衆議院

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第5号 平成15年6月11日(水曜日)

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平成十五年六月十一日(水曜日)
    午後零時三十分開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 金田 英行君 理事 西野あきら君
   理事 谷津 義男君 理事 吉川 貴盛君
   理事 川内 博史君 理事 三井 辨雄君
   理事 白保 台一君 理事 山田 正彦君
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      小渕 優子君    嘉数 知賢君
      下地 幹郎君    武部  勤君
      松浪 健太君    宮腰 光寛君
      荒井  聰君    金田 誠一君
      武正 公一君    鳩山由紀夫君
      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君
      東門美津子君    金子善次郎君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (沖縄及び北方対策担当大
   臣)           細田 博之君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   安達 俊雄君
   政府参考人
   (内閣府沖縄振興局長)  武田 宗高君
   政府参考人
   (内閣府北方対策本部審議
   官)           林  幹雄君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛施設庁建設部長)  生澤  守君
   政府参考人
   (防衛施設庁業務部長)  冨永  洋君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局国
   際社会協力部長)     石川  薫君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    小松 一郎君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           木谷 雅人君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           春成  誠君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  岩尾總一郎君
   衆議院調査局第一特別調査
   室長           飯田 祐弘君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 北方領土返還促進に関する請願(吉川貴盛君外六名紹介)(第一〇三五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官安達俊雄君、内閣府沖縄振興局長武田宗高君、内閣府北方対策本部審議官林幹雄君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛施設庁建設部長生澤守君、防衛施設庁業務部長冨永洋君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君、外務省北米局長海老原紳君、外務省欧州局長小松一郎君、文部科学省大臣官房審議官木谷雅人君、厚生労働省健康局長高原亮治君、国土交通省大臣官房審議官春成誠君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省自然環境局長岩尾總一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。
下地委員 私が経済産業省の政務官をしているときに、ある委員会で、トヨタの奥田会長以下多くの皆さんが集まって、特許の件について話し合いをしたことがあります。それで、中国だとかベトナムだとか、非常に日本の特許を、製品の物まねが多いということで、この物まねをどうしてやめさせるかということをジェトロも含めてみんなで検討しようという会議をしていたときに、トヨタの奥田会長が、私たちの国も戦後はアメリカの物まねをしながらこんなに大きくなってきた、だから、今までそうやって大きくなってきたんだから、他の国がまねながらやっていくのをとめるというエネルギーをかけるよりも、とにかく物まねができないような製品をこれからどこまで開発していくかということにエネルギーをかけた方がいいのじゃないかというふうなことを私たちに話をしてくれたときがあったのであります。私は、その話を聞きながら、そのとおりだなという思いをさせていただきました。
 それで、これから、我が国の経済はまだまだ厳しい状態でありますけれども、世界の中でオンリーワンになっていく、オンリーワンの製品をいっぱいつくりながら、物事を、経済を活性化するという意味では、いろいろな新規のベンチャー企業を出していかなければいけないと思うんですよ。
 経済諮問会議では、大学発の特許件数を十年間で十五倍にします、ベンチャー企業を三年間で一千社にしますとか、そういうふうなことを多くやっているわけです。しかし、技術移転の日米の比率を見ると、大学発のベンチャー企業は、日本では百二十八だけれども、アメリカだと二千二百五十六。技術移転機関は、二十二しか日本にはないけれども、アメリカは百三十九ある。TLOを通じた技術移転の件数は、日本は六十九だけれども、一万五千四百八十件あるというように、差があるんですね。
 だから、経済を活性化するためには、この大学発のベンチャーというものをいかにして育てていくかというのが、私たちの国がこれから経済で今の不況を乗り切るためにも大きなポイントになるのではないかなというふうに私は思っているのです。
 それで、今大臣が推し進められている大学院大学でありますけれども、「世界に開かれた最高水準の教育研究を行う科学技術大学院大学の設立構想を、沖縄で推進します。」これは総理が施政方針演説でお話をしていることでもありますし、福田官房長官も、世界に開かれた最高水準の教育を行う我が国が世界に誇る構想だと、大学院大学のことをお話をしております。
 このプロジェクトというものの位置づけは、総理大臣においても、そして内閣のかなめである官房長官においても、国全体の取り組みとしてお考えになっていて、決して、この中に書いてある、半分の学生は海外から来るというようなことなどを全部含めても、これは、ベスト・イン・ザ・ワールドとよく言っておりますけれども、国全体の政策の一環であるという認識を持っていいんですよね。決して沖縄振興策だけではないという認識でいいかどうかを、まず大臣にお聞きしたいと思います。
細田国務大臣 下地議員がおっしゃいましたように、日本の二十一世紀は、科学技術の振興をもって生きていくのが最善の道であるということでございます。特に、産学官の連携ですとか知的財産権の確立、そういったことも非常に大切でございまして、実は土曜日、日曜日に京都国際会議場におきまして、私、科学技術担当でもございますので、産学官の連携推進会議が行われましたが、学者、産業界、その他官庁の研究所等、実に四千人が参加して、ブースでいろいろ展示するものも二百三十を数え、また、さまざまな議論が行われて、今非常に熱心な議論が行われています。
 つまり、やはり大学から日本経済のためになるような研究をしなければならない、そのためには知的財産権の確立もしなければならない、産業界とも連携しなければならない、こういう勢いがだんだん出てきたという状況をまずお話ししたいと思います。
 そういった中にありまして、沖縄県、私の前任の尾身大臣が科学技術担当であると同時に沖縄北方担当の大臣として、日本の将来にとって本当に必要な理想的な大学をつくるべきであるということで、学界にも非常に強い要請があって、そして世界じゅういろいろな学者にも話をかけまして、そのとおりだということで、今進んでおるわけでございます。
 したがって、今議論されている、規模だとか、学長は絶対に外国人でなければならないのじゃないかとか、外国人の研究者の割合をどのくらいにしようということは、構想としての勢いでありまして、その中でベスト・イン・ザ・ワールドをやろうということは貫徹して、それらそれぞれの、今後の建設促進の実態においては、さまざまなバリエーションは実態に応じてあろうと思いますが、小泉総理大臣も本会議において、施政方針演説の中ではっきりと沖縄における科学技術大学院大学の建設を進めるということを明言しておられますし、関係省庁でも今、来年度予算要求に向けても詰めております。また、大学のあり方についても、評議会の第一回目をやりまして、ノーベル賞学者四人も参加してやっていただきましたので、おっしゃるような趣旨で進んでおることを申し上げたいと思います。
下地委員 大臣、時間が二十分しかないので。
 大臣、認識として、これはオール日本の考え方だということでいいですよね。それで、総理大臣は「沖縄で」と言っていますから、こういう意味をしっかり認識いただきたい。
 それで、文部科学省、あなた方の考えも大臣と一緒でよろしいですね。沖縄振興策じゃありません、オール日本の政策ですと。
 短くお願いします。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 沖縄新大学院大学の構想は、沖縄において世界最高の教育水準と国際性を有する自然科学系の大学院大学を創設するというものでございまして、御指摘のように、沖縄だけでなく、我が国における研究水準の向上にとっても有意義なものと認識をいたしております。
下地委員 この言葉は非常に重い言葉ですから、しっかりとかみしめて、これからも大学院大学をやっていただきたい。
 しかし、これはなかなかいろいろな問題があるんですよ。建設費だけで八百億かかる、そして運営費で年間二百億という予算がかかるというふうに言っておりますけれども。
 この前、沖縄で工業専門学校をつくったんですけれども、工業専門学校をつくったときに、本来ならば、工業専門学校というのは全国から学生を集めるというふうなことになるんですけれども、百十六億の予算は全部沖縄振興策から出ているわけですよ。しかし、私は、この工業専門学校に関しては、学生の八割が沖縄の人から採用されるというから、まだこの百十六億を沖縄振興費から全部出しても効果があるかなというふうに思っておりますけれども。
 沖縄の予算が三千百億円少々しかない、そのうちの公共工事が二千九百億円しかない、ソフトのお金というのは二百七十億円ぐらいしかないというふうなことを考えると、八百億だとか二百億だとかいうお金を振興開発費から出すと、これはなかなか、しかも、海外から来るし、学生は大半が沖縄の人じゃなくて、これはもう日本全体のと今大臣がおっしゃったようなことになると、これで八百億もお金がとられてしまうようなことがあったら、地域振興にかかるお金がなくなってしまう。
 だから、この予算に関しては、高専みたいなことはせずに、これはオール日本だと言うんだったら、文部省からきちっとお金を出してもらう。それか、ふだんのものじゃなくて沖縄振興策でやるというならば、これにちゃんと見合った伸び率を、沖縄の振興にかかる今までのものから、大学院大学がプラスアルファといって中二階で伸び率を出してお金をとる、そういうふうにしないと、沖縄の北から南までの振興の予算がまたこれで削られてしまって、バランスのとれた開発というのがなかなかできなくなるというふうなことを僕は心配する一人です。
 絶対にやらなければいけないというのと、この八百億の建設費と、毎年二百億ですよ、二百七十億しかない沖縄振興費で。これでさわられたらいけないというふうに思っているので、まず文部省から、あなた方、この予算に関してきちっと出して、沖縄振興費にだけは頼らないと。明確に。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 本構想は、先ほど申し上げましたように、沖縄だけでなく、我が国における研究水準の向上にとって有意義なものと認識いたしておりますが、また同時に、本構想の推進に当たっては、真に沖縄振興に資するに魅力あるものとして実現することが重要であると認識をいたしております。
 したがいまして、本構想につきましては、一義的にまず内閣府において財政措置も含めて全体的な構想を検討しているものというふうに承知をいたしておりまして、我が省といたしましては、引き続き内閣府の相談に応じまして、大学の設立準備、設置認可申請等に係る御助言を申し上げるとか、あるいは大学設立に係るノウハウを提供いたしますなど、可能な限り協力をしてまいりたいと考えているところでございます。
下地委員 御助言は要らないよ。お金が欲しいんだ、お金が、財政の裏づけが。そして、さっき言ったように、一義的には沖縄振興だとか言わずに、全体でやると言っているんだから、これはもう、前の尾身大臣のころからそう言ってきたんだから、きちっとそういう方向だということを明確にしてもらわないと。
 それで、あなた、もしできないというならば、できないと言わないと方向が転換できないよ。ファジーにしたままずっといって、いや、私たちは出せないかもしれないけれども内閣府がとかと言ってずるずるずるずるいったら、最後にどん詰まりになって出せなくなると困るんだから、できるのはできる、できないのはできないと。
 御助言とか、言葉は要らないから、財源をどうするのか、はっきり。
木谷政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、この問題につきましては、一義的にまず内閣府において現在御検討をされているという事柄でございますので、私どもとしては、内閣府の御相談に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
下地委員 いや、だから、内閣府にやってもらいたいならやってもらいたいと言いなさいと言っているんだよ、僕は。
木谷政府参考人 先ほども申しましたように、一義的にまず内閣府において、財政措置も含めて全体的な構想を御検討していただくというふうに考えております。
下地委員 財政的な措置も含めて内閣府でお願いしたいというようなことを今明確に言っているわけでありますから、これは大臣、今申し上げたように、別に、それならそれで結構だと思うんですよ、僕は。しかし、先ほど言ったように、この振興開発費に取られた分でほかのものが予算がないような、これはもう、大臣に御努力をしていただかなければいけないというふうに思っております。毎年の二百億円の運営費というふうなことなんかについても、どういうふうなことをするのか、早目に明確にすべきじゃないかなというふうなことを私は思っております。
 それと、もう一点ですけれども、学長さんを、ノーベル賞をもらった方で必ず海外から来なきゃだめだというふうなことを言っておりますけれども、私は、その件に関してはいかがかなと。学校経営というのは、そう簡単に、ノーベル賞をもらえることと学校経営というのはイコールでできるようなものではないと思うんですよ。そういう意味では、学長さんは、非常に地域とも政府とも、公設民営だとおっしゃっているから、きちっと連携がとれるような人であって、そしてノーベル賞の教授が、魅力のある教授が講座を持つというふうなことが現実的な話かなというふうに僕は思っているんですけれども。
 あと、残り五分しかないので、この件に対する考えと、さっきの財源に対する考えと、二つを二分間ぐらいで、ひとつよろしくお願いします。
細田国務大臣 建設費、運営費につきましては、政府が一体となって方針を決めるべき問題であると思っておりますし、下地議員がおっしゃいましたように、従来からの沖縄振興のための予算措置に結局負担をかけて、そちらを減らしてこちらでつけるというような考えではなく、全国的な視野あるいは全世界的な視野からこの大学院大学は設置するわけでございますから、大きな観点で、国が財政的措置をするという考え方で今後とも取り組んでまいりたいと思います。
 それから、大学の運営等につきましては、学長さんは、今それぞれ、日本の大学の学長さんでもほかでも、やはり非常に学問的業績のある方から選ばれる例が多いです。それから、理事長さんというようなポストを設けて、経営とか運営については別の責任者がいて、その道のプロで、必要なお金を集めるとか、いろいろな内部の潤滑油となる、そういう形態もあるわけですね。
 したがいまして、ただいま現在の構想は、やはり学長さんとしてはノーベル賞級の人をということが一つあって、そしてしっかりした経営方針を立てられる人をまた置きながら、全体としてこの大学院大学構想が円滑に進むようにいたしたいと思っております。今の評議会は十人のノーベル賞学者と日本側の権威をそろえながら検討しているんですが、そういったこともあわせて議論をしておるわけでございます。
下地委員 沖縄の人も相当期待をしておりますし、そして日本全体も今期待をしていると思いますので、本当に日本で初めてだなと言われるような大学院大学をぜひ沖縄でつくってもらいたいというふうに思っておりますから、ぜひ頑張っていただきたい。
