衆議院

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第3号 平成19年11月15日(木曜日)

会議録本文へ
平成十九年十一月十五日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 藤村  修君

   理事 井上 信治君 理事 石崎  岳君

   理事 仲村 正治君 理事 西野あきら君

   理事 西銘恒三郎君 理事 松木 謙公君

   理事 三井 辨雄君 理事 丸谷 佳織君

      安次富 修君    阿部 俊子君

      飯島 夕雁君    稲田 朋美君

      越智 隆雄君    清水鴻一郎君

      清水清一朗君    中根 一幸君

      西本 勝子君    橋本  岳君

      平口  洋君    福田 良彦君

      山崎  拓君    若宮 健嗣君

      市村浩一郎君    加藤 公一君

      仲野 博子君    江田 康幸君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 岸田 文雄君

   内閣府副大臣       中川 義雄君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   外務大臣政務官      宇野  治君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           佐久間 隆君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 羽田 浩二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片上 慶一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 品川  守君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   衆議院調査局第一特別調査室長           金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   西本 勝子君

  平口  洋君     阿部 俊子君

  馬渡 龍治君     稲田 朋美君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     清水鴻一郎君

  稲田 朋美君     馬渡 龍治君

  西本 勝子君     越智 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     とかしきなおみ君

  清水鴻一郎君     平口  洋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

藤村委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府沖縄振興局長清水治君、内閣府北方対策本部審議官佐久間隆君、外務省大臣官房参事官羽田浩二君、外務省大臣官房参事官片上慶一君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君、国土交通省大臣官房審議官菊川滋君、国土交通省航空局長鈴木久泰君、国土交通省北海道局長品川守君、防衛省防衛政策局次長松本隆太郎君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。

仲村委員 私は、まず最初に、那覇空港及びその関連事業について質問をいたしたいと思います。

 沖縄県は、去る沖縄戦で言語を絶する熾烈な日米間の戦いで米軍に占領され、その後二十七年間の占領統治を経て、昭和四十七年五月十五日に県民悲願の祖国復帰を実現いたしました。しかし、戦争ですべて県民の生活や産業の生産基盤はことごとく破壊されてしまいましたが、占領統治のときは、一事が万事、軍事優先、民生不在の状態でありましたので、復帰はかち取ったものの、社会資本整備を初め、経済や社会福祉の基盤整備が劣悪な状態にありました。

 しかし、復帰後は、政府が沖縄の道路、港湾、漁港、空港、学校等の整備に懸命に取り組んでいただきまして本土との格差是正に努めたために、復帰時と比較いたしますと、今日では飛躍的な発展を遂げ、おおむね本土との格差は解消されてまいりました。私たち沖縄県民としても、復帰後三十年余の政府の取り組みを高く評価するものであります。しかし、いまだ県民所得や失業率の点では極めて厳しい現状であります。

 そこで、私たちは、今まで格差是正を政策の柱にしておりましたが、その視点を変えて、沖縄の持つ優位な特性を生かす方向に大きくかじを切りかえるべきだと考えているところであります。

 まず第一に、沖縄県が、島嶼・海洋性に加えて、全国唯一の亜熱帯気候の温暖な地域であること、しかも、日本全体から見ても沖縄は南の玄関口であって、その位置は東アジアの中心に位置しています。その点から、沖縄を今後、国際交流の拠点にすること。また、沖縄の気候風土、文化などを生かして観光産業のメッカとしての政策を展開すれば、現在全国最下位の県民所得や雇用の面を改善できるものと思っております。

 仲井眞知事は、現在年間の観光客約六百五十万人を近年中に一千万人を実現し、県民所得や失業率の改善を図ることを公約しております。しかし、そのためにはまず真っ先に那覇空港の拡張が必要であると思います。

 現在、那覇空港は、全国でも数少ない、二十四時間運航できる南の拠点空港であります。現在、一日に四百回近くも離着陸していて、年間十四万回を超す離着陸回数で、通過旅客も千四百万人に達していますので、もはや今の滑走路一本では対応できないところに来ております。

 国交省は、那覇空港の現状についてどのように見ておられますか。また、その整備拡張についてどういう計画をしているのか、お尋ねをいたしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、那覇空港は、現在一本の滑走路で二十四時間運用されておりますがために、将来的に需給が逼迫すると予想されておりまして、平成十五年度から、国と地域が連携して、住民参加型の、パブリックインボルブメントと言っておりますが、地域の方々の御意見を十分伺うという手法を導入して総合的な調査を実施して、滑走路増設を含む抜本的な空港能力向上方策等について検討を進めているところでございます。

 この総合的な調査におきましては、昨年度、那覇空港の将来需要予測、能力の見きわめについての検討を終了いたしまして、これを踏まえまして、今年度におきましては、調査の最終段階でありますステップスリーということで、将来の対応策及び対応策の評価についての検討を行っております。

 具体的には、滑走路を増設するに当たってどういう形がいいのか、どのぐらい現在の滑走路と離すべきか、そういったところをやっておりまして、今まさに、御意見を伺うパブリックインボルブメントをやってございます。これまでのところ一万二千通を超える大変な反響の御意見をいただいておりまして、これをこれから分析するところでございます。

 私どもといたしましても、利用者の利便の向上だけではなくて、沖縄県の発展のためにも那覇空港の能力増強は必要と考えておりまして、今後できるだけ早期に結論を得まして、具体策を講じてまいりたいと考えております。

仲村委員 ぜひ、今までいろいろと計画を積んできたと思いますので、それに基づいて、しっかりひとつこの那覇空港が需要に対応できるようにしていただきたい、このように思います。

 次に、那覇空港をしっかり機能させるためには、空港と県内各地を結ぶ道路網整備は、空港の拡張整備と同時並行的に行わなければなりません。まず第一に、西海岸道路の北から南まで結合する沈埋トンネルの早期完成と、那覇空港自動車道の空港までの早期完成であります。

 そこでお尋ねいたしますが、沈埋トンネルの完成はいつを予定しているのか、また空港自動車道の豊見城市名嘉地から空港までの約四キロの計画についてはどういう考え方を持っておるのか、お尋ねをいたしたいと思います。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 那覇空港への主なアクセス道路でございますが、一般国道五十八号になっておるわけでございますけれども、一日当たり八万台という大変な交通量がございまして、渋滞が発生しております。こういった状況を踏まえまして、那覇空港へのアクセスを円滑化する観点から、委員御指摘の那覇空港自動車道、さらには地域高規格道路の沖縄西海岸道路の整備を進めているところでございます。

 まず、那覇空港自動車道でございますけれども、今事業中の豊見城東道路の豊見城インターチェンジから豊見城・名嘉地インターチェンジまでの二・七キロメートルにつきましては、今年度内の供用を予定いたしております。それから、残る豊見城・名嘉地インターチェンジから那覇空港までの約五キロメートルでございますけれども、この区間につきましては、現在、ルートあるいは構造についての検討を進めているところでございまして、早期に都市計画決定の手続に着手できるように努めてまいりたいと考えております。

 また、沖縄西海岸道路でございますが、地域高規格道路でございますけれども、全体約五十キロメートルのうち、これまでに豊見城道路など六・一キロメートルを供用いたしまして、現在、十二・三キロについて事業を進めているというところでございます。このうち、国道五十八号の渋滞が特に著しい那覇空港から宜野湾市のバイパスとしての那覇空港から那覇市若狭間の那覇西道路、これは三キロメートルございますけれども、それから浦添市港川から宜野湾バイパス間の浦添北道路、これは二キロメートルでございます、さらに、キャンプ・キンザーの西側を通過する臨港道路の浦添線、二・五キロございます、これらの整備を進めておりまして、これらと既存の臨港道路を活用することによりまして、早期にネットワークを形成するという方針で臨んでいるというところでございます。

 いずれにしましても、那覇空港、人流、物流両面で大変需要が増加しているということでございます。そのアクセス強化につながりますこれらの道路につきましては、海上区間の橋梁とか、あるいは大規模な工事を要することになりますが、国土交通省としましても、その重要性にかんがみまして、積極的に整備を進めてまいる所存でございます。

仲村委員 今お話がありましたように、那覇空港を拠点として、明治橋とかあるいは泊高橋あるいは安謝橋、この一帯の交通渋滞は非常に最悪の状態にありますので、今御説明がありましたように、一つ一つ計画をきちんと実施していただきたい、このように思っております。

 次に、那覇空港の航空貨物は年々増加し、現在の大栄空輸の貨物ターミナルでは対応できない状態と聞いております。現在の貨物倉庫は三万三千平米だと聞いておりますが、大栄空輸の話によりますと、国交省としては旧ターミナルの跡地に五万三千平米の貨物ターミナルをつくると聞いております。それはいつ実現できるのか。

 さらに、全日空が現在、那覇空港を拠点として国際貨物基地構想を進めておりますが、この構想について国交省はどのように対応していかれるつもりか、お尋ねいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 那覇空港における航空貨物の取り扱いにつきましては、昨年十月から羽田空港との間で、佐川急便グループの貨物航空会社でありますギャラクシーエアラインズというのが週六便の定期便を運航するなど、取り扱いが堅調に増加しております。

 一方、那覇空港の貨物ターミナル地区につきましては、上屋施設の老朽化に加えまして、敷地の奥行きが狭いなど、狭隘化が問題となっております。このため、委員御指摘の、旧旅客ターミナル地区への移転による拡張整備が検討されているところでございます。

 今後の予定といたしましては、これから来年の春ぐらいにかけまして基本設計等を行いまして、関係法令の手続をいたしまして、来年の夏ごろに工事に着手するというような運びとなっております。

 それから、次の、全日空の那覇空港における貨物基地構想でございますけれども、これは、全日空が、エクスプレス貨物といいまして、ドア・ツー・ドアで小口貨物を早く運ぶというような輸送を行う場合に那覇空港は非常に便利だということで、ここを貨物基地として活用しようという構想でございまして、沖縄県とも十分な調整を行って決定したものと聞いております。

 地図で見ますと、東アジア各国のまさに中心に那覇が位置するわけでありまして、国内の羽田とか関空とか拠点空港だけではなくて、ソウルとか上海とか香港とか北京、台北、いろいろなところから大変便利な位置にございます。したがって、全日空は、そこに貨物機を集めまして、夜中に行き先別に仕分けをして、それぞれのところへ翌日配達するというようなことを考えておりまして、これはなかなか非常におもしろい構想だろうと思っております。

 航空局といたしましても、本年七月から航空物流室というのを設置いたしまして、航空物流の分野に重点的に取り組むこととしておりますので、先ほどの那覇空港の貨物ターミナルの検討とあわせまして、この全日空の構想についてもその一環として取り上げてまいりたいと思っております。

仲村委員 ただいまの御説明のとおり、この国際貨物集積基地としての構想は非常に私たちも大きな期待を持っておりますので、ぜひこれが早急に実現ができるようにひとつ頑張っていただきたい、このように思っております。

 次に、米軍再編に関連しての質問をいたしたいと思います。

 沖縄の米軍基地は、去る沖縄戦で米軍に占領された延長線上のまま、在日米軍基地の七五%ということを、私たちはいつまでも我慢することはできません。

 今回の米軍再編で、海兵隊八千人をグアムへ移転させる、あるいは嘉手納基地以南の相当程度の基地の返還をする、普天間基地の代替施設としてキャンプ・シュワブ沿岸へ移転をする、こういうことが日米間で決められた、こういうことでございます。それにしても、今言ったものを全部実施したにしても、在日米軍基地の七〇%は沖縄に依然として残るわけであります。

 この米軍再編はよくパッケージだという言い方をしておりますが、それはいつまでに計画全体を完了するということなのか、お答えをいただきたいと思います。

高村国務大臣 昨年五月一日の、再編実施のための日米のロードマップにおきましては、沖縄に関連する再編案は、全体的なパッケージの中で相互に結びついている旨記されているわけであります。具体的には、嘉手納以南の統合及び土地の返還は、沖縄からグアムへの海兵隊の移転完了にかかっている、沖縄からグアムへの海兵隊の移転は、普天間飛行場代替施設の完成に向けた具体的な進展にかかっている、そういうふうに明記されているわけであります。

 ロードマップにおきましては、普天間飛行場代替施設の建設は二〇一四年までの完成が目標とされ、約八千名の在沖海兵隊要員ほかのグアム移転についても二〇一四年までに実施すること、嘉手納以南の統合及び土地の返還については、普天間飛行場代替施設への移転、普天間飛行場の返還及び海兵隊のグアム移転に続いて可能となる、こういうふうに明記されているわけであります。

仲村委員 次に、普天間基地の代替施設をキャンプ・シュワブ沿岸に移設する件ですが、現在、政府の陸上部への移設案に対して、地元名護市も沖縄県も政府案に反対し、二、三百メーター海に出すべきだと強く食い下がっています。それは、政府案のままでは陸地上空に飛行コースがかかるので、危険性の排除が困難であるということからです。

 また、場周経路も、絵の上では海の上に線を引いているので安全だと言っておりますけれども、現在、普天間基地で、離陸時はこのコースを飛ぶ、着陸時はこれこれのコースを使う、こういうふうに決めておりますけれども、守られたためしはありません。例えば嘉手納基地においても、夜間であろうと早朝であろうと、地元の声も何のその、容赦なく米軍の訓練が繰り返されております。

 いずれにしても、米軍は常にいかなる逆境にも対応できる戦争の訓練をしているので、可能な限り、やはり陸地を避けて海上の範囲で離着陸できるように場周経路を限定していかなければならない、こういうことで、仲井眞知事も名護市長も頑として、二、三百メートルの範囲で海に出すべきだという主張であります。

 これに対して外務大臣と沖縄担当大臣そして防衛省はしっかりこたえていくべきだと思いますが、この件についての答弁をお願いします。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員のお気持ち、そして沖縄の主張というのは承知しているところではございますけれども、現在の政府案というのは、自然環境や生活環境、そして実行可能性についてのバランスというものが保たれておりまして、さらに地元の名護市、宜野座村から、地域上空の飛行を避けてほしい、そういう要請を受けまして、御承知だと思いますけれども、平成十八年の四月七日に名護市、宜野座村とこの基本合意ということをなされて、そしてそれを踏まえまして昨年の五月のロードマップにおいて米側と合意したものでございます。

 そのようなさまざまな観点から分析した上で、最も適切な形として決定したものであるというふうに政府側は考えておりまして、今の段階では、合理的な理由なく変更することはかなり厳しいのではないのかなと思っております。

 なお、今後、今現在行っております環境影響評価手続を進める中におきまして、客観的なデータというのをしっかりと収集させていただき、その結果を沖縄県を初めとした地元に丁寧に説明していくことが重要ではないのかな、我々はそのように考えております。

 また、地元の意見というものを受けとめながら、この建設計画につきましても誠意を持ってしっかりと協議していく所存でございます。

 いずれにしても、我々が考えているのは、一日でも早い普天間飛行場の移設、返還の実現ということが大切であると思っておりますし、また、その実現に向けまして、今後とも、沖縄県初め地元の御理解と協力を得るべく最大限努力してまいりたいと思っているところでございます。

