい版が出ていない。これだけの法改正の内容の充実があるにもかかわらず、逐条解説が手がついていないというのはちょっと問題ではないかというふうにひそかに思っておりまして、大臣、大局的な観点から事務方に御指示をお願いします。

古屋国務大臣 その前に、前の質問で、病院船のことで一言だけ。

 やはり、平時にも使えて、いざ有事になったときにもその本来の役割を果たすという意味で非常に大切です。ただ、病院船というのは六百億円かかりますのでちょっと非現実的かなと思います。むしろ、今副大臣が言ったようなモジュールを使って、日ごろはそのモジュールをいろいろな場所に活用できますよね、例えば無医村に活用する。いざ災害が起きたときは、それをチャーター船で運んだりとか、あるいはトラックで運んだりとかして医療を提供するというようなことも一つの選択肢かなと。だから、病院船をつくるということに限定をせずに、幅広く考えていく必要があるのではないかなというふうに思っております。

 その上で、次の、今の御質問ですけれども、災害対策基本法の防災に関する諸制度は、避難指示等の具体的な権限を有する地方公共団体や国民にとっても非常に身近なものなので、災害への備えを充実強化するためにも、その趣旨が正しく理解をされるということは非常に重要ですよね。

 だから、そのためにはやはり、今回、法改正がございますので、例えばわかりやすいハンドブックを作成するとか、防災に関する諸制度が正しく理解できるような取り組みを考えていきたいと思っている。これについては、今御指摘もありましたので、早速、事務方にその指示をさせていただきたいというふうに思います。

務台委員 ありがとうございます。これで動くと思います。

 最後になりますが、実は、私の地元で、この連休前後に低温で霜が大分おりまして、ちょうど梨、リンゴ、桃の花が開花時期で大分やられている、特に梨は全滅状態だというようなことがあります。

 この点について、農水省にきょう来ていただいていますが、天候による農産物、果樹被害についての現時点の把握と、これからの対策についてお伺いしたいと思います。

長島大臣政務官 私の方からお答えをさせていただきます。

 五月に入ってからも降雪が各地で報道されるような異常気象が実は続いておりまして、委員御指摘のとおり、凍霜害はかなり広がっております。

 農水省できのう現在で確認した数字ですけれども、ちょうど開花期に霜等が重なったこと、そして発芽期に重なったことがあって、二十都県、三千ヘクタールに被害が、きのう把握した時点で及んでおります。

 農水省としては、四月に気象庁から低温予想が発令されたので、技術指導に努めてきたところではありますが、それだけの被害が出たということで、まず、共済で早期の認定と共済金の支払い、そして、共済に加入していない農家については、セーフティーネット等で融資の枠を広げて、事業を継続していただくということに努めてまいりたいと思いますが、とりあえず、引き続き状況の把握と対策に努めてまいりたいと思っているところでございます。

務台委員 ありがとうございます。特に果樹農家は家族経営で非常に零細なところが多いです。営農努力に水を差されないようにぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 きょうの質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

長島大臣政務官 二十都県と申し上げましたが、十県把握しているということで訂正をお願いいたします。

坂本委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。古屋大臣、頑張っていただきたいというふうに思います。

 東日本の大震災を受けて、基本的に新しい国の形をつくっていくということ、これがそれぞれ皆さんに課せられた大きな使命だと思いますし、そこによって、また日本の国が新しいフェーズに上っていくんだということ、そんなことをしっかり思いながら、私たちも議論に参加をさせていただきたいというふうに思っております。

 この法案あるいは防災の問題に入る前に、同じ危機管理、危機対応という観点から、一つだけ確かめさせていただきたいと思うんです。

 鳥インフルエンザなんですが、中国で患者が次々出てきているということ。人から人への感染あるいはまたその病原性についてまだ定かな結論が出ていないんですけれども、日本なりの、WHOだけじゃなくて日本としての分析と考え方というのがはっきりしていくということが国民にとっては一番大事なんだろうというふうに思っております。

 そういう観点から二つだけ聞きたいんですけれども、一つは、この病原性の評価について、あるいはまたパンデミック化していくのかどうかということについて、政府として、あるいは新しい法案の中で危機管理をしていく立場の中で、誰が責任を持ってこれを判断しているのかということ、今どういう状況で、それを国民に説明しているのかということ、これを一つ。

 それからもう一つは、その上に立って、ワクチンをできるだけ早く準備をしていかなきゃいけないということだと思うんですけれども、そこについての議論というのが、今どこまで、具体的に誰がしているのかということ。

 ここの二つだけ確かめておきたいと思います。

田河政府参考人 中国で発生している鳥インフルエンザに関するお尋ねでございます。

 先生には、特措法の制定に当たり御指導を賜っておりますが、現在中国で発生しております鳥インフルエンザ、これについては、現時点では人から人への持続的な感染は確認されておりません。

 しかしながら、先般、国立感染症研究所が発表したリスク評価では、パンデミックを起こす可能性は否定できないということであり、WHOとも緊密な連携を図りつつ情報収集に努めているところでございますが、特に、新型インフルエンザ等感染症になるかどうか、具体的には持続的なヒト・ヒト感染が起きているかどうか、そうした判断は、感染症法上、厚労大臣が行うこととなっておりまして、それを受けまして、新型インフルエンザ等対策特別措置法におきましては、厚労大臣が総理大臣に報告することとなっております。

 この判断は専門的な判断になります。このため、それを支える枠組みをどうしていくのか、そこがまた一つ重要になってくるのかというふうに考えております。

 判断に際しましては、当然ながらWHO等の海外の情報や、あるいは、昨年の八月から設置しております、尾身茂先生を会長としまして、医学、公衆衛生の専門家から成る基本的対処方針等諮問委員会の委員による専門的評価を踏まえることとなりますが、この中国で発生している鳥インフルエンザに関しましても、五月二日の有識者会議においても議論をいたしましたが、特に鳥インフルエンザに関しましてのリスクアセスメントにつきまして、五月二日に、基本的対処方針等諮問委員会の委員を中心として、情報共有を図るために会議を開きました。

 そして、そうした状況につきましては、内閣官房のホームページ等におきまして日々の動きを情報提供しておりますし、またさまざまな、国立感染症研究所におけるリスクアセスメント等々、あるいは厚生労働省における情報、そうしたものもホームページで公表しているところでございます。

 また、ワクチンに関して、これも国民の関心が高いところでございます。万一、人から人の感染が確認された場合、ワクチンという形の製造に取りかかるわけでございますが、既に、万一の場合に備えまして、厚生労働省の国立感染症研究所におきまして、四月にウイルス株を入手し、そして、それをもとにワクチン株の開発を、現在、万一の事態に備えて進めているところでございます。

中川(正)委員 これはいつも我々の課題になるんですけれども、専門家が責任を持ってまず判断をするということがあって、それを受けて政治があとの体制をつくるということ、これが危機対応の、いわゆる初動といいますか、一番最初のことだと思うんですね。そのときに、今のような説明では、どこまで切迫性があるのかというのは国民にとってもはっきりしないんですね。

 あの法律を発動するかしないかというのは政治が判断するんですが、その前段のレベルで、何とかアラートのレベルで、アラート1、アラート2、アラート3とか、そういう形のものを基準化してつくって、国民に、今はこのレベルで警戒態勢を国としては考えているんだというような、そういう工夫をしていくということ、これは、この鳥インフルエンザだけではなくて、さまざまなレベルでの危機管理に考えられることだと思うんですが、そういう観点からひとつ取り組んでいただくことができないかということ、これを改めて要望しておきたいというふうに思っております。

 同時に、それこそ誰が責任を持ってやるかということ、これについてははっきりと、責任を持っていただく本人も自覚をしていただいて判断をしていただくというような、そんなシステムの運用といいますか、そのこともあわせてお願いをしておきたいというふうに思います。

 それでは、防災の関係の質問に入っていきたいというふうに思うんですが、ちょっと時系列的に、震災というか、災害が起こるその前の段階、それから起こった直後の段階、それから、避難所等々含めて被災者をどう救済していくかということ、あとは復興フェーズといいますか、そういう時系列的に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初、災害が起こる前の話なんですが、これはさっきの鳥インフルエンザの議論ともちょっと重なっているんですけれども、今専門家が火山だとかあるいは地震に対してさまざまに見解を発表しているわけですね。例えば、富士山の噴火がもうすぐあるんじゃないかとか、四年以内に首都直下があるとかというような発表をした専門家もおります。恐らく専門家のそれぞれの知見の中で自分なりの発表をしていくということなんですが、そうした状況を捉えて、国としてはこれをどのように整理をしていくということなのか。

 それからもう一つは、最終的には、私は地震も火山と同じように予知の世界があっていいんだというふうに思うんですね。いわゆる東海沖地震については、その予知というのが前提にあって、それで法律の枠組みがつくられているということですから、やろうと思えばできるんだということを私たちは思いたいわけです。

 ところが、今その話を専門家に持っていくと、いや、地震というのはやはり予知できないんだと。そうすると、彼らは何をやっているかというと、地震が起こってから、そのメカニズムはどうだったんだというような後づけの説明をして、それが一つの学問領域だと、こういう話になっているわけです。ここのところを、政治分野、私たちとして、専門家に何をしてくれということをはっきり言わなきゃいけないんだと思うんですよ。予知をしてくれというのか、後で説明してくれというのか、これは大いに違うわけでありまして、そのための審査会なり、あるいは予知の委員会なりだというふうに思うんです。

 それで、質問なんですが、今どういう体系でそういう専門家のグループ化をしているかということを一遍整理して説明してもらいたいのと、それから、予知という問題について、大臣、専門家に対して、予知をやってくれよ、それに取り組んでくれよということをはっきり意思表示すべきだと思うんですが、ここのところについてどう考えておられるか質問をしたいと思います。

亀岡大臣政務官 まさに今委員の言われたように、予知ということができれば一番いいわけですけれども、その予知をするためにも、経験談をしっかりと踏まえた中で、各専門家の知識を生かせるということが実際一番大事だと思います。

 文部科学省なんかでは、地震調査研究推進本部において、学術的な観点から、地震に関する調査結果の収集、管理、分析を行い、地震の発生する確率を示す長期評価等を行っております。

 そういうものをしっかり生かせるように、内閣府では、このような学術的な知見などを活用しつつ、南海トラフの巨大地震モデル検討会や首都直下地震モデル検討会等において、地震像の設定や被害想定等を行いまして、地震対策大綱や地震防災戦略等の具体的な防災対策に生かすということを今やっております。

 また、気象庁では、先ほどお話にありました地震防災対策強化地域判定会というものでしっかりと協議をしていただきながら、東海地震に係る地震予知に関する評価を今行っており、これを踏まえ、地震予知情報を発することとしている、火山噴火予知連絡会において火山現象についての総合評価も行っておりますので、これを踏まえ、噴火警報等を発することとしております。

 このように、各省庁が役割分担をしながら、内閣府がその有識者の科学的知見を踏まえつつ、しっかりと対策に取り組んで活用しているところであります。

古屋国務大臣 中川委員におかれましては、元防災担当大臣として大変クオリティーの高いお仕事をされたと。しっかり引き継いでおります。私は、いい意味での精神というのをしっかり引き継いで、これからも防災担当の大臣として頑張っていきたいと思っております。

 その上で、地震予知ということにもっと積極的に取り組むべきじゃないかと。でも実際は、予知というのは必ず当たるわけじゃないですよね、外れるときがある。そうしたら、結果としてどういう責任があるんだというような趣旨の多分御質問だと思います。

 まず、今御指摘のあった東海地震の予知については、大規模地震対策特別措置法及び気象業務法がございまして、これで、地震防災対策強化地域判定会の評価を踏まえて、地震のおそれがある旨の地震予知情報を内閣総理大臣にまず報告して、そしてこれを受け、内閣総理大臣は閣議にかけて、地震災害に関する警戒宣言を発するというルールにはなっております。

 こういったルールがありますので、一応、組織としては、地震の予知とそれに基づく警戒についての責任体制はとれてはいるのかなというふうに感じております。

 ただし、地震の予知というのをもっともっと精度を上げていくということは極めて大切だと思います。それによってやはり被害軽減にも大きく貢献をすることができるので、そのためにはやはり観測体制を思い切り強化していく。例えば、チェックする分布というか、メッシュが細かければ細かいほど精度は上がっていくということもあろうかと思いますし、そういった調査研究の推進にしっかり努めていく。そして、その予知を本当に確度の高いものにしていくという作業が必要だと思いますので、そういった取り組みは、しっかり私も督励して取り組んでいきたいというふうに思っております。

中川(正)委員 私も、南海トラフであるとかあるいは首都直下のシミュレーションがなされて、それの発表をするときに、非常に困ったんです。いや、千年に一回、万年に一回起こるかもしれない、そういうレベルの話ですよと片方はやって、もう片方は、しかし、それでもあす起こるかもしれないんだというふうな説明をしなければならなかった。これはわからないんですよね。

 だから、予知というのも、そういうレベルで話をするんじゃなくて、さっき申し上げたように、どうも地殻の変動が全体として起こってきている、その中で、以前とは違うような形で、回数にしてもレベルにしても、地震が方々で起こってきている。それを一つの、レベルでいけば、それこそさっき言ったようなアラート1、アラート2、アラート3、今、これはアラート3ぐらいのレベルになっている可能性がある、その部分で、各自治体なりあるいは国民が準備をするとすればこのレベルで準備をしてくださいよというような、そういう意味での予知というのは可能なんだと思うんですよ、工夫の入れ方によって。ということをひとつ考えていただければというふうなこと、これが一つ。

