衆議院

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第3号 平成18年3月29日(水曜日)

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平成十八年三月二十九日(水曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 井上 信治君 理事 石崎  岳君

   理事 小渕 優子君 理事 仲村 正治君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高木 義明君

   理事 仲野 博子君 理事 丸谷 佳織君

      安次富 修君    清水清一朗君

      玉沢徳一郎君    とかしきなおみ君

      平口  洋君    福岡 資麿君

      山崎  拓君    吉川 貴盛君

      若宮 健嗣君    石関 貴史君

      市村浩一郎君    土肥 隆一君

      三井 辨雄君    伊藤  渉君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   東  良信君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  藤岡 文七君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           東   清君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  山内 正和君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    原田 親仁君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山中 伸一君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  五十嵐太乙君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 吉田 義一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  三井 辨雄君     石関 貴史君

同日

 辞任         補欠選任

  石関 貴史君     三井 辨雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官東良信君、内閣府沖縄振興局長藤岡文七君、内閣府北方対策本部審議官東清君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛施設庁施設部長渡部厚君、防衛施設庁建設部長山内正和君、防衛施設庁業務部長長岡憲宗君、外務省大臣官房審議官鶴岡公二君、外務省北米局長河相周夫君、外務省欧州局長原田親仁君、文部科学省大臣官房審議官山中伸一君、水産庁資源管理部長五十嵐太乙君、国土交通省北海道局長吉田義一君、環境省地球環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。一般質疑を行います。

 沖縄の米軍基地は、戦後六十年間、基本的には変わることなく続いているというのが率直な県民の意識であります。この戦後六十年間に、中国大陸では国民党、共産党の内戦、あるいは朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、そしてイラク戦争と続いてきておりますが、我が国が武力紛争に巻き込まれたことはありません。

 私は県議会時代のことを思い起こすのでありますが、一九八九年、当時の米国のジョージア州選出の上院議員、軍事委員長を務めておりましたサム・ナン氏が、ヨーロッパにおける米軍の駐留は地上軍よりも空軍を主体にすべきであると主張をしておりました。私は、このサム・ナン上院議員の考え方を応用いたしまして、沖縄における米軍の駐留は海兵隊よりも空軍を主体にすべきではないかという質問を県議会で行いました。すると、嘉手納飛行場周辺の選出の県議からは、嘉手納基地の騒音がこれ以上ひどくなるのは御免だという激しいやじが飛びました。

 私の言いたかったことは、海兵隊の県外への移動によって事件や事故が少なくなるであろうという発想もありましたけれども、それ以上に、海兵隊の組織の変遷を調べてみますと、最前線の水陸両用部隊の変遷など、有事の際に米国本土から移動すればいいではないかというような視点もあっての質問でございました。

 あれから十七年経過をしております。今、米国は、地球規模での米軍再編、トランスフォーメーションに取り組んでおります。沖縄の海兵隊を八千名、家族を含めますと一万六千名とも言われますが、在沖海兵隊の総数のおよそ七三%に匹敵する家族を含めた数になっております。この数をグアム島へ移転するという提案をしてきております。戦後六十年間、過重な基地負担をしてきた県民にとっては、私は絶好のチャンスだと考えております。同時に、私は、日米安保体制を堅持しながら我が国の安全保障を根本的に支えていくという基本姿勢を政府と共有するものであります。

 そこで、麻生外務大臣にお伺いをいたしますけれども、米軍再編という米国主導の要因ではありますが、私は、この機会に沖縄県の負担軽減をぜひとも実現してほしいと考えております。麻生大臣の御所見をお伺いいたします。

麻生国務大臣 基本的には、今回の米軍の再編の一部にもなりますが、このグアムの移転の件に関しまして言わせていただければ、抑止力の維持と沖縄の負担の軽減、これはある面、二律背反するところもないわけではないんですが、それをいかにうまくやるかというのが非常に大事なポイントだと存じます。

 少なくとも、冷戦が終わった、先ほどサム・ナンの話があっていましたけれども、あれ以後、この十五年の間、少なくとも西ユーラシア大陸においては間違いなくいわゆる冷戦構造が崩壊しておりますけれども、東アジアの方では、朝鮮半島、台湾海峡、いずれも難しい問題を抱えていて、不確実性、不安定性を持っているところに、我々にとりましては、米軍の持っております抑止力というものを使って日本周辺地域、これらの地域の平和と安定を図るというこの抑止力の維持、それに沖縄というのは地理的に非常に深くかかわるという状況にあった、これはもう間違いなくこの六十年間確かなところだと思います。

 軍事技術の進歩やらいろいろなこともありまして、今移転が行われる可能性が出てきたということに関しては、先方は別に今沖縄から移動せねばならぬという事情を抱えているわけではありませんから、しかし、それが向こうに移動する可能性があるというのであれば、私どもは、負担の軽減という点におもしを置けば、この際移転をなるべく速やかにやってもらうためには、ある程度こちらも負担をしょっても、これまで沖縄県民が抱えておりましたいろいろなこの六十年間のことを考えますと、私どもとしては、みんなでそこらのところの移転を促進するためにどうすべきかという点は率直に、真摯に考えるべき問題だと思っております。

西銘委員 この海兵隊のグアムへの移転には前提条件が二つあるようであります。一つは、普天間の移設先の問題であります。これは私の次の安次富議員が質問をしますけれども、もう一つは、この移転費用の負担であります。

 米国はどういう施設を要求してきているのか。私は、この要求は精査すべきであると考えております。米国のこの要求の内容と、またいつまでに移転を完了するのか、御説明をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 兵力体制の再編に関する協議の話の中で今詰めなければいかぬところなんですけれども、今言われましたように、移転費用に関する負担の問題ですけれども、基本的には私どもは、グアムに移転する沖縄の海兵隊隊員の宿舎とか隊舎とか、そういった移転するのに直接必要な部分、とにかくグアムというのは、行かれたことがあると思いますが、あの中にいきなり一万何千人ごそっとふえるというのはかなり大変なことだと思いますし、去年も何回も停電しているようなところですから、そこに一万七千人ふえるというのは、グアム州というんだか市というんだか、何というんだか知りませんけれども、地元グアムとしては結構大変な負担をしょい込むことは確かです。

 そういった意味では、住宅やら何やらそういったものの部分は私どもとしても理解の得られるところかもしらぬが、いわゆる軍事施設等々というのはうちは関係ないのよと。そこらの点が、費用の点に関して言えば、私どもの負担できる理屈の立つというところが大事でありまして、額の話より、理屈が立たなきゃ幾ら言ったってだめですよという点が一点であります。

 もう一点は、いつまでにというと、これは辺野古がいつできるかというところと関係いたします。それはそちら様の関係、沖縄の地元の関係も、一体いつでき上がるのかとかなり密接に関係をいたしますので、何年でできるかというのがちょっと正確なところがわかりませんと、一体いつ基地が完成して、それに伴って普天間から辺野古へ移転し得るのか、そしてそこにいた人たちがこっちへ移るというのと全部関連しております。その工事の完成との関係がありますので、今この時点で五年だ三年だというのをちょっと言える状況にはございません。

西銘委員 単純な比較はできないと思うんですけれども、旧ソ連軍が統一ドイツから撤退をしたときに、約一兆六百八十億円の費用負担をドイツがしたと聞いておりますが、この負担の内容等について御説明をしていただきたいと思います。

塩崎副大臣 今西銘先生の方から、東西のドイツが統一されたときに、旧ソ連軍に引いていただくということで一兆六百八十億円の経費負担を約束したということについてのお尋ねがございました。

 ドイツの国防白書が一九九四年に出ておりますけれども、九〇年から四年間で、当時の為替レートで換算すると一兆六百八十億円、百二十億マルクを負担するということを約束したわけです。お尋ねの点でありますけれども、この中身について見ますと、撤退するまでの駐留経費、それから撤退における輸送費用、それから撤退先での軍人、家族用の住宅建設費用、そして退役軍人の再教育費などが含まれているということでございます。

西銘委員 私は、戦後六十年の過重な基地負担の県民感情、意識からしましても、費用はかかっても、この際、一気にチャンスとして、一万六千名余りの海兵隊のグアム移転を強力に推し進めていただきたいと考えております。

 グアム島は、我が国では淡路島と同じような大きさで、人口が十六万人、東京から約三時間の飛行機でありますが、今の軍事技術、ITを中心とする技術革新、あるいは陸海空海兵隊の統合運用等々考えてみますと、沖縄に海兵隊が駐留をしなくても負担の軽減と抑止力の維持というのはバランスできるものだと私は考えております。どうか外務大臣、強力に、このチャンスをとらえて、沖縄県の負担の軽減に取り組んでいただきたいと思います。

 一点お伺いをいたしますけれども、我が国の自衛隊がグアム島で共同で使用できるような施設の検討も含まれているんでしょうか。御説明をお願いいたします。

麻生国務大臣 日本がグアム島で、自衛隊で使う、自衛隊の隊員が行ったときに泊まれる宿舎とか、そういう意味でしょうか。(西銘委員「いや、訓練を共同でやる施設」と呼ぶ)

 所有権は向こうだと思いますけれども、例えば飛行場であれば、あそこはたしかアンダーセンという基地があるんだと思いますが、あそこの基地の部分は多分向こうの所有でありましょうけれども、共同利用ということは考えられると思いますし、住宅やら何やら、こちらがあそこで共同訓練をするということをある程度考えれば、そこのところの建物、住居、隊舎等々のものは考えられると存じます。

西銘委員 私は、今回のグアムへの移転は、米国は、独自の米軍再編という中でグアム島を非常に最重要拠点の一つというふうに位置づけております。インド洋上のディエゴガルシア、あるいはアメリカからとりますと、我が国とイギリス、これに匹敵するようなグアム島の位置づけ、最重要拠点の一つという位置づけが米軍のトランスフォーメーションの中でされております。

 そういう視点で考えますと、米国みずからも、海兵隊をグアム島へ移転させるというのは米国の意思も働いているものではないかと私は考えます。そうしますと、費用の負担は五〇%、五〇%ぐらいが妥当な線ではないかというふうに考えますが、この費用負担の点をどう考えておりますか。

麻生国務大臣 これは西銘先生、早い話が、交渉ですから、言い値と落とすところはなかなか、国家間とはいえ、お申し出のとおりということもありませんし、ある程度多目に言って、こっちも少な目に言って、何となく折り合うところという話は、談合じゃありませんけれども、大体お話し合いということにならざるを得ぬということなんだと存じます。私どもとしては、そっちが立ち退くといったって、立ち退いてもらうように頼んだのはこっちである点もありますので、その点はちょっと私らとしてはほかのところとは違う、先ほど東ドイツの例を引かれましたけれども、そことは違う、私もそれはそうであると。

 もう一つは、日米安全保障条約というのは、御存じのように、双務条約じゃなくて、向こうはこっちを守れ、こっちはそっちを守らないという片務条約ですから、それは私らにとっては負い目ではあるんですよね。この種の話し合いを、同盟じゃないかといったって、何言っているんだということになりますので、そこらのところは、言わないまでも、我々はある程度理解しておかないといかぬところだと思います。

 私どもとしては、今西銘先生五〇と言われましたけれども、私は五〇は切りたい。最初は言い値はこんなものといって、とても五〇まで譲る気は私どもはないんですけれども、向こうとの話し合いでどこに落ちつくかはわかりませんけれども、向こうはいろいろ、言い値は高く言ってくるでしょうけれども、落ちつくところはそうそう、私どもとしては払える範疇というのが決まっていますので、まず内容、そしてそこが詰められた上での額、その上でのパーセントということになろうという感じがいたします。

 いずれにしても、これはけんかして決めるような話じゃありませんので、納得ずくで話をつけたいものだと思っております。

西銘委員 麻生外務大臣としては、移転費用が少々かかっても、この際、沖縄の海兵隊八千名、家族を含めて一万六千名のグアム島への移転は強力に推進をしていくというお考えでよろしいんでしょうか。大臣の決意をお伺いいたします。

麻生国務大臣 私は、基本的には、今回のこれは軍事技術の変化というものも確かに言われたとおりある、私どもの方の希望もある、向こう側の再編成もと、いろいろなものが重なったんだとは思いますけれども、私は、いい機会だと思いますので、この際積極的に進めるべきだと思っております。

西銘委員 沖縄担当の小池大臣にお伺いしたいんでありますが、この海兵隊のグアム島移転について、小池大臣、沖縄を担当、所管する大臣としての所見をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 沖縄の負担軽減ということは、これは当然進めていくべきものということ、これにほかなりません。そしてまた、今回、昨年の十月の2プラス2の共同文書で、先ほどから出ております数字、七千名であるとか八千名であるとか、そのあたりの数字が出てきて、まだフィックスそのものではないとは思うんですけれども、いずれにしましても、これだけ多くの兵隊そしてその家族が動くということはこれまでにもなかったことでありますし、稲嶺県知事の方もこの点については評価されているところであると思っております。

 これにつきましては、今、日米間で大変協議が重ねられているところでございます。若干日程に変化があるようではございますけれども、これから日米間でしっかり詰めていただいて、そして沖縄の負担軽減ということを実現してまいりたい。そしてまた、私自身とすれば、沖縄とのかけ橋役ということを前からお伝えしておりますので、そういった意味から支えていきたい、このように思っております。

西銘委員 一点、細かい質問になりますけれども、家族を含めて一万六千名、家族分八千名という数字は、海兵隊の家族からすると、私はちょっと多いのではないかなというふうに考えたりするんですけれども、家族を含めた数字はどういうふうにして計算されておりますか。御説明できるのであれば伺いたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 沖縄の海兵隊の移転する数につきましては、昨年の十月末の中間報告では七千名という整理をしましたけれども、その後、八千名にふやすという可能性を日米間で協議しているところでございます。

 他方、家族の数につきましては、米側からは九千人ということで聞いております。

西銘委員 ぜひとも海兵隊のグアム島への移転を両大臣に強力に進めていただきたいと要望をしておきたいと思います。

 次の質問に移ります。沖縄の道路事情についてお伺いをしたいと思います。

 沖縄本島には、西側に国道五十八号線、そして本島の中央部に自動車高速道、そして東側に国道三百二十九号線と、三本の幹線が走っております。この三本の幹線の横、ちょうどはしごのけたを入れていくような形で、はしご道路の構想があります。このはしご道路、縦に走っている、南北に走っている幹線三つをつないでいく。その中間に米軍基地があったりしているような事情もあるんですけれども、私は、この構想は、沖縄本島の道路の整備の体系としてはすばらしい構想であると考えております。

 小池大臣、はしご道路の構想について所見を聞かせてください。

小池国務大臣 実際に沖縄に参りますと、鉄軌道が今モノレールだけでございますけれども、やはり車に頼った日々の生活であるということを痛感いたします。そして、今お話ございましたように、幹線道路ネットワークを整備する、それもいわゆるはしご状の幹線道路ネットワークの構築ということでございますが、それを進めていくことも重要と考えております。

 これまでにも那覇空港自動車道などの整備にも取り組んできたところでございますし、また、こういったお話、幹線道路のネットワークをより一層強固なものにしていくためにも、沖縄県など皆様方の関係機関としっかり連携をしながら、幹線道路ネットワークの整備に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。はしごを外さないようにしたいと思います。

西銘委員 大臣、はしごを外さないように強力に推進をしていただきたいと思います。

 沖縄は、大臣の答弁にもありましたように、鉄軌道がモノレールしかありません。そういう意味では、渋滞のデータを示す指数からいたしますと、東京、大阪、神奈川、埼玉、愛知に次いで、沖縄の渋滞率は六番目に厳しい道路の状況であります。地方からしますと、離島も含めますと道路の整備状況はまだまだでありますので、強力に取り組んでいただきたいと思います。

