衆議院

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第4号 平成17年3月15日(火曜日)

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平成十七年三月十五日(火曜日)

    午後三時十二分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 尾身 幸次君 理事 北村 直人君

   理事 小西  理君 理事 西銘恒三郎君

   理事 今野  東君 理事 武山百合子君

   理事 中津川博郷君 理事 白保 台一君

      井上 信治君    小渕 優子君

      坂本 哲志君    寺田  稔君

      中村正三郎君    西野あきら君

      宮腰 光寛君    宮路 和明君

      山下 貴史君    川内 博史君

      仲野 博子君    鳩山由紀夫君

      若泉 征三君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幸秀君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  東  良信君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳永  保君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 桜井 康好君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  後藤 茂之君     寺田  稔君

  金田 誠一君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  稔君     後藤 茂之君

  川内 博史君     金田 誠一君

    ―――――――――――――

三月十四日

 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法案(内閣提出第一八号)

 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法案(内閣提出第一八号)

 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法案及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。小池沖縄及び北方対策担当大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法案

 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小池国務大臣 初めに、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法案につきまして御説明を申し上げます。

 沖縄振興については、自立型経済の構築等を目指し、沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画に基づき事業を推進しているところであります。この沖縄振興計画では、二十一世紀の沖縄の振興のみならず世界の科学技術の発展にも貢献することを目指し、世界に開かれた、我が国の大学のあり方のモデルとなるような、世界最高水準の自然科学系の大学院大学を核として、科学技術の集積を図ることとされております。この大学院大学のあり方について、ノーベル賞受賞者を中心とした国内外の著名な科学者により検討が行われてきましたが、このたび、こうした検討結果を踏まえ、この大学院大学の開学を目指し沖縄における研究基盤の整備等を進める主体となる独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構を設立することとし、そのための所要の措置を講ずるため、ここに本法律案を提出申し上げる次第であります。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 本法律案は、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構を設立することとし、その名称、目的、業務の範囲等を定めるものです。

 この機構の目的及び業務は、大学院大学の設置の準備とあわせて、沖縄を拠点とする国際的に卓越した科学技術に関する研究開発などを推進することにより、沖縄における研究基盤の整備を図り、もって沖縄の自立的発展及び世界の科学技術の発展に寄与することとしております。

 機構には、理事長、理事等の役員を置くとともに、機構に係る重要事項を審議し、理事長の任命に関し内閣総理大臣に意見を述べる機関として運営委員会を置くこととしております。

 将来、大学院大学が設置されたときは、別に法律で定めるところにより、機構はその業務を大学院大学に引き継いで解散することとするなど、所要の規定を設けております。

 続きまして、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。

 沖縄振興については、自立型経済の構築等を目指し、沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画に基づき、各種の産業振興等を図るとともに社会資本の充実等基盤整備のための特別措置を講じているところであります。国及び地方公共団体を通じた財政改革のための国の補助金等の整理及び合理化が進められる中、沖縄の置かれた特殊な諸事情を踏まえ、沖縄振興計画の推進に支障が生ずることのないよう、国が交付する交付金額の算定に係る特例を定めるとともに沖縄に対する特別の交付金制度の創設等所要の措置を講ずる必要があるため、ここに本法律案を提出申し上げる次第であります。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一は、補助率のかさ上げ措置のある国の補助金等が交付金化される場合において、交付金の額の算定に関し特例措置を講じるものであります。

 沖縄振興特別措置法別表に掲げるもので政令で定める事業に要する経費に充てるため、政令で定める交付金を交付する場合においては、同法の規定の適用による補助率のかさ上げ措置を参酌して、交付金の額を算定することといたします。

 第二は、補助率のかさ上げ措置のある国の補助金等が廃止される場合において、かさ上げ措置の趣旨を踏まえ特別の交付金を創設するものであります。

 沖縄県知事が、廃止される補助事業に係る沖縄振興特定事業計画を作成し、その計画に基づく事業に充てるため、新たに自由度の高い特別の交付金制度を創設することといたします。

 以上が、これら二法案の提案理由及び概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いいたします。

荒井委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官林幸秀君、内閣府政策統括官武田宗高君、内閣府沖縄振興局長東良信君、外務省北米局長河相周夫君、財務省主計局次長松元崇君、文部科学省大臣官房審議官徳永保君、環境省大臣官房審議官桜井康好君、環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野東君。

今野委員 民主党の今野東でございます。

 きょうは、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法案それから沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案についてお尋ねをするわけなんですけれども、小池大臣にも御出席をいただきまして、何か伺うところによりますと、あした環境サミットにお出かけになるそうで、大変お忙しいスケジュールになりますけれども、どうぞお体に気をつけて、お疲れのないように行ってきていただきたいと思います。

 その環境サミットにお出かけになるについて、野党が反対したから出かけられないというふうにおっしゃったと伺っておりますが、真偽のほどはいかがでしょうか。

小池国務大臣 そのことについては述べておりません。

今野委員 野党にはそのように伝わってきているのですけれども、それはどういうふうに誤解をおっしゃったのですか。

小池国務大臣 どのように伝わったか、私本人は承知をいたしておりません。

今野委員 いえ、どのようにおっしゃったんでしょうということですね。

小池国務大臣 環境サミットではなくてG8の方でございますけれども、今さまざまな、今回のG8に出張する際に、なかなか困難な状況もあるということで申し上げた次第でございます。

 なお、それにつけ加えまして、立派な副大臣もおるわけでございまして、また、副大臣制度、政務官制度、この創設ということに私自身長くかかわっておりましたもので、せっかく新しい制度をつくったわけでございますから、国会改革の原点といたしまして、その原点をもう一度見直す必要があるのではないだろうかという旨のことを申し上げただけでございまして、野党云々について、一言も申し上げておりません。

 それは報道がそうされたのかもしれませんけれども、それについては、私がとやかく言うと、まさに政治介入になってしまうのではないかと思っております。

 そのように誤解されたことは大変残念に思いますけれども、いずれにいたしましても、委員長を初め委員の皆様方の深い御理解と御協力をもって、今夕、出発が可能となったことに対して、深く御礼を申し上げたいと思います。

今野委員 そういうふうにおっしゃったのに、なぜ野党が反対したというふうに伝わってしまうか、本当にマスコミはいけませんね。曲げて報道したとすれば、反省をしてもらわなければいけません。

 さて、それでは中身に入りたいと思いますが、きょう議題になっている二法案、これらはいずれも、基地の問題等沖縄に国として過重な負担をかけているというところから、何とか自立した振興策を実施して、とにかく沖縄に元気になってもらいたいというところからスタートをしている案件であろうと思います。

 そこで、沖縄の負担となっている米軍普天間飛行場の辺野古沖への移設計画についてお尋ねしておきたいと思います。

 小泉首相が、先月十六日でしたか、外務省と防衛庁のそれぞれの局長に対して辺野古沖への移設計画について見直しの指示をしていたと報道されておりますけれども、大臣は小泉総理からそういうお話は聞いていらっしゃいますか。

小池国務大臣 先ほどの報道の問題に戻るのではないかと思いますが、私は一切お聞きをいたしておりませんし、またそういった事実はないというふうに伺っております。

今野委員 そうすると、辺野古沖への移設は今後も大臣としては積極的に推進をしていくというお考えですか。

小池国務大臣 積極か消極かにかかわらず、普天間飛行場に関しましては、SACOの最終報告について、2プラス2でその着実な実施が在日米軍の安定的な駐留のために重要であるという旨が確認をされたところでありまして、これには普天間飛行場の移設、返還も当然に含まれるという認識に立つものでございます。

 いずれにいたしましても、在日米軍の兵力の構成見直しの議論の中でSACO最終報告の内容と接点が出てくる可能性は排除されませんけれども、現時点で何ら具体的には決まっていないものでございます。

 また、これからの米軍再編等々の動きに関しましては、注意深く見守ってまいりたい、このように考えているところでございます。

今野委員 私どもとしてはこの辺野古沖への移設には反対をしておりまして、沖縄の方々の一時は八〇%以上もの方が移設に反対をしているという状況もあります。そのあたりも十分お考えいただいて、これ以上の負担は沖縄に押しつけないように、そういう方向で行くべきだと思います。

 それから、そういうものの中で、泡瀬干潟の埋立事業というのもあります。一つ、基地があって見返りという意味もあるのでしょうけれども、沖縄にはさまざまな公共事業が行われました。そして、その公共事業の一つ一つが、果たしてそれぞれが沖縄の自立発展のために役に立っているんだろうか、ただいたずらにその環境を破壊しただけなのではないかというような事業も見受けられるわけであります。

 私は、昨年の十二月、沖縄に行きまして、そして辺野古を見、そして泡瀬干潟へも参りました。日本列島の海草というのは十六種あるんだそうですけれども、泡瀬干潟にはそのうちの八種類があるんだそうですね。例えば、マリモを小さくしたようなクビレミドロなどというものがあって、これら八種類の海草がジュゴンのえさにもなっている。ジュゴンのえさにもなっているんですから、当然そこにジュゴンも来るわけです。それから、るり色の体が大変美しいミナミコメツキガニとか、トカゲハゼとか、それから貝類が百八十種類以上もいるという、あそこはまさに豊かな植生、貴重な生物たちの宝庫であります。

 そういうところを埋め立てることになる特別自由貿易地域振興事業、これは今どういう状況になっているんでしょうか。

武田政府参考人 特別自由貿易地域でございますけれども、これは、中城湾振興地区の埋立地に特別自由貿易地域を設けまして、各種優遇措置を講じておるところでございます。

 これは、沖縄におきます企業立地を促進し、新たな雇用の場の創出と産業の振興を図ることを目的に設けておるものでございます。これがインセンティブとなりまして、例えば平成十六年現在で、特別自由貿易地域におきまして、進出企業十一社、二百十人の雇用創出が図られておるところでございます。

今野委員 企業十一社ということですけれども、これは当初の目的どおりですか。

武田政府参考人 実は、特別自由貿易地域につきましては、国内企業の海外投資、海外移転が進む中で、その企業誘致に努めてきておるところでございます。

 この特別自由貿易地域につきましては、分譲とそれから賃貸工場がございますけれども、分譲が三社、それから賃貸工場につきましては八棟の入居が進んでおります。ただ、賃貸工場につきましては、現在十八棟が整備されておりまして、今年度も三棟を追加整備中ということでございますので、正直申しまして、まだ全部埋まっている状況にはない。ただ、近々数社入居予定というふうに県の方からは伺っておるところでございます。

今野委員 今の答弁にありましたように、大臣、分譲は三社しかないんです。全くこれは目的から外れているわけです。

 私、行ってみましたけれども、私が行った時点では、泡瀬干潟の埋立地のところには、まだはっきりしないけれども一社だけというような話も聞きました。それではあそこの埋め立てを何にするか、慌てて市が予定をつくったりしているようですけれども、ああいう干潟をそのまま残しておく、あるいは守るということ。熱帯雨林とともに、サンゴなどが地球温暖化の原因になっている大気中の二酸化炭素を取り込んで温暖化を抑制する効果があるということも言われておりまして、あそこの埋立事業というのは、今一期を行っているところですけれども、一期埋立予定終了の時点で、大臣、これは見直したらどうでしょうか。これだけ企業が入ってこない、予算だけが使われる。お考えはどうでしょうか。

小池国務大臣 お尋ねの、二期と申しましょうか、第二区域でございますけれども、確認作業の結果の中でも、今後の社会経済情勢の動向を踏まえつつ、需要をよく検討すること、このようにされております。よって、第一区域の進捗状況なども踏まえながら、今後改めて検討していく、このような位置づけとなっております。

今野委員 ということは、二期の工事は取りやめになる可能性もあるということですか。

小池国務大臣 今申し上げましたように、社会経済情勢の動向を踏まえつつ、需要をよく検討していくということでございます。

今野委員 動向によってはやめるということですか。

小池国務大臣 これからうまく運ぶように、現地、そしてまた県、さらには国、一体となってその振興に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

今野委員 大臣の、うまく運ぶというのはどういうことですか。

小池国務大臣 それは、これまで一期工事をやってきたわけでございますから、そこが十分に活用されるということは、さらにそこに大きなまたマーケットもできるわけでございます。ですから、日本というのは、一つそこで成功する企業があればまた次も出てくるというようなこともございますので、そういった知恵を働かせてやっていく、このように考えております。

今野委員 一期の工事が終わったところでぜひ見直していただいて、またこの問題はちょっと後で触れますけれども、あれ以上の埋め立てをすることはぜひお考えいただいて、勇気ある決断をしていただきたいと思います。

 さて、この独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法案ですけれども、これはもちろん、沖縄に科学技術大学院大学をつくろうという事案ですね。沖縄県も大変望んでいるということで、県民の皆さんにどれだけ要求が広がっているかわかりませんけれども、少なくとも県は一生懸命でありまして、二〇〇四年の三月には、高校生たちをパネリストにして県民フォーラムなんかも開いております。

 そのときの稲嶺知事のあいさつなんですが、こういうことをおっしゃっているんですね。沖縄に自然科学系の大学をという話は南部で構想があって、私もそれに参加したことがあるんですけれども、うまく進まなかったんです、そこに、突如降ってわいたように、沖縄に世界的な大学院大学、ベスト・イン・ザ・ワールドの大学をつくろうという構想が出たんですというふうにあいさつをしています。突如降ってわいたように。降ってわいたんですよ、これは。

 この大学院大学構想の経緯を、この際、お話しいただきたいと思います。

小池国務大臣 この構想が提唱された時点というのは、沖縄が復帰後三十周年をその次の年に迎える、そういった節目でございまして、平成十三年でございました。社会資本の整備において本土との格差が縮小したと言われますけれども、県民の所得水準そして失業率などに見られるまだまだ大きな課題を抱えている、そしてそれらを解決するために新たな振興政策の検討が行われていた、そういう時期でございます。

 今後の振興策の柱として、本土との格差の是正から沖縄の自立的な経済発展へとシフトしていくということがうたわれたわけでございまして、平成十四年に現行の沖縄振興特別措置法が制定をされたわけでございます。つまり、コンセプトを変えた。ただ追いつくということではなくて、沖縄自身の自立的な経済発展を目指すということでございます。

 この大学院大学の構想でございますけれども、沖縄の自立的な経済発展を達成するために、科学技術を基盤とした知識集約型の産業を振興することが重要だということでございまして、そのためには国際的に卓越した研究を行う大学院大学を設立することが最も有効であるといった観点に立つものでございます。

 むしろ、これまでなかなかうまく進まなかったと知事のお言葉にあったと先ほどおっしゃいますけれども、しかしながら、そういった観点から、沖縄振興特別措置法の中で第八十五条第二項に位置づけられて、そして強力にこれを進めていくということになったわけでございまして、そこに至るまでには多くの方々の尽力があったということでございます。

今野委員 そのおっしゃる自立的経済発展なんですが、この科学技術大学院大学の概要を見てみますと、教育研究分野では、「生命システムを中心的な課題とし、生物学、物理学、化学、コンピューティング、ナノテクノロジーなどを融合した領域」とあって、目的の一つに、「沖縄をアジア・太平洋地域の先端的頭脳集積地域として発展させ、その経済的自立を図る」というふうにあります。

 こういうふうに書かれて、あるいは自立的発展のためなんですと説明されても、どうも、それがなぜ沖縄の自立発展につながっていくのかというところがわからないんですね、イメージがかきにくいんですね。

 これはどういうふうにつながっていくのか、ぜひお話しいただきたいと思います。

小池国務大臣 この大学院大学の方では、これまでのいろいろな学問分野、それぞれ独立したものがございますけれども、今、学際的な研究なども非常に世界各国では進んでおります。むしろそういったことで、既存の学問分野を融合した先端的な領域に重点を置くということによって世界最高水準の研究を行っていく、そのための大学院大学でございます。

