衆議院

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第4号 平成26年3月12日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十六年三月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 今津  寛君 理事 関  芳弘君

   理事 西銘恒三郎君 理事 宮腰 光寛君

   理事 宮路 和明君 理事 菊田真紀子君

   理事 阪口 直人君 理事 佐藤 英道君

      秋元  司君    伊東 良孝君

      勝沼 栄明君    國場幸之助君

      武部  新君    永山 文雄君

      比嘉奈津美君    堀井  学君

      宮崎 政久君    渡辺 孝一君

      奥野総一郎君    岸本 周平君

      石関 貴史君    西岡  新君

      遠山 清彦君    杉本かずみ君

      井坂 信彦君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 山本 一太君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   防衛副大臣        武田 良太君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井上 源三君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  石原 一彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           磯谷 桂介君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 加藤 重治君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   山下 和茂君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     奥田 哲也君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  伊藤 盛夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 岡  真臣君

   衆議院調査局第一特別調査室長           本多  満君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     勝沼 栄明君

  前原 誠司君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     武部  新君

  奥野総一郎君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  岸本 周平君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

三月七日

 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 この際、三ッ矢外務副大臣及び亀岡内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。三ッ矢外務副大臣。

三ッ矢副大臣 おはようございます。外務副大臣の三ッ矢でございます。

 先般、出張中でございましたので、当委員会で御挨拶ができませんで、改めて、本日、御挨拶をさせていただきたいと思います。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、特に、尖閣諸島をめぐる情勢につきましては、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意で、毅然かつ冷静に対応してまいります。

 我が国の外交、安全保障の基軸たる日米同盟の強化にも引き続き取り組んでまいります。

 また、ロシアとの間では、今後とも、政治対話を重ねつつ、日ロ関係を進める中で、平和条約締結交渉にしっかりと取り組むことが重要でございます。

 これらの基本的な考えに基づき、岸田外務大臣を補佐し、外務副大臣としての職責を全うするべく全力で取り組む所存でございます。

 何とぞ、委員長初め委員各位の皆様方の御支援と御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

安住委員長 次に、亀岡内閣府大臣政務官。

亀岡大臣政務官 ただいま紹介にあずかりました内閣府大臣政務官の亀岡であります。

 御挨拶がおくれ、大変申しわけありませんでした。

 山本大臣、後藤田副大臣をしっかり支え、沖縄政策、北方領土問題解決のために全力で働いてまいります。

 安住委員長初め理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

安住委員長 内閣提出、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山本沖縄及び北方対策担当大臣。

    ―――――――――――――

 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本国務大臣 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 沖縄は、成長するアジアの玄関口に位置づけられるなど、大きな優位性と潜在力を有しております。昨年六月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針及び日本再興戦略にあるとおり、沖縄が日本のフロントランナーとして二十一世紀の成長モデルとなり、日本経済活性化の牽引役となるよう、国家戦略として、沖縄振興策を総合的、積極的に推進することが必要とされています。

 このような中で、このたび、沖縄の自主性を尊重しつつ、その総合的かつ計画的な振興を図るため、課税の特例に関し、経済金融活性化特別地区に係る特例措置を創設すること等の所要の措置を講ずることとし、ここに本法律案を提出申し上げる次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、現行の金融業務特別地区制度にかえて、産業の集積を促進することにより沖縄における経済、金融の活性化を図るため、経済金融活性化特別地区制度を創設することとしております。

 本制度におきましては、内閣総理大臣が経済金融活性化特別地区を一を限り指定することができることとし、沖縄県知事が集積を促進しようとする産業の内容等を定めた経済金融活性化計画を策定し、内閣総理大臣が当該計画を認定した場合に課税の特例等の措置を講じることとしております。

 第二に、従来国が指定することとしていた情報通信産業振興地域及び情報通信産業特別地区並びに国際物流拠点産業集積地域について、沖縄県が情報通信産業振興計画等を策定し、当該計画において各地域等を定めることとする等の措置を講じることとしております。

 第三に、航空機燃料税の軽減措置の対象について、沖縄と本土との間を航行する航空機に積み込まれる航空機燃料に加えて、沖縄県内の各地間を航行する航空機に積み込まれる航空機燃料を追加することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び概要でございます。

 本法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

安住委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

安住委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官井上源三君、内閣府沖縄振興局長石原一彦君、文部科学省大臣官房審議官磯谷桂介君、文部科学省国際統括官加藤重治君、文化庁文化財部長山下和茂君、水産庁資源管理部長枝元真徹君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長奥田哲也君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省経理装備局長伊藤盛夫君及び防衛省地方協力局次長岡真臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。

宮崎(政)委員 自由民主党の宮崎政久です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 きょうは三月の十二日、あの三・一一東日本大震災から四年目の始まる日でございます。一万五千八百八十四名のお亡くなりになったみたま、そして、今なお行方の知れない多くの皆様、御遺族、御家族の皆様の心中をお察し申し上げ、昨日の政府の式典でもありましたが、我々は生かされている、こういう思いを胸に、本日のこの衆議院沖縄北方対策特別委員会の法案審議に当たらせていただきたいと思っております。

 まず、沖縄振興特別措置法改正案について質問させていただきます。

 私も、国会に上がらせていただきました一昨年十二月の総選挙以降、第二次安倍内閣のもとで、アベノミクス三本の矢、間断なく出ておりまして、日本経済の再生をしっかりと果たし切るまでこの三本の矢は出続けるわけでございます。

 その中で、昨年の税制改正協議の中で、日本経済再生のため、また、沖縄側からは、使い勝手がいま一つよろしくない部分について、特区制度、さまざまな制度の拡充整備を求めて意見交換をさせていただき、閣議決定を見て、今回の法改正案の審議となっているところでございます。この改正案によって、どのような沖縄振興の効果が果たされるのか。

 私は、沖縄の発展が日本の繁栄を導いていかないといけないと思っております。大臣の改めての御決意、御所見を賜りたいと思っております。

山本国務大臣 今、宮崎委員の方から、沖縄は日本を引っ張っていかなければいけないというお話がありましたが、おっしゃるとおりで、これも釈迦に説法ですけれども、東アジアの中心に位置する等々、沖縄には大きな優位性と潜在力があるというふうに考えております。

 沖縄が日本のフロントランナーとして、二十一世紀の成長モデルとなって日本経済の牽引役となるように、いろいろな取り組みを進めていく必要があると思いますが、そのためには、多くの企業が沖縄に進出をして、沖縄での企業活動がこれまで以上に活発にならなければいけないというふうに考えております。

 このため、今般、各特区、地域制度において、経済金融活性化特区を創設いたしまして、対象産業を多様化し、大幅に要件を廃止、緩和すると同時に、国際物流特区、情報特区においても、常時従業員数要件の緩和等も行っております。さらには、地域、地区指定権限、事業認定権限を県知事に移譲する、あるいは、投資税額控除における下限取得価額の引き下げ、こういう従来の支援措置の拡充等、幅広く支援内容を充実させていただきました。

 こうした支援内容を充実することによって、沖縄県の主体的な役割が拡大した特区、地域制度が今まで以上に効果的に活用されるということを期待しておりますし、企業の集積、活動の活性化が図られて沖縄の発展につながっていくというふうに考えております。

 特区、地域制度が効果的に活用されるように、引き続き、沖縄振興策の推進に担当大臣として最大限の努力をしてまいりたいと思います。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 今の改正法案審議との兼ね合いで、政府が行っているさまざまな沖縄関係政策とこの改正法案との関係をちょっと確認させていただきたいと思っております。

 今大臣からも御説明がございました。そして、安倍総理の所信表明の中でも力強い沖縄の振興に対する決意が述べられているところは、私たちもよく知っているところでございます。

 昨年来、政府と沖縄県側との協議があり、来年度、次年度の予算原案の提示、税制改正、そしてこの法案、さまざまな基地負担の軽減についての話し合いも行われました。

 そういうことも踏まえて、本改正案が、仲井真弘多沖縄県知事に、普天間飛行場の危険性除去のための公有水面埋立法の埋立承認手続をしてもらうがための、そういうものであったというような御批判のようなものも一部出ております。現に、沖縄県議会では、基地政策とリンクしたものであるという趣旨での批判的な質問も知事にされているというような状況でございます。

 そこで、大臣から改めて、今回の沖縄振興特別措置法の改正の目的はどこにあって、仲井真知事の昨年十二月の公有水面埋立法の承認手続と関連があるのかないのか、この辺のところをはっきり述べていただきたいと思っております。

山本国務大臣 沖縄振興については、歴史的、地理的、社会的事情、さまざまな特殊事情、これはもう釈迦に説法ですが、さきの大戦において二十万人の犠牲を出したということもありますし、戦後の占領という歴史もございますし、地理的事情でいうと、東西千キロメートル、南北四百キロメートルの広大な海域に多くの離島が存在をして、本土から離れているとか、あるいは社会的事情でいうと、国土面積の〇・六%の県土に在日米軍専用施設・区域が七四%集中しておりますので、こうしたことを踏まえて、沖縄振興特別措置法を制定して、国の責務として各種の施策を実施してきたところでございます。

 こういう事情を踏まえ、これはもう沖縄振興担当大臣に任命されてから一貫して申し上げていますが、沖縄振興は沖縄振興としてしっかり対応しているということであって、今回の税制改正についても、沖縄県からの要望を十分に踏まえて、沖縄県民の思いに立って決定をした、こういうことでございます。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。この辺のところは、県民の皆さんにも、真正面から受けとめて、真摯に御理解いただきたいというところだと思っております。

 さて、沖縄振興という関連から、返還跡地の利用、振興についての議論を少しさせていただきたいと思っております。

 御案内のとおり、昨年の四月に統合計画が発表されまして、嘉手納以南の米軍基地施設、千四十八ヘクタールプラスアルファが返還をされることになっております。地権者の皆さんが、返ってきてよかった、県民が、ああ、よかったなと思っていただけるような結果をつくり上げる、これが政治の責務だと私は思っております。とりわけ、この統合計画で定められた返還対象地、那覇軍港以外は私の選挙区に全てございます。そういうこともありますので、実は、その思いはひとしおでありまして、確実に、一歩一歩前に進めていくことが必要なんです。そうすると、これは準備がどうしても必要なんです。事前の準備というのがどうしても必要であります。

 この一例として、埋蔵文化財の発掘調査というものについて触れてみたいと思います。

 嘉手納以南で千四十八ヘクタールという大変広大な土地が返ってくるわけであります。文化財の調査でありますから、各自治体の教育委員会において行わなければならないというのが原則でありますが、当然、これにかかわる諸施策、このような広大な面積が一遍に返ってくるということが前提になって法や制度がつくられているわけではございません。人員の面でも費用の面でも、一気に大きな面積に対応しないといけないということになると、地元で対応するのはなかなかできる話ではございません。

 そこで、参考と考えるべきではないかと私が思っておるのは、東日本大震災の復興に伴う防災集団移転促進事業、いわゆる高台移転に関連する埋蔵文化財の発掘調査のやり方でございます。事業費については、試掘、本発掘いずれも制度があるんですけれども、全額、復興交付金などで国が負担する。人件費についても、震災復興特別交付税などで全額、国の方で手当てをしていくということになってございます。

 沖縄の広大な返還地の返還、そして、返還のためにさまざまな調査をしないといけないということに関して、地元だけではその人員もその費用も賄い切れない。もともとは、国のため、安全保障のためにこのような基地としての提供がされていたものが返ってくるというような事態でありまして、基地返還に向けての準備の一例としての埋蔵文化財調査、例えば、東日本の例をとって、受け入れ自治体側に対して費用のサポートをしていただくということが国として検討できないかどうか。この辺、ちょっと御説明いただければと思っております。

井上政府参考人 御指摘のとおり、跡地の利用に当たりまして、埋蔵文化財調査の円滑な実施が必要だというふうに考えているところでございます。

 今委員の方から、東日本大震災の復興に伴います埋蔵文化財発掘調査の制度について御説明があったところでございます。

 沖縄の場合、現在どうなっているかということを申し上げたいというふうに考えております。

 沖縄県内におきます埋蔵文化財調査、まず試掘調査でございますけれども、文化庁の補助制度がございます。全国の制度は二分の一でございますけれども、沖縄の特例で八割の補助となっているわけでございます。残り五分の一が地方負担となっているものでございますけれども、地方負担の五分の一の八割、一六%になるわけでございますけれども、それにつきましても特別交付税措置があるということでございます。また、別途、沖縄県の補助制度もあるわけでございまして、市町村の純粋な負担は極めて少ないものであるというふうに考えているところでございます。

 他方、本調査でございますけれども、基本的には事業者の負担となるものでございますけれども、市町村施行の土地区画整理事業等の場合につきましては補助がございます。また、基地跡地に関しましては、防衛省が実施をいたします支障除去措置によりまして、埋蔵文化財の保護に影響を与える場合には、防衛省が発掘調査を実施することとするものでございます。

 人員の問題でございますけれども、速やかな対応が必要な西普天間住宅地区などにつきましては、内閣府としても、現在も、沖縄県、地元市町村と、沖縄県による人的支援等につきまして調整を行っているものでございます。

 また、将来の大規模な返還を見据えた人員の確保につきましては、事業量、そして沖縄県からの御意見等を踏まえまして、必要があれば全国の地方公共団体から専門職員を派遣するなど、文化庁を初め関係省庁と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

 財政支援全般につきまして、沖縄県から御要望がございましたら、一括交付金の活用等も含め、幅広く検討してまいりたいと考えているものでございます。

宮崎(政)委員 今、統括官からの御説明があったように、現行の制度、さまざま手当てはしていただいておるんですが、例えば人件費などについては、実は充てるための制度はないんですね。ですから、今後、膨大な土地の調査が必要になってきたときに、その手当てをどうしていくのか。実は、これは政省令の改正まで踏み込まないと対応ができないという事態も十分に考えられる。地元の意見を聞いて、この辺は準備、事前にしっかりと尽くしていただきたいという思いがあります。

 大臣、一言、この点、触れていただければと思います。

山本国務大臣 今、統括官の方から少し具体的なお話をさせていただきましたが、跡地利用を進めていくということになりますと、やはり、開発行為に伴う必要な埋蔵文化財の調査、これは円滑に実施していくというのが極めて重要だと担当大臣として認識しております。そのためには、早い段階から調査を実施するとか、あるいは埋蔵文化財の調査体制の充実、それは今委員のおっしゃったとおり、必要だと思います。

 内閣府としても、関係省庁、防衛省とか文化庁になるわけですが、ここら辺と連携をして、地元の沖縄県、市町村の御意見に耳を傾けて、必要な埋蔵文化財調査が円滑に行えるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 これと関連して、いろいろ検討してまいりますと、基地の返し方という問題もあるんですね。

 西普天間住宅地区、キャンプ瑞慶覧の一部でありますが、平成二十七年、来年の三月までの返還が迫っております。この中での喫緊の課題、これはきょうお配りした資料の二枚目の方に土地利用計画の素案が出ておるんですけれども、この土地は、実は、この下側にある県道八十一号線と住宅地の間に高低差がございます。県道の方から、例えば基地の方を見ると、のり面が、だあっと立っていて、容易には人の往来ができないぐらいの高さがあるんです。そこで、今計画として出てきているのは、県道側の一カ所で接道するというような案になっておるんです。ところが、そうなってくると、残る三方はフェンスに囲まれている。出るところは、この県道側しかない。しかも、この県道側にも高低差があって、一カ所でしか動けない。こういうことになると、実は、防災という観点からも非常に大きな問題があると思います。

 そこで、地元宜野湾市からは、佐喜真市長のもとで、これは民主党政権の時代から、国道五十八号の側に抜けるようにしてくれ、これはインダストリアル・コリドーというんですけれども、インダストリアル・コリドー地区の南側部分も一括して返してくれ、それで、この西普天間住宅地区は五十八号の方に接道できるようにしてくれという要請を上げております。統合計画の中では実現をしなかったわけでありますが、この点は、地元としては非常に強い思いがございます。もちろん、これは返還に関連する相手のある話でありますから、ここで、どうこうと約束が全部できるというふうに私は思っているわけではないんですが、この地元の思い、ぜひ十分に聞き届けていただきたいと思っております。

 きょう、武田副大臣に来ていただいておりますので、この地元の声を聞いていただいて、西普天間住宅地区の返還に関して、インダストリアル・コリドーの南側の返還に向けての思いなどを聞かせていただければと思っています。

武田副大臣 先生、強い御指摘のとおり、地元の皆さん方の意見は、我々は精いっぱいに聞いていかなければならないということは常に心がけておるところであります。

 五十八号線への動線の確保についての御指摘でありますが、相手のあることというお話もありましたように、日米間で積極的に協議を重ねていかなくてはならないと思っております。これは、南側の部分については、残りの部分とは切り離した上で、可能な限り早期に返還できるように日米間で協議を重ねてまいりたい、こういうふうに思っております。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 この西普天間住宅地区に関しましては、跡地利用促進法の中での先行取得に関しても、地元から要望を出させていただいております。これは、法令そして条例を踏まえて、面積要件がございます。百平米以上が取得対象となっている。この先行取得ができると、譲渡所得の五千万控除の適用があるんですね。これを何とか活用して土地の集約も進めていきたい、地元の意向に沿った形で土地の利活用も準備していきたいと思っているんです。

