衆議院

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第5号 平成14年3月18日(月曜日)

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平成十四年三月十八日(月曜日)
    午後零時一分開議
 出席委員
   委員長 萩野 浩基君
   理事 金田 英行君 理事 西野あきら君
   理事 松岡 利勝君 理事 吉川 貴盛君
   理事 荒井  聰君 理事 武正 公一君
   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      倉田 雅年君    仲村 正治君
      林 省之介君    福井  照君
      吉野 正芳君    渡辺 具能君
      金田 誠一君    川内 博史君
      中村 哲治君    楢崎 欣弥君
      原口 一博君    横路 孝弘君
      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君
      東門美津子君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           尾身 幸次君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   農林水産大臣政務官    宮腰 光寛君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君
   政府参考人
   (内閣府沖縄振興局長)  武田 宗高君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛庁管理局長)    山中 昭栄君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   北島 信一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房文化交流
   部長)          横田  淳君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君
   政府参考人
   (文部科学省科学技術・学
   術政策局長)       山元 孝二君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   衆議院調査局第一特別調査
   室長           小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
 辞任         補欠選任
  原口 一博君     中村 哲治君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 哲治君     原口 一博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 沖縄振興特別措置法案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――
萩野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、沖縄振興特別措置法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官安達俊雄君、内閣府沖縄振興局長武田宗高君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁管理局長山中昭栄君、防衛施設庁長官嶋口武彦君、法務省刑事局長古田佑紀君、外務省大臣官房審議官角崎利夫君、外務省大臣官房文化交流部長横田淳君、外務省北米局長藤崎一郎君、外務省経済協力局長西田恒夫君、文部科学省科学技術・学術政策局長山元孝二君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
萩野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
萩野委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
武正委員 民主党・無所属クラブの武正公一でございます。きょうは沖縄新法の質疑ということで立たせていただきました。
 まず、新法の質疑に入る前に、先週金曜日に鈴木宗男衆議院議員の自民党離党の記者会見があったわけでありますが、尾身大臣におかれましては、沖縄担当大臣として、この会見についての、あるいは離党の申し入れについての御所見を伺いたい。
 というのは、九九年度予算案概算要求の際、沖縄県内の米軍基地用地の賃借料について、鈴木氏の指導を受けて増額要求したという疑惑、これについては今防衛施設庁が調査を継続中でありますが、こういった点があること、また、民主党としても昨日から沖縄に調査団を派遣し、あるいは野党四党外務省問題プロジェクトチームもきょうから沖縄入りしているといったこともございますので、沖縄担当大臣としての御所見を伺います。
尾身国務大臣 鈴木議員が各般の疑惑問題で離党されたことは、まことに残念であるが、やむを得ないことと考えております。
武正委員 多分、自民党としてはまだ離党は決定はされていないというふうに私は理解をしております。残念なことというような大臣の御発言でありますが、沖縄に関するさまざまな疑惑が言われている、また、まだそれは調査中ということでありますが、担当大臣として、やはりこの点についてもしっかりと、問題があるところは実態究明を行うべきと考えますが、再度、御答弁をお願いいたします。
尾身国務大臣 いろいろな点で、役所側としても襟を正していかなければならないと考えております。
武正委員 続いて、新法の質疑に移らせていただきます。
 今回の新法は、憲法九十五条で言う地方特別法ではないかということがかねてより言われております。住民投票が必要とされるこの憲法九十五条に当たるのではないかということは、この条文が眠れる条文と言われ、一九五〇年当時には使われましたが、それ以降使われなかった、しかしながら、沖縄復帰に伴う特別措置法、沖縄復興開発特別措置法には沖縄の地方公共団体の組織や権限に関するものがあり、地方自治特別法に該当せざるを得ないものがあったという佐藤功さんの憲法九十五条の諸問題という指摘もあり、その判断は最終的に国会にゆだねられているという伊藤正己さんの「憲法 第三版」での解釈もあるわけでありますが、この点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
尾身国務大臣 憲法九十五条の趣旨は、地方公共団体の自治権を保障することをねらいとしているものでございまして、地方公共団体の組織や権能に改変を加えようとしているわけではない、また住民に利益を付与する法律につきましては、自治権を侵害するようなおそれはなく、この九十五条の規定に抵触するものではないというふうに考えております。
 沖縄振興特別措置法案でございますが、沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみまして、沖縄の振興を図るために沖縄振興計画を策定し、またこれに基づく事業を推進する等特別の措置を講ずることにしているわけでございます。この特別の措置につきましては、例えば補助率に関する特例措置、あるいは各種地域指定制度に係る税制上の優遇措置でございまして、むしろ沖縄県が利益を受けるものであり、したがいまして憲法九十五条の特別立法には当たらないというふうに考えております。
 なお、現行の沖縄振興開発特別措置法におきましても、昭和四十六年の制定当初におきまして、国会におきましてこの議論がなされたわけでございますが、この法律は憲法九十五条の特別立法には当たらないという御了解がなされておりまして、今度の沖縄振興特別措置法案についても同様に考えている次第でございます。
武正委員 沖縄に利益をもたらすというようなことで、不利益をもたらすわけではないから当たらないというような御答弁がありましたが、利益、不利益に関係なく、やはり特別措置法については九十五条に当たるのではないかという議論があって、先ほど言ったように、国会の議論ということでありますので、私は改めて、九十五条と今回の新法はやはりかかわりがあり、沖縄のことは沖縄で決めるといったことを申し上げておきたいと思います。
 さて、この新法制定当初から、沖縄県からは一国二制度についての要望が寄せられておりました。今回の新法で一国二制度についてどのような形で盛り込まれたのか、大臣の御所見を伺います。
尾身国務大臣 沖縄振興特別措置法案に盛り込まれておりますすべての特別措置につきましては、他の地域と異なる扱いを行っているという意味でいいますと、いわゆる一国二制度的なものになっているというふうに考えております。
 具体的に申しますと、各種の産業振興を図るための地区指定の制度あるいは税制上の特例等もございまして、憲法上の平等権には配慮しつつも、本法案第一条の目的規定にありますとおり、沖縄の特殊な諸事情にかんがみ、特別措置としてこれらの措置を講ずるということにしているわけでございます。
武正委員 今回、この法案、百二十条と大変条文も多いわけでありますが、これを見てまいりますと、百十四条に「主務大臣等」という条文がございまして、それぞれについて主務大臣という条文はだれに当たるのかというのが百十四条に書かれております。これで、例えば第六条六項、七項等ですね、百十四条の第一項では、内閣総理大臣、農林水産大臣、国土交通大臣及び環境大臣、第二項では、内閣総理大臣、総務大臣及び経済産業大臣ということで、主務大臣に大変たくさんの大臣が当たるわけなんですね。
 そうすると、これは沖縄県にとっては、それぞれの大臣に同意を求めなきゃならないということで、沖縄にこの新法を今回つくるに当たって、沖縄の自立あるいはまた一国二制度の要望があっての新法という中で、この主務大臣にそれぞれ同意を求めるというのは大変煩瑣ではないかなというふうに思うんですけれども、これを例えば総理大臣一本にするとか、そのようなことはできないものか、これについての大臣の御所見を伺います。
尾身国務大臣 沖縄に関するいろいろな事業あるいはその規制等は、そういういわゆる実務的な分野は基本的には各主務大臣がその内容に応じて所管をしているところでございまして、私どもとしては、いわゆるその所管の大臣に事業実施の手続等につきましてゆだねても問題のない場合は別といたしまして、いわゆる所管大臣がおられる場合であっても、沖縄対策の全体的な政策判断が大変重要だと考えておりまして、この主務大臣に内閣総理大臣がむしろ加わっている、そういう沖縄の観点からそれをチェックするという立場で主務大臣と同じく共同所管にしている、こういうことでございます。
 したがいまして、これを、例えば国土交通省関係の問題を内閣総理大臣だけがやるということについては、実態から見てむしろ、逆の場合はあり得ても、内閣総理大臣だけでそれをやるということは適切ではないというふうに考えております。
武正委員 私は、沖縄の一国二制度という要望を考えると、できるだけ沖縄が沖縄のことを自分で決められるようにすべきであり、そういった観点からは、やはりさまざまな煩瑣な手続はシンプルにすべきだろうということからお尋ねをしたわけであります。
 さて、今お手元の方に、理事会のお許しを得て、赤土のことに関する資料を配らせていただいております。二月の二十四日から三日間、民主党では沖縄調査団を派遣いたしまして、例えばこの赤土の流出問題につきましては、石垣島・轟川の流域の調査、あるいは市役所でその轟川から流出する赤土のビデオなども見てまいりましたが、「沖縄の赤土汚染と農業」という県の研究所の赤土研究室長の大見謝辰男さんはこのように述べております。「流出した土壌が海底に堆積するほど生きたサンゴが減少し、海底が田んぼのように泥で覆われるとサンゴはほとんど死んでしまう。」これは九七年十月号「農業と経済」で述べているんですが、そのようなことを言っております。
 また、お手元に配付いたしました「県営水質保全対策事業のずさんな一例」というのを見ていただいても、この赤土が大量に河川を通じて海に流れていく、これは宜野座村の例であります。これは沖縄市の漁業協同組合の莇和義さんのホームページのものでありまして、先ほど引用した大見謝室長は、「漁民にとっては、赤土汚染による漁業被害も深刻だ。」「赤土汚染によるサンゴ礁の荒廃や海の濁りは、漁獲高を減少させる。」とも述べているんですね。
 昨年の六月、環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターがWWFJ等三団体で共同で行ったサンゴ礁の被害、これの調査報告が出ておるんですけれども、これについて奥谷政務官から、詳細、御答弁をお願いいたします。
奥谷大臣政務官 本件は、平成十三年の六月初め、石垣島東岸の白保海域に流れ込む轟川河口周辺においてサンゴ礁が大量に死んでいるという情報を得まして、環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター、WWFジャパンサンゴ礁保護研究センター、八重山サンゴ礁保全協議会とが合同で現状把握のための緊急調査を六月二十日と二十一日に実施し、その結果を発表したものでございます。
 本発表資料では、貴重なサンゴ群集の被害として、まず第一に、轟川の河口南側で堆積物をかぶった塊状のハマサンゴが大量に死んでいるとの確認がされました。その被害範囲は南北約一・二キロメートルであったこと。そして、第二におきましては、中心付近の約二十ヘクタールの範囲で点在するハマサンゴ群落のほぼ一〇〇%が死亡、その周辺では死亡率八〇%の海域が約四十六ヘクタール広がっていたこと。そして第三点は、一〇〇%のサンゴが死亡していた海域では、全体に二センチから五センチの厚さで赤土が堆積しており、サンゴだけでなく海草もほとんど枯れていたこと等が報告されております。
 以上でございます。
武正委員 続きまして、お手元に「石垣島轟川河口海域におけるサンゴ類大量死について」というA4一枚の紙も配らせていただきました。これは、昨年の十一月三日、日本サンゴ礁学会第四回大会で、先ほど政務官が言われた三団体共通でこの半年近く調査した結果として出したものでありまして、まとめの一番下に書かれているように、「今回の被害の直接原因は、塩濃度の低下と赤土の堆積であると推定される。」というような形で結論づけております。
 そこで、次にお伺いをしたいのは、なぜこのように沖縄では赤土が大量に流出するかということなんですが、これについて、先ほどの県の大見謝室長は、「過去の開発面積などから予測すると、土地改良は最も赤土を流出した公共事業と考えられる。」というふうに述べておられます。
 沖縄県における農業農村整備事業費の推移は、昭和四十七年から平成十四年度までの累計が七千六百九十七億円、うち圃場整備事業が約二千億円とされておりますが、例えば勾配率も、当初日本全国と同じ勾配率にしていたものが、これではどんどん赤土が流出するということで勾配率をだんだん下げていった、そんな経緯もあるわけなんですね。
 また、これは、「土地改良事業がサンゴ礁を脅かす」ということで書かれている中で、丘陵地で、土地改良以前は起伏のある地形となって、雨が降っても水の力が分散されていたけれども、改良事業で平たんな農地を造成したために、その一帯が巨大な一枚の斜面となり、降った雨が同方向に流れやすくなった、これは野池元基さんという方がやはり書いてあります。
 また、農家にとってこの土地改良事業がどうかということについて野池さんは、「農家は工事費の一部やダムの水の使用料などを、負担金として組合である宮良川土地改良区に支払う必要がある。こうした中で、負担金を滞納する農家が増えていった。」というような形で、ある面、本土と同じようにこの土地改良事業、圃場整備事業を推し進めていったがために赤土流出がとまらない、しかも農家にとっては、赤土が流出するわ、また負担金を払わなければならないわ、そして赤土流出すれば当然収量がダウンするわと、踏んだりけったりということを現地でも聞いたんですけれども、この土地改良事業並びに圃場整備事業あるいは農業農村整備事業についてのそうした問題点、これについて、宮腰政務官、どのように把握をされておりますか、御所見をお願いいたします。
宮腰大臣政務官 お答えいたします。
 沖縄県におきます赤土の流出につきましては、侵食を受けやすい国頭マージなどの土壌の条件、亜熱帯特有の強い降雨などの自然条件もありますし、あるいは農作業の機械化の進展や長期の未作付等の営農状況に加えまして、本土復帰以降の各種開発事業の増加等によって赤土流出が増大してきたものというふうに考えております。
 今ほど委員御指摘の沖縄県におきます土地改良事業につきましては、侵食を受けやすい土壌条件等を勘案いたしまして全国基準より緩い圃場勾配で整備を行ってまいりまして、この勾配の条件につきましても順次基準を緩くしてきているわけでありまして、赤土流出の防止に努めてきたところであります。土地改良事業が赤土流出の主な原因であるというふうには考えておりません。
 一方、未整備の圃場や施行年度が古い圃場におきましては、勾配や沈砂池の整備状況など、現在の整備水準と比べますと流出防止対策が十分でない農地があるということは間違いありませんので、今後とも、土地改良事業の実施に当たりましては、赤土流出防止に万全を期すとともに、赤土流出防止を目的として創設をされました水質保全対策事業につきまして、未整備の圃場あるいは施行年度が古い圃場につきましても推進をしてまいりたいというふうに思っております。
 なお、水質保全対策事業につきましては農家負担はありませんし、土地改良事業につきましても、平成八年度から赤土流出防止対策に係る費用について農家負担をゼロにしているということでありまして、積極的にこれからも赤土流出防止対策を進めていきたいというふうに考えております。
武正委員 土地改良事業と赤土流出は関係ないという答弁には納得できません。先ほど触れましたように、県の大見謝室長は「過去の開発面積などから予測すると、土地改良は最も赤土を流出した公共事業と考えられる。」というふうに述べておられるわけですから、今の答弁には到底納得できないわけであります。
 また、平成五年度、轟川流域赤土流出実態調査、これも県が行ったわけでありますが、その中でも、今後、計画されている土地改良事業の位置は比較的地形の急なところで土壌も国頭マージ地帯を主としているので、流出防止対策には十分な配慮が必要であるということも述べておるわけであります。
 今、水質保全対策事業ということを述べられましたが、そのずさんな一例ということで、きょうこの資料を配らせていただいたわけです。これは、先ほど触れたように、宜野座村の例でありますが、平成五年から平成八年、総事業費二億ということでありますね。七十三ヘクタール、事業概要は沈砂施設六基というふうにあるわけなんですが、ここに見ていただくように、要は、国頭マージは、沈砂、沈まないわけですね。小石のフィルターもフィルターとしての役割を果たしていない、一ページ目に書いてあります。
 それから、二ページ目にも書いてありますが、降雨中は常に流水で攪拌されているために、ほとんど沈殿効果がない。それから、二槽目の沈砂池から三槽目の沈砂池に排出される濁水はどんどん流れていってしまう、一応フィルターとして小石を使用しているが、ろ過機能はほとんどない。三槽目に当たる最終沈砂池、本来はここで沈むわけでありますが、二〇〇ppm以下という県の条例があるんですけれども、これでは甘いという指摘もあるわけなんですね。
 そういった形で、これが最終的に流れていってしまう、焼け石に水ということで、三枚目の一番下を見ていただくとわかるように、三面コンクリート張りされた排水路を八百メートルほど離れた海に向かって流れるということなんですね。
 先ほど水質保全対策事業ということを言われましたが、それでは農水省さんとして水質保全対策事業をどのように評価されているのか、御答弁をお願いいたします。
宮腰大臣政務官 水質保全対策事業は、排水路、沈砂池等の整備、のり面保護、グリーンベルトの設置、圃場の緩傾斜化等によりまして、赤土流出防止を図るため平成五年度に創設をいたしました圃場事業であります。本事業の実施によりまして、流出防止につきましては一定の効果を上げてきているものというふうに考えております。
 農地からの赤土流出防止効果は、土地改良事業や本事業のハード対策とあわせて、営農面の対策等のソフト対策等によりまして総合的に発揮をされるものであるというふうに考えておりまして、本事業の効果を取り出して評価することには種々の課題もありますけれども、事業効果の一層的確な評価に向けて検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
 なお、今ほどいただきました資料につきましては初めて拝見をさせていただきましたが、小石等で効果がないということは拝見したとおりだと思っておりますので、この事業の具体的な技法等々につきましては、これはさらに検討すべきこと、課題がたくさんあるのではないかというふうに考えております。
武正委員 農水省さんから政策評価シートというものをいただきまして、農村整備事業、この評価をいただいているんですけれども、その中には水質保全対策事業の記載はないんですね。農水省さんからすれば、そんなに大した金額でないからというような解釈なのかわかりませんが、もうちょっと大くくりな補助事業のものしかありませんし、その中には、水質保全対策事業という名前は政策手段として出てきますが、水質汚濁防止のための農業用用排水施設の整備としか書いてないんですね。これは平成十三年度から、十三年一月の省庁統合によって政策評価というものが義務づけられているわけですから、私は、農水省として、この水質保全対策事業、いま一度評価をきちっとやるべきだというふうに考えます。これは要望として申し上げておきます。
 さて、石垣市議会から、平成十三年三月二十九日、こうしたことを受けまして、赤土流出の抜本的対策を求める要請決議が行われております。国営事業での取り組み、環境保護保全対策、ポスト三次振計画での重点的課題ということで、沖縄担当大臣ほか関係大臣に要望、要請がされておりますが、これについて大臣としての御所見を伺います。
尾身国務大臣 赤土の流出につきましては、私も石垣島にも参りましたし、ほかのところでも現場を見ております。いろいろな対策をやっておりますが、まだ赤土の流出がとまっていないというのも実情でございます。したがいまして、この問題はどうしても解決しなければならない問題であるというふうに考えておりまして、県の要望、また地元の御意見も伺いながら全力を尽くしてこの対策に万全を期してまいりたいと考えております。
武正委員 ぜひ、万全の取り組みをお願いしたいと思うんですね。そのときには、今行っております事業の適正な評価、それから、どちらかというとこれまでハード中心に行われていた事業のソフトへの転換、これはマルチングとかあるいは豆類を間作で植えるとか、いろいろなことが言われていますが、マルチングとても、いわゆる本土で行われているように黒いビニールで覆っちゃうと、また水が下に流れていってしまう。やはり、沖縄には沖縄の特殊な状況があるといったことだというふうに思うわけですね。
 今回、轟川で見たこの事業も、国が八五%、県が一五%で一〇〇%なんですね。市は負担がないといったことなんですね。こういったことを踏まえて、これは昭和四十七年三月の同委員会で山中総理府総務長官が沖振法の審議で答弁されています。「いままで存在したかつての本土、現地を通じて最も高い補助率、さらにまた性格によって、道路、港湾、空港、漁港等については十分の十の補助率をもって実施する」ことにいたしているわけでございますと。
 まさにこうした形で、例えば本土並みの勾配率とか、本土で、事業を一〇〇%国が面倒見るからということで三十年間やってきた。その結果がこうして赤土が流出して漁業の漁獲量が下がったり、これから、サンゴが死滅してしまったら、これは観光に与える影響も大なるものがありますし、本土で、国が一〇〇%何でも面倒見るからやってやるぞ、これが果たして沖縄のためになっているのかというと、私は検証が必要ではないかなと思うんですね。
 そういった意味では、一国二制度も含め、沖縄のことは沖縄が取り組めるように、そんな形での権限、財源を与えていく、特区には特区の権限、財源をもっともっと与えていくべきだと思うんです。補助率一〇〇%で本土並みに何でもやるよということはここでやはり見直しが必要だと考えるんですが、大臣の御所見を伺います。
尾身国務大臣 沖縄に対する補助率につきましては、本土よりも高い補助率をもうほとんどあらゆる事業について適用しております。その場合に、その事業の適否等につきましては、やはり沖縄の地元の皆様の御意見もよく聞きながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
武正委員 これは、石垣島で私が肉牛の生産者から陳情を受けました。今回のBSE対策で、肉牛の全国平均の基準が一頭当たり三十六万六千円。ところが、沖縄では三十万二千円で、六万四千円の差があるんですね。肉用子牛生産者補給金制度では三十万四千円。ですから、沖縄ですと二千円しか高くない。それを基準として、どのぐらい下がったかということで補償基準の価格を設定しているんですね。全国平均より六万四千円も沖縄の方は低い。こういった全国での価格の遍在があるということ。
 それから、石垣島には屠畜場があるんですけれども、一日に五、六頭しか屠畜できない。ですから、全頭検査というと、本島に行って屠畜しなきゃいけない。そうすると、やはり行って帰って三、四日かかるわけですね。そうすると、当然輸送で肉質が落ちるわけです。加えて、石垣島には冷蔵施設がない。こういったことが、BSE対策では全国一律でやろうというような形ですけれども、実は、沖縄、石垣島ではやはりそれぞれの事情がある。
 こういったことがあるんですけれども、これは尾身大臣に、こうした点について、この石垣の肉牛生産者からの悲痛な叫びということがございますので、これはやはり農水大臣にきちっと、沖縄の、あるいは石垣島の事情ということで、特に今行われておりますBSE対策では格段の配慮を求めていただきたいと思いますが、大臣の御決意をお願いいたします。
尾身国務大臣 沖縄の肉用牛生産につきましては、価格が全国に比べて低い、輸送コストがかさむ等の実態があることは御指摘のとおりでございます。
 そういうことから、沖縄の肉用牛生産について、農林水産省におきまして、子牛の輸送費助成などの地域特性に配慮した施策が実施されていると聞いておりますけれども、こういう中で、近年は生産頭数が順調に伸びるなど、沖縄農業の有望な品目になっていることも事実でございます。
 BSE対策につきましては、農林省と沖縄県が連携して対応しているわけでございますが、御指摘の点も含めまして、そういう事情も十分伝えてまいりたいと考えております。
武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。
萩野委員長 次に、楢崎欣弥君。
楢崎委員 民主党の楢崎です。
 本法案は、ポスト第三次沖縄振興開発計画であり、その早期成立は沖縄県民の願いでもあります。そのことに私自身も異存はありません。しかし、この法案の背景を考えたときに、日米地位協定、それに基づく思いやり予算に触れざるを得ません。
 今日、アメリカ国内でさえも沖縄の基地を削減すべきだという意見が数多くあります。一つを例にとれば、沖縄には海兵隊遠征部隊二千人と補給要員及び装備を残せば、アメリカは緊急事態に対応する能力を損なわずに済む、そうすれば沖縄県民の負担は劇的に軽減される。マイク・モチヅキ、ジョージ・ワシントン大学の教授ですね。沖縄の基地問題は基地を本土に移転することによって簡単に解決されるはずだ。チャルマーズ・ジョンソン、日本政策研究所長ですね。もう一つ言っておきますが、在日米軍の撤退は日本政府が決定すれば可能だ。ダグラス・バンドウ、CATO研究所上級研究員ですね。
 このようにアメリカ国内でさえ意見があるわけですけれども、その沖縄がなぜ依然として安保植民地に甘んじなければいけないのか。なぜ日本から米軍が撤退しないのか。それはひとえに、日米地位協定の実施に伴う特別協定、いわゆる一連の思いやり予算によって在日米軍に世界一居心地のいい待遇を与えている、そういう日本政府の基地政策にあると私は思うんです。
 米国防総省の報告による共同防衛のための同盟国の貢献というのがありまして、その二〇〇〇年度版ですが、駐留米軍に対する経費支援というのがありまして、イタリア十一億一千三百八十三万ドル、ドイツ九億五千六百九十七万ドル、イギリス一億二千七百五十三万ドル、そして日本、四十億一千三百三十六万ドル。異常ですよ、やはり。これじゃ在日米軍はなくならない、そう思いませんか。
嶋口政府参考人 在日米軍につきましては、光熱水料、提供施設整備等、いろいろと手当てしておりますけれども、これはやはり、日米安保条約のもとで円滑な運用体制を図るというところが、我が国の平和と安定、それから極東の平和と安定ということに重大に影響を与える、貢献してもらうということでやったものでございまして、引き続き必要だと考えております。
楢崎委員 光熱水費については今からやりますが、私は常識を超える面倒の見過ぎじゃないかと言っているんですよ。安全保障の意義を言うんであれば、自民党の大長老であります後藤田正晴先生にしても、もうその安保体制からの自立を今言ってはりますよ。
 そこで、今出ましたけれども、思いやり予算の実態をひもとく一つの例として、国民にわかりやすいもの、いわゆる光熱水費、これに目を向けたいと思います。
 これは、基地及び米軍人とその家族ですよ。家族が使う電気、ガス、水道代ですね。大体、家族が使う光熱水費までもが日本の防衛関係費に計上されるのもおかしいんですけれども。防衛施設庁の予算書、在日米軍駐留経費負担のところに、提供施設の整備及び労務費の負担と並んでこの光熱水費の負担という費目があるわけですね。九八年から二〇〇〇年度、この三年間にかかった費用、三年平均の費用、これを言ってください。
嶋口政府参考人 お答えいたします。
 平均で約三百十億円でございます。
楢崎委員 実績を言っていただけますか、九八年度が幾ら、九九年度が幾ら、二〇〇〇年度が幾ら。
嶋口政府参考人 失礼いたしました。三百十六億余りでございます。(楢崎委員「年度の実績」と呼ぶ)今ここには十年度しか資料がございませんので、今十年度。八年度もほぼ同じだというふうに考えております。
楢崎委員 九八年度は三百十六億四千四百万、九九年度が三百十六億一千六百万。二〇〇〇年度は、予算が二百九十七億六千百万円ですが、実績は幾らですか、二〇〇〇年度。
嶋口政府参考人 失礼いたしました。二百九十七億でございます。
楢崎委員 予算が二百九十七億六千百万円、実績もそのとおり二百九十七億六千百万円ですか。
嶋口政府参考人 予算額が二千九百七十一億五千万円でございまして、実績は二千九百七十六億一千万でございます。(楢崎委員「二百九十七億でしょう」と呼ぶ)失礼しました、二百九十七億六千百。失礼しました。
楢崎委員 全部を使い切っているわけですね。すごいですね。電気、ガス、水道代だけで年間三百十億ですか。この苦しいときに、何でここまで思いやらなくちゃいけないんですか。これを我が国の自衛隊の光熱水費と比較すると、その使い方の異常さ、言いかえれば出す方のおおようさ、この異常さがわかるのですよ。
 自衛隊の光熱水費、九九年度、実績は幾らになっていましたか。
山中政府参考人 一九九九年度、平成十一年度でございますが、ちょっとお尋ねの実績の数字を手元に持ち合わせておりませんので、予算で申し上げますが、防衛本庁の幾つかの科目に計上されております電気、ガス、上下水道、これらの経費の合算額が、三百六十二億五千六百万円でございます。
楢崎委員 そうですね、三百六十二億五千六百万。駐留米軍は、先ほども言いましたように、九九年度は三百十六億一千六百万、全自衛隊の消費量とそう変わらない。幾ら何でもこれは異常ですよ。何でこんなに使っているか、分析されたことありますか。
嶋口政府参考人 自衛隊の場合は、個々隊員とか営舎費、それから庁費だけでございますけれども、米軍の方は、米軍人等の家族住宅、それらの生活用支援施設、学校、銀行、郵便局、売店等、多種多様な施設で構成するということによって違いが生じております。
楢崎委員 今のが分析ですか。
 いいですか、自衛隊の自衛官の定員、これは二〇〇〇年度で二十六万二千百五人、これに事務官など二万四千六百二人が加わって、総定員が二十八万六千七百七人、これは二〇〇〇年度ですね。一方、在日米軍の兵力、これは九九年度ですけれども、四万一千二百八人、これに軍属が五千三百七十五人、家族五万五百八十二人加わって、九万七千百六十五人、十万人未満ですよ。つじつまが合わぬのじゃないですか。料金を払わなくていいから、湯水のように使っているんじゃないですか。大体、私たちの税金が家族の電気、ガス、水道代にまでなぜ使われなくちゃいけないのか。国民の皆さんも納得できないと思いますよ。そうじゃないですか。どうですか。
嶋口政府参考人 この問題につきましては、特別協定のあり方、そのものにかかわる話でございますので、外務省の方から答弁いただければ幸いかと思いますけれども、私の方の立場でいいますと、そういう協定の中で、米軍は日本に展開してきている中でいろいろな制約がある、家族を伴うということは大変処遇の上で大事なことであるということで、それぞれ負担も伴うというふうなことから総合的に勘案して、また他方、我々の社会的な事情も考慮して、こういう特別協定がなされたものと理解しております。
 ただ、私どもとしても、現下の財政状況が非常に厳しいものでございますので、昨年でございますか、特別協定改定の際に、非常に負担が大きいということでございますので、部隊の外と申しますか、そこの家族住宅についてはもう私どもの負担は勘弁してほしい、若干難しい計算はありますけれども、それを差っ引いた上で、部隊の中にいる家族住宅については一〇%削減してほしいということで、協定の改定を行っていただいたところであります。
楢崎委員 そうですね、今言われましたように、地位協定というものが、安保条約審議の陰に隠れて、これに対する審議不十分のまま批准、承認されたという経過がありますね。その結果、私に言わせれば、アメリカの悪乗り要求ですよ。それと政府の拡大解釈、このキャッチボールが続いて、国民が理解する間もなく、思いやり予算、特別協定予算という名のもとに肥大化していったと思うのですね。つまり、時の政府と官僚の合作によって、屈辱的な予算執行が今なお行われている、このように言わざるを得ません。
 そこで、二〇〇〇年度に日本が負担した在日米軍駐留関連費の総額、幾らですか。――通告していますよ。
嶋口政府参考人 お答えいたします。
 二〇〇〇年度、平成十二年度における在日米軍駐留経費の総額は、六千六百五十九億円でございます。
楢崎委員 そうですね。
 参考のためにお聞きします。今は有名無実となっていますが、まだ改正はされていないわけですから、本来の地位協定二十四条一項、二項、これは経費分担の原則ですけれども、この原則に基づけば、この六千六百五十九億円という金額は、日本側は幾ら、アメリカ側は幾らとなるんですか。これはあくまでも参考ですけれども、お聞かせください。
嶋口政府参考人 これは外務省の方で積算しておりまして、私ども、通告がなかったものですから、外務省の資料を見ながら答弁させていただきます。