 それからもう一つは、専門家に対してこちらもはっきり意思表示しなきゃいけない。皆さんのやっておっていただく仕事、これは、我々にとって役に立つのは予知なんですよということを意識してもらって、それを見て工夫を重ねる、あるいは学問的な体系をつくるということをはっきりさせるということ。火山の場合はそういうことがはっきりしているわけですが、ただ、地震はそこまでいっていないということなので、そこのところを指摘しておきたいというふうに思います。

 次に、発災時なんですが、これはよく言われる七十二時間対応だと思うんですね。

 ここについて、現場でよく指摘されたのは、まずは自助で、自分自身が自分の命を守っていくということから始まって、コミュニティーの助け合い、それから自衛隊、警察あるいは消防が入ってきて、救援、救命活動をやるということ。

 そういう中で、実は、現場の自衛隊、警察あるいは消防が、どこにニーズがあって、どういう資源でもってそこへ向いて配分するのかということ、これをうまくトリアージするといいますか、そういう機能というのが必要なんだけれども、例えば、市町村の行政機関自体がダウンしてしまうという現状が東日本ではあった。それに対して、情報が錯綜して、どこに集めていいのかわからないということがあった。

 そんな中で、とりあえずのところというので、みんながそれぞれの対応をしたわけですけれども、中には機能的にうまくいったところもありますが、多くのところで、作業が重なっていったり、あるいは行かなければいけないところへ向いて行くことができなかったり、時間的におくれたり、そういうことがありましたねと、そういうことが反省点として指摘をされています。

 このトリアージという機能をどの組織に持たせるのかということ、これをはっきりさせておく必要があるんだろうと思うんですね。その観点から、コーディネーターというか、トリアージというか、資源がどこにあるかということを事前に把握しておきながら、その資源を一番必要なところへ向いて分配、あるいはしっかりと入れ込んでやっていくということ、ここについてどういう整理をしていこうとされているのか、今のままでいいと考えているのか。そこのところをひとつ基本的な部分として聞いていきたいというふうに思います。

古屋国務大臣 幾つかの問題点、指摘をいただきました。

 まず、しっかりと情報収集をして、初動態勢は非常に大切ですから、それを、実動部隊、警察とか自衛隊とか消防とか海保とかあるんでしょう、こういったところとまず情報を共有して対応していくということが大切ですね。

 その上で、今、どういうトリアージが必要なのかという御指摘だと思いますけれども、東日本の災害では、現場の情報については、現地の対策本部、それから指定行政機関、都道府県、市町村、マスコミから情報を収集、入れましたね。

 ただ、実際には、沿岸部の市町村が、通信が途絶えてしまったり、首長や職員が実際被災をして当事者能力がなかったり、あるいは庁舎そのものが被災をしてしまったり、あるいは、被災状況の把握とかができなかった中で、最悪の場合、当初はそうした状況すら確認ができなかったということがあるんですね。あるいは、行政機能をなくしてしまった市町村に積極的な情報収集を行えなかったというところがあると思うんですね。

 ですから、こういった情報の集約については、災害対策本部において情報集約班を設置する等の体制は組んでいました。しかし、現実には、緊急災害対策本部や各省庁においては、国民の方々からもう本当に膨大な情報が入ってきましたね。一人の方が多くの機関に情報を発信する、あるいは、暴動の寸前であるというようなこと、偽りの情報、デマというんでしょうか、こういったものも寄せられたことなどがありまして、確度を推計できない情報というのが多方面から集中してしまったんですね。やはり、こういった状況が東日本災害では実情としてありまして、結果として、情報の収集、集約と分析が十分に行われたとは言えないと思っています。多くの課題を残した、委員のおっしゃるとおりと思っておる。

 今回の改正では、国が積極的に情報収集を行うということを規定させていただきました。また、緊急災害対策本部において、民間サイドが収集、発信する情報も積極的に収集をして、災害情報の評価分析体制の充実、そして強化、運用面の改善に取り組んでいきたいというふうに思っております。その上で、やはり私は、机上の訓練であるとか、情報の取捨選択のシミュレーション等々を実際にやって、訓練していく必要があるというふうに思っております。やはり、そういうようなこともしっかり配慮していかないといけないな、こんな考えでおります。

中川(正)委員 法律では国がやりますよということになっているけれども、実際、これを運用するときには、アドホックでつくられた緊対本部とかあるいは災害対策本部というのは、これはアドホックですから、また混乱するというのは目に見えているというふうに思うんです。だから、これはやはり、ふだんから軸をつくっておくということ、国民にとっても、何かあったらここへ向いて連絡するんだということ、このシステムをつくるということだと思うんです。

 そんな中で、では何が軸になっていくんだということになると、やはり私は、例えば警察、消防あるいは自衛隊という既存の、それぞれ根っこの生えている組織からいうと、この場合はやはり消防だろうというふうに思うんですね。ここをトリアージの中心に持っていくことによって、消防自体も今の機能を危機管理に対して相当膨らまさないと、今の業務だけで完結したことを前提にして消防ということではないと思うんです。消防の今の持っている根っこをさらに膨らまして危機対応ができるような、あるいはふだんからそういう情報システムを構築するような、そんな形を前提にした話ですけれども、そういう機能をぜひ消防ということの見直しの中に入れ込んで議論をすべきだというふうに思っています。それを今回の法律を具体的に運用するときの軸にしていくべきだというふうに思っておりまして、そのことをひとつさらに詰めていただければありがたいというふうに思います。

 次に、復興フェーズなんですが、どうして復興庁は入れなかったんですか。

古屋国務大臣 復興庁の設置について、制度化しておく必要があるんじゃないか、こういった趣旨の御質問だと思いますけれども、阪神・淡路大震災や東日本大震災からの復興に当たっては、いずれも発災後の特別法の制定によって復興本部を設置していますね。東日本においては、復興対策本部の設置後、復興庁設置法を制定し、同庁が復興に関する業務を継承しました。

 こういった経験を踏まえて、国の復興基本方針の案の作成などを行う復興対策本部を閣議決定により設置するなど、一般化できる基本的な枠組みについては、今回の法律案の中であらかじめ制度化をさせていただいたところであります。

 さらに、復興を推進するに当たっては、東日本大震災における復興庁のように、より強力な権限を持った組織が実際必要なのか、そうではないのか、こういったことについては、具体的に災害が起きたときの、その災害の規模とか被害等を踏まえて判断せざるを得ないところもあるんですね。ですから、こういった不確定要素がある中で、あらかじめ全て法制化をしていくということはなかなか難しいのかな、そんな感じを持っております。

中川(正)委員 これは東日本のときも、ここの部分が大議論になったということですね。

 大きく言えば、政治の分野からいえば、企画立案する部分は対策本部がやって、実際にそれを実行していく、あるいは予算という形でまとめていくのが復興庁ということで役割分担があるんだろうけれども、復興庁をつくるかつくらないかというのが、大まかに言えば、政治分野で考えたら、これはやはりやるべきだという形で進めていたんですが、役人の発想からいくと、これはだめでしょうという話になって、今の東日本のような中途半端な形になっているということなんですね。これはやはり障害が出てきていると思うんです、今の復興庁のあり方が中途半端であるだけに。

 だから、ここも大臣、恐らく事務方が外したんだと思うんですよ、ここの部分、復興庁を。だから、そこのところはしっかりと、これからの課題として。前提は大規模ですから、大規模を処理していこうと思ったら、今の東日本のような形で、実行機関としての復興庁ということも大前提になるんだと思うので、そこのところをまた見直していくということ、これをちょっと答弁してください。

古屋国務大臣 今回の改正で、やはりある程度の修正でちゃんと対応しているんですよ。今委員のお気持ちは、復興担当大臣だったころからそういう主張をされていたとよく承知しております、事務方から聞いておりますので。

 だから、事務方があえてそこを外したというのはちょっと正しくないと思いますので、御理解と御訂正をいただきたいと思うんですが、やはりあらかじめ、本当にどんな災害が起こるかということを想定できませんので、あくまでも現場の状況に応じて速やかに対応していくということが大切なんですよ。今度の法制のもとでそういったことが可能でありますので、しっかりそれは、速やかに、適切に、現場の状況を見ながら判断をしていく。

 そういった際には、国会でも速やかな審議をして対処していく必要があると思いますので、その節にはぜひ、中川委員におかれましても、速やかな御協力をいただくように心からお願いを申し上げたいと思います。

中川(正)委員 気づいていられるんだろうと思うんですけれども、東日本のときに速やかでなかったので、我々も速やかにやろうと思ったんだけれども、やはり抵抗があって速やかにいかなかっただけに、ふだんからこういう法律の枠組みをつくって、そんなところで時間を費やさないようにシステムづくりをしていくということが大事だということ、これを指摘しておきたいと思います。ぜひ頑張ってください。

 次に、そういう形の中で、政治的に判断していかなきゃいけない課題について幾つか取り上げてやっていきたいと思います。

 一つは、いわゆる日本版のFEMAなんですが、これをぜひこの際につくっていただく、スタートをしていただきたいと思うんです。

 これは、今の基本法であるとかあるいはその関連法案の議論、これを改正するという形でやっていく限りは、今の枠組み、今のシステムの中でしか議論ができていないわけでありますが、これを超えて、いわゆる日本版のFEMAをつくっていくということ。

 それは、さっき申し上げたように、現場でもやはりトリアージするための軸をつくるということになりますが、これは国のレベルでも同じことなんです。国のレベルでも、ニーズがどこにあって、そのニーズを満たすための資源というのはどこにあるか、それを一元的にコントロールできて効率的な対応ができるということで、そのトリアージをする軸をつくるということが国にも求められているんです。

 私の思いから言うと、防災担当大臣が本来はそれをやるべきなんでしょうけれども、手足が全然ないんです、もうお気づきだと思うんですけれども。各省庁経由で、それこそ隔靴掻痒といいますか、非常に中途半端な状況になっているということ。それから、一応そこへ向いて何かあれば情報が集まることになっているんですが、一次情報はどこへ集まっているかというと、例えば気象庁であるとかあるいは消防であるとか警察であるとか、一次情報はみんなそういう形なんです。

 だから、本当は、一次情報が中心部分へ向いて集まってくる、大臣のところへ向いて集まってくるというふうな、そういう手足というか基軸がないと、これはなかなか、調整機能だけで、本来の防災対応、危機対応ができないのではないかという危惧を持ちました。これは私自身の思いなんですが。

 そういうことから考えていくと、さっき申し上げたように、軸にするなら消防かなと。消防と今の内閣府の防災担当部局というのが統合する形で、それに今回研修制度を入れてもらいました。人を育てるということ、危機対応ができる専門家を育てるということ、これは地方自治体レベルでも大事な話なので、その人たちも含めて、中心部へ向いて人を集めることができているんです。これは予算化されてできてきました。

 その辺を持ちながら、それこそ危機対応チームなんかの組み立てというのはできるわけでありまして、そういうことから考えていくと、ただ調整機能をするような間接的な防災担当部局ではなくて、直接の手足を持って、直接の情報が操作できるような、そういう形を含めた日本版のFEMAのような構想というのが、つくれないんだろうか。これは私がポストについていたときに一生懸命考えていたことなんですけれども、どうですか、これを受け継いでくれませんか。

古屋国務大臣 日本版FEMAをつくるべきだというのは、実は私も、大臣になる前、自由民主党の中でもそういう議論はしています。恐らく御党でもかなり議論はされているんじゃないでしょうか。

 ただ、現実にやはり、アメリカの統治システムと日本の統治システムは基本的に違うところが多々ありますので、そのシステムを日本にそっくり持ってくるというのはいろいろ無理があるし、特に行革の観点からも無理があるなというのはもう御理解をいただけると思うんです。

 ただ、問題は、FEMAでも、そういう意味で一元的に管理して、いいところはたくさんありますので、やはりそういうところはしっかり参考にしながら、今、日本の危機管理体制の充実を図っていくということは不断の見直しが必要だということはもう申し上げるまでもないことでありまして、そういう対応をさせていただきたいというふうに思っております。

 それからもう一点、消防庁と一体化したらどうかというようなお話、趣旨がありましたけれども、実は、先ほど務台委員の質問にも答えたように、私は消防議員連盟の会長を今やっておりまして、やはり日本の消防というのは世界一なんですよね。それは、全市町村に消防団もありますし、そして自治体消防とがうまく連携をしている。そういう意味では、このシステムというのは世界にない、いいシステムなので、やはりこういうものはしっかりと活用していく。

 ですから、組織をいじるということよりも、今しっかり稼働しているんだから、むしろその稼働で不十分な部分をいろいろ補っていくということ。現在、消防というのは市町村の自治のもとで設置、運営をされている、要するに地方分権という観点に従ってもそういう取り組みをしておりますので、私は、これをしっかり見守りながら、なおかつ、さらに充実していくべきところはしっかり改良していくというような考え方に基づいてやっていくのが現場という視点から見ても好ましいのかな、こんな印象を持っています。

中川(正)委員 事務方に答弁を書かすとそうなるんですよ。

 私の思いは消防庁を、本当にさっき御指摘のようにこれはすばらしい組織なので、防災庁、だからその職務をもっと大きなもの、広域的なもの、それからもう一つはさっき言ったようなトリアージができるような、基軸になっていくもの、そういうものに発展させていったらどうか、そういう発想の中で日本版のFEMAを中央につくっていくということをやったらどうかというのが私の提案なんです。

 だから、その答弁、もう一回ちょっと直して、大臣なりの答弁を次の回に、今ということじゃなくて、一遍真剣にそれを検証してみていただきたいというふうに思います。

 それから、最後に確認をしておきたいんですが、南海トラフなんですけれども、東南海あるいは南海あるいは東海、三つを、法律としては二つですか、一つにしていきますよ、統合した形で南海トラフは対応していきます、私は大臣時代にそのように意思表示をしているんですけれども、その前提で今準備をしていただいているのかどうかということを確認しておきたいということ。