 少しまだ予算面だとか運営面で認識のずれがあるのかなと思っておりますけれども、最終的には政治家が決めることでありますから、細田大臣が今言ったように、沖縄振興費に迷惑をかけないでやると、そのことをきちっとやってもらえれば、国からお金が出ればどこでもいいんですよ。文部省から出ようと沖縄振興策から出ようと、この三千二百億という毎年の伸びにプラスアルファがつくお金であれば何にも問題ない話でありますから、そういうふうな方向で調整しながらぜひやってもらいたいというふうな期待を申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、金田誠一君。
金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。
 私は、新石垣空港の問題点について質問をいたします。
 この件につきましては、昨年四月と十一月の二回にわたって質問をしてまいりました。質問の趣旨は、現在進められているカラ岳陸上案が強行されれば、白保のサンゴ礁に取り返しのつかない影響が出るのではないかということでございます。そうした観点から、白保海域を含む石垣島東海岸を西表国立公園に編入すること、さらに、白保海域を世界遺産に登録することを提唱してまいりました。
 報道によれば、五月に第四回世界自然遺産に関する検討会が開催され、トカラ列島以南の琉球諸島を含む三地域が世界自然遺産の国内候補地に決まったとのことでございます。
 琉球諸島については、特に、サンゴ礁の生態的特徴や、島ごとに異なる固有種が生息し、隔離された島嶼での種分化の過程が示されている点が認められた、こうされております。その一方、管理計画や保護担保措置に関する評価では、国立・国定公園の特別保護地区や第一種特別地域などの厳しい規制が限定されていることや、絶滅危惧種の生息地など重要地域の幾つかが保護区として設定されていないことが登録に向けた大きな課題として指摘された、このように報道されております。
 以前から申し上げているとおり、今は、空港をつくり、ホテルとゴルフ場をつくれば人が来るという時代ではございません。また、貴重な自然を破壊して、公共事業のための公共事業のようなことを推進して栄えた地域はございません。新石垣空港については、この当たり前の考え方に立ち返って再検討すべきである、こう考えます。
 こうした立場から、まず環境省に質問をいたします。
 白保海域は、当然世界自然遺産に登録されることになると考えておりますけれども、当然のことと思いますが、これについてはいかがでしょうか。そのためにも、早期に陸上部分を含めて国立公園編入などによる厳しい規制をかけるべきと考えますが、いかがでございましょう。
岩尾政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の白保海域は、先般の会議によりまして三つの地域が選定されましたが、そのうちの琉球諸島の範囲に含まれると認識しております。今回の検討会では、各地域において具体的にどの範囲までが含まれるかということは、詳細には検討されておりません。
 先ほども先生の方からもありましたが、この会議、学術的な見地から候補地となり得る地域として選定されたものでして、それぞれの地域ごとに課題もあるということで、直ちに世界遺産候補地として推薦できる状況ではございません。今後の保護区の設定、保護管理の措置、地元の同意など、社会的な条件等をさらに調整、検討していく中で、条件の整う見込みのついた地域から候補地として選定をしたいと思っております。したがいまして、世界遺産として登録されるためには、その地域が我が国の法制度によって適切に保護されるということが必要であろうと考えています。
 琉球諸島につきましても、今後、幾つかの重要な地域について、十分保護担保措置がとられているかなどを検討していく中で、地元の意見を聞き、適切に保護区の設定、拡張なども含めた検討を行ってまいりたいと考えております。
金田(誠)委員 石垣島東海岸を西表国立公園に編入することについて、当時の岩垂環境庁長官と大浜石垣市長などが合意したのは一九九六年でございます。以後七年を経過して、具体的に進展をしておらない。大変遺憾な事態だと思っております。すぐれた自然を放置して、公共事業が進むに任せるというのでは、環境省の存在理由がないのではないか。この辺いかがでしょうか。
 既に七年が経過してただいまのような御答弁であっては、これは極めて大きな問題であると思いますが、もう一度しっかりした御答弁をいただきたいと思います。
岩尾政府参考人 お答えいたします。
 国立公園への編入に当たりましては、関係県、知事の意見を聞くこととされておりまして、関係市町村の編入への同意の有無が重要な判断材料でございます。
 石垣島の東海岸につきましては、平成十一年、一九九九年に石垣市長が、国立公園指定について、現時点では時期尚早という考えを表明されたこともありましたが、環境省としては、石垣市に対し説明会を開催するなど、関係者の理解を得るよう粘り強く努力してまいりました。この結果、石垣市と協力して本件の検討を進める状況に至ったことから、本年三月、石垣市と共同で、地域住民に対し地元説明会を開催したところであります。
 今後とも、地元の理解を得られるよう、引き続き努力していく考えでございます。
金田(誠)委員 私がこの件で質問をして以来、石垣の現地の方から、カラ岳陸上案を推進する立場の方々がよくお見えになるようになりました。私は、その方々に対して、北海道におけるいそ焼け現象のことを紹介しながら、陸上部の海域に及ぼす影響について専門家の意見もよく聞くようにと、本当にお願いの思いで話をしているところでございます。
 しかし、その答えは、既に決まったことだからという域を出ないものばかりでございます。この海域が、日本全体の財産どころか世界の財産であり、我々一人一人にそれを守る責務があること、それであってこそ、それをやってこそ沖縄の未来が開かれるということをなかなか御理解をいただけないわけでございます。本土復帰前に比べて沖縄のサンゴは九〇%が死んだ、こう言われている中にあって、私は、大変残念な思いをしているところでございます。
 このようになることの原因の一つに、私は、環境省の責任がある、こう思います。世界遺産としてふさわしい自然であるということ、それを世界遺産としてきっちりと登録するためには国立公園等の指定が必要であるということ、そのことをまず環境省の立場でしっかりと打ち出すべきではないのか。二回答弁をいただきましたけれども、その辺が一体どういう立場なのか、さっぱり見えてこないと思います。
 環境省として、この海域は世界遺産にふさわしい、国立公園としてこの海域を守るんだ、そのためには、その陸上部に隣接して空港をつくるなんというのはとんでもないことだ、こういう姿勢をきちっと示す、これが環境省の務めだと思うんですが、いかがですか。
岩尾政府参考人 先般の世界遺産に編入するかどうかの委員会で、このサンゴ礁についての議論がされております。その報告書によりますと、この地域、この沖縄周辺のサンゴ礁でございますが、白保も含めまして全体が約千平方キロであり、小笠原諸島に著名なサンゴ礁があるけれども、それよりは規模が小さいとか、オーストラリアのグレートバリアリーフというのは、日本全土に匹敵するような広大なサンゴ礁で多くの種が分布している、この琉球諸島のサンゴ礁については、面積は千平方キロ程度しかないけれども、同程度の種の数が確認され、生息種の固有性は高いなど、幾つかの優位な点も評価されております。
 このような点を踏まえまして、私ども、今後、具体的に世界遺産、自然遺産として登録すべき条件が整ったところで準備を進めていきたいというふうに考えております。
金田(誠)委員 非常にはっきりしない、環境省としてどう考えておるのかということが見えてこない答弁だなと思っております。
 沖縄のサンゴは復帰以来順次消滅をしていって、この海域は、もう残された最後の貴重な海域ということになるのではないでしょうか。それも、開発圧力の中で奇跡的に残った、そういう海域でございます。「人による脅威「世界最大級」」というこの新聞報道もございますけれども、まさにこの白保海域は、人による脅威が世界最大級の、そういう状況にさらされている。だからこそ、国立公園等の指定をして、世界遺産として子々孫々まで残さなければならない。それをやるのが環境省の仕事じゃないんですか。
 何か他人事のような話に先ほど来聞こえるんですが、しっかりとした答弁をしていただきたいと思います。
岩尾政府参考人 先ほどもお答えさせていただきましたが、この白保海域の国立公園区域に指定する件につきましては、当時の環境庁長官のコメントを踏まえまして、一九八八年でございますが、いろいろと調整をしてきたわけでございますけれども、先ほど言いました、一九九九年に石垣市長の、国立公園指定が時期尚早という発言があったわけでございます。その後、二〇〇二年に現市長が三選されたということから作業が再開されまして、昨年の八月二十六日に、環境省に石垣の市長が参りまして、白保海域から平久保半島を含む東海岸の国立公園の指定の早期実現及び於茂登岳一帯の自然保護についての要請があったわけでございます。
 したがいまして、私どもは、そういうことで地元が一致したということで、一歩進みまして、先ほど申しました、ことしの三月に、国立公園、特に海中公園の指定に関する地元の説明会を白保で開かせていただいたということで、環境省としては前向きに取り組んでいるつもりでございます。
金田(誠)委員 国際的にも、さまざまな研究者からの指摘がございます。そのことは、私が申し上げるまでもなく、環境省として十分に御承知のことと思うわけでございます。そして、今、この海域の陸上部では空港建設の計画が進んでいるわけですよ。一刻も放置できない状態にあるわけですよ。そうした中で、世界遺産にふさわしい、ごくごく限られた自然を守っていくんだ、そういう気概を持って国民のために働いていただきたい。
 きょうのところはこの程度にとどめさせていただきたいと思いますけれども、改めて、環境省としてしっかりとした決意を込めた答弁ができるように期待をいたしたいと思います。ぜひ検討いただきたい。要望しておきたいと思います。
 次に、国土交通省に質問をいたします。
 この責任は環境省以上に重い、こう思います。国土交通省は、基本的に、既存空港の改修、有効活用という視点に欠けてきたと思うわけでございます。新空港建設、公共事業関係費を極大に膨らます、こういう政策がとられてきたのではないかと思います。その象徴が関空、とりわけ二期工事であると思います。
 こうした政策の結果として、必要な財源は利用者負担で賄われることになる。平成十五年度予算を見ますと、空港整備特会四千五百五十七億円のうち、空港使用料収入は二千百九十億円、実に四八%を占めております。こうした利用者の負担は、静岡空港、神戸空港、関空の二期工事というようなむだな公共事業に投入され、我が国の航空運賃は世界一高いものになっております。これがまた、離島振興の阻害要因になっているという悪循環でございます。さらに、こうした公共事業によって、我が国財政は破綻に瀕しているわけでございます。
 新石垣空港について、以上の観点から国土交通省に質問をいたします。
 現時点における新石垣空港の概算事業費はどの程度か、そのうち国庫負担分はどの程度か、お答えをいただきたいと思います。
春成政府参考人 お答え申し上げます。
 御案内のとおり、現在、沖縄県におきまして、二千メートルの滑走路を有します新空港の計画につきまして、その策定作業を進めてございます。本年一月、新石垣空港整備基本計画案を公表いたしまして、地域住民等から広く意見を求めるといったいわゆるパブリックインボルブメント並びに環境アセスメントの手続を実施しているところでございます。
 したがいまして、新石垣空港の計画案につきましては、いまだ確定したものはございません。また、私ども国といたしましても、県から予算要求を具体的にいただいておるわけではございません。したがいまして、計画の内容が正式に確定しているわけではございませんが、沖縄県の方で公表されました基本計画案によりますと、新石垣空港の概算事業費につきましては、約四百二十億円とされているところでございます。
金田(誠)委員 「新石垣空港」というパンフレットがございます。前にもこの委員会でお示しをしたことがあるパンフレットでございますが、これを見ますと概算事業費約五百億というふうになっておりますが、これは変わったわけでしょうか。
春成政府参考人 恐れ入ります。御説明申し上げます。
 ただいまの委員御指摘の額につきましては、私承知しておりませんけれども、恐らく、今申し上げました約四百二十億円というところは、空港本体部分の概算事業費であろうと想定されております。
金田(誠)委員 それでは、続いて伺います。
 ターミナルビル等関連施設の概算事業費はどの程度でしょうか。そのうち国庫負担分はどの程度でしょうか。
 それから、さっき、四百二十億のうち国庫負担分の数字を聞いていませんでしたので、それをあわせて。
春成政府参考人 先ほど申し上げました四百二十億円につきましての国庫負担分でございますが、これは、先ほど申しましたように、県における計画段階でございますので、これが仮に補助事業として採択された場合という前提でお答え申し上げますが、そういたしますと、私どもの持っております空港整備法あるいは沖縄振興特別措置法によりました国庫負担率によりまして、十分の九というふうになっております。国庫が十分の九負担するということになっております。
 それから、ターミナルビル等の関連施設の事業費でございますけれども、少しこれは御説明を要すると思いますが、ターミナルビルにつきましては、空港整備がある程度進んだ段階で計画されるものでございまして、現時点でこれを確定することは困難だと思います。また、ターミナルビルは通常、民間の事業者あるいは県あるいは市といったところから出資される第三セクターとして建設されておりまして、私どもの国庫からの負担、補助というものはございません。
金田(誠)委員 それでは、アクセス道路、これは大分人里離れたところにできる計画でございますけれども、アクセス道路など、この空港に関連する公共事業、これは、概算事業費はどの程度で、そのうち国庫負担分はどの程度になりますでしょうか。
春成政府参考人 申し上げます。
 現在の新空港の位置の選定、それからそれに対しましてのアクセス道路につきましても、沖縄県において現在ルートの検討を行っているところでございまして、したがいまして、事業費についてはまだ明らかになってございません。(金田(誠)委員「大体わかりませんか」と呼ぶ)
 申しわけございませんが、現在、そういった報告を実は県から受けておりません。申しわけございません。
金田(誠)委員 それでは、現在の空港、供用中の今の石垣空港でございますが、これを二千メートルに改修するとすれば、その事業費はどの程度になって、国庫負担分はどの程度になりますでしょうか。
春成政府参考人 先ほども申しました、平成十五年一月に沖縄県が新石垣空港整備基本計画案を公表いたしておりますけれども、その中におきまして、現石垣空港の拡張につきましては、騒音問題ですとか、遺跡がある、あるいは大規模な立ち退き問題があるといったことから、事実上できないということで候補地から外されてございます。したがいまして、県の方から伺いましたところによりますと、現空港を拡張する際に要する移転補償の費用については算定されていないということでございます。
 ただ、一般論として申し上げるとすれば、通常の空港に拡張されて、その場合に、立ち退きを要するといったことで、移転補償費が当然出てくるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、補助事業として採択された場合においては、空港整備法それから沖縄振興特別措置法に基づきまして、十分の九の国庫負担になるということでございます。
金田(誠)委員 仮に、現空港を改修して二千メートルに延ばすということにすると幾らかかるか、その場合、移転補償があるわけでございますが、何軒がその移転補償の対象になって、それにどの程度の移転補償がかかるか、これを聞きたいわけですね。
 これは、現空港を拡張した場合どうなるかというのは、最初から候補から外されておりました。今の答弁のとおりです。外されておりましたけれども、仮にそれをやるとすればどういうことになるのかというものも、これは比較検討をする上で非常に重要なファクターだと思うわけでございます。
 新石垣空港建設位置選定委員会という委員会が沖縄県にございまして、ここで現空港の拡張については初めから候補地から外されたわけです。私は、実はそのことがおかしいと思っているわけでございますけれども、まず外された。理由は、北側に国指定の遺跡、南側には市街化が進み、大規模な移転補償を伴う、こうされているわけでございます。
 しかし、遺跡の問題というのは、実は私は函館なんですが、函館空港でも大変な貴重な遺跡が出て、それはそれできちんと調査をして、滑走路ができました。これは十分にクリアすることは可能だというふうに推測をします。
 移転補償が問題だとすれば、それは一体何軒の移転補償で、どの程度の金額になるのか、こういうものをきちっとした上で除外されたというならわかりますよ。それならわかるわけです。
 そこで、今も、白保のサンゴ礁が壊滅するかもしれないという大変な計画を進めているときに、そうでない代替案を検討して、幾らかかるんですかというのを質問するのは、私は国会議員として当然だと思うんです。もう一度、ちゃんと答えてくれませんか。