 このインダストリアル・コリドーの南側を含めた西普天間住宅地区というのは、伊佐浜地区といいまして、宜野湾村伊佐浜といいますと、戦後、沖縄で最も美しい肥沃な田園地帯を形成していたところであります。しかしながら、戦争が終わって十年、いわゆる銃剣とブルドーザーという表現をされている、住民の皆さんが、ここは使わないでくれと言っているところが、強制的に住民が排除されて、そして基地として形成されていった。非常に厳しく悲しい歴史があるところでありまして、そのことを実際に体験された皆さんが今もお元気で暮らしていらっしゃる、こんなところなんです。

 肥沃な土地でありましたので、苗床だったり作付するという意味で、実は、ちっちゃい面積の地主さんが多いんですね、ここは。百平米に満たない方が非常に多いんです。ですから、こういう方に対しても、先行取得ができるような手だてをとっていただきたい。

 これも、さっき申し上げたとおり、地主の皆さん、地権者の皆さん、地元が、返ってきてよかったな、本当に返ってきてよかったと思えるようなことをする準備をしてもらいたいな、これをするのが、やはり私たち政治の側の役割だと思うんです。

 今、現状では、そういう定めになっている。しかし、政府として、地元の意向を踏まえた取り組みをぜひしていただきたいと思っておるんです。大臣、この点についての御所見をいただいて、ぜひ前向きな言葉もいただきたいと思っております。いかがでしょうか。

山本国務大臣 これも宮崎委員よく御存じだと思いますが、跡地法に基づく先行取得制度、今から二年前、法律改正時に、地元の強い御要望も踏まえて、各党会派からも協力をいただいて実現をした制度でございます。

 先行取得制度は、事業が具体化する前にある程度の土地を確保しておく、こういう仕組みでございまして、適用についてやはり一定の要件はなければいけないということ自体は御理解をいただきたいと思っております。

 宜野湾市が予定している土地の取得に必要な財源については、沖縄県の理解を得て、一括交付金により手当てをされておりまして、今後は、まず現行制度で先行取得を積極的に進めていきたいというふうに考えております。

 しかしながら、今、委員の思いもいろいろありまして、その中で制度上の課題があれば、これはきちっと今後議論していきたいというふうに考えております。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 国が積極的に関与して、本当に返ってきてよかったと地元も遠慮なく声が上げられるような、そんな返還への準備を進めていただきたい。私も、しっかりかかわってまいります。

 ありがとうございました。

安住委員長 次に、比嘉奈津美君。

比嘉委員 自由民主党の比嘉奈津美でございます。

 まず、日ごろより沖縄に強い関心を持っていただき、熱心に前向きな議論に取り組んでおられる委員の皆様に感謝申し上げます。当局、関係者の皆様にも感謝申し上げます。

 今、宮崎委員からもございましたように、沖縄には特殊な政治的背景がございますが、未来に向けての可能性を高く評価していただき、現政権下、数々の懸案事項が動き出していることと私は感じております。

 ことしに入り、那覇空港第二滑走路の増設事業も始まりました。三月一日の起工式において、本当に足しげく沖縄に通っていただいております山本大臣の御発言の中に、強く自立した沖縄の実現に向けた起爆剤となり、沖縄を日本の経済のフロントランナーに導くと力強く述べられたことも記憶にあります。

 また、三月五日、沖縄本島の西側にございます慶良間諸島の国立公園指定も、大変喜ばしいことだと思っております。

 渡嘉敷、座間味両村民はこれまで、サンゴの保全のために、危険なオニヒトデの駆除など、非常に頑張ってまいりました。また、ザトウクジラの貴重な繁殖地である。その生態に配慮したホエールウオッチングを厳しく指導してまいりました。それゆえに、この国立公園化は、多様な生き物が生み出す美しい海と島を次世代につなぐという使命、我が国が貴重な自然遺産を守るという自覚と誇りを喚起し、そこに住む島の人々は改めて幸せを感じているものだと思います。

 慶良間の限りなく透明なブルーの海と、そして島々の人々の心が沖縄観光のおもてなしに非常に大きな役を果たしてくれるものだと私は確信しております。

 さて、現行の沖縄振興は、平成二十四年度より、沖縄二十一世紀ビジョンのもとに進められております。

 実は、私は、この二十一世紀ビジョンを策定した沖縄振興審議会の委員でございました。医療人としてそこに参画しておりました。地元の真剣な議論を身をもって体験してまいりました。審議の中で、知事、それぞれの委員が、将来の日本に対して沖縄が担うべきものは何かという熱い議論が行われました。これが国の取り組みを加速させることにつながって今があるのだなとつくづく感じて、かつての振興審議会の委員としても非常に充実感を覚えております。

 それでは、改正沖振法の中で、経済金融活性化特別地区について述べさせていただきます。

 現行の金融特区は、平成十四年より、金融業及びその関連企業を集結させた新たな雇用や、それに伴う定住人口の増加を期待して名護が指定されました。しかし、制度の要件が厳しく、使い勝手が悪かったせいか、思うように実績が上がらず、今回、現行金融業務特別地区制度、金融特区と呼ばせてもらいます、金融特区を抜本的に見直し、新たに経済金融活性化特別地区、経済金融特区と呼ばせてもらいます、を創設することになったと思われます。その新たな特区としたことを受けて、質問させていただきたいと思います。

 今般の法改正において、情報通信産業振興地域、特別地区や国際物流拠点産業集積地域は、地域指定権限が沖縄知事に移譲されることとなっておりますが、経済金融活性化特別地区においては、従来の金融業務特別地区と同様に、一地域を限定し、国が指定することとなっているのはなぜなのか、お教えいただきたいと思います。

山本国務大臣 先ほど質問に立たれた宮崎委員も、四六時中、沖縄振興で飛び回っておられて、いつも叱咤激励いただいていますが、比嘉委員の沖縄二十一世紀ビジョンに対する審議会委員としての貢献についても、敬意を表させていただきたいと思います。

 今の御質問ですが、従来、国が指定することとしていた情報特区、物流特区については、これは県の強い要望があって、地区指定に関する要件が法令上定められているということ、さらに、対象産業も法令で決められていること、こういうことから、沖縄県知事の判断に委ねても支障がないということで、知事に地域、地区の指定権限を移譲し、国は事後的に検証を行う、こういうスキームにいたしました。

 これに対して、今委員から御指摘のあった経済金融活性化特別地区は、これまでの金融業務特別地区にかえて新たに創設する仕組みです。対象地域について、国の責任において多様な産業を総合的に集積することを目的として、一つの地域に限定しているということと、それから、対象産業について法令で特定しておりませんので、県が策定する計画で設定するということになります。

 ですから、こういう状況からいうと、やはり国の事前の関与が必要だろうという判断で、国による地区指定というスキームとさせていただきました。

 今般の法改正において経済金融活性化特別地区が創設されるということで、特区内に多様な産業の総合的な集積が図られて、相乗効果が発揮される、こういうことを通じて沖縄における経済、金融の活性化が図られることを期待しております。

比嘉委員 経済金融特区の期待、国にとっての立ち位置、また、秘めた可能性、大臣からの御発言で再確認させていただきました。

 そして、今大臣のお話の中にもございましたように、創設される経済金融特区における対象産業は、今回から、知事が関係行政機関と協議した上、設定し、総理の認定を受けることとなっております。現行の金融業務のみに限定せず、業種を多様化するということでありますが、政府としては具体的にどのような産業を想定し、将来像を描いているのかをお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 いわゆる経済金融活性化特区の対象産業でございますけれども、今回の改正案におきましては、沖縄県知事が、経済金融活性化計画におきまして、沖縄の経済、金融の活性化を図るために集積を促進しようとする産業を記載することとしておりまして、まずは沖縄県知事の判断によるということとなっているものでございます。

 ただ、この制度の趣旨でございますけれども、実体経済の基盤となる産業と金融産業が車の両輪として沖縄の経済、金融の活性化に寄与をするということでございます。このため、対象産業として金融業は想定をされるところでございます。それ以外の産業につきましても、相乗効果等も踏まえながら、知事が総合的な観点から定められるものと認識をいたしております。

 なお、沖縄県におきましては、対象産業を現在検討中でございますけれども、沖縄の北部地域の資源を活用した製造業などを検討しているというふうに聞いているものでございます。

比嘉委員 今ありましたように、北部地域の経済がまた発展するよう、沖縄の産業振興を目指し、それをサポートするさまざまな業種、企業の立地がぜひ進むことを期待したいと思います。

 次に、この制度の利用促進を図るために、これまで、常時従業員数を、十人以上であったものを五人以上に引き下げ、現行の専ら要件、特区内においてのみ業務を行うということを廃止し、特区外にも事務所であったり本店、支店を置くことが可能になります。この場合、本店やあるいは支店が特区外にある企業としての所得税控除はどのような形になっていくのか。また、エンゼル税制創設の理由、その活用法を踏まえてお示しいただきたいと思います。

井上政府参考人 今委員御指摘のとおり、今回の経済金融活性化特区につきましては、これまでの金融特区、専ら要件がございましたけれども、それを廃止いたしたところでございます。そのことによって、多くの企業に税制のインセンティブを付与するということとしたものでございます。

 具体的に、本店、支店との課税関係はどうなるかということであるわけでございますけれども、この経済金融活性化特区では、特区内で主として対象産業を営むこととし、特区外での活動や対象産業以外の活動も可能としております。

 その上で、所得控除額でございますけれども、特区内での活動で生まれた所得を控除するという考え方から、企業としての所得金額に、企業の全雇用者に占める特区内の雇用者の比率を掛け合わせて算出をすることとしているものでございます。したがって、特区内の雇用者が多ければ多いほど所得控除の金額が大きくなるというようなものでございまして、税制上のメリットを、特区内に雇用者を置けば置くほどその恩恵を受けることができるような仕組みとしているものでございます。

 次に、エンゼル税制でございますけれども、今回新たにエンゼル税制を創設いたしたところでございまして、今回対象産業を多様化しているわけでございますけれども、その特区に進出をする企業の資金調達を容易にするという視点に立っているものでございます。

 具体的な内容といたしましては、通常のエンゼル税制につきましては、設立後三年以内といった年数の要件がございます。また、赤字であること、一定以上の研究活動を行っている、そういう要件を満たす中小企業に対して投資を行った個人に対しましてその投資額を優遇するというものでございますけれども、今回の特区のエンゼル税制の対象となる中小企業につきましては、設立年数を十年以内に延長いたしております。また、赤字要件や研究活動の要件は設けていないというものでございまして、これまでの通常のエンゼル税制に比べまして要件が緩和をされておりまして、この制度が効果的に活用されることによりまして、特区での企業活動が活性化することが期待されているというものでございます。

比嘉委員 平成二十四年での現行制度実績を見ると、進出企業は十五社あるものの、課税の特別措置は適用件数ゼロ件であります。今回の要件緩和により企業集積を図っていきたいものと思っております。

 さて、それでは、どのようにして国民や企業、自治体にこの特区を周知していくかという政府の見解をちょっとお尋ねいたします。

後藤田副大臣 比嘉委員の御指摘の点、大変重要な点でございまして、どんなにいい制度をつくっても、やはり、それを多くの方にわかっていただいて、そしてまた、結果を出していくということが重要だと思っております。

 今までも、沖縄県が行う企業誘致セミナーに政府といたしましても参加をいたしまして、沖縄の特区制度、また各種支援施策につきましての説明を行って、周知を図ってきたところでございます。また、このほか、個別企業への説明、またホームページへの掲載を通じまして、特区制度が広く周知されるように努めてきたところでございます。

 加えて、これまで行ってまいりました企業誘致セミナーに加えまして、今後は、各種の業界または企業に沖縄を訪問してもらいまして、現地視察や地元関係者との意見交換を行う、沖縄力発見ツアー、こういうものを銘打ちまして進めてまいりたいと思います。

 また、沖縄におきまして日本の生産者とアジアのバイヤーが商談会を行う大交易会、これはプレの会が去年行われまして、私も参加してまいりましたけれども、ことしはその本会が開催されるという予定でございます。

 また、先日も比嘉先生とともに参加させていただきました、台湾の統一グループや鴻海、また中国信託さんを中心とするそうそうたる企業がいらっしゃったときに一緒に参加をさせていただきましたけれども、こういう外国の投資も含めて、今回の諸制度が有機的に、複合的に機能していくということを目指して、これからも振興に邁進してまいりたいと思います。

比嘉委員 ぜひ、周知活動を行い、県、国ともに頑張って、この特区制度を生かしていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 今度は、沖縄の海洋生物資源の話でございますが、沖縄にはたくさんのきれいな海があるということで、天然の生物あるいは物質が眠っているだろう、それをどうやって活用して、また日本の国のために貢献できるかということをちょっと考えた場合、最近、アジアの諸国が非常に海洋開発に努めているということでございますが、日本においては今どのような国益に向けての開発に取り組んでいるか、ちょっとお尋ねしたいと思います。

磯谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、日本近海の海洋生物資源は極めて多様性が高いことが世界的にも知られているところでございます。特に深海底や沖縄トラフの海底熱水鉱床等の極限環境において豊かな生態系が存在することが、既に我が国の研究船や無人探査機における調査により一部明らかになっているところでございます。

 このような豊富な海洋生物資源をしっかりと把握し、活用するため、独立行政法人海洋研究開発機構、JAMSTECにおきまして、名護市に整備されております国際海洋環境情報センターも拠点として活用しつつ、海洋生物の生態系や固有の機能などについて科学的な調査研究を進めるとともに、海洋生物由来の酵素などを創薬やバイオエタノール生産といった新しい産業に利用することを目指して、研究開発に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、文部科学省としましては、関係省庁とも協力して、JAMSTEC、大学、企業等の産学官連携により、研究開発を積極的に推進して、イノベーション創出に貢献してまいりたいというふうに考えております。

比嘉委員 我が国においても海洋研究開発は重視されているということでございますが、そこでやはり沖縄を活用していただきたいと思います。

 海洋研究のインフラ整備というものであったり、知的クラスターのインフラ整備というものは、沖縄はかなり充実しているかと思います。それによる新事業の創出や企業の製品開発が行われることによって、また特区制度の企業集積も行えるものかと思います。

 そして、大学院大学というすばらしいものもございますので、それを全て活用して、沖縄での今後の取り組みについてちょっとお伺いしたいと思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 OISTでございますけれども、従来より、国際的な海洋研究拠点となることを目指しまして、例えば、ウッズホール海洋研究所ですとか、今お話がございました独立行政法人の海洋研究開発機構といいました国内外の関連研究機関と密接に連携をいたしまして、先端的な海洋観測システムによる海洋データの収集、分析でございますとか、海洋生物のゲノム解析、黒潮を利用した海流発電技術開発といった関連研究を進めてきたところでございます。

 これに加えまして、昨年、平成二十五年六月の経済財政運営と改革の基本方針におきまして、OIST等を核とした知的産業クラスターの形成を推進するとされたことを踏まえまして、二十六年度予算案におきまして、沖縄の海洋資源、エネルギーを活用した研究体制を強化するために、海洋生物の観測、分析機能強化やゲノム解析、分析能力の充実等、必要な経費を計上したところでございます。

 こうした取り組みによりまして、OISTや他の研究機関、県内外の企業等との連携を通じまして、新産業創出につなげていくことが必要と考えてございまして、沖縄振興に資する成果が得られますように積極的に取り組んでまいる所存でございます。

比嘉委員 研究開発は今しかない、何としても今のうちに形にするという決意のもと、本気に取り組んでいけたらいいかと思います。

 最後に、大臣、改めて、特区や知的クラスターに対する思いをお聞かせください。

安住委員長 山本大臣、時間が来ておりますので、手短に。

山本国務大臣 沖縄は、東アジアの中心に位置するなど、大きな優位性と潜在力を有しております。沖縄が日本のフロントランナーとして、二十一世紀の成長モデルとなって、日本経済の牽引役となるようにしっかり取り組みを進めていきたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、そのためには、多くの企業が沖縄に進出をして、沖縄での企業活動、研究活動がこれまで以上に活発化していくことが重要だと考えています。

 今般措置しようとする各種の特区、地域制度においては、新たな制度の創設、県知事への権限移譲、従来の支援措置をさらに深掘りする、大幅な要件緩和も行いました。このように支援内容を充実して、沖縄県の主体的役割が拡大した特区、地域制度が効果的に活用される、そして企業の集積、活動の活性化が図られるように、沖縄振興策の推進に最大限の努力をしてまいりたいと思います。

 加えて、短く言いますが、昨年六月の経済財政運営と改革の基本方針において、OIST等を核とした知的産業クラスターの形成を推進することが盛り込まれましたから、二十六年度予算案において、関連研究の推進等、必要な経費を計上した上で、今回の予算を有効に活用しつつ、沖縄振興に資する成果が得られるように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

安住委員長 時間が来ております。

比嘉委員 ありがとうございました。

 終わらせていただきます。

安住委員長 時間の厳守をしっかり守っていただきたいと思います。

 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の沖縄方面議長をさせていただいております遠山でございます。

 当委員会で久しぶりに質疑をさせていただきますが、時間も限られておりますので、早速、きょう議題となっております沖振法の改正案について伺いたいと思います。

 先ほど来大臣が御答弁されているとおり、昨年六月の骨太の方針で沖縄を日本のフロントランナーと位置づけていただきまして、その立場から大臣がさまざまな努力をされてきたことにまず敬意を表したいと思います。

 その上で、今回の改正は、税制面での特例措置を拡充するということで沖縄振興を後押ししていくわけでございますし、先ほど来出ております沖縄の優位性と潜在性というものを顕在化させていくということでございまして、これは大歓迎の改正案だと思っております。

