衆議院

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第6号 平成18年8月29日(火曜日)

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平成十八年八月二十九日(火曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 飯島 夕雁君 理事 石崎  岳君

   理事 小渕 優子君 理事 仲村 正治君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高木 義明君

   理事 仲野 博子君 理事 丸谷 佳織君

      安次富 修君    坂井  学君

      清水清一朗君    鈴木 馨祐君

      鈴木 淳司君  とかしきなおみ君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      萩生田光一君    早川 忠孝君

      平口  洋君    福岡 資麿君

      福田 峰之君   山本ともひろ君

      吉川 貴盛君    市村浩一郎君

      武正 公一君    土肥 隆一君

      東  順治君    赤嶺 政賢君

      保坂 展人君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   国土交通副大臣      松村 龍二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山浦 耕志君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   東  良信君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           香川 弘明君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 八木  毅君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  山下  潤君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 品川  守君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 冨賀見栄一君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十九日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     鈴木 馨祐君

  玉沢徳一郎君     早川 忠孝君

  山崎  拓君     福田 峰之君

  若宮 健嗣君     西本 勝子君

  三井 辨雄君     武正 公一君

  伊藤  渉君     東  順治君

  照屋 寛徳君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     坂井  学君

  西本 勝子君    山本ともひろ君

  早川 忠孝君     中森ふくよ君

  福田 峰之君     山崎  拓君

  武正 公一君     三井 辨雄君

  東  順治君     伊藤  渉君

  保坂 展人君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     井上 信治君

  中森ふくよ君     萩生田光一君

  山本ともひろ君    若宮 健嗣君

同日

 辞任         補欠選任

  萩生田光一君     鈴木 淳司君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     玉沢徳一郎君

同日

 理事井上信治君同日委員辞任につき、その補欠として飯島夕雁君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

六月十六日

 一、沖縄及び北方問題に関する件の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に飯島夕雁君を指名いたします。

     ――――◇―――――

川内委員長 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山浦耕志君、内閣府政策統括官東良信君、内閣府沖縄振興局長原田正司君、内閣府北方対策本部審議官香川弘明君、防衛庁防衛参事官富田耕吉君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁施設部長渡部厚君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、外務省大臣官房審議官八木毅君、外務省北米局長河相周夫君、外務省国際法局長小松一郎君、水産庁資源管理部長山下潤君、国土交通省航空局長鈴木久泰君、国土交通省北海道局長品川守君、海上保安庁警備救難監冨賀見栄一君及び環境省自然環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 冒頭、去る八月十六日、ロシア国境警備隊に銃撃され、お亡くなりになられた盛田光広さんの御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様には心よりお見舞いを申し上げます。

 この件に関しましては、我が党の石崎委員が質疑を行います。

 さて、北方の海域同様に、国境の南方の海域でも同様の問題が生じております。ことしの一月、我が国最西端与那国漁協所属の漁師が、台湾との中間線付近の海域で台湾の警備隊に事情聴取を受けております。この事件の詳細について、二点ばかりお伺いしたいと思います。

 この漁船が台湾側に発見された地点及び停船の命令を受けて乗船検査を受けた地点、この二つの地点が、我が国が主張しているいわゆる台湾・与那国周辺の海域の中間線のどちらの側であったのか、御説明をいただきたいと思います。

山下政府参考人 お答えいたします。

 与那国漁協所属の漁船が台湾艦船により立入検査を受けたことにつきましては、詳細には把握しておらないところでございますが、今後とも、関係漁業者には中間線を越えて操業することのないよう指導してまいる所存でございます。

川内委員長 今の答えでいいんですか。

西銘委員 答えていないね。

 私の常識から判断しますと、恐らく与那国の漁民は、台湾の海域、非常に台湾との交流もございまして、恐らく漁をしている最中にいわゆる中間線を越えて漁になってしまったのかな、そこで台湾側から注意を受けたのかなというふうに想像をしております。そういう場合は、中間線から与那国側に戻ってくれという合図を送れば、中間線の与那国、我が国の側に戻れば乗船検査を受けることはなかったのではないかなという私の常識の判断があっての質問でございます。

 この趣旨で、この漁船を追跡し、停止させ、乗船検査を受けた地点がどの地点であったのかという点で、いま一度お伺いをしたいと思います。国連海洋法条約の百十一条の要件を満たしていたのか。普通の常識からすると、中間線より自分の国の側に戻りなさいという合図を送れば、漁師には悪意はないと思いますので、自国の側に戻って漁をすれば乗船検査を受ける必要はなかったのではないかという前提、想定に立っての質問でございますので、いま一度お伺いをいたします。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の方から国連海洋法条約第百十一条への御言及がございましたので、あくまでもこの条約の定めておりますところの一般論としてお聞き取りを願いとう存じます。

 先ほど水産庁の方から御答弁がございましたように、現実にどの地点で乗船検査等の行為が行われたという事実関係が必ずしも明確でないようでございますので、一般論としてお答えをせざるを得ないわけでございますが、国連海洋法条約によりますと、まず、日本の排他的経済水域、中間線の日本寄り、そこで日本の漁業に関する法令の違反行為があるとすれば、これを取り締まれるのは日本のみでございます。

 仮にでございますけれども、これはあくまでも仮定でございますが、中間線の向こう側で、日本の排他的経済水域でないところで向こう側の漁業に関する法令の違反が行われたといたしますと、それはもちろん、そこで取り締まりをすることができますのは、原則としては沿岸国が自国の排他的経済水域の中で行うということでございますが、今百十一条に御言及がございましたように、追跡権ということが定めてございまして、自分の国の排他的経済水域で外国の船舶により違反行為が行われたということを信ずるに足る十分な理由がある場合には、追跡をそこから開始いたしまして、自国のEEZの外においても取り締まりをすることは可能だという規定がこの百十一条でございます。

 この百十一条は、追跡は継続して行われなければならない、途中で中断をしてしまってはその権利の条件を満たしていないということがございます。それから、その船が逃げてしまいまして、その船の属する国でございますとか第三国の領海まで逃げてしまった場合には、そこまで追っかけていくことはできませんということが書いてあるわけでございます。

 したがって、そこまで逃げずに日本の排他的経済水域までしか逃げられなかったということであれば、抽象的に申しますと追跡権の要件を満たしているということは理論的にはあり得るかもしれませんということでございますけれども、今冒頭申し上げましたように事実関係がはっきりいたしません。

 それから、もう一つの要素といたしまして、今国連海洋法条約の話を申し上げましたけれども、台湾ということになりますと、私どもといたしまして、台湾や台湾当局を国または政府として扱うことはないということもあるわけでございますので、そのあたりを総合的にちょっと、事実関係に照らして判断をする必要があるのかなと思っている次第でございます。

西銘委員 与那国島は現在は人口千七百名余でありますけれども、この地域は台湾の東側、花蓮との友好姉妹都市提携を結んでおります。もう二十五年に及ぶ長い間の友好期間がございます。そういう意味では、この海域で乗船検査を受けて拿捕されたような状況が起こることは、国境に住む漁民としても、操業の安全という視点からも、乗船検査をするまでもなく少々注意をすれば安全に操業ができるという状況が私は確保できるのではないかという視点での質疑でございます。

 この与那国漁協の生産額は、県の統計によりますと、平成八年、ちょうど台湾で初めての総統選挙が行われ、中国のミサイル発射事件、与那国島の近海にミサイルが着弾しておりますけれども、その平成八年当時で生産額は一億四百万円ございます。これが、直近の資料、平成十六年では四千九百万円と激減をしてきております。地元の漁民の話では、この十年間で操業の海域が与那国の島の側に狭められてきているという実感を持っているようであります。軍事訓練等々が設定されるたびに十年前の中国ミサイルの着弾等を思い出し、漁民が操業の海域が狭められている。そういうこともあって生産額が激減しているのか、その辺は詳しい調査をしないといけないのでありますが、現実にそういう状態になっている。

 漁業者の安全操業という視点で、我が国と台湾の中間線付近の海域での漁業のルール、これを我が国として国境の漁民に、あるいは、中間線までは漁業をしていいけれども中間線を越えて漁業をすることのないようにとか、あくまでも漁業者の、国民の安全操業の視点で、この海域の漁業のルールといいますか、国交がないという前提ではありますけれども、それはそれなりに、国民の、漁業者の安全操業という視点では何らかの漁業のルールがあってしかるべきものと考えます。

 この点、どうなっているのか、国境の漁民にもわかりやすい説明が必要でございます。よろしくお願いします。

佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。

 与那国の漁民の方々、大変御心配をしておられるということは、その心情を察して余りあるところでございますが、残念ながら、結論から申し上げますと、現在までのところ日本と台湾の間で合意されたルールというのはまだ存在をしておりません。

 こういう状態を放置していてはいけないということでございまして、一九九六年に、我が国におきまして国連の海洋法条約に関連する国内法が施行されたということを機会に、日台間で、ぜひ漁業秩序の維持、漁業資源の管理あるいは安全操業の確保等を効果的に行っていくための枠組みづくりを目的といたしまして、日台の双方の民間の窓口団体、日本側は交流協会、台湾は亜東関係協会でございますが、交渉を開始いたしました。既に十五回の協議を重ねております。

 九六年に第一回、昨年の夏でございますけれども十五回、この間、今御指摘がございました中間線というのが私どもの主張でございますけれども、先方は相当広い海域を自分の管轄下に置きたいという主張をずっと譲っておりませんで、水産庁さんを初めとして関係のところと協力をしながら、力を合わせながら、粘り強く交渉をしております。

 その間、余りにも隔たりが大きいということで、とりあえず、じゃ、線引きはやめて、とにかく、今おっしゃいました安全操業とかそういう面での暫定的な合意づくりでもできないだろうかという提案は私どもの方から既に先方に申し上げております。その後、予備的な協議を二回ほど重ねておりまして、また近くできるだけ早い機会に第十六回目の協議を行いたいと考えております。

 依然として水域自体につきましては相当大きな隔たりがございますけれども、今申し上げた状況というのはやはり放置できないと私ども考えますので、早期確立を目指しまして最大限の努力を今後とも行っていきたいと思います。

 ちなみに、日本側の排他的経済水域におきまして違法操業を行う台湾漁船に関しましては、従来から日本の当局が国内法に基づきまして厳正に対処してきておられると承知しております。特に近年、九州西方の排他的な経済水域内で台湾漁船による違法操業が今頻発しているということでございますので、当局の方から台湾漁船に対する監視というのを強めているというふうに伺っております。

西銘委員 どうぞ漁業者が安全に操業できるように国家として精力的に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、この地域で我が国の水産庁や海上保安庁が外国漁船に対して特に夜間の巡視をしたことがあるのか、簡潔に御説明願いたいと思います。

冨賀見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御承知のとおり、海上保安庁では、尖閣諸島及び与那国島周辺の日台中間海域において日ごろから外国漁船の操業の実態把握に努めるとともに、巡視船艇、航空機を効率的に配備し、昼夜を問わず不法操業に対する監視、取り締まりを行っているところでございます。

 今後とも水産庁等関係機関との連携を強化し、地域の不法操業に関する情報提供の呼びかけによる情報収集体制の拡充を図り、不法操業の未然防止に努め、違反漁船に対しては厳正な取り締まりを行うこととしております。

 以上でございます。

西銘委員 次に、台湾の軍事訓練についてお伺いをしたいと思います。

 お手元のお配りをいたしました資料も参考にごらんいただきたいと思いますが、特に今回台湾が公表した訓練海域には、我が国の排他的水域、お手元の資料で中間線のイメージと黄色く塗られた部分が我が国の主張する排他的水域でありますが、この排他的水域が含まれているという事実がございます。国際法では、沿岸国が有する権利に妥当な配慮が払われるべきだとありますが、外務省は台湾側に対して、この我が国の排他的水域を除外するべきであると明確に抗議、申し入れをすべきであると考えますが、外務大臣の所見をお伺いいたします。

麻生国務大臣 御存じのように、八月一日、日本の領土、領海を含みます、いわゆる軍事演習区域ということを設定した旨、御存じのように台湾は国境がありませんので大使館ではなくて交流協会というものを使っておりますが、交流協会を通じて、これに対して、これは認めることはできないというものを言っております。

 御存じのように、この地域は日本のいわゆる排他的水域が含まれている、この軍事演習設定地域に、その地図の最初の部分だと思いますが。その地域の中では、これは国際法に基づいてと今言われましたように、妥当な考慮が払われなければならない旨書いてありますので、それに基づいて申し入れをいたしております。

 同時に、台湾側に対しては、日本の漁船が同水域で操業している、漁船が仕事をしているという可能性があり得ることも考えまして、不測の事態を避けるためにも、いわゆる演習の詳細、演習の内容、区域、期限等々につき事前に通報する、おれたちに渡してもらいたいという話を強く求めております。

 これに対しまして、軍事演習ですから、その内容を詳細に相手側に知らせるなんというのは普通は考えられませんから、そういった意味では、台湾側は十七日付の台湾海軍公告において、日本の領土、領海を除く区域、段になっているところ、その区域のことですが、あの区域として設定をし直して、二十九日に文書にて、交流協会に対して、台湾海軍の演習海域の調整を行っており、既に与那国島の領土と領海は含んでいないこと、また、台湾の海軍演習は国際法にのっとって等々いろいろなことを言っております、実弾射撃をやったわけではなく、一般の航行船舶、漁業を行っている漁船の安全には十分注意を行っている旨、回答を既にいたしてきております。

 今後ともこれはあり得る話ですので、そういった意味では、軍事演習区域の設定によりまして、これは日本の国民、いわゆる漁民の生活が脅かされることのないようにきちんとしてもらわなければいけませんので、関係省庁の、向こう側の機関がありますので、これと協力をいたしつつ、交流協会を通じまして、引き続きあれをいたしたいと思っております。

 ちなみに、台湾が設定をし直した日にちは二十八日でありまして、通報してきたのが二十九日ということになります。

西銘委員 資料を見ていただきたいのでありますが、台湾側の第一回目の通報は、このピンクの線で与那国島の東側まで食い込んでおります。この与那国島を中心に十二海里の円がかかれておりますが、二回目の通報でも、与那国島の十二海里は外したんですけれども、いまだに排他的水域のこの黄色く塗られた部分が軍事海域に、訓練海域に設定をされている、こういう事実が残ること自体が国家としての外交交渉レベル上は私はマイナスになると思っておりますので、こういう排他的水域が訓練海域に設定されないように、今後とも強く申し入れ、抗議をしていただきたいと思います。

 次に移ります。

 普天間飛行場の移設に係る協議会についてでありますが、沖縄県と名護市からは、この協議会の設置要綱について四点の要望が出ております。つまり、官房長官、使用協定、危険性の除去、北部振興策、この四つのキーワードでございます。北部振興策につきましては、本日、党の概算要求の説明でも、私たちも小池大臣に概算要求してほしいというお願いをいたしましたが、載ってきておりますので心から感謝を申し上げます。

 お伺いをしたいのは、この移設協議会、すったもんだしたあげく私は開かれなかったと思って質問を準備していたのでありますが、けさ開かれたようであります。この官房長官というキーワードでございますが、地元、県側としては、この協議会にどうしても内閣官房からもぜひ出席してほしいという点だと私は理解をしております。この地元の要望について、小池大臣、麻生外務大臣、防衛庁、それぞれのお考えをお聞かせください。

小池国務大臣 本日、移設協議会開催をすることができました。

 この協議会は、政府、沖縄県そして関係地方公共団体との間で、普天間の飛行場代替施設の具体的な建設計画であるとか安全・環境対策そして地域振興について協議するということが目的でございます。したがって、個別の施策に関係する各省庁の閣僚、これを構成員としたものでございます。しかし、地元沖縄県そして名護市の方から、御質問のような御要望を受けておりました。現実に本日の協議会の運営につきましては、内閣官房との連携のもとに対応するということといたしまして、司会進行といたしましても副長官にお務めをいただきスムーズに進んだもの、このように理解しております。

麻生国務大臣 趣旨はほとんど小池大臣と同じですが、御存じのように、この普天間の移設に係る協議会というのは、ことしの五月の閣議決定におきまして、普天間飛行場代替施設の具体的な建設計画、安全・環境対策及び地域振興について、政府、沖縄県並びに関係省庁間で協議をするため設置されるということが決定をされておりますので、この協議内容から考えまして、これらの個別の施策に関係いたします、それぞれ担当が違いますので、関係大臣を構成員として、そしてその運営については内閣官房と連携をするということで大枠は決まっておりますので、内閣官房との連携の下で処理することによって、政府を挙げて取り組むことは可能であろうと考えております。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今、小池大臣また麻生大臣から御答弁いただきました、全く同じでございます。

 そうした中で、この協議の具体的な内容になるわけでございますが、その内容からかんがみて、私どもの額賀防衛庁長官とそれから小池沖縄北方担当大臣が、まさに直接関係する閣僚としてお二人が主宰者になっております。そうした中で、今度はさらに個別の施策について関係閣僚が構成員となっておりますので、こういったやり方が極めて適切である、そして、両大臣からもございましたけれども、その運営は内閣官房と密接に連携するといったことでやっていくことになっておりますので、政府一体となってこの問題に取り組んでいくことができる、そのように考えております。

西銘委員 私たちは、市街地のど真ん中にある普天間の飛行場を何としても移していくというところに力点を置いて頑張っていきたいと思います。本日、協議会が開催されましたこと、小池大臣を初め麻生外務大臣、関係各大臣の御努力に心から敬意を表したいと思います。

 最後になりますが、沖縄県全体の心臓部あるいは基礎ともなるべき那覇空港の沖合展開の話が、ずっと調査が進んでいるようであります。順調に進んでいるようでありますが、ぜひとも沖縄の二十一世紀の将来を見据えた那覇空港の沖合展開について、この調査を踏まえて、あるいは国際線のターミナルも踏まえて、今後どういうふうになっていくのか、政府のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 那覇空港につきましては、平成十七年度の利用客が国内線で千三百四十万人、国際線で三十万人、また年間の離着陸回数が約十一・五万回で、これは滑走路一本の空港としては福岡空港に続いて全国二位の数字でございます。

 このため、平成十五年度から、国と地域が連携いたしまして、住民参加型、パブリックインボルブメントの手法を導入した総合的な調査を実施しております。この中で、今後の整備のあり方等につきましてもしっかり検討してまいりたいと思っております。