 ちょっと分類があれなんですけれども、この六千億を超える、六千六百五十九億というものの内訳は、通常の在日米軍経費、二十四条絡みの話と、それから、基地借料、経費等を加えた関連総額経費という二つから成り立っていると思います。
 そのうち、十二年度、そういう御理解のもとで申し上げますと、二十四条絡み、それから特別協定でいいますと、二千七百五十五億だろうと思います。
楢崎委員 そうですね。本来の地位協定に基づけば、日本側の負担というのは六〇%弱、約三千九百四億円で済むんですよ。米側負担は二千七百五十五億、今言われたとおりです。
 そこで、本来なら三千九百四億円で済むところを、この思いやりといいますか、特別協定によって六千六百五十九億円を負担しなくてはいけない。私に言わせれば、この特別協定というのは、地位協定二十四条に基づくものなのに、その二十四条に反する協定、論理的に正当化され得ないと思うんですよ。
 ちょっと長官の感想でも聞かせていただけますか。
嶋口政府参考人 この点につきましても、私どもより外務省の方で答弁していただくのが適切だと思いますけれども、二十四条一項、二項の解釈としてできるもの、それから、それから外れたものについて特別協定を結んでいるということでございます。
楢崎委員 いや、私が言いたかったのは、一項、二項がありますね、それぞれの分担がある。この特別協定というのは、本来はここから出てきたものなんですよ、二十四条から。それなのに、二十四条に反するといいますか、二十四条の趣旨を生かさない協定なんですね。その矛盾を今私は言ったんですよ。
 今言われました地位協定の見直しについてはこれからやりますけれども、先ほど長官も言われました、借金王国日本としては、やはり見直すべきは見直す、正すべきは正さなくてはいけないと思いますね。また、それが小泉内閣の姿勢であろうと思うんですが、もう一度お答えいただけますか。
嶋口政府参考人 これは地位協定の解釈ということではございませんけれども、やはり、私どもの方、非常に財政状況が厳しいということで、米軍に対しても、いろいろな機会を見つけて、むだはやめてほしい、いろいろな節約をやってほしい、具体的にやってほしいというようなことを重ねて申し上げておりまして、予算の方も、先ほど申し上げましたけれども、特別協定の改定の際に、この際、財政状況が非常に厳しいということでございますから、先ほども申し上げたような形で負担の軽減をさせてもらいましたし、それから、基地従業員の数も上限を設けて、いたずらにふやさないように、またきちんと人を使っていただくようにということは累次重ねて申し上げておるところであります。
楢崎委員 私は、このような安保運用の財政基盤が正当なのか、公平なのか、妥当なのか、それを見直す時期に来ていると思いますよ。
 これも、さかのぼれば古い話ですけれども、一九七一年、当時の愛知外務大臣、それとアメリカのロジャーズ国務長官、この間で交わされた密約、これは後ほど暴露されたわけですけれども、これが、地位協定二十四条をリベラルに解釈する、まあアメリカ側の負担を何とかしてよと言われたんだろうと思いますよ、これが後の思いやり予算になっていくんですよ。このやりとりからそこに発展していくんですよ。それでも、政府は当初、特例的、暫定的、一時的な措置と言っていたんです、この思いやり予算についても。ところが、今や、一般的、固定的、永続的な義務になっている。倒産、リストラ、失業率の増加が続く中で、一方では国民の知らないうちに思いやりの大安売りになっている。やはりどこかおかしい。
 私は、これは防衛庁長官に言うあれじゃないかもしれませんけれども、今思いやりのことをやっているわけですから、やはり日米地位協定、これを改正する方法でそういうゆがみを是正することは十分可能だと思うんですけれども、長官のお考えを。(発言する者あり)外務省、来てる。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今、委員より密約というお話がございましたけれども、これは累次国会答弁で政府首脳等からも述べておりますように、そういうものは一切ございません。
 日米地位協定の特別協定としての支援措置でございますけれども、これにつきましては、現在でも、特例的、限定的そして暫定的なものというふうに考えております。特例的であると申しますのは、特別協定に対して特例的であるということであり、暫定的ということは、五年間という期限を切っているということでございますし、また、限定的と申しますのは、光熱水料等一部の費用のみに限定しているということでございます。
 私どもも、この特別協定につきましては、経済事情等に勘案しまして、従来のように、増加していけばいいというものではないという判断でございまして、前回の協定締結交渉の際に、節約合理化を行うということを強く主張いたしまして、米側とも協議しました結果、米側の節約努力を明記するとともに、労務費につきましては、上限労働者の数を据え置きましたし、基地の外にございます住宅の光熱水料につきましてはこれを持たないこととし、光熱水料につきましては、全体として一割の削減を図ったところでございます。
 これにつきましては、御承知のとおり、国会の御審議にかけて御承認を得ているということでございまして、知らないところでふやしているということではもちろんないことはよく御案内のところでございます。
楢崎委員 確かに国会までが共犯行為に組み入れられたんですよ。
 それから、先ほどの密約、これは後に暴露されたと言っているんですよ、私は。それから、先ほど言われました、むだ遣いを戒めている、それは知っていますよ、こちらも。
 私は、基本的には、まず駐留なき安保を目指す、そして、終局的には、安保条約の解消、安保体制からの自立を目指すべきだと考えています。
 次、正式に地位協定の問題に入っていきます。
 川口外務大臣、どうも御苦労さまです。外務大臣に就任されて、お二人の国会議員に翻弄され続けて、心労もピークに達しているだろうと御同情申し上げます。
 きょうは、沖縄振興特別措置法案を審議しているんですけれども、冒頭ですが、十六、十七日の両日、中国において日朝当局者間の接触がなされたという報道がなされました。当然、神戸市出身の有本恵子さん拉致疑惑についてもただされたと思うんですが、北朝鮮側の反応はいかがなものであったか、外交上差しさわりのない程度で結構ですから、御報告できればしていただきたいと思うんですが。
川口国務大臣 有本さんの件につきましては、過去におきまして、日朝国交正常化交渉等の場で取り上げた経緯がございます。
 三月十六、十七日の件につきましては、そういう報道があったということは承知いたしておりますけれども、具体的な接触について何か申し上げるということにつきましては、控えさせていただきたいと思っております。
楢崎委員 報告は大臣は受けられたんですか、十六、十七日のその折衝の報告は。
川口国務大臣 具体的な接触につきましては、あったかどうかということにつきましてもコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。
楢崎委員 まあ、接触があったという報道のもとに、微妙な問題ですので、慎重に、しかしただすべきものはただす姿勢で、この件については協議を続けていただきたい、このように思います。
 それで、この沖縄の振興特別措置法案が出てきたその背景を考えたときに、どうしても日米地位協定を避けて通ることができないんですね。この法案では観光の振興がうたわれています。しかし、今や、米軍人そしてその家族による深夜犯罪が多発していて、観光事業にも打撃を与える問題になっていますね。それから、米軍用地の跡地利用の促進もうたわれていますけれども、そこでは今、環境汚染問題がクローズアップされている。言うまでもなく、この日米地位協定は安保条約六条に基づく附属協定ですけれども、その不平等性が今日まで指摘されたこともまた一つの事実であろうと思います。
 大臣は一昨日沖縄を訪問されました。この地位協定について、大臣の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 一昨日の土曜日に沖縄を訪問させていただきました。私は外務大臣に就任してできるだけ早い時期に沖縄に行きたいと思っておりましたのですけれども、さまざまな仕事がございまして、今まで東京を離れることが、国の外も含めまして全くございませんで、そういう意味で、私が国の内外両方を通じて初めて出張する場所として沖縄に伺えたということは、非常によかったと思っております。
 それで、地位協定でございますけれども、これはかねがね申し上げさせていただいておりますように、さまざまな事柄に機敏に対応していくというために運用の改善を行っていくということが非常に大事であると考えております。それで、運用の改善によって効果が十分でない場合には、これは日本だけで決めることができることではございませんけれども、その場合には地位協定の改正も視野に入れていくということかと思います。
楢崎委員 私は、川口大臣、生の声がお聞きしたかったんですね。今言われていることは、これに書いてあるとおり、これを読まれただけの話であって、ちょっとがっかりしますね。
 それで、今ここに「米軍の駐留に係る諸問題と日米地位協定」、外務省北米局、これはマル秘でも何でもありません、資料がありますね。この中に「日米地位協定の規定は、NATO、米韓、米豪など各地位協定と相当程度共通している。」と書いてあります。果たしてそうでしょうか。
 一つ例をとりますと、環境汚染問題。沖縄では今基地の環境汚染問題が問題になっているんですけれども、日本には調査権がありません。NATO軍として米軍が駐留するドイツでは、米軍の演習や基地使用には、これは原則としてドイツ国内法が適用されますし、協定の改定がなされた九三年からは、米軍側の許可、付き添いなしにドイツ側だけで基地に立ち入れるようになっている。沖縄では、汚染が判明しても米軍側の許可と付き添いがないと基地には入れないということで、どこが相当程度共通しているのかわからないんですがね。
 沖縄県のデータによれば、沖縄復帰後、米軍が絡む環境汚染は三百四十件あるそうです。そのうち、県が立入調査できたのは半数にも満たない。ドイツとアメリカの協定では環境アセスが義務づけられているわけですね。米軍の航空機、船舶、車両についてもドイツの環境法適用を認めている。韓国でも、韓国の環境保全を尊重する環境条項ですか、これを協定に盛り込むことが合意されています。この事実関係を見ても、外務省が言うところの「相当程度共通している。」ということにはならないんじゃないですか、どうですか。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘の資料で、相当程度共通しておるというふうに書いてございますのは、すべてがもちろん同じではないわけでございまして、相当程度共通の部分があるということでございます。
 例えば、御指摘のドイツのボン補足協定等におきましては、私どもの承知している限りでは、派遣国はドイツの与えられた施設区域外でも演習することができるというふうな規定がございまして、これは私どもの認めておらないところでございます。
 したがいまして、全くすべてが共通しているということを申しているつもりはございませんけれども、おおむね共通しているということで、そういうふうに書かせていただいているわけでございます。環境関係の規定につきましては、ボン補足協定に入っておりまして、私どもの地位協定には入っていないのは事実でございます。
 他方、私どもの地位協定におきましては、十六条におきまして、一般的な法令の尊重義務がございますし、これに加えまして、三条におきまして、米軍は施設の利用に当たって公共の安全に留意しなければならないという規定はございます。
 さらに、昨今、環境問題が重要性を加えておりますことにかんがみまして、一昨年の九月に、防衛庁長官、外務大臣が先方の国防長官、国務長官と会いまして合意いたしました環境原則というものを発出いたしまして、この環境原則に相当程度近いものが、その翌年の一月に米韓間で作成されました環境に関する合意議事録であるというふうに承知しております。
楢崎委員 私が言いたいのは、外務省が言うように相当程度共通しないということなんですよ。
 今ここに写真週刊誌があります。写真週刊誌ですから別のところをあけるとちょっと大変なことになりますので、印をつけてきたんですが、これは御許可をいただいて、大臣にこれを見ていただきたいんですが。(写真を示す)ここの部分だけ、余りあれしたら昼飯が食べられぬようになります。
 これは、湾岸戦争で米軍が使用した劣化ウラン弾、その後遺症による奇形児の写真です。この子は生まれてから数時間後に息を引き取りました。産んだお母さんは、この子を見た瞬間、病院から逃げ出したそうです。これが湾岸戦争十年後ですか、十一年後ですか、その実態です。
 我が国でも、九五年の十二月から翌年の一月にかけて、例の鳥島の射爆場で、米軍が千五百二十発の劣化ウランを使用していた事実が発覚しました。米軍によれば過って使用したということらしいですがね。当時回収されたのが二百四十七発、多数の弾が未回収で、長期的な影響について不安視されているところですけれども、その後、回収作業はどうなっているんでしょうか。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 劣化ウラン弾でございますけれども、今委員御指摘のとおり、本件は、米軍が過って、平成七年十二月から翌年一月にかけまして千五百二十発使用したわけでございます。この点については、私どもといたしましても、直ちに極めて遺憾であるということを指摘いたしまして、平成八年以降、回収を行っているわけでございます。平成八年、九年、十年、十一年、ずっと回収を続けまして、これまでのところ、二百四十七発回収された次第でございます。平成十二年、十三年には、作業は行いましたけれども、回収の成果はございませんでした。
 ただ、この際に、回収だけではございませんで、土壌サンプルを調査いたしまして、劣化ウラン濃度が上がっているかどうかということを調べたわけでございますが、昨年の陸域調査におきましても、劣化ウラン濃度の有意な増加は検知されておりません。ただし、私どもといたしましても、この劣化ウラン弾の問題というのは極めて重要な問題であるというふうに認識しているのは事実でございます。
楢崎委員 とにかく、この劣化ウラン弾というのは放射線を出しっ放しですからね。その隣の久米島とも二十五キロしか離れていないわけですね。今月の十二日には、劣化ウラン弾から出る物質が腎臓障害を起こす、この報告書が英国の研究班によってまとめられたわけです。我が国政府の対応はというと、米側の遺憾の意を素直に受け入れて、演習中止はおろか、環境の復元要求さえしていない。情けないの一言ですけれども。今、これは沖縄県の方から久米島住民の健診の実施を求められていると思うんですね。どう対応されるんですか。この健診の実施ぐらいはすべきではないですか。どうでしょう。
山元政府参考人 お答えいたします。
 ただいま先生のお話の経緯でございますけれども、平成九年の二月から三月にかけまして、私ども、外務省と共同で、関係省庁の、あるいは沖縄県の協力も得まして、環境調査を実施いたしました。専門家による評価もいただきまして、平成九年の六月に報告書として取りまとめてございます。その報告書におきましては、結論といたしましては、久米島の環境や一般公衆の健康への劣化ウランの影響はないという結論になっておるわけでございます。
 その際の評価に当たりましては、過大評価をしてございます。すなわち、未回収の劣化ウラン、約百九十キログラムに相当するそうでございますが、そのすべてが海水中に出た場合とか、あるいはそのすべてが微粒子化して空気中に拡散する場合、このような評価をして、その結論といたしましては、自然界の、例えば海水ですと、海水中に既に溶けている天然ウラン量の約〇・一三%とか、あるいはエアロゾル化したと仮定した場合には、自然界から通常受ける線量に比べて〇・三%程度という評価になってございまして、まさに影響は無視できるという結論を得ているわけでございます。
 さらに、その平成九年以降、平成十年、十一年、十二年、そして平成十三年度においてもそうでございますけれども、毎年継続いたしまして、久米島及び同島周辺におきます環境調査を私どもやっておるところでございます。
 要するに、空間放射線量率とか、あるいは大気の浮遊じんとか、土壌、海水、あるいは海産生物中におけるウラン量の評価をしているわけでございますけれども……(楢崎委員「健診をやるんですか、やらないのかと聞いているんですよ」と呼ぶ)先にちょっと経緯を御説明させていただきますが、その結論からいたしまして、久米島への劣化ウランの影響は認められないということでございます。
 そういうことで、私ども文部科学省としての見解といたしましては、久米島の環境とか一般公衆の健康への劣化ウランの影響はない、こう考えておりまして、健康診断そのものについては必要ないというふうに考えておるところでございます。
楢崎委員 少し甘いんじゃないですか、考え方が。放射線は出ているんでしょうが。量の多少じゃない問題ですよ。
 一昨日、あのインド洋から自衛艦の「くらま」が帰ってきましたけれども、ここにはファランクスが装備してあるんですよ。このファランクスというのは劣化ウラン弾を発射できるんですよ。それを日本は、高価ですけれどもタングステン弾を使っている。これはやはり非核三原則があるということが一つでしょう。それともう一つは、放射線による被害を考慮している。好意的に私はそのように解釈しているんですけれどもね。少し考えが甘いですよ。
 それから、九六年三月、恩納通信所跡地からPCBとかカドミウムとか水銀などの有害物質が検出されました。これも原状回復義務免除ですか、地位協定の四条、これがあるがために米軍は知らぬふりしているんじゃないですか。結局、この百二十トンのここから検出された有害物質は、今、航空自衛隊の恩納分屯地ですか、に保管されているということですけれども、これは現在も保管中ですか。どう処理されるのか、処理費用はどうされるのか、お答えください。
嶋口政府参考人 お答えいたします。
 御質問の件につきましては、現在一時保管ということで、恩納村にあります航空自衛隊の分屯基地に一時保管しております。この処理につきましては、率直に言って非常に頭が痛いわけでございますけれども、十四年度で、どんな処理ができるかということで、実証試験等のための経費を計上して、できるだけ早く成果を得て適正に処理してまいりたい、このように考えています。
楢崎委員 大体軍事基地というのは必然的に環境汚染を伴うものなんですけれども、それがゆえにアメリカは、自分の国内、つまり本土内においては、汚染除去プログラムですか、これを実施したんですね。ピーク時の九四年には約二十五億ドル国家予算を費やしています。
 ところが、海外基地においてはそういう環境保全に対する認識が見られない感じがするんですね。今言いましたように、環境破壊の発生源に今なっている基地跡地もあるんですけれども、これまた地位協定の三条、排他的使用権によって日本の環境法が適用されない。つまり、環境問題については一種の無法地帯になっているような感じがするんです。
 今、環境保全、保護というのは地球的な課題ですね。地位協定には環境保全、保護に関する規定がない。存在しないものは運用の改善もないわけですから、この環境保全問題を新たに組み入れる地位協定の改正が必要だと思うんですよ。いかがですか。
藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
 この環境問題の重要性というのは、まさに委員御指摘のとおりでございまして、私どもも国民の極めて大きな関心事項であるという認識をしております。
 そういう観点もございまして、先ほど申しましたように、二〇〇〇年九月に日米両政府間で、環境原則に関する共同発表ということを、これは大臣、長官レベルでいたしたわけでございますが、この中で、日本国政府及び米国政府は、環境保護の重要性が高まっていることを認識する。この認識には、日米安保条約並びにその関連取り決めに基づき合衆国軍隊が使用を許される施設・区域並びに施設・区域に隣接する地域社会における汚染の防止が含まれる。日米両国の共通の目的は、施設及び区域に隣接する地域住民並びに在日米軍関係者、その家族の健康及び安全を確保することであるということで、管理基準、情報交換及び立ち入り、汚染への対応、環境に関する協議ということを定めたわけでございます。
 管理基準のポイントは、在日米軍の環境基準は、一般的に、日本の関連法令上の基準を満たし、または上回るものとするということをここで確認したわけでございます。
 それから、情報交換及び立ち入りにつきましては、これまで合意された立ち入り手続に従いましてきちんと立ち入りを行うし、また共同環境調査、モニタリングを目的とするアクセスについても適切に行っていくということを合意したわけでございます。
 さらに、環境汚染につきましては、これが地域社会における大きな問題であるとの認識のもとに、あらゆる危険について協議する、人の健康への明らかになっている、実質的脅威になる汚染については、いかなるものでも浄化に直ちに取り組むとの政策を、アメリカがここで確認をしているわけでございます。
 さらに、環境に関する協議ということで、環境問題について定期的に協議していくということを改めて確認した次第でございます。
 今申しましたように、この環境問題は極めて重要であるということは私どもも認識しておりまして、関係省庁と協議しつつ、鋭意、この環境問題が住民に不安を与えないようにということで、今後対応していきたいというふうに思っております。
楢崎委員 今局長が言われたことは、昨年の九月、日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2、ここで基地内の環境保全責任を明確にすることで一致したとあるんですけれども、それに伴う日米合同委員会環境分科委員会での協議で、今答弁されたことが協議されたんですか。ちょっと確認ですが、簡単に。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 先ほど私が要点を申し上げましたのは、一昨年の九月にニューヨークで外務大臣、防衛庁長官が国務長官、国防長官と協議いたしました際に発表した原則でございまして、今後さらにこれを具体化していくためにということで、四半期ごとにこの環境問題について合同委員会のもとで協議をしていくということになっているところでございます。
楢崎委員 わかりました。
 それで、九月の2プラス2に基づいて、今言いましたように、日米合同委員会環境分科委員会で協議がなされていると聞いているんですけれども、この環境問題について。そういう議事録というのは公表できるんでしょうか。
西尾政府参考人 環境省が環境分科会の日本側の議長をやっておりますので、私の方からお答えいたします。
 日米合同委員会及びその補助機関の議事録というものにつきましては、基本的には日米両国の合意なしには発表しないということになっておりまして、環境分科会の議事録につきましても公表しないことを前提といたしまして議論をしてきております。そういうことで、これまで、双方の信頼、協議の関係というものを積み重ねておりますので、議事録は公表いたさないということにいたしております。
 しかしながら、この中では、具体の環境問題についてはいろいろ協議いたしておりますので、そういう問題につきまして合意、決定された環境情報というものにつきましては、これまでも極力公表してきておりますし、今後とも一層それの公表に努めたいというふうに考えております。
楢崎委員 環境問題が何でマル秘になるのかわからぬのですが、やはり国民が知らなければいけない問題でもありますし、また、国民に知らせなければいけない問題であると思うんですよね。極力公表する方向で措置していただきたいと思います。
 ことしの一月、北谷町の米軍跡地から、要するにコールタール状のものが入ったドラム缶が百四十六本見つかって、また、その基地返還のずさんなあり方、問題が浮き彫りになったわけですけれども、これは米軍のものと特定されたんですね。この処理はどうされるのか。それから、千八百四十万と言われる撤去費用、こういう問題等々について。
 もう一つ、四百トンに上る汚染土壌、この除去による原状回復関係について、ちょっと、今のところわかっている部分でいいですから教えていただけませんか。
嶋口政府参考人 御指摘のドラム缶の問題ですけれども、一月二十九日に発見されたということで、これは二十年ぐらい前になるわけですが、元米軍基地ということでございましたので、私どもも、直ちに施設庁また防衛施設局の中、それから米軍にも照会しております。ただ、残念ながら、まだ米軍の方からは、記録がもうないということで、わからないという返事しかございません。
 ただ、あの状況を総合的に勘案しますと、やはり米軍によるものという可能性が高いだろうという前提に立ちまして、原因者は特定できていませんが、そういう前提で、できるだけ早く処理するということが、何よりも関係の住民の人それから土地の所有者に対してもいいことだと思いますので、そういう観点で処理しています。最終的な数字、北谷町と県の方でいろいろやっていただいていますので、その点につきましては、私ども誠心誠意経費負担については対応していきたいということで、今最終的な詰めを行っている状況であります。
楢崎委員 元従業員の証言もあったんでしょう。それから、ドラム缶にアメリカ特許の刻印もあったんじゃないですか。とにかく、やはり地位協定に不備があるから、こういうアメリカの、きちっとした対応をこちらが指摘できないんですよ。
 それで、もう時間がありませんので、外務大臣にちょっと二点ほどお聞きいたします。
 一昨年、沖縄県の方から独自の地位協定の改正案が要望として政府に提出されたと思います。これはやはり過去の米軍による被害を反映した、沖縄県民ぎりぎりの要求であろうと思うんです。これに対する政府の反応というものが見えないんですけれども、どう対応しているんでしょうか。
川口国務大臣 一昨日、私沖縄に参りまして、沖縄県民の方に多大な御負担をおかけしているということを改めて強く感じました。こうした県民の方のお気持ちのあらわれとして、御指摘の要望が出されているというふうに私は考えます。
 政府といたしまして、米側と協議、協力をいたしまして、日米地位協定の運用の改善に努力をしているところですけれども、その際、関係地方公共団体の御意見も勘案して対処していくというように考えています。
 地位協定の運用の改善につきましては、二月十八日に、私はパウエル・アメリカの国務長官と外相会談を行いました際にお話をさせていただきました。そこで、刑事裁判手続につきまして協議の決着が必要であること、また、今いろいろ御質問をいただいておりました環境問題について、十分な注意を払い、個別の問題について緊密に協議をしていくということで一致をいたしております。今後ともこの努力は継続をしていくつもりでおります。
楢崎委員 もはや沖縄だけでなくて、日本の基地問題、日本の環境問題、日本の人権問題、日本の民主主義の問題、そして日本国憲法の問題という立場から、やはり地位協定のあり方を考えるべきであろうと私は思います。
 私たち民主党も、二〇〇〇年の五月だったと思いますが、地位協定の改定を申し入れているんですけれども、もはやもう運用の改善ではだめだ、協定の改正が必要だということを強くお訴え申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
萩野委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長吉村博人君及び外務省欧州局長齋藤泰雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
萩野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
萩野委員長 次に、原口一博君。
原口委員 民主党の原口一博でございます。
 沖縄振興特別措置法に関する諸問題について、そして地位協定をめぐる問題について、軍転特措法をめぐる問題について、北方領土交渉、日ロ関係について、北方支援の問題について、倫理の問題について、諸点について、大臣並びに関係省庁の皆さんに質問をしたいと思います。
 まず沖振法についてでございますが、尾身大臣、やはりこれ十年計画ということで、三次振計を今の時点から見ますと、なかなか長い計画でございますから、総花的であるな、あるいは今の時代にはもう合わないな、こういう感を持って前の計画を私どもも見るわけでございます。
 外務大臣にもぜひお聞きいただきたいんですが、心理学の実験にこういう実験があります。小学校の一年生、一割しかできていないパズル、半分できているパズル、九割できているパズル、どれでもいいから選んでごらんと小学校の一年生に言います。そうすると、大臣、どれを選ばれますか。伸びる子供というのは、一割を選ぶ子供ですね。
 親やさまざまな教育者が九割のパズルを与えてしまうと、それは自分で何でもやっていこうという気持ちがなくなりますから、これは知的競争力、コンピテンツという心理学の実験でございますが、やはり私たちは、もうそろそろ、沖縄にかけている二つの負担、一つは言うまでもなく、日本全体の、沖縄に七五%の基地があるというこの事実。もう一つは、一方でたくさんの事業を中央から移転し、そして中央で計画をし、そしてそれが逆にコスト高となって沖縄へはね返ってくる。
 一つの政策評価。この間、尾身大臣は、雇用のミスマッチについて後できっちりした資料を出していただいて、ありがとうございました。しかし、ほかのさまざまな公共事業あるいはさまざまな沖縄政策についても、やはりしっかりとした政策評価とそして総括、これがあって次のステップがあると思うのですが、尾身大臣、この沖縄振興新法について、ひとつ、こういう政策評価やあるいは業績評価、こういったものからしっかりとこの実施に向けてチェックをしていくおつもりがあるかないか、まずお尋ねをしたいと思います。
尾身国務大臣 沖縄につきましては、三次の十年計画といいますか、十年間を区切った振興開発のための法律をつくり、そして十年ごとの計画を三回にわたってやりまして、特に格差是正ということを大きな柱として、本土並みにしようという考え方のもとに、その発展について、私どもいろいろな手を打ってきたわけでございます。
 そこで、このたびの法律案を出しますにつきましては、今までの三回にわたる振興計画の内容についてのチェックをし、反省をし、そういうことから今までの三回の振興開発特別措置法とは違った形の、名前も沖縄振興特別措置法という名前にいたしまして、少し考え方を変えて今提出しているところでございます。
 その根幹は、もとよりインフラ整備、本土とのいわゆる格差の是正がかなり進んできている。したがって、今後ともインフラの整備は必要であるとはいうものの、しかし、この段階に至って、むしろ重点を経済の自立という方向に向けて、いろいろな今度はそういう意味での新しい段階に対応した政策を打ち出していくべきではないか、こういう考え方を持ってまいりました。これはもとより沖縄県側も大体において同じ意見でございまして、自立経済という考え方をむしろ出して、そして沖縄の稲嶺知事も、魚よりも釣り針が欲しいんだということをいつも言われているわけでございますが、そういう考え方のもとに今度の沖縄振興特別措置法は私ども提案をさせていただいているわけでございます。
原口委員 その中で、やはり確認をしておきたいのは、しっかりとした政策評価、業績評価、これをするべきであるということでございます。
 委員長、お許しをいただいて、資料を配らせていただきたいと思います。
萩野委員長 どうぞ。
原口委員 この一ページ目をごらんになってください。これは沖縄振興新法に基づく各種地域指定制度ということで、尾身大臣の省からいただいたものでございます。この下に書いてある減税額、さまざまな税措置もつくっていただいているんですが、ごらんになってください。単位は百万円。観光振興地域、これの減税額は、これは平成十二年度でゼロ。情報通信産業振興地域、これは二千百万円。産業高度化地域、四億二千七百万円。そして、今から御指摘を申し上げます自由貿易地域、特別自由貿易地域については、これは一千万円なんですね。そして、新たに今度は金融特区ということを入れられている。
 私は、予算委員会でも公述人がお話しになりました。やはり戦略的なものを持たないと、とりあえずいろいろなことを、今いいと考えられるものをすべて入れ込む、こういう施策では沖縄は浮上しない。これは日本全体におっしゃった公述人の御指摘でございますが、まさにこの沖縄の減税額一つとってみても、それが言えるのではないか。
 特別自由貿易地域も、これ私たちも視察をいたしました。今、百二十二ヘクタールのうち実際に埋まっているのは幾らなのか。何%が埋まっていますか、特別自由貿易地域。これは細かい数字ですから、事務方で結構です。
安達政府参考人 分譲可能面積九十ヘクタールの中で申し上げますと、約五ヘクタールという状況でございます。
原口委員 尾身大臣、お聞きになったとおりです。立地企業数九十一社、雇用者数六千百を見込んだものに対して、今お話しになりましたとおり、まさに見込みの六・六%、そして立地企業数については一・六%にとどまっているんです。
 私は、昨年の暮れ、中国を訪れました。そのときに、中国は、この十年でアジアにおける自由貿易を完成したいと言っている。我が国においても、シンガポールと自由貿易協定を締結しようという試みをしてみたり、韓国について自由貿易協定を試みようとしています。
 そういうスピードと、ここの特別自由貿易地域の特殊な、一国二制度と言われるものがどう整合性をとっていくんだろうか。たくさんの投資をし、しかも、これは沖縄県が六百数十億、立地については、これは中城全体ですが、県費を使うんですね。そして、この県費は、それが売れたときに返ってくる、こういう県費になっているわけです。国費だけでも、二千二百億のうち大変大きな部分に国費を使うわけです。これだけ大きな国費を使うときには、やはりコストとベネフィット、どういったものが必要かということをしっかり見きわめなければいけないということを指摘しておきます。
 さて、金融特区でございますが、尾身大臣、私は、この金融特区についても、ダブリンやいろいろなものについて御調査をなさった上での現在のこの金融特区についての沖縄新法への盛り込みだというふうに理解をしていますが、今、日本全国の企業が大変なバランスシートの中から不良債権をオフバランス化している中で、この五年、十年、こういう沖縄に積極的に投資をしていこうというインセンティブ、どういうところにあるのかなというふうに思います。その辺、どのように検討されたのか、まずお尋ねを申し上げます。
尾身国務大臣 いわゆる特別自由貿易地域とか、そういう特区制度を設けて税制上のインセンティブを与え、沖縄に製造業も含め、あるいはIT関連も含め、金融も含め、いろいろな企業を誘致していきたい、こういうふうな考え方で私ども政策をずっと行っているところでございます。
 そういう中で、現在までのところ、必ずしも理想的な形で企業誘致に成功しているわけではございません。ただ、考えてみると、日本全体が産業の空洞化という大きな流れの中で、むしろ今まである企業も工場を畳んで中国に移行するというような状況が日本全体として生じております。そういう中で、私ども、沖縄につきましては、この特区制度によって、徐々にではありますが、幾つかの企業が立地をし、あるいはこれからも立地を計画しているという状況にあるわけでございまして、基本的には、私どもは、こういう特区制度を活用して新しい企業の誘致を進めていきたいと考えております。