 こういった融合領域の研究というのは、新技術の基となる革新的な成果を生み出し得るものとして注目をされているところでございます。こういった研究を行います大学院大学を核といたしまして、企業の研究所や、またベンチャー企業が周囲に進出いたし、そして知的産業クラスターが形成されることで、沖縄における先端産業の創出や、ひいては沖縄経済の発展に寄与するもの、このように考えているところでございます。

 ことし一月、私自身、ボード・オブ・ガバナーズの会合で、サンフランシスコで行われました会議にも行ってまいりました。その際にスタンフォード大学へ久しぶりに行ってみたんですけれども、そこでもやはり融合という形で新しいコンプレックスができており、また、スタンフォード大学でいわゆる幹細胞の、今、特にベンチャーの分野では大変注目されている研究でございますけれども、ですから、今ベンチャーの投資家に幹細胞と言ったら、それだけでもうお金を出しますなんという人があらわれるような、大変人気の分野でございます。

 今それがはやっているからそこというわけではありませんけれども、やはり沖縄でそういった大学院大学をつくることによって、あのスタンフォードの町は、御存じだと思いますけれども、周辺のパロアルトの地域なども、本当にそこに世界じゅうから知識を持った学生、研究者たちが集まって、町は静かではありますけれども、そこからいろいろなまた技術が生まれてくる、企業が生まれてくるといったようなところも世界にはあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、大学院大学に集まります優秀な研究者そして学生が沖縄の方々と交流を深めていただくことによって、沖縄の将来を担う人材の育成にも資するという効果も期待ができるところでございますし、また、沖縄振興計画におきましても、二十一世紀の社会経済を発展させる大きな原動力となる、科学技術の振興の核となるところといたしまして、今回のこの大学院大学、沖縄科学技術大学院大学を位置づけしたところでございます。

 やはり、何かをやっていくときには、まずここの核の部分があって、そこからの広がりを期待していくというのをイメージしていただくとよりわかりやすいのではないかと思うところでございます。

今野委員 聞いていると、本当にこれはもう絶対失敗がなくて、うまくいくんだと、いいことだらけなわけですけれども、スタンフォードにしても、これはやはり国家的なプロジェクトとして時間もかけてやっているわけであります。

 沖縄の将来を担う人材といっても、沖縄の学生たちが入る枠も知事が当初要らないと言っていたそうで、そういうこともありますし、入れないわけですね。入る枠を設けたらどうだと、この間副知事さんがいらっしゃったので聞いてみましたら、いや、沖縄はレベルが低いからこの大学には入れないんですということを副知事さんが堂々とおっしゃる。それで沖縄の将来を担う人材というのはどうやってここで教育されるんでしょうか、成長していくんでしょうか。

小池国務大臣 そんな最初からあきらめることは何もないんじゃないでしょうか、そうでしょう。

 この大学院大学は、世界最高水準の研究教育を行うということで、それにふさわしい優秀な研究者、学生を集めることが必須条件であるわけですけれども、また逆に、沖縄出身者に特別なアロケーションを設けるということはかえってよくないのではないか。かつて琉球大学だってそういう歴史を経て、今本当に琉球大学は沖縄県の学生たちが活発に勉強を重ねているわけでございまして、そういった意味で沖縄県知事も特別枠を設けることには反対ということを表明されたというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、そこに核をつくる、そしてまた、大学院大学という目標、そこが存在することで沖縄県内の若い人々が切磋琢磨して大学院大学を目指すということは、よりすぐれた科学者の育成につながるということも期待できるのではないかと考えております。つまり、科学技術の分野での宮里藍が出てくればいいわけですよね。そうすると、みんな沖縄の人も、では私も頑張ろうじゃないかと思う。

 こういう学問は、レベルが達しないからとかではなくて、より高い理想を目指すことによって、より研さんを積んでいくということで全体をより高い方向に持っていくことができるのではないかというふうに思っているところでございます。

今野委員 そういうことで、先行的に研究事業も行われているわけですけれども、理想は、ノーベル賞クラスの研究者に来てもらって、そしてその研究の環境も整えて、しっかりした知的成果を生み出してもらうんだということなんでしょうけれども、この大学院大学の研究者あるいは機関から出た知的成果というのはどういうふうに管理するんですか。

東政府参考人 お答えいたします。

 機構において生み出されました知的財産につきましては、沖縄における新産業創出などに円滑に結びつけることが必要であるということも考えておりますし、また、研究者の努力に十分配慮することも必要である。そのためには、やはり明確なルールをつくらなきゃいけないだろうというふうに考えております。

 御案内のとおり、第二期科学技術基本計画や総合科学技術会議におきましては、知的財産につきましては、価値を創出することが目的ということでございまして、原則、機関帰属として、機関一元管理とする方針が示されておるということでございます。機構におきましても、この方針に沿って知的財産管理のルールづくりがなされるものと考えておるところでございます。

 以上でございます。

今野委員 知的財産については一元管理するとおっしゃったんですね。

 私、これもこの間、牧野副知事がおいでになったときに聞いたんですよ。大学院大学から出る知的成果、知的財産について、国や県が利用できるように研究者と契約を結ぶんだと言うんですね。副知事さんはそういうことをおっしゃっているんですが、そうなんですか。

東政府参考人 副知事がどういうことをおっしゃったかということは、ちょっと私はよく存じ上げておりませんので、具体的に申し上げることはできませんけれども、研究者とその機関との間の関係でいえば、いろいろな報酬だとか、いわゆる発明報酬だとか言われるようなもの、そういうものにつきましては、契約だとかそういう形での処理はあるだろうというふうに思います。

 ただ、権限として、財産権がどうかということにつきましては、それは別の話というふうに考えております。

今野委員 私も、研究者やあるいは機関から出てきたものについて、特に研究者から、個人から出てきたような研究成果というのは管理が非常に難しいと思うんですよね。それで、そういうことを副知事さんはいとも簡単に、いや、それは外で利用されたりなんかできないように国や県が契約するんですということをおっしゃったので、僕は、そんなことはできるはずがないと思って、そのことを確認したかったんです。

 それでは、もちろん副知事がおっしゃったことを聞いていらっしゃらない。副知事がそういうふうに言ったことが、私の口から出たことが間違いないのであるとすれば、副知事さんの言っていることは間違いということですよね。認識が違っているんですよね、副知事さんはそう思っているとすれば。

東政府参考人 副知事がどういうふうに思っておっしゃったかわかりませんけれども、今先生がおっしゃったような形で出ていくとすれば、若干誤解があるのではないかというふうに思われます。

 ただ、こういうことは、例えば今、いわゆる大学なんかのTLOだとかそういうところでやっておられるそういう内容でございますので、私の想像するところでは、副知事はそういうTLO的な感覚で物事をおっしゃっていたのではないか。私と会話しているときにはそういうお話をしておられますので、今先生がおっしゃったことにつきましては、若干信じがたいということでございます。

 以上でございます。

今野委員 もちろん副知事が言ったことをここでどうこうというつもりはないんですけれども、その副知事さんがおっしゃったことから離れて、国や県が利用できるように研究者と契約を結ぶんだということではないということは今確認をさせていただきました。

 その場合、この大学院大学から出てきた知的財産が国やあるいは県のために使われなくて、外国のどこかの企業によってそれが利用されるというか使われて、その企業が成果を生むというようなことも当然あるわけですね。

東政府参考人 今先生がおっしゃいましたとおりの話は論理的にはあるんだろうというふうに思います。しかし、私たちの希望とすれば、それは、沖縄の地元または沖縄に誘致される企業、そういうところに使っていただきたいというふうに思っています。

 そういう意味で、TLO的な機関というものをここでつくって、そしてきちっとした対応を図っていくということも大切だろうというふうに思いますし、一方、この内容そのものが世界最高水準の技術、技能であれば、やはり世界的にも発信をするということも必要だろうというふうに思っております。

 以上です。

今野委員 そうなんですよ。論理的に可能だということは、論理的をつけなくても可能なんですね。

 今、ちょっと質問通告をしていないので、おわかりだったら教えていただければいいんですけれども、これを予算立てするのに、今回、十七年度五十数億ありますね。これは、これから毎年毎年国のお金がこの中に入っていくわけで、運営にどれぐらいかかるというふうに見ているんですか。

東政府参考人 毎年の運営費ということでございますけれども、やはり研究の内容それから規模、そういうもので違いますので、一概には言えないというふうに思っております。

 ただ、これをやる場合には、独立行政法人でございますので、中期計画相当がつくられます。その中で、どういう形でいけるのかということは、その段階でわかっていくんだろうというふうに思っております。

 以上です。

今野委員 将来のお金のことなので、大体どれぐらいということもなかなか言うのは難しいんだろうと思いますけれども、一つには、二百億ぐらいかかるんだという話がありますね、まあこれは話で、確定ではありませんけれども。

 これだけ莫大なお金が毎年毎年かかっていって、そして環境を整えて、研究者にとっては非常に快適な研究施設になって、そこから大変すばらしい世界的な発明やあるいは研究成果が出てきて、知的財産が出てきて、しかし、それは沖縄でも国内でも使われずに、どこかの外国の企業によって使われるということがあるとすれば、これはとんでもないことじゃないでしょうか。

 そこのところはしっかり管理する体制をつくらないと、我が国はお金だけ出して、そしてそれを利用できない、まんまと、トンビに油揚げじゃないけれども、何かくわえられて持っていかれてしまうということだってあるわけですよね。それを防ぐ手だてというのは何かありますか。

東政府参考人 今の、この大学院大学から出てきたいわゆる知的財産、これにつきましては、当然のことながら、この機構に所属させているわけでございまして、それにつきましては、例えばテナント料だとかそういう形での対応になろうというふうに思います。そういう意味では、私どもは、日本のお金または沖縄の地域のもの以外で仮にやったとしても、そこに例えば報酬だとかいわゆる使用料だとかそういうものが入ってくるわけでございますので、そういう意味では、普通のいろいろな企業のものだというふうに思っています。

 そういう意味で、知的財産のいわゆる防衛というのは各国でもやっているわけでございますので、同じような形で考えているというものでございます。

今野委員 多分、局長も専門家じゃないから、私もこういう権利関係のことも余り詳しくありませんのでわからないから、この議論を深めていくというのもなかなか大変なんですけれども、例えば、どこかの外国の企業がこうした知的財産を使って利益を上げている。しかし、今おっしゃると、その使用料的なものが入りますからと言うんだけれども、それは間違いないんですか、パテント料みたいなもので必ず入ってくると。

東政府参考人 当然のことながら、研究をした結果、そういうものは特許等々できちっとした、プロテクトした形をとりますので、そういう意味で申し上げているわけでありまして、だれでも自由に使っていいとか、そういう形にはならないというふうに考えております。これがいわゆる学術研究それから技術開発の常識だというふうに考えております。

今野委員 そうすると、特許というか、そういう権利が研究者個人に帰属するということはないんですか、この大学院大学の場合は。

東政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、総合科学技術会議なんかのいわゆる提言等々では、大学等の研究成果である知的財産については、これまでの個人帰属から機関帰属に速やかに移行し、機関一元管理を原則とした体制をやるべきだということが言われているわけでございます。

 そういう意味で、先ほど、機関いわゆる機構に一元管理をし、そして、当然のことながら、いわゆる特許だとか、そういういろいろなプロテクトをした上での権利として存在させるということでございます。それは、先ほど申し上げましたTLOもそういう形でやるわけでございますので、そういう形は、きちっとした形でこの大学院大学にもそういう部局、部門をつくって、プロテクトされた形で沖縄または日本を守る。これは世界の科学技術をやっているところの常識だというふうに考えております。

今野委員 機関に帰属するというのが世界の科学技術をやっているところの常識だといっても、すぐれた研究者が、自分の成果が機関に帰属するのでは嫌だから、そこの大学には、沖縄の科学技術大学院大学には行かないということもそれではあって、それはやむを得ないということなんですか。

東政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、全世界が、科学技術、大学等々でできた知的財産、それはいわゆる個人帰属という形にはなっていないというふうに思います。ですから、そういう意味では、競争は同じ形で競争ができるんだというふうに思っております。

今野委員 デリケートな問題ですので、この大学院大学を進めていくとすると、機関に帰属するようになっているんだということは決まっているようですが、こういうことの専門家もぜひこの中に入れて、情報もたくさん持っていなきゃいけませんし、そして運営するということを一つこの部分については提案しておきたいと思います。

 先ほどの目的のところにも、科学技術をやっていくんだということで、そういう県民フォーラム等も開かれているようですけれども、私は、沖縄の特性を生かした、環境あるいは観光学、安全保障、そういったものに関連した研究分野があって、そうした分野での国際的認知度の高い大学院大学ということであるならば、さっきの泡瀬干潟のように、沖縄みずからがといいますか、国の政策でやむを得ず世界に誇るべき環境が破壊されていっているという例もあって、そして、そのことに後で気がついて復活させたいということもあるわけですね。泡瀬干潟では海草を植えかえるなんということもテストとしてやってみて、結局はうまくいっていないようですけれども、そういうこともあって、環境を守るためにはどうしたらいいのかと。

 これはひとつ、日本のためだけに役立てるのではなくて、世界の中でそういうことが起きたときに、ここの大学から出た研究の成果によって環境が回復されるというようなことがあったら、これは沖縄に根差した大学らしいし、それから、基地もあって、安全保障に関連した研究分野というのはここがすぐれているんだという沖縄らしい大学院大学というのができたら賛成しやすいんだけれどもなと思うんですけれども、そういう項目、そういう分野については検討されなかったんですか。

東政府参考人 お答えいたします。

 検討の経緯の中ではいろいろな議論がなされたというふうに思います。ただ、先ほど大臣が御説明いたしましたとおり、自立型経済ということで、科学技術の振興で、技術革新による新たな産業創出、そのために一番いいのは何かということでなされたということでございます。

 しかしながら、この大学院大学の研究というものはそういう部分で固まるわけではございませんし、そういう意味でいえば、当面は、機構においては生命科学を中心とした研究になろうというふうに思います。ただ、この中で、今先生がおっしゃいました沖縄の環境特性等々について研究がなされるとするならば、そういうことも可能性の一つとしてはあるんだろうというふうに思います。

 しかし、これは、コアをつくった上で、発展の中でいろいろなことがなされていくんだろうというふうに思います。現に、例えば、ブレナー、学長候補者でございますけれども、海洋学をやったらいいかなというようなことも言われている部分でございますし、それから、沖縄に行かれたときに、琉球大学の医学部との交流だとかそういうこともやらなきゃいけないということを言っておられますので、検討の過程では、中心は、コアは生命科学でございますけれども、いろいろな発展可能性はあるんだろうというふうに思っています。ただ、これはひとえに機構のそういう運営にお任せすることだろうなということでございます。

 以上でございます。

今野委員 大臣、どうでしょうか。環境や観光学、安全保障に関連した沖縄らしい分野をここで研究するということを提案するというような考えはありませんか。

小池国務大臣 何度かボード・オブ・ガバナーズの皆様方にお会いさせていただきました。先生方はまさに全員ノーベル賞受賞者であられて、世界のそういった科学の動向については非常に身をもってお詳しい方ばかりでございます。

 これからこの大学院大学の研究については、国内外から招聘される優秀な研究者の自由な発想にゆだねられるべきもの、このように考えておりますし、また当面、機構においては、生命科学を中心として、既存の学問分野を融合した領域における先端的な研究を行っていくことが想定されているところでございます。そういった中で、沖縄における環境の特性に着目した研究が行われる可能性を排除するものではございません。