 また、国際線の旅客ターミナルビルにつきましては、オープンして既に二十年を経過しておりまして、施設が狭隘でありますし、ボーディングブリッジといいます搭乗橋がございません。このため、今後、抜本的な対応に向けて沖縄県、空港ビル事業者等とともに早急に取り組んでいく必要があると考えております。

 以上でございます。

小池国務大臣 今のに加えまして、内閣府といたしましても、沖縄経済にとってこの那覇空港の効果を最大限発揮できるような方向に持っていきたい、このように考えておりまして、関係者と協力いたしまして、那覇空港の将来展開を踏まえました総合的な振興構想を策定してまいりたいと考えております。

西銘委員 どうもありがとうございました。

川内委員長 次に、石崎岳君。

石崎委員 自由民主党の石崎岳でございます。

 私は、第三十一吉進丸に対する銃撃・拿捕事件について質問をさせていただきます。

 きょうは八月二十九日でございますが、昭和二十年の八月二十九日は、ソ連軍が択捉島を占領した日として記録されております。私の記憶では、ソ連軍の第二極東軍は、カムチャツカ半島から南進をして得撫島以北の千島列島を占領いたしました。一方、樺太からの第一極東軍が北方四島、そして北海道の北部を占領しようとしていたというふうに記憶しております。その過程の中で、まず北方四島の最初として八月二十九日に択捉島が占領され、自来六十一年間不法占拠状態が続いているという状況であります。

 ですから、当時のソ連側の対応を見ておりましても、得撫島以北と北方四島というのは、当時のソ連側の認識としても領土の概念が違うということがこの占領の形態を見ても明らかだというふうに私は認識をしております。その海域で、今回、八月十六日の未明に銃撃・拿捕事件が発生をしたということでございます。

 今回の事件に対して、日本政府はまずどういう考え、認識を持っているのかということを問いただしたいと思います。

 私は、いかなる状況下であれ、非武装、丸腰の日本の漁船に対して銃撃を行うということは許されない行為だというふうに思いますし、ロシア側の対応に対して強く抗議したいというふうに思っております。また、亡くなられた盛田光広さんの御冥福をお祈りするとともに、拘束されております三人の乗組員を早期に解放していただきたい、このことを強く求めるものであります。また、正確な情報の確認、そして、二度とこのような悲劇が起きないような対策というものが求められるというふうに思います。日本政府として揺るぎない抗議の姿勢を貫くことは、事件の解決を図る上でも、また今後の日ロ関係を考える上でも極めて肝要だというふうに認識をしておりますが、この事件に対する麻生大臣、小池担当大臣の御所見をお伺いします。

麻生国務大臣 今般のロシアの警備艇によります日本漁船に対する拿捕、銃撃等々の事件というのは、日本の固有の領土であります北方四島十二海里内の中で起こったものでありまして、これは日本の領土問題に関する立場、我々の立場からして到底容認できる事件ではありません。それだけははっきり申し上げておきたいと思います。

 また、銃撃によって、いわゆる全然武装していない漁民というものが、故意ではなかったにしろ結果的には人命が失われたということは紛れもない事実であって、これはいかなる理由であろうと正当化することは不可能と思っております。

 したがって、このような観点から、事件の起きました十六日の発生直後に、ここの在京大使は帰国して、おりませんでしたので、臨時大使を次官が呼んでおりましたけれども、重ねて私の方から在京臨時代理大使を呼んで抗議し、また、ロシア側に陳謝並びに再発防止及び補償といわゆる責任者の処罰というものを求めたところです。

小池国務大臣 先ほどの委員の御質問、そして今回の事件に対しての思い、一言一句、私、そのとおりである、このように思うところでございます。

 事実関係については、ただいま外務大臣からのお答えのとおり、調査中ということでございますが、何よりも我が国の領海内で我が国の漁船が銃撃、拿捕されたということ、これについては到底容認できるものではございません。そしてまた、お亡くなりになった方、そして現在拿捕されている方々の御家族のことを思いますと、大変心苦しむ、心痛むところでございます。

 本件につきまして、まことに遺憾でありまして、拿捕された方々、そして船体の一日も早い解放を願うと同時に、せんだって私もロシアの代理大使とお目にかかった際にも、一日も早く拿捕されている方々を返してほしいということを直接申し上げたところでございます。

石崎委員 私のところにも、あるいは同僚議員のところにも、事件発生を受けまして、北海道、根室市、あるいは北方四島周辺水域を主な漁場とする根室管内の各漁業組合の関係者からさまざまな要望をいただいております。事実関係の解明、船長、乗組員及び船体の早期解放、また、万全な再発防止策、安全操業確保の展開等々、再三にわたっていろいろな要望をいただいておりますが、事実関係が、ロシア側の一方的な発表しか我々はよくわからない。その正確な情報の取得ということについて、外務省はどういう対応をされておりますでしょうか。大臣にお伺いします。

塩崎副大臣 基本的な外務省としての認識については先ほど大臣から申し上げたとおりでありますけれども、ロシア側は東京においても、それから、私、十七日に麻生大臣の命を受けてモスクワに参りましたが、国境警備局あるいは外務省の説明は、ロシア側としては、ロシアの国境を不法に越境したんだ、それから、違法な漁獲を行っていたということを指摘しているわけでありますけれども、先ほど大臣から申し上げたとおり、我が国固有の領土である北方四島の十二海里の中で起きたことであって、我々としては到底容認できないということであります。

 これは、事実関係を正確に把握するためには、やはり乗組員三名を返してもらい、そしてまた船体をそのまま返してもらうということで、直接乗組員から話を聞く、それから、船体に残った情報を得るということでなければならないということで、先ほど来大臣からお話を申し上げているとおり、乗組員、そして船体の即時解放を外交経路を使って、東京でも、それからユジノサハリンスクでもモスクワでもそれぞれやってきているというところでございます。

石崎委員 今お話がありましたように、まず三名の乗組員の即時解放ということが非常に最優先の課題だと私も認識しております。

 けさほどの報道では、船長が来月七日に提訴をされるというような報道がございました。政府としては、早期の解放ということにどういうふうに取り組んでおられるのか。また、裁判というものが、過去、北方領土水域で拿捕、拘束された方々の裁判の対応というのが非常に長期化するケースが結構ありましたけれども、今回の場合、人道上、人権上の問題等々、その見通しというのがどうなのか、あるいは向こうで公正な裁判、司法の判断というのが受けられるのかどうか非常に心配でありますし、そのことに対して日本として司法的支援ということがどこまでできるものなのかどうか。解放の見通し、それから今後の拘束された乗組員に対する司法の対応への日本側の関与、サポートというのができるのかどうか、その辺、見解をお聞きします。

麻生国務大臣 拘束されております乗組員三名、船長以下二名の即時解放並びに船体の返還等々につきましては、先ほど塩崎副大臣の方から話があっておりましたように、東京、ユジノサハリンスク並びにモスコーにおいて、累次にわたって外交経路で私どもの方からロシア関係者に申し入れをいたしております。

 また、あした金田副大臣が訪ロすることになっておると思いますが、現時点まででいわゆる解放の時期や場所等についてロシア側から正式な通報を受けているわけではありません。したがって、乗組員等々についての解放時期について予断をするということはちょっと差し控えたいと思っております。

 今、九月五日までというお話もありましたが、昨二十八日、ロシアのサハリン州検察当局より、坂下船長に対する刑事事件は九月七日までに裁判所に送られる計画である旨発表があったということは承知しておりますけれども、それがそのとおりになるという保証は、ほとんど、これまでの経過からいってもかなり疑わしいところがありますので、それをそのまま受け取って、私どもとして安易にそれを大丈夫であろう、だめであろうとかいうような予測をするということは、この際差し控えておいた方がよろしいであろう。事実、結果を見た上でないとなかなか判断がしにくいものだ、私どもは基本的にそう思っておりますので、確たることについて今の段階で申し上げる段階にはありません。

 きのうもラブロフと、ラブロフというのは外務大臣ですけれども、電話できのう夜やっておりますけれども、改めて即時解放というのを申し入れをいたしております。

 また、ロシア側としても、ロシアの外務省としてはできるだけ早く迅速に対応しなくちゃならぬということも、向こうも努力する旨言っておりますが、これは外務省の所管からいわゆる法務省とか検察の所管に移っているということになろうと思いますので、そういった意味では、努力するというのが、直ちにそれが反応が出てくるという保証があるわけではないということもあらかじめ頭に入れておく必要があろうと存じます。

 ただ、船長と二人の乗組員の間では今回の事件への関与に差があるということを考えている旨の回答がラブロフ外務大臣本人よりあったことだけは申し添えておきたいと存じます。

 いずれにいたしましても、日本といたしましては、一刻も早い解放というものをロシア側に強く引き続き求めていきたいと思っております。

石崎委員 私も北海道におりまして、この関係者、御家族のお気持ち、これは大変なものがあろうかと思いますが、北海道に住んでいる人間、北海道民の率直な印象としては、日本政府は何をやっているのか、まだまだやるべきことがあるじゃないか、そういう印象が非常に強いということを申し伝えさせていただきたいと思いますが、塩崎副大臣も行かれ、そして武部幹事長も訪ロされ、いろいろ折衝しているということは重々理解をしております。

 きょうは宮腰農水副大臣にも御出席をいただいて、二十四日からロシアを訪問されて、けさ帰国されたばかりというふうにお伺いしております。大変お疲れのところでありますが、この事件に関連して、ロシアで感触、成果というものはありましたでしょうか。御報告いただきたいと思います。

宮腰副大臣 私は、武部自由民主党幹事長とともに八月二十四日からロシアを訪問いたしまして、ゴルデーエフ農業大臣、デニソフ第一外務次官、スルコフ大統領府副長官及びシムーヒン国境警備局副長官と会談を行ってまいりました。

 今月十六日に起こりました第三十一吉進丸の拿捕事件につきまして、日本側から我が国の立場を申し入れるとともに、日ロ漁業協力の重要性を指摘しつつ、日ロ関係を損なわない観点からも、拘束されている三名の乗組員及び船体の解放と、今回のような事件の再発防止のため、銃撃、拿捕を繰り返さないよう強く申し入れてきたところであります。

 これに対しまして、ロシア側からは、事件の責任は船長の指揮にあるとしつつも、亡くなった乗組員及び家族への哀悼の意の表明があり、日ロ漁業協力の重要性には同意が得られたところであります。特に、ロシア外務省からは、人道的観点からの拘束中の乗組員の早期解放に向けて努力する旨の回答がありました。

 また、操業遅延問題につきまして、日本側からは、近年、協定に基づく交渉と操業開始の遅延が生じておりまして、ことしの北方四島周辺水域操業枠組み交渉は早期に交渉を開始してほしい旨申し入れたところであります。これに対しまして、ロシア側からは、日本側の提案を検討する旨の回答がありました。

 今後とも、外務省など関係省庁と連携をいたしまして、乗組員の早期解放の実現を図るとともに、我が国漁船の安全操業の確保に努めていく必要があるものと考えておりまして、今回の私の訪ロはこれに向けた取り組みの一つとなったものと考えております。

石崎委員 今の質問にちょっと関連いたしますが、北方水域は日本固有の領土である、しかし、現実はロシアにおいて不法占拠状態にあるということが問題の根源に横たわっているわけであります。ですから、周辺の漁業関係者、漁民にとっては、みずからの固有の領土で操業するということの安全を確保するということが非常に大事な要素であると思います。ですから、このような事件が二度と起こってはならないし、漁業関係者が安心して操業できるという秩序、環境をつくらなければならない。これは政府あるいは地方自治体の非常に大きな責務であると私は考えておりますが、今回の事件を受けて、再発防止、そして安全な操業体制の確立ということについて、麻生大臣、宮腰副大臣、どのような見解をお持ちか、お伺いします。

塩崎副大臣 先生御指摘のように、再発防止並びに今後の安全操業の確保ということが極めて重要であるわけでありますが、この間私がモスクワに参りましたときも、抗議、それから遺体の早期返還等々を要望する一方で、やはり再発防止をするということについて申し入れをしたところでございます。

 特に、今お話ありましたように、領土問題が解決されていないという中にあって、今、漁業に関する枠組みが北方四島周辺水域操業枠組み協定等あるわけでありますけれども、これをお互いがきちっと守るということが大事であるわけで、そのもとで安全かつ安定的な操業が確保されるように我々もこれまで求めてきているわけであります。もちろん、銃撃、拿捕が繰り返されないようにということで自重をしてもらう、そして自制をしてもらうということは当然強く申し上げたわけでありますけれども、今申し上げた枠組みを守っていくということが大事だということをこちらから言いました。

 ロシアの方も、この四島周辺水域における日本漁船の操業を今の枠組みに基づいて安定的にかつ安全に維持するということに関しては、先方も同じ意向を持っているということを明確に言っておりまして、これは外務省も国境警備局も、両方ともが言っておったことでございます。

 一方で、日本の方でも、もちろん水産庁、それから海上保安庁から北海道の関係者に対して操業秩序の遵守については働きかけをしておって、今回の事件の後も直ちに北海道の関係者に対して改めて指導を行ったわけでありますけれども、やはり問題は、この領土問題が解決しない限りは北海道の皆様は安心して操業を行うことができないということなので、これについては努力を重ねていかなければいけないと思っております。

宮腰副大臣 貝殻島昆布協定並びに北方領土周辺水域における操業枠組み協定、この二つは、拿捕・銃撃事件が相次いだ中で、いろいろな方々が努力をしてようやくできている協定であります。領土問題未解決の中でこの二つの協定をしっかりと堅持していくということが、この海域における安全操業の何よりも担保になるものというふうに考えております。

 そこで、農林水産省では、従来より、北海道庁、関係漁業協同組合等に対しまして、根室海峡周辺水域について、許可された操業区域の遵守など、違法操業の防止や被拿捕防止の徹底について指導してきているところであります。

 今回の事件を受けまして、八月十六日、水産庁と海上保安庁との連名によりまして、北海道庁、北海道漁業協同組合連合会に対し、改めて文書により傘下漁業協同組合の各漁船に対する漁業関係規則の遵守と被拿捕防止の徹底を要請したところであります。

 また、当該海域に水産庁取り締まり船を派遣いたしまして、海上保安庁及び北海道と連携しつつ指導取り締まりを行っているところであります。

 また、北海道庁、海上保安庁と連携しつつ、指導会議等を通じ関係漁業者に対するさらなる指導の徹底を行うとともに、違法操業を防止するため、少なくともハナサキガニ漁期中、これは九月二十日まででありますけれども、この漁期中につきましては、根室海峡周辺水域に常時取り締まり船を派遣し、重点的指導取り締まりを実施することとしておりまして、今後の安全操業の確保をしっかりと図ってまいりたいと考えております。

石崎委員 私も、以前から、この北方領土問題に関連して、旧ソ連あるいはロシアを訪問し意見交換をしたことがあります。昨年十二月も、当委員会の派遣ということで、川内委員長を団長にモスクワに行ってまいりました。そのときの印象は、ロシア国内の経済の回復等々が影響しているのか、けんもほろろといいますか、この問題というのは第二次世界大戦の結果として当たり前のことであるというような、ロシア側の政府関係者、議会関係者の主張でございました。

 そういった意味で、今回の事件を踏まえて、地元からは、ビザなし交流を中止せよ、あるいは、北方四島への人道支援をなぜやるのか、なぜそういうことを続けるのか、成果が上がっていないじゃないか、そういうことをやりながらも銃撃を受ける、こういう事態を甘受できない、そういう率直な、切実な声が出ているわけであります。

 しかし、政府当局としてはその措置は続けるという方針でありますが、そういう地元の方々の切実な思い、声、あるいは日本の納税者に対して、そういう政府の方針をどのように説明するのか、どのように納得させるのか、明確なお答えを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘のあったように、四島交流及び四島住民支援については、地元の一部に中止を求める声があるということは承知をいたしております。それに伴います心理的な背景、心情等々についても理解をしているつもりです。

 ただ、これは北方領土問題というものを解決するのが目的ですから、北方領土問題を解決するための一つの道具として私どもはこれをこれまで実施してきたので、これを仮に一たん中止いたしますと、いつ再開できるかは全く見通しが立ちません。そういった意味で、平和条約交渉というものを最終的に締結する、これは昨年の小泉・プーチン会談でも改めて再確認をされておるところでもありますので、そういった環境整備をやっていく上での重要な一手段だ、私どもは基本的にそう思っております。

 したがって、地元関係、いろいろな心情、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、今申し上げましたように、一昨日でしたか、根室の市長、藤原さんもお見えになっていろいろお話を伺っていたんですけれども、このことに関しましては御理解もぜひいただきたいということをお願い申し上げ、引き続きこういった事業を継続していくことで少なからぬ何らかの一つのつなぎがそこにできていくということだと考えております。

小池国務大臣 北海道の地元における声ということについては承知をしているわけでございますが、今外務大臣からお話ございましたように、この四島の交流事業というものは、日本国民と四島在住のロシア人との相互理解の増進ということで問題解決に寄与するということが目的でございます。

 また、今一たん中止してしまいますと、それをさらに再開するということは、これはもうかなり厳しい話でございます。むしろ現時点で中止することは適切でない、このような考えのもとに、継続してまいりたいと考えております。

石崎委員 まだ質問を準備しておりましたけれども、時間がなくなりました。

 いずれにしても、日本の姿勢は、領土、領海あるいは海洋権益ということについて日本を取り巻く国々の対応と日本の対応の強さという意味ではギャップがあるのではないかということを私は常日ごろから感じております。今回の事件、三人の乗組員が早期に解放されるということを切に希望いたしますし、それに向けての日本政府のさらなる対応を心から要望いたします。

 終わります。

川内委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 民主党の仲野博子でございます。

 本日は、北方領土問題に関して質問させていただきたいと思います。

 先ほど来から質疑があります、八月十六日、北海道根室半島沖の北方四島水域におきまして、根室湾中部漁業協同組合所属のカニかご漁船第三十一吉進丸がロシア国境警備局の警備艇により銃撃、拿捕され、そのうちお一人の方がその銃撃を受けてお亡くなりになりました。亡くなられた盛田光広さんに対しましては心より御冥福を申し上げたい、そのように思っているわけでございます。

