衆議院

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第2号 平成14年3月4日(月曜日)

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平成十四年三月四日(月曜日)
    午前九時六分開議
 出席分科員
   主査 亀井 善之君
      中山 正暉君    持永 和見君
      森岡 正宏君    赤松 正雄君
   兼務 松島みどり君
    …………………………………
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   衆議院事務総長      谷  福丸君
   国立国会図書館長     戸張 正雄君
   政府参考人
   (内閣府男女共同参画局長
   )            坂東眞理子君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          荒木 慶司君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部
   長)           大竹 邦実君
   政府参考人
   (外務省大臣官房領事移住
   部長)          小野 正昭君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月四日
 辞任         補欠選任
  中山 正暉君     森岡 正宏君
  赤松 正雄君     白保 台一君
同日
 辞任         補欠選任
  森岡 正宏君     中山 正暉君
  白保 台一君     赤松 正雄君
同日
 第七分科員松島みどり君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府所管並びに他の分科会の所管以外の事項)


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     ――――◇―――――
亀井主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合所属の本務員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
 再度事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
亀井主査 速記を起こしてください。
 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算中国会所管について審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。森岡正宏君。
森岡分科員 おはようございます。私は、自由民主党の森岡正宏でございます。
 きょうは、国会改革について御質問を申し上げたいと思います。
 本当は、立法府のあり方でありますとか、基本的な問題に触れたいのでありますが、三十分という制約もございますし、分科会でございますので、私は、余りだれも触れられていない国会改革の中での細かいことについて、きょうは御質問させていただきたいと思います。
 行政府の方は、小泉総理のかけ声のもとに着々と行政改革等の改革が進められているように思います。しかし、私は、立法府の改革はそれに比べておくれているのではないか、そういう認識を持っているわけでございます。
 ただいま各会派で、永年在職表彰のお車代の廃止でありますとか、また、衆参両院に置かれております自動車整備工場の廃止、こういうことが進んでおるようでございますけれども、小泉総理がおっしゃっているように、民間でできるものは民間で、廃止すべきものは廃止、こういう視点が立法府ではまだ欠けているんじゃないか。議院運営委員会で各会派の合意が得られない限り何も進まないということでは遅過ぎる。
 きょうは、事務総長さんに答弁席に座っていただいておるものですから、事務局でどんどん改革すべきことを提案されたらいいじゃないか、私は、そういう視点から御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初は、今、衆議院では千八百二十五名の職員の方がいらっしゃいます。参議院では千三百八十四名。そして、衆議院には、平成十四年度の予算で、六百九十億円の予算が組み込まれておるわけでございます。衆参両院合わせますと、私たち国会議員の約四・五倍の公務員の人たちが私たちを守ってくれている、こういう状態であるわけでございますが、私は、人、物、金、これの節減にもっと力を入れるべきじゃないか、そういう視点からお話をさせていただきたいと思います。
 まず、人の問題でございますけれども、速記者。やがて音声入力の時代がやってくると思います。民間委託に切りかえるべきじゃないか、私はそう思うわけでございまして、速記者、記録部の職員だけでも、衆議院が二百二名、参議院が百八十五名いらっしゃるわけでございます。その大半が速記者だろうと思いますが、これもやはり公務員が務めるということでいいんだろうか、時間単位でございますから民間に委託したらどうだろうか、そう思いますし、議員会館とか宿舎の管理業務、こういうことも民間に委託したらもっと効率よく安上がりにできるんじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。
 もちろん、私たち国会議員の定数削減、これも私たちにとりましては大変重要な課題でございますし、そっちの方も進めなきゃいけませんけれども、職員の人たちの削減、これも私は大変大事な問題だと思っておりますが、まず、事務総長さんの御感想を伺いたいと思います。
谷事務総長 お答えします。
 先生今御指摘の点は、私ども重々かねて認識いたしているところでございまして、また、さまざまな院内の協議の場で、国会改革の論議の場でも御指摘されております。特に、昨年の七月一日に、衆議院事務局も、議長の勉強会の受け皿として衆議院事務局改革推進協議会というものを立ち上げまして、鋭意検討しているところでございます。
 今御指摘の速記者の問題と、それから、宿舎等の管理業務の民間委託の問題でございます。
 まず、速記者の民間委託がどうかという点でございますが、この点につきましては、確かに、御指摘のように、従来のままの速記でいいのかという問題は、一つあろうかと思います。こういうメディアといいますか技術の進歩に伴いまして、いろいろ補助手段もできておりますから、いつまでも昔のままの速記でいいのかどうかというのは、私どもも疑問に思っております。
