衆議院

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第2号 平成13年12月3日(月曜日)

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平成十三年十二月三日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 武山百合子君

   理事 北村 直人君 理事 山本 幸三君

   理事 吉川 貴盛君 理事 原口 一博君

   理事 三井 辨雄君 理事 江田 康幸君

      北村 誠吾君    久間 章生君

      自見庄三郎君    鈴木 宗男君

      谷本 龍哉君    野田 聖子君

      松島みどり君    森  英介君

      吉野 正芳君    上田 清司君

      小平 忠正君    古賀 一成君

      高木 義明君    中沢 健次君

      東  順治君    児玉 健次君

      今川 正美君    中西 績介君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      大島 慶久君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育

   局長)          矢野 重典君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高

   齢・障害者雇用対策部長) 上村 隆史君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発

   局長)          酒井 英幸君

   政府参考人

   (水産庁長官)      渡辺 好明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           広田 博士君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院長)     佐々木宜彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  安富 正文君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月三日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     谷本 龍哉君

  松島みどり君     吉野 正芳君

  中西 績介君     今川 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     木村 太郎君

  吉野 正芳君     松島みどり君

  今川 正美君     中西 績介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 石炭対策に関する件




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     ――――◇―――――

武山委員長 これより会議を開きます。

 この際、大島経済産業副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大島経済産業副大臣。

大島副大臣 このたび、経済産業副大臣を拝命いたしました参議院の大島慶久でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 古屋副大臣、それから西川、大村両政務官ともども力を合わせまして、平沼大臣を補佐してまいりたい、そして、現行の石炭政策の円滑な終了に向けて頑張らせていただく所存でございます。

 どうぞ、武山委員長を初め委員の先生方におかれましては、よろしく御指導をいただきたいとともに、御鞭撻を賜りますように心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

武山委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官広田博士さん、資源エネルギー庁長官河野博文さん、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦さん、厚生労働省医政局長篠崎英夫さん、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長上村隆史さん、厚生労働省職業能力開発局長酒井英幸さん、総務省自治財政局長香山充弘さん、文部科学省初等中等教育局長矢野重典さん、水産庁長官渡辺好明さん、国土交通省住宅局長三沢真さん及び国土交通省海事局長安富正文さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾さん。

北村(誠)委員 自由民主党の北村誠吾でございます。

 お許しをいただき、順次、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 この一年、大変暗いあるいは困難な事柄の多い十一カ月を過ごし、しかも、我々が本委員会で取り扱います池島炭鉱の閉山という厳しい事態を迎える中で、十二月一日には、皇太子及び妃殿下には内親王の御誕生ということで、我々国民に、また本日御出席の皆様方ともどもに、明るいお知らせとして、次の新しい年を迎えるに本当に一条の光を与えていただいたような気がするわけであり、皆様方とともに祝意を表したいと存ずる次第であります。

 さて、質問に入らせていただきます。

 そういう中にありまして、両大臣に御出席をいただき、また、政府参考人の方々にも御出席をいただきまして、ぜひ池島炭鉱の困難な事柄について愛情のあるお答えをいただければと思いまして、質問をさせていただく次第でございます。

 御承知のとおり、池島炭鉱は、十月十二日に、労組側に対して会社側より閉山の提案がなされました。そして、十一月二十九日に、池島炭鉱は閉山ということになったわけでございます。

 もとより、池島炭鉱は、親会社を福岡市にございます三井松島産業、そして、子会社である、同じく福岡市にございます松島炭鉱、これが経営する炭鉱でございまして、所在の場所は、御存じのとおり、長崎県西彼杵郡の海上にございます、離島の池島というところにあるわけでございます。

 大体、石炭産業が徐々に整理あるいは縮小、閉山がというものがずっと重なる時期に、三井松島産業におかれては、池島に有力な炭層を見出し、これの開発に当たって、この四十二年間にわたって四千四百万トンの出炭量を実績として上げております。

 しかも、これが石炭の開発をし、商業出炭をいたします前、この池島という島には、おおよそ三百五十人という人口がございました。それが、この間、石炭の出炭により、島の人口は今日でも二千三百人、外海町という町の大きな部分を占める、経済財政的にはもちろんでありますけれども、人口の面でも大きな部分を占めておるところであります。なお、一九七〇年には、七千七百人の方が池島に住み、主に炭鉱に働くということでありました。

 一九八五年には最大の出炭量で百五十三万トンを年間に出炭したという実績を上げ、九州、特に長崎県の炭鉱におきましては炭層の薄い山がほとんどでありましたけれども、この池島の炭鉱の炭層は二メートルを優に超すという大変優秀な炭層を誇るものでございました。

 私も、三度ほど、池島鉱の現場の海面下五百メートルの坑道に入りました。切り羽の先の、西ドイツから輸入した最新鋭のカッターで掘削する、掘進するところまで見させていただいて、現場で非常に頑張っておられる作業員、従業員並びに保安と安全のために本当に全力を尽くしている会社の取り組み、また、労使一体として取り組んでおる、外炭が国内炭の三分の一というそのコストに挑戦するという意気込みで今日まで頑張ってきた。それが、いろいろな事情が重なりまして、十月十二日の提案、そして二十九日の閉山と、まさに苦渋の選択であったわけでございます。

 この後、池島が荒廃しないように、また、先に三井三池の例もございますが、池島で暮らしてきた方々が何とか国の手厚い施策によって失業あるいは生活の困窮などということがないように、特に今日、雇用情勢が厳しいものでありまして、九州におきましても大手の会社すらリストラをするという状況の中で、雇用の場を探し、そして一日も早く再出発を図りたい、クリスマスを迎え、正月を迎え、新しい年、そして子供たちもまた新学期を迎えるという時期に至るとき、こういう突然の閉山でありますので、地元の地方自治体、長崎県挙げてこれに対策をしていこうということで当たっておりますが、この際、私は、まず両大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

 まず、経済産業大臣にお尋ねをいたします。

 この池島の閉山によりまして、九州の炭鉱はすべてなくなるということになりました。戦後に限りましても、鉄と石炭で我が国の復興を図る、そのことに大いなる働きをした石炭産業であります。特に九州は、この石炭産業をもととしていろいろな先端産業に至る技術あるいは資産、資本の形成をいたして、今日に至っておるわけであります。エネルギー政策の中で果たしてきたこれまでの役割などを経済産業大臣としてお考えになったとき、歴史を踏まえて、九州の炭鉱がなくなるということについてどのようにお考えであるか、感想をお聞かせいただきたいと思います。

平沼国務大臣 北村委員にお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、国内炭というのは、まさに、戦後の復興期、我が国の経済の原動力として大変重要な役割を担ってきたわけでございます。一時期は我が国一次エネルギー総供給の四割を占める、こういう国内炭によって我が国の経済産業が支えられてきた、こういう歴史があるわけでございまして、私どもといたしましては、今回の閉山は本当に残念なことだと思っております。

 九州の石炭産業というのは、その歴史は江戸末期に始まる、こういうふうに聞いております。そして、三池炭鉱を初めとして、長崎県の高島、福岡県の筑豊地域、そういったところで多くの炭鉱が開発されまして、最盛期の昭和二十年代の半ばには四百七十の炭鉱が存在し、日本の経済の原動力になっていただいたわけであります。

 しかしながら、昭和三十年代以降のエネルギー革命を背景に閉山が相次ぎまして、平成九年三月の三池炭鉱閉山後、御指摘のように、九州唯一の炭鉱でありました池島炭鉱の閉山によりまして、百三十年の長きにわたった九州における石炭産業の幕が閉じる、大変残念なことに相なったわけでございます。

 昭和二十七年の開発着手から約半世紀、九州唯一の炭鉱として操業してきた池島炭鉱が、関係者の皆様方の幾多の努力にもかかわりませず、今回、閉山の道を選択せざるを得なかったことについて、担当の大臣として、本当に残念なことだ、そして、炭鉱従業者の皆様方とその御家族、さらには地方自治体の関係の方々のその心中をお察し申し上げるときに、大変心の痛みを感ずるところであります。

 私どもといたしましては、閉山が地域の経済情勢や雇用状況に与える影響は、御指摘のように、今の厳しい中でこれから現実のものに相なってくる、したがいまして、経済産業省といたしましては、企業及び地域からの要望の強い炭鉱技術移転五カ年計画について、地元の整備が整えば実施することができるように、今、必要な調整を全力を挙げて行っているところでもあり、また、産炭地域振興関係各省庁等連絡会の場等を通じまして、関係省庁と連絡を密にさせていただいて、雇用対策、そして地域対策等に最大限努力を傾けていきたい、このように思っているところでございます。

北村(誠)委員 同じく、思いを厚生労働大臣にもお尋ねいたしたいのです。

 特に、この石炭鉱業が担ってきた役割、そして、それに働いてきた人々がいます。この人たちは、経営の厳しい中で、例えば二五%の賃金カットというふうなことにも本当に労働組合一体となって協力して、何とか厳しいコスト削減にこたえようというふうなことで血のにじむような努力をしてきて、それが管理部門から切り羽の先端に至るまで行き届いておる、安全対策に万全を期しておりましたけれども、先般の不幸な事故があったというふうなことであります。

 こういう中で、厚生労働大臣といたされまして、離職者対策が最優先の課題という御認識があろうと思いますけれども、大臣としての御感想なりお考え、決意があればお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 今、北村委員からお話がございましたとおり、石炭産業は戦後の日本を大変大きく支えてまいりました。その一つは、それはもちろんエネルギー政策として、そのエネルギーの一翼を担うという大変大きな役割を果たしたわけでございますが、それだけではなくて、一つの大きな産業として日本を支えてきたことも事実でございます。

 この池島炭鉱のことにつきましては、委員は地元でもございますし、よく御存じでございますから、私がいろいろなことを申し上げる必要はないと思いますけれども、しかし、最後までこうして炭鉱の皆さん方が、産業を何とかして支えたい、そういう思いで今日まで頑張られた、そのお気持ちというものを十分にお察しすることができるわけでございます。

 しかし、時の流れというものには抗することができずに、こうして最終を迎えられた。大変寂しい限りでございますし、まことに残念の限りでございますが、今日まで御努力された労使双方の皆さん方のその御努力に敬意を表する意味からいたしましても、今後の皆さん方の再就職については万全を期していかなければならないと私も考えております一人でございます。

 ただ、委員も先ほど述べられましたとおり、現在、全体的に雇用が厳しい、こういう時期でございますから、大変難しい時期ではございますけれども、それだけに細心の注意を払いながら、そして、地元の皆さん方あるいは長崎県の皆さん方とよく連絡をとらせていただきながら、その地域の実情を十分踏まえて、その地域に合った雇用対策というものをやっていかないといけないだろうというふうに思っております。

 今後、よく連絡をとらせていただきまして、最大限努力いたしますことをここにお誓いする次第でございます。

北村(誠)委員 あと、政府参考人にお尋ねをいたします。

 具体的に、件数が大変多いですから、特に、経済産業大臣からも答弁の中にありましたように、関係省庁連絡会の中でいろいろ協議をされて打ち出していかれる施策も多うございますから、個別に述べられるのは大変でありますけれども、主に、これまで三井三池の例もあり、その前の例もあり、この池島の閉山に関して、経済産業省として、閉山対策、国は何を行うかということについて、国民にわかりやすく、絞って簡潔にお答えいただければありがたい。

 また、同じく厚生労働省にも、閉山に伴う離職者対策の具体的な内容について、ポイントを絞ってわかりやすく御答弁いただければと思います。

古屋副大臣 委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、閉山に対して国はどういった支援を行っていくのか、基本的なことということでございます。

 まず、閉山対策といたしましては、労働者対策あるいは雇用対策を行っていく、これはもちろんでございますけれども、それに加えまして、閉山によりいろいろな影響を受けますので、それに対する地域対策あるいは中小企業対策を支援していきたい、これらを総合的に行っていきたいというふうに考えております。

 具体的には、まず労働者対策として、労働者に対する退職金の支払い等のための閉山交付金を交付させていただくということであります。また、地域対策といたしましては、外海町の財政支援のために、産炭地域振興臨時交付金を閉山時に給付させていただきます。大体五億七千万円ということで算定させていただいております。また、中小企業対策として、政府系金融機関を活用していただいて、そういった観点からの支援をさせていただく。こういうようなことを実施したいと思っております。

 また、このほかにも、新産業創造等基金を活用していただくとか、炭鉱技術移転五カ年計画を着実に実施していくことによりまして、地域の活性化であるとか雇用対策に資していきたい、このように思っております。

 また、資源エネルギー庁だけではなく、関係省庁でも支援できることがございますので、産炭地域振興関係各省庁等連絡会、こういうのがございますので、この連絡会の場を通じまして閉山対策に万全を期していきたい、このように思っております。

北村(誠)委員 今、閉山交付金というお話をいただきました。大変恐縮でありますが、この閉山交付金を、島でもありますし、子供たちが学校をかわるとか、いろいろなことで年度がわりを境に引っ越しなどが行われるというふうなこともありますから、できるだけ早期に交付していただきたいというのが気持ちであると思うのですが、おおよそ閉山交付金の交付がいつごろになるのか、政府参考人で結構ですからお答えいただきたいと思います。

広田政府参考人 現在までのところ、十一月二十六日に松島炭鉱株式会社から閉山交付金の交付申請がなされておりまして、これを受けまして、新エネルギー・産業技術総合開発機構が約千名を超える対象者について一人一人、審査・算定作業を開始したところでございます。今後、会社による所要の工事を完了した上で、国の承認手続等を経た上で交付されることになっております。

 こうした作業については、できるだけ早期にこの交付金が交付されますよう、平成十三年度中の交付を目指して最大限努力してまいる所存でございます。

北村(誠)委員 それと、長崎県において造成されております産炭地域振興財団の基金九十億円、これが、法律のなくなった後、激変緩和のためにも、また、どうしてもこれまでにできなかった対策などに有機的に使用することが可能というようなことで、非常に期待を持っております。

 九十億が四十五億、四十五億というふうにちょっと中身が違うというふうなことも聞いておりますけれども、これを活用して池島の閉山対策にもある部分使えるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、また、四十五億については原資を取り崩して使うことができる場合もあるということを聞いておりますが、この点について御答弁いただければと思います。

広田政府参考人 産炭地域に新たな事業を創出するための支援策として、平成十二年度及び十三年度の二カ年をかけまして、長崎県の財団法人の産炭地域振興財団にこの基金を造成しておるわけでございます。これまでの造成分に加えて、今申し上げました二カ年で四十五億円を追加して、合計九十億円の基金を地元に造成したところでございます。私どもといたしましては、この基金を地域の活性化や雇用機会の増に資する事業に積極的に活用されることを期待しておるところでございます。

 今お話がございましたように、最近二年間に造成した基金につきましては、取り崩しも可能な仕組みになってございます。この基金を積極的に活用して支援ができるものというふうに考えております。

北村(誠)委員 ありがとうございました。

 いろいろな対策を講じなければいけないということ、そして、離島であるということを念頭に置きながら、これからの外海町、池島ということを考えましたときに、この池島の周辺は海でございますから、この際、海を生かしてこの島を何とか荒廃に至らないようにしていこう、海を生かして水産県長崎というふうなことでもかねがね政府に御支援をいただいておる地域でございます。しかも、最初に申し上げましたように、もともと三百五十人程度が内航海運の乗組員あるいは漁業に従事して暮らしておった島ということもありますので、今日、沿岸漁業の振興という観点から、藻場の造成、沿岸漁場の総体的な整備というふうなことで、閉山対策と直接結びつく部分と結びつかない部分とありますけれども、さきに、我々長崎県は、伊王島の炭鉱あるいは高島炭鉱の閉山のとき、農林水産省及び関係省庁の大変な御協力によりまして、現在、その高島町は見事に閉山の後の炭鉱の敷地あるいは海岸というものを活用させていただきました。水産庁の支援も得て、多くの交流人口を受け入れることのできる整備を完成し、特に釣り堀、その公園というものは県の内外からお客を迎えることができておるような状況であります。

 そういう中で、この高島あるいは空気の取り入れ口を持っております、さらに沖の、蟇島という島がございますが、この海域などを一体として整備して水産の振興、もともとはイセエビ等の生息地ということでありますから、その辺、水産庁におかれて、現在お持ちの施策等で県あるいは町に対して支援、あるいは今後の希望の持てる施策の展開というものを、今までやってこられた漁港の整備、また漁港と沿岸漁場を一体として整備するという新しい法律を我々は持つことができたわけでありますから、ぜひこの辺を含めて水産庁長官にお答えいただければと思います。

渡辺政府参考人 ただいまの件につきましては、地元から大変熱心な御要望をちょうだいしております。

 それから、先生のお話の中にありました高島の南風泊のケースは、非常に有望な、新しいタイプの水産振興だろうと思っております。現在、この地区では、黒崎漁港、出津漁港、この二つにつきましてそれぞれ漁港事業をやっておりますが、それ以外にも、御紹介がありましたように、築いその形成、それから人工魚礁を造成するというふうなこともやっております。

 いずれにいたしましても、数カ年かかる事業でもございます。それから、これから地元としてどういう水産振興をする計画があるのか、地元の漁業者の方々がどういう経営改善をしたいと考えているのか、よくよくお話を伺った上で必要な措置をとりたいと考えております。

北村(誠)委員 ありがとうございました。

 それと、黒手帳、緑手帳があるということをかねがねお聞きしておりますが、その黒手帳、緑手帳から外れる方々ではないかと私は思うのですけれども、池島炭鉱の下請及び関連企業はおおよそ二十二社あると聞いております。大半が今回の閉山を機に廃業する予定である。従業員はおよそ六百八十八人。現在、数社がこれまで炭鉱の存続に協力して、請負金額の約三割ぐらいをカットするということで協力してきた。そのことしの分だけでも何とか面倒を見てくれないだろうかというふうなことで、下請の関係の皆さん方がボーナスの支給などをめぐって松島炭鉱と、会社側と交渉しておるというふうなことを聞いております。

 これは大変微妙なことを含みますので答えをいただくというのは難しいかと思いますので、これまで本社あるいは下請あるいはその下というふうなことで一体となって池島炭鉱を支えてきた、下請、孫請といえども仲間でありますから、ぜひこの際、閉山対策として政府において施策を講じられるとき、こういった下請関連企業二十二社などの実情につきましても細かく目を配っていただいて、できるだけ愛情のこもった対策をやっていただきたいというふうに、これは御要望を申し上げておきたいと思います。

 いま一つは、松島炭鉱信用組合という、金融業をやっておる組合がございました。これも、こういう事情から店じまいというふうなことになっております。これから大きな金融機関も大変な事情を抱え、こうして閉山という事態を迎えて大変な状況の中で、これまで続いてきた信用組合の事業が破綻のやむなきに至ったということであります。

 こういった事柄につきましても、当委員会において審議されるということも大変重要でありますけれども、常任委員会等における金融関係の委員会におきましても、炭鉱閉山の機の不幸な事柄だということでぜひ真剣なお取り組みをいただきたい。両大臣及び政府にお願いいたします。

 終わりに、意見として委員長に述べさせていただきたいのでありますが、私は、ぜひこの石炭対策特別委員会が今後も適切な時期まで存続するよう御要望申し上げまして、委員長において適切なお取り扱いをいただければというふうにお願い申し上げたいと思います。

 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。御答弁ありがとうございました。

武山委員長 次に、中沢健次さん。

中沢委員 民主党の中沢でございます。

 本来でありますと、この後、自民党の筆頭理事の北村直人さんの質問時間帯でありますが、無理を言いまして、今夕遅く、札幌でどうしても大事な日程があるものですから、私の時間を前倒しさせていただきました。大変ありがとうございます。

 さて、両大臣に対する質問は一番最後に考えております。

 私自身は、ごく最近の石特はことしの六月二十日にありました。両大臣や事務当局といろいろ議論をしてまいりました。七月には、衆議院の石炭対策特別委員会として、正式な委員会視察で釧路に視察に行ってまいりまして、太平洋炭鉱まで、人車に乗って、マンベルトに乗って現場のすぐ近くまで、委員長を初め、行ってまいりました。私自身は、昔から石炭関係議員でありますから、太平洋にはもう何回も行っておりますけれども、そういうことを前提にして、幾つか具体的な問題について、まず政府参考人に聞いておきたいと思います。

 池島問題は、今、九州出身の北村代議士の方から質問がありました。私は北海道の人間でありますけれども、地元の政治家としては、本当に心情を察するに余りあります。そのことを前提にして、池島問題で具体的に一問。

 残念ながら、二十九日、閉山になりました。六百五十人の大量解雇者が出る。離れ島でありますから、離職者を初めとする島民の生活水準をどうやって維持するか、あるいは外海町全体の地域の振興をどうするか、つまり、雇用と生活水準維持、地域の振興、これは現実的には非常に大事な、重たい課題だと思いますね。

