衆議院

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第1号 平成19年2月28日(水曜日)

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本分科会は平成十九年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      井上 喜一君    大野 功統君

      斉藤斗志二君    園田 博之君

      三ッ林隆志君    枝野 幸男君

      馬淵 澄夫君

二月二十七日

 斉藤斗志二君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十九年二月二十八日(水曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 斉藤斗志二君

      井上 喜一君    遠藤 宣彦君

      大野 功統君    木原  稔君

      園田 博之君    田中 良生君

      福田 良彦君    三ッ林隆志君

      山内 康一君    枝野 幸男君

      馬淵 澄夫君    三日月大造君

   兼務 石関 貴史君 兼務 川内 博史君

   兼務 菊田真紀子君 兼務 古屋 範子君

   兼務 赤嶺 政賢君 兼務 照屋 寛徳君

    …………………………………

   防衛大臣         久間 章生君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (拉致問題担当)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       溝手 顕正君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (イノベーション担当)

   (少子化・男女共同参画担当)

   (食品安全担当)     高市 早苗君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (国・地方行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)

   (地域活性化担当)

   (道州制担当)      渡辺 喜美君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   内閣府大臣政務官     田村耕太郎君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   参議院事務総長      川村 良典君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 濱坂 豊澄君

   裁判官訴追委員会事務局長 白井  始君

   国立国会図書館長     黒澤 隆雄君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院長       大塚 宗春君

   最高裁判所事務総長    大谷 剛彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊佐敷眞一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山崎 史郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          高井 康行君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増田 優一君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    米村 敏朗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           鳥生  隆君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           中北 哲雄君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 原田 保夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 金澤 博範君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     飯島 夕雁君

  大野 功統君     山内 康一君

  馬淵 澄夫君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     福田 良彦君

  山内 康一君     木原  稔君

  大島  敦君     三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     田中 良生君

  福田 良彦君     遠藤 宣彦君

  三日月大造君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     井上 喜一君

  田中 良生君     大野 功統君

  仲野 博子君     馬淵 澄夫君

同日

 第二分科員石関貴史君、照屋寛徳君、第三分科員菊田真紀子君、古屋範子君、第四分科員赤嶺政賢君及び第七分科員川内博史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

斉藤主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算及び平成十九年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成十九年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成十九年度における歳出予算要求額は六十八億二千四百二十七万二千円でありまして、これを前年度当初予算額六十八億五千百五十七万三千円と比較いたしますと、二千七百三十万一千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十二億二千三百六十三万七千円、皇族に必要な経費二億七千六百六十三万五千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費七億七千三百七十二万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十四億四千九百九十一万五千円でありまして、前年度に比較して三千三十五万一千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三百五万円の増額となっております。これは、文仁親王第一男子悠仁親王の御誕生に伴うものであります。

 以上をもちまして平成十九年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

斉藤主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、皇室費につきましては終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構でございます。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成十九年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十九年度の国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は六百五十四億七千九百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億二千八百万円余の増額となっております。

 その概要を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でございまして、六百三十二億八千五百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 増加した主なものは、新議員会館の整備及び新赤坂議員宿舎の維持管理運営に係る経費、新会議録作成システム調査研究経費でございます。

 一方、減少した主なものは、議員秘書手当、職員諸手当でございます。

 第二は、本院の施設整備に必要な経費でございまして、二十一億八千七百万円余を計上いたしております。

 この主なものは、新議員会館及び新赤坂議員宿舎の整備に係る不動産購入費並びに本館外部建具改修費、第二別館の屋上緑化に要する経費でございます。

 第三は、国会予備金に必要な経費でございまして、七百万円を計上いたしております。

 以上、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

斉藤主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。川村参議院事務総長。

川村参議院事務総長 平成十九年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十九年度国会所管参議院関係の歳出予算額は、四百二十億七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十三億一千九百万円余の増額となっております。

 これは、主に、第二十一回通常選挙の実施に伴い必要となる経費の増等によるものであります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百九十八億二千七百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費であります。

 第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十一億七千四百万円余を計上いたしております。

 これは、新議員会館整備、新清水谷議員宿舎整備、本館外壁・建具改修、議員控室内装改修及び本館その他庁舎の整備等に必要な経費であります。

 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。

 以上、平成十九年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

斉藤主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。黒澤国立国会図書館長。

黒澤国立国会図書館長 平成十九年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十九年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百二十九億五千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億八百万円余の減額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、管理運営に必要な経費、すなわち人件費、資料費及び事務費等であります。その総額は、二百一億三千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億一千万円余の減額となっております。

 平成十九年度予算におきましては、特に、国会サービスの拡充強化及び電子図書館の基盤整備に重点を置いております。

 第二は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億六千七百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、五千四百万円余の増額となっております。

 これは、科学技術分野の電子ジャーナルの拡充等によるものであります。

 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、十七億五千二百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、一億五千百万円余の減額となっております。

 平成十九年度予算におきましては、新館改修工事、書庫入退室管理設備設置工事及び関西館第二期建設用地取得に重点を置いております。

 以上、平成十九年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

斉藤主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。濱坂裁判官弾劾裁判所事務局長。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 平成十九年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十九年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千九百二十四万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百四十七万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

斉藤主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。白井裁判官訴追委員会事務局長。

白井裁判官訴追委員会参事 平成十九年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十九年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千三百四十二万円余でございまして、これを前年度予算額と比較しますと、三百十万円の減額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でございます。

 以上、簡単ではございますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

斉藤主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。大谷事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 平成十九年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十九年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千三百三億九千四百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千三百三十一億六百万円と比較いたしますと、差し引き二十七億一千二百万円の減少となっております。

 次に、平成十九年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官及び書記官の増員等であります。

 司法制度改革が進展し、裁判所の体制の充実強化が求められている中で、増加し、かつ、複雑困難化している民事事件、刑事事件及び家庭事件等の適正迅速な処理を図り、また、裁判員制度導入のための態勢を整備するため、裁判官七十五人、書記官百人、合計百七十五人の増員及び振りかえによる書記官三十人の増加をすることとしております。

 他方、平成十九年度には百人の定員合理化をすることとしておりますので、差し引き七十五人の純増となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、二百九億四千七百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、裁判員制度広報関係経費として十三億九千百万円を計上しております。この中には、新聞・雑誌広告、裁判員制度全国フォーラム経費等が含まれております。

 第二に、知財事件関係経費として一億千六百万円を計上しております。この中には、IT化、専門研究等経費、外部への情報発信のための経費等が含まれております。

 第三に、民事事件関係経費として七十四億六千五百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、労働審判員経費、専門委員経費等が含まれております。

 第四に、刑事事件関係経費として五十二億二百万円を計上しております。この中には、裁判員制度施行準備経費、精神保健審判員等経費、鑑定入院命令に伴う入院経費等が含まれております。

 第五に、家庭事件関係経費として六十七億七千三百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、裁判員制度導入のために必要な施設を整備し、庁舎の老朽狭隘化に対応するための経費として二百二十六億四千六百万円を計上しております。

 以上が、平成十九年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

斉藤主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。大塚会計検査院長。

大塚会計検査院長 平成十九年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。

 会計検査院の平成十九年度予定経費要求額は、二百十五億九百七十九万円余でありまして、これを前年度当初予算額二百三億四十四万円余に比較いたしますと、十二億九百三十四万円余の増額となっています。

 これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、会計検査業務等に必要な経費であります。

 この要求額の主な内容について御説明申し上げますと、人件費として百四十一億二千七百万円余、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う仮庁舎経費として二十八億八千七百万円余、中央合同庁舎第七号館への移転経費として十五億一千二百万円余、その他の経費として二十九億八千二百万円余を計上いたしました。

 以上の経費には、会計検査機能を充実強化するため、次のような経費を計上しております。

 第一に、国会からの検査要請への対応と行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための検査体制の充実強化経費として三千九百万円余を計上しております。

 第二に、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等の充実を図るための検査活動充実強化経費として二十二億一千百万円余を計上しております。

 第三に、検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修の充実を図るための研究・研修経費として三億六千百万円余を計上いたしております。

 以上、簡単でありますが、会計検査院の平成十九年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

斉藤主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。塩崎内閣官房長官。

塩崎国務大臣 平成十九年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成十九年度における歳出予算要求額は九百八億七千八百万円でありまして、これを前年度当初予算額九百四億三千九百万円に比較いたしますと、四億三千九百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費といたしまして八百億一千五百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億二千八百万円、人事院には、人事行政等のための経費として九十八億三千五百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成十九年度における歳出予算要求額は七千九百六十三億九千百万円でありまして、これを前年度当初予算額八千十五億三千三百万円に比較いたしますと、五十一億四千二百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、その主なものについて御説明いたします。

 内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策、柔軟かつ多様な社会の実現、国民の安全・安心の確保、規制改革・地域再生の推進、沖縄対策、北方対策等の推進のための経費として四千九百四十四億六千六百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百九億四千二百万円、公正取引委員会には、迅速かつ実効性のある法運用、競争環境の積極的な創造、ルールある競争社会の推進等のための経費として八十四億一千六百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千六百五億七百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融機関等の監督、証券取引等監視委員会の運営等のための経費として二百二十億五千九百万円を計上しております。

 以上をもって平成十九年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。

斉藤主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。久間防衛大臣。

久間国務大臣 平成十九年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成十九年度予算は、昨年の北朝鮮による弾道ミサイル発射事案や核実験実施発表等を踏まえ、弾道ミサイル防衛やゲリラ・テロ攻撃への対処など、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応するために必要な体制整備を図るとともに、活動経費の確保に努めたところであります。

 同時に、歳出歳入一体改革の初年度に当たり、歳出全般が厳しく抑制された中で、主要装備品の一括取得などにより効率的な防衛力整備を行っております。

 平成十九年度の防衛省所管の歳出予算額は、四兆八千十三億六百万円で、前年度の当初予算額に比べますと、百二十二億九千二百万円の減となっております。

 これに安全保障会議予算三億三千七百万円を加えた平成十九年度の防衛関係費の総額は四兆八千十六億四千三百万円となり、前年度の当初予算額に比べ百二十二億九千六百万円の減となっております。

 これをもちまして平成十九年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

斉藤主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま久間防衛大臣から申し出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斉藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内康一君。

山内分科員 自由民主党の山内康一でございます。

 本日は、防衛省関係と、それから、ただいま国家安全保障に関する官邸機能強化会議で討論されております日本版NSCについてお尋ねいたしたいと思います。

 冒頭、トップバッターということで大変準備の時間がなく、きのう遅くまで事前通告できなかったことを関係省庁の皆様におわび申し上げたいと思います。

 それから、本日最初に防衛省関係を聞いて、その後に日本版NSCについてお尋ねする予定でありましたが、ちょっと順番を入れかえさせていただきたいと思います。きのう、国家安全保障に関する官邸機能強化会議の報告が出まして、また、本日、いろいろな新聞紙面等でもたくさん報道がなされておりますので、それについて最初に御質問させていただきたいと思います。

 事前に通告していない質問に関しては、お答えいただける範囲でお答えいただければ幸いに思います。

 まず最初に、国家安全保障に関する官邸機能強化会議発足の目的とその背景となったことに関して、内閣官房にお尋ねいたしたいと思います。

井上政府参考人 ただいま、昨日発表されました国家安全保障に関する官邸機能強化会議の報告書についてのお尋ねがございました。お答えを申し上げさせていただきたいと存じます。

 まず、安倍内閣におきましては、外交と安全保障の国家戦略を政治の強力なリーダーシップによりまして迅速に決定できるよう、官邸におきます司令塔機能を再編強化することといたしているわけでございます。そうした観点からお尋ねのこの会議が設けられまして、昨年の十一月二十二日に第一回目の会合を開催いたしまして、これまで七回の会議を重ねまして、昨日、最終的な報告書取りまとめがあったものでございます。

 その背景を簡単に御説明申し上げますと、現在の我が国の国家安全保障に関する政策は、国防と重大緊急事態という限定された諮問事項を有する安全保障会議に加えまして、内閣官房、外務省、防衛省を中心に立案、決定されているわけでございますけれども、この報告書におきましては、「幅広い外交・安全保障上の課題について総合的・戦略的に政策を企画立案する体制が構築されていない。」というふうにいたしまして、そういう観点から、国家安全保障に関する官邸の司令塔機能の強化について検討することといたしたものでございます。

山内分科員 ありがとうございます。

 私は、やはり、縦割りの省庁の発想ではなく、国家全体の総合的な国益、国民全体の利益を考えて外交を推進していく、あるいは安全保障を考えていくという観点から、このような日本版NSCのような組織が必要であると前々から思っておりまして、ぜひともいいものをつくっていただきたいと思っております。

 それに関して、ちょっと事前の通告にはないのでありますが、久間大臣から、防衛大臣として、あるいは政治の世界の先輩としてちょっとお尋ねしたいことがあります。

 今の日本版NSCには安全保障担当の首相補佐官を置くということが報告書の中に盛り込まれております。これが実際、政府としての方針になるかどうか、まだ未定であるかと思いますが、私は、個人的な意見としては、首相補佐官、特に安全保障の首相補佐官というのは政治家がやらない方がいいんじゃないかと思っております。

 その理由としては、政治家が補佐官になると、どうしても次の選挙のことを考えて、例えばどうしても目立つことをやってしまう。あるいは、やはり国家の安全保障にかかわる問題にかかわっていなければいけないのに、週末は地元に帰らなくてはいけない。あるいは、選挙のときには応援演説で呼ばれて行ってしまう。あるいは、内閣が交代するたびに非常に短いスパンで安全保障の担当補佐官がかわるといったようなことは、余り望ましくないように思います。

 大統領制のアメリカのような国であればともかく、日本の場合は、内閣の改造というのも頻繁に起こるということが予測されているわけでありまして、そういった安全保障に関する補佐官というのはかなり長期にわたって務めることが重要ではないか。ある程度、カウンターパートのアメリカ側の関係者とも、例えば人脈なり顔つなぎなりがあろうかと思います。

 そういった意味で、どちらかというと、政治家以外の方がこういった安全保障の担当官をやるべきではないかと私は考えております。こういったことに関して久間大臣はどのようにお考えか、お聞きできればと思います。

久間国務大臣 私は、必ずしもそういうのにこだわる必要はないんじゃないか。むしろ、総理と一体感がある方がいいわけですから、総理がこの人物をもって補佐官として使いたい、そして、そういう信頼の置ける人をこういう大事なNSCの中にも、会議のメンバーとして常時出るというふうに置くことは、私は総理の判断で可能だと思いますから、そういうような仕組みをつくってもいいんじゃないかなと思っております。

山内分科員 ありがとうございます。

 続きまして、また日本版NSCの事務局についての官房からのお答え、あるいは、もし答えられないようであれば、私の意見をちょっとお聞きいただければと思うんです。

 日本版NSCの事務局にも民間の研究者等を加えることができるといったような内容になっているかと思いますが、今までの報告書のラインを読むと、どちらかというと、こういったインテリジェンスにしても、NSCの事務局にしても、官庁の出身の、官僚を中心に非常に組織が考えられているのかなと思うんですけれども、どの省庁出身であっても、どうしても親元の官庁に目が行ってしまう、あるいは、そんなつもりはなくても、大学を出て新卒でどこかの官庁に入って、それからずっとその官庁に骨を埋める覚悟で一生懸命やってくると、思考パターンがどうしても偏ってしまう、特定の省庁の枠組みから逃れられない、そういった弊害があるのではないかと思います。

 しかしながら、日本版NSCの事務局に求められるのは、大変大局的な観点から国家の安全保障を考える、特定の省庁で活動してきた人間よりも、むしろ、場合によっては、大学で国際政治とか歴史学とかあるいは地域研究とか、そういったさまざまな分野の専門的な研究をしていた人物、あるいは民間企業で非常に世界各国いろいろな事情を見てきた人、あるいはジャーナリスト、さまざまなバックグラウンドの人がもっと入ることがいいのではないかと私は思っております。

 今の、これまでの議論の検討状況で、民間の研究者も含めることができると書いてありますが、例えばどれぐらいの割合の民間人を充てるのか、あるいはどういった採用形態、雇用形態で民間の研究者を雇うのか、そういった内容について、お答えできる範囲でお答えいただければと思います。

井上政府参考人 事務局についてでございますけれども、この報告書におきましては、専任十名から二十名程度で構成をする、少数精鋭で行うということにしておりまして、「事務局員には、自衛官を積極的に活用するとともに、民間専門家、研究者を加えることができる」としております。さらには、「事務局には、外交・安全保障の専門家若干名を顧問として置くことができることとする。」というふうにされているわけでございまして、今御指摘の民間専門家、研究者の活用についても触れられているところでございます。

 ただ、では今後どのような割合等で採用していくのかという具体的なあり方につきましては、昨日報告書が出されたわけでございますので、今後さらに政府部内において検討するということになるものと考えております。

山内分科員 また引き続き日本版NSCの質問を続けさせていただきたいと思います。

 実際、NSCの事務局が置かれる場所というか箱についてなんですけれども、恐らく、今の官邸に置かれる予定なのか、あるいは別の場所に、どこかにインフラ、箱をつくってやっていくのか、ちょっとそこら辺のアイデアをお聞きできればと思います。

 実際問題、官邸にそういった大変機密性の高い、あるいは機微に触れる情報を置く事務局を置くと、やはり官邸というのはそこらじゅうに番記者さんたちが張りついていて、どこから情報が漏れているかわからないようなところがあろうかと思いますので、例えば、別の場所にそういった事務局を設ける、あるいは、実際問題、官邸にはいろいろな会議ができておりますので、手狭になってきているのかなと思いまして、そういった箱の議論というのはなされているのかということをお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 事務局の執務室についてでございますけれども、この報告書におきましては、「事務局は、共同の執務室を総理官邸内に設けることが適当である。」というふうにいたしているところでございます。ただ、官邸の物理的スペース等々の観点もあるわけでございまして、具体的に今後、どういうところに置くかにつきましても、恐縮でございますけれども、これからの検討課題ということでございます。

山内分科員 またNSCの事務局の問題についてお伺いしたいと思います。

 小池補佐官が、ベスト・アンド・ブライテストの人員を集めなくてはいけないということを強く主張されておりますし、また、報告書の中でも、各省庁のエース級の人材を集めてというようなことがありました。

 私は、各省庁だけでなく、オールジャパンのエース級の人材に集まっていただきたいと思うわけでありますけれども、そこに当たっての待遇に関してのお考えをお聞きできればと思います。

 例えば、日本の公務員の中でも裁判官とか検事さんというのは非常に待遇がいいわけで、私もちょっとそこら辺は詳しくないのですが、恐らくは、買収されたりしないようにとか、あるいはそういう金銭的な誘惑に負けないようにというようなことがあるのかもしれません。

 ただ、こういった本当に、日本でも、ベスト・アンド・ブライテストな人材をこのNSCの事務局なり、あるいは別の部分で、対外インテリジェンスの機能強化、今議論がなされておりますが、そういった部分においても、こういった国家の安全保障にかかわる特に重要なポジションの人員にはそれなりの待遇、しかもある程度安定したというか、何年か先の見通しがつくような処遇をしないと、恐らくはいい仕事ができないし、ベスト・アンド・ブライテストは集まってこないと思うのですけれども、そういった待遇に関する議論というのはこれまでなされているのでしょうか。

井上政府参考人 事務局職員の待遇についてでございますけれども、具体的には、この報告書の中では触れられておりません。

 いずれにいたしましても、少数精鋭で安全保障等に精通された方に事務局員となっていただくというようなことでございますので、そうしたことも踏まえて、待遇についても今後検討していくことになるものと考えております。

山内分科員 NSCの事務局の人事の話を続けたいと思うのですけれども、各省庁からエース級の人材が来るということになっておりますが、ただ、いかにエース級の人材が来ても、やはり一年とか二年の短いローテーションでどんどん人事異動してしまうということでは、なかなかノウハウも定着していかないだろうし、あるいは、それぞれの親元の省庁でインテリジェンス絡みの仕事をしていたにしても、やはりある程度長い期間同じ業務に携わっていくというのは非常に重要じゃないかと思います。

 特にインテリジェンス、インテリジェンスではなくても、NSCにしても、アメリカのカウンターパート、あるいは近隣国の、同盟国のカウンターパートとの人間的なつながり、属人的なつながり、そういったものも考えると、普通の役所のローテーションのように二年、三年でくるくる変わるということでは、ちょっと私はまずいのではないかと思います。例えば五年になるのか十年になるのかわかりませんし、あるいは片道出向でずっと骨を埋めるということになるのかもしれません。

 そういった議論がなされているのかどうかということをお尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 事務局員のローテーションでございますけれども、具体的な議論までされているわけではございませんけれども、先ほども申し上げましたとおり、少数精鋭のスタッフで構成するというふうにしております。

 また、「事務局は、国家安全保障に関し、政府・行政機関が一体となって総合的に機能するための中核的な役割を果たすものとする。」というふうにされているわけでございますので、そういう中核的な役割を果たす少数精鋭のスタッフであるわけでございますので、そういうことを踏まえてローテーションも考えていくことになるものと考えております。

山内分科員 続きまして、NSCの議論からちょっと外れるかもしれませんが、対外情報、対外インテリジェンス機関についても、やはり今、官邸の方で検討が進んでいるかと思います。ちょっとまだ内容が煮詰まっていない、あるいは公開できない部分があるのかもしれないので、お答えいただける範囲内で結構なんですけれども、お答えいただきたいと思います。

 私は、途上国援助の仕事にずっと携わってきておりまして、非常に強く感じたことは、対外インテリジェンスを考えるに当たっては、地域の専門性というのがとても大事ではないかと思います。もちろん、外務省には、例えばペルシャ語とか、あるいはインドネシア語とか、そういった地域の特殊言語ができて、その国の経済や文化、政治について非常に強い人材というのが、外務省であれば恐らくたくさんいらっしゃると思います。

 ただ、こういった専門家、地域のスペシャリストというものがほかの機関でも今は必要になってきている時代ではないかと思います。例えば警察においても、ペルシャ語ができるという人が国際犯罪を取り締まる、あるいはテロ問題に対応していくという上では非常に重要であろうかと思います。あるいは経済産業省なりジェトロにしても、やはり経済関係を強化していく上で特定の地域の文化や言語に通じている人材というのは非常に重要ではないかと思います。

 そういった、ある意味、地域の特殊言語、地域の専門性というものを軸にして各省庁を渡り歩いていくような人材というのがこれから必要になってくるのではないかと思っております。そういった人材が、今後、内閣官房として対外インテリジェンス機関をつくっていくに当たって必要ではないかと思いますけれども、実際どのようにこれからそういう人材を育てていくのか、あるいはもう既にいるのかということについてちょっと、余りちゃんと事前通告していないんですが、お答えいただける範囲でお答えいただければと思います。

伊佐敷政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、情報の分野におきましては専門性ということが非常に重要であると私どもも考えております。そのためには情報の分野に携わる者の処遇ということが重要になるわけでございまして、先生御指摘の地域専門家につきまして、内閣情報調査室はもちろん、御指摘の外務省あるいは警察庁、公安調査庁、防衛省、それぞれ努力されているものと承知しております。

 この人材の話につきましても、現在、先生御指摘の、官邸の情報機能強化検討を行っておりまして、今月中、本日が今月末になりますけれども、中間取りまとめをすべく作業を行っているところでございます。現時点ではまだ発表する段階に至っておりませんので、その報告書案の内容は申し上げられませんけれども、要員の処遇につきましても検討対象としておるところでございます。

山内分科員 では、地域のスペシャリストの問題ということに関して、せっかく外務省の官房長がお見えなので、事前通告にはないんですが、お答えいただける範囲でお答えいただければと思います。

 外務省の特殊言語の専門職の方というのは、私が知っている限り、大変高い評価を得ている方がたくさんいらっしゃるように思います。私自身、インドネシアとかアフガニスタンに行くと、日本大使館のペルシャ語の専門家とか、あるいはインドネシア語の専門家の人が大変地元に、現地の有力者、現地の部族長、いろいろな人たちに人脈を築いていて、よその国からも一目置かれているような、そういった優秀な、いわゆるノンキャリアというんでしょうか、特殊言語の専門職の外交官の方がたくさんいらっしゃったように感じます。

 そういった特殊言語、地域のスペシャリストというものが、これからの外交において、これまで以上に重要になってくるのではないかと感じておりまして、いわゆるキャリアの人たちではないのかもしれませんが、そういった特殊言語の専門家のこれからの育成の方針、あるいは、トレンドとしてそういう特殊言語の専門家をふやしているのか、あるいは減らしているのか、どちらなのかを一言簡単にお答えいただければと思います。

塩尻政府参考人 先生が御指摘のとおり、そういう専門家をたくさん持っていくというのが外交力を強める一番の大事な点だというふうに外務省としても認識しております。

 先生が御指摘されたような特殊語学、地域の専門家を育てるということも、これは非常に大事でございます。それから、それと同時に、安全保障の分野ですとか、あるいは経済協力の分野ですとか、あるいは経済等々、分野ごとの専門家、これも育てていかなければいけないということでございます。

 外務省としては、そういうことで、研修所での育成、教育、それから現場での育成、教育というのをさらに強化していきたいというふうに思っておりますし、そういう専門家をさらに、人数もさることながら、質も高めていきたいというふうに思っております。

山内分科員 では、外務省の特殊言語の専門家に関しては、質問ということではなく、最後に意見だけ言わせていただければと思います。

 例えば、ペルシャ語、インドネシア語、そういった、ある意味、日本社会ではマイナーな言語の専門家というのは非常に重要だと私は思っておりまして、途上国援助の、例えばインドネシアにおりますと、オーストラリアとかアメリカとかだと、インドネシアに十年、二十年駐在している専門家がごろごろおりまして、英語は当然、アメリカ人、オーストラリア人だからできるんですけれども、インドネシア語で会議を議論しても、本当にネーティブスピーカーとほぼ同じレベルで議論ができ、それから、十年も援助の仕事をずっとやっていると人脈も広い、各省庁の役人とも若いころからつき合いがあってコネクションもある、そういった人事のローテーションというのも日本の外務省はもうちょっと考えていただければいいんじゃないかなと。

 三年、五年の短いスパンでぐるぐる回るということではなく、特殊言語の専門家であればもう相当長い期間ずっと、例えばインドネシアの専門家であれば、ジャカルタの大使館にずっと根が生えたようにいるような人が何人かいてもいいんじゃないかということも思います。また、地域の専門職ということであれば、例えばアジア経済研究所には地域のスペシャリストがたくさんおりまして、そういった研究者の知見というのももっと外交に生かしていくことができるのではないかと思います。もう既に大使館には、専門調査員という職種で二年契約のポストがあるかと思います。あれも、マスターとかPhDの途中の若い人が配置されるポストというだけではなく、もっと戦略的に優秀な地域研究者あるいは地域の政治の専門家を雇い入れて、その知見を外務省の外交に生かしていくということが非常に重要ではないかと思います。

 私がインドネシアにおりましたときに、日本人のある研究者がインドネシアの総選挙のときに票読みをやりまして、インドネシアのメディアより、インドネシアの学者よりも、評論家よりも正確な選挙の票読みをやったのが日本人の京都大学の研究者でありました。そういった、一人でも相当情報収集能力があり、かつ分析能力も高い、こういったアカデミックな人材というのをもっと日本の外交あるいは対外的なインテリジェンスの機関を考えていくに当たって活用していくということが安上がりなインテリジェンスになるのではないかと私は思います。

 以上、これは意見表明でありますが、それについて、もし何かあればお願いします。

塩尻政府参考人 今委員が御指摘されたとおりだというふうに思います。

 専門職の、専門の人間をどれだけどういうふうに配置するのか、どういう期間配置するのかということを、これからも戦略性を持って考えていきたいと思いますし、それから、外部の有為の人材の登用あるいはその交流というのを今後とも引き続きやっていきたいというふうに思っております。

山内分科員 それでは、防衛省関係の質問に移らせていただきたいと思います。

 防衛省の情報機密の漏えいというのがここのところ何度かなされておりまして、特にことしの一月、朝日新聞とか読売新聞に日米合同演習のスケジュールとかスキームというものが出ておりました。こういったマスコミに対する情報漏えいというものが幾つか起きておりますが、それについてはどのような原因の究明あるいは今後の対策というものが進められているのか、お尋ねしたいと思います。

久間国務大臣 一般論として申し上げれば、防衛省において秘密の漏えい事案が発生した場合には、当該事案の事実関係、それから背景、要因、問題点等について十分な調査を行って原因究明を行うこととしております。さらに、その調査結果に基づいて再発防止のための対策を検討して、当該対策を着実に実施することによって、同種事案の発生の防止に万全を期そうとしているところでございますが、この内容もいろいろありまして、単なる漏えいといいますか、こちらの不注意で出た場合もありますし、あるいは故意に防衛秘密が流されたという場合もありますし、いろいろな事案があるわけでありまして、特に防衛秘密に該当するようなものについては、これは場合によっては事件にも発展する可能性もございまして、そういうときはより慎重に対処するということをやっておりますが、いろいろな、私の就任する前からの問題で、パソコンからウィニーに流れてしまった、それも、本人の不注意で、フロッピーを持っていって、それで自分の自宅でつないだら、消えていなかったものだから、そこが漏えいしたとか、そういうようなこともございまして、それぞれの事案によって対策もやはり違いますので、なかなか苦慮しているところでございます。

山内分科員 では、ちょっと事務方にお答えいただければと思います。

 情報漏えいも、特にインターネットから流れてしまうといった情報。実は私、前、某独立行政法人で情報セキュリティーの担当者というのをやっておりまして、どっちかというと、本人は意図せずして何かのミスで広がってしまう、あるいは、仕事熱心な余り会社の仕事を持ち帰ろうとして、電車の中にパソコンを置き忘れてしまった、そういう事例が多くて、恐らく前は、自衛隊・防衛庁に関しても、官給品のパソコンが少ないから、仕方なく自費で買ったパソコンを使って仕事をしていた、そういう気の毒な例から情報漏えいが生まれていくというケースが多いのかなという気がいたします。