 ただ、この速記の業務につきましては、先生方の御活動、これはもうまさしく会議そのものが国会の第一の機能でございますから、それを記録するということが憲法で位置づけられておりまして、そういう点におきましては、やはり会議録をきちっととるということも大変重要なことだと思っております。
 それで、現在、さはさりながら、速報版だとかいろいろなもので先生方の御活動に速やかに対応するようにというような努力はいたしておりますが、なおこの点については、民間にどの程度アウトソーシングできるかということは別にしまして、今後のあり方については私ども真剣に検討してまいりたいと思っております。
 それから、管理部門等の民間委託でございますが、これはもうできるところから民間に委託していこう、こういう趣旨で数年来やってございます。
 一例を挙げますと、まず、自動車の整備士を減らして、外注しているというふうに持っていっておりますし、それから印刷業務、これもできるだけ外に出すようにしてございます。それから、公報の送達等も、これも全部民間に今任せてございます。それから、庁舎の管理も、できるだけどんどん民間に委託してございます。それから、憲政記念館も、今、土日あけてございますが、これも民間に委託してやっております等々、一例でございますが、私どもも、それは今後とも大いに進めてまいりたいと思ってございます。
 以上でございます。
森岡分科員 次に、物の節減でございますが、私たち国会議員のところには、毎日毎日膨大な書類が届いてまいります。特に、紙の膨大な量、私たちが一日かけても目を通すことができないような、もう大変膨大な紙がむだに捨てられているんじゃないか、そういうふうに思うわけでございまして、ペーパーレス化をできるだけ進めることができないだろうか。
 配付物、必要なものだけを配付してもらうというようなことができないか。例えば、本日の配付物についてはこれだけのものがあります、この中から先生方選んでくださいよというようなシステムが取り入れられないだろうか。業者に、もう全く手も触れられたことのない、目を通されたことのないような膨大な紙が渡っていく。こんなことをやっておっていいんだろうか。
 民間では、今、不況でございまして、届いた封筒を裏返してまたもう一回封筒に使っているというような大変厳しい時代を迎えているわけでございまして、私は民間にもおったこともございますが、この国会に来ますと、そういう点、非常にむだなことをやっているな、もったいないことをやっているなという気がするわけでございますが、この点についてはどうでしょうか。簡潔にお願いします。
谷事務総長 お答えいたします。
 おっしゃるとおりでございまして、たくさんな文書が先生のところに行っておって、それがほとんど見ないまま捨てられているという現状は、私どもも十分承知してございます。
 ただ、この文書の配付は大方、全部、規則等に定められておりまして、これが一つ、将来の改正の問題としてあると思いますが、電子メール化するというのはもう時代の趨勢でございますので、まだなかなか時勢に追いつかない面はございますが、今後とも真剣に検討してまいりたいと思っています。
森岡分科員 次は、お金のことについて、一件触れたいと思います。
 今、職員の皆さん方には、国会特別手当というものがあります。私は、六〇年代の残滓が残っているというふうに思うわけでございまして、通常の一般公務員の人たちよりも一月多い手当が国会の職員にだけ渡っているわけでございまして、今までこういうことを放置してきたということは、私は本当に問題だと思っておるわけでございます。
 なぜ国会の職員にだけ国会手当が支給されているのか、私は前々から疑問に思ってきたわけでございます。国会が開かれているときは、国会議員はもちろん、この周辺に働いている、秘書さんももちろんでございますが、各省庁の役所の皆さん方も全部、夜遅くまで残って仕事をしているわけでございます。そして、下の人たちには時間外手当が支給されているはずでございます。それなのに、まだその上に国会手当が支給されてきた。
 事務局では、五カ年計画でこれを廃止していくんだということで、平成十三年度からだんだんと削減する方向に向いているということを私は伺っているわけでございますが、平成十四年度にもこれはもう全廃するんだということでないと国民に対して申しわけないんじゃないか。全く理屈が立たない。こういうものをもらっているということが私は国民に対して申しわけが立たないんじゃないかなと思うわけでございまして、だんだんと削減の方向には向かっているとはいうものの、平成十四年度で全廃するんだという御決意を谷事務総長さんから伺いたいと思います。
谷事務総長 お答えいたします。
 国会手当につきましては、十四年度は〇・五%、それから特別職にある者は三割カットということで、昨年とことしで同じ率を削減いたしましたので、一般職員につきましては九割支給、それから特別職については四割支給ということで十四年度は一応御決定いただきました。それで、これはまた、十五年度、さらに財政当局と交渉していくことになるかと思います。
 先生御指摘の国会手当につきましては、いろいろ経緯がございまして、確かに、昭和三十五年に一応きちっと法定化されたわけですが、その前にもやはり何らかの形で手当が出ていた、こういうことに承知しています。
 この点につきまして、おっしゃるように、ほかのところにはない手当でございますので、この御時世の厳しい中で国会だけがどうだということは、確かに、国民に向けての説得力はなくなっているんではないかと思います。かつてのように、毎日毎日ここで厳しい審議が行われた時代じゃありませんので。その点は私どもも承知していますが、すべてやはり一応、交渉事にさせていただいておりますので、これは財政当局と、また十五年度も、一応、増額になるわけではございませんので、どれだけ削減するかというのは交渉させていただきたい、こう思っています。
森岡分科員 交渉事だということでございますけれども、まだ平成十四年度も、一般職の方は〇・九カ月分、ほかの公務員よりも多い手当をもらっておられる。そしてまた、管理職の人は四割の特別手当をもらっておられる。こんなことでいいんだろうか。私は、本当にしつこいことを申し上げますけれども、本当にこれでは、税金のお金でございますだけに国民の皆さん方に申しわけないんじゃないか、強くそう思うわけでございます。本当だったら、このお金を立法機能の強化、こういうところに回してもらった方がいいんじゃないか、そんなふうに思うわけでございます。
 ちょっと視点を変えまして、首都機能移転との関係で触れさせていただきたいと思います。