 この改正案の中で、経済金融活性化特区についていろいろと新しい規定があるわけでございますが、この法律の要件を満たす沖縄県内の一地区を指定できるというふうになっているわけでございます。

 これは確認で、事務方から伺いたいと思いますけれども、この一つの地区とは、一つの自治体にしか適用できないのか、それとも、広域で複数の市町村を一括で指定することができるのか、伺いたいと思います。

井上政府参考人 経済金融活性化特区の地域でございますけれども、法律は、内閣総理大臣が、沖縄県知事の申請に基づき、沖縄県内の一の地区を指定することができると規定しております。

 したがいまして、法律上指定する地区として、一の自治体という要件を課しているわけではございません。したがって、法律上は、一つの自治体よりも狭い区域でも広い区域でも可能ということでございます。

遠山委員 わかりました。そうすると、法律上は、一つの自治体、市とか町に限らず指定ができるということだというふうに思います。ここは沖縄県知事に主体性を出していますので、これから沖縄の議論を見守っていきたいと思います。

 もう一つ、事務方に確認をさせていただきたいと思います。

 今回の改正案での特区は、従前の特区とは異なりまして、対象産業を金融業に限定していないということでございます。つまり、法令で対象産業分野を決めていないということでございます。

 そこで伺いたいんですが、これはどんな産業でも、つまり金融業以外でも対象になり得るのか、それとも、一定の制約がこの対象産業についてあるのか、お答えをいただきたいと思います。

井上政府参考人 経済金融活性化特区の対象産業でございますけれども、沖縄県知事が、経済金融活性化計画におきまして、沖縄の経済、金融の活性化を図るために集積を促進しようとするものを記載するというものでございます。

 法律におきましては、この対象産業を定める経済金融活性化計画が、沖縄振興基本方針に適合するもの、沖縄の経済、金融の活性化に相当程度寄与するもの、円滑かつ確実に実施されると見込まれるものという基準に適合すると認められるときにつきましては、内閣総理大臣が計画を認定するものと規定をしております。したがって、沖縄県知事においては、これらの基準を踏まえて、総合的な観点から対象産業を設定されるものと認識をしております。

 ただし、平成二十六年度税制改正大綱におきましては、風俗産業につきましては所得控除制度の対象外と整理されているところでございまして、そうしたものにつきましては対象として適当でないと考えているものでございます。

遠山委員 山本大臣に伺いますが、今の御答弁だと、今までは、金融特区というと沖縄では名護市だけということで、今回の法律上は、名護市だけに限らず考えていいということが一つです。それからもう一つは、今までは金融業を念頭にした特区でありましたけれども、今の御答弁、ざっくり言えば、風俗業以外はどんな産業でも対象になり得るということでございます。

 そこで、大臣、私も約十三年間沖縄に事務所を置いて活動してきた国会議員として、やはり沖縄の産業構造を見ますと、一つは、製造業が非常に弱いという傾向は変わっておりません。

 以前、前の自公政権のときにエコポイント制度というのを導入したわけですね。要するに、エコな家電等を購入するとポイントをいただくという制度で、かなり経済効果もあった政策だったと思っておりますが、今思い起こすと、沖縄に行ったら全然エコポイントの恩恵がない。つまり、エコポイントの対象になるような製品をつくる工場が、沖縄は皆無だったんですね。だから、エコポイント制度というのは、日本の他の地域では大変評価が高かったと思いますが、沖縄ではほとんど恩恵がなかった。それは、製造業が弱いということなんです。

 ですから、今回の特区で、対象で一つ製造業を入れるということを考えられるんじゃないか。それから、もちろんもう一つは、大臣も大変お詳しい沖縄の基幹産業である観光業、こういった観光業の関連などを対象に指定するということも可能なのではないかというふうに思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

山本国務大臣 遠山委員は沖縄の隅々まで行っておられるので、大変説得力のある御指摘だと思うんですけれども、確かに、沖縄においては、全産業の県内総生産に占める製造業の割合は非常に低いということで、これは間違いないと思います。他方、観光業が沖縄のリーディング産業として沖縄経済を引っ張っている、これも事実だと思います。

 御指摘のあったとおり、沖縄経済の発展のためには、沖縄県において相対的にウエートの低い製造業の企業活動を活性化させるということは大事だと思いますし、リーディング産業である観光業が今まで以上に沖縄経済を引っ張っていくということも大事だというふうに思います。

 製造業については、沖縄が東アジアの中心に位置するという地理的な優位性を生かした形で、その集積や企業活動の活性化の萌芽は生まれつつあるというふうに考えておりまして、例えば、沖縄の国際貨物ハブを活用する、私も会社を見てきましたが、産業用計測機器などの高付加価値製品を製造する企業の立地、こういうものが進んでおります。さらには、沖縄の豊富な資源を活用するバイオ産業の集積、こういったものも進んでいます。

 こういった動きをさらに加速させていくために、今般新たに創設する経済金融活性化特区を効果的に活用していくというのは当然だと思うんですけれども、今おっしゃった経済金融活性化特区の対象産業については、御存じのとおり、沖縄県知事が経済金融活性化計画で集積を促進しようとしている産業を記載するということになっておりますし、まずは沖縄県知事にきちっと判断をしていただくということだと思います。

 現在、沖縄県において検討中だというふうに聞いておりますけれども、沖縄県としては、北部圏域の資源を活用した製造業などを検討しているというふうに聞いています。

 いずれにせよ、沖縄の自立型経済の発展に資するような経済金融活性化特区の対象産業、これは適切に定められるということを期待したいというふうに思います。

遠山委員 ありがとうございます。

 今の二、三回のやりとりで明確になったとおり、今回の改正案の一つの肝は、要するに、ある程度の基準は今でもありますけれども、国の法律でいろいろたがをはめてきたものを少し緩めて、沖縄が主体的に特区の地域だとかあるいは対象産業を決められるという形にしたことでございまして、これは非常に大きいと思います。

 もう一つ、今回の改正の肝になっているのは、いわゆる専ら要件の廃止でございます。

 これは、従来設けられてきた名護市の金融特区の規制でございまして、所得控除の対象となる企業は、特区内において専ら金融業務を営むことを義務づけられておりました。しかし、この規制があるために、名護の金融特区というのはもう十年以上やっているわけでございますが、実際に特区内に来る企業はほとんどない。今までの実績を伺ったら、一件だけあったけれども、その一企業も既に撤退済みということで、今ゼロなんですね。せっかく特区を設けたけれども実績がほとんどゼロという状況だったので、今回の改正は非常に重要だと理解をしております。

 そういう意味では、この専ら要件の廃止が突破口になる可能性はあると私は評価しているんですが、一方で、大臣、要件を廃止することへの懸念として、特区の特例措置を利用する企業の中で、実際には特区の外で活動して収益を上げる企業が出てくる可能性が指摘されています。

 特に、今回、この改正案の中では、特区内に置く企業の事業所の従業員の要件も十人以上から五人以上というふうに緩められて、引き下げられているわけでございまして、そうすると、特区だからこその特例措置、優遇措置を使えるんだけれども、実は特区の中で雇用している数は非常に少ないという、これも、従前とは別の理由で特区の設置の意義が薄れる可能性がある、こういう指摘が専門家から一部出ておりますが、この問題について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

山本国務大臣 その前に、先ほど経済金融特区の対象のお話があって、統括官の方からはっきりお話がなかったかもしれませんが、名護市を想定しているということだけちょっと申し添えておきたいと思います。もうよく御存じだと思いますが、念のため。

 それから、今の御指摘ですけれども、おっしゃったとおり、雇用創出のためには、まず企業が進出して、その企業の活動が活性化するということが非常に大事だと思っていまして、今、遠山委員御指摘のとおり、これまで特区の各種の要件が、ハードルが高かったということで、企業進出が進んでいなかったという側面はありました。

 今般、もう御存じのとおり、特区の使い勝手をよくして企業進出を促していくという観点から、この新しい特区を創設して、専ら要件廃止、それから特区の各種の要件を緩和いたしました。

 今の御心配についてなんですが、専ら要件の廃止については、ある意味でいうと、今のような御心配をなくするためのインセンティブみたいな仕組みになっています。

 これまで金融特区では、特区内で専ら金融業を営むことが要件とされていた。新たに創設する経済金融活性化特区では、特区内で主として対象産業を営むこととし、特区外での活動や対象産業以外の活動も可能とした。

 所得控除額については、所得金額に、企業の全雇用者に占める特区内の雇用者の比率を掛け合わせて算出するということにいたしました。したがって、特区内での雇用をふやせばふやすほど所得控除の額が大きくなるということで税制のメリットを受ける仕組み、これが一種のインセンティブになるというふうに我々は考えております。

 こうしたことで、今後、企業進出の増加が期待される、企業進出の増加に伴って雇用の増加につながっていくということを期待しております。

遠山委員 わかりました。そうすると、特区の中で雇用をふやせばふやすほど優遇措置の恩恵も広がるということをインセンティブに、企業の誘致を成功させようということだと理解をいたしました。

 ぜひ、今回の改正で、山本大臣のリーダーシップのもとに、実績の上がる特区を創設できれば、このように考えております。

 最後の話題になります。

 少し法案から離れますけれども、私、従前から沖縄の遺骨収集事業について質問をさせていただいております。

 沖縄では、戦後六十八年たった今でも第二次世界大戦当時の遺骨が全ては収集されていないという問題がございます。

 沖縄県の資料によりますと、平成二十一年度は百七十三柱、平成二十二年度百二十七柱、平成二十三年度百五十一柱と毎年百柱以上の遺骨が収集されておりますし、また、厚生労働省からもデータをいただきましたけれども、沖縄県における未収骨数、まだ収容されていない御遺骨の数というのは三千五百以上あるということでございます。

 私は、大臣御承知のとおり、不発弾処理もいわば沖縄の戦後処理の問題なんですが、この遺骨収集も、やはりもっとしっかり国として責任を持ってやらなきゃいけないんじゃないかという立場でございます。

 私自身も、今から約四年前に、ガマフヤーという遺骨収集をやっている団体の遺骨収集作業に参加をさせていただきまして、貴重な経験をさせていただきました。

 こういう七十年近く前の戦争の御遺骨が日本の国内である沖縄でまだ三千五百以上残っているという状況について、大臣、どう思われているか、まず伺いたいと思います。

山本国務大臣 今も沖縄に残る、さきの大戦で犠牲となられた方々の御遺骨の収容、これは国内最大の地上戦を経験し、苛烈な戦禍をこうむった沖縄にとっては非常に大事な課題だというふうに認識をしています。

 この御遺骨の収集については、もうこれは遠山委員よく御存じのとおり、国の責務として全ての戦域で厚労省が進めているところであって、沖縄においても、今厚労省が沖縄県等と連携しながら取り組んでいるというふうに承知をしております。

 いずれにしても、沖縄の御遺骨の収容というのは非常に重要な問題だというふうに考えておりますし、国の責務として早急に取り組むべきだというふうに沖縄担当大臣としても感じております。

遠山委員 そこで、最後の質問になります。

 大臣、私が遺骨収集作業に参加をさせていただいたこのガマフヤーという団体は、どうやって作業を進めているかというと、実は、緊急雇用創出事業という厚労省の補助金事業を活用して、沖縄県内のホームレスの方や失業中の方を一時的に雇って遺骨収集に従事してもらう。確かに、ボランティアで遺骨収集をやっていらっしゃる方も多いんですが、沖縄の場合は数が多いものですから、こういう緊急雇用創出事業を使って人を集めてやっている面もございます。

 私、従前から、前の民主党政権さんのころから申し上げているんですが、やはり戦争というのは国の名のもとに行われたわけでございまして、そういう意味では、戦後処理の問題として国が責任を持って行う、もっと直截に言えば、その作業にかかる経費については、なるべく、今不発弾はそうなっているんですけれども、約一〇〇%国が財政支援をして、地元負担が余り生じないような形で進めることが大事なのではないかというふうに思っております。

 そういう意味で、少し知恵を出して、例えば、今、一括交付金があるわけですけれども、この一括交付金を使って、沖縄の市町村が行える対象事業のメニューの中にこの遺骨収集事業をしっかり位置づけていただくとか、あるいは、不発弾処理で政府が採用しております、特別交付金を地元負担分に充てて、事実上地元負担がないような形で、戦後処理の事業の一つとしてやっていただく、こういうことが工夫すればできるんじゃないかと思っております。

 この点についての大臣の御見解を伺って、私の質疑を終わりたいと思います。

山本国務大臣 これも委員よく御存じのとおり、沖縄の御遺骨の収容については、厚労省において、平成二十三年度から沖縄県に情報収集事業を委託するということ等、沖縄県、地元関係団体等とも連携して、積極的に行われております。平成二十六年度も、所要の予算を計上して、引き続き着実に取り組まれるというふうに承知をしています。

 その上で、御遺骨収容に係る施策のさらなる拡充等については、これはやはり沖縄を含む全ての戦域における御遺骨収容に係る施策全体の中で考えなければいけないということもありまして、まずは所管である厚労省において検討されるべきであると考えます。

 ただし、御遺族の高齢化も進んでおりますし、そういうお気持ちも踏まえて、とにかく一柱でも多くの御遺骨を収容することが重要だということで、内閣府としても、やはり厚労省あるいは沖縄県等による御遺骨収集が積極的に行われるように、今まで以上に連携をしていくということを心がけたいと思います。

 一括交付金のお話ですけれども、やはり沖縄県側の要望ということが大事だと思うんですが、沖縄県としては、これは国の責務として取り組むべきという考えだというふうに思いますので、なかなか、要望される可能性は少ないというふうに考えますが、まずは、とにかく厚労省においてしっかり検討してもらう、しかしながら、内閣府もより積極的に連携をしていく、これが大事ではないかというふうに考えております。

遠山委員 御遺族が高齢化しているというお話がありました。この五年以内にやらないと、遺骨を受け取る御遺族がいないという事態がもう目前でございますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 終わります。ありがとうございました。

安住委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。民主党の菊田真紀子でございます。

 山本大臣、連日、激務、御苦労さまでございます。また、三ッ矢外務副大臣、きょうは御答弁をよろしくお願いいたします。

 まず、法案審議に先立ちまして、冒頭、普天間飛行場の辺野古移設に関して質問させていただきたいと思います。

 昨年の十二月二十七日、沖縄県の仲井真知事が辺野古の埋立申請を承認いたしました。これに先立ちまして、二十五日、仲井真知事は安倍総理と会談をしまして、普天間基地の五年以内の運用停止と早期返還、米軍基地内の汚染確認のための立入調査などを可能とする日米地位協定の改定などを求めました。これに対する安倍総理の回答について、仲井真知事は、驚くべき立派な内容と評価をされ、いい正月になるとまで語られました。

 ところが、沖縄県議会は、一月十日、仲井真知事が辺野古の埋め立てを承認したことに抗議をし、辞職を求める決議案を賛成多数で可決しております。一月十九日の名護市長選挙では、辺野古移設に断固反対を唱える稲嶺市長が再選を果たしました。県議会は、百条委員会を設置し、仲井真知事を厳しく追及しております。

 沖縄における世論調査によれば、県民の大多数が辺野古への移設に反対をし、沖縄は納得していません。政府は、普天間飛行場の移設に向けて、沖縄に対する説明内容を、より明確に、より丁寧にすべきであると考えます。

 山本大臣は、県民の理解や納得を得られると考えておられるか。同じ質問を外務副大臣にも御答弁いただきたいと思います。

山本国務大臣 基地の問題は私の所掌ではありませんが、沖縄振興を担当する大臣として答弁をさせていただきたいと思います。

 普天間飛行場については、宜野湾市の中心部に位置し、周囲には住宅や学校等が密接している、密集しているということから、この固定化はもう絶対に避けなければいけない、これは政府と沖縄県の共通認識だと考えております。

 そのためにも、日米合意に基づき、普天間飛行場の辺野古への移設を進めることが必要であり、こうした考え方を引き続き丁寧に説明をし、沖縄の皆様の理解を求めるというのが安倍内閣の方針でございます。

 いずれにせよ、沖縄の振興を担当する大臣としては、沖縄の振興及び米軍基地返還後の跡地利用の課題について、沖縄県、市町村と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

三ッ矢副大臣 山本大臣の答弁と重なる部分があろうかと思いますけれども、この普天間の飛行場は、住宅や学校に囲まれて市街地の真ん中にあるということで、その固定化は絶対に避けなければならないというのが安倍内閣の基本的な考え方でございます。しかも、政府と地元の皆様との共通認識でもあるというふうに考えておるわけでございます。

 この移設の問題について、沖縄におきましてもさまざまな御意見があるのは承知をしております。県議会での御議論も承知をしておりますし、世論調査も、六〇%、あるいは、場合によっては七〇%というような反対の方々の声もあるのも承知しておるところでございますが、政府としましては、沖縄の皆様の御理解を求めながら、現在の計画に従いまして、普天間飛行場の一日も早い移設、返還を実現して、沖縄の負担を早期に軽減してまいりたい、このように考えておるところでございます。

菊田委員 沖縄への手厚い予算や税制措置につきましては、知事の辺野古埋立承認への環境づくりではないかといった見方もあります。

 沖縄振興は基地の問題とリンクしているのか、それとも、していないのか。山本大臣は、さきの名護市長選挙や石垣市長選挙の応援に入られたようですけれども、沖縄振興と基地の問題の関係についてどのように話されたんでしょうか。

