衆議院

メインへスキップ



第1号 平成16年3月1日(月曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成十六年二月二十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊吹 文明君    倉田 雅年君

      松岡 利勝君    井上 和雄君

      池田 元久君    遠藤 乙彦君

二月二十七日

 松岡利勝君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十六年三月一日(月曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 松岡 利勝君

      伊吹 文明君    倉田 雅年君

      井上 和雄君    池田 元久君

      岩國 哲人君    小林 憲司君

      須藤  浩君    長妻  昭君

      遠藤 乙彦君    大口 善徳君

      太田 昭宏君

   兼務 小泉 龍司君 兼務 照屋 寛徳君



    …………………………………

   国務大臣        

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   福田 康夫君

   国務大臣        

   (国家公安委員会委員長)

   (青少年育成及び少子化対策担当)         

   (食品安全担当)     小野 清子君

   国務大臣        

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   国務大臣        

   (沖縄及び北方対策担当)       

   (個人情報保護担当)

   (科学技術政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣        

   (金融担当)    

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣        

   (規制改革担当) 

   (産業再生機構担当)   金子 一義君

   国務大臣        

   (防災担当)       井上 喜一君

   内閣官房副長官      細田 博之君

   内閣府副大臣       伊藤 達也君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   内閣府副大臣       中島 眞人君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   内閣府大臣政務官     森元 恒雄君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   参議院事務総長      川村 良典君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 天野英太郎君

   裁判官訴追委員会事務局長 高田 健一君

   国立国会図書館長     黒澤 隆雄君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   最高裁判所事務総長    竹崎 博允君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  東  良信君

   政府参考人 

   (宮内庁次長)      羽毛田信吾君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   安江 正宏君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    五味 廣文君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           三沢  孝君

   内閣委員会専門員     小菅 修一君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  伊吹 文明君     岡本 芳郎君

  井上 和雄君     肥田美代子君

  池田 元久君     長妻  昭君

  遠藤 乙彦君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     西村 康稔君  

  長妻  昭君     岩國 哲人君

  肥田美代子君     加藤 尚彦君  

  大口 善徳君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  西村 康稔君     奥野 信亮君

  岩國 哲人君     篠原  孝君

  加藤 尚彦君     小林 憲司君   

  古屋 範子君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     伊吹 文明君

  小林 憲司君     須藤  浩君

  篠原  孝君     池田 元久君

  太田 昭宏君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  須藤  浩君     井上 和雄君   

  古屋 範子君     遠藤 乙彦君

同日

 第五分科員照屋寛徳君及び第八分科員小泉龍司君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

松岡主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算及び平成十六年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。羽毛田宮内庁次長。

羽毛田政府参考人 平成十六年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成十六年度における歳出予算要求額は六十九億二千六百八十三万七千円でありまして、これを前年度当初予算額六十九億八千三百六十一万三千円と比較いたしますと、五千六百七十七万六千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十三億三百二万二千円、皇族に必要な経費二億九千九百八十一万五千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費六億二千六百八十一万七千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十六億七千六百二十万五千円でありまして、前年度に比較して五千八百九十一万一千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して二百十三万五千円の増加となっております。これは、寛仁親王第二女子瑶子女王が平成十五年十月御成年に達せられたことに伴うものであります。

 以上をもちまして平成十六年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、皇室費については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成十六年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十六年度の国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は六百七十三億七千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十億三百万円余の減額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、六百四十六億六千万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費であります。

 増加した主なものは、議員外交充実強化経費、新議員会館整備を民間資金等活用事業として実施するために必要な業務支援委託費、民間資金等を活用した赤坂議員宿舎整備等事業費等及び衆議院名誉議員胸像設置経費でございます。

 一方、減少した主なものは、議員歳費、議員秘書手当及び職員の人件費等でございます。

 第二は、本院の施設整備に必要な経費でありまして、二十六億八千四百万円余を計上いたしております。

 この主なものは、新議員会館を民間資金等活用事業として整備する方向での実施設計及び発注条件の検討に必要な経費並びに本館本会議場硝子屋根、国会審議テレビ中継装置及び本館等庁舎の整備等に要する経費でございます。

 第三は、改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れに必要な経費でありまして、二千万円余を計上いたしております。

 第四は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度より四千八百万円減の七百万円を計上いたしております。

 以上、簡単ではございますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

松岡主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。川村参議院事務総長。

川村参議院事務総長 平成十六年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十六年度国会所管参議院関係の歳出予算額は四百二十四億九千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四億四千九百万円余の増額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、四百一億四千八百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費であります。

 前年度に比較し五億三百万円余の増額となっておりますが、これは、主として、第二十回参議院通常選挙の実施に伴い必要となる経費、決算審査充実のためのODAに関する専門調査団の派遣に必要な経費の計上等によるものであります。

 第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十三億四千四百万円余を計上いたしております。

 これは、新議員会館の実施設計、発注条件検討、傍聴参観テレビ中継施設の本体工事、テレビ中継施設機器整備及び本館その他庁舎等の整備に必要な経費であります。

 第三は、改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れに必要な経費でありまして、九十一万円を計上いたしております。

 第四は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。

 以上、平成十六年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

松岡主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。黒澤国立国会図書館長。

黒澤国立国会図書館長 平成十六年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十六年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は二百四十億六千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億九千二百万円余の増額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、管理運営に必要な経費、すなわち、人件費及び事務費等であります。その総額は二百八億五千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億八百万円余の増額となっております。

 これは、主として、退職者数の増に伴う退職手当の増額によるものであります。

 第二は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、九億五千六百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、四千八百万円余の増額となっております。

 これは、科学技術分野の主な外国雑誌の電子ジャーナルを拡充するための経費の増額によるものであります。

 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、二十億九千五百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、二億二千八百万円余の減額となっております。

 第四は、平成十三年度補正予算(第二号)により支出いたしました改革推進公共投資国立国会図書館施設費の償還金でありまして、一億六千四百万円余を計上いたしております。

 以上、平成十六年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

松岡主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。天野裁判官弾劾裁判所事務局長。

天野裁判官弾劾裁判所参事 平成十六年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十六年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は一億一千八百三十八万円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百三十八万円余の減少となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

松岡主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。高田裁判官訴追委員会事務局長。

高田裁判官訴追委員会参事 平成十六年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十六年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は一億三千七百三十万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二百六十四万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費、その他の事務費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、国会所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。竹崎事務総長。

竹崎最高裁判所長官代理者 平成十六年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十六年度裁判所所管歳出予算の総額は三千百五十六億二千七百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千百七十八億三千百万円と比較いたしますと、差し引き二十二億四百万円の減少となっております。

 次に、平成十六年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官、書記官及び家裁調査官の増員であります。

 司法制度改革を推進するに当たり、裁判所の人的充実が強く求められていることを踏まえ、増加し、かつ、複雑困難化している民事関係事件等の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判官五十二人、書記官五十二人、家裁調査官五人、合計百九人の増員並びに振りかえによる書記官百四十人及び家裁調査官十人の増加をすることとしております。

 他方、平成十六年度には四十七人の定員を削減することとしておりますので、差し引き六十二人の純増となります。

 次は、裁判事務処理態勢の充実に必要な経費であります。この経費として総額二百七十三億三千三百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、知的財産権関係事件の事務処理態勢の充実を図るための経費として七千六百万円を計上しております。この中には、専門委員経費、専門研究経費等が含まれております。

 第二に、民事関係事件の事務処理態勢の充実を図るための経費として百十一億三千万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員経費等が含まれております。

 第三に、刑事訴訟事件の事務処理態勢の充実を図るための経費として九十億六千五百万円を計上しております。この中には、国選弁護人報酬等が含まれております。

 第四に、家庭事件の事務処理態勢の充実を図るための経費として六十九億八百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 第五に、裁判運営態勢の強化を図るための経費として一億五千四百万円を計上しております。この中には、調停官経費、地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会の経費等が含まれております。

 さらに、裁判所施設の整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として九十二億六千四百万円を計上しております。

 以上が、平成十六年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。森下会計検査院長。

森下会計検査院長 平成十六年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。

 会計検査院の平成十六年度予定経費要求額は二百二億七千百五十九万余円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の検査業務及び一般事務処理を行うために必要な経費であります。

 この要求額の内容について申し上げますと、人件費として百三十八億二千百万余円、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う仮庁舎経費として三十二億八千万余円、その他の経費として三十一億六千九百万余円を計上いたしました。

 これらには、会計検査機能を充実強化するため、決算検査報告の早期提出や行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための検査要員の増強等、有効性検査、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等の充実を図るための検査活動充実強化経費、検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修の充実を図るための研究・研修経費が含まれております。

 以上、簡単でありますが、会計検査院の平成十六年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。福田内閣官房長官。

福田国務大臣 平成十六年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成十六年度における歳出予算要求額は九百二十九億三千百万円でありまして、これを前年度当初予算額九百三十一億一千三百万円に比較しますと、一億八千二百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として八百二億二千万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億二千六百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百十六億八千五百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成十六年度における歳出予算要求額は五兆五千九百四十四億六千六百万円でありまして、これを前年度当初予算額五兆六千六百十四億七百万円に比較しますと、六百六十九億四千万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、その主なものについて御説明いたします。

 内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策、青少年の健全育成、男女共同参画社会の形成の促進、国民生活行政、食品安全の確保、沖縄対策、沖縄振興開発、防災対策、原子力安全対策、政府広報、国際平和協力業務、化学兵器禁止条約の実施、北方領土問題対策の推進、京都迎賓館(仮称)の整備等のための経費として三千九百六十億一千七百万円、宮内庁には、皇室の公的御活動、皇室用財産の維持管理に附帯して必要となる事務等のための経費として百八億三千三百万円、公正取引委員会には、迅速かつ実効性のある法運用、競争環境の積極的な創造、ルールある競争社会の推進等のための経費として七十八億一千九百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千五百九十八億九千二百万円、防衛本庁には、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費として四兆三千二百八十三億三千八百万円、防衛施設庁には、基地周辺対策事業、在日米軍駐留経費負担及びSACO関連事業等のための経費として五千七百四十二億八千万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融機関等の監督、証券取引等監視委員会の運営等のための経費として百七十二億八千七百万円を計上いたしております。

 以上をもって、平成十六年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 金子国務大臣以外の大臣は御退席されて結構です。

    ―――――――――――――

松岡主査 内閣所管について質疑の申し出がありますので、これを許します。大口善徳君。

大口分科員 金子大臣、よろしくお願いいたします。

 今回、二月二十七日に地域再生推進プログラムが決定されました。これはもう地域においても大変期待をしておることでございまして、我が静岡県におきましても、静岡政令県構想、それと奥大井・南アルプスマウンテン構想、この二点、申請をいたしました。

 そして、奥大井・南アルプスマウンテン構想については、国立公園の拡大と三項目を認められたわけでございますけれども、静岡政令県構想、これにつきましては、権限の移譲九十二件あるわけでございますけれども、これが支援措置は全く行われない、こういう回答であったわけでございます。

 御案内のとおり、この政令県構想というのは、これは静岡県県知事が熱心に研究されて、そして静岡県内政改革研究会、こういう研究会を立ち上げて、昨年の十一月に報告書もあるわけでございます。これは、この地方分権の大きな流れ、そしてまた国と地方の内政の機能の最適化、そのために再構築をしていく、こういう非常に意欲的な試みでございます。

 来年、静岡市が政令指定都市に向けて、今その予定でございます。静岡県で初めての指定都市が来年の四月に誕生します。また、平成十九年の四月には、西部を中心にしまして二番目の指定都市が誕生する。今、静岡県は、この指定都市に対して、法定の権限以外に思い切って権限をこの政令指定都市に移そう、こういうことをやっておりまして、県の事務を大幅に移譲する、こういうことで、総合的に地域の課題に対応できるように移譲をする、こういうことでございます。

 また、新型の指定都市というふうにこれは言っておるんですが、それ以外に広域連合というものを設けまして、そして、この広域連合に新型の指定都市と同様の機能を担うように権限も移す。そして、県の本庁、それから出先機関、県の行政センター、健康福祉センター、農林事務所、土木事務所、こういうものを移譲していくということで、かなり踏み込んだ県内の改革を打ち出しておるわけです。

 そして、県におきましても、それこそ、人口、面積、あるいは県内総生産、一人当たりの県民所得、あるいは財政力指数、県によって大規模もあれば中規模もあれば小規模もある。ですから、やはり都道府県の格差に合わせて、一定以上の規模、能力を備えた府県については、それこそ現在地方支分部局等が行っている国の事務を法令により移譲する、これが政令県構想でありまして、そして今の都道府県でも、ある程度の規模のものはこれは政令県に移行する、それから小さな県については、例えば合併によって政令県に移行する。

 そしてさらに、静岡県のこの構想というのは、道というものを、これは政令県よりも人口が多い、面積が広いというものでございますけれども、こういう道というものを考えて、そして産業政策あるいは交通政策の内政に係る国の事務をすべて付与する、こういう道の構想も立てておるわけでございます。

 そこで、今回のことにつきまして、この静岡県の政令県構想につきまして、九十二件の権限移譲につきまして、大臣、地域再生本部としてどのような方針でこれに対応されたのか、それから採用できるものがなかったのか、どういう点が問題点なのか、こういうことをまずお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 御指摘のとおり、静岡県の今度の政令県構想というのは、私は画期的なお考えだと思っているんです。中身を、知事にもおいでいただきまして、よくお話を伺いました。将来の道州制がこの中にちゃんと入っているんですよね。そういう意味で画期的な構想だと思いますし、知事の意欲というものは本当に感じさせていただきました。

 ただ、今おっしゃいますように、権限の移譲という意味では、九十何件でしたか、九十二件だったですね、六件はどうも多分、今まださらに検討しているところがあるんですけれども、権限を移譲できるという状況というのが今出てきております。

 ただ、大口先生、これは、単に権限を一つ一つ、ワン・バイ・ワンで移譲していく話なのかということよりも、知事のお考えというのはそもそも、やはり道州制の一つのプロセスとしてとらまえている。だから、第一段階、今のような政令県、指定都市、そして次は道州制という意識がお考えの根底にあるんですね。プロセスの一つだと。そういうことになりますと、北海道も今議論がありますけれども、全体としてそういう地方と国のあり方をどうするのかという、改めて地方自治体と国のあり方の枠組みとしてとらまえてあげないと、何件か権限は移譲したけれども中途半端なものになっちゃうんじゃないでしょうか。

 私は、そういう意味で、この問題というのは、今回はちょっと口火を知事も切らせていただいたけれども、いずれ私自身としては地方制度調査会という場でこれをきちっと取り上げてもらって議論をしていきたいテーマだと思うんです。

 もう一つ、余談ついでで恐縮でありますけれども、静岡県というのは、道州制というのを考えた場合に、さあ、中部ブロックなんだろうか、関東ブロックなんだろうか。先生のお地元は……(大口分科員「中部ですね」と呼ぶ)中部でしょう。浜松や遠州なんというのは明らかに経済的にも中部だろうけれども、それより東は多分関東圏。だから、国の支分部局も二つに分かれていますよね。

 それで、今までの道州制の議論というと、何となく中部ブロックとか東北ブロックとかいうのが固定していましたけれども、東北の方でも、山形を除いた東北三県で一つのブロックをつくりたいといったような考え方。静岡も、そういう意味では中部とか関東とかいうことを超えて、新たな道州制のような地域を考えていく一つの手がかりだと思っておりまして、それだけに非常に大事な御提案だと思っているんです。

 だからこそ、地域再生チーム、短い期間でどうするという、単なる権限移譲、何件できたということではなくて、もっと大きなテーマで取り上げてあげた方が県の知事の御意向にもかなってくるし、我々政府としても、そういうテーマとしてきちんと議論をしてみたいと思っております。

大口分科員 今大臣から御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 本当に、そういう点では、国と地方の内政の機能の再配置、再構築という、内政構造改革という非常に大きなテーマであるわけです。ただ、今現実にこの議論が、いよいよこれから平成の合併が終わって、今進行中でありますけれども、その次の大きなテーマになるわけです。そういう点では国民的議論をしなきゃいけないわけですが、今ある現行のスキームの中で、やはり芽出しをしたいといいますか、この政令県構想という構想のもとで芽出しをしたい、この知事の思いもある、こう思っておるんです。

 そういう点で、今、六月の二次募集に向けて静岡県も検討しておるようでございます。それにつきまして、留意点等ございましたら、お願いしたいと思います。

金子国務大臣 とりあえずできる部分を進めていくというのは、あの九十二件の構想の中で、既に権限移譲六件、進めるという方向で省庁間で議論してもらっていますけれども、できるところはやっていった方がいいと思います。

 ただ、繰り返しますけれども、一部権限移譲したからといって、あの政令指定県構想というのが全部実現できるというわけではないので、そういう権限移譲できる部分と、それから全体の政令県都市、静岡県知事が御提案されるような趣旨と、ある意味二段構えで進めていったらどうかと思っております。

大口分科員 また、今、北海道道州制特区構想、これが小泉総理から御提案があった、そして、竹中大臣にしっかりと前向きに検討するように、こういうお話があったと聞きます。総理から竹中大臣にどのような御指示があったのか。そして、今現在、北海道におきまして鋭意これは検討をしております。北海道がまずみずから考えなさいということで、一生懸命今検討しておるわけでございますが、その構想の今後の見通し、スケジュール、伊藤副大臣にお伺いしたいと思います。

伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 地方分権の進展に伴い、道州制や都道府県合併など、将来的な広域自治体の姿については、大口先生からも静岡の構想について御紹介をいただいたわけでありますが、幅広く議論がされておるわけであります。

 そうした中で、北海道は、その規模や地理的条件などから、こうした検討を独自に先行させることが可能な条件を有しているというふうに考えております。経済財政諮問会議においては、昨年の十二月、北海道知事から道州制特区のアイデアを御紹介いただいたところでございますが、会議では、総理から、北海道より提案がなされたことを評価するとともに、これを支援する旨の御発言があったところでございます。さらに、去る一月十九日の総理の施政方針演説においては、北海道が地方の自立・再生の先行事例となるよう支援する旨の表明がなされております。

 これらを踏まえ、内閣府におきましては、北海道との連絡に当たる担当を指定するなど支援体制を整備したところであり、今後とも、北海道と緊密な連絡を図り、具体的な成果が上がるように適切に対応していきたいと考えております。

大口分科員 では、伊藤副大臣、これで。ありがとうございました。

 今、北海道道州制特区構想ですね、鋭意検討されておるわけでございますが、これも大きな構想なんですよ。ただ、やはり今、現行のスキームでいきますと、地域再生本部に対してプログラムを応募する、こういうことが考えられると思うんですね、権限の移譲等あるいは規制緩和等。それにつきまして、もしこういうものが出された場合、金子大臣としてどのように対応されますか。

金子国務大臣 地域再生の方ではなくて、今、竹中さんの方でこれは検討している、それから調査費もつけているということでありますので、実は、我々のチームでは余り細目の検討を議論していないんです。

 ただ、今御指摘のように、特区で申請が出てきたらどうするのか、受けるのか。先ほど申し上げたように、特区で申請できる状況というのは、それなりに、自治体あるいは北海道庁といったような、ある意味整理がついてでなければ上げられてこないと思うんです。ですから、そういう状況を自治体が済ませて、整理をされて上げてこられるというところまで来るならば、検討としてはあり得るのかと思うんですが、しかし、先ほどちょっと静岡県の政令県都市構想もそうなんですけれども、やはり国全体の枠組みの問題でありますので、これは単に北海道だけでないんでしょう。静岡県も当然議論としてあるんだろうと思っているんです。

 これは、地方制度調査会でこの問題は議論をするという方向になっておりますので、逃げないんです。逃げないんですけれども、むしろ、まともにきちんと調査会で議論していただいた方が、単に道だけの話ではなくて、全国のこういう地方分権と道州制に絡む話なものですから、地域再生の何か特区の案件というよりは、どうでしょう、やはりきちんとあり方はどうするんだということを議論していただいた上で特区で申請をしていただいた方が、私自身は望ましいと今のところは判断をしております。

大口分科員 また静岡県の政令県構想に戻ります。

 これにつきまして、地方分権を推進する総務省のこの構想についての評価、これをお伺いしたいと思います。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 静岡県の政令県構想についてのお尋ねでございますが、静岡県から御提案がございました政令県構想とは、先生もよく御承知のことかと存じますが、指定都市制度と同様に、一定の人口と行財政能力を有する府県を政令県として位置づけまして、国の地方支分部局等が有する一定の事務権限の移譲を認める措置を講ずることを内容とするものというふうに承知しております。

 今後の我が国のあり方を考える上で、国は国がやるべきことに専心し、地方にできることは地方にという地方分権の原則のもと、国、地方を通ずる行政の構造改革を進めることが大切であるというふうに考えております。そのためには、地域住民のニーズを的確、迅速に把握しまして、行政に反映させることが重要でございまして、できる限りその事務権限を地方に移譲することが必要であろうというふうに考えております。このような事務権限を地方に移譲するという観点から考えますと、静岡県の構想は意義のある提案ではなかろうかというふうに私ども考えております。

 また、その実現の手法として地域再生の枠組みを活用するというふうにされておりまして、これも現実的な対応をしておられるんじゃないかというふうに考えております。

 総務省といたしましては、今後とも、国から地方により多くの事務権限が移譲されるよう積極的に取り組んでまいる所存でございます。

大口分科員 次に、構造改革特区についてお伺いをしたいと思います。

 構造改革特区の目的は、経済の活性化のための規制改革を行うということでございます。民間の活力を最大限引き出すということがまた目的でもあります。規制改革は民間事業者にとってメリットが大きいと考えられるわけでありますが、特区における規制改革の提案が民間からのものが少ない、こういうふうに聞いております。

