衆議院

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第5号 平成13年11月28日(水曜日)

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平成十三年十一月二十八日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 永井 英慈君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 棚橋 泰文君

   理事 蓮実  進君 理事 林 省之介君

   理事 河村たかし君 理事 肥田美代子君

   理事 石井 啓一君 理事 中井  洽君

      荒井 広幸君    坂本 剛二君

      竹本 直一君    野田 聖子君

      茂木 敏充君    森  英介君

      山本 明彦君    山本 公一君

      玄葉光一郎君    小林  守君

      後藤  斎君    伴野  豊君

      牧  義夫君    青山 二三君

      矢島 恒夫君    大島 令子君

    …………………………………

   参考人

   (岐阜県知事)      梶原  拓君

   参考人

   (愛知県副知事)     河内 弘明君

   参考人

   (栃木県知事)      福田 昭夫君

   参考人

   (福島県知事)      佐藤栄佐久君

   衆議院調査局国会等の移転

   に関する特別調査室長   内野 隆正君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  伴野  豊君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤  斎君     伴野  豊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国会等の移転に関する件




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     ――――◇―――――

永井委員長 これより会議を開きます。

 国会等の移転に関する件について調査を進めます。

 本件調査のため、ただいま参考人として岐阜県知事梶原拓君及び愛知県副知事河内弘明君に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、極めて御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 なお、議事の順序についてでありますが、まず、梶原参考人、河内参考人の順に、合わせて三十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をいただきたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、まず梶原参考人にお願いをいたします。

梶原参考人 岐阜県知事の梶原でございます。御苦労さまでございます。

 時間の関係もございまして、早速本論に入らせていただきます。

 お手元に「特別委員会 参考人意見陳述 岐阜県知事説明資料」というものをお届けさせていただいております。それによりましてお話をさせていただきたいと存じます。

 その一ページにございますが、首都機能移転の意義あるいは必要性を私どもがどう考えているかということをお話しさせていただきたいと思います。

 大きな歴史の流れから見ますと、日本は、四百年前の江戸、八百年前の鎌倉、千二百年前の平安京と、四百年ごとに新しく国が生まれ変わってきております。成長、発展、爛熟、衰退の繰り返しのサイクルでございます。ちょうど現在がその四百年サイクルの節目になっておる、こういうことでございまして、中西輝政京都大学教授も、激動、内向き、安定、爛熟、崩れ、こういうような四百年サイクルを唱えておいででございまして、日本の本質は縄文的であるが、社会全体の衰退傾向あるいは国家のサバイバルということで考えると、今は弥生的価値に基づき一気に変革する時期が来ている、こういうことを論じておられます。

 日本の場合は、都が一種の生命体のように生まれ変わっていくという現象があるのではないか。四百年の節目を迎えまして、都の新陳代謝能力も衰え、かつ新しい時代を支えていく進化の力も失ってきているのではないか、こんなようなことを考えております。

 二ページに参りまして、近くは明治維新から考えますと、明治維新は中央集権体制、昭和維新は民主革命といった変革が起こってまいりました。平成維新はいよいよ分権革命である、このように認識をしております。この分権と規制緩和、そして首都機能移転というものがセットで平成維新が進んでいかなければいけない、このように考えております。何よりも必要なことは国民の意識革命ではないか、このように思っております。

 明治からの変革の流れでございますが、明治維新は中央集権革命、そして敗戦後には民主革命が起こり、今回平成維新につながっておりまして、国家目的いたしましても、軍事大国から経済大国、そして生活大国へと重点が移行しておる。そして、社会構造も、農業社会から工業社会、そして情報社会へと移行しつつございます。

 権力構造も、天皇をピラミッドの頂点とする権力構造、そして、今や国会を中心とするピラミッド構造になっておりますが、分権あるいは規制緩和を進めて、一台のスーパーコンピューター時代がございましたが、今や個々のパソコンがネットワークしてスーパーコンピューター並みの力を発揮するという情報社会にもなってまいりました。

 国民にとりましては、明治から、大きな政府、護送船団ということで中央がリードしてまいりました。そのために、成果があった面もございますが、大きな負担もしてきた、日本全体が甘えの構造になってしまっているのではないのか。いよいよ、地方、民間に分権をいたしまして、それぞれが自己責任を負わなきゃならない時代である。

 外国に対しましては、明治のころ、対決型の対応をとってまいりましたが、敗戦後、へりくだり型になってしまった。これからは対等型の対応が必要である。

 そういうような大きな変化がございますが、変革のシンボルといたしまして、明治維新の場合、皇居の移転、版籍奉還、明治憲法という変革のシンボルがございまして、昭和維新では、人間天皇、GHQ、昭和憲法というシンボルがございました。平成維新でも国会移転というシンボルが必要ではないか、このような歴史的な認識をいたしておるということでございます。

 三ページに参りまして、巨大都市東京に首都があるということによって大きな弊害をこうむっております。また、脆弱性というものもあるということで、先般のニューヨーク・ワシントンテロがございました。アメリカ以上に日本は、政治、行政、経済、金融、情報、あるいは国際機関等々が過度に集中している。情報時代でございますが、インターネット一つとりましても、大手町に集中して、これが打撃をこうむった場合に日本全体が麻痺してしまう。金融、経済、同様でございますが、とりわけ在日大使館が二十三区に集中しています。

 こういう面でも問題がございまして、テロのように日本を攻撃しようとする場合、これほど攻撃しやすいところはないんじゃないか。国防能力、自衛力がこれほど脆弱なところはない、世界じゅうで一番弱いところではないかと思います。

 それから、四ページに参りまして、社会資本の関係、例えば、道路でございますが、岐阜県という立場で東京都と比較いたしますと、費用が東京の場合は岐阜県の四倍以上である。交通量一台当たりに換算しても東京都は岐阜県の約一・七倍と、費用対効果が約二分の一しかない、東京の場合。そういうように、巨大都市であるがために費用対効果が非常に小さくなってしまっている。

 それから、外国大使館の問題といたしましては、平成十二年度に岐阜県が調査いたしました調査結果によりますと、在日大使館を持っている国について調査いたしましたが、建物の維持管理コストの高さ、良好な自然環境の少なさ、国際空港へのアクセス、職員の住宅確保等、他の国に比べて大使館の維持が大変難しいところであるということでございます。

 それから、下水道の問題もかつて新聞紙上に載っておりまして、巨大都市としての限界があらわれてきている。

 というようなことを考えますと、五番目にございますように、今や自治体としての東京と首都としての東京というものを分離していく必要があるんじゃないか。巨大都市東京と首都東京が地理的に重複しまして、かつ都市機能の上でも混在している。一体、首都機能を維持する責任はだれにあるのかという点が不明確になってしまっておる。アメリカのニューヨーク、ワシントンのように相互に分離独立して、東京都は自治体としての機能を純化していく、一方、首都も首都としての機能を純化していくということが必要な時期が来ておるんではないかということでございます。

 そういうようなこともございまして、東京という一地域の利害を代表する東京の論理と、首都という立場で全国各地域に公平、公正に配慮すべき首都の論理というものが混同されまして、また、空港から文化施設に至るまで、全部国の負担でやるというような事業が東京に集中する一方、地方では同じような事業で多くの地元負担を余儀なくされている。過大な首都メリットと過大な首都負担というものが生じているということでございまして、このままでは東京対地方の対立がますます先鋭化して国力を二分してしまう、そういうおそれがある、かように思います。

 そこで、我々の岐阜・愛知地域についてでございますが、まず第一に、国際化時代の首都に必須要件である二十四時間空港が存在するということでございます。我々の考えております首都機能移転先から中部国際空港まで四十分という時間距離でございます。なおかつ、リニア中央新幹線というものが既定計画としてございまして、これが開通いたしますと、東京―大阪間一時間ということでございまして、ちょうど真ん中ですから、それぞれから三十分という時間距離である。東京の人も大阪の人も、中部国際空港、時間距離の上においては大変利用しやすい、こういう空港が近くにできるということでございます。

 それから、これから環日本海時代ということを考えますと、アジアの玄関としての役割を担う場所として一体どこがいいのか。太平洋と日本海が近接しているこのあたりがいいのではないか。人口計算の上で人口重心が岐阜県内にございまして、理論的にもあるいは実際の上でも、国民が首都に来られるときの移動コスト等、最も国民経済的に合理的である。

 それから、これから財政再建等々多くの課題がございますが、新しい産業を起こして、税収をふやして、膨大な借金を返済していく、それ以外に道はないわけでございまして、国の総力を挙げて産業経済を再生しなきゃいけない。関東だ、関西だなんということを言っておられない。その中心で日本全体の経済力というものを結集する、こういうことも必要ではないかということでございます。

 それから、地震災害につきましては、この地域は花崗岩、流紋岩などの地震災害に強い地盤で覆われておりまして、過去の史料におきましても、内陸直下型地震の発生記録はほとんどございません。そういうような有利性をこの地域は持っておるということでございます。

 六ページに参りまして、新しく首都機能を持ってくる都市の姿を描いておりまして、移転人口は、周辺に既に都市がございますので、我々は、五十六万人という大きなスケールの数字もございますが、二十万人程度を想定している。

 それから、機能的な配置をゾーン別にいたしております。

 それから、七ページに参りまして、土地の問題でございますが、特に北ゾーンの国会等を配置する場所につきましては、ゴルフ場がたくさんございますので、それを活用させていただくということになっておりまして、既に、あるゴルフ場からは言い値で提供するとか、あるいは寄附するという土地がございまして、二百八十九ヘクタールございます。これは国会議事堂を中心にして、霞が関、永田町区域を含めて半径九百六十メーターということで、ほとんどの施設がここに入るぐらいの規模でございます。そういう、新たに開発しなくても、既にゴルフ場として開発したところを使えるという点の有利性がございます。

 なお、八ページに参りまして、東京都のいろいろ御主張がございます。それぞれの立場で主張される、それは結構なことでございますが、共通して、どうも目先の短いスパンで問題をとらえておられるのではないか。もっと、国家百年あるいは四百年の大計で考えていく問題である、このように思います。

 そして、数字について、大きなむだがあるとか等々お話がございますが、客観的な数字というものを国会御自身で算定していただくことがいいのではないかというふうに思います。

 それから、政治と経済は不可分だとおっしゃっておられるようでございますが、明治以降、政治と経済が提携して追いつき追い越せ、大きな成果もございましたが、後半では、むしろ政治と経済の癒着によって、護送船団によって、もたれ合いで、例えば大きな銀行がそうでございますが、大蔵省と一体化して、もたれ合って、ぬるま湯につかって、そして、大きな社会的な構造変化が起こっておるのに、それへの対応を怠った。これが今日、大きな災い、経済の破綻、そういうことにつながっておるということで、これからはむしろ分離して、そして透明性のあるルールのもとで政治とか経済というものが営まれていくということが望ましいのではないか、こんなふうに考えております。

 なお、仄聞しますと、国会等移転問題、国会で発議されましたけれども、一部の方にこれをうやむやにしてしまおうではないかというお話があるやにも聞いておりますが、もともと国会の方で発議されたことでございまして、参議院でも申し上げましたが、もしうやむやに決着されるということであれば、私たちは、国のためと思って候補地を挙げて協力してきました。そういう立場から、国に対して補償要求をしたい、こんなふうに思っております。

 以上でございます。(拍手)

永井委員長 ありがとうございました。

 次に、河内参考人にお願いをいたします。

河内参考人 愛知県の副知事の河内でございます。

 本日は、参考人として招致いただきまして、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。本来なら知事が参りまして意見を陳述すべきところでございますけれども、ちょうどパリの方で国際博覧会の総会が開かれておりまして、そのようなことで御理解を賜りたいと存じます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 お手元に、北東地域のパンフレットの上に私の方の「愛知県説明資料」を配付させていただいております。それに基づきましてお話をさせていただきたいと思います。

 司馬遼太郎さんが国会等移転調査会の委員をされておりましたときに、日本はこれまで何回も首都機能を移転してきたけれども、移転によってプラスの結果ばかりだった、このようなことを述べておられるわけでございます。

 およそ四百年ごとに首都機能移転が行われておりますけれども、それで社会が大きく変わった。言いかえれば、首都機能は社会が大きく変わるときに移り、移転してまた社会が大きく前進していくと言えるというふうに思うわけでございます。

 したがいまして、今東京から首都機能を移転することは、経済、文化あるいは人々の意識など、あらゆる分野で変革が求められている我が国におきましては、国土のあり方、社会のあり方、そういうものを踏まえて、新たな段階へ踏み出す最も有効な手段ではないかというふうに思うところであります。

 さらに、いつ起こってもおかしくない大地震などの大規模災害等の対策、そういう危機管理の観点から考えましても、首都機能はなるべく早く移転されるべきであるというふうに思うわけであります。

 さきのアメリカの例を見ましても、あのような非常事態におきまして、社会の混乱を最小限に抑えられることができましたのも、政治と経済の中枢が分離していたことも大きな理由の一つではなかったかというふうにも思うところでございます。

 それから、この首都機能移転につきましては、早期に実現するためには、移転規模をできるだけコンパクトにすることが大切であるというふうにも思います。国や地方の財政状況は今後も厳しい状況が続くものと思われますし、また、新しい都市の建設に当たりましては、自然環境の問題が非常に重要な問題になるというふうに思うからであります。

 岐阜・愛知地域では、昨年から地域が提案する新首都構想の策定に取りかかっておりまして、この四月に中間報告をして、間もなく最終報告をしたいというふうに思っておるわけでございまして、その中間報告は、お手元のただいま説明しております資料の上に、「新しい日本の首都構想」というパンフレットとしてお配りしておりますので、また後ほどごらんいただきたいと思いますが、先ほど梶原知事さんからもお話がありましたように、この地域の周辺都市のサービス機能などを十分活用することによりまして、移転人口は二十万人程度の規模で移転が可能ではないか、こんなふうに考えておるところでございます。

 この岐阜・愛知地域は、日本の真ん中に位置しておりまして、全国からの交通の要衝になっておるわけであります。二〇〇五年には開港を予定しております中部国際空港や、第二東名・名神高速道路、東海環状自動車道等は逐次建設が進められておりますし、中央リニア新幹線などの計画もございます。

 また、首都として機能するためには、大都市の持つ高度なサービス機能や既存都市の持つ日常サービスの提供も不可欠となってまいりますけれども、御案内のように、当地域は、名古屋市を初め豊田、多治見、そういった既存都市機能を活用することができまして、それが環境の負荷を縮減し、そうしたコンパクトな移転を可能にすると考えるところであります。

 続きまして、移転に反対されております東京都の主張に関してでございますけれども、首都機能移転は、国政全般はもとより、国民の意識やライフスタイルの改革の促進、東京一極集中の是正、災害対応力の強化を図ることによりまして、よりよい日本をつくる、そういうことを目指すことでありますから、それは東京の再生にもつながる、このように思うわけであります。

 お手元の資料、先ほど申し上げました資料に基づいて、先週の委員会に提出されました東京都の資料などに関しまして若干触れさせていただきたいと思います。

 お手元にお配りしました資料「愛知県説明資料」の一ページでございますけれども、首都機能につきましては、その図にございますように、移転人口は、審議会答申の五十六万から、二十万人くらいということでございますが、特にその中で大きく縮減されると考えられるものは、サービス機能等地元で補完可能なのが十二万人ぐらいは、都市の規模も小さくなることとあわせて、カバーできるのではないかというようなこと等から、移転人口は二十万人程度で済むのではないかということでございます。

 そして、その二十万人も、周辺都市の居住ということも相当に見込まれることから、新都市そのものに居住する人口、全く新しいところで住むという方々につきましてはさらに縮減可能ではないか、このように思います。

 また、そういう、都市の規模が小さくなる、あるいは周辺での居住というようなことも考えられるというようなことを踏まえますと、建設費は、その右側にございますように、おおむね六兆から七兆円くらいのレベルで建設が可能ではないかと、最終報告はこのような報告になるというふうに思っております。

 二ページを見ていただきたいと思います。

 東京都は移転費用以外に必要な経費として広域交通網の整備費用などを示しておられますけれども、この岐阜・愛知地域につきましては、首都機能移転の有無にかかわらず、さまざまな広域交通網の整備が進められております。広域幹線道路といたしましての東海環状道路や第二東名・名神、さらにリニア中央新幹線も候補地付近を通過する予定であるわけであります。

 三ページでございますけれども、都市構造の問題でございます。

 都市構造につきましては、大きく二つ。これにつきましても、都市構造上、都市機能の効率が悪くなるのではないかというような議論がございますが、二つのゾーンを考えておりまして、北ゾーンにつきましては、先ほど梶原知事さんからもお話がありましたように、国会とか中央省庁、大使館などを適度な分散をもって集中的に配置するというようなことでございますし、それから、南のゾーンにつきましては、相対的に独立性の高い最高裁判所とか、それから我が国屈指の産業集積がございまして、技術等も集積しておりますし、あるいは周辺都市のサービス機能も充実しておるというようなことから、そうした関連の民間活動を支援するような省庁等の立地を考えていってはどうかというようなことで、地域特性を生かしながら役割分担をし、連携を強めていってはどうかというようなことでございます。

 それからまた、両ゾーンを結ぶつなぎにつきましては、道路等もございますが、例えばIMTS、いわゆる自動車の高度なシステム等も活用する道が将来的に開けてくるのではないかというふうに思っておるところでございます。

 それから、四ページでございます。

 東京都の資料では、空港の不便さがいろいろ提示されておりましたけれども、今建設中で、もう本体の用地造成がほぼ終わり、上物に着手する段階になっております中部国際空港につきましては、成田とは違いまして、二十四時間運用可能、あるいは国内線と国際線が同時乗り継ぎ可能というようなことで、便利な空港になり、さらに名古屋空港も活用できるという状況が生まれるというふうに思うわけであります。

 五ページでございますが、地震の問題につきましては、先ほど梶原知事さんが申されましたように、非常に地盤のよろしい地域でございますので、また、まちづくりの中でさまざまな工夫をしていけば非常に地震等に強い都市づくりができるのではないかというふうに思います。

 最後に、六ページでございますけれども、費用の問題でございます。

 これにつきまして、東京都は、首都機能移転の効果から費用を引くと日本全体で四兆五千億から六兆三千億のマイナスが生じるという御意見がございました。これにつきましては、やはりいろいろ計算の仕方がございます。例えば費用対効果につきましては、昨年私どもが独自に調査を行いましたけれども、その結果は、岐阜・愛知地域へ移転する場合には五兆二千九百億円のプラスが出る、そういう結果が出ております。これは、東京都から移転した、その東京都の移転跡地の効果を見るか見ないかというようなこと、あるいは移転後の新首都への訪問数をどのように考えるのかというようなことの結果、そういう数値が大きく変わっていく、違ってくるのではないかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、こうした問題につきましては、いろいろな想定の仕方がございます。意図を持った想定等もあるわけでございますので、そこら辺につきましては、客観的なデータ分析をお願いしていきたいというふうに思うところでございます。

 最後に、昨今の厳しい経済情勢の中で、短期的な視点から移転に反対するという意見もございますけれども、昭和三十年代の後半から、この首都機能移転につきましてはさまざまな提案が繰り返され、数次にわたる全国総合開発計画におきましても、その時々に重要な論点として提起され、そして平成二年の国会決議以下、慎重な審議が進められてきておるわけでございまして、やはり国家百年の大計に立って、長期的な視点に立って検討を深めて、国民的な合意を形成していただきたい、また私どもも努力していかなければならない、そのように思っておるところでございます。

 以上であります。(拍手)

永井委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

永井委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 この際、委員各位に一言申し上げます。

 質疑につきましては、理事会の協議に基づき、一回の発言時間は三分程度となっておりますので、委員各位の御協力をお願い申し上げたいと思います。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いしたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、御発言の希望の方は挙手を願います。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。