 もう一つは、防災人材なんですけれども、さっきお話が出たように、予算化をしていただいて、具体的に今走り始めているということなんですが、きょうも前に御指摘あったように、これは一つの資格のようなものに高めていって、その資格を前提にして、地方自治体でそのポジションをつけるときにこれを生かしていくというぐらいまで踏み込んで制度化をしていくということ、ここまでいって本物なんだろうというふうに思うんです。

 それにはある程度法制化も必要かなという気もしておりまして、その辺の構想についても、人を育てるということ、これはもう基本中の基本だと思いますので、答弁をいただければと思います。

亀岡大臣政務官 今、中川委員お話がありましたように、私も、被災地を体験しまして、いろいろ思うことがあります。

 また、先ほど務台委員の質問にもありましたように、人材というのは物すごく大事であることは間違いありませんし、中川先生が頑張っていただいて予算をつけていただいた本年度予算の中でも、国と地方の防災を担う人材育成のための一億三千万円がありますけれども、これは具体的に、一年間研修期間とする都道府県、指定公共機関の職員を約二十名、それから、三カ月間研修期間とする市町村の職員を約四十名、合計六十人に対して災害対策全般に関する地方の防災エキスパートを育成するための研修を今実施しております。内閣府防災担当の業務に従事する、いわゆるOJTを中心としつつ、災害の予防から応急対策、復旧復興等に係る講座、演習等もあわせて行うものとしております。

 いずれ、多分、委員の言われるように、きちんとした資格のもとに、その人たちが指揮系統をしっかりととれる、例えばどの市町村においても、何か災害が起きたときにはきちんと対応ができる人材育成というのは、先生のおかげで今しっかりと育成は始まっておりますので、いずれ資格まで踏み込めると思いますので、これはしっかりやらせていただきます。

古屋国務大臣 今の質問は、東南海と東海沖のを一体化すべきか、そういう話ですか。

 南海トラフについては、今議員立法として国会に提出をするかどうか、与党において検討されておられます。我々はそれを見守っていきたいというふうに思います。

 実際にそういった取り組みが、南海トラフの地震が、法律が出れば、事実上、東海地震とか東南海・南海地震に一体的に対応することが、結果としてその立法ができれば対応できることになると思いますので、今、その法的枠組みがぴしっと整理されて国会に早く提出をされるということを、我々としては、政府としては期待をいたしておりますし、お待ちしております。

 こういうことしか今言えないと思いますので、これはあくまでも議員立法ということで考えておられますので、それでということです。

中川(正)委員 時間が超過してしまいましたけれども、これは政府で取り組むべきですよということを御指摘させていただいて、終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、杉田水脈君。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 本日は、災害対策特別委員会で質疑の時間をいただきましたので、災害が発生したときの緊急事態の対応についてと、それから発生していないときに災害に対してどのような措置をとっていくのか、予防の部分というか、その二点の観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目なんですけれども、東日本大震災のときに発生したことなんですが、宮城、岩手、そして福島が大変な状況になっていたときに、バックアップ自治体ということで山形県、県もそうですけれども、県内の市町村がバックアップ自治体という立場でありました。その山形県に被災地に届けるべく支援物資が集約されたんですけれども、実は、ガソリンがなくて、搬送するために必要な燃料の確保が困難で、これを被災地に届けるのがおくれてしまったということがありました。

 これは、詳しく調べてみると、皆さんもガソリンとかを入れるときに、ガソリンスタンド、ENEOSだとか昭和シェル石油だとか、いろいろなガソリン会社があるんですけれども、例えばA社というガソリン会社のガソリンスタンドのタンクにB社のガソリンを入れることができないんです。そういうふうな弊害がありまして、燃料がなくてなかなか救援物資が届かなかったというような事例がありました。

 これは、私もずっと考えておるんですけれども、平時の理論で緊急の災害に対応しようとするのでこういったことが起こってしまうのではないかというふうに考えられます。

 そこで、今回はこの災害対策基本法の一部を改正する法律案の中で即応力の強化ということをうたわれていらっしゃいます。内閣総理大臣の指揮監督下で政府が一体となって緊急事態だということで対応していくというふうにうたわれているんですけれども、今回のこの法律案の改正が通った場合、先ほど申し上げたような、ガソリンが不足して、燃料が不足して必要な物資が被災地に届かないといったようなことはどのぐらい改善されていくのでしょうか。お聞きしたいと思います。

古屋国務大臣 今の委員の御指摘は、ガソリンがA社の会社のものがB社のタンクに入れられない、でも、そこの地域にはB社のガソリンスタンドしかないから、結果としてガソリンが確保できなかった、それは規制なんだ、こういう御指摘ですかね。

 ちょっと事前にその通告をいただいていなかったので、ガソリンに限って言うと、それがどういうルールになっているかということは、私も今ここですぐお答えがありません。ちょっとそれは改めてまた調べてお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 しかし、そういった平時のルールが、いざこういう災害が発生したときに、救助あるいは支援のための極めて障害になっているというのは事実なので、そういったことについては、今回の災害対策基本法の法改正の中でそういう弾力的な運営ができるような取り組みというのはしっかり位置づけられておりますので、あくまでも現場の状況等々に応じてしっかり対応していく、そして運用面で工夫をしていくという必要があろうかというふうに考えています。

杉田委員 先ほども申し上げましたが、東日本大震災発生当時の政府が平時の論理で緊急事態を乗り切ろうとしたことにさまざまな弊害があったということの一例で挙げさせていただいたんです。

 そこで、きのう本会議の質疑の中でも出てきていたんですけれども、憲法の問題なんです。

 今、憲法改正の機運が高まってはおりますけれども、自民党さんの方も、もし改正するならばということで草案をつくっていらっしゃいますし、また、私はゴールデンウイークなんかにいろいろ憲法の改正の集会なんかにも参加させていただいたんですが、日本青年会議所なんかもそういった草案をつくっています。

 その中に、現行の憲法にはない緊急事態や非常事態についての条項が新たにつけ加えられているんですね。

 例えば、自民党さんの案の中には、第九章で「緊急事態」としまして、この中に、「内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、」ということで、財政権、かなり強いものを持つということがうたわれていますし、また、青年会議所さんがつくっていらっしゃる草案にはもっと具体的に、非常事態の宣言がなされた場合は、内閣は、国民の生命及び財産の安全を維持する目的のために必要な範囲において、国民の権利を制限する措置をとることができるというようなことが書かれているんです。

 一九九〇年代以降に憲法を制定した世界の国々が百国弱あるんですけれども、それぞれの新しい憲法にも必ず非常事態のことについては書かれている。この憲法の規定がないのは、非常時に正面から向き合おうとしない、平時の憲法体制しかないのは、今はもう日本ぐらいだというふうに思われるんです。

 そこで、質問させていただきます。

 今回、災害対策基本法を改正して、かなり即応力を強化されるというふうになっておりますけれども、この即応力の強化での限界、それから、やはり憲法のこういった規定が必要、非常事態や緊急事態に対する規定が必要だと思われる場合は、今のこの即応力の強化と、それにプラスしてどのようなところが変わってくるのかということをお尋ねしたいと思います。

古屋国務大臣 私は今、内閣の一員ですから、憲法遵守義務がありますので、現行憲法に基づいた考え方しかこの委員会では言えません。

 一方で、私は自由民主党所属の衆議院議員という立場でありますので、今委員が御指摘いただいた自由民主党の憲法改正の草案、私も起草委員でありましたので、その危機管理のところはかなり私も関与して書かせていただいたということがあります。御紹介いただきまして、ありがとうございました。感謝申し上げたいと思います。

 その上で、現行の憲法の範囲内で、例えば買い占めの自粛とか、それから不要不急の外出の自粛、そういった外出の制限、こういったものを発出してやっていただくということは、現行の憲法の範囲内でも十分できることだと思いますので、そういった趣旨の規定を、内閣総理大臣が発して、買い占めをちょっと控えてくださいねとか、外出は控えてくださいということをやれるという規定をしております。

 しかし一方、今委員御指摘の憲法論にまで踏み込む問題については、この委員会でやることは余り適切ではないと思いますので、ぜひ、今憲法審査会が衆参両院でございますので、そういったところで大いに積極的にその議論を進めていただきたいというふうに思います。それと同時に、やはり政党間でもそういった議論を進められていくということを私も期待いたしております。

杉田委員 前向きな御答弁と捉えさせていただきます。ありがとうございます。

 それでは次に、復興計画のことについてお尋ねしたいんです。

 震災が一たび起こってしまいますと、それに対して復興計画を作成しなければならないということで、今回、大規模災害からの復興に関する法律案ということで概要をいただいております。

 当然、今まで、例えば、私が経験いたしました阪神・淡路大震災、そして今回の東日本の大震災におきましても、直ちに国の、そして自治体の復興計画が作成されたとは思うんですけれども、緊急時にこれを作成しないといけないということになりますので、そこに住んでいらっしゃる、実際に被災された住民の方々の視点というのが抜け落ちる可能性がどうしても出てきてしまうと思うんですけれども、そのあたり、今回もまた復興計画の作成が非常に重要だということでうたっておられますが、住民の視点はどのように入れて復興計画を作成されるのかということについてお尋ねしたいと思います。

古屋国務大臣 委員の御指摘は、復興計画の作成に当たって住民の意思をどうやって反映していくのかということだと思いますが、実際、大規模災害からの復興に当たっては、基本理念に掲げていますとおり、地域住民の意向を尊重するということが必要不可欠です。

 そのために、復興計画の作成に際して、あらかじめ、公聴会であるとか説明会の開催、住民の意見を反映させるために必要な措置を義務づけいたしております。また、復興計画の作成等について協議を行う復興協議会のメンバーには、被災した市町村、都道府県が必要と認める者を加えることができるものと規定をしております。地域の実情に応じて、住民の意見を反映するために必要な方々を加えることも可能であります。

 さらに、復興計画に具体的な事業等を記載するためには、本来、個別法に基づき必要となる、例えば公告縦覧とか意見書の提出、あるいは住民参加の手続を講ずるものとしておりまして、復興計画は地域住民の十分な参加のもとで作成されていくのではないか、こういうふうに考えているところであります。

杉田委員 東日本大震災のときに、東北の自治体の議会においては自発的にこの復興計画を議会で議決を行っているんです。それによって、より実効性のある復興計画を行政当局と協議しながら推進していったという経緯があります。

 復興計画作成というのは決して議決事項ではないと思うんですけれども、みずからの地域の復興をみずからの意思と実行力で推進するという姿勢は、私は、議会できちっと議決をしたということはすばらしい対応ではないかと思いますし、地方議会というのはそこに住んでいらっしゃる住民の皆様の代表という考えの中で、自分たちのことは自分たちできちんとする、地方の自立につながるというふうに考えるんですけれども、この住民の代表機関である議会が議決という形で復興計画の作成にかかわるこの仕組み、今回の法律案の中ではこういったことはうたわれていないのですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

亀岡大臣政務官 まさに今委員の言われるように、地方議会、これはしっかりと、また地域住民と一体となってやらなければいけないことでありますので、今回の東日本大震災の教訓を生かして、平成二十四年の六月に災害対策基本法の一部を改正しまして、市町村の条例で市町村防災会議の委員に自治会やNPO法人等の団体の構成員を追加することが可能であるということになりましたので、住民の視点を取り入れた地域防災計画の作成もできるような措置をしております。

 それからさらに、今般の法改正においては、住民が行う防災訓練、住民みずから防災活動に必要な物資の備蓄、災害発生時の住民の助け合い等、コミュニティーレベルでの防災活動を内容とする地区防災計画について市町村地域防災計画に定めるよう住民が市町村防災会議に対して提案することができるという旨の規定を盛り込んでおります。

 まさに住民からボトムアップできて、議会と一体となるような環境は、これからもしっかりつくっていきたいと思います。

杉田委員 ありがとうございます。

 本当にそこが一番大切なところではないかと思いますので、これが本当に、条文に書かれているだけではなくて、それぞれの地域できちっと実行されていくように頑張っていただきたいと思います。

 それでは、二点目の、これからの来るべき災害に備えてどのような形の措置をとっていくか、対応をしていくかということについての質問に移らせていただきます。

 まず、地域防災計画なんですけれども、地域防災計画には、先ほどとまた同じような形なんですけれども、どのように住民の視点を反映していこうとされているのか。

 それから、今回、改正のポイントで、新設される地区の防災計画なんですけれども、この地区防災計画と地域防災計画とはどのような関係になっているのか、それをお尋ねしたいと思います。

亀岡大臣政務官 まさに防災マップも同じように、住民、地域の認識はしっかりしなければいけないということで、防災マップは、災害が想定される区域や、今回新たに措置した指定緊急避難場所の所在地などを地図上に明示することにより、円滑な避難に資する必要な情報を住民等に周知するものであり、発災時における住民の的確な判断及び主体的かつ迅速な避難を促進する上で非常に有意義なものであることから、今回新たに措置をしたところであります。

 防災マップの作成に当たっては、発災時において防災マップを活用する住民と一体となって取り組むことが重要であり、その作成過程においては、ワークショップの開催を通じて住民とともに避難経路の確認を実施することや、パブリックコメントなどを通じて広く住民の視点を取り入れることにより防災マップをつくり上げていくということが重要と考えております。

 そのためには、住民と一体となった取り組みを推進するとともに、その作成レベルの向上を図るために、防災マップ作成等に係る各種マニュアル等を通じた技術的な支援をこれから行いながら、防災マップの作成等に関する必要な財政的支援も、関係省庁と連携しつつ、地方議会及び住民の皆さんにしっかりとお手伝いができるような環境をつくっていきたいと思います。