岸田国務大臣 今委員御指摘のように、地元におきましては強い要望があるということ、認識をしております。

 去る十一月七日、移設協議会につきましても、十カ月ぶりに第四回目の協議会を開催することができました。今後とも、こうした関係者の意見をお聞きする場を大切にしながら、関係者の意見をしっかりと丁寧に聞かせていただきながら、こうした移設の事業を進めていかなければいけないというふうに思っております。

 関係者が思いを一つにすること、そしてこうした協議の場を積み重ねていくこと、こうしたことの重要性をしっかりと意識して努力していきたいというふうに思っております。

高村国務大臣 今お二人が述べたとおりでありますが、いずれにしても、地元の意向を踏まえて日米合意をしたという経緯があるわけで、よほど合理的な理由がないとアメリカに持ち出せないという事情もあることも御理解をいただきたいと思います。

 一方で、現時点において、沖縄県あるいは名護市等から、沖合に出してくれという強い要望があることはよくわかっておりますので、そういう声にも耳を傾けながら、今環境影響評価をやっておりますので、そういう中でやはり沖合に出した方がいいねとアメリカを説得できるような合理的な理由でも出てくれば、地元とともにまたアメリカにそういうことを言うということは絶対にあり得ない話ではない、こういうふうに思っておりますが、現時点で今の案が一番合理的だ、こう思っているということは、江渡副大臣が申し上げたのと同じ意見であります。

仲村委員 今、外務大臣からも答弁がございました。

 私は、政府の防衛大臣を初め米軍基地関係の主要閣僚は、沖縄県の知事や地元名護市長などの要望についても、米軍との関係で厳しい姿勢をとっているような感じがいたします。

 私が申し上げたいのは、御自分の県に米軍基地の七五%を押しつけられている、こういう考え方に立って沖縄県の声というものをしっかりひとつ受けとめて、何もつくらせないとは言っていないんです、少しでもその危険な状態を排除していこうという立場から、名護市長も沖縄知事も、海に出せ、こういうふうに言っておるのであります。日米安保条約とそれに基づく基地提供が日本の平和と安全であり、また、日本国民の生命財産を守るという立場からいたしましても沖縄県民は米軍基地の危険と隣り合わせで我慢しろ、こういうことでは通らないわけでありますので、ぜひひとつ沖縄県あるいは名護市の要望にこたえていくようにしていただきたい、こういうふうに思っております。

 次に、小渕政権のときに、北部地区が普天間代替施設を受け入れる条件として、県全体の中で北部地区の振興開発のおくれを是正してその均衡ある発展を図っていこう、こういう立場から、北部振興策としての予算を毎年措置してきているところであります。平成二十年度もその予算措置はなされていると思いますが、予算執行がストップをかけられている、こういうことを聞いております。

 このような意地悪な方法で普天間代替施設の受け入れを同意させようとするようなことでよいのか、この平成十九年度の北部振興策の予算を執行するのかしないのか、はっきりしていただきたい、こういうふうに思います。

岸田国務大臣 御指摘の北部振興予算ですが、これはできるだけ早い時期に執行するべきだと担当大臣としては考えております。それにつきましても、ぜひ、関係省庁そして地元関係者の皆様方においてしっかりと調整をしていただかなければならない、そうした調整が進むように、担当大臣、内閣府としましても促していきたい、そのように考えております。

仲村委員 なぜ十九年度の予算に計上されている予算にストップがかかっているか。私は、本当に意地悪な態度だ、こういうふうに思っておりますので、ぜひ、沖縄担当大臣としての予算の執行を強く私は求めていきたいと思います。

 もう一つは、米軍再編交付金。名護市を初めその近隣市町村は全部カットされているでしょう。それは首根っこを絞めてオーケーさせようとする態度だと思って、本当にけしからぬ、こういうふうに思っております。この件もしっかり、良識に基づいて、沖縄県民にこれだけの負担をかける以上、再編交付金は出してあげるべきだ、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、文部科学省に対しての質問をいたします。

 さきに、文部科学省が来年の高校歴史教科書の沖縄戦に関する件を検定委員会によって書きかえられた件については、沖縄県としては歴史の真実をゆがめることは許されない、こういうことで、県民を挙げてこの検定意見の削除を求めたわけであります。これに対して、文科省は大臣を初め煮え切らない答弁に終始してきたのであります。戦中戦後を生き抜いてきた私の立場から、どうしてもその点を明確にしなければならない、こういうふうに思っているわけであります。

 昭和二十年三月二十三日から始まった沖縄戦は、日本軍が全く予想だにしなかった新兵器の武器弾薬を使って、海からは艦砲射撃、空からは爆弾、地上軍は迫撃弾、自動小銃、火炎放射器、これをもって攻撃を受けたわけであり、全く手も足も出ない戦闘の中、六月二十三日までの九十日間で戦闘が続き、約二十万余の戦死者が出たわけであります。もう死体累々とした地獄の修羅場の状態で、灰じん、瓦れきの沖縄になって、米軍に占領されたわけであります。

 このように悲惨な結末に追い込まれてしまったのでありますが、当時、日本軍は、県民に対して、男も女も十五歳以上は軍に協力せよ、こういう命令を出し、特に学徒動員の命令で、鉄血勤皇隊として県立師範学校を初め十六の旧制中学の生徒が動員されて、この人たちは捕虜になる前に自決せよといって、あのひめゆりの塔みたいに、あちらこちらのごうで学生は自決をしているのであります。その参考資料をお配りしてありますけれども、ぜひ目を通していただきたい、こういうふうに思っております。

 したがって、この集団自決をしたという歴史の事実、これをゆがめてはならない、私はこのように思っております。文部科学省の教育方針を明確にしてほしいと思いますが、この点について、文部科学省からお答えをいただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 沖縄戦が、先生が御指摘のとおり、住民の方々を巻き込んだ唯一の地上戦という悲惨な戦いであったこと、また、この資料にもございますけれども、学生動員、学校動員された若い方々を初め多くの人々が犠牲になったということを、これからも学校教育におきましてしっかりと教えていかなければいけない課題だと認識いたしております。

 現在発行されております社会科、歴史に関するすべての教科書におきまして、沖縄戦に関する記述がなされているところでございます。例えば小学校六年の教科書ですと、沖縄では住民の多くの方々が戦争に協力をされたこと、それから、ひめゆり隊員の手記などが記述されているところでございます。また、高校の日本史の教科書は、アメリカ軍との厳しい地上戦の様子、あるいは日本軍による県民のごうの追い出し、集団自決についても記述がなされているところでございます。

 文部科学省としては、今後とも、沖縄戦についてしっかりと教えられるよう引き続き努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

仲村委員 この日本軍強制の記述が削除、修正された問題で、教科書出版社の申請本の合否や検定意見を決定する教科書用図書検定調査審議会の審議に、文部省の教科書調査官が具体的に関与している。こういう感じで書きかえなさいということでの文書を出して、検定委員は一言も言わないでそれが決まった、こんな検定のあり方があるのかということで、この検定委員の一人がそういうようなことを言っているわけです。ですから、私は、検定委員会が訂正したんじゃない、文部省がこういうふうに変えなさいということを言ったということを聞いております。その点について、はっきりしていただきたい。

 もう時間ですので、ついでにもう一つ。

 最近の報道によると、沖縄戦の集団自決、強制集団死の軍の関与があったとする記述、検定意見で削除された教科書会社五社が、日本軍の強制を示す記述を明記して、文部科学省に再提出をしたと報道されておりますが、その件についてお尋ねをいたしたいと思います。

 また、さきに日本軍は県民に対して、男女とも十五歳以上は軍に協力せよとの命令と同時に学徒動員の命令で、最後は多くの人が集団自決したが、それでも文部科学省は軍の関与を否定するという考え方なのか、何を根拠にしてこういう態度をとっているのか、はっきりしていただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年度の高校日本史教科書の検定におきまして、沖縄戦の集団自決に関する記述につきまして、「沖縄戦の実態について、誤解するおそれのある表現である。」という形で検定意見の原案を教科書調査官が作成いたしました。そして、それを教科用図書検定調査審議会におきまして、各委員が検定の時点における客観的な学問的な成果に照らしまして、それぞれの知見により審議をした結果、最終的に審議会として、調査意見書による指摘と同じ内容の検定意見を付したという経過をたどっておるものでございます。

 そして、訂正申請につきましてもお尋ねがございましたけれども、十一月の九日までに、十八年度に検定合格をした高校教科書、日本史の教科書六社十点につきまして、沖縄戦の集団自決に関して記述のあった六社八点の申請が行われ、現在、それを受理して、教科用図書検定調査審議会の意見を聞くこととしているところでございます。

 これらの検定意見につきましては、当時の多数の著書あるいは学問的な成果を踏まえて付させていただいたものでございます。

仲村委員 ただいま時間が参りましたので終わりますけれども、私が申し上げた、文科省の調査官がこういうふうな書きかえをしなさいといって検定委員会に差し出して、もう検定委員は一言も言わずにそのように決まった、こんな検定のあり方は全く許される話ではありません。

 そして、私たちがなぜこれをこんなに厳しくやるかというと、過去の歴史の真実をきちっと後世に伝えて、二度とあのような誤った戦争を起こしてはならない、こういう立場からでありますので、それをしっかりひとつ踏まえて対処していただきたい、このように思っております。

 終わります。

藤村委員長 次に、西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 冒頭、仲村先生の戦争を体験されたお話、集団自決等々について、検定問題について所見を述べたいと思います。

 私もこの県民大会のうねりを見ながら、この県民大会は非常に粛々と行われる中で、その場に集まっている頭数というよりも、恐らく百三十八万県民、宮古、八重山地域でも大会が行われておりますし、県民の感情、思いとしては、全県民の思いであったろうという受けとめ方をしております。歴史の事実をゆがめてはいけないという一点でございます。

 非常に例えは適切ではないかもしれませんが、理解の仕方としては理解しやすいのかなという意味で、少し例えてみますと、広島や長崎に原爆の投下の事実がある、その事実が教科書になかったかのような書かれ方をしたときに、広島や長崎の県民はどういう思いをするだろうか。こういう極端な、極論の想定をしますと、今の沖縄県民のこの集団自決、教科書検定に対する思いが一番理解しやすいのではないか。すなわち、歴史の事実をゆがめるなという一点にあるものと私は理解をしております。

 そして、今仲村先生が言われたように、二度とあのような戦争、武力紛争の事態を起こさないようにという意味であるということを冒頭申し上げておきたいと思います。

 きょうは、国会の論戦の中で、私はキーワードは三つあると思っております。安全と安心と地域、この視点だと思っております。質疑の順序は少々変わりますけれども、冒頭、地域という視点で御質問をしたいと思います。

 先般、県議会の超党派の皆さんから要請を受けました認可外保育所についてであります。

 沖縄県は全国で一番の出生率を誇ります。私の選挙区の石垣島と宮古島の間にある小さな多良間村、多良間島ですけれども、千四百名の人口ですが出生率は三・一四という全国一を誇っております。そういう沖縄県の子供の多いというところで、歴史的な経緯もありまして、認可保育所と認可外の保育施設、数も四百八十、三百五十、半々ぐらいですけれども、預かっている子供の数も二万九千人と二万五千人、ほぼ拮抗しております。

 ですけれども、認可保育所の施設に入っている子供は、施設の援助から、公的資金、公的支援という視点で考えますと、私の記憶に間違いがなければ、一人頭百万円ぐらいの公的支援がなされている。同じ子供でありながら、認可外の保育施設に入っている子供たちへの公的支援は、給食費とか、一人頭千円ぐらいかというような非常な格差があるわけであります。

 私は今でも忘れることができませんが、認可外保育施設を経営している、おばあちゃんという部類に入る女性に強くしかられたことがあります。あなたたちは、将来、子供たちが大きくなって、四名で一人の高齢者を支える、あるいは二人で一人の高齢者を支えるということをよく言うけれども、子供の時点では公的支援は百万円と千円、こんなに差をつけておきながら、大人になったら先輩方を支えるのは同じように支えろ、こんな不公平なことがあるかということを言われたことを思い出しております。

 このように、沖縄の特殊な事情として、認可外保育施設への公的支援は何とかならないものかという視点での先般の県会議員団の与野党全会一致での要請でございました。

 沖縄振興計画の中には、この認可外の保育施設に対して、質の向上施策という点も触れられております。認可外保育施設の認可化への取り組みは当然でありますけれども、市町村の対応等を考えるとなかなか進まないという現実もありますので、しからば、沖縄振興計画の中に明記された質の向上施策という形で何か具体的な方法がないものか。公的支援の格差是正を目指すという意味でも、また同じ子供たちという意味でも、直前のことでできることはないのかどうか、お伺いをしたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県におきます保育所の待機児童の問題につきましては、早期の解決が望まれるものと認識しているところでございます。沖縄振興計画におきましても、「保育所待機児童の解消に努めるとともに、認可外保育施設の認可化促進をする一方、職員に対する健康診断の実施などにより認可外保育施設の質の向上を図る。」とされているところでございます。

 内閣府といたしましては、待機児童の解消のために、沖縄における公立保育所の整備につきまして、沖縄振興特別交付金によりまして一定の支援を行っているところでございます。また、沖縄振興のための特別な調整費を活用いたしまして、子育て家庭の就労支援モデル事業によりまして、余裕教室などを活用したモデル的な保育施設の設置を行っているところでございます。

 さらに、厚生労働省におきまして、認可外保育施設の質の向上を図るという観点から、認可外保育施設に従事する職員に対する健康診断ですとか、保育従事者に対する研修事業などについて補助を行っているところでございます。

 引き続き、この問題に対しまして十分関心を持って、沖縄県からまた実態を伺うなど連絡をとりながら、厚生労働省に対しても一層の取り組みが行われるよう働きかけてまいりたいと考えているところでございます。

西銘委員 先般の県会議員団の要請等を見ておりますと、子供たちの平均の給食費が、認可保育所が二百五十五円であるのに対し認可外の保育施設が百五十六円と、栄養を必要とする子供にこれだけの差が出ていて、給食費、制度上非常に厳しいのでありましょうが、何とか財政的な応援ができないかという応援の要請もございましたので、その辺、触れられる範囲でよろしいですから、答弁いただきたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございました認可外保育施設の支援の問題、給食費の問題を含めまして、先日、沖縄県議会からも意見書をお持ちになって御要請をちょうだいしたところでございます。

 先ほど申し上げましたように、沖縄振興計画のもとで、認可外保育所の認可化の促進あるいは質の向上といったことにつきまして、それぞれの制度のもとで対応していきたいと思いますが、県ともよく相談して、実態をよく把握しながら、引き続き厚生労働省にも十分連携しながら働きかけてまいりたいと考えているところでございます。

西銘委員 ぜひ知恵を出して頑張っていただきたいと思います。

 次に、国立のハンセン病療養所、全国に十三の施設がございます。入所者は二千八百九十名になっておりますが、この入所者の平均年齢が八十歳に近づいてきております。私の地元の全国最南端の宮古南静園からもさまざまな要望を受けておりますが、こういう方々からの要望は、できる限りきめ細かく対応すべきものと考えております。