 金融特区につきましては、これは名護市あるいは沖縄県からの非常に強い要望もございまして、金融特区制度を今度の法案で御提案をしているわけでございますが、一つは、金融関係機関が全体として業務をアウトソーシングしていく、そういうことをいろいろ考えているわけでございまして、そのための一つの受け皿として、沖縄に子会社をつくって、そういう仕事をさせるということが考えられるわけでございます。
 それからもう一つは、情報通信時代になりますから距離的なハンディキャップがなくなるわけでございまして、幾つかの金融関係企業が、むしろ、こういう状況を見て、税制上の優遇措置もあるということで沖縄に進出しようという動きが現実にございます。
 私どもは、この金融特区制度が本当にうまくワークするように側面的な支援をしてまいるつもりでおりますけれども、そういう中で、この金融特区制度は、情報特区と並んでこれからの沖縄の発展の一つの大きな中核になり得る可能性を持っているというふうに考えておりまして、今のような御批判があることは承知をしておりますが、そういう御批判も踏まえて、しっかり頑張って、実質的に成果の上がるものにしていきたいと考えております。
原口委員 誤解をしていただきたくないのは、私は金融特区がいけないということを言っているんじゃないんです。ただ、現在のようなオーバーバンキングの状態で、日本全国でもまだ大変な間接金融の余力がある。ですから、これを整理しようというんで、もう塗炭の苦しみを今私たちは味わっているんです。そこで、その状況の中でこういう投資をしていくことが果たしてタイミング、時宜を得たものかどうか。
 そして、今、子会社をつくって距離的なハンディキャップをということをおっしゃいましたから、具体的にそういう御戦略をお持ちなのは結構ですが、私は、まず戦略目標の第一を教育に置くべきじゃないかというふうに思うんです。クリントン大統領が来られたとき、沖縄サミットの中で唯一具体的におっしゃったのは、沖縄イニシアチブです。沖縄に対する米軍基地の重圧、こういったものに思いをはせながら、沖縄の人たち、沖縄からたくさんの教育、人材を発掘していこう、ここにまず最大の重点が置かれるべきではないかというふうに思うわけでございます。
 今お話しになりましたところでは、私たちが金融全体を見ている中で、那覇自由貿易地域、それから中城の特別自由貿易地域、ここについてもしっかりとした企業立地をしてほしい、そういう願いですが、しかし、投資に見合うものがなければ逆に沖縄県の足を引っ張ってしまう、こういうこともしっかりと踏まえておかなければいけないというふうに思います。
 さて、次のページをごらんになってください。
 これは、二年前の四月に、私たちは我が党の民主党の上原議員とともに軍転特措法の改正案というのを国会に出しました。今回、この沖振法の中で一部取り入れていただいていることを私は多とするものでありますが、しかし、先ほど楢崎議員がお話をいたしましたように、実際に、今回出てきた北谷町における廃油入りドラム缶、こういったものは、この表の中の、つまり、返還になって、そしてその後出てきたら、じゃ、これは一体だれがクリーニングするんだ、だれがどの責任で、そしてどういう知識に基づいてやるんだ。
 私は、前の河野外務大臣にこのことについて質問をしたときに、もう運用改善でできないとするんであれば地位協定の環境条項の改正についても前向きに検討すべきだ、そういうお答えをいただいたわけですが、外務大臣、実際に環境庁長官もお務めになって、どこにどういうものを使っていたかというのは、これは米軍しかわからないんです。また、それを一々、返還をされた人たちがどういうものを使いましたかというのを米軍に聞くということも、軍事機密の意味から大変問題があると思います。
 私は、この部分についてはもう環境条項を入れない、改正をしない限り、今の運用の改善というところでは超えているんじゃないか。これは二年前も三年前も、当時の外務大臣もこれは前向きに検討すべきだというお答えをいただいていますが、川口外務大臣、いかがでしょうか。
川口国務大臣 環境問題というのは、基地の中であろうと外であろうと同様に非常に重要な問題であると思っておりますし、私は、環境大臣をしていたからということではございませんけれども、特に環境問題には関心を持っております。パウエル長官との間でも、環境問題については、個々の問題について緊密に協議をしていきましょうというお話をいたしております。
 環境の保全について、地位協定で、それを改正してきちんと入れていくという考え方について、そういうことをおっしゃっていらっしゃる方が大勢いらっしゃるということは承知をしておりますし、それもその一つの考え方、客観的に言えば、考え方かもしれませんけれども、現実的に、どのようにして環境の保全をやっていき、跡地の問題も含めてやっていくかという観点から考えましたときに、私はやはり今とるべき道というのは地位協定の運用の改善であると思っております。
 なかなか、あと何がそこに埋められているかということについては、調べないとわからない、それを調査した上で分析をしなければわからないという問題は確かにございます。ただ、実際にそれを解決していく道筋というのがないわけではございませんし、そういった個々の問題については、運用の改善ということで、きちんと協議をしながらやっていくのが、今私どもがやれることとして、一番具体的、現実的なやり方であると私は思っております。
 さまざまな意見がございますけれども、運用の改善に取り組んで、それがうまくいかないということであれば、地位協定の改正も視野に入れて検討していくということだと考えております。
原口委員 今までの答弁を前に出されないわけですが、ここにいらっしゃる白保議員とともに、ちょうど一年前のきょう、私はペンタゴンにいました。ラムズフェルド国防長官、新しくなられた長官とも御議論をさせていただいて、そして、アーミテージ・レポートに書いてあるように、ささいなことで、いわゆる事務的なことで、そのそごで日米両国のパートナーシップが壊れてはならない。むしろ大原則を政治家が言って、一々米軍に、あなたはここでどういうものを使っていましたか、どういう物質を使っていましたか、それを私たちが聞いて、そしてさまざまな環境のクリーンアップをするというのが現実的なんでしょうか。あるいは、同盟国として果たしてそれがいいんでしょうか。
 実際に、今の地位協定の条項の中ではクリーンアップの責任はどこにありますか。米側にありますか、外務大臣。
川口国務大臣 返還後ということで、米軍にそれが起因するものであるということであれば、国がそれは負担をするということだと思います。
原口委員 そうですよね。だから、米側が自分たちが持っている情報に基づいてクリーンアップするようにということで、ほかのところはみんなそうなっているじゃないですか。一九九五年に出したアメリカの中の自分たちの規律もそうなっているんです。ちょっと後ろの方、ぜひ、今大臣にお伺いしているので、よろしくお願いします。それを日本にも適用すればいい話なんです。
 費用をどうするかというのは、それはまた次の問題でしょう。しかし、クリーンアップの主体をだれにするかというのは、私たちは、やはりこれは使った人がちゃんときれいにしないと、後々までに、じゃ、ここは一体だれが使って、どんなことに使っていたのかわからないという不安が沖縄県民にいつまでも続くんですよ。そこは踏み込むおつもりありませんか。
川口国務大臣 環境問題について、米軍が何をやってもいいということには私はなっていないと思います。
 JEGSということがございまして、これは委員も御案内のように、日本の環境法令のいい部分、米側の環境法令のいい両方を取り入れたものだというふうに私は理解をいたしておりますし、そもそも日米地位協定で、米側は日本の関係の法令を尊重するという義務を持っているわけでございます。
 ですから、基本的に、原則は、考えますと、その日本側の法令に基づいて大体のことがそういっている、うまくいっているはずであるというのが前提だというふうに思います。
 そうでない場合にどうするかということでございまして、これについては、日米地位協定のほかのところの規定によってきちんと整理をしていくということでございますし、JEGSの見直しについても、今一連の環境についての新たな取り組みの中で議論をされているところでございますので、そういった個々の積み重ねが大事だと考えております。
原口委員 外務大臣はよく御存じなんですよ。
 JEGSというのは今どうなっているかというと、一九九五年以降に起こった環境汚染についてはアメリカが責任を持つと書いてあるんです。それ以前については、何も書いていないはずですよ。しかも、主体がだれかということも書いていない。私は、ここについて大変不満です。
 そして、いわゆる普天間の十五年問題についても、今回の日米首脳会談、日米外相会談で、このことについてはどういうふうにお触れになったでしょうか、外務大臣。
川口国務大臣 パウエル国務長官とお話をした中では、JEGSについては直接に私は触れておりませんけれども、環境問題については、個々の環境問題について緊密に協議をいたしていきましょうということで合意をしているところでございます。
原口委員 十五年問題について。
川口国務大臣 失礼いたしました。
 十五年問題ですけれども、これについてはパウエル長官との間で取り上げさせていただきました。
 私が申し上げましたことは、在日米軍の安定的駐留のために、沖縄については日米両国がSACO最終報告の実施のための協力を継続していくことが必要である、また、日本側として、十五年使用期限の問題に係る沖縄県の要請についての米国の立場は承知しているが、普天間飛行場の移設、返還につきまして、引き続き国際情勢を踏まえて相談をしていきたいということを申し上げました。
 パウエル国務長官からは、そのとおりである、十五年使用期限問題についてのお互いの立場はわかっているが、普天間飛行場の移設、返還についてよく相談をしていきたい、沖縄については自分が統合参謀本部議長のころから関心を持って詳しくフォローしているというお話がございました。
原口委員 私は、アメリカ側も、実際に私たちもパートナーで何人も話をしますが、この十五年基地問題を私たちはもっと強く言うべきだと思うんです。
 これは、沖縄の全部の基地について十五年の期限を設けてくださいということを言っているんじゃないんです。まさにこの普天間飛行場の代替飛行場について、それに十五年の期限ということを言っているんです。
 私は、このことについて、アメリカはしっかりと、世界の三分の一を、この私たち日本が世界の三分の一をカバーする米軍のスプレッドの基点になっているんです。そういう基点になっているパートナーの国に対して、私たちは従属国、プロテクタラートでも何でもありません。パートナーなんです。パートナーの国が、この問題については、危ないから十五年で、そして沖縄の、新たな基地をつくらない、その感情にしっかりと配慮して、パートナーシップを強めるために、この十五年の期限をしっかり守ってくれないか、同意をしてくれともっと強く言うべきじゃないですか、お互いの立場はわかっているけれども。
 私は、きょう、防衛庁にもお見えいただいていますが、極東の軍事情勢、今どうなっていますか。東アジアの軍事情勢について、防衛庁の方からお伺いをしたいと思います。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 先生の方から、ロシア軍の近年の軍事情勢ということでいただきましたので、この点についてお答えいたします。
 極東ロシアに関しましては、依然として核戦力を含む相当規模の戦力がこの地域には存在しております。他方、その戦力は九〇年以降縮小傾向にございまして、ピーク時に比べまして大幅に削減された状態にございます。
 八九年との対比で申し上げますと、陸上兵力は三十九万人、四十三個師団おったわけでございますが、これが十一万人、十七個師団。それから海上兵力は八百四十隻、約百九十万トンでございましたが、これが現在では三百五十隻、八十万トン。それから航空兵力は、作戦機でございますが、二千四百三十機だったわけでございますが、七百五十機という状態でございまして、大変縮小傾向にございますが、訓練も厳しい財政事情で依然として全般的に低調であるという特色がございます。
 さらに、定数に対する充足率も低下していると見られております。このため、即応態勢を維持しているのは戦略核部隊などに限られまして、一般の部隊の即応態勢は低下している模様であると見ております。
 そして、見通し得る将来におきまして、ロシア軍が冷戦時代のソ連のような規模、態勢に戻る可能性は低いと考えております。
 しかし、ロシアは、御承知のように、世界の多極化と一極支配という相入れない二つの趨勢が発生しているという国際情勢認識を持っております。それから、国内の不透明な政治経済情勢と相まって、ロシア軍全般はもとより、極東地域のロシア軍の将来像についても、その動向については防衛庁として大変関心を持って注目している、こういう状況でございます。
原口委員 今、ロシアについてだけお話をいただきましたが、やはり中国あるいは韓国、北朝鮮、この隣国のさまざまな平和と安全を考えるときに私たちはしっかりと押さえておかなければいけない、それは日米のパートナーシップであるというふうに、外務大臣、私はそう思います。そして、言うべきことをきっちり言って、そしてお互いの信頼関係をさらに強化していく、これが大事だと思います。
 その中で特に残念なのは、米兵等にかかわる事件が四年連続で増加の一途であるということです。これもラムズフェルドさんに直接私たちはお話をしました。もうそこでのお話はここでは申しません。しかし、かなり私たちは残念であるという強い思いを申し上げました。
 そして、沖縄のさまざまな問題についても、今私たちは、大規模振興拠点駐留軍用地跡地の法制ということでこの沖振法の中に書いていただいていますが、その中で、やはり地主の借料について、これも決算委員会で我が党の石井紘基委員が提出した、これは内部資料がお手元に配付している「平成十一年度概算要求(沖縄借料)について」ということでございます。
 これは防衛施設庁にお尋ねをしますが、我が党の石井紘基委員の質問に対して、実際にこういったことがあったのかなかったのか、そして、これが政治献金として、あるいはさまざまなお金として戻っているのかないのか、このことについて調査をお約束されていると思いますが、関係省庁、防衛施設庁、いかがですか。
嶋口政府参考人 お答えいたします。
 石井先生の方から衆議院の決算委員会におきまして、十一年度概算要求(沖縄借料)関係、八月二十六日付という文書につきまして御紹介がございました。私ども、鋭意探しましたところ、そういうものはございますということをお答えしました。
 ただ、どちらかというと、えたいの知れないというか、中身のはっきりしないところもございますし、どのように使われたのか、いつどのような目的でだれによって使われたのかわかりません。そういうこともありまして、また、その中で、鈴木先生の御指導も得てというそのときの言及もございますので、どんなものかはきちんと調べてみましょうということをお答えしました。
 ただ、鈴木先生と土地連との関係につきますと、一般的に、沖縄の借料につきましては、土地連の方々は、最近、沖縄選出の国会議員の方々等関係の先生方にいろいろお願いしているということを承知しておりますけれども、土地連の人たちと鈴木先生の関係につきまして、私どもは承知しておりません。
 また、献金の問題について、私どもちょっと……(原口委員「聞いたことだけ。土地連との関係なんか聞いていないですよ。鈴木先生の名誉にもかかわりますので」と呼ぶ)はい、そういうことはございませんので。(発言する者あり)県選出の先生方の一部につきましてということでございます。
原口委員 委員長にぜひ御注意をいただきたいのは、私は、こういう文書があって、これについて調査されますかということを聞いているのであって、聞いてもいないような議員の名前を出して、そしていろいろと時間をお使いになるのはやめていただきたいと思います。
萩野委員長 ひとつ御注意ください。
原口委員 次に、国際観光振興会ということで、これも沖振法の中にございますが、尾身大臣、この特殊法人、役員を見てみました。これは、沖縄のさまざまな観光PRをここが主体的になってやるということでございますが、この皆さんのお手元にお示しした国際観光振興会の役員名簿、まさに各省庁の天下り先、こういうことになっているんです。
 私は、小泉内閣の基本方針というのは、やはり、民にできることは民に、地方にできることは地方にということであったのではないかというふうに思います。まだ特殊法人改革、さまざまな公益法人改革が企図でございますが、沖振法の中で、この国際観光振興会というものを中心にさまざまなPRをなさっていくというのは、私は小泉内閣の基本的な姿勢とどういう整合性を持つのか非常に疑問に思っているんですが、このことについて尾身大臣の基本的な見解をお尋ねいたします。
尾身国務大臣 昨年のテロのとき以来、修学旅行のキャンセル等が相次ぎまして、沖縄の観光は大変厳しい状況になりました。その際、私どもは、ありとあらゆるチャネルを通じて、沖縄観光がもとに戻るように全力で努力してきたところでございまして、私自身は直接存じませんが、そういう機関にもいろいろな意味での活動をお願いしたのではないかと考えております。
原口委員 活動をお願いしたんじゃなくて、今皆さんが出していらっしゃるこの沖縄新法の中に、まさに国際観光振興会が外国人観光旅客の沖縄への来訪を促進するために云々という規定を書いていらっしゃるから申し上げているので、果たして、こういう特殊法人、公益法人といったものをフルに利用してやるやり方がいいのか、そうではなくて、先ほど冒頭申し上げましたコンピテンツの実験の例を何で申し上げたかというと、もっと私たちには自由が必要なんです。
 自立経済と今尾身大臣はお話しになったと思いますが、相変わらず、そこのPRをするところがこういう国際観光振興会なる特殊法人、しかも役員は皆さん御案内のとおりほとんど天下りということでは、効果的な宣伝や効果的な沖縄のPRというのはできないんじゃないか。むしろ、沖縄が本当に安全である。
 一月に私たちは沖縄に、これは別の委員会でしたが訪れさせていただきました。まだ相変わらず沖縄に行く飛行機は超低空で飛び立ち、超低空で着陸をします。それはなぜか。その上を、いわゆる嘉手納から飛んでいく米軍機が上空を占有しているからです。なぜ大きな、三百人、四百人、五百人乗りの旅客機が超低空でずっと海の上をはうようにして沖縄に着陸しなければいけないのか。飛行機は高いところの方が安全だ。なぜ軍用機が上を飛ばなければいけないのか。沖縄ラプコンの問題についてもさまざまな御指摘をして、ここについては外務省、随分頑張っていただいた。しかし、まだそういう状況なんです。
 そして、先ほど地位協定の環境見直しについても、今運用の改善でやっています。どこにどんな物質が埋まっているかわからない、あるいは不発弾が埋まっているかわからない、そういう不安を抱えていらっしゃる沖縄県民に対してもっと真摯な態度があっていいんじゃないかということを思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 日本全体の在日米軍基地の七五%が沖縄にあるということで、沖縄県民の皆様に大きな負担をかけていることは事実でございます。私どもは、そういうことを考えながら、SACO最終合意に基づいて基地の整理、縮小、統合を進めていき、同時にまた、いろいろな形での沖縄の振興を進めていくことが大事であるというふうに考えております。
原口委員 SACOの最終合意、これが金科玉条のごとく言われる。それについては、私たち民主党は、もうSACO2、このSACOだけではカバーできないさまざまな沖縄の問題がたくさん出ているということで、しっかりと政府に対しても提言をさせていただいていることを申し上げて、外務大臣、二十分までしかいられないということでございますので、沖縄の問題を少し離れますが、日ロ外相会談。
 二月の冒頭行われました日ロ外相会談で、これは外務省のホームページからいただいたものでございます。外務大臣記者会見記録ということで、先週のいわゆる日ロ外相会談で、並行協議で一致した、ところが、イワノフ外相はそれは作り話であったというふうなことを言われていますが、外務大臣はこのとき何とおっしゃったのか。そして、イワノフ外相も同意されたのかという記者の質問に対して、川口外務大臣は、同時かつ並行的にということを私ははっきり申し上げた、そしてイワノフ外相も同意された、しかり。これは私がつくった資料ではなくて、きょう、現在、外務省のホームページに書いてある、そういう記者会見の中身でございます。これには、事実、間違いございませんか。
川口国務大臣 ホームページ自体は私は見ていませんけれども、そういう会話はいたしました。
 それで、その意味がどういうことだったかということをちょっと申し上げさせていただきたいんですけれども、二月二日の外相会談におきまして、私から、歯舞、色丹の引き渡しの議論と、国後、択捉の帰属の議論を同時かつ並行的に進めていくことにつきまして言及をいたしました。これに対しまして、イワノフ外相より、イルクーツク首脳会談及び上海首脳会談を含むすべての合意を遵守していく、話し合いの中であり得るすべての問題を討議する用意があるという発言がございました。したがいまして、少なくともその時点においては、このような議論を日本側が提起することについて、ロシア側より何ら反対はなかったということでございます。
 それで、私の発言というのは、御指摘、御引用になられた発言ですけれども、それにつきましては、そういう趣旨を述べたということでございまして、二月二日の外相会談で、新しい交渉の枠組み、これを設定するということについてロシアと日本との間で合意があったということを申し上げる趣旨ではなかったということです。
原口委員 いや、イルクーツク会談というのは、いわゆる一九五六年の日ソ共同宣言に基づいて歯舞、色丹両島は我が国に返還する、こういうことだというふうに思います。私は、イルクーツク会談そのものが、私の理解では非常に不十分なものである。一九五六年の時点をわざわざあそこで確認するようだったら、東京宣言やその後の川奈提案や、あるいはクラスノヤルスクでの合意というのは一体何なんだということを私はそのとき強く批判をしたんです。
 一体、この同時かつ並行的にということは何を指すのか。今お話しになった、歯舞、色丹は日本のものだ、そして、択捉、国後については、帰属ははっきりしないけれども、私たちはここも我が国の領土であると言っていて、ロシアはこれはそうではないと言っている、このことについて帰属をはっきりさせよう、こういう理解でよろしいですか。
川口国務大臣 イルクーツクの会談で声明が出ているわけですけれども、それについては、一つは、おっしゃったように、五六年の共同宣言、これを交渉プロセスの出発点と位置づけて、有効性を文書で確認するということと、その上で東京宣言に基づいて四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということを再確認したということでございます。
 私とイワノフ外務大臣との会談におきまして、平和条約に関するすべての問題を議論しましょう、それで、四島の帰属の問題を解決して平和条約ということについてお話をさせていただいているわけでございます。ですから、おっしゃったような、それだけでは全然進展がないということではないというふうに思っております。
原口委員 なぜ私がこれをきょう御質問申し上げているかというと、まさにイワノフ外相が、ここで書いてあるとおり、日本側の作り話だ、そんなことは合意もしていないということをロシアの国会ではっきりおっしゃっているからなんです。
 私は、これはとても大きなことである。日ロの両国が先月合意をしたことを、それを翌月に、ロシア側がその国会でそんなことはうそだということをおっしゃるというのは、とても容認できないことじゃないかと思うから聞いているんですが、なぜそこにそごが生まれてくるのか。本当にイワノフ外相も同意をされたのか。ここに、今お話しになりましたイルクーツク会談と東京宣言を踏まえてというのはこのことなんです、同時かつ並行的にということで。本来は、四島一括ということをしっかり言って帰属をはっきりさせればいいものを、その中で先行返還論だ何だというわかりにくいメッセージを一部の人たちが言っていたために、ロシア側も相当な議論の混乱が見られるんです。
 外務大臣にお伺いをしたいのは、イワノフ外相もやはり同意をされたというふうに私たちは見てよろしいんですね。それは、イルクーツク会談、東京宣言を踏まえた、その時点のことはしっかりと同意があったということでよろしいですか。
川口国務大臣 先ほど申し上げましたことは、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結しようということについては、日本は、我が国は一貫した方針をとってきているわけでして、先月のイワノフ外相との会談について、イワノフ外相からは、話し合いの中であり得るすべての問題を討議する用意があるということをおっしゃっていただいているわけでございまして、そういう意味で、日本とロシアとの間では意見は一致しているということでございます。
 他方で、上海での首脳会談以降、今日に至るまで、日ロ間で協議の形式について明確な形で合意に達していたというわけではないということです。
 重要なのは、議論の形式ではございませんで、内容です。両国が、それぞれが関心を有するすべての問題を議論していくということで一致しているわけですし、今後は平和条約交渉に関するすべての問題、すべての議論を実質的かつ具体的に進めていくという方針でおります。
原口委員 なかなか理解できないんですよ。それは両国のすべての問題を外交チャンネルで話し合うというのは当たり前のことで、私が伺っているのは、協議の形式のことではなくて、今お話しになった、まさに東京宣言、イルクーツク会談、このことは後ろに下がっていませんねということを申し上げているんです。それは、イワノフ代表もそのスタート地点に立って、その到達地点と政府はおっしゃっているわけです、私たちは後ろに下がっていると思うけれども、その到達地点はまだ下がっていませんねと。
 これはどうですか。簡単な話なんです。二つの、イルクーツク会談と東京宣言、これは後ろに下がっていませんか。
川口国務大臣 後ろに下がっているか下がっていないか、簡単に答えろということで簡単にお答えするほどこの問題は簡単な問題ではないと私は思っています。長い粘り強い交渉の中で、いろいろな局面、紆余曲折というのは、これはあって当然であるわけでして、一つの局面で何があったから後ろに下がったとか前に進んだとかいうことをある一時点で判断するということではなくて、全体の流れの中で少しずつ進んでいる、そういうことが粘り強い交渉としては必要なことですし、必要な判断の仕方ではないかというふうに私は思います。
原口委員 今世紀中に起きたことは今世紀までにということでやってきたんです。それで、今の答弁では、全く納得がいかないし、本当に当事者能力を欠いていると思いますが、もうお時間ですから。
 そこで、防衛庁にもう一回お伺いします。
 北方四島にロシア軍というのはいますか。そして、ロシアの基地はありますか。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 北方領土に駐留するロシア軍の地上軍でございますが、旧ソ連時代の七八年以来、地上軍部隊を再配備いたしましたが、近年人員数は減少傾向にあり、現在はピーク時に比べ大幅に縮小した状態にあると考えられます。
 北方領土のロシア軍に関しましては、九六年三月の日ロ外相会談におけるプリマコフ外相の発言、それから四月の日ロ防衛首脳会談におけるグラチョフ国防相及び九七年四月の日ロ防衛首脳会談におけるロジオノフ国防相の発言において、駐留ロシア軍は一九九五年までに約三千五百人まで削減され、色丹島には軍隊は駐留していないことが明らかにされております。
 さらに、九八年一月の防衛事務次官の訪ロの際、セルゲーエフ国防相から同次官に対しまして、北方領土のロシア軍は着実に削減されているという説明があったところでございます。
原口委員 しっかりと軍隊いるんですよ。そして三千五百人、(パネルを示す)私はそこでロシア支援室、外務省に伺いますが、皆さんがおつくりになったこの物品、この物品は軍事用に使われないんでしょうね、外務省。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 そのようなことはないと思います。
原口委員 根拠を示してください。皆さんからいただいたこの資料、この検討資料の中には、まさに平和の上にあぐらをかいた、どこにも軍事施設に使われる危険があるなんというのは書いていないじゃないですか。ここにもまだずっと油を送り続けるんです。本当に軍人軍属、では聞き方を変えますが、私たちの認識では、この島はロシアに不法に占拠されている島じゃありませんか。
齋藤政府参考人 北方四島は我が国固有の領土でございまして、ロシア側が不法に占拠している状態が続いているという認識でございます。
原口委員 杉浦副大臣、これは大事な点でございますので、この電力、大変な電力なんです。これが軍事転用されていないのか、あるいは不法占拠を助長するそういうものになっていないのか、ぜひお調べいただきたいと思うんです。
杉浦副大臣 よく調査いたします。
原口委員 ありがとうございます。
 そこで、この消費税について、消費税分、過払いしているんです。しかも、この発注の仕方も絶対におかしい。あの後、たくさんのほかの省庁の皆さん、外務省以外の皆さんから、国の発注がこういういわゆる一番低いところがとらないという、最低価格を設けるなんという発注の仕方はないということをどうしてもっと外務省に強く言わないんだということを言われました。
 三井物産、伊藤忠商事、兼松でございますが、齋藤局長、三井物産だけではなくて、これはグループなんですね。三井物産とダイハツディーゼル、北海電工とか、そういうグループです。このグループの、Aグループ、Bグループ、Cグループ、色丹島だけで結構ですから教えてください。――通告していたので。
萩野委員長 通告してあるの。しばらくお待ちください。
 それじゃ、ストップしましょう。速記をとめて。
    〔速記中止〕
萩野委員長 速記を起こして。
 齋藤欧州局長。
齋藤政府参考人 お調べして、すぐお伝えしたいと思います。
原口委員 いや、だから、待っています、待っています。それは大事なところなので。きょう、だって法務省まで呼んでいるんです。
萩野委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
萩野委員長 速記を起こして。
 齋藤欧州局長。
齋藤政府参考人 大変失礼いたしました。
 電気工事業者は北海電気工事、ディーゼル機関製造者はダイハツディーゼルでございます。
原口委員 三つについておっしゃってください。それは最終的に受注したところですね。伊藤忠商事と兼松もやはりグループを組んでいますね。それの一緒のグループは何ですか。もうこれは一週間前から言っているんですよ。
萩野委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
萩野委員長 速記を起こして。
 齋藤欧州局長。
齋藤政府参考人 択捉……(原口委員「色丹島」と呼ぶ)色丹だけでございますね。ダイハツディーゼルであったのではないかと思います。
原口委員 委員長、まじめに答えるように、皆さんにわかるように。
 ここを聞いているんです。三井物産にはあと二つ入っているんです、それは北海電工とダイハツディーゼル。それから伊藤忠商事も二つ入っているんですよ、それはどこですかと。それから、兼松も二つ入っているんですよ、それがどこですかと聞いているんです。これを埋めてくれればそれで済むんですよ。
萩野委員長 いいですか、ちゃんと答えてください。
齋藤政府参考人 失礼いたしました。
 伊藤忠につきましては弘電社とダイハツディーゼル、兼松につきましては関電工と新潟鉄工所というふうに承知しております。
原口委員 言えないはずなんです。ダイハツディーゼルが重なっているじゃないですか、この伊藤忠と三井物産に。そうすると、ダイハツディーゼルを通してこの二つの価格はわかってしまうじゃないですか。
 法務省、私は、いわゆる談合罪、そして、偽計によって入札を妨害したという疑いが大変強いと思います。いわゆる偽計入札、これの構成要件は何でしょうか。そして、談合罪の構成要件は何でしょうか。
古田政府参考人 まず、偽計競売入札妨害につきまして御説明申し上げますと、刑法九十六条の三の第一項になりますが、偽計を用いて、公の競売または入札の公正を害すべき行為をしたことを犯罪としております。
 次に、談合罪について申し上げますと、談合罪の構成要件は、公正な価格を害しまたは不正な利益を得る目的を持って談合することを犯罪としております。
原口委員 今法務省がお話しになったとおりです。
 副大臣、どこの入札に同じ会社が入りますか。ここで情報が交流してしまえば、入札価格はわかってしまうんです。こういったことをやっていたということを、副大臣、ぜひしっかりと総括をしてください。お願いします。どうぞ。
杉浦副大臣 確かに、常識では考えられない事態だと思っております。
原口委員 調査をして、なぜこういう無残な入札が行われていたのか。
 そして、私は、これ、きょうの資料の最後のところにつけておりますが、これは新聞記事で恐縮ですが、「外務省 キャリアも無料宿泊」、十三年の九月六日です。
 松尾事件、この松尾事件については、幾ら詐取されたかというのはまだ特定していません。
 それから、外務省のプール金、このことも、多数の課が持つようになった背景には、逮捕された浅川容疑者というこの人だけではできないはずなんです。この浅川という人は、西欧一課の補佐として十一年もここにいるんです。十数年、西欧一課に居続けた。このことを許したのは一体だれなのか。浅川さんの不透明な会計のやり方を知っていたにもかかわらず人事をしたのはだれなのか。
 齋藤局長、あなたはそのときの西欧一課長ではありませんか。浅川さんと一緒に仕事をなさったことはございませんか。
齋藤政府参考人 私が、一九九三年の夏から一九九四年の夏にかけまして一年間、西欧第一課長をやっておったときに、課長補佐として在籍しておりました。
原口委員 浅川さんと一緒にお仕事をなさっている。そして、齋藤局長、あなたはその後人事課長にもなっていらっしゃるんでしょうか、まさに、私は、人事当局が彼らを、その公費乱脈ぶりというものを知りながら、逆に人事上優遇してきたんじゃないか。松尾氏についても、同じところに何年いたのか。六年以上いたんだと思います。この浅川容疑者については、十数年にわたり西欧一課に居続けた。このことは一人ではできないんです。
 杉浦副大臣、私は、こういったものを許してきたそのものを絶たないと外務省に対する信頼は回復しない、そして、まじめに会計処理をやってきた人たちが泣いている、このことについて、ぜひきっちりとした調査をしていただいて、そしてうみを全部出していただきますようにお願いをします。最後に御決意を伺って、私の質問を終わります。
杉浦副大臣 改革推進委員会の方でタスクフォースをつくりまして調査をいたしました。その結果、プール金の問題、解明したわけでありますが、その一つの結論として、特に会計担当者ですが、長く務めているのはよくないということで、人事の方で在職三年原則という方針を打ち出したわけでございます。