 ここに、首都機能移転、一生懸命やっておられる中山先生もお座りになっておられますけれども、特別委員会でことしの五月にも移転先が決められるという運びになってきているわけでございます。ところが、一方で、総理官邸が間もなく完成いたします。そして、議員会館の改築計画もあると伺っております。また、議員宿舎、特に赤坂の宿舎が老朽化しているということで、平成十四年度中に、PFI方式で業者決定をされるということも伺っているわけでございます。
 一方で首都機能の移転を進めながら、一方で着々と国会機能、国会周辺の機能は充実させつつあるじゃないか、これとの整合性をどんなふうに考えておられるのか、御感想をお聞かせいただきたいと思います。
谷事務総長 お答えします。
 先生御案内のように、会館の建てかえにつきましてはもう十年来検討いたしておりまして、この問題点は、一つは大変狭いということでございます。それから、建物が昭和三十八年と四十年に建って、当時の耐用年数で六十年でございますが、もう約四十年過ぎてございますので、あそこを幾ら改築してももう費用がかかるばかりでございまして、建てかえた方がよろしいということはもう常々議論されていたんですが、世論とかいろいろな兼ね合いで進行しておりませんでした。そのうち国会移転の話が持ち上がりまして、じゃ、移転するのに会館建ててどうするんだという御議論もありまして、財政当局もそういう意見を申してきました。
 それで、私どもは、いずれにしても、現在の建物はもう狭くてどうしようもない、だから、ぜひ、それは移転にかかわらず建てかえた方がいいということを御議論いただきまして、それで、議会制度協議会、それから新議員会館等建設協議会ですか、そういうものも議運の場につくっていただきまして、数年来検討してきた結果が、ようやっと、議員会館につきましてはPFI手法で、ことし、基本的な、いわゆるPFIになじむかどうかの調査を含めて三億幾らの予算をいただきまして、これがつきましたので、将来はそれで進んでいけるんだと思っています。
 ただ、国会移転との関係につきまして、これは国会特で決めることでございますので、私らがとやかく申し上げられませんが、それはそれとして、私どもとしては進めていけたらと思ってございます。
森岡分科員 次に、議員宿舎、そして議員会館、また国会議事堂周辺、この周辺には大変多くの業者の方がお入りになっております。例えば清掃でありますとか機械の維持管理、そしてまた造園でありますとか、それから食堂、レストランのたぐい、それから売店、いろいろな業者の方が入っているわけでございます。
 入札に付さなければいけないもの、そういうものについて業者選定がどんなふうにして行われているのか。ずっともう何十年来、同じ業者が入っているじゃないか。そして、特に食堂などでは、私もよく耳にするわけでございますが、一年ごとに更新しているんだ、こういうふうに伺うわけですが、あそこの食堂へ行ったらまずいよ、どうしてあんなまずい食堂をそのままにしておくんだ、しかも、どうも、出てくる食事に対して、えらい高いじゃないか、そういう話もたびたび耳にするわけでございます。
 私は、こんなものはずっと同じ業者を入れておくんじゃなしに、例えば五年なら五年ごとに公募に切りかえていく、そして、ほかにもこの国会に入ってきたい業者がいたら、それぞれ比較していい業者を入れる、そういう刺激がなさ過ぎるじゃないか、そういう公募制を取り入れたらどうか、そんなことを提案したいわけでございまして、事務総長、どういうふうに思っておられるでしょうか。
谷事務総長 お答えします。
 先生おっしゃるように、院内営業の方は原則一年ということで、庶務小委員会で毎年許可をもらってございます。
 確かに、おっしゃる点はあると思います。これは私ども、いろいろ苦情があったときにどう対応していくかということですが、過去にいろいろ訴訟になったこともございまして、一年ずつ新たに許可を更新するとはいいながら、毎年同じ人が選ばれているという実態でございますので、先生の御提案の五年というのは大変私どもとしては評価できる提案だと思いますので、それはまた庶務小なりどこかの場で改めて御提案いただいて協議していただければ大変結構かと思います。
森岡分科員 その提案を事務局の方からも、こういうふうにやったらどうかと、各会派の合意が得られないと何も進まないということでは困ると思うものですから、事務総長さんの方から、こういうことはどうですかという提案をしていただきたいと思うわけでございます。
 それから、私はちょっと、この国会の基本のあり方について、事務総長さんのお考え、これは参議院の事務総長さんにも伺わなければならないことかもしれませんけれども、ここは衆議院の場でございますので、伺いたいんですが、私は、よく国民の間から、もう衆議院、参議院、二院制はいいじゃないか、もう衆議院一つだけでいいよというような意見もよく耳にします。そしてまた、衆参の議員の数が多過ぎる、これも絶えず聞く話でございます。
 ところが、憲法に二院制がうたわれておりますし、憲法を改正しない限り、二院制を一院制にすることは今は無理でございますから、それならばそれで、二院制のあり方そのものを考えていかなければいけない。
 私は、昔、イギリスやドイツ、アメリカ等を、国会改革のことで視察させていただいたことがございます。各国とも、上院と下院はそれぞれ、議員の処遇も違う、また秘書さんの態様も違う、そしていろいろな仕組みが、上院、下院、全部違うわけでございます。
 ところが、日本だけは、国会議員の歳費も、そして秘書さんの役割、また人数も全く同じ、すべてが衆参同じでなければならないというような仕組みになっているわけでございます。
 私は、おかしいじゃないか、選挙制度も違う、そしてそれぞれの役割も違う、また任期も違う、そういうことから、どちらがどうあるべきだとは私は申し上げませんけれども、違って当たり前じゃないかとずっと思い続けているわけでございまして、こういうことについて、なかなか事務総長さんの立場では触れにくいかもしれませんけれども、個人的な御感想でも結構でございますから、ちょっと御意見をお聞かせいただければありがたいと思います。
谷事務総長 先生のお話のあれは、私が答えるには大変大きなテーマでございまして、なかなかお答えしづらいのでありますが、確かに、実際の、法律上の機能ではなくて、現実に立ち働いている姿からいえば、おっしゃる点はあるかと思いますが、憲法の仕組みなりそれから法規の仕組みは、全部、「両議院の議員」という言葉でくくられておりますので、これはなかなか、歳費等で区分けをするのは大変難しいんじゃないかと思いますが、ただ、手当、いろいろございますので、こういう面では、その院それぞれの働きに応じた工夫の仕方があるんじゃないかと思います。
 これもやはりどこか大きな場所でひとつ御議論いただく問題ではないかと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。