春成政府参考人 先ほど申しましたように、これは平成十一年六月に新石垣空港建設位置選定委員会が設置されまして、四つほどの案につきまして空港の位置選定を行ってございます。その中で、先ほど申しました理由から、現空港の拡張案については否定されたところでございます。したがいまして、その民家の数あるいはその補償額については、沖縄県の方は事業費も考えてございませんので、私どもとして承知していないわけでございます。
金田(誠)委員 交通政策審議会航空分科会の答申というのがあります。昨年十二月六日付、「今後の空港及び航空保安施設の整備に関する方策について」という答申です。
 この一ページ目を開きますと、「はじめに」というところがありまして、「また、今後の空港整備については、厳しい財政事情の下、緊急性の高い事業に投資の重点化を図るとともに、既存ストックを有効に活用することにより、経済社会のニーズに的確かつ柔軟に対応し、より透明性の高い効率的・効果的な空港整備を図っていくことが求められている。」という答申ですね。
 それで、皆さん、これに基づいて今やっているんだと思うんですよ。既存ストックを有効に活用できるのかできないのか、するとすれば幾らかかるのか、こんなのは当然検討の対象に入っていなきゃだめじゃないですか。沖縄県が最初から除外しました、その除外したことが正しいのかどうなのか、その判断材料をやはり示してくれませんでしょうかね。いかがでしょう。
 この答申、皆さんの方針に基づいたって、既存ストックの有効活用が、検討の結果、どうしてもできない事情になりましたというのなら、それはそのときまた考えましょう。しかし、この既存ストックを活用するとすれば、どういうことになるんですか。これについて示してくれませんか。沖縄県が示さないとすれば、国が調査したっていいわけですよ、「既存ストックを有効に活用することにより、」「厳しい財政事情の下、」となっているわけですから。これはどうでしょうか。
春成政府参考人 御指摘のように、昨年の十二月に交通政策審議会から答申をいただきまして、今後の空港整備のあり方について、既存ストックの有効活用、あるいは、ハードからソフトへといった指針をいただいてございます。
 それに基づきまして、私ども、空港整備の指針ということにつきまして地方自治体の方にお示ししてございます。それに従いまして、現在、各空港、自治体において御検討を行われているというふうに考えてございます。
 その観点から申しますと、新石垣につきまして、その必要性というものについては認識しているところでございます。
金田(誠)委員 既存ストックを使えば、滑走路の延長にはどれだけの経費がかかって、用地確保をするために何軒が移転対象になって、それにはどれだけかかるんですというものをぜひ出してください。これはもう強くお願いをしておきたいと思います。改めて機会を見て質問させていただきます。
 次に、この候補地としては、経過の中で、冨崎野案という案もありました。島の西側につくる案で、過去に一番高い評価を受けたこともありました。候補地四案の中で唯一、ここに誘致運動まであったという地域でございます。
 この冨崎野案が採用されなかった理由も不透明でございます。位置選定委員会によれば、湿地やカンムリワシなどの自然環境問題が取り上げられておりますけれども、カラ岳陸上案に比べれば、どっちがより問題が多いかといえば、これはもう歴然としているわけでございます。また、滑走路を南に五百メートル延長した場合、石垣港湾計画との競合ということも触れられておりました。地理的条件で二千メートル以上の滑走路はできないということが不採用の主たる理由だということもちょっと聞いてはおります。しかし、冨崎野案によれば、最大何メートルまでの滑走路が可能ということになるんでしょうか。
 冨崎野案は、何といっても誘致運動があって、離島桟橋や市街地からも非常に近い、非常に利便の地にあるわけでございます。これが却下されてカラ岳陸上案になった。非常に不透明な経過だと思うわけでございますが、この冨崎野案についてお答えをいただきたいと思います。
春成政府参考人 冨崎野案についてでございますけれども、先ほども申しました、新石垣空港位置選定委員会におきまして、この冨崎野を含む四案が検討されてございます。その中で、冨崎野案につきましては、委員御指摘のとおり、希少種を含む生態系への影響ですとか、土木工事量が膨大になること、あるいは漁業権との競合、あるいは優良農地が含まれる、さらには、滑走路を南側に五百メーター延長した場合、石垣港湾計画との競合が予測されるといったことから採用されなかったというふうに沖縄県から聞いてございます。
 それから、冨崎野案について、どの程度滑走路が最大限可能なのかというお尋ねでございますけれども、そういった検討は私どもが沖縄県から聞く限りにおいてはなされていないわけでございます。ただ、二千メーターの滑走路を現在検討されているようでございますが、二千を二千五百にする場合にどの程度問題があるのかということについては、それぞれの四案について検討がなされた結果、現在のような考え方となったと聞いております。
金田(誠)委員 非常に不透明な経過だと私は思います。
 大臣にお尋ねしたいと思いますが、初めにカラ岳陸上案ありき、こういうことで進められてきたように思われます。現空港の拡張案は初めから除外をされておりました。その理由も不明確であります。冨崎野案不採用の理由もあいまいでございます。一方、カラ岳陸上案は、前段申し上げたとおり、環境問題に重大な疑問があるわけであります。取り返しのつかない沖縄の貴重な財産を失うことにもなりかねないわけであります。
 加えて、この予定地内には土地転がしにより逮捕された不動産業者が所有していた広大な土地があり、今も五十億円の抵当権が設定されております。極めて不透明でございます。
 大臣として、このカラ岳陸上案については白紙に戻して再検討をすべき、そういう方向で対処すべきと思いますが、いかがでしょうか。
細田国務大臣 今、さまざまな案を金田議員がおっしゃいました。まさに、沖縄県の皆様方、八重山地区の皆様方が、いろいろな御苦労をされながら、いろいろな案を御検討になり、そして、例えば海上の問題については、サンゴ礁の直接的影響からこれを避けるとか、さまざまな御検討を経て今の案になっておると承知しております。
 もちろん、金田議員がおっしゃいますように、やるからには、環境問題に万全を期さなきゃなりません。環境アセスメントも来年度いっぱいでやることになっております。しかし、五万人の島民の方々、そして五十万人の観光客を抱え、そして千五百メートルという危ない滑走路の距離。もちろん延長については否定しておられませんけれども、我が島根県の隠岐空港などは、人口が二万五千人で観光客が五十万人ですが、既に今までの空港と別のところに、しかも国立公園の指定地域ではありますが、平成十八年七月には、三年後には、二千メートル滑走路ができてジェット化等が進むというふうになっております。
 いろいろな経緯があってそうなったわけでございますが、やはり離島の住民の方々の思いというものもあるわけでございますので、おっしゃいましたような環境問題というのには万全の策を講じながら、そして、皆様方に便利な、そして観光収入、所得も上がるような形で、一日も早い完成を実現してあげたいと思うのが私の気持ちであります。
 長くかかればかかるほど、議員がおっしゃいましたようにさまざまな問題が起こって、いろいろなことが言われているということも承知しておりますけれども、今こそ、きちっとした環境対策のもとに一刻も早く建設に着手すべきではないか、それがまた、県民の皆様方、地域の皆様方の思いではないかと思っておるわけでございます。
金田(誠)委員 だからといって、沖縄の貴重な白保の海岸、サンゴ礁という財産を失ってもいいということには全くならぬわけでございまして、その辺の認識が大変欠けているようで残念でございます。
 改めてまた質問させていただくということで、きょうは終わります。
平林委員長 次に、武正公一君。
武正委員 民主党の武正公一でございます。
 質問をさせていただきたいと思います。
 まず、五月二十九日付ロサンゼルス・タイムズの報道、米複数の高官によればということで、在沖海兵隊二万人のうち一万五千人をオーストラリアへ移動、これについて、オーストラリアンという新聞でも、オーストラリアは歓迎である、やはり雇用の面での効果が図れるというようなことも報道がありといったことでございますが、三十日の閣議後の会見で、川口外務大臣は、何も聞いていない、米国は否定をしている、そういう重要な問題について日本政府と相談なく話が動くということは全くないと。あるいは、同日の外務委員会でもそのような御答弁をされておりました。
 でございますが、五月三十一日時点で判明したのが、日米安全保障高級事務レベル協議、SSCでは今春から協議を始めていたと。具体的に、沖縄からということではないと否定をしながらも、昨年の2プラス2を受けてのいわゆる米軍の変革・再編、トランスフォーメーションの一環として議論の俎上に上っていたということが報道されたわけでございます。
 また、六月二日のウォルフォウィッツ国防副長官等の発言からも、あるいは六月九日付ワシントン・ポストの国防総省幹部の報道からも、さまざま、既に日本外務省を初めとして日本政府、こういった在沖海兵隊の撤退、移動について知っていたのではないか、あるいは協議をしていたのではないか、このように考えるわけでございますが、まず、外務大臣の御答弁をお願いいたします。
川口国務大臣 まず、ロサンゼルス・タイムズの新聞報道の件ですけれども、これについては、委員が今おっしゃいましたように、記者会見で、沖縄の海兵隊が豪州に移駐をするということについては何も聞いていないということは、確かに申しました。
 それで、照会を米国政府にし、おっしゃったように、その日でしたでしょうか、国会でそういう答弁もいたしましたし、それから、六月二日にウォルフォウィッツ国防副長官とお会いをしてお話をしましたときにも、副長官からもそのようなお話がございます。したがいまして、記者会見で一番最初に申し上げたとおりであります。
 それから、日米間の安全保障の協議でございますけれども、これは日米間で、安全保障のさまざまな問題については緊密に協議をいたしております。先般、日米首脳会談がありましたけれども、その際も、今後、日米間で安全保障の面での協力をさらに強化をしていくというために、両国間の、両政府間の協議をさらに進めるということになったわけでございます。
 ただ、報道されているような計画、これについて協議をしているという事実はございません。
武正委員 ウォルフォウィッツさんもいろいろと言っておられました。グローバルな兵力配置の見直しは進行中であり、まだ結論は出ていないと、細かなことについては言及をしなくても、全体的な方向性はお示しをされておりますし、また、ワシントン・ポストの国防総省の幹部の話としても、沖縄の海兵隊二万人全員を展開させる計画はないが、沖縄やハワイ、グアムに展開する第三海兵遠征軍の再配置の可能性を検討していることを明らかにした。また、これはワシントン・ポストを読んでみたんですが、可能であればフィリピンに基地を再び建設したいと願っている、フィリピン政府が受けるかどうかはわからない、こういったことも九日付のワシントン・ポストには載っているわけなんですね。
 ですから、今のお答えでございますけれども、私とすれば、今回のロサンゼルス・タイムズの報道は、唐突な印象を受けていても、やはり日本政府としてしかるべき協議の中で対象であったのではないか、そういった話があったのではないかというふうに私は思うところでございます。
 さて、きょうは官房副長官もお見えでございますが、このときの官房長官の記者会見でございます、三十日午後の記者会見。
 実は、その前に沖縄県が、二十九日、外務省の沖縄事務所に照会をした。今、外務大臣の御答弁のように、米国防総省が在沖海兵隊を豪州に移転することを検討していることは承知していないと回答を受けた沖縄県が、三十日午前中、国防総省の国防長官室報道部のバーファインド少佐に電話で報道内容を確認した。このことですね。バーファインド少佐は、記事については注意深く読んでほしい、米国は沖縄から米海兵隊を削減させるということも考慮している、国防総省内では、こうした考えの話し合いがある、しかし、一つの考え方であり、最終決定ではないと。
 これを沖縄県が発表したところ、官房長官の記者会見。政府に聞いてくるなら話もわかるが、どこに問い合わせをしたのか、政府がそういう交渉をしていると、語気を荒げながら県の対応に不快感を示した、どれだけ権威ある情報なのかお聞きしたいと、こういった記者会見での官房長官の発言がありました。
 私は、いろいろな方が言っておられますけれども、沖縄に七五%の在日米軍基地の負担をお願いしている、こういった日本政府の立場、あるいは小泉内閣が地方分権を掲げる立場、あるいはまた今回の有事法制では、いわゆる県民を守るのは都道府県の役割、これは国民保護法制でこれから具体論に入っていくわけでございますが、このような中にあって、これだけ大事な問題を、しかも、外務省の沖縄事務所に照会したらこのような答えだったから国防総省に聞いたのに、それについて、これは国を越える越権行為ではないかと不快感を示す、これが政府の官房長官の記者会見であっていいのかどうかということを大変疑問に思うわけでございます。
 これは、きょうは、官房長官にお見えいただければいいんですけれども、それがかなわない中で、官房副長官に、内閣官房として、あるいは政府を統括する立場として、官房長官のこの記者会見のように、地方自治体は外交、安全保障に対して口を出してはならぬというような考えを小泉政権は持っておられるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
安倍内閣官房副長官 沖縄県、また沖縄県民の皆様が米軍の施設・区域や米軍の駐留の問題について関心を持たれるというのは、至極当然のことであると我々は認識をしております。また、政府としても、その気持ちというのは十分に理解をしているところでございまして、その中で、当然、県が米国側に対してそうした問い合わせをするということは、私は全く問題がないというふうに考えておりますし、官房長官もそのように考えておられます。その後の記者会見におきまして、官房長官も、当然、沖縄県がそういう関心を持って問い合わせをするというのは、沖縄県のそれは自由であるということもおっしゃっておられます。
 いずれにしても、安全保障の問題については国が責任を持って進めていくわけでありますが、国民の保護法制等々を進めていく上におきましては、地方自治体とも十分に相談をしていかなければいけないというふうに考えております。
武正委員 内閣官房として、また政府としての見解をいただきまして、地方自治体が、その地方自治体にかかわる諸外国とのさまざまな関係、これについて、政府を飛び越えての諸外国との問い合わせ、連携連絡、これは何ら問題はないといったことを確認させていただいたわけでございます。
 一方、外務省の沖縄事務所、これは、私は沖縄大使のことも問題提起をさせていただいておりますが、ある面、沖縄県がいろいろ問題点を抱えている、照会をしたい、聞きたい、そのときに、外務省の沖縄事務所が、あるいは沖縄大使がそのバリアになっているのではないか、こういう疑念を前から持っていたんですが、今回もそれを深めてしまったというふうに指摘をさせていただきます。
 さて、次に移りたいと思うんですけれども、官房副長官にお見えをいただいておりますので、続いて、万景峰号の新潟港への入港、今回見送りをしたというふうな報道でございますが、これについては、二十三日に官房長官が関係省庁に厳しく点検をするよう指示をされ、そして国土交通省もPSCを十年ぶりに、そして海上保安庁、法務省、財務省、厚生労働省、経済産業省、警察庁、七省庁が一致をして強い姿勢を示した。私は拉致議連の一人に名前を連ねさせていただいておりますが、会長、役員を初め皆さんの大変な奮闘、御努力と、そして家族の会、救う会の皆さんの一致結束で、今回、ある面、政府が強い姿勢を示し、そして関係省庁に、しっかりとリーダーシップをとった、私は評価するに値する今回の対応ではないかと思っております。
 残念ながら、私もこの三年間国会に送っていただいておりますが、過去を振り返れば、北朝鮮の不審船事件あるいは瀋陽の総領事館事件等、首相官邸への連絡が十数時間かかる、海上保安庁から防衛庁への連絡が十数時間かかる、日本の危機管理は一体どうなっているんだと、さまざま問題点をかいま見てきたわけでございまして、今回は、やればできるじゃないかという思いを持っておるんです。
 官房副長官、今回のこの万景峰号が入港を見送ったこと、その理由として、やはり政府が強い姿勢を示して、官房長官、関係省庁への督励、そして七省庁の一致結束しての取り組みというふうに私は評価をするんですが、この点についての御所見を伺います。
安倍内閣官房副長官 万景峰号の入港取りやめについては、どういう理由であったかということは、北朝鮮側に聞かないとこれはわからないことでございますが、しかしながら、今回も我々は、適正な、法令を駆使して対処をするということを決定していたわけであります。
 委員御指摘のように、もう今まで長年にわたって万景峰号が日本に入港してきていたわけでありますが、その間、いろいろな問題について報道がなされたわけであります。そして、拉致被害者の家族の皆様、あるいは救う会、そしてまた議連の皆様が、そこに大きな問題があるのではないかということで運動を展開してこられたわけであります。
