衆議院

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第4号 平成13年3月21日(水曜日)

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平成十三年三月二十一日(水曜日)

    午後一時三十七分開議

 出席委員

   委員長 大木  浩君

   理事 嘉数 知賢君 理事 下地 幹郎君

   理事 鈴木 宗男君 理事 宮腰 光寛君

   理事 鍵田 節哉君 理事 川内 博史君

   理事 一川 保夫君

      相沢 英之君    小此木八郎君

      小渕 優子君    北村 直人君

      林  幹雄君    松宮  勲君

      吉川 貴盛君    吉野 正芳君

      荒井  聰君    加藤 公一君

      木下  厚君    小林 憲司君

      平野 博文君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)           橋本龍太郎君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   防衛庁副長官       石破  茂君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   外務大臣政務官      桜田 義孝君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   襲田 正徳君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  安達 俊雄君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   衆議院調査局第一特別調査

   室長           飽田 賢一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十一日

 辞任         補欠選任

  武部  勤君     小此木八郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     武部  勤君

    ―――――――――――――

三月十六日

 沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)




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     ――――◇―――――

大木委員長 これより会議を開きます。

 この際、桜田外務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。桜田外務大臣政務官。

桜田大臣政務官 本年一月、外務大臣政務官に就任いたしました桜田義孝でございます。大木委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げます。

 外務大臣政務官としての職責を果たすべく、河野外務大臣の指導のもと、精力的に活動してまいる所存でございます。

 大木委員長を初め本委員会の皆様の御指導と御協力をいただけますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

大木委員長 ありがとうございました。

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

大木委員長 それでは、速記を起こしてください。

     ――――◇―――――

大木委員長 内閣提出、沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。橋本沖縄及び北方対策担当大臣。

    ―――――――――――――

 沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本国務大臣 ただいま議題となりました沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 政府は、沖縄が本土に復帰して以来、沖縄振興開発特別措置法により、三次にわたり総合的な沖縄振興開発計画を策定し、及びこれに基づく事業を推進するなど特別の措置を講じ、もって、沖縄の振興開発を積極的に推進してきたところであります。

 しかしながら、本土からの遠隔性、島嶼性等の不利性に加え、広大な米軍施設・区域の存在など本土とは異なる事情を抱え、沖縄の経済社会は依然として厳しい状況にあります。

 このような中で、このたび、沖縄のリーディング産業である観光の振興に資するため、ここにこの法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案につきまして、その概要を申し上げます。

 旅客が空港内の旅客ターミナル施設内で輸入品を購入し、携帯して沖縄から出域する場合の関税については、平成十年の沖縄振興開発特別措置法の改正により、輸入の際に関税を賦課して後に払い戻す措置を講じておりますが、これを保税状態のまま販売できる免税措置に改めることとしております。

 これにより、沖縄観光の魅力をさらに増進することができるものと考えております。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

大木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大木委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官襲田正徳君、内閣府沖縄振興局長安達俊雄君及び警察庁生活安全局長黒澤正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

大木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。

下地委員 二十分間という短い時間なので、本論に入らせていただきたいと思います。

 今度の沖縄振興開発の法律の一部改正に関して、私の方から質問をさせていただきたいと思っております。

 私は、この法律のみを考えるのではなくて、この法律を通して沖縄の二十一世紀というものを私どもは見ていかなければならない、そういうふうに感じております。そういうふうな観点で、きょうは橋本大臣に答弁をいただきたいと思っております。

 私はいつも思うのですけれども、平成九年の十一月二十一日、橋本当時の内閣総理大臣が沖縄にいらっしゃいまして、沖縄復帰の二十五周年記念式典、その中における内閣総理大臣式辞というふうなものがありますけれども、その式辞を私はいつも読ませていただいております。私は、この内閣総理大臣の式辞は沖縄の将来のバイブルだと思っているのです。その当時の内閣総理大臣の沖縄に対する思い、佐藤・ニクソン会談から二十五周年を迎えるまでの沖縄の歴史、大臣みずから感じている対馬丸事件援護事業に対する考え方、そして、大臣が尊敬なされている、政治を学んだと言われる佐藤元内閣総理大臣の沖縄の復帰なくして戦後は終わらないという言葉などを全部踏まえた中で、この式辞はとうとうといろいろな形で述べられております。

 沖縄の基地の負担に関しては、負担が沖縄県民にとって大きな重みになっている、だから沖縄における米軍施設・区域の整理、統合、縮小はやらなければならない、そのためには普天間の移設をしなければいけないし、それをすることで二〇%の軽減があるんだ、そういうふうなことも基地問題でお話をし、産業振興のところでは、自立経済というのを当時総理大臣は訴えられた。そして、航空運賃の値下げ、マルチメディア関連事業、NTT番号案内センターの誘致、そういうふうな作業を総理大臣はやられた。

 そして、四つの視点で将来に向かってお話をされております。一つは、加工交易型産業を育成する、観光、リゾートの新しい発展をする、国際的なネットワークを目指した情報通信産業の育成をする、国際的な研究交流をする、そういうふうな形で大臣は述べられているわけです。

 私は、この式辞のとおり沖縄が歩むことは、沖縄が自立をする方向に間違いなくこの形はなっていくと思うのです。しかし、私はここでチェックをきちっとしておかなければならないと思うのです。今度の沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案は、一年前につくられた法律が今度改正をしなければならないという状態になっております。そのことを考えると、なぜ一年間という短い時間の中で法改正をしなければならないのかということをもう一回私どもは謙虚に勉強しなければならない。そして、きょう、一年後にしっかりと方向転換をして政策の転換をしたというのは、僕は大きな意味があると思っております。このようなことが今沖縄で行われているものには数多くあるのかないのか、そのことを検証すべきだと私は思っているのであります。

 一つには、よく自由貿易地域の件が言われておりますけれども、那覇自貿と言われる自由貿易地域、式辞でも大臣が述べられた加工型の貿易の中心的な役割をやるだろうと言われたこの那覇自貿においても、今、五四%は製造業が入っておりますけれども、あと残りの三〇%近くはコールセンター、そしてコンテンツ産業、データセンターというものが入っている。正直言って、自由貿易地域はコールセンターやデータセンターやコンテンツのものが入るようなものではなくて、それは情報通信の別分野できちっとやっていかなければならない。しかし、この自由貿易地域の中では、なかなかそれが育っていないという現状があるわけであります。

 そしてもう一つには、今新しく中城湾のレンタル工場がありますけれども、これも六つのレンタル工場をつくって、完成と同時に埋まるような計画。正直言って、相手が入るのかわからないうちにレンタル工場をつくること自体が問題だと私は委員会でもお話をしたことがあるのですけれども、一年たった現在でも、将来の目鼻はついているというふうなことを言われていても、四件くらいはまだレンタル工場が埋まっていない。それは、埋まっていないことが悪いのか、制度に問題があるのか、そのことも私はしっかりと考えていかなければならないのではないかなというふうに思っているのです。

 今、情報通信が花盛りでありますけれども、情報通信といっても、今二十社以上のコールセンターが沖縄に来ております。しかし、来ている最大の要素などをずっと調べてみても、全体で四十五社、二千七百七十五人が沖縄に進出していると言われておりますけれども、毎年TTCに補助事業として、今年度の予算では十二億円程度の補助事業をして、八〇%の通信料を埋めているから企業が来ている。これがどんどん伸びていけば、沖縄県はどんどん補助事業をしていかなければならない。そういうふうなやり方が、情報通信が最後まで沖縄で伸びていく上でいいやり方なのか。

 三月九日の新聞に出ておりますけれども、沖縄に今陸揚げされている高速回線はみんなで五つあるわけですね。NTTの回線、KDDIの回線、そしてシーミーウイという回線、チャイナUSという回線、この五つが沖縄に回線としてあるわけでありますけれども、この国際回線のうちの二つは全く上がっていない。そして、三月九日の新聞を読むと、この新しい回線を、ある企業は今度沖縄で初めて利用できるようになる。そうなると、今使っている回線料の十分の一の値段だという。補助事業は全く必要なくて、その値段でサービスができるのだということを言っている。なぜこうやって十二億も六億も七億も、八〇%補助しなければできなかったのか。しかし、これをこの企業がやることで、一つの流れができている。

 私は、大臣に、今度の法改正とともに、この将来の沖縄の、国が制度として決めてきたものを一個一個もう一回チェックをしていただいて、それが成果が伸びていて、大臣が式辞で述べられたような、将来の沖縄が自立経済になるような根本的なものになっているのかどうなのかをチェックして、万が一なっていないとしたならば、今大臣の強い政治力で、そして見識で、新しい仕組みを、きょう論議をするこの振興開発の措置法を一年以内に改正して沖縄の将来の観光に資するものになったと言われるようなものになることを、私は、自由貿易地域でも情報産業でもぜひ取り組んでいただきたいということを、まず大臣のお気持ちをいただきたいということが一点であります。

 そしてもう一つには、このデューティーフリーショップの沖縄型特定免税店の経済効果をどういうふうに大臣はお考えになっているのか。そして三点目には、将来の展望として、今は空港内だけでやっておりますけれども、その分野に関しても、将来はどういうふうにお考えになっているのか、この三つのことをまず冒頭でお聞かせいただきたいというふうに思っております。

橋本国務大臣 私は、下地議員が、今一連の御意見とともに、ある意味では恐らく沖縄県民の胸の中にあるであろう御不満というものを私にぶつけられたことは、これは素直に受けとめたいと思います。その上で、よく昔から、馬を水辺まで引きずっていくことはできる、しかし水を飲ませることはできないという言葉があることを思い起こしていただきたいと思います。

 コールセンター等にいたしましても、政府としてできる範囲で、少しでも沖縄によかれと思ってつくってきた産業であります。そして、それなりの雇用を生んでおることは議員もお認めをいただきました。そして、それを維持していくための補助というものの負担が大きいということも言われましたが、一方で、幾つかあるところで、その補助を必要としないものがあるという例示も挙げられました。私は、補助がなしでいけるというその実物を存じませんでしたので、これは調べてみたいと思いますし、不必要な補助を行っているのであれば補助は削減することになるでしょう。

 しかしそれが、本当に素直な目で見たときに、同種産業をこれ以上誘致する必要がなければともかくも、もし同種産業であっても、今の雇用情勢を考えたときに誘致する必要ありということでそのインセンティブとして補助というものが生きているとするならば、極端な議論ばかりはできないように思います。これはちょっと率直な感想です。

 その上で、政府が続けてきたさまざまな施策について見直しをすべきではないのか、効果が上がっているかどうかを検証すべきではないか、この御注意は私は素直にちょうだいしたいと思います。そして、その例示として戻し税措置というものを今回免税措置に改める、これだけ短期間で変えるということはいかがなものかという御指摘も甘受をいたします。

 しかし同時に、この制度をつくりますときに、従来なかった制度を新たに特定の地域を限定し特定の目的の中で新設をいたしますときに、どれほど与党の中においてもさまざまな角度から議論が行われたか、そして、それは関係する者だれもが沖縄県によかれということから議論をし、戻し税方式というものを考えてきた、その点は、私は素直に県民の皆さんにも認めていただきたいと思います。

 その上で、効果が出なかった中にはいろいろな理由があると私は思います。それは、観光戻し税の対象八品目を落としていたことが影響した部分もあるかもしれません。あるいは、その八品目を今回追加することでより豊かな品ぞろえができるという期待もしておりますし、免税方式に変えていくことによってより実効性の高い仕事に結びついていく、販売に結びついていく効果もあると思っておりますけれども、それを最初から考えなかったのはなぜか、今その新しい仕組みをつくる時点に戻っておしかりを受けますことは、私としても、これは多少、当時の関係者を、真剣な努力というものに対して評価をしていただきたい。

 その上で、実効が上がらなかったという点は私は認めます、効果が少なかったんですから。目標の二割に行かなかったということは、問題点があったことは間違いがありません。しかし、今回これで御審議をいただき、お認めをいただきますならば、この沖縄型の特定免税店制度というものは、那覇空港ターミナル施設内の特定免税店に限定された措置とはいいながら、私は、新たな魅力を一つ追加するものになるだろうとかたく信じております。

 我々は、国の立場として、でき得る限り県を支え、あるいは市町村の皆さんの御努力を支える、そういった努力はしてまいりますが、その上で、我々は民間企業に強制して沖縄県への進出を押しつけることはできないわけでありますから、どうすればその魅力が増すかについて、どうか、県あるいはお地元の市町村の皆さんの意見もちょうだいをして、よりよいものにするためのお力添えを願いたい、率直にそのような感じを持っております。

下地委員 今大臣がおっしゃいましたことも十分認識をしながら、沖縄県に対しても、先ほど申し上げたように、努力というものをどうするべきかということを国の方からも率直な話をしていく。できる政策、できる努力と、沖縄県そのものがやっていかなければいけないことというのを、私は、これからお互いで確認をし合いながらやっていくことも非常に大事なことだろうと思っております。ぜひこれから、いろいろな沖縄の問題が出てまいりますので、しっかりと大臣にチェックをしていただいて、効果のある政策を一つ一つやっていくという作業をお願いしたいと思っております。

 そしてもう一つ、私の方から大臣に御要望させていただきたいんですけれども、大臣はいつも沖縄のつながりの中で対馬丸のお話をしていただいて、お父様の龍伍先生のころからの対馬丸に対する思いをお話をするわけであります。私は、その大臣の思いをもう一回、大臣が特命大臣となられた今、新たな政策をぜひお考えをいただきたいということを思っているんです。

 対馬丸に関しては、当時の橋本総理大臣と今横におられる鈴木沖縄開発庁長官との間で対馬丸の発見もできました。そして、今新たに、沖縄開発庁というものに対馬丸の特別支出金があるという意味も含めながら、当時、昭和五十二年には五百人いた遺族の皆さんが、今百十二人までになっております。本当にもう遺族が数少なくなってまいりました。しかし、私は、遺族が少なくなってきている中で、この対馬丸という思いは、沖縄県民は、永久に私どもの心の中にしっかりと抱きながら平和に対する思いをやっていかなければならない。

 遺族とて人間でありますから、命が限られてくるわけであります。そういうふうな中で、この対馬丸の事業が、もうこれで遺族がいなくなったから内閣府の中で終わりなんだというのではなくて、今厚生省がしっかりと予算をつけていて、国庫で全額負担をしながら記念館をつくる、しかしなかなか沖縄県の中で財政的な維持費がもたない、そういうふうな中でもう二年間この作業が延びてまいりました。

 私は、この対馬丸という事業そのもののことをしっかりと踏まえた中で、遺族の皆さんが数少なくなっている中では、もう一回新たな政策として基金をつくって、この対馬丸記念館を国としてしっかりと沖縄の平和行政の一環としてお示しをするという姿勢を見せることも大事ではないか。そして、大臣が沖縄に行かれたときにはぜひ小桜の塔にも行かれて、もう一回大臣が対馬丸に対する思いをきちっと出すことが沖縄に対する大きな平和のメッセージにもなるというふうなことも私は感じているわけです。そのことをぜひ大臣に私の方からもお願いをさせていただいて、この対馬丸の記念館の維持管理に対する基金の造成をぜひ内閣府の中でやっていただけないかということを大臣に要望させていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

