衆議院

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第1号 平成21年2月19日(木曜日)

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本分科会は平成二十一年二月十七日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      尾身 幸次君    岸田 文雄君

      佐田玄一郎君    仲村 正治君

      大島  敦君    菅  直人君

二月十九日

 佐田玄一郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十一年二月十九日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 佐田玄一郎君

      安次富 修君    尾身 幸次君

      越智 隆雄君    岸田 文雄君

      篠田 陽介君    仲村 正治君

      原田 憲治君    福田 峰之君

    …………………………………

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (拉致問題担当)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)  甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   防衛大臣政務官      武田 良太君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   参議院事務総長      小幡 幹雄君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 濱坂 豊澄君

   裁判官訴追委員会事務局長 白井  始君

   国立国会図書館長     長尾  真君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   会計検査院長職務代行

   検査官          西村 正紀君

   会計検査院事務総局次長  増田 峯明君

   最高裁判所事務総長    山崎 敏充君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松田 敏明君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           立岡 恒良君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     原田 憲治君

  仲村 正治君     安次富 修君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     福田 峰之君

  原田 憲治君     越智 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     篠田 陽介君

  福田 峰之君     仲村 正治君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     尾身 幸次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(地方分権改革、金融を除く)及び防衛省所管〕


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     ――――◇―――――

佐田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項、なお、内閣府につきましては、地方分権改革及び金融を除く所管についての審査を行うことになっております。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成二十一年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成二十一年度における歳出予算要求額は、六十七億四百五十万二千円でありまして、これを前年度当初予算額六十七億七千四百八万七千円と比較いたしますと、六千九百五十八万五千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十億九千九百五十九万七千円、皇族に必要な経費二億八千九十万五千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費八億三千八百九十五万八千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十二億六千六十三万九千円でありまして、前年度に比較して七千六十五万二千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して百六万七千円の増額となっております。これは、憲仁親王第二女子典子女王が平成二十年七月御成年に達せられたことに伴うものであります。

 以上をもちまして平成二十一年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

佐田主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成二十一年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十一年度の国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、六百八十五億二百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十二億六千万円余の増額となっております。

 その概要を御説明申し上げますと、まず、国会の権能行使に必要な経費として四百三十七億五千五百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百十二億四千百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 増加した主なものは、議員の任期満了に伴う総選挙関係経費及び新会議録作成システム関係経費でございます。

 一方、減少した主なものは、退職手当、九段議員宿舎の維持管理経費でございます。

 次に、衆議院施設整備に必要な経費として十四億一千六百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として二十億八千二百万円余を計上いたしております。

 これらの主なものは、議事堂本館外部建具整備費、九段議員宿舎解体整備費及びその他本館等庁舎整備費並びに新議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 次に、国会予備金に必要な経費でございまして、七百万円を計上いたしております。

 以上、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

佐田主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。小幡参議院事務総長。

小幡参議院事務総長 平成二十一年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十一年度国会所管参議院関係の歳出予算額は、四百八億三千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、八億二千百万円余の増額となっております。

 これは、主に、議員秘書及び職員の人件費の増額等によるものであります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百十九億九千二百万円余、参議院の運営に必要な経費として百六十四億六千万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費であります。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十六億九千六百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として六億七千九百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、国会審議テレビ中継施設整備、本館外壁・建具改修、清水谷議員宿舎改修及び本館その他庁舎の整備等に必要な経費並びに新議員会館の整備に係る不動産購入費であります。

 次に、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十一年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

佐田主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。長尾国立国会図書館長。

長尾国立国会図書館長 平成二十一年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十一年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百十五億八千四百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億百万円余の減額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等として九十五億八千九百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、一億五千万円余の増額となっております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、資料費及び情報システム経費等として九十一億八千七百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、二億四千九百万円余の減額となっておりますが、内容的には、歴史的音盤アーカイブ資料の購入などを重点事項として必要な経費を計上しております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十一億七百万円余を計上しております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十六億九千九百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、一億二百万円余の減額となっておりますが、内容的には、国際子ども図書館の拡充整備、本館耐震改修工事を重点事項として必要な経費を計上しております。

 以上、平成二十一年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

佐田主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。濱坂裁判官弾劾裁判所事務局長。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 平成二十一年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十一年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千七百九十四万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二百五十二万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

佐田主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。白井裁判官訴追委員会事務局長。

白井裁判官訴追委員会参事 平成二十一年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十一年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千七十六万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十一万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でございます。

 以上、簡単ではございますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

佐田主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。山崎事務総長。

山崎最高裁判所長官代理者 平成二十一年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十一年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百四十七億三千三百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百七十五億八千百万円と比較いたしますと、差し引き二十八億四千八百万円の減少となっております。

 次に、平成二十一年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官、書記官及び家裁調査官の増員等であります。

 司法制度改革が進展し、裁判所の体制の充実強化が求められている中で、増加し、かつ、複雑困難化している民事事件、刑事事件及び家庭事件等の適正迅速な処理を図り、また、裁判員制度導入のための態勢を整備するため、裁判官七十五人、書記官百人、家裁調査官五人、合計百八十人の増員及び振りかえによる書記官二十五人の増加をすることとしております。

 他方、平成二十一年度には百二人の定員合理化をすることとしておりますので、差し引き七十八人の純増となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、二百十七億五千五百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として六十四億五千八百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員経費、労働審判員経費、知財事件関係経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件・裁判員制度関係経費として八十七億五千六百万円を計上しております。この中には、心神喪失者等医療観察事件関係経費、裁判員制度運営経費、裁判員制度広報経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費として六十五億四千百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の老朽狭隘化に対応するための経費として百四十七億二千四百万円を計上しております。

 以上が、平成二十一年度裁判所所管歳出予算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

佐田主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。西村会計検査院長職務代行検査官。

西村検査官 平成二十一年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成二十一年度予定経費要求額は、百七十四億百四十四万円余でありまして、これを前年度当初予算額百七十五億一千二百五十一万円余に比較いたしますと、一億一千百七万円の減額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 この要求額の主な内容について御説明申し上げますと、人件費として百三十九億八千百万円余、旅費として六億八千四百万円余、その他の経費として二十七億三千四百万円余を計上しております。

 以上の経費には、会計検査機能を充実強化するため、次のような経費を計上しております。

 第一に、国会からの検査要請と行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査や民間の手法及び民間人の視点を導入した検査を遂行するための検査体制の充実強化経費として一億六千三百万円余を計上いたしております。

 第二に、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等の充実を図るための検査活動充実強化経費として二十億八千七百万円余を計上いたしております。

 第三に、検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修の充実を図るための研究・研修経費として二億二千万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成二十一年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

佐田主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、内閣及び内閣府、ただし、地方分権改革及び金融を除く所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。河村内閣官房長官。

河村国務大臣 平成二十一年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成二十一年度における歳出予算要求額は九百七十二億七千四百万円でありまして、これを前年度当初予算額九百六十三億三百万円に比較しますと、九億七千百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として八百五十一億一千万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億九千七百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百十億六千七百万円を計上いたしております。

 次に、第二、第三分科会で御審議いただいている地方分権改革及び金融庁を除く内閣府所管の平成二十一年度における歳出予算要求額は六千百三十六億七百万円でありまして、これを前年度当初予算額六千二百七十八億七千三百万円に比較しますと、百四十二億六千七百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策・イノベーション、暮らしと社会、国民の安全・安心の確保、沖縄政策、北方対策の推進及び消費者庁の創設等のための経費として三千二百六十九億二千八百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百九億八千万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用、中小企業に不当な不利益を与える行為の取り締まり強化、競争環境の積極的な創造等のための経費として八十四億四千六百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千六百七十二億五千三百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成二十一年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

佐田主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 平成二十一年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十一年度予算については、安全保障環境を踏まえた防衛力の質的向上や国際平和協力活動のための体制強化など着実な防衛力整備の実施に必要な事業に要する経費や、油の購入費、修理費や営舎費など、自衛隊の活動や教育・訓練の実施に必要な経費を計上しております。

 防衛省としては、歳出・歳入一体改革への取り組みなど、財政事情が引き続き厳しい中にあって、徹底した経費の合理化・効率化に取り組み、国民の御理解をいただけるよう予算の作成に努めました。

 平成二十一年度の防衛省所管の歳出予算額は、四兆七千七百四十一億三千五百万円で、前年度の当初予算額に比べますと、五十五億一千五百万円の減となっております。

 これをもちまして平成二十一年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

 以上です。

佐田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま浜田防衛大臣から申し出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

佐田主査 内閣府所管について審査を進めます。

 警察庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。原田憲治君。

原田(憲)分科員 自由民主党の原田憲治でございます。

 予算委員会分科会におきまして質問の機会をちょうだいいたしましたので、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 まず、最近、私の地元大阪で話題といいますか、問題になっております電動自転車、いわゆる電動アシスト自転車じゃなくて電動の自転車、エンジンのかわりにバッテリーで、こがなくても走る、その自転車が歩道を走り回っておる姿がテレビに映し出されて、問題になったこともあります。

 実際、これは大阪だけではないと思いますので、どれぐらいの数が流通しておって、町中でどれぐらい利用というんですか、走っているのかということについて、まずお尋ねをいたしたいと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの二輪車が全国でどの程度出回っているかということでございますが、これは残念ながら、現在、我々として把握しておりません。

 今後、各都道府県警察を通じまして、この種の二輪車の実態の把握に努めていきたいと考えております。

原田(憲)分科員 大阪では、南警察署管内ですか、二百台前後のいわゆる電動自転車が走っておるというような話もちょっと聞くんですけれども、歩行者に大変危険な状況を呈しておるということでありまして、何とか取り締まりができないかというお話もさせていただいたところであります。

 そもそも聞いてみますと、インターネット等に販売の実態があるようですけれども、どうも自転車として売っているのではなくて、おもちゃ、玩具として取り扱いがしてあるというようなことも見受けられるわけでありますので、ぜひこの実態を見ておいてほしいな、このように思っております。

 先般経産省の方へお尋ねをいたしましたら、自転車というのは長さが幾らまでで幅が幾らでと、そのいわゆる自転車でしたら歩道を走ってもいいというような基準というんですか、それが設けられておるようなお話をお聞きいたしたところでありますけれども、このいわゆる電動自転車というのは自転車ではない、玩具であるということなので、その対象にはならないというような話も聞いております。

 同じような乗り物、アメリカで話題になりました、小泉総理もアメリカから、ブッシュ大統領からだったと思いますけれども、プレゼントを受けられたセグウェイという乗り物がありますね。あれも同じように電動で動くわけですけれども、あれは同じように、公道上で走ったらだめよ、官邸の庭だったらいいですけれどもというようなことで、たしか総理が官邸の庭で試乗されておるのがテレビ等で報道されたところであります。

 問題のこの電動自転車なんですけれども、店頭販売されているものはどうも少ないようです。どれぐらいの数が売られておるかわかりませんけれども、実態もつかんでおられないということでありますけれども、どうも、一台一台見ていますと、普通に自転車屋さんで売っている電動アシスト自転車、ペダルをこぐ力を軽くするような、あの電動アシスト自転車よりも安いんですね。半分から三分の一ぐらいの値段で売られておる。安いですから簡単に買えるということで買っておるのではないかなと思っているんですけれども、今申し上げました販売の実態がなかなかつかめないということでもあります。

 もう一つは、そのテレビの報道で、大阪府警察におきましてはこれからそういう実態をつかんで取り締まりにも乗り出すというお話を聞いておるんですけれども、その取り締まりの実態はどうなっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 現在、大阪府警察におきましては、販売業者に対しまして、いわゆる電動自転車といいますか、それを販売するに当たっては、公道を走行できない、そういうものであるということを購入者に対して周知するよう指導しております。また、街頭で当該二輪車に乗車している人に対しましては、現在その旨の指導警告、いわゆる公道では乗れませんよというようなことを指導しております。

 今後は、この種の二輪車に対する取り締まり、これもやらなきゃいけないと思っておりますので、適用法令等について関係機関と調整して進めていきたいというふうに考えております。

原田(憲)分科員 これから取り締まりをしていくということでありますけれども、もう一点ちょっと聞きたいんですけれども、これは大阪だけの問題でしょうかね。ほかの都道府県でも同じような問題が起こっておるのか、大阪独自の問題なのか、ちょっとその点だけ教えてください。

