衆議院

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第3号 平成14年11月28日(木曜日)

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平成十四年十一月二十八日(木曜日)
    午後一時二十八分開議
 出席委員
   委員長 仲村 正治君
   理事 金田 英行君 理事 西野あきら君
   理事 谷津 義男君 理事 吉川 貴盛君
   理事 荒井  聰君 理事 武正 公一君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      岩倉 博文君    小渕 優子君
      武部  勤君    萩野 浩基君
      林 省之介君    宮腰 光寛君
      山本 明彦君    吉野 正芳君
      金田 誠一君    川内 博史君
      近藤 昭一君    原口 一博君
      横路 孝弘君    丸谷 佳織君
      赤嶺 政賢君    東門美津子君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           細田 博之君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 山本信一郎君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君
   政府参考人
   (内閣府沖縄振興局長)  武田 宗高君
   政府参考人
   (内閣府北方対策本部審議
   官)           坂巻 三郎君
   政府参考人
   (防衛施設庁施設部長)  大古 和雄君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   政府参考人
   (水産庁資源管理部審議官
   )            中前  明君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           阿部  健君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房技術
   参事官)         村田  進君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 村岡 憲司君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  岩尾總一郎君
   衆議院調査局第一特別調査
   室長           飯田 祐弘君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二十八日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     山本 明彦君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     吉野 正芳君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――
仲村委員長 これより会議を開きます。
 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本信一郎君、内閣府政策統括官安達俊雄君、内閣府沖縄振興局長武田宗高君、内閣府北方対策本部審議官坂巻三郎君、防衛施設庁施設部長大古和雄君、外務省北米局長海老原紳君、外務省欧州局長齋藤泰雄君、農林水産省農村振興局長太田信介君、水産庁資源管理部審議官中前明君、国土交通省大臣官房審議官阿部健君、国土交通省大臣官房技術参事官村田進君、国土交通省北海道局長村岡憲司君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省自然環境局長岩尾總一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
仲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮腰光寛君。
宮腰委員 自由民主党の宮腰光寛でございます。きょうは北方領土にかかわる問題について質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、枠組み協定の継続と対ロシア支援について伺いたいと思います。
 今月、北方四島周辺水域における日本漁船の操業枠組み協定に基づく協議がモスクワで行われました。予定期間を延長いたしまして、十一日から十五日まで厳しい交渉が行われまして、その結果、協定の効力を一年間継続することとなりました。交渉に当たられました外務省、水産庁に深く敬意を表したいというふうに思っております。
 同時に民間交渉も行われまして、来年の日本漁船による漁獲量、漁種、操業隻数、協力金等につきましては、ことしとほぼ同じ条件で妥結をいたしました。
 我が国固有の領土であります北方四島の周辺十二海里内の水域におきまして、戦後長きにわたり、ロシアによる日本漁船の拿捕や銃撃事件が相次いでおりました。周辺地域の漁民にとりましては、何よりもこの水域での安全操業が悲願となっていたわけであります。
 一九九三年の東京宣言におきましては、四つの島名を列記した上で、これらの島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶことが盛り込まれましたけれども、これは戦後の対ロシア外交と、領土返還を求める国民世論の大きな成果であったというふうに考えております。この枠組み協定は、その東京宣言の成果を踏まえ、かつ、三年にわたる困難な交渉の結果実現をしたものでありまして、協定の継続は、引き続き安全操業を確保するという意味とともに、拿捕や銃撃が相次ぐ中で本格的に平和条約締結交渉を行えるわけがないのでありますから、対ロシア外交の成果を守っていくという意味でも、継続は重要であるというふうに考えております。
 まず、今回の交渉につきまして、どのように評価をしておいでになるのか、外務省齋藤欧州局長と水産庁中前審議官の双方にお伺いをいたしたいと思います。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 先般モスクワで行われました北方四島周辺水域におきます日本漁船の操業に関する協定に基づきます政府間協議におきましては、日ロ双方が本協定に基づきます操業がこれまで円滑に行われてきているということを確認した上で、さらに本協定の規定に従いまして、その効力が二〇〇三年五月二十一日以降一年間継続されるということを確認いたしました。
 また、同時期に開催されました民間交渉におきましても、先ほど先生から御指摘がございましたが、実務的な雰囲気の中で行われまして、漁獲総量では前年と同量を確保することができましたし、また協力金等の金額を前年と同額に抑えることができたということで、おおむね評価できる結果であったというふうに承知しているところでございます。
中前政府参考人 今回の交渉におきましては、我が国漁船による二〇〇三年の総漁獲量、それから操業期間ともに、本年と同様の条件が確保されました。
 スケトウダラにつきましては、資源状況が思わしくない、そういう中で三十トンの削減にとどまったということ、そしてこの三十トンの削減がホッケの漁獲量として確保されたということ、さらに漁業者が切望しておりましたタコ空釣り漁業の一月の操業が確保されたということからしまして、操業条件に関する交渉につきましては一定の評価がなされるものであるというふうに考えております。
宮腰委員 今回の交渉の中で一番大きな問題となっていたと申しますか、対ロシア支援を行う支援委員会の来年三月末での廃止が決まっているという状況の中で、サハリン支援の扱いをどうするか、この問題が底流にあったわけであります。
 小泉総理が、メキシコでのAPEC首脳会議でロシアのカシヤノフ首相と会談をいたしまして、この問題を政治問題化しないという方針のもとで解決したいとの意向を示しておいでになりました。支援委員会がまだ存続中であり、昨年の交渉で既に約束していたサハリン支援については、今回支援委員会から拠出するということで決着を見たわけであります。
 問題は、支援委員会が廃止される来年以降のサハリン支援の取り扱いについてということでありますけれども、私は、人道支援の問題も含めて、内容は検討しつつ、必要な支援についてはしっかりと継続していくべきであるというふうに考えております。支援委員会廃止後のサハリン支援の継続につきまして、外務省はどのように考えておいでになるのか、お伺いをいたします。
齋藤政府参考人 支援委員会を通じますサハリン支援は、サハリン州におきます市場経済への移行を支援するということが対日理解を促進することにも資するという考えのもとで、九三年以来実施されてまいりました。支援委員会を今年度末までに廃止することに伴いまして、来年度以降、サハリン支援を従来のような額や形態で継続することが不可能になってきておりますけれども、ユジノサハリンスクにございます日本センターにおきますビジネス講座等の技術支援につきましては、引き続き実施していきたいというふうに考えております。
 また、サハリン支援は、先ほどの操業枠組み協定の枠外のものとして、支援委員会を通じて実施されてきたものではございますけれども、サハリン州の理解を得ることにより日本漁船の安全操業に資するという側面があることも事実でございまして、そういった観点から、支援委員会廃止後におきまして日本漁船の操業に悪影響が出ることのないよう、支援委員会廃止後のサハリン州との協力関係のあり方につきまして、引き続き検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
宮腰委員 ぜひ、引き続き枠組み協定が継続できるようにしっかりと検討いただきたいというふうに思います。
 先日の新聞報道におきまして、北方四島の人道支援事業の一部を元島民団体である千島連盟が引き継ぐということにつきまして、千島連盟本部は、これは受け入れを真剣に検討しておりますけれども、連盟の中心である根室支部は反対姿勢を崩していないというふうな記事が載っておりました。医薬品の供与を主体とした人道支援であれ、ロシアの不法占拠により強制的に島を追われた元島民がロシアを支援する側に回るということにつきまして、必要性については理解できますけれども、元島民としては納得がいかないということであろうと思います。なぜ納得がいかないのか、ここが大きな問題であります。
 それは、元島民が島に住んで漁業に従事していた際の前浜の旧漁業権の問題、あるいは土地所有権などの残置財産の補償問題が一向に進んでいないということからであります。元島民の平均年齢はもう既に七十歳を超えておりまして、返還が実現しても島に戻って生活することはほとんど不可能になっております。そのように実質的に財産権が行使できなくなっているということに加えまして、返還が実現した際にも、現在の島民との権利調整につきましても極めて困難であるというふうに予想されております。
 政府としてはこれまでも、旧漁業権については、昭和二十一年のGHQ覚書により漁業権が消滅しているので補償の対象とはならなかったが、北方領土問題対策協会を通じて援護措置を講じてきているといったことや、残置財産の不行使に対する補償については、財産権は消滅はしていないが、ほかとの均衡などから現在までのところ困難であるという立場であることは私も承知をいたしております。しかし、戦後五十七年というその時間の重み、あるいは本来日本固有の領土であるということを考慮いたしまして、これらの戦後処理問題につきましては、政治的にどうしても一定の解決が必要であると私は思います。
 千島連盟内部では、この旧漁業権の問題あるいは残置財産の問題につきまして、国を相手に訴訟を起こそうという声も一部にある中で、それを押しとどめ、今回、外務省の要請に応じて北方四島在住ロシア人に対する人道支援事業を元島民の団体が引き継ぐということは、まさに苦渋の選択以外の何物でもないということを強く認識していただきたいと思うのであります。
 細田沖縄北方担当大臣に、この点についての御認識と、旧漁業権、残置財産問題への対応方針を伺っておきたいと思います。
細田国務大臣 本件につきましては、宮腰委員御指摘の問題が多々あるわけでございます。
 まず、外務省におきまして、支援委員会を廃止することに伴いまして、その業務のうち北方四島への人道支援に係る業務の新たな委託先として、北方四島に関する知識を有し、人道支援業務を委託するに適当な法人ではないかということで、千島歯舞諸島居住者連盟に打診をしたものと承知しております。これに対しまして、千島連盟といたしましては、昨日夕方、本件依頼を受けるという理事長談話が発表されたようでございます。
 そして、千島連盟がこの人道支援業務を実施するに当たりましては、今御質問にございましたように、地元根室市など元島民の中には、島を追われた元島民の感情として受け入れがたいという御意見が多々あることも事実でございまして、今後とも、千島連盟におきまして、元島民の理解をいただきながら円滑に業務の実施ができますよう、引き続き御努力いただきたいと考えておる次第でございます。
 なお、北方地域の旧漁業権につきましては、昭和二十一年のGHQ覚書により消滅いたしましたため補償措置の対象とならなかったものと承知しており、また、財産権の問題については、領土問題とともに日ロ間においてなお未解決であるので、平和条約締結交渉において明確にされるべきものであると考えております。財産権の不行使に対する補償につきましては、元島民の皆様の苦しみ、悩みは十分お察し申し上げるわけでございますが、他との均衡などから困難であるということも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 なお、元島民の皆様方に対しましては、北方地域における旧漁業権問題を踏まえまして、旧漁業権者を初めとする元島民等が置かれた特殊な地位等にかんがみまして、十億円の基金を交付いたしまして、北方領土問題対策協会において貸付業務を行っているところでございまして、これを積極的に活用していただきたいと思っております。
 元島民に対する援護措置につきましては、貸付業務のほか、北方四島への自由訪問、衛星画像を活用した北方四島の土地利用分析等を行っております。元島民の方々の平均年齢が七十歳に達していることも承知しております。今後とも、これらの援護措置を着実に実施してまいりたいと思っております。
宮腰委員 橋本担当大臣のときに、これは決めは決めとしても、いろいろ考えてみる必要があるのではないかというふうなニュアンスのお話をされたことがあるというふうに伺っております。元島民の心に響くような対応をぜひお願いいたしたい。
 大臣もおっしゃったように、もう既に平均年齢七十歳を超えまして、到底島に帰ることはできないのではないかという中で、返還運動の中核として取り組み、今度はこの支援業務を支援委員会から引き継ぐというところの苦渋の選択もされたと今聞いたわけでありますが、ぜひ、そういうことも踏まえて、心に響くような対応をおとりいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、対ロシア外交の基本方針につきまして、簡単にお聞きしたいと思います。
 ことしの二月七日、九段会館で北方領土返還要求全国大会が開かれまして、私も出席をいたしました。この大会での総理あいさつとしては極めて異例中の異例でありますけれども、小泉総理は、ノー原稿で、しかも御自分の言葉で明確に、四島の帰属は日本にあることをはっきりさせた上でロシアとの平和条約を締結する方針に変わりはないというふうに述べられまして、さらに、戦後未解決の最大の課題である北方四島返還に向け粘り強く交渉していくとも強調されておりました。私を含め、その会場にいた参加者全員は恐らく、総理は間違いなく本気であるというふうに感じたに違いないと思います。
 総理の御発言は、歯舞、色丹の返還の問題と国後、択捉の帰属の問題を同時並行で協議する、いわゆる二島ずつの並行協議方式はとらないこと、まず四島が日本に帰属することをはっきりさせた上で平和条約を締結するというこれまでの政府の方針を堅持すると表明されたと理解してよろしいのでしょうか。外務省にお伺いしたいと思います。
齋藤政府参考人 政府といたしましては、北方四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結するという一貫した方針を堅持しているわけでございまして、このような方針に何ら変更はございません。
 先ほど御指摘になられました小泉総理の北方領土返還要求全国大会におきます御発言につきましても、この点を明確に述べられたものと理解しております。
宮腰委員 今後の交渉に当たりましては、やはりそのスタンスをしっかり守っていくということが最も大事であるというふうに思います。
 総理は、来年一月にロシアを公式訪問されることになりました。その際に平和条約締結問題を含む日ロ行動計画を策定するということや、サンクトペテルブルク建都三百周年に当たる二〇〇三年を日本年とすることに合意をしたというふうに報道されております。総合的、重層的アプローチによりまして日ロ関係全体を前進させる中で平和条約締結問題を議論することに異論を挟むわけではありませんけれども、日ロ行動計画の中身がどうなるかが問題であるというふうに思います。また、大統領選挙後の二〇〇六年に開かれるモスクワ・サミットという節目も、交渉の中で視野に入れていく必要があるのではないかというふうに思います。
 行動計画の中で、四島の帰属問題を含む平和条約締結問題をどのような形で、さらにはどのようなスケジュールで交渉しようとされるのか、外務省に伺いたいと思います。
齋藤政府参考人 来年一月に小泉総理がロシアを公式訪問されるわけでございますけれども、この際に、プーチン大統領との間で、六つの柱を中心に、幅広い分野におきます日ロ協力のこれまでの成果と今後の方向性を示す行動計画を作成し、発表する予定でございます。
 平和条約締結問題は、当然のことながらこの六つの柱のうちの非常に大きな柱というふうに位置づけているわけでございます。今後、幅広い日ロ関係を全体として進め、各分野における協力の進展が肯定的な相互作用をもたらす中で、この平和条約問題、領土問題につきましても前進を図っていく考えでございます。今後とも、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針のもとで、これまでに蓄積されました諸合意を踏まえまして精力的に交渉してまいる考えでございます。
 なお、スケジュールにつきましてお尋ねがございましたけれども、来年一月、小泉総理訪ロの際に平和条約締結問題が重要なテーマになることは当然でございますけれども、今後ともあらゆる機会をつかまえて精力的に交渉を続けていくという考えでございます。
宮腰委員 今の段階でなかなかスケジュールというところまではいかないということでしょうけれども、総理にはぜひ、一月にモスクワを訪問された際に、この北方領土問題につきましてプーチン大統領と、これまでの経過を踏まえてしっかりと交渉していただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。
 次に、ビザなし交流についてであります。
 この八月に、私の地元富山県の中沖知事が、北海道以外の知事として初めてビザなし交流で国後島を訪問いたしました。富山県は北海道に次いで北方領土からの引揚者が多く、とりわけ歯舞群島と色丹島は富山県人の祖先が開拓をしたと言っても過言でないというふうにも考えております。そのような歴史もあり、中沖知事は、富山県からも北海道と同じように毎年ビザなし交流に参加をさせていただきたいということ、あるいは日本語講師や専門家の派遣につきましても県として政府に協力したいという申し出をしておいでになります。
 このことにつきまして、北方対策本部としてはどのように受けとめておいでになるのか、伺いたいと思います。
坂巻政府参考人 お答えをいたします。
 北方四島交流事業、いわゆるビザなし交流事業でございますが、日本国民と四島在住のロシア人との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む日ロ間の平和条約締結問題の解決に寄与することを目的として実施されておりまして、お話のように、今年八月、富山県知事ほかの皆様がこれに参加をしていただきまして、帰ってこられてからは知事陣頭指揮のもと、富山県としても北方領土返還要求運動を、県庁の組織、人員も体制強化の上、これまで以上に一生懸命やっていきたいというメッセージをいただいております。
 このビザなし交流事業でございますが、団体で行われるという原則になっておりまして、北方四島交流推進全国会議という実施団体が設けられ、訪問事業を進めてきたところでございます。訪問団の構成については、実施団体において関係団体の意見を踏まえて決定するということになっておりまして、富山県関係者の継続的な訪問につきましても実施団体の中で検討されるものでありますが、富山県がビザなし交流事業に対して強い理解を示され、積極的な姿勢を示しておられることは、交流事業の推進にとって大変有意義であるというふうに思っております。
 また、お話のありました日本語講師の派遣につきましては、日本語を学習したいという北方四島在住のロシア人側からの要請を踏まえまして平成十年度から実施しており、今年度はロシア人住民が住んでおります国後、択捉、色丹島のすべてに日本語講師を派遣しているところでございます。日本語講師の選考につきましても、実施団体におきましてこれまでの実績などを考慮の上で行っているところでございますが、人材も限られておりますことから、富山県さんの方で日本語講師を推薦していただくことは、実施団体にとっても、また私どもにとっても非常にありがたく有益なことと考えております。
 私どもといたしましては、そういった御助力、御支援をいただきながら、今後とも着実な実施に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
宮腰委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 最後に、ピースボートの件についてお伺いをいたしたいと思います。
 ことし八月に、ピースボート、非政府組織、NGOでありますが、国後島に総勢約五百三十人をビザなしで上陸させました。今回の上陸は、これはロシア・サハリン州政府の許可を得て日本固有の領土に入国をするという形で行われたものでありまして、ロシア側の管轄権を認めることで日本の領土主権を著しく侵害するということはもちろんでありますが、当然のこととして北方領土返還交渉にも影響を与える行為となるわけであります。仮に、国際司法裁判所で領土問題が争われた場合、ピースボートの件が既成事実として証拠採用されるということになれば、日本にとりまして非常に不利になるのではないかと懸念をいたしております。