 それぞれの処分も、田中大臣のもとでございますが、その関係で相当多数の、三百人ぐらいでしたか、処分したことも御案内のとおりでございます。一々の関係は申し上げませんが、そういうことでございます。
 今後、人事の方針において、再発しないようにさまざまな措置を、三年原則を初め、講じておるところは御案内のとおりでございます。そういうことはあってはならないことであって、今後、外務省改革、実行に当たっていくわけですが、制度運用の面できちっとしていかなきゃならない。監視制度もできましたので、そのあたりは十分に配慮していかなきゃならないと認識しております。
原口委員 これで終わりますが、会計責任者だけ処分をして終わりというのでは絶対にだめだと思います。人事でそれを許しているはずですから、ぜひ厳しく切り込んでいただきますように要請をして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
萩野委員長 次に、一川保夫君。
    〔委員長退席、西野委員長代理着席〕
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 まず、尾身大臣の方にお伺いをしたいと思います。
 このたびの沖縄新法と言われる法律、大変なボリュームであるわけですし、これまでの法律のタイトルを一部変えて、沖縄の振興を新たな考え方のもとでしっかりとまた進めていきたいという意思のあらわれでもあろうかというふうに思います。
 昭和四十七年五月に本土に復帰して以来、国費でも七兆円余りの投入で、三十年間にわたって振興を図ってまいったわけです。当初、いろいろなねらいの中で、沖縄の振興をこういうふうに進めながらいろいろな課題を解決しようということで進めてきたんだろうというふうに思いますけれども、では、現状ではすべての問題が解決されているかということを見た場合に、当然ながら、こういう立派な法律をつくっていこうとする以上は、まだまだたくさん課題があるという中でこういう法律をつくるわけでございますから、これまで三十年間のこういった沖縄の振興にかかわる諸施策というものに対するやはり一つの総括といいますか、その成果なりその反省なり、そういったところをしっかりとした問題意識を持つことが非常に大切ではないかなというふうに思います。
 四十七年当時、人口が百万を切っていたと思いますけれども、今現在、百三十万を超えるような人口にふえてきております。これは、我が国全体の人口の伸び率よりも高いような気もしますし、そういう面では、沖縄出身の方々の一種の郷土愛みたいなものがあるのかもしれませんけれども、そういうふうに、人口の定着というのは割と順調に来ているような気がするわけです。ただ、一方では、雇用状態を見たときに大変厳しいものがあるというふうなものもいろいろなデータに出てきております。
 そういういろいろな課題を抱えながら、また新たな振興を図っていくわけでございますけれども、担当大臣として、これまでのこの三十年間にわたる沖縄振興のいろいろな施策に対する評価というものですか、そういうことに対しての御所見をまずお伺いしたいと思います。
尾身国務大臣 三十年前に沖縄が本土に復帰して以来、三次にわたる沖縄振興開発計画を立て、それに基づいて総額六・八兆円の国費を投入いたしまして、沖縄の振興開発のための施策を講じてきたところでございます。その結果、施設の整備面を初めといたしまして、次第に本土との格差は縮小してきている、そういう意味において着実な成果を上げてきたと考えております。
 しかしながら、なお、県民所得一人当たりで全国の七二%でございますし、また、失業率も全国が五・三%であるのに対して七・二%という高い失業率でございます。そういうことにあらわれていますように、なお、産業の振興とかあるいは雇用の創出、拡大という面では解決しなければならない問題が多々あるというふうに考えております。
 そういう問題を解決するために、民間主導の自立型経済の構築に向けた取り組みが必要であるという考え方で、このたびの沖縄振興特別措置法を提案している次第でございます。
一川委員 大臣今、基本的にはそういうことだろうと思いますけれども、これから残された課題としましては、所得の格差の問題なり、それから雇用の、失業率が非常に高いという厳しい状況にあるということは、それはそれで現実でございますけれども、一方においては、産業振興という観点から見た場合に、これまでの産業振興のやり方の基本的な方向に何か反省すべき点があるのかないのか。特に、沖縄県という特殊な立地特性の中でどういう産業をこれから振興した方がいいかということについて、三十年も経過していますから、何か一つのやり方に反省点があるんじゃないかなという感じを私は受けます。
 それから、沖縄県は残念ながら米軍基地に相当依存しておる実態になっておるわけですけれども、こういった基地依存型の一つの経済構造ということも現実問題としてあるような気もします。
 そういうことをいろいろ考えてみた場合に、もう少しこれからの雇用という面を考えた場合でも、本当に産業振興ということ、そのあたりのこれまでのやり方の反省も踏まえて、今後どうあるべきかというところについては大臣はいかがでしょうか。
尾身国務大臣 今までかなり、自由貿易地域とかあるいはIT関係の特別な区域を定めるというようなことで、そこに企業を誘致しよう、またいろいろな意味でのインフラを充実しようということでやってまいりました。今度は、こういうハードだけではなしにむしろ、ハードとソフトと分けますと、ソフトの面でいろいろなところを充実していきたいというような基本的な考え方を持っているわけでございます。
 したがいまして、人材の育成とか科学技術の振興とかそういういうことを今まで以上に力を入れてやっていきたい。そのことの一つのあらわれが、私どもが今進めております沖縄の自然科学系の大学院大学でございまして、これは、現在の沖縄の水準にこだわらないで世界最高水準の大学院大学を沖縄につくって、アジア太平洋地域の知的な中核体にしていきたいという構想でございまして、これを今現実のものとすべく進めているわけでございます。
 この法律の中にも、大学院大学の設立等を進めるという趣旨のことを入れさせていただいているところでございまして、そういう意味で、今までとは違った本格的な自立経済に向かって新しい人材を育て、また科学技術を振興するという新しい方向を加えた形で沖縄の振興発展を実現していきたいと考えている次第でございます。
    〔西野委員長代理退席、委員長着席〕
一川委員 先ほどちょっと私が触れましたけれども、沖縄の現実問題として、米軍基地が相当面積的にも占めているというのが現実でございますし、一つの大きな悲願といいますか課題の中の一つに、基地返還問題というのがあるわけですね。
 これからも返還を当然要請しながら計画的な利用を図っていく必要があると思いますけれども、じゃ、これまでに返還されたところがどういうふうにうまく利活用されてきているかというところがちょっと知りたいわけです。実際、何か復帰後の返還面積は全体で五千町歩ぐらいあるというふうにお聞きしたんですけれども、そのあたりの数字、わかりますでしょうか。全体、これまでに基地の返還された面積。
安達政府参考人 私どもお聞きしたところでは、返還面積は五千六十五ヘクタールということでございます。
一川委員 では、その中をちょっと内訳がわかったら私知りたいわけですけれども、全体五千町歩余りという中で、現実まだ利用計画が定まっていないというか未利用地というんですか、そういうのはどれくらい占めているんでしょうか。
安達政府参考人 最近までの面積としての先ほどの五千六十五ヘクタールでございますが、そのうち未利用地は千四百四十ヘクタールと聞いております。
一川委員 三割に近いような面積が未利用地ということの今説明なんですけれども、これが未利用地として今そういうふうに残されているというのは、その所有者の形態にもよると思いますけれども、ほとんどが民有地じゃないかなという感じもするわけです。そういうような未利用地の状態で置かれているという理由といいますか、それはどこに問題があるんでしょうかね。そのあたり、だれかわかる方、御答弁お願いします。
安達政府参考人 この未利用地千四百四十には、ごく最近返還されたものということで、時間的に当然ながらまだ開発に至っていないという部分もあろうかと思いますが、これまで利用に時間がかかったというものの要因として見たときに、一つは、私どもこの跡地対策をこれまで検討してきた中で浮かび上がってきた課題でございますけれども、やはり、返還前の時間というものを有効に利用して、土地利用計画のコンセンサスをつくっていくとか、あるいは都市計画上のプランニングを進めていくとかそういった時間の有効活用ということが十分できていないということ。したがって、返還後コンセンサスを得るのに非常に時間がかかってしまう、こういったケースが一つございます。
 また、これは全体としては例外的でございますけれども、今回の法案で手当てさせていただいている特定跡地の関係でございますけれども、原状回復に予想外に時間がかかってしまったというようなケースも一部見られると思っております。
一川委員 今回のこの新しい法律のもとで、基地の返還というのが一つの項目に入っていたというふうに思います。そういった跡地利用について、幾つか非常に成功した事例もあるというふうにも聞いておりますけれども、具体的にどういうところがそういう非常に成功した事例の部類に入るのか。
 それから、今後こういう跡地利用というものに対して基本的にどういう考え方で取り組もうとしておられるのか、そのあたりをちょっと説明を願いたいと思うんです。
安達政府参考人 これまでの跡地利用の代表的な成功例と言っていいものとして申し上げますと、昭和五十六年に返還されましたハンビー飛行場跡地でございますが、北谷町により実施されました北前地区の土地区画整理事業、四十三ヘクタールございます。現在、県の代表的な商業地域として成功しております。また、昭和五十五年から五十九年にかけて返還されました那覇空軍・海軍補助施設跡地とその隣接地でございますが、いわゆる小禄金城地区でございます。ここにおきましても、百八ヘクタールの土地区画整理事業が行われまして、良好な住宅地となっているというふうに聞いております。
 そして、その次の御指摘でございますけれども、私ども、かねてより跡地対策準備協議会というものを設けまして、十一の分野にわたって返還後の再開発に向けた課題を整理してまいりました。いろいろな課題がございます。
 若干例示的に申し上げますれば、先ほど申しましたような返還前の時間をいかに有効に活用するか。これは、外務省の方の協力を得て、米軍基地への立ち入りを認めていただくということも必要になってまいります。そういったところをどう道筋をつけていくかというような課題、そうしたものへの対応がございます。
 また、地主のコンセンサス形成をいかに円滑にしていくかということで、一つ反省事項として、地主の皆様への情報提供というものが必ずしも十分でないということもございまして、あくまで地主の皆さんのコンセンサスのもとでの再開発でございますので、そういったコンセンサスができるだけ早期に得られるような取り組みをしていくというようなことも非常に大きな課題でございます。
 また、原状回復というのが必ず伴うわけでございます。これをどう円滑にしていくかというようなことにおける整理等々ございます。また、こういったものを全体として調整していくということにつきましては、二年前の閣議決定におきまして調整機関を設置するということになっておりまして、本法案が成立後、速やかにこの調整機関というものをどういうふうに立ち上げていくのがいいのかということについても検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
一川委員 今、調整機関というふうに説明されましたけれども、どういうメンバーで、どういうことをやろうとしているのか、もうちょっと具体的に説明していただきたいんです。
安達政府参考人 先ほどちょっと触れました跡地対策準備協議会におきましては、普天間飛行場を抱える宜野湾市長、そして県知事が地元から参画していただきました。そして、主宰者として沖縄担当大臣ということで、とりあえず準備協議会を発足させているわけでございますけれども、もう一度この準備協議会において議論していただいて、構成メンバーが果たしてこのままでいいのか、そして取り組む範囲というのはどういったところがいいのかというようなことで、基本的には今の準備協議会と似たようなものになると思いますけれども、これを調整機関としてどう立ち上げていくかということが一つでございます。
 それからもう一つは、事務体制の問題でございまして、これまで政府として、この跡地対策の課題と対応の整理、過去二年間やってまいりました。霞が関で百四十五回会合を持って詰めてまいりましたけれども、私ども非常に限界を感じております。
 といいますのは、もう制度的な問題その他は全部洗い出しました。今後は、現場感覚を持って現実的にそれぞれの跡地をどうするかということでございまして、できれば県が中心になり、それに国と市町村が参画するような、もう少し現場に近いところでの事務局体制というものを構築しないとうまくいかないのではないかというふうに感じておりまして、県とその点も今協議をさせていただいているところでございます。
一川委員 今のお話を聞いておりまして、これはもう沖縄だけじゃなくて、全国的にもその傾向もちょっと反省すべきところがあるわけですけれども、やはり現場の声とおっしゃったように、その地域の皆さん方のいろいろな声をしっかりとそういうプロジェクトに反映していくということは大変大事な時代でございますし、当然ながら、地方にも優秀な方々がたくさんおられるわけでございます。
 そこで、大臣の先ほどの、これからの新しい産業振興ということの中でいろいろと考え方を披露されましたけれども、例えば先端大学院大学ですか、そういうような人材教育機関をしっかりと沖縄に立地させたいというようなお話もございました。それは具体的にどこだか私はわかりませんけれども、沖縄のいろいろな自然環境を十二分に生かしたような、そういうことも当然想定されるわけですけれども、一方では、こういった跡地利用的なものを、地域の方々なり、沖縄県が中心となっていろいろとアドバイスされるかもしれません。
 そういういろいろな新しい構想のもとでの新しいプロジェクトが、そういう返還された場所にうまく、その地域の環境に即したようなものを立地させていくということも、ある面では非常に大事なことなんですけれども、そういういろいろな条件なり、いろいろな制度的なものを含めて、直すところは直して、地域の皆さん方の新しい発想の中で積み上げたそういうプロジェクトを、余り時間をかけないで現場で実現できるようなことを十分配慮してあげる必要があるのではないかなというふうに私は思うんですけれども、そのあたり、大臣のお考えはいかがでしょうか。
尾身国務大臣 跡地につきましては、今まで長い間基地として使用をさせていただいたわけでございまして、それに対して私ども大変感謝をしているわけでございます。
 これからまた、その地域の実情に応じまして、跡地利用をしっかりやっていくということが大変大事だと考えておりまして、地元の御意見等をしっかり承った上で努力をしてまいりたいと考えております。
一川委員 そこで今日、沖縄の一つの課題として観光問題というのが毎回出てきますし、先ほども質疑の中に出ておりました。
 その観光事業というのは、狭い意味の観光ということを考えますと、いろいろなレジャー的な施設とか、そういうことに非常にぱっとイメージがわくわけですけれども、私は、やはり観光資源というのは、そういう観光的な施設ということはもちろん強く影響しますけれども、いろいろな分野で何か非常にすばらしいものがあれば、それが即観光資源になるというふうに思うわけです。どこかに非常に長生きしたお年寄りがおれば、そのお年寄りに会いに行くというのも一つの観光資源でございますし、何かすばらしい木があれば、その木を見に行くというのも観光資源になるわけですし、また、どこかでおいしいものがとれれば、それを食べに行くというのも観光資源なわけです。
 やはり沖縄の立地特性、そういうことを考えてみた場合、まだまだ観光資源的には眠っているようなものがあるんではないかなというふうに思いますし、また、そこのところは余り人工的に手をかけない方がいいというところも当然あるわけです。そういうことをもっともっと幅広く考えた観光開発というのがあっていいような気がするんですけれども、そのあたり、大臣はどのようにお考えでしょうか。
尾身国務大臣 この観光産業、沖縄の大変大事な産業でございますが、今委員おっしゃったことは、私も実はまことに同感でございまして、沖縄には亜熱帯性の美しい自然がある。それからまた、アジア諸国との交流で培われた独自の歴史的、文化的特性を生かした遺産がある。同時にまた、食べ物にいたしましても沖縄独自のものがあるということでございます。それからまた、平成十二年には、琉球王国のグスク及び関連遺産群が世界遺産に登録されましたし、また、組踊やあるいは琉球古典音楽を初めといたしまして、いわゆる文化芸術の関係につきましてもかなりの独自性のある魅力あるものがあるというふうに考えております。
 そういうものを楽しむといいますか味わうといいますか、そういうために観光に来られる方というのは相当あるわけでございまして、そういう文化、歴史遺産、また自然を生かしていくことが大変大事でありますし、そういう自然を大事にし、また文化遺産を大事にし、それを魅力あるものとして提供する、そういう方向でまだまだ私どもなすべきことが多いというのが実感でございまして、その活用をしっかりしながら魅力ある観光地域としての沖縄をぜひ育てていきたい、そのように考えております。
一川委員 私も、昭和四十七年、復帰直後に数回ぐらい沖縄に行ったことがあるんです。そのころのことを思いますと、今日の沖縄の実態というのは、ぱっと見た目にはすごくさま変わりしているように見えます。それは主に、いろいろなハード的な施設を中心にして景観が大分変わっておるなという感じもするわけですし、幹線道路の整備なり、そういうものが相当行き届いているわけでございます。
 しかし、そういう割とどこでもありそうな近代的な施設というのは、私は、沖縄ではそんな観光資源に何もなるものじゃありませんし、ただ、利便性を向上したりあるいは快適性を向上させているという面には当然貢献しておるわけですけれども、やはりそういうこれまでの整備された社会資本を十二分に活用する中で、これからの観光というものをしっかりと見直しをするところは見直しをかけて、また新たな施策として展開をするところは展開していくということが非常に大切じゃないかなというふうに思います。
 といいますのは、私は石川県ですけれども、石川県と沖縄にも定期便が飛んでいます。沖縄の今置かれている実態、皆さんよく話題に出ますような米軍基地の中で大変な負担をしていただいておる、そういう実情を要は全国の国民の方々に、できるだけ多くの人たちに見てもらうということが大切なことだと思うんです。
 それはやはり主の観光的な旅行も兼ねた形で、当然そういう沖縄のこれまでのいろいろな犠牲の上に成り立っている実情を見聞していただくということが、これから沖縄のいろいろな開発振興を進めていく上で、全国民のコンセンサスの中で物事を進めていく必要が当然あるわけですから、そういう観光を通じてもっともっと多くの方々に沖縄に出入りしていただくという施策をしっかりと進めていただきたいなというふうに強く希望しておきたいと思います。
 特に、沖縄の最近の、先ほど大臣も触れられましたけれども、伝統芸能文化といいますか、そういうものについてはいろいろとマスコミでも取り上げられておりますし、現実そういうものに触れると大変心豊かになるといいますか、そういうのは独特のまた沖縄の文化でもあります。県民性も非常に温かい皆さん方でございますし、そういう面では、今日、殺伐としたいろいろなことが発生しておる世の中でございますけれども、やはり沖縄の地に行って沖縄の方々と触れ合うということは私は全国的にもいろいろな課題を解決するために大きく寄与するんではないかなというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、ちょっと話題を変えます。
 これも先ほど、冒頭、きょう委員の方から問題提起されておりましたけれども、赤土問題というのがあります。これは、赤土対策ということだけ取り上げた場合には、現実問題としては今非常に深刻な問題であるわけです。これも割と長年こういうことが言われてきた問題点であったというふうにも思います。
 あそこは沖縄の、地域にもよりけりですけれども、赤土が流出する場所ですね。しかも相当集中的に雨が降る。そういう気象条件のところでもあるわけですので、土を動かせば、大なり小なりそういうことが発生するわけです。それが周辺のサンゴ、海岸等にいろいろな悪影響が出てきたということで、要するに、先ほどちょっと触れた観光資源とか、観光に対してもいろいろな悪影響が出てきているということなんです。
 私、先ほどのいろいろな質疑を聞いておりましたけれども、やはり沖縄独自の、これまでの反省の上に立って、工事期間中であれば工事期間中の施工のやり方、物事が完成したならば完成した後のまた維持管理のやり方ですね。それからまた、特に農業問題が直接絡むケースが多いということであれば、営農のあり方といいますか、要するに植栽、どういうものをそこに作付するかということを、従来の発想といいますか、従来のような考え方を完全に白紙に戻して、年じゅうそこにやはり何かが植わっているというような状況の中で農業をやるにはどうしたらいいかとか、そういうことも含めた新たな営農対策ということも含めた大胆な考え方で取り組んでいかないと、何かいつもこういう問題が出てくるんではないかなというふうに思います。
 そういう面で、先ほども話題に出ましたけれども、この赤土問題について何か総括的に、大臣、御所見ございますか。
尾身国務大臣 この沖縄の美しい自然を守るためにも赤土流出防止対策、極めて重要であるというふうに考えております。
 私どもといたしましても、公共事業の実施に当たって、赤土をためる池を設置するなどの防止対策を徹底するとともに、赤土の発生源対策についての調査研究等をさらに進めまして、農地からの赤土の流出を防止する事業を実施してまいりたい。今までも実施しているわけでございますけれども、この対策の一層の充実を図って、この問題が心配のないようなところまでぜひ持っていきたいというふうに考えております。
一川委員 私は、今赤土問題のことでお話ししましたけれども、沖縄のいろいろな開発をやっていく場合に、先ほど言いましたように公共投資、たくさんなされております。当然ながら、いろいろな施工のやり方で工事がなされておりますけれども、同じ土木工事でも、いろいろな工法とか、いろいろな材料とか、やはり沖縄の景観なりそこの立地状況に即したような形でのちゃんとしたそういう工法をとるとか、そういう沖縄独自のいろいろなやり方が当然私はあっていいと思います。
 そういう面では非常に、今まで相当の投資をされてハード的なものは相当整備されてはきておりますけれども、中には、景観上それが破壊されてきた、あるいは環境面に悪影響を生じつつあるというようなところも見受けられますので、そのあたりはやはり、割と狭いそういう県の中で相当の人口を抱えて活動されているわけですので、またこれからのいろいろな交流人口も当然ふやさなければならないという中にあって、そういう環境面に配慮した沖縄独自のいろいろなやり方をより以上工夫すべきじゃないかなというふうに思っております。
 そこで、外務省、沖縄県と外務省の外交というのは非常に深いかかわりが当然あるわけですけれども、今回の沖縄新法の制定に向けての、これから独自の、また沖縄のいろいろなやり方があるわけですけれども、外務省として、この沖縄新法に対する思いといいますかそういうこと。
 それから、先ほどちょっと触れましたけれども、この新しい法律の中でも、米軍基地の返還を期待しつつ沖縄の振興を図っていきたいということも盛られているわけです。沖縄の新しい時代に向けてのこういった振興ということについて、外務省としては基本的にどういう態度で臨まれるのか、そこのところをお伺いしたいというふうに思います。
杉浦副大臣 沖縄振興につきましては、これは外務省の課題というよりも政府全体としての課題であることは申し上げるまでもございませんで、その中で、外務省としてもさまざまなことを考えておるわけでございますが、政府としては、この沖縄振興特別措置法の成立をお願いしたいということにしておるわけでございます。
 基地との関係をちょっとお触れになりましたが、アジア太平洋地域、東アジアには依然として不安定性と不確実性が存在しているということは御認識いただけると思うんですが、そういう中で、日米同盟関係、安保体制を堅持すること、これはもう非常に不可欠だ、そういう見地から、米軍の沖縄における存在も現時点においては不可欠だという認識でございます。
 日米同盟関係を堅持する中で基地がもっと少なくていいじゃないかという御主張もあります。観光振興、先ほど委員お触れになりましたが、そういう見地から、米軍基地の縮小もあっていいんじゃないかというような御意見もあることは承知しております。現時点では、SACO最終報告、まだ完全実施されておりませんので、これを実施するように全力で取り組んで、沖縄県民の負担軽減に向けた努力を続けるというのが私どものスタンスでございます。
 将来の問題になりますと、希望とか期待はいろいろございます。広く東アジア、北朝鮮、ロシア、中国等々を含めたこの地域の緊張を緩和していけば、在沖縄米軍の兵力についての検討をする余地も出てまいると思います。
 小泉総理が、この間、シンガポールで政策スピーチをなさいまして、将来に向かって、ASEAN10と日中韓そしてオーストラリア、ニュージーランドを含めたコミュニティーを目指そうじゃないか、さまざまな協力関係を築き上げていこうという政策スピーチをなさったわけですが、中国、韓国を含めて各国前向きのようでございます。安全保障も含めてそういう対話、交流が進んでいけば、緊張も緩和の方向に向かうということが期待されるわけでございます。
 観光の面について言えば、将来、ポストSACOですけれども、基地縮小という場面が来た場合に、私、個人的な意見ですけれども、例えば美しいサンゴ礁のビーチが米軍専用にかなり広大に確保されておるわけですが、そういうものが返ってくれば、例えば海水浴とか、そういう意味で、観光振興に大いに役立つのではないかというふうに思われるわけでございます。いずれにしても、これは、将来、我々が政治全体で、この地域で努力して、米軍基地の縮小にさらに一歩踏み込んだ段階の話だと思うわけでございますが、個人的な意見でございます。
一川委員 外務大臣、お忙しい中来ていただきましたので、一言またお伺いするわけです。
 先日、沖縄へ行ってこられたというお話を聞きましたが、沖縄のこういう米軍基地を中心とした戦後のいろいろな積み残した問題というのは、これは沖縄県民のこういった負担ということを日本国民全体がそれを担うんだという気持ちのもとで物事に取り組んでいくということが非常に大事だと思いますね。
 そういう中にあって、基地の整理縮小なり、あるいは、物によっては本土にそれを移転するというようなことも含めて、長年の大きな課題になっているわけです。そういういろいろな課題がある中で、新しい新法をこれからスタートさせようということなんですけれども、大臣の端的な感想でよろしいんですけれども、沖縄へ行ってこられたということも含めて、こういう新しい時代に向けて新しい法律を制定するということについての大臣のお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 一昨日、沖縄に行ってまいりまして、私は、初めての出張として沖縄に行くことができてとてもよかったと思っております。私自身にとって、やはりこの目で現地を見るということは、大変に勉強になったことでございました。
 それで、この沖縄の問題というのは、アジアの地域にまだ安全保障上不安定な要素が残っていてという中で、基地の七五%が沖縄にあるということで、沖縄県民に偏った形で負担されているということが問題の根本であると私も認識をいたしております。この御負担を軽減するということのためには、アメリカとも連携協力をしながら、普天間飛行場の移転、移設、返還も含めまして、SACOの最終報告の実施に全力で取り組むということが大事であるというふうに思います。それから、沖縄の振興ということはまた、この沖縄の経済の活性化あるいは社会の活性化、所得といいますか、雇用の増大、さまざまな観点から非常に必要なことであると思っております。
 稲嶺知事が私に、魚をもらうよりも釣り針が大事であるということをおっしゃられまして、私も大変にそれは大事な考え方であると思っております。この沖縄の振興法、特別措置法というのは、まさにその釣り針に当たる大事な法律であると思っておりまして、外務省といたしましても、これについては内閣の一員として、これは内閣全体としてやる話だと思いますけれども、全面的に協力を申し上げているわけでございます。
一川委員 大臣御就任直後に、沖縄というところは、立地特性なりそういったものを生かしながら、外交的にも一つの交流拠点としてしっかりと振興を図っていきたいという旨の考え方も当時お聞きしましたけれども、どうか、そういうことで、沖縄県という県の実情、そのいろいろなこれまでの経緯も踏まえて、日本の外交上で本当に沖縄の県民の方々が誇りを持てるようなそういう位置づけのもとで、しっかりとした対応をしていただきたいなというふうに思います。
 そこで、外務大臣に、先ほど原口委員もちょっとお触れになりましたけれども、我が国の戦後未処理懸案事項の中には、沖縄問題もありますけれども、北方領土問題もあるわけです。
 私も前にちょっと触れましたけれども、今度また別の機会に詳しいことをお尋ねしますけれども、最近の鈴木代議士にまつわるようないろいろなやりとりの中で、我々ちょっと疑問に感ずるのは、平成十年ごろになるのですか、特に、北方支援、支援事業と称するものが相当大規模に動き出した、そういうような時期から何となく、外務省は否定するわけだけれども、例えば二島先行返還論だとかあるいは並行協議だとかということがマスコミでいろいろと報道されるわけです。
 そういうものにかかわったような記事も相当ふえてきておるわけだけれども、それは、日本とロシアとの外交交渉の中で、我が国のロシアに対する外交方針として、何かそのあたりの、支援事業が非常に活発になったその時期から何となく軌道修正されたような感じを私は受けたのだけれども、そのあたりは、大臣、いかがなんですか。そういうことは絶対ないというふうに言い切っていいわけですか。あるいはもとへ戻すということなんですか。どうでしょうか。
川口国務大臣 まず、二つのことをお聞きでいらっしゃいますので、政府の四島についての方針が変わったかどうかということですけれども、そういうことは全くございません。一貫して日本政府の方針は、四島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶ、締結するということでございまして、この方針に基づいて今までも議論をしてまいりましたし、今後ともそれで進んでいくということでございます。
 歯舞、色丹の議論をし、それから国後、択捉の帰属の議論をする、この二つを同時並行的、同時かつ並行的に進めていくという議論の進め方についても、これは先ほど申し上げた四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するというその一貫した方針を前提にしているわけでございます。
 二島先行返還論ということを日本政府が今まで申し上げた、提案したということもございませんし、それから、よく四島一括返還論という言葉が使われますけれども、こういう言葉を政府として使ったこともないということでございます。政府としては、北方四島に居住するロシア国民の人権や利益や希望をも返還後も十分に尊重していくとともに、四島への日本の主権が確認されれば実際の返還の時期、態様、条件等については柔軟に対応するという考えでおりまして、したがって、四島一括返還という言葉を使ってはおりません。
 それが、方針が変わったかどうかということについての御説明、お答えでございます。
 それから、平成十年以降北方四島への援助額が非常にふえたという御指摘につきましては、平成十年の四月に川奈で、当時の橋本総理がエリツィン大統領に対しまして、北方四島の住民に対しての電力分野での協力について意図表明を行ったということがございまして、それを受けまして、色丹、択捉、国後でのディーゼル発電施設の供与を行った、これは実際に行ったのはその後でございますので、そのために予算がふえたということはございます。そういうことで、ふえたというふうにおっしゃっていらっしゃるのではないかと思います。
一川委員 私もこれで質問を終わりにしたいと思いますけれども、今北方領土にかかわるような話題というのは、今回の一連のいろいろな問題で、非常に、国民の方々がちょっと不信感を持って見ておられます。
 それからまた、北方領土返還運動というのは、全国的に展開しておる運動なんです。余り中身を詳しく知らない方々もその運動に参画をして、純粋に北方四島を返還してほしいという中で運動しておるわけでして、何か日本政府の考え方がちょっとふらついているのじゃないかとか、そういう変な印象がマスコミに載るだけでも運動にすごく影響すると私は思いますので、そのあたりを、両大臣、ぜひ御注意をされて取り組んでいただきたいということで、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
萩野委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 ことしは、本土復帰三十周年、歴史の節目の年に当たっているわけですけれども、沖縄振興特別措置法案について、これは今後の沖縄の発展の新しい制度的基盤をつくるものだと位置づけておられるようです。
 自立型経済ということがよく言われるわけですが、これを構築していくためには、やはり何といっても産業の振興が課題になっています。このことは法案も強調しているわけですけれども、三次にわたる振興開発計画に基づいて、六兆円を超える沖縄振興開発事業費が投入されました。社会資本の整備は前進いたしました。ただ、その期間、では産業の振興というのは目標や課題になかったのかといいますと、明確に掲げられていたわけですが、目標を達成してこなかったという面があるわけです。
 非常に長期にわたって解決しなければならない多くの課題があるわけですが、振り返ってみまして、三次にわたる振興開発計画において、期待されたのが製造業であったわけです。これは、工業等開発地区制度だとか自由貿易地域制度などを活用して何とか企業立地を図ろうということもしてきたわけですが、十分な進展は見られませんでした。沖縄の生産部門の脆弱さというのが、雇用においても、雇用を吸収できる産業がないだとかあるいは所得水準が低いだとかという問題を引き起こしていると思います。
 それで、私は、外からの企業誘致に頼るのではなくて、本当に沖縄で産業を発展させよう、産業を興していこうというのであれば、地元の産業、何よりも農業だとか観光だとか地場産業の足腰が強くなって初めて経済の自立ということもなし遂げられるのではないか。今度の振興法ということでいえば、特別自由貿易地域だとか経済特区だとかいろいろな地区をつくってやっていくというようなところにとどまらないで、何よりも地場産業の足腰を強くしていく、そこにもっと思い切って力を入れて沖縄の産業の自立を図る、こういうことが大事だと思っておりますが、尾身大臣はどのように御認識しておりますか。