 指摘ありましたように、九十億円、これは県とエネ庁が中心になって資金を拠出する。私の出身の空知も九十五億円、釧路も約百億円、それぞれ基金が積み立てをされています。従来の議論は、結論的に、基金であるけれども、後年度積み上げた半額については元金を、勝手に使えとは言いませんが、相当使い勝手のいい、関係市町村に積極的に元金を融資したり、こういう道を講じました。

 ですから、政府参考人に私の思いはこれ以上申し上げません。せっかく積んだ九十億、外海町のためだけではもちろんありません。しかし、池島が閉山して、今言った具体的な緊急に何とかしなければいけない課題が山積している。恐らく外海町の財政力といったって、本当に大変だと思いますね。そうすると、県全体として、あるいは国全体としてもいろいろな支援措置が必要だと思いますが、九十億円の基金をより積極的に有効に活用する、そういうことを改めて検討すべきではないかと私は思います。

 後半の四十五億円に限らず、そういうことも含めて、どのようにこれから事務当局として地元に対する、県に対する指導や配慮を行うのか、明確に示していただきたいと思います。

広田政府参考人 先ほどもお答えいたしましたが、地元に造成いたしました基金は、この二カ年の追加分を含めまして九十億円の基金ということになっております。私どもといたしましても、この基金が地元自治体が実施する地域の活性化や雇用機会の増大につながる事業に活用されることを期待しております。

 また、地元外海町あるいは長崎県の関係者から具体的な御要望につきましてお聞きするということで、ちょうどあすでございますが、産炭地域振興関係各省庁等連絡会を開催する予定にいたしております。こうした場で具体的な御要望をお聞きしながら、要望に対してこの基金を活用した支援を考えてまいりたいというふうに思っております。

中沢委員 お答えとしてはそういうことなんでしょうが、中身も含めて、具体的な問題がいろいろあると思いますから、ひとつ地元と十分すり合わせをしてできるだけ地元の期待にこたえるように、ここのところは要望しておきたいと思うのです。

 以下、ほとんど太平洋炭鉱関連についてお尋ねをします。

 両大臣、古屋副大臣、きょうの傍聴席、大勢の方がお見えです。池島炭鉱の関係者の皆さん、地元の皆さん、太平洋の労使あるいは自治体、私の出身の空知管内の自治体の皆さんも、もちろんJCOALの皆さん、それぞれ、取材陣も含めて大勢お見えです。それだけに、池島問題もそうでありますが、特に北海道にとりましては、釧路の太平洋炭鉱がこれから一体どうなるか、ある意味で不安でたまらない、あるいは、何とかしてくれるだろうという期待も含めて大変な関心があるわけですね。ですから、その一つの象徴として、きょうは大勢の皆さんが傍聴席に参加されたと思うのです。

 そこで、まず、政府参考人との間で少し具体的な問題について質疑を重ねて、後ほど、大臣からお答えをいただきたいと思います。

 残念ながら、今週の週末、太平洋の労使が協議をやって、いよいよ会社側から重大な提案がある、このように聞いております。これは、私は単に新聞を読んでいるという意味ではありません。私自身の故事来歴は改めて言いませんが、少なくとも、空知の出身として今まで空知管内の七つの閉山と結果的に向かい合ってきた、野党でありますけれども党派を超えて閉山問題に具体的に直面してきた経験者から言いますと、確かにまだ重大提案はありませんが、それはもうほとんど避けられない、こういうふうにそれぞれの関係者は認識していると思います。

 そのことを前提にして、会社の提案の内容は、太平洋炭鉱も閉山、全員解雇、こういう提案に残念ながらなると思うのです。まだ提案はありません。同時に、それだけではなくて、閉山しっ放しという状態ではなしに、国の炭鉱技術移転五カ年計画とどうタイアップしていくか、そういう観点でいうと、全く別の角度から新会社を立ち上げて、年間七十万トンの石炭を生産する、必要な従業員は五百人である、こういうこともいろいろ聞いています。

 私からいえば、閉山そのものも大仕事ですよ、政治家にとっても、労使にとっても、地元にとっても。しかし、太平洋の関係で言うと、閉山の後、新しい会社をつくってやるということも、これまた大変な仕事だと思うのです。まず、そのことについて政府参考人の側としてどういう認識とどういう現状の把握、見解を持っているか。

 つまり、閉山提案と新会社ということは全然別次元ですけれども、大方は、閉山の後の一つの道筋としてそこのところがかなり輪郭としてはっきりしなければ、これは大変な不安を、もっと言えばいたずらな不安を拡大する、私はそのように考えたものですから、あえて申し上げて、お答えをいただいておきたいと思います。

広田政府参考人 太平洋炭鉱につきましては、昨年来の出炭不調に加え、本年二月の自然発火災害の発生などもあり、経営状況については、極めて厳しい状況という報告は受けております。現在、太平洋炭鉱では労使が一体となってぎりぎりの努力を払っていると承知しておりまして、当省といたしましても、こうした労使関係について今後とも見守ってまいりたいと考えております。

 今後につきましては、山の灯を消さないために、地元の釧路市も含めていろいろ検討が行われているというふうに聞いております。こうした地元の動きを注意深く見守りつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

中沢委員 石炭対策特別委員会という公の場で、私は、政府参考人としての答弁はそういうことが一つの今の限界だと思うのです。これはやむを得ないと思います。別に、だからといって納得しているわけじゃありません。しかし、これは国会の議論としてはやむを得ないと思います、まだ提案がありませんから。しかし、あえてそのことに関連して改めて聞いておきたいと思うのです。

 新会社を立ち上げて、七十万トン、五百人、しかも、炭鉱技術移転五カ年計画というのは、文字どおり五カ年計画、これは国際公約、国策なんですね。そうすると、新会社をつくるのは地元の市長を初めとする関係者の努力に任せるということでは済まない。いずれ、会社側から提案をする前とは言いませんが、提案をされた後、年末年始にかけて、地元の経済界も含めて関係者に相当努力をしてもらわなければ、例えば、資本金はどうするんですか、経営陣はどうするんですか、五カ年間という技術移転とリンクする新しい会社の経営の安定の見通しはどうなんですか。本当に五百人の従業員が、改めて再募集ということにはなるけれども、実態は、太平洋炭鉱に働いている方が、希望があれば、もちろん優先してその会社に移動していくしかないと私は思いますよ。そういう問題点について、せめてきょうは事務当局と共通認識しておきたいと思うのです。どうするこうするという話じゃない。

 今、私が言った幾つかの問題点について、エネ庁としても、そういう問題がある、何とかそれぞれクリアしなければならぬ問題があるという問題点の認識について、共有できますか、できませんか。そこだけちょっと明確にしてください。これは、余り書いた文章よりも、広田さんの言葉で、あるいはエネ庁の長官の言葉で答弁した方がいいと私は思いますよ。

河野政府参考人 先ほど先生から御指摘がございましたように、太平洋炭鉱、現在、労使一体となったぎりぎりの努力が続いております。同時に、会社側といたしまして、釧路市長にも何度かお会いになって、山の灯を消さないための努力を御相談になっているということも伺っているのでございます。

 そうした一環として、今先生が御指摘になりましたようなさまざまな案が検討されており、また、地元でも協力しようじゃないかという声もあるというふうにも伺っているわけでございますが、これが実現いたしますためには、今御指摘のように、資本金も集まらなければならないでしょうし、それなりの経営主体が確立されなければならないでしょうし、また、私どもの技術移転五カ年計画との関係で申し上げれば、それなりの体制が整備されなければならないという課題が残されているのは、そのとおりでございます。

 こういった動きを私どもも見守らせていただいているというのが実情でございます。

中沢委員 時間がありませんから、本当は各論でいろいろ議論もしておいた方がいいのでしょうが、これはまた別な場面でやってみたいと思うのです。

 もう一問だけ、炭鉱技術移転五カ年計画。

 本年度中に、ベトナムに限りまして五十名、太平洋と池島で受け皿になりまして、研修が既に完了いたしました。後は、来年の四月から本格的に、毎年二百人、五カ年間ですからおよそ一千人、今度はベトナムとインドネシアと中国から研修生を受け入れて、太平洋と、閉山になりましたけれども池島でも、その受け皿でしっかりと国益上の問題として責任を果たしていく、こういうことに間違いなくなるし、しなければいけないと私は思います。

 まだ予算は概算要求の段階、これから最終的な確定に向かっていくわけでありますが、十四年度の石炭関連予算は、技術移転五カ年計画、もうこれしかありません。これはどういうような予算の内容になっているのか。

 それから、前の委員会で指摘をして、おかげさまで、大臣以下関係者の努力で、日本の国内の炭鉱技術を持っている優秀な技術者を海外に派遣する、これもかなり具体化しているという話を聞いておりますけれども、来年度の予算でどのような措置がされているか。

 全体の問題と海外に出す問題について、簡単で結構ですからお答えをお願い申し上げます。

広田政府参考人 五カ年計画につきましては、来年度、ただいま先生から御指摘もございました中国、ベトナム、インドネシア、この三カ国を対象にいたしまして二百名以上の研修生を受け入れる事業を考えておりまして、必要な予算として約四十億円の予算要求をいたしております。

 この中には、我が国に受け入れる分に加えまして、我が国の炭鉱技術者をこれらの国に派遣する費用というものも計上いたしておりまして、これは大体三十名以上の指導員を派遣するという予定で予算要求をいたしております。

中沢委員 今のお答えで、ぜひひとつ最終的にその予算を満額確保していただきまして、来年度から本格的な技術移転がうまくいくように努力をお願い申し上げたいと思うのです。

 本当はここでクリーンコールテクノロジーの話を少ししたかったのでありますが、時間がありませんから、これは同僚の三井議員の方から、全体的な問題であると思いますから、パスをいたします。

 そこで、まず平沼大臣、今まで政府参考人との間でいろいろ議論をしてまいりました。私も、先ほど言いましたように、空知管内七つの山の閉山、私なりにいろいろな経験をしてきました。

 例えば、炭鉱というのはもう大変な負債を抱えている。ある山は労務債だけで何十億なんです。閉山したら、労務債は交付金をもらっても払えない。どうするか。結局、閉山の予定を大幅にずらして、石炭をどんどん掘ってもらって、そして、その石炭を北海道の北電に買ってもらって、その財源でたまりたまった労務債を何とか円満に解決する。こういう経験もあります。

 ある山では、閉山交付金はきちっとした基準があって支給されるのですけれども、似たような問題がありまして、特別に積み上げて加算してもらった。

 あるいは、その地域の地域振興が非常に大事だ、炭鉱以外の基幹産業は全くない、そういうところは結構あるのです。ある市では、三年間で二百億円の公共事業の特別の予算を、国、道、地元のそれぞれの負担でやる、そういう決着をしてきた経験もあるのです。

 別に、私はそういうことを全部、私一人でやったなんということを言っているのじゃなくて、私が言いたいのは、非常に難しい、閉山一つとりましても、与野党を通じて政治家――北村さん、太平洋は大変苦労すると思いますよ。頑張ってほしいと思います。そして、行政、労使、地元、そういう関係者が総力を挙げてやっていかなければ、閉山一つとっても着地ができない。ましてや、太平洋は、さっきから言っておりますように、新しい会社を立ち上げる、これまた大変な一仕事だと思いますね。

 当時はたしか、村山さんが総理大臣で、五十嵐広三先生が官房長官をやっていて、橋本龍太郎先生が通産大臣のときに、そういう特別な、政治決着という表現はよくないかもしれません、大変な力で、お互いに相談し合って着地をしたわけなんです。ですから、太平洋はやはりそのぐらいの、それぞれの関係者が知恵と力をしっかりと結集して、しかも、そこには通産大臣が陣頭で指揮をとる、こういうことが、今度の太平洋問題、着地をするにしても非常に大事な観点じゃないか、基本的なスタンスではないかと私は思うのです。

 政治家として、しかも岡山出身の平沼さんとして、橋本龍太郎さんに別に聞く必要はないとは思いますけれども、そういう重要性について、私から言うまでもなく十分認識はされていると私は思いますけれども、太平洋問題、閉山と新会社の立ち上げ、この二つの大仕事、しっかり陣頭指揮に立って頑張ってほしい、こういう私の思いについてどのようにお答えをいただけますか。ぜひ前向きな御答弁を期待しております。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 釧路にとりましては、水産業、紙パルプ産業と並んで、この石炭というのはまさに基幹的な役割を担ってきた産業です。そういうことから、今回も、地元の皆様方が、何とかその炭鉱の灯を消してはならないという思いで、地方自治体の方々とも協力をし、労使の皆様方も今ある意味では最終の調整を行っておられる、こういうふうに理解しております。

 そういう観点から、私どもといたしましても、でき得る限りきめ細かく対応させていただき、今、中沢先生御指摘のように、私も陣頭に立って、そして、皆様方の御要望をしっかりと踏まえながら努力させていただきたい、このように思っております。

中沢委員 いずれにしても、くどいようですが、まだ提案がありませんが、提案があれば、年末年始という一つの大きな日程なんかがありますから、恐らく、会社は会社、組合は組合、自治体は自治体、三者三様と言っていいと私は思うのですけれども、早急に具体的な各省庁に対する要請行動が始まると思います。ですから、そういう折に触れて、今私が申し上げて大臣からお答えをいただいたような大臣の決意が具体的な大臣の回答としてしっかりわかるように、なるほど、さすがだな、こういうふうにしっかりわかるように、これからまた当局を叱咤激励して頑張っていただきたいと思います。

 さて、坂口厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

 今ほども、池島の問題について、黒手帳、緑の手帳あるいは一般の雇用保険の関係で指摘がありました。もちろん、池島問題ももう既に具体的にそういう課題が目前に迫っておりますから、省を挙げて、関係の局、関係の部を挙げて、現地のハローワークを含めて、緊急課題への対応はとにかく万全に手抜かりなくやっていただきたい、これはもう言うに及ばないと思うのです。

 それと同じように、残念ながら、規模はもう少し大きくなるかもしれません、一たん全員解雇ですから。そうすると、千人を超える、千五百人になんなんとする太平洋の直轄、下請、関連がそういう残念な雇用状態を迎える。それだけに、もう遠い先の話じゃありませんから、目前にとにかく迫っている問題ですから、今のうちから十分ひとつ丹念に準備をお願いしたい。

 ただ、最近の全国的な雇用情勢、釈迦に説法ですから余り申し上げません。石炭産業以外も押しなべて全国的にも厳しい。そういう中で、炭鉱の場合は、ある日突然とは言いませんが、全員が解雇される。一部じゃないのです。全員が解雇される。

 こういう状況でありますから、人によっては、炭鉱労働者の三年間の黒手帳はちょっと優遇しているのじゃないかという言い方があります。私の耳にもそういうことが入ります。しかし、これは、戦後の炭労という労働運動あるいはナショナルセンターの運動を通じて、ある意味で既得権として、時の政府あるいは内閣といろいろな話をしながら現状の黒手帳の三年間という制度が確保されているわけです。同時に、緑の手帳も、同じような関係者の努力で今の制度があるわけでありまして、そのことを十分念頭に置いて、とにかく、池島の次は残念ながら釧路の太平洋だと、事務当局、きょうも部長もお見えでありますが、事前にいろいろな情報交換もしていますし、私からの率直なお願いもしておりますけれども、そういう問題全体を含めて頑張っていただきたい。

 私なりに、山の閉山問題というのは、本当は山を守りたい、あるいは、今風の言葉で言えば炭鉱技術を守りたい、そして雇用を守りたい、地域を守りたい、こういう四つの全体の意思をそれぞれの省庁でしっかり反映してもらう、雇用は大事ですから。そこのところ、担当の大臣としての認識と決意のほど、少しく具体的にあればお聞かせをいただいておきたいと思います。

坂口国務大臣 池島の方も大変でございますけれども、太平洋の方もさらにまた大変だということを、私も事務方からも十分に聞いております。人数的にもこちらの方が少し大きいということでもございますし、大変心配をしております一人でございます。

 私も、地元で一つ、それほど大きなものではございませんが、それでも千数百名の炭鉱がございまして、それが閉山したことがございました。その村全体は、一時期は一万人を超える大変大きな町になっておりましたけれども、その寸前には二千人少々でございました。それも閉山ということになってしまいまして、そして、その結果としまして、大変難しかったのは、私も何人かの方を次の勤め先をというのでお世話させていただいたのですけれども、炭鉱で長い間働いておみえになりました皆さん方の再就職の場というのは、御本人たちの御希望も含めてでございますが、かなり限られていたというふうに思っております。大変御努力されましていろいろなところに就職していただきましたけれども、非常に厳しくて、おやめになった方もおみえでございました。

 私もそうした経験を持っておりますだけに、炭鉱の皆さん方の再就職の問題というのは、普通の再就職とは少し違う、これは本当にきめ細かく皆さん方の御要望をお聞きして行わなければならないものだという認識を持っているところでございます。

 時間がございましたら幾つかのこれから行いますことにつきましてもお触れをしたかったわけでございますが、限られた時間でございますので、大きい枠組みだけを申し上げさせていただきます。

 一つは、臨時職業相談所なるものを設置いたしまして、そして、職業相談あるいは職業紹介というものをきめ細かくひとつやらせていただきたい。

 それから、新しい求人開拓をどうしていくのかということ、これも、今までの求人開拓だけではなくて、新しいものをどうできるかということに知恵を絞らなければならないというふうに思っております。

 職業訓練につきましても、当然でございまして、この職業訓練も、皆さん方とよく御相談させていただいて、これからどういう方向があるのか、そしてそれが地域で受け入れられるのか、よく相談しながらやっていかなければならないというふうに思っております。

 炭鉱離職者求職手帳制度を初めとします各種の援助措置につきましても、これはまだ閉山したわけではございませんけれども、万が一そういう事態に立ち至りましたならば、それは当然のこと、手落ちのないようにやっていきたいと思っているところでございます。

中沢委員 時間をオーバーいたしまして申しわけありません。終わります。ありがとうございました。

武山委員長 次に、北村直人さん。

北村(直)委員 両大臣また政府参考人の皆さん、御苦労さまでございます。久しぶりに石炭対策特別委員会が開かれましたけれども、しかし、内容は大変厳しく、また、無念の思いも私一人ではない、このように思います。

 きょうは、自民党は、南の北村誠吾さんが長崎の池島炭鉱について、北の北村が北海道太平洋炭鉱のことについて、分けながら、政府の考え方、そしてまた我が自由民主党の考え方等々も披瀝させていただきながら御質問させていただきたい、このように思います。

 時間が限られておりますので、まず前半は、特にジメチルエーテル、DMEのことについてお聞かせいただきたい、このように思います。

 DME、ジメチルエーテル、これは、ディーゼルエンジンの燃料は軽油でありますけれども、これを、炭層メタンから直接的に合成してDMEというものをつくり出して、それを燃料として、環境に優しい、特にすすが出ない、あるいはSOxが全くない、こういう燃料でございます。

 御承知のとおり、太平洋炭鉱では、その炭層メタンを使って、一日五トン、実験プラントでありますけれども、それが稼働しているわけでございます。このDMEの直接合成の技術開発に対する今後のスケジュール、これがどうなっているか、政府参考人の長官からお聞かせいただきたい、このように思います。

河野政府参考人 御説明申し上げます。

 ジメチルエーテルは、確かに環境に優しい、新しい燃料体でございます。その直接合成技術開発でございますけれども、平成九年度から平成十三年度までの計画で、今おっしゃいましたように、太平洋炭鉱の釧路鉱業所に日量五トンのプラントを設置いたしまして、技術開発をやってまいりました。これまでに純度九九%以上のDMEの連続的な製造に成功するといったような成果が得られているのでございます。

 今後でございますが、商業機を建設するためには種々のデータが必要となりますので、そうしたデータを取得することを目的といたしまして、平成十四年度から十八年度までの計画で、パイロットプラントの建設、運転、そうした技術開発を予定させていただいております。平成十四年度には、まずパイロットプラントの設計、製作、さらには建設に着手、そして十五年度には、本格建設、さらに一部プラントの試運転、調整、そして十六年度には、プラント全体の試運転を行った後で二年間の運転研究といったようなことを予定いたしておるわけでございます。

 このため、平成十四年度の予算といたしまして、まず最初の年度でございますが、十八億円余りの要求をさせていただいております。必要な資金をぜひ確保したいものだというふうに考えております。

北村(直)委員 お聞きしたとおり、平成十四年度は十八億円の概算要求をし、来年度の予算編成に向けて、我が党もこの十八億円の確保に向けて全力を挙げていきたい、このように思いますし、また、政府におかれましても、これはまさしく環境対策でございますので、その確保に向けて御尽力をいただきたい。