東川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、全国的な実態についてこれから調査してみようと思いますが、いずれにしても、大阪ではそのようなことが、私も先生と同じようにテレビでその状況は見ましたけれども、それ以外の県で大きく問題になっているという報告は私のところでは受けておりませんけれども、いずれにしても、こういうものが広がるというのはやはり問題でありますので、全国的に実態を調査していきたいというふうに思っております。

原田(憲)分科員 ありがとうございます。

 この種の問題は芽のうちに摘んでおくというんですか、問題が小さいうちにやっておかないと、たくさんそういうものが走り出して世間的に認知をされてしまうと、法の網をくぐってというんですか、脱法的行為が正当化されてしまうというような心配も私はするわけで、その辺のところをきっちりとこれから取り組んでいただきたいと思います。

 これは警察庁というよりも、車両の何か基準ということになると国交省とも関係があることかもわかりません。原動機付自転車になるのか、あるいは、先般お話を聞きましたら、性能的に自動二輪になるのではないかというお話もお伺いをいたしたところでありまして、その辺のところをきっちりと役所間で話を詰めていただいて対応していただきたい、このように思うところであります。

 もう一つは、先ほど申し上げましたように、店頭販売というのが大阪の場合でもほとんど見受けられない。購入先というのはどうもインターネット、私もそのインターネットの画面を見ましたけれども、インターネットを通じての販売というようなことが多いようであります。

 その場合に、私、先ほど申し上げましたように、その画面に、これは自転車じゃありませんので承知おきください、公道では走れませんよと書いてあるわけですね。ところが、その同じ画面に、自転車の附属品のようなもの、後ろのかごとかそれからランプとか、そういうものを附属品として売っていますよという同じような画面があるわけです。これは明らかに自転車として乗ることを前提に売っていると思うんですが、法の網をくぐるために、これは玩具ですよ、だから自転車としては乗れませんよ、公道は走れませんよというような書き方をしておるのではないかなと思うんですよ。

 一方、自転車ですと防犯登録をしなさいよということですけれども、防犯登録もしなくていい。しなくていいというよりも、防犯登録はできませんよということも書いてあるんですね。どうもちぐはぐなんですよね、売っている業者さんが。

 走っている人を取り締まるのは警察の方でなさるのかもわかりませんけれども、もとを、輸入してきて売っているのか、どこ製が中心なのか、私はわかりませんけれども、そのものを売っている業者を何とか取り締まることができないものか。もとから絶っちゃえばそういう警察の取り締まりを必要としないわけですから、何とかもとから取り締まれるような方法はないのか、販売を中止するような方法はないのか、このように思うんですが、その辺のところはどうですかね。

 経産省の方に来ていただいていると思うので、ちょっとその辺のところもお聞かせください。

立岡政府参考人 御指摘の自走可能なペダルつき原動機付自転車につきまして、いわゆる道路運送車両法の規制に適合しないと思われる製品がインターネット等で輸入、販売されているということは、御指摘のとおり承知をいたしてございます。

 他方、現状におきましては、公道が走行できないということを明確にした上でこれらのものを販売するという場合におきましては、これについては法規制はございません。しかしながら、私どもといたしましては、消費者保護という観点から、公道が走れるんだという誤解を与えるような形での販売がされないように、警察庁等あるいは関係機関と連携しながらインターネット販売事業者に対して指導を行っていくというように考えてございます。

原田(憲)分科員 玩具として、要するに公道を走れないというものを前提にして売られちゃうとどうにもならないということですね。そういうお答えだったと思います。

 同じようなものが、法律に触れるようなもの、例えば盗聴器ですとかそういったものも、こういうことには使えませんよというようなことを言いながら堂々と、秋葉原の電気街ですとか、大阪でいうと日本橋とかいうところに売られているわけですよね。こういうものをやはり野放しにしておくというのは私はどうかなと思うんですよ。使っちゃいけないものが流通しているということはおかしいですよね。そう思いませんか。使っちゃいけないものが流通しているということは、私はおかしいと思いますね。

 これは極論かもしれませんけれども、人を殺傷する能力があって、人を殺しちゃいけませんよというようなことを言って販売しているようなナイフはないですね。そういう能力だけを持っているものというのは、今回も法改正をして、持っちゃだめですよ、売っちゃだめですよ、持っているだけで罰せられますよという法案ができたわけです。それと同じように、人に害を与えるおそれのあるものというのはやはり何か規制をしないと、このままのことでやっていきますと、それが当たり前のようになってしまって、私は問題になると思います。

 同じ自転車でも、自転車というのは環境に優しいという話で、京都の会議のときに話題になりましたけれども、今あちこちの観光地であるとかで走っていますけれども、自転車タクシーというのがありますね。あれも、本当は自転車ですから、二人乗りなんというのは法的には、二人というか、運転手と三人乗りになるんですかね、ちょっと問題ありじゃないかなという思いもするんですけれども、あれはちゃんと認められて、ベロタクシーという名前が、商品名かどうかわかりませんけれども、ベロタクシー、ベロタクシーと言っていますけれども、あれがちゃんと法に認められて、環境に優しい乗り物として活動しているわけですね。これはいいことだと思います。

 一方、やはり同じ電動のモーターサイクルというのがあって、これはちゃんと原動機付自転車として登録をして、町中で乗れるような形態を持っているものもあるわけですね。ただただ安くて楽をして走れるということだけで町の中へはんらんしてくるような状況になっておるということは、私は問題ではないかなと思っているんです。

 前にも経産省の方にお尋ねをして、これは国交省の関係の所管になると思いますけれども、同じように、自動車あるいは原動機付自転車や自動二輪車にこれをつけちゃったら車検は通らないですよ、登録もできないですよというようなものが町の何とかショップ、自動車の部品のショップで売られておるということを指摘させていただいて、その中の一つに、ナンバープレートをはね上げる、ステーというんですかね、取りつけ部分に簡単にナンバープレートをはね上げる装置を売っておった、こういう実態がありますよということを指摘させていただいたら、大阪府警察で先般摘発をした。これは乗っておる人だけを摘発したんじゃなくて、製造元まで踏み込んで摘発をしたという報道も見ました。私がたまたま大阪だから大阪府警でやってくれたわけではないでしょうけれども、そうやってやはり地道にやっていくことは、私は大事じゃないかなと思うんですよ。

 今度の電動自転車にしても、まだ幸い、けがしたとか、もっと最悪ですと自転車同士でも、あるいは自転車が歩行者とぶつかって死亡事故というようなことも起こっています。もしそういうことになればもっと問題が大きくなってきますから、大きくならないうちにどうぞ役所間で連携して、取り締まりというんでしょうか、乗っている人を取り締まることも大事だけれども、売る行為そのものを何とかストップできないだろうかということを強くお願いしておきたいと思います。

 これは売っているところはどこかわかりませんけれども、私が見たのは、インターネットの画面で見ていますよね。画面を提供しているところは恐らく、私の方は提供しているだけで、もとの責任は売り出しているところにありますよ、あるいは輸入のところにありますよという話かもわかりませんけれども、これで本当に通るんだろうかという思いがしています。ちょっと話が飛躍しますけれども、今問題になっている薬のインターネット販売も同じような問題じゃないかと思うんですよ。もし何かあったときにはだれが責任をとるのということまで踏み込んでいかないと、ただただ簡単に手に入るからということで購入して、それが違法なものであるということがまかり通っておるというのは、私は問題だと思うんです。

 大阪府の警察で取り締まりといいますか、摘発をするための努力をされておるということですから、何かお聞きをいたしますと、この自転車が何に相当するのか、原動機付自転車に相当するのか自動二輪に相当するのか、そういった問題もあるようですので、ぜひ、購入して分解して特定をするというところになると予算もないのかもしれませんけれども、それぐらいのことをしていただけるような方法を考えてもらえないでしょうか。これは警察庁でも経産省でも、お答えいただけますでしょうか。

東川政府参考人 お答えいたします。

 今先生おっしゃいましたように、この電動自転車なるものがいわゆる原動機付自転車なのかあるいは自動車なのかというのはその出力によって変わってまいります。ですから、いずれにしても、そういうものが無免許に当たるといった場合にどっちに当たるのかというのは、実際は車の種類を特定しなきゃいかぬということがあると思います。

 ただ、いずれにしても、それ以外にもいろいろな形での、先ほど申し上げました装備がついていないとか、あるいはナンバープレートも受けていない、当然保険にも入っていないでしょうから、我々としては、どういう形でそういうものを少なくしていく、減らしていく、あるいはそれによって、消費されないということであれば当然売る方も売れないということになりますので、これから、先ほど申し上げましたように、関係機関と調整しながら、またいろいろその取り締まりに向けてやっていきたいというふうに考えております。

原田(憲)分科員 やはり一つは、簡単に手に入る、安価だということが一番、一般の人が手を出しやすいところが問題だと思います。これがちゃんとしたものであるならば、あの値段では到底売れないと思いますね。方向指示器をつけたり、あるいはナンバープレートをつけるための装置をつけろとか、あるいはブレーキランプもつけなきゃならない。電動といいながら、私が一番心配するのは、ブレーキ性能がそれに合っているのかどうかということですね。それもチェックしていないということですから、全く整備不良車がその辺を走り回っているのと同じだ、このように理解をしておりますので、大阪府警察で取り締まりに向けて努力をするということですので、警察庁の方としてもしっかりと大阪府警察と協力をして、ぜひ応援をしていただきたい。

 大阪はひったくりが日本一だとか、犯罪の多い町だとか、何かいろいろなことを言われておるわけですけれども、さっき申し上げましたように、犯罪に対する取り組みというのはしっかりと大阪府警察もやっていただいています。経産省はなかなか難しいと言ったことも、大阪府警察の努力でそういった部品店が摘発され、製造工場というんですか、そういうところも摘発されたりなんかしていますので、その辺のところもありがたいと思っています。私も大阪府民ですので、大阪の安全、安心のために頑張っている大阪府警察ですので、しっかりと警察庁としても御支援をいただきたい。公安委員長にもよろしくお願いをいたしておきたいと思います。

 それから、まだ若干時間がありますのでお尋ねをしたいんですが、私の地元の阪神高速道路につきましてお尋ねをしたいんです。

 阪神高速道路池田線というのが大阪国際空港から池田市の木部町、我々はキノベ、キノベと言っていますけれども、そこまで延伸をされまして、その一部分に、退出路と流入路というんですか、その道路が取りつけられておるんです。

 私、かつて開通する前に視察に行きました折には、これは何に使うのと聞きましたら、高速道路の通行規制、大阪国際空港の滑走路のところを通るものですから、危険物を積んだ車は通行できませんよということで規制があるものですから、その車を取り締まったり、あるいは重量オーバーの車を取り締まったりするときにチェックをして、そこから本線に入らないように出てもらう、そのための道路ですと聞いたことがあるんです。

 調べてもらったら、もうその聞いた相手がどうもいないということなので、言った言わないの話になってしまうので、これ以上のことはちょっと言いにくいんですけれども、実際、道路は今もあるわけですね。その取り締まりや何かに利用すればいいと私は思うんですけれども、その辺、ちょっといかがかなと思いまして、お尋ねをするんです。

東川政府参考人 お答えいたします。

 阪神高速の十一号池田線、これは平成十年四月に木部町まで延伸されているということでございますから、そのありましたインターチェンジ付近のスペースにつきましては、大阪府警の方に確認したんですが、そういうものとしては大阪の方としても承知していないというようなことで、実際にその現場で取り締まりというのは、それがある以来まだ行ってはいないということであります。

 どういう形で利用できるか、安全に取り締まりができるのかどうかということも、現状のままだとなかなかそこを取り締まりに使うのは難しいんじゃないかというのが府警の意見でございますので、いずれにしても、活用できるかどうか、道路管理者、阪神高速の方と検討を行っていきたいというふうに大阪府警も考えておるということでございます。

原田(憲)分科員 わかりました。

 先ほど言いましたように、言った言わないの話になってしまうので、何ともこれ以上突っ込みようがないんですけれども、地元で、あれは何に使うんですかということを言われて、私は今のような話、あれは伊丹の飛行場、大阪国際空港の下を通ったらいかぬから、危険物の車が通ったらそこから出てもらうためにつくっておるんですよというような説明をしたものですから、自分でいささか責任を感じております。せっかくその出入り口があるんだったら、これはもう警察の問題じゃなくて道路管理者の話になろうかと思うんですが、交通の渋滞の緩和とかいうようなこともありますので、インターチェンジにでも利用すればどうかなというような、もともと車の出入りをするようになっている場所ですので、若干手を加えれば簡単ではないかなと思うんです。