尾身国務大臣 産業の振興をやるということが非常に大事だという考え方は、私も委員と同意見でございます。
 そういう中で、農業、観光、これは両方とも相乗効果を持って、沖縄独自の強みを持っているところでもございまして、そういうところに非常に大きな重点を置いて産業発展をしていくということは、もとより極めて大事だというふうに思っております。
 もちろん、それと同時に、例えば科学技術の振興とか、一段次元の違った遠い将来を見詰めて必要な人材の育成とか、そういうことをやっていくということも長期的な観点からは大変大事だというふうに考えておりまして、そういう観点から、また大学院大学の構想等も打ち出しているところでございます。
赤嶺委員 観光や農業というのは、やはり沖縄全体の産業をリードしていく。人づくりという点でも、そういう農業の振興というものが思い切って正面に据えられて、そこに見合う人材を育成していく、大学院大学という進め方もあるのでしょうけれども、やはり沖縄県全体の人材の底上げを図っていくというのも、また産業振興の上で大変大事じゃないかなと思うんです。
 そこで、もう一つの観点なんですが、第一次振興開発計画の中に、基地との関連ではこのように書かれています。「基地依存経済から脱却して自立経済の確立をはかるため、米軍施設・区域の整理縮小をはかり、」ということが明確にうたわれております。第二次沖縄振興開発計画では、「広大な米軍施設・区域が存在する等により、厳しい土地利用上の制約を受けている。」このように書かれております。第三次沖縄振興開発計画では、「広大な米軍施設・区域は、土地利用上大きな制約となっているほか、県民生活に様々な影響を及ぼしている。 このため、米軍施設・区域をできるだけ早期に整理縮小する。」となっています。
 新しい法律のもとでも、自立経済の最大の障害が米軍基地だという認識で取り組むおつもりかどうか、お願いします。
尾身国務大臣 現在、御存じのように、在日米軍基地の七五%が〇・五%の国土の沖縄に存在しているというのも事実でございまして、私どもは、SACO最終合意に基づいて、基地の整理、統合、縮小を図っていくという考え方でございます。
 同時に、沖縄における基地の存在が、日米安保条約をベースにいたしました我が国の安全保障のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定に大きく寄与しているということも事実でございまして、そういう中で、私どもは、全力を尽くして沖縄の振興を図り、自立経済の達成を実現していきたいと考えている次第でございます。
赤嶺委員 沖縄県民の側から、安保条約、この日本の国の防衛に寄与しているという意識はなくて、やはり沖縄県、しかも本島の二割が米軍基地に占領されて、本当に息もつけないような状態、これが産業の振興にも経済の発展にも大きな立ちおくれの原因になっている。そういう気持ちもあって、大田県政の時代でありましたけれども、十五年後には沖縄からすべての基地を段階的に撤去していこう、こういうアクションプログラムも持ちました。沖縄から基地をなくする方向というのを明確に持つことが、沖縄県にとっても極めて大事なことだと思います。
 今、政府は、SACOの完全実施だということを言われておりますが、SACOは、私たちの立場からいえば沖縄県内の基地のたらい回しであり、SACO合意以上に強化拡大された基地をつくる、SACO合意自身も既にどこに行ったかわからないような拡大した基地をつくろうという動きがあります。
 明確に、沖縄から基地をなくして、そして本当に沖縄の産業の振興と自立を図る、こういう展望というんでしょうか、アクションプログラムというのか、あるいは、SACOにとどまらないで、やはり基地をなくす方向ということをもっと明確にすべきだと思いますが、これは尾身大臣や、杉浦副大臣も含めてちょっと答弁をお願いしたいと思います。
尾身国務大臣 沖縄における基地の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、沖縄に基地が集中している現実が沖縄の県民の皆様に大きな負担をかけていることは事実でございます。
 同時に、しかし現在の国際情勢の中で、日米安保条約を踏まえ、この基地の存在が、我が国の平和と安全に、またアジア太平洋地域の平和と安全に大きく寄与しているということも事実でございまして、私どもは、この基地のあり方等につきましては、もちろんその時々の国際情勢の変化等に応じていろいろと考えていかなければならないと思いますが、現在、SACO最終合意に基づいて基地の整理、統合、縮小を実現していくということが私どもとして必要なことと考えております。
赤嶺委員 今の尾身大臣の答弁を聞いて大変がっかりしまして、さらに外務大臣から同じような答弁を聞かされるかと思いますと、非常に耐えがたい気持ちであります。
 私たちは、本当に基地の整理、縮小、撤去、これなしには、沖縄の経済の自立や産業の振興をどんなに語ってみても夢さえ描けないというような気持ちを持っております。そこのところをやはり政府は強く意識していただきたい。これはイデオロギーの問題ではありません。安保で賛成だろうと反対だろうと、沖縄から基地をなくしたい、これは沖縄県民の悲願であります。ここを本当にしっかり受けとめていただきたいという注文を申し上げたいと思います。
 それで、ちょっと実務的な質問もさせていただきますけれども、今度、この振興法に基づいて、沖縄振興計画の内容決定及び変更について定められているわけですが、沖縄振興計画の策定日程、これについて、これは内閣府、どなたかお答えをお願いしたいと思います。
安達政府参考人 現在準備を進めているところでございますが、法案が制定され次第、正式に手続に入りまして、県も、私どもも、審議会の御意見を聞きながら、ことしの夏までに策定できるように努力してまいりたいと考えております。
赤嶺委員 それでは、産業の振興という点で具体的な課題について聞いていきたいんですけれども、第三章から産業振興のための特別措置が始まっています。
 最初に、申し上げました観光の振興が掲げられているわけですが、その内容というのは、六条から二十六条まで、二十一カ条にわたっているわけですね。ここにも観光に何とか沖縄産業の先導的役割を果たさせたいということがあらわれているんでしょうけれども、さらに、六条で言われている観光振興計画では十項目の事項について定めるとされています。その中に「計画期間」がありまして、さらに「観光旅客の受入れの体制の確保に関する事項」というのがあります。これは具体的にはどういうことを想定しておられるのか。これは安達さんにお願いします。
安達政府参考人 ハード、ソフト両面があろうかと思います。
 沖縄に向かう観光旅客にとって、沖縄が訪れるのにより魅力のあるものとする、その具体化という点からいきましても、この受け入れ体制の確保、施設面もございますけれども、もっとソフトな面での努力も含めて具体的に検討してまいりたいと考えております。
赤嶺委員 ハード面とかソフト面とかということで、そこが、だからそういう中身はどういうものですかということを伺っているわけです。
安達政府参考人 法案におきましては概念的整理を行っている段階でございまして、この具体的な内容につきましては、審議会等の議論を経ながら今後具体化していきたい、計画内容として固めてまいりたいと考えております。御理解願います。
赤嶺委員 「観光旅客の受入れの体制の確保に関する事項」というのは、空港だとか港湾だとか宿泊施設の整備も当然想定しておられるわけですよね。
安達政府参考人 骨格となります施設整備という面につきましては、先生御指摘の点につきましては、この次の九号におきまして「公共施設の整備の方針に関する事項」というものも盛り込んでおりますが、その部分で計画上言及することになるのではないかというふうに考えております。
赤嶺委員 観光産業の振興の中で環境保全型自然体験活動というのが掲げられています。異常に目を引くわけですが、環境保全型自然体験活動というのは、何か地域というものを念頭に置いて、そして、どういう内容なのか、これもちょっと具体的に説明していただきたいと思うんです。
安達政府参考人 余り英語が出ないようにということで日本語になっているわけでございますが、いわゆるエコツーリズムでございます。沖縄には大変すぐれた自然環境がございます。これを保全し観光にも活用していくという視点で、環境省を中心にこの点につきましては検討をいただきました。
 そして、具体的に法案として提案させていただいておりますのは、NPOもあると思いますが、このエコツーリズムの活動を積極的に進めておられる人たち、企業もあるかもわかりません、そうした人たちが横断的に自主的なガイドラインを、どういう地域でどういう活動を行って、そして自然環境の保全にはどういう配慮をしていくのか、そういったことを盛り込んだ一つのガイドラインといいますか、保全利用協定を締結していただく、それによって観光と自然環境の保全というものの両立を図る。
 また、これを知事の認定を受けるということによりまして、その後、知事、国もそうでございますけれども、県におきましては、認定を行ったこのエコツーリズムの活動については内外に広く広報いたしまして、普及、広報に努めるというような仕組みを考えているところでございます。
赤嶺委員 エコツーリズムと言われている環境保全型自然体験活動を推進していきたいというわけですが、沖縄には特に特定の地域のみならず、沖縄県全体が環境に非常にすぐれていて、本当に訪れた多くの人たちが心のいやしの場になるという感想もたびたび耳にしております。
 それで、やはり観光と環境というのは大事な関係なんですが、環境保全という場合に、環境省や沖縄県もこれからかかわっていくんだというお話でありました。
 実際、環境問題で今沖縄でどういうことが起きているかといいますと、沖縄県が保護すべき、環境を守るべきランクづけをいろいろやっておりまして、沖縄県の自然環境の評価ランク一、一番大事な貴重な自然を持っているところです。ここに、一つは沖縄の名護市の辺野古区域、地球上のジュゴンの生息の北限地域です。そこに普天間基地の代替施設をつくろう、当初のSACO合意よりも面積が大きくなった米軍基地をつくろうとしている。ここに基地をつくれば、ジュゴンのえさである藻場あるいはジュゴンの生活の場である海域が死んでしまって、ジュゴンの絶滅につながる、これはもう自明のことです。
 それから、環境省が重要湿地予定地として調査をしてまいりました泡瀬干潟、渡り鳥の飛来地であり、海のゆりかごと称されるような多様な生物相が見られ、そして、自然と人間が触れ合う大変人気のある干潟になっています。そこの泡瀬干潟に、国が港湾拡張工事でしゅんせつした土砂の捨て場として泡瀬の埋め立てを行う。
 今度はまた逆に、西表島と並んで世界が注目している山原の亜熱帯の森、この亜熱帯の森に新たに森林を切り倒してヘリパッドを建設する。
 いわば、かけがえのないこの沖縄の環境や自然を国策によって破壊しようとしている。一方で、沖縄振興法で沖縄の産業振興をやろうということで、観光をリーディング産業として発展させるためには環境保全型エコツーリズムだと言っている。やっていることが矛盾していませんかね。
尾身国務大臣 普天間の移設の問題につきましては、SACO合意に基づきまして、私ども、今、この辺野古地区にいろいろと地元の皆様の御意見も伺いながらお願いをしているところでございます。
 泡瀬の問題につきましては、国はむしろ、地元の意向を無視してというよりも、地元の沖縄市及び沖縄県からこの事業を推進してほしいという強い要望がございまして、その要望に基づいて私どもがこれを進めているということでございまして、今の赤嶺委員の国が考え方を押しつけたということは全く当たらないと考えております。
安達政府参考人 補足をさせていただきます。
 普天間代替飛行場につきましても、平成十一年の閣議決定におきまして、地域の自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うという基本方針のもとでこれまでも検討してまいりましたし、また、今後、環境アセスメント等の的確な進捗を図るということになろうかと思います。
 また、泡瀬につきましても、工事の監視委員会というものを設けまして環境問題についてチェックをしていく。通常こういうやり方というのはすべての公共事業で行われているわけではございませんけれども、泡瀬については特に環境を重視する中で、専門家を交えた監視委員会の議論を経ながら進めていっておるところでございます。
 また、こういったエコツーリズムというようなことで環境を保全していく、そして、この法案の二条において、こういった全体としての環境保全の姿勢というものを配慮事項として盛り込むということで、各般の施策に当たって環境重視をしておるところでございます。
赤嶺委員 観光産業の振興と言いながら、沖縄の中でも特に自然や亜熱帯の特徴が出ている地域を破壊していく。結局、観光振興というのは、法案には書かれているけれども、実際にやっていることは違うんじゃないですか。
 今、皆さんの答弁は、いろいろな日米の合意で、SACOで普天間の代替施設を名護につくるだとか、泡瀬干潟を埋める計画はこうだとかいろいろ言うこの経過の説明にはなっても、こういう環境を破壊すれば観光産業の停滞につながるんじゃないですか。エコツーリズムを重視すると言いながら、こういう政策と逆行しているんじゃないですか。沖縄振興法案の環境保全型の自然体験型観光を振興する、こういう政策に沿ってまさかやっているわけではありませんでしょう。やはり、そういう政策とやろうとしていることは逆行しているんじゃないですか、こういうことなんですが、一言で、尾身大臣、どうですか。
尾身国務大臣 私ども、今度の沖縄振興特別措置法案におきましては、沖縄の自然を生かし、そういう自然との触れ合いを通じて観光を振興していこう、エコツーリズムもそういうことでございますが、そういう考え方のもとにこれを進めてまいるという考え方でございます。
赤嶺委員 今、振興法ができる以前からエコツーリズムが非常に活発に動いているのは、名護市の辺野古地域東海岸の方々です。自然との触れ合いで一番人気があるのが泡瀬干潟です。そういうことを破壊して、観光産業が振興できなかった、あと十年たって、また沖縄の振興問題が議論される、そのときに県民の努力が足りなかったというようなことには絶対にならないだろうと思います。
 そこで、本当に泡瀬干潟というのは守っていかなければいけないわけですが、これも観光と大いに関係があります。
 内閣府は、工事再開の宣言を行いました。去年の六月もこの沖北委員会で議論になりましたが、その当時、安達政府参考人は、二〇〇六年に沖縄には六百十五万人の入域観光客があり、そのうち十万七千人は泡瀬地区に来るだろう、一人当たり目標平均滞在日数五・二七日を乗じて年間五十六万人泊の需要があるから、宿泊施設を拡大しなければいけないので、泡瀬干潟の埋め立てを進める、こういうことをいたしました。
 総合事務局あるいは尾身大臣は、もう需要予測が出る前からいろいろ言っていたわけですが、需要予測について沖縄県、沖縄市と調整がついたということで、干潟の埋立工事の再開を決めております。
 それでお伺いしたいのは、入域観光客数なんですが、入域目標を、当時の沖縄県は五百万人として、政府が六百十五万人とするのはどうも納得がいかない、どこで六百万人という数字が決まったんだという議論をしましたが、こういう矛盾は解決したんですか。入域観光客数から需要をはじき出してホテルを建てると。実際に、今度の第一次埋め立ては、そういうところが余りひっかからないようにと上手にやったおつもりかもしれませんけれども、入域観光客数の矛盾は解決しているんでしょうか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 先般、沖縄県それから地元で行いました確認作業の結果を私ども聴取いたしておりますところでは、現在、沖縄県の将来の観光客数につきましては、六百万ないし七百万ということで審議会等で議論がなされているというふうに承知をいたしております。その意味で、六百十五万人という前提とされた数字については、おおむね妥当なものではないかと確認をされたというふうに承知をいたしております。
赤嶺委員 その六百万、七百万というのは、一年前と同じ質問を繰り返しますが、どこで決まっているんですか。それで、六百十五万人がおおむね妥当というのは、どういう根拠でそういうことをおっしゃっているんですか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、県の観光審議会等において御議論なされている前提がそういう前提で議論をされているということを踏まえて、沖縄県におきまして、おおむね妥当という確認を行ったものと承知しております。
赤嶺委員 県の観光審議会では決まったんですか。決まっていない、審議中ですか。
武田政府参考人 現在、そういうことで議論をなされているというふうに承知しております。(赤嶺委員「決まっているか決まっていないか」と呼ぶ)決まったというふうには、私ども承知しておりません。
赤嶺委員 まだ観光審議会で目標が決まってもいないうちに、これだけの需要が見込めますから埋め立てを再開しますということで、沖縄県や沖縄市が報告を出してきたらそれにゴーサインを出すというのは、そんなむちゃくちゃな、筋の通らないやり方でいいんですか、尾身大臣。
尾身国務大臣 この泡瀬干潟の問題につきましては、前回もこの委員会で赤嶺委員から御質問があった問題であります。
 私ども、その後、沖縄県及び沖縄市に対しまして、土地の需要予測等について再度検討をしていただくようにお願いをいたしました。それからまた、環境問題につきましては、藻場の移植作業についての環境監視・検討委員会での検討を待つという考え方でございました。監視・検討委員会におきましては、この藻場の移植は可能であるという評価が得られたという報告を二月二十二日に出したところでございます。
 それから、土地需要の見通し等については、三月の八日に沖縄県及び沖縄市から、少なくとも第一区画相当分を上回る需要は確認できたので、この第一区画を対象として事業を推進してほしいという要望がございました。そういう要望を踏まえまして、私どもは、この第一次区画分を対象として事業推進に取り組む、そしてまた、同時に環境問題、トカゲハゼの保全等には十分配慮しつつ可能な範囲での作業を進める、こういうことにしたわけでございます。
 同時に、昨年の十二月には沖縄市周辺におきまして署名活動が行われまして、沖縄市の総人口の約三分の二にわたる方々の、八万五千人の、この推進をしてほしいという署名がなされたこともございます。それを総合いたしまして、私どもはこの工事を進めることを決定したということでございます。
 もちろん、引き続き、この藻場移植のモニタリングの問題や土地利用の推進等につきましては、沖縄県及び沖縄市と協力をしながら取り組みを進めていく所存でございます。
赤嶺委員 尾身大臣、私の質問に答えないで別の答弁をしましたけれども、この別の答弁についてもまたただしたいんです。
 第一次区画分の埋め立ての需要を満たす計画が出てきたから、土地の需要ということでありましたけれども、私が聞いているのは、泡瀬埋め立て全体が、六百十五万人の観光客を当て込んで、そして埋め立てを行おうとしている。今、尾身大臣は第一次埋め立てと言いましたが、それでは聞きますが、六百十五万人の観光客を見込んで埋め立てようとしている総面積は幾らですか。そして、第一次というのは幾らですか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 全体計画は百八十五ヘクタール、第一区画に該当する部分は九十ヘクタールというふうに承知しております。
赤嶺委員 そうすると、百八十五ヘクタールの埋め立てに見合う需要予測はまだできていないと。だって、観光審議会でもまだ決まっていませんし、六百十五万人という皆さんの目標は、沖縄県にはまだ存在しない。そういう中で、とりあえず第一次分だけゴーサインを出した、こういう理解でよろしいんでしょうか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 沖縄県及び沖縄市が行いました確認作業の結果によりますと、各種の条件整備と努力を前提とすれば全体計画の実現可能性はあり、仮に社会経済情勢の変化により土地需要が低迷した場合でも、少なくとも第一区画相当分、先ほど申しました九十ヘクタールを上回る需要はあるという報告が出されております。
赤嶺委員 そうすると、六百十五万人の人たちが宿泊する需要を満たさない場合があっても、社会情勢の変化でそういうことが起きたにしても、とにかくやっていくんだ、こういうぐあいにしか聞こえないんですが、そういうことでいいんですか、尾身大臣。
武田政府参考人 先ほどお答えをいたしましたように、各種の条件整備と努力を前提とすれば可能だというふうに県及び市が行いました確認作業ではなっておるところでございます。
赤嶺委員 沖縄に観光客がふえてきたのは、各種の条件整備の中でふえてきたんです。それで、テロという条件悪化の中で減っていく。この条件整備というのは、沖縄県は近年、那覇から東京や大阪や大都会ではなくて、地方の空港にも航空路線を延ばしました。ぎりぎりいっぱい延ばしております。今後どこに航路を延ばすかというようなところでも、再び落ちついた検討が必要です。そういう点で、観光審議会では、観光の目標というのはなかなか議論百出で簡単に決まっていない。でも、言われているのが、第三次振計で五百万の観光目標は達成しなかったけれども、第四次では六百万人かなと。
 私、ここに議事録を持ってきましたけれども、ここでもこう言っているんですよ。これは議論の中で大体の傾向なんですね。六百万が、向こう十年間で六百万ですよ。皆さんの計画は六百十六万ですからね。向こう十年間で「六百万が現実的に最も可能性があると思われる。そのときに考えないといけないのが、那覇空港の沖合展開の容量の問題だと思う。十年間でそれだけでいいのなら沖合展開はいらないということになる。そうなったら大きな問題である。よって、もっと大きなスパン(五十年後)でフレームを決定してはどうか。」ということで、六百万人が妥当かなと思うけれども、七百万人を想定して那覇空港の沖合展開をしようとしているこの計画に支障が出るから七百万人にしようかな、いや、それではだめだ、決意と構えといろいろな取り組む姿勢を示すためには一千万にしろとか、こういう議論が行われているんですよ。
 議論が決着もつかないうちに、国は、全体の総面積百八十五ヘクタールの土地利用、活用については、六百十五万人の観光客が来ないかもしれない、来なくてもいろいろな努力で土地利用をやっていこう。こういう沖縄県と沖縄市の皆さんの報告書は、まさに需要予測はあいまいであるけれども許可をしてほしい。そういう需要予測が沖縄県、沖縄市から出る前に尾身長官は沖北委員会で、需要予測はそういうあいまいなものであっても、大まかなものであっても許可すると。先に埋め立てありきじゃないですか。先に自然破壊ありきじゃないですか。この点、どう思いますか。
尾身国務大臣 冷静に聞いていただきたいんでございますが、この問題は、沖縄県及び沖縄市の方から、ぜひこういう形でやりたいということで要望がありまして、私どもがその要望に応じて事業を進めていく、こういう考え方のものでございます。
 しかしながら、環境の問題あるいは需要予測の問題等で、現実に埋め立てはしたけれども、後でいわゆる経済需要がなかったということがあってはいけないということで、沖縄県、沖縄市側に、いわゆるバブルが崩壊した後の状況はどうかということで、もう一度見通しを御検討いただいたわけでございます。その結果、三月に、いろいろ努力をすれば全体計画は達成可能であるかもしれないけれども、少なくとも第一区画相当分についてはこれを上回る需要が確認できたので、第一区画分の事業を開始してほしい、こういう結論になり、こういう要望がありました。その要望を受けまして、私ども、環境には十分配慮しながら、第一区画分だけについてはこの工事を開始しよう、こういうことを決めたわけでございまして、第一区画分についての需要については確認がしっかりできたというふうに考えております。
赤嶺委員 今の尾身大臣の答弁を冷静に聞いておりまして、全体の需要予測はまだまだ見通しはないけれども、第一次区画だけは何とか土地利用を満たしたいから埋め立てさせてほしい。これを私、先に埋め立てありき、需要予測もあいまいなままでやろうとしていると。沖縄県や沖縄市から要望があったと言うけれども、こんなあいまいな要望を、根拠のない要望を皆さんは受け入れて、沖縄振興法案で、環境を大事にしよう、エコツーリズムが今度の産業振興の牽引車だと長い条文にわたる法律で書いておきながら、そういうことをやるんですか、これが国の姿勢ですかということなんです。この点が一つです。
 ですから、はっきり申し上げておきますが、入域観光客目標はまだ沖縄県で決まっていない、審議会でも審議中だという点で、需要予測については大いに、皆さんが需要予測を満たしていると言うことも納得がいかない。
 同時に、私は、尾身大臣の答弁で二つのことを聞きたいんですが、一つは、地元から沖縄市の市民が八万五千人の署名も寄せてくれたとおっしゃいましたね。それで、この間の委員会でもありましたが、八万五千人の署名が沖縄市民だということを客観的にだれが証明しているんですか。
尾身国務大臣 全体の人口の三分の二の方々が署名されたということは、私は大変に重い意思を表明しているものであるというふうに受けとめております。
 全体の百八十五ヘクタールについての需要の予測の問題につきましては、沖縄県及び沖縄市の方から最終的な結論が出ていないことも確かでございますが、第一区画につきましては、十分それだけの需要はある、そういう結論が出されて、私どもの方に申し入れがあったことも事実でございまして、その申し入れを踏まえて私どもとして決定したわけでございます。
赤嶺委員 どんな自治体でも、三分の二の署名が集まるということは、尾身大臣がおっしゃるとおり大変重いことです。そういう八万五千の署名が沖縄市民であるということを大臣は客観的に証明できるんですか。沖縄県知事は証明できるんですか。沖縄市長さんは証明できるんですか。公的などこが、この八万五千人は間違いなく沖縄市民ですという証明をしておりますか。
尾身国務大臣 この一つ一つ、一人一人の署名を確かめたわけではありません。しかし、沖縄に住所を持つ人が八万五千人署名しているということは事実でございまして、さらに沖縄県民及び沖縄市民の代表である沖縄市長及び県知事が、稲嶺知事が、これをぜひ進めてほしいということを申し入れられてきたわけでございまして、これは私としては、沖縄全体の意思であるというふうに考えている次第でございます。
赤嶺委員 需要予測のあいまいさを八万五千人の署名でカバーしようとする、ところが、その一人一人については住所を確認したわけではない、県知事や市長がおっしゃるから信頼するということでありまして、県知事や市長もそのことは証明できる立場でないことだけを申し上げておきたいと思います。
 それで、第一次計画分九十ヘクタールの中で、多目的広場が入っておりますよね。多分、多目的広場というのは第二次の区域の中に入っていたのではないかと理解しておりますが、それはいかがですか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども承知している限りでは、多目的広場というのは第二期工事の部分に入っている、二でございます。
赤嶺委員 第二期工事に入っているのを今度第一期工事に持ってきているんですね、土地利用を。それで、何ヘクタールですか。
武田政府参考人 私ども、第一期に持ってきているというふうには承知しておりません。
赤嶺委員 それじゃ、第二期にも同じように多目的広場をつくるわけですね。
武田政府参考人 当初予定をいたしておりました百八十五ヘクタールの計画におきましては、第二期工事の部分に多目的広場の用地が確保されるということになっておったということでございます。
赤嶺委員 非常にあいまいな答弁でごまかしていますけれども、尾身大臣、多目的広場というのは、第一期工事で十七・八ヘクタールですよ。とにかく広場をつくるんだ、市民の憩える広場をつくるんだと。ところが、第二期工事に多目的広場が入っているのは、泡瀬には米軍の通信基地がありますよね。通信基地の周辺を埋め立ててやりますから、制限海域を解除して、そしてこの中では、米軍の通信基地のそばですから高い建物が建設できないので、そこには多目的広場をつくるという計画しか出てこなかったのです。これは第二期なんです。
 ところが、第一期土地利用の需要がなかなか埋められないものですから、多目的広場を第一期でもつくる、第二期でもつくる、つくるかもしれない。いや、そこには高い建物を建てられませんから、つくるわけですよ。広場をこんなにたくさんつくるというなら、それこそ今の泡瀬干潟の広場の方がずっと快適じゃないですか。市民の憩いの場というのであればですよ。
 そして、そういう矛盾が起きないようにするためにも、何か、全体の目標はあいまいでいい、第一期分だけ土地利用を満たせばいい、ところが、第二期、第三期となってくるとまた矛盾した土地利用が出てくるかもしれない、そういうことになっても構わないから第一期の工事は始めろ、こういうことなんですか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、確認作業の結果では、各種の条件整備と努力を前提とすれば全体計画の実現可能性はあるということが確認されておりまして、現時点において土地利用計画を見直すということにはなっておりませんが、一方で、土地利用が開始をされますまでには長期を要します。そういうことから、その間の社会経済情勢の変化等を的確に把握しながら、土地利用の区分、規模、配置等についても柔軟に対応していくことも必要であろうというふうに考えておるところでございます。
赤嶺委員 今の答弁を聞けば聞くほど、現在、今日、将来の土地の需要予測は立たないけれども第一期から始めておきましょう、第二期にも多目的広場をつくることになるかもしれませんが、とりあえず第一期の工事を合理化するために多目的広場を置いておきましょう、こういう、本当に矛盾だらけですよ。こんな国民に説明がつかない、こういうのをむだな公共事業、自然破壊、沖縄の観光産業を衰退させる政府の役割で、まさに法案と逆行している。
 それで、環境監視・検討委員会でこのことも出たのですが、ここで結論が出たという答弁が盛んにあったのですが、藻場の移植というのは、十二月に始まり二月に終わったばかりなんですね。いわば、移植は終わった、そのことを環境監視・検討委員会は確認したのですよ。移植した藻場がこれから成長していくかどうかというのは、モニタリングをしてみなければいけないのですね。
 実際に、十二月に植えた藻場のランクづけが今私の手元にありますが、よいとするもの、ややよいとするものが、比率で六〇%です。悪いとするもの、やや悪いとするものが、四〇%です。一月に移植したものは、よいとするものは比率が高くて、悪いとするものはやや低くなっています。たった二カ月のモニタリングだけを見ても、時の経過に従って、だんだん悪い方の比率が高くなって、よい方の比率は少なくなるだろうということ、この不安は、科学の目で藻場の成長を見ようとするならば、当然持つべき不安だと思いますよ。
 本当に環境や生態系を守っていかなければいけないということになってくると、植えてたった二カ月しかモニタリングしていない、そういう結果で、藻場の環境を守れる、したがって自然にも影響を与えないから埋め立てはやるんだ、こういうことでいいんでしょうか、尾身大臣。
武田政府参考人 藻場の状況でございますけれども、今委員御指摘のとおり、環境監視・検討委員会の報告が出されております。
 その中で、移植先の条件によりまして状態がよくない海草も一部見受けられる、ただ、移植された海草の生育状況はおおむね順調だということがまず言われております。また、今回行いました機械化による海草の移植は可能である、ただ、今後ともモニタリングをしていくことによって移植率がさらに向上するものと判断できる、そういうふうな結論が得られたと承知をしているところでございます。
赤嶺委員 環境監視・検討委員会とは別に、ワーキンググループがあるわけですね、実際に海の中に潜って、海草が根づいたか、成長しているかどうかということを見る。今の答弁にもありましたけれども、今後の観察が必要だ、こう言っているわけですよ。機械で移しかえただけだ、今後藻場が根づいて、藻が根づいて成長していくかどうかというのはモニタリングが必要だと。
 このワーキンググループの報告では、「このような海域では今後さらに観察を継続し、生育不良の原因が明らかにされるとともに、移植技術の改良が図られるべきであることがWGより提案された。」あるいは「今回移植実験は、平成十四年二月上旬頃に採取・移植が終了の予定であるが、今後は、移植された海草群落の生態的なモニタリングが定期的に行なわれ、その結果が公表されるべきことがWGによって提案された。」「さらに、移植地の環境条件と生育状況を今後モニタリングすることによって、移植技術の向上が図られるべきことがWGによって提案された。」と。
 つまり、完全に藻場が根づいていくか、成長していくかというのは、今後の慎重なモニタリングが必要だということを言っているわけですよ。だれも、これによって泡瀬の自然の生態系全体が守られるなんというような結論は出して、言っていないわけですよ。移植がおおむね順調だったということであって、ここを取り違えている。学者であれば、研究者であれば、もっと慎重に不安な面もきちんと整理をして、そしてきちんと観察をした結果、絶対に大丈夫ということになると思うんですよ。
 藻の移植実験というようなのはほとんど例がないんじゃないですか。日本の科学でどれだけの蓄積がありますか、移植実験はたくさんやっているでしょうけれども。しかも、あれだけ非常に微妙な、複雑な、多様な生物が生息している、多様な顔を持っているあの干潟でですよ。そういう本当に環境軽視、自然軽視の結論で、開発はやるんだということでいいのでしょうか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 今、モニタリングの必要性についてこの報告書の中で言及していることは、もう委員御指摘のとおりでございます。
 ただ、本件につきましては、御案内のように、学者ないしは地元の方々から成る環境監視・検討委員会において慎重に審議を進めた結果、先ほど申しましたように、海草の生育状況はおおむね順調である、海草の移植は可能である、さらにモニタリングをしていく、そういう結論が得られたというふうに承知しております。
赤嶺委員 環境監視・検討委員会の議事録を求めておりますが、議事録も提出していただけますね。三週間になりますよ。
武田政府参考人 今作成中のようでございますので、もともとこれはオープンな形でやっておりますので、提出させていただくことになると思います。
赤嶺委員 実際に海に潜っている人たちがまだ引き続きモニタリングをしなければ不安だというような報告書が出ているにもかかわらず、ここにもやはり、環境監視・検討委員会というようなのは環境の専門家だけで構成しているわけじゃないんですよね。開発をやりたい人も推進派も、いろいろ入っている中でのものですから、環境に対してだれが権威ある意見を言っているかとなれば、我々が慎重に見ていったら、やはり実際に海に潜って見ている人、そういう人の意見というのは貴重なんです。私は、沖縄振興策を言うのであれば、そのあかしとしてでも泡瀬干潟の埋め立てはぜひやめていただきたいということを申し上げたいと思います。