 私は、たまたまその十六日の当日、根室市に午前中、市内の行事に参加をするため、おりました。九時半にこの事件の第一報を受けて、そして、御家族あるいは漁協の関係者の方たち、地元の市役所や海上保安部のお話を直接受けて、そして、その日の十六日の夜、上京いたしまして、十七日に外務省、ロシア大使館そして海上保安庁を訪れ、亡くなられた御遺体の即時引き渡しと、そして乗組員三人の一日も早い早期解放を求めることを強く申し入れさせていただきました。

 そして、二十三日、今度は民主党といたしまして、鳩山幹事長とともに麻生外務大臣のところにお邪魔をさせていただきまして、三点について、政府への要望を、民主党といたしまして要請をさせていただいたところでございます。

 まず一点目は、早急に事実関係の詳細を把握し、ロシア政府に対して、拘束されている乗組員全員の速やかな解放及び船体の返還、発生した損害の賠償等を実現すべきであること。二点目には、同水域における操業規制のあり方等について、事実関係の解明及び再発防止をロシア側に強く求めるべきであること。三点目は、現場水域は我が国が領土主権を有する北方領土であり、過去においてもロシアによる拿捕事件が発生しており、同様の事件の再発防止に向けた協議を開始するとともに、ロシア側に対し北方領土の早期返還を強く求めるべきであること。この三点について、麻生外務大臣に民主党といたしまして申し入れをさせていただきました。

 この三点について、改めて麻生大臣の御所見を求めたいと思います。

麻生国務大臣 二十三日になりましてから、民主党鳩山幹事長、今お話のありました仲野先生初め民主党の方から、合計四名の方々が代表されて、要請を受けております。

 政府といたしましては、そのときも申し上げましたが、重ねて申し上げるようで恐縮ですが、十六日の事件の発生直後から、ロシア側に対しましては、領土問題に関する日本の立場というのがありますので、日本の立場に基づいて、また事件の結果、日本人一名が死亡いたしておりますので、そういったゆゆしき事態が生じたことについて厳重に抗議をいたしております。

 その上で、ロシア側に陳謝また再発防止及び責任者の処罰などを求めていると同時に、亡くなられた乗組員の遺体の即時引き取りというのを実現、これは御存じのように実現しております、そして拘束されている他の三名の乗組員及び船体の即時解放というのを求めてきているところです。

 また、昨日二十八日、私の方からラブロフ外務大臣、休暇でおりませんでしたので、きのう帰ってきておりますので、ラブロフ外務大臣と電話を行い、改めて日本の立場を申し込んでおります。

 同時に、一刻も早い乗組員三名の解放と、並びに船体の解放の実現が今の日ロ関係において極めて重要であること、また、このような痛ましい事件が繰り返されないようにするというのが大事なところであって、この問題の背景にありますのは、領土問題というものについて、日ロ双方にとって、セントペテルスブルグの話もあるように、受け入れ可能な解決策というものを見出すべく取り組んでいくことが必要。

 そして、今の現状においても、九八年の北方四島周辺水域操業枠組み協定というのがあるのですが、この取り決めでありますとか、また、民間の取り決めであります八一年にできました貝殻島昆布協定という既存の、既にあります漁業協力というものの枠組みを引き続き堅持するというのが大事でして、これらのもとで安全かつ安定的な操業が円滑に行われるようにすることが重要で、引き続き日ロ間でよく話し合っていきたいということを申し入れたところでもあります。

 また、今申し上げましたように、民主党側からも要請を受けた事項につきましては、既にロシア政府に対して日本政府として累次申し入れてきておるところでもありまして、引き続きロシア側の誠意ある対応を求めてまいりたいと存じます。

仲野委員 今回、私も大変、地元出身者の一人として、この事件に対して、ロシア政府に対して、憤りでいっぱいであります。そして、その御遺体が海保の「さろま」と一緒に帰って、そして多くの市民が見守る中、根室の港に御遺体が帰ってきたとき、多くの方たちがとめどもなく涙を出されました。そして、お通夜が二十一日にとり行われまして、私は、ああいったお通夜は本当に初めて見たような気がしてなりませんでした。それは、亡くなられた盛田光広さんのお母様が号泣されていまして、斎場いっぱいその声が、本当に多くの参列者の方たちの涙を新たにいたしたわけでございます。

 こういった本当に許せない行為、そして、無抵抗の方に対して銃を突きつけて、亡くなられたこの事件に対して、一体、日本政府もそれは怒っているかと思いますけれども、私はずっとこの間、十六日に上京し、十七日にまた地元に戻ったときに、もうとにかくあの期間ずっと、地元の方に私もおりまして、多くの方たちからは、地元と東京の温度差が余りにもあるのではないのか、政府の対応が少し冷たいのではないのかという声もいただきました。

 そういったことで、塩崎外務副大臣、訪ロされておりました。そういった意味で、外交は本国でされるということでありまして、そして山中政務官も根室に入られて、その御遺体の引き渡しあるいはまた三人の早期解放を求めて国後島へ渡られました。しかし、地元といたしましては、政務官が行ったのであるならば、やはり政府代表として行っているのであるならば、その三人の方たちについても、いつ解放されるのかぐらいは、やはりそういった情報を、そういったことを報告いただきたかったというお話が私のところに多く寄せられました。

 そのことについて、塩崎外務副大臣の方から一言御見解を求めたいと思います。

塩崎副大臣 私、モスクワに参りましたのは、こちらを十七日に立って、十八日に入ったわけでありますが、まず抗議をし、そして御遺体の即時返還、そして三人の乗組員の早期解放と船体の解放、そして山中政務官が国後島にちょうど私が行ったころ着いておりましたので、当初は上陸すらも定かではなかった、そういう中で、我々としては、邦人保護というのが外務省としての最大の使命でありますから、山中政務官が上陸して、三人にも会い、そして三人を返してほしいということを強く国境警備局と外務省に要求したところでございます。

 先方は、人道的な配慮については最大限行うということで、こちらで麻生大臣の努力もあって、山中政務官も上陸がかない、そして遺体も戻してもらうことになり、三人の船員にも会うことができたというところまではいったわけでありますが、今おっしゃったように、いつまでに戻れるかということについて、我々としても即時と言ったわけでありますが、刑事手続に入っているので定かな日はまだわからないというのが答えでありましたが、我々としてはできる限り早く返してもらわなければ困るということを強く言ったところでございます。

 先方の刑事手続につきましては、先ほど大臣からお話があった日程で進んでいるというのがやっとここに来てわかったというのが現実でございます。

仲野委員 本当に今回の事件は、領土問題が解決されていれば起こることのなかった、そして盛田光広さんがお亡くなりになることのなかった事件であった、そのように思います。かかる事件が二度と起こることのないように、一刻も早く領土問題を解決していただきたい。

 そこで、原点に立ち返って、この問題についていま一度考えてみたいと思います。

 この日ロ両国間の領土問題に関する最初の国際約束は、一九五六年の日ソ共同宣言であります。ちょうどことしがその五十年という節目の年であります。この宣言の第九項に、日ソ「両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。」と規定されております。そして、いわゆる松本・グロムイコ往復書簡に、「日本国政府は、領土問題を含む平和条約締結に関する交渉は、両国間の正常な外交関係の再開後に継続せられるもの」でありますと記されていることをもって、我が国政府は、二島のみの返還で領土問題が解決するものではないと主張してまいりました。

 そこで、この同書簡が日ソ共同宣言と不可分の、一体をなす文書なのかどうなのか、麻生外務大臣、お聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘のありました話につきましては、今二つの書簡の話が出ておりましたけれども、一九五六年九月二十九日に、日本政府は、領土問題を含む平和条約締結に関する交渉は両国間の正常な外交関係の再開後に継続されるものと了解するものでありますとして、日本政府全権委員として、松本俊一とグロムイコの間で確約がされておるのは事実であります。また、その後に言われました、同じく、ソビエト政府は、日本国政府の見解を了承して、両国間の正常な外交関係が再開された後、領土問題ということに関して同意することを言明する、これも同じく当時のソ連邦のグロムイコ第一外務次官との間でこのような書簡が交わされているのは事実でありまして、私どもはそういった前提に基づいて、両国間においてきちんとした、双方納得ができる形での問題の解決というのが第一ということになって、今日までずっと協議が継続をされているというのが現状であります。

仲野委員 この間の、小泉総理大臣になってからの五年半の間に、平成十六年には、たしか九月だったと思いますが、小泉総理大臣も地元根室市の方にお越しいただきまして、洋上から領土視察をされているわけであります。しかし、残念なことに、この五年半の間に、総理としてこの北方領土問題をどう解決していこうかというその気持ちが、地元あるいは多くの関係者の方たちに伝わってこなかった。

 なぜ私が今大臣にこのことについて質問させていただいたのかといいますと、日ソ共同宣言に基づいて、歴代の総理大臣、橋本総理あるいは小渕総理が本当に何とか北方領土問題を解決しようとさまざまな外交、会談をされてまいりました。しかし、残念なことに、小泉総理大臣が行ってきたことは、日ロ行動計画を両国でやられてきました、しかし、それとて何一つその行動計画の中でも具体的なものがありませんでした。

 その中で今度は、麻生外務大臣が新聞のインタビューで、たしか今月二十五日の新聞だったかと思いますが、日ロ両方とも絶対に譲れないところがあるから、双方痛み分けのような形にならないと難しい、最後は政治決断だと答えております。その真意は一体何なのか。

 そして、地元としても、六十一年間解決しなかった北方領土問題を、今度の銃撃事件を契機に、これまでと同様の交渉ではらちが明かない、何とか少しでも前進させるような交渉をしてほしいという声がどんどんどんどん強くなってきているのも事実であります。

 外務大臣というのではなく、自民党総裁候補としての麻生議員の発言と相通ずるものがあるのではないのかと思いますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 小泉・プーチン会談が何回行われたか御存じでしょうか、十二回です。今までの総理大臣の中で、これだけソ連の、総理というか、プーチンという首相と直接交渉した日本の総理大臣はいません。そのときの議事録もきちんと読まれた上での御質問だと思いますが、そこのところの、私が立ち会ったのは昨年の十一月だけなんですけれども、その十一月のときでもかなりの時間はこの四島問題にかけておられるという事実というものは、ぜひ御本人のためにもきちんと申し上げておかぬと外務大臣としての仕事にならぬと思いますので、十二回にわたるプーチン・小泉会談の間のこの北方四島に関係する仕事の内容、交渉の内容については、ぜひ御認識をしておいていただければと存じます。

 また、三島、四島、二島、今いろいろ話が出ておりますが、今私が申し上げておりますのは、第三の解決策を探るべきだということを申し上げましたのは、日ロ間では従来から、平和条約締結問題について日ロ双方が受け入れられるという解決策を見出すための努力を行うということで一致しているわけですから、そういった意味では、今申し上げた昨年十一月のプーチン大統領の訪日の際の首脳会談、またことし七月に行われたセントペテルスブルグの小泉・プーチン会談においても、両方の首脳間でこの点については確認をされておりますので、御指摘の発言の趣旨もその方針を踏まえたものというように御理解いただければと思っております。

 いずれにいたしましても、この帰属の問題というものを解決しない限りは平和条約を締結することはなかなかできませんので、日本の政府の方針は引き続き堅持して、これまでの諸合意、諸文書というのが幾つかございますので、そういったものに基づいて粘り強く今後とも交渉を続けていく、外交交渉は基本はそれだと思っております。

仲野委員 大臣から今、十二回、総理とプーチン大統領が会談をされて、私にその会談の内容をわかって質問しているのかどうなのかというようなお話でありましたけれども、回数を重ねればいいというものでもなく、やはり回数よりも中身をどう濃くしてやっていくかということが私は非常に大事ではないのかなと思っております。

 外交筋によると、二〇〇〇年前後まで外務省はモスクワの国境警備庁と北方領土を管轄する極東の同庁支部の幹部らと頻繁に接触を図り、日本にもお招きをして、日本の領土問題の立場を理解してもらう努力を続けておりました。その中で、こういった、進展どころか、五十年間死者を出さずに来た日ロ関係をむしろ悪化させてきたのではないのかな、そのように私は思っているわけでございます。そういった外交のツケがこうして悲劇を招くようなことになってきている。

 本来でありますと、九八年に締結された北方四島海域の安全操業に関する協定はロシアの管轄権に服さず日本漁船が操業できる枠組みでありますけれども、枠組み維持には、日本漁船が違反操業をしない原則に加えて、現場のロシア国境警備艇の理解が必要であります。しかし、そのことが小泉総理大臣になってからなかなかうまくいっていない、やっていない。そういったことで、マニュアルどおりに銃撃を、発砲してしまったということになったわけであります。

 そういったことも加えて、いま一度大臣の見解を求めたいと思います。

麻生国務大臣 どういう話でそういうような形になって、思い込んでおられるのか存じませんが、少なくとも、ロシアの国境警備局と海上保安庁の間で、小泉内閣ができました二〇〇〇年以来、覚書に基づいて双方の間で合同テロ訓練等々が行われておりますということは御存じのことだと存じます。

 したがいまして、その二つの間で没交渉かのごとく聞こえるようなお話ですけれども、少なくとも、ロシアのいわゆるユジノサハリンスクの総領事館とサハリン沿岸国境警備局、また在ウラジオストクの日本総領事館と沿海地方国境警備局、これはいわゆるサハリンの国境警備局の上部組織ですけれども、これと在モスクワ大使館また国境警備局本部との間の協力関係というのはこの数年間かなり構築されて、実際に合同対策訓練というのが行われておるというのもこの間の努力の結果だと思っておりますので、全然没交渉かのごとき御指摘は当たらないと存じます。

仲野委員 麻生大臣もやはり小泉総理大臣のもとで本当は大変せつないのかな、こう思っておりますけれども。

 麻生大臣も、先日、民主党の鳩山幹事長と一緒に要請をいたしたところ、非常に真剣に受けとめていただきました。今、一人の方が亡くなっているということの事の重大さは改めて認識をしているということも事実でありますけれども、根室市などの北方領土隣接地域では、一日も早くこの領土問題を解決していかなければ、こういった問題が発生してしまったということで、非常に地元といたしましても、政府のやっていることに対していら立ちと憤りを隠せない、持っている状況でございます。

 そういったことで、ことしの二月に根室市などの北方領土隣接自治体がまとめた再構築提言の中で、四島周辺の水産資源を管理し、その資源の増大を図るために、日ロ双方による水産資源の共同調査研究、共同開発を行うことを国に提案しております。このことについても、私、先般の通常国会のときにこのことを紹介させていただいたときに、塩崎外務副大臣からは大変評価をいただいたわけでございます。今回の事件で国後を訪れた山中政務官も、再発防止策の一つとして、水産資源共同管理の協議の用意があることをロシア側に伝えたということも、今月二十四日の理事懇で報告をいただきました。

 領土交渉を進めていく上で、これまでのビザなし交流等で積み重ねてきたロシアとの信頼関係は重要であります。その上でも、日ロが共同して水産資源の適正管理の体制を確立する意義は大きいと考えます。政府は、具体的にどのような共同管理策を念頭に協議を提案されたのか。

 そしてまた、領土問題が解決するまでの間、今後、二度とこのような事件を繰り返さないための措置として、中間ラインの近辺の安全操業の枠組みについて、安全対策の強化など何らかの方策が必要と思われますが、外務大臣と山下資源管理部長にお答えを求めたいと思います。外務大臣からお願いいたします。

塩崎副大臣 現行の漁業の操業の枠組みにつきましては、先ほども御答弁申し上げたとおり、北方四島周辺水域操業枠組み協定、これは政府間でありますが、もう一つは、民間取り決めであります貝殻島昆布協定、この二つが主な今回の水域に関係するものでありますけれども、これについては、私がモスクワに行ったときにも、国境警備局そしてまた外務省、この枠組みを守っていこうということで合意をいたしたところでございます。そして、これをお互いがきちっと守る、そして今回のような銃撃あるいは拿捕といった手荒なわざはしないということについても徹底するようにこちらから強く申し入れたところであります。

 今先生が御指摘の水産資源の適正な管理ということで、山中政務官からもお話があったということを御指摘いただきましたけれども、これは日韓の間の漁業の問題でも、この適正管理ということを共通のテーマとして枠組みをつくっていくということをもうやっているわけでありまして、今御指摘のとおり、この水域における水産資源をともに適正に管理していくということで、この枠組みを守っていく、そしてそれをお互いが履行していくということが大事だというふうに考えております。先生の御指摘の方向性につきましては、私としてもそのとおりだと思っておりますし、政府としてもそのように進めてまいるつもりでございます。

山下政府参考人 水産庁といたしましては、北海道庁、漁協等を通じまして、北海道海面漁業調整規則等、ルール遵守の指導を強化するとともに、海上保安庁、北海道庁と連携いたしまして、指導、取り締まりを充実させることによりまして、安全操業の確保に最大限の努力を払う所存でございます。

 また、北方四島周辺水域操業枠組み協定は、同水域における安全操業と水産資源の保存及び合理的利用等を実現するために重要な役割を果たしておりまして、今後とも、この協定の維持に努めていくことが大変重要であるというふうに考えているところでございます。

仲野委員 水産で生活をしている地域であるがゆえに、この領土問題が解決していかなければ、もう本当にこれから北方領土の返還運動さえできなくなってしまっているような危機的状況に今あります。そういったことをかんがみて、ぜひ、今の塩崎外務副大臣からいただいたお答えと、そしてまた山下資源管理部長と、しっかりとこの経済水域の点について、日ロ共同管理ということで前向きに検討、再考していただきたいな、そのように思うわけでございます。

 時間もなくなってきたのでありますけれども、北方領土隣接地域の振興についてお尋ねしてまいりたいと思うのです。

 私の住む根室市、隣の別海町、そして中標津町、標津町及び羅臼町の北海道根室支庁管内の一市四町が、かつては北方四島と行政的な権益も経済的な権益も一体的につながり、そして発展してきた地域であります。しかし、第二次大戦後は、北方領土が旧ソ連、現ロシアに事実上占有され続けていることにより、経済的に著しくその発展が阻害され続けております。その結果、産業、経済の停滞による地域人口の減少も余儀なくされております。また、四島を強制的に追われた旧島民とその後継者の多くがこの地に居住、生活しております。そのことから、この地域は北方領土返還要求運動の発祥の地であるとともに、現在も全国の返還運動の拠点的な地域となっているわけであります。