 平成二十年度、次年度に向けた取り組みはどうなっておりますでしょうか、御説明をいただきたいと思います。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、宮古南静園を初めといたしまして、全国に現在十三カ所の国立のハンセン療養所がございます。御指摘のとおり、まさに高齢化が進展をいたしておりまして、入所者の方々のよりよい療養環境の確保というのは極めて重大な問題というふうに考えております。

 このような認識のもと、現在、宮古南静園を初めといたしますこの療養所の予算につきましては、平成二十年度の概算要求におきまして、入所者の方々が御高齢になるに伴いまして、例えば夜間の看護が必要になる等々のことがございまして、そういう介護をなさる方々の増員要求も含めまして、きめ細かな概算要求をしているところでございます。

 国の財政事情は御案内のとおり極めて厳しい状況ではございますが、必要な予算なり人員の確保に努めてまいりたいと考えております。

 以上であります。

西銘委員 同じく、八重山地域の離島についてお尋ねをしたいと思います。

 私は、去る八月に、本委員会で北方領土の視察ということで、根室、納沙布岬を訪ねる機会を得ました。また、その後には、ビザなし交流等で国後、択捉島に上陸する機会も得ました。そのときに、根室の納沙布岬の端に、沖縄県の国境の最南端の島、波照間島というところから採火をした炎が力強く燃え続けておりました。

 この波照間島は、那覇市から約四百六十キロ離れた国境の最南端の島でありますけれども、人口は約五百九十人、面積約十三平方キロメートルの小さな島であります。領土問題のシンボルとなる島の一つでもありますが、この島は海水淡水化等々で生活水を確保しておりますけれども、将来的に考えた場合、隣に西表島という大きな島がございます、この西表島からの海底送水を私は将来実現すべきではないかと考えておりますが、この海底送水の可能性等々について御説明をしていただければと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 良質で安全な水道用水の確保につきましては、住民の皆様が安心して生活していくために最も基本的なものでございますので、水道施設の整備につきましては、従来からその推進を図ってきたところでございます。

 波照間島におきましては、平成十五年度に、御指摘のように海水淡水化施設が整備されたところでございまして、当面は当該施設によりまして水の需要を満たすことができるものと考えているところでございます。

 御指摘の海底送水管の整備を含めます水源の確保につきましては、将来、海水淡水化施設を更新する時期などに、竹富町から御要望があれば、可能な支援策について検討してまいりたいと考えているところでございます。

西銘委員 ぜひ、可能性の調査も含めて、地元からはそういう要望の声が出てきておりますので、御検討をいただきたいと思います。

 最後になりますけれども、安全保障の問題で、日米同盟について伺いたいと思います。

 テロ特別委員会では、衆議院ではテロ新法は可決を見ております。海上自衛隊のインド洋からの撤退が我が国の国際社会での孤立化につながってはいけないものと考えております。

 今晩、福田総理は初の日米首脳会談に向けて訪米を予定しておりますが、この総理の訪米を前に、米国産牛肉の輸入の問題、あるいは米国と北朝鮮の、テロ支援国家指定の解除、接近しているような問題、また、アーミテージ・レポートに見られるように、その中で、中国についての表現で、世界の安全保障や繁栄の上で米中関係ほど重要な二国間関係はないという表現で指摘がなされております。

 去るテロ特別委員会で、外務大臣、答弁の中でいただきましたけれども、米国連邦議会での民主党の多数の状況等々にも、大統領選挙は来年の十一月ではありますけれども、マスコミ報道によりますとヒラリー・クリントン上院議員の支持率の高さ等々、また、歴史を振り返ってみますと、民主党の大統領のときには、米中関係が一気に行って、日米同盟が置き去りにされるのではないかというようなこと等々も考えられます。

 これらのさまざまな出来事を総合的に判断すると、私は、今のこの状況というのは、沖縄県内の状況も踏まえて、日米同盟がひょっとすると歴史の転換点に立たされているのではないかと不安にもなります。

 私の基本的な考えは、日米同盟は我が国の安全保障の根幹でもありますし、しっかりと、この関係が崩れないように、歴史の中では、一九〇二年に結んだ日英同盟が崩れていく過程で我が国の方向性が変わっていったということ等も考えますと、日米同盟の関係はしっかり押さえていかなければならないのではないかと考えております。

 こういうさまざまな状況がある中で、今の日米関係の状況を高村外務大臣はどのように理解をしておられるのか、御所見を賜りたいと思います。

高村国務大臣 日米同盟は我が国の外交安全保障の基盤でありまして、政治、安全保障、経済を含む幅広い分野において米国と緊密に連携していく考えであります。この日米同盟は、我が国外交のかなめであるわけであります。

 私は、九月に訪米をいたしまして、ライス国務長官に対し、日米同盟は一貫して外交のかなめであり、日米関係の一層の強化のため引き続き真剣に取り組んでいく旨述べたところであります。これに対して、ライス長官は私に対して、日米同盟は幅広く深いものである、日米同盟はこれまでも良好であったけれども、過去と比べて一番よい状態であると感じている、こういうふうに述べておられました。

 今回の日米首脳会談におきましては、日米同盟の一層の強化、日米同盟とアジア外交の関係など、日米関係の基本的考え方につき意見交換が行われる、こういうふうに思っております。

 日米と日中とそれから米中、これはゼロサムゲームじゃありませんから、ほかが仲よくなったからといって、そんなに心配する必要はない、こう思っています。

西銘委員 私も、そういうことのないようにという、ただ、国際社会、国際政治の中で、高村外務大臣が答弁されましたように、ネバー・イズ・ネバーですか、何が起こるかわからないというところが国際政治の中にはありますので、根幹の部分の日米同盟をしっかりと堅持していただきたいなという思いでの質問でありました。

 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

藤村委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 今、西銘先生から日米同盟についてというお話がございまして、高村外務大臣の方から御答弁がありましたので、まず、質問通告に出しておりますけれども、在日米軍駐留経費負担についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほど、外務大臣は答弁の方で、日米関係というのは我が国外交の基盤であり、政治、経済、安保すべてにわたってかなめになっているとおっしゃいました。全くそのとおりだと思います。また、ライス国務長官とお会いした際には、米側から幅広く深い関係になっているという御発言がございました。全く日米間ほど相互依存が深まり、強い両国関係というのはないんだと思います。

 ただ、現在開かれています臨時国会の中で、では、我が国外交あるいは安全保障、いろいろな面で何を議論しているかといいますと、まさしく、衆議院を通りましたけれども、テロとの闘いに対して我が国がどのような形で国際貢献をしていくかということが一つ話し合われ、また参議院で一定の結果を見るであろうと思います。非常に難しい議論になってきております。また、参議院の方では、イラクにおける我が国の貢献に対して、また一定の方向を持った廃止法案という議員立法が出されています。

 また、最近、新聞報道でよく見ますのは、米軍再編に伴って、我が国の、日本分の負担でございます在日米軍駐留経費について削減を日本側が迫ったところ、米軍からは物すごい反発が来ているといったような報道がなされているわけでありまして、日米間は幅広く深いものであるがゆえに、どれ一つをとっても、切り離して一つ一つ、これはこれ、それはそれというふうに片づけていけるほど外交は簡単ではないだろうというふうに思いながら、私自身も、では、どのような結果を出していったらいいのかというふうに考えている次第でございます。

 福田総理が訪米をされます。その際に、このもの自体が協議になるかどうかはわかりませんけれども、日本側の在日米軍駐留費負担について、現在協議もされていますが、まず、日本側としてはどのような基本姿勢で臨んでいらっしゃるのか、交渉に当たっているのか、この点からお伺いをさせていただきます。

高村国務大臣 日本側の基本姿勢でありますが、日米安保条約の円滑かつ効果的な運営を確保できるように、そして、一方で日本国民の理解が得られるような、そういったところで話し合いを決着させよう、こう思っているわけでありますが、現時点でまだ決着に至っていない、こういうことであります。

 委員がおっしゃるように、日米関係は、全体に非常にいいわけでありますが、解決しなければいけない個別イシューが幾つもあるわけで、先ほど言ったこととちょっと矛盾するようでありますが、非常にいいけれども、それほど安心してもいられない。それを一つ一つ解決していかなければいけないと今鋭意努力しているところでございます。

丸谷委員 この在日米軍の駐留経費につきましては、地位協定の中で賄ってきたもの、また一九八七年の特別協定で賄ってきたもの、それぞれございます。この協定自体は五年ごとの見直しというか協議になっておりましたが、二年前には米軍再編の協議中であるということで、二年後、いわゆる来年の三月までの期限となっております。今回は二年という期限になっております。

 この二年になったという背景には、再編もあるであろうから、より弾力的にというか機動的な予算組みが日本側としても組めるように、増額ありきというよりは削減も見込んだ思いというのが政治側に強かったのかなという思いがするわけでございます。

 では改めてお伺いをさせていただきますが、協議中のことなので詳しいことはお伺いできないのかもしれませんけれども、新聞報道に出ております、日本側からの要求、光熱費二百億円削減、また労働者の諸手当百億円削減ということに対して、アメリカ側からはノーというメッセージが出ているというところの、ここの協議の状況というのはいかがでございましょうか。

高村国務大臣 そのような報道がなされているということは承知しておりますが、必ずしも正確ではないと思いますし、まさに今いろいろやっているところでありまして、交渉を加速化させなければいけない、こう考えているわけであります。

 いつまでに決着するかも含めて、もう少し待っていただきたいと思います。

丸谷委員 今外務大臣の方から、加速化させながら、あと若干の時間が必要だといった御答弁がございました。十六日に行われます日米首脳会談で、このことも含めて、いろいろな日米同盟下における協力のあり方、負担のあり方というのが議論されるのかもしれませんけれども、そこから来年三月に特別協定は期限が切れるということを考えますと、やはり可及的速やかにこのことに関しては決着をつけていかなければいけないというふうに思いますし、また、基本姿勢としましては、再編が行われるんだから経費を削れということでは、そんな単純な話ではないと思っております。

 しかしながら、必要なもの、また時代とともに必要でなくなってきたものというのは見直していく、また、特に日本人労働者の関係に関しては、その見直しの中で、労働者にマイナス負担が大きく及ばないような形で、時間をかけて削減していくことも必要であろうというふうに思いますので、また協議の結果を待たせていただきたいと思います。

 続きまして、日ロ関係について質問をさせていただきます。

 先日、ロシアのナルイシキン副首相が訪日をされました。私も、幸いなことでございましたけれども、我が党内の太田代表を副首相が訪問してくださった席に同席をさせていただくことができました。その際に非常に受けた印象というのは、非常に副首相が文化面に精通されていて、また同時に、経済について非常に強いメッセージを日本に対して送っていらっしゃるなという印象を受けた次第でございます。

 さきに行われました外務委員会でも、最近の日ロ関係について質問させていただきました。副首相が来日する前でございまして、副首相の来日に対して期待をする旨申し上げてきたところでございますけれども、今回、高村外務大臣も副首相との会談を終えまして、その御感想、また手ごたえ、成果をどのようにお考えになっているのか、この点をお伺いいたします。

高村国務大臣 今回のナルイシキン・ロシア副首相の訪日は、本年六月のハイリゲンダム及び九月のシドニーでの日ロ首脳会談のフォローアップとして行われたものであります。

 ナルイシキン副首相は、五日の私との会談におきまして、今回行われた一連の会談を通じて、日本の指導部において日ロ関係をすべての分野で発展させるとの姿勢に変更がないことを確認した、こういうことを述べておられました。

 また、福田総理への表敬において、自分、ナルイシキン副首相でありますが、自分なりに平和条約締結問題に関する話し合いが建設的になされるよう貢献したい、こういうふうに述べておられます。

 それで、ナルイシキン副首相は、五人いる副首相の一人で、その中でもプーチン大統領との関係は最も近い方だと承知をしておりますが、今回の訪日に際して、領土問題の解決に向けて具体的な進展を図る必要がある旨の我が方の考え方をプーチン大統領に伝えることを要請するとともに、極東・東シベリア・イニシアチブの実現に向けた協力や日ロの貿易経済関係の拡大の展望について話し合いました。また、ナルイシキン副首相との関係を一層強化できたことは成果であった、こう思います。ナルイシキン副首相は、我が方の北方領土についての考え方はプーチン大統領に必ず伝える、こういうことを言っておられました。

丸谷委員 高村外務大臣の方からも、例えば北方四島において第三国の労働者を入れて開発を進めているということに対して、領土交渉に悪影響を及ぼすことがないようにといったしっかりした日本側のメッセージも伝えていただけたものというふうに聞いておる次第でございますけれども、日ロ関係、特にロシアというのは相互主義というのが非常にしっかりされておりまして、文化交流あるいは日本の国際交流基金を開設しようと思っても、この相互主義に基づいて、話し合いの入り口には立てるんだけども、そこから先に進んでいくというのが非常に難しい部分もございます。

 特に領土問題においては、領土返還の交渉自体に関しては停滞ぎみにあった中で、相互主義に基づいて解決の方向性を探していこうというようなメッセージがロシア側から来ているというのは、ロシアの対日政策というのが最近若干変わってきたのではないかという思いもして報告を聞いていたところでございます。

 また、高村外務大臣がおっしゃいましたけれども、ナルイシキン副首相というのは非常にプーチン大統領から近い距離にいらっしゃる、五人の副首相のうちの一人である。その方が、今回二度目の訪日になるわけですね。文化フェスティバルのオープニングとクロージングに来られたということで、そういった非常に大統領に近い方を二回も日本に送ってくる、こういったロシア側の対日政策というのを今日本側はどのように分析していらっしゃるんでしょうか。

 この点についてお伺いいたします。

高村国務大臣 本年は、六月及び九月の二度にわたって日ロ首脳会談が行われたわけでありますが、二月のフラトコフ首相の訪日に始まって、七月及び十一月のナルイシキン副首相の二度の訪日、それから十月のラブロフ外相の訪日、日ロ間のハイレベルの政治対話が間断なく続いているわけであります。ロシアからは多くの経済人、文化人、国会・地方議員などが相次いで訪日をしております。このようにロシアの要人の訪日が続くことはロシアの対日関心の高まりだと受けとめております。

 ロシアにおきましては、本年八月、極東・ザバイカル発展連邦プログラムが採択されるなど、アジア太平洋地域との関係強化を志向する動きが見られております。

 このような文脈の中で、プーチン大統領は、日ロ関係においていかなる停滞があってもならない、こういうふうに述べておりまして、両政府は日ロ関係を新たな次元に引き上げる努力を行うことで一致をしているところでございます。

 領土問題、平和条約交渉にしても、そういう話し合いを続けることが意義があるんじゃなくて、決着させることが意義があるんだ、そういう意識で頑張っていきたいと思います。

丸谷委員 非常に頼もしいお言葉をいただいたと思います。

 というのは、話し合いを続けることに意義があるんじゃないというのは、元島民の方は物すごい同じ思いで、ずっと待っていらっしゃるんですね。本当に、一日も早い決着を見たいという思いで今まで活動されている皆様でございまして、島民の皆さんが聞いたら非常に喜んでいただけるんじゃないかと思う反面、ただ、現実の最近の日ロ外交の中では対話さえも、領土交渉さえも滞ってきたような停滞期というのがあったことは否めないと思います。

