衆議院

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第3号 平成16年11月9日(火曜日)

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平成十六年十一月九日(火曜日)

    午後二時一分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 石崎  岳君 理事 北村 直人君

   理事 小西  理君 理事 今野  東君

   理事 武山百合子君 理事 中津川博郷君

   理事 白保 台一君

      小渕 優子君    後藤 茂之君

      坂本 哲志君    菅原 一秀君

      中村正三郎君    西野あきら君

      宮腰 光寛君    宮路 和明君

      山下 貴史君    金田 誠一君

      川内 博史君    仲野 博子君

      鳩山由紀夫君    若泉 征三君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣        

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務副大臣        谷川 秀善君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  東  良信君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           渡辺 文雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  河野 孝義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 角  茂樹君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    小松 一郎君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部審議官)            粂  知文君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 桜井 康好君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月九日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     菅原 一秀君

  鳩山由紀夫君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     井上 信治君

  川内 博史君     鳩山由紀夫君

    ―――――――――――――

十一月四日

 沖縄・米軍ヘリ墜落事故に抗議し、飛行禁止と基地撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四七号)

 同(石井郁子君紹介)(第一四八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五三号)

 同(山口富男君紹介)(第一五四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 この際、谷川外務副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。谷川外務副大臣。

谷川副大臣 このたび外務副大臣を拝命いたしました谷川秀善でございます。

 沖縄及び北方四島の問題は、我が国外交にとりましてもまことに重要な課題でございます。もとより微力ではございますが、逢沢副大臣、河井、小野寺、福島各大臣政務官ともども、力を合わせまして町村外務大臣を補佐してまいりたいと考えております。

 荒井委員長初め理事、委員の皆さん方により一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げ、一言就任のごあいさつにさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

荒井委員長 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官武田宗高君、内閣府沖縄振興局長東良信君、内閣府北方対策本部審議官渡辺文雄君、防衛施設庁長官山中昭栄君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、防衛施設庁建設部長河野孝義君、外務省大臣官房参事官角茂樹君、外務省北米局長海老原紳君、外務省欧州局長小松一郎君、水産庁資源管理部審議官粂知文君、環境省大臣官房審議官桜井康好君、環境省地球環境局長小島敏郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。

石崎委員 自由民主党の石崎岳でございます。

 両大臣、大変御苦労さまでございます。

 町村大臣におかれましては、就任早々、各地を飛び回って大変御活躍でございます。それから、先般のイラク人質事件に際しては不眠不休で対応されたというお話をお聞きしております。大変お疲れのところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。

 小池大臣におかれましては、早速北方領土視察に、一昨日ですか、出向いていただきまして、現地を見ていただいてこの委員会に臨んでいただいたという御配慮をいただきました。本当にありがとうございます。

 私、北海道でございますので、まず北方領土問題からお聞きをしていきたいというふうに思います。

 町村大臣は私と同じ北海道でございますから、もう皮膚感覚として、この領土問題の本質とそれからこの領土問題の難しさについては十分御認識をされているというふうに思います。

 年明け、時期はまだわかりませんけれども、プーチン大統領の来日も予定されているというふうに聞いております。それから、来年は日露通好条約締結から百五十年という節目の年に当たるということでございます。文字どおりこの領土問題の根拠をなす日露通好条約からの節目の年に当たる、しかもプーチン大統領が来日をされるという年、これは、やはりこの領土問題を解決するというか、領土問題を一歩でも二歩でも前に進める、進展させるためには非常にいい機会ではないかというふうに思います。

 プーチン大統領も、再選され二期目の任期が始まったばかり、小泉総理大臣も、昨年の総裁選挙、衆議院選挙を経てまだ任期があと二年ある、こういう政治環境にある。双方のトップが選挙のことを心配せずに国政に専念できる環境にあるということは、日ロの歴史の中でもそうそうないチャンスではないかというふうに私は思います。

 町村外務大臣も、先般の日ロ外相会談において、プーチン大統領来日を十分成果あるものにしなければならないという御認識を示されたというふうに聞いております。時間はもう余り残されていない、大統領来日までの時間は、お正月を挟めばそうそう長い時間ではないというふうに思いますが、来年の大統領訪日に向けて、外務大臣として、この北方領土問題を少しでも進展させるために、交渉を加速させるために、具体的な成果を上げるためにどのような取り組みをされるか、その御決意をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 石崎委員がこの北方領土問題、北海道ということもございますけれども、大変熱心にこれまでもお取り組みをいただいていることに心から敬意を表する次第でございます。

 今御指摘のように、来年初め、まだ残念ながら時期は確定をしていないわけでございますが、両首脳間では来年の早い時期にということになっているわけでございまして、その訪日の時期をとらえまして、本当に長い間の懸案事項であったこの北方領土問題を解決して、日ロ間のいろいろな交流がより活発になる、そういうことを願い平和条約交渉をしっかりやっていきたいんだ、こう思っております。

 今月下旬ですが、APECがチリでございますが、そこでプーチン大統領と、両首脳が話し合われるということだろうと思いますし、また私自身も、先般ラブロフ外務大臣と電話会談をし、さらに、今、日程調整中でございますが、チリで多分ロシアの外務大臣ともお目にかかることができると思います。

 そんな機会を得て私どもの考えをしっかりお伝えし、そしてお話のとおり実りある訪日になるように、大変難しい交渉であることはもう歴代の総理大臣あるいは外務大臣等々の御努力でよくわかっておりますが、何とか一歩でも二歩でも前進させる、そういう訪日にしたいものだ、こういうことで一生懸命精力的に努力をいたしたいと考えております。

石崎委員 小池大臣にもお聞きをしたいと思います。

 九月二日でしたか、小泉総理大臣が北方領土視察に行かれました。そして、小池大臣御自身も、おととい現地を視察され、元島民のお話も聞かれたかというふうに思います。

 環境大臣から今度は北方沖縄担当を兼務ということでありまして、今は環境税のことで頭がいっぱいかというふうに思いますけれども、きょうは沖縄北方委員会でございますので、今外務大臣にもお聞きをいたしましたが、来年の節目の年に向けて、やはりいろいろな国内の世論喚起、啓発の高揚、運動の高揚、そういったことが非常に大きな重要な意味を持ってくるのではないかというふうに思っておりますので、来年に向けてのその決意、お考え、そして現地を見た率直な御感想をお聞かせいただければと思います。

小池国務大臣 七日、おとといでございますけれども、北海道の根室管内を訪問いたしまして、実際にこの目で北方領土を見てまいりました。お天気もおかげさまでよくて、ヘリコプター上空からもはっきりと見えましたし、また、納沙布岬の方から非常に近いところに水晶島そして貝殻島があるということで、距離感がつかめた、このように思います。特に、貝殻島などは少し傾いた灯台があるのみということで、これはやはり地図だけで見ておりますとよくわかりませんけれども、三次元というか、非常に距離感、実感というものを私自身に植えつけるいい機会になったと思っております。

 それから後に、元島民の方々との意見交換をさせていただきました。大分高齢化も進んでいるということでありますけれども、ふるさとへの切実な思いが伝わってくるということで、これからこの北方領土返還、早期返還に向けて国民世論をより強くしていかなければならない私の所管の部分についても、やはり直接お話を伺えたことが大変意味があった、このように思っております。

 プーチン大統領の御来日ということもあります、外交交渉には町村外務大臣に当たっていただくわけでありますけれども、それをバックアップする国民世論をより大きくするということが外交交渉をよりスムーズに、大変厳しいものであろうとは思いますけれども、後押しをさせていただくということで、これからも国民に対しての広報啓発活動、さらなる充実を図ってまいりたいと思います。

 十七年度の概算要求でも、納沙布岬に燃え続けております祈りの火を全国に分火、火を分けて、そしてあちこちでその思いを燃やしていただく、そういう活動につなげてまいりたいですし、また、返還運動の関係の方々によるシンポジウム、会議などを開くことによりまして早期返還を内外に向けてアピールしてまいりたい、このように考えております。

石崎委員 北方領土問題というのは、私も随分昔から取材をしたり、あるいは当委員会で質問をしたり、本当になかなか解決の難しい問題であり、平時において領土を返還するということの難しさ、これは古今東西本当に難しい問題であります。しかし、問題意識として、日ロ間、国境を画定していないという認識をロシア側も、大統領自身も持っているということでありますから、議論の余地はあるというか、大いに日ロ間で解決していかなければならない問題ということを共通の認識として持っている土壌があるということは心強く思っております。

 そういう中で、最近、中国とロシアの間で国境画定の合意がなされたという新聞記事を先日読みました。これは、十月十五日付の新聞、国境問題解決を宣言、中ロ首脳会談、こんなような記事を読んではっと思いました。十月の中ロ首脳会談において四十年に及ぶ国境問題が解決をしたという報道でございます。報道では、大ウスリースキー島など二島を共同統治とし、主権問題は棚上げしたという記述がございます。

 中国とロシアの国境というのは、四千三百キロという非常に長大な距離にわたる中で一部未画定の部分があった。昔は、ダマンスキン島事件というような国境紛争も発生したという歴史的経緯がありますけれども、中ロの首脳会談の中でこの問題は解決したと高らかに宣言をしているわけであります。

 報道では、主権問題を棚上げしたというふうにありますが、ちょっと具体的に、どういうふうに中ロの国境問題を解決したのか、これは日ロ間の北方領土問題をどのように解決するかということとも深く関係しておりますので、この中ロ間の解決の方法、主権の問題や帰属の問題をどう解決したのか、住民の居住の問題をどうしたのか、あるいは地元での反対運動や世論の動向といったいろいろな要素、つまり、日ロ間で抱えている問題と同質の問題が多分いろいろ横たわっていたのではないかというふうに思いますが、その辺をどのようにクリアして解決したのかということをお聞かせいただきたいと思います。

小松政府参考人 事実関係でございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。

 今御指摘ございましたように、中ロ間の国境でございますが、十七世紀から十九世紀にかけまして中国とロシアの間にいろいろな国境画定のための条約が結ばれておりまして、いろいろな話し合いの経緯というのはございましたけれども、ゴルバチョフ政権それからエリツィン大統領の時代にかけまして、そういう過去の条約に基づいて国境を画定するという原則についてはかなり前から合意をされておりまして、自然国境等の河川のようなものが定められている場合が多いわけでございますけれども、そこに具体的にどのように線を引くかということで話が続けられてきていた。

 今の先生の御指摘にもございましたように、かなりの部分の画定が終わっておりましたところ、二カ所、具体的に申しますと、東の方はハバロフスク市の対岸でございます部分と、それからモンゴルの国境に近い満州里のあたりでございますが、そこの二カ所について具体的な線引きというのが残っていたという状況でございまして、本年十月のプーチン大統領の訪中の際に、この残りました二カ所について国境の画定、線引きができたなどということが発表をされているという御指摘のとおりでございます。

 プーチン大統領訪中の際に、中ロ東部国境に関する補足協定というものが署名されたというふうに発表されておりまして、この協定の本文については発表されてございますが、この協定に附属する地図、具体的には先ほど私申しましたハバロフスク市の対岸、それから満州里のところについて具体的な地図が附属されているようでございまして、そこでどういう処理をしたのかということが書かれているようでございますけれども、これについては非公開とされておるというのが現状でございます。

 したがいまして、この帰属の問題が具体的にどのように解決をされたかということにつきましては、私どもつまびらかにしていないというのが実情でございます。

 地元の反応ということにつきまして申し上げますと、報道によりますと、特にハバロフスクの地域でございますけれども、約五十名の市民が領土譲渡に抗議をするというプーチン大統領あての公開書簡に署名したということ、また、一部のサハリン州の議員などがこれに関連して日本との関係についても反対の意見を述べているというような報道には接しておりますが、ロシアの全土、全国的な規模で非常に強い反対運動があるというふうには理解をしておりません。

 以上でございます。

石崎委員 もう少し事実関係について精査をして御報告いただければというふうに思います。

 このことを見ても、中ロ関係、中ロ首脳会談において、十月の首脳会談では、この領土問題、国境線画定問題以外にも貿易問題、エネルギー問題、テロ対策などいろいろな合意がなされている。その上で中国とロシアの関係というものが戦略的パートナーとして強化された、そういう果実をもたらしているということでございます。

 この事例を考えるに、やはり、現実的には領土問題の解決ということは、相手国がパートナーとして必要なんだ、ロシアから見て日本というのがパートナーとしてどうしても必要で、そのために両国間に横たわる領土問題という障害を取り除くことが国益にかなう、そういう動機づけというものがあって、その上で問題を解決するという二国間関係の構築ということがどうしても必要ではないか。ロシアにとって日本はどうしても必要なパートナーであり、そのためには北方領土問題はどうしても解決しなければならない、そういう動機づけ、そういう日ロ関係の構築ということが必要ではないか。

 まだそこまで日ロ関係が成熟していないというか、互いにどうしても必要な国家である、パートナーである、戦略的仲間である、同志である、そういう構築までいかないというところが一つネックになっているのではないかというふうに思っておりますけれども、日ロ間でそのようなパートナーシップを構築していく、そのことについて外務大臣、御認識をお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 中国とロシアの関係、また日本とロシアの関係、似ているようなところもあるし、また歴史的に見て、あるいは今の領土に関する法的な背景もそれぞれ違うところもあろう、基本的に彼らはやはりかつては同じ共産主義の仲間というような意味で、対立もあったけれども仲もよかった時期もある。日ロというのは、東西冷戦の中で、なかなかいい関係というのが構築し得ない状態で冷戦の終結を迎えたといったような違いなどあると思うのです。あると思うのですが、今委員おっしゃったとおりに、今やそれぞれがそれぞれを必要とするという、今動機づけという御指摘がありました、まさにそういうことだろうと思います。

 率直に言って、今のロシアが、ではそういう動機づけを持ち得るような国の状態にあるかどうかということが一つあろうかと思います。我々は、もとより北方領土、国境を画定して平和条約ということがかねてよりの主張であるわけでありますけれども、彼らにとって今どういう状態にあるのか。これはいろいろな考えがあろうかと思いますが、一つは、今かなり内政上の課題としては、この間の北オセチアの問題なりあるいはチェチェンの問題ということで、相当そちらに政治的エネルギーが向かっているということも一つはあろうかと思います。もう一つは、経済的に見ると、今の原油高という状況で、いわば、要するにウインドフォール・プロフィットとでもいうのでしょうかね、突如として、予想外の国家的収入が入っているというような状態があろうかと思います。

 したがいまして、率直に言って、この北方領土問題について、急いでこれを解決しなければならないというインセンティブ、動機づけが弱い状況にあるんだろうな、こういう議論がかなりあるわけであります。ある人に言わせると、これは冷戦の末期にやっておけばよかったのになと。そんなことを今言ってもしようがないのでありますけれども、そういう意見すらあります。

 したがって、そういう心境であるのではないかと思われるロシアに対して、この日ロの交渉をどうやってやっていくのかということが我々にとっての課題であるし、本当は彼らにとっても大きな課題だと思うのであります。現に、御指摘のように、中ロ間の話し合いがまとまり、中ロ間の交流を活発化する。やはり彼らは、極東を通じて太平洋の方に出ていくということで、中国とロシアが手を組むというか今回のような合意ができるというのは意味があるのと同じように、日本とロシアとの間で合意を見てより経済交流が活発になり、彼らも極東の発展、開発ということを考えれば、やはり日本と組むことのメリットが当然あるはずなんです。