橋本国務大臣 確かに、一番最初に上京された中におられた新里さん初め、随分の方々が亡くなられました。その思い、それは私は下地議員にもおわかりをいただいていることだと思います。

 その上で、対馬丸遭難者遺族会が、今その運営主体として法人格を取得される準備をしておられる、あるいはその規模や収支計画などについても検討を進めておられると聞いております。しかし、残念ですが、私は実はこの記念館についてのお話を対馬丸遺族会の皆さんから伺ったことがございません。ですから、詳細をどう考えておられるのか、大変失礼ですが、わかりませんので、そうした状況も見きわめさせていただきたい。

 そしてどういう形が、これはシンボリックに対馬丸を論議してまいりましたけれども、実はサイパンからの引き揚げ船で日本にたどり着かなかった船も多数ございますし、また沖縄県内におきましても、先島方面から台湾方面に動いた船の中で帰らなかった船があることも私は承知をいたしております。ある意味では、今までそのすべてのシンボルとしたような意味を対馬丸の上に我々は置いてまいりました。対馬丸遺族会の皆さんもそうした思いを持っておられたと思います。

 それだけに、私は、今議員の御意見は御意見として拝聴した上で、やはり直接の関係者の方々のお話を聞かせていただきたい。そして、十分に国も検討をしていく必要がある、今の拠出金、特別支出金の予算の状況等々も頭に置きながら考えていくべきことではないか、そのように思っております。

下地委員 来週、対馬丸の遺族会の方から大臣に御認定をいただきたいということで要請があるはずですから、そのときにじっくりとお話を聞いていただいて、やっていただきたいと思っております。

 それで、きょうは警察庁から来ていると思いますけれども、共同パトロールの件なんです。この前から、これから米軍と警察庁そして自治体とで共同パトロールをぜひやっていただきたいということを私はずっとお願いをしておりまして、逮捕権の問題その他の問題もクリアしながらできるはずだというようなことをずっと私は述べております。とにかく、治安の維持を共同でやるというふうなことは非常に大事なことでありますから、それをぜひ前向きに検討してもらいたいと思っております。時間がありませんから局長から答弁を、もう何回もやっておりますので、ぜひお願いをしたいと思っております。

大木委員長 黒澤生活安全局長、簡潔にお願いします。

黒澤政府参考人 基本的に、米軍施設外の治安の確保でございますけれども、沖縄県警察の責務でございます。県警察としてもパトロールの強化等の諸対策を講じているところでございますが、また米軍のパトロールが及ぼす県民感情などの問題があると承知をいたしておりまして、こうしたことから、沖縄県警察では県警察のみによるパトロールを行っていると承知をいたしております。

下地委員 時間ですからもう終わります。ありがとうございました。

大木委員長 次に、木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。

 まず最初に、三月十六日に沖縄駐屯の我が国の航空自衛隊隊員が婦女暴行事件で逮捕された事件は沖縄県民に大変大きなショックを与えました。言うまでもなく、我が国の平和と安全、さらには国防という観点から考えた場合、自衛隊の強化や装備の増強、近代化も大事ですが、それ以上に重要なのは、国民の国防意識の向上と同時に国民の自衛隊や在日米軍に対する信頼の醸成、これが何よりも大事だと思います。しかし、最近は自衛隊や在日米軍に対する信頼が大きく揺らいでいる。というより、むしろ不信感の方が強くなっている。まさに、先ほど言いました航空自衛隊隊員による少女暴行事件は、本当に国防という観点から許されざることである。

 そういう意味で、沖縄担当大臣として、沖縄県民の皆さんあるいは国民の皆さんに、ぜひ一言この事件についての御感想をお願いしたいと思います。

橋本国務大臣 けさ閣議の終わりましたところで、事件発生以来、防衛庁長官と席を同じくするのが初めてでありましたから、沖縄を担当する閣僚の立場から、何とも言いようのない、情けない、あってはならない事件を起こしてしまった、防衛庁として副長官あるいは航空幕僚長等を現地に派遣されて知事初め関係者におわびをして回られたことは知っているし、あなたが県所在の陸海空それぞれの自衛隊の各部隊に対して綱紀の粛正の徹底を指示したことも知っている、それが言葉だけに終わらないようにしてほしいということを私は申し上げました。斉藤防衛庁長官も非常に深刻にこれを受けとめております。

 私どもとして、これによって大きく傷ついたであろう自衛隊の名誉、信頼というものをもう一度回復するためには長い、苦しい努力が要るでありましょうけれども、その努力をきちんと払ってもらいたい、そうして県民の敬意を受けられる立場に早くなってほしい、今そのように思っております。

木下委員 それでは、沖縄振興開発特別措置法改正案についてお伺いしたいと思います。

 今下地委員からも質問がありましたので、時間の関係もありますので一問一答でお尋ねいたしますので、簡潔にひとつよろしくお願いしたいと思います。

 この沖縄型の特定免税店の営業が開始されて、先ほどもちょっとお話が出たのですが、当初の販売店側の目標が年商十八億円、月当たり一億五千万円ということだったのですが、実際はその約一七%と不振が続いている。そうしますと、当初の販売目標額の年商十八億円はどのような根拠に基づいて積算されたのか。また、この制度実施前の空港ターミナルにおける販売実績、これは単純に比較はできないと思うんですが、その辺はどうなっているのでしょうか。具体的にちょっと教えていただきたいのです。

橋本国務大臣 私自身、その数値の根拠というものを正確に存じておるわけではございません。ただ、沖縄特定免税店株式会社が、一人当たり販売額の見込みなどをもとにいたしまして、一昨年末の営業開始時に、年間お見えになる観光客の数等をどのようにとりましたのか正確に存じませんが、一定の数値としてとらえられ、これを掛けて恐らく販売目標額を設定されたと思います。

木下委員 かなり目標を下回ったということなんですが、これは資料を見ますと、実際に観光客の入店率がかなり下がってきているわけですね。

 そうなりますと、かかる現象は今回の制度改正と余り関係ないと思われるのですが、今回の改正で、入店率の向上あるいは販売の向上にどの程度の効果が見込めるのか。具体的に、その試算なりがあったら、教えていただきたいと思うんです。

橋本国務大臣 試算等は後刻事務方から議員の方に御説明を申し上げるように指示いたします。

 ただ、やはり今回の改正というもので、一つは保税制度のままでいけるというメリット、同時に、これまで対象としておりませんでしたウイスキーとか革製のハンドバッグでありますとか戻し税対象の八品目を取り扱うことができるようになった。同時に、ブランドメーカーから直に輸入することで品ぞろえがさらに豊富になる。そして、恐らくその場合には流通コストが相当軽減されるでしょうから、当然のことながら、品物のお値段はより安くできるだろう。

 こうしたことを考えてみますと、今回の改正をお願いすることによりまして、売り上げの向上に確実につながっていくと思います。ただしそれは、今度は、展示でありますとか宣伝でありますとか、そうした御努力は当然願わなければなりません。

木下委員 それでは次に、普天間飛行場代替施設の問題について伺いたいと思うんです。

 この普天間飛行場代替施設の基本計画を国と県あるいは関係自治体が検討するいわゆる代替施設協議会が、三月六日、首相官邸で開かれ、代替施設の滑走路の長さを二千メートルを基本とし、旅客ターミナルなど民間施設部分の面積を十ヘクタール程度とすることで合意したとの新聞報道がありましたが、これは事実でございますか。

橋本国務大臣 確かに、三月六日の代替施設協議会におきまして、沖縄県知事から代替施設の民間機能につきまして二千メートルという基本的な考え方をお示しいただき、我々は、今後この数字を一つの基本として検討していこうと考えておりますことは事実です。

木下委員 しかし、平成八年十二月に発表されたSACOの最終報告の中で、滑走路の長さについては千三百メートル、その前後に百メートルずつの緩衝帯を設け全長で千五百メートル、幅六百メートルの滑走路をつくる、こうなっているんですが、それよりさらに五百メートル距離が延びる。そうなると、この代替施設の工法、安全性あるいは環境問題、非常に大きな影響が出ると思うんですが、これについてはどのように考えておられますか。

橋本国務大臣 今ちょっと申し上げましたけれども、そのとき沖縄県知事さんの方からありました御説明をそのまま申しますと、代替施設の民間機能につきまして、県が御自身で考えておられます将来推計等をベースにされまして、県として、代替施設の滑走路は、コンテナ輸送も可能な中型のジェット機が就航できるものとして、二千メートルを基本に検討する必要があるというお考えを発言されました。

 国土交通大臣からも、普天間飛行場代替施設の滑走路の長さにつきまして、沖縄県の想定を前提とした場合には、民間飛行場の整備について一般的に用いられている施設整備の考え方におおむね沿っているという御発言がありました。また、外務大臣からも、アメリカ側でもこの二千メートルという数値について異論はないというお話がございました。

 こうした御発言を踏まえながら、滑走路長について中型ジェット機が就航可能な二千メートルというものを基本に、しかし、その規模につきまして、軍民双方の所要の確保を図ります中で安全面とか環境面に十分配慮して最小限の規模とするようにこれから具体的な検討を進めると定めたものでございます。

木下委員 しかし、沖縄の現状を見ますと、那覇国際空港のほかにあえてまたそれだけの巨大な空港をつくる必要があるのかどうか。稲嶺知事によると、一日六便三往復、さらには年間二十万人の旅客量を前提としているということですが、空路による沖縄への観光客の数というのは、毎年それほどふえていない。今、月平均にすると約三十一万から三十二万人前後で、むしろ逆に言うと最近は減る傾向にあるんじゃないか。年間二十万人として計算すれば、月約一万七千人から一万八千人。そうしますと、このふえた分は那覇空港で十分処理できるはずです。

 とすると、なぜこれだけの巨額の金をかけてやるのか。それは、もうひとえに、普天間の基地を移転するためにお金を引っ張り出すというような意味にしか国民サイドには見えないんですが、本当にこれだけの巨大な軍民共用の飛行場が必要なのかどうか。沖縄の現状と照らして御答弁をお願いしたいと思うんです。

橋本国務大臣 議員も多分御記憶をいただいていると思いますが、普天間空港の移設問題、これは、私が総理になりまして一番最初に当時の大田沖縄県知事にお目にかかりましたときに、全く事務的な話から外れた形で、知事さんから、市街地に隣接し小中学校等の接近している普天間飛行場の危険性を非常に強く訴えられ、私もこれに真剣に耳を傾けたところから始まりました。そして、県内移設というものを前提にしてではありますが、アメリカ側もこれを移設することに同意を与えてくれました。

 私は、そのときに、軍用空港としての普天間の機能を移すことだけを考えておりました。しかし、その後、県知事さんの方から、軍民共用の飛行場というお考えを県として提示をされ、政府としては、県の御意見というものを非常に大切に考え、真剣にこれを検討させていただいてまいりました。

 同時に、これから先沖縄県を考えていきます場合に、沖縄県の経済的な自立を確保していくための必要な施策の大きな柱として、観光・リゾート産業というものの育成がございます。そういたしますと、現在の観光客の水準でとどまってしまっては、私は、沖縄県の自立の上に観光・リゾート産業というものが大きな柱をつくり得るという状況には到達しないのではないかと思いますし、その場合には、より多くの県外の観光客を迎え入れる施設が交通の面においても必要になるでありましょう。その場合に、現在の那覇空港を前提に計画を立てますことは一定の限界を生ずることになると存じます。

 そして、県としては、確かに、二〇一〇年の民間機能における旅客利用者の推計を二十万人、関東、関西、中部方面に六便三往復といったお考えをお持ちになり、関東方面には中型ジェット機の就航を見込んでおられるという状況でありまして、これはやはり、将来の沖縄県の経済的な自立というものに向けての観光・リゾート産業育成という大きな県の御方針、また国としても支援をしていこうという方向と異なっているものではないように私は思います。

木下委員 今大臣が、将来を見越してということだったと思うんですが、将来を見越しても、やはりキャパシティーからいっても那覇空港には十分まだ余裕がある。しかも、沖縄県という狭い地域で二つの巨大な空港が果たして必要なのかどうか。お金を投資するのであれば、民間企業育成なりそういった方向での自立経済を支える形での資金投入がもっとあってしかるべきで、今、代替施設ができるから慌ててそこへ民間も巨大なものをつくろうというのはいかがなものかな、私はそんな思いもするんですが。

橋本国務大臣 議員のようなお考えが成り立たないものだと申し上げるつもりは私もございません。ただ、現実の問題といたしまして、那覇空港のキャパシティーにそれほど大きな余裕がございますでしょうか。

 そして、那覇空港は県内の交通におけるかなめの役割も果たしております。当然ながら、県外からの観光客、沖縄本島だけではなく宮古あるいは八重山へお出かけになる方も相当数おられるでしょう。県外からの観光客がふえるということは、同時に県内の便数もふえるということを意味するのじゃないでしょうか。

 そういうことを考えていきました場合に、私は、当初、本当に普天間の移設ということに限定して考えておりましたからそれに応じた考え方をお示ししてまいりましたが、そうしたことをもお踏まえになり県がお考えになった軍民共用飛行場というお考えは、一概に議員のおっしゃるとおりだと申し上げるには、将来を考えましても余りにも大きなリスクを伴うのではないか。むしろ、これぐらいのキャパシティーを持ちたいとお考えになったその積算の方に実態の観光客を誘致する努力をする方が先ではないだろうか、私にはそのように思えます。

木下委員 これは前沖縄県知事の大田さんが最近出した本の中で、どうも代替施設の問題が、防衛問題あるいは経済対策というよりもむしろ日米の大手ゼネコンの受注合戦に利用されている、そう書いておりますが、この指摘に対してはどんな印象を持たれますか。

橋本国務大臣 大変不愉快な話を伺うものだというのが、今伺いました瞬間の私の感じです。そして、まだどのような内容のものに、どのような技術的な側面を持つものにという結論を出しておりません中で受注合戦が白熱するとするならば、その受注合戦というのはどこで受注しようとしていらっしゃるのだろう。代替施設協議会の私どもは、まだそこまでの作業を完了しておりません。

 しかし、前知事が責任を持ってお書きになった本にそのようなことが書いてあるとするなら、そういう御注意を素直に私はいただきたかった。全くそこまでの検討に至っていない段階において、もし憶測でお書きになったとするなら、不本意です。

木下委員 それでは、ちょっと話題を移しますが、先般の日米首脳会談で森総理が、十五年期限問題、ブッシュ大統領に言及したのですが、新聞報道によると、ブッシュ大統領は困難な問題だといって受け入れを拒否したという報道がなされています。もしこれがアメリカの意向だとすれば、沖縄側が要望している十五年問題というのは、もし解決がつかなければこの代替施設はどうなりますか。つくらないということですか、それともそれを無視してやるという形になりますか。

橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、実は、けさ記者会見で日米首脳会談の沖縄に関連する部分の質問を受けましたときにも、私は、報道だけしか存じない、ですから総理が帰国されてからきちんとお話を承った上でコメントしたいということを申しました。その上で、ですから、このペーパーを正確に読ませていただくことをお許しいただきたいと思います。

 日米首脳会談において、普天間飛行場の移設返還問題につきましては、総理より、普天間飛行場移設に向け引き続き協力をお願いしたい、地元首長からの使用期限の要請があったことについては引き続き取り上げる考えであり、今後国際情勢の変化に対応して、普天間飛行場代替施設を含め在沖米軍の兵力構成などの軍事体制につき貴国政府と協議したい旨申し述べたところ、ブッシュ大統領より、使用期限の問題は困難な問題である、この問題は国際情勢に照らして考えていかねばならない、この地域での米国のプレゼンスは重要である、普天間飛行場の移設については引き続き日米間で協議していきたい旨応答があったと報告を受けております。

 そして、政府としては、本問題については、平成十一年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり、厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、沖縄県知事及び名護市長からの要請がなされたことを重く受けとめ、今回の日米首脳会談において森総理から取り上げたほか、これまでも米国政府ハイレベルに対し取り上げてきたところであり、今後国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め在沖縄米軍の兵力構成等の軍事体制につき米国政府と協議していくとともに、あわせて、国際情勢が肯定的に変化していくよう努力してまいる考えでありますということでお許しをいただきたいと思います。

木下委員 では、次の質問に移ります。

 さきの防衛施設庁の報告によれば、代替施設予定地周辺海域の調査で、国の天然記念物に指定されているジュゴンが五頭生息していることを確認したということですが、昨年十月にアンマンで行われた国際自然保護連合の勧告決議では、日米両政府に対して、一つ、軍事施設の建設にかかわる環境アセスメントの早期の実施、二番目として、その回復を図るための保全対策を早急に実施する、この二点について勧告しております。この勧告については、ちょっと担当が違うかもしれませんが、沖縄担当大臣としてどんなふうな、個人的な見解でも結構でございますので、お答えいただければと思います。

橋本国務大臣 去る三月六日に開催されました第六回代替施設協議会におきましてジュゴンの生息状況に係る予備的調査の結果が報告をされ、六頭のジュゴンを視認した、そのうち個体識別ができましたものが五頭という報告でございました。そして、この調査結果について環境大臣の方から、海草藻場について、ジュゴンのえさ場としての機能も踏まえ、藻場の保全に十分留意することが必要である旨の御指摘をいただいたところです。これから先、協議会におきまして、代替施設の規模とか工法あるいは具体的な建設場所などにつきまして総合的、具体的な検討を実施する際に、この点は十分考慮に入れて検討を行わなければならないと思っております。

 いずれにいたしましても、平成十一年の末の閣議決定の中で、環境影響評価を実施すること、その影響を最小限にとめるための適切な対策を講じるなど、ジュゴンを含む自然環境に著しい影響を及ぼすことのないように最大限努力をすることを定めておりまして、私どももこの方針に従って対応してまいりたい、そのように考えております。

木下委員 ジュゴンの生息数の回復を図るため保全策を早急に実行するということなんでしょうが、この保全策の策定、実行は、普天間移設とは別次元の問題だと思うんです。代替施設協議会の議論とは別に、速やかにこの保全対策を行うべきだと思うんですが、今どのような計画がなされているのか、それについて、もしおわかりになったらお答えいただければなと思うんです。

橋本国務大臣 これは議員、ちょっと私の能力を超える部分を多分に含んでおりますけれども、私が知る限り、生体で捕獲されたジュゴンが人工的に飼育をされ、その生態を明らかにするようなチャンスを人類は今までに持つ機会はなかったと承知をしております。そして、その生育状況等につきましても解明されていない部分も多数持っておると思います。それだけに、今我が国の生物学関係の皆さんの中にもそれほどジュゴンについて深い専門的な知見をお持ちの方は余りないと聞いておりまして、どれだけのことができるのか、専門家の中からもこれという特別な御意見が出てきている状況ではございません。

 ただ、少なくとも、日ごろ摂取を必要とするえさ、その量に比して、今回えさをとったと思われる部分の海草の食べられ方というものはそれを満たす量でなかったことだけは事実でありまして、こうした点一つをとりましても、解明すべき部分はさまざまあろうかと存じております。今後これに加える知見がより確度の高い姿で、海外のものも含めまして、我々が入手できることを願っております。

木下委員 最後に一つだけお伺いしておきたいと思うんですが、沖縄振興策について、平成十三年度予算による公共事業関係費は二千九百三十九億円、そのうち道路関係費が約千八十九億円、さらに港湾、空港などが三百八十六億円、農業、農村整備が三百四十億円と、まさにいわゆる本土と同じような公共事業をまた沖縄でやろうとしている。どうも沖縄振興あるいは観光、レジャー、そういったものが、本土でやっているような土木建設中心とした公共事業中心になっている。果たしてそれで本当に沖縄県民の生活が豊かになるのか。

 例えば一例を挙げると、公共事業の内訳を見ますと、県内と県外を比べてみますと、受注会社数では確かに県内は多いんですが、金額で見ますと、県内の業者と県外の業者、いずれもほとんど同額なんですね。とすると、やはり沖縄の公共事業は、ほとんど本土の大手ゼネコンが乗り込んできて主要部分をやってしまう、細かい仕事を沖縄の業者にやらせるというような図式がずっとでき上がっている。

 ですから、これではまさに公共事業が、本土の建設業者が潤っているだけで県民には余り役立っていない、余り役立っていないと言うと語弊がありますが、そういう意味で、立派な業者もあると思いますものですから、もっと県内業者を重視した事業計画、入札、この辺を考慮してもらいたいと思うんですが、その点、大臣の御見解をお願いして、終わりにさせていただきます。

橋本国務大臣 今の御指摘は、私は沖縄の地域経済にとって大変大事なことを指摘していただいていると思います。そして、沖縄総合事務局として、工事内容に応じて分離分割発注あるいは混合入札を活用することによって、これまでもできるだけ地元の業者の方々の受注機会が確保されるように努めてきたつもりであります。公共事業の地元発注比率を見てみますと、平成八年度においては三九%だったものが、平成十一年度では五二%までふえてきております。しかし、それはまだある意味では御指摘のようなことを考えていくべきものがあるでしょう。今の御注意は大事にさせていただきたい、そのように思います。

木下委員 ありがとうございました。以上で終わりにさせていただきます。

大木委員長 次に、小林憲司君。

小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。

 本日は、沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について御質問させていただきます。法案の中身に入ります前に、沖縄振興に関連する諸問題につきまして二、三大臣にお伺いしたいと思っております。

 まず、米軍基地に関することでございますが、十六日に稲嶺沖縄県知事が在沖縄米軍兵力の削減交渉をアメリカ側と始めるよう政府に対して文書で正式に要請したということでございます。稲嶺知事は、米軍基地の沖縄への集中が、米兵による事件や事故、騒音、実弾演習による山火事などにつながり、県民生活に非常に影響を及ぼしているとしておりまして、沖縄県民の感情は大変深刻な状況になりつつあると思われておりますが、政府としてこの要請をどのように受けとめていかれるおつもりでしょうか、お願いいたします。

桜田大臣政務官 稲嶺沖縄県知事からの要請につきましては、三月十六日、政府として承ったところでありますが、在日米軍施設・区域が集中することによる沖縄県民の方々の御負担につきましては、日ごろより私としても強く認識しており、引き続きその軽減に向け努力するつもりでございます。

 このような要請を踏まえ、十九日、日米首脳会議におきましては、総理より、県民の負担への配慮が重要であり、県民のお気持ちを酌む必要がある、安全保障につきましては、国際情勢を踏まえて対応することが必要である、九六年の安保共同宣言のフォローアップ、SACO最終報告の実施、日米地位協定の運用改善等を通じ、双方で協力して沖縄の負担軽減に努めたい旨述べたところであります。ブッシュ大統領とは沖縄に関連する問題につきまして緊密に協議をしていくこととし、この旨共同声明に盛り込んだところであります。

小林(憲)委員 ありがとうございます。

 先日、アメリカの政府のある安全保障担当者と私は会談させていただきまして、いろいろなお話をする中で、日米地位協定についても意見交換をさせていただきました。彼らの認識というものが、私は、今までお話を聞いていたのとちょっと違うなと思いましたので、少々御質問させていただきます。

 日米地位協定は非常によく機能している、それ自体には問題はない、今問題視して話し合わなきゃいけないのはすべて海兵隊の教育の問題についてであるというようなお話が出ました。彼らは、日米地位協定自体は、安保があって地位協定がある、これはワンセットだ、これ自体は機能しているんだ、それを見直すとかその運用を考えるとかということよりも、今は我々米兵の間での教育問題がある、そのことについては話し合いましょうというようなことでございまして、この認識は多くの日本人の認識とはかなりかけ離れているものではないかと私は思います。

 政府の認識はどうなのでしょうか。まず第一に、日本政府の認識は、日米地位協定はよく機能しているから協定自体の改定は必要ない、だから運用の改善で対処していくというものなのでしょうか、それとも、よく機能してはいないが、協定の改定は時間がかかるから、実効性を上げるために運用改善で対処していくべきであるというものなのか、どちらなのでしょうか、お教えいただきたいと思います。

桜田大臣政務官 日米地位協定は、日米安保条約の目的達成のため我が国に駐留する米軍の円滑な活動の確保のため機能しておりますが、他方、在日米軍施設・区域が集中することにより多大な御負担をおかけしている沖縄県の方々などからさまざまな要請をいただいているところであります。政府としても、その運用の改善に取り組んできたところであります。

 また、米軍の教育の問題につきましては、米軍が、着任前及び着任後にあるべき軍人としての倫理観や行動規範等に関し厳しい教育を実施しているものと承知しております。教育プログラムは基本的には米軍側の問題でありますが、同プログラムの強化につきましては、沖縄県において、地元関係者の方々の御協力を得ながら事故の防止に取り組んでいるワーキングチーム会合でも取り上げられたところであります。政府といたしましては、今後とも、こうしたワーキングチームでの取り組み等を通じ、教育プログラムの強化等の事件、事故防止策につき積極的に協力していくつもりでございます。

 また、日米地位協定の問題につきましては、閣議決定にあるとおり、まずは運用の改善により個々の問題に機敏に対応することが重要であると考えますが、それが十分効果的でない場合には、相手もあることですが、地位協定の改正も視野に入ってくると考えます。

小林(憲)委員 もう一度要点だけ教えていただきたいんですが、今のお話ですと、機能している、機能しているが諸問題が今あるので、日米地位協定については改定を視野にしながら運用の見直しをしていくんだと。日米地位協定自体は非常に機能しているということで理解してもよろしいんでしょうか。

桜田大臣政務官 そのとおりでございます。

小林(憲)委員 よく機能しているとおっしゃるのであれば、これほど犯罪が多発している状態でそれはどうかなと私は思いますが、これは今非常にいろいろな問題をはらみながら話し合いをされているということで、今後ともいろいろと教えていただきたいと思います。

 それでは、沖縄振興開発特別措置法の改正案について御質問させていただきます。

 そもそも、沖縄型特定免税店は、沖縄復帰二十五周年の平成九年に、当時の橋本総理大臣が沖縄県の要望を受け、その創設を打ち出したというのが出発であったと思います。それで、平成十一年末より沖縄型特定免税店の営業が始まるわけでございますが、これまでの営業成績を見てみますと、先ほど来お話がありましたように、十八億円の目標に対しまして一七%程度にとどまっておるということでございますが、橋本大臣、沖縄型特定免税店の売り上げが伸びなかった理由というものに関しましてどのようにお考えがありますでしょうか、教えてください。

橋本国務大臣 これは私は幾つかの要因があると思いますけれども、大変申しわけないことですけれども、免税店御自身の営業努力あるいは観光客に対する制度の周知といったものがどこまでなされていたのかを私は正確に存じません。しかし、そういうところにも問題があったかもしれないと思います。

 同時に、やはり何といいましても、販売前に通関手続をとる戻し税制度でありますために、高級ブランド品について、商慣習上海外のブランドメーカーから直に輸入することが難しかった、その結果として競争力のある安価な価格での商品の仕入れが難しかったということ。同時に、革製ハンドバッグなどの、そういう場面でお客様が比較的手を出してくださるような商品というものが対象から外れていた、その結果として品ぞろえの不足というものがあった。こうしたことがありましたために魅力のある商品構成をとれなかった、こうしたところに大きな原因があったのではないか、そのように考えております。

小林(憲)委員 今大臣からお話がありましたとおり、今回の法改正では沖縄型の特定免税店が保税状態のまま商品を販売できるようにするということであると思うんですけれども、そうすることでブランド品を輸入総代理店を通さずに仕入れることができて、ここでコストダウンができるようになってくると思われるんです。それでコストダウンにつながると売り上げも伸びるであろうということでこの法改正をされているのではないか、こう理解しますが、一体どれくらいのコストダウンと売り上げ増をこの場合考えられて、試算されて今回の法改正を提案されているのでしょうか。具体的な数字がございましたらぜひともお教えください。お願いします。

橋本国務大臣 委員、私はこれはちょっと無理だと思うんです。というのは、我々は制度として例えばこの八品目を対象の中に入れます。しかし、どういうブランドの幾らぐらいのハンドバッグを店頭に置かれるかは我々はわかりません。流行の移り変わりもわかりません。

 あるいは、かつては沖縄の帰途、外国製のウイスキーというのを非常に魅力と感じて皆が買った時代があります。今変わりました世の中で、既に本土の各都道府県においても非常に安くなっていますから、それほどウイスキーに魅力を感じるか、私は酒好きですけれども、それほど大きな魅力を感じるものにはならないと思います。

 そうしますと、こういうものを見てまいりまして、この中には例えば身辺用の細貨類でありますとか腕時計とかありますけれども、どんな品ぞろえをなさるかというのは全くわかりませんし、我々はこうした分野に拡大することで非常に期待はかけておりますけれども、ブランドメーカーがどのような営業方針を持っているか等も含めますと、金額的に試算をすることについてはお許しをいただきたいと思います。

小林(憲)委員 今お話をお伺いしておりますと、とりあえず法改正いたしましたが、今どき免税というものに関して余り大きな魅力はないだろう、ですから、変えたんですけれども、そんなに効果的な経済効果が得られるかどうかは、お店の方の自己努力もあるんですけれども、この法改正によって大きな経済効果というものがあるとは余り思えないというようなことでございましょうか。