 今回のサハリン・フォーラムで日本側の参加者はこの問題を大きく取り上げました。しかし、ロシア側の主張は、外国船は四十八時間以内なら領海内に踏みとどまることができること、八時間以内なら上陸が認められることなど、専ら船舶法を盾に不法ではないと主張したと聞いております。
 この問題は、当然のこととして船舶法とは無関係の領土問題でありまして、政府間の枠組み以外の民間外交なるものは認められない地域であります。国後島の現地の新聞におきましても、ピースボート参加者の心ない行為を批判する記事が出ていたというふうにお聞きをしておりますけれども、サハリン州政府の許可を得て北方領土に上陸する行為を放置することがないよう、法的措置も含めて再発防止を図る必要があると考えております。
 このことにつきまして、外務省のお考えを伺っておきたいと思います。
齋藤政府参考人 我が国国民が、ロシア連邦の出入国手続に従うことを初めとして、ロシア連邦の不法占拠のもとにあります北方四島へ入域することは、北方四島があたかもロシアの領土であるかのごとく入域することになりますために、北方領土に対する我が国の法的立場を害するおそれがあると考えております。このような考え方に立ちまして、政府は、平成元年九月十九日の閣議了解によりまして、国民各位に対しまして、北方領土問題の解決までの間、このような入域を行わないよう自粛を要請しているところでございます。
 本件につきましても、政府としてピースボートに対しましてたび重なる説得を行ってまいりましたが、それにもかかわらず、八月にピースボートが北方四島への入域を強行したことはまことに遺憾でございます。その旨の外務報道官談話を発出したところでございますし、ピースボートに対しましても政府の立場を詳細に説明してきたわけでございます。
 政府としては、今後とも我が国の法的立場を確保するべく再発防止に努めていく考えでございます。
宮腰委員 終わりますけれども、今回実は二回目でありまして、初めてではない。二度も、次は三度ということになるわけでありますから、これは法的措置を含めてしっかりと検討していただきたいというふうにお願い申し上げまして、終わります。
 ありがとうございました。
仲村委員長 次に、吉野正芳君。
吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。私は、沖縄振興について、特に観光の面からお尋ねをしたいと思います。
 昨年の九月十一日の米国でのテロ事件以来、沖縄県への修学旅行のキャンセルとか、いろいろ観光面で大打撃があったと思います。今の現状の姿はどうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。
米田副大臣 御指摘のとおり、昨年九月のテロ事件の後、修学旅行を中心に沖縄観光のキャンセルが相当の規模で生じるなど観光関連産業への深刻な影響が懸念されました。
 そこで、政府といたしましては、大規模な観光キャンペーンやあるいはまた緊急融資等各般の対策を講じてまいったところであります。観光客の回復に全力で取り組んでまいったわけでありますが、その結果、修学旅行等のキャンセルも昨年の十二月以降は沈静化をしております。そして、本年に入り、十月末までの入域観光客数は対前年比約五%の増となるなど好調に推移をしておるところであります。本年の入域観光客数、四百八十万人が目標となっておりますが、このまま順調にいけばその目標がほぼ達成できるのではないかというふうに予想をしております。
吉野委員 すばらしい関係者の御努力があろうかと思います。今後ともそういう努力を続けていくことを御期待申し上げます。
 沖縄県は、観光立県を目指しているわけです。当然日本の各地から多くの観光客が行くようになっていますけれども、あそこの、沖縄という地政学的な位置から見ますと、外国人、外国の方々も、沖縄県のすばらしい観光資源というものを目指して観光に誘致を図るべきと思うんですけれども、どういう対策をとっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
米田副大臣 沖縄への外国人観光客がもっとふえるような手だてを講ずるべきではないかという委員のお尋ねかと思います。
 復帰時、昭和四十七年でありますが、その際は、観光客そのものが実は四十四万人でございました。しかしながら、平成十三年にはそれが十倍の四百四十三万人に達したわけでございまして、観光・リゾート産業はまさに沖縄のリーディング産業として大きく成長をしてまいったわけであります。
 さて、お尋ねの海外からの観光客でございますが、復帰時は二万人台でございましたが、平成十三年には二十万人弱に増加をしてまいっているわけであります。しかし、委員御指摘のように沖縄の世界有数の美しい自然あるいは個性的な文化、そしてまた地政学的に見てもアジア諸国に極めて近く、国際的な海洋性リゾート地として発展できる、そういう要素をたくさん持っておる、そういう潜在力から見ますと、必ずしも、外国からの観光客が約十倍になったからよろしいというふうには考えておりません。そのため、今後アジアを中心に外国からの観光客に大勢来ていただくために、さまざまな施策を考えておるわけであります。
 本年四月に施行された沖縄振興特別措置法におきましても、国際観光振興会による海外における誘客宣伝、また国際会議の誘致促進等について新たに規定を設けまして、取り組みを強化することといたしました。加えて、本年九月に政府として同意した、分野別の計画でございますが、沖縄県観光振興計画、これにつきましても、十年後の外国人観光客数を六十万人とする具体的な目標を掲げております。そのために、諸外国での広報宣伝活動、英文による観光案内標識の整備、航空便を中心としたアクセスの改善等の諸対策の実現に取り組んでまいります。
 さらに、十二月初旬に決定を予定しております産業・雇用対策の追加的実施におきましても、外国人観光客の誘客促進を含めた観光キャンペーンを予定しております。
 以上です。
吉野委員 六十万人誘致という大きな目標を掲げたわけですから、この実現方を目指して大いに頑張っていただきたいと思います。
 沖縄をイメージすると、まず暖かい、そして、沖縄県はいっぱい長生きをしている人が多い。そんな沖縄県の特徴、特色というものを生かして、私は福島県、寒冷地なんですけれども、私の県からも移住をしている方々が大勢おります。そういう沖縄県の特性を生かした観光支援策をぜひ行うべきと考えますが、どういう取り組みをしているのか、政務官にお尋ねをしたいと思います。
大村大臣政務官 委員御指摘のように、沖縄は温暖な気候や、また豊かな自然環境、そして健康、長寿に適した生活環境といった地域の特性を持っているわけでございまして、そういう中で、健康保養型観光の視点から沖縄の観光・リゾート振興を図るということは、まさに御指摘のとおりだというふうに思っております。
 そういう意味で、今年の四月に施行されました沖縄振興特別措置法に基づいて、ことしの七月に沖縄振興計画をつくりました。それに基づいて県が三年間の沖縄県観光振興計画というものをこの八月につくりまして、これは国の方も九月に同意をさせていただきました。
 この中も、イの一番に、まさにこうした健康保養型の観光というのが位置づけられているわけでございまして、具体的には、観光と健康保養プログラムを抱き合わせた旅行商品の開発の促進といったことでありますとか、受け入れ体制の整備にも関係をいたしますが、沖縄ウエルネス計画、こういったものの推進、ゴーヤーなどの健康食材の開発普及、また、高齢者に優しいバリアフリーの観光地といったものをつくっていくような施策を推進しているところでございます。
 また、そうした中で、内閣府におきましても、今年度から、モデル事業でございますけれども、健康保養型の観光推進事業や、沖縄県産の多様な食材を生かした食の提供、メニュー等の開発普及事業といったものをきめ細かに進めているところでございまして、委員の御指摘のような方向でこれからも進めてまいりたいというふうに思っております。
吉野委員 沖縄県の観光を見ても、もっと南の方の石垣島、宮古島、西表島、いわゆる八重山諸島等々、これはまた本当に魅力のある観光資源を持っているわけです。
 それで、石垣空港、これは滑走路が短くて、おりるときはおりられるんです、燃料が少ないですから。でも、石垣空港から東京へ行くときには、滑走路が短いので燃料を満タンに積めませんので、一度宮古島を経由してから東京に来る、こういうのが今の現状の姿なので、新石垣島空港の建設をすべきじゃないのかなと私は思うんですけれども、その辺の取り組みについて、現状、どうなっているか、お聞かせ願いたいと思います。
大村大臣政務官 これもまさに委員御指摘のとおりでございまして、八重山地域における中心であります石垣島、石垣におきます新石垣空港の建設というのは、もう長年の懸案でございました。御案内のように、千五百メーターしか滑走路がありませんで、また市街地に非常に近いものですから、そういう意味で周辺地域といろいろな問題も起こしておりますし、また燃料が積めないので、今、無理無理に何とかおりて、宮古を経由して東京の方に行っている、もう御指摘のとおりでございます。
 そういう意味で大変重要な新石垣空港の建設事業、ようやく沖縄県におきまして、平成十二年四月に、最初は白保沖というところから始まったのでございますけれども、何カ所か紆余曲折を経まして、今回はカラ岳陸上ということに候補地が選定をされたところでございます。
 この建設につきましては、まず、これまでの長年の経過を踏まえまして、環境問題に万全を期していきたい、こういうことでございまして、その工法などの検討も今進めているところでございます。また、一部の土地の共有化運動といったようなものの展開も聞いておるところでございまして、この点も検討して、引き続き関係者の御理解を得るように努力をしていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、内閣府といたしましても、国土交通省と連携をとりまして、積極的に進めてまいりたいというふうに思っております。
吉野委員 積極的にこの新空港建設に取り組んでいただきたいと思います。
 沖縄県は島国ですから、沖縄に行くには航空機か船か、鉄道では絶対行けないわけでありますから。私は福島県で、福島空港と那覇空港が毎日飛行機が定期便で通っています。それで、友達に、沖縄に行ったらどうだ、何が一番ネックになるかと言ったら、飛行機運賃だ、航空運賃がちょっと私の小遣いの中では高い、だから行きたいんだけれども行けないんだという友達が結構おりました。
 沖縄の観光産業、輸送部門、ホテル部門、レジャー部門、これをトータルでもし考えることができれば、例えばこの携帯電話、これは世代が古くなると、もうただ同然です、一円とか十円でこれを売買しているわけですから。でも、これを持たせることによって通話料が入るわけですから、この携帯電話の場合は、トータルで利益を考えている。そういう沖縄県の観光産業全体をトータルとして考えた場合に、航空運賃の値下げという部分にどれだけの協力ができるのかな、こんなことを考えるわけですけれども、大臣の方で何かいいお考えがあれば、お聞かせを願いたいと思います。
細田国務大臣 航空運賃につきましては、これまでも引き下げのための努力を講じているわけでございます。平成九年以降、本土―那覇間の航空運賃を引き下げるべく、航空機燃料税及び空港使用料の軽減措置を講じてきたところでありまして、その効果もあって、その後の三年間で百万人の観光客の増加があったということもございます。これは平成十三年度末までの時限措置とされていたところではございますが、本年四月施行の沖縄振興特別措置法によりまして、五年間の延長を実現しているところでございます。
 さらなる引き下げはどうかということを考えますと、ぎりぎりのところまで来ておりまして、なかなか難しいわけでございますが、昨今は、基本的な航空運賃はかなり高目に設定されておるわけでございますけれども、インターネットの利用等を通じまして非常に割安の運賃などが出てまいりまして、利用者の約九割がそういった割引運賃を利用しているというようなことで、航空各社の競争状況が大いに観光客のプラスになっておるようにも聞いておるわけでございます。
 沖縄の航空の問題を含めた観光振興については、やはり総合的に考えていくと同時に、先ほどありました石垣空港、そしてまた那覇空港も整備拡充をしていかなきゃなりません。日本で、乗降客は那覇空港でも第四位、名古屋空港あるいは関西空港よりも乗降客が多いという非常なる発展を示しておりますし、サミット等でレジャー施設、宿泊施設等も非常に整備が進んでおりますので、観光地として非常ににぎわっておりますので、こういった点もぜひ政策的にも支援してまいりたいと思っております。
吉野委員 これで質問を終わります。一生懸命沖縄振興のために頑張ってくださることをお祈り申し上げます。ありがとうございます。
仲村委員長 次に、荒井聰君。
荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。
 まず最初に、先ほど宮腰委員からも御質問がございましたけれども、北方四島問題にかかわる人道支援について、支援委員会を廃止して、そしてその機能を千島歯舞諸島連盟に移しかえていくということでございます。
 私は、これまでの鈴木宗男議員を中心とする特定の方が、支援というものを私的な形で使っていたという感じのことがございますので、そこを廃止して、そして、今北海道にある北方四島関係の支援あるいは関連の団体としてどこかに実施してもらうとすれば、この団体しかないんだろうというふうにそれは思います。
 そこは思うんですけれども、でも、彼らの、あの人たちの気持ちからいえば、きょうは北朝鮮へ拉致された人の支援のための法律が衆議院を通りましたけれども、この北方四島に住んでいた人が、五十七年前かな、追い出されて北海道に住みついたわけですけれども、彼らにとってみたら、まさしく郷土を拉致されたわけですよね。郷土を奪われたわけであります。長年ずっと支援運動をやってきたけれども、五十七年間さっぱり成果は上がらない。その間、今戻ってくる、あした戻ってくる、あさって戻ってくるという政府の言葉だけで、さっぱり具体的な話もないままに、今回は人道支援をかわりにやってくれという話になったわけです。
 私は、これを引き受けたというのは、この旧島民にとってはそれこそ清水の舞台から飛びおりるような、まだ恐らく反対者もいるんでしょう、ですから、理事長さん以下関係者は随分反対者の方を説得していると思うんですけれども、それはむべなるかななんですよね。不法占拠した人に対して占拠された方が支援をする、これは、自分の身に返ってみたら、例えば北朝鮮の問題で限ってみたら、拉致された人が北朝鮮に食糧援助するのと一緒ですよ。
 そういう心情的なものというのを十分理解しないといけないと私は思うんですけれども、そのあたり、細田大臣それから川口大臣、どうお考えでしょうか。ちょっと感想を聞かせていただけますか。
細田国務大臣 支援委員会の廃止に伴いまして、御質問の業務の新たな委託先といたしまして、千島歯舞諸島居住者連盟にお願いをいたしまして、昨日の夕刻に理事長からこれを受けるとおっしゃっていただきましたことにつきましては、歴史的に見ると大変なことでございまして、特に根室市の元島民の方々から、今御質問がありましたように、自分たちは彼らに郷土を奪われたんだ、それになぜ支援しなければならないという思いはよくわかるわけでございます。
 そういったさまざまな事情を乗り越えて、理事長さんがこの千島連盟を取りまとめられて、そのような御発表になったということは、私は、翻って考えてみますと、政府に対して、頑張って、我々が元気な今ぜひ郷土を取り戻してくれという強いメッセージであるとも受け取っておるわけでございます。来年の総理の訪ロも含めまして、ぜひ、その皆様方の思いを受けて、我々も一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
荒井(聰)委員 そこで、細田大臣、彼らの、旧島民の心情を思うと、先ほど宮腰委員からも御質問がありましたけれども、残置財産について、日本政府として、五十七年間もほうっておいたわけですから、そこについて何らかの対応措置。先ほどの御答弁ですと、旧来の答弁を繰り返しただけでして、五十七年間、ほかの地域との均衡というお話もされていましたけれども、ほかの地域は、平和条約を結ぶのに戦後二十年とか、こんなに長くないわけですよね。ですから、私は、今回、五十数年という長きにわたったということ、それから人道支援をこういう形で彼らにやってもらうという新しい事態の変化を踏まえて、もう少し積極的な前向きな姿勢で、この残置財産についてどう日本政府として取り組んでいくのか。
 彼らの持っていた土地を国有財産に切りかえていくとか、買い戻し特約を結んで買い上げていくとか、あるいは使わなかった部分の補償行為をするとか、そういうものを具体的に議論する、そういう時期に来たんじゃないかと私は思うんですけれども、それはいかがですか。
細田国務大臣 元島民等の皆様方のお気持ちを考えるときには、そういったお考えも一理あると思うわけでございます。
 しかしながら、元島民等の方々の固有の財産といいますか、もともとの私有財産を何とかもとの形で取り戻そうという動きも政府としては一生懸命やっておるわけでございます。旧ソ連の共産主義体制から、またロシアという今の体制になり、衛星国が独立したり、向こうの政治状況、テロが起こってみたり、いろいろなことがありますので、ずるずると向こうの判断がおくれておることは事実でございますが、我々の要求は全く理にかなった、正当な、歴史的にも正しい要求でございますので、この点を実現することがまず第一であるということを御理解いただきたいと思っております。
荒井(聰)委員 私は大変不満なんでして、そういうふうに言い続けてもう五十七年間たったわけです、きょうは余り時間がないですからこのあたりにしますけれども。――外務大臣、もういいですよ。外務大臣も、今の話を聞いて、日ロ交渉なりあるいは旧島民に対する支援措置というものについて、外務省の立場としても積極的にぜひやっていただきたいと思うんです。
 外務大臣が来られていますので、ちょっと別な方向から少しお話をさせてもらいたいんですけれども、台湾の李登輝さんがビザを申請しているわけですけれども、どうも、外務省としてはそれを断った。
 これは、アメリカにしてもイギリスにしても、李登輝の入国というのはビザを発給していますよ。日本の場合には中国のことを大変おもんぱかっているんでしょうけれども、しかし、彼は、政治的な立場というのは、もうほとんど影響力がないというと語弊がありますけれども、そういう公的な立場を除いているわけですから、私は、日本の太い外交姿勢というものを示すためにも、李登輝が日本に入りたいと。それは台湾の人を全部入れないというなら別ですよ。でも、多くの人に入国をするのを許可しておいて李登輝はだめよというのは、私は、どうも日本の外交姿勢にぶれがあるというか、甘さがあるというか、どこかを少ししんしゃくし過ぎている、そういうような思いがあるんですけれども、これはどうですか、外務大臣。
川口国務大臣 台湾とのビザのお話でございますけれども、これは、日中共同声明に従いまして、日本と台湾の関係は非政府間の実務的な関係ということでございます。
 それで、李登輝氏のビザの件につきましては、十一日に李登輝から、慶応大学の三田祭において講演をするということで、訪日をしたいということでビザの申請がございまして、そしてビザの申請を受けましたので、我が方から先方に対しまして、これはその前に、三田祭でこの行事が行われるかという、通常のビザの手続に従いまして事実関係を確認いたしましたところ、慶応大学は、そういうことではないというお話がありましたので、それを受けて事実関係を確認したところ、李登輝氏の側で査証を取り下げたということでございました。
 その後、引き続き、別なところで講演をしたいということで申請がございまして、それに対しては、我が方として、講演をめぐる一連の混乱等を踏まえて、仮に改めて査証申請がある場合に、これは私人による私的な目的のための訪日と評価をすることは極めて難しいということをお伝えいたしました。その後、確認といいますか照会をいたしましたところ、先方は、李登輝氏については今回は訪日をしないということを決めたというお話がございました。
 それで、いずれにいたしましても、李登輝氏からまたビザの申請があるというようなことがございましたら、その時点で適切な判断を行うということでして、今回は、今申し上げたような理由で査証の発給は行われなかったということでして、中国は今までいろいろなことをこの件については伝えてきておりますけれども、だからやめたということでは全くない、そういうことでございます。
荒井(聰)委員 公式的にはそうなんでしょう。でも、李登輝がビザを自分で取り下げたというのは、日本政府のそういうものをおもんぱかったからなわけですよね。
 私がなぜ李登輝さんの話をしたかといいますと、彼が慶応大学で若い人たちに話をしようとした話の内容が、戦前、八田與一さんという日本人の、これは日本流で言うと日本のかんがいの技術者ですね、利水の技術者です。その方が台湾で大規模な利水事業をして、台湾の農業振興あるいは地域おこしに大きな貢献をした、その過程を通じて、日本人の精神あるいは地域づくりというものの真髄を彼は語りたかったんだろうというふうに思うんです。
 ところで、この九月に当委員会は沖縄の宮古、石垣を視察いたしました。先ほども吉野さんからお話がございましたけれども、石垣島の経済の死命を制しているのは石垣空港だというふうに思います。大変大きな観光資源も持っております。さらには、今、南方性のフルーツといいますか、市場価値の高い可能性を秘めた、そういう果物の栽培にも熱意を持ちつつあります。私は非常に豊かな島だなというふうに思いましたけれども、できたものを運ぶにも、あるいは観光客に来てもらうにも、千五百メートルの滑走路の空港ではなくてもっと大きな空港をしっかりつくらないと、この島の経済的な再生、活性化というのはできないんだろうというふうに思いました。
 そのときに、その工事の中で一番の問題になるのは、土地改良事業によって引き起こされていると言われている赤土対策であります。あれだけの小規模な土木事業であっても、これだけ大規模な赤土が出て環境に大きな被害をもたらした。石垣空港をつくるとどれだけの環境の破壊が起きるのかという面から見るならば、赤土対策なくして石垣空港の建設というのはできないだろうというふうに思います。
 ところで、土地改良事業についてなんですけれども、土地改良事業というのは、もともと、戦前にアメリカのカリフォルニアのランド・インプルーブメント・ローという法律を下敷きにしてつくった法律であります。これは土壌侵食を防止するための法律でありまして、その法律を土台にして我が国では土地改良法という法律をつくったわけです。したがって、もともと、我が国の農業の公共事業である土地改良事業というのは、土壌侵食をどういうふうにとめるのかということが本来土台になければならなかったのだと思うんですけれども、残念ながら、沖縄の赤土対策ではそれがうまくいかなかったということなんだろうと思います。