 その辺をいかに我々が説得できるかというのが一つありますし、同時に、いろいろな面での協力関係、交流を活発化させていくということで、昨年一月に日ロ行動計画というものが採択されておりまして、非常に幅広い、六つの分野でこれをやっていこうということになっておりますので、これを今着実に実施していく。幅広い分野での交流を進める中で、彼らの正しい、我々から見て正しい対日理解というもの、あるいは領土問題の理解を求めていく。そういう作業を今一生懸命やっていって、最終的には平和条約へという作業をこれから全力を挙げて取り組んでいきたい、かように考えております。

石崎委員 ぜひそういう方向で進めていただきたいというふうに思います。

 それから、小池大臣にお伺いをしたいんですけれども、二月の当委員会で私質問させていただいた、北方四島へ行くときの専用船舶の問題についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 自由訪問、ビザなし訪問、あるいは墓参などに使われている船舶について、ずっと以前から安全面、居住性、コスト面などから専用の船舶が必要だという声が元島民の間を中心に出ていたということを二月の当委員会で御質問させていただきました。その際の御答弁は、現時点で専用船舶を保有することは予算制約等から困難であるという御答弁でございましたけれども、その後、八月の来年度予算概算要求時においては、四島交流等使用船舶基本構想検討経費、長いネーミングでありますけれども、四島交流等使用船舶基本構想検討経費ということで二千五百万円が計上され、二年かけて検討したいという概算要求になっております。

 元島民の方々は、一日も早く新しい船をというふうに望んでおられると思います。私も、二年かけて検討と聞いて、そんなに時間がかかるのかなというふうに思いましたけれども、その調査検討に二年かかるのか、それから、新しい船をつくるという意思を持っておられるかどうか、スケジュール、内容、御決意等をお聞かせいただきたいと思います。

小池国務大臣 今回の根室訪問でも元島民の方々から、この船の件につきまして、もう古いということ、それから、はしけが必要で、お年を召した方々が島に上陸する際も大変不便があることなどを直接聞かせていただきました。重要な課題だと認識をいたしております。

 今御質問にもありましたように、来年度の調査費として約二千五百万円、概算要求しているところであります。ここで、調査期間は二年と考えておりますけれども、まず来年度は、そもそも論になりますけれども、四島交流事業などの、これからどういう方向でいくのか、そのためにはどんな船舶がふさわしいのか、それから、返還が決まってからの船の使い方、それから、今使っている船が一体どうなのか、そしてまた課題はどうなのか、こういった点について、まず来年度、調査をしていきたいと思っております。

 ただ、これは、新しい船をつくるんだ、それがまずありき、そのための調査ということではございませんけれども、必要とされる船の機能であるとか規模、これらについての調査検討を総合的に行いたいと思っております。

 それから、十八年度において、これらの十七年度の調査結果を踏まえて、船の機能、規模、さらに詳しく詳細に具体的に検討するということと、調達や維持管理の主体がどこにあるのか、それからその方法、それから現実的なコストの検討、こういったことを段階的に行っていきたいと思っております。行っていきたいと思いますというのは、現時点で概算要求の時点でございますので、ぜひとも委員の皆様方にも後押しをよろしくお願いしたいと思います。

石崎委員 二年間かけて随分細かく入念な調査検討を行うということでありますが、大臣がぜひ、やるんだ、新しい船をつくるんだという意思表示を鮮明にして、スピーディーに実施に移す、そういう政治的な決断、意思というものも必要ではないかというふうに私は思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 変わりまして、沖縄問題についてお尋ねをしたいというふうに思っております。

 八月、普天間の近くにあります沖縄国際大学敷地内に米軍ヘリが墜落をするという事故が発生をいたしました。私も当委員会の視察で現地に行きまして、現場あるいは関係者の方々からいろいろなお話を聞かせていただきました。

 そもそも住宅地に取り囲まれた普天間飛行場の危険性、かねてから指摘されていたその危険性が現実のものとなったということ、それから、事故発生直後の米軍の対応について、現場の警備のあり方、あるいは日本の警察の現場検証の問題、いろいろな問題を投げかけた今回の事故だというふうに思っております。

 特に、事故発生直後の現場における米軍の対応ぶり、これは日本の主権を無視するかのような振る舞いであり、日ごろから外務大臣もおっしゃっておられます、総理もおっしゃっておられます、日米同盟は、米軍のプレゼンスというものが日本のあるいは日本と極東の安全にとって必要不可欠なものなんだ、大事なものなんだという認識を常日ごろからおっしゃっておられる。その意識を共有する、国民が、そうだ、そのとおりだというふうに思うということが日米同盟の基本だというふうに思いますけれども、このような八月の米軍ヘリ事故直後の米軍の対応というものが、そういう国民の理解というものを逆なでする、そういうような行為ではないかというふうに大変私は遺憾に思っております。

 そういった意味で、いつも日米地位協定の改定という問題が出てまいります。政府は、いつも、そういう問題が出てくると必ず、いや、運用の改善でしっかりやってまいりますという答弁になってくる。そういうことがいつも繰り返されているわけでありますが、国民の側も、沖縄県民の側からも、やはり運用改善論だけでは実効性が危うい、疑問視する声が常に出ております。大臣も運用改善でよしという御判断だ、外務大臣もそういうお考えだというふうに聞いておりますけれども、運用改善だけでいいんだというふうにお考えであるなら、それを確実に実効あらしむる具体的な方策というのは、一体どういうものなのか。

 それから、あわせまして、事故現場における協力に関する特別分科委員会での協議の進捗状況、それから日米合同委員会に対する勧告の時期についてもあわせてお聞きしたいと思います。

町村国務大臣 私も先日、外務大臣として沖縄に参りまして、その事故現場を拝見いたしましたが、本当に危機一髪といいましょうか、もうちょっとずれていれば、道路あるいは道路の反対側の家屋にヘリコプターが衝突するとこれは大惨事になったかもしれないな、本当に大惨事にならなくて奇跡的であったなとさえ思えるような状況でございました。

 それだけに、普天間基地、早く移設しなければという思いで、SACOの合意、そしてその後の、決定に基づいての北部への移設ということをやっているわけでございますが、委員御指摘のとおり、こうした事故が起きるということになりますと、日米安保の国民の信頼も揺らぎかねないという御指摘は、私もそのとおりだと思います。

 そういう意味から、基本的には、それは普天間基地というものの機能を、ヘリの基地としてのあれを移さなければいけないということになるわけでございますけれども、それ以前の問題として、まず地位協定を変えたらどうかというお話がありました。随分この問題は前々から議論されているところでありまして、結論的には、私は、地位協定、一切手を触れてはならないというべき性格ではない、憲法だって考えようか、こういう時代なんですから、一条約にすぎない協定に手を触れることは別に何ら差しさわりないと思いますし、そういう意味で、今後、よりよいものをつくるための検証作業はやっていく必要があろうと思います。

 ただ、今まで出されております地位協定の問題点というのは、実はほとんど運用上の問題なんですね。地位協定をどこをどう変えなきゃならないという御意見が確かに出されておりますけれども、率直に言って、私の目から見まして、ここの協定を変えたからといって、どこをどう変えたからといって、なるほど、これはすばらしく変わるなというものでもない。御異論のある方もいらっしゃるようでございますけれども、私はそういうふうに思いました。

 例えば、地位協定、運用改善といったって変わらないじゃないか、こうおっしゃいますけれども、これは現実に、例えばドイツ、韓国、NATO、こういうのを比べても、日本だけなんですね、運用で、例えば受け入れ国に、起訴されるその前に身柄引き渡しをやるというのは。これは運用改善をやって日本だけがそれができるというようなことになっております。これは一つの例でございますけれども、そういう意味で、運用改善の実も上がっている部分はしっかりある、こう思います。

 ただ、今回の事故に関していいますと、御指摘のとおり、事故現場での対応の問題というのがいまいちであったということもあります。そこで、今、事故現場における協力に関する特別分科委員会というものを設けて、御指摘のありましたような、警察や消防による現場での活動のあり方についての米軍との調整の問題でありますとか、通報体制の問題でありますとか、いろいろな問題について今議論をしております。いついつ報告というところまでまだいっておりませんけれども、そんなにこれも時間をかけていい問題だと思いませんので、できるだけ早く結論を出して、合同委員会に報告をして、答えを出していきたい、かように考えております。

石崎委員 外務大臣は就任直後、日米安保の重要性、米軍のプレゼンスの重要性と同時に、沖縄の過重負担の軽減をしなければならない、そういう両面のことをまず就任直後におっしゃっておられます。

 時あたかも、米軍全体の世界的なトランスフォーメーションといいますか、そういう再編の議論が今進んでおります。日本の安全保障の新たな防衛計画大綱の策定という議論も国内で同時に進んでいる、日米間の協議も進んでいる、そういう時期にありました。日本の安全保障に対する脅威の質というのも変化をしつつある、日本の防衛が持っている目標というのも今変わりつつある、そしてアメリカのアジア戦略も変化をしている、そういう時期にちょうど遭遇をしているわけであります。

 こういう流れの中で、沖縄の負担軽減というものをどのように実現していくか。これは、一つの見方からすると、非常に大きなチャンスではないかというふうに思うわけであります。そういうときに、アメリカがどういうプランを持ってくるのかということを受け身で待つだけではなくて、外務大臣が沖縄の負担軽減を、総理もそうおっしゃっています、外務大臣も沖縄の負担軽減をというふうにおっしゃるのであれば、この世界的な日米の大きなトランスフォーメーションあるいは安全保障の位置づけの変化の時期に、日本側から、どうするというプランを、ビジョンを、逆にアメリカ側にどんどん示して、両方の協議の中で日本も主体的にそれにかかわる中で沖縄の負担軽減を実現していくという決意はございませんか。

町村国務大臣 先般、十月二十四日に、パウエル国務長官、ちょうど大統領選挙のちょっと前でございましたけれども、日本に来られまして、そのときもこの問題について話をいたしました。抑止力を維持しながら、沖縄等基地のある市町村の過重なる負担を軽減していこうという方向については、完全に一致をしているところでございます。

 今委員御指摘のとおりに、日本から具体的なそういう提案をしてみたらどうかと。今、どの基地をどうするという具体論までは実は立ち至っておりません。現在やっておりますのは、大きな軍事環境の変化、あるいは今委員御指摘のあった軍事技術の変化、そういう中における米軍の役割、日本の自衛隊の役割、共同、連携を保ちながらどういう分担をしていくかといったような、かなり、具体論に入る前の、まだ、物の考え方の整理をしていこうということで、実は一年以上にわたって議論をしておりますし、その一年以上の議論の過程で、具体的なプランも、より具体的に総論を考える際の参考として幾つかのアイデアが出されておりますけれども、それは一つの参考としてやっていく。今、その総論をできるだけ早くまとめようということで作業をやっております。

 それと完全に同時並行かどうかは別にして、具体論にいずれ詰めが移っていくわけでありまして、その際には、委員御指摘のように、日本からも案をぶつける、向こうも案をぶつける、そしてお互いに議論をして一つの合意できるプランをつくっていくという姿勢で臨んでいきたい、かように考えております。例えば、今これから総論の議論をかなり煮詰めてやっていくわけでございますが、その際も、日本側はこう考えるよというようなことを現実に今提示しながら、先方の考え方も提示を受け、そういう意味の建設的な対話を行っておりますし、これからもそうやっていきたい、かように考えております。

石崎委員 党の部会などでも、いや、具体論は全然まだまだなんだという話がよくなされますけれども、新聞を読むと具体論がぽんぽん出てくるというのが最近の状況でありますが、報道によりますと、例えば沖縄駐留の海兵隊砲兵部隊を、北海道の矢臼別ですとか、大臣のお地元の東千歳駐屯地、そういう報道も実名で出てくるという状況にあります。

 沖縄の過重負担軽減という意味では、これは、海兵隊でいうと、海兵隊をなくす、削減するか、国内に移転するか、海外に移転するかということが負担軽減であって、沖縄県内で移転するということは負担軽減にならないわけでございます。

 そういう中で、両大臣とも、先般のごあいさつでは、SACO最終合意の着実な実施、普天間飛行場移設は平成十一年閣議決定に従い推進するという、これまでの大臣が繰り返し繰り返し述べてこられたことをまた述べておられます。これはもう何度も何度も聞かされたフレーズでありますが、実態は、SACO合意から八年たって、SACO合意の中で返還が約束された面積の、実際に戻ってきているのは十分の一というのが実態でございます。普天間飛行場そのものもなかなか移設がかなわない。現実としてそういう状況にありますので、官僚作文の文章でSACO最終報告の着実な実施と言いながらも、なかなかそれが進展していないというのが現実であります。

 ですから、そういう米軍の大々的なトランスフォーメーションの時期に遭遇をしているという状況にあるということをかんがみて、平成八年末のSACO合意というものをこの米軍再編の中でもう一回レビューするというようなお考えはないのかどうか。あるいは、着実な実施をするというのであれば、この八年間十分の一しか目標達成していないということをどうやって前に進めていくのか。その点について、政治家としてのリーダーシップ、外務大臣としてのリーダーシップを発揮する、そういうお考えがあるかどうか。

 それから、巷間、普天間については嘉手納との統合、下地島への移設、そういうような案も、またこれも断片的な報道で出てくるというような状況にございますけれども、このSACO合意を進めるということであれば、それを進めるための政治的なリーダーシップをどのように発揮されるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 SACOの合意の性格は言うまでもございませんけれども、これもまた沖縄の負担をできるだけ軽減したいという趣旨にのっとって合意ができたわけでございます。

 確かに、現実進んでいない部分が多うございます。実際に、普天間だってSACOの当初の合意とは違った形で今進めざるを得ない。これは地元との調整でなかなか進まない。面積のことを今委員言われましたが、一番大きな北部訓練場の方も、結局ある部分移設したところの環境問題、ノグチゲラという鳥ですかの生息地であるといったような、当初予想しなかったような問題等々がありますので、政治が、行政があるいはサボっているからというわけでもなくて、なかなかそれは現実難しい面もあるんだなということを痛感するわけでございますが、これは基本的に、相当多岐にわたる項目を一つ一つやはり実行していく、そのことが沖縄の負担軽減になる、こういうことでございます。

 嘉手納との統合であるとか下地島等々、いろいろな名前が飛び交います。そういう名前が一切出たか出なかったかはあえて申し上げませんけれども、あるいは東千歳であるとか矢臼別という報道もございますけれども、現実に日米間で、例えばそういった個別名を挙げてこれがいいか悪いかといったような議論をやったことはまだないのであります。すべてこれからということで、じゃ、何であんな新聞報道が出るのか。私もよくわかりません。記者さん方も大変すぐれた能力で、どんどん記事が飛び交うのは私にとってはまことに遺憾な状態だと思っておりますけれども、それをとめようにもとめることができない、報道の自由がある、こういうことなのかもしれません。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたような基本的な抑止力を維持しながら沖縄の過重負担を軽減していくという姿勢で今後ともしっかりと臨んでいきたい、こう考えますし、また、SACO合意も同じような趣旨にのっとってこれからもしっかりと取り組んでいきたい、かように考えております。