 さて、その十八億円を使って、来年度から一日百トンのこの建設に取りかかるわけでありますけれども、太平洋炭鉱があってこの炭層メタンを使っていたからこそ釧路で一日五トンができる、つまり、太平洋炭鉱があるからこそこれができるわけでありまして、今後、その設置をする場所等々が大変重要になってくる、このように思います。

 私は、太平洋炭鉱のある地域、特に経済産業省は釧白工業団地というものをこの地域に事業団で持っているわけでありますからそこを使うべきである、このように思います。いろいろな諸手続があろうと思いますので、今ここでその釧白工業団地を指定するというのは、大臣からのお答えはなかなか難しいところがありますけれども、最重点候補地である、これを抜いて考えられないと私は思いますが、大臣、どのように考えますか。

古屋副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、DMEというのは非常に環境に優しいということで、新しいクリーン燃料として私ども大変注目をしておりますし、経済産業省もこのDME燃料の実用化に取り組んでおります。

 今御指摘ありましたように、平成十四年度の予算要求で日量百トンのパイロットプラント、技術開発を、釧路白糠工業団地ですか、こちらへの立地の要望があるということは私も十分に承知いたしております。今まで小規模のプラントを実験してきましたので、そういった運転研究の継続性ということから考えると釧路地域は有力な候補地の一つかなというふうには思いますけれども、最終的には、委員御承知のように、このプラントは公募で決定されることになっておりますので、その辺はひとつ御了解をいただきたいと思います。

北村(直)委員 なかなか胸のうちを明確に出せない苦しさみたいなのがあろうと思いますが、我が委員会には私を含めて地元の鈴木委員もいるわけでありますので、二人そろって、やはり釧路白糠工業団地が最重点候補地である、これを抜いては考えられない、このように思っておりますので、この設置場所については、ぜひそのことを念頭に置いて最終的な判断をまずお願い申し上げる次第であります。

 さて、その一日百トンのプラントの研究機関ができるということになれば、ある程度の規模の人員が必要なわけであります。今も一日五トンで数十名の方がおいでになると思いますけれども、そういった方々を含めてどのぐらいの規模の研究員や技術員が必要なのか、そして、新たに雇用しなければならない人数等々について、今のところの計画を明確にお答えいただきたい。政府参考人でも結構でございます。

広田政府参考人 平成十四年度から開始を予定いたしております日量百トンのパイロットプラントを使用したジメチルエーテル直接合成技術開発につきましては、現在、予算をお願いしておるところでございまして、なかなか具体的な人員の数字を申し上げることは困難でございますが、設計とか建設あるいは研究者、分析員、それから連続運転を三交代で実施するための運転・制御員、こういった方々のほか、保安担当者あるいは総務、経理、こういった関係の要員を合わせた人員が必要になるのではないかというふうに考えております。

北村(直)委員 なかなか難しいのでしょうけれども、どのくらいの人数になるかぐらいは、大体このぐらいだなというのは出せませんか。再度御質問します。

広田政府参考人 この点につきましては、実際に研究開発を進めていくに当たりましての要員配置ということになるものでございますので、具体的に人数につきましては、ちょっと今の段階で確たるところを申し上げがたいことをお許しいただきたいと思います。

北村(直)委員 だから、政府参考人では答えがなかなかできないかなということで、大臣に要請しておきます。

 私は、多分五十人以上、六十人あるいは七十人という規模になるのかなという感じがいたします。今の一日五トンのところで数十人、そうすると、二、三十人の規模で新たに雇用もしなきゃならぬということになると思います。そういう意味では、新聞紙上で太平洋炭鉱の新会社に移行というような記事もありますけれども、そういった中で、この雇用に向けての万全の措置を両大臣にお願い申し上げておきたい、このように思うところでございます。

 さて、その今一日五トンの小規模のプラントでありますけれども、これは今後どのように使われていくのか。

 炭層メタン、つまりメタンからDMEをつくるわけでありますから、メタンというのは自然界にたくさんあるわけであります。例えば北海道ですと、酪農、畜産が大産業であります。ましてや、釧路、根室の根釧地域は酪農、畜産の王国である。つまり、ふん尿処理、牛のふん、尿、これがタンクの中で発酵すればメタンが出るのは当たり前の話であります。ですから、この一日五トンのプラントでそういったバイオ的なもの、こういうものを実験していただいて、もし炭層メタンではなくて、このふんや尿からのメタンでDMEをつくれるような、そういう研究ができるとするならば、あるいは成功するとするならば、私は、未来永劫、その燃料の基本となるところがそこらじゅうにあるということになりますので、今後の一日五トンのプラントの使い方について、政府参考人の方で結構でございますからぜひ御答弁をいただきたい。

    〔委員長退席、原口委員長代理着席〕

広田政府参考人 現在の小規模のプラントにつきましては、国の補助事業によって設置した資産でございまして、研究開発の実施者が補助事業の完了後も十分注意しながら管理するということになっておりますし、今後その活用の方法というものも場合によっては出てくるということでございまして、当面は維持するというふうに聞いております。

北村(直)委員 ぜひ両大臣からも叱咤激励をいただきながら、こういったせっかくのプラントを、今私が申し上げたようなバイオテクノロジーあるいはいろいろな関係の中で、自然界にあるメタンを使ってそこからDMEを抽出することができるということになれば、これはもう大変な研究成果だ、このように思いますので、百トンに移行するときの五トンのプラントについての使い方をぜひお考えいただきたい、このようにお願い申し上げます。

 そこで、このDMEは燃料としてディーゼルエンジンの軽油にかわる、そういう燃料に使えると私は思っております。また、この一日五トンのプラントをつくったいろいろな企業の方々の今までの研究で、ある会社のトラックの二トンクラスのエンジンをそのまま、噴射するところ、そして燃料タンク、普通の軽油の入るところをプロパンと同じようなものにして、実際に実験車としてもう走れる、走っている。しかし、公道を走れないのですね。普通の道路を走れない。それは、国土交通大臣の認可をいただけなければナンバープレートが取れないわけであります。

 聞くところによりますと、大分前にこの申請をしたけれども、ほとんどが門前払いで、全く相手にされなかった。こんなすばらしい研究を時の通産省がやっていながら、時の運輸省は全く知らない。やはりこの役所間同士の連携を密にしながら、ぜひ自動車の燃料として公道を走れるように、多分、釧路のトラック業界の中でも、これはその部分だけ、四、五十万までかからない、そして、一日五トンある、将来的には百トンできる、それを使って、ひょっとすると北海道のある地域はこのDMEで走らせてみよう、そういう企業があらわれるかもわからぬ。そういうときには積極的に、トラックの荷台のところに、環境に優しいDMEを使った車です、トラックですというふうなPRを書かせますから、ぜひ国土交通副大臣、書類を上げたときに一も二もなくナンバープレートを出していただける、そういうお約束をいただきたい、こう思いますが、いかがですか。

泉副大臣 先生お話しのように、ジメチルエーテル自動車というのは、大型のディーゼル車にかわり得る、期待される車であるという認識を国土交通省も持っておりまして、実は、平成十年度から、この自動車に関する検討会を設置して、積極的にこの技術開発を促進しておるわけでございます。

 したがいまして、門前払いという言葉は、たまたま先生お使いになったと思いますけれども、そういう姿勢が仮にあったとすれば、それは私どもの本意ではございませんので、おわび申し上げたいと思います。

 そしてまた、このDMEを使います自動車というものにつきましては、これまでのLNGとかCNGの自動車と同じように、公道において走行試験をするためには、安全性の確認ということ、あるいはまた、あるルートを設定させていただくというような事柄がやはり必要になってくるわけでございます。

 したがって、国土交通大臣の認定を一応お願いいたしておりますが、もしそうした条件を満足させられる状態でお話がございましたならば、できるだけ早くナンバープレートを交付して実用化に向けてまた御努力いただくようにお願いいたしたいと思います。

北村(直)委員 従来普通に売られているディーゼル車のノズルとタンクだけでありますから、ブレーキや何かは全く運輸省の方が認可しているものでありますから、私は、できるだけ速やかにこのナンバープレートを出していただけるようひとつ御尽力いただきたい。

 このことを再度申し上げておきながら、先ほど、このDMEの新しいプラントで何人というのはお答えづらいと政府参考人がおっしゃっておりましたけれども、新聞紙上のこれを考えると、この一日百トンの新しいプラントに太平洋炭鉱からどのくらいの人が雇用されるかというのは地元にとっては大変重要な問題でありますので、正確にではないにしても、およそこのぐらいは雇用できるのではないだろうか、そこを再度、もしあれであれば長官でも結構でございますけれども、御答弁いただきたいと思います。

河野政府参考人 先ほど先生から御議論ございましたように、百トンプラントということになれば一定の規模の方々をお世話していただかなければならないわけでございますけれども、その中に太平洋炭鉱から具体的に何人かという点は、先ほどのように、百トンプラントも今後の公募という手続を経るわけでございますし、そういう状況の中で、私どもとしては、今後の検討課題というふうに申し上げさせていただきたいと思います。

北村(直)委員 同じ政府・与党でありながら委員会ですとそこら辺がなかなか出てこないのかな、自由民主党の石炭対策特別委員会としてまた聞かなきゃならぬな、こう思っておりますので、そのときには我が党に対しては明確に答えていただきたい、このように思います。

 後半に移りたいと思います。

 平成十二年三月六日に、この委員会が開かれました。それは、石炭鉱業の構造調整の完了等に伴う関係法律の整備等に関する法律案が議題となったわけであります。これは、平成十四年三月三十一日をもって関係する法律が終えんを迎える、このためのいろいろな措置をとっていく。このときに、我が党は連立を代表して賛成討論をいたしました。

 昭和二十一年に、国破れて山河あり、そういう非常に厳しい状況の中で、石炭と鉄鋼という二つに非常な思いをかけて、経済の再生のために石炭を国策としてやってきた。そして昭和二十六年に、五千万トンになんなんとする、そこまで回復してきた。しかし、その後の昭和三十六年の石油の輸入の解禁で石炭が非常に苦しい時代を迎えてきて、しかし、私はそのときにも、石炭は黒いダイヤだと呼ばれていた、現在、あの当時ですよ、太平洋炭鉱と池島炭鉱で生産されている黒いダイヤの輝きは今も変わっていない、だから時を超えて石炭は輝き続けるのだという思いで、この二つの炭鉱、この技術移転五カ年計画を何としても成功させよう、こういう思いで、私はあのときに我が党を代表しながら賛成討論をしたわけであります。

 結果において、二十九日に、池島炭鉱が本当に涙をのむ思いで閉山いたしました。そして、もう一方の太平洋炭鉱も、新聞紙上では、大変厳しい状況に置かれている、そしてまた、経営者の方々も非常に厳しい状況を吐露されているということも聞いております。

 しかし、今、九州の池島炭鉱が閉山した。そして、平成十二年の三月のときに、海外技術移転五カ年計画はどうしても稼働している炭鉱が必要だと。今、二つのうち一つしか残っていない。そうなれば、この五カ年計画をしっかりやっていく上には、私は、どうしても、商業生産ができて、そして稼働炭鉱の存在というのが絶対条件ではないかと思いますが、この件について大臣の御答弁をいただきたい、このように思います。

    〔原口委員長代理退席、委員長着席〕

河野政府参考人 御説明をさせていただきます。

 御指摘のように、池島でも、私どもの海外への炭鉱技術移転五カ年計画に沿いまして、地上付近の坑道あるいは施設を活用して研修を実施したいという会社側の要望もございますし、また、地方自治体もこれを強く要望していただいております。私どもとしても、産炭国をも含めまして、必要な調整をさせていただきながら、この検討を今させていただいているところでございます。

 他方、例えば中国などでは、最近、依然として炭鉱ガスの爆発による事故なども起こっているわけでございまして、産炭国としての要望を入れますと、そういった保安関係の研修は強い要望の項目の一つでございます。

 こういったことを考えますと、現在稼働中の炭鉱における研修というのはやはり重要な意味を持つというふうに私ども思っているところでございます。

北村(直)委員 そこで、太平洋炭鉱が稼働していく、そしてこの炭鉱技術移転五カ年計画をやっていく上で、十四年度からの五カ年間で掘られる石炭というのは、あの当時、平成十一年の石炭鉱業審議会の答申にありますように、電力業界において引き取り、全量をきちっと使ってもらう、これが不可欠ではないかと私は思いますけれども、そのことについての御答弁をいただきたい。

河野政府参考人 御指摘のように、炭鉱技術移転五カ年計画を実施いたすためには、現在、私ども、国の予算といたしまして、来年度約四十億円の予算要求をさせていただいているわけでございます。同時に、平成十一年八月の石炭鉱業審議会答申にもございますように、この計画の実現に当たりましては、電力業界による国内炭の引き取りの協力というものがどうしても欠かせないというふうに考えるのでございます。

 私どもも、この審議会答申にのっとりまして、石炭会社の努力と電力業界の引き取り協力、これを期待してこの計画を進めたいというふうに考えております。

北村(直)委員 条件的には、この五カ年計画の後半、早い時期に一トン当たり一万円を切っていただく、こういう条件もございます。しかし、まずは、一つには、稼働している炭鉱があること、そして、そこで掘られる石炭は双方の努力によって全量引き取りをしていただく、この二つが必要であります。

 その上で、私は、この五カ年計画を一生懸命にやることによって、ベトナムや中国あるいは発展途上国の国が、五年目を迎えた、あるいは四年目を迎えたときに、こんなすばらしい研修であればぜひ続けていただきたい、こういう要請が諸外国からあったときには、大臣、一も二もなく、ぜひ続けよう、つまり第二次五カ年計画をやろう、こういう思いをぜひとってもらいたい。それには、この五年間死に物狂いでやる。そして、ベトナムや中国やインドネシアを含めた諸外国の方々にその評価をしていただく。その決意は大臣にございますか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御承知のように、本計画では、平成十一年の石炭鉱業審議会答申にもございますように、アジア産炭国ごとにそれぞれの国内で炭鉱技術を伝播する役割を担う核となる炭鉱に、集中的、そして計画的に技術移転することを目的として、技術習得機関なども考慮して、計画年限を平成十四年度から五カ年間としたものであります。したがって、来年度以降、年間二百数十名規模の研修生の受け入れと、年間三十数名の指導員の海外派遣を確実に実施して、所期の目的を達成したいと考えております。

 経済産業省といたしましては、五カ年計画が現時点で最良と考えておりますけれども、今御指摘のように、相手国からの評価や今後の諸情勢を勘案してその時点で最良の選択をさせていただきたい、このように思っています。

北村(直)委員 私は、昨年四月にベトナムへ行ってまいりました。ズオンフイで向こうの石炭公社の総裁とも会いました。また、ことしは、副総裁にも日本でお会いいたしました。大変喜んでおります。ですから、総裁、副総裁には、来年からの五年間、我々は一生懸命やる、そして、皆さんからぜひ続けてもらいたいという、そのぐらい一生懸命やるので、ぜひ皆さん方の期待に沿うようこれからもやっていきたい、こういう約束をいたしました。

 つまり、稼働する炭鉱が一つあって、そして、そこで掘られる石炭は全部買い取っていただいて、さらに、研修を一生懸命やることによって五年後以降も研修ということをやる、こういう三つの条件がそろうという意味合いの中で、太平洋炭鉱は今、労使にわたって本当に苦しい思いであります。一般の経営者の中にも、この十二月を迎えて、ボーナスが出せるかどうかという会社だってたくさんある。私は、太平洋炭鉱だって、その中にひょっとしたら入っているのではないかという思いもございます。

 ですから、経営が苦しい、そういうときに万全の措置をとってやるということもこれは大変必要なことである、そして、将来に向かっての商業生産が可能であり、そして研修生を受け入れていく、そういう新たな視点に立った取り組みをもしこの太平洋炭鉱もあるいは地元の釧路市も含めてやるとするならば、経済産業省としても万全の措置をとっていってもらえることが最重要である、私はそう思いますけれども、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

平沼国務大臣 御地元の釧路にとりましては、石炭産業と水産業、そして紙パルプ、これが地元経済の基盤であったと思います。その石炭の灯が消えるということは地元の方々にとっても大変残念な問題だ、そういうお気持ちで、今、地元の自治体でありますとか経済団体の皆様方や太平洋炭鉱の労使の皆様方が新たなそういう手だてというものを今御指摘のように模索中だ、こういうふうに私どもは理解をさせていただきます。

 ですから、そういう計画がしっかりとした形で現実のものとなる、こういう事態が来れば、私どもとしては、当然として、いろいろな面でお手助けをさせていただきたい、このように思っています。

北村(直)委員 時間が来ましたので、若干こちらからお願いを申し上げて、終わらせていただきたいと思います。

 今、大臣のお言葉のとおり、とにかく最大限の努力を政府として考えていただきたい、ありとあらゆる政策で、あるいは資金的な援助を含めて万全の対策をとっていただきたい、このように思います。

 私は、先ほど申したとおり、石炭が日本の経済を引っ張ってきたことはもう紛れもない事実であります。そして、四十年を超えた法律で、今まさしく石炭が安楽死をしていこうとしているのではないかなというような感じも持っております。一つの産業が未来永劫続くということはなかなか難しい。しかし、何百人、何千人というとうとい犠牲の上でこの石炭政策があった、このように思います。

 来年の三月三十一日に終わろうとしているこのときに、私は、四月以降でも結構でありますから、政府として、石炭に感謝する、そういう行事をぜひやるべきだ、こう思います。そういうとうとい犠牲者に黙祷をささげながら、地域の方々との連携をとりながら、あるいは炭鉱マンのOBの方々を含めながら、石炭に感謝する、そのことで一つの法律が本当によく終わったなと、こういう政策的に行事を含めてやっていただくことを両大臣に要望しながら、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武山委員長 次に、高木義明さん。

高木(義)委員 民主党の高木義明でございます。

 私は、限られた三十分の時間でありますが、新たな事件といたしまして池島鉱の閉山問題に絞って、大臣初め政府の皆さん方にお伺いしてまいりたいと思います。質問通告をいたしておりますが、若干、質問通告にもないものがございますが、どうぞ率直にそのケースではお答えいただきますようにお願い申し上げます。

 私は、この委員会において、過去幾度となく、我が国の国内炭鉱の存続について主張してまいりました。

 まさに今、市場原理のもとで内外価格差、我が国の石炭は約三倍の価格差があると言われておりまして、このままでは我が国の炭鉱はすべて閉山やむなしに追い込まれる、こういうことが前々から叫ばれておったわけであります。しかし、今、我が国の貴重なエネルギー資源である国内炭が、私どもの日本という国は、今日現在一億四千万トンに上る石炭を輸入しておる、そのほとんどが海外からだ、まさに世界最大の石炭の輸入国という実態がございます。国内炭は、価格の国際競争力はないにいたしましても、今日まで培われてきた坑内の採掘の安全技術あるいは石炭にかかわる多くの技術については世界で冠たるものがあると言われております。将来、海外の石炭現場が露天掘りから坑内掘りになっていくときに、必ずやその技術が生かされ、結果的に我が国の石炭の安定供給につながる、この思いから、私は、これまでも、国内炭を決して粗末にしてはならない、そういう思いの主張を何度もしてまいりました。

 最近の動きを見てまいりますと、オーストラリアの大手鉱山と日本の大手電力会社との二〇〇一年の輸入価格交渉は、難航の末でございましたが、前年度比二〇%高と六年ぶりの値上げで決着いたしております。確実に日本のバーゲニングパワーは低下いたしております。このパワーの低下は将来のエネルギーセキュリティーの面においても重要な要素になるのではないかと、私は一抹の懸念をいたしております。

 しかし、現実に、四十二年の歴史をもって池島鉱は閉山いたしました。その閉山に当たりまして、私はつい先日も池島に赴きましたけれども、地元の報道紙の中で、本当に私の胸を熱くしたものがございました。

 少々、その一端を紹介いたしてみますと、「いつ大けがをしてもおかしくない坑内現場で、ともに命をかけて仕事をした仲間との別れはつらい。住宅探しや年金などの手続に追われ、閉山の実感はまだわかない。家族でこれからどう暮らしていくのか、寂しさよりも今後の不安の方が大きい。」あるいは、「山の仕事は男っぽさが魅力だ。ヘルメットはもう必要ないが、捨てられそうにもない。一緒に頑張った仲間に感謝をしたい。」そして、「ここ数年は出炭量が減って悔しい思いがしたが、国のエネルギー政策の一翼を担ったという自負がある。」こういうコメントも目にしたわけでございます。