橋本国務大臣 大変困った受け取られ方をしたようで、私がウイスキーを例示に挙げたのがまずかったらこれは取り消します。

 しかし、例えば、成田空港、関西空港、連休等の終わる日を見ていてください。大変たくさんのお土産を買って帰られる日本人がおられます。そして、その中にはまさにバッグの類といったものが一つの人気です。現地まで行かないで、那覇空港の中に行けば、海外の有名ブランドの、しかも新しく発表したばかりのものが手に入るとしたら、これは魅力じゃないでしょうか。これはいろいろなそのほかの商品でも言えることでありまして、私は、担当をされる方々、販売をされる方々が、どこまでそうした意味で海外にアンテナを伸ばし、売れ筋の商品を安定的に安く納品してもらう御努力をなされるかによって随分違うと思います。

 しかし、全く御努力をされないということは考えられないわけですし、議員がおっしゃるようにあきらめたような考え方では私はありません。

小林(憲)委員 わかりました。よく理解できました。ありがとうございます。それでは、いろいろと法改正の方は国でしていくので、自己努力してしっかりとやっていっていただければ経済効果もたくさんあるということでお受けとめいたします。

 それでは、第三次沖縄振興開発計画では、計画の目標を「各面にわたる本土との格差を是正し、自立的発展の基礎条件を整備する」としております。これは今のお話とも通ずるところがございますが、格差の是正ということでお伺いいたします。

 一人当たりの県民所得の推移というデータを見ますと、八〇年代に全国平均の七五%ほどの水準であったのが、九〇年代はずっと全国平均の七〇%ほどの水準に下がったままであります。第三次沖縄振興開発計画に沿って沖縄振興策を実施しているわけでございますが、九〇年代を通じ一向に格差が縮まらない理由はどのあたりにあると橋本大臣はお考えになられますでしょうか、お願いします。

橋本国務大臣 沖縄の経済は、実は、県内総生産に占める製造業の構成比が五%、全国一と言ってはいけませんけれども、全国水準に比して非常に低い、しかし財政依存度は三割を超える。経済を支える産業が非常に脆弱だということは、一つ考えなければなりません。そして、これが一人当たり県民所得の全国との格差が縮まらないことに反映しているのではないかということを私は考えております。それだけに、今後の沖縄の振興というものを考えました場合、産業の振興によって活力のある自立型の経済というものを構築しなければならない。

 先ほど来の御質問に対し、私は、観光・リゾート産業を柱とする一つの考え方、あるいはIT関係の産業をこれから育てていく、そうした考え方をベースに御答弁を申し上げてまいりましたけれども、財政依存度が三割を超すといった状態を考えましたときには、やはり自立をさせるための柱になる産業を育てていくということを急務としなければいけないのではないかと考えております。

小林(憲)委員 去年八月にまとめられました沖縄経済振興二十一世紀プランでも、改めて沖縄の財政依存が拡大している状態が指摘されております。基地経済への依存は低下してきているということでございまして、こちらの方は大変よい方向に向かっておるわけでございますけれども、財政依存は、先ほど大臣がおっしゃられたように、拡大しているということでございます。

 これは、必ずしもよい傾向ではないわけでございますが、今おっしゃられたとおり、地元での何か強い一つの産業の柱がないということで分析をしていただいております。これは、水際に馬を連れていっても馬が飲まなければだめだということわざを先ほど大臣はおっしゃられていましたが、沖縄の経済自体がのどが渇いている状態だということは、各数値から言われておりますし、このような二十一世紀プランでも示されているわけですが、何かほかに要因が、飲まない理由、飲めない理由があるのでしょうか。その辺、何かありましたら教えてください。

橋本国務大臣 これは私も正確にお答えをし切る自信がありません。その上で、個人的な感じとしてお聞きをいただきたいと存じます。

 実は、私は岡山県でございますが、私の郷里にも離島があります。わずかな距離でありますけれども、離島の部分と本土の中における部分と、やはりさまざまな部分で違いを生じます。その一番大きな部分は輸送コストです。

 そして、沖縄県というものを考えますときに、私は、観光産業を育成していくという一点でありましても、輸送にかかるコストというものは考慮の対象に入れなければならないと思います。産業においては一層のことであります。そして、私が在任中に、内航海運につきましては、内航海運の船主の方々から、沖縄県について特別の配慮をしていただくような努力もいたしました。その上で、今度は県内においての流通についても輸送のコストというものを考えなければならない。これは島嶼県であるがゆえのハンディだと思います。

 そのほかにもいろいろな理由はあると思います。高齢化が非常に進んでおります我が国の中で、沖縄県は長寿県でありますとともに、若年労働力の多い県でもあります。そして今、県と御相談をしながら世界各国に留学生を送り、その諸君が帰ってきて県の中における頭脳集団を形成してくれる、そのような願いを込めて送り出しました第一期の学生諸君、既に博士課程に入っておる諸君もございます。そうした意味で、県内で育成できない人材をこうした形で育成していく、少し先の長い施策になりますけれども、必要な人材供給というものもあろうかと思います。

 しかし、やはり一つは輸送のコスト、さらに、自分で調べておりませんので申しわけありませんが、エネルギーのコストはいかがなものだろう。そうしたことがもしかすると制約になっておりはしないか、そのような懸念を持っております。

小林(憲)委員 国の財政状況を考えますと、沖縄を早急に自立型の経済の状態にしていかなければなりません。沖縄経済振興二十一世紀プランでは、戦略産業の振興というような方向が出ているように私は理解しております。沖縄経済の自立化のために、今大変いいお話を聞かせていただいたと思いますが、いろいろな意味でのグランドデザインといいますか、そういうものを今後どんどん出していっていただきたいと思っております。重複する質問なので、ちょっと割愛させていただきますが、以上、法案の内容についての質問をさせていただきました。

 ただ最後に、ここに来て大変残念なことが発覚してきている。先日、外務省は沖縄サミットの入札や契約の資料を警視庁に任意提出したということでございますが、報道によりますと、逮捕されている元要人外国訪問支援室長の松尾容疑者がサミット運営にかかわった業者と癒着していたとか、あるいは外務省の臨時職員だった知人の僧侶が通訳派遣会社三社から合計九十万円のリベートを受け取っていたとか、いろいろな疑惑が報道されております。これは、サミット会場になった沖縄にとって、また今まで橋本大臣が大変心を砕いてこられた沖縄の問題についても、非常に残念なことが起こったのではないかなと私は思っております。

 このたび、沖縄県民の皆さんにとっても大変大きな誇りである沖縄サミットだったわけですけれども、この疑惑が出ておりますが、これに対しまして、大臣、沖縄県民の皆さんに対しまして、また国民の皆さんに対しまして、今どのようなお気持ちでしょうか。教えていただけますでしょうか。

桜田大臣政務官 沖縄サミット開催に当たりましては、沖縄県の方々の温かいもてなしの心に満ちた歓待をG8首脳が受け、それがサミットの成功につながったと考えております。昨年のサミット開催により沖縄を世界に発信することができましたが、これらのことが沖縄の発展につながることを期待しているところであります。

 それだけに、サミットの実施に際しましても、もし仮に何らかの不正が行われていたとしたら、まことに遺憾であると考えます。御指摘の僧侶の件につきましては、既に外務省として調査を行っておりますが、関係者の説明によっては、御指摘のありました疑惑、問題点を解消または解明するには至りませんでした。

 このため、本件におきましては、松尾元室長による不正事件に関する捜査当局に対する協力の一環として、外務省の内部調査において得られた情報を捜査当局に対して提供しており、捜査当局による判断を待ちたいと思っております。

小林(憲)委員 日本では国際会議などを行う場合に、入札や契約の締結で担当者と業者との癒着が起こりやすいものであるということがございますが、外務省ではこれまでどのようなチェック体制をとっていたのでしょうか。また、今回の松尾容疑者の疑惑を受けて、こうしたことが二度と起こらないようなシステムを今後考えていく方向性というのは今持たれているのでしょうか、お教えください。

桜田大臣政務官 外務省における調達におきましては、可能な限り入札を行って調達先を選定することとしております。随意契約については、会計法等に基づき認められる場合に限り行うこととしております。また、調達先の決定に当たっては、関係部局の決裁を得ることにより、チェックが十分なされるよう配慮しております。

 外務省としては、引き続き会計法等に基づき適切な調達を行うことを含め、サミットを初めとする国際会議関連事務の適切な処理に一層留意していく考えであります。

小林(憲)委員 終わります。ありがとうございました。

大木委員長 次に、一川保夫君。

一川委員 自由党の一川でございます。

 今回の法律改正に関連しましての質問を幾つかさせていただきたいというふうに思っております。

 今回の法律の改正の中身はごく簡単なものでございますけれども、しかし、この背景といいますか、観光振興という一つの観点での施策の一環だというふうに私は思いますので、沖縄の観光というものについて、若干の時間でございますけれども議論をさせていただきたい、そのように思います。

 まず、沖縄の観光客の復帰以来のいろいろなデータを見させていただいても、相当の伸び率で観光客の数はふえているというふうに私は理解しております。昭和四十七年当時は四十万人ぐらいだったのが、今はもうはるか十倍を超えて四百五、六十万人にも達しておるというふうにお聞きしておりますけれども、この伸び率からしますと、日本全体における、各都道府県のレベルでも結構ですけれども、全国的な観光客の伸び率ということを比較しましても、沖縄の場合は特別高いのではないかなという感じを持っております。

 そういう面で、当然沖縄観光のこれまでの動向をいろいろと分析はされているというふうに思いますけれども、こういうことについて、まず沖縄のこれまでの観光客の推移、またその内容等を踏まえまして、その現状に対する認識、またこれからの沖縄観光に対する課題めいたものについて、沖縄担当の方からお聞かせ願いたいというふうに思います。

仲村副大臣 沖縄への入域観光客は本土復帰以来大きく増加してきておりまして、平成十二年の観光客数は約四百五十二万人で、復帰時の昭和四十七年の四十四万人に比べて十倍以上となっているところでございます。

 一方で、観光客一人当たりの観光関連支出は、昭和四十七年の七万三千円から昭和六十一年に十一万二千円台にまで伸びましたが、その後は若干伸び悩んでいる状況にありまして、平成十一年には前年比三・八%減の十万二千六百円となっているところでございます。

 また、観光客数の月別変動を平成十一年について見ますと、冬場の一月、二月、十二月や、五月などは三十万人台の前半であるのに対し、最も観光客が集中する八月には五十万人を超えており、これに伴い県内のホテル、旅館の平均稼働率も、八月は八八・九%に対し十二月は四八%というように四〇・九ポイントの月間格差が生じているところでございます。

 このような状況にかんがみ、今後の沖縄の観光については、夏場を中心とした観光、リゾートだけではなくて、沖縄の歴史や文化等、沖縄の特性が生かされるような通年型、長期滞在型の観光振興を進めるとともに、観光客のニーズの多様化にも対応して、宿泊施設の量的、質的な充実など、きめ細かい観光情報の提供や切れ目のない誘客イベントの開催など、ハード、ソフト両面の整備を進めていくことが必要であると考えております。またあわせて、自然環境の保全にも十分配慮して観光の振興を図っていく必要があると考えているところでございます。

一川委員 今ほどの御答弁の中にも、月間の格差といいますか八月ごろが非常に多くて、夏場は多いということだと思いますけれども、それ以外は非常に少ない、そういう課題を抱えていらっしゃるということでございました。

 確かに沖縄の亜熱帯性の気候なり、また海洋性という立地特性からしましても、国内の観光客は当然そういうところに魅力を感じて行かれるわけですけれども、私はやはり、今ほどのお話のように、沖縄のいろいろな文化とか歴史とかあるいはまた景観みたいなもの、そういったものをもっとしっかりとPRしていただければ、年間を通じてもっと平準化されていく可能性は潜在的にあるのではないかというふうに思っておりますので、そのあたりにまたこれからも十分力を入れていただきたい、そのように思っております。

 さて、今国土交通省の副大臣にも来ていただいておりますけれども、沖縄の観光客がこれだけの高い伸び率で伸びてきた。ということは、日本全体の観光行政といいますか国全体の観光施策という中において沖縄の役割というものを、これまで、従来は運輸省でそういう所管があったと思いますけれども、それなりにやはりしっかりと評価をしながら力を入れてこられたのだろうというふうに思います。今後、国土交通省としまして沖縄の観光というものに対してどういう基本的な考え方で取り組んでいかれようとしているのか、そのあたりをまずお聞かせ願いたいと思います。

泉副大臣 今先生も御指摘ございましたように、沖縄の恵まれた自然景観あるいは独特の伝統文化や歴史など魅力的な観光資源を有しておるということは、国内にあっては唯一の場所だと思います。

 国内だけではなく海外からのお客様につきましても、実は韓国、中国、台湾などからもたくさんおいでをいただいておりまして、外国の入り込み客四百四十万人のうち二十二万人が沖縄にお越しをいただいておるわけです。約五%に相当するわけですが、東京に大多数の外国のお客様がお見えになることからしますと、沖縄が周辺アジア諸国の皆様方にとっても大変魅力ある観光地であるということがこの数字からもうかがえております。

 国土交通省といたしましては、国内はもとよりでございますが、二十一世紀の観光政策の重要な柱として位置づけております、日韓両国が共同して実施をしようとしております東アジア広域観光交流圏構想の一つの重要なポイントとして位置づけておるところでございます。

 このように、沖縄が我が国にとって国内はもとより海外にあっても一つの有力な基地になり得るということ、そしてまた沖縄にあっては地域経済のためにも大変大きな役割を果たす産業であるということから、これまでにも増しましていろいろな施策を展開していきたいと思っております。九州・沖縄サミットのときには、万国津梁館あるいは名護市の庁舎をライトアップするというようなことをやらせていただきましたが、これからも観光のための支援事業を積極的に展開していきたいと思っております。

 先日は、中国からのお客様を招くために旅行社あるいはマスコミの皆さん方をお招きするということもいたしましたし、また、この法律改正によって沖縄での免税品等も買いやすくなる、そうした点を一層アピールしていきたいと思っておるところでございます。

一川委員 国土交通省としても、沖縄観光については、これからもその立地特性を生かしながら相当力を入れてやっていただけるということでございます。

 先般外務大臣にお聞きしたときも、沖縄には確かに米軍基地にまつわる話題が非常に多いわけですけれども、しかし、沖縄の特性を生かしたこれからの沖縄振興のあり方ということを考えた場合に、今のお話のように、アジア地域の交流の拠点、いろいろな面で交易の拠点、交流の拠点として振興していきたいという外務大臣のお話もございました。そういう面では、私は、沖縄のこういう観光的な魅力というものをぜひ国の施策の中でもしっかりと位置づけて推進をしていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。

 さて、橋本大臣に最後にお聞きするんですけれども、その前にちょっと別の話題でやりとりさせていただきます。

 今財務省の副大臣にも来ていただいておりますけれども、私ちょっといろいろとお聞きする話題の中に、昨年二千円札を発行されました。平成十一年の十月に発行することを決定されて、その後、平成十二年の七月に発行されているというふうに聞いておりますし、我々もそれなりに関心を持ってきたわけでございますけれども、昨年は二〇〇〇年、ミレニアムということもありまして、しかも沖縄サミットということもあって、一種の記念紙幣的な位置づけの中で、当時もマスコミが相当いろいろな面で報道されたと思います。