 どれぐらい今まで民間からの提案があったのか、そしてまた、民間からどのような提案が採用されているのか、また、代表的な事例をお伺いしたいと思います。さらに、民間の提案がもっと多く出されるようにどうこれから対応していかれるのか、金子大臣にお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 御指摘のとおり、まだ民間、我々の認識でも、御提案いただいているのが少ないなと。全体件数で、第四次では百二十二件、これまでの累次三百五十件、やはり提案数の約三割にとどまっております。これは御指摘のとおりなんです。

 ただ、大口先生、民間の方は、自分で提案できないという、まだこれは市町村がやるものだという意識が、つまり逆に言えば民間の方がみずから提案できるんだというところが、我々のPR不足、まだ知られていないという部分が相当あります。

 先日行われました岩手県の遠野タウンミーティングでも、このことを、民間でもできるんですよと私お話ししましたら、ああ、そうなのと、皆さんちょっとびっくりしていました。今までは、市町村長が大体やるか、県がやるかというふうに御理解されていたようで、我々、これはまだ十分周知させ切れていないなと。既に担当の室は、全国のJC、青年会議所ですとか、それから各地区行きまして、それぞれの地方説明会やっているんですが、まだ不十分だなと。これはいろいろな場を通じて、民間の方でもできるんですと。

 これまで出てきた案件の代表例をという御質問でありますが、例えば株式会社で学校を設立できる、これはもう認可が出てまいりました。

 それから、大谷町、大谷石を掘り返しちゃって穴があいちゃったまま、ここのところは民間の事業者の方が提案しまして、廃棄物、一般廃棄物、家庭ごみ、ふん尿、こういうものを溶かした後の、溶融スラグというんですけれども、これを粉末にしまして穴に埋めるということを提案されてきました。地区の協議会の皆さんと協議して、これは今度、ゴー、オーケーとなりました。

 あと幾つか、大きなマンションであれば、エコレンタカーというのをマンションの中に置いておきまして、それをマンションの住民の人たちがだれか管理して、これから仕組みをつくるんですけれども、シェアリングできるというような民間の提案もある。

 幾つか出てまいりましたけれども、御指摘のとおり、まだまだ民間の方に提案していただいて、市長がやるんじゃない、知事が異論を示したからといって、それでもって上げられないということではないということを周知徹底させていきたいと思っております。

大口分科員 やはり民間の知恵というのは、もう生きるか死ぬかで一生懸命今考えておられるわけですから、もっと民間の知恵を特区構想の中で生かしていけば、またすごいことになるんじゃないかと私は思っております。

 次に、幼稚園と保育園の一元化、いわゆる幼保一元化はこれまで長い議論がされていました。私どもは首長さんとお話ししますと、必ずこの幼保一元化についての強い要望があります。所管の省庁が文部省と厚労省ということで違うことから、この幼保一元化を進めようとすると補助金の返還等の問題が生じる、これが大きな問題であったわけでございます。今回の特区でどのような取り組みがなされているのか、その対応についてお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 全国で二十四件でありますけれども、この幼保一元化特区、幼稚園と保育園それぞれに、幼稚園は幼稚園で保育園児教室をつくって幼保一元、逆に保育園は保育園で幼稚園の部屋もつくって合同教育する、あるいは合同保育というんでしょうか、合同活動してもいいという、全国で二十四の特区が出てまいりました。

大口分科員 坂口厚生労働大臣等に大臣も働きかけられたようでありますけれども、そこら辺をちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

金子国務大臣 最初に幼保一元化をしたいという特区が岐阜県の瑞浪市で出てまいりました。地元のお父さん、お母さんから見ますと、幼稚園は近いけれども保育園は遠い、逆に保育園は近いけれども幼稚園が遠い、そういうことで非常に不便である、何とか一元化してほしい。特区では認めたんです。

 ところが、特区で認めたから行けるだろうと思ったらば、厚生省が、保育園に使った補助金をそれなら返還しろと言ってきたんですよ。これは幾ら何でも同じ国の金でしょうよというんで厚生省に初め言ったんだけれども、補助金は目的外使用はできません、返還はやはり返還ですという話があったんで、坂口厚生大臣とかけ合ったんです。彼はすぐぴんときたんですね。そんなもの何やっているんだということで事務方を説得してもらいまして、坂口大臣と私の間で、彼がすぐ反応してくれまして、補助金の返還要せずということを彼も決断をしてくれて、全国で第一号でありましたけれども、おかげさまで幼保一元化が実現できました。

 これがきっかけになりまして、全国的な幼保一元の展開、つまり幼稚園、保育園、あるいは幼保が一体となった総合施設、これは初めは文部省も厚生省ももう少し先だったんですけれども、前倒しして十七年から実験的な施設、十八年からもう全国的な措置で行こうというきっかけをつくることになった。そういう意味では、坂口大臣、大変力強い働きをしていただいたと私は評価しております。

大口分科員 特区で講じた規制改革は、特区のみではなく全国に展開していくことが日本全体の活性化に重要だと考えます。今後、特区での規制改革をどのように全国展開していくのか。その規制改革の評価を本年四月から本格的に着手すると聞いておりますが、その評価と全国展開を迅速に行うことが重要である、こう考えます。今後の見通し、また金子大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 まさに、大口先生が御指摘いただいた、また今御意見をいただいたとおりだと思っておりまして、御指摘のような方向で進めたい。一年たったらば、一年後、半年以内に評価をして、特に障害、問題がないものについて、半年以内に評価させてもらいまして、そして全国展開に移行していくというプロセスを今つくらせていただいているところであります。

大口分科員 大変ありがとうございました。

 きょう大臣が御答弁いただきました中で、静岡県が今度六月の第二次募集で、検討してまた出させていただくということでございます。六分野については前向きにということでございました。そこら辺についてのお話を最後にお伺いさせていただいて、質問を終わりにしたいと思います。

金子国務大臣 六分野についてまだ必ずしもゴーサイン、各省庁から了解ということにはまだ煮詰まってないようでありますけれども、しかし、静岡県のせっかくの要望でありますので、できるものは順次やっていきたいと思っております。

大口分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

松岡主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。長妻昭君。

長妻分科員 民主党の長妻昭でございます。

 非常に重要な、憲法でも規定をされております会計検査について質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、今皆様にお配りがなされている会計検査院の予算要求説明書、これ、ほかと比べますと全然誠意がないような、会計検査院、これっぽっちの概要の説明書ということでありますけれども、宮内庁とかほかの役所に比べて数字が、明細がほとんどないということで、もっと明細を提出し直していただけますか。

森下会計検査院長 例年の例に倣いまして御説明をさせていただいたわけであります。(長妻分科員「もう一回提出し直して」と呼ぶ)国会、委員会の方でお決めになりますれば、そのように従いたいと思います。

長妻分科員 では、ぜひ来年はちゃんと、もうちょっとまじめに書いていただきたいと思います。

 そして、警察の捜査費、今問題になっておりますけれども、これは今の時点では検査計画の策定はもう済んでいるという認識でよろしいですね。

森下会計検査院長 警察予算に対する検査というのは、これは毎年行っておりまして、警察庁の予算の中で、いろいろな物品の調達であるとか、いろいろな予算項目がございます。その中の報償費、捜査費も検査の対象といたしております。したがいまして、それら全体を考えまして、検査計画として取り組んでいるということでございます。

長妻分科員 もう警察官に対する事情聴取というのはされたんですか。

森下会計検査院長 個々の検査がどのような状況になっておりますかということにつきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

長妻分科員 報道によると、会計検査院が、この捜査費の領収書ですね、これを仮名による領収書も認める、こういうようなことが一部報道をされておりますけれども、それは事実でございますか。

森下会計検査院長 仮名、偽名による領収証書というのは好ましくないというのが私どもの考え方でございます。

長妻分科員 次に、官房機密費についてもお尋ねしますけれども、この官房機密費というのは、当然、機密費ということでなかなかわかりにくい部分でありますけれども、これを検査するときに、そうすると、世間に公表するかどうかは別にして、官房機密費を使うときには、後から検査が可能となるような、そういう書類は保管をしてください、これが大前提になるというふうに認識してよろしいんでしょうか。

森下会計検査院長 官房機密費につきましても書類の整備を適切にやっていただくということで、平成十三年の検査の際に改善の処置を求めました。そして、内閣におかれましても、そのような管理体制をとるというふうになっているところでございます。

長妻分科員 実際に改善はされましたですか。

森下会計検査院長 十四年四月一日からのそういう内部取扱規程の制定であったと思いますが、それらの実施状況については関心を持って今検査をしている。そういう検査に当たりましては……(長妻分科員「改善されてましたか」と呼ぶ)それを改善されているといいますか、その通達のとおり実施されておれば改善されているわけでございます。昨年の検査におきましても、それはそのように行われているというふうに聞いております。

長妻分科員 確認しているんですか。

森下会計検査院長 検査に当たりまして、それは確認をしているということでございます。

長妻分科員 そうすると、すべての機密費の支出に関して書類が整備されたというのは、平成十三年に注意をしたら、官房はきちっと改善をしたということを会計検査院は確認をしたということでよろしいですか。

森下会計検査院長 そのような改善がなされていると承知しております。

長妻分科員 そして、天下りの問題でございますけれども、私は、会計検査院、特に憲法でも規定された独立性の高い組織で、私も本当に期待をして、国民の期待も高い組織だというふうに考えております。ところが、いろいろ検査対象となるところに天下りをされている。それも、検査対象のところの、例えばその中で監査をするような部署に天下りをされているというようなことも漏れ聞くわけでございますけれども、今何人ぐらいが検査対象に天下りをされておられますか。

森下会計検査院長 現在そういう監査の職についております者の数は、まだ現在のところ、今手元に資料がございませんのでお答えはできませんが、後ほどまた御報告したいと思います。

長妻分科員 これ、質問できません、通告していますから。今調べてください。

松岡主査 通告しているんですか。

長妻分科員 通告しています。

松岡主査 それでは、院長、答えてください。森下院長。

森下会計検査院長 昨日の夜の十時にファクスで質問の内容が届きまして、けさからその作業を進めているわけでございまして、しばらくお時間をいただければありがたいというふうに思います。

松岡主査 では、長妻君、そのような事情でありますから、どうぞ質問をお願いいたします。

長妻分科員 そうしましたら、今現在、特殊法人等の内部で監査を担当する監事に天下っておられる方、これは何人かおられるということは確認されておられますか。

森下会計検査院長 私の記憶の中では、何人かそういう者がおりますことは承知しております。

長妻分科員 疋田検査院長という方が、予算委員会、九八年十月に我が党の海江田万里委員の質問で、天下りに関してこう答えられている。検査対象となり得るところの天下りについて、こう答えられているんですね。「国民の皆様に疑惑が生じることのないよう十分心しながら、適任者を推薦してまいりたいと考えております。」やめる気はないという御答弁をしているんですが、天下りの方が、検査のOBの方が、検査対象であるところの、それも特殊法人の内部の監査をやるような監事という役職に天下る、今もおられるということについて、これはもうやめた方がいい、自粛した方がいいと私は思うんですが、そういうふうにされますですか。

森下会計検査院長 いろいろな見方はございましょうが、私どもは、そういうそれぞれの公的な団体、法人の内部監査、そういう監事、監査役の重要性にかんがみまして、我々の会計検査院で培った経験や知識を活用して、その中の内部監査体制などを充実してほしいという御要望などがありましたら、それにおこたえをして、そのようなことに今なっているわけでございます。

 我々としては、疋田元院長が答弁をされましたように、そのことによって疑惑を招くというようなことはないように心がけていかなければならないという気持ちは同じでございます。

長妻分科員 次に、検査院にはこういう不文律があるということを聞きました。たとえ渋々でも、相手省庁が納得しなければ検査報告書には記載できないんだ、こんなようなことがありまして、別に相手省庁がこれは検査報告書に書かないでくれと言ったって、頼まれたって、検査院が独自に判断して書くのが、これはもう当たり前だと思うのでございます。

 あと、真島審議官という方も、これはマスコミ報道のインタビューでございますけれども、微妙な案件は見送ることもあるというようなことも発言されておられる。かつての中島検査院長も、これはマスコミのインタビューでございますけれども、金額が微小なもの、金額が大きくても事業全体の中での割合が低いものなど、それぞれに理由があり、相手省庁の意向もあり公にできないとか、非常に相手省庁との話し合いをして、相手省庁がこれは掲載するな、適正だと言い張った場合、会計検査院は、これはおかしいと思っても記載できないというようなことが言われておりますけれども、こういうことも多少はあるわけでありますか。

森下会計検査院長 会計検査院は、相手省庁が渋っているから検査報告に出さないというようなことはございません。会計検査院の意見あるいは所見というようなものが、これが証拠に基づいて妥当なものであるとなれば、そのようなものは検査報告に掲記しているところでございます。

長妻分科員 検査院の方から事前に検査のプロセスの説明を受けましたけれども、その中で、検査計画を策定して、検査を実施して、検査結果の分析、検討をして、そのときに省庁等に対して、関係者に対する質問等をする、意見を聞くということがありますけれども、その意見を聞いた後に検査報告から抜け落ちる、消えてしまう案件が何件かあるということを事前の説明でお伺いしましたけれども、これは大体、全体の、パーセント的にいうと二、三割はあるわけですか。

森下会計検査院長 そういったものをパーセンテージでとらえるというようなことはできないと思います。意見を聞いた後で検査報告から落ちるというようなとらえ方も、何といいますか、私どもとすれば、やや、ちょっと御理解がというふうに思いますが……(長妻分科員「ちょっと聞こえない」と呼ぶ)そのように、意見を聞いたら検査報告から落ちるというふうにストレートにおっしゃいますと、いや、実はそうではないんだと。

 我々もこのような事態をこう考えるんだけれども、その実際に実施されている省庁ではどういう考えを持って行われているのかということを、意見を闘わせる、議論をし合うという場を、そういう質問を発するということによって行っているわけでありまして、その中には、やはり我々の考えがまだ、もう少し、未熟であったなというようなものもございます。それから、いろいろな状況の把握もまだ不足しているなということで、それはそれなりの相手省庁の説明も理解できるという部分もあるわけでございまして、そういうものを総合的に勘案をして最終的な検査報告というのをまとめているわけでございます。

長妻分科員 そうしましたら、資料をいただければと思うんですが。

 平成十四年度決算におきまして、そういう意味では、省庁にヒアリングをして、ああ、これは会計検査院が実は間違っていたんだということで最終的に報告書に載らなかった案件というのは何件ぐらい、省庁別に何件あって、そして、その具体的中身は聞きませんけれども、落ちた理由を、会計検査院が勘違いしていたとか、そういう理由をお示しした資料を提出いただきたいと思います。

森下会計検査院長 会計検査院の検査は、そういった相手省庁とのいろいろな議論のやりとりをしながら進めていくわけでございまして、そこで落ちたとか、あるいは検査院が間違っていたというふうに結論づけられるものは実はございません。

 引き続き、さらにそういう検査を広げていって、資料をさらに収集して、さらに他の方々の意見も聞きながら、我々が考えようとしている方向が本当にみんなの納得のできるものになるんだろうかどうかというふうに、続けて、継続してやっているわけでございまして、その途中の段階での結果というものはお出しできないということでございます。

長妻分科員 いや、私が申し上げている趣旨は、それも含めて。ですから、関係省庁にヒアリングをして、ああ、これはもうちょっと検査が必要だなというので報告書に書かない、こういうのもありましょう。あるいは、会計検査院が、自分たちが間違っていたということで報告書に書かなかったものもありましょう。あるいは、ひょっとすると、私も真偽は知りませんけれども、省庁から強く頼まれて、本当は書きたいけれども書かなかったということもあるかもしれないから、そういう、ヒアリングをして報告書に書かれなかったその年度の件数と、その理由を省庁別にお示しください、その程度の資料は出していただけますか、そういうことなんです。

森下会計検査院長 今、その程度の資料というふうにおっしゃいましたけれども、それ自身非常に重要な内容を持つものでございまして、我々は、その相手省庁に対しましていろいろな手のうちを明かすということは、これから検査を進めていく上で非常に支障が生じるわけでございます。どのような形で……(長妻分科員「手のうちじゃない、件数だけ」と呼ぶ)いや、ただいまおっしゃいましたのは、手のうちのこともおっしゃいましたので、そのことについてはできませんということでございますが、件数につきましても、そういったことを一般的に公にするということは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

長妻分科員 そういう資料を出して、件数をせめて出していただかないと、やはり会計検査院は省庁から強く言われると記載しない、こういう疑いが広がりますよ。ぜひ、そういう件数、理由、これを提出いただきたいというのを再度お願い申し上げます。

 そして、もう一つ。検査院は、いろいろ検査の中身を変えていこうということで、効率性を求めたり、政策的なものにも踏み込んだり、制度の変更も提言するなり、そういうところまで行こうということを大きく華々しく打ち上げましたけれども、これはがっかりするわけでありますが、例えば、今問題となっております高速道路も、必要性が低い、この高速道路はおかしいんじゃないかとか、あるいは、年金の施設のグリーンピア、掛金でディズニーランドの何倍ものリゾート施設をつくってしまう、採算がとれる見込みもないのにつくってしまう、こういう大きなものにはなぜ切り込まないんですか。

森下会計検査院長 個々のいろいろな問題につきまして御答弁をするということは、時間もたくさんありまして……(長妻分科員「いや、個々の問題を聞いているんです、道路とグリーンピア」と呼ぶ)道路とグリーンピア。

 道路につきましても、その高速道路を建設することの便益でありますとか、そういうことについては検査、検討をいたしております。

 ただ、その道路の評価ということにつきましては、これはさまざまな意見があり、さまざまな問題点もあります。簡単に、要る、要らないというような結論が出るものではないということで、慎重に検討、検査を続けている。

 グリーンピアにつきましても、これまでそういう年金保養基地として全国に十数カ所設置されてきた、その運営状況についても関心を持って継続して検査をしてきております。そして、その運営の収支というのが、すべてのグリーンピアについて見ると芳しくないものもあるという指摘も過去にしてきております。

 そのような時点で一般の方の関心を引かなかったということは、我々のいろいろな広報活動が不足していたのかなと今反省をいたしておりますが、これからは新しい独立行政法人とかに移る段階になって、最終的な処分の方針が当局において閣議決定などに基づいてされているという状況でございます。これはまた、今後どのような状況になっていくのか、フォローはさせていただきたいというふうに思います。

長妻分科員 具体論で、高速道路のみに限ってお尋ねしますけれども、そうすると、必要性が低い、これは問題がある高速道路だ、こういう高速道路自身をつくることが、今検査を継続するようなお話がありましたけれども、そういうものの指摘も、時と場合によっては報告書に書くケースもある、こういうことでよろしいですか。

森下会計検査院長 高速道路の中でも、これまで取り上げましたのは、本四架橋の通行量の見込みが非常に過大であっただろう、したがって、現在通行量と比べると非常に問題がある状況になっている……(長妻分科員「道路をそのものをつくる、つくらない」と呼ぶ)ですから、道路そのものをつくる、つくらないという問題につきましては、その道路ができる前の意思決定であるとすれば、それは会計検査院としては、事後のチェックを本来の検査活動としておりますので、そのようなことはなかなか難しいのではないか。

 ただ、これまでできた高速道路を検査することによって、今後、そういう高速道路の建設を抑制するべきである、そういったような意見の形成に至ることはあろうかと思います。

長妻分科員 そして、お配りをした資料の二ページでございますけれども、私が出しました質問主意書の答弁書で、警備を民間委託可能な警備にすれば、中央省庁で年間一億三千百万円が浮く、こういうような答弁書を内閣からいただいたんですが、これはもう既に一億三千百万円削らせたんですか。

森下会計検査院長 質問主意書とその答弁のことでございますが、これは内閣が答弁をされております。そして、我々はその情報について承知しておりますけれども、そのことで直ちに会計検査院が処置をすべきだというふうな仕組みにはなっていないと思います。

 ただ、そういう情報ということは、検査に当たって貴重なものとして、参考にしながら検査を進めているわけでございます。

長妻分科員 そして、三ページに、これは文部省からお伺いしましたら、二〇〇二年度一年間だけで、予定価格と落札価格が一円たりとも違わない、全く同じ金額だった、これは予定価格は絶対外に漏れないはずなんですが、こういう神わざみたいなものが、一年間で、文部科学省だけで二千三百二十七件あったと。

 では、分母はどうだというと、一万二百六十三件で、何と全入札の中の二二%ぐらいがぴったり、予定価格と落札価格が全く一致している。

 それも、これは一部抜粋したわけですけれども、一社だけしか入札に応じていないのが五十一件ある。それでどんぴしゃ当たっているということで、これは予定価格の設定の仕方等々、談合以外の問題もあるんではないか思うんですが、これはぜひ検査に着手していただきたいと思うんですが、いかがですか。

森下会計検査院長 会計検査院といたしましても、公共工事の契約につきましては、従来から関心を持って検査に取り組んできているところでございまして、例えば新しい入札方式の導入でありますとか、いろいろな改善の措置がとられてまいりました。そのような実施状況がどうなっているかということも検査報告に平成九年度、平成十年度というふうに取り上げてまいりました。

 そういうものの中で、個別にそういう検査ができる機会があれば、それは検査をしてみたいと思いますが、談合につきましては、私ども会計検査院は直接そういうものを究明する立場にはございません。予定価格の積算が適切であるかどうかという検査、これは従前からもやっておりますし、これから引き続ききちんとやっていきたい、こういうふうに考えております。

長妻分科員 そうすると、機会があればやってみたいというお話ですけれども、ぜひやっていただきたいというふうに思います。

 そして、会計検査院法第三十一条によって、会計検査院は他省庁に懲戒処分を要請することができる、こういう権限もある。しかし、これは抜かずの宝刀といいますか、過去五十年間使われていないということを聞いております。

 特に今、年金問題が言われておりまして、その中の六ページの資料でございますけれども、これは実は、五ページ目にございます年金の給付誤りというのがあって、年金を払い過ぎちゃった、あるいは払うのを少なくしちゃった、こういう間違いがありまして、それを、ミスがずっと放置されていた。そのミスを回復するために、総計一億三千万円もの年金の掛金、政管健保の掛金でこのミスの修復、一億三千四百万円が使われた。こういう重大なことなんですが、これは懲戒処分が全くされていないんですね、社会保険庁の中では。これはぜひ懲戒処分要請の検討の検査をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