杉田委員 亀岡政務官、申しわけありません。先ほどの答弁は、次の質問の答弁なんです。防災マップはこの次に質問をさせていただこうと思っていたんですけれども。

 今私が申し上げたのは、地域防災計画に住民の視点をどのように反映させていかれるのかということと、地域防災計画と今回の改正で新設する地区防災計画とはどのような関係かということでお尋ねをさせていただきました。

亀岡大臣政務官 申しわけありません。今、地域のことで一緒になってしまって。

 東日本大震災を教訓に、平成二十四年六月の災害対策基本法の一部改正により、市町村の条例で市町村防災会議の委員に自治会や、これはさっきのものですね、きちんと追加するということを地域防災計画、措置したところでありまして、これは国が地域の、地域条例にしっかりと協力ができる体制、及び、今回の法案に書かせていただいたように、きちんと国が全面的にバックアップをするということで、議会と住民が一体となれるような環境のために国が支援措置をするというもので、しっかりとうたってありますので、これは必ずしっかりとやっていきたいと思います。

杉田委員 ありがとうございます。

 では、先ほどもうお答えいただいたんですけれども、防災マップについてどのようなことをお尋ねしようかと思っていたかと申し上げますと、きのうちょっと担当の方々とお話をさせていただいた中で、防災マップというのはもうほとんどの自治体でつくっていらっしゃるということなんですね。

 今回、新たにまたこの改正案の中に、市町村長は防災マップの作成等に努めることとありますので、もう既に九割方作成が終わっていて各御家庭に配られているという防災マップを、さらにまたこのような形で書いていらっしゃるということの意図ということをお聞きしております。

 そこの中では、防災マップといっても、市町村ですごくレベルに差がある、きちっとマップになっていて、避難場所とか避難経路とか、そういったことがちゃんと書かれているものもあれば、それぞれの、津波のときはここが被害に遭いますよとか、洪水のときはここが大変な地域ですよということだけのハザードマップにとどまっている自治体もあるし、自治体によってさまざまなレベルの差があるので、それをどんどん上げていきたいというようなことをいただいていますので、そこがお尋ねしたかった部分であります。

亀岡大臣政務官 済みません、まさに先ほど答弁を申し上げましたけれども、実際、東日本大震災を含めて、体験をしっかりと内閣府で持っておりますので、それを地方自治体に、各種マニュアルを通じて、支援体制をとりながら、予算措置も含めて、技術指導もしっかりとできるような環境を今つくっておりますので、これで対応していきたいというふうに考えております。

杉田委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が来てしまったんですが、最後に一点だけ、BCP、事業継続計画についてだけお尋ねしたいんです。

 先ほどの防災マップと違いまして、これはなかなか自治体の方での策定が進んでいない現状にあると思います。都道府県で大体二〇%ぐらいで、市町村におきましては四%ぐらいしかまだ策定ができていないというふうに聞いておるんですけれども、これがなかなか策定できないとすれば、何が阻害要因になっているのか、それから、今後、これはやはりきちっと自治体でBCPは策定していかないといけないというふうに思うんですが、どのようにして推進していくのかというのを短目にお答えいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

古屋国務大臣 もう時間が来ておりますので、簡潔に。

 BCPは、今御指摘のとおり、まだまだ低いです。やはり認識不足というところがあるんでしょうね。実際、これがあるかないかで全然違います。やはりしっかり中身のあるBCPをつくっていただく、そのための指導をしていく必要があると思いますし、またアドバイスもしていく必要があると思いますので、その辺を勘案してというか、しっかり注意をして指導もしていきたいというふうに思います。

杉田委員 ぜひよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

坂本委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。

 私どもの災害復興本部から、今週の火曜日、水曜日両日にわたって我々は青森県に視察に行ってまいりました。青森県の復興の状況というのは非常に目覚ましいものがあって、被災したところもほとんどがもう復旧して、今までの事業もそのまま行われているという状況が手にとるようにわかって、私としましても非常に心強いものを感じたんです。

 その中で、いわゆる人的被害、死者数というものが青森県では実質三人ないし四人という非常に少ない数で、これは他県と比べましても、例えば、岩手県四千二百人以上、宮城県八千七百人以上、それから福島県千四百人、茨城県二十三人。青森は、津波の被害程度からしますと茨城県よりは大きかったと思うんですけれども、死者数においては非常に少ない、そういう状況でありました。

 私の方は、死者数が少なかったことについて、地元の人たちや、あとは案内していただいた青森県庁の防災課の方々にもお話をお聞きしたんですけれども、口をそろえておっしゃられるのは、青森県は、昭和三十五年のチリ地震、その後の十勝沖地震、それから日本海中部地震、こういったところで人的被害が多く出た時期があって、チリ地震はちょっと少なくて三名だったんですけれども、その後、十勝沖地震が大きかったということでございます。

 そういったことから、自主的な防災組織として、地元消防団、町内会、そういったところの非常に地道な活動と啓蒙があって、あとは住民自身が津波に対する被害に関して非常な心構えがあったというところが大きかったんじゃないかというふうにお聞きしました。

 人的被害が少なかったことで復旧復興がすごくスムーズに進んだということを、八戸港の港湾関係者とか、そういった方々からお聞きしました。

 というのは、人的被害が少ないと組織がそのまま残っている。ですから、ふだん一緒に仕事をしている人たちがそのまま生き残っているわけですから、計画とか意思の疎通とか、そういったところも非常にスムーズにいったということをお伺いできました。

 人的被害が少ないと、例えば瓦れきの処理であるとかそういったものも、重機を使って思いっ切りやれましたと。ですから、写真で見せていただいた、震災直後の瓦れきが交通路にいっぱい散らばっているといったようなものも、重機を使って速やかに除去できて、翌日には交通が確保できたというようなこともお伺いいたしました。交通が確保できますと、港の方もサルベージ船などを入れていち早く機能を回復したと。

 そこでお聞きしたのが、副知事のお話ですと、地元の業者を手早く押さえて、申しわけないけれども他の県には行かないでくれ、うちの県の仕事をしてくれということで、業者を押さえて、重機を押さえて、そういったものを押さえて復興をいち早くやった。それによって港が回復することによって、他県への、人的被害が大きかった岩手県とか宮城県とか、そういったところへの物資の供給というものが八戸港もしくは日本海側の港を使って可能になったということをおっしゃっておられました。

 私の方が今回この法案についてお聞きしたいところは、まず伝承というところもうたってありますし、自主防災組織と位置づけられるものが法案の総則第二条の二にうたってありますけれども、青森県ではこの設置率、自主防災組織の充足率というものは、実は他県に比べて低いそうなんです。ですけれども、震災が起こってみると、実際には人的被害がそんなに大きいものではなかったというところは、伝承とか、あとは自主的な防災組織というところに原因があるのではないか、それは地元の御本人、県庁の方々もそう口をそろえておっしゃっていたんですけれども。

 大臣におかれましては、こういう避難に対する意識が高いということは、具体的にどういうものがあってそういう意識が高くなっていると思われるのか、もしくは、その避難に対する意識を高めるといったところをどういうふうにお捉えになっているのか、まずそこをお聞かせください。

古屋国務大臣 今御指摘の青森の方々、津波が来たらすぐ逃げる、それを徹底していたんでしょうね。

 実は、被災地域の内閣府の調査でも、地域によって、津波を認識していたかどうかということにやはりばらつきがあるんですよ。そこの背景にあるものは、やはりふだんから、そういう伝承だとか、学校教育だけじゃなくて、自治会とか隣保班とかそういったところでそういう教育をしていたかどうかというので差が出るんでしょうね。

 ですから、第一弾の改正の中でも、伝承すべしということを七条で、あるいは教育ということを四十七条の二で規定しているんですね。今回もよく釜石の奇跡と言われていますけれども、やはりああいう取り組みをずっと全地域がやると、津波による被害というのは、人的被害は相当防止できるんですね。ですから、この辺の認識そして教育というのは極めて大切だというふうに思っています。

 もちろん、国としても、そういう防災教育、防災マインドの充実というのは大切ですから、この法案の成立を契機に、さらに改めてそういった取り組みの重要さというものを広く国民に啓蒙することによって、ソフト面での対策による人的被害の減少というのは十分に図れる、私はそう思っております。

 結果として、そうやって人の被害が少ないということが、今委員御指摘のように、私は聞いておりまして、なるほどなと思いましたね。重機を使うときに、もしかしてそこに被害に遭った方がいらっしゃるかもしれない、そうすると重機の使い方も非常に慎重にならざるを得ないですね。やはりそういう視点からも、教育そして伝承というのは極めて大切だなということを改めて感じました。

今村(洋)委員 人口に対する犠牲者の数というのは、被害が大きかった宮城県でも、あと岩手県でも、地域によってかなり差があるということは大臣がおっしゃられるとおりだと思います。ですから、防災に対する意識というものは、条文にうたってある自主組織が充足しているからといって、青森県はむしろその率が低い、それを県の方も気にしているということでありましたけれども、必ずしもそれが全てをあらわしているわけではないというのは今大臣がおっしゃったとおりだと思います。

 次にお聞きしたいところは、そういう大規模災害、今回の震災のような災害が起きたときに、市町村もしくは都道府県が事務を行うことができなくなった場合、つまり機能を失った場合に、防災計画によって、実施すべき応急措置をかわって指定行政機関の長が行うことができるということになっておりまして、その必要な事項というのは政令によって定めるというふうに条文の中は、第七十八条の二ですけれども、なっておりますが、この政令の内容というのは、もう詳細が決まっている、もしくは地域やそういった行政機関によって変わるんでしょうか。そこをお聞かせいただけないでしょうか。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 政令につきましては、今後の作業でございまして、法律の趣旨を踏まえながら今後検討していきたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、小里委員長代理着席〕

今村(洋)委員 ありがとうございます。

 では、都道府県防災会議には警察機関も参加しておるんですけれども、管区警察局の長が応急措置に市町村、都道府県にかわってその長自身の判断で動く、この中にはたしか治安維持というようなものは入っておらないとは思いますけれども、そういった目的で管区警察局の長が長の判断で動くということは、市町村長とかそういったところが機能を失っている場合においてあり得るのかというところをお聞かせください。

亀岡大臣政務官 今お尋ねのあった警察管区の話ですけれども、基本的に、治安の維持そのものの実施を要請することが可能かということであれば、治安の維持は管区警察局長が本来行うべき事務に含まれることから、可能であります。ただし、例えば治安維持そのものの応援を求めることが可能かということであれば、治安の維持は都道府県知事が本来行うべき事務でないことから、不可能です。ということで御理解をいただければと思います。

今村(洋)委員 わかりました。

 では、先ほど私は青森県を視察してきたときの話を申し上げましたが、もっと人口が密集した、例えば首都圏といったところで大規模災害が起きたときに、これは、先ほど申し上げました伝承とかそういったものは、都市生活者の間では認識の共有がなかなか難しいものだろうと思います。ですから、災害が起きた後にどういった対応をとればいいかといった中に、例えば第八十六条の十四、被災者の運送について、首長が、指定公共機関などに運送すべき人、場所を示して要請、指示できるとありますけれども、これにつきまして、JRや各民間鉄道会社と、こういう指示ができますよといったようなことについて、すり合わせとかそういったものは行われていますでしょうか。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 この被災者の運送についての規定につきましては、今回法案を提出するに当たりまして、国交省の担当部局と十分お話をしておりますし、国交省の方とはきちっと調整した上でできているということでございます。

 あとは、事前の備えとして、防災計画等々を都道府県が立てる際に、この規定を背景にして、事前に十分各鉄道事業者等々と調整をしておくということがこれから必要になってくるというふうに考えております。

今村(洋)委員 鉄道機関といったものに関して、災害時にもう一つ重要な、いわゆる輸送という以外に、避難する場所としてそこが用いられるということは、昨今、震災が起きたときに、東京で、帰宅困難者が道路にあふれて、JRだけが門扉を閉じて構内に人を入れなかったといったことが問題になっておりましたけれども、そういうことに関して、第七十条及び七十四条の三の関係におきまして、応急措置等といったところですけれども、都道府県知事は、災害応急対策の実施を指定行政機関に要請できるとなっています。

 この指定行政機関の中には、指定公共機関である先ほどのJRや民間鉄道会社も入ると思いますけれども、そういった指定公共機関に対して、駅構内等を開放してくださいといったようなことを、この法案にのっとって首長は要請もしくは指示を出すことができますか。つまり、駅構内を開放することも災害応急措置に含まれますでしょうか。お願いいたします。

    〔小里委員長代理退席、委員長着席〕

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 二点御質問があったかと思いますが、指定行政機関にJRあるいは民間鉄道会社が含まれるかどうかということでございますが、災害対策基本法上は、指定行政機関とJR等の指定公共機関、これは別の概念になっております。指定行政機関と申しますのは、いわゆる国の役所でございます。それから、指定公共機関につきましては、公益的な企業あるいは団体ということでございます。したがいまして、JR等の指定公共機関は指定行政機関には含まれませんということになります。

 ただ、もう一点御質問がありました、帰宅困難者等々につきましてどういう対応になるかということでございますけれども、帰宅困難者につきましても被災者ということでございますので、法令または防災計画に基づきまして災害時に被災者の安全を確保する行為というのは災害応急対策に含まれます。

 それからもう一点つけ加えて申し上げますと、JR等の指定公共機関は防災業務計画というのを立てるような規定になっておりますので、帰宅困難者が発生した場合等々につきまして、帰宅困難者を一時的に駅に収容する等々、いろいろなあらかじめの対策を防災業務計画に盛り込んでおくということは期待されるところでございます。

