衆議院

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第8号 平成14年4月24日(水曜日)

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平成十四年四月二十四日(水曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 萩野 浩基君
   理事 西野あきら君 理事 松岡 利勝君
   理事 吉川 貴盛君 理事 荒井  聰君
   理事 武正 公一君 理事 白保 台一君
   理事 一川 保夫君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      倉田 雅年君    仲村 正治君
      林 省之介君    福井  照君
      吉野 正芳君    渡辺 具能君
      金田 誠一君    川内 博史君
      楢崎 欣弥君    原口 一博君
      松野 頼久君    横路 孝弘君
      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君
      東門美津子君
    …………………………………
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           尾身 幸次君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君
   政府参考人
   (内閣府沖縄振興局長)  武田 宗高君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 原田 親仁君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 塩尻孝二郎君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (農林水産省生産局畜産部
   長)           梅津 準士君
   政府参考人
   (国土交通省航空局飛行場
   部長)          増井 健人君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  小林  光君
   衆議院調査局第一特別調査
   室長           小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  金田 誠一君     松野 頼久君
同日
 辞任         補欠選任
  松野 頼久君     金田 誠一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 沖縄問題に関する件


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     ――――◇―――――
萩野委員長 これより会議を開きます。
 沖縄問題に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官安達俊雄君、内閣府沖縄振興局長武田宗高君、防衛施設庁長官嶋口武彦君、外務省大臣官房審議官原田親仁君、外務省大臣官房審議官塩尻孝二郎君、財務省理財局長寺澤辰麿君、農林水産省生産局畜産部長梅津準士君、国土交通省航空局飛行場部長増井健人君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省自然環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
萩野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
萩野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白保台一君。
白保委員 初めに、委員会の関係でトップバッターに御配慮いただきまして、皆さんに感謝しております。ありがとうございます。
 さて、大臣、小泉政権が発足してから一年がたちます。さまざまにマスコミからもその評価とかそういったものが問われてきておるわけですが、大臣御自身、沖縄担当の大臣として一年間大変御努力なされてこられたわけです。この一年を振り返っての感想と、二年目に向かう決意をまずお聞きしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 今までの一年間を振り返って、私は、日本という国は物すごく大きく変わったと考えております。
 これは、まだ変わらない、変わらないというマスコミの批判等もございますが、小泉総理のスタートのときに、総理がこういうふうにしたいと発言をしたその内容が、私は正直なところ一〇〇%できているとは思いません。しかし、仮に、もちろん五〇%以上は達成していると思いますが、それであっても、実は今までの日本の官僚システムの中でほとんど変えられなかったことに物すごく大きな変革を生じさせることができた。そういう意味で、我が日本は小泉政権のもとで大幅に変わりつつある。もちろん最終段階には来ておりませんが、変わりつつあると。
 そのことについて、私は、政治家の皆様も国民の皆様も正しく理解をしていただいて、小泉政権をサポートしていただきたい。私自身も、沖縄の問題等々でございますが、沖縄の問題も一生懸命やっておりまして、いい方向にどんどん行っているというふうに考えております。
白保委員 私どもは、政権の発足の際に政策合意を行いました。そういった面から見ていくと、かなりの面でいろいろと着手されてきているということで、一定の評価をしております。
 さて、これは全体の問題ですが、もう一方、沖縄問題で、沖縄振興新法がスタートをしたということで、大変大きな成果を上げたなと思いますが、その一方、十五年問題、非常に県民がシビアに受けとめているこの問題についての方向性が明確じゃない。そういう問題とか、あるいはまた地位協定の問題についても、これは村山内閣のときに大きな集会があったように、県民の全体的な考え方であるにもかかわらず、この問題に対する政府の対応というのは極めて厳しいものがある。こういった面では、そういう問題について、なお配慮、努力を要する問題である、こういうふうに思っております。
 さて、また次の問題に移らせていただきたいと思いますが、大臣、訪米をなさるということでございます。先般もある集会で、知事が御一緒される、こういうお話でございますので、この目的といったことについてお聞きをしたいと思います。
尾身国務大臣 沖縄に大学院大学、自然科学系をつくりたいという構想を進めておりまして、委員の皆様にもいろいろと御支援をいただいておりますが、全部英語を使う国際的な大学院大学でございまして、学長も日本人以外の方にしたいというふうに考えております。
 そういうわけで、日本の中でどういう内容にしたらいいかということを考えるだけではなしに、国際的な有識者の御意見も伺って中身を詰めていきたいと考えておりまして、この四月の二十六、二十七日の両日、アメリカのロサンゼルスで、アメリカの学者十数人の方にお集まりをいただいて、第一回の国際的なアドバイザリーコミッティーを開催したいということで予定をしております。
 稲嶺知事も御一緒に出席していただくわけでございますが、この学者の中には三人のノーベル賞学者も含まれているというような豪華メンバーでございまして、そういうことで方向づけをして、世界最高水準の大学院大学をつくりたいと考えて、そういう目的でアメリカに行かせていただきたいと考えております。
白保委員 大臣おっしゃるように、大変大臣が御決意をなされて、大学院大学、世界に冠たるものをつくり上げていこうということでございますし、そういう面では、多くの教授陣、世界的な教授陣に集まっていただくということは、極めて重要な、一番の要素になっていくんだろう、こう思います。
 そういう意味では、非常に大事なことで、スタートまでにそれだけの教授陣をぜひ招聘していただきたいな、こう思いますと同時に、その後、英国、あるいはドイツですか、その方向にも回られるように伺っておりますが、これも同じようなことでしょうか。
尾身国務大臣 英国にも参りまして、これは科学技術政策について講演をするというようなことも予定をしております。沖縄の関係でいいますと、アイルランドのダブリンに参りまして、ダブリンの金融特区について、先日の沖縄の振興特別措置法によりまして金融特区をつくるということが決まり、税制上の優遇措置も決めたわけでございますが、それの先駆者であるアイルランド・ダブリンに参りまして、先方の実情をよく勉強させていただき、その結果を私どもが今度は沖縄で金融特区を本当の意味で有意義なものにするために活用させていただきたいということで、勉強に参りたいと考えている次第でございます。
白保委員 ぜひ、先ほども申し上げましたが、金融特区の問題、そしてまた大学院大学、成功をさせるように、実りある視察でありますように、よろしくお願いしたいと思います。
 さて、米軍の基地の問題に関連してお聞きをしたいと思います。実は、大臣にもぜひお聞きいただきたいと思いますが、非常に事故というものが多過ぎる。再発防止ということをたびたび言うわけでありますが、この再発防止というのが言葉だけであって、本当にぴたっとおさまるということはない。先般も、ヘリコプターからタンクが落ちるとか、そういう事故が起きたわけであります。
 そういった中で、我々が、県民が思うことは、クリントン大統領が来て、よき隣人たれという話をしましたが、そのよき隣人の行動が余りにも傍若無人である。再発防止といいつつも、ちっとも再発防止にはならない。こういう状況に、県民が大変な怒りを持っています。
 政府として、こういった問題について何度も何度も話し合いをして再発防止といいながら、これがおさまらない状況に対して、まず大臣に、沖縄振興を担当する大臣として、こういう問題がたびたび起こる、これは看過できない問題であろうと思いますが、大臣のお考えをまず聞いておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 米兵等によります事件、事故につきましては、たびたびこれが起こっているわけでございまして、まことに遺憾であると考えております。首脳会談やあるいは閣僚レベルの会談におきましても、さまざまな場におきまして、アメリカ側に対してこの問題を取り上げております。昨年の九月に私がアメリカを訪問した際にも、国務省あるいは国防省にお伺いをして、遺憾の意を伝達するとともに、事件、事故の再発防止及び発生時の迅速な対応を要請したところでございます。
 この問題は大変大事な問題であると考えておりまして、今後とも、事件、事故の未然防止に努めるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
白保委員 防衛施設庁も来られていると思いますが、私はたびたび、これは外務省にも申し上げておりますけれども、訓練というのは何かというと、軍隊の練度を高めるためにこれはやらなきゃならない問題だということを何かあるたびに言われます。練度を高めるためにやるのは結構ですが、それで事故でも起こされたら周辺住民は大変な迷惑をこうむるわけでありまして、その原因は何か、こういったときに、原因究明がなされない。原因究明が余りなされない中で、またしばらくすると再開をする。
 私は、申し上げたいことは、ペナルティー、事故を起こした同じ訓練というのは、しっかりとした原因究明、再びそういうことがないという保証がない限りはやらせてはいけない、こういうことをたびたび言っています。同じような事故が何度も起きてくる、こういう意味で、私は、そういった原則を仕立てなければ、周辺で生活している者は大変な迷惑をこうむる。このことについていかがでしょうか。
嶋口政府参考人 お答え申し上げます。
 先生先ほど普天間でのヘリの事故を言いましたけれども、実は、先生御案内のとおり、今月に入ってもう三件事故が起きているということでございまして、私どもも大変遺憾に思っています。私どもが遺憾と思う以上に、沖縄の県民の方々というのが大変な不安感、いら立ちというものを強く持っているということもよくわかります。
 事件、事故等でございますけれども、二つ種類があると思います。一つは不祥事絡み、一つは運用に伴う事故ということでございまして、特に運用に伴う事故におきましては、これは訓練に伴うものが多うございますけれども、やはり事故原因究明が第一だろうということでございます。
 その点については、事故原因の究明について、やはり米軍自身が第一義的な責任、最終的に責任を持ってやっていただくということでございますので、私も強く申し入れておりますし、先ほど先生言われましたように、練度を上げる必要があるから事故を起こしてもいいというのは絶対いいわけありませんから、そんなことは私は一切認めていませんし、累次の機会に、会うたびにそういうことを申している。
 他方、ただ単に米軍だけで事故原因を究明するだけじゃなくして、軍事機密の問題もありましょうけれども、できるだけ事故原因についてはその結果を公表していただきたい、そして、我々も納得するように、県民の皆さんが納得するように、それが再発防止につながるような形での原因を明らかにしてほしいというようなことも申し入れています。
 他方、もう一つの方の不祥事の方、これも残念ながらたくさん発生しております。きょうも実はそういうことで、沖縄の方で、外務省の沖縄事務所を中心としてワーキンググループを開いて再発防止をやっていますけれども、そういうことも含めて、事故の再発防止に最大限努めてまいりたいと思います。
白保委員 最後になりますが、これは福田内閣の当時から我々が提起してきた問題ですが、戦前の軍、日本軍が接収した旧軍用地の問題でありますが、その中の一つであります読谷補助飛行場の問題があります。これがSACO合意でいよいよ返還になろうかというところまで来ております。
 その際に申し上げておきたいことは、当時三原開発庁長官が、沖縄振興に、地域の振興に役立つものであるならば払い下げについても考慮する、こういうお話がございました。いよいよ目前に参りましたので申し上げておきたいと思いますが、その際に、これはさまざまな経緯を経てそのような形になったわけでございますので、地域振興に役立つ形で払い下げをされる際には、単なる周辺地域の地価と見比べて払い下げをするというのではなく、一定の考慮がなされるべきだと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
尾身国務大臣 読谷の旧軍用地の処分の価格の問題につきましては、沖縄振興特別措置法及び国有財産法等の規定が適用される場合には、別の言い方で言いますと、振興計画に基づく公共的な事業などの場合には、無償あるいは時価よりも低い価格で譲渡できる、あるいは貸し付けができるということになっているわけでございます。私どもは、そういうことも含めまして、実情に十分配慮して対応してまいりたいと考えております。
白保委員 理財局の方、済みません、時間が参りましたので、せっかくおいでいただきましたが、大臣の御答弁をいただきましたので、大変恐縮でございますが、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
萩野委員長 次に、林省之介君。
林(省)委員 自由民主党の林省之介でございます。
 大臣におかれましては、このたびの新大学院大学構想、夢、希望を、もう日本だけじゃなくて、世界にも与えるような大変すばらしいものだ。事この構想に関して何ら心配をすることはないわけでございますけれども、問題は、やはりこれを実際に立ち上げていく段階でいささか気になることがございますものですから、きょうは時間もわずか十五分でございます、二点ばかりお尋ねをぜひしたいなと思っているわけでございます。
 私は、沖縄から世界に向けていわゆる世界最高水準の先端科学のいろいろな情報が発信できる、十年ばかり前に私はちょっとした小論を書いたことがございます。いずれもう大学においては少なくとも国境なんというものはなくなりますよ、日本にいながらにして、それこそモスクワ大学の有名な先生の授業を聞けますよ、あるいは世界じゅうの優秀な学者の授業、先生方の授業が日本でいながらに聞ける時代がそう遠くなく来ますよということを小論にしたためたことがございます。必ずやこの新大学院大学は、そういう大きな役割を果たすものに高めていただきたいなというふうに思っておりますし、また沖縄の振興のみならず、これは日本の科学技術の振興にも大いに寄与するところがあろうというふうに思うわけでございます。