石崎委員 時間が参りました。

 米軍のトランスフォーメーション等々再編の議論というのは、沖縄の負担軽減を図る意味では非常に大きなチャンスであるととらえて、ぜひ前向きに御努力いただきたいと思いますし、小池大臣は環境大臣兼務でございますので、沖縄の環境問題、沖縄の離島の環境問題等についてもぜひお力をかしていただきたいというふうに思います。

 質問を終わります。

荒井委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。

 本日は、委員長、そしてまた与野党の理事の先生方のお許しをいただいて発言をさせていただく機会をいただきましたこと、謹みて感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 本日は、八月に発生をいたしました沖縄の米軍ヘリ墜落事故問題に関して、前回の九月六日の本委員会の閉会中審査に引き続き質疑をさせていただきとう存じますが、その前に、小池沖縄北方担当大臣に石垣島のことについて一問お伺いをさせていただきたいと思います。

 新石垣空港の問題が、今、沖縄の県民の皆さんは、これは官民を挙げて早くつくってほしいということをさまざまなレベルで要請あるいは陳情をしていらっしゃるようでございますけれども、一方、石垣島の白保のサンゴ礁を心配されていらっしゃる皆さん方は、あるいは石垣島の非常に希少な生物、植物の行く末を心配していらっしゃる皆様方は、この石垣新空港の問題についてももっと慎重に環境影響評価について対処をしていくべきではないかということをおっしゃっていらっしゃいます。

 その一つの証拠として、沖縄県の環境影響審査会が、沖縄県が出しました環境影響評価の準備書面に対して、そのほとんどすべてにわたって再調査、もう一度調査をすべきだというようなことを勧告しております。

 そこで、新たに就任をされた小池沖縄北方担当大臣として、この沖縄のサンゴ礁についてしっかりとその保全に責任を持つ、責任を持って守るというふうにお約束をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

小池国務大臣 沖縄担当大臣としてお答えさせていただきますけれども、新石垣空港、私は残念ながらまだ現地の方に伺ったことがございませんけれども、もう長年にわたって空港をどこにするかということで地元でも大変御議論が重ねられたと聞いております。

 平成十二年四月にカラ岳陸上案ということで、ここはもとゴルフ場であった部分も入っているということでございまして、沖縄県が建設を計画しているということで、現在、沖縄県が環境アセスメントの手続、そして空港用地の取得の合意取りつけに努力をされているところでございます。

 内閣府としては、新石垣空港の建設は八重山地域の観光、産業の振興、そして住民生活の向上を図る上で重要なプロジェクトという位置づけをさせていただいている。一方、環境問題でございますけれども、これはコウモリ、カンムリワシなどの貴重種の保護、工事に際しての赤土の流出防止などに十分配慮する必要があるということで認識をされているところでございます。

 先ほども冒頭におっしゃいました、地元の方々の熱意というのは大変熱いものがございまして、沖縄県によるこの環境アセスメント、そして用地取得の状況にかんがみて、国土交通省とともに平成十七年度の概算要求に新規要求ということでさせていただいているところでございます。

 先ほどの準備書に関しましてですけれども、沖縄県の方で準備書に関する知事意見をもとにして環境アセスの手続の最終段階であるという評価書を作成しておられるところでありまして、これからの手続論とすれば、作成後は国土交通大臣に提出される、そして国土交通大臣や環境大臣の意見を踏まえて補正した後で公告縦覧されるということで、今は沖縄県のところでもんでいらっしゃるところだ、このように考えております。

 あと、空港用地の取得というのも、ほぼ九九・九%の部分は既に終わっているということでございまして、この後、沖縄と石垣市が理解を得るべく対応中ということで、これらの環境の観点にも気配りをしながら、これからの沖縄県、石垣市の対応を見守っていきたいと考えております。

川内委員 私が恐れ多くも小池大臣にお伺いをさせていただいたのは、白保のサンゴ礁を守っていただけますでしょうかというごくごく単純な御質問をさせていただいたわけですけれども、今るる御説明をいただきましたが、白保のサンゴ礁という単語が出てまいりませんでした。白保のサンゴ礁についても十分に配慮をする、あるいはしっかりと守るというふうな御決意をお示しいただきたいと思います。

小池国務大臣 全体像を余りに詳しく申し上げ過ぎたかと思いますけれども、環境保全という観点ではしっかり見守ってまいりたいと考えております。

川内委員 それでは、沖縄のヘリ墜落事故問題について質問をさせていただきます。

 九月六日の本委員会の閉会中審査で、私どもの武正委員に対する当時の嘉数政務官の答弁で、沖縄国際大学構内の立木の伐採について、防衛施設庁の本庁業務部長が沖縄国際大学に連絡をとり、同意をもらったという旨の答弁がございました。しかし、その後の私の質疑、あるいは参議院での我が党の榛葉議員の質疑等については、現地の防衛施設局、那覇防衛施設局の業務課長補佐が沖縄国際大学に連絡をとり、同意を得たというふうな答弁であったかと思います。

 この答弁の食い違いにつき説明をいただき、また、どのように対処をされるのかということをお答えいただきたいというふうに存じます。

山中政府参考人 今委員御指摘のように、去る九月の閉会中審査におきまして、武正委員の御質問、ヘリコプターの機体を撤去する際に立木の伐採が必要だという米海兵隊の要請に対して、大学の同意をいただくべく連絡をとらせていただいた際に、私どものだれが大学と調整をしたかというお尋ねがございまして、当時、嘉数政務官は、今委員御指摘のように、施設庁、私どもの業務部長から沖縄国際大学の庶務課長という御答弁を申し上げました。私は、委員の御質問に対するお答え等で、連絡をとらせていただいたのは那覇防衛施設局の業務課の課長補佐であるという御答弁を申し上げました。これは、嘉数政務官が答弁をされた際に、那覇防衛施設局業務課の課長補佐と言うべきところを、誤って施設庁の業務部長と申し上げたものでございます。

 答弁の食い違いによりまして当委員会での御議論が混乱をし、また御迷惑をおかけしたということについては申しわけなく存じております。

川内委員 それでは次に移らせていただきますが、今のこの立木伐採の問題でありますが、沖縄国際大学は理事長名による文書で、立木の伐採等についていかなる許可も同意もしていない、ただし、伐採についての説明は受けていたというふうに公式に発表をしていらっしゃいます。前回、九月六日の本委員会での当時の川口外務大臣の御答弁では、もし同意がなかったとしたら、この立木を伐採する法的根拠は、法令上の根拠はない、なくなってしまうというふうに川口大臣はおっしゃいました。

 許可を与える、あるいは同意を与える当事者である沖縄国際大学が同意を与えていない、許可をしていないと言っているわけですから、法的根拠はないというふうにお認めをいただかざるを得ないというふうに思いますが、外務大臣の御所見を承りたいと思います。

町村国務大臣 防衛施設庁によれば、那覇防衛施設局が沖縄国際大学の同意を得て立木の伐採を行ったとのことでございまして、御質問の伐採は同大学の許可に基づき行われたものであると私どもは承知をいたしております。

川内委員 今の御答弁に誤りがございますけれども、外務省としては、防衛施設庁が許可をとったと言っているので、許可をとったと認識をしているようなのでというふうにお答えをいただかなければならないと思います。あたかも許可があったかのごとくに今御答弁をされたと思いますが、もう一度文書を読んでいただけますか。

町村国務大臣 防衛施設庁によれば、那覇防衛施設局が沖縄国際大学の同意を得て立木の伐採を行ったとのことであり、御質問の伐採は同大学の許可に基づき行われたものであると外務省は承知をいたしております。

川内委員 それでは、防衛施設庁にお尋ねをいたします。

 許可及び同意があったと断言されますか。

山中政府参考人 これは、九月の当委員会における御議論の中で、八月の十五日の夕刻に、米海兵隊の方から私どもに対しまして、機体の撤去に立木の伐採が必要だ、ついては、大学当局に対して同意を取りつけてもらいたいという要請がございまして、私どもの那覇防衛施設局の業務課の担当の課長補佐が大学当局と連絡をとり、同意をいただいた。その経過につきましては、前回の委員会で私どもの認識をるる御説明したところでございますが、私どもといたしましては、大学当局から立木伐採についての同意をいただいているという認識は今もって変わりはございません。

川内委員 防衛施設庁は同意をいただいているという認識はあるというふうに言っています。認識があることと同意があることとは違うというふうに思いますが、外務大臣、いかがですか。

山中政府参考人 これは、大学にとっては、あの立木はたしか開学のときに植栽をされたとか、非常に重要な意味を持つ財産であるというように承知をいたしております。当然のことながら、これは他人の財産を伐採というよりも処分をするわけでございまして、電話における大学の事務局長さんあるいは庶務課長さんとのやりとりを通じて私どもは同意をいただいたというふうに認識しているわけでございます。

 ただ、これは財産の処分という非常に重要な事柄でございまして、先方と何らかの明示的な文書等を取り交わしているという意味で、何らそういうお示しできるものがあるわけではございませんけれども、私どもは、先方とのいろいろなやりとりにおいて同意をいただいたという認識を持っているということを申し上げているわけでございます。

川内委員 いや、防衛施設庁のその認識はもう何回も説明されなくてもわかっているんです。同意をいただいたという認識を持っているというのは、私は何も反論していないです。

 それに対して外務省が、あるいは外務大臣に対してお伺いをしたのは、同意を得ていたと認識しているということと同意があるということとは違う事柄であるというふうに私は思うが、外務大臣はどのようにお考えになられますかということをお聞きしているんです。

町村国務大臣 何を問題にしておられるのか、正直言ってよくわからないのでありますけれども、防衛施設庁がそういう認識をしているならば、私どもも同じ認識だということであります。

川内委員 同意があったということを、では、外務省も同意はあったと認識はしている、しかし、同意があったとは言えないわけですね。

 では、お聞きします。そのような食い違いを解消するためには、今も山中長官がおっしゃいましたけれども、文書で正式に許可あるいは同意を求める手続を、これは後日であったとしてもするべきであったというふうに思いますが。しかも米軍がこれは伐採したわけですから、米軍の責任者の名前で沖国大の理事長あてに伐採の許可並びに同意を求める文書でのやりとりというものをすることがこのような議論をしなくても済む手続ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

山中政府参考人 これは、財産の処分に限りませんけれども、相手方のあることでございまして、そのときにおける双方の意思を、将来問題が生じないようにきちんと確認しておくということは確かに必要なことであるというふうに考えておりまして、私どもも、通常の事務手続の過程においてもそういう配慮をしていかなければいけないということが今回のヘリの墜落事故の反省事項の一つでございます。そういう点については、今後の業務改善につなげていきたいというふうに考えております。

川内委員 今後の業務改善につなげるんじゃなくて、本件は重要な事柄でありますから、今からでもいいですよ。あのときの立木の伐採は許可をあるいは同意を得ていた、同意を出したということを沖国大とちゃんと文書でやってくださいよ。そうでなければこの問題は解決しないですよ、同意はあったと認識していると政府は今言っているわけですから。だったら、その同意があるという認識を正式に文書の形で我々に示すのが政府の誠実な態度じゃないですか。外務大臣、どうですか。

山中政府参考人 これは、双方でどういう形で、どういう表現で双方の意思の確認をするかということでございますが、この事故後、九月の二十九日でございます、那覇の防衛施設局の事業部長と沖縄国際大学の事務局長さんとの間におきまして、伐採された立木の返還は不要である、さらに、その立木の補償を大学の意向に沿った形で行う、その際に、米側との折衝の衝には責任を持って防衛施設局が当たるというふうなことを文書をもって確認させていただておるところでございます。

川内委員 最初の部分がよく聞き取れなかったんですけれども、もう一度その時系列を言っていただけますか。いつそれを文書で確認したというんですか。何を確認したんですか。

山中政府参考人 これは九月の二十九日でございまして、いわば伐採された立木を前提にしたその後の取り扱いということでございます。

川内委員 いや、だから、そういうことではなくて、伐採そのものについて同意があったかどうかということについて当事者間で食い違いがあるわけですから、その食い違いを埋めるための努力をしてくださいよということを申し上げているんです。

 もう切られちゃったものをどうするかということについてはそれは文書でやりとりされたでしょうけれども、伐採をすること自体については、政府は同意があったと言うし、沖縄国際大学は同意はない、いかなる許可も同意も与えていないと理事長名で言っているわけですから、それを、今からでもいいですよ、文書にされますか。

山中政府参考人 その後の、今御説明を申し上げた経過、大学当局とのやりとりにつきましては、私どもとしては、大学側から立木の伐採についての同意をいただいたという認識に立った上でいろいろやりとりをさせていただいているということでございます。

川内委員 これ以上やりとりをしてもいたし方ないのかなという気はしますが、この問題については、私も、しつこくまたいろいろな場面でやらせていただきたいと思います。

 では、そもそも、この沖縄国際大学の立木の伐採とかあるいは土壌の採取というのは米軍の警察権の行使というふうに考えてよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 立木については、先ほど来のお話で同意があったということでやってきております。土壌については、これは米軍側によりますれば、事故現場の土壌浄化、原状回復に向け、汚染物質を特定する目的で土壌調査を実施したとしているわけであります。米軍側のこのような行為は、みずからの事故によって現場に環境汚染等が生ずるのを食いとめるとの観点から、小袋五つ分だそうでありますが、少量の土壌を採取するものであって、また、日本政府または沖縄県から要請がなされた場合には採取した土壌を返却する用意がある旨を表明しているということでございます。

川内委員 いや、私は、なぜ土壌を採取したのかとかいうことを聞いたのではなくて、警察権の行使に当たるんですかということをお尋ねしたんですけれども。

町村国務大臣 警察権の行使というのはどういう意味ですか。済みませんが、教えていただけませんか。

川内委員 委員会の場では、質問する委員に対しての質問は禁じられているはずでありますから、私がそれに答えることはできないので、よく御相談をいただいて御答弁いただきたいと思います。

町村国務大臣 常識で考えて、立木の伐採あるいは土壌の採取というのは警察権とは関係ないと思います。

川内委員 私が今まで何回も地位協定室あるいは日米安保条約課の方々とお話をさせていただく中では、立木の伐採や土壌の採取については警察権の行使に当たるというような見解をお示しいただいていたというふうに認識をしているんですけれども、大臣は、これは常識的に考えて警察権の行使ではないというふうに御答弁になられました。では、一体何なんでしょう。(発言する者あり)いや、だめです、だめです。大臣に知っておいていただきたいんですよ。

荒井委員長 ちょっと政府委員と調整してください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

荒井委員長 速記を起こしてください。

 町村外務大臣。

町村国務大臣 それは米軍によるある種の行政行為だとは思いますけれども、警察権、例えば捜査のためとか、そういう意味での行動ではなかったと私は考えているということを申し上げたわけであります。

川内委員 ぜひ、きょうはたくさんのことをお聞きしたいので、大臣は、何でそんな細かいことを川内は聞くんだ、ばかじゃないかともしかしたらお思いになられているかと思うのですが、ところが、細かいことが大事だと思うのですよ、私は。細かいことがきちんと我々政治家がわかっていないから、地位協定がいつまでたっても変えられないということだと思うのですよ。