 そういうのは、ある意味、予算措置をしっかりととるということによって相当程度とれる。あるいは、外部の民間の情報、ITの専門家にいろいろアドバイスをしていただいて情報ネットワークを見直していくということで相当程度防ぐことができる。いわゆるフールプルーフというものでしょうか、意図しないミスを防ぐシステムというものをたくさんつくっていくということで相当程度防いでいくということが可能であろうかと思いますが、これは、次の年度の予算でどのような情報関係、IT関係の対応がとられているのか、ちょっと事前通告が漏れていたかもしれませんが、簡単に、大まかな方向性だけでもお答えいただければと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 一番初めに大きな事案として指摘をされましたのは、海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」所属の海曹長から、ファイルの共有ソフト、ウィニーを使用しまして、それを私有パソコンで使いまして漏えいをした、そういう事案が発生をしまして、急遽、対策委員会を立ち上げまして、まずそこで決定をいたしました対策といいますのは、パソコン約五万六千台を緊急調達いたしまして、私有パソコンを一掃した。大体、今、官有品がほぼ行き渡っているところでございます。

 そのほか、可搬記憶媒体、非常に最近小型化されて持ち歩きが便利なようになっておりますので、こういうデータも自動的に暗号化されるようなことを今考えております。具体的に検討して、研究も進めております。

 そのほか、制度として、先生御指摘のありました私有パソコンの持ち込みを、職場に持ち込むことを禁止したりといった改善策を施しております。

 正直申し上げて、幾度か、対策をとった後にも似たような事案が発生をしておりまして、非常に遺憾なことでございます。我々としては、抜本的な対策、改善策をとりましたことを徹底して行っていくということによって、組織の末端までそういう意識を行き渡らせて、情報漏えいがないようにしていきたいというふうに考えております。

山内分科員 最後に、防衛庁職員の在外公館への出向の問題についてお聞きしたいと思います。

 外務省に出向したほかの省庁の人間というのは大抵普通の外交官として扱われるのに対して、恐らく、防衛庁・自衛隊からの出向者は自衛隊員兼外務省職員みたいな肩書になると伺っております。

 そういう、諸外国ではいわゆる駐在武官と言われている人たちなんですけれども、通常、外務省のインテリジェンスなり情報のルートと、そういう軍の駐在武官の、防衛駐在官ですか、そういった情報のルートというのは、よその国では分かれているというようなお話を聞いたことがありますが、日本の場合は非常に、防衛駐在官が外務省の大使館のルートで情報を流さなくてはいけないがゆえに、ちょっと独自の活動がしにくいといったような弊害があるのではないかと思います。

 そういった意味では、防衛庁・自衛隊独自の、そういう大使館における防衛駐在官を活用した情報収集のあり方といったものを考えていく必要があるのではないかと思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 これは、駐在武官を置くときに、その身分をどうするかで随分検討された結果、今みたいに外務省に出向して一元的に大使の管理下に置くということで決まったわけでございまして、その後ずっと運用が図られておりまして、私は、日本のこのやり方は結構今定着してきて、それほど支障は生じていないんじゃないかなと思っております。

 確かに、各国によって違いますし、特に外国の場合は二元的になっておりますけれども、それだと、ルートが逆に二元化してしまいますために、その辺がかえって問題になるケースだってないわけじゃございませんので、大使は知らない、外務省は知らないのに防衛省だけが知っていたということになってもこれまたいけませんので、やはり今の運用で私は問題点はないんじゃないかと思います。

 ただ、これから先本当に問題ないのかどうかというのは、常時私たちも検証はしていきますけれども、今のところは支障は生じていないというふうに理解しております。

山内分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

斉藤主査 これにて山内康一君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)分科員 本日は、在日米軍の再編を促進するためのいわゆる再編交付金について、久間防衛大臣にお伺いをしてまいります。

 近年、我が国を取り巻く安全保障環境は、北朝鮮問題を初めといたしまして、竹島の領有権問題、また中国を含む排他的経済水域問題等に見られるように、極めて厳しい状況にあります。粘り強い外交交渉を前提としつつも、やはり日米安保体制の枠組みもさらに重要性を増すものと考えております。そして、それに伴って、米軍基地及び自衛隊施設の重要性が増していくことは明らかであります。

 私の地元横須賀市には、国の要請として自衛隊及び米軍基地が存在をしております。一方で、それらの存在によってさまざまな問題が発生していることも事実ですが、これらの諸問題はコミュニケーションを通じて解決をしていかなければいけないだろう、私自身もそのために尽力をしていきたいと考えております。揺るぎない日米関係の安定は、アジア、ひいては世界全体の平和への貢献となってまいります。

 久間大臣の所信の中で、「このような安全保障環境において、日米安全保障体制及びそれを中核とする日米同盟は、我が国の防衛のみならず、地域の平和と安定、さらには国際的な安全保障環境の改善のために、重要な役割を果たしております。」と述べられ、またさらに、在日米軍の再編は、日米安全保障体制を一層実効性のあるものにしていく上で極めて重要であるほか、基地を有する地元の負担軽減のための絶好の機会である、これを円滑に、早期に実現していくことが極めて重要と述べられていらっしゃいます。

 今回、在日米軍再編に関する特別措置法案が提出をされ、来年度予算案の中に初めて、日本の安全に大いに貢献している自治体に対しましてこれを評価しようと、再編交付金の初年度分五十一億円が計上されております。

 そこで、初めに、この米軍再編特措法案を提出する必要性について、大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 やはり法律をきちんとつくって、それに基づいて交付するといいますか、あるいは実行していく、そういう政府の姿勢を示す意味でもそれは非常にいいことだと思いますし、そして、この再編は一年、二年でできるわけじゃございませんで、かなり長期的にかかるわけであります。

 そのときに、仮に政府がかわったとしても、地元に約束したことはきちっと実行していくということを法律で定めておくことの方が、私はその地方自治体にとっても大変いいことじゃないかと思いまして、これは、SACOのときは実は予算だけでやったわけでありますけれども、それだけだったら、正直言って、政権がかわってやめたといった場合には、あるいは予算が足らなくなってやめたと言われたら、打ち切られてしまうということだってあり得るわけでございますので、やはりそういうものじゃないんじゃないかと思いまして、それが一つであります。

 それともう一つは、いわゆる今度のグアムへの移転のときに、JBICの資金を使おうとしますときに、これは後進国を対象とした法律になっていますから、業務の内容が対象になっておりませんので、それもあわせてやったらどうかということで、それも取り込んで再編の法案の中に入れたわけであります。

古屋(範)分科員 今、大臣からもございましたように、政府がかわっても、地元の基地を抱える自治体にとって、法律で担保されている、これが非常に重要ということになってくると思っております。この法案、米軍再編による負担を受け入れた自治体、まあ、沖縄に基地が集中しているということでございますけれども、その自治体の期待にこたえるものとなることを大いに私も期待をしているところでございます。

 次に、この再編交付金の趣旨及び交付の仕組みについて御説明をいただきたいと思います。また、どのような判断基準でその対象自治体を選定していくのか、これについてもお伺いいたします。

大古政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの再編交付金につきましては、米軍再編によりまして、住民生活の安定に影響、具体的には負担ということになりますけれども、これが生じる場合におきまして、その負担をみずから受け入れる地元市町村の我が国の平和と安全への貢献に国としてこたえる、このことによりまして、米軍再編を円滑かつ確実に実施するということを目的とするものでございます。

 具体的な交付の関係でございますけれども、これにつきましては、今回の米軍再編により住民生活の安定に影響が生ずる市町村であって、その当該市町村におきまして、住民生活の利便性向上等につながる事業を行うことが米軍再編の円滑かつ確実な実施に資するということが必要と認める場合におきまして、防衛大臣が指定するということで考えているところでございます。

古屋(範)分科員 その地元の貢献に対して、国として支援をするということでございます。

 私も横須賀に住んでおりまして、市民の一人であるわけなんですが、現在あるキティーホーク、通常艦は廃艦となるということでございます。そのほかに原子力空母しかないというような現実がございます。また、行動範囲にしても、通常艦と原子力空母では物すごく大きな差があるということも伺っております。

 その中で、市民感情といたしましても、今反対の署名運動なども起きていることも事実でございますが、地元の住民はこの米軍基地に勤める方も非常に多いわけであります。また、日米安保の上から迎えざるを得ない、非常にそのところは複雑な感情がやはり交錯をしているということではないかと思っております。しかし、原子力という名のつくものが市に来るということになりますと、絶対に安全の確保、保ってほしい、安心、安全な町づくりに国としても最大寄与してほしい、これは市民全員が希望しているところだというふうに考えております。

 この在日米軍横須賀基地への原子力空母配備、この再編事業と位置づけていただいているというふうに私自身も認識をしておりますが、この横須賀市を再編交付金の対象としていただくことが決定したということでよろしいかどうか、再度確認をさせていただきたいと思います。

大古政府参考人 再編交付金につきましては、昨年の五月一日に日米間で了承されたいわゆる米軍再編事業、これにかかわる基地につきまして、まず一義的には交付金の対象になるわけでございます。

 ただ、これは法律上、この米軍再編にかかわる基地ということにつきましては、運用の態様の変更等があるわけでございますが、このような変更が、航空機を保有する部隊の編成または配置の変更である場合にあっては、当該航空機を搭載し、当該部隊と一体として行動する艦船の部隊の編成または配置の変更を含むというふうにされております。

 それで、こういう条文の趣旨からいたしますと、具体的には、横須賀海軍施設を寄港地とする空母の原子力空母への交代についても、この法案に基づく措置の対象にはなるというふうに考えているところでございます。

 ただ、他方、具体的な交付金の交付対象市町村につきましては、この法案が成立した後に、法令の規定に基づきまして、その時点の状況を踏まえて適切に判断されるということでございますので、現時点で、個別具体的な市町村名については、交付金の対象としては、この場では答弁できないということで御理解いただきたいと思います。

古屋(範)分科員 個別の市町村名は答えられないということではございますけれども、この横須賀市、旧海軍があり、そことともに発展をしてきた町でもございます。誕生いたしましたのが一九〇七年の二月十五日ということで、本年、百周年を迎えました。その歴史を見ますと、江戸幕府の直轄地としまして、またその後は、軍港都市として非常に苦労してきたということが言えるかと思います。現在では、造船業などもやはり斜陽となりまして、その後、今、横須賀リサーチパークというのがありまして、ここはITの最先端の企業の研究所などが集積をいたしておりまして、産学官の協同によるさまざまな最先端の研究開発が行われるなど、新たな活路をそこに見出そうと頑張っているというところでございます。

 本来は、国民一人一人、また全国の市町村がひとしく担うべきところ、この安全保障につきまして、やはり横須賀市は、米軍基地及び自衛隊施設等を受け入れている自治体の市民として、物心両面で非常に大きな負担を背負っていると言うことができると思います。

 第二次世界大戦後、米軍基地また自衛隊基地が存在する中で、横須賀基地がアメリカの空母の海外母港となって、もはや三十四年もたっております。私も中に入ったことがございます。空母というのはもう巨大なものでありまして、ビルが海に浮かんでいるといいますか、そのような巨大なものでございます。現在の市長の苦渋の決断によって、来年の夏には原子力空母が初めて配備になるわけであります。今日まで、市民が一体となって日本の平和と安全に大きく貢献をしてきたということをぜひともおわかりいただきたいというふうに思っております。

 大臣、この横須賀市の、歴史的にもそうですが、現在に至るまで、この貢献についての御感想をぜひともお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 横須賀市は、本当にこれまでも軍港として発展しましたが、その後、戦後も、海上自衛隊の基地としてあるいはまた米海軍の母港として機能してまいりました。その間において、プラスの面もあったかもしれませんけれども、また、市当局の苦労もたくさんあったんじゃないかと思っております。しかしながら、その辺が一体となって非常にうまく機能している、そしてまた町もすみ分けがうまくできていて、自衛隊と米海軍とが上手にセパレートされている、そういう意味でもすばらしい発展を遂げておりますから、私は、これはやはり市当局を初めとする市民の皆さん方の協力があればこそだと思って、大変感謝しているところでございます。

 今おっしゃられましたように、キティーホークから今度ジョージ・ワシントンにかわりますけれども、どうしてもやはり、ここに強固な米海軍のプレゼンスがあるということが、我が国並びにアジア太平洋地域における平和と安定に非常に大きく貢献しておりますので、これはやはりこれから先も必要だと思っております。

 そういう中で、苦渋の決断をして米原子力空母ジョージ・ワシントンへの転換を受け入れていただいたということは、私はそういう点では非常に感謝申し上げる次第でございますので、先生からもよろしくまた皆さん方にお伝えいただきたいと思います。

古屋(範)分科員 横須賀市、今、公明党の市会議員は七名おります。最大会派ではありませんが、やはり大きな会派でございまして、私も地方議員とは一つ一つ連携をとりながら今日まで参りまして、ぜひともこの横須賀市の、大臣がおっしゃいましたように、今までの日本の安全保障に対する貢献、そういったものを十分に評価をしていただき、交付金につきましてもぜひとも配慮していただきたいというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、具体的に、交付金に関する基本的な考え方について御説明をいただきたいと思います。

 負担に応じた額、これに関しましてどのように判断をしていかれるのか、具体的にどうすれば交付金がいただけるのか。また、米軍再編の実施に向けた進捗状況によって交付をしていくという御説明でございますが、具体的にどのようなイメージで進んでいくのか。また、交付期間が原則十年ということでございます。この十年間の時限立法にされた理由についてお伺いをいたします。

大古政府参考人 まず交付金の算定のところのお話でございますが、これについては、米軍再編により住民生活の安定に影響が生じる程度ということでございまして、この点については、今後、具体的基準等については検討していきたいと思っているところでございます。

 それから、四段階云々ということなんですけれども、これにつきましては、交付金の交付につきましては、再編が実施された場合の交付の上限額といたしまして、再編の実施に向けた措置の進捗状況において交付額を段階的に見直す、こういう制度にしているところでございます。

 具体的な進捗状況の各段階として、これはあくまでも検討の一例でございますけれども、一段階目として、当該市町村が再編の実施を受け入れた段階、二段階目として、環境影響評価に着手した段階、三段階目として、施設整備工事に着手した段階、それから再編が実施された段階、最後の四段階目というところでございますが、これは一例として考えられると思っております。

 ただ、具体的な進捗の各段階等につきましては政令等を整備していく中で明確にしたいと考えておりまして、これは、一例として今の四段階を示しておりますけれども、現段階では確定しているものではないということで御理解いただきたいと思います。

 それから、なぜ十年間の時限措置という御質問でございますが、これについては、昨年五月一日に日米間で合意されたいわゆるロードマップというのがございますけれども、これで各施設についての時期的なめどを書いているところでございます。

 この中で、例えば普天間飛行場代替施設は二〇一四年の建設完了とかとございます。その他、岩国飛行場への空母艦載機の移駐も二〇一四年完了ということで整理してございまして、この意味で法律の期限をおおむね十年間というふうに設定したところでございます。

古屋(範)分科員 段階に応じて、進捗状況に応じてという御答弁でございました。

 横須賀市におきまして、近年、米兵による殺人というような事件もございました。それほど事件、事故が多いという印象では私自身はございませんが、実際にはそういったこともございました。

 これまで、交付金の対象事業につきまして、基地を取り巻く警戒態勢、あるいは市民の不安を取り除くための広報活動、また防犯パトロールなど、ハードではなくていわゆるソフト事業については対象となっておりませんでした。しかし、米軍基地があるということでは、そういった面での市民の不安、負担というものも実際にはあるわけであります。ですので、こういったソフト事業につきまして、ぜひ対象に含めていただきたい、使い勝手のよいものにしていただきたいというのが市民としても要望するところでございます。

 そこで、具体的な事例など、交付の対象となる事業についてどのようなものをお考えか、御説明をいただきたいと思っております。

大古政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、防衛省が運用をしております環境整備法という法律がございます、略称でございますけれども、その中で、いわゆる九条交付金という制度がございますが、これについては公共用の施設の整備に限定しているところでございます。

 ただ、今回の法案につきましては、先生からも御指摘のあったソフト事業も対象とすることとしてございまして、そういう意味では、例えばソフト事業の一例ということでございますけれども、防犯カメラの設置とか、そういうことに対しても交付金の対象とすることができるというふうに考えているところでございます。

 ただ、具体的な事業の範囲についてお尋ねがございましたけれども、これにつきましては、今後、関係省庁とも協議の上、法案成立後、政令で定めることとしておりますので、現時点では具体的事業については答弁できないということで御理解賜りたいと思います。

古屋(範)分科員 原子力空母が来る、その名前だけで市のイメージというものがダウンするのではないかというような危惧も実際にはございまして、ぜひ、見合ったといいますか、市の安全性を実際に高める、また安全、安心の町である、そういうような負担に見合ったさまざまな事業を展開することによって、やはり横須賀市そのもののイメージアップにつながるようなもの、また実際に市民の一人一人の生活に資するような、ぜひともそういう政策も含めていただきたいというふうに考えますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 それで、既に基地のある自治体につきまして、いわゆる特定防衛施設周辺整備調整交付金というものがございます。これと、今回の米軍再編交付金の違いについて御説明をちょうだいしたいと思います。

 国の財政が厳しい中でありますけれども、この米軍再編に伴う振興策が加われば、従来の振興策は逆に減らされてしまうのではないかという懸念がございます。この点についてのお考えを聞きたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 環境整備法の九条交付金につきましては、これは一般的に、米軍基地、自衛隊基地につきまして、基本的には飛行場、それから演習場、それから港湾、その他政令で定める施設もございますが、こういうものに限定した上で、公共用の施設の整備について対象としているというものでございます。

 他方、今回の米軍再編交付金につきましては、法律上、米軍再編ということに目的を限って、そのための負担のふえる指定された基地の指定された市町村に対して交付金を出すものでございまして、そういう意味で趣旨が違いますので、あくまでも既存の環境整備法の九条の交付金とは別のものとして法案をお願いしているということで御理解を賜りたいと思います。

古屋(範)分科員 ありがとうございました。

 この特定防衛施設周辺整備調整交付金、これはこれとしてという今の御答弁だったと思いますので、安心をいたしました。

 今、横須賀では、反対署名ですとか、あとは住民投票も行うべきというような意見もございます。公明党の市会議員も、こういった問題、国の防衛に関する問題であり、住民投票にはなじまないということで、あらゆる場で市民に今説明をいたしております。

 そういう中で、苦渋の選択をせざるを得ない、そういう自治体に対しまして、こうした米軍再編推進のいわばお手本と言っていいかどうかわかりませんが、先頭に立ちまして、そういった市民の理解を求めて奮闘している市に対しまして、ぜひとも御理解をいただきますとともに、最大、市民の安全の確保、万が一にも事故というものがあってはならない、このように考えております。

 今後とも、ぜひとも市民の意見を丁寧に聞きながら、私もパイプ役となってまいりたいと思っておりますし、横須賀市への最大の支援というものを心からお願いを申し上げまして、少し時間が早いようでございますが、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

斉藤主査 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田良彦君。

福田(良)分科員 自民党の福田良彦でございます。

 きょうは、防衛関係について質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、先ほどから出ております、今回の米軍再編についてでありますが、そもそも今回の米軍再編については、新たな安全保障環境のもとでの抑止力の維持にそれが必要であるということであります。しかしながら、防衛施設の集中している沖縄県初め、我が国全体として防衛施設の近隣住民の負担を大きく軽減するものであり、ぜひともこれは早期に実現しなければならないという思いであります。また、国家の安全保障政策は国全体としてひとしく担うべきではありますが、今回の再編によってどうしても特定の市町村に新たな負担が偏らざるを得ない、そういう状況でございます。

 これを受け本年の二月九日に提出されました、再編交付金を制度化するということは、駐留軍等の円滑な実施に関するものでありますが、そのような米軍再編に伴って負担をみずから受け入れる市町村に、国として平和と安全への貢献度にこたえて少しでも軽減してあげよう、軽減するべきだという趣旨であろうかというふうに思うわけであります。

 また、今回の特別措置法につきまして何点か質問したいと思いますが、今回の米軍再編の特措法につきまして、米軍再編への協力の度合い、また進捗状況によって交付する、そういう手法につきまして、その意義についてまず大臣にお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、三ッ林主査代理着席〕

久間国務大臣 日米安保条約に基づく米軍が我が国に駐留するということは、これはどうしても必要でございます、現在の日本の状況からあるいは日本を取り巻く状況からいったら必要でございます。それと同時に、今米軍と自衛隊の役割、任務あるいは能力、そういうものをいろいろと検討しておりますが、その一環として、米軍の再編というのも必要になってまいります。

 しかしながら、新たにそういうことが必要になった場合に、それを受け入れる市町村にとってみれば大変苦労の多いところでございます。ちょうど我が国で原子力発電を、これはやはり避けて通れないというようなことから、原子力発電をどこかにつくらなきゃならない。それはつくることによって便益があるところはいいけれども、それを設置するところはやはりいろいろな問題が生ずるわけであります。そういうときに、原子力の施設を設置するところについては交付金制度が法律で定められております。

 だから、私たちもやはり米軍の問題についてもそれと同じような考え方で、受け入れてくれるところは苦労が多いわけだから、それなりにそこには交付金を与えるべきじゃないか、そういうような発想から法律できちんとしようというような思いもございました。それと、先ほど言いましたように、法律でつくっておくことによって、受け入れてもらったところには、これは単なる国の予算としての補助金で、単年度、単年度で予算が決まればもらえるということではなくて、一定期間はきちんと入ってくるという見通しをきちっとする方がいいというような観点と、両方考えまして、私は今回は法律をつくって出すべきだということを主張して、そして、そういう方向に今向かっているところであります。

福田(良)分科員 この交付金というものは税金でありますから、やはり容認といいますか、この再編自体に協力しているところとしていないところ、逆に、容認しなくても交付金がもらえるのであれば、今まで協力しようと思っていた自治体も、もしかしたら協力しなくてももらえるんじゃないか、そういうことも懸念される。また、これは大きく国民の理解を得るためにも協力の度合いによって交付するという意味合いもあるんじゃないかなと思いますが、それにつきましてはどうでしょうか。

久間国務大臣 見方というのはいろいろありまして、よくあめとむちとかと言いますけれども、あるいはまた何かをギブ・アンド・テークで、ギブ、やることによって受け入れてもらうというふうな、そういうのはよくないというような話もございますが、その地方自治体からいいますと、先ほど言いましたように、よそでは引き受けないのにうちは引き受けますよと負担を買って出るわけでありますから、やはり国としてもその態度にはこたえる必要があるんじゃないかなというふうに思いますので、私は、いろいろな点でのいろいろな批評はあるかもしれませんが、この法案は国民の理解が得られるんじゃないかなと思っております。

福田(良)分科員 また、この法案は十年間の時限立法ということもありますが、負担が増加することになります各関係自治体に対しまして十分な内容であるかどうか、また、より大きな負担を受け入れる自治体はおのずとその交付額も高くなるということも伺っておりますが、それについての基準といいますか、その計算式は今からどういうふうに決めていくのか。

金澤政府参考人 交付の枠組みというのは法律の第五条に規定しておりまして、そこに当該防衛施設の周辺地域における住民の生活の安定に及ぼす影響の増加の程度及びその範囲を考慮しというふうに書いてございます。

 私どもは、それぞれの基地につきまして負担の増加の程度を勘案いたしまして、この基地は実施時のマキシマム幾らぐらいかなということを考えるわけでございますけれども、これは当然のことながら財政当局との調整が必要でございまして、あらかじめ今ここでここは幾らでございますと言える性格のものではございません。

福田(良)分科員 私の地元であります岩国市も大きな米軍再編の渦中に入っているわけでありますが、この岩国市も、もちろん負担が大きいか小さいかというふうな簡単な尺度で見れば大きい方に分類されるんじゃないかというふうに思うわけであります。また、岩国市の状況は今なかなか容認までこぎつけていないが、近隣の和木町や周防大島町あたりはなかなか苦渋の選択でありながら町長が容認の方に決断をしている。そういった地域に対しては今後再編関連の特別地域ということで含まれるでしょうか、そういう今の和木とか周防大島町あたりは。

金澤政府参考人 防衛施設の周辺地域と言うときには、その所在する市町村それ自身ではなくて、当然それを含む周辺という幅を持った範囲で考えるわけでございます。

 今おっしゃったような和木とかといったようなところも、その範囲の中で当然対象となり得る市町村だと思っております。

福田(良)分科員 先ほどから岩国の話をしましたが、新岩国市が、合併しまして山口県下でも大きな岩国市が誕生したわけでありますが、昨今、地元では、もう一回米軍再編の意義について、米軍再編の内容について、ずっと、先月ぐらいあたりから住民説明会を、地元の広島防衛局局長さんも同席し、また地元の市長さんも同席しながら、大方一巡をしたというふうに伺っております。

 その中で、きのう、おととい終わったばかりと聞いていますので、全体的な住民説明の評価といいますか、それはまだできていないんだというふうに思いますが、私が聞いたところによりますと、いろいろな意見が、やはり賛否両論出ている。しかしながら、一年前は大きな反対の意見ばかりであったが、最近の説明会を聞く限りでは、やはり現実的な対応をしなきゃいけない、大きな国防からも、この岩国地域が国防に対しての貢献もしなきゃいけないといった意見等々出ているということであります。どこが民意かということは、最終的に議会または地元の岩国市が判断をするんだというふうに思うわけでありますが、その中でちょっと気になる大きな質問が幾つかあったわけであります。

 今、岩国市の庁舎を建てかえしているわけでありますが、この庁舎に補助金が、十九年度予算、防衛庁予算の中の三十五億円の補助が計算されていないということについて、地元では国に対していかがなものかという質問が相次いでいるということが出ておりますが、これについての所感をちょっとお尋ねしたいと思います。

久間国務大臣 事務方からよりも私の方がいいと思いますので。

 これは嘉手納からの移転という形で市庁舎の補助金については補助をするということでスタートしたわけでございますけれども、その後、厚木からの艦載機が岩国に移ってくるということになりましたときに、それに対して反対ということを面と向かって言われているものですから、そうしますと、我々としても、公金を扱って税金でやっている以上、真正面から反対というふうに言われているときに、ちょっと待てよというような姿勢にならざるを得ませんので、概算要求には私ども就任したときには入っていなかったわけですね。だから、そのまま入っていない編成の中で予算編成をいたしましたので、現在十九年度の予算には入っていないというところでございます。

 この問題につきましても、先ほど先生がおっしゃられましたように、地元のいろいろな説明会を通じて、連合自治会を初めとする自治会の皆さん方、市議会の皆さん方も、やはりそう反対反対と言っておってもいかぬのじゃないかという空気も出てきておりますから、そういうようないろいろな推移を見ながら、この問題についてはもう一回対処していこうと思っておりまして、私たちも一回約束したことでもございますので、その思いは非常に強うございます。できれば円満に解決してもらうのが一番いいなというふうに思っているところでございます。

    〔三ッ林主査代理退席、主査着席〕

福田(良)分科員 今、大臣の言葉でちょっと気になることが一つあったのが、一回約束をされたということなんですが、実は、きのうですか、岩国市議会の初日でありまして、市長の施政方針の中に、平成十七年二月に四十九億円程度の補助金交付で国と合意の上三年間の本格的工事に着手した、その他云々、米軍再編に絡めて突然補助金を打ち切るということは国と岩国市の信頼関係を覆すもので到底納得できないという文言で最後くくっておるわけであります。

 国と合意の上というのが、事務方同士が本当に合意をしたのかどうか、書面で交わしたのかどうか。大臣が先ほど言われた約束というところが非常にあいまいに、今地元でも議論をされておりまして、この辺を一度整理しておく必要があるんじゃないかなというふうに思いますが、その辺の所感について。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、新聞報道については承知をいたしております。そんな中で、今先生もメンションされました総額四十九億円といった報道が出ております。その四十九億円について合意したとか、そういったことは事実としてないわけであります。この点について少し詳しく、誤解があるといけませんので御説明をさせていただきたいと思います。

 本件の岩国市庁舎本体工事に係ります補助金につきましては、平成十七年二月、補助額の決定の考え方につきまして広島施設局から岩国市に対しましてポイントとして三点申し上げております。

 その一点は、補助対象面積は総務省の起債許可標準面積の算定方法を参考といたします。それから二番目といたしまして、補助対象事業費は新営予算単価を参考として算出いたします。それから三番目に、補助額は、市の建設工事工程や防衛施設庁の予算の状況を踏まえまして、これは当然のことでありますが、各年度ごとに定める額とするということを御説明しているところでございます。

 そして、この説明を受けまして、岩国市長は、これは十七年の二月二十四日の定例記者会見に臨んでいらっしゃいまして、そこで、補助金四十九億円の算出根拠につきまして、要旨次のように述べていらっしゃいます、補助対象面積から補助額を見込んで算出した。さらに記者から御質問がありまして、国から四十九億円補助するという話はあったのかといった質問に対しまして、次のように答えております。見込んで算出したもので約束はない、補助額は毎年決めていくといった御趣旨の御発言をされている、そのように承知しております。

福田(良)分科員 となると、三カ年、きっちりそこで確定的に国が出しますよという約束はせずに、市の方が、算出基準を防衛の方が示されたものですから、それに沿って市独自で計算をしていけば四十九億になるということを、約束したというふうに岩国市は解釈しているんでしょうね。

 ですから、そういうことであれば、約束した、しないというところがはっきり今わかったわけでありますが、先ほど大臣の答弁にもありました、岩国の今までの経緯を踏まえて大きな懐で構えていただいておるということでありますから、それに岩国市が今後どう対応するか、これが大きなポイントであるというふうに私は思うわけであります。

 また、今回、住民説明でいろいろ欠けている点が幾つかあったんじゃないかと思いますが、実は、そもそも何で厚木の部隊が岩国に来るのかという、大きな米軍再編そのものの意義がうまく市民に伝わっていない。

 今回、私の知っている範囲では、岩国へ移駐する理由として、厚木に比べて騒音の影響をできる限り小さくできる。そしてもう一つは、飛行ルートの安全が確保できる。これは、今の岩国の飛行場が沖合に一キロ出るわけでありますから、海上飛行ということで安全性が今の厚木に比べて確保できる。もう一つは、米軍艦載機の移駐に伴う施設整備の土地が、地籍が確保できる。もう一つは、四点目でありますが、米海軍と海兵隊の航空戦力の統合的な運用が可能だ。この四点すべてが整うのが岩国基地である、そういった運用面から岩国が厚木からの移転の候補地となったという、そもそもそういうところも十分に説明がされていないということが一つ気になります。