今野委員 ぜひ提案をしていっていただきたいと思います。とにかくそういう意味での材料はたくさんあるし、それから、残念ながら環境を破壊してしまった、そういう点からいえば失敗の例もあるし、材料はたくさんあるわけですから、ぜひこれをテーマとしてこの大学院大学で取り上げていって、環境という点については沖縄のあそこの科学技術大学院大学なんだと世界じゅうから言われるような、そういう分野をぜひここでやっていただきたいと思います。

 さて、そういう研究成果ですけれども、幾ら優秀な研究者を集めて、研究施設を整えて、金も出して、そういう環境を整えたとしても、成果が上がらなければどうにもならないわけですね。最近は大学で研究をしている方々もなかなか厳しくて、東北大学なんかは、教授と十年で契約をして、成果が上がらなければその時点でやめてもらうというような、ある意味、大変厳しい条件を出しているわけなんですが、研究成果が上がったかどうかというのをチェックするのはどういうふうになっているんですか。

東政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃいましたとおり、すぐれた研究機関というのをつくるということにつきましては、研究結果の評価というのは重要な役割を果たすというふうに考えておりまして、機構においても十分検討を行って、効果的かつ効率的な評価体制や方法を構築していくということを言っております。

 具体的なやり方は、近くボードにおいて議論されるということでございますけれども、現時点においては、外部の研究者を含めた中間評価だとか、そういうものが議論されているということでございます。

 それとともに、ここに法案になっておりますけれども、運営委員会においてもこういうものを毎年毎年チェックするというような形になっておりますし、現在、先行的研究事業がなされております。これもブレナー博士の方に年次報告みたいな形で提出をしておられて、チェックを受けられる。これは公表されるであろうと思いますので、皆さんそういう形でのチェックをさせていくということで、チェックについては厳しく、そして自由な発想で事後評価はきちっとやろう、こういう発想はこの機構にはあるということでございます。

 以上でございます。

今野委員 そういうチェックをぜひきちんとしてほしいということと、それから、成果が上がらない方については何らかの対応をすべきだということを申し上げておきたいと思います。

 それで、研究成果が地域産業とどういうふうにリンクして、うまくいっているのかいっていないのか。何しろ沖縄の自立発展が一つの大きなお皿というか目的なわけですから、それがなければこれは意味がないわけですね、ある意味、費用対効果が非常に悪いことになりますから。

 そこの、研究成果と地域産業とどうリンクしているかというチェック、これはどういうふうにやりますか。

東政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃいましたとおり、大学におきまして知的な財産が出てくる、それをいわゆる産学連携等々でいろいろな形で企業に結びつけていくということが必要だということでございます。

 その形のチェックをどうするかということでございますけれども、今のところは、そういうものにつきましては機構が考えようとしておりますし、それから沖縄県だとかそういうところとも連携をとりながらやっていくということでございますけれども、現在、地域産業との連携も重要だということを認識しておって、先ほど先生ちょっとおっしゃいましたけれども、沖縄県におきまして、例えば、先行的研究事業の研究者と、それから地元の研究機関の研究者または企業関係の研究者と交流会を開く、そしてネットワークをつくっていく、そういう形での取り組みも進めているということでございます。地元に対しての姿勢、それから研究成果をそういう地元の方に伝えるということについては、きちっとしたリンクをとろうという形で動いているということでございます。

 原則は先ほど申し上げたとおりでございまして、具体的には今まだ、こういう研究事業、昨年からスタートしたものですから、一年しかたっておりませんから、具体的な形では出ておりませんけれども、そういう形で今動かしているということでございます。

 以上でございます。

今野委員 しかし、ここまで進んできていると、チェックする方法についてまだ決まっていないというのではまずいと思うんですよ。どういうふうにチェックをして、どこにどういう形で公表していくかというのはちゃんと示されなければならないと思うのですが、それはいつまでに、どこでどういうふうに決まりますか。

東政府参考人 知的財産の沖縄振興への活用についてということでございます。

 知的産業クラスターが形成されて、沖縄の経済に還元されていくという形をとるのが必要でございますが、こういう形をとるという具体的な方法につきましては、今後、沖縄県と地元の関係者とよく相談をしてまいりたいと思います。

 しかしながら、機構が成立をいたしまして、実際に中期計画というものを立てるときには、そういうことも含めて検討していかなければならないというふうに思っております。

今野委員 つまり、チェックする方法も公表する方法も決まっていないと。やらなければいけないとは思っているけれども、決まっていないということですよね。

 チェックして、そして公表するということが決まっていないものについて、国が五十億も百億も出せるでしょうか。そこのところ、もうちょっとはっきりしないとまずいと思いますね。早急にそれはしなければいけないと思いますが、大臣、どうお考えですか。

小池国務大臣 今、担当局長の方からお答えをさせていただいたとおりでございます。チェックはもちろんしていかなければなりませんけれども、いずれにいたしましても、まず、こういった知的産業クラスターをしっかりと形成させていくということが必要であるというふうに思っております。

 それからまた、地域産業との連携の重要性も十分認識をいたしておりますので、そういった方向に沿うような形で進んでいくようにさせていただきたいと思っております。

今野委員 結局、局長がおっしゃったと同じことなんですけれども、やはり国のお金も相当入るわけですから、それを使った後どういうふうになるのかというのは、これは要するに、案の段階で、こういうふうにやります、こういうふうにチェックして、こういう項目があって、我が国には行政評価法というのもありますけれども、それに倣うか倣わないかは別として、国の制度としても、やはり国民の皆さんのお金を使うわけですから、どういうふうにチェックして、どういうふうに評価するかというのはあらかじめ決めるわけですよ、多額のお金を使うのですから。そういう点では、これは非常に未熟な計画だということが言えます。

 ここの部分をどのようにするか、もう一度大臣のお考えを伺います。ここをきちんとしないと、やはり国としてお金を出すというのはまずいんじゃないですかね。

荒井委員長 委員長より注意を促します。

 与党、野党の理事の方、現在、定数を満たしておりません。法案の審議をする過程で定数が満たされていないのは大変遺憾に思います。定数が満たされるように努力をしてください。

小池国務大臣 すぐれた研究機関をつくっていく、そしてそれによって産業クラスターを形成していく、そしてそれが沖縄振興そして自立型経済のきっかけとなっていく、起爆になっていくということでございまして、チェック機構ということについても、効果的、効率的な評価体制、方法を構築していく、このように考えております。

今野委員 それは、公表も含めて、ちゃんとつくっていくということを約束していただけますか。

小池国務大臣 そもそもこれは独立行政法人でございまして、それに定められたさまざまな公表制度などにのっとってつくられるものでございますから、当然そういった公表なども行われていくということでございます。

今野委員 ぜひそこのところはしっかりしないと、国がお金を出そうとしているわけですから、それについてどういう成果が上がっているか、どういうところに改めるべきところがあるのか、これは厳しくしていかなければいけないと思うのですね。それはもちろん研究の成果についてもそうですけれども、運営のあらゆる部分にあると思うんですが、ぜひそこのところ、きちんとつくっていただきたいと思います。

 さて、これは人事についてもそうなんですけれども、例えば、この構想のために尽力した人が理事長や学長になるなんということはありますか。

小池国務大臣 人事の件についてお尋ねだと思います。

 人事については、適正な手続によって行われるということにほかならないわけでございまして、また、今後の理事長でございますが、内外の著名な科学者などによって構成されます運営委員会の意見を聞くということで、透明性を確保しながら、よりふさわしい人物を任命されるように配慮がされているところでございます。ですから、これはきっちりと法案などにも明記をさせていただいているところでございます。

今野委員 そこのところもぜひきっちりやっていただきたいと思います。

 さて、沖縄について、科学技術大学院大学を設置するという事案が一つあって、ここで議論しているわけなんですけれども、これはやはり、沖縄が本当の意味で自立発展をしていくためにはどうしたらいいのかということがベースにあって、さまざまな事業というのが出てきているわけですね。

 しかし、平成十七年度の沖縄振興開発事業費を見てみますと、沖縄教育・文化振興事業費が百六億二千八百万円あります。前年度と比べて十七億五千三百万円の削減でありまして、しかも、これは公立学校の改築やあるいは新築に対する予算なんですね。

 それで、こういう大学をつくって、そしてさっきもちょっとお話が出ました、沖縄の特別の枠はつくらない方がいいんだ、理想に向かって一生懸命努力をしてもらう、あのすばらしい大学に入りたいという人が、沖縄の中でも全国でももちろんそうですけれども、世界じゅうから集まってくるという形がいいんだろう、そういう理想だと思うんですけれども、それはそれとして、しかし、沖縄の子供たちの学力アップというのも大事なんじゃないかと思うんですけれども、そのあたりは沖縄担当の大臣としてはどうお考えでしょうか。

小池国務大臣 今の御質問の趣旨がよくわかりませんが、繰り返してください。(今野委員「では、局長にかわって」と呼ぶ)

東政府参考人 お答えいたします。

 文教予算が減ったということでございますが、これは、沖縄の高専がことし終わりました。それで約四十億、約三十億ですか、国立高専が終わりまして、それだけのダウンが出てきたということでございます。一般公共費よりも三%ぐらいダウンした形で文教予算はつけているということでございます。

 以上でございます。

今野委員 一つプロジェクトがあると、どうしてもそこに目が行きがちですけれども、そういう通常しなければならない方策というのも忘れてはならないと僕は思います。

 同じく平成十七年度予算なんですが、さっきの泡瀬干潟もあるんですが、基本政策企画立案等経費の特別自由貿易地域振興事業の経費、これは五億ちょっとあったと思うんですが、十七年度は二千四百万円になりました。これは、さっきもお話が出ましたが、工場施設を建てて企業に入ってもらおうとした事業が不調だったからなわけですよね。産学官の、先ほどからしきりに出てきている知的クラスター、この形成を促すのであるとすれば、産の誘致には、学はこれからやろうとしている大学院大学ですけれども、産学の産の誘致には失敗しているわけですね。

 この産と学のアンバランスな中で、新しい産業の創出あるいは既存の産業の高度化、市場競争力の向上、この大学から仮に出てきた知的財産をこういうところで、産業のところで利用するとしても、まずとにかく企業がない。新しい産業の創出、既存の産業の高度化、市場競争力の向上、どうやったってこれはできないんじゃないですかね。

 この産と学のバランスの悪さというのはどういうふうに整えていくんですか。

武田政府参考人 まず、事実関係からちょっと御説明をさせていただきます。

 特別自由貿易地域振興事業でございますが、昨年度五億一千百万、それに対しまして、十七年度は二千四百万でございます。

 これは、先ほどちょっと申しましたけれども、賃貸工場の建設をずっとしてきたわけでございまして、十六年も三棟整備を今行っておるところでございます。これにつきましては、現在整備中のものも含めまして二十一棟ございますけれども、現在入居済みが八棟にとどまっているということでございまして、今後新たに数社入居予定というふうに聞いております。

 そういった状況も踏まえまして、施設に余裕が生じているということで、来年度におきましては、賃貸工場の整備を見送って、この二千四百万を使いまして、投資環境の改善に向けたいろいろな検討を行うとか、あるいは企業誘致施策の評価とか、あるいは国内外の企業立地動向調査を行うということにいたしておるわけでございます。

 また、本事業に加えまして、沖縄県の企業誘致活動を支援すべく、経済特区制度の広報強化といったことにも取り組んできておりまして、県の方でも賃貸工場の賃貸料の引き下げ等の投資環境の改善に向けた取り組みを行うということでございますので、連携してまいりたいと思っております。

 それからもう一点、御案内と思いますけれども、先ほど来、知的クラスターのお話が出ておりますが、自由貿易地域について申しますと、これはどちらかといいますと、研究機関とかそういったものではなくて、いわゆる加工貿易型の製造業の誘致というための制度でございますので、その点つけ加えさせていただきます。

今野委員 そうすると、科学技術大学院大学の成果とここに来る企業は関係ないということですか。

武田政府参考人 将来的に全く関係ないとかそういうことではございませんが、ここで主として念頭に置いておりますのは、いわゆる製造業、特に加工貿易型の港湾施設を利用した製造業を当面予定いたしております。

 そういう意味では、大学院大学を中心とした知的クラスター、もちろんどんどんいろいろな形で広がっていき、またその波及効果も及んでいくものと思いますけれども、まずは大学を中心としたもろもろの研究機関等の集積から、それを活用したベンチャーという形で広がっていくということでございますので、制度の趣旨としては、先ほど申しましたように、自由貿易地域につきましては、そういった製造業を念頭に置いたものであるということでございます。

今野委員 もう一回確認したい。その科学技術大学院大学とこれは関係ないのですか。つまり、成果なんか利用できませんということですか、これは。

武田政府参考人 関係ないと申し上げているのではございませんで、この制度が設けられた趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、加工貿易型の産業の誘致ということで設けられたわけでございます。

 それから、今回、大学院大学を中心とした知的クラスター、知的産業クラスターというものにつきましては、大学院大学におきます研究、こういったものをベースにした、その波及効果としての産業への波及といったものを想定しておるということでございます。

小池国務大臣 多分、お尋ねの件はタイムスパンが違うと思います。現在、沖縄で加工貿易、加工技術などのそういったための企業立地などの促進をしているという現在進行形の部分と、それから、科学技術大学院大学は、これから独法をつくって、そして主任研究員などを踏まえてということで、これはかなり息の長いスパンでございまして、電子レンジに入れてチンとしたらすぐすばらしい科学技術ができてきたら、もうそれにこしたことはないんですけれども、やはり息が長く、そしてなおかつ世界最高水準を目指していくということでございます。

 ですから、これは全然関係ないじゃないかと言われましても、こちらでもそういった、これまでの自由貿易地域制度などを活用して沖縄の振興を現在進行形でやっていくということと、それから将来に備えて科学技術大学院大学という芽をそこで育てていくということでございますので、これは同時並行に進んでいっても何らおかしいものではないし、整合性がとれていないとも私は思っておりません。

今野委員 いや、そうですよ。シリコンバレーだって、五十年だったかな、かかっているわけだから、次元が違うとかの話じゃないですよ、これは。その受け皿のあらゆる産業を育てておいて、そこで利用するようにしておかなきゃいけないじゃないですか。これは加工業だからいいんですとかいう話じゃ全然ないんじゃないですか。

 早目に、十年前、二十年前に企業誘致をしておいて、そこで稼いでおいてもらって、一方では、科学技術大学院大学から出てきている成果を、あるいはそこの会社の人と一緒に研究をして、そういうことを考えているんじゃないんですか。そうでしょう。だけれども、大学院大学と違うから、だから企業はここへ入らなくてもいいみたいな言い方を、そんなふうに聞こえるんですけれども、違いますか。

武田政府参考人 ただいま大臣からも答弁申し上げましたように、そういう意味で、この特別自由貿易地域につきましては、もう既に制度がスタートをし、企業が立地を見ておる事業でございますけれども、今後ともこれを拡充していく必要があるというように考えておるところでございます。

 そういった中で、将来的に、大学院大学を中心とする知的産業クラスターというものの一つの活用事例として、例えば自由貿易地域でそういったものが産業化されていくというケースももちろんあるわけでございます。

 いずれにしましても、関係ないからこちらはもう立地しなくていいんだとかそういうことを申し上げているのではございませんで、ただ、制度ができたときの経緯を別途申し上げたということでございます。

今野委員 ですから、趣旨は、加工して、そして貿易を大いにしてもらうんだということだったかもしれませんけれども、あらゆるところにそれを利用してもらえるような、手を広げておかなきゃ、それこそ沖縄の自立的な発展になんかつながらないじゃないですか、そういう見方をしていたら。