森岡分科員 これに関係しまして、衆議院にも参議院にも法制局というのがございます。これなども、やはり私は一つにしたらどうなのか。衆議院にも参議院にも法制局があって、それぞれ、それは役割を果たしておられるんでしょうけれども、一つの組織にして、両院の議員が立法、法律をつくるときに相談する、そういう仕組みに切りかえていった方がずっと効率的でいいんじゃないか、私はそう思うわけでございまして、これについてはどうでしょうか。
谷事務総長 お答えします。
 その点につきましては、昨年来、議長のもとで議長の私的勉強会というものができまして、瀬島龍三さん、それから、加藤寛さん以下、著名な方々が委員になっていただきました。その答申にやはりそういう御指摘がございまして、これは、今後の検討テーマとしては、私ども重く受けとめてございます。
森岡分科員 もう一つ、衆議院には憲政記念館もございます。また、国会のために大変充実した国会図書館を設けていただいているわけでございまして、国会図書館には膨大な本もございますし、そして、私たち国会議員が立法機能を果たす上で大変重要な役割を担ってくださっていると承知しているわけでございます。
 私は、先日、国会図書館の機能を見たいと思って、同僚の議員たちと一緒に国会図書館を視察させていただきました。あの閲覧室も、ほとんどの国会議員が使われていないが、大変充実した設備でございます。何を勉強しようと思っても、あそこへ行ったら可能でございます。余りにも国会議員があそこを利用しなさ過ぎる、もったいない施設だなという感じも持っているわけでございますし、私たち同僚の議員も、あの国会図書館の中にあれほどの機能があるということを御存じない方が多いわけでございます。
 国会図書館長といたしまして、もっと国会議員の人たちに、私たちはこういうこともやっているんですよ、こういうサービスもできるんですよ、そしてこういう機能が備わっているんですよということをもっとPRしていただければありがたいな、そんなふうにも思いますし、国会議員自身がもう少し国会図書館を使って勉強する、そういう姿勢が要るな、そんなふうに思っているわけでございますが、図書館長さんの御意見、御感想を伺いたいと思います。
戸張国立国会図書館長 お答えいたします。
 先日は御視察いただきまして、どうもありがとうございました。
 おっしゃいますように、国会図書館の施設は大変整っていると思いますが、今おっしゃいました点では、先生方の、議員の皆さん方の御利用はやや低調かと思います。しかし、御利用の仕方には、いろいろ御質問をいただいて、それに対してお答えするという利用の仕方もございますし、また、図書館が持っております書物、雑誌、図書を御利用いただくという面もございます。
 こういった面では、質問に対してお答えするのは、大小そろえて、現在年間二万八千件の御利用をいただいておりまして、また、書物につきましても相当数の御利用をいただいておりますので、その点につきましては、十分とは申し上げかねますが、相当な御利用をいただいていると思います。
 ただ、今おっしゃいましたような点の足りなさがやや感じられます。そこで、私どもは、選挙のたびごとに、新しく当選された議員を中心にして、その秘書さん方にお集まりいただきまして、国会図書館の利用方法について説明会をいたしておりますし、また、新しい利用方法ができました場合には、「れじすめいと」というパンフレットを議員会館の部屋にお配りして、その利用方法をお伝えしております。
 それから、今は、議員会館に必ずございますパソコンを通じて、「調査の窓」というこんなものをごらんいただいておりますが、この中に「利用案内」というものも設けておりまして、議員会館から常に図書館の利用方法をお知りいただくということにもしておりますので、私ども、いろいろ議員の皆さんからの御要望にこたえて、利用しやすいように、利用しがいがあるようにする努力はいたしますが、今最後におっしゃいましたように、議員の皆さんの方でもどんどん御活用いただきたいとお願いをいたしたいと思っております。
森岡分科員 質問通告にはないことでございますけれども、事務総長さんに、私は、個人的な御感想でも結構でございますので伺いたいのですが、今、不祥事がたびたび起こることによって、私設秘書の問題がよく話題にされるわけでございます。あっせん利得罪の対象に私設秘書も加えるべきだというような議論が、野党を中心に起き上がってきております。
 私は秘書出身でございます。公設秘書をずっと二十年務めてまいりました。そういう立場から申し上げますと、仕事をやっているのは、公設秘書も私設秘書も同じような仕事をしている。しかも、国会議員によっては、だれにどういう仕事をやらせるか、これはそれぞれの先生によって違うわけでございまして、そんなことから考えますと、その私設秘書というくくり方、どういうふうにすればいいのか、なかなかこれは法律にはしにくい問題ではないかなというふうに私は思っているわけでございます。私設秘書の皆さん方、ただ名刺を持たせているだけのような人もいらっしゃれば、重要な仕事をしているような人たちもいらっしゃる。
 そういうことで、ただ国から給料をもらっていない人だというだけで私設秘書を一くくりにしてしまうというようなことは大変無理があるな、率直にそう思っているわけでございますが、事務総長さんとして、あっせん利得罪のようなああいう法律に私設秘書を加えることができるのかできないのか、加えるとしたらどういうくくり方があるのか、個人的な御感想でも結構でございますので、事務総長さんの立場、ちょっと御感想を伺っておきたいと思います。
谷事務総長 もう先生、政策秘書ができるときに、先生一番詳しゅうございますので、私よりも秘書制度については先生の方がお詳しいんじゃないかと思いますが、現行の日本の秘書制度というのは、竹と木を接いだような制度になってございまして、これは大変難しい制度に育ってきたんだと思います。今さらこれを、これだけ大きな公設秘書制度というものを一挙に改めるというのはなかなか難しゅうございます。
 それで、では私設秘書さんはどうしたらいいのか、こういう話になりますが、本来、公設も私設も、秘書という立場においてはそう変わるものじゃないと思います。しかし、もうここまで公設秘書というのが定着しておりますから、私設秘書さんを公の認知に近づけるにはどうすればいいかということについては、法律にどうというのはなかなか難しいかと思いますが、実際に登録制度なりなんなり、その最低は、やはり先生方と秘書さんとの間に雇用関係がきちっとして給料も支払う、そういう方はちゃんと登録するとか、何かそういう工夫の仕方はあるんじゃないか、そう思っています。
森岡分科員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