 また、二、三日前、私、地元で市長さんとちょっと話をしてきました、市長さんが今再編について容認できない主な理由をもう一度確認したいということで話をしてきました。いろいろるる申されておりましたが、大きな意味で、防衛施設庁から示していただいています艦載機が来た後の騒音コンター、騒音の被害度ですね、これの数値といいますか、これはどういった計算といいますか、厚木のデータをそのまま岩国に持ってきたのであるか。また、本当に、騒音が大幅に軽減されると示されておりますが、その辺のもうちょっと詳細な内容が欲しいと。あとは、海兵隊が来ることによって、変に地元では犯罪がふえるとか、そういった不安要素ばかりが出ている。そういったやはり市民の不安がっていることをうまく解消していきたい、その後に地域振興策だというふうに言われるわけでありますから、それの説明をもっとしっかりとしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 これまで、私ども、この再編計画につきまして、岩国市長さん初め議会の皆さん、また地元の皆さんを初めといたしまして、これまで二十九回ほど説明を重ねてまいりました。そして、地元の疑問の点、心配の点等々につきまして、我々、可能な限り御答弁を申し上げてきたところでございます。

 いずれにいたしましても、我々といたしましては、この事業をぜひとも御協力を得て実現していかなければならないと思っておりますので、引き続き誠心誠意御説明をして御理解を賜りたい、そのように考えているところでございます。

 なお、騒音の点、安全の点、いずれも地元の方々にとっては大変関心のあるところでございますので、これまでも説明はしておりますけれども、さらに、どういった点が不安なのか、どういった点がわからないのかという点をしっかりとお聞きして、しっかりと対応し、御理解を得ていきたいと思っております。

福田(良)分科員 まさに長官が言われたように、市民が何を不安がっているか、それをまず説明していく、解消していく、どういうふうに対処していくかということをしっかりと、市長にも議会にも説明は大事なんですが、やはり市民にそれが浸透するように説明しないと、そこでうまく伝わっていかないんですよね。ある一定のところまでは説明されても、そこから本当に、そうはいっても本当なんだろうかという疑心暗鬼なことばかりが地元で広がって、それがなかなか不安の払拭につながらないということが現状であります。

 また、これも市長さんが言われていましたが、今回、米軍再編自体は反対じゃないんだと。というのは、厚木の状況はよくわかる、厚木のど真ん中の飛行場は大変危険で騒音もある、これはやはり容認できないんじゃないか、厚木に住んでいなくてもそれはどうにかしなきゃいけないということを言われていました。ただ、これが四十九機全部が岩国に来ることがなかなか容認できないと。

 先ほど申しましたが、日本全国でこの負担をうまく分散できないかというふうなことも言われておりましたが、今、分散訓練をいろいろ嘉手納の飛行場からもされておりますが、将来的に、艦載機が籍が岩国にあるとしても、そこですべて運用するんじゃなくて、日本全国、またグアムを含めて、分散訓練等も米側の方にも要求していただきたいなというふうに思うわけでありますが、岩国市長も同じことを申しておりましたが、そういったことについての所見はいかがでしょうか。

久間国務大臣 その辺についてはこれから先もやっていきたいと思いますし、特にNLPについては、二〇〇九年の七月までに候補地を決めて、今の硫黄島にかえて別途つくるということで検討しているわけでございまして、そういうことを通じながら、できるだけ負担のかからぬように、それは仮に厚木から移ってきたとしても、少しでもそれが和らぐように私たちとしても努力をしていきたいと思っております。

福田(良)分科員 今回の米軍再編の一つの中に、今、岩国に海上自衛隊がいるわけでありますが、この海上自衛隊のOP3、EP3、UP3がそれぞれ岩国飛行場から厚木に移るということでございますが、そもそも今いる自衛隊機の任務、任務といいますか、どういった業務を主にしているのか、それをお尋ねいたします。

大古政府参考人 今回の米軍再編におきまして、岩国に所在する海上自衛隊の第八一航空隊と第九一航空隊が厚木に移転するということで予定してございます。

 この中の第八一航空隊につきましては、先生御指摘のOP3Cというものがございまして、これは画像情報収集機でございます。それから、EP3という飛行機がございまして、これは電子戦データ収集機でございます。それから、九一航空隊にはUP3D、これは電子戦訓練支援機でございます。このほか、U36Aというのがございまして、これは訓練支援機ということになっているところでございます。

福田(良)分科員 今、OP3は画像情報偵察、EP3は電子情報偵察、これは主にそれをするということがわかったわけでありますが、これはいわゆる特殊作戦機ですよね。これは、今まで私が聞く範囲では、中国や北朝鮮の情報収集を主な任務にしているということで間違いないですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 どこの国を対象として情報収集ということにつきましては答弁を差し控えたいんですけれども、日本の周辺海空域において電子戦なり画像関係の情報収集に当たっているということでございます。

福田(良)分科員 そもそもこの米軍再編の話が出たときに、数の足し算、引き算の議論じゃないにしても、厚木から岩国に来るから、その分負担の軽減だということで自衛隊機十七機が、プロペラ機ですよね、ですからそんなに騒音はないはずなんですが、これが四十九来るから十七機厚木に岩国から移しますよと、プラスマイナスで少しでも岩国飛行場が少なくなれば地元負担が軽減されるんじゃないかということでもしされれば、それはちょっと違った議論だと思いますし、先ほどのこの部隊の任務からしても、私は、これは厚木にいるよりも岩国にいた方が運用面からしても好都合ではないかというふうに思うわけであります。

 また、隊員、今回六百人相当含まれますよね、ですから家族含めて二千人ぐらいの、自衛隊の家族の方も含めて厚木に移るとなれば、今まで自衛隊の方々が地域で担っていたコミュニティーそのものも薄くなっていく。自衛隊にとっては、地元は大変良好な地域のパートナーとしても今までやってもらっておりますし、そういう方がいなくなることによって地元の負担はさらに上がるというふうに私は思うわけでありますが、その辺の見解につきまして御所見をお伺いいたします。

大古政府参考人 岩国における海上自衛隊の飛行機につきましては、まさに先生御指摘のとおり、住民の方の理解も得て安定的に配備し、運用してきたところでございます。ただ、今回の米軍再編に関連しましては、米軍の艦載機が岩国に来る関係で、滑走路は一本しかございませんので運用上過密になる、その影響を緩和するということがございました。

 そういう意味で、本来、EP3、OP3等につきましては岩国に配備しておったわけですけれども、もともと岩国に配備した理由といたしましても、飛行場で比較的余裕を持って運用できるということがございましたので、場所的に情報収集先との関係で絶対に岩国でなければいかぬということではなかったということでございます。

福田(良)分科員 今、沖合移設で拡張しているわけですから、面積はそんなに過密ということはないんじゃないかというふうには私も聞いているんですが。また、今機数が、六機編成ですか四機編成かで回っておりますよね、これが岩国からアジアに向かって偵察するのと厚木から偵察するのでは、運用面でロスがかなり出るということも私ら素人から見ても考えつくわけですが、それについてはどうでしょうか。

金澤政府参考人 ただいま福田先生から岩国市民の一部に海上自衛隊の部隊が厚木に行くことを寂しがっている声があるというお話を伺いまして、大変ありがたく思いました。

 私ども、岩国にかかわる米軍再編をどうしようかと考えるときに、厚木の地域というのは大都市圏、首都圏ということで、周辺地域二百数十万の人口があるわけでございます。それに比べると、福田先生には申しわけございませんけれども、御地元の人口の稠密度が大分違うということで艦載機を岩国にお願いしようと思ったわけでございますけれども、あわせまして運用上の必要も勘案しつつ岩国の負担が余り大きくなり過ぎないようにということで、例えば、米軍のKC130はグアムですとかあるいは鹿屋等へローテーション的に移動訓練します、あるいは、あそこにある米軍のヘリコプターはグアムに移そうとかといったようなことを総合的に考えた、その一環として海上自衛隊のEP3等を厚木に持ってこようと思うわけでございます。

 これはなぜかと申しますと、一つは負担の軽減の観点からですけれども、もともと、EP3ならEP3というのは、P3を母体にしている飛行機でございます。P3というのは、対潜哨戒機の性格上、非常に航続時間が長い、それから航続距離も長いわけでございまして、多少場所を変えても必要なところに行く能力が十分あるということ。あわせまして、もともといる厚木基地の海上自衛隊のP3等との連携も、基地的には同じわけですから効率性も上がるんじゃないかといったようなことを勘案して、岩国からOP3等を厚木に持っていこうというふうにしたわけでございます。

 どうぞ御理解を賜りたいと思います。

福田(良)分科員 質問時間が来ましたが、効率上そうであればそうと最初から説明していただけたら地元も納得した部分も多少ありますが、三月末にロードマップの包括的なマスタープランもできるというふうに伺っております。早い時期にまた地元と協議をしながら再編を円滑に進めていってもらいたいということを最後に要望して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

斉藤主査 これにて福田良彦君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

斉藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。木原稔君。

木原(稔)分科員 自由民主党の木原稔でございます。

 本日は、久間防衛大臣にも御足労いただきましたこと、まことに感謝を申し上げます。

 本日は、まず、皇室費に関する質問をさせていただく冒頭として、昨年九月六日に秋篠宮御夫妻に授かった御長男の悠仁親王の御誕生を心からお祝い申し上げます。

 本日は次長がお見えでございますので、お聞きいたします。

 間もなく半年を経過いたしますが、最近の親王殿下の健康状態などをちょっとお尋ねいたします。

風岡政府参考人 お答えいたします。

 先生今御紹介をいただきましたように、昨年の九月六日に悠仁親王殿下が御誕生になりまして、間もなく六カ月をお迎えしようとしております。既に昨年までに初御参内あるいはおはし初めなども終えられまして、お健やかに御成長されているところであります。先日は御一家で葉山の方にもお出かけになられたところでございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございます。お健やかに御成長されているということで安心をいたしました。

 日本国憲法第八十八条では、「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」と定めてあります。皇室としての品位を保つために必要な費用を国が負担するということは、これは必要なことであり、重要なことであるというふうに考えております。

 確認のため、現在の皇室費の種類及び総額というものを御教示願います。

風岡政府参考人 平成十九年度予算案におきまして御審議をいただいております皇室費の総額でございますが、六十八億二千四百二十七万二千円であります。その内訳といたしましては、内廷費といたしまして三億二千四百万円、また、皇族費として二億七千六百万円余、さらに、宮廷費約六十二億二千三百万円余ということになっております。

木原(稔)分科員 皇位継承順位の第二位の秋篠宮文仁親王と第三位の悠仁親王がおられる秋篠宮家でございますが、法律に従い皇族費を支給されておるということでありますが、実際に秋篠宮家の皇族費というものは合計して幾らぐらいになるのか、また、内廷費と比べて今どのぐらいになっているのかというのを教えてください。

風岡政府参考人 まず、内廷費でございますけれども、十九年度予算に計上させていただいておりますのは三億二千四百万円でございます。また、秋篠宮家の皇族費でございますけれども、これは秋篠宮両殿下それから眞子内親王殿下、佳子内親王殿下それに悠仁親王殿下とお一方ごと計算をするわけでございますけれども、合計額といたしましては五千四百九十万円ということであります。

木原(稔)分科員 国民の関心が非常に高かった皇位継承問題等も昨年はございましたけれども、皇位継承順位が高い宮家に関しましては特段の配慮がやはりあってしかるべきだろうと私は考えております。

 平成十九年度予算におきます、悠仁親王の御生誕に伴う秋篠宮家の人員または体制というものに何か変更がございましたら教えていただきたいと思います。また、今後、秋篠宮家に対しましてどのような対応を考えておられるのかということをお尋ねいたします。

風岡政府参考人 宮内庁といたしましては、悠仁親王殿下が御誕生になられました昨年の九月に、秋篠宮付の看護師一名を発令しましたほか、外部の医療機関の支援も受ける体制を確保しまして、親王殿下の保育、看護体制というものに必要な措置をとってきているところであります。

 十九年度の増員要求におきましては、秋篠宮付看護師二名を増員し、全体として職員三名の体制で保育、看護に当たることとして、予算案に所要の額を計上させていただいているところであります。

 私どもとしましては、当面は、親王殿下がお生まれになったばかりでありますので、まずは保育、看護ということが重要なことで、それに全力を挙げて取り組んでいきたいと思いますけれども、その後の御養育に関する事柄につきましては、親王殿下の御成長の状況というものを見守りながら適時、適切に対応していきたい、このように考えているところであります。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 これまで百二十五代にわたる皇位継承が脈々と行われてきたわけでございます。そして、このことがやはり日本の国民の統合の権威の源泉になっているという認識を、国民全体が肌で感じている、心の中で潜在的に感じていることではないかと思っております。

 継承者候補の一人でおられる方がお生まれになったというその現実をしっかりと認識していただいて、その方をお育てしていくために、教育面、または安全面なども含めて、特段の御配慮を講じていかなければならない。そのためには、先ほど次長のお話にもございましたけれども、時期に応じて、できるだけ早い段階で予算の拡充が必要であるということを申し上げまして、この質問は終了をさせていただきます。

 続きまして、防衛省関連の質問に移らせていただきます。

 冒頭に、先月、一月九日に、防衛庁が防衛省へと移行いたしましたことに対し、これまで日本の安全をしっかりと担ってきていただいた省の職員、または、自衛隊の隊員の方々初め関係各位のこれまでの努力と実績に対して、心から敬意をあらわしたいと思っております。

 さて、本来であれば、防衛省への移行というものは、私はもっと早目に速やかに行われるべきではなかったかなと思っておりました。時期がおくれた原因の一つと言われておるのが、やはり防衛施設庁による発注工事をめぐる官製談合事件が、二〇〇六年一月ですから、もう約一年前に発覚したことが、やはり原因の一つと考えられると思います。

 その後の反省を踏まえて、いわゆる防衛省移行法である防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律に盛り込まれている防衛施設庁の廃止について、内容の説明と、今後のスケジュール及び進捗状況を教えていただきたいと思っております。

久間国務大臣 施設庁は御承知のとおり調達庁としてスタートした関係もございまして、やはり施設庁自体でずっと一つの閉鎖社会になっておった、それが例の談合事件のときにやはり遠因としてはあったんじゃないかということで言われておりましたので、やはり防衛施設庁を廃止して本省に統合して、そして、人事その他も一つの本省として行うことの方がいいというようなことから、この防衛省への移行の法案に際しまして、附則で施設庁は廃止して防衛省として、そして、地方の防衛施設局も地方防衛局の中に統合するというような形にしたわけであります。

 そして、そのための改編の法律を、今度の予算編成で決まりましたので、予算関連法案として今出しておるところでございまして、この法律を予算と同時に引き続き御審議願って、防衛施設庁としては廃止するということを、九月にスタートさせたい、そう思っているところであります。

木原(稔)分科員 国民から信頼の置ける、そして、これまで以上に、災害派遣、または海外派遣を充実したものとしていただきたいと思っております。

 災害派遣ということで先ほど触れましたけれども、自衛隊の災害派遣時における航空管制業務に関しまして質問をさせていただきます。

 平成七年、一九九五年、もう今から十二年前の一月でございます、阪神・淡路大震災が発生をいたしました。初動のおくれというものもあったというふうに聞いております。二次災害というものが蔓延をし、また、救われるべき人命も失われる事態を引き起こしてしまったことは、残念ながら、やはり事実であったろうと思っております。そのときの反省を踏まえて、消防、警察そして自衛隊というものが一体となって、一丸となって、災害に対して迅速に、連携をとりながら対応できる命令伝達系統が構築されたはずであります。

 国民は、災害時の自衛隊の活動にやはり全幅の信頼を寄せているわけであります。防衛省になってからはなお一層その思いが強くなっていると思いますし、防衛省としてもその責務をしっかりと果たしていかなければいけないというふうに思っておりますが、阪神・淡路大震災の前後で実際に災害への対応がどのように変わったのかということを、まずちょっと確認させていただきます。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえてとりました改善措置は極めて多岐にわたりますが、まず、災害派遣に当たりまして装備品等の充実を行った。これは、例えば、ヘリコプター等によります映像情報を伝送するシステムを備えつけた、あるいは人命救援、救命のためのキットを各部隊に配備した。

 あるいは、災害救援活動の円滑な実施のために必要な権限を改正して、例えば災害対策基本法の一部を改正いたしまして、派遣に当たっておくれの一つの大きな原因となりました交通渋滞に対して、警察官がその場にいない場合に限りまして、自衛隊も同様の権限を行使できるといったような措置をとっております。

 それからまた、もう一つ、阪神・淡路大震災のときに大きな問題になりました、自治体からの災害派遣要請というのがなかなか届かなかった。他方、自衛隊側としては、非常に大きな部隊を移すので、やはりある程度きちんとした災害派遣の要請を受ける必要があるということで、それが派遣の大きなおくれの一つの要因となったわけでございますが、これにつきましても、自主派遣の基準をつくりまして、例えば、災害に当たりまして、都道府県知事等が災害派遣要請をするということがなかなか難しいと認められるようなときには自衛隊の部隊の判断で派遣ができるような基準をつくったという形で、制度等につきましても大分改善を図って、それに基づいて今災害派遣を行っているような状況でございます。

木原(稔)分科員 非常に多岐にわたる範囲での法の整備ということで、阪神・淡路大震災の前に比べると随分と安心して日常生活が送れる、いざ災害になったときにでも、あのときほど大きな二次災害というものは発生しないのではないかというふうに私自身思っております。

 しかしながら、一つだけ抜けているといいますか、私自身、前職が航空会社に勤務しておりまして、また、操縦士の免許を持っているということもありまして、空域、空には道路もなければ道もないわけです。しかしながら、この空域というものは、非常に、特に日本の上空はふくそうしておって、目に見えないさまざまな制約があるというところから、いまだ災害時において円滑な災害支援体制または災害派遣体制がとられていないということを一点だけ御指摘させていただきたいと思います。

 例えば、先ほど、ヘリコプターからの映像配信、映像情報の伝送というお話がございました。人命救助の際に自衛隊のヘリコプターを使って、人が瓦れきの下に埋まっていたり、またはなかなか車では届かないところに救出に行くということがあるわけでありますが、その自衛隊のヘリコプターがせっかく出動して人命の救助をしようとしているまさにその瞬間、テレビ局のカメラを搭載したいわゆるマスコミ所有のヘリコプターが救出の映像を撮ろうとして、特だねでありますから、空を、空域を侵してしまっている。それによって実際に自衛隊のヘリコプターの救出活動が阻害をされてしまっている、滞ってしまったという事例があったというふうに聞きました。また、阪神・淡路大震災にとらわれずさまざまな災害でも同じようなケースがあるというふうにお聞きしております。

 確かに、憲法二十一条に基づく国民の知る権利、またはマスコミの取材の自由、また報道の自由にも配慮をしなければいけないというのは重々承知しているわけでございますが、やはり緊急事態における空域においては救助活動を最優先にしていただかないといけないと思いますし、例えば、この場合の二次災害というのは、自衛隊のヘリが災害に遭っている市民を救出しているときに、さらに上空からマスコミのヘリコプターが撮影をしているというような状況を想像していただければわかるんですが、ヘリコプターというのはダウンバーストという下降気流が非常に発生しておる。そうなった場合に、自衛隊のヘリが安定をせずに、なかなか現場にも着陸することができないし、また、ロープ等で被害者を救出する上で、非常に揺れてしまって円滑な救出がままならないというような例もたくさんあるという報告を受けております。

 やはり、私が思いますのは、空域の制限というのも、ある一定の期間、またはある一定の範囲、そしてある一定の高さ、高度を限定して、航空管制業務というものをその時期だけは防衛省に一元化して、人命救助または二次災害の防止を図る必要があるというふうに考えておりますが、現在、内閣において、防災ワーキングチームというものがこの議論をしているということを聞きました。航空管制について各団体とも協議を図っている、例えばマスコミであったり操縦士協会であったりというようなこともお伺いしておりますが、実際に現在のそのワーキングチームの議論の進捗状況などを御教示願います。

増田(優)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の災害時におきます救援活動に従事するヘリの安全運航の確保ということについてでありますが、これは、お話のありましたように、阪神・淡路大震災を教訓といたしまして、平成八年に災害時における救援航空機等の安全対策マニュアルというものを策定いたして、運用しています。

 ただ、御案内のように、このマニュアルは、関係する諸機関の協力体制の構築でありますとか、あるいは連絡調整の手続といった大枠だけを定めているものでございまして、御指摘の飛行高度の区分等につきましては具体のマニュアルをつくるということになっております。

 具体の大規模な地震、これは私どもでもう既に被害想定等をつくっておりますので、そういった被害想定に基づきまして、ヘリの運用がある程度具体的に計画できる災害に対しまして、より具体的な安全マニュアルをつくろうということで現在作業しています。

 このため、まずは、発災時に多くのヘリのふくそうが懸念されます首都直下地震を対象にいたしまして、具体的な安全対策マニュアルを作成する手続を現在進めておりまして、災害応急対策活動に当たるヘリと一般のヘリを区分いたしまして、飛行高度の区分をする、あるいは活動エリアの設定をするという具体のマニュアルを今作業しております。

 ただ、日本新聞協会それから日本航空機操縦士協会等々、関係団体からもいろいろ意見がございますので、現在、そういった団体の意見もお聞きしながら作業を進めているというところでございます。

木原(稔)分科員 首都圏直下地震を想定してというお話がございました。確かにこの可能性は、私はぬぐい去れないと感じております。特に、関東近辺の上空というものは本当に航空機がふくそうしております。

 日本は、特に諸外国と違うところは、米軍が駐在しているということです。横田の米軍の航空機の空域があったり、また自衛隊の百里基地の空域がある、または成田の空域、羽田の空域、それぞれがそれぞれの管制で空のコントロールをしているという状況は極めて世界的にも特殊であるし、また、航空機の往来も非常に激しいというような中で、いざ災害が起こったときに、一体だれが空域のコントロールをするんだ、二次災害を防ぐためにはどのような対処をするのかということは、これはまさに、いつ起こるかわからない首都圏直下地震に対する喫緊の課題だというふうに感じております。

 また、日本じゅう至るところに空港もありますし、それぞれのところにはやはり、航空自衛隊しかり、または陸上自衛隊の中でも航空隊と言われるものがそれぞれのエリアをコントロールしている中で、一日も早く空域に関する法整備が行われることを願いたい、そのように思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 防衛庁が省に移行いたしまして、形としては一つの省として、立派な体裁が整いました。これからは、その中身を議論する番だというふうに感じております。

 自衛隊の人事制度に関しまして、今、自民党の国防部会では議論が始まったわけであります。実際に今の日本の状況を考えてみますと、まず、少子化というものがあります。人口が減る中で、募集をしてもなかなか隊員が集まらないという現実も当然あると思いますし、昨今の国際情勢を見てみましても非常に緊迫をしており、人員削減だけでは本当に我が国の安全保障が担保されるのかという心配もあります。また、人口が減少すると隊員がなかなか集まらないという中で、女性自衛官の募集も活発に行っていかなければいけない。女性の働きやすい環境も自衛隊の中で整備をしていかなきゃいけない、そのようにも思っております。

 また、国民にわかりやすく、自衛官が誇りを持てるような自衛隊であるためには、階級の呼称とか、または海外派遣が本来任務になるに当たって、自衛隊というのはSDF、セルフディフェンスフォースという英語表記は今回変わらなかったというふうに聞いております。防衛省の英語表記ミニストリー・オブ・ディフェンスというのはエージェンシーからミニストリーに変更をされたわけでありますが、このSDFという呼称も実際に海外にとってみるとセルフディフェンスというのはなかなか理解できない部分もあると思います。

 セルフディフェンスだけでは実際に済まないということは、次期参議院選挙立候補予定者の佐藤正久氏を初め、イラク人道復興支援軍でイラクに派遣された自衛官の方々、これは私の地元である熊本でも西部方面隊または第八師団の中からイラク人道復興支援軍に何人もの方が行かれましたが、それぞれの方がやはりおっしゃっているのは、セルフディフェンスだけでは済まない。殺される夢を毎日のように見たというようなお話も伺いました。

 そういったこともありますし、さらに言えば、自衛官の給与体系は民間会社、一般会社の事務職と異なり、自衛隊というのは精強性、強くなければいけないというようなことが要求されているわけで、実働年数、働く年数というのは比較的短い上に、しかも、まじめに勤務をすれば安心な老後を迎えられるような、福利厚生を含めた給与体系というのを構築する必要があるというふうに思っておりますが、これからの人事制度全般についてお尋ね申し上げます。

久間国務大臣 確かに、少子化が進む中でマンパワーを確保していかなければなりません。そういうときに、どういうようなことでこれから先は取り組んだらいいのかということで、昨年九月に、私、防衛大臣を委員長とする防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会というのを設置いたしました。

 いろいろな有識者の皆さん方に参加していただいて、少子化等の進行に伴う募集環境の厳しい見通し、あるいはまたライフサイクルの変化といった社会情勢等にかんがみまして、若年定年制のあり方が今のままでいいのかどうか、あるいは女性自衛官のさらなる活用をどうしたらいいのか、階級のあり方、給与体系、定年退職後の生活を含むライフサイクル、退職後の経済的な問題などについて今検討をしているところでございまして、近々第一回目の結論を出してもらいたいということでその頻度を高めているところであります。

木原(稔)分科員 国民の生活の安全と安心をしっかりと守っていく、それが自衛官の仕事だとすれば、我々政治家の仕事というのはその自衛官の皆様の働きやすい環境をしっかりとつくっていくということだろうと思っております。そういった観点から、防衛省に移行した、体裁は何とか整ったということで、これからはしっかりと、中身のある新しい組織そして新しい体制というものを構築していくべく、久間大臣にはよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

斉藤主査 これにて木原稔君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 防衛施設庁は、二十六日に、米軍再編のロードマップに基づいて、最初の移転訓練を三月五日から八日まで福岡県の築城基地で実施すると発表いたしました。地元の強い反対にもかかわらず、訓練を強行しようとしていることに対し、私たちは強く抗議するものです。

 そこで、今回の訓練の内容について、防衛施設庁の発表したペーパーに基づいて質問していきます。

 訓練の期日は三月五日から八日としているわけですが、築城基地への米軍の展開はこの期日に限られているんですか。

    〔主査退席、三ッ林主査代理着席〕

北原政府参考人 赤嶺先生に御答弁申し上げます。

 私どもが二月二十六日に発表しました訓練移転について、三月五日から八日と書いてあります。あわせて、そのペーパーの中に、C130二機が訓練支援のために飛来する予定になっておりますが、現在のところ、C130につきましては、三月の三日に到着する予定、そのように聞いております。

赤嶺分科員 C130が三日に到着すると。部隊全体として、事前の展開、事後の撤収、それはそれぞれどれだけの期間展開しているということになるんでしょうか。

北原政府参考人 先ほど申しましたように、C130については三日に参ります。それから、この訓練移転の主体でありますF15につきましては、五日に到着する予定になっておりまして、撤収も、八日のうちに撤収する、そのように考えております。

赤嶺分科員 C130は、撤収はいつになるんですか。

北原政府参考人 現時点において、C130の具体的な、三日に機材等を運んでくることは事実でございますが、具体的な撤収の時期は承知しておりませんけれども、いずれにいたしましても、この訓練移転が速やかに、嘉手納の基地の負担軽減といった観点から実施する、それに必要な支援をする要員等をC130は運んでくるものでございます。

赤嶺分科員 政府は、三月五日から三月八日までの訓練期間だといいながら、C130の展開は三月の三日、撤収する期間は御存じない、そんな当たり前の説明もアメリカから受けていないんですか。

 皆さんが二十六日に地元と結んだ協定では、共同訓練の期間について、一回当たり一日から十五日間、年間合計五十六日以内、このようになっているわけです。事前の展開と事後の撤収に要する期間、これは五十六日の中に含まれるんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 五十六日の中には含まれません。

 なお、C130でございますけれども、具体的な運用にかかわることでございますが、私ども承知しているところでは、三日に参りまして、所要の機材等をおろしたところでその日のうちに離陸する、そのように承知しております。

赤嶺分科員 それでは、その機材を回収しにまたC130が展開するということですか。

久間国務大臣 共同訓練といいますか、それは五日から八日までの四日間ですけれども、とにかく、資材を準備のために運んできてその日に帰る、あるいは終わった後、その資材を置いておくわけじゃないわけですから、それを持っていく。これは共同訓練と違うわけですから、それを日にちに入れるとか入れないとか、それ以前の話だと思いますよ。

赤嶺分科員 そうすると、五十六日間というのは、展開、撤収の期間は含まれていないということですね。

久間国務大臣 それは共同訓練のために行う期間を言っているのであって、運んできたり持ち帰ったりするのは共同訓練の期間じゃないわけですから。

赤嶺分科員 地元が一番心配をしているのは、これを契機に常駐化するんじゃないかという不安なんですよ。期間は五十六日間だ、しかし展開にかかる日、撤収にかかる日数は別ですよということになったら、やはり五十六日以上の米軍の展開というのが自分たちの目の前で繰り広げられるということにつながっていくわけです。

 そういう意味で、五十六日という訓練期間は期限があるわけですが、事前の展開とか事後の撤収について何か限定している取り決めがありますか。

北原政府参考人 二月の二十六日に、私どもの福岡の施設局長と関係自治体の首長さんとの間で私ども協定を結びました。協定の内容については既に公表をしているところでございまして、さらに、この協定の立会人としては福岡県知事がなっております。

 それで、その協定の中には、これまで関係の首長さんは、それぞれの自治体の住民の皆さんの安心、安全を守るといった観点、そして、この再編、沖縄の嘉手納等の負担軽減を図るといった中でのまさにぎりぎりの御選択をしていただきました。二十六日の協定に至るまでの間、私どもは、各自治体の首長さんを初め議会の人たちといろいろ話をしてまいりました。そして、これならやむを得ないと本当に苦渋の決断をしていただいたものでございまして、その中には、今先生がおっしゃっている、一回当たり約一日から十五日間、年間合計五十六日以内とする、さらに加えて明記しておりますのが、使用に応じた展開と撤収に要する期間を別に考慮するといったこと等でございます。

 我々といたしましては、築城基地を初め六つの航空自衛隊の基地が所在するあるいは関係する自治体に対しましては、新たな御負担をお願いするわけでございますので、どこまでも安心、安全、騒音等の観点、もろもろを踏まえましてこれからしっかりとこの協定を遵守し対応してまいりたい。米軍にもそのように申しているところでございまして、米側も我々のこの協定というものは遵守するといった考え方を示しているところであります。