 それともう一つは、今、一度も取り締まりをしたことはないですよということなんですが、やはり危険物を積んだ車が通れませんよということですので、これはやはり管理者と一緒になって、看板だけを立てておいたらいいというんじゃなくて、一度その実態調査を兼ねて、まず取り締まりということではなくて、実態調査を阪神高速道路会社の方に言っていただいて、本当にそういう走行車両はないのか、ぜひチェックをしていただきたいと思います。

 もう一件、その近くに箕面道路というのがありまして、これは大阪府の道路公社で運用している自動車専用道路ですけれども、そこもやはり同じように、危険物を積んだ車は通っちゃいけませんよというところですので、その辺もあわせてちょっと実態調査をしていただいて、せっかく付随している道路ですから、有効活用しないと、またこれは要らぬ道じゃないかとか言われるようなおそれがありますので、きょうは国交省の人が来ていませんので、お答えをもらうわけにいきませんけれども、ぜひ警察の方でお話をしていただけたらと思います。

 このことを要望いたしまして、私の質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

佐田主査 これにて原田憲治君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安次富修君。

安次富分科員 佐藤大臣におかれましては、答弁席に立っていただくということで、大変ありがとうございます。そして、ちょうど偶然にも、岸田先生、尾身先生も沖縄担当大臣を経験されておりまして、大変緊張しているところでございます。

 内閣府を初めとして、佐藤大臣や、そして岸田先生、尾身先生、歴代の沖縄担当大臣の御努力によって、沖縄はここまで発展をしてまいりました。心から関係者の皆さんに本当に厚く感謝を申し上げます。

 がしかし、まだまだ解決すべき課題も山積をしているということでございます。その一つがこの不発弾の問題であります。

 私は、県会議員時代からこの不発弾対策事業にかかわってまいりました。当時、那覇商工会議所の会頭、そして経済団体の代表が、今の知事である仲井真知事でありましたし、そこの専務理事が今の副知事の仲里さんでありました。三人でスクラムを組んで、何度も内閣府へ要請に参りました。そして、私も県会議員から国会議員にならせていただいて、経済団体の代表であった仲井真さんは知事になり、そしてそこの専務理事をやっていた仲里さんは副知事になったということで、ここで改めてもう一度不発弾対策事業に力を入れていこうということで、市町村長、そして磁気探査の事業者の皆さんと一緒になって、去年も強力な要請をしたところでございます。

 そして、新年度予算におきましては、佐藤大臣の事前大臣折衝の御努力によって、平成二十一年度は不発弾処理交付金の拡充、いわゆる不発弾の処理事業においては実質的な全額国庫補助ということをかち取ったということで、佐藤大臣の手腕と力量に改めて敬意を表するものでございます。これも長年の懸案でした。なぜあの戦争によって落とされた爆弾の不発弾を市町村が負担しなければいけないか、半分であってもですね。これはおかしいんじゃないか。これは全額当然、土のうを積んだり住民を避難させたりということは国がやるべきじゃないかと。

 本土の場合は何年に一遍しか不発弾というのは出てきませんけれども、沖縄の場合は二週間に一遍は住民が避難しております。こういうような状況の中で、処理事業においてこういう大きな前進を得た。さあ、いよいよこれから探査事業にも力を入れていこうというやさきに、起こってはならない事故が起こってしまったということなんですね。

 重機を運転していたオペレーターの古波蔵君は、本当に、こう言っては失礼ですけれども、あごも飛ばされ、そして視力にも支障を来すという重傷を負いましたし、また、その後ろにあった特殊老人ホームの偕生園というところもガラスがすべてめちゃめちゃに壊れまして、幸いにもこの高齢者の方々は各部屋から出て朝食の時間だったからけがには至らなかったんですけれども、これが午後であったり、また朝食前の早朝であったりなんかしたら、何十名という高齢者の方が被害に遭っていたということを考えると、本当にぞっとする思いでございます。

 今回のこういう事故を受けて、佐藤大臣におかれましては、不発弾等に関する新たな安全対策という策を打ち出していただき、その御努力に感謝するものであります。

 そこで、質問をいたしますけれども、この新たな安全対策として、事故の未然防止、それから今回の事故への対応、それから不発弾対策事業の拡充について、まずこの三点について御質問をいたします。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今、安次富先生のお言葉等々については、沖縄県民の皆様方の思いが集約をしているのではないかなというふうに感じさせていただきました。その上で、事故の未然防止に向けた具体的な方策につきましては、現在、沖縄不発弾等対策協議会において検討中でございますが、事前探査の原則ルール化や、不発弾等情報のデータベースの拡充などを図ってまいる所存でございます。

 まず、事前探査の原則ルール化につきましては、公共工事においては予備調査を必ず実施し、必要に応じて磁気探査を行うことを原則とするとともに、民間工事についても磁気探査に積極的に取り組んでいただくなど、安全対策への注意喚起を行うことが必要であると考えております。

 また、不発弾等情報のデータベースの拡充についてでございますけれども、関係機関や民間事業者の間で共有することや、不発弾等の埋没頻度マップ作成などを検討しているところでございます。

安次富分科員 大臣、今回の事故の対応について具体的に、その被害を受けた被害者に対して、そしてその被害を受けた特殊老人ホームの沖縄偕生園について、その対応策を聞かせてください。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今回の事故への対応につきましては、沖縄県において、先生先ほどお話をいただきました沖縄県不発弾等対策安全基金を創設していただき、その上で、被災した特別養護老人ホームや、重傷を負われた、先ほど先生のお話にございました方々に対して見舞金等の支払いを行ってまいる所存でございます。

 支援する場合の被害の範囲や支給額については、回復もまだということもございますし、今後検討させていただきますが、自然災害による人的、物的損害に対する見舞金や、災害復旧制度等を準用して支給することを考えております。

安次富分科員 これは緊急性があるわけです、実際被害を受けられているわけですから。ですから、速やかに県当局も、むしろ皆さんの方から、大臣の方から叱咤激励していただいて、県の条例等も設定しないといけないということでございますので、その先議案件として、今、県議会の真っ最中ですが、県にも早くその条例を通過させて、早くそういう被害者への対応をしていくという速やかなる対応をしていただきたいと思います。

 それから、この沖縄偕生園という特殊老人ホームは、ガラスが全部割れましたので、今ベニヤを張ってあるわけです。全部ベニヤを張っているので、暗いんですよ。そうしますと、この高齢者の方々、寝たきりの老人でありますから、精神的なダメージが大きいんですね。けがはしなかったけれども、あの後の精神的なケアというのも非常に必要になってくるというふうに私は思っております。

 せっかく、長寿なされて、この方々はあの悲惨な戦争を乗り越えて、今そういう老人ホームで安らかな生活をしておられるときに、ああいう事故が起きて、しかもその対応も、今ベニヤで応急措置をしておりますけれども、これは全く光が入らない状況ですから、私は非常に精神的にダメージが大きいと思っておりますので、またそこら辺のケアもよく考えていただいて指示をしていただきたいなと思うんですけれども、いま一度、大臣の御答弁をお願いします。

佐藤国務大臣 今、先生からお話にございましたように、県議会の対応もございまして、私ども、早急にということはしっかりと知事を初め執行部にお伝えを申し上げたいと思いますし、今おっしゃられたこと等々を踏まえて、なるべく早く機能するようなことを考えてまいりたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

安次富分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 さらに、磁気探査事業の拡充についてお聞かせいただきたいと思います。

 これは、今、国庫補助は各省庁ばらばらになっておりまして、農林省土地改良事業とか圃場整備事業とか、そういうものでは何割の補助、それから、道路整備においては何割の補助とかという問題もありますし、そもそも、探査事業を義務化すべきじゃないかということも、今回の事故を受けて、大きなうねりというか、大きな声となってきております。

 それからさらに、いわゆる磁気探査は金属にすべて反応するものですから、この研究開発、機器の性能を上げていかないといけない。そして、これが確かに不発弾である、爆弾であるというものを見きわめて、そして速やかに処理していく。今、深さ一メートルぐらいしか反応しない。これを、今回のこの事故は、道路事業の下から、水道管事業で爆弾に当たっておりますから、もう少し深いところまで磁気探査、磁気に反応するようなそういう研究開発をして、そこまでやらないといけないと思っておりますけれども、この磁気探査事業の拡充とその研究開発の支援等について聞かせていただきたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 先生がおっしゃられるように、沖縄になお不発弾が多く埋没している等の特殊事情にかんがみてみれば、今後とも効果的な、かつ効率的な事前探査に取り組みまして探査、発掘を加速化するとともに、不慮の事故が起きた際の緊急ルールが必要であるというふうに思います。

 まず、探査、発掘の加速化につきましては、不発弾等の埋没頻度マップの作成、そして不発弾情報のデータベースの拡充を行いまして、関係機関、民間事業者の間で共有することによりまして効率的な探査、発掘を行うことや、磁気探査に関する民間団体等の幅広い取り組みへの支援について今後協議を検討していただくことにしております。

 また、沖縄県の不発弾等対策安全基金の活用によりまして不慮の事故が起きた際の支援を行っていくこととしておりまして、支援の具体的なルール化に当たっては、先ほど申し上げたとおりでございまして、支援を行うことを考えております。

 そしてまた、民間工事における安全対策の支援を工夫したいというふうに考えております。具体的には、不発弾等情報をデータベース化して民間事業者と共有するとともに、民有地を含めて実施している広域的な探査発掘事業を加速する等の取り組みを行ってまいりたいと思います。

 なお、市街地などの磁気反応物が先ほどおっしゃられたようなことで多い場所での磁気探査の精度向上につきましては、探査機器の性能について製造企業等の努力によるべき部分が大変多いというふうに聞いておりますので、性能の高い探査機等々ができれば事前探査に活用し得るものと考えております。

 そして、総理からも、特に民間の事業等々、特に開発なんかをするところ等々には、優先順位をかんがみて、そういうところを国、県の探査の状況を踏まえた上でなるべく早く措置をしろという指示も受けておりますので、そういうこともかんがみて、できれば、不可能だとは思いますけれども、沖縄全土、だれが見てもわかるようなマップみたいなものが早急にできればいいなというふうに私は思っておりまして、今後、そういうことも含めて、だれがその開発をし、そこにたとえ民間のものができたとしても、常にそのマップを見れば把握できるようなもの等々を加速させていきたいというふうに思っております。

 それに、これから磁気探査の機器等々も、きっとそこに乗り込んでいただく企業等々の方々もかなり開発を促進していただけるのではないかという可能性も含めて私ども支援をしていきたいというふうに思っておりますので、先生の御意思を体して、一生懸命これからも頑張っていきたいというふうに思っております。

安次富分科員 前向きな答弁、ありがとうございました。

 まさしく、研究開発、そして公共事業、そして、今大臣がおっしゃられました民間事業へも拡充をしていくということで、ぜひお願いをしたいと思っておりますし、そして、沖縄全土にわたって安心、安全対策というものを、万全を期していただきたいと思っております。

 私は、国会議員になりましてから、沖縄の戦後を終わらせるということが私のライフワークであります。ですから、私は、基地問題を第一にして今取り組んでおります。基地問題でありますとか、旧軍飛行場の問題でありますとか、そして、こういう戦争の負の遺産、不発弾の問題でありますとか。

 大臣、爆弾は生きていたんですね、あの太平洋戦争、沖縄の地上戦で、鉄の暴風と言われて、落とされた六十三年前の爆弾が。今どきの若い者に、親でさえもあの戦争を乗り越えて生きてこられた、しかし、その息子は、六十三年前のあの爆弾で今回重傷になった。まさしく戦争は続いている、爆弾は生きていたんだということですから、沖縄の戦後はまだ終わっていないということを、私も本当に心痛な思いで、今回この事故を本当に悲惨だったなと思っている次第であります。

 最後に、この沖縄のいわゆる不発弾対策事業等々を初めとして、沖縄の戦後処理、そして、沖縄の戦後を終わらせ、そして新しく沖縄をどう発展させていくかということについて、決意をお聞かせいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃられることは十分に私ども理解をした上でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、不発弾等の対策は、戦後処理の一環として、国が責任を持つとともに、住民の安全確保の観点から、地方公共団体においても責任を持つという考え方に基づき行ってきたところでございます。

 内閣府は、このような国と地方の基本的な役割分担のもとで、本土と比べ大変量の多い不発弾等が存在する沖縄県の特殊事情にかんがみまして、探査発掘事業等について、補助率かさ上げなど本土に比べて手厚い支援の仕組みを設けまして、市町村への負担を大幅に軽減しつつ、積極的な取り組みを行ってきているところでございます。