 今、こういった形で、ハイレベルで非常に加速度をつけて日ロ交渉が始まっている。この機会をとらえて、では、我が国外交としては領土交渉にどのように弾みをつけていくのかということが問われるわけでございますけれども、例えば、高村外務大臣が早期に訪ロをする等も非常に重要な外交政策、メッセージではないかと思いますが、この点も含めて、どのようにお考えになっているでしょうか。

高村国務大臣 先般のラブロフ外相との会談において、次の外相会談を双方の都合のいい、都合のつく、できるだけ早い時期に行うということで一致しているところであります。

 ラブロフ外相が来てから次行うということは、私が次に行くということでありまして、双方が都合がいい、できるだけ早い時期に行いたいと思っています。

丸谷委員 そうですね。我が国の国会も十二月十五日で終わるということでございますけれども、いろいろ前後左右を見ながら、ロシア側も大統領選挙ということもありますし、なるべく早い時期に高村外務大臣の訪ロという形でまたハイレベルの対話に弾みをつけていっていただきたいと思います。

 その中で、副首相とのお話の中では、日ロ関係の貿易高というのは近年非常に大幅に増加をしていて、年二百億ドル規模まで発展したというような指摘もあり、日本側の支援というよりは、ロシアが開発をしていく地域、開発をしていく分野に対する日本の技術力の提供であったり、そういったものに対する期待というのが非常に高まっているような印象を受けました。

 私も昨年の十二月にモスクワを訪問させていただいたわけですけれども、物すごい勢いで発展をしています。車も物すごく台数がふえているんですけれども、空気は、申しわけないんですけれども、澄んだ空気とは言えないような、排気ガスの問題等々、発展と環境というところが今後ロシアにとっても非常に重要な問題になってくるのではないかという思いがしました。

 その中で、我が国にロシア側から期待をされている一つの案件として環境における日本の協力というのがあると思います。また、来年、洞爺湖サミットが北海道で開催をされますが、その大きなテーマの一つがポスト京都議定書をどうするのかといったこともありますし、日本の排出権をどうするんだ、どのぐらい削減するんだ、日ロ間でどう協力できるんだ、こういった議論もされているかと思いますけれども、具体的に、環境における日ロ間の協力のあり方についてどのような方向性で進めているのか、この点をお伺いいたします。

高村国務大臣 地球温暖化問題に対応しまして、また、我が国が京都議定書上の温室効果ガス削減目標を達成する上で、主要な温室効果ガス排出国の一つであり省エネ余力を多く有しているロシアとの間で、我が国の有する環境技術等を生かして、京都議定書に基づく共同実施やグリーン投資スキームを通じた協力を進めていくことは重要であると考えております。

 また、我が国とロシアは京都議定書後の次期枠組みに関する議論においても比較的立場が近いわけであります。すべての主要排出国が参加する実効的な次期枠組みの構築に向けて両国間で連携していくことは有益であると思っております。

 このような認識を踏まえて、本年九月のシドニーAPECの際の日ロ首脳会談において、両国が二〇一三年以降の実効性のある国際的枠組みの構築に向けて協力していくこと及び共同実施における両国の努力を促進していくことで一致をいたしました。また、先般のナルイシキン副首相との会談で、私から気候変動に関する日ロ政府間協議を立ち上げることを提案して、先方より前向きな反応があったわけであります。

 今後とも、政府といたしましても、気候変動分野においてロシアとの協力を進めていく所存でございます。

丸谷委員 ありがとうございます。

 日ロ間での相互依存関係また協力関係の強化に関して外交面で頑張っていただくとともに、時間がなくなって恐縮でございましたけれども、岸田担当大臣におかれましても国内啓発に御尽力いただくとともに、また、北海道出身の北方領土問題にしっかり取り組んでいただいている中川副大臣もいらっしゃいますので、この機をとらえてしっかりと領土返還に向けて前進を図っていただくように心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

藤村委員長 次に、三井辨雄君。

三井委員 民主党の三井辨雄でございます。

 きょうは、藤村委員長のもとで、四年ぶりにこの委員会で質問させていただくことを大変光栄に存じている次第でございます。

 私も、地元北海道の出身といたしまして、先ほど丸谷佳織議員からも質問がございました、今、地方分権ということで北海道も大変各市町村あるいは民間等も取り組んでおられますけれども、やはり隣国との経済交流を、もちろん文化交流も含めて、特に活性化することが地方分権をより強力に進めるのではないかな、こういうぐあいに思っているところでございます。

 そこで、丸谷議員とちょっと重複するかもしれませんが、高村外務大臣にお伺いしていきたいと思っております。

 先ほど質問がございましたように、この三カ月間の間に、安倍前首相がプーチン大統領との会談、そしてまた十月のラブロフ外務大臣の来日、また十一月五日にはナルイシキン副首相の来日、大変ハイレベルな政治対話が行われてきたわけでございます。

 高村大臣がナルイシキン副首相との会談で、すべての分野において日ロ関係を高い次元に引き上げていくために作業していく用意がある、領土問題の解決に向けて具体的な進展を図る必要がある、こうおっしゃっているわけでございます。また、ナルイシキン副首相からは、ロシア側は領土問題に関する話し合いを避けることなく、相互主義に基づいて建設的に話し合う用意がある、こう述べられているわけでございまして、その上で、双方にとり受け入れ可能な解決策を模索する作業を集中的に行っていくことを確認した、こうあるわけでございます。

 先ほど高村大臣からも内容をお聞きしたわけでございますけれども、今後さらに具体的にどういう形でお進めになるのか、あるいはもう一点、高村大臣は一九九九年にも外務大臣をお務めになっているわけでございまして、そのときから見てどのように変わってきたのか、高村大臣にお聞かせいただきたいと思います。

高村国務大臣 前回私が外務大臣を務めたときには、東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとの日ロ間の合意に基づき、北方領土問題の解決に努力をいたしましたけれども、残念ながら、今日まで平和条約の締結に至っていないわけであります。

 その後、二〇〇一年にはイルクーツク声明が両国首脳により署名されました。イルクーツク声明では、一九五六年の日ソ共同宣言が平和条約交渉の出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認した上で、一九九三年の東京宣言に基づき、北方四島の帰属の問題を解決することにより、平和条約を締結すべきことを再確認したわけであります。

 二〇〇三年には、両国首脳により、今後の日ロ関係の発展の基盤となる極めて重要な包括的文書である日ロ行動計画が採択されました。この行動計画では、今までと同じような認識に立脚して、引き続き残る諸問題の早期解決のために交渉を加速することとされました。

 政府としては、引き続き、日ロ行動計画に基づいて、幅広い分野で日ロ関係の進展に努めていく考えであります。幅広いといっても、日ロ間の最大の懸案である北方領土問題の最終的な解決に向けて具体的な進展が得られるよう、これまでの諸合意及び諸文書に基づいて、双方に受け入れ可能な解決策を見出すべく、引き続き強い意思を持ってロシアとの交渉を、首脳間、外相間を含むあらゆるレベルで進めていく所存でございます。

三井委員 今御答弁いただきましたように、まさに双方に受け入れ可能な解決策を模索する作業を集中的に行っていくことを確認した。具体的に、大臣、やはりここはより加速させていただきたい。行動計画をおつくりになったわけですから、より中身のあるような交渉をさらに、大変だと思いますけれども、高村大臣にお骨折りいただきたい、このように思っております。

 そこで、次に、貿易経済日ロ政府間委員会の活用についてお伺いしたいと思います。

 極東・東シベリア・イニシアチブの具体化について、一点目、お伺いしたいわけでございますけれども、先ほどからお話がありますように、高村大臣は、ナルイシキン副首相との会談におきましても、これは十月二十六日ですか、ウラジオストクで開催いたしました貿易経済日ロ政府間委員会の第一回地域間交流分科会が極東・東シベリア・イニシアチブの具体化に向けたよいスタートとなったとの認識で一致したとのことであります。

 この貿易経済日ロ政府間委員会のこれまでの経過をずっと見てみますと、一九九六年に第一回が開催されておりまして、これは必ずしも毎年頻繁にやられているというわけでもないんですね。これを見ますと、今まで七回、九六年、九七年、九九年、これは高村大臣がまさに外務大臣のときでございますけれども、こうやって見ていますと、二〇〇〇年には懸案解決のために機動的役割を果たせるように分科会を再編した。

 ロシア側が期待しているこの貿易経済日ロ政府間委員会の活用について日本政府はどのようにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。

高村国務大臣 日ロ経済関係を見ますと、本年の貿易高が二百億ドルを超える勢いであって、従来のエネルギー分野のみならず、運輸、情報通信、製造業といった幅広い分野での交流が進んできております。その一方で、対ロシア・ビジネスは依然としてさまざまな問題が起きている、こういうことであります。

 貿易経済日ロ政府間委員会は、閣僚レベルで日ロ経済関係のすべての問題について総合的に意見交換を行うことができる対話の枠組みでありまして、日ロ経済関係発展のために積極的に活用していくことが重要だと思います。

 政府間委員会では、貿易投資環境の整備のための方策について話し合ったり、極東・東シベリア地域における日ロ協力強化に関するイニシアチブの具体化についても話し合うことになっておりまして、十月末には第一回地域間交流分科会をウラジオストクにおいて開催したところでございます。

 今後とも、政府間委員会を活用しながら、日ロ経済関係の一層の発展を図っていく考えでございます。

三井委員 先ほど私が申し上げましたように、中川副大臣もいらっしゃいますけれども、まさに地方分権、私たちの地元北海道にありましても、私の知り合いの経済人もかなり積極的に貿易なり交流をしているわけですけれども、なかなか事業的にうまくいかない。まさにルーブルという貨幣になりますと、円との格差というんでしょうか、そういうこともございまして、思うように回収ならないとか、あるいは焦げつきがあるとか、そういうもので今停滞しているということもあります。私がモスクワに行ったときも、医療の面でお話しした。着るものの衣料じゃなくて医療関係でございますけれども、そのときお伺いしたときに、大変医療が厳しい状況にある、ロシア人の平均寿命は五十九歳だと。それはどこに起因しているか。いろいろな原因もあるんですが、特に、ウオツカを飲まれるので食道がんが多いとか、まさに非常に高いアルコールの度数ですから。そういうことに触れられていましたけれども、そういう中でも一つ、医療の貿易の交流とか、あるいはまたお互いの技術提携とかということも必要でないかな、こういうぐあいに思っているわけでございます。

 ちょっと余談になりましたが、次にお伺いしたいのは、これは二〇〇一年、私も衆議院の石炭対策特別委員会の理事をさせていただいたんですが、九州の池島炭鉱の閉山、そして、残念ながら最後になりました釧路の太平洋炭鉱、その閉山のときにも私は行ってまいったわけでございますけれども、まさにエネルギー政策の転換にあり、日本にとっての代替エネルギーを確保するためにも、平沼当時の産業大臣ともかなり議論させていただきました。

 この年は御存じのとおり九・一一の米国のテロがあったときでございますけれども、御存じのとおり、現在、原油価格が一バレル百ドルと大変高騰しているわけでございますけれども、これが今、物価上昇の要因になっている、原因になっているということがあるんじゃないかなと思っておるわけでございます。

 こうした中から、サハリン2プロジェクトによる我が国の石油、LNGの供給に強い関心を私は持っているわけでございますけれども、ナルイシキン副首相との会談で大臣は、我が国企業が製造したLNG運搬船によるサハリンからアジア太平洋向け輸出が確実に履行されることが重要だと述べられておるわけでございますけれども、この確実な履行に向けて政府としてどのような政策をおとりになっていくのか、大臣の所見をお聞かせ願いたいと思います。

高村国務大臣 サハリン2プロジェクトは、我が国企業が参画、関与し、また、我が国の石油天然ガス供給源の多様化に寄与する有意義なプロジェクトであります。このような観点から、政府といたしましても、このプロジェクトの円滑な実施に重大な関心を払ってきております。プロジェクトでは、来年から原油の通年生産及びLNGの輸出が開始され、その一部が我が国にも輸出される予定であります。

 本年九月にシドニーで行われた首脳会談では、我が方からプーチン大統領に対して、サハリン2プロジェクトが契約どおり履行されることが重要であると述べたほか、私からもナルイシキン副首相に対して、我が国へのLNGの供給が来年確実に履行されることが重要である旨述べるなど、ロシア側に働きかけたところであります。これに対してロシア側も、契約義務を履行する旨確約をしております。

 政府としては、今後とも必要に応じてロシア側に対し適切に働きかけを行いながら、プロジェクトの円滑な実施を確保してまいります。

三井委員 どうもありがとうございました。

 それでは、岸田大臣に御質問させていただきたいと思います。

 先日の大臣所信の中で、私も、先ほども実は大臣所信をもう一度読ませていただいたわけでございますけれども、聞いていまして、これは決してひがみじゃないんですが、沖縄政策の方のボリュームというのが大変多くて、北方領土のボリュームが三分の一ぐらいだったかな、こういうふうに思っているわけでございます。決してそれは変な意味で申し上げるわけでございませんで、今、沖縄においても、在日米軍の百三十六万人の問題というのは、県民の皆さんにとっても大変大きな問題でございます。

 それはそれといたしまして、最近、先ほど丸谷委員からも御質問がありましたように、ちょっと北方領土問題についてはトーンダウンしているんではないかなというような気がするんですね。元島民も、一日も早く北方四島が戻ってきてほしいという思いは常に変わらないわけでございますけれども、その中で、よりこれから国民の世論を啓発させていく、そして、よりその中で効果的な取り組みについて、大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず最初に、委員の方から大臣所信のボリュームにつきまして御指摘がありましたが、言葉の多さと事柄の軽重は直結するものではないという認識のもとに申し上げておりますので、ぜひ御理解いただきたいと存じます。

 その上で、北方領土返還の国民運動についてでありますが、やはり多くの国民の皆さんに参加していただく、これがまず大切なことであります。その中で、特に次代を担う若い世代に参加していただく、これが今大変重要だというふうに認識をしております。新たな力を得ながら全国民的な返還要求運動を盛り上げていく、こうしたことを大切にしていかなければいけない、そのように認識をしております。

 ですから、北方領土教育ですとか次世代啓発の充実、こうした点にこれから特に力を入れていかなければいけないということで、現在でも、全国の青少年に対する現地研修会、これは根室市で開催をしておりますが、あるいは、青少年を対象としたビザなし交流の実施ですとか、全国の中学校の社会科担当教諭等に対する現地研修会、これも根室市で開催をしておりますが、こうした事業を進めているところでございます。

 そして、これからもこうした事業の進め方、新たな手法を取り入れなければいけないということで、本年度の予算の中にも一千二百六十万の予算を計上しておりまして、この予算を活用しまして、新たな運動の盛り上げの手法を検討していく、調査していく、こうしたことも進めているところでございます。