今村(洋)委員 どうもありがとうございます。

 私がちょっと調べた限りでは、指定行政機関というところの説明に、ここにある指定行政機関は指定公共機関もたしか含まれるというふうなキャプションがついておったような気がするんですけれども、これはまた後でもう一度教えてください。

 もう一つ、第百八条の三、これは国民への協力の要求といったところですけれども、つまり、国民生活、国民経済上重要な物資をみだりに購入しないことというのが今回新たに設けられておりますが、これはいわゆる買い占めですね、震災が起きたときに心配して買い占めてはいけないと。

 ある大学が調べたデータによりますと、これはちょっと語弊がありますけれども、高等教育を受ければ受けるほど、風評とかそういったものに惑わされず、買い占めとかそういった行動には走らないという研究データを出しておるところがありました。我が日本国民は、買い占めとかそういったことに走るような国民性ではないというふうには僕は思っておりますけれども、今回こういう法案が設定されるといったところで、さきの東北大震災において実際に買い占めをした人は地域人口の数%。

 これは私、いろいろ調べましたけれども、なかなかデータが出てきませんでした。ちょっと、こういう一般に売られている本ですけれども、こういうドキュメンタリーとかそういった中に、実際に買い占めをした人は地域人口の数%と言われる、ほんの一握りの人が買い占めをしただけで陳列棚から物が消えるのは人口が密集する都会の宿命であったというふうな表現があります。

 もし東京で大災害が起きて、今回、東京で大きな被害が出なくても物資がなくなるといった事態が起きたのでこういう法案ができていると思いますが、こういう数%の人が買い占めという行動に走るだけで陳列棚から物が消えてしまうというのは、流通備蓄という考え方で、倉庫に幾らでもためておくというようなことが特に都会では経済上行えないといったことが根底にあるんだと思いますけれども、こういう法案を出されるベースに、何かエビデンスといいますか、何%の人が買い占めに走ったのか、そういった調査とかそういったものは行われましたでしょうか。そこをお答えください。

原田政府参考人 今回の自粛についての呼びかけの措置でございますが、これにつきまして、今回の東日本大震災で買い占めがどうだったかということについて、我々の承知している限りについて申し上げれば、明確なデータはございません。

 したがいまして、そういった明確なデータに基づいて今回立法化を図るというよりも、災害緊急事態においては、これも東日本大震災の教訓ではございますけれども、想定外を避けるということがこれから必要でございますので、いろいろな備えの一つとして今回こういう規定を置いたということで御理解をいただければというふうに考えております。

 ちなみに、御参考のために申し上げますと、これは買い占めということではございませんけれども、東京都が行いましたアンケート調査によれば、都民の中で買いだめした方の割合は一〇%であった、買い占めではなくて買いだめの割合が一割だったというようなデータはございます。

 済みません、それからもう一つ、先ほどの私の答弁をちょっと補足させていただきますが、指定行政機関と指定公共機関の定義でございますが、これは、災害対策基本法の二条が、災害対策基本法で使われている各言葉の定義規定を置いておりまして、その二条の三号で指定行政機関、同じく五号で指定公共機関の定義を置いておりまして、一応、定義上明確に分かれているということでございまして、これに基づいて先ほど御説明させていただいたということでございます。

今村(洋)委員 どうもありがとうございました。

 買い占めに関しましては、日本の国民性として、やはり日本国民は互いを思いやるという気持ちがありますので、そういったことにはなかなか実際には走らないんだろうとは思っております。

 あとは、きょう、想定されなかった質問を多々いたしましたことをおわびいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 古屋大臣、お疲れさまでございます。昨日からずっと聞いていますと、かなり丁寧な答弁をしていただいております。本当に感謝を申し上げたいと思います。また、私の質問にも同じように丁寧にお願いをしたいと思います。

 まず、災害から命を守る、大臣もよく言われますが、私も同感なんですが、逃げることがやはり重要である、私も同じ認識です。

 そこで、今回の法案の中で、避難指示をする上において、市町村長が指示をするわけですが、その指示の仕方、情報をどのようにしっかりと伝えることができるのか、この辺、今回の法改正においてどういうふうになっているのか、お願いをしたいと思います。

古屋国務大臣 まず逃げる、これは極めて大切なんですよね。それと同時に、いかに的確にそれを伝達するかということですよね。

 まず、市町村長が発令した避難指示を住民が確実にキャッチして、そして行動するということが大切です。ですから、今までの例えば防災行政無線とか広報車、消防団等の呼びかけに加えて、これからは、テレビとかラジオとか緊急速報メール、インターネット、要するに、SNSを含めたそういったあらゆるツールを駆使して情報の伝達手段の多様化を図る、このことが極めて大事です。

 今回の法改正では、市町村長による避難指示に関しまして、インターネットを利用して不特定多数の者に情報を提供するポータルサイトを運営する事業者に対しまして、例えば避難指示等に関する情報をサイトのトップページに掲載をするなど情報提供の協力を求める規定というのを新たにつくっております。

 そのほか、今回の改正では、安全の観点から一定の基準を満たす施設または場所を災害の種類ごとに指定緊急避難場所として指定すること。それから、避難行動に対して支援を要する方々の名簿、要支援者の方々の名簿を作成して、消防とか民生委員とかの皆様方にあらかじめ提供する仕組みを設ける。それから、非常災害の発生が逼迫している場合には、内閣総理大臣が、適切な避難のために住民がとるべき措置について、国民に対し周知させる措置を設ける。こういった措置を新たに規定しております。

 これらの措置を活用することによりまして、災害時における住民の円滑な、安全な避難が図れるのではないか。要するに、使える手段は全て使って伝達をしていくということに尽きるというふうに考えています。

佐藤(正)委員 逃げることが大事だけれども、逃げ場所を間違ったら大変なことになっちゃうので、本当にこれは一番根底のところだと思います。重要なところだと思います。

 そしてまた、避難された方々が、今回、東日本大震災では、避難場所を間違って、津波に襲われて、逆に命をなくしたというようなケースもあったわけですよね。

 それで、今、大臣が言われた指定緊急避難場所、これを指定するのに、市町村長が指定をするんですけれども、国としてどのような指定の基準があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

古屋国務大臣 委員御指摘の指定緊急避難場所につきましては、津波とか洪水による危険が切迫した状況において、住民等が緊急に避難する際の避難先として位置づけているものでありますので、住民等の安全の確保が図られるということが最も大切なわけです。

 そのために、指定緊急避難場所の指定基準については、主に安全性という観点で、まず、立地上の基準として、災害の危険が及ぶことが想定をされる地域以外であるということが一つ。二つ目は、構造上の基準として、災害の危険が及ぶことが想定される地域の中にある場合は、当該災害に対する耐久力を持つということ。三つ目は、管理上の基準として、発災時に迅速に緊急避難場所を開設することができる管理体制にあること。こういったことが必要最低限の基準でありまして、それが必要であるというふうに考えています。

 これらを踏まえまして、各市町村長は、各地域の実情に応じて、例えば、高台にある公園であるとか広場、あるいは学校、公民館といった公共施設等について、その管理者の同意を得た上で、指定緊急避難場所として指定することになるのではないかなというふうに想定をしております。

佐藤(正)委員 実は、福岡でも、玄界で地震が起きたときに想定外が起きたんですよ。

 それは、その当時は、建物の耐震性もそうなんですけれども、体育館とかの天井が落ちちゃったんですよ。なぜ落ちたかというと、つり天井で、ボルトでつっているんですね。そこまでは目配りを実はしていなかった。逆に言えば、そこに人が集まってきて、もしつり天井の天井が落ちたら、たまたまそのときは被害を受けた方はいらっしゃいませんでしたけれども、それ以来、例えば福岡県なんかは、避難地のつり天井をまず点検しようということをやったんですね。

 だから、でき得れば、そういう総合的な、地方の経験も踏まえて、また国の方からも、こういう事例もあるよということも教えていただければ情報交換になると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それから、大震災が起きて二日後に、私も実は子供と一緒に、小倉駅というのがありますけれども、そこで義援金活動をやったんですね。午前十一時から夕方の六時まで、途中昼食をしましたので、五、六時間でしょうか。ところが、その五、六時間で百万円を超えました。子供と三人で、義援金を持っているだけなんです。箱が持てなくなりました。そのときに言われたのは、何とか被災地の方に届けてほしいという声でした。

 それから、義援金活動をずっと続けているうちに、だんだん、その善意の方々が、どこにそのお金が使われているのかわからなくなった、見えないというような話が、これはたしかテレビでもかなり報道されたとは思うんですが、要は、せっかくの善意がどこに伝わっているのかというのがいち早くわかることが大事だと思います。

 そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですが、赤十字でしょうかね、国民の皆さんが一番たくさん義援金を寄附したというんでしょうか、そこで、義援金が今どうなって、そしてまた、義援金をどのように活用されてきたのか。

 ちょっと打ち合わせをさせていただいたら、インターネットに載せていますよと。実は、義援金を払っている方は、結構お年寄りの方が多いんです。もし自分の孫だったらどうしようかとか、そういう思いで浄財をいただいている方、本当にたくさんいらっしゃるんです。そういう方はネットなんてなかなか見ないんですよ。

 だから、きょうは、この委員会の場をおかりして、ぜひしっかり、こういうふうに使っていますよ、御安心くださいということを、国民の皆さんに、その善意をいただいた皆さんに報告していただきたいと思いますが、よろしくお願いをしたいと思います。

西藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 東日本大震災に係る義援金につきましては、これまで、公表している数字では二月末の数字となりますが、三千六百四十九億円が日本赤十字社などに寄せられております。これらの義援金については、これまでに、被災県に三千六百三億円、うち、県を通じまして市町村に配付しますが、市町村に三千五百三十九億円が送金されまして、それを被災者のお手元にお配りするわけでございますが、三千三百九十八億円が送付済みでございます。全体の九三%になりますが、この差は、それぞれタイムラグということで御理解いただければと思っております。

 この義援金の配分に当たりましては、透明性を確保することが大変重要でございます。日本赤十字社などでは、義援金配分割合決定委員会を設置いたしまして被災県への配分基準を決定し、その基準に従って順次配分をいたしておりまして、義援金の受け付け状況、被災県への送金状況などはホームページにおいてお知らせをしております。また、被災県や被災市町村におきましても、義援金配分委員会を設置するなどいたしまして義援金の配分方法についてそれぞれ決定し、被災者にお渡しする仕組みを整えているところでございます。

 さらに、より透明性を高めるべく、日本赤十字社においては、昨年六月に、東日本大震災に対する義援金の入金、送金が適正に行われているか、事務経費に充当されていないかなどについて監査法人による監査を行いまして、その結果を同七月に公表しておりますし、また、今年度からは、インターネットを通じて寄附を行った各寄附者がみずからの寄附状況を日本赤十字社のホームページ画面で確認できるようにするなどの取り組みが順次行われているところでございます。

 先ほど御指摘のように、ホームページをごらんにならない方もいらっしゃいますので、ホームページ以外にもさまざまな媒体を使って広報をしていただくことが大変重要であると思っております。

 今後とも、寄附者の善意が確実に生かされるよう、厚生労働省といたしましても、必要に応じて、日本赤十字社、あるいは被災県、市町村に対しまして助言などを行ってまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 ぜひやっていただきたいですね。

 本当に、先ほど私言いましたけれども、ネット社会とはいいながら、ネットだけではなかなかわからない。その後も私が義援金活動で募金箱を持っていても、お年寄りの方は、本当にそのお金は行ったのかなという御指摘を受けたことが何度もあります。本当に善意ですよ。自分の生活費を切り詰めてでもという、本当に日本人のすばらしい心があらわれている行動だと思いますので、これからしっかりやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 それから次に、被災地に、寸断されたりして必要な物資が行かない場合もあるんでしょうが、被災された皆さんからすれば、いち早く欲しいと思っているけれどもそれがなかなか来なかったとか、そういうようなことが多々あったんだろうと思います。

 そこで、被災地に必要な支援物資を迅速に届けるために、国としてどのように取り組んできたのか、お尋ねしたいと思います。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模広域災害時に支援物資を被災地に円滑に供給する上で、行政の役割、これはもちろんでございますけれども、加えて、民間事業者の役割、行政と民間事業者の連携というのは極めて大切であるというふうに考えております。

 また、発災直後につきましては、被災地のニーズが把握できない、そういう状況でございますので、そういった被災地からの要請を待たずに物資を送り込む、我々はプッシュ型の物資供給と言っておりますけれども、こういったことも有効であるということが、今回の東日本大震災でも認識をされたところでございます。

 こういった観点から、今回の法改正では、国、地方公共団体と民間事業者の連携協力体制の構築を進めるための規定を設けたところでございますし、もう一つ、昨年の第一弾の改正になりますけれども、その中で、先ほど申し上げましたプッシュ型の物資供給に関する規定と、それから国による、運送事業者である指定公共機関に対しての物資運送の要請、指示等の規定を創設したところでございます。

 大切なことは、こういった規定を設けるだけではなくて、こういった規定を運用面でさらに具体化していくということでございますので、具体的には、物資の調達、輸送に必要な情報を関係機関で共有するシステムの整備でありますとか、国、地方公共団体と民間事業者と実効ある協定が結べるように、先進事例を紹介する等々の取り組みを強化することによりまして、国、公共団体、民間事業者の連携をより一層促進していけるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 今回のこの法案で私が注目させていただいているのは、国とそれから都道府県、市町村のある意味明確な役割分担をしっかり、再度確認をした法案だと思います。自民党の務台委員が質問されておりましたけれども、私もその質問に全く同感でありました。ただし、それをしっかりと機能するようにしなきゃならないと思っていますので、その辺はよく注視をしていただきたい、このように思います。