 しかも、ここは八社が賃貸、分譲は三社しか入っていない。だから、もう予算をつけるのをやめて、調査費だけの二千四百万にしたんでしょう。つまり、受け皿ができていないんですよ、大臣。大学ができたって、ではどこが利用するんですか、そんなことを言っていたら。しかも、何か目的が違うみたいなことを言ったら。

 これはどこでどういうふうに利用するんですか。

武田政府参考人 特別自由貿易地域におきまして、確かにおっしゃいますように、他の都道府県と比べますと、まだ沖縄は企業進出が十分見られる県のうちに入るとは思いますけれども、しかし、そうはいいながら、当初想定したとおり企業が満杯になっているという状況にはない。そういうことで、先ほど申し上げましたように、一年間休んでゆっくり勉強してみようというのが今回の予算の趣旨でございます。

 しかしながら、企業におきましてもいろいろな企業があるわけでございますし、おっしゃいますように、例えば、大学発のいろいろなベンチャーであるとか、あるいはそういった新技術を活用した産業というものも今後、特に大学院大学を中心に見込まれるということでございますので、そういったものと相まって沖縄の産業振興が図られて、自立化と経済が少しでも進展するということが非常に大事な眼目であろうというふうに思っておるところでございます。

今野委員 ですから、あらゆる手を使って企業誘致をしたんでしょう、恐らく一生懸命努力したんですよ。だけれども、これだけの成果しか上がっていないわけですね、分譲三社しか上がっていないんです。それでとめたんですよ、一たんこの事業を。

 大臣、さっきの泡瀬干潟なんですけれども、これによってしゅんせつをしたりして出てくる土砂を埋め立てに使っていたんですよ。そうすると、埋め立て用の土砂も出てこなくなるんです。泡瀬干潟の第二期工事、さっきちょっとお話ししましたけれども、それはどうしますか。

小池国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、今後の社会経済情勢の動向を踏まえながら、需要をよく検討していくということでございます。今後の進捗状況なども踏まえながら、今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。

今野委員 これは、特別自由貿易地域振興事業の中で、一方はしゅんせつをして、そこから出てきた土砂を泡瀬干潟に埋めて、そしてそこでリゾート開発か何かしようとしたんですよ。だけれども、この土砂も出なくなったら泡瀬干潟の二期工事はやめざるを得ないんです、そういうことなんです。ぜひこれはやめる方向で検討すべきだと思います。

 さて、そうやって、受け皿の産業誘致も含めて、どうもうまくいかないんじゃないかなという点が幾つもあるんですよ。

 沖縄の事業所の規模というのはもともと小さいんですね、集約性も少ないわけです。一事業所当たりの年間売上高を見てみましても、全国ですとおよそ二千六百万あるんですけれども、沖縄は七百万円ぐらいなんです。

 これはちょっと古い資料で、二〇〇一年なんですけれども、ソフトウエア産業の売り上げの相手というのを見ても、ソフトウエア産業全体で見ると、二八・七%が金融、保険、運輸、通信が相手先なんです、全国では。それでは、沖縄のソフトウエア産業の売り上げ先はどういうところかというと、さっきの全国レベルで見た金融、保険、通信、運輸というところが売り上げ先というのは一四・一%にすぎないんです。つまり、これは商売が広がっていないということなんです。同業者への売り上げが四七・五%で、ほとんど半分ぐらいなんですよ。ソフトウエア産業を見ても、要するに他産業の情報化に貢献できていないんです。

 IT関連産業なんて、いかにもこの科学技術大学の成果と結びついて、そして新しい産業を起こすとか、あるいは国民の皆さんに利用してもらえるようなものが何かつくれそうな気がするんだけれども、しかし、沖縄に進出しているIT関連事業所というのはほとんどコールセンターなんですね。つまり、全然広がっていないんですよ。だから、全くゼロだとは言いませんけれども、しかし、こういう現状はもうちょっと希望が見えるようにしていかないと、大学だけ立派な大学ができて、ぴかぴか輝いていて、周りからただそれを眺めているということになりはしないかと心配をしているわけです。

 要するに、こんなことでは大学院大学という名前に変えた公共事業に終わってしまうんじゃないか。だって、産業も何もできていないんですから、受け皿がないんですから。それは、日本のどこかの企業が使えるかもしれない。だけれども、沖縄じゃそれは使えないから東京で使いましょう、大阪で使いましょうなんということになったら、本当に沖縄の自立的発展にならないですよね。僕は、そこのところを厳しく見詰めて、本当に連携していくような受け皿づくりを本気でしなきゃいけないと思うんですよ。

 これはどうお考えになりますか。IT関連事業所はコールセンターがほとんどだということ、そして、ソフトウエア産業の売り上げがほとんどが同業者で、相手先が限られていて広がっていないという現状。これは大丈夫ですか、こういうところに大学ができても。一緒にできますか。

武田政府参考人 今、沖縄のソフトウエア産業について御指摘がございました。

 ソフトウエア産業を含めます沖縄の情報サービス産業の特徴でございますけれども、コールセンターを中心にいたしまして、八十社、約八千人の雇用を生み出したという意味で、地元の雇用には大変役立っておるわけでございますが、ソフトウエアという面でとらえてみますと、どちらかというと本土企業等の下請的な性格が強い。また県内企業自身も、これは規模の問題もあろうかと思いますけれども、IT化がおくれておる。これに対する十分な支援になっていないというのは確かに御指摘のとおりでございます。

 ただ、この五年間で、IT関係の施設を整備するとともに、有力なIT企業が沖縄にかなり進出をしてきておりますし、また、高度IT人材といいますか、人材の育成も図っておりまして、そういう意味では、確かにまだまだこれからの面がございますけれども、ソフトウエア産業の中にも有力な企業が育ちつつあるという状況にございます。具体的には、例えば観光とか健康、医療、そういった分野におけるIT利活用も活発化をしつつあるところでございます。

 今後、そういう意味で、こういう方向のもとで、下請中心から脱却をして、付加価値の高いソフトウエア開発あるいはコンテンツ制作といった情報通信産業の競争力を高めていくということは非常に重要であるし、またそれを通じて県内の企業のIT化といったものについても推進をしていく必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。

東政府参考人 先ほど、文教予算、三十億と言いましたけれども、十四億でございましたので、間違ったということでございます。

 先ほどの話でございますけれども、大学院大学につきましても、コンピューティングというのは大きな分野でございます。これにつきましては、そういうことをサポートするような、例えば、日本で有数な産業、ベンチャー産業だとかというのがつくばから沖縄の方に進出しようかとかいう形で出てきております。そういう意味では、沖縄の現状ばかりではなくて、外部からいわゆる誘致がされていって、高いレベルのものを持っていくという形で変わっていくということが必要だろうというふうに思っています。そういうのが現に今、四チーム動いておりますけれども、それが大分ふえていくというふうに考えております。

 以上です。

今野委員 私たち、ちょっとタイトルに何か目を奪われているところがあるような気がするんです。世界最先端の科学技術大学院大学、いかにも何か難しいものを研究しそうな感じなんだけれども、実は、それを利用する産業の側はもっと深くて、もっと元気で、そういうところから一緒に研究ができたり、そこから出てくる知的財産を利用できたりするようになるのだと思うんです。いきなり科学技術大学院大学から出てくる成果を利用できるような企業だけを沖縄に持ってこようったって、それはもともと無理で、やはり元気な地域経済があるからこそそういう会社も来ようかなという気になるわけですから。

 私は、今のところは、例えば平成十五年に沖縄元気企業外貨獲得宣言というのを地元経済界が行いまして、健康食品産業等の中小ベンチャー企業が起こってきています。実は、沖縄は御存じのように長寿県ですから、健康食品産業の成長が非常に著しいんですね。一九九五年は二十四億だったんです、この全体の売り上げ。ところが、二〇〇一年になると百二十七億と五倍に急成長しているんですよ。しかし、こういうところにつく国の予算というのは、ベンチャービジネスサポート事業、これはわずか六千九百万円なんです。

 元気なところにちゃんと水やりをして、肥料を上げて、そして大きく育ってもらって、ほかの産業にとっても魅力的な沖縄にしていかなければならないと思っておりまして、まず必要なのは、そういうところにこそ育成支援の措置なのではないかと思うんです。

 最後の質問になりますが、大臣、これはいかがですか。そういうところをきちんとやっていくのがまず最初じゃないですか。

小池国務大臣 総合的に考えますと、やはり人ということに尽きるのではないかと思います。

 世界最高水準のそういった生命科学なり、コンピューティングもそうでございますけれども、科学技術大学院大学を目指す人がいてよし、そしてまた、地場産業でもっと頑張っていこう、これまでのシステムなども駆使しながら、みずからでビジネスを始めていこうという人がいてもよしということでございまして、地場産業の振興支援ということについても、そういった人材の育成であるとか、沖縄の資源や特性などを活用した付加価値づけができるような、そういったバックアップなどをしていく必要があるだろう、このように思っております。

 私が聞いたところによると、沖縄の皆さんは第一の就職希望先が県庁だというふうに聞いたんですけれども、むしろ大学から、今度は自分で今、六本木ヒルズではありませんけれども、そうやってみずからで企業を起こしていこうというような人材がこれから育っていく。また、そういったことをやるにいたしましても、基本的な知識であるとかそういったことも必要でございますので、そういった意味での、広い意味での人材育成ということに努めてまいりたいと考えております。

今野委員 質問を終わりますが、ぜひ、耳ざわりのいい、目ざわりのいいところにだけお金が行くのではなくて、本当に地べたで頑張っている人たちが元気になるような、そういう沖縄への振興策というのをこの機会に考えるべきだと思います。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。

 まず、沖縄科学技術研究基盤整備機構法について質問をいたします。

 感想なんですけれども、沖縄科学技術研究基盤整備機構法、科学技術というのはなかなか言いにくい言葉でありまして、もうちょっと格好のいい、言いやすい名前をお考えになられた方がよかったのではないかなというふうに、これは感想でございます。

 沖縄科学技術研究基盤整備機構法について質問をさせていただきます。

 法案第三条に「機構の目的」ということが書いてございます。この第三条を読みますと、

 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構は、沖縄振興特別措置法第四条第一項に規定する沖縄振興計画に基づく同法第八十五条第二項に規定する大学院を置く大学の設置の準備と併せて、沖縄を拠点とする国際的に卓越した科学技術に関する研究及び開発等を推進することにより、沖縄における科学技術に関する研究開発の基盤の整備を図り、もって沖縄の自立的発展及び世界の科学技術の発展に寄与することを目的とする。

というふうに書いてございます。

 まず、この「国際的に卓越した科学技術に関する研究及び開発等」、「等」とは何かということから御説明をいただきたいというふうに思います。

東政府参考人 御指摘の「等」ということでございますけれども、これは、法案の第十六条第二号から第五号に掲げられております、研究開発成果の普及、活用促進、それから科学技術に関する研究集会の開催その他交流促進、それから機構の施設設備を他者の共用に供するということ、そして国際的に卓越した研究者の養成、資質向上等の業務を指しておりまして、具体的には、現在我々がやっておることで申し上げれば、シンポジウムの開催による交流の促進とかワークショップの開催による若手研究者の育成等、こういうものを指しているということでございます。

川内委員 私は、このもともとの構想というのは、きょうは尾身先生もこの委員会に参加をしていらっしゃるわけでございますが、尾身先生の肝いりで、世界に誇れる大学院大学をつくるということで始まったものというふうに理解をしておりますが、そうであるならば、まず、この機構の目的は、あくまでも大学院大学を設置する準備をすることが目的だ、そのためにいろいろな研究開発を今からやりますということがこの法案の趣旨でなければならないというふうに思うんですね。

 ところが、この第三条は、大学院大学の設置の準備をする、あわせてと、あわせて研究開発をし、沖縄の発展に資する、あるいは世界の科学技術に貢献すると、大学院大学をつくるということと研究開発をするということが並列になっているんですね。

 私の認識では、あるいは閣議の決定あるいは閣僚申し合わせでも、大学院大学をつくるというのが主な目的で、そのためにいろいろなことがあるんだという認識だというふうに思うんですが、なぜこう並べられたのか。そんなことはどうでもいいと言われればどうでもいいのかもしらぬが、私はここにこだわりたいですね。目的というのは一番大事な部分だと思うんです。

 まず、そこをお答えいただきたいというふうに思います。

東政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃいましたとおり、この独立行政法人は大学の設置の準備をするためにつくられておるということでございまして、ここに書いてありますとおり、最初に準備を書いてございます。そして、それと同時並行的にやっていこうということでございますので、今先生のおっしゃった趣旨といいますか、大学をつくるというのが第一番目だということは、ここではっきりと、「目的」の中で一番最初に出ているということでございます。

 これは、多くのいろいろな先生方からの御指摘もございました。そういうことでございますので、その確認は何度もさせていただいているということでございます。

 以上でございます。

川内委員 小池大臣、大学院大学をつくることが主目的であると今政府参考人の方から御答弁があったわけですが、確認をさせていただきたいと思います。

小池国務大臣 今御答弁させていただいたとおりでございます。

 まずは、独立行政法人は大学院大学の設置の準備を行うということでございまして、また、大学院大学はそれはまたそれでつくっていく。ですから、順番を、段階を踏んでいるということで、準備を行うことが目的でございます。

川内委員 いや、私が聞いたのは、この独立行政法人は大学院大学をつくるための準備の法人ですよね。もう一回、そうですと言ってください。

小池国務大臣 お答えしたとおりでございます。

川内委員 そうしますと、沖縄科学技術大学院大学というこの構想は世界最高水準という言葉が言われるわけでございまして、世界最高水準とは一体何なのか、どういうことが世界最高水準なのかということになってくるわけでございますが、小池大臣、この世界最高水準とは一体いかなる水準であるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

小池国務大臣 これは一種、キーワードでございまして、この構想が提唱されたときから、最も重要なコンセプトと考えているわけでございます。

 その意味は何かといいますと、一流の科学者、学生を結集して、研究そして教育の内容を世界の一流大学に肩を並べるようなレベルとすることである、このように考えております。

 また、世界最高水準という評価ですけれども、大学院大学での研究教育の成果が科学技術の発展に貢献する最先端のものであると国内外の学術界において認知されて初めて確立するものである。つまり、自分でそう言っても、周りが認めないと意味がないわけでございます。

 そういった意味で、世界最高水準という大変高い目標を設定させていただきましたけれども、既にボードメンバーの皆様方、この法案づくりまで御参加いただきまして、大変熱心に取り組んでいただきました。シドニー・ブレナー博士などの御協力、みずからの子供を生み出すかのような、男性だから子供は産まないでしょうけれども、自分の分身のような形で取り組んでいただいておるその姿を見ておりますと、やはりそういったリーダーが率いてくださるということも、世界最高水準への高い山を登るのにふさわしい道筋をこれからボード・オブ・ガバナーズの方々とともに築いていけるのではないか、このように思っているところでございます。

川内委員 今、世界最高水準という言葉の御説明を大臣にいただいたわけでございますが、法案の中には世界最高水準という言葉は出てこないわけでございます。そうしますと、法案の中に反映をされている世界最高水準という言葉の意味は、「国際的に卓越した」という部分が世界最高水準というふうに理解をしてよろしいのかどうか、御説明をいただきたいと思います。

東政府参考人 お答えいたします。

 この独立行政法人の事業といたしましては、それは今先生のおっしゃったとおりの話だと思います。

 事大学院大学についてはどうかということでございますが、ここの三条に書いてありますとおり、いわゆる沖振計画の大学院大学ということになっております。沖振計画にはどう書かれているかということでございますけれども、沖縄における科学技術の振興及び我が国の科学技術の進歩の一翼を担うため、また、アジア太平洋地域さらには世界に開かれた中核的研究機関として、我が国の大学のあり方のモデルとなるような、新たな発想を持った世界最高水準の自然科学系の大学院大学という書き方になっております。