 また、糸満市の不発弾爆発事故を受けまして、知事を初め地元から要請が寄せられ、もちろん先生からも要請をいただきましたけれども、総理からも御指示がありまして、去る十日、かなり私どもスピードを上げて、十日余りでこういう基金をつくらせていただいたということもぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、第二次世界大戦において、我が国で最も激しい地上戦を経験されたという沖縄の悲惨な歴史については重く受けとめておりますし、不発弾等対策は重要な課題との認識のもと、今後とも、特に安全対策の面を重視いたしまして、引き続き着実に推進してまいりたいというふうに思います。

 先ほど先生が、探査の話がありまして、一メートルという話がありましたが、私いろいろお話を聞く中で、一つの、ガイドの鉄柱を埋めて、ある一定のところにもう一本埋めて、その間を電気で通すという探査方法があるらしいというふうに伺っておりますが、その状況状況に応じて、埋まっている可能性があるとすれば、それを二メートル、三メートル、四メートルという話にして、十分に対応できるのではないかなというお話も聞いております。

 そういうことも含めて、本当に皆さんが安心して沖縄に住まわれるということを基本に私ども考えて、沖縄の特殊事情にかんがみということを主眼にこれからも対応してまいりたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

安次富分科員 ぜひ、佐藤大臣の今の思いを本当に具現化し、実行に移していただきますよう、大いなる期待を申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 去った二月八日に、浦添市の市長選挙がございまして、現職の儀間光男市長が三選を果たしました。沖縄県の中でも主要都市であります浦添の発展は、沖縄全体の発展にもまたつながると私は確信をいたしております。

 そこで、浦添市の西海岸開発についてお聞かせをいただきたいと思っております。

 国道五十八号線は、ちょうど浦添市の城間から勢理客というところにかけて、朝のラッシュは福岡を抜いて九州でワーストワンであります、朝の交通渋滞は。ですから、九州で一番交通渋滞を来しているこの国道五十八号線のバイパス道路、そしてさらに沖縄の産業や観光に寄与するということで、臨港道路と浦添北道路の早期整備というものが今急がれているわけでありますけれども、この臨港道路と浦添北道路の進捗状況や今後の見通しについてお聞かせください。

岡本大臣政務官 臨港道路の浦添線と浦添北道路につきましては、那覇港の各埠頭間の円滑な交通を確保することや、沖縄県で最も交通量の多い国道五十八号浦添地区の交通混雑の緩和と沿道環境の改善を目的として計画されているものと承知しております。

 臨港道路浦添線につきましては、その用地を埋め立てにより整備する浦添市土地開発公社が本年一月に工事着工したところであります。また、公社が埋め立てを行わない区間の道路構造について、国が埋め立て方式から橋梁方式への見直しに向けた設計等の検討を行っているところでございます。

 一方、浦添北道路につきましては、平成十八年度から事業化したところであり、現在、用地買収、測量、設計及び関係機関協議を実施しているところであります。

 双方の道路とも、引き続き、早期の供用を目指して事業を推進し、地域の交通の円滑化に努めてまいりたいと思っております。

安次富分科員 この道路は、沖縄総合事務局等々もずっと推進しているはしご状道路のはしごの柱をなす部分でありますから、これは重要な幹線道路となりますし、それをつくることによって、西海岸と東海岸を結ぶ、はしごの横の役目をする道路の整備にもまたつながってくるということでありますので、那覇空港から沈埋トンネルを通って、浦添臨港道路を通って、そして読谷村までの道路の全行程での早期完成をぜひお願いしたいと思っております。

 そしてまた、キャンプ・キンザーに隣接しているわけでありますけれども、キャンプ・キンザーの返還を待たずして、五十八号線側をセットバックして、五十八号線を六車線から八車線にするというようなことも、一時、総合事務局等々でも検討されていたと思いますので、これもできる限り早く具体化をしていただきたいと思っております。

 次に、西海岸の埋め立てによります自然保護対策についてです。

 埋め立ては西海岸開発にとって欠かせないものではございますけれども、やはり、沖縄の自然保護というのもまた大事であります。特に、国の天然記念物でありますオカヤドカリの生息地だというふうにも聞いておりまして、こういうオカヤドカリ等を初めとする沖縄の希少生物の保護対策をやりながら、開発と自然保護のバランスをとっていく必要があると思いますけれども、その件についてお聞かせください。

岡本大臣政務官 浦添市土地開発公社が埋立免許取得に際しまして実施いたしました環境影響評価手続の中で、道路構造を一部橋梁に変更するなど環境への負荷を小さくすることを求める県からの意見が出たと聞いております。これに対し、公社は、知事意見を尊重した計画に変更するなど事業者として実行可能な範囲で環境影響を回避または低減しており、環境に配慮した事業であると認識しております。

 国といたしましても、環境に配慮すべきとした県や浦添市の意向を踏まえ、一部区間について橋梁方式への変更に向けた設計等の検討を行っているところでございます。

安次富分科員 今申し上げましたように、いわゆる希少生物や天然記念物等もあることですから、どこから見ても立派な開発事業である、そしてきちっと自然保護対策もやっているということで進めていただきたいと思っております。

 最後に、キャンプ・キンザーの返還をにらんだ産業集積等の支援についてお聞かせ願いたいんです。

 米軍再編、トランスフォーメーションによって、嘉手納以南はすべて返還をする、普天間は名護に移設するという中で、特にキャンプ・キンザーは那覇のハブ港湾と隣接をしておりますので、これから、いわゆるキャンプ・キンザーそのものはサプライ施設でありますけれども、そういうようなアジア全体をにらんだ、ハブ港湾と連動させた跡地開発等々も必要になってくると思いますけれども、その点について、沖縄振興開発の側面から、キャンプ・キンザーの跡地開発というものをどう認識し、それをどう生かしていこうとなされておるか、聞かせてください。

佐田主査 時間が終わっておりますので、簡略にお願いします。

原田政府参考人 浦添市におきましては、内閣府の支援のもと、牧港補給地区、いわゆるキャンプ・キンザーでございますが、跡地利用計画の策定に向けて、今年度、基本構想の策定のための基礎調査を実施しているところでございます。今後、計画の策定が円滑に進むように引き続き支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 先生御指摘のとおり、浦添市西海岸地域は、港湾機能を有し、発展のポテンシャルの極めて高い地域であると認識しておりまして、計画に基づく跡地利用の実現のため、周辺地域の土地利用も含めまして、地元自治体とも十分連携してまいりたいと考えております。

安次富分科員 終わります。ありがとうございました。

佐田主査 これにて安次富修君の質疑は終了いたしました。

 次に、越智隆雄君。

越智分科員 自民党の越智隆雄でございます。

 きょうは、少子化対策についてお伺いしたいと思いまして、小渕大臣に御足労いただきました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、小渕大臣にはお二人目のお子さんができたという話をお伺いいたしました。まず冒頭に、お祝いを申し上げたいと思います。おめでとうございます。

 また、お一人目はたしかおととしの九月にお生まれになったということで、まさに今子育て真っただ中で、かつ、これから御出産ということでありますから、そういう中で、少子化対策に取り組まれているということは、我々国民にとっても、議員にとっても、大変頼もしい限りでございますので、本当に一生懸命取り組んでいただきたいというふうに思います。

 実は、かく言う私も、昨年初めての子ができまして、今、子育て真っただ中、子育て世代でございますので、少子化対策について今まで以上に一生懸命やっていきたい。そんな中で、きょうは質問させていただくわけでございます。

 同じような子育て世代の方々から、いろいろな意見を聞きます。そうすると、子育て政策は、前に比べるといろいろな意味で充実してきたという部分もありますけれども、また一方で、まだまだ足りないという部分もあります。

 大臣は、御就任になったときに、皆様とともに悩み、ともに歩み続ける大臣でありたいというお話もされておられまして、また最近、プロジェクトチームを立ち上げられたということでございますので、子育て世代の代表の大臣に、一つずつお伺いしていきたいと思います。

 まず一つ目が、小一の壁という問題であります。

 この問題は、話を聞けば聞くほど深刻な問題だなというふうに思うわけでありますけれども、出産を迎えて約七割の方が仕事をやめるということでありますけれども、その後、また仕事に戻ってくる方もいらっしゃるわけでありまして、出産五年後では五一%ぐらいの方が仕事に戻っている。ただ、この方々に待ち受けているのが小一の壁だと思います。

 未就学児童の場合は、待機児童ゼロ作戦などさまざまな形で対応がされてきておりますけれども、小学校就学後については、児童クラブなどありますけれども、まだ十分に整備されていないということだと思います。

 いろいろと話を聞いていく中で、どんなことを感じているかというと、まずは、新たな待機児童ということで、実際に児童クラブなどに入れないという問題もありますが、ただ一方で、現実問題として、学校に行った場合、保育所に比べると預かってくれる時間が短くなっちゃうという問題と、あと職場の方でも、育児休業等の制度が就学をした場合に使えなくなるケースが多いので、預かる時間も短くなって、仕事の時間は長くなるというダブルパンチの中で、小一の壁という問題をそれぞれの方々が対処されているんだというふうに思います。

 この小一の壁の問題について、大臣の御見解、お取り組みについて、教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。

小渕国務大臣 ただいま委員が御指摘になりました小一の壁でありますけれども、この問題につきましては、今、保育所に対するニーズも大変多くいただくんですけれども、それと同様に、多くの皆様方からたくさんの声が寄せられていることでありまして、大変重要な問題であると認識をしています。

 先ほどお話がありましたように、私自身も現役の母親でありますので、自分自身の経験を仕事に生かしていくということとともに、やはり多くの皆様方、当事者の方々からの御意見を伺い、そうした視点を大切にしていきたいと考えておりますけれども、先ほどお話がありました放課後児童クラブにおきましては、開所時間の問題など、そのあり方について利用者から本当に多くのニーズが寄せられていることであり、そうした声にこたえられるべく、柔軟なサービスが提供されるようにしたいと考えています。

 現在、運営費の国庫補助の中に長時間開所加算を設けて、開所時間の延長を支援しているところでありますけれども、今後とも関係省庁と連携をして、より利用しやすい制度となるように改善を図っていきたいと考えております。

越智分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、しっかりと取り組んでいただけたらありがたいと思います。

 ある数字を見ましたら、六時までで終わる児童クラブが五一%、七時までが三九%、七時以降までやっているところは四%ということで、保育所ですと八時、九時まで延長保育をやっていますので、仕事を五時、六時までやって、帰ってくるともう終わっているという児童クラブが多いという話を聞きますので、ちょうどあと一時間、二時間の問題だと思うんですが、ぜひ対処していただけたらありがたいと思います。

 また、かたがた、小学生になったお子さんを持つ母親の短時間勤務、このことについても制度を今つくられているという話を聞きますけれども、これについて、ぜひまた御検討いただけたらありがたいというふうに思います。

 次の点は、マンション保育所についてお伺いしたいと思います。

 小渕大臣は御出身が成城大学だということで、世田谷区の中で成城の地域は砧地域といいますけれども、あの北側が烏山地域、南側が玉川地域といって、環状八号線の周りの地域なんですが、実は、この地域が最近マンション建設ラッシュでございます。

 マンションに住んでこられる方の一定割合が二十代後半から三十代、四十代の子育て世代で、マンションができると保育ニーズも高まるというセットで数字がふえるわけでありますけれども、こういった問題は、数年前は江東区で大変大きな問題になって、対処をされたと思いますし、全国の都市部を中心に、どこでもマンションの新築による保育所不足問題というのは起きているんじゃないかなというふうに思います。

 民間マンション業者の中では、最近、何か認可保育園を中につくるということで、需要を喚起しながらマンションを販売していくというところもあるようでございますし、自治体もいろいろな取り組みをしているようでございますけれども、子育て世代の人口がふえると自動的に保育ニーズがふえるわけでありますけれども、これに何かうまく対処する方法はないのかどうか、この辺についてのお考えをお伺いしたいと思います。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 そうした大規模マンションができますと、急激に保育のニーズがふえるということになりますけれども、保育所の新設や定員の拡大といったこれまでの取り組みだけでは、本当に急激に保育の需要が増加いたしますので、対応するにはやはり限界があるのではないかと考えています。

 そうした中、保育所の量的拡充に加えて、保育ママや認定こども園など、地域の事情に応じて、活用可能な保育サービスの手段の多様化を進めているところであります。

 また、第二次補正予算で創設する一千億円の安心こども基金、これによりまして、都市部の事情に配慮した、賃貸物件による保育所の整備をしやすくするための補助を新設するなど、スピーディーに保育需要の増加に対応できるような工夫を行っているところであります。