山本国務大臣 これは沖縄担当大臣に就任をしてから一貫して申し上げていることですが、振興は振興としてきちっとやっていく、こういうことです。

菊田委員 十二月二十五日の仲井真知事との会談において、安倍総理は、移設されるまでの間の危険性除去が極めて重要な課題であるとの認識は知事と共有をしていると述べられたと報じられています。仲井真知事も、会談後の記者会見で、五年以内の運用停止というのが実現できれば、一日も早い危険性の除去という点では合格すると述べておられます。

 政府は、普天間飛行場の五年以内の運用停止という知事の要請を受け入れ、それを日本政府の方針とした上で米国と交渉しているのか、明確にお答えいただきたい。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 昨年十二月に行われました安倍総理との会談におきまして、仲井真知事から沖縄の負担軽減策について要望があったことは、十分承知しておるところでございます。

 先月、岸田外務大臣が訪米しました際には、ケリー国務長官及びヘーゲル国防長官に対しまして、知事からいただいた御要望について、その実現に向けて全力で取り組むという我が国の基本的な考え方を説明するとともに、沖縄の負担軽減に向けた協力を要請したところでございます。アメリカ側からは、負担軽減に関する日本政府の努力を引き続き支持、協力するとの発言があったということでございます。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井真知事からの御要望については、総理も述べておられるとおりでございますが、アメリカを初め相手のあることではございますけれども、政府を挙げてその実現に向けて全力で取り組んでいく所存でございます。

菊田委員 沖縄県民あるいは県議会の仲井真知事に対する反発の中には、この安倍総理との会談の中身、あるいは、本当にこれが日本政府の正式な方針になっているのかどうか、こういうことがあるというふうに思います。

 もちろん私も、相手のあることだということは承知をしておりますけれども、これは本当に、五年以内の運用停止が日本政府の正式な方針なんだ、それより先送ることは日本政府の方針ではないということを米側に対して明確にされているのか、伝えているのかいないのか。

 来月、いよいよオバマ大統領が来日をされると聞いていますけれども、当然、沖縄における基地負担の軽減についてさまざま話し合いが行われると思います。安倍総理が、普天間飛行場の五年以内の運用停止は日本政府の方針だとオバマ大統領に明言されるのか、この点について注目が集まると思いますが、再度お答えいただけないでしょうか。

三ッ矢副大臣 繰り返しになると思いますが、さきの、私どもの岸田外相と先方のケリー国務長官それからヘーゲル国防長官との会談におきましても、仲井真知事からの要望はしっかりと伝えておるところでございまして、それを踏まえて、我々としても全力を挙げてこの返還問題に取り組んでいきたい、このように考えております。

菊田委員 私は、仲井真知事の御要望からということではなくて、これが日本政府の方針なんだという立場でぜひ交渉を進めていただきたいというふうに思っております。

 辺野古に新しい飛行場を建設して本格的な運用を開始するまでには十年はかかるのではないかというふうに言われているわけですが、一方、五年以内に普天間飛行場を運用停止するのであれば、少なくとも五年間、海兵隊のヘリコプター部隊は沖縄で展開できない計算となります。

 政府は、沖縄における海兵隊のプレゼンスは米軍の抑止力を維持する上で絶対に不可欠だとこれまで説明されてきたわけですが、このいわば空白の五年間におきまして、米軍の抑止力はどのように確保されるんでしょうか。連日、中国の挑発的行動が活発化しているわけでありまして、抑止力の問題は日本の平和と安全にとって死活的であります。具体的に御説明をお願いします。

三ッ矢副大臣 先生御指摘のとおり、我が国周辺の安全保障環境が一段と厳しさを増してきておる中で、この日米安全保障体制に基づく在日米軍の抑止力というのは、我が国の安全、ひいては地域の平和と安全の確保に不可欠でございます。

 沖縄に所在しておりますアメリカ海兵隊のプレゼンスはその中でも極めて重要な位置を占めておるわけでございますが、在日米軍の抑止力を維持しながら、かつ沖縄の負担を軽減するということが、極めて重要な取り組みになってきておるところでございます。

 普天間につきましては、先ほどから申し上げておりますように、現行の計画に従いまして、この飛行場の一日も早い移設、返還を実現し、なおかつ、米軍の抑止力を維持しながら沖縄の負担を早期に軽減していくという考えに、これは何度も御説明させていただいておりますが、我が政府の方針として間違いがございません。

 五年以内の返還を要望されて、我々としてもそれをしっかりと伝えてきておるところでございますけれども、その後の話、これにつきましては、いろいろな工夫が必要だと思います、正直言いまして。我々としては、ちょっと現段階で具体的にというわけにはいかないんですけれども、いろいろな工夫を重ねながら、抑止力の低下を招くことがないようにしっかりとこれに対応して、全力を挙げて取り組んでいきたい、このように考えております。

菊田委員 いろいろな工夫というふうに御答弁がありましたけれども、この五年間、非常に重要だと思いますし、米側とはどのような交渉、協議をされているのか、少し御説明いただけないでしょうか。

三ッ矢副大臣 この問題は機微にわたることでもございますので、この場での御答弁に関しては、ちょっと控えさせていただきたいと思います。

菊田委員 それでは、また別の機会に外務大臣にも質問させていただきたいというふうに思います。

 それでは、沖縄振興特別措置法の一部改正案について質問させていただきます。

 今回の法改正では、現在名護市に指定されています金融業務特別地区制度を抜本的に見直して、新たに同市を経済金融活性化特別地区に指定することが想定されています。また、地域指定権限や事業認定権を現行の国から県知事へ移譲するものでありまして、沖縄県の自主性を尊重するという観点から評価したいと考えます。

 情報通信産業振興地域につきましては、制度が創設された平成十年以降の進出企業数が平成二十四年度実績で二百六十三社、進出企業による新規創出雇用者数は、累計で二万三千七百四十一人に達しています。また、国際物流拠点産業集積地域についても、新規立地企業数は平成二十四年度実績で五十社、同新規創出雇用者数は六百九十九人となっています。

 しかしながら、この金融業務特別地区については、進出企業数が平成二十四年度実績で十五社、新規雇用者数は四百九十人でありますが、平成二十二年度実績と比較をいたしますと、新規進出企業はプラス二社、雇用者数は何とマイナス六十人という数字になっています。残念ながら、実績が乏しいと言わざるを得ないわけでありますが、単に行政サイドの宣伝が不足していたということなのか、見解を伺いたいと思います。

 そもそも、どういう理由で名護市が金融業務集積地として指定されたのかも、あわせて確認をさせていただきたいと思います。

 三ッ矢外務副大臣はもう結構でございますので、御退席ください。どうもありがとうございました。

井上政府参考人 金融特区におきますこれまでの企業の進出状況、そして税の適用件数、今委員御指摘のとおりでございます。一定の金融関連産業の立地があったというふうに見ておりますし、名護市の法人市民税の約四割は金融関連業によるものであるという状況にもございます。

 ただ、一方で、税制の適用件数が少ないというのも事実でございます。

 その要因として考えられますのは、やはり、これまで県等から御要望がございましたけれども、この制度には専ら要件等がありまして、適用要件が厳しく、使い勝手が悪い、使い勝手をよくしてほしいという議論があったところでございます。

 もう一つといたしましては、この金融特区でございますけれども、金融業務の集積を図るというものでございますけれども、実体経済の基盤となる産業の集積が図られて資金需要が生じなければ、なかなか金融業務の集積は進まないという面もあろうかというふうに考えております。

 このため、今回、金融特区を抜本的に見直しをいたしまして、経済金融活性化特区において対象産業の多様化をする、そして、専ら要件を廃止する、従業員数要件を緩和するなど支援内容を充実いたしまして、これにより企業進出が進むことを期待しているものでございます。

 そもそも、なぜ金融特区を名護市に立地するという制度が設けられたのかということでございますけれども、この金融特区につきましては、平成十四年の沖縄振興特別措置法におきまして盛り込まれたものでございます。もともとは、沖縄県の研究会、産学から成る自立型オキナワ経済振興研究会というものがございまして、当時、アイルランドのダブリンの国際金融サービスセンターの状況がございまして、それに着目をし、金融特区の導入を研究会が提言いたしまして、これを受けて、特に名護市が関心を示しまして、その実現を要望してきたという経緯がございました。

 このように、県と地元自治体の要望を踏まえた形で金融特区制度が創設をされたという経緯でございます。

菊田委員 今回の法改正によって、より使い勝手がよくなるということが期待されるわけでありますので、ぜひ、先ほどもほかの委員からもありましたが、広報、周知をしっかりしていただいて、成果を出していただきたいというふうに思います。

 二月の二十四日に、この委員会としまして沖縄視察、私も名護の方に皆さんと一緒に行かせていただきましたけれども、平成二十五年版の沖縄県統計年鑑を見ますと、名護市の人口は、平成七年から二十二年まで、一貫して増加をしております。

 他方、名護市に在住している方の就業者数及び通学者数というのを見ますと、名護市内で従業、通学する人の数は、平成十七年の二万四千六百人から平成二十二年の二万二千四百五人に減っております。

 特区を設けても企業誘致が思ったように進まなかったということだけではなくて、名護市内ではなく市外で働く、市外で従業する人がふえているのではないか。つまり、名護市全体が少しずつベッドタウン化しているとも読み取れるわけでありますが、政府はどういう御認識を持っておられるか。また、今回の法改正によって、人口に関してどのような効果が見込まれるか。御答弁をいただきたいと思います。

井上政府参考人 今御指摘の名護市の人口、そして就業者の状況でございますけれども、御指摘のとおり、名護市の人口につきましては、これは一貫して増加傾向にございます。

 平成二十二年の数字で見ますと、平成十二年に比べまして五千人増、平成二年に比べまして約一万人の増というふうになっております。

 また、名護市の従業者数でございますけれども、別の統計におきましては、平成二十一年度、二万六千五百七十八人でございますけれども、これも、平成十三年、十六年、十八年に比べて増加の傾向にはあるところでございます。

 名護市全体がベッドタウン化をしているのではないかという御指摘でございますけれども、これは平成二十二年の国勢調査でございますけれども、名護市の昼間人口は名護市の人口より多くなっているという状況にございます。夜間人口が六万二百三十一人に対しまして、昼間人口六万四千百二十三人でございますので、このデータから見る限りにおきましては、むしろ名護市へ働きに来る人が多い状況というふうに見てとることもできようかというふうに考えております。

 他方で、名護市の失業率、そして有効求人倍率、全国は当然のことながら、沖縄県全体の平均よりかは低いという状況にあるわけでございます。そうした名護市における産業の集積、企業活動の活性化が求められているわけでございますので、今回の特区制度におきまして、対象産業を多様化したり、さまざまな支援制度を導入して、こうした企業活動の活性化、さらには雇用状況の改善にもつながることを期待しているというところでございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 私が調べたのは、沖縄県の統計年鑑であります。そちらは国勢調査ということでありますから、さまざまな統計の仕方によって違いが出てくると思いますが、名護市の方々の人口の移り変わりですとか、あるいは就業先がどうなるか、失業者数、そしてまた特に若年層の就職、正規雇用としてきちっと働ける場所がなかなかないというようなお話も伺っておりますので、そういったことを引き続きウオッチしていきたいというふうに思います。

 名護市内の就業先を見ますと、雇用規模が大きいのが医療、福祉関係となっておりまして、平成二十四年で七千人を超えていました。次いで大きいのが卸、小売関係で五千人、三番目が宿泊、飲食産業関係で三千六百人。先ほども製造業が弱いというお話がありましたけれども、製造業は千四百人くらい。建設業が千六百人ぐらい。これも沖縄県の統計年鑑で調べたんですけれども、こういう現状でございます。

 今回の法改正によりまして、新たにどのような分野の企業誘致が進むと想定しているのか。

 それともう一つ、山本大臣が記者会見の中で、高付加価値産業を一層集積させるということ、これによって雇用の拡大と産業振興の促進を図るということを述べておられましたが、名護市における高付加価値産業とは具体的にどのようなものを指しているのか、教えていただきたいと思います。

山本国務大臣 経済金融活性化特別地区の対象産業に対しては各種の税制措置を講ずることになりますが、その対象産業は、先ほどからの質疑にも出ておりますけれども、沖縄県知事が経済金融活性化計画で集積を促進しようとする産業を記載するということになっておりまして、まずは沖縄県知事の判断だというふうに思います。

 このことから、現在、沖縄県において検討中ではありますが、沖縄県としては、北部圏域の資源を活用した製造業などを検討していると伺っております。

 なお、今委員から御指摘のあった、記者会見で私が高付加価値産業を一層集積させると申し上げたのは、これは、実は、名護市というか、情報特区、国際物流特区も含めて、効果的な企業誘致により高付加価値産業を集積させる、こういう意味合いで申し上げたということです。

 余り細かく言うと時間がないんですけれども、国際物流産業でいうと、東アジアの中心に位置するという地理的優位性を生かした産業があり得ると思うんですね。例えば、沖縄の国際貨物ハブを活用するとか、産業用計測機器などの高付加価値製品を製造する企業の立地というのもありますし、情報産業でいうと、例えば、同時被災の可能性を下げるためにデータセンターの立地とか、あるいは情報通信機器の相互接続検証事業、こういった集積が期待されるんじゃないかというふうに考えております。

菊田委員 これはちょっと政府参考人にお聞きしたいんですけれども、今大臣から北部地域の特性を生かした製造業という話がありましたが、そもそも、どういった理由でなかなか製造業が育たないということなんでしょうか。

井上政府参考人 沖縄におきましてなぜ製造業が育たないかということでございますけれども、島嶼地域でございます。したがいまして、本土におきましては重厚長大型産業が高度成長期において育成をされたところでございますけれども、やはり本土と沖縄との輸送コストの問題等がありまして、なかなか重厚長大型産業が育たなかったという過去の経緯がございます。

 他方で、今は、情報産業でありますとか観光産業、新たなサービス業を中心とし、そして那覇空港を活用した国際物流産業、そういう産業の振興が期待をされているというところでございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 先ほども申し上げましたように、二月の二十四日に、安住委員長を先頭にしましてこの特別委員会として沖縄を訪問いたしまして、市町村の四団体、そしてまた各圏域団体の代表と懇談会をさせていただきました。

 その中で、さまざまな御意見、御要望を承ったわけですが、現在安倍政権が進めていますTPP交渉に関して懸念が示されました。沖縄の農業の重要な基幹作物でありますサトウキビです。このサトウキビが打撃を受ければ、もうまさに沖縄振興どころではないんだというような声が聞こえたわけであります。現在、交渉の中でサトウキビはどのように取り扱われているのか、詳しい内容が何も伝わってこない、何もわからない、こういうお話でありました。

 TPPは、沖縄のサトウキビ農家、沖縄の農業にどういう影響を及ぼすのか。また、沖縄経済全体への影響についてはどうか。そして、影響があるとすれば、沖縄振興という観点でどのような対策が必要と考えるか。甘利経済大臣ではありませんから、中身の詳しいことをお答えしろということは難しいかもしれませんけれども、山本大臣の立場でお答えいただきたいと思います。

山本国務大臣 今委員おっしゃったように、TPP交渉については、これは甘利大臣の担当ということですが、沖縄担当大臣として感じていることを申し上げたいと思います。

 温暖な亜熱帯の気候とか、あるいは台風、干ばつが常に来る地帯だ、こういう沖縄の特性を踏まえると、おっしゃったとおり、委員は恐らく農業団体の方々ともお話をされたと思いますが、サトウキビは沖縄の農業において極めて重要な基幹的作物だということは、もう間違いないと思います。農家の八割、作付延べ面積の五割、これもよく御存じだと思いますが、農業産出額の二割と、多くを占めております。

 それから、製糖業を初めとする関連産業への波及効果も非常に大きいというふうに思いますし、沖縄、特に離島の経済においては重要な役割を担うものであって、これは引き続き安定的な生産の振興が必要であるというふうに考えております。

 TPPによる沖縄農業及び関連産業等への影響については、昨年三月十五日に国単位の影響についての政府統一試算を取りまとめておりますが、試算で用いたモデルは、これは国単位で試算を行うということで、沖縄など地域別の影響というものは今試算ができないというふうに聞いております。

 いずれにせよ、現在、衆議院及び参議院の農林水産委員会での決議をしっかり受けとめて、全力で政府としてTPP交渉に当たっているというふうに承知しておりまして、沖縄振興を担当する立場の私としても、この進捗状況をしっかり注視するとともに、これについて配慮してまいりたいというふうに考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 民主党政権のときも、自民党さんに随分怒られたんです。全然情報開示されていないじゃないかということで言われたんですけれども、大臣も、大臣の立場で、沖縄のサトウキビ農家、農業、あるいは経済全体に対する目配りをしていただきながら、できる限りの情報開示に政権の一人としてお努めをいただきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

安住委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 日本維新の会の石関貴史です。

 先日の一般質疑の中でも同僚の阪口委員からそういうお話をさせていただきましたが、日本維新の会の政策調査会の中に沖縄プロジェクトチームというのがあって、これは実際に、できる限り機会をつくって沖縄に訪問をして、直接、地域の皆さん、団体等からもお話を聞いて、また現地も見て、実感を得て沖縄に取り組んでいきたい、こういうプロジェクトチームがあって、私もその一員で、年に数回、去年から伺っております。

 その中で、今回の法案にもありますけれども、国際物流拠点産業集積計画、こういうものも入っておりますが、先日は石垣島に行ってまいりました。その前は、那覇の港も見たりしてまいりました。歴史的、それから地理的に、沖縄というのは中国、台湾と人も物も交流が大変あるということなんですが、この人の交流、物の交流というのが、中国、台湾、どのような状況になっているか、最近の傾向と、今、足元でどういう状況か、今後どういう見込みか、これについて教えていただきたいと思います。これは井上政策統括官にお願いしたいと思います。