 こうしたさまざまな努力を続けながらすそ野の広い返還要求運動を展開していく、こうした考え方が重要だと認識をしております。

三井委員 今大臣がおっしゃいましたように、これはなかなか、私も一度、三年、四年前ですか、理事のときに、ぜひ北方四島の視察に行ってみたいと。ところが、国会会期中でもありますし、限られた人数と、その期間も限られておりまして、なかなか時間的にも、また人数的にも制約があるということでございます。今までの、ずっと平成十四年から見ていましても、国会議員が参加して視察に行かれた、昨年は、きょういます市村議員なんかが参加しているわけでございますけれども、本当に少ないんですよね。

 ですから、やはり元島民側が優先されるのは当たり前でございますけれども、私も、北方領土返還・四島交流促進議員連盟の一員としても、もっと積極的に、若い人たちも当然もっともっと行っていただきたい。まずは国会議員にはぜひ多く参加してくれるような場面をつくっていただきたいな。訪問団をぜひとももっともっとつくるためにも、重複しますが、藤村委員長、ぜひ視察をできるようなことも、また理事会等でも御検討いただけたらと思います。

 最後に、先ほど岸田大臣がおっしゃっていましたが、根室に視察に行かれたということで、視察に行っていただいたのは大変感謝申し上げるのでございますが、北方四島の視察にもぜひ、過去に三大臣がおいでになっているようでございますので、岸田大臣にもぜひ訪問していただきたいな、そのときは私もお供させていただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 高村大臣、岸田大臣、ありがとうございました。

藤村委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 民主党の仲野博子でございます。

 本日は、先ほどからお話があります、遅々として進まない北方領土問題に対して、岸田大臣、そしてまた高村大臣、お二方に質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、岸田大臣にお尋ねをしたいと思います。

 北方領土問題の解決に向けて、国民世論を結集し外交交渉を後押しする返還要求運動を着実に推進すると、所信表明で述べられました。

 旧島民も、何と平均年齢が七十四歳を超え、また、もう既に他界した方もおられます。この残された時間が少ないという中で、御就任直後の九月五日には、納沙布岬から北方領土を視察され、早々に根室の方にお越しいただきました。ありがとうございます。

 その中で、元島民や地元の方々とお会いになられ、この視察の結果を踏まえ、そして、戦後六十二年が経過しても進捗が見られない北方領土の現状についてどのように考えているのか、改めて岸田大臣にお尋ねしたいと思います。

岸田国務大臣 今委員にも触れていただきましたように、去る九月五日、根室市を訪問させていただきまして北方領土を視察させていただきました。

 到着時点では大変視界の悪い日でございましたが、到着しましてから間もなく視界が晴れまして、幸いなことに、納沙布岬から貝殻島、その先にあります水晶島そして勇留島まで間近に見ることができました。目と鼻の先にあるこうした北方領土の姿を拝見しまして、自分たちの国土に帰りたくても帰れない元島民の皆様方の切なる思い、あるいは悔しさ、こういったものをお察し申し上げたところでございます。

 そして、その後、元島民の皆様方から直接お話を伺い、生まれ故郷を追われた方々の大変な御苦労ですとか四島返還に向けての切実な願いを聞かせていただきました。こうした願いを聞きまして、担当大臣としまして決意を新たにしたところでございます。

 こうした方々の思いをしっかり受けとめながら、おっしゃったように、これはまさに時間との闘いだと認識をしております、こうした運動を盛り上げることによって外交交渉をしっかりと後押しして、そして成果につなげるように、担当大臣として、先ほどの三井委員の質疑の中でも申し上げさせていただきましたが、さまざまな施策を積み上げていかなければいけない、そういった思いを強く持っております。

仲野委員 今また改めて大臣からも力強い御答弁をいただきまして、地元の方たちも、岸田大臣だったら思い切った外交そして後押しをやっていただけるのではないかという期待が大変高いようでございます。何かやってくれそうな大臣だなということで、大臣も、今お答えいただいたように、ぜひ先頭に立って北方領土を、御自分が今大臣をやられているときに、ようやく返還の明かりが見えてきたというくらいまで力強くやっていただきたいなと、私からも強くお願いをしたいと思います。

 そこで、本当にこの六十二年間、北方領土未解決のまま、地元根室を含め近隣がもう相当の不利益を受けているわけであります。その中で、北方領土隣接地域の振興について、昨年度、一市四町と国、北海道で協議し、北方領土隣接地域振興協議会を五回にわたって開催したと聞いておりますけれども、会議の結果、その内容と今後の取り組みについて政府にお伺いしたいと思います。

品川政府参考人 お答えさせていただきます。

 北方領土隣接地域の安定振興をさらに強力に推進するため、平成十八年度に国、北海道及び北方領土隣接地域の一市四町から構成されます北方領土隣接地域振興協議会を設置いたしまして、鋭意、地元の要望、御意見等も拝聴しながら、地域整備の方向とそれに基づく取り組みについて取りまとめたところでございます。

 その内容につきまして、詳細は省かせていただきますが、地域の活力を高めるための産業の振興の促進、あるいは、住民が安心、快適な生活を送ることができる、そういった環境整備の促進、さらには北方領土問題の啓発と四島との交流を支援するための地域整備の促進、こういったことにつきまして、国、北海道、一市四町が連携して進めることといたしたところでございます。

 これらの協議会で取りまとめました内容につきましては、いわゆる北特法第六条に基づきまして、今後、北海道が作成いたします第六期の振興計画に反映をされるものというふうに理解をいたしております。

 北海道局といたしましても、新たに策定されます振興計画を踏まえまして、関係機関とも十分連携をとりまして、地域の安定振興に一層努力してまいる所存でございます。

仲野委員 この間、北海道局品川局長には、地元に入られて御地元のお声を聞いていただいて、そのことについて心から敬意を表させていただきたいと思います。

 同時に、今御答弁いただきましたけれども、このことについては、北海道が策定される中で、その声を反映して、どうやって国として取り組んでいくのかというお答えだったんですけれども、一番心配されることは、事業一つ取り組むにしても、局長を初め皆さんが御案内のように、今この北海道経済そして地方は大変悲鳴を上げているわけでございます。自治体がそのことについて何か事業に取り組むにしても、先立つ財政難ということで何も声を上げられないのであれば、せっかく時間と労力をかけても何も進まない。

 そういった意味では、この北海道ももう本当に今財政が厳しい中で、そこはやはり窓口とする国交省北海道局がしっかりと真摯に受けとめて、どうやったら地元の皆さんの、そういった方たちのさまざまな声にこたえられることができるのかということをぜひお願いしたいと思います。

 局長、私の今の質問に対して、改めてお答えをいただきたいと思います。

品川政府参考人 今委員から御指摘ございましたとおり、現地は人口減少あるいは産業活動の停滞等が進んでいるというふうに認識をいたしております。したがいまして、いろいろな政策を進める上でもやはり財源ということが非常に大事になってまいるというふうに考えてございます。

 これまでも、産業振興、交流のための補助金あるいは北方領土隣接地域の振興基金による補助、さらには補助率のかさ上げといった措置がとれるように財政上なっておりますが、こういったことにつきまして、私どもといたしましては、今まさに御指摘ございましたように、北方領土隣接地域の置かれている特殊な事情にかんがみまして、この地域の安定振興に関する施策の推進について、地元要望もしっかり検討させていただきながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。

仲野委員 また、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律第七条に規定するかさ上げ措置がございますけれども、財政規模の関係から、先ほど来いろいろ厳しいということで話が出ておられますが、このことについて、根室市別海町への適用実績がなくて、地元からは隣接地域の安定的な振興を図る施策がさらに望まれているわけでございます。

 二〇〇四年度から北方領土隣接地域振興等の事業推進費補助金が創設されて、今年度は一億円計上されているわけでございます。何とか来年度予算では、この補助金の枠の拡大と、引き続きの継続についての政府の見解を改めて求めたいと思います。

品川政府参考人 御指摘ございました補助金につきましては、第五期の振興計画を強力に推進するために平成十六年度に創設がされたものでございまして、北方領土隣接地域の一市四町が実施いたします産業振興の施策、あるいは交流推進に関する施策について支援することを通じまして、同地域の振興に一定の成果を上げてきたものというふうに理解をしております。

 本補助金につきましては、今振興計画の計画期間でございます本年度をもって期限とする補助金になってございます。その拡充につきまして地元から強い要望があることは、私ども十分承知しているところでございます。御指摘の件も含めまして、地元からの要望などについて検討を進めまして、しっかり産業振興と交流推進に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

仲野委員 ぜひ、局長、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 次の質問に入らせていただきますけれども、これまでずっと、返還運動の柱である四島交流が着実に実施されてまいりました。そのときに、四島交流船舶の問題について、これまで、私を含め、何人もの委員から取り上げられてきた問題でありますが、私が幹事となっております超党派議連の北方領土返還・四島交流促進議連でも、北方四島へ渡航するための船舶の確保に関する決議を行ってきたところでございます。

 この二年間、交流船舶基本構想の調査研究、これも巨費を投じて調査されてまいりました。三月に報告書が出されました。九月の報道では、後継船は民間業者が新規に建造、所有し、国が十年程度をめどにチャーターして使用する方針と伝えられておりますけれども、政府の方針はこのとおりであるのか、大臣から明らかにされたいと思います。

岸田国務大臣 四島交流等に使用するための船舶ですが、これまで、御指摘があったこの二年間の調査等によりまして、後継船舶の調達が喫緊の課題であるということ、これは強く認識をしているところでございます。そして、その運用方法につきましても、さまざまな関係者の意見を聞きながら、今調整をしているところでございます。

 政府としてのこの四島交流事業等にふさわしい船舶を確保できるような方針をまず取りまとめる、これに力を注いでいきたいというふうに思っておりまして、今、関係省庁とまだ調整の最中ではありますが、私自身としましては、本年中にこうした方針の取りまとめを目指していきたい、そのように考えております。

仲野委員 この船のことにつきましては、再三にわたって、早く本当に皆さんの要望にこたえられるように政府としてやっていただきたいという、多くの関係団体者の方たちからもその要望が政府の方に上げられていると思います。

 今大臣から、関係省庁とその方針を今年度中に出していきたいということですので、しっかりと、本当に期待にこたえられるように、バリアフリーのことだとか、あるいは、その船が果たしてビザなし交流だけで使用していいものかどうなのか。例えば、また、先ほど三井委員の方にも大臣がお答えになっていたように、子供たちの勉強のために船に乗せて島を見ていただくだとか、あるいはそういったさまざまな利用の仕方があると思いますので、そういったことを含めて、各省庁と横断的な話し合いをしっかりして、本当に喜ばれるような船に早くやっていただけることを期待したいと思います。

 次の質問でありますけれども、大臣が九月五日に根室市を訪れた際に、来年七月に開催される洞爺湖サミットに関して、領土問題への関心を高めるよいチャンスだと述べられました。領土問題への関心を高めるよいチャンスだと大臣が述べられたことは、サミットで領土問題を取り上げたいという大臣の強い意思のあらわれだと、私自身認識しております。また、地元の方たちもそう思っております。

 同サミットで領土問題を提議しないと決定したことに対して、大臣、どのような思いを持っているのか、所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、政府としましては、この北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということ、これは我が国の基本方針であります。この北方領土問題解決に向けて粘り強く外交交渉を進めていく必要があるわけでありまして、その交渉を後押しするために全国民的な返還運動を盛り上げていかなければいけない、これが私の職責でございます。

 そして、御指摘ありました私の発言の趣旨は、政府として、あらゆる機会をとらえて、さまざまな機会をとらえて国民世論の喚起に努めることが重要であるということを申し上げた次第であります。さまざまな機会をとらえてこの北方四島の返還運動を盛り上げていかなければいけない、私の立場からそういったことを申し上げた、これが発言の趣旨でございます。

仲野委員 このことに関しまして、高村大臣にもお尋ねしたいのでありますけれども、北海道で来年七月にサミットが開催されるということで、北海道といえば、隣国であるロシアとの北方領土問題が解決されていない中で開催されるということで、知事を初め多くの方たちが、この北方領土問題が議題に当然のるだろうということで期待をしていたんですけれども、なぜか提議をされないと決定いたしました。

 高村大臣の方からその理由を明らかにされたいと思います。

高村国務大臣 ロシア側が領土問題の存在自体認めない時代があったんですね。そういうときはサミットで取り上げて、国際的圧力をかけて、問題あるじゃないか、こういうことを日本政府はやってきたんです。ただ、ロシア側が領土問題の存在を今認めているんですね。認めていて、日ロ二国間で領土交渉が本格的に行われるようになって以降、政府としては、ロシアと二国間で強い意思を持って交渉していくことが重要と考えているわけであります。

 政府としては、このような考えに基づいて、一九九二年のミュンヘン・サミットより後のサミットでは成果文書等で北方領土問題を取り上げていないわけでありまして、北海道洞爺湖サミットにおいても、この問題を国際的全体の中で取り上げるという意思はないわけであります。

 ただ、洞爺湖サミットの機会に日ロ首脳会談が行われれば、当然、二国間で北方領土問題は取り上げられることになります。日ロで首脳会談をやって北方領土問題を取り上げないということはあり得ないわけであります。そして、私は、洞爺湖サミットにおいて日ロ首脳会談が行われないなどということはあり得ないと思っていますから、そういう意味では、二国間できっちり取り上げてまいります。

仲野委員 領土問題を全体の中で議題としないのであるならば、サミットという機会に日ロの二国間でぜひ取り上げてやりたいというお答えを今大臣からいただいたんですけれども、例えば、来年七月のサミットは環境問題を一つの大きなテーマにしているわけでございます。その視点から考えたときに、天然ガス開発事業が行われているサハリンや、世界自然遺産である知床と隣接する北方領土を含めた地域、海域の環境保全について話し合うことを通じて北方領土問題を各国首脳にアピールすること、そのとき、各国首脳を納沙布岬に連れていくことが不可能であれば、例えば大きなスクリーンに北方領土を映し出し、いかに日本の近くにあるかを目に訴えることなど考えられると思うんです。

 政府として、各国首脳及び各国メディアに対して我が国の北方領土問題に対する姿勢をどのように主張しようとしているのか、改めて伺いたいと思います。

高村国務大臣 G8サミット開催に際しての北方領土問題についての内外への啓発をどうやってするかということでありますが、交渉の前進に貢献するよう十分な検討と工夫を要するものと考えておりますし、北海道ともよく相談をしていきたい、こういうふうに思っております。

 要は、この交渉をして、北方四島を返ってこさせることが、ロシアをその気にさせることが大切でありますから、そのために何が役に立つのか、どうやったらいいのかということを考えながらやっていきたい、こういうふうに思っております。

仲野委員 今大臣から、北海道とも相談をして何がいいかということでお答えになったんですけれども、北海道は準備が早くて、北海道でサミットが行われるということで、北方領土問題をロシア以外の他の各国の首脳や関係者に対して積極的にPRする絶好の機会だということで、それぞれの母国語のパンフレットを作成し、その受け入れ準備に万全を期しているわけでございます。そういった中で、北海道が何か先頭を切ってやっているのに、政府もやはり北海道に負けないぐらいの、政府としてきちんと取り組んでいただきたい。