 大臣、いろいろなところでこの大学院構想については熱い思いを語っていらっしゃいまして、もう本当に新聞にもたくさんのものが出てまいります。あるいは沖縄県の方でも、先ほど自民党の振興委員会の方で、私もちょっとおくれて参りましたが、きちんとした沖縄県の振興計画案が示されております。その中にもしっかりとこの大学院構想、入っておりますので、何とか早い時期にという思いはするのでございますが、問題は、そんなに短期間で大丈夫なんでしょうかねというのが実は懸念として私にはございます。
 例えば、北陸先端科学技術大学院大学、あるいは奈良のいわゆる大学院大学もしかりでございますけれども、大体、検討委員会のようなものを設置いたしまして、そして開学ないしは学生を、新入生を受け入れるというまでに四年から五年の時間がかかっております。政策研究大学院大学も、これは六年かかっている。そのほか総合研究大学院大学、これも六年の歳月を要しているわけでございます。
 大臣の方も少しは、これはこんなに短くちゃ無理だろうなということで、去年の夏ぐらいは、たしか二〇〇四年の開学というようなことがマスコミにも出たように思います。ことしになりましてからは、これが二〇〇五年ということになりました。先ほどの資料を見せていただきますと、二〇〇五年に研究機関としてスタートさせて、六年から開学をして学生を募集していく。こういうふうなことでございますので、一年ばかり、あるいは学生を受け入れるという段階では二年ばかり、当初の計画からは期間が少し延びておりますから、大方、何とか大丈夫なのかなという気はいたしますけれども、そのあたりのところについて大臣の御所見をお聞きしたいと思っております。
尾身国務大臣 大変、御賛同いただきましてありがとうございます。
 国境がなくなるというお話がございましたが、まさにそのとおりであると考えております。先日も私は、三月のお彼岸のときにシンガポールに行きまして、シンガポールの大学、研究所とアメリカのMITが共同しているというお話を伺ってまいりました。その中に、MITが教室で朝七時に講義をすると、それを夜、シンガポールの大学で聞いている人がいる。同じ講義を、七時にMITの方では学生が集まって聞くというのが、インターネットの世界で完全にできているわけでございまして、まさにそういうことになるというふうに考えております。また、この沖縄の大学院大学につきましても、例えばスタンフォードとかカルテクとか、そういう大学と連携をしながら、そういうプログラムをどんどん取り入れていきたいと考えている次第でございます。
 北陸先端大学が五年ほどかかった例があるし、また、普通は六年ぐらいかかるというお話もございましたが、私も、普通の今までの文部科学省主導のやり方でいくと、そのくらいの時間がかかるのが当然であるというふうに考えております。ただしかし、この問題の重要性もありますしするので、一日も早くこれを実現したいということで、最短距離のスケジュールを立てております。二〇〇六年九月に本格的な研究を始めるということでございますが、その一年前の二〇〇五年九月からは、研究所としてはもう研究員を入れて、学生は後にしてもそういう体制を整えるということで、一年早く、研究所として現実にそのオペレーションをスタートする、こういうことを考えているわけでございます。
 大変にハードスケジュールであることはよく承知をしておりますが、皆様の御支援をいただきながら、何とかこのスケジュールを実現していきたいと考えている次第でございます。
林(省)委員 少し厳しいかなと思いますけれども、ぜひ、大臣のこの情熱で何が何でもということで進めていただければ、これは可能かなというふうな気が私も今いたしてまいりました。
 いずれにいたしましても、検討委員会、有馬座長のもとでいろいろと検討もなされております。そしてまた今般、この二十六日からでしょうか、国際顧問会議にお出ましになられて、いろいろと御意見も聞かれるということでございます。
 私が今まで経験してきた学部ですとか、あるいは新しく大学を立ち上げるなんというような場合には、私学などの場合には相当時間がかかるんですね。大体、新学部を創設するだけで、その準備の期間だけで三年かかります、書類をつくるだけで。そして、委員長も大学の学長でいらっしゃいますからよくおわかりだと思いますけれども、四トン積みのトラック二台から三台分になるぐらいの書類を作成しなければまずつくれないというのが、私学の場合は現実でございます。そのあたりが、これは国立大学でしょうからもう少し、直接のお話がいろいろできるわけですから早くいくだろう。ぜひ、その辺を目標にしっかりと立ち上げていただきたい、日本が世界に誇り得る最高レベルの大学院大学になってほしいという、私も熱い思いを抱くものでございます。
 ところで、大臣、この大学院大学につきまして、例えば参議院や衆議院の委員会の答弁の中でもおっしゃっていることで、ちょっと気になることがあるのでございます。例えば、これは委員会での御発言でございますけれども、読ませていただきますと、世界の最優秀な人材を集める、世界じゅうから集める、そのかわり、授業料とかなんとかはほとんどただにするということにして、それで、集めて、ここで研究し、勉強した人材をまた世界じゅうにばらまく、こういうふうにおっしゃっておられるわけです。
 これそのものも非常にすばらしいことだと私は思います。下手なODAで道路をつくったり橋をかけたりするよりも、いわゆる将来につながっていく、人を育てるというところで、私は、これはODAの一環としてやらないと、では例えば、日本の学生の場合には学費はどうなるんですか、世界から来る学生については無料でいいですよ、日本人はどうなんですかというような問題も起こってくるだろうと思います。特に懸念をいたしますのは、今、国立大学そのものがいわゆる法人化する、独立行政法人化するという直近の問題があるわけでございまして、こことの整合性がどうなるんだろうなと。
 大臣のおっしゃっていることを、ちらちらと読み取っていきますと、例えば教授陣の給料なども、これはもう最高級のものを払うんだと。当然だと思います。超一流の人を集めるのに、いいかげんな給料ではそれはいかぬわけですから、最高級の給料を与えるというふうなことをする。一方で、独立行政法人化された大学は、そういう状況にはなかなかいかないんじゃないか。大きな格差が教授陣にも出てくるでありましょうし、学生の方にも出てくる可能性がある。
 外国のいわゆる留学生については、それこそODAからでも出しますよということでこれは処理がつくんでしょうけれども、少なくとも、日本の学生については、これは例えば憲法二十六条の教育の機会均等というようなところにも、いささか気になるところが出てくるのではないか、そういった懸念を私は強く持つわけです。
 稲嶺知事がおっしゃったということで聞いておるのですけれども、とにかく今は、魚をくれるよりも、魚をとるための道具をくれと。これは、まさにそれになるだろうと思っておりますが、問題は、そこの間の、いわゆる同じ国立大学でありながら、学生間にも違いが生ずる可能性がある、あるいは教授陣の方にも違いが生ずる可能性がある、このあたりのことについて、大臣、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
尾身国務大臣 林委員は、日本の大学の現状について大変詳しい方でございますから、そのような御質問といいますか御心配、私は、非常にごもっともなことだというふうに考えております。
 この大学院大学は、世界最高水準にするという基本原則をどうしても実現したいというふうに考えておりまして、実は、一月に、アメリカのMITとかハーバードとかスタンフォードとかそういう大学を回って、向こうの方々に意見を聞きました。そのときに、先方の学者の皆様あるいは大学を経営しておられる皆様が異口同音におっしゃることは、沖縄は、地理的な条件は非常に不利である、情報格差もあるだろう、したがって最初に優秀な人材を、教授陣及び学生陣ともに集めることは至難のわざである。
 片方では、教授の処遇等については全力を挙げて、いわゆる日本の国立大学の基準の外にはみ出すようなことも含めて、弾力的にやるということを考えますが、もう片方は、世界じゅうから優秀な大学院学生を集める、そのことが必要である。
 そうすると、どうやって集めるかというと、本当に優秀な学生については授業料をただにするというのは、私はそういう表現をちょっと使ったかもしれませんが、実質的にただにするという意味でございまして、授業料は授業料でいただくけれども、それに見合う、あるいはそれ以上の奨学金を出して優秀な学生を世界じゅうから引っ張ってくる。そして、ここで研究をし、勉強をしていただいて、また世界じゅうに送り出す。その行く先が最高水準のところに行ける、そういう大学になれば、また次の最高水準の学生も集まってくるということで、実は、世界各地から最優秀、最高水準の学生を集めるためには奨学金を、これは内外無差別でいきますが、日本の場合も外国からの場合も、奨学金は十分出す。学生から収入を得てもうけようなんということは毛頭考えていないわけでございますから、そういう種類の大学にしていきたいと考えております。
 したがいまして、これはベスト・イン・ザ・ワールドと言っておりますが、逆に言うとベスト・イン・ジャパンにしたいと思っているわけでございまして、今までの大学の枠からはみ出したルールを、つまりもっと弾力的なルールをこの大学に適用していただかなければならない。そのための特別立法というものも必要であろう、そういう前提の中で最も理想的な形の大学院大学にする、こういう考え方でございまして、そのために何が必要かという考え方からいろいろな中身を決めていきたい、こういうことでございますので、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。
林(省)委員 今、文部科学省の方でもトップサーティーなんというようなことで、特別に大学についての手厚い方法を考えようということでございますから、今大臣がおっしゃったような特別立法になってくるんだろうと思いますが、できるだけ、少なくとも周りの大学も賛同いただけるような、そういう形をお考えいただきながらこのすばらしい夢を実現していただきたいと思います。
 これで終わります。ありがとうございました。
萩野委員長 次に、金田誠一君。
金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。
 尾身大臣には、御活躍で何よりのことと思います。大変お久しぶりでございます。
 私は、きょうは新石垣空港の問題点について質問をさせていただきます。
 実は、昨年九月でございますが、公共事業チェック議員の会というのがございますが、この調査団に参加をして沖縄に行ってまいりました。
 視察をしたのは新石垣空港の予定地、カラ岳を少し登って予定地全体を見渡しまして、サンゴの海の海岸を歩いてまいりました。泡瀬干潟は国際リゾート拠点として埋め立てが予定をされていましたが、行ったときはちょうど干潮でございまして、サンダル履きで入ることができました。ミナミコメツキガニという一円玉ほどの小さなカニが砂の穴から無数に出てまいりまして、あたり一面、これは何万という数だと思いますが、歩き回る幻想的な光景にも遭遇をいたしました。
 さらに、名護市の辺野古地区、普天間の代替基地の予定地でございますが、この海域にはジュゴンの生息が確認されるという報告も受けてまいったところでございます。
 それぞれの地域にそれぞれ公共事業の問題点を訴えて頑張っている住民団体があり、その方々と交流をすることができました。いずれも御自身の損得を離れて沖縄の自然を愛し、それを子や孫に残したいという一心で頑張っておられる方々ばかりで、その思いをいただいて帰ってまいったところでございます。
 尾身大臣、こうした住民運動をされている方々と余り交流はないのかなと思うわけでございますが、ぜひ一度、腹を割って話をする機会を御検討いただきたいと思うわけでございます。
 私は、今回の視察を通じまして、沖縄の最高の資源はこの自然である、自然を守り育て生かしていくことがあすの沖縄を築く、こう確信をして帰ってきたところでございます。したがって、それぞれの公共事業もこの自然を壊すものであってはならない。尾身大臣のその辺のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
尾身国務大臣 沖縄は、亜熱帯海洋性の気候風土を持ちまして、サンゴとかあるいはジュゴンとか緑豊かな原始林、貴重な動植物の生息など、豊かな環境を持っております。
 私もたびたび沖縄にお伺いをしておりますが、自然環境自身が大変大事な沖縄の貴重な財産であり、あるいは沖縄だけではなしに日本という国の財産でもあるというふうに考えておりまして、もとよりそういうものを大事にしながら観光リゾート産業の発展を図っていく。それからいろいろなプロジェクトを進める上におきましても、沖縄の持つ環境あるいは自然というものに特に十分な配慮をしながらこれを進めていくことが非常に大事であるというふうに私自身も痛感をしているところでございまして、環境アセスメントの適切な実施とかあるいは環境に配慮した工事方法等をとりまして、沖縄の環境を沖縄の本当の意味での豊かな財産として守りつつ沖縄の発展を実現していきたいというのが、私の率直、偽らざる気持ちでございます。
金田(誠)委員 基本的な考え方につきましては全く同じだということを確認させていただいたと思います。
 以下、順次、新石垣空港の問題点について質問をさせていただきます。
 言うまでもございませんが、白保のサンゴ礁には北半球で最大最古のアオサンゴの群落があります。ところが、本年二月、アメリカの環境保護団体コンサベーション・インターナショナルが発表した調査結果によれば、サンゴ礁ホットスポット、この世界上位十海域が初めて明らかにされて、沖縄を含む多くのサンゴ礁が破壊の危機に直面しており、開発の圧力を上回る保全策の推進が必要である、こう強調されているところでございます。
 環境省に伺いますけれども、カラ岳陸上案を決定するに当たって、こうした深刻な事態、危機に直面しているというような深刻な事態は検討さえされてこなかった、私はこのように経過を理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。
炭谷政府参考人 新石垣空港の建設地点の選定をめぐりましては、環境影響、用地取得などさまざまな問題に配慮しながら地元において調整、検討が行われた結果、現在のカラ岳陸上案が選定され、さらに現在具体的な検討が行われているというふうに伺っておるところでございます。
金田(誠)委員 炭谷さん、前、厚生省でしたね。お久しぶりでございます。環境省で御活躍何よりと、期待を申し上げたいと思います。それにしては、今の答弁は余りにもいかがなものかなと思うわけでございます。認識が非常に不足をしておられるんではないか、こう言わざるを得ません。
 私は北海道の選出でございまして、以前にも環境省に質問をしたことがございます。北海道の日本海沿岸を中心に、いそ焼けと呼ばれる深刻な現象がございます。海底の岩や石が石灰藻で覆われて海藻が生育できなくなり、海の砂漠化と呼ばれております。漁業への影響も深刻でございます。原因には諸説あるわけですが、その一つに、陸上部の森林や河川の変化によるとの説があって、地元の漁民の多くの方はこの陸に原因があるということを信じているわけでございます。それは、私もそう思っております。
 沖縄には赤土の流出という特異な問題があって、陸上部の影響は北海道の比ではないと思います。加えて、絶滅危惧種のコウモリが生息する洞窟もある。そこには多くの地下水脈もあると思うわけでございます。これらが切られれば、当然海域にも影響が出るわけでございます。
 ところが、建設位置の選定委員会に提出された資料には、海生生物の欄を見れば、海域への直接的改変はない、こういう記載しかございません。認識が極めて不足している。直接改変がなくても、陸上部の変化というものが大きな影響を及ぼすわけでございます。環境省の見解を伺いたいと思います。
炭谷政府参考人 ただいま先生が言われました建設予定地の周辺につきましては、アオサンゴなどの海域生物や希少な種類に属しますコウモリ、またカンムリワシなどの生息している大変重要な地域であると認識しており、また新石垣空港の建設計画においても、これらを含め自然環境の保全が大切であると認識いたしております。
 新石垣空港の建設に当たりましては、事業者において環境保全に十分配慮されるよう環境影響評価が適切に実施されることが必要でありまして、環境省といたしましても厳正な審査を行ってまいりたいと考えております。
金田(誠)委員 位置を選定するに当たって陸上部の影響をきちんと踏まえて選定すべきだということを指摘しているわけでございまして、環境省としての今の答弁は全く残念でなりません。認識が不足をしていると言わざるを得ないと思います。