森下会計検査院長 ただいまお話に出されました会計検査院が行う懲戒処分の要求といいますのは、会計検査院法の規定によりまして、会計事務を処理する職員がそのような支払いのミスをしたという場合を想定しているわけでございます。

 今お示しのような事態は、年金の裁定業務、そういう行政……(長妻分科員「支払いですよ、支払い」と呼ぶ)支払いです。その支払いのもとになるのは、年金を裁定するという、そういう行政の決定があるわけでございます。それに基づいて会計機関がそれぞれの受給者に対して支払うということになっているわけでございまして、そのような支払いの事務に限定された部分での誤り、ミスがあれば、これは会計検査院が会計経理を監督するという立場から懲戒処分の要求ができるということで、行政上の一般的ないろいろな過誤等について、すべてについて懲戒処分の要求ができるという権限が設けられているわけではないのでございます。

長妻分科員 今申し上げたように、これは年金の支払いにかかわる事務ですよ、計算事務ですから。

森下会計検査院長 いえ、先ほども御説明しましたように、年金を支払うためには、年金をこの方に幾ら支払うべきかという年金額の決定というのがございます。その点に誤りがあった事態だというふうに理解しております。

長妻分科員 同じじゃないですか。会計事務じゃないですか。

森下会計検査院長 それは会計事務ということではなくて、行政事務でございます。

長妻分科員 その解釈はちょっとおかしいと思いますので、引き続き別の機会にやらせてもらいます。

 先ほどもちょっと申し上げました、民間に委託をすれば警備費が一億三千百万円浮く、これを実際実行しているかどうか、これはぜひチェック、検査いただきたいと思うんですが、いかがですか。

森下会計検査院長 今の質問主意書の答弁の中でそういう金額が出ているということは承知しておりますが、仮に計算をいたしましたとすればということでございまして、直ちにその金額が節減できるとか、そういうものではなかろうと思います。

 したがいまして、そういう警備の民間委託化がどのように行われているかは検査をしてまいる、それぞれの検査に当たっては関心を持って行っていきたいというふうに思います。

長妻分科員 ありがとうございます。

 そして、九ページでございますけれども、これも問題になりました特別昇給制度ということで、特に優秀な方は退職直前に俸給を上げて退職金に上乗せする、こういう制度でございまして、この九ページの資料は読売新聞が調査した資料でございますが、会計検査院は何と、二十五人退職の特別昇給の候補者がいたときに、二十五人全員が昇給しちゃった。これは人事院に聞いても、先週の月曜日の予算委員会の答弁でも、制度の趣旨をちょっと逸脱しているんじゃないかというような人事院総裁からの答弁もありましたけれども、お金を大切にして、チェックする会計検査院が全員を特別昇給させちゃったということに関して、今年度もやっているんですか。

森下会計検査院長 人事院規則に従いまして、特に優秀な勤務成績を持っている者で勤続二十年以上経過した者は退職時に一号俸をアップさせるということで、個別に検討しながらそのような取り扱いをしてきたわけでございます。

 十五年度につきましても同じような考え方でやっておりますが……(長妻分科員「何人」と呼ぶ)今年度は、現在のところの人数はすぐわかりますので後でお答えいたしますが、そういうふうなことで一号俸アップをさせている者がいることはそのとおりでございます。

松岡主査 では、確認の上、答えてください。

 長妻昭君。

長妻分科員 そうしましたら、今年度、平成十五年度は特別昇給の候補者が何人いて、実際特別昇給した人が何人おられるか、お答えください。

森下会計検査院長 十五年度は十二名です、三月までの現在では。

長妻分科員 候補者十二名のうち、十二名全員ですか。

森下会計検査院長 退職した者十二名でございます。

長妻分科員 十二名全員昇給した。

森下会計検査院長 はい、そういうことでございます。

長妻分科員 もう一回、ちょっと正しく言ってください。十二名が候補者で、十二名全員が特別昇給したということでよろしいんですか。

森下会計検査院長 はい、そのとおりで結構でございます。

長妻分科員 やはりこれはもう廃止をしないといけないと思うんですが、これは来年度は廃止いたしますか。

森下会計検査院長 人事院においても現在検討されているということでございますので、その検討状況あるいは人事院規則の改正がありますのやら、そういうことも踏まえまして、十六年度以降は適切に運営してまいりたい、こういうふうに考えております。

長妻分科員 いや、廃止をするのかしないのか。どうですか。検討するのか。

森下会計検査院長 基本的には人事院の所管事項でございます。それらを踏まえて運用するかどうかということでございます。

 会計検査院といたしましては、十六年度以降、厳密に運用するということで、廃止に近い状態に持っていきたいというふうに考えております。

長妻分科員 これで質問を終わりますけれども、自分たちのところは非常に甘い。こういう、人事院もおかしいと言っていることを十六年度も、やるかもしれないけれどもやらないかもしれない、それで管轄は人事院だと逃げておられるけれども、これはお金の問題ですから、税金でこれは払われるわけですから、間違いなくこれは会計検査院の管轄ですよ、今逃げの答弁をされましたけれども。

 身内に本当に甘い会計検査院というイメージがつきますので、最後だけですが、言いますが、平成十六年度はもうこれを廃止してください。どうですか。言えませんか。

森下会計検査院長 十六年度以降は廃止の方向で検討しているという趣旨を先ほど御答弁させていただいたつもりでございます。

長妻分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

松岡主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。

 午後一時に本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松岡主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣府所管について審査を進めます。

 金融庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉龍司君。

小泉(龍)分科員 自由民主党の小泉龍司でございます。

 竹中大臣、伊藤副大臣、大変長期間の衆議院予算委員会の御審議、御苦労さまでございます。あとしばらくでございますから、しばらくのはずでございますから、頑張っていただきたいと思います。

 来年の春のペイオフの完全解禁を控えまして、金融行政にとってやはり一番大きな問題は、地域金融機関のあり方。大手については、大分不良債権比率も下がってきた、めどがついてきた。地域経済が悪いということも含めまして、この地域金融機関のあり方というのが、恐らく今年度の金融庁の一番大きな課題であろうと思います。

 予防的な公的資金の注入等につきましては、別途財務金融委員会で議論をさせていただくといたしまして、きょうは、少し個別の問題にもわたりますけれども、銀行監督の問題、それから地域金融機関のあり方の理念としまして、リレーションシップバンキング、これを大臣が、あるいは金融審が言っておられますので、それが実際にどういうふうに現場でなっているんだろうか、こういう観点から、最初、幾つか御質問をしたいと思うわけでございます。

 こういう話をしているやさきに、この年末年始、地域金融機関において大きな問題が、年末と年始でございますけれども、相次いで起こりました。西と東でございます。西は佐賀銀行。ある女性が一本のメールを打った、二十六日にどうも問題が起こるようだ、それが瞬く間に、その日のうちに広がってしまって、この二十五日の間に百八十億の預金が引き出された、年末までの間に四百五十億預金が出たというふうに伝えられております。

 この一本のメールが火をつけられるほど、地域金融機関に対する国民の信認というのは薄いものになってしまっている。いや、本当にそういうことがあるんだろうかなと、私はある意味不思議に思ったわけでございますけれども、この地域金融機関に対する不信を裏づける、いや、それは不信があるんだろう、こういう裏づける事件が年明けに起こったわけでございます。一月二十三日に警察に届け出が出ましたみちのく銀行の不祥事でございます。聞きますと、一千万ぐらいのお金が、現金が、キャッシュが、忽然として金庫から消えてしまった。たまたま三連休だったということもあるようでございますけれども、大変大きな問題でございます。

 まず、この問題につきまして、金融庁監督局、どのような報告を受けていらっしゃるか、この状況の概要を把握されているかどうか、お伺いしたいと思います。

五味政府参考人 みちのく銀行で、お話しのような現金紛失事故が起こりまして、一月二十三日、同行が青森県警に被害届を提出した、こういう報道がございます。承知いたしておりますけれども、個々の銀行からどういった内容の報告を受けておるかという点につきましては、個別の銀行の内容に関する話でありますので、この時点ではコメントを差し控えさせていただかざるを得ない、御了承いただきたいと思います。

小泉(龍)分科員 これは届け出事項にわたっているわけですので、しかと把握をしていただきたいと思います。

 このみちのく銀行は、平成十五年、昨年の九月十九日にも行政処分を受けております。業務改善命令を東北財務局から受けているわけでございます。行員の横領事件があったというふうに伝えられておりますけれども、この事件の概要、また、どういう内容の業務改善命令を出されたのか、この点も監督局長から御報告をいただきたいと思います。

五味政府参考人 みちのく銀行は、今お話ございました平成十四年六月に、青森県住宅供給公社の職員による十四億を超える多額の横領事件に係る取引、この取引に関しまして、当局への疑わしい取引の届け出、これは組織的犯罪処罰法に基づくものでございますけれども、これを怠ったということで、法令等遵守態勢強化を内容とする業務改善命令を受けました。

 それから、その後、十五年九月でございますけれども、これは営業店において、顧客預金の詐取・横領事件、これが起こっていたことが判明をしております。これが長期にわたって継続をし、事故金額も多額であったということから、このみちのく銀行の内部管理態勢に関して重大な問題がある、こういうことで、内部管理態勢強化を内容とする業務改善命令というものを発出いたしております。

小泉(龍)分科員 今御説明がありましたように、さかのぼればもっとさかのぼれる。十四年も同じような不祥事があった、こういうことでございます。十五年についても、これは長期で多額だという大変初歩的なというか重大な業務のミスがあったわけでございますけれども、二年半に三回の不祥事、今回のケースは今状況把握をされていますけれども、少なくとも一年半の間に二度も業務改善命令を受ける、こういう事例はございますか。

五味政府参考人 金融庁が発足いたしました十二年七月以降で、業務改善命令を受けてこれが公表されているといったケースに限って申し上げますが、公表しているもの、あるいは、その金融機関が既に破綻をしておりますので、そのとき公表されていなくても現時点で公表して問題がないといったようなところについて確認をいたしましたところ、今申しましたような内部管理態勢、この重大な不備ということで業務改善命令を二年連続で受けているといった銀行は、この銀行のほかに一行だけでございます。

小泉(龍)分科員 この連続しました業務改善命令、特に平成十五年の業務改善命令の中に、法令遵守に係る経営姿勢の明確化、責任の所在の明確化、こういう文言が明確に書かれております。この経営責任、明確化という言葉が少しわかりにくい部分がございますが、これは責任を問う、責任の所在をはっきりさせて、それを問うということであろうと思いますけれども、どういう形で経営責任を問われたのか、お答えをいただきたいと思います。

五味政府参考人 お話のありましたように、責任の所在の明確化を含めた内部管理態勢の充実強化、これを十五年九月の業務改善命令で求めました。個別の銀行が具体的にどう対応したかということについてのコメントというのは、原則差し控えさせていただかなければいけませんけれども、銀行側の発表いたしました限りで申しますならば、事故者の懲戒解雇あるいは役員の報酬の減額あるいは担当役員の降格、こういったようなことを行ったということが公表されております。

 いずれにいたしましても、こういった点につきまして、業務改善計画の実施状況を、私ども、三カ月ごとに報告を受け、厳正にフォローアップするという体制で臨んでおります。

小泉(龍)分科員 この業務改善命令の中身を読みますと、法令遵守に係る経営姿勢の明確化、今申し上げたことでございますけれども、取締役会等の機能強化、営業店における相互牽制機能の充実強化、本部監査機能の充実強化、そして人事管理の見直し、いずれも経営の根本、イロハのイに当たるような、根本に当たる部分をちゃんとやっていないじゃないかという指示を受けて、そしてまた十六年、それから一年弱でございますけれども、ことしに入ってそういう不祥事を起こす。

 これは、この経営体というものの根本的なあり方、システムのつくり方とか人事の機構図とか、そういうものではなくて、そこに所在している経営者そのもの、そういうものが持つ不透明性といいますか、経営者そのもの、トップですね、やはり首脳陣の責任に帰するところが私は大変大きいというふうに感じます。

 そして、これから具体的な処理を進めていかれるわけでございますけれども、いろいろ聞いてみますと、このみちのく銀行は旧態依然たる体制であるということも聞いております。ぜひ厳格に、厳正に、抜本的な体制変革を求めるという趣旨、観点から今回の事案に対処していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

五味政府参考人 今回のと申しますか、ことしに入ってから明らかになった事案も含めまして、この内部管理態勢というものにつきまして、私どもなりによくレビューをいたしまして、もし必要な改善を求めるということが重要であるという判断に立ちますならば、それに応じた体制をとってまいりたいと思います。

小泉(龍)分科員 このようにお願いを申し上げるのは、みちのく銀行の問題をたまたま取り上げましたけれども、最初に申し上げた、地域金融機関に対する国民の信認そのものが、それに携わる我々当事者の予想をはるかに超えて揺らいでいる、そういうところを、ぜひ金融庁としましても、来年の三月に向けまして厳しく監督を強めていただきたいと思うからでございます。

 公的資金の予防的注入、制度論は大変前に進んでいると思うわけでございますけれども、まあ金融庁も大変忙しいということはよくわかりますが、制度論だけではなくて、日々の監督業務というものにも、やはり全国民の金融システムに対する信認がかかっている、そういう認識をぜひ持っていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 さて、その地域金融機関のあり方として、竹中大臣はしばしば、リレーションシップバンキング、大変いい言葉だというふうに思います。私も、この考え方は賛成でございます。地域に密着する、そして地域の資金を地域に戻していく、経営者も、数字だけで判断するのではなくて、より実態に即した、間近から経営のあり方を判断し、そこに血の通った融資というものも可能になってくるというふうに思うわけでございます。

 しかし、また違うことを言う人もいるんですね。そういうあいまいな概念というのは、実は、これだけ厳しい地域金融機関も含めたグローバルな競争の中で、経営の足かせになるんじゃないか。企業価値の最大化という観点から考えたときに、リレーションを大事にするということは、金利が上乗せできない、あるいは資金を引き揚げられない、まあ厳しい面から見ますと。そういう経営の合理性にもとる部分が出てこないか。まあ理念としては大変重要だと思いますけれども、現場に行って見たときに、そのそごが生じないのかどうか。この点を、できれば大臣からお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 小泉委員から、みちのく銀行のことも含めまして、地域金融機関の今のあり方を重視してしっかり行政を行えと。この指摘は大変重要な御指摘だというふうに思っております。特に、これは銀行行政という立場からもそうでありますし、今の重要課題である地域経済の活性化という観点からも、まさにその信頼の確立というのが大変重要になっていると思います。

 地域金融機関の検査、監督行政に関しては、今委員も御指摘になりましたように、ともすればやはり両方の側からの批判を我々は受けるわけであります。これはやはり、地域の銀行はグローバルな銀行と違うんだから、そこの特殊性とか事情とかをしっかり考えたきめ細かい対応をとるべきではないか、そういう御指摘。一方で、しかし、地域の金融機関にも健全な預金者がいて、その預金者にもしもの損害があってはいけない。そこはやはり、金融というのはつながっている、世界とつながっているということも含めて、厳正な対応が必要である。

 我々のそのリレーションシップバンキングという考え方は、やはりそれをしっかりと両立させていただこうではないかという考え方に尽きます。非常に長期の観点から、その地域にしっかりとコミットして取引を行っている。したがって、この長期的な観点から、しっかりと地元の企業を再生させてください、そうすることが、結局、銀行みずからの財務基盤を強化させていくことにもつながって、まさに銀行の収益最大化、企業価値最大化にもつながっているはずである。そこの時間軸といいますか、そこをしかと地域金融機関の実態に合わせて、しっかりと長期にとって見ていただきたい。

 そのような観点から、基本的には、これは金融審の第二部会の報告を踏まえて、しっかりとしたプログラムを我々はつくっているつもりでございます。御指摘のように、きめ細かく、しかし原則を曲げないでしっかりとした対応を行っていくつもりでございます。

小泉(龍)分科員 あえてきょう御質問申し上げましたのは、このリレーションシップバンキングに反対だと言っているわけではないですよ、むしろ賛成なんですが、しかし、言葉がきれいであるだけに、それが、先ほど申し上げたみちのく銀行のような、いや、これもリレーション、これも地元の密着ですよというあいまいな概念になって現場におりると、やはり銀行の不祥事というものの温床につながってくる。そういう面も、大変甘い言葉で響きがいいだけに、厳然とした銀行監督があり、また経営の合理性というものが一本筋が入っているということも、今そこは短期と長期に分けてお答えをいただきましたけれども、そういう仕組みをつくっていただければありがたい、このように思うわけでございます。

 このリレーションシップバンキングを引きまして、今度は、私の地元、埼玉のりそな銀行の問題を、少しこれはお願いも含めまして申し上げたいと思います。

 昨年の十二月に、埼玉りそな銀行へ埼玉県及び埼玉県経済界が出資をしたいと、県民銀行化構想が打ち出されました。知事が竹中大臣のところにも伺ったと思います。ホールディングスのトップの方にもお目にかかりました。

 埼玉のこの考え方は、実は、足銀を間近に見まして、大変驚愕した、恐怖をしている、こういうこともございます。

 一方で、この埼玉りそな銀行は、埼玉県を基盤として、埼玉に特化したスーパーリージョナルバンクだ、折り紙つきだ、こういうモデル銀行だと言われたわけでございますけれども、昨年の五月に公的資金が入りまして、経営の理念が大きく変わりました、白紙に戻そうと。当然ですね、これは公的資金が入るわけですから。来年の三月まではとにかく再生をということで、スーパーリージョナルとも言っていられない、こういうことで、埼玉県も今、県民を挙げまして大変心配をしているわけでございます。

 私は、上田知事ともよく意思疎通をいたしまして、きょう御質問を申し上げますけれども、今申し上げたリレーションシップバンキング、長期に考えてというふうに大臣がおっしゃった、それを実現するモデルケースとして、埼玉県あるいは埼玉県民がお金を出しましょう、出資したい、こういうふうに言っているということを、まあ経済の合理性から見れば足かせになる、これは経営者の判断ですけれども、しかし、そういう強い要請があるということをぜひ金融庁としても認識していただきまして、最終判断は経営者がすることになるかもしれません。しかし、公的資金も入っております。二〇〇五年三月までの集中再生期間が終わりますと、いよいよ新しいビジネスモデルがりそなグループに求められます。その一つの形としまして、大臣がおっしゃったリレーションシップバンキング、リージョナルバンキングのモデルケースとして、埼玉県の、埼玉県民の気持ちを、その出資をむげに否定するべきではないと私は思いますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 埼玉御選出の小泉委員として、当然、大変高い御関心とまた御見識もお持ちであると存じます。

 御指摘のように、昨年の十二月の十六日に、これは上田知事が県民銀行化構想を発表されまして、その日のうちに金融庁にいらっしゃいました。それで、要請もいただいております。残念ながら、ちょっとそのとき私はお目にかかれなかったんですが、金融庁として要請をいただいています。

 これはもう委員も御指摘になられましたけれども、一般論として申し上げれば、これはりそなのグループの経営戦略そのものにかかわる重要な経営判断の問題であります、どこから資本を調達するのか、いつ調達するのか。そういう問題でありますので、やはりこれは、りそなホールディングスにおいて御判断をいただかなければいけないものだというふうに思っております。

 この点に関して、同社りそなは、まずグループ経営の強化に邁進したい、グループの集中再生期間である十七年三月期までは各行が再生に向けた体質強化に優先的に取り組む、埼玉りそな銀行についても、外部資本を入れることは現状では考えていないんだと。集中再生期間終了後、さらなるグループ企業価値の最大化に向けて出資者を拡大した方がプラスと判断した場合には、今般の話を踏まえた上で検討したいと。

 経営の主体としては、おっしゃるとおりなんだと思っております。我々としては、むげに断るようなことはないようにとおっしゃいましたけれども、もちろん、そんなつもりはございません。これは、まず経営においてしっかりと御判断をいただいて、リレーションシップバンキングの趣旨を反映して、いろいろな御判断をまず経営の側でいただく問題である。我々としては、リレーションシップバンキングそのものはぜひしっかりと推進をしていきたい、そのように考えております。

小泉(龍)分科員 金融庁としてもさまざまな問題意識をお持ちだと思いますけれども、土俵に乗せておいていただきたい。

 時間がまだございますから、改めてまたお願いをそのときにはしたいと思います。

 ちなみに、私がきょうこの質問をしたいということで申し上げましたら、栃木県の選出の先生方から、足銀の県民化構想もあるから、栃木県としてもぜひやりたいから、大臣によくお願いしろ、こういう要望もありましたことを付言したいと思うわけでございます。

 さて、足銀に話が飛びましたので、せっかくの機会ですから大臣にお伺いしたいんですけれども、足銀問題の処理において、大変不透明性があるとか、あるいは栃木県の知事が訴訟も辞さないというようなことをおっしゃいました。そういう足銀の処理の過程を見ていきますと、一番大きな問題は、突き詰めていきますと、監査と銀行検査の違いが一般にはよくわからない。そして、結果としては大きなそごがあった。

 どうしてそういう違いが出てくるのか。一般の方からすると、検査も監査も同じように感ずるわけでございます。こういう議論を申し上げますと、金融庁は、いや、それは検査と監査は違うんですと、そこで議論がとまってしまっていたように私は思います。

 十五年三月期、足銀の監査が入りました。査定をしました。そして、その後、時間を置いて、銀行検査が同じ三月期に入りました。そこで九百五十億の追加引き当て、二百三十億の債務超過、こういう大きな差が出てきたわけですね。