 労使の交渉は、思いのほか厳しいものがございました。しかし、それぞれの努力の成果によって、一応、交渉は妥結した。これは私は評価をしていきたいと思っております。

 今まで、石炭の歴史は大変長いものがございます。我が国の石炭政策、昭和三十八年から第一次、そして第八次までの石炭政策が講じられてまいりました。第一次から五次までは、石炭産業の急速な衰退から生じる社会混乱をいかに防止するかという、いわゆる閉山、生産量などを緩やかに縮小させていくのがある意味では目的でありました。六次策からは、新しいエネルギーとの調和を図りつつ、エネルギーの安定供給の一環として石炭を活用していく、海外炭の開発輸入の円滑も図っていく、こういうことでもございました。

 そういう歴史的な経過のある中で、海外技術移転五カ年計画があって、来年度から五カ年間、そのような技術が生かされる、そういう仕事ができると思ったやさきに急展開したこの閉山劇でございました。何で今ごろ、こういう思いがあるのではないかと思っております。

 そこで、今日まで多くの炭鉱が、あるときには坑内火災や爆発事故、そしてまたあるときには日本のエネルギー革命の中で、閉山を余儀なくされた。七百から八百とも言われております炭鉱が、今、北海道と長崎の池島だけになって、そして池島が閉山に追い込まれた。しかし、最後まで、そこまで生き延びてきたこの二つの炭鉱、この炭鉱についてどんなに評価をされておるのか、大臣の御所見を賜っておきたい。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 戦後、この復興期に、石炭というのは一次エネルギーの四割を占めて、我が国の経済の復興の原動力になった重要な部門でありました。今、高木先生から、第一次から第八次までの対策があった、その中にまさに石炭の歴史が盛り込まれている、このように思わせていただいています。

 そういう中で、最後まで頑張って残った池島炭鉱が閉山する、こういうことは担当省を預かる大臣としても大変残念なことだったと思っています。ですから、そういう意味で、炭鉱技術移転五カ年計画や、さらには閉山後の、本当に御苦労をいただいた従業員、御家族の皆様方や地方自治体の皆様方に、私どもとしては万全のきめ細かい対応をさせていただかなければならない、そういう思いでいっぱいであります。本当に池島炭鉱の皆様方が大変な努力をされた、このことは石炭の歴史の中で本当に評価をされる、そういう歴史を刻んだと思っています。

 また、北海道の太平洋炭鉱も、最後の最後まで頑張っておられ、先ほどからの御質疑の中にありましたけれども、その動向も非常に究極微妙なところに来ております。

 こういった年度末を控え、そして、ことしがそういう我が国の国内炭の歴史の中で大変大きな一つの、ある意味では終えんを迎える、こういう大きな転換期になる、私はこのように思っておりまして、これまでの御努力に本当に心から感謝を申し上げ、そして今後の対策に、私どもとしては、繰り返しになりますけれども、万全の対策を講じさせていただきたい、このように思っております。

高木(義)委員 厚生労働大臣、炭鉱というのはまさに安全第一の規律というのが、どの産業、どの職場もそうなんですけれども、とりわけ炭鉱というのはそういう現場環境でもございます。資源が枯渇して閉山を余儀なくされていくのであれば、それはある意味では納得はできるのですが、貴重なエネルギー資源がまだまだ将来的にも埋蔵しておる、炭質も環境もいい、そして、貴重な労働力、技術もある。また一方において、労働運動の、働く者の命と健康を守るという意味で労働界に与えた大きな力というものははかり知れないものがあると私は思うのです。

 そういう中で、九州の山が消えていきます。日本の山も大変厳しくなってまいりました。炭鉱に働く方々のこの思いについて、今どのような御所見を抱いておられるか、一言お願いしたいと思います。

坂口国務大臣 先ほど委員が読まれました鉱山の職員の皆さん方の一枚一枚の気持ち、その中でも、国の一翼を担ってきた自負があるという一言がございましたけれども、確かに皆さん方のお気持ちを最も代弁している言葉ではないかというふうに思います。

 長い歴史の中で、皆さん方は、日々、全体で見れば日本の国の大きな産業を支えておみえになりましたし、そしてまた、それぞれの地域にも貢献をしておみえになったわけでございますが、また、その日々のお仕事というのは非常に過酷な労働条件であったというふうに思います。職場柄、職業柄と申しますか、どうしてもそれは避けられない厳しいところであったというふうに思いますが、その中を皆さん方はお互いに心を一つにしながら、そして今日をお迎えになった。そこには、ただ単にエネルギーのため、あるいはまた一つの産業のためというだけではなくて、先ほど委員がお触れになりましたように、団結して一つの職場を守り抜こうという、働く人たちの気持ちの一つの結晶と申しますか、そうした思いを込めての毎日毎日であったというふうに思っています。

 それだけに、そして、最後まで、今日まで御努力をいただいた皆さん方に、さてこれから我々はどうおこたえするかということになるのだろうというふうに思いますが、先ほど質問された皆さん方のときにも述べましたとおり、全体として労働条件、そしてまた雇用が非常に厳しい中でありますだけに、この皆さん方の雇用問題というのをより真剣に考えていかなければならないというふうに思います。

 こういう大変な時期でございますから、そうでなくても非常に厳しい雇用条件に見舞われる皆さん方でありますから、さらに厳しい中でお正月を迎えていただかなければならないわけでございますので、我々もここはひとつ真剣にそのことを、一人一人の皆さん方のお気持ちを十分察しながら努力しなければならないというふうに思います。大変な時期であり、そして大変な時期でのこの閉山でありますだけに、私たちも心を引き締めてこの皆さん方にお報いをしていく決意を示さなければならないと考えているところでございます。

高木(義)委員 両大臣には、これまでの評価と、そして、決意なるものもお示しいただきました。その上で、お尋ねを簡潔にしてまいりたいと思います。

 今後の雇用対策、地域の振興対策、このことが最も大切な柱であろうと思っておりますが、その雇用対策にも振興対策にもいずれにもかかわる問題として、先ほど来から議論されております炭鉱技術移転五カ年計画についてであります。

 この五カ年計画につきましては、これまでの石鉱審の審議、各界の皆さん方の御意見の中で、政府が政策として決定をしたのでありました。世界の石炭の需給の逼迫、いわゆる一次エネルギーの四三%が依然として石炭だ、そういう状況のもとで日本は最大の輸入国である、そして、域内の産炭国における石炭生産は今後とも拡大が必要である、そういう中で、そのためには我が国が持つ石炭の有能な技術で貢献していこう、そして我が国の石炭の安定供給を図ろう、こういう一つのスキームから、理念から生まれたものであります。

 ただ、今回、池島鉱の閉山に伴いまして、これはあくまでも、企業があって、その企業が日常的な生産とともに海外からの研修者を受け入れる、そして国、地方公共団体はそれを支援していく、支援措置をしていく、こういうスキームであると私は認識いたしておりますが、ところが、企業が閉山という事態になりますと、このスキーム全体が崩れてしまうのではないか、こういう思いがいたしております。

 したがって、この五カ年計画というものの意義について再確認すると同時に、この五カ年計画の事業主体は一体どのようになっていくのか、この点についてお尋ねしておきたい。

広田政府参考人 炭鉱技術五カ年計画により、我が国が培ったすぐれた炭鉱技術を海外の産炭国へ計画的に移転することは、我が国の海外炭安定供給の確保の観点からも極めて重要と考えておりまして、その意義は変わるものではございません。

 新しい、閉山後の研修の実施主体についてでございますけれども、松島炭鉱株式会社から、関連会社であります三井松島リソーシスという会社において実施したいという計画を聞いているところでございます。私どもは、具体的な内容を十分にお聞きした上で、地元の準備が整えば、この実施のための必要な調整を行ってまいりたいというふうに考えております。

高木(義)委員 今、新聞報道でも、企業グループがそのようなことを申したということは承知いたしております。しかし、現実に、営業出炭はしないということになりますと、本当にそのことでそういうものが存在できるのであろうか、企業は大変なリスクを抱えての研修事業となっていくわけでありまして、これが本当に運営できるのか、私は大変懸念いたしております。

 もし、国がこの五カ年計画をまさに我が国の国益として存在意義を認めるならば、私は、主体的に国が前面に出てやるべきではないか、そういう意味で、予算確保の問題、また、この五年以降もどうなっていくのかということについて、今、政府として抱いておられることをここで明らかにしていただきたいと思います。

広田政府参考人 予算につきましては、平成十四年度の予算要求として約四十億円を計上しているところでございます。

 研修内容については、アジアの産炭国ごとに、それぞれ要望が多岐にわたっております。そうした中には、この池島炭鉱で、閉山いたしましたけれども、残された炭鉱施設を有効に活用しながら、この要望に十分沿った研修ができるというふうに考えております。その実施に向けて必要な調整をやっていきたいというふうに考えております。

 それから、五カ年たった後のことについてというお話がございましたが、先ほど大臣からの御答弁もございましたように、まず、核となるアジアの炭鉱に、この五カ年で集中的、計画的に炭鉱技術移転を行っていくということで考えておりまして、現段階ではこれが最良のものというふうに考えておりますけれども、今後、相手国の評価などもお聞きしながら、その時点で最良の判断をしていきたいと考えております。

高木(義)委員 この池島の場合の研修受け入れというのは、どのくらいの体制になる模様ですか。

広田政府参考人 松島炭鉱株式会社からは、雇用規模約百名程度で、保安あるいは掘進、こういった関係の研修を実施したいという希望がございます。私どもは、こうしたことを念頭に置きながら、よく考え方をお聞きしながら対応していきたいと考えております。

高木(義)委員 この点につきましては、閉山という新たな事態、この経過がございますから、ひとつ国として、先ほど申し上げましたこの政策目的、それと現況を踏まえ、十分に発揮できるような体制になるように、ただ単に従来同様の考え方でいくとこれは大変厳しいものになっていくのではないか、私はそういう懸念を抱くから、今改めてこのようなものを提起しておるわけでございます。

 どうぞ、これの実施に当たりましては、国もしかるべき責任と決意を持ちながら対応していただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますけれども、炭鉱技術移転計画を実施するに当たりましても、今、高木委員からいろいろな面で御指摘をいただいた、そういう重要な点はしっかりと踏まえ、そして責任を持って私どもは遂行していかなければいけない、このように思っております。

高木(義)委員 次に、雇用対策です。

 先ほど厚生労働大臣からもお触れになりました。まさに、普通でも失業率五・三%という状況の中で、今回、池島の閉山は地域社会に大変な不安を投げかけたわけであります。

 まず、今、現地において、ハローワークを中心として職業紹介等の事業もされておりますが、問題はミスマッチでございます。また、私が指摘しておきたいのは、石炭鉱業に携わるいわゆる関連協力企業、多くの分野でこういう方がおられます。また、町の商店を初めとする多くの商工業者も、この閉山によってみずからの仕事を危うくされるという事態にあるわけでして、私は、長崎県西彼杵郡という地域的な立場に立って、本当にきめ細かいといいますか、温かい手だてが必要であろうと思いますので、この点について、離職者対策、雇用対策、政府の取り組みについての考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

坂口国務大臣 先ほども申しましたとおり、ここはきめ細かくいかなければならないと思います。

 先ほども、この委員会に出ます前に、少しここの地域の有効求人倍率を見てまいりましたが、今、全国平均では〇・五五でございますけれども、この地域は〇・二六になっておりますから、半分いかないのですね。半分以下になっております。これは、この地域がふだんから炭鉱以外の職業がいかに少ないかということを物語っているというふうに思います。

 したがいまして、今後、閉山になって新しくスタートするといいましたときには、この島全体と申しますか、地域全体が新しい方向でお取り組みをいただかざるを得ない状況にあるというふうに思います。多分、直接働いておみえになった方々だけではなくて、そこで御商売をなさっている皆さん方にも、あるいはまたその他ここでいろいろの立場で働いておみえになりました皆さん方にもこれは影響を与えることだというふうに思っておりますから、その皆さん方も含めまして、ここの対策に取り組みたいというふうに思います。

 一つは、地域振興策としまして、十月から実施されました改正地域雇用開発促進法、これに基づきまして、地域雇用開発促進助成金の活用を積極的に進めたいというふうに思います。また、中小企業労働力確保法に基づきまして、中小企業が創業あるいは異業種へ進出いたしますときに、労働者を雇い入れる場合に支給されます中小企業雇用創出人材確保助成金というのがございますが、こうしたものも使わせていただきたい。それから、今回の補正予算で通過いたしました緊急地域雇用創出特別交付金の活用等。

 こうしたあらゆるものを駆使しながら、しかし、ただ単にそれを使用するだけではなくて、やはりやり方をきめ細かくやっていかなければならないというふうに思います。それは、地域の皆さん方と十分に御相談させていただいて、地域に合ったものにしないと絵にかいたもちになってしまうというふうに思いますから、地域の御要望を十分にお聞きしながら我々は進めたいというふうに思う次第でございます。

高木(義)委員 最後に、地域振興対策についてお伺いしておきます。

 これまで幾度となく、池島鉱が存在しておりました外海町町長さんは、池島鉱の山の存続そのものが最大の地域の振興対策なんだ、こういうことをずっと言ってこられました。人口七千四百人、その中で、池島の中に二千三百人の方々が住んでおられます。まさに税収の四〇%、半分近くまで石炭関連の方々の存在で成り立っておるという町の構造から見ても、私はもっともなことだと思っております。

 そこで、これまで、産炭地域活性化基金というのが、平成八年から十年度にかけて四十五億円の基金が造成されました。これに加えて、平成十二年度から十三年度まで新産業創造等基金というのが、これまた四十五億円の額をもって造成されております。このことについては、石炭産業を抱える地域の急激な疲弊を防ぎ、そして新たな活力を生み出すという意味では、大変大切なものだと私は思っております。

 ただ、これらの造成について、池島鉱がさらに五カ年の存続をしながら海外技術移転五カ年計画も実行していく、そして、その中で企業努力がなされるとするならばさらに石炭鉱業として存続する、そういう見込みの中での基金の造成であったのではないかと私は思っております。しかし、今日、閉山ということになったら基金の増額をむしろ考慮すべきではないか、このように私は思うわけでありますけれども、この点についての考え方をお述べいただきたい。

河野政府参考人 御説明をさせていただきます。

 産炭地域の振興のために長崎県のみならず全国四道県に中核的な事業主体を設立する、また、累次にわたる振興審議会の答申も踏まえまして、ここに基金を積ませていただくということをやってまいりました。

 そして、今御紹介ありましたように、この答申に基づきまして、平成十二年度と十三年度の二カ年につきましては、全国でいえば二百二十五億円でございますが、長崎につきましては、このうちの四十五億円を新産業創造等基金ということで造成させていただきました。

 また、こうした政府がお手伝いさせていただく基金としては半ば異例かとも思いますけれども、本基金については、取り崩しの使用も可であるというようなことで、機動的、弾力的な実施の可能性を大いに含ませた内容になっております。

 まずは、地元におかれましても、こうした基金の活用に全力を挙げていただきたいと思いますし、私どもとしても、その機動的、弾力的な使い道について十分御相談にあずからせていただきたいと思います。その後の点につきましては、かかる努力の後の問題ということで、預からせていただきたいと思います。

高木(義)委員 時間が参りましたから、これで終わりますが、そのほか、住宅、教育、そして離島航路、多くの問題を抱えております。したがって、今後は、これまでも省庁連絡会というのが機能してまいりました。これからもひとつこの省庁連絡会を十二分に活用いただきまして、池島鉱閉山の抜かりない対策を強く要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

武山委員長 次に、三井辨雄さん。

三井委員 ただいま御紹介いただきました民主党・無所属クラブの三井辨雄でございます。

 石炭の質問は初めてでございますので、わからない点もたくさんございます。ひとつよろしく御答弁をお願い申し上げたいと思います。

 先般、十一月十六日の衆議院本会議におきまして、私は、雇用機会創出特例措置法案という大変長い法案の代表質問をさせていただきました。そのときに、私も北海道の炭鉱町生まれということで、平沼大臣あるいは坂口厚生労働大臣にもお伺いしたわけでございますが、先般お話ししましたように、石炭産業の隆盛というのがありましたし、そのことを私も目の当たりにして育ってきたわけでございますが、三十年代からはエネルギー政策の構造転換による、そのときの炭鉱離職者の対策を今日の緊急雇用対策と重ね合わせて質問させていただきました。

 さらに、本委員会では、池島炭鉱の閉山問題、最後にただ一つ残る地元北海道の太平洋炭鉱の経営問題等もあります。それでまた、資源小国であります日本でありますから、我が国で賄えるエネルギーは石炭ではなかろうか、むしろ、極端に言えば石炭しかないのではなかろうか、こういうぐあいに思うわけでございます。産業として継続させることはできないのか、そんな思いで平沼大臣にも質問させていただいたわけでございます。

 また、質問が終わった後に、同僚議員や先輩議員から、石炭を何とか残すべきだ、そして石炭産業を守ろうじゃないかという大変賛同の声をいただきまして、私もその反応には大変驚いたわけでございます。

 先般の代表質問の三つの柱として、平沼大臣にお聞きしたわけでございますけれども、一番目として、今般のアメリカの同時多発テロを初めとする国際政情不安の中で、石油代替エネルギーを国内で確保することは極めて重要であるというぐあいに思ったわけでございます。石炭を単にエネルギー政策の範疇にとどめるのではなくて、資源小国日本の危機管理対策として位置づけるべきだということを第一点として申し上げたわけでございます。

 それから、二番目といたしましては、世界一と言われる我が国の掘削技術とか保安技術、やはり石炭を生産しなければこの技術の継承は困難であると思うわけでございます。

 また、三番目といたしましては、石炭ガス化複合発電の技術開発等あるいは石炭を素材とした新たな技術の研究開発を政府はもっともっと後押しすべきではないかということをお聞きしたい、こういうぐあいに思っているところでございます。

 この三つの論点で、先般、平沼大臣から大変懇切丁寧に御答弁いただきまして、本当にありがとうございました。きょうは、この中からさらに踏み込んで質問させていただきたいと思っております。

 また、池島炭鉱の閉山直後でもありますから、閉山問題についてお尋ねしたい点も多々ございますが、先ほど来、我が党の高木議員、中沢議員、ほかの議員からも詳細かつ専門的にお尋ねがありましたので、私は別の観点から質問させていただきたいと思っております。

 一つは、先ほど申し上げましたように、日本は世界一の産炭の技術力があるわけでございますから、その反面、石炭輸入国でもある、しかも、資源小国日本のエネルギー源は石炭でありますから、この厳然たる事実の前に、自国の石炭を切り捨てて一時的な価格論で国家としてのエネルギー政策を決定することは本質的に極めて危険だと私は思っているわけでございます。

 国内では、唯一、太平洋炭鉱が残っておりますが、これも、先ほど中沢議員あるいは北村議員からもお話がございましたように、存続ということになると大変危ぶまれることだと思いますけれども、石油代替エネルギーとして石炭を今後どのように位置づけて考えられるのか、再びお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 我が国の総石炭供給量というのは、よく御承知のとおり、九八%を豪州、中国、インドネシア、そういった海外からの輸入に依存しております。これらの海外炭の輸入については、豪州を初めとして、過去長期にわたり、輸入量、価格とも安定的に推移しております。特に昭和六十年代に入って以降、大変残念なことでございますけれども、これも委員よく御承知のように、約三倍程度の内外価格差が生じるという状況が続いています。

 したがいまして、今御指摘のいわゆる総合エネルギー安全保障、こういう観点に立つと、やはり今埋蔵されている石炭を有用に活用するということも大事な視点だ、そういうふうに思っておりますけれども、今のそういうような現状から考えまして、今後とも引き続き、これら輸入相手国との関係を維持していきながら、我が国への海外炭の安定供給確保に努めていくことが重要だ、このような観点でおります。

 石炭というのは、環境面での制約要因が多いものでありますけれども、可採埋蔵量というのは全世界で二百年以上あるわけでありまして、先進国も幅広く利用し、そして世界的にも幅広く分布するなど、他の化石エネルギーに比べて供給安定性が高いという面があります。また、経済性にもすぐれております。

 したがいまして、先般七月、総合資源エネルギー調査会の答申における長期エネルギー需給見通しにおいても、二〇一〇年度において我が国の一次エネルギーの供給の一九%程度を占めるだろう、こういうことが示されておりまして、引き続き主要なエネルギーであることは間違いないと思います。

 そういった意味で、私どもとしましては、今、御指摘がありました、石炭をガス化する、そういうようなことも技術的に進めておりますし、また、その他の、二十一世紀は環境の時代と言われておりますので、新エネルギー、そういった面にも力を入れていく。その中で、石炭の液化あるいはガス化を含めて、それはこれからの新エネルギーの柱の一つとして力を入れていかなければならない。しかし、現状、産業に使う石炭の我々の基本方針としては、冒頭申し述べましたような背景の中で、そういう選択をせざるを得ないというのが現状でございます。