 このはしご道路の構想の中で、沖縄本島の南部、ちょうど合併をして新たに南城市が誕生しております。このはしご道路構想の根幹の部分をなす南部東道路の構想、南城市と那覇空港を結ぶ地域高規格道路でありますけれども、合併後の地域の住民の期待が非常に強いものがあります。

 この南部東道路、地域高規格道路の状況、現状はどうなっておりますでしょうか、お伺いいたします。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの南部東道路でございますが、那覇市と本島南部の東部地域とのアクセス向上を図り、南部地域の振興に寄与する事業として重要性が高いと認識いたしてございます。とりわけ、平成十八年一月でございますが、誕生いたしました南城市の観光等の産業振興や地域の活性化に資するものと考えてもございます。

 既に一部区間の概略ルートが地元で合意されておるというふうにお聞きしておりまして、地元におきましては、昨年七月でございますが、南部東道路整備促進住民連絡会議を組織されるなど、早期実現に向けた機運も盛り上がっていると認識いたしてございます。

 このような新規の事業でございますが、実施計画策定時に決定されることになってございまして、現段階でコメントできる状況にないことは御理解いただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、他の事業中の箇所の状況や周辺の道路状況等勘案いたしまして、早期の事業化について検討してまいりたいと考えてございます。

西銘委員 この南城市の知念あたりからいたしますと、那覇空港まで、渋滞に遭いますと一時間以上かかる、あるいは飛行機に間に合わなかったという話も地域からは聞かれます。この南部東道路が開通することによって、那覇空港までの時間が三十分ぐらいで確実に結ばれることになります。仲村筆頭もずっと熱心にこれに取り組んでこられましたし、どうか、地域住民の期待の強い地域高規格道路でありますので、ぜひとも力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 終わりになりますけれども、離島振興という視点で一つ質問をさせてください。

 私は、ことしの一月、与野党の国会議員団でブラジルへ参りました。アモリン外務大臣と面談する機会にも恵まれました。また、日伯の国会議員連盟の会長代行さんともお話をする機会がありました。ガソリンにまぜて走るエタノールの話でずっと話題が尽きませんでした。

 このエタノールの実証試験を離島、宮古島でやっております。また、本島北部の伊江島でもやっております。私は、この二カ所の実証試験を視察してまいりましたけれども、環境と経済の統合という視点でも、あるいは地域の製糖工場から出てくる廃糖みつを使ってエタノールをつくっていくという地産地消の点からいたしましても、非常に地域振興の可能性を秘めているものではないかと考えております。

 小池大臣、環境と経済の視点でどのように考えておりますか、所見をお伺いいたします。

小池国務大臣 この週に伊江島の方にも視察に行く予定がちょっとあったんですが、都合により実際の視察ができなくなりましたが、宮古島の方に伺いました。

 E3でございますが、いわゆるE3、製糖工場と石油会社とが連携をして、島でとれるサトウキビを原料として粗糖を製造する工程、その中から発生する副産物、糖みつを利用しようというもので、それによってバイオマスエタノールができる。それをガソリンと混合する。三%まぜればE3、一〇%まぜればE10というふうに言われますけれども、これは車の方の機能ともかかわりますので、いろいろ今実験をしながらやっているところであります。そして、宮古島におきましては、公用車などによる走行実証試験が今行われているところでございます。

 最近、石油価格が上がってどうなったかといったら、砂糖の価格が商品取引所で上がっている。これは、砂糖イコール燃料だ、エタノールにつながる、そういう発想からマーケットが上がってきているということでございますけれども、沖縄の基幹産業であるサトウキビというのも地球温暖化対策に資する資源であるという見方というのは、非常に新しくなおかつ有望な部分ではないかと思うわけでございます。

 こういった観点から、このサトウキビエタノールで沖縄の島おこしそして地域おこしなどにつながっていくということで言うならば、環境と経済のまさに統合に当てはまるのではないのだろうか、このように思っておりますので、今後とも進めてまいりたいと考えております。

西銘委員 ぜひ、今後の実証試験、現実のプラントに向けてさらなる力添えをいただきたいと思います。

 最後になりましたが、ブラジルのアモリン外務大臣は、エタノールの話をする傍ら、麻生外務大臣にぜひブラジルに来てほしいと伝えてくれと申しておりましたので、最後にこれを申し上げまして、私の質疑を終了いたします。御感想があれば、どうぞ。

麻生国務大臣 この稼業に入るまで、ブラジルに永住権を持って一年少々住んだことがあります。当時に比べれば随分と力もついてきた国ですし、日本の在留邦人の一番多い国でもありますので、大いに伸びていく可能性の多いところだと思いますので、私どもも行かせていただく機会を、もう二十何年行ったことがありませんので、そう思っております。まことにありがたく存じます。

 もう一点、ちょっと委員長の御許可をいただいて、先ほど日米安保条約は片務条約という話を申し上げましたが、こちら側だけがしているものでありますので、ちょっと片務条約と一概に言い切れるわけではありませんので、日本の憲法の制約上、日米の役割に差異があるというように御理解いただければと存じます。

西銘委員 ありがとうございました。質疑を終わります。

川内委員長 次に、安次富修君。

安次富委員 初めに、一昨日、午後六時五十分に御逝去されました前名護市長の岸本建男氏に対し、心から哀悼の意を表し、お悔やみ申し上げます。北部山原の発展に全身全霊を貫いた、そして普天間移設問題等、本当に相当に悩んで考え、そして信念に基づいてその政治決断をした、まさに命を削って奔走されました岸本建男氏の御功績に心から敬意を表しますし、その意思を尊重すべきだと考えます。今回、普天間飛行場の移設先の問題につきましても質問を予定しておりましたが、突然の訃報に接し、今回は、通告していた一、二の事項につきましては取り下げさせていただきたいと思っております。

 さて、私は、今回、沖縄北方特別委員会で初めて質問をさせていただきます自民党の安次富修でございます。御配慮いただきました川内委員長や仲村筆頭理事を初め理事の皆様に感謝申し上げます。

 私は、沖縄県宜野湾市の普天間に生まれ育ちました。それこそ普天間幼稚園、普天間小学校、普天間中学校、普天間高校、現在もそこで生活をしております。一昨年の沖縄国際大学でのヘリの墜落事故は、私の隣の隣のおうちまで校舎の破片が飛んできました。そして、沖縄国際大学のすぐ近くに防衛施設局の現場事務所を立ち上げて、そして被害状況を一軒一軒全部回って、その被害補償それから心のケア等の相談に乗ってきた次第であります。

 そういう状況の中で私は今回初めて国政に出させていただきました。ですから、私は、何が何でも普天間を動かさなければならないという強い意思と信念を持っております。普天間問題は、一地域の問題ではなく、単に沖縄だけの問題でもありません、アジア全体の安全保障の根幹にかかわる問題であり、極めて国際レベルの問題であります。ですから、一日も早く普天間問題を決着させて、沖縄は新しいステージに立たなくてはならないと考えます。その新しい沖縄づくり、新しいステージづくりには、内閣府と沖縄担当大臣の強いリーダーシップに期待が寄せられているわけです。

 もちろん、沖縄県民の自助努力、沖縄県政の行政能力、執行能力、英知の結集が試されるわけでありますが、それこそ国と県とが一体となって、アジアの中の沖縄が花開く時代をダイナミックにつくり上げていかなければなりません。

 そこで、幾つかの質問をさせていただきます。

 まず、普天間飛行場の返還跡地開発の問題について質問させていただきます。

 普天間飛行場の跡地利用は、今や緊急の課題となっております。空白の期間を置くことなく、あの広大な敷地が基地返還後すぐに跡地利用が進むように、関係各機関、各位で最善の努力をしていただかなければなりません。

 沖縄は、戦後六十一年間基地とともに存在してきて、戦後の道路、電気、下水道といったインフラ整備も基地の存在に制約され、基地が返還されても跡地が陸の孤島となり、例えば新都心等のように、十九年も二十年もほったらかされてきて跡地開発がおくれてきた。今、那覇市新都心は隆盛を誇っておりますけれども、その空白の期間は余りにも長かったと言うべきであります。

 ですから、跡地が陸の孤島のように残ってしまう事態が予想されるときには、今この時点から、来たるべき返還を見越してシームレスに、周辺地域と整合性のとれた形で跡利用の準備を進めていかなくてはならないと考えますが、同時にまた、基地従業員の雇用の確保や失業対策についても総合的にその取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。

小池国務大臣 御指摘のように、普天間基地の跡地利用というのは基地の返還後すぐにでもシームレスに行うべきであるというお話、そのとおりであろうと思います。

 この跡地利用につきましては、これは大分昔ですけれども、平成十一年の時点での普天間飛行場の移設に係る政府方針があるわけでございますけれども、これに基づいての対応を今も進めているということでございます。

 そして、一方で、沖縄県そして宜野湾市がこの閣議決定による協議に従って基本方針をお示しになっておられるわけでございますが、これまでの市街地と連携した新たな都市拠点の形成をすべきである、それから、地権者の土地活用の促進ということなどが目標となっているわけでございまして、今後とも、この地域振興というのは、国、県、市それぞれ連携を持って進めていくことが必要である、このように思っております。

 これまでも、政府と地元との調整機関であります跡地対策協議会を開催いたしておりますし、また、県や市の検討経費に対しての財政支援も実施してきたところでございます。まずは、地元の、やはり何よりも主体的にこの地域をこうしたいんだという、そういった思いなども進めていただくように、また、それが円滑に進むように、内閣府といたしましても関係省庁とシームレスな連携をとりながら進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

安次富委員 私は、もうすぐにでも始めなければならないと思っております。それは、基地返還跡地を見越して周辺地域の整備をする、いわゆるゲートの入り口までは幹線道路を引っ張っておく、上水道も下水道もその入り口までは持ってきておくということが私は大事だろうと思っておりますので、今すぐできることは今すぐにでも始めるという体制をぜひ内閣府としても立ち上げていただきたいと思っております。また、地主や地権者、市民が、本当に返還されてよかったと実感できる日が早く来ることを望みたいと思っております。

 次に、中部振興策についてお聞きをいたします。

 普天間飛行場跡地開発にも関連をいたしますが、沖縄本島中部は、まさに基地に囲まれた地域であります。普天間基地、嘉手納基地、キャンプ・キンザー、キャンプ瑞慶覧、キャンプ桑江、基地がまさに集中する基地地域であります。今般の米軍再編に伴い多くの基地が返還されることになっておりますが、中部としては、基地のある今の時期に中部振興の総仕上げにかかる必要があります。

 沖縄の中部、南部、北部と、均衡のとれた振興が県土全体の発展のためには重要であると考えております。道路、下水道、その他、おくれているインフラ整備も含め、跡地利用に弾みをつけるような大胆な振興策を企画し、実施していただきたいと思いますし、また、次の質問でも触れますが、鉄軌道のない沖縄においては、人と物の移動、流通に欠かせない道路の整備等は、今基地にすべて阻まれておりますので、重要な問題だと認識をしております。

 従来の沖縄振興は沖縄全体の振興、発展を目指した振興計画が実施されたところでありますが、実際に基地の直接の大きな負担を受ける行政区におきましては、振興策が目に見える形でどうも享受できていない、実感として振興策を受けていないという声があることも事実であります。大胆な振興策と同時に、そしてもっときめ細かく、地域の自治会長さんの目線で、そこに住んでいる人々が実感できる振興策を考えていくべきではないかと考えますが、政府にありましては、そのような地域の市民の目線を意識して、そして今基地の重圧を受けている中部地域の振興策というものをぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

嘉数副大臣 お答えいたします。

 安次富先生には、中部に住んでおられて、中部が取り残されるんじゃないか、基地ばかりじゃないかという不安をお持ちで質問なさったと思いますけれども、内閣府としましては、北部、中部、南部、都市地区、そして離島含めて均衡ある発展をしなければ沖縄全体の発展はあり得ないという考えのもとに、そのバランスある施策を展開しているところであります。

 ちなみに、中部圏域におきましても、沖縄自動車道を初めとする広域道路、中城湾港開発及び新市街地等の整備を展開してきておりますし、また、琉球大学の移転、沖縄コンベンションセンターの設置等、学園都市の機能も整備されております。また、沖縄振興計画の圏域別振興の方向においても、県土の均衡ある発展を図る観点から、中部圏域を全県の五圏域の一つに位置づけ、駐留軍用地跡地の再開発を契機とした都市機能の再編、整備を行い、連担した都市圏圏域を形成しております。

 東海岸地域では、研究開発、交流体験等を含め、健康長寿をテーマとした地域の振興を図っておりますし、中城新港区は特別自由貿易を中心に加工交易型産業等の集積、西海岸は観光・リゾート産業の振興を図るという基本方針のもとにこれまで取り組んできております。

 具体的なことを申し上げますと、これまで道路、港湾、そして生活環境基盤整備を進めてきたほかに、例えば自由貿易地域、これは中城湾港新港区ですけれども、その振興をしっかりと図ってまいっておりますし、また東部海浜開発も進めております。また、うるま市においては、新大学院大学の先行的な研究施設をしっかり配置しながら今進めているところでありますし、沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターも整備をしておりますし、ITインキュベーション施設の整備も進めておりますし、世界遺産の周辺整備、歴史の道復元など、バランスを考慮しながら常に開発を進め、施策を展開している、そのように私どもは進めてまいっております。御理解いただきたいと思います。

安次富委員 基地に囲まれた、まさに基地の密集する中部地域の、中部の発展なくして沖縄の発展はないと私は考えておりますので、チューブレスタイヤにならないように、中部のしっかり入った沖縄県の発展づくりをぜひお願い申し上げたいと思います。

 それから、先ほどの西銘恒三郎先生の質問にも関連いたしますが、私は、新しいインターチェンジの増設についてお聞きをいたしたいと思っております。

 沖縄自動車道のスマートインターチェンジにつきましてお聞きをいたします。

 沖縄は全国の基地の七五%が集中しており、本島面積の二〇%を占め、その広大な基地用地の存在は沖縄の道路網整備の上でも重大な制約条件となっている。沖縄の大動脈である国道五十八号線から沖縄自動車道までの距離は、那覇インターから二十五分、沖縄北インターから十五分、金武インターから二十二分となっている。スマートインターチェンジは、はしご状道路が整備されれば、インターチェンジまで十分で到達可能な人口は現在の五十四万人から九十三万人へと大幅に増加されると見込まれております。これによって大いに観光の発展にもつながるということが言われております。

 沖縄自動車道の要所要所にETC専用のスマートインターチェンジを増設し、そこを基点として南北に延びる、そして東西への基幹道路を整備していくことが重要なプロジェクトであると思っておりますが、この件に関しましては、先週も県の道路課長、それから北中城村長、金武町長といったメンバーで西日本高速道路株式会社にスマートインターチェンジの増設に関して陳情を行っているということを承知しておりますが、西日本高速道路株式会社としては、沖縄自動車道の利用促進という点に関しては興味を示しております。問題は、やはり株式会社としてスタートした同社でありますから、採算性が気になる、利用者数がどれだけ見込めるか、ことし九月にスタートを予定しております北中城村における社会実験の結果を見てみたいということであるそうでございます。

 現在、北中城で社会実験として行われることになっておりますが、今後、西原町、金武町も手を挙げている状況であります。北中城においては、来るべきキャンプ瑞慶覧の一部返還、基地返還によって、ことしの秋から社会実験として新設される喜舎場インターチェンジから横の連絡道路を整備することにより、既に計画している渋滞解消の試算も出ている。西原町の計画に関しては、モノレールとの相互連絡も図れる。そしてさらに、金武町に関しては、沖縄自動車道から県道一〇四号線に接続して、西海岸の恩納村リゾート地帯へのアクセス性、利便性の向上によって、観光振興にも大いに役立つと思われております。