 そして、また一つの事例なんですけれども、ちょうどそのころ、私は被災地までは行きませんでしたが、私の中学、高校の同級生がたまたま地元でピザ屋さんをやっていまして、ピザ屋さんが大きな車で、車の中でピザが焼ける車を持っていまして、九州からそのピザの車を二台連ねて被災地に、温かいピザを食べてもらおうということで有志を募って現地に行ったんですね。すごく喜ばれたそうです。温かい、できたてのピザをその場で食べていただく。

 ところが、一つ大きな問題点があったのは、これは数字は明確ではありませんが、わかりやすく言うために仮想の数字を言わせていただきたいと思います。例えばピザが九十枚ありました。ところが被災者は百人いました。十枚足りませんというようなケースが実際にあったんですね。そうしたら、避難所で運営をされている方は、そのピザはいただけませんとなったんですよ。九十枚のピザが、せっかく焼いたピザが被災者の手元に行かなくて、そのまま無駄になったというケースが実際あったんですね。私もそのビデオもレポートも見させてもらいましたけれども。

 いわゆる全てを平等にしようという発想から、百人だったら百のピザじゃないといけない。でも、よく考えてみたら、先ほど維新の会の方が質問をされたように、日本人というのはそういう民族性じゃありません。お互いに分け合う心を持っている、すばらしい、誇れる人種だと私は自負をしています。

 ですから、機械的にやらなきゃならなかったというのもわからないではありませんが、また今後、そういった経験をもって、例えば避難場所の運営、これは大きいだろうと思います。古屋大臣が言われたように、まず逃げる。的確なところに逃げる。逃げたらそこに避難をする。そして、それからそこで生活がもし始まったとしたら、やはり一番大事なベースだと思います。

 そこでお尋ねをしたいのは、避難場所の運営等について、国は何らか考えがあるのか、お答え願いたいと思います。

原田政府参考人 お答えを申し上げます。

 東日本大震災におきましては、ピーク時約四十七万人の方が避難所で困難な避難生活を余儀なくされるという状況で、今先生御指摘されましたような問題も生じたというふうに承知をしておりますし、それ以外にも、高齢者の方々の心身の機能の低下でありますとか、女性への配慮不足等々、反省すべき課題も幾つかあった、避難所生活につきましては、そういうふうに我々も認識をしております。

 こうしたことから、平成二十四年度に、我々として、避難所における生活環境の確保についての検討会を設置して検討を進めまして、その報告書が出ております。

 その中で幾つか指摘をされておりまして、例えばということで申し上げますけれども、被災者の方の年齢とか性別とか障害の有無その他、被災者の置かれた状況は多岐にわたっておりますので、そういったことを踏まえた運営が行われるべきであること、それから二点目でございますが、住民の方々が避難所の運営に主体的にかかわるということも大切でございますけれども、そういった際に、女性などの多様な主体が責任者として加わった上で、その多様なニーズを運営に反映させていくということも必要だ等々、幾つかこの報告書で指摘をされているところでございます。

 我々としましては、今後、こういった報告書での指摘を踏まえまして、避難所における良好な生活環境の確保のための取り組み方針、ガイドラインでございますけれども、こういったものを策定いたしまして、避難所運営のあり方について、実際に運営に当たるのは市町村でございますので、市町村等にお示しした上で、避難所で良好な生活環境が確保されるような取り組みをこれから強化してまいりたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 これは本当に、現場に行って、そのときそのときで変わるかもしれませんが、今回の教訓として言えることは、その運営が余りにもお役所になっちゃった、だからそこに弊害があったということですので、そこはしっかり精査をしていただいて、お願いをしていただきたいと思います。

 そして、逃げる、安全なところに行く、それから生活が始まる。しかし、その前に準備しておかなきゃいけないのが、災害が起きる前に、どこに逃げたらいいのか、どうしたらいいのか。マップもいろいろありました。しかし、現実は、幾ら書面で見ても、体を動かしてみないとそのときに対応できないと思います。いわゆる防災訓練、避難訓練が重要だと私は思っております。

 そこで、私の町内会というか校区でも実は防災訓練というのをやって、小学校のグラウンドに自衛隊も来ていただいて、炊き出しもやっていただいて、北九州では何カ所かそういう防災訓練を校区でやりました。しかし、校区でやったんですが、例えば市とか県とか、全体的な大きな災害のときにどうするのかという訓練というのは、なかなか、年に一回あるかないかぐらいなんでしょうかね。

 そういう意味では、広域的な防災訓練をどのようにお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。

原田政府参考人 お答えを申し上げます。

 南海トラフ巨大地震等々の大規模広域災害につきましては、国、公共団体、その他の団体が広域的に連携をして対応するということは極めて大切だというふうに思っております。

 そのための備えとして、関係機関が広域的な訓練を行うことも必要でございまして、訓練でできないことは実際に起きたときにできないというような指摘もございます。

 こういった広域的な訓練の取り組みとして、例えばで申し上げますと、昨年度、中部ブロックにおきまして、南海トラフ巨大地震を想定しまして、関係機関が一堂に会して、広域的に連携をした訓練をいたしました。

 こういったことを受けて、先日、中央防災会議で決定をいたしました本年度の総合防災訓練大綱におきまして、各地域ブロックで、関係省庁の地方支分部局、地方公共団体、ライフライン・インフラ事業者等で構成される協議会というのがそれぞれ設置されておりますけれども、そういったところが主体になって広域的な訓練を実施するということにしております。

 こういった訓練等々を通じまして、広域的な災害への対応力を強化してまいりたいというふうに考えております。

佐藤(正)委員 まず訓練して、災害が起きる前の準備と、それから、災害が起きたらすぐ逃げる、逃げて安全なところに移動する、そして、そこで生活をするときにはそれなりの注意を払う。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、ちょっと時間がなくなりましたので、質問を何点か飛ばさせていただきたいと思います。

 昨日ですか、また朝日新聞が、復興予算の流用とかなんとかという話がいろいろ出たんですよね。

 ちょっと調べてみると、私はまだ国政の方に来ておりませんでしたが、平成二十三年六月に東日本大震災復興基本法がつくられたと思います。そのときに、当初の民主党の案から変更というんですか、民主党、自民党、公明党の三党が賛成をしてつくったのが東日本大震災復興基本法、その第二条の中に、基本理念に基づいて予算を執行する。その詳しいことはもうおわかりだと思いますけれども、実は、その法律で言うと、何ら流用ではないんだと思います、その当時の法案を見れば。

 そこでお尋ねをしたいんですが、その予算の執行停止となった経緯、これは私が今から申し上げることでよろしいんでしょうか。

 昨年の九月ぐらいにNHKが何か特集をやって、例えばシーシェパードに復興予算を使ったよとか、北海道の刑務所で研修費に使ったよとか、沖縄の林道整備に使ったよとか、これはおかしいじゃないかということで世論が動いたというんでしょうか、それから、昨年の十一月、日にちはちょっと忘れましたけれども、民主党政権のときに執行停止だというふうになったと思いますが、その辺はいかがですか。よろしいですか。

谷副大臣 復興基本法は、今委員御指摘のように、当初、政府提案で出ましたけれども、政府提案の法案は撤回したかと思います。自民党、我々は当時は野党でございましたけれども、民主党、自民党、公明党で、議員提案でこれはつくられたものだと思います。

 それで、今、前政権下での執行停止の話がございましたが、そういうことがどうかということは、前政権下のことでございますので、私はコメントする立場にはございません。

佐藤(正)委員 参議院の予算委員会で、蓮舫さんがこれを随分取り上げました。そのときに安倍総理が、基金の執行については民主党政権時代につくった負の遺産でございますが、こういうふうに言われた。僕はそのとき、ちょうどテレビで委員会の質問を聞いていました。国民から見ると、民主党だ、自民党だとか、はっきり言って関係ないですよね。我々の税金がどのように使われているかということが大事です。

 そこで、今回、いまだに予算の流用があるとか、いろいろまた、何か知らないですけれども、新聞社は小出しに出してくるんですよね。僕はこれを見ていて、現政府においてその辺はもう明確に、すかっとされたらどうかと。

 要するに、予算の執行をする、しない、どこで線を引くのか。安倍総理も予算委員会等で、執行停止も含めてやるというふうにお答えになっていますから、この際、どういう基金がそのように見られていて、そしてそれを今どうしようとしているのか、どこまで精査をしたのか。

 聞きますと、昨年の十一月時点で予算はもう実は執行している、もう済んでいる。だから、基金に入っちゃったので、それは取り返すというような法律になっていないんですよということですよね。そこも踏まえて答弁を願いたいと思います。

谷副大臣 前政権下で、昨年、いわゆる全国防災事業の中で適切でないものがあるんじゃないかということで見直しをされた、執行停止をされた。そして、その時点では、二十三年度三次補正などでおおむね十五の全国向け基金があるかと思うんですけれども、それについては、佐藤委員御指摘のとおり、既に、国としては基金にほとんど出している、執行している。ですから、それは対象外とされたわけであります。

 それで、先日来、マスコミの方で、その対象外とされた基金について、これは果たして適切なのかどうかという観点からの報道かと思います。

 現在、これら十五の基金について、国からは執行されています。ただ、基金を持っている地方公共団体あるいは法人から事業の執行まではどういう執行状況になっているのか、そういったことを調査を行っているところです。

 それで、調査内容などをもとに、使途の厳格化の観点を踏まえ、どういった対応が可能なのか、基本的には、基金の所管省、そして財務省、及び、復興予算ということでございますので復興庁との間で、今後、その調査結果をもとに協議をしてまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 もう時間がなくなりました。

 要は、予算を執行したときは各省庁から出した、そして、基本法ができて復興庁ができ、仕組みが変わってきて、それが今度、今は復興庁が全体を見るようになった。だから、各省庁からお金が行っているので、復興庁としては実は歯がゆい思いもあるんでしょう。気持ちはわかります。だけれども、もう時間がたちましたので、すべてオープンにしていいと私は思いますよ。

 実際、今のやり方でいくと、執行停止にはならないですよね。実は、もうお金を渡しているんですね。だから、今も言われたように、そこを精査していただいて、いち早く公表されたらいいと思います。そのことを要望して、質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

谷副大臣 復興庁としては、歯がゆい思いはしておりません。まず、調査内容をしっかり踏まえて、関係省庁と適切に対応してまいりたいと思っております。

坂本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。きのうに引き続いて、よろしくお願いいたします。

 災害対策基本法は、昨年に引き続く改正でありますが、初めて基本理念が定義されるなど、大幅な改正でございます。

 しかし、基本法の第三条「国の責務」についてでありますが、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」この肝心な部分はさわっておりません。これは非常に重要だと思っております。ぜひ大臣には、この責務を遂行するという決意も込めて、この後の質問に御答弁をお願いしたいと思います。

 それで、きょうは最初に、被災者の生活再建の第一歩である罹災証明の問題ですが、これは九十条の二に初めて法定がされました。

 自然災害の定義は多岐にわたります。今回も地すべりや土砂崩れなどが新たに定義に加わったわけでありますけれども、自然災害にはいろいろあるということ、それと同時に、被害の実態も非常に多様であります。

 ところが、依然として、罹災証明書に書き込む内容は、全壊、半壊といった家屋の被害状況のみが被害認定の基本となってまいりました。東日本大震災でも、液状化など宅地被害などが非常に大きな課題となったわけでありますから、被害の実態がちゃんとわかる、そしてそれがその後の支援の大きな物差しになっていく、一助になっていく、そういうものであってほしいなと思っているんです。

 ですから、今回、法定されるということが大きな契機になると思いますので、その中身と運用について実態に合わせたものにすべきだと思いますが、大臣に伺います。

古屋国務大臣 お答えします。

 今回法制化をします罹災証明書の証明事項については、罹災証明書が、被災者生活再建支援金や住宅の応急修理といった住宅被害に着目した被災者支援措置の適用に多く活用されております。また、かねて市町村において交付されてきている罹災証明書においても住家の被害状況が一般的に証明事項に含まれているという事実を踏まえて、これを必須の証明事項といたしております。

 一方、不動産の被害など、住家以外の被害について一律に罹災証明書の必須の証明事項とすることについては、これらの被害に着目した全国的な公的支援制度が乏しい中で、被害調査にかかわる事務等に時間を要するなど、被災自治体に過大な負担を与えることになると考えています。

 しかしながら、市町村によっては住家以外の被害に着目した支援制度を独自に創設することも考えられるところでありまして、今回の改正法におきましても、こうした地域の創意工夫を発揮することができるように、住家以外の被害で市町村長が定める種類の被害についても証明事項にできることとしております。

高橋(千)委員 市町村長が判断をすればできるということは、前にも一度私は質問したことがあるんです。ただ、そこをもっと踏み込んで、例えば各自治体の活用の方法を交流するですとかお知らせしていくですとか、そういうふうにしていくことも含めて、私は質問させていただきました。

 やはり、確かに今までは、被災者生活再建支援法のように住宅の支援の物差しになるからということであったわけですけれども、現実には、減税ですとか、あるいは医療、介護の減免措置とかも今回図られましたし、いろいろな形で活用されるわけですよね。そうしたら、被害は非常にあるんだけれども、うちというところだけに着目すると半壊にもならないわ、しかし土台は崩れているわということが今生起をされているわけですから、各地では既に始まっているその取り組みも大いに認めていくという立場で柔軟に活用していただきたいということ。

 むしろその方が、ありのままを出せばいいだけの話ですから、家屋はもちろん書くけれども、ありのままを書いていくということで大いに検討していただきたいと思いますが、もう一言、よろしいですか。