 例えば、これは私の提案なのでありますけれども、この機会にぜひ北方領土関係者の方々を招いて、首脳会議に入れなさいということじゃないんですよ、いろいろなプレスの方たちもいらっしゃっているわけですから、ぜひ懇談する機会を設けるなど、そういったことをやるべきでないのかなということを改めて伺っておきたいと思います。

高村国務大臣 ロシアと交渉して北方四島が返ってくる、日本が期待するような帰属の問題をはっきり解決する、そのためにどういうことが効果的か、委員が今御指摘になったことも含めて、何が効果的であり何が逆効果であるか、そういうことをいろいろ検討しながら、一番効果的だと思うことを政府は政府としてやっていきたい。その際に、先ほど申し上げたように、北海道ともよく相談していきたい、こう思っております。

仲野委員 まず、返ってきてこの問題が解決することが何より一番であります。そのためにはどうしたらいいかということを北海道と相談していきたいということですから、しっかりと、私はやはり、国際世論というんでしょうか、この機会にぜひそういったこともやっていただきたかったということで、この場であえて大臣の方に申し上げさせていただいたわけであります。

 先ほどもちょっとお話があったんですけれども、ナルイシキン・ロシアの副首相、五人の副首相の中でもこの方が一番プーチン大統領とかなり親しいということでありますけれども、十一月五日に総理とも会談されて、その後に大臣とも会談をされました。政官財から二百五十人の有力な方たちを伴って来たわけでありますけれども、このときに、経済協力だとかの推進が先行して、もしかしたら肝心の領土問題が置き去りにされるのではないのかなと懸念する声もあるわけであります。

 この会談の内容を踏まえて、大臣、この領土問題の解決及び平和条約の交渉に向けて今後どのようにアプローチを進めていくのか。大臣は今、これで二回目の外務大臣をされておられますよね。かなりの経験と実績もございますので、新たなお気持ちでどのように積極的に進めていくのかということをお聞きしたいと思います。

高村国務大臣 政府はこれまで、日ロ行動計画に基づき、平和条約交渉を含む幅広い分野で日ロ関係の進展に努めてきたわけであります。

 五日のナルイシキン副首相との会談では、私から、領土問題の解決に向けて具体的な進展を図る必要がある旨の我が方の考え方をプーチン大統領に伝えてほしい、こういうことを申し上げたわけであります。また、十月二十三日のラブロフ外務大臣との会談において、引き続き、日ロ関係をより高い次元に引き上げるための努力を行うとともに、領土問題の最終的解決に向け、これまでの諸合意、諸文書に基づき、双方に受け入れ可能な解決策を真剣に検討していくことを確認いたしました。

 政府は、このような両国の一致した認識を踏まえて、領土問題の最終的解決に向けて具体的な進展が得られるように、強い意思を持ってロシアとの交渉を進めていく考えであります。

 ナルイシキン副首相も、間違いなくあなたの言った言葉のとおりプーチン大統領に伝える、こういうことを言っておられましたし、ラブロフ外務大臣も、この領土問題を缶詰の中に入れてしまうつもりはない、こういうような言い方をしておられまして、私の方からは、交渉を続けていくことが大事なんじゃなくて、解決することが大事なんだ、そういう気持ちでこれから会談をやっていこう、こういうことを申し上げたところでございます。

仲野委員 そうなんです。交渉を何回も何回もやっていても、六十二年も全く解決されていない。北方領土問題が後退しているのではないかと、一時本当に懸念した時期もありました。しかし、ナルイシキン・ロシア副首相が本当に日本の考え方をしっかりとプーチン大統領の方に伝えたいということは、やはり日本政府として本当に真剣に北方領土問題を解決するという強い姿勢を見せていかないと、いつまでたってもこの問題は解決されないと私は思っているわけでございます。

 私は、プーチン大統領の任期というのが二〇〇八年五月までと聞いておりますけれども、やはりその後も何らかの形でロシアを実質的にリードしていくのがプーチンであるとの観測もあるわけでございます、そうなれば日本としても対ロ外交戦略が組み立てやすいのではないのかなと思っております。したがいまして、高村大臣にはしっかりと外交をやっていただきたい、そのように思っております。

 最後に一つお聞きしておきたいんですが、先日の新聞報道でありましたけれども、北方四島とのビザなし交流に、中標津空港と国後島のメンデレーエフ空港間でのチャーター便を、冬の期間を想定し、将来的には通年化を目指して運航することで合意したと報じられているのでありますけれども、この件に関して、事前の予告もなかった根室市、その関係者、本当に一同困惑し、驚きました。本来でありますと、こういったことは地元に対して事前に連絡があってしかるべきではないのかなと思いますけれども、大臣にこの事実確認を求めたい、説明いただきたいと思います。

高村国務大臣 十月二十三日のラブロフ外務大臣との会談におきまして、四島交流等の改善策として、双方の立場を害さないことを前提に、北方四島と北海道本島との間の冬期における航空機の利用の可能性を含め検討していくことについて一致をいたしました。

 今、中標津空港、そういうような言葉は一切出ておりません。どことかそういう話は出ておりませんが、そういうことを検討していこうということについて一致をしたことは事実であります。

 四島交流における航空機の利用については、高齢化する元島民への配慮や、冬季においても四島交流を実施したいとの元島民の希望等を考慮して、これまでもロシア側とその可能性を検討してきた経緯があるわけです。今度初めて出た話ではないわけであります。

 いずれにせよ、航空機による四島交流の実現には、北方領土問題に関する我が方の法的立場が害されない形で実施するという観点を含め、解決すべき諸問題があって、これからすぐ実現するとかそういう話じゃなくて、引き続きロシア側との調整を行っていくということであります。

 政府としては、今後とも、根室市を含めた地元の関係者や元島民の意見も踏まえつつ、四島交流等の改善に努めていく考えであります。

 あくまで、冬場の場合、船が出ないようなときにこういうこともあり得るということでありまして、北方四島との移動が今後とも主として船舶を利用して行われることにはこれは変わりはないわけでありまして、仮に航空機の利用が可能になったとしても船舶に代替するということはあり得ない、こういうことであります。

 よろしく御理解をいただきたいと思います。

仲野委員 質疑時間が終了したということですので。

 いずれにいたしましても、地元に誤解を招かないように、しっかり事前の連絡だとかきちっと話し合って、説明をしていただきながらやっていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、ぜひ一日も早い、早期領土問題解決に向け御尽力されることをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

藤村委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。三十五分いただきまして、議論をさせていただきたいと思います。

 ちょうど仲野委員の方からいわゆる空路のことで議論がありましたので、後ほど別の文脈でお聞きしようと思っておりましたが、流れがいいので、空路の問題について少し議論させていただきたいと思います。

 今高村大臣の方から、いわゆる船舶が主であって、空路は冬期とか限定されたところで使うものであるというお話がありましたが、なぜ従の関係、いわゆる主従なんでしょうか。空路も、そういう航路もということではないんでしょうか。

高村国務大臣 なかなか定期便が運航できるような状態にはならないと思うんですよね、現実問題として。それだけの需要があるという話でもないし。

 そういう中で、やはり船が現実に動いているわけでありますから、その船が動かないようなときに、一時的な代替の手段として飛行機を使えることも考えよう、こういうことで日本とロシアの間で検討を進めている、こういうことでございます。

市村委員 実は私は、この九月の二十一から二十四までの間、国後島に行ってまいりました。この日程というのは、前日の方から考えますと、五日間の時間をとらないとこの国後島一島に行けないという状況でありました。

 私も大分悩みましたけれども、こういうチャンスはなかなかないことだしということで、えいやという思いで、ちょうど時は自民党の総裁選挙のさなかでありまして、国会がある意味でいえば実質上とまっている状態であったことも幸いしまして、行こうと決意をしたわけであります。

 どういう状況で行くかといいますと、二十一日は船中泊を強いられるわけですね。そこで一泊しなくちゃならないんです。それで島に渡って、有名なあのムネオハウスと言われるところに二泊ということになるんです。

 先ほど議論の中で、国会議員が行くべきだという議論があったと思います。私も同感なんです。百聞は一見にしかずなんですね。後から議論しますが、行ってみると驚くことなんです、これは。やはり国会議員がもっと行きやすい日程、多分、五日間とれといったら恐らくほとんどの方、ちょっとそれは難しいなということになると思います。

 そのときに、ちょうどメンデレーエフ空港があるということもわかりましたし、後ほど議論もしますが、これから空港の整備もするということ、これについても是非がありますから後で議論したいんですけれども、要するに、空路を使えばある意味で日帰りも十分可能なところにあるわけです。何せ、知床半島からすぐ見えるわけですから、はるか国後にと歌にも歌われるように見えるわけですから、当然、日帰りも可能な状況になれば、朝行って島内を見て回って帰ってくれば、今あの国後島とかが、択捉島は行っていませんが、一体どうなっているかということがわかるはずなんですね。わかれば、後から議論しますけれども、とんでもないなと思います。

 それで、私はやはり空路を利用したいわゆるビザなし渡航も十分あり得ると、冬季だけじゃなくて。だからそれを交渉してほしいということをきょう実は議論したかったんですが、ちょうど仲野委員の方から議論がありましたので、今冒頭に持ってきています。

 空路も使ったビザなし渡航というのも、これは主従の関係じゃなくて、やはり空路ということを主に置いても考えるべきだ、議論すべきだと私は思いますが、これはいかが御見解をお持ちでしょうか。

高村国務大臣 将来どれだけの人が往復するかということにも関係してくるわけでありますから、遠い将来のことを予見するということはなかなか難しいわけでありますが、少なくとも、当面、それは我々が行く場合に船で五日かかって行くよりも飛行機で行った方がいいね、そういうことはあるんだろうと思います。

 ただ、当面私たちが考えているのは、冬季等で海が荒れる、そういう中で船は難しい、そういうときに、一定の、どうしても必要な方が飛行機で行くこともあり得るようにしたい、こういうことを考えているわけで、それは遠い将来はわかりません、どれだけニーズがあるかということで。

 ただ、現実の問題として、世の中全体でコミューター航空というのはそんなに成功しているとも承知しておりませんし、すぐ飛行機が主になるようなことはなかなかないんじゃないでしょうか。

市村委員 高村大臣、私は何も定期便の話をしているつもりは全くありません。まさに、さっき大臣がおっしゃったチャーター便なんです。まさに、必要に応じて空路を利用するということを提案させていただいているわけでありまして、定期便を飛ばしてくれと言っているつもりは、議論しているつもりは全くないんです。

 なぜ航路が主で空路が従なのかということがわからないということを申し上げているわけでありまして、ロシアとの交渉の中で、ビザなし渡航、別に国会議員じゃなくてもいいんです。先ほどまさにおっしゃったように旧島民の方々、皆さん高齢化されて大変きついと思います。

 たまたま今回は、ちょうど学生さんとか若い世代の人たちとの船だったんですね。だから、そういった意味ではよかった。皆さん若いですし、雑魚寝でも十分だというところで行けたんだと思いますけれども、実は、今回は若い人だけれども、普通は多分私より大先輩方、もう七十を超えて八十ぐらいの方々が行かれているとなると、これは本当にきついなというふうに思ったんですね。まさに、大臣も先ほどおっしゃったように、旧島民の方の高齢化も進んで、大変船の旅は厳しいと。しかも、一泊船に泊まれということなんですね。

 だから、そういうことも考えると、飛行機で行くという手段もあり得るし、また、私は国会議員も、ビザなし渡航の一団ということだけじゃなくて、それこそ、さっき三井委員からもありましたように、大臣初め岸田大臣、両大臣も、上から見るんじゃなくて、やはり行ってほしいんです。あの地に足をつけて見てきてほしいんですね、どうなっているのか。そして、しかも島民の方と話をしてきてほしいんです。そうすると、何が起こっているのかというのが、深くはわからないにしても、大体空気で感じられますから、なるほどなということが。

 だから、そういった意味でも、両大臣が行かれるときはまさか一泊しろとかいうことにならないとは思いますけれども、ただ、普通に行こうとするとこうなるということで、しかも人数は極めて限定的になっているということで、私は、飛行機というのも十分考えられる、そういう交渉はできないのかということをちょっとお尋ねしているわけでありますので、もう一度お願いいたします。

岸田国務大臣 まず、御指摘の四島交流事業の航空機利用ですが、これは従来、今までもこうした航空機の利用というのは検討された経緯があるというふうに聞いております。

 その際に、いろいろ解決しなければいけない課題、例えば、先ほど高村大臣からもございました、日ロ両国の法的立場を害さないことが必要。要は、航空機を飛ばす、これは国際便なのかどうか、これは日本とロシア、立場が全然違うわけですから、これをどっちにするかによって、みずからの国の法的立場、説明がつかなくなってしまうわけですから、このあたりも解決しなければいけませんし、そして航空施設、こうした物理的な問題も解決しなければいけません。

 それから、何よりも、こうした事業を進めるに当たって、今まで御理解をいただき、御協力をいただいてきました根室市を初め地元の皆さんの意向、これもしっかりと確認をして、御理解をいただいた上で進めなければいけない、そのように感じております。

 そして、加えて、輸送力を初めとするこうした能力的な問題も考えますときに、現状では船舶を主としなければならない。ただ、御指摘のように、いろいろな検討は進めるということ、これはあり得ることだというふうに思っています。

市村委員 物理的な問題に関しては、実際にロシアは既に飛ばしているわけですね。私はもちろん、北方領土は我が国の領土だという立場で議論させていただいていますので。ただ、メンデレーエフ空港は休眠空港ではなくて実際に使われている空港です。週三便飛ばしています。だから、飛行機さえちゃんとすれば、物理的環境が整っていないと向こう側は言えないと思います。

 それから、もちろん根室市民初めいわゆる地元の皆さんの意向というのは当たり前の話でありまして、そこを無視して日本政府だけで勝手にわあわあとやっていいものじゃないというのも、そのとおりだと思います。

 あとは法的問題ですね。あの島は我が国の領土だと私たちは主張しているわけですから国内便だということかもしれませんが、しかし、それは船においても同じことが言えるんでしょうし、だからこそ、ビザを発給しない、いわゆるビザなし渡航という形になっているわけであります。

 ですから、それは船でも同じ議論があった上での今の船だと私は思いますので、飛行機をということについて、決して主従の関係ではなくて、もっと主体的に飛行機を使うということも考えていいというのが私の――ここでこんなえらい長くなるとは思いませんでしたが、これは何事にも困難はあります、何事にも交渉事での困難がありますけれども、飛行機を使うということについてなぜ日本側がそんなに逡巡しなくちゃいけないのか私はよくわからないんです。

 向こう側が、ちょっとやめてくれ、そんな簡単に来てもらっちゃ困るという話ならわかるんですけれども、日本側で何で、いや、飛行機はまだまだちょっと先の話ですねというふうにこっち側がなるのがちょっとよくわからないわけですね。これは大臣、いかがでしょうか。