 そうした運動の展開、そうした国民的な一種の盛り上がりというのは、政府が施策を実行していく上においては大きな力になる、私はこういうふうに思っているわけでありまして、適切に、厳正に対処する、このことは当然であるということを我々は今後も続けていきたい、このように思っております。
武正委員 ありがとうございます。
 きょうは、防衛庁からもお見えでございます。赤城副長官がお見えでございます。
 先ほどの、この沖縄海兵隊、一万五千人が沖縄から移転をする、あるいは撤退をする、これが仮定の話というのか。あるいは、そうはいっても、やはり昨年の2プラス2以来の日米の協議も大きな枠組みの中で行われている。そしてまた、米軍のアジアにおけるいわゆる再編。
 こういったことの中になりますと、海兵隊はこれまでこのような説明をしていました。歩兵部隊の近くにヘリコプター部隊が展開することで陸空一体となった海兵隊の作戦の特徴が生かせると説明してきた。歩兵部隊が減るのならヘリも移るのか、すなわち、いわゆる普天間の代替施設は要らなくなるのではないか、あるいは、ヘリが数機残るのであれば嘉手納への統合ということが現実味を帯びるのではないかというふうに考えるわけでございますが、この仮定の話と、そうはいってもSSCで協議を進めている日本政府、これが、防衛庁として、普天間移設に与える影響、仮定の話でありますが、もしそれが本当であれば、あるいはこれから進捗していくのであれば、どのようなことが考えられるのか、取り組みが予想されるのか、想定されるのか、お答えをいただきたいと思います。
赤城副長官 お答えいたします。
 この在沖縄海兵隊の件につきましては、各種報道においてその削減とかオーストラリア等への移転ということが報じられているということは承知しておりますが、この点に関しまして外務省を通じて米側に確認したところ、先ほどの外務大臣からの御答弁にもありましたように、同盟国である日本に相談なく在沖縄海兵隊の兵力構成を大幅に変更することを決定することはあり得ないとのことでありましたし、また、現時点で報道されているような在沖縄海兵隊のオーストラリアやフィリピンへの再配置の検討が進められているという事実はないとのことでございます。
 したがいまして、現段階において米側が在沖縄海兵隊の再配置に関し具体的な検討を進めているということは承知しておりませんので、これはやはり仮定の御質問でございますので、それに対するお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
武正委員 仮定の質問と割り切ってしまえばそういうお答えになりますが、先ほど言ったように、SSCでは協議が進んでいるということでございますので、その協議の進捗状況、進行状況にあわせて防衛庁、施設庁としてもしかるべき取り組みが必要であろうというふうに考えるわけでございます。
 さて、五月二十三日、外務大臣はパウエル長官とパリで会談をされ、そのときにいわゆる十五年問題についても取り上げた、伝えたということでございました。沖縄県知事が言っていることを伝えたということでございまして、もし沖縄県知事が言っていることを伝えるのが外務大臣の役割であれば、私は、前から言っておりますように、沖縄県を2プラス2に、あるいはSSCにオブザーバー出席させて、そこで沖縄県の声を直接言えばいいというふうに思うのでございます。そして、もし、やはり外務省として、日本政府として十五年問題を言えないのであれば、言えないというふうに言うべきであろうと思うわけでございます。
 この2プラス2会談でございますが、外務大臣、三月十四日付、国防総省でございますが、米国政府に解決を求める問題としないことを日本政府は伝えて、既に合意していると。日本政府は沖縄県が十五年期限を求めていることを米国政府に伝えているが、単なるセレモニーかの問いに、まさにそのとおりと国防総省当局者が答えていると。
 本当にセレモニーなんでしょうか。そして、自分の言葉として、外務省として、日本政府として十五年期限問題はどうなのかというふうに、外務大臣は国務長官や2プラス2で言っているんでしょうか。あくまでも、沖縄県がこう言っているよとしかこれまでも言っていないんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。外務大臣、お願いいたします。
川口国務大臣 今の御質問にお答えを申し上げる前に、先ほど、外務省の沖縄駐在大使がバリアになったということをおっしゃられましたけれども、これは全くそういうことはありませんで、沖縄大使は、米軍と沖縄県民の間に立って、さまざまな問題について、柔軟に、そして声を聞きながら対応しているということであります。
 具体的に何がバリアになったかということをもしおっしゃっていただけるのであれば、必要なことは適切に対応したいと思いますし、むしろ、具体的にそういうことがあれば、おっしゃっていただきたいというふうに思います。私どもの認識する限りでは、そういうことはないと思います。
 それから、今の御質問ですけれども、私は、五月二十三日にパリでパウエル国務長官とお会いをいたしまして、日米の安全保障関係のさらなる強化の必要性ということについてお話をし、そしてその中で、沖縄の問題について、普天間飛行場の移設、返還について、これは沖縄県知事より使用期限の問題が提起をされているけれども、今後とも政府として沖縄の負担軽減のために米国と協力をしていきたいということを言いました。単に沖縄県の知事がこう言っているということを伝えたということでは決してありません。
 それで、これに関してパウエル長官から、沖縄の問題の重要性については十分理解をしているというお話があったわけですけれども、政府として、この沖縄の普天間の使用期限の問題については、これは平成十一年末の閣議決定に従って対応をしていきたいと考えております。
 この使用期限の問題というのは、沖縄に米軍の施設・区域が七五%集中をしている、そういうことから、沖縄の県民の皆様には多大な御負担をおかけしているわけでして、そういった中、基地の固定化を避けて、基地の整理縮小を求める県民の感情ということについては、私は十分に認識をしております。その中で、沖縄県知事及び名護市長から御要望があったわけでございまして、私としては、これを非常に重く受けとめているわけです。そして、稲嶺知事がこの使用期限の問題について、着工までに政府として一定の方向性を出すということを強く要望されているということも、重く受けとめております。
武正委員 官房副長官もお見えいただいておりまして、これをもう一度お聞きしたいんですが、閣議決定、平成十一年十二月二十八日、その関係箇所を読みます。「政府としては、代替施設の使用期限については、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しているが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」あくまでも、これを米国政府との話し合いの中で取り上げていくとともにということなんですね。
 ですから、外務大臣が沖縄県知事の言葉ということで伝えたことではないよと言いながらも、やはり閣議決定を重視してということであれば、外務省として、日本政府として十五年期限問題をアメリカ政府に迫っていくということではないというふうに、この閣議決定から読めるんですね。ある面、妥協の産物、苦渋の選択、そんなようなところが、実は、外務大臣が国務長官とのパリでの会談で取り上げただけというふうに言われるゆえんではないかというふうに思うんです。
 そうであれば、先ほども触れましたように、2プラス2なりSSCなり、先ほど官房副長官も、沖縄県が日本政府の頭越しにいろいろと国防総省に照会したっていい、これはやって構わないんだというふうに言っておられますので、2プラス2やSSCに沖縄県をオブザーバー出席させる、これは私は外務省に求めているんですが、なかなかいいお答えをいただけないんですが、官房副長官、いかがでしょうか。地方分権、そして有事法制、国民保護法制、地方の声、これをしっかりと踏まえていく小泉政権、内閣としてお答えをいただきたいと思います。
安倍内閣官房副長官 2プラス2の会合と、この会合の下部機関でございますSSCについては、我が国の平和と安全をいかに確保するかという観点から、我が国を取り巻く国際情勢や日米安保体制にかかわるいろいろな問題について話し合いをする場所でございます。その観点から、日本側と米側が話し合いの上で出席者のメンバーを決めたわけであります。
 もちろん、沖縄県あるいは沖縄県民の皆さんの御意見もいろいろとあると思いますし、皆様のお気持ちを伝えたいということだと思います。その考えは私も十分に理解できるわけでありますが、しかし、この外交におきましては、川口大臣が我が国を代表してこのメンバーの中に入っているわけでございますし、また外務省も入っている、また防衛庁も入っているわけでございます。沖縄県とは十分に相談をしながら、沖縄県の皆さんのお気持ちも配慮した上で、その会議の場で我が国を代表して米側といろいろな話し合いを行っていく、こういうことであると思います。
 この方針については、今後も我々はこの方針で進んでいくということでございます。
武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、白保台一君。
白保委員 私の方から、まず、先般、五月の十六、十七日に行われました太平洋・島サミット、これにつきましてお伺いをしたいと思います。
 その前に、幾つかの候補地もございました。そういった中で、私どもが強く要請をいたしておりました沖縄で開催され、また成功に導いていただいた。御苦労なさった皆さん方に深く敬意を表したい、このように思います。
 特に、参加をされた皆さん方、首脳の皆さん方はかなりの満足感を持ってお帰りになったんじゃないかな、こういうふうに思っておるわけでございますが、まず、外務大臣はこの第三回太平洋・島サミットをどのように総括なされているのか、お聞きをしたいと思います。
川口国務大臣 先般、五月に行われました第三回の島サミットでございますけれども、太平洋・島サミットというのが正確でございますが、これは、開催地の沖縄県民の皆様の本当に温かいおもてなしをいただいて、おっしゃったように、参加をなさった方は大変満足な気持ちを持ってお帰りになられたと思います。御協力に、この場で改めて感謝を申し上げたいと思います。
 それから、そこでの話し合いですけれども、太平洋の島嶼において持続可能な開発を実現するということが第一義でございます。このために、より豊かで安全な太平洋のための地域開発戦略及び共同行動計画、これをつくりました。これを沖縄イニシアチブと呼んでおります。そして、これは非常に行動志向型のプログラムでございます。
 今後、この結果をきちんとフォローしていくために、毎年一回のペースで、日本と太平洋諸島フォーラムとの間でフォローアップの会合を開きたいというふうに考えます。
白保委員 二〇〇〇年に沖縄サミットが開かれました。その以後、私たちは、これだけ大きなサミットをやって、そのいわゆるポストサミットをどうするのかね、万国津梁館も立派なものを用意しているしと、そういうことで当時の野村一成大使ともいろいろお話をいたしました。
 ちょうどサミットの直前に解散総選挙がありましたが、総選挙の最中でございましたけれども、青木長官が当時沖縄開発庁長官を、官房長官兼務でございますが、やっておられまして、いわゆるサミットが終わった後、やはり沖縄は国際会議の場として大いに活用すべきだということで、解散の途中でしたけれども、閣議でこのことを了解なされた。たしか六月二十二日ごろだったと思いますけれども、なされた。
 したがって、私たちは、突然ですけれども、九・一一のテロがあった後に、やはり基地がいっぱいあるから沖縄は危ないねということで観光客が激減をしていく、そういうことであっては、いろいろな振興の施策を展開していっても、何か一つ事があったときには沖縄にはもう行かない、こういう状況じゃいけません。したがって、基地があるだけに、一層平和のための、あるいは地域の経済振興のための、あるいは地域の発展のための、そういう国際会議を大いに開いていく、そして信頼度を高めていくということでなければいけないということで、国際会議の誘致をこれまでも強く要請してきました。
 そういった意味では、当時の閣議の了解の問題もありますし、担当大臣として、細田大臣、今後の国際会議の問題についてどのような御所見をお持ちなのか、まずお聞きしたいと思います。
細田国務大臣 先ほど白保議員おっしゃいましたように、沖縄サミット、大成功のうちに終了し、そのときに閣議了解を行いまして、各省が緊密な連携をして、国際会議、各種会議の沖縄開催の推進に努めようということでやってきておるわけでございますが、非常に不幸なことに、九・一一ということが起こりまして、国際的な観光客等が非常に落ち込むというようなこともございました。しかしながら、このたびの太平洋・島サミットの成功も、すばらしい大成功でございました。
 そして、何よりも、大変な国際会議の財産がサミットを契機にできたわけでございまして、リゾート地、ホテル、会議場、日本の中でも本当に最高の施設を有しておるわけでございますから、各省庁が今後積極的に動こうということでございまして、今、国際会議の担当者を対象にいたしまして、沖縄現地視察セミナーを今月二回にわたりまして十二省庁について実施して、国際会議、このような場所で誘致ができるから、あらゆる国際会議の誘致を図ってくれというようなことをやっております。そのほかに、学会ですとか、その他国際会議は多種多様でございますので、そういった方面にも働きかけてまいりたいと思います。
白保委員 外務大臣、実は私は、五月十七日の会議が終わって、知事主催の昼食会がありまして、その後、パラオのレメンゲサウ大統領と一緒に石垣に同行いたしました。同じ飛行機で行ったんですが、飛行機の窓から石垣島を見ながらパラオの大統領は、これはもうパラオと同じだ、雨も多いし、形もよく似ていると、こういうようなことで非常に喜んでおられました。
 翌日、石垣市長の案内で、真珠の養殖の場を一緒に見に行ったり、あとは、今JIRCASというんですか、前は熱研といっていましたけれども、今は国際農林水産業研究センター、こういったところも精力的に視察をされて、非常に自立ということを考えて、経済をどうするかということを真剣に勉強しておられたわけでございます。
 それはそれといたしまして、その際に感じたことは、やはり日本に対して物すごく大きな期待を持っておる、そしてまた、沖縄で島サミットを開いて、非常に親近感を持っている、日本、沖縄に対する期待というものが一層強くなってきたなということを感じました。その際にWTOの農業交渉の問題等も話をしたんですが、即座に、私は日本を支持したいですね、こういうようなことを言っていました。アメリカにしかられませんかと言ったら、いや、大丈夫です、日本を支持しますと。こういう話も雑談の中でやってまいりました。
 日本に対する期待が非常に強いだけに、今後の、これからの関係というものについてどのように進めていかれるのか、大臣の所見を伺いたいと思います。
川口国務大臣 島サミットに出られた方々が沖縄に向かわれる前に、私も東京でレセプションを開きまして、おいでいただきましたけれども、外国の出席者の方々とお話をさせていただきました。その席上で、私も、日本に対する非常に強い期待を感じました。
 この沖縄イニシアチブの中では、例えば、貿易・投資分野の促進ですとか、保健、教育、ごみ処理が大きな問題ですので、環境といったことについて特定をして、そこで進めていこうということでございます。
 それらの国々との間で、日本は、今までもかなりの支援をやってきておりますけれども、こういった分野で、一緒に、魚を与えるのではなくて、魚をとる釣りざおを与えるということを考えながら協力をしていきたいと思っております。
白保委員 次に移りたいと思います。
 実は私、先週の金曜日、六日の夕刻に成田を立って、フィリピン、シンガポール、ベトナムと三カ国を回って、昨日の朝、帰ってまいりました。これは、SARSの現状といいますか、特にこの三カ国は既にWHOから指定除外されておりますから、帰ってきたからといって、みんなにくっついても、うつるとか、決してそういった話じゃありませんので大丈夫なんですけれども、そういうところを駆け足で回ってまいりました。
 ただ、駆け足で回ってきましたが、その印象をちょっと総括して言いますと、今回のSARSの対策に対して、日本政府の対応が非常に高く評価されている、同時にまた、大きな信頼が寄せられているなということを強く感じました。三カ国、フィリピンも、それからベトナムも、保健大臣にお会いしましたが、日本に対する信頼感というものが非常に強くなっておりました。
 これは、WHOの西太平洋地域事務局の尾身さん、事務局長、この九月に改選だということなので、何とかしてまた再選させなきゃいけないな、こう私どもも思っておりますが、その尾身さんの活動といいますか活躍といいますか、これは非常に大きな成果を出したなというふうに思っています。同時にまた、JICAや大使館の皆さん方、この方たちが、みんな一緒になってこのSARS対策に対してばっと動いた。