 こういうことで、こういうインターチェンジにすることによって那覇空港に直結していくことが沖縄全体の振興、発展につながり、これをぜひ生かしていかなければならないと考えますが、これに対する取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。

嘉数副大臣 委員の考え方として、私も、本当にぜひ実現しなきゃいかぬ部分もあるなと思いながらお伺いしております。

 実は、かつて沖縄サミットを開催する前に、恩納村を中心にした北部のリゾート地域は物すごい混雑があり、その混雑を解消するためにいろいろ知恵を絞っていただいた、その結果、恩納村から金武町に抜ける簡易インターチェンジをつくる、東恩納から屋嘉に向け、その結果、相当混雑が緩和されたという実績もございます。

 それを考えますと、やはり五十八号線、幹線道路の混雑を解消するということ、あるいはまた緊急の医療、防災面から考えても、今ある高速道路を、本当に地域の活性化を図るためにも、ぜひとも有効に利用する、有効に活用することが大変大事だと思っております。そのために、簡易インターチェンジを有効に活用できる方法を考慮する必要があるだろうと思っております。

 ただ、先ほど委員からも御指摘ありましたように、そのためにはいろいろな制約がございます。現在、そのために、コストを削減するためにどういう形をとるのか、あるいはまた、今、スマートインターチェンジという制度を国土交通省で導入に向けていろいろ検討していただいております。そのために、社会実験を平成十六年から全国で試験している最中なんです。

 沖縄県におきましても、先ほど御指摘のありました沖縄自動車道喜舎場バス停におけるスマートインターチェンジの社会実験については、地元の地区協議会で、今、実験内容の検討中でありまして、今後、その地区協議会において社会実験箇所の採択に向けて検討、協議が進められ、早急に関係者間の協議が行われ、その実現が図られる、そういう期待をしております。

安次富委員 ぜひ、嘉数副大臣の選挙区でもございますし、また私の選挙区でもございますので、嘉数副大臣と連携をとりながら、道をつないでいくということが大事でありますので、二区と三区の道をつないでいただきたいなと思っております。そのことが沖縄全体の発展につながるということでございます。

 続きまして、那覇広域都市計画道路であります浦添北道路の進捗状況につきましてお聞きをいたします。

 那覇軍港の浦添への移設に伴いまして、今、米軍再編の中で浦添のキャンプ・キンザーの返還が取りざたをされておりますけれども、那覇空港からいわゆる中部、北部へ延ばすためには、国道五十八号線、今、九州で一番渋滞をしております、渋滞がワーストワンであります、ですから、どうしてもそのバイパス道路をつくらないといけない。そのためには、キャンプ・キンザーのいわゆる湾岸沿いに、そのキャンプ・キンザーをセットバックさせて浦添北道路を直結させていかなければならないと考えているところでございます。

 このような慢性的な交通混雑の緩和を図り、都市間交通の円滑化を図る骨格道路として位置づけられているこの浦添北道路、那覇空港へのアクセス性の向上、那覇港はハブ港を今建設中でございますけれども、その支援をするためにも、浦添北道路の整備は不可欠でありますけれども、現在の浦添北道路の進捗状況と今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの浦添北道路でございますが、地域高規格道路であります沖縄西海岸道路の一部を構成いたしまして、沖縄本島中北部方面から、かなめであります那覇空港、那覇港へのアクセス向上を目的とした延長二キロの道路でありまして、浦添市内の国道五十八号線における慢性的な渋滞緩和にも大きく寄与することが期待されているというふうに我々も認識いたしております。また、これまでに、国、県、浦添市等関係機関の連携協力によりまして、平成十七年九月には都市計画決定も行われていると聞いてございます。

 このような新規の事業化でございますが、御案内のとおり実施計画策定時に決定されることになってございまして、現在我々の方でコメントできる状況にないことは御理解いただきたいと思います。いずれにいたしましても、他の事業中の区間の状況や周辺の道路状況等を勘案いたしまして、早期の事業化について、必要性については十分認識の上、努力してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

安次富委員 ぜひ、沖縄の道路事情、九州でワーストワンの汚名を返上して、交通アクセスの利便性というものを図っていただきたいと思っております。

 次に、基地内から排出されるごみや廃棄物処理についてお聞きをいたします。

 沖縄の米軍基地内で発生する廃棄物の処理は、現在まで米軍から委託された業者が一手に引き受けていたところでありますが、現在、別件にてその業者が営業停止処分を受けて、業務活動ができない状況になっております。そのため、基地内は、一時、ごみや廃棄物を倉庫に保管しているというようなことも耳にしておりますけれども、このことを防衛施設庁の方ではどう把握しているのか。

 そして、ごみは日々排出されるものであり、基地内の倉庫に保管するにも限界があり、広大な基地施設の中でまさか不法投棄が行われているわけではないだろうと思いますけれども、自然環境の問題の観点から、また周辺自治体の不安に対して、その配慮ある対応を望みたいと思っておりますが、どういう対策をとっていくつもりなのか。

 また、実態調査をし、米軍側に対して適宜適切に助言、指導するなり、そういう対策が必要だと思いますが、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県におきます廃棄物処理行政につきましては、基本的に県が所管しているところでございまして、在沖縄米軍から排出されます廃棄物の処理につきましても、米軍は廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に基づきまして処理しているものと理解をいたしております。

 私どもといたしましては、沖縄県から得ました情報といたしまして、在沖米軍のごみ処理の委託を受けている廃棄物処理業者の一つ、今、安次富先生御指摘のところでございますが、この業者が廃棄物処理法違反事件を起こしたこと、また、最終処分場の残余容量が逼迫していることなど、在沖米軍から排出されますごみを含めた廃棄物の適正処理に関する課題が生じていること、さらには、このような状況等を踏まえまして、現在、沖縄県におきましては公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の整備を検討しておられること等を把握しているところでございます。

 いずれにいたしましても、これら沖縄県からの情報等を踏まえまして、私どもといたしましては、米軍に対しまして、沖縄県におけるごみ問題の重要性等をお伝えするとともに、防衛施設庁の立場から、環境省を初めとします関係省庁とも連絡、連携をいたしまして、沖縄県と調整の上、積極的に協力してまいりたいと考えております。

安次富委員 時間となったようでございます。

 小池大臣、沖縄では、四月一日から早くもクールビズの季節となります。沖縄のかりゆしウエアはクールビズの最先端でありますので、次回は、まだこの委員会は寒いとは思いますが、沖縄北方特別委員会がクールビズ委員会になりますよう念願いたしまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

川内委員長 次に、高木義明君。

高木(義)委員 民主党の高木義明でございます。

 大臣の所信に対して質問をいたします。本日は、沖縄振興並びに米軍再編に伴う基地問題について質疑をしてまいりたいと思います。

 去る一月九日、十日の両日、御承知のとおり、本委員会として沖縄に調査、視察に入りました。稲嶺知事初め、岸本前名護市長、そして地元の町長、関係者、嘉手納基地そしてキャンプ・シュワブ、それぞれ足を伸ばして、有意義な懇談、調査をしたところでございました。今回、岸本前市長におかれましては急逝されました。この場をかりまして心から御冥福をお祈り申し上げたいと思っております。

 さて、基地問題もさることながら、やはり地域の方に出てまいりますと、重要な要望の一つの中に、どうしても沖縄の振興策というのがございました。とりわけ沖縄は、御承知のとおり、一人当たりの県民所得が四十七位、全国平均の約七割、こういう状況でございます。このことは東京都の約半分となっておりますし、一方、失業率は、全国平均五・三%に対して、二〇〇四年八月の時点でありますが七・七%、特に十五歳から二十九歳の若年層は一三・七%、こういうふうな状況になっておりまして、これはゆゆしき重要な事態だと思っております。

 そういう意味からも、県におきましては、若者自立・挑戦プラン等の自立支援、あるいはその他の雇用機会の創出、また基地労働者の総合的な雇用対策、こういったものをやっておりますが、これに対しても国の支援がとりわけ必要だ、こういう要望がなされていたところでございます。

 また、御案内のとおり、沖縄を科学技術の拠点にしたい、そういう希望の中で、沖縄科学技術大学院大学の設置促進についても強く要望がございました。平成十四年に作成されました沖縄振興計画においては、民間主導の自立型経済を図ると。そういう意味では、この沖縄科学技術大学院大学の構想は、地元にとりましても、あるいは我が国にとりましても重要な案件ではないか、このように考えておりますが、先行的事業の拡大等を含めまして、この点について、所信の中でも触れられておりますけれども、いま一度、沖縄振興のための担当大臣としての決意と御認識をお伺いしておきたいと思います。

小池国務大臣 冒頭に、先ほどから、名護市の岸本建男前市長の急逝のお話、お悔やみがございました。私も、ニュースを聞いて、早速弔電を打たせていただいたところでございます。今、一番注目の名護でございますけれども、岸本前市長のこれまでの、まさに命をかけての御労苦に対して謹んで敬意を表したい、このように思うところでございます。

 もう一点、沖縄のことで申し上げますと、先ほど、残念ながら八重山商工が七対六で横浜に負けてしまったというのがありますけれども、とてもいい試合を、断片的ではございますけれども、私も見たところでございます。

 沖縄の皆さんが、そういった、例えば宮里藍ちゃんなんかもそうでございますけれども、ロールモデルがたくさん出てくるようになって、それを目指してまた若い人たちが頑張っていく。高い失業率についても、やはり国が何でもかんでも面倒を見るということもさることながら、しかしながら、もう少し違う切り口があってもいいんじゃないか。国の方のお財布も不如意なわけでございますけれども、ちょっとここは、むしろ沖縄だからこそ生かせるいろいろな知恵があるのではないかというふうに思うわけでございます。

 その意味で、この地元の要望、あちこち沖縄に参りますと、委員の皆様方も地元からいただかれたと思いますけれども、そうやって地元の要望を具体的に伺って、そしてその上で地元の実態の把握に努める。さらには沖縄振興特別措置法に基づいて、沖縄振興計画、これはそもそも沖縄県知事と地元の各方面との意見交換を経て、それがたたき台ででき上がっているもので、まさに地元の声なんですよね。

 そういったことから、これからも沖縄の振興ということについては、諸制度を活用しながら、また、沖縄県、関係行政機関がしっかり連携をとりながら進めていくというのが何よりも肝要だと思いますし、また、そういった連携で人間関係をつくりながらということも、これは何の場合でも同じではないのかなと思います。

 それから、続けて沖縄科学技術大学院大学の御質問でもございましたので、進捗状況は御承知のとおりでございます。一つ一つ前に進めて、そして目標については、世界最高水準の大学院大学の設立であると明確にその目標を掲げ、そして、去ることしの一月には機構の第一回運営委員会の開催もしたところでございます。

 そして、研究の方向性を明確化し、何よりも人でございますので、優秀な研究者のリクルートを行ったり、管理運営のあり方であるとか、それから、すばらしい研究者に来ていただくためには、さっきの車の渋滞の話ではありませんけれども、全体の環境によって、こんなところ嫌だという話になると来てくれなくなるわけですね。ですから、施設であるとか設備など、余りシャビーではなくて、ちゃんとそういういい方に来ていただけるような環境をつくって、そして周辺環境なども整えてまいりたいと考えているところでございます。

 ノーベル賞受賞者のシドニー・ブレナー理事長とは、いつも英語の駄じゃれなどを言い合いながら、でも同じ方向を向いて、英語の駄じゃれというのはちなみにすごく難しいんです、しかしながら、世界最高水準の大学院大学ということを目指していくということで、大変なお年ではございますけれども、さすがノーベル賞受賞者だといつも感心することしきりでございます。

 いずれにいたしましても、この大学院大学が一つの沖縄のこれからの新しい切り口、新しい起爆剤となること、それを考えて、これからもしっかりと進めてまいりたいと思っております。

 長くなりました。

高木(義)委員 特に私からも、沖縄振興策は重要でございますので、強く督励をさせていただきたいと思っております。

 ところで、やはり何といいましても、いわゆる沖縄再編に伴って、今から、基地の整理縮小に対してどのような進展があるのか、こういうことが大きな関心事でございます。

 小池大臣、所信の中で、この米軍再編、基地の移転、縮小、返還、こういったことについても沖縄との橋渡し役になる、努力をするということを明確に言っておりますが、この米軍再編について、それぞれのタイミングをとらえて、小池担当大臣、十分に協議の枠の中に入っているかどうか、この辺、確認をしておきたいと思います。

小池国務大臣 沖縄担当大臣であるわけでございますので、今の連携、他の省庁との連携、他の大臣との連携、情報の共有、さらには今後の方針の決定等々にはさまざまな形で関与をさせていただいているところでございますし、また、政府一丸となってこれを進めていくわけでございますので、私は、担当として沖縄の声を聞き、それを政府に届け、国内問題としての討議を重ね、そしてさらにはこれからの日米間の話と、それぞれつかさつかさの責任をしっかり守りながら、まず沖縄の負担軽減という大きな大きな目標、これを実現すべく、これからも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 一方で、それは経済に対してどういう影響があるのかなどについても総合的に踏まえながら、沖縄振興計画等々のサポートをどのようにしていくのか。

 いずれにいたしましても、総合的に把握をし、大所高所から何を最優先するかというのが我々の仕事なわけでございますので、麻生大臣ともども、また御指導をいただきながら、沖縄の声を届けてまいりたいと考えております。

高木(義)委員 そこで、この再編問題、日米審議官級協議が去る三月の二十三日、二十四日に行われておりますが、この協議の内容について、この際、明らかにしていただきたいと思います。

麻生国務大臣 在日米軍の再編の内容につきましては、これはまだ協議中のところもありますので、全部が全部申し上げられるわけではありませんけれども、せめて項目だけでもと存じ上げますので、項目ということになろうかと思います、細目というのはちょっとなかなかいきませんので。

 防衛当局と外務省も入ったところでさせていただいておりますが、基本的に、大きく分けて五点だと思っております。

 まずは、普天間の代替施設に関しまして、これはグアムへの移転も含めますけれども、それにかかわりまして、嘉手納以南の土地の話、これが一つでございます。多分、これが一番最初に解決せねばならぬ一番大きな問題だと思いますが、これが一つ。

 続きまして、在日米軍司令部の改編につきまして、これは沖縄というよりむしろ相模原等々、神奈川県の話になろうと思いますが、座間の話、相模原の話、等々についての使用のあり方が二つ目であります。

 三つ目は、横田のことに関しまして、これは、横田の空域、羽田の飛行場の第四滑走路との空域の話、軍民共用化にかかわる問題点、これが三点目であります。

 四点目、これも同じく沖縄ではありませんけれども、空母艦載機の、厚木飛行場から山口県の岩国ともう一つは沖縄県に移る話で、この点に関しまして、いろいろ地元の関係者とのあり方、これが四点。

 もう一つが、同じくそれに関係いたしますけれども、普天間の飛行場から移します空中給油機KC130の移転と、もう一つはXバンド、いわゆるウルトラ・ハイ・フリークエンシー、UHFのことですけれども、Xバンドと言われるレーダー、これを迎撃ミサイルに合わせる話等々。これらのところが、今大きく分けて五つに分かれておるところであります。

 それに加えて、飛行場に入ってまいりますいわゆる飛行経路の騒音等々の話を含めまして、その面を含めますと六つになろうかと思いますが、大まかに分けて六つぐらいの問題につきまして、双方、日米の審議官クラスで今議論を細目にわたって詰めつつあるところであって、一週間ごとに向こう、こちら、向こう、こちらでやらせていただいておりますけれども、向こうの話、言ったのに対してこちらの反論が出る、向こうからまた反論が出てくるというので、今これが決まりましたというような御報告できるものがないので途中経過はなかなか申し上げられないところですけれども、大まかに分けて六つというように御理解いただければと存じます。

高木(義)委員 麻生大臣は、これは外務省のホームページでもございますが、昨年の十二月に訪米をされておられます。ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官、それぞれお会いになっておりますね。