 しかし、どうもその後我々の財布の中に余り二千円札というのはとどまっていない。私も常に一枚だけ持っておりますけれども、よくよく見ると、やはり沖縄のPRのためにはこのお札は非常にいいんじゃないかなというふうに思います。当然御存じだと思いますけれども、この二千円札の表に守礼の門の図柄が入っているわけです。当時の大蔵省ですけれども、要するに、これは非常に利用価値があるんだ、二千円というこの数字に意味があるんだというようなことも聞いたこともございますし、また、にせ札防止という観点からも最新の技術を駆使してつくっているお札だから、これから大いに流通するんだというようなこともお聞きしましたけれども、どうもその後余り流通していないような率直な印象を持っているわけです。

 今ほど触れましたように、沖縄観光という観点からも、やはりこのお札がもっともっと全国民に流通するようなことをやっていただいた方がいいんじゃないかなという感じがしますけれども、まず、この二千円札の流通の状況はどうなっているんでしょうか。

村上副大臣 お答えします。

 今御質問がありましたように、昨年、二〇〇〇年ということもありまして、九州・沖縄サミット、そして国民の利便性の向上も考えてつくったわけであります。我が国は、御承知のように今まで二の倍数の紙幣がなかったということで、二千円札が流通すれば国民の皆さん方も非常に少ない貨幣で支払いができるということでつくったわけであります。

 今どのような量が言われているかという御質問なんですが、実は本年の二月末の時点では、機械対応が十分進んでいないということもありまして、残念ながら、今のところ一億三千万枚が流通しているというのが現状であります。

一川委員 一億三千万枚というのは、恐らく今日本国内で流通している紙幣の中ではシェアとしては相当少ないというふうに思いますね。恐らく五千円札なんかでもその数倍ぐらいは流通しているんだろうというふうに思います。もともと昨年二千円札を発行する段階である程度、紙幣全体の流通量の中でおおむねこれくらいを目標にしてやろうとしたのかどうか、そのあたりの目標というのは、私も当時余り記憶はないんですけれども、できるだけ流通させようとしたのか、何か目標があったのかどうか、そのあたりはいかがですか。

村上副大臣 簡単に構成比を申しますと、一万円券が大体六〇・八%、五千円券が、今委員が御説明になったんですけれども、四・五%で二千円券の約三倍であります。それから、千円券が構成比の大体三三・二%ということで、全部で一〇〇%になっております。

 それで、当局としては大体五千円券ぐらいの分量ということを予定していたんですが、御高承のように、やはり自販機が、今二千円券で流通できる機械がないということで、残念ながら、現時点においては当初の目標に比べて少ない一・五%、今申し上げましたが一億三千万枚にとまっているというのが現状であります。

一川委員 それでは、副大臣、今自販機ということをおっしゃいましたけれども、メーカーもたくさん、関連するメーカー、いろいろな業界があろうかと思います。また、二千円札の流通について協力を仰ぐような組織というのは幾つかあろうかと思いますけれども、そういうことに対する働きかけはいかがでしょうか。

村上副大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、財務省におきましては、日本銀行と連携しつつ、具体的には、金融機関それから郵便局のATM、両替機械等、駅の券の販売機等、二千円券が使えるように改造を行うことや、釣り銭としての二千円券を積極的に使用してもらうように各業界にお願いしているところであります。

 このほかに、日本銀行本店及び支店におきましては、一般の個人や業者等に対して直接二千円の両替等を行う対応を今行っている、そういう状況であります。

一川委員 それでは、最後に橋本大臣に、沖縄の観光に対する大臣の思いでも結構ですけれども、今ほどちょっと私の一つの話題として二千円札の話題を出させていただいたわけです。私自身も北陸でございますけれども、北陸から沖縄への便は相当利用率は高いというふうに聞いておりますし、また、特にお互いの気候からしまして、北陸の雪の中から沖縄へ行くというようなことも当然あるわけです。いろいろな施策の中でも、今ほどの二千円札のように、せっかく二千円札の図柄に沖縄の守礼の門が、当時はある程度沖縄のそういうことを期待しての図柄だと思いますけれども、そういうものをもっともっと流通させていただくような施策なり、またそういうものを見れば沖縄へ行ってみたいという気持ちにも当然なるわけですし、沖縄へ行けばそういう話題にもなるわけでございます。

 私は、沖縄の観光というものは、今沖縄県の全体の収入の中でも観光収入というのは相当大きなウエートだというふうに思います。そういう観点からしましても、これからの観光行政というものは当然非常に大事な分野でございます。しかし、沖縄の自然環境を保全しながら、しっかりとした対応も一方では必要になるわけです。橋本大臣としましては、今回ポスト第三次の問題もございますけれども、沖縄観光というものについての大臣のこれからの基本的なお考えを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。

橋本国務大臣 個人の考えでもいいと言っていただきましたので、多少申し上げたいことがございます。

 復帰前から沖縄に通った思い出も持つ私にとりまして、沖縄観光という言葉自体に初めは抵抗がありました。やはりあれだけ多くの戦没者を出し、しかもそれが兵士だけではなく島民の中からも多くの犠牲者を出した沖縄に、鎮魂とかそういう思いを抜きの観光という意識はなかなか生まれませんでした。そして、私は、恐らく私ぐらいの年齢までの人々には、そうした思いは今でも随分残っているんじゃないだろうかという気がします。

 そして、沖縄が復帰をいたしました初期、圧倒的に多く沖縄を訪れた方々は、やはり自分の肉親を戦場で失った遺族の方々でありました。それが、ある意味では、私は、沖縄県の観光事業というものにリゾートとかそういった発想を取り込む上でのおくれをむしろ生じさせたのではないかという思いがございます。そして、やはり沖縄県の関係者御自身が、肉親を失っておられますと、笑い、歌い、騒ぎまくる観光客というものに多少抵抗をお持ちだった部分もなかったとは言えないと思います。

 しかし、今、それは大きく変わってまいりまして、海洋性リゾートとしての観光という面が非常に強く大きく出てまいりました。そして、本当に若い諸君、ひどいのになりますと、かつての戦場ということ自体を全く知らずに沖縄を訪れて帰ってくる諸君もふえています。

 そういう意味では、亜熱帯の風物を持つ海洋性リゾート、私は、国内において非常に優位性を持っておられる地域だと思います。それだけに、私は、第二次大戦の思い出というものをどこまで観光の中に残すべきかというようなことは言えませんが、全く消えてしまって、青い海と青い空というだけの観光になっていいものか、その点に私自身が割り切れない部分を持っています。

 しかし、同時に、長寿と健康という視点からも、沖縄県は特色を持っておられます。あるいは、食文化という一点から見ても、全く独自のものをつくっておられる。そしてさらには、今度まさにグスクが世界遺産に登録されましたけれども、こうした長い伝統文化というものもある。その意味では、実は非常にたくさんの切り口で沖縄観光というものは組めると思うのです。それだけに、エコツーリズムとか、いろいろな角度でこれを組み立てていくことができるでしょう。

 そうした面を包含しながら、私は、ポスト三次振計において、観光・リゾート産業、その育成、振興というものはこれからの沖縄県のリーディング産業の中核に据わるもの、そのように考えております。

一川委員 これで終わらせていただきますけれども、沖縄という地域、沖縄の県民性、そういったものを正しく理解していただくという面でも、私は、沖縄に行ってみたいというような魅力あるものを幾つかこれから力を入れてつくっていくということは、ある面では日本の国民全体のためにも大変大事なことではないかというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

大木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、沖振法の一部を改正する法律案の審議ということになりますが、その審議に入る冒頭、二つの点についてだけ一言申し上げておきたいことがあります。

 一つは、幹部自衛官による暴行事件の問題です。

 米兵の犯罪があれだけ国民の指弾を受けている中で、今度は幹部自衛官が、本当に胸が痛むような、被害者の気持ちを考えますと胸が張り裂けんばかりの事件を引き起こしている。その場合に、沖縄の人たちは、沖縄戦のときの旧日本軍の沖縄県民虐殺事件を重ねて歴史的に思い出します。これは避けられない話であります。そういう点についても、この犯罪の重大性について厳しく指摘をしておきたいと思います。

 それからあと一つは、日米首脳会談で、十五年使用期限問題で、橋本大臣はまだ報道の限りであるということでおっしゃっておりましたが、報道の限りであっても、今まで大統領の十五年問題についての言及というのはなかったわけですが、ブッシュ大統領みずからが十五年は無理だよということをはっきり発言している。

 これは自民党や稲嶺知事の公約でありますし、その公約達成の可能性について全く国民にその根拠も示せないまま、また事態は米軍が強く否定するという事態が進みながら、なお普天間代替基地建設の基本計画の策定に進むのは、これまた重大な公約違反でありますし、実はこの問題で議論もしたいところですが、別の機会に譲るといたしまして、私は、今回の沖振法の一部を改正する法律案について質問を進めていきたいと思います。

 一つは、この法律の基本となる制度は、一九九八年、平成十年に創設されているわけですね。そのときも、鳴り物入りで、沖縄観光の振興、発展ということが言われました。

 ところが、既に三年前にこの法律をつくるときに、この制度がつくられる三年前の制度が、戻し税方式になっているだとか、あるいは従来の観光戻し税品目八品目が除かれているだとか、地域が空港と限定されているなどということを理由にして、メリットが少ないということが言われてきたわけです。効果が上がらないのではないかということも言われてまいりました。三年たったら、三年前に言われていたような中身で法改正をせざるを得ないという事態に立ち至っているわけですね。果たして本当に県民の声を聞いた振興策というものを政府がやる姿勢に立っていたのだろうかという疑問を抱かざるを得ないわけです。

 ですから、今度の法改正を提案するのであれば、その辺の三年前の県民とのギャップ、これについて政府が今どういう自己評価、総括をなさっているのか、この点をお伺いしたい。

 もう一つは、三年前のこの法制定のときに出されていた特別自由貿易地域制度、観光振興地域の指定制度、これも問題はないのかどうか、この点についてまず最初に伺いたいと思います。

仲村副大臣 お答えいたします。

 沖縄型特定免税店制度は、平成十年の沖縄振興開発特別措置法の改正により、沖縄観光の振興を図るため創設されたものであります。これは、当時、大田県政から、まず沖縄を全県フリーゾーン地域にしてくれという要望、もう一つはデューティーフリーショップ制度を創設してほしいという要請が出されたわけであります。

 そのときに、政府・与党において議論をいたしました。全県フリーゾーン制度につきましては、沖縄県内からも相当反対意見が出てまいりました。例えば、農業、漁業の一次産業からは、全県フリーゾーンにすれば、賃金格差の大きい東南アジアから農産物や海産物が入り込んできて沖縄の農業、漁業はつぶされる、こういう反対の意見、そしてまた製造業からは、県内の製造業はたちどころにつぶされる、こういうことで、全県フリーゾーンはまかりならぬという要請がありましたので、そういった県民の意見を踏まえて、特別自由貿易地域に落ちついたわけであります。

 もう一点は、デューティーフリーショップにつきましても、復帰のときに決められた戻し税制度に競合するというようなことで、いろいろな議論がある中で、日本人が外国から帰ってくるときに国際空港で二十万円までは免税である、これに倣って沖縄県でも二十万円までは沖縄県を出域する旅客に免税の措置を与えるべきだ、こういうことに基づいてこのデューティーフリーショップの制度が設けられたわけであります。

 ただ、やってみますと、ブランド品が扱えない、こういうようなことがあって、当初考えていたとおりの効果が上がっていない。そこで今回の改正になりまして、ブランド商品が扱えるようにしようということになっていると私は考えております。

赤嶺委員 私が質問をしましたのは、ですから、今回改正しようとするそういう制度上の弱点について、三年前から言われていたことなんだ、言われていたことがきちんと処理されなかったがために今回の改正に立ち至っている。きょうの委員会の冒頭、橋本大臣から与党議員にそれに対しての反省らしき答弁がありましたけれども、今いきなり大田前知事のフリーゾーンの話まで持ち出して、何か三年前にどうであったかという核心部分について十分なお答えをいただけなかったように思います。フリーゾーンでいえば、当時私も、日本共産党の沖縄の責任者として、農業を守れということで大田知事に先頭に立って申し入れてやってきた経過もありますので、私が言っているのは、そういうフリーゾーンの問題ということではないということです。

 それで、ちょっと今度は、沖縄振興策ということを考える場合に政府と沖縄の側の考え方のずれ、すれ違いというのがいつも問題になりますので、そのたびに朝令暮改的な法改正であっては困るということを申し上げて、今回の改正の中で、三年前の政府の言い分とのかかわりで少し伺っていきたいのです。

 三年前にこの制度を創設したときには、扱い品目を観光戻し税品目以外としたわけですね。そのときには、沖振法で制度化された観光戻し税店、ここで扱っている品目と競合しないようにすみ分けしたということが眼目だったと思います。その場合に、競合は避けられない、調整は難しいということで当時は政府自身も強調していたわけですが、今度は逆に、今回の改正では、沖縄型特定免税店が扱う品目に観光戻し税品店で扱っている八品目も含めるということになるわけですね。

 三年前には競合の調整が難しいと言い、今度はその難しいと言った方向に法を改正するわけですが、それは競合の調整という問題がクリアされたということなのかどうか、この点についても御答弁をお願いします。

仲村副大臣 当時、観光戻し税売店との競合を避けるという点で、この八品目を除くということになっておりました。御承知のように、復帰当時、沖縄の輸入ウイスキー、これは非常に安いということで本土からの観光客に非常に人気がある商品でございました。そういうことで、空港内の戻し税売店がそれによって相当のメリットを受けたわけでありますけれども、税法改正等で輸入ウイスキーの安さの魅力が薄れてまいりまして、もう今回、デューティーフリーショップで戻し税売店で扱う八品目を除外する必要がなくなったということがまず一点であります。

 同時にまた、デューティーフリーショップで扱おうとするいわゆるブランド品につきましても、世界のブランド品取り扱い代理店などからいろいろな反対の意見、行動が起こりまして、いわゆるデューティーフリーショップで取り扱えない状況でありましたが、今回の法改正によってそのブランド品が扱えるようになることによって、せっかく制度制定をした沖縄型特定免税売店の利点が生かされるということで法改正になった、こういうことでございます。

赤嶺委員 仲村副大臣の答弁が続いておりますが、仲村副大臣と私は同じ沖縄の同郷というだけに限らず、那覇市という点でも同郷ですし、さらに小禄という地域でも、また実家同士が隣近所ということでも、日ごろから同郷の政治家としての一定の敬愛の念を持って接しているつもりではあります。その限りでは、沖縄問題は仲村副大臣とは立場は違ってもいつでも話し合えるという気持ちであります。また、そういう先輩の御意見についても拝聴するという姿勢は持っておりますが、橋本大臣とはなかなかめったに議論できないわけですから、そういう点ではぜひ答弁にも積極的に立っていただいて、そして沖縄問題について大いに議論もしていきたいというぐあいに思いますから、よろしくお願いをいたします。