三井委員 今、大臣から御答弁いただきましたように、これからますます海外炭に依存しなければならないと思うのですが、世界の石炭事情について、一般的に十分知らされているのかどうか、私はもっと知ってもらう必要があるのじゃないかと思うわけでございます。

 また、ほかのエネルギー資源との比較でも、大臣が今おっしゃいましたように、一口に確認可採年数といいましても、石油が四十年、天然ガスが六十六年、石炭が二百二十年ということも余り知られていないのじゃないだろうかということも実は心配しているわけでございます。

 資源エネルギー庁が監修しているこのコール・ノートも私は見させていただいたのですが、これは大変立派な、よく監修された冊子だと思いますし、これをもっともっと国民の中に見ていただくようなことをできないものだろうか、こういうぐあいに思っているわけでございます。私も、この石炭に入らなければ、なかなかこういう冊子を目にすることもなかったと思うのです。

 そういう意味では、再度お聞きしたいのですが、現在、日本はどこの国からどの程度の割合で輸入しているのでしょうか、お尋ねいたします。

広田政府参考人 平成十二年度の我が国の石炭輸入量は約一億五千万トンでございまして、その内訳は、豪州が最も多くて約六一%、次いで中国約一二%、インドネシア約一〇%、カナダ九%というふうになっております。

三井委員 輸入割合を今お聞きしました。このコール・ノートにも書いてございますが、六割近いものが、オーストラリアから圧倒的な輸入をしている。確かに、国情が安定しているとか、露天掘りですから掘りやすくて安いということもあるのでしょうが、オーストラリアは信頼すべき国だと思いますけれども、しかし、これはやはり、一部の国だけに、中国もあるでしょうし、カナダもあるようでございますけれども、六割近いものをこのように輸入して、私が考えるには、余りにも依存し過ぎではないかと思うわけでございます。また、今申し上げたように、国際的な協力関係という観点からももう少しバランスよく輸入できないものか。リスク分散じゃないですけれども、やはり危機管理の鉄則ではないかという気がするのですが、この点についてお答え願いたいと思います。

古屋副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、今、六一%をオーストラリアから輸入していることは事実でありますが、しかし、数多くの日本企業が現地で炭鉱開発をいたしておりまして、そういう意味では安定的な石炭の供給国である、こういう認識はいたしております。

 ただ、最近は、中国であるとかインドネシア、ベトナムからも輸入がございます。こういったいろいろな国に産炭を求めていくということは、私は、供給源の多様化、そして安定供給という観点からも重要だと思っております。

 その観点から、いわゆる炭鉱技術を活用、我が国は最高の炭鉱技術を持っておりますので、炭鉱技術移転計画等によりまして、こういった国々に炭鉱技術を支援いたすことによりまして、こういった中国、ベトナム、インドネシア等の国々から石炭の供給の拡大を図っていく、こういうことも極めて重要だというふうに認識いたしております。

三井委員 諸外国の石炭の利用状況を聞きますと、ドイツ、イギリス、アメリカでは、発電の五割以上が石炭に依存しているそうでございますが、いずれの国も、石炭を自国の国内で産出して自国で供給しているというのが実態でございますし、また、ほかのエネルギー資源ともバランスよく使っているのではないかという気がするわけでございますが、こういう供給構成はどうなっているのでしょうか。

広田政府参考人 IEAのエネルギーバランスによりますと、各国の一次エネルギー供給の構成でございますが、ドイツは、石油約四〇%、石炭二四%、天然ガス二一%、原子力一三%であります。イギリスは、天然ガスが約三六%、石油も三六%、石炭が一五%、原子力が一一%、それからアメリカは、石油が三九%、石炭二四%、天然ガス二三%、原子力約九%というふうになっております。

 我が国の一次エネルギーの供給構成は、石油約五一%、石炭一七%、原子力一七%、天然ガス約一二%というふうになっております。

三井委員 この石炭が一七%というのは、使用量が今後もっとふえる予定があるのでしょうか。

広田政府参考人 先般、総合資源エネルギー調査会で需給見通しがなされたわけでございますけれども、将来、石炭のウエートが約一九%というような見通しがなされております。

三井委員 それでは、我が国の世界一の掘削技術あるいは保安技術の観点から御質問させていただきたいと思います。

 この技術を教える、あるいは伝えていくという中で、やはり炭鉱という、鉱山という現場がなければ、なかなか直接的に指導を受けないとわかりにくいという気がするのです。また、どんなに優秀な技術も、現場の経験なしには生まれてこないと思うのですね。

 それで、先ほども高木委員あるいはほかの委員さんからも御質問がございましたが、この炭鉱技術移転五カ年計画はいわば日本の国際公約でありますから、この炭鉱技術を海外に移転するには稼働炭鉱という優秀な施設がなければ国際公約に反することにならないかということをまず申し上げたいと思うわけでございます。

 先ほど中沢議員からも御質問ありましたように、この八月二十日からですか、ベトナムから六十名の研修生を受け入れたということでございますが、その受け入れについて、北野武さんのお兄さんの北野大さんが、「二十一世紀の「三つの心配」」という第五章の中に「石炭が復活してくる時代」ということで書いておられるのです。

 ここにこういうことが書いてございました。ちょっと読ませていただきますが、

  確かに石炭は今のところ、欠点が目立ちます。しかし、いずれはそれらを克服する技術も出てくるでしょう。一番の課題とされる炭酸ガスの排出問題が解決されれば、石油や天然ガスと遜色ないエネルギー源になるだろうと思います。

  では、その時になって石炭を掘る技術が残っているかどうか――。

  私が今心配しているのはそこです。

ということを書いておられるわけでございます。

 御存じのとおり、池島、そして今まで過去、炭鉱が閉鎖になりますと水没させてしまうのでしょうか、そうしますと、なかなか新たに掘るということはできない、また、振興ということも今の国内事情においては難しいだろう、こういうことも北野大さんは書いていらっしゃるわけでございますが、その中で、保安技術あるいは掘削技術というのは海外に全部行ってしまって、その後、先ほどもお答えございましたけれども、今、日本はそういう中で空洞化してしまうのではないだろうかということも実は私は心配しているわけでございます。

 重ねての質問になりますが、太平洋炭鉱と池島炭鉱で研修が実施されましたが、研修生の研修施設あるいは宿泊施設等の改修、あるいはこの実施に当たって国際協力に恥じないような対応をしていただいたものかどうか、お答え願いたいと思います。

広田政府参考人 今年度におきます五カ年計画においては、ベトナムから六十名の炭鉱技術者を受け入れ、八月二十一日から、順次、太平洋炭鉱及び池島炭鉱で研修を実施し、去る十二月一日、研修を終了したところです。本年度におきましては、これから十四年度以降実施する研修の予備段階の研修ということで、三カ月間の研修期間で実施いたしました。

 研修に使用する施設や宿泊施設につきましては、これまでの炭鉱の施設を改修いたしまして、きちっとした立派な施設にいたしまして、教室や寮として整備し、研修事業を行ったところでございます。

三井委員 これは重ねての質問になりますのでお聞きしませんが、今後、二百名以上、予算もお聞きしました。そういう中で、研修生の方がそれぞれ帰国された後に、アフターケアというのでしょうか、研修後のフォローアップをするという目的で、日本からも三十名以上の方を派遣するという御答弁が先ほどございましたが、ここはぜひともしっかりとフォローしていただきたいと思うのですね。三カ月、六カ月という研修期間ということもお聞きしておりますが、これだけでは、特に国内の炭鉱が閉山になっているという中ではやはり十分ではないのではないかという気が私はいたすわけでございます。

 ですから、今、インドネシア、中国、ベトナム、こういうところへの我が国からの三十名というのは、できれば雇用の観点からもそういう派遣をする人たちをもっと増員できないのかということもぜひとも、これはお答えいただかなくて結構でございますので、そういう観点から申し上げたいと存じます。

 次に、先ほど大臣もおっしゃっていましたように、やはりこれからは石炭の新技術開発ということについて、私はお伺いしたいと思います。

 環境と調和した形で石炭利用を図っていくためには、やはりCO2、これは大臣もおっしゃっていますが、この排出規制と、あと、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出規制、それからハンドリング性の向上、石炭灰の処理という四つの課題をクリアしなければならないとされているわけでございます。また、六月の議事録を見ますと、当委員会でも、我が党の先輩議員からも、CO2の発生量を抑制する技術開発を急ぐべしとの指摘をしておりますが、クリーンコールテクノロジーの研究開発にどう取り組んでおられるのか、お尋ねしたいと思います。

 あわせまして、このコール・ノートを見ますと、約十六項目の重点課題がありますが、特に研究開発が進んでいる、あるいは実用化しているもの、あるいは期待できるものはどの分野になるのでしょうか。石炭火力発電では、実際に、北海道では奈井江ですとか砂川ででしょうか、高効率発電の開発分野で加圧流動床ボイラーの開発が進んでいると聞いておりますが、これもどのような状況にあるのか、もう一度詳しく御説明願いたいと思います。

広田政府参考人 今御指摘のように、石炭は地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量が石油や天然ガスに比べてどうしても多いわけでございまして、燃焼効率の向上など、いわゆるクリーンコールテクノロジーの開発に積極的に取り組んでいるところでございます。

 具体的な項目として、お話がございましたように、既に研究開発が終了した技術のうち、例えば加圧流動床燃焼複合発電については、既に三基が商業運転に入ったところでございます。このほかにも、石炭ガス化複合発電でありますとか石炭高度転換コークス製造技術、こういった技術などを鋭意実施しているところでございます。

三井委員 平沼大臣にも本会議で御答弁いただいたわけでございますが、高効率発電のもう一方では、今、広田政府参考人から御答弁ございましたように、IGCC、石炭ガス化複合発電技術もあるわけでございます。この長期的な開発課題というのでしょうか、これについてひとつお答え願いたい。

 それからもう一方では、燃料電池の発電システム、これはIGFC、石炭ガス化燃料電池発電技術、舌をかみそうな大変長い名前なんですが、これはどの程度実用化になっていくのか、将来の方向性というのでしょうか、それについて御答弁願いたいと思います。

河野政府参考人 御説明をさせていただきます。

 御承知のように、石炭の利用、燃焼時に他の化石燃料に比べまして二酸化炭素の発生量が多いということが克服すべき課題の一つでございます。

 このため、今御指摘のIGCCについて申し上げますと、発電効率を向上させまして、二酸化炭素の排出量を石油並みに低減することができないかという課題を抱えているわけでございます。平成二十一年度までの計画で、実用化に向けました最終実証試験を現在実施中でございます。

 また、石炭ガス化燃料電池複合発電技術、IGFCとおっしゃいましたけれども、これは、石炭ガス化炉と燃料電池と、さらにガスタービン、蒸気タービン、こういう三つの発電形態を組み合わせました発電技術でございます。この発電技術は、二酸化炭素の排出量が石油に比べましても一割以上少ないということでございまして、現在の石炭火力発電所に比べますと三割は減少させることが期待されるものでございます。現在、パイロットプラントの建設中でございまして、平成十八年度までの計画で研究開発を実施してまいりたいというふうに考えております。

 こうした発電効率の向上に資するような各種クリーンコールテクノロジーの実用化、このための技術開発を積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。

三井委員 次に、先ほど北村直人議員から、DMEについては質問がございました。一日五トンということで、将来的には百トン規模になるということも、予算もお聞きしましたので、あえてここではお聞きしませんけれども、このDMEは、私も非常に関心がございますし、やはり環境に優しい、そういう意味では、ぜひこの釧路地域で、私も北海道出身でございますので、北村直人議員、鈴木宗男議員の選挙区でもございますので、そこでやっていただけるのであれば、今、太平洋炭鉱で実験的に進められておりますDMEについて、ぜひとも誘致をしていただきたい。できれば、先ほどもお話ございましたように、これは与野党関係なく石炭の問題というのは重要でございますから、なおかつ、太平洋炭鉱からの人の採用の問題についてもぜひともお願い申し上げたいということをお話し申し上げます。これは御回答はよろしゅうございます。

 最後に、DMEとバイオマスの新エネルギーの利用について、現在、国際的にも積極的にその問題に取り組んでおるわけでございますけれども、これ一つ見てみますと、バイオマスといっても、風力発電ですとか太陽熱ですとか、そういうものについてはいいのですが、農業用の廃材、木材ですとか、そういうものを利用するというのはなかなか難しいのかなと。例えばスウェーデンなんかですと、木材を使って、チップにして、それを電力のエネルギーにしている。そういうことも、将来、密度は石炭や石油と比べて低いのでしょうが、それをミックスで使えるようなこともぜひお考えいただけないか。

 また、農業用の中では、先ほど北村直人議員からもありましたが、畜産の排せつ物からのメタンガスを燃料にするという取り組みもやはり必要であると思いますし、また、廃食油から軽油の抽出はできないものか。こういう代替燃料という取り組みも、ぜひなされてもいいのではなかろうかなと思います。

 これからこのバイオマスエネルギーの利用を積極的に推進すべきだということを申し上げまして、将来、経済産業省でどのように取り組まれるのか、最後に、大臣にお聞きしたいと思います。

古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のように、バイオマスであるとか太陽光発電、こういった新エネルギーというのは、環境に優しい、あるいは効率的、安定的という観点からも、将来の有力なエネルギー供給源の一つだと考えておりまして、我が省といたしましても、そういったものを低コスト化あるいは高性能化させるための技術開発とか、そういった施設に対する補助を通じまして導入促進、そして、技術の革新について支援させていただいております。

 本年六月に取りまとめました総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会の報告におきましても、このバイオマスエネルギーというものを新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法における新エネルギーとして位置づけておりまして、今後とも積極的に導入促進を図っていきたいというふうに思っております。

 今、必要な政令の改正作業をいたしておりますけれども、今後、技術開発とか実証実験を実施していきたいと思っておりますし、また、自治体であるとか事業者に対しましても、導入補助の対象として追加する方向で今検討いたしておりまして、こういったバイオマスエネルギーの一層の導入促進のために我が省としても積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 また、委員御指摘のありました、石炭とほかのものを混焼してするということにつきましては、例えば木くずを入れた木質バイオマスなんというのもございまして、今、ある電力会社が、木くずを二〇%混入してやりますと、石炭の発電効率が今三九%ぐらいなんですが、それに比較的近いような数字が出るというようなことも実験で判明しているようでございます。

 いずれにしても、こういった新しい技術については、まず、その技術開発とか実証実験を行っていくということが大切だと思っております。

三井委員 最後に、九州の炭鉱の最後のとりででございました池島炭鉱を守り続けた皆さん、四十二年間、本当に御苦労されたと思います。これからも、池島炭鉱で働いたという誇りを胸に、次の人生をしっかりと歩んでいただきたいことを申し添えまして、私の質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

武山委員長 次に、江田康幸さん。

江田委員 公明党の江田康幸でございます。

 九州に山の灯をともし続けましたただ一つの炭鉱であります池島炭鉱が、経営の悪化等により、平成十三年十一月二十九日に閉山いたしました。これで百三十年にわたる九州の炭鉱の歴史が終わることになるわけでございます。

 私は九州の国会議員でございますが、三井三池炭鉱で栄えました熊本県、また福岡県の筑後地域の二つをふるさととする議員としまして、まことに残念であると思います。これに対して、国、県を挙げて、緊急の雇用や地域振興、この対策に万全を期すべきと強く思う次第でございます。

 まず、この池島炭鉱の閉山に際しまして、平沼経済産業大臣と坂口厚生労働大臣の現状認識と、多くの課題を抱えておりますが、これの克服に向けての決意をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 昭和三十八年に第一次石炭政策が開始されて以来、現在に至るまで、四つを柱として対策を講じてまいりました。

 その一つは、石炭鉱業の合理化や新分野の開拓を促進する石炭鉱業構造調整対策であります。二つ目は、産炭地域振興対策でございます。三つ目は、炭鉱離職者の再就職等のための炭鉱労働者雇用対策でございます。四つ目が、石炭採掘に起因する鉱害対策。この四つを柱として各種の施策を講じてまいりました。

 この結果、平成十一年八月には、石炭鉱業審議会答申におきまして、政策期間内に政策目標を達成し、石炭政策を円滑に完了できるめどが立った、こういう認識が示されました。

 同答申を受けまして、政府といたしましては、平成十二年二月に、平成十三年度末をもって石炭関係諸法の廃止及び廃止に伴う激変緩和措置の整備等を内容とする石炭鉱業の構造調整の完了等に伴う関係法律の整備等に関する法律案を提出いたしまして、同年三月に、本委員会の御審議を経て成立に至ったところであります。それを受けて、現行石炭政策は本年度末をもって終了する、こういうことに相なりました。

 このような中で、委員御指摘の、九州唯一の炭鉱として操業してきました池島炭鉱が、関係者の皆様方の幾多の努力にもかかわらず、今回、閉山の道を選択せざるを得なかったことについては、担当大臣としてまことに遺憾なことだと思っております。また、炭鉱従業者の皆様方とその御家族、さらには地元の自治体の関係者の皆様方の心中、大変なことだとお察し申し上げているところであります。

 経済産業省といたしましては、企業及び地域からの要望の強い、先ほど来御審議をいただいております炭鉱技術移転五カ年計画について、地元の準備が整えば実施することができるよう必要な調整を全力で行っているところであり、また、産炭地域振興関係各省庁等連絡会を通じまして、関係省庁とも密接な連携をとりつつ、雇用対策、地域対策等を講じてまいる所存であります。このような閉山対策に万全を期すことを含め、現行の石炭政策の完了に向けて私どもとしては全力を尽くし、そして御協力をいただいた皆様方にきめ細かい配慮をさせていただく、このように思っているところであります。

坂口国務大臣 雇用問題につきましては、先ほどから何度か申し上げているところでございますが、余り同じことばかりを申し上げても失礼でございますので、少し具体的なことをお話しさせていただければというふうに思います。

 先ほど、三、四点、主な項目につきましてはお話をさせていただいたところでございますが、厚生労働省の中に炭鉱離職者等対策本部をつくりまして、その中で、さまざまな具体的な問題につきまして今までやってきたところでございます。

 雇用の場の確保要請につきましては、炭鉱離職者等の雇用の場の確保について、親企業に対します要請を行っております。これは、十一月十四日に、知事さん及び長崎労働局長の連名によりまして行ったものでございます。

 それから、求人開拓につきまして、これも長崎労働局長名におきまして、県内の業界団体、主要企業に対する求人の確保要請を行っております。これは十一月三十日に行っております。

 それから、説明会の実施でございますが、事業主及び離職者に対しまして、雇用保険制度、手帳制度に関する説明会を行ってきたところでございます。

 それから、職業相談、職業紹介等の実施でございますが、これは、十一月三十日でございますけれども、島内における臨時職業相談所の設置をいたしまして、今後、求人説明会や選考会の実施を行ってまいります。

 それから、生活の安定に向けまして、炭鉱離職者求職手帳、これは黒手帳、緑手帳でございますが、これを発給しまして、雇用保険、就職促進手当の支給等各種助成措置の実施は当然のことながらやってまいりますけれども、移転されて就職される皆さん方に居住の問題がございますので、この居住に対しまして移転就職者用宿舎の優先入居ということで、これは雇用促進住宅入居希望の皆さん方にお聞きしながらこれらの問題をやっていくということでございます。

 それから、職業訓練の機動的な実施につきましてもやることとしておりまして、既設訓練科の定員枠の拡大または優先的受け入れを行って、離職の皆さん方に優先的にひとつ職業訓練を受けていただける体制をとっていきます。そのほか、大型自動車運転ですとか、島内におきます可能な職業訓練の実施その他を行っていくところでございます。

 その他、助成金の措置につきましては、先ほど申しましたように、雇用開発助成金でありますとか、各種助成金制度の活用につきましての御説明を行っている。

 具体的には、そういうことを今やらせていただいているところでございます。

江田委員 ありがとうございます。

 本日は、九州並びに北海道の炭鉱関係者の皆様も多く傍聴していただいております。そこで、先ほど来質疑応答が続いておりますが、私は、特に重要と思います点について何点かお伺いさせていただきたい、少しダブるところもございますが、あえて確認させていただきたいと思っております。

 今、両大臣の力強い御決意をお聞きいたしました。やはりそのお気持ちで対応していただきたいと思うのでございますが、厚生労働大臣からは雇用対策について具体的なところが今申し述べられたところでございますが、私も、今後はこの離職者の再就職に万全を期すこと、これが最重要課題であると思っております。

 現下の雇用情勢というのは、皆さん御存じのように、五・三%の完全失業率であって、非常に厳しい、七カ月連続の様相でございます。こういう中で、炭鉱離職者が再就職していくというのは、それは以前にも増して厳しいものがあるというのが現状であるかと思います。