 法案でございますので、法律事項等の並びという形でこういう書き方をさせていただいておりますけれども、大学院大学が世界最高かどうかという議論につきましては、今申し上げた御説明で、振興計画の中に書かれている、その内容として、間接的でございますけれども示させていただいているということでございます。

川内委員 ちょっと私は、今御説明をいただいたことで納得をさせられてしまったとは思いたくないんですが。

 先ほど、機構の目的は、あくまでも大学院大学をつくることが主な目的である、そのためにこの機構をつくるんだとおっしゃった。その目指す大学院大学は、世界最高水準を目指す。準備段階の機構で行われる研究開発は国際的に卓越したレベルであると。そうすると、国際的に卓越したレベルというのと大学院大学が目指す世界最高水準というのは同じような意味ですかということを聞いたんです。まあ大体同じですよとか、それはちょっと違いますとか、わかりやすくお答えいただきたいんです。

東政府参考人 今先生がおっしゃいました、大学院大学が目指す世界最高水準というレベルと、それからこの機構が実際に行う研究事業のレベル、これはイコールということでございますので、今先生のおっしゃったとおりでございます。

 なお、御説明をさせていただければ、この大学ができたときには、この法人のいろいろな研究結果それから先生方を含めて大学の方に合併する、吸収するという形になるということはこの法案にも書かれてございますので、そういうことでございます。

川内委員 わかりやすい御説明をいただいて感謝申し上げます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 そうすると、今御答弁があったように、ある時期にこの機構は大学院大学に移行するわけであります。その移行する時期というのは、国際的に卓越した研究開発をされる研究者の方が大体五十人ぐらいになったところだというふうに私は御説明を聞いております。

 そうすると、この機構の主目的は大学院大学をつくることでありますから、一番の目的に到達するために、五十人、国際的に卓越した研究開発を行う研究者を大体いつごろまでに確保しよう、集めよう、そして大学院大学にしようというふうに目途を立てていらっしゃるのかということを教えていただきたいというふうに思います。

東政府参考人 今先生がおっしゃいましたとおり、五十人の世界的な一流の学者を集めるということは本当に並大抵のことではないというふうに思います。

 ただ、私どもは、今考えておりますのは、現在四名の先生方がおられます。この方は非常に立派な一流の先生方でございますし、それから、昨年度、私ども公募をいたしました。そのときには百三十七チームのプロジェクトからの応募がございました。後背というのはたくさんあるなというふうに思っています。

 したがいまして、今これの推進を一生懸命やっておられるシドニー・ブレナー、それからボード・オブ・ガバナーズのメンバー、フリードマンそれから利根川先生等々、努力をしていただくことだろうというふうに思います。そういう先生方の力をかりて、なるべく早くその五十名にしたいというふうに思っています。そういう意味で、なかなか難しい部分はあると思いますけれども、努力をしたいというふうに思います。

 なお、この沖振計画、これが平成二十三年まででございます。計画で規定されておりますので、我々はそういうことになると一番ありがたいなということは思っていますし、ところが、ブレナー先生はそうではなくて、もっと早く、二、三年で何とかならないかというお話もございます。しかし、なかなか難しい話だろうというふうに思っております。

川内委員 今御答弁いただいたものを総合すると、決まっていない、五十人にいつなるか、あるいはするのかということに関してはこれからだということかというふうに理解をいたします。もちろんその前段として、努力はするがとか一生懸命頑張るがというまくら言葉はつくわけでありますが、とりあえずは今の時点では、まだその五十人の目途というものは計画としても立っていないということを確認させていただきたいというふうに思います。

東政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、明確な形での形は決まっておりません。ただ、意気込みはあるということでございます。

川内委員 それでは、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 私、研究開発について世界最高水準であるということは御説明を聞いておりますが、平成十五年十二月十九日の「沖縄科学技術大学院大学設立構想の推進について」という関係閣僚申し合わせの文書の中で、世界最高水準の研究教育と書いてあるわけでございます。研究開発と並んで、教育も世界最高水準を目指すというふうな理解でよろしいのか、そこに集まってくる学生に対する教育も世界最高水準だということになるのか、御答弁をいただきたいというふうに思います。

東政府参考人 今先生がおっしゃいましたとおり、教育もやはり世界最高水準を目指しているということでございます。

 と申しますのは、優秀な学生を集め、優秀な先生が来られるということであれば、そこには当然、一流の教育がなされるというふうに思っております。

川内委員 さらに、二〇〇二年七月の沖縄振興計画の中で、「我が国の大学のあり方のモデルとなるような「国際性」と「柔軟性」を基本コンセプトとした新たな発想を持った世界最高水準の自然科学系の大学院大学」というふうに書かれております。

 言葉としては非常に美しい言葉ですが、国際性と柔軟性と書いてあって、国際性というのは、何となく、世界じゅうからいろいろな人が、あるいは研究者が、学生が集まってきて、研究開発している、あるいは学んでいるというふうにぼんやりとしたイメージはわくんですが、柔軟性とは一体何だろうかと思うわけでございまして、この柔軟性という言葉をちょっと解説していただきたいというふうに思います。

東政府参考人 今お尋ねの柔軟性ということでございますけれども、これは抽象的に言えば、研究者が自由な発想に基づいてすぐれた研究を行えるよう、従来の慣例にとらわれず、研究所のニーズに柔軟に対応していくということでございます。

 人事とか会計システム、大きくいろいろな部分でかかわると思いますけれども、具体的な例で挙げれば、例えば、若手研究者が独立して研究できるというような体制にするとか、または、既存の大学では学問分野の壁が非常に高いということが言われております。特に生命科学につきましては、研究者がいろいろな学部間にいろいろ存せられる、その壁を越えるというのはなかなか難しいということでございまして、融合的な研究教育がなかなかやりにくいとか、あと、研究がうまく進んだというときに、その研究費を捻出するのに大変苦労されるというようなことがございます。

 そういうことに柔軟に対応できるような、そういう意味でこの柔軟という言葉を使わせていただいておるというものでございます。

川内委員 非常によく理解できました。

 それでは、その柔軟性というものが今回のこの機構法案の中のどの部分に書き込まれているのか、反映されているのかということを教えていただきたいというふうに思います。

東政府参考人 この独立行政法人の関係の法案の中では、これは機構法という形でつくられておりますものですから、今申し上げたのはみんな運営の話でございます。そういう意味では、書かれておりません。

 ただ、先ほど申しましたけれども、そういう大学をつくるということでございます。そうすると、そこに移行していくわけでございますので、当然、我が身がそういう身でなければそういう柔軟性のある大学はつくれません。そういう意味で、この独立行政法人も柔軟性のある運営をやっていくべきだというふうに考えています。

 制度的には、実はこういうことをおっしゃった先生たちが運営委員会の方に多く入っておられます。こういう先生がいわゆる建議をしたり、監視をしたり、プランを出していただいたり、そういう形でやるという形で、そういう制度的な保障はさせていただいているということでございます。

川内委員 もう少し詳しく説明をいただきたいんですけれども、柔軟性を担保するための条文はこの機構法案の中には書き込まれていない、しかし、運営としては十分に柔軟性を持って運営できるようにしてあるんだということでございます。

 法律で規定をされている法人ですから、私はそれだけでも柔軟性がないんじゃないかなと心配になるんですが、私のような素人にも、いや、そんなことはないよ、これだけ自由に研究開発できるし、人事も自由だし、すごく柔軟性があるんだよ、きちっと担保しているよということをもうちょっとはっきりと、ここを読めとか、ここを読んでくださいとか、御説明をいただきたいというふうに思います。

東政府参考人 この法案は独立行政法人という形でつくられております。これは先生も御案内のとおり、柔軟な発想で、国がいわゆる規則的にやるということではなくて、一定の計画を立てて、その中で自由な運営をやっていくという形での仕組みでございます。ですから、独立行政法人になっているということ自体が、そういう自由度を持っている、柔軟性を持っているということでございます。

川内委員 独立行政法人であること自体が柔軟性であるという今の御説明ですが、よろしいですか。

 そうなると、ちょっと、ふんふんと私も納得するわけにはなかなかいかぬわけでございまして、何をもって柔軟性がある、あるいは自由な研究とか開発ができるんだというふうに、いや、私は何もこの機構法に疑問を呈しているわけではなくて、せっかく世界最高水準を目指すとか、あるいは国際的に卓越した研究開発を行う、あるいは教育を行う、そして大学院大学につなげていくんだということであれば、ほかの独立行政法人とはここが違うぞ、こんなことまでこの機構法は書いてあるんだということを私は自慢していただきたかったんですよね。

 結局、その自慢はないということをおっしゃられたわけで、独立行政法人であること自体が柔軟性だということでございます。何かおっしゃりたいことがございますか。

東政府参考人 失礼いたしました。ちょっと御質問を十分に理解できなくて申しわけなかったというふうに思っています。

 普通の独立行政法人であれば、例えば運営委員会みたいな形のものはつくられておりません。いわゆる執行するという形のものでございます。この場合は、自由な発想でやれるという仕組みで運営委員会というものをつくらせていただいて、そこの中で自由な発想でやっていただくというものでございますので、私どもは胸を張ってそういう意味では言える、その点については言えるということでございます。

川内委員 この十四条、十五条の運営委員会の部分が他の独立行政法人とは違う書き込み方だということの理解でよろしいでしょうか。

 それでは、この運営委員会についてもさまざまな議論があるようでございますけれども、また別な機会に私なりの御意見をまた申し上げさせていただきたい。時間も大分過ぎておりますので、次の質問に移らせていただきます。

 直近の、平成十六年十二月二十日に関係閣僚申し合わせという文書がございます。五人の大臣の方が署名をしていらっしゃる、あるいは名前を出していらっしゃるというふうに理解をしておりますけれども、この関係閣僚申し合わせに署名するというのは、それぞれ所管の役所あるいは大臣というのはどのような拘束あるいは義務というものを受けるのかということについて御説明をいただきたいというふうに思います。

東政府参考人 御指摘の関係閣僚申し合わせというものでございますけれども、これは閣僚レベルの合意形成がなされた事項について取りまとめたというものでございまして、内閣府が主体となって沖縄科学技術大学院大学設立構想を推進するということに当たって、申し合わせに沿って、関係省庁からも必要な協力が得られるということだと思います。

 これは、一般に行政組織法等々で言われておりますけれども、関係省庁は連絡調整をよく図って一体的にその遂行を図るべきだということで、その一端という形でなされているものでございます。

川内委員 そうしますと、この関係閣僚申し合わせに署名をしていらっしゃる谷垣大臣の財務省にお伺いをさせていただきますが、この沖縄科学技術大学院大学設立構想についての財務省の基本的な考え方、あるいは具体的な取り組み、そしてまた今後の方針というものを御説明いただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、今野委員長代理着席〕

松元政府参考人 お答え申し上げます。

 政府では、世界に開かれた最高水準の教育研究を行う科学技術大学院大学を設立する構想を推進することといたしておりまして、その設置の準備や研究開発を推進するための独立行政法人を設立することといたしているところでございます。

 このような方針のもと、平成十七年度予算案におきまして、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構の立ち上げや研究の拡充を図るための経費といたしまして、五十一億円を計上いたしているところでございます。

 財務省といたしましては、今回御審議いただいております法的枠組みの中で、関係省庁が緊密に連携をとりつつ、同構想の着実な推進を図ることが重要と考えております。

川内委員 今、何かすごく冷たい感じがしたんですけれども、私がお聞きしたのは、せっかくこの大変すばらしい構想のもとに進められる計画について、財務省としてどのような取り組みを、あるいは方針をされますかということをお聞きしたんですが、政府として決められた枠組みの中で対応してまいりますと、全体としてはそういうトーンで、財務省としても積極的に協力をするとかいうトーンが感じられなかったんですが、やるならやってよ、言われたことはやるよというスタンスなんでしょうか。

 もう一度ちょっと、これは大臣答弁ではないですから、大丈夫ですから、思い切って言われた方がいいですよ。

松元政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御説明したところでございますが、平成十七年度予算案におきまして必要な経費を計上させていただいておるということでございまして、その基本的な考え方といたしまして、財務省といたしましては、今回まさに御審議いただいております法的枠組みの中で、関係省庁が緊密に連絡をとりつつ、この構想の着実な推進を図ることが重要というふうに考えております。

川内委員 今、一回目は文章を読んでいるだけという感じだったんですが、二回目は割と気合いが、ちゃんと聞けよという気持ちがこもっていたみたいで、大変ありがとうございます。財務省も着実な推進を図るという方針であるということを確認させていただきたいというふうに思います。

 さらに、同じく棚橋大臣が御署名をされている内閣府の科学技術政策担当の方に同じ質問なんですけれども、特に科学技術政策担当ですから、この機構なりあるいは大学院大学というのは国際的に卓越した研究開発、世界最高水準の研究教育ということになっているわけでございまして、大変に重要なお役目を担っていただかなければならないところであるというふうに思いますが、方針について、あるいは取り組みについて、御説明をいただきたいというふうに思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 自然科学の先端的な研究を行います沖縄科学技術大学院大学設立構想につきましては、我が国及び世界の科学技術の発展にとって大変有意義なものと認識しております。

 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構は、大学院大学の設立の準備とあわせて、沖縄を拠点とする国際的に卓越した科学技術に関する研究開発等を推進することによりまして、沖縄の自立的発展及び世界の科学技術の発展に寄与するものであるというふうに承知しておりまして、昨年十二月に、科学技術政策担当大臣を含む関係閣僚会合で設立構想の推進を申し合わせたところでございます。

 大学院大学設立構想の事業につきましては、内閣府の沖縄担当部局が文部科学省と一部共管して実施するものでございますが、私が事務局を担当しております総合科学技術会議としましても、科学技術に関する予算、人材の資源配分方針、これは夏に、予算要求の前に出すものでございますけれども、そこにおきましてその推進を定めております。

 それから、予算の査定時期、これは昨年の十月であったわけでございますけれども、十月の予算の優先順位づけ、これはいわゆるSABCというものでございますけれども、優先順位づけにおきましても、S評価、一番いい評価ということでございますけれども、評価をしまして、世界最高水準の教育研究と知的産業クラスターの形成という期待にこたえていくために積極的に実施すべき施策と判断するなど、重要な科学技術施策として積極的な推進を図ってきております。

 今後とも関係府省と協力していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

川内委員 それでは、今大変力強い御答弁をいただいたわけでございますが、きのう私、実は内閣府の科学技術政策担当の係の方とお電話で話をさせていただきましたときには、今、現段階ではこの大学院大学設立構想については特に何もしていませんみたいな御説明だったんですよ。それで、そんなことじゃ困りますよというふうに申し上げたんです。

 これから、今後のことは積極的にかかわっていくということなんですが、現時点では、内閣府の科学技術政策担当としては、この設立構想に関して、具体的に関与はまだないという理解でよろしいですか。

林政府参考人 これは、総合科学技術会議というものの仕組みの関係でございまして、我々の方は実施部隊を持っているわけでございません。あくまで日本全体の科学技術の政策を決めておるということでございます。その中で、先ほど言いましたように、この沖縄大学院大学というのは非常に重要なものであるということは認識しておるわけでございます。そういう意味で、各省にぜひこれはきちっと推進してほしいという立場にあるというふうに承知しております。