 政府においてもこれらの状況を認識していただき、ことし六月に、国土交通省北海道局を事務局として、内閣府、外務省、国交省の代表者と北海道庁の代表、そして地元一市四町の首長を構成員とする北方領土隣接地域振興協議会を立ち上げ、本年度においては五千万円の政府予算を組んで、地域の産業振興、地域整備のための調査や検討が行われております。そして、その結果を踏まえ、来年度以降に、この地域の活力の維持発展を図るため、安定振興対策を積極的に推進していくものと認識をしております。現段階においての調査検討の状況について明らかにしていただきたい。

 また、北方領土隣接地域、一市四町の自治体財政自体が大変逼迫をしている状況であります。同時に、北海道庁の財政状況もしかりであります。したがって、地域のソフト、ハード両面での安定振興対策を進めるに当たっては、そもそも北方領土が返還されていないことに起因をしている国策としての事業でありますから、とりわけハード面の事業については国直轄で行っていただきたいという地元の要望でもあります。

 政府の見解を、品川北海道局長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

品川政府参考人 今委員御指摘のとおり、近年、北方領土隣接地域におきましては、地域の人口の減少あるいは産業活動の停滞等が進んでいるというふうに認識をいたしております。

 これらの現状を踏まえまして、今委員から御紹介ございましたように、隣接地域の生活の安定あるいは産業の振興といったことを強力に推進するため、協議会を発足したところでございます。現在、今後の検討内容や進め方について議論を行っているところでございまして、今後、北方領土隣接地域の振興のための戦略的な地域整備の方向と、そのため必要となる事業についての検討を進めてまいりたいというふうに考えております。今年度内にまとめてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、その実施に当たりましては、一市四町を協議会の構成員といたしておりますが、地域に即した課題の検討を行いまして、地元からも喜ばれる、実効性のあるものとしていきたいというふうに考えてございます。

 また、財政につきましても御指摘がございましたが、現在、産業振興、交流推進のための補助金事業あるいは北方領土隣接地域の振興のための基金事業、さらには、法七条に規定いたします補助率のかさ上げ等の措置ができるようになってございます。国といたしましても、直轄の事業として、諸施設の整備について基幹的な事業を積極的に推進しておるところでございます。自治体事業につきましては、国について実施することはできませんけれども、今後とも、一市四町からの意見、要望を十分に踏まえて、地元から喜ばれるような社会基盤整備に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 よろしくお願いいたします。

仲野委員 五千万円という政府予算、言うまでもなく血税であります。計画をつくっていただいたならば、その計画が、絵にかいたもちではなくて、今局長からも大変前向きな御答弁をいただきまして、やはり実効あるものにしていただきたい、そのように思っているわけでございます。

 いずれにいたしましても、今回、こうして北方領土の周辺地域で一人の漁船員が亡くなったことで、この領土問題については、戦後六十年が経過をし、共同宣言から五十年を迎えているにもかかわらず、この領土返還が一体どうなっていくんだろうかという、不安というよりも不満が多く寄せられているわけでございます。

 先ほど麻生大臣からは、小泉総理とプーチン大統領の会談が十二回行われてきた、今までにない回数を重ねてきたと。しかしながら、結果が大事であります、結果責任が問われていると思います。いま一度大臣からお聞きをしたいと思います。

麻生国務大臣 六十一年間にわたってこの領土問題、国境問題というものが解決していないから、日本とソ連、日本とロシアの間に平和友好条約等々の条約が成立していないというのが現実であろうと存じます。

 したがって、これは、十二回会ったからその結論が出るか、一回も会わなくても結論が出るか、それは相手のある話ですから、こういった話は会えば会った分だけ成果が出るわけでもありませんし、会わなかったからといって全く出ないというものでもない。交渉というのはそういうものですから、しかも相手のある話なので。

 しかも、これは、六十一年間、歴代内閣、いずれも皆この問題で苦労されてこられたんだと存じます。そういう意味で、この種の話は粘り強く日本との間で領土問題の解決をやっていかないと、今回のような痛ましいことになる可能性というものが今後とも残っているというのは間違いない事実ですから、そこらのところが今後とも引き続き、まあ、もう六十年もたったからなんと思わないことです、きちんと今後ともやり続けるという粘り強さが大事だと存じます。

仲野委員 もちろんそうでございます。

 塩崎外務副大臣が訪ロされました、武部幹事長もこのたびのことで訪ロされました。麻生外務大臣、総裁候補予定者として、この機会にぜひ日本の政府外務大臣としてみずからロシアに渡っていく決意はないのかどうなのかを尋ねて、私は終わりたいと思います。

麻生国務大臣 この種の話は、交渉は、電話でやり、手紙でやり、何をやり、かにをやり、また次官を送り、副大臣を送り、政務官を送り、いろいろなことをやらせてきていただいているのは事実であろうと存じます。向こうの方も、その問題に関しては自分たちの方としても極めて痛ましいものだと思っているから、今回の通報は日本から通報したんじゃない、ロシア側の方から先に通報してきておりますから、それは向こう側の気持ちとしては、そういう問題で、起こる期待を向こうもしていなかった事件になったということに関しては、向こうも哀悼の言葉を述べたりしているのはその背景だと存じます。

 少なくとも、この問題に関して言わせていただければ、三名の一日も早い返還というものに今後とも努めていかねばならぬものと思っております。

仲野委員 電話でもお手紙でも交渉はできるのかなというふうに、一人の方が亡くなっていることに、電話だとかお手紙だとかそういったことで片づけられるのかな、みずからが出向いていって、その精神、気持ちを強くロシアの方に行かれて訴えるべきでないのかなということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

川内委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。質問させていただきます。

 ちょうど今、仲野博子委員の話もありましたので、ちょっとそれに関連しましても話をさせていただきたいと思います。

 外務大臣、先ほど、小泉さんとプーチンさんは十二回会ったということでおっしゃられたわけであります。その後、会った数ではないということもおっしゃってはいるんですが、一般常識的には、それだけ会っていながら何でこんな事件が起きるのかというのが普通の国民の感覚ではないかと思います。せっかく会っているのであれば、むしろ信頼感が醸成されていれば、少なくとも、日本の小泉とよく会っているんだから、日本の北方領土に関してはなるべく適切に対処しておけよというのが普通の感覚なんだと思いますが、大臣はどのようにお考えでございましょうか。

麻生国務大臣 仮に信頼関係が醸成をされていたとしても、荒れた北方四島の海の中においてゴムボートと接触するような状況になった場合に、あの船に向かって、昭和三十一年から今日まで約五十年の間に、いわゆる人が死んだということは今回が初めてですけれども、その間、銃撃事件というものは三十回ぐらい行われております。それが現実です。

 そういった問題がこれまでずっとあるわけですから、その中にあって、今回、ゴムボート等との関係で、荒れた海の中でゴムボートの威嚇のつもりが弾が当たるというようなことはまことに不幸かつ痛ましい話ではありますけれども、これが起き得る可能性というのは常に否定できないと思っております。領土問題は重なっておりますから、その問題においては、こっち側の領土、向こう側の領土で常にそういうことが起こり得ることだということはまずあらかじめ私どもはよく知った上で、その上で、そこに流れないようにする。船が思わぬところに、ずうっと流されて向こうに行くことは海の上ではよくある話、空の上でも同じことですけれども。そういったことを考えますときに、会えばとか信頼関係が醸成されていてもこういうことは常に起こり得ることなんだ、私どもは基本的にそう思っております。したがって、これが向こうに、わざと意図的にやったというような感じは私どもはしているわけではありません。

市村委員 確かにロシア側から通報があった、だから、ロシア側もこれに対して遺憾の意があったのかもしれません。しかしながら、大臣は、いや、信頼感があってもそういうことが起こり得るかもしれないと言うんですけれども、そもそも、いわば警備艇も、あれはなれた方ですから、これだけしけでやっていると、誤射というか、撃っていると、ひょっとしたら人に当たってしまう可能性はあるということは我々素人よりもよくわかっていらっしゃるはずの人たちだと私は思います。であれば、そもそも撃たないというのが私は重要かと。

 今、この数年来の拿捕・銃撃件数を見ますと、確かに小泉政権になって減っているんですね。だから、それはある意味での信頼感があったのかもしれないという左証になるかもしれません。ただ、今までなかったことが起きてしまった。しかも、我々の認識では、日本国内でこの事件が起きたという認識なわけですね。大臣もさっきおっしゃいました。要するに、日本国内で日本人が外国人に殺された、単純に言えばこういうことになるわけです。

 それに対して、先ほど石崎委員も、ちょっと政府の対応が生ぬるいんじゃないかという御発言がありましたが、我々としては、やはりもうちょっと、いや、もう少しではない、もっと激烈にこれに対しては抗議をすべきだ。もちろん、現場で御苦労されている皆さんのこともあるんですけれども、やはりもっと激烈に抗議されて、例えば山中さんが行かれたら、一緒に三人連れて帰るまでは帰らない、これぐらいの意思で行ってもらわないといけないと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 山中政務官が向こうに行かれて、少なくとも遺体の引き取りというものが即刻行われておるということは、今までのことからいきますと、なかなか過去にそんな簡単にいった例はなかったかな、私の記憶ですけれども、そのように思っておりますのが一点。

 それから、向こう側が三名を既に拘束しておりますから、それを向こうから奪還をするというので、女性で、三人連れ帰ってこい、向こうに取り囲まれている人に帰ってこい、それはなかなか無理だろうな。特にあの方の場合はそんな大きくもないし無理だろうなという感じは率直なところですけれども、少なくとも、今向こうに拿捕されて、向こうの法律で捕まっているという人に対して、こちらの都合だけで一方的にこっちに取り戻してくるというのは、それはなかなか難しいだろうなという点は御理解をいただいた上でのお話をしておられるんだと思いますが、気構えとして、少なくとも、女性で向こうに政務官として行き、洋上で一泊泊まり、その上で、翌日一番早く行ってやってきた例というのはそんなに余り例がないぐらいのことだったんじゃないでしょうかね。

 やる気構えとしては十分なものを示して遺体の引き取りができたんだ、私は基本的にそう思っております。

市村委員 何もすべてが政府の対応が悪いということではないんですが、私が申し上げているのは、まず、男女関係ないんです。それぐらいの気構えで行かないかぬということなんですね。だから、別に奪還しろと言っているわけじゃないんです。まさに大臣がおっしゃったような粘り強い交渉をして、私は帰らない、この三人を一緒に連れて帰るまで帰らない、これぐらいの気構えで行かないと私は政治家というものは成り立たないんじゃないかというふうに思っているという意味で言っているわけです。だから、それは男女関係ないんです。男だろうと女だろうと、行った以上は役割を持っているんですから、やるべきことはやらなくちゃいけない、そういう思いで言っているわけです。

 だから、そういったこと、そのぐらいの粘り強さ、努力があったのかなということなんですね。それぐらいのことがあったのかなということなんです。確かに、塩崎さんも行かれた、皆さん行かれた、それは了とするというか、それも一つの外交交渉としてあったと思います。しかし、日本国内の領土の中で一人の日本人が殺されたという現実に立てば、やはりもう少し怒ってしかるべきだ。そうしないと、私、かねがね日本はお人よし国家だなと思っていますが、お人よしは別に悪いとは思いません、悪いとは思いませんが、余りお人よしも度が過ぎると、なめられたり、本当に何でもいいんだ、あそこは何やっても許されるんだ、こういうことになるんです。

 こういうことももちろん外交交渉では非常にいろいろやっていらっしゃると思いますが、しかしながら、もっと激烈なことをやっておかないと、ああ、日本はこんなことを起こしたってこの程度で済むんだからいいんだよ、こういうメッセージを日本という国は、今回の問題だけじゃありません、今どの国に対しても発し続けている国家だと私は思っておりますので、外務大臣はそういった面では大変骨のある方だというふうに私はお見かけしているものですから、ぜひともきちっとこの問題に対しても日本の立場に立って、我が国領土の中で日本人をあなたは殺したのかと。

 逆に、今回、海上保安庁が、たまたま大しけのときにロシアの漁船がいて、それを威嚇射撃していたら当たっちゃったとなった場合、ロシア政府は今の日本がやっているようなそんな生易しい対応をしてくれるとは私は思いませんが、ぜひとも大臣におかれては、先ほどもありましたけれども、今後も引き続きこの問題に対して、ロシア政府に対して、即刻まず三人を返す、当たり前です、船も返す、当たり前です、そして、その上で、今先ほどから出ています北方領土の問題に関しても、きちっと平和条約の締結に向けてやはり強いリーダーシップを発揮していただきたい、このように思います。一言お願いします。

塩崎副大臣 先ほど来、三名の船員が戻ってくるまで沖にいるべきじゃないかというお話もございました。

 正直言って、山中政務官が根室を出て国後島に向かったのと私がモスクワに向かったのとほとんど同じような日でありまして、同じような時間なんですが、当初は、さっき申し上げたように、そもそも上陸もできるかどうかわからないというか、むしろ向こうはさせないかもわからないという前提で交渉を大臣を初めやっていた。そして、遺体も本当に戻してくれるかどうかわからなかったのはさっき大臣が答弁されたとおりでありまして、それがいろいろな形で話し合いをし、私も、まだ決まっていない段階で、遺体の即時返還、それから、三人に会わせろということも、まだ決まっていない段階で言っているわけでありまして、そして、それがやっと人道的な配慮ということで我々の要求を彼らものんで、それで遺体をまず返すということになった。そして、三人にも会えるということにもなった。

 それで、遺体を引き取って、まだ三人が戻れないというときに、遺体を抱えたまま、そのまま海などにいるわけにはいかないので、それで戻ってきたということでありますから、それは今鋭意三名を即刻また戻せということも言っているわけでありまして、とりあえず御遺体を地元に船で返還をするということが一番の大事なことだったろうということで、そこは戻ってきたことでありまして、三人が戻ってくるまであそこにいるという選択肢は多分私はなかったのではないのかなというふうに思いますし、その戻してもらう三人の問題については別途あらゆる手を尽くして今続けているところでございます。

市村委員 だから、何度も申し上げておりますが、今回の政府の対応を、日本人の一人としても、別にすべてを否定したりとか、けなしたりするつもりはありません。それは当然それなりの対応をとられたということを前提に私も話をしておりますが、やはりその意味で足りなかったんじゃないかということですね。

 上陸できるかどうかもわからない、行ったんだ、だけれども努力で上陸できたんだ、確かに今おっしゃることはわからぬでもないんですけれども、何か違うんじゃないかな、それは。そもそも、上陸できるかできないかというよりも、日本の国土ですから、上陸するのは当たり前だぐらいの気概で行ってほしいわけですね。それでできなかったらできなかったで、またそれはいろいろ問題はあるわけです、何言っているんだと。そういうところで、どうも何か、別に声高に何か強く上から物を言えという話じゃないんですよ、だけれども、余りにも弱腰過ぎないかというのが私の印象なんです。これは率直な印象なんです。

 だから、とにかく、当たり前だ、上げなさいといくべきなんですね。上げなかったら上げなかったで、そこでまた粘り強い交渉が始まるわけですね。それがこれまでの政治、日本というのはそれぐらいのことをやってきたんじゃないかな、歴史的にもちゃんと。昔の政治家は骨があって、やはりおれは絶対帰らないぞと。女性でもいいです、私は帰りませんと。どっちでもいいんですが、そういうことをやってきた日本の政治の流れがあったんじゃないかと思うんですが、いつからこうなったのかちょっとわかりません。これについてはまた改めて。

 いずれにしても、大臣はこれから引き続き努力される、塩崎副大臣も努力されるということだと思いますので、ぜひとも粘り強い交渉をお願いしたいと思います。

 引き続き、沖縄の方なんですが、ついこの間、二十二日、二十三日と視察に行ってまいりました。私も参加させていただきましたが、小泉政権、五年半ぐらいたつということだと思います。小池大臣になられてからも二年以上がたっておるんでしょうか。やはりこれから小泉政権の総括というのが始まると思います。五年間一体何だったのか。何が行われ、何ができなかったのか。何が失敗し、何がうまくいったのかということが行われると思いますが、きょうはぜひとも沖縄というものに的を絞り、かつIT産業というものに的を絞って少し議論を残りの時間させていただきたい、こう思っています。

 まず、小池大臣、大臣として、大臣になられたときに、沖縄に対してどのようなビジョンを持たれ、自分が大臣就任中にはそのビジョンに向かってどういうことをされたのか、どれだけの投資をして、どれだけの成果があったのかということにつきまして、まず、大枠で構いませんので、大臣の御所見を伺いたいと思います。

小池国務大臣 大変ありがたい質問をいただいた、このように思っているところでございます。

 沖縄でございますけれども、最近はオンリーワンという言葉がよく企業などの経営にも言われるわけでございますが、沖縄ならではの優位性であるとか地域の特性を生かしていくということがまず大前提かと思っております。

 沖縄は、御存じのように、大変大きな広がり、広大な海域を持ち、そこに多数の離島が存在しているわけでございます。本土からは遠い。それから、もう一つ大きな事実として、広大な米軍施設・区域を抱えているといったような特殊事情もあることも事実でございます。それらの項目といいましょうか、特性など、それから文化、人々の県民性であるとかそういったことを総合的に生かして、そして沖縄振興を進めていくということが一つの大きな流れ、方向性だと思っております。

 また、ことしが沖縄振興の特別措置法のちょうど真ん中、十年の折り返しの地点になるわけでございまして、そちらの方の方向性というのは自立型の経済の構築ということを掲げているわけでございます。ですから、最初に申し上げました大きな流れと、それから今特措法の方で定めております自立型ということ、これをあわせてまいりますといろいろな答えが出てくる。

 その一つの答えが、もともと盛んであります観光の産業にさらに磨きをかけていく。それから、この後御質問いただくと思いますけれども、遠隔地であるということは、最近のIT産業にとっては余り距離感は関係ない、情報通信産業を育てていくという意味では、人材などの確保ということも考えるとむしろプラスの面もある。それから、キリの箱に入ったマンゴーなどは、千疋屋、別に固有の名詞を挙げるわけではないですけれども、大変お高く、昔は寝込むとメロンをちょうだいしましたけれども、最近はマンゴーをいただく、そんなようなことで、進物用としても重宝されているのではないか。そういったことと、それらを支える人材の育成ですね、こういったことを総合的に進めていかなければならないと思っております。