亀井主査 これにて森岡正宏君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
亀井主査 次に、内閣所管について審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。松島みどり君。
松島分科員 自由民主党の松島みどりでございます。
 まず最初に、公務員制度改革の問題について、石原大臣に伺いたいと思っております。
 元札幌国税局長浜田さんという方が多額の脱税事件によって逮捕されました。この件については、既に予算委員会や財務金融委員会でたびたび質問がございまして、それに対して、塩川大臣や国税庁の幹部の方々がいろいろな答えをされております。
 その中で、私、非常に気にかかりましたのは、政府見解として出ました中に、あるいは答弁の中に、定年前の勧奨退職でやめてもらっている、そしてまた、働いている間に将来のことも気になる、そういう意味で、いわゆる顧問先を紹介するシステムがあるということを、これは国税庁がきちっと認めておられます。そしてまた、それは今後とも、不正がないようにしながらも続けていくということになっております。
 私、この点に関しまして、単に国税の問題だけでなく、他の官庁にも及んで、具体的なやりとりはよくわかりませんが、知っている会社、例えば住宅関係、建設関係の会社へ行っても、全然違う、警察署の出身の方がおられたりして、何しているんですかと言ったら、いや、用心棒というか何というか、みかじめ料といったらおかしいんですが、変な人が文句を言ってきたりトラブルがあったときに、一応安心材料みたいな、そういうお話を聞くこともございます。
 かねて非常に気になっていたことでございます。これに関連して質問させていただきたい。国税だけじゃなくて、公務員全体の問題として質問させていただきたいと思っております。
 と申しますのは、これのもとになるのは定年以前の勧奨退職という制度、これによって早くやめてもらうかわりに、生活を安定させるためにどこか紹介しないといけないということが発生してくる。そうしますと、この勧奨退職、事前にやめてもらうというシステムについて、これはおかしいんじゃないかと私は思いまして、その点が一点でございます。今申し上げたのは、公務員の中のいわゆるキャリア、ノンキャリ両方に関すること、しばしば後者のノンキャリの方に関することが多いのですが。
 もう一点、同じ定年というか、役所のやめどきということに関して、これは専らキャリアの方でよく見られることですが、同期が局長になるころに、局長にならなかった人は大体やめていく。そして、同期で一人、大概は一人ですね、事務次官が誕生しましたら、そのときにはほかの同期はみんないなくなる、それが各役所の、中央官庁の通例ではないかと思います。これはおかしいんじゃないか。
 つまり、これは特殊法人改革とも絡んでくることでございますが、公団公庫を初めとする特殊法人を変えていこうというときに、いろいろな抵抗の中で、官庁側の言い分は、こういう分野が必要だという言い分がございますけれども、表の言い分以外に、やはり、早くやめていくから、自分たちの仲間、そして自分たちのOBの処遇をどうするのかということがしばしば、表に出すか出さないかは別として、絡んでまいります。
 それで、私は、同期がみんなで出世してきて、途中でばらつきがどうしても出てくる、同期が局長や事務次官になるときにやめていくというシステムを改めるべきじゃないか。一般民間会社でいいますと、同期入社が役員になっても、まだ課長で残っているというのは、これは当たり前のことでございますし、同期が社長になったって、民間の場合は社長になるのは何年かに一遍でございますから、同期がまだ平取とか、それより下の部長やそれ以下のところが大いにあり得ることでございますから、役人の世界でも、同期が事務次官になったって、別に、そのときに局長だとか審議官だとか課長とかで残っていたって、それなりの有能な方に残っていただいていいんじゃないか。
 それを、変なプライドでみんなやめるんだと。やめたら、どこか特殊法人に天下らなきゃいけない、特殊法人がなければ民間会社を見つけてきてはめ込まなきゃいけないというこのシステムになる温床ではないかと思います。
 似通ったテーマですので、二つ続けて質問させていただきました。大臣、公務員制度全体の問題として、よろしくお願いします。
石原国務大臣 ただいま松島委員が御指摘されました点は、公務員制度の抱える根本的な問題、すなわち、早くやめるから、人生ありますので、特殊法人に天下ったり、先般は、武部大臣が知らないところで農林次官だった方が公益法人に天下ると。
 私も今調べておるのですけれども、公益法人はたくさんあるのですね、特殊法人なんかに。そこに一人とか二人とか、人数は少ないのですけれども、公務員の方が天下っている。もちろん、仕事があって、有能で、請われてそこで働いているならばいいのですけれども、退職金あるいは給与を見ましても、世間の常識からかけ離れているものも二、三見かけることができる。その根本にあるのは、ただいま松島委員が御指摘された早期の勧奨退職制度である。
 もちろん、これも人生六十年の時代はそれなりに機能していたんじゃないでしょうか。六十歳で社長になるよりも、五十歳の前半で社長になって、社長と次官を置きかえていただければわかると思うんですけれども、それでその制度がこうなってきましたけれども、今まさに人生八十年、もうちょっとしたら九十年時代です。年金の支給も六十五歳になる。そういうことを考え合わせていきますと、役所の中で専門的な知識、ノウハウを積み重ねてきた方々は経験をもっと役所の中で使っていただけるように、制度設計というものも考えていかなければならない。
 その一方で、まだ今高齢化社会のちょうど中間、もう高齢化社会なのかもしれませんけれども、これからもっとすごい実態的な高齢化社会が来る。その過渡期と考えるならば、政策立案を行っていく、特にこれだけ動きが速いときでありますので、それには若い人の考え方、若いリーダーが役所でも引っ張っていく必要性がある、こういう両面が今私はあると思います。
 ですから、高齢化社会が、本当に人生八十年、九十年、六十五歳から年金、これが決まったときは、委員御指摘のとおり、この制度というものは抜本的に変えていかなければならない。
 いずれにいたしましても、国民の皆さん方の不信を招かず、信頼を得られるような制度設計というものを公務員制度改革の中でつくっていかなければならないと考えております。
松島分科員 この問題については、役人自身がペーパーを書き上げていくというのは非常に難しいテーマだと思っております。