 各自治体においては、こうした大規模マンションの建設などの地域の事情に応じて、こうした取り組みを積極的にぜひ活用していただくことにより、こうした保育の需要の増加に対応していただきたいと考えております。

越智分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、保育所以外の保育ママ、こども園等々の多様化の中で、対処していただければありがたいと思います。

 ただ一方で、現実問題として、保育所をマンション内に設置して建設しながら、実際にそこのマンションを購入したら保育所がいっぱいで入れなかったとか、かなり想定を超える現実がありますし、また、マンションに一度住まわれた方はそれほど頻繁に売って別のところへ行ったりということは考えられないと思うので、もしかしたら一時的に五年、十年のニーズの高まりがあって、その後またニーズが戻るとか、そういったダイナミックな視点でも考えなきゃいけないかなというふうに思いますけれども、ぜひこれについても、私も一生懸命取り組んでいきたいと思いますが、いろいろと政府の方でも御支援よろしくお願いしたいというふうに思います。

 それでは、三点目でございますが、仕事をしているかしていないかということと子供の数ということをどう考えるかという点について、これは内閣府の方で数字を教えていただければありがたいと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立社会保障・人口問題研究所が行っております出生動向基本調査、結婚と出産に関する全国調査によりますと、一歳以上の子供がいる夫婦につきまして、妻が継続して働いているか、または専業主婦であるかといったような、妻の就業経歴と出生子供数の関係については、分析といたしましては大きな差は見られない。年齢階層別に、若干微差で、逆に働いている方の方がむしろ少なかったりとか、基本的には同レベルで、いわゆる統計的に有意な大きな差は見られないという分析がございます。

 なお、先生先ほどおっしゃいましたとおり、ほかの調査におきまして、いわゆる第一子出産前後の継続就業率、まさにおっしゃいましたとおり、第一子出産を機に七割の女性が離職をされておるといったようなデータもございまして、女性の就業継続は依然厳しい状況にあるということをあわせて申し上げさせていただきます。

 以上でございます。

越智分科員 今の御説明の数字について、大臣、ちょっと御感想といいますか、要は、お母さんが仕事をしているかしていないかという問題と子供の数、この辺は結構いろいろな要因があるというふうに思っております。

 どういうことかといいますと、今、共働きの夫婦が半分以上になったというふうに聞いておりまして、母親が働く理由を考えますと、まず経済的な理由で考えますと、一つには、所得を得るため、生活のために働かなければならないという方もいらっしゃるでしょうし、また、働くことで経済的にプラスになって、それで育児を賄うというふうなことで、育児のためにまた働いているという方もいらっしゃるでしょうし、また、働くことで育児がよりいろいろな意味で楽になるといいますか向上するというような、いろいろな面があると思います。

 一方で、経済的な面じゃなくて、育児負担という意味で考えると、日本では、三つ子の魂百までという中で、三歳までは自分で育てたい、家で育てたいという方々もいっぱいいらっしゃるというふうに思います。ただ、それ自体、育てることが喜びであると同時に、ある方に言われたのは、家でずっと育てていることが逆に負担感になって、それで二人目、三人目を産むことに対するちゅうちょにつながるというような考え方もあるんだという話もございました。

 また一方で、保育所に預けるということは、預けること自体、いろいろな制度を探したり、いろいろな手間がかかりますから、大変な労力が必要かもしれませんが、ただ預けることで、先ほどの負担感みたいなものが、健全な形でですけれども、軽減するというような効果もあるというふうに思います。

 この辺、私思いますのは、ある調査によると、三歳未満の子供を持つお母さんのうち五五%の人が働きたいというふうに言っていると。こういう人たちが、しっかり預けられて、しっかり働けて、そして、このことに負担感を感じずに、第二子、第三子を産んでいけるというような世の中になったら、多分、少子化問題というのは大分改善されていくんじゃないかというふうに思うわけであります。

 この辺にかなり国民の心理的な、お母さんの心理的な問題があるというふうに思うんですけれども、この辺について何か思いがあれば教えていただけたらありがたいと思います。

小渕国務大臣 今御指摘がありましたように、働いているお母さん、また、働いていないお母さんがおられますけれども、どちらにとっても、いろいろな形で子供を育てることに、それぞれ負担を感じながら育てているということを、私もいろいろなお母さん方の声として聞いておるところであります。

 先ほどお話がありましたように、働いていないお母さんの中にも、子育てが少し手が離れたら働きたい、また保育所に入れるようだったら働きたいと思っているお母さん方も多いということなんですけれども、今、子育ての環境はどうなっているかというと、例えば、もう一人産みたいとか、仕事をしながら子供を育てたいとか、そういう皆さん方のニーズがありながらも、その声に十分にこたえていけない社会環境なのではないかと思っておりまして、そこら辺を改善しなくては、やはり少子化対策としても本当の問題解決にならないのではないかというふうに思っています。

 先ほども委員御指摘になりましたように、一人目の子供を産んだときに約七割の人が仕事をやめているということであります。本当は仕事もしたいし子供も産みたいのに、どちらかをあきらめなければいけないという状況は早急に改めなければいけないと思っています。

 政府といたしましては、やはり保育所の整備を緊急に進めていくとともに、育児休業の制度を充実させていくこと、そして、仕事と生活の調和をしっかり整えられるようにワーク・ライフ・バランスの推進をしていきたい、このあたりをスピード感を持って取り組んでいきたいと考えています。

越智分科員 ありがとうございました。

 それでは、ちょっと別の観点からお伺いしたいことがございます。

 これはどういうことをお伺いしたいかというと、少子化対策でさまざまな施策を今とられていると思います。一方で、いろいろな施策、保育ニーズへの対処とか、そういった施策とは別の形で家庭や地域のきずなを再構築していこうという動きもあると思います。

 元来、子供たちは、家や地域といったコミュニティーの中で、ただで安全に遊んできたという世の中があったわけであります。私が小さいころもそういう世の中だったと思います。それが、今はそういった保育所等の施設で廉価で安全に預かってもらうと。これは多分、根底には、核家族化という問題とかあるいは地域の安全が崩れた、こういった問題があるというふうに思うわけでありますけれども、片方で少子化対策の施策はずっと進んでいく、また他方では、家族、地域のきずなを深めていこうという取り組みが行われていく、このバランスをどう考えるのかという、ちょっと哲学的なお話になってくるかもしれませんが、この辺のお考えについてお伺いしたいと思うんです。

 というのは、保育所のニーズについては今もいろいろとお話がございましたが、年間三万人ぐらいずつずっと定員がふえていっている中で、常に二万人前後の待機児童がいる。ですから、潜在的なニーズが顕在化してきているという中で、とりあえず量的な対処といいますか、量的に定員はどんどん確実にふやしているわけであります。

 また一方で、質的な問題についても、あるお母さんに言われたことがあるんですが、小学校には六年間預けます、小学校に行くまでのいわゆる未就学の保育の期間も実は六年間あるんです、ですから、小学校を選ぶのと同じぐらい、保育の環境というのも自分で吟味して選びたいんですと。自分がフルタイムで働こうと思ったら、そこまで考えたいんですと。

 ただ、保育のそういった環境については、まだそこまで選べるまでの環境は整っていないので、そこを高めてほしいという中で、例えば、逆に認証保育園のいろいろな問題が出てきてしまったり、先ほど保育ママのお話がございましたけれども、そういった認可保育所以外の保育施設の質的な問題に対するニーズも高まってきて、いろいろと対処はされているというふうに思っております。

 それを解決しようという中で、新待機児童ゼロ作戦ですか、かなり大胆な目標を掲げられて、三歳未満では十年間で三八%、保育サービス提供割合をふやしていこうという話であります。

 何を申し上げたいかというと、そういった少子化対策については、今までいろいろと課題もありましたけれども、解決をしながら、かなり高い目標を政府として今掲げてやっていらっしゃるという一方で、おととしぐらいから、家族・地域のきずなを再生する国民運動とか、そういった従来の日本社会が持っていた機能を取り戻そうという動きと、二つ動いているわけでありますけれども、政府の方は最終的にどういうバランスを考えていらっしゃるのかなと。

 というのは、もし三八%の保育サービス提供割合が実現されると、逆に、家族、地域のきずなを取り戻そうという動機づけは薄れてしまうんじゃないかという思いもございますし、この辺のバランスについてどうお考えか、ちょっと教えていただければと思います。

小渕国務大臣 核家族化あるいは都市化が進展いたしますと、これまで家族や地域社会が持っていた子育て支援の機能が弱まっていると言われています。やはり子供の健やかな成長のためには、社会全体で子供を見守り、また支えていくことが不可欠であると考えておりまして、そのためには、社会構造の変化を踏まえた地域社会の再生が必要であると考えております。

 しかし、地域社会の再生をしていくことも一方で大切でありますけれども、先ほど申し上げましたように、保育所のニーズが大変高まっている中で、こちらもしっかりと整備をしていくことが重要であると考えておりますし、十年後には三八%というお話がありましたけれども、もう少しスピード感を持って、今回の安心こども基金によりまして三年間で十五万人の保育所等の整備をしていきたいと考えておりますけれども、そのことと地域社会の再生ということが決して相反することではなく、両方ともしっかりとニーズにこたえた形で伸びていかなければならないのではないかと考えています。

 しかし、それぞれが独立した形で違う方向を向いて伸びていくということではなくて、保育所に関しましても、ただ単に子供を預かるということだけでなく、地域の子育て支援の拠点として保育所に積極的な役割を果たしていただきたいというふうに考えておりまして、そのための事業も今行っているところであります。

 子供の存在があることで、また、地域に子供の声が響き合うことで、周りの皆さん方や家族以外の方々にとりましても大変元気がわいてくることであり、子供を通じて人と人との結びつきが広がっていくというふうに考えておりますので、保育の整備とともに、地域社会の再生というものも車の両輪としてしっかりやっていかなければならないと考えております。

越智分科員 ありがとうございました。

 この二つの問題をウイン・ウインの形で持っていけるんじゃないかという御答弁だったと思います。ぜひそうしていきたいというふうに思います。

 ただ、私がなぜこんな質問をさせていただいたかというと、少子化社会白書の「個人の実現度指標の推移」というのがありまして、時系列で、自分が実現できていると思うことの割合を出していっているものなんですが、ここ数年家庭生活と仕事・働き方が実現できているというのが右肩上がりの傾向を示しているんです。一方で、地域活動、社会活動の実現度というのはここ数年落ちていっているものですから、ウイン・ウインの形にできるというのが一番いい形だと思いますが、逆に、施策が伸びれば伸びるほど地域がしっかりしていなくなるというのは困る問題でございますので、うまくこの辺のバランスをとっていただけるようにお願いしたいというふうに思います。

 次の質問は、職場環境の問題について、子育てフレンドリーな職場環境をどうつくっていくかという話でございます。

 母親、お母さんの皆さんと話をしていてよく出てくる話は、うちの会社は制度はあるんだけれども、なかなかその制度は使えない、特に子供が大きくなればなるほど使いにくくなるという話があります。これは、実際に出産された、子供を持たれたお母さん方にもちろん影響がある問題でありますけれども、これから子供を持とうという方々にも、ちょっと何年か先輩の方々の様子を見ていて、うちの会社は制度はあるけれども使えないとなると、やはりそこで出産をちゅうちょするんじゃないかというようなことも感じるわけでございます。

 そこで、制度を整備していく中で、職場の風土といいますか、そういったものを実態的にどうやって変えていけるのかということなのであります。このことについては、お父さんが子育てに参加をすると母親もしやすくなるんじゃないか。上司の男性がちょっと子育ての期間なので早帰りしますと言ったら、そこの職場の女性も早帰りしやすくなるんじゃないかというような話もございますし、政策的には、最近出てまいりましたパパ・ママ育休プラスとか、あるいは、北欧ではパパクオータとかママクオータというような話があるようでございます。

 この辺の職場風土、職場の雰囲気を実態的にどう変えていけるのかということについて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

小渕国務大臣 その点につきましては、まさに委員の御指摘のとおりでありまして、制度はあるんだけれども、職場の雰囲気や上司の理解がなくてなかなかとれないという声があるのが現実であります。これは男性も女性もあわせてそうでありまして、例えば男性におかれましては、育休を取得したいと考えている男性は三割いると言われているんですけれども、しかし、実際に取得した人は一・五六%ということであります。