 現地に行きましたら、土壌侵食をとめるために大きな沈砂池をつくろうといったような発想で工事をしておりましたけれども、私は、そうじゃなくて、先ほどの八田與一さんが提案した地域おこし、町おこし、村おこし、そういうものをもう一回見直す必要があると。
 彼は何を言ったかというと、地域おこしや、あるいは大規模な土木工事を伴ったときに当然その地域の営農ですとか生活様式が変わるわけです。変わって、そのための弊害もまた生ずるんだということを前もって農民と一緒になって話をしていき、農民と一緒になって解決策をつくっていったんです。だからこそ、日本人の、日本の精神というものを彼は台湾の中に植えつけられたんだ、そういう思いを李登輝さんは述べようとしたんです。私は、これが農業の、あるいは農村における公共事業の真髄だと思うんです。
 最近、農水省はそういうことを少し忘れてきて、お金だけ、大規模な工事だけやれば解決できるというところに流れ過ぎているのではないか。もっと農家の人たちと、地域の人たちと、この地域をどういうふうにしていくべきなのかということを話すべきなのではないか。
 この赤土対策で一番の解決策は、営農の面での解決策であると私は見ました。土地改良をやったところを、全部水田から切りかえたところもあるんですけれども、サトウキビに切りかえたために、株出しした後は全くの裸地になっている。これでは、雨が降ればすぐ土は流れますよ。こういう営農の仕方をそのままにしておいて赤土対策をやろうとすると、巨大な沈砂池が必要になる。営農を変えてもらうということ、あるいは畑からの流出を防止するために小さな灌木を植えてもらうというようなこと、そういうような指導をやって初めて地域おこしなり、地域が一体になっていく、そういうことにつながっていくんじゃないかと思うんです。
 単なる土木工事だけではなくて、土木工事も一生懸命、最近直りつつあるようですけれども、地域全体を見ていく、そういう観点がこの石垣の赤土対策には絶対必要だというふうに思うんですけれども、この点、農水省の副大臣、お願いできますか。
北村副大臣 今、荒井議員から大変重要な指摘を受けたところであります。
 特に、沖縄の石垣島での赤土の流出については、確かにハード面のいろいろな事業がありますけれども、それと同時に、やはり営農面の方が重要だ、こういうふうに我が省も認識をしております。
 特に、今委員が御指摘をいただいた地域の方々の知恵というもの、そしてまたそういう方々の理解のもとでやっていくことが大切だということで、石垣島轟川流域において、九月十三日に、国あるいは県、市、農業関係者、地域住民による現地検討会が行われて、これを受けて十一月の一日に轟川流域農地赤土対策推進検討委員会が設立をされております。これに農林水産省は積極的に参加をして、今委員がおっしゃった営農面でしっかりとした赤土対策、特にキビの植えつけの時期の変更をさせていただくとか、株を根っこを残して収穫をしていただくとか、あるいは緑肥化等々を検討していきながら、とにかく地域の方々の知恵というものを、それこそNHKのドラマではありませんけれども、おばあの知恵をしっかり聞かせていただいて、その地域地域に根差した、そしてそこに合った営農を側面から全力で我が省は推進していきたい、このように考えております。
 以上です。
荒井(聰)委員 近年、地球がだんだん暑くなるというか暖かくなるという、そういう現象が起きていて、雨の降り方も、本土でも随分変わったなという印象を持ちます。南方のようなスコール性の雨、雨量強度が強いというんですけれども、そういう雨が降ってきて、そういう降り方になると、畑に降ると土壌流出が強くなるという現象も起きています。
 それから、今、農業関係では米問題が大きな問題になっていて、減反をどういうふうにするか。減反をどういうふうにするのかということは、水田を切りかえていくということです。水田というのは、そういう土壌が流出するのを防ぐ大きな役割を持っている、効果のあるものですけれども、それがどんどん切りかわっていってしまう。
 私は、沖縄で今起きていることは、これから本州でも大きな規模で起きてくる可能性があるのではないか。もちろん、設計基準ですとか施工の仕方、農水省は随分工夫をしているようですけれども、それよりもやはり地域の人の知恵。石垣などでは小学生が、土壌流出を防ぐために小学校を挙げていろいろな取り組みをしよう、グラウンドワークという手法を使ってやろうというような動きもあるようです。私は、小さな運動でもいいんですけれども、そういうものを積み上げていく、結局それが日本人の心だったんではないかというように思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
仲村委員長 次に、金田誠一君。
金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。
 まず第一点目は、普天間代替施設の使用期限についてお尋ねをしたいと思います。
 先般、沖縄県知事選挙におきまして、稲嶺知事が再選されたわけでございますが、知事は選挙に当たって、米軍普天間飛行場の代替施設に十五年の使用期限を設けることを公約されたと聞いております。過去六十年近くにわたり米軍基地のもとに置かれてきた沖縄の実情を考えれば、この公約は、まさに沖縄の心そのものであると考えます。
 しかし、報道によれば、「外務省幹部は「稲嶺知事が基地問題を訴え続けなければいけない事情は、米側もよく知っている。みんなで「ニセ歌舞伎」を演じるしかない」と言い切る。」こういう記事が載っておったわけでございます。事実とすれば、沖縄の心を踏みにじるものでございます。
 私は、一昨年九月に、公共事業チェック議員の会という超党派の議連で沖縄を視察いたしました。新石垣空港予定地、さらに泡瀬干潟、そして普天間の代替基地が予定されている名護市の辺野古地区も訪問してきたわけでございます。地元のNGOの方々は、ここでジュゴンの生息が確認されているということも話しておられました。したがって、普天間の代替基地を辺野古地区とすること、そのこと自体については、また機会を改めて議論をさせていただきたいと思っております。しかし、その場所をどこにするかとは別の問題として、外務省幹部から、にせ歌舞伎というような発言が出てくること自体は見過ごしにできない、こう思っているところでございます。
 まず、外務大臣に、この発言の真意を伺いたいと思いますし、また、このいわゆる十五年問題について、日本政府の公式な立場、今後の対応についてお伺いをしたいと思います。
川口国務大臣 まず、発言のことでございますけれども、私もその発言については承知をいたしております。ただ、私は、外務省の幹部にそのような発言をする人間がいるはずはないと思っております。
 それから、十五年使用期限問題についての日本政府の立場等でございますけれども、この問題につきましては、普天間飛行場の移設に係る政府方針、これは平成十一年のものでございますけれども、これにございますとおり、政府としては、国際情勢もあり厳しい問題であると認識をしておりますけれども、沖縄県知事及び名護市長の御要請がございましたことを重く受けとめまして、これを米国政府との間の話し合いの中で取り上げてきたところでございます。私も、去る九月十七日にパウエル国務長官とお話を、割に短い時間でございましたけれども、させていただいた折にも、このことについては取り上げてきているところでございます。
 政府といたしましては、引き続き、平成十一年末の閣議決定に従いまして適切に対処をしてまいる考えでおります。
金田(誠)委員 腰の引けた御答弁だなと伺わせていただきました。
 この同じ新聞に小泉総理のコメントも出ているわけでございますけれども、「「沖縄の問題として受け止め、米国側と交渉していきたい」と述べただけだった。」こういう報道でございます。今、外務大臣のお話もこのたぐいにしか聞こえてまいりません。
 これに対して、また同じ新聞によりますと、稲嶺知事は、日本政府が腹を決めることが必要だ、こうおっしゃっておられます。日本政府が腹を決めることが必要だ、もっともな話だと思いますが、外務大臣の答弁からは、腹を決めたとはどうしても伝わってこないわけでございます。したがって、日本政府が腹を決めるべきときに、外務大臣といい総理といい、こういうお話をされるわけでございますから、外務省の幹部にそういう発言をする者がいるはずがないとおっしゃられても、にわかに信じがたいわけでございます。そういう総理や外務大臣のもとにあれば、この外務省幹部の発言もさもありなん、こう解釈するのが普通ではないでしょうか。
 総理が言っておりますが、沖縄の問題。これは沖縄の問題ですか。これは日本全体の問題として日本政府が受けとめ、まさに腹を決めて一歩一歩、大変な作業ではありますけれども、腹を決めて展望を切り開いていかなければならない。その決意と気迫が見えないところにこういう新聞報道が出るもとがあると思うわけでございますが、さらに突っ込んだ大臣の御答弁を伺いたいと思います。
川口国務大臣 この十五年使用期限の問題につきまして、これはこの背後に、平和を願う沖縄県民の強い気持ちがあると私は考えております。外務省といたしまして、先ほど申しましたように、厳しい国際情勢があるという認識はしておりますけれども、こういった県民の方の気持ちを重く受けとめて、一歩でも、県民の方々が理想の形であると思うそのような姿に国際情勢が肯定的に変化をしていくように努力してまいりたい、そのように考えております。
金田(誠)委員 まず、国際情勢は、かつての冷戦構造に比較すれば大きく好転しているという御認識をぜひ持っていただきたいと思うわけでございます。
 今、我が国は構造改革を目指しているわけでございますけれども、目指すべき真の構造改革とは、かつての冷戦構造、この思考回路から脱却して、日米関係をあるべき姿に近づける、それこそが本当の意味での構造改革の重要な側面を形成するものと思うわけでございます。そのかなめになるのが沖縄の基地問題でございます。大臣、ひとつ腹を決めて、その覚悟を持って事に当たっていただきたいと、強く御要請を申し上げる次第でございます。
 次に二点目の、泡瀬干潟の埋め立て問題について質問をさせていただきます。
 一昨年、泡瀬干潟を視察した際、ちょうど干潮でございまして、サンダル履きで干潟におりることができました。しばらくすると、一円玉ほどの小さなカニが砂の穴から無数に出てきて、あたり一面、何万何十万というんでしょうか、もうカニで埋め尽くされるという幻想的な光景に遭遇いたしました。ミナミコメツキガニという種類だそうですけれども、こうした光景は沖縄にしかないと思うわけでございます。
 加えて、同干潟は、シギ・チドリの重要な中継地であり、ムナグロの越冬個体数で日本最大を記録していると伺っております。環境省の、日本の重要湿地五百にも選定をされているわけでございます。にもかかわらず、環境保全策が不十分なまま、十月上旬、抜き打ち的に埋め立てが始まったわけでございます。私は、これでは環境省は何のためにあるのか、こう言わざるを得ないわけでございます。
 環境省、この事態をどのように考えておられますか。
炭谷政府参考人 まず、事業の実施に関しましては、基本的に、事業者でございます内閣府及び沖縄県の責任において御判断されるものであると理解いたしております。
 しかし、環境省といたしましては、泡瀬干潟の重要性については十分認識しておりまして、事業の実施に当たりましては、環境影響評価や公有水面埋立法の手続の中において必要とされた環境保全上の措置が、確実かつ適切に実施されることが重要であると考えているわけでございます。このような観点から、十月十八日、内閣府に対しまして、海草等の移植について当省の考え方を申し入れたところでございます。
金田(誠)委員 そういうことをおっしゃるのであれば、ラムサール条約締約国会議がこの二十六日までスペインのバレンシアで開催をされて、我が国からは愛知県藤前干潟と北海道宮島沼が新たに登録されたと伺っているわけでございます。貴重なあの干潟でございます。本来であれば、このラムサール条約について、泡瀬干潟についても同様に登録されるべきものではないか。いろいろ、海草の移植とかおっしゃっておりますけれども、あるいは、飛び地として一定程度陸から離して埋め立てをするとかおっしゃっておりますけれども、一度あの状況を見れば、その程度のことであの貴重な自然が守れるなどとは到底考えられない。到底考えられないですよ。最低でもこのラムサール条約に登録をして湿地として保護する、それが環境省の仕事ではないですか。
岩尾政府参考人 お答えいたします。
 我が国においてラムサール条約湿地に登録する場合、国際的に重要な湿地に該当している、すなわち、水鳥に基づく特別基準であれば二万羽の水鳥が定期的に生息しますですとか、その他の条件がございます。また、二番目として、国設の鳥獣保護区、特別保護地区等の指定地域に指定いたしまして、将来にわたり自然環境の保全が図られていること、三番目に、地元自治体等から登録への賛意が得られていること、この三点が条件でございます。
 泡瀬干潟のラムサール条約湿地の登録に関しましても、地元の意向も含めたこれら三つの条件が満たされるか否かについて慎重に検討していくということでございます。
金田(誠)委員 大変残念な答弁でございます。
 泡瀬干潟の埋立計画が浮上したのは二十年前と伺っております。まさにバブル時代が始まるときでございます。この計画は、バブルの遺物とも言えるものだと私は考えます。土地利用計画を見ても、ホテル用地、マリーナ施設用地、客船埠頭用地、複合商業施設用地、海洋研究施設用地などが中心であり、いわゆるリゾート開発を中心としたものでございます。今の時代に事業としても成り立つとは到底考えられません。
 本年三月、沖縄県と沖縄市によって土地利用計画の見直しが行われたわけでございますが、一期工事分、九十ヘクタールの土地需要を寄せ集めただけ、このように聞いております。また、見直し結果の文面を見ても、このように書かれております。各種の条件整備と努力を前提とすれば、現計画の実現の可能性はあることを確認したと。いかにも自信のなさをあらわした文面ではございませんか。
 国土交通省に質問をいたしたいと思います。
 この事業計画、どのように考えておられますか。もうとっくの昔に破綻しているものを、いまだに固執する必要がどこにあるのか、国土交通省のお考えを伺いたいと思います。
村田政府参考人 泡瀬の埋立計画に対する見解についてお尋ねがございました。
 泡瀬地区の埋立事業は、沖縄中部圏東海岸地域の活性化に資するべく、海に開かれた国際交流リゾート拠点などを整備しようとするものでございます。この埋立事業につきましては、事業実施主体でございます内閣府沖縄総合事務局及び沖縄県におきまして、環境影響評価やら公有水面埋立法に基づく所要の手続を経ていると承知しております。また、必要性、緊急性及び投資効果につきましても、これを確認した上で実施しているものでございます。
 本年三月には、先生御指摘のとおり、地元沖縄県と沖縄市によりまして、埋め立て後の土地利用についても十分な需要が見込まれると確認されたと伺っているところでございます。
 国土交通省といたしましては、環境の保全などに留意しつつこの事業が実施され、あわせて、完成後の土地につきましても地元において十分に活用されていくものと考えております。
金田(誠)委員 ここに予算をつける立場として本当にそういうように思っておられるとすれば、残念でなりません。かつて、このたぐいの計画は、あちらこちら、いろいろございましたよね。しかし、それが順調に実施されているという例は、寡聞にして聞いておりません。どこでももう見直しされてきているんではないですか。
 私は、沖縄として非常に厳しい雇用情勢、経済情勢の中でこうした公共事業に頼らざるを得ない、そこまで追い込んでしまった私どもの責任ということも痛感をいたしております。しかし、これから沖縄が自立していく、そのよって立つ最大の基盤は沖縄の自然ということではないですか。その沖縄の自然を壊してまで、なぜここの場所にホテルでなきゃならないのか、なぜここの場所でなきゃならないのか。百歩譲って、仮にホテルが必要だ、あるいはさまざまな用地が必要だとしても、貴重な干潟をつぶしてまでこの位置に建てる必然性はないと私は思います。公共事業であれば別な場所でもやれるのではないですか、本当に必要ならば。そうすれば泡瀬干潟を守ることができるのではないですか。環境省というのはそういうことをやる役所ではないですか。どう考えているんでしょうか。
炭谷政府参考人 先ほどもお答えいたしましたように、事業の実施に関しましての是非は、基本的には事業者の責任において御判断されるものと考えております。
 環境省といたしましては、今回の泡瀬干潟につきまして、必要な環境保全上の措置が確実かつ適切に実施されるということが何よりも重要であると考えておりまして、先ほども御説明いたしましたように、十月十八日に、内閣府に対しまして、所要の措置についての私どもの考え方を申し入れたところでございます。
 今後、私どもといたしましては、沖縄県の環境部局と密接な連携を図りつつ、事業者において環境保全上の必要な措置が適切に実施されるかどうか、見守ってまいりたいと考えております。
金田(誠)委員 細田大臣に伺いたいと思います。事務方とやりとりをしておりますと、一度決まった事業というものはこういうやりとりにならざるを得ないのかなと。まさに、そこに沖縄北方担当大臣の存在があると思うわけでございます。
 私は、この問題は、沖縄の将来をどうするかという問題だと思います。現在の計画は、成功の見込みはございません。仮に見込みがあったとしても、ホテルや住宅はこの場所以外でも建設は十分に可能でございます。にもかかわらず、公共事業の一時的な利益のために、沖縄にしかない貴重な自然をつぶしていいのか、そのことが、今、日本政府に問われていると思うわけでございます。日本政府は沖縄の将来に対してこの程度の選択しかできないのかということが問われていると思うわけでございます。大臣の御所見を伺いたいと思います。
細田国務大臣 いろいろな社会資本整備に関して、環境問題との衝突が起こるということはたくさん事例があるわけでございます。沖縄県におきましても、例えば石垣空港はどうするのか、サンゴ礁の関係でいろいろな知恵を出していただきながら、またいろいろな変更をしていただいたり、あるいは北部においては、ヤンバルクイナ対策でこうしたらいいじゃないかと。これは、あくまでも守るべき環境を考慮しながら、そしてまた、沖縄県は県民所得が全国で四十七位、最下位でございまして、最近は失業も多いのでございますが、県民所得の向上についても非常に強い御要請がある。したがいまして、そこをうまく調整していくことがこの沖縄対策の一番大事なところであると承知しておるわけでございます。
 この事業につきましては、地元の沖縄市が長年取り組んでこられまして、そして、もちろんそういった環境についても地元で御配慮をされていることと存じますが、その上で強い御要請があり、ここを、泡瀬干潟の埋立事業を選択したいということを要請をいただいて、政府としても、これを尊重しながら今進めており、かつ、さまざまな、藻場の移植問題等々、できる限りの範囲内で私ども政府も対策を講ずるということによって、県民あるいは地域の住民の方々の御要請と環境問題をできるだけ適合させていこうという努力を行っておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
金田(誠)委員 大臣、必ずしも地元の意向だけではないと私は思います。これは港湾局所管ですよね、しゅんせつ土砂埋立処分場ということでつくられる事業でございます。したがって、どこかにしゅんせつ土砂の埋め立てをしなきゃならないわけなんです。そういう文脈の中で、国の縦割り予算という文脈の中で、公共事業がいい悪いは別にして、沖縄は今、そこに依存せざるを得ない本当に厳しい状況に置かれている。そういう両者の課題の中から、この泡瀬干潟の埋め立てというものが出てきた。
 これが、港湾局の所管は、埋め立てをしなきゃない、土砂の埋立処分場ということにしなきゃないということを、その省庁の縦割りの枠さえ外せば、その公共事業関係費を本当にフリーの立場で、自然と両立するような、例えばホテルでもいいですよ、住宅でもいいですよ、そういうもので本当に白地から考えていただければ、私はほかの選択肢が出てきたもの、こう思うわけです。
 したがって、その枠の中でこういう形になっているんだということをぜひ大臣に御認識いただいて、これ以上伺っても恐らく同じ答弁の繰り返しになりましょうから、ぜひ御検討いただきたい。担当大臣、閣僚というのはそのためにいらっしゃるのではないかということを強く申し上げておきたいと思うわけでございます。
 次に、先ほども出ておりましたが、新石垣空港の建設問題について質問をいたします。
 この件については、本年四月二十四日の一般質疑でも取り上げました。私が一番心配しているのは、白保のサンゴ礁に及ぼす影響でございます。本年二月、アメリカの環境保護団体コンサベーション・インターナショナルが発表した調査結果によれば、サンゴ礁ホットスポットとして世界の十の海域が初めて明らかにされて、沖縄を含む多くのサンゴ礁が破壊の危機に直面しており、開発の圧力を上回る保全策の推進が必要である、こう強調されているわけでございます。まさに、開発の圧力を上回る保全策、これが必要でございます。
 海域というのは陸上部の影響を非常に強く受けるわけでございます。オニヒトデがなぜ繁殖をするのかのメカニズムなどもまだまだ未知の状況でございます。こうした専門家集団ともきちんと意見交換をしながら、慎重の上にも慎重を期していただきたいという趣旨でございますが、前回の一般質問以降、この団体との意見交換などをされておりますでしょうか。
岩尾政府参考人 沖縄の海を含む南日本、台湾及び南中国の三千平方キロに及ぶ広範な地域が、本年二月、コンサベーション・インターナショナルによって、危機に直面するサンゴ礁として十カ所のホットスポットに選ばれたことは承知しております。この件について特にコンサベーション・インターナショナルと意見交換はしておりませんが、環境省としては、そうした指摘があったことも含め、沖縄の海を含むサンゴ礁の保全の重要性については十分な関心を持っているところです。
 環境省では、日本、アメリカなどが提唱しております国際サンゴ礁イニシアチブ等の国際的な枠組みの中で、サンゴ礁保全に関する広範な専門家との意見交換は進めてきているところでございまして、引き続き、アジア太平洋地域における情報交換等を通じて我が国のサンゴ礁の保全策の充実に努めてまいりたいと考えております。
金田(誠)委員 一方で計画の方は進んでいるわけでございますから、ぜひひとつ、早急な意見交換の上に、本当にサンゴ礁に影響がないのかどうか、きっちりと調査をしていただきたいと思います。
 次に、石垣島東海岸地域、ここには白保海域も含むわけでございますが、これを西表国立公園に編入することについて前回ただしたところでございますが、その後の進捗、何かございましたらお示しをいただきたいと思います。
岩尾政府参考人 国立公園の編入に当たりましては、関係県知事の意見を聞くこととされております。関係市町村の編入への同意の有無も重要な判断材料でございます。このため、白保海域を含む石垣島東海岸地域についても、西表国立公園への編入について石垣市に対して説明を行うなど、地元との調整に努めてきているところでございます。並行して、関係地域の土地の所有状況などについても基礎調査を実施しているところです。