 それで、実は、観光から農業から工業から、まだまだたくさんあるんですけれども、ちょっと時間が迫っていますので次の質問に移りますけれども、観光振興のための免税店の問題です。
 法律によりますと今度は空港外でもやるということで、私はこれも、当時は沖縄担当大臣は橋本担当大臣のときにも申し上げたんですが、ショッピングモールを免税店にしていくんだということになれば、今、実は、沖縄観光の目玉というんでしょうか、非常ににぎわいのあるのは国際通りなんです、そして平和通り。ここでは、極めて沖縄的なものが、沖縄の文化の薫りがする、食が楽しめる場所だとか、いろいろな観光土産品店が並んでいるわけですけれども、ショッピングモールは、聞くところによりますと、外国の大手の免税店が入ってくるということになると、実際、今、観光で観光客とともに町をつくってきた既存の観光土産品店や商店街というのは大きな影響を受けるんじゃないかなと思うんです。
 そのことについて、これは尾身大臣、お願いします。
尾身国務大臣 これは、空港の中にある免税店を、その品物をいわば外に一カ所に出しまして、そこで買うものを空港に入ってから受け取る、こういうシステムでございまして、これはまた全体としての沖縄の魅力を増す、こういうことでぜひこれを実現してほしいという沖縄県側の要望がございまして、私ども、これを実現することにしたわけでございます。
赤嶺委員 既存の商店街の振興あるいは成長を守るというのは、これは国にとっても大事なものだと思います。商店街あるいは観光土産品店が死んでしまっては、何のためのこれまでの振興策だったのかということになります。そこもきちんと国として責任を持った対策をとるように要求いたしまして、きょうの質問を終わらせていただきます。
萩野委員長 次に、東門美津子さん。
東門委員 一九七二年五月十五日、沖縄県が、本当に県民の悲願でありました祖国への復帰、それをかち取ってから三十年たっております。三十年たった今、沖縄が本当にどのように変わっているかということを考えながら、そして、これから十年の間にさらにどのように変わっていくんだろうかということを考えながら、質問をさせていただきたいと思います。
 沖縄の今後十年の振興計画の柱となります沖縄振興特別措置法案、いわゆる沖縄振興新法は、平成十一年十二月二十八日の閣議決定、普天間飛行場の移設に係る政府方針の中で初めて正式に確認されたと理解しております。沖縄振興は普天間飛行場の移設と殊さらリンクする課題なのでしょうか。政府においては、普天間移設が前提となって沖縄振興策があると位置づけておられるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。尾身大臣にお願いします。
尾身国務大臣 申しわけございませんが、この沖縄振興新法は十年間の区切りでございますので、私どもずっと、新しい体制で沖縄を振興させるにはどうしたらいいかということを考えてきたわけでございまして、いつの時点でこの普天間の移設と一緒に決めたということについては、私はよくそのときの経緯は存じません。
東門委員 では、先ほど挙手がありました安達政策統括官、お願いします。
安達政府参考人 平成十一年当時でございますけれども、普天間の移設に関する閣議決定が行われ、そのプロセスの中で県知事の候補地表明があり、また市長の受け入れ表明がございましたが、いずれにおきましても、沖縄の振興を図るための新法の制定ということがその中で強く要望されたわけでございます。そして、それが一つの随伴的なものとして強く要望がございまして、政府としてそれにこたえたといういきさつでございます。
東門委員 強くというかなり強い発言があったんですけれども、やはり普天間の移設、それが前提となっての今回の法案なんでしょうか、もう一度お願いします。そういうふうに理解していいですかということです。
安達政府参考人 正確にお答え申し上げますが、普天間との関係につきましては、そういったいきさつの中で、普天間の移設に係る政府方針が決定される際に、同時に、新法としての実現を目指すということが決定されたという関係がございます。
 一方、御説明しておかないといけないのは、なぜ沖縄に対してこういう特別措置を講ずるかということでございますけれども、これにつきましては、法案の第一条の目的に書かれていますとおり、特殊事情というものを踏まえてのことであり、これについては現在の沖振法と全く同様の位置づけであるということを特に申し添えさせていただきたいと思います。
東門委員 今おっしゃった沖縄の特殊事情、これが目的に書かれているわけですが、その沖縄の特殊事情、そういうのはどういうことでしょうか。
安達政府参考人 現在の沖縄振興開発特別措置法第一条においても「沖縄の特殊事情」とございまして、これまでの逐条解説等々でこの特殊事情がどういう意味であるかということが言い伝えられておりますけれども、その一つは、戦中戦後の沖縄県民の歴史的な体験でございます。
 そしてもう一つは、本土から最も遠く離れた離島県であり、また多数の島嶼を抱える島嶼県であるといった状況、そしてそのほかに基地の集中といった基地から生じている負担というようなこと、そういったことを総合的に意味して沖縄の特殊事情ということが言われており、今回の法律においてその位置づけを全く変えるものではございませんで、現在の沖縄振興開発特別措置法の位置づけを継承しておるということでございます。
東門委員 ただいまの答弁の中にもありましたけれども、特殊事情の中には米軍基地の集中という認識が入っているということでございますね。済みません、イエス、ノーで短く答えてください。
安達政府参考人 そのとおりでございます。
東門委員 そうしたら、こういう特殊事情を理由にして、残り四十六都道府県とは異なる特別な振興施策を政府として行う、それが根拠になっているということでございますか。
安達政府参考人 そのとおり、総合的な特殊事情というものを根拠として特別措置を講ずるものでございます。
東門委員 それでしたら、ここで言う沖縄の特殊事情は、政府の責任によってもたらされたものでもある、そういうふうに考えていると言ってもいいのでしょうか、大臣。
尾身国務大臣 地理上の条件あるいは歴史的な経緯あるいは基地の存在、そういう種類のものを総合的に考えてこれを特殊事情とし、その特殊事情のもとでこの法律をつくりたい、こういう考え方でございます。
東門委員 離島県であるとか地理的なこと、それは別にして、やはり基地の集中という事実、それも特殊事情の一端である、一つである。ということは、その特殊事情の中にはやはり政府の責任によってもたらされたものがあるということをおっしゃっているわけですよねという確認です。
尾身国務大臣 沖縄における在日米軍基地の存在が、日米安保条約に基づきまして、日本の安全保障またアジア太平洋地域の平和と安定に貢献している反面、これが沖縄県民の皆様に大きな負担をかけている、そういう実態も私どもよくわかっているわけでございまして、そういうことを総合的に判断して、これも一つの要因として、そのほか地理的な条件とか歴史的な経緯、文化的な条件等々ございますが、そういうことを総合的に判断してこの特別措置法をつくっている、こういうことでございます。
    〔委員長退席、金田(英)委員長代理着席〕
東門委員 もう一度確認をとりますが、こうした特殊事情があるゆえに、特殊事情に見られる沖縄のマイナス部分、それを是正していくということが政府の責任としてあり、そのために沖縄の振興を図る、沖縄振興特別措置法の目的はこのように理解していいのでしょうか。
安達政府参考人 格差是正ということそのものについては、現在の沖縄振興開発特別措置法にも明示的にその根拠としては書いておりません。したがって、私どもとしては、沖縄をどのように発展させていくべきかという方法論も含めて、あるいはその分析といったことも含めて考えたときに、格差是正というアプローチ、そして今盛んに言われているのは、沖縄のすぐれたところをもっと伸ばそうじゃないか、そういう二つの見方がございます。
 私どもとしては、格差是正という考え方だけではこれからの沖縄の振興はなかなか難しいのではないか、いいところをもっと伸ばすという発想も必要じゃないか、その両方の考え方が重要じゃないかというふうに考えているところです。
東門委員 目的条文中にありますが、沖縄の振興、先ほどからどんどん使われているんですが、沖縄の振興という中に、米軍基地の整理縮小、それは含まれていますか。米軍基地の整理縮小は沖縄の振興という中に含まれていますか。
安達政府参考人 在沖縄米軍基地、米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、日米間の外交的な交渉の中で決定されて可能となっていくものでございます。法律自身がアプリオリに書くというところについては規定が難しいということはございますが、この整理、統合、縮小に関連した課題ということで申し上げますならば、返還後の跡地をどうするかという課題を私ども今後ますます抱えるわけでございまして、その関連につきましては新法案において措置をさせていただいているというものであります。
東門委員 ただいまの御答弁から私が聞き取ったのは、沖縄の振興という中には整理縮小は含まれていないというように理解してよろしいのでしょうか。短く答えてください、それだけで結構ですから。
安達政府参考人 整理、統合、縮小に関連した跡地対策は含まれております。
尾身国務大臣 整理、縮小、統合はSACO最終合意に基づいて進めてまいるつもりでおりますが、跡地以外の問題は、直接には含まれていないと考えていただいて結構でございます。
東門委員 私がなぜこのような質問を申し上げているかといいますと、今回の沖縄振興特別措置法は、これまでの皆さんとの議論の中からずっと伺っていてもわかることですが、米軍基地の集中、それは県民に多大な御負担をかけているから申しわけない、そういうふうに言っておられるわけです。しかし、何も解決する手だてがその沖縄振興特別措置法の中には見られない。
 本当に基地の問題にどのようにかかわっていくのか、法律そのものじゃないにしても、これから沖縄の振興を考えていく中で、基地の整理縮小は避けて通れない部分だと私は思うんです。整理縮小なくして沖縄の振興はあり得ないという立場なものですから、立場が違いますねとおっしゃるかもしれませんが、私は、沖縄県民は同じように考えていると思います。整理縮小、そしてそこからやはり沖縄の振興を一つ一つやっていくということではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 先ほど申し上げましたように、沖縄の基地の存在が沖縄県民の皆様に大きな負担をかけている、そういう実情については私どもよく認識をしております。これに対しましては、SACO最終合意に基づきまして整理、縮小、統合を進めるということで、私ども鋭意進めているわけでございます。
 この振興法につきましては、もちろん、いろいろな意味でかかわり合いが、例えば跡地利用等々ございますが、この振興法そのものは、むしろ沖縄の経済社会の発展を実現するための特別ないろいろな措置を決めているというのが主たる考え方でございます。
東門委員 県民は、経済的側面からの振興があったとしましても、基地の重圧から解放されない限り真の振興を感じ取ることはできないと私は確信しております。こうした政府の沖縄政策、沖縄振興特別措置法を見ましても、基地問題を政府の責任で解決するという明確な姿勢が欠落しているというのが強く感じられるものですから今のような質問をしているわけですけれども、沖縄の特殊事情をかんがみてというところ、しかもそれには基地の集中が入っているということ、それからすると、やはりこの振興新法の中でしっかりと明記されるべきだと私は思います。政府の基地問題に対する姿勢が欠落しているということを指摘しておきたいと思います。
 新法の中身に少し入らせていただきますが、沖縄振興新法は、民間活力を生かした自立型経済の構築、それを前面に出しています。ただ、これまでの沖振法にもありましたように、自由貿易地域制度が十分活用されない原因に、必ずしも実体経済に即した法制度ではなかったとの指摘もございます。情報特区、金融特区の優遇税制などが、今後、企業集積あるいは雇用創出、経済波及効果などの観点からどう見通しを持っておられるのか、具体的に答えていただきたいと思います。
安達政府参考人 情報特区から御説明させていただきます。
 情報特区につきましては、平成十年におきまして、情報産業振興地域制度及びこれに関連した税制、そしてその他の政策をスタートいたしました。そういう中で、実質ここ四年間ぐらいでございますけれども、約六十社の新規事業進出、そして四千人を上回る新規雇用の成果を得ているところでございます。
 さらにこの情報通信関連の企業の、これは内外を問わないわけでございますけれども、集積あるいは育成というものは可能ではないか。集積をさらに高め、そして産業としてさらに高度化を図っていくという目的で今回の情報特区の制度を設けたものでございまして、ポイントで申し上げますと、三五%の法人所得控除と現行の情報通信産業振興地域制度における一五%の投資税額控除制度の選択適用等々でございます。対象といたしますのは、データセンター等情報通信産業の集積の牽引力となるようなものを対象としておるというものでございます。
 金融特区につきましては、地元からの強い要望がございまして、これを関連税制とあわせて今回創設することにしたわけでございます。この制度につきましても、法人所得控除三五%、そして投資税額控除一五%の選択適用を認める、また、地方税に関しての不均一課税に伴う交付税の補てん措置等の手当てがされておるところでございまして、対象は金融業務全般と考えていただいて結構でございます。
 そして、この目的でございますけれども、金融関係の新たな集積をこれによって図っていく。今の時点で、何社が来て何人ぐらいの雇用ということはまだ言える段階にはございませんけれども、地元が中心となって行います企業誘致等の活動に対して私どもも支援し、そういった中でできるだけ早く具体的な成功例を見出していきたい、そしてそれがさらに集積のコアになっていくというようなことを期待しているところでございます。
 現に、これは先行いたしまして、香港のネット証券会社が、あるいは投資顧問企業が名護において進出するというような事例が出てきておるところでございまして、こういった動きを加速させていきたいと思っております。
東門委員 今の御答弁でしたら、かなり見通しが明るいというふうに受けとめていいのでしょうか。
安達政府参考人 見通しは、地元をも含めた努力とも関連しておりまして、我々、評論家のように見通しを言うのではなく、ぜひとも実現するという気持ちで頑張ってまいりたいというふうに思っております。
東門委員 今回の法律の中で新たに出てきた金融特区あるいは情報特区は、それぞれ指定の仕方が異なっていますね。主務大臣によって指定される金融特区に対しまして、情報特区は知事が情報通信産業振興計画の中で位置づけるという形をとっておりますが、なぜ異なるのでしょうか。
安達政府参考人 情報通信分野における取り組みは、私ども、ここ数年でございますけれども、歴史がございます、実績もございます。そういった中で、より本格的に取り組んでいくということで、計画をつくってやっていくという一つの段階を迎えておるわけでございますけれども、金融につきましては、正直言ってこれからでございます。非常に柱となる施策を今回打ち出したわけでございますけれども、金融について計画をつくってという段階にまでまだ至っているものではございませんので、そういった状況の違いの中で制度面においてもおのずから違いが出ておるというふうに御理解いただきたいと思います。
東門委員 金融特区の指定では、一を限りに、一カ所だけというふうに指定要件があるようですが、全沖縄を対象にした振興法で、一カ所に限定した措置というのはどういう理由からでしょうか。
安達政府参考人 情報特区もそうでございますし、三年前につくりました特別自由貿易地域制度もそうでございます。やはり県の御判断もございますけれども、場所をできるだけ決めて、そこに来てくださいということで一つの集積効果をねらっていくということでございまして、特別自由貿易地域につきましても、中城に今限定されているわけでございます。
 情報特区につきましても、数は書いておりませんけれども、せいぜい一、二ではないか。あちこちにということでは共倒れになってしまうということで、やはりこの特区というものの性格として、共通的に、そう多くを指定するということではうまくいかないのではないかというふうに考えているわけでございます。
東門委員 先ほどから何度も出ておりますが、稲嶺沖縄県知事は、沖縄は魚が欲しいのではなくて釣り具が必要なのだとおっしゃっておられます。復帰三十年を経て、沖縄は社会資本は大幅に整備されましたけれども、目立った産業は育っていないというのが実情です。地理的な不利性で製造業等の誘致はうまくいきませんでした。首都圏から離れた遠隔地としての不利性を余りこうむらないとして、金融特別区の創設が県内の経済界あるいは名護市を中心に国に働きかけられて、創設が認められたものと私は思っております。
 しかし、特区に進出する企業に法人税の軽減を認めるというだけでは企業誘致のインセンティブとしては不十分だという意見が経済界にもありますが、政府はこれについてどのようにお考えでしょうか。
尾身国務大臣 金融特区の所得控除三五%というのは、もう日本のどこにもない、最優先の優遇措置でございまして、これが不十分であるというようなお話をもし沖縄の方がされるのであれば、こんなに苦労することはなかったという感情を持っているのも自然の気持ちだと思っております。
東門委員 いや、もう一方には、名護市が強く求めていますキャプティブ保険制度というのがあるようですが、それが認められれば、日本国内の大手企業が自社のキャプティブ保険会社を創設して、金融特区のメリットが大きく拡大すると思われるということから来ていることかと思うのですが、国はそのキャプティブ保険制度を認めるというお考えはおありでしょうか。
尾身国務大臣 この制度のことを私が初めて聞きましたのは、この法律を国会に提出することが、もう中身がほとんど全部決まっている数日前でございまして、この問題については、少なくとも私のところにまで話が来るのは極めて遅くて、検討する時間がなかったというのが実情でございまして、この法律の中にぜひこの制度を入れろというようなお話は、私は、その提案の数日前まで聞いていなかったということでございますので、内容については今後の検討課題ということにしているところでございます。
東門委員 もう一点、地元で聞こえるのは、やはりその企業誘致のインセンティブの中からということでしょうけれども、雇用への貢献、そういうものがかなり見込まれるという前ぶれはあったかと思うのですが、いかがでしょうか。何か二十人以上を雇用する企業でなければという条件、それがかなり厳しいのではないかという声もあるようですが、それについてはいかがでしょうか。
尾身国務大臣 これは、私どもは沖縄の発展のためにこの金融特区を認めるということでございまして、単なるペーパーカンパニーで、減税だけメリットを得て沖縄に少しもメリットがない、そういうペーパーカンパニーであっては困る。実質的に雇用を増加させ、沖縄の経済にプラスになるようなものを、それに応じて税制の優遇措置を認めようという考え方で、これはむしろ沖縄の経済を守るためであるというふうに御理解いただきたいと思います。
東門委員 ちょっと質問を変えていきますが、産業発展のための基礎条件整備ということでお尋ねいたしますけれども、三十年間に約七兆円を投じてインフラが整ったというのが、大まかな三次振計までの総括だと思います。その間、国は産業政策にも力を入れてこられました。自由貿易地域、観光振興地域、情報通信、それぞれ特例を設けて企業立地を図ってきたと思います。
 これらの政策を踏まえましてお聞きしたいのですが、まず自由貿易地域ですが、その自由貿易地域においての入居企業の事業実績、それの推移についてお尋ねしたいと思います。
 九二年以降、撤退する企業が相次いでいますが、それぞれどのような背景があったのか、その都度把握されてこられましたでしょうか。入居企業がどんどん減っていっている。昨年は四社ふえたということも聞いておりますが、これまでかなり減ってきているという事実、その推移について、あるいはその理由について、お聞かせいただきたいと思います。
安達政府参考人 推移等は、県からも情報を入手し、把握いたしております。
 新県政のもとで、大変な努力もございまして、これはかねてからの課題でございましたけれども、県の継続した取り組みの中で努力は積み重ねてまいりまして、現在は満杯の状況ということでございます。過去の一社一社の出入りについて、それぞれについての理由というところにつきましては、私どもちょっと今のこの場でお答えできないことは御勘弁いただきたいと思います。
    〔金田(英)委員長代理退席、委員長着席〕
東門委員 済みません、ちょっと聞き漏らしたかもしれません。今、満杯とおっしゃった、全部入居、満室とおっしゃいましたか。(安達政府参考人「そうです、満室です」と呼ぶ)満室だというお話でしたけれども、私のところでは、何か現在十三社ぐらいが入居していると。当初、二十七社、確かに入居しておりましたよね。そこがかなり減りまして……。では、もう一度お伺いします。
安達政府参考人 企業の数というよりは、面積でどれぐらいの状況になっているかということで、私の解釈ですけれども、摩擦的に出入りはございますので完全に一〇〇%ということはあり得ないだろう、そういう意味でほぼ満杯と申しましたが、正確に申しますと、一〇%強ぐらいのあきはあるというのが正確な御返答ではないかと思います。
東門委員 その中で、国外の搬入あるいは国外搬出、それはいずれも減少の一途をたどっているということですが、搬入は、八八年の九五%が九九年には三六%に減少しております。搬出は、八八年の二七%が九九年には〇%になっているというデータがあるわけですが、実績を見る限り、自由貿易地域といいながら、その優遇制度を存分に発揮する貿易加工型の産業の立地は現行の制度では難しいという感じがいたします。海外との競争力を持ち得る制度ではないということではないかと思いますが、いかがでしょうか。原因は何でしょうか。
安達政府参考人 現在、那覇にございます自由貿易地域は、いずれにしてももう面積的に拡張の余地はないわけであります。したがって、そこでどう新規の企業の投資を期待するかということよりも、別の場所が必要だという中で、特別自由貿易としております中城の新港地区が県の判断において充てられたということでございまして、新規で投資して、グリーンフィールドインベストメントも含めて、賃貸工場も含めて新規の工場の立地をどんどん促進していくというのは、新たな土地のあるところしかできませんから、それは中城ということであります。
 したがって、ちょっとくどいようですけれども、自由貿易地域だけの成果というよりは、特自貿地域も含めて、中城も含めてどうかということであろうかと思います。
 そして、三年前に制度として、単に法人税の件ということ、それ自身大変でありましたけれども、選択関税制度を初めて認めるとか、いろいろ制度としてあとう限りのことをいたしました。また、それだけでは不十分ということで、レンタル工場、いわゆる賃貸工場制度につきましても、平成十年末に知事から御要望を受けて、平成十一年度以降、逐次、政府として財政支援しながら整備してきた。これは非常にヒットいたしました。賃貸工場は満席の状態、今三工場を増設しているわけでございます。
 スピードについていいますと、もっと早くやるべきではないかという御指摘があるかもわかりませんけれども、私ども、最初からやっていた者としては、八社近くまで来たということで、よくここまで来たなという感じがしておりまして、今後、努力は必要でございますが、さらに頑張ってまいりたいというふうに考えております。
東門委員 ただいまの答弁をお聞きしていますと、何かすごく明るいという感じも受けるのですけれども、私の方に入っている情報では、企業が進出したくてもなかなか受け入れられない、進出を断念するという経緯があった。なぜかといいますと、やはり現行制度がかなりネックになっている、壁になっているということなんです。
 例えば、選択課税については、牛肉調製品やココア調製品の搬入に当たって県を通して要望等もしてきたと思うのですが、結局、要望は受け入れられていなかったということ。あるいは、牛肉調製品では、関税定率法によって容器の要件があり、アルミ箔のレトルトパックでなければならず、プラスチックの気密容器では対象にならない、そういうことが規定されている。これに対し業者は、それでは容器にコストがかかり、選択課税制度のメリットを実際に享受できないとして進出を断念した経緯もあるというふうに聞いております。
 企業から進出についての具体的なアプローチがあった場合、自由貿易地域、あるいは特自貿でもいいんですが、その優遇制度を最大限に生かせるようにさまざまな特例をつくっていく柔軟性がなければ、実際の企業誘致は困難だと思うのですが、いかがでしょうか。
安達政府参考人 いい制度をつくっても、運用が厳しくて動かないというようなことでは制度をつくった意味がないわけでありますから、その点は私ども、今後とも心がけてまいりたいというふうに思っております。
 ただ、三年前に選択関税制度ということでいたしましたけれども、一つの難しさは、原材料立地、例えばタイの原材料をバルキーなまま沖縄に持ってきて本土のマーケットに出していくというものについて、昨今の海外シフトの中で、賃金も安い、そして原材料を製品にすれば、日本のマーケットへ運んでくる運送コストもずっと安いということで、原材料のところに工場をつくってしまう企業の選択というものが非常に広がっているということも御理解いただきたいと思います。
東門委員 次に、沖縄の基幹産業でもあります観光についてお伺いしたいと思います。
 観光振興地域制度についてですけれども、私、前回の委員会でも、観光振興の特定関連施設の中にホテルが含まれていないのはなぜでしょうかとお伺いしましたけれども、もう一度聞かせてください。
安達政府参考人 観光振興地域の課税の特例の対象といたしまして、スポーツ・レクリエーション施設、教養文化施設、集会施設等があります。今回の新法制定というタイミングの中で、県サイドから宿泊施設について要望があったことは事実であります。
 ただ、この税制を最終的に取りまとめる段階になりました去年の冬の状況を見ますと、昨年秋以来のテロ事件で、県内宿泊施設は大幅に稼働率が低下して、新規にホテル等の建設をどんどん促進していく税制を今あえて導入することはいかがかというような御議論もございました。ということで課税の特例の対象としなかったものでございますけれども、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
東門委員 ぜひ、本当に前向きに検討していただきたいと思います。観光関連施設の中にホテルが入っていないということは、本当におかしな話だと思います。ぜひそれを検討していただきたい。
 それからもう一点、これも前回お尋ねしたことなんですが、観光関連施設を新設あるいは増設した場合に、機械や建物などの投資減税を初め、地方税や固定資産税の減免などを受けられるという魅力的な制度はありますけれども、自治省通達の中で、対価を取ってはならないとの前提条件が課せられております。なぜ対価を取ってはならないのか。対価を取らないでもうかる事業とは、例えばどんなものを想定しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
安達政府参考人 ちょっと誤解があると思いますが、この制度につきましては、利用者から料金を取っても取らなくても、当然に減収補てん措置の対象としております。
 ただ、ちょっと誤解を受ける部分があったのは、ちょっと説明が長くなりますけれども、特定民間観光関連施設ということで、先ほど申し上げましたようなスポーツ・レクリエーション施設あるいは教養文化施設、集会施設等々でございますけれども、その施設に附帯した駐車場とか飲食店とか、小規模でついている場合がございます。それは、町中の飲食店はこの税制で対象にならないのに、なぜこれに付随した部分についてその対象にするのかということで、スポーツ・レクリエーション施設そのものについては、当然これは料金をお取りになるわけでありまして、それは取ったからこの対象にしないということではございませんが、そういう、一部これに付随した部分について、料金を徴収しているケースはその対象から差っ引きますという、公平性の視点からそういう運用にさせていただいているというふうに聞いておるところでございます。
東門委員 その件に関しては、県内のホテル関連の業者の皆さんとのやりとりというのはなかったのでしょうか。要請はなかったのでしょうか。
安達政府参考人 これまで聞いておりません。
東門委員 せっかくいい制度ができても、政令、省令、通達、解釈ということによって存分なメリットが生かされないことが、これは沖振法の特徴でもありました。政令などに、県民の声あるいは企業の声を盛り込むことが非常に難しいということかと思います。
 今回の振興新法でも、「その他政令で定める要件に該当する地域に限る。」などの文言がかなり出てきますが、その部分に民間の声、県民の声を反映する手法を積極的に考え出せないかと思います。振興新法、それはもちろん国の法律ですけれども、主役は、その法律が適用されるのは沖縄県民です。十分な情報開示、あるいは県民が動きやすいような柔軟性を担保していくことが大変重要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 今、ホテルの扱いも含めまして、法律でいろいろな優遇措置をしておりますが、その中にホテルを入れるということも含めまして、この振興新法の基本的精神が実際の運用に当たって絵にかいたもちにならないように、十分に意を用いてほしいと思いますし、また、関係者の御意見も十分聞かせていただきたいと考えております。
東門委員 ありがとうございます。
 次に、リゾートタウン整備事業についてお伺いしたいと思います。
 現行の制度では、海岸線の総合的な整備、さっき政策統括官からお話があった海浜公園、海浜プロムナードとかそういうのが入ってくるかと思うのですが、そこの整備を十分に行えないとして、県からリゾートタウン整備事業の要請があったと思いますが、振興新法への位置づけはどうなっているのでしょうか。
 観光地の一体的あるいは公共的な整備が後手に回っているとの課題があり、既存制度の継ぎはぎではその目的を達成できないとの要望があったはずですが、公的なリゾートの面的整備について、新法にはどういうふうに反映されておるでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
安達政府参考人 ちょっと事前に御質問を受けておりませんでしたので、今慌てて担当者から聞いた話で、やや正確を欠くかもわかりませんが、御指摘の点につきましては、まさに国土交通省を通じた予算の制度でございまして、法律といいますのは、もう先生御存じのように、法律で書かなければだめだということしか書かせてくれない世界でございまして、やや、法律に関連づけるという必要はないのじゃないかというような議論の整理が行われたというふうに聞いておるところでございます。
東門委員 行われたというふうに聞いておりますということは、統括官御本人は、そういうお話には全然かかわっておられないということですか。
安達政府参考人 私自身、直接要望を受けたことがございません。
東門委員 いや、県はしっかりと要望をしているというあれが入っているのですけれども。資料もあるのですよ。
 そのリゾートタウン整備事業なんですが、具体的には、仲泊・前兼久エリアモデルプランとして位置づけられて、ラマダ・ルネッサンスホテルからブセナホテルにかけての約二十キロの海岸線と、私が持っているのは新聞の記事ですけれども、そういうふうに書かれているのですね。ですから、県としてはどうしてもそれを入れていただきたいというふうに要望したと伺っておりますが、いかがでしょうか。もう一度、済みません。
安達政府参考人 予算要求として、窓口である国土交通省に要望されておるというふうに推測いたします。
東門委員 では、私は大臣にお願いをしたいと思いますけれども、大臣は、せんだって私が質問をしたときに、特にホテル、先ほどありましたホテルの問題等、そのときに具体的な提言等があれば協議したいというふうに前向きに御答弁いただいたんですけれども、やはりこのリゾートタウン整備事業について、ぜひ検討していただきたい。中身を聞いていただいて、私はこれに関連して質問をするつもりでしたけれども、国土交通省のということですから、今ここではよしますけれども、ぜひ御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
尾身国務大臣 沖縄の問題に関しましては、あらゆる問題について、いかなる人からもお話を伺う用意がございます。
東門委員 お話を伺っていただくのはとてもありがたいんですけれども、ぜひ前向きに検討していただきたいということを強くお願いしたいと思います。
 まだ少し残っておりますけれども、外務大臣がおいでですから、外務大臣に御質問させていただきます。忙しいところ本当に御苦労さまでございます。
 去る三月十六日、先週の土曜日ですか、大臣は基地の七五%が集中する沖縄の実態を現場で肌で感じたいとおっしゃって、就任後早々と沖縄においでになりました。大臣のそういう姿勢を私はとても評価したいと思います。どこへ行くよりも先に沖縄へ行った、そのお気持ちはとてもうれしく拝読いたしました。
 ですが、大臣、沖縄をどのように感じられましたでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 三月十六日に、私は、かねがねもっと早く伺いたいと思いましたけれども、なかなかできませんで、初めての出張、国の中も外も含めて初めての出張ということで沖縄に伺うことができて、私としては、現場で沖縄の状況を肌で感ずることができて大変に勉強になりました。
 何を感じたかということで、とりあえず三つ、記者会見で私が申し上げたことをここで再度申し上げさせていただきたいと思います。
 一つは、沖縄で、特に嘉数の高台から普天間飛行場を目の下に、町が周りをびっしり囲んでいるところを拝見しまして、さらにその向こうに瑞慶覧の基地といいますか、それが見えていましたけれども、拝見をして、沖縄における米軍施設・区域の集中問題について、七五%という数字では承知をいたしておりましたけれども、これは決して現状のままであってはならないということを感じたということが第一点です。
 それから、短い日程ではございましたけれども、地元の方々、市町村長さん方とお話をさせていただきまして、全部の方からではなかったんですが、何人かの方から直接に御要望も伺いました。それから、稲嶺知事やグレグソン四軍調整官ともお話をさせていただいて、お話を伺いました。そういった形で関係者の方々からお話を伺いまして、今後とも関係の方から直接にお話を伺い、一緒に沖縄をどうしたらいいかということを考えていくということが非常に重要だと思いました。今回は時間がなくて、残念ながら沖縄の県民の方と直接にお話をする機会はなかったんですけれども、できたら、将来、そういう機会も持てたらと私は思っております。