 こうしたことを改善していくためにはどうしたらいいのか、私自身も頭を悩ませているところでありますけれども、やはり企業のトップの方々の意識が変わっていかなければそうした理解というものは生まれていかないのではないかと考え、私自身、経済団体や個別の企業を訪れて、育児休業を初めとする仕事と生活の調和の大事さというものを訴えておりますし、そうしたものを取り入れたことによって随分と成功している企業もある。また、一人一人のそうした人材というものは会社の宝でありますので、そういうお休みをとったからこそ、会社に対してより愛情を持って仕事を頑張るというような方々も大勢いらっしゃいますので、そうしたものをとることによって、企業にとってもプラスになるということを皆様にお訴えさせていただいているところであります。

 先ほど委員からもお話がありましたように、パパ・ママクオータ制度の導入など、育児休業法の改正も準備をしておりまして、制度面からの充実も意識改革につながるものと期待をするところであります。

 こうした取り組みによりまして、社会全体の機運の醸成を図り、希望する人が気兼ねなく育児休業を取得できるような社会を実現できるように頑張ってまいりたいと考えております。

越智分科員 ありがとうございます。ぜひその企業の雰囲気を、職場の雰囲気を変えていっていただきたいというふうに思います。

 それでは最後に、ワーク・ライフ・バランスについてお伺いしたいと思います。

 このワーク・ライフ・バランスについて、ワーク・ライフ・バランス憲章の中に「いま、我々に求められているのは、国民一人ひとりの仕事と生活を調和させたいという願いを実現するとともに、少子化の流れを変え、人口減少下でも多様な人材が仕事に就けるようにし、我が国の社会を持続可能で確かなものとする取組である。」というふうに書いてあります。

 ですから、個人レベルで見たときに、仕事と生活のバランスをよりよくして、まず生活の質的向上を図るという問題と、もう一つは、社会全体で見たときに、仕事と生活の両立を可能にすることで、就労者の数をふやしたり、働く人の数、時間をふやして、結果的に人口減少社会でもちゃんとこの日本が持続可能な形で生き延びていけるようにということが書かれているものだというふうに思っております。

 ただ、ここで大変難しいなと思っておりますのが、片方だけ、生活の質的向上だけを追い求めてしまいますと、実際には就労時間が短くなるだけで、全体の労働力が減ってしまうというような話もあるわけでありますから、ここは働くということを魅力的にして就労者数をふやしていくということで、結果的に全体のボリュームがふえていくということだというふうに思います。

 これは数字で見てみますと、今まで数十年間、それなりにうまくできてきているのかなという思いがいたします。というのは、最近、非正規比率の高さが問題になりますが、実はここ二十年ぐらい、正規雇用の数は三千数百万人でずっと推移してきて、大幅に減っているわけじゃない。要は、非正規がふえたから正規が減っているというわけじゃなくて、正規がある程度根雪のように、三千数百万人である上に、ここ二十年間で非正規が七百万人ぐらいから千七百万人ぐらいにふえているという現実があるわけでありまして、このふえている分というのは、多分働き方が多様化したですとか、あるいは女性の社会進出ですとか、そういった流れの中で実現できてきているものだというふうに思っております。

 結果的に、このワーク・ライフ・バランスの向上を追求していく中で、正規、非正規問わず、いろいろな働き方が可能になってきて、喜んで働こう、あるいは働きたい人が働けるというチャンスがふえるということが国の将来に結びつくんじゃないかというふうに思っておりますが、このワーク・ライフ・バランスについての大臣の考え、思いを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

小渕国務大臣 ワーク・ライフ・バランスの実現は、労働者の生活の質の向上だけでなくて、従業員の意欲と能力を最大限に発揮できる環境を生み出していくだけでなく、また、経営の効率化や生産性の向上を通じて、不況下であっても企業の業績回復に資するものだと考えております。

 また、委員の御指摘にもありましたように、多様な働き方が可能になることによりまして、より多くの方に雇用の機会を提供することにもつながっていくと考えております。

 こうした効果をしっかりと企業のトップの皆さんや国民の方々にぜひとも御理解をいただきたいと思いますし、このワーク・ライフ・バランスの実現に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

越智分科員 大変ありがとうございました。

 大臣は、ことしに入ってから、ゼロから考える少子化対策プロジェクトチームというのを立ち上げて、これからいろいろとプロジェクトを進めていかれるというふうにお伺いしていますが、少子化対策は日本の未来を担う政策でございますので、ぜひ一生懸命取り組んでいただきたいと思います。

 きょうは、ありがとうございました。

佐田主査 これにて越智隆雄君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。福田峰之君。

福田(峰)分科員 よろしくお願いします。

 無駄遣いをしたいと思って国家公務員試験を受けてこの難関を通って入ってくる人というのはまずいないと私は思うんですね。でも、残念だけれども、国民の皆さんから見るとまだまだ無駄遣いが多いんじゃないかという指摘がさらに強まってきている気がしてなりません。

 ここで言う無駄遣いとは、会計検査院法第二十条で言うところの経済性、効率性及び有効性の観点から見たときに、有効に税金が使われていないということを前提とさせていただきたいと思っています。

 低成長の時代になって、税収は少なくなって、少子高齢化の社会、こうした時代認識からすれば、限りある財源をいかに使っていくかというのは本当に重要な課題だと思っています。まさに選択と集中ということが問われる時代になったのではないかなと思います。

 昨年、自民党も、政調に無駄遣い撲滅プロジェクトチームというのができて、各省庁の一つ一つの事業を精査して、本当に必要なものは何だろうかという議論をしてきましたが、これは会計検査院がやっていることと似ているといえば似ているような作業を私もやらせていただきました。

 要は、税金をいかに有効に使うかということが国にとって一番重要な課題だと思っています。そこで、まず、所感で結構なので、なぜ、本来国益を考えているはずの公務員のこうした無駄遣いが、国民の皆さんから見たときに無駄遣いというのが横行していると考えられるのか、所見をお願いします。

西村検査官 お答えいたします。

 検査院は、委員御指摘のように、院法二十条で五つの観点から検査をしております。

 そういう中で、これまでの検査で各省の事業について見てきたところから今のような御質問にお答えいたしますと、やはり一つには、一部の職員等において、適正な会計経理を執行するという意識が乏しいというものもあると思います。これは、先ほどの観点のうちの合規性に反するというようなものでございます。

 それからもう一つは、経済性、効率性、有効性というような観点がございます。これは、恐らく、事業を始めたころはそれなりの意義があったものが、その後の社会経済情勢の変化、技術の変化とかいろいろなサービスが民間で改善される、そういうような中で、そういうものに各省が適切に対応していないというようなことがあるのではないか。

 それからまた、各省において、当然、そういう非効率あるいは不正等について、内部の監査、内部の統制というものもあるわけでございますけれども、こういうものも必ずしもまだ十分ではないというようなことではないかと考えております。

福田(峰)分科員 確かに、一般的に公務員の皆さんは一生懸命働いていると思うんですね。手を抜いて働いている人というのは余り見たこともないし、ちょっと社会保険庁は例外かもしれませんが、基本的にはみんな一生懸命働いているにもかかわらず、国民の皆さんから無駄遣いが多いと指摘をされなければならない国家公務員の立場も非常に寂しいものなのではないかなというふうに思うんですね。

 それで、モチベーションを下げずに、本当に国益を理解して、例えば、振り返ったときに、今までやってきた事業、今おっしゃったように、時代とともに役割がなくなったのではないかということを一人一人が振り返って、やめる勇気、その事業をやめようという勇気、それで、あるいはほかのところはさらに進めよう、こういう勇気を持つ公務員がたくさん出てこないと、なかなかこの問題というのは解決できないんじゃないかなと思うんですね。

 いろいろな予算審議を聞いていますと、理屈があるからいいんじゃないかとか、やらないよりやった方がいいとか、要は、基準が、私たちから見ますと、いわゆる絶対評価、やらないよりはやった方がいいんじゃないかとか、そういう価値基準によって物事が各省庁によって判断をされているんじゃないか、そういう懸念を覚えるんですね。

 私は、限られた税金ということは、やはりこれは相対評価であるべきだと思うし、こっちよりもこっち、そういう概念で本来考えていくべきだと思うんですが、会計検査院の側から見ると、予算に対する執行あるいは計画において、これは絶対評価で個々が考えるべきなのか、あるいは、そうは言っても相対評価で一つ一つを各省庁が見ながら考えるべきなのか、本来どうあるべきだと考えますか。

西村検査官 お答えいたします。

 今委員言われましたように、絶対評価と相対評価ということでございます。

 絶対評価というのが、ある事業につきまして無駄かどうかというような観点、それから相対評価というのが、限られた予算の中で優先度を見て本当に効果があるのかどうか、そういうような評価だといたしますと、検査院のこれまでの検査では、例えば経済性等におきましては、法令に定められて行っている事業が、検査院から見たら、もっとこういうやり方をすれば経費が節減できるではないかというような事例もございます。こういうのは絶対評価というようなことになるんだろうと思います。また一方、予算の執行の中では、当初はいろいろとそういう事業の実績があったとしても、その後余り実績がない、それから、技術の進歩等で余り使われなくなったというようなものもございます。こういうものは恐らく相対評価ということになるんだろうと思います。

 したがいまして、検査院としては、その両方の事例があるのではないかと考えております。

福田(峰)分科員 すごく難しいなと思うのは、個々の省庁が絶対評価で物事を見て予算を執行してしまうと、結局、足りないものはどこかから借金すればいいとかそういう話になりかねないので、私は、やはりあくまで全体としてのトータルバランスの中で考えていく視点が大切だと思うんですね。

 右肩上がりの経済、税収増あるいは人口増加、こういう時代は、私は確かに絶対評価の要素が高くても多分済んだんじゃないかなと思うんですけれども、これからはなかなかそうはいかない。こっちから無駄を省いてこっちに、新しいところに張りつけていくという作業が必要になるわけです。

 こういう、時代が変わった中で、特に百年に一度の経済が大変だと言われている中で、税収は減ることが想定されるわけです。税収が激減することが想定される中で、では、会計検査院は、平成二十年度、昨年と、ことし、二十一年度、取り組む姿勢というものは去年とことしと来年とどう変えようとしているのか、教えてください。

西村検査官 お答えいたします。

 二十年度と二十一年度の比較ということで、二十一年度の予算におきましては、一つには、国会からの検査要請とか昨今の行財政改革の動向等に適切に対応していく。そういう動向に機動的に検査院も対応していくというようなことを重点にやりたいというのが一つでございます。

 それからもう一つは、民間の手法とか民間の方の視点を導入して検査を行うというようなことで、検査要員の増員とか機構の充実を図ってまいりたいと考えております。

 そして、検査に当たりましては、検査の進行状況に応じまして弾力的に要員の再配置をするとか、国民のその時々の関心がどういうところにあるのかを十分踏まえて検査をやってまいりたいと考えております。

福田(峰)分科員 会計検査院は、毎年、会計検査の基本方針というのをつくっていますね。この基本方針を、二十年度と二十一年度の対比表をいただいたんですけれども、私に言わせるとほとんど変わっていない、私に言わせればですよ。百年に一度、経済が大変厳しい、これはイコール税収が入らぬということなんですね。百年に一度、税収が減ってくるんじゃないかというような時代認識の中で、平成二十年度と二十一年度の基本方針というのは、これを見るとほとんど変わらない。私には理解ができない。

 だって、そうじゃないですか。税収がたくさん入ってこないということは、さっき言いましたように、どこかから、無駄からはじいてきて、そして必要性のあるところに持っていかないと、お金がないということなんですね。逆に申し上げれば、厳しい状態だからこそ会計検査院の人たちに頑張ってもらわなきゃいかぬわけですよ、これは。だって、生み出せないんだもの。どこかからはがさなきゃいけないわけですから。

 私から言わせると、年度途中に組織を、例えばここの課題が多くなったからといって人を、グループ化を重ねていって弾力的に組織を組み直すとか、その程度でこの時代の難局を乗り切れるとは、残念だけれどもちょっと私は思えない。なぜこうなってしまうのかということだと思うんですね。

 それで、ちなみに平成十九年度は、これは額面だけではないのはわかって言いますが、指摘金額一千二百五十三億円なんですね。会計検査院の方々に言わせると、金額に見えないこともたくさんあるんだ、そういうことは重々わかった上で聞きますが、来年、大変厳しい状態の中で、この一千二百五十三億円が、民間人を入れて、新しい人たちも入れた、いろいろな状況が変わる、では、例えばこの指摘金額がどのぐらいふえると想定されているんですか。