 そこで、記載を読んでみますと、米軍再編問題については、「麻生大臣より米軍再編について、先般の日米安全保障協議委員会(「2プラス2」)の共同文書にある勧告を三月までに具体化していくべく最大限努力する、また、先般沖縄を訪問したところ、地元の反発はなお強いが、米国との間で引き続き協議を行いつつ地元の理解を得るよう調整を行っていきたい旨述べた。」こういうふうに書かれております。

 もう時間も限られておりますから端的に申し上げますが、三月末に最終報告をまとめるという運びであったわけでありますが、残念ながら、きょう三月二十九日、新聞報道によりましても、来月に繰り延べになった、こういうふうな報道もなされております。このような状況、特に、私たちも地元の声を聞いていますと、これまでもこの再編問題については、もう地元の頭越しだ、十分な説明がなされていない、グアムへの移転問題あるいは普天間の移設の問題、キャンプ・シュワブの埋め立て方式、こういった案件についても、もうほとんどと言っていいほど地元の皆さん方には十分な説明がない、こういうのが大変大きな声だと私は認識しております。

 今日、中間報告が昨年の十月に出されて、あれから約半年、最終報告をまとめるに至らなかった。私は残念なことだと思っておりますが、この点についてどのような御所見を持っておられるのか、お聞かせください。

麻生国務大臣 基本的に、昨年の2プラス2の段階で三月末という、約半年後ということで目標を立ててここまで進んできたと思っております。本来ですと、三十、三十一で審議官クラスの会合を開催する予定だったんですが、担当官のローレスという人がアメリカの議会に呼ばれた関係で向こうから延期を申し込んできております関係上、来月の四、五、六でワシントンでやるということになっております。基本的には、私どもはこの段階で大まか決着を得たいと思っております。

 今、最初の問題ですけれども、その十月に2プラス2の結果が出されたときの経緯が、地元に対する説明というものが極めてなされぬまま、非常にもめにもめてそこまで来たものですから、ぎりぎりになって出したというのが背景と伺っておりますけれども、そこらのところが地元からのいろいろ反発を招いたと私どもよく承知をいたしておるところであります。したがいまして、今、それ以後まだ途中経過でありますので何とも申し上げられないところもいっぱいありますけれども、基本的には、私どもとして、今後ともまとまったところからきちんと説明をさせていただかねばいかぬところだと思っております。

 額につきましても、また隊員の数も、七千じゃなくて、もう少しと言って今八千まで上がったり、いろいろまだ途中経過でありますので、今この段階でこれは確定しておりますというものがなかなかないのが正直なところですけれども、相手のある話ですから、交渉をして、少なくとも四月の半ばごろまでには決めたいものだと。

 私どもは、事務官レベルのところで大筋合意のところぐらいまではさせていただいて、最終的には政治決着を要するところが最後には必ず出てきますから、その段階はもう一回協議をさせていただかないかぬことになるのではないか、そのような感じがいたしております。

高木(義)委員 特にいわゆるグアムへの移転の問題は、これは沖縄県民にとりましても長い間の、解決の一つの大きな柱だと私は思っております。

 しかし、そういう意味では、やはりこの問題、きちっと国民に対しても説明をし、そしてこの経費が、今のところ例えば百億ドルかかるという話もあれば、またいろいろな話が出てくる、一体いかほどの経費がかかるのか、施設についてはどうなのか、あるいはその他の陣容についてもどうなのか、これも全く、安全保障委員会等々の議事録を見ていましても明らかになっていない。また、負担割合についても、一体どういう根拠なのか、これも明らかになっていない。そういう中で協議だけが進められていく。

 どうですか、このグアムの移転経費、具体的に今幾らなんですか。そして、海兵隊は何名、そして家族を含めて何人の方がグアムに移転するのか。この際、改めてはっきりしていただきたいと思うんですね。

塩崎副大臣 先生御指摘のとおり、今回のこのグアムへの移転というのは極めて重要な問題だと思います。事は、やはり何のために何をどうやるのかということが極めて大事であり、また、先生御指摘のように、きちっと国民に対して説明をするということであることはもう間違いのないことだと思っております。

 具体的な数字につきましては、いろいろな報道がございますけれども、まだ途中の、まだ過程でございますので、先ほど来大臣が、さまざまな点についても答えられない部分がたくさん残っておりますので、その点については公にできるときにきちっと説明をするということにいたしたいと思いますが、問題は、まず資金的な負担がどうなるのかということでありますけれども、法的根拠も御指摘があったかと思います。

 この点につきましては、先ほど申し上げたように、何のためかといえば、それは沖縄の負担を軽減し、なおかつ同時に、抑止力を低減させないというために税金を使うかあるいは融資を充てるかということになってくるわけであって、その目的のためにどういう割り振りでだれが負担をするのかということが決まってくるんだろうと思います。

 融資も、やはり機会費用というのがかかってくるわけであって、最終的にはこれは国民負担に回ってくるわけであります。一方で、先ほど来沖縄の議員の先生方からお話がございましたように、先生の御指摘のとおり、沖縄の悲願でもあるわけでありますので、これにつきましては、今後、今鋭意担当している役所が詰めているところでございますので、今のところまだ決定はされていないわけでありますが、追ってその辺についてきちっと説明ができるようにしなければいけないと思っております。

 国内法との関係も、やはりこれもまだ決まっていないので申し上げることはなかなか難しいわけでありますけれども、支払いを法的根拠がなくていいのかという御質問もけさほどの外務委員会でもありましたが、一般論としては、それはできないことはないけれども、さあ、これは中身によってどういうふうにするかということをこれから決めていかなければならないというふうに考えております。

 特に、今回はグアムへの移転を促進するというかスピードアップすることについて特に資金負担をすべきではないのか、こういう考え方が前面に出てきているようでございますので、そういう点を含めて、これから鋭意詰めさせていただき、また時期を見てきちっと国民に対して説明をしていきたい、こう思っております。

高木(義)委員 しかも、これは、いつまでに、いつからそういう移転をしていくのか、もちろんこれは、クリアしなきゃならない、例えば普天間の移設あるいはまた今の経費の問題、こういうものがありますけれども、そういう目標もわからない。

 私は、負担の軽減と抑止力の維持、これはこれでわかるんですよ、しかし、これだけでは、この問題はなかなか納得できませんね。やはり、日米安保の戦略目標は何かとか、あるいは在日米軍の存在理由は何なんだとか、あるいは、有事における米軍と我が国の自衛隊との連携はどのようになっていくのか、そのあり方はどうなんだ、あるいは、アジア太平洋の安定に日本がどのように貢献をし、関与していくのか、そういうあり方についてどうなんだ、こういうのがあって、そして抑止力の維持とそれから負担の軽減という話になってくると私は思うんですよ。これが今のところない。

 だから、ぐずぐず、ぐずぐずという表現はよくないかもわかりませんけれども、最終的には三月までにまとまらなかった。私は、きっちりこれは反省すべきだと思っております。アメリカからは、むしろ不信感が漂っておるのではないか。このようなことは、まさに日米同盟を大切にしていくという意味では非常に憂慮すべきことではないかと私は思っております。

 もとより、私は、在沖縄米軍基地の問題は、日米関係を円滑にし、そのきずなを強化するということ、同時に、沖縄県民の負担を国民、いわゆる全国民が担うという考え方、これが沖縄問題に取り組むときに基本にあるべきだと思っております。

 また、我が国の安全保障は、日米安保、これは重要な柱であります。むしろ、言い方を変えれば、我が国周辺地域の平和と安全のためには米軍のプレゼンスというのは不可欠だ、私はこういう立場でもございますし、だからこそ、言われておりますように、国土のわずか〇・六%の沖縄に七五%の在日米軍基地がある、これは過重負担ではないか。この米軍の基地の整理縮小というのは、六十年間にわたって沖縄の皆さん方の悲願でもあるわけですよ。

 特に、私は、沖縄問題についていろいろ考えるときに、あの特措法の話をどうしても思い出すわけでございます。いわゆる駐留軍用地の特措法を特別につくって、基地の使用を円滑にしたという法案でございました。この問題についてもかなり大きな波があったわけです。そのときには、やはり沖縄の負担は大変だ、何とかしなきゃならぬ、そういう大きな熱はもちろん沸くんですけれども、何かが過ぎるとその熱というのはずうっと引いていく、これが今の国のあり方ではないかな、このように私は思っております。この点についてどうでしょうか、御所見があれば。

麻生国務大臣 そこに基地があるかないかによって、これは、高木先生、大分違うと思うんですね。先生の長崎も佐世保がありますね。私らのところにも築城やら、また私の選挙区の中にも芦屋なんていう基地がありますので、陸、空、全部それぞれありますので、意外と意識のまだある方だと思いますけれども、全然ないところはなかなか直接には感じないというのは率直なところだと思います。

 したがいまして、いろいろ行ってみて初めて何となく理解ができたり、また、相模の場所にしても、相模原の人口が今どれぐらいいるのかと知っている人というのはほとんどいないと思いますよ、あそこが選挙区の方は別にして。あそこは下手したら次は政令都市になろうかというところですから、それだけの大きな人口を抱えているんですよ。そこのところの真隣に基地がと言われたら、それはもうちょっと何とかしてくれというお話というのは、昔とは事情が違ってきたというところも十分に考えなきゃいかぬところだと思います。

 先ほど安次富さんも西銘先生もそれぞれ言われましたけれども、やはりこの機会に、沖縄で一番大きな海兵隊、一万八千という話が出ましたけれども、これはこの際きちんと、私どもとして、みんなで分かち合うというお話がありましたけれども、この段階で、いつできるのかと言われるのは、これは辺野古がいつできるのかとかかわってきますので、いつまでとはなかなか言いにくいところですけれども、私どもとしては、なるべく早くできて移転ができ上がるように、できる限りのことはすべきものだ、私どもはそう考えております。

高木(義)委員 そこで、整理縮小のキーポイントになるのが、普天間の移転、いわゆるキャンプ・シュワブにおけるヘリポート基地の建設ということになってくるわけですが、これは、一九九六年の十二月のSACOの最終報告で普天間飛行場の返還、移転が決定されました。もう既に九年八カ月という歳月がかかっております。その間、今回、中間報告で沿岸案を日米で合意したことについても沖縄県民は蚊帳の外であった、こういう話も聞こえてまいります。

 いわゆる説明責任を果たすことと国が責任を持ってこれらの対応に当たるという意味で、先ほども言いましたように、これは当時橋本内閣だったと私は思っておりますが、あれから、防衛庁長官は八名、防衛施設庁長官は十四名かわっておられる。これは防衛庁のことだけですけれどもね。小泉総理の一内閣一閣僚という、これは一つの見識だと私は思っておりましたけれども、そういう国のあり方自体猛省しなきゃならないと私は思うんですよ。

 やはり、沖縄県民であり、そして相手はアメリカ、これに対して、国がやると決めたこと、あるいは国家間で約束したことは何としてもやり遂げる、私は、そういう執念が今の政府に全くないとは言いません、かなり努力もされておりますし、グアムへの移転のことも、恐らく水面下の努力の一つではないかと思うんですけれども、普天間の移設の問題については、ほとんどと言っていい、今日まで進展がなされていない。名護の件についてはまだ不透明だ、今新しい市長がこれまた努力をされておりますけれども。

 こういう状況の中でまずこれから大事なことは、国と地元の調整をまず完結をすることだ。これについてどうですか、外務大臣。まさにアメリカ、安全保障条約との関係での責任者である外務大臣、それから沖縄の担当大臣としてやはりこれは重要なことだと思いますけれども、その辺の所見、決意を聞いておきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 この移転の話につきましては、私どもは、アメリカの立場にしてみれば、少なくとも、何もグアムに移転しなければならぬという緊急な情勢は、彼らは立場上全くないと思います。別に、沖縄の方がよっぽど快適ですから、そう思っている人もかなりいらっしゃると私は思います。しかし、今、私どもの立場から見て、向こうでも、今の普天間という人口密集地のところは困るというのは、もう事故も起きておりますし、かなりせっぱ詰まっていると理解をいたしております。

 その意味で、先ほど中部という移転の話が出ておりますけれども、辺野古の移転というのは、私どもにとりましても、向こうにとりましても、これは緊急を要していると思っておりますので、できるだけ速やかにということに関しましては日米双方同じ気持ち。

 要は、辺野古におけます今の土地の中で、今の地元と国とのというか、2プラス2の案との乖離がありますので、その部分をいかに調整していくかという話だと思いますので、これはそこそこ双方で折り合ったところで近日中に決着をつけねばならぬところだと思っております。

 原案というものを基本的には大事にしますけれども、一センチたりとも動かさないみたいな話ではとても話がまとまるはずはありませんので、私どもは、何らかの代替案というか、基本をきちんと押さえつつも、できたら、九年間またほたるんじゃ話になりませんから、少なくとも実現可能性のあるような案にしていく必要がある、私どもはそう思って、近日中に地元との間も話をきちんと詰めなければならぬという決意で頑張っております。

小池国務大臣 沖縄担当大臣といたしまして、地元の市長、島袋市長のお考え、これからどういった方向でいこうか等々、緊密に連絡をとり合っているところでございます。

 また、今回の岸本前市長がお亡くなりになったということで若干スケジュールも変更があるようでございますが、いずれにしても、テーブルに着いて、そして、そこでお互いに話し合っていくというその中にあってデュプリケーターの役割を務めてまいりたい、このように考えております。

高木(義)委員 このほか、嘉手納飛行場からの訓練移転の問題、これは、千歳、三沢、百里、小松、築城、新田原等の基地に移すというテーマもございますし、また、普天間飛行場からのいわゆる空中給油機を日本は鹿屋に移したいと言っておるんですが、米国はいや岩国だと。こういう話もあっております。この点についての取り組みについて今どうなっておるのか。協議の内容、また協議の今後の方針についてお伺いしておきたいと思います。

麻生国務大臣 これはむしろ防衛施設庁、防衛庁の方が詳しいんだと存じますけれども、基本的には、今言われましたように、これは沖縄の辺野古というのが一番大きな問題にはなっておりますけれども、その他今言われました百里の話にしても、また鹿屋の話にしても、また岩国の話にしても、これはみんな一連、かんでおるところでございますので、私どもとしては、各県ごとにいろいろ交渉をさせていただいたり、また知事と話をさせてもらったり、市長、町長と話をさせてもらったり、いろいろ今やらせていただいているのが率直なところです。

 何となく大まかに、話し合いを全く拒否のところから、一応話し合いのテーブルまで着かれて一応話が今進行中というのは、どの県、どの市につきましても、総じて話が進行するところまでは来つつある。全く受け付けないというところから少しそういったお話し合いがさせていただけるようなところまで来たというような感じはいたしておりますけれども、今どの辺まで行っているかと言われるとちょっと、そんなことを言ったつもりはないなんて言われるとまた話が込み入りますので、この段階で、この辺まで来ておりますとなかなか申し上げにくいところではあろうと存じますけれども、少なくとも、双方で具体案として話をしようではないかというところまで来つつあるというところまでは申し上げられると存じます。

川内委員長 防衛庁からはいいですか。

 防衛庁大古防衛局長。

大古政府参考人 防衛庁の方から補足させていただきます。

 まず、嘉手納、岩国、三沢からの訓練移転の話でございますけれども、この点については、昨年の十月末以降日米間で話し合ってきまして一定の合意を見ております。

 これにつきましては、訓練の形式として共同訓練といたしまして、その規模については二つある。

 一点目、タイプワンと申しておりますが、これについては、米軍航空機も自衛隊の航空機も一から五機程度で、訓練期間としては一日から七日間程度を考えるということでございます。それから、二つ目のタイプにつきましては、米軍航空機も自衛隊の航空機も六機から十二機でございまして、八日から十四日間程度の訓練期間を考えている。