 具体的には、ちゅら島のブランド化の推進、それからIT産業の第二ステージに向けました施策の推進などに取り組んでいきたい。これらは今投資を行っている最中でございますけれども、これらが最も有効に花開くように、これからも政策の計画立案なども進めさせていただいているところでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 この間、やはり大臣として政権の中にずっといられた上で沖縄を見てこられたという中で、今、いろいろとお話をお伺いしたんですが、どうでしょうか、今後のこともあるでしょう、まだ二年ぐらい、まだ五年ぐらいでは結果が出ないことも多々あるかもしれません。しかし、小池大臣としては、この二年間やってこられて、このところは自信を持って成果を上げたと言えるという部分をぜひともまた教えていただきたいと思います。

小池国務大臣 いろいろな成果につきましては、例えばアメリカにおきましても、経済の成果などは前政権が仕込んでその後で花開くとか、なかなかこの部分でこの二年間で花開くということ、そうそう即物的にいくような話ではございません。しかしながら、これまでの流れもこれあり、時代の流れもこれあり、御興味、御関心がおありのIT産業などは、この間に大きく花開いた一つの例ではないかと思っております。

 その意味では、この三年間で、沖縄振興開発事業費などで、IT関係で七十五億円計上いたしております。そして、その期間中にITの関連企業は約三十社が新規に立地をいたしまして、それによる新しい雇用、新規の雇用は約二千七百人という数字が出てきております。特に、この三年間でコールセンターに力を入れてきたわけでございますけれども、これによって約千八百人の新規雇用が創出されておりまして、現在、立地企業数三十七社、八千二百人の雇用者となっておりまして、これは日本有数の集積地となっているわけでございまして、まさにこの成果ではないかと自負しているところでございます。

市村委員 実は、今小池大臣がおっしゃっていただいた部分なんですけれども、私もこの間、視察にも行ってきました。また、沖縄の皆さんのいろいろなお声を聞く会も、これまで民主党の沖縄ビジョンの視察団にも参加して、毎年夏に行かせていただいているところでございますけれども、例えば、私、この間話を聞いていて、今沖縄で何かあるのというようなことも、いろいろ沖縄の地元の方にもお話をしていたら、いや、実はということで、ITということで今小池大臣がおっしゃっていただいたんですが、確かにかなり投資されたけれども、ほとんど成果が上がっていないという声を残念ながら沖縄の方でお聞きをしたんです。唯一、政府関係者はいつもコールセンターのことを、今も小池大臣もおっしゃったんですが、コールセンターのことをおっしゃいますけれども、これすらもなかなか成果としては怪しいところがあるという声も実は沖縄の地元の方にはあるということなんですね。

 これは沖縄だけの問題じゃなくて、この数年間、特に小泉政権になってから、IT関連産業に対してかなりの投資をしました。それが実はどれだけの成果が上がっているのかということは、またこれからも検証しなくちゃいけませんが、私の個人的な感想を申し上げますと、そもそも、こうしたIT関連産業に国が余り補助金とかをつけるのは好ましくないなというのは思っていたんです。すなわち、伸びる産業であれば民間で十分に、リスクマネーがそこに行く可能性が高いわけですね。民間のお金をしっかり生かしていくということが大切だろう。

 ただ、例えば今、光ファイバーの敷設とか、かなり進みました。こういうインフラは要るんです。インフラはある程度国とかが、いわゆる税金を使ってやるべきものではあるんですけれども、その他のコンテンツに関して余り政府が力を入れない方がいいのではないかなと。結局はIT利権みたいな形になるんじゃないかなと危惧をしておったんですが、どうやらそういう危惧が実際になっているような気がします。これは沖縄だけの問題じゃありません。

 特に沖縄に関しても、結局は、かなりのIT投資をしたけれども、確かに三十社ほど出ていかれたんですけれども、しかし、その本音のところを聞いたとしたときに、どういう反応かな、どういう思いかなということはまた全然違う次元のことかもしれない。だから、そういうことも真摯に考えていかなくちゃならないんじゃないかなというふうに私は思っています。

 それで、コールセンターなんですが、今後、例えばコールセンターがどう生かされているかということに関して、またどういう御計画をお持ちでしょうか。コールセンターだけじゃなくて、IT関連で、例えばついこの間の新聞にも、八月十八日の私の地元の神戸新聞にも、団塊世代の専門家を誘致するということで、「沖縄をIT拠点に」と、いまだにIT拠点にということで方向性を出されている。新・沖縄情報通信産業振興のための研究会というところがあるようで、そこがまとめたということなんですが、例えば監視カメラのバックアップセンターをつくろうとか、こういうことでありますが、今後の計画についても少し教えていただけませんでしょうか。

小池国務大臣 コールセンターの評価につきましては、むしろ、このコールセンターは今は各地で引っ張り合いをしているぐらいでございまして、沖縄の状況というのはそれよりも一段前に進んできているものだと思っております。そして、先ほど申し上げました数字のような雇用も現実に生んできているわけでございます。

 そういった中で、コールセンターといいましても、国内のみならず、最近は中国などアジアとの競争が激化している。ですから、国内でも引っ張り合いがあるけれども、もっと広い意味での競争が激しくなってきているということでございまして、先ほど申し上げました沖縄での展開の数字も、これは確実なものというか、今後どんどん、ますますふえていくように持っていかなくてはならないけれども、一方で競争も激しくなっているという現実がございます。

 そこで、コールセンターをさらに高度化していくという必要が出てくるわけでございまして、そういった中で、ビジネスプロセスのアウトソーシング、BPOと呼ばれているものでございますけれども、これらを受けることのできる高度な次世代型のコールセンターへの対応が必要、このように認識をしているわけでございます。そのためには、情報通信産業の核となります高度な人材の育成であるとか、それからソフトウエアの開発、コンテンツ政策など、高付加価値のあるIT産業の振興を図っていくことが何よりも重要であるかと思っております。

 それから、投資というのは、ある意味で、どこかの時点までやって、あとテークオフすれば、そしてその後、企業のさまざまな競争原理によって伸びていくということも必要でございますけれども、ある程度のテークオフの確実なところまでやらないと、せっかくいいところまで来たのに、それで急にやめちゃったりしますと、逆にこれまでの投資が無駄なことになってしまう、環境大臣はもったいないが好きなのですけれども、もったいない状況になってしまうということもございます。

 ですから、そういったことをよくよく見ながら、最も効率的に、なおかつ、それによって沖縄がまさに自立型の経済として構築できるように、さらにはそれを支えていく人材が育成できるようにと総合的に考えて、今後も進めていきたい、このように思っております。

市村委員 まさに今大臣がおっしゃったように、例えば自立型の経済とかオンリーワンを目指そう、それは一つのビジョンだと私は思いますが、結局、沖縄に、沖縄振興開発事業等ということで、この十年間に三兆一千六百七十二億ものお金が投じられている。そのうちIT関連が二百四十七億円ということであります、この十年間で。

 ですから、やはりこれだけのお金を投資して、一体、では沖縄がどこまでどう変わってきたのかということなんです。確かに、すぐ結果が出るものじゃないというのもよくわかるんですが、また、小池大臣がおっしゃるように結果が出るのはわかるんですが、さりとて、多少は、大体方向性が見えてきた、すぐには結果が出ないにしても、まさに大臣のお言葉をかりれば、テークオフポイントが見えてきたぞというところに、もうある程度来ていなきゃだめかなと思うのですが、どうも、話をいろいろお伺いしていても、テークオフポイントが見えてこないんですね。例えばフリートレードにしても何にしてもですけれども、何か中途半端になってはしないかなという思いがあるのです。だから、新しいアイデアでどんどん入れてきたけれども、中途半端になってはしないかな、本当に沖縄の自立する経済のためになっているのかなというところは、やはり検証を強くやらないといけないのではないかな、このように私は思います。

 それで、一つには、この間視察に行ってきたときの話で、やはり北部振興策というのが今回とまったと。ただ、それについては、麻生大臣の方は引き続きということであります。この北部振興策なんですが、麻生大臣にお聞きしたいのですが、これは基地問題とは関係があるんでしょうか、ないんでしょうか。その辺がちょっと私も、地元の方のお声を聞いていると、あるのかないのかはっきりしなかったのですが、これはあるんでしょうか、北部振興策と基地問題というのは。例えば普天間の辺野古沖への移転というのと関係あるのでしょうか。

麻生国務大臣 急な質問なのであれですが、何ですか、北部振興と……(市村委員「いわゆる普天間の移転の話とこれは関係、リンクするのかどうか」と呼ぶ)普天間の施設の話と関係があるかないか。それは、北部に辺野古というのがありますので、普天間の移転が辺野古に行われることによって、その周辺の地域にいろいろな形での北部振興が行われるということとは、地域がある程度重なっていますから、それは、これと基地と直接関係しているわけではありませんけれども、その地域が振興するという意味においては、ないとは言えない、そういうような答弁にしかなりませんね、それは。

市村委員 現地の方のお声の中には、いや、関係ないと。だから、北部振興策は北部振興策で、北部のための、いわゆる沖縄の北部をどうするかという問題でやってきたものであって、基地とは関係ないという意見もあれば、今の大臣がおっしゃるような、あるようなないような意見もあるということでありますが、この問題はやはりそこは切り離して考えるべきじゃないかというのが、私の個人的な考えであります。

 だから、先ほどから私申し上げたいのは、沖縄にお金を入れることは、それは別に反対じゃないんですが、やはり、どういうビジョンを持って、まさにオンリーワンを目指すならオンリーワンを目指すで、一体どういうオンリーワンを目指しているのか。そして、本当に自立、基地に頼らない、基地に対する経済依存度も、十年前に比べたら、今は五%切った、昔は一四・数パーセントだったとこの間資料で見たんですが、だから、かなり基地に対する経済依存度が低くなってきている今日であればこそ、ではどうやってこの沖縄を自立経済に持っていくのか、まさにオンリーワンならオンリーワンで、何をオンリーワンとするのかというところが、私はまだ沖縄に何回かしか行かせていただいていませんからわからないのかもしれませんけれども、感じられないんですね。これがコールセンターです、これがフリートレードゾーンですとかといろいろ拝見して、基地はこれで、今はこっちに移っていますとか、いろいろこういうことは拝見させていただいて、私なりにも個人的に意見をいろいろな地元の方にも聞くんです、私の友人もいますから。でも、やはり何がどうなっているのかというのがわからないんですね、これが。だから、先ほども申し上げましたが、非常に中途半端になっているのではないかということを私は危惧しています。

 ですから、これから、せっかく沖縄北方担当大臣でもいらっしゃるわけですから、ぜひともここできちっとしたビジョンを、ここにもちろん沖縄の地域振興策というか沖縄復興計画もあるわけでございますけれども、ぜひともこれをもっとバージョンアップして、まさにコールセンターのように次世代に見合うようにバージョンアップしていただいて、そして、今後の沖縄の発展に、独特の文化、伝統を持った琉球王国の、今現在は日本ということでありますが、やはり自立した経済のためにまさにやってほしいということを心からお願いしまして、最後に小池大臣に一言また御所見をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

小池国務大臣 中途半端だという御批判をいただいたわけでございますけれども、しかし、基本的に、自立型経済ということの構築というのは、まさに皆さんがいつもおっしゃっている地方分権そのものでございます。ですから、沖縄が自立していくような、そしてそれに対してのお手伝いをさせていただくということと、やはり基地という特殊な事情を抱えておられる部分につきまして国として最大限の努力をさせていただく、この両方かと思っております。

 私は、沖縄はすばらしいポテンシャルを持っているところでございますので、むしろ否定するよりはポジティブな考え方をこれからも進め、そして、例えば、観光に行きたいところはどこですか、そういうアンケートの一位から五位ぐらいまで全部沖縄なんですね。北海道の皆さんからしたら、何でうちじゃないんだと。北海道は六位ぐらいに入っているかもしれませんけれども、このようにもう上位はほとんど沖縄の島々が占めているという。デスティネーションを聞いたら大体そういう答えになるんですね。

 ですから、それらをもっと輝かせて、研ぎ澄まして、そしてオンリーワンの沖縄ということが実現できるようにお手伝いをさせていただきたい、このように思っております。

市村委員 ありがとうございました。

川内委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 きょうは、質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。

 まず、十六日、北方領土海域において銃撃、拿捕され死亡した盛田光広さんに哀悼の誠をささげ、御遺族に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。

 そこで、きょうは長勢内閣官房副長官もちょうどお見えいただいておりますので、まず、十六日の事件発生後、首相及び官房長官、そして官邸、内閣官房はどのような行動をとったのか。とりわけ、総理、官房長官がこの事件についてコメントを公式に行ったのはいつか。また、日本漁船の被拿捕に関する情報連絡室を立ち上げた後に、これを例えば官邸連絡室への模様がえあるいは官邸対策室への格上げを行ったのかどうか。以上三点についてお答えをいただけますでしょうか。

長勢内閣官房副長官 官邸の対応という御質問でございますが、八月十六日午前九時に海上保安庁から事案に関する第一報があった後、九時三十分に官邸危機管理センターに日本漁船の根室沖被拿捕事案に関する情報連絡室を設置いたしました。

 これらの状況は総理大臣及び官房長官に逐次御報告を申し上げておったところでありまして、総理及び官房長官からは、情報収集に努めるように、その事実関係を十分に確認して、それに基づく適切な対応をするようにという御指示があったところでございます。その指示に基づきまして、外務省、海上保安庁及び水産庁、この事態の把握に努めるとともに、外務省において、あらゆるレベルでロシア側に抗議あるいは申し入れというものを行ってきたところでございます。

 この事案については、それぞれ適切な対応がとられておると思っておりますので、いわゆる対策室の設置はいたさないでおります。

 これについて総理あるいは官房長官から何かコメントがあったのかという御質問でございますが、十六日夕方に、外務大臣から日本政府としての立場を明確に対外的にも発表いたしておりますので、特段の官邸としてのコメントを発表ということをする必要はないというふうに判断いたしておりましたので、その時点でのコメントの発表というものはなかったと思っております。

武正委員 その時点ではなかったんですが、その後、首相及び官房長官がコメントを公式に出されたのは、いつ、そしてどのようなコメントだったか、お答えいただけますか。

長勢内閣官房副長官 内閣総理大臣におきましては、八月二十四日に行われたぶら下がり会見において、亡くなられました盛田さんの御冥福をお祈りするとともに、残る三名につきまして早期解放を求めるという旨の発言をいたしております。

 また、官房長官においては、二十五日の官房長官会見において、これまでのロシア側に対する抗議、申し入れ等についての経緯、並びに、残る乗組員三名の一刻も早い解放の実現に向けた最大限の努力を継続する旨の発言を行っております。

武正委員 それぞれ、十六日から八日あるいは九日たって、首相そして官房長官、公式なコメントを出されていたということで、私は、今回の事件のやはり初動の危機管理体制に問題があったのではないのか、こういった趣旨で今回質疑をさせていただこうと思っております。

 そこで、先ほど十六日、実は十六日から首相及び官房長官はお休みに入っていたという報道がありますが、これは事実でしょうか。

長勢内閣官房副長官 ちょっと今正確には覚えておりませんが、十六日は、総理、官房長官、お休みでございました。

武正委員 そこで、報道では、長勢副長官が首相秘書官を通じて首相に報告をした、そして、それに対して首相が、私からもロシア側に申し入れをすると、これは日経の夕刊で報じられているんですけれども、このようなことが、お答えが総理からあったんでしょうか。

長勢内閣官房副長官 逐次、状況は総理、官房長官に御報告いたしておりますが、先ほど申しましたように、事実関係を十分に確認をして適切な対応をするようにという御指示はいただいておりますが、総理御自身から申し入れをするという御指示があったことは伺っておりません。

武正委員 そうすると、この報道は間違いということかもしれませんが、二十四日にも、これも報道で、人道的見地からも早く釈放するよう申し入れている、こういうような総理のコメント、ぶら下がりでありますので、ここら辺が一つ符合するのかなと。ただ、総理が、みずからロシア側に申し入れをするといったところは、言っていないというような今お答えというふうに理解をいたしました。

 さて、初期の段階で情報連絡室を立ち上げているんですけれども、ことしに入ってこの情報連絡室というものが官邸にできるようになりました。過去三回つくられておりますのは、梅雨前線の大雨に関する情報連絡室、英国における航空機爆破テロ計画容疑者逮捕に関する情報連絡室、首都圏における広域停電に関する情報連絡室、こういった形で情報連絡室がつくられているんですが、そのほか、御案内のミサイル発射、これはもう当初から官邸対策室ということで、情報連絡室と官邸、まずは官邸連絡室、この違いというものがあるわけなんですけれども、私は、なぜこれを少なくとも官邸連絡室にしなかったのか不思議でならないわけでありますが、官房副長官、お答えをいただけますでしょうか。なぜ情報連絡室で、官邸連絡室ではないのか。

長勢内閣官房副長官 その都度、状況に応じて適切な対応をするための方策として、対策室をつくったり情報室をつくったりということになっておるわけでありますが、今回に関しては、外務省あるいは保安庁等々において適切な対応ができる、またしていただいておるという状況でございましたので、対策室まで設ける必要はないというふうに判断をしたところでございます。

武正委員 対策室じゃなくて、連絡室には二つある、情報連絡室と官邸連絡室と。その上に官邸対策室がある。三段階なんですね。

 私もこれは聞いてみましたら、情報連絡室というのは、ある面、一、二省庁で十分対応する、今のお話で言うと外務省で対応できる、こういうような判断をされたと。三省庁以上にまたがる、省庁間のかなり連携をとらなきゃいけない、これが官邸連絡室である、こういうようなことを内閣官房から説明を受けたわけでありまして、私は、やはりこの初期の段階、ちょうどこのときは長勢副長官、二橋副長官が、先ほど言われたように首相と官房長官が休みだったものですから、官邸で対応に当たったわけですが、この情報連絡室を立ち上げよう、この判断はだれが行ったか。副長官がそれを行ったんでしょうか。お答えいただけますか、副長官の方から。

長勢内閣官房副長官 その時点では、危機管理監の方でそういう判断をされて、至急に、緊急にその措置を講じたということであります。

武正委員 これは、以前から官邸の危機管理体制が、危機管理監がさまざまなハンドリングをしていて、そこに総理や官房長官、官房副長官が絡んでいない。これはもう累次、当委員会やあるいは関連委員会でも指摘をしてきたわけでありまして、今のところからも、私は、やはり初動の段階で、官邸として、少なくとも官邸連絡室と、関係省庁を挙げてこれは取り組もうと。五十年ぶりにと言ったら大変語弊がありますが、死者を出した大変痛ましい事故である。当然、きょうは農水副大臣もお見えですが、関連省庁はたくさん絡むわけですので、私はここがやはり問題であったというふうに考えますが、速やかに、少なくとも官邸連絡室への衣がえが私は必要だと思いますが、これはいかがでしょうか。