 今後とも、関係者の理解が得られるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。
金田(誠)委員 この問題は、一たん国と県と市が合意をしていると私は理解いたしておりまして、それを後は実施に移すだけでございますので、ぜひひとつ早急に手だてをお願いしたいと思います。
 国土交通省に伺いたいと思います。
 沖縄県は、ことし五月にも環境影響評価方法書の縦覧に入り、二〇〇四年度着工に向けて事業の促進を図りたいとしていたようでございます。しかし、国土交通省が新石垣空港建設計画を了承あるいは内諾してくれないため、方法書の縦覧の見通しが立たないと沖縄県は言っている、このように伺っております。
 これは、県の策定した新石垣空港基本計画書、カラ岳陸上案が、交通政策審議会航空分科会がこの八月に中間取りまとめで提言した新規事業採択の際の必要条件、十分な合意形成、位置選定、その他環境影響見通し等を十分にクリアしていないためと考えますが、いかがでしょう。すなわち、このカラ岳陸上案での新空港建設には無理があるのではないか、こう推測をするわけですが、御見解はいかがでしょう。
阿部政府参考人 新石垣空港につきまして御質問がありましたので、お答えいたします。
 石垣空港の現空港につきましては、航空機騒音被害の深刻化に加えまして、ジェット化など航空需要の動向に十分対応できないというようなことから、二十年以上の長期にわたりまして新しい空港の計画が検討されてきました。今般、地元のコンセンサスを踏まえて新しい候補地が選定され、沖縄県におきまして新石垣空港の計画の策定作業が進められているところでございます。目下、飛行経路の設定や費用便益分析など、残る必要な、主要な課題につきまして、県におきまして鋭意検討作業を急いでいるというふうにお聞きいたしております。今後は、事業主体であります沖縄県におきまして、これらの課題について検討が終了すれば、早急に環境影響評価の手続に着手されるものと承知いたしております。
 なお、新石垣空港の空港計画の策定や環境影響評価の準備は、事業主体であります沖縄県が進めていくものでございますが、専門的、技術的な点につきまして県から相談があった場合には、その都度、私どもにおきましても助言をさせていただいているところでございます。しかしながら、これはあくまで助言でございまして、事柄の性格からして、国土交通省の了承とか内諾といったものがないと先に進められないというものではございません。環境影響評価手続にいつ着手するかといった点につきましては、県が適切に判断することになるというふうに考えております。
金田(誠)委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
仲村委員長 次に、武正公一君。
武正委員 民主党、武正公一でございます。
 きょうも、御答弁は政治家にということでございますので、大臣、副大臣、政務官、それぞれお見えでございます。御協力に感謝を申し上げ、また、質問が終わりましたならばお引き取りいただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。
 この八月、私も初めてロシアのサハリンを訪れました。サハリン・フォーラム、日本の安保研と地元サハリン州との共催でございます。作家の上坂冬子さんも一緒に行かれ、そしてまた、日本側の団長は佐瀬昌盛さんということでございました。
 ちょうどそのサハリン・フォーラムをやっているときに、先ほど来質疑がされておりますピースボートの国後島上陸のちょうど直前でございました。サハリン・フォーラムでも、黒田ユジノサハリンスク総領事もオブザーバーということで出席され、議長からの求めに応じて、やはり懸念の声を上げておられました。
 しかしながら、これは日本の固有の領土を実効支配している地域でありますので、なかなか外務省、あるいはまたきょう国土交通省、いろいろと御苦労をされているようでございますが、この間の経緯について、まず国土交通省には、旅行業法、海上運送法に基づいてどのような対応をされ、また、今後どのように対応されるのかをお伺いいたします。
高木大臣政務官 お答え申し上げます。
 北方領土への訪問については、平成三年の十一月及び平成九年の八月に、平成三年十月の閣議了解の趣旨を踏まえて、観光目的等で北方領土への旅行手配を行うことを厳に慎むように関係事業者に周知徹底を図ってきたところでございます。
 本年八月にピースボートが国後島に上陸した件につきまして、あらかじめ外務省より情報提供がございました。国土交通省といたしまして、三月と四月の二度にわたって、本年八月のピースボートのツアーにつきまして、主催をいたしました株式会社ジャパングレイスに対して、閣議了解の趣旨を説明の上、注意喚起を行っておりました。
 ところが、現状は北方領土の方に上陸をしたということでございましたので、その後、十月の十一日にジャパングレイス社に対しましてヒアリングを行いました。そうしましたところ、今回の上陸はピースボートの独断により行われたものであり、主催旅行の旅程の範囲外であった、または、ジャパングレイスとしては今後このような計画の主催旅行は行わない、こういう回答をいただきました。
 今後、外務省や関係省庁と一層連携を図りながら、関係事業者に周知徹底を図る等、再発防止を講じてまいりたいと考えております。
武正委員 外務大臣、よろしいでしょうか。
 今お聞きのように、国土交通省さんも旅行会社であるジャパングレイスへの対応はしてきたわけです。外務省もジャパングレイスさんからの事情聴取もやるというようなお話も伺っておりますが、この再発防止ですね。
 私は、サハリン・フォーラムのような、ああいった民間会議というのは非常に大事だなというふうに思いました。なぜならば、日本は、固有の領土なんだけれども、ロシアが実効支配しているから、いわゆる公式ルートでは政府として対応ができないということもありまして、こういった場においてのこうした民間会議の重要性も認識をしたんですが、今の国土交通省さんのお話、ジャパングレイスへの対応、そしてまたこのような民間会議、あわせて再発防止としての御見解をお伺いいたします。
川口国務大臣 再発防止のために手を打つことは非常に重要なことだと考えております。
 情報あるいは考え方について、きちんと国民の皆様に伝わるということをどうやってやるかでございますけれども、外務省としては、そのときに外務報道談話という形で発表をいたしましたし、その後、こういったことについて、今委員がおっしゃったような、例えば旅行業者への徹底ですとか民間フォーラムの場でお話をするとか、いろいろな可能性があると思いますので、そういうことについて検討を指示したいと思います。
武正委員 既にお話がございますように、ビザなし交流ということで、閣議了解をもってこれまで北方四島との交流を限定して進めてきた日本政府にあっては、今回の国後へのピースボートの上陸は問題が多いという認識を、既に外務省は先ほどの談話でも示されているというふうに認識しておりますので、再発防止について、今いろいろと御指摘をした総合的な取り組みをお願いしたいと思います。
 国土交通政務官、どうぞお引き取りください。
 続きまして、お手元の方に民主党の沖縄ビジョンということで、理事会のお許しをいただきまして、この八月二十六日、那覇で発表いたしました民主党の沖縄政策をお手元に配付させていただいております。この中での提言をいろいろと用いながら、以下、質問をさせていただきます。
 まず、今般衆議院を通過して、今参議院で、ちょうどきょうは参議院で審議中でございます構造改革特区法案。この民主党の沖縄ビジョンでも、我々は、沖縄の地理的、歴史的な特性をもってすれば、それこそ大田県政時代にも取り上げられた一国二制度、これをもう沖縄に適用していいんじゃないかというふうに思っております。
 そういった意味では、今回の構造改革特区法案で、我々も求めておりましたビザの免除あるいは入管の緩和、こういったことが地元からも、沖縄国際コンベンション特区ということで、韓国、台湾、香港からのビザなし渡航の特例、こういった要望も出ていたり、あるいは石垣市からの観光特区ということも出されておりました。あるいは、通関の二十四時間化、三百六十五日化、これについては、通関だけでなく検疫業務もあるから、出入国管理業務の自治体への移譲を求めていたんですが、やはり、農水、法務からは、難しいというようなことがありました。
 きょうは内閣府副大臣お見えでございますが、今ちょうど審議中でございますけれども、私は、沖縄の地理的、歴史的、さまざまな特性、これを生かし切るには、やはりこうしたさまざま地元から上がっている特例、特に先ほど来お話があります観光面でもっと特例を認めていいんじゃないか。これが今回認められなかった。その四百二十六件には入らなかったわけであります、いろいろなやりとりで。これについてどのようにお考えになりますか。
根本副大臣 委員の今お話しになった、観光面でのさまざまな特例ということでありました。
 具体的には、今回、沖縄県あるいは石垣市の構想におきまして、ビザの免除や入管業務の手続の簡素化、こういうことを内容とする要望が、要は、アジア諸国などからの外国人観光客の受け入れ拡大により地域振興を図るという観点から出されております。
 ただ、いろいろ関係省庁と協議を行いましたが、関係省庁の意見は、例えばビザの免除あるいは入国審査業務の手続の簡素化、この点については、いずれも不法就労や不法滞在の防止などの観点から慎重な対応が必要であるということであったものであります。
 今回、特区として認められなかった規制の特例、こういうものについては、来年一月十五日を締め切りとしておりますが、第二次提案募集において公共団体やあるいは民間から具体的な要望が出てくれば改めて関係省庁と協議を進めてまいりたい、こう考えておりますが、今回の不法就労や不法滞在の防止等の観点から慎重な対応が必要であるという関係省庁の意見に対して、こういう懸念に対して、どのような適切な措置、いわゆる代替措置がとり得るかという観点での十分な検討が必要だろうと考えております。
武正委員 関係省庁ということで、外務大臣もいらっしゃるので、本当はここでお聞きをしたいんですが、いろいろと質問もそろっておりますので、先を急ぎたいと思います。
 さて、介護保険についてでございますが、きょうは厚生労働政務官お見えでございます。
 介護保険料、沖縄県は日本一の高さでございます。来年度見直しでございます。与那国町は月に七千六百五十四円というようなこと。これもまた、償還延長で、九年延長して六百円は安くなるけれども、償還延長も一時的な軽減にすぎない。来年度から、もう八月一日から始まりました広域連合制度も取り入れて、何とか軽減も目指そうということでございます。
 この沖縄ビジョンの中で、我々は、沖縄独特のユイマールとか門中とかこういった人的なネットワーク、沖縄というのはすごいなということを、私もことし六回沖縄に行きましたのでつくづく感じておりまして、何か、これこそまた特区、特例ということで、やはり沖縄の高い介護保険料を何とか解決する手段として、このユイマール、門中などの人的ネットワークを生かせないものかなというふうに考えるわけですね。
 例えば、法人として、これは、資格、NPO含めていろいろありますが、何かそういった形で法人の一部にユイマール、門中というのを認めていくようなこともできるんじゃないかなというふうに考えるんですが、政務官、いかがでございましょうか。
渡辺(具)大臣政務官 介護保険制度につきましては、三年目に入りまして、いろいろ経験を積み重ねてきたところでございます。そういう経験を踏まえましても、介護が必要な状態になっても地域で自立した生活を営めるように、在宅における介護が非常に必要だというふうに思っております。
 委員御指摘のユイマール、門中は、地域におきます相互扶助的な活動であるというふうに聞いておりまして、在宅介護に対しまして、介護保険に基づくサービスはそれはそれで必要でございますが、このような地域におけるより温かい支え合いというのも大変大切だというふうに思うわけであります。
 そういう中で、委員はより踏み込んで、介護サービスの指定業者にはなかなかなりにくいけれども、これを活用する方法はないか、こういう質問であろうというふうに思います。
 確かに、介護保険法によりますと、先ほど御指摘のように法人格がなければいけないし、かつ、人員や設備、運営が一定の基準を満たしていなければいけないところでございまして、ユイマール、門中は今のところ法人格を持っていないと聞いておりまして、指定業者として指定するということは、法制的には、介護保険法では大変難しいわけでございます。
 ただ、介護保険におきましては、各保険者、これは市町村でございますが、の判断によりまして、法人格のない団体でも、その市町村に登録してあれば、その市町村の住民に対しては保険給付を認めている仕組みも用意されておりますので、こういった仕組みを活用されてはいかがか、こういうふうに考えております。
武正委員 ありがとうございます。政務官もどうぞ、お時間の都合、お引き取りいただければと思います。
 根本副大臣、この間のやりとりだけではまだまだのところがございまして、もっと深めたいところでありますが、私は、沖縄という県は、地政学的にも東シナ海に面してございますし、環境的にも、沖縄本島を初め島嶼群ということで、全県について、例えば全県をフリー・トレード・ゾーンにしよう、我々もそういう提案をしました。あるいは、それこそ、沖縄だけ時差を設定してもいいんじゃないか。
 これはいろいろと、当然、そんなことできっこないよという話もあるかもしれませんが、構造改革特区で、要は規制改革の先鞭として、沖縄県全県での考え方というのが非常に大事な地域ではないか、またそれが生きる地域じゃないかなというふうに思うんです。全県での申請は今回もいろいろありますが、特に沖縄に限っては、それをより、ある面、督励してもいいんじゃないかなと思うんですが、御所見を伺います。
根本副大臣 私も政策論としてはいろいろな政策論があると思います。
 この特区法案の特徴は、基本的には、自治体がみずから区域を設定して、それぞれの地域の特性に合わせて自発的に立案して実施しよう、いわゆる地方の発想を大事にしよう、こういうことでありますので、特区について、一つの市町村の地域でやるという判断もあり得ましょうし、県全体として取り組む、私はここのところはそれぞれの地域の判断だと思うんですね。地域がどう考えるか、これがこの特区法案の魂ですから、いずれにしても、全県としても可能でありますし、一つの市町村ということも可能だ。
 そういうことでありますので、私は、沖縄の活性化のために、沖縄の地理的特性というものを生かしてすばらしい計画を立案して、特区の考え方を生かしてもらいたい、こう思います。その意味では、特区法案というのは、地域については限定はしておりませんので、それぞれの地域が地域の判断で、一つの市町村でもいいし、あるいは県全体で取り組む、それは非常に多様な考え方で、あくまでも地域の判断だと思います。
武正委員 地域の判断と言われますが、いろいろなやりとりでだめだだめだと言われる。私は、鴻池大臣には、今回、これは規制改革のばらまきではないかというふうにお伝えをいたしましたし、また、将来的な財政支援措置もいろいろとお話がありましたので、何だ、前と変わらないんじゃないかな、要は、規制改革、地方分権、現政府はやる気がないんではないか、政府・与党の姿勢を問いたいところでございますが、ぜひ、沖縄については、そういった意味では督励をお願いしたいと思います。
 どうぞ、副大臣、お引き取りいただいて結構でございます。
 ここで、沖縄担当大臣に、全県でのということを本当はお聞きしたかったんですが、時間の関係もありまして、ちょっと先を急がせていただきます。
 過日、十一月十一日、北海道開発局の官製談合が明らかになりました。この中で、国土交通大臣からは改善策が発表になりまして、北海道開発局内の異動を全国の異動にする、道内建設業協会からOBを引き揚げる、そして入札監視の第三者機関をつくる、こんなことが出ました。
 では、北海道のことは他山の石かというと、ある面、予算の一括計上、概算要求、これを北海道開発局がやる、これは沖縄も同じような仕組みをとっている、同じようなことが起きないとも限らないと思うわけでございますが、この北海道開発局の改善策を沖縄でもやはり他山の石とすべきと考えますが、沖縄担当大臣の御所見を伺います。
細田国務大臣 沖縄総合事務局におきましては、これまで官製談合といったような事案が起きているとは承知しておりません。
 しかしながら、委員御指摘のように、常にこういう問題については目を光らせて、そのようなことがないようにしなければならないことは当然でございます。
 入札、契約手続につきましては、既に平成六年から、沖縄総合事務局に外部の有識者により構成されます入札監視委員会を設置するなど、その公正の確保、透明性の向上を図るための措置を講じているところでありますけれども、さらに今後とも徹底する努力をしてまいりたいと思っております。
武正委員 あわせて、ITについても、今政府としては入札制度の見直しに取り組んでおります。これは内閣府さんも同じだと承知をしております。ITは沖縄が新法前から力を入れている点でございますので、特にITの入札制度の見直し、競争入札、JV、中小企業への発注、これについてはぜひ督励をお願いしたいと思います。この点は指摘にとどめさせていただきます。
 さて、先ほど、普天間の移設につきまして外務大臣からも答弁がありました。特に、十五年問題については日米の外相会談で指摘をしているというようなお話でございましたが、六月十三日のウィスラー、九月十七日のワシントン、それぞれ新聞記事を見ますと、外務大臣の発言といたしましては、使用期限問題について日米双方の立場もあるがということをそれぞれどちらの会談でも言っております。ということは、日本の立場は立場だけれどもアメリカの立場も立場なんだということで、それでは十五年問題は解決しないんじゃないか。
 先ほど、取り上げてきたというような御所見でございましたが、これについてもう一度御答弁をいただくのと同時に、既に自民党下地議員からも、嘉手納基地への統合ということが何度も提案をされております。これについては、我々、民主党沖縄ビジョンでも、この普天間基地についてはさまざまな選択肢があろうと、これは嘉手納への統合、あるいはキャンプ・シュワブ沖ではなくて、内陸部というようなことを探ってきたところでございます。
 この普天間基地の移設、嘉手納統合、そして先ほどの十五年問題について取り上げてきたという御答弁でございましたが、使用期限問題について日米双方の立場はあるがということを二回にわたって、六月、九月と発言をされている。これについて、その御所見、真意をお伺いします。
川口国務大臣 普天間の十五年の期限の問題につきましては、先ほど申しましたように、平成十一年の閣議決定に従いまして、この件について、沖縄県に施設・区域の七五%があるということから、まさに沖縄県民の方に重い御負担をおかけしているわけでございまして、これを重く心に受けとめまして、十五年期限問題については取り組んでまいりたいと考えております。
武正委員 嘉手納への統合についてはいかがですか。そういった案が自民党下地議員初め出されておりますし、我々もそういったことをさまざまな選択肢があろうというふうに指摘しておりますが。
川口国務大臣 これにつきましては、国際情勢等いろいろな問題もございますが、沖縄県民の方のお気持ちを重く受けとめまして、そういった中でこれについても私なりに考えてみたいと思っています。
武正委員 稲嶺知事は、これは琉球新報での記事でございまして、知事選の前の発言でございますが、十五年問題が解決しない限り着工はあり得ないと知事として明言しているというふうにも言っております。
 沖縄担当大臣、今外務大臣は言っているということなんですが、新聞での報道では、日米の外相会談では使用期限問題について日米双方の立場もあるがと。これでは沖縄の県民の声を代弁しているとは私には到底思えないんですね。やはり言っていかなければ、アメリカのことを考えて発言しているんじゃなくて、日本の外務大臣でありますから、日本国民ひいては沖縄県民の代弁をしなければならないというふうに考えるんですが、沖縄担当大臣としてどのようにお考えになりますか。
細田国務大臣 川口外務大臣は、パウエル国務長官との会談でもしっかりとおっしゃっておられるというふうにも承っております。
 私といたしましては、いろいろな国際情勢の変化はございます。最近は北朝鮮の核の問題とイラクの問題が非常に大きくクローズアップされて大変な情勢でございます。しかし、国際情勢はどんどん変わり、また比較的平穏な情勢にすぐに戻る可能性も大きいわけでございますし、先ほど来おっしゃっておられますような国際情勢の好転につきましても、近い可能性もあります。
 我々としては、一歩でも二歩でも県民のお気持ちに近づきますように、これを重く受けとめて努力をしてまいりたいと思っております。
武正委員 先ほどお示ししたこの沖縄ビジョンで、我々は、在沖米軍の課題を話し合うテーブルに沖縄県も加えるべきであるということを提言しております。
 今の両大臣の発言では、在日米軍基地七五%を抱える沖縄県の県民の声が本当に日米交渉で反映されているんだろうかということでは、やはり疑わしいと言わざるを得ないのでございます。このテーブルに沖縄県を加えるべきであろうというふうに考えるんですが、まず、外務大臣、御所見を伺います。
川口国務大臣 委員がテーブルにとおっしゃっていらっしゃるのが具体的にどこの場をお指しでいらっしゃるのか、ちょっと私、はっきりしないところがございますけれども……(武正委員「2プラス2」と呼ぶ)2プラス2の場についておっしゃっているということでございましたら、この会合は日米安全保障協議委員会というふうに呼ばれておりまして、日米それぞれ外務大臣、それから日本ですと防衛庁長官、米国ですと国防省の国防長官ということでございます。
 我が国の平和と安全をいかに確保するか、そういう観点から我が国を取り巻く国際情勢や日米安保体制に関するいろいろな問題全般を協議する枠組みでございまして、これは、アメリカとの国際約束上、日本側のメンバーは先ほど申し上げたメンバー、米国もそのカウンターパートということで規定をされているということでございますので、構成メンバーを変えることは考えておりません。
武正委員 別に変えよとは言っておりません。例えばオブザーバーで参加とか、いろいろやり方があるんではないかなということでございます。
 また、2プラス2が難しいとすれば、例えば日米安全保障高級事務レベル協議、SSC、あるいは普天間実施委員会、FIG、いろいろと場所はございます。こういったところに沖縄県を、メンバーを変えなくても、例えばオブザーバーで加わっていく、あるいは発言の機会を与える、こういったことができないんでしょうか。再度御答弁をお願いいたします。
川口国務大臣 例えば普天間飛行場に関しますと、日本国内に代替施設協議会という場がございまして、外務大臣もそれから防衛庁長官もメンバーで、沖縄県知事を初めとする沖縄県の方が大勢いらっしゃるわけでございますけれども、そういう場で御意見を伺う機会がございますし、その他の場でも、沖縄県の御意見あるいは沖縄県民の方の御意見、外務省は大使も置いておりますので、そういったさまざまな場で沖縄県、沖縄県民の方の御意見を伺って、それを2プラス2の議論に反映させてまいりたいと思います。