 だから、細かいことを大臣にもぜひ、そんな重箱の隅をつつくようなことをこのばかが言うなとお思いになられるかもしれないですが、きょうは、本当に細かいことをいろいろ聞かせていただいて、まあ大臣もお嫌かもしれないですけれども、恐れ多くもかしこみて申し上げさせていただいておりますので、お聞きをいただきたいと思います。

 では、何らかの行政権の行使に当たるだろうということはおっしゃいましたので、その続きはまたこの次の機会に譲るとして、日米地位協定の十七条の十項の(b)というのがございます。

 この日米地位協定十七条の十項の(b)というのを読み上げさせていただきたいと思いますけれども、ここには何が書いてあるかと申しますと、米軍の「施設及び区域の外部においては、前記の軍事警察は、必ず日本国の当局との取極に従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。」と書いてございます。

 そうすると、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に米軍の軍事警察の行使は限られるということになると、米軍の警察権の行使というのは、日本国民及び日本国民の財産に対しての行使というのは許されないのではないかというふうに思いますが、大臣、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 率直に言って、私がどこまで理解しているのかわからない部分もあるのでありますけれども、一応理解した範囲でお答えをいたしますけれども、地位協定の第十七条の十、今委員が読み上げられた文でございますけれども、米軍人の間の規律、秩序の維持と書いてあります。これは、米軍機が墜落した場合の事故調査のことを多分お問い合わせなんだろうと思うのですけれども、これについては、基本的には米軍の構成員の公務中の規則、規律違反の有無の問題、こう考えられているということのようであります。それで、地位協定の十七条の十で言う、米軍人の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に属するという考え方でやっていく。

 ここまで聞いておられないからあれですけれども、事故現場で消火とか救助活動とか現場の統制、この現場の統制の問題が今回いろいろ議論になったということは承知をしておりますけれども、こういう活動をするに当たりまして、その指揮命令下に種々の要因を導入することは当然想定される、こういう理解でございます。

川内委員 それはわかりました。わかりましたというか、私がお聞きをしたのは、十七条の十項の(b)は、米軍の警察権の行使は「合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。」と書いてありますから、日本国民の財産あるいは日本国民に対しては米軍の警察権は及ばないということで、この解釈はよろしいですねということをお聞きしたわけであります。

 というのはなぜかというと、米軍がマスコミのフィルムを押収した事件あるいはカメラマンを制止したりするニュースの報道などがありましたけれども、前回九月六日の閉中審査では、これらの米軍のマスコミ等を規制する行動については地位協定違反にはならないというふうに御答弁になられたわけであります。

 これは、地位協定十七条十項(b)によれば、そこまで米軍の警察権は及ばないであろうというふうに思われる、その証拠として、今回米軍の事故報告書の中には、フィルムの押収などは米軍はしてはならないとされている指令書なども添付をされているわけでございまして、そういう意味においては、マスコミを規制するあるいはフィルムを押収する、日本国民の財産に対して米軍が警察権を行使したことは地位協定の違反に当たるのではないかというふうに私は考えますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。

町村国務大臣 軍用機の事故現場に部外者が許可なく接近して墜落機の残骸等を勝手に写真撮影しないようにする、このことは、機密漏えいの防止や円滑な検証、捜査の観点から重要でありまして、共同統制の一環として米軍がそのような制限を行うことは、一般には排除されないという考えでございます。もっとも、個々の米軍人による対応が地位協定上許容されるものであるか否か、それは具体の対応を踏まえて判断をすべきであろう、こう考えます。

 前大臣の答弁があるわけでありまして、こうした個々の対応が地位協定上許されると要するに断定的に述べたものでもどうもないようでございます。むしろ、米軍による措置が共同統制の一環として行われる場合には、理論的にはこれが許容されることもあり得るという旨を述べたものであって、実力行使を伴うような対応まで地位協定上全く問題がないということを述べたものではない、このように私どもは理解をいたしました。

 なお、今お話しの米軍の内部規則のお話につきましては、これは彼らの規則であって、日本政府があれこれ解釈をする立場にはございませんけれども、そうだとしても、両立し得るものだろう、こう思います。

 ただ、今回の事故の現場での対応につきましては、今委員が御指摘のような点もありますし、日米両当局の対応が十分であったかどうかという点についてはいろいろ議論もありますので、現在、御承知の事故現場における協力に関する特別分科委員会の場で検証しておりまして、問題があった点については改善を図るように今日米間で話し合っているというのが現状でございます。

川内委員 それでは、ちょっと納得できないんですが、次に進みます。

 米軍のヘリの乗員の氏名、あるいは事故報告書において過失があったとされる整備士の氏名についてでありますけれども、沖縄県警に対しては、米軍はいまだにこの米軍ヘリの乗員氏名そして整備士の氏名について明らかにしておりません。もちろん、事故報告書等に名前が伏せられていることに関しては、事故報告書は名前を特定することがその目的ではないので、異を唱えるものではありませんが、少なくとも沖縄県警は、航空危険行為防止法違反の被疑者として、ヘリの乗員並びに整備士についても名前を伝達してくれということを米軍に対して申し入れているわけであります。

 いまだにこの乗員と整備士について氏名が警察に捜査情報として伝達をされていないことに関しては、私は、ヘリの機体そのものについては米軍の財産についての不可侵ということで捜査権はないのかもしれませんけれども、乗員並びに整備士、人については日本の警察にも捜査権はあるわけでございますから、地位協定十七条六項の(a)、捜査の相互援助を規定した項目でありますけれども、当然に名前については伝達をされるべきものであるというふうに思います。この点について、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 まず、犯罪捜査についての相互援助の義務というのが日米地位協定十六条の六で一般的な形で規定をされているのは委員御承知のとおりでありまして、捜査について相互に協力が行われている中で、米軍の構成員や米軍財産が有する軍事性や機密性あるいは米国内法の規定などを踏まえまして米軍として提供できない情報があったとしても、そのことが日米地位協定違反に当たるとは考えていないということがあります。

 さらに、警察当局は本件の事故に関して所要の捜査を進めていることと思いますが、日本側として捜査上必要と考える情報については、外務省としても、警察当局と連絡をとりながらアメリカ側にこれを求めていく考えでございまして、このような観点から、御指摘の搭乗員の氏名等の情報の扱いについても警察当局と協議をしてきているところでございます。

川内委員 いや、協議をしてきているということはわかりますけれども、八月からもう九、十、十一と三カ月が経過をするわけでありまして、三カ月にもわたって一番重大な、重要な捜査情報であるはずの名前すら伝達をされないということに関して、私は、沖縄県警は再三にわたって申し入れをしていると思うのですけれども、では外務省は具体的にどのようなお手伝いを警察に対してされているのか、あるいは米軍に対して申し入れをされていらっしゃるのか、それがいまいちよくわからないんですね。

 その点について、最後、外務大臣にもう一度、今すぐにでも名前はおれが聞くから任せろとおっしゃるのか、それは向こうが教えてくれるまでじっと待つしかないんだ、おまえも待てというふうにおっしゃられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

町村国務大臣 これは捜査にかかわることということで、これ以上の答弁は差し控えさせてください。

川内委員 私が申し上げたのは、私に名前を教えろと言っているのではなくて、あるいは国民の皆さんに名前を教えろと言っているのではなくて、警察にはせめて貴重な捜査情報である名前を伝達すべきである、そして、地位協定の十七条の六項に相互援助規定というのもあります、それにもかかわらず名前すら伝達をされないというのはおかしなことですねということを申し上げているので、大臣、ぜひ御理解をいただいて、また次の機会に議論をさせてください。

 どうもありがとうございました。

荒井委員長 次に、今野東君。

今野委員 民主党の今野東でございます。

 私も、八月十三日の沖縄国際大学構内への米軍ヘリ墜落についてお尋ねをしたいと思います。

 この事故があって、外務省も、また沖縄県当局も、そして米軍も、さまざまな形で対処をいたしました。私は、その対処の仕方を見ていると、県民の安全をまず第一に確保するという点が大きく欠けているのではないかという気がしております。

 八月十三日にこの事故が起きて、そして、十月八日に事故の報告書が出ました。通常、墜落したCH53型ヘリの飛行が再開されるとしても、この事故の報告書があって何らかの原因を示されて、そして納得をして、その上で飛行の再開というのはあってしかるべきなんじゃないかと思いますけれども、事故の報告があったのが十月八日で、そのはるか前、八月二十二日にはもう既にCH53型ヘリが飛行再開をしているという状況、これは県民の安全を第一に確保するという点からは著しくかけ離れた状況だなということを思っております。

 そして、さらに、ついこの間、十一月二日、今月の二日です。米軍横田基地を離陸したヘリが沼津市内の野球場に緊急着陸したということがありました。こうした事故を防止するためのさまざまな措置が行われていなければならないにもかかわらず、そのことが行われていないのではないかという疑義を抱く環境にあるわけであります。

 それで、この八月十三日の沖縄国際大学の米軍ヘリ墜落のような事故とその対処にかんがみて、外務大臣と、それから沖縄北方問題担当大臣として、県民の安全を図るという点から、それぞれどういう役割を果たし、また、どのように連携をして、どのようにかかわっていかれるのかなということを思いまして、それぞれの大臣にお尋ねをしたいと思います。

町村国務大臣 この事故以来、政府といたしましては、これまで三回にわたって沖縄在日米軍ヘリ墜落事故関係大臣等会合というのを開いて、政府全体で一体となって取り組んでいこうということを確認しております。

 外務省といたしましては、第一に、事故原因の徹底究明、再発防止についての日米合同委員会事故分科委員会等を通じた取り組みがあります。二番目は、ヘリコプターの運用再開について、事故原因等の十分な説明があるまでの事故同型機の飛行停止など、アメリカ側への慎重な対応への働きかけ。三番目は、事故現場における問題点の検証及び改善について、事故現場における協力に関する特別分科委員会を通じた日米間の話し合い等の取り組みを行っているところでございます。

 そういう形で、関係大臣と連絡をとりながら、政府全体としての取りまとめというものに力を尽くしているところでございます。

小池国務大臣 町村外務大臣とともに、事故が発生したその瞬間、私は担当はいたしておりませんでしたけれども、就任して、直接事故現場も見てまいりました。非常に町中にある空港であり、またそれが一歩間違えれば大変な惨事であったということ、これも私もよく肌で実感をしたところでございます。

 そういう意味で、これから事故が二度と起こらないということも願いつつ、事故原因の究明、再発防止などにしっかりと取り組むということがまず重要であるということ。それから、沖縄在日米軍ヘリ墜落事故関係大臣等会合という、こちらは茂木前大臣が取りまとめの立場にあったわけでございますけれども、これも、引き続き私も担当をさせていただく。

 いずれにいたしましても、こういった形で、政府が一体となって取り組んでいくということが必要だ、このように認識をしております。今回のヘリ墜落事故に関して、沖縄県民の方々のお気持ちをさらに重く受けとめて、引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。

今野委員 政府が一体となって対応していく、取り組むためには、初動のところをまず検証する必要があると思うのです。

 私は、この間、二十七日の外務委員会でも同じような質問をしたんですけれども、こういう事故の場合、迅速に周辺自治体に通報する、警察に通報する、消防に通報する、まずこれが第一だと思うのですが、アメリカ軍は自治体、警察、消防などへの通報はしたんでしょうか。これは外務省にはお尋ねをしておりますが、小池大臣は、今もおっしゃいました、就任早々沖縄にいらして、現場も見ておいでになった、お話もいろいろ、報告も受けていらしたと思います。小池大臣は、この点についてはどのように報告を受けていらっしゃいますか。

小池国務大臣 アメリカ側の説明によりますと、海兵隊は、今回のヘリの墜落事故発生直後、フロック四軍調整官代理のブリーフィングでもイミディエトリー・ゼアアフターという言葉が使われておりますけれども、現地消防、警察当局を含むすべての当局に通報手続を開始した、このように聞いております。

 発生後、可及的速やかに行われるように、こういった通報については、今後とも、アメリカ側に対して求めていくということは重要だ、その報告を聞いて思った次第でございます。

今野委員 これは、米軍が直接警察や消防に通報したというふうに聞いていらっしゃいますか。

小池国務大臣 アメリカ側から、事故発生直後に、外務省沖縄事務所への連絡、那覇の防衛施設局への連絡、これは在沖縄の海兵隊からでございますけれども、その後、在京の米大から外務省本省へと連絡があった、このように聞いております。

今野委員 いや、これは事故が起きた後の通報を聞いているんですよ。米軍としては、こういう事故を起こしたわけですから、当然すぐさま警察やあるいは消防に通報しなければならない、人命にかかわることなんですから。今大臣がおっしゃっているのは、報告じゃないですか、これは。沖縄の外務省の事務所に、あるいは在京の米軍から外務省にというのは、そんなことをしていたら、これは事故の対応は間に合わないでしょう。直接聞いていないでしょう、米軍から。直接報告をしたとは、直接米軍から現地の警察や消防やあるいは自治体に報告したとは聞いていないですね。確認です。いや、小池大臣に確認を。

小池国務大臣 事実確認でございますので、事務当局から答えさせます。

海老原政府参考人 事実関係につきまして、私から御説明をさせていただきます。

 消防、警察ということでございますけれども、先ほどの小池大臣の御説明のとおりですけれども、米側の説明によりますれば、海兵隊は、事故発生直後より、現地消防、警察当局を含む当局に通報手続を開始したというふうに承知をいたしております。これは、八月二十七日にフロック四軍調整官代理が行ったブリーフの席でも明らかにされております。

今野委員 今、海老原さんに答えていただいたんですが、そうなんですね。二十七日の外務委員会でお尋ねをして、そのように海老原北米局長が政府参考人としてお答えをいただいた。そのときに、平成九年の三月三十一日付日米合同委員会において通報手続が取り決められていて、これによれば、沖縄防衛施設局から沖縄県及び関係市町村に通報が行われることになっていて、そちらで地元の方には通報があったというふうに承知していますということだったんですが、私は、その外務委員会でもよくわからなかったんです。

 何度もお尋ねをしたんですが、事故が起きた直後、米軍が現地の消防や警察あるいは自治体に連絡したんですか、連絡したのはいつですかというふうにお尋ねをした。そうしますと、海老原さんは、防衛施設局を通じて自治体には通報しているんですというお答えをしながら、那覇の防衛施設局と同時に現地の警察、消防署にも通知をしたというふうに米側は言っているわけでございますと、今のようにおっしゃっているんですが、それは本当なんですか。もう一度、何に基づいて海老原局長はそう答弁したんですか。

海老原政府参考人 まず、沖縄県と宜野湾市への通報でございますけれども、先般、今野委員から御質問いただいたときにはちょっと用意がありませんでしたので、御答弁できませんでしたけれども、これは、米側から那覇防衛施設局への通報については、十四時、二時四十分ごろに在沖の米海兵隊から行われました。それを受けまして、那覇防衛施設局から沖縄県及び宜野湾市への通報は十五時ごろに行われたというふうに防衛庁の方から聞いております。

 それから、警察と消防への通報でございますけれども、これは、今委員がおっしゃいました平成九年三月三十一日付の合同委員会合意、これは事件、事故についての通報手続についての合意でございますけれども、これに、急迫した危険のある事件、事故が発生した場合には、米側から那覇防衛施設局への通報に重ねまして、加えまして、米側は現地の警察、消防署、必要に応じ海上保安庁の地方支分部局等に通報するということになっておりまして、これに基づきまして通報が警察、消防署に行われたというふうに米側から聞いておりまして、その旨は、先ほど申し上げましたように、四軍調整官代理も記者ブリーフで明らかにしているということを申し上げたわけでございます。