 委員長のお許しをいただきまして、着席のまま御質問をさせていただきますことをお許しいただければと思います。

 まずもって、梶原、河内両参考人におかれましては、大変御多忙のところ本日も当委員会に御出席いただき、また特に当委員会の審議に関しては大変熱心に御提言をいただいておりますことに心から敬意を表させていただきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど梶原参考人がおっしゃったように、私は、まさにこの首都機能移転、国会等の移転というのは、単視眼的な観点から考えるべきではなくて、我が国の政治経済、そして情報、こういったものがすべて東京に集中している中で、危機管理等も含めた二十一世紀の日本の首都機能のあり方がどうあるべきかという観点から当然議論をすべきであると考えておりますし、その点においては梶原参考人の御意見と全く同趣旨でございます。

 ただ、大変残念なことに、一部には、首都機能の移転に対してかかる費用が膨大である、あるいは、この財政状態の悪い中になぜそういうことをするんだというような御意見をおっしゃる方もいらっしゃいます。

 きょう、両参考人のお話の中で、首都機能の移転、特に本日の岐阜・愛知地域に移転した場合においては、国民経済上からしても決してマイナスではなくて、非常にプラス効果が大きいというお話がございまして、私は全くそれは同感でございます。

 と申しますのは、単に永田町あるいは霞が関の跡地を民間に売却するとか有効利用するという単視眼的な観点だけではなくて、日本国民の全国からのアクセスあるいはいろいろな形でのインフラの整備の費用等々を考えると、むしろ首都機能移転はそういった観点からしてもプラスではないかと思っております。

 本日の両参考人のお話の中にそのお話がございましたが、できればもう少しその点について詳しく両参考人からお話しいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

梶原参考人 移転費用がどのくらいになるかということを私たちそれぞれの立場で申し上げておりますが、私は、国会の委員会御自身で、費用というものはどうかということを客観的に算出していただいた方がいいんじゃないかと思うんです。それから、首都機能がこの巨大都市東京の中に重複して存在しているということが大きなロスをもたらしている。このこともぜひ委員会御自身で計算をしていただくとありがたいと思っております。

 我々の計算した数字がございますが、大都市圏域で国費が一人当たりどの程度投入されているかと。関西圏あるいは中京圏、そういうところの一人当たりの国の行政投資に対しまして、東京都の場合、かなり過大な投資が行われている。年間四千億円前後のマイナスが生じているということでございます。こういう点もぜひ国会御自身で調査をしていただきたい、こんなふうに思っております。

河内参考人 計数的にどういうプラスがあるかというようなことについては、ただいま梶原知事さんがおっしゃられましたように、客観的にやっていただきたいと思いますが、とりあえず、私どもが想定した状況につきまして少しコメントをさせていただきたいと思います。

 私どもの地域のところは、周辺に多治見市とか土岐市とか、いろいろ都市がございまして、そういうところの第三次産業というものが相当あるわけでございまして、そういう機能が、審議会で答申されておりました商業機能として必要とする、あるいはサービス機能として必要とする三〇%ぐらいはカバーできるんではないか。こんな前提に立ちますと、その家族を含めて、都市の規模が縮減できるというようなこと、そんなようなことから、相当に建設費等は縮減できるのではないか。関連しましてのいろいろなことにつながりますので、縮減できるのではないかと。

 また、国会とか司法とか、これはもう変わらないものだと思いますけれども、行政につきましては、ある程度ヘッドクオーター部分を中心に持ってくればというような考え方に立てば、ある程度の縮減ができるのではないか。これに伴う規模の縮減、そのようなことを前提にしての計算をいたしたところでございます。

 そのことはともかくといたしまして、日本全体を見ましたときに、日本全体が総力としての活力がある社会システムをつくれるかどうかというところが大きな課題でございますので、そういうこととセットでの議論にならなければならないのではないかというふうに思います。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 お二人の参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。

 一つに絞っていこうという中で、三つのポイントがあるわけです。一つは社会経済情勢の諸事情。あるいは東京との比較考量。私は、国民の合意形成の状況という点について御意見を承りたいんです。といいますのは、最近、かなりこの問題では厳しい意見が出ております。国民的な合意形成がなされるということについて、ほど遠い状況じゃないか。

 いろいろな世論調査を、それぞれ、総理府もやりましたし、国土庁もやりましたし、あるいは各新聞社、マスコミなどもやっているわけですけれども、いずれも標本数がかなり少ないんですね。東京都もこの十一月にやった結果を発表していますが、これぐらいが多い方だというような状況です。

 そういう状況の中で、国土交通省の方も、議論が沈滞している、以前これをやろうというときに比べて、今日国民的な議論というのが非常に沈滞しているというような意見を言われているのもあるわけです。

 そこで、一つには、岐阜や愛知で、県民に対しての合意形成といいますか、世論調査でも行ったことがもしあるならば、数字は今ないかもしれませんので、おおよその状況だとか、特にお聞きしたいのは、賛成、反対の中で特徴的な意見というのはどんなところがあるのか、その辺がお聞きしたいということ。

 それから、もう一つは、国民的合意形成は国がやっていかなきゃならないわけなんですけれども、今日のような余り議論が活発になっていない状況、こういう状況がなぜ起こっているのか。知事さん、副知事さんとしてのお考えや御意見があれば、また国に対する要望等があれば、お聞かせいただきたいと思います。

梶原参考人 まず、地元の世論ということについてお答えしたいと思うんですが、これは地元県議会の決議というものが発端になっておりまして、県下各市町村の議会でも移転促進の決議がなされております。それから、青年会議所とか、そういう若い人たちが一生懸命運動もしていただいておりますし、あるいは女性中心のフォーラムとかそういうのも開催しているというようなこともございまして、今数字持っておりませんが、岐阜県の場合は圧倒的に移転に賛成である、こういうことになっております。

 ただ、移転について、環境問題がどうなるかということですね。そのことが一番心配の種になっているという数字も出ております。その点につきましては、先ほど申し上げましたように、主要施設の移転先はゴルフ場を充てる。それから、その他の地域につきましても、岐阜県の場合、自然保全区域というようなものを先取りして設定して、ここは絶対に開発をしないというようなところを事前に押さえてしまうという手法をとっております。

 それから、全国的な世論の動向についてのお話がございました。

 確かに、私たちが見ましても、全国的なムードというのは低調である、こんなふうに思います。ちょうど社会経済的にも沈滞ムードの中にあるということも連動しておるのではないかな、こんなふうにも思いますが、マスコミが余り取り上げていない、少なくとも前向きな形でお取り上げになっていないということを我々は感じます。

 東京本社の大手のマスコミの幹部の皆さん、私的にお会いしてお聞きしますと、会社としては移転には消極的である、なぜなら金もかかるしなということでございまして、大手のマスコミ、これが日本国民の世論をリードしておりますが、その御本尊の大手マスコミの幹部の方々が内心そういうお気持ちを持っておられれば、当然それが紙面にも反映してくるわけです。したがって、今のマスコミの状況では、大きな世論を起こしていくということにはならないと思います。

 したがって、参議院でも申し上げましたけれども、国会がみずから発議された事案でございますので、国会みずから世論を喚起する行動を起こしていただきたい。よく我々に向かって、候補地を持っているところに向かって、国民的世論が起こっておらぬが、どうやと。冗談じゃない、あなた方国会議員の問題でしょうと私は申し上げております。

河内参考人 私どもの県で、この八月一日から十日にかけて世論調査を行ってきました。

 その結果を御報告させていただきますと、早急に進めるべきだというような比率が六四%でございました。そのようなことで、また、内容を知っておる、見たり聞いたりしたことがあるという数字は七五・八%でございました。

 それで、どんなような意見かということでございますが、細かいあれはございませんけれども、十分議論した上で進めるべきだというような意見が多いということと、それからまた、今梶原知事さんがおっしゃられましたように、環境の問題等への関心が高い、そのように認識をいたしております。

 それから、世論の盛り上げがということでございますけれども、やはり個々人の生活実感からは遠いという面があるということではないかというふうには思いますが、しかし、これはやはり国家経営の問題でございますから、そういう意味では、当然でございますけれども、やはり国会とかそういうところでのしっかりした議論というものを広く周知していただいて、世論の中に議論が巻き起こるようにしていただきたいなというふうに思います。

玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。

 意見の陳述、まことにありがとうございました。

 私も、お上意識を何とかしたいということが一つと、あと一番大きいのは、情報発信量の九割以上が東京だというこの状況は変わらなければならないと私自身は思っておりますので、賛成の立場なんです。ですから、なかなか対立する激論にはなり得ないかもしれませんけれども、二、三お尋ねをしたいと思います。

 一つは、梶原知事が最後にお話しされた、国会等移転が実現しなかったら補償を求めようというお話でありますけれども、ここについてもう少しお話しいただければということが一つでございます。

 もう一つは、前回、石原知事がおいでになられて、一言で言えばナンセンスだ、時代おくれだという話でありました。その根拠は幾つかあるんですが、一つは、バブルのときの話だというのが一つの根拠として語られたわけであります。私自身は私自身の反論がありますけれども、これに対してどういうふうにお考えになられるか。特に土地の価格がデフレの状況で下がっている、資産価格が下がっているという中で、どういうふうにこの国会等移転の問題を改めてとらえるかということが二つ目であります。

 もう一つは、これは非常にいい資料というか、よくまとまっている資料だと思いました。

 前回、石原知事がおいでになられたときに、私は、なぜ政経不可分なんだということを実は尋ねたんです。なぜ政経不可分と言うのですかと。つまり、政治都市と経済都市は一体でなければならないとおっしゃるわけです。

 私は、そうではないのではないだろうかと。規制緩和とかという動きがある中で、あるいは中国を見れば、北京が政治都市、上海、香港が経済都市。EUだって、ブラッセルが政治都市、あとはそれぞれ経済、文化都市になっていくと思います。アメリカは御存じのとおりだと。

 そういうことであれば、いわばニューヨークのように自立していけばよいのではないかという思いがあるわけでありますが、この意見の資料でも、基本的に端的にはお答えになっておられますけれども、この政経不可分という話は一つの大事な論点だと思いますのでお尋ねをしたいというふうに思います。

梶原参考人 まず、国会等移転が実現しなければ国会に対して補償を求めるということ。舌足らずでございますので補足しますと、明確な結論を出さないでうやむやにするというお話があるから申し上げておるので、我々は、所期の方針に従って結論をしっかり出してもらえば、どこに結論が行こうが、これはやむを得ないことだと思っております。うやむやにしてしまうということはおかしいんじゃないかということでそういうことを申し上げているということで御理解をいただきたいと思います。

 それから、ナンセンスではないかということでございますが、まさかこの国会が、憲法の上でも国権の最高機関ですが、そういうところがナンセンスなことをおやりになるとは我々とても思わないし、今でも国会は最高の機関であるということで、我々は信頼して従ってきておるわけなんです。それがなければ、日本の民主主義は根底から崩れると私は思います。国会の決議を、変えていくとかは結構でしょうけれども、否定してしまうということは、我が国の民主主義の根本を誤っていくのではないかというふうに私は思います。

 そして、どんな計画でも、そのときそのときの社会経済的あるいは政治的、国際的ないろいろな状況、シチュエーションのもとで決められておるわけなんです。そのこと自体が、そのときの状況がどうだから、こうだからというようなことは本末転倒ではないかと私は思います。

 例えば、バブルのときの話だということでございますが、これは国家百年あるいは四百年を通じての国の大きな長期的方針の話でございますので、バブルのときにどうだとか、そういうことではない。今地価が下がったからとか、そんな短期サイクルの経済事象でこういう根本的な問題を論ずるべきではないと私は思います。あくまでも五十年あるいは百年とかそういうタームを前提にして考えていくべきだと思います。一体これから世界がどうなるのか、その中で日本がどうすべきか、そういう根本論をもっと国会の場で論じていただきたい、透徹した歴史的な史観のもとに、高いレベルで御議論をいただきたいと私は思っております。

 それから、政経不可分の話は、明治維新以来、政経癒着で欧米に追いつき追い越せでやってまいりました。成功したという要素の一つでもあると思いますが、今、この状況は全く変わりました。むしろ、規制緩和がどんどん進められておりますように、政治と経済というものを分離するという方向で小泉改革も努力されているわけなんです。あるいはそれ以前の内閣でも規制緩和という方向で動いているということは、規制緩和ということは、つまり政経分離ということなんです。それがこれからの歴史の方向であると私は思います。

河内参考人 バブルの問題、あるいは政経分離の問題、一緒にさせていただきたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、この首都機能移転という問題は、非常に長い歴史を持って、バブルの前から、昭和三十年代の半ばには磯村英一さんの富士山ろくの話、あるいは河野一郎さんの話等々、幾つかの提案がなされて、やはり時々に、日本のあり方の問題として常にとらえられてきた問題であるというふうに思います。

 そういう意味で、単にバブルのときの話だという問題ではない。後ろにはいろいろな国土のあり方そのものについての議論が当然あるべき問題であるというふうに思いますし、それから、政経分離の問題にも絡むわけでありますが、やはり、確かに過去におきましては、過度の集中とか土地問題とか、そういう問題が首都機能移転の大きなファクターになった面もございます。しかし、今はやはり社会の構造自体が大きく変わりつつあるわけでございまして、政治と経済が、確かに戦後におきましては政経一体で調子のうまくいった面もあったわけでございますけれども、今まさに構造的に大きな変化が起きている中で、改めて考えてみるべき問題ではないかというふうに思います。

玄葉委員 せっかくなので、もう少し。

 一つは、どうやったらこの議論が盛り上がるかというのは、おっしゃるとおり、私たちが考えなきゃいけない話だ、そのとおりだと思います。

 ただ、盛り上げる手法というのはやはりいろいろあるわけで、この間石原都知事が、小泉さんはどう考えているんだ、こういうふうにおっしゃったんですね。私も、そこはそう思うんです。つまり、国会が預かった形になっています。なっていますけれども、時の総理がどう考えているかということを発言することで議論は進むんだと私は思うのですが、その点についてどういうふうにお考えになられるかということもお聞きをしたいということ。

 もう一つは、仮に愛知とか岐阜とかに移転しますといったときに、反対運動のようなものが発生するのではないかという懸念も一部に聞こえてまいりますけれども、その点はどのようにお考えになっておられるかという、この二点についてお尋ねをしたいと思います。

梶原参考人 小泉総理がどうお考えなのか、我々はかつて本を出されたときの文章しか承知しておりませんが、それによりますと、首都機能移転はやるべきだ、こういうことを明確におっしゃっておられます。ああいう方ですから、初志一貫して、事を曲げることはあり得ないと思います。もしそのお考えを曲げるということになりますと、総理に対する信頼感も、今の剛直なイメージの総理観というものも崩れていくのではないか、こんなふうに思います。

 私は、先ほども申し上げましたように、首都機能移転だとか規制緩和とか地方分権というものは、現下の日本が当面している最も大きな構造改革ではないかと思います。日本を生まれ変わらせるということでございまして、聖域なき構造改革をお進めになるのなら、この問題には当然お触れになるだろうという期待感を持っております。

 それから、いざ岐阜・愛知地域に決まったときに反対運動が起こるかどうかというお話でございますが、これは必ず、大小を問わず反対運動というのは何事もあるわけでございます。したがって、岐阜・愛知地域に決まれば反対される方ももちろんおられましょう。例えば共産党の先生方は反対ですから、当然反対運動をされると思います。

 ですけれども、それが大勢を占めるかどうかといいますと、事岐阜県の場合には絶対にそういうことはあり得ないというふうに思っております、申しわけございませんけれども。

河内参考人 やはり時の総理の御判断というのは極めて大きな意味があるというふうに思います。

 それから、反対運動が起きるかどうかにつきましては、こうした問題には当然そういったものはある。今の県議会での決議とかあるいは世論調査の動向等からいきまして、いろいろな議論はあるでしょうけれども、全体として着実に対応できるのではないかというふうに思っております。

永井委員長 私から、玄葉委員の質問に対してちょっとお聞きしたいのですけれども、特に河内参考人でございますが、梶原参考人は明確にお答えになりましたけれども、この国会決議がうやむやになってしまう、そういったときに、国に対しては明確に補償を求める、こういう話でございましたけれども、河内参考人、その点についてお触れにならなかったのですが、お立場上、触れられることがありましたら触れていただきたいと思います。

河内参考人 補償という言葉がどうかは別といたしまして、私どもとしましても、県議会を挙げ、また予算も通し、御了解をいただきながらさまざま取り組んできたというふうなことでございますから、しっかりした対応を強く期待しておるということでございます。

中井委員 自由党の中井です。

 お二人の参考人、お忙しいところ、ありがとうございます。また、ことしの夏には、視察をさせていただきましたときには大変御丁重に御説明を賜りまして、ありがとうございました。

 特に、梶原知事さんにはたびたびとこの国会にもお出かけいただいておりますから、何回しゃべらすんだというお気持ちもおありであったかもしれませんが、しかし、高邁な観点からの首都機能移転、構造改革のシンボルとしての首都機能移転をやるべきだ、これはもう私も大賛成でございます。私どもは、いろいろな苦労をしながら候補地の絞り込みに向かって努力をいたしているわけでございますし、いろいろな御意見も聞かせていただきながら勉強もやっているところでございます。

 今お話のありました、あいまいにしてしまおうという動きがあるやに聞いているというのは、私は意外と聞いていないものですから、私ども賛成論者のところには聞こえてこないのかもしれませんが、もう少し、どういうことを指しておられるのか、お立場から言いにくいこともあるかもしれませんが、おっしゃっていただければ、このように思います。

 それから、河内参考人には、大阪、特に近畿圏は本社機能をどんどんと東京へ移されて、かなり地盤沈下であるという数値的なものをお出しいただいております。愛知県というのは、自動車産業を含めて独特の産業形成、また極めて元気に生産活動をおやりいただいておる、私も隣の三重県ですから承知をいたしておりますが、それでもやはり愛知県からも東京へ本社機能の移転というのはかなりあるのか、そういう数量的なものがあるのならお聞かせをいただきたい、このように思います。

梶原参考人 私が私的に仄聞していることですから、どなたが、いつどこでというようなことは申し上げられませんが、一つには、候補地をなかなか絞れない、絞ったとして東京都との対比でなかなか結論を出しにくいと。明確に結論を出せないとなると、うやむやに決着するのも一つの手ではないか、こういう話を聞いたから申し上げておるわけでございまして、良識ある先生方がそんなことはお考えになっていないと思いますけれども、万が一そういうことがあれば我々の立場からはそういう措置をとらざるを得ない、こういうことで発言させていただいたということでございます。

河内参考人 本社機能の移転の問題でございますが、私どもも随分心配した面もあるわけでございます。ただ、実際に本社を丸々移すというよりも、二本社制というような形をとる例が多うございまして、そうした中で、実質的な中枢的な機能を東京に置くというような企業がちょいちょいと出てきておるというのが実情ではないかと思います。特に、私どもの県はそういうことと同時に、むしろやはり生産中心の県でございますものですから、海外展開との絡みをむしろ心配いたしておるというようなことでございます。

野田(聖)委員 自由民主党の野田聖子です。

 三点ほど質問をしたいと思っていました。最初の一点目は、先ほど玄葉委員がお尋ねになったので、意見だけを申し上げたいと思います。

 石原知事がおっしゃった政経不可分について、私も何となくというか、かなり疑問を感じていた一人です。例えば、政治、行政の使命というのは公共の福祉というのがございまして、経済の方では今やはり市場原理ということが重要視されていて、その二つはどうしてもかみ合わないところが出てくるわけです。

 ところが、最近の政治の動きを見ていると、内閣ができて、そのよし悪しを株価で判断する場合も出てきてしまっている。株式市場と政治というのは離れて考えるべきなんじゃないかと言うんだけれども、これはもう全く政経不可分の弊害か何かわかりませんけれども、内閣が株価で一喜一憂をすることになる。そういうことは、将来、政治と経済をそれぞれ独立してやっていく中ではやはり避けていただきたいような部分だと思っております。