武正委員 今大臣から沖縄大使ということが御発言ございました。これは三つほどちょっと事例を挙げたいと思うんです。
 ことし九月十一日、原潜について、沖縄大使は、原潜の沖縄への寄港、これは非公開を県に引き続き協力を求めていく。立場的にはやはり国の立場ですね。それから、十月九日、キャンプ・ハンセン、都市型戦闘訓練施設建設について、東京から米側にコンタクトをとっている、ただ、状況はわからない、聞いていないというふうに沖縄県民に対して伝えている。十一月十三日、これは伊江島で重量落下物訓練、パラシュート訓練、これについては訓練の廃止は求めないということも大使は発言をしております。
 もしかすると沖縄大使は、沖縄県民の声を聞くのではなくて、沖縄県民の声をアメリカ側に届けるブレーキ役になっているんではないかというふうに危惧するような事例と私は感じるわけでございます。
 阪大の助教授エルドリッジさんは、最初から日米沖の三者でこの普天間移設の方針も決めるべきである、また、これからSACO2でありますが、県も参加させて意見を述べさせる場をつくるべきである、こういったことを指摘しているわけでございますが、私は、先ほど大臣、アメリカとのいろいろな直接の交渉の場において沖縄県が入ることはできないということでございますが、やはりこれは、そうした機会を在日米軍基地七五%を抱える沖縄県に与えていくべきではないかというふうに考えるんですが、再度これを大臣にと思いますけれども、沖縄担当大臣、沖縄担当大臣として今の外務大臣とのやりとりをお聞きになって、ぜひ前向きな御答弁をお願いします。
細田国務大臣 やはり政府間の話し合いでございますから、基本的には先ほど川口外務大臣がお答えしたとおりであるとしか申しようはございません。しかし、地元の沖縄県知事を初め皆様の御意見を反映しながら政府間で話し合わなければならないわけでございますから、さまざまな御意見の反映につきまして、努力する仕方はさまざまあると考えております。
武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。
仲村委員長 次に、白保台一君。
白保委員 細田大臣、初めに細田大臣にお伺いしたいと思います。
 その前に、去る十七日に県知事選が行われました。結果は、御案内のとおりでございまして、稲嶺知事が二期目に入るわけでございます。
 その中で、非常に気になる報道が幾つか出ていました、本土側からの報道ですね。それは、こういう圧倒的な勝利をおさめた中で、政府は沖縄に対する関心が大分冷めてきたんじゃないのかというような報道等が見かけられます。しかし、選挙というのは、どの選挙であれ厳粛に受けとめなきゃなりませんし、稲嶺知事が支持されたということは御存じのとおりでありまして、むしろ、沖縄にとっては、これから、先般我々がつくりました、みんなで、全党で一致してつくった振興特別措置法も、着実に目標に向かって、これの実現に向けて推進していかなきゃならない、そういうときでもあります。
 したがって、これは、そのような報道等があるということは非常に残念でありますけれども、新任の担当大臣として、課題と取り組んでいくその決意、抱負をまずお聞きしておきたい、こう思います。
    〔委員長退席、吉川委員長代理着席〕
細田国務大臣 先ごろの県知事選挙におきまして、白保委員がおっしゃいましたような論評が出ておったということについては、私は事実と大変違うのではないかと思います。
 本土の選挙などにおきましては、一部、県知事選挙、地方選挙などの場合にも、非常に挙げて閣僚が応援に行くとか、あるいは与野党ともに選挙の応援をして、大変にぎやかな選挙をやるところもあるわけでございますが、むしろ、政府全体としては、あるいは野党の皆さんもそうかと思いますが、この選挙に対して、さまざまな政党が出かけていって、それぞれに応援をしたり介入をしたりということは控えよう、やはり沖縄県民の皆様方の厳正なこれまでの県政に対する評価、審判が下されるわけでございますから、終了し、投票が済むまでじっと見守っていこうじゃないかということで一致しておりまして、そのことが逆に、本当に応援をしてくれているのかとか、理解があるのかというお声で出たのではないかなと思っておりますが、実はそうではございませんで、知事選挙が終了するのを待っておりまして、さまざまな具体的な政策を次々に講じなければならないわけでございます。
 いよいよ予算も近づきまして、予算におきましては、さまざまな環境整備の予算もございます。空港にしても、あるいはダムとかその他、環境上も大事な予算もたくさんございますし、また県民所得が低くて、また全国一の高い失業率であるということから、産業の振興、雇用の創出に必要な対策をすぐに講じなければならないということで、選挙中にも、副知事にも御参加いただいて、この課題について検討を重ねたわけでございますし、また大学院大学の設置構想についても、さまざま、外国も含めました構想を練り、また財務当局とも交渉を重ねる。そういうことで、非常に積極的に動いておりますので、その点は御安心を願いたいと思いますし、またさらに年末に向けて頑張ってまいりたいと思いますが、何よりも県民の皆様方のそういった御意思も必要でございますので、共同してまたそういった政策について実現してまいりたいと思っております。
白保委員 ちょっと順番を変えますが、知事選挙の最大の争点の一つの中に、雇用問題、失業問題、こういったものが取り上げられました。
 実は、昨日、自由民主党の中でも了承されたというふうに伺っておりますが、私ども公明党も、沖縄二十一世紀委員会と我が党内閣部会、合同で委員会を開きまして、内閣府から示されました産業・雇用対策の追加的実施、この問題について我が党も了承をいたしたところでございます。
 そこで、やはり争点でございましたし、この追加的実施を行うことによって、現状の失業問題そしてまた雇用問題に対してどういった効果が、それが大体どのようになるのかということが見込まれるか、それについてお答えをいただきたいと思います。
細田国務大臣 まず、ことし七月に策定いたしました沖縄振興計画におきましては、十年間の計画期間中に見込まれる約七万人の労働力人口の増加への対応及び失業率の五%程度への改善の目標のもとで、十万人近い雇用創出が十年間に必要であるとしているところであります。こうした目的達成のために、沖縄振興計画及び雇用の促進、人材の育成等を内容とする職業安定計画を初めとする分野別諸計画の着実な推進を図っていくことが極めて重要であります。ことし九月の失業率が九・四%になるなど、現下の厳しい雇用情勢を踏んまえまして、さらなる追加的対応を検討しているところであります。
 そこで、現在、求職者と求人企業のマッチングを図るための施策など、雇用対策の拡充強化を中心に、極力早期に決定をいたしたく準備を進めておりまして、これは、きょう、ただいま初めて申すわけでございますが、十二月六日に、これに関連いたしまして、私が主宰する沖縄政策協議会、総理を除く全閣僚の出席のもとに、沖縄政策協議会及び北部振興協議会の開催を予定しておるわけでございます。
 この追加的な対応につきましては、補正予算を含めましておおむね三百億円規模のパッケージにできればと考えているわけでございます。沖縄の県民総生産の規模を踏まえた場合、このパッケージにより、大ざっぱに申し上げまして、雇用面を含めおおむね一%程度の経済拡大効果が期待できるのではないかと考えておるわけでございます。
    〔吉川委員長代理退席、委員長着席〕
白保委員 時間がありませんので、外務大臣、端的に伺います。
 先ほどから問題になっております沖縄の十五年使用期限問題、この問題について、大臣はその本質は何だと思いますか。
川口国務大臣 これは、端的にお答えするのがなかなか難しいんですけれども、基地の固定化を避けて、そして基地の整理縮小を求めるという県民の方々の強い感情が背景にあるというふうに私は思っております。
 そういったことを背景に、沖縄の稲嶺知事が選挙のときにおっしゃられましたし、また普天間飛行場の代替施設協議会等の場でも、これについて、沖縄県が移設に当たって整備すべき条件ということで、沖縄県あるいは名護市がそういうことをおっしゃられたというふうに理解をしております。
白保委員 これは、私自身の理解でいきますと、大臣、初めてみずからの意思で提供するんです、初めて。これまでは、占領されていや応なしに今日まで続いてきた、だからどうにもならなかったんです。ところが、今回は初めて県民の意思で提供しようとしているものなんです。だから、これまでの五十七年間のどうにもならないこの状況というものを変えていくために、この十五年問題というのが出てきているんです。
 ですから、この部分がはっきりわかりませんと、先ほどから話を聞いていますと、平和を願う県民だとかいろいろなことをおっしゃるけれども、そうじゃないんです。今回は初めて県民の意思を示したんです。だから、この分だけですよという我々の意思を示しているんです。それがわかりませんと、現実問題としてこの問題の進展はないだろう、こう私は思っています。
 だから、みんな、沖縄は基地が多いし、長い間御苦労されてと、いろいろなことをおっしゃいますけれども、そうじゃない。本質は、初めてみずからの意思で提供しようとしている問題だということです。この問題は、そういう面では、まだまだこれから議論していかなきゃならないと私は思いますが、時間がきょうはありませんので、このことだけを申し上げておきたいと思います。答弁は要りません。
 今度は、防衛施設庁の方に聞きます。
 防衛施設庁、嘉手納爆音訴訟に加わらなかった皆さん方が同じように爆音を受けているんだ、騒音を受けているんだ、公平に補償してもらいたい、こういうことで皆さんが立ち上がって、さまざまな要望をしてまいりました。この一、二年の間に、本当に防衛施設庁は頑張って、厚木基地周辺の騒音問題のアンケートをとったりして、真剣に取り組んでこられまして、沖縄の公平補償を求める皆さん方の声にこたえるために一定の方向が出てきました。非常に頑張られたことに対しては評価をしております。
 そこで、沖縄においては最終的には五万世帯ですから、それが大体二百万ぐらいのソーラーシステムをつけるとなると一千億になります。これは年次計画でやっていきますから大変大きな金額になっていきますが、現実にいよいよこれを設置しようという状況になってくると、技術的にさまざまな課題があるんじゃないか、こういうようなことを言う方もおられます。そういう面でどのように対応していこうとするのか、そのことをお答えいただきたいと思います。
大古政府参考人 防衛施設庁といたしましては、飛行場周辺の方々の負担を軽減するため、新たな施策といたしまして、住宅防音工事の一環として太陽光発電システムの設置助成を行うこととしておりまして、所要の経費を平成十五年度の概算要求において計上しているところでございます。
 今先生の方から御指摘のありました技術的な問題については、我々としましては、既に我が国においてこのシステムにつきましては八万世帯を超える普及を見ておる。そういう意味で、技術的にも確立し実用化されているものと承知しておりますが、御指摘の技術面の問題につきましては経済産業省の方でもいろいろ実証研究を計画しておると聞いておりまして、その状況について十分情報を得てまいりたいと考えております。
白保委員 ぜひ、一番大事なことでございます公平補償の問題ですから、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 もう時間がありませんから最後になりますが、来年、太平洋・島サミットが開かれます。川口大臣にも、それからまた細田大臣にも大変御努力いただきまして、ありがとうございました。
 そこで、この太平洋・島サミットですが、日本の役割とそしてまたテーマについて、川口大臣からお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
川口国務大臣 島サミットが沖縄で開催をされることが決定されたわけでございますけれども、この首脳会議では、太平洋地域の情勢ですとか、日本と太平洋諸国の関係等についても議論をするという場でございます。昔から海に出、かつ国際性に富んだ、これらの地域と非常に強い関係を持っている沖縄県で開催をするということは、実にふさわしいことだと私は思います。
 テーマでございますけれども、これは、今後さらに太平洋諸島フォーラム側と調整をする必要がございますけれども、双方の関心事ということでいいますと、環境問題、教育問題、人材育成問題、そういったところでございます。
白保委員 終わります。
仲村委員長 次に、丸谷佳織君。
丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。
 本日は、北方四島周辺十二海里水域における日ロ間の操業枠組み協定を今後も維持すべきという観点から、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、十一月十五日に結論を見ました、今回の北方四島周辺水域における日本漁船の操業枠組み協定に関する協議でございますけれども、結果的には、二〇〇三年の漁獲割り当てを、スケソウダラあるいはホッケなど、ことし並みの計二千百八十トンとすることで合意をされました。また、これに伴いまして、北海道水産会の方からは、協力金二千百三十万、漁具など二千百十万円相当がロシア側に供与されるほか、支援委員会が来年度廃止されることを踏まえまして、同委員会を通じましたサハリン州への支援を、ことしじゅうに約三億六千八百万円相当行うことを通知したというふうになっております。
 こういった交渉の中でこの結果を得たということは、現場であります北海道の漁民の皆さんの苦悩を十分配慮された上で交渉し、また結果を出していただいたものというふうに私は思いますけれども、政府の今回の措置に関する基本的な考え方はどのようなものだったのか、そしてまた今回の交渉の評価をいかがされているか、水産庁の方からお伺いしたいと思います。
熊谷大臣政務官 丸谷先生は北海道の御出身でございますから、この問題に特に御関心をお持ちでお尋ねのことであろうというふうに思います。
 今先生おっしゃったように、十一月十五日、今までの漁獲量を決める協定というものの見直しをやったわけであります。今度は、一年間、来年のものはことし決めるという形で毎年その協定の見直しをやっていくというルールになっているわけでありますが、基本的には、全体の漁獲量二千百八十トン、この総量というものは確保できたという形になっております。
 ただ、先生も今お触れになったように、スケソウダラというのは資源が悪化をしているということで、この面については三十トンだけ減らして、そのかわりホッケの方で三十トンふやす、トータルとしては総量の二千百八十トンというのは確保できているということ。それから、漁獲の時期、これも前の時期と大体同じだというふうになるわけです。特に、周辺の漁民が非常に待望しておりましたタコの空釣りも一月から実施できる、そういう形になっておりますので、漁業者の方でも非常に満足をしているということでございます。基本的には、全体の形で今までの内容が確保できたということでありますので、それなりの評価をしているわけであります。
 ただ、おっしゃるように、これは特殊な海域でございますから、まだ問題が幾つか残っているので、やはり安全な操業ということには特に意を用いていく必要があるな、こんなふうに考えております。
丸谷委員 ありがとうございます。
 特に、今熊谷政務官からおっしゃっていただきました、本当に特殊な海域でありますけれども、そこで実際に漁業をされている皆さんの利益というものを考えて交渉に当たっていただいて、そしてこういった結果を出すことができたということに対する評価、私たちも同じでございまして、またそこに向かって来年度の交渉が、また次の年も維持されていくことを望むわけなんです。
 さきの外務委員会でも外務大臣に質問させていただきましたが、実際に、枠組み協定維持に向けて、今後どうしても新たな対策というものが求められてきております。さきに質問をした際には、もう大臣いらっしゃらなかったので、齋藤局長の方から答弁をいただいたと思うんですけれども、もう一度明確な御答弁をいただきたいと思います。
 支援委員会の廃止に伴いまして、これまでのサハリン支援の金額ですとかあるいは形態といったものは当然維持できなくなるわけですから、政府は、これによって枠組み協定の存続ですとかあるいは具体的な影響をどのように考えているのか、まずこの点から論じていかなければ対策というのは練りようがないと思うんですけれども、この点、論点があれば、局長の方からお答え願います。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 サハリン支援は、四島周辺枠組み操業と直接の関係はないという建前でございますけれども、そうはいいながらも、四島周辺を実際に管轄しているのがサハリン州政府ということで、この水域での安全操業を確保する上で、サハリンに対する支援がサハリン州政府の理解を得るということで寄与している面も否定できないわけでございます。また、この枠組み協定が、漁業の安全操業のみならず、日本とロシアの友好な関係を維持、さらに発展させる上で非常に重要な枠組みであるということについて、我々、またロシア側も認識しているところでございまして、支援委員会が廃止になりました後に、この枠組み協定をぜひとも維持していきたいというふうに思っております。
 そういった観点から、サハリン州とのどのような協力関係があり得るのかという、新しい協力のあり方といいますか、どのような形のものができるかということについては、鋭意検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
丸谷委員 ということは、具体的にどのような悪影響が出てくるかということの論点というよりも、具体的にその議論あるいは枠組み協定の議論自体がなかなか難しい局面も迎えてくるという趣旨の御答弁だというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
齋藤政府参考人 私が申し上げましたのは、枠組み協定の維持とサハリン支援は、直接の関係はございませんけれども、サハリン州政府の理解を得る上で、サハリンに対する支援というのはそれなりの意義を有しているということでございまして、そういう観点から、支援委員会廃止後の新しいサハリン州に対する協力のあり方について検討を進めていかなきゃならないんじゃなかろうかということを申し上げたわけでございまして、また、そういった観点からも先生方の御指導を仰ぎたいと思っているところでございます。
丸谷委員 わかりました。
 私の質問が、恐らく伝わりにくいような形の質問の仕方をしてしまったのかと思うんですけれども、私の質問は、サハリン支援の金額や体系はこのまま維持できなくなりますよね、それによって、確かに、サハリン支援と枠組み協定というものは、表向きは別物というか影響し合うものではないであろうにしろ、実際には影響し合っているという効果も否めない、その中で、サハリン支援が今までと同じようにできなくなることによって、枠組み協定の存続に具体的にどのような影響が出てくるだろうと思われるのか、この点をお伺いしたいと申し上げました。もう一度、よろしくお願いします。
齋藤政府参考人 サハリン支援といいますのは、これまでやってきているサハリン支援は二通りございまして、一つは、ユジノサハリンスクにございます日本センターを通じます技術支援でございまして、それからもう一つは、支援委員会を通ずる機材供与でございます。
 それで、より具体的に申し上げますと、支援委員会廃止後にできなくなるのは、後者の方は現行法制下ではできないわけでございます。国際機関であったがゆえに、支援委員会を通じて機材供与というのを行うことができたわけでございますけれども、国際機関である支援委員会を廃止いたしますとその機材供与ができなくなるということで、我々としては、前者の方の日本センターを通ずる技術支援を拡充していくということも考えてまいりたいと思いますけれども、あわせて、ほかにどういうことをすることが必要となってくるのか、なってこないのか。
 いずれにしましても、安全操業の枠組み協定は維持していくことが必要であるというふうに我々は考えておりますし、ロシア側もそこのところは評価しているわけでございますので、そういった観点から、新しいサハリン州との協力関係のあり方について検討を進めていかなきゃならないという趣旨のことを申し上げたわけでございます。
丸谷委員 では、その枠組み協定維持のために、今後、新たな支援策というのを講じていかれる上で、今外務省の方からもお答えがございましたけれども、現在行っている、ユジノサハリンスクにあります日本センターについては、非常にロシア側にも感謝されている、これは、外務大臣がこの間ロシアを訪れたときにも、そのようなことをあちらのイワノフ外務大臣から言われたという報道がございましたけれども、これをぜひ拡充するような形での支援というのを実現していただきたいという点が一点と、それだけでは次の新しい対策というのは十分ではないでしょうから、例えば、現在、海洋生物資源の再生産に関する分野の協力を実現することを目的としまして、操業枠組み協定に基づいて、日ロ間の共同経済活動として、ウニ及び貝類の栽培漁業が北方四島周辺水域で行われております。
 日本側は、共同経済活動には、財産権ですとかあるいは所有権、それから事件、事故が起きた際の警察権の行使などの問題点が数多くありますことから、領土問題をまず解決して、それから共同経済活動に対する方向に向かっていこうというふうに今活動していると思うんですけれども、私が従来主張しております積極的な相互依存関係を二カ国間で築いていくということ、これは多面的に考えていかなければいけないと思うんですが、この共同経済活動に対する今までの政府の方針というのをひとつ見直すことも有益なのではないかと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
土屋大臣政務官 丸谷委員は私以上に北海道のこの地域のことは御存じだと思いますので、私の答えが丸谷委員にとって納得いくかどうかわかりませんが、一言。
 今のことについてですけれども、二点あったのではないかと思います。
 一つは、日本センターのことでございますけれども、これはむしろ外務大臣であったかもしれませんけれども、私からお答えさせていただきたいと思います。
 日本センター事業については、ロシアとの間で七カ所のセンターをつくったわけですけれども、その一つがユジノサハリンスクにあって、大変いい活動をしているということでありまして、これは、本年四月の専門家会議でもこれを継続すべき旨が提言されていることから、来年度以降も継続、発展させていく考えでおります。
 いずれにしましても、支援委員会の廃止が操業枠組み協定に基づく日本漁船の操業に悪影響を及ぼさないように、支援委員会廃止後のサハリン州との協力関係のあり方については、引き続き、この日本センターの運営と同様に検討していく考えでございます。