赤嶺分科員 施設庁長官、私が聞いたのは、展開と撤収に期限の定めが皆さんの協定書にはないわけですが、その限定がありますかということを質問しているんです。

 ちょっと時計をとめていただいて。

三ッ林主査代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

三ッ林主査代理 では、速記を再開いたします。

 北原長官。

北原政府参考人 私の御答弁がちょっと誤解を招き、また正しくなかったかと思いますけれども、今私が申し上げました協定は訓練移転で、訓練移転の対象というのは嘉手納等のF15等でございます。今、C130が三日の日に参りますと私申し上げましたが、これは訓練移転そのものではございませんで、あくまでもC130が訓練移転をするF15等をサポートするための訓練支援として飛来するものであります。

赤嶺分科員 訓練支援として飛来するものである、決められた日数は共同訓練のみだ、事前の展開や事後の撤収には期限の定めは何もないということで、大臣、よろしいですね。

久間国務大臣 その辺は常識的に考えていただきたいと思います。

 この日から訓練するとなれば、その日じゃ間に合わないから前の日、前の日もひょっとしたら雨が降ったりあらしがあったりするかもしれぬから二日前に来るというのは常識じゃないですか。

 終わってからまた来るのも、そんなに何日間も置いておくんじゃなくて、その次の日に来る場合もあるでしょうし、その翌々日かもしれませんが、訓練支援のために、機材を運ぶために来るわけですから、それは今度の訓練移転の日数あるいは時間数には入っていないわけでありますので、それをそこに常駐するためにごまかしているんじゃないかというような勘ぐり方というのはおかしいと思いますよ。

赤嶺分科員 大臣、私は事実を聞いているだけなんです。勘ぐりとかそんなことを私はした覚えはないですよ。ですから、常駐の不安を住民は持っているということですよ。

 それで、今大臣は、二日前に来るのは常識だとおっしゃったんですが、事前の展開というのはいつの場合でも二日前なんですか。

久間国務大臣 いや、今度の場合は二日前に、三日の日に来ますということであって、それは状況があれすれば前の日だってあるわけです。それを殊さら住民の不安を醸し出すような、そういう言い方自体が私は非常におかしいと言っているんです。

赤嶺分科員 大臣、私は大臣と日ごろから議論しているように、沖縄の米軍基地の実態に照らして見たときに、それが本土展開でどんな展開になっていくだろうかという、私自身の体験、地元住民の不安、これを解消できる説明が皆さんでできるのであれば、ちゃんとやればいいことなんですよ。しかし、それによって本当に解消されるかどうかは別ですが。

 訓練の時間帯について、これは協定の中に何も記述はないんです。ですから、何時から何時まで訓練を行うんですか。

山崎政府参考人 共同訓練の期間中におきまして、詳細な時間の設定は行っていないと承知をしておりますけれども、夜間、早朝の共同訓練は予定をしておりません。

赤嶺分科員 時間の設定が全くないわけですが、要するに時間の設定はしていないということですか。

山崎政府参考人 基地の使用につきましては、自衛隊の使用に準じて行うものと考えておりますけれども、共同訓練そのものにつきましては、先ほど申し上げたように、住民の方の御迷惑に配慮して、夜間、早朝の共同訓練は行わないという予定だと聞いております。

赤嶺分科員 自衛隊の訓練時間はどうなっているんですか。自衛隊は夜間の訓練はやっていますか、やっていませんか。

山崎政府参考人 ちょっと、申しわけございません、自衛隊が築城の基地におきまして、地元とどういう協定を結んでどういう運用をしているか、今手元に資料がございませんので、後ほど御報告をさせていただきたいと思います。

赤嶺分科員 夜間の訓練をやらないというのは、米側も承知しているわけですね。

山崎政府参考人 そのように聞いております。

赤嶺分科員 そのように聞いておりますじゃ非常に心もとない話なんですが、明確に、日米間で夜間訓練はやらないという合意になっているんですね。

山崎政府参考人 先ほど来から同じような答弁で恐縮でございますが、今回の共同訓練においては、夜間、早朝の共同訓練は予定をしていないというふうに聞いております。

赤嶺分科員 今回の共同訓練においては予定していないと。今後はあり得る、あるいは今後もあり得ないのか、その点いかがですか。

山崎政府参考人 共同訓練をどういう形で、どういう態様で実施するかにつきましては、訓練の内容、それから、当然、米軍との協議を踏まえまして、現地の状況等も踏まえて決定をしていくわけでございますので、いろいろな形があり得ようかと思っております。したがって、早朝訓練がすべて今後の訓練において予定をされていないということではないというふうに考えております。(赤嶺分科員「夜間の訓練は」と呼ぶ)夜間も同様でございます。

赤嶺分科員 早朝、夜間は今回は行わないんだが、今後一切想定していないということではないというのでは、これは住民にとって、どんな訓練が行われるのかという点では、大臣、やはり不安だと私は思いますよ。夜間訓練は今後やらないということを決めているわけじゃないということですから。

 訓練の参加規模として、人員が五十名となっています。その内訳はどうなっていますか。

山崎政府参考人 五十名の詳細な任務、役割については、私どもちょっと承知をしておりませんが、主として整備要員等というふうに聞いております。

赤嶺分科員 こういうのは、いわば住民の不安を解消するために五十名の中身についてきちんと確認した上で訓練移転になると、築城の皆さんには負担の押しつけになるわけですからね。どんな部隊が来て、その内訳は幾らでというようなことについて日米間で検討しないんですか。

山崎政府参考人 一般論でお答えをして申しわけございませんが、一応、C130に乗ってまいられます五十名というのは、あくまで訓練の支援でございますので、主として整備等に従事する方だというふうに承知をしております。

赤嶺分科員 私の質問は、アメリカ側がきちんとそこまで説明しないのかということを聞きましたら、それは常識的に考えてという話になっていくわけですが、その五十人の方の宿舎は基地の外になるんですか、基地の中になるんですか。

山崎政府参考人 築城の基地内に宿泊をされるというふうに聞いております。

赤嶺分科員 米兵の外出はどうなりますか。

北原政府参考人 基本的には、この五日から八日の間にはないものと考えております。

 ただ、三日にC130が着陸いたしますので、その後、始まるまで二日間ございますが、暦的にはちょうどウイークエンドに当たります。今現在、どういう形になるのか詳細はまだ把握しておりませんけれども、かつて、我々、一〇四号線越えについて地元にいろいろお願いするときにも、外に出る場合等については案内役をつけるとか、いずれにしても、事件、事故がないようにするといったことで我々は対応してまいりたい、そのように考えております。

赤嶺分科員 ですから、外出は一般的には認められるんですね。

北原政府参考人 外出を許さないといったことは考えておりませんが、先ほど来申しましたように、五日から八日の中では、先ほど運用局長も答弁しましたけれども、基本的には基地の中で対応する。ただ、まだ現時点で明確ではございませんけれども、C130、支援のために来る飛行機について、その可能性は否定はできないわけでございます、万一そういうことがあった場合にも、我々としてはきちっと事件、事故がないように対応したい、そのように考えているところでございます。

 いずれにしましても、これも繰り返しになりますが、今回C130についても、荷物等をおろしたら引き揚げていくといったように承知しておりますので、実際に外に出るかどうかは明確ではございませんけれども、もしそういうことがあれば、我々、今まで負担軽減で本土にいろいろお願いしてまいりました、そのときに住民の方々がどういう心配を抱いていたかということは政府として十分承知しておりますので、その場合にはきちっと対応してまいりたい、そのように考えております。

赤嶺分科員 久間大臣に伺いますけれども、今回の訓練は、地元の十分な理解は得られたという認識ですか。

久間国務大臣 各地方自治体と協定が交わされたということで、大変よかったと思っております。

赤嶺分科員 ところが、地元は、今回の訓練をめぐって、協定をめぐっても大変混乱しているんですね。協定を町長が結びました築上町町議会は、二十日、町長に対して議会として予定されている協定調印には反対せよという申し入れを行っているわけです。

 その町議会の文書なんですが、築上町議会は、平成十八年三月に全会一致で在日米軍再編に伴う築城基地使用強化に反対の意思を表明して決議し、基地及び防衛施設局等への抗議行動を展開し今日に至っています、築上町長はその米軍再編に係る諸問題について議会の考え方や議会決議を軽視していることに対しまことに遺憾に思うところです、住民生活に対する事件、事故等の安全確保の確約も不備と思われる中、最も重要な立場にある町長の対応は議会としても容認できるものではありません、このように指摘しているんです。これは多数決じゃないんです、全会一致なんです。全会一致でこういう決議をして、町長に申し入れた。

 二十三日に補正予算を審議する議会が招集されたようでありますが、結局、この訓練移転の問題をめぐって町長と議会が丸ごと対立して、空転し、流会するという事態も起きているわけですね。

 また、滑走路に隣接する行橋市、ここの池田仲津校区区長会長がいらっしゃいますが、訓練反対の旗はおろさない、協定にも反対だ、こういう立場を述べているわけです。

 つまり、皆さんが二十六日に結んだ協定というのは、地元ではまさにこういう騒然たる状況の中で結ばれているわけです。行橋市でも築上町でも、議会や住民から訓練や協定に強い反対の声が上がっています。こういう状態がありながらも、なお大臣はこれで地元の理解が得られたというぐあいに言えるんですか。

久間国務大臣 沖縄の負担を軽減しようということで、十年前、一〇四号線越えのときも、たまたま私が防衛庁長官をしておりました、各地区いろいろな話がございましたけれども、最終的には各地方自治体に受け入れていただきました。今あなたがおっしゃったようなことが各地で言われました。しかし、その後、みんなが理解してもらって、今日まで十年続いてきておるわけであります。

 今回も各町ごとに見ましたときには、町の中でいろいろな意見があると思いますが、総じてその地域の皆さん方の理解は得られておると私は考えておりますし、これから先、訓練が行われて、安全が確保されるようなことについて我々も一生懸命努力しますれば、恐らくこの共同訓練が軌道に乗っていくんじゃないかなと期待しております。

赤嶺分科員 県道一〇四号のときも、受け入れる側はそうであったけれども、県民の負担の軽減ということですが、県道一〇四号を受け入れた後、なお金武町伊芸区の訓練は激しくなり、激化し、伊芸区区民ぐるみの闘いが起きたのは大臣も承知していると思います。何の負担の軽減もあそこはされていないんですよ。

 それで、負担感といえば、一番大きなのは騒音です。地元の反対する理由の一つも騒音ですが、私は築城の基地の方にも行ってきたんですが、やはり周辺の住民というのは、これまでも自衛隊機の爆音に苦しめられてきた方々ばかりなんです。そこに新たに米軍機がやってくるわけですね。

 施設庁長官に聞きますが、騒音の問題について、協定では周辺住民の生活への影響に配慮し、騒音の調査を実施するなど所要の措置を積極的に講ずるとありますが、騒音の被害の軽減のために具体的に何をやるんですか。

    〔三ッ林主査代理退席、主査着席〕

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私どもといたしまして、今般、嘉手納飛行場から築城基地への訓練移転に伴いまして、F15を対象といたしまして騒音測定調査は実施するつもりでおります。また、今後、十九年度等の訓練移転の状況を見きわめまして、その都度騒音調査も実施していきたいと思っておりまして、またその調査の結果を踏まえて、我々といたしましては、例えば現在の第一種区域などの見直しの必要があれば、それはまたしっかりと所要の措置をとるといったことを考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、今先生が一部お読み上げになられましたけれども、騒音対策というのは地元にとって大変関心の強いところでございますので、我々といたしましては、今申し上げたようなしっかりとした国としての対応、騒音がある程度増加するものとは当然思料しておりますけれども、しっかりと騒音度調査をして、しっかりとした対応をとってまいりたい、そのように考えております。

赤嶺分科員 騒音や犯罪もありますが、私、皆さんが結んだ協定の内容を見てちょっとこれはと思ったのは、中身が千歳でも百里でもどれもほとんど同じなんですね。個別具体的な基地のあり方、住民地域との問題、起こっているいろいろな問題に即してこれを解決するために協定を結んだのではなくて、まるでどこかでつくった、恐らく防衛省で、防衛施設庁でつくったマニュアルを地元自治体に持ち込んで結ばせているということではないですか。

北原政府参考人 先生、お言葉でございますが、それは各基地を抱える自治体の首長さんに対して大変失礼な御発言ではないかと私は思っております。

 現在六カ所の基地にそれぞれ訓練移転をお願いして今日に至っているわけでございますが、それぞれの首長さんは、それぞれの市民、町民の皆さんの安心、安全を守る責任がございます。そうした観点、そしてまた、それぞれの基地、また自治体が抱える背景、事情もございます。そうした中で、責任者としてそれぞれ協定に合意をしたものであります。

 今回の福岡につきましては、一市二町が連名でサインをしております。これは、それぞれ状況があり、それぞれの考えの中で連名でやろうという地元のお考えのもとにやったわけでございます。また、他方において個別の市と局が協定を結ぶ等々、それは、その自治体の状況によって異なっているわけでございます。

 いずれにいたしましても、私ども、一昨年の十月二十九日の中間報告以来、共同発表以来、地元の皆さんと話をしてまいりました。沖縄の負担の軽減のためお願いしますという中で、各首長さんは本当に真剣に責任者として考えてこられて協定等に結びついているわけでございますので、どうかそこは御理解を賜りたいと思います。

赤嶺分科員 協定の文書が違うのはどこかと調べてみたら、首長の名前だけですよ。中身は大体みんな一緒ですよ。順番が違っているぐらいですよ。失礼なのは皆さん方ですよ。

 そして、その協定を結んだ首長さんたちは、沖縄の負担の軽減に配慮してあえて受け入れたんだとおっしゃいました。では、嘉手納基地の爆音は、七万回が今度の訓練移転によってどれだけに減るんですか、明確に答えてください。七万回、八万回がどれだけ減るんですか。

斉藤主査 北原長官、時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。

北原政府参考人 私どもといたしましては、今回、約五機のF15が来て訓練するわけでございます。今後、これを積み重ねていくわけでございます。大事なことは、嘉手納基地の負担軽減を図るということで、積極的にこの問題に引き続き政府として取り組んでいきたいと思っております。

赤嶺分科員 どれだけ減るか明確に言えないで、嘉手納の負担軽減になりますと言って沖縄をだしにして本土に訓練を拡大するようなやり方は絶対に許されないということを申し上げて、私の質問を終わります。

斉藤主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋分科員 社会民主党の照屋寛徳です。

 きょうは、初の防衛大臣に就任されました久間大臣に、初の私の質問で率直な御答弁をいただきたいと思います。

 さて、最初はいわゆる米軍再編推進特措法に関連する質問でありますが、新たな法律をつくる場合に必ず立法目的あるいは立法動機がございますが、この米軍再編推進特措法で立法目的がどうなっておるかというのが私の関心であります。それとの関連で、大臣、一九九六年のSACO合意から十年以上が経過しても、例の辺野古沖合案が実現できませんでした。大臣は防衛庁長官も歴任されました。今度の新規立法との関連で、SACO合意の辺野古沖合案が実現できなかった原因あるいは理由について、大臣の率直な見解を聞かせてください。

久間国務大臣 基本的には沖縄県の理解が得られませんで、県外移転というのを主張され、そしてまた、環境アセスをしようと思いましたけれども、それについても妨害があってできなかった、非常に残念な思いであります。辺野古沖かどこか、とにかく代替施設をつくらない限りは普天間の返還が成らないというのはわかっているにもかかわらず、それがなされなかったわけであります。

 今度こそは普天間の返還をするために代替施設をぜひつくって、とにかく普天間の返還をしたい、そういう思いが非常に強うございます。

照屋分科員 今久間大臣は、いわゆる環境アセスに対する妨害という言葉をお使いになりましたが、豊かな生態系を守る、辺野古の美しい自然を守る、あるいはジュゴンがすむ辺野古の海を守りたい、特にジュゴンとの関連で言うと、ジュゴンの保護というのはもはや国際社会の責務であるし、アセスに対する妨害という言葉は私は適切ではない。

 大臣が妨害でできなかったという認識の妨害という中には、いわゆる違法行為、こういう趣旨を含んでいるんでしょうか。

久間国務大臣 あの光景が違法というのかどうかわかりませんが、とにかく、スーツを着た連中が押しかけてきて、やぐらの上に上ってきて、引きずりおろして、そのやぐらを占拠する、そういうような状態が果たして合法だろうかと私は疑いますね。

 それと、ジュゴンのための藻場というのは、必要ならば藻場造成事業をまた別途考えるとかいろいろなことをあわせてやる、そういう提案もあっていいと思うんですよ。私は、そういうことがないままに一方的にとにかく立ちふさがるということだけで、それともう一つは期限を十五年というふうに切られたというような問題の中で、政府がアメリカと合意しておりましたけれども先へ進まなかった、そういうのが非常に残念でならないという思いが強うございます。

照屋分科員 今大臣がおっしゃった海中のやぐらの上に、実は私も上りました。別に、上ったそのときに衝突行為があったわけじゃありませんが、要するに、沖縄県民を含めて国際的な、環境を大事にしたい、自然を大事にしたい、ジュゴンを保護すべきであるという声も無視しては、私は、今回の新規立法によっても、そのような強硬な態度一本やりでは、これはまたぞろ十年たっても実現できないのではないか、こう思っております。

 次に、今度の特措法案六条との関連で、米軍等の再編の実施に向けた措置の進捗状況に応じて再編交付金を交付する、こうなっておりますが、具体的にどのような方法によることを指しているのか、お答え願いたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の再編交付金の交付の関係でございますが、再編が実施された場合の交付を上限額といたしまして、再編の実施に向けた措置の進捗状況に応じて交付額を段階的に見直す制度とすることを検討しているところでございます。

 具体的な進捗状況の各段階として、検討の一例として申し上げますと、当該市町村が再編の実施を受け入れた段階、次に環境影響評価に着手した段階、それから施設整備工事に着手した段階、それから再編が実施された段階というふうに、各段階が考えられると思っております。

 ただ、具体的な内容の整理につきましては、政令等を整備していく中で明確にしたいと考えておりまして、現時点で各段階が確定しているというものではございません。

照屋分科員 それでは、この各進捗の、今四段階おっしゃいましたが、その四段階に応じた交付割合というのはどうなっているんでしょう。

大古政府参考人 各段階の交付割合についても、今後政令等で具体的に検討していくこととしておりまして、現段階で明確な数字が決まっているということではございません。

照屋分科員 マスコミ報道では、防衛省が自民党の部会で説明をした内容も地元では報道されております。それを具体的におっしゃってくださいよ。

大古政府参考人 お答えいたします。

 この法案を説明する過程で、例えばということで数字を一例として言っていることはございますけれども、今申し上げたとおり、数字が今決まっているというものではなくて、理解を深めるために一例として出したというものでございます。

照屋分科員 この問題について質問主意書を出しても、答弁書を見る限り、酢のコンニャクだのと言い逃れてなかなか具体的に言わない。こんなことでは地元の理解が得られるはずがないじゃありませんか。隠しておいて、そんなことじゃいけないと思いますよ。

 ところで、再編交付金は、昨年五月一日に日米両政府で合意されたロードマップを無条件で受け入れる自治体のみが交付対象になるんでしょうか。沖縄県や名護市は該当するのかどうか、率直に答えてください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 この再編交付金の交付対象市町村につきましては、本再編特措法案が成立した後、法令の規定に基づきまして、その時点の状況を踏まえて適切に判断されることになっております。その意味で、現段階で交付対象となる市町村名について具体的にお答えすることは困難な状況にあると思います。

照屋分科員 だから、私が聞いているのは、ロードマップを無条件で受け入れる自治体のみが交付対象なのか。

 例えば、沖縄県の仲井真知事は、三年以内の普天間基地の閉鎖状態と言う。名護市長は、可能な限り沖合に寄せる、いわゆる修正案をいまだに要求している。この場合にどうなるんですか、修正要求の場合。

大古政府参考人 お答えいたします。

 交付金の交付につきましては、当該地元の市町村が再編の実施を受け入れた段階でまず支払われることになるかと思っております。

 ただ、それが先生御指摘のように政府側の案を全部無条件だとかということで今考慮することはございませんで、その時点における全体状況を判断した上で防衛大臣が交付対象となる施設を指定いたしまして、その基地の周辺の市町村についても指定するということで考えているところでございます。

照屋分科員 やはり、今聞いても、それは明快な答弁にはなっていない、私はこのように思います。

 ところで、昨年四月七日の名護市長と当時の防衛施設庁長官との間に締結された基本合意書の効力をめぐってさまざまな防衛省幹部の発言あるいは久間大臣の発言がいろいろ報道されておりますが、この基本合意書は、効力はいまだにあるという考えなのか、御破算になったという認識なのか、久間大臣の所見をお聞かせください。

久間国務大臣 今、施設庁長官と言われましたけれども、施設庁長官ではなくて、当時の額賀防衛庁長官と名護市長のですね。それは崩れたとは思っておりません。

照屋分科員 効力はある、御破算になったのではない、こういうふうに伺ってよろしいでしょうか。

久間国務大臣 別にそれにかわる合意書を交わしているわけでございませんので、あれはあれで効力はあるといいますか、そのときの合意は守られていると私は思っております。

照屋分科員 次に、嘉手納飛行場におけるパラシュート降下訓練との関連で伺います。

 五・一五メモで提供施設の使用主目的や使用条件が決めてあるのはいかなる理由によるんでしょうか。

北原政府参考人 照屋先生に御答弁申し上げます。

 日米地位協定第二条第一項(a)によりまして、米側は日本国内の施設及び区域の使用を許されているわけでございます。個々の施設及び区域に関する協定は合同委員会を通じて日米両政府が締結しなければならないことになっておりまして、個々の施設及び区域に関する協定では、施設番号、施設名、所在地、使用主目的、区域の範囲等を明らかにしているわけでございます。

 そして、今先生御指摘の沖縄については、四十七年五月十五日の五・一五メモ、日米合同委員会合意があるわけでございますが、これは、それまでの各基地等の使用実態、用途等に即しまして個々の施設及び区域ごとに使用の主たる目的を定める、そしてまた、演習場、射爆撃場のように周辺住民の安全に影響の強い施設及び区域については、さらに米側と協議の上、その使用条件を明細にしているというものでございます。これは、もちろん、地域住民の皆さんの安心、安全、またこの基地提供の趣旨を明確にしたものでございます。

照屋分科員 関連して尋ねます。

 一九七二年五月十五日、いわゆる沖縄の復帰の日でありますが、その際の日米合同委員会の合意文書、いわゆる五・一五メモ、これは全文公表済みだという政府のお考えでしょうか。

北原政府参考人 いわゆる五・一五メモにつきましては、平成九年三月二十五日に全文を公表いたしております。

照屋分科員 北原長官、あるいはこれは外務省の管轄かもしれませんが、私が聞いているのは、いわゆる五・一五メモは県民に公表された、ところが、その日の日米合同委員会の合意文書、あれはメモであって全文ではないはずであります。

 日米合意の文書は公表するのか、あるいは全文公表したという認識なんですか。外務省に聞きます。

西宮政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問につきましては、米側と協議の上その使用条件を明細にしたものでございまして、これらの内容については、五・一五メモ全文を平成九年三月二十五日に公表したものでございます。

照屋分科員 次に、提供施設、いわゆる米軍基地は、米軍の運用の必要性によってどのようにでも使用が許されるのか、使用が許されない基準は何か、明確に答えてください。

西宮政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍は我が国の防衛を初めとする日米安保条約の目的達成のために活動しており、そのためには適切に施設・区域の提供を受け、適切に部隊運用や訓練を行う必要があると考えております。

 米軍は我が国にある施設・区域において当該施設・区域に関する合意に従い必要な活動を行うことができますが、その際、日米地位協定第三条三項に従い、公共の安全に妥当な考慮を払って行う必要があります。

 なお、各施設・区域において具体的にいかなる活動が認められるかについては、当該施設・区域の状況に応じ、また個別具体の活動に応じ判断する必要があり、基準などについて一律にお答えすることは困難でございます。

照屋分科員 久間大臣、この米軍再編問題について、私どもが、例えば外務委員会とか沖特委だとかあるいは予算委員会とかいろいろな国会審議において質問をし、あるいは資料を求めても、外務省も防衛省も、日米間において交渉中だ、こういう理由でなかなか資料を開示してくれないという問題があります。私は、これは改めるべきであって、外交交渉にかかわる問題あるいは安全保障にかかわる問題であっても、日米交渉で既に明らかになったもの、あるいは国民に明らかにすべきものについては進んで情報開示をする、そのことによって関係自治体や国民の理解を得ていく、こういうことが民主主義の基本だと思うし、また、国会審議のあるべき姿、あるいは国会議員の諸活動に対する役所の対応だと思います。

 それで、キャンプ・シュワブに建設予定の普天間飛行場代替施設で、V字形滑走路の位置あるいは長さ、滑走路周辺の施設計画図などは、報道によると、名護市当局あるいは名護市議会の与党議員、あるいは私が直接聞いたので間違いないと思いますが、地元の一部土建業者には手交しておるが、私ども国会議員が開示を求めても応じてくれない。なぜ今の段階でキャンプ・シュワブ沿岸部のいわゆるV字形滑走路の施設計画図を公表できないのか。公表すべきである。むしろ久間大臣の英断が求められている、秘密にすべきじゃありません。もう既に琉球新報、二月二十五日付の報道では具体的に報じているんです。これらの施設計画図を出していただけるんでしょうか。大臣の見解を求めます。

久間国務大臣 確かに、基本的な方向といいますか、それは決まっておりますけれども、V字案ならV字案の。しかしながら、それについて、あのロードマップが発表された後の配付されました資料を見ましても、あそこにはイメージ図であるというふうな形で公表されておりまして、私自身が見ておるのもそれでありますし、また、名護市がこれをもう少しこっちに譲ったらどうかとおっしゃっているのもその図面でございます。

 しかも、これらについては、それを基本としながら沖縄県あるいは名護市の意見を聞きながらこれから先調整を行っていきます、そう総理も答えているわけでございますから、まだかちっとでき上がってしまったものじゃないわけでございまして、そういうのをかちっと決まったものとしてもしオープンにしますと、さもそれがひとり歩きするようなこともございますから、それぞれがそれぞれの立場でいろいろなことをやっているかもしれませんが、今の段階ではそういうようなものだ。

 いわゆるV字案でいこう、こういう位置でいこうというようなことで、突先にかかったような、岬にかかった、こういうものでいこうということについてはイメージ図が公表されておりますけれども、それ以上のものではない、そういうふうに思っております。

照屋分科員 イメージ図で結構。要するに、名護市や与党議員や一部土建業者に渡っているのだから、防衛省としてそれを国会議員にも提供してくださいよ。そのことが大事ですよ。何でも秘密にしちゃいけないと私は思いますよ。

 もう一度、久間大臣のお答えをお願いします。

久間国務大臣 名護市なんかにおいても、イメージ図を、これをもうちょっと沖合に、うちの案ではこういうふうに出してくれということを提案されているわけですから、そのイメージ図というのは名護市も持っているし、みんな、もう先生もお持ちじゃないんでしょうか。

 だからそれは、それよりもさらに詳しい図面というのがそんなにない、そんなにというか、ないということであります。

照屋分科員 では、施設計画図を含めて、正式にイメージ図の開示、提供を求めたいと思います。

 もう時間になりましたので、一つだけ申し上げて終わりますが、今、在日米軍の多くが、海兵隊を中心にイラクへ出兵しております。このイラクへ出兵した兵士が不在中に、その所有する車を友人が借用して、運転の用に供して交通事故を起こす、例えば当て逃げとか物損事故とか多発をしており、そのことが私のところにも寄せられております。

 これは、単にAIU、保険会社の問題だ、こういう冷たい対応ではなくて、施設庁としても、被害者の立場に立った丁寧な対応ができるようにしてほしいということを申し添えて、質問を終わりたいと思います。できたら答弁を。

久間国務大臣 また後から施設庁長官が答弁しますが、施設庁のマターとしてよく委員会で聞かれるんですけれども、今度は施設庁は統廃合されますが、防衛省に一緒になったとしても、そういうような問題が防衛省の所管なのかどうか、こういう公式の場で答弁できる立場にあるのかどうか、私はかねがね疑問に思うようなことがたくさんあります。そういうことについて委員会でよく質問されるんですけれども、答弁がなかなかできないんじゃないか。防衛省設置法上、果たして今の問いに答えることができるのか、これはむしろ運用の問題だったら外務省じゃないかな、そういう気がいたします。

北原政府参考人 私どもといたしまして、当然のことながら、被害者と保険会社などの交渉の間に立ち入ることは困難でございますが、被害者のお立場に立って必要な助言等については、事実上のことになりますけれども、これまでも行ってまいりましたし、また、そういったものがあれば助言等は行ってまいりたい、事実上でございますけれども、そのように考えております。

斉藤主査 これにて照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 公正取引委員会について質疑の申し出がありますので、これを許します。菊田真紀子君。

菊田分科員 民主党の菊田真紀子でございます。

 きょうは、公正取引委員会の竹島委員長に御出席をいただきまして、この分科会では、地元の細かな問題について質問させていただけるということで、大変ありがたく思っております。

 私、平成十五年に初めて当選をさせていただいたときに、一期生のとき、経済産業委員会に所属をさせていただいておりましたので、何度か竹島委員長にも御質問させていただいたことがございます。

 私の地元は新潟県でございまして、新潟県第四区でありますが、ことしはだれも予想していなかった大変な異常気候ということで、現在もほとんど雪のない状況になっております。生活するには大変暮らしやすく、便利でありがたいなという思いがある一方、これだけ暖冬になりますと、さまざまな分野でさまざまな影響が起こっております。とりわけ、地域経済の中でさまざまな問題が起こっております。

 今回の質問では、この暖冬による影響について幾つか質問させていただきたいと思います。

 これは地元の新聞なんですが、事前に公正取引委員会の方にも提示をさせていただきました、新潟日報の記事ですけれども、雪国の異変ということで、特集を組んであります。「暖冬の影響で、スノーダンプなどの除雪用品が売れず、県央地域の卸売業者やメーカーの倉庫に、在庫が山積みになっている。」ということでございまして、多いところでは前年の四割増の在庫を抱え、保管場所の確保にも苦慮しているということであります。メーカーからは、来シーズンの生産量の激減を危惧する声も上がっております。