 それで、その点で私、今度の法改正に当たって、やはり一番競合するのではないかと心配されている国際通りの戻し税店、そういうお店の方々と対話を重ねてまいりました。いろいろな意見が出ておりましたけれども、その意見の中で一番懸念されているのは、先ほどもありましたけれども、現在沖縄県が、特定免税店の将来の方向について、空港内にこの制度をとどめないで全県に広げていきたいという考えを持っていて、同時に、今進めている検討の中で、ショッピングモールを大型の免税店にしようではないかというような構想や論議が起きているわけですね。

 観光戻し税店というのは、一九七二年には四百七十店舗、一九九八年に九十二店舗、二〇〇〇年には六十八店舗ということで、どんどん減ってきているわけです。どんどん減ってきている原因はいろいろあるわけですが、一つは、今回の沖縄型特定免税店がその減少をさらに加速させる、そういうことにならないような万全の対策をぜひとっていただきたいんです。

 同時に、今空港内に限られているこの制度を、ショッピングモールなどの進出によってそれをさらに免税店にしていくという場合に、既存の戻し税店はやはり大変な打撃を受ける、このことを一番皆さん心配しておられました。来年は新沖縄振興法ということも出てまいります。そういう点で、そういう商店街の人たちの心配や危惧とかみ合わせた形で、今回の沖縄型特定免税店あるいは観光戻し税店、こういうものをポスト三次振計としてどのような方向を考えておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

仲村副大臣 先ほどの御質問で、復帰のときに四百七十店舗あった観光戻し税店が平成十二年度には六十八店舗に減った、今回の制度改正でさらにその戻し税売店に影響が出てくるのではないかという御指摘がございました。今回の改正による観光戻し税店の経営への影響については、改正後の沖縄型特定免税店の品ぞろえや価格設定の状況などにより、一概に申し上げられませんが、いずれにしても、沖縄型特定免税店は空港内に一社のみであり、今回の改正によって観光戻し税店の経営に大きな影響を与えるものではない、こういうふうに考えているところでございます。

 さらに、昭和四十七年の本土復帰の際には、酒類販売免許の取得者の多くが観光戻し税店の承認を受けておりましたが、その後、戻し税制度の利用実績のない業者に対しては承認を更新しない、そういう指導がなされたことや、当制度において最も利用の多い輸入ウイスキーは、先ほど申し上げましたように、近年の酒税法改正による税率引き下げなどにより、沖縄の土産品としての魅力が低下し、売り上げが大きく落ち込んでおりまして、こうしたことが観光戻し税店の減少の背景にある、こういうふうに考えているところでございます。

 さらに、市中に特定免税売店をつくることについての御意見がございましたが、そうなりますと、やはり市内の一般のお土産品店に相当の影響が出てくる、こういうことを考えまするときに、やはり特定の地域でなければならないのではないか、こういうふうに思料いたしているところでございます。

赤嶺委員 今の特定の地域ということについて、ぜひ既存の商店街とのかかわりもにらみながら、ポスト三次振計の中でも検討していただきたいと思います。

 それで、次期振計について、その大きな、基本的な考え方について、政府の見解を伺いたいと思います。

 まず、政府が新沖縄振興法を作成する基本的な立場についてであります。

 あの九五年の少女暴行事件以来、残念ながら、政府が検討してきたさまざまな沖縄振興策というのは、主に基地が存在する市町村あるいはSACOの実施によって基地が移設をされる地域を対象にした振興策として沖縄県に提示をされてまいりました。

 現在政府が検討していると言われている新沖縄振興法についても、一九九九年末の閣議決定があるわけですが、その閣議決定は、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」というものの中で、新たな時代に向けた沖縄振興法の実現を目指すこととし、その具体的検討をポスト三次振計の検討の中で行うこととする、こういう根拠を持っているわけですね。それから「沖縄県北部地域の振興に関する方針」、ここでも沖縄の北部地域の振興を新沖縄振興法という形で位置づけるということになっていて、いわばいずれもSACO絡み、米軍基地絡みで振興が論じられているというのが九五年以降はずっと続いているわけです。

 そして、沖縄県内では、新沖縄振興法というのはSACOの実施受け入れとリンクしているのではないか、こういう危惧の声も寄せられているわけですね。現に、皆さんももうその声も聞かれていると思いますが、自民党の地方議員の方々からも、基地のない市町村への振興策が不鮮明である、このような厳しい批判の声も沖縄では起きております。

 そういう点では、基地絡みじゃないか、次期振計も基地とリンクしていくのではないか、これらの批判について大臣はどのように考えておられるのか、御意見をお聞かせください。

橋本国務大臣 沖縄県が本土に復帰をいたしましてから、三次にわたる沖縄振興開発計画を政府がつくり、これに基づくそれぞれの施策が講じられてまいる中で、着実にその成果が上がってはきたものの、これから先を考えましたときにも、産業の問題や雇用の問題など解決しなければならない問題があると私たちは考えております。

 その中で、現行の沖縄振興開発特別措置法が十三年度末で期限を迎えます。そうして、お地元の方からも、新たな沖縄振興計画の策定とともに、新たな沖縄振興法を設定してほしいという声が強く寄せられております。そうしたことにかんがみて、政府は一昨年末の閣議決定におきまして、ポスト三次振計の検討の中において新法の実現を目指すことにいたしました。

 米軍施設・区域の整理、統合、縮小について、これからも一生懸命努力していかなきゃいけない、そのためにSACOの最終報告に盛り込まれた措置を着実に実施することが必要だと考えていることは私どもは今までも申し上げてきているところでございます。

 そして、お触れになりましたその中間報告、これは産業の振興を初めとしてこれまで実施されてきた諸施策の現状と課題についての取りまとめをされたものでありますが、現在専門委員会におきまして、これを踏まえて、今後の振興開発のあり方について、本年五月ごろの最終報告策定に向けての作業を鋭意進めていただいております。

 委員からはいろいろな御意見が述べられましたけれども、私どもは、新法の検討に当たりまして、この審議会の意見も十分に踏まえて、現行の沖縄振興開発特別措置法の規定の中で継承すべきものは継承しつつ、できる限り新しい理念や施策が反映されたものとなりますように、県とも十分御相談をしながら、鋭意検討を進めていきたいと考えているところです。

赤嶺委員 三次振計の実施状況及び評価というのは国も出されましたし、それから沖縄県の方からも出されております。沖縄の産業構造における問題点として指摘され続けてきた生産部門の脆弱さは今なお改善されていない、さらに財政依存度は全国ベースの約二倍に達するなど高い状況にあるとして、三次にわたる振興において目標に掲げられた自立的発展の基礎的条件の整備はまだ十分なものとは言えないとしてきております。三次にわたる振興開発をしてきたけれども、その目標も達成されなかったわけですが、しかし、どうも九五年のあの不幸な事件以来の政府の態度は、基地のある市町村に振興策が偏ってきているのではないかと、これは現に基地のない市町村の自民党あるいは与党の地方議員の方々も、あるいは市町村長も口々に同じことをおっしゃっているわけです。

 それで、沖縄の振興ということを見る場合にもう一回考えていただきたいのは、沖縄復帰の際に、沖縄振興特別措置法に基づく大事業を実施するについて、政府は提案理由の中でこのように説明しております。多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民の方々に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たる、このように説明しているわけですね。そして、そういう立場で二十九年間、三次にわたって沖縄振興開発計画が実施をされ、来年はその三次振計の終了を迎えるわけです。

 政府が新しく検討している新沖縄振興法は、沖縄振興特別措置法のこの精神を引き継いで実施されていくべきものだと私は考えます。償いの心をもって事に当たるという姿勢をポスト三次振計の中でも基本として貫くという姿勢があるのかどうか、伺いたいと思います。

橋本国務大臣 先ほどの御答弁の中でも、私は、現行法の中で引き継ぐべきものは引き継ぎながら新たなものを加えていくと申し上げております。

赤嶺委員 私の今の質問は、基地とリンクをした振興策というところに重きを置いた流れが強くなってきているときであるだけに、沖縄の振興の原点というのはそうではなかったんじゃないか。引き継ぐべきもの、新しいものという議論ではなくて、沖縄のポスト三次振計を考えようというのであれば、政府としては、やはり償いの心をもって当たるというのは引き続きの変わらぬ不動の姿勢だ、そういうきちんとした答弁をいただきたいと思います。

橋本国務大臣 私が答弁するものをこういう中身で言えというのは、ちょっとひどいと思うんです。その上で、私は引き継ぐべきものは引き継ぎという言葉を使いました。その引き継ぐべきものの中に今あなたが述べられたような気持ちがないと決めつけられることは、私は不本意です。

 しかし、すべてが償いだけでとどまっていいでしょうか。それでは将来がありません。私は、将来を考えますときに、引き継ぐべきものはあくまでも引き継ぐ、しかし、新たなものを加えていくその検討もさせていただく、それが沖縄県のためにも必要なことだと思います。

赤嶺委員 橋本大臣の答弁を私がとったというお話がありましたが、私は、政府の振興開発計画をつくるときの最初の提案理由の説明書を読み上げただけなんですよ。それは、当時と今日も変わらぬ不動なものですねということを申し上げているだけですよ。何も、私の言うとおりに政府に答弁を求めたんじゃない。言うとおりに言いなさいということじゃなくて、そういう政府の答弁は、今日も不動の姿勢として政府が持っておられることですね、そういうことですが、そういう問いに対してはどうでしょうか。

橋本国務大臣 先ほどあなたはこう答えなさいとおっしゃるから、私は反論したんです。(赤嶺委員「新人議員の……」と呼ぶ)いや、新人としては考えられないほどタフな、長年の政治活動に敬意を表してむしろ御答弁を申し上げたい。

 私は、少なくとも、沖縄県の問題にかかわり始めて以来、第二次世界大戦における不幸な歴史というものを忘れて取り組んできたつもりはありません。そして、その気持ちを忘れていいと思ってもおりません。ただ、それならば、復帰の時点のときのせりふ、決められた提案理由説明、それのみにこだわらなければいけないんでしょうか。

 基本的に気持ちは、私どもは、沖縄戦、第二次世界大戦の中において日本国内で唯一の戦場になった場所であり、しかもそれ以前からさまざまな問題を抱えていた歴史の中の位置づけがあり、そして、必ずしも、日本を守るべき日本の陸海軍の意思が、島民の方々との間により不幸を増幅したことはなかったかと思えば、時代を振り返ったときに胸の痛むものがあることは間違いないんです。そして、そうした思いを持ちながら沖縄の問題を少しでも前進させようという気持ちは、私はこの委員会にいる人間はだれも変わらないと思います。

 その上で、ここまで三次の振興計画が進んでまいります中に、ある程度、復帰直後の状況から変化は生じておるはずです。とすれば、心の中に痛みを持ち続けることは私は当然だと思います。その上で、新たな発展に向けての努力ということを私はあえて申し上げたい。

 残すべきものは残すということも申し上げました。三次の振興計画の上でなお残る課題に取り組んでいく、私はそれが必要なことだと思います。

赤嶺委員 私がその前に申し上げたことは、政府の九五年以降の振興策は、基地とリンクしたものが目立って、そして本当の意味での沖縄の歴史や社会に対する償いの心というのが薄れているのではないかという危惧を感じたものですから、再三再四そういう質問を行ったわけであります。

 それで、そういう沖縄の地域社会ということを考えてみた場合に、沖縄の振興ということを考えてみた場合に、先ほど橋本大臣は輸送コストの問題を言われました。私も、ずばりそのとおりだと思います。沖縄の振興、発展にとって、産業が起きない、それはやはり農業が産業振興の中心に据わっていくような諸施策が必要だし、そのためには、農産物の輸送コストというのも大きなネックになっていますし、ポスト三次振計の大事なテーマだと思います。

 それに加わって離島の問題ですね。それも、さっき橋本大臣がおっしゃっていましたが、沖縄の場合には、人が住んでいる離島が三十九島あります。離島の人口で十二万七千六百九十六人です。ちょうど北部並みであります。県人口の一〇%です。ここにおける振興の立ちおくれは目を覆うものがありますが、同時に、そういう中にあって、さらに来月、四月から実施されようとしております家電リサイクル法、この実施に当たって、離島ではさまざまな深刻な問題を投げております。

 沖縄の場合に、家電リサイクル法の指定取引場所というのは沖縄本島にしかありませんので、離島の人たちは、海上輸送費を、沖縄本島やあるいは本土の人たちよりも余計に負担しなければいけなくなるわけですね。冷蔵庫で、宮古で五千九百円余計に負担する、それから石垣島で六千円余計に負担する。離島でどんなにリサイクルが難しいかというのは、政府も中古自動車の問題で検討されたことでもよくおわかりだと思いますが、家電リサイクル法が実施をされた場合に、離島住民にははかり知れない負担を負わせることになります。

 私は、実施に当たって、とりわけ主要な離島に対しては政府として特別に仮の指定取引場所を設けて、そこからの海上輸送費は政府や製造業者が負担をする、こういう緊急の対策をとるべきだと考えております。この点で政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

橋本国務大臣 とにかく輸送コストの問題だけでも意見が合ったのは大変結構なことなんですけれども、だから全部政府が持てとおっしゃるのも、ちょっとこれは乱暴な話だろうと思います。

 そして、確かに、リサイクルの前にお触れになりました農水産業に関連した場合、いろいろな流通基盤の整備に加えて、集出荷の施設とか、あるいは加工、貯蔵施設などの整備を行って、効率的な、同時に安定的な流通システムというものを離島圏で、本土の市場から遠隔地の産地に適合したものをつくろうとして、今いろいろ努力をしている最中です。

 これから先も、沖縄県の農水産業というものを振興しようとする場合に、効率的な流通システムを整備していく、これがコストを下げることにつながっていくわけで、こうした努力は必要だと考えておりまして、関係省庁とも連絡を図りながら引き続き必要な施策を進めていくことに取り組んでいきたいと思います。

 また、廃棄物の減量と有用な部品、素材の再商品化などを図る、そして循環型の経済社会を実現していくということを考えましたとき、家電リサイクル法の施行というのは大変重要な課題だと私は思っております。この法律をいかに円滑に施行していくか、これは直接の担当省庁である経済産業省において適切に対応されるもの、私はそう考えております。

赤嶺委員 農産物、水産物の輸送コストについては、今沖縄県内でも民間の方で一生懸命努力をしているわけですが、ぜひポスト三次振計の目玉にしていただきたいというのが強い要望でありますので、それこそ幸いにとおっしゃられて、私も大変納得をしておりますが、その点では私も力を合わせてあらゆる機会に取り上げていきたいと思います。