 それから三番目に、私は環境大臣をやっておりましたので、自然環境の重要性ということについてもこれは強く感じました。これは伺う機会がなかったんですが、沖縄の山原を初めとする生物の多様性というのは、これは沖縄のみならず、日本全体にとっても重要な生物の多様性であるわけです。そうした多様性を感じますときに、内閣の一員として、自然の保護、自然環境の保護に力を尽くしていくということは非常に重要な責務であると感じました。
 以上、三つ申し上げます。
東門委員 本当に、沖縄に行かれて、沖縄の現地を足で歩かれて、肌で感じてこられたということがわかるんですけれども、嘉数の高台に行かれて、そこから普天間の基地をごらんになった、本当に一望のもとに見渡せたと思うんですが、その中で、現状のままではいけない、このままではだめだと思われたということです。大臣、これから、では具体的に、今すぐあれをします、これをしますということ、きのうのきょうではそれは難しいかもしれませんが、しかし、現状のままではいけないという思いのところから、大臣としても就任されてやがて二月になります、何を手始めに、大臣はできることから一つずつやっていきたいとおっしゃっておられたようですが、何をまず手をつけていかれようとしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 やるべきことは幾つかあるというふうに思っております。一昨日、グレグソン四軍調整官ともお話をいたしましたけれども、沖縄の綱紀の粛正、事故、事件の防止というのは大変に重要なことだと私は今回行って特に強く感じてまいりました。これについてはグレグソン四軍調整官にもお話をさせていただいて、四軍調整官からも、この問題は非常に重要な問題であると自分たちも考えていて、いろいろ手を考えているんだというお話も伺いました。今後とも、この問題は大変に重要だと思いますので、引き続き努力をしたいと思っています。家族の方の犯罪がふえているということについても、そういうお話も私からさせていただいたわけです。
 それから、地位協定について、運用の改善ということを今までずっと言ってきておりまして、これも中身がいろいろあると思います。
 環境問題についても、今いろいろ動きがあるようですから、それについても後押しをできるだけしたいというふうに私は思っております。
 このほか、運用の改善については、市町村長の方からいろいろな御意見を伺いましたけれども、これについては、多分今までいろいろな経緯があって、それについてまず私は勉強しなければいけないと思いますけれども、そういった中で、もう少し前に進めるのではないかと思うことがありましたら、それについてもやっていきたいと思います。
 それぞれ具体的に、現実的に話を前に進めていくということが非常に重要だと思いますので、こういった努力をまずしていきたいと思います。
東門委員 今の最初のお話を伺ったときには、ああ、やはり大臣は頑張ってくださるかなという思いもあったんですが、今の答弁を聞いていますと、全然変わっていないなという印象もまた受けております。
 地位協定は運用の改善だけではだめだということをずっと申し上げております。ぜひ、本当に一歩も二歩も踏み込んでいただきたい。運用の改善だけではどうしようもないということを沖縄県民はずっと言い続けております。国民の、基地所在地の皆さんもほとんどその気持ちです。何度も申し上げますが、渉外知事会のメンバーもそのように要請しております、ぜひ改定してほしいと。それから、昨年は外務委員会でも全会一致で決議をしております。私は、外務省の姿勢がとても問われていると思います。
 大臣は環境大臣のときに、あの京都議定書でタフネゴシエーターと言われるほどの、あれはすごくいい意味で使われた言葉だと思いますが、頑張ってこられた。やはりその姿勢、難しくともやってみる、やってみよう、これではいけない、現状がこれではだめなんだと認識してこられた、肌で感じてこられた大臣だからこそ、むしろ期待したい。
 沖縄の現状はこのままではいけないじゃないかというところからやはり踏み込んでいく、私はその決意をお伺いしたかった。ところが、今の大臣のお話は、グレグソン四軍調整官との間では、米軍人軍属による事件、事故、それは大変なことだと思うと。確かにそうです、私は否定しません。しかし、その事件、事故、減少していると思いますか。ふえているんですよ。決して減っていません。そして演習による山火事も、ついこの間もあったばかりなんですよ。
 これはなぜそういうふうにふえていくのか。あるいは山火事等も起こるのか。環境破壊も起こるのか。そこを根本にいかなきゃいけないと思うんです。現象面だけで対症療法的にやったってどうしようもない問題なんですよ。何にも解決できないんですよ、やはり根本が何かということ、そこから一歩ずつでもやっていこうという姿勢がなければ。
 私、何度も申し上げますが、外務省には全然その姿勢が見えない。私も国会へ来てまだ一年、二年足らずですけれども、本当にこの間それを痛感して、実感してまいりました。むしろ私は、外務大臣、外務省改革、その中にやはり姿勢の改革も入れていただきたい。やる気があるのかないのか。本当に国民のために、国民に目を向けてやっていこうという姿勢があるのか。それも私は大臣としてやっていただきたいと思います。むしろそれを期待しているということを申し上げたい。いや、ぜひやっぱり申し上げたい。
 まだ日が浅いからとおっしゃるかもしれません。だからこそできることだと思うんです。ぜひ決意をしていただいて、地位協定も、今までの大臣がずっとおっしゃってきたように、運用の改善で、それがだめなら改定も視野に入れてというような御答弁ではもうだめなんですよ。これでは何も解決できません。
 それともう一つ。何度も聞かれるのは、これは尾身大臣の口からも聞かれるんですが、SACOの合意という言葉が聞かれます。これでも、私は、沖縄県民の負担の軽減にはつながらないということを何度も申し上げております。その気持ちもぜひ考えてください。それはあなたの言うことでしょう、ほかの人は違いますよとおっしゃるかもしれません。しかし、私のような意見を持っている人がたくさんいるということもぜひわかっていただきたい。やはり行政のトップにおられる方々は、両方の意見もしっかり聞くという姿勢を持たなければいけないと思います。ぜひそれをやっていただきたいと思います。
 先ほどグレグソン四軍調整官とのお話は伺いました。稲嶺知事との会談ではどういうお話があったんでしょうか。十五年使用期限の問題が出たというふうに覚えていますが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 稲嶺知事からはこの要望書をいただきまして、それについてのお話と、それから要望書以外にも若干お話がございました。十五年使用期限の問題も出ております。
東門委員 出たということは新聞報道で知りました。それに対して大臣がどのようにお答えになられたか、私の関心はむしろそこにありますけれども、ぜひお願いします。
川口国務大臣 稲嶺知事とのお話については、要望をいただいたうち幾つかのことについてはお話をさせていただいたわけでございます。基地の整理縮小、普天間飛行場の移設、地位協定の見直し、それからこの要望書の最後に、ここにはついておりますけれども、アメラジアン問題。
 それで、後で新聞の見出しを見ましたら、十五年使用期限問題の解決については答弁を避けた、何かそういうことが出ましたけれども、そういうことではございませんで、全部の問題についてお答えできなかったというだけでして、普天間飛行場の移設問題については、十一年十二月の閣議決定を尊重して基本的な計画を早期につくるということを今やっていますという部分をお答えして、あとは時間的に全部、ここに細かいことがたくさん書いておりますので、それについてはそこではお答えしなかったというだけのことでございます。
 それで、十五年使用期限の問題の解決ということについては、記者会見では御質問をいただきまして、そこではお答えをさせていただいております。これについては国際問題、国際情勢ということもあって厳しい問題があるとは思うけれども、稲嶺知事や名護市長の御要望、これを重く受けとめさせていただいてアメリカとの話し合いの中で取り上げていくということで、現実にパウエル国務長官との間で取り上げさせていただいたという経緯について、そこではお話をさせていただいております。
東門委員 手元に、昨日の地元の新聞があります。これは稲嶺知事へのインタビューの記事なんですけれども、はっきりとおっしゃっておられるんですね。ことしの十一月知事選がございますけれども、その関連での質問の中で、「任期中に十五年問題を進展させる考えはありますか。」という質問に対して、「ステップとしてある。はっきり言えるのは、(代替施設の)着工までに政府から何らかの方向性が示されるべきだ。」インタビュアーが「解決されない限り着工はないと考えていいのでしょうか。」と問うているのに対して、「そう取られても当然でしょう。」と答えておられる。何度もおっしゃっておられるんですよ、それは。
 そして、これは基地の提供責任者である国がアメリカに対してしっかりと言うべきだ、沖縄がどう言っているこう言っているではなくて、国として方針を持って政策でしっかりと交渉すべきだというのが、私は稲嶺知事のお気持ちだと思います。
 その十五年問題について、大臣、いかがですか、もう一度。
萩野委員長 川口外務大臣、時間が来ておりますから、簡潔に。
川口国務大臣 簡潔に、それでは申し上げさせていただきます。
 十五年問題については、先ほど私が記者会見でお答えをしたこと、そういう考え方をしておりまして、これまでも米国政府に対して取り上げてきたということでございます。
 さらに、政府といたしましては、十一年末の閣議決定に従いまして、国際情勢の変化に対応して、代替施設も含めまして、沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢について米国政府と協議をしていくという考えを持っておりますし、さらに国際情勢が肯定的に変化をするように外交努力をしっかりやっていきたいと考えております。
東門委員 たくさんございますが、残りの質問はあしたに回しますけれども、やはり外務大臣には、タフネゴシエーターのところを見せていただきたいと要望しておきます。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
萩野委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長北島信一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
萩野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
萩野委員長 質疑を続行いたします。
 次に、川内博史君。
川内委員 民主党の川内博史と申します。
 尾身、川口両大臣におかれましては、きょうは長時間、本当に恐縮でございます。今回も、法案の審査でございますが、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、御出席の時間が限られているということで、外務省関係、川口大臣に先にいろいろなことを御質問させていただきたいんですが、私は川内でございまして、大臣は川口ですから、大臣を国会議員だと勘違いされていらっしゃる国民の方がたくさんいらっしゃるみたいで、外務省に電話をするのはちょっと気が引けるというような方は議員会館に電話をしてこられるんですね。
 それで、川内につなげ、川口につなげと言われるらしくて、私の部屋にも時々電話がかかってまいりまして、外務省、大変評判が悪いです。北方領土の問題にしても、あるいは沖縄の基地問題にいたしましても、外務省が交渉の当事者としてその能力があるのか、交渉当事者として果たして適格なのかということを国民の皆さんは本当に御心配をされていらっしゃるわけです。
 大臣は就任のときに、国民は外務省にとって顧客であるということをおっしゃっていらっしゃるわけです。国民は外務省にとって顧客である、お客様だということをおっしゃっていらっしゃる。
 そうすると、国民の税金を詐欺した雪印食品という会社は、会社が解散に追い込まれる、あるいは雪印乳業は、単独では経営が立ち行かなくなって、資本提携を求めるというような大変な苦境に陥るわけですよね。民間の会社は商品をお客様に買っていただかなければいけないわけです。ところが、外務省というのは、国民を顧客であると言いながら、国民からどれだけ糾弾をされても組織としては温存をされていく、本当に悲しいというか、だからこそ責任のとり方をしっかりとしていただかなければならないというわけでありまして、外務省が、果たして今後、沖縄の県民の皆様方の悲願である基地の整理、統合、縮小に向けてしっかりと取り組むことができるかということを、まず大前提となることをお聞かせをいただきたいというふうに思うわけでありますが、プール金の問題であります。
 先ほど原口議員も若干触れておりましたが、平成十三年の十一月十三日、プール金調査の中間報告において、当時の官房長は記者会見で、このプール金問題は法律に触れないのかという記者の質問に対して、その質問に答える用意ができていない、申しわけないというふうにお答えをしていらっしゃいます。その後、このプール金の問題は法律に触れるかどうか、答えを用意されたでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
北島政府参考人 外務省におきまして、いわゆるプール金という不適正な行為が行われていたことにつきましては、事務次官以下事務当局として、一同としてまことに遺憾であると考えておりまして、この場で国民の皆様に改めて心よりおわびを申し上げたいと思います。
 お尋ねの点につきましては、昨年の外務省による調査の結果判明した事実関係に関し、関係者の意思や行為が犯罪の構成要件に該当するか否か等について、捜査当局にも相談しつつ、慎重に検討している状況でございます。
 なお、プール金の発生する過程では、慣行的に、外務省と取引先の双方の担当者の間で具体的な相談は行われず、外務省担当者はその時々のプール金残高を正確には認識してこなかったというのが一般的なケースであったということが判明しております。
川内委員 それはもう前からずっと同じことをおっしゃっていらっしゃいますね。
 平成十三年の十一月十三日にも官房長は、犯罪の構成要件に該当するかどうか慎重に検討しているということをおっしゃっている。四カ月たっても、また同じ答弁をするんですか。
北島政府参考人 重ねてのお尋ねでございましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、捜査当局にも相談しつつ、慎重に検討しているということでございます。
川内委員 それでは、きょうは警察庁の刑事局長にも、吉村さんにもお運びをいただいていますので、お尋ねをさせていただきたいと思いますが、外務省のプール金問題に関する調査報告書を警察庁は入手をしていらっしゃいますか。
吉村政府参考人 昨年の十一月三十日に外務省から公表されました報告書につきましては、承知をしております。
川内委員 この問題について、捜査機関として今後どのように対応されていくおつもりであるかということをお答えください。
吉村政府参考人 お尋ねの案件でございますが、個別具体的な事案への対応につきましては、警察が捜査するのかどうかを含めまして、恐縮ですが、答弁は差し控えさせていただきます。
 もちろん、一般論として申し上げれば、警察は法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、厳正に対処するものでございます。
川内委員 一般論としては取り上げるべきものについては取り上げる、調査報告書も入手をしているということであります。
 もう一度、外務省の官房長にお尋ねをいたします。このプール金の問題は、私が先ほどお尋ねしたのは、法律に触れるとしたらどんな法律に抵触をしますかということを聞いたのであって、具体的に、もし触れるとしたらこの法律だと、刑法なのか民法なのか、あるいは財政法なのか会計法なのか、そのことについて承知をしているかということを聞いたのですが。
北島政府参考人 突然のお尋ねでございます。私自身、承知しておりません。
川内委員 突然じゃないじゃないですか。法律に触れないのかという記者の質問に対して、答えが用意できていないと答えているから、答えを用意したかと聞いているんですよ、どの法律に触れるんだということを。
北島政府参考人 その点も含めて、先ほど申し上げましたとおり、昨年の当省による調査の結果判明した事実関係に関し、関係者の意思や行為が犯罪の構成要件に該当するか否か等について、捜査当局にも相談しつつ、慎重に検討しているということでございます。
川内委員 捜査当局に相談しつつと。捜査当局というのはどこですか。
北島政府参考人 捜査関係の機関ということでございます。
川内委員 いや、非常に笑わせていただいて、ありがとうございます。
 吉村さん、外務省から具体的に何か相談があるのですか。
吉村政府参考人 一連の案件につきまして、警察庁と外務省との間で連絡をとり、相談にあずかっているのは事実でございます。
川内委員 それでは、浅川さんや松尾さんの容疑の具体的な罪状というか、何罪でこのお二方というのは起訴をされ、そして今裁かれるのか、裁かれようとしているのかということをちょっと教えていただきたいと思います。
吉村政府参考人 いずれも刑法二百四十六条の詐欺罪であります。
川内委員 金額の多寡にかかわらず、あるいはその公金を私的に流用したか否かにかかわらず、公金を詐取し費消した者は刑法二百四十六条の詐欺罪に当たるというのは明白なことであります。
 したがって、私が一番最初に官房長にお聞きした件に関しては、刑法二百四十六条の詐欺罪にもしかしたら当たるかもしれません、ただ、それを立件するかあるいは告発していくかということについては、捜査当局と相談をしながらやっておりますというふうに答えるのが正確じゃないですか、どうですか。
北島政府参考人 告発すべきではないかということでございますけれども……(川内委員「いや、すべきとは言っていないんです。するかどうかを決めるのはそちらでしょう」と呼ぶ)はい。
 今回の調査の結果判明した事実関係に関しまして、犯罪の構成要件に該当するのか否か等について、それから今御指摘のあった点も含めて、そういう可能性も含めて、捜査当局にも相談しつつ、慎重に検討しておるということでございます。
川内委員 大臣、私には関係ないわと、お疲れのところもあるかと思いますが、こういう意識自体が、大臣が改革をされようとしている誤ったエリート意識だと思うんですよ。一生懸命皆さん仕事をしているのは、私もわかっています。外交を一生懸命やられているというのはわかっていますよ。しかし、民間の会社あるいは民間のレベルでは、ほんの少しでも法律に触れるようなことがあり、それが捜査機関によって捜査をされれば、立件されるんですよ。ところが、外務省においては、プール金の問題は、個人的に費消したものではないとか外国賓客が来たときに緊急に対応する必要があるとか、わけのわからない理屈をつけて結局うやむやにしている。事務方の最高責任者である当時の野上事務次官は懲戒戒告処分だということで済まされている。普通の状態であれば、普通の会社であれば、民間であれば、税金を詐欺したところはつぶれるんですよ。
 もう一度ここでお尋ねをいたしますが、大臣、一連の、このプール金だけじゃないですよ、一連のこの外務省をめぐるごたごたにおいて、大臣は十五日の参議院の予算委員会で、疑惑に関連をした人物に対しては適正なる措置をしたい、処置をしたいというふうにおっしゃっていらっしゃいます。このプール金の問題も含めて、もう一度、外務省の幹部人事、特に野上前事務次官は外務省から立ち去っていただかなければいけないというふうに思いますが、大臣の御所見をお願いします。
川口国務大臣 まず、民間企業であったならばということでございますけれども、この点については、私は、委員がおっしゃるとおりだと思います。
 今、マーケットの反応というのは非常に厳しいものがあります。私も企業において消費者関係の対応の仕事をしておりましたけれども、消費者の皆様、お客様の皆様の反応というのは大変に厳しいというのは、私は肌をもって実感をいたしております。雪印食品に起こったようなことは、民間企業であれば常に覚悟していなければいけないというふうに思っております。そういう意味で、役所あるいは公的な組織というのは、国の役所あるいは地方公共団体、ほかにかわるものがないものについていえば、そこはそのマーケットから消えることはないわけでございまして、その分、みずからを律することについては厳しくなければいけないと私は思います。
 それがまず一つ申し上げたいことでして、その次に、処分の問題でございます。
 参議院で私が申し上げた措置につきましては、これは人事上の措置も含めということを申し上げたという記憶がございます。きょう発表をというか、新聞記者の方にお話をさせていただきましたけれども、これについて、今、北方四島の問題を初め一連のことがございまして、外務省が国民の方の信頼を失っているというのは、非常に残念な、みっともないことだと私は思っております。それで、処分は適正に行う、処分は行うべきであり、なおかつ適正に行うべきであると思っておりますので、近々、今在外にいる当時の関係者につきましては、一時的に帰国命令を出しまして、対応を、きちんとヒアリングをして、その上で今月いっぱいをめどに措置はとりたいと考えております。
 それから、野上前次官の件でございますけれども、野上前次官については、NGO問題に端を発した国会の混乱について責任をとって次官を辞任した、退任したということでございます。これが、それ以上の国家公務員法上の、国家公務員をここでやめるということに該当する問題であるかどうかということについては、私は、国家公務員法の条文もそこを読みましたけれども、これに該当するというふうには思いません。
川内委員 みずからを律するに厳しくなければならない、その大臣のお考えというのは、私もそのとおりだというふうに思います。そして、一連のことについてしっかりと措置をしたいという御決意も承りました。
 しかし、この一連のごたごたの中で、事務方の責任者としていらっしゃった方が、あれはただ単に国会混乱の責任をとって事務次官をおやめになられた、更迭をされただけの話で、この間の一連のごたごた、例えば北方領土の問題にいたしましても、その交渉が大きく後退をした感は否めないわけですし、このプール金の問題、浅川さんの問題、松尾さんの問題、あらゆる問題が噴出をしている外務省としては、ただ単にノンキャリアの、ノンキャリアという言葉を使っちゃいけないと思うんですが、現場で頑張っていらっしゃる方々だけに責任をとらせるというだけでは私は不十分だと思います。
 私は薩摩の人間ですから、どうせきょうはいろいろ質問しても大臣はまともにはお答えいただけないでしょうから、私の考えをべらべらしゃべりますが、昔、薩摩の人間は、英語もフランス語もドイツ語も何にもできないのに外国に出かけていって、外国の政府の高官と話をして、そしてその外国のいい制度を学んで明治維新をなし遂げたんですね。川路大警視という、警察の創始者ですけれども、フランス語なんか全然できない。だけれども、パリの町を歩き回り、そして便所がどこにあるかわからなくて、時にはパリの夜汽車の中でうんこまでしながら、それでもフランスの政府高官に、あいつは大した男だと言われて、いろいろな資料をいただき、いろいろなことを教えていただいて帰ってきて、日本の警察の基礎をつくったわけですよ。
 外務省というのは、外交の最前線で国益を最大限に守らなきゃいけない。それは侍の心がなきゃだめなんですよ。侍というのは、恥を知る心がなければだめだ。何か本当にまずいことが起こったとき、責任をとらなきゃいけないことが起こったときには、それがたとえ自分の責任ではなかったとしても、おのれの責任だ、おれが悪いと腹を切るのが本当の侍です。ごちゃごちゃ言いわけして、下の者に責任を押しつけるようになったら、これはだれも言うことを聞かぬですよ。
 私は、別に外務省の偉い人たちが憎いわけでも何でもないですよ。一生懸命頑張ってきていただいて、尊敬しています。本当に、遠いところで頑張っていただいていると思います。しかし、それでも、責任をとらなければならないときは責任をとらなければならないことがあるんだということを、外務省の若い人たちに身をもって体験させることによって、日本の外交というものが息を吹き返すんだろうということを私は御提言申し上げさせていただきたいというふうに思っております。
 ここでどうぞと言うと、また反論されて、せっかくいい気持ちで演説したのに台なしになってしまいますので、ぜひ……(発言する者あり)そうですか。では、御答弁ください。
川口国務大臣 ずっと聞きほれておりましたので、お答えをする点をこれとこれと頭の中でメモをしてまいりませんでしたので、ちょっと全部カバーできるかどうかわかりませんが、まず、侍の心でございますけれども、私は、新渡戸稲造の「武士道」を読みました。それで、この「武士道」に書かれているさまざまな幾つかの徳、備えなければいけない徳目というのは、全くそのとおりだと私は思っております。
 さはさりながら、国家公務員があることをやったときに、それによってある処罰を、処分を受けるということに該当するかどうかということについては、これはやはり法律に照らして公正でなければいけないと私は思っております。御自身が御判断なさって自分はこうするということとこれは違う話でございまして、処分をする話でございます。処分をするからには、法律に照らして適正であるか、公正であるかということをやるべきであって、決して恣意的であるべきではないというのが私の考え方でございます。
 それから、もう一つ何か申し上げようと思っていたんですけれども……(川内委員「はい、わかりました」と呼ぶ)そういうことです。
川内委員 国家公務員法に照らして、それに違反しているかどうかということでありますけれども、このプール金の問題などは、明らかに刑法二百四十六条の詐欺罪に当たるわけですよ。金額の多寡とか、何に使ったかというのは問題じゃないんですよ、公金を不正に流用したわけですから。だからこそ、官房長もあるいは吉村刑事局長も、お互いに相談をし合いながら、告発をできるものについてはそれを検討しているということをおっしゃるわけです。この一事をもってしても、私は、外務省の偉い方々の責任のとり方については、まだまだ国民の皆さんが納得する責任のとり方にはなっていないということを思うわけです。
 鈴木宗男さんは離党をされて、私どもは議員辞職を求めておりますけれども、これからますますその追及が強まっていくと思います。では、一方、外務省はどうなんだということです。鈴木宗男さん一人に責任を押しつけて、外務省は被害者みたいな形で、自分たちは悪くないということをおっしゃるのは、国民の皆さんもそこはよく見ていますよということを私は申し上げたいんです。
 ですから、潔く、新大臣が三月、四月にしっかり処分をされるというのであれば、それに合わせてぜひとも真の外務省改革をしていただきたい。また、そうしなければ、国民の皆さんの信頼はとてもとても回復をすることにはならないと思うんです。だって、民間の雪印食品は会社が解散しちゃうんですからね。みんな、そこで働いていた人たちは職を失うんですよ。路頭に迷っちゃうんですからね。それに比べて、みずからを厳しく律すると言う人たちの何と甘いことよということになりやしませんかというのが私の申し上げたいことでございます。
 それでは、あと五分大臣にいていただけるようですから、先ほどちょっと触れましたけれども、北方領土に関して一つだけ聞かせていただきたいと思うんです。これも、何をどう言いわけしても、この領土交渉に関しては、この一連のごたごたの中で大幅な交渉の後退を余儀なくされてしまっているのではないかというふうに私は感じるところでありますけれども、大臣の御所見はいかがでございますか。
川口国務大臣 北方四島の交渉につきまして、これは粘り強くやっていくということだと思います。我が国として、ずっとその基本方針として言ってまいりましたことは、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということでございまして、これは我が国の一貫した方針でございまして、これは何ら変わっていないわけでございます。
 最近の北方四島の交渉についての動きが、この一連のごたごたの関連で後退をしているかどうかという御質問だと思いますけれども、長い交渉の中で、交渉にはさまざまな局面があると思います。一時的に停滞することもあるでしょうし、非常に前に進んで、と思っていたらそうではなかったということもあるだろうと思います。いずれにしても、すべての交渉にはさまざまな局面があるわけでございますから、この交渉についても例外ではないと私は考えておりますので、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということを基本方針として、粘り強くやっていきたいと考えております。
川内委員 私は、基本的に、外務省には頑張っていただかなければならないと思っている人間の一人ですから、ぜひとも頑張っていただきたいと思うんですが、まだあと二分ございますので、もう一問だけちょっと聞かせてください。
 今回、一連のマル秘文書というか機密文書が、いろいろと私どもの要求に基づいて公開をいただいたというところでありますけれども、この外務省機密文書の公開の基準、あるいはだれが公開の判断を最終的にされたのか、そしてまた、この公開をされるに当たって首相官邸が関与をしたのか、首相官邸まで上げたのかどうかということを、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
川口国務大臣 まず、長くお話をして言い忘れるといけませんので、首相官邸がこれについて、この文書を公表すべきであるとかないとか、そういうお話はございませんでした。
 それから、秘の指定の文書をどういう基準で出していったかということでございますけれども、基本的に、外務省が秘としている文書につきましては、これはプライバシーの問題、個人の情報にかかわる部分、それから、相手国等がございまして、そういうことが外務省には非常に多いわけですけれども、それを公開することが好ましくないといったような理由で秘の扱いになっているわけです。
 今回、こういった秘の指定につきましては、幾つかを秘の指定を解除いたしまして提出をさせていただきました。そのときの考え方の基準は、先ほど申し上げたような秘に指定をする必要のある理由、必要性を片方に、またもう一方に、国会が国政調査権に基づいていろいろ議論をしていらっしゃる事柄でございますから、そういった公益性を勘案してこれは解除をすべきかどうかという判断、この二つを厳しくバランスを考えまして、本当に悩んだあげくに解除をしてお出ししたものでございます、お出ししたものにつきましては。お出ししなかったものについては、そういう判断をしなかったということでございます。
 一般論といたしましては、秘の指定の解除につきましては、極秘の場合は局部長クラスが解除を行い、秘の場合は課室長クラスが解除を行うということで、鈴木議員とのやりとりに係る秘の文書につきまして解除をしたというのは、こういう手続をきちんと省内的に踏んでおります。
川内委員 では、大臣はかかわっていなかったのですか。
川口国務大臣 当然、こうやって出しましたものについての責任は私にあると思っております。
川内委員 責任はあるけれども、公開をするに当たっては、その局長さんやら課長さんやらが判断をしたということですね。
川口国務大臣 全部かどうかというのは、ここではっきり申し上げられませんけれども、ほとんどのものにつきましては私に上がったと思っております。
川内委員 では、川口大臣、ありがとうございました。
 一連の外務省さんとのやりとりの中で、何か釈然としない思いを抱きながら、沖縄を、その交渉を外務省の皆さんに任せて大丈夫かなと、私はその思いを禁じ得ないわけであります。
 鹿児島と沖縄は隣同士であります。昔は、今でこそ沖縄と東京というのは飛行機で結ばれておりますし、若干運賃も安くなっておりますから、観光客の皆さんもどんどん行くし、沖縄の皆さんも本土と往来をされるということでありますが、ほんの二十年ぐらい前までは、私が小さなころ、小さなころといっても、もう二十歳ですか、済みません、もう大きくなっていました。結構沖縄の方たち、船で鹿児島まで出てきて一泊して、そこから夜行に乗って東京に出る、東京まで出るのに二日かけるというような感じで鹿児島と、薩摩と琉球というのは大変に交流が深いわけであります。
 そういう意味では、昔は奄美諸島は琉球王国の一部でありますし、私も、沖縄に関しては人ごとではない、しっかりと沖縄の発展というものに国会議員としてかかわりを持っていかなければならないというふうに強く強く思う人間の一人であります。
 尾身大臣に最初にお伺いをしたいのですけれども、今回審議されるこの措置法ですね。具体的には今までの振興法と今回の振興法はここが違う、これが違うんだ、それでもって、一言でこの振興法を沖縄の県民の皆さんに、この新しい振興法はここが違うぞと言うとしたらどこなのかということをお聞かせをいただきたいと思います。
尾身国務大臣 重点の置き方が、格差是正というところから自立経済への発展ということで違っていると思います。
川内委員 大臣、格差是正から自立経済の発展へというところで違うんだと、例えば、沖縄の小学生あるいは中学生あるいは高校生に、私たち日本の政府は沖縄をこんなふうにしたいと思っているんだということを説明するときに、格差是正から自立経済の発展へと新しい法律をつくったんだと説明しても、これは具体的にイメージがわいてこないと思うんですね。もちろん、言葉として、法律の中に書き込む言葉としては、決まり切った使い方あるいは用語というものがあることは、私も理解をしておるつもりでありますけれども、例えばこの法律の中に、もちろん私も含めて日本全国の人々が、沖縄といえば観光だ、海だというふうに感じている部分というのが大きくあろうかと思います。
 この法律の中には、今回、観光振興計画をつくるというふうに書かれておりますけれども、沖縄の県民の皆さんが夢や希望を持てるように具体的なメニュー、例えば全世界から毎年何百万人観光客を沖縄の島々に集めましょうとか、こんなふうに楽しんでいただきましょう、そして最終的にはこれだけの経済効果が見込まれますというような具体的なメニューというものがこの観光振興計画の中に盛り込まれるべきというふうに考えておりますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
尾身国務大臣 一言で言えというから短く言ったわけで、説明時間が許されるのなら幾らでもお話ししますが、今までの三十年を振り返ってみますと、やはり格差是正ということで、特にインフラの整備がおくれているということで、六・八兆円の国費をつぎ込んで、例えば道路とか下水道とか港湾とか飛行場とか、そういうものを整備してまいりました。
 実は、先日、十一月の十日でございますが、ちょうど観光客が減って大変なときに、私は、群馬県の私の後援会の方々に、かなり無理にお願いをして、五百人の方に行っていただきました。二月の十六日に、またさらに、どうしても行きたかったなというお話がございましたので、もう一度計画をいたしましたら、今度はリピーター何人かも含めて七百五十人になりまして、飛行機もパンクして、ホテルもなかなかとりにくいという状況で大変でございまして、十一月十日と二月十六日はもう観光について大変大きな格差が出てきて、特にリピーターが大勢いたということは、やはり沖縄は観光には自信を持っていいんだなという思いもいたしました。