 さて、同じく選定委員会に提出されました資料には、陸上動物の欄には、宮良案、冨崎野案、ここにはカンムリワシという記載があるわけでございますが、肝心のカラ岳陸上案にはその記載がございません。海生生物についての記載とともに、このような意図的な資料が建設位置選定委員会に提出されていたことは大きな問題だと思うわけでございますが、時間がございませんので、大臣、答弁は求めません。指摘だけにとどめておきたいと思います。
 要するに、選定委員会においては、環境問題なども十分に検討されず、かなり強引に押し切ったというのが実態のようでございます。一たん決めた後に、ターミナルが今度は逆の東側に変更されていますが、これなどは何でもありの象徴ではないでしょうか。これによって、地元のシンボルであるカラ岳がより大きく削られることになります。
 そこで伺いますが、標高百三十六メートルのカラ岳側面を高さ何メートルまで削ることになるのか、また、切り土量は何立米になるのか。国土交通省にお尋ねいたします。
増井政府参考人 新石垣空港の計画につきましては、現在までに沖縄県が、地元の関係者、自然保護団体、それから学識経験者などをメンバーといたします新石垣空港建設位置選定委員会の審議を経まして、平成十二年四月にカラ岳陸上を候補地として選定されますとともに、地元の合意形成を図るための地元調整会議におきまして、平成十三年の五月にターミナル地区を東側とする計画案で合意されまして、これをもとにいたしまして、現在、具体的な施設計画、建設工法、環境影響などの検討を行っていると聞いております。
 国土交通省といたしましては、今後、沖縄県の考え方が固まり、私どもに示された段階で、お考えをよく承り検討させていただく、このような手順になろうと思いますけれども、現在のところ、まだ詳細な内容を承る段階には至っていません。
 お尋ねの点につきましては、今般特に沖縄県の方にお問い合わせをいたしましたところ、空港の標高、山腹の切り土の高さなどは、まだ県の案としても検討中でございまして、切り土量も固まっていないということでございますけれども、地元調整会議時点の資料におきましては、山腹の切り土につきましては、頂上部を残しつつ、標高六十メーター程度から上の山腹の一部を切り取ることとしておりまして、その量は二十八万立方メートルであったとのことでございます。
金田(誠)委員 八重山支庁に展示されておる模型では、百二十メートルまで切り取る、とても一部などというものではないという模型がございます。カラ岳は地元のシンボルのような山でございます。私は函館出身でございますが、例えて言うなら函館山を削られるようなものでございまして、中身がはっきりすれば、住民の方々はそう簡単に合意できるものではないというふうに思います。ぜひひとつ、早急に説明責任を果たしていただきたい。もう決まっているんだと思いますけれども、そういうものはきちんと示して合意形成を図る、合意できないから隠し立てをしなきゃならないんだと思いますけれども、早急に明らかにしていただくように要請をしておきたいと思います。
 次の質問でございますが、先ほど紹介しましたコンサベーション・インターナショナルの考え方、開発の圧力を上回る保全策を講ずるということは、今白保に求められていると思います。環境省に伺いますが、九六年九月に、当時の環境庁長官、沖縄県知事、石垣市長が、白保海域を含む石垣東海岸を西表国立公園に編入することで合意したと理解をしていますが、これを早急に実施に移すべきと考えますが、いかがでしょう。
小林政府参考人 お答え申し上げます。
 平成八年の九月四日でしたが、当時の岩垂環境庁長官が沖縄を訪問した際に、大浜石垣市長と会談をいたしました。市長から、白保地区を含む石垣島の東海岸の海域については、大変すぐれた景観の地域であるので保全し、また活用を図っていきたいというお話がございまして、岩垂大臣も同感をしまして、私ども事務当局に西表国立公園に編入するための検討を急ぐよう指示がありました。
 この石垣島東海岸地域につきましては、西表国立公園に編入すべく、石垣市に対して説明会を行うなど、これまで地元との調整も努めてきたところでございますけれども、市議会などでまだ若干の異論があると聞いております。今後とも引き続き関係者の理解を得るよう、粘り強く交渉していきたいと思っております。
金田(誠)委員 ぜひ早急に進めていただきたいと思います。
 尾身大臣にお伺いをいたしますが、観光振興という観点からも、昔のようにホテルとゴルフ場をつくれば客が来るというような時代はもう既に終わったと思うわけでございます。今の国立公園化ということは、そういう意味では非常に重要な要素だと思いますし、あわせてこの白保海域を世界遺産に登録する、このことも十分に可能だ、北半球最大、最古のアオサンゴの群落というだけで十分に可能だと私は思うわけでございます。
 沖縄担当大臣として、関係部局にぜひ働きかけをしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
尾身国務大臣 私も、石垣島にも参りましたし、西表にもお伺いをさせていただきました。そういう中で、この地区の自然の豊かさというものは大変にすばらしいと感銘を受けたわけでございます。
 世界遺産に登録するというようなことにつきましては、あるいは国立公園、国定公園の指定というようなことにつきましては、私どもは、基本的にはやはり地元の意向というものを大変大事だというふうに考えておりまして、地元の意向を無視して私どもがこれを進めるというのは、やはり必ずしも適当でないというふうに考えている次第でございます。
 そういうわけで、やはり地元の皆様との十分な協議を進めた上で、またその調整を進めた上で適切に対応するということが大事であると。先ほどの空港の場所とか、あるいはつくり方の問題等につきましても、私どもは基本的には地元の意向を尊重する格好で、内容で進めてまいりたいと考えている次第でございますが、この種の問題につきましても、国立公園の指定等につきましても、そういう考え方をひとつ大きなよりどころにして進めてまいりたいと考えている次第でございます。
金田(誠)委員 私は、地元の意向を無視しろなんということは全く申し上げているわけではございません。こういう国立公園なり世界遺産という可能性を国が示して、リードをしながら合意形成をしていただきたい。これは合意できると、世界遺産登録になったほかの施設、あるいは自然、どの程度の観光客の増があるかという数字などを見れば一目瞭然だと思うわけでございまして、そういう観点も含めて、ぜひひとつ前向きに、地元も含めた実現に向けての御努力を重ねてお願い申し上げたいと思います。
 次に、恐れ入ります、これをちょっと尾身大臣と国土交通省に配っていただきたいと思います。
 これは沖縄県が、平成十三年九月に発行した新石垣空港のパンフでございます。平面図で見ると、二枚目に平面図も一緒につづってございます、ターミナルビルと駐車場は海からさほど離れておりません。ところが、表紙の航空写真では相当離れております。表紙の写真は意図的に空港を海から離してかいているのではないかと思われるわけでございます。
 国土交通省に伺いますが、本当の位置は、これはもっと海に近くなりますでしょう。そこのところをちょっと説明してください。
    〔委員長退席、松岡委員長代理着席〕
増井政府参考人 ただいまの御質問の件でございますけれども、このパンフレット、沖縄県が一般の方々に新石垣空港の必要性や建設位置などを理解していただくために作成したものでございます。その中で、空港基本計画図、こちらの真ん中の開きのところでございますけれども、ここで示されております平面図につきましては、地元調整会議において合意されたものと聞いております。
 なお、ここの注書きのところにございますけれども、ちょっと下側で見にくいのでございますけれども、「ここに示される計画は概略のものであり、詳細設計の際には変動があり得る。」こう記載されております。
 そして、この表紙の方でございますけれども、この表紙の写真につきましては、新空港と周辺の位置関係をおおよそ知ってもらうためのイメージとして空港を描いているものと承知しております。
金田(誠)委員 そういうおっしゃり方はないんではないかと思います。今お示ししたのは昨年九月のパンフですが、これはもう一種類ありますので、同じく届けていただきたいと思います。もう一種類、昨年十一月のパンフというのがあります。
 この十一月のパンフを見ると、ターミナルの位置がさらに海から遠くなっているわけですね。もう一目瞭然でございまして、海にほぼ直角に今度はなっている。九月でも海から相当離れて、これはひどいなという状態が、十一月になったらもっとひどくなった。これは全く事実と異なるのではないでしょうか。
 いかにも海域に対する影響がないということを強調したい気持ちはわかりますが、うそを言っちゃいけませんよ。国土交通省も、こういうパンフを配るなんということは、国としても、これはやはり一言言ってやった方がいいんではないですか。
増井政府参考人 九月のものは今拝見させていただきましたけれども、いずれにいたしましても、この表紙の航空写真につきましては斜めの方向から撮影されたものでございまして、基本計画の航空写真は真上から撮影されたものでございます。それで、道路の位置関係とか見ますと、概略の位置関係のイメージというものをあらわしているのではなかろうかな、こういうふうに思っております。
金田(誠)委員 沖縄の自然を何とか守って、その自然と共生することが沖縄の未来をつくる、こういう思いから申し上げているわけでして、沖縄県自体にも、ぜひそういう気持ちで取り組んでいただきたいと思います。このパンフ一つつくるにしても、これはひどいんではないですか。こういうのはないんではないかということを強く申し上げておきたいと思います。
 そこで、最後に、時間がありませんから、大臣に質問をさせていただきます。
 沖縄県の振興には発想の転換が必要な時代になっていると私は思います。公共事業による所得移転さえすればいいという時代は終わりました。ホテルとゴルフ場で客が来るという時代も終わりました。沖縄の自然を生かすことなくして沖縄の未来はないと私は思います。
 白保のサンゴは、奇跡的に残っている文字どおりの世界遺産です。取り返しのつかなくなるような可能性のあることはやるべきではありません。空港の建設位置について何とぞ再検討をしていただきたい。こういう海から離れた図面をばらまいて済む話ではないわけでございます。どうぞこれは再検討すべきだ。尾身大臣、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 この図面を見て、私も素人でございますが、この空港基本計画の方の図面は、どうも海にえらく近くなっている。表紙の方の図面は遠くからでわからないといえばそうでありますけれども、何となく遠いような感じがするという点は、委員のおっしゃるとおりだというふうに考えております。
 そういう中で、私といたしましては、環境についての最善の配慮をしながら、地元の意向も踏まえましてこの空港建設を進めていくということが大事でございまして、この位置の決定につきましては、地元の皆様の間、いろいろな関係者の間でかなり長い長い激論の歴史がございまして、最終的に委員会におきましてカラ岳陸上案ということが決まったわけでございまして、環境についての配慮は最善の配慮をしながら、地元の意見を尊重しながら、カラ岳陸上案をベースにしてこれから進めてまいりたいと考えている次第でございます。
    〔松岡委員長代理退席、委員長着席〕
金田(誠)委員 現状でも、このサンゴは危機に瀕しているという状態でございます。陸上部につくったら影響がないという前提で検討が進められてきました。しかし、そうではないということがもう科学的にもあるいは実態的にも証明されている、そういう時代でございます。そして、国立公園化あるいは世界遺産ということが現実のものになっている、そういう状況下でございます。経過は経過として、尾身大臣、ここで即答は無理かもしれませんけれども、ぜひお受けとめをいただいて、御検討いただきたい。
 時間でございますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
萩野委員長 次に、川内博史君。
川内委員 民主党の川内でございます。
 本日は一般質疑でございますので、尾身大臣及び外務省に対して、何点か質問をさせていただきたいと思います。杉浦副大臣、お運びをいただきまして、ありがとうございます。
 まず、沖縄の主力の産業と言ってもいいでありましょう、畜産業のことについて、本日は農水省からも梅津畜産部長にお運びをいただいておりますので、お伺いをさせていただきたいと思います。
 BSEの発生以降、沖縄県においてもその影響というものは非常に深刻なものがあるということは、畜産部長もよくよく、私などが申し上げるまでもなく御存じでいらっしゃるというふうに思います。廃用牛の滞留問題、処理ができないというようなことであるとか、あるいは子牛の生産が盛んであるわけでございますけれども、肉用子牛の生産者補給金の制度等についても、生産者の皆様方は、離島地域においては飼料なども本土よりは非常にコスト的に高くつくし、また、それを本土に出荷するに当たっても運搬費などのコストが高くつくという状況でありながら、しかし、本土のバイヤーが市場に来て子牛を買っていくときには、本土よりも安く買いたたかれるということで、この生産者補給金の制度も全国一律の保証基準価格になっておりますので、これではとてもとても畜産業をこのままではやっていけないというような悲痛な叫びがあるわけでございます。
 廃用牛の滞留問題、そしてまた子牛の生産者補給金の問題、全国一律にBSE対策を打つのではなく、きめ細かな対策というものを沖縄の畜産に従事をされていらっしゃる生産者の皆様方は望んでいらっしゃるわけですけれども、その辺についての御対応方をお聞かせいただきたいと存じます。
梅津政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、沖縄の畜産は同県の農業粗生産額の約四割を占める農業の基幹部門でございます。全国的には飼養頭数が減っている中で、順調にふえていまして、沖縄の農業の有望な品目であることは、私ども十分承知しております。
 BSE発生以来、私どもとしては、畜産農家へのつなぎ資金の緊急融資ですとか、今の通常のマル緊では対応できない、いわゆるBSEマル緊、それから、いわゆる通常の子牛の価格補給に加えまして、生産拡大奨励の特例措置、こういったことをやってまいりました。
 その際、子牛の生産拡大奨励措置やBSEマル緊の補てん金につきましては、これは全国の市場の価格あるいは統計のデータをもとにして算定しておりますので、BSEの影響があまねく全国にわたっているということでそうした全国一律の対策となっていることを御理解いただきたいと思います。
 ただ、沖縄につきましては、今先生御指摘の地域特性にかんがみまして、離島振興地域の子牛の流通の奨励、具体的には、全国から子牛の買い付けにお見えになる方々に対する流通経費の一定の助成あるいは子牛の早期出荷の奨励のための助成等のことを行っております。そうしたことを、今後、引き続き続けてまいりたいと思っております。
 あわせて、今御指摘ありました老経産牛の問題でございますけれども、沖縄につきましても、屠場の位置の関係等でそうした問題が起きていることは承知しております。ただ、一月、二月、三月と、老経産牛の屠場の受け入れが進んできております。頭数がふえてきております。そこで、この老経産牛の流通の円滑化のために、離島間の輸送あるいは離島から沖縄本島までの輸送につきましても、その輸送の経費について助成することを今検討しているところでございます。
川内委員 ぜひ、もろもろの対策を精力的にやっていただきたいというふうに思います。
 こういうBSEの影響などというのは、今畜産部長おっしゃるように、全国にあまねく被害が及んでいるということで全国の平均をとっているという御説明だったわけですけれども、私は、その説明というのも理解はいたしますけれども、しかし、その地域地域、東京から遠いところ、あるいは離島地域というのは、やはり普通の一般の地域よりもさらに大きな影響が出ているということをしっかり、今畜産部長も御認識をいただいているようでございますので、ぜひきめ細かな対策をおとりいただくことを重ねてお願いを申し上げさせていただいておきたいと思います。
 これは質問通告していませんので、私の意見でございますけれども、生産者の方々は、離島で畜産をやっていると非常にコストが高くつく、大変なんだということを盛んにおっしゃるわけでございます。きのう、農水省の御担当の方に御説明を受けますと、いやいやコストが高くつくということだけではないと思います、安くなっている部分もあると思いますよというような全く逆の御見解を示される部分もありまして、私などは畜産に関しては素人でありますから、離島地域で畜産業をやる場合に、では、本当のところのコストはどうなんだというようなところをもっと合理的に数字で御説明いただけるような部分があればいいなと。何か御答弁いただけますか。