 このような中で、実効的な雇用対策をとっていかなければならないと思うのでございますが、現在、会社が実施した再就職アンケートというのがございます。この一回目の再就職アンケート調査の結果では、約四割の方が十三年度内での転居を希望されておりまして、再就職希望者の八割が長崎県内での再就職を希望されている。再就職の主な希望就職先というのは、土木、建設、造園、トラック、建設機械の運転というものになっております。これらはいずれも、よくわかりますように、経営が厳しい職種でございまして、私は、この種の職業への再就職がスムーズにいくとは到底考えられません。

 本人の意向と適性、さらに市場のニーズを見きわめて、先ほどから言われておりますけれども、きめ細かな相談体制をつくる、また、多様な訓練ニーズに即応した機動的な職業訓練をやっていくことが非常に重要かと考えておりますが、この点、政府としましてどのようにお考えなのか、再度お伺いいたします。

酒井政府参考人 御報告申し上げます。

 今、大臣の方から御答弁がございましたし、また先生の御指摘がございましたとおり、やはり離職者の皆様方のニードというものを基本に置いて対応すべきだというふうに思っておりまして、訓練につきましては、訓練の希望時期であるとか科目、そういうものにつきましては、これは離職者の方の御希望を十分踏まえて必要な措置をとるということが重要であると認識しております。

 具体的に申し上げますと、公共の職業訓練施設あるいは民間教育機関への委託といったようなことを縦横に使いまして、その中で新しい科目を設定する、あるいは定員枠をふやす、優先的にやる、それから、島内に施設を仮設するなりして皆さんの便宜に合うように努力したいというふうに、訓練面ではそう思っておるところでございます。

 そこで、もう一つ先生の御指摘の、就職の方は非常に厳しいじゃないか、その点は確かにございます。私どもも第一回目の御希望を把握しておりますが、さらに私どもなりに調査しているところでございますが、我々といたしましては、離職者の方の希望のみならず、求人の実態もすり合わせまして、我々の職業能力開発機関と職業安定機関が十分に連携を図りまして、訓練から就職に至るまでのきめ細かい支援に実に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

    〔委員長退席、原口委員長代理着席〕

江田委員 今般の緊急雇用対策におきましても、相談から就職まできめ細かな対応を厚生労働省はとるということを言っております。炭鉱離職者についても、私が聞いておる限りでは、三井三池が終わった、それから一般の職業についたんだけれども、しかし、やはり炭鉱関係の仕事をできるのであれば、そういうような思いで池島炭鉱への再就職が決まった、ところが、今回のような閉山を迎えて、また就職に悩まなくてはならないというような人もいっぱいおるわけです。やはりそのときの再就職における職業訓練で、自分の適性に合って、また、能力をアップした、ミスマッチのない、そういう就職ができるように本当にきめ細かに厚生労働省としては対応していただきたいと思っております。

 先ほどから坂口厚生労働大臣、また厚生省の方から、今後の職業相談、訓練に加えて、雇用の創出、受け皿づくりが、これがまた重要なのでございますが、それに対して種々の対策が言われております。

 その中に、緊急地域雇用創出特別交付金、この活用も図りたいということであっておりますが、これは今般の緊急雇用の中では最重要、また、大きな柱として注目されておるものでございますが、緊急かつ臨時的な新公共サービス雇用というものを創出する事業として新たな緊急地域雇用創出特別交付金が設けられました。

 これは、補正予算額が三千五百億円である。長崎の場合、五十億五千万円の配分が予定されております。現在、事業計画案が各県で検討されているところでございますが、それに基づいて、十二月中旬までに申請することとなっております。

 きょうは、これに関しましては、私の提案ということでお話をさせていただきますが、この新たな緊急地域雇用創出特別交付金を大きく活用して、今回の閉山により生じた炭鉱離職者の雇用を確実にしていくことが非常に重要かと思っております。

 そこで、そのためにも、私は、現在の配分額を見直して、上乗せして交付すべきではないかということをここで強く提案申し上げたいと思うのでございます。坂口厚生労働大臣、また厚生労働省の的確な対応をよろしくお願いするものでございます。これは提案のみにさせていただいておきます。

 次に、経済産業省関連でございますが、先ほど来質疑応答がなされております炭鉱技術移転五カ年計画について質問させていただきます。

 先ほど来論じられておりますけれども、私もこう理解をしております。

 我が国の一次エネルギーの中で、安価で供給安定性の高い石炭は重要な位置を占めております。米同時多発テロ後の原子力の安全性への不安増加というものもございます。中東、中央アジアにおける油田開発、輸出の不安定性の増加というものも懸念されておりますが、これらのことから、今後、石炭の需要は増加するものと考えられるのではないか。一方、地球温暖化問題に対しましては、クリーンコールテクノロジーなどの新技術導入で二酸化炭素の発生を極力抑えながら、今後十年間はやはり石炭に頼らざるを得ないのではないか。それが現状ではないかと現時点で考えられるものでございます。炭鉱技術移転五カ年計画は、その石炭エネルギー確保のために海外炭の供給安定を図ることを目的として実施されるものであると承知しております。

 そこで、質問でございますが、これまでは炭鉱存続を前提として計画がなされていたと思うのでございますが、閉山後の池島炭鉱跡地においても研修事業は五年間確実に実施されるのか。また、この五年間確実に継続実施されるための必須条件というのがあるのであれば教えていただきたい。

 この計画というのは、離職者に対する雇用の受け皿としましては極めて重要な事業でございます。五カ年計画実施を確約する予算の確保も含めまして、先ほどから議論はあっているかとは思いますが、再度、平沼経済産業大臣の考えとその決意をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 池島における来年度以降の炭鉱技術移転五カ年計画については、松島炭鉱株式会社が、地上付近の坑道や施設を利用して、指導員、補助員、保安要員を含めて雇用規模百人程度で、掘進、運搬、保安等の研修を実施する、こういうふうにいたしております。また、地元の自治体の皆様方も強くその実施を要望しているところであります。

 経済産業省といたしましては、残された炭鉱施設を有効に活用してまいりまして、関係国の要望内容にも十分沿った研修の実施に向けて、先ほども申し上げましたけれども、御地元の準備が整えば必要な調整に入りたいと思っておりまして、そういった形で日本が培った世界有数のいわゆる石炭の技術というものを外国に移転し、そしてまた、地域の、そういう池島炭鉱の皆様方にもそういう中で力を出していただこう、こういう基本方針でこれから頑張っていきたい、このように思っています。

江田委員 閉山する池島炭鉱の方々は、この五カ年計画が確実に実施されるものなのかどうか、そこを非常に心配なされております。今、大臣のお答えにもありましたように、確実に実施するという方向で御検討のことというふうに存じ上げますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 用意している質問は多くあるのでございますが、時間の方は刻々と迫ってきますので、次に、地域振興策について、先ほどから論じられております点について私も質問させていただきます。

 地元外海町におきましては、池島炭鉱に依存する部分がかなり多かったと思うわけでございますが、今後の地域振興につながるような対策としまして現在どのようなものが考えられているのか、ここについてお伺いいたします。

 また、政府は、その財源的支援を含めまして、先ほども申し上げられていることであろうかと思いますが、産炭地域活性化基金が既に四十五億円積まれている、また新産業創造等基金が新たに四十五億円積まれて、合計九十億円が基金としてありますということでございました。後者の新産業創造等基金という四十五億円については、取り崩して、それを地域振興の方に使っていくということで、これは町の知恵を絞って地域振興に役立てられるかと思うのですが、先ほど来議論されておりますけれども、私も、前者の活性化基金も含めて今後の地域振興に活発に自由に使わせるお金としていいのじゃないか、そのように思います。

 これらを含めまして、どのようなお考えを政府は持たれているか、再度御確認させていただきます。

大島副大臣 お答えを申し上げます。

 当省といたしましては、外海町等西彼杵地域の長崎産炭地域の活性化対策を検討するため、県や地元自治体の首長あるいは関係産業界、学識経験者から成る検討の場を設けまして、地域の特色や地元のシーズ、ニーズの把握あるいは地域振興プロジェクトの発掘のための調査を行ってきたところでございます。本調査結果を受けまして、外海町においては、地元の特産品を扱う物産施設や公営住宅の建設等のプロジェクトが検討されていると聞いております。

 外海町が検討しているこれらの振興プロジェクトにつきましては、明日、十二月四日に開催いたします産炭地域振興関係各省庁等連絡会におきまして、外海町及び長崎県から具体的な要望としてお聞きすることといたしております。

 そして、今、先生からもいろいろ中身についてお触れになられましたが、地元の要望につきましては、産炭地域振興臨時交付金や取り崩し可能な新産業創造等基金四十五億円、これは既存の活性化基金と合わせますと御指摘いただきましたように総額九十億円になるわけでございますが、そういったものを活用しながら、地域の振興につながる事業について財政面からも積極的に支援をしてまいる所存でございます。

 お答えといたします。

江田委員 活性化基金の方の使途についてもよろしく御検討いただきたいと思います。

 最後の質問になりますが、これは、特に池島炭鉱のことに限らず、一般の産炭地域の振興対策についてということでございますが、産炭地域振興対策の円滑な完了に向けて激変緩和措置が、法が失効します平成十四年度以降も講じられるということになっております。この具体的な内容をまず再確認させていただきたいと思っております。

 特に公共事業の補助率引き上げ、普通交付税の産炭地補正につきましては、旧産炭地域の特殊事情がいろいろございます。これを考慮して確実に実施されるかどうか、これについても御意見をお伺いしたいと思っております。

 私、先ほども申しましたように、熊本県の荒尾市、また福岡県の大牟田市というのは、私のふるさとでございます。こういう現場のお声をお聞きしておりますと、例えば炭鉱の跡地というのがあそこにも余計残っておるわけであります。三井三池所有のものでございますから、そういうところの土地を買い上げて地域振興を、集積して広域な地域で対応する、そういうふうに地域振興のための買い取りをやろうと思っても、なかなか三井三池が売ってくれない、もしくは価格が高い、そういうような問題があって、なかなか進まないのが現状であります。

 また、三井所有の水道、社水ですが、これもまだ大牟田、荒尾地域では三、四割は使われているのが現状です。市の水道の一元化というのが前々からの課題でございますが、これについても、買い取り価格といいますか、そういうものが非常に高いということで、なかなか苦労しているのが現状です。

 こういうような地域振興のために必要なインフラ整備にしても土地整備にしても、そういうものを進めるためにも、この地方交付税の産炭地補正というのは現地においては非常に重要であるということを常々お伺いしております。

 そこで、こういう普通交付税、また特別交付税に含まれる産炭地補正でございますが、これについては、続けて手厚く配慮していただきたい、平成十四年度以降も続くのだということを御回答していただきたいと思うのですが、よろしくお願い申し上げます。

香山政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、産炭地域振興臨時措置法が十三年度失効いたしますけれども、法失効前に着手した公共事業に係る補助率は五年間延長するという措置が講ぜられております。

 私ども総務省の所管の方でいいますと、産炭地補正というのがございまして、これは、炭鉱の閉山等によりまして就業者が減少するとか、過去の地方債の償還が残っておるとか、そういったことの影響を緩和するために割り増しをするという補正でございますけれども、これも平成十三年度までの措置というふうに現在までなっております。

 公共事業につきまして、ただいま御指摘がありましたように、経過措置が講ぜられることも踏まえまして、私どもも、この産炭地補正につきましても、何らかの経過措置を講ずる方向では検討してまいりたいと考えております。

 同時に、閉山をいたします地方団体の場合は、水道施設の整備でありますとか、ただいま御指摘がございましたようなもろもろの施設、地域振興対策が出てまいります。これにつきましては、地元の御要望を十分伺いながら、地方債、特別交付税等によりまして適切な財政措置を講ずるように努力してまいりたいと考えております。

江田委員 平成十四年度以降の交付税の産炭地補正についても前向きに検討されているとの御回答であったかと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 時間になりましたので、これで終わりにしたいと思うのですが、四十年続きました産炭地域振興臨時措置法が今年度末で終了することになるわけでございます。一世紀の間、日本を支えてきた石炭産業でございますが、この振興にかかわった多くの方々の功績に報いるためにも、後世に憂いなく立派にこの石炭対策にかかわった人たちが終わらなければならない、私はそのように思います。

 また、このときに突然でございますが生じた池島炭鉱の閉山の問題に対しても、これもまた後世に憂いのないように立派に終わる、立派に対応するということが必要であるかと思いますので、どうぞ、関係各大臣の、また各省庁の対応をよろしくお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

原口委員長代理 次に、児玉健次君。

児玉委員 日本共産党の児玉健次です。

 池島炭鉱の閉山は、まことに残念です。そして、つい先日、太平洋炭鉱経営者の閉山に関する意思が報道されました。私は、太平洋炭鉱の経営者に対して、炭鉱存続のためにあらゆる努力を尽くすことを強く求めたい、こう思っております。まずそのことを表明して、質問に入ります。

 先ほど坂口大臣から、現在の雇用情勢の厳しさについてお話がありました。過去の閉山にも増した厳しさに私たちは今直面している。失業率五・四%、男性は五・八%、中高年齢者の就職は困難をきわめています。

 今、炭鉱で汗を流していらっしゃる方々は、大体四十代後半というのが平均値にもなっている。そういった中で、政府として、予想される離職者に対してどのような実効性のある対策を考えていらっしゃるのか。先ほど、現地にすぐ就職あっせんその他を出向かせるというお話がありましたから、もうそのことはお聞きする必要もありませんが、どんな実効性のある対策を考えていらっしゃるか、とりわけ下請関連企業の離職者に対する皆さんの実効性のあるお考え、これをまず聞かせていただきたい。

坂口国務大臣 今、委員が御指摘になりましたように、平均年齢は、職員の方が四十五・五歳、鉱員の方が四十五・七歳、両方同じにしまして四十五・六歳、確かに四十歳半ばの方でございます。

 何をやるかということにつきましては、先ほどから何度か触れさせていただいたところでございますが、一つは臨時職業相談所を設置して職業相談あるいは職業紹介をする、求人開拓の実施、職業訓練の機動的な実施、手帳の問題等々に触れさせていただいたわけでございます。

 今、私もいろいろ考えているわけでございますが、先ほどから出ておりますように、江田委員からもありましたように、例えば大型の運転手の免許を取りたいとか、いろいろの御要望は多いのだろうというふうに思いますけれども、しかし、そのことが現在の雇用情勢の中で受け入れられる状態かどうかということもよく考えなければいけないわけでございまして、御本人の御要望にあるからといって、それだけでやっていてはいけないというふうに思います。

 したがいまして、これは、いわゆるカウンセラーあるいはアドバイザーという名前で呼んだりいたしておりますけれども、そういう皆さん方が現在の状況というものもよく皆さん方に御説明を申し上げて、そして、現在、雇用のあり得る範囲はどういうところかということを御説明申し上げる中で御本人のいろいろの御希望もお聞きして、そして決めていかないといけないだろうというふうに思います。したがって、そうした人材を派遣するということがやはり大事ではないかというふうに私は考えている次第でございます。

児玉委員 端的にお答えいただきたいのだけれども、関連下請企業の離職されている方たちも、制度の範囲で全く同じように全力を尽くすということですね。

坂口国務大臣 関連の企業の方も当然ございますし、それから、現在の九州の方の、長崎の方の話でございますと、島全体のいろいろの立場の皆さん方もおみえになって、そして、直接には炭鉱にかかわっておみえにならない皆さん方の中にも、閉山ということによって影響を受ける皆さん方もおみえになる。そうした皆さんも含めて、我々としては対応を考えていかなければならないと思っている次第でございます。

児玉委員 先ほど坂口大臣は、職業訓練の機動的な実施、そうお答えになった。これはかなり実効性のある対策だと私は考えます。四十五歳から六十歳、そして回数の制限等がある。黒手帳、緑手帳の期間中でも、これは完全に実施が可能ですね。そこのところについて具体的にどんなことを考えていらっしゃるか、答えていただきたい。

坂口国務大臣 現在、雇用対策臨時特例法案が参議院の方で御審議をいただいているわけでございますが、これは成立した暁においてということでございますけれども、その中には、訓練延長給付の問題でございますとか、今までは一回だけだったのですけれども、複数回、受講指示ができる、そうしたことが含まれているわけでございますから、そうしたことをこの法律ができ上がりました暁におきましては実施できるようになりますので、ぜひそうしたことも取り入れていきたい。ぜひ御賛同いただきますようにお願い申し上げたいと思います。

児玉委員 その点、私たちは全体的に判断しますので、その上で申したいのですが。

 議論をやはり進めましょう。

 先ほど大臣は、地域に合ったものでなければ絵にかいたもちだとおっしゃった。それは一つの真実だと思いますね。同時に、長く炭鉱で技術者として頑張ってこられた方たちですから、そういう方たちの中から、例えば大型運転、建設機械、溶接、製缶、電気など、こういった分野の訓練を求める、そういうニーズが強いことは私はよく理解できると思う。それらについても可能な努力を私は求めたいと思います。いかがです。

坂口国務大臣 もちろん、そこで働いておみえになりました皆さん方が御希望されることにつきましては、それは最優先にそれにおこたえするということが大事だというふうに思いますが、しかし、先ほど私が申し上げましたのは、御本人が御希望になりましても、それが現在の経済状況あるいは雇用の状況からして、その技術を身につけましても雇用が確保できるかどうかわからないようなものについてはよくお話を申し上げる必要があるということを私は申し上げたわけでございます。

児玉委員 再就職に向けての意欲をどうやって引き出していくか、そして、それが社会的にも十分にたえ得る技術という形で結実していく。あなたは本人の希望を最優先にとおっしゃったけれども、そこのところを私は強く求めて、次の問題に入ります。

 経済産業大臣にお伺いします。

 下請関連企業は閉山の直撃を受けますね。そして、その場合に、閉山交付金制度の仕組みとは全く縁がありません。地元商店街に対して営業の助けとなる支援策、とりわけ営業継続が可能なような支援策が今求められている、そういうふうに聞きますけれども、大臣、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 児玉委員にお答えをさせていただきます。

 経済産業省といたしましては、池島炭鉱の閉山に伴って影響を受けられる中小企業者の方々にできるだけの支援をする必要があると考えておりまして、十月十二日の閉山提案後から直ちに諸般の対策を講じてきております。

 すなわち、まず、相談窓口を政府系中小企業金融関係三機関、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会等に閉山提案後直ちに設置いたしました。資金繰りや経営問題等の相談にきめ細かく対応させていただいています。

 また、緊急の所要資金の調達支援のため、政府系中小企業金融関係三機関から運転資金を別枠で貸し付ける制度を適用しております。

 加えて、先週十一月二十九日の閉山を受けまして、翌三十日には、既往債務の償還猶予、そして、担保徴求の弾力化等につき個別企業の実情に応じ特段の配慮を払うよう、各政府系中小企業金融機関に対し要請したところでございます。

 さらに、民間金融機関からの資金調達を信用保証をもって円滑化すべく、先週十一月三十日に、池島炭鉱を産炭地域における中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の対象に指定いたしました。事業の継続や売掛金債権の回収が困難となる等の影響を受ける中小企業者が別枠で倍の信用保証を受けられる措置を講じたところでございます。

 加えて、それ以外の中小企業でも、池島炭鉱と直接または間接に取引を行っている中小企業者あるいは池島島内のすべての中小企業にこの特別の信用保証措置内容を適用できるように、実態につきまして早急に調査しているところでございまして、セーフティーネット保証制度の適用のための諸手続を速やかに進めてまいりたい、このように考えております。

 以上のような措置をきめ細かに講ずることによりまして、関連中小企業への影響緩和に私どもは万全を期してまいりたい、このように思っております。

児玉委員 あらゆる制度を文字どおり機動的に駆使して、そして商店街の皆さんの御苦労にどうやってこたえるか、その熱意で大いに努力していただきたいのです。

 しかし、大臣、私はもう一歩踏み込んで言いたいのです。閉山交付金制度というのは、閉山する炭鉱に対する補償を伴っています。そして、今ある中小企業に対する支援策というのは、残念ながら、営業を継続するための補償、移転するときに対する補償、支援、こういったものを伴っていません。ここのところが現在重要な検討課題だと私は考えるのですが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 中小企業のそういった皆様方の必要な資金ということに対しては、こういう厳しい状況の中ですから、そういう面も含めてきめ細かく対応させていただきたい、このように思います。