 金融庁に聞きますと、いや、銀行の健全性の観点から検査はやるんですよ、そして証取法、商法等にのっとって投資家の保護のために監査はやるんですよ、なるほど、違うな、大体こうなっちゃうんですけれどもね。しかし、証取法、商法が守ろうとしているのは、投資家の保護あるいは大口債権者の保護、概念としては広く利害関係者の保護でございますね。そして銀行検査も、銀行経営の健全性とは何かといえば、預金者を守ること、債権者を守ること、融資先の企業を守ること、そして株主を守ること、広く関係者の保護でございますね。

 簡単な言葉に直せば、監査も検査も目的は、少なくとも質的には変わらない。全く概念的に同じだとは思いませんけれども、質的には変わらない。常識的にはほぼ同じものじゃないか、なのに何でこんなに差が出てくるんだろう。その説明に金融庁も苦しんでおられると思いますが、どうでしょうか。

 この足銀の問題という経験を踏まえて、また同じような問題が出てくる可能性がある。検査と監査の違いを理論的にどう説明するか。また、実務的にその差をどういうふうに縮めるべきであるとお考えになるのか。これは金融システムの議論をするときの実は根幹にかかわる部分かなと思いますので、お答えをいただきたいと思います。

伊藤副大臣 今、監査と金融庁の検査の関係について先生からも総括的なお話があったわけでありますが、私どもからしましては、監査法人の監査というものは、商法や証券取引法に基づき財務書類の適正性の確保や投資家保護等を目的として、そして事業法人を含む対象企業の共通の制度として、当該法人から提供された情報に基づき、決算確定のために行われるものである。

 一方、金融庁の検査というものは、銀行法等に基づき信用秩序の維持、そして預金者保護等を目的に、金融機関が高い公共性を有していることを踏まえて、そしてその業務や財務の健全性の確保の観点から、上述の各産業共通の制度としての外部監査に加えて、法律に基づく国の権限をもって、金融機関が行った自己査定の内容等を決算確定後に事後的に検証するものであるわけであります。

 このように検査と監査というものは、それぞれ異なる目的、そして制度、権限に基づいて、相互に独立して行われるわけでありますので、一般論としては、検査と監査ではその結果が異なることはあり得るというふうに思います。

 そうした中で、こうした差が生じた場合にどのような形で取り組んでいくのかという御質問もいただいたところでございますけれども、この点については、私ども金融庁としては、やはり企業会計基準及び金融検査マニュアルに基づき適切な検証を実施していくということにある意味では尽きるのではないかというふうに思っておりますが、公認会計士協会においては、金融検査と会計監査の乖離についての実態調査を行っていくためのプロジェクトチームを設置し、そして金融機関とその監査法人を対象にアンケート調査を実施しているものと聞いているところでございます。

 このアンケート結果に基づき同協会から私どもに対して何らかの協力依頼があった際には、私どもとしましては、当方に課せられた守秘義務に配慮しながら、可能な範囲で協力をしていきたいと考えておるところでございます。

小泉(龍)分科員 また機会があればこのテーマは議論をさせていただきたいと思います。時間が限られてまいりましたので、景気、金融政策についてはあと一、二問お願いしたいと思います。

 景気回復の二重構造が最近しばしば指摘されます。大企業、輸出関連、製造業、そういうところはいいけれども、地方に行かない、中小企業に行かない、この波及経路が消えてしまったということがしばしば指摘されますが、これが二重構造だと思います。

 私は、国民が景気の回復を実感できないもう一つの大きな問題は、やはり資産格差、所得格差、これがバブルによって、またバブルの崩壊によって、この我が国で大きく開いてしまった。こういう点も見過ごしてはいけないような気がしております。ジニ係数を厚生労働省が出しておりますけれども、これによって修正した後でも、やはり社会保障、税によって修正をかけた後でも所得分配の差は広がっている。

 アメリカでも、トップ一%が国富の五割を占めるという統計もありますし、現実に今アメリカの景気回復も新規雇用を伴わない景気回復だというふうに言われているわけでございます。これももっともでございまして、インドの労働力あるいは中国の労働力が製品として、あるいは企業移転によって、あるいは労働力の移動によって利用可能になれば、全世界の労働コストが均等化に向かうわけですね。我が国の雇用者がいかに技術を生み出そうとも、大きく見れば低いところへ収れんしていく。そして、革新的な技術革新が起こりますと、商品、製品を生産する労働力そのもの、労働者の数そのものが少なくて済む。これは資本主義が直面する構造的な問題であろうと私は思います。

 サミュエルソンがたまたま読売新聞の朝刊におととい書いておりましたけれども、こういう構造問題に主要先進国はいずれも今直面をしていて苦しんでいる、政治的には混合経済に振れていくだろう、つまり社会保障とか労働政策とか社会政策重視の政治体制になるであろう、こういうことを言っておられます。

 竹中さん、あるいは大臣、あるいは小泉総理の構造改革というのは、ある意味でこの構造問題に入り切れていない。むしろこの構造問題を深くしてしまう、所得分配格差を広げてしまう、こういう問題点もあると思うんですね。都市対地方だけではないと思うんです。現実に東京の中でも、高層マンションが建ちながら、一方でブルーのテント、ホームレスが皇居前広場にもいるわけですね。天皇陛下が出入りするあの皇居前広場を、どうしてあの天皇陛下が出入りできるんだろうと思うぐらいホームレスがいる。東京問題でもあるわけです。

 こういう二重構造の問題を、大臣の非常に高い、深い御見識からお考えになりまして、当面の問題ではないかもしれない、しかし、重要な問題としてどのように認識をされますか。お答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 所得の格差の拡大、委員は二重構造化とおっしゃいましたけれども、そういう新たな構造問題に世界じゅうが直面していて、日本もその真っただ中にある、私も全く同様の問題意識を持っております。

 小泉構造改革はそういう問題に対して備えが不十分ではないかという御指摘かと思いますが、まだまだやらなければいけないことがたくさんあるとは思っておりますが、そういう問題意識を鮮明に持ちながら構造改革を進めているという点はぜひ御理解を賜りたいと思います。

 委員、今のお話の中で重要なことを随分たくさん指摘されまして、一つは、やはり要素価格均等化の命題というのが非常に急速に、多分世界じゅうで働いている。これはまさにグローバライゼーション。そうした中で、従来型の産業に従事する方々は厳しい競争圧力にさらされて、また賃金もなかなか、世界価格に均等化していく流れがあるものですから、上がらない。

 一方で、しかし、例えばIT革命等々に象徴されるように、今物すごく大きな技術のフロンティアがあって、そのフロンティアに挑戦をしていっている国、当面今アメリカが先行しているわけですが、そこのGDPは伸びるし、そういうところに従事している人たちの所得は上がっていっている。これがまさに今の世界の経済の現実であろうと思います。

 したがって、構造改革というのは、このチャンスにやはり乗りおくれてはいけないという意味で、このフロンティアの部分は、これはぜひ規制改革等々でしっかりやっていかなければいけない。そういうところに対する企業の税負担についても、やはり国際的な状況を見ながら考えていかなければいけない。これはやはり一つの重要なポイントであろうと思います。

 しかし同時に、であるからこそ、こういった構造改革を進めるに当たっては、二つのことが特に重要である。

 一つは、やはりだれもがこの競争に参加できるようなチャンスを与えることである。したがって、一度失敗してもまた再挑戦できる仕組みも重要であるし、規制緩和というのはだれにでもチャンスを与えるという意味でやはり重要になってくる。

 同時に、これだけ厳しい競争がありますから、やはりセーフティーネットが必要である。そのセーフティーネットに関しては、これは社会保障制度もそうでありますけれども、雇用に関するセーフティーネット、そういうものもやはり同時に構造改革の中に組み入れていかなければいけない。これは、もう委員御指摘のとおりの問題意識を私たちも強烈に持っているつもりでございます。そのために地域再生本部もつくらせていただきました。

 地域再生本部というのは、なかなかやることは難しいわけでありますが、当面、今市町村、行政府がやっていることを、これを民間にアウトソーシングすることによって民間の可能性を拡大する。地域の基幹産業である農業、建設業については、競争力強化、事業転換等さまざまな施策を講じていく。そして、観光に象徴されますように、まだまだポテンシャルのある産業、各地域で知恵を出していただく。そのための地域再生プログラム、特区もやっていく。そこは、ぜひ委員御指摘のような点を踏まえて我々も進めていきたいというふうに考えております。

小泉(龍)分科員 鐘が鳴りましたから、最後に一言。ありがとうございました。そういう御認識でお願いしたいと思いますが、一点だけ。

 構造改革があり、そして、そこで敗れ去った人を助けるためのセーフティーネットがある。これはまだ弱いと思うんですね。私は、政府のあり方として、政府・与党のあり方として、構造改革縦軸、もう一本横に要る。同列のものが、そして違うディメンションで、この横軸と縦軸ですね。違う理念を持った、全然違う理念を持った政策と言葉が要る。これを国民にメッセージとして早く出さないと、構造改革一本やりでは、国民は誤解がある。もちろん、全体が強くなればその恩恵にはあずかれるんですけれども、国が強くなるということと一人一人が幸せになるということは違う。明確にそれが現象として出てきておりますので、ぜひ内閣の中で、政府の中で、その点も御議論をいただきたいと思うわけでございます。

 ありがとうございました。終わります。

松岡主査 これにて小泉龍司君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩國哲人君。

岩國分科員 民主党の岩國哲人でございます。

 本日は、金融行政について三点、竹中大臣に質問させていただきたいと思っております。

 まず最初に、ペイオフの解禁について、大臣の今現在の心境あるいは御計画等についてお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、倉田主査代理着席〕

竹中国務大臣 ペイオフというのは、預金者が健全な競争環境のもとで銀行を選別する。ペイオフ解禁によって、そういう預金保険のもとで一定限度まで預金が保護される。そうした状況によって、預金者が健全な競争環境のもとで銀行を選別する。そうした緊張感のもとで、また銀行経営者はしっかりとした経営をしていく。それが銀行経営のガバナンスを強化することによって、結果的に金融システム全体を強くしていく一つの原動力になっていく。その意味では、ペイオフ解禁というのは、私は、ある意味で通常の状況に戻すということでございますので、やはりこれは実現していかなければならないことであるというふうに思っております。

 しかし、御承知のように、九〇年代の半ば、後半から、日本の金融状況が非常に厳しい異常な状況が続いた中で、これが一時中断されている状況になっている。我々としては、金融システムを正常化して強化していく、その中で、このペイオフの解禁というのもやはりぜひ実現しなければいけない問題であろうというふうに考えております。

岩國分科員 ただいま竹中大臣の御見解、確かにごもっともな一般論ではあると思いますけれども、私は、このペイオフについては、いま少し、いろいろな日本的な事情のもとでは、またさらに日本が今置かれている環境の中では、再検討の余地が大いにあるんじゃないかと思うわけです。

 まず一つには、アメリカ、ヨーロッパ、私も二十年そういう世界に住んでおりましたけれども、そういう中では、一般個人の預金に対する比率というものが異常に低い。日本は、逆に言えば異常に高い。つまり、預金というものを資産の中心、そして、何か不安なときにはそれを心のよりどころとする傾向が非常に強いことは、竹中大臣もちろん御承知のとおりだと思うんですね。

 したがいまして、こうした、アメリカでやったから、ヨーロッパでやったから、日本でも同じようにやることが普通の国だということは必ずしも言えないのは、そうした一般の人の預金に対する過剰とまで言える信頼感、安心感というものを揺るがすことが本当に日本の経済の安定あるいは将来の発展する力になるんだろうかという疑問が一つ。

 それから二番目に、国民性というんでしょうか、日本の場合には、あの銀行この銀行とあちこちあちこち渡り歩くということは余りなくて、どちらかといえば、長い、いい関係を築きたい。これは、日本の社会においても人と人の場合も同じことが言えると思いますけれども、それが銀行との取引にもそのまま反映されている。

 銀行といえども、いい関係をできれば長く持ちたい、お父さんが使っておったからやはり自分たちも使うんだ、こういった傾向が非常に強いわけですから、そういう銀行との信頼関係からいいますと、竹中大臣がおっしゃったように、選択の自由があればあるほどいいんだという市場原理のものは、必ずしも日本のそういう預金者の感情にフィットしないところがあるんじゃないかと思うんですね。この辺も少しは吟味する必要があると思います。

 それから、緊張関係にある方が本当にいいのか。選択と緊張ということを一つのペイオフのメリットとしておっしゃいましたけれども、緊張関係にあるといいますけれども、今の世の中は、年金が下がるかもしれないという不安、職場を失うかもしれないという不安、不安と不信と不満の中で、これ以上の緊張は、私は不要なものではないかと思うんです。

 だからこそ、私は、将来的には日本もペイオフをちゃんと受け入れるような普通の国になりたい、そうあるべきだという大臣の考えに私も全く同感ではありますけれども、今、こういう不安と不満と不信の中で、そういうペイオフというものを予定どおり来年の春から全面的に実施するんだということが、個人消費にも、景気にも、あるいは国民の暮らしの安心にも本当にプラスになるかどうか。大臣はもう一回ここでしっかりとお考えになった方がいいと思うんです。

 そういう、預金の比率が非常に高い、預金に対する過剰な安心感、そして銀行と個人が長い、いい関係を持とうということに対して、国民性でいえば、例えがいいかどうかわかりませんけれども、狩猟民族のような雰囲気の中ででき上がった欧米的な金融インフラと、農耕民族のような中から生まれてきた日本の金融インフラと、大臣、少し違うんじゃないでしょうか。この辺について率直な御意見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 恐らく岩國委員は、いわばアングロサクソン型のグローバルな金融に関しては日本の先駆者でいらっしゃって、最もお詳しく、最も長くこの中で働かれて、それゆえに、日本のよさも含めてさまざまな御高見をお持ちであるというふうに私も拝察をしております。

 その上で、今三つの点、預金への依存度が高い、一般の人々の心情として、より長い長期的な関係、まさにこれは我々が言うところのリレーションシップバンキング的な考え方が定着しているではないか、それと、これ以上の緊張をもたらすことが今は得策か、その三点、これはそれぞれにやはり大変理解できる点が多々あるというふうに私も思っております。

 ただ、これはアメリカがやっているから、ヨーロッパがやっているからということではなくて、御承知のように日本もやっていたわけです。日本もやっていたわけですけれども、九〇年代後半の金融の不安の中で中断されているもので、それ以前、日本にもあった制度だという点も一点あろうかなと思います。

 その上で、預金比率が高い、そうしたことも踏まえて、実は、御承知のように、決済用の預金の創設というのを、これは法律で決めていただいております。この決済用の預金というのは、無利息で要求払いで決済サービスが提供できる場合は、これはいわゆる全額保護の対象になるわけでありますので、その意味では、御指摘のように、非常に預金をたくさん持って預金決済しているという日本の特殊事情をある程度カバーするような手段も、既に我々は準備していると考えてよろしいのではないかというふうに思います。

 長期的な関係というのが重要でございます。しかし、この長期的な関係も、やはりある程度健全な緊張関係の上に立って初めて成り立つのではないのか。いわゆる余りに過度に依存し合うような関係というのは、結局、長期的に見て消費者の利益を損ねることにもなりかねませんので、長期の関係を大事にしながらも、そこで建設的な緊張関係がベースにあるということが、私はやはり重要なのではないのかなと思います。

 今、不安であって、これ以上緊張関係をもたらすのはいかがなものかという三番の点に関しても、確かに金融不安だとかそういう状況が出現している状況では、これはペイオフは解禁すべきではありません。したがって、我々としては、幸いにして今は不良債権、大手銀行については減少しておりますけれども、これをしっかりと定着させて、そうした金融に関して不安が払拭される状況をつくり出していく、もってペイオフを解禁できるような条件をつくり出していくということが、私たちの大変重要なポイントであろうかと思います。

 ただ、三点に共通するのは、やはり一般の方々にきちっと御理解いただく、預金者の理解でございますから、やはりその点の理解を深めていただくための広報活動を含めて、我々は、これはぜひしっかりやっていかなければいけないというふうに考えております。

岩國分科員 大臣の御意見を伺いましたけれども、こうした不安な雰囲気、暮らしの不安、職業の不安、そういった中で、新たな、預金そのものにも何か不安が出てくるということについても、私は、これは余計な不安を与えることは決して得策ではないと思いますから、これからの経済情勢、雇用の情勢、そういったことも十分に踏まえて、こういったことについても、一遍決めたことだからやらなきゃいかぬということにこだわって、だれも得する人はいなかったというようなことに決してならないように、慎重にも慎重に検討を重ねていただきたいということと、仮に実行される場合には、大臣が今おっしゃいましたように、十分な国民の理解が得られて、これは不安の道へではなくて、将来的には健全な道へ第一歩を進むことなんだということが十分納得できるような、そういう広報体制をとっていただきたいと思います。

 次に、第二点、これもまた金融行政に関しますけれども、以前は、各銀行が預金競争というのをやっていました。我々の学生時代、若いころですけれども、銀行の競争といえば、預金をいかに集めるかということだったんですね。今は全然違って、預金を集める競争というよりも貸し出し競争、これはバブルのころから、銀行の二つの顔のうち一つの預金集めということよりも、貸し出しをいかにふやすかということに走り出した。

 預金をたくさん集めることは、決してこれは個人に弊害を催すことではないと思います。仮に過当な行為があったとしてもですよ。ところが、貸し出しの場合には、これが過当競争、貸し出し競争になりますと、いろいろな企業や家庭にも被害を及ぼすわけです。

 大臣も御承知のように、バブルのころには、要らない人にどんどんお金を貸す、そして知らない間に借金がふえているというケースがふえております。私がごく親しい方の場合にも、そういう事件に巻き込まれて、そしてそれが裁判所にも持っていかれております。

 大臣も目を通されたと思いますけれども、いろいろな新聞、雑誌、一般の週刊誌、朝日新聞のアエラ、こういったものにもすべて取り上げられているのは、ある外国系の金融機関の役員、私の上司でしたけれども、その人に二十八億円もの貸し付けをしている。しかも、その書類が、偽造された判こと偽造された署名、そして銀行側のそういう架空な人物がそれをやったということにする。人と判こと署名、この三つの信用を組み合わせて、これが事実とすればある意味では見事な犯罪が行われているわけです。

 この件について、大臣は御承知かどうか、また金融庁の担当者は、このUFJのこういう裁判にもなっておる事件について、ちゃんと調査をしておるのかどうか、この点について御報告いただきたいと思います。

竹中国務大臣 御指摘の点、週刊誌等々でも報道されておりますし、場合によっては大きく取り上げられた問題であると承知をしております。

 委員御指摘のように、もしそれが本当に偽造であれば、これはもうまさに犯罪でございましょうから、これはしかるべく司法と捜査当局の中でしっかりとやられなければいけないものだと思っております。

 ただ、これは個別の金融機関の個別の取引にかかわる事項でございますので、これは金融庁として答弁をすることはやはり差し控えなければいけないというふうに思っております。報道は承知をしておりますが、個別の金融機関の個別の取引にかかわる事項でございますので、私の方からの答弁は、これはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

    〔倉田主査代理退席、主査着席〕

岩國分科員 それでは、どの程度に調査を行われたのか、あるいは全く行われなかったのか、そういったことについて、この場で大臣として答弁ができないということでしたら、担当官、どなたかここにいらっしゃいますか。――いらっしゃらない。とすれば、この席でなくても、後日、どういう調査が行われたかということを、松岡主査、理事会の方でお諮りいただいて、その報告書を私のところに提出していただきたいということを要求して、次の質問に移らせていただきます。

松岡主査 はい、しかるべく協議をさせていただきます。

岩國分科員 三番目、最後の質問ですけれども、最近、金融審議会で、銀行に生命保険の販売を認めよう、窓口販売ですね、こういうことが審議されているということが報道をされておりますけれども、これについては、私はいろいろな問題があるんではないかと思うんです。

 といいますのは、銀行から保険を買いたいという人は、世論調査ですれば一割にも満たない。逆に、銀行から保険を勧められたらちょっと断れないと答えている人は五割もいる。ということは、嫌な言葉ですけれども、圧力で保険を売る、圧力販売という言葉で既に懸念されております。

 こういう我が国の銀行というのは、私も同級生がそういうところにたくさん入りましたからよく知っておりますけれども、優秀ではありますけれども、非常に存在感、影響力が強いために、特に中小企業に対して、今のように貸し渋り、場合によっては貸しはがし、こういう状態の中で、ところで生命保険もお買いになりませんか、このように勧められたときに断る勇気を持つ経営者がどれだけいるでしょうか。

 仮に二度三度と断ると、どうも保険の健康診断に自信がないんじゃなかろうか、最近、そういえば顔色が悪いなと。それは体の調子じゃなくて、こういう情勢の中で、中小企業の人は顔色のいい人はめったにいないわけです。どうもそのせいじゃなかろうか、それでは、早く返済をこれは急がなきゃいかぬぞと。保険というものを売りに行かなければそういうことにならないのが、これは一生懸命貸しはがしの対象に入れておかなきゃいかぬ、こういうふうなことに現場レベルではなりかねないわけです。

 こういったことも踏まえて、竹中大臣自身は、グローバルバンキングだ、あるいは規制緩和だ、金融商品にはすべて垣根のない方がいい、こういうふうな一般論がありますけれども、生命保険が金融商品と見るのがおかしいんじゃないかと思うんです。株式や債券は、嫌なら売ればいいし、あるいは別の銘柄と取りかえればいい。しかし、自分の生命保険を隣のおじさんの生命保険と取りかえるなんという男はいないわけですから。

 そういう利子や配当でもって転々流通する金融商品、これは利子に属する属利的商品というならば、生命保険は人の生命に属する属人的商品、その保険会社と数十年間にわたって一対一の関係を長く続ける、これが生命保険という商品の特徴であって、これを債券や預金やあるいは株式と同じように、窓口で自由に売ったり買ったりするような、そういうものと同じように自由化して、そして、今でもそういう大きな権力を持っている、しかも、この環境の中ではとりわけ生殺与奪の権力を握っているような銀行に生命保険を売らせるということは、これははかり知れない社会問題を、先ほど申し上げましたように、そういうものがなかったならば貸しはがしという発想がわかなかったのが、そういうところまで行ってしまうという余計な社会問題を引き起こす種をつくるようなものじゃないか、このように思うわけですけれども、大臣の所感をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 先ほど委員の方から、預金競争から貸し出し競争に金融の姿がさま変わりになっているという御指摘がございました。