西村検査官 昨年は千二百五十三億という指摘金額になったわけでございますが、この指摘金額と申しますのは、いろいろな観点のものがございます。経費の節減だけではございません。それから、まだ十分ではないというのは、全く私どももそう思っております。

 したがいまして、検査院としては、先ほどの基本方針もございますけれども、収入、支出のフローだけではなく、近年は、資産とか貸付金等のストック、独立行政法人の出資金とか特別会計の剰余金とかそういうものの有効利用とか、少し検査の対象、視点も広めた形で、それなりの努力をしてきておるわけでございます。

 金額につきましては、では幾らになるというのはなかなか難しいわけでございますけれども、私どもといたしましては、昨今大きな問題が出ているようなところについては重点的に検査をしていくというのが一つあると思います。それから、今まで余りやっていないようなところについても、空白をつくらないような形で検査をしていく。それから、検査の手法というようなことも時代時代に合わせて工夫をしていくということで、極力期待にこたえるように努力をしてまいりたいと思っています。

福田(峰)分科員 先ほど、来年度の様子が変わるという中で、民間の方々を採用するという話がありましたけれども、逆に言えば、今までは民間の人たちが採用されていなかったから、数字にこだわるわけじゃありませんが一千二百五十三億としたら、では、民間の人たちを入れることによって、要は、ある意味での効果的なお金の使い方ということに対してどれだけ効果を発揮されると想定しているんですか。

西村検査官 これも金額で示すのはなかなか難しいわけでございますけれども、やはり、検査院にずっと勤めている職員の視点というのは、努力はしておりますけれどもそう大きくは変わらない、限界があると思います。

 それで、民間から来ている人については、財務諸表の見方とかそういうような観点につきましては全く新しい視点、それから、民間のリストラ等、そういう努力をされた事例等をよく知っている方においでいただければ、今までと違った見方で検査を進めることができるのではないかと思っております。

福田(峰)分科員 今、非常に残念ながら、今働いている方々には幾らやっても限界があるとおっしゃいましたね。

 私は、それは非常に寂しいと思いますね。だって、みんな、会計検査院の一人一人の職員の人たちは限界を感じて仕事をしているわけじゃないと思うんですよ。そうじゃないでしょう。だって、本当に会計検査院のみんなが、本当のこの国難に対して、無駄をしっかりと整理して効率的な税金の使い方をするというふうに考えて仕事をしていただかなくてはならないわけで、最初から限界があるからこれ以上は無理だと考えること自体が、私には少し理解ができません。なぜならば、それは自分たちの仕事に限界をつくっているということじゃないですか。例えばこの指摘金額であれば、一千二百五十三億円がマックスだ、あるいは、違う形で効果があったとしてもそれがマックスだ、そう思ったら何にもならないですよ。

 私たちは、お互い、僕も国会議員として、納税者の代表として、税の使い方の有効性については問いますが、それは会計検査院の皆さんだって同じ思いでなくてはいけないじゃないですか。なぜなら、この会計検査院、言うまでもありませんけれども、日本国憲法の中にしっかりとした位置づけが書かれていて、そして、行政でもあるいは立法からでも独立したところに会計検査院というのが憲法上位置づけされていて、ある意味では特別に位置づけを持っているわけじゃないですか。だから、対役所、行政に対しても、あるいはもしかすると私たち政治に対しても含めて、有効な税の使い方はこういうことではないかということを事後チェックをかけていくわけでしょう。その責任者の人が今の人たちでは限界があると言ってしまったら、だれも一生懸命働かなくなっちゃうし、そんな思いでやるんだったら、私は組織風土が非常に心配でなりません。

 そうした意味において、私は改めて聞きますけれども、憲法の中に「会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。」と指摘をされて、憲法機関として位置づけられているその自覚は一体どこにあるのか、まず聞きたいと思います。

西村検査官 お答えいたします。

 限界というのは、ちょっと表現が適切でなかったかもわかりません。検査院の職員も、日々、検査の工夫、それからいろいろ勉強していかなきゃいかぬわけですけれども、民間の人には今の検査院の職員にないようないろいろなメリットがあるのではないか。もちろん、検査院の職員も、現状に甘んじるということではなくて、今後ともいろいろ努力をしていかなくてはいけないと考えております。そういう意味では、ちょっと答弁が不的確だったと思います。

 それから、検査院の役割につきましては、我々、憲法上の機関としての重要性というものは十分認識しておるつもりでございます。したがいまして、今までの検査のやり方で十分だとは思っておりません。常に、新しいやり方で、新しい分野についても検査を進めていくということで、努力を今後ともしていきたいと思っております。

福田(峰)分科員 確かに、皆さんに頑張れ頑張れと言っても、頑張るためのある意味では権限だとか力がないと、気持ちで頑張りますと言っても、そんなのは精神論になってしまって、なかなか前に進めないということは私も重々わかります。

 それもあって、与党のプロジェクトチームが、予算執行職員の責任を明確化する、こうした法律を掲げて、故意または重大な過失によりその義務に違反して支出行為をしたことにより国に損害を与えたと認めるときには懲戒処分を要求すること、こういう話があって、皆さんがそうした意味においてこれはおかしいんじゃないかということをしっかりと言うことができるようになってくるというのは、その力を与えることだという意味においては、私はそういう力も持っていただきたいと思います。

 一方で、それができたとしても、故意または重大な過失によりその義務に違反してという、あくまで前提がついてしまうんですね。でも、先ほど御答弁がありましたけれども、このほかに、時代認識が変わったことによって今まで使っていたお金が非効率になったとか、あのときこの選択をしたから失敗であったとか、要は、過失ではない。先ほど言いましたように、公務員の人たちは基本的には一生懸命働いているわけですから、はなから無駄遣いしようと思ってやっている人はいないわけですから、そういう意味においては、故意的なものじゃなくても、結果的に無駄遣いになってしまうということがある。そっちの方が多いわけですよ。でも、それをどうやって、ある意味ではプレッシャーをかけてそうさせないかということを、だれかが考えて、だれかが言って、だれかが実行していかないと、そこの部分が残されてしまうということが私は懸念されるんです。

 そうした意味において、予算執行職員による税金の無駄遣いが結果として生じちゃった場合、その結果責任というものに対して、どういう形で反省をさせることができるのか。例えば、今までもいろいろな指摘をしてきて、今までもいろいろなことをやっても、結果的に国民の目線から見るとまだまだ無駄遣いが多いということをさらに指摘されているということは、今までのやり方じゃだめだということを国民が言っていることですから、そうした意味において、どういうふうにしてここのところを整理される考えがあるのか、ちょっと教えていただけますか。

西村検査官 私どもも、毎年の検査で同じような問題の指摘をするということは、それでいいのかという反省はいつも持っております。

 したがいまして、どういう改善があるかというのは、そういう事例がどうして起こったのかというところまで調査をして、どうすればそういう不当事項とか不適正な事例が減るかというようなことを、それについても検査院として検討し、検査院法では各省庁に対して改善の意見表示とか処置の要求をするという規定がございまして、検査院が調査した中で、こういうことは改善した方が今後そういう不当な事例が減っていくんじゃないかというようなときには、院法に基づく意見の表示それから処置要求というようなことを最近はふやしておりまして、これからもそういうことをしていきたいというぐあいに考えております。

 それから、毎年、検査報告を出した後に、各省庁とか独立行政法人等の団体の幹部の人あるいは会計の担当者の人に集まってもらいまして、その事例の具体的な説明をして、今後そういうことがほかで起こらないように努力をしていただきたいということで、そういうことでの再発防止に努めてもらうように検査院としても努力をしているところでございます。

福田(峰)分科員 御努力は私は認めるところであるのですが、今までも、過去にもそういう努力を積み上げてきたわけですね。今までも積み上げてきたんだけれども、例えば、私たちから見ると、この間、自民党の無駄遣い撲滅プロジェクトをやって、えっ、こんなこともあるのというびっくりするような事例がいっぱい出てきたということは、今までやってきた積み上げでは効果が、ゼロとは言いませんよ、でも、高い効果が得られていなかったんじゃないかなというのが私の率直な実感です。だから、そのやり方の延長線上で本当に大丈夫なんですかということを聞いているんですよ。

 その延長線上でやったことによって、本当に各行政が、一人一人が振り返るようになったらいいんだけれども、結果的には、手をかえ品をかえ、何か違うようなことを、例えば、ここで注意をされて、こういうやり方はよくないよと言われたことを、違う角度でまた別の同じようなものをつくって平気でやっているというのが、私も毎年の予算書を見て、指摘されたことが変わっているんだけれども同じようなことが別で出てきているとか、目にするわけですよ。

 ということは、それは言っているだけになっていないのか、それが本当に実行されているのかどうか、あるいは効果が出てきたかどうかということを、やった側としてどうやって判断されているんですか。

西村検査官 検査院が検査報告をする場合は、個別に不当の指摘をしておりますが、それについては各省に改善、是正を求めておりまして、大体、その年に是正するとか、あるいは是正しないものについても次の年に報告していただくとか、そういうことでフォローアップをしております。

 それから、先ほどの改善の意見表示とか処置要求をしたものについても、そのとおりやったかどうかについて次の年に報告をいただいております。

 ある事情があって是正が図られていないようなものについては再度検査をするというような形で、改善の努力をしていっておるつもりでございます。

福田(峰)分科員 多分、そういうところで直るところというのは、先ほどの、私が言うところの第二十条、経済性、効率性及び有効性の観点以外のところはそれで直ると思います。問題はここのところなんですね。ここのところというのは、さっき言ったみたいに、この角度で見ると正しいけれどもというものが必ず発生してきてしまうんですね、絶対的評価で見ているから。でも、そっちの無駄遣いの方が多いんですね、実際見てみると。

 ですから、今おっしゃった仕組みというのは、この一つ目、二つ目、効率性とか経済性じゃなくて、合規性とかそっちのところは解決できると思うんですけれども、この経済性、効率性のところについては、私は、そこのところをもっと何か仕組みをお考えいただかないと、なかなか是正するような気がしない、正直言って。なぜならば、今までうまくいっていないから。ですから、そこはぜひお考えをいただきたいなというふうに思っています。

 こうした中で、これは抽象的なことになりますが、これはもう国民的な問題なんですね。特に、行政じゃないんだから、憲法に位置づけられた機関として、憲法に順じ、国民に順じて仕事をされる皆さんだからこそ問いたいんだけれども、本当にどうしたら、悪いことをするとかそういうことじゃなくて、優先順位が低いのに平気でやるという予算の執行をどうしたらやめることができるのか、所感をお聞かせいただきたい。

西村検査官 なかなか難しい面もあるかと思います。

 委員がおっしゃられましたように、一人一人の公務員は、いい仕事をしたいということで仕事をしているんだと思います。ただ、時間の経過とともに、今までやっていたことを見直すという努力が不十分なところがあるかと思います。最近は、政府の方も政策評価というようなことを重視するようになってきております。予算をとるときだけではなくて、予算の執行それから事後のチェックも、検査院もいろいろと検査をしますけれども、やはり各省においてそういう自覚をしていただきたい。それと、先ほども申しましたが、各省の中の内部の監査、内部の統制をより充実していくということもこれから重要だと考えております。

福田(峰)分科員 この無駄遣いを整理してやめさせるというのは、会計検査院の皆さんだけに責任をおっかぶせてどうだということではないということは百も承知です。特に私たちは与党でありますから、与党の予算審議の中で、例えば自由民主党の中なら、内部議論の中で、これはやめた方がいいんじゃないかという、政治が政治家としてのしっかりとした認識を持って無駄遣いの整理をやるということを私たちもやらなければ、それはほっておいて皆さんだけにやってもらう、それでできないからけしからぬとなると、それは私たちが責任を放棄していることになりますから。私たちも、政治家として、いわゆる納税者の代表としてここに来ているわけですから、予算をつくる、あるいは執行する、こうしたところについて政治家としての責務を果たしていきたいと私は思っていますが、それとは違う側面で皆さんの役回りがあるわけですから、私は、ぜひ皆さんの力をさらに発揮していただきたいと思います。

 それで、検査院の組織も、いろいろあると思うんですが、三人の検査官の方々が指揮監督をして、総局や何かを全部監督しているわけですけれども、この人たちがまず一番上にいる人たちですから、皆さんが本気で取り組んでくれないと下は言うことを当然聞かないんですが、例えば、この三人の検査官の人選も私は非常に大切だと思うんですね。どんな人をそこに人選させるのかということですね。