梅津政府参考人 離島での畜産につきましては、輸送費等でコストが割り増しになる点があることは事実でございます。そうした観点から、今申しましたように、県外からの買い付けに対する輸送費の支援等を行っております。
 あわせて、これは沖縄の場合、九七%が繁殖経営でございますけれども、子牛の生産でございますが、非常に亜熱帯という地域を生かした草資源が豊富でございます。そうしたことから、沖縄の子牛生産費が、全国平均が四十九万一千円に対して沖縄が四十二万三千円ということで、約七万円弱、全国平均よりも子牛の生産費が小さいという実態もございます。それから、出荷月齢が少し短いという点もございます。
 そうした沖縄の地域の特色を生かした格好で繁殖経営が行われておるということで、若干全国平均よりもコストが安いという点があることも事実でございます。
川内委員 ありがとうございます。
 それでは、尾身大臣に御質問をさせていただきたいと思います。沖縄振興特別措置法に基づいて、沖縄県において平成十四年度から二十三年度までの十カ年を期間とする沖縄振興計画の沖縄県素案が四月五日に発表されたわけでありますけれども、素案では、計画作成の意義について、本土との格差是正を基調とするキャッチアップ型の振興開発だけではなくて、沖縄の優位性を十分に発揮したフロンティア創造型の振興策への転換を進める必要性を示す。それと同時に、「振興の基本方向」で、「民間主導の自立型経済の構築」など六項目の柱を掲げて、産業振興を中心に振興政策が盛り込まれているようでございます。
 この素案を受けて、今後、どのようなスケジュールで計画が正式に決定され、沖縄振興に向けたこの十カ年計画が具体的に動き出すのはいつごろになるのかというようなことについて御説明をいただきたいと存じます。
尾身国務大臣 沖縄の振興計画につきましては、沖縄県におきまして、県の素案を四月五日に公表し、四月九日に沖縄振興開発審議会に諮問をいたしまして、現在、この審議会で審議が進められているところでございます。したがいまして、五月末ごろには県の計画案が政府に提出されるものと予想しているわけでございます。
 これが提出されましたら、それを受けまして、政府として国の沖縄振興審議会にこれをかけまして、議論をしていただきます。そして、その結果を踏まえまして、七月初めごろには沖縄振興計画をつくりたいと考えている次第でございます。
川内委員 七月には具体的にこの案が動き出すということでありますけれども、私は、十年かけてやるものとすぐにでもやるものと、やはりめり張りをつけなければならないというふうに考えます。
 十年間の計画だから、この目標は十年で達成すればいいんだということではなくて、やれるものはどんどんやっていくというその意気込みが沖縄県をサポートする政府においても必要であろうというふうに思うわけでありますが、この計画素案の中で、観光振興の分野で、「夜間や、雨天時及び季節を問わず楽しめるショービジネスをはじめとした多様なエンターテイメントづくりを促進する。」という表現がございます。
 沖縄県では今賛否両論があるようでございますが、私も当委員会で再三にわたって尾身大臣に御答弁をいただいているわけでございますけれども、わかりやすい言葉で言えば、カジノ構想、これが今後検討の俎上にのってくるのではないかというふうに思うわけでございます。
 私が前回質問させていただいたときに、尾身大臣は、地元が望むのであれば対応をしてまいりたいというようなお答えであったわけでございますけれども、東京都の石原知事もカジノについて言及をされていらっしゃいますし、また大阪の知事もそのようなことをおっしゃっていらっしゃる。あるいはいろいろな自治体でカジノについての言及というものが次々に起きてきているわけでございまして、そういう中では、私は、どうせそういうものを実現させていくとすれば、まず私は沖縄県でやっていただくのが一番いいのではないかと個人的には思っているわけでございます。
 そういう意味で、一歩踏み込んで、沖縄県がこういう計画案をつくった、それを受けて、国としては、カジノというものを開設する場合にどういう問題点があるのかというようなことに関して研究会なり審議会なりを立ち上げて、具体的にその構想を後押しするような方策というものをとるべきではないかというふうに考えているわけでございます。大臣が閣議の場で、日本においてもそういう構想について、カジノというのは文化ですから、そろそろ研究会なり審議会なり政府の機関というものをつくって研究を始めていったらどうかというような御提案をいただければ、大変に将来に向けて日本に新たな文化が一つ加わるのではないかというふうにも考えるわけですけれども、いかがでございますでしょうか。
尾身国務大臣 沖縄振興計画の県の素案におきまして、夜間や雨天時等、季節を問わず楽しめるショービジネスを初めとした多様なエンターテインメントづくりを促進するというふうにうたわれているわけでございますが、この中にはカジノ構想の今後の検討まで含まれているというふうに聞いております。こういう中で、沖縄県におきましては、十四年度の予算でエンターテインメント事業の可能性の調査費を計上して、沖縄県として望ましいエンターテインメントのあり方について検討を行うこととしているわけでございます。
 御指摘のカジノ構想につきましては、この調査の一環として、その是非を含めて検討されるというふうに聞いております。そしてまた、その結果を注目しているところでございますが、私どもとして、現段階におきまして、カジノの導入について沖縄県内の十分なコンセンサスが形成されているとは考えておりませんで、政府としては、引き続き沖縄県内の議論を見守ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
川内委員 こういう問題というのは、大臣、賛否両論必ずあるわけでございましょうし、大臣としては今の御答弁で私も理解をさせていただきたいというふうに思いますけれども、私は、ある種の文化の一つだというふうに考えれば、沖縄にたくさんの人々が集うための一つのツールとして有効なツールになり得るというふうに私自身は考えておりますので、ぜひとも今後とも前向きな取り組みをお願いさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
 実は、私は、島嶼議員連盟という、離島地域を抱える選挙区を持った国会議員が集まった議員連盟があるんですけれども、この島嶼議員連盟で、今回ある法律案をつくりまして、それはどういう法律案かと申しますと、離島地域においては消費税の税率をゼロにしようという法律案でございます。
 沖縄県も全く同様でございまして、本土から離れた離島地域で生活をするということは、それはもうあらゆる面においてコストがかかるということを意味するわけでございます。しかし一方では、我が国が、世界六番目の経済水域、二百海里を持てるのも、離島があればこそという面があるわけでございまして、安全保障、国土の保全という意味からも、離島地域でしっかりと人々が生活ができるということがどれだけ国を守っていくことに大事なことかということに思いをいたせば、消費税の税率をゼロにするぐらいのことは思い切ってすべきではないか、まず沖縄県からそれを試験的にやってみてもいいのではないかというふうな思いを私は前々から持っているわけでございますが、大臣の御所見を承りたいというふうに思います。
尾身国務大臣 私も沖縄を担当する者として、沖縄に固有の税制をつくって、それを軸にして経済発展を進めるということについては、大きな一つの考え方であるというふうに考えている次第でございます。それを具体的に体現をいたしましたのが、今回の沖縄振興特別措置法に盛り込まれました情報特区税制の問題や金融特区税制の創設ということでございまして、私どもといたしましては、可能な限り最大限の特別措置を税制面で講じていると考えております。
 消費税の問題は、私も自民党の税制調査会の副会長を長い間やっておりましたので、ずっとこの問題にかかわってきて、最初に消費税を導入するときに、選挙で大変票を減らして痛い目に遭ったわけでございますが、広く薄く物やサービスに課税をするということで導入をすることになって、今やや消費税が落ちついたといいますか、国民生活になじんできたという段階であるというふうに考えている次第でございます。
 そういう中で、広く公平に税を負担していただく、そういう意味でございますので、非常に、議員自身も大胆な政策とおっしゃいましたが、沖縄を消費税の例外にするという大胆な政策については、現下の状況においてはなかなか難しいのではないかというのが今の私の感覚でございまして、この問題は、何人かの方々にかつても提起されたことがあると思いますけれども、税の公平性の確保という点と地域開発の必要性という点の接点になる問題でもあると考えておりまして、今後長期にわたる検討課題かなと考えている次第でございます。
川内委員 長期にわたる検討課題であるとしても、全く可能性がないことでもないというふうに思いますので、ぜひよくよく御検討いただいて、私は、今閉塞した日本の状況を見ましても、わかりやすい、そして大胆でみんなをびっくりさせることのできる政策というものが、元気づけていくためには必要だと思うのですね。役所の皆さんの優秀な方々が、幅広い分野へわたって事細かくいろいろなことをおやりをいただいている、その御努力は大変高く評価をするものでありますけれども、しかしそれよりも、非常にわかりやすい、みんながびっくりする一つの政策の方が実は世の中を元気づけられたりすることもあるということを、私たち政治の場にいると、これからも主張をさせていただいてまいりたいというふうに思っております。
 それでは、時間も残り少のうございます。最後に外務省に対して質問させていただきたいと思います。今国会では、大変話題になっておりますが、有事法制、緊急事態法制というものが国会に提出をされ、審議が始まろうとしているわけでございますけれども、外務省としては、これまで数々の苦難を強いてきた沖縄の米軍基地問題、これを考えれば、せめてこの有事法制、緊急事態法制案を提出するに当たっては、沖縄の方々が強く望んでおられる日米地位協定の改定くらいは実現してから、この緊急事態法制を提出すべきではなかったかというふうに私は思うわけでございます。
 この緊急事態法制が、私どもは恐らく反対をすると思いますが、わかりませんけれども、成立をするとすれば、沖縄の方たちにはさらなる苦難を強いることになるというふうに思うわけでございます。折しも、航空自衛隊の恩納基地でPCBの検出問題等が出て、これは日米地位協定の不備が原因であるというようなことが指摘されているわけであります。これを踏まえると、主権国家として正々堂々と、協定の改定を強く米国に求めることが必要であるというふうに思うわけでございますけれども、これについての取り組みというものを外務省に、杉浦副大臣にお願いをしたいというふうに思います。
杉浦副大臣 外務大臣が外務委員会に出ておりますので、私が対応することでお許しを賜りたいと思います。
 有事法制と沖縄の負担、地位協定の絡んだお尋ねでございます。
 この特別委員会ができているわけでございますので、そこで十分に御審議いただくべき問題だとは思いますが。私は、個人的には、沖縄がまだ占領下のときにも伺ったことがありますし、復帰後も公私にわたって何回となく沖縄を訪問しておりまして、沖縄に米軍施設が集中している、大変な御負担をいただいている、その御負担をともかく軽減しなければいかぬということを思う点においては人後に落ちませんし、また、政府もそういう線で努力してきた。今は、普天間の問題を含むSACO最終合意の実現に向けて努力しておるわけでございます。有事法制を構築することだけに限ってみたら、そのことによって沖縄の負担が特別に加重されるということはないと、個人的には検討して思っておりますが、いずれにしろ、委員会で十分に御審議賜るべきことだと思います。
 地位協定につきましても、法務委員長時代に、被疑者の引き渡しを早くしろという問題に絡みまして随分努力したことがございます。政府としては、運用の改善、刑事被告人の問題もそうですが、被疑者の問題も努力してまいっておりまして、被疑者の引き渡しについては法務省も外務省も随分努力して、不十分という御意見もありますが、随分改善されたと思いますし、その他の面でもいろいろと努力しております。こういう運用改善の努力をして、効果が十分ではないということになりましたら地位協定の改定も視野に入れるという態度で、当面、運用の改善で努力しておる次第であります。
 有事法制によって地位協定の改定が必要かどうかという問題は、特別委員会で議論されるべきことだとも思いますが、私が勉強した限りでは、直接改定の必要はないだろうというふうに思っております。
川内委員 終わります。
萩野委員長 次に、松野頼久君。
松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。
 きょうは、沖縄における防衛施設用地のいわゆる賃貸問題、そして、賃貸している地主さんの連合体でありますいわゆる土地連、県軍用地地主連合会、このことについて、約二十五分お時間をいただきましたので、質問させていただきたいと思います。
 まず、資料を今お配りさせていただいているのですが、この資料の三番をちょっとごらんになっていただきたいと思います。
 約三万二千人の地主さん、そして二十五の地主団体、これの統括をしているのが土地連という団体でございます。そして、このお配りした資料は、土地連に対して国がお支払いになっている地代の金額でございます。平成十四年度であれば八百六十九億、前年度比二・四%で二十億円増という地代をお支払いになって、米軍に使用をしていただいているという状況でございます。
 まず、この地代の金額というのは、どういう算定基準で算定されているのかということをぜひお伺いしたいと思います。
萩山副長官 お答えいたします。
 土地連が独自の調査をいたしております。そして、概算要求に際して要請をしてまいりました。だけれども、防衛庁、施設庁といたしましては、日本不動産研究所というところに委託をいたしまして、いろいろとデータを集めております。そのデータの中から防衛庁が独自の評価額を決定いたしまして、そこから算出したものが今先生が言われたとおりの賃貸料でございます。
松野(頼)委員 お配りした資料の一番が、多分、今お話しになった部分ではないかと思います。
 算定基準というものがあるのですが、この算定基準は、公共事業を実施する国、地方公共団体等が公共用地を借り上げる場合に適用される算定基準と基本的に同じであり、本土、沖縄に限らず一律に適用されるものであるということでございますね。
萩山副長官 お答えいたします。
 詳しいことはまた、施設庁長官がおりますので、答弁させていただきますが、安定的に使用したいということが一つあります。それから、土地保有者の生活というものがかかっております。そういったものを勘案してこの評価額が決定していったというふうに私は見ております。
 そのほか、詳しいことは施設庁長官に答弁させますので、よろしくお願いいたします。
松野(頼)委員 実は、先週から、きょうの質疑の準備といたしまして、この算定基準の過去のデータを出してくださいというふうに、政府連絡室を通じてお願いをしておりました。そういたしましたら、きのう、その二番目にお配りをした資料をいただきまして、「当庁が算定した「評価額」については、相手方との交渉に支障を及ぼすことから、資料提出は差し控えたい。」ということでございました。
 ただ、例えば来年の交渉に当たっての前段の基準額を出してくださいというのであれば、これは当然、交渉に支障があるということは私もわかります。ただ、その過去、例えば三年前以降のものはいいよとか、例えば、私も当選して二年でありますが、この国権の最高機関であります国会の委員会で私たち議員が資料要求をする、国の機密にかかわること、または防衛上の、どうしてもこれは出せないぞということであれば、これはいたし方のないことかもしれません。しかしながら、この案件は、地主さんとの土地の契約の金額の前段になる、どういう形で基準値を出したのか、この数字を、過去のものでいいですから出してくださいというお願いをしたわけであります。ですから、この過去の数字というもの、もし出ないのであれば、その出ない理由をお教えいただきたいと思います。
嶋口政府参考人 算定評価額につきましてお答え申し上げる前に、沖縄の借料の評価の仕方について、若干の経緯を補足して説明させていただきたいと思います。