 それからもう一点は、共同経済活動の点だと思いますけれども、この地域における日ロ間の相互理解及び信頼の強化、平和条約に関する二国間交渉の進展のための望ましい環境の整備に資するものとしては、丸谷委員がおっしゃったように、例えば北方四島における共同経済活動というのは非常に大きなものだと考えます。
 他方、今おっしゃったように、法的立場ということで考えますと、両方、日本側の方の立場、ロシア側の方の立場ということで、島の帰属の問題等考えると非常に難しい問題であることも事実でございます。ですけれども、引き続き、共同経済活動委員会において、双方の法的立場を害することのない共同経済活動の可能性につき検討を進めていきたいと考えております。
丸谷委員 時間が参りましたので最後にしますけれども、今まで、一九九八年十一月から次官級でこの交渉というか協議はされていると思うんですね。共同経済活動委員会というのが設置されて、そこで協議をされているわけなんですけれども、今後、こういったところを本当に十分に生かして、今政務官から御答弁がありましたけれども、可能なところから共同経済活動ができるような形で、この委員会の充実というのも非常に重要なことだと考えておりますので、この点について外務省の立場をお伺いして、終わります。
齋藤政府参考人 共同経済活動につきましては、ロシア側と具体的に一、二話しているプロジェクトはあるわけでございますけれども、なかなか、先ほど土屋外務大臣政務官の方からお話がございましたように、法的立場を害さない形でどういうふうに実施に移せるかという観点から、いろいろな問題を検討しなきゃいけないという局面に今来ておりまして、まだ実現を見るに至っておりませんけれども、引き続き検討してまいりたい、また、ロシア側とも交渉してまいりたいというふうに考えております。
丸谷委員 ありがとうございました。
仲村委員長 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 沖縄北方問題に関する特別委員会、私、初めてでございまして、支援委員会のことについて少し調べさせていただきました。外務大臣にお聞きしたいんですが、九三年以降、支援委員会が開かれないままに拠出されたいわゆる北方支援の金額は、幾らぐらいに上りますか。
川口国務大臣 ちょっと、事前に御通告いただいていなかったもので、恐縮ですが、今資料を手に持っておりません。
山田(正)委員 通告しておりましたが。
川口国務大臣 いずれにいたしましても、至急調べまして、御返事をさせていただきたいと思います。
山田(正)委員 大事なことでありまして、きちんと通告しておったのに、大臣、それを後で調べてお答えするというんだったら、私としては質問できなくなってしまいますから、これは、今後こういうことのないようにしていただきたいと思います。
 それで、私の手元にある、支援委員会の国際機関に対する拠出金及び分担金についてという資料によりますと、五百九十四億円、北方支援、これまでに支出されているようです。そして、九三年から支援委員会は開かれておりませんから、そのほとんどが支援委員会が開かれないままに拠出されたんじゃないか、そう考えますが、大臣、それを室長の権限で支出したということですか。室長の権限でそれができるのかどうか、それを質問通告しておったはずです。
川口国務大臣 支援委員会による予算の支出につきましては、これは今まで、ことしの初め、例えば参議院の予算委員会等で私からも御答弁申し上げたわけですけれども、必ずしも適切な形ではなかったかもしれないということは遺憾であるということを申し上げております。
 そして、協定との関係で、支援委員会の設置に関する協定第四条では、日本国政府が、支援委員会による締約国からの要請についての検討を考慮に入れて具体的な支援の内容を決定するということを規定いたしております。これは、先ほど申しましたように、適切な形では必ずしもなかったかもしれないということではございますが、純粋に法的な観点から申し上げますと、支援委員会が開催されることは支援実施のための要件とはなされていないということでございまして、支援委員会が開催されずに支援委員会による検討が行われなくとも、協定上は支援を行うことは可能であるというふうに考えております。
 ただ、先ほど申しましたように、非常に長期にわたってロシア側の代表が不在であるということが続いておりましたために、支援委員会が協定に定めたような形で必ずしも機能していないという意味で、これが本来の協定の趣旨に照らして望ましいものではなかったということを申し上げた次第でございます。
山田(正)委員 今、手元に支援委員会の設置に関する協定書がございますが、今大臣の答弁で、室長の権限で出すことは法的には可能である、委員会が開かれること、委員会で要請することはいわゆる要件でないと。要件でないという言い方をされましたが、この条文からすると、どうしてそれが要件でないと言えるんですか。
川口国務大臣 ロシア支援室長のことをおっしゃっていらっしゃるんだと思いますが、ロシア支援室長は、この支援委員会についていいますと、我が国の政府代表ということになっております。
 したがいまして、先ほど申しましたように、ロシア側の代表が不在という形でございまして、日本側の代表しかいないという意味で、非常に変則的な形でございますけれども、これは、室長が一人で決めたということではなくて、日本政府の代表が支援委員会に出席をしてこれを決めた、そういうことでございます。
山田(正)委員 大臣、私の質問に答弁していないんです。
 支援委員会に日本政府の代表が出席して答弁したと言いましたが、支援委員会は開かれていない。どういう形で出席して答えられたんですか。支援委員会は開かれていない。そこに、今大臣は、いわゆる日本政府の代表がその支援委員会に出席して決めたと言われた。そして、先ほどの私の質問、この協定において支出すること、それはこの支援委員会が必要であるということは法的要件ではないということの根拠、これを説明してほしい。これは、十分僕は事前に通告しておったはずで、大臣によくレクしていただいてくれと言っておったはずだ。
川口国務大臣 先ほどちょっと私言い間違えたかと思いますので、訂正を含めて申し上げさせていただきますけれども、この支援委員会の設置に関する協定の四条でございますけれども、ここで言っておりますのは、ちょっと読み上げますが、「日本国政府は、委員会による第二条(a)にいう要請についての検討及び同条(b)にいう優先分野についての検討を考慮に入れて、委員会による委員会資金の使用につき、受益諸国間及び具体的使途間の配分並びに具体的支援の実施方法を決定し、」したがいまして、日本政府が決定をするということでございまして、「委員会に通報する。委員会は、前記の通報を受けたときは、第二条(e)の規定に従って事務局に必要な支払を指示するものとする。」というふうになっているわけでして、決定をするのは、日本政府がこの支援は決定をするということになっているわけです。
 これがこういうふうに書かれている理由というのは、このお金というのが全部日本政府によって拠出をされている。ほかの、ロシアは拠出をしていないということにかんがみて、日本政府がこれを決定することができるように協定上なっているということでございまして、先ほど申し上げました、支援委員会のロシア側の代表がいないということでして、日本政府が決定をして委員会に通報をした、それで、委員会はロシアの代表がいないという状況であったわけですけれども、これは、その通報を受けて事務局に必要な支払いを指示した。したがって、そこでは、委員のおっしゃった室長が日本政府の代表でございますので、その室長、すなわち日本政府の代表が委員会を代表して指示を事務局にした、そういうことでございます。
山田(正)委員 大臣、この第四条ですが、第四条を素直に読めば、日本国政府は、委員会による要請についての検討及び優先分野についての検討を考慮に入れて、委員会による委員会資金の使用につき、いわば具体的な支援実施方法を委員会に通報して決めると。いいですか、この条文は。ということは、委員会の存在が前提であって初めて地位協定においていわゆる支払いをすることが法的にできる、そうなりませんか、大臣。
川口国務大臣 先ほど読み上げさせていただきましたけれども、第四条の言っていることは、日本国政府が決定をし、そして委員会に通報する。したがって、決定するのは日本政府でございます。
山田(正)委員 委員会も開かれていない、メンバーも決まっていないんですよ。いいですか。そんな中で委員会に通報することもできないでしょう。さらに、委員会の要請に基づいて日本国政府が決定するとなっている、この条文は。勝手に室長が支出するということはできないんではないですか、法的に。
川口国務大臣 委員会につきましては、委員もおっしゃっていらっしゃるように、それから先ほど私も申しましたように、ロシアの代表はいなかった、日本の政府代表のみがいたということでございますが、これは、決定しますのは、先ほど申しましたように日本国政府が決定をする。そのときに、委員会による要請というのがどうなのかということをおっしゃっていらっしゃるんだと思いますけれども、この要請については、考慮に入れる、日本政府が決定をするに当たって、委員会による要請を考慮するということでございます。したがって、仮に要請がなかったとしても、考慮するものがなかったということでして、日本国政府は決定することができる、そういうことでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、そういうことで、純法律的に言いますとそのように読めるということを申し上げているわけでございまして、また、これも先ほど申しましたけれども、必ずしも適切な協定の運用ではなかったということについては、ことしの初め以来、何度にわたり申し上げているところでございます。
山田(正)委員 大臣、私が言っているのは、適切でなかったというのは会計検査院のこの報告書でもはっきり書いてあります。それはそうなんだ。僕は、外務省はこの地位協定から見れば不当な支出、違法な支出をしたんじゃないかと。
 いいですか。日本政府が――ちょっと大臣、話聞いてください。もうこの問題、十分通告しておったはずです。日本政府が拠出するんだから、日本政府がその額をどこに拠出すると決めるのは当然のことなんです。この地位協定では、二国間あるいは多数国間の地位協定ですから、その中で、向こうからの要請があって、その委員会があって、その委員会の要請があって、それを考慮して決めるのは当然のことなんで、考慮して決めるというのはそういう意味なんですよ。そして通報することになっているでしょう。それもできない。ということは、明らかに違法な支出を外務省はやったということになりませんか。もう簡単でいいです、そうではないというならそうではない、そうだというならそうだ、それだけでいいですから、後、質問続けます。
川口国務大臣 委員のおっしゃっている会計検査院の報告というのは、まだ公表をされていないわけでございますけれども、会計検査院の報告においても違法とされていないと私は仄聞をいたしております。
 これは、先ほど申しましたように、協定の本来の趣旨に照らして必ずしも適切ではなかったというふうに思いますけれども、法的に、純粋にその観点から述べれば、これは協定上は支援を行うことは可能であったというふうに外務省としては考えております。
山田(正)委員 大臣、国の大事な税金の支出、拠出金の支出ですね、そういった場合に、私どもは今、農水委員会でいろいろな補助事業等いろいろやっていますが、もし補助事業でも違法な場合とか不適切であった場合というのは、必ず国に返還を命ぜられる。
 いいですか。そうすれば、この支出五百九十四億と、さらに日露青年交流委員会とか日本・ウクライナ及び日本・カザフスタン、そういった各国とのいろいろな協定での拠出四百六十六億円、合わせて約一千億円という国の大事な金が不適切に、私は法的には違法に支出された。そうであれば、国に対して当然返還をしなければいけない、外務省及び責任者は。ところが、その室長そのものの処分すら外務省ではなされなかったんじゃないですか。
川口国務大臣 まず、一番最初の数字のことでございますけれども、九三年の一月の設立から平成十三年度末までの支援委員会による執行額、これは四百六十二億四千八百七十二万一千円ということでございます。
 そして、先ほど違法であるかないかということについて違法でないというふうに申し上げたわけですけれども、支援委員会の繰越金、これにつきましては、支援委員会を本年度末までに廃止するという方針を決めておりますので、その基本方針のもとで、この繰越金について最終的な残金を国庫に返納する方向で、これは国際機関に拠出をされたお金でございますので、現在、協定の他の締約国と協議を行っているということでございます。
山田(正)委員 では、先ほど違法でないと言ったけれども、今回あらゆる面でこの支出が法律的には違法であるということを認められるとすれば、今残っている残高を国庫に返すのは当然、しかし、今まで違法に支出された分は、その責任者が当然国庫にその分を返す。もとの谷津農水大臣も見えておりますが、農業においての補助事業というのは非常に厳しい、適切でない場合は必ず全額返還させられる。外務省だけそういうあいまいなことがあって許されない。大臣、どうお考えか。
川口国務大臣 先ほど申し上げましたのは、必ずしも適切でない部分があったかもしれないけれども、違法ではない。違法ではないと申し上げたわけでございます。純粋に法理論的に言えば可能であるということを申し上げたわけでございまして、今後廃止をするときに、その最終的に残った残金については国庫に返納するという方向で、今、他の協定の締約国と協議をしているということを申し上げた、そういうことでございます。
山田(正)委員 だれが見ても、法律家であれば、この第四条は委員会前提での支出であって、委員会がなければ、その支出は違法である、不当である。そうなったら、その支出は国庫に対して、これは当然、不当利得、いろいろな法律でそれを返還する。例えば農業の補助事業の場合においては、補助金に対する不適切な使用については返還するべき法律があるようですが、外務省のこの支出については、私が調べる限り法律はないようだ。となったら、一般に、前提を欠いた不当利得として、その関係者、受益者は、本来ならば払わなければならない。受益者が国外であるとしたら、それはもう返還を求めることは不可能かもしれない。しかし、少なくとも違法な支出をした外務省の室長、いわゆる日本政府の代表、これに対して今まで何らの処分がなされなかったのはなぜなのか、大臣。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、会計検査院の検査の結果の報告が恐らく今週の末ぐらいに出されることになると思いますけれども、私が仄聞をいたしまして承知をしている限りでは、この会計検査院の報告においても、これは違法であるというふうには言っていないということです。
山田(正)委員 会計検査院が、違法な支出か、法律の判断をするはずはないんで、だから、違法とか違法でないとか書いていないのは当たり前。しかし、ここに明らかに具体的事実を摘示しているじゃありませんか。読み上げてみましょうか、大臣。
 この報告書の中にかなり書いてありますよ。この地位協定の中においては、宿泊施設などの構造物の設置は、これは認められないんじゃないか、外務省では設置協定の物品及び役務に該当するとしており、その場合、物品については支援委員会が適当と認める必要があるとされているのに、この認定を受けないまま事務局に設置などの事業を行わせていたと具体的に書いているんですよ、これは。
 この報告書全体を見れば、明らかに違法な、不当な支出がなされておった。これまで予算委員会とか外務委員会でも、この問題は鈴木宗男さんの論議と一緒に随分なされてきた。それに対して外務大臣は、ある程度の中身はわかっていたはずだ。何で、国庫から出たお金についての返還を求めたり、あるいはそれについて責任者の処罰をしないで、よくいつまでも大臣が務められるものだ、私はそう考える。大臣、いかがですか。
川口国務大臣 繰り返しになりますけれども、外務省としては、この違法性、違法かどうかということについては、これは協定に照らして、純法律的に考えれば支出をすることは可能であったという判断でございます。
 ただ、これも何度も申し上げていますように、この協定の趣旨に照らして、ロシア側の代表が長いこと不在であったということでございますので、支援委員会が協定に定めたような形で必ずしも機能していなかったことについては、協定の本来の趣旨に照らして望ましいものではなかったと考えているわけでございます。
 ただ、これは違法かどうかという観点からは、外務省としては違法ではないと考えておりますし、会計検査院からもそのように指摘をされているというふうには考えておりません。
山田(正)委員 外務省は、みずからの立場を守るために違法でなかったと言うかもしれませんが、地位協定第四条によって支出している。ところが、何度も言いませんが、第四条は委員会が前提、それを考慮して日本国政府が決めるとなっている。それがないのに支出したのは明らかに違法だということは、だれが聞いてもごく当たり前のことだと。いいです、もうこれ以上あれしても始まりませんから。
 ひとつ大臣、さらにもう一つお聞きしますが、いわゆる北方領土問題対策協会経費とかというので、今年度、十五年度に、前の十四年度よりもさらに一億ぐらい多く、これは十億三千万予算要求している。その予算要求の中で、大臣、どういう事業にこの金が使われているのかというと、北方四島から日本に来た、九千人ぐらいいるようですが、そういった人たちへの援助、住民に対する援助、その名目で使われるというのはわかる。ところが、住民に対する援助は単なる貸付金の利子補給だけ。そうすると、実際にその住民、いわゆる北方四島から日本に来ている住民に対して補助されている、助成されている利子補給の金額は幾らなのか。これも質問通告しておったはずです。大臣、不勉強では困りますね。
細田国務大臣 御指摘の長期借入金利子補給費は三十万一千円でございます。
山田(正)委員 そうすると、三十万一千円。ところが、実際に住民に対する援護、これは二億何千万か使われていると聞いておりますが、わずか、三十万と今言いましたか、そのお金の住民に対する利子補給なのに、住民に対する支援だけで二億数千万のお金が使われる。これは何に使われて、こんなばかなことを何でやっているわけですか。
細田国務大臣 御指摘の経費は、元島民に対する交流のための経費とか、そういう経費に充てられておると承知しておりますので、また性質の違うものであると思います。
山田(正)委員 大臣、どういう経費に。住民には利子補給分が三十万しか行っていない。それで二億数千万の予算が、住民に対する援護費約十億のうちに使われている。何でそんなばかなことを、そういう経費は何に使っているんですか。官僚の天下りの、それこそ自分たちのお手盛りの費用に使っているわけですか。
細田国務大臣 今御指摘のお金は、自由訪問とか研修とかのお金でございまして、天下りの人たちに使っているお金ではないわけでございます。
山田(正)委員 自由訪問とかビザなし支援の旅行とかというのは別の経費で約二億、それぞれ全部調べています。それはちゃんと打ち合わせも十分やっているはずだ。それは別途の予算が組まれてある。
細田国務大臣 ちょっと予算の事実関係が違うようでありますので、ちょっと担当から御説明をさせて……(山田(正)委員「だめだ」と呼ぶ)二億ずつの予算が三つあるということなのでございますが、それを混同しておられるというように感じます。
山田(正)委員 それは、私ども自由党は大臣か副大臣か政務官以外には聞かないことになっているので、事前に十分レクをしておいてほしいと、何度も、二日にわたってそのことについては私はちゃんと打ち合わせしてある。だから、大臣がそれがよくわからない、答弁できないじゃ困る。
細田国務大臣 北方四島交流推進費は、ビザなし交流推進経費で二億二百万円、そして北方地域の旧漁業権者等貸付業務補給費、これは例えばいろいろなシステムの経費等を含みますが、これが二億八百万円でございます。
山田(正)委員 貸付金の利子補給はそのうちに三十万しかなされていない。としたら、そのあとの二億のうちに、何に使われているのかと聞いているんだ。
細田国務大臣 それは、二億八百万円の北方地域旧漁業権者等貸付業務補給費の中に、管理費、特に人件費一億五千万円ほどが含まれているわけでございます。
山田(正)委員 管理費云々がそれだけ含まれるとなったら、いわゆる北方領土から本土に来ている九千人の人たちに対する貸付金等の利子補給はわずかに三十万しか援助がない。それなのに、あとの二億円近いものというのは、ほとんどが管理費とかいわゆる人件費等々に支払われている。こんなばかなことがあっていいと思うのか、大臣。大臣の見解、個人的見解で結構です。
細田国務大臣 御指摘の二億八百万円のうち、人件費に充てられるのは一億五千万円でございます。一億五千万円というのが役員一人プラス職員十二名に相当する人件費なのでございますが、これは単純にこの十三で割ったりしてはいけないわけでございまして、これは退職給与とかその他を入れたものでございまして、一般の平均の国の予算から見て、さほど過重なものではございません。
山田(正)委員 大臣、本当にそう思われるのか。国民は、今本当に大変な不況の中で、リストラ、リストラ、食べられないでいる。そんな中に、わずかに三十万の利子補給をするために一億五千万の人件費がお役所で支払われている、そのためにさらにことしも大きく予算がつけられようとしている。こんなばかなことを、大臣、許されると思っているのかどうか。
 まあ、いいです。時間がなくなってきたので、一つだけ、きょうは国土交通副大臣に来てもらっていまして、沖縄の税制の問題をちょっとやりたかったんですが、これは次回にさせていただきたいと思います。
 吉村副大臣に一つ。
 前回、国土交通委員会で、離島航路について、離島のガソリンというのは非常に高い。例えば、奄美大島の場合に百四十円、対馬の場合も百四十円、沖縄はちょっと減免措置があるんですが、それでも離島は百十八円、非常にガソリンが高い。ところが、調べてみると、それを運ぶタンクローリー、これがフェリーに乗れない、規制でもって。こんなばかな規制をいつまでもしている。
 それで、かつて、半年ほど前でしたか、何カ月か前に、扇国土交通大臣にお聞きしたら、速やかに早く是正したい、これは省令だから大臣権限でいつでもできるじゃないかと言ったら、そう言っておったんですが、いまだになされていないようで、それについての回答をひとつお聞かせ願いたい。
吉村副大臣 委員の地元の長崎県は大変多くの離島を抱えておる県でございまして、離島振興に委員が大変情熱を燃やしておられるということ、まず大変敬意を表したいと思います。
 御指摘のガソリンやLPGを積載しましたタンクローリーを旅客フェリーで輸送するということにつきましては、もう御存じのように、国際条約によって原則禁止をされております。したがいまして、国内もそれに準じておる、内航船もそれに準じておるところでございますが、御指摘のように、離島輸送における旅客フェリーでのタンクローリー輸送ということについての要望も随分と来ておりますし、また、そのニーズも我々は非常に感じております。したがいまして、本年六月ですか、大臣が御答弁をしておりますが、早速、我が省といたしましても、海上技術安全研究所の協力を得まして、実態調査をしております。