井上政府参考人 沖縄におきます中国そして台湾との人、物の交流の状況でございます。

 まず、中国との人的な交流でございますけれども、平成二十三年七月の数次ビザ発給開始によりまして入り込み客は増加をしておりますけれども、平成二十四年は、尖閣国有化の影響によりまして、九月以降、減少いたしております。その後、平成二十五年は、七月から北京―那覇間の航空路線が再開したほか、中国人向けクルーズ船が寄港するなど、徐々にでございますけれども回復傾向にございます。

 他方で、台湾でございますけれども、その人的交流につきましては、平成二十三年、東日本大震災の影響によりまして入り込み客は減少しておりますが、二十四年以降は、日台間のオープンスカイ協定締結による新規航空路線の就航、円安の影響等によりまして大幅に増加しております。

 ちなみに、台湾、平成二十四年は十四万一千人でございましたけれども、平成二十五年は二十三万六千人となっているものでございます。

 また、物流でございますけれども、沖縄から両国への輸出、そして両国からの輸入、それぞれ、平成二十四年は前年より落ち込んでおりますけれども、二十五年につきましては、中国、台湾とも前年より増加をしている傾向にございます。

石関委員 いろいろ政治問題等もあり、一時的な落ち込みはあったけれども、また回復をしている、こういう傾向だということですが、特に人の交流の部分、物についてはまたお尋ねもしたいと思いますが、人の交流の部分で、クルーズ船というお話がありました。

 どんな船がふえていて、どれぐらいの人数がいわゆるクルーズ船に乗って、沖縄、那覇とか石垣だというふうに思いますが、こういうところを訪れていて、随分お買い物もされているということなんですが、具体的に、このクルーズ船というのは、来て、例えば一晩とか二晩泊まっていくのか、来て、その日でどこかまたほかへ行ってしまうのか、そもそもはどういうものなのか。

 また、先ほど申し上げたように、どれぐらいの人数の方がこのクルーズ船でいらっしゃって、一人当たり一万円、二万円買っていただければ相当な経済効果だというふうに思いますが、どんな現状になっていて、クルーズ船の客数掛ける、ざっくり一万円とか二万円と、経験値であるでしょうから、それを掛けるとこれぐらいの効果だと、ちょっと数字で、またわかりやすく教えていただけますか。統括官、お願いします。

井上政府参考人 クルーズ船の状況でございますけれども、まず、寄港回数でございます。

 これは、平成二十五年でございますけれども、百二十六回でございました。平成二十四年につきましても同様に百二十六回であったわけでございますけれども、二十六年につきましては、百六十七回の寄港が見込まれているということでございまして、大幅に増加する傾向にございます。

 そして、海路の外国人の観光客数でございますけれども、平成二十五年は十七万三千四百人であったわけでございますけれども、平成二十四年は十四万六千八百人、平成二十三年は十一万八千九百人、これも大幅な増加傾向の状況にございます。国籍で見ますと、台湾がかなりふえているという状況にございます。

 具体的に、どのようなクルーズ船が来ているのかということでございますけれども、台湾でございますけれども、これはスタークルーズ社、スーパースター・アクエリアス号というのがございまして、台湾、石垣、那覇港を結んでおりまして、石垣、那覇に寄港いたしまして、人によってはバスで、人によってはタクシーで観光地、そしてショッピングに出かけて、観光したりお買い物をされるというようなことであるわけでございます。

 中国の関係でございますと、ロイヤル・カリビアン社、ボイジャー・オブ・ザ・シーズ、これは極めて大きな船でございますけれども、そうしたものでありますとか、コスタクルーズ社のコスタアトランチカ号などが就航しておりまして、上海、那覇、上海を結ぶとか、上海、済州、那覇、上海、さまざまな組み合わせがございます。

 また、日本国籍におきましても、飛鳥号とか飛鳥の2というクルーズ船でありますとか、にっぽん丸、そうしたものがございまして、飛鳥の2というものにつきましても、これも横浜、大阪、那覇、台湾、石垣、そして那覇と台湾につきましては一泊しているというような状況にございます。

 波及効果でございますけれども、これは、先ほど申し上げましたボイジャー・オブ・ザ・シーズという大型クルーズ船が二十四年の七月に参っております。乗客数は三千六百九人という極めて多人数であったわけでございますけれども、これが那覇に寄港した際に乗客へのアンケートをいたしておりまして、沖縄での乗客一人当たりの消費額、平均三万八千円という数字となっております。掛け合わせますと、約一億三千七百万円の直接的な経済効果があったというふうに算定されるものでございます。

石関委員 ちょっとこれは通告してありませんけれども、日本人の沖縄の訪問、何人ぐらい行っていて、比較するとどれぐらいの比率になるんですか。今、外国の方がこれだけだということと、アンケートによれば一人三万円ぐらい使ってくれるということなんですが、幾ら使っているかは別にして、日本人の中で沖縄を訪問する皆さんというのは年間どれぐらいありますか。

井上政府参考人 沖縄全体ということでよろしいでしょうか。

 沖縄県の平成二十五年の観光客数は六百四十一万人であったわけでございますけれども、うち外国人の観光客が五十五万人ということでございまして、率にいたしまして八・六%となっているものでございます。

石関委員 今のを伺ってもかなり、クルーズ船もそうですし、外国からの皆さんというのは、非常に経済という意味では大事だ。国防とか安全保障、いろいろな意味からはまた、違う角度からはいろいろ、これはこれで気をつけなければいけないというのは当然あると思いますが、今回、経済に絞って質問させていただくと、非常に大事だということなんです。

 那覇の港も見てきました。あとは、石垣港も先日行ってまいりましたけれども、どうもやはり、バースというんですか、船が着岸して乗客ですとか荷物をおろすというところが整備が足りないがためにお断りをしている、船は寄りたいと言ってもお断りしている、こういうこともあるということなんです。

 那覇のバースの整備状況、それから石垣も、荷おろしをするところに今クルーズ船をとめているということでありましたので、私が行ったときには、コンテナがばあっと積んであって、クルーズ船で人がおりるときにはそれをどかしてということだったんですが、観光客が来るにしては極めて味気ないところですし、もちろん、荷物と同じようなところであれば危険性もあるでしょう。タクシーで買い物に行かれるという方がいても、タクシーだまりみたいなものもないというところでしたので、これはぜひ早急に整備をして、お客さんに大勢来ていただいて、先ほど買い物の効果がありましたけれども、していただけるような整備が必要だと思います。

 それぞれ、どのような計画、今後どれぐらいでどれぐらいのものを整備する、整備ができればどれぐらいの船が今後接岸できて、そしてお客さんがふえるだろう、こんな見込みを含めて教えていただけますでしょうか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、沖縄のリーディング産業でございます観光産業の発展のために、特に国内外からの大型旅客船を利用した観光を推進するためには、那覇港、石垣港などにおきます旅客船ターミナルの確保が非常に重要だと我々も認識しているところでございます。

 こうした中で、まず那覇港でございますけれども、平成十八年度から整備に着手をしておりまして、現在、平成二十年代後半の完成を目指して努力をしているところでございます。なお、早期利用のために、平成二十一年九月に暫定利用を始めているところでございます。

 次に、石垣港でございますけれども、先生御指摘のように、現在、貨物船ターミナルを利用しているという現状にあるわけでございますけれども、こちらも旅客船専用ターミナルの整備を平成十七年度から開始しておりまして、平成二十年代後半の完成を目指して鋭意努力しているというところでございます。

 那覇港、石垣港における旅客船ターミナルの整備については、引き続き着実に進めてまいる所存でございます。

 それから、どのぐらい利用が見込まれるのかということでございますけれども、現在のところ、実績をまず申し上げますと、例えば那覇港ですと、平成二十三年度には五十三回、平成二十四年六十七回、平成二十五年五十六回というような実績でございまして、石垣は、平成二十三年四十九回、平成二十四年五十二回、平成二十五年六十五回というような実績になってございます。

 この両港におきます旅客船ターミナルの整備が進んでこれ以上の入国が見込まれるように、我々としても期待しているというところでございます。

 以上でございます。

石関委員 水産庁の方、おいでいただいていますね。次は水産庁にお尋ねしたいんです。

 先日、この委員会で一般質疑のときに、またこれも同僚の阪口委員が質問したのは、日台の漁業協定の話をさせていただいたと思います。

 マグロの漁をされている皆さん、尖閣で漁をする会というのがあって、この前、石垣島でこの皆さんとも面談をしてまいりました。ただ、その中で、マグロだけではなくて、そこでお話が出たのがサンゴ漁の話でした。

 彼らが言うには、北緯二十七度以南の地域に中国の船がたくさん来てサンゴをとっているということなんですが、この北緯二十七度以南というのはどういう意味があるんでしょうか、教えてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる北緯二十七度以南水域でございますけれども、この水域、日中の漁業協定の附属でございます我が国の外務大臣と中国の特命全権大使との書簡の交換によりまして、日中双方が、海洋生物資源の維持が過度の開発により脅かされないことを確保するため協力関係にあることを前提として、それぞれ相手国の国民に対し自国の漁業関係法令を適用しないという水域でございまして、双方とも、相手国の許可なく操業ができる水域でございます。

石関委員 資源ということなんですけれども、これは、魚、サンゴ、サンゴは関係ないんですか。

枝元政府参考人 サンゴも資源の一つだと認識しております。

石関委員 ということは、サンゴをどれだけとっても構わないということなんですか。

枝元政府参考人 御指摘のとおり、中国船によるサンゴの採捕がこの水域で行われておりますが、私ども、不法採捕というふうに呼んでございます。

 サンゴの資源と沖縄の漁業者にとって重要なマチ類の漁場に非常に大きな悪影響を与えるものでございますのと、あと中国の法律においても、この宝石サンゴをとることは違法となっております。

 そういう意味からいたしますと、この問題は、その根絶を図らなければならない重大な問題だというふうに認識をしております。

石関委員 今御答弁にもあった宝石サンゴ、僕は見たことないですけれども、何かすごく高いらしいですよ。まさに一獲千金で、そういうものも狙って多くの船が来て、やたらとっている、いわゆる乱獲をしている状況だということなんです。

 今の御答弁にもあったとおり、それでいいのかといえば、とてもそういう認識ではないということなんですが、中国側とこのサンゴの問題について、過去、何か話し合われたとか、今継続的に話をしているとか、今後お話をして、乱獲はやめてくださいとか、お互い話し合って節度ある操業にしましょうとか、こういうことというのはありますか。

枝元政府参考人 この問題につきましては、日中の漁業協定の中の日中漁業共同委員会という仕組みがございますけれども、昨年の八月、その日中の共同委員会におきまして、日本の方から、我が方からその問題を提起いたしまして、沖縄の漁業者を初めとする強い懸念を伝えながら、いろいろな課題がございますけれども、最も時間を割いて中国側と議論をいたしました。

 その結果、サンゴの不法採捕を根絶するため双方が協力して取り組むこととし、そのための具体的な方策として、サンゴ船を視認した場合には通報し、調査する仕組みの導入等について合意をしたところでございます。

 今後とも、沖縄の漁業者の懸念を真摯に受けとめまして、日中漁業共同委員会等を通じまして中国側に問題提起を行うなど、しっかり対応してまいりたいというふうに思っております。

石関委員 ちょっと今のをまた詳しく教えてもらいたいんですが、合意をしたということなんですけれども、今ので合意をすると、具体的に何か変わっているんですか。合意はしたけれども、別に乱獲が減っているとか、そういうことでもない、今後減る見込みなのかどうか、何かいいことがあったんですか、それは。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 この通報の仕組みによりまして、先ほど申し上げたとおり、自国の法令を適用しないということでございますので、私ども、監視をいたしまして、それを確認いたしましたら中国側に通報をするということ。あと、昨年秋に急増したときがございますが、そのときには、水産庁の幹部をすぐ中国に派遣して当局に対応を強く求める等々、対応を行っているところでございます。

 中国におきましても、サンゴ船の検挙ですとか摘発、船のスクラップ等々を行っているということは承知しておりますけれども、依然として、先ほど先生も御指摘のとおり、非常に価格が高くて、サンゴ船の活動がまだございます。

 いずれにしても、中国側と協力もしつつ、また、共同委員会等の場を通じて問題を提起し、粘り強く取り組んでまいりたいというふうに考えております。

石関委員 わかりました。

 ただ、乱獲が続いていいということではありませんから、これは政治の仕事ですので、大臣初め、強力に、実効性のあるルールづくりとか乱獲を防ぐような方策、ぜひこれをお願いしたいというふうに思います。地元の方もみんなそういうことをおっしゃっていました。

 次に、沖縄振興局長さんを中心にお尋ねしたいと思うんですが、アメラジアンという言葉があって、後藤田副大臣は御存じですか、アメラジアン、どんな方々ですか。

後藤田副大臣 奥さんが日本人で御主人がアメリカ人の、沖縄に住んでいる方の中で生まれた子供さんのことだと思います。

石関委員 沖縄だけでなくて、アメラジアンという言葉は、基本的には、このアジア地域に展開する米軍の軍人の皆さんとそれぞれの地域の女性の方との間にできたお子さんのことをアメラジアンという、こういうことだと思います。特に、これから取り上げるのは沖縄の問題ですから、沖縄にいらっしゃるアメラジアンと言われる皆さんの教育がどういう状況になっているかということなんです。

 沖縄で、このアメラジアンと呼ばれる、今定義するような方々というのが年間どれぐらいお生まれになって、そして、その皆さんの教育、アメラジアンスクールというのが実際に沖縄にはあるんですが、これがどういうことになっているか、教えてください。

井上政府参考人 恐縮でございますけれども、アメラジアンの方々の出生の状況、手元に数字がございませんけれども、今御指摘のアメラジアンスクール、これは宜野湾にございまして、NPO法人アメラジアンスクール・イン・オキナワというところが運営をされているところでございまして、平成二十五年四月現在、在校生七十五名、幼稚園生五名、小学生四十七名、中学生二十三名と聞いております。

 いわゆるこのアメラジアンの生徒児童の方々でございますけれども、先ほど副大臣からもお話がございましたけれども、妻が日本人、夫が米国人ということでございまして、一般的に英語を母国語としているというケースがございまして、日本語が不足をしている、したがって、いわゆる公立の学校に行ってもなかなか適応ができないというようなところが課題としてあり、そのため、公立学校以外の民間の教育施設が必要とされ、先ほど申し上げましたNPO法人がそうしたアメラジアンスクールを運営しているというふうに認識をしているところでございます。

石関委員 今御説明いただいたものだというふうに私も承知をしておりますが、ただ、英語を母国語というお話があったんですけれども、お子さんは生まれたけれども、お父さんが本国に帰ってしまって、実は、みめ形は、いわゆるハーフというんですか、どういう用語が適切かわかりませんが、アメリカ人と日本人の間に生まれたというみめ形だけれども、英語は逆に全然しゃべれなかったり、そういう皆さんもたくさんいる。また、家庭環境がいろいろ困難だから普通の学校に適合できない、こういう方々もいて、このアメラジアンスクールでそういう方々の面倒を見ている、こういうことだと思うんですね。

 ただ、一つ沖縄に特有の課題だというふうに私は思うんですが、国として、このアメラジアンスクール、これを今支援されているのか、していくお考えがあるのか。

 繰り返し言いますけれども、沖縄に特有の問題であり、基地があって、やはり特殊な環境に置かれているということですので、沖縄振興と言っていいのかどうかわかりませんが、沖縄の対策としては私はこれは非常に重要なポイントだと思うんですが、いかがですか。

井上政府参考人 まず、内閣府から御説明をいたしたいと存じます。

 まず、このアメラジアンスクールでございますけれども、沖縄県でございますけれども、日本語等の指導者として二名を派遣いたしております。それから、一括交付金制度が創設をされたわけでございますけれども、それを活用いたしまして、県として、このアメラジアンスクールに対しまして、パソコン等を活用した日本語指導教材、そして日本語指導マニュアルの作成等を行いまして、県内の日本語指導支援の必要なアメラジアン児童生徒への支援を行っているというふうに聞いております。

石関委員 そこはさらに、私も学校に行っての印象なんですが、ぜひ充実をさせて、こういったお子さんたちが適切な教育と、今、日本語の話がありました、これも遜色のないように覚えられるような、こういう環境を整えていただきたいというふうに思います。

 このアメラジアンスクール、現在も寄附をいろいろなところからいただいて何とか運営をしているという環境なんですが、これは文科省にお尋ねをしたいと思います。

 沖縄対策、本当に現地の皆さんのためになる対策として、このアメラジアンスクールに関しては、企業から寄附金をいただけるような、それが促進できるような制度づくりというのをやっていただく。寄附をすればそれが節税につながって、どうせ節税するのならこのお子さんたちに使いたい、こういう企業がふえるような、先ほど大臣も言ったインセンティブを与えるような施策をやれば、国が直接お金をそこに投入しなくても、地域の中あるいは国内で、この皆さんのためになる、自分も貢献をしている、こういう気分になってやれるような制度、文科省としてこういったお考えはないでしょうか。

加藤政府参考人 委員お尋ねのアメラジアンスクール・イン・オキナワでございますが、特定非営利活動法人でございます。いわゆるNPO法人でございますが、NPO法人に関しましては、平成二十三年度の税制改正によりまして、認定NPO法人に対して個人が寄附をする場合には、所得税につきまして所得控除か税額控除のいずれか有利な方を選択できるという優遇措置の拡充が図られたところでございます。