 政経不可分については、私も疑問がありますし、知事さんからさっきお答えいただきましたので、私の意見として聞いていただけばありがたいと思います。

 あと、二つ目なんですけれども、先日、石原知事が随分ばかばかと言ってくださって、何となく私も非常に残念な気持ちでいっぱいだったのですが、そのばかの一つに岐阜県の例を挙げまして、国際空港の重要性を説かれた際に、中部新国際空港が常滑にできる、首都を岐阜につくって何を考えているんだ、ばかの一つとしてそういうことをおっしゃったので、私としては非常に悔しい思いがいたしました。知事さんにそのことについて、しっかりと御意見をいただきたいと思います。

 三つ目は、バブルのときのアイデアじゃないかとよく言うのですけれども、むしろ、このような大型の投資をするときには、こういう景気の悪いときの方がさまざまな意味でコストダウンができる。土地の値段も下がりますし、人件費とか、さまざま競争が働いて、割とお値打ちにいろいろなプロジェクトが進められるのじゃないかなと思います。

 実際に、今東京周辺ではホテルブームになっていて、外資系のホテルがどんどん新築工事をしているところなんですね。すなわち、民間企業ですから、もうからないところへ大型投資はしないわけで、そういう外国の企業が東京都心部に大型ホテルを建てるというのは、メリットがあるから建てるのであって、そのメリットとは、今のこの不景気の中で、安い土地、安い人件費、そういうようなことの積み重ねで投資が進んでいるんじゃないかと思うのですね。

 ですから、むしろ、今お金が回っていない現状の一つのブレークスルーとして大型投資を、それも、バブルのときに比べたら非常にお値打ちでできるということは一つのメリットではなかろうかと思うのですけれども、それについてもちょっと御意見を伺いたいと思います。

梶原参考人 一つは、ばかじゃないかというお話ですが、個人的にはばかかもしれませんが、少なくとも知事としては、ばかなことはやっていないという自信がございます。

 空港の例を挙げられましたけれども、中部国際空港、二十四時間運用可能で、かつ国内線との乗り継ぎができるということは、首都機能をサポートする上で大変有利な空港だと思います。

 そこに到達する時間距離は、四十分という時間を設定いたしております。そしてかつ、VIP輸送のために空港の平野社長に対して、ヘリコプターの離発着を容易にできるようにしてほしいとかいうことを申し上げております。それから、河内さんもおっしゃったけれども、名古屋空港も大変至近距離で、高速道路がつながりましたから、名古屋空港は十数分の時間距離内です。そういうような有利な空港が首都機能をサポートできるということでございまして、決してばかな話ではないというふうに思います。

 それから、今デフレ傾向で、いろいろなことをやるのにいいじゃないかとおっしゃいました。

 私も、こういう不景気なときこそ、いろいろなことを企画して立ち上げていかなければいけないということを県内でも申し上げております。冬の間に春の到来を見越して手を打ったところが企業でも成功していくわけですから、ましてや国家的な事業あるいは公共的な事業については、そういう将来への展望をもとに、タイミングよく手を打っていくことは必要ではないかと思います。

河内参考人 空港のことにつきましては、ただいま知事さんのおっしゃられたとおりでございまして、我々、もう既にこの年明けくらいからは上物の工事も始まるというような状況でございますので、大いに期待できるというふうに思っております。

 また、事業を今の時期に計画していくということは、まだまだ、今計画しましても若干の時間もかかるわけでございます。そうしたことから、早い段階から計画はしっかりとつくって対応していくべきではないかというふうに思います。

坂本委員 私も実は賛成者なのです。私が賛成したのは、昭和五十一、二年ごろに、関東大震災七十年周期説というのがありまして、そのころ富士のすそ野へ、富士山ろくへ国会を移転なんという話がありました。当時私は県会議員をやっていまして、これはすばらしいな、日本の国会を富士山をバックにやったら世界一の国会議事堂になるなと思って、そのときから急激にこの首都機能移転、国会移転というものに関心を持ちました。したがって、今なお東京都を見渡したときに、ここにいると、これは余りにも全国民がかわいそうでしてね。ですから、どこでもいい、とにかく首都機能移転しよう、国会移転しよう、このコンセンサスを全国的にとらないかぬな、こんな思いをずっといたしております。

 ところが、私の県は福島県なのですが、福島県でも昔、県庁を移そうという動きが三度ほどありまして、これは死者まで出るのですよ。それは移される方はたまったものじゃない。新しく移転地になるところは大喜び。切った張ったの騒ぎを明治の初年度から、師範学校ができれば、師範学校の生徒が殴り込みに参加したりね。

 国会議事堂を移そうとなったら、これは並大抵ではないのですね。移転候補地が計画を出したからといって、来てくれるものではない。この間の東京都の知事さん、あれはまだ甘いですよ、あんな程度の抵抗では。ばかは切った張ったの話なんかではないわけでして、国会移転、首都機能移転推進県は相当な覚悟を持って臨まなければならないのですね。

 ですから、その半面といってはなんですが、仮に国会移転がなされた後の東京に我々は何をプレゼントできるのだ、この東京に、東京都民の方がそれならいいなと思うようなものを。こういうアイデアも何かやはり我々は持っている必要があるのじゃないのかな、こんな思いを実はいたしております。

 また、東京でなければできぬことはたくさんあるんですよ。そういうものも、いまだ姿は見えていませんけれども。そんなことをいろいろな面で用意しながら。細々言いません、全国民が、今この東京に国会があることによって迷惑をかけているかは百も承知ですからね。

 ですから今さら申し上げませんから、とにかく、東京はもう限界だということだけははっきりしているわけです。それに、先ほど来から言うように地震の問題。これは、私は、全国三カ所に国会議事堂と首相官邸をつくれという論者なのです。三カ所つくっていれば、まあ安心なんですね、何事が起きても。ですから、同時被災が起こらないような間隔で三カ所、国会議事堂と首相官邸、ヘリポート、それから関連道路、進入道路、そういったものを整備しておきなさいという論者ですけれども、それはいいとして、何かメリットを与えよう。

 と同時に、全国の都道府県、これは千葉、神奈川、埼玉は猛反対ですから、それは意味はわかりますね、そのほか北海道とか九州とか四国、中国各県に、なぜ今国会移転でこうなのだと、賛同していただくような作業も引き続き、来年の五月に向かってこれはやっていく必要があるのじゃないかと思うのですが、具体策が何かありますかどうかお聞かせいただきたいな。この二点でございます。

梶原参考人 一つは、東京の首都機能移転後の姿ということでございましたでしょうか。

 私も長らく東京でお世話になっていまして、愛着のある都市でもあるのですね。そういう個人的な感慨も含めて申し上げますと、もっと住みやすい環境、そして何よりも、災害等が発生したときの危機管理が容易にできるような町づくり、そういう安全、安心のまちづくりというものが住民サイドからは一番求められておるんじゃないでしょうか。経済面は自然体で成長していくものですから、やはり地元の住民の方は、そういう安全、安心のまちづくり、これに投資してもらいたいというお気持ちが強いんじゃないか、かつての一住民としてもそんな気持ちがいたします。

 それから、西日本の方への働きかけというような趣旨のお話とお伺いしましたけれども、既に経済界では、関西経済界あるいは西日本の方の経済界、働きかけをずっとしていただいておりまして、経済界の反応は非常にいいわけなんですね。首都機能移転すべしというような意見が西日本の方では大変支配的であるというふうに私は受けとめておりますし、これから事態が進展するとすれば、我々も知事レベルでさらに強い働きかけをしなきゃいけない、そんなふうに思っております。

河内参考人 東京から首都機能が移転いたしますと、相当の官舎とか庁舎とか、そういうものの空地ができるわけでございまして、そういうものを種地としまして、例えば外郭道路の整備の代替用地の確保とか、あるいは防災的な利用とか、そういうようなことなど、やはり住みやすい安全な地域づくりに活用していただくというような道が首都機能移転の大きな眼目の一つではないかなというふうに思います。

 それから、広域の問題につきましては、ただいま梶原知事もおっしゃられましたように、経済界や行政と一緒になりまして、例えば、中央地域へ首都機能移転を推進する会、これは奈良県や京都、滋賀、畿央と一緒でございますけれども、そこら辺の経済界、それから地方自治体一緒になっての行動を行っておりますけれども、そうした活動を、今後の展開の中で、またいろいろ活性化等につきまして努力をしていく必要があるのではないかというふうに思います。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 両参考人におきましては、十二月議会ですか、開会中か開会前だと思いますが、お忙しいところをありがとうございます。

 少し何点かまとめて質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、都を移すことが梶原参考人から資料と一緒に述べられました。私も遷都絡みの年表をつくってみました。奈良時代は平城京、これは八十四年。平安時代は平安京、これは約四百年ですね。そして、鎌倉時代が、鎌倉幕府が百四十六年。室町時代は、足利尊氏が京都の室町幕府を開いてから、織田、豊臣時代、江戸時代に入るまで含めまして二百六十五年。徳川家康が一六〇三年に江戸幕府を開いて以来、明治時代までが二百六十年。後はずっとこの東京に、都、首都が政治と経済を中心に移ってきたわけなんですが、過去の歴史を見ますと、権力がかわるときに都がかわってきた。そして、明治維新からは民主的な議会を設けての民が参加する民主政治が行われてきたと思っているわけなんですね。

 今の日本に政権がかわるぐらいの活力があるのかないのか。過去の遷都、都が移るというのは、やはり力、武力によって政権交代のときに都が移ってきた。今のこの日本の経済、政治状況の中で、本当に、都、ちょっと置きかえて言いますけれども、それだけの活力があるのかどうかということを、個人的な御意見で結構ですので、お二人の参考人にまず一点目の質問をしたいと思います。

 次に、小泉さんの言う特殊法人改革が一定の成功をしないと交通基盤整備というものもなかなか議論につかないと思うんですが、この特殊法人改革を含めた交通基盤整備に関して、お二人の参考人、どの程度の見通しを持っているのか。例えば地元の選出の国会議員、与党さんの国会議員中心に何とかすれば何とかなるものなのか、それとも、小泉さんの高い支持率でこのままいってしまうのか。その辺の見通しから含めた交通基盤整備ということを両参考人に伺いたいと思います。

 三点目なんですが、移転費用のモデル的試算というのを移転審議会が出しておりまして、きょうは二十万都市を想定した意見陳述が行われました。ここにある資料ですと、例えば十万人の町ですと公的負担が二・三兆円、三十万人ですと公的負担三兆円です。二十万人としましても二兆三千億円から三兆円ぐらいの幅になると推測されると思うんですが、これは聞いたところによりますと、公的という、この「的」というのがありまして、国と地方とを移転審議会では分けていないということでございます。今、国と地方の赤字が六百六十六兆円ある中で、もし仮にこれが地域に決まったときに県として財政的にどうなのかということを聞きたいと思います。

 梶原知事は、たしか先般、独立しても世界で五十二番目の独立国家として岐阜県は十分たえられる財政力があるようなことをちょっと伺ったような記憶があるんですが、その辺の公的負担についての腹づもりというか予測、そういうものをお伺いしたいと思います。

 四点目なんですが、今、国政全般の改革がスタートしたばかりと私は思っているわけです。いろいろな社会のひずみが政治経済の中に入ってきて、構造改革、例えば経済の構造改革、国会の構造改革、地方議会の構造改革、そしていろいろ構造改革するにはまず私たち国民が意識を変えないとできない。やはりこの社会というのは私たち一人一人の国民が形成していまして、理念とか考えとか法律が走る以前に、やはり政治経済を担うものは私たち一人一人の人間の心であって、私たちの意識変革がどこまでできるかによって、こういう大きな国家事業というのは国民合意、県民合意を経てできるものと私は思っております。

 そういう意味で、国政全般の改革がスタートしたばかりの今日にあって、果たしてこの議論が、本来ならば来年の五月までに一候補地を絞るということで進んできておりますけれども、外側から見てどのように感じていらっしゃるのか。例えばきょうの委員会でも、知事さんといえば、本当に副知事さんといえども多忙をきわめているお二方が見えていますけれども、国会の委員会はこのような委員の参加状況でございます。そういう観点からも考えを聞かせていただきたいと思います。

 そして、愛知県の河内副知事には、愛知万博絡みで質問をあと一つ追加させていただきたいと思います。

 愛知万博は本当に二転三転して、候補地が私の住んでいる長久手町に決まりました。最初は瀬戸市の海上の森ということでございました。そして、いろいろな形で自然と共存するということで、非常に今苦労をしているというふうに私は見ております。

 そういう中で、人口二十万人の都市を人工的につくっていくという移転審議会の回答、そういうことを踏まえると、愛知万博ですら非常に苦しい見方をされている県民もいるわけですので、果たして本当に強いリーダーシップを持ってできるのかどうか、その辺の御見解を聞かせていただきたいと思っております。

 以上です。

梶原参考人 まず第一に、都を移すということについてでございますが、歴史的に見ましても、強力な政治権力、ほとんど武力ですね、そういうもので政治の中心が変わってきました。今日、この民主的な社会になったときにどうだというお尋ねではないかと思うんですが、確かに、オーストラリアの首都を決めるときも、南北で壮烈な綱引きがあったと伺っておりますし、こういう民主社会においては、やはり武力で、力で解決できませんから、これは時間も要するであろうし、いろいろな世論の衝突もあるだろうと思いますが、やはり、そのときの最高権力の座にあられる方たちのリーダーシップで進めざるを得ない。日本においては、国会が強力なリーダーシップをとっていただくというほかないのではないかというふうに思います。

 それから、特殊法人問題に関連して、これから交通基盤が整備されるかどうかということですが、事道路に関しましては、今の道路特定財源制度を維持してきっちり道路投資をしていただければ、現在並みの道路整備は進むわけです。

 岐阜県の場合ですと、道路特定財源税収が県内で千百億円ぐらいです。そのうち六百億円ぐらいは国税でとられて、県税が三百億円、市町村税が百六十億円ということで、もう過半以上が国税でとられている。我々は、それを変えて、国税から地方税分に変えていくべきだということを主張しております。

 国の方で、国税で道路利用者から税金を取っておいて、ほかに回すということであれば、それは筋違いであって、むしろ国税で地方の道路を整備することに回すべきだ。そういうことをやっていけば、十分に道路交通基盤も整備されると思っております。

 それから、行政投資の負担能力の問題のお話かと思ったんですが、岐阜・愛知地域でございますと、行政投資が国、地方を通じて二千億円ぐらい年間で必要だと考えております。二千億円という金目は国全体の行政投資のほぼ一%相当でございまして、一%相当をこの国会等移転のための経費として重点投資すれば足りるわけですから、大枠を変える必要は全くない。十分今の行政投資の枠内で、国でも県でも対応できる数字であるというふうに思っております。

 それから、国政の改革がスタートしたばかりだということでございますが、河内さんもおっしゃったように、この問題はもう昭和三十年代ぐらいから国会でも論議されたりした問題でございまして、決してきょう突然出てきた問題ではございません。そんなことで、いろいろな諸改革と同時並行してこういう大きな改革も当然進めるべき、そういうタイミングではないかと私は思っております。

河内参考人 まず、首都機能移転が強力な政権によってということでございますけれども、やはりそれには、その時代のいわゆる大きなうねり、流れというものがバックにあった上での政権の交代であろうというふうに思いまして、そういう意味で、今日の社会が大きな変革のうねりの中にあるというふうに思うわけでありまして、直ちに具体的な政権交代とか、そういう問題とはちょっと質が違うのではないかというふうに思うところであります。

 それから、特殊法人の今後の見通しと現在の地元での事業との絡みでございますけれども、これはなかなか見通しが私どもとしましてもはっきりつかみ切れないところがございますが、やはり事業としまして、必然的な事業ばかりでございますので、どのような形になっても、今進んでおる事業については着実に進むのではないかというふうに強く期待をしておるところであります。

 それから、地元の負担の問題につきましては、やはりこういう首都機能移転等があれば、ある程度地方が負担すべきものも当然に出てくるであろうというふうに思いますし、それにつきましては、知事としてできる限りの努力はしていくべきであろうというふうには思いますが、ただ、これに当たりましては、これは国家的な大事業でございますから、今の仕組みのままでそれに対応できるかというような問題は幾つか出てくると思います。例えば、警備の問題等も今のような仕組みのままでいいのかどうかとか、いろいろソフトの面、ハードの面を含めて出てくると思いますので、そこら辺につきましては、やはり国の制度としてのいろいろな議論を深めていただく必要があるというふうにも思います。

 それから、国の改革とどうかという問題でございますけれども、例えば、先ほども少し申し上げましたんですけれども、やはり首都機能移転だけでは意味がないわけでありまして、やはり日本全体のネットワークとか地方分権の仕組みとか、そういうものとのセットの話でありますので、やはり国政改革と並行しながらこの問題は議論をしていっていただく必要があるというふうに思います。

 最後に、愛知万博の問題でございますけれども、まず、私どもの提案しておる地域につきましては、先ほど梶原知事もおっしゃられましたように、既存の、もう既に一回改変したようなところを主としてやりたい、それからコンパクトにやりたい、それからネットワーク型でやりたい、このような視点をまず基本的には持っておりますけれども、それにしましても、いろいろ環境の問題等々、難しい問題がいっぱい出てくるであろうというふうに思います。

 それで、愛知万博との絡みでの御質問でございましたので、絡めての話とさせていただきますが、万博の検討会議、各界各層のいろいろな意見の方々の入った会議等でいろいろと議論も深めてまいりました。これも、その例の一つにはなる。これからこういうものを進めるに当たっては、いろいろな仕組みがあると思いますから、それが検討会議が最善とは申しませんけれども、いろいろな仕組みを考えていく必要があるであろうというふうに思います。

 それからまた、今、私どもの地域では、文部科学省の地域結集型研究というような形で、循環型の環境都市整備の基盤整備というのを、五カ年のプロジェクトで二十億近い予算をいただきまして、各方面の協力で、里山の再生の問題とか、都市から出る廃棄物の再循環の仕組みとか、そういう研究も進めておりますけれども、そういう成果等が今後の将来に向けてはいろいろ生きてくるのではないかというふうにも思いますし、それからまた、博覧会との絡みですと、博覧会の中でのいろいろな新しい環境への取り組み、例えば交通のシステム等につきましては、HSSTを含めまして、いろいろ環境への対応の交通システム等も検討しておりますが、そういうようなものも生かすとか、総合的な取り組みの中で問題に対応していけるのではないか、いろいろな知恵が生まれてくるのではないか、このように思っております。

永井委員長 ありがとうございます。

 時間があと二十分ほどになりまして、発言希望者が多いので、比較的簡潔に御質疑を願いたいと思います。

 それでは、小林委員。

小林(守)委員 民主党の小林守でございます。

 きょうは、お二人の参考人には大変御多忙のところを御出席をいただきまして、貴重な御意見をありがとうございます。

 先ほど来議論が出ておりましたけれども、九〇年の国会決議以来、今日まで着々とと言っていいかどうかわかりませんけれども、この移転の問題については法律が制定され、それに基づく調査会あるいは審議会が設置され、そして二年前、移転先の候補地が答申されたというような形で、非常にスケジュール的に着々と進められているというような印象も受けるのですけれども、先ほどの質問にありましたように、一方、国民の合意形成とか国民意識の高揚とか、あるいは社会経済状況とか東京との比較考量の問題で、非常に困難な状況というのも現実にあるのは事実だと思うのですね。

 そういう中で、賠償請求のお話などもございましたけれども、来年の五月が候補地の絞り込みというような予定になっているわけですけれども、例えばそれが先送りされるような状況になった場合に、候補地として挙げられている当該地域の首長さんの方は我慢ならぬというような状況なのかどうか、その辺はちょっとお聞きしたいなと思っております。