 るる説明をしたいところですが、時間がないので簡単に結論を申し上げますが、現在ございます構造設備要件にさらに加えて安全措置を講ずるならば可能ではないかという認識になりつつあるところでございまして、来夏を目指してこの実現方に努めてまいりたい、このように思っております。
 以上です。
山田(正)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
仲村委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 私は、泡瀬干潟について質問を行いたいと思います。
 泡瀬干潟は、先ほどの質問にもありましたが、沖縄島に残された最大の干潟で、そして貴重な動植物が生息している地域であります。この泡瀬干潟の埋立工事、これは、あらかじめ法で定められた環境アセスに基づいて、沖縄県の方から、その海域の海草について、その移植が、移植した先で生育が可能である、こういう意見がつけられました。
 海草の移植が可能であるかどうかについてはこれまで当委員会においても何度も議論をしてまいりましたが、前の尾身沖縄担当大臣は、機械による移植が可能になったということで、三月二十日に工事を再開いたしました。当時はまだ海には手をつけていませんでした。ところが、十月八日についに海上の工事に入るということになっています。
 それで、伺いたいんですが、尾身大臣が機械化による海草の移植は可能としたこの評価、十月八日に海上工事に着工して、皆さんは機械化移植工法の有効性を確認できたのですか。これは大臣、お願いします。
細田国務大臣 環境監視・検討委員会がございまして、ここで、陸域環境整備ワーキンググループあるいは海域環境整備ワーキンググループ、海藻草類移植・保全ワーキンググループ、各グループごとに分野ごとの検討を踏まえて審議が行われることになっておるわけでございますが、去る九月三十日開催されました環境監視・検討委員会において、藻場移植につきまして、手植えの移植については、四年間の実験成果から、条件が整った場所においては良好な生育が確認され、適用性が高いということが評価されたわけでございますが、他方、機械化移植の工法については、さらなるモニタリングの継続及び台風等に対する耐久性を高める対策が必要であるということ、それからさらに、機械化移植の実験に基づき、水深や底質、海底の状況等の移植地選定の条件が確認され、西防波堤の背後を移植地とすることが適当という評価が行われたと認識しております。
赤嶺委員 機械化移植は可能である、その有効性を確認したという答弁が三月の段階で尾身大臣からありました。その後開かれた環境監視・検討委員会では、機械化移植というのはまだまだこれから技術を高めなければいけない、適地も探さなきゃいけない、成功していないということなんですね。
 大変無責任だと思うんですよ。機械化移植は可能であると言って工事を再開して、そしてやってみたら、詳しく検討してみたら成功していませんという言い方になる。今度は、手植え方式だと可能だからということで、十月八日手植え方式に踏み切るとおっしゃる。工事に踏み切るときに可能だと言ったものは、私たちは常にそのときにモニタリングをしないと大変危険であるということを指摘したのに、それに耳をかさないで工事を始めて、数カ月後にはやはり可能でありませんでしたというのがこの間の経過なんですよ。
 それで、私も環境監視・検討委員会の議事録を全部読ませていただきました。それから、海草藻場移植のワーキンググループの議事録も読ませていただきました。特に、環境監視・検討委員会、九月三十日に開かれた中で専門家同士のやりとりがあるんですよね。議事録にちゃんと載っています。
 仲座先生という方が、移植後どういうふうになっていくか想定できるのか、そういう問題を投げかけました。移植した後どういう状態になっていくのか、今後の生育の可能性と見通しはどうかということで問いただしましたら、海草藻場移植のワーキンググループの野呂委員長はこう言っているんですね。残念ながら今それをきちんと判断するだけのデータを持ち合わせていないというのが生物学的な答えだと思います、このように議事録の中でちゃんと述べているんですよ。残念ながら展望がないと。
 残念ながら展望がないと九月三十日に発言しているんですが、皆さん、三月の段階では、当時の尾身担当大臣が可能ですという答弁をしていたんですね。これはおかしいんじゃないですか。
細田国務大臣 前の環境監視・検討委員会では、藻場の移植、機械的な移植も可能であるという判断もあったわけでございますが、ただ、その後、非常に台風等により海の底が大荒れの状態になりまして、それを検証したところ、どうも機械移植した部分にはいろいろ問題があるということも発見されまして、さらに九月三十日には、さらなるモニタリングをやらなきゃならないし、どのようなやり方でやったらいいかということをよく考えなければならないという結論が出たやに聞いております。
赤嶺委員 つまり、三月の段階で可能であると言った当時の尾身担当大臣のあの答弁は間違っていたんです。こういう過ちを細田担当大臣は絶対に繰り返してほしくないと思うんです。ところが、それがまた繰り返されようとしております。
 機械化移植によるその後のモニタリング調査の面積は二千平方メートルでした。ところが、今度皆さんが、手植え方式は可能です、実験は成功しています、四年間観察をしてきましたと言ったその実験面積というのはわずか四平方メートルなんですね。わずか四平方メートルです。機械化移植のモニタリングは二千平方メートルです。限られた狭い面積で、これで手植えによる移植は可能である、こういうことが科学的な判断として言えるんですか、わずか四平方メートルの実験と観察で。たった四平方メートル、これで言えるんですか。また同じ過ちを繰り返そうとしているんじゃないですか。
細田国務大臣 四平方メートルというのは、やはり二メーター四方ですから非常に小さい面積であると思います。それを実際は三カ所ほどやったようでございますが、今年度は八百平方メートル、今年度の予算でやっておりまして、大体三十メーター四方でございますね。このぐらいの広さをやることによって手植え工法の実際の効果は相当はっきりわかるとも思いますので、この八百平方メートルの手植え工法による実証をまたよく見ていきたいと思っております。
赤嶺委員 やはり皆さんでも不安になるわけですよ。四平方メートルで、これで海草の移植が、移植先において生育が可能であると判断するには余りにも狭過ぎる、小さ過ぎる。科学的と、そんなのが科学的というようなことでは絶対にだれも納得しませんよ。だから、今度また、手植え方式が本当に可能かどうか、少し面積を広げて実験し、観察しましょうと言う。同じことをやろうとしているんですよ。しかも、手植え方式というのは、あれだけの巨大な面積の埋め立てにはコストがかかり過ぎます。皆さんの予算ではとてもできるようなものではありません。そういう意味でも、本当に、今の内閣府、皆さんが泡瀬干潟でやろうとしていることは自然に対する、環境に対する配慮も何もないやり方、ずうっと同じような過ちを今度も繰り返そうとしていると言わざるを得ません。
 そこで、環境省にお伺いしたいんですが、そういう内閣府が十月八日に工事を始めました。それに対して環境省は、環境に対して内閣府に対して意見書を口頭で出したというぐあいに聞いています。非常に異例だと思うんですが、どういう経過で、どういう内容で、この工事着工、海上工事に対する意見書を出されたんですか。
炭谷政府参考人 お答えいたします。
 泡瀬干潟の埋立事業につきましては、環境影響評価や公有水面埋立法の承認手続におきまして、沖縄県知事により、海草の移植技術の確立など、環境保全上の配慮するべき事項が具体的に指摘されております。
 環境省といたしましては、泡瀬干潟の重要性について十分認識しておりまして、このため、環境影響評価等において必要とされた環境保全措置が確実に実施されるべきだという観点から、御指摘のように、十月十八日に、主たる事業者でございます内閣府に対して、藻場の移植に関する申し入れを行ったところでございます。
 具体的には、一つは、海草の移植に当たっては、あらかじめ計画が作成され、公表される必要があること、二つは、機械化移植工法の実用化に当たっては慎重な判断が必要であること、三つ目は、クビレミドロの移植については、工事実施前に、技術が確立したことの確認に万全を期す必要があることなどを申し入れたところでございます。
赤嶺委員 沖縄担当大臣に伺いますけれども、そういう環境省の口頭による申し入れがありました。その申し入れの趣旨は今の答弁のとおりであります。環境保全上の措置が確実に実施されるべきとの観点から申し入れたと言っています。皆さんのやっている事業は、確実に実施されるというには余りにも不安があり過ぎる態度だからなんです。海草の移植についての、確実に実施される必要十分な科学的な根拠、そして、私、先ほど取り上げませんでしたけれども、クビレミドロ、これは工事を始める前にその保存の仕方についてきちんとやるべきだという環境省の意見です。
 ですから、全く、皆さんの事業に対して、政府の環境に対する責任を持っている環境省からも意見が出て、私たちからも同じような意見が出る、そういう環境への配慮のなさというのを指摘されているんですが、細田大臣、どのように考えられますか。
細田国務大臣 私どもとしては、環境について非常に大事であると思っているわけでございまして、そこで、この検討委員会にお願いしながら、実際にいろいろな試みをしておるわけでございます。
 まずは、手植えでは、先ほど申しました、約三十メートル掛ける三十メートルのところで手植えをしてみて、まず手植えの確実性というものをさらに実証していくということ。それから、全体では、必要な移植面積は、いろいろ形は複雑ですが、委員の皆様の御参考までに申しますと、五百メートル掛ける五百メートルの広さなんですね。五百メートル掛ける五百メートルの広さをすべて手植えでやるということも難しいという面もございます。そして、機械で一度さらいまして、それをぽんと移植先に置いてみたところ、台風等ございまして大変な荒波に流されてしまって、どうも効果が十分でなかった。それでは、機械移植をするときにどのようにすれば、あるいはどういう時期にやれば移植がより効果があるのか、これも検討すべき課題であるということで、環境省からも申し入れがございましたが、こういった点を包括的に委員会にまたお願いしながら技術的な内容の詰めを行っておりますので、そういったことが見通しがつくということが何よりも大切であると考えております。
赤嶺委員 環境に対する確実な保存措置、そういう科学的な確認もないまま皆さんが工事を始めているというのは、今の大臣の御答弁でも明らかであります。
 手植えといったって、そんな広い面積を手植えでやれるわけはない、機械化移植だって、それはまだ見通しは立っていないという中で海上工事に着工したということは、大変なことであります。したがって、環境省からも申し入れが出てくるという事態であります。
 そこで、環境省にもう一度伺いたいんですけれども、環境省は、ことしの七月十四日に、ラムサール条約の勧告に従って、ラムサール条約の報告書を事務局に提出しております。この中では、現在はラムサール条約の指定地は、登録湿地、これはこの間の藤前干潟とそれから宮島沼を含めて十三カ所ですが、これを向こう三年間でですか、二倍にするということをラムサール条約の事務局に報告しております。それは十三カ所を二十六カ所に湿地登録をふやすという理解でよろしいわけですか。
岩尾政府参考人 昨年十二月に、環境省では、渡り鳥の飛来地、渡来地として重要な地域を、日本の重要湿地五百ということで環境省が五百ほど選定をしております。その中で、ラムサール条約湿地に登録する条件の合ったところから、我々、要件を満たされているものから順番にふやしていきたいと考えておりまして、そのような観点から倍増というような発言をしたということでございます。
赤嶺委員 ラムサール条約の登録の条件を満たしているところからということでありました。
 そこで、皆さんの、ラムサール条約国別報告書の概要という文書を読んでみますと、この中にこういう記述がありました。同報告書の中には、「サンゴ礁、マングローブ、藻場、泥炭地といった、これまであまり登録湿地として指定されていない湿地タイプが新規登録されるよう優先的に注意をはらう。」このように記述されています。つまり、今までとは違うタイプの湿地の指定に優先的に注意を払う。
 そして、そういう目標があって、各湿地タイプの、この中には藻場も入っているわけですね、代表的な事例を指定するよう努力する、努める、このように言って、この間の、スペインで開かれた第八回ラムサール条約の締約国会議に報告をしているわけですが、泡瀬干潟というのは、沖縄本島の東海岸に大きな海草藻場がある、これは先ほどから議論してきているとおりであります。まさに泡瀬干潟こそ、皆さんが報告書の中で言っている、注意を払うべきその典型的なタイプの湿地、その一つではないかと思いますが、いかがですか。
岩尾政府参考人 御指摘のとおり、シギ・チドリ類、特に泡瀬干潟にはムナグロという絶滅危惧種も多く渡来するということで、重要な湿地という認識をしております。
赤嶺委員 そうであれば、まさに泡瀬干潟はラムサール条約に登録されるべき、そして指定湿地を二倍にふやすというわけですから、今十三カ所ある湿地を二倍にふやすという場合に、泡瀬干潟というのはその検討対象から避けては通れない、だからこそ環境省は既に泡瀬干潟は重要湿地として登録しているというぐあいに理解してよろしいでしょうか。
岩尾政府参考人 環境省としては五百の干潟を指定しておりますが、これがラムサール条約の登録湿地として指定されるためには三つの条件がございます。
 一つは、ラムサール条約で示された基準に該当しているということ、それから国設鳥獣保護区などの地域指定で将来にわたり自然環境の保全が図られているということ、また地元自治体等から登録への賛意が得られているということでございまして、この三つの条件を満たすということが今後のラムサール条約登録における要件だろうというふうに理解しております。
赤嶺委員 登録するための手続上、住民合意のつくり上げ方はいろいろあるだろうと思います。
 しかし、泡瀬干潟の自然の価値という観点からすれば、皆さんの報告書の中で、ラムサール条約の事務局に提出した中身でも既に明らかです。それから、ラムサール条約の事務局長のデルマール・ブラスコさんは、ことしの四月四日に大木環境大臣あてに書簡を送り、そういう事務局として大事な干潟だと考えている地域で開発が行われようとしている、大変心配だという、事情を問いただす文書もありました。
 内閣府がやっていることは、環境を守るという姿勢とは全く逆行しているんですよ。四月に沖縄振興新法を策定いたしました。この条文の中に目立って出てきている柱は観光です。それもエコツーリズムです。エコツーリズムが沖縄の経済振興、産業振興の柱になっている法律をつくっている。その内閣府が、エコツーリズムとして大変な価値のある場所を環境に配慮もしないで埋め立てようとしている。そんなことは絶対許せないんじゃないですか。今からでも再検討して、計画を見直すべきじゃないですか。
細田国務大臣 沿岸部の干潟域が広がっておる、このことが自然環境的にも非常に重要であるということは、関係者は皆承知しているわけでございまして、したがいまして、埋立地は既存の陸域から約二百メートルほど沖に離して、干潟域の埋め立てをできる限り回避した計画となっておるわけでございます。
 さらに、環境アセスメントにおいて必要とされた環境保全措置を講ずるということにしておりますので、干潟等の環境は適正に保全されるということで、地元でもそういう評価をいただきながら計画をつくっておるわけでございまして、この点の御理解をお願い申し上げたいと思います。
 また、工事区域外の干潟におきましても、環境監視点が設けられまして継続して調査を行うことにしておりますし、また先ほどの藻場の移植についても先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、今後とも、環境監視・検討委員会の指導助言のもとに、環境への影響をできるだけ軽減するように努めながら事業を推進すべきものと考えております。
赤嶺委員 大臣、今のは全然答弁になっていません。まさに出島方式で計画された今の埋立計画に対して、環境省からも意見が出て、そして国際諸機関からも意見が出て、環境を守れという流れにも逆行し、皆さんの策定された沖縄振興新法のエコツーリズムにも逆行するという声が上がっているんですよ。だから、今やっていることを繰り返し答弁しても、それは答えにはならないんです。
 この間、大臣にもきれいなパンフレットを後でお渡ししますということを申し上げましたけれども、これが、先ほど民主党の金田議員が取り上げたミナミコメツキガニの写真です。一万、二万ときかない、干潟の中に十万、二十万と無数にあふれ出てくる。しかも、ミナミコメツキガニというのは横歩きじゃないです。縦に歩くカニです。こういう貴重なもの。それからクビレミドロ、大臣も御承知です。数々の海草、こういうのが本当に守られないんじゃないか。移植によっても生育は不可能だ、手植えによる移植は、なおコスト的にも不可能だし、実験的にも確かめられていない。
 それで、皆さんの環境影響評価に従ってやりますという御答弁でしたけれども、今のような環境影響評価に基づいて、例えば海草の移植を検討する。そうすると、もと海草が生えていたそこから機械で掘り起こしてとるわけですから、海草が生えていた地域が劣化する、自然が衰えていく。それから、移植した地域でも海草が育たない。結局、今ある自然全体を、皆さんの今の環境影響評価の手法では、工事が進まないうちに環境全体が劣化してしまうということを日本自然保護協会が、直ちに中止するよう、先ほど大臣が答弁した中身をとっても、環境は守られません、環境全体が劣化しますということになっています。そういう点で、大臣の最後の答えをいただきたいと思います。
細田国務大臣 今おっしゃいましたような点を十分に配慮すべきだということで、それを前提にしておりますし、埋め立ての予定地もそういったような環境の場所を非常に大きく避けて、しかし、ごく一部に藻場等の問題があるということで、これを移植によって対応しようということでございます。
 ただ、いろいろな意味での環境影響があるのではないかと。埋立地が広がってきて、人間がふえてくると、保全したはずの干潟が保全されるのかとか、徐々にいろいろな意味で影響がないのかということについては、当然これも含めまして評価委員会できちんと評価して、そういうことがない範囲内でやるべきものだと考えております。
赤嶺委員 評価委員会の環境監視・検討委員会やワーキンググループの議事録を読んだ限りで、環境に対して専門家は確信を持っていません。
 それから、皆さんの工事再開のあり方というのを振り返ってみますと、三月の二十日というのはちょうど沖縄市長選挙前でした。当該自治体の市長選挙の前でした。十月の八日というのは沖縄県知事選挙前です。三月の二十日にやった工事再開というのは本当にばかげているんですね。石材、資材を資材置き場に運んだだけですから。そして、十月の八日に海上工事に手をつけた。選挙前になると工事を再開しますよ、こういう行動、プレーが多いんですね。
 それで、やはり選挙前になると工事をやってくれという勢力がいるのかなと勘ぐりたくなるんですね。そこに皆さんが環境に配慮しないずさんな工事の仕方があらわれているんではないか、そういう勘ぐり方をされても仕方のないような、弁解のできないようなやり方をとっているということを指摘しまして、私の質問を終わりたいと思います。
仲村委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 社会民主党の東門美津子でございます。最後のバッターです。よろしくお願いいたします。
 まず、細田大臣にお伺いいたしたいと思いますが、多くの問題を抱えている離島県沖縄、どうにも理解できないほど広大な米軍基地を押しつけられている沖縄、米軍絶対優位の不平等な日米地位協定で人権侵害が存在している沖縄、そして驚くほどの高失業率に苦しんでいる沖縄、その沖縄県の担当大臣として、御苦労も多いかと思いますが、ぜひ頑張っていただいて、県民が肌で感じ、そして目に見える形での課題の解決に頑張っていただけるようにお願いいたします。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、これは大臣就任後初めての本委員会でございます。沖縄県の課題に取り組んでいくというその御決意をお伺いしたいと思いますが、先ほど同僚委員からも同様の質問がございました。それで私は、特に、大臣がこういう重要な課題、沖縄が抱えている重要な課題の中で何をどのように解決していこうというふうな御決意で臨まれるか、お聞かせいただきたいと思います。
細田国務大臣 当面の沖縄の、すぐに解決し改善しなければならない課題は、失業率の上昇だと思っております。日本の四十七都道府県の中で一番高い、完全失業率九・四%に達しているわけでございます。これはゆゆしき問題でございまして、私どもといたしましては、去る十一月八日に産業・雇用対策連絡会議を開催いたしまして、副知事さんにもお見えいただきまして、関係省庁とともに、沖縄振興計画及び職業安定計画等の分野別の諸計画の着実な推進のための産業・雇用対策の追加的実施を図ろうということにしたわけでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、求職者に一、二カ月の実習就業の機会を与える緊急ジョブマッチング推進特別事業、そして観光産業等の戦略産業において専門的技能習得のための研修、派遣研修を行います戦略産業人材育成支援事業の拡充、デパート等におけるハローワーク臨時窓口の新規設置などの雇用対策の拡充強化等を予定しており、さらに追加的な産業・雇用対策につきましては、十二月六日、来週でございますが、沖縄政策協議会を開きまして、これは総理大臣を除く全閣僚が参加して行う協議会で、東門議員よく御存じのとおりでございますが、これを開催しまして、沖縄の経済そして失業問題がいかに急を要する問題であるかということを各省にも訴えて、そして、例えば補正予算を活用した諸措置も含めて、本予算も含めて、対策を実施いたしたいと思っております。
 その他、個別の問題についてはさまざまございますが、これはちょっと省略させていただきます。
東門委員 ぜひ高失業率の解消、それも本当に県民が実際に肌で感じるような形で解消していただきたいと思います。
 でも、私が大臣に実際にお聞きしたかったのは、例えば、尾身前大臣は人材育成というところにすごい配慮をしていただいたと私は思っております。大学院大学を、本当に世界で最高の大学院大学をつくりたいとおっしゃって、今それが走っているのがよくわかります。細田大臣の在任中に、例えば、きょうも同僚委員から二、三回出ました、泡瀬の干潟の埋立計画を見直してみようとか、そういうような目に見える形で何かやっていくというのが既におありだったら、それをお聞きしたかったのです。