 金融というのは、まさに読んで字のごとく、お金を融通する、お金が余っている主体からお金が足りない主体に融通する。その構造が根本的に変わってきている。特に九〇年代、大幅に変わったことによって、やはり新たな金融の仕組みをつくっていかなければいけないという問題に各国が直面しているというふうに思っております。

 その中で、日本においても、特に日本の場合、これが規制緩和の問題とも絡みまして、御承知のように、銀行等による保険商品の窓口販売につきましては、規制改革推進三カ年計画、これは十五年の三月二十八日の閣議決定でございますけれども、銀行等が原則としてすべての保険商品を取り扱えることについて、引き続き検討を行い、平成十五年度中に結論を得、所要の措置を講ずるというふうにされている。同計画も踏まえまして、我々も検討をいろいろ進めているところでございます。

 委員のお尋ねの中に、そもそも、広く業態の垣根を低くしていくということそのものの一般論があると。それについての私自身の考え方は、やはりこれは一般論としては正しい方向だろうというふうに思っております。

 これは、預金者の利便等々を考えて、金融というものが、先ほど申し上げましたように、資金の過不足の主体が構造的に変化する中で総合的な金融サービスを求めているという中では、一般論としてはこれはやはり考えなければいけない方向であるというふうに私は思っております。

 ただし、委員が御指摘になった点、これまた私もやっぱり重要だと思っておりまして、特に二点あるということを委員は御指摘だと思います。

 一つは、この保険という商品の特殊性。極めて長期のものであって、いわゆる流通性、流動性の乏しいものである。一時の意思決定が大変重要な意味を持つので、普通の金融商品とは違うだろう。この点をどのように考えるのか。

 もう一つは、やはり銀行というものが優越的地位をともすれば持っているものであって、これは、銀行の意思もさることながら、やはりそれと取引している我々国民自身がそういうような立場に置かれてしまっているのではないだろうか。この点はやはりしっかりと議論をしなければいけない問題だと思っております。

 私としては、そうした一般論を認識しながら、同時に、今申し上げたような問題点も視野に入れながら、あるべき姿を検討する必要があると思っております。

 いずれにしましても、現在、そうした観点から、金融審議会の第二部会、これは保険の基本問題のワーキンググループでございますけれども、関係者の方々にも参加をいただいて幅広い観点から御検討いただいているところでございますので、そうした検討を踏まえて、ぜひ我々なりに適切に判断をしていきたいというふうに思っております。

岩國分科員 その二点に加えまして、さらに二点。

 もう一点は、銀行が最近多角化し、金融商品・サービスをいろんなお客さんに放し出した。実際に、その取引先の八割の人が銀行から勧められたと答え、そして、そのうちの五割の人が自分の意思に反しておつき合いしました、こういうふうに世論調査では答えているわけです。

 こういった点も含めますと、大臣おっしゃいましたように、銀行が優越的な地位をみずからデモンストレートしない場合であっても、受ける側が、これもまた日本的と言えば日本的ですけれども、受ける側がそのように感じてしまうということはよくあることですから、こういった点についても十分細やかな配慮をしながら、この窓口販売については審議をしていただきたいということ。

 もう一点は、独禁法との観点です。

 これは日産生命の破綻のときにもありましたけれども、銀行は大量販売をやった。そして、銀行というのはどうしても、幾つかの商品があれば手数料の高いものを取り扱う。これは担当者もそうです、それで評価されるとなれば。手数料は高い、内容は悪い。そういう、手数料は高かろう、内容は悪かろう、高かろう、悪かろうの保険がどんどんどんどん扱われる方向になると、悪貨が良貨を駆逐する。これがこの保険商品の中で行われたのでは、結局、だれも得をすることにならない。現に日産生命の場合も、会社自身が、良貨を駆逐するどころか会社まで駆逐してしまった。会社がなくなってしまった。こういうふうなことになりかねないような動きはやめるべきだと私は思います。

 ここで、最後の一点が、独禁法との観点です。

 ある特定の銀行が、外資系でも日本系でも、特定の保険会社の生命保険をどんどん売る。そこが五割も六割も売っているから、その銀行の意見を無視できない。銀行が紹介した人は、少々顔色悪くても、血圧が高くても、生命保険に入れなきゃならなくなってくる。これは、圧力販売ではなくて圧力契約。銀行が紹介したものはちょっと断れないから、そういう普通だったら保険に入れない人がどんどんふえるということは、既にそれまでに入ってしまった人たちにとって大きなマイナス効果になる。また、その保険会社の体質、経営も悪くすることになります。

 こういう銀行が大量販売、投資信託等においても既にその実績はあらわれていますけれども、そういう力の強いものは何でも使えということではなくて、力の強いものを使った結果が、結果的には、今まで信用されておった生命保険のマーケットでおかしなことになってしまう。

 そして、独禁法第十一条で、銀行が禁止されている株式を所有するということ、全部禁止しているわけじゃありませんけれども、そういう影響力を行使してはならない株式保有は第十一条にうたわれています。保険会社を支配することによって、支配するというのは、株式を所有ではなくて販売面で所有することによって、特定の保険会社の持っている株主権を使って特定の企業に圧力を加えるということがこれから行われるとすれば、独占禁止法第十一条の脱法行為の道を開くことになるということも十分お考えいただいて、金融審議会の審議には慎重に慎重を期していただきたいと私は思います。

 私も、ヨーロッパで十年、アメリカで十年、向こうの銀行と保険会社の関係を十分に見てきました。ヨーロッパやアメリカの銀行の場合には、日本のように、人的あるいは貸し付け面で企業を支配するという力が非常に弱い。日本の場合には、それがあるがゆえに、この問題については、同じ金融の中でも垣根は厳然として残した方が、国民のためにも保険会社のためにも、そして結局は金融の中心である銀行のためにも、私はその方が正解ではないかと思います。

 大臣は、一般論としてはそっちの方向が正しいとおっしゃいましたけれども、一般論としてもそれは間違っていると私は思います。

竹中国務大臣 アメリカ、ヨーロッパ、日本、それぞれの金融市場での御経験の深い岩國委員の御指摘でありますから、我々もしっかり受けとめて、金融審での議論もぜひしっかりとやらせたいというふうに思います。

 今の御指摘、要するに、これは、受ける側のといいますか、それを買う側の国民、企業の性格とか国民性を十分に考慮に入れろということ。それと、やはり競争には必ず光の面と影の面があって、その影の面が、悪貨が良貨を駆逐することにはならないようにということ。それと、多くの投資を行っている、巨大な投資家である保険会社を通じた間接支配のようなものが、さらに銀行による間接支配のようなものが広がらないかということにも注意せよという点。これはいずれも非常に大きな問題でありますので、これは、金融審ではさまざまな立場の方々が大所高所からの議論をしていただいておりますので、それをしっかりと我々も見たいと思います。

 いずれにしましても、各国、こうした問題を踏まえながら、それぞれの実情に合わせてそれぞれの制度をつくっているというふうに認識をしております。例えば、カナダでは保険は売られていないというふうに認識をしておりますが、それ以外の多くの主要国では保険も銀行では売られているという事実もあるようでございます。その点、しっかりといろんな問題点を踏まえて対応していくつもりでおります。

岩國分科員 そういった銀行の窓口販売、これは一遍許可してしまいますと後返りのできない問題でありますから、将来的にはそういう時期は来るかもしれませんし、また、来た方がいいという大臣の御意見も私は理解できないわけではありませんけれども、こういう環境の中で性急にそういうことをやって混乱に混乱を重ねるということは、だれも得をしないことになる。

 また、アメリカで、ヨーロッパで仮に銀行が窓口販売を許されている例があったとしても、そこの全体的な環境というものの中でそれが許されている。あるいは日本では許されないということもあっていいのではないかと思いますので、慎重な審議を要望しておきます。

 最後に、一分間だけまだ残っておりますから、先ほどのUFJ銀行の過剰貸し出し、過剰というよりも架空貸し出し、まさにこれは犯罪に極めて近いものでありますから、犯罪と断定できるかどうか、これは調査を十分にしていただきたい。

 しかも、これは大臣も御存じの方と思いますが、モルガン・スタンレーのパートナーであったデービッド・フィリップスさん、日本に投資銀行業務を一番最初に導入した貢献者の一人でもあり、日本の経済界でもよく知られた人が、このような非常におかしな事件に巻き込まれ、モルガン・スタンレーのパートナーたち、ニューヨークの本社の方でもこれを問題視しております。

 なぜこういうことを日本の金融機関がやっておるのか、そして、それに対してなぜ行政機関がきちっと手を打てないのか、そういうことに対して私も私なりに何らかの説明をしたい、そのように思っておりますので、ぜひ徹底的な調査と報告を委員会の方に出していただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松岡主査 ただいまの点につきましては、理事会、政府においてしかるべく措置をされたいと思いますので、そのようによろしくお願いいたします。

 これにて岩國哲人君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林憲司君。

小林(憲)分科員 私は、竹中大臣に、新生銀行の再上場をめぐりましてたびたび質疑を行わせていただいております。

 これは、もう既に株が上場しまして、ハゲタカファンドがもうけ過ぎているという感情論ではなくて、国民に税金から八兆円も負担をさせながら、当時の政府、金融庁が短期間に一兆円もの利益を上げられるシステムを丸投げした金融政策の誤りを私は指摘しているのであります。今後こうした過ちを政府、金融庁に二度と繰り返させないためにも、新生銀行問題は看過できないのであります。

 竹中大臣は私の考えに対してどう思われるか、まず見解をお伺いしたいと思います。大臣、お願いします。

竹中国務大臣 旧長銀を特別公的管理のもとに置いて、その受け皿探し、これは平成十一年から十二年にかけてさまざまな方々が努力をしたということだと思っております。

 その点について、小林委員の方からはいろいろ問題があったのではないかという御指摘をいただいているわけでございますが、現時点で全体として申し上げるならば、それぞれ大変難しい選択ではあったんだと思うのでありますが、当時の金融再生委員会の方々が当時利用可能な情報のもとで最善の判断をなされて、その上で今日に至っているのではないだろうかというふうに認識をしております。

小林(憲)分科員 短期間の間の英知を絞った結果だということもこの間大臣はおっしゃってみえましたが、それにしても新生銀行のやり口というのは大変汚いものでありまして、不良債権を瑕疵担保条項で買い取らせたり、メーン寄せとか他銀行寄せなんという言葉もありまして、取り上げれば切りがない悪行三昧をしているわけです。

 新生銀行とイ・アイ・イの管財人の訴訟は、こうした新生銀行のごまかしの手口、矛盾、あくどさ、これを私がこの場で説明するのには一番有効的な教科書であるんです。

 ですから、きょうも朝、大臣の方にこの裁判について、ずっと私も、さらにいろいろな形でいろいろなことが起こってきているんです。ですから、それを調べてまとめたものを一連、起承転結という形で、前回もロサンゼルスの裁判の件で大臣とは押し問答にはなりましたし、金融庁ともなりましたし、東証も知らないのか何かわからないような答えをしていましたし、ちょっとまとめたものを大臣にお渡ししましたが、今回も、あえて私は、この八兆円の国民の税金を使った一大金もうけシステムが、もう二度とこのようなことにならないがための一番いい例であるから、この裁判のことについて触れさせていただこうと思っております。

 この中で、大臣は二月十六日の答弁で、シャーマン・アンド・スターリングの謝罪文は、これは新生銀行とは関係のないものと思います、シャーマン・アンド・スターリングの話は新生銀行とは関係のない訴訟であると答弁なさいました。これまで私が説明したとおり、一連の新生銀行対イ・アイ・イの訴訟は、起承転結、相互に関連しており、グアムが起、ロサンゼルスが承、東京カミノが転、サイパンが結という位置づけにあります。それぞれの訴訟の訴状には、新生銀行、これは旧長銀という書き方もしております、不法行為とそれに加担した法律事務所と投資銀行への責任追及が同趣旨の主張で記載をされております。

 このように、裁判の内容と訴状、裁判所の決定を見ますと、新生銀行はカリフォルニア訴訟では関係がなく、シャーマン・アンド・スターリングの話は新生銀行とは関係ない訴訟であるとは言えないということは明白ではないでしょうか。何よりも新生銀行自身が、東京カミノ訴訟の訴状の中で、ロサンゼルス裁判の実質被告であることを認めています。

 竹中大臣に改めてこの答弁を求めますが、大臣、今の私の説明をおわかりいただいたでしょうか。これは要するに、ロサンゼルスの裁判で、裁判のやり方は日本とアメリカはちょっと違いますね、訴状の中を見ますと、これは明らかに旧長銀が、それは従業員だとか何かおっしゃっていたあの人は、もう訴状、被告から引き下げられているんですね。それで、明らかに訴状の内容が、旧長銀、新生銀行が訴えられているものだということが明らかになってきたから、これがおもしろいことで、東京で新生銀行の方が既に、私はやっていないよ、私は悪いことしていないよという裁判を、訴えを起こしたんです。

 ということは、もう中で事実上自分が訴えられていることがわかっているから、私はやっていないよと言って東京で裁判を、訴えを起こしている。それを受けてイ・アイ・イは、そのとおりだ、おまえがやっているんだよと言って反訴というものをしている。これは反訴していて、初めに私はやっていないと言っているものだから、この裁判の費用というのは新生銀行が払っているんですね。だから、もう自分で訴えられていることを認めているんですよ。それが私が言った今の起承転結ですが、どうでしょうか。お答えください。

伊藤副大臣 私から御答弁をさせていただくことをお許しいただきたいというふうに思いますが、これはもう小林委員御承知のとおり、裁判というものは原告、被告、それぞれいろいろな主張があって、その中で裁判が進んでいくわけであります。

 今委員から東京の訴訟について触れられた部分がございましたけれども、少なくとも御質問のありましたカミノ訴訟においては、委員からも予算委員会に資料が提示をされたわけでありますが、それを見ても、新生銀行は当事者、原告または被告ではないわけでありまして、その中にも書かれていないわけでありますね。

 私どもとしましては、やはりそうした一つ一つの事実の中でいろいろなことを考えていかなければいけないんだろうというふうに思いますが、これは個別の訴訟のことでありますから、その中で行政が関与をしていく、行政が何か踏み込んだコメントをしていくということはできないということについては御理解をいただきたいというふうに思います。

小林(憲)分科員 私はそんなことを言っているわけじゃないんですよ、副大臣。

 私たちは、投資者、投資家、両方とも言いますが、投資者保護の立場から、これは八兆円を使った銀行の受けている巨大訴訟の話をしているんですよ。だから、それは関係ないということはないということは、前回、大臣もそれは関係ありますと言ったじゃないですか。そうじゃなくて、私が言っているのはロサンゼルスの裁判、では、関係がない、原告でも被告でもない人が何で東京でおれはやっていませんよという訴えを起こしているんですか。それを受けて、また、なぜ反訴されているんですか。お答えください。

五味政府参考人 民間の方同士の訴訟の話でもございますし、新生銀行が被告になっているわけでもない訴訟との関連ですので、どこまで申し上げていいかちょっとわからないんですが、新生銀行といたしましては、恐らく、みずからを被告としかねないような訴訟が行われているということについては、そのリスクを防衛する必要があるんだろうと思います。

 ですから、東京訴訟といいますのは、私自身も訴状や何かをいただいて読む立場にもないのですけれども、そうした考え方で、自分たちが巻き込まれるおそれのある訴訟について先手を打っておくということではないのかと思いますが。

小林(憲)分科員 五味さん、なぜ先手を打つのですか。それは、もう実質的に被告になっているから、先手を打って、おれはやっていないぞという訴えをやったわけでしょう。だから、もう認めているのですよ、自分が原告だということを。だから、それを受けて反訴しているんだから、これは裁判になっているわけですよ。

 ですから、私は内容なんか言っていません、関係ないですから。そうじゃなくて、八兆円ものお金を出した、国民の税金を、国民生活を、社会問題をも起こしたまでのこの長銀という、そしてまた、同じ同一法人が新生銀行となって今上場を果たして、何をやってきたかという事実を、私はさっき言ったでしょう。この裁判が問題じゃないのです。私は、これが一番いい教科書としてお手本となっているから使わせていただいております。

 ですから、このようなことでリスク開示がされているのか、投資家保護ができているのか。ちゃんとその裁判があるのに書いてないじゃないか。これは起承転結として裁判のことを全部書かないと、巨額の損害賠償を要求されている裁判で、そしてまた、このシャーマン・アンド・スターリングの、これほど大きな法律事務所が依頼人の名前をディスクローズしながら謝罪広告を出すということが、これは異常なことだということは竹中大臣もおわかりですよね。

 今おっしゃった、それはやられると思うからやったんですということですね、五味さんが言ったのは。では、やられるということはどういうことですか。もう実質的に原告、被告になっているから、そして東京で先走って、語るに落ちるというやつですが、私はやっていないぞと言って裁判をして、それで反訴されているのです。だから、もう見事にこれで原告、被告になっています。いかがですか。

五味政府参考人 いわゆる東京訴訟と申しますのは、債務の不存在の確認訴訟ということでありますから、要するに、債務があるのではないかと訴えを受けているという場合に、反訴としてそれを訴えることも当然ございましょうけれども、本件のように、そういった請求を行っている裁判に自分たちを巻き込もうとする動きがあるということを認識して、それはそうではないんだということを確認するための訴訟というのも、これはあってしかるべき話であろうと思います。別に私、どちらの味方をしているわけでもないのですけれども。

 いずれにしても、東京訴訟というのは係属中だと聞いておりますから、そういった請求自体がどのように、いわゆる債務不存在確認訴訟の範囲として裁判所によって認定されるかというのは、これからの裁判の手続の問題でございますので、ちょっと私どもからそれを申し上げるわけにはいかないと思います。

小林(憲)分科員 いや、本当に、もう要点はおわかりでしょう。

 だから、もうこれは関係しているんですよ、大臣。だから、シャーマン・アンド・スターリングが、その謝罪文は関係ないとか訴状は関係ないとかこの間おっしゃったけれども、関係があるということは今の答弁を聞いていておわかりになったでしょう。だから、株価のことについて、まああれですけれども、とにかく関係しているということはもう明らかじゃないですか。

 だから、先日御答弁いただいたときに、シャーマン・アンド・スターリングの謝罪文は新生銀行とは関係のないことだ、シャーマン・アンド・スターリングの話は新生銀行と関係のない訴訟であるとおっしゃいましたが、そうではないということはもう明らかになったと思いますので、それを受けまして、謝罪文が出された経緯などについて承知してないとか、そのような余りにも無責任な説明がありましたけれども、改めてこの謝罪広告についての御見解を教えてください、大臣。

竹中国務大臣 イ・アイ・イとこの法律事務所等々の関係、非常に複雑な関係なんだと思います。

 これは言うまでもありませんが、当事者同士でそれぞれの言い分があるわけですから、それぞれの言い分を法廷に出してもらって、その法廷で決着をしていただく。まさに民事の訴訟で、しっかりとした御議論をしていただくということに尽きるんだと思います。

 私、この一連の議論で、小林委員がおっしゃっているように、リスクの情報があるならばそれを投資家に開示しなければいけない、これはもう当然重要なことだと思います。それはルールが当然のことながらありまして、非常に大きな金額の訴訟を受けている場合、これは特記事項として書かなければいけないということなわけであります。これについては、実は、その特別な記載の中に既になされているわけですね。

 それ以上のことを書けというふうに小林委員は言っておられるように思うのですが、これはしかし、金額がどれだけであるのかとか、これは最終的に、東京訴訟、カミノ訴訟云々ではなくて、サイパンの訴訟のことでありましょうから、そのサイパンの訴訟でどれだけだという、やはり訴状なり金額を記したものがないとこれは書きようがないし、それもないのに、新聞に書いている数字を勝手に書くというのは、これはまた別のリスクになるわけでございますから、これはやはり手続であるということだと思います。

 きょうの中で、いろいろな疑わしい状況があるではないか、実質被告ではないかということを委員おっしゃいました。きょう朝、午前中にいただきました委員の整理にも実質被告という表現がございますのですが、これはちょっと実質被告というのはなかなか理解できない。

 これはやはり、繰り返し言いますが、我々はリスク情報があればしっかりと開示させます。それは我々の立場でございます。しかし、それは訴状が送られてくるなり、裁判の手続が始まるなり、それによって数字が明確になるなり、そういうことがあって初めてしっかりとした客観的な事実としての手続になるものだというふうに思っております。

小林(憲)分科員 いや、もうこれは反訴されていまして、その裁判を受けていますから。実質的被告であったのはロスの場合であって、今、東京カミノではもう訴えをお互いにやりましたから、被告と原告になっていますよ、東京カミノでは。だから、実質だったのは、実質被告だということを自分から認めて、裁判を、訴えを起こして、そしてそれを反訴されているわけですから、それが今現在裁判中なわけです。

 大臣が、そのことはこれ以上書けないだろう、この間目論見書の訂正が出て、あれで十分だとおっしゃいますが、あれでは十分でないということは、皆さんがもうあのときの説明でわからないということで立ち消えになった議論ですけれども、なっているわけです。

 そしてまた最悪なことは、私が出したように、このイ・アイ・イの裁判というのは、本当に新生銀行の体内でがんのように転移をしながら、そういうふうに訴えをまた起こして、それの反訴が起こるとか、転移、広がっていて、目論見書の訂正で投資家に十分な投資評価ができるように説明を行う義務が届け出者である新生銀行にはあるということがあるわけですよ。これを自発的に訂正が行われなければ、これは当局においてしかるべき措置をとって、例えば証券取引法の第十一条の適用などを行う必要があると私は思うのです。