長勢内閣官房副長官 おっしゃるような体制でしたということは報告をいただいて、その後の状況を見て適切に対応されておるということでありましたので、その形で、今結果としても適切に対応されていると思っております。

 先ほど、お役所の方からの説明の御紹介がございましたが、そういう形式的な問題もありますけれども、関係省庁を一堂に集めてやる必要があったかどうかというのは、その場合場合でありますので、今回については、外務省、保安庁等において、十分な連携のもとに連絡をとって、適切な対応をやってきたと思っております。

武正委員 私は、その連携がとれていないということをこの後指摘をさせていただきたいと思います。

 もう既に外務大臣から、この十六日、外務省そして外務大臣がガルージン臨時代理大使を呼びまして、抗議あるいは申し入れをした。内容については触れていただいておりますので、きのうの質問までは、なぜラブロフ外務大臣に電話で抗議しないんですかと、こういう質問をしようということで通告をしていたんですが、けさテレビを見ましたら、きのう電話をしたというニュースが流れていましたので、ここで先ほどの前半の二つはお聞きをしませんが、昨夜何時にラブロフ外務大臣に電話をされたのか、そしてどういう話をされたのか、外務大臣、この点についてお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 二十一時五十分ぐらいです。それが向こうが連絡をとれ合う時間でしたから。これは、ずっと休みでしたので、だからとれなかったというのが実態です。これまでおりませんから、塩崎外務副大臣がモスコーに行ったときにもラブロフはモスコーにいませんでしたのでというのが、先ほど塩崎さんおっしゃいませんでしたけれども、それが実態であります。

 金田副大臣を送ることにしておりますけれども、これには、きのうラブロフには、金田を送るからこれと会って話をしてもらいたいという話はラブロフにきのう申し込んでおります。

武正委員 昨夜の電話でどのようなことを申し入れたのか、抗議をされたのかを御開陳いただきたい。

麻生国務大臣 少々長くなりますけれども、日本としては、今の置かれている状態についてよく在日ロシア大使館から情報を得ていると思うが、今回の日ロの関係全般のために大きく影響が出る可能性がある、したがって、一刻も早く乗組員三名と船体の解放の実現というのがこの日ロ関係を悪化させるのをとめる最大の手段だ、即解放するということが重要ではないか。それが一点目です。

 二点目。このような痛ましい事件というのを繰り返さないためには、いわゆる未解決の領土問題というものがあるので、日ロ双方受け入れ可能な解決策を見出すべくということは、プーチン・小泉会談で、ことしの七月、去年の十一月、二回にわたって行われているので、この点について取り組んでいくことが必要。

 三点目。また、現状においては、先ほどから何回も話が出ています、九八年の北方四島周辺水域操業の枠組み協定というもの及び八一年の貝殻島の昆布の協定、これは民間協定ですが、この既存の漁業協力の枠組みというものを引き続き堅持する、これらのもとで、いわゆるその協定のもとで安全かつ安定的な操業を、円滑に操業し続けることが重要で、引き続き日ロ間でよく話し合っていきたいという話をしております。

 もちろん、この大前提としては、日本漁船に対する銃撃、拿捕というものに対して我々の立場を申し述べた、これは大前提ですよ。そこは飛ばしておりますので。

 これに対して、ラブロフの方から、改めて本件に関して遺憾の意とともに、亡くなられた乗組員及びその家族に対する哀悼の意を表明、向こう側が。その上で、以下のとおり言っております。

 乗組員及び船体の解放については、ロシア側としてもできるだけ迅速に解決すべく外務省として努力する。これは、今所管が外務省じゃなくなってきていますので、これは法務省とか検察庁ということになろうと思います、向こうの法律になっておりますので。したがって、ロシア側の手続が早期に終了し、日本に伝えることができることを期待している。船長と二人の乗組員の間では今回の事件への関与に差があると考えている。

 二番。領土問題と今回の事件を関連づけることは必ずしも適当ではない。これは向こうのロシアの、ロシアの領土は自分の主権だと言っておりますので、そういうことになっております。既存の漁業の枠組みに基づく日ロ協力というものは、両国の信頼関係の構築のため重要な要素であると考えているので、引き続き維持発展をさせていきたいということについては合意。

 再発防止に対して日本側の努力を求めるということでしたので、私の方から、領土問題に関しては我が方の立場があるというのは改めて指摘をした上で、日本漁船に対する銃撃、拿捕が繰り返されるということがないよう、ロシア側も最大限の自重と抑制をもって対応すること、及び、いずれにしても乗組員三名と船体の一刻も早い解放というものが両国間のために極めて重要という、大まか、大体そういうことです。

武正委員 ラブロフ外務大臣は、外務大臣の抗議に対して陳謝をされたんでしょうか。あるいは、ガルージン臨時代理大使を外務省に呼んだときも、ガルージン臨時代理大使は陳謝をしたんでしょうか。お答えをいただけますか。

麻生国務大臣 いずれも、死亡者が出たということに関して哀悼の意が表されたというのが正確な表現だと思います。

武正委員 陳謝はしていないということでございます。

 そこで、副大臣にちょっと質問を用意しておったのは、モスクワでだれに会って何を話したか、なぜ外務大臣と面会できなかったのか、そういうようなことでありましたが、今、麻生大臣からお答えがありました。

 ただ、お手元に資料、きょうは委員長、理事会のお許しを得てお配りしておりますように、副大臣がお会いになられたのはアレクセーエフ外務次官ということで、外務大臣でもなければ、デニソフ第一次官でもないということでありまして、私はやはり、外務大臣が万が一会えないのであれば、デニソフ第一次官であってしかるべきと。先ほど、たしか、農水副大臣が武部幹事長と会ってこられたのがデニソフ第一次官ということでありますが。

 そこで、外務大臣、もう一度お聞きしたいんですが、ロシアは外務大臣がお休みかもしれませんが、電話ぐらい通じますよね。なぜ、きのうの夜二十一時半に電話をされて、十六日、この事件が起きてすぐ抗議の電話をしなかったんですか。お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 私どもとしては、そのために大使がいるんだと思っております、基本的に。その大使がいなかったんですから。したがって、普通、この種の話は次官をもって大使を呼ぶというのが通常です、この種の話の場合。次官を呼んで、大使がいない、したがって大使の代理が来た、臨時代理が来たということです、日本でですよ。

 私どもとしては、その第一報を、向こうから今回は来ていますから。したがって、それを受けて、八時過ぎに向こうから第一報が入ってすぐ大使を呼んだんだと思いますが、その後、私の方から、外務大臣が臨時代理大使を呼ぶということでも、極めて、今までだったら通常じゃ考えられないことだと思いますが、呼んで抗議をしておると思っております。したがって、その意は十分に向こうに伝わった。二回も外務省本省に呼びつけられるなどということは過去に例がありませんから、そういった意味では、強い意は伝わったと思っております。

武正委員 二十三日、外務委員会理事懇談会も開きまして、野党理事からは外務委員会閉会中審査も求めておりますが、そのとき、外務委員長名でロシア外務大臣並びにロシア国会の外務委員長あての抗議文をガルージン臨時代理大使を呼んで手渡しました。

 ガルージン臨時代理大使、先ほども、民主党にも来ております、何度足を運んでいるでしょうか。しかしながら、依然、今の状況は、この三名の乗組員そして船体、これは戻ってきません。こういう状況、変化がない。情報は一方的にロシア側から寄せられている。それをうのみにするような発言が先ほど外務大臣からあったのは、極めて遺憾であります。

 そこで、農水副大臣、おいででございますが、貝殻島の昆布漁、資料二ページを見ていただきますと、ことしの出漁予定日六月一日に対して、六月二十九日までその出漁が延びた。この理由、「備考」にちょっと理由が書いてありますが、なぜ延びたんだろうか。外務委員会でも、国内視察で北海道に行ったときにも、道庁関係者からも漁業関係者からもこの話が出ました。なぜ、毎年出漁がすぐできるのに、ことしがこれだけ延びたのか。この理由について、農水省としてどのように把握をされてますでしょうか。

宮腰副大臣 本年の貝殻島昆布操業につきましては、我が国漁業者は例年どおり六月一日からの操業開始を希望しておりましたが、協議の妥結は六月の二十一日、実際の出漁は六月二十九日となり、二十八日もの操業遅延が発生をいたしました。

 遅延の理由といたしましては、ロシア政府内部の手続のおくれが原因であるというふうに考えております。今回モスクワに行きましたときにも、農業大臣並びに外務大臣等々から、二〇〇四年の新たな漁業法の制定とそれからこれまでの仕組みと調整が必要であるといった意見も行政の内部にあるということから、手続のおくれが発生をしたということだと聞いております。

 その間、ロシア側に対しましては、早期に協定を締結し操業が開始できるよう、外交ルートを通じた働きかけに加えまして、農林水産大臣及び外務大臣から直接書簡を発出するなど、さまざまな働きかけを行ったところであります。

 今後、早期に交渉を開始し操業が遅延することのないように、ロシア側に対し、外交ルートを通じ、さまざまな働きかけを行っていくこととしておりまして、今回の訪ロでも、私からも、ゴルデーエフ農業大臣及びデニソフ外務次官などに対し強く申し入れを行ったところでございます。

武正委員 実はやはり、今回の事件の何となく予兆というものが、私は、今回この昆布漁の締結がおくれたというところにも見え隠れするのではないかというふうに思っております。

 八月十一日には、北海道根室支庁産業振興部水産課長名で市内各漁協参事あてにも、ロシア千島国境警備隊から、七月下旬から八月上旬にかけて、調整規則ライン以東の海域において違法操業、これについて取り締まり強化、こういった文書も出されているということで、先ほど外交ルート、外交ルートというお話がありましたが、私は、やはり関係省庁がそれぞれロシア側のカウンターパートに対してもっともっと強い働きかけ、あるいはさまざまな情報共有というか情報交換、これはもっともっと進めていいんじゃないかなと。そういう意味では、今回の官邸で連絡室がつくられずに情報連絡室で外務省ひとりに頼るということ、ここにやはり問題があるというふうに感じざるを得ません。

 そこで、先ほど外務大臣からは、いやロシアから情報提供あったよというお話でしたけれども、午前三時四十五分の事件が、連絡があったのは午前八時ですよ。サハリン時間で午前十時ですよ。遅いと言わざるを得ないですよ、これは。そういったところも含めて、私は、断固たる抗議が初期の段階で政府を挙げて行われていない、このことを改めて指摘すると同時に、きょうは国土交通副大臣もお見えでございますので、海上保安庁さんが御遺体の引き取りにも行かれて大変御尽力をいただいております。

 海上保安庁が、先ほど外務大臣からもありましたように、ロシアの国境警備局と、お手元の資料にあるような、当時の荒井長官そしてトツキー大将との覚書が交わされて、この間、日ロの長官級会合そして合同訓練が行われているのは御案内のとおりであります。

 ただ、しかし、長官級会合は、二〇〇〇年の三回、その後、二〇〇一年ゼロ、二〇〇二年一回、二〇〇三年一回、二〇〇四年、二〇〇五年はゼロ、そしてことし一回。合同訓練は、二〇〇〇年ゼロ、二〇〇一年一回、二〇〇二年一回、二〇〇三年一回、その後ずっと一回ずつということでありますので、やはり途中二〇〇四、二〇〇五、この長官級会合が開かれなかったということで、必ずしも毎年同じように行われていたわけではありませんが、ただ、しかし、そうしたカウンターパートのパイプがあるわけですので、私は、海上保安庁がもっと情報収集、あるいはそれこそ船の調査、捜査、こういったものを積極的に行うことはできないのか、このように考えるわけですが、国土交通副大臣の御所見と、それについて外務大臣としてどのように考えられるのかをお伺いさせていただきます。

松村副大臣 お答えいたします。

 海上保安庁におきましては、既に関係者からの聞き取りと所要の調査を進めているところでありますが、いずれにいたしましても、第三十一吉進丸の乗組員及び船体の返還、帰還を待ちまして、事実関係の調査を行うと承知しております。

 ただいま御指摘の覚書でございますが、これは、先ほど配られました資料によりましても明記してありますとおり、薬物、銃器の不法取引の取り締まり、密航の防止、不審船の識別と拘束に際しての支援、汚染取り締まり、汚染防止といったことについての覚書でございます。

川内委員長 外務大臣はいいですか。

武正委員 いいです、ちょっと時間も参りましたので。

 要は、海保がもっともっと積極的にできるんだと。かつて、昭和二十九年六月二十九日、サケ・マス漁船三笠丸がソ連領海の新知島、ここで座礁したときに、領海内に入ってその調査、捜査を行っている、こういった事例もあります。

 今回、国後島に船が行き、そして乗組員が行っていますので、これは、ここに行っていろいろ捜査、調査するのが難しいとすれば、例えばサハリンに、それこそあそこには総領事館もあるわけですから、サハリンでいろいろできないか、そういう申し出だってできると思うんですね。

 いろいろな取り組みが私はまだまだできるというふうに思っておりますので、今回、先ほど言ったように、政府を挙げての取り組みとともに、先ほど仲野委員も指摘したように、私は、やはりこの五年半、現内閣が領土よりも経済、四島よりも二島というような誤ったメッセージを与え続けてきたことが、特にイルクーツク会談がその発端だというふうに思いますが、これが今回の銃撃事件の背景ではないかという指摘、これはやはり当たっているのではないかなということを指摘させていただいて、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

川内委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 私も、八月十六日に貝殻島付近で起きましたカニかご漁船第三十一吉進丸が銃撃、拿捕された事件について、時間いっぱいを使って質問をさせていただきたいと思います。重なる質問もあるかもしれませんけれども、どうぞ御答弁のほど、よろしくお願い申し上げます。

 八月十六日にこの事件が起きましてから、公明党としましては、地元の根室市議あるいは道議会議員が現地入りをしまして、すぐ情報収集あるいは対応に当たってまいりました。私自身も八月二十一日に現地に入りまして、お通夜に参列をするとともに、根室市あるいは根室支庁、そして漁組の皆様、関係者の皆様からお話をお伺いいたしまして、今私たちが政治の場で何をするべきなのか、この点につきまして対応をとってきたところでございます。

 また、八月二十四日にはロシア大使館に参りまして、ガルージン臨時大使に申し入れを行うとともに、札幌の総領事にも申し入れを行ってまいりました。その内容としましては、坂下船長初め乗組員全員の早期帰国、また現状維持のままの船舶の返還、そして事実解明をした上、謝罪、損害賠償、そして再発防止に努めるとともに、根本であります領土問題の解決を急ぐべきであるというような申し入れをしてまいりました。

 こういったことに対しまして、ガルージン臨時大使と直接お話をさせていただいたわけでございますけれども、ロシア側の態度としましては、新聞等にも報道をされておりますけれども、ロシア側からは、哀悼の念を示すとともに、ロシア側の領海に侵入をし密漁をしたのである、ロシア側の領海に侵入をし密漁をした以上避けられない行動がこの威嚇射撃であったという趣旨の発言があり、盛田さんが亡くなったこと自体は非常に残念なことであるけれども、原因は日本側の密漁にあるといった発言がございました。

 こういったロシア側の態度に対しては、私どもは当然納得できるものは何一つございません。

 まず一つ目に、ロシア領海を侵犯したといった発言につきましては、北方四島がロシア領土であることを前提にした議論である以上、私どもとしては認められる発言ではございません。

 また、威嚇射撃に至る前にいろいろな手を尽くしたけれども威嚇射撃をするに至ったという説明も認めることができません。といいますのは、無線、信号弾等で警告をしたというふうにロシア側は言っておりますけれども、これはロシア側のみの情報でございます。実際にはこの第三十一吉進丸が無線を切っていたというような報道もけさはされておりましたし、あるいは、早朝の深い霧の中で信号弾を見ることができなかったという見方もございます。このロシア側の情報を丸のみにするわけにはいきません。

 また、威嚇射撃ということに関しては、我が国にとっては、丸腰の漁船に行われた過剰な実力行使であるといった判断がある以上、ロシア側の情報を丸のみにし、また謝罪もないままに事が進められていくということは決してあってはなりませんし、その上に立っても、日本側として、しっかりと主体的にまた積極的に事実解明をする必要があることは当然でございます。

 その点につきましてまず質問をさせていただきたいと思いますけれども、けさの報道にもございました、九月の七日までに船長は起訴をされて、残りの二人には週末にも処分が決まり、裁判に参加せず早期釈放の見通しであるというような報道もございました。船長も含めて早期に乗組員の帰国を求めるところでございますけれども、この見通しとともに、同時に、事実解明をするに当たって、GPSを搭載していたと思われる吉進丸の現状維持のままの船舶の返還というのを強く求めていく必要があるというふうに考えていますが、この交渉にはどのような態度で臨んでいらっしゃるのか、どういった交渉をされているのか、この点についてまずお伺いをさせていただきます。

麻生国務大臣 今お話がありましたように、これは一種の裁判ですから、向こう側の話を一方だけ聞いても、これは早い話が全然公平を欠きます。したがって、当たり前の話ですけれども、向こうの話については、それは、そっちが返還してもらった結果、我々がその三人の者に尋問した上で話を聞くのであって、そっちの話を一方的に聞いたって意味がないという話はきのういたしております。

 そういった意味で、即時解放につきましては、これはいろいろな形で、基本的には、サハリンスクじゃなくて、ロシアはいわゆるモスクワでこういった話になりますので、塩崎外務副大臣、金田副大臣、いずれもモスクワに行っていただくことになるんですが、いずれにいたしましても、今解放の時期やら何やら、張り出しがあったとか何があったとか、いろいろ情報は出てきますけれども、少なくともその裏の確認をとれているわけではありません。したがって、外務省として正式に向こうのしかるべきところから九月何日にどうのこうのというような通報を受けているわけではありませんので、予断を持って何か発言することは差し控えたいと存じます。

 また、少なくとも二人の船員と船長とで今回の事件への関与には差があるという点につきましては外務大臣も認める発言がありますので、いずれにいたしましても、私どもとしては、引き続き船長を含めて三人の早期解放というものを強く求め続けていきたいと思っております。