今野委員 もう一度確認します。米側のだれがこれを報告しているんですか。

海老原政府参考人 我々、米側から現地の警察、消防署に通報したというふうに聞いてはおりますけれども、具体的に、いかなる通報がいつだれによってだれに行われたかということについては確認ができておりません。現在、事故現場における協力に関する特別分科委員会において、ここの通報体制、実際どういうような通報、連絡があったのかということについても、米側と検証を行って協議を行っております。いまだ日米で一致した確認はできておりませんけれども、今後とも協議を進めまして、改善すべき点は改善していきたいというふうに考えております。

今野委員 米側から聞いているのなら、だれから聞いたかわかるじゃないですか。確認できていないというのはどういうことですか。米側から聞いたのでしょう。一体、だれなのかわかるじゃないですか。

海老原政府参考人 米側から聞いたと申し上げたのは、特別分科委員会において米側から通報を行ったというふうに聞いておるわけでございますけれども、具体的に、それでは現地レベルでだれがいつ行ったのかということについては、こちらから今照会をして聞いている、確認はできていないということでございます。

今野委員 つまり、これは、大臣、米側から直接通報されていないんですよ。

 それで、今の局長の答弁ですけれども、平成九年の三月三十一日に合同委員会で合意した、今おっしゃった「在日米軍に関わる事件・事故通報体制の整備について」という文書を見ても、今おっしゃるように、「事件・事故が地域社会に対して急迫の危険をもたらす時には、米側は、従来と同様に、迅速に現地の関係当局(警察、消防、海上保安部等)へ通報する。」となっているのです。このことを海老原さんは私に説明してくださいました、こういうのがあるんだと。私も確認をいたしました。そうしたら、これは、米側が通報しなければならないということになっているじゃないですか。急迫の危険をもたらすときですから、これはまさしく。

 ところが、米側からは通報がないわけです。そのことを指摘したら、宜野湾市の件については、施設庁の方に確認の上、後ほど報告したいと思いますと海老原さんはおっしゃいました。もう二週間がたちました。私のところに報告がありません。これはどうなっていますか。

海老原政府参考人 先ほど申し上げましたように、那覇の施設局の方から宜野湾市には三時ごろ通報があったというふうに承知しておりますが、前回の外務委員会の後、私は、確かにその場において、後ほど先生に御報告を申し上げるというふうに申し上げましたので、もし報告が行っていないということであれば、私の落ち度でございました。申しわけありませんでした。

今野委員 誠意がないんですよ。委員会で調べて報告しますというのに、待てど暮らせど来ないのです。仕方がないから、私、宜野湾市に聞きました。宜野湾市から報告をもらいました、外務省は何も聞いてくれないから。担当部へ確認いたしましたところ、ヘリ墜落後に米軍側から本市への通報はございませんでしたという報告でした。

 米側からないのです、通報が。事故が起きましたよ、大変ですよ、とにかく命でも救いましょう、内容はともかくとして、そういう通報を当然すべきじゃないですか、人の命を救うためには。幸い、これはそういうことはなかったけれども。町村大臣、この状況をどういうふうにお考えになりますか。

町村国務大臣 だからこそ、現場での対応の特別の委員会をつくって、今回のことをいろいろ反省の参考材料にしながら、きちんとした対応ができるように改めてやっていこうという作業を今やっているものと理解をしております。

今野委員 小池大臣からも、沖縄担当大臣としてお伺いをしておきます。

小池国務大臣 先ほど申し上げましたように、県民の皆様方の安全を確保するためにはどのような形が一番いいのかということで、事故の再発防止は当然でありますけれども、そういった緊急の際の連絡などの体制をきっちりとるということが必要だと感じております。

今野委員 両大臣とも口ではそうおっしゃってくださって、本当にそのように進んでいけばそれはいいんでしょうけれども、なかなか実態はそうではなかったわけですね。

 町村外務大臣にお尋ねしますが、この犯罪の、航空機事故の被疑者、これはだれですか。

町村国務大臣 これは、米側の事故調査報告書において、事故発生原因は整備不良によるものということで、関係した要員には懲戒及び行政処分をとるということが勧告された、こういうことでございますから、その者が責任があるというんでしょうか、ということだと思います。

今野委員 つまり、米側であると理解していいですか。

町村国務大臣 はい。さようでございます。

今野委員 被疑者である米軍、アメリカ側に現場検証の同意を得る必要があるとすれば、先ほどの警察権の行使のお話になりますが、日米地位協定の構造は非常にいびつにできていると指摘をさせていただきます。

 宜野湾市の報告によれば、八月十七日に、事故から五日目の日の九時に、米軍関係者より警察の現場検証について文書で回答があって、検証したいと言ったんだけれども、申し入れをしたんですが、文書で拒否されたという事実があります。

 米軍の警察権の行使について、私も、地位協定十七条十の(b)に、これは違反しているのではないかと思うのですね。なぜかというと、地位協定十七条の十の(a)によりまして、日米合意によって使用する施設・区域の警察権行使、これは認めているわけですね。

 しかし、十七条の十の(b)「前記の施設及び区域の外部においては、」つまり、合意された施設・区域外であった場合には、「前記の軍事警察は、必ず日本国の当局との取極に従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、」警察権を、先ほど川内議員も触れられましたが、ここです、「その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。」というふうになっておりまして、県警との連絡なく、沖縄国際大学や周辺の公道を封鎖し、立入禁止のテープをめぐらせる、あるいは立木を切るなどといった米軍の軍事警察が警察権を行使したということについて、私は非常にこれは問題だと思っております。

 日本国の当局との取り決めに従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、しかも、その使用については、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のために必要な範囲内に限ると限定をされているわけでありまして、このことについてはどのようにお考えになりますでしょうか、町村外務大臣。

海老原政府参考人 今委員がおっしゃいましたように、十七条の十の(b)に基づきまして、施設・区域の外で米側が警察権を行使するという場合には二つの条件があるわけでございます。日本国の当局との取り決めに従う、連絡をする、これが一つでございます。それから、もう一つは、今おっしゃいました、米軍人の間の規律、秩序の維持という範囲内に限るということでございます。

 当局との取り決めといたしましては、地位協定の十七条十の(a)及び(b)に関する合意議事録、これは機体の検証等に関するものでございますけれども、それと合同委合意、これは、いわゆる共同統制が日本の当局と行われるという合意でございますけれども、これが当たるということでございますので、事故現場における消火、救援、秘密保全あるいは事故の原因調査といった目的のために必要な限度におきまして、限定的に、それぞれの取り決めの範囲内におきまして、こういう私有財産への立ち入り、現場の統制、あるいは米軍財産、この場合であれば機体でございますが、この捜索、差し押さえ、検証を行うことが認められているわけでございます。

 また、米軍人の間の規律、秩序の維持という観点につきましては、この問題は、米軍機が墜落した事故でございますけれども、この調査も、基本的には米軍の構成員の間の公務中の規則、規律違反の問題として考えられるということで、米軍人の間の規律、秩序の維持というふうにとらえられておりまして、だからこそ、この米軍機の墜落につきまして、合意議事録あるいは合同委員会合意がございまして、その点については日米で解釈が一致しているということでございます。

今野委員 随分、米軍側にとって都合のいい解釈を外務省もするものだなと思いますけれども、いいですか、文章をよく読みましょうよ。合衆国軍隊の構成員の間の規律ですよ。ここにわざわざ、構成員の間の公務のと、いつから入れたんですか。どこで入れたんですか。どういう解釈で、あるいは、第三者か何か、一緒にこういう解釈をしましょうという話し合いになっているんですか。いつから、この公務のと入るんですか。

海老原政府参考人 今申し上げましたとおり、米軍人の間の規律、秩序の維持ということには、公務あるいは公務外というような限定はございません。したがいまして、いずれの場合も当たり得るということだろうと思います。

今野委員 そういう答弁中のいいかげんな解釈は私にはしないでいただきたい。規律というのは人の行為の基準となるものじゃないですか。公務のなんてどこにも入っていないじゃないですか。

 その対応の違いについて、それでは、警察権の行使について、一九六八年六月の福岡市の九州大学、一九七七年九月の横浜市で起きた米軍偵察機の墜落事故、一九八八年六月、愛媛県伊方原発近くにヘリが墜落した事故では、米軍が警察などの現場検証を認めております。横浜では警察と消防が合同検証を実施しています。この対応がこんなに違うのは、これはなぜですか。沖縄だからですか。

海老原政府参考人 これは、何回か警察庁の方から国会で御答弁があったと記憶しておりますけれども、警察庁の説明によりますれば、詳細な資料が保存されていないので、必ずしも確実ではありませんが、昭和五十二年九月に横浜市内で発生した米軍用機の墜落事案に際しましては、日米が共同して現場の見分を、これは検証ではございませんで、令状に基づかない見分でございますが、行ったと見られるが、現場の共同検証は、これは令状に基づく検証でございますが、行われていないということでございます。

 また、昭和四十三年の福岡市の事案については、事実関係の詳細は不詳ということでございます。

 愛媛県の件につきましては、ちょっと資料がございませんので、承知をいたしておりません。

今野委員 対応がなぜこう違うのかということを私はお尋ねをしているんです。この対応と、沖縄の国際大学に墜落したヘリの事故の対応、特に警察権の行使について、なぜこのように違うんですか、記録があるかないかというのを聞いているんじゃない、なぜこう違うんですかというのを聞いています。対応については、私が今申し上げました。横浜では警察と消防が合同検証をしていますし、愛媛県では米軍が警察の現場検証を認めております。沖縄となぜこう違うんですかというのを聞いているんです。

海老原政府参考人 まず、今回でございますけれども、事故直後の八月の十三日から十五日までの間、これは、沖縄県警察によります現場の写真撮影等の現場の見分でございますが、見分が行われております。また、これに加えまして、八月十七日の午前から、裁判官の令状を得まして、沖縄県警察による現場の検証というのも行われております。

 先ほど、委員は、横浜市内で発生した米軍用機の墜落事案に関しましては共同の検証が行われているというふうにおっしゃいましたけれども、我々が警察から聞いておりますところでは、先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、現場の共同検証は行われていないということでございます。

 特に、もちろん、これは警察の問題でございますけれども、沖縄とその他で違った対応をしているというふうには我々は理解をいたしておりません。

今野委員 それでは、ちょっと、ここにあります、米軍及び自衛隊の航空機事故連絡協議会会則及び緊急措置要領についてお尋ねをしたいんですが、これに米軍機事故被害者救急救助等任務分担区分表というのがあるんですが、これによりますと、現場対策というところで、現場の交通整理、財産保障または警備、現場保存というのは警察がやることになっている。このことが、この沖縄国際大学の場合には守られていないんじゃないですか。

海老原政府参考人 今委員がおっしゃったもの、ちょっと私は承知しておりませんけれども、米軍との関係というよりも、日本側の当局間の連絡調整に関するものだというふうに今知りましたが、いずれにしろ、承知をいたしておりません。

今野委員 これは日本側じゃないんですよ。米軍第十八航空団、在沖米海兵隊、在沖米艦隊活動司令部が一緒になって決めたものなんです、関係機関表。

海老原政府参考人 この協議会では、米軍及び自衛隊の航空機事故に係る緊急措置要領を定め、万一事故が発生した場合の自治体、消防、警察などの日本側関係機関における緊急通報の系統及び内容についての指針を示し、被害者の緊急救助、消火活動及び現場対策の応急措置について、日本側の関係機関の間で、いずれが主務機関で、いずれが援助協力機関であるかの任務分担を確認しており、また、米軍については、昭和五十五年に在日米軍司令部と防衛施設庁との間でなされた、相互の情報交換体制及び被害者の緊急援助への米軍の参加についての合意に沿って活動することになっております。

 いずれにせよ、現実に事故等が起こった場合は、あらかじめ定められたこれらの内容に従い、各機関が臨機に対応するというふうに理解をいたしております。

今野委員 日本側の対応だ、日本側の対応だと言いますけれども、日本側で起きた事件なんですから、日本側がそのように対応すればいいことじゃないですか。警察が現場の交通整理、財産保障または警備、現場保存をやることになっているんですよ。米軍はそれに参加するんじゃないですか。

 だって、ここにこういう取り決めもあるんですよ。基地外における米軍機事故の被害者に対する救出、救急手当て、救急搬送、消防等の緊急活動については、米軍としては、前もってその細部まで決めておくことはできないが、状況に応じその能力の範囲内でこれら緊急活動に参加するとある。参加するんですから。警察が主体となって、これは現場の交通整理、財産保障または警備、現場保存をするんですよ。そうなっているじゃないですか、これ。

 だから、おっしゃるとおりなんですよ。国内で起きた場合にはこうするんです、警察が。それなのに、検証もできないでいるわけです。この実態はおかしいですよね。

海老原政府参考人 一つ、現場の検証というものと、それから機体そのものの検証ということで、二つの問題がございます。

 現場の検証につきましては、今委員がおっしゃったとおりだろうと思います。これは当然日本側がやるべきことでありますし、もし統制する必要があれば、それは日米が共同して統制は行うということになっておりまして、その一環として、今、参加というようなことを言われましたけれども、言葉の問題はともかく、日米で共同して統制を行う必要があるということだろうと思います。

 ただ、機体につきましては別途合意がございまして、これにつきましては、米側が同意しない限り日本側は行えないということで、これは日本の国内法におきましてもそのとおり規定をされておりまして、今回は、その規定に基づきまして米側が機体の検証には同意をしなかったということでございます。

今野委員 時間が迫ってきましたので、ここでぜひ外務大臣にお尋ねしたいんですが、地位協定二条に基づく日米合意によってアメリカが使用を許された範囲の中に沖縄国際大学というのは入っているんですか。ちょっとここのところ、確認をしたいんですが。

町村国務大臣 沖縄国際大学そのものについては、地位協定二条に基づく施設・区域ではございません。

今野委員 ですから、先ほどの話ですが、立木を断りなく切ったり、私も沖縄国際大学に行きましたけれども、関係者は、それは確認をされていない、許可していないとはっきり言っておりました。ですから、そういうこととか、それから、そこに米軍がテープを張って警察権を行使するというようなことはできないんですよ。地位協定二条に基づく日米合意によってアメリカが使用を許された範囲の中に入っていないんですから。いいですか。

 そして、一九六八年十一月、衆議院の決算委員会で、これは事故があったときです、九州大学にあった事故ですね。米軍は大学に無許可で機体の撤収はできるんですかという質問をしているんですが、そのとき法制局は、私人の所有地に無断で入るのは許されないと答弁しているんですよ。米軍は大学の許可なく無断で立ち入れないという見解を法制局はこのとき示しているんです。

 このときの見解から変わっているんでしょうか、大臣。

海老原政府参考人 これは、米軍機が墜落あるいは不時着した場合に、事前の承認を受けるいとまがないときには、米軍の代表者は、必要な救助作業あるいは財産の保護のために公有地あるいは私有の財産に立ち入ることが許される。ただし、その財産に対する不必要な損害を与えないように最大限の努力をするということが地位協定十七条に関する合同委員会合意で取り決めてございまして、これに基づいて、今回は事前の承認を受けるいとまがなかったということで、やむを得ず、救助あるいは財産の保護、消火というようなことのために敷地内に立ち入ったというふうに理解をいたしております。