 同時に、家電リサイクル法を全部政府が持てというのは乱暴な話じゃないのですよ。離島のことをよく御存じだと思いますけれども、離島の住民は、沖縄本島に生活しておれば負担しなくてもよい海上輸送費が、消費者負担あるいは小売業者の負担になるわけです。沖縄の問題というのは、離島苦ですよ。隔ての海があるから問題が拡大していくのです。そういう問題、矛盾を一番象徴的に押しつけるのが家電リサイクル法なんです。離島住民にとっては公平じゃない、法のもとの公平さがないのだ、だから、全部政府が持てという言い方が乱暴であれば改めますが、離島の住民も法のもとで公平な家電リサイクル法の円滑な運用ということをぜひ政府が保障していただきたい。法のもとの公平を保障するのは政府の責任ですから、ぜひ政府としてそういう責任を果たしていただきたいと思います。

橋本国務大臣 ですから、私、先ほども、直接の担当省庁であります経済産業省が……(赤嶺委員「沖縄の離島苦のことを言っているのです」と呼ぶ)いや、家電リサイクル法は経済産業省の主管の法律でありますから、その直接担当省庁である経済産業省が適切に対応されるものと認識しておりますとお答えをいたしました。

赤嶺委員 沖縄の離島苦を沖縄担当大臣が声を大きくして言わないと、担当省がここまで気づかないで四月実施を前に離島が放置されている状態がありますので、沖縄担当大臣は沖縄の離島の問題についてもしっかり認識して、大きな声で法のもとの平等を確保せよと閣議でも主張することを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

大木委員長 次に、東門美津子君。

    〔委員長退席、嘉数委員長代理着席〕

東門委員 三月十六日、私、沖縄へ帰る飛行機の中でしたが、本土紙の朝刊を読みまして、強い衝撃と激しい憤りを覚えました。航空自衛隊恩納分屯基地所属の二等空尉が女子中学生に対する婦女暴行容疑で逮捕されたという記事です。真っ先に気になったのは、その子は今どうしているのだろうかということです。そして、お母さんは、お父さんは、きっと何も手につかない状態なのではということでした。悪質で、本当に卑劣きわまりない犯行によってもたらされた少女とその家族の悲しみ、悔しさは、一体何をもっていやされるのでしょうか。

 沖縄県の県の面積に占める広大な基地は、町づくりの最大の阻害要因でもあり、さらに県民はその軍事基地から派生するさまざまな事件、事故、環境被害、耐えがたい航空機騒音等から逃れられずに生活をしています。その上に起こる女性への暴力、一人の女性の、女の子の人権を踏みにじる行為、生涯を通しトラウマとなって苦しめられることになるそのような行為は、これまで米兵によっても数多く引き起こされてきました。それが今度は我が国の自衛官による暴行です。一体どういうことでしょうか。

 沖縄県民は、軍隊が住民を守らないということをさきの大戦で身をもって体験しています。沖縄戦では、住民に銃を向けてきた旧日本軍の兵隊さんの方が怖かったという証言もあるほど、沖縄の人々は旧日本軍におびえていました。ですから、自衛隊の沖縄駐屯への反発も他県に比べるとはるかに強いのだと思います。それは戦争を連想させるからです。

 戦後この方、もう二度と戦争は嫌だと叫び続け、戦争に結びつき、女性、子供にとっては自身の居住地でさえ安心して暮らせない、そういう要因にもなる軍隊の駐留に反対してきた県民は、世紀が変わってもなお、国策により軍隊との共存を余儀なくされています。その中での今回の事件、県民の怒りがどれほどか想像にかたくないと思いますが、防衛庁副長官、どのように受けとめておられますか。

石破副長官 ただいま東門議員がおっしゃったとおりだと思っております。私どもも全く同じ認識を持たせていただいております。

 つまり、今議員が御指摘のように、沖縄が日本国の中で唯一戦場になった地域であるということ、そしてまた、そのときに軍と一緒に南方へ逃げられた方々が多くの悲惨な目に遭われたということ、そして返還後、自衛隊が参りますにつきまして大きな反対運動があった。しかし、不発弾の処理等々、一生懸命自衛隊も努力をしてまいりました。ようやっと御理解をいただけるようになったやさきの出来事であります。そういうような問題を、御指摘のように、中学生という本当に小さな女性の方がこういう被害に遭われた、その二重の意味で本当に弁解のいたしようもございません。

 そういうようなことで、私、長官の命を受けましてすぐおわびに上がりましたが、知事、また県議会議長、恩納村長、そしてまた議長、そこから非常に強い抗議を受けました。極めて遺憾で、遺憾という言葉で済むような問題だとは思っておりません。このようなことが二度と起こることがございませんように、それは言葉だけで済む話ではございませんから、それを形にして見ていただくことが信頼を回復する唯一の手段であろうというふうに思っております。

 ただ、それはけしからぬじゃないか何であるかというようなことを、私どもの方が綱紀粛正という名のもとに申し上げることも当然でありますけれども、なぜこのようなことが起こったのかということを、個人の犯罪としてではなくて、防衛庁、自衛隊全体の問題としてとらえまして、今後全庁挙げて取り組んでまいる所存であります。大変申しわけございません。

    〔嘉数委員長代理退席、委員長着席〕

東門委員 関連で、過去にも自衛隊員によるこのような事件がございましたか。もしありましたら、その件数、その対応についてお伺いしたいと思います。

石破副長官 件数について正確に把握はいたしておりません。

 しかしながら、沖縄におきまして、九九年度であったかと思いますが、これと全く同じ事例ではございませんけれども、似たような事例がございました。また、全国におきましては、大変遺憾なことでございますけれども、被害者の方が中学生というわけではございませんが、今回のような事例があったことを私どもは承知をいたし、その時点時点におきまして処分をいたし、そして綱紀粛正を図ってきたところでございます。それが十分でなかったのでこのようなことが起こったのだというふうに御指摘を受ければ、返す言葉はございません。

東門委員 件数は御存じない、何件ぐらいあったのかということ。必ずしも沖縄県でなくても結構です。

石破副長官 失礼をいたしました。

 沖縄県におきましては、平成十一年度でございますけれども、全体件数としては、犯罪件数ということで申し上げれば十九件、その中で交通犯を除きますと六件というふうに承知をいたしております。

東門委員 その都度綱紀粛正策あるいはちゃんとした処分はしてこられたというお話でございましたが、私本当に思うんですね、そういうお話を伺っていると米軍と同じなのかなと。起こるたびに、綱紀粛正に全力で頑張ります、あるいは教育の強化に努めますというお答えが返ってくるんですが、やはり起こる。そういうことは自衛隊も同じなのかな、すごく残念だなと思うんです。

 再発、二回目ではない、何回か目になるんですが、本当にこれからもう絶対起こしちゃいけないことだと思います。特に今回のような事件はあってはならないことだと思いますが、現時点で、再発防止策と申し上げますかあるいは綱紀粛正、どのように考えておられるか、伺いたいと思います。

石破副長官 今回、この事案に関して申し上げれば、南混団というふうに私ども申しておりますが、南西航空混成団と申します。その司令が、隷下にあります部隊を訪問いたしまして個別に指導を行う。そしてまた、各部隊においてグループ討議を行い、再発防止に関する自己啓発を行っておる。そしてまた、沖縄に所在をいたします陸上自衛隊の第一混成団長、海上自衛隊の第五航空群司令等からも、陸海、つまり空だけではなくて陸海部隊の隊員全員に服務指導の厳守を指示いたしたところでございます。また、航空幕僚監部におきましても、航空幕僚副長を長といたします不祥事再発防止委員会を設置いたしまして、今回の事件が生起した要因の分析や再発防止策の検討を行っておるということでございます。

 ただ、それでは今までと同じではないかという御指摘をいただくんだろうと思います。委員の御指摘は、それは、自衛隊は軍ではございませんからあえて実力組織というふうな言葉を使わせていただきますが、いわゆる実力組織の属性、つまり軍とか実力組織というのはそういうものではないのかというふうには私どもは考えたくございません。そうあっていいとは思っておりません。米軍はともかくといたしまして、つまり、委員御指摘のように、米軍と自衛隊も一緒なのか、こう言われましたときに、米軍のことについてとやかく言う立場に私どもいないと思っている。

 ただ、私どもが米軍に対して再発防止、再発防止ということを申し上げるときに、何だ自衛隊だって一緒じゃないかと言われたら全く説得力のないお話であることは事実でございます。それは、軍とか実力組織がそういうものだというふうに言ってしまいますともう話は全く成り立たないわけで、そうではないんだということをきちんと示さねばならぬ。

 だとすれば、どうすれば自衛官の皆様方にそういうことが起こらないように、先ほど申し上げましたように、けしからぬとか、よく考えろとかいうことはもちろん申します。しかし、それだけでは足りないのだろうというふうに思っています。自衛官が本当に国の平和と独立を守り安全を保つという崇高な使命を負っているんだというプライド、誇り、そういうものもまたそういうことを起こさない大きな支えであろうというふうに思っております。そういうようなことで、メンタルケアも含めまして、ありとあらゆる観点からこれを分析してみる必要があるであろうというふうに考えております。

 二度と起こさないようにという言葉がいかにむなしく聞こえるかということは、言っておる私自身がよく感じております。決してそういうようなことがないように、ありとあらゆる見地から検討をし、実行してまいりたいと存じます。

東門委員 御答弁ありがとうございます。ぜひ今のお言葉どおり一生懸命頑張っていただきたいと思います。

 もう一点なんですが、今回の事件、本当に人権を侵害された、そして深く傷ついた少女とその家族に対してどのような対応を考えておられるのか。特に精神的ケアの面をどのように考えておられるか、お聞かせいただきたい。よろしくお願いします。

石破副長官 これは、御本人並びに御家族のプライバシーという問題がございまして、委員御案内のとおり、私どもが今直接お目にかかっておわびを申し上げるという段階にございません。しかし、もしお目にかかれるようなことがありとすれば、またそういうような私どもの意思が伝わることありとせば、それは最大限のことをやっていかねばならぬ。それは、ただ言葉で済むとかお金で済むとか、そのようなものだとは思っておりません。

 私ごとで恐縮でありますけれども、私も同じような年の娘を持っております。それがそういう目に遭ったらどうすればいいんだということを考えましたときに、正直言って、私の想像を超えたところがございます。どうすればその子の精神的な傷、今委員がトラウマとおっしゃいました、それを取り除くことができるのかということは、本当にそういうような道の専門家の方の御意見も承りながら、また沖縄にはそういうような組織があるというふうにも承っております。関係各方面とよく協議をしながら、その子の一生の問題でございますから、トラウマをどうやって取り除くかということに全力を尽くしてまいりたい。私も自分のこととして考えてまいりたい、このように思っておりますので、御指導賜りますようにお願いを申し上げます。

東門委員 質問を変えます。

 今回の法改正による、戻税を免税にということ、あるいは新たに対象品目として八品目が加えられる、そういうことに関しましては私は特にございません。ただ、一点だけちょっと気になりますのが、先ほどの質問の中にもありましたけれども、なぜそれが旅客の空港ターミナル施設だけに限られたのか、既存の戻し税店、そういうところには適用されないのかということだけはちょっと気になっております。ぜひお答えください。

橋本国務大臣 これはむしろ委員がそうした関係者の声もよく御承知ではないかと私は思いますが、この制度をつくります時点でも、一般に波及することを非常に心配される方々の声がございました。そして、今回制度を変えまして、今まで取り扱えなかった品目まで加えてということになりますと、ターミナルビルを出た外の関係される業者の方々は一層心配をされます。そういう中で、私どもは、やはり沖縄県の観光というものの将来を考えていったときに、少なくとも空港ターミナルの中における免税店制度を拡充する必要があるし、より繁栄させる必要がある、そう考えておりましたので、このような措置をとりました。

 しかし、先ほど来何人かの方がお触れになりましたけれども、これをターミナルの外に広げることにつきましては、その影響というものは十分に考えた上で判断すべきことではないだろうかと私は思います。

東門委員 沖縄県の経済の自立に向けては、本当は、沖縄型特定免税店というようなものではなくて、もっと思い切った規制緩和策を図ることが求められるのではないかと思います。法案とは少し離れますけれども、前県政が提案していました国際都市形成構想との関連で、先ほどありましたけれども、全県フリーゾーン制度、あるいは一国二制度的なそういう政策は考えられないかというのが私の思いなんですが、いかがでしょうか。その点について、よろしくお願いします。

仲村副大臣 全県フリーゾーン制度につきましては、当時沖縄県からぜひそういう制度をつくってほしいという要望が出されたわけでありますが、しかし、県内からも反対意見が相当出てまいりました。先ほど共産党の赤嶺政賢さんも共産党としても反対であったというふうにおっしゃいましたけれども、やはり一次産業の農業、漁業あるいは県内の製造業に及ぼす影響が非常に大きいということで、県内からの反対意見もございまして、やはり全県フリーゾーンは難しいと。しからば、沖縄県の要望にこたえるために、特別自由貿易地域制度を制定しようということで、中城湾港がその地域に指定された、こういういきさつがございました。

東門委員 それでは、三次にわたる振計についてお伺いいたします。

 三次にわたる振計も最終年の一年を残すところになりましたけれども、沖縄県の完全失業率というのは依然として全国平均の約二倍、そして高卒者の就職決定率は全国最下位であり、県民所得も最下位という現状です。財政依存度は、復帰時よりも一〇ポイント近くふえまして、全国平均の約二倍に近い状態です。基地経済への依存につきましても、復帰時から減ってはきていますが、基地周辺整備事業や市町村への交付金などを含むとその依存度は決して低いとは言えず、むしろ、構造的に財政の中に基地関連予算が組み込まれていくことで、じわりじわりと自立を阻む体質がつくられているようにも感じられます。

 このように、ある部分では格差が拡大し依存型経済から抜け出せずにいるわけですが、振計の計画目標である自立的発展の基礎条件の整備という視点から、特に基地経済への依存をどう見ておられるか、お聞かせください。大臣、よろしくお願いします。

橋本国務大臣 今、三次にわたる沖縄振興開発計画を議員の立場からごらんになって、いろいろな御意見をいただきました。

 昨年の六月に、三次振計の総点検結果として「沖縄振興開発の現状と課題」を政府としてはまとめたところですが、これらの施策の推進を図った結果として施設面における整備が総体として進んだ。また県民生活の向上や、産業、経済の発展に大きく寄与したが、交通の円滑化、水の確保、町づくり、環境衛生などを初めとしてなお整備を要する状況にある。同時に、産業振興や雇用の問題などが解決しなければならない問題として残っている。今そういうふうに取りまとめられたと承知をしています。

 そして、これは私自身、当時の大田知事とも、特に高校生の就職問題を随分議論いたしましたし、同時に、このところ県内の若い方々の海外留学が落ちているということから、将来の沖縄県を担う人材づくりとして新たな留学枠をもう一度つくる、そういう措置もとってきました。先ほども御披露したことですが、そのお子さんたちと私はまだ手紙のやりとりをしていますけれども、それこそ今博士課程に進学して二年目というお嬢さんもあります。非常にしっかりと頑張ってくれている。