 先生、よく勉強されていまして、御案内のとおりでございまして、昭和二十七年の閣議了解に基づいてやってきました。これは固定資産税評価額、台帳に載っているもの、他方、近年、この十数年特に土地の取引云々、かなり大幅な変化が来ている。一つ、固定資産税の方は三年に一回の見直しである、他方、我々は、土地の借料は先生御案内のとおり毎年毎年やっているということで、先ほど先生がお示しされました資料で御案内のとおり、特に平成四年ですけれども、土地連の方から対前年度九二%増の要求が出てまいりました。結果は一〇・五%の増ということで御理解いただいたわけでありますが、そのように格差が出てまいりました。
 ということで、ではどうしようかということで、土地連の方は、自分たちが評価しているんだ、実際の土地の取引価格でやりたいんだと。私どもは若干違うと。ではそういうことでお互い勉強しましょうということで、土地連の方は自分たちの方で評価委員会なりをつくってやっています。私どもは、そこは専門的なものですから、日本不動産研究所に平成五年から七年にかけて、言ってみれば実際の取引がどうなっているんだろうということで検討してもらった。それを踏まえまして、といいますのは、結局、土地の取引の予定価格を基準としてやっていこうと。予定価格ということになりますと、まさに取引事例でございます。そういう中で、近年、土地連との間で厳しい折衝ではありますけれども話がついてきたということでございます。
 したがいまして、土地の取引価格、予定価格ということになりますと、先生御案内のとおり、沖縄におきましては私どもが契約していますのは、民間ベースだけで一万六千ヘクタールと巨大なものでございます。全体では二万四千ヘクタールに及ぶものということでございますので、大変な影響を与えると。私ども土地連とやりますけれども、もちろん土地連の地主の方々も実はいろいろな投資をされる、それは銀行からいろいろお金を借りるということもございますので、そういう中で決まってきたものでありますから、過去三年ということでございますけれども、軽々に出せないものである、いろいろな影響が出てくるだろうということで、せっかくの先生の御依頼でございますけれども、遠慮させていただきたいという事情でございます。
松野(頼)委員 きょうこの質問は、当然日米安保の根幹にかかわります、沖縄に対する駐留米軍へ土地を貸しているというその金額が妥当であるのかないのかということを議論している場であります。
 土地連は土地連さんで自分たちが土地を評価する機関を持っていらっしゃいます。当然防衛施設庁は、先ほどもおっしゃったとおりにその独自の基準値となる数字を持っています。例えば、こっちは一千万ですよと要求が来る、いやいやそれはちょっと高過ぎます、七百万ですよ、これは一つの例ですけれども、そうした場合に、その一千万の根拠と七百万の根拠、ここの部分を議論しなければ、その一番最終的な交渉の土台にならないんじゃないかというふうに私は思うわけであります。
 委員長、この基準値というものの評価、毎年やられているということでありますので、どうかぜひ本委員会に提出することをお願い申し上げたいと思います。
萩野委員長 理事会で協議させていただきます。
松野(頼)委員 それで、ちょっとお伺いをしたいと思いますが、では、例えば当該地の固定資産税評価額の総額というのは防衛施設庁は御存じですか。
嶋口政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、過去、昭和二十七年の閣議了解に基づいたときには当然評価額については承知しておりましたけれども、先ほども申し上げましたように、近年、先ほど申したような事情で、土地の取引価格というものを下地にやっていますので、現在のところそういう資料は持ち合わせておりません。
松野(頼)委員 では、例えば国土庁が割り出している路線価というのも一つの土地の評価の基準でありますが、路線価の総額というのは御存じですか。
嶋口政府参考人 そういう資料は持ち合わせておりません。
松野(頼)委員 では、一体なぜこの八百六十九億という数字が出ているのかということが、その根拠が全く明らかにならないわけであります。この数字を、また第三の表を見ていただきたいと思いますが、平成四年から平成十四年まで、毎年毎年ずっとパーセンテージが上がっているわけであります。御存じのとおり、今、土地の値段というものは、当然皆さんも言わずとも下落をしている状態、また物価水準というのも下落をしている状態であるわけですが、この土地の価格、借地の価格だけは今どんどん上がっている。
 当然私も、日米安保、これは大事だと思います。また、沖縄の皆さんに過重な負担がかかっている、当然だと思います。しかしながら、この根拠というものがわからない。ここの部分をどうかお教えいただきたいのと、もう一点、平成五年から七年、不動産研究所に鑑定を依頼したとおっしゃいますけれども、平成五年から七年まで鑑定をされることでこの数値を割り出す基準になるんでしょうか。なぜそれがこの三年間やることでなるのか、その理由もお聞かせをいただきたいと思います。
萩山副長官 前段だけ、私、先に説明させていただきます。
 バブル期があって、非常に土地が高騰いたしました。三大都市圏で見ますとプラス四六%も上がっているんですね。ところが、沖縄の方はプラスで三・五%、現在も下がっておりません。それから、上がってもおりません。安定的に推移をいたしておるわけであります。
 その中から割り出しておりますが、土地連の方々の意向もありますし、あるいはまた地主の方々の意向もくんで、毎年ではありますけれども、少しずつ彼らの要望に対してプラスに進んでいるのではないかなというふうに私は見ておるわけでありまして、これもやはり民生安定、安定したところに防衛政策が成り立っていくんだということを考えておると私たちは思っておるわけであります。
 詳しいことは施設庁長官にお話をさせていただきますので、よろしくお願いします。
嶋口政府参考人 路線価自体で評価するという方式ではございませんで、土地連の強い要望もある、いろいろな土地の変動もあったということでございますので、基地の周辺、近傍の土地の売買の取引の実態というものを詳細に調べて、それを毎年の算定の根拠としてやっているということでございます。
 そういうことについて、例えばこれが、土地、もう家屋だ、住宅地区だ、見込みだということでございますけれども、土地連は、まあ生活がかかっていますから、できるだけそういう高い評価をしていただきたいと。当然だろうと思います。私どもは、厳しい予算の中でやっているわけです。国民の税金をできるだけむだ遣いしたくはない。他方、しかし土地連の立場もございますし、そして基地を、安定的な使用を図りたいという中でございますけれども、近傍の取引事例を詳細に調べて、それに従って借地料の算定を行っているということでございます。
 それから、バブルのことが先ほどございましたけれども、今副大臣から御答弁いただきましたが、バブルの最盛期、昭和六十三年でございますね、そのときは三大都市圏で四六%、そのときに沖縄は三・五%増でございます。それから、バブルが崩壊した四年度だったでしょうか、それを見ますと、大都市圏では一二%ぐらいの下落をしている。ところが、沖縄ではまだ三・三%増ということでございまして、その理由は定かではありませんけれども、本土で起きたようなバブル、それからそれに伴う大幅な下落というものは沖縄では生じておりません。
 そういうこともありまして、本土の方の土地の変動というものが沖縄の借料に必ずしも反映されるものではないと理解しています。
松野(頼)委員 今これだけ数字がどんどん上がっていっている説明にはなっていないというふうに私は思いますが、お配りをした資料の五をごらんになってください。これは、土地連さんの平成十年度事業報告書、これは平成九年から十二年、十三年まで私の方ではとっているんですが、下の方、「防衛施設庁は当初において、」「三・〇%が精一杯の数字であり、防衛予算の圧縮からこれ以上の上積みは厳しいとの態度を示していたが、その後の精力的な要請行動並びに関係国会議員の全面的なバックアップにより、三・五%増の七百九十四億円を要求することとなった。」ということであります。
 例えば、平成九年からずっと土地連さんの要請行動の状況を見ますと、毎年毎年、防衛施設局は非常に厳しい数字を出しているわけです。そして、その数字を覆すために要請行動をし、陳情をすることによって、パーセンテージが上がっていっているんです。例えば、平成九年は二%後半だということを当初言われていたものが、要請行動によって三・二五%に上がる。平成十年は三%から三・五%に上がる。平成十一年においては二%から三・五%に上がる。そして、今の平成十二年におきましては、一・七五から三・三%に上がる。こういう状況なわけであります。
 ですから、国会議員への陳情活動が続くことによって、その土地の値段がこれだけ当初の概算要求段階から上がっていっているということを、土地連さん、自分のところの事業報告書で書かれているわけですよ。ですから、この数字が本当に、土地、そして地価の動向、また不動産鑑定だけの数字で決まっているのか。それであれば、毎年毎年上がっていくのはおかしいぞということで、この質問をさせていただいているわけでありますが、この件についていかがでございましょうか。
嶋口政府参考人 沖縄の借料の問題につきましては、先生既に言及されておられますように、現に米軍が使用している。私どもといたしましては、何としてもこれは確保しなきゃいけないという問題がある。
 一方で、大変膨大である。三万六千名ぐらいの地主の方がおられます。うち三万四千名が今土地連に加入されていますけれども、中には一坪反戦地主もいるということでございます。ここが毎年毎年契約の更新をしていくわけですけれども、仮にうまく交渉がまとまりませんと、かつて楚辺の通信所で起きましたように、ちょうど更新期限が来るときでありましたけれども、いわば不法占拠状態が生じてしまうような状況、そういう厳しい状況の中であります。
 他方、土地連の方々、平均しますと百万から二百万という数字になりますけれども、大規模の地主さんとか地方公共団体が入っていますから何なんですが、かなり零細な方々の集団でございまして、生活不安がある、そういう状況の中で厳しい折衝が行われる。
 施設庁全体の経費の中でも、これは年間、本土を含めますと一千二百億を超えます、借料というものは。沖縄で八百億を超える。膨大な金がかかります。そういう中で交渉しますので、私どもとしては、立場上、できるだけ少ない予算で契約していただきたい。土地の方は、そういうような立場で。という中で、これは基本的には交渉でございます。そういう性格だということを御理解いただくとありがたいと思います。
松野(頼)委員 当然、私も日米安保を守っていくべきだというふうに考えていますし、沖縄の米軍があることによる沖縄の皆さんの負担というものを軽減してしかるべきだというふうに私も思います。ただ、その交渉をする段階で、苦労しているからここの部分に関してはしようがないじゃないかということによってどんどん値段が上がってくる。また、土地連は土地連で政治団体をつくって、例えば平成十二年であれば六百万円の政治献金をしているわけです。土地を借りるという土地連、その地代をもらうという性格の土地連が、政治団体をつくって政治献金をしてみたり、そして要請行動をすることによって地価に影響が出ている、こういう状態があるんではないか。もしそうであれば、大変ゆゆしき問題だなということでこの質問をさせていただいているわけであります。
 もう時間がそろそろだと思いますが、当然この現状をしっかりと解明していただいて、そして、確かにナイーブな問題だから値上げはしようがないんだということではなくて、本当に沖縄の地元の新聞も、この土地の使用の問題、また基地に使って、国が借り上げている土地の問題、これで借りていない方と借りている方との中で非常に不公平感が出てきているというふうに、社説でも取り上げているわけであります。
 ですから、ここの部分、しっかりと国の立場で見ていただいて、そして、もう一度このパーセンテージアップというものをお考えいただきたい。そして、なるべく少しでも国費を安く落とすんだということを念頭に交渉に当たっていただきたいと思いますが、どうか最後に感想をお願いいたします。
萩山副長官 松野先生の言われたとおりでありまして、土地連の要望というのは施設庁の額と相当開きがありました。今、徐々にでありますけれども、その差額が縮小してまいっております。だから、これから土地が増嵩するなどということは考えられないわけでありまして、これに政治家がかかわったとか、そういったことは毛頭ありませんし、副長官として、これはもうきっぱりと私は否定しておきたいと思います。
 我々はまじめに一生懸命にやっておるわけでありますから、どうぞ御理解を願いたいと思います。
松野(頼)委員 今の御答弁でありましたので、では、お配りをしている資料の四を見ていただきたいと思います。この資料は今の御答弁がなければもう出すのをやめようと思っていたんですが、これは、三月の十二日、決算行政特別委員会で我が党の石井議員が取り上げたものであります。そして、この資料について、防衛庁はこの資料は確かなものだということを認められているわけでありますので、どうかこういう疑問を抱かせないように、そして、正確な土地の値段の評価というものを今後防衛施設庁もしっかりとして、だれが見ても公平な数字というものを出して、ぜひこの地価というものを算定していただきたい。
 ただでさえこれだけ不況の中で、皆さん死ぬ思いで税金を払っているわけですから、その国費のむだ遣いというものをどうか戒めていただきたいと思います。
萩山副長官 最後に答弁させてください。
 今ほど先生の言われたとおり、我々は襟を正して行政をつかさどっていかなきゃならぬと思っております。
 ここに書かれております防衛庁が出した資料の中で、鈴木宗男先生の名前が出ております。こういうこともあったかもしれませんけれども、過去は過去として、今はもうそういうことは一切ない。我々は、そういう圧力に屈しないで、正々堂々と、国家とそしてまた国民の生命を守るという重要な任務について私たちはこれからも真剣に考えていかなきゃならぬというように思っております。どうか先生におかれましても、今後どしどしと御指摘いただけるようにお願いを申し上げて、答弁を終わらせていただきます。
松野(頼)委員 どうもありがとうございました。終わります。
萩野委員長 次に、一川保夫君。
一川委員 自由党の一川でございます。
 尾身大臣に、今時局の話題として、有事法制関連法案がこれから審議されようとしておりますけれども、この沖縄北方特別委員会の中では、常に、平和の問題とか安全保障の問題とか、あるいはまた沖縄県における米軍専用施設等の問題が話題になる特別委員会でもございますので、私は、沖縄県というのはそういう面では、特に平和に対しては大変敏感な県民であろうというふうに思いますし、これまでも大変な御苦労をされてきた県でもございます。我が国の中でもやはりとりわけ平和に対する願いの強い、そういう県だというふうに思います。
 なおかつ、現状では、先ほどちょっと言いましたように、我が国の米軍専用施設なり区域の約七五%が沖縄県にあるという実情ですね。それからまた、これまでのいろいろな歴史的な経緯等を踏まえたときに、沖縄担当の尾身大臣としては、今回のこの有事法制というものについてどのように評価されておるかということと、これから沖縄県民に対して、こういう法案の内容について、どういう思いで理解を求めていこうとしておられるのか。そのあたりの基本的なお考えをまず確認しておきたいと思います。
尾身国務大臣 この有事関連三法案につきましては、国家の緊急事態に対処するための態勢を整備して、国民の皆様が安心して暮らせる国づくりを推進するということでございます。これによりまして、緊急事態に当たって国及び国民の安全を確保するとともに、我が国に対する国際社会の信頼を一層向上させ、国際協調を進めていくための基礎ともなるものと私は評価をしている次第でございます。
 そういう中で、沖縄県民の皆様に対しましても、この有事関連三法案につきまして御理解と御協力をお願いしたいと考えております。
    〔委員長退席、松岡委員長代理着席〕
一川委員 私たちは、今回の有事法制の中身については、これから国会の特別委員会等で鋭意議論を深めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、現状の各都道府県知事なり一般の国民の方々の認識が、まだどうもちょっとそこまで熟度が達していない、そういう感じを率直に受けます。そういう面では、これから関係閣僚の皆さん方、それから特に沖縄県を担当する大臣とされては、やはり相当しっかりとこういう認識を持っていただくような、まあ、いろいろな動きがない限りは、余り急いで、国民のコンセンサスが中途半端なままにこういう法制を急ぐということは、大変問題があるのではないかという感じもいたします。