 というのは、それに関連しますけれども、ちょうど四年前に、橋本内閣のときだったと思いますが、今日までの経緯及び財政構造改革においてあらゆる分野で痛みを伴う改革が進められている状況を総合的に勘案して慎重な検討を行うことを提起するというようなことが閣議の中に提起されて、決定されているというようなことを伺っております。この橋本内閣と今日の小泉内閣では、経済的な状況とか、あるいは痛みを伴う改革というのは、さらに数段の厳しさがあるというふうに考えていいと思うのです。

 そういうことを考えると、今日までの経緯と、それから財政構造改革とかさまざまな構造改革、痛みの伴う改革という状況の中で、総合的に勘案して慎重な検討というのは恐らく政府の中にある基本的なものではないかな、このように思えてなりませんし、来年の五月という線は大変厳しいものがあるのではないか、このように思えてなりません。

 そういう点で、うやむやな形での移転については、移転の方向づけというのですか、先送りみたいなものについては我慢ならぬという思いが先ほどの表明の中にもありましたが、来年の五月という一つの区切りをどのように受けとめられているのか、第一点はそれですね。

 それともう一つは、九七年の閣議決定の内容について、どのように受けとめておられるのか。実は、その九七年の、四年前の閣議決定がひとり歩きするような形で、あれでもう移転はないんだというような、風評というのでしょうか、そんなことが流されているやにも聞いておりますけれども、その辺について、どうお受けとめになっておられるのか、お聞きしたいと思います。

梶原参考人 来年の五月という締め切りは国会御自身がお決めになったことであって、それをお守りになるのかどうか、我々はわかりませんが、うやむやにしてもらっては困るということを申し上げております。

 先ほど来申し上げておりますように、いろいろな数字が横行しておりますので、国会の方で直接、必要な数字の点検とか、あるいはみずからの調査というものをしていただく必要があると思うのですね。そういうようなことのために時間を費やすとか、そういうことならわかりますけれども、とにかく、先延ばしするということは国会への不信感を招く、国会の自殺行為であると私は思います。

河内参考人 今知事さんがおっしゃられたのと同じような感覚でおります。やはり、まだまだ国政の改革の問題等と並行的に議論しなければならない問題もあるかもしれませんし、国民の意識の盛り上がり等、いろいろな問題もあるかもしれませんが、国会の中でしっかりと議論していただきまして、とにかくうやむやな仕組みにならないように、きっちりやっていただきたいというふうに思います。

河村(た)委員 私は、名古屋の河村たかしでございますけれども、はっきり言って雰囲気が出ないのです。何でかというと、確かにバブル期の、それより前からやっていますけれども、規模とかそういうものはそうなので、このくそもうからぬときに役人と議員は何をやっているんだ、こういうことですよ、国民的にいえば。

 ただ、ちょっと記者も来てみえるので、誤解されるといかぬので、私は実は賛成派なんですが、これはやはり国会がやらなければいかぬことかもわからぬので、多分そこは僕も提案しなければいかぬと思っていますけれども、今の七千ヘクタール、六十万人。二十万人にしましても、私も名古屋だからわかっているんだけれども、いろいろな計画を見ていると、森の中に宮殿があって、常に池があって、その横を国会議員が何か散歩しておる。こんな状況では、日本経済は本当にあかんようになりますよ。税金を食っておる方はもっとへりくだって、別荘におるのは税金を払う人がおらなければあかんですよ。議員というのは、それこそ災害面でも、もっと災害に遭いやすいところにおらなければあかんですよ。

 そういうように、大きく国家像をもっと本当に根本問題でこれをとらえて、なぜやらなければあかんかといったら、これはお上下々社会を変えるんだ、税金を払うタックスペイヤーが国の主人公であるように変えるためにやるんですから。だから私は、悪いけれども、今の計画、この間、ヘリコプターで飛んでいきましたけれども、こんなところに国会議員がおって、果たしていろいろなことがわかるのかと。冗談じゃない、もっとむさくるしいところにおって、日々とにかく汗水垂らして働く、こういうふうに変えなければいかぬと思いますね。

 今ちょっとなかなか、これは審議会で、一定の基準を調査会で示しているから、これは国会の仕事かもわからぬけれども、岐阜県はちょっとわからぬけれども、例えばあの辺だったら、木曽岬干拓とか、小牧の飛行場とか、それから笹島の跡地だとか、コンパクトに行けるところは、跡地というのはたくさんあるでしょう。そういう第二案をとりあえずみんなで出し合って、国会移転はさらに必要なんだが、もっと納税者を大事にした、そういう計画にしよう、森の中に役人と国会議員が偉そうにおる時代を変えよう、こういうふうにやってもらう。これは国会の仕事かもわかりません。これは私がやるつもりですが、一応地域としても出してもらえぬですか。

梶原参考人 どういう首都としての都市像を描くかということは国会御自身がお決めになることで、むさくるしいところがよければそれも結構でしょうし、自然豊かなところが必要であればそれも結構でしょうし、我々は、国会の先生方の町でもあるけれども、新しい首都は世界の中の新しい首都機能のある町、こういうことですから、二十一世紀のあるべき姿を表現していくことも必要であろうと思います。自然環境を大事にする、あるいは、ごみは外に出さないとか、交通事故はほとんどないとか、二十一世紀のあるべき姿を新しいまちづくりの中で表現していくのも大事なことではないか、こういうことで御提案を申し上げております。それがだめだとおっしゃれば、それは国会の方でお決めいただくと。

河村(た)委員 だから、今の提案が、スタイルがいかぬ。

 愛知県も。

永井委員長 河内参考人、簡潔に、一言ございましたら。

河内参考人 やはり今までの審議を踏まえての提案として出させていただいておるわけでございますので、そういう視点からの話ですと、また違った視点の提案を地元として考えていく必要があると思います。

蓮実委員 自民党の蓮実でございます。

 両知事さん、御苦労さまでございます。私、ちょっと前の資料を見てみますと、今日まで百二十六回、国会は委員会を開いているわけです。その都度メンバーも違ってきているわけですね。ですから、心に触れる質問もあるかと思いますが、ひとつ御理解をいただきたい。

 それから、参考人が約八十人でございます。両知事さんがこの委員会に参考人としておいでいただいたのは、多分、審議会の答申が出てからですから、三回目になると思います。毎度毎度同じような質問で腹立たしい点もあるかと思います。しかし、我々は一生懸命、結論を導くために頑張っております。

 実はこれは、今出ております中央公論に、寺島実郎さんという三井物産の戦略研究所長のこういうコメントが出ているんです。

 「この数年間、日本の経済人も政策当事者も、経済再生のための方法論として刺激策の話だけをしてきた。減税にせよ金融緩和にせよ、さらには財政出動(公共投資)にせよ、景気を刺激する方策だけを視野に入れてきた。しかし、肝腎なのは、いかなる具体的事業、プロジェクトを立ち上げるかであり、インセンティブの議論は後からついてくるべき性格のものである。」輸出力によって稼いだ外貨の大半を海外に投資するパターンを今こそ転換して、国内で国民生活にとって意味のある事業、プロジェクトを構想し実現することの重要性を改めて痛感すべきではないか。「つまり、海外からもめざすべきモデルとして期待され、国民も生活の向上が実感できる良い国」を造ることなのだ。首都機能移転や」、東京都の首都再生ですが、「都市再生などのマクロ・エンジニアリングから、新技術・新事業のエンジニアリングまで、視野を未来に転じて情熱を傾けるべきテーマが山積している。」

 まさに文字どおり首都、国会移転というのは非常に重要なテーマだと思っております。それだけに、我々委員会も誠心誠意取り組んでおるわけでありますが、恐らく両知事さん、結論を出すまでに、来年五月ですから、参考人としてここにおいでいただく機会はきょうが最後だと思っておりますので、ちょっと参考人にお伺いしたいんです。

 これから我々委員会は一カ所に絞るわけです。この委員会も、例えば、今のままの二十五人委員会になるのか、あるいは五十人か四十人かになるのか、これはまだわかりませんが、いずれにしても、委員会として責任のある結論を導かなきゃならぬ、そう思っております。

 ついては、もちろん委員会で結論を出すわけでありますが、三地区の知事さんが、それぞれいろいろな情報交換をしながら話し合いの機会をぜひ持っていただきたいというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。両知事さんに伺いたい。

梶原参考人 非常に的確な御提案をいただいたと思います。

 それぞれ各県知事、候補地を持っております。持っておりますけれども、お互いにいつも話し合っておることは、この際、やはり首都機能移転はすべきであるという考えはもちろん一致しておりまして、お互いに誘致合戦というようなものはやらないようにしよう、それぞれ自分たちの一地域の利害で動いているわけじゃないんだから、誘致合戦のような愚かなことはやらない、こういうお話し合いをいつもさせていただいております。日本の将来のことを考えて今まで努力をしてきたわけだから、そういう方向でお互いに提携しよう、このようなことを、私的に、あるいはばらばらにお話し合いをさせていただいてきましたけれども、しかるべきときには、関係県の知事が集まってしかるべき対応をしたい、こういうふうに思っております。

河内参考人 私ども知事からもしょっちゅう言われておりますことは、このことは、国家のこと、国の方針の問題であるから、もし外れても、そういうことには従うべきだ、こういうふうに聞いております。今梶原知事さんのおっしゃられたとおりの対応でございます。

荒井(広)委員 荒井でございます。きょうはありがとうございます。

 梶原知事にお尋ねをいたします。

 特にIT分野で知事にはいろいろな御高見をいただいておりますが、平成十五年までに恐らく世界最先端の電子政府に日本はなりますし、また、若干おくれてローカルガバメントも電子化をしていただく。そうしたIT時代のネットワーク社会において、首都機能、機能そのもののあり方、働かせ方、それに伴って首都のつくりもまた変わってくる、こんなことを考えております。

 私は、サイバー国連というものも提唱しているようなわけでございまして、納税も含めまして、もう電子で家庭にいながらできる時代、こういう時代の首都のあり方、これもかなりの部分、首都移転、引っ越しは形ですから、ですから、首都機能本来の役割、機能そのものの中身も随分変わるだろうと予想しております。

 そこで、知事にお伺いしたいんですが、そういったところについて各県とのいろいろな議論をされておられるのか、どのような程度の中身になるのか、短い時間ですが、簡単にいただければ幸いでございます。IT時代の首都機能、機能そのものと形、この辺はいかがでございましょうか。

梶原参考人 首都機能だけではございませんが、ITの普及によっていろいろな分野の大きな革命的変化が起こると思います。インタラクティブにリアルタイムで情報通信が大量にできるということによって、さまざまな変化が起こります。

 そういうITあるいはITネットの普及によっていろいろな変革がございますが、人が集まってスキンシップのもとで新しいものを生み出していくということの重要性は、変わらないというよりも、むしろより重要になってくるというような二面が私はあると思っております。インターネット上の情報交流が頻繁になればなるほど、人間というのはお互いに会う機会がむしろふえるという側面もございまして、そういうIT装備をすると同時に、人が集まりやすいように、しかも集まって、より多くの新しい価値が生み出されるような場所にしていかなければいけない、これがIT時代の首都機能のイメージではないかというふうに思います。

永井委員長 河内参考人、ひとつコンパクトに御発言をお願いいたします。

河内参考人 ただいま梶原知事がおっしゃられたとおりでございますが、このたびの私どもの提案の中では、やはり首都を訪れる数そのものは相当減るであろう、今の東京の現状から比べれば減るであろう、そのような想定は一致をいたしております。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。

 時間も大分迫っておりますので、簡潔に一点だけ御質問させていただきたいと思います。

 実は、当委員会で何度か梶原参考人からはお話をいただきましたが、改めて、岐阜・愛知地域が三候補地の中で一番魅力的であるという点、ポイントを絞ってお話しいただければ幸いでございます。

梶原参考人 一つは、日本の真ん中で集まりやすいということと、既定計画の公共投資計画、そういうものが既にあって、新しい追加投資が要らないということ。それから、何よりも二十四時間稼働の国内線接続の国際空港が身近にあるということですね。これが大きな利点であると私は思っております。

棚橋委員 ありがとうございました。

永井委員長 これで参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 梶原参考人、河内参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手)

 速記をおとめ願います。

    〔速記中止〕

永井委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

永井委員長 ただいま参考人として栃木県知事福田昭夫君及び福島県知事佐藤栄佐久君に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、極めて御繁忙の中にもかかわりませず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、心からお願いを申し上げる次第であります。

 なお、議事の順序についてでありますが、まず、福田参考人、佐藤参考人の順に、合わせて三十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をいただきたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、まず福田参考人にお願いいたします。

福田参考人 栃木県知事の福田でございます。

 本日は、国会等の移転に関し意見を述べる機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、国会等の移転という国家的意義を有する取り組みに対して、栃木・福島地域がいかに貢献できる地域であるかという視点で意見を述べさせていただきたいと思います。

 国会等の移転は、その法律の前文にありますとおり、一つに国政全般の改革の契機、二つとして東京一極集中の是正、三つとして国の災害対応力の強化など、我が国が二十一世紀にふさわしい新しい社会を築いていくために極めて大きな意義を有するものであります。

 そして、国会等の移転は、平成二年の衆参両院における決議以来、議員立法による移転法の制定を経て、長年にわたって調査審議が進められてきたものでございます。しかしながら、移転決議から十年余を経過した現在、財政状況や公共事業見直し論等から、国会等の移転を単なる公共事業に矮小化した議論が見受けられるなど、移転の必要性を疑問視する声が聞かれるようになってきたことに私は一抹の不安を禁じ得ません。

 そこで、まず、東京都との比較考量という観点を踏まえまして、国会等移転の意義につきまして、私どもが提唱しております、新世紀を迎えた世界に貢献するモデル都市づくりという意義を深め、四点考えを述べさせていただきます。そして、結びに、貴委員会にお願いしたい事項について三点申し述べさせていただきます。

 まず、国会等移転の意義の四点のうち、一つ目の国政全般の改革の契機についてでございます。

 戦後、我が国はさまざまな苦難を乗り越えて、欧米諸国へのキャッチアップをなし遂げ、現在の経済的繁栄を獲得し、豊かな国民生活を享受できるようになりました。しかしながら、二十一世紀を迎えた今、我が国は大きな時代の転換期を迎え、言いようのない閉塞感に覆われております。この局面を打開し、国民が将来に夢を託せる国をつくっていくためには、これまで我が国の発展を支えてきたシステムでは対応できなくなっているのではないかと感じております。現在、政府がさまざまな分野での構造改革を進められていることも、ひとえに我が国の再生、そして持続的な発展を可能にするための新しい社会経済システムを構築しようとするものであると理解しているところでございます。

 国会等の移転によって改革が進むとは考えられないとの御意見もございます。しかしながら、私は、小さな中央政府を実現し、地方分権を進めていくという時代の要請の中で、国会等の移転は一つの重要な改革であると思います。国会等の移転に当たっては、国と地方の役割、行政と民間の役割を見直すことが不可欠になります。このことは、行政改革や地方分権をより一層促進するものになると考えております。

 また、国際的な競争が激化している中、国会等の移転により政治と経済を分離すれば日本の活力を失わせるとの御意見もございます。確かに我が国は、これまで、政官民の機能を集中させることによって経済の発展と国民生活の安定を築いてまいりました。しかし、その一方で、こうした体制は、企業や国民の自立性を損なわせているばかりでなく、やがては我が国経済自体の衰退をもたらす原因となるのではないかとの指摘もございます。したがいまして、こうした弊害を取り除くためには、物理的に政治、行政の中心と経済の中心を分離し、政官民の新たな関係を構築していく必要があると思います。

 次に、二つ目の東京一極集中の是正についてでございます。

 我が国は、東京に政治、経済、文化、学術などさまざまな機能を集中させることによって発展を遂げてまいりました。しかし、その一方で、東京では、通勤混雑、交通渋滞、大気汚染、ごみ、水、電力など、過密によるさまざまな大都市問題が生じ、地方では若年層の流出などによる活力の低下を招くことになりました。

 新しい全国総合開発計画、二十一世紀の国土のグランドデザインにおきましては、国土構造形成の流れを、太平洋ベルト地帯への一軸集中、東京一極集中から、多軸型の国土形成の方向へと転換することで、大都市の再生と地域の自立を促進し、美しい国土の創造を目指すとしております。こうした意味におきまして、東京一極集中の是正の問題は、我が国の国土政策の根幹である全国総合開発計画の理念と軌を一にするものであります。

 ここで、データを一つ紹介させていただきます。東海道新幹線と東北新幹線の各駅のある市町村の人口を比較したデータでございます。

 東海道新幹線は東京駅から新大阪駅まで約五百五十キロメートル、駅の数十六カ所、東北新幹線は東京駅から盛岡駅まで約五百四十キロメートル、駅の数十八カ所と、ほぼ同じでございます。これらの駅のある市町村の人口を足していきますと、東海道新幹線は約一千二百万人であるのに対し、東北新幹線は約三百五十万人で、三分の一にすぎません。

 したがいまして、新しい全総の理念を実現するためにも、国会等は、人口や産業が既に集中した地域ではなく、発展可能性に富んだフロンティアの地である北東国土軸上に移転すべきであると考えます。

 また、円滑な移転ということを考えますと、私は、我が国の経済、文化の中心である東京と、政治、行政機能を担う新都市との適切な連携が、移転に当たって最も大切なことであると考えております。

 情報化の進展は、空間的な隔たりを超えて私たちにさまざまな恩恵を与えてくれておりますが、そうした中にあっても、フェース・ツー・フェースの必要性は必ず残るものと考えております。

 国会等の移転は数十年という長い年月をかけて段階的に行われるとされております。この期間は、新都市と東京の双方に首都機能が存する、いわゆる重都と呼ばれる状況になります。こうしたことを考えますと、新都市の位置は、東京との連携が密接にとれる距離にあることがぜひとも必要であると思います。栃木・福島地域にある那須塩原駅、新白河駅までは、東京から新幹線で約一時間でございます。まさに東京との連携が密接にとれる位置にあると言えると思います。

 さらに、移転に当たっては、効率的な投資という視点も必要ではないかと考えております。その点、栃木・福島地域は、既に新幹線、高速道路などの基幹交通体系が確立されております。栃木地域には、高速道路のインターチェンジに面して、四百ヘクタールのまとまった国や県が所有する牧草地などがあります。その上、これに隣接した民間企業一社で所有している土地を加えますと千二百ヘクタールとなり、千代田区の面積をも超える一団の平たんな土地が広がっております。

 このように、栃木・福島地域は、国会等の移転に当たってのコストパフォーマンスが極めて高い地域であると思います。

 次に、三つ目の国の災害対応力の強化についてでございます。

 私は、特にこの観点から、国会等の移転は重要かつ緊急を要するものであると考えております。阪神・淡路大震災の折、被災地の復興があれほど速やかに行い得ましたのは、立法の府である国会が無事であったからにほかなりません。大変不幸な出来事ではございましたが、これを貴重な教訓として、将来に生かしていくべきではないかと思います。

 現在、多くの地震学者が、南関東で大規模地震や直下型地震が発生する可能性の高いことを指摘しております。官庁など近代的な建物が無事であっても、交通機関やそこで働く人々の住まいが被害を受ければ、東京の都市機能、ひいては首都機能は麻痺することになります。仮に、政治、行政、経済の中枢が同時に麻痺するような事態になれば、我が国のみならず、全世界にまで大きな影響を与えることは想像にかたくありません。南関東での大規模地震発生の切迫性やアメリカにおける同時多発テロを考えれば、一日も早く政治、行政の中枢機能と経済の中枢機能を分離し、同時被災しないようにしておく必要があると考えております。