 こうしたことを受けまして、私の地元の三条商工会議所では、それぞれの事業所に対して、暖冬によりどのような影響が出ているのか、アンケートを行いました。その中で、この新聞の記事を引用させていただきますと、小売店から卸売業者へ返品の打診が始まっているということでございます。「県央地域の大手卸売業者の社長は「大手小売店が「商品を返品したい」と言ってきた。全品買い取ってもらう契約だが、今後のビジネスを考えると、完全には突っぱねられない」と複雑な胸の内を明かす。」ということでございまして、商工会議所の方から市の方に緊急の行政支援が要請されました。その中でも、不当な返品、値引き防止に対してしっかりと取り組んでもらいたいということが要望されたわけでございます。

 今回、予測不可能な気候変動という理由で、弱い立場の事業者が不利益を与えられるようなことがあってはならないと考えますが、国ではどのような規制を行っているのか、まずお伺いいたします。

竹島政府特別補佐人 まず、基本的なところを申し上げますが、不当な返品かどうかということでございますけれども、私ども、納入業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、また、正常な商慣習からはとてもそういう返品ということは普通行われていないといったような場合は、これはまさに不当な返品ということで、独禁法上の問題が起きてまいりますということでございます。

 今具体的におっしゃられた、三条市における、暖冬で見込み違いで云々かんぬんという話でございますが、これは、個別のケース、どういう契約条件だったのか、返品条件がついていたらそんなにトラブルじゃなかったと思いますが、返品条件もなしで、買い取りだったにもかかわらず、見込み違いで売れなかったから全部引き取ってくれと。

 これは、買い手はそうおっしゃるでしょうけれども、さてその辺は、やはり当事者同士でお話し合いをしていただく。不可抗力といえば不可抗力でしょうけれども、ほかの事業も、そういう季節性のものは、天候予想なんかもいろいろ自分なりにとって、それで御商売を、買ったり売ったりしておられるわけなので、そういう中で通常は処理をされている。

 我々が特に問題にするのは、優越的地位にある者が、いわば不当に、納入者に何の責めもないにもかかわらず、一方的に、売れないからとかいうことで返品だ、しかも買い取りで仕入れた物を売れなかったから全部返品だというようなことを優越的地位を濫用してやる場合は、これはもう独禁法上の問題が非常に出てくる、そういうことでございます。

菊田分科員 まさに、今お話がありましたとおり、当事者同士の話し合いということ、ケース・バイ・ケースということになってくる。ここが非常に難しいところでございまして、実は地元では既に業者と業者では交渉が終盤戦に入っておりまして、聞くところによりますと、もう具体的な返品は三月中に行わざるを得ないというようなことで、大変中小の、中小というより小さいところですね、むしろ小さい卸売業者あるいはメーカーさんからは悲鳴が上がっております。

 有力な大手小売店は、卸売業者やメーカーに対してやはりどう考えても力関係は優位にあるということでありまして、そういう圧力があれば、無理に返品を求められて、受けざるを得ないというのが現状であります。そこが大変苦しいところでありまして、もしそのようなことが現実になれば、三条市内の倉庫は今でも満杯の状態でありますし、今後、零細の小売店や卸売業者、あるいはメーカーというのは資金繰りにも悪化を来してくるということで、大変心配をいたしているところでございます。

 そこで、お伺いいたしますけれども、過去に類似の事例があったかどうか、どんな事例が蓄積されているのかということをお伺いしたいと思います。例えば、夏に暑くならないために、冷夏のために、製造されたクーラーがこういう返品というような騒ぎになって大変お困りの事例があったかどうかなど、お聞かせいただきたいと思います。

鵜瀞政府参考人 これまで、大規模小売業者による商品の返品が独占禁止法に違反するとして公正取引委員会が法的措置をとった事例は二件ございますけれども、いずれも、御指摘の冷夏や暖冬を主たる原因とした売れ残り商品の返品ではございませんでした。

菊田分科員 排除措置命令がなされたのが二件ということでございますね。

 それでは、その以前としまして、さまざまな相談が地域から上がっていると思いますけれども、そのことについてはいかがですか。

鵜瀞政府参考人 相談についてはちょっと調べておりませんけれども、法的措置をとらず、行政指導で返品に対して措置をとった事例につきましても、季節商品の返品に係るものはなかったということでございます。

菊田分科員 まさに、私が本当に限られた範囲で事情調査をした中でも、これだけ地元では大変心配な声が上がって、商工会議所や市に対して要望、陳情が行われているということを見ても、過去に排除措置命令が二件しかなかったということ一つとっても、多くが泣き寝入りをしているのではないかということを私は推察しているわけでございますけれども、地元業者が相談したい場合、だれにどのように相談すればよいのでしょうか。

鵜瀞政府参考人 一般的には、独占禁止法に違反する疑いのある事実につきましては、私ども公正取引委員会にお申し出いただければ、違反の疑いがあるかどうかについてさらに調査をすることになります。

菊田分科員 ぜひ、その際、誠意ある対応をお約束していただきたいというふうに思いますけれども、相談窓口が全国に九カ所ございますね。この九カ所の中で、私ども新潟県の場合は、公正取引委員会の事務総局経済取引局取引部の相談指導室に相談をするということでありますか。

鵜瀞政府参考人 事業者がこれから行おうとする事業活動について、独占禁止法上適法か否かについて御相談をいただくとすれば、今御指摘の相談指導室が担当でございます。

 また、ほかの事業者が独占禁止法に違反する行為を行っているのではないか、あるいは、こういうことを言われたけれども、これは独占禁止法上問題ではないかという具体的な違反行為に関してのお申し出窓口となりますと、審査局の方で対応しております。

菊田分科員 例えば、ここで年間どれくらいの相談がありますか。

鵜瀞政府参考人 独占禁止法上の問題がないかどうかという相談につきましては、ちょっと今数字はわかりませんけれども、年間、相当程度受け付けております。

 また、違反行為の疑いがあるという、申告と申しておりますけれども、それにつきましても、かなりの程度、毎年受け付けているところでございます。

菊田分科員 この相談指導室の方で管轄している区域は、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、長野県、山梨県、そして新潟県ということで、相当広範囲における県が、たった一カ所のこの相談指導室がすべて窓口になっているということでございまして、やはり、地元の小さな事業者が、こういうケースはおかしいんじゃないか、公正取引委員会としてどういう認識を持っているか確認をしたいというときに、ここに直接電話をかけて問い合わせをする、相談をするということだけでも大変勇気が要ることであるというふうに思いますし、なかなかそこまで手が回らないところもある。

 ましてや、これだけ管轄する地域が広くなってまいりますと、地域のさまざま個別な事情について果たしてどれだけ把握ができるのかなという感じがしてならないんです。もっと相談窓口を広く、極端な話、県ごとにですとか、一番いいのは各市町村ごとに設けるというような、きめ細かな対応が求められるというふうに思いますけれども、そのことについてはどうお考えでしょうか。

竹島政府特別補佐人 確かに、公正取引委員会全体で七百五十名ぐらいしか職員がおりませんで、それでも、それぞれ地方事務所を全国、北から沖縄まで設けておりまして、先生の御出身は、これは本局がカバーしているということでございます。

 私が、もう四年半ぐらいになりますが、見ているところ、それで御不便を感じて出てこないということではなくて、結構出てきている。例えば、ガソリンスタンドが、不当廉売をこの店がやって大変迷惑しておるというような話は、都会部じゃなくて、結構地方からも出てきているということがございますので、どうか三条市の場合も、何も電話でなくても結構なんでございますので、余り敷居を高く感じていただかずにお問い合わせをいただきたいというふうに思います。

 もう一つは、公正取引委員会自体ではございませんが、下請法の関係とか、今おっしゃったようなことにつきましては、地元の商工会議所とか商工会も当然話題になることでございまして、そちらには、独占禁止法について、言ってみると協力していただくという体制をとっております。ただ、それで本当にうまくワークしているかどうかはその土地土地で違うかもしれませんけれども、我々としては、商工会議所、商工会にもそういう苦情なり相談には応じていただく、また、わからないことは、そこを通して公正取引委員会にその情報を照会するということを、そういう組織はつくってございます。

菊田分科員 そもそも、立場の弱い下請や納入業者は、親事業者や取引業者の不当な要求に対して従わざるを得ない。そこには、もしそのようなことをすれば、抵抗すれば取引を打ち切られるとか、あるいは報復的措置が怖いという現状があるわけで、こういう悩みに対してどう解決していくのか、お伺いしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 おっしゃるとおりでございまして、黙っていてもなかなか、我慢してというか泣き寝入りして、公正取引委員会に言ってこられないということがあるものですから、特にこれは下請の関係の場合なんですけれども、私どもとしては、年に二回、かなり大規模な実態調査をかけております。これは、親のみならず下請の企業に対してもそれを出しておりまして、そこに正直に書いていただく。その情報は、親にはわからないようにして我々はそれを扱っておりまして、それを見ていて、ああ、この親事業者は随分苦情があるなということがわかりますので、その場合は、その親を呼んで、どういうことになっているのかということをただして、おかしな点があれば是正するようにしている。

 そういうことで、いわば、こちらから積極的にくみ上げるといいますか、そういう努力をしております。これは、公正取引委員会と中小企業庁が両方、手分けしまして、数はもう十万件を超えるような数になるわけですが、その両方の役所で、そういう下請に係る問題がないかどうかの実態調査を年に二回やっております。

菊田分科員 景気は回復したというふうに政府は発表いたしておりますけれども、やはり依然として地方の中小企業、零細企業というのは大変厳しいのが実感でございます。

 そういう厳しい経済情勢の中で、コストダウンとか、あるいは価格競争が相も変わらず続いている。優越的地位の濫用ということがむしろさらに起こりやすくなっているのではないかというふうに私は感じているんですが、公正取引委員会としてどのように把握をされておられるか、近年の動向についても御報告をいただければと思います。

竹島政府特別補佐人 御指摘の点は、特に大規模小売業者とそれに対する納入業者の間で数多く見られるわけでございます。

 そういうことでございまして、従来は、そういう大規模小売業者の優越的地位の濫用については独禁法自体を適用して、十九条の不公正な取引方法の中の優越的地位の濫用に当たるぞ、よってやめなさい、そういう措置を講じていたんですけれども、最近、この厳しい競争の中で大変目につくものですから、平成十七年に、平たく申し上げますと大規模小売業者の納入業者いじめをきちっと取り締まるために、特別の告示を出しました。こういう告示に、例えば先ほどの不当返品だとか、一方的な協賛金の要求だとか、そういったことは全部違反になりますよということを書きまして、これを平成十七年の十一月から施行しております。

 そういうことで、特に今申し上げた分野については公正取引委員会として近年厳しく対処しているところでございまして、平成十五年度から十八年、まだ年度は終わっておりませんが、その四年弱で八件の法的措置、これは一番厳しい措置でございます、それを講じております。あと、警告というのはこのところは余りありませんけれども、注意については、これは大変な数があるということでございまして、これからも大規模小売業者による優越的地位の濫用については厳正に対処していきたいと思っております。

菊田分科員 こうした事態を未然に防ぐような努力、そして手だてを引き続いてお願いしたいというふうに思います。

 改めまして、今回、予測不可能だった気候変動という理由で弱い立場の事業者が不利益を与えられることがないように、暖冬というこれまで余り過去に例がなかった理由によって、地元の経済界でさまざま、公正取引委員会にかかわる問題が発生する可能性が非常に高いということをぜひ関心を持って、そして必要であれば即座に対応していただきたいというふうに思いますが、改めてお考えをお聞きしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 当事者の大変苦しまれていることは私も想像がつきますが、季節変動のリスクをだれが負うかということは、これはやはり当事者同士でそのリスク負担について考えていただく。それが事前には予測できない場合、起きてからどうするかということをやはり話し合っていただくということがまず筋ではないかと。それは競争法の世界と関係がないとは申しませんけれども、片方が弱いんだから、それに対して大きい方は全部かぶれというようなことを意味するような措置というのは独禁法からは出てこないと考えております。

 いずれにしても、当事者同士がまさに良識に基づいて話し合う。それが何らかの理由で、何が原因でうまくいかないかということで、それが独禁法に関係する場合には私どもきちっと対応しますけれども、まずは当事者で問題を解決していただく。そのための未然に想像されるリスクに対してどう対応するかというのも、これは契約なので、今までは日本は口約束みたいなことばかりが多かったのですけれども、私どもは、やはりきちっと契約ということを重んじて、それに基づいて、思わぬリスクを負うことのないようにやっていただきたいというのは、これは競争法を適用するまず前提としてお願いをしているところでございますので、その辺のところも御理解いただければと思います。

菊田分科員 当事者同士の話し合いですべて片がつくのであれば、私は公正取引委員会は要らないと思うんですよね。やはり現実としては、そこが話し合いができない、話し合いになる以前に泣き寝入りをせざるを得ないことがあるんだということを、ぜひ弱い者の味方という立場で、もちろん市場の原則ということはわかっておりますけれども、こういうだれも予測できなかった事態に陥ってさまざま問題が上がっているということを改めて申し上げておきたいと思います。

 大規模小売業者というのは、前事業年度の売上額が百億円以上の者に対する縛りであるわけですけれども、それ以下の者に対してはどんな縛りがあるんでしょうか。

竹島政府特別補佐人 大規模小売業者の定義が、今おっしゃったように百億円以上とか、大都市とそれ以外では違いますが、一定の面積以上の売り場を持っている者というのが大規模小売業者というふうに定義しておりますが、それに満たないいわば買い手と納入業者の関係、これはまさに独禁法自体の適用問題になってくるわけです。

 そうなってきますと、現実問題として、小さい者同士というか、中小と中小との間の話というようなことになるわけだと思うんですね、一般的には。そうなってまいりますと、ますます、これは独禁法の問題というよりも当事者同士で、優越的地位の濫用を働かす立場にないというようなことになってくるわけなので、そういう関係ではないということになってまいりますので、当事者同士で話し合っていただくということにならざるを得ないと思います。

菊田分科員 平成十六年に消費税の総額表示方式が導入をされましたけれども、当時、私の地元から、多くの中小企業や下請企業から、この導入に対して、大変不安の声とともに反対の声が上がりました。それはなぜかといいますと、納入業者と小売業者との間で、小売業の優越的地位の濫用によって納入業者が消費税分をのんでくれというようなことを一方的に言われるのではないかということが懸念されたわけでありますけれども、実際にはどうであったのか、具体的な違反があったかなかったか、公取委として小売業者に指導したケースがあったかなかったか、お聞かせをいただきたいと思います。

鵜瀞政府参考人 平成十六年四月からの改正消費税法に基づく総額表示方式の義務化につきましては、公正取引委員会で、独占禁止法、下請法、景品表示法それぞれの違反行為を未然に防止する観点から、QアンドA方式によります考え方を公表してございます。そして、導入直前の平成十六年二月に、小売業者と納入業者との取引における優越的地位の濫用についての実態調査を実施いたしまして、その結果、問題の指摘の多かった小売業者に対して改善を求めたところでございます。また、その後、平成十七年二月にも、大規模小売業者と納入業者に対する実態調査結果を公表いたしまして、関係事業者団体にも、傘下会員の独占禁止法遵守体制についての指導を要請したところでございます。

菊田分科員 改善を求めたケースは幾つありましたか。

鵜瀞政府参考人 平成十六年三月に発表いたしました調査のときには、小売業者約五十社に対して問題点を指摘し、改善を求めたところでございます。

菊田分科員 その後の調査は行っていますか。

鵜瀞政府参考人 その翌年の調査、フォローアップの調査でございますけれども、そのときには、先ほど申しましたように、団体に対して傘下会員の指導を要請したところでございます。また、その同じ年でございますが、平成十七年十二月に、不当表示の案件でございますけれども、石油販売業者六社に対しまして、不当表示のおそれがあるということで警告してございます。

菊田分科員 下請代金支払遅延等防止法についてお伺いいたしますけれども、遵守の徹底についてはどのように行われていますか。

鵜瀞政府参考人 下請法の運用につきましては、下請法の規定内容の普及啓発も重要だと考えているところでございます。違反行為の取り締まりにつきましては、先ほど委員長から申し上げたとおり、定期調査を実施しているところでございますけれども、親事業者と下請事業者に対して、下請法の周知にも努めているところでございます。毎年十一月に下請取引適正化推進月間というのを実施しておりまして、下請取引適正化推進のための講習会、あるいは、親事業者、事業者団体への下請法の遵守徹底についての要請文書の発出などをしているところでございます。

菊田分科員 近年、どれだけの違反がありましたか。それは、だんだんふえているのか、それとも減っているのか。

鵜瀞政府参考人 平成十六年四月に改正下請法が施行されております。それ以降、昨年末までの間に、法的措置である勧告、公表措置を二十二件行っております。また、同じ期間に警告件数は八千八百件になってございます。改正法によりまして規制対象が広がりましたので、その対象が広がったという意味においても、事件数はふえているというふうに認識しております。

菊田分科員 私もこれは、全事業者に対して調査をしたり、指導をしたり、PRをしたり、勧告をしたりとしているわけではありませんから、まだまだいろいろなところで問題を抱え、また泣き寝入りしているところがたくさんあるというふうに思いますし、やはり、近年の経済状況を見ましても、弱肉強食といいますか、強いところはどんどん強くなるけれども、その下請で泣いているところはたくさんあるということをかんがみれば、本当にこうした法の遵守をしっかりと公正取引委員会として監視をしていってもらいたいというふうに思っております。

 もちろん、入札談合とか価格カルテルといった問題も大きいんですけれども、もっと私たちの身近な地場産業、あるいは地域の中小企業の周辺で何が起こっているのかということに対して、しっかりときめ細やかな目を向けていっていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、最後に委員長から御所見を伺いたいと思います。

竹島政府特別補佐人 御指摘の点、我々も大変重要だと思っております。最近、政府がまとめました底上げ戦略の中でも、下請いじめに対してはきちっと対応するようにということになっております。さらに私どもは努力していきたいと思っております。

菊田分科員 終わります。ありがとうございました。

斉藤主査 これにて菊田真紀子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして公正取引委員会についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。三日月大造君。

三日月分科員 民主党の三日月大造です。

 それでは、官房長官、御出席いただきましたので、政府広報について質問させていただきたいと思います。

 お手元に資料を配らせていただいていますが、まず事実確認からさせていただきたいんです。きょう、政府広報室長もお見えですが、まず、私のつけた資料、これは内閣府の方でつくっていただきました。来年度、今出ている予算案では、九十一億六千三百六十万円ということなんですが、これは、何が含まれて何が含まれないのかということをちょっと私なりにずっと整理をしてみてまいりましたので、ちなみに、平成十三年度、十四年度、百十二億、そして百八億という政府広報の予算については、これで間違いございませんか。

高井政府参考人 啓発広報費をここに計上いたしておりまして、間違いございません。

三日月分科員 そうしますと、これは、平成十六年四月八日提出、質問第七二号の答弁書内にある数字、これは「政府広報予算について」という問いで、平成十二年度、十三年度、十四年度における年度別政府広報予算ということについて問うています。ここでは、平成十三年度においては百十三億五千七百六十九万七千円、十四年度においては百八億五千九百六万円となっておりますが、これとの整合性についてはいかがですか。

高井政府参考人 今申し上げましたように、この資料、提出申し上げました資料でございますけれども、啓発広報費を計上いたしております。

 先生御指摘の質問主意書でしょうか、そちらの方の数字、今手元にございませんが、政府広報と言う場合は、広い場合と狭い場合がございまして、今言った啓発広報費だけを言う場合、これは、この資料でございますが、そのほかに、職員の旅費でありますとか、手当とか、業務庁費を入れる場合がございまして、恐らく、今の先生の御指摘はその広い方の数字ではないかと思います。

三日月分科員 ちょっと待ってください。恐らくとか、そんな形で答弁していただくのはやめていただけませんか。私は、政府広報予算、いわゆる政府広報に係る予算について調べてください、答えてくださいと申し上げたんです。それについて、何が含まれて何が含まれていないかということの説明も言ってありました。しかし、いただいた数字が違うんですが、それはいかがなんですか。

高井政府参考人 先生にきのう提出いたしましたのは、啓発広報費でございます。

 先生からは、予算と決算をあわせて提出するようにという御指摘をいただきました。それで、先ほど私申し上げましたように、広い場合と狭い場合がございまして、広い場合で決算というのは、中身は作業が追いついておりませんので、決算もあわせて出すとなりますと、すぐ出せなかったということでございますので、狭い意味の啓発広報費を、きのう、予算と決算、両方あわせて出させていただいた、こういう状況でございます。

三日月分科員 ちょっと待ってください。その狭い意味の、広い意味のなんて、きょう初めて聞きますよ。それに、決算は別の欄に計上されているじゃないですか。それはちゃんと資料でいただいているんですよ。

 決算と予算の違いを申し上げているんじゃないんです。予算額として問うた質問主意書の数字と、そして私がいただいた数字が違うから、それについての整合性を問うているんです。

高井政府参考人 きのう提出した、きょう配付されておりますこの資料におきましては、啓発広報費の予算と決算でございます。

 この中には、この啓発広報費に入っていない、旅費でありますとか、庁費という部分がまだありまして、それは確かに予算に入れるときもあるのでございますけれども、決算という形で出すとなりますと、非常に作業が多くなりますので、啓発広報費ということをきのう出させていただいたわけでございます。

三日月分科員 いや、今のでわかりますか、全然わからないんですけれども、官房長官。この私が出した資料は、内閣府の調べでまとめていただいたものなんです。政府広報の予算というのはどうなっているんですか、決算も含めて示してください、幾ら使っているんですか、何が含まれるんですかと。

 そして、十六年に質問主意書が出ていまして、ここでも同じ問いで、「政府広報予算について」と問うているんですね。それに対するお答えは、ちなみに、申し上げますと、平成十三年で百十三億五千七百六十九万円、平成十四年度で百八億五千九百六万円なんです。違うんですね。何が含まれて何が含まれないんですか。どう違うんですか。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 この質問主意書で入っておりますのは、今申し上げましたように、啓発広報費のほかに、目が違います、広報に関係いたします旅費であるとか庁費というのが入っているということで、その分が、広いこういう場合には入っていたということでございます。

三日月分科員 いや、私が問うた資料は、すべて政府広報に係る予算を出してくださいと申し上げたんですよ。そのときには、そういうものが含まれていて、含まれていないという御説明はなかったんですよ。

 そんなので、例えば来年度の予算の、これは私は項目別に見ていこうということで、きょうも分科会に出させていただいているんですけれども、全然予算審議にならないじゃないですか。わざわざそのためにつくっていただいたんですよ、この資料。その定義もあいまいで管理されているんですか。それは違いますよ。

高井政府参考人 行き違いがありまして恐縮でございます。

 きのう提出させていただきました予算は、政府広報予算の中の啓発広報費だけを入れさせていただいております。これは、予算と決算両方、十三年度から、資料として提出するようにという御指示をいただきまして、決算の数字がすぐとれる啓発広報費を提出させていただいたものでございます。

 そういう意味では、先生御指摘のように、この中に、庁費でありますとか、旅費が入っていないということを申し上げるべきであったかと思っております。

三日月分科員 いや、それならそうと言ってくださいよ。そして、今回の資料には、では、啓発広報費のみで、私の資料ですよ、そして庁費と旅費が入っていないということなんですね。すべて含んで出し直してください、政府広報に係る予算として。

 そして、もう一つ確認をさせていただきたいと思うんですけれども、郵政民営化に関する政府広報についてということで、お手元の資料の六ページ、これは、我が党民主党の政調の求めに応じて、平成十七年三月九日に出していただいた数字で間違いございませんか。そのままで、うなずいていただくだけで結構なんですが、間違いございませんね。はい。

 それで、郵政民営化に関する政府広報は幾ら支出したんですか。

高井政府参考人 この資料の合計でございますが、合計約六億円となっております。

三日月分科員 では、お手元の私の資料の八ページ目、これは、同じく平成十七年二月に、各紙に「郵政民営化についてのご意見をお聞かせ下さい。」と出された新聞掲載なんですが、これは政府広報で支出されたものではないんですか。

高井政府参考人 政府広報予算でございます。

三日月分科員 そうすると、三月九日現在に出していただいたこの私の資料の中のどこに含まれているんですか。

高井政府参考人 六ページでいきますと、注の一には、テレビ定時番組、定期刊行物等で取り上げたものがこのほかにあると書いてございますので、こちらの中に入っているということでございます。

三日月分科員 それは違うでしょう。新聞は新聞で、ここに「新聞記事下」と載っているじゃないですか。

高井政府参考人 御説明申し上げますが、八ページは、六ページで言う記事下というものではなくて、突き出しということで、ちょっと小さいものでございます。それで、六ページには、新聞記事下、七段とか十五段ということですので、大きく下の半分をとったり全面広告になっているものを記事下というふうに言っておりますので、八ページの分がこの新聞記事下には入っていないということでございます。

三日月分科員 この記事下は幾らだったんですか。そして、「このほかの「政府広報」としては、テレビ定時番組、定期刊行物等で取り上げたものもあります。」これを含めると幾らになるんですか。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと今手元になくて、すぐに出せません。恐縮でございます。

三日月分科員 いや、ちょっと勘弁してくださいよ。この郵政民営化の予算については、お伺いすることは私は申し上げているはずですよ、この政府広報の中身として。

 こういう幾ら使ったかという検証をまずした上で、何が必要で何が足らざるかということについて議論をしたいんですけれども、官房長官、これだったら議論できないですよ。

 委員長、ちょっと調べさせてください。

斉藤主査 もう一回、高井政府広報室長、数字をわかりやすく説明してください。

高井政府参考人 事前にいただいてもおりませんでしたのですが、今ちょっと調べたいと思っておりますが、年間契約をしておりまして、この分だけすぐに取り出すということがなかなか難しいという状況かと思います。

三日月分科員 では、お伺いしますが、この八ページは年間契約の記事なんですか。そして、これに幾らかけたんですか。

高井政府参考人 この年間契約の中の記事でございますが、この部分は、年間契約をしておりますので、直ちに今出すということが難しいかと思います。(三日月分科員「ちょっと一回とめてください」と呼ぶ)

斉藤主査 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

斉藤主査 では、起こしてください。

 高井政府広報室長。

高井政府参考人 恐縮でございますが、十六年度になりますけれども、手元にございません。十八年度は突き出しについては九・七億円、九億七千万円という金額でございますけれども、手元に十六年度がございませんので、急ぎ調べたいと思っております。

三日月分科員 いや、こうやって、過去の予算の使われ方にしても、そして何がそれぞれの重要なテーマに関して含まれているのか、含まれていないのかという検証についても、まず数字がわからなければ議論できないと思うんですけれども、官房長官、いかがですか、この実態。

塩崎国務大臣 大変恐縮でありますが、どういう資料要求をされたものか、ちょっと存じ上げていないものですから、先生の御要望と御用意させていただいたものとが合っていないかどうかのちょっと判断がつきかねるので、足りないものは、先生、言っていただいて、出させますので、よろしくお願いします。

三日月分科員 ちなみに、もう一つお伺いします。

 資料の二ページ目の下に、この政府広報の契約のあり方についてどうなさっているんですかと問うたところ、このような形で、これまでも価格競争になじむものは一般競争を実施しということ等々、私の方で下線を引かせていただいたんですが、政府広報予算のうち、一般競争入札と随意契約の割合はどの程度になっていますか。決算ベースで結構です。

斉藤主査 高井政府広報室長、随意契約と一般契約の比率という質問でございます。

高井政府参考人 政府広報の随意契約の割合という御質問かと思います。

 五百万円以上の契約について金額ベースで申し上げますと、平成十六年度の随意契約の割合は五八・五%、平成十七年度の随意契約の割合は四七・六%となっております。

三日月分科員 その詳細の資料も求めておりますので、出してください。それはよろしいですね、うなずいていただくだけで結構なので。

 加えて、私の資料の四ページ目、五ページ目のところに、これは各社別に、上位数社の受注状況を金額とともにお示しし、ちょっと一部抜けているところがあるんですけれども、財団法人及び社団法人にのみ点と線、下線を引いています、ちょっと抜けているところがあって恐縮なんですが。

 この各社の下線の引いてある、もしくは下線は抜けているけれども、社団法人、財団法人の一般競争入札契約及び随意契約の割合について教えてください。

高井政府参考人 公益法人ごとでよろしゅうございますでしょうか。

 日本経済教育センターは、随契割合は十六、十七年度一〇〇%でございます。それから財団法人日本広報センターでございますけれども、十六年度は随契一〇〇%、十七年度は八〇・八%でございます。それから海外広報協会でございますが、十六年度は四九・二%、十七年度は一八・〇%でございます。それから時事画報社でございますが、平成十六年度、十七年度とも随意契約割合が一〇〇%となっております。それから日本広報協会でございますけれども、十六年度が一〇〇%、十七年度随契が八七・〇%になっております。それから新情報センターでございますが、十六年度は一二・二%、十七年度は〇%、随契はございません。それから中央調査社は、十六年度はゼロで、十七年度は一六・二%ということでございます。

三日月分科員 特に一番額の多い時事画報社、十六年度についても一〇〇%、十七年度についても一〇〇%。今、これは何か徹夜で調べて作業していただいたと伺っていますが、いろいろと社団法人、財団法人の随意契約の状況についてお調べいただきたいということで、今、口頭で言われましたけれども、この内容についてもお示しいただくようお願いをしておりますので、それは出していただいて、検証させていただきたいというふうに思います。

 それで、ちなみにお伺いをいたしますが、この一ページ目のところに、そもそも政府広報とはと問うたところ、「内閣府大臣官房政府広報室が実施する政府の重要な施策に関する広報をいう。」と。この「政府の重要な施策」というものの中には、これから行うものというのは含まれるんですか。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 重要なものにはいろいろあるかと思います。法律が施行される前にそれを周知するものであるとか、例年決まっております重要行事でありますとか、急速に国民の関心が高まっておるいじめのような問題、各省庁が重要事項として広報したいものがございまして、先生御指摘のようなこれからやっていくものについても、過去の例から見ますと入っております。

三日月分科員 いや、これから行うものについて入っていますとさらっと言われましたけれども、「政府広報の実施について」という二ページの上段のところには、「既に成立した法律の施行時期」や、「例年決まった時期に実施されている重要行事」だとか、「急速に国民の関心が高まっている問題に関する施策」であるとか、「各府省から毎月提出される政府広報要望」等々について政府広報は行いますということなんです。これは何が言いたいかというと、郵政民営化のときの政府広報のあり方について問いたいんです。