 我々としましても、これからの非常に大事な法案でもございますので、しっかりと議論しながら対応してまいりたいと思いますけれども、沖縄県のこれからのいろいろな課題ということを考えてみた場合でも、今回、この法案も非常に関連が深いような気もしますので、尾身大臣におかれても、そのあたりを十分御認識の上対応していただきたい、そのように思います。
尾身国務大臣 治にいて乱を忘れずというふうに総理もおっしゃっておりますが、私は、泥縄という言葉があるわけでございますが、泥棒を見て縄をなうと。この法案は、泥棒が来ないうちに縄を準備しておこうということでございまして、平時はそういうことを考えないでおいて、何か一たん事があったときに国が何かをしようと思うと、これは泥縄ではないかという批判を受けることがたびたびあるわけでございますが、私は、そういう意味で、平時において緊急事態に対応する態勢を整えておくということは国家として大変大事なことであるというふうに考えているわけでございます。
 私はこの点について、今後とも、沖縄県民の皆様も含めまして、国民の皆様の御理解をいただきたいと考えている次第でございます。
一川委員 では、話題を変えさせていただいて、私は、沖縄のことを考える場合に、もちろん沖縄本島のこととか石垣とか宮古とかという主要な地域のことはすぐ頭に浮かびますけれども、たくさんの離島があるわけですね。離島にも当然そこで生活している方々がいらっしゃるわけです。この離島で生活している皆さん方の利便性なりこれからの産業の振興なり、また老後の生活のそういう対策といったようなことを考えてみた場合に、離島間のいろいろな交通のネットワークをしっかりと整備しておくということは大変大事じゃないか。
 それはコストの面では、非常に割高になるとか、いろいろな課題があろうかと思いますけれども、我々が沖縄に行って思いますのは、そうかといって、海はどこを走っても安全かといったら、そういうものじゃないと思うんですね、あそこは。やはり、いろいろなサンゴ礁が割と浅瀬にあったりして、船でなかなか寄りつけないところもたくさんあるわけでございます。
 そういう面では、海上交通の安全性なり安定性といいますか、そういう観点からも、しっかりと見直すところは見直しをして、海上交通なり、また飛行機でのそういう交通ネットワークというものをしっかりと整えておくということは大変大切だというふうに思いますけれども、そのあたりについてどのようにお考えでしょうか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、沖縄は本土から大変遠隔の地にございます。また、県を構成しております島は大変広大な海域に点在をしておるという地理的な特殊性がございます。御指摘のとおり、そういう意味では、離島間を含めた交通ネットワークの整備が非常に重要な問題であるというふうに我々も考えております。
 沖縄が本土に復帰をしまして以来、三次にわたる沖縄振興計画が実施をされてまいりました。このための諸事業といたしまして、これまで、例えば十三の空港でありますとか四十一の港湾、それから十五の離島架橋を完成させるといったことで、県民生活の向上であるとかあるいは経済活動の進展に大きく寄与をいたしまして、着実にその成果を上げてきているところでございます。
 現在検討中の新たな沖縄振興計画のもとにおきましても、こういった沖縄の地理的な不利性の克服に向けまして、特に離島間のそういった交通ネットワークといったものにも十分配意をしながら、地元の要望を踏まえて、引き続きそういったネットワークの整備に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
一川委員 この問題は本当に、かかわる住民の皆さん方の数は少ないかもしれませんけれども、私は大変大切な問題だと思いますので、しっかりとした対応をお願いしておきたいというふうに思います。
 それから次に、普天間飛行場問題というのはよくこの委員会でも話題になりますけれども、普天間飛行場の移転問題に関連して、沖縄本島の北部地域に対する振興策ということが、平成十一年ですか、閣議決定等に基づいて、いろいろと積極的に予算手当てがなされてきておるというふうに聞いております。
 しかし、最近になって、一方では、年間約百億ぐらいの北部振興経費的なものが本当に十二分に活用されているのかどうかというところが、ちょっと気になるような話も聞く場合がございます。これは中身的には私は詳しく承知しておりませんけれども、公共的な、そういうものに約半分近く、あと半分近くは非公共的なものに使われているというふうにお聞きしておりますけれども、これは現状はどのように使われていて、北部振興策の本来の趣旨に照らし合わせて、物事が順調に進んでいるのかどうか、そのあたりをまず説明していただきたいと思います。
安達政府参考人 お答え申し上げます。
 北部振興をスタートいたしますときに、個別案件を直ちに検討していくということでなくて、しっかりとした判断基準を持とうということで、北部の皆さんを中心に相当議論をしていただきまして、平成十二年八月にそれを、かなり大部のものでございますけれども、北部振興並びに移設先及び周辺地域振興に関する基本方針ということで、北部振興協議会等において決定がなされました。事後、この基本方針に基づきまして、個別の事業の協議、採択が行われてきたわけでございます。
 それで、ちょっと数字で申し上げたいと思いますが、平成十二年、十三年の実績でございますが、非公共につきまして見ますと合計四十事業、それから公共事業につきましては合計三十三事業、調査事業もございますが、合わせて七十三の事業を進めてきておるところでございます。
 予算の消化状況でございますけれども、非公共につきましては、五十億の枠に対して、十二年度四十九億七千七百万円、十三年度四十九億四千八百万円ということで、目いっぱい使われておるわけでございます。公共事業につきまして見ますと、十二年度が三億円余、十三年度が十七億円程度ということでございます。
 ただ、この背景といたしまして、非公共の場合は単年度の事業が多いわけでございますが、公共事業につきましては多年度にわたる事業が多うございます。そういう結果、スタートアップの段階での予算は小さいというわけでございますが、将来的に全体としてどのぐらいの事業規模になるかということについて、この両年度に採択されました公共事業の総事業費の見通しで申し上げますと、予算ベースで百二十二億円ということでございまして、二カ年度の規模として見れば、むしろ百億円を超えておるというような状況でございます。
 以上でございます。
一川委員 ちょっと今わからない点があったんですけれども、公共事業の部分というのは、金額的にはえらい少ない御説明だったんですけれども、スタートの時点ではまだ公共事業が軌道に乗らないというような趣旨の説明ですね。
 これは、百億のうちの約五十億を公共事業に振り向けるということですよね。これは、通常の制度で動いている公共事業をこの予算の枠でカバーしていく、一種のアクセルを踏むというような感じで促進的な予算だというふうに理解をするのか、別枠でこれをやるのかというところがちょっとわからないんですけれども。
    〔松岡委員長代理退席、委員長着席〕
安達政府参考人 沖縄全体の公共事業、これは北部で行われたり、あるいはその他の地域でも行われるわけでございますけれども、それとは別にこの五十億円が配慮されるというものでございます。
一川委員 別枠ということであれば、やはりそういった予算を計画的に有効に活用するという面では、何か十分体制が整っていないんじゃないかなという感じがいたします。
 せっかく北部振興策という中で北部地域が、沖縄本土の中では特にまだまだ自然が残っている地域でもありますし、沖縄本島の、どっちかというと水源地域、南部に水を供給している水源地域でもありますし、また農林水産業も割とまだ残っている地域だというふうに思いますけれども、そういった特殊事情をしっかりと念頭に入れた中で、もっと計画的に、なおかつ積極的にそういうものに対応するというのは、今の説明を聞いている限り、どうも北部振興策の本来の趣旨が十分に生かされていないんじゃないかという感じも受けるわけですけれども、これからの将来に向けての基本的な展望とか考え方をもう一回お聞かせ願いたいと思います。
安達政府参考人 先ほど御説明いたしましたように、公共事業につきましては、ややスタートがおくれたということは事実としてございます。
 そして、今後でございますけれども、先ほど触れました基本方針の中で、一体どういう北部振興を目指すのか、ポイントになる考え方として、産業の振興及び雇用の拡大、定住人口の増加につながる事業、多様な交流や情報発信を促進する事業、そして人と自然が共生するための環境保全・創出につながる事業、こういったものを北部の総意として優先させていこうという考え方でございます。
 また、個々の事業案が真に北部にとって有効になるために考慮すべき事項ということで、事業の費用対効果が適切と判断できるかどうか、また、単に施設を、箱物をつくるということでなくて、この施設をつくった後の活用の仕方、運営のされ方、そういったものに現実的な計画ができているかどうか、そういったことをこの協議会においてしっかりと検討していくということで進めてきているわけでございますし、今後ともこういった方針でしっかりと対応してまいりたいと思います。
 ちなみに、これまで進めてまいりまして、既に具体化してきましたものとして、名護市におけるIT産業の基盤となる施設整備、これは完成いたしまして、約二百名弱の新規雇用が創出されました。また、宜野座村におきましても、同じくIT関係のサーバーファームが先般完成いたしまして、差し当たって九十名の雇用が創出され、十六年度までには四百四十人程度の雇用規模になるというようなことでございます。
 こういった形で、北部振興事業、特に雇用創出というような地元の強い期待がございますので、今後とも、この予算が有効に使われて、こういった事業が具体化していくように、私どもも全力で取り組ませていただきたいと思っております。
一川委員 年間百億という予算は、私は非常に、沖縄県の今の実情からすると、割と額の大きな予算だというふうに思いますし、そうかといって、課題がたくさん残されているわけでございますので、しっかりと有効な活用をしていただかないと、また後々いろいろな面で批判される危険性もございますので、しっかりとした対応をしていただきたい、そのように思います。
 そこで、大臣に、今のやりとりをお聞きになったと思いますけれども、沖縄における米軍専用施設の移転に絡んでのこういう周辺地域の振興策あるいは基地を抱えている町村の振興策とかいうことはよく聞く話ですけれども、直接米軍基地等を持たない沖縄県内の市町村の振興策というのは割と話題にならないケースが多いんです。これはこれとして当然忘れてもらっちゃ困るということでございますので、そのあたりに対する基本的な大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
尾身国務大臣 今回の沖縄振興特別措置法におきましては、新しい沖縄の振興計画に圏域別の振興に関する事項を定めることとしておりまして、現在、県が原案を策定中でございます。
 この新しい計画に基づきまして、政府といたしましても、各市町村の課題や状況を十分踏まえながら、産業振興や雇用の確保、社会資本の整備など各地域での施策の展開を支援し、基地のない市町村の振興につきましても十分配慮いたしまして、地域間のバランスのとれた振興を図るというのが私どもの基本的な考え方でございます。
一川委員 それでは、最後になりますけれども、これも大臣にお聞きするわけです。
 私たちも那覇空港をよく使わせていただいておりますけれども、那覇空港というのは御存じのように沖縄県の中心的な空港ですけれども、沖縄県が本土に復帰して以来三十年、この間に沖縄県の人口というのはトータルとしては相当順調に伸びてきていますし、いろいろな面の投資がなされてきたということもあって、航空の運送需要というものが相当ふえてきているわけですね。そういうことを受けまして、那覇空港が非常に混雑化してきておる。専門的な見方の予測によると、あと十年もすればもう限界に来るんじゃないかというようなお話を聞くことがございます。
 この那覇空港というのは、当然、これからの沖縄振興策の大きな柱である観光という面でも大事でございますし、沖縄県内のいろいろな産業振興という面にとっても欠かせない拠点空港でもありますし、また沖縄県民の皆さん方が県内をいろいろと移動するという面でも非常に活用される飛行場でもございます。
 現地へ行くと、あの周辺、いろいろな構想があるというふうには聞いておりますけれども、もうそろそろ具体的に、那覇空港というものをいつごろを目標にしてどういう規模に拡充するかということをしっかりと大臣もお話しされた方がよろしいんじゃないですか。どうですか。
尾身国務大臣 那覇空港は、国土交通大臣が設置、管理します第二種空港でございまして、我が国全体の航空ネットワークの上におきましても、南の方の拠点空港として今後とも重要な役割を果たすと期待をしているわけでございます。
 十二年度の年間の離発着回数でございますが、約十一万回、年間の乗降客数は千百万人に達しておりまして、沖縄県の調査によりますと、平成二十二年度ごろには、この回数が約十四万回で、空港はキャパシティーが限界に達するというふうに見られているわけでございます。政府におきましても、十一年度から、長期的な航空需要の予測、対応について検討を進めているところでございます。
 平行滑走路の整備の拡張計画等につきましては、今後のこういう状況を踏まえまして重要な課題であると認識をしておりまして、私どもといたしましても、国土交通省と連携をしつつ、この推進に向けて鋭意取り組んで、万全を期していきたいと考えているところでございます。
一川委員 ぜひ具体的なスケジュールのもとで着実な推進を図っていただきたいというふうに思います。
 そこで、ちょっと以前にもお聞きしたというか、この委員会で聞いたんじゃないんですけれども、那覇空港というのは今共用空港だと思うのです。沖縄が本土に復帰する当時こういうことが議論になったというふうにもお聞きしましたけれども、完全に民間空港に那覇空港というものを切りかえていくというような趣旨のやりとりがあったというふうにも聞いたこともありますけれども、尾身大臣としては、那覇空港というものを、将来民間空港として完全にフル回転できるような体制に持っていきたいなという思いというのは何かございませんか。
尾身国務大臣 この那覇空港は、国土交通大臣が設置、管理する第二種空港でございますが、その運用は国土交通大臣と防衛庁長官の協定に基づいてなされているというふうに聞いております。
 那覇空港は、南の拠点空港として重要な役割を果たすべき空港でございますが、そのあり方につきましては、将来、民間航空需要の動向やあるいは防衛機能のあり方等、全体的な観点から検討すべき課題であると考えておりまして、内閣府といたしましては、今後とも、国土交通大臣と防衛庁長官との協議あるいは調整に基づいて、円滑にこれが運用されるよう期待をしているところでございます。
一川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
萩野委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 私は、沖縄振興策と、それから政治家の介入疑惑について取り上げていきたいと思います。
 沖縄振興策は、さきの沖縄振興新法でも論議を交わしたところでありますが、沖縄県民は、産業振興の最大の障害、県民生活の大きな負担、これに米軍基地の問題があると考えております。二十一世紀は、本当に沖縄に米軍基地のない状態をつくってこそ、自分の足でしっかり立てる産業の振興も可能になっていくだろう、このように考えてまいりました。
 同時に、政府の沖縄に対する振興策は、あの戦争で唯一住民が住む島で地上戦が繰り広げられた問題、米軍の直接占領下に置かれ、社会資本の整備その他、社会、経済、文化、あらゆる分野にわたって本土との大きな格差をつくり出した問題、それらの諸問題について、政府は沖縄に対して償いの心を持ってその沖縄振興策に当たる、このようにとらえられてまいりました。私も、このことは今日大変重要な立場だと思うのです。
 沖縄の振興策に国策のひもをつけない。国策の犠牲になった島の産業や経済の振興を考えるときに、さらに一層の国策を受け入れなければ振興策の予算もあり得ない、このような態度をとることは、沖縄の経済振興をおくらせ、産業の発展をおくらせ、いつまでたっても自分の足で立つことのできない経済、このようになってしまうと思いますし、沖縄を本当に考えれば考えるほど、やはりこの問題についてきちんと思いをはせていかなければいけない、私はこのように考えております。