古屋国務大臣 今回の改正において、今私が申し上げましたように、それぞれの地域の創意工夫を発揮することができるように、市町村長が定める種類の損害については証明事項にできることとしている、私は、これはしっかり前進をしたというふうに考えております。ぜひそれは御理解いただきたいと思います。

高橋(千)委員 わかりました。では、市町村の取り組みは前進したというふうに評価をされていると。まずそこから出発して、いろいろな被害に合った支援制度というのが実際どうなっていくかということをまた今後の議論に生かしていきたい、このように思います。

 それで、今回、災害救助法の所管を内閣府に移す、その理由は何でしょうか。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 災害救助法は、その制定以来厚生労働省が所管をしてきました。各省庁横断的な施策の総合調整を行う内閣府が災害救助法を所管することにより、同法による救助の実施に当たり、例えば、応急仮設住宅の供与については、住宅施策や関連業界との連携の観点から国土交通省、福祉施策の観点からは厚生労働省、あるいは、被服、寝具その他生活必需品の給与または貸与については経済産業省、学用品の給与については文部科学省など、関係省庁との連携を一層強化して対応していくことが今度は可能となるわけであります。

 それから、内閣府が従来から所管をしている被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給とあわせ、避難段階における救助から生活再建の支援に至るまで、被災者支援の実施を内閣府に一元化して、国と地方公共団体間の事務及び連絡体制を簡素化するということが可能になると考えております。

 このように、災害救助法を厚生労働省から内閣府に移管することは、防災行政を迅速に進めていく上でメリットは極めて大きいというふうに判断をいたしております。

高橋(千)委員 災害直後の救助や救援、あるいは避難所の設置など、そういう当面直面する課題から一貫して、防災から復興までを内閣府が全部所管する、しかも各省庁との連携もやっていくんだということで、メリットが大きいという答弁だったと思います。私は、制度の中でもメリットをぜひ生かして整理をしていただきたいということで、きょうは質問したいなと思うんですね。

 それで、資料の一枚目を見ていただきたいんですが、被災者生活再建支援金の東日本大震災における被災三県の支給実績がございます。一番左端、基礎支援金。十七万百二十世帯が百万円の基礎支援金をもらっている。加算支援金は、約半分になります八万六千四百三十八世帯。つまり、ここが唯一、全部もらって自力再建をなし遂げた、そういう世帯というカウントになるのかなと思います。

 ただ、実態は、その右側にありますように、家屋の被害、全壊、半壊、一部損壊まで入れますと七十六万一千百二十一世帯。これだけの数があるということでは、実際にこの支援金を使っているところが全体ではまだ二割強程度になっているということが読み取れるのかなと思うんですね。

 その上で、めくっていただきまして、災害救助法の応急修理と被災者生活再建支援法の比較であります。これは救助法が、厚労省の所管なんだけれども今度は内閣府に移るわけですよね。制度の仕組みが法定受託事務と自治事務とか、かなりの違いがございます。

 問題は、その次です。三枚目を見ていただきたいんですけれども、災害救助法の応急修理、これは対象となる被害が半壊以上となっております。そして、所得要件もあるわけですね。ところが、被災者生活再建支援法は、〇七年の改正によりまして所得要件を取っ払いました。そういう経過があるにもかかわらず、何でこっちは残っているのかということを私がずっと言い続けてきたということであります。

 これに対して、〇八年の十一月の本委員会のときに、自民党の当時の佐藤勉防災担当大臣が、総合的な検討をしたいということをおっしゃいました。

 いよいよもって、所管が一つになるということで、ここを整理していく必要があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 災害救助法は、十月から我々内閣府防災に参りますけれども、現在は厚生労働省が所管をしております。

 災害救助法、被災者生活再建支援法は、先生御提出の二ページ目に目的がそれぞれ書いてございますけれども、まさに発災直後の応急的な救助をやるのが災害救助法、それからもうちょっと進んだ段階で被災者の生活再建を担うのが被災者再建支援法ということで、それぞれ目的が違います。それぞれの目的に応じて、具体的な制度設計も違ってきている、そういうふうに理解をさせていただいております。

高橋(千)委員 今の答弁を聞いていただいたと思うんですが、目的が違うんです。

 発災直後の必要な救助をする、その範囲の中で応急修理というものがございました。だから、所得要件はなかったんです。

 もともと、災害救助法の応急修理には所得要件はありませんでした。それが、二〇〇四年の中越地震のときに、非常に大規模な災害があって、支援をしなければならないからということで所得要件を新潟県がつけたんです。それをオール・ジャパンにしてしまったというのが経過なんですね。

 だから、何で半壊以上なんですか。むしろ、応急修理だからこそ一部損壊が使えて当然じゃないかと私は思うわけです。

 この3の方の下を見ていただきたい。これは大変厳しいことを書いているんです。「応急修理の活用により、当面の住居は確保できることから、仮設住宅の入居対象とならない」。これは中越のときに大問題になりまして、そのことを知らないで使っちゃった。使っちゃったら、えっ、仮設に入れないんですかと。だったら、ちょっと考えるべきだったということになるんですよ。

 たった五十二万円の現物給付を活用したことによって、何年も可能な仮設住宅に入れなくなる、それはちょっと厳し過ぎるんじゃないか。

 ということは、この制度を活用すべきは、五十二万円と支援金を足してこれで自力で再建が可能なんだ、すぐにもできるんだという条件のある人と、五十二万円の範囲で十分間に合う程度の本当に一部損壊、そういう人にこそ使われるべきなんだ。つまり、そこだけ修理をすれば十分に暮らしていける、そういう人に使われてこそ制度の本当の趣旨なんです。

 どうですか、もし可能であれば、桝屋副大臣、せっかくおいでいただいているので。

桝屋副大臣 ちょうど委員の議論の最中にここへ座ったものですから、御指名をいただきました。

 住まいのことに関しては、ちょうど業務を移管するわけでありますから、委員の指摘等も踏まえて、今後総合的に検討しなきゃならぬと思っている次第でございます。

高橋(千)委員 副大臣には実は次の質問を用意していましたので、急に振りましてごめんなさい。

 ただ、いい形で引き継いでいただきたいし、一緒に知恵を出していただきたいと思うんですね。

 昨年の中央防災会議の防災対策推進検討会議においても、やはりこの応急修理の事務が大変煩雑である、逆に、だから半壊世帯以上は支援法に入れてしまえばいい、そういう意見があったんです。そういうことも踏まえて、私は建設的な提案をしております。

 ぜひ、大臣に、検討すると一言お願いいたします。

古屋国務大臣 この支援法ができたその趣旨というのがありますので、その趣旨からすると、対象を広げていくということは、正直言って制度の根幹にかかわる話なものですから、やはり慎重な対応が必要だなというふうに考えております。

 高橋委員がいつもそのことを主張しているのはよく承知をいたしておりますが、我々としては、今申し上げたように慎重に対応すべきである、こういう考えです。

高橋(千)委員 私が主張したのは、応急修理が一部損壊で使えないのはおかしいということ、まずそこを整理していただきたい。そして、半壊以上は支援法に入れるべきだ。こうすると、全然何の支援も受けられない人がかなり救われてくるんですね。

 最初の表にあるように、半壊世帯というのは二十三万を超えています。そのうち応急修理を使えたのは八万六千八百七十三件なんです。つまり、これは所得要件があるし、年齢要件もあるんですよ。とてもじゃないが対象にならないんです。

 そうすると、半壊といったって、改修には何百万も実際にはかかるわけでしょう。そこに何の支援もないというのが実態なんだ。そこをよく見ていただいて、一本化するメリットとさっき大臣せっかくおっしゃいましたので、そこを検討していただきたいということで要望をしたいと思います。

 そこで、桝屋副大臣にぜひお伺いをしたいと思いますが、昨日、仮設住宅の住みかえ問題を質問いたしました。もちろん、仮設というのは本来長く住むところではありません。とはいえ、公営住宅がまだできておりません。実際にできているのが数百という単位なんですよね。それで、土地計画の問題などもあるので、何年もかかるということが現実にあるわけなんです。

 そういう中で、何年もかかる間に、子供さんが進学をしたりとか、ばらばらに暮らしていた家族が親の介護で一緒に暮らさなきゃいけないとか、さまざま事情がある。それは当然、その事情を踏まえて自治体が判断できるということに整理したらいかがかなと思うんですが、どうでしょうか。

桝屋副大臣 この点につきましては、応急仮設住宅、昨日の本会議で大臣と委員が議論されておられる姿を見ておりました。昨日も大臣が答弁をいたしましたけれども、応急仮設住宅の入居につきましては、先般、被災地において、今委員からお話がありましたが、災害公営住宅等の恒久住宅が不足する場合などにつきましては、原則として、特例法に基づきまして、一年ごとに延長できる取り扱いを自治体に周知しているところでございます。

 一方で、今委員からお話がありました住みかえに関する話でございます。

 この住みかえに関しましては、災害救助法に基づく被災者の転居先としては、これは恒久住宅が想定されているわけでありますから、昨日も大臣が御答弁しましたけれども、基本的には難しいと考えているところでございます。

 ただし、具体的な状況を言いますと、福島県から他県に避難された被災世帯が福島県内に帰還される場合は、これは帰還促進の観点もございまして、住みかえを可能とする取り扱いをしているところでございます。昨日、大臣が御答弁申し上げたとおりのことでございます。

高橋(千)委員 その福島県からやはり出ているんです。若い世帯は一度はもう住みかえをしちゃっている。そして、高齢の親子、九十代と七十代の親子、とてもじゃないが面倒を見なきゃいけないので、三世帯が一緒に暮らそうと。そうすると、今までは三世帯ばらばらでした。ばらばらだったので、それぞれ六万ずつの救助の支援金が出ております。それが一世帯になると、九万円の家賃なんだよ、九万円の家賃なんだけれども、一度目の住みかえが終わっちゃったところには出ませんよとなって、その親子の分六万円しか出ない。これは、飯舘村から福島に避難している方の事例であります。

 そうすると、十八万の補償をするより九万の方が半分で済むじゃないか、効率的じゃないかということを現場は言っているんだけれども、いや、原則一回ですというふうな対応がされている。でも、やはりそういうことは柔軟でいいじゃないか、その方が実態にも合っているし、別にむやみにお金を使えということを言っているんじゃない。そういうことをぜひ考慮していただきたいという話なんです。

桝屋副大臣 今委員から具体的なお話もございましたが、昨日も本会議で大臣が答弁しましたように、やはり、災害救助法の応急仮設住宅の大原則、ここは基本的には変えることは難しいというふうに思っております。

 今委員がおっしゃったように、さまざまなケース、私どもの方にもいろいろなケースの声が寄せられているわけでありますが、災害救助法の原則ということは、これは貫いていかなきゃならぬと思っている次第でございます。

坂本委員長 高橋君、時間も経過していますから、簡潔に願います。

高橋(千)委員 時間ですので、大臣にもう一言と思いましたが、要望にとどめます。

 今、この原則を曲げないとおっしゃると、矛盾が起きます。もう承知していると思うんですが、本当に高台移転が可能なのは八年後とかそういうことが言われていて、では八年間仮設に住むんですかということが当然問われてくるんですね。そうしたときに、今言ったようなみなし仮設を、住みかえを考えるということが、現実的な対応として求められることになるんですね。そこを大いに考えていただいて、それは原則では済まない事態が今起こっているし、これからもっと表面化してきますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 終わります。

坂本委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 今回の法案、若干欠けているところがあるなと思って見ている部分がありまして、その部分をまずお伺いしたいわけであります。

 大規模災害からの復興に関する法律案で、これは復興段階の法律案ですけれども、これを見ていると、町づくり、インフラ整備あるいは移転、こういうものに対するいわゆる復興整備事業については規定はされておるわけですけれども、もう一つ足りないと思うのは、産業なり雇用なり、あるいは医療なりの、そういうソフトも含めた部分なんだろうと思います。ここの部分をどうやって復興において規制を緩和、改革していくか、これがなければ、私は一方的だなという思いを持っております。

 あの東日本大震災復興特区法でも、実は、復興整備事業とともに、いろいろな議論の末で、この部分が必要だろう、まあ必ずしも十分かどうかという議論は私はまだ疑問だと思っていますが、そういう根拠が設けられたということがありまして、それを考えるときに、今回の法案でなぜこの産業、雇用関係の部分の復興の特区的なものが欠けているのか、ここのところをお伺いしたいと思います。

古屋国務大臣 お答えさせていただきます。

 経済とか産業、雇用分野の規制緩和が盛り込まれていないのはどうしてかという趣旨だと思います。

 まず、大規模災害からの復興を図るためには、基盤となるインフラ等の整備をするだけではなくて、被災地域における生活の再建であるとか経済の復興を図っていくということが極めて重要です。御指摘の経済、産業、雇用関係分野における施策が不可欠であるということは認識をいたしております。

 しかし、御指摘のように、経済、産業、雇用関係分野の規制緩和措置については、個別の被害状況だとか災害状況であるとか被災地域の主要産業等を踏まえて、その必要について具体的に検討していく必要があります。あらかじめそういったことを法制化するというのはちょっと困難なのかなというふうに考えております。

 したがって、この法案では、大規模災害が発生した場合に、特別の必要があると認めるときには、別途法律で定めるところにより、規制の特例などを含めてその他の措置を速やかに講ずるべきであるということはしっかり規定をさせていただいております。

畑委員 恐らくそういう議論もあると思うんですが、災害に想定外なしという言葉が何回も、この委員会も含めて言われております。であれば、実は、その別途の措置でやるというのをぽんと一つ書くんじゃなくて、やはりそこの総則的な規制緩和の準則が必要だ、きのうも私は申し上げましたが、そういう問題意識があるわけです。