 今、別に訴訟の金額が出ていないから書かなくてもいいと。では、出て、大変な数が出たら、それを今書けばいいと言ったのですが、投資者保護の立場から本当にそれでいいんでしょうか。

 そしてまた、もう株が売り出されていたとしても、たしかポスト・エフェクティブ・アメンドメントというのがあって、それは、出てからの株でも、ちゃんとその後で訂正目論見書が出せるというシステムがあると思うのです。

 ですから、この裁判を見守りながら、その数値が出れば随時出すと今おっしゃいましたが、このポスト・エフェクティブ・アメンドメントを使って出していっていただけるんでしょうか、裁判の移行によって。巨額なものが出てくると思いますが、その場合に出していただけるんでしょうか。大臣、お答えください。

増井政府参考人 今先生御指摘のように、二月の二十七日の時点で新生銀行はイ・アイ・イ・サイパン訴訟に係る訴状をいまだ受け取っていないということでございまして、この二月四日に提出されました有価証券届出書の訂正届出書に加えたさらなる追加的な開示は行われておりません。

 ただ、新生銀行からは、今後サイパンにおける訴訟について訴状が送達された場合や、また新たな事実が判明した場合には、臨時報告書等の提出について検討する必要があると考えているというふうに聞いております。

竹中国務大臣 今局長から答弁させていただいたとおりなんでありますが、確認のためにもう一度申し上げますけれども、二月二十七日、先週の金曜日ですね、その時点では、新生銀行はこのサイパン訴訟に係る訴状をまだ受け取っておりません。したがって、二月四日に行われた、これは訂正届出書に対して、さらなる追加的な開示は行われていない。しかし、新生銀行自身、今後、サイパンにおける訴訟について訴状が送達された場合や、新たな事実が判明した場合には、臨時報告書等の提出について検討する必要があると考えているというふうに聞いております。

 我々としては、記載すべき重要な事項もしくは誤解を生じさせないために必要な重要な事項の記載が欠けているような場合には、その時点で、当然のことながら法令の規定にのっとり適正に対処していくということになります。

小林(憲)分科員 これは一歩リードしたなと今答弁を聞いていて思ったんですが、この間は、サイパンの訴訟はないとか、裁判がないとか、訴状がないから知らないとかということをおっしゃっていたけれども、訴状の送達があれば、送達されれば、これを書いていくということですね。送達されれば、その内容を、臨時報告書、これは何ですか、私がさっき言った東証が出すものですか、それとも金融庁が出すものかわからないですけれども、この臨時報告書というものの性格をちょっと説明していただいた上で、訴状の送達があれば、これをちゃんと随時報告していくということで理解しましたが、それでよろしいですか。

増井政府参考人 証取法、証券取引法の第二十四条の五の第四項という規定がございまして、上場会社等の有価証券報告書を提出する義務がある会社が、重要な訴訟、例えば今のあれでいいますと、純資産額の一五%以上の損害賠償請求額を提起された場合には、臨時報告書を遅滞なく提出することを規定しております。

小林(憲)分科員 それでは、大臣に、送達があった場合、それはしっかりと検討をしていただけるということで、新生銀行も送達があったことを隠さずに、金融庁にその事実を明らかにするということで、その日時も明らかにするということで理解してよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 これをやらないと法律違反でございます。これは、当然のことながら先方もその法律は承知をしていて、そういうことがあった場合には当然やるというふうに言っておりますし、我々も、もしそうでなければ、これは我々は監督する責任がございます。しかし、これは法律で純資産に対する金額の規模等々ありますので、それより大きなような場合、それはそういう法律に基づいて、のっとって対処するということでございます。

小林(憲)分科員 それでは、今しっかりとお言葉を受けましたので。

 二月十六日に預金保険機構の松田理事長が参考人として御説明をしていただきましたが、裁判による損害賠償の補償は、瑕疵担保条項ではなくて偶発債務の補償条項であるとのことでした。新生銀行の売出届出目論見書の七十五ページ、七十六ページには、瑕疵担保による解除権と、表明及び保証違反、偶発債務、裁判による損害の補償が記載されています。

 訴訟による損害について、そもそも旧長銀自身が犯した不法行為により生じた損害賠償債務につき預金保険機構が税金を使って補償するということは、これは本当に許されないことだと私は思うんです。金融庁はどうお考えですか。

 これは、損害賠償については、本人の違法または重大な過失により生じた損害については補償しないとの文言があってしかるべきだと思うんですが、譲渡契約書にはそのような基本的なものはついていないんでしょうか、お答えください。

五味政府参考人 特別公的管理下におきます旧長期信用銀行の株主は預金保険機構でございまして、この預金保険機構が株式を譲渡するという形で特別公的管理を終了したわけでございます。その株主がかわったというだけで、長期信用銀行と新生銀行とは法人格が継続しておりますので、その株式譲渡以前に起こりました裁判その他の権利義務関係というのは新しい法人に承継されるわけでございますけれども、その承継されるときに、それを旧株主と新しい経営体のどちらが負担するかということにつきましては、通常の民間のMアンドA契約でもこのような趣旨の契約がなされております。

小林(憲)分科員 ですから、みずからがこの訴訟で、例えば負けるであろう、または負けたような状態で、自分に瑕疵があるのに、その本人の違法または重大な過失によって生じた損害については補償しないというような、そういう文言はついていないということですね、譲渡契約には。

五味政府参考人 預金保険機構による補償につきましては、今申しましたように、一般の企業買収において通常結ばれる補償契約、そういう位置づけで締結をされたものでございます。旧長銀の買収の際に既に存在していた行為または状況による偶発債務、簿外債務あるいは訴訟提起等、こういうものによって旧長銀買収後に損失が発生をしたという場合には、その損失について売り主たる預金保険機構がこれを補償する、こういう規定でございます。

小林(憲)分科員 ですから、先日の松田理事長は、その辺はこれから裁判の移行を見守りながら考えていくと。だから、預金保険機構は払うよとは言っていないんですよね。だから、これはもう大きな問題だと思うんですよ。払わないかもしれないというよりも、あの口ぶりだと、何で払わなきゃいけないのか、だからこれは裁判になるよと言わんがごときお答えだったと私は受けとめたんですね。ですからこそ、裁判の移行を見守って、預金保険機構だって、金を払うか払わないか、訴えられて、賠償しろと言われたものを払うか払わないか、これから決めると言っているんですよ。

 だからこそ、私は、この裁判は大事だ、そしてまた、これがすべての矛盾であり、間違いであり、イカサマをやった証拠であると。これは出てくるよ、そしてもう既に海外で出てきているよと。既に海外で段ボールに百七十箱ぐらい出てきていて、その中にいかにでたらめにやったことが出てきちゃったから、シャーマン・アンド・スターリングという大変有名な弁護士事務所が、一抜けたといってごめんなさいとやっちゃったわけですよ。それで謝罪文を出した。

 そして、それがもう、被告でも原告でもないとかさっきおっしゃったけれども、関係していることは明らか。そして、だからこそ先手を打って、さっき五味さんも自分で言いましたよね、先手を打って訴えちゃった。先手を打って訴えちゃったら、いいですよと反訴した。もうこれで関係者ですよ。見事に関係者ですよ。だから、関係ないなんて言えなくなってきていて、がんのように転移をして、どんどんどんどんこの訴訟が新生銀行の中を駆けめぐっている。そういうことを御自身でもさっきおっしゃったわけですから。

 ですから、預金保険機構が払われるだろうなんという話を今ここで出されても、払わないようなことをもう言ってみえて、この間ここでしゃべられたんですから。いかがですか、これはしっかりともう一遍目論見書にもっとわかりやすく書くべきだと思いませんか。いかがですか、大臣、そしてまた五味さんも、副大臣も。どうぞお答えください。

五味政府参考人 サイパン訴訟に関しまして、これによって、預金保険機構とその結果いかんによって争いが生じ得るという旨のことは既にディスクローズされているわけでございますので、これは済みません、私、直接の担当ではないんですが、何度もこの場で御答弁申し上げていますように、それをもって当面はディスクロージャーとしては十分なものであるというのが認識でございます。

竹中国務大臣 リスク情報はきちっと開示させなければいけない、それはもう当然のことだと思っております。

 現時点で、話は大変ややこしいわけですが、イ・アイ・イと新生銀行の間の関係、そして新生と預保の関係、それぞれについてきちっとした手続を今後踏んでいかなければいけないわけでありますが、少なくとも今の段階では、イ・アイ・イと新生の間に訴状が来ていて、その金額が確定しているわけではない、新聞報道で、訴えられる金額が確定しているような事実はない。したがって、新聞報道ではこういうことがあるということは書いておりますけれども、それ以上のことは書けない。また、預保との関係でも、紛争が生じる可能性があるというようなことは今の目論見書には書いている。それ以上のことが判明した場合には、先ほどから申し上げているように、その訂正の届け出を、臨時の報告をなさなければいけないことになりますが、これはもう事実関係に基づいてしっかりと対応していくということになると思っております。

小林(憲)分科員 質疑時間が今回は終わりましたが、送達をされるであろうということを新生銀行も言っているわけですから、送達をされましたところでまた質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

松岡主査 これにて小林憲司君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして金融庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。照屋寛徳君。

照屋分科員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 きょうは、内閣府、茂木沖縄担当大臣もおいでいただきました。幾つか沖縄振興に関する質問をやらせていただきたいと思います。

 一九七二年五月十五日に沖縄が祖国復帰をして、三十二年目に入りました。一九四五年、ありったけの地獄を集めたような戦争であったと言われる沖縄戦が終わって、直ちに米軍の軍事支配下に置かれたわけでありますが、一九四五年から一九七二年、復帰が実現するまでの二十七年間をいわば超えたわけでありますね。復帰後の方が長くなりました。

 この間、三次にわたる沖縄振興開発計画が、政府の責任で、国の責任で取り組まれてまいりました。沖縄の振興開発を進める上で、先日お亡くなりになりました山中貞則先生が大変な御尽力をいただきまして、離島を含めて多くの県民から、山中先生お亡くなりになったことについて、哀切の念やみがたいという声が起こりました。私も、個人的にいろいろ御指導をいただいたのでありますが、本当に残念でございます。

 大臣、御承知のように、復帰後、三次にわたる振興開発を進める中で、沖縄の社会資本はかなり整備をされてまいりました。道路もよくなったし、空港も港もよくなりました。学校もよくなりました。離島架橋も実現をしてまいりました。そういう点で、私は、復帰三十年のときのいろいろな世論調査を見ますと、復帰してよかったという評価がかなり高いのは、復帰してよかったという沖縄県民の率直な実感というか、それは社会資本の整備が進んだということとも深い関連を有しておるだろう、こういうふうに思っております。

 ところが、累次にわたる沖縄振興開発のさまざまな事業を行った、それで社会資本の整備が進んだ、もちろん私は、これで沖縄の社会資本の整備が十分だというふうには思っておりませんし、ポスト三次振計の新しい沖縄振興計画に基づいて、これからも沖縄の自立が可能なようなさまざまな施策展開を引き続いて国においても取り組んでいただきたい。同時にまた、沖縄県含めて沖縄の側の努力というか、内発的な力による自立の可能性へ向けた役割も大きいだろう、私はこういうふうに思っております。

    〔主査退席、倉田主査代理着席〕

 それで、きょう一つだけ大臣に、要望を含めて、私はこれからの改善をお願いしたいなと思いますのは、先日、沖縄振興開発に関して、沖縄総合事務局が発注した公共工事、これは当然沖縄振興開発に絡む公共工事ですから、その資料を取り寄せてみました。

 多分、大臣のお手元にもあると思いますが、例えば平成十年度ですと、県内企業の受注件数は、率でいいますと七七・九%、県外企業は二二・一%であります。ところが、受注高というか請負高で見ますと、県内企業が五百十四億三千八百万、五四・二%、県外企業が四百三十三億九千八百万、四五・八%であります。

 同じように、数字は省きまして率だけ申し上げますと、平成十一年度で、契約件数でいくと、県内企業が七六・三%、県外企業が二三・七%、それが、平成十一年度、受注工事高でいきますと、県内が五一・八、それから県外が四八・二であります。

 こういうふうにして、平成十二年、平成十三年、平成十四年度と、私がいただいた資料を見ますと、契約件数では八割を超える、八割強の工事の請負件数が県内企業になっているのでありますが、受注高、請負高でいきますと、県内企業は五〇%弱ぐらいでございます。

 沖縄の経済構造というか、これは、大臣よく御承知のように、かつては基地経済に依存せざるを得ない、これはもう構造的に依存せざるを得ない、いわばドル経済圏に好むと好まざるとにかかわらず組み込まれた状態で、基地経済が大変高い割合を占めておりました。今は、観光産業も大変活発であるし、元気でありますので、基地経済の占める割合はだんだん少なくなったのでありますが、今申し上げましたように、せっかく沖縄振興開発のためのさまざまな事業をやっていただいたわけでありますが、事業を請け負う工事の実態から見ると、県内企業が五〇パー弱だということで、県内の建設関連業者の中にも強い不満があるのは事実なんですね。

 私は、やはりそこら辺はもっと国として配慮ができるのではないかというふうに思っておりますが、今申し上げた数字、あるいは詳細な資料を、大臣、お目通しいただいたと思いますので、まずその感想をお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 まず、照屋委員、先ほど冒頭に山中先生のお話、お触れになりましたが、私も、さまざま沖縄の問題につきまして就任前から御指導いただいてまいりまして、ちょうど平成十六年度の予算、政府原案が決まりました二十四日に先生の事務所も訪れさせていただいたんですが、一時間にわたって、いろいろなお客さんがお待ちだったんですが、自分がたどってきた道等々御教示をいただきました。本当に残念な思いでいっぱいでありますし、心から御冥福をお祈りするとともに、そういった先生が沖縄にかけた思い、それをしっかり担当大臣としても引き継いでいきたいな、こんなふうに考えております。

 沖縄の振興、まさに先生おっしゃるように、インフラの整備等々はある程度進んできた。これからは自立型経済の構築、こういうことが必要になるわけですけれども、そうはいいましても、若干東京と地方は違うところがありまして、やはり公共事業等々の占める比率、これが大きいというのは厳然たる事実だと私も考えております。

 数字で申し上げますと、先生、平成十年度からの数字を引いておられますけれども、平成十二年度が一番低くて、額にしまして四八・九%と下がって、それが十三年、十四年で若干改善しておりますけれども、五割弱、こういう数字であります。

 国の数字で申し上げるとそういった形になるわけでありますけれども、沖縄の公共事業に占める国の割合が大体二割であります。残りの八割を占めます県、それから市町村、これの発注事業について申し上げますと、約九割の比率が地元企業の受注、こういう形になっております。国、そして県、市町村合わせまして、全体の公共事業で見ると、八割を超える割合、推計では八一%が地元の発注比率ということになるというふうに思います。

 ただ、そうはいいましても、大変厳しい財政状況の中で全国の公共事業が目減りをしているわけでありますから、地元業者の受注が総体的に厳しくなっている、このことは事実である、そのように受けとめております。

照屋分科員 私は、いろいろな要因があるんだろうと思いますけれども、例えば、公共工事を発注する際に、請負業者のランクづけの問題があります。しかし、それはそれで、沖縄県内の建設関連企業というのは、本土に比べるとかなり零細企業と言ってもいいぐらい中小零細であります。それは、先ほど申し上げましたように、二十七年間この国の施政権が及ばなくて、さまざま障害があったわけでありますから、私、例えば地元の建設関連業者の技術や資本力を共同企業体、JV企業のように組んでいただいて、組ませて、そこに発注ができるような仕組みをつくるとか、そういう配慮をぜひ今後とっていただきたいな、こういうふうに思います。

 それは予算委員会で、私、別の観点の公共工事をお尋ねしましたので、大臣も聞いておられたかもしれませんが、例えば思いやり予算でやる提供施設整備工事だとか、SACOの関連予算で実施をしている基地内の公共工事、これも契約件数でいくと、それぞれ八割以上が県内企業なんですね。しかし、工事高でいくと、もう六割ぐらいなんですよ。

 六割で多いじゃないか、あるいは、そこそこじゃないか、何をぜいたくなことを言っているんだ照屋君と言う人もおるかもしれませんが、私があのとき申し上げたのは、例えば、大気汚染だとか、あるいは土壌汚染だとか、爆音だとか、山火事だとか、演習被害だとか、米軍人軍属の犯罪だとか、あるいは殺人的な爆音と言われる爆音被害の問題とか、いわば基地被害、あるいは基地があるがゆえのさまざまな事件、事故、これはもうもろに沖縄県民がこうむっているわけですね。それでいて、基地内で実施をされるさまざまな工事は本土の企業が大方受注をするということでは、私はやはり県民が納得しないのではないかということで、先日、提供施設整備予算や、あるいはSACO関連予算のこともお伺いをさせていただいたわけであります。

 関連をしますので、ぜひ大臣におかれましては敏腕を振るっていただきまして、県経済、地域経済を活性化させるという観点からも、私は特段の御配慮をいただきたいというふうに思っていますが、決意のほどをお聞かせいただければありがたいと思います。

茂木国務大臣 確かに、照屋先生おっしゃるとおり、沖縄の建設業を見ても、中小の建設業が多いという形でありまして、中小、そして中堅の建設業の受注機会を増大させる、そのための施策が必要だと思っております。

 先生の方からジョイントベンチャーのお話ありましたけれども、今、主に四点進めたい、こんなふうに考えておりまして、その一つは、経常建設共同事業体、つまり、経常的にジョイントベンチャーを組む、これの活用を奨励いたしまして、直轄事業への参入の拡大を図る。二点目は、技術的難易度に応じて工事等級の弾力化を図る。工事自体は大きいんだけれども、難易度が少ないものはできるだけ地元に。それから、三点目として、県内自治体等発注工事についても、これは同じような工事なんだから、国についても同種の工事の実績として評価をしていく。それから、四点目といたしまして、これは今全国的に進んでおりますけれども、分離分割発注に引き続き取り組む。恐らく国の関連でもいろいろな発注先があるわけでありまして、こういった四点を、それぞれの発注先がきめ細かにしっかり対応できるように、これからも関係先とも連絡をとってまいりたいと思っております。

照屋分科員 それでは、厚生労働省の関係者がお見えだと思いますので、沖縄における雇用政策の課題を幾つかお伺いしたいと思います。

 全国的に若年労働者の失業率が高くて極めて深刻な状況であるということは御承知のとおりでございます。沖縄の失業率は全国平均の約二倍でありまして、特に若年労働者の失業率も極めて高いという状況にございます。また、加えて、フリーターが増加をしているということも、これは全国的な傾向で、沖縄もそのような傾向がございますし、正規労働から非正規労働がふえているということもそのとおりでございます。

 そこで、深刻な若年失業者の現状認識というか、沖縄の状況を含めて、どのような事態とお考えなのか、そして、その対策についてちょっとお聞かせをいただけたらありがたいと思います。

三沢政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お話しになりましたように、沖縄、全国的に失業率は非常に改善しておりますけれども、その中でも非常に厳しい、特に若年が厳しいということです。若年の、十五歳から二十九歳層でございますけれども、失業率が一四・六%と非常に高率になっています。私どもも、こういう状況を踏まえまして、沖縄県についてはいろいろな対策をやはり講じなくちゃいかぬだろうということを考えています。

 その第一が、まず県内で雇用機会をつくっていただく、こういうことで私ども、特に沖縄に特化した対策でございますけれども、沖縄若年者雇用開発助成金制度、こういうものを設けまして、沖縄県で事業を展開する、そして沖縄県の若年者を雇用していただく、こういう場合に一定の助成を図ろう、こういうような制度も設けています。

 それから、県内でなかなか就職が難しいという場合、県外就職ということもございますので、広域的な職業紹介をやっていこう、こういうことも考えております。

 それから、フリーターのお話がございましたけれども、全国的にフリーター二百万余と言われておりますけれども、私ども昨年、若者自立・挑戦プラン、こういうものをつくりまして、ワンストップサービスをやっていこうというふうなことを考えています。

 沖縄につきましては、既に昨年の六月にワンストップサービスセンターができておりますので、私どももこれに協力して、平成十六年度からさらにその内容を充実した形で実施していきたい、こう考えている次第でございます。

照屋分科員 今御説明をいただきました沖縄若年者雇用開発助成金、これはたしか平成九年度ぐらいからできたんですかね。その制度の趣旨、目的、できましたら、沖縄若年者雇用開発助成金制度ができた九年度以降十四年度ぐらいまでの予算が幾ら組まれて、実績はどうであったのか、この辺、ちょっと数字的な面をお教えください。

三沢政府参考人 お答え申し上げます。

 この若年者雇用開発助成金でありますけれども、平成九年度に創設されました。その趣旨でございますけれども、先ほど申し上げましたように、沖縄は若年者の雇用機会が非常に不足しているということもございまして、沖縄県内で事業を開始する、あるいは事業を拡充する、そういうことに伴って、沖縄県に居住する若い人、三十歳未満でございますけれども、雇い入れた場合に、事業主に対して一定の助成をする、こういう制度でございます。

 具体的な予算のお尋ねでございますけれども、予算は平成十年度から支給がなされておりまして、平成十五年度までの累計では、総額六十八億円の予算を組んでおります。

 実績につきましては、平成十五年十二月末までの実績でございますけれども、総額で約三十二億円、こうなっている次第でございます。

照屋分科員 そうすると、平成十五年の十二月末までの予算と実績で見ますと、これは半分以下ですな。それはどういう事情によるんでしょうかね。

 例えば、私が調べたところでは、今トータルでおっしゃいましたので、ちょっと分析が難しいのでありますが、制度ができた初年度は、予算が九千三百二十八万二千円に対して、実績はゼロなんですね。その後、確かにふえたんでしょう、ふえたんでしょうけれども、平成十二年度でいいますと、六億六千九百九十万六千円の予算に対して、実績は二億八十五万六千円しかないんですね。そうすると三分の一以下であります。