 昨今の社会経済情勢や厳しい財政状況の中で、国会等の移転を行う必要はないとの御意見もございます。しかし、こうした災害対応力の強化という観点から、国会等の移転は、安全のための投資であるという視点を持って、早急に進めるべきであると考えております。

 万一、東京圏が大規模な地震に見舞われたことを想定いたしますと、移転先地は、東京からの交通が遮断される可能性が低い地域、かつ、仮に一つのルートが遮断されても、代替のルートが確保できる地域が望ましいと考えております。

 栃木・福島地域は、東北縦貫自動車道、常磐自動車道の高速道路のほか、国道四号、国道六号といった幹線道路網が充実しております。鉄道でも、東北新幹線、東北本線、常磐線などの複数の交通軸が既に確保されております。これらが同時に遮断される可能性はまず考えられません。このように、栃木・福島地域は、交通のリダンダンシーにすぐれた地域でございます。

 次に、四つ目の点について申し上げます。

 二十世紀は、経済的な効率性を重視して大量生産、大量消費を追求し、豊かな社会を実現する一方で、地球規模の環境問題を引き起こし、画一的な社会を生み出して、地域固有の文化や環境を圧迫してきました。

 新しい都市づくりは、環境に大きな影響を及ぼすとの御意見もございます。しかしながら、今のままの都市システムでは、引き続き環境に大きな負荷を与えていくことになると思います。地球環境の保全なくして都市の持続的な発展は望めません。国会等の移転に当たっては、自然環境と共生した新たな都市づくりのモデルを示していくべきであると思うのであります。

 こうした観点から、宮城、山形、福島、茨城、栃木の五県は、北東地域首都機能移転基本構想を策定し、国会等移転の第四の意義として、新世紀を迎えた世界に貢献するモデル都市づくりを提唱いたしております。

 なお、この考えにつきましては、後ほど佐藤知事さんから御紹介していただくことになっておりますけれども、お手元にパンフレットをお配りしておりますので、ごらんいただければ幸いであります。

 私どもの地域には、広大で平たんな那須野ケ原がございます。この地域は扇状地のため、明治以前までは表流水が乏しく、不毛の大地でございました。この地の開拓は地元の悲願であり、多くの先人がその実現に努力してまいりました。この開拓を可能にしたのが、明治政府の殖産興業政策のもとに行われた那須疎水の開削であります。また、大山巌、西郷従道、松方正義ら元勲たちの大農場方式による開拓が行われ、不毛の大地は牧草地と平地林が広がる自然豊かな地に生まれ変わりました。那須疎水は、人の手によってつくられたものではございますが、今では周囲の風景に溶け込んでおり、これからの自然環境と共生した町づくりを考える上で、生きた教本のようにさえ感じられます。

 このように、日本が近代国家として生まれ変わった明治初期の新しい国づくりのロマンが、今なお息づいております。そして、その歴史と品格ある大地には、百年の歳月をかけて、全国各地からの入植者とともにはぐくんできた豊かな自然がございます。

 このような那須野ケ原の自然を初めといたしまして、栃木・福島地域には、豊かな自然環境の中に、新たなクラスターを整備するためのふさわしい土地が豊富に存在しております。自然環境との共生を実現できる大きな可能性を有した地域であります。

 結びに、お願いしたい事項について、三点申し上げます。

 まず一つ目として、移転先地は、国会等移転審議会が最高の評価で候補地に選定した栃木・福島地域に決定していただくことを心からお願いするものであります。

 移転先地の決定は、移転法第二十三条の規定により、国会等移転審議会の答申を踏まえるものとされております。こうした意味もあって、審議会は、答申の客観性、公平性、透明性を確保するために、定量的評価、すなわち点数化による候補地の順位づけを総合評価の根幹に据えたものと理解をしております。そして、三年という長い月日をかけ、八十八名にも及ぶ第一線の専門家の方々がかかわり、かつ、重みづけという客観的な評価手法により結論を出されました。このことは極めて重く受けとめられるべきものではないかと考えております。

 次に、二つ目は、国民の合意形成についてでございます。

 国会等の移転は、我が国の将来に深くかかわり、国政のあり方をも左右する極めて重要な取り組みでありますので、その実現に当たっては国民的な議論が不可欠であると思います。しかしながら、国会等移転に対する国民の関心自体が低いとの指摘もございます。したがいまして、まずもって、国会等の移転に対する国民世論を喚起するための一層の取り組みが推進されますよう、国会におかれましても御尽力をお願いしたいと思います。

 次に、三つ目は、移転先地の早期決定でございます。

 国会等移転の実現に向け、合意形成を図るためには、国が国会等移転の具体的なビジョンを国民に示す必要があると思います。そのためにも早期に移転先地を決定することが必要であると考えております。特に、移転法の十一条に書いてあります「地震等の大規模災害に対処する上での緊急性、」この観点からは一刻の猶予もならないと考えております。国会におかれましては、こうした国家の危機管理という観点からの検討も含め、議論を深めていただき、早期に移転先地を決定されますことをお願い申し上げます。

 以上で私の参考人としての意見陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

永井委員長 ありがとうございました。

 次に、佐藤参考人にお願いいたします。

佐藤参考人 福島県知事の佐藤栄佐久でございます。

 本日はこの場で意見を述べる機会を与えていただき、感謝を申し上げます。

 本日のテーマは、東京都と三移転先候補地との比較考量ということでございますが、移転の三つの意義等については栃木県知事から説明がありましたので、私からは、二十一世紀にふさわしい都市づくりの考え方や巨大都市の弊害などについて述べさせていただきたいと思います。

 まず最初に、いよいよ二十一世紀に入りましたので、二十一世紀の前提となる物の考え方について私なりの考え方を申し上げます。

 東京を再生し、都民が暮らしやすい生活環境づくりのため、東京都が、ディーゼル車規制等々、一生懸命取り組んでいる姿勢には敬意を表したいと思います。

 しかし、余りに都市が巨大化したため、例えば、私は、二、三年前でございますが、この国会議事堂の近くに来て驚きました。国会議事堂のスカイライン、上の線を切って大きい建物が裏側に見えておりました。私ども、小学校時代、ここに来て記念撮影をしたわけでございますが、まさに国権の最高機関としてふさわしい国会議事堂の姿がそこにございました。私は、これを見まして、すぐ新聞に投稿したんですが、もう建て始めているビルなので残念ながら没にされてしまいました。

 それはもう当然のことでございまして、この辺の地価、坪幾らかを考えれば、そういうことは関係なく大きなビルをつくるのは当たり前のことでございますが、しかし、例えばアメリカの諸州等を回りますと、州の議事堂というものは、この町で一番高い建物だよということで皆さんが自慢をしているのを聞いた方もいらっしゃると思います。

 また、六十年前にこれを建てるときも、日比谷からこちらの山の上の一番いいところに、まさに国権の最高機関としての国会ができたわけでございますが、いわゆる都民も含め、どうも皆様方の考え方は、二十世紀型といいますか、そういう都市になっていくのかなというふうな、残念ながらそういう感じがしたわけでございます。

 さて、皆さんのお手元にこのような資料をお配りしていると思いますが、私ども福島県では、新しい長期総合計画、うつくしま21を策定したところでありますが、二十一世紀という新しい時代が真に豊かで活力ある社会となるためには、憲法にはうたわれていますが、改めて人間、人格、人権の尊重、命の大切さという理念に立脚しなければならないと考えております。

 そこでは、生活者の視点に立ち、二十世紀型の都市とその活動のあり方を見直し、真に充実したライフスタイルを実現することができる新しい生活空間、都市空間を構築する必要があります。

 このような社会を構築するためには、豊かな自然環境と我々の生活が共存するシステムのもとで、循環の理念という考え方に基づき、持続的発展が可能な社会を形成する必要があります。私どもは、このような理念に基づきまして、七月から九月まで、日本で初めて森の中で、うつくしま未来博を開催し、具体的に循環の理念を訴えてきたところでございます。

 三ページをごらんいただきたいと思います。

 さて、二十一世紀は、このように循環の理念のもと、人間、自然というものの価値を重視し、両者の関係を問い直す必要があると考えております。私は、この人間と自然の関係の重要性を森や水というものを通して申し上げてみたいと思います。

 国会議員時代にイスラエル等に訪問いたしましたが、かつてレバノン杉の大森林地帯であった当地では、現在では数百本ほどのレバノン杉が残っているにすぎません。それは、メソポタミア文明などが、環境を顧みず、森林を伐採し尽くし、人間の欲望の赴くままに都市を巨大化させたからにほかなりません。

 また、過日、国際湖沼会議でも大きな問題になりましたが、国交正常化前から私ども福島県と交流があるウズベキスタンという国にアラル海という塩水の湖がございます。十年前私が訪問したときには、環境問題が大問題になっておりました。綿花栽培に利用するため、大規模なかんがい、水利施設の大建設が行われた結果、ここ四十年の間にアラル海の約六五%の面積が干上がってしまいました。これによって引き起こされた気候の変化も大きく、干上がった湖岸から飛び散る塩類のまじったほこり、地下水位の低下による健康問題や動植物の減少、絶滅が大きな問題となっているところであります。ことし日本で、お話ししましたように、湖沼会議でも大きく取り上げられたわけでございます。

 四ページをお開きいただければと思います。

 私は、自然の象徴として森というものを取り上げているわけでありますが、森は人間の哲学の前提であり、文化であると考えております。

 例えば、ライン川の右岸と左岸では、林相、森の姿が異なっておりますが、これはドイツ文化とフランス文化との違いをあらわしたものでありまして、我が国は、明治時代以来、ノウハウばかりを追いかけてきているのではないかと思われます。私は、このような思いから、新都市の基本理念として「森にしずむ都市」を提唱しているところであります。

 五ページをお開きいただきます。

 さて、これらのことを踏まえ、二十一世紀の社会を安全で安心して暮らすことができる社会にするためには、コンクリートやアスファルトで埋め尽くしてきた二十世紀型の都市づくりではなく、人間と自然とが身近な関係にあるといった新しい視点で都市づくりを行う必要があると考えております。

 二十世紀型の巨大都市は、経済性や効率性のみを追求し、人々は人工物で固められた都市生活や文化を享受してまいりました。東京のビルにツタをはわせるとビルの温度が下がるという話を、三十年間ぐらい研究なさっている方がいらっしゃるという話をテレビで拝見しましたが、そのような対症療法では限度がありまして、森の中に都市をつくった方がはるかに根本的な解決になると考えておるわけです。

 生活者の視点から東京の問題を挙げてみますと、一番便利な東京駅を中心とした都心三区において、通勤通学に二時間以上かかる人が三分の二もいらっしゃいます。このことが東京の合計出生率の一・〇三というような数字にあらわれて、女性が働くとしたら、これは大変な都市であるというふうに考えておるわけです。

 ヒートアイランド現象について申し上げますと、東京の年平均気温は過去百年で二・九度上昇しており、大きな上昇であります。また、熱帯夜の日数も、一九〇〇年の東京では四日でありましたが、二〇〇〇年には四十六日と、この百年で十倍以上にもなっております。

 さらに、最近、練馬区付近など東京区部西部地域において、ハワイ並みのスコールが見られますが、これは九〇年代以前は余り見られなかったものであります。私もこのごろ東京に来て空を見ますと、全然私ども想像できないような雲が時々ございますので驚くわけでございますが、これは、巨大都市が限界に来ている、そして環八現象といいますか、百ミリ以上の時間雨量を降らすなんという想像できないことが起こっているわけでございます。

 高速道路の一キロメートル当たりの建設コストにつきましても、もういろいろお話あったと思いますが、福島県では三十億でございますが、東京だと三百億から千億でありまして、東京は本県に比べ十倍から三十倍のコストがかかります。一体幾ら費用をかければ東京の再生が可能だというのか、甚だ疑問でございます。

 また、先日東京が発表した首都機能移転の再検証についてによれば、最近の東京都区部の建築単価などを用いて移転費用を再試算した結果、二十兆円にも上ると推計しております。しかしながら、現在の建築単価を見てみますと、審議会当時の平成七年度単価と比べて一割程度低く、また、県内単価は東京の単価と比べると四割程度低い状況にありますので、東京で行われる公共投資は地方よりはるかに高くつき、大都市再生には巨額の費用が必要になることをいみじくも露呈したものと言えるのではないかと思います。

 東京都の水の供給状況については、東京都の保有する水源量のうち、約七八%は他県に建設されたダムから供給されております。

 首都圏のエネルギーの供給状況については、首都圏の総使用電力量のうち、約二七%が本県から供給されている状況にあります。また、東京の一般家庭の使用電力量、一般家庭だけでございますが、巨大ビルは別にしまして、本県の一・二五倍にも達しております。私は、東京から来られた先生には省エネなんという言葉は言わないでくれということを申し上げておるわけでございます。

 首都圏から排出される廃棄物の状況については、排出される廃棄物の量が膨大でありまして、最終処分場等の処理施設の確保が困難なため、首都圏を越えて移動しております。一般廃棄物については、首都圏の排出量の一二%に当たる三十二・四万トンが首都圏以外に排出されておりまして、特に本県に運搬された量は九・二万トンにも上り、最も多い状況にあります。また、産業廃棄物については、東京都の排出量の六割以上が他県へ移動しております。

 このように、現在の東京は地方に極度に依存しており、東京一地域だけで成り立つものではないということを改めて認識しなければならないと思います。これ以上に東京一極集中が進むことは、将来の我が国に悪影響をもたらすものと考えております。

 六ページをごらんください。

 確かに、二十世紀は、科学技術の目覚ましい発展とそれに伴う都市化の進展により、人間は便利な暮らしを、所有する豊かさを享受してまいりました。しかしながら、それとは引きかえに、科学技術を何の疑いもなく受け入れて、その前提となる哲学の存在を忘れ、本来人間が享受すべき生きる豊かさを失ったのではないでしょうか。

 現在、本県では、エネルギー問題をきっかけとして、科学技術と人間社会をもう一度考え直そうとの趣旨で、エネルギー政策検討会を開催し、節度ある科学技術等々について、今勉強会を開いておるところでございます。

 七ページをお願いします。

 現在、大都市再生の問題が盛んに論議されております。大江戸線に見られるように、地下鉄の下に地下鉄を、そのまた下に地下鉄をつくるということが行われております。このような大深度地下空間の利用については、まさにこのような世界をつくっている例でもあり、技術的には可能であっても、私どもからするとどこかおかしいと思わざるを得ません。

 大都市を再生し、日本を再生する問題は、単にインフラ整備のみで解決するレベルのものではなく、我が国や地域の将来ビジョンの提示や規制緩和、分権政策等ソフト面を含めた全体で考える必要があると思います。このためには、従来のような考え方からパラダイムシフトする必要があり、都市インフラの大規模な改良という発想ではなく、コンセプト自体を変えることが必要であります。

 首都機能移転は、全く新しい視点から二十一世紀のモデルともなるべき新しい都市づくりを行うものであると考えております。

 八ページをお願いします。

 このようなことを踏まえると、二十一世紀型の新しい都市づくりは、二十世紀型の経済効率重視の価値観を新しい時代にふさわしい価値観のもとにパラダイムシフトし、人間が持てる知恵を出し合いながら、そこで暮らしている人間にとって安心して生活できるような形で進める必要があると考えております。

 都市とは、建物のみで形成されているものではなく、そこでの暮らしやそれを支える社会の仕組みなどさまざまなものから構成され、それらが融合して一つにまとめ上げられたものであると思います。

 その意味で、新しい都市づくりとは、日本あるいは世界が今後どのような方向に進むべきかをさまざまな視点から考えることであり、地域社会を初め地球規模で解決しなければならない多くの課題の解決法を提示することであります。

 首都機能移転は、このような全世界が直面している地球環境問題や大都市問題など困難な問題に挑戦する絶好の機会であり、自然との共生のもとで持続的に発展するシステムを備えた都市、あるいは、そこで働き、住み、集う人々により、新しいワークスタイル、ライフスタイルを創出される都市など、二十一世紀型のモデルともなるべき都市づくりに大きく貢献するものであると考えております。

 九ページをごらんください。

 このような考え方のもと、本県では、新しい都市づくりの基本理念として「森にしずむ都市」を提唱し、二十一世紀にふさわしい新しい価値観のもと、自然と共生し、豊かなライフスタイルを実現できる都市の形成に向けて、さまざまな取り組みを行っております。

 「森にしずむ都市」とは、元来人工物であった都市を、自然と融和、一体化するような形で構築し、運営していくという意味を込めたものであり、平成八年に新聞の論壇に投稿したものであります。

 キャンベラで一時間ほど講演いたしましたが、「森にしずむ都市」では英訳しにくいので、ア・シティー・ネスリング・イン・フォレストと表現しました。これは森に鳥が巣くう都市という意味でありますが、鳥が森をかりて巣ができるように、森をかりて都市をつくる時代が二十一世紀ではないか。今まで森を食いつぶして人間が栄えてきたわけでありますが、そう長く続きません。その考え方を逆転すべきではないかという思いで、そのように訳したものであります。

 また、新しい都市では、生活者の視点に立って、一人一人が人間らしく生きることのできるコンパクトな都市、いわゆる人間サイズの都市づくりを進めていきたいと思っております。福島県は、現在、七つの生活圏ということで、三十万から五十万都市以上には都市をしない、ネットワーク型の都市を考えております。

 先日、環境先進国であるドイツの首相顧問の科学者と話す機会があり、環境や人間性を重視する都市づくりを提唱し、一九二〇年代からドイツ建築界に大きな影響力を持ったバウハウス派の考え方を尋ねてみました。その方は、都市づくりは、ただ物質的ではなく、人間性、すなわち精神や芸術等あらゆる分野の理念を入れることであるとおっしゃっておりました。このようなお話をお聞きして、「森にしずむ都市」の考え方が新しい時代の都市づくりの進むべき方向として間違いなかったのではないかと確信をいたしたところでございます。

 最後に、十ページでございますが、これまで私がふだんから思っております二十一世紀にふさわしい都市づくりの考え方などを申し上げてまいりましたが、非常に短い時間でございまして、多分時間をオーバーしていると思いますが、言葉足らずの面もあったと思いますが、こういう意味で栃木・福島地域が最も適した地域であると確信をいたしております。栃木・福島地域に移転することにより、我が国はもとより、世界の新しい都市づくりのモデルとして、将来にわたる持続的成長に大きく貢献できるものと考えております。

 委員の先生方におかれましては、本地域が有する魅力とポテンシャルにつきまして御理解いただくとともに、国家百年の大計という視点から、首都機能移転の早期実現に向け議論を深めていただきますようお願いを申し上げまして、私からの意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

永井委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

永井委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 この際、委員各位に一言申し上げます。

 質疑につきましては、先ほどと同様、着席のまま、挙手の上、委員長の許可を得た後に、一回三分程度で御発言くださいますようお願いいたします。

 それでは、挙手をお願いいたします。

蓮実委員 自民党の蓮実進でございます。

 栃木県の福田知事にちょっと御質問申し上げたいと思います。

 けさ、私は、東京の宿舎に寝泊まりしておりましたものですから、田舎の方からファクスが入りまして、びっくり仰天したんですが、記事を見てみますとその割ではないんですが、「首都機能移転やらない 政府は閣議決定をした」という大きな見出しで、各紙全部出ていたんですね。

 「知事「代議士から聞いた」と発言」。これ、だれ代議士ですか。そんなおかしな代議士いますかね。

 これを読みますと、

  「政府は、首都機能移転はやらないという閣議決定をしたという話がある」――。福田知事は二十七日の定例会見で、政府に「裏の閣議

裏も表もありません、閣議決定は。

 「裏の閣議決定」があることを指摘、政府が首都機能移転に消極的だったとの見方を示した。しかし、根拠は「ある代議士から聞いた話」としてあいまいなまま。知事はきょう二十八日、衆院国会等移転特別委員会で参考人として出席するが、県選出国会議員からは「なぜ、真偽不明なことをこの時期に発言するのか、真意をはかりかねる」といぶかる声も出ている。