 ところが、近年、沖縄で県民の米軍基地に対する縮小、撤去の世論の高まりの中で、沖縄で、国策を受け入れなければ沖縄の振興策はあり得ない、おくれる、このような宣伝が政府の側から大々的にやられるようになりました。
 実は、近いところでも、鈴木宗男氏が沖縄開発庁長官のときに、これは参議院の沖縄北方特別委員会での一九九七年度の議論で、当時の鈴木開発庁長官は、国策、国益というものはそれなりの配慮があってしかるべき、政府予算の傾斜配分は民主主義にのっとった公平な判断だ、このような立場を繰り返し表明しました。
 ちょうどあの沖縄県名護市で住民投票が行われているときに、その名護市に乗り込んだ鈴木沖縄開発庁長官は、国策を受け入れる地域には税金の傾斜配分は当然だ、このように言ったわけであります。裏を返せば、国策を受け入れない地域に特別な振興策など考えてやらないぞ、こういう脅迫にもつながっていたと思います。ちょうど海上基地が沖縄で大問題になったときに基地と振興策がリンクした議論が始まり、一九九五年、少女暴行事件の発生によって基地への怒りに燃えた沖縄県民に、基地か振興策かという問題の突きつけ方が始まっていったなというぐあいに思います。
 一方、沖縄でそういうことがありながら、鈴木氏は、例えば県道一〇四号線の実弾砲撃訓練場、これを北海道矢臼別に移転するに当たって、北海道の三つの自治体の首長さんに対して矢臼別演習場への移設受け入れを強要し、押し切った。そういう過程の中でどんなことが起きたかというのは、今回の予算委員会でもるる明らかにされました。
 こういう中で、沖縄で基地を受け入れたら、先ほども一川議員の質問にも答えておられましたが、通常の公共事業の予算とは別枠で特別振興策、こういうのが組まれるようになっていって、その最初の始まりが組踊劇場の予算であるわけです。沖縄特別振興策として、つまり基地の契約の代理署名をめぐって政府と沖縄県が激しく対立をしていたときに持ち込まれたのが沖縄特別振興策の予算であり、そのときにスタートをしたのが組踊劇場でした。組踊劇場は、長いこと沖縄県民が要望していたにもかかわらず実らず、やっとこの予算がついたときに実ったということであります。
 そして、それが事業がスタートをしてきますと、組踊劇場の受注の経過でいろいろな疑惑が出てまいります。一つは設計業者の受注です。これは、当国会でも、決算監視特別委員会や国土交通や、その他の委員会でもしばしば取り上げられてまいりましたが、当時の鈴木宗男沖縄開発庁長官の後援会の事務局団体を請け負っている企業が設計の受注業者になっていく。献金もちゃんと行われている。当時、鈴木長官は、正規の手続を経てもらった献金、やましいことは何もない、こういうことをマスコミの求めに応じて答えております。
 それから、工事を受注している企業についても調べてみましたら、鈴木宗男氏関連の後援会や二十一世紀政策研究会、政党支部への献金が、仲本工業が百二万円、國和設備工業七十二万円、永山組六十二万九千二百六十五円、ヤシマ工業十二万、それから先ほどの、後援会の事務局を請け負っているという設計企業、総合計画設計室六十万円で、組踊劇場の設計、建築にかかわって、五社から三百八万円の企業献金を鈴木氏がいただいているわけですね。
 私は、ここには北方問題と同じ疑惑の構造があると思うのです。沖縄問題に、基地を受け入れたら特別な振興策をふやすのだということを開発庁長官になる前からずっと言い続けて、政府をその方向に動かして、特別振興策という五十億円の枠組みの予算をつくらせた。その予算の開始に当たって、建設に入りました組踊劇場について、設計企業からも建築受注企業からも政治献金が鈴木氏に回っている。こういうのは、やはり組踊劇場には鈴木氏の大きな影響力が働いていると私は思います。
 この問題について、設計受注企業を選ぶ問題、それから建設企業を選ぶ問題、入札が公平に行われたということが、そういう説明では済まないと思うのですね。やはり何らかの働きかけが、この組踊劇場にも鈴木宗男氏からあったと考えるのが当然だと思いますが、いかがですか。
尾身国務大臣 沖縄における公共事業につきましては、沖縄振興開発計画に基づく事業として、内閣府で予算を一括計上いたしまして、その後、これを各省庁に移しかえて執行しているというものでございます。
 公共事業の発注業務につきましては、内閣府ではなく、それぞれの事業の所管省の指揮監督のもとで、内閣府の地方支分部局である沖縄総合事務局が、各省の地方支分部局としてこれを実施しているところでございまして、内閣府設置法上、内閣府の指揮監督のもとにないというふうに理解をしております。
 組踊劇場、いわゆる国立劇場おきなわの建設に関しましては、予算は内閣府で一括計上をいたしましたが、これは文部科学省、文化庁でございますが、予算を移しかえ、そして文部科学省から国土交通省、旧建設省の官庁営繕部長へ支出委任という形で委任をされました。その支出委任された現実の業務は、沖縄総合事務局の開発建設部営繕課において事務を執行するということになっているわけでございます。
 そういうことでございまして、内閣府として、このいわゆる発注業務等については直接かかわっていないということを申し上げさせていただきたいと思います。
赤嶺委員 私は、尾身大臣に伺いたいのですけれども、沖縄振興策と呼ばれる予算で疑惑が持たれるような事態があってはならないと思うのです。沖縄振興策というのは、あくまでも沖縄の地域経済の発展、振興のために、その公正さを確保すべきであります。
 私は、沖縄担当大臣として沖縄振興策に最大の責任を持っている尾身大臣が、組踊劇場について改めて、関係省庁も含め、そのイニシアチブを発揮して、当時の鈴木沖縄開発庁長官、疑惑を持たれている問題についてやはり調査をすべきだ、そういうイニシアチブを発揮すべきだと思いますが、いかがですか。
尾身国務大臣 先ほども申しましたように、組踊劇場の問題につきましては、当時の沖縄開発庁に予算は計上されたと思いますが、その具体的な執行は事業担当官庁によって行われたということでございまして、沖縄問題を担当する、その引き続きの仕事をやっております私どもの方といたしましては、直接私どもの業務でない公共事業の発注でございますので、それについて調査をするとかなんとかいうことは、私どもの行政機関としては適切な役割ではないと考えている次第でございます。
赤嶺委員 それでは、組踊劇場の用地選考の問題について伺いたいと思います。
 これは質問も通告してありまして、十分内閣府の方で答えられる、沖縄担当の方で答えられるということでありますので、ぜひ、しっかり答弁をしていただきたいと思うのです。
 実は、組踊劇場の用地についても大きな疑惑が指摘されているのですね。
 組踊劇場は、激しい誘致合戦の末に、沖縄県内で八つの候補地から、現在建築が進められております浦添市の小湾と、それから那覇市の天久新都心、この二カ所が沖縄県で候補地として選ばれて、そして国の方に挙げられ、推薦を受けました。国は、文化庁が沖縄開発庁と一緒になりまして、九七年、平成九年十二月二十日に設置場所を浦添市小湾と決定しております。同地には拓南製鐵という沖縄の優良企業が立地しており、そしてその工場が移転した後、工場跡地ということになっている場所でございました。
 この小湾に場所を決定したときの大臣は鈴木宗男大臣であります。沖縄県から当時、その二カ所、浦添市小湾、那覇市天久の二つを国に持ってきた、その当時は大臣は鈴木さんではありませんが、沖縄県の副知事は、こちらにいらっしゃる東門副知事さんでありました。
 それで、国において、小湾に決まったということになった最大の理由は面積だと言われております。私は、那覇市天久も遜色はないのではないかということで、沖縄県がどんな評価をしたのか、平成九年五月二十日の、沖縄県の第四回誘致推進検討委員会、建設候補地の絞り込み状況という評価の表を見てみました。
 ここでは八カ所が挙げられておりますが、便宜上二カ所について言いますと、小湾地区と那覇市天久の新都心を比べてみたら、小湾地区が近隣相乗で三角、許容範囲ということではありますが、三角。そして、あとは全部、新都心と小湾地区は同評価であります。
 特に、面積が決定的になって小湾に決まったといいますけれども、新都心も、面積の評価については小湾地区と同じ丸。よい。面積に、非常によいの二重丸と、よいの丸がありますが、両方とも丸なんです。つまり、広さは小湾があるかもしれないけれども、組踊劇場の適地規模として天久新都心も小湾地区も大体同じ評価を受けているんですね。なぜ、同じ評価を受けているにもかかわらず、それが面積が理由になって小湾に決まっていったんでしょうか。大変疑問であります。
尾身国務大臣 国立劇場おきなわの建設予定地は、沖縄県からの推薦に基づきまして、有識者の現地視察における意見等も参考にいたしまして、当時の沖縄開発庁及び文部省において決定したものでございますが、その決定に当たっては、特段問題があったという事実は承知しておりません。
 あえて、いろいろなことを今先生がおっしゃいましたので、その当時の検討委員会の検討項目の内容等について私が聞いておりますところを申し上げますと、用地面積につきましては、小湾地区の方が最大で三万六千平米、天久新都心地区は最大で二万平米ということで、天久新都心よりも十分な駐車場面積を小湾地区の方が確保できるのではないかという点が一点。
 それから近隣の状況につきまして、天久新都心地区には近隣に住宅や学校が建設予定のため、劇場の催し事やあるいは観客の集散等に対する苦情が発生するおそれがある、小湾地区はそのような事情にないというような点が二点目。
 そのほか、交通の利便性とか観客の確保とか周辺施設との連携とか、いろいろなことがございますけれども、大きく言いますとその二点を一つの決定のポイントと考えて小湾地区の方に決定をしたというふうに伺っておりまして、その選定について特段問題があったという事実は、私どもとしては承知しておりません。
赤嶺委員 国の評価は、例えば近隣の状況について天久が掛けるになり浦添市小湾が丸になっておりますが、へんぴで離れた小湾、そして、軍用地が開放され新都心として新しい開発が入り込んで、博物館や文化施設それから埋蔵文化財センター、そういう立地が予定されている天久、集客力はどこが持つか、沖縄の人から見れば一目瞭然でありますから、県の評価は天久の方が上であります。ところが、学校が近くにあるから、騒がしいからといって国の評価は下になる。
 さらには用地面積についても、三万平米と言いますが、三万平米というのは拓南製鐵の跡地であって、本当に組踊劇場について、適地規模からすれば天久もそれを満たしているというのが沖縄県の評価です。皆さんは満たしていないと言っています。適地規模について、どのようにそれが合意をしていったのか、その議事録その他について提出できますか。
武田政府参考人 先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、沖縄県から二カ所、天久それから小湾地区の推薦を受けまして、国の方におきましては、国立組踊劇場の在り方に関する調査研究協力者会議というものを設置いたしまして……(赤嶺委員「出せるか出せないかを言ってください」と呼ぶ)ここで御議論されたわけでございますが、その結果は、情報公開ということでマスコミに、各項目について、先ほどありましたように面積その他、環境も含めて公開をいたしておるところでございます。
赤嶺委員 これでは非常に不十分です。何で沖縄県で丸で国で掛けるになったのか。どうして適地規模を天久も小湾も持っていたのに、国にいったら天久が掛けるになるのか。その辺が全く不可解です。きちんとしたものを出していただくことを要求したいと思います。
 それで、浦添市小湾に決まったわけですよ。ところが、浦添市内でどこを希望していたかというと、浦添市小湾じゃないですよ。皆さんも御承知のように、浦添市前田なんです。浦添市前田には、組踊劇場の創始者である玉城朝薫の墳墓があり、そしてそこにはちゃんと公有地が残っており、適地の空き地もあるわけです。そういうところも無視されて、浦添の市議会では、前田を希望していたけれども何で小湾に決まったのか、その理由を聞かせてほしいという論議が盛んにやられているんですよ。
 浦添市議会の議事録を丹念に読んでみました。それは、浦添市が自主的に場所を小湾に変更したのではなくて、小湾が有力だというある情報が入ったからです。それは、場所の確定は政府ですから、やはりそこで小湾に変更していくという過程があるわけですね。小湾は拓南製鐵の用地です。天久は公有地です。浦添市前田も公有地です。拓南製鐵の土地が坪五十万で買われています。へんぴなあの地域が商業地域と同じような値段です。ここにも大いに疑問があるんです。
 それで、もう時間がありませんので、先をはしょりますけれども、その土地売買の契約が終わった後、拓南製鐵から政治家に対して多額の献金がいっているんですね。
 拓南グループからの政治家の後援会への献金について調べてみましたら、九六年から二〇〇〇年までの間に鈴木宗男議員に五十二万円、下地幹郎議員に千五百六十万円、山中貞則議員に一千万円、稲嶺県知事に三百万円。そして、組踊用地として売った二〇〇〇年のときの献金が大幅にふえて、その年だけで下地議員に千百五十万円、山中議員に一千万円、稲嶺知事に五十万円、鈴木議員に二十八万円となっています。
 有力用地がありながら、しかも所管大臣である鈴木宗男沖縄開発庁長官まで献金をいただくような関係のある企業、一千万円という莫大な献金をいただく、そういう企業の献金によって決まった、こういう疑いを持たざるを得ないんです。そういう意味でも、これは疑惑を晴らすという点でも、もう一度場所の選定について、大臣は調査すべきだと思いますが、いかがですか。
尾身国務大臣 この用地の決定につきましては、国は、二つの用地の推薦を沖縄県の方から受けて、その沖縄県の推薦に基づいて二つのうちの一つを選んだわけでございまして、浦添の中で小湾地区ともう一つの地区の決定をどちらにするかということについての決定は県の方でやったわけでございまして、その御質問をされるのならば、むしろ県の方に聞いていただくのが筋かと思います。私どもの方は、その二つの案を県から推薦を受けて、そのうちの一つに決めたわけでございます。
 献金について、私はその実態も調べておりませんし、献金についてそれがちゃんと公開されているわけでございますから、それは沖縄の皆さんも含めて国民全体が、内容がどうであったかということを数字をきちっと見るわけでございますから、それに基づいて御判断をしていただくのが民主主義のルールかと思います。
赤嶺委員 大臣、勘違いしているんですよ。ですから、こちらにいらっしゃる東門委員が副知事時代に沖縄県から浦添市小湾、そして那覇市天久、二つを国に持ってきたということを私は説明しているんですよ。
 県に聞けと言うなら、私の言ったことの繰り返しを大臣は言っているだけで何の意味もなくて、ただ私は、浦添市においても小湾に決まる過程の中で、実は自発的に決めたものではない、どこか天の声があって、そして前田が小湾に変わったという疑惑も市議会では議論されている、そういう中で地権者である企業から多額の献金が当時の開発庁長官である鈴木氏を初め自民党の政治家に渡されている、これでは疑惑を持って当然じゃないか、強く調査すべきだということを要求したのであって、大臣のは答弁にもならないということを指摘申し上げまして、強く調査することを要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
萩野委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 一九七二年の復帰後、三次にわたる沖縄振興開発計画は沖縄を大きく変えました。約七兆円の国からの膨大な資本が投入され、教育施設の整備、橋、道路、港湾などインフラ面では、その整備状況は本当に目をみはるものがございます。県立高校の不足のために高校進学がかなわなかった、そういう復帰前の世代に比べて、今の沖縄の子供たちは、オープンスクールのモダンな校舎で、プールや図書館が整備された、ある意味では恵まれた環境の中で勉強しております。道路、港湾、空港等の整備も、全国平均を上回る項目も少なくないと思います。
 ただ、このようなインフラ面の整備に比べて、沖縄の人々の経済的な苦労はまだまだ続いていると言えます。今年度から新しい振興開発計画が始まるわけですが、それについて論議する前に、三次にわたる計画の総括みたいなものから行いたいと思います。
 まず第一点目なんですが、約七兆円と本当に莫大な資本投入が行われたのに、沖縄に産業が育たなかった。その育たなかった理由は、大臣、どのようにお考えでしょうか。三十年、それだけ国から資本をかけて沖縄にいろいろな整備をしたのに、なぜ今もこのような状況か。いわゆる所得も全国の七割程度、そして失業率も二倍という状況がずっと続いている。その理由は何なのか、お聞かせいただきたいと思います。