 ちなみに申し上げますと、これは国語辞典で調べますと、新明解国語辞典、三省堂、施策とはと調べたところ「「国・官庁などが」政策・方針を実地に行うこと。」要は、政府、官庁が行うこと。要は、行うべきこととしてあるものが施策というものであって、これを法案審議前に行うことは世論誘導ではないかと思うんです。官房長官、いかがお考えですか。

塩崎国務大臣 先ほど高井室長の方から御答弁申し上げましたように、これまでも、例えば消費税とか司法制度改革とか、今先生お取り上げの郵政民営化について、過去にも事前に、法案の国会提出前後に政府広報を行ってきているわけでありますけれども、それがいいか悪いかという問題でございますね。

 これは、政府として提案している法案ないしは政策ということで、それを国民に訴えかけて議論をしていただく。そういうために何らかの形で広報をしないと、何で民営化が必要なんだということを一緒に考えていただくというのにはなかなか手段がないわけですね。

 したがって、政府として、まだ法律が通っていなくても、国会で通るかどうかということは決まるわけでありますから、政府としての考え、これはもう施政方針演説や所信表明で明快に、これを法律として最終的には提案を政府としてすることを前提に、いろいろな国民に対する公約を事実上施政方針演説などでしているわけでありますから、それについての考え方を示すというのは、やはり政府としては必要なのではないかなというふうに思うわけであります。

 今の御質問は、世論誘導というふうに考えるかどうかということでありますが、やはり何が問題で、何を考えていて、何を目指しているのかということを何も言わないで、いきなり国会だけでというのもいかがなものか。それは、内閣総理大臣が内閣を挙げて国民に訴えかけていく。そして、国民の代表として国会で議論していただいて、通らなかったらそれは通らなかったということで、これは世論がついてきていないんだなということが後でわかるわけでありますけれども、事前にみんなの考え方を喚起するという意味では、広報というのは必要なんじゃないかなというふうに思います。

三日月分科員 そうですかね。議院内閣制のもとでいけば、そこは内閣を構成する政党として広報すべきなんじゃないですか。

 しかも、過去に行われていることは私も存じ上げています、間接税導入のときでありますとか、司法制度改革のときには。これは、間接税導入のときの政府広報のパンフレットなんです。これは、「いっしょに考えませんか。これからの日本とこれからの税。」それで、それぞれ数字の事実関係が述べられているんですね。今の現状が書かれ、消費税が導入された場合の税制、そして見込み等々が書かれているんです。

 私がつけた資料の七ページ目、「郵政民営化は、日本活性化です。」「郵政民営化に、あなたのYESを。」と。一緒に考えようだとか、御意見くださいだとか、こうなりますというならわかりますけれども、「あなたのYESを。」と、明らかにこれは世論誘導じゃないですか。

高井政府参考人 事実関係を申し上げさせていただきます。

 七ページの右下、ちょっと見えませんけれども、御意見をいただきますというのは小さく右下に書いております。

三日月分科員 これは、官房長官、やはりどこからどこまでが政府広報としてやるべきことであって、この出していただいた、内閣府でつくっていただいた資料の私が提出しました資料の三ページのところ、「法案提出前後の広報においては、国民に立法府を含めた国全体としての方針が決まったかのごとき誤解を生じないよう厳に留意している。」だけではなくて、世論誘導にならないよう厳に留意しているというところまでを踏み込んで書かないと、私は、一緒に考えようだとか、導入したらこうなる、さあ選択してくださいというならわかりますけれども、「あなたのYESを。」というのはやり過ぎでしょう。

塩崎国務大臣 そこはやはりいろいろ考え方ではないかと思いますね。

 そもそも何で郵政の民営化をするのかというのは、なかなかこれは正直言ってわからなかった。多分、我々、おととしの選挙をやるときに、正直言って私も、自分でワープロを打って、何で民営化なのかということを一生懸命自分なりの数字も引っ張ってきていろいろやりました。改良に改良を重ねて、最後は、民営化はこういうことなのかというのがやっとわかっていただいて、選挙の間でも有権者の心はかなり動いていたと思うんですね。ですから、そこに至る大分前の話だろうと思いますから、これは。ましてや、このタイミングであれば、何のことやらよくわからないということが多分あったんだろうと思うんですね。

 そういう中で、この郵政民営化というのは実は日本の活性化につながるものだ、つまり小泉さんの趣味でやっているわけじゃ別にないぜというようなことを中身は書いているんだろうと思うんですね。

 先生、今、「あなたのYESを。」というのを、これはどうだ、こういうことでありますから、この辺は解釈の問題かなというふうに思いますけれども、大事なことは、やはり国民の皆様方に何が問題なのかということをきちっと、政府としても勝負かけていこうという政策ですから、国民の皆様方にとって、あるいは、このときは、もう三日月先生も御案内のように、各地方議会はこぞって反対したんですからね、反対決議しちゃって。だから、こういう中でやるときには、もういよいよ、これはよく国民の皆様方にわかってもらわなきゃいかぬということでこういう広報を打ったんだろうと思うのです。

 しかし、先生が今内閣府から出したもの、つまり、もう既に何か国で方針が決まったようなことでやってもらっちゃこれはいかぬねということで、内閣府としてもみずからの原則というのは書いて皆さんに徹底しなきゃいかぬ、こういうことでやってきているわけでありますから、この辺の、今の御指摘の点については先生のお考えとして承りますが、その辺は非常に微妙なところかなというふうに思います。

三日月分科員 聡明な官房長官にしては何かおもしろい答弁をされるなと思うんですけれども、だって、まだわからない段階で何でイエスと言うんですか、まあ、広報上のロゴなのかもしれませんが。明らかにおかしいですよ。それならそれなりの広報のやり方があったはずです。

 もちろん、これだけじゃないことは承知していますよ。いろいろな数字を示した小泉総理のつくられた冊子も存じ上げております。今、後ろから示されている雑誌のいろいろな記事も承知しています。しかし、まだどういう中身かわからない、国会で議論している政治家だってわからない、そういう状況の中で世論を強引に、イエスだと言え、言ってくださいと言うかのごときこの政府広報は、世論誘導以外の何物でもないと思うんです。

 そして、私がお示しした資料の三ページの下のところに「政府広報の効果の検証について」ということで、当然これだけのお金をかけて、しかも何が含まれて何が含まれていないかもはっきりしない、郵政民営化については幾らかけているかもはっきりしない。こういう広報のあり方で、効果の検証についてどうなっているんですかと聞くと、「有識者から成る政府広報評価委員会を開催し」と。政府広報評価委員会というのは何ですかと聞くと、各年度に実施した政府広報の効果全般について意見を聞き、事後評価を行うほか、個別広報の実施に当たって随時事前に意見を聴取。効果を検証した、事後評価を行った成果をお示しくださいと申し上げたんですが、用意できましたか。これは事後評価の中身を教えてください。

高井政府参考人 効果でございますけれども、この三ページにございますように、テレビの視聴率やラジオの聴取率の数字を実際にとることでありますとか、新聞広告の認知率を定期的に数字としてとっております。

 そのほかに、先生今御指摘の政府広報評価委員会を毎年度開催いたしまして、広報効果を評価していただいている、こういう状況でございます。

三日月分科員 いや、違いますよ。出してくださいと言っているんですよ、その評価の内容を、事後評価の内容を。

高井政府参考人 この二番目の政府広報評価委員会につきましては、会議を開きまして御意見を聴取している、こういう状況でございますので、それ以上のものはございません。

三日月分科員 それは違うと言っているんです。各年度に実施した政府広報の効果全般について意見を聞き、事後評価を行っていらっしゃるんでしょう。どういう御意見が出て、どういう評価をなさっているのか。幾らかけたことに対して、どういう効果があったのかということについて、我々予算を審議する側も検証してしかるべきだと思うので、その内容についてお示しくださいと申し上げているんです。

 もちろん、広報ですから、効果がとりにくいこと、さまざま広く広範に行き渡ること、それは私も承知をしております。しかし、中身について何ら一切お示しできません、意見だけですと言われたら、どうやってその中身を検証するんですか。

高井政府参考人 失礼いたしました。

 この政府広報評価委員会でございますけれども、平成十七年度分について評価をいただきまして、そこで出た意見、例えばフリーペーパーに政府広報で出していってはどうかというようなことでありますとか、ウエブコミュニケーションの一つとしてアイポッドを使ってはどうかという御意見をいただきましたので、これは十八年度から実施をしております。

三日月分科員 違うんですよ、今の。官房長官もよく聞いておいていただきたいんですけれども、私はいい委員会をつくられているなと思ったんです。こういう政府広報の評価をされている委員会をつくられて、ああ、なるほど、効果について検証していただいているんだな、事後評価していただいているんだなと思ったんですね。したがって、その中身を私も検証したいから示してくださいと言ったら、これは示せませんだったんです、きのうの回答は。そして、今、口頭でちゃらっと、フリーペーパーにも載せた方がいいから平成十八年度からもうそうしましたと。

 ふざけるなという話なんですよ。国のお金を使って、しかもそのお金の全容がはっきり示されずに、数字だって、何が含まれて含まれていないのか、前提が違いますからと言い、郵政民営化については、一体どれだけかけたんですかと言えば、いや、かけたものとかけていないものがありますと。政党に出した資料は含まれているものと含まれていないものがありますと。しかも、効果についてもこのような検証の仕方で、予算を審議する私たちにその内容もお示しできないような予算でいいんですか。事後評価委員会をやっているんだったら、かけただけのお金がどれだけ、どのような効果をもたらしているのかということについて、はっきりと示すべきじゃないんですか。しかも、やっている内容が世論誘導でしょう。けしからぬ話ですよ、これは。

塩崎国務大臣 政府はいつも説明責任を負っていなければいけないわけで、それを実行しないといけないというふうに思っています。

 先ほど来、先生の御質問と御意見をお聞きいたしまして、例えばこの「政府広報室予算等の推移」で、入っているもの、入っていないものがあったじゃないか、こういうことでありますから、ここに当然出すときに、さっきのように、何を入れていて、いないかということは明示した方がいいと思います。つまり、これだけ読むと、政府広報室予算がこれかのように見えますから、確かに先生の御指摘のとおりでありますけれども、そういうふうに、先生の方から来たのが啓発予算というふうに彼らは受け取ったのかもわからないので、その辺のそごはお許しをいただきたいというふうに思います。いずれにしても、先生がおっしゃっているように、きちっとした資料を出さなきゃいけないのは当然のことであります。

 あと、評価委員会については、ちょっと私の方に質問通告も何も来ていなくて今初めて見たわけでありますが、当然、アカウンタビリティーという意味で、説明責任においては、やはり自分たちだけで説明しても皆さんには信用されない可能性があるので、外の人の目も含めて評価をするということでやってきているわけでありまして、その内容について不十分ということであれば、御指摘をいただいてそれは直していかなきゃいけないのは当然だというふうに思います。

斉藤主査 時間が参りましたので。

三日月分科員 最後にします。

 そんな、官房長官、逃げないでくださいよ。今、明らかにとんちんかんだなと思われているんじゃないですか、これ。だって、事後評価をやっていて、その内容について示してくださいと言って、示してもらえていなくて、しかも、額についても、私は政府広報の予算について教えてくださいと言ったところ、質問主意書と同じ問いなんですよ、答えが違うんですよ。何が含まれていて何が含まれていないかという前提はむしろ出す方が示すべきでしょう。それで百億の予算をかけているんでしょう。それはおかしいですよ。

 すべて私が求めた資料の提出を求めます。いいですね。その上で検証したいと思います。

塩崎国務大臣 先生の御指摘、大変大事だと思います。

 去年の六月に小泉総理がこの随契のあり方を見直さなきゃいかぬ、こういうことで我々も、九月から安倍内閣ができて、真っ先にこの政府広報予算については、今までの長い間、財団だ、社団だというところに、今あったように一〇〇%みたいな、信じられないようなことがある。これは実はタウンミーティングなどでも信じられないことがいっぱいあって、我々もひっくり返ったわけでありますが、そういうことはやはり直さなきゃいかぬということで、一般競争入札を原則にしながらやっていくということで、我々は今広報予算についてもやり直しをしています。

 過去について、先生が御指摘になっているようないろいろな問題点があるのは、もう既にそれについては認めているところが多いわけでありますから、これから、先生から御指摘をいただかないような体制を目指して、見直しをまた督励しておきますので、先生にはまた引き続いて御指導を願いたいというふうに思います。

斉藤主査 これにて三日月大造君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、警察庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤宣彦君。

遠藤(宣)分科員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。

 本日は、昨年に引き続きまして、警察庁に対して御質問を申し上げたいと思います。

 まず、質問に先立ちまして、今月の十二日、板橋署の常盤台交番の宮本邦彦巡査部長が殉職をされたこと、心から哀悼の意をささげたいと思います。

 そしてまた、日ごろから私が感じていることでありますけれども、警察、自衛隊あるいは消防関係、文字どおり命をかけて取り組まれているそういった方々、そしてその御家族に対して、万が一のときには手厚くその後のことをしてあげるということをぜひとも御配慮いただきたい、このように感じております。

 では、質問に入らせていただきたいと思います。

 昨今、いわゆるテロの問題というものが、世界的にも、そしてまた国内的にもいつ起こってもおかしくない、そういった問題意識を多くの方々が持っております。

 私がいただいている選挙区、福岡一区という、福岡市の博多区と東区というところなんですけれども、ここは博多湾を持っておりまして、また、新幹線の博多駅、福岡空港という、海と陸と空の玄関口であります。私自身が仮にテロリストだとすれば、極めてターゲットにしやすい地域であることは間違いない。そしてまた、地理的な特徴として、いわゆる朝鮮半島や中国大陸の方に近いところに位置をしています。何かのときには、日本人と同じ顔をしたような方々が場合によっては上陸をしてくる可能性が高い、釜山とかそちらまでも船で二時間ちょっとで行けてしまう。古来、私の選挙区にあります志賀島というところなんかは、金印が発見されたところですから、もう千年以上前から簡単に渡ってこられるところでありますので、そういった意味でも、ほかから来る人間に対しての警戒心、疑うというわけではありませんけれども、警戒心というものを常に持たなければならないところであるということは、これは間違いない事実であります。

 そしてまた、同時に、天神を初めとしていろいろな繁華街がある。サリンをまいたら一発で多くの死者が出るだろうというような大都市でもあります。

 こういったことから、まず、テロについてお話を伺いたいと思います。

 私自身は、昨年の七月に所属しております内閣委員会でテロ対策の視察ということでミュンヘンの方に派遣をされました。ワールドカップの開催地で、どのように大きな都市で対策を講じるべきなのかということを勉強させていただいた、極めてかゆいところまで手が届くような対策を講じているということに非常に感銘を受けて戻ってきた次第であります。

 そしてまた、昨年の十一月には、たしか二回目か三回目だと思いますけれども、自衛隊と警察のテロ対策の合同訓練というものが福岡県の飯塚駐屯地で行われまして、私も国会の方の許可をとりまして、ぜひともこれだけは視察をさせてもらいたいということで、初めから最後まで、国会議員で行ったのは私だけだったんですけれども、その重要性にかんがみましてお許しをいただいて見てきたということがあります。

 日本という国は極めて安全と安心が整っている国という評価を今までいただいてきているわけでありますけれども、昨今、そこについての信頼がどうも揺らいできた。これにはさまざまな事情があると思います。冷戦終了後の地域紛争、宗教紛争、あるいは核の拡散、こういったことから、アメリカの九・一一のテロだとかさまざまな世界を脅かすような状況が生まれてきた。日本の中においても、今までにはない外国人犯罪や、今までは個人が手にすることのないようなものが簡単に入手できるようになってきた、インターネットの発達もあってそういった情報が簡単に入手できるようになってきた。そういったことから、このテロ対策というものは、いつ起きてもおかしくないような状況の中で常に備えておかなければならない、そういった観点から質問をさせていただきたいと思います。

 治安については、市民の方から見れば、警察という従来のしっかりした組織が我々を守ってくれるという安心感があるのは確かでありますけれども、しかしながら、自衛隊や海上保安庁、こういったものもあります。先日は自衛隊と警察との連携について勉強させていただきましたけれども、治安を維持するため、治安を守るため、市民の安全を守るためには、こういった各関係機関との連携が不可欠。治安については、結果から市民が批判を寄せてくる。そういったことから、警察と自衛隊、海上保安庁、これらの機関が具体的にどのように連携をされているのか、どのように緊密な連絡をとり合っているのか、まず、この部分についてお伺いをしたいと思います。

    〔主査退席、三ッ林主査代理着席〕

溝手国務大臣 テロ等に対しての自衛隊、海上保安庁と我が方との連携の問題でございますが、武装工作員等の侵入というような事件を想定しまして、警察力によって治安の維持ができない、そんなことも想定されるわけですが、そういう場合には、自衛隊に対して治安出動が下命され、警察と自衛隊が共同で対処するというような仕組みになっております。もちろん、いろいろな形でこれに命令が出されるわけでございます。

 このような事態に対処するために、平成十二年の十二月に、防衛庁長官と国家公安委員長との間に治安出動の際における治安の維持に関する協定を、これは昭和二十九年に締結されておりますが、これを改正いたしまして、さらに下位規定の細部協定あるいは現地協定を見直すとともに、武装工作員等の事案への共同対処に対して具体的な手順を定めたところでございます。

 これらに基づきまして全都道府県において警察と自衛隊の共同の図上訓練を実施したほかにも、御指摘いただきました福岡県における訓練を含めまして、共同実動訓練につきましても、これまで五カ所、十一道府県警察が実施したところでございます。

 また、保安庁につきましては、米国における同時多発テロ以来、周辺海域に配備しております保安庁の巡視艇とともに原子力発電所の警戒警備に当たっております。そのほか、平成十五年六月以降、原子力発電所を管轄する道県警察とこれに対応する管区海上保安本部の間で共同テロ対策訓練の実施などをして連携を深めているところでございます。

 緊急事態の対処においては、自衛隊や海上保安庁との緊密な連携が不可欠でございます。そういったことで、警察としては、引き続き、こうした共同訓練等を通じて連携を強化し、対処能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

遠藤(宣)分科員 ありがとうございます。

 このテロの問題というのは、ともすれば、そんなことはなかなか起きないよとか、めったにあることじゃないとかという議論が出てきてしまうんですけれども、事治安に関しては想定外という文字があってはならない。一%でも〇・一%でもそういった可能性が全くないようにするために、関係各機関と省庁あるいは所管の壁を超えてやっていただきたいというふうに思います。そしてまた、市民の安全を守る一番近い位置にいらっしゃる警察が機動的に情報を拾って、すぐにそこが動けるように関係各機関と一層深い連携をとっていただけるように心からお願いを申し上げたいと思います。

 そして、私自身は、通信を所管する役所にいたから関心があるわけではありませんけれども、先日の共同訓練を見たときに県警本部長と自衛隊のトップにお伺いをしたんですけれども、例えば、お互いの無線通信をやりとりするときに、いわゆるテロリストがそういった通信を傍受する可能性があるかもしれない、こんなことを言った覚えがあります。

 具体的には、恐らく通信兵も一緒に武装難民として上がってきたときに、どこどこで検問をしているとか、あるいはどこどこに警察と自衛隊が張っているからそこを迂回していくとか、そういったことすら考えなければならない。その際に、それぞれ警察と自衛隊がやりとりをする際に、その通信の秘密といいますか、傍受をされないような具体的な手段は講じられているのかどうか。そしてまた、今後、国民の財産であります電波というものが、私自身は、今携帯電話の会社がいっぱいふえていますけれども、第一義的には国民の安全を守るためにこそ優先的に活用されるべきであるというふうに考えております。この通信傍受についての対策等、現在考えていらっしゃること、あるいは今までに講じられていることがございましたら、お知らせいただければなというふうに思います。

米村政府参考人 お答えいたします。

 共同対処における通信の関係でありますけれども、まず、自衛隊との間では、通信機材あるいは施設等の相互利用、そういったものを内容といたしました治安出動の際における自衛隊と警察の通信に関するマニュアル、こういうものを締結して連携を図っているということであります。また、海上保安庁との間では無線機の管理がえを行うというような措置をとっておるということであります。

 なお、傍受の点につきましては、警察におきましては、ほかから傍受されないよう、そのものが暗号化されております。そういう通信を行っているということであります。

 なお、共同対処に当たっては、事態認識を共通にするとか連携を緊密にするという意味で、やはり通信の問題は極めて重要なテーマでありますので、今後とも、連携強化を図る上で最新の技術動向等も踏まえながら努力をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

遠藤(宣)分科員 ありがとうございます。

 今申し上げたように、電波は限りがあるといいながらも、技術の進歩でこれから活用できる余地も多くなってくると思います。そして、先ほど申し上げたように、とにかく国民の安全と安心を守るために必要とあらば、そのあたりを、堂々と電波を使っていただいて、これは戦争とかテロの世界も恐らくこれからは情報戦というのが極めて大きな話になってきます。インターネットでもハッカーがいっぱい出てくる、あるいは通信の世界でも傍受の話が出てくる、こういったことについて今まで以上に関心を持っていただき、早目早目の対処をしていただければなというふうに考えております。

 次の質問でありますけれども、冒頭申し上げたように、私の選挙区の福岡の東区、博多区には、新幹線の博多駅あるいは博多湾があります。空港については、今、昨日のニュースでありましたように、国際線において液体の持ち込み等が厳しくなったり、かなり厳重な警戒がしかれている。なかなか時間がかかって大変だという声もありますけれども。一方において、三日前ぐらいにJR九州の社長さんにもお会いしたんですけれども、新幹線はどうなのかなということがありました。十分置きぐらいにどんどんどんどん列車が出ますから飛行機のようにはいかないと思いますけれども、もしテロリストが考えるとすれば、荷物のチェックが緩い、そして、新幹線、先頭車両を爆破すれば一遍に何千人も被害に遭う、こういったことが考えられます。

 そのあたりについて、民間会社の鉄道会社なんかは、余り警察が関与したりあるいはサービスが低下するということを嫌がるといいますか、ちょっとためらう傾向がなきにしもあらずと思いますけれども、しかしながら、その危険性がある以上、一定の関与をしていかなければならない。荷物検査もどこまでやるのかという限度がありますけれども、この荷物のチェック、あるいは不審者の照合等という余地が、今後、ある部分検討していく必要があるんじゃないかなという気がするのでありますけれども、この公共交通機関を所管している、鉄道あるいはバスも含めてだと思いますけれども、こういったところのテロに対しての対策、どういうふうに連携をされて考えていらっしゃるのか、そのあたりについて伺えればと思います。

米村政府参考人 お尋ねの公共交通機関に対するテロをどうやって防ぐかという問題であります。

 これは御案内のとおり、例えばイギリスで、一昨年の七月七日、グレンイーグルズのサミットのさなかに地下鉄等をターゲットとしたテロが発生した。その後、イギリスは相当情報収集能力を強化し、分析をした。その結果が、恐らく、昨年の八月の航空機をねらったテロを未然に把握して、これを防ぐことができたということだろうと思います。私どもの方も、まずもってテロの情報というものを、国内はもとより、海外の関係機関とも緊密に連携しながら情報を収集し、分析し、そうした動きがあるのかないのかを日常的にずっと把握をしているという状態であります。

 一方におきまして、公共交通機関の立場におられる方々、あるいは国土交通省とも連携をし合いながら、平素の措置として必要な対策はとっていく必要があるだろう、こう思っております。例えて言いますと、空港あるいは駅等の施設内におきまして、私どものいわゆる見せる警戒ということで警察官の巡回、あるいは場合によっては警乗するというふうなこと、それから、事業者の方における自主警備、カメラの設置であるとか、場合によって利用者の方々にアナウンスをしていただいて、不審物があれば即報していただけるような協力を求めていくというふうな対策が必要だろうというふうに努めております。

 いずれにしても、いざ具体的にテロのおそれがあったときにすぐ立ち上がれるかというと、なかなかそうはまいりませんので、平素から必要な準備といいますか、共同の警戒措置というものはとっていく必要があるだろうということでお願いをしているところであります。

 以上です。

遠藤(宣)分科員 公共交通機関の民間会社も、例えば新幹線の方がテロにねらわれやすいといううわさが立てば、非常にその会社としても困るわけですから、お互いの利益だということで鋭意協議をしていっていただければなというふうに思っております。

 そして、もう一つ、テロに関して薬物というものがございます。時に新聞紙上を騒がせますけれども、大学の研究室から青酸カリがなくなったとか、あるいはメッキ工場から薬物がなくなったとか、そういったことが時に世間をにぎわすことがございます。一次的管理者は大学側とか工場側ということがあると思いますけれども、省庁の所管もさまざまあると思いますけれども、このあたりについてどういうふうに関与をされているのか、そしてまた、現状にもし問題点があるならばどういうふうに取り組まれているのか、それについてお伺いしたいと思います。

米村政府参考人 お答えいたします。

 薬物ないしは化学物質というのは、それぞれ例えて言うと生物テロ、化学テロとして使う可能性があるわけであります。そこで、そういった原料となり得る物質が、例えて言いますと不自然な取引が行われていないかどうか、そういったものについては情報収集をして何とか把握に努めているということをやっているわけであります。

 それと同時に、それらの物質がどこにどういう形で保管されて、それがまた遺失するとか盗まれるとかいうことがないかどうかという点につきまして、事業者とか大学とか病院を含めまして、こうした方々に保管管理の強化でありますとか盗難防止対策についての指導等を徹底しているというところであります。

 このほか、前国会におきまして、生物テロ対策のための病原体等の保管管理体制等について規定する感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部改正が成立したところでございます。この法律によりまして、生物テロ未然防止の観点からは、警察庁長官の厚生労働大臣に対する意見陳述、あるいは警察庁職員による必要な場合の立入検査等について関係する規定が定められたということでございまして、こうした権限も適切に行使をしながら、今後、関係機関と連携しながら未然防止に努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

遠藤(宣)分科員 いずれにいたしましても、私は、国家公安委員長を先頭とします警察庁に、我々市民が安心、安全に暮らせる大前提、空気と同じようなものでありまして、あって当たり前と思うけれどもなかったら本当に困る、この安全と安心をつかさどる国家公安委員長以下の警察関係者の方々に、本当に一層、今までどおりに頑張っていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に入りたいと思います。

 また私の選挙区で起きた話でありますけれども、昨年の八月の末に、福岡市の東区の海の中道というところで飲酒運転の事故によって三名の幼い命が失われる、しかも市の職員がそれを運転していたということで、本当に痛ましい事故が起きました。私自身も家内と娘とその三日前にそこの橋を通った。今も通るたびに手を合わせているところでありますけれども、本当にこういった痛ましい事件、多くの方々が、遺族が、被害者が悲しみに暮れている中で、非常に喫緊の課題であるこの飲酒運転の撲滅は、早く手を打たなければならないという段階に入っていると思います。

 私自身も、自民党の飲酒運転撲滅プロジェクトというものに加えさせていただきまして、ちょっと議論をさせていただきました。今回、いわゆるひき逃げをして、逃げ得というものについていろいろと対策を講じられるようになりました。これの現在の状況といいますか、どの段階に来られているか、そしてまた、現段階でどういう見通しが立っているのか、国家公安委員長にお伺いしたいと思います。

溝手国務大臣 現在、警察におきましては、飲酒運転の根絶を図るため、飲酒運転の取り締まりを強化するとともに、飲酒運転の根絶に向けた国民各層の取り組みを促すなど、さまざまな対策をとっているところでございます。

 これらの対策に加えまして、警察庁におきましては、飲酒運転に対する制裁の強化等を内容とする道路交通法の改正を行うことを検討して、具体的に進めているところでございます。

 具体的には、飲酒運転を行った本人に対する制裁の強化という観点から、その法定刑の上限をおおむね二倍程度に上げているほか、運転免許証の欠格期間についても、重大な違反に対しては二倍以上に引き上げることを検討いたしております。

 さらに、飲酒運転をさせないという国民の意識改革を図るために、運転者の周辺で車両や酒類を提供した者や一定の同乗者に対して、現在飲酒運転の幇助犯として刑法の規定が適用されている場合に比べ重罰化をしていこうということを検討しております。

 さらに、今後とも、飲酒運転の根絶を図るため、各種の施策が効果的になるように警察庁を督励してまいりたいと思います。

 以上、さまざまなポリシーミックスで対応していかなくてはいけないものだと思っております。

遠藤(宣)分科員 刑罰の強化というものも、本当に今いろいろな部分で社会の規範意識というものが残念ながら低下をしている中で、やむを得ない選択として刑罰を強化するということも、一般の方々が安心して暮らせる社会を築くためにはやむを得ない手段であることは間違いないと思います。

 そしてまた、法律というものは一たん決めれば永遠のものではありませんので、その施行状況、効果を見ながら柔軟に、強化をするなりあるいは中間の手段を講じるなりしていただければなというふうに思います。

 そして、私自身、先日来、半年ぐらいたちますか、駐車違反についても随分効果が出てきた、しかしながら、まだまだ、もうちょっときつくした方がいいかなというところもあるやに聞いております。一方において、タクシー業界の方々なんかはコンビニにちょっと買い物というか寄ったら捕まっていたとか、トラック業界からは非常に仕事がきつくなったということもあります。そういった部分で、地域や実情に応じて柔軟に法律を運用するとともに、きつくすべきところはきつくする。

 そして、もう一つ大切なことは、法律で罰するわけではないけれども、社会的な抑止力になるものが世の中には幾つか存在します。それは例えば、これは官庁の方から言うのは難しいかもしれませんけれども、氏名の公表。飲酒運転なんか行って、罰までいかないけれども、こういうような行動をとった、あるいはこうこうこうしたという者について一定の条件のもとに氏名を公表する。

 そうすると、そういった人たちは何を考えるか。例えば仕事場においても、あるいは就職を考えている人間にとっても、極めて抑止的に働く。同乗者がだれだったか、どこで飲んだか、そこまでこれは視野に入れてというか、すぐにやれという話じゃないですけれども、どこで飲んで、見過ごしてこんな飲酒運転の事故を起こした、刑罰には当たらないけれども場合によってはインターネットで氏名が公表されるということになれば、まず心の中でとめるということが出てくると思います。刑罰までいかないにしても、そういった抑止的効果のある手法、今国家公安委員長がおっしゃられたようなポリシーミックス、その一環として考えていくのも世の中の安心を保つためには必要なのではないかなというふうに思います。