 恐らく、今の御説明によりますと、十四年度、十五年度でかなりふえたのかなというふうに思いますが、いずれにしろ、制度ができてから七年間の実績で半分にも満たないというのは、どこに問題があるというふうに御認識をしておられるのか、それを改善していくためにはどのような方策をお考えなのか、そのあたりを御説明ください。

三沢政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御説明のとおり、予算と実績、非常に乖離しております。

 これは、私どもの考えでは、この制度に仕組みがあるんですけれども、これは沖縄労働局長の事業計画の認定を受けて、その認定を受け終わった事業所が一定の設備の拡充をする、そして労働者を雇い入れた、そういう場合に支給されるということになっておるんですけれども、平成十四年度までにこの労働局で認定した件数、百五十八事業所があるんです。そのうちの約四割の六十二事業所が、撤退とか廃止ということで、事業計画の完了に至らなかった、こういうことで結果的に不支給になった、こういうことが大きな原因ではないかと思っています。

 ただ、平成十四年度でございますけれども、十四年度に至りましては、予算上、十七億円弱の予算を組んでおるわけでございますけれども、実績ベースで十三億円弱ということで、徐々にその計画認定をされた事業所が完了するというふうなことになっておりますので、私どもとしては、この計画認定の事業所が定着指導、そういうふうなことで計画が達成されるよう今後とも指導していきたいと考えておる次第でございます。

照屋分科員 雇用問題についてはもっともっとお聞きをしたいのでありますが、防衛施設庁もおいででございますので、防衛施設庁に対しても、予定をしておった質問、もうこれは三分の一もできないんですが、一点だけ、例の米軍鳥島射爆撃場における海上自衛隊の演習問題でちょっと聞かせてください。

 この問題については、地元久米島町で、議会あるいは町長、地域住民の皆さんが大変心配をしておりまして、反対を表明しているわけです。それは御承知だろうというふうに思います。それで、これは米軍のいわば提供施設、射爆場でございますが、自衛隊が使うということになりますと共同使用になります。

 しかし、これは多分、地権者は久米島町だろうと思うんですが、その地権者が非常に演習被害を心配しているわけですね。それから、この射爆場周辺で漁業活動を営んでいる漁民の皆さん、漁協の皆さんも懸念を表明して、反対の意思表示をしておるわけであります。

 もう一つ心配なのは、米軍が使用した劣化ウラン弾が全部まだ回収できてないんですね、鳥島は。だから、その未回収の劣化ウラン弾に対して、今度の演習が悪影響を及ぼすんではないか、こういう心配も現地の人たちは抱いておるようであります。

 それで、きょうは時間がありませんので、防衛施設庁に、地権者である久米島町が反対をしている、そういう中で、地権者の声を無視して、共同使用の手続を進めて演習をやるお考えなのかどうか。この点、お聞かせください。

山中政府参考人 昨年の九月に町議会から反対の決議がございますし、また、先般も沖縄県漁連の方から要請がございまして、私が直接お話を伺いました。

 いろいろな御懸念等をお持ちでございますが、私どもの方は、発射試験、性能確認試験の必要性等を十分御説明をいたしておりますが、さらに、地元の御理解をいただきながら、何とか試験の実現に持っていきたいというふうに考えているところでございます。

照屋分科員 御理解を得ながらと。私は、要するに、理解が得られないときはどうするんですか、強行されるんですかと。そこだけ教えてください。

山中政府参考人 私ども、現状におきましては、ぜひとも御理解をいただきたいということで取り組んでいるところでございます。

照屋分科員 そういう酢のコンニャクだのと言わないで、ずばり言えばいいので、もう質問時間がなくなったので、いずれまた、機会を改めて聞かせていただきたいなと思います。

 茂木大臣、ありがとうございました。冒頭、山中先生のことにも大臣からお触れになっていただきまして、私の方からも県民にかわって感謝を申し上げたいと思いますし、また、多くの県民が茂木大臣に期待をしております。

 沖縄は、御承知のように、かつて、四百年、五百年続いた琉球王朝の歴史がございますけれども、そういう沖縄の地理的な、歴史的な特性を踏まえた、沖縄の内発的な力による自立ができますように、ぜひお力添えをいただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。

倉田主査代理 これにて照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、須藤浩君。

須藤分科員 民主党の須藤浩と申します。

 本日は、青少年の育成についてお尋ねをしたいと思います。

 この青少年の育成については、特命大臣の小野大臣にお伺いしたいんですけれども、特にこの問題に関しては、思うところを、あるいは御自分の考えている政策について、堂々と、そしてありのままにたくさん述べていただきたいな、このように思います。

 と申しますのは、青少年、特に健全育成、こういった問題に関しては、皆が考えていることであると同時に、特にマイナス思考の政策ということはないと思います。逆に、どうしたらいいか、あるいは、今後の日本をつくっていく、その中核となる青少年をどう育てていったらいいかという意味では、非常に前向きな姿勢で物事を進めていかなければならないというようなことにもなりますし、与野党特に、その意味では対立をするということもなかろうかと思いますので、その意味でよろしくお願いいたします。

 最初に、青少年の健全育成につきまして、現在、特命の大臣ということで所管をされているかと思いますけれども、その中で、内閣府ということで、本日はその所管でお伺いするわけですけれども、従来、総務庁にそういった組織がありましたが、それが、時代の変化といいますか、行革も含めて省庁の再編、そういった流れの中で、組織そのものの変更もあったかと思いますので、その辺の担当としての経緯、これをまずお伺いしたいと思います。

小野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 内閣府は、二〇〇一年の中央省庁等改革におきまして、内閣機能の強化の一環として、内閣を助け、そして、内閣の重要政策に関し、行政各部の政策の統一を図るために必要となる企画立案及び総合調整等を行うために設置されたものでございます。

 次代を担う青少年の育成というのは、二十一世紀における我が国のありようを左右する大変大事な事項でございます。そしてまた、広範に行政分野がまたがっております。先生おっしゃったとおりでございます。すなわち、青少年育成施策は、総理、官房長官、そしてまた特命担当大臣の強いリーダーシップがぜひとも必要な分野でございまして、企画立案、総合調整、こういったものを行いまして機動的な対応をすることが求められる内閣の重要課題として、内閣府で所掌することがふさわしい課題であると判断され、そして、このような形に総務庁から内閣府に移管されたものと承知をいたしております。

須藤分科員 ということは、必要性があって当然組織変更すると同時に、その対策の重要性にかんがみて特別に置かれているということだと思うんです。

 もう一つは、今大臣が言われましたように、各省庁で従来から行われているこの青少年対策、これが、青少年という切り口といいますか性質で見ていくと、現在の縦割り行政では対応し切れない、つまり、その分だけ幅が広いということになろうかと思います。

 その中で、青少年育成推進本部というものがつくられているかと思いますけれども、この内閣府に、先ほどの説明でありましたけれども、組織が置かれて、その中で、この青少年対策のために特に推進本部を設置されたということとの関連はいかがでしょうか。

小野国務大臣 特命担当大臣が置かれた経緯と申しましょうか、そういうものに関しましては、特に必要があると思われた場合には、総理大臣を助けまして、内閣の重要政策に関する総合調整を行うのが、各省庁にまたがっていると先生もおっしゃいましたけれども、大臣を置くことができる、そのように特命担当大臣制度をこのたびつくり上げたわけでございます。

 そんなことで、非行少年の深刻化とか、あるいは我が国の未来を担う青少年が今後どうなっていくかということは、我が国社会のありようを左右するということを先ほども申し上げましたけれども、若者が現在、例えば、就労が大変不安定化しているとか、児童虐待が増加しているとか、そういう青少年の育成という重要課題が大変不安定状況にあるということの中において、いわゆる青少年担当の特命大臣というものがどうしても必要である、そういう認識の中で立てられたものだと思っております。

須藤分科員 では、御自身がこの特命の大臣ということで就任をされまして、現在の日本の社会を見回したときに、今おっしゃられたことが、御自身の言葉といいますか、御自身として、大臣として、あるいは、もうちょっとその前に一人の人間として、今の日本の青少年が置かれている環境、あるいは、それに対するお考え方がありましたらお伺いしたいと思います。

小野国務大臣 先生も青少年関係にずっとこれまでかかわられて、青年の船などの会長もなすったというお話も伺っておりますけれども、青少年が、どちらかというと、ニュースになるのが虐待であったり非行であったり、さまざまにマイナス面ばかりがニュースの中に上がってきますけれども、決してそうではない。積極的にボランティア活動をしたり、それから海外青年協力隊にみずから進んで行ったり、日本の青少年たちが負の状況だけがクローズアップされておりますけれども、私は決してそのような感じでは受けとめておりません。

 いかにして、すばらしい子供たちをさらに大きく伸ばしていって、日本の中はもちろんですけれども、世界のリーダーシップをとってくれるような青少年に育成していくかというのが、私は青少年施策の中の最も大事な点であると思いますし、そうした中にありながらも、自分の方向づけをはっきり見出せない青少年たちをどうフォローしていき、リーダーシップをとって、私たちが、横道にそれるのを真っすぐな方向に持っていくかなどなど、非行している子供たちを捕らえるのではなくて、非行ができないように社会をどうしていったらいいかなどなど、進めていく方向というのは大変いろいろな分野にまたがって、たくさんあると思います。

 そういう意味におきましては、すばらしい青年をよりすばらしく、そして非行に走った者をなるべく早い時点で正しい方向づけに戻して、生涯を通してさまざまに生きたその青春時代の一ページを思い起こすことでどんな困難にも打ちかてるような、そんな青春時代を子供たちに過ごさせてやりたい、そんな気持ちを持ちながらこの仕事に携わっているところでございます。

須藤分科員 では、例えば非行少年というような言葉でよく言われますけれども、そういった、成長過程で間違ってしまった、あるいは間違いそうな青少年に関して、私たちも、目が行き届くというよりも、結構日常目にして、目立つということがあろうかと思うんですね。

 そうすると、もうこれは困ったなと思いながらも、恐らく、それはどこの組織、どこの機関がやるべきだとか、一つには学校であるとか、あるいは地域ですね、地域のコミュニティー、あるいは人間関係、そういったところが対応すべきであるとか、あるいは、もっともっとさかのぼって、本来家庭の問題である、それは、しつけであり、教育でありと。そういったところに頭がさっといってしまって、目の前にある非行現場といいますか、そういう状況を理解する、認識はするんですけれども、それに対して、ではどう対応しようかということが、自分自身の問題としてとらえられることが、私は今かなり少なくなってきているんじゃないかというふうに思うわけですね。

 ですから、例えば、こういった青少年問題を論じるときに、こうあるべきだとか、あるいは、ある意味でこうあってほしいという議論というのは本当によくされるんですけれども、では、それが、いざ何かが起きたときにそのとおりにスムーズにいくかというと、これはまた別問題であって、どうしてもなかなかそういかない。いかないからこそ、いつもこの問題が古くて新しい問題といいますか事項として上がってくる。そういうことを私は常々青少年育成活動をやっていて感じております。

 と同時に、この対象が青少年ということでありますから、年齢がかさんでくれば、当然、青年から大人になり、やがては壮年、熟年と年を重ねていくわけですけれども、当事者は年とともに人が変わっていく、つまり、非行でも何でもその当事者が常に新しい人になってしまうという、ここのところが非常に対応が難しいというか、常に新しい問題であるというふうに私は思っております。

 先ほど、大臣が考えていらっしゃることをたくさん述べられました。そこで、例えば政治家になりますと、大変忙しいと同時に、現場に行くことがかなり多い。日常の活動や、あるいは政治的な活動の中でも、そういった青少年の問題あるいは青少年健全育成にかかわる場にも出る機会がたくさん多いと思いますけれども、近年で、そういった意味で印象に残ることがもしありましたらお知らせください。

小野国務大臣 先生おっしゃいましたように、なかなか現場に行くということは難しくなってきましたけれども、例えば歌舞伎町も歩いてみました。それから、渋谷も歩いてみました。それから、池袋も歩いてみました。そして、歩いてみて、その時間帯により街の姿が全く変わっていくということも改めて知りましたし、そしてまた、スポーツの世界にも足を運びましたし、それから、商店街関係も歩いてみました。

 街の中の通常の時間帯というのは青少年に余り会うことができませんけれども、夜方になってきますと、いろいろと目につく子供たちの姿があります。気になることは、コンビニの前で、大丈夫かなと思うほどべったりへたり込んでいる青年たち。そんなところへ座っていたら体が冷えますよと言いたいような感じのする子供たち。駅等で見かける子供たちも同じような形です。ああ、修学旅行がこうやって座らせることが身についてしまったのかなと、一瞬そんな気持ちにもさせてもらいましたけれども。

 しかし、私たちの周辺で、子供たちに真剣にスポーツを教えたり、それから、ボランティア活動で一生懸命缶を拾い集めてその後ろをついて歩く子供たちを見ますときに、大変ほのぼのとした感じもいたしますし、こういうときこそが本当の意味の、年のいったお兄ちゃんの背中を見ながら一緒にごみを拾って歩くという活動の中で子供たちの心が温まっていっているのかな、そんな気持ちにもさせてもらいました。

 二十四時間の中で、子供たちの動く時間、そしてまた大人たちの動く時間、それから自分のために動く時間、それから将来の自分の勉強のために動く時間と、さまざまな分野がありますけれども、一番大事なことは、その活動をしている中に子供たちの目が光っているときがまさに学んでいるときであるな、そんな実感も感じたところでございます。

 私は、どんな世界であっても、やはり汗して一生懸命全力を尽くして活動しているときというのは、心が動いているときであり、体が動いているときであり、生きがいとか喜びというものを一番身にしみて満足感を持っているときではないのかな、そんなふうにも、道を歩きながら、あるいはその場に立ちながら、そのような風情を見させていただき、一緒になって感動したり、一緒になって心配をしたり、さまざまな思いをさせていただいているものでございます。

須藤分科員 青少年の育成のスローガンに「伸びよう伸ばそう青少年」という言葉があるかと思いますけれども、この標語が、自治体の市役所等の玄関あるいは大通りのそういったよく見えるところにこの表示板、掲示板がかかっております。

 私は、小さいころからこれを見ながら、伸びよう、伸びようというんだから、自分が伸びようと思っていることをあらわしている、伸ばそうというのはだれが伸ばしてくれるのかなと。この言葉を、そのときは余り、意味がわからないというよりも、余り重く受けとめていなかったんですが、だんだん自分が、二十を過ぎ、そして大人の社会に入って青少年育成にかかわったりしてきますと、この「伸びよう伸ばそう」という言葉が、当事者であり、そして当然大人であり、と同時に社会であり、環境でありということの意味、この言葉の訴えようとしている意味の大きさ、重さというものを非常に強く今感じているんですけれども、最近の標語はどうも、こういった前向きの標語ではなくて、何か危険な感じのことを防止するというか、だめですよとか、どちらかというと否定形ですね。こういった言葉のスローガンが非常に多くなってしまうと、小さいころからそういうことを毎日目にしているのは果たしていいのかという気もしつつ、この「伸びよう伸ばそう青少年」という意味を日々感じようと私は今思っているんです。

 もう一つ、「大人が変われば、子どもも変わる」というのを御存じでしょうか。こちらの方は、恐らく、現在の青少年のさまざまな問題、諸行動というのは、子供がいきなりそういうようなことを犯したのではなくて、そうさせている側があるということを物の見事に訴えているといいますか表現をしている、そのスローガンでもあろうと思います。

 この二つのスローガンに対してお考えがありましたら、お聞かせください。

小野国務大臣 「伸びよう伸ばそう」、このスローガンは私も、大きな看板ですから、よく目にしておりますし、「大人が変われば、子どもも変わる」、まさにそうだろうなと。やはり大人社会の中で日々その影響を受けながら大きくなっている子供たちですから、やはり大人が変われば子供が変わるという、それは標語としての標語というよりも、まさにそのとおりであると思います。

 ですから、昨今の犯罪件数なども、刑法犯認知件数の中の四割が子供であるということは、六割の大人が何をしているかということにもつながってくるのではないか、そんなふうにも考えておりますし、そして、親の背中を見て子は育つと言われますように、まずは家の中の親の姿勢、それから周囲の環境、それから、さまざまな経済状況の中におけるある意味では恵まれた子供たちの、ゲームの問題やらテレビの番組の問題やら、さまざまな情報機関からもたらされる大人社会からのさまざまな刺激、こういうものが、やはり大人が変われば子供が変わるということにもつながってくるのかな、そんなふうにも考えております。

 いかんせん、私どもが子供時代には、家の中に両親、祖父母、おじ、おば、非常に多くの人々がおりました。そして縁側続きで隣のうちとも気軽に話ができるような状況でしたから、だれが怖いという前に、周囲の目が人々を、大人も子供も育てて、ある意味では抑止力になっていた分野があったかもしれません。

 今は、家の中にドアを閉めてしまえば、何をしていても周囲に気兼ねすることもなく、まさに自由奔放であり、わがまま、そのまま好きなようにできるというのが、これは大人にとっても抑止力もなくなってきているということが言えるだろうと思います。そうした姿を見ながら、子供たちがそれを見てよしとして育っていくということになれば、大人が変われば子供が変わるというその第一歩はまず家庭の中にあり、そしてそこから社会に出て行った段階の中で、また社会がどうなんだろうか、情報関係がどうなんだろうかと、さまざまな状況が。

 いわゆる貧しくとも正直にきちんとした対応ができて生活していた以前の、昭和時代の日本と、平成に入ってからの、刑法犯の認知件数というのがそこでぐっと倍になっていくわけですけれども、経済成長が悪く大変だとは言いながらも、しかし恵まれて、諸外国からすれば平和の中に生きている日本がなぜこのような状況になるかというのは、やはり大人の存在というものが、私たちが胸に手を当てて反省していかなければ子供たちは変わっていかないのではないか、そういう認識を持っている一人でもございます。

    〔倉田主査代理退席、主査着席〕

須藤分科員 今の大臣の言われた中で、私は非常に大切な視点を幾つか言われていると思ったんです。一つは、家庭というところがある意味で社会の中で調整されるといいますか、いろいろな立場で青少年の育成の環境をつくるわけですけれども、そういったものが原点として家庭の中にまずある。

 つまり、家庭の中で母親が、父親が、あるいはおじいさん、おばあさんが、あるいは兄弟が、さまざまな立場からお互いの成長というものを見守りながら、もし間違うようであればそれを正していくというような、いい意味の機能を果たしてくれる。そうすると、当然、そういった家庭の機能が低下をすれば外に非行等の悪い芽が出てきますが、社会の中にもそういうものが出てくるということにつながるかと思うんです。

 そこで一つお伺いしたいんですが、社会の中でそういったものを補正する機能というものはさまざまにあります。当然、行政という中にもそういったものがある。例えば、青少年の育成に関して現在関係している省庁がたくさんあるかと思うんですね、文部省しかり、厚労省しかりと。つまり、青少年の育成という問題をとらえたときに、行政の側から見て、そうやっていろいろなところが関与をしている。これが家庭の中であれば、すぐに総合調整といいますか統合調整ができるんですが、国という巨大な組織になってくると、それがだんだんできなくなってくる。そこで、青少年育成に関する特命大臣といいますか、そういう総合調整の機能というものが必然的に必要になって、現在大臣がいらっしゃるわけです。

 逆に言うと、そういった国の組織でも個々の縦割り行政の弊害というものが随所に出てきて、そういう組織を置かなければ総合調整ができなくなっているということの裏返しであると私は思いますけれども、現在、この青少年の育成の仕事に当たられている中で、そういった弊害というもの、障害というものを感じているところがありましたら、お教えいただきたいと思います。

小野国務大臣 先生今おっしゃいましたように、縦割りという言葉の中に、まさにそれぞれの省庁がそれぞれに一生懸命やっているわけですけれども、それの総合調整をするというのが私の役割でもあるわけでございまして、では、どのようにしていったら最も効率的で、機能的で、功を奏していけるかということだと思います。

 それには、総理大臣が本部長でおりまして、そして法務大臣、文科大臣、それから厚労大臣、それから警察、そして私の青少年担当大臣、六ポストの五人ということになるわけなんですけれども、結局は、副本部長という名称を各五人が持つわけです。その副本部長が、やはり回を重ね、意見を述べ合い、具体的にやっていかなければならないということと、その下に、かつ課長クラスの会も設けることにいたしましたので、とにかく回を重ねて、それぞれの意見、担当分野の施策と企画と総合調整というものを、それぞれのつかさつかさの中での分野と総合調整として企画、さらには議論を重ねていくということの積み重ねをしながら、網の目のように編み込んでいかなければいい答えは出てこない、そういうふうに考えておりますので、それぞれのつかさつかさと同時に、その総合調整をする私の立場といたしましては、それをうまく彫り込んでいくということ、これが私の仕事ではないか、そのように考えております。

須藤分科員 今、私としては少し残念だなと感じているんですけれども、恐らく、特命大臣が置かれて、従来のような総務庁としてのそういう青少年対策ということをやっていたのでは今日の青少年の育成に関する非常事態というものを乗り切れない、そういう認識があったからこそ、現在、小野大臣がいらっしゃるんじゃないかというふうに私は思うんです。その意味では、総合調整という言葉はあったとしても、姿勢としては、御自分のところですべてを統括して、この育成といいますか、青少年にかかわる問題というものを解決していく意気込み、あるいは主張というものを実は私はお聞きしたいわけですね。

 先日、青少年対策特別委員会で、岸和田の例の事件、私もそちらの方の理事をしておりますので、大臣の答弁を伺いました。あのときも、同僚議員から、仕事に対する位置づけ、あるいは大臣に対する姿勢、そういったものの質問があったかと思います。

 日本全国の子を持つ親としては、自分たちの力でなかなか、青少年を健全に育成していく、あるいは非行等から守っていくだけの環境というものがまだ整っていない、十分に対応できないからこそ、公の機関、あるいはそういった立場にある、物事ができる人たちに期待をするということが特に大きい。