 それから、共同使用の態様につきましては、日米合同委員会合意において決められておりますので、年間の総使用日数及び訓練一回当たりの使用期間の制限については維持する。ただ、年間の訓練回数の制限については撤廃するということが合意を見ておりまして、アメリカの了解を得て地元にも先般説明したところでございます。

 それから、普天間飛行場のKC130の移駐の関係でございますが、これについては、昨年十月末の2プラス2文書では、海上自衛隊の鹿屋基地を優先して移転先として検討するということになっておりますが、まだ日米間で協議中でございまして、具体的なめどは得られていないという状況でございます。

高木(義)委員 時間もありませんので、この米軍再編について、早く決着をして、沖縄の負担の軽減、同時に抑止力の維持ということを図っていく、そのためにそれぞれの立場で努力をしなきゃならぬと私は思っております。

 同時に、この再編について、基地で働く労働者の方々は、自分たちは一体今後どうなっていくんだろうかという本当に深刻な問題もありますが、この点については、もう言わずもがなの話ですけれども、どうぞひとつ防衛施設庁等におきましてはしっかり配慮していただきたいと思います。

 最後になりましたが、麻生大臣、三月二十九日からの協議は延期になりましたが、これは四月の四日、五日でいいんですか、それでまとまっていくのかどうか、見通しも含めて。

 特に、麻生大臣、今後訪米する予定はありますか。どうぞひとつ、その辺も含めて決意をお伺いして、ぜひ普天間の解決も、あるいはグアムへの移転についての解決も、外務省、それから防衛庁、それからもちろん沖縄担当大臣、関係大臣等々おられますけれども、きっちりやはり足並みをそろえていただいて、きっちりとしたテリトリーを確認しておいて、これに全力で取り組むということが必要であろうかと私は思っていますが、最後に決意をお伺いしまして、私の質問を終わります。

麻生国務大臣 昨年の2プラス2で始まった経緯もこれあり、最終的に、最後も2プラス2の方がよろしいのではないかという話は額賀長官と二人でしてはおりますけれども、これが、今申し上げましたように、四月四、五、六で行けるところまで行けると私どもは思っておりますけれども、私どもは、その段階で、最後のところで政治決着が残るだろうと思っておりますので、そこの部分を含めまして、私どもは最終的にはという感じはいたしておりますけれども、まだ、その段階でどこがどういうぐあいに残るか、ちょっと何とも申し上げられる段階ではございませんが、いずれにいたしましても、最終的には政治決着の場面が出てくるであろうと思っております。

高木(義)委員 終わります。ありがとうございました。

川内委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 民主党の仲野博子でございます。

 昨年十一月にロシアのプーチン大統領が来日をされまして、日ロ首脳会談が行われました。しかし、その結果は、多くの国民、とりわけ元島民と地元住民、自治体の期待をそぐ結果となりました。私も、返還運動原点の地出身者として大変残念な気持ちでいっぱいであります。

 戦後六十一年は、元島民にとっては、生まれ育ち住んでいた島を強制的に占拠され、命からがら本土に渡ってきてからの長い長い六十一年間でありました。一万七千二百九十一人にも上る当時の元島民の方々は、今や半数以上の方が目の前のふるさとの地を二度と踏むことがかなわず他界をされております。生存されている方々の平均年齢も七十三歳と非常に高齢になられております。

 また、北海道全体が今なお長期的な不況に悩んでおります。さらにその中でも厳しい条件下にあるのが、北方領土が返還されないためにこうむっているさまざまな不利益やハンディキャップを背負っている地元の隣接自治体でもあります。今までどおりの北方領土返還運動が続けられない、返還運動の再構築を図らなければならないという声が地域住民の切実な気持ちでございます。

 そういったことを踏まえまして、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 二月七日火曜日、十二時五分から十二時五十七分までの間、小泉総理は何をしていらっしゃったのでしょうか。長勢官房副長官、お答えいただけますでしょうか。

長勢内閣官房副長官 本年は北方領土返還要求全国大会の開催日が、御案内のとおり、衆議院予算委員会の平成十八年度予算の基本的質疑の日程に重なった日でございました。

 そういうことでございましたので、総理は、国会対応に、大変重要な予算審議の日でありましたので、その対応に万全を期するためにその準備をしておられましたので、出席をやめることになったということでございます。

仲野委員 予算委員会でございました。

 長勢官房副長官、あなたはおわかりのように、二月七日といったら北方領土の日、北方領土返還要求全国大会が九段会館で行われました。この大会がどれだけ重要な会議かもおわかりであると思います。

 総理は昨年は風邪で欠席されているわけであります。きょう、小池大臣、お風邪を召されているようで、先ほど来から大変気の毒だなと。でも、小池大臣はきょうこうして、国民に開かれた公的な場で、何とか国民の皆さんに沖縄の問題、北方領土の問題をこの委員会を通じて訴えなければならない、そういう使命感と責任感で、体調が悪いのにもこうして出席をされているわけであります。ことしは予算委員会基本的質疑、日程上の都合で、そういったことで欠席をされたということで、二年続けて欠席をされているわけでございます。

 当日出席をされておりましたジャーナリストの櫻井よしこさんの言葉をかりれば、総理が欠席したことによってロシアに対し悪いメッセージを与えることになりかねない、そのようにおっしゃられております。麻生外務大臣、小池北方問題特別大臣は予算委員会の休憩時間を利用してこの大会に出席をされているのです。この大会は十二時に開会されているわけであります。そして、もう多くの方たちが、関係者の方たちが、立ち見席で、本当にこの問題に関心を持っている方たちが会場いっぱいに出席をされているわけであります。一体これはどうしたことなんでしょうか。

 小泉総理は、北方領土の返還を願っている方たちにメッセージを与えるべき、出席すべきだったと考えますが、副長官、どのように考えておられますか。いま一度お答えいただきたいと思います。

長勢内閣官房副長官 北方領土返還に向けた皆さん方の御熱意というものについて、総理は十分な御理解をされておられますし、そのことについてぜひ頑張っていきたいという意欲を十分お持ちでございますが、先ほど御説明いたしましたように、小泉内閣最後の予算委員会、大事な審議を控えておる中でございましたので、それに万全を期すということを優先されたことでございまして、このことが北方領土返還に対する総理の熱意を何らおかしくしておるということでは全くないというふうに私は思っております。

仲野委員 長勢官房副長官、あなたも大変おつらい立場で今お答えをされているのかなと思っております。

 私が申し上げたいのは、昨年十一月を見たときに、プーチン大統領が来日をされ、遅々として進まなかった領土返還の問題、その二月七日の全国大会で小泉総理みずから、全国の国民に力強いその新たな決意を私は送っていただきたかった。

 予算委員会でもって欠席をされたと。麻生大臣、小池大臣はその休憩時間に出席をされているんです。しかもメッセージの代読もなかったということは、一体どういうことでしょうか。改めて見解を求めます。

長勢内閣官房副長官 総理が北方領土返還に向けての熱意というものはいささかも変わることはないと思っております。当日、両大臣御出席ということでございますが、そういうこともあり、また予算審議の重大性についてのことから、御欠席ということになりました。

 メッセージもなかったではないかという御質問だと思いますが、総理は、メッセージを形式的に代読するよりも、元島民の方々や運動関係者と身近に接しておられて関係者の心情を最も理解されておる担当大臣が御自身の言葉で考えを述べられることがより気持ちが伝わるとのお考えで、担当大臣にみずからの意向を託されたということでございます。

仲野委員 余りここのところで時間を、次の質問もあるからあれなんですけれども、私は、両大臣も非常に迷惑だと思います。託され託したんだと思いますけれども、一国一城の、領土返還のその最大のリーダーたる総理にやはりぜひ出ていただいて、全国に、全国民に対して熱い熱い思いを届けるべきではなかったんでしょうか。私はそのように思います。

 私はそのとき地元の住民大会に出させていただきまして、夕方になって、いやあどうしたんですか、総理大臣が全国大会に出ていないとはということで、きつくきつく私は質問攻めに遭ったんです。私は本当は総理を擁護してあげたかったんですけれども、このことは擁護できないというふうに私は思いました。

 私は、来年からこういったことがないように、しっかりと二月七日という日を、どんな日であるのかということを十分認識していただいて、出席をされるべきことだ、そのように思います。

 それで、あえてこの問題を冒頭に取り上げさせていただいたのは、北方領土返還を、政府みずからが先頭に立って、内政面でも外交面でも、国民の目にしっかりと見える形で取り組んでいただきたいからであります。小池大臣、麻生大臣、それぞれお考えをお聞きしたいと思います。

小池国務大臣 先ほどから総理の御出席がなかったということでございますけれども、長勢副長官の方からお話ございましたように、総理は、形式的なメッセージの代読よりも、元島民そして運動関係者と身近に接して、そして関係者の心情を最も理解している担当大臣が自分の言葉で考えを述べてほしいということで、私述べました。述べ過ぎて自分で泣いてしまったりしたんですけれども、気持ちは吐露したつもりでございますし、また、そういった中において、担当大臣としてのメッセージを伝え、そしてそれは、政府の担当大臣でございますから、政府としてのメッセージであった、このように思うところでございます。

 それから、毎年二月七日、これまでも、この大会というのはとても重要な会議でございます。一方で、何をメッセージとして伝えていくのか。もちろん今、高齢化の問題もございます。そうすると、若い世代に対してどういうメッセージを進めていくのかなどなど、それこそこれは北方担当大臣の役目でございまして、これからも実行委員会の皆様方と、明確なメッセージをだれにどのような形でということにつきましては、また次の大会に向けましてしっかりと準備をしてまいりたい、このように考えております。

麻生国務大臣 六十年もたちますと何となく昔のことが忘れられていくというのはよくある話ですから、そういった意味では、こういった話は風化させないためには啓発的な事業を継続するというのが大事なので、そういった意味では毎年の大会ほかいろいろやらせていただいております。

 青年会議所の会頭のときでしたか、あれはちょうど北方領土委員会というのを日本青年会議所の中につくらせて以来、二十数年間、毎回この大会には出席しているはずですが、そういった継続をずっとさせ続けるというのは、よほどみんなで理解をして押してやらぬといかぬところなので、一部の人だけの運動ではこういった話は解決しない、私も基本的にそう思っております。

仲野委員 今御答弁お聞きいたしておりまして、余り北方領土に関心のない総理をどう支えたらいいのか、どうカバーしたらいいのかという大変おつらいお答えだったのではないのかな、そのように思っております。私は、支えている以上、両大臣にも、それぞれ当日出席をされておられますけれども、やはりきょうこの委員会終わられてしっかりと総理に伝えていただきたいな、そのように思っております。

 昨年プーチン大統領が来日されて、平行線というよりかも後退したのではないのかなという多くの嘆きの声に近い声を聞いておりまして、私は、これから外交交渉のあり方についてどのようにお考えになっているのかなということを外務大臣からの見解を求めたいと思うんです。

 昨年十二月に、私も衆議院より派遣された議員団の一員として、北方領土問題について理解を求めるためロシアを訪問させていただきました。領土交渉あるいは漁業関係などについて意見交換をしてまいりました。その中で、ロシア側の関係者の一人でもございますブヌコフ外務省第一アジア局長は、領土問題に対する新しいアイデアを重視したいとおっしゃっておりました。さらに局長からは、ロシア外務省としても新しいアプローチを探っていく用意があると述べられておりました。

 昨年、プーチン大統領の来日は、領土問題では何の政治文書も作成もされず残念な結果に終わったというのが一般的な評価だと思います。したがって、現在のこの沈うつな状況を打ち破り、外交上同じ轍を踏まないためには、これまでと同じような交渉を行ったのでは進展が望めないと思われます。今後の交渉では何らかの新しいアイデアや新しいアプローチ、工夫が求められるのではないのかなと考えますが、麻生大臣、御見解を求めます。

麻生国務大臣 日ロ双方の意見が平行線をたどったままずっといるというのは、両方にとって不幸です。両方にとっての国益にも沿わない、それははっきりしておると思っております。

 したがって、こういう状況をずっと今後も続けていくということは双方の国益に沿わないということになろうと思っておりますので、私どもとしては、これは現状を何らかの形で打破する必要がある。ただ、これまでの長い経緯がありますので、少なくとも平和条約というのを締結するまでの間というので、これまで合意文書が幾つかありますので、そういったものを全く無視するというわけにもいかないというのもまた事実なんです。

 そういった意味で、私ども、日ロ行動計画等々いろいろさせていただいておりますけれども、両方で一緒に事業をやっていく等々、信頼醸成をつくるというのが大事なんだと私どもも思っているんですが、そのときに、向こう側がビザを出したから一緒に来いと言われたんじゃ、それは向こうの領土を認めたことになりますので、ビザなし渡航等々、そこらのところは双方の立場というものの違いがありますので、私どもとしてはなかなか簡単にはいかないということだと思っております。

 この問題に関しましては、いずれにしても、今事業としてはいろいろ考えて、この間も何とかいうのが来ましたけれども、そういったのと細かく、外務省以外のところとも、危機管理を担当するところともちょっといろいろ詰めようではないかというような話もいろいろさせていただいておりますので、少しずつではありますけれども信頼醸成の事業というようなものがやれればなと考えております。

仲野委員 具体的に、大臣、事業といったものということでありますけれども、大臣としては今どのようなお考えをお持ちなんでしょうか。

麻生国務大臣 あそこ、奥尻島の先で、奥尻島まで津波が来て丸々なくなったことがありますので、アチェの話やら何やらで、おたく、津波が来たらどうするんですと言うと、何も答えが来ませんから、何もしておらぬと。津波という単語はわかったはずだと思います、津波はアチェのおかげで有名になりましたので。津波が来たらどうされるんですというような話も私どもいたしておりますので、いろいろな意味で、こういったものを含めてショイグという非常事態大臣等々とこの問題を話をさせていただいたというのが一つの例です。

仲野委員 大臣、北方領土、その隣接地域の一市四町では、三百五十項目に上る提言を「北方領土問題の解決に向けた取り組み 再構築提言書」として取りまとめました。これは大臣もお読みになったかと思います。

 なぜこのような再構築提言書が作成されたのかと申しますと、言うまでもありません、自治体あるいはまた関係者でもって何かできることがないのか、何か国に対して訴えることがないのかという思いをこの提言書としてまとめられました。

 そこで、新しいアイデア、アプローチについて、この提言書にもありますけれども、経済交流委員会を日ロ双方に設置をし、相互に主権を侵害しない形により、漁業における安全操業の枠組みの陸上版ともいうべき形で経済活動を行うようにできれば、双方の地域経済の発展につながり領土交渉にも資するのではないかと提言をされております。

 北方領土の返還を促進させる新たな枠組み、新たな発想をどんどんロシア側に提言し、働きかけというより積極的な姿勢が求められると思いますが、麻生大臣と小池大臣にその見解を伺いたいと思います。

塩崎副大臣 今、仲野先生御指摘の再構築提言書でございますけれども、今お手元にございますが、極めて戦略的かつ細かな、現場に最も近い皆さん方ならではの御提言がふんだんにこれは御披露されているわけでありまして、外務省といたしましても真摯にこれを受けとめなければならないというふうに考えているところでございます。

 今お話がありましたように、北方四島周辺水域操業枠組み協定の陸上版ともいうべきというお話がございましたけれども、先ほど大臣から御答弁を申し上げましたように、やはりこの北方四島に対する我が国の法的な立場というものは害することがあってはならないということで、慎重に検討する必要があるわけでございますけれども、北方四島との経済交流については極めて重要な提言ということで受けとめているところでございます。