 尾身さんもおっしゃっておりましたが、何よりも、緊急援助隊を三月十六日ですか出された。その結果、緊急援助隊ということで、それに付随して、結局は、医療スタッフを出す、同時にまた医療器材を出す。これが非常に迅速に対応してくれたということで、SARSの中では中国に対していろいろのことが言われましたけれども、今、この三カ国については、情報をしっかりと開示しながら、国民にみんなわかってもらいながら、そしてまた国民に協力してもらいながら、日本政府の協力が非常に大きかった、そういった中で、アジアの優等生、SARSの優等生というふうに言われるぐらいになってきた。非常に強い印象を受けてまいりました。
 それで、特にその中でも言われたことは、二十一世紀、新たな感染症が出ないなどということは言い切れない、新たな感染症というのがこれからも出てくるかもわからない。その際には、やはり今回と同じように、日本がリーダーシップをとっていただきたい。そのためには、また研究も、今JICA等も行ってやっていただいておりますが、そういう人たちに、一生懸命、また熱帯におけるところの研究も行っていただきたい、リーダーシップをとっていただきたいという声が非常に強くあったわけです。
 アジアのこの三カ国は非常にいい方向で行っておるんですが、そういった中でも、やはり警戒はなお怠らないということで、しっかりとした対応をやっておられます。
 そういう中で、先般、私どもの代議士会で、坂口大臣が来られて、台湾との交流が非常に強い沖縄、ここが非常に心配だなということをちらっと言われたことがありまして、非常に危惧をしておりますし、そういう面では、日本、また特に沖縄、両方あわせてきちっと万全の体制ができているのかどうか、この部分についてお答えいただきたいと思います。
    〔委員長退席、西野委員長代理着席〕
高原政府参考人 現在、外国から日本に入っていらっしゃるすべての方の体温を、これはサーモグラフィーという形でございますが、全員について見させていただいております。
 それから、伝播地域、すなわち、中国、香港、台湾、カナダからの入国者の方全員に対しましては、機内で問診票を配付いたしまして健康状態を確認させていただいて、有症者については医師による診察を実施しております。また、入国後十日間外出をできるだけ控えていただくなどの留意事項を記載した健康カードを配付しておりますし、さらに、SARSの疑いのある人と接触があった可能性のある方につきましては、日本国内における連絡先、それから入国後十日間の体温測定の報告などをお願いしております。
 しかしながら、これは潜伏期というのが必ずございまして、その間なかなかつかまえがたいということもございます。したがいまして、必要な医療を提供するために新感染症として扱っておりまして、国立国際医療センター、これは委員御指摘になりましたベトナムや中国の方に人を出しておる医療機関でございますが、そういうところや、陰圧室を備えております病床の整備、これは全国に七百三十九床ございます。確認しております。また、各都道府県に対しましてアクションプランをお願いしております。
 沖縄に関しましては、御指摘のように、厚生労働大臣も大変危惧をされまして、台湾人医師の問題を受けまして、SARSの治療に従事した医療関係者の海外への渡航自粛を要請したところでございます。台湾政府もその趣旨を御理解いただいたというふうに考えております。また、効率的な検疫を実施するために、那覇の検疫所及び那覇空港検疫所支所にサーモグラフィーの設置を行っております。また、那覇空港検疫所支所につきましては、早急に検疫官一名を増員するというふうな計画で臨んでおります。
    〔西野委員長代理退席、委員長着席〕
白保委員 外務大臣、実は、六日にフィリピンに行きましたときに、ちょうどアロヨ大統領と飛行機が一緒でした。アロヨさんも、おりてきたら検温のペーパーを自分で頭に当てて見てもらっている。まさに三カ国、まだまだ警戒態勢は怠っていないということです。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、先ほども申し上げましたように、新たな感染症は否定できないと。特に三カ国にとっては周辺諸国に対する不安というものがまだまだ強くあるようですが、それはそれとして、新たな感染症が否定できないという中で、日本がリーダーシップをとってもらいたいという声が非常に強いわけですけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。
川口国務大臣 今回突然SARSが浮上したということを考えますと、新たな感染症が否定できないというのは全くそのとおりだと私も思っております。特に、地域的にまとまって対応しなければ感染症の場合は意味がないわけでございまして、そういう意味で、私も、G8の外務大臣会合の場でSARSの話をしたときに、切れ目ない対応ということを申しましたけれども、日本としてこの地域の感染症についてはリーダーシップをとっていくべきであると考えております。
 SARSの場合ですけれども、アジアの感染地域を中心に約一千七百万ドルの二国間の支援をいたしました。そして、今後の中長期的な対策支援ということで、WHOと密接に連携をしながら、世銀、アジア開銀を通じて最大六百万ドルの支援をすることを決めたということで、SARSについては対応をしてきております。
 今後、そういうことがなければいいと思いますけれども、情勢がそういうことを必要とせしむるようなことでございましたら、日本としても引き続きリーダーシップをとってまいりたいと思います。
白保委員 それからもう一点、在外邦人がSARSにかかる、その際に、本国に搬送して、本国で、きちっと日本で治療しなきゃいけない、こういうような声があって、ぜひ本国で対応してもらいたいと思うのだが、どうも温度差がある、本国と現場で頑張っている皆さん方と。そういう場合に、本当に日本の国内で対応できる能力があるのか、体制が整っているのかというような声もありました。
 尾身さんも、この病気は二十一世紀の病気でありながら、対応策は十九世紀の対応で隔離しかない、こういうことをおっしゃっておりましたけれども、在外邦人が搬送された際の体制という問題についても、本国はそれだけの能力を持っているのか、対応力があるのか、対応できるのかという疑問がありましたが、これに対してはどうお答えになりますか。
高原政府参考人 我が国の主要な国際空港でございます成田及び関西空港について御説明申し上げますと、感染症患者を安全に搬送するための専用車両を配備しております。また、それぞれの空港の近隣には、陰圧室などの必要な設備の整った感染症指定医療機関を整備しておるところでございます。その他の地方国際空港におきましても、怠りなく必要な措置がとられております。
 空港検疫所から感染症指定医療機関までの患者の搬送訓練などは日ごろから実施しておりまして、関係機関相互の連携強化にも努めておるところでございます。海外で在外邦人の方がSARSに罹患した場合でありましても、迅速適切に国内の医療機関への受け入れが可能であると考えております。
白保委員 時間が参りましたので終わりますが、そのほかに質問を通告しておりましたが、これは割愛させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 社会民主党の東門美津子です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、外務省さんには二点だけお伺いいたしますので、その後は、大臣お忙しいようでしたら御退席くださって結構でございますので、最初に申し上げておきます。
 外務省のロシア支援室の北方四島に対する人道援助額が大幅に削減されていますが、予算削減によって、これまで培ってきた友好的な信頼関係、四島に居住しているロシアの人との友好的な信頼関係が本当に維持できるのかという観点からの質問でございます。
 支援室の十五年度予算額は、現地のニーズに応じた医薬品及び食料品の供与ということで三千六百万円となっていますが、その根拠をお尋ねしたいと思います。
 といいますのも、平成四年度、平成五年度以降はもう全然違う、いろいろなハード面の整備の方で額がかなり変わりますが、平成四年度に限っては、今年度と同じように食料品、医薬品等のみで一億五百万円もの予算がついていたわけです。ですから、平成四年度の額と今年度の額を比べてみたときに余りに差額が大きいような気がしたものですから、本当に今まで多くの人たちが頑張ってきた、培ってきた友好関係が維持できるのかという観点でお聞かせいただきたいと思います。
小松政府参考人 技術的な御質問でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。
 北方四島支援にかかわる外務省予算でございますが、御案内のとおり、支援委員会という組織がございまして、それでやっておりましたけれども、平成十四年度の支援委員会の拠出金、これは全体でもっとございますけれども、北方四島住民支援にかかわる予算額は約三億二千万円でございました。平成十五年度の北方四島住民支援の予算額でございますけれども、これは、支援委員会はことしの四月で廃止いたしましたので、必要な部分だけを取り出しまして、それぞれ新たな外務省の予算で手当てをするということで対応しておりまして、これが総額約四千七百万円となっております。
 その違いでございますけれども、これは、支援委員会のあり方につきまして、この委員会を含めましてさまざまな問題点が指摘されたことを受けまして大幅な見直しを行ったところでございまして、この北方四島に対する住民支援につきましては、人道支援の本旨に立ち返りまして、それまで一部やっておったこともございました施設の建設案件でございますとか、そういうところを実施することはしないということにいたしまして、医薬品、食料品の供与でございますとか急患の受け入れといいました、真に人道的に必要な支援を実施していくという方針で予算要求をした結果がこういう数字になったということでございます。
東門委員 局長、私の質問には全然お答えになっておられない。同じ食料品、医薬品等のみで平成四年度は一億五百万円でしたよね、ことしは三千六百万円ですよねということを伺った、そこだけに答えていただきたかったんです。支援委員会のことはもう、私も、そのときも外務委員会におりましたので、議論の経過はよく知っております。そういうことをお尋ねしたのではないんですよ。三千六百万円として、なぜこれだけの大きな差額が出たんでしょうか、それでいいんですかということなんです。根拠は何なんですか。そこだけお答えください、時間がありませんので。
小松政府参考人 失礼申し上げました。
 今、一億数百万円という数字を委員の方から御指摘ございましたけれども、これは多分、私の手元の資料によりますと、平成四年度の食料品、医薬品等が一億五百万円ということになっております。これは、ソ連邦が崩壊をいたしまして、大変極東地方それから全体に混乱をしたわけでございまして、そのときの大変混乱した状況を救う必要があるということで、食料でございますとか医薬品のニーズは当時は高かったわけでございます。
 その後、現地の状況が総体的に落ちついてきたということに伴いまして、真に必要な援助額を予算要求をしているということでございます。
東門委員 もう一点伺います。
 外務省国内広報課から出ています「われらの北方領土」というのがございますが、その二〇〇一年版に、「日ソ・日露関係主要事項年表」というのがありまして、そこに記載されていたことを見てちょっと驚いたんです。一九九八年の部なんですが、六月二十三日から六月二十六日の間の、「鈴木北海道・沖縄開発庁長官による初の我が国閣僚の四島訪問」というのがちゃんと載っているんですね。ところが、二〇〇二年版ではそれが削除されている。それはどういう理由で削除されたのか。
 確かに、鈴木議員の問題、いろいろありました。そういうことを私は申しているのではありません。ちゃんと政府が広報誌の中で出しているものからその部分だけが削除される。ほかにも確かに数カ所、鈴木さんのお名前が出ている、そこのところは私は問いません。開発庁長官として初の閣僚の四島訪問の部分が削除されたその理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
茂木副大臣 委員御指摘のように、一九九八年の鈴木長官の四島の訪問につきまして、二〇〇二年版では削除いたしております。
 この九八年の鈴木長官の訪問でありますが、ディーゼル発電機供与の第一次の予備調査、こういう形での訪問をしておりますが、今回、二〇〇二年版の「われらの北方領土」におきましては、政府を代表する立場で行ったもので、政府の交渉経緯の中で特に重要と思われる活動について記載をする、こういう基準で行わせていただいた関係で、もちろん、ほかの部分では鈴木議員の名前が残っているところもありますし、削除したところもありますけれども、これは、政府としての交渉の過程といいますよりも、調査ということで削除いたしております。
東門委員 多分そういうお答えかなと思ったんですが、初の閣僚として四島訪問されたというふうにこれまで出ているわけですね、その後、二〇〇一年ですか、二〇〇〇年も。そういう中でここだけ、では、今回は、それは閣僚としてではなかった、個人として訪問したというふうに変えてしまうのでしょうか。私はそれはおかしいと思うんですよ。わざわざ外務省のこの広報誌で、初の閣僚が四島訪問したと。何か歴史まで変えてしまうのかという、実はそういう疑問の声もあるということで私はお伺いしているんですけれどもね。
 もう結構です。ただ、今の茂木副大臣の御答弁、ちょっと解しかねますが、時間がないので、これはまた別のところでさせていただきます。
 では、次に、内閣府の方に御質問いたします。
 沖縄の問題で、泡瀬の干潟について御質問させていただきます。
 泡瀬海域の自然環境を保全するために、埋立事業に伴ってさまざまな環境保全措置がとられていることと理解しているところです。これらの措置は環境影響評価書に記載されていると考えますが、その方法、また理由、目的など何ら変更はされてはいないと考えますが、そういう理解でよろしいでしょうか。まず、その点からお伺いいたします。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 泡瀬地区の埋立事業に当たりましては、環境アセスの手続が平成十二年四月に行われたところでございます。
 この事業を推進するに当たりましては、藻場の保全を行うといったこと、あるいはそれ以外にも、トカゲハゼの生育に配慮をするとか、相当細かいいろいろな指摘事項がございまして、現在も、これらの指摘事項に十分配慮しながら、私ども総合事務局の方で工事を進めておるというふうに理解しております。
東門委員 局長、私の質問は、環境影響評価書に記載されている、その方法だとか理由、目的、変更はありませんよねということなんですよ。そういうふうに理解していいですね、変更はないですよねということ、その点だけお答えいただけますか。
武田政府参考人 この環境アセスメントにおいて指摘された事項は、埋立事業の認可に当たりましても同様の条件がつけられておりまして、私どもはそれを重視しながら工事を進めておる。したがって、これに変化があったというふうには私どもは理解はいたしておりません。
東門委員 ヒメウミヒルモという海草が埋立予定地域内に生息しているということを市民団体が確認したという新聞報道がございました。
 そこで、ヒメウミヒルモに関してお伺いいたします。
 まず、ヒメウミヒルモについて、特にその保全面に関してどのように認識しておられるのか。そして、その認識の根拠、このように認識しておられるという答えが多分返ってくるでしょうから、その根拠の理由を示していただきたいと思います。それは、まず環境省、そしてその後に細田担当大臣にもぜひお伺いしたいと思いますので、お願いします。
岩尾政府参考人 ヒメウミヒルモは、水深十七から三十メートルくらいの海中の砂の上に生える多年草でございます。国内では、これまで沖縄県の二カ所で生育が確認されております。世界的に見ると、フィリピンなどの東南アジア、西太平洋、インド、アフリカに分布し、我が国はその分布の北限に当たると思われます。
 ヒメウミヒルモについては、環境省のレッドデータブックにおいて絶滅危惧種の第2類として掲載しております。その保護のために適切な配慮がなされるものと認識しております。
細田国務大臣 ヒメウミヒルモは、事業者の過去のモニタリングで一度だけ一地点で確認されていると聞いております。これは、一般に水深の深い場所に分布すると言われている種であり、埋立地周辺の浅い海域が必ずしも生育の中心となっているとは考えられませんが、事業者としては、今後、六月中に現地で行う現地藻場分布調査におきまして実際にヒメウミヒルモの生息が確認された場合には、実際の生態などについて専門家の御意見も伺って、必要に応じて適切に対処をいたしたいと思っております。
東門委員 今の大臣の御答弁、ヒメウミヒルモについて調査をして、それによってはちゃんと適切に対応していきたいという御答弁だったと思います。
 それで、これは少しダブるかもしれませんが、一応、知事意見についても伺いたいんですが、それについては事業者である内閣府のトップであられる大臣に伺います。
 沖縄県知事は、環境影響評価書において、「工事中に貴重な動植物が確認された際は、関係機関に報告するとともに、適切な措置を講じること。」としております。この知事意見に対して、事業者である内閣府の方は、確認された場合には、関係機関へ報告するとともに十分調整を図り、その保全に必要な措置を適切に講じると述べておられるんですが、今の大臣の御答弁の中から、そういうことがあった場合にはしっかりとこれにのっとって措置をするということと理解していいわけですね。