    〔委員長退席、高木(義)委員長代理着席〕

丸谷委員 船の現状維持のままの返還につきましても強く求めていらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今の点に関しましては、言い落としましたけれども、御指摘のとおり、申し込んでおります。

丸谷委員 これは、事実解明とともに、再発防止に努めていただきたいというのが地元の漁民の皆様の思いでございます。実際に、こういった不幸な事件、あってはならない事件をどのような形で、あるいはどのように政府が両国間の協議を経て再発防止に努めていくことができるのか、これは非常に短い時間の中で結論を出さなければいけない問題なんだと思います。

 私が考えますには、この再発防止を両国間で行うためには、今回のこういった丸腰の漁船に対する威嚇射撃自体が過剰な警備であるといったことに対するコンセンサスが大事なのではないかというふうに思います。一方にとっては、いや、それは国内法ですから全然過剰ではないんです、当然のルールにのっとって行いましたというだけの認識では、この威嚇射撃ということ自体に対する温度差があり過ぎて、再発防止をどのように実効性のあるものにできるのかどうかの不安が私は残ると思います。

 そこで海上保安庁にお伺いをしたいと思いますが、例えば、この微妙な水域におきまして、日本側がロシアの漁船が密漁しているところを見つけた場合に、これは我が国にも国内法のルールがありまして、威嚇射撃という選択肢はあると思いますが、今までこのロシア漁船に対して威嚇射撃というものを行った事実はあるのかどうか、この点をお伺いします。

冨賀見政府参考人 お答えします。

 海上保安庁におきましては、違法操業を行っている漁船に対して、現在まで銃器を使ったことは一度もございません。

 以上です。

丸谷委員 一度も使ったことがないということでございますけれども、聞いたところによりますと、日本側は銃を使うということに対して非常に慎重さを持って取り組んでいるということ。なぜならば、威嚇射撃であっても、銃を使ったことによって、その先に起こり得るであろういろいろな選択肢をやはり想定しているわけですね。もしかしたら過って人を傷つけてしまうかもしれない、そういったことを判断する際に非常に慎重に行っている。日本側の威嚇射撃という選択肢はあっても今まで一度も使っていないというこの認識と、いや、国内法なんだから、これは仕方ない、不幸な事件ですというここの認識にずれがあっては、再発防止というのは結論を出すことはなかなか難しいと思います。

 例えば、この認識のずれについて、では、国際ルールではどうなのかということをロシア側と話し合うことも大事なのではないかと思っております。

 九九年のサイガ号事件というのがございまして、セントビンセントを旗国としますサイガ号という船に対して、ギニアにより継続追跡がされました。拿捕をされたわけですけれども、この際に過度の実力行使が行われたかどうかということが国際海洋法裁判所で争われました。

 この判例によりますと、海洋法裁判所の方が出した結果では、可能な限り実力行使というのは避けられなければいけないし、海洋法においてヒューマニティーをまず最も重んじなければいけないという判例が出ております。また、船をとめなければいけないような状況であっても、人命に危険が及ばないように最大限の努力をし、あらゆる手段を尽くすべきであるといった判例も出ておりまして、こういった国際法の観点から、あるいは海洋法の判例から、ロシア側と銃を使うということに対しての認識のずれを埋めていくような交渉も必要かというふうに思います。

 副大臣がロシアの方に行かれまして、再発防止、両国間で議論をしていきましょうという議論もされたと思いますけれども、実際にはどのような再発防止に向けた議論をこれからされていくのか、この点についてお伺いをいたします。

塩崎副大臣 これは、特に国境警備局のロシュコフ第一副長官と再発防止については議論をさせていただきましたし、こちらからの要望はさせていただいたわけであります。

 先ほど来出ているように、海上保安庁と国境警備局はこのところ比較的いいコーディネーションをとっていたという意味において、先ほど来大臣が申し上げているように、五十年近くこういう事件がなかった、人の命を奪ってしまうということになって向こうもショックを受けているというのが実態だったと思います。

 したがって、安全操業をどうやって確保するのか、再発防止をどうやって確保するのかというのは、先ほど来お話が出ているように、領海についてあるいは領土についての決着がまだついていない中で、今は漁業についての操業の枠組みが二つあるわけでありますけれども、これをどうやってお互いの関係者が守っていくかということが一つであり、そして、今お話がありました、発砲をする、銃撃をする、拿捕をするということについては、それをできる限りやらないということを現場に徹底してもらわなければならないということで、それについて強く申し上げたところでございます。

 先方も、現場に徹底をして、今回のような事態が再発しないようにしたいということを言っておりましたが、今お話がありましたように、お互いこのルールを守っていく枠組みをつくった、それをどうやってエンフォースしていくのかということが一番大事なんだろうと思います。今、海上保安庁の方では、日本は発砲したことはないと。それに対して向こうは何度となくあるわけでありますから、その点について今回の事件で考えを改めてもらわなければならないということを強く申し上げたところでございます。

丸谷委員 ということは、現場でしっかり今までの枠組みを守っていきましょうということを再度強調する以外にないということになるのでしょうか。あるいは、現在の操業枠組み協定自体の見直しということも視野に入ってくるのかどうか。この協定の見直しについては、政府は今どのようにお考えになっているのでしょうか。

塩崎副大臣 先ほど来申し上げましたように、今回、御遺体の引き取りとか、いろいろ抗議をしながら要望したことがありますけれども、実は、この枠組みについてもいろいろな議論があって、これを維持できるのかどうかということについて、私たちとしては維持できるという確証を得たかったというのが、今回、実は私がモスクワで確証を得たかったことの一つであります。

 それに対して、アレクセーエフ外務次官も、それから国境警備局のロシュコフ第一副長官も、両者そろって、この枠組みは維持をするということについて一〇〇%同意ということでありました。もちろんその他の役所も関係をすることでありますから、先方の漁業の担当をしている役所についてもまだ詰めは必要でありますけれども、少なくとも、現場の最先端にいる国境警備を担当しているところの責任者そしてまた外務省の次官がこれについては枠組みを守っていくということについて同意したということは、極めて重要な確認事項であったというふうに思っております。

    〔高木(義)委員長代理退席、委員長着席〕

丸谷委員 その枠組み協定を守っていくということについてコンセンサスをとれたことは非常に日ロ間にとって重要であるという御答弁だったと思うんですけれども、実際には、この枠組み協定には取り締まりについての言及はございません。これが解決していない海であるということ、あるいは中間線であってもオーソライズされていない。日本の領海であり、ロシア側の主張によってはロシアの領海でありというところにおいて、取り締まりについての言及をこの協定の中には入れないというのが我が国の国益にかなうという判断なのかというふうに考えておりますけれども、それでは実際に、この取り締まり、警備自体をどのようなルールにのっとってやっていくのか。協定ではなくても、やはり何らかの協議をこの不幸な事件をきっかけに行うべきではないかというふうに考えております。

 それを実際にだれがどのように行うかということについては、やはり警備の当事者でありますロシア側の国境警備と、また日本側では外務省及び海上保安庁において、この両国間においてはテロ対策において協力体制ができ上がってきています、そういった事実も踏まえまして、ぜひ当事者同士の協議について考えていただきたい、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

冨賀見政府参考人 お答えします。

 先生御指摘のとおり、海上保安庁は、実務機関として、ロシアを含む隣接諸国の海上保安機関との間で海上における法の秩序の維持や海難への対応等の業務を適正に行うための協力を話し合い、加えて合同訓練を通じて実施しているところです。

 海上保安庁としても、隣接各国の海上保安機関との話し合いや合同訓練を通じ、連携強化に今後とも努めてまいりたい、このように考えております。

丸谷委員 四島周辺水域というのは、海産物の資源の非常に豊富なところでありますし、やはり我が国の漁民にとっては生活の糧としては非常に重要なところであります。非常に微妙なラインで、また資源が豊富にあるということで、漁民の願いとしては、とにかく安全に操業させていただきたい、そのために政府は尽力をしていただきたいという思いでおりますので、今回の本当に悲惨な、不幸な、あってはならない事件を踏まえて、一つでも二つでも早く結果を出すように、ぜひ政府として全力で取り組んでいただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので最後にお伺いをさせていただきたいと思いますが、沖縄北方委員会でもあるいは外務委員会でも北海道に視察に行ってまいりました。その中で、北海道の方から要望をいただいております。あるいは元島民の方からも毎年要望をいただいておりますけれども、この四島に訪問する際の渡航手段ですね。この手段について、老朽化をしていることあるいは島民が高齢化をしていることを踏まえて、ぜひ船舶を新規に造船していただきたい、こういった声がございます。

 この声に対しまして、政府としましては、調査をしているという答弁がございます。既存の船舶をチャーターする、あるいは新しい船を買う、そして中古の船を使うといったような考えの中で、それぞれ課題を取りまとめているところだという御答弁も委員会ではございましたけれども、既に二年間継続して調査をしているわけでございますし、具体的に今どのような課題が挙げられて、どういった方向で検討が進められているのか。私としてはぜひ新規造船でお願いをしたいと思いますが、この点について最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

小池国務大臣 御質問の中にございましたように、昨年度の調査におきまして、用船にするのか、購入をするのか、それとも新しい船をつくるのか、この三つの選択肢につきまして、それぞれ課題を取りまとめたところでございます。いずれの選択肢をとるのが最も合理的なのかについて現在も引き続き調査を行っているところでございまして、実現の可能性や効率性、経済性の観点から検討してまいりたいと考えておりますし、また、現在、八月末の概算要求提出について、どのような要求とすべきかも検討をしているところでございます。

 私も船に乗りました。老朽化ということで、といいますか、島民の方々が乗られる際もいろいろと危険が伴うということはよく承知をいたしております。それらを踏まえまして検討を進めてまいりたいと考えております。

丸谷委員 ありがとうございました。以上で終わります。

川内委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私たち日本共産党としても、根室の問題それから与那国の問題、それぞれ対応してきているところでありますが、きょうまたその通告も行っておりますけれども、同時に、きょうは普天間基地の代替施設をめぐって政府と県との間で協議機関が立ち上がりました。これをめぐっていろいろな問題が横たわっておりますし、私たちにとって不透明なところもたくさんありますので、まずはその協議機関の問題から質問をさせていただきます。

 今回の協議機関の立ち上げは、振興策と基地建設との関係をどう位置づけるか、これが最後まで焦点であったようです。また、沖縄北方特別委員会が北部の市町村長と話し合ったときもこれが大きな問題になりました。

 防衛庁と内閣府はそれぞれどういう立場でそこに臨み、そして、きょうの協議会の場では両大臣が発言されたと聞いておりますが、どんな発言をされたのか、そのことについてまず説明をいただきたいと思います。

小池国務大臣 御質問のとおり、本日、協議会を開催させていただきました。

 まず、私の発言でございますが、これにつきましては、沖縄におけます米軍施設・区域の整理縮小について、県民の過重な基地負担を軽減するとともに、県土の有効利用や自立型経済の発展を図る観点からも積極的に取り組んでいく必要がある、これを大前提として申し上げました。

 そして、普天間飛行場の移設につきましては、地元沖縄の理解と協力を得てこれを円滑に進めるために、北部地域の発展の方向性を見据え、振興策として必要な事業を推進することが重要であると考えてきたところであるという旨を申し上げました。

 そのために、沖縄県及び北部市町村よりいただきました、従前の北部振興事業の継続及び確実な実施との御要請について、今後、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもと、政府として真摯に受けとめ、着実に実行する方向で対応してまいるという旨を述べさせていただきました。

 私の方からは、今申し上げた文言ほぼそのままでございますので、それ以上でもそれ以下でもない、真摯にこれからも対応していくということをお伝えさせていただいたところでございます。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 本日の第一回目の協議会におきまして、まず、私どもの防衛庁長官からは、普天間飛行場の移設の経緯ですとか、あるいは意義等について御説明をさせていただきました。そして、本日、政府部内、沖縄県また関係地方公共団体との調整が整って初会合の運びになったことを大変喜ばしく思うということも述べさせていただきました。

 そして、沖縄県全体の負担軽減の話にも言及し、さらに、この協議会におきまして、政府案を基本として誠実かつ継続的に協議を行って、沖縄県を初めとする関係地方公共団体の御理解と御協力を得て、一日も早く普天間飛行場の移設、返還が実現するよう全力で取り組んでまいりたいといった趣旨のお話もさせていただきました。

 そこで、御指摘の北部振興策等でございますが、これにつきまして沖縄県知事また名護市長から御発言があり、そして今、小池大臣からも御発言がございました、その御発言を受けまして、私どもの額賀防衛庁長官より、沖縄担当大臣また知事あるいは市長さん等の御発言を踏まえまして、普天間移設の実行と北部振興の双方がお互いに前進するよう環境づくりに邁進してまいりたい、そういった趣旨の発言をさせていただいたところでございます。

赤嶺委員 沖縄担当大臣は、先ほど、発言の全内容を答弁していただきました。普天間飛行場移設に係る協議が円滑に進む状況のもとで着実に実行すると。

 施設庁長官の発言を今聞いたわけですが、事前に報道されていた中身と趣旨はほぼ同じだと思うんですが、防衛庁は、普天間飛行場移設に係る協力が円滑に得られる状況のもと着実に実行すると。協議が円滑に進む状況と言う内閣府と、協力が円滑に得られる状況、大分ニュアンスが違うわけですけれども、この発言の間には違いがあるのか。きょうの防衛庁長官の発言も含めて、あるいは、なぜこれらの振興策の扱いがきょうの小池大臣のような発言になっていったのか。この点についても、もう一度説明をお願いしたいと思います。

北原政府参考人 今、先生から、報道等に基づきまして、いろいろるる御発言をいただきました。

 政府部内また関係の自治体等々の間で、本日の協議会を発足するに当たりまして、るる協議をしてきたことは事実でございます。それは、御承知のように、この協議会の設置というのは、去る五月三十日に閣議決定が行われておりまして、北部振興策ですとか、あるいは具体的な建設計画、安全、環境の点については、国それから県、自治体が入って協議会をつくるということになっているわけでございます。

 したがいまして、協議会をスタートするに当たりましては、関係当事者の間での意思の疎通を図ることは当然であります。そして、そうした経緯を経て、私、防衛庁長官の発言を先ほど披露させていただきましたが、これは特にはしょっているわけではございませんで、稲嶺知事、名護市長さん、そして小池大臣が先ほど御発言になられましたが、その後に、沖縄担当大臣また知事、名護市長の発言を踏まえて、普天間移設の実行と北部振興の双方がお互いに前進するよう環境づくりに邁進してまいりたいという発言をさせていただいたものでございまして、この点につきましては、政府部内はもちろん、県、名護市等、その場に出席していた関係者の間での理解は統一されているもの、そのように考えております。

赤嶺委員 私、きょうは別に、内閣府と防衛庁の姿勢の違いについて問題にしよう、その機会はいずれあると思いますが、そういうつもりはなく、今施設庁長官がおっしゃったように、まさに政府の根底にある姿勢がどういうことなのかというのを聞いていきたいと思うんです。

 例えば、沖縄担当大臣、小池大臣の発言を取り上げても、協議が円滑に進む状況のもと、着実に沖縄の振興策、北部の振興策あるいは周辺振興策を実行すると。こういうような立場であれば、今後の沖縄県の対応次第、これはもうV字形案には反対だと言っているわけですから、そして名護市も滑走路の長さは政府案と違うと言っているわけですが、今度の協議会というのはそういう基本計画についても協議をする場で、いわば沖縄県や地元の対応次第では振興策が滞るということになると思うんですが、そういうこともあり得るんですか。

小池国務大臣 これにつきましては、先ほど私のこの協議会における発言を申し上げたところでございますけれども、もうそのとおりでございまして、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもと、政府として真摯に受けとめて着実に実行する方向で対応してまいりたい、この言葉が示すとおりでございます。

 もとより、北部振興というのは県土の均衡ある発展ということもベースにしているわけでございまして、これらを進める。同時に、一方で、この協議会においては、普天間飛行場の移設に関しての協議会でございますので、この一文が入っているということでございます。

 いずれにいたしましても、北部振興策につきましては引き続き進めさせていただくという認識のもとで今後とも取り組ませていただきたいと思っておりますし、そのことをきょうは政府内で確認をしたということと受けとめております。

赤嶺委員 今度の協議機関というのは、まさに沖縄の振興のための協議やあるいは北部の振興のための協議を目的にしたものではなくて、普天間基地の代替施設の計画をこれからつくっていく、そういう協議と密接にリンクしているわけですね。いわばそれが基地とのリンクです。基地建設が進まない場合は振興策も滞る。

 私は、北部の振興というものがそういうリンクしたやり方で本当にいいのか。北部の振興には北部の振興の論理や手法や法則があるはずですよ。そういうリンクしたやり方で本当に北部の振興というのが図られるのかどうか。こういうやり方について、小池大臣いかがですか。

小池国務大臣 先ほどから御指摘ございますように、北部振興策と普天間飛行場の移設との関連につきましてはさまざまな課題ということがある、これにつきましては我が方も当然のことながら承知をいたしております。

 しかしながら、いずれにいたしましても、北部振興策につきましては、今後、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもとで着実に実行する、この着実に実行する方向というところ、ここをぜひともよく御理解いただきたい、このように考えておるところでございます。

赤嶺委員 いろいろな言い方をしても、これはリンクしているんだなという理解しか生まれてこないわけですよ。

 リンクしたらどういうことになるか。北部の振興にとって大変重要なポイントになる自然環境というのは、基地の建設によって破壊される。とにかく地元が要求するからといって、採算性を度外視した箱物づくりに莫大な補助金が出て、そして、つくった自治体は管理運営費に困っている。まさに基地とリンクした振興策が、北部のよさを生かした振興の土台をつくっていくのではなくて、基地をつくるための道具にしている。これは本当に、沖縄の豊かな自然、そしてかけがえのないあの地域の値打ち、価値をつぶしていくもの、沖縄の発展、北部の発展をつぶしていくのが今回の基地とリンクした振興策のやり方だというのを指摘しておきたいと思います。

 では、代替施設について聞いていきますけれども、きょう協議会が立ち上がった。政府としては、日米間で合意した滑走路二本案を進めていくという立場、これは間違いありませんね。

北原政府参考人 当然でございます。

赤嶺委員 この要綱には危険性の除去が盛り込まれております。政府として、沖縄県が主張する暫定ヘリポート、この案を受け入れる考えはあるんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど来先生が御指摘いただいております、本日、国並びに県、関係自治体で構成された協議会が立ち上がりました。その協議会の中で、普天間基地の危険性の除去といったものが協議の対象の項目の一つに挙がっております。