 昨年暮れ、規制緩和、行政改革、いろいろなテーマにおいて石原大臣がリーダーシップを発揮されていろいろまとめられた。その中で、特殊法人の改革ですとか、あるいは規制緩和についてはかなり思い切ったことを随分出されているのに比べて、公務員制度改革の方は、どうしても適材適所とか人材活用とか、いい格好の言葉は並ぶんですが、例えば、私が先ほど申しましたように、同期が事務次官、局長になったって恥ずかしいと思わず下のポストでい続けろとか、そういうことはやはり役所の人間が書けるものじゃない。これは、議員というか政治家がやっていかなければいけないテーマだと思っております。
 そして国民の皆さんも、直接話をしておりますと、公団公庫の民営化とか、余りよくわからない。特に、独立行政法人とか、そんなこといったって何もよくわからない。わかるのは天下りの問題で、これに対する批判が非常に強い、かように思っております。
 確かに、おっしゃいましたように、石原大臣はたしか四十四歳、私は四十五歳でございますが、大体同年代の役人たち、課長クラスと話をしておりますと、でもそんなことをいったって、上が順調にさばけていかないと役所の活気はなくなる、そういうことを危惧する声もある。
 と同時に、大体これぐらいの年代の人からは、将来そのままどこか天下ってということはもうできないんだという見きわめもつけて、常識が大体身についてきて、でも自分たちの能力を生かせばどこかで勝負できるはずだという自信を持っている方たちも、優秀な役人の中にたくさんいらっしゃる。実際、霞が関のキャリアとしてやってこられた方々は、その分野以外でも、本当に優秀な人ならつぶしがきくと言うとなんですけれども、どんな民間、どんな法人に行ってもやっていける人はやっていけるはずでございますから、やっていけない人は勝手にどうかなるんでしょうけれども。
 それは一度、例えば独立行政法人、公益法人、いろいろな関係の法人でも、トップが役人というシステムは全部やめて、チャラにして考えていくぐらいのことをやっていただきたいと思っております。
 公務員制度については、本当にこれは石原大臣のなお一層のリーダーシップを期待している次第でございます。
 次のテーマに移ります。次は、男女共同参画社会というテーマが言われて久しくなっております。私自身、仕事をしてくる過程の中で、いろいろな思いがございます。それで、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 夏、福田官房長官の御指示がありまして、その中で、各役所に対して、公務員の女性が希望すれば職場で旧姓を使用することができるということですとか、各役所が所管しておりますいろいろな資格制度、これについて女性が旧姓を使用できる、こういったことを進めていくようにという指示が夏になされたと思います。それに対しての対応を簡単に教えていただきたいと思っております。
坂東政府参考人 お答えいたします。
 女性が男性とともに社会のさまざまな場面でその能力を発揮する、社会に貢献していく条件を整備していく上で、婚姻前の氏を使用することができないことによって、社会生活上の不便ですとか職業生活上の不便ですとか、いろいろあるわけですけれども、その不利益軽減に向けまして国がまず率先して取り組むべきであるということで、昨年の七月十一日、各省庁の人事担当課長会議におきまして、国の行政機関での職員の旧姓使用についての申し合わせを行いまして、十月一日より施行しております。
 この申し合わせにおいては、職員から旧姓使用の申し出があった場合は、職員録、人事異動通知書、出勤簿等の文書において旧姓の記載ができるということになりまして、この国の申し合わせが契機となりまして、地方自治体あるいは民間等におきましても旧姓使用が浸透していくということを今期待しているんですけれども、昨年の十一月末現在では二十府県、都道府県の約四割で旧姓使用が実施されておりますし、また検討に着手しているところも多数あるというふうに聞いております。
松島分科員 私自身が自分で経験した、そして今でも許せないと思っていることがございます。
 私、松島みどりの松島というのは、生まれたときの姓でございます。結婚いたしまして、現在、戸籍上は別の名前でございます。
 私、平成十二年六月に衆議院選挙に初当選させていただきました。その喜びの中での当選証書は、松島みどりではございませんでした。私は、松島みどりとして、五年半、選挙のための準備を進めてまいりました。そして、この名前を広めて、世の中の人々は私を松島みどりだと思って当選させていただきました。
 しかるに、立候補の届け出は両方書くことになっているようでございます。私自身、忙しかったので自分で届け出をしませんでしたけれども、戸籍名を書いて、通称という形で、旧姓であれ、ペンネームであれ、芸名であれ、一緒でございますが、通称で届け出るということで、既にその通称が出回っているという証明に、私の場合はポスターですとか名刺とかいろいろ証明を添えて、松島みどりで出しました。
 そして、選挙戦がそれでなされて、その後、当選が決まったときに渡された証書は、そのとき、もちろん頑強に、私は、松島みどりでくれということを申し上げましたが、無理でございました。
 当選証書というのは、国会議員にとって、もちろん国会議員だけではございません、地方議員も、首長さんも、これほど大事なものはないと思います。しかし、私はどこかへしまい込んで、どこへしまい込んだかも覚えておりません。その証書を飾る気にはなれません。
 そして、国会議員として、衆議院議員として活動するときは通称使用が認められておりますので、最初から最後まで私は松島みどりでございます。
 これはやはりおかしいと思っております。現在の制度はこういうふうになっているわけですけれども、中央選管を所管されるのも地方選管を所管されるのも旧自治省、今の総務省でございます。今後、この男女共同参画という、これは単に旧姓使用だけでなくて、芸名やペンネームの方もそうではあると思いますけれども、名前の一貫性という意味において、たかが当選証書などとおっしゃらないで、重いものでございますから、この制度を変えていただく意思がおありかどうか、それは総務省の方に伺いたいと思います。
大竹政府参考人 お答え申し上げます。
 選挙におきまして、候補者となりますためには、被選挙権を有していることが必要であるわけでございます。この場合におきまして、その被選挙権を有しているかどうか等、本人を特定いたしまして、その身分を公証するものが現在では戸籍簿でございますことから、公職選挙法におきましては、立候補の届出書それからまた当選人の告示等の文書につきましては、戸籍簿に記載された氏名によるとしているところでございます。同様に、当選証書につきましても、これは当選人たる身分を公証する文書でございますことから、同様に戸籍簿に記載された氏名によることとしているところでございます。