 確かに、今の高失業率の解消のための失業対策、これは新聞等でも私も見ておりますし、細田大臣がこれではいけないということで声かけされたことはわかるのですが、しかし、先ほどから申し上げておりますように本当に県民が目に見える形、これは細田大臣が在任中にできたことなんだよということが言えるようなことをぜひやっていただきたいと思うのです。
 それだけに、英断というのか、私も泡瀬干潟を抱えている沖縄市に住んでおりますから、泡瀬干潟の埋立計画の見直し、私はきょうはここでは質問はいたしませんが、そういうことをぜひしていただきたいと思います。あるいは、琉球大学の大学院にロースクールを設置するとかという形で、細田大臣の特徴が出てくればいいなと期待しているということを申し上げておきたいと思います。
 次に、北方特例措置法についてちょっとお伺いしたいと思いますが、北特法第七条の特別助成についてでございます。
 私、去る八月、根室市に伺いまして、それまでにも根室市あるいは市議会からも要請がございました。そういう中で、やはり皆さんがとてもこういうふうに変えてくれたらいいなということがありましたので、それについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
 これは第七条関連です。国庫補助事業費のうち、自治体負担額が標準助成規模の一〇%を上回らなければ適用されない。そういう意味で、一市四町の中の根室市と別海町では、昭和六十一年にその制度が実施されて以来、一度も適用されていないということなんですね。これでは、せっかく制度はつくりました、制度はありますよ、どうぞ御利用くださいといったって、使えない。その一〇%の負担というのはとてもやれないとおっしゃっているんですね。では、そういう制度は役に立たないのであれば、何のための制度かということになるわけですよ。
 ですから、これは沖縄県と国との関係と同じだと思いますが、北海道庁で作成をして、そして国が同意することになる振興計画、恐らくこれは来年が振興計画の改正のときだと思うのですが、その中で隣接地域一市四町すべてが活用できる制度にするように、私は国の方から道庁に働きかけていただきたいと思いますが、その件に関していかがでしょうか。御答弁をお願いします。
村岡政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御質問がございました、かさ上げの問題についてでございます。
 国土交通省では、昭和五十八年に同法が施行されて以来、お話のございましたように、同法に基づきまして、隣接地域の安定、振興を図るための施策を積極的に講じさせていただきました。今後とも今のかさ上げ措置について、実態があることは十分に承知をいたしております。これを北海道と相談いたしまして、新しい振興計画の策定という手続に入るわけでございますが、その際、まず地元の地方自治体の意見も十分にお聞きするということが第一かと思っております。さらに、関係省庁とも連携を密にいたしまして、同法に基づきます施策を積極的に推進するという観点で、北方領土隣接地域の安定に資するような地域社会としての形成が進められるべきだというふうに考えております。
 今御指摘の同法の見直しにつきましては、同法が議員立法で制定をされているということもございますので、関係議員の皆様あるいは関係機関と十分に御相談させてもらいまして、その問題について対処をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
東門委員 同じ北特法ですが、第九条による財政支援についてちょっと目を通しておりましたら、九条には、国は、「北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定を図るために必要な財政上、金融上及び技術上の配慮をしなければならない。」となっていますが、地元の方たちに伺ってみますと、この条文が本当に何を意味しているかわからないというようなお声が聞こえるんですね。この条文が本当に生きているあかしみたいな具体的な事例があれば、ぜひお示しいただきたいと思います。この条文のとおりやっています、生きていますということがあれば。
村岡政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申しましたように、振興計画に定められた施策につきましては、これまでも我々重点的に進めさせていただいているところでございます。
 昭和五十八年から四期にわたりまして振興計画が策定され、既に、現在の四期計画につきましては、平成十年から十四年ということでございますが、当初予算の実績でございますが、総額で二千三百十二億円ということでございます……(東門委員「そんな長いのじゃなくて。済みません、いいですか、委員長」と呼ぶ)
仲村委員長 東門美津子君。
東門委員 私が申し上げておりますのは、九条が本当に生きている、この条文はこういうふうに活用されているというあかしがあれば、それをお示しいただきたいということで、最初に戻らなくて結構です。こういうものだということをおっしゃってください。
村岡政府参考人 この趣旨に基づきまして、私ども、当該地域の事業につきましては、地元の御意見を十分にお聞きしながら優先的に採択するということで、所要の配慮を行っているというのが現状でございます。
東門委員 今の御答弁では、これが何を意味しているかわからない、具体的にどういうことなのかわからないと皆さんがおっしゃる意味がよくわかります。私は具体的な事例があればお示しくださいと申し上げたんですが、後でまた直接お話しさせていただきます。
 時間がありませんので進みますが、ことしの八月、私はビザなし交流団の一員として国後島を訪問いたしました。本当からいうと色丹島まで予定しておりましたが、天候の都合でそれはかないませんでした。交流参加者の中には元島民の方々もおられて、何十年ぶりかに夢にまで見たふるさとの土を踏むことができたと涙を流して喜ばれる方々のお話も伺いました。また、根室市在住の元島民の方々とも懇談する機会を持ちました。もう年齢的にはお若くない、平均年齢七十歳と言われる元島民の方々のふるさとへの熱い思いに触れて、何とかその願いをかなえることはできないものかと感じた旅でした。
 そこで、北方問題について二点ほど質問させていただきます。
 北方領土問題は、これは与党とか野党とかという枠を超えて、政府も議会も一致協力して、国民全体が一体となって取り組まなければならない問題であるということを痛感いたしました。ことし初めには鈴木宗男議員にかかわる問題もあって、我が国の北方領土問題への取り組みが混乱したような印象もありますが、政府としては早急に体制を立て直し、旧島民の悲願であり、また国民全体の願いである北方領土返還に向けて積極的に取り組んでいただきたいと強く要望したいと思います。
 そこで、川口外務大臣にお伺いしますが、大臣は十月十一日から十四日までロシアを訪問されてイワノフ外相との会談を行い、小泉総理も十月の二十七日、APEC首脳会談のため訪問されたメキシコでカシヤノフ・ロシア首相と会談されました。来年一月には総理がロシアを訪問することも決まっているようです。
 日ロ間で積極的な対話の動きが続いていることは歓迎すべき状況でありますが、今後どのような方式で交渉を進めていくのか。例えば、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとしたあのクラスノヤルスク合意のように目標期限を掲げることも検討しておられるか。今後の交渉のあり方についてお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 北方四島は我が国固有の領土であり、委員もいらしたように、私も夏に行って目の当たりにいたしまして、この北方四島を我が国に早く戻さなければいけないという思いを新たにいたしました。
 今後の交渉の進め方についてですけれども、基本的な方針というのは、四島の帰属の問題を解決して、そして平和条約を締結するということでございます。その際に、これまでの成果を踏まえて、これは東京宣言とかイルクーツク声明とかいろいろございますけれども、それを踏まえて精力的に交渉を行っていくということです。
 ロシアとの関係では、一月にロシアに小泉総理が行かれまして、そのときにプーチン大統領との間で行動計画というものを署名していただくことになっています。これは、日ロの幅広い分野におけるこれまでの協力とその成果、それから今後やることについてあらわしたものでございまして、柱が六つありますが、その一つが平和条約ということでございます。この問題について、日本とロシアとの間でまさに二十一世紀にふさわしい、G8の二つの国という形の日本とロシアの間の協力を幅広く進める中で、平和条約の問題を六つの柱の一つとしてこの解決に精力的に進んでいく、そういうことで考えております。
東門委員 一九九三年にロシアのエリツィン大統領が来日された際に合意された東京宣言において、北方四島の帰属に関する問題を「歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する」との交渉指針が示され、現在もこの指針に従って交渉が進められているわけですが、法と正義に従って解決するのならば、国際司法裁判所に提訴するというのも一つの方法ではないかと思います。
 旧ソ連時代はソ連側がこれに応じなかったようですが、旧ソ連から北方領土問題を引き継いだロシアは、一時期国際司法裁判所へ提訴することに積極的姿勢を示したこともあると聞いております。国際司法裁判所への提訴について、現在の政府の見解は、北方領土問題についてこれまで積み重ねられた諸合意に基づき、粘り強い交渉によって二国間で解決することが重要であると考えており、本問題を国際司法裁判所に付託することはかえって問題解決のプロセスを複雑にし、適切でないという考えのようであります。
 私としましては、旧島民の悲願であり、我が国の正当な権利である北方領土返還が一日も早く実現することを願うという立場であり、二国間交渉で問題が解決するならそれは大いに歓迎いたしますけれども、今後も二国間交渉で進展が見られないような場合、国際司法裁判所へ提訴するという選択肢も残されているのか、そして、それをロシアが受け入れる可能性はあるのかということで、政府の、大臣の御見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 今委員が日本政府の立場をおっしゃっていただきましたけれども、日本政府の立場というのは今そういうものでございます。プーチン大統領に私がこの前表敬をいたしましたときにも、日ロ両国協力をして過去から引き継いだ問題についてこれを解決していかなければいけない、一言一句正確ではないかもしれませんが、そういう趣旨のお話がございまして、今大事なことは、二国が協力をしてこの問題を解決していくという考え方を実際に移していくことであり、また、その機運が非常に高まっているときだと思います。したがいまして、先ほどおっしゃってくださったような考え方をいたしています。
 それがだめだったらということでございますけれども、またこういう言葉を申し上げると怒られてしまいそうですけれども、これはやはりその先の話でございまして、今その可能性ということを論ずる時期ではないと考えます。
東門委員 私が国際司法裁判所への提訴と申し上げましたのは、戦後この方、ずっとこれまで何も進展がない、進展したかに見えたけれどもまた後戻りしているという中で、やはり次は何があるんだということを選択肢として持っていく、それが必要じゃないかと私は思います。
 このままいけば、本当に元島民の方々が訴えておられた、私たちが目の黒いうちにこれが可能なんだろうかとおっしゃっていた言葉がすごく印象に残っているんですね。ですから、政府としては、どうすればそれが早く可能かということをやっていただきたいという思いで私は申し上げているんですよ。ですから、それがないということではなくて、選択肢の一つとして加えていただくのもいいんではないかと申し上げたわけです。
 近年ロシアは、サミットに参加をしてWTOへの早期加盟を目指すなど、政治、経済両面においてかつての西側社会との一体性を強めており、その意味で旧ソ連時代と比較して日ロ間の対話のための基盤は整いつつありますが、他方でロシアが民主化を進めたことにより、北方領土問題の解決においてもロシア世論の動向が重要なウエートを占めることになっているようです。その意味で、昨年外務省がロシア国内において初めての対日世論調査を実施したことは有意義であったと思います。
 この世論調査によりますと、北方領土問題で日ロ間の交渉が続いているということを知っている人は八二%で、北方領土がロシアに帰属すべきだと答えた人は四八%であるのに対し、日本に帰属すべきだと答えた人は三%だということです。やはりロシア国民の北方領土問題に対する認識はかなり厳しいと感じられるわけですが、他方、日ロ間に平和条約が結ばれていないということを知っている人は三八%であるのに対し、知らない人は五八%、また、日本が民主主義国家であると思っている人が三六%であるのに対し、天皇統治国だと思っている人が三七%もいるなど、必ずしもロシア国民が日本に関し十分な情報を持っていないという感じもするわけです。
 北方領土問題についても、歴史的経緯や国際法上の根拠などについて十分な知識を持たないまま感情的に言っている面もあるのではないかと思うわけですが、我が国としては、ロシア国民に対し、北方領土問題の正しい知識を持ってもらえるよう、十分な広報活動を行っていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと考えておりまして、ロシアの国民に対して、我が国の考え方あるいは北方領土問題の現状についても資料をつくり、それをロシア語にして配ったり、そういう活動をいたしております。今ちょっと予算額等について手元に数字がございませんけれども、努力をいたしております。
 日本とロシアの関係というのは、この近辺の国々の間の中で一番弱い二国間関係であるということでございまして、例えば人の交流で考えますと、日米間の人の交流の六十五分の一でしかないという関係でございます。こういった関係を、来年はロシアにおける日本年ということで、いろいろ行事が予定されておりますけれども、さまざまなことをやりながら、ロシアの国民の日本に対する理解を深めていきたいと考えています。
東門委員 ぜひ、その分野に力を入れていただきたいと思います。
 次に、質問はちょっと変わりますが、私、先ほど八月に根室や国後に行ってまいりましたと申し上げました。そのときに、友好の家、いわゆるあの有名なムネオハウスに泊まることができました。私たちが訪問した八月末というのは、沖縄ではかなり暑い、いや、東京もかなり暑かったんですが、国後島はかなり気温が低くて、でき得れば暖房が欲しいという感じをすごく強く持ちましたが、残念ながら暖房のない友好の家で宿泊を余儀なくされました。暖房がないだけではなくて、さらにお湯が出ないんですね。給湯がなされない。それはなぜかといいますと、支援委員会からの支援がないと。管理責任者にお聞きしますと、これは八月の段階で、去年の十月、要するに二〇〇一年の十月から送金がなされていないということで、何度も外務省にお願いしているんですが、返事がないんですよということでした。
 ですから、それは、支援委員会は今年度で廃止ということは聞いておりますが、これは前年度の予算ですか、去年の二〇〇一年からですから、それからなぜ送られなかったのかということを不思議に思ったんですが、帰ってまいりまして、伺いましたら、その後、ことしの三月分までは支払われたということが報道でわかりました。
 私がお伺いしたいのは、三月分までは送金があったようですが、四月から現在の時点までどのようになっているのか。その友好の家に、何か、年間四百万ぐらいの拠出がなされていたということなんですが、それはどのようになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 支援委員会において、今までその友好の家については維持管理費の経費を一部支出してきたということですけれども、支援委員会については廃止をするということが決まっているわけでして、今後の維持管理費の扱い方、これは一つの大きな検討課題にはなっておりまして、今、中で検討中でございます。
東門委員 今後の維持管理費は検討中、それは理解しておりますが、私がお伺いしたのは、四月から現在まではどうなっていますかと。これは既に予算は計上されていますよね。来年の三月まではちゃんと予算に入っていると思うんです。そこに政府の責任でつくりました、ああいう問題が起こったので全部凍結しますと。お湯が出ないように予算も出ないというのは、おかしいんじゃないかと思うんですね。ですから、そこのところはどうなさるのかということをお伺いしているんですよ、四月から現在まで。
川口国務大臣 八月末に、三月までの分を振り込んだということだそうでございます。
東門委員 いや、大臣、その後です。四月から現在まで。来年三月まで振り込んだということですか。(川口国務大臣「来年の三月まで」と呼ぶ)では、去年の十月から来年の三月の分まで全部振り込まれたということですか。わかりました。それを聞いて少し安心いたしました。
 では、その後、どうなさるんでしょうか。建物はちゃんとあります。そして、そこは管理を委託しているわけですよね。来年三月以降、そういうことはどうなさるおつもりでしょうか。
川口国務大臣 これについては、今検討中でございます。
東門委員 これは、本当に注意して真剣に検討していただきたいと思うんですね。
 この一連の北方四島住民支援事業にかかわる疑惑が指摘されたということを受けて、今年度末で支援委員会は廃止されることになったと発表されました。大臣もおっしゃいました。今後は、施設建設案件は実施せずに、災害時の緊急支援、現地のニーズに応じた医薬品及び食料品の供与、急患患者の受け入れを中心に、四島住民にとって真に人道的に必要な支援を実施していくということのようです。
 支援事業が利権の温床となっていたこと、支援委員会の組織としての不透明性などを考えれば、支援委員会の廃止は当然のことですが、四島の住民にとっては、日本国内の勝手な政治的事情により自分たちの生活が翻弄されるのは納得がいかないのではないかと思うんです。これによって、四島住民が日本に対し反感を持つようになれば、今まで何のために住民支援をやってきたのかということになりかねません。
 四島住民は、今回の支援委員会廃止をどのように受けとめているのでしょうか。政府は、今回の措置が四島住民に対する我が国の外交方針が変わったわけではないということを、住民に対し十分に説明しておられるのでしょうか。見解をお伺いいたします。
川口国務大臣 まず最初に、ちょっと、先ほど申し上げたことの訂正で恐縮でございますが、東門委員がおっしゃったように、支払いがおくれておりまして、ことしの八月に払ったのは、二〇〇二年、ことしの三月までの分を払ったということでございまして、それ以降の分、四月から以降の分については、まだ未払い、検討中であるということで、大変に失礼をいたしました。
 それから、北方四島の住民支援につきましては、これは、住民の方に、そういう状況になったということについては十分に御理解をいただく必要があると思います。
 それで、支援委員会についてさまざまなことがあって、大幅に見直しをするということになった結果といたしまして、四島の住民支援については、本来の人道支援という本旨に立ち返りまして、施設建設案件は実施をしない、災害時の緊急支援、現地のニーズに応じた医薬品及び食料品の供与、急患患者の受け入れを中心に、四島の住民にとって真に人道的に必要なものを行っていくという考え方でおります。
 そして、実施体制ですけれども、昨日の二十七日に、千島連盟の小泉敏夫理事長から、これを同連盟の事業として実施をしていただけるという談話を発表していただきまして、それから、災害時の緊急支援や急患患者の受け入れについては、これは外務省がみずから行う、そういうことにいたしております。
東門委員 ちょっと答弁が長くて、もう最後の方になりますが。
 ことしの三月の分までは支払われた、しかし、四月以降まだだと。実際に友好の家はそこにあるわけですね。政府の責任でつくったんですよ。それはやはり、約束したものはやっていかなきゃいけないんじゃないでしょうか。検討するときには、そこにはちゃんと、こうこうこういう事情でこういうふうになっていますという説明をなさいましたかと伺いましたら、大臣は、島民の理解を得るのは必要ですとおっしゃったんですが、そこもはっきりしないんですね。外務省としては、担当の方からちゃんとそういう説明は行っていますか。こうこうこういう事情でできなくなりましたとか、でも政策、方針が変わったわけではないということを含めて、ちゃんと納得のいくような説明はなさっていますか。そうでないと、不信感だけが増幅されていくという感じです。
 私は、ホームステイではなくてホームビジットでしょうか、そこに行ってロシアの方々ともお会いしました。もちろん通訳を介してのお話ですけれども、やはりすごく好意的ではあるんですね。しかし、こういう事情が長引けば長引くほど、その方たちの中に、今までせっかく築いてきたすばらしいいい関係が崩れてしまうような、そういう不信感が増幅されるのではないかということを懸念しているものですから私は伺っているんですね。
 ですから、支出すべきもの、ちゃんと予算も計上されているものをどうするかということを早目に決断されて、そして、そこにもちゃんと説明をするということをやっていただかなければいけないと思いますが、どうでしょうか。もう一度だけ答えてください。
川口国務大臣 今度のことの結果、委員がおっしゃるように、住民の方に今まで蓄積したものがマイナスになるような感情を抱いていただくということになったら、これは問題であると思います。地元の住民の方には、必ずしも十分に御理解をいただけていないということがあるようでしたら、これはきちんとそうでないようにいたしたいと考えています。
東門委員 済みません、説明なさいましたか。では、それだけ聞かせてください。島民の方に説明はなさいましたか。それだけお聞かせください。
川口国務大臣 支払い等の問題については今検討中であるという形で伝えてありまして、したがって、その後どういうふうにするということが決まっていないものですから、その後についてはその後の話になると思います。
東門委員 時間ですから終わりますが、やはり外務省はもう少しきちっとけじめをつけて仕事をしていただきたい。特に、外国に対して、いつも何かあれば、相手がいることですから、相手がいることですからとおっしゃるんですが、本当に相手がいるんですよ。それが外交なんですよ。ですから、四島の住民の方々にわかっていただけるように誠意を尽くして説明しなければいけないことだと思います。それを要望して終わります。
 ありがとうございました。
仲村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十二分散会


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