児玉委員 真剣に検討していただきたいということを重ねて申しておきます。

 さて、海外技術移転五カ年計画の問題に入ります。

 昨年の池島炭鉱の坑内火災事故、本年初めの太平洋炭鉱の自然発火、本当に残念でなりません。私は、この委員会で、これまで、日本の石炭産業の存続のために決定的に重要なことの一つが保安の確保だということを繰り返してきました。平沼大臣も、この問題で、通産大臣でいらっしゃったときに議論したことがありましたね。

 そこで、経済産業省として、この一両年の事故からどのような教訓を引き出しているのか、そして、今後の保安体制の強化のためにどんな対策を考えているか、保安強化のための国の監視体制も含めてお答えいただきたい。佐々木宜彦原子力安全・保安院長からの答弁を求めます。

佐々木政府参考人 炭鉱の保安確保につきましては、従前より、生産活動の大前提として万全を期してきたところでありますが、両炭鉱において坑内火災あるいは自然発火という生産活動に大きな支障を与える重要な災害が発生したことについては、まことに遺憾であり、また、残念でもありました。

 このため、当省といたしましては、鉱山保安監督部に学識経験者から成る委員会を設置し、原因を調査するとともに、その再発防止対策として、炭鉱に対し、集中監視装置の増強や消火設備の増強、災害連絡系統の見直し等を行わせて、あわせて、鉱山保安監督部による監督検査の頻度を増加するなど、再発防止に努めてきたところでございます。

 今後とも、引き続き所要の監督指導等を行い、保安確保に万全を期してまいりたいと考えております。

児玉委員 私がお聞きしたいのは、佐々木さん、一つは、この一両年の事故の中からどのような教訓を引き出していらっしゃるのかという点。そして、今お答えがありましたが、本年六月二十日のこの委員会で、佐々木さんから、その二つの炭鉱からどのような保安強化の計画が出されているかということを詳細に御答弁いただきました。それが現在確実に実施されているかどうかを含めてお答えいただきたいと思います。

    〔原口委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木政府参考人 事故の原因究明等について、調査委員会も設けて、幾多の保安強化の対策を実施させることにしたわけでございますが、現在、それらの対策が確実に行われておりますことを、鉱山保安監督部におきまして、巡視あるいは点検活動も強化いたしまして確認いたしておるところでございます。

児玉委員 後段については今お答えいただきましたが、その前段です。山でもかなり苦労して集中的な監視体制があった、にもかかわらず二つの事故が起きた、そのことについてどのように教訓を引き出していらっしゃるか。

佐々木政府参考人 一つは、こうした監視装置、いわゆる巡視点検については従前からも十分にやってきたところでございますけれども、こうした二つの事故を教訓といたしまして、いろいろな対策、措置を講じてきたところでございますけれども、なお一層気を引き締めて、私どもの規制当局においてもそうでございますけれども、事業者においても今後なお一層気を引き締めて対応していく必要があるということを痛感しているのでございます。

児玉委員 一九九九年の世界の石炭貿易、先ほども一部御質問がありましたが、いろいろな特徴を持っていますね。石炭産出国の輸出総量が五億二千万トン強ですね。それから、日本の輸入量は一億三千二百万トン強です。世界の貿易における石炭の輸出入の二五・五%を日本が占めている。この状況がいいのだろうか。この状況について経済産業省はどうお考えか、広田政府参考人の答弁を求めます。

広田政府参考人 今、先生がお話しになりました数字と若干違っておりますが、ほぼおっしゃったような、世界の石炭貿易量の三〇%近くを日本が輸入しておるということでございます。

 この点につきましては、この輸入の相手国は、先ほども話がございましたけれども、例えば豪州が約六割、それから中国あるいはインドネシアということでございますが、日本はこうした国との良好な関係を維持しつつ、また、今般の五カ年計画という研修も予定されておるわけでございますけれども、こうした関係を維持しながら、これからより緊密な関係を維持して、この輸入の安定化、供給の安定化に努力しているところでございます。

児玉委員 広田審議官、私が調べた資料だと二五・五%だったけれども、今のお答えはもっと新しい数字のようで、三〇%近い。ますます私は事柄の重要性を指摘せざるを得ません。

 どこからどのくらい輸入しているかというのは重要な問題ですけれども、世界の石炭の貿易量の約三割を日本だけで占めているこの状況を、日本のエネルギー需給という観点から、あなたはどう見ていますか。

広田政府参考人 先ほどもお話ございましたけれども、例えば豪州からの石炭の輸入に対しましては、我が国が、例えば直接調査に参画したとか、直接権益を取得して輸入しているというような、その供給の安定のために努力しておるわけでございまして、その結果として、例えば豪州につきましては六割ぐらいの輸入になっておりますけれども、そのうちのかなりの部分は、日本が直接的あるいは間接的に関与しているということでございますので、これはそういう輸入をする相手国との関係を維持しながらやっているという意味で、私どもとしては努力をしているというふうに考えております。

児玉委員 ところで、海外一般炭のCIF価格が一番高かったのはいつで、金額は幾らだったでしょう。

広田政府参考人 一般炭の輸入価格、CIF価格でございますけれども、これはいろいろ、スポット価格とかというのがあるわけでございまして、そのスポット価格の一つ一つがなかなかわかりませんが、年ごとに見ますと、昭和五十七年度に輸入された石炭の平均価格がトン当たり約一万六千十円ということでございまして、これがこれまでの最高額でございます。

児玉委員 平沼大臣、一九九五年の消費者物価を一〇〇だとすれば、一九五五年は一七・三です。ただし為替レートの変動がありますが、物価のことを考えたら、これは今、輸入炭の輸入価格は想像できない金額です。

 そして、審議官は、一定の期間の最高価格を一万六千十円とおっしゃったけれども、瞬間的にいえば一万七千二百四十円です。審議官、そうですね。

広田政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、私どもが知り得る限り、五十七年二月の一万七千円強が一番高い価格だと思いますが、今ちょっとその後のお話がありましたので、この五十七年度の翌年には一万二千五百二十円という価格に下落いたしております。

児玉委員 石炭の価格が過去においてそういった実勢を示していたということを、私たちは決して忘れることができません。

 それから、昨年の三月六日、私はこの委員会で、原油の取引価格がわずか一年で三倍に急騰した問題を取り上げたことがあります。そのとき、通産省は、ヘッジファンドの資金が流入している説もあるところです、こういうふうに述べられた。

 原油が投機的な市場になるようなことはあってはなりません。しかし、今後も、状況によっては、投機的な資金の流入、こういうことが現出する可能性があるのではないか。審議官、どうですか。

広田政府参考人 将来の予測を完全にするということは難しいわけでございますけれども、石炭の場合、大変大きな埋蔵量がございます。石炭の価格が上がるということになりますと、またその価格を目指してスポット物として供給が出てくるというようなこともございます。したがいまして、そのあたりは、価格が上がれば供給がまたふえてくるというような関係で今後推移するのではないかというふうに思っております。

児玉委員 どうも経済産業省は質問に答えませんね。

 私がお聞きしているのは、原油価格の問題で、そしてその中で、今後も投機的な資金が原油取引に投入される可能性があるのではないかとお聞きしたのです。

河野政府参考人 先生からは、前回の国会の折にも、原油価格の動向について御質問いただきました。そのときに、原油市場におきましては、特に先物市場にヘッジファンド的な、いわば投機的な資金の流入があるのではないかというお答えを差し上げたわけでございます。

 そのことについて、いろいろ議論はあろうかと思いますけれども、世界的に金融が自由化されている中でこうしたマーケットは動いておりまして、それは現実のものとして受けとめなければならないというふうに思っております。そういう意味で、原油市場における投機的な資金の流入の存在を否定する論理はないというふうに思っております。

児玉委員 まさにそのとおりだと思いますね。国際金融取引の対象に原油がなるような状態をつくり出してはならないけれども、しかし、その可能性はなくなっていない。

 そういう中で、先ほど、まさしく広田審議官がお触れになった石炭の需給の問題です。特に東アジアの需給の問題、私はそのことに絞って次にお聞きしたい。

 東アジアで、中国、韓国、台湾を中心にして石炭需要が急増しています。私たち、この衆議院の石炭対策特別委員会でも、これまで、石炭の安定供給について、全く別の理由から石炭対策が講じられなければならない状態に立ち至っていると参考人が述べたことがあります。全く別の理由というのは、今の瞬間での安定供給だとか、今の瞬間での国内炭と海外炭との輸入の価格差だとか、さまざまな理由があるけれども、全く別の理由というのは、日本が必要とする石炭が入ってくるかどうか、そこを視点にして考えなければいけない、そういう状態に立ち至る可能性がある。

 何といっても決定的なのは、中国の現状とそして今後です。中国における直近の石炭生産量と国内消費量を示していただきたい。

広田政府参考人 手元にある資料が若干古うございまして、概数でお許しいただきたいと思いますが、約十億トンということで御理解をいただければと思います。(児玉委員「消費量は」と呼ぶ)現在の消費量が約十億トンということでございます。

児玉委員 概数で私は十分です。

 今、直近の数字でいえば、中国の石炭の国内生産量は約十億トンですね。そして、消費量は、今お答えになったとおり、これも約十億トンです。中国は、この東アジアにおける石炭の輸出国の役割を果たすことは現実的に非常に困難になっています。

 さて、その中国において、二〇二〇年度、国内の石炭消費量がどこまで伸びていくか、国際的なエネルギー機関等の推計があれば示していただきたいと思います。

広田政府参考人 これはIEAの見通しがございますけれども、二〇二〇年で中国は約二十億トンの消費になるのではないかという見通しが一つございます。

児玉委員 その中国における石炭の賦存状況ですが、それを深度別に見るとどんな状況でしょうか。

広田政府参考人 これはなかなかわからないわけでございますけれども、中国の国の資料、中国能源年評ということですからエネルギー年表みたいなものかと思いますけれども、その一九九七年に若干触れておりまして、深度三百メートルより浅いところに三〇%、三百メートルから六百メートルに四〇%、残りがそれよりも深いところというような資料がございます。

児玉委員 今の数字に、先ほど平沼大臣がおっしゃった技術移転計画の重要性の客観的な根拠が示されている、私はそう思います。

 そこで、技術移転計画における来年度の概算要求は四十億円だと既にお話がありました。研修生受け入れに伴う諸経費、そして施設の借り上げ料、保安施設の維持強化、このあたりはいかがでしょうか。審議官からお願いします。

広田政府参考人 来年度の炭鉱技術移転五カ年計画の予算として、約四十億円の予算の要求をお願いいたしております。

 具体的には、日本に受け入れる費用として約三十二億円、それから、逆に日本から派遣する費用として七億円強ということでございます。それらの中には、研修員の渡航費だとか、研修指導員にかかる費用、研修に利用する炭鉱関連施設の費用というようなものがございますし、海外への派遣については、専門家といいますか技術者の海外への派遣費用等々がございます。

児玉委員 先日も、私、釧路に行きましたが、ベトナムからおいでになった研修生に対して、市民の皆さんが本当に心温かく歓迎されていますね。時には自転車などを使って商店街にもおいでになるし、そして、ベトナムの研修生の生気あふれる姿というのは釧路の青年を励ましています。

 私、お聞きしたいのだけれども、そこで、研修生一人当たりの生活費、滞在費、これらは月額でどの程度を見込まれているでしょうか。

広田政府参考人 研修生にかかる費用といたしましては、渡航費とか宿泊費とかがあるわけでございますけれども、それらは実際に実物を提供するというような形で出されるわけでございます。それから、食事につきましても、平日は食事を食堂で提供いたしております。

 したがいまして、研修生の本人に対しては、土曜日、日曜日の食費に該当する部分と、それから、いわゆる一日当たりの雑費というようなものが支払われるわけでございまして、概算でございますが、月額七万円程度ということでございます。

児玉委員 性質は違いますけれども、外務省でもこの点についてはかなりいろいろなことをやっていますから、大臣、ここのところは、研修生の皆さんが寂しい思いをしないように御努力を私は求めたいと思います。

平沼国務大臣 今答弁をさせていただきました、土曜日と日曜日の食費とあとは雑費で七万円、これは平均的な日本人が大体使う平均額だというような観点で支給させていただいておりますけれども、せっかく日本に研修に来られた方々ですから、より快適に研修を受けていただくようにいろいろな面で努力はしていきたい、このように思っています。

児玉委員 そこで、平沼大臣に私は二つのことをお願いもし、かつ、質問もしたいと思うのです。

 先ほどからのお話のように、来年から本格化するこの制度に対する約四十億の概算要求がされている。いろいろ検討中でしょうから、私はその細部をお聞きすることはあえていたしません。

 そういった中で、外国から研修生をお迎えするわけですから、保安の確保、この点については特別の努力が必要だと思います。六月二十日、この委員会で大臣と私が議論したとき、安全の確保というのが絶対の条件であって、それが絶対の条件であることは論をまたない、大臣はそうおっしゃった。私も本当にそう思います。

 そこで、この保安の確保というのは、海外に対して日本の技術をお伝えする場合の生きた教材でもありますね。この炭鉱保安の充実強化に向けて国の支援を具体的に明確にしていく必要があると思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 海外研修事業の実施に当たりましては、研修現場におきます保安水準が確保されることが大前提でございます。このため、炭鉱技術移転五カ年計画実施のための予算要求におきましても、研修の実施に必要な費用として、炭鉱関連の施設に係る費用の一部についても計上いたしておりまして、これにより安全な操業が確保されるべきものと考えております。

 今後、研修生を坑内の作業現場に受け入れることに伴いまして保安対策を一層徹底することが必要と考えておりますが、研修生に対しましては、我が国における保安規則の遵守の徹底、正しい操作手順の理解による安全な作業の徹底、また鉱業権者に対しては、安全な研修場所の選定、退避設備へのわかりやすい案内板の設置、退避訓練の実施、あるいは万が一災害が発生した場合の研修生の速やかな連絡体制の確立などが必要であると考えております。

 今後、鉱山保安監督部におきましても、引き続き十分な監督、指導等を講じまして、鉱業権者に対し、研修生に対する徹底した保安教育の実施を含めまして、これまで以上に緻密な保安対策を策定し実行するよう、監督指導してまいりたいと考えております。

児玉委員 九七年の六月十二日に、私どもの委員会に、九州大学の内野健一教授が参考人としておいでになりました。そのとき、内野教授は、石油などのエネルギー、「極めて重要なエネルギー資源が明確な形で枯渇に向かうという、人類がこれまで経験したことがない大きな問題がほぼ五十年以内に発生する可能性があるということに対しては、多くの対策が必要であることは言うまでもありません。」こう明言されました。そして、二十一世紀、「石炭は再びエネルギーの王座に返り咲くであろう」というふうにお述べになった。

 NEDOが一九七五年から八一年に、北海道で四つの地域、そして九州で五つの地域に限定的に実施した炭層ボーリングによっても、可採炭は約三億トンであることが明らかになっています。そして、今、経済産業省が尽力されているクリーンコールテクノロジー、この開発と普及は二十一世紀において石炭の新しい可能性を開くものです。

 私は最後に言いたいわけだけれども、日本に存在する石炭は日本国民の将来に対するエネルギーの供給源として極めて貴重ですね。日本国民の宝だ、私はそう考える。この技術移転五カ年計画は、アジアの方々に対する日本の私たちの国際的な貢献であるということは言うまでもありません。ぜひ成功させたい。と同時に、この計画は日本の石炭技術の将来に向けての維持発展のために重要な意義を持つと考えるのですが、大臣、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほどの答弁にもありましたけれども、国際エネルギー機関の推計によりますと、今御指摘のお隣の中国の石炭需要というのは、二〇二〇年には現在の倍、約二十億トンに達する、こういうことであります。今後の需要の伸びに応じた供給量を中国としてもしっかりと効率よく確保していくということが非常に重要だと思います。そういう意味で、この炭鉱技術移転五カ年計画は、お隣の中国を初めその他のベトナム、そういった国々にも非常に期待をしていただいているところであります。

 したがって、今御指摘のような、将来のそういう要素も踏まえながら、私どもは、十分に意義のある計画だ、こういう形で着実に実行しなければならないと思っておりまして、先人が築いていただいた我が国のこの炭鉱、石炭の採掘技術、保安技術、そういったものを私どもはしっかりと担保していかなければならない、このように思っています。

児玉委員 終わります。

武山委員長 次に、今川正美さん。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 きょうは、実は、先輩の中西議員に配慮していただきまして、私自身が長崎県佐世保の出身なものですから、池島炭鉱に関して、一、二、質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、石炭産業は、言うまでもなく戦後日本の復興を支えた重要なエネルギー産業でした。一九五三年当時、全国で八百五十カ所ほどの炭鉱があったわけですね。しかし、国の石油産業への転換によって、特に七〇年前後に雪崩閉山となって、八次にわたる石炭政策により、国内の炭鉱は御存じのように池島と太平洋の二カ所だけになりました。

 したがって、私は、従来から、この二つの炭鉱は、戦後を支えた石炭産業、エネルギー産業のシンボルとして、北海道に一カ所、九州に一カ所は国の責任でぜひ残してほしいという強い思いがあったのです。

 しかし、このたび、池島炭鉱が閉山を余儀なくされました。松島炭鉱からしますと、大正二年以来八十八年間の歴史を刻んでいますし、池島炭鉱でも、約半世紀にわたって地域経済を支えてきました。太平洋炭鉱も、報道等によりますと来年一月で閉山になるのではないかということもありまして、そうしますと、いよいよ我が国から炭鉱が姿を消すのかと思いますと、本当に痛恨の思いがいたします。

 そこで、私は、二十分間の限られた時間でありますので、大きく二つのことに関して、池島炭鉱閉山に伴う施策についてお伺いしたいと思います。

 第一点は、炭鉱技術移転五カ年計画についてであります。

 一九九九年の石炭鉱業審議会答申についていま一度確認いたしたいと思うのでありますが、答申によれば、池島と太平洋の二つの炭鉱は少なくとも二〇〇六年度までは存続するものとされまして、一、炭鉱会社は価格引き下げに努力する、二、国は炭鉱技術移転五カ年計画を遂行する、三、電力会社は二〇〇六年度までは買い取りに協力し、二〇〇七年度以降は自由取引とする、四つ目に、自治体は相応の支援をするというものであったと思います。

 これを前提として、国や長崎県あるいは外海町などは、これまで、炭鉱支援のために莫大な税金を注いできたと思います。また、炭鉱労働者も、少なくとも二〇〇六年度までは働けるものという前提で人生設計を組んできましたし、また、地元の関連産業も同じようなことであったと思います。これまで何度となく閉山という報道のたびに、松島炭鉱会社は明確に閉山を否定してきました。ところが、今回、全く突然に閉山を決定したために、すべての予定が狂って混乱しているのが実情であります。

 ちなみに、外海町の人口が約七千名、池島の場合、池島炭鉱で働いている家族を含めますと二千三百五十名ほど、実に外海町の人口の三三%を占めておるわけでありまして、この一つの炭鉱の閉山がそのまま池島という島の死活問題につながってきますし、外海町にとっても、まさしく浮沈がかかる問題であります。

 そこで、まずお尋ねしたいのでありますが、国はこれまでに二つの炭鉱のためにどれだけの補助金を出してきたのか、過去五年間にさかのぼって、目的別、炭鉱別に明らかにしていただきたいと思います。

広田政府参考人 国内炭鉱支援のための主な補助金といたしましては、安定的な生産体制を確保するための坑内骨格構造整備拡充事業費補助金、経営基盤の安定を図るための石炭鉱業安定補給交付金、保安のための鉱山保安確保事業費補助金、この三つがございます。

 これらの補助金の平成八年度から十二年度、五年間の二炭鉱に対する交付実績でございますが、池島炭鉱は、坑内骨格構造整備拡充事業費補助金が約十七億、石炭鉱業安定補給交付金が約十億、鉱山保安確保事業費補助金が約三十五億の計六十二億円でございます。太平洋炭鉱は、同様に、三十三億、二十五億、六十九億の計約百二十八億円でございます。

今川委員 次に、今後とも石炭は重要なエネルギー源であると思うのですが、今後のエネルギー政策における石炭の位置づけをどのように考えておられるのか、また、国内炭鉱が閉山する中、多量に必要となる石炭の安定的な供給の確保をどのように図っていくのか、お聞かせください。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 石炭は、可採埋蔵量が二百年以上あるわけでございまして、先進国にも幅広く分布いたす等、他の化石エネルギーに比べまして供給安定性が高く、しかも、経済性にすぐれております。平成十三年七月に取りまとめられた長期エネルギー需給見通しにおいても、二〇一〇年度において我が国の一次エネルギー供給の実に一九%程度を占めるなど、今後とも主要なエネルギー源として期待されております。

 また、平成十二年度における我が国の総石炭供給量約一億五千万トンのうち、約九八%を豪州、中国、インドネシア等の海外からの輸入に依存していることから、海外炭を安定的に確保することは我が国にとっては極めて重要な課題であると思っております。