今野委員 消火したのは宜野湾消防局です。米軍ではありません。

 時間がないので、小池大臣にお伺いをしたいと思いますが、沖縄にいらっしゃって、そして日米地位協定について運用改善で機敏に対応したいというふうにおっしゃっていらっしゃいますが、米軍がノーと言ったら現場検証もできないというこの運用でいいんでしょうか。

小池国務大臣 ちょっと待ってください。失礼いたしました。

 見直しを求められる声もよく聞いております。今、さまざまな観点から、また県の方からも御要望書をいただいているところでございます。一体何ができるのかどうか、運用の改善ということで、これまで運用の改善をしているにもかかわらず、その辺のところがまだ実感もないといったところも県民の皆様方の感覚であろうと思っております。そういった皆様方の声をしっかりと受けとめて、何ができていくのか、それらも検証もしてまいりたい、このように考えております。

今野委員 時間が参りましたから、質問を終わりにしたいと思いますが、小池大臣、基地の整理縮小については、時にはアメリカにも声を上げるという勇ましいことをおっしゃっていらっしゃいます。どうも外務省はアメリカ側にとって大変都合のいい法解釈をさまざまするようですから、ぜひ小池大臣に私は期待をして、この質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、丸谷佳織君。

    〔委員長退席、中津川委員長代理着席〕

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 私ごとでございますけれども、本日は風邪を引きまして熱が高いものですから、いつにも増してわけのわからない質問にならないように頑張りますので、御答弁の方もぜひよろしくお願い申し上げます。

 本日は、特に北方問題について集中してお伺いをさせていただきます。

 さきの外務委員会におきまして、外務大臣、北海道出身ということで、北方領土返還にかける意気込み等聞かせていただきました。

 本日は、まず小池大臣にぜひ御決意をお伺いさせていただきたいと思うわけでございますが、そもそも領土問題というのは、国際法上、どちらの国がどのくらい当該領土にかかわっているのかということ、すなわち、関与の度合いが帰属を判断する大きな要素となってくると言ってもいいと思います。そういう意味では、北方領土問題に我々議員ですとかあるいは政府、そして国民がどれだけ関心を持ち、それを維持し、かかわっていくのかということが非常に大事になってくると思いますし、将来にも大きな影響を与えると考えております。

 そういった意味でも、九月には小泉総理大臣が現職総理としては初めて洋上から北方領土を視察されたことは、総理の意欲をロシアはもちろん国内外に示すためにも大きな意義のあることだったというふうに思いますし、小池担当大臣も先日視察をされたということに関して、非常に高く評価をさせていただきたいと思いますし、また、それを見習って、私たち国会議員も領土問題に深くかかわっていかなければいけないと思っております。

 ところが、この領土問題、やはり歴代の総理を初めとして多くの方々がかかわって交渉を重ねてこられた、そして今に至っているわけでございますが、交渉相手があるということで、なかなか喜ばしい前進を見ることができないという現状もございます。そういった時間の経過の中で、実際には旧島民の方が高齢化をされてきて、この領土問題の意識ということを、次の世代、そして次の次の世代に継続をさせていくこと、後継者を育てていくということも大事になってきている時期でございます。

 こういった、我が国が、我が国民が、そして国会が、政府が領土問題にかかわっていくという意味で、沖縄担当大臣のリーダーシップが問われる事項だというふうに考えます。その意味におきまして、ぜひ担当大臣としてのこの領土問題にかける決意をお聞かせ願います。

小池国務大臣 領土というのは、国家の一番基盤をなすところでございます。その意味で、大変重要な役割を担わせていただいたと思うところでございます。

 また、私個人といたしまして、中東におけるパレスチナ問題というのに取り組んでまいりましたけれども、宗教的な紛争もございますけれども、極めて、領土という問題に関して、これまで長い長い戦いを、それも血なまぐさい戦いを続けてきたということでございます。

 ちなみに、中東問題における国連決議で、ア・テリトリーなのか、ザ・テリトリーなのかという冠詞をめぐって、これでもう長年にわたって、激しい、これは国際舞台での議論も続いてきた。事ほどさように、領土問題というのは非常に大きな問題である。

 そしてまた、それが我が国においても、現実の問題として、北方領土において、そしてまた南方におきましてもさまざまな問題が現存している、そのことについて、我々はまず議員としてしっかりとその現実を認識し、そしてまた歴史を知り、さらには何をすべきかということを考えて、そして行動していくということがすべての議員に求められてくるのではないかと思うわけでございます。

 そしてまた、このたび、北方四島、北方の視察に私自身参らせていただきました。本当に近いという、一言で言えばそれに尽きてしまうぐらい、その距離感というものに対して。それだけに、自分の故郷が晴れた日にはよく見えるという元島民の方々のお気持ちを察するということも非常に重要なことだと思っておりますし、我が国の領土問題であるということをできるだけ多くの国民の皆様、特に、若い世代の人々に向けてどのようにしてアピールをしていくのか。このあたりは、北海道選出の議員の皆様方のお知恵もおかりして、全国民的に訴えていきたいと思っております。

 ましてや、来年は日露通好条約百五十周年という節目の年でございますけれども、プーチン大統領も来日されるということで、その意味では、北方領土問題を解決し、そして平和条約締結に向けたプロセスを具体的にかつ実質的に一歩一歩前進をさせていく、そういうモメンタムである、このように思うわけでございまして、小泉内閣の閣僚といたしまして、一日も早い北方領土の返還に向けて全力を尽くしてまいりたいと思っております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 今、沖縄北方担当大臣、小池大臣の方から、来年、領土交渉に向けてモメンタムを逃さずにというような御発言もありまして、実際に本当にそのとおりだというふうに感じております。

 さきのシーアイランド・サミットの折には、小泉総理がロシアのプーチン大統領と会談を行って、来年の百五十周年に当たるこの節目の年に、平和条約交渉を具体的かつ実質的に前進させていくことが日ロ両首脳にとって残された使命であるというふうに改めて強調もされていらっしゃいます。これに対して、プーチン大統領の方からは、領土問題を解決して平和条約を締結することが必要だというふうに自分は考えている旨の御発言もありました。

 また、先月の十九日にモスクワで行われました日ロ事務次官級協議の中では、日本側が、来年二月にも予定をされています大統領訪日に向けて、北方領土問題と平和条約交渉の進展を強く働きかけたというふうにも聞くにつれ、来年に向けて、この領土問題、本当に一歩、二歩前進させていけるのかな、着実な前進を見ることができるのかなというような思いでおりました。

 しかしながら、最近の報道を見てみますと、外務大臣も十九日の次官級協議に触れられる中で、ロシアの反応は大変に厳しかったとの報告を受けたという御発言もされています。外務大臣みずから、場合によってはロシアに飛ばなければいけないかと思うという御発言もあったというふうにお伺いしております。

 また、実際に、ロシアのラブロフ外務大臣は、先月の二十七日、ロシアの下院で開かれた議員との懇談の中で、北方領土問題については、日本とは島の返還に関する交渉は行っていないというふうに語られ、ロシアの駐日大使、ロシュコフ駐日大使も、都内で開かれた会合の中の講演では、北方領土の帰属をめぐる日ロ平和条約交渉については、一気に解決できる問題ではない、根拠のない期待は危険だということに加えまして、国民の気持ちを無視した解決はあり得ない、国民投票の手続もあると述べたというふうにされました。

 気持ち的には、いろいろな方のいろいろな発言によって一喜一憂するものではない、領土問題という難しい問題に関しては一喜一憂することはないと思いながらも、こういったロシア側の厳しい発言を聞くと、実際にロシア側の最近の感触というのはどうなのかなというような思いを抱かざるを得ません。

 そこで、先月十九日の次官級協議につきまして、ロシア側の態度というのは実際にどのようなものであったのか、この点についてぜひ聞かせていただきたいと思います。

    〔中津川委員長代理退席、委員長着席〕

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 十月十九日の次官級協議でございます。日本側代表が外務省の田中外務審議官でございまして、ロシア側がアジア大洋州担当のアレクセーエフ次官でございます。私も田中外務審議官補佐ということで出席をさせていただきました。

 この協議におきましては、来年初めのプーチン大統領の訪日準備の一環といたしまして、平和条約問題を含めまして幅広い分野について意見交換を行ったわけでございます。プーチン大統領の訪日が十分な成果を上げ成功するように、大統領の訪日に向けて、日ロ間でさまざまなレベルで精力的に協議を行っていくことが再確認されたわけでございます。

 それで、御質問の平和条約問題そのものでございますが、四島の帰属の問題を解決して平和条約を早期に締結するという方針のもとで種々議論を行ったわけでございます。四島の帰属の問題についての日本側の立場とロシアの立場の間には、依然隔たりがあるということは言わざるを得ないと思います。

 したがいまして、交渉の行方は予断を許すものではございませんが、政府としては、来年初めのプーチン大統領の訪日に向けて、交渉を具体的かつ実質的に前進させるべく、引き続き粘り強く取り組んでいきたいと考えております。

 この協議におけるやりとりの詳細でございますけれども、交渉中の案件でもございますので、これ以上詳細に申し上げられないということについて御理解をいただけるかと思います。

丸谷委員 今、詳細についてぜひこの場で、何がどうしてどうなったのか、あるいはどうしていくおつもりなのかという質問をしたわけではございませんで、実際にロシア側の感触はどのようなものというふうにとらえていいのかといったことをぜひ聞かせていただきたかったんです。

 実際には、私の聞いたところでは、この間は中国にプーチン大統領は行かれていらっしゃいますし、これからはインドの方にも行かれるというような、非常にプーチン外交というのをされている。その中で、このプーチン外交の中でのプライオリティーにおいて、この四島問題あるいは日本ということ、経済的にも政治的にもどうなのかなということを踏まえて日本の対ロ政策というのをやはり練っていかなければいけないのだろうというふうに考えております。

 では、局長にもう一度お伺いしますけれども、第二期プーチン大統領のもとでのこの政権、対日政策については外務省はどのように判断をしていらっしゃるのか、評価をしているのか、この点についてお伺いします。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 プーチン大統領は、ロシアの外交の中で、アジア太平洋、その中でも日本を重視するということは繰り返しいろいろな機会におっしゃっておられます。それから、累次の小泉総理との首脳会談におきまして、この平和条約問題につきましても、先ほど委員の方から御言及がございましたように、この問題を解決するという必要性については認識しているという発言を繰り返しているわけでございます。

 それが、総論としてはそういう御発言が多いわけでございますけれども、各論としてなかなかそれが具体化していかないというところが私どもの悩みでございまして、本日の委員会の中で、以前の委員の御質問に対して、大臣が先ほど答弁をしておられますけれども、やはり最近のベスランにおきますテロでございますとかそういった問題について、国内的にも非常に問題になっていて、そちらの方に相当エネルギーをとられているという面も見られるのかなと。そういう中で、日本との協力の戦略的重要性というものをどのように理解をさせ、印象づけていくかということが課題かと存じております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 実際には、来年はこの領土問題の交渉については非常によい時期であるということとともに、ロシア国内のテロの問題ですとかいろいろなことを考えると非常に難しい時期でもあるというような、非常に微妙なバランスの中で、実際に、日ロ両国の間にはこの領土問題に関しては温度差があると言ってもいいのであろうというふうに思います。

 来年二月のロシア大統領の訪日を成功させる意味でも、またこの領土問題を前進させる意味でも、外務大臣としまして、今、訪ロして環境整備を整えていこうといったようなお考えをお持ちなのかどうか、ぜひそのようにしていただきたいという思いを込めて、お伺いをします。

町村国務大臣 来週チリで行われますAPECの場で、ラブロフ外務大臣と私、時間は必ずしもまだ正確ではございませんけれども、大体会えるめどが立ってまいりました。もちろん、両国首脳もチリで会われる。その後、しかるべきタイミングで、先方大臣、外務大臣が日本に来られるのだろうということになっております。その上で、必要とあらば、私もモスクワの方に出向くということも辞さないつもりでおりますが、いずれにしても、来年早い時期のプーチン訪日に向けてさまざまな努力をしていきたい、かように考えております。

丸谷委員 時間がなくなってまいりましたので、最後の質問になってしまうかと思うのですけれども、漁業問題について。

 この時期になりますと、やはり北海道の漁業者の皆様からいろいろな数多くの要望をいただくわけでございます。これから十一月中旬には、四島周辺水域における安全操業の枠組み協定の交渉が始まります。これは外務省がリーダーシップをとって協議をしていただくことになりますので、この領土問題という特殊な難しい事情を抱えながら四島周辺水域で漁業をやっている皆さんのために、政府としてこの交渉にどのような格好で取り組んでいかれるのかという点を外務省にお伺いをするのと、あわせて、水産庁の方にお伺いをしたいんです。

 続きましては、十一月の下旬から始まります日ロ漁業委員会、今回は第二十一回会議になりますか、こちらの会議でも、北海道からもあるいは水産界からも数多くの点を要望いただいておりますけれども、安定操業ということでは、操業許可隻数及び漁獲割り当て量については本年の実績の確保を図っていただきたいという点、この点に向けてしっかりした力強い交渉をしていただくこと。

 あわせて、例えばチェックポイントの移動ということも、これは例年要望いただいております。交渉相手のあることですからなかなか難しいかもしれませんけれども、この点も水産庁さん、ぜひ力強い交渉をしていただきたいという要望が数多く出ております。漁船が操業区域に出入域する際にロシア側に通告するこのチェックポイントということを、例えば、現状のままでいきますと、漁場との距離があるので不都合が生じているということはもう御存じだと思います。

 例えば、イカ釣り漁業につきましては、日本海でする場合、現在のチェックポイントだと、チェックポイントを通過しますと余計に一昼夜以上かかってしまう、むだな時間と経費を使うことになってしまいます。ほかの種類の漁業におきましても同様なことが言えます。こういった細かいことではございますけれども、現場の声として、一つ一つ日本側がかち取っていくという交渉をぜひしていただきたいと思いますので、あわせて、これを水産庁の方にお伺いをいたします。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました北方四島周辺操業枠組み協定でございますが、これはよく御案内のとおり、四島がロシアに、遺憾ながら事実上占拠されているという非常に厳しい状況のもとで、困難な交渉を経まして、一九九八年に締結をした協定でございますけれども、この協定に基づきまして、我が国の漁業者の方による北方四島の周辺の水域における操業が行われているわけでございまして、この安全かつ円滑な操業を確保するとともに、この協定の実施を通じまして、日ロ間の信頼関係の強化にも役立てようということが私どものねらいでございまして、政府といたしましては、この協定に基づく協力を引き続き維持していきたいと考えております。

 今月の中旬に、例年どおり、この協定に基づきます政府間協議と民間交渉が開始されることになっております。私どもといたしましては、水産庁と緊密に協力、連絡をしつつ、我が国漁業者の方々の要望を十分踏まえまして、我が国漁業者の方々による安全かつ円滑な操業を確保するよう、最大限に努力をしてまいりたいと思っております。

粂政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、ロシアは、極東地域でのロシア国内水産業の振興、また漁業資源の悪化を理由に、外国漁船への漁獲割り当てを削減してきているわけでありますが、北海道の漁業者を初めとして、我が国の漁業者にとって、ロシア水域は非常に重要な漁場である、このように認識をいたしております。