  福田知事は会見で、「確認はできないが、橋本内閣の時、政府はやらないと閣議決定したという話がある。ただ、国会がやっていることなのでやめたとは言えないので、「二〇〇三年までは着工しない」と発表したと聞いている」と述べた。「もし本当だとすれば国民をばかにした話で、損害賠償したいくらいだ」とも述べた。

これは、今資料を見たんですが、実は平成九年の六月なんです。これは、当時、私も田野瀬氏も理事だったのでよく覚えているんですが。

 首都機能移転については、「財政構造改革の推進について」、平成九年の六月三日閣議決定の趣旨を踏まえて、六日の閣議において国土庁長官から以下のような発言があった。

 首都機能移転については、平成二年の国会決議以来六年半にわたり、国会主導により検討されてきたものであり、また、国土の災害対応力の強化、東京一極集中の是正に寄与し、国政全般の改革と深くかかわる大変意義深いものである。

 このような経緯等を踏まえるとともに、現下の厳しい財政事情のもとで、あらゆる分野で痛みを伴う改革が進められている現状にかんがみ、「財政構造改革の推進について」の閣議決定の趣旨を踏まえ、財政構造改革期間、すなわち一九九八年から二〇〇三年度までは原則として新都市の建設事業に対する財政資金、建設費の資金の投入は行わないこととし、今後とも、移転先候補地の選定等必要な検討を引き続き進めるものとする。

 こうなっているんです。

 あの当時、私はびっくりいたしまして、当時自民党の国会移転等調査会の西田会長とともに官邸に行きまして、こういう趣旨だ、要するに、それは全部金は出さないのだと。建設するときには全部体制ができませんと建設できませんから、ことしは二〇〇一年ですから、来年の五月は二〇〇二年ですから、それで二〇〇二年の五月に決まっても、それからいろいろやって一年ぐらいかかりますから、二〇〇三年までは建設費は出せないんです。

 ですから、けだし当然の話なので、ぜひひとつ、この代議士から聞いたというのはどういうことなのか、ちょっと御説明を伺いたいと思います。

福田参考人 その代議士の名前を申し上げるわけにはまいりませんけれども、もし私がそういう勘違いをしていたということであれば大変ありがたい話で、むしろ逆に、私のこの発言で皆さんがしっかりと来年の五月までにちゃんと決めていただくことを私からお願いをしたい。よろしくお願いします。

坂本委員 どうも両知事さん、御苦労さまでございます。

 先ほどの岐阜と愛知の知事さんにもお聞きしたんですけれども、特に佐藤知事さんにはおわかりのことと思いますが、福島県がかつて県庁を福島から郡山に移そうという運動を何度もやりましたけれども、なかなかうまくいかずに、いまだに福島にある。要するに、国会移転とか県庁移転なんというのは大変な騒ぎにするわけですね。今度も東京都知事として、それはそれはもう、都民の意を体したかどうかは別にしても、大変な抵抗を試みるのは当たり前ですね。それは当然なことだと思っております。

 実は、東京でしかできないものというのはいっぱいあるんですよね。しかし、それはいまだあらわれていない。首都機能が他へ移っていったときに、首都再生というか、そういう東京でなければできぬことを何か都民にプレゼントしてあげる、そういうアイデアをお持ちいただければ吐露していただきたい、なければ今後考えていただきたい、こんなふうに思っておるわけです。

 私たちは、在原業平の世界とか樋口一葉の世界を、高等学校以上の教育を受けた者はだれもがイメージとして頭に持っているんですね。しかし、現実どこを見たってそんなものないわけでして、江戸文化というのはどういう形の中であらわれてきたのか、近代文化、我々現代文化の源流ですが、さっぱりそれも見えない。私は、そういう大江戸ルネッサンス時代を日本国民あるいは東京都民にプレゼントしてあげるのもよろしいんじゃないのかなという気はするんですが、何かありましたら、ひとつ発表してください。

佐藤参考人 東京が住民のために、さっき言ったように地下鉄三階、これは例えばすれ違うのも大変なような電車で、ちょっと脱線したら何十人だか何人だか亡くなったなんという都市をどうしていくか。あるいは、通勤時間が三時間もかかっていますので、働くのなら女性は子供さんを産めませんと。そういうことを、どう社会の変質を考えていくかという意味からいって、東京が一生懸命これはこういうことをやりますよということ。あるいは、通勤をできるだけ便利にするように東京湾にまた町をつくる。これはヒートアイランド。坂本先生はいわきでありますのでわかるように、夏でもいわきは海が近いから中通りより涼しいんですね。それをどんどん効率だけ考えて、あそこにちょっと島をつくれば坪何十万になるとかいうことで、そういうことをするのは東京はやむを得ないと思うんですね。

 しかし、国政はまた別でありまして、さっきも国会議事堂の話をしましたけれども、国権の最高機関ですから、やはりこの際、二十一世紀はこういう視点で、十年前からその話が、これは私も覚えていますが、一九七八年の伊豆群島の地震からいろいろ始まった話ですが、そういう地震は別にしまして、二十一世紀に向けてこういうことをやっていこうという話は東京都知事を超えて国政ではっきり理念を打ち出す。経費の問題は、経費はまた別ですが、そのことが非常に重要である。

 そういう点から理解すると、金融も文化も経済もこちらに残るんですから、それはニューヨークにしてもリオデジャネイロにしても、政治が移ったからその町がだめになったということでは決してありませんので、私は、そのことはそう心配しなくても、国会議員の先生方が新しい都市像をつくる中で、これは世界的なコンペでつくるんでしょうが、十分解決できると思っております。

福田参考人 私は、今回の国会等移転審議会が場所を一つに絞れずに三カ所選定した理由をある審議会の委員さんからお伺いしました、これも名前は言えませんけれども。その方がこんなことを言っていました。いや、関西地区はもう本当に、東京から北に行く、東に行くなんてとんでもない、物すごい大変な反対だと。それはなぜかというと、東京に首都が移ってしまったために関西地区の今の停滞はある、沈没はある。だから、どうしてもそれ以上だめだ、こう言うんだという話なんですね。

 それはどういうことかということを考えてみますと、結局、権力が東京へ来てしまったということだと思うんですね。ですから、そういったことを考えますと、やはりこれからの国会等移転、首都機能移転は、もう小さな中央政府をつくるんだと。ですから、国の役割は、もう完全に防衛とか外交とか金融とか、日本全国に共通する事項だけに限定して国がやるんだと、そういうビジョンを描いていただいて、そういうものだけを栃木・福島地域に持っていくんだと。こうなれば、東京もそんな騒がないんじゃないかと私は思っておりまして、そういうビジョンをぜひとも皆さん方につくっていただければありがたい、こう思っております。

 以上でございます。

青山(二)委員 本日は、大変お忙しい中、お二人の知事さんには大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 いよいよこの三カ所を一カ所に絞り込むという作業に入るわけでございますけれども、最後に残るのが東京との比較考量ということで、もう新聞でも御存じと思いますけれども、去る十一月の二十一日に東京都知事にお見えいただきまして、いろいろと御意見をお聞きいたしましたところ、大変な御意見がございまして、この首都を移すというこんなばかな決議をした国会は世界じゅうにないと。まあ、ばか呼ばわりですよね。それで、首都の国際性を担保する国際空港の問題をしんしゃくしていないじゃないか、国際空港の視点がない、このようにもおっしゃいました。

 それから、今お二人の知事さんの御意見で、一極集中を是正したい、こんな御意見が強くあったようでございますけれども、石原都知事は、集中、集積によって他者もうらやむ機能的な要素を持つ東京をばらばらにすることは国家に弓を引くことだ、このようなことをおっしゃったわけでございます。

 確かに、私も栃木県でございますので、栃木県におりますと、宇都宮の一極集中が進みまして、第二の都市の足利と言われるところが人口がふえない、もう宇都宮が二倍、足利はふえない、こういう大きな差ができまして、県土の均衡ある発展をすべきだという提言も県会議員のときにさせていただきました。

 どうしても、やはりエゴですね。一極に集中して、そこが発展することがいいことだ、そういう気持ちにはなるとは思うのですけれども、今お二人の知事さんのお話を伺いまして、本当に二十一世紀に人間らしい生き方をするには、やはり国会を移した方が東京の住民の皆さんにも大変いいことだと思うわけでございますが、この知事との言論戦に勝てるかどうか、このあたりが問題になってくるのだと思います。

 打ちかつための方法があるのか、また、打ちかつための方策があれば、今いろいろなすばらしいお話を聞かせていただきましたけれども、事この東京都知事との話し合いを進める中で、もし打ちかつ方策などございましたら、お知恵をおかりしたいと思います。

佐藤参考人 ただいま国際空港の話が出ましたが、ブラジリアもキャンベラも、国内線です。国際線じゃないです。ですから、その辺間違わないように、国際線がなければ首都になれないなどと。

 私どもの空港からは、もし首都が那須・福島に来れば、そこから各空港のある都市に一時間ちょっとで全部行けます。ですから、それはもう国会用の飛行場でいいわけです。それからまた、賓客が、アメリカから大統領が直接来るという場合は、それは赤いじゅうたんも用意してありますから、福島空港で十分つけますから、ですから、国際空港がなければ首都でないなどという、ごまかしとは申しませんが、そういう論理に惑わされないようにした方がいいと思いますね。

 それから、一極集中の弊害は、もういろいろ申し上げましたが、きょうはマスコミの方もいらっしゃっておりますが、ドイツは、戦後、一つに権力が集中して統べていったいわゆるナチスというか、あれに対して、国家的に一元的な公共放送はつくってないです、それぞれの分割した中の放送局が連合したものはありますが。ですから、今の日本は、経済も政治も金融も文化も何も集中しておりますけれども、残念ながら、マスコミまで集中していますので、私どもこういう話をしても、東京で言う話はどんどん全国に通じますけれども、マスコミの方も、今の東京を動いたらという、自分の問題ですから、だからではないですが、なかなかそういう意味で世論が動かないという面もあるのでしょう。

 これはもう、国会議員の皆さんの見識で、やはり二十一世紀に入って、予算の問題はまた後で質問が出るからあれですが、ここでどうしてもすることが改革の最も大事なポイントではないかというふうな認識を持たれることではないかと思います。

福田参考人 私は、大きく三点ほどお話し申し上げたいと思いますが、二点目は、これは福島知事の方のお話になるのですが。

 一点目は、東京都をばらばらにすることではないかという話でありますが、先ほど申し上げましたように、国の権限を限定していけば東京都をばらばらにすることにはならないと思いますし、先ほど福島の知事さんが大都市問題についてはしっかりと述べていただきました。そういった意味では、人道上できない話でありますが、電力、エネルギーの問題とか水の問題だとかごみの問題だとか、そういうものをストップしてしまうと東京都がどうなるかということを考えれば、これは一目瞭然、よくわかるのではないか、こう思っております。もちろん、そんなことはできる話じゃないのですけれども。

 それから、二点目は国際空港の視点でありますが、これは、福島県の方で福島空港が整備されておりまして、話を伺っておりますと、これは知事さんから言ってくれた方がいいのかもしれませんが、福島空港を整備するに当たって反対者が一人もいなかったという話で、そういう非常にすばらしい地域でございます。

 それから、三点目としてお話し申し上げたいのは、やはり先ほど福島の知事さんからお話ございましたが、我々日本人は、これは多分昭和五十何年からだったと思いますが、物の豊かさよりも心の豊かさを求める、そういう国民が圧倒的にふえてきているわけですね。そういった中で、人生をより有意義に生きる、いかに生きるかということを考えながら、真剣に生きるということを考えますと、やはり働き方というのも考えていかなくちゃならないのじゃないかと思うのですね。

 そういった中で、最近では、中央政府の中でも、中央の労働界と一緒になってワークシェアリングを考えようじゃないかという話が出てきておりますけれども、もし、まさにそういった日本型のワークシェアリングみたいなものができてきたときに、この東京の中で暮らすことがいいのか、もっと自然豊かなところで暮らすのがいいのか、これは、やはりそれぞれの人間の価値観として、心の豊かさを求めれば、自然豊かなところで暮らした方がいい人生が送れるというふうになるのではないか。そして今、大変残念ながら、子供のいじめの問題、虐待の問題が非常に大きくなっておりますけれども、こういった子供たちにも、やはり自然豊かなところで子供を育てるということが大変重要だと思っております。

 私は、そういう意味で大変すばらしい経験をいたしました。

 東京から東武の日光・鬼怒川線で私の地元へ向かうときでありましたが、鹿沼のあたりへ行ったら、小学四年生ぐらいの男の子が、お父さん、山だ山だと言って大変感動しているのですね。どうも山はふだん見えないみたいなんです。私どもからいえば、何の変哲もない、名前もない山です、その山に小学校四年生ぐらいの男の子がえらい感動している。こういう姿を見たときに、やはり人間は自然の中で、あるいは土と接したり、そういった中で生きるということが一番すばらしいことだと私は思っておりますので、そういった意味で、これから働き方や生き方を変えていくということを考えれば、東京にこれ以上お金をかけてもむだなんじゃないかというふうに今思っております。

 以上でございます。

小林(守)委員 民主党の小林守でございます。

 今、福田知事さんの方から、私の地元の都市の名前まで出していただきまして、ありがとうございます。

 福田知事は、今市市長時代に、全国青年市長会という会がありますが、そこの会長として、補助金や交付金のあり方について、地方分権改革の視点から、税財源の地方への移譲を強く主張され、具体的な提言もなされております。分権改革の青年市長の旗手として活躍をされておったわけですが、今度知事になられまして、地方の一首長さんの立場を超えて、二十一世紀の日本のあるべき姿というようなことについても見識を持たれ、いろいろと発表されておられるわけでありまして、大いに期待をさせていただいているところであります。

 先ほど来のお話の中で、小さな中央政府という形で、地方への移転、北東地域が最もふさわしいというようなお話でございますが、要は、小さな中央政府をつくるということは、分権改革を強力に進めていくことが前提だと思うのですね。そうしますると、当然、その分権改革の受け皿が、どのような規模や、どのような財政力や行政主体なのかということも問題になってくると思いますし、分権が進められることによって、そのような一極集中の是正やさまざまな国政改革の大きな柱が打ち立てられる、このようにも先ほどの御説明でもありました。

 そういう点で、分権改革の必要性と国会移転というものが、何か国会を移転すると自動的に分権が進むのだみたいな発想がとられがちですけれども、本当は、そうではなくて、分権改革をしっかりとやった上でこの国会移転というのは出てくるのだ、可能なんだというような感じがいたしてならないのです。

 そこで、一つは、小さな中央政府を移転していくという発想に立ってするならば、それではその分権改革の受け皿は、ただ単に北東地域ではなくて、ほかの地域はどのような形になるのか、その辺をどうお考えになっているのかをまず第一点伺いたいと思います。

 それから第二点は、先ほど来お話がありましたが、前回の委員会で、東京都知事が東京都の立場でいろいろと激しい主張をなされておりましたが、その考え方の中で、比較考量の際に、災害対応力という先ほどのお話もありましたが、災害対応力あるいは防災対策、そういう点でのバックアップシステム、これについては、けしからぬという話ではなくて、容認するような御発言がございました。

 そういう点で、首都圏に最も近いと言っていいと思います、バックアップシステムというのは余りにも遠いところではまた不都合なんだと思いますが、バックアップシステムという視点に立って考えた場合に、北東地域のお二人の知事さんに、東京都知事のこの前の発言も含めて、どのように考えておられるか、承りたいと思います。

福田参考人 それでは、二点あったかと思いますが、一点目の分権改革の受け皿という話でございましたが、そのことについては、地方としては、やはり何としても市町村合併をしっかりと進めていくということが必要だと思いますし、また、将来的には県と県との合併なども当然課題となってくるかと思っております。

 他の地域はどうなるのかという話でありますが、このことにつきましては、やはり小さな中央政府ができて、先ほど申し上げたように、防衛とか外交とか、あるいは全国に共通するような事項等に中央政府の役割を限定すれば、中央政府の場所から離れた地域であっても、きっとそんな被害を受けるようなことはまずないかと思いますので、そうなれば、多分どこの地域でも賛成してくれるのかなというふうに私は逆に思っておりまして、そのためにも、やはり国の役割を限定するということがまず必要ではないか、こう思っております。同時に、その際には当然地方分権も推進されることになるのではないか、こう思っております。

 それから二つ目の、バックアップのシステムということでございますけれども、先ほど申し上げたような、小さな中央政府と地方分権が同時に実現できるようなビジョンが描ければ、その中で基本的に、ではバックアップシステムから先行して整備をしていこうかと、そういう考え方は十分できるのかな、こう思っております。

 以上でございます。

佐藤参考人 地方分権の話とこの話を一緒にしますと、地方分権が進むまで、我々はすぐ進めていただきたいと思っておりますが、あと財源の移譲等ですね、しかし、これはもう十年、二十年あるいはかかるかもしれませんから、この首都機能移転もストップしてしまう可能性がございますので、私は、この話は別に考えていった方がいいのかなと、むしろ、首都機能移転というのも大きなテーマでございますので、それを進めながら、あるいは改革の一環としてそういうことが可能なのかなと思っております。

 それから、災害対応力につきましては、特別委員会が那須にいらっしゃった、ことしでしたか去年でしたかでも申し上げたのですが、例えば、これは首都機能移転とは別でございますが、私、鈴木元都知事さんとアメリカに行って日米知事会議に出たときに、グリーンブライヤーというウエストバージニアのホテルでございましたが、その地下に、ワシントンが襲われたときの、いつでも国会ができる、そういう施設ができておりました。いかなるあれに対しても強力な、ホテルの地下にそういう会議場、会議場というか国会があったわけです。

 そういうこともございましたので、災害対応力の問題については、そういうことも含めて、東京の地震との関係等も含めていろいろ検討していかなきゃならない問題はあると思います。

 参考までに、私ども北東五県でつくった基本構想を開いていただくとおわかりのように、地震が来ても何が来ても、福島県、栃木県にそういう施設をつくっておく限り、大体間違いない、頑丈であると、保険料率ということで、これは経済界の方が算出しているわけですが、一等地、二等地、三等地、四等地と分けてありますが。

 そういうことでございますので、例えばこの首都機能ばかりでなく、いろいろな、ITが進んでのベースも含めて、そういうことが可能な地域であろうというふうに考えております。また、水の賦存量を初め、いろいろな面から考えて、私は、那須・福島地域というのは非常にいいところでないか、適したところであると思っております。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 きょうは大変貴重な意見の陳述、ありがとうございました。佐藤知事には、私、前回の場面で質問させていただきました。福田知事はちょうど知事選挙の真っ最中ということで、副知事さんがお見えになりまして、質問させていただきました。

 中心的には福田知事さんにお聞きしたいのですが、実は先ほど合意形成の問題を取り上げられました。国民的な議論が必要だ、一層の取り組みを国はやるべきだということ、全く同感でありますが、同時に、移転先を早く決定するためにも、これはすることによって議論も大きく前進するだろう。これは鶏と卵みたいで、どちらを先にやるかというよりは、同時に進めていかなきゃならない問題だろうと思うのです。

 最近、かなり厳しい意見が国民の合意形成の問題では出されております。特に、仙台で「首都機能移転の実現を目指して」という会合がありましたが、その場面でも、国土交通省の人が、議論の沈滞、熱気の低下というものが一つの大きな原因、その原因は、移転の是非という、つまり移転すべきかどうかという議論は既に決定したのだ、だから、もう後戻りしないのだ、その部屋はかぎをかけてしまって先へ進むのだというやり方、ここにも問題があるという発言がありました。それから、この前に行いました知事さんは、岐阜の知事さんは、マスコミの問題もあるという取り上げ方をなされました。