川内委員 ありがとうございます。

 認識をし、各省に対してそれを広げていくという御答弁であったかというふうに思います。

 さらに、同じく中山大臣が署名をされた文部科学省にお伺いをいたしますが、文部科学省は、機構法案の第十八条第二号、第十六条第六号に掲げる業務、すなわち、大学院大学の設置の準備を行うこととその附帯する業務に関する事項については内閣総理大臣と文部科学大臣の共管となっているということでございますけれども、まず、文部科学省の沖縄科学技術大学院大学設立構想に対する基本的な考え方というものを御説明いただきたいというふうに思います。

徳永政府参考人 お答えいたします。

 沖縄において世界最高水準の教育研究水準と国際性を有する自然科学系の大学院大学を創設するということは、当然、沖縄だけではなく、我が国全体の高等教育研究水準の向上にとっても大変有意義というふうに認識しております。

 本構想では、政府全体がその実現に向けてできるだけ協力をして進めていくという観点から、文部科学省といたしましては、大学設立に係るノウハウあるいは研究のさまざまな助成、こういったことを通じてその推進を図っていくことが重要でございます。

 先生今御指摘のように、これまでの閣僚会議の申し合わせでもそうでございますし、本法案でも大学院大学の設置準備に関する業務は私ども共管とされております。これまでの経緯、申し合わせあるいは本法に基づきまして、私どもとしても設立構想の推進に向けてぜひ頑張っていきたいと思っております。

川内委員 席に戻らずに。続けてちょっと聞きますので。

 文部科学省の現段階での具体的な取り組みの内容、そしてまた、例えばこの構想に対して何人人を配置しているとか、具体的な組織の体制というものを御説明いただきたいと思います。

徳永政府参考人 私ども、具体的には、まず省内の体制を申しますと、高等教育局の中に課長級の担当職員を置いております。もちろんこの大学院大学だけを専任しているわけではございませんが、基本的には、きちっと窓口と明示いたしまして、この者が担当するという課長級の職員を置きまして、その下に数人のスタッフがいるわけでございます。

 そのほか、実は私ども、沖縄につきましては、既に高等専門学校を設置するとかあるいは国立劇場をつくるとかいうことで、施設整備のノウハウを持っております。大学の施設整備、研究装置あるいは研究に要する先端的施設、そういった施設整備のノウハウを持っております文教施設企画部がございますし、あるいはまた、先行する研究開発、当然これは研究を実際にやっていくわけでございますし、そういったことに対して競争的資金の中で助成をしていくということも考えられます。こういうふうに、科学技術・学術政策局もございますし、研究振興局もございます。高等教育局が中心となりまして、こういう関係課の担当者を随時呼んで、必要な会議、打ち合わせをするという体制を組んでおります。

 一方で、内閣府とは、もちろん閣僚レベルでの申し合わせもございますが、事務的なレベルでの連絡会議を設けまして、大学院大学の設置に必要な要件とか手続、あるいは大学院としての教育研究組織のあり方、設立に至るまでの具体的な準備作業、あるいは国内のさまざまな先端的な自然科学系の大学院大学の実例、こういったことについて随時情報提供を行い、あるいは緊密な連携をとっているところでございます。

川内委員 巷間聞くところによると、文科省はこの大学院大学構想についてちょっと斜めを見ているというような評価もあるわけでございまして、きょうはそうではないということをおっしゃっていただかなきゃいかぬわけでございます。

 そこで、先ほどの柔軟性という言葉をもう一度思い出さなきゃいかぬわけでございますが、基本コンセプトの一つである柔軟性というものは、文部科学省所管の従来の大学なりあるいは大学院大学を超えた柔軟性であるというふうに私は理解をするし、恐らく法案の提出者も、それは今までの大学や大学院大学とはちょっと違う、もっと自由だというふうに考えていると思うんですね。だからこそ国際的に卓越するわけだし、世界最高水準だという論理的な帰結になるんだというふうに思うんです。

 文部科学省として、今までの文科省の理解をはるかに超えた柔軟性を文科省としても十分に担保するんだということをちょっと御答弁いただきたいなというふうに思うんですが、御認識を聞かせていただきたいと思います。

徳永政府参考人 まず、私どもが余り積極的でないということでございますが、我々これまでも、国の多様な政策背景ということを踏まえまして、関係省庁におきまして設置をされたいろいろな大学がございます。例えば自治医科大学でございますとか産業医科大学でございますとか、そういった大学の開設についても随分協力をしてまいりました。そういうこれまでの関係省庁の政策に基づく大学の設立ということについては我々自身が実績とノウハウを持っておりますので、こういったことを今後も生かしていきたいと思っております。

 また特に、柔軟性ということについて申し上げますと、これは、まず第一に、大学でございますので、この大学の構想にも国際的な水準とございます。大学につきましては、まず何よりも国際的な通用性というものがなきゃいけません。それは、先ほど東局長の方から御答弁がありましたように、幅広く国内外の学術関係の方々からいわば大学として認められるということがございますので、その意味では、まず国際的に通用する大学としての通用性。

 これにつきましては、もともと大学というのは我が国が独自に生み出した制度ではございません。ヨーロッパで五百年の歴史を持つ制度でございまして、大学のありようということについては、国際的、歴史的にもう確立をしている制度でございます。ですから、国際的な通用性を持った大学ということになりますと、まずそういう大学としてのきちんとした要件を構える。

 文部科学省の基本的な大学行政というのは、今までは設置基準が大変厳しいといったことがございましたが、本来的にはそういう国際的な通用性を持った大学の質というものを担保するんだということでございますので、ここのところにおきましては、国際的な通用性をこれからも担保していきたいということについては私ども努力をしていきます。

 一方で、柔軟性ということも当然大事でございまして、実はこれまで、私ども文部科学省の国立大学におきましても、大学院だけの大学を四つほどつくってまいりました。あるいは、学部を母体としない独立研究科といったこともつくりましたし、連合大学院という新しい構想の大学院もつくりました。あるいはまた、講座や学科を固定しない形での流動講座制とか流動研究部門制といったようないろいろな試みをしてまいりました。

 もちろん、そういったことの中でうまくいったものもございますし、あるいは制度的なものは取り払いましても実態としてなかなかうまくいかないというものもございますので、これまで私どもがさまざま柔軟性ということを目指しましてやってきたこと、うまくいったこと、うまくいかなかったことを含めまして、そういったことについて、情報提供あるいは御相談、ぜひ連絡を密にして、この大学院大学が所期の構想どおりのものになるよう私どもとしても協力を申し上げていきたいと思っております。

    〔今野委員長代理退席、委員長着席〕

川内委員 今、徳永審議官が世界的な水準とかおっしゃったんですが、違いますからね。世界最高水準ですから、世界最高水準。

 それで、私の質問に対してこれだけ細かくいろいろなことをお話しになられる、柔軟性がないなというふうに思うわけでございまして、これは今までの文科省が所管をしてきた大学や大学院大学とは全然違うんだ、そういう意識で取り組む。もちろん設置のためのいろいろな書類的な手続とか、それはいろいろあるでしょう、そういう事務的なものは。しかし、基本的には全く新しいスタイルの大学院大学を目指しているんだという認識を、私の認識がもしかしたら違っているのかもしれないですが、そういう認識でいいんですよね。(発言する者あり)違っていないですよね、そういうことですよね。もう尾身先生に間違いないと言っていただいたわけですから、それは間違いないわけでございます。

 ぜひ文部科学省も、そういう今までの枠にとらわれず、規制改革会議で株式会社の学校には私学助成はやらないとか一生懸命言い張るようなことをしないで、しっかりとした本当に自由な研究の場というものを保障するというふうにしていただきたいな。これ以上答弁を求めても言い合いになるだけですから、これは私の意見でございますので、意見として聞いていただきたいというふうに思います。

 それでは、この大学院大学構想というものが本当に立派なものに、すばらしいものになることを祈念しておりますが、しかし、中途半端に終わってしまったら残念だなという思いも持ちながら、大学院大学についてはこの辺で質問を終わらせていただいて、次に、沖縄振興計画の中で同じように重要施策として言われております新石垣空港建設問題というものについて取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 新石垣空港については、白保のサンゴ礁、これはすごい立派な、すばらしい、美しいサンゴ礁があるわけでございますが、そのほかにも、カンムリワシ、小型コウモリ類あるいはカエルなどの希少生物が、空港建設予定地に絶滅危惧種が約百種生息しているということだそうでございます。これらの生態系の保護に対して深刻な懸念が各方面から表明をされているわけでございます。

 私も、せっかく空港をつくるのに、美しい自然、すばらしい自然がなくなってしまっては元も子もない、自然もすばらしいし空港もよくなったというふうに言ってもらわないかぬわけでございまして、この観点から国会でも取り上げてきたわけでございます。

 そこで、質問でございますけれども、二月二十八日に沖縄県から国土交通省に対して環境影響評価書が提出をされたというふうに聞いております。その後、国土交通省から環境省にその環境影響評価書というものが渡ったということだそうでございますが、この間の経緯、そして今後のスケジュールについて、これは環境省から御説明をいただきたいというふうに思います。

桜井政府参考人 新石垣空港の建設事業でございますが、本件につきましては、許認可権者でございます国土交通大臣から三月二日付で環境大臣に環境影響評価書の送付がございまして、意見照会をされたところでございます。

 現在、送付されました環境影響評価書の内容につきまして私どもで審査をしているところでございまして、三月二日から起算して四十五日以内、これは四月十五日までということになりますが、四月十五日までに環境大臣から国土交通大臣に環境保全の見地からの意見を述べるということになる予定でございます。

川内委員 この新石垣空港の環境アセスメントというのは世界の人々から注目をされているというふうに思うんですね。

 小池沖縄担当大臣は環境大臣も兼務をされていらっしゃるわけでございます。環境大臣と沖縄担当大臣と二つ兼務をされていらっしゃいますよね。沖縄の担当大臣としては、沖縄振興のために事業を推進するというお立場、そしてまた環境大臣としては、環境アセスメントを厳正にやって環境をしっかりと守るというお立場、これはある意味相反するお立場を一人で兼ねていらっしゃるわけでございますが、このアセスメントについてどのように対処をしていかれるということなのか、環境アセスメントを厳格に行う、厳正なものをやるんだということになるのか、御答弁をいただきたいというふうに思います。

小池国務大臣 環境省としての立場は、本日は事務方よりお答えをさせていただいているところでございます。

 しかしながら、環境アセスメント、必要な調査であるとか、それはどういうものであれ行うべきものでございますので、また、そこから出てきている結果について、事業者に対して言うべきことは言うということでございまして、それは石垣のみならず、どの地域であっても同じことになってくるのではないかと思っております。

 私もせんだって、石垣空港を自分で視察してまいりました。また、これまでの石垣空港建設に至りますお地元での長い長い、それぞれどの地域がいいのかということで村々がいろいろと、大変御親戚が多いという地域ではございますけれども、そこでいろいろな、仲間割れと申しましょうか、村の融和が図られなくなったりというようなことを経まして、多くの島民の皆様の一致する意見として、今回の石垣空港建設ということにたどり着いたというような経緯もございます。

 でありますので、今後の流れにつきましては、法律が定めるところに従いまして、そしてまた、その結果などはよく見て、そこは冷静に、また言うべきことは言う、そういう対応をしてまいりたいと考えているところでございます。

川内委員 今大臣から御答弁いただいたわけでございますが、事業者は沖縄県だという御発言があったわけでございますが、私は、事業者は沖縄県だけれども、この石垣空港については恐らく、私の記憶が間違いでなければ、多分九割以上国がお金を出すんだというふうな理解をしているんですが、九割以上で間違いないですよね。ちょっとよろしいですか。

東政府参考人 補助率でございますけれども、かさ上げが入っていますので、九割だと思います。ちょっときっちりした数字は……(川内委員「おおよそと言っておけば議事録上は問題ないですから」と呼ぶ)そのとおりです。

川内委員 おおよそ九割が補助されるという意味では、これは国が九割お金を出すわけですから、そういう意味では、国も大きな責任が新石垣空港についてはあるものというふうに思って、関係者の皆さんには御努力をいただかなければならないわけでございまして、きょうは自然環境局長にもお運びをいただいておりますので、先ほど大臣は、環境省としての立場は環境省の事務方から答弁をさせるという御発言もございましたので、お尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 白保、八重山のサンゴ礁というのは、私は、これを保全していくというのは世界的な責務であるというふうに思っております。環境省として、責任を持ってこれを守る、白保、八重山のサンゴ礁を守るということを確認していただきたいというふうに思いますけれども、自然環境局長、いかがでしょうか。

小野寺政府参考人 サンゴ礁は、先生よく御存じのとおり、自然環境として重要なだけでなく、観光資源、漁業の環境形成、場合によっては防災的な価値を持っているものでございます。沖縄の石西礁湖のサンゴ礁については、サンゴ礁の大団地の中で、世界で最北端にあるということと、国際的に見ますとサンゴの種類が極めて多いというのが特徴であります。

 したがって、我々としては、沖縄のサンゴを守るためにこれまでもいろいろな事業調査をやってまいりました。今後とも沖縄のサンゴ礁の保全のために全力を尽くしたいと考えております。

川内委員 大変力強い、全力を尽くすという御答弁をいただいて頼もしく感じました。小野寺局長はレンジャー出身の初の局長でありまして、私も昔からよく存じ上げている、自然を守ることにかけては右に出る者はいないというぐらいの大変な勇者でありますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。

 私は、政府に質問主意書を提出させていただいたんですけれども、その答弁書の中で、政府が、「環境省においては、現在、白保地域の西表国立公園への編入に向けて、地元自治体である石垣市との意見交換を行い、また、同市と共同で地元住民に対して説明会を開催するなど、関係者の理解を得るよう努力しているところである。」というふうに、この主意書の答弁書が返ってまいりました。

 私は、この白保のサンゴ礁がいまだに国立公園に入っていないということに驚きを持っているわけでございますが、この辺の事情について、なぜいまだに入っていないのか。

 あるいは世界遺産に登録をするということも話題になっているようでございますが、この辺の経緯についてもあわせて御説明をいただきたいというふうに思います。

小野寺政府参考人 白保を含めた石垣地域の国立公園への編入については大変長い経緯がありまして、さかのぼりますと、一つのエポックだけでも、平成八年に当時の岩垂環境庁長官が現地視察をしまして、石垣市長と話をして、国立公園編入の方針を出したというのにさかのぼると思います。その後、石垣周辺の自然環境の調査等を環境省で行いまして、平成十五年の三月には、石垣市と共同で地元の説明会を行ってきたところでございます。ことしの二月には、国立公園計画の基本方針、大体どの地域を国立公園にどういう形でするかということが書かれたものが基本方針でありますけれども、それを決めて、地元調整、これから公園計画の具体的な線引きについて着手したところでございます。

 世界遺産につきましては、平成十五年に、屋久島、白神の後の三番目の自然遺産のために林野庁と共同で専門家の会合を行いました。全国で、データベースですけれども、三千カ所ぐらいをまずリストアップして、それを十九地域に絞って、結論は、知床、小笠原、琉球諸島、これは奄美から西表まで入りますが、その三地域に絞ったところでございます。その中の知床をことしの一月に世界遺産委員会に推薦したところです。

 世界遺産を端的に申し上げますと、世界に例のない自然環境の価値を有しているというのがまず第一条件。二番目は、それが永続的に守られるということで、保護のための担保、例えば国立公園になっているとかということが求められます。したがって、琉球諸島、とりわけ白保地域のことで申し上げますと、これからどういう地域を具体的な保護の線引き対象とするかということが、まず世界遺産に向けて動き出す場合の基本的な条件になると思います。