 そして、最後に一問だけ。

 昨今話題になっております議員宿舎の話、あるいは公務員官舎の話。これをとにかく、ぜいたくなものだ、売っ払えという話がいっぱいあるんですけれども、あえてちょっとここで触れたいと思いますのは、私が日ごろ感じているのは、私自身は毎日電車を二回乗りかえてこちらに来ていますから、都内に家があるものですから宿舎に入れないんですけれども、治安とか警備の観点からある程度まとまったところに議員がいてくれた方が安心なんじゃないかという視点は一体世の中にはないのかなというのが一つ。

 それからもう一つ、公務員にしても、私のいた郵政省の職員なんかは、赤坂御所の前の赤坂郵便局の上に住んでいます。しかし、一方において、治安や防災に携わる職員というのはすぐに駆けつけられなければいけない、そういう場所にいなきゃいけない。そのあたりをきめ細かく、警備あるいは防災、治安を維持するために出動するという観点からどのように考えているのか、ぜひ一度お伺いしたいなと思っていたものですから、最後にこの一問、ちょっとお願いをしたいと思っております。

米村政府参考人 お答えいたします。

 あくまでも一般論でありますけれども、例えば私どもで警備をしなければならない対象の方々が、要は複数いらっしゃるということでありますと、そういった方々ができれば同一場所にいらっしゃるということの方が、いわば警備遂行上効率的であるということは言えるかというふうに思います。

 また、災害であるとか、あるいは重大テロ等が発生した際に、立ち上がったときに一番必要な要員が速やかにそこへ集まって指揮をとれるとか、あるいは連絡をとれるとかということは、第一歩の最も重要な課題であろうかというふうに思います。

 そういう意味から、政府におきましても、いわゆる危機管理住宅というものが整備をされているということでございまして、私どもの方の要員もそういったところに入って、いざというときには駆けつけることができるというふうな体制をとっているということでございます。

 以上です。

遠藤(宣)分科員 ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、私の持論は、治安と安全というのは極論すれば最大の福祉である、安心、安全があってこそさまざまな活動ができるわけでありますので。そしてまた同時に、警察というのがともすれば権力機構というふうに位置づけられて、自己抑制的にしか物が言えない。しかしながら、私たちが最も重要と考えているこの治安と安全に対して、ためらうことなく、タブーを恐れずに、ぜひとも議論をしていただいて、この治安大国日本の名に恥じないような体制をとっていただきますよう心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ林主査代理 これにて遠藤宣彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中良生君。

田中(良)分科員 自民党、埼玉十五区の田中良生でございます。

 本日は、溝手国家公安委員長に対しまして質疑の時間をいただきまして、心から感謝申し上げたいと思います。

 私のふるさと埼玉は、人口も今急増しているところでございます。七百万県民を有する都市であります。私の選挙区は、さいたま市の南区、桜区、戸田市、蕨市というところでありまして、この永田町からも十五キロぐらいのところであります。特に治安も悪い、そういう状況にあります。

 埼玉県の警察官の人数、これも、警察官一人当たりの刑法犯の認知件数が全国の県に比べてもワーストワン、ツーというような状況であります。そんな中、警察官の増員もずっとお願いをしてきております。平成十三年から七年連続、十九年度も全国一の増員をいただくことができました。三百名の増員ということであります。この点に関しては、公安委員長にも心から感謝を申し上げたいと思います。

 そういったものを踏まえながら、地域の安全、安心という観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、平成十五年に犯罪対策閣僚会議におきまして、五年後を目標として、関係する省庁が一体となって国の治安回復に取り組むということになりました。世界一安全な国日本の復活を目指すということだろうと思います。

 国の治安と密接な関係にある社会全体のモラルですとか道徳心、こういったものを高める、そういった方策が抜本的な糸口であると私は考えるところでございます。社会全般のモラルですとか道徳心の向上のために国としての政策が今こそ重要になってきている、そのように考えるものでございます。

 また、国が国だけの立場で行動するということだけでは、やはり問題は解決されません。県、市等地方公共団体とも連携をして、そして地方の実情に応じた総合的な対策が必要であると考えるものでございます。

 まず、全般といたしまして、最近の犯罪の情勢、そして犯罪の抑止対策についてお聞かせをいただきたいと思います。

溝手国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど先生の御指摘のとおりでございますが、警察官の増員というのは大変な難業でございまして、行政改革が大きく唱えられている中で、少しずつでも警察官の増員ができたということについては、大変自民党の御協力に感謝をいたしているところでございます。

 最近の刑法犯の認知件数についてでございますが、平成十五年から平成十八年まで連続四年間減少をいたしておりまして、曙光が見え始めたのかなという感じはいたしております。

 それは、先ほど御指摘がございましたように、犯罪対策閣僚会議において策定した犯罪に強い社会の実現に向けた行動計画を踏まえた政府挙げての各種対策のみならず、全国警察が取り組んできた街頭犯罪等抑止総合対策、これは各地の自治体や関係諸団体の御協力によるものですが、さまざまなこういった取り組みが功を奏したものであると考えております。防犯ボランティアを初めとする地域住民の方々の安全、安心なまちづくりに向けた熱意と尽力のたまものであると認識をいたしております。地域の力が必要だと考えます。

 しかしながら、減ったといえども刑法犯認知件数はいまだ四十年代の一・五倍を超える水準にありまして、子供が被害者となる事件が続発するなど、依然として厳しい情勢である、変わらないと認識する必要があろうかと思います。引き続き、治安の回復を求める国民の強い要望にこたえるべく、昨年八月に取りまとめました「治安再生に向けた七つの重点」等に基づく取り組みを強力に推進してまいる所存でございます。

田中(良)分科員 特に都市部におけます刑法犯、この中に含まれると思います。自転車ですとかあるいはオートバイの盗難対策、この件についてちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。

 首都圏の駅前はどこも大変狭く、周辺には住宅あるいは商業地が密集しているというところが多い、これはもう公安委員長も御承知のことと思います。多くの周辺住民は駅までの足として特に自転車を利用したり、また周辺道路等に駐輪して、鉄道ですとか駅周辺の施設を利用するものであります。そんな中、こうした駐輪が駅前にあふれて、あちこちで今大きな問題となっております。

 私の選挙区の自治体では、自転車放置防止条例を改正するという動きが今ありまして、撤去されて保管施設にある放置自転車のうち、例えばサドルですとかハンドル、タイヤがないなど明らかに自転車として機能しないものについては市の判断において短期間で廃棄物として処分することができる、そういう制度を検討しています。

 また、放置自転車の撤去を促進するとともに、駅の中心部から約二百メートル程度の範囲を安全歩行区域ということで設定し、自転車の利用や乗り入れの自粛を求める、そして路上の放置自転車の減少を図ろうと検討しているということでございます。

 また、私の選挙区なんですけれども、特に戸田、蕨は刑法犯の発生率が県下でもワーストツー、スリーというところです。これはやはり、戸田橋、笹目橋という橋を渡ると東京都に隣接している、犯罪者もよく行ったり来たりしている、そういうようなこともよく言われております。

 しかし、この刑法犯認知件数のうちで、やはり自転車ですとかあるいはオートバイの窃盗、これが発生件数の多くを占めているということも聞いております。駅前の放置自転車を減らすことができれば、私は、刑法犯の発生件数、これ自体もまず初歩として減らすことがどんどんできるんではないか、そのように考えております。

 警察において自転車ですとかオートバイの窃盗対策、この辺に対して何か対策があれば御説明をいただきたいと思います。

    〔三ッ林主査代理退席、主査着席〕

溝手国務大臣 平成十八年の被害認知件数は、自転車及びオートバイ等の対策につきましては、自転車が三十八万八千四百六十三件、オートバイが九万三千二百九十四件という数字が出ておりまして、平成十四年に比べましてそれぞれ、二四・四%、あるいはオートバイの場合は五三・〇%と、数字的には大きく減少をいたしております。

 これは、先ほどもお話を申し上げましたが、平成十五年からやっております全国警察を挙げた街頭犯罪等の抑止総合対策において推進をしております職務質問や放置された盗難車両発見活動の強化などの警察活動の強化や、所有者に対する二重ロックなどのかぎの徹底等の呼びかけ、あるいは駐輪場への防犯灯や防犯カメラの設置の働きかけなど管理者に対する対策、あるいは自転車、オートバイの防犯登録の普及促進等に加えまして、委員の御指摘がございました二輪車の整理、撤去等、各地の自治体、関係諸団体、あるいは地域住民の方々によるさまざまな取り組みが総合的に積み上げられた効果だ、このように認識をいたしております。

 今後とも、こういった街頭犯罪を抑止していくために、地域住民の要望なり意見を踏まえつつ、地域の実態に応じた諸対策を地道に展開してまいらなければならないと考えております。

田中(良)分科員 駅前の整備あるいは放置自転車、こういったものがやはりいろいろな形で犯罪を誘引するような原因にもなっているかと思います。特に自転車は、今値段もかなり安くなっております。そういった安易な気持ちから犯罪が広がっていく、これは初歩段階として何としても減少させていかなきゃいけない、そういうものだと思っております。ぜひ、今後ともひとつよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど、地域の防犯パトロール、地域住民の協力、これがやはり行政あるいは警察機関と一体となって犯罪を撲滅に導いていく、その中の一つとして地域安全安心ステーションというものがございます。

 現在、地域安全安心ステーションのモデル事業というものが行われていると思いますが、本事業も、十七年から開始されて、十九年度で三年目を迎えます。地方では、今後この事業が廃止されて、ボランティアへの支援が終わるのではないかといった不安の声も聞かれます。このモデル事業については、平成二十年度以降もぜひ継続してほしいというふうに私は考えております。

 その点に関しまして、委員長の御所見をいただければと思います。

溝手国務大臣 この安全安心ステーションモデル事業に関しましては、平成十八年度までに三億五千八百万円の予算を措置して、全国で三百三十一地区を指定したところでありまして、平成十九年度においても、さらに子供の安全確保のために活動を推進する百地区の追加指定を予定しているところでございます。

 この事業が呼び水となって、市町村等において広く防犯ボランティアへの支援が行われることを期待しておりまして、今後も防犯ボランティアに対する支援のあり方を検討していくよう警察庁を督励してまいりたいと思いますが、もし私が引き続き現職であれば、必ずやりたいと思っております。

田中(良)分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、不審者情報等の共有ネットワークについて御質問させていただきたいと思います。

 少子高齢化の進展に伴いまして、一世帯当たりの子供の数が過去最低となっております。その一方で、男女共同参画等の進展もありまして共働きがふえ、向こう三軒両隣といった、親や近所だけで子供を守っていた古きよき時代は過ぎつつあると言えるのかもしれません。今や、親、学校、地域社会や行政などが一体となりまして子供の安心、安全を守っていかなくてはならない、そんな時代がやってきております。政府においては、子ども安全・安心加速化プランというものを策定し、非行や犯罪被害から子供を守るための政策を取りまとめたということであります。

 その中で、不審者情報等の効果的な共有ネットワークを普及させるために、一つ目に、子ども一一〇番の家や、自主防犯パトロール団体を対象としてネットワークの普及を進めていく。地域住民からの不審者情報等の積極的な提供を促進するとともに、迅速性、利便性に配慮して、さまざまな媒体を活用して、住民ニーズに的確に対応した防犯情報の提供を進めるということがあります。その具体的な推進方策について、ぜひ御説明をいただきたいと思います。

溝手国務大臣 お尋ねの情報共有ネットワークにつきまして具体的に申し上げますと、まず、学校に対しては、ファクスとか電話を利用して、警察署と小学校との間に構築した連絡網というのを活用し、不審者情報を入手した場合はこれを速やかに連絡しているところでございます。

 また、地域住民に対しましては、ホームページ、電子メール、あるいは広報誌を通じて不審者情報の提供を行い、警戒を呼びかけておりますとともに、今お話がございました子ども一一〇番の家や自主防犯パトロール団との情報共有の強化を図っているところでございます。

 現在、報告を受けておりますのは、全国の防犯関係のボランティア団体が二万六千団体に及んだということで、郵便局のネットワークよりもさらに大きなネットワークになっております。あらゆる面で地域住民と警察が一体になりまして、治安のいい町ができるように、子供の安全を守ることができるように、ネットワークの拡充にこれからも努めてまいりたい、このように考えております。

田中(良)分科員 私も、携帯に犯罪情報官ニュースというものを登録しています。地域の、埼玉県における犯罪が起こるとすぐその情報が携帯に流れてくる。どこのエリアでひったくりがあった、どこで窃盗があった、そういったものが情報として流れてまいります。当然のことながら、犯罪者の情報というものが一番、犯罪に対する抑止力、あるいは防犯体制、住民の意識を高めるという意味でも非常に有効かと思います。ぜひ、こういうネットワークをもっともっと、ITですとかいろいろな部分を駆使して、とにかく広く国民に意識を持ってもらえるような施策をこれからもどんどん推進していっていただきたいと思います。

 続きまして、地方自治体の警察官の出向についてちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。

 現在、埼玉県においては、警察官を数名市町村に配置して、防犯対策に取り組んでいるところでございます。この取り組みにつきましても、ある程度の成果を出してしまえばその後の警察官の配置は望めないと考える自治体もあります。また、防犯対策に必死で取り組んでいる自治体では、新たに警察官の配置を望んでいる市町村もあります。

 地方公共団体における防犯対策を推進するために、自治体への警察官の出向というものを求める自治体の要望にできる限りこたえてほしいと私は考えておりますが、この点においても国家公安委員長の考えをお聞きしたいと思います。

溝手国務大臣 防犯対策の効果的な推進のために、警察と地方自治体の担当部局が緊密な連携を図って総合的に取り組んでいくということは極めて重要であると考えております。

 このような観点から、警察においては、市区町村と連携して地域住民の防犯活動の支援等を実施しているのは申し上げたとおりでございますが、防犯対策について知識、経験などを有する警察官を地方自治体に出向させることによって協力体制をさらに深めていくということも重要だと考えております。

 都道府県警の人的体制には限界、制限がございますのですべての要望に応じるわけにはまいりませんが、防犯対策の効果的な推進等の観点から、警察が引き続き地方自治体と連携を強化していくよう警察庁にもしっかりやれと督励してまいりたい、このように考えております。

田中(良)分科員 警察官が持っているノウハウですとかさまざまな経験、知識、そういったものを行政を通じて広く市民や国民に伝えていく、これはある意味では大きな犯罪防止、抑止にもつながっていくものと私は確信しております。その点に関しましても今後とも進めていっていただければと、ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、質問を変えまして、首都高速の埼玉大宮線についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 埼玉県のさいたま市桜区というところにあります首都高速の埼玉大宮線、これが平成に入りましてから、浦和中央出入口をつくろうという計画ができました。その後事業に進捗が見られないような状況であろうかと思いますけれども、ぜひ今後の事業の見通しについて教えていただければと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 首都高速の埼玉大宮線の浦和中央出入口につきましては、平成元年に都市計画決定しまして、埼玉大宮線自体は平成三年に事業着手をし、平成十年に美女木から与野間まで開通をいたしております。しかしながら、その間にあります浦和中央出入口につきましては、地元の事情もございまして、用地買収が難航し、現在に至るまで未整備のままになっております。

 その後、地元と調整をいたしまして、その結果、本出入口につきましては、主要なアクセス道路であります市道の道場三室線などの周辺道路の整備見通しを勘案しつつ、交通需要が見込まれる適切な時期に整備を図るという方針を打ち出しております。

 したがいまして、引き続きこの方針に沿いまして、周辺道路の進捗も踏まえながら、地元さいたま市や首都高速会社と整備手法も含めて検討してまいりたいというふうに思っております。

田中(良)分科員 わかりました。

 それに関連しまして、道路法による占有のあり方についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 小泉内閣のもとに進められました高速道路改革によりまして、道路事業につきましては適宜見直しを行っていく、収支状況や周辺の交通需要などさまざまな要素を加味しながら必要性を検討していくという方針であろうかと思います。今年度予算の中におきましても、道路特定財源の一般財源化問題も話し合われている、そして厳しく道路建設事業がチェックされる、こういう流れは引き続き安倍内閣においても変わらないものと考えるところでございます。

 この地域では、周辺の宅地開発また道路開発が進められているところであります。近い将来交通需要がふえるであろうという想定のもとに、周辺の県道の整備を進めてまいりました。そして、これを踏まえ、浦和中央出入口の建設計画が持ち上がったものと考えております。平成の早い時期から用地買収がスタートして、そして、現在ではかなり用地買収も進んでいる状況にあります。

 そんな中、折しも平成の大合併に伴いまして、さいたま市が誕生いたしました。そして、政令市に移行しました。このために、浦和中央出入口のアクセスとなる県道の管轄が県から政令市へと移りました。そんな中で、最終的な都市計画決定が十六年となって、現在では二十二年の完成を目指して事業が進められているというものであります。その一方で、この出入口の建設が凍結、滞ってしまったのであろうと思います。

 もともとこの用地買収に応じた地域住民の方は、用地買収後ほどなくしてこの出入口、ランプの供用が開始されるもの、そのように想定をしているわけであります。そして、用地買収に応じたというわけであります。しかし、現実には平成二十二年の市道の供用開始後に初めて建設の是非が検討される、そのようなことを住民の皆さんは感じている、またそういう形になったというふうに受け取っております。

 このように、道路ができるまでの間、長年にわたって利用されない状況は、経済面から見ても、あるいは環境や美観の面から見ても、決してよい状況ではないと私は考えております。しかも、用地買収が終わった土地に関しては、道路法に基づいて、フェンスをつくるなど外からのアクセスを禁じた形で管理がされているところであります。このようなケースは、道路公団改革あるいは道路財源の改革が進められている現在、今後も全国各地で頻発してくるのではないか、私はそのように感じております。

 この際、これを特殊なケースと切って捨てるのではなくて、今後を見据えて、一時的な賃貸ですとか、あるいは土地の買い戻しなど、柔軟な対応ができるような法制度の改正ですとかルールづくり、こういったものをやはり考えていかなくてはならないのではないか、そのように考えております。

 その辺に対しての所見をいただければと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 現行制度におきましては、用地買収後、事業着手前の道路用地につきましては、将来道路用地として供用されるということで、原則的には道路法上の道路に準じた取り扱いをするようにされております。

 したがいまして、道路管理者の占用許可を受ければ、道路以外の他の用途に使用することも可能でございますが、この用途につきましては法令で限定をされております。例えば店舗でありますとか事務所については、基本的にはできないということになっております。

 お尋ねのこれからのあり方という点について、多少埼玉の事例を離れて一般論ということで申し上げますけれども、使用開始前の道路用地の利用につきましては、御指摘のように、供用開始後の道路とは異なり、土地の有効活用という観点も必要ではないかというふうな問題意識を我々も持っております。

 したがいまして、この点につきましては、事業着手に支障にならないような利用形態としてどこまで認めるかでありますとか、あるいは管理責任の帰属をどうするか等々の難しい面もございますけれども、今後の道路占用のあり方を議論する際の検討テーマの一つとして取り上げて、考えていきたいというふうに思っております。

田中(良)分科員 道路建設等に関しましても、やはりこれは国道あるいは大きな市道であります。地域住民の皆様の御理解なくしては進んでいかない。また、道路建設事情も、道路財源の一般財源化ですとかそういった形でかなり状況が変わってくることが想定されます。そんな中で、しっかりと住民の皆さんにはそういった説明、理解をしていただくことが私は肝要かと思います。

 また、この浦和中央出口に関しては、首都高速の出口ランプができますと旧浦和市の駅まで一直線で流れる、そういう重要な幹線である、かなり人口もふえているところでございます。住民もかなり期待をしているものでありますので、ぜひその辺のところは速やかに計画どおり進めていただく、そういうものを要望するものでございます。

 何といたしましても、今急激に人口もふえ、そしてまた発展しているさいたま市でございます。ぜひいろいろな形でまた御協力をお願いしたいと思います。

 そして、最後に、公安委員長、ありがとうございました。社会のいかなる政策も、やはり国の治安、安全、安心なくして成り立つものではございません。ぜひこれからも御活躍を御期待申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

斉藤主査 これにて田中良生君の質疑は終了いたしました。

 次に、石関貴史君。

石関分科員 民主党の石関貴史です。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、いわゆる取り調べの可視化についてお尋ねをいたします。

 裁判員制度が始まるということもありまして、最高検で、容疑者の取り調べの録音、録画、いわゆる可視化を導入する、一部の事件で試行するということになっていて、地裁では既にこの試行が始まっているというふうに承知をしておりますが、公安委員長か警察の方、最高検で始まっているということは承知をされているんでしょうか。

溝手国務大臣 まず私の方からお答えさせていただきますが、検察庁における試行につきましては、被告人の自白の任意性について、公判における直接の立証責任を負う公訴官という立場で行うという意味で試行をしているものと承知しております。

石関分科員 最高検においては始まっているということであります。試行の段階ですが、始まっている。将来、さらに広く導入をするということを前提の試行であると思います。

 警察については、昨年の五月、警察庁の長官漆間さんが、取り調べの機能を妨げる、警察が追随することは全く考えていない、このように御意見を述べているということでもありますし、慎重論、可視化は取り調べ官と容疑者との間に信頼関係を築くことを妨げる、取り調べの機能を崩壊させる、警察からこんな御意見も上がっているというふうに承知をしております。

 また最近の、新聞ではでっち上げという見出しがついておりますが、こういった事件に関しても、この事件の裁判の一審での判決が出た後も、漆間長官はそのような趣旨の発言をされていると聞いておりますが、そういったことでよろしいんでしょうか。

縄田政府参考人 大臣のお答えをなぞるような形になるかもしれません。

 検察庁においては、大臣がお話しになられたように、任意性の立証という範囲内で実施をされておる。当庁におきましては、やはり、第一次捜査機関として、事実の真相究明に極めて重要な責務を負っているわけでございまして、取り調べにつきまして録音、録画を導入する、そういう形になりますと真相解明に大きな支障を来す、そういう意味合いでは治安維持にも影響してくるのではないかということで、慎重な検討を要する事項だ、こういうふうに認識をしておるわけでございます。

石関分科員 それでは、具体的にどういう支障を来すのか、このことをいろいろ、この後、御教示いただきたいと思います。

 具体的な最近の事件でありますが、鹿児島の県議選において選挙違反があったということで、これは裁判になりました。最近、一審の判決が出て、いろいろ、警察が自白をでっち上げた。判決では、元県会議員の方ですが、アリバイを認めたりということがあります。

 この事件の概要について御説明いただけますか。

縄田政府参考人 お尋ねの事件につきましては、平成十五年四月十三日に施行されました鹿児島県議会議員選挙におきまして、当選をいたしました候補者らによる四回にわたる買収会合の容疑事実、総額で百九十万余でございますけれども、これにつきまして、鹿児島県警察が逮捕いたしました十二名と在宅被疑者一名、十三名が起訴されております。平成十九年二月、先般でございますが、鹿児島地方裁判所において、公判中亡くなられた一人を除きまして、被告人十二名全員に無罪という判決がなされた、こういう事案でございます。

石関分科員 マスコミでもそういう論調でありますし、これは私としても、まだ一審の判決でありますから今後どうなるかということがあろうと思いますが、もし、ここで判決に示されたような取り調べの内容が事実であるとすれば、これは、警察の中で責任をどなたかが、責任者がとるべきことだというふうに私は思いますが、事実であるとすれば、これはとるべき問題かどうか、公安委員長、いかが考えますか。

溝手国務大臣 本件については、まことに申しわけございませんが、情報がきのう入ってきたばかりで、詳細を承知しているわけではございません。したがいまして、事実であればということを前提にちょっとコメントはできかねるなと思っているところでございます。

石関分科員 今公安委員長がおっしゃった、きのう情報が入ってきたというのは、これは問題だと思いますよ。公安委員長に、これは本当にきのう入ってきたんですか。だって、これは新聞記事ですけれども、二十四日とかにもう出ていますよ。公安委員長、これは把握していなかったんですか、きのうまで。

溝手国務大臣 正確に申し上げます。きのう記者会見をして、それに対してコメントを申し上げたという意味に御理解いただきたいと思います。

石関分科員 情報はこの事件について知っていたけれども、きのう記者会見をした、こういうことですね。

 それにしても、責任をとるかとらないかというのはまだわからないということでありますが、これは社会通念、我々普通の国民の感覚からすれば、これだけのことが事実だとすれば責任をとるべき問題だというふうに思いますけれども、思われないですか。

溝手国務大臣 反省すべき点があれば、当然、反省しなくちゃいけないし、厳正に対処しなくてはいけないと考えております。

石関分科員 これは私も記事で承知をしている範囲ですけれども、主犯とされた元県会議員は、容疑を否認し続けたためずっと勾留をされた、保釈されたのは逮捕されてから何と一年一カ月後だったと。これだけ長い間勾留されるというのは、勾留しなければならない、しない場合に非常な、証拠がなくなるとか、そういう理由があったと思いますが、どういう理由でこんなに長い間勾留されてしまったんですか。

縄田政府参考人 県議の事案、つぶさに何月何日から何月何日までという答弁は、今手元にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、本件の事案は、先ほどもちょっと申し上げましたように、四回にわたる買収事案ということで起訴された事案でございます。一回目と四回目の事実につきまして逮捕等をいたしておりまして、二回目と三回目の事実については、それぞれの起訴後に、その後の調べで有罪として送致をしたという形になってございます。

 御指摘のように、県会議員は否認をされておるという状況がございます。その後、起訴後の勾留につきまして、私どもとして責任ある答弁はなかなかしづらいところがございますけれども、そういった事情もあり、また、御案内のように、当初は、警察段階では、六名の被疑者の方は当時認めておられたわけでございますけれども、公判になりまして否認に転じるというようなこともございまして、証拠隠滅とか、当然、そういう要件があるとして裁判官の方でも勾留を認められておった、こういうふうに承知をいたしております。

石関分科員 私自身は、逮捕されたり勾留されたという経験がないんです。公安委員長もないんだろうと思いますが、私は前に県会議員をやっていて、先輩の県会議員が、逮捕されて勾留された、その様子をつぶさに語ってくれましたよ。石関君はこういうことにはならないと思うけれども、逮捕、勾留されるとこうなんだと。やはり選挙違反で捕まったということを、その方は犯罪者にはならなかったですけれども、こんなに大変だというふうに私は聞いたことがあります。

 これは、弁護側によると、取り調べに費やされた時間は一人平均五百五十時間。いつまでも身柄を拘束することで自白を迫ったと言われても仕方があるまいと。これについては警察の方も、取り調べ機関も御意見があろうかと思いますが、ただ、実際、理由があっても一年一カ月に近い期間勾留をされると大変な精神状態に追い込まれると思いますけれども、公安委員長はそのように思いますか。

溝手国務大臣 その報道のとおりだろうと思いますが、その報道のとおりであれば、通常の人は大変だろうと思います。

石関分科員 あと、取り調べの過程で、新聞には踏み字事件というふうに書かれていることがあります。民事でこの件について裁判が起こされて、確定をした部分もあるというふうに聞いていますが、この件について承知をされていますか。

縄田政府参考人 承知をいたしております。取り調べの過程で、本人に反省を促すというような趣旨で、親族等の名前を書きまして反省を求めるような文書、これにつきまして、これがちゃんと踏めるのかというようなことで、足を添えたというような事案がありました。

 警察としては、そういう事案があって、先般、国家賠償請求訴訟で一応違法であるという認定がなされました。私どもも、それを受けまして、警察官につきましても厳重な処分を行ったところでございます。

石関分科員 これは具体的にはどういった処分がなされたんですか。

縄田政府参考人 これは減給処分をなされた、こういうふうに承知をいたしております。

石関分科員 先ほど公安委員長にお尋ねした件について、事実であれば、将来そういうことが確定をすれば、しっかり処罰をされるべきだろうと思います。

 あと、これは先ほどの御答弁でおっしゃいましたか、警察の方がおっしゃるのに、可視化を進めると容疑者との信頼関係を築きにくくなり、事案の真相解明が困難になるんだ、組織犯罪の摘発、情報収集も難しくなりますよ、こういう理由で漆間長官は、考え方を変えない、可視化は入れるつもりがないというふうにおっしゃっていますが、可視化を進めると、ここでこの記事に出ているような、容疑者との信頼関係というのが築きにくくなるんですか。

溝手国務大臣 一般論でどうこうというのは、私はそこまでの捜査の技術屋ではございませんのでわかりませんが、私が思っているのは、可視化そのものが捜査の公正、公平性をというか合理性を保つための方法であるかどうかという観点から、長官がそういう言葉を持ち出して異論をしたんだというように承知をいたしております。

 これについてはいろいろな御意見があるだろうとは想定しておりますが、現在のところ、我々国家公安委員会の中で、そして警察庁の中で、長官の立場を支持しているというところでございます。

石関分科員 委員長の御答弁は理解をいたしました。

 事務方の方にお尋ねしたいのは、具体的には、容疑者との信頼関係といった場合に、どんな信頼関係が捜査、取り調べの中で築かれるのか。これはどういう信頼関係なんですか。

縄田政府参考人 録音、録画が導入されますと、取り調べの過程で信頼関係が阻害されるというふうに私ども申し上げております。

 具体的には、まさにケース・バイ・ケースであろうかと思いますけれども、犯罪事実、あるいは証拠とか、やったのやらないの、こういうふうな単刀直入な問いかけを幾らしてみても、あるいは、供述したらどうだということを幾ら言ってみても、直ちに容疑者が事実を供述するとは限りません。どちらかといえばのらりくらり、あるいは一部を、都合のいいことだけ認めて都合の悪いことを認めない、わかり切ったことでも全面的に否認する、いろいろなことがございます。

 そういった中で、捜査官として、取り調べ官としては、こういった者に心を開かせるために、いろいろな会話をいたします。本件事実にかかわらない、家族のこと、あるいは両親のこと等々、周辺のそういったことも踏まえながら説得をしていくという作業をしてまいります。調べ官の方といたしましても、これも自身の体験とか、自分の家族のこと、そういったことも踏まえながら、いろいろな話をしてまいります。