 したがいまして、このアメラジアンスクール・イン・オキナワにつきましても、寄附を促進するという観点からは、このスクール、NPO法人が特定非営利活動促進法に基づきまして所轄庁の認定を受ければ、こうした優遇措置の活用も可能になるものというふうに理解してございます。

石関委員 それでも、今経営が大変苦しいということですから、私が申し上げているのは、さらにそのインセンティブを上げるような格段の対応というのが必要だと思いますので、ぜひまた大臣中心にこれも進めていただきたいというふうに思います。

 最後、いわゆるIR、特定複合観光施設、これに関してのお尋ねをさせていただきます。

 私も、日本維新の会の一員としてこの法案の提出者の一人になっておりますが、もちろん、今、どこにつくるとか、またこの法案も、提出されているだけですから今後どうなるかわかりませんが、私は必要なものだと思ってかかわりを持っているということですし、候補地がどうなるかというのはさらに先の話でわかりませんが、地域振興のためにも、またあるいは地理的な場所を考えても、沖縄というのも有力な候補地の一つだというふうに思いますが、これについて、政策統括官にお尋ねしますけれども、どのように政府として受けとめていますか。

井上政府参考人 今御指摘のカジノを含む統合型リゾートでございますけれども、昨年十二月の臨時国会におきまして推進法案が提出され、本年の通常国会において継続審議されているものと承知をいたしております。

 このIRでございますけれども、観光や産業振興などに有効という意見がある一方で、治安や青少年への悪影響を懸念する意見もあるものと承知をいたしております。

 沖縄県でございますけれども、平成十九年度より、県内へのIR導入についての課題の整理や対応策の検討を実施し、地域説明会、シンポジウムの開催などによりまして、IRに対する県民の理解が深まるように努めてきているところであると聞いておるわけでございますけれども、そうしたIR整備に関する沖縄県の検討状況を勘案して、内閣府といたしましても、推進法案の通常国会における動向などを注視してまいりたいと考えているところでございます。

石関委員 具体的に沖縄の皆さんの受けとめ、こういうIRの話が出たときに、経済団体ですとか、それから地方政府であったりとか、政界とかマスコミ、こういったものの論調ですとか御意見、具体的なもので把握されているものはありますか。

井上政府参考人 まず、IRの県内への誘致でございますけれども、私ども承知しておりますのが、経済団体が二十三年二月に統合リゾートの県内への誘致促進についての要請を行っております。また、一部の市において、IRを誘致するような請願書が出されているというふうにも聞いております。

 それから、さまざまな県内の声であるわけでございますけれども、先ほど申しましたとおり、沖縄県では、これまで、IRに対しますシンポジウムでありますとか説明会を開催してきておりまして、そうした場で県民の方々の意見を聞いているというところでございまして、主な意見としては、県経済への波及効果の観点から実現を求める声、懸念事項の対策を前提に肯定的に捉える声がある一方で、IRがもたらすカジノのイメージが離島観光のイメージにそぐわないというような否定的なコメントもあったというふうに聞いているというところでございます。

石関委員 このIR、私は沖縄の振興にも資するものだと思っていますが、今お話にもあったとおり、懸念する声も当然ある。その前に伺ったサンゴの話もそうですし、アメラジアンへの支援というのもそうですが、いろいろな問題と課題、それから、これを突破すれば非常に沖縄にはプラスになる、いろいろなものがあると思いますが、今のやりとりも踏まえた上で、最後、もう一回副大臣に聞いてみますか、副大臣に出番を、今回は活躍していただいて。

 今回の法案が通ると、このやりとりも踏まえて、こういったいろいろな課題も含めて、沖縄にどれぐらいの貢献があるとお考えなのか、この法案についてお尋ねします。

安住委員長 時間が来ておりますので、簡潔に。

後藤田副大臣 ありがとうございます。

 沖縄の産業構造の問題は、委員も御承知のとおりでございます。今おっしゃったIRの問題だとか、こういったものも、いろいろな議論がございますが、もちろん観光を中心にでございますが、今回の制度によって、やはり製造業がしっかりと定着できる、先ほどのアメラジアンの方々も就職できるような雇用の場、こういうものをしっかりつくっていくように頑張りたいと思います。

石関委員 ありがとうございました。

安住委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。

 本日は、貴重な質問の機会をありがとうございます。

 ちょっと、禅の言葉で、如(にょ)というか如(じょ)というか、意味するところは時間と空間、こういう言葉があるんですけれども、改めて、きょうは時間と空間が一致するがゆえ、山本大臣や後藤田副大臣に質問をさせていただき、また、安住委員長には、本当にお世話になって、国会議員にさせていただいてこの場をいただいているということで、改めて感謝と、職責を少しでも全うできるように質問させていただきたいと思います。

 そんな意味から、この時間と空間という意味で、沖縄をやはり総括して考えていく必要があると私は思っております。

 一九七二年、昭和四十七年の五月十五日に返還されて、四十二年を間もなく迎えるという月日でございますが、本土復帰後、あるいはそれ以前の歴史もあります。こういった点を振り返って、基地問題もありますし、県民所得、これまで相当な金額を投下させていただいているとも思っております。そして、その結果として産業振興の状況、こういったものを全体として振り返って、大臣のお立場でどんなことを今考えられ、これからの未来をどう考えていくか、教えていただければと思います。

山本国務大臣 時間と空間が一致して質疑ができるので、真摯に答弁させていただきたいと思います。

 昭和四十七年の本土復帰以来、沖縄の振興開発のためにいろいろな諸施策を政府として講じてまいりました。その結果、社会資本の整備とか、あるいは県内総生産とか、就業者数の増加とか、リーディング産業としての観光業とか、あるいは情報通信産業とか、物流の分野での着実な発展とか、一定の成果を上げてきたということは間違いないというふうに思います。

 ただ、他方で、一人当たりの県民所得は依然として低い水準にあるということですし、失業率も全国平均に比べては非常に高い。幾つかの課題があることも、これも事実だというふうに思います。

 きょうの答弁でも申し上げたんですけれども、政府として沖縄振興をやってきたいろいろな理由があると思います、歴史的な要因、社会的な要因、地理的な要因。でも、私は、沖縄担当大臣になってからずっと申し上げているのは、沖縄は東アジアの中心に位置するという地理的特性がある。日本一高い出生率、若年人口率といった潜在力もある。これは、骨太方針や日本再興戦略でも書かれましたが、やはり将来、日本のフロントランナーとして二十一世紀の成長モデルとなって日本全体を引っ張る、こういう可能性を秘めているというふうに信じておりまして、そういうイメージを頭に描きながら振興策を進めていくべきだというふうに考えております。

 具体的には、引き続き、沖縄のリーディング産業である観光リゾート産業、IT関連産業の発展を図っていくとともに、今申し上げた優位性を生かして国際物流産業を集積する、あるいはOISTもありますので、沖縄科学技術大学院大学を生かした科学技術の振興、国家戦略として沖縄振興策を総合的、積極的に推進していきたいというふうに考えています。

 さらに、駐留軍用地の返還後の跡地利用、これも非常に沖縄振興という点では重要な課題だというふうに認識をしております。きょうも幾つか御質問がありましたが、跡地利用の特措法に基づいて、今後もこの取り組みが一層推進されるように、沖縄県及び関係市町村長と連携してしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 次に、今、東アジアの中心というお話もありました。その中で、中国という国から見ると、日本を向こう側から見ると、御存じの第一列島線があり、第二列島線があり、最近私も知った第三列島線というのすらある、ハワイの方角を指すそうでございますけれども。

 そういった向こう三軒両隣の国々を抱える中で、沖縄の地政学上の重要性、この認識と、それから、よく言われる普天間の危険性の除去という言葉があるんですけれども、この具体的な問題点はどういう御認識を、むしろ沖縄の県民の立場に立っていらっしゃる大臣のお立場として、この危険性の除去というのはどこをどう除去したらいいのか、この辺の御認識を伺えればと思います。

山本国務大臣 沖縄振興担当大臣としての答弁になるので、余り委員に御満足いただけるお答えになるかわかりませんが。

 まず、地政学的なお話ですけれども、これも御存じのとおり、沖縄県は東西千キロ、南北四百キロに及ぶ広大な海域に点在する大小百六十の島嶼から成るということで、成長するアジアの玄関口にも位置づけられております。

 さらに、那覇市を中心に千五百キロの円を描くと、この圏内に香港、マニラ、ソウル、東京が入るということで、地理的には東アジアの中心に位置しております。

 他方、国土面積の〇・六%の沖縄県内に全国の約七四%の在日米軍専用施設・区域が依然として集中をしているということで、沖縄県民の方々にとっては大きな負担になっているということは、これはもう認識をしております。

 この中でも、普天間飛行場は、これも委員はよく御存じですが、周囲が住宅や学校等に密接しているということで、その固定化は絶対避けなければならないというふうに考えておりまして、これは日米合意に従って一日も早く移設、返還に向けて政府として取り組むということだと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 クリアゾーンとかそういった問題もあると思いますが、全体としては、そういう危険性を除去していただくことをぜひともお願い申し上げます。

 次に、きょうの冒頭の法案の提案理由説明にもございましたし、今も大臣の御答弁でありましたが、日本のフロントランナーとして二十一世紀の成長モデルというお話がございました。

 まさしく私は、アベノミクスの三本目の矢の成長戦略は、特区じゃなくて全体を、岩盤規制を緩和する、打ち破っていくということだと思っていますが、現実問題、どこからか始めていかないとならないというのも、現実の、むしろ行政府サイドにいらっしゃる方々の、あるいは経験された方々の思いだとも思っております。

 そんな意味で、成長戦略の中の国家戦略特区という位置づけと、私は、沖縄県はまさしく国家戦略特区のフロントランナーであるのではないかという認識を持っているんですけれども、この点の共通点と、いやいや、ここはこういう点が違っているんだというところはなかなか認識として持ちにくいんですけれども、どう認識を持ったらいいかを教えていただければと思います。

後藤田副大臣 ありがとうございます。

 国家戦略特区と今回の沖縄の特措法との違い、共通点でございますが、まず共通点は、一定の地域において特例措置を講ずることによって経済活動等の活性化を図ることを目的としているということが共通点かと承知しております。

 一方で、異なっている点でございますが、国家戦略特区につきましては国主導の制度になっているのに対して、沖縄の特区、地域制度は沖縄県の自主性を尊重している、こういう制度になっております。

 具体的に言いますと、例えば地域指定につきましては、国家戦略特区については国が指定しておりますが、今回の特措法につきましては、県知事が計画を策定して指定するだとか、そういう状況になっております。

 また、計画策定につきましても、国家戦略特区につきましては国家戦略特区会議が作成し、内閣総理大臣が認定するということでございますが、今回の方はやはり県が前に出ている。

 そして、支援制度につきましても、まさにみんなの党さん中心に今やられている規制改革、こういう側面、規制緩和措置が国家戦略特区については前面に出ておりますけれども、我々の支援制度につきましては、税制上の特例措置、所得控除だとか設備投資減税だとかエンジェル税制、こういう違いがあると思います。

 いずれにしましても、今回、沖縄県の自主性を高める方向で、地域、地区指定権限、事業認定権限の県知事への移譲など、幅広く支援内容を充実したものになっておるわけでございます。

杉本委員 わかりやすい説明をありがとうございます。県の自主性というところが違うんだぞということがわかりました。

 いずれにしろ、沖縄がフロントランナーとしてむしろ日本経済を引っ張っていただくというような立ち位置になっていただくことを願ってやみません。

 そんな意味から、次に、離島振興の問題に触れさせていただきたいんですけれども、先般、私も国交委員会で視察をさせていただいたときに与那国を見させていただいたんですが、石垣は人口がふえていたりということなんですが、与那国は人口減というような状況でもあります。

 また、ちょっと話はそれるかもしれませんが、海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針というのが平成二十一年十二月に総合海洋政策本部で決定されて、これに関連して、我が国のEEZ等の関係から、沖縄でも、幾つかの島が具体的に名称が決まっていなかったところを決定し、地図等への記載をしたという経緯もございます。

 この地域間格差というか、本島と離島との格差といったものを、今回の法案も含めてなんですが、いかに認識されておられて、そして今後いかなる手だてを行っていくか。県主導というお言葉があったんですが、県主導といってお任せするといった点もありますけれども、国側もやはりサポートしていかなければならない離島振興ということでもあると思いますので、この点について教えていただければと思います。

後藤田副大臣 ありがとうございます。

 委員おっしゃるように、沖縄の離島の位置づけというのは、先ほどのEEZの話も含めて、戦略的な位置づけもありますし、外交、防衛の位置づけもございますし、一方で、やはり沖縄離島は、豊かな自然、島ごとの異なる独自の文化、先般も国立公園も認定されたということも含めまして、全国的にも観光地としての高い評価を得ているという現状もございます。

 ただ一方で、委員御指摘のとおり、沖縄本島と比べますと所得が低かったり、人口が減少しておったり、また、やはり移動、物流コストの低減等による離島住民の負担軽減、産業振興による活性化等の課題がある、こういうことを我々も認識しております。

 これらの課題に対しまして、今、県や市町村では、平成二十四年度に新たに創設された国の一括交付金を活用いたしまして、まず交通面、これも、移動コストの低減のため、離島住民等の交通コストの負担軽減を行う事業をしております。

 また、情報通信面におきましては、情報格差を解消し、情報通信基盤の構築を行うため、本島と離島を結ぶ海底光ケーブルを整備する事業も行っております。

 また、医療面も、これは離島、僻地における医療体制というものの確保という観点からは、離島における人工透析施設の整備、また妊婦健診等の運賃補助等もやっているようでございます。

 教育面におきましても、高校のない離島出身者のための寄宿舎等の整備、そしてまた公営学習塾、与那国なんかは塾がないというような現状もございます。こういったものの支援もさまざまな角度で離島振興策として行っているところでございますが、今後とも、離島の活性化を図るために、沖縄県や、また各離島市町村と連携いたしまして、産業の活性化、また交通、生活環境、情報基盤整備の取り組みの支援等を国としても行ってまいりたいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 今お話を伺って、Iターンなんという言葉があって、若い方々が、移住して住んでみたい、しかし、年をとっていくと、お医者さんがなくなっちゃうのでやはり都会に戻っちゃう。こういう現状が沖縄の島々に限らずありますので、そういった意味で、移動手段の運賃、あるいは教育問題、医療問題、これをぜひとも御検討を、引き続き前向きにお願いしたく存じます。

 次に、例えば沖縄の石垣から飛行機で戻ると、沖縄を少し超えるとすぐ奄美の諸島が眼下におさまってくるわけでございまして、ただ、これが船で行きますと時間が結構かかるということだと思いますが、私も、国土交通委員会でこの後また法案審議に入る奄美の群島の振興法とかあるいは小笠原振興ということが議論になるわけでありますけれども、奄美・琉球というくくりがあって、このくくりで、いわゆる世界自然遺産に向けての活動が、観光キャンペーン等行われているというふうにも聞いておるんです。こういったこと、並びに、それ以外の観光あるいは産業振興、こういった点で、隣県である鹿児島県の奄美諸島、ここを一くくりでやはり考えてさしあげる必要が、沖縄の問題は、長い歴史の上で我々は振興策を打っているということもわかるんですけれども、一方で、海を隔てて、空から見ると別に境界線はないわけでございますので、そういった意味での、奄美を含めた振興策等を講じる必要があると思っております。

 予算を見る限り、沖縄関連予算は三千六百億とかという数字だったかと思いますが、一方で、今回の奄美については、国交省の所管としては二十一億余りという数字でございますが、この辺の予算においての連動性、政策においての連動性、こういった点は、担当外になるのかもしれませんが、内閣の一員という意味からして、どういう可能性を秘めておるか、この辺を、漠とした質問で恐縮かもしれませんが、御答弁いただければと思います。

井上政府参考人 沖縄と奄美諸島でございますけれども、ともに国内で有数の海洋リゾート地でございます。そして、黒潮の流れに沿って分布をいたします島嶼群でございまして、琉球弧を形成しておりまして、地理的にも歴史的にも深い関係があるというふうに考えております。

 こうした関係を踏まえまして、沖縄県と鹿児島県におきまして、先ほど御指摘ございましたけれども、まずは、沖縄本島北部、西表島、奄美大島、徳之島を琉球・奄美として世界自然遺産の登録を実現すべく、希少種の生息状況調査など、必要な条件整備を進めているというふうに聞いております。

 また、二十五年の十月でございますけれども、沖縄県、鹿児島県等が参加をいたしまして、琉球弧文化観光シンポジウムというのが開催されております。また、二十五年の十一月でございますけれども、沖縄・鹿児島文化交流祭というものも実施をされておりまして、こうした観点に立って、互いに協力をし合いつつ、観光、産業、文化面での連携を深めておられるものと理解をしているものでございます。

 予算の関係でございますけれども、御指摘のとおり、沖縄振興予算でございますけれども、沖縄振興特別措置法のもと、平成二十六年度につきましては三千五百一億円計上いたしております。また、一括交付金制度もあるわけでございます。他方で、奄美群島につきましては、平成二十五年度末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法の延長改正とあわせまして、奄美群島振興交付金が創設される予定だというふうにも聞いているところでございます。

 今後とも、沖縄と奄美諸島が連携をし、沖縄及び奄美諸島の振興が図られるよう期待をいたしたいと考えているものでございます。

杉本委員 時間が少なくなってまいりましたので幾つか飛ばさせていただきますが、今回の法案で、エンジェル税制、投資促進、こういうお話がありますけれども、これをプライベートバンカーだとかあるいはその先の投資家に周知徹底することが、沖縄に投資資金を呼び込む重要なファクターだと考えているんですけれども、具体的にどのような策を考えておられるか、教えていただきたいと思います。