細田国務大臣 そのとおりでございます。
東門委員 ヒメウミヒルモが発見されて、ちゃんと調査が行われて、その保全のための適切な配慮がなされるということですので、ぜひその点はよろしくお願いいたします。
 それから、海草の移植に関して伺います。
 環境影響評価書によりますと、埋立区域内には二十五ヘクタールに及ぶ海草藻場の濃生あるいは密生域があり、埋立工事による回避、低減は困難である。したがって、移植、すなわち代償措置によってこれらの海草藻場を保全するとあります。これが海草移植の理由であり、目的であると認識しておりますが、このとおりなのでしょうか、改めて事業者の見解を伺います。
 また、この海草移植という環境保全措置を行うことも埋立免許を受ける上での要件だと認識してよいのでしょうか、その点もあわせてお伺いいたします。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 中城湾港泡瀬地区の公有水面埋立申請書において事業者が講じることとされております主な環境保全措置ということで、その中に、大型海草種を埋立計画地の東側の疎生域にできる限り移植し、藻場生態系の保全に努めるということを言われております。この時点で、先生御指摘のとおり、約二十五ヘクタールの藻場を造成あるいは移植ということで計画をいたしておったわけでございます。
東門委員 去る三月の十五日に開催された平成十四年度第三回環境監視・検討委員会の議事録によりますと、海草移植についての事務局の答弁があるわけですが、海草の「移植によって周辺の藻場を健全な状態にしていくというのが目的」というふうに発言されているんですね。また、周辺の藻場を健全にするために、埋立地の中の藻場を移植するというのが実際に環境影響評価のときに必要な事項とされているとも発言しておられます。
 しかし、埋め立てによって消えてしまう海草藻場を移して保全することが移植の目的ではないのでしょうかということです。周辺藻場を健全にするために移植というものではないと思いますが、いかがでしょうか。この点に関して、大臣、よろしければ御答弁いただけたらと思います。
細田国務大臣 藻場の保全ということは大変大事なことでございまして、埋立地の移植がどのようにしっかりと根づいて行われるかということは非常に大事でございます。
 もうかなり前になりましたけれども、一たん機械でいわばあさって、そのまま移植地に置きましたところ、それではなかなか根づかずに、大波が来たときにそれが流されたという経験がございまして、これではいけないということで、昨年の十二月から一月にかけては、まず手植え移植ではどのぐらい根づくだろうかということもやっておりまして、約百十五平方メートルについてそういう手植えの効果もやってみたところでございます。
 それからさらに、台風等による影響を軽減するという意味で、また能率ということも考えますと、機械移植をやって、しかも減耗をしないように、つまり流されたりしないようにどのようにやれるだろうかということで、平成十五年二月から三月にかけまして二百二十五平方メートルやっております。
 三つのやり方がありまして、機械でとったものをそれぞれ間をあけて植えると波が入ってきて流されるということがあるので、極めて密に移植してみるというやり方。それから、実際に少し海底を掘りまして、掘ったところに埋めるというやり方。あるいは、それぞれ多少間隔を置いて植えるんですが、その間にしっかりと土砂等泥を埋め込むことによって流れにくくするとか、それぞれ工夫をして試験をやっておるところでございます。
 それらにつきまして、少し時間もたってまいりましたので、その分布状況、成否等を調査することを今月中に実施する予定でございまして、この結果を踏まえまして、今年度の工事の実施計画に合わせた藻場移植の詳細な計画を決定することにしております。
東門委員 その件でなんですが、特に新たに設置される委員会に関してお伺いいたします。
 新たに環境保全・創造委員会のもとに幾つかの専門部会が設置されると聞いております。しかし、「今後の泡瀬環境監視検討委員会体制について(案)」の方を見てみますと、専門部会については、「会議そのものの会場での公開はしないこととしたい。」「終了後速やかに議論の概要と使用された資料を公表する」と述べられています。会議を公開せず、議事録も公開しないということは大きな問題ではないでしょうか。
 この専門部会は、これまではワーキンググループとされてきたものと理解しておりますが、ワーキンググループは、当初非公開であったものが公開としたのではなかったでしょうか。それをまた非公開にするとは、情報公開の流れに明らかに逆行するものと言えます。
 また、日本はラムサール条約を批准し、自国の干潟や湿地保全に対して国際的な責務を負っています。ラムサール条約事務局やバードライフ・インターナショナルといった国際的な環境保全組織からも、泡瀬の埋立事業が生態系へ与える影響を懸念している書簡が出されているわけです。
 こうした国際的な懸念にこたえるためにも、泡瀬の埋立事業は今や国際的な関心を集めており、説明責任を果たす上でも、委員会は公開とし、議事録は速やかに公表することを強く求めたいと思うのですが、大臣、御見解をお願いいたします。
細田国務大臣 平成十二年度に設置されました環境監視・検討委員会では、環境保全に関しまして御審議をいただいてきましたが、その内容について広く理解を得るために、発足以来、常に一般市民に公開された場で開催されております。
 一方、委員会の下部組織として設置されていた三つのワーキンググループにつきましては、昨年度、委員会と同様の公開方法で実施してきましたが、メンバーから、平穏な場で活発かつ忌憚のない技術上の意見交換を行うため会議そのものは委員のみで進めたいとの意向があったことから、二月に開催したワーキンググループ会合は、会議終了後速やかに、議論の概要と使用された資料を公開する方法に改めたものと聞いております。
 今年度から改組する二つの委員会においては、これまでと同様、公開の場で行うこととしていると承知しております。
 委員会の下部に位置する専門部会においては、構成員の意見に従って公開の仕方を決めることとしておりますが、たとえ公開の場で開催しない場合でも、会議終了時に、使用した会議資料と議論の概要を公表することに加え、後日、議論の流れが十分に理解できるような解説資料を作成して、公開することを考えております。
 いずれにいたしましても、議論の透明性を十分に確保しながら委員会を運営していくことは重要であると考えております。
東門委員 公開していたものを委員の皆さんの意見で非公開ということだと今伺ったのですが、やはりそれは、委員の皆さんはそういう場でしっかり審議されるために委員として負託を受けているわけですから、公開であれ非公開であれ、それはちゃんとやれると思うのです。
 むしろ公開の場で、どういう委員がしっかりとした意見で、専門的な意見がその場で開陳されるかというのは、自然保護にかかわっておられる皆さんも大きな関心を持っておられるわけですから、やはり公開にしていただいて、そして、議事録をしっかり公表していくという方法をとっていただきたいと私は強くお願いしたいと思います。
 委員会の構成メンバーについてですけれども、泡瀬海域にはさまざまな生物が生息しているということはもう皆さんの方がよく御存じです。これらの生物の保全対策を検討するためにも、適切な専門家、すなわち、熱帯性海草、渡り鳥、底生動物、魚類、海岸環境などの専門家が委員会に入ることが必要であると考えますが、このことについてはどのように認識されておられるのか、お伺いします。
 また、先ほども申し上げましたけれども、泡瀬干潟の保全というのは国際的な関心も集めているわけです。国際的な懸念にこたえていくためにも、国際的な、全国規模の環境保全団体、例えば日本自然保護協会だとかあるいは世界自然保護基金、その方々の委員会への参加は必要と思いますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
平林委員長 武田沖縄振興局長。質疑時間が経過しておりますので、簡潔に答えてください。
武田政府参考人 それでは、今後のお話について申し上げますと、今年度におきましては、事業が進捗してきているということを踏まえまして、工事中の環境監視調査を行い、審議する環境監視委員会と、今後の環境保全措置等を審議する環境保全・創造検討委員会の二つの委員会をつくるということにいたしておりまして、その準備を現在進めておるところでございます。
 委員御指摘のとおり、専門家の方に極力入っていただくということで、鳥類等新たな分野の専門家あるいは地元NPOの方々にも委員会に加わっていただくことに加え、各分野の専門家の数もふやして、検討体制をさらに充実させることを目指しておるというふうに聞いておるところでございます。
 なお、委員会は七月初旬をめどに開催準備を進めておりまして、開催前のしかるべき時期に開催日と、確定した新たな委員会メンバーの公表を行うことといたしておるところでございます。
東門委員 終わります。どうもありがとうございました。
平林委員長 次に、金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 先般行われました日ロ首脳会談に関連いたしまして、御質問をさせていただきたいと思います。
 先般、衆議院の本会議におきましても、与党の代表質問という中で御質問させていただいたわけでございますけれども、プーチン大統領との間で経済問題あるいは北方領土の問題についても話がなされたということを御答弁いただいたわけでございます。この会談では、経済あるいはエネルギー問題というものが前面に出まして、領土問題、本来、一月に策定されております行動計画からいえば、言ってみれば、第一番目の項目というふうに考えてよろしいかと思いますが、この領土問題が、中長期的な観点から進めていくというか、そういう流れになってきているのではないかという見方があるわけでございますけれども、この点どうお考えなのか御答弁をお願いします。
川口国務大臣 先般行われました日ロの首脳会談におきまして、政府としては、領土問題については、日ロ行動計画の着実な実施を通じて、日ロ関係をあらゆる分野にわたって発展させていく中で、我が国の固有の領土である四島の帰属の問題、これにつきまして、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという、この方針をもって交渉を前進させていくつもりでございますし、首脳会談の場において総理より、こういうことを明確にお伝えいただいたわけでございます。
 これに対しまして、プーチン大統領も、みずからなさった発言の冒頭のところで、領土問題について、ロシアとしては極めて重要な問題である領土問題を解決したいと強い気持ちを持っており、これを先延ばしするような考え方は持っていないということをおっしゃっていらっしゃいます。そして、日ロ専門家間の協議、作業を一層進めるよう上から指示を与える考えであるということをプーチン大統領はおっしゃっていらっしゃいます。
 首脳会談においてこのような形で領土問題は話されておりまして、決して、中長期の問題として先送りをする、そういうことではございません。
金子(善)委員 行動計画には、四島の交流事業の発展あるいは四島の住民の支援ということも明記をされているわけでございますけれども、こういう事業がいわば北方四島におけるロシア人の定住に寄与する面があるのではないか。そういうことからいえば、領土返還の支障になる面もあるのではないかということが危惧されるわけでございますけれども、政府として、この点についてはどのようにお考えなのでしょうか。
茂木副大臣 まず、四島の交流事業でありますが、委員も御案内のとおり、既に十一年間にわたって続けられておりまして、相互に訪問した人数は実に九千八百人に上っております。
 この成果でありますが、私は、大きく三点ぐらいあるのではないかなと思っております。
 まず一つは、四島住民の間にも領土問題の存在が認識されるようになってきたという点であります。二点目に、四島におきまして、この問題を解決し、真の友好関係を確立すべきであるとの認識が徐々に広まっていること。そして三点目として、我が国国民が実際に四島を訪問することによりまして、四島に対する関心が高まり、領土返還要求運動の活性化が図られる。こういう成果がこれまでにも上げられているのではないかなと思っております。
 それから、北方四島の住民支援に関しましては、人道支援の分野に絞り込む、こういった形で今、事業の洗い直し等をやってきたところでありますが、真に人道的な観点からこういう支援を行う。このことは、四島の住民の皆さんの我が国への信頼感であったりとか、期待感が高まり、ひいては領土問題の解決に向けた環境整備にも資する、このように考えております。
金子(善)委員 行動計画の中では、拉致問題への対応についてでございますが、ロシアは可能な限り協力するということを約束されているわけでございますけれども、四月に行われました国連人権委員会で拉致の決議にロシアが反対したというふうに聞いているわけでございますが、この点につきまして政府としてはどのような対応をなされたのか、お伺いしたいと思います。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 ことしの国連人権委員会におきましては、拉致問題に関しては二本の決議が採択されております。一つはテーマ別の決議、一つは国別の決議でございまして、このうち、拉致問題の解決を求めている強制的失踪決議につきましては、ロシアを含むすべてのメンバー国の全会一致により、四月二十三日に採択されました。
 他方、国別の方でございますが、北朝鮮の人権状況に関する決議につきましては、我が国は、主たる提案国のEUと協力して、日本人拉致問題の明確な解決を求める趣旨を決議案に加えた上で、本件決議に関する働きかけをロシアを含む関係各国に行いました。その結果、本件決議は四月十六日に賛成多数により採択されましたが、ロシアを含む十カ国が反対した、御指摘いただきました点でございます。
 これら十カ国に対しましては、日本は拉致問題の解決を求めている本件決議を非常に重視しており、反対票を投じたことは極めて遺憾である、今後、国際的な場においても日本は引き続き拉致問題を取り上げていく考えであり、その際には日本の主張に積極的に対応することを希望するとのラインで申し入れを行いました。
金子(善)委員 首脳会談でございますけれども、小泉総理の方からロシアに対して懸念を示されたわけでございますけれども、それは、ことしの夏に北方四島付近でロシアが軍事演習を行うというようなことに対しまして懸念を示されたということでございます。それに対して、プーチン大統領の方からも、悪影響が出ないように話し合いたいというようなことを表明されたということでございますが、これに対しまして、今後も含めてでございますが、どのような協議と、現在やっておられるならそれも含めて、どのような対応をなさるのかお伺いしたいと思います。
小松政府参考人 ロシア政府は、本年夏に、主に麻薬取り締まりでございますとかテロ対策、密輸の対策等の今日的課題と申しますか、そういう課題への対処を目的とした演習を極東地域において計画しているといたしまして、我が国に対しても、演習へのオブザーバーとしての参加を招請しております。
 この招請は、一月に石破防衛庁長官が訪ロをなさいました際に、ロシア側から、こういう演習を考えているんだがということで招請があったわけでございますが、場所が極東ということで、場所が場所でございますものですから、それ以来、私どもといたしましては、さまざまなレベルで領土問題との関係でロシア側に問題提起を行うとともに、抽象的に極東地域というのではなくて、演習区域を含めて、より具体的な内容を説明してもらいたいということを申し入れてきた次第でございます。
 一番最近では、委員の御指摘ございましたように、先般、サンクトペテルブルクで行いました日ロ首脳会談におきまして、総理より、日ロの防衛交流の促進というもの自体は重視している、その上で、本件演習が北方四島で行われるという話がある、こういうことにつき懸念しているということをおっしゃったわけでございます。それに対して、委員も御指摘なさいましたように、プーチン大統領からは、日ロ関係に悪影響を与えることがないように話し合っていきたいという旨の反応でございました。
 私どもといたしましては、このやりとりも踏まえまして、本件演習につきましては、今までもやってきておりますが、引き続きロシア側に対して、領土問題に関する我が方の立場を尊重するように求めますとともに、これを害するような態様の活動は行わないように申し入れていく所存でございます。
金子(善)委員 終わります。ありがとうございました。
平林委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後二時四十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時開議
平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 外務大臣にまず伺いますが、けさの各紙を見てみますと、昨日、日米戦略対話が行われて、「在日米軍見直しも協議」という記事があります。「日米安保体制強化に関連して在日米軍の兵力構成見直しも協議し、沖縄の負担軽減が重要との認識を確認した。」「引き続きオーストラリアを含めた日米豪次官協議も行われ」たと。この中で、アメリカ側は、ブッシュ政権が進める軍の変革、再編、トランスフォーメーションに言及。在日米軍の兵力構成見直しについても、アジアの安全保障情勢の分析を踏まえ、引き続き協議することを確認した。在沖海兵隊の兵力見直しが焦点となる。こういう記事が出ているわけです。