 したがいまして、今先生御指摘のいわゆる暫定ヘリポートという点につきましては、その項目の中で県側の御意見等を拝聴していく、そのように考えております。

赤嶺委員 長官、私が聞いたのは、沖縄県の暫定ヘリポート案を受け入れる考えはあるんですか、この点です。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 御承知のように、政府としては、先ほど私は当然ですという答弁をさせていただきましたが、五月一日の2プラス2で承認されましたロードマップに掲げられましたV字案に基づきまして、それが政府案でございますが、政府案を基本として協議をしていくというものでございまして、その場といたしましてこの協議会が立ち上がりました。

 その中で、沖縄県との間でも、五月十一日に私どもの大臣と稲嶺知事が基本確認書を取り交わしておりますが、その中でも、政府案を基本として、そして1として普天間基地の危険性の除去、こういったものに留意して対応していくといった趣旨のことが書かれております。また、閣議決定が五月三十日に行われておりまして、その中では、政府案を基本とし、またこれまでの県ですとか市ですとかそういうところとのやりとりを踏まえて、協議機関も立ち上げていこうという流れの中できょうがあるわけでございます。

 政府といたしましては、閣議決定の中でも政府案を基本とするということを明確にうたっております。しかし、沖縄県として暫定ヘリポートという話をおっしゃっておられますので、それにつきましては、繰り返しになりますが、普天間基地の危険性の除去といった中で意見の表明等をされるということになると考えております。政府としては、あくまでもV字案を基本として、またそれでいくと考えております。

赤嶺委員 長官、きょうの協議会で暫定ヘリポート案というのは論議されたんですか。

北原政府参考人 きょうは、具体的に暫定ヘリポート案という固有名詞は出ておりませんが、稲嶺知事の方から、五月四日に発表された沖縄県の考え方といったものに基づいて県の立場の表明がございました。

赤嶺委員 危険性の除去という枠内で議論されるというお話でしたけれども、八月十三日で沖国大のヘリ墜落事故から満二年を迎えました。事故の直後に安全な飛行経路を見直すということで日米で合同委員会が立ち上がり、協議が続いてきたというぐあいに思うんですが、その結論は出たんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 沖国大に海兵隊のヘリコプターが墜落いたしましたのが十六年の八月の十三日でございます。そして、直ちに日米合同委員会の下にございます事故分科委員会、ここで調査が進められてまいりまして、御指摘のとおり、昨年の二月に報告書が出ております。そして、その報告書の中に勧告がございます。それは、飛行の安全及び周辺住民の方々の安全をさらに確実にするための措置といったものについて検討するように、そしてそれを合同委員会に報告するようにといった趣旨のことが書かれております。

 これを受けまして、日米では、今日までさらなる安全策等につきまして検討をしておりますけれども、今現在、米側との間で詰めの調整をしているところでございます。まだ結論は出ておりませんが、事柄の重要性にかんがみ、また先生御指摘のとおり大分時間もたっております、しかし、かなり技術的な面も、これは慎重に検討していく性格のものでございまして、我々としては全力を挙げてやっております。できるだけ早く結論を、結果をまとめられるように努力してまいりたい、そのように考えております。

赤嶺委員 もう時間が来てしまいましたけれども、この問題を質問するといつも、詰めの段階である、ずっとそういう答弁の繰り返しで、もう二年たってしまったわけですね。二年たって対策がとられないということは、やる気がないということですよ。何もやれないということだろうと思うんですよ。

 危険性の除去というけれども、米国当局は普天間を危険だという認識はしていない。今の日米合同委員会の協議も、さらなる安全対策ということで危険性の除去というのは言っていない。協議会で形ばかり危険性の除去という項目を設けたけれども、それに対する本気な対策はとらない。

 政府は滑走路二本案でいくと言い、沖縄県は暫定ヘリポート案でいくと言い、全く同床異夢の、しかし基地をつくるための手続は両方で着実に進めていきましょうというのがきょうの協議会の立ち上げにすぎなかったということを強く指摘しまして、質問を終わりたいと思います。

川内委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 今回の根室沖の貝殻島付近で起きたロシア国境警備局による銃撃で亡くなった盛田光広さんに心よりお悔やみを申し上げるとともに、その後拘束された三人の乗組員の早期解放と漁船そのものの返還を私どもも求めたいというふうに思います。

 そこで、外務大臣に質問なんですが、今回の銃撃で五十年ぶりの死者が出たと。故意でなかったとしても、ロシア側の主張が仮にそのとおりだったとしても、威嚇射撃をして、そして死に至らしめた、到底認められるものではないというふうに思います。報道によると、今までの議論にもあったように、ロシア側では、銃撃による死者が出たということについて衝撃を受けている、あるいは哀悼の意を述べているということなんですが、まず、このような銃撃が二度と起こらないようにロシア側に働きかけ、約束させる必要があるのではないかという点に絞って、大臣の考えを聞きたいというふうに思います。

麻生国務大臣 昭和三十一年ですから、五十年ぶりのいわゆる事件として、いわゆる銃撃事件はこの間に三十回前後あったと思いますけれども、少なくとも死者が出たというのは、保坂先生御指摘のとおり五十年ぶりのことであります。そういったことから考えますと、今回このような話というのは、ショックを受けたのはこちらももちろんでしょうが、向こうもかなりショックを受けているということは、一連の向こうからの対応を見ても、それは予想を超えておったんだというのははっきりしていると思っております、ふだんの話とは大分違いますので。

 それはそうは思いますけれども、だからといって、この話はというのと全然これは別の話でありますので、そういう意味では、こういったことが二度と起きないようにするためにどうするかというのは、多分、根本的には北方四島の解決、これが一番根本的な事の解決になろうと存じます。

 ただ、そこに至るまで、もう既に六十年間ずうっとそれをやっておるのが現状ですので、今のいわゆる双方が領有権を主張している状況のままで、双方がいわゆる安全に漁業、操業ができるというような状況をいかにしてつくり上げるかというところがいろいろ苦心がされているところです。

 御存じのように、九十何年、八十何年、いずれもそういった協定ができ上がっておりますのも確かですし、北海道庁としてもきちんと、カニ・昆布漁はこの区域でとか、そういった問題を避けるべくいろいろラインを設定しておられるというのが、北海道においても努力をされておられるというのは事実ですし、これは水産庁それから海保も同じだと思いますけれども、この根室に限りませんけれども、その管内の方々に関して、少なくとも、いろいろこういったことが起こりやすい、だんだん霧が出たり、起こりやすい時期にもなってくるので、意図的じゃなく自然に流されて向こうに行く場合もありますので、そういったことも考えて、きちんと対応するようにいろいろ指導をした上でもなおかつ起こるということも、これは十分に考えておかなければいけません。そういった意味では、双方で連絡がきちんと行き合うように、少なくとも直ちに連絡がとれるようにしておくというようなことも大切なところで、それが、国境警備隊と海保との間の一連の訓練であってみたり、お互いの連絡の密の仕方であったりということが、今逐次行われつつあるところだと思っております。

保坂(展)委員 次の質問はちょっと予告にはないんですが、今までの議論の中で、今外務大臣がおっしゃった、そのポイント、ポイントでの協定やロシアとの取り決め。近年、取り決めというふうにまで言えるかどうかわかりませんけれども、報道によれば、二〇〇〇年の九月にプーチン大統領に同行して来日をしたトツキー国境警備庁長官、当時の荒井海上保安庁長官に対して、これは口頭で、日本の漁船に対する銃撃は控える、こういうふうに言ったという報道がこの間の事態でされております。そして、その後に二十隻以上の漁船が拿捕されているということなんですが、これまでは威嚇射撃はされていない。ロシアの警備艇は他の国の船に対しては威嚇射撃をしているということなので、この合意が守られてきたのではないかというふうにも考えられるんですが、今回この合意が破られてしまった、その背景がどこにあるのか。あるいは、破られてしまったなら、さらにもう一度これを再確認するということが必要なのではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 詳しくは海保やらの方が詳しいんだろうと存じますが、私らの立場から申し上げれば、今言われたように、拿捕はあったけれども威嚇銃撃等々はなかったというのが、どれぐらい確かなのかという、正確な情報を私は知りませんので答えようがありませんが、このところ、この一、二年、かなりロシア側は、警備関係に対していろいろ予算の配分もつくようになった。なぜか、その理由はおわかりだと思いますが、石油の値段が上がっておりますので、そういったところに巡回が随分前より頻繁に行われるようになったとか、よくうわさは、そういった話はあります。

 そういった状況の中で、どうして今回に限ってそういったことになったか。ちょっとそこらまでは、この拿捕された人間等々、ちょっと召還した上で呼んでみないと、ちょっと細目、私の立場でこうではないかというのはあくまでも推測の域を超えませんので、答弁としてはいかがなものかと存じます。

保坂(展)委員 その背景についてはそういうことなんでしょうけれども、根本的な解決という手前の、即時的、即応的な、要するに、銃撃は控えるということで一定の期間、二〇〇〇年の九月以降そういう銃撃がなかったとしたならば、これはどういうメカニズムでこれが破られたのかわかりませんけれども、再度そういうことを確認することは必要なんじゃないかということなんですが、その点はいかがですか。

麻生国務大臣 これまでのずうっとなかった経緯等々は海保の方やら何やらが詳しいんだと思いますけれども、今回、今までなかったのがこうなった背景については、私どもの方として、外務省のレベルで話を聞ける範囲というのは、これは警察とちょっと話が違いますので、外務省のレベルで向こうに対して、どうして今までなかったにもかからわず今回こういったことになったのかということについて、その背景というものを、ちょっとそっちで考えられる範囲、そっちで調査できる範囲内で、いわゆる調査の上おれたちに教えてもらいたいというような話のアプローチはできると存じます。

保坂(展)委員 ぜひ外交レベルでできることを行って、そして、また銃撃があるんじゃないかというような不安を払拭していただきたいというふうに思います。

 次に、沖縄の話なんですが、二十三日に、この委員会の派遣に対して沖縄のアメリカ海兵隊基地司令官が、普天間基地代替施設の千八百メートルの滑走路になったこの理由について、有事の際にC130やオスプレーを使うのに必要な長さだと語ったということで、委員長初め聞かれたことと思います。

 これは防衛庁の方に伺うわけなんですが、防衛庁は移設合意についての説明で、有事のときには戦闘機も来る、しかしそういう機能は代替施設の中にはつくらないとこれまで説明してきたというふうに私は理解をしているわけなんです。この基地司令官の発言に対して守屋次官は、二十四日の会見では、空中給油機基地機能と緊急時基地機能は県外に移設されるんだ、代替施設が有事の際の緊急基地機能を持つことはない、小型機の離発着くらいのニーズはあります、こういうお話をされた。ところが、昨日、この会見内容が変わって、日本防衛のために米軍が、必要なものが来たとき、小型飛行機しか使えないという話にならない、こういうような、ちょっと修正されたというような、これは一体、防衛庁として、この司令官の発言をどういうふうにとらえているのか、そして実際にはどうなのか、司令官の発言をしたとおりなのか、その点についてちょっと事実を確認したいと思います。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の米軍再編のプロセスにおいて、千八百メーターがいかにして合意に至ったかという経緯を御説明いたしますけれども、御案内のとおり、普天間の飛行場の代替施設につきましては、現在の普天間飛行場が有しているヘリの基地機能、それから空中給油機の基地機能、緊急時の基地機能のうちで、空中給油機の基地機能と緊急時の基地機能の二つにつきましては基本的に県外へ移設をして、残るヘリ機能につきましては、現在普天間基地に所在するヘリコプターに加えまして、短距離で離発着できる航空機の運用も支援する能力を有するもの、これはSACOの最終報告で触れておりますけれども、こうした小型機の、輸送機の離発着のニーズを踏まえまして、本年五月の2プラス2共同文書におきましては、御案内のとおり、滑走路及びオーバーランを含め、護岸を除いた合計の長さ千八百メーターとすることが合意されたという経緯でございます。

 他方で、昨日、次官の方から、答弁が変わったのではないかという御指摘でございますけれども、次官のその答弁につきましては、一般論で申しまして、武力攻撃の際には、その規模でありますとか態様、事態の推移、その他の要素によって米軍のとり得る行動が決められて、その時点において初めて日米が適切に対応するものであるという一般論を述べたものでございますので、現時点において、C130などの輸送機の離発着が想定されるとか、そうしたことを認めたものではないということでございます。

 繰り返しでございますけれども、再編協議のプロセスにおいて千八百メーターが決められたときにおきましては、先ほども申し上げました、緊急時の基地機能の県外への移転と、それからヘリコプター及び短距離で離着陸する輸送機のニーズを踏まえまして、千八百メートルとしたところでございます。

保坂(展)委員 その経緯を質問しているんじゃないんですよね。海兵隊のアメリカの司令官がこういう発言をしたということは事実であるというふうに把握をしているのかどうか、事実認識について聞いているんです。

富田政府参考人 お答えいたします。

 報道等を通じまして御発言があったことは承知しておりますけれども、他方で、その中で触れましたオスプレーの我が国への配備につきましては、累次外務省よりも外交ルートを通じて照会しているところでありますが、我が国への配備については何ら具体的な計画を有していないといった回答を得ているところでございます。

保坂(展)委員 では、外務省に聞きますけれども、これは司令官が言っているわけで、国会を代表している国会議員の派遣団に言っているわけですから、オスプレーの配備ということを聞いているんですか、これまでの日米の合意の中にそういう内容はあったんですか。そしてまた、聞いていないのに言ったとしたら、これはどういうことなんですか。

河相政府参考人 オスプレーの配備に関しましては、当委員会を含めて国会でも何度か御質問いただいているわけでございます。また、先ほど、この委員会の派遣に基づきまして、沖縄でも報道がございました。それを踏まえまして、改めて外交ルートで米側に照会をいたしました結果として、オスプレーの沖縄への配備については、現時点において何ら具体的に決まっていないという回答を得ているところでございます。

保坂(展)委員 そうしたら、防衛庁に再び聞きます。

 先ほども協議機関のやりとりがありましたけれども、普天間基地代替施設の内容が、司令官がこういうふうに、有事の際はC130やオスプレーの配備もあって千八百メートルにしたというその発言が事実かどうか、きちっと確認をして、それが事実であれば、沖縄県なり名護市にはきちっと説明する必要が出てくるんじゃないですか。どうするのか答えてください。

川内委員長 防衛庁富田防衛参事官。

 ちなみに、委員会の視察のことですから委員長からも申し上げておきますが、緊急時の基地機能を普天間の代替施設が有するとは言っていないですからね、アメリカの司令官は。緊急時あるいは有事に辺野古を使うと言っているだけですからね。機能があるとかないとかいう話じゃないですよ。

富田政府参考人 私が申し上げましたのは、日米間の合意におきまして、普天間基地が現在有している緊急時の基地機能が県外に移転されるということと、それから、司令官が申されました有事といった話になるのか、こうしたことについて、現在つまびらかでございませんので、それについてコメントすることは差し控えたいと思っております。

保坂(展)委員 コメントできないというんじゃ困るじゃないですか。これは、住民の合意のもとに、米軍再編の中で大事な論点ですよね。その中で、今委員長からもお話があったような、この委員会の委員に、我が党の照屋議員も含めて、そういうお話があった。お話があったので、それはこれまで聞いていることと違うということで報道もされた。

 では、この司令官の真意は何なのか。そういう計画が実際にあるのか。それを確かめて、地元にしっかり説明をするなり確認をするなりということをしないということですか。

富田政府参考人 現在、地元の方に説明させていただいておりますのは、あくまで日米合意に基づきまして千八百メーターの規模のものができるということについてさせていただいているところでありまして、その点について、司令官の発言があろうとも変わるものではない、それが基本線であると考えております。

保坂(展)委員 司令官の発言の真意をしっかり確認して、事実としてどうなのかをつかんで、それを地元にしっかり説明するということが必要じゃないですかということについてはお答えになっていないんじゃないですか。

富田政府参考人 それでは、外務省とも相談しまして、司令官の真意について尋ねてみたいと思っております。

保坂(展)委員 最後に外務大臣に、台湾海軍の演習について、昨日、町長あるいは町議会関係者からの要望があったということなんですが、私も八年か九年前に与那国に行って、やはり島の地上を横断するような形で防空識別圏がある、これは非常に驚いたわけですが、今回の演習海域も当初はそこに入っていたということです。

 これは海上の演習の計画ですけれども、こういった与那国島を横断するような形での演習計画ということが出てくること自体が、やはり防空識別圏の、戦後残されてしまった問題との関係において大いに濃い関係があろう。それで、地元からも、この防空識別圏の見直し問題、これに政府に取り組んでほしいという要望を受けたと思うんですが、この点について、できるだけ早期の努力が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

佐渡島政府参考人 お答え申し上げます。

 台湾の防空識別圏の問題でございますけれども、台湾の防空識別圏につきましては、まず、日本側の防空識別圏というのがございまして、今先生が御指摘になりました日本の防空識別圏の西側の端の線が与那国島をちょうど南北に縦断した形になっております。台湾側は恐らくその西側に自分の防空識別圏を設けている、こういうことだろうと思います。

 防空識別圏の国際的な性格から申し上げますと、一般に申し上げると、各国が自国の安全を図るために、国内措置として、領空に接続する公海上空に設定をしております。したがって、それが領海とか領域とか、ある管轄権の範囲を決める問題ではございませんので、これがあるから問題が起きたかどうかということについては、私ども必ずしもそこに根本の問題があるのではないのではないかと思います。

 片や、以前から住民の御指摘、御関心もございまして、台湾側にもその運用について、肝心なことは、防空識別圏がそういう形になっているがゆえにいろいろな事故とかそういう問題が起こっては困りますので、そのことについてはきちんとやってくださいねということを言っておりまして、台湾側からも、運用上はきちんと日本側に配慮をする形でやっておりますというお答えをいただいております。

保坂(展)委員 きのう外務大臣のもとに町長らが要請に来られた直後ということで、外務大臣の所感を実は本当は聞きたかったわけですけれども、この問題、見直す必要はない、事故がなかったからこれでいいんだということではないと思うんですね。実際の演習で、今回は被害がなかったということですけれども、やはり早期解決ということは本当に必要だというふうに思います。このことを指摘して、きょうは時間になったので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

川内委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


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