松島分科員 現在の制度がそうなっているのは理解いたしました。しかし、届け出のときに両方書かせるのですから、当選証書がどちらの名前であっても、その人がにせものでないということ、戸籍上とふだん名乗っている名前との関連性はわかると私は理解します。
 そしてまた、立候補というのは非常に多くの方が立候補されます、いろいろな立場の方が。被選挙権云々というのは、選挙違反その他で例えば公民権が停止されていたらとか、そういうことだとは思いますけれども、しかしながら、当選した時点で、もちろん国会は何万という票をいただいていますけれども、地方議会でも、それは何千か何百か、そういった形で、票をもらう過程においてその人についても調べることもできるわけでございますから、これは改善することができると私は思っておりますが、いかがでございましょうか。今後のことでございます。
大竹政府参考人 ただいま通称使用の点に関して御質問がございましたけれども、選挙におきまして候補者が選挙運動を行い、それから投票をいただくわけでございますけれども、現行の政党名投票の選挙以外におきましては、候補者の氏名を記載した投票をいただくわけでございます。
 この場合におきまして、候補者の中には、戸籍簿に記載された氏名以外の呼称が広く通用されている方もいらっしゃるわけでございまして、こういった方々につきましては、選挙におきまして戸籍簿に記載された氏名を強制いたしますことが不利になることもございますことから、選挙の平等性確保の観点から、これらの方々につきましては、その通称を選挙長が認定し、その場合におきましては、選挙運動において、その認定された通称による制度を設けているところでございます。
 この通称につきましては、ただいま御指摘がございましたように、旧姓の場合もございましょうし、あるいはペンネームもございます。あるいは芸名等、いろいろあるわけでございますけれども、これはあくまで選挙の平等性確保の観点から設けられているものでございまして、その場合におきましても、立候補の届出書あるいは当選人の告示につきましては、戸籍簿に記載された氏名によるとしているわけでございます。
 これは、先ほど申し上げましたように、現行の制度のもとにおきましては、候補者等の身分を特定し公証するものが、現在では戸籍簿によっていることからこのような制度を設けているわけでございまして、これにつきまして、ほかのさまざまな諸制度との関連もございますし、今後、そのような旧姓等につきまして公証する制度が設けられれば、当然それによることも可能であると考えております。
松島分科員 納得できません。選挙戦のときに別の名前を使うことは認められて、選挙戦の結果である当選証書がなぜ、まただれにも知られていない名前になるのか、納得できません。
 そしてまた、通称の中にいろいろな形がございますが、こうやって官房長官も、公的にかかわるいろいろなところで旧姓を使用することを認める。これは別に使わなくてもいいのですよ、それは人の自由でございますから。申し出た場合に、公務員だって使うことができる、国会でも使うことができる。なぜ、その通過点の当選証書がいけないのか。
 私、松島みどりが悪い人間かどうか、どうしてそれを判断できないのか。選挙管理委員会がそれぐらいのことができなければ、全国ですべての選挙の当選者は一体何人いるのですか。その中で通称を使用している人は何人いるのですか。それぐらい調べられないわけないと私は思っております。どうしてそんなに頭がかたいのですか。どういうふうにお考えになるか、お聞かせください。
大竹政府参考人 選挙におきましては、先ほどから申し上げておりますように、あくまで被選挙権の有無、それから当該本人が立候補者であり、そして当選人であることの身分を公証する必要があるわけでございますけれども、その身分の公証制度につきましては、現在は戸籍簿によるしかないということでございます。
 先ほど申し上げましたように、通称につきましては、それは、あくまで戸籍名によりまして届け出いただきました方々につきまして、通称を使用したいという申請をいただきまして、その場合におきましては、この通称によりまして、選挙のさまざまな、投票所におきますところの氏名掲示でございますとか、あるいは地方選挙におきまして記号式投票をやります場合におきましては、投票用紙に記載します候補者の氏名でございますとか、こういったものにつきましては、その申請された通称によることとしているわけでございます。
 ただ、あくまで通称は、選挙の際の、届け出された後の申請と、それから、当選確定まで、開票の段階まででございますので、それ以降につきましての本人の身分を特定いたします文書につきましては、先ほど申し上げましたように、現在は戸籍簿による氏名とされているわけでございます。
 これにつきましては、先ほど申し上げましたように、さまざまな諸制度との関係もございますし、旧姓等あるいはペンネームあるいは芸名等いろいろあるわけでございますけれども、そういったものにつきまして、そういった身分を特定するシステムに今なってございませんことから、現段階ではなかなか難しいのではなかろうかと考えております。
松島分科員 私は、現段階ではなくして、これからの日本の中でのことを申し上げておりますので、きょうはどうしても福田官房長官に出ていただけませんでしたけれども、男女共同参画御担当の福田官房長官から、ぜひともこれは強い御指導と御指示をいただきたいと私は思う次第でございます。
 そして、先ほど出ましたことで、ついでに申し上げますと、さっき二十の都道府県におきまして、希望すれば職員の旧姓使用が可能になったと伺いました。また総務省でございますが、残りは、何か特別反対しているところがあるのか、あるいは時間がたてばもうすぐオーケーになるのか、どんな状況でございましょうか。
荒木政府参考人 お答え申し上げます。
 都道府県における旧姓使用の状況でございますが、先ほど内閣府からの答弁でもありましたように、現時点で実施している団体が二十団体程度あるということで、私どもが現在聞いておりますところでは、他の団体においても、例えば東京都がこの四月一日から実施予定であるというふうに聞いております。
 特に、昨年七月に、政府におきまして人事課長申し合わせが行われました。そういった情報を私どもも地方団体に直ちにお伝えして情報提供しておりますので、政府における取り組みあるいは他の団体における取り組みは、各団体にも情報が当然伝わっておりますので、各団体でもかなりそれぞれに検討を始めているというふうに承知しております。
松島分科員 ぜひ、こういういいことは右へ倣えしていただくように、よろしくお願いします。
 パスポートのことを伺いたかったのですけれども、ちょっと時間がなくなりましたので省略させていただきまして、金融庁に質問させていただきます。