川内委員 今、具体的にわかりやすく御説明をいただきましたが、まず、国立公園の線引きをすることが先決だ、その後に世界自然遺産への登録の手続に入るということでございますが、この白保のサンゴ礁あるいは八重山のサンゴ礁群については、大体いつごろ国立公園への編入というものがかなうのか、その目途について、その目標をちょっと御答弁いただきたいというふうに思います。

小野寺政府参考人 これは、関係機関、地元の市、沖縄県その他、地元の集落の方も含めて相手があることなので、はっきりしたことは申し上げられませんが、我々としては、今から一年後ぐらいを何とか目標にやってまいりたいと考えております。

川内委員 あと一分ぐらいで私の時間が終わるわけでございますが、一分じゃなくて、もう終わりました。

 この石垣空港、私も大変大事な計画だというふうに思いますが、しかし、それはすばらしい自然があっての空港でありますので、その辺を関係の政府の皆様方には十分御留意の上、国がお金をおよそ九割出すわけでございますので、ぜひ環境保全というものに御留意いただきたいということを重ねてお願い申し上げさせていただいて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、沖縄振興特別措置法一部改正にかかわって質問をしたいと思います。

 特別措置法は、沖縄の自立的発展に資するため、沖縄の置かれた歴史的、地理的、社会的な特殊性、特殊事情を踏まえ、政令で指定する事業について、国の負担または補助の割合の特例措置を定めている。今回の改正は、三位一体改革により国の補助金が交付金化あるいは廃止されても、沖縄振興法の高率補助制度の精神が生かされる立場からのものであり、これは我が党として賛成するということであります。

 一方で、沖縄の振興予算の八割は公共事業になっています。過大な需要予測に基づいて公共事業の計画が作成されていく傾向も生まれております。沖縄振興を本当に実りあるものにするためにも、高率補助制度を活用した公共事業について検証が必要であると考えています。

 きょうは、その立場から、那覇港の港湾計画、これについて質問をしたいと思います。

 今、那覇港埠頭で進められているのは、ハブ機能を有する国際流通港湾計画であります。この国際流通港湾は、大水深バースを有する国際コンテナターミナルの整備を図り、そして国際トランシップ港湾として戦略的な中継コンテナ貨物の取り扱いを促進する、こういう計画が進められているわけです。政府は、この計画にどのような方針で臨んでいますか。

東政府参考人 お答えいたします。

 那覇港港湾計画につきましては、港湾法に基づきまして、港湾管理者がおおむね平成二十年後半を目標として改定案を作成し、そして平成十五年三月の国土交通省交通政策審議会港湾分科会において了承されたものだというふうに理解しております。

 これは目標年次、平成二十年後半ということで十年から十五年先ということでございます。そういう目標のいろいろな需要でございますので、私どもとすれば、この計画を実際に移す場合には、その需要をよく見ながらやっていくという方針でございます。

赤嶺委員 その需要をよく見ながらやっていくということですが、お金は、これはまた沖縄振興予算として出ていくものであります。それで、この那覇港は、私、大好きな港なんですよ。この沖縄県民の生活消費材を取り扱う流通港湾、あるいは本土、離島への生活・観光航路として県民に親しまれてきたわけです。

 ところが、平成十三年の取扱貨物量は九百七十一万四千トン、外貿ターミナルを使った貨物量が百十六万八千トン、内貿が八百五十四万トンです。外貿取扱貨物量というのは全体のわずか一二%であるわけですね。しかも、半分以上は米軍属軍人の生活物資ということになっているわけです。

 港湾計画の今後の拡大の方向としては、いわゆるハブ機能を有する中核国際港湾として整備するというわけです。私たちがなれ親しんできた流通や生活や、あるいはここに西銘政務官もいらっしゃいますが、本土に行くときに、お互いに船と護岸からテープを投げ合って別れを惜しんだ、ああいう港じゃなくて、ハブ機能を持った国際港湾ということになるわけですね。

 内閣府は、こうした計画、どのように考えておられますか。

東政府参考人 今先生のお話でございますけれども、那覇港の新港埠頭地区におきます国際海上コンテナターミナル整備ということでございます。これは、実は沖縄県が、国際的な流通港湾機能の充実ということを掲げ、交流の拠点として整備しようという内容のものでございます。

 先生も御案内のとおり、現在、中国を中心とした港湾は非常に好景気でございます。そういう形の中で、この国際流通港湾機能の充実ということで進められていっているものだというふうに理解をしております。

赤嶺委員 大臣、需要を見ながらやります、しかし港湾は好景気であります、それで、ハブ港の方向を全体として政府としても容認する立場であるようですが、確かに那覇港というのは沖縄経済の発展に大きな役割を果たしてきているんです。しかし、貨物の取り扱いというのは伸びていないんですね。

 これは、昭和六十三年に策定した計画では、平成十二年を目標年次にして港湾取扱貨物量を千二百四十万トンにする、こういう年次と目標を設定しておりました。実績は九百八十万トンだったんです。好景気といっても、那覇港の負っている役割からすれば、それはそんなに伸びていない。そのため、何が起きるかというと、港湾運営には多額の起債を必要とする。いわば、その運営のあり方を間違うと、本当に取り返しのつかない財政状況になっていくというのもあるわけです。

 ところが、港湾計画では、外貿の取扱貨物が約十年間で百十六万八千トンから千二十万トンに伸びる、このように、約九倍に需要予測を立てて、目標を設定して取り組んでいるわけですね。こうした目標設定、大臣、どんなふうにお考えになりますか。

小池国務大臣 この那覇港、私も何度か行かせていただきました。やはり、地理的にいいますと、ますます中国であるとかアジアの国々などの今後ともさらに発展が見込める、ある意味で、大変これからも沖縄というのはそういった地理的なメリットが十分生かされていくことが期待されるところでございます。よって、この沖縄振興計画において、アジア太平洋地域における交流拠点の形成ということで、国際水準の港湾などの整備を進めていっているということでございます。

 今おっしゃられた取扱貨物量の数値でございますけれども、そういった背景を考えますと、また一方で県民生活の向上にも資するという観点から、こういった港湾の整備を整えていくということでございますし、さらに、国内・国際物流の機能、クルーズなどの国際交流機能の充実に向けて進めていくことが必要なのではないか、このように考えているところでございます。

 数字についてどうかと言われれば、目標を目指して頑張りますということになろうかと思います。

東政府参考人 数字について、若干御説明をさせていただければというふうに思います。

 この数字につきましては、やはり東南アジアとか米国等との貨物のトランシップ等が活発になるということで出されているものでございます。それで、とりわけ、先ほど先生からもお話がありましたけれども、国際コンテナターミナル運営事業というものを設けまして、それで、運営会社が新しくつくられていくということのようでございます。

 それにつきましては、今まで以上に相当の商品力といいますか、営業力といいますか、そういうものを持っている会社のようでございますので、会社が目標としております相当多量の物流の取り扱いということが可能になってくる可能性があるというふうに思っております。

 以上でございます。

赤嶺委員 それは、アジアの港湾は発展していますよ。日本をはるかに追い越している。そして、北米やヨーロッパに直行便もどんどん出ていっている。アジアは発展していますよ。

 それが、那覇では、これまでも目標は達成したことがなかった、起債も抱えている、外貿の貨物の大半は米軍の物資だ、そういうところで何で外貿の貨物が今後十年間で九倍も伸びると。それは、目標達成を目指すのは頑張っていただきたいですよ。でも、そこには税金が使われるわけですから、税金を使う場合には、それが実りあるものとして返ってくるというようなきちんとした確実な担保がないと、これはむだ遣いと言われますでしょう。そういう確実な担保を説明してくださいということですよ。

東政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、東アジアを中心とした、そういう角度が出てくるということでございます。

 それから、もう一つ、今税金の使い方ということで申し上げれば、いろいろなバースも一つ、二つ、三つ、四つとかという計画になっております。必要な状況が出てくれば、それについてつくっていくということでございまして、現在は一バースがあって、来年度の一月に二つ目のバースが対応できるということでございます。それで、国際的なそういう物流をやるということになりますれば、一つのバースだけではなかなかその対応はできない、二つあれば非常に便利になるということでございます。

 ということでございまして、今私が申し上げたとおりでございます。ただ、十倍になるという一千二十万トンという数字については、先生もお話しのとおり、百万台からの十倍ということでございますので、なかなか達成は難しいだろうと思いますけれども、そこは、一つ一つ様子を見ながらそういう整備は進めていくということでございます。

 最初申し上げたとおりでございます。

赤嶺委員 大臣、達成は難しいとおっしゃっているんですよ。目標を持って頑張るというのと、達成はやはり難しいんですよ。それで、そういう懸念というのは、沖縄の振興計画をつくるときからあったんです。

 それは、第三回沖縄振興開発審議会総合部会・専門委員会、皆さんが所管する総合事務局のもとで開かれていた専門委員会です。二〇〇〇年の一月二十四日の議事録を読んでみました。その会議の報告者は、こう言っているんですね。

 立派な港湾というのは、常に後ろに大消費地を構えていないと成功しない。また、アジアの中での港湾の国際競争は大変激烈であり、使い勝手の悪い日本の港湾の国際競争力は落ちてきているが、これまでの経済活動を全く無視し、とってつけたような開発の発想だ、ハブ港について。このように皆さんが主宰した審議会の中で報告した専門家が、こういう開発については警告を発しているわけですね。

 アジアの真ん中に沖縄があるからという理由で沖縄に立派な港湾ができるはずだという議論が本当に正しいのか疑問である、ここまで指摘して批判をしているんですよ。

 皆さんは、あるいは大臣はというぐあいにお伺いしましょう、計画を具体化するに当たり、これらの批判をどのように受けとめてきましたか。

小池国務大臣 私も、地元に神戸港がございます。あの震災のときに、どのようにして神戸港をもう一度復活させるのか、復活させるだけでなくて、もうそのときから既に、アジアの港の方にハブが移りつつあるんじゃないかというような懸念もございました。

 ですから、港というのは、単にハードの面だけではなくて、例えば二十四時間受け入れが可能であるとか、そういった後の、港から積みおろした後のアクセスが便利であるとか、いろいろなことの総合的なものだろうというふうに思っているところでございます。今回、このような計画を進めていくわけでございますけれども、そういったことを念頭に置きながら、関係省庁とも連携をとりながら進めてまいりたい、このように思っております。

 確かに、ただ沖縄の地が中国であるとかほかのアジアの地域に近いから、それだけでは理由は弱いというその御指摘は半分くらいは当たっているところもあると私は思っているわけでございまして、よって、そういった総合的な観点から進めていくことが必要だろうと思っております。

 ただ、ハード面も、私この間、三宅島に七時間かけて行ったんですけれども、港の機能が余り充実していないというので、目の前でUターンして、また七時間かけて帰ってきちゃったんですね。ですから、やはり港というのはある程度の機能というかそういう強さというのを備えていないと、その分、私は上陸できなかったわけですから、そういったことも見ながら国際海運などは、あそこは台風がしょっちゅう訪れる地域でもございますし、だから、どういう気象状況であれ十分受け入れられる港にするということもお客さんを逃がさないという意味で意味があるんじゃないか、ついせんだってそれを体感したばかりでございますので、一言加えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 那覇港は船が着いて引き返すような事態にはもちろんなりません。ハブ港のバースがでは外国船が着いて引き返すことになるかどうかという議論はまたちょっと後でやりたいと思いますが、大臣の御心配は杞憂だと思います。

 私、この那覇港について今後開発していく発想が、今大臣も、アジアの真ん中にあるからということについてやはり否定的な御意見もお持ちのようでしたけれども……(小池国務大臣「否定はしていない」と呼ぶ)まあ、否定というか、全面的にそれがそうだからといってという理解ではないような御発言でしたけれども、アジアが発展しているからその一部を那覇に引き寄せようじゃないか、ある人は、中国―北米間の物流の四%だ、たった四%、沖縄に来ないわけはないだろう、こういう発想で大型のバースをつくっているわけですよ。可能性はありますよとみんなおっしゃる。しかし、目標達成について本当に確信があるかといえば、それはやってみなければわからない世界ですよね。目標達成も難しいというような問題を抱えているということをひとつ認識していただきたいんです。

 私、この間、先ほど大臣から神戸港の話が出ましたけれども、ハブポート建設というのはいわば北九州でもそれから福岡でも計画されているわけですね、北九州のひびきコンテナターミナルのパンフレットを見てびっくりしたんですよ。那覇と同じことを書いているんですね。経済発展が著しく、今後のコンテナ貨物増大が予想される中国で発生及び消費される北米、欧州貨物を中継する。その機能を担うのがひびきコンテナターミナルだ。その機能を担うのが那覇港の国際コンテナターミナルだ、言葉さえ入れかえれば、あとはみんな同じですよ。

 同じ機能を持ったのが那覇にでき、九州に二つもできる、そしてアジアの貨物を引き寄せようとするこの間の整合性、那覇港の国際コンテナターミナルというのをつくるときに、皆さんはそういう整合性はどんなふうに検討されているんですか。

東政府参考人 港湾の問題でございますけれども、それらの一つ大きな意味でいうと、自由競争という部分があるんだろうと思います。しかしながら、そうはいっても、いわゆる国費等々を投入するわけでございますので、両者が、どういう利点があるのか、それからそれがどういう形で動くのか、それを十分に検討した上でこういう計画を立てられているというふうに思っていますし、そのためにも、国土交通省におきます審議会にかけてそういう意味での調整を図っているということでございます。

赤嶺委員 ひびきコンテナターミナルと那覇港の国際コンテナターミナルが同じ文言でアジアの貨物を引き寄せようということについては、今後那覇港の開発を進めていこうとする場合にこれは留意すべきことじゃないかなと思うんです。

 それで、那覇港は、その公共ターミナルを構造改革に基づいて、民間のコンテナターミナル会社が運営するということでその申請を出していると思うんですが、それは今どんなふうになっていますか。

東政府参考人 特区申請ということで、特別埠頭振興事業という形だと思いますけれども、私どもが承知しております限りにおきましては、平成十七年の一月に認定申請をしているということでございます。予定といたしましては、三月中には申請の結果が、認定がおりるのではないかというふうに思っておるところでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 大臣、既に熟知していることだろうとは思うんですが、その国際コンテナターミナルを運営するのは那覇国際コンテナターミナル株式会社、民間であります。その民間も、フィリピンからそういうノウハウを持った会社が来ています。九号バース、十号バースを使うんですよね。そのときに、込み合っていたり施設がなかったら外国船が来た場合に帰ることになりはしないかという先ほどの大臣の御心配ですね。

 九号バース、十号バース、これの需要、立てた予測は四十万TEUなんですね。四十万なんですよ。しかし、その進出してくる那覇国際コンテナターミナル株式会社の社長は、そこの運営を引き受けたときの記者会見で、十年後に二十五万TEUを目指すと言っているんですね。四十万も使える能力がありながら二十五万しかできませんと。この二十五万も本当に危ぶまれていると思うんですが、全く需要予測について管理者と運営する人との間にギャップがある、違いがある。そういうものをそのままにしてスタートさせていったら、これは将来、財政的には港湾の岸壁使用料の問題やいろいろ、今でも大変な状態がもっと大変な結果になるんじゃないかと思うんですが、大臣、それはいかがですか。

東政府参考人 数字の問題でございますけれども、私どもが理解しておるものでございますけれども、運営会社と契約をしているのは三十五万TEUというふうに思っておりましたということでございます。

 それからもう一つは、これは今はコンテナだけでございます、今のお話は。コンテナ以外にも一般の貨物がございます。

 問題は、一般の貨物の方が今沖縄の取り扱いでは多いということも御理解いただいてございますので、今の数量的な観点で、四十万TEUの許容という意味において、九号、十号の部分は、この会社が契約に締結しているとおりの動き方をすれば、それは成り立っていくのではないかというふうに理解をしております。