 また、先ほどの北方四島に関する我が国の法的立場を害さないという大前提のもとで、従来より行っております四島交流等に加えて、先ほども少し津波の話あるいは地震の場合とか、そういうことを含めていかなる交流や協力が日ロ双方にとって受け入れ可能なのかということを関係省庁と緊密にこれから検討をし、そして今お話がありましたように、ロシアの側にも提言できるものはどんどん提言していくという姿勢でやってまいりたい、このように考えております。

小池国務大臣 提言書にお答えする前に、一言つけ加えさせていただきたいと思います。総理が二月七日の会に出席しなかったではないかと、それで終わってしまっていまして反論をいたしておりません。そのまま残ることは不適切だと思いますので。

 今回の大会には、形式的ではなくて心を込めて当たってほしい、担当大臣として当たってほしいということで、私を通じて、私は国としてのメッセージを伝えた、このように考えておりますが、それ以外でも、総理はかなり北方対策関係の方々にお会いいただいております。ほかの大臣と比べてどうかということなどは、比較はいたしておりませんけれども、しかしながら、北方領土問題については大変な熱意を持って取り組んでおられるということは、これは私は明確にしておかなければならないと思いますので、一言つけ加えさせていただきました。

 その上で、根室管内の一市四町がお取りまとめになられました再構築提言書でございますけれども、今も外務副大臣の方からお答えがございました。この提言は、国民世論の一層の喚起であるとか具体的な事業内容などなど、数多く盛り込まれたものでございますけれども、北方領土問題の解決の促進という観点から、関係のところと連携をとりながら、すべてというわけにはいきませんけれども、取り入れられるものについては取り入れていくという姿勢でございます。

仲野委員 話をまた戻したくないんですけれども、一言つけ加えて、なぜ総理が出られなかったかということ、それは私は、総理として出ていただきたかったということを強く冒頭申し上げさせていただきました。

 今、両大臣から、この再構築提言書についての前向きなお答えをいただきました。

 そこで、できるところから何をやっていこうかということで、できるならば、北特法がございまして、例えばこの北特法の第七条では、公共事業における国の負担または補助のかさ上げについて規定をされております。その割合についてはほかの法律に委ねておりますが、それによると、一般的な財政収入額の一〇%に相当する額、いわゆる標準負担額以上の事業でなければそのかさ上げ措置は適用できないため、財政規模が比較的大きい根室市あるいは別海町では、これまで北特法第七条の適用が全く行われていないという実態になっております。

 そこで、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律第七条に規定するかさ上げ措置は、根室市、別海町は一度も適用されておらず、地元から改正の要望があります。国土交通省として、北方領土隣接地域の安定振興を図るためどのように取り組んでいくのか、そしてまた、あわせて、この取り組みに対し、小池大臣からもその見解を求めたいと思います。

吉田政府参考人 委員御指摘のかさ上げ措置は、根室管内の一市四町が対象となる補助事業を集中的に行った際に、その地元負担額が当該自治体の標準財政収入額の一〇%を超える場合に、急激な負担増大を緩和するため、財政上の特別措置を講じるものです。これまでに、この要件に該当しました中標津町、標津町、羅臼町の三町につきましては、合計で六億八千万円のかさ上げがなされておりまして、法律第七条は所要の成果を上げてきていると認識しております。

 さらに、この北方領土隣接地域の第五期の振興計画の推進を図るため、また、地元からの強い要望もありまして、一市四町が行う産業の振興、あるいは交流の推進に関する施策についての経費の補助としまして、平成十六年度に北方領土隣接地域振興等事業推進費補助金を創設したところでございます。

 地元の意見を聞きながら、なお一層、この隣接地域、根室管内一市四町の安定振興に努めてまいりたいと存じます。

小池国務大臣 先ほど、中身に応じて、できるもの、できないものと精査をしつつという、そのままの表現ではなかったかもしれませんが、実際の実施は、今御答弁いただきました、かつての北海道開発庁である国交省でございます。各府省との連携をしという観点から、今御答弁がございました。そういった形での振興ということを見守っていきたいと考えております。

仲野委員 振興を見守っていくということで、見守り続けるだけでなく、ぜひ実行していただきたいな、そのように思っております。

 時間もなくなったのでありますけれども、今四島の訪問に使われている船について、ちょっとお聞きしてまいりたいと思います。

 民間の船をチャーターとして使用しておりますけれども、この四島交流の専用船が、今、平成十七年度、十八年度において、内閣府予算として、北方四島交流等使用船舶基本構想検討経費ということで、二カ年にわたって、合計で四千八百万円予算計上されているわけであります。それだけの経費と時間をかけて検討するということから、地元では、中古船を使用するのではなく、新しい船をつくるのであろうと期待をしております。

 なぜかと申しますと、元島民の方たちの高齢化を考えれば、中古船を使用するということでは、現在のチャーター船で問題になっている廊下の狭いことや、あるいは階段の傾斜のその勾配が余りにも急だということと、バリアフリーの問題が解決をされておりません。その点をどのように考えているのでしょうか。ここまでの進捗状況を、この船についてお答えをいただきたいと思います。

小池国務大臣 私も昨夏、北方四島のうち二島、古い船で参りました。各地には泊まるところがございませんので、その船そのものがホテルになるわけでございます。そういったことで、居住性であるとか、それからはしけに飛び渡る際の御老人の話など、かなり課題はあろうかと思います。

 そこで、平成十七年、十八年で、二年間の予定で、民間の調査会社に委託をして調査研究が進められているものでございます。そのときには、いろいろな方の御意見も聞き取りをしていただいて、それを生かすという形で、平成十七年度では事業実施主体とか利用者の意見交換を踏まえまして、また専門家の助言を得まして、使う船舶の現状であるとか課題の整理、それから四島交流事業などにおけます船舶の仕様、スペックであるとか、基本的な機能の調査、それから今後の課題などの検討を行いまして、今報告書をまとめつつあるところでございます。

 それを踏まえて、きのう予算を上げていただいたわけでございますけれども、平成十八年度においては、船舶の機能、規模、運航形態などなど詳細に検討して、そして調達及び維持管理の主体、方法、これは維持管理は結構難しいんじゃないかなと思いますね。冬の間はどうするんだとか、では北海道の三セクにするのかとか、いろいろございますわけで、通年それを効果的に使う、もしくは、その所有者をだれにするかによってまた違ってきます。それによって、肝心なときに、いやいや、その船はフィリピンに行っていますから使えませんと言われたら、それまた困るわけでございますので、そういったことをトータルに、そしてまたコストパフォーマンスを考えて、比較検討を十八年度で行っていくということでございます。

 仲野委員御指摘のように、非常にお年を召した方には階段も急勾配ですし、また、はしけに乗り移るときも、えいやでサーカスみたいなことをやらなくちゃいけないわけでございまして、それは危険であるということがございます。そういった諸問題を踏まえて、答えを出していきたいと考えております。

仲野委員 今、最後に船のことをお尋ねいたしましたけれども、いずれにいたしましても、地元またあるいは関係者の方たちは、二カ年かけて、四千八百万円の調査費を計上して、多分本当に使い勝手のいい新造船になるだろうということで期待をいたしております。そういったことを、どれくらいの船の規模についてお考えになっているのかどうなのか、まだ今調査中ということでありますので、できるならば、大臣も実際にその船でもって領土へ行かれたわけですから、本当に課題が多いということを言われておりますので、その辺に遜色のないように、ぜひいいものをつくっていただきたいし、そしてまた、麻生大臣にも、本当にこのままの外交交渉のあり方では、私はやはりこの領土問題については前進は見られないのではないのかなということを大変危惧するわけであります。ぜひ積極的に外交を進めていただき、一日も早い領土解決に向けて取り組んでいただきたいなということを要望させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

川内委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 本日、この沖北の委員会では初めて質問に立たせていただきます。また、ここまでの質問と若干重なるところもありますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 まず冒頭、米軍再編のことについて何点かお伺いをいたします。

 この米軍再編も、アメリカの世界的な防衛戦略の見直し、そういう中で、それに伴ってこの日本の米軍の再編というのも発生していると理解をしております。

 それで、まず初めに麻生大臣にお聞きをいたします。

 このアメリカの世界的な防衛戦略、これはどのように今回見直しをされていると認識をされているのか、またその中で日本の位置づけがどう変わろうとしているのか、この点について御教示いただきたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、ことしの二月に公表されております米国の国防戦略、安全保障戦略のいわゆるQDRと言われるあの資料と、それと本年三月公表になりました国家安全保障戦略に記されております例の書類、二つが基本だと思いますが、九・一一以降の、約五年少々前になりますが、二〇〇一年九月十一日以後の安全保障の環境の変化というものを見据えて、いわゆるテロというものが正面に出てきておりますので、テロとか大量破壊兵器の拡散などに対処するために、自分の能力の向上というものと国際社会との協調性というものの必要性を二点、きちんと挙げてきていると承知しております。

 これらの文書の中におきまして、日米同盟というものの記述のところも、両方とも書いてありますけれども、いわゆる国際社会の諸問題に共同して対処していけるようにというような、重要な関係と位置づけられているもの、日米関係、世界の中の、アメリカの中の日米関係というのであれば、そういうことになろうと思っております。

 在日米軍の再編のところも多分関連してくるところだと存じますが、その点につきましては、先ほど来御質問があっております、昨年の十月二十九日に行われておりますいわゆる共同文書の中では、現在の安全保障環境の中におきます日米同盟のあり方というものを検討するために、これまで日米間で行ってきました、日米の役割とか、また任務、能力等々、在日米軍の兵力構成というものの見直しに関する協議を取りまとめたものがあの2プラス2の基本だと思います。

 基本的には、在日米軍によりますいわゆる抑止力の維持と、それと、先ほどから沖縄の方々が言われます地元のいわゆる負担の軽減というものの二つをどうやって、少々二律背反するようなところもないわけではありませんけれども、抑止力を維持しつつ片方はという話ですから、そういった意味ではなかなか難しいところだとは思いますけれども、私どもとしては、効果的にこれをうまく運用していくというのが国際社会の中における我々の責任でもあろうと思っておりますので、こういった極めて重要なものなんだと考えて、きちんとした結果を出さねばならぬものだと思っております。

伊藤(渉)委員 ここまでの協議を見させていただいて、私自身もまだまだ勉強不足のところもありますけれども、非常に受け身に見える、あるいはあえて見せているのかもしれませんけれども、その一つの要因として、日本の安全保障戦略、日本としては本来こうあるべきだ、日米安保の関係の中において、日本としてはこの中においてこうあるべきだ、その日本からの発信というのが余り感じられないので、一方的にアメリカの提案に、それがのめるのかのめないのか、こういうような協議に私にはどうしてもちょっと映りつつあるんですが、この日本としての考え方、これについてお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 昨年の2プラス2、十月の二十九日でしたか、二十九日の2プラス2のときの話にも関係してくるのかもしれませんが、その前に中期防というのを出したのを御記憶かと思います。あの中期防が日本としての考え方をかなりきちんとして、対応して出したものだと思いますので、ぜひこの中期防というものを一度御一読いただければと存じますが、いわゆる防衛大綱というもの、二〇〇四年十二月に閣議決定をして内外に積極的に説明をしてきたものがいわゆる防衛大綱というものなんです。

 その基本方針の中で明らかにしておりますが、今まで受け身であったではないかという御指摘は、私もそのような感じもいたします。少なくとも冷戦構造のときはそれで十分でしたから。しかし、一九八九年以降もしくは九〇年以降、ソ連の崩壊等々に伴って冷戦という構造が間違いなく終わっておるという状況の中にあって、それ以後、かなり世の中は変わっておりますので、それに合わせて日本の防衛というものも考えられてしかるべきではないかというところは、この数年いろいろ言われたところであります。

 私どもとしては、日本の国に直接脅威が及ぶことを防止する、排除すること、これが第一番目でありますのは当然のこととして、二番目に、国際的な安全保障というものの状況を、日本もそれなりに貢献して改善して、少なくともこっちに脅威が来ないようにするということも大事なのではないかというのが、国際的に考えて、二つ考えないかぬところだ。一つは直接来ないようにさせること、そして来ないようにする環境をつくるように貢献すること、この二つが基本的であって、特に二つ目の点、後者の点につきましては、私どもが、海上交通等々の安全保障、これは海賊とかいろいろありますので、そういった意味で、通商に頼っております日本にとりましては、これは、自国の発展というもの、経済的な繁栄、いろいろありましょうけれども、発展に不可欠でありますので、こういった国際的な安全保障環境というものの改善、これは安全保障上物すごく大事なところなのではないかということで、非常に大きな柱にすべきだという点も申し上げておるところであります。

 そして、これらの目標を達成するためには、基本的には三つ。一つは、日本自身の努力というもの、それは防衛も含めて努力をせないけませんし、法律的なものも含めていろいろ努力をせねばならぬところ。これはサイバーからハッカーからいろいろあろうと思います。また、同盟国である米国との協力関係、これもきちんとして、溝がないように、少なくとも安全保障条約というものを実効性をあらしめるように、きちんとしておかなければならぬところだと思っております。また、国際社会、日本とアメリカ以外の国との統合的な関係というもの、組み合わせというものも十分に考えておかねばならぬと思っております。その三点を含めまして日本というのが、今考えております基本的なところだと存じます。

伊藤(渉)委員 そういったアメリカの戦略、世界的な防衛戦略から見て、今回の普天間基地の移転先、辺野古沖、この基地の話になってくると、アメリカから見れば、それが沿岸であろうが沖であろうが余り関係ないと思うんですね、アメリカの戦略から見れば。そうすると、これは国内の問題だろう。国内の問題であれば、沖縄の方々が今までもずっと基地負担で非常に苦しまれているというのもある。この軽減が大きな願いだと。一方で、先ほどから出ているように、抑止力の維持という観点もあるのでそう簡単にはいかないと思いますけれども、せめて位置ぐらいはやはり地元の意向を十分に配慮していいんじゃないか、そう思います。

 これもちょっと繰り返しの質問になりますが、現段階での協議状況、我が政府としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今言われましたように、これは長い長い話がございまして、SACOからかれこれ十年ですから、十年やって何も動いていないではないかというのは、双方、双方というのはアメリカ側も日本側も、この問題を、別に今のところでもいいなといって、何となく問題が起きない間ずっと余りさわらずに来たんだ、僕にはそう見える。

 しかし、事故が起きて、これが多分直接的に揺り動かした非常に大きな背景だった、私自身はそう思っています。向こうもアーミテージが前からこれを言っていたわけですから、そういった意味では、これをやらねばならぬところに両方とも追い込まれたというのが、直接的な事件はあの沖縄のヘリコプターの事故だった、私はそう思っております。これは個人的な見解で恐縮ですけれども、当時は外務大臣じゃありませんでしたので、私どもの見た感じで、そうだと思っておるんですけれども。

 いずれにいたしましても、今回、移さねばならぬ。移さねばならぬというのは事実だと思いますので、少なくとも、普天間からというので、中部の方に移していく、安次富さんの方に移っていくということになるんですけれども、あの話のところだと思いますけれども、基本的には辺野古という土地の中でできればいいというのは、私は、アメリカも日本も多分双方同じだと思っております。これはできないのが一番問題なんですから、これは普天間にとりましても最大の問題。あっ、普天間が安次富さんか、ごめんなさい。普天間の方が非常に問題なんですから。したがって、辺野古ででき上がるというのが肝心なところなのであって、その意味では、私も大分前から申し上げておりますように、一センチたりとも動かさないという話じゃないんじゃないか。

 ただ、今まで十年間、何も進まなかったじゃないかという言い分がなかなか双方ありますものですから、私どもとしては、この間に入っていろいろ腐心しているところではありますけれども、少なくとも双方でしかるべき妥協案というものは近日中に出して、まとめなければならぬものだと思っております。