 既に御存じかと思いますが、公金の管理に関しまして、東京都は、ペイオフ解禁後に向けて、新しい公金管理のことに関する検討委員会を、外部の方々、学者さんとか、そんな方々を交えてつくりました。そこで打ち出したことで、注目すべきことが幾つかございます。
 まず、ことし四月から一千万を超える定期性預金については必ずしも全額保証されないということに関連いたしまして、東京都が打ち出したのは、今都市銀行を中心に二十行に運用を任せているが、これを六段階にランクづけして、一番ひどいところは直ちに取引を停止する、ちょっとましなところは新しくは預金しない、そういうふうな六段階に変えることにいたしました。それではねられるところも出てくるわけでございます。自己資本比率八%でもだめで、一〇%以上ないとだめだとか、いろいろ打ち出しているのですが、このことについて。
 東京都というのは非常にまた特殊な自治体ではございますが、ほかの自治体でも、いろいろ公金管理という意味で考えているところはある。ただ、大口の預金者としてそう考えることは当たり前なんだけれども、それが金融不安を生み出したり、あるいは地域の商工業育成にマイナスになったりするおそれがある。その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
村田副大臣 ペイオフの解禁まで一カ月を切りまして、私どもも、ペイオフの趣旨、あるいはどんな仕組みになっているかということのPRを一生懸命やっているところでございまして、そういう中で、東京都が、公金を管理する金融機関についての、今委員が御指摘のような方針を打ち出したということを聞いております。
 私どもとしましては、総務省でも、二月の八日に全国の地方公共団体の担当の課長を集めまして、ペイオフに向けてどういう対応をすべきか、そういう指示をしたというふうに聞いております。その中で対応策というものを具体的に指示されたようでありますが、我々としましては、今委員が御指摘の東京都のような措置によりまして、もちろん、公金を預かる立場として公金の保護は必要でありますけれども、それが過度の、そうした今委員の御指摘のような問題点を惹起しないようなことについては、冷静な対応をお願いしたいということを要請したところでございます。
松島分科員 さらに、来年四月に、一般の預金、当座預金や普通預金もペイオフの対象になる。こうなると、結構いろいろなことが起こるのでございます。
 ちなみに、東京都の場合は、収納代理金融機関が二百二十九に及んでおります。東京に本支店のある金融機関全部を指定しておりますので、二百二十九ある。そして、一日に百二十二億円のお金が滞留しているわけですね。都税を納めるとか都立学校の授業料を納める。これはやはり、本当に小さいところも弱小のところもありますから、何とかしなきゃいけないということで、随分切っていくことになりかねない。
 その時点で、東京都の検討委員会自身が要望項目で出しているんですが、国に対して、公金は一千万を超しても保護の対象とならないのか。そもそも公金も一千万以上だと、普通のプライベートな預金と同じように、普通の大口預金と同じようにだめだということにしたのが問題じゃないかという、提案というか要望を出しているんですが、私もそれは考えなきゃいけない問題と思いまして、来年四月、より一層深刻になる問題についてどうお考えか、国としての対応をお聞かせください。
村田副大臣 収納代理機関にとりあえずたまるお金というものは、公金でございますけれども、それはどういう形で各収納代理金融機関にたまるのかということについて考えてみますと、多くの場合、流動性の高い預金として集められるんじゃないか。そういう意味で、当座性の高いそういうものであれば、ペイオフはとりあえず一年先になる、こういうことでございます。
 あと、地方公共団体の公金については特別の措置を講ずべきではないかということですが、預金保険自体はそもそも零細な預金者を保護するという趣旨にありまして、一昨年、金融審議会でその取り扱いを決定する前は、地方公共団体の公金につきましては預金保険の対象外、こういう形に実はなっていたのでございます。それを金融審議会でどうしたらいいかということを検討した結果、一般の企業、法人等の預金と変わらない扱いが必要である、こういうことで、預金保険の対象として、四月からについてはとりあえず一千万円までが保護される、こういうことになったわけでございます。
 しかしながら、公共団体といえども自己責任ということでございますので、情報を集め、あるいは相殺の取り扱い、あるいは運用の仕方を考えて、公金の安全な運用に努めていただきたい。むしろ、地方公共団体はプロである、そういう観点に立って、しっかりした運用に努めていただきたいというふうに思います。
 もちろん、私どもとしては、預金をお預かりする金融機関の財務内容の健全性については、今後とも、検査あるいは監督を通じまして、ペイオフに備えてしっかりした銀行をそろえていきたい、こういうふうに考えております。
松島分科員 最後に一点だけ要望させてください。
 安全に努めるというのはいいんですが、来年、平成十五年四月までの一年余りの間に、全国で、自治体の収納代理金融機関から、非常に多くの信金や信組、力のないところが除外される可能性が、それは安全にと思えば思うほど可能性がある。そうした場合、地域のそれらの金融秩序、もうそこから、ああ怖いということでみんなが引き揚げるというような物騒なことが起こりかねませんので、それについては、もちろん、安全と同時に、地域の金融秩序並びに商工業の維持、振興という意味で、どうするかということは、金融庁と総務省、それから経済産業省、一緒になってしっかりと一年ぐらい考えていただきたいテーマだと思っております。よろしくお願いします。
亀井主査 これにて松島みどり君の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午前十時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時四分開議
亀井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合所属の本務員の出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 他に質疑の申し出がありません。
 これにて本分科会所管の審査はすべて終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後五時五分散会


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