 私がお聞きしたいのは、確かに国民的合意形成は、到底そんなことが言えるような状況ではないし、議論も停滞していると思います。そこを、どこに原因があるか、あるいは国に対する注文を先ほどおっしゃいましたけれども、もしもっと具体的なものがあればお聞かせいただきたい、こういうことでございます。

福田参考人 今のお話でございますけれども、冒頭に蓮実先生から御指摘をいただきましたけれども、橋本内閣のときの二〇〇三年までは着工しないという内閣の決議ですか、閣議決定ですか、これが大きいと私は思っています。ですから、そういう意味からいうとなかなか盛り上がらない。したがって、国会と政府でどうもちぐはぐだというのが盛り上がらない大きな原因かと思っています。

 先日、宇都宮でタウンミーティングがございました。そのときにおいでになった国土交通省それから財務省、両省の副大臣は反対ですと答えましたし、それから、おいでになった大臣は、決めた当時はそれなりの合理的な理由があったと思いますけれども、現在はそういう経済、財政環境にはございません、ことしの九月でありますが、こういうふうにはっきりと言っておりますので、ですから、国会と政府が全くちぐはぐだというのは、これは絶対国民の合意形成なんかできません。私はそう思っております。

佐藤参考人 この問題は、私どもの問題でなくて、国会の問題だとは思いますが、特に数字等も含めて、平成九年の六月、私も六月三日、与謝野官房副長官のところにすぐ来たのを今でも覚えておりますが、いわゆる短期的に財政との関係で考えられてしまうというのは非常に不幸なことでございまして、国家百年の大計だと思っておりますので、そういう意味で、また数字も、例えば、お話にありましたように、平成四年に四年間延期して二〇〇四年からということになりましたが、それから十年間で四兆円の十万都市をつくるということでございまして、公的には二兆四千億前後でございまして、一年に二千三百億ですから、二千三百億の数字が大きいか少ないかは、景気対策で何十兆も使ったことを考えれば、これはもうすぐ理解できることなんですが、六十万都市をつくる、何十兆というふうな話がすぐ先行して、一年に二千三百という数字がどこにも出てこない。そういうことも含めて、やはり国会の皆さんには大いに期待するところが大きいところでございます。

 それから、先ほどの、ブラジリアとキャンベラは国際空港でないという話は、もちろんブラジリアからもアメリカに飛んでいる飛行機もありますが、国内中心の空港ということでございますので、誤解があると困りますので、訂正させていただきます。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 きょう、福田知事の意見を聞くのは初めてでございますので、参考になりました。

 私は、この委員会で、昨年とことしと候補地の知事の意見を伺いましたけれども、非常に外国との比較を出していますね。やはり佐藤知事も、ホテルの地下に国会があったと。それは私は、座標軸が違うところで論じても余り意味があるのかなと思ったわけで、やはり軍隊を持つ国と持たない国の、また危機管理に対するシステムでもあるかと思うわけなんです。

 今まで、ハード面の利便性を非常に強調しながらいろいろな候補地の関係者の方は言われました、土地が安いですとか、こういう広大な面積があるからとか。しかし、私は、政治とか経済というのは、やはり人間が生きていくためにあるものであって、どのようにして今の沈滞した社会を回していかなければいけないかというのが国会議員や地方の政治家の方の共通の課題であると思うわけなんです。

 地方分権一括法が施行されて二年目を迎えまして、知事さん方も市町村長さんたちと一緒に、この法案、これからある程度の年月をかけて定着していくと思うわけなんですが、総務省などは地方制度改革ということを打ち出してきまして、道州制とかいうことも審議会で言われております。

 そういう中で、今までは、中央集権的に国が何でも決めて、市町村がそのとおりにやるという形でございましたけれども、これからはやはり、国と地方が対等なんだという時代に入っていく中で、町とか建物とか構造的なものが東京から離れることによるメリットというのがどこにあるのか、一点目、お伺いしたいと思うんです。

 それと、私は、やはり地方自治、まさにかかわっている現場の知事さんとしまして、介護保険が導入されるときに、介護保険が地方分権の第一歩なんだということで非常に御苦労されていたと思うわけなんですが、今の日本というのは、中国、台湾がWTOに加盟して、IT社会になり、外国の情報も瞬時に見られるという中にあって、各県とか国がそれぞれ分かれて国会の機能をどうすべきかということよりも、まず日本が、世界の中で、グローバリゼーションという中で、これからどういうふうに国際社会の中で貢献し、また日本国民が幸せに生きていくかということを今考えなければいけない時期に、ちょうど国会等の移転という問題が同じ時代に遭遇してしまったというふうに私はこれをとらえているわけなんですね。

 そういう中から、国会の役割というのは憲法で規定されているわけなんですけれども、今後、地方分権が進む中で、どのように変わっていくと考えられているのか、法律的なことではなく、実際の生活、ソフト面の中で国会の役割がどういうふうに求められていくのかということをちょっと聞かせていただきたい。そういう中から国会の移転が本当に今のこの時代背景の中で必要なのかどうかということを私は考えてみたいと思いますので、御意見を聞かせていただきたいと思います。

佐藤参考人 国会の役割は、村山政権ができる前の年から私どもは、地方分権、福島宣言というのを、うつくしま宣言というのを策定をいたしまして申し上げておるんですが、国は、福田知事さんからもお話がありましたように、外交とか防衛とか経済政策あるいは金融政策を間違いないように、そういうことでちゃんとやってもらいたい。あとは、河川とか、もちろん基幹的な道路あるいは基幹的な交通網。

 一つ申し上げますと、東北本線がございますが、大宮から青森まで何年かかって鉄道が敷設されたか。国会議員の先生に質問するのはだめなようでございますので、質問はしませんが、何年かかったかといいますと、あの貧しい明治時代に、明治十七年から明治二十四年の七年間でこの鉄道ができているんですよね。常磐線が、水戸から仙台までも三年間でできているんです。貧しいというかポテンシャルのない時代に基幹的なあの鉄道をつくったんですね。ですから、いろいろ例はあるんですが、そういう基幹的な道路網等については、これはちゃんとやっていただく。しかし、いわゆる地方道あるいは河川等も、これは地方に任せていただきたいということですね。あるいは、もちろん先生からお話が出ました福祉等も含めて、年金の問題は、これはもう国でちゃんとやっていただきたいですが、そういうことでございます。

 それから、生活者の問題というなら、それでは東京は、さっき言いましたように、都知事から考えたらわかりませんが、生活者から考えたら本当に住みやすいのかどうかということです。三時間も通勤時間にかけて女性は本当に働けるのかどうかというようなことも含めて考えていかなきゃならないと思っております。

 どうも取りとめのないお話になりましたけれども、私どもは、そういう意味では、生活者の視点から考えても、そういう視点から考えても、この問題、日本の非常に大きなテーマであるよということを申し上げておるわけです。そして、そのことによって全国的に、そういう都市づくりというのは何なのかということを一緒に考えましょうということでございます。

福田参考人 私は、二点お話をさせていただきます。

 一つは、東京から離れるメリットはどういうところかという話でございます。

 先ほどもちょっと申し上げましたが、今何といっても東京に権力が集中をいたしておりますので、やはりこの権力を東京から地方へ分散するということが大変重要だというふうに思っておりまして、梶原知事さんなんかも、あるいは北川知事さんもこんなことを一生懸命言っている方々でありますけれども、こうすることによって、本社機能が東京にばかりということがなくなるようになるわけですね。これが重要だと思うんです。やはり権力があるために東京に本社機能がすべて集中してしまう。したがって、関西がだんだん落ち込んできたというのはそういう原因があるわけでありますので、そうすることによって今度は日本人の生き方、働き方も当然変わってくる、こう思っておりますので、そういった意味で、東京から離れるというメリットは十分大きく出てくるのではないかというふうに思っております。

 それから二つ目の、国会の役割ということでありますが、先ほどから申し上げているとおり、防衛とか外交とか金融とか、そういった全国に共通することを一生懸命やっていただくということが重要だと思っております。特に、ここで外務省の話をしたら怒られちゃうかもしれませんが、外国に行っている大使館の人たちや外務省の人たちが外国の情報をどれだけ日本の政府へちゃんと正確な情報を送っているかということを、やはりよく考えてみる必要があるんじゃないか、こう思うんですね。

 その一例を私ちょっと申し上げますが、例えば米の、要するに米を入れるときの、ミニマムアクセスにするか自由化にするか関税化にするかという議論のときに、あのときにミニマムアクセスを選択してしまったわけであります。しかし、アメリカの米づくりの状況とか、オーストラリアの米づくりの状況とか、あるいは中国の経済の状況とか、そういったことを判断すると、あれはもう確実に関税化、自由化を選んじゃった方が米は一粒も入ってこなかったわけです。しかし、そういう正確な情報がちゃんと日本の政府へ入っていなかったというのが非常に大きな問題ではないか、私はこういうふうに思っております。

 それから、例の自動車電話の話でも同じような話がございます。これも、アメリカから、モトローラの自動車電話に合うようにぜひ日本が周波数を直してくれという要望を受けたときに、一度はお断りをした。ところが、アメリカが怒って帰ってしまったというふうなことから、では周波数を日本の方が合わせろというような話があったようでありまして、そういったことに基づいてモトローラの自動車電話が日本にどんどん入るようになってきた。しかし、実際にアメリカから日本に入ってきたかというと、実は入ってこなかった。多国籍企業になっておりましたので、ほかの国で生産しているモトローラの自動車電話が日本に入ってきて、アメリカの貿易赤字は一つも減らなかった。こういう話も伺っております。

 そういったことを考えますと、防衛や外交に中央政府がしっかりと取り組む、そういうことがこれからの、これからといいますか、どんどん進んでいく国際化社会において、グローバル化の社会において、やはりそういったことに国はどんどん力を入れていっていただくという必要があるんじゃないか、私はこう思っております。

中井委員 お忙しいところ、ありがとうございます。自由党の中井です。

 ことしの夏にはお邪魔をいたしまして、大変貴重な御意見を承りまして、ありがとうございました。

 大変失礼ですが、福田参考人に率直にお尋ねをいたしますが、間違っていたらごめんなさい。たしか、知事選挙のときには首都機能移転反対という立場で少ししゃべっておられた、そして知事になられて、いろいろと御勉強の中で、今述べられたように、積極的に御賛成になられた、こう聞いておりますが、それが事実であるならば、どんな点で考えを変えられたのか、どういうところでやはり首都機能移転というのは必要なんだなとお思いになられたのか、そこら辺を率直にお聞かせいただければありがたいと思っています。

 以上です。

福田参考人 実は、選挙前も選挙後も一つも変わっておりません。それは、選挙のときには、首都機能移転、国会等移転、一生懸命やってもむだですよ、中央政府はどうもやるような考えはないようですよ、そういう話をしておりまして、国会等移転、首都機能移転反対だという話は実は一つもしていないんです、基本的に。

 ですから、そういった意味で、ぜひ、本当に国会の皆さんや中央政府が真剣に、新しい国づくりの一環として、中央政府をつくって地方分権を促進して国会等移転をやるという決定をしていただければ、私も真剣にこれは検討していきたい、こう思っているところでございまして、本当に、選挙前と選挙後と、私の考えは実は一つも変わってないんですね。それは、やはり東京の一極集中を是正する一環としてやるという意義は非常に大きいものがある、こう思っております。

中井委員 お話は承りました。

 先ほどから、国会はそうおっしゃるが政府はどうだということを二回にわたって述べられましたが、実は、この委員会におきましても、私が委員長をしておりますときにも、青木官房長官にお越しいただく等ございまして、国会でお決めになったとおり内閣はやらせていただきますと。政府の答弁として、公的にもこれが唯一でございます。また、橋本総理もその前にはお述べになっているわけでございます。その後、現の大臣がいろいろとおっしゃっておられまして、私ども委員会も、ここにお呼びして議論をするかしないか、かなり悩んではおったわけでございます。

 しかし、移転をする、三つの候補地を一つに絞り込んでいくというのが私ども委員会の任務でありますから、またもとへ戻って政府と議論をして、不毛の論議をやっても仕方がない。この点において、私どもは大臣に対して言いたいことは山ほどあります。それを我慢して、このまじめな論議を積み重ねているわけでございます。

 どうぞひとつそこのところを、国会と政府が常に一体でなきゃならぬというのもまたおかしな論議でございまして、アメリカだってイギリスだってしょっちゅう政府と議会は争いをするわけでございます。しかし、こういうことは一致してやればいいとは思いますが、私どもは、これからまた絞り込む過程の中で、総理大臣の御意見等も聞くタイミング、こういうのもはかりながら委員会運営をいたしているところでございますので、どうぞひとつ、一番なんだからおれのところにぜひしろとおっしゃる知事さんですから、誤解のないように、また私どもの委員会の論議も、地元の国会議員さんもおられますから十分お聞きをいただいて、ともども、東京の一極集中排除、日本のこの閉塞感を打破する、こういう大事業に御協力をいただきますよう、この機会にお願いを申し上げておきます。

 以上です。

竹本委員 参考人の知事さん方、本当に御苦労さまでございます。自民党の竹本直一でございます。

 この首都移転の議論は十年にわたってやっておるわけでございまして、ある時期には大変な盛り上がりがあったようにも私も外から見ておって思っておりました。ところが、現時点においては、国会の中で関係する議員の熱情はすばらしいものがございますけれども、世の中一般で見たら、今さらというような人もたくさんおるというような感じが私はするわけであります。

 そこで、そもそも首都移転というのは、世界のいろいろな都市計画の歴史を見ても、ナイジェリアの首都移転は結局、計画はされたけれども実行されなかった、ブラジリアの首都移転は成功したという説と成功してないという説がある、キャンベラは成功したかどうか、これも必ずしもそうではないような気が私は現場へ行ってするわけであります。

 つまり、こういった前例から見ますと、何もないと言うと変ですけれども、都市機能を全然持っていないところに新しい都市を建設し、そしてそれを首都機能を持つ新しい都市として建設するのは、相当の計画性と、また幸運もないとうまくいかない、そういうような感じもするわけであります。

 世の中が、バブルと言うと恐縮でございますけれども、大変景気のいいときであれば、そういうこともやってみようという、夢の上にまた夢をつなぐということも可能であったと思いますけれども、現時点のように大変な不況の中で、数十兆円を必要とすると言われるこの首都移転を国民的議論に高めていくのは、もう一度上げるのはなかなか大変な感じがするわけであります。

 しかしながら、十年間、各地域、候補地を含めまして、いろいろ関係者の皆さんでこれほど一生懸命やってきたわけでございます。何がしかのフルーツがないとやはりいけないというような感じもいたします。

 したがいまして、候補地を絞る努力は当然する、また、国民的議論を上げるという努力もまた別途するにいたしましても、現時点において、首都機能を特定の箇所に、仮に一カ所に絞ったとして、持っていくそのやり方、その中身でございます。

 私は、この間から、世界の主要な国にある首都機能で日本にないものは何かないのだろうかといろいろ考えたわけであります。そこで思いついたのが、アメリカのキャンプ・デービッドじゃないかと思ったわけであります。

 つまり、オフィシャルな、外国の賓客を迎えて元首がもてなしをし、そして重要な会談を結ぶ場所、そういうものを日本の場合は持っていないような気がいたします。赤坂の迎賓館がそうなのかもしれませんけれども、はっきり言って、持っていない。ところが、ヨーロッパであれば、例えば東ドイツのサンスーシ宮殿あるいはベルサイユもそうだったのかもしれませんし、いざというときには、外交の舞台としてそういう会議の場を持っておった。そういうものがないことが、日本の外交が、必ずしもそれほど華やかでもないし、また、評価もあると言いますけれども、余り有効な外交の展開が十分いっていないという批判もあるぐらいでありますから、そういう批判を受けるような原因の一つなのかもしれない、そんな感じがするわけであります。

 そこで、首都機能、要するに移転すべき施設はいろいろな今までの議論の中で大分固まってきておりますけれども、余り議論されていなかったこの国際会議場というものを、キャンプ・デービッドを日本に誘致する、そしてそれをつくるということであれば、今のような経済状況の中でも、あるいは、日本に今までない機能であるから、そういうものをどこかにつくろうということを仮に提言しても、国民はそれは必要だというふうに思えてくるのではないかなというような感じがするわけであります。

 そこで、特定のどこの地域というわけではありませんけれども、そういったある種の首都機能を今までの候補地のどこかに決めるというようなことも考えてはどうかなというふうに思っておりまして、きょうは、先ほど岐阜県知事もお見えでございましたけれども、ただいまは栃木県知事と福島県知事、現場の地方行政の中で見ておられまして、仮に、私が申し上げましたようなこういう話が出た場合には、どういうふうな展開を予想されますか。お考えがありましたら、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

佐藤参考人 お話は、先ほど私、キャンプ・デービッドの話をしましたけれども、例えば、国会が万が一地震でやられた、そのとき国会議員の先生方はどこで会議をするのか。これは首都機能移転とは全然別ですが、危機管理の問題ですが、これは決して爆撃されるとか何かということでなくて、そういう危機管理の面からいって、先ほどグリーンブライヤーの話をいたしましたが、首都機能と離れたそういう議論は、やはりどんどんやっていただいた方がよろしいのではないかと思います。

 それから、ブラジリアで成功した失敗したという話がありましたが、ブラジルの中で、サンパウロにしてもリオデジャネイロにしても、非常に出生率が高い国です。しかし、ブラジリアは、言ってみれば、高学歴の女性が集まっているにもかかわらず、出生率が一番高い町なんです。ですから、ブロックという三、四千人の生活圏を、これは同じ生活圏ですが、たくさんつくりまして、十分か十五分で通勤できるわけです。ですから、当然、出生率がブラジルの中で一番高い町です。そういう意味では、私は成功したんじゃないかと。

 それから、キャンベラも、いわゆる二十世紀型の、新宿のようなわい雑な町が必要だという方々にとってはキャンベラはつまらない町なんですが、しかし、家族連れで行動する若い方々にとってはすばらしい町なんですね。ですから、それでは、二十一世紀のライフスタイルというのは、どういうことを我々は目指すべきかという視点から、こういう先例を勉強していく。

 ただ、キャンベラの場合、百年かかっています。ですから、一九七八年からこういう動きが、地震が危ないと、地震とか何か言い出すと、国会議員だけ逃げるのかという議論がすぐ出てきますので、それは理由にはできないのですが、七八年ですから、あるいはあと七、八十年かかるのかもしれません。しかし、ちょっとした転機で、ブラジリアの場合は、一人の大統領が出て四年間でやりました。そういういろいろな防衛上の問題で検討している中で、一人の大統領が四年間でやりました。非常に清潔な大統領と官房長官だったから可能になったんだと思うのですが。それから、キャンベラの場合は、百年かかって、ようやく、まさに荒れ地と草木のところが「森にしずむ都市」になっておりますね。

 そういうことを考えると、日本は、百年とは言いませんが、二〇〇四年から始まるということでございますので、大いに期待をいたしております。

福田参考人 私は、もし絞らなかったら先生方の責任はどうなるんだという話に逆になるんじゃないかなと思っておりまして、そういった意味で、やはり何としても来年の五月には絞っていただくということが重要だと思います。そうでなければ、その次に進むことができないんじゃないでしょうか。

 例えば、仮に東京都と比較考量するにしても、いつまでも比較考量がしっかりとできない話にもなりますし、また、新しい国会等移転のビジョンを描くこともできませんので、これは必ず絞っていただくということが先生方にとっても得策ではないかというふうに私は思っております。

竹本委員 お聞きしたのは、キャンプ・デービッドのような話を先行して進めるというような提案が仮にあったとすれば、どういうふうにお考えになるかということをちょっと聞きたいのです。

福田参考人 それは、まだ場所が決まらないうちに、キャンプ・デービッド型あるいはさっきのバックアップ型ですか、そういったものを決めるわけにはいかないかと思いますので、よろしく御理解をいただきたいと思っています。