 このため、NEDOを通じ、産炭国と共同で探査を行う地質構造調査や、民間企業の海外における探鉱活動に対する補助等に取り組んでいるところでございます。また、平成十四年度より五年間にわたり、炭鉱技術移転五カ年計画を推進することとしております。平成十四年度の本格実施に先立ち、本年度にはベトナムから六十名の炭鉱技術者を受け入れ、研修事業を開始したところでございます。

 当省といたしましては、海外炭安定供給確保を図るため、平成十四年度には約六十二億円の予算を要求しており、今後とも積極的に推進してまいる所存でございます。御理解をいただきたいと思います。

今川委員 さて、三点目に、これは、先ほどからそれぞれの質疑の中で、直接、平沼大臣の方から、炭鉱技術移転五カ年計画についてはぜひ実施したい旨の御答弁もあっておりますので、改めて再確認の意味で質問させていただきたいと思うのです。

 この五カ年計画は、長崎県や外海町、それから、会社や現場でこれまで働いてきた労働者の皆さん方も切実に望んでおりますし、石炭の安定供給確保を図る上でも重要な役割を果たしますし、さらに、外国人技術者の養成という点から見れば、国際的な約束事でもあるのだろうと思います。また、池島が技術炭鉱として存続することで、ささやかながら雇用の確保にも資することができると思うのです。しかも、国などがこれまで投入してきた税金をむだにしないためにも、こういう観点からぜひこの計画だけは実施すべきだと思うのですけれども、いま一度、政府の方針なり平沼大臣の明確な御答弁をお願いいたします。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、炭鉱技術移転五カ年計画によりまして、我が国が長年培ってまいりました世界的にもすぐれた炭鉱技術を海外産炭国へ計画的に移転するということは、我が国の海外炭安定供給確保の観点からも極めて重要なことだと思っておりまして、そういう意味においても、これは確固たる意志で実行させていただかなければならないと思っております。

 池島における来年度以降の炭鉱技術移転五カ年計画の実施については、松島炭鉱株式会社が、地上付近の坑道でございますとか施設を利用して、指導員、補助員、保安要員を含めて雇用規模百人程度で、掘進でございますとか運搬、保安等の研修を実施したい、こういうふうに言っておられまして、また、地元の自治体の皆様方や地域の住民の皆様方も非常に強い御要望を持っておられます。

 御指摘の雇用確保の面からも重要なことだと思いますし、これは、冒頭に申し上げましたように、我が国が培ったいわゆる石炭の技術を担保し継続させる、こういうことで意味のあることですから、私どもは全力でこれに取り組んでまいりたい、このように思っております。

今川委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 先ほど他の委員からもありましたように、まずはこの五カ年間をしっかりとやり遂げることで、国内の技術者はもとより、外国からも切なる要望があれば、まだ先の話になりますけれども、ぜひ第二次五カ年計画というふうに、展望が出てくれば、技術指導に当たる皆さん方にもさらに勇気がわいてくると思います。

 さて、もう時間が余りありませんので、これは私の意見表明だけということにとどめさせていただきますが、幸いに私の身近なところに、ここ三十年余、炭鉱研究の専門家がおりまして、彼からこの間のいろいろなことを聞く中で、技術移転に関して次のような説明を受けました。

 今回は恐らく地下の深い場所を閉鎖して浅い場所での研修が計画されるのだろうと推測されるのですが、実は、地下の深いところほど地圧がかかり、坑内の維持、安全確保、各種作業が非常に困難になる、その困難さを乗り越える技術を開発したからこそ今まで炭鉱が存続できたんだ、そういう困難な技術を伝えてこそ意味があるんだよということをおっしゃっていました。

 これは時間がありませんから質問にはいたしません。

 さて、最後の一点でありますが、今後の病院体制についてであります。

 池島炭鉱の閉山に伴う人口の激減によって、炭鉱病院がどうなるのかが非常に心配されます。病院を存続させるために現在どのような検討をしておられるのか、まずお尋ねしたいと思います。

広田政府参考人 松島炭鉱株式会社は、十月十二日に閉山提案を行ったわけでございますが、この病院は会社が保有する病院でございまして、閉山日をもって閉鎖するということで閉山提案をいたしました。その後、労使交渉もございまして、その結果、年度内は会社が引き続き運営するということで決まっております。

 また、来年四月以降は、外海町にあります民間病院の分院として存続させることが可能なのかどうかというようなことで、今、外海町や会社、それから関係の方で検討が進められているところというふうに承知いたしております。

 私どもとしては、こうした検討の推移を見守るとともに、関係省庁と連携をとりながら対応してまいりたいというふうに考えております。

今川委員 今の御答弁の中で、外海町の民間病院の分院として対応できるかどうか、その可能性の検討中であるということでございました。

 そこで、これは厚生労働省の方にお尋ねしたいと思うのです。

 御存じのように、長崎県は約三十の島を抱える全国一の離島県なんですね。それで、病院のない離島も多いのです。現在、離島医療圏組合が診療船「しいぼると」を運航しているのですね。しかし、長崎県の海は広いし、離島や交通へんぴな集落も多いのです。そこで、病院の施設とか医師、看護婦などを客船に乗せて定期的に巡回して、健康診断だけではなくて、病気治療ができないのかなと思ったりするのです。

 つまり、当分、何とか分院として残そうと、仮にそうなっても、人口がどんどん流出しますので、結局は、民間病院である以上は、採算がとれないよ、こうなったときには先々そう長く続かないかもしれない。そういった意味では、閉山対策を、単なる炭鉱対策だけではなくて、離島対策も兼ね合わせながら、炭鉱に直接関係のない住民にも恩恵が及ぶような、そういう柔軟な対応になれないものかどうか。これはいかがでしょうか。

篠崎政府参考人 ただいま先生から巡回診療船のお尋ねでございますが、離島振興法の規定に基づきます指定地域に無医地区などがある場合には、都道府県単位で巡回診療船を整備することは可能でございます。

 いずれにいたしましても、長崎県から御相談があった時点で、私どもとして、厚生労働省といたしましてどのような対応が可能か、検討してまいりたいと考えております。

今川委員 今の御答弁ですと、地元の長崎県なり外海町、あるいはかかわりとして私のいる佐世保市もそうなんですが、地元自治体側から、病院船をあと一隻用意して健康診断とか病気治療を含めて定期的に巡回していく、そういう要請があればきちんと検討し対応するというふうに受け取っておっていいのですか。いま一度、答弁をお願いします。

篠崎政府参考人 病院船につきましては、設備補助、そしてまた運営費補助が私どもで持っておりまして、今まで事例は非常に少ないのでございますが、そういう御要望があれば都道府県単位で補助が可能ということでございます。

今川委員 時間があと少しございますので、平沼大臣、先ほど私の意見表明にとどめますと言いましたが、基本的に五カ年計画はきちんと実施していきたいという御答弁をいただきまして、それで、地下の深いところでより困難な作業になるんだけれども、そういうより困難な状況下に耐え得る優秀な技術を伝えてこそ意味があるんだよという専門家のレクチャーもあったわけですが、そこのところはいかがお考えでしょう。

平沼国務大臣 それは大変重要な御指摘だと思います。先人が非常に難易度の高いところの技術を開発したということは、やはり将来の技術の保持についても必要なことだと思っています。ですから、現時点の計画では、この池島では、先ほど御答弁したように、入り口付近のそういったところで研修を実施する、こういうことになっておりますけれども、そういったことは今後の検討課題として十分検討に値する事柄だ、私はこのように思います。

今川委員 もうほとんど時間が参りましたので、これで終わりますが、先ほども申し上げましたように、もう二つの炭鉱しか残っていないということで、たとえ技術指導・移転ということであれ、そういう形であれ、百二、三十名の皆さん方を中心にしながら最後のシンボルとしてでも残せればという思いが本当にございます。しかも、池島の場合には、炭層も厚くて傾斜も緩やかで、非常に優秀な炭層である、炭鉱であるということも教わってきました。それだけに何らかの形でやはり残していきたい、また、残った皆さん方のいろいろな生活基盤、生活インフラに関しても国が可能な限り全力を挙げて支援していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

武山委員長 次に、中西績介さん。

中西委員 私、二十分という大変制限された中でやりますので、極めて事務的に質問していきたいと思っています。

 まず第一は、鉱害問題でございます。

 臨時石炭鉱害復旧法が廃止されますけれども、十三年度以降、いよいよ鉱害問題については完全にこれが終了するということの見通しが立っておれば、何も私はここでは質問する必要はありませんが、これは依然として多くの問題を残しています。

 例えば、実施計画に基づいて復旧工事の残余を、法律廃止後、工事終了までの間に計画的にどういうふうに実施するのかとか、あるいは農地の附帯工事、これにかかわる手直し工事など、あるいは道路問題等については公共施設関連等で、いろいろの関連があって、全部これが複雑になってきています。

 ですから、この間に終了せずに、これから後、どのような体制で進もうとするのか。特に私が聞きたいと思いますのは、特に大臣にお答えいただきたいのは、こうした残事業について国がちゃんと最後まで責任を持ってやるということの御認識をいただいた上での御答弁をいただければと思っています。

平沼国務大臣 中西委員御承知のように、石炭政策というのは、昭和三十八年以降、九次にわたり実施されてきておりまして、地域経済、雇用等への影響を考慮して、石炭鉱業構造調整対策、炭鉱離職者対策、産炭地域振興、そして鉱害の処理という諸問題を克服するために施策を講じてきたところであります。

 御指摘の鉱害対策、産炭地域対策については、政策期間が平成十三年度で終了することとなりますが、平成十四年度以降は所要の経過措置を講じて対応してまいりたいと思っております。

 具体的には、鉱害対策につきましては、累積鉱害の残務は引き続きNEDOが行うことといたしまして、浅所陥没等の処理は指定法人等が行っていくことにしております。

 産炭地域振興対策につきましては、基金の活用や産炭地域振興関係各省庁等連絡会を通じた連携により対応してまいりたいと思います。

 確かに、残存の問題は非常に大きな問題でございます。そういう意味で、私どもは、この対策は引き続き今言ったような対策の中で完璧を期していかなければならない、このような決意でやらせていただきたいと思っています。

中西委員 これは質問の要旨をお伝えしてありませんでしたけれども、広田さんにお聞きしたいと思います。

 指定法人の問題です。これは、残るのは福岡県だけになるわけでありますから、これがどのような進捗状況になっており、これからどう対応されていくのか、この点についてお答えください。

広田政府参考人 福岡県の指定法人でございますけれども、これは先般八月一日に設立されたわけでございます。今後、この指定法人を通じまして、浅所陥没等の問題に対してしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

中西委員 この点は、先ほど私が大臣にお聞きいたしましたように、国の責務の中で最後まで見届けるという、これと、今度は県にそのように移譲した形での指定法人を設置しますので、これに至る経過の中で、一時期、国が責任を放棄するような体制になった時期があるのですね。したがって、これを押し戻してやっておりますので、この点について、私は、もうお答えは要りませんけれども、その点を十分認識した上で最後まで見届ける、こうした体制をとっていただきたいということを申し上げておきます。

 次に、就労問題についてお聞きいたしたいと存じます。

 たびたび私は申し上げておりますけれども、筑豊地区における雇用失業情勢というのは、もう論をまちません。十月の有効求人倍率は、先ほどの外海町と同じような状況にある。ところが、これは筑豊全体の問題でありまして、例えば、西地区の方に偏っておる地域の南部の方というのは、もうどうすることもできません。それからさらに、今度は東の方になりますと、私はそこにいるのですけれども、この地域というのは、内陸部で、福岡からだったら峠を二つ越えなくてはならない。しかし、アクセスはまだ完全に充足されていない。こういう状況の中でありますだけに、求人倍率は〇・二以下、こういう状況に置かれております。

 ですから、こういうところで、これから、産炭地域開発就労事業がいよいよ十三年度末で終了しますけれども、激変緩和措置としてのこの五年間の暫定就労事業を実施するということになっています。その予算も概算要求では一応九十八億ということになっておりますけれども、この点について、関係の自治体との理解と確認がどのようにされておるのか。

 さらに、私がもう一つお聞きしたいのは、十一月の意向調査におきまして、三〇・六%が残っていくわけでありますから、これらについて、先ほどの自治体との関係がどうなっていったか。

 それともう一つは、現在、まだ残っておる特定地域開発就労事業、これが唯一のものになるわけでありますけれども、この地域は、先ほど申し上げたように、失業率は一〇%以上をはるかに超えるし、求人倍率は〇・一台である、こういう状況のところでありますだけに、これが持つ雇用問題としての大きな意味を私は今特に指摘しなくてはならぬと思います。したがって、大臣におかれましては、筑豊地域の失業対策をどのように今後考えておられるか。

 この二点についてお答えください。最初の部分は専門の事務方でも結構です。

坂口国務大臣 確かに先生御指摘のように、筑豊地域は、有効求人倍率が十月では〇・二八でございます。その中でも特に、飯塚地域というのですか、この地域は〇・二五になっておりまして、非常に低くなっております。

 今御指摘の点につきまして、事務的に足らざるところがございましたら後でもう少し申し上げますけれども、産炭地域開発就労事業が十三年度で終わるわけでございますが、今実施されております暫定就労事業につきましては、これは、国として福岡県が造成します基金に対して補助を行うことになっておりまして、平成十二年度及び十三年度におきまして、既にそのための予算を、御承知のとおり、九十八億円計上いたしているところでございます。暫定就労事業の実施につきましては、関係します自治体が準備を進めていただいているというふうに考えておりますが、我々もできる限りこれはバックアップさせていただきたいというふうに思っております。

 また、産炭地域を中心に実施しております特定地域開発就労事業につきましては、平成十年十二月の特定地域開発就労事業の在り方に関する調査研究会、この報告におきます指摘を踏まえまして、適正な実施に努めてまいりたいと考えております。

 雇用失業状況が厳しい産炭地域でございます。これはもう御指摘のとおりでございますが、本年十月から実施しております改正地域雇用開発促進法に基づきまして、関係都道府県がその主体性だとか工夫を生かして雇用開発を行う場合の各種支援をこれで行うということにいたしております。

 したがいまして、長崎県の場合に、長崎県でいろいろの立案をしていただく、もちろん御相談に乗らせていただきますけれども、法で、立案をしていただきますことに対して、私たち、最大限の援助をさせていただきたいと思っているところでございます。

 先ほどから申し上げておりますように、公共職業安定所におきますところの職業相談でありますとか、求人開発でありますとか、その他のことにつきましてはもちろんのこと、最大限の努力をしたいと思っているところでございます。

中西委員 私が先ほど申し上げましたのは、暫定就労事業について、各自治体との関係をちゃんと確立しておかないと、これらについて実施するに当たって問題が残るので、この点については十分な措置をしていただきたいということを申したかったわけであります。この点、よろしいですね。

 それから、特定地域開発就労事業については、先ほど大臣からお答えいただきました、飯塚地区は〇・二五という数を申されましたけれども、ところが、それは飯塚というところが突出しておるからそうなっておるのであって、これが南部の方に行きますと、全国で二番目に小さい山田市なんというのがあるのですけれども、こういうところになってくると、それはぐんと落ち込んでしまうのです。それは飯塚地区に包含されての話であろうと思っています。

 したがって、こうした点について考えますと、私は、これから後、先ほど申されました答申等があったということで、今までの経過の中で出てきたものと、今度は現状どうあるかということをもう一度十分考察した中で、これらについての考え方を、将来どうするかを決めていかなくてはならぬのではないか。これは悪化しておるわけですから、そのことを私は強調しておきたいと思います。

 時間がございませんので、次に入ります。

 産炭地振興問題でありますけれども、特に産炭地振興につきましては、産炭基金の果たす役割というのは大変大きいのですが、これは国がよほど注意をしておかないと、地域に移譲するような格好に今なっておるわけでありますから、これらについてはこれからどのような指導をしていくつもりなのか。これが一つ。

 二つ目は、地域指定が行われるようになっておりまして、激変緩和のために、八次策でもって出てきたところはもちろんでありますけれども、それ以前のものがある程度認められております。こういうところの激変緩和措置、これについて、これからどのような措置をしていくつもりなのか。

 あわせて、先ほどもちょっと出ましたけれども、お答えの中にありましたけれども、十四年度以降に産炭地域振興を担当する行政組織がどこになるのか。

 それともう一つは、総合的にやらなくてはならぬのに、先ほども申し上げましたように、アクセス一つがまだでき上がっていない状況の中ですべてが終わるわけでありますから、こうした問題等について、各省庁間にわたる連絡会があるようでありますけれども、これらを本格的に、これから後どのようになさるのか。

 こういう点について、簡単でいいですからお答えください。

広田政府参考人 まず、一点目の、基金の問題でございます。

 産炭地域の振興のために活性化基金あるいは新産業創造等基金が、地域の活性化あるいは新産業の創造による例えば雇用機会の増大、こういった事業に活用されることを期待いたしておりますので、地元自治体とも連携をとりながらこれを支援していきたいというふうに私どもは考えております。これが一点でございます。

 それから、激変緩和措置の件でございます。

 産炭地域振興臨時措置法が失効いたすわけでございますが、これらにつきましては、その激変緩和措置として、特定の公共事業に対する補助率のかさ上げを十八年度まで、それから、道県が発行する地方債の利率の利子補給を二十二年度まで引き続き継続するということで、もう既に対応しているわけでございます。この場合、産炭法でその対象となる市町村の件でございますが、産炭地域振興臨時措置法で指定する市町村、これは第八次策以前の影響が残存する市町村も含めてもう指定をいたしておりまして、例えば中西委員がおっしゃっておられます福岡県で申し上げますと、三十五の市町村がその対象になっておるところでございます。

 それから、地域振興のための行政組織の問題でございます。

 石炭政策は十三年度をもって完了することとなっておりますけれども、これら関連の激変緩和措置、こういった業務がございますので、この業務の実施に当たっては支障のないような体制にしていきたいというふうに考えております。

中西委員 今もお答えありましたけれども、支障のないようなということで、極めて抽象的でありまして、問題は、総合的な措置をしないと産炭地振興というのはなかなか困難だと私は思います。

 特にそれを感じましたのは、例えば今度の松島池島炭鉱問題で生徒児童の問題を考えたときに、例えば高校に進学したいと思っておっても、あるいは今在籍しておる子供たちについても、奨学金問題などにつきまして、授業料が云々ということで大変困難な状況になる。したがって、大変な心配をしておるということが入ってくるわけですね。

 ところが、文部科学省を呼んでいろいろ話をしますと、三十億の、そういう企業合理化などによって生じた特定の生徒の場合には、そうした奨学金については、一般の奨学金とは別の体制で進むことができるようになっているのです。これには、奨学金の場合には条件がありまして、成績だとかいろいろな条件があるわけですけれども、この分はないのです。ところが、そういうことが全然広がっていないという状況の中で、みんな心配なさっておられるということ等が出てくるわけですね。

 ですから、やはり各省連絡会というものが有名無実になってはいけないということを私は言いたいのですね。ですから、そこいらが今度はちゃんとやられるかどうかということをここで一言答弁してもらいたいと思います。

広田政府参考人 産炭地域振興対策は、ただいま御指摘がございましたように、大変多岐にわたるところでございますから、各種の施策を総合的に実施することが重要と認識しております。したがいまして、激変緩和措置期間である来年度以降も、引き続き、いわゆる各省連を開催することとしております。

 それから、今回の池島炭鉱の閉山におきましても、ただいまお話がございましたような教育関係の御要望というようなものもございますので、これらにつきましても、私どもは、こうした場を利用いたしまして、文部科学省の方にもお話を申し上げまして、各省と緊密な連携を図りつつ対応していくということでやってまいりました。今後とも、そういう対応をしたいと考えております。

中西委員 時間が参りましたけれども、私は大臣に最後に。

 いろいろ多くを申したいのですけれども、今のように各省庁の連絡というものが、三池のときには、日本一の炭鉱が閉山するということで大変な問題になりました。したがって、橋本総理が中心になって、通産あるいは労働、各大臣を招集しまして、そうした問題等について対応していくという措置をとりました。

 しかし、私、今度の場合は、この前から言っておるのは、本当にわずか二つの山しか残っていない、その最後の山になっているわけですから、絶対に三池のときと差をつけてはいけないということを強調しておるのですね。ですから、この点については、ぜひそうした決意を持ってやっていただくことを最後にお願い申し上げて、終わります。

平沼国務大臣 せっかく各省庁の連絡会というのができているわけでありますから、仏つくって魂入れずでは、これは何にもなりませんので、私も各関係大臣にも働きかけて万全を期してまいりたい、このように思います。

中西委員 終わります。

武山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十五分散会




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