伊藤(渉)委員 引き続き、辺野古沖の基地のことで、次は防衛庁にお聞きをしたいと思います。

 新聞報道や、これは防衛庁のパンフレットですけれども、こういったところで、ヘリコプターは海上を台形状に飛ぶというような、何か資料を出されていろいろ説明をされていて、その説明の趣旨としては、海上を飛ぶので周辺集落から七百メートル以上離れる、安全性や騒音にも十分配慮がされている、そんな説明がされております。

 一方で、これは報道ベースですけれども、二月六日に発表されたアメリカの国防予算案を見ますと、米国の海兵隊にいわゆる垂直離着陸機オスプレーが十四機予算計上された。これにあわせて、アメリカの海軍は、沖縄へのオスプレー配備は二〇一三会計年度、ですから一二年十月から一三年九月、それから一五年度までに行う計画であるということを明らかにした。これは新聞記事の内容です。

 そうすると、アメリカの国防総省は、米軍の再編による普天間飛行場移転を一二年度までに完了させたい、こういう意向をまた一方で示しております。計画どおりいくと、普天間の代替施設が仮に今の政府案の辺野古の沿岸に来ると、ここに来たときに、この基地で使われるヘリコプターは、今説明いただいているような海上を台形に飛ぶようなヘリじゃなくて、これはオスプレーですから普通の飛行機のように飛ぶので、この説明と食い違ってくるんじゃないかということを私は懸念しております。

 それで、この騒音に関する説明、将来の現実と違うと、ただでさえ今でもこれだけいろいろ議論されているわけで、実際にこれで進んで、将来できて、実際飛んでいるヘリコプターが前の説明と違うとなるとこれは大変なことなんですが、この辺について防衛庁から御答弁いただきたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のパンフレットで飛行ルートを示していますけれども、これについては、現在普天間に配備されているヘリコプターであるCH53D等を前提に飛行ルートを設定したものでございます。

 他方、今オスプレーの話が御指摘ございましたけれども、これについては、将来、現在海兵隊が使用している輸送ヘリコプター、CH53D等でございますが、これを代替していく予定であるものとは承知しております。

 ただ、他方、累次の機会に米国政府に照会いたしておりますが、米国政府としてはオスプレーの我が国への配備については何ら具体的な計画を有していないとの回答を得ているということでございます。

伊藤(渉)委員 大体そういうふうにおっしゃるだろうと思っていたんですが、交渉事ですから、地元に対してはいわば一番嫌な形を想定して説明をしておかないと、これは地元の方に対して不誠実な対応になると私は思うんですが、もう一度それについて答弁をお願いします。

川内委員長 防衛庁大古防衛局長。しっかり答えてください。

大古政府参考人 繰り返しになりますけれども、現在、普天間にはCH53D等のヘリコプターが配置されておりまして、米国としてはこれをかえるような具体的な計画を持っていないということで承知しております。

川内委員長 今の答えでいいんですか。

伊藤(渉)委員 議事録にしっかり残ると思いますので、要するに、きちっと誠意ある対応をして、将来にわたって、地元の方が、あのとき政府はうそをついたとならないようにしてあればいいと思いますので、そういうことで結構かと思います。

 引き続き、次は、基地の環境問題についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 二〇〇四年九月の新聞記事で、二〇〇三年末に返還をされた北谷町のキャンプ桑江北側跡地などで、国が行った原状回復に要した費用が約八億という新聞を読みました。

 また、二〇〇五年、金武町と宜野座村が一般廃棄物最終処分場の建設を計画して、これについて、住民が約二百五十人、事業主体の両町村、運営する金武地区消防衛生組合を相手に、県公害審査会に調停を申請しているという話も聞いています。

 ここも現在、金武町のごみ処分場ですけれども、米軍は戦後、山林を接収して、キャンプ・ハンセンを造成以来、五十年にわたって使ってきたというところだと聞いております。同基地からの廃棄物をすべてここに捨てていた。時にえたいの知れないものも捨てられていて、地元で問題になったりしているというようなことを聞いています。これも、地位協定第四条で決められていることとはいえ、何でも捨ておいていい、常識の範疇で、何でもかんでも捨てていいというのはどうかと私は思うんです。

 これは麻生大臣にお聞きしたいんですけれども、汚染物質の廃棄等、一定の常識的な配慮は当然、地位協定があってもやるべきだと思いますけれども、政府の見解、御答弁をお願いしたいと思います。

塩崎副大臣 沖縄担当の大臣は環境大臣でもございますが、環境問題は極めて重要でございます。

 伊藤先生御指摘のように、日米地位協定第四条のお話が出ましたけれども、国際法上、一般的に駐留軍は接受国の法令を尊重する義務を負っているということでありますから、当然、在日米軍も我が国の環境法令を尊重する義務を負っているということだと思います。また、施設とか区域内の環境保全を含めて、米軍が施設・区域の使用に当たって公共の安全に妥当な考慮を払うことは日米地位協定上の米国の義務であるということは、私どもの解釈でございます。

 その上で、環境保全への対応について、在日米軍が、米国国防省の策定した基準に沿って、我が国の国内法上の基準とそれから米国の国内法上の基準のうちより厳格なものを選択するとの基本的な考えのもとに環境管理基準というものを作成しているわけでございまして、今の分は平成十六年の七月に更新されておりまして、平成七年からスタートしているわけでありますが、これに基づいて厳格な環境管理行動をとっているはずであるというふうに私たちは承知をしております。

 政府として、これまでも米軍施設・区域に係る環境問題に関して、日米合同委員会というのがありますが、このもとに環境分科委員会という枠組みがございまして、そこを活用して十分に米側と協議しながら、区域・施設内における環境保全を含めて、米軍の活動に当たって、我が国の公共の安全に妥当な考慮が払われるように適切に政府として対処してきているということで、今後とも、環境の問題、御指摘のとおり極めて重要であり、今の御指摘のような問題が起きているわけでございますので、適切に対処してまいりたい、このように考えております。

伊藤(渉)委員 少し基地の話から離れまして、次は、漂流ごみの問題というのをちょっと御質問したいと思います。

 これも新聞記事が最初のソースですけれども、西表島のマングローブ林がごみで埋め尽くされるのではないかというような記事がありました。私、実は大学時代にマングローブが生えて生息している流域の水の流れの解析という研究をずっとしておりまして、マングローブに愛着があるというか、西表島にも二週間ほど住んで研究をしたことがあって、非常に大切な自然の資産であるという認識をしております。

 この西表島や与那国島、あと八重山諸島の海岸で見つかる漂流ごみの大部分が海外から流れてきている。しかも、その六割が中国製、台湾製と韓国製が二割を占めて、七年前の十倍になっていると聞いております。これは、近隣諸国がごみ対策をとらない限り、流れ着くごみはふえる一方であるということでございます。

 昨年の十月には、韓国・ソウルで、日中韓の三カ国の環境大臣会合で、この漂流ごみ問題についても話し合いが持たれたと聞いております。三カ国で共同で対処する必要があると認識は一致したというふうにも聞いております。

 そこで、今後の具体的な手だてや目標期限、また進め方についてお聞きしたいと思います。

小林政府参考人 今御指摘のとおり、特に沖縄方面におきまして海外からのごみが大変多いという事情は承知してございます。また、日本海側にもいろいろなごみの漂着があるということで、今御指摘のとおり、日中韓の三国の環境大臣会合で、漂流ごみ対策をしていこうということでございます。

 ちなみに、日本からまた韓国の方に行くごみ等々もございまして、やはり日本海全体の汚染ということで、大変関心が高いということでございます。

 御指摘の点は今後の取り組みということでございますが、二〇〇六年、二〇〇七年と二カ年間の事業計画で、UNEPのもとにございます地域海計画というのがございますが、そういった具体的な地域ごとの海の汚染対策を定める計画のもとで取り組みをするということになっておりまして、この二カ年計画、UNEPの御指導を得ながら、具体的にいいますと、陸上起源のごみの対策、それから海上で発生するごみというのもございます、そういったごみの対策についてのガイドラインづくりとか、あるいは具体的に、ごみを捨てない普及啓発というのが大事でございますから、発生源に対するところの働きかけ、こういったことの取り組みを二年間にわたって進めていくというような段取りを決めたところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 こういったことも環境問題として環境省が取り組むのは当然ですけれども、外交交渉の一つのカードとして、要するに、不法投棄したものが流れてきて、日本に流れ着いて、そのごみをこっちが親切にも処理しているということですから、そういうことも一つ一つカードとして持って、中国との協議、アジアとの協議でもしっかり主張していただきたいなと思います。

 また話が変わって、今度は沖縄の雇用問題をお聞きしたいと思います。

 失業率、かつて九%台であったものが七%になり、失業者数も五万人を切ったというふうに聞いております。しかし、二十四歳以下の若年者の失業率が二〇%弱、二十九歳以下ですと約一五%。学卒者の無業率も全国トップ、高卒者で二八%、大卒者で五割というふうに聞いています。

 理由としては、雇用機会が少ないこともありますけれども、学生の間に公務員志向が強いこと、また県内で働きたい人が多いことなどが挙げられていると文献で読みました。なかなか就職口がないのに県内で働きたいという意向がある、やはり沖縄の特殊な事情ではないかなと私は思いますけれども、こういった分析がなされています。

 これは小池大臣にお聞きしますが、こういった公務員志向あるいは県内志向が強い、そういう理由の分析結果があればお聞きしたいですし、そういう理由を踏まえて、今後の雇用創出について、どのような取り組みをなされる御予定か、お聞きしたいと思います。

嘉数副大臣 私の方からお答えさせていただきます。

 伊藤先生御指摘のとおり、沖縄県の失業率というのは、確かに、平成十七年度の統計ですけれども、全国で四・四%、沖縄県で七・九%、およそ二倍近くの失業率があるということは紛れもない事実であります。

 一般的に、その理由はいろいろありますけれども、古くを見ますと、二十七カ年間沖縄県が本土経済から隔離される、米軍施政統治下にあった、そのために島内だけの経済活動を余儀なくされたということがあるんです。そのために経済規模は物すごく小さく、資本の蓄積がなかなかできなかった。おまけに復帰によって沖縄に存在した外資はみんな引き揚げてしまったということがありました。相当資本的に蓄積がない、企業も脆弱してきたという経緯がありました。

 ただ、幸いにして、それから政府が四次にわたる振興計画を展開した。そのために、先ほど御指摘の、九万から五万に減ってきた、あるいは雇用機会もふえてきたという事実は、しっかりと今改善されつつあるということは間違いない事実でありますけれども、ただ、今おっしゃるように、なかなか失業率が減らないということも事実です。

 それは、一般論としていいますと、復帰後いろいろな形をやっていましたけれども、まだまだ企業が育成途上にある。雇用状況が改善されたといえども、まだまだ資本蓄積がなかなかうまく進んでいない部分と、企業そのものがなかなか育成途上にあるということで、県内の若い人たちが安定志向を求めたら、当然のことで公務員の方がいいという形で県内の公務員志望が随分ふえているということ。

 もう一つは、やはり御指摘のように、県内の企業に就職したい、県内からなかなか外に出たくないという、ある意味で沖縄県の特殊性だと思うんですけれども、そういうことがありまして、なかなか思い切って県内で就職できなくても県外に飛び出ようとしないという部分もあることは、もちろん否めない事実なんです。それ以外にも、例えば全国的に景気の低迷があったとか、あるいは人口がふえてきた。しかしながら、いろいろ雇用が改善されてきても、人口がふえますと分母が大きくなりますから、割ってみると依然として失業率は変わらないということもまた事実なんです。

 そういうことを考えまして、政府としましても、若年者の雇用を安定するための重要な課題として、私どもは、直接的な雇用の促進と、新たな雇用を生む、例えば情報産業あるいは今言われている観光産業等を中心に積極的に振興すると同時に、それに携わる人たちの人材育成もやってまいっておりまして、そのために、平成十五年に沖縄県に設置した沖縄県キャリアセンターという、若年層の、あるいはまた就職事業をいろいろ進めるプロジェクトを進めておりますけれども、その今の活動状況を把握しながら、また若年者に対して実務研修をやっておりまして、その成果を一つ一つ検証しながら、そういう事実を把握して、それを将来の雇用に役立てたいと思って、今取り組んでいるところであります。

 以上です。

伊藤(渉)委員 時間になりましたので、終わります。丁寧な御答弁ありがとうございます。

 要するに、私も担当のお役所の方ともお話をしていて感じたのは、これは全国的にどんな政策でも言えると思いますが、今の時代はニーズというのが非常に多様化をしてきていると思います。国が一括してそういった政策に対応するのはなかなか難しい時代だとも思います。

 ただ、大切な税金を投入するので、的確にニーズを把握して投資をしないと、むだな投資になりかねないということを常に思いますので、そういったところ、こういった分析があるわけですから、正確な的確な投資をやっていただきたいなと思います。

 以上で質問を終わります。

川内委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、午前中も外務委員会で米軍再編について質問をさせていただきました。今与党の議員からも質問がありましたように、今度の米軍再編は、その一つ一つが全くあいまいで明らかにならない。沿岸地区に配備される戦闘機一つとってみても、オスプレーが配備されたらどうなるかと聞かれたら答えない。こういうことで安心して受け入れる人たちはいないと思うんです。七千人についても実態があいまい。しかも、七千人が出て行った施設がそのまま残ることになれば、海兵隊のことだから、グアムから展開してくるのはこれはもうたやすい話であります、今でもやっていることですから。実際に負担の軽減になるかどうかというようなことが全く説明されないままここまで来ているという問題があります。

 そこで、私は、もう一つちょっと確かめたいことがあります。嘉手納以南の土地の返還について、これは三月十六日の安保委員会での額賀長官の答弁にもありましたが、現在嘉手納以南の土地の返還を予定している施設はどことどこですか、名前で挙げてください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 嘉手納以南の土地の返還については、日米協議中でございまして、まだ結論が得られたわけではありませんけれども、その議論の対象になっている施設については、六施設ということで従来から申し上げております。

 これはSACOのときに整理したものともダブりますけれども、この六施設については、キャンプ瑞慶覧、牧港補給地区、それから那覇港湾施設、それからキャンプ桑江、陸軍貯油施設、それから普天間飛行場、こういうことでございます。

赤嶺委員 今の答弁にありましたように、六施設といっても、ほとんどSACOとダブっている。ダブっていない牧港補給基地についても、その機能は県内に移設するというお話ですから、これは何だと言いたくなるわけですけれども、その中で陸軍貯油施設が言われました。陸軍貯油施設というのは県内各地にあるわけですが、その全部を返還するということですね。

大古政府参考人 今御説明した六施設につきまして、普天間飛行場については、SACOのときは全面返還でございますので、当然全面返還ということでございますが、今回新しく議論しております陸軍貯油施設も含めまして、あとキャンプ瑞慶覧、それから牧港補給施設もそうでございますが、これについては日米協議中でございますので、全面返還か一部返還かはまだわからない、こういう状況でございます。

赤嶺委員 陸軍貯油施設、まだ全部になるか一部になるかわからないということですけれども、嘉手納基地向けの陸軍貯油施設が返還をされる可能性というのはあるんですか、それとも普天間基地向けの貯油施設の返還の可能性はあるんですか、どちらですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 陸軍貯油施設については、米側の使用状況をよく確認した上で返還ということで調整しておりますので、現在使っているものについては米軍もなかなか返還は難しいだろうという認識を持っているところでございます。

赤嶺委員 現在使っているものは返還しないんですよ、嘉手納基地向けの。しかし、外務大臣、嘉手納基地向けの貯油施設が一番危険なんですよ、あれは嘉手納基地の進入路の真下にありますから。みんなあれが返還されると思ったんですよ。ところが、返還される対象は普天間基地向けですからね。普天間基地向けの貯油施設というのは何かというと、シュワブ沿岸地区につくると、そこにはまた桟橋がつくられて、ちゃんと貯油施設が置かれるんです。返還じゃないんですよ、そういうのは返還と言わないですよね。だから、何か嘉手納以南の土地の返還とでかく言ってはみたけれども、中身は本当に小さくなっていくようなものなんです。私は、その辺をぜひ外務大臣として理解していただきたいと思うんですが、きょうはもうちょっと防衛庁に聞きたいと思います。