 水産庁といたしましては、今年の漁業交渉の場におきましても、漁獲割り当て量、また操業隻数の確保、先ほどございました経費節減のためのチェックポイントの移動といいました漁業者の御要望を十分に踏まえまして、我が国の漁業者の安定的な操業がしっかり確保できるよう、ロシアに強く求めてまいりたい、このように考えております。

丸谷委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 冒頭、外務大臣に、イラクのファルージャの問題についてお伺いいたします。

 八日午後、米軍は、ファルージャに総攻撃を開始いたしました。既に犠牲者も出ており、四千人以上の海兵隊が進撃していると伝えられています。その攻撃には、沖縄にローテーション配備されていた第三海兵連隊第一大隊や、あるいは沖国大への米軍ヘリ墜落直後にイラクに出撃した同型ヘリなどが現在所属する第三十一海兵遠征隊が参加しております。沖縄から出撃していったという意味で極めて重大だと思いますけれども、こうした攻撃というのは大変な犠牲を生みます。被害も広げます。選挙を控えた政治プロセスにも重大な影響を与えます。

 政府はアメリカに対して攻撃の中止を求めるべきではないかと思いますが、いかがですか。

町村国務大臣 今委員御指摘のように、八日、イラク治安部隊は、駐留米軍とともにファルージャに対する掃討作戦を始めたということでございます。今まで、イラク暫定政府は、事態の平和的解決に向けていろいろな努力をしてきました。治安要員の強化、国家治安維持令の公布、恩赦の決定などなど、いろいろやってきまして、今回は、国家治安維持令に基づく非常事態宣言の発出や今回の掃討作戦の開始、これらは治安改善に向けたイラク暫定政府の断固とした姿勢のあらわれだ、このように受けとめております。

 私どもとしては、特に、今委員が言われた国民議会の選挙が、来年の一月、全国で行われる、これが非常に重要な政治プロセスとして第一歩である、このように考えますので、治安情勢が速やかに改善されることが必要だということでございまして、その過程における今回の掃討作戦の中止を求めるということは考えておりません。

赤嶺委員 ファルージャは四月にも米軍が総攻撃をして、約七百人、住民が犠牲になっているわけです。米軍の攻撃に対する怒りと批判も強まりました。

 今度のファルージャへの攻撃というのは、例えば、イスラムの宗教者委員会は、攻撃があれば選挙をボイコットする、こういう呼びかけの中で行われておりますし、さらには、国連のアナン事務総長も、武力行使は特定住民の疎外感を強めるだけでなく、イラク国民にまだ占領が続いていると思わせる、イスラム教スンニ派勢力の選挙ボイコットを誘発しかねず、治安安定への努力を妨げかねないということで、攻撃の中止を求めているわけですね。選挙のためにといいますけれども、選挙の実施を妨げることになりかねない、こういう情勢だと思います。

 民間人の犠牲が相次いでいる、そういう中で、政府は本当にアメリカに対して攻撃中止を働きかけるべきだということを強く求めておきたいというぐあいに思います。

 外務大臣にはその質問だけでありますけれども、あと小池沖縄担当大臣に伺います。

 大臣の就任直後に沖縄を視察されたわけですが、ちょうど、ヘリの墜落事故、その直後であるわけですね。九月五日には普天間飛行場早期返還を求める宜野湾市民大会が開かれ、三万人が集まりました。この決議の中に、こういうくだりがあります。

 一九九六年のSACO最終報告による普天間飛行場の返還合意の原点は、危険きわまりない欠陥飛行場を取り除き、県民の負担軽減を図ることであったはずである、返還期限の七年が既に経過し、今回のヘリ墜落事故は、その原点が改めて問われるものであり、日米両政府には今こそヘリ基地としての運用を直ちに中止させ、普天間飛行場の早期返還を実現するよう求める。ここに、宜野湾市民の、沖縄県民の思いが込められていると思うのです。

 小池大臣は、この県民の思い、願いをどのように受けとめておりますか。

小池国務大臣 就任後、直ちに沖縄を訪問させていただきました。就任が九月二十七日でございましたので、十月に入ってからの沖縄視察でございました。実際に墜落の現場も拝見をいたしました。本当に、普天間の空港、飛行場からすぐそばのところの大学にこのような大きな事故が起こったという、改めて事故の大きさということと、それから、一歩間違えばということを考えますと、背筋が寒くなる思いをしたわけでございます。

 そんな意味から、これまでも、普天間飛行場の近隣に住んでおられる皆様方からすれば、安全の確保、町の真ん中にある飛行場ということに対しての大変な御不安、こういったことが積み重なっているということを改めて認識するわけでございますし、また、そのためにも普天間飛行場の一日も早い移設、返還が必要だということで、平成十一年の閣議決定に基づいての全力の取り組みを進めていかなければならないと思っているところでございます。

 あと、代替施設についてさまざまな御意見を、当然、存じ上げているわけでございます。現時点で、即時撤退というようなお気持ちについては、今回のヘリの事故を見てもわかるところではございますけれども、しかしながら、このSACOの合意ということをしっかりと進めていくということが、現実のこれからのことを考えていくにはその必要があるということでございます。

 移設までの間の安全管理のためには、普天間飛行場の使用に関しての安全性の問題についてしっかりと米側との協議の中で取り上げていく必要もあると思いますし、また、代替施設に随分時間がかかるではないかということでございますが、工期の短縮については、現在、防衛施設庁におきまして、引き続き検討を進めていただいている。また、環境面につきましては、これは法律で定められている期間というものも、これはしっかりとむしろ調査をすべきだ、そういう考えでおります。

赤嶺委員 小池大臣、まさに今度は奇跡中の奇跡だったということについては、今度の事故を最後の警告にしてほしいというのが宜野湾市民の中学生の書いた作文の中にあるんですよね。安全対策に気をつけて、これからSACOの合意でやっていきますではないんです。そもそも、八年前に、危険だから撤去すると言ったじゃないか、放置していたからこうなったんだ、今後も放置していくのか、最後の警告としてなぜ受けとめられないんだ、早期に閉鎖せよというのが思いなんです。SACOを絡めると、県民の気持ちから離れていくんです。

 普天間基地が、事故が起こる前から、ことしの五月の県内の新聞の世論調査で、SACOに賛成は七%ですよ。それから、八月には四・三%ですよ。別の新聞では、辺野古移設は六%ですよ。皆さんが、政府がやろうとしていることと沖縄県民の意識との間にはこんなにかけ離れたものがあるというのをぜひ沖縄担当大臣としてしっかり認識して、本当に即時閉鎖ということに努めていただきたいんですが、大臣は環境大臣も兼ねておられます。辺野古の問題については、環境を特にしっかりやりたいという先ほどの御答弁もありました。

 そこで、その問題について、特に、大臣は就任のときにこうおっしゃっています。環境大臣としての大きなテーマは、環境の保全と経済の統合、環境保全はもちろん、経済振興も沖縄では重要なテーマで、そのバランスがしっかりとれるようにしたい、こうおっしゃっております。また、沖縄振興特別措置法では、沖縄の産業の振興のための特別措置として観光の振興を挙げています。その中で、環境保全型自然体験活動の推進に関する基本的な方針というのも掲げております。

 まさに沖縄担当大臣と環境大臣を兼ねてなんだというような批判が地元ではありますが、小池大臣がもし環境大臣として沖縄の環境保全を守れば、それが産業振興にもつながり、経済の振興にもつながるという関係で、ぜひしっかりやっていただきたいんです。

 私は、沖縄観光の魅力を広げているのが、ジュゴンが回遊しているサンゴ礁に囲まれたコバルトブルーの海、あるいは豊かな自然環境、このように、そういう自然環境が沖縄観光の発展の土台になっていると思いますけれども、その点はいかがですか。

小池国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。沖縄の振興という観点から、環境と、そしてまた観光、それが産業につながっていくということで自立型の経済の一つの大きな柱になる、このように考えている、それについては認識を共有するものであります。

赤嶺委員 そうなんですよ。基地と経済とよく言われるわけですが、経済の振興の上でも沖縄のそういう環境を大事にして観光を発展させて、まさに基地とはリンクしない経済の発展をというのは、これは県民の夢であります。そういう環境保全というのは大事な意味を持ってくるわけです。

 ところが、今、ジュゴンが回遊している海で何が行われているか。SACO合意に基づく普天間飛行場代替施設の建設に移るということで、予定海域で大きなボーリング調査を始めようとしているわけですね。

 大臣も現場はごらんになっていると思いますけれども、ボーリング調査というのは、海上基地の滑走路に沿って六十三カ所も海底に穴をあけてやぐらを建てて、大がかりな工事ですよ。護岸構造の検討だとかなんとかといいますけれども、護岸と埋め立て本体は一体だということも言われてきているわけです。

 例えば、その工事をするために大きな船が停泊します。鉄のアンカーが、大きな鉄の塊が海底に投げ込まれる。海底が、一番大事にされなきゃいけないジュゴンの藻場、海草があるところに、そういう自然を荒らすような形でボーリング調査を今まさにやらんとしている。その事前の調査はもう始まっているわけですけれども、これは環境の破壊につながると大臣は考えませんか。

小池国務大臣 環境その他の詳細の面については、後ほど環境省の方からお答えをさせていただきますけれども、今、いろいろと御指摘がございました。

 環境保全というのは非常に重要なテーマでありまして、また、ジュゴンの保全、それも環境保全と一体となっているわけでございますけれども、政府の普天間飛行場の代替施設の建設については、地域の住民生活と自然環境に著しい影響を及ぼすことのないように最大限の努力を行うということが、平成十一年に閣議決定をされた政府方針になっているわけでございます。

 その意味で、環境影響評価の手続の中の審査、そしてまた、これは事業主体が防衛施設庁であるということは御承知のとおりでございますが、ここにしっかりと助言を行っていくということで、代替施設に円滑に流れていくということを推進していく必要があろうかと思っております。

 いずれにしましても、環境にとっても沖縄にとってもよい方向とは何ぞやという、狭いチョイスかもしれませんけれども、この両方を図っていくということが今必要なのではないかと考えるところでございます。

赤嶺委員 沖縄担当大臣として沖縄の環境の保全と沖縄の産業の発展が結びついている非常にいい位置にいらっしゃるから私は聞いたのでありまして、そういう点でいえば、ボーリング調査というのは環境アセスじゃないんですよ。環境アセスなしに始めたんですよ。しかも、あんな大々的な工事を海上でやる。これは環境破壊になるというぐあいに考えられませんか。どうですか、もう一度聞きますけれども。

小池国務大臣 これは環境手続の中で行われているものでございますので、環境省の方からお答えさせていただきます。

赤嶺委員 これは環境アセスの中で行われているものじゃないんです。環境アセスの方法書の対象にもなっていないんです。それでもやっているんですよ、防衛施設局は。そういうのは、沖縄担当大臣として、本当に見逃しておくんですか。

桜井政府参考人 ボーリング調査の関係でございます。

 普天間飛行場代替施設のボーリング調査につきましては、この代替施設の設計に先立ちまして、護岸構造の検討に必要な地盤強度などに関するデータの収集を目的として実施しているということでございまして、環境影響評価法におきまして今回のような行為は対象事業とはなされていないところでございます。

 しかしながら、私ども環境省といたしましては、調査の実施に伴います環境への影響を回避し、あるいはそれを低減するために、ジュゴン、藻場、あるいはサンゴ等への影響を含め、可能な限り環境への影響の少ない調査方法で作業が実施されるということが重要であると考えておりまして、最大限の環境への配慮を行うよう、防衛施設庁に対し助言を行っておるところでございます。

赤嶺委員 大臣、そうなんですよ。環境アセスの対象になっていないんですよ。それでも防衛施設局、やったんですよ。こんなひどいことをやっていて、沖縄の環境が本当に守られるのか。そのことについて環境省は助言を行ったと言うけれども、助言を行って、いろいろ専門家から聞きましたと言うけれども、その専門家の氏名も明らかにしていないのが防衛施設局のやり方ですよ。環境に著しい影響を与えないために最大限の努力を尽くしたとはとても言えないような実態が今沖縄で起こっているんです。

 それで、もう一つ伺いますけれども、これは環境省に最初に伺いますけれども、今、防衛施設局は、環境アセスの手続、方法書の手続に入っております。方法書というのは、私の理解するところでは、事業を行う側がその事業の内容や調査方法の情報を住民やあるいは専門家に提供して、それに基づいて環境情報をいろいろな方々から収集する、聴取して準備書に反映させる、そういう、いわば環境を守る上での設計図づくりの上で大変大事な手続だと思うのですが、その点は環境省はどんなふうに考えておりますか。

桜井政府参考人 環境影響評価制度におきます方法書の手続についてでございますが、これは、準備書の作成、提出前の事業者が環境影響評価にかかわります調査、予測を開始する際に、その時点で提供し得る事業に関する情報あるいは事業者が行おうとする調査、予測、評価に関する情報、これを事業者の方から提供しつつ、一方また、地方公共団体あるいは住民、専門家などから環境情報を収集して、準備書に反映するための意見聴取をする手続であるというふうに考えております。

荒井委員長 時間が過ぎていますので、短くお願いします。

赤嶺委員 情報の提供がかなめをなすんです。

 しかし、例えば航空機については、九七年に防衛施設局が名護市民に提供した説明書には詳しく書かれておりました。今度の方法書には、回転翼機ということで、機種も航空機も何も明らかにしていない。騒音の問題も飛行ルートの問題もあいまい。これでは、情報を提供して環境を守るという努力をやっているようにはとても見えないんですが、最後に、その点について小池大臣に、この御意見を聞いて質問を終わります。

小池国務大臣 環境影響評価については、地方公共団体、住民の方々、そして専門家の意見を踏まえて進めていくことが極めて重要だと思っております。

 そういう意味でも、普天間飛行場代替施設の建設については、地域の住民生活そして自然環境に著しい影響を及ぼすことのないように最大限の努力を行いつつ、その円滑な建設を進めるという政府方針に沿いましてみずからの役割を担っていきたい。また、環境の保全については、より厳しく、また、自然環境を生かす沖縄ということをいつも念頭に置いて仕事をしてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 終わります。

荒井委員長 次に、東門美津子さん。

東門委員 小池大臣には、朝に引き続いてまたよろしくお願いします。済みません。私、ちょっと声がかれていまして、選挙で頑張りましたので、失礼いたします。ちょっとお聞き苦しいかと思います。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、泡瀬埋立事業に関する意見書について御質問をさせていただきます。

 十一月二日付で大臣のもとに届いていると思いますが、環境監視委員会及び環境保全・創造委員会の委員有志が、中城湾港埋立事業海上工事再開及び環境監視委員会、環境保全・創造委員会の運営に関する意見、届いていますよね。お目通しいただいていると思います。そして、それと同時に、日本自然保護協会や日本野鳥の会、世界自然保護基金ジャパンの代表も同様の意見書を提出しております。

 それぞれの意見は、事業者と市民団体が実施した海草被度の調査方法や海草藻場の保全措置の検討や新たに発見された新種、日本新記録種などの保全措置の実効性の検討を求めて申し入れを行ったメンバーは、合同会議の開催、海上工事を中断しての合同委員会の開催も要望しています。