尾身国務大臣 私自身も、この職について以来、過去三十年間にこれだけの資金を投入して、格差是正ということを旗印にして沖縄振興を図ってまいりましたが、なおかつ本土比七二%、そういう状況になっているということについて、今のなぜだということについて、ずっといつもいつも考えているわけでございます。
 観光とかあるいは特産品関係の農業とかいう点では沖縄は大変進んでおりますけれども、製造業の分野等々においては、基本的な基盤がもともと余りなかったという大きなハンディキャップもございまして、そういういわゆる製造業的な産業がまだ育っていないというのが実情であるかなというふうに考えております。
 そういう中で、やはり私は、いろいろな面における研究開発とか技術開発、そういう点に手をつけていかないと、沖縄の基本的なハンディキャップを克服することにならないというふうに考えまして、その一環として、沖縄の大学院大学、自然科学系を考えて、ここに一つの大きな活路を見出したいというふうに考えている次第でございます。
東門委員 大学院大学構想、私はとてもすばらしいと思います。ぜひ大臣のお力をおかりして実現させていただきたいと思います。
 今御答弁いただいたんですけれども、インフラ整備は本当にかなりうまくいっていると私は思いますし、ある意味では全国平均も上回っているところもあるということなんですが、しかし、インフラ整備というのは、やはり言ってみれば産業の基盤整備でもあったはずなんですね。ところが、これだけをインフラ整備に投じて、今また同じ質問になるのかもしれませんが、やはり気になるのは、どうしてそれが直に産業に結びつかなかったのかというのがとても不思議なんです。
 今大臣は、技術開発、研究開発等のお話もなさいましたけれども、近年、結構県内でも、県庁の方で音頭をとってそういう方向に向かっているんですが、ただ、今回の振興新法のスタートである意味では期待をするものの、本当に今のままでいけるのかな、産業が育ってくるのかな、三十年間でできなかった原因が本当はどこにあるのかということを、国は、大臣を初め担当の方たちはどのように考えているかどうしても知りたい。そういうことをずっと思っていたもので、そこを、なぜインフラ整備が産業に結びつかなかったのか、もう一度お願いいたします。
尾身国務大臣 沖縄経済を引っ張っていくような、例えば製造業の分野で大きな企業が歴史的に沖縄になかったということもあろうかと私は思います。ですから、実を言うとそれの中核になるようなものとして、バイオを中心とする大学院大学をつくって、その周辺に関係の企業の研究所などを集め、そのことによって、それにいろいろな、例えば資材を供給するとか修理をするとか、そういうビジネスを周辺としては起こして、その修理をする中で新しい技術を学び育てていく、新しい中小企業を育てていくというようなところからスタートしていかなければならないのではないかというふうに考えております。
 そういう意味で、私は、これからできる国立高専がすそ野の広い技術を若者に教える、そういう人材を育て上げていくということについては、実は大きく期待をしているわけでございます。そういうすそ野の広い技術を持った人たちが大勢ふえて、そこで新しいビジネスが起こって、例えば一つの機械とか設備にしても、本土から買ってくるのではなしに、本体は買ってくるにしても、その修理は沖縄でやれる、そういうようなことから徐々にスタートして技術力のすそ野を広くしていく、強くしていくということが、沖縄全体として、雇用の確保を図り、かつ新しいベンチャーなども起きてくる、そういうことの契機になるかなというふうに考えております。
東門委員 国立高専が設置されるということ、そして大臣のおっしゃる大学院大学、やはり人材をどんどん育てていくというのはすごく大切なことだと思いますし、ぜひやっていただきたいというものはあるんですが、しかし、それにはやはりある程度の年限がかかりますね。
 この振興新法、十年という時限立法的なもので、その間に本当に沖縄の産業が育ち、目指している自立経済、そういうものが構築でき、期待できるのでしょうか。そのために、人材の育成はさておき、それ以外に国として、こういう産業をしっかりと起こすことによって、もちろん県との連携はあろうと思いますが、こういうことをすることによって沖縄の産業はしっかりと伸びていくんだという、何か具体的なものがありますか。
尾身国務大臣 私は今度、連休にアイルランドに行ってまいります。アイルランドは二十年前の一九八〇年ごろは失業率二〇%で、どんどん若者がアメリカやヨーロッパの方へ流出していって非常に困った。そういう状況の中で金融特区をつくり、外国の企業を誘致して、税制面での非常に恩典を出すような事業をいたしまして、今は物すごい勢いで外国企業の立地を中心として産業が活性化しておりまして、失業率三%、ほとんど完全雇用の状態になっておりますし、それから、外からの人材流入が、外へ出ていった方々が戻ってくるというような現象が起こっております。今、ヨーロッパの国の中で、あそこは人口四百万くらいでございますが、一番急速に発展をしている国になっております。
 ですから、十年でできるかどうかは別として、私は沖縄についても、施策よろしきを得れば必ずそういう状況になり得る、そういう潜在的力は持っているというふうに考えておりまして、それをどうやって発揮させるかということがこれからの課題である。
 ただ、機械的な、機械というのは、機械産業のような面のポテンシャルを上げるのよりも、当面、世界の最先端で大きく発展が期待されているバイオ関係の方が長期的にはいいのではないかというふうに考えまして、大学院大学もその分野の、特に融合領域、化学、生物、それからコンピューター、物理というような分かれた分野ではなく、それらをみんな融合させたような分野の世界最先端の研究をし、そしてそこから新しい人材をつくっていきたい。そしてまた、それを支える沖縄経済というものが、それを中心として、大学院大学を中心として発展をしていくことができるのではないかというふうに考えている次第でございます。
東門委員 大臣のお話を伺っていますと、何か夢が持てるような期待感を大きく感じます。ぜひそれは頑張っていただきたいです。とは申しましても、沖縄の失業率、今アイルランド二〇%というお話がございましたけれども、沖縄の失業率というのは本当に、なぜでしょう、全国平均の常に二倍で推移しているということですね。特に若者の失業率というのは、もう二倍どころではない、はるかに超えているんです。
 その失業率の高さあるいは若年層の失業率の多さというのは、原因はどこにあると国は見ておられるんでしょうか。沖縄の失業率の高さの原因、特に若者ですね。
尾身国務大臣 これは、簡単に言えば仕事がないということだと思います。
 しかし、私は、今いろいろな、大学院大学を考えたり、情報特区、金融特区を新しい振興法で考えているわけでございまして、そういうことを通じて、若者が失業しているということは、逆に言えば成長の可能性も大変あるということでもありますから、そういう持っているエネルギーを全部うまく発揮させる、そういうことをやはり政策として進めていく、そしてそれは可能であるというふうに考えております。
 もとより、私は、この前もちょっと申し上げましたが、これからの沖縄をつくる主役はあくまでも沖縄の人である、そういう考え方のもとに、政府としてもあらゆる政策を進めて、もっと雇用の場をふやし、若者が夢を持てる、あるいは、アイルランドの例のようにほかからまた沖縄に戻ってくる、そういう地域にしていきたいと考えている次第でございます。
東門委員 これからこういう沖縄にしていきたいというお気持ち、よくわかりますが、どうなんでしょうか、申し上げましたけれども、現在高失業率。沖縄の高失業率というものの解消のためにこれまで、これからのことは今大臣のお話がございましてぜひ期待したいと思うんですが、これまでもずっとこの三十年間高失業率で推移しているわけなんですが、その高失業率解消のために、これまで、過去において国はどういう対策を講じてこられたのか。過去を振り返って、この三次にわたる振興計画の中で国はどういうふうに対応してこられたのか、お聞かせいただきたいと思います。
安達政府参考人 お答え申し上げます。
 正直申しまして、これまでの取り組みは、国においても地元においても不十分であったということであります。
 しかし、近年における取り組みといたしまして、やはり雇用の創出、大臣も申し上げておりますように、仕事をつくるということが極めて重要であるということで、ここ四年あるいは五年という期間で考えてみますと、政府も県も必死になりまして、ITが伸びるぞということで、ITの企業誘致を積極的に進めてきた。
 この結果、平成七年におきまして、沖縄の情報通信産業は、テレビ放送等を除いた数字でございますけれども、九百億円、これが五年後の平成十二年におきましては千四百億円ということで、年率一一%の拡大を示しました。ここによって、具体的な、六十社以上の新規進出がございました。それ以前を申し上げますと、ほとんど進出企業はゼロが十年間続いたわけでございます。
 製造業におきましても、八社は少ないとおしかりを受けておりますけれども、それ以前の数字はほとんど〇社でありました。県外からの工場進出は〇社でございました。しかし、ここ数年においてそういった取り組みを行った。
 また、観光につきましても、テロ事件後影響を受けましたけれども、それ以前の三年間に三百五十万人の観光客を四百五十万人にするということで、三年間で百万人ふやしたわけでございます。
 これらもろもろの対策によりまして、ここ最近の状況でいけば、どんどん拡大してまいります労働力人口をほぼ大部分新しい雇用で吸収できるようになってきたということでございますが、これでも不足でございまして、労働力人口に算入する数以上の就業機会をこれからはつくっていかなければ高率の失業率を低下させることはできないということで、各般の対策が必要であるというふうに認識しております。
東門委員 国として、沖縄の高失業率解消に向けて全力で取り組んでいかれるということだと私は受けとめたいと思います。
 稲嶺知事がいつも、魚ではなくて釣り具が欲しいとおっしゃる。これはある意味では、この三次に及ぶ振興計画の成果というのは出ていると思うんですが、欠点もよく指摘していると思う。今までは、どちらかといえば魚が圧倒的だった、今度は釣り具と。そういうことをぜひ今回の振興開発計画の中に具体的に、こういう釣り具なんだというのを盛り込んでいただきたい。八月ごろには出てくると思いますので、ぜひ具体的なものを盛り込んでいただきたいと思います。
 その中で、先ほど大臣のお話の大学院大学に加えて、前回も私この委員会でお願いを申し上げましたけれども、やはり人材の育成、人材の養成という立場から、沖縄の特殊な事情、そういう状況の中にある沖縄を、しっかりと弁護士としてそういう職務が全うできるような弁護士の養成という意味で、私は、法科大学院をぜひ盛り込んでいただきたいとお願いをしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
尾身国務大臣 法科大学院のあり方につきましては、平成十三年の六月に、司法制度改革審議会の意見書にその方針が示されているところでございます。これによりますと、法科大学院は、平成十六年四月から学生の受け入れ開始を目標にして整備されるべきであるということで、その内容とかあるいは認可基準等、現在、文部科学省で具体的な検討が行われていると承知しております。
 沖縄の琉球大学におきましても、法科大学院の設置検討委員会を設置して、その設置について検討を進めているというふうに伺っておりますが、私自身といたしましても、沖縄振興という観点から、沖縄にも法科大学院が設置されて、将来の沖縄の発展を担う人材がここから大勢出ていくことが大変大事だというふうに考えております。
 したがいまして、今、琉球大学の検討結果を見守ってまいりたいと思いますが、同時に、やはり大いに頑張っていただいていい大学にしていただくということも大変大事でございまして、私自身もまた、そんなに遠くないうちにもう一度琉球大学にお伺いをして、この大学の水準を今よりももっと高めていただくようなことについての話し合いもさせていただきたいと考えている次第でございます。
東門委員 大臣の御尽力、ぜひよろしくお願いいたします。
 時間が五分になりましたので、私は嘉数政務官に一言、通告はしてありませんが、別に問題ないと思いますので、お伺いしたいと思います。
 振興新法の関連ですが、ポスト三次振計というのか、あるいは、今回、振興新法がスタートしているわけですが、その法律のもとで、今後十年間という期限があるわけですが、この新法の目指す沖縄の自立経済、それを構築するという立場、観点から、十年後の沖縄、地元である沖縄をどのように描いておられるか、嘉数政務官の御意見をお聞かせください。
嘉数大臣政務官 お答えします。
 実は、きょう、沖縄振興計画の素案を党の部会で審査をしてまいりました。私も、その案のできるときに強く申し入れをしたのは、この計画の中で十年後をどういう形で描いていくのか、そのことをしっかり入れなきゃだめだという話を実はしてきたところなんです。
 端的に申しますと、今の数字的にはあらわされた部分、これは、例えば、観光客を今の四百五十万から六百五十万にしようという一つの目標を設置する。あるいは、青少年の失業率、これはどうしても本土並みに引き下げていきたい。
 そのために今行っている事業の中でどれがリーディング産業になるかということを考えたら、通信産業あるいは観光産業、そして今一番期待されている金融特区をできるだけ早目にスタートするということが大事だろうということで、しっかりとその部分を支えていきながら、なおかつ今沖縄で一番課題になっているのは、やはり農業生産、水産業。この部分というのは、実は、沖縄の過剰な労働人口を支える一つの基盤に今なっていますから、その部分を、例えば漁業、漁獲高が今二百五十億しかない、それをやはり五百億まで上げる必要があるということで、水産関係は今一生懸命努力をして、その部分を引き上げたいという努力をしています。
 その他、花卉園芸についても、今のままでいくと競争に勝てないということで、実は、農産物も含めて、移動にかかる経費、今一生懸命県で検討していただいていまして、できるだけ他県に、東京に、市場に持ってきたときに、他県の価格と太刀打ちできるようなシステムを早く構築するという努力をしていただいていますから、十年後に、私は、今の沖縄の、簡単に、極端に言えば、補助金、政府の助成金でやっているものを今ずっと減らしていって、少なくとも他県並みの形で運営ができるような県政に持っていけたら、そう思っています。
東門委員 それでは、もう一点お伺いします。
 政務官の地元でもあります名護市に移設が予定されております普天間の飛行場の問題ですが、十五年使用期限、岸本市長はそれが受け入れられなければ撤回もあり得ると申されているんです。その件に関して、今私は政府の方から、どの付近にいるかわからない、次の代替施設協議会がいつ開かれるかもわからないんですが、政務官の立場は多分知り得る立場にあると思うんですが、特に十五年使用期限の問題について、どういう見通しを持っておられるか、あるいはどういう見解なのかをお聞かせいただきたいと思います。
萩野委員長 時間が迫っておりますから、簡潔に。
嘉数大臣政務官 大変難しい質問なんですけれども、政府としての立場で言うことよりは、むしろ沖縄県サイドの立場で申しますと、知事さんは、御承知のように十五年問題というのはどうしても解決しなければいけない課題だということで今取り組んでおられますし、岸本市長も同じ意見で頑張っております。
 したがいまして、政府のいわゆる閣議決定、沖縄県民の意思を十分に尊重しながら、情勢を見きわめて努力をしていきたい、県民の思いを重く受けとめたいという形でやっておりますので、私も、政府の立場からすると、それは当然のことですから、そういう形でいきたいと思うんですが、沖縄県選出の代議士という立場でするならば、その願意ができるだけ早く達成できるような努力はするべきじゃないかというように思っております。
 ただ、これは国と米国という一つの大きな外交の問題ですし、私自身が直接の担当でもございませんので、なかなかはっきりした意見は言えませんが、内閣の一人としてやるのならば、これは当然閣議決定に従って努力をしていく。ただ、できるだけ早目に、それが県民の願意にかなうような方向で頑張っていきたいなと思っています。
東門委員 時間が終了いたしましたので、またこの次にもぜひ御意見をお聞かせいただきたいと思います。ありがとうございました。
萩野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時六分散会


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