 日米戦略対話で、アメリカの方から、ブッシュ政権が進める軍の変革、再編に言及された、こうありますけれども、これはどういう内容でしょうか。
海老原政府参考人 お答え申し上げます。
 昨日行われました、日米の戦略対話と呼んでおりますけれども、具体的には、アーミテージ国務副長官それから当方は竹内外務事務次官、その他関係者が出席をいたしまして、これは、戦略対話という名前からもおわかりのことと思いますけれども、当面の課題というよりも、むしろ中長期的な視野を持って、外交上の諸問題をそのレベルで率直な意見交換を行うということを目的としたものでございます。その一環といたしまして、今、赤嶺委員がおっしゃいました日米間の兵力協議と申しますか、それについても議論が行われたということでございます。
 何分そういう率直なやりとりでございますので、詳細につきましては控えさせていただきますけれども、この委員会で、先ほども外務大臣が御答弁されておりましたけれども、日米間で兵力あるいは兵力構成の問題、その他安全保障に関する広い問題をいろいろなレベルで協議をしている。特に、去年の2プラス2のフォローアップとして、そこで合意された安全保障問題についての協議を強化するということで、そのような協議は行われてきているわけでございます。
 その中におきまして、いろいろな安全保障上の問題を両国で話し合っているわけでございますけれども、特に沖縄の米軍のあり方というようなことについて具体的に協議をもう既に行っているということではございませんけれども、沖縄における負担の軽減ということにつきましては、これはもう既に、この前のクロフォードの日米首脳会談におきましても、首脳間において原則一致していることでございまして、そのような認識を持って両国が協議していることは確かでございます。
赤嶺委員 アメリカが、この中長期の戦略対話において、ブッシュ政権が進めている軍の変革、再編、こういうことが最近頻繁に目につくわけですが、この軍の変革、再編というのは、ブッシュ政権はどんな方針でこれからやっていこうとしているんですか。
海老原政府参考人 これは、主にラムズフェルド国防長官が主導的な役割を果たして進めている米軍全体のあり方の見直しということでございますけれども、その考え方といたしましては二つあると思います。
 一つは、冷戦が終わって、安全保障についての脅威というものが、必ずしも超大国の間ということだけではなくて、いろいろなところでそのような脅威が起こり得る、そのような脅威に対抗するためにどういうような軍を有しているのがいいのかということでございます。
 それからまた、その脅威の内容といいますか種類といいますか、それが典型的なのは九・一一のテロでございますけれども、このように、必ずしも国家そのものから来るということばかりではなくて、それ以外のものからそのような脅威、侵害というようなものも起こり得るということで、そのようなことも念頭に置きながら、米軍の構成そのものを考えていこうという考え方であるというふうに承知をいたしております。
赤嶺委員 そうすると、そういう米軍の新たな脅威、潜在的脅威、こういうものを認識して再編していこうという場合に、世界の米軍というのはこれからどんなふうに展開をしていくことになるんですか。
海老原政府参考人 世界の、特に海外におきますいわゆる前方展開をしております米軍をどのような兵力、兵力構成、配置にしていくかということにつきましても、この米軍全体の見直しの中で検討が進められていくというふうに承知をいたしておりますけれども、現時点におきまして、米側から一つの考え方というようなものを示されているということはございません。
赤嶺委員 ロサンゼルス・タイムズの中で、ダグラス・ファイス米国防次官、政策担当の発言として、すべてのものがすべての地域で移転されようとしている、これまでと同じであり続けるところは世界のどこにもないだろうと。恐らく中長期の米軍の再編を見通しての発言だろうと思うわけですが、つまり、米軍は、新たな脅威の発生に対して、世界じゅうの米軍のいわば安全保障環境の変化に応じた再編、変革を進めようとしている、こういう認識でよろしいんでしょうか。外務大臣。
川口国務大臣 まさに先ほど海老原局長がお答えをしましたように、考え方として、一つは、冷戦後の世界にどのように対応していくか。これは、冷戦時代、ヨーロッパに非常に多くの陸軍があったわけでございまして、そういったことが今後どうあるべきかということが一つあるだろうと思います。
 それからもう一つ、脅威の種類が、冷戦時代と違って、予測可能性が非常に低いテロですとか、国家でない組織のもたらす脅威ということに対応するということでして、そういうことに対応するために米軍がどのような配置にあればいいのかということの議論をしているということでありますけれども、その結果について、まさに今やっているわけですから、米軍としてこういうふうになるということがまだ定まったわけではないということでございます。
 それから、ロサンゼルス・タイムズの記事で、ほとんど前と同じではないだろうというようなことをファイス氏が言っているという、今読まれましたけれども、その記事の細部について私は記憶はしておりませんけれども、全く今と異なった形になるということであるかどうか、これについてはまだまだ検討中であるということであるので、そういうことが言えるかどうかということについては私どもとしてはよく承知をしておりません。いずれにしても、日本としては、この点については注視をし続けていくということでございます。
 それから、日本にかかわる兵力あるいは兵力の構成の変化については、これは、我が国政府に相談がなくそういうことが行われるわけではないということである、そういうことでございます。
赤嶺委員 きょう、私、五月三十一日のシンガポールでのウォルフォウィッツ米国防副長官の発言のメモを持ってまいりました。今、外務大臣がお答えになりましたように、「ウォルフォウィッツ米国防副長官は、米軍の態勢見直しをすすめる観点として、以下の三点を挙げている。」ということで、一、二があって、三番目に、「潜在的脅威の予測が困難になり、機動的な部隊展開が重要になってきている」ということで、機動的な部隊展開、こういう認識のもとに始めていくと思うんですけれども。
 それで、そういう米軍の兵力構成について、中長期の戦略的な検討が日米間でも始められ、きのうは日、米、オーストラリア、三者の次官級会談も開かれたということになっていますけれども、これは確認しておきたいんですが、いかがですか。
海老原政府参考人 先ほど申し上げましたように、日米間の戦略対話というのがございまして、きのう、約三時間半ぐらいこれを行ったと思いますけれども、その後、引き続きまして、豪州の次官相当の方が入られて、夕食をとりながら、三カ国によって率直な意見交換を行ったということでございます。
赤嶺委員 ロサンゼルス・タイムズは、まさに沖縄の海兵隊をオーストラリアにという報道も見受けられたわけですが、きのう、日米豪の三者の会談で、ここではやはりアメリカの新しい安全保障環境の変化に伴う米軍の再編成についても議論はされているわけですね。
海老原政府参考人 米軍のこの地域におきますあり方そのものにつきましては、当然のことながら、日本だけではなくて、豪州も関心を有しているということで、そのようなことについても一般的な意見交換はあったというふうに承知をいたしておりますけれども、ロサンゼルス・タイムズに書いてありましたような、沖縄の海兵隊の一万五千人を豪州に移転するというような具体的な議論は行われていなかったというふうに承知をいたしております。
赤嶺委員 やはり、この地域への米軍の配置について関心のある三カ国が戦略的な対話をしたというぐあいに理解しておきたいと思うんですけれども、そういう中で、この間ずっとロサンゼルス・タイムズの報道は事実ではないということを、皆さん否定してきてまいりました。
 否定している一方で、日米の兵力構成についての協議が始まっているということになっているわけですが、そうすると、今行われている日米の協議の中では、沖縄の米軍についてはこれからも検討の対象にはならない、すべきではない、そういうぐあいにお考えですか。
海老原政府参考人 これは、そもそも、日米間におきまして兵力構成を含みます軍事態勢について協議を行うというのは、これは九六年の日米安保共同宣言において既に日米間で合意をされておりまして、その後、いろいろなレベルあるいはいろいろな機会にこのような協議が行われてきているということでございます。
 その中におきまして、特に、昨年の十二月に開かれましたいわゆる2プラス2、日米安全保障協議委員会におきまして、このような協議というものをさらに強化していくということで、それ以来さらに協議を加速化させてきているということでございます。
 これは去年の2プラス2の宣言にも書いてありますけれども、両国の役割それから兵力、兵力構成、それからそれぞれの施設・区域にかかわる問題、このようなものを幅広く取り上げていくという協議であるということはそこにも明記されてございますけれども、その中に書いてございますように、施設・区域にかかわる問題というのも当然取り上げられていく。
 それは兵力構成の問題なんかと当然関係してくるわけでございますけれども、そういうものも取り上げられるということだろうと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、まだ具体的にそこまで協議が進んでいないということもございまして、今の時点において既に沖縄の兵力構成の問題が具体的に議論されているということはないということでございます。
赤嶺委員 外務大臣に伺いますけれども、私は、今現在、沖縄の米軍について検討しているかどうかというロサンゼルス・タイムズの記事の中身が事実であるかどうかを聞いているんじゃないんです。一方でそういう報道がある、一方で皆さんがそれを一生懸命否定される、もう一方では、新しい安全保障環境の変化に伴う日米間の兵力構成について協議されている。
 この協議の中で沖縄の米軍はこれからも一切対象にならないんですか、いかがですか。対象にするお気持ちもないんですか。
川口国務大臣 まず、新しい安全保障環境に対して米軍がどのような兵力の構成を考えているかということは、これは米軍の問題でございます。アメリカの問題としてアメリカが考えている。
 それで、ロサンゼルス・タイムズに載っかっているような、沖縄の米軍を豪州に移すとか、あるいはフィリピンに移すとか、そういった報道にあるようなことについては我々は全く承知をいたしておりませんし、先ほど申しましたように、仮にそういうことを米軍が考えているのであれば、それは当然、日本国の政府に話があるわけでして、そういった、日本にあるいは沖縄に大きくかかわりのある兵力構成の変更を米軍が我が国に相談をしないで実施をするということはあり得ないということでございます。
 それから、一般的に、先ほど来海老原局長が言っていますように、日本とアメリカとの間で安全保障の問題についての協議を強化いたしていきましょうということで、これは昨年の十二月にございました2プラス2でも話をしましたし、その後いろいろな場でそういう話は出て、ごく最近では日米の首脳会談でも出ております。
 我々としては、沖縄の県民の方に、米軍の施設・区域が集中をしている、その結果として大変に御負担をおかけしている、これをできるだけ御負担を減らしていかなければいけないということは常に思っておりまして、そういうことをいつも考えております。
赤嶺委員 具体的に話が、対話が展開されている中で、一九九六年の日米安保共同宣言で言われた兵力構成の協議ということになったと、そこで出てくるのは、一つは日米安保体制の関係の強化という皆さんの姿勢と、それから海兵隊を沖縄から撤退、削減するという報道は事実ではないということしか見えてこないんですね。
 兵力構成の検討ということになって、沖縄の側が、当然、施設、基地にとどまらないで、日本の防衛上にも役割を持っていない、そして、沖縄県民の事件、事故の根源になっている海兵隊の撤退について、これは求めるのが当然の流れで、これを離れて負担の軽減というのはあり得ないですよ。SACOというようなのは、新しい基地の建設ですからね。そういうときに、皆さん、一般論としてはあり得るけれどもということで、沖縄の海兵隊の撤退について明確に踏み込もうとしない。こういうことについては本当に怒りを感ずるものであります。
 それで、もう残された時間がちょっと残り少なくなりましたので、その関係で、普天間の飛行場の代替施設の問題にかかわって聞きたいと思います。
 先月の安保委員会で、普天間飛行場代替施設の建設にかかわって、環境省は、今進められている防衛施設庁の現地技術調査については環境影響評価の調査ではない、このように答弁されております。環境アセスではないということになってきますと、改めて、今皆さんが進めている現地技術調査、これは何なんだと。この性格についてきちんと説明してもらわなければいけません。これはどういう性格のものですか。
生澤政府参考人 お答えいたします。
 当庁といたしましては、普天間飛行場の返還を早期に実現するため、昨年七月に決定しました普天間飛行場代替施設の基本計画に従いまして、環境影響評価、護岸構造の検討等を進め、その着実な実施に取り組むこととしております。
 護岸構造の検討は、具体的な設計を実施するに先立ちまして、波浪の影響等を把握した上で、護岸の幅や高さ等が適切であることを確認するために実施するものであります。現地技術調査は、かかる検討に必要なデータを収集するために実施するものであります。
 護岸構造の検討及び現地技術調査につきましては、環境影響評価とは別途実施が可能であることから、効率的実施という観点から進めているものでございます。現地技術調査で得られたデータにつきましては、環境影響評価等の基礎的資料としても活用したいと考えております。
 また、護岸構造の検討については、護岸構造が部分的にせよ変わることにより環境影響評価の前提も変わる可能性があることから、環境影響評価を適切に実施する上でも必要なものであると考えております。
赤嶺委員 環境アセスのためのものではないわけですよね。これは環境省もそのように答弁している。ところが、皆さんは、一部提供するんだとか、環境アセスが効率的に進められるようにするためだとかと言っておりますが、そういう現地技術調査というやり方で、護岸構造の検討ということで、海の中に六十三本のやぐらを建てる、それがジュゴンのえさである海草を押しつぶすことになりはしないかということで、きのうから潜水調査を始める、環境に手をつけているわけですよ。
 環境アセスもやらないうちに環境に手をつけるような事業をやる、これは環境アセス法でやっちゃいけないこととして戒められていることではありませんか。皆さん、その環境アセス法でやっちゃいけないということを、そういう事業に着手してはいけないということを現にやっていらっしゃる。これはどんなふうに説明するんですかね。
生澤政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、昨年七月に決定しました普天間飛行場代替施設の基本計画に従いまして、環境影響評価、護岸構造の検討等を進めまして、その着実な実施に取り組むということとしております。
赤嶺委員 環境アセスとは無関係な護岸構造の検討と称して、海の中にやぐらを建てるようなやり方、これは環境アセス法でも厳に戒められていることを皆さんやっている。しかし、閣議決定では、環境への影響を与えないようにするという決定もある、これさえ無視している。極めて乱暴な環境破壊の事実上の事業着工として、ここも抗議しておきたい。
 それで、最後に細田沖縄担当大臣、海兵隊の削減や今の環境破壊の工事着工、こういうことをやれば沖縄の経済振興なんて全く成り立たなくなっていきますけれども、最後に細田大臣の見解を伺っておきたいと思います。
平林委員長 質疑時間が終了しておりますので、簡潔に願います。
細田国務大臣 沖縄県民の皆様方にさまざまな思いがあり、これまで大きな御負担をおかけしておりますので、その点、十分配慮してまいりたいと思います。
平林委員長 次に、山田正彦君。
山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
 沖縄島民にとって、島のみんなそうなんですが、いわゆる交通機関としては、その足として船か飛行機。ところが、沖縄にとっては、そのほとんどが飛行機に頼っているんじゃないか。例えば長崎県の場合に、対馬に至っては七割の人がすべて飛行機に頼っている、そういう状況ですから、九割以上はそうじゃないか、そう考えております。
 その飛行機運賃が日本の場合、非常に高い。沖縄においては、航空燃料費の割引、減免等々が幾らかなされておりますが、それでも、私が配りました資料を見ていただけばわかりますとおり、普通運賃で片道三万四千五百円ですね。非常に、距離からすれば奄美大島よりも安いということで、那覇、いわゆる沖縄は恵まれてはいるわけなんです。
 ところが、実際に問題なのは、ほとんどが割引航空券、いわゆる旅行会社のパック旅行、それで観光客とかビジネス客も、約一万円以下ぐらいの飛行機運賃で実際には利用しているんじゃないか。ところが、島民、当の島民は、そういうパックとか安い運賃を利用できないで、相変わらず高い運賃の支払いを余儀なくされている。