後藤田副大臣 今般、特措法を改正して措置しようとする各種の地区、地域制度では、エンジェル税制も含めて幅広く支援内容を充実させたところであり、これを効果的に活用してもらうために、広く周知を図っていきたいと考えております。

 地区、地域制度全般につきましては、その活用の促進のために、今後、各種の業界や企業に沖縄を訪問してもらって、現地視察や地元関係者との意見交換を行う沖縄力発見ツアーを進め、特区制度の周知を図っていきたいと考えております。

 委員御指摘のエンジェル税制につきましてでございますが、これは、どのような形で行うか、これからまた検討をしっかり進めていきたいと思いますが、いずれにしましても、広角的な広報、周知をしっかり行ってまいりたいと思いますし、また、委員のいろいろなアイデアも含めて、我々はしっかりと、これはやはりいろいろな意味で沖縄の潜在力の大きな課題だと思っておりますので、これを進める上で、今までの反省も含めて、世界の例も含めて勉強して、周知の研究をしてまいりたいと思います。

杉本委員 時間も来てしまったので、一つだけ言わせていただければと思います。

 先般、エストニアの大統領が来日されて、議連で、イルベス大統領とおっしゃられるんですけれども、エストニアはeガバメントでインターネット投票とかも進んでいるということで、ただ、おっしゃっていた言葉が、教育は五十年かかる、しかし、eガバメントといったもの、いわゆるロシアからあるいはソ連から独立させてもらったのは九一年ですけれども、十年ぐらいを目標に動いてきたんだ、こういうお話がございました。

安住委員長 手短にお願いします。時間が過ぎています。

杉本委員 済みません。そんな意味から、ぜひとも情報拠点としての沖縄を長い目で育てて、しかし十年程度で育てていただきたいとお願いしまして、終了いたします。

 どうも、委員長、ありがとうございました。

安住委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 結いの党の井坂信彦です。

 先日は、大臣の所信に対して質疑をさせていただきまして、いろいろと真摯に御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。

 本日は、沖縄振興特措法について質疑をさせていただきます。

 先月、この委員会で沖縄に視察に行かせていただいた際に、IT企業と金融企業を視察してまいりました。大変意欲的に頑張っておられる企業で、また、沖縄の振興にもとても役立っているのではないかなという印象を受けたのですが、最後に、ここは特区認定は受けているんですかとお尋ねをしたところ、特区認定は受けておりません、こういう話で、我々は一体何の視察をしたのかなと、最後の最後でそういう思いがありました。

 本日お伺いいたしますが、平成十四年に創設された経済金融活性化特区ですか、これがつくられた当時、私も覚えておりますが、鳴り物入りで、すごい特区ができたというふうに報道されていたと思います。法人税が四〇%下がるということで、うまくやれば実質的な法人税率が二〇%を切ることも可能だ、こういうことでありますから、まさに今、国の経済成長を考えたときに、法人税をさらに下げるのかどうか、こういうことが課題となっている中で、もう十年先取りして、沖縄では法人税率が世界と互角に競争できるぐらい下がる特区だ、こういうふうな認識をしておりました。

 ところが、実際は、沖縄で本当に頑張っているIT企業、金融企業、しかも委員会の視察先ですから、普通は特区認定されているところが視察先に選ばれてしかるべきなわけでありますが、どちらもされていない。

 どういうことかといいますと、つまりは、この特区、鳴り物入りでこの制度が導入されて十年たつわけでありますが、認定件数、金融特区は過去に一件だけあった、しかも、それも意味がないということで撤退をされている、さらには情報通信特区は認定がそもそもこの間ゼロ件だった、こういう話であります。

 まず一問目にお伺いいたしますのは、鳴り物入りで始めた制度にもかかわらず、認定を受ける企業がなかった、こういう状況をなぜ十年間放っておいたのか、このことについてお伺いをいたします。

山本国務大臣 一言で言うと、今委員のおっしゃった問題点はあると思いますけれども、やはり制度の使い勝手がいま一つだったり、あるいはハードルが高かったということで、それはしっかり受けとめていかなければいけないと思っています。

 これまで沖縄県においては、国内外において企業誘致セミナーを開催して、企業に対しては、沖縄の特区制度あるいは各種の支援施策について説明は行ってまいりまして、政府としても、こうしたセミナーに参加して、特区制度の内容等の周知に今まで努めてまいりました。あるいは、政府において、特区制度に関する説明会の開催もやってきましたし、個別企業への説明、ホームページへの掲載を通じて、とにかく周知を広めようということをやってまいりました。

 この約十年間で、情報特区については、企業進出という面でいうと二百六十三社あったということと、雇用創出という点でいうと二万四千人という数字がありますし、物流特区については、五十社の企業進出、約七百人の雇用創出という成果はありました。従来の金融特区については、十五社の企業進出、約五百人の雇用創出がされておりまして、いろいろと問題点はあると思いますが、一定の企業集積は進んでいるというふうに考えております。

 他方で、特に特区の所得控除の認定件数については、今御指摘もありましたが、特区の各種要件がハードルになって認定件数がふえなかったというふうに分析をしております。

 そういう事実を踏まえて、特区の要件を大幅に緩和し、使い勝手をよくするという観点から、今般の法改正において所得控除の人数要件の緩和等を行っておりまして、今後は、事業認定がふえることを期待したいと思いますし、その旨しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

井坂委員 企業進出とか雇用創出の成果を御説明いただきました。これはいいんです。

 ただ、私がやはり疑問に思いますのは、これは別に特区認定なしでここまで企業進出あるいは雇用創出があったわけで、であれば、そもそも、鳴り物入りのあの特区が本当に制度として皆に使われて、魅力ある制度として機能していれば、当然もっと大きな成果が出せただろうというふうに思うわけでありますし、また、遅まきながら、どういう問題があったのかということをいろいろ見直して今回の改正に至られたということで、今回改正されることについては私はよいと思っているんです。

 ただ、やはり十年、民間企業でしたら、鳴り物入りで世に出した商品が、一年目も売れない、二年目も売れない、三年、五年、八年、十年たっても一個も売れないとなったら、普通は、一年目で、売れないのは、売っているものが悪いのか、売り方が悪いのか、大幅な改善、改革をしなければいけない、必ずここに思いが至るはずだと思うんです。

 ところが、制度をつくって、それが喧伝だけされて、何かいいことをやったらしいということで、つくりっ放しで終わってしまっている。これは、別に今回の件に限らず、各省庁、非常にあると思うんです。制度をつくったけれども使われなかった、基金をつくったけれども全然お金が執行されなかった、こういうことをやはり根絶したいという思いであります。

 重ねてお伺いしたいのは、今回の改正で、この特区、より使いやすくなるというふうに私も思います。思いますが、実際にこれが本当に沖縄の現場で機能するか、それによってさらに多くの企業が特区認定を求めて集積をするのかということについては、やはりやってみないとわからないというふうに思っています。今回、改正をして半年もたてば、これが機能するかしないかわかると思うんですね。思ったほど機能していないなということがわかれば、またすぐに改善をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 今般の法改正で、特区の使い勝手をよくする、それによって企業進出を促していくという観点から、情報特区それから国際物流特区については所得控除の人数要件を大幅に緩和した、さらに、今般創設される経済金融活性化特区については、対象産業を金融に限定せず多様化する、専ら要件も廃止をする、所得控除の人数要件の緩和等も行うということで、今委員もおっしゃった、過去の実績も見ながら、使い勝手をよくしよう、ハードルを少し低くしようということで、今後、事業認定がふえるということが期待されていると考えています。

 今後、特区制度が企業に十分に活用されるように、これまで行ってきた企業誘致セミナーに加えて、今後は、各種の業界や企業に沖縄を訪問してもらう、これは後藤田副大臣に精力的にやっていただいているんですが、現地視察とか地元関係者との意見交換を行う沖縄力発見ツアー、こういったものを進めていきたいというふうに考えております。さらに、沖縄においては、日本の生産者とアジアのバイヤーが商談会を行う大交易会の開催というのも予定されておりまして、こうした機会を活用して沖縄のポテンシャルを業界や企業の方々に実体験してもらう。こういう実体験と特区制度の説明をあわせて行うことで、効果的に周知活動をやっていきたいと思います。

 そして、委員のおっしゃったポイントは大変大事なことだと思っていまして、新しい制度がスタートするわけですが、今後、特区制度の定着状況の把握についてはしっかり努めていきたいと思いますし、どのぐらいの期限で等々ということはともかくとして、必要とか状況に応じて、制度の改善等はきちっとやはり検討していかなければいけないと、担当大臣としては考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 期限を私も特に切りませんが、本当に、半年もやればわかる話だと思いますので、ぜひ速やかな改善をよろしくお願いいたします。

 続きまして、特区、今回いろいろ緩和拡大をされたわけでありますが、金融それから情報通信、これを沖縄の今後のリーディング産業にという流れでこれまで来ていたわけであります。そこで伺いますが、そもそも金融あるいは情報通信といった分野の人材の育成や人材の集積、こういったことにおいて沖縄に何らかの優位性があったのかどうか、お伺いをいたします。

山本国務大臣 まず、これも委員よく御存じだと思うんですが、金融業とか情報通信産業というのは、島嶼県である沖縄の遠隔性、こういうものを克服し得る産業だというふうに考えております。本土から離れているがゆえに、本土との同時被災リスクが小さい、こういう沖縄の優位性を生かし得る産業だというふうにも分析をしています。金融特区とか情報特区はこうした点に着目して設定をしたということです。

 さらに、沖縄は、出生率が高い、人口が増加傾向にある、若年労働者も多く存在するという優位性もあるというふうに考えています。この優位性を活用して、進出企業による雇用の受け皿となる人材の育成についても、金融分野とか情報通信産業分野に特化した施策だけではなくて、国際的な人材の育成等も含めた幅広い政策を講じてまいりました。

 企業の集積については、今回、新たな特区制度の創設、あるいは各特区、地域制度における支援措置の拡充、大幅な要件緩和を行いました。今回の支援措置の拡充等によって、今後、特区、地域制度が効果的に活用され、企業集積が進むことを期待しておりますし、人材育成支援、これは大変大事だと思いますが、これとも相まって、沖縄における自立型経済の発展が実現するように最大限努力してまいりたいと思っています。

井坂委員 この経済金融活性化特別地区、特区、今回対象が拡大をされるわけでありますけれども、今後どのような分野の産業を想定しているんですかと事前に当局にお伺いしたところ、まだ想定、見通しの類いはないですというお答えでありました。

 そこでお伺いをいたしますが、今回、特区の拡大についてヒアリング等を行った企業は何社ぐらいあり、また、どのような業界からヒアリングを行ったのか、そこをお答えいただくことによって、大体どういう方向性をお考えなのかわかると思いますので、お答えを願います。

井上政府参考人 経済金融活性化特区でございますけれども、その対象産業は、まず沖縄県において法律の規定に基づきまして判断をしていただくものでございますけれども、沖縄県としては、現在、北部圏域の資源を活用した製造業などを検討しているというふうに聞いているところでございます。

 お尋ねのヒアリングでございますけれども、先ほどより委員から御指摘のございますとおり、これまで特区制度があって適用件数が少ないという問題意識を私どもも持っておりまして、そういう観点に立って、現に沖縄に進出している企業、そしてまた本土の企業を対象に、二十五年の八月中旬から九月上旬にかけまして企業ヒアリングを実施したところでございます。

 対象産業としては、製造業が十社、金融業関係として六社、情報通信産業関係として七社、ヒアリングをいたしたところでございまして、それぞれの企業から、これまでの特区制度の課題等、そして沖縄においての企業立地の課題等についていろいろ御意見をお聞かせいただいたところでございます。

井坂委員 ヒアリングの傾向から考えれば、今後は製造業方面に広がっていくのかなというふうに思っております。ぜひ実効性のある展開をよろしくお願いいたします。

 続きまして、前回、所信の質疑のときに大臣とさせていただきました、沖縄の子供の貧困の問題についてお伺いをいたします。

 沖縄振興ということを根底から真面目に考えれば、やはりこの問題は外せないのではないですかということで、前回大臣にも一定お認めをいただいた部分だと思います。

 実は、まさにこの沖縄振興の交付金が、厚生労働省の施設であるという理由で、例えば、本日例に挙げます児童館とか、母子寮とか、あるいは情緒障害児短期治療施設、情短施設と呼ばれている施設、沖縄には今非常に必要な施設だというふうに思いますが、こういった厚労省が既存の事業としてやっている福祉施設には沖縄振興の交付金が使えない仕組みになっております。ここを何とか、経済の分野に使うのももちろん大事ですが、さらにその土台となるこれらの沖縄特有の問題について使えるようにはできないのかということを大臣にお伺いしたいと思います。

山本国務大臣 井坂委員が前回の質疑でもおっしゃった、一貫しておっしゃっている沖縄県の福祉サービスの充実をいかにして図るか、これは非常に大事だと思いますし、もちろん振興政策にも関係があるというふうに考えております。

 ただ、児童館等の福祉施設については、今おっしゃったとおり、厚労省の補助金、次世代育成支援対策施設整備交付金、この補助対象施設であるということで、都道府県あるいは市町村において、厚労省の補助金を活用して着実に整備されてきたというふうに考えております。

 一括交付金ですけれども、この一括交付金でも、ソフト事業を中心に、放課後児童クラブへの家賃等の補助とか、あるいは母子家庭の生活支援のため民間アパート等の賃貸物件を活用するとか、福祉サービスに関する要望にもきめ細かく対応してきたというふうに認識をしております。

 厚労省の補助金と一括交付金を適切に併用して、沖縄県の福祉サービスの向上はこれまで図られてきたというふうに考えておりまして、特段、この点について大きな支障があるというふうには認識しておりませんけれども、仮に、御指摘の施設について一括交付金の活用を図りたいという要望がなされた場合には、これはやはり県が主体になって決めるというスキームですので、こういうときには、十分事情を聞いた上で対応をしっかり検討してまいりたいというふうに考えています。

井坂委員 ちょっと前回の続きになるんですが、厚労省の既存の政策の中でこういった施設の整備は図られてきたというふうに認識をしているという御答弁だった。私は、ここはどうも現場で聞いていることとは違うのではないかなというふうに思うんです。

 また、いろいろ政策をやられてきたけれども、でも、実態のいろいろな数字はまさに前回私が六つも七つも羅列したとおりで、この子供の貧困問題、それが将来の産業を担う人材、それこそ金融とか情報とか高度な仕事、難しい仕事をやる人材はそこからつくっていくしかないわけでありますから、私は、厚労省の既存の全国一律のルールの中でこの沖縄特有の問題が解決されてきたとは到底思えない。だから今、沖縄担当の大臣にお伺いをしているわけです。

 ちょっとその点の御認識だけ、もう一度お伺いをしたいと思います。

山本国務大臣 先ほど答弁申し上げましたが、厚労省の補助金と一括交付金の組み合わせで対応してきたというふうに考えておりますけれども、前回の御質問もありますし、そこは担当大臣としてもう少し深く分析をさせていただこうというふうに思います。

井坂委員 もう一点、先ほどハードのことをお伺いいたしましたが、大臣の御答弁にも少しありました、放課後児童クラブまたファミリーサポートの利用者のうち低所得者や母子家庭に対する補助、これについても交付金をもっといろいろな形で使えるようにできないかというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 今お話のあった放課後児童クラブ、ファミリーサポートの充実を図る、子育て環境を整備するというのは非常に重要だというふうに考えております。

 沖縄県内の放課後児童クラブ、資料によれば、全国に比べ民立民営が多くて学校施設などの公的施設の活用率が低いということで、公的施設への移行を図るために、一括交付金を活用して、放課後児童クラブの施設整備、家賃の補助を行うなどの財政的支援を行っております。

 さらに、ファミリーサポートは、過去に厚労省の事業として実は実施されていましたが、一部の市町村においては、一括交付金を活用して、ファミリーサポートセンターで保育サポーターの育成支援のようなものを実施しております。

 一括交付金を活用して福祉サービスの充実を図っているということなんですが、例えば、利用者の負担の軽減とか、そういうところに対して一括交付金を活用するという、万一、県の方から要望があったとしても、一括交付金の趣旨になじむのか。これはある程度要綱が決まっておりまして、これもかなり議論してつくったんですけれども、一括交付金の趣旨になじむのかということについてはやはり慎重な検討が必要かなというふうに、率直にそこはそう思っております。

安住委員長 時間が参っております。

井坂委員 時間が参りましたので、最後におっしゃった、いわゆる直接支払いのようなことは一括交付金でできない、現状はそういうルールになっていると聞いておりますが、やはり、一括交付金の本当の趣旨、沖縄の振興、また、沖縄にいる人たちが本当に稼げる仕事について自立して経済を回していく、ここの趣旨に本当に鑑みて、最後におっしゃった、子供の貧困に対してその条項が歯どめになっているのであれば、そこもやはり一度、まず研究からでもやっていただきたい。そのことだけ申し上げて、本日は終わりにいたします。

 どうもありがとうございました。

安住委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案について質問をいたします。

 まず、航空機燃料税の軽減措置について伺いますが、これまで、沖縄―本土間の航空路線を対象として、全国の二分の一に軽減する措置がとられてきました。今回、これを沖縄県内の路線にも広げるという改正が盛り込まれております。