高村国務大臣 今岸田大臣も言ったように、解決しなければいけない法的問題があるわけですよ。それは船でも同じだとおっしゃいましたけれども、新たに航空便を設定する場合には、それが新たな問題として解決をしなければならない。そういうことですから、そう簡単に、すぐすることではない。私たちが提起をして、では検討しましょうとロシア側もなっている、こういう状況であります。

 そして、主と従という話は、これは、始まっちゃうと経済原則とかいろいろな原則で変わってくることはあり得ますけれども、私たちの予測としては、少なくとも当初は船が主で飛行機は従になるでしょう。そして、経済原則だけではなくて、今現実に船を出しているそういう人たちの了解もそれなりに得ていかなければならないでしょう。そういうことを岸田大臣も申し上げているし、私も申し上げているところでございます。

市村委員 やはりわからないんですね。

 本当にこんなことで時間をかけたくないわけですが、大切なことだからちょっと議論を続けますけれども、もちろん、何事も交渉事がそう簡単にいくだなんということを私は申し上げているつもりはありません。ただ、こちら側から、最初から何で飛行機が従になるのかということを前提に話をしていくのかということを申し上げているんです。もちろん、法的問題でいろいろあるでしょう。それから、交渉の時間はかかるのかもしれません。しかし最初から、いや、飛行機は従ですね、冬だけでいいですね、こういう話をわざわざしなくてもいいじゃないですか。

 向こうからむしろ、いや、そんな簡単に来てもらっても困る、表に出さないにしても、いろいろ思いの中で、そう簡単に来てもらっちゃ困るぞ、飛行機なんかで来られちゃ簡単に来られちゃうなと。向こう側から、いや、それはちょっと、今は船でやっているんだから、頼むから船でやってくれよというならわかるけれども、何で日本側がそうやって限定的に、まず交渉事を始める前に、ある種限定をして、こっちから交渉をしなくてはならないのか、それがよくわからないということを申し上げておりまして、これは、飛行機の問題だけじゃなくて、多分後から議論したかったことにもつながるんですが、日本側でなぜこうなるのかというのがわからないんですね。

 では、ちょっと本題に入ってきてもいいんですけれども、私が、今回、国後島に行かせていただきました。それで、見たものというか現実は、本当に実効支配がここまで進んでいるのかという驚きなんです。私も、二十年ほど前に、北方領土返還ということで、何か友人から誘われて、一度根室に行ったことがあったんですけれども、そのときは、根室の花咲港あたりから見て、それこそあれが北方領土だとは見えなかったんですけれども、あの辺にあるんだということで、ああ、なるほどな、こういう状況です。

 しかし、行ってみて、それでその後国会に来させていただいて、沖縄北方に入らせていただいて一年半ぐらいたつんですが、きょうの状況を見ると、どちらかというと沖縄中心で議論が進んできたこの沖北委員会も、きょうは特にロシアの話がよく出ているという話で、先ほど議論があったように、多分、恐らく日ロ関係がある意味どこかでブレークしたというのか、日ロ関係のやはりいろいろな意味での交渉の深まりが一面にあるんだろうな、だからこそ北方領土問題もまたクローズアップされてきたんだなということで、決してその側面は悪いとは思っていません。恐らくエネルギー問題を主として日ロ関係でいろいろな議論が始まってきているということであります。

 ただ、そこで私が見てきた北方領土の現実を考えていくときに、これまで日本政府が求めてきたように、あれは我が国の領土であって早く返してほしいということが、本当にこのままいったら成るのかということなんですね。そこが非常に疑問なんです。

 そのときに、先ほどからの議論を聞いていますと、日本側の苦しい立場もわからないでもないけれども、非常にあいまいなんです、物事が。こっちの言い方が非常にあいまい。一体いかなる戦略であの実効支配が進んでしまったものを返してもらうのか、もしくは、返してもらうということがだめならば、いかにしてあそこで日本人が住めるようになるのか。今、日本人がゼロですから、いかにして日本人が住むもしくは日本人も住むという方向に持っていけるのか。返してもらえないとなれば、つまり、返ってこないのであれば、こっちも住むような何か手だてを考えていかなくちゃいけない。そういうときに、いかなる戦略を持ってこの国がロシアとの交渉に立っているのか、ついているのか。経済協力はいい、経済協力の話は進んでいる、では、領土問題はまた置いておくんですかということですね。

 これは、北朝鮮のものと似ていますね。いわゆる拉致問題よりもまず経済協力というか、対話と圧力ということですね。あちらの問題というのはまだ僕は経済協力というのが十分あり得ると思っていますが、こっちは極めて実効支配がもう進んでしまっているという状況の中で、いかに返してくるのかというときに、この飛行機の問題一つとっても、非常にこちら側から限定的に物を言わざるを得ないような状況に日ロ関係の外交交渉の場というのはあるのかと勘ぐらざるを得ないような話になるんですね、さっきの御答弁を聞いていますと。

 何でもっと我が国の立場はこうだと言った上で、しかし、交渉ではすべてをあっちがのむとは思えません、それは八〇かもしれない、五〇かもしれない、三〇かもしれませんけれども、少なくとも我が国はこうしたい、こうしていきたいというのが当然ないと、これは交渉事にならないですよ、こっちが初めから引いていたら。だから、そういった意味では、日本政府としては一体どのような戦略を持って今後北方領土の問題については当たっていこうとされているのかということをきょうは議論したいんです。

 ですから、まずは大臣の方から、どういう戦略を持って今後当たっていくのか、ちょっとその辺のところの、なかなか細かいことは外交上言えないかもしれませんが、大まかな戦略で構いません、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

高村国務大臣 我が方は一貫をしているわけでありまして、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、四島とも我が国固有の領土である、かつてよその国の領土になったことは一度もない、四島とも我が国の領土であると。その帰属の問題をロシアにものませた上で、そして平和条約を締結する。全くぶれていないんだ、これは一貫しているわけであります。我が国がそこがあいまいだとかなんだとかいうことは全くありません。それはよく御承知おきをいただきたいと思うわけであります。

 そして、もう一つ委員にお願いをしたいのは、日本政府は、ロシアの占拠の状態がどういうふうに進もうとも、実効支配という言葉は絶対に使いません。日本政府は使いません。それは一定の法的意味を持つ言葉だからであります。ロシアがしているのは、どんなにしようとも、それは不法占拠であります。そこだけは、日本国国会議員が使うというとロシアに誤ったメッセージを与えますので、よろしくお願いをいたします。

市村委員 わかりました。では、不法占拠と改めさせていただきます。

 では、不法占拠状態があそこまで進んでいるということ。大臣、行かれたことはありますか。島に現実に足を踏み入れたことがありますか。

高村国務大臣 島に行ったことはありません。

市村委員 ぜひとも行っていただきたいと思います。不法占拠がどれだけ進んでいるか。

 私は、それが必要だということであれば日本国の国会議員としてそういう言葉を使いますが、ただ、あそこに行って島民の方々と話をし、島民の方々も日本に来られて本当に日本のことを好きになっていただいているということを考えたときに、この話は、政府と政府の話もありますが、もっと人間的に解決する方法はないのかなというのも一方ではあるんです。不法占拠というのは、それは立場としてはそう申し上げますが、それは後で聞きたいと思います。

 大臣、一貫した姿勢というのはわかりますけれども、実態は不法占拠があそこまで進んでいるわけです。あそこまでと言われても多分実感はわかないと思います、行かれていないとすれば。しかも、今度、あそこは南クリル地区というふうにロシア側では呼んでいるようなんですが、クリル諸島社会経済発展計画というのを採択されたということでありまして、二〇一五年までにこの地域に、約二百二十億ルーブルということですから、今で換算しますと九百七十五億円に上る巨額の資金を投入する、こういうことになっておりますが、ロシア側の意図はどこにあるとお考えでしょうか。

高村国務大臣 ロシア側の意図は、ロシアに聞いてみたことはありませんし、よくわかりませんが、やはりそれは、今ロシア人が現実に住んでいるから少しでも快適な生活を与えたいという意図もあるかもしれないし、不法占拠であるにしても、彼らは実効支配という言葉を使うんですよ、彼らの使う実効支配の状況をより確実なものにしたいということもあるかもしれないし、正確にはわかりませんが、そういうことをロシア側に聞く必要も私は特にないと思っています。

市村委員 大臣、本当に何か、えらい私は不思議な気分に襲われるんです。私は日本国の大臣と議論していますね、今ここで。大臣は、あれは不法占拠だ、私は実効支配という言葉を使ったけれども、不法占拠だとおっしゃっているわけですね。不法占拠地帯に向こうは巨額のお金を投じようとしているのに、いや、これを聞く必要もございませんという話で済まされる問題なんですか、これは。

高村国務大臣 そういうことを、巨額の投資をしていること自体を今何とかかんとか言うよりも、帰属の問題を解決して平和条約を締結するという根本問題をしないで個別のことにいろいろ言ったって、それは意味が余りないことでしょう。

 むしろ、そういう中で、例えば第三国の労働者を入れてやっている、そういうことについては、主権の問題と非常に絡みますから私たちははっきり言いますよ。だけれども、根本的問題を解決しないで、そこと関係なく、投資をするのがけしからぬ、これがけしからぬ、あれがけしからぬ、そういうことを言っても、それはせんのないことなんですよ。だから根本問題を解決しようというのが私たちの立場だ、こういうことを申し上げている。

市村委員 いや、だから、私もまさに根本問題を解決するためにということを申し上げています。根本問題を解決するのに、六十年以上、どうなっていますか、これで解決しているんですか。解決しないまま、向こう側では実効支配、こっち側で言う不法占拠が進んで、実態上、行ってみたら、もうロシア人は七千何百人住んで、日本人はゼロ。

 大変厳しいと思いますよ、ロシアのあの生活。実質、自給自足的生活ですからね、あそこに住むということはなかなか大変だと思います。だからこそ、人間的な立場に立てば、ロシア人のあそこに住んでいらっしゃる方々に別に何も恨みはないわけです。ただ、あそこまでもう実態が進んでしまっている状況なんです。幾ら声高に、いや、日本はもっと根本問題を解決しなくちゃいけないんだと言いながら、六十年間こうなってきて、だからどうするんですかということを今議論しているつもりなんですね。

 しかも、不法占領しているところに一千億近いお金をこれから投じようとしている意図も聞かない。別に、それをとがめるとかじゃなくて、意図ぐらい聞いてもいいじゃない、どういう意図でこれをやられるんでしょうかということを聞くぐらい。何か悪いことなんでしょうか。それを聞かない、聞く必要もないと大臣がおっしゃったので、私は驚いているんです。

高村国務大臣 ですから、私たちは、わざわざロシアに聞かなくとも大体推測はできるわけですね。それは、彼らは自分たちの領土だと主張しているわけですよ。我々から見れば不法占拠だけれども、そこに彼らの国民が住んでいるわけです。そうしたら、そこに投資して、よい居住環境、あるいは経済環境、そういうものを整えようとするのは、それは日本だって、日本が日本の領土だと考えるところに人が住んでいればそこに投資をするというのは当たり前のことだ。ただし、その根本が不法占拠だから、その根本問題を解決しましょうということを申し上げているわけです。

 六十年間解決していないから、ではあきらめるんですか、あきらめないんでしょう。だから、六十年間解決していないから声高に言ってもしようがないというようなことは、そんなことないですよ。私は声高に言っているつもりはないんです。やはりこれは解決しなきゃいけない問題なんだ、だからその原則論を申し上げている、こういうことです。

市村委員 ですから、では、これまで動かなかったものを、さっきおっしゃったような揺らぎない大原則を持ったものとして、今後、どういう戦略を立ててあれだけ不法占拠が進んだ状態を解決していくのか。その戦略の一端でもいいから、こういう方法かなということなんか、道筋を教えていただけますでしょうか。

高村国務大臣 日ロ行動計画というものがありますので、そして、その日ロ行動計画の中の中心に北方領土問題があるんです。北方領土問題を解決して平和条約を締結するということがあって、それを含むところの日ロ行動計画全体を進めていく、そして首脳会談、外相会談、あらゆるレベルでその問題をしていく、こういうことでございます。

市村委員 これまでも議論をされてきたけれども動かなかったんですね。

 日ロ行動計画ができたのが、三年前だったか去年だったか、済みません、ちょっとあれですけれども、では、それができてからのいわゆる交渉事というのは、大臣の中では、かなり進んできている、こういうふうな御見解でいらっしゃいますでしょうか。一歩でも進んでいるのか。

高村国務大臣 かなり進んできているというか、これはプーチン大統領が解決したいという意思を持っているということを最近かなりはっきり表明しているわけですよね、かなりはっきりしている。そして、それを、例えばラブロフ外相が来るときに、これをこのままにしておいてはいけないんだということをきっちり伝えている、こういうことがある。

 そういうことは、両方が強い意思を持って進める可能性がある時期に来ている、何とかその可能性を実現していく、そのために日本側としても全力を尽くしたい、こういうことでございます。

市村委員 日ロ行動計画は〇三年ですね。ですからもう三、四年たってきているという中で、昨今の日ロ関係の進展といいますか、交渉事の進展は、レアメタルを中心として恐らくエネルギー問題がやはり多くあるものだというふうに思っています。だから、ここで関係が深まれば北方四島の問題も話をできるような雰囲気もあるのかなとは思いますが、しかしながら、やはり現実は不法占拠が進んでいるということであると私は思います。

 なかなかまだ具体的な議論ができなかったのが残念ですけれども、私の提案としましては、今まで、二島返還論とか、面積を半分にするとかいう、いろいろな議論があったようでありますが、知床半島が世界遺産に登録されている中で、私がやはり国後島に行かせていただいて思ったことの一つは、手つかずの自然があそこにあるということで、極めてほっとさせられるところでもあるのは事実なんですね。実はそういう提案があるようでありますけれども、知床半島の世界遺産の範囲をもっと広めて、いわゆる北方四島も世界遺産の範疇に含めていくということの中で日ロが共同して責任を持つというような発想には立てないのか、そして日本人もあそこに住むということ。

 だから、どっちの国のものかということをある種あいまいにしておくという方法も、現実的解決策としてないのかなというのが私の思いであります。そうしないと、幾ら島民の方が帰りたいといっても、こんなビザなし渡航で年に何回かしか行けない、何日かしか行けない、墓参ぐらいしかできないということになりますので、何か、早期に解決していく方法として、将来的には領土問題というのは残るんでしょうけれども、その前段階として、あそこを日ロで共同管理する、世界遺産として共同管理していくという方法がとれないのかな、これが私の今考えている提案であります。

 例えば日本の屋久島は、入島制限をして、入島料も取って、しかもちゃんとごみを残さないようにというようなことで、日本の中でもそういうことをやっているところがあるわけですから、北方四島もそういうことで、大変いいところですから、行きたいという方がいれば、それなりのお金も払った上で、しかも自然をきちっと大切にするということをちゃんと約束した上で入っていただいて、その自然環境を満喫していただいてということで、そして人の行き来をもっとよくしていくということも考えられないかなというのが私の提案でございますが、これはお二人の大臣にちょっと御見解を聞かせていただきたいと思います。