 なぜかというと、いきなりその都度その都度やろうとした場合に、手続の規定から含めてまた検討しなきゃいけないということであれば、時間がかかってしまうわけですね。

 例えば、東日本大震災復興特区法をつくる際でも、総合特区法があったわけです。ただ、これで足りないという理由は、手続が非常に、各関係機関の了承が必要だとかそういうことがあって、使いでが悪いということがあった、あるいは、後々地方から提案する制度も必要だとか、あるいは、条例でもうちょっと上書きというか、規制を地方の実情によってできないかという議論があって、東日本大震災復興特区法というふうになったわけです。私も民主党にいて、旧与党でプロジェクトチームで立案に参画しておりましたけれども。

 そういうのを考えるときに、きょうはちょっと通告していませんで意見ということなんですが、恐らく何法のどこを規制緩和しろというのは書けないんだろうと思います。私もそう思います。ただ、そこの準則というか、少なくとも、手続規定の考え方とか、地方の意見を尊重すべきだとか、そういうのは、やはり復興の一般法という以上はあってしかるべきだと思うんです。そこのところがないというのは、内閣府は復興庁ではありませんが、霞が関の中で復興庁とどういう連携をして教訓を得てきたのかなという思いがあります。

 通告しておりませんので質問にはあえていたしませんけれども、そういうことも踏まえて、これから、これは法案は法案でしょうから、いざとなったときはそういう準備ができる体制を、手続とか理念も含めてしっかりと整理すべきだということを申し上げておきたいと思います。

 次に、同じ観点で、ちょっと欠けているというか、聞きたいところは、仮設住宅の生活環境の改善であります。

 災害対策基本法には被災者の生活環境の整備が規定されておりまして、これは、避難所を中心に法文上は規定されているわけですね。ですので、避難所というのは恐らく仮設住宅というのは入らないのかなと思うんですが、実は、そこの仮設住宅の生活環境の改善が非常に大事だと思います。

 旧政権の与党のとき、仮設住宅のプロジェクトチームの事務局長をやらせていただいて、被災地の議員でもありますので。従来の仮設住宅の基準でつくったわけですよ、急いでつくらなきゃいけないということで。ただ、その後にいろいろな要望があって、かなり何回も何回も直しました。御存じのとおり、追いだき機能とか雨どいとか、あと、玄関が丸見えだったとか、あるいは風よけ室がなくて入ってくるよとか、寒冷地仕様じゃないとかいろいろありまして、これはその都度聞いて直していったわけですが、今回、こういう教訓がどのように生かされて、仮設住宅の仕様とか基準に反映されて改善されていくのかなという思いがあります。

 きょうはそこのところを総則も含めてお伺いしたいわけですが、端的には、大体のところは片づいたので、それを基準化して新たに今後こうやってやっていきますと言っていただければいい世界なんですが、一つは広さと壁の薄さですね、いまだによく言われるのは。壁が薄くてストレスがたまるということで。あと、仮設住宅が狭いんですね。六、九、十二坪の三DKでやっているというんですが。この前の東日本大震災の復興特で、おとといですか、参考人質疑をしたとき、女川町長がいみじくも言っておられたんですが、これを三坪ずつでもいいから、それぞれの住居で広げられないかと。

 というのは、被災者の方が、先ほど来議論があるように、仮設住宅暮らしが長くなっているわけです。そういうときに、本当はこの仮設住宅は一年、二年で出るという想定でつくっている制度なんですが、実際そうはいかないというのが現状のとおりであります。であれば、仮設住宅という限界はありますけれども、仮設住宅の生活環境の改善ということで、できるだけ快適に住んでいただけるような、やはりその辺の環境改善の措置が必要じゃないかなと思います。

 そういうことも含めて、今後どのように改善していくと考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

桝屋副大臣 仮設住宅についてのお尋ねをいただきました。

 今委員からもお話がございましたように、東日本大震災の仮設住宅につきましては、寒冷地であったということなどから、当初の仕様では必ずしも十分ではなかったということで、お話がございましたが、断熱材を追加したり二重サッシ化等の、住環境を改善する、こんな追加工事を講じてきたところでございます。

 こうした教訓を踏まえまして、国土交通省と協力をいたしまして、昨年五月に、各都道府県に対して、遮音性能の向上、あるいはそれぞれの気候風土に合った仕様等をあらかじめ策定できるよう、仮設住宅建設マニュアルを通知したところでございます。

 今委員からお話のございました面積につきましては、拡大を、こういうことでございましょうが、今回の震災において追加で倉庫を整備したということもございまして、その必要性は認識しておるわけでありますが、大規模な災害時には、大量の仮設住宅を早期に整備する必要がある、これに見合う建設用地の確保なども必須となることでありまして、本当に十分その必要性ということは認識しているわけでありますが、今のようなことを考えますときに、慎重な対応が必要ではないかと思っている次第でございます。

畑委員 用地の問題をおっしゃられましたが、用地が足りないときは当然仕方ないことなんですけれども、基本原則として、やはり幅を持たせてそういう基準というのは決めておくべきであって、女川町長が言っているのは、三坪なりとも広げられないかと。三坪ですよ。

 だから、用地、ありますけれども、ただ、用地が足りないときは別にいいわけですが、もうちょっと広目に、例えば今の基準から三坪の間ぐらいで基準を柔軟に決めておくとか、いろいろやり方はあるんだろうと思います。ちょっとその点、今後の検討課題になると思いますが、慎重にと言わずに前向きに検討していただきたいと思いますが、これも要望ということにいたします。

 次の質問でありますけれども、ちょっと通告から、防集をお聞きしようと思ったんですが、飛ばさせていただきまして、この議論の流れで、災害公営住宅の広さということの議論もさせていただきたいと思います。

 持ち家志向の地域ですから、住宅の自力再建をしたい人が多いわけです。ただ、そこに対する支援が十分ではない。これもこれであるわけですが、実は、防災集団移転促進事業であれば、比較的充実した支援を得られる。ただ、実際に、田舎だから緩和したんですが、五戸以上の要件に当たる集落じゃないとか、あるいは災害危険区域に指定されないから、同じ被災者でも防集の支援が得られないという人が多いわけです。

 そこに対しては、いろいろ私も議論していますが、基金というか自由度の高いお金をつぎ込むとか、あるいはいろいろなやり方はあるんだろうと思うんですが、私は地元の人にこう言ったわけですよ。

 防集なり、あるいはお金の使い方も、公共はそこに回らない部分もあるでしょうから、例えば災害公営住宅というのがありますからそこに入られるということも考えたらいかがですかと言いましたところ、やはりこれも田舎で、住宅が立派なわけではありませんが、皆さん広目のところに住んでいるわけですね。そういうところで、災害公営住宅が狭いんですと。だから、いや、災害公営住宅が我々の通常の生活感覚に合致しているのであればそこに入るにやぶさかじゃないけれども、どうしても大人数の家族で狭いものですから、難しいんですけれども自力再建をしたいんですという話も言われました。

 自力再建を促進する方法はまた別途考えたいし、議論したいんですが、きょうは災害公営住宅の部分をちょっとお伺いしたいと思うんです。この広さの基準というのは現行どうなっているのかということをまずお伺いしたいと思います。

坂井大臣政務官 お答えいたします。

 今、広さの基準ということですが、平成二十年度までは省令で床面積の上限を八十平米としておりましたけれども、現在はこれを撤廃いたしております。

 ただ、補助の限度額というものに関してございまして、これは今申し上げた床面積約八十平米程度というのを上限に設定しているところでございます。

畑委員 まさにそこが問題だと思います。基準を緩めても、結局、お金の部分なんです。

 被災地の公共団体ですから、お金が大変だ、そこの支援が欲しいという部分があって、補助の限度額を高めてほしいということはもちろん課題として一つありますが、やはり問題になるのは、そこで公共団体が自由に使えるお金があれば、そこはまた入れられるわけです。だから、そこの制度も引き続き検討すべきだと思います。

 実は、今回復興基金が拡充されて積み増しされまして、このことは大変評価すべきことだと私は思っております。ただ、これが積み増しされたとしても、結局、こういう制度のすき間を埋める支援に行かない。ほかの方に行っちゃうというか、やはりトータルの絶対額が少ないわけです。だから、そこをふやすということでいろいろしなきゃいけないと、今後の課題としてまた御指摘して、御相談というか議論させていただきたいと思います。

 いずれにしましても、補助要件も含めて制度を柔軟にやっていくこと、あるいは、極めて自由度の高い財政支援制度をつくっていくこと、この両面からアプローチする必要があると思います。本日、ちょっとこの問題意識を申し述べさせていただきます。

 次に参りますけれども、情報の伝達体制のあり方ということをお伺いしたいわけであります。

 防災行政無線のあり方なんですね。実は、これはいろいろな公共団体で使い方が一定していないという問題意識があります。

 例えば、ある公共団体は、行事のためにめちゃくちゃ頻繁に防災行政無線を使う。これは生活の平穏にも非常に支障があるというかうるさいわけですけれども、ただ、流されているけれども聞こえないと逆に不安をかき立てる。こういう使い方がいいのかどうかという思いがあります。あと、そういうことに使わない、抑制的に使っているところももちろんあります。あるいは、災害だけに基本的には使っているわけですが、例えば注意報レベルでも流してしまう、あるいは、本日は空気が乾燥していますから気をつけてください、こんなレベルでも頻繁に流す。

 こういうことをやっていると、いざ防災情報が流された場合に、オオカミ少年じゃないですけれども、何だ、また何か流しているなということで、ぴんとこなくなってしまうような危険性を私は感じております。

 ですから、ここは、地方の実情に任せるという部分はあるんですが、やはり準則というぐらいの大枠、こういう考え方の整理をひとつしていただいて、防災行政無線はこういうふうに使いましょうという、ちょっとその辺の整理をしていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

柴山副大臣 お答えをいたします。

 ちょっとここではっきりさせておきたいんですけれども、防災行政用無線局の目的は、電波法関係審査基準でこのように定められております。「それぞれの地域における防災、応急救助、災害復旧等に関する業務及び地方行政に関する業務の遂行上必要な無線通信を行うために開設するものである」。したがって、この目的に合致する内容であれば、防災行政無線による情報提供は、まさしく地方公共団体の判断で実施されることとなっております。

 災害というのはしょっちゅうあるわけではありませんから、平常時における行政情報の提供は、災害時における防災情報の提供に対する訓練という意味合いもあるわけです。音で発出するわけですから、いざというときに、日ごろ使っていなくて全然聞こえないよというのじゃ困るわけですね。

 ですから、御指摘のとおり災害時には防災情報の提供をまず優先するべきであると考えられますけれども、平常時には、御指摘のように例えば気象情報ですとか雨量や河川情報以外に、地方公共団体がそれこそ地域の実情を踏まえて、みずからの判断で行政情報と防災情報の提供をバランスをとって運用して、当該設備の有効活用を図っているということだろうというように思っておりまして、情報提供の内容について国が統一的な基準を設けるということは、必ずしも適当ではないのではないかというように考えております。

畑委員 私、そこの答えは、実は地方公共団体からの目線だと思うんですよね。提供側の目線。受け手の住民の目線というのが入っていないなと。やはりそこは、受け手の住民の目線というか感覚をもっと生かすべきじゃないか。という意味で、私は今の答弁はちょっとおかしいなと思っております。

 そこで、ちょっと言いたいんですが。いや、いいんですよ、行政部分を広報するのも。では、例えば防災の場合に、どういう基準で災害情報をやるかというそこの準則もないではありませんか。

 つまり、この三・一一で、私、地元で言われたのは、例えば防災一つとっても、一晩じゅう、津波来襲に気をつけてください、気をつけてくださいと同じことを繰り返すだけだった。つまり、その都度アップ・ツー・デートした現状の情報を防災無線でさえも流さなかったという話があります。例えば、テレビとかNHKだったら、もっと端的に、その都度その都度とアップ・ツー・デートするわけですよ。そういう基準がないと私はおかしいと言っているわけです。そこについて答えてください。

柴山副大臣 今おっしゃったのは日ごろの行政情報とは関係のない話でありまして、ちょっと先ほどの質問とは矛盾しているんじゃないかなと思うんですね。要は、実際に災害が起きたときに、何が本当に、今おっしゃったお言葉を使えばユーザー目線で必要なのかということは、これはしっかりと準則を定めて流していくべきものであろうというように思います。ですから、まずは、とにかく、どこどこが危ない、逃げろということを繰り返し流すというのも、それは当該自治体の判断であろうと思います。

 ただ、その無線を平常時にどのように活用するかということは、それはやはり、実際にきちんと聞こえるかどうかのテストも含めて、当該自治体が有効に活用する。もしうるさければ、それはやはり当該住民が平常時にそんな無線は余りたくさん流さなくてもいいんじゃないですかというように要望していただければよいことであって、国の方で統一的な基準を設けるということが、今委員が御指摘のような行政ニーズに従ったものになるのかどうかということは、ちょっと疑問を差し挟ませていただきます。

 以上でございます。

坂本委員長 時間が経過していますから、御協力ください。

畑委員 では、最後、申し上げます。

 私、防災行政無線と一元的になっているから、防災の観点、行政の観点、あわせて聞いたのであって、そこは不即不離に議論しなければいけないだろうと思います。

 そういう意味で、防災のことを聞いたのは矛盾しているというのは私はおかしいということを申し上げておきたいというのと、やはり地方に、それは自由度は必要なんですよ。ただ、こういういろいろな、人命にかかわることですから、準則も必要だということを私は申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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