 大臣、委員会の有志の方々あるいは自然保護団体からの要望、この意見書、どのように受けとめておられるのか。これは異例のことだと思うのですよ。委員会の皆さんが、すべてではないけれども、一部の方であっても、この運営の仕方がおかしい、これではちゃんと十分な仕事がなされていないという思いを込めて書いた意見書を提出されたわけですね。そのことについて、大臣、どのように受けとめておられるか、お聞かせください。

小池国務大臣 この事業の実施につきましては、環境監視委員会とそして環境保全・創造検討委員会、この二つを設けて、それぞれで各分野の専門家の先生方に御議論いただいてきたわけでございます。そして、その結論をもとにして環境影響評価書によって必要とされた措置を講じているという、このような今流れとなっていると承知をいたしております。

 これまで、監視調査の方法であるとか、海草の移植、さらには藻場の生態系の保全、新たに発見された新しい種に対しての対応策などについては、その両方の委員会から御助言をいただいているところでございますし、また海草の被度の調査結果についても報告を行っておられます。

 これからも、この二つの委員会の指導助言に基づいて環境面への影響を最小限にとどめるように努力をしてまいりたいと思いますし、また、しっかりとその流れを見守っていきたいと思っております。

 今、最後に御質問ございましたけれども、委員会の運営の方法でございますけれども、それぞれの委員会の中で、まずは必要に応じて議論が行われるもの、このように承知をしております。

東門委員 合同委員会ということ、この環境監視委員会と環境保全・創造委員会を一緒にして委員会を行うということは、その依頼なんですね。それはいかがですか。大臣としてはそれはやるべきだとお思いではありませんか。

小池国務大臣 二つを一緒に合同でという意味ですか。(東門委員「はい、意見書はそれですよね」と呼ぶ)それについても、それぞれ運営の面でございますので、二つでお話しいただければと思います。

東門委員 担当大臣なんですよ。沖縄北方担当大臣なんです。泡瀬の干潟の直接の担当者なんですよ。それはおわかりですよね。

 環境監視委員会とここの委員会は別々に行われていまして、それがどのように運営されているか御存じですか。それぞれの委員会がすべてうまくいっているとお思いでしょうか。ここで報告されて、これはどうなっているんだと聞くと、もう一つの委員会でやっていますというのが事実なんです。では、もう一つの委員会でこれはどうなっていますかと言うと、別のでやっていますと。こういう形がたまらなくて、委員の皆さんは今回こういう意見書を提出しているんです。

 ちゃんと運営されていないということなんですよ。これは委員の皆さんの本当に怒りの声であり、これで、委員会に所属してこの問題に責任が持てる、私たちの意見はこうであるとは言えないんですよ。それを総合事務局は本当にやっていないんです。無視しているんです。反対の意見、これはだめだという意見が出たら、こういう意見はありましたと書くようです、私は見ていませんけれども。しかし、ここでは報告しない。同じことが行われる。

 ですから、本当に委員の皆さんが、どのように認識しておられるのか、環境問題に対してどうなのか、環境保全に対して。私は、合同委員会を一度は持って、本当に委員の皆さんが納得いくような形で審議してみるべきだと思いますが、いかがでしょうか。もう一度お願いします。

小池国務大臣 両委員会の先生方にもお諮りするべきだと思っております。

東門委員 ぜひ、両委員会の先生方、委員の皆さんにお諮りをして、実現するようにやってください。

 次の質問に移ります。

 ことしの四月の二十七日、中城湾港泡瀬地区環境保全・創造委員会のもとに新しい専門部会として、比屋根湿地・泡瀬地区海岸整備専門部会が設置されたようです。新たに設置された比屋根湿地・泡瀬地区海岸整備専門部会は何を議論する場なのでしょうか。設置の目的、意義についてお伺いしたい。そして、それが泡瀬の干潟の埋立事業とどういう関係があるのか、あわせてお伺いいたします。

東政府参考人 御答弁いたします。

 事業者が新たに設置しました海岸整備専門部会の目的でございますが、これは泡瀬地区の背後にあります比屋根湿地の保全に関しまして、悪影響を及ぼさないように関係機関と連携して万全の対策を講じることというような指摘がございました。これは沖縄県知事からでございます。そういうことを受けまして私ども内閣府といたしまして、十六年八月の二十七日、環境保全・創造検討委員会のもとにこの専門部会を設置いたしました。

 私たちは、この中で三つのことを検討するというふうに考えております。一つは、比屋根湿地整備の方向性、それから陸域からの汚濁負荷低減の方法、それから親水性に配慮した海岸整備の方法などについて検討するというものでございます。

 以上でございます。

東門委員 それはここまで来て初めて必要だとわかったことなんですか。何か、この専門部会を設けましょうというふうに取ってつけたように見えるんですね。これだけ泡瀬の干潟が、今反対の動きが多いことは皆さんよく御存じです。どういう意味で、理由も御存じです。それが道路をかなり隔ててここにある比屋根湿地までも影響するということは、泡瀬の干潟の工事は今すぐやめるべきです。これだけ大きな影響を与えるのであれば中断すべきです。大臣、ぜひそうしてください。ちゃんとそこが解明されるまで、比屋根湿地まで影響するということなんですね。ですから、そういうことであれば、泡瀬の干潟、それはすぐやめるべきです。私、環境委員会でもけさ泡瀬のことを聞きました。ここは沖縄北方ですけれども、ぜひ今中止すべきだ。まず中断をする、しばらく見きわめる、大臣として見きわめてから工事に入るということでいかがですか。

小池国務大臣 御意見として伺わせていただきます。

東門委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。

 もう一点、泡瀬の干潟なんですが、十月の二十二日に工事を再開したようです、海上工事。しばらく中断していました。台風があり、トカゲハゼの問題があり、いろいろあったようですが、そのときに総合事務局は、根拠となるべき手植え移植の状況だとか機械化移植の実験などについてはモニタリングを継続中だとして、結果を明らかにしないで工事を再開したようです。結果も出ないうちに工事再開。何のためのモニタリングなんでしょうか、何を見つけ出すためのモニタリングなのか、お聞かせください。

東政府参考人 お答えいたします。

 移植に当たりましての海草移植実験、それからモニタリング、その結果につきましては、本年十月五日に環境保全・創造委員会が開かれておりまして、それに報告をさせていただいております。

 そういう意味で、私どもはこの委員会の方に御報告をして、それで一つ一つ手続的に進めていっている、そういうことでございます。

東門委員 これは、専門家や委員の皆さんから出ているものなんですが、本当にこう書いてあるんですよ。工事着工の根拠となった移植による海草保全の結果はいまだモニタリング中として評価を下すことを拒んでいる、それなのに工事を再開する、納得できないという意見です。

 当然そうです。何のための調査なんですか。調査をちゃんと終えて、結果が出て、それからスタートするというのが手順じゃないんですか。いかがですか、大臣。

東政府参考人 海草の移植のモニタリングの結果につきましては、平成十四年九月の三十日の環境監視・検討委員会におきまして、手植え工法につきましては適応性が高いんじゃないかというような評価を受けまして、それに基づいてそういう作業をしているというものでございまして、今先生のお話のようなことというのは当たらないのではないかというふうに考えております。

東門委員 そうしたら、合同調査をしっかり行うべきですね。十二日に先駆けでやって十四日に後がやるんじゃなくて、もう一度どうですか、もう一度皆さんの方で合同調査をやりましょうと声をかけてやってください。どうですか。

東政府参考人 先ほど大臣から答弁がありましたとおり、委員会の中で議論されるべきだというふうに思っております。(発言する者あり)

東門委員 今、後ろからもありました。これは委員会のことじゃないんですよ。皆さんが委員会をうまく回しているだけの話で、実際にここで、もう一度合同調査を行います、みんなを納得させた上で工事を続行しますと。大臣、お願いします。

小池国務大臣 それぞれの専門の先生方が大変御熱心に御議論いただいて、そしてまた、さまざまな問題点も今浮き彫りになってきているわけでございます。それぞれの委員会でまず御議論いただくということが一点でございますけれども、それぞれの委員会で出てきている御意見などにも私もしっかりと耳を傾けていきたいと思っております。

東門委員 できることならば、大臣、本当に大きな問題なんです、泡瀬の干潟が失われるということは。けさも申し上げました、大臣みずから実際に手を突っ込んでやってくださいよ。大変なことになります、そのまま続けていくと。

 これは、内閣府の担当の皆さんも本当はそう思っていると思うのです。しかし、これは政治しかできない。ですから、大臣ならおできになる、ぜひやっていただきたいと思います。

 次、都市型戦闘訓練施設について伺います。

 金武町のキャンプ・ハンセン内で建設が進められている実弾射撃を伴う米陸軍都市型戦闘訓練施設についての質問でございます。

 金武町及び沖縄県は、同訓練施設の建設について、沖縄自動車道や住宅地に隣接していることなどを理由に反対しています。余りにも住宅地に近過ぎる。今までにも、過去に本当に多くの事件、事故があった。山火事があり、跳弾があり、流弾があり、負傷者が出た、そういうことが本当に枚挙にいとまがないほどたくさんあったわけですね。そういうことから、さらに近くなる、本当に通りから見える、それには反対をしているわけです。

 しかし、報道によれば、政府は民間地へ跳弾を避けるための新たな安全対策の追加措置を講じる方向で米側と協議しているとのことですが、協議の具体的内容はどのようなものなのでしょうか。

 また、同施設の建設費は米軍予算だが、追加措置で生じる工事費用の一部は那覇防衛施設局が負担するとのことですが、そのような費用負担は地位協定に基づく負担なのでしょうか、あるいは特別協定に基づくものなのでしょうか、それをお聞かせください。

 さらに、負担の必要性についても政府の御見解を伺いたいと思います。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ・ハンセン、レンジ4内に建設中の陸軍複合射撃訓練場に関しましては、これまで、累次の機会をとらえまして沖縄県、金武町、また伊芸区への説明に尽くしてきたところでございますが、地元は、これまでの流弾事故等の経緯を踏まえまして、今回米軍がとるとしている安全対策等に強い御懸念を示されまして、本訓練場建設の中止を求める運動が展開されているところでございます。

 かかる状況を踏まえまして、米軍がとるとしている安全対策につきましては一定の配慮がなされているものと考えておるわけでございますが、このような地元の方々の御懸念を少しでも軽減する方策はないものか、当庁として勉強しているところでございます。

 いずれにしましても、報道にあるように、米軍が設置する遮音壁をかさ上げし、その分の工事費について防衛施設局が負担するといったようなことは、現在、事実としてございません。したがいまして、米側との間で具体的な方策について協議を行っているということでもございません。

東門委員 そういうことはないということでした。それはそれとします。

 では、伺いますけれども、これだけじゃないんですね、沖縄はたくさん抱えていますから、しかし、これも同じなんです、都市型の訓練施設も。ぜひアメリカ側に申し入れてほしいと伊芸区の皆さんは本当に心の底から願っているんです。それは県知事も理解している、金武町長も同じ、だったら沖縄県民みんな一緒なんですよ。この工事はもうやめさせてくれ、危険過ぎると。

 ということであれば、今までに政府が米軍に、沖縄県民の立場に立って、伊芸区民の立場に立って建設中止を申し入れたということがございますか、お聞かせください。

海老原政府参考人 これはたびたび御答弁申し上げていますけれども、日米地位協定上の関係を申し上げれば、米軍は施設・区域内におきまして自己の管理権を有しているわけでございまして、今回の施設は、この管理権に基づきまして、米国の予算によります建設ということでございます。

 ただ、米軍が施設・区域を使用するに当たりましては我が国の公共の安全に妥当な考慮を払うということが地位協定にも書いてございますし、また当然のことでございます。

 かかる観点から、我が方としては、安全策については万全を期すようにということはたびたび米側にも申し入れをしているところでございまして、米側も、東門委員も二月に現地に行かれてごらんになっておられますけれども、いろいろな形でその安全対策をとりまして、少しでも地元の方々の御不安を解消しようという努力をしております。

 さらに、我が方としては、本件施設の中止というようなことは地位協定上もできないわけでございますけれども、安全対策についてはさらに万全を期すように何ができるのか、引き続き米側に申し入れをしていきたいというふうに考えております。

東門委員 これまで長年安全対策を申し入れるとおっしゃってこられて、何も役に立っていない、何もあらわれていないというのが現状なんですよ。何にも功を奏していないということですね、言葉だけで。だから、むしろ私たちとしては、県民の立場に立ってこの建設は中止してほしいと一度でも申し入れたということがあるなら、まだそれは評価しますよ。何にもする気がないということに、腹立たしいというのか情けないというのか、そういう気持ちですね。

 最後の質問です。

 沖縄県宜野湾市の伊波洋一市長は、去る十一月の四日、米連邦議会の海外基地見直し委員会アル・コーネラ委員長に対して、普天間飛行場の早期閉鎖と沖縄の基地負担軽減を求める証言書を郵送いたしました。

 同委員会の任務は、二〇〇五年八月十五日までに在外米軍の閉鎖基地リストをつくり、ブッシュ大統領に提言することとされています。

 同証言書の冒頭で述べられているように、これまで、沖縄の米軍基地に関して、沖縄の自治体が直接に米国議会に設置した委員会に証言もしくは証言書面を提出したことはありません。この証言書は、米連邦議会における公聴会で正式に取り上げられ、出席者の証言と同じ扱いになります。したがって、沖縄の地元住民の声が、日本の外務省や米軍関係者が介在しない、まさに生の声として連邦議会で公にされることとなることから、長い沖縄の基地の問題の歴史の中でその意義は画期的なものであると考えます。

 また、稲嶺沖縄県知事も同委員会の公聴会出席を求めておられるなど、沖縄の地元自治体の米国議会に対する働きかけが活発化しています。

 なぜ今このときに伊波市長はいわば米国議会への直訴とも言えるような行動に踏み切られたのでしょうか。外務大臣、この証言書提出をどのように受けとめておられますか。

町村国務大臣 これは、宜野湾市として普天間飛行場の早期返還を求めたいという市民の多くの方々の気持ちのあらわれだろうと受けとめております。

東門委員 その宜野湾市長の思い、宜野湾市民の思いに対して、外務大臣として、アメリカ側に、その証言書に対して外側からサポートしていく、バックアップしていくということはできないでしょうか。

町村国務大臣 私ども政府としては、そういう思いを受けとめてSACO及びそれに基づくネットの措置としての辺野古沖への展開ということを今鋭意進めているわけであります。

東門委員 SACO、SACO、SACOといつもおっしゃいますけれども、SACO、必ず辺野古とのセットですか、普天間は。セットでなければいけないということなんでしょうか。

 もう一度外務大臣に伺います。

 普天間飛行場の早期閉鎖というのが私たちの思いです。そして、辺野古への新たな基地の建設は負担の軽減には絶対になり得ない。余りにも豊か過ぎます、余りにも私たちかけがえのない海を失うということは無理です。そういうことからして、今の大臣の答弁を伺っていると、セットでなければ絶対にだめだということなんでしょうか。また次に質問します。これだけを伺って終わりにしたいと思います。

荒井委員長 時間が終了していますので、これで最後の質問にしてください。

町村国務大臣 これは、もう既に確立した政府の方針でございます。

東門委員 終わります。

荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十一分散会


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