高村国務大臣 歴史上、主権をあいまいにして混住の地みたいなことにした例はあると承知をしておりますが、うまくいった例は一回もない、歴史上一回もない、むしろ問題ばかり起こって紛争が起こった、こういうふうに私は承知をしている。

 それから、先ほど、二島返還の検討をしたとか、面積が半分と検討したこともあると。そういうことを日本政府が検討したことはありません。

岸田国務大臣 四島返還を実現して平和条約を結ぶ、これが我が国の基本方針だと認識をしております。その基本方針実現のために国民運動を盛り上げていく、これが私の職責だと認識しております。

市村委員 質問を終わります。

藤村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。きょうは、外務大臣そして沖縄北方担当大臣に沖縄問題についてそれぞれ質問をしていきたいと思います。

 二〇〇四年八月、普天間飛行場所属の大型ヘリCH53Dが沖縄国際大学に墜落、炎上をしました。その後も米軍は住宅地上空で旋回飛行訓練を行い、住民は墜落の恐怖と隣り合わせで暮らしております。

 外務大臣に伺いますが、三年前の沖縄国際大学へのヘリ墜落についてどのように認識しておられますか。

高村国務大臣 大変残念な事件であり、二度とあってはならない事件だと認識をしております。

赤嶺委員 当時、宜野湾市の中学生は、これを最後の警告にしてほしい、このように訴えておりました。ところが、在沖海兵隊は、十一月六日から八日にかけて墜落した事故機と同じ型のCH53Dヘリ四機、兵員六十人を普天間飛行場に配備しております。私は極めて重大だと思います。

 アメリカ側から外務省にいつどういう通報があったのか、説明していただけますか。

羽田政府参考人 お答えいたします。

 アメリカからは、十一月の十日までにイラクに派遣されていた米海兵隊所属のCH53Dヘリコプター四機が普天間飛行場に帰還し、また、この四機を含め来年一月までに合計で同型機十機が我が国に帰還する予定であるとの説明を受けており、既に八日までに四機が帰還したと承知しております。

 米側からは、この旨、これの前、具体的にいつ連絡があったかというのは、調べた上でまた御説明いたしたいと思います。

赤嶺委員 そうすると、今説明したのは何ですか。連絡があったことを説明したわけじゃないんですか、今答弁したのは。

羽田政府参考人 そのとおりでございます。米側の方から事前に連絡があったことの内容を今御説明したわけでございます。

 その内容については、米側からの連絡を受けて、十一月二日以降、防衛省より地元の沖縄県及び宜野湾市に対し情報提供を行ったというふうに承知をいたしております。

赤嶺委員 ヘリは四機。兵員は何名ですか。

羽田政府参考人 十一月の八日までにヘリ四機及び兵員約六十名が普天間飛行場に帰還したというふうに承知しております。

赤嶺委員 米側のプレスリリースを見ますと、ヘリ十機、兵員百五十人、これが帰還する予定だと言われておりますが、そのすべてが普天間飛行場に配備されるんですか。

羽田政府参考人 冒頭説明申し上げましたように、これまでにこの四機が帰還し、来年の一月末までに十機が帰還するということで説明を受けております。要員についても、六十名がこれまでに普天間飛行場に帰還しているというところでございます。

赤嶺委員 私が聞いたのは、そのすべてが普天間飛行場に配備されるのですか、そのことを聞いているんです。しっかり答えてください。

羽田政府参考人 冒頭申し上げましたように、来年の一月末までに十機が我が国に帰還する予定で、そのうち四機は十日までに帰還をしている、残りの六機がどの飛行場に戻るかということは、まだ未定ということで我々は聞いております。

赤嶺委員 米軍の発表では、六カ月ローテーションのUDP、このように言われているようですが、そうしますと、六カ月を過ぎましたら撤退するんですか。

羽田政府参考人 我々が聞いているところによりますと、米側の部隊展開計画では、部隊の兵員は六カ月で交代することになるけれども、航空機については六カ月交代よりも少ない頻度で交代することもあるというふうに理解しております。

 ただ、部隊展開の期間については、米軍の運用に依存するということでありますので、その時点で変更があり得るというふうに理解をしております。

赤嶺委員 ヘリと兵員は何か別々の期間に移動するようなお話だったわけですが、ローテーションで移動していくわけですね、今後。――どうして答えられないんですか。

羽田政府参考人 その点については、運用にかかわることですので、まだ現時点では我々としては承知しておりません。

赤嶺委員 海兵隊のUDPということであれば、例えば、普天間に今四機配備された、兵員も配備された、それに伴って、現在普天間に配備されているヘリが何機、どこに移ることになるんですか。

藤村委員長 ちょっと時間をとめてください。

    〔速記中止〕

藤村委員長 では、時間を動かしてください。

 羽田参事官。

羽田政府参考人 我々が承知している範囲では、平成十六年の一月の現在で普天間飛行場における配備状況というのは、CH46Eが二十六機、CH53Eが十四機、AH1Wが十三機、UH1Nが八機というふうに承知をしています。

赤嶺委員 ですから、今ローテーションで、事故を起こした同じ型のヘリがイラクから帰ってきたわけです。そうすると、今普天間飛行場にいる別のヘリ、それはまたローテーションでどこかに行くということになるんですか、ならないんですか、そのことをちゃんと聞いているんです。

羽田政府参考人 具体的にヘリがどれほど普天間飛行場に展開するかということについては、部隊運用に係る内容であり、コメントできないという説明を米側から受けております。

赤嶺委員 外務省、いつからいつまでいるのかわからない、それから追加して帰還するヘリがどこに行くのかわからない、米軍の運用だから今の普天間飛行場の航空機がどうなるかわからないと。これが外務省ですか。外務省がやはり日本の国民の平和と安全についてきちんと交渉するというような姿勢を失っているんじゃないですか。先ほどの答弁を見ていて、非常にそういうことを感じるわけです。

 政府は、あの墜落を受けて、だから普天間飛行場は移設が必要なんだといって、辺野古の基地建設を進めようとしてきました。その普天間に、墜落した、事故を起こしたヘリと同じ型のヘリが配備をされたんです。

 外務大臣、米側の連絡を受けて、配備をとめるよう要請しているでしょうか、外務省は。

高村国務大臣 配備をとめろとまでは要請しているとは承知しておりません。

赤嶺委員 どんなことを要請されたんですか。

高村国務大臣 おっしゃるように、本件ヘリコプターは、二〇〇四年に沖縄国際大学に墜落したものと同型であると承知をしております。この点に関して、米側からは、CH53Dの墜落事故を受けて、事故報告書の定める改善措置に従い、整備マニュアルの改善、勤務時間のガイドラインの策定などの措置を講じており、部隊の活動に当たり安全性を最優先しているとの説明を受けているわけであります。

 また、本年八月には、日米両政府は、普天間飛行場の離着陸経路の改善など、現在普天間でとり得る最善の措置を取りまとめた報告書について日米間で合意をしております。

 政府としては、米側に対してこうした取り組みの着実な実施を働きかけているところでございます。

赤嶺委員 私は、外務大臣に申し上げたいんですけれども、一度墜落したヘリがまたやってくる、イラクから帰還してくるわけですよ。そういうヘリが住宅地上空を飛び回ってみた場合に、旋回訓練を始めてみたときに、どんなにアメリカが安全に気をつけているといっても、不安は抑えられないですよ。墜落の不安は拡大こそすれ消えはしない。アメリカの安全だという説明を信ずる人はだれもいません。そういう不安が今宜野湾市に高まっております。きょう、宜野湾市長も、外務省も含めてでしょうけれども、抗議の申し入れを行ったと聞いております。

 先ほど、外務大臣は、離陸、着陸の安全なコースを設定したとおっしゃいましたけれども、普天間飛行場に安全なコースなんてないんですよね。人家が少ない地域がまずないわけですから。今までは八カ所を離陸、着陸に使っていたけれども、それを限定的な一カ所ぐらいに絞ったら、そこの絞られた側に爆音が非常に激しくなるわけです。これは、私、一年間、防衛省ともその問題でやりとりをしました。しょせんは机上の空論なんですよ。

 だから、私は改めて、事故と同型機のCH53Dヘリは県民感情を考えて撤退すべきだということを強く外務省が要求されるよう、強く申し上げておきたいと思います。引き続きこの問題を追及していきます。

 次に、名護市辺野古の新基地建設に関する環境アセス方法書、これについて聞きます。

 政府は、現在、環境アセスの方法書を提出して、辺野古に建設される基地の概要を示しております。方法書とは、事業者の建設計画をもとに環境アセスの方法を住民に公開して意見を求めるため作成するものだ、このように防衛省は説明してまいりました。その意味では、建設計画について、その中身が最も説明責任が求められている手続であります。

 そこで聞きますが、方法書には、作業ヤード、これがそれぞれ三カ所示されているわけです。ケーソンを製作する作業ヤードだといいますが、大浦湾の奥、辺野古漁港、この二カ所は埋め立てによって作業ヤードが建設されると。それぞれ、大浦湾の奥とそれから辺野古の漁港の埋め立て、どれだけの規模の埋め立てを行うんですか。

長岡政府参考人 現在、今御指摘のように、環境影響評価を行わせていただいておりますけれども、具体的な、正確な数字につきましては、準備書等の段階で決めることになろうかと思っております。

赤嶺委員 皆さん、建設計画を示したわけですよね。こういう基地をつくります、その建設計画の一番の核心は、環境に与える影響を極力少ないような工事の方法をとりますという説明をあなた方なりに一生懸命やっている、これが方法書でしょう。

 大浦湾の奥というのはトカゲハゼが住んでいる、これはもう絶滅危惧種だ、そういうようなものもあるし、それから向こうは環境省が指定する日本の重要湿地五百の中に入っている貴重な自然ですよ。あの大浦湾の奥の流れが、ウミガメが産卵する砂浜も形成するような要素になっている。こういうところの埋め立てをやりますとだけ言って、埋め立て面積も示さないという、こんなのは説明にならないんじゃないですか。

長岡政府参考人 今御指摘のように、サンゴ、ジュゴン、海象などの現況調査につきましては、六月から調査を開始しているところでございまして、サンゴ類、海藻類等の調査も行っております。また、陸域におきましては、同じく六月から動植物とか鳥類などの調査を行っておりまして、今後必要な作業、調査を、四季を通じて実施いたしまして、環境にどのような影響を与えるかどうかについて今から調査をさせていただくということで、行っているところでございます。

赤嶺委員 長岡さん、今あなた現況調査を何か説明していましたけれども、私はそれについて何も聞いていないんですよ。現況調査はあしたの安保委員会で聞こうと思っていますけれどもね。

 今私が聞いたのは、大浦湾の奥を埋め立てます、辺野古漁港を埋め立てます、そこに作業ヤードをつくります。作業ヤードといっても、ケーソンというのはビル一つぐらいの大きさですよね、それをつくる製作所ですから、巨大な埋め立てですよ。ああいう貴重な自然環境の埋め立て面積というのは、環境に与える影響を調査していく上で、はかる上で決定的なんですよ、あの規模というのは。

 その規模が決まらないのに、あなた方は、環境に与える影響を極力少なくするよう頑張っています、そういうことをおっしゃるんですか。何で面積をはっきりさせられないんですか。

長岡政府参考人 先ほどのお答えの繰り返しになって恐縮でございますけれども、まだ正確な面積というのは決定をされていないところでございます。

赤嶺委員 正確な面積も決定しないで、つまり、我々は白紙委任をするんですか、防衛省に。今の方法書の中に、ここは埋め立てると。しかし、この埋め立ては、もちろん埋め立て自身がもうひどいものだ、こんなきれいな海を埋め立てるものかという思いがある、同時に、あなた方が必要だと思えば幾らでも埋め立てられる、そういうことになるじゃないですか。

 大浦湾の中央部、ここはケーソンの置き場だと言っていますよね。ケーソンというのはどのぐらいの規模なんですか。そして、その大浦湾の湾の中央部の置き場というのはどのぐらいの規模になるんですか。

長岡政府参考人 赤嶺先生、繰り返しになってまことに恐縮でございますけれども、今、私どもといたしましては、そういう調査を始めたところでございまして、もちろん、そういったケーソンは確かに大きなものでございます、でも、それが必要最小限にとどまるように、環境破壊等は引き起こさないように、できるだけ気をつけてやりたいと思っておるところでございまして、決して、無目的に幾らでも大きなものを埋め立てようとか、そういうことは全く考えておりませんので、御理解を賜りたいと思っておるところでございます。

赤嶺委員 方法書をあなた方は出したんですよ。方法書は、事業者が環境に与える影響を極力少なくするような、そのためにこのようなものを建設しますという建設計画をしっかり示さないといけないんですよ。建設計画が定まって初めてそれが方法書に掲載をされて、そして県民や国民、世界じゅうの人々の意見を聞くということになるわけですよ。あなた方は、何もかもあいまいで出して、そんなので、それを認めてしまったら、あなた方のやり方を認めてしまったら、後はもう事業が進むだけじゃないですか。

 それで、私は沖縄担当大臣に伺いたいんですけれども、岸田大臣は名護市辺野古の基地建設予定地を視察したと報道で知りました。その中で、大変すばらしい自然環境の一端も見ることができた、課題を解決する上で、頭に入れておかなければならない要素だと。私流にあれしますと、課題解決というのは、基地をつくる上ということでしょうかね、頭に入れておくというのは、大変すばらしい自然環境ということでしょうかね。こう言っているわけですね。それで、今の現況調査の問題についても聞かれて、多くの皆さんに理解してもらえるよう、調査が適切に進められなければならないと言っています。

 あの海域に、大臣もごらんになった大変すばらしい自然が、自然が一体となっているんですよ、向こうは。渡り鳥も来る、ジュゴンもやってくる、海の青さは本当にすばらしい、砂浜もある、山もある。あそこを埋め立てるんですよ。何ヘクタール埋め立てるか、だれにも説明しないで、とにかく埋め立てます、ケーソンをつくるとなると巨大な規模になるでしょうと。しかし、その規模さえ明らかにしない。こんなやり方で、方法書です、県民の皆さん、意見を下さい、国民の皆さん、意見を下さいといって、これは十分な説明と言えるでしょうか。沖縄の自然環境を守る立場に岸田大臣は立っておられると思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 私も、現地を拝見させていただきまして、あの空間に立たせていただき、この問題、本当に多くの課題が重なり合っているなということを実感いたしました。安全保障の問題、外交の問題、騒音の問題、環境の問題、住民の生活の問題、あるいは観光を初め産業振興の問題、本当にさまざまな課題が重なっているということを感じたところでございます。その中で、自然環境の問題も大変重要な課題だというふうに思っております。

 このアセスの方法書、環境アセスの手続につきましては、今防衛省の方で事業を進めているわけですが、やはりしっかりと、多くの関係者の理解を得られるよう丁寧に進めていただきたい、担当大臣としては強く感じております。

赤嶺委員 その方法書、建設計画の中身もあいまいなまま、そして、これはどんなのをつくるんだろうかと、読んでも読んでも理解できないような中身を出して、意見を下さいといっても、これは通るものではありません。私は、こういう方法書は撤回して、もう一度やり直すべきだということを強く求めまして、質問を終わります。

藤村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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