 その中の一人、十一月の十日に行った一人が私にこういうことを言いました。尾身さん、復帰前に実は沖縄に行ったことがあって、今回三十年ぶりで二度目行ったんだけれども、沖縄が物すごくよくなっているので私は感激して涙が出ました、こういう話がございました。ですから、そういう意味で、沖縄の発展のために私どもがやってきた政策というのは、その時間の断絶をもって沖縄に行った人から見れば、実を言うとさま変わりになっているという現状であるというふうに私は強く印象づけられたわけでございます。
 しかし、さはさりながら、きょう一日いろいろ議論をしておりますが、情報特区とか金融特区とか自由貿易地域とか、いろいろなことをやってきておりますが、観光とか農業とかエコツーリズムとか、あるいはコールセンターとか、そういうことについてはかなりよくなってきていますけれども、しかし、本当の意味の沖縄の経済の地固めができているかというと、私は必ずしもそうではないと考えております。
 私は、これからの十年あるいは二十年、三十年ということを考えたときに、沖縄が、観光とか豊かな自然、そういうものには恵まれていますから、これを活用するということは当然のことなのでありますが、沖縄に住んでいる人あるいは沖縄というその地区が、もっと高度の知識集約されたような一つの共同体になって、アジア太平洋地域の知的な中核体になる、知的クラスターといっておりますが、そういうふうに持っていきたいなと考えております。
 したがいまして、今度の法案もいろいろ具体的にありますけれども、一つの方向は、本当の意味で沖縄の人々が、また沖縄という地域が、ほかの日本と比べてあるいはアジアのほかの地域と比べて競争力があるような、これは地域だけではありません、人々も競争力があるような高い水準に持っていかなきゃだめだ。
 そのために、私は、沖縄に全部英語を使ってやる大学院大学、バイオテクノロジーの関係の大学院大学をつくりたいと考えております。これは、現在の沖縄の水準と全く合わない。ある沖縄の人が、せっかく沖縄に大学院大学をつくるんだから、例えば二割とか三割とか、沖縄に入学枠をある程度出してくださいと。それはだめですと。沖縄に特別の入学枠はつくりません。もちろん日本にもつくりません。半分以上はアメリカやアジアの人、外国からの学生、半分以下が日本人ということにしたいと思っております。そうして、まさに、今日本で、実を言うと、大学院大学も含めて英語を公用語としている学校はありません。これをつくって、世界のインターナショナルな局面におけるセンターにしていきたいと考えております。
 これは大変に大きな難事業なんでございますが、沖縄の地理的な条件、歴史的な条件、文化的な条件等々を考えると、最初にこういうインターナショナルな大学院大学をつくれるのは日本の中では沖縄だけであるというふうに考えておりまして、これをぜひとも実現させていきたい。ですから、今度の法案にも大学院大学の創設を含めて云々という法律の文章が入っておりますが、これは、この種の文章をこの種の法律の中に入れることは、普通ならば財務省あたりが絶対反対で入らないわけでありましたが、実を言うと、そこは御理解をいただいて、たった一行なんでございますが、そういうふうに入っております。
 そういう二十年、三十年の先を見通した沖縄をつくり上げたい、そして、そのためには今いろいろなところで手を打っていかなきゃならない。これは、私ども今与党でございますが、与党、野党を問わず、日本国民が沖縄の問題をまさに自分の問題として考えて、ぜひ御支援をいただきたいというふうに考えている次第でございまして、ぜひとも委員会の皆様の御理解と御支援を本当に心からお願いする次第でございます。
川内委員 今、大臣のアジア太平洋地域の知的中核地帯にするというお考えは、私もすばらしいと御賛同申し上げるところであります。
 ただ、この法律の中に大学院大学についての記述はあるのですが、私は、であれば、やはり目的のところにこそ、沖縄をこれからアジア太平洋地域の知的中心地帯にしていくんだ、そういう文言が入るべきではないのかなと。大臣が今、多分七、八分演説をされたんですけれども、私も大賛成でございますけれども、その目的のところがどうもあいまいもことして、具体的なものがなかったので、今、大臣のお考えをお聞きして、大臣がそこまでおっしゃるのであれば、法律の中にそういうものを盛り込まれるのであれば、目的のところに最初にばんと入れば、もっと法律の見え方というのが違うのかなということを御指摘申し上げさせていただきたいと思うのです。
 私が先ほど聞いたのは、観光のことについて聞いたものですから、観光のことについてもちょっとお触れいただかないと私の立場がございませんので、ひとつよろしくお願いします。
尾身国務大臣 自分の言いたいことを申し上げて、聞きたいことを申し上げなくて、申しわけなかったと思いますが、観光については、これは先ほどもお話しいたしましたが、実は、地理的な条件、文化的な特徴、それから食べ物についてもやはり日本本土と違った魅力ある食材が大変多くありまして、私は、何といっても、少なくとも見通し得る将来における最大の産業は沖縄の場合は観光であるというふうに考えております。
 その中で、やはり一番のポイントは、リピーターが来るような観光にしていきたい。一度来て、一度見たら終わりというのではなくて、長期滞在とかリピーターが来るような懐の広い観光地域にしていくことが実は大変大事だというふうに考えておりまして、自然との触れ合いとか文化遺産とか、そういうものをできるだけ整えて、大勢のお客が来て、沖縄の方と交わり、そしてまたその中から新しい交流が生まれる、そういう意味の観光をぜひ推進していきたいと考えている次第でございます。
川内委員 その沖縄の観光の将来像の中に、今大きく、沖縄の地元でも、エンターテインメントというかアミューズメントパークというかあるいはカジノというか、そういう構想というのが持ち上がっているわけでありまして、沖縄の県議会でも、昨年の十月にはカジノ構想に関して反対陳情が出ております。この二月の県議会には賛成の陳情が二件。今のところ反対が一件、賛成が二件出ているということを私はお聞きしているわけであります。
 政府として、沖縄でのいわゆるカジノ構想について、今のところ沖縄県の執行部も割と慎重な姿勢をとっているようでありますけれども、担当大臣として、どのようにこのカジノ構想についてお考えを持っていらっしゃるかということをお聞かせいただきたいと思います。
尾身国務大臣 私も、沖縄にお伺いするたびに、いろいろな方からカジノ構想を推進すべきであるという意見を承っております。そういうこともございまして、実は私も、今度は逆に、いろいろな方々に、沖縄に行くたびに、カジノ構想についてどうかという意見を聞いております。そういう私が聞いた方々の中の答えとして、絶対反対という方もかなりおられます。
 したがいまして、現時点において、この構想について沖縄県としてこれを進めるというコンセンサスはまだどうもできていないなというふうに感じておりまして、この問題はやはり非常に大きな文化的な問題も含んでいるわけでございますので、私としては、沖縄県内の意見の集約がどういうふうになるかということを見守ることが現時点においては適当だろうというふうに考えている次第でございます。
川内委員 沖縄が自立的に経済を発展させていく過程の中で、地元からいろいろな知恵あるいは意見というものが出てこようかと思います。もちろん賛否両論いろいろなものがあろうかと思いますので、政府におかれましても、ぜひいろいろな意見に耳を傾けて、積極的にアドバイスなりあるいは支援なりということをしていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 さて、先ほどの大臣の知的中核地帯にしていくという話に絡むわけでありますけれども、そしてこの法律の中にも盛り込まれておりますが、情報通信の関係であります。
 沖縄県内の情報通信に係るインフラの整備について、政府としてはどのように考えておられるか。また、沖縄本島はインフラの整備は大分進んでいるのではないかというふうに思いますが、八重山、宮古については、まだまだインフラの整備が知的中核地帯としていくには不十分ではないかというふうに私は感じているんですけれども、この点についてはいかがか。
 それから、一方、沖縄県で情報通信の高度化が進めば、県内での情報通信整備の進捗状況において、あるいはいわゆる情報格差というか、一方では非常に発達したネットワークを使える方たちがいて、一方には全くそれの恩恵にあずかれないという方たちが出てくる可能性も大いにあるわけであります。今現在もそういう状況というのがなきにしもあらずだというふうに思うんですが、この格差についてどのように解消していくおつもりかということをお聞かせをいただき、最後に、この情報通信に関しての三つ目ですけれども、沖縄県内の地方公共団体、自治体におけるネットワーク、役所の中の、役場の中のネットワークの進捗状況についてどのようになっているのかということもあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。
尾身国務大臣 五年以内に世界最先端のIT国家になるという基本方針を我が国は持っているわけでございますが、沖縄につきましても、もとよりその全体の流れにしっかりと一緒にいくという考え方で進めてまいりたいと考えております。
 八重山あるいは宮古等の離島につきましても、マルチメディアセンターをそれぞれ設立するというようなことで情報通信関連の施設の整備を進めているわけでございまして、これをこれからもどんどん進めてまいりたいと考えている次第でございます。
 この情報通信の高度化に伴いまして、いわゆる地理的なハンディキャップというのは、IT社会においては、しっかりこれに対応すればハンディキャップが減ってくるということも事実でございまして、光ファイバー網の設置あるいはCATV等も含め、無線の部分も含めまして、私としては、とにかく地域格差も是正する方向でこれを進めてまいりたいと考えている次第でございます。
 そういう中で、各地方公共団体、市町村の間の公共情報ネットワークを進めるという構想も現在進めておりまして、各地のマルチメディアセンターの整備等も含めまして、ネットワーク化をできるだけ早く進めていきたいということで、とにかくこの面は格差是正ということも大変大事なんですけれども、やれるところから手をつけてどんどん進めるということも大事でございます。我々、これから全力でこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
川内委員 大体、最近、政府のやることは失敗続きで、余りうまくいかないことが多いんです。ところが、この沖縄のコールセンター、五千人の新規雇用を生み出した。この件に関しては、私は政府は大威張りをしていいと思うんですね。
 この財産をだんだんスキルをアップしていって、金融特区を目指していこうというような構想もおありになろうかと思いますけれども、最近何をやってもうまくいかない政府が、このコールセンターだけはうまくやっているぞ、ここにしっかりと今後とも注力をしていただきたい。私は、日本がITの最先端国になるという国家的な目標においても、沖縄でそれが成功するか否かというのが日本全体にそれが広がるかどうかの大きな試金石になるというふうに考えておりますので、ぜひとも大臣には獅子奮迅のお働きをお願いをしておきたいというふうに思います。
 私の残り時間、もうあと二、三分でありますから、外務省の経済協力局長に来ていただいておりますので、法案のちょっとよくわからない部分があったので、その点だけ確認をさせていただきたいんです。
 法案の八十六条から八十八条に、国際協力及び国際交流の推進に関する規定というのがあるわけでございます。特別に予算措置もこの八十六条から八十八条の間にはしていないということでありますけれども、これにより国際交流基金とか国際協力事業団が何をしようとしているのか、何を今までしてきたのか、そしてなぜ法律にわざわざ盛り込む必要があったのかということをお聞かせいただきたいと思います。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 今委員御質問の本条につきましては、第八十六条に従いまして、国が沖縄の国際協力に係る施策の推進に努めることを助長するという観点から、JICAが国際協力事業を行うことにより沖縄の国際協力の推進に資するよう努めるということを規定したものというふうに理解をしております。
 JICAにつきましては、これまでも、特に国際センターができましてから、沖縄におきまして、沖縄の地理的特性を生かし、開発途上国からの研修員の受け入れあるいは青年海外協力隊の派遣前の研修等を行い、沖縄の国際協力の推進に努めてまいりました。特に、研修員の受け入れにつきましては、委員御案内のとおり、例えば亜熱帯地域の作物の栽培、サンゴ礁の保全、それから青年海外協力隊の派遣前研修につきましても、熱帯農業など、沖縄ならという沖縄の特性を最も生かした研修を沖縄の関係機関と協力しつつ実施してまいりましたが、これをさらに格段努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
川内委員 終わります。
萩野委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。大臣におかれましては、六時間半の質疑、大変お疲れさまでございます。残り三十分ですが、どうかよろしくお願いいたします。
 きょうは、私は情報通信産業のことに絞って大臣とお話をさせていただこうと思います。
 先ほどのお話にありましたように、この振興法の柱が情報通信産業のところにあるというふうなお話、知識集約地域、知的中核地帯、知的クラスターとしていきたいという大臣のお話というのは非常に心を打つものでありました。もう一度御確認だけさせていただきたいのですけれども、なぜこの振興法におきまして観光業と並び情報通信産業が沖縄振興の柱となっているのか、大臣の思いをもう一度お聞かせください。
尾身国務大臣 観光業については言うまでもありませんが、情報通信産業につきましては、私はこれだけの短い期間に四千人もの雇用を生み出したということは、実は大変に成功したと思っております。
 情報通信のソフトの関係につきましては、実を言うと、それまでの間に余り基礎的な技術上の蓄積がなくてもそのソフトの面についてはやれる、そういう新しい分野である、逆に言うと、日本全体が少なくともソフト面においてはそんなに特別の蓄積がなかったわけであります。そういう中で、これは先人が情報通信産業、特にソフト面に着眼をして、これを沖縄振興の大きな柱にしてきたということは、大変に適切であり、よかったことだなというふうに感じております。
中村(哲)委員 私の手元に、「沖縄経済振興二十一世紀プラン」という最終報告があります。これは平成十二年八月に出されたものでありますけれども、これと今回の法案、振興法との関係はどのように考えたらよろしいでしょうか。
嘉数大臣政務官 お答えいたします。
 沖縄の発展のためには情報通信産業の振興は重要であると考えて、政府としてもいろいろな施策を展開してまいっております。
 情報通信関連企業の通信コストの低減に向けて、それを二十一世紀プランの中において、通信・放送機構情報通信研究支援センターに、通信コスト低減化に向けた研究開発を実施できるように、共同利用型研究施設を整備し、研究開発用ギガビットネットワークを活用した研究開発の実施を支援するとともに、情報通信振興制度に基づく特別措置を進めてきたところであります。
 今回提案している沖縄特別措置法においては、情報関連のさらなる集積を強力に牽引するという意味で、データセンターなどを対象として、情報特区等を情報産業振興のために制度面で整備していきたい、そういうことであります。
中村(哲)委員 私が聞いているのは、内容もいいんですけれども、その前に、この最終報告と今回の法律の関係と申しますか位置づけ、これを積極的に推進していくのか、この内容を踏まえてこの振興法をつくられて、言ったら、この最終報告はエンジンでありまして、それで今回の法律というのは車でいうと車体の部分に当たる、そういうふうなものであるのかどうかということをもう一度お聞かせいただきたいと思いまして、聞かせていただいた次第でございます。
嘉数大臣政務官 お答えいたします。
 二十一世紀プランの精神をしっかりと踏まえて、沖縄における情報特区を、情報産業をしっかり根づけるという方向性のもとに実はこの法律ができておりますというふうに御理解していただきたいと思います。
中村(哲)委員 この方針をしっかり引き継いでやっていきたいという御趣旨だと思います。
 そして、この中にありますのは、沖縄県が策定いたしました沖縄県マルチメディアアイランド構想、それに基づいた沖縄県の意思というのも十分取り入れてこれからやっていこうという話だと思うんですね。
 そこで、その沖縄県マルチメディアアイランド構想には、二〇一〇年には現在の四倍の二万五千人程度の雇用をこの沖縄県で実現していきたいという目標も出しております。
 こういうふうな二万五千人の目標というのは、国家目標として二〇一〇年には二百四十五万人ですか、沖縄県は一%であるから二万四千五百人という数字でこの数字になっているというふうに沖縄県マルチメディアアイランド構想には書いておりますけれども、こういうふうな数の雇用を生み出すようなことをともに協力してやっていきたい、そういうふうに把握してよろしいわけでございますね。
嘉数大臣政務官 そのとおりでございます。
中村(哲)委員 私は、ここでちょっと大臣と議論を、大ざっぱな議論で構わないんですけれども、やらせていただきたいんです。
 地域振興をするときに大切なのは、私はやはり人の問題だと思っております。
 大臣のさっきのお話で非常にすばらしいなと思ったのは、大学院大学をするときに英語を公用語とするその意味というのは、全世界から優秀な人材を引っ張ってくる、そういうことだと思うんですね。
 ある意味、よく考えられることで、その地域で人材を生かして育てて、そこでやっていこうとするんですけれども、かなり閉鎖的になりがちである。そうじゃなくて、大臣のお考えというのは、すごくオープンにしてたくさんの人材を中に入れて、そこで新しく来た人が地元の人もすごく刺激をして、影響をして、インスパイアして、そして、地元の人たちが外から入ってきた人から刺激を受けて学んで、そこの中から人材が育成されていく、そして、そういう人たちが定着してくれることによってその地域が発展していく、そういうイメージだと思うんですね。
 そして、こういうふうなことを定着させていくためには、私は、ある意味文化的な、そういうふうな土壌というか、そういうふうな仕組み、仕掛けみたいなものも必要なんじゃないかなと思っているんです。そういったことがこの法律の中に入っているのかなと思ったら、そういうふうな文化的な仕掛けみたいなのはちょっと入っていないんじゃないかと思うんです。
 ただ、運用の面なりでそういうことが補えると思いますので、そのあたりのところの大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
尾身国務大臣 実は、この大学院大学の構想は、私が昨年の四月二十六日に就任をいたしましてすぐ後の昨年の六月ごろ考えたことでございまして、実は、そのときまでに既に振興法についての考え方というのは、ある意味で言いますと、ある程度考え方はまとまっていた状況でございます。
 そこで、そういう中に、例えば科学技術の振興とか、あるいは世界的な知的クラスターに沖縄をするとか、あるいは人材の育成とか、そういうことを入れていただいて、そして国際的な大学院大学をつくる、こういう内容を実は盛り込んでいただいたわけでございます。
 この大学院大学につきましては、直接に沖縄の人をこの大学院大学に入れて育てるということは現実にはできません、最初は。どうしてできないかというと、世界の最優秀な人材を集める、世界じゅうから集める、そのかわり、授業料とかなんかはほとんどただにするということにしていく、それで、集めて、ここで研究し、勉強した人材をまた世界じゅうにばらまく、また新しい人を集める、これは教授陣も学生も同じなんですが、そういう中で、その活動を繰り返す場を沖縄として提供していただく。
 そういう中で、自然現象的にもちろん沖縄の例えば今ある琉球大学との協力もできると思いますし、沖縄のほかの大学との協力もできる。それから、もちろん沖縄の方もこの大学にいろいろな形で入ってくるということで、物すごく高い水準の大学院大学を沖縄につくることによって、実は、沖縄という地域が世界の科学技術の国際交流の、これはバイオの関係を考えていますが、その中核になる。
 これによって、日本でほかにないような形の大学院大学をつくることによって、実は、日本じゅうから人材を集めて、もちろん沖縄で、場合によっては沖縄の方と結婚して居つく人もいるでしょうし、また世界じゅうに展開する人もいる、そういうことはちっともこだわらないで、どんどんと世界じゅうから人材を集めて、どんどん世界じゅうに人材を供給するそういうセンターになる。そのセンターになるプロセスを通じて、沖縄自体の水準も、成功すれば日本で最高水準の知的水準を持つような状況になるだろう。そうすれば、日本の企業も、研究所などを中心としていろいろな企業が自然に集まってきて、そこにもっと高い知的水準ができて、一度トップに上がればトップはますますトップになるということで、最初にこの大学院大学を日本のトップにする水準に持っていくまでが、これは死ぬ苦しみではないかと思っていますが、大変に大事な側面だと考えておりまして、そういう構想を実現していきたいと考えておる次第でございます。
中村(哲)委員 非常に感動するような夢を聞かせていただいたと私は思っております。やはり政治家は夢を語らないといけなくて、そういうふうな夢を語ることによって人の心を動かしていって、地域を動かしていく、活力を生んでいくんだなということを、大臣の答弁をお聞かせいただきまして改めて実感しております。
 一つの例として、福井雅さんという方が「南仏ソフィアに学ぶ」というのを新聞で連載されていまして、これは通告していなかったので簡単に御説明させていただきますと、南フランスのコートダジュールという地域があります。ニースとかカンヌとかモナコとか、そういう地域を有するリゾート地帯なのですけれども、このリゾート地帯が、先日、観光収入よりもITの収入がとうとう上回ったそうなんです。ソフィア・アンティポリスという、そういうふうなサイエンスパークをつくったからだそうなんです。今や千二百社が立地していて、二万五千人が働く地域になっているそうです。これはくしくも、二〇一〇年の、沖縄県の、二万四千五百人働くということとかなり一致しているわけなんです。
 そこの成功した理由が幾つかあるんですけれども、一つが、英語を公用語としたということがあって、まさに先ほど大臣がおっしゃった、英語のみで最先端の教育をやっていく、そして人を集めていくということとすごくリンクしているなということもありました。そして、そこで言われていることが、ヨーロッパの通信標準化機構というような、そういうふうな国際的な規格をつくるような機関というのを誘致してきたというふうなこともあります。
 そういう点については、大臣はどのようにお考えでしょうか。
尾身国務大臣 これは、例えばカリフォルニア工科大学、カルテクと言っておりますが、カルテクとかスタンフォードとかあるいはMITとか、そういう大学との連携をやっていきたい。
 例えば、シンガポールで、最近バイオの大学をリー・クアンユー首相の肝いりでつくったのでございますが、そこも、実は世界じゅうから人材を集め、それから、例えば朝、MITで教授が講義をする、その講義は夜、シンガポールで、もちろん同時に映像で見て、質問もできる。それにまた、朝、講義をするMITの教室には、朝七時とか八時とか、そういう早い時間ですが、MITの学生も入る。それからシンガポールの学生は、夜の時間ですけれども、こちらでその講義を聞いて質問もできる。そういう、まさに情報化時代の新しい形の大学院大学になるのではないか。
 そういう、あらゆる全世界のネットワークを使うような、つまり、今の日本の大学制度のもとではそういうことができません。ですから、特別立法をつくって特別の大学にして、そういういわば日本で初めての実験をしてサクセスストーリーをつくりたい。そして、そのことによって日本全体の大学の改革にまで波及をさせたい、こういうふうに思っておりまして、これが実現した場合には、まさに沖縄が世界最先端の頭脳集団になれるというふうに考えているわけでございまして、道は遠いのですが、必ず実現できると考えております。
中村(哲)委員 非常に楽しい議論をさせていただいていると思います。
 大臣、それで、こういうふうに人が集まってくるには、あと二つの要件が要るのではないかなと私は思っております。先ほど南仏ソフィアの話もしましたけれども、ここはやはり観光地であるということの非常に大きなメリットを生かしていると思うんですね。つまり、人が集まってくるためには、そこに住む環境が、クオリティー・オブ・ライフが高くないといけない、そういうふうな措置をどういうふうに考えていくのかということがまず一点必要だと思います。
 それから、やはりここに優秀な人材が集まって、やるときに、先ほど大臣も、ほかの大学との連携、ほかの海外の大学との連携とおっしゃいましたけれども、そういうときに、通信の基盤の、やはり通信の回線が安く使えないといけない。そのようなことも考えていかないといけないと思います。
 そういうふうな二点、クオリティー・オブ・ライフの問題と情報通信環境の整備の問題と、その二点についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせください。
尾身国務大臣 十数年前に、カリフォルニアのサンディエゴという場所があるのですが、そこは非常に風光明媚で、一年じゅう暖かくて、海があって、非常にきれいな場所なのですが、二十年ぐらい前はそんな大きな学校、研究所はございませんでした。しかし、その場所にスクリプス研究所とかソーク研究所とか、いろいろな研究所が出てきて、非常に発展して、今サンディエゴ地区は、UCサンディエゴ校、カリフォルニア大学のサンディエゴ校もございます。私も参りましたが、要するに、生活が非常に豊かで、自然が豊かであるという、そのことによって、アメリカの最高水準の研究者、学者がそこに集まる、これがクラスターの一つの条件であるというふうに考えておりまして、沖縄はそういう意味では非常にいい条件を整えていると私は考えております。
 それから、中国からアメリカに向かう光ファイバーは実は沖縄を通っておりまして、そういう意味でも、沖縄は光ファイバー網の設置という点では非常に有利な条件を整えている。それから私どももまた、九州地区と光ファイバーで結ぶとかいうような、そういう意味の、いわゆるネットワークの整備を進めてまいりまして、少なくともネットワーク上は、ブロードバンドの時代にふさわしいような施設、設備を整えるというふうなことをやっていきたいと考えております。
 また同時に、今は空港が、アメリカ直行便がありませんし、それからシンガポール直行便もないわけでありますが、こういう直行便もつくっていって、羽田経由で、成田から羽田に来て、羽田からこっちに来るというようなことは、少なくともアメリカの教授に来てもらうためにはだめなので、直行便をつくるとか、そういうことも含めて、全体のネットワーク、人的交流も含めたネットワークを、この大学院大学を一つの契機として整備していきたいというふうに考えております。
中村(哲)委員 大臣の答弁を二つに分けて御議論させていただきたいと思います。
 まず、緑の問題です。
 緑豊かな地域にしないといけないというふうに大臣もおっしゃいました。南仏のソフィアの場合にも、土地の三分の二は緑を残すことということが条件になっているそうなんですよ。そういう意味では、開発をするときに、緑をいかに残していくのかということが、今後沖縄開発の一つのキーワードになっていくのではないかなと思います。
 農業開発との調和とかいうことも非常に難しい問題があると思うんですけれども、やはりここで一つの大きな方針を示すべきだと思うんです。やはり知的生産者というのは、かなり自分の生活環境に対して敏感です。だから、幾ら都市的なビルとか空調とか、そういうふうな都市的な環境を整えるだけでは、やはり情報集積地域としての国際的な都市間の競争、そこに沖縄が勝てないように思うんですね。
 そういった意味で、やはり沖縄というものは、情報通信の労働者が働くための、そういう人が来やすいようなインセンティブを働かすような、緑豊かな開発に、もう方針を大きく立てるのだ、そういうふうな宣言をここらで日本はすべきではないかなと思うんですけれども、その点について、大臣、いかがお考えでしょうか。
尾身国務大臣 緑というのは大変大事な要素でございまして、私も一月にアメリカに参りまして、世界トップクラスの学者の意見をいろいろ聞きましたが、この大学院大学を世界超一流にするためには、どうしても本当の自然と触れ合うような中に施設をつくって、そこで、行ってみたら、ああここならインスピレーションがわくなというふうに実感できるような場所にしてもらいたい、こういう話がかなりの方からございました。
 ですから、そういういわゆる研究環境を理想的なものにして、研究者のインスピレーションがわくように、思っていただけるような場所にしていきたいと考えております。
 今のソフィアの例は大変参考になると考えておりますので、何かの折には私もそこにお伺いして、現場を見せていただきたいなという感じでございます。
中村(哲)委員 非常に何か心に響く答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 あともう一点、通信ネットワークのことなんですけれども、この「二十一世紀プラン」の最終報告でも、政府としては以下の諸施策を取り組むこととするということで、通信コストの低減化ということについて取り組んでおられます。
 そして、「沖縄経済振興二十一世紀プラン 実施状況」というものが手元にあるんですけれども、これは細かくは通告していませんでしたので、しっかりと読ませていただきますと、その低減化については、「平成八年度補正予算により那覇市に整備された「共同利用型研究開発施設」を拡充し、民間企業等が利用する研究開発設備を設置し、研究開発用ギガビットネットワークを活用した研究開発の実施を支援する。」もう一つが、「また、情報通信関連産業の支援策の一環として、情報通信産業振興税制の効果的な活用を行う。」と書いてあります。
 先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、結局、設備をきちんとつくりますよということと税制でしっかり支援しますよという、研究開発のための設備と、あとそれを税制で見るということなんですが、それ以外に今後国として、情報を集約していくような政策として、通信コストの低減化として何か取り組んでいくことが政策として考えられるのかどうか、その点について大臣にお聞かせいただきたいと思います。
尾身国務大臣 今のお話の共同利用型研究開発施設整備、あるいはネットワークを整備するということは大変大事であると思っておりまして、この沖縄の大学院大学の整備のときに一番学者の方々が心配するのは、沖縄では情報過疎になってしまうのではないかと。つまり、世界の研究の流れとか学者の動きとか、そういうものから取り残されてしまうのではないかという心配が一番の問題点でありまして、現在の沖縄の状況を考えますと、これは非常にもっともな心配でございまして、そこをどうやっていわゆる情報格差をなくしていくかということが大変大事でございます。
 今のネットワークの整備もしなければいけませんが、やはり一年に何十回か、数回じゃなくて、何十回か学会を沖縄でやって、世界じゅうからトップクラスの大学院大学に関係のある発表会をいろいろな分野ごとにやって、そこを一つの、世界のトップの方々が来るいいリゾートであり、中核地であり、情報交換の場である、したがって情報格差はむしろないし、また、そこに来ると世界じゅうの情報が集まるというような、そういう運用も大変大事であるというふうに考えております。
中村(哲)委員 大臣のお話、学会を何十回とやるというのは非常にすばらしい御意見だと思うんですけれども、その日々暮らす中で、大学人が大学で暮らすときにほかの地域と交流する。大学だけじゃないと思うんですね。やはり集積していく、大学院大学が一つの核とはなるんでしょうけれども、民間のベンチャーがそういうふうなものを利用したり、そういうふうな地域として発展していくためには、通信コストのハードルというのは結構高いんじゃないかなと思います。
 今沖縄県が、年間十億円ほどとは聞いているんですけれども、例えば通信料金の補助をしております。なかなか通信料金の補助というのは、政策としてとっていくのは補助金ですから難しいのだとは思うんですけれども、何かいい知恵がないかなと。学会だけじゃなく、日々暮らしていく上での通信コストの低減という意味で何かいい知恵がないかなと思うんですけれども、その点に対して、大臣、何かありませんでしょうかね。
尾身国務大臣 これは、研究開発を実施していく上だけではなしに、これからいい企業がそこに立地するためにも必要な条件であるというふうに考えておりまして、ありとあらゆる政策を進めて、通信コストがほかより安いという状況をぜひつくり上げたいと考えております。
中村(哲)委員 非常に力強い御答弁だったと思います。ありとあらゆる手段を使って通信コストがほかの地域より安いことにするということは、今まで考えられないような御答弁だったんじゃないかなと思います。
 そういったことで一つまた考えられるのが、IX、すなわちインターネットサービスプロバイダー(ISP)が相互接続をして情報の流出をきちんとやっていくという仕組みも考えられると思うんですけれども、国際的なIXの誘致というものは二十一世紀プランの方にも書かれておったと思うんですけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。どちらでも結構です。
尾身国務大臣 私どもとしても、今のIXの問題は、インターネットサービスプロバイダー間を相互に接続する事業でございまして、現在は東京を中心とする大都会にしかないわけでございますが、これを解消するということがやはり沖縄の発展にとっては不可欠であるというふうに考えております。情報特区制度の対象事業として、このインターネットエクスチェンジを政令で定めることを検討しているところでございます。
 これによりまして沖縄へのIXの立地を促進することで、沖縄県内のインターネットサービスプロバイダー相互の通信の品質、信頼性を確保することが可能であるというふうに考えております。
中村(哲)委員 もっとたくさんのことを御議論させていただきたいと思うんですけれども、非常に楽しい三十分を過ごさせていただきました。
 時間が参りましたので、ここで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
萩野委員長 大変長時間お疲れでございました。
 次回は、明十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十八分散会


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