 私は、こういういわば頭脳集団として期待できる諸君がそれぞれの目的を達成して県に帰ってきてくれる日を楽しみにしておりますけれども、今やはり何といっても、先ほども挙げましたような交通の円滑化ですとか、水、町づくり、環境ですとか、整備を要する必要があるとされております問題、これらを解決していくことをまず考えなければならないと思います。

 同時に、産業振興や雇用の状況、議員は基地経済が低下してきたことは認めていただける、基地依存型の部分が減少してきたことは認めていただけると私は思うんですが、そうした中においてこういった事業を着実に進めていくことの必要性はお互いに認識しなきゃならないんじゃないでしょうか。

東門委員 ただいまの大臣の御答弁の中で留学生のお話がありました。とてもいい提案をしていただいてありがとうございます。総理大臣のときでした。よく覚えております。

 ただ、せっかく海外で勉強して帰ってくる沖縄に本当にこの人たちを受け入れる受け皿があるかというと、その方たちの反応、送っていただいただけじゃなくて、前から行っている方、沖縄に帰っても働く場所がない、自分がせっかく学んできたものを発揮する場所がないという意見が意外とあることも事実なんです。

 そういう意味では、やはり沖縄の今のあり方、確かに直接的な基地収入というのは減りました。私もそれは申し上げました。それが減ってきているのは事実なんですが、基地周辺整備事業だとか交付金などが本当に市町村の財政にじわりじわりと入って、もうこれがないと困るというところまで来ているような気がするんです。それがむしろ、これで沖縄が自立経済に向けて頑張っていけるのかなということをずっと思っているわけです。そして、若い人たちが帰ってきて働く場が本当につくれるのかなという不安もあります。

 そういう意味での私の質問でしたけれども、ぜひ受け皿の面に関しても大臣の御意見をお聞かせください。

橋本国務大臣 これは当時私が大田さんと話したことをまた繰り返すことになるかもしれませんが、私が大田知事にお勧めした中には、例えば亜熱帯という特性を利用した研究機関の集大成というようなことも申し上げました。知事さんは当時一部つまみ食いをされました。私は総合的なものを申し上げましたけれども、県は既にこれもやっている、あれもやっていると言われたお話もあります。

 しかし、私は、いわば日本の亜熱帯に対する窓口役、そういった役割を買っていただくことはできないんですかと。例えば、沖縄県で私どもが初めて県を訪問しましたころにはミバエがありました。そして、沖縄県の果実は検疫でなかなか問題を解決できませんでした。今そのミバエを沖縄県は見事に解決されました。そうした技術を沖縄県がいわば拠点となって、例えば太平洋島嶼国に伝播させることはできないんですかということも私は申し上げた記憶があります。そして、そういうためのいわば機関といいましょうか足場といいましょうか、そうしたものを沖縄県につくることはどうなんですかということを申し上げたこともあります。そして、そういうところに人材も必要だと私は思います。

 そして同時に、一番最近に下すったお嬢さんは、学位論文二年目にかかって本当に一生懸命にやっていますけれども、そのお嬢さんは県に入って、県の将来計画を描く夢を持っておられます。そうした部分にも人材は要るでしょう。それだけではなく、高度情報通信産業という言葉を今までも我々は使ってきたわけですが、沖縄県にこうした産業を定着させようとしています。そういう中にもそうした人材は要るんじゃないでしょうか。そして私は、欲を言いますなら、例えば第一次産品である農水産品の将来を考えるとき、そうした分野にも今出ていって勉強している諸君を迎え入れる余地があるな、実はそんな思いで見ております。

 その一人一人を例えばポスト三次振計の計画に位置づけてしまうことはできませんが、私は、そういった意味での夢はかけられると思っておりますし、かけたいと思ってもおります。

東門委員 ひょっとしたらそこにつながってくるかもしれませんが、ポスト三次振計というお言葉が出ましたが、やはりその中で、これは仮称なのでしょうか、沖縄振興新法の策定が進められているようですが、新法の最も重要な理念、目標は何ですか。

 そしてまた、ちょうど先ほどからお話が出ています、橋本大臣の強力なリーダーシップによって進められています二十一世紀プランは、沖縄振興新法の下位計画として明確に位置づけられ、その実現に向けて確実に予算措置されていくものと理解してよいのでしょうか。よろしくお願いします。

橋本国務大臣 これは、二十一世紀プランについて既にある程度議論も進んでまいりましたし、そして私がその話を申し上げた場面も御存じでありますから、そこにさかのぼってお話しすることは避けたいと思います。

 その上で、政策の基本的な理念という意味では、この二十一世紀プランにおきましても自立型経済の構築というものを掲げました。そして、それをベースに政策を具体的な、体系的な姿に整理して盛り込んできました。沖縄振興新法、これは今、別に法制局の審査を通っているわけでもありませんから、仮の名前ということです。しかし、その新法を考えていくときに、やはり抜けてはいけない理念というのは、自立型経済の構築というものが一つ必ず入るのではないかと思います。

 そしてそういう中に、産業の問題でありますとか雇用の問題でありますとか、解決しなければならない問題に連動するような条文というものを組み立てていくこと、そして、それをまた予算措置に結びつけていく努力、そうした方向に向けられるようなものを新法として工夫しなければならないのではないか、今そのように考えております。

東門委員 今後沖縄では、返還軍用地の跡地利用をどうするかということが振興開発の大きなテーマになってくると思われます。キャンプ桑江に始まりキャンプ瑞慶覧、そして普天間基地などの跡地をどのように開発、発展させていくかは、県民にとって経済自立を握る大変重要な課題です。地主への補償はもとより、返還前の基地内への立ち入りや環境浄化あるいは文化財調査など、跡地開発を円滑に進めるためには軍転法ではカバーできないものも多く、基地所在の市町村からも具体的な要望が挙がっていると思います。これらの動きに対応するために、跡地利用対策課ですか、これは沖縄総合事務局の方に、それから本庁の方には跡地利用企画官なども新設されたと聞いております。

 その跡地利用に係る課題の把握と解決に向けての取り組みがどうなっているのか、お聞かせください。お願いします。

橋本国務大臣 具体的と言われましたけれども、具体的と申し上げるほど細かく申し上げる自信がありませんが、確かに跡地対策というのが大事であることは間違いありません。そして、平成十一年末の閣議決定に基づきまして、跡地利用の促進と円滑化など、確実な実施を図るために、昨年五月三十一日に跡地対策準備協議会を発足させて取り組み分野を明確化してまいりました。また、昨年八月二十四日の第二回の準備協議会におきまして、普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化などにつきまして、取り組み分野ごとの課題についての中間的な整理というものを取りまとめますとともに、今後さらに取り組み分野ごとの検討を進めることにいたしまして、この春以降、できるだけ早い時期に一定の取りまとめができるよう取り組むことを確認してまいりました。

 私ども、今後、この協議会の方針に即して、また中間的な整理などを踏まえながら、返還跡地の利用の促進、円滑化などに向けて総合的な取り組みを進めていきたい、今そのように考えております。

東門委員 何か時間がぱあっと過ぎていくようで、焦りも感じながらのあれなのですが、ちょっと急いで飛ばしていきます。

 次に、泡瀬地区の公有水面埋立事業についてお伺いいたします。

 まず第一番目ですが、その事業の主体はどこになりますか。お聞かせください。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 多くは国、そして一部県でございます。

東門委員 その埋立事業の目的をぜひお聞かせください。

安達政府参考人 中城湾港泡瀬地区に係る埋め立てにつきましては、沖縄市が県とともに海に開かれた国際交流拠点を目指して開発計画を進めているものでございます。あわせて、この埋立事業につきましては、国及び沖縄県が、中城湾港新港地区における関連の港湾工事に伴い発生する土砂を活用して行うということでございます。

東門委員 泡瀬地区公有水面という名前ですが、干潟になっていることは御存じですよね。その干潟について、今地元の方でもかなり大きな反響がありまして、いろいろ反対運動も起こっているのですが、その実態を御存じでしょうか。

安達政府参考人 環境問題は非常に重要でございますので、これまでも環境アセスメントに係る手続を適正に実施してまいりました。そうした中で、住民等の御意見があり、環境影響評価準備書の縦覧をいたしまして、そこで住民等の意見がございました件につきましては、それを反映して評価書の縦覧を行いました。

 また、公有水面埋立申請書の縦覧も行いましたが、そのときには住民等からの意見はなかったというふうに承っております。

東門委員 私の手元にあるのですけれども、海草生態学の専門家である米国商務省海洋気象局沿岸漁業・生息地研究センターのマーク・フォンセカ博士が公表した、日本のあるコンサルタントとのメールのやりとりがございます。沖縄総合事務局が昨年の十月に沖縄市で開かれた国際湿地シンポジウムの際の博士の発言を確認させたもののようです。その中のやりとりの一部を紹介します。

 「私は海洋関係のコンサルタントです。事業委託者の沖縄総合事務局があなたの沖縄での発言に関心を持っているのですが、英語でのやり取りが難しいということですので、私に確認させてください。」との書き出しで始まっております。内容は、泡瀬地区埋立事業の環境アセスメントで移植が可能と判断されている海草の移植実験についてですが、例えば、「泡瀬の実験のような砂地に海草を移植することはほとんど意味がないと発言されたようです。これはシンポジウムで発言されたことですか。」というコンサルタントの質問に対しまして、博士ははっきりと、「はい、意味がありません。」と。ちょっと略しますが、「新しい海草生息地の長期的な貢献という観点にたてば、あなた方の移植実験は無意味だったということです。」などと答えられ、総合事務局が行った実験が無意味で、データの拡大解釈、希望的観測であると指摘しておられます。

 このように、専門家に意見を照会し、移植実験が無意味と指摘されたことをどのように受けとめておられるのでしょうか。そしてまた、それがその後の移植技術の確立にはどういうふうに生かされているか、お聞かせいただきたいと思います。

安達政府参考人 環境保全技術の開発という観点から、御指摘の藻でございますけれども、リュウキュウアマモあるいはボウバアマモの移植実験を行っているところでございまして、今後さらにこういった経過を見ていく必要もあろうかと思います。

 適正な環境影響評価の手続を行った後に進めているわけでございますが、今後引き続き環境問題が極めて重要であるという視点から、専門家及び市民代表によって構成されます環境・監視検討委員会を、特にこのプロジェクトについては設置することにいたしました。

 また、この委員会の議事につきましては対外的に公表する。また、これは何も地元だけに限られるものではございませんけれども、広く市民から意見を求める。インターネット上で意見を求め、その御意見については委員会に逐次御報告をして、そこでその意見に対してどういう対応をすべきかということも含めて、今後この環境・監視検討委員会において議論いただき、すぐに対応を図っていくというようなことで、特に工事実施のプロセスの中でこういった特段の委員会を設けるとともに情報公開を徹底する、こういったことで今後環境を重視した対応を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

東門委員 済みません。今の御答弁からですと、いろいろ意見を聴取し、そして検討委員会にも諮り、その上で、場合によっては事業の見直しというのか、その影響評価を再度行うということもあり得るというふうに理解してよろしいでしょうか。

安達政府参考人 今後の事業の実施に的確に反映させていきたいというふうに考えております。

東門委員 難しいですね、どういうふうに受け取っていいのか。

 この泡瀬の干潟は、世界で最もすばらしい海草の生息地の一つであると言われているところなんです。八種類の海草があり、面積当たりの種類数ではフィリピンに次ぐ世界第二位の海草藻場の生態系であると絶賛されるほどの湿地なんですよ。

 そこへの事業ですから、目的は何ですかと言ったら埋め立てということだったんですが、やはり埋め立てるからには、では埋め立てて後そこに何ができるかというところまで国はきっと御存じだし、そこまで責任をとらなきゃいけないんじゃないかと私は思うのですね。

 やはりいろいろな意味で、環境アセスメントの妥当性についてはいろいろなところから疑問の声がある、環境団体からもあるいは外国からも。そういう中で、やはり今回の諫早の干拓事業もそうなんですが、恐らくあれは環境アセスメントを行われたと思うのです。しかし、その時点では予測できなかった大変な被害が起きているわけですよ。こういう実例を対岸の火事とせずにより慎重に環境影響を見きわめる必要があると思います。短期間で移植が成功したとか、短期間の調査によって可能だというふうに動いていくというのに対してすごく不安を覚えますが、いかがでしょうか。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 短期間というよりはかなり長期にわたってこの問題は検討されてきたわけでございまして、当初、昭和六十二年にありました構想についても、その後環境への影響ということで相当、陸域から接続した形の埋め立て方式は修正され、人工島方式ということで一定の潮流を確保するような形、そして全体の規模につきましても縮小を図るといった形で、潮流を確保する中で藻場の保全を図るといった構想の見直しも行われる中で、環境アセスメントもしかるべく進められてきた。また今後の実施においても、さらに委員会において御意見を聞きながら進めていこうということで進めておるものでございます。

東門委員 失礼しました。先ほど短期間でと申し上げましたのは移植の実験のことでございます。計画そのもののことではなかったんですね。

 でも、今のお話だと、計画当初と変わってきた、いろいろ変更があったということです。やはり今このときに、いろいろな、経済状況もこういう中で、あるいは干拓、諫早の問題も起きている中で、環境の面からもう一度アセスメントということ、再度評価していくということは大事ではないかと思うのですが、本当に、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

 いろいろな環境団体の声もしっかり聞いていただいて、それで、ここにできてくる上物というのですか、ハードのものが、やはりこれが県民のためにあるいは沖縄市のためにいいんだというところに至れば、それはまたそれでわかると思いますが、今の時点でどんどん進めていくということに対してとても不安を覚えております。もう一度御答弁をお願いします。

安達政府参考人 環境アセスメントにつきましては、先ほど御説明させていただきましたとおり、しかるべき手続を経て御意見を対外的にも求めながら適正に進めたわけでございまして、公有水面の埋立縦覧におきましては、むしろ意見なしという形でこの縦覧が期間を終了したというようなこともございます。手続として万全の、最大限の努力を行って進めてきたわけでございますけれども、今後、なお引き続き環境問題重視の姿勢で、この委員会を中心として的確な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。

東門委員 最初、干潟の埋め立てが出たときには、トカゲハゼ、トカゲハゼという言葉、トカゲハゼがいかに大事かということだけが強調されたようですが、それ以外にもいろいろな、大事な希少種あるいは絶滅危惧種も生息している場所です。移植実験をして三カ月で移植技術が確立したと結論づけたということも聞いております。そういう短期間で本当に絶滅危惧種の移植技術が確立するものなのか、素人の私でもとても不安に思います。気になります。

 ですから、そういう面からもぜひ、今お話もございましたけれども、環境アセスということでは本当に多くの人の、特に地元の人たちの、住民のコンセンサスをしっかり得ていただきたいと注文をして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会します。

    午後四時四十八分散会




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