 実際、沖縄に限らず島においてはそういうことはあるんですが、私ども長崎県の離島においては、その分、島民に対して自治体が補てんしているというところはあるわけです。島民の直接利用は非常に割高になっている。細田大臣、その点についてはどうお考えでしょう。
細田国務大臣 確かに、航空運賃というものがどんどん自由化が進む。他方で、各エアラインが設定する規定料金というものがきちっと、時刻表などを買いますと出ておる。しかし、実際は、全くそのとおりの運賃ではほとんど運航されておらない。
 では、実態はどうかというと、なかなかわからないんですが、急に飛行場に飛び込んで買うと、確かに規定料金どおり取られる、私なんかも急に変更した場合にそういう経験がございますけれども。ところが、何日か前に予約をして、往復を旅行代理店に頼んだりなんかすると突然安くなるということがございます。
 そして、東京―沖縄間あるいは大阪―沖縄間等の主要路線においては、おっしゃいましたように、三万何千円というような規定料金が一万円以下で売買されておりますし、私は、県民の方も、往復されてちゃんと予定どおり旅行される場合にはそういうことが多いと思います。ただ、季節料金ですから、観光の大変に混雑するときは高くなったり、あるいは余り人の乗らない航空便だと安くなったりするということはあると思います。
 ただ、私はちょっと残念なのは、離島については若干やはり高い値段、そうして島民の方については、私もこれは何かあるはずだというので、インターネット等で調べてみたんですが、「わしたきっぷ」なんというのがありまして、これは、規定料金額が三万数千円するものを島民の方について、特定の期間でありますが、これを二六から三〇%の間で割引をしますというようなサービスもあるようでございます。
 ただ、私は、離島の方々はいろいろな、足としては航空便を使わざるを得ないわけですから、できるだけ安い料金で提供すべきであるというふうにも思っておりますが、他方、赤字路線に対する国の補助ということで、赤字になると補助をするという仕組みも今あるわけでございまして、余り赤字になるとそのエアライン自体の存立にかかわるという、非常に板挟みのような状況にあることも事実でございます。
山田(正)委員 いわゆる沖縄、那覇から久米島とか宮古島とか石垣島とか、そういうところに行く運賃ですね。それは、距離が短いのに、那覇―東京よりもはるかに高い。例えば、那覇―東京間は普通運賃でマイル当たり三十五円ですが、那覇―久米島間はマイル当たり百五十九円、那覇―宮古島間はマイル当たり八十二円と、大変割高になっている。この辺は、ひとつ大臣もよく承知の上で、沖縄の離島、それに対する航空運賃というのは非常に不平等であるということに対しての行政指導なり、本来なら安くならなきゃいけないけれども割高である、そこは十分考えていただきたいと思います。
 ところで、海外の飛行機運賃というのは今非常に、格安航空会社というのがかなり今活躍といいますか、どんどん大きくなっておりまして、ジェットブルーとかサウスウエスト、アメリカンウエスト、もうどんどん今大活躍中で、かつて大手の航空会社が押されていって逆に倒産とかという話もよく聞くわけなんです。
 私の資料の、見ていただければ、三枚目なんですが、海外の格安航空会社と日本の、いわゆるノンフリルエアラインと日本の航空会社が一キロ当たり一人運ぶコストというのを比較してみました。これによると、欧米のノンフリルエアラインの約二倍から三倍、いわゆる日本の航空運賃は高いということになります。それでいけば、この那覇―東京間も、アメリカ並みの、欧米の格安航空会社並みでいけば、当然のことながら一万円を切る、自由競争をさせて一万円を切る価格でもって沖縄―東京間を飛んでいるということになるわけです。
 ところが、同じ自由競争をやって、日本の場合にはなかなかそのようにいかない。なぜいかないのか、なぜ高いのかということですが、ひとつ国土交通副大臣にお聞きしたいと思っております。
 実は、まず着陸料、飛行機が羽田空港におりる、あるいは那覇空港におりる、この着陸料が日本の場合には非常に高い。例えば、私の二枚目の資料を見てもらえばわかるんですが、一般に747ボーイング、ジャンボジェットと言っていいんですか、これは三十四万九千四百四十円。そのほかにも航行援助施設利用料、これが一回当たり四十五万五千九百十円。非常に高い使用料で、海外の国際線の空港利用料を見てもらえばわかるんですが、日本は大体諸外国の二倍から三倍ぐらいこれは高くなっている、これが一つの原因じゃないか、そう考えます。
 一つ吉村副大臣にお聞きしたいのは、一たん減免措置をしておった第二種空港、それがことし四月から着陸料を引き上げた。本来ならば着陸料を世界の流れとして引き下げなきゃいけない、それをなぜここで引き上げたのか。当然これは、沖縄のみならず各空港においてそれぞれ影響が出てくるはずです。いわゆる流れに反したことを国土交通省は指導してやらせているということになっています。いかがですか。
吉村副大臣 確かに、御指摘のように、我が国の着陸料並びに航行援助施設利用料ですか、これは管制関連でございますが、国際的に見ましても決して安くない、これは御指摘のとおりだ、このように思っております。
 一方で、これはちょっと話が長くなると思いますが、今の空港に対する総合的な政策として、我々といたしましては、大都市圏拠点空港に重点的に予算を配分していこうという一つの大きな施策を持っておりまして、そういうところに重点的に予算を配分していくという大前提で進んでおるわけでございます。そういう中で、おっしゃいましたように、国内の空港についての着陸料について若干の引き上げということが、そこにしわ寄せも来ておるんではないか、このように思う次第でございます。
 ただ、委員おっしゃいました羽田―那覇につきましては、もう御存じと思いますが、着陸料及び施設利用料は本則の六分の一、また航空燃料税については二分の一という軽減を行っているところでありまして、ほかの航路に比べますと相当に割安になっておるもの、このように認識をしております。
山田(正)委員 確かに、那覇、沖縄と羽田間においては大変に優遇されている。しかし、他の長崎とか熊本とか、あるいは各空港においてはいわゆる着陸料は値上げされている、そして各離島においてもそうである。
 そこで、着陸料の問題でもう一つですが、これは私きのうファクスをいただいたんですけれども、IATA、いわゆる国際航空運送協会のアジア太平洋地区の広報部長からのファクスなんですが、これによると、SARSの影響でもってアジア各国の航空会社が非常に経営が苦しくなってきている。その中で軒並みに着陸料を引き下げている。ところが、日本だけは相変わらずである。一部空港においてはこれは引き上げている。これは、日本の航空行政というのはおかしいんじゃないか。
 あとちょっと、私も時間がありませんので、一言でお答えいただければ。
吉村副大臣 他国の着陸料が引き下げられたということについては、私もまだ認識をしておりません。
 ただ、今申しましたように、我が国の空港行政といたしまして、集中的に大都市圏拠点空港を早く国際的にも通用する空港に育て上げたいということで、限られた予算の中でございまして、どこかにしわ寄せが来ておるかな、このように思う次第でございますが、委員の今の御指摘、よく情報も集めまして我々も勉強させていただきたい、このように思います。
山田(正)委員 大きいというのは、例えば成田とか羽田とか関空、そこに対する建設等々のための費用がかかっているというお話だと思いますが、副大臣の手元にも資料があるかと思いますが、実は、成田、羽田以外の、いわゆる滑走路二千二百メートルとかあるいは二千八百メートルとかという空港は、例えば関東地域で幾つもあるということですね。
 例えば、もちろん百里基地もそうですが、そのほかに注目すべきは下総、自衛隊が管理しておりますが、ここはたしか二千二百メートルの滑走路がある。そして、この滑走路は、そのまま、舗装するだけで、実際にすぐにでも利用できる。そして、自衛隊の滑走路、防衛庁が管理している滑走路は、三沢とか米子とか徳島とか、それぞれ、民間と共用しながら利用している。
 そうすると、この下総、防衛庁が管理しているこの航空基地を、すぐにでも、例えば羽田あるいは成田に莫大なお金を利用者から取って負担しなくてもそれはできるんじゃないか。例えば、この下総の場合でいくと、京成電鉄の新鎌ケ谷駅、ここまで銀座から三十五分で行く。その新鎌ケ谷駅から滑走路のところまでわずかに八百メートルしかないということであれば、立派に、すぐにでも東京の第二空港として非常に利用ができる。
 その利用ができる空港を、今の第二種空港、各都道府県にある空港みたいにプール制にして、成田とか羽田のむだなことにまたお金をどんどんつぎ込むために高い航空運賃にするんじゃなく、そこだけを、まあ将来は全部民営化するんでしょうが、独立採算でもってやっていけば、非常に安い着陸料で、例えば那覇にしても、那覇空港ではなく、あるいは普天間、先ほどからの質問で、米軍の海兵隊が豪州に行くの行かないのという話がありましたが、いずれにしても、普天間の基地は今、米軍が管理している。ところが、三沢の基地は、米軍が管理しておっても共用しておる。
 そうすると、外務大臣にもお聞きしてほしいんですが、今、那覇の空港は手狭ですから、普天間の基地を共用して、普天間から、下総の今の飛行場を民間が共用できるようにして利用すれば、まさに沖縄にとっても、各地方ローカル空港にとっては、非常に格安で離発着を確保でき、しかも、羽田はもう便数がいっぱいであるとか、もう入れないとか、小型の飛行機は行けないとかということはなく、航空貨物も含めて利用ができる。
 まず、国土交通副大臣、どうお考えでしょうか。
吉村副大臣 今おっしゃいましたのは、米軍並びに自衛隊と共用しておる空港、そして、今、下総というのは防衛庁が管理しておるところでございますが、確かに五空港におきましては、自衛隊及び米軍と共用して、百里基地、これも今検討中でございますが、下総については今のところ我々は検討の対象にはしておりません。今共用しておるので、空域その他も考慮に入れますと、共用という観点からしましても、一応この辺がほぼ限度かなという感じはいたします。
 しかし、今おっしゃいましたように、これは管理者、いわゆる自衛隊とも協議をしなければならない問題と同時に、この周辺の騒音問題、環境問題、その他付随する問題がたくさんあろうかと思いまして、今突然、下総のことについてお聞きしましたが、ここで明確に答弁する資料を私もちょっと持っておりませんので、以上でございます。
山田(正)委員 ぜひ検討していただきたいと思います。
 ひとつ細田大臣に、実は前回質問のときに、沖縄の保税地区、いわゆるフリーゾーンとか保税倉庫とか保税工場というのは、実際には意味をなしていないじゃないか、実効性が全くないじゃないか、名前だけじゃないか、それで沖縄振興とは意味がないということを私は資料を挙げて申し上げたんです。
 実は、この保税地区、保税倉庫を生かすために、アメリカのフェデックス、いわゆる航空貨物会社、これを、かつて大田知事の時代に、沖縄にぜひ呼びたい、フェデックス社もぜひ沖縄に入りたい、そういう事情があった、いきさつがあった。これを入れておけば、それこそ保税工場、保税倉庫は大変な活況を呈することになる、沖縄の振興に大変役に立つことになる。ところが、大臣、それができなかった。なぜできなかったんでしょうか。
細田国務大臣 フェデラルエクスプレス社といいますかフェデックス社、今もう日本国じゅうフェデックス社のトラックが走っているのでもおわかりのように、本土で非常に大きな活動をしている会社です。
 したがいまして、当然、全国展開の一つとして、那覇に対しまして、特に沖縄県に対しまして、運航したい、定期便を就航させたいということでしたけれども、これは平成十年八月に出たんですが、当時のアジアの経済危機、それから長引く国内の不況、取扱貨物量が非常に大幅に予測を下回った、そしてもう一つは、どうも、国際資本ですから、アメリカの軍事物資を輸送することも考えておったけれども、そちらの受注も必ずしもうまくいかなかったという、企業としての判断から見て、この投資と運航を継続することに経営上の問題があるということで、みずから撤退したというふうに承知しております。
山田(正)委員 私の聞き及んでいるのは、みずからフェデックス社が、フリーゾーン、いわゆる自由貿易地域に入ってくるのをやめたのではなくて、いわゆる空港の容量不足等の理由でもって却下されたというふうに聞いておりますが、その真偽のほどは別といたしまして、今、細田大臣がそう申しておりましたので、では、これからもし、そういう航空貨物会社が新たにどんどん沖縄に入ってくるということは歓迎だ、そうとらえてもらっていいでしょうか。
細田国務大臣 当然ながら歓迎でございますし、もう一度フェデックス社が、今度は経済がよくなったから出たいと言えば、当然歓迎でございます。あのときも、平成十年のときに特に何か障害があって、政府等による障害があってやめたわけではございません。運航をしましたけれども、四カ月間で休止したということでございます。
山田(正)委員 それで、今資料を配りましたが、那覇空港が手狭になってきて、沖合にまた新しく滑走路を設けるとかというお話のようですが、今申しましたように、それに対してさらにまたお金をつぎ込むよりも、三沢基地みたいに普天間基地の米軍との共用、そしてまた下総基地の自衛隊との共用等々ぜひ考えていただいて、そして、許容量もふえることだし、どんどんいろいろな競合する路線、貨物も旅客も入れていただきたい。
 実は、今、沖縄はJAL系とANA系の二つの航空会社が競っているようですが、鹿児島―羽田間にスカイマークが乗り入れして、そして、最高の二百四十二万人、いわゆる飛行機の乗りおり客、それが一年間で一五%ふえたということなんです。今、私どもがよく利用している長崎空港なんというのは、年々年々減っていきまして、JALとJASが合併しましてからは便数も減らされていっている、運賃も前よりも高くなりつつあるし、特割も前の日に買わなきゃ予約だけではもうきかないという厳しい状況になりつつある。
 ところが、競争を入れることによって、いかにそれだけ安くなり、例えば、この中にありますが、大手三社も相次ぎ料金体系を改定、それまで三万三千円だった大手の普通運賃は、各種の割引制度などを使えば二万円台で購入できるようになった。それくらい安くなり、利用客もふえ、便利になるわけです。
 沖縄島民にとっては、飛行機が本当に足で、飛行機だけが足と言ってもいい。それを、沖縄の振興のためには、ぜひともこの飛行機運賃をいわゆる競争路線もどんどん入れながら安くすること、それをぜひ考えていただきたい。
 それからもう一つだけ、ちょっと時間がなくなりましたが、ちなみに航空機燃料、これに税金をかけているのは日本とアメリカだけ。アメリカの約二十倍、日本はかけているわけです、沖縄は半分に減免しておりますが。
 そういった意味で、それを含めて、大臣、ひとつ航空行政についてぜひお考えいただきたいと思います。
細田国務大臣 基本的には国土交通省の、きょうは副大臣が来ておられますが、その政策でございますが、私もちょっと運輸関係、いろいろやってきておる経験も加味して申しますと、那覇空港は、もう全国を見ましても、羽田、福岡、札幌、伊丹の四つが上でございますが、第五位の空港でございます。大変な観光客数がふえて四百八十三万人、また五百万人を目指す、そして国際路線も、今、SARSでちょっと影響を受けていますけれども、ふやさなきゃいけない。そういった中で、今のままじゃ運用できません。
 したがって、当然早く拡張をしなきゃならないということで、主要地域拠点空港、昨年十二月、交通政策審議会航空分科会答申においてはっきりと位置づけまして、そして今年度予算で調査をする。ということは、もう建設にかかろうと、国土交通省ははっきりとはおっしゃらないと思いますけれども、我々の意識としては、もう建設にかかるべしということで方向が決まったと思っておるわけでございます。したがって、これは、できるだけ早期に調査も終了して着手をしなければならないということがございます。
 そして、これらの空港整備の特別会計の過半数の財源は、先ほどの着陸料と、それから航空機燃料税によって賄われていることも事実なんです。だから、我々は、利用者としては、時に国土交通省に対して運賃が高いから下げろと言い、ところが、そうなると新しい空港ができませんよというような話で押し問答するという実態にあるということは御認識いただきたい。
 それから、全国的にいうと実に多様な変化が今生じていまして、沖縄とか鹿児島路線とかそういうものはふえているんですが、例えば我が島根県の石見空港などは、日に二便、三便と飛んでいたものを今や一便に減らす。なぜなら、客が少ないから過疎路線は大いに切ると言われて、大変泣いておるんですよ、みんな。
 そういう取捨選択が行われていますので、何よりもお客さんが乗るということ、ある程度エアラインの稼ぎにもなるし地元の稼ぎにもなる、観光客もふえる、そういうラインで、ぜひ一緒になって知恵を出して、大いに沖縄県の空港整備に努めてまいりたいと思っております。
平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十五分散会


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