 そういたしますと、お互いにかなりプライバシーにかかわるようなことをやりとりする、そういった中で、被疑者といたしましては、よく話を聞いてくれる、理解をしてくれるんだと。そういった意味で信頼感が得られる。通常、なかなか疎外をされておられるといいますか、厳しい環境におられる方が結構おられますが、そういった中で、調べ官は本当にそういったことで諭していくといったことで、心を開いて供述するというパターンが多うございます。どちらかといえば、優秀な調べ官というのはまさにそういったことがしっかりできるんだということだろうと思っています。

 そういう意味で、非常に大事なことだというふうに思っています。

石関分科員 そうやって信頼感を得ていくということですけれども、そうすると、よく刑事ドラマなんかに出てくる、おれにも年とった母親がいるんだよな、おまえのおふくろさんもとか、かわいい子供がいるだろう、おれも子供の顔が浮かんでとか、カツどん食うかとか。では、何かそういうことが実際に行われているんですか。

縄田政府参考人 カツどんの話はちょっと除外をしていただきますと、そのような会話もあるし、場合によっては厳しくしかるといいますか、そういった場面も当然ございます。

石関分科員 いろいろな場面があるので、では、それを全部が全部見せていいものかどうかと。

 ただ、今の範囲の話であれば、別に可視化をして、こういうふうに取り調べをしているので、これは証拠もどこに出しても問題ない、こういうふうに進めた方が、私は第一次捜査機関にとっては非常にプラスになることじゃないかなというふうに感じましたけれども、先ほどの踏み字事件というのは、やはり信頼関係を築こうとする、そういった手段として行われたというふうに承知をされていますか。それとも、全然違う考えでこういう踏み字が行われたんですか。

縄田政府参考人 踏み字の事案でございますけれども、これは相手方の心情を著しく害するといいますか、名誉感情といいますか、心情を害するような取り調べだろうと認識をいたしております。そういった意味では、私どもも適当ではない調べだというふうに認識をいたしております。先般もございましたように、国家賠償請求において、裁判官においても違法であるという判断をされました。私どもといたしましても、そのような取り調べでございますので、これを受け入れて、控訴することなくこれを受諾するといいますか、そういう判断をしたところでございます。

 決して褒められたことではない、今申し上げました信頼関係を醸成するということにはならない取り調べだろうと私どもも思っております。

石関分科員 それでは、今回の取り調べについて、以前、監獄法の改正を法務委員会でやりましたが、縄田さんにも御質問をした関係の件です。

 国家公安委員会規則の中に犯罪捜査規範というのがあります。これに従って捜査を行うということでありますが、この捜査規範の百六十八条の三項、この中に「取調べは、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に行うことを避けなければならない。」というふうに書かれているということであります。

 また、呼び出しについても、これは任意といいながら大変過酷な取り調べが行われたというのが報道されております。判決文の中にもそのような趣旨のことが書かれているということでありますが、一点、この犯罪捜査規範に関して、先ほどの百六十八条の三項にのっとって行われていたのか。あるいは、任意出頭を求める際の、「なるべく呼出状によらなければならない」、呼び出し状によって呼ばれたのか、あるいは電話でいきなり来いというふうに呼ばれたのか。

 この事件については、この二点についてどのように犯罪捜査規範、守られましたか。

縄田政府参考人 長時間にわたる取り調べ等につきまして、判決の中でといいますか、裁判官の方で御指摘がございました。私どもも大変懸念をいたしまして、いろいろ実情を今鹿児島県警にも問い合わせておりますし、掌握に努めておるところでございますけれども、あらあら私どもで現時点で把握している限りでは、朝から深夜、夜中まで取り調べといいますか、先般委員が御指摘になられたようなそういった取り調べはなかったものだ、こういうふうに認識をいたしております。ただ、一部で、任意の段階で何日もにわたって切れ目なく調べるといいますか、一週間以上にわたって取り調べた被疑者の方もおられるといったことにつきましては、少し考慮をしなきゃいかぬ事項かな、こういうふうに認識をいたしております。

石関分科員 これは、呼び出し状は今答えてもらいましたか。

縄田政府参考人 失礼いたしました。呼び出し状によるのか、あるいは電話等の方法によるのか、ちょっと具体的な事実につきまして現在掌握をいたしておりません。

石関分科員 前に監獄法の改正でもお尋ねをしましたけれども、この規範を守るというのは、まさに規範ですから当然のことであって、余りこの例外がふえるようであれば、規範自体を現実に合ったように変えていかなきゃいけないと。前にも申し上げましたが、今の呼び出し状の件についても、ぜひ公安委員長の方も、現実とこの規範がどうなっているか、規範のとおりどの程度行われているのか。行われていないのであれば、私は改正をすべきだというふうに思いますが、どうですか。

縄田政府参考人 先般、委員からも御指摘がございました。私どもも実情等について調べてもまいりました。そういった意味合いで、最近、電話等も発達をいたしておりますし、事案によっては電話によるものも多々あるというふうな認識もいたしております。そういった意味合いでは、少し規定の書きぶりを変えていくのも一つかなということで、現在検討をいたしておるところでございます。

石関分科員 別の新聞には「「自白偏重」また過ち」なんて書かれちゃって、これは本当にまたまたということであれば、警察にも大変困ったことだと思いますけれども、何か、欧米だと多様な捜査手法をとっているので、取り調べに依存する度合いが低いということが報道されておりますし、幾つか調べたら、そのようであります。委員長、それは承知されていますか。

溝手国務大臣 そういう報道があるということは承知しておりますが、いわゆる警察の体制、構造そのものが、国によって欧米系、大陸系、それから米国系、それぞれいろいろなシステムをとっておりまして、どれがいいかどれが悪いかというのはなかなか判断するのは難しいと思いますが、日本は、今まで積み上げた日本の伝統の上に立って、先ほどから先生御指摘の、至らない点はしっかり直していく、高いいわゆる検挙の確率を、やはり、いい結果が出るような現在までの歴史というのはしっかり守っていかなくてはいけないんではないかという気持ちでおります。

石関分科員 おっしゃるとおりで、これまで組織でやってきたこと、日本の風土に合った犯罪の捜査手法というのはあるんだと思います。ただ、こうやって、新聞にでっち上げなんて書かれちゃって、まじめに捜査している警察の人はたまったものじゃないですよね。であれば、ほかのまた、欧米のいいところは、欧米に限らず各国のいい捜査手法は取り入れる。アメリカでよく言われる司法取引とか、監視カメラをばんばん据える、これはいかがなものかと思いますが、いいところは取り入れて自白に頼る部分を減らしていく、私は、こういう漸進的な改革というのも捜査において行われるべきではないかと思いますけれども、これは委員長も現場の方もどうですか。

溝手国務大臣 これは冒頭に申し上げたとおりでございまして、反省すべきところはしっかり反省して改善を加えていかなくちゃいけない、これも国家公安委員会の仕事の一つであろうと心得ております。

縄田政府参考人 委員御案内のとおり、司法制度は各国ばらばらでございまして、そういった意味合いで、我が国におきましても、録音、録画のの部分だけを直ちに取り入れられるということについてはいかがなものかということでございます。

 現在、法務省もともどもでございますけれども、裁判員制度に向けて、取り調べの録音、録画のあり方等も含めまして、司法制度全体の枠の中で、委員御指摘のようないろいろな制度がございますけれども、そういったことも研究しながら、あるいは、外国の状況等々も検討しながら、どういう方向にあるべきかなというようなことで検討をしておる、こういう状況でございます。そういった中で、検察庁においても、一部で録音、録画がなされておる、こういうふうに承知をいたしております。

 それと、まことに恐縮でございますが、先ほど、私、検挙をいたしました県会議員の逮捕の関係で、一回と四回の事実について逮捕し、二回目と三回目は追送致したというふうに申し上げました。これは他の被疑者と同様と勘違いをいたしておりました。県会議員につきましては、二回目と三回目につきましても逮捕をして送致をした、こういうことでございます。

石関分科員 それでは、時間がなくなりましたので、別の事件ですが、これは同じような、またと書かれる理由だと思いますけれども、富山県で婦女暴行事件があった。ここで実刑が確定して、その方が出所後に真犯人が判明してしまったということがありました。

 この件については、これにかかわった捜査員なり、またその責任者の方の処分というのを行わない方向だというふうにアナウンスされていますが、そういうことなんでしょうか。処分をしないで、別に何か慰謝料を払うとか、部内的な処分がまずされるかされないか。この方に対しての謝罪、単なる言葉で謝って済ませるのか、慰謝料みたいなものをやるのか。再審の請求で無罪をやるというふうに検察ではなっているようですが、警察としてはどのように対応されるんですか。

縄田政府参考人 処分ということでございますけれども、この件につきましては、富山県警察の幹部が厳しく、当時の捜査主任官と関係者につきまして厳重注意をいたしたところでございます。今後、捜査の教訓として、治安維持に当たっていくということでございます。

 それから、謝罪の関係でございますけれども、これは一応、新しい犯人といいますか、これが判明をし、逮捕する数日前には、御家族の方にも御説明をし、御本人の所在が確認できた時点で、警察本部長あるいは警察幹部等が謝罪をいたしております。

 それから、補償等の関係につきましては、刑事補償法という法律がございますが、いろいろ申請をされますと、そういった枠の中でいろいろ御判断されるということになろうか、こういうふうに思っております。

石関分科員 これは、無実の人が刑務所に入れられちゃって、えらい時間を過ごしたということですから、これは謝って済むだけのことではないと思いますので、部内にも厳しい処分をしっかりやってもらいたいと思います。

 ちょっと時間がなくなっちゃったので、もう一件、別のことをやりますが、代理処罰についてということであります。

 代理処罰、いわゆる国内で犯罪を犯して、その外国人が本国に帰ってしまった、これをどう処罰するか、相手の国の法律で処罰をされるかどうかということでありますが、これは余り進んでいるというふうには言えない状況だと思います。容疑者というふうに認定をされながら、出国されてしまった例が多数あるということでありますが、こういったことが起こる理由というのは何なんですか。警察がもう少し頑張ればこの代理処罰が進むのか、あるいは、警察はしっかりやっているんだけれども、もう少し外務省からそのルートでしっかり相手国に協議を進めてもらえれば済むのか、いずれでしょうか。

溝手国務大臣 先生の御指摘は、いわゆる逃げ得を許しちゃいかぬということだろうと思いますが、これは厳密に言いますと、代理処罰ということではなくて、日本国としての犯罪を処罰する権限、権利は持っているわけで、逃亡先で、本人の国籍のあるところへ逃亡したケースのみについてこれが可能な事案でございまして、いろいろな国に対して、まずスタートからいろいろ懸案が、解決するべき項目があるわけでございます。遺族とか家族の同意とか、そういう証拠のそろえ方等、なかなか大変でございますが、警察としては、絶対に逃がさないぞという気持ちでこれから関係の国と精力的に、これは必ずしも、表に出してできにくい問題でもございますので、国外犯処罰につきましては徹底して業務を進めてまいりたい、このように考えております。

石関分科員 時間が来てしまいましたので、また別の場面で改めていろいろお尋ねしたいと思いますが、ぜひ、委員長がおっしゃったように逃げ得にしないという強い姿勢で、迅速に何らかの処罰が犯罪者には下されるように、御努力をお願いします。

 ありがとうございました。

斉藤主査 これにて石関貴史君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。川内博史君。

川内分科員 川内でございます。

 大田大臣にお運びをいただいておりますが、ちょっとお待ちをいただいて、ただいま石関委員からも、私の地元の鹿児島県、大田大臣の御地元でもありますが、鹿児島県で起きた、県会議員の先生が誤った捜査によって逮捕、起訴され、長期間にわたって勾留をされ、そして無罪という判決が出たということに関して、警察の方にもお残りをいただいておりますので、若干お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 昨日、二月二十七日、国家公安委員会委員長が警察庁第四会議室で定例の記者会見を開かれ、要旨が発表されておりますが、その中で、本件、鹿児島の志布志事件と簡単に申し上げさせていただきますが、鹿児島の志布志事件の判決についてさまざまなコメントをされていらっしゃいます。

 「警察としては、そのような教訓といいますか、事実を指摘されたわけですから、しっかり受け止めて今後の捜査に活かしていかなければいけない。反省をするということも含めてです。」というふうにおっしゃり、「もう一回、レビューはしなければいけないとは思います」と。

 さらに、記者さんの、レビューとは、「当時のことを、調査をきちんとやるようなお考えと、考えてよろしいのでしょうか。」という問いに対して、これは記者会見の要旨に、「無言でうなずく」、こう書いてあるんですけれども、警察庁の方にお聞きをすると、国家公安委員会というのは、警察庁あるいは警察組織を管理するというふうに法律で規定されているそうで、直接的には指揮命令はできない、指揮命令をする性質のものではないというようなことでございますけれども、その直接的に指揮命令できないというところがこの無言でうなずくというところにあらわれたのかなというふうにも思うわけでございます。

 そこで、警察庁に、国家公安委員長のこの無言でうなずくという記者会見を受けて、志布志事件に対してどのように対応をされていくおつもりなのかということをお聞かせいただきたいと存じます。

縄田政府参考人 大臣の記者会見での発言につきましては、私どもも当然承知をいたしております。まさに大臣の御答弁といいますか、おっしゃられたことも体しながら、本件判決につきましては、内容を十分検討の上、今後の捜査に生かすべきは生かしていくということを基本にしながら、まずは鹿児島県警察におきまして、十分中身を精査しながら検討されるということであろうかと思います。

 それを踏まえまして、判決におきましては、先ほどもございましたけれども、客観的な証拠が十分ではないのではないかとか、あるいは追及的、強圧的な調べがあったのではないかとかというようなことが指摘をされてございます。私どもといたしましても、これらの指摘を十分受けとめまして、生かすべきは生かすということで、精査の上で、必要なことにつきましては各都道府県警察に対しまして当然指示をし、場合によっては通達を発するなどし、適正な捜査という意味で徹底を今後もしてまいりたい、こういうふうに思っております。

川内分科員 警察庁にもう一つ質問をさせていただきます。

 実は、鹿児島の桜島の飲食店の経営者の方が、大臣もしょうちゅうをお好きなようでございますけれども、飲酒運転の厳罰化で、これは当然のことなんですけれども、大変お客様が減ってしまった、桜島には運転代行業者も全くいない。そこで、その経営者の方はいろいろ考えて、四輪車のバギーを使った運転代行システムを考案されました。つまり、一人乗りの四輪車のバギーに牽引装置をつけて、これをお店にいらっしゃったお客様の車の後ろに装着し、お客様をおうちまで送り届ける。そして、送り届けた後、牽引されてきたバギーに乗ってお店に帰るという。

 通常、運転代行というのは二人でやっているわけですけれども、このバギー代行というのは一人でできる運転代行ということなんだろうというふうに思いまして、私はこれはすばらしいアイデアであるというふうに思います。さらに、飲酒運転の撲滅に寄与もできるし、今大変に厳しい状況に追い込まれている地方の飲食店の活性化にもつながるのではないか。このアイデアは日本経済新聞などでも紹介をされ、海外のメディアでも取り上げられております。しかし、警察からストップがかかりました。

 そこで、まず警察庁から、このバギー代行についての法的な整理を御説明いただきたいというふうに思います。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 ただいまのバギーの牽引の問題でございますが、お客様に頼まれた自動車に自分のバギーを牽引する形で自宅まで送り届けるというそのところは、運転では牽引ということになります。道路交通法第五十九条第一項でございますが、「自動車の運転者は、牽引するための構造及び装置を有する自動車によつて牽引されるための構造及び装置を有する車両を牽引する場合を除き、他の車両を牽引してはならない。」とされております。

 そこで、この牽引するあるいは牽引されるための構造及び装置ということでございますが、この装置を有しているかどうかにつきましては、基本的には道路運送車両の保安基準に適合する連結装置を有しているか否かによりまして判断されるところでございまして、したがいまして、お尋ねの点につきましては、この自動車でバギーを牽引することにつきまして、道路交通法第五十九条第一項との関係で、道路運送車両法上の扱いがどうなるかについて見きわめて判断する必要があるということでございます。

川内分科員 そうすると、このアイデアを生かすためには、今、運転代行は二人でやっているわけですけれども、このバギー代行というのが法的にしっかりと整理をされれば、一人でできる。そうすると、さらに生産性も向上するのではないかというふうに思われるわけでございますが、そのネックとして、道路運送車両法上の安全基準というものをクリアできるかどうかというところが問題であるという今御説明であったかと思いますが、それでは、このアイデアを生かすとすれば、道路運送車両法上の安全基準というものをしっかり満たして、牽引装置なり牽引することにおいて不安がないということになれば、道路交通法第五十九条第一項も満たすという考え方でよろしいでしょうか。

矢代政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 その装置が保安基準に適合するものであるということであれば、道路交通法第五十九条第一項の牽引制限違反にはならないということでございます。

川内分科員 それでは、この点については、規制緩和という観点からも取り組み、そして飲酒運転を撲滅するという観点からも取り組み、さらに地方の中小の飲食店経済活性化という観点からも、これはみんながいいということになろうかと思いますので、大田大臣にもお知恵をいただきながら取り組んでまいりたいということだけ申し上げて、警察の方はどうぞお引き取りいただいて結構でございます。お忙しい中をありがとうございました。

 それでは、大田大臣に質問をさせていただきますが、先週の金曜日の二月二十三日の予算委員会で、私が、いわゆるワーキングプアという言葉の定義について安倍内閣総理大臣に質問をさせていただいたところ、総理は、ワーキングプアについて、私たちはまず現状をしっかりと見たい、むしろ目を大きくあけて実態を把握したいと答弁をされ、続けて、ワーキングプアと言われる人たちは果たしてどういう人たちかということを定義づけていくということは、それはしっかりとやっていかなければいけないと思いますよと。しかし、今の段階では定義がなかなか難しいし、その調査も現段階では定義がないからまた難しいということではないかと思いますと答弁されました。

 ワーキングプアの定義をしっかりとやっていく、あるいはやっていかなければならないというふうにおっしゃっていらっしゃると私は思うんですけれども、他方、大田大臣は記者会見などで、定義ができないというようなこともおっしゃっていらっしゃる。政府として、この新たな問題に対してどう対応するのか。予算委員会でも私も繰り返し申し上げていますけれども、新たな問題については、施策の対象とする人たちがどういう人たちなのかということがしっかりと政府として言葉で表現されていなければならないはずであるというふうに思いますが、安倍総理の国会答弁を受けて、担当大臣としてどのように対処をされていくのかということについて、まず御所見をお願いしたいと思います。

大田国務大臣 いわゆるワーキングプアという言葉がどのような人たちを念頭に置いて使われているのか、そこにどんな問題状況があるのかということについては、私どもも大きな関心を持って、いかなる政策が必要かを考え続けております。

 総理も、先生御指摘の予算委員会でそのことを強調されて、定義づけの必要性を認めつつ、今の段階ではなかなか定義は難しいというふうに答弁しています。もちろん、定義づけが難しいからといって何もしないというわけではなくて、さまざまな方面からの指摘を踏まえ、政策の対象を明確にして実効性ある政策を打ち出していくというのが総理の答弁の趣旨であり、私も同じように考えております。

 今回の底上げでは、フリーター、母子家庭、生活保護世帯あるいは中小企業で賃金が低くなっているケースというところを対象として取り上げております。こういう三つのケースというのは、いわゆるワーキングプアということで言及される場合の対象とかなり重なり合っているというふうに思っております。

 今後、この政策を展開する中で、総理も言われたように、そこに漏れがないのか、大きく目を見開いて検討していきたいと考えております。

川内分科員 定義づけの必要性を認めつつ、しかしというところからがちょっと長いんですけれども、大田大臣、定義づけの必要性をお認めになられるのであれば、定義づけることは難しいかもしれないけれども、ワーキングプアというものに対して、政府が今動かしている施策の中で対応している部分は対応をどんどんどんどんしていかなければならないと思いますが、今、日本の社会の中で起きていることはこういう人たちが新たに生まれてきているのだということをしっかり認識することだろうというふうに思うんですね。

 それは、母子家庭の中にも、いわゆるワーキングプアと呼ばれる人たちもいるかもしれないし、そうでない人もいるかもしれない。さらには、タクシーの運転手さんたちの中にも、いわゆるワーキングプアと呼ばれなければならないような、施策の対象とされなければならないような人たちもいるかもしれないし、そうでない人たちもいるかもしれない。いわゆるワーキングプアという今言い方しか政府も私たちもしていない。しかし、政府の施策を打つ場合に、こういう人たちが対象なんだ、新たな問題なんだ、そしてこういう施策を打っていくのだということは、どうしてもやらなければならないというふうに思います。

 必要性をお認めになるのであれば、定義づけをいつまでにやるとか、あるいはどういう形でやるとか、そしてまただれがやるとか、そういうある種の、政府としてのその後の対応についての責任ある御発言がなければいけないというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

大田国務大臣 御指摘のように、政策というのはやはり対象を明確にしながら講じていくということが重要だと考えます。

 ただ、いわゆるワーキングプアというのは今の時点でさまざまな使われ方をしております。概念が明確ではありません。したがって、今、定義づけの議論に時間をかけるよりも、対象が明確なところにしっかりと政策を講じていくということが重要だと考えております。

川内分科員 いや、大田大臣、今動かしている施策が無駄だとか、意味がないというようなことを私は申し上げているわけではなくて、今動かしている施策は施策として、どんどんどんどん動かしていただいて、対応に当たっていただく。しかし、そこからも漏れている人たちがたくさんいるのではないか。だからこそ、これだけ社会的な関心事としていわゆるワーキングプアという言葉が人口に膾炙するぐらいに取りざたをされているのだというふうに思うんですね。

 であるとするならば、今ある施策は施策として動かしつつも、しかし、いわゆるワーキングプアについてどう言葉を定義していくのかということについて議論を始めなければ、どこかの場で議論を始め、そしてこういう人たちだ、こういう実態がある、そしてこういう実態があることを政府が把握した調査はこういう調査がもとになっているんだということをしなければ、いつまでたっても、いや、今ある施策でとりあえず対応しますということしか政府としては言えなくなってしまうのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

大田国務大臣 いわゆるワーキングプアでどんな方々がその対象に論じられているのか、私どもも、いろいろな使われ方、あるいはいろいろな学者の論文ですとか、いろいろ見ました。そして、対象をしっかりと広くとらえつつ、底上げ戦略というのは考えたつもりです。これが漏れがないかどうか、これはしっかりとこれからも見ていきたいと思いますし、その政策を講ずる中で、ワーキングプアという定義づけが可能かどうか、またそれはどんな形で可能なのかはしっかりと検討していきたいと思います。

川内分科員 この議論はまた予算委員会の本委員会の場でもさせていただきたいというふうに思いますが、私は予算委員会の場でも申し上げましたけれども、憲法二十五条、健康で文化的な最低限度の生活を政府はすべての国民に保障しなければならないということがあります。しかし、最近の政府のさまざまな文書は、生活保護を消費実態調査の最低の生活の人たちに合わせるんだと、逆なことを考えているような気がするんですね。

 健康で文化的な最低限度の生活というものに、そこに至っていない人たちをどう政府が応援していくのか、あるいは施策を打っていくのかということを考えなければならないときに、健康で文化的な最低限度の生活にまで至っていない人たちを基準に、例えば生活保護の母子加算を廃止したり、老齢加算を廃止したり、あるいは児童扶養手当を廃止したりという施策をお打ちになっていらっしゃること、さらにその言いわけとして、いや、就労支援だ、自立支援だと言うのはわかります。就労支援も自立支援も大事です。

 しかし、健康で文化的な生活という、政府が国民から委託を受けて行政を行うに当たって、最低限度保障しなければならないレベルをしっかり保障できているのかということを今真剣に議論をしていかなければ、政府はなかなかお認めにならないですけれども、ますます格差が拡大し世の中が不安定になる、世の中が不安定になれば、結果として政府が求める成長というものもなくなっていくのではないかというふうに私は危惧をいたしております。

 この議論はまたゆっくりと、しょうちゅうでも飲みながらさせていただきたいというふうに思います。

 次に、きょうは余り時間もないですから、有効求人倍率についてお伺いをさせていただきますが、この有効求人倍率というのは正規雇用と非正規雇用を合算した数字であるということを厚生労働省に御説明いただきたいと思います。

鳥生政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生御指摘のとおり、有効求人倍率、現在、十二月の数字、一・〇八倍ということでございますが、これは、今おっしゃいましたとおり、正社員以外のパート等も含む数字ということで合算した数字でございまして、正社員の求人倍率というのは〇・六八倍ということでございます。

川内分科員 正社員の有効求人倍率は〇・六八倍であるということでございます。

 平成十八年十二月、昨年末の都道府県別有効求人倍率及び正社員有効求人倍率という、内閣府あるいは厚生労働省がおつくりになられた資料をいただきましたけれども、全国の有効求人倍率は一・〇八、正社員有効求人倍率は〇・六八。北海道の有効求人倍率は〇・六一、正社員有効求人倍率は〇・二九。青森県の有効求人倍率は〇・四六、正社員有効求人倍率が〇・二六。私と大臣の地元の鹿児島県は、有効求人倍率が〇・六一、正社員有効求人倍率は〇・四二。沖縄県に至っては、有効求人倍率は〇・四二、正社員有効求人倍率は〇・二〇。愛知県などは、有効求人倍率が一・九一で、正社員有効求人倍率が一・三六。地域間格差がこんなところに物すごい数字ではっきりと出ておりますね。

 厚生労働省は平成十六年の十一月からこの正社員有効求人倍率というものの統計をとり、プレスリリースをされているというふうにお伺いしております。

 そこで、厚生労働省にお伺いをいたしますが、正社員を望む人にはなるべく正社員になっていただけるように支援をしていくというのは、これは厚生労働省としてもその方が望ましいというふうなお考えですか。

鳥生政府参考人 お答え申し上げます。

 フリーターなど若年者を中心といたしました非正規雇用の増加というのは、将来の格差の固定化や人的資本の脆弱化につながるおそれもありまして、十分注意が必要だと考えております。したがいまして、正規雇用を希望する方々が正規雇用に円滑に移れるような仕組みが重要であるというふうに考えております。

 このため、フリーター二十五万人常用雇用化プランを推進し、人材能力の開発や、あるいは就職支援を通じた非正規雇用から正規雇用への移行に取り組むほか、若者の能力、経験の正当な評価と雇用機会の確保を図るための雇用対策法の改正、正規労働者との均衡待遇の実現や正規雇用への転換を促進するパートタイム労働法の改正など、正規雇用の拡大に向けた各種の取り組みを行うということにより、働き方、暮らしをよくしていくことに全力を注いでまいりたいというふうに考えております。

川内分科員 大田大臣、大田大臣が御担当されていらっしゃる成長力底上げ戦略には、正社員を望む人には正社員になれるように政府が支援をしていくというような方針は、残念ながら書かれておりません。しかし、大田大臣としても、正社員を望む方にはさまざまな施策によってなるべく正社員になっていただけるようにしようというのは、大田大臣のお考えも一緒でしょうか。

大田国務大臣 希望するような形で仕事を見つけられるというのは、やはり基本的に大事なことだというふうに考えております。

 実際、景気回復の中で新卒採用もふえてきております。やはり景気を息長く持続させるということの意味は、先生がおっしゃるように、正規社員の職をふやしていくということにも重要な形でつながっていると考えております。

川内分科員 雇用形態別の雇用者数の推移などを見ると、確かに正規雇用は、ここ足元ふえていますね。しかし、非正規雇用はそれを上回る勢いでふえているということも実態としてあるということも私たちは押さえておかなければならないというふうに思います。

 そこで、政府に対して私は申し上げたいんですけれども、閣僚が有効求人倍率は数字を回復していると一生懸命おっしゃる、しかし、国民の側から見れば、正規雇用を望む人が正規雇用というか、正社員として仕事をしていけているのかどうかということについて、政府としても認識をしっかりと持っていただかなければならないというふうに思います。

 そこで、大田大臣が所管される月例経済報告、そしてまたこの月例経済報告に基づく閣僚説明資料を閣議で大田大臣が各閣僚に御説明をされると思いますが、この月例経済報告の閣僚説明資料の中には有効求人倍率というものが毎月出ているはずでございます。

 そこで、私は、この有効求人倍率だけではなく、月例経済報告に関して正社員有効求人倍率というのもしっかりと報告の中に明記をして、有効求人倍率がこうなっている、正社員有効求人倍率はまだ〇・六八、〇・七より下だ、そして地域別に見た場合はこういうばらつきがある、だからこういう施策が必要なんですということをしていくべきではないか。

 端的に言えば、月例経済報告の中にも正社員有効求人倍率をしっかりと明記すべきだというふうに思うが、大田大臣の考えを問うという問いでございます。

大田国務大臣 正社員の有効求人倍率は私どもも常に注意して見ております。

 月例経済閣僚会議の資料につきましては、その時々、一番問題であったり特徴であったりするものをお示ししております。正社員の有効求人倍率をお示ししたこともございます。今後とも、必要に応じて閣僚会議で御提示していきたいと思っております。

川内分科員 時間が来ましたので、終わりますが、必要に応じてという今御答弁だったわけでございますが、必要に応じてという御判断をされるのは、主体は大田大臣なのか、あるいはどなたなのか、今、明示的におっしゃられなかったわけでございますけれども、私が申し上げているのは、行政権がある内閣が、そしてまたその内閣のメンバーである閣僚が、今の日本の経済状況についてしっかりと把握をする、その最も端的な数字が有効求人倍率であり、さらには正社員有効求人倍率であろう。さらに、それは地域別に見た場合に、ああ、地方というのはこんなに今まだ厳しいのかということが物すごくよくわかるというふうに思います。

 もちろん、各閣僚の方々は優秀な方々ばかりですから、そんな数字を見ずとも、地方が厳しい、中小企業が厳しいということはわかっていらっしゃるかもしれない。しかし、それを政府としてしっかりと毎月、ああ、こうなんだということを認識していくことがどれほど大事なことだろうかというふうに私は思うんですね。毎月、閣僚に報告するというふうに言っていただけませんか。

大田国務大臣 先生御指摘のように、地方でどうなっているかということも大事ですし、あるいは企業の規模別にどうかということも大事です。その中で、毎月どういう経済にあるかをどういう形で一番お示しできるかを常に工夫してやっております。

 正社員の有効求人倍率についても、本当に必要だと思うところで適宜出していきたいというふうに思います。

川内分科員 終わります。

斉藤主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府本府についての質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十一分散会


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