赤嶺委員 それは、だから、私が先ほど言ったように、一般の貨物を中心とした那覇港の発展だったら大いに賛成ですよ。国際的なコンテナターミナルとして、将来は百万TEU、そして十年後に四十万TEU。しかし、今、いや、コンテナターミナル会社は三十五万と言ったはずだと言うんですが、報道で全部二十五万ですよ。三十五万という数字は見たことないですよ。管理組合が会社に対して、二十五万じゃ困るから、こういう批判が出たら困るからということで三十五万というぐあいに、仮にそういう数値目標を置いたにしても、まだまだ余力があるわけですよ。

 ここはコンテナだけで四十万TEUを扱えるというようなバースですから、能力そのものがフルに回転できない、そういうところに莫大な振興策予算が投入される、こういうあり方について、最後に大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

小池国務大臣 これまでも県と内閣府、そしてその他関連、総合的に進めてきた話でございます。また、沖縄の振興全体と相まって、那覇港の役割がさらに認識されるように努力してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 終わります。

荒井委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、もちろん沖縄北方という特別委員会でもありますが、特に、先ほどから質問が続いております沖縄科学技術大学院大学について、私も質問をさせていただきます。

 沖縄科学技術大学院大学、その大学院大学の沖縄にとってのメリット、そこからまずお聞かせください。政府はこのように沖縄にはメリットがあると考えているというところからお聞かせいただきたいと思います。

小池国務大臣 先ほど来お答えしていることでございますけれども、二十一世紀の振興を図るという上では、民間主導の自立型経済を構築していく、科学技術の振興を進めて技術革新によって新たな産業を創出するということなどが、これまでにも増して重要なかぎを握ることとなると思います。また、沖縄振興計画におきましても、科学技術の振興というのが新たな柱の一つとして加えられているところでありまして、その核となるものが、世界最高水準の自然科学系の教育機関、教育研究を行います今回の大学院大学、こういう位置づけをしているところでございます。

 沖縄に対してのメリットは何かといいますと、そういった大学院大学の周囲に企業の研究所、そしてベンチャー企業が進出して、知的産業クラスターを形成することを目指すことによって、そこからの広がりを期待できるような、そういったことを目指してこの大学院大学構想を進めてまいりたい、このように思っております。

 沖縄の皆さんが、この大学院大学があったことが将来、これは先ほども申し上げましたように、すぐ数年で花開くというわけにはいかないとは思うんですね。ですから、今この時期に、国家財政も大変厳しいところではございますけれども、こういったことを国家として、そして沖縄と一体となって進めていって、ああ、よかったなと思えるような、そういう存在にしてまいりたいということで、これから準備を進めさせていただきたい、このように思っております。

東門委員 ぜひ、よかったなと県民が思えるような、そして日本の国民が思えるような、そういうものを目指していただきたいと思います。

 それで、もうすぐ構想がスタートしてから四年目に入りますね、やがて三年目が終わるわけですね。大学院大学構想の具体化、ある程度見えてきたわけですが、具体化に伴ってどのような効果が現在あらわれてきているか、ありましたら教えてください。

東政府参考人 今どのような効果が沖縄にあらわれているかということでございます。

 一つは、今先生がおっしゃいましたように、構想を立てて三年、四年ということでございますけれども、実際に先行的事業等々を始めたのが、先ほど申し上げましたとおり、一年弱でございます。そういう意味では、大臣がおっしゃいましたとおり、成果が直接すぐ出てくるということではなかなか難しい部分がございますけれども、実は今現状では、むしろ研究開発を行うための基盤づくりみたいなものが進んでいるというふうに思っております。

 と申しますのは、研究事業等々を行います、すると、先ほどちょっと申し上げましたけれども、これをサポートするインダストリー会社が相当沖縄の方に目が向いてきつつある。ですから、例えば、筑波でも有数の企業、IT企業等々は、沖縄に一つ事業所をつくらなきゃいけないねというようなことも出てきているというような状況でございますし、そういうことでございます。

 もう一つは、ワークショップ等々が開かれております。これはどういうことかと申しますと、世界のいわゆる優秀な学生さん、いわゆるドクターコース以上の方々でございますが、そういう方が沖縄に来て実際に勉強されております。そういう意味では、沖縄の学界における知名度、これは相当上がっておるというふうに思います。

 それからもう一つは、ネイチャーだとかMITのいわゆる同窓会誌等々にも沖縄の名前がばんばん載っておりまして、いや、こんなのがあったよと我々に教えてくれるような学者もおられるということでございます。

 また、沖縄県においてもこれを非常に大切に扱いたいということを考えておられまして、先ほどちょっと御答弁申し上げましたけれども、先行的研究事業の研究所の参加を得まして、県内のいわゆる企業、研究機関の研究者の交流を図って、そういうネットワークをつくっていこうとか、それからフォーラムをつくりまして、高校生をして議論をやっていくということでございます。これに触発されたかどうかわかりませんけれども、沖縄県でも千葉大学に飛び入学された高校生も出てきたということも知っておりまして、非常にそういう意味でのいい刺激が出ているのではないかというふうに思っております。これはひとりよがりかもしれませんけれども、そういう気持ちを持って頑張っておるところでございます。

東門委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それで、今現在、先行的研究事業が実施されているというお話、先ほどからありましたが、現在、四人の主任研究者が研究に従事しているということですよね。それで、平成十七年度は先行的研究事業に三十一億円余が計上されていますね。そうすると、主任研究者を十七年度はどの程度ふやす予定でおられるのか。

東政府参考人 現在、主任研究員四名で、約十五億使っております。来年度はその二倍、八名の形を考えております。実は、またその次ということで十二名程度までは伸ばしていきたいというふうに思って、その準備もしたいということでございます。

 研究者をふやせないという部分は、実は施設の、物理的な制約がございまして、施設ができないとなかなか研究者が集まらない。そうすると、施設については、いろいろな設計もし、将来的なことも考えなきゃいけないということで、そういう意味では少し、先ほど申し上げた五十人、大学になるための五十人ということについて、遅々たる話ではないかというような御懸念もあるかと思いますけれども、いわゆる設備、施設、そういうものがあるとリクルートもしやすいねということは、例えばブレナー先生だとかそういう方々はおっしゃっておりますので、ぜひそういう形を御理解いただきたいというふうに思っております。

東門委員 今現在四人、その倍というと、プラスして八なのでしょうか、それとも、八人をプラスして十二人になるということか、ちょっとそこがわからなかったんですが、十七年度。

東政府参考人 十七年度では八名です。あと、いわゆるリクルートということで四名の準備をしようということでございます。

東門委員 先ほど同僚委員からも質問がございましたが、関係閣僚会議の中で、確かに、主任研究者が五十人程度に達した時点を目途として開学をするというのが合意されたということです。それは今局長の答弁にもあったんですが、五十人程度の主任研究者、そうしたら、遅々として進まない、場所の問題もありますよということを今お話ししておられたんですが、担当の部署としては、五十人程度、いつごろまでに、何年くらいまでにという目標がありますか。当初、私、開学は十九年度だと思っていましたけれども、いかがですか

東政府参考人 当初の段階では、二〇〇七年の九月の開学を目指してということを言っておりました。現実的に、いわゆる世界最高水準ということになりますればなかなか難しゅうございまして、先ほど申し上げました五十人程度という形になっております。ただ、実態といたしまして、独立行政法人が、一年前倒しといいますか、ことしの九月には、法案を通していただければ、成立するということでございますので、相当、そういう意味では前倒しに実態的な形ではなったということでございます。

 ただ、大学の申請という意味においては、先ほどほかの先生の質問の中にもありましたけれども、いわゆる要件等々がございますものですから、そこの申請がなかなかうまくいっていない、大学になるための設置条件みたいなものがございますので、そこをクリアしなきゃいけないという部分がございますということです。

東門委員 大学院を設置するための条件、クリア、それは恐らく人数も入っていると思うんですが、主任研究員も。それが五十人にいかなくても、ひょっとしたら可能性はあるというふうに理解していいということですか。

東政府参考人 お答えします。

 大学の認可申請の基準という部分においては、それは五十人ということはございません。ただ、世界一流の、世界最高水準の、ベスト・イン・ザ・ワールドをやるために、それからまた、融合的な研究をきちっとやるということになれば、五十人程度のものがないとなかなかうまくいかないだろうというのが私たちがいろいろな御意見をいただいておるボード・オブ・ガバナーズの先生方の御意見でございます。そういう意味で、五十人という部分を申し上げているということでございます。

東門委員 五十人程度ということですが、大学院大学、時間がどれぐらいかかるかわからない、開学のめどもまだ立っていないんですが、しかし、最終目標としては、たしか教授というのか主任研究員というのか、研究者が二百人、スタッフが三百人、違いますか、学生五百人という数字が……(発言する者あり)失礼しました。主任研究員が三百人ですか。たしか、学生五百人なのか、それ以上なのかという目標がありましたよね。それは達成するまでしっかりとやっていくということですか。

東政府参考人 大学院大学の、初期のころは、主任研究員二百人という議論がございました。しかし、いろいろな議論を進めている間に、三百人ぐらいは目指さなきゃならないだろうということでございます。学生数でございますが、一学年百名、それで五百名ということでございます。後、スタッフは九百名から千人程度だというふうに思います。

東門委員 そして、学生も主任研究員も半数以上が外国人というのが書かれているんですが、それはなぜなんでしょうか。言語は英語を使うというのは聞いています。それは知っていますけれども、なぜ、スタートしない前から半数以上は外国人だというふうに決めたのか。

東政府参考人 日本の大学等々でいろいろな国際性を申し上げているような部分がたくさんございますが、やはり実として、本当の意味での国際性を持つという意味においては、そのくらいの数字がないとその目標としては難しいのではないかということでございます。それともう一つは、これは世界のやはり科学技術に寄与しようという高い理想を持っておりますものですから、そういう意味で半数以上を外国の方ということでございます。

 実際、今やっておりますいろいろなセミナーだとかそういうことを見ますと、実は我々の予想以上に外国の方の応募が多くて、例えば四十人規模であると日本のいわゆる受講生といいますか、そういう方というのは四十名のうちの十名程度だとか、そのくらいの比率で現実は動いているということでございます。

東門委員 先ほど局長もおっしゃっておられました。キーワードだと思います。尾身さんが大臣のときもいつもおっしゃっておられたんですが、ベスト・イン・ザ・ワールド。最高の、すごくいいキーワードだと思いますが、ベスト・イン・ザ・ワールドと銘打っている大学院大学の成功のかぎは、やはりどれだけ世界一流の頭脳を多く集めることができるか、そして研究者と大学院生のレベルを高く保てるかにかかっていると指摘する研究者の、専門家の方々の意見が多いわけですが、この指摘をどのようにクリアしていくか、クリアしてかけ声どおりのベスト・イン・ザ・ワールドを本当に誕生させる、どういう方法でそれを持っていくのか、そしてその方法とクリアする決意、それをお聞かせください。

東政府参考人 今先生がおっしゃいましたとおり、構想の成功のかぎというのは、やはり世界一流の研究者が集まるかどうかにかかっているということは事実でございます。

 そのためには、二つの面からいかなきゃいけないだろう。いわゆるソフトの方でいいますと、やはり今我々をサポートしていただいているシドニー・ブレナー先生たちを中心とした内外の著名な科学者等々のボード・オブ・ガバナーズのメンバーの協力を得ながら戦略を立てて、一人一人リクルートしていかなきゃいけないだろう。もう一つハードの方がございます。ハードの方は、やはり内外の一流の研究者、学生に魅力的な設備、備品等々はきちっとやっていかなきゃいけない、そういう意味では、最先端の資機材、そういうものをちゃんとそろえるということが大切だろうというふうに思っています。私どもは、そういう両方の面、一生懸命にやりたいというふうに思っています。

 そしてもう一つは、いわゆる給与等々においてもやはり世界に負けないものをつくらないとなかなかうまくいかないのではないかというふうに思っていまして、そういうプライベートな意味でのもの、それから子弟の教育の問題等々についてもきめ細かくサポートしていく体制をとっていかないとなかなかうまくいかないだろうというふうに思っていまして、そういうことについては、沖縄県、地元の方、それから関係省庁と連携をとって一生懸命に努力してまいりたいというふうに思っております。

東門委員 申し上げるまでもありませんけれども、沖縄は東京からかなり遠く離れており、島嶼県であり、中央から遠く離れた沖縄には学術的、科学的環境が欠けているとして、トップクラスの人材の参加には懐疑的な海外研究者の方もおられるというふうに聞こえています。

 これらの疑問に答えるためには、いろいろあると思うんですが、一つには空港から大学までの公共交通機関の充実、あるいは沖縄発着の国際線の整備などが必須との指摘もされているわけですが、大学へのアクセス、これは私も本当に感じます。沖縄―東京間を週末行き帰りしていまして、結構大変です。私、沖縄市に住んでいますが、そこからさらに北へ、大学の予定地、恩納村は行くわけです。そうすると、那覇空港から行くにも結構大変なんですよ。そういうことはどのように考えておられますか。

東政府参考人 今、交通のアクセス、これは大切だ、これは全くそのとおりでございます。しかしながら、今、恩納村の建設予定地というのは高速道路を利用すると約一時間ぐらいで行ける形になっております。アメリカなんかのサンディエゴ等々のものを見ますと、やはり一時間程度の場所にあるものもございます。

 ただ、それでいいというわけではございません。我々としては、将来的といいますか、那覇空港自動車道路を整備するということで、もっと短縮できるということで四十分程度か五十分程度近くにはなるだろうというふうに思っておりますし、また空港ばかりじゃなくて、周辺の生活関係のための道路整備等々もやっていかなきゃいけないだろうというふうに思っています。

 そういう意味では、病院へのアクセス、学校へのアクセス、そういうものとか、あとエンターテインメントするためのアクセス、そういうものも十分に考えていきたいというふうに思っております。それが先ほど申し上げた一流の学生、研究者を引きつけるハードの面の大きな要素だろうというふうに思っております。

東門委員 とても大事なところだと思います。

 自動車道の整備もこれから随分要求されますでしょうが、やはり国際線の発着というのもしっかり見ていかなきゃいけないことではないかと私は思います。那覇空港をいかにして国際線の乗り入れを可能にして、本当に一々成田、羽田、那覇、そしてそこから恩納村と考えるだけで大変だと思うんですが、そこに国際線が乗り入れできるような整備をしなきゃいけないと私は思うんですが、大臣、沖縄担当大臣としていかがでしょうか、国際線の整備も含めてぜひ御決意を。

小池国務大臣 私が国土交通大臣もついでに兼ねてやれればいいなと今つくづく思っているところでございますけれども、ブレナー先生も沖縄に来るのに、香港から来れないかなとか、シンガポールから直接来れないかなとかおっしゃってもいるんですね。先ほどのハブの港と同じことも言えるのではないかと思います。

 沖縄にこういった科学技術大学院大学をつくり、そしてまた沖縄の振興を進めていくとおのずとそういったニーズも出てくるのではないか。そのためには、コマーシャルな航空会社もそこにやはりニーズがないと、無理やり引っ張ってくるわけにもいかないわけでございますので、ですから、今回の大学院大学にいたしましても、そしてまたきょう同時に御審議いただいている交付金の創設にいたしましても、いずれも沖縄の振興ということが大きな目的の一つでございますので、そういったことを総合的に進めることが、今お申し出がありましたような那覇空港の国際化といいましょうか、そういったことを進めていく総合的な戦略の中での結果になるのではないかと思っております。御意見、よく承らせていただきます。

東門委員 時間ですので終わりますが、ぜひよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

荒井委員長 次回は、来る十七日木曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十三分散会


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