 離島路線の維持拡充は、離島住民の生活基盤そのものに直結する極めて重要な問題です。今回の措置が、地元住民の要望に沿った離島路線の維持拡充や航空運賃の軽減、県産品の出荷拡大などに具体的につながっていくことが期待されるわけですが、その点について政府としてどのような見通しを持っているのかについて、まずお伺いいたします。

井上政府参考人 今お尋ねの航空機燃料税の軽減措置でございますけれども、御指摘のとおり、これまで、本土と沖縄の間を航行する航空機につきましては、全国の二分の一の水準となっていたものでございますけれども、今回の改正案につきましては、沖縄県内の各地間を航行する航空機につきましても同様の対応をすることとしたものでございます。

 この経緯としては、沖縄県からの強い要望があったということでございます。それを踏まえて政府として検討した結果、今回の改正案を出させていただいているものでございます。

 これは、沖縄の観光振興策の一環といたしまして、本土から沖縄本島等へ来訪する観光客を、さらに県内各離島へと誘客することを目的といたしております。

 現在のところ、沖縄を訪問する観光客のうち、離島を訪問する観光客は約二割にとどまっているわけでございますけれども、軽減措置の拡充によりまして、運賃の低減や増便など県内航空路の利便性が向上することで、沖縄の離島を訪れる観光客の増加が図られることを期待しているところでございます。

赤嶺委員 今回の措置によって観光客もふえるでしょう、離島住民の利便性も高まるでしょうというお話でありましたが、離島の路線にかかわって地元で今大きな問題になっているのが、離島路線の廃止に加えて、ジェット機から小型のプロペラ機への切りかえが進んでいることです。

 与那国島、二〇一三年一月に、ジェット機を運航していたJTAが撤退し、RAC、琉球エアーコミューターのプロペラ機のみの運航になりました。それから一年以上が経過しましたが、観光客数は減少、そして特産品のカジキマグロが積み込めない場合が繰り返されているなど、影響が出ています。航空便の予約がとりにくい、天候に左右されやすく運休や遅延が多いといった苦情も寄せられております。

 山本大臣も、先日、与那国島の視察に行かれたようでありますが、要望もお聞きになったと思います。ジェット機からプロペラ機への切りかえによる住民生活への影響について、山本大臣はどのように認識をされておりますか。

山本国務大臣 今、赤嶺委員がおっしゃったように、先般、与那国島を視察してまいりました。その際に、町長あるいは町の関係者の方と昼食を食べながら懇談をさせていただき、現地も視察をさせていただいて、与那国―石垣路線のジェット機による運航再開については、直接、与那国町長からも御要望をいただきました。

 この平成二十五年一月の与那国―石垣路線におけるJTAからRACへの路線移管については、JTAの構造改革に当たっての機材数の削減によるものというふうに承知をしております。

 他方、プロペラ機化に伴って便数をふやすなど、航空事業者としては地方に対しての一定の配慮もしているというふうに認識をしております。

 今委員がおっしゃったように、離島航空路の維持、確保は離島振興のためには非常に重要であるというふうに認識をしておりまして、一義的には航空事業者の判断によるものだと思いますが、沖縄県と十分相談をして、必要に応じて政府としても対応を検討してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 ジェット機からプロペラ機にかわったことによって、観光客は減り、カジキマグロの積み残しとか、地元産業も後退していくというような実情が今起こっているわけですね。恐らく、与那国島に行ったら、イの一番にこの問題が強い要求として出されていたと思うんですよね。航空事業者の構造改革、そういうものが離島住民に与える影響が重大だというのは山本大臣も認識されたことだと思うんです。

 ところが、この問題は沖縄の離島路線に広く共通した問題になっています。

 国土交通省に最近の状況をまとめていただきましたが、それによりますと、二〇〇九年四月とことし三月を比較しましたら、例えば那覇―久米島間、JTAのジェット機が二便から一便に削減されました。RAC、琉球エアーコミューターのプロペラ機が五便から六便にふえています。那覇―石垣間でも、JTAのジェット機が十一便から九便に、ANAのジェット機が十一便から九便に削減される一方で、琉球エアーコミューターのプロペラ機が一便就航しています。那覇―粟国間、粟国も大変海域もすばらしく、美しい島でありますが、琉球エアーコミューターのプロペラ機三機の運航がありましたが、路線そのものは廃止になりました。

 背景としては、とにかく稼働率を上げるという企業利益最優先の姿勢があるわけです。今回、航空機燃料税の軽減措置を拡充するのは、民間企業の支援のためではありません。離島住民の生活環境を維持拡充するという目的があってのことであります。税制上の支援措置を受けながら、地元自治体、住民の意向とは関係なく、経営上の判断だけで機材を変更するというのはやはり納得できるものではありません。

 JTAはJALの子会社なんですね。経営破綻したJALの再建、再生には公的資金も投入されて、再建をしてきました。さまざまな公的な支援も受けてきたわけですから、ここは琉球エアーコミューターの会社の問題だとか、ここはJTAの問題だとかじゃなくて、JALはちゃんと沖縄関係のドル箱路線は維持しながらのいろいろな構造改革、経営上の問題を持っているわけですから、グループ全体でやはり公共交通機関としての責任を果たしていくべきだと思います。

 山本大臣に伺いますが、今回新たな税制上の支援措置をとるわけですから、単なる民間企業の経営の問題にとどめないで、地元自治体、住民の要望に沿った機材による運航を政府としても働きかけることが必要ではないかと思いますが、いかがですか。

山本国務大臣 離島振興のために離島航空路を確保、維持するということは非常に重要だと思いますし、今委員のおっしゃったお考えはお考えとしてもちろん受けとめさせていただきますが、やはり、民間航空会社の事業の判断というものもありますので、そういうことを踏まえながら、沖縄県側ともよく連携をとりながら対応を考えていきたい、こういうふうに考えております。

赤嶺委員 いろいろな措置を航空会社に対してとっているわけですよ。そして、現に今非常に不便な状態が離島に起こっているわけです。この起こっている現状を、直ちに手をつけないと、これは長く続いてきた問題だということじゃなくて、経営政策の中でこういうことが起きているわけですから、島の人たちがどんなに物を言っても航空会社には聞こえない。やはり政府が、沖縄担当大臣がJALに対して、こういうことが起こっているんだから何とかしてほしいというような一言を言うべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

山本国務大臣 先生の問題意識は理解いたしますし、お考えはお考えとして受けとめますが、やはり、先ほど申し上げた答弁の繰り返しになってしまいますけれども、この状況下、いろいろな条件を踏まえて、沖縄県側とも相談をしながら、必要に応じて対応を考えていきたい、こういうふうに思います。

赤嶺委員 離島振興というのであれば、これは私の考えではなくて、離島住民が強く政府に訴えてくれと繰り返していることであります。この問題解決なくして離島振興はあり得ないということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、金融特区について伺いますが、今回、これを経済金融活性化特区に変更し、金融業以外の産業も対象にするとのことであります。なぜこのような改正を行うことになったのか、経緯と理由について簡潔に説明していただけますか。

山本国務大臣 沖縄県の要望の問題意識は、金融特区の使い勝手をよくして、金融特区である名護市を活性化していくというものであって、その観点から専ら要件の廃止等が要望されておりました。

 政府としても、県との意見交換あるいは企業ヒアリングを行って、県の要望に沿った形で、金融特区を抜本的に見直して創設する経済金融活性化特区において、専ら要件の廃止、所得控除の人数要件の緩和、これは十人から五人にしたわけですけれども、こうした措置を講ずることとしております。

 対象産業は、委員御存じのとおり、金融のみならず知事が設定する産業に広げることについては、実体経済の基盤となる金融以外の産業の発展と金融産業が車の両輪として、相乗効果で経済活動の活性化につながるものであるから、今回の措置をしたということでございます。

 今般支援内容を充実した経済金融活性化特区の制度が効果的に活用され、企業の集積、企業活動の活性化が図られるようにしっかりと努力をしてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 内閣府にも資料を提出していただきましたが、それによりますと、金融特区が創設された二〇〇二年度から二〇一二年度までで、所得控除の認定企業数はわずか一社で、現在はありません。この問題は、私は十年来、国会の中で追及してまいりました。こうしたもとで、金融業以外にも対象事業種を広げざるを得なくなったものだと思います。

 では、この経済金融活性化特区というのはどういう業種が対象になるのか、何らかの限定があるのかという点について、伺いたいと思います。

井上政府参考人 対象業種でございますけれども、沖縄県知事が、経済金融活性化計画におきまして、沖縄の経済、金融の活性化を図るために集積を促進しようとする産業を記載することとしておりまして、まずは県知事の判断によるものだと考えております。

 ただ、実体経済の基盤となる産業と金融産業が車の両輪として、沖縄の経済、金融の活性化に寄与することをその趣旨としておりますので、対象業種としては金融業は想定されているところでございますが、それ以外の対象業種につきましては、相乗効果等も踏まえながら、沖縄県知事が総合的な観点から定めるものというふうに理解をしております。

 なお、沖縄県において、現在検討中ではございますけれども、沖縄の北部地域の資源を活用した製造業などを検討しているものというふうに聞いております。

赤嶺委員 やはり、金融特区が計画どおり進まなかったのは、沖縄が持っている特色や利点を生かすという観点が十分ではなかったのではないかと思っています。そうした意味では、今回の特区の運用に当たっては、地元の自治体の意向を十分に尊重しながら進めていくことが最低限求められているのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 やはり、名護は、農業や水産物の資源が非常に、宝庫であります。また、農家も意欲的に、シークワーサーの加工工場だとか取り組んでおります。こういう地元の特色を生かした、そういう特区にしていっていただきたいと思います。

 次に、那覇空港の滑走路増設事業に関連して伺いますが、今回の埋め立てに伴って漁業権を失う漁協の一つに、那覇地区漁協があります。建設予定地で戦前から漁を行ってきましたが、現在の那覇空港があるために、近場で船たまり場を確保できない状況が続いてきました。

 今回、地元の要望を受けて、那覇軍港の制限水域を含む旧自由貿易地域の周辺沿岸域への整備に向けて、沖縄総合事務局と沖縄県、那覇市で連携しながら計画を具体化すると聞いていますが、現在どのようになっているのかという点について説明していただけますか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 那覇地区漁業協同組合小禄支部の漁船の船だまり建設問題につきましては、那覇市が中心となりまして、昭和五十五年ごろから、同漁業協同組合の要請を受け、実現に向け関係機関と調整をしてきたという経緯がございますけれども、種々の問題により断念してきた経緯がございます。

 今般、那覇空港第二滑走路の建設に係る漁業者との調整を契機に、改めてこの問題が浮き彫りになったものと理解してございまして、昨年六月、那覇地区漁業協同組合と内閣府沖縄総合事務局、沖縄県、那覇市の三者間で、旧自由貿易地域の沿岸域に漁船用船だまり等の施設を整備する方向で合意したことは承っているところでございます。

 一方、当該地域は米軍提供水域に位置するため、現在、沖縄防衛局を通じまして、那覇市と米軍との間で水域の使用に係る調整を行っているものと理解しているところでございます。

 いずれにいたしましても、現地におきまして適切に対応されまして、将来の地区漁民の漁業振興に資する形で、適切な対応がなされることが望ましいと考えているところでございます。

赤嶺委員 いずれにいたしましてもとおっしゃっても、当事者にはその後何の進展の説明もないというぐあいになっていますので、滑走路の埋め立ての同意を得るときには漁協に一生懸命足を運んで、その後は、合意しましたと知らぬふりでは困ると思うんですよね。

 防衛省、いらしていると思うんですが、防衛省は、那覇軍港の制限水域の使用許可に向けてアメリカ側との調整に入っているのでしょうか。武田副大臣。

武田副大臣 那覇市などから具体的な事業内容を伺いながら、アメリカ側との調整を進めてまいっています。

赤嶺委員 武田副大臣らしくない答弁なんですが。

 つまり、進んでいるんですか、今から防衛局と調整をするんですか。

武田副大臣 アメリカ側とは調整を進めてまいっております。

赤嶺委員 その進行はどうですか。

武田副大臣 那覇市側とも、具体的な内容というのをお伺いしながらやっております。今まさに進行中であります。

赤嶺委員 これは、制限水域を解除する問題については防衛省の仕事だという理解でよろしいんですよね。今後引き続き、那覇市とどういう調整をしたのか、また機会あるごとに聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、埋立土砂の調達について伺います。

 今、那覇空港の滑走路建設事業だけではなくて、同時期に辺野古の新基地建設も計画されております。二つの事業で大量の埋立土砂の調達が必要になるということではないかと思います。

 まず防衛省に確認いたしますが、辺野古の埋立土砂の調達を検討するに当たって、那覇空港の滑走路増設事業で計画されている埋立土砂との関係は加味した上で計画をしたのか、その点を説明していただけますか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 普天間飛行場の代替施設建設事業に係ります埋め立て用の土砂の件につきまして、那覇空港におきます滑走路増設事業においても大量の埋立土砂を調達することとしているではないかということでございますが、その点につきましては意見交換をしておりまして、普天間の埋め立て用土砂の採取場所を含めまして、その調達につきましては問題は生じないものというふうに考えております。

赤嶺委員 では、国土交通省に聞きますけれども、例えば岩ズリについて、滑走路増設事業に伴ってどのくらいの量の調達が必要になると見込んでいるのか、年度ごとの調達量と総量を示していただけますか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 那覇空港滑走路増設事業の埋立土砂につきましては、環境影響評価書におきまして、工事着手後の二年目、平成二十七年に約二十七万立方メートル、三年目に約百五万立方メートル、四年目に四百八十万立方メートル、五年目に三百八十万立方メートルで、計約一千万立方メートルを想定いたしております。

赤嶺委員 かなり大量の埋立土砂が必要になるわけです。

 きのう、国土交通省からかなり細かく説明をいただきました。そこで、いろいろな数字を調整した上で、岩ズリの調達量が一番多くなることが想定されているのは、四年目で年間二百五十三万立米というぐあいに聞いておりますが、それには間違いないですか。

奥田政府参考人 先生御指摘のとおり、四年目に二百五十三万立方メートル、岩ズリを必要とするということでございます。

赤嶺委員 これを月平均にならすと約二十一万立米になります。那覇空港にかかわって一月当たり二十一万立米が必要だということです。これを全て沖縄県内で調達する計画です。

安住委員長 赤嶺君、時間が参っております。

赤嶺委員 はい。

 ところが、防衛省の資料を見ますと、防衛省がヒアリングしたら、沖縄県内では一月当たり二十五万立米必要だということになっています。那覇空港の関係だけでそのほとんどが使用される必要があるということになりますが、防衛省の計画では、基地建設の方でそれを目いっぱい使う計画になっております。双方で限られた土砂を奪い合っているわけですね。

安住委員長 手短にお願いします。

赤嶺委員 はい。

 現実には成り立たない計画になっているということではありませんか。防衛省、お願いします。

安住委員長 答弁をもって質疑を終わります。

武田副大臣 今後とも、安定、確実な供給や環境等の観点を踏まえまして、必要な調査検討を行うとともに、適正な手続等を経て決定することとしており、埋立土砂の調達に当たり問題は生じないものと認識しております。

赤嶺委員 終わります。

安住委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、宮路和明君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、結いの党及び日本共産党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。宮路和明君。

宮路委員 提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点に留意し、沖縄県と連携を図りつつ、今後の沖縄振興の推進に遺漏なきを期すべきである。

 一 沖縄における企業集積の進展と企業活動の活性化が、知事への権限移譲といった沖縄の自主性を尊重する取組とも相まって、沖縄経済の自立的発展に極めて大きな役割を果たすことを踏まえ、各特区・地域制度が企業に十分に活用され、産業集積が促進されるよう努めること。

 二 各特区・地域制度のこれまでの活用状況にかんがみ、企業の立地が一層促進されるよう、新たに創設する経済金融活性化特別地区をはじめとする各特区・地域制度の内容について周知を図り、今後の制度の定着状況の把握と公表に努めるとともに、必要に応じ課税の特例措置その他の制度の改善を検討すること。

 三 離島航空路は、離島住民の生活にとって欠かせない生命線として重要な役割を担っていることを踏まえ、沖縄における離島航空路の維持及び充実が図られるよう努めるとともに、航空機燃料税の軽減措置に関しては、県民生活や観光、物流その他の企業活動に影響を与えることのないよう、三年後の期限において、期限の延長等の必要な措置を講ずるよう努めること。また、鉄軌道その他の公共交通機関の整備の在り方について、鋭意調査検討を行うこと。

 四 米軍施設・区域の整理縮小に引き続き取り組み、その早期返還の実現に努めるとともに、沖縄の基地負担軽減に全力を尽くすこと。

 五 一括交付金制度が沖縄の自立的経済の発展に極めて重要な役割を担っていることを踏まえ、沖縄の実情に即し、今後さらに効果的に活用できるよう、使い勝手の改善を図り、一層の充実に努めること。また、沖縄振興予算の充実を図るとともに、社会的養護の充実、母子生活支援施設の整備、学童保育の充実等、次世代育成支援を総合的・積極的に進めること。

 六 さとうきびは沖縄農業の重要な基幹作物であり、関連産業も多数存在する状況において、関税の撤廃は沖縄経済や離島の維持存続に甚大な影響を及ぼすおそれがあることから、TPP交渉においては、農家が安心して生産に取り組めるよう重要五品目を自由化の例外とする日本政府の方針を堅持するよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

安住委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山本沖縄及び北方対策担当大臣。

山本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

安住委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

安住委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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