蓮実委員 先ほどは、ちょっと知事さんに新聞の記事のことでお話し申し上げたのですが、この委員会も、おかげさまで、栃木県知事さん二回、福田知事一回、それから福島の知事さんが三回、過去参考人としておいでをいただいておるのです。なお、委員会としても、直近では、十三年、ことしの七月に栃木・福島地区を視察させていただきました。私自身も、三回、各地区全部視察させていただきました。ですから、ある程度のことは大体認識しているつもりであります。

 そこで、先ほど中井元委員長からお話がありましたように、橋本内閣のときに官房長官の青木さんが委員会に出てこられまして、あくまでも、平成十一年の十二月に審議会から内閣総理大臣に答申があって、内閣総理大臣から衆議院議長に、こういう答申があったので特別委員会として審議をしてもらいたいということで今日来ているわけです。ですから、その後、官房長官に御出席をいただいて、先ほどお話しのように、委員会で責任を持って決めてくれ、そうすれば内閣は全面的に協力しますということになっているわけです。

 そこで、今日までずっと長いこと審議を続けてきたわけでありますが、いよいよ、御案内のように来年の五月までに一本化するということでございますから、今臨時国会が今年度最後の臨時国会になるわけです。ですから、もうこの辺で私どもも自由民主党の党の中の国会移転等調査会の結論も必要だろうということで、正式に、ことしの十一月の十五日に党の正式機関に諮ってもらいまして、そして、速やかに移転を実現するようにという決議をいただきまして、党三役全部了承していただいて、総裁にも了承していただいて、そしてこの委員会に臨んでいるわけであります。

 ですから、知事さんの先ほどの、九月九日の宇都宮タウンミーティングの佐藤静雄国土交通副大臣かな、それから村上誠一郎財務副大臣だと思いますが、これは私どももこのまま容認できませんので、対応したいと思います。

 そういうことで、党も、実のことを言いますと、委員会に任されておるわけですから、委員会でもって議論しても、必ずしもそれが党員あるいは議員にみんな伝わっているかということは非常に疑問であったし、また事実、伝わっていなかったわけであります。ですから、本格的に今取り組んで今日来ておるということでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。

 私ども、平成二年からずっと時間を追ってやってきているわけですから、これは何人といえどもこのことに関して疑義を挟むことはできないと私は思っております、一日、二日の積み重ねじゃありませんので。ですから、速やかに、国民の合意ももちろん得なきゃなりませんが、先ほどマスコミのお話もありましたけれども、いろいろ努力しても、なかなかついてこないという問題もありますから。

 それで、この間、二十一日、東京都知事においでいただきまして、東京都知事からもいろいろお伺いいたしましたが、東京都知事も、最終コーナーに来たものですから、相当いろいろエキサイトしてまいりました。ですから、国会のこの委員会で発言すべき言葉ではない意見が、発言がたくさんあります。これは羅列してあります。これは非常に困ったことだと思っております。

 ということは、いよいよこの委員会も最終コーナーに来ていますので、やはりそういう問題も出てきているのかなという気がいたしますが、いずれにいたしましても、今まで、福島県、栃木県の知事さん、もう三回も我が委員会においでになって、それぞれの立場でいろいろ審議に応じていただいて、大変感謝にたえません。ひとつ皆さんの御協力をいただいて、ぜひ頑張っていきたいと思っております。

福田参考人 ぜひそうしていただくように、お願いをいたします。

佐藤参考人 本当に、委員長さん初めこの特別委員会の御努力に私は敬意を表したい。世論その他関係なく、やるべきことをずっと進めてきたということに関して、そしてまた、二十一世紀をどう考えるかという意味で非常に真剣に考えていらっしゃるということに対して、敬意と感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

蓮実委員 ありがとうございました。

玄葉委員 二、三お尋ねをしたいと思います。

 基本的に主張を同じくするものですから、質問はしづらいのでありますが、私は特に、この日本人のお上意識をどうにかしないと、あるいは東京中心の発想というものをどうにかしないと、この国の将来は立ち行かないというふうに考えています。先ほども御指摘がございましたけれども、とりわけ情報発信のほとんどがこの東京からなされているという実態が極めて異常だというふうに私などは感じている一人でございます。

 そこで、一つは、先ほどいろいろ委員からも指摘があり、それぞれ違う意見もありましたけれども、この議論がなかなか国民的に盛り上がらない理由の一つとして、先ほど挙げられた財政構造改革のあの議論、国会と政府がちぐはぐではないかという議論は分析として正しい、私自身はそう思っているんです。

 私自身も、予算委員会などで機会をできるだけつくって、一つは、やはり小泉さんがどう考えているのかということを問いたいというふうに思っていますし、蓮実先生は小泉さんの側近だということだから、きちっと問いただしてもらいたいと思っていますし、それぞれの知事さんも、組織としてというわけにいかないのかもしれませんけれども、個人的にも、あるいはネットワークといいますか協議会のようなものがあると思いますので、私は、総理自身の考え方、特に国会等移転というのは国土の構造改革であるだけではなくて、さまざまな構造改革の一環と位置づけるということが大事だと思っているんですが、そういう位置づけをすべきではないかということをおっしゃっていただきたいなということが一点でございます。

 二点目は、この国会等移転が始まったころ、金丸さんがまだ委員長だったようでありますけれども、下河辺先生がいらっしゃって、こういうふうにおっしゃっているんです。国土軸の形成がどうも西日本に偏りがちであるというようなことを修正しなければならないのではないかというようなことをおっしゃっているわけです。

 森審議会会長さんは解剖学者でありますけれども、審議会の答申では、やや優位にこの福島・栃木地域を置いたわけでありますけれども、この点についての受けとめ方をお尋ねしたいというふうに思います。

 関連して、先ほど、いわば都市づくりの哲学というのを佐藤知事からお聞きをしたわけでありますけれども、森をかりて都市をつくる時代だということを言われたわけでありますが、森の果たす都市づくりに対する役割というのを改めて御陳述いただければありがたいということでございます。

 さらに、これは五月に一つに絞られるということでまいりますけれども、私たち国会議員は、党派を超えて、国会の移転そのものに賛成であるならば、どこに移転先が決まろうとも賛成するというのが基本的には本来だというふうに考えております。

 それぞれの候補地あるいは候補地周辺の知事さん方が、国会等移転賛成ということでおっしゃって、それぞれの地域の優位性を語っていただいているわけでありますけれども、それぞれの候補地の知事さんと既にネットワークはおありであることは承知をしております。福島県の未来博などでも、それぞれの候補地の知事さんとシンポジウムなどを行っていることも承知をしておりますが、どこに決まっても、みんなで国会等移転については後押しをしていこうではないか、こういうことをぜひ何らかの取り決めをしていただければありがたいなということでございます。

 以上です。

佐藤参考人 国土の構造改革ばかりでなく、構造改革ということでございます。

 これは、世界的に今求められていることは、もういろいろございます。CO2の削減の問題。先ほども言いましたが、東京都民そして東京都というのはべらぼうにCO2を出している。私は東京の問題は口を出さない、東京都民のために知事が一生懸命やっているんですから。しかし、NOxも含め、私どもの方に流れてくるぐらい、そして光化学スモッグでやられるぐらい、そういう問題になっておりますので、これは口をだんだん出さざるを得ないわけでございますが。それじゃ、そういう温暖化防止の問題をどうしようかというふうな、日本の問題にどう取り組むかというようなことも大変重要な課題なんですね。そういうことも含めた、おっしゃるような改革の問題があろうかと思います。

 それから、西日本に偏っているという問題については、これは福田知事さんがおっしゃるように、具体的に人口の集積等を見ると……。これは福田知事さんの方からも再度お願いしたいと思います。

 それから、森づくりの問題でございますが、「森にしずむ都市」の私どもの物の考え方は、今まで申し上げたように、今私ども県が進めているのは、三十万都市を七つの生活圏でネットワークでつくっていく、それで、三十万都市とその周りの郊外と里山というか山村と、そういう小規模な展開をしないと二十一世紀型の都市としては非常に住みにくい、またコストもかかることでございますので、そういうことに配慮した七つの生活圏ということを進めておりますが、これを展開して、まさに「森にしずむ」というのが一つの象徴的な言葉でございますが、そういう小規模なクラスター型の、植生、生物等に配慮した都市をつくっていこうということでございます。

 建物も、今回上海に行ってまいりましたが、上海は高層ビルがぼんぼんできておりますので、市の幹部とお話ししたとき、高層ビルは高いところにいるといらいらして精神的に問題があるので、そろそろ制限したいんだというような話。それから、酸欠というお話もしていましたが、酸欠は多分換気の問題だろうと思いますが、三千以上の超高層ビルでもうそろそろ制限を始めようと。すぐ制限できるところがいいところだと思いますが、そういう話をしておりました。

 中低層の、いわゆる風が通る、そよ風が吹くような都市をつくっていこう、そういうイメージで考えております。極端に言うと、私どもいろいろな面で、森に遊び、森に学び、森に働き、森を守り、森に暮らすというテーマを掲げておりますが、そういう都市づくりを進めてまいりたい。

 それから、どこに決まってどうこうという問題でございますが、これは私ども今、私どものところが一番いいという自信を持ってプレゼンテーションしておりますので、そのことについてはちょっとコメントは控えさせていただきたいと思います。

福田参考人 まず一点目の、さまざまな構造改革の一環として進めるという考え方については、まさに私も同じ考えでございまして、ぜひそうしていきたいと思っておりますし、何としても、やはり地方に権限や財源が移っていくということが重要だと思っております。

 どうも地方の山や田んぼがどんどん荒れていっている。このままいきますと国土がどうなるのかという心配もございます。治山治水は古来為政者の役目でありますけれども、しかし、その辺もこれからどうなっていくのかわからないような状況もございますので、そういった新しい国づくりのための一環として、もう一度やはり進めていく必要があると思っています。

 同時に、御案内のとおりの介護保険なども少子高齢化への対応でありますし、あるいは国際化や情報化に対応したり、あるいは地方財政の健全化のための市町村合併とか、そういうさまざまな改革をやはり進めていく一環として進めていかなくちゃならないというふうに思っております。

 それから二点目の、国土軸の形成が西日本に偏り過ぎというのは、まさにおっしゃるとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、東海道新幹線と東北新幹線で比べてみましたらば、西の方は一千二百万人、東の方は三百五十万人しか住んでいない、三分の一しか住んでいないという話でございます。日本の国の起こりを考えればいたし方ない話でございますけれども、しかし、これらを是正していくというのがやはり今度の新しい国会等移転の仕事の一つに入ってくるのかな、こう思っております。

 「森にしずむ都市」は、福島県の知事さんの持論でございます。

 そして三点目、どこに決まっても賛成をする、このことについては福島の知事さんと全く同じでございまして、先ごろ福島県のトークショーでも、どこに決まってもみんな賛成する、誘致合戦はしないと。ただ、早く決めていただかないと、地方の方も、いつまでむだな税金を使っているんだ、こういうふうな批判を受けますので、いつまでも宙ぶらりんにしておいていただきたくない。私どもも、大切な県民の税金を使ってPR活動とかいろいろなことを展開いたしておりますので、そういった意味から、ぜひとも来年の五月には場所決めは必ずしていただくという必要があるのかなと思っております。

 以上でございます。

河村(た)委員 名古屋の河村たかしです。

 まず、福田知事ですが、小さな中央政府の実現と言われて、そういうものだけを栃木・福島地区に持っていくんだということなんですが、名古屋の方もそうですけれども、「「栃木・福島地域」の概況」五ページ、那須地域のイメージ図なんか見ますと、これは物すごいええところなんですよね。

 私は、この間も御地に行ったときにしゃべりました。私は反対派ではないんで、実は大賛成派なんですよ。お上下々社会のシンボル東京は絶対打ち破らぬと日本人が自立する国民にならないという意識は非常に強く持っている。これは正直言って、バブル時代に何か膨大なイメージをつくっちゃって、その残りだと思うんですよね。

 かといって、調査会と、先ほど言いましたように、一定の七千五百ヘクタールですか、それから六十万人という基準をつくっちゃったものだから、これでは、このくそもうからぬ世の中にこれは本当に雰囲気出ませんよ。庶民からすれば、ええかげんにしておいてくれと。これは名古屋でもそうです。ゴルフ場の跡地で国会をやるからと。これは、普通の人からすればもたぬですよ。

 だから、これは国会の仕事だと思いますけれども、基準を変えるとか、新たな雰囲気をつくらないかぬと、それは思っているんだけれども、まず小さな中央政府の実現と言われるなら、まことに申しわけないが、時代が変わったかどうか知らぬけれども、このイメージ図はとても小さな政府ではないということですね、阿武隈地区も一緒になるわけで。

 だから、いや、それは基準がそうだから私らはそんな案はつくれませんと言うかもわからぬけれども、ちょっと、二百ヘクタールか、要はこのくらいでいいんですよ。都市の近所で、赤ちょうちんのあるところで、国会議員というのは日本じゅうで一番働く人間だ、汗水たらきゃあて。そういうような都市イメージ図を提案していただくと若干はええかと思いますよ、国会の仕事かもわからぬけれども。それが一つ。

 それから、阪神大震災の復興が早かったのは国会が無事だったからにほかなりませんと言われたけれども、これは、褒めていただくのはありがたいかわからぬが、やはり市民、住民の力なんで、私はこうは思わないので、ほかなりませんというのはちょっと言い過ぎなんではないかと。

 災害についても、私は、国会議員というのは一番災害に遭いやすいところにおるべきだというふうに思っております、それだったら非常にデリケートになりますからね。そんな、国会議員が森の中で、これを見ていますと、池があって森があるんですけれども、こんなところにおって一体どうするんですか。

 それから、佐藤知事には、森は人間の哲学である、「森にしずむ都市」、確かに、新たな環境時代をとらえた非常にええ話なんですよ。だけれども、それは別に普通の都市でやっていただけばいいので、国会がこういうところにおって、何か、これは本当に国会議員、頭が大丈夫なのかなと、非常に別荘地みたいにリラックスしてしまって。

 しょっちゅう、忙しくて地元へ毎日帰らにゃいかぬ、そういうのが国会議員なんで、十年かそこらやったら、もう忙しくてやめる、そういうふうにならにゃいかぬので、僕は、「森にしずむ都市」は大いにいいんだけれども、国会でやらぬでもええではないか、そんなふうに思っておりますが、どうですか。

福田参考人 まず一点目でありますが、モデル都市が大き過ぎるんではないかという話でありますが、私どもは審議会がつくったものよりもさらに小さくしてつくってございまして、人口は約三十万人程度。これでも巨大ですか。さらに小さくすることは幾らでも可能でございますけれども、基本的に、私は、そもそもこの開発については面積を限定すべきだという意見を申し上げております、これをつくるに当たっては。それは、外国の例なども見れば、特にフランスのパリスなどは、需要があってもあれ以上パリスは大きくしない、そういう考えに基づいてやっておりますので、そういう考え方を今度は導入すべきだというふうに思っております。

 それから、二つ目の点は、地元の人が頑張ったのは、それはもちろんだと思いますけれども、政府機能がしっかりしていたということがやはり復興に大きな役割を果たしたことは間違いないことではないかというふうに思っております。

 三点目は、福島の知事さんの話でございますので。

佐藤参考人 この絵でそう感じるのは、多分、名古屋に住まれているか、あるいは名古屋の感覚でありまして、キャンベラの話とか出ましたが、キャンベラを隣の山から撮影しますと、こういう感じであります。

 ですから、今、福田知事さんおっしゃるように、私どもは三十万都市ですが、これでせいぜい五万から十万都市です。私ども二、三万の町というのを知っておりますが、大体自転車で動けるんですね。私どもの「森にしずむ都市」は自転車で十分だよという考え方でおるんですが、この町で自転車で動けますね。

 ですから、こういうイメージは、これはさっきも言いましたように、多分国際コンペで、あれは石ころのような町がこういう町に、森の中に、明治神宮でさえ森ができるまで百年かかっていないわけですから、森の中の都市にできるわけですから、いわゆる都市というのはどんなものかということを、この首都機能移転を通してきょうは先生も説得したいと思うんですが、国民の皆さんに、電車で、とにかく込み合って、二時間かけて通って、そして働いて帰るのが二十一世紀の生活でなくて、自転車で通勤できる、そういう町をつくろうやというのが、そういうモデルをひとつ一緒に考えましょうということが非常に大きな意義があると思っておりますので、御理解いただければと思います。

大島(令)委員 時間も押してきましたけれども、きょう一時からの意見を聞いていますと、やはり結論的には、人間の生き方とか働き方というところまで踏み込んだ参考人の御意見を聞かせていただけたというのは、私は非常に感謝申し上げているわけなんです。

 そこで、最後に一つ質問なんですが、三つの中から一つを選ぶということでございますけれども、モラトリアムという考え方をお二方の参考人は持てるかどうかということを、個人的な見解で結構なんですが、聞かせていただきたい。

 というのは、モラトリアムというのは猶予なんですね。今、昨年の五月十八日の衆議院の特別委員会での決議というのは、「社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討」というふうに文言が入っているわけなんです。

 日本の社会経済情勢は、今病気にかかっている。モラトリアムと私が言うのは、今病気になった人は病気が治るまで待ってあげよう、例えば青少年でいえば、非行に走った青少年は立ち直るまで社会が待ってあげよう、そういうことがモラトリアムということで私は考えているわけなんです。

 やはり、誘致合戦はしない、先ほど岐阜の知事も、どこに決まっても賛成すると。もう一つ踏み込んで、日本の将来のことを考えようという非常に広い御意見。皆さん、両参考人も多額の税金を使っていろいろなパンフレットをつくってこられた。しかし、きょうが最後だとすれば、私は、お二人の参考人にそういう発想も、地方自治体の最高責任者として県民に向かって持てるかどうかという御決断ができるかということをちょっと聞かせていただきたいわけなんです。

福田参考人 お答えをさせていただきたいと思います。

 大変失礼な言い方になるかもしれませんが、三つの中からやはり一つは選んでいただいて、もし執行猶予とするならば、これは、政府が執行猶予するならば、それは仕方がないと思います。だけれども、衆議院の特別委員会としてはモラトリアムをせずにしっかりと決めていただく、決めた後については、どうするかは政府が判断していただくという方が我々は誘致合戦をしなくて済みますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

佐藤参考人 同じでございますが、とにかく、先ほど敬意を表しましたように、この委員会として決めていくという姿勢でございますので、大変敬意を表すと同時に、ぜひ五月に向けて御努力をお願いしたいと思います。その後どうするかの問題は、これはまたその後政府も含めて考えるでしょうから、とにかく委員会として期待をしておるということを申し上げたいと思います。

田野瀬委員 いよいよ来年の五月を目指して急ピッチで今議論を進める中で、大変お忙しい中、両知事さんに来ていただいて、いろいろ参考になる御意見を聞かせていただいて、本当に感謝申し上げております。

 今国会でおおむね議論を終えて、来年の通常国会に入りますと、先ほど何度も出ておりますように、いよいよ三つを一つに絞り込んで、そして法律でもって移転を決定するという、現在の法律に基づいて我々議論しておるわけでございます。私は、今、与党の筆頭理事として、その三つを一つに絞る、その絞り方をどうするのか、あるいは法律を得て国会で成案化させる大変なハードルを考えたときに、胸の痛みを感ずるぐらい責任を感じておるんですが、一緒になってこの世紀の大事業を何としてもやり遂げたい、こういう不退転の決意で我々は臨む覚悟でございますので、どうぞ御支援のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。

 委員長が申さなきゃならぬようなことを私が言うてしまいましたが、もう答弁は結構でございます。本当にどうもありがとうございました。

永井委員長 どうも長時間御協力ありがとうございました。

 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 福田参考人、佐藤参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。

 次回は、来る十二月四日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会




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