 まして、岸和田の事件のようなものを考えてみますと、あれはつぶさに詳しく調べてみますと、やはり、それぞれの立場は一生懸命やっていると思われるんですが、そのすき間にあの事件が起こってしまった。まさに青少年育成の、大臣がいらっしゃるこの部門でこういった問題に率先して対応していくということが求められると私は思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

小野国務大臣 大阪府におきます岸和田の件でございますけれども、本当に、何度思い起こしましても、余りの、悲劇と申し上げていいんでしょうか、対応のおくれやらいろいろな原因があったかと思いますけれども、そのような結果を生んでしまったことに対しましては、言葉にならない怒りのようなものさえ感じます。本来は親が本当に命をかけて子供を守らなければならないのに、親の手にかかって子供があのような状況になったということは、本当に、言葉に言いあらわすことができない思いでいる一人でもございます。

 御案内のように、大阪府におきましては、緊急対策検討チームというものが即刻立ち上がりましたので、まずはそこにおける、何が現実に原因として、そしてどのようにしてその状況が生まれていったのかということに関しまして事例の検証が行われるということを伺っておりますので、まずはそれを待ちたいというのが一点でございます。

 それから、文科省と厚生労働省の方は、都道府県あるいは指定都市に対しまして、児童虐待防止対策における適切な対応について、一月三十日付で通達が行われたと聞いておりますし、また、文科省によります都道府県、指定都市の教育委員会の指導主事を対象といたしました会議が二月の六日に開かれたということも報告を受けております。また、担当省庁によりまして緊急な対応がされていることも掌握したところでございます。

 もちろん、私といたしましても、警察庁の方から事件の内容についての報告を受けているところでございますけれども、青少年育成施策を総合調整するという、先生から今、総合調整するという言葉が少々生ぬるいとおしかりをいただいたわけですけれども、総合調整するという立場が担当大臣としての仕事でございますので、各省庁の担当者の緊急対応を踏まえて、それを私のところで、事例の背景にある問題点は何なのかということをしっかりと把握いたしまして、関係省庁、あるいは、そういった皆様方と緊密に連携をとりながら、総合調整するという形を私の責務でやらせていただきたい。

 大阪府の方の取り組み等も踏まえまして、本当に、原因追求、今後こういうことが二度とないようにということをしっかりやっていきたいということと、さらに、改善すべき点があれば、二度とこういうことが起こらないように、児童虐待の発生防止にとにかく尽力してまいりたいと思います。

 具体的には、現在検討が進んでいる途中でございますので、大阪府の緊急検討チームの取り組みを踏まえて、やはり関係省庁との協議を重ねさせていただきたい。そして、先ほど申し上げました青少年育成推進本部副本部長会議、各大臣のその会議を活用させていただいて、総合的な見地から効果的な対策を講じてまいりたい、そのように考えております。

須藤分科員 時間が参りましたので、実はあと幾つか質問事項を用意していたんですけれども、例えば青少年育成施策大綱についてであるとか、あるいは現在行われている国際交流事業についてのさまざまな問題点であるとか、そういったこともありましたが、これはまた別の機会に質問させていただきたいと思います。

 ぜひ、特命大臣が置かれているその存在意義を十分に発揮していただいて、少なくとも大臣が就任されている間に一歩でも状況が改善されるということを私の方も願っておりますので、その意味で大臣の活躍を期待しております。

 では、これで質問を終わりにいたします。

松岡主査 これにて須藤浩君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、警察庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。太田昭宏君。

太田分科員 公明党の太田昭宏です。

 最近治安が悪いということは、もうどこからも聞かれる話でありますけれども、ひったくりが多いんだとか、非常に暗いから街路灯あるいは防犯灯を設置してくれとかいう要求は非常に強いわけですね。考えてみれば、急に暗くなったわけじゃなくて、昔から暗かったわけです。その暗さというものが、怖いとか、犯罪ということを意識せざるを得ない、そういう心理状況まで一般国民がなっているということが大変な問題だというふうに私は思っています。

 さまざまの要因があろうと思いますが、世の中が大きな変化をしてきているということがさまざまな形であらわれていると思います。外国人の犯罪が多いというようなこともそうですし、あるいは留置場でもオーバーフローしているというような話も聞きます。

 その中で、まず冒頭聞きたいのは、万引きです。万引きの数が非常にふえてきている。平成十一年から比較しますと大体一・四倍ぐらいという話も聞いておりまして、そういう意味からいきますと、まず万引き事犯というのがふえてきている。そして、私は、この万引き事犯がふえるということは、いわゆる出来心万引きというわけなんですが、主婦だけでなく、少年の万引きということは非常に深刻で、そして、こういうことに手を染めてしまうということは、これからある意味では重い犯罪にもつながっていくきっかけをつくるということもあって、まずこれをきちっと抑えておくという必要があろうと思います。ぜひとも万引き対策について一層の力を入れるという角度を今しなくちゃいかぬ、私はこう思いますが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 万引きの現状について、まず御説明したいと思います。

 平成十五年の万引き事件の認知件数は十四万六千三百件余ということで、前年に比べましても約四・五%ふえております。また、検挙はそのうち十万七千件弱でございまして、前年に比べて五千件以上ふえているわけでございますけれども、ただ、検挙された人のうち、少年の割合が約三七%というふうに極めて高い状況にあります。

 万引きは特殊な技術を必要としませんで、また手を染めやすい犯罪だというのは、御指摘のとおりでございますし、こうした犯罪の増加を許しますことは、法を軽視する傾向を助長することにもつながるだろうというふうに考えております。したがって、万引きの防止というものは少年の非行防止の上からも大変重要だというふうに認識をしているところでございます。

 このため、万引き対策としてでございますけれども、警察による店舗等への立ち寄り警戒の実施のほか、経営者等に対する自主防犯対策、あるいは防犯カメラ等の防犯設備の設置、さらには警備員の配置などが一層推進されますように指導を強めていきたいと思っておりますし、また、学校等とも連携をいたしまして、少年に対し万引きが窃盗であるということを指導することも必要でありまして、この取り組みも強化していきたいと考えております。

太田分科員 特に、こういう言葉が適切かどうかわかりませんが、いわゆる出来心の万引きというのと、最近とみに、組織的万引きといいますか、集団であるチームをつくる、そして書店、これは大変な被害に遭っている。

 書店とかあるいはドラッグストア、そこに見張りを置いたり、さまざまなチームを置いて、そして本屋であれば一気に高価な本を全部袋に入れて逃げるとか、あるいは非常に小さな化粧品なんかを、ドラッグストアであれば、それをざっと入れて逃げ去る。そしてまた、本屋であれば、一巻、二巻、三巻、四巻とまとめて全部それを持っていく。そして、それを今度は、何らかのルートがあるのかもしれませんが、それを売りさばくというふうに、いわゆる日常品などを出来心によって万引きするというよりも、全く質の違った、そうしたいわゆる組織的万引きというような事態が発生している。もう本屋さんからいきますと、これは倒産になると。百万円を超えるようなそういう事犯があるというようなことで、これは大変悩んでいるという状況があるわけです。

 これを同じような範疇の中で万引きだということではなくて、角度をつけて、ぜひとも取り組んでいただかなかったら大変なことになる。この組織的万引きという、これらについて取り組みを強めてもらいたい。特に書店とかドラッグストア、非常に困っていますから、お願いしたいと思います。いかがですか。

小野国務大臣 太田先生御指摘のように、売却をして換金する目的で、要するにグループをつくって書店等から多数の商品を万引きするといった形態があると確かに私も聞いております。中には、多数の者が指揮系統下に役割を分担して行う組織窃盗としてとらえるべきものも発生しているようでございます。

 これらに対しましては、取り締まりを強化いたしますとともに、先ほど生活安全局長の方から述べましたように、防犯対策を推進し未然防止を図ること、これを徹底させていただき、換金目的であることから、その処分先となっております新古書店に対する本人確認の励行の指導を行うなど、対策を推進してまいる所存でございます。

太田分科員 私、実は昨年五月九日の内閣委員会で、前の国家公安委員長、今の谷垣財務大臣、この質問をピッキング法案の審議のときにやったんですね。ピッキング法案ができた。大臣、確かにピッキングは少なくなっていますよね。そして、私は、次は万引き対策だよ、一年かけてぜひともやってもらいたいというお話をしたんですが、これは引き継ぎがされているかどうか知りませんけれども、小野大臣の時代に、この組織的万引き、そうした売りさばいていくというようなことについて遮断をする。そして本当に、先ほどお話がありました店舗等への立ち入りとか、そうしたことも具体的にどうするかということをぜひとも早急に詰めて対応に乗り出していただきたい。

 法改正ということができるならば法改正もあるでしょう。しかし、具体的にこういう取り組みがある、あるいは、東京であれば警視庁との連携という手もあるでしょう。ぜひともそういうことで具体的に、私は、この質問を単なる質問としないで、動き出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 新古書店に対します本人確認の励行等につきましては、新古書店大手で構成しますリサイクルブックストア協議会に対しまして、盗品たる書籍の処分を防止するための取り組みについて指導してきたところであります。

 昨年三月には、十八歳未満の者からの買い取り手続や買い取りを断る基準等を含みます買い取りの共通運営ルールというものを定めたところでありますけれども、その後さらに取り組みの徹底につきまして私どもの方から指導を行いまして、これを受けまして、同協議会におきましては、買い取りの共通運営ルールをさらに厳しいものとしまして、十八歳未満の者からの買い取りに際しては、すべて運転免許証や学生証等により本人確認を行うこととし、そうした取り組みが協議会の加盟店において進められているというふうに承知しております。

 また、都道府県警察に対しましては、同協議会に加盟していない新古書店に対しても、盗品たる書籍の買い取り防止について同様の手続がとられるように指導するように指示しているところであります。

 新古書店に対しましては、盗品たる書籍の買い取り防止のための措置の徹底が図られますよう引き続き指導してまいりたいと考えております。

太田分科員 私は、引き続き指導してまいりたいという、引き続きという感じがしないわけですよ。そこのところが、本当に私が再度質問をしているということなんです。

 そういう意味からいきますと、この少年の犯罪というもの、そして組織的にこれはある程度大人がやるという場面もある、外国人が絡む場合もある、そして売りさばき先のそうしたことの取り締まりもある。私は、組織的万引き、こういうものに対しての全体像をしっかり把握して、いわゆる万引き対策としてふわっとかけているわけじゃなくて、組織的万引き対策、書店あるいはドラッグストアが大変な状況であるというようなことの、角度をつけてぜひとも取り組みを行っていただきたいということを再度大臣に要請します。いかがですか、大臣。

小野国務大臣 先生のお話をお伺いしつつ、また、これまでの状況を私も掌握しておりますけれども、集団で役割分担まで決めて多量の本を、あるいはコンビニ等々で持ち去るなど、まことに社会規範としても許されることではございませんので、どのような具体的な施策を講じていくことが最も効果的であるかということを、私どもも改めて勉強させていただきながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

太田分科員 それから、私の選挙区は北区と足立区ということで東京になるんですが、やはり非常に町が変貌してきまして、暗いとかいろいろなことがありまして、空き交番問題というのもかなりあったりします。ことしの予算措置で、空き交番解消ということで相当手を入れていただいた、これは大変前進だと私は思っておりますが、我が党もそれには力を入れてきたわけですね。

 新しい展開で、一つは、スーパー防犯灯というのがありますね。このスーパー防犯灯というものが整備される。このスーパー防犯灯をもう少しスピードアップして、できれば地元でも、足立とか北区を初めとして東京でもスーパー防犯灯を設置するということがあれば、そこに駆けつけていって、カメラもある、そしてネットワークができる、そうしたことは抑止力にもなるし、そして、あそこに飛んでいけば大丈夫なんだというようなことにもなるし、あるいは、カメラが回りますから逮捕ということにもなるということで、私はぜひともスーパー防犯灯の整備ということを急いでもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 議員御指摘のスーパー防犯灯につきましては、路上等におきます犯罪の抑制及び犯罪に対する不安感の解消に大きな効果があるものと私どもも認識しているところであります。

 その整備につきましては、平成十三年度、十四年度はモデル事業として、そして平成十五年度からは補助事業として、これまで二十三地区におきまして二百九十四基を整備してきておりまして、平成十六年度におきましても引き続き整備を進めることとしております。また、このほか、都道府県におきまして単独事業として整備をされているものもございます。

 今後とも、スーパー防犯灯の整備を推進して、犯罪のない安全で安心な町づくりが図られるよう進めていきたいと考えております。

太田分科員 我々与党側が推進しなくちゃいけないと思いますが、もっとこれはスピードアップして、これは予算も我々も努力してつけなくちゃいかぬと思っていますが、このスーパー防犯灯の設置ということについて、大臣、一言で結構ですから、前進させるというような決意をお伺いしたいと思います。

小野国務大臣 今局長の方からもお話がございましたけれども、十三年、十四年はモデル事業として行っておりまして、十五年からは補助事業として、これまで二十三地区で二百九十四基、十六年度の場合には引き続き整備をさせていただきますけれども、いわゆる都道府県において単独事業としても整備されていると承知をいたしておりますので、犯罪のない安全で安心な町づくりが図られますように督励してまいりたいと思います。

 先生、足立区、北区の設置の話もございましたけれども、都内における設置場所につきましては、警視庁におきまして、犯罪の発生状況を踏まえて判断されるものと承知をいたしております。

太田分科員 同じ東京として、ぜひとも推進方をお願いしたいと思います。

 もう一つは、子供への犯罪です。運動会なんかに行きますと、校長先生なんかと話をしたりしますと、いや、実は大変な状況で、楽しいグラウンドだけじゃなくて全部パトロールをして、そういう担当の先生が今いるんです、そのまま学校が終わって帰っていくと、本当に家に帰ったかどうかということで心配なんですがという話を随分聞きまして、いや、太田さん、本当に結構、日常茶飯でどこかへ連れていかれたという話がいっぱいあるんですよということで、私は深刻さというのは相当あるというふうに認識をしているわけですね。

 特に、犯罪がかなり凶悪化してきているといいますか、子供への犯罪というものが凶悪化している。暴行、傷害、強姦、強制わいせつ、こうした悪質な犯罪がふえてきているということに対して何らかの手を打たなければいけない。少子高齢化社会への対応と少子化対策といいますけれども、子供が一番伸び伸びと生きている社会というのは一番ノーマルな社会だというふうに私は思います。この子供に対する犯罪に対して、ぜひともまた角度をつけて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 今先生からお話がございましたけれども、本当に口にするのがかわいそうなくらい、暴行あるいは傷害、強姦、強制わいせつ、略取誘拐事件などの犯罪が大変多発しております。

 なぜこんなことになってしまったんだろうか、まことに情けないと申し上げていいのか、悲しいと申し上げていいのか、とにかく不安を抱く親、子供が帰ってくるまでは本当に心配だと。仕事を持っているお母さんたちも、子供が無事に家に帰ったんだろうかと。幅広の道路はまだいいんです。本当に家の近くに来てからが怖い、そういう状況になってしまいまして、そういった意味では、地域住民の方々とやはり連絡をとり合いながらやっていかなければ、本当に安心した状況が生まれないのではないか。

 そういう意味におきましては、ひとり警察だけがどんなに頑張りましても際限がございますので、ぜひ、それぞれの地域の皆様方がいい意味で連携を組んでいただきまして、協力をしていただきながら、大事な子供たちを本当に大事に見守っていかなければならない、そのように考えております。

 ですから、警察におきましては、教育委員会、学校、それからPTA、それから地元の防犯関係団体、それから地域住民の方々と連携をいたしまして被害防止に取り組んでおりまして、通学路あるいは公園などの警ら・警戒活動の強化、あるいは警察官が同行しての合同パトロール、こういうものの実施もさせていただいております。

 また、子供を対象とする犯罪の発生状況や防犯対策に関する情報を学校にできるだけ敏速に、早く、こういう事件がありましたからということを学校の方に連絡をとるということ。以前ですと、警察官が学校に行くということは余り歓迎されませんでしたけれども、こういうことがあったということをできるだけ早く学校の先生あるいは生徒たちに理解してもらうことがまずは抑止力になっていくだろうと思いますので、そういった意味での協力が大事だと思います。

 それから、学校等における防犯教室ですね。先般もテレビで見ておりましたけれども、大きな声が出せない。大きな声を出す練習から、連れ去られそうになったら抵抗することまで学校で教えなければならない現状が、実は残念ながら現実でございます。

 そういう防犯訓練の実施等の対策を推進しておりますけれども、警察庁では、平成十四年度のモデル事業として、小学校の通学路、児童公園等において緊急時に警察署に直接通報できる子ども緊急通報装置、こういうものの整備を行いますとともに、子供のための防犯テキストをつくりまして、全国の小学校あるいは警察署の方に配付し、防犯教育で活用するなどをいたしております。

 子供を犯罪から守ることは、警察のみではなく、家庭、学校、地域社会、やはり共同して取り組むべき課題である。警察といたしましても、引き続き全力で取り組むように督励してまいりたいと思っております。

太田分科員 今お話がありました子ども緊急通報装置、これは大変いいことだと私は思います。スーパー防犯灯と同じく、そういうことがあれば子供たちがぱっと飛んでいって通報ができるということだけでも抑止効果もあるし、子供たちにとっての安心というものも確保されますから、これについては、これも予算面もあるんですが、できるだけ数多く、スピードアップして設置できるようにお願いをしたいと思います。

小野国務大臣 子供が被害者となったさまざまな犯罪、これを考えまして、平成十四年度のモデル事業として、各都道府県ごとに一通学区をモデル通学区といたしまして指定しまして、それぞれの通学路、児童公園等に合計七基、全国では三百二十九基の子ども緊急通報装置を整備したわけでございます。

 平成十六年度からは補助事業として整備を進めることといたしておりますので、今後とも、子ども緊急通報装置の整備を初めとして、通学路においても子供たちを守る対策が図られるように督励してまいりたいと思っております。

太田分科員 同時に、町会とか商店街で防犯カメラを自分たちで設置するということが、私の赤羽の商店街がやったり、最近は、東十条というところがあって、新しく駅がきれいになってきているわけですが、そこで、そうした防犯カメラを今度は行政と両方でつくり上げるとかということで、私は、こういうものは、行政というか国、そして地方自治体連携のもとで、みんなでお金を出し合ってというようなものではないんじゃないか、こういうことは行政が主導しながらやる、みんながやったのをサポートするというより、もう少し行政の主導というものがあっていいのではないか、予算措置も、苦しい財政ですけれども、やる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけですが、防犯カメラをどのようにこれからさらに推進していくかということについても、私は御尽力をお願いしたいと思います。

小野国務大臣 犯罪情勢の悪化を反映いたしまして、自治会あるいは商店街がみずから防犯カメラを設置する動きが大変ふえております。

 私も先般、八王子の方へちょっとのぞいてみましたら、ございまして、これは八王子市の方で設置をしたのですかと聞きましたら、市が設置をしますと、監視をされているような、プライバシーの問題があって難しいと。それで、商店街の皆様方にそれぞれ権利等を総合的に検討していただいて、ここはつけた方がいいということであればつけていただいて、そのかわり市の方で、ランニングコストといいましょうか、その辺を見させていただいているんだというお話がございました。

 このごろは、プライバシー問題というのが大変いろいろと、よかれと思ってやることの中に、やれ姿が映るからプライバシーどうこうということが片や問題になりますので、その辺は、どういうふうに持っていったら町の人々、そして商店街の皆さんにも理解をいただいてやれるようになっていくのか。犯罪の抑止という観点から重要でもございますので、防犯カメラについても、行政のみが設置すべきものと考えるべきかどうかということも今後の一つの検討課題であると同時に、できるだけ協力をして安心した町づくりというものを考えてまいりたいと思っております。

太田分科員 私の質問は以上で終わりますけれども、この会場は、第一委員会室は、閣僚が、総理がそこでという、予算委員会というのはそういう一番大事な場所なんです。私は、国の予算とかイラク問題とかあるいは年金問題、いろいろな論議がこの場でされているわけですが、しかし、私がきょう申し上げた、そうした治安の問題でスーパー防犯灯が欲しいんだとか万引きというのは態様が変わってきているんだとか、そういうこと自体が実は、住んでいる人あるいは仕事をしている人あるいは商店等の人にとっては一番それが大事な問題ということで、きょうは大臣とのやりとりができてよかったというふうに思います。

 ぜひとも内閣挙げて、きょうの質疑の模様等についても何らかの機会に、内閣としてそうしたことが必要であるという観点に立って対応をしていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思いますが、最後に一言お願いします。

小野国務大臣 本当に、防犯カメラなど設置しなくてもいい、世界一安全な国日本を目指してというのが総理のお気持ちでございますけれども、現実はそうではないという、この現実の姿と理想の姿と、それをいかにして近づけていくかというのが私どもに課せられた任務でもあろうかと思います。

 ですから、安心して道を歩いていると、ひったくりだと。ひったくり、ああそうか、今までそんなことはなかったのにと思う反面で、そのひったくりの約七割が青少年である、そういう数字を見ますと、改めて青少年問題をどう考えていくべきかということも感じさせられますし、従来では考えられなかった来日外国人の犯罪者がすごく多い。そうなりますと、国際化の中における日本の留学生問題、来日外国人の問題等々ということで、まことに犯罪というものと国際化というものと、そして改めて、世界から流れてくる薬物の問題等々考えますと、本当に、これでもかこれでもかという問題がどんどん参ります。

 しかし、どんなにいろいろな波が押し寄せてこようとも、私どもは、よき時代の日本というものを知っている一人の人間として、やはり、以前はそうでなかったというその思いを心の中にしっかりと据えながら、もうだめだではなくて、これからそういうよき時代へもう一度私たちの心を立ち直らせるべくやっていかなければならない。そのためには、教育も必要でしょうし、地域社会の向こう三軒両隣もいい意味で必要だと思いますし、まだまだやっていかなきゃならないことだらけでございますけれども、一つ一つ階段を上がるように丁寧に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

太田分科員 ありがとうございました。

松岡主査 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.