 実は、先ほどのお話にもありましたが、防衛庁が「普天間飛行場 移設と返還の早期実現のために」、こういうパンフレットを出して配布しておられます。これは何冊つくったんですか、そしてどんなところに配布するんですか、幾らかけたんでしょうか。いかがですか。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の「普天間飛行場 移設と返還の早期実現のために」と題するパンフレットでございますが、普天間飛行場の早期の移設、返還の重要性につきまして、沖縄県及び地元地方自治体の皆様方を初め広く国民の皆様にもお知らせすることを目的として作成した広報パンフレットでございます。

 もとより在日米軍の兵力体制見直しにつきましては、沖縄県及び地元自治体の皆様を初め国民の理解なくしては実行することは困難であるという認識のもとにつくったものでございまして、このため、昨年十月の2プラス2共同文書において、住民の生活環境や安全環境に対する影響などを考慮して、キャンプ・シュワブの沿岸部に移設する新たなる案が合意されて以降、防衛庁長官や施設庁長官が沖縄県及び地元地方自治体を訪問し、誠心誠意御説明を行ってきたところでございます。

 防衛庁といたしましては、これらの過程でいろいろな形で地元から提示されてきた疑問あるいは御質問などにお答えするという趣旨を含めまして、今月中の最終的な取りまとめに向けまして、この時期に総括的に、かつ、できるだけポイントを絞って広く国民にお知らせするということが適切であるという判断のもとに、今般パンフレットを作成し、公表したものでございます。

 それで、発行部数でございますが、四万五千部でございます。かかった経費でありますが、広報庁費といたしまして約百万円ということでございます。

赤嶺委員 四万五千部もつくっておられる。これは名護市等に全戸配布することも考えられているんですか。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 きのう現在で配布させていただいております場所でございますが、沖縄県に五百部、名護市に五百部、それから各区でございますが、百部あるいは三百部というような形で配布させていただいております。

赤嶺委員 たしか今、防衛庁と名護市はキャンプ・シュワブ沿岸案をめぐって交渉中ですよね。お互いに理解を深め合おうといって交渉している最中だろうと思うんですよ。外務大臣も一センチたりとも動かさないという話じゃないだろうとおっしゃっている。しかし、皆さんのこのパンフレットの五ページを見ると、一センチも動かしていないキャンプ・シュワブ沿岸案が書かれているんですよ。政府は絶対に譲らないぞというのを、公式に名護市と政府が交渉していながら、自分たちは絶対譲らないんだと、一センチも譲っていないようなこういうのを絵にかいて、そして配布する。これは幾ら何でも地元と交渉している皆さんとしては余りに失礼なやり方じゃないですか。意見を聞かないという意思表明じゃないですか。どうですか。

大古政府参考人 先生御指摘のとおり、最終的な取りまとめに向け、現在名護市側と話を続けていることは事実でございます。ただ、そういう中で、昨年の十月末に発表した日米合意案、これをパンフレットで説明しているということで、話し合いは話し合いとして誠意を持って進めたい、こういうふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 あなた方が政府としてはこうですというのを説明用として持つならそういう場合はあり得るでしょう。しかし、交渉相手のところにこういうのを送りつける、本当に失礼な話だと思うんですよね。何が交渉ですか、何が折衝ですか、理解を深め合うですか。こんなことで理解なんか絶対に深め合えないと思うんですよ。

 もっとひどいのは、私、先ほども紹介しておりました場周経路の話ですよ、場周経路と飛行経路の話。海側を飛びます、飛行経路はかかる民家はわずか数軒しかありません、もとより防音工事に指定されるような地域は今度のキャンプ・シュワブ沿岸地区で出てきませんと、もう平和でのどかな基地が名護市辺野古につくられる雰囲気なんですね。

 普天間基地を経験し、嘉手納基地を経験している沖縄の人から見れば、これも幾ら何でも、影響を受けるところはありません、海側を飛びますから、こう言っている。しかし、普天間の飛行場でも、海近くにありますよ、海の上を飛んでいますか。そして、普天間の飛行場で何が問題になっているか。場周経路や進入経路、飛行経路を含めて、病院や学校や保育所や教会の上を米軍のヘリが毎日毎日訓練している。住んでいる住民はまるでヘリが自分に襲いかかってくるんじゃないかという恐怖を持ちながら、住宅地上空で訓練をしている。その訓練をやめさせろということをずっと言ってきた。

 では、名護に移ったら、宜野湾市で今やっている住宅地上空での訓練は一切やらないというようなことをアメリカと合意しているんですか。

大古政府参考人 パンフレットにあります飛行ルートにつきましては、既に日米が合意した時点で地元に説明用としてあるものですけれども、これについては米側も了解しているところでございます。その意味では、実際に基地ができた場合もこの飛行ルートに沿って飛行するというふうに思っているところでございます。

赤嶺委員 答弁をごまかさないでくださいよ。

 場周経路と進入経路に加えて、宜野湾市では学校や病院や保育所や教会の上で米軍が旋回訓練をやっている、夜間の訓練もやっている。住民は、ヘリコプターが自分のうちに襲いかかってくるんじゃないか、あるいはヘリから荷物も落下してくる、こういうのが危険なんですよ。しかし、場周経路はアメリカと合意したと言いました。では、その場周経路に絞りましょう。

 普天間飛行場も、ヘリの墜落の後、より安全性を確保するために場周経路の見直しをアメリカと交渉します、交渉するべきというのが事故報告書の勧告でした。事故が起きてからもう大分たちます。その勧告に基づいて、普天間飛行場の場周経路の見直しは行われたんですか、より安全な飛行経路というのを確立したんですか。いかがですか。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 その問題につきましては、現在日米間で協議中だというふうに承知いたしております。

赤嶺委員 事故が起きて何年たつんですか。そして、より安全を確保すると場周経路の見直しをやったけれども、今鋭意協議中と。何度聞いても鋭意協議中。今の問題さえ解決できないのに、何で将来の安全性を担保できるんですか、安全だから引き受けろと地元の人に言えるんですか。

 外務大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 今の問題と移った先の問題と一緒にはなかなか、同じレベルで考えるのはいかがなものかと。私ども、その問題のプロじゃありませんから、空軍に関しての知識があるわけでもありませんので、その問題に関して私に場周経路、進入経路、何とかの経路と言われても、それほど私も詳しいわけではありませんので、私に聞くよりは防衛庁長官にでも聞かれた方がよろしいと存じます。

川内委員長 赤嶺政賢君、質疑の持ち時間が過ぎておりますので、お願いします。

赤嶺委員 外務大臣が安全性を保証できない、説明できないというお話ですから、こんなていたらくで新しい基地をつくることは絶対に受け入れられないということを申し上げまして、私の質問を終わります。

川内委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 午前の外務委員会で答弁が得られませんでした、中間報告沿岸案に対して三月二十七日に名護市が再修正案を提示した、この名護市の提示した再修正案を防衛庁は検討する余地はありますか。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 名護市の考え方につきましては、三月八日の名護市議会におきまして市当局の方から、基本計画のバリエーションの範囲は、平成十四年の基本計画を基本とし、2プラス2合意案よりも沖側、南側で、平島、長島の二つの島を含まない範囲とし、バリエーションの範囲で政府から提案があれば、これについては協議をしていきたい旨の答弁がなされたと承知しております。

 このバリエーションにつきましては、しかしながら、私どもとしましては、環境への影響あるいは施工上の観点といった点から、2プラス2合意案に比べて望ましい選択肢とは言いがたいと考えているところでございますが、御案内のとおり、先週来、防衛庁長官と名護市長が集中的かつ精力的に普天間飛行場の移設問題について協議を続けておられるところでございます。

 その状況を申し上げますと、防衛庁側からは、代替施設の建設場所につきまして、昨年十月の2プラス2において承認されました政府案を基本に、一つは周辺住民の生活の安全、二つ目が自然環境の保全、三つ目が事業の実行可能性、この三点に留意していくという考え方をお示ししているところでございます。これに対しまして、名護市の方からは、辺野古、豊原、安部地区の上空の飛行ルートの回避について要請がなされているところでございまして、こうした観点で防衛庁と名護市の間で今後とも協議を続けていくということになろうかと考えております。

照屋委員 防衛施設庁、これは三月二十七日の、名護市に対する政府のいわゆる微調整案に対する逆提案の再修正案ですよ。時計回りに海側へ寄せる、こういう案ですよ。政府はそれを受けているでしょう。しっかり答えてくださいよ。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 最終的な取りまとめに向けまして、現在、名護市及び沖縄県の方と話し合いを続けている状況でございまして、これについて具体的に述べることは差し控えさせていただきますが、普天間飛行場の早期移設に向けまして、2プラス2共同文書の考え方を基本としつつ、先ほど申しましたように、周辺の住民の安全、自然環境、実行可能性の三点を重視いたしまして、地元の間でもこれからも同様に話し合いを進めていきたいということでございます。

照屋委員 お亡くなりになった岸本前市長の遺言は沿岸案反対だということであったと聞いております。ぜひその思いをしっかり受けとめてほしいと思います。

 もとより私は、沿岸案、浅瀬案、陸上案、沖合案、いわゆる基地の県内移設には反対の立場であります。危険な普天間飛行場は一刻も早く閉鎖をする、そして海外へ移設をすべきだという考えであります。

 そこで、麻生外務大臣、これは質問ではありませんが、あるいは大臣への要望になるかと思いますが、去る三月二十七日、宜野湾市の三月定例会で全会一致で意見書が採択されました。その意見書の内容というのは、危険な普天間飛行場の早期返還と返還までの危険性の除去策を最終報告に盛り込んでほしい。要するに、宜野湾市民としては、米軍再編の中で、この普天間の飛行場、これが放置されて、一昨年八月十三日に露呈をした危険性、その危険性の現実が放置されてはいかぬ、こういう強い思いがあることを、ぜひ日米交渉に当たられる外務大臣としてしっかり受けとめてほしいと私は思います。

 大臣の御意見があれば拝聴したいと思います。

麻生国務大臣 危険というものに関しましては皆同じような思いをされておられるんだと存じます。今の点に関しましては、それは、下におられる住民の方々も、運転する方の側にとりましても、危険は断固避けて通らねばならぬと思っておる。能動的か受動的かは別にいたしまして、双方でその危険は最大限避けるように努力をすべきは当然だと存じます。

 ただ、普天間の移転が決まりましてからでき上がるまでの間どれぐらいかかるかというところが、私どもも実は正直申し上げて、三年で済むのか五年で済むのか六年かかるのか、ちょっとよくわからぬところでもあります。そこのところの間の六年間どうするかという具体案というものを持っておりませんので、ちょっと私として今、御希望の向きはよくわかりますけれども、移転が完了するまでの間どうするかという問題につきましては、これは軍事的な話でもあろうかと思いますので、ちょっと私の立場ではどうのこうの言える立場にはありません。ただ、そういった希望が地元には強いということだけは認識をいたしております。

照屋委員 それでは、小池大臣にお伺いをします。

 去る二月十四日の予算委員会でもお尋ねしましたが、県立北部病院の産婦人科の再開、四月からできるということでよろしいんでしょうか。

小池国務大臣 御質問の北部病院につきましては、地元からかねてより大変強い要請を受けていたということで、また北部振興の観点から重要と考えまして、防衛庁に派遣要請を行ってまいりました。また、防衛庁につきましても、要請の趣旨というものをよく理解されて検討がなされているもの、このように承知しております。医師、お医者様が一日も早く確保され、また地元の方が安心されるように努力をしてまいりたい、またできるだけ早くということでお願いをしてまいりたいと思います。

 この産婦人科のことをずっと私も、前の地元の宝塚市のことを考えましても、そこでも産婦人科は人が足りなくて、それで閉鎖しちゃったんですね。また、最近では産婦人科の先生方が訴えられたりして、異常分娩などの際の、それをまた訴えられると、特に若いお医者さんたちが何科を選ぼうかというときになかなか選んでくれないということで、かなり構造的な問題がございます。

 しかし、それと同時に、この北部病院については、前からの御依頼でございましたので、私は、防衛庁とともにこの問題に対処すべく、今それぞれの、特に防衛庁の方でしっかりと御検討をいただいているところでございます。

照屋委員 小池大臣は、名護市の市長選挙の応援に来られて、島袋からのお願いもあって、私は四月から産婦人科の先生を北部病院に派遣したいと思います、こう演説しているんです。私が予算委員会で、四月から派遣するんですねと具体的に尋ねたことに対して、四月からお願いをしているところです、こう答弁しているんです。きょうを含めてもう三日しかありません。四月から再開は不可能でしょう、できないでしょう。

小池国務大臣 できるだけ早くということでお願いをいたしております。防衛庁の方も、なかなか産婦人科担当の数も少ない中で切り盛りをしてくださるということでございます。こちらから要請をし、また今防衛庁で前向き、前向きどころではなくて、しっかりと具体的に御検討いただいているところ、このように承知をしているところでございます。

照屋委員 予算委員会でも言いましたが、名護の市長選挙は、基地問題よりもこの産婦人科の再開問題が非常に市民の関心になって、小池大臣が四月から再開すると言ったことでどっと票が流れた。私は、その責任は重大だと思いますよ。そう思いませんか。笑い事じゃありませんよ、あなた。どうするんですか。

小池国務大臣 今申し上げましたように、北部の県立病院から産婦人科の再開ということで御要請を受け、それを防衛庁にお願いし、四月からお願いをしということでございまして、現在、防衛庁の方が最もふさわしい方の御調整をいただいている、このように承知をしているところでございます。

 選挙に勝ったかどうかは、これは市民がお選びになることでございまして、やはり基地の問題と同時に、市民の皆様方の安心、安全を求める気持ちというのは極めて高いものだ、このように私感じたところでございます。

川内委員長 防衛庁は何か補足して説明することはないんですか。これは質問通告してあるんでしょう。

照屋委員 私は、これは、大臣の発言は非常に重要な問題だと思います。また継続してやります。

 防衛施設庁、三月十四日に全駐労沖縄地本と長岡業務部長がお会いになって、米軍再編にかかわる雇用対策の申し出を受けておるはずであります。この米軍再編に伴う基地労働者の雇用の安定確保、これは大変大きな社会問題になっておりますが、雇用対策全般、そして具体的に職位の確保や軍人軍属の職位の政府雇用への切りかえの要請を受けたと思いますが、今後どう取り組まれるのか、お答えください。

川内委員長 時間が来ておりますので、手短に。

長岡政府参考人 今御指摘の、米軍再編に係ります駐留軍等労働者の雇用関係でございますけれども、どのような影響が出るか、現時点ではまだはっきりしないところがございます。したがいまして、私どもとしては、仮に米軍再編によりまして労働力の余剰が発生したような場合には、できる限り配置転換というような格好で、できるだけ従業員の皆様方に生活の不安とかそういうことがないように、ぜひそういう措置で対応してまいりたいと思っております。

 先ほど先生おっしゃいました労働組合との話し合いの中でも、そういうことでやらせていただくので協力よろしくお願いしますということを申し上げて、相談しながらやってまいりましょうということにさせていただいておるところでございます。(照屋委員「職位の変更は」と呼ぶ)

 職位といいますと、職域のことでございますか。できるだけそれは同じ職業でと思っておりますけれども、ただ、そのときの事情によりますので、例えば、おやめになるより変わってもお勤めになりたいというような方もあると思いますので、その辺は、御希望もよく聞きながら、できるだけ配置転換というような形で対応していきたいと思っているところでございます。

照屋委員 終わります。

川内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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