 こんな中で、今まで過去にはいっぱいいろいろな人がなってきたみたいですが、少なくとも、民間の方々の経営の視点がある人とか、あるいはまた学術経験者の方だとか、あるいは私はプロパーの職員もぜひそういう中にいた方がいいと思うんです。そうした本当のプロの目でこの日本の莫大なお金の使い方をぜひチェックしていただいて、特にこの検査官の人たちは、それこそ先頭に立って、あの人たちが来たら大変だと恐れられるような存在になるぐらいになって、無駄遣いの整理というものに今後も取り組んでいただきたいというふうに思います。

 以上で終わらせていただきます。

佐田主査 これにて福田峰之君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。篠田陽介君。

篠田分科員 篠田陽介でございます。

 予算委員会の分科会ということで、国会の分野について質問させていただきます。

 今、国民の声は、増税の前に無駄遣いをやめてくれという声なんですね。私は、この声に政治がどうして答えを出さないのかなと常々不思議に思っていまして、その中で、私は一丁目の一番地は国会にあると思っています。国会がまず無駄遣いを改めること、それは議員の歳費カットしかり、議員定数の削減もしかり、そして国会事務局のスリム化、効率化もしかりであります。

 私は、そもそもなぜこの問題を取り上げるかというと、もっと国会の機能強化をしたいんです。

 今は官僚主導だと言われています。実際に官僚主導の面がかなりあると思います。ただ、そこは、国会の組織がきちんと機能強化をした上で、官僚組織に負けない組織を国会がつくって、調査能力あるいは政策立案能力、そして国会運営のスムーズなあり方、審議のあり方、こういったものを機能強化させることによって、官僚主導と言われる今の政治を打破していくこと、それが私は大事だという観点で、この分科会では、国会について質問をさせていただきます。

 まず初めに、そもそも一般知識としてお教えいただきたいのですが、約一千百億円の予算を組んで国会の組織を運営されていると承知していますが、国会の職員数、具体的に、衆議院、参議院、国会図書館、弾劾裁判所、そして訴追委員会と五つある国会の組織、それぞれ職員が今現在何人いるのかということをまずお尋ねします。

    〔主査退席、岸田主査代理着席〕

駒崎事務総長 平成二十一年度の国会職員の総数でございますが、定員ベースで、衆議院が法制局を含めまして千七百十九人、参議院が、これも法制局を含めまして千三百四人、国立国会図書館が八百九十八人、裁判官訴追委員会が十一人、裁判官弾劾裁判所が十一人、合計で三千九百四十三人となっております。

篠田分科員 ありがとうございます。

 国会に職員が三千九百四十三人いるということ、国会議員が、衆議院が四百八十、参議院が二百四十二、そして秘書を含めて、国会周辺には大体五千人を超える人数が働いているということ、まずこのことが今適正かどうかも問われている時代になってくるんだと思います。

 そういった意味で、三千九百四十三人ということでありますので、具体的に、その中についていろいろと質問させていただきたいと思います。

 まず、国会図書館の予算を見るに当たり、これまでどういった決算状況であるのかということを、資料をいただいてちょっと見てまいりました。

 去年の決算委員会の分科会でも私は質問したんですが、いわゆる超過勤務手当の使い方に物すごい疑問を持っていまして、平成十八年度の決算では、不用額、要するに、使って余ったお金が二円だったということ。ですから、八百九十八人の職員で残業代を二円しか残さないというこのシステムは、何か最初から決まっているんじゃないかという疑念を持ってしまいます。そして、翌年の平成十九年の決算では、余ったお金が六十六円ということでありまして、八百九十八人が働いて、一年間残業をして、そして余ったお金が六十六円かと。時間にすると恐らく一分ぐらいしか誤差がないんでしょうね。

 私、これを見て思うのは、予算が決まったときに、もう、あなたは幾らですよ、あなたは幾らですよというふうに、あらかじめ予算が決まった段階で各個人個人に割り振っているんじゃないかというふうなことを素人でもこれは思うと思うんですが、このことについて昨年決算委員会で私が国会図書館長の長尾さんに質問したときは、「超過勤務手当につきましては、予算額を限度として執行しております。 職員の超過勤務につきましては、従来から縮減に努めているところでありますが、今後業務の一層の効率化を図ることにより縮減に努める所存でございます。」と言いながら、平成十九年ですが、四億五千五百五十九万六千円を予算計上して、四億五千五百五十九万五千九百三十四円を使っている。余ったお金が六十六円だということ。

 改めて聞きますが、これはどうしてこうなったのか、そのシステムといいますか経緯をもう一度お聞かせいただきたいと思います。

長尾国立国会図書館長 お答えいたします。

 超過勤務手当は、実績に応じまして、予算額を限度として支給しているところでございまして、あらかじめ部局あるいは個人に予算を割り振っているということはございません。毎月、各部局における超過勤務実績を提出させまして取りまとめております。

 なお、昨年四月二十二日の決算行政監視委員会第一分科会における先生の御指摘を受けまして、今年度におきましては、より一層の業務合理化を図ることによって、さらなる超過勤務の縮減に努めているところでございます。

 以上です。

篠田分科員 私は、自分が議員である以上、またこれはずっと見ていますから。やはりおかしいと思いますよ。本当に六十六円しか、いや、逆にすごいなと感心もするわけであります、そうやって見事に使い切れる。もっと残業したならば、私は、逆に足りなかったという決算でもいいんです、そこは。

 ただ、やはり国立国会図書館という業務の中で、どんな残業をして、本当にきちんとした残業なのか、あるいは、その中では本当に実態のない残業をしているんじゃないかということまで思ってしまうわけですから、こういったこと、私のところにいろいろ情報をいただいておるところでありますが、きちんと監視をさせていただきますということをお伝えさせていただきます。

 次に、衆議院、参議院のいろいろなシステムの関係なんですが、やはり衆議院、参議院、同じような運用をしながらシステムが違うというようなところをいろいろと指摘されている昨今でありまして、そんな中、今速記の方々が熱心に議事録をとられておりますが、速記にかわる新議事録システムというのを衆参それぞれで開発していると聞きますが、何か聞くところによると、衆参で別々のシステム開発の仕方をしているといいますが、なぜ、そもそも、一緒にやろうだとか、そちらのシステムをこちらで使わせてくださいとか、そういった発想にならなかったのか。なぜ異なるシステムを採用しているのかということをまずお尋ねします。

駒崎事務総長 新会議録作成システムでございますが、平成二十二年三月に開発・構築が終了する予定でございまして、直ちに試行運用を行った後、平成二十二年九月から本格運用を開始する予定となっております。

 本システムの導入に当たりましては、平成十七年、衆議院議長、副議長及び議院運営委員長を初め各党理事の皆様に御説明し、御了解を得て開発業務に着手いたしました。

 その後、システム開発に向けた調査を行い、昨年度までに検証システムを構築し、その検証業務を実施してございます。

 現在、システム開発の進捗状況としては最終段階を迎えているところでございまして、システムの設計・開発業務及びプロジェクト管理等を支援する開発監理業務について、委託業者を決定する調達を進めております。今月中には業者を決定し、三月からそれぞれの業務を開始する予定になってございます。

小幡参議院事務総長 まず、前提といたしまして、現在のシステムをちょっと御説明させていただきます。

 参議院におきましては会議録速成システムによる運用を開始しておりますが、これは手書き速記に基づく会議録作成方式にかわるものでありまして、速記者が会議に出場することなく、審議テレビ中継の映像、音声をもとに変換技術を用いて自席で会議録原稿を作成しまして、会議録情報をより早期に提供するというシステムでございます。

 このシステムにつきましては、平成十七年七月の議院運営委員会理事会において御了承をいただき開発に着手いたしまして、平成十九年秋の稼働試験を経まして、昨年の常会から稼働させていただいているところでございます。

 なぜ衆議院と違うシステムなのかという御質問でございますけれども、参議院におきましては、システム導入前に音声自動認識技術につきまして実証的調査を行いましたが、本院が目標としております会議録情報の早期提供手段としてはその時点で不十分であるという判断をいたしまして、その判断に基づきまして、議院運営委員会理事会の御了承をいただきまして、会議録速成システムを開発して、現在に至っているというところでございます。

篠田分科員 私が承知しているのは、たしか参議院は、しゃべった言葉を文字に変換する技術ですよね。たしか衆議院は、しゃべった言葉を何かスロー再生させる技術でしたか、しゃべった言葉をスロー再生させてわかりやすくして、それをまた手によって変換させるということでしたでしょうか。

 その衆参のシステムのどこが具体的に違うかということを駒崎事務総長にちょっと教えていただきたいと思います。

駒崎事務総長 衆議院のシステムは、音声自動認識技術を採用するということでございます。自動的に音声を言葉に変換する、その技術を採用して取りかかるということでございます。

小幡参議院事務総長 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、テレビ中継の絵と音を見ながら、聞きながら打つ。その際に、若干、通常の絵や音よりはスローにして打つというふうな技術でございます。

篠田分科員 わかりました。私、逆の認識でしたね。

 いずれにしても、二つ、衆議院、参議院、要するに議事録ですから、一緒にやった方が効率的だなと思うんですが、お互いの権利を主張し合うのか、それとも相入れないのか、私はその辺がどうしてもよく理解できないのですが。

 いずれにしましても、これについてもまたいろいろと聞きたいのですが、そんな中、速記者の新規の採用というのはもう控えている、やめている、さらに速記者養成所も廃止をしたと聞いていますが、今のこの速記の制度というのはいつまで続ける予定なのかということをお尋ねします。いつまで手によってまず書くという作業をやっていくのかという見通しを聞かせてください。

駒崎事務総長 速記者養成所につきましては、平成十六年十月の議院運営委員会理事会における平成十七年度の学生募集中止決定を受けまして、平成十八年十二月に既に廃止されております。これに伴いまして、平成十八年十月以降は速記者の新規採用は行っておりません。

 今後につきましてですが、先ほど申し上げましたように、平成二十二年九月から本格運用されます……(篠田分科員「二十三年九月ですね」と呼ぶ)二十二年九月から本格運用されますので、その新会議録作成システムの運用状況をまず踏まえながら、国会における会議録の重要性を念頭に置きつつ、議院運営委員会の先生方とも御相談させていただきまして、現在の速記制度につきましては検討してまいりたいということでございます。

小幡参議院事務総長 先生のお話のとおり、速記者養成所は十九年一月一日をもって正式に廃止されております。これによりまして、十九年度から速記者の新規採用は行っておりません。

 先ほどの、新システムのもとではいつまで現在の速記者制度というお話でございますけれども、既に、本年一月六日の議院運営委員会理事会の御決定を受けまして、基本的には速記者は会議に出席しておりません。

 ただ、絵と音でつくるということから、例えばテレビ中継施設がない委員会等におきましてはなお速記者が現場に出ている、そういう状況でございます。

篠田分科員 ありがとうございました。

 こういったのも、これから、衆議院、参議院、別々のシステムを使うんじゃなくて、どちらか使いやすい方に統合する、それが私は税金の無駄遣いをしない方法だと思うんですね。こういったことすらできないようでは、私は、国会が幾ら歳出削減を訴えても説得力が出てこないと思うんです。

 ですから、こういった問題については、議院運営委員の先生方にも私から働きかけていきますが、ぜひともシステムの共有を速やかに行っていただきたいというふうに考えています。

 次に、議員宿舎の問題について質問させていただきます。

 これまでも質問に立ち続けてまいりましたけれども、参議院の清水谷議員宿舎の老朽化に伴う移築問題、そしてさらには衆議院の九段宿舎、これも老朽化、耐震強度補強が必要だということで赤坂議員宿舎に移っていただくということで、今はすべて入居者が退去されており、空だと思うんですね。

 今、参議院の清水谷宿舎、移築問題は白紙撤回されたと承知していますが、来年度予算については幾ら計上して、どのような方針でいくのかということを、参議院にまずお尋ねします。

 その次に、衆議院につきましては、今空となっている九段議員宿舎を改修するのか、あるいは建て直すのか、そういったことについて、どのような方向性を向いているのかということを、それぞれお尋ねします。

小幡参議院事務総長 お答えいたします。

 先生から白紙撤回というお話がございましたけれども、ちょっと経緯を申しますと、新清水谷議員宿舎整備事業につきましては、参議院の最終的な整備計画案について、昨年の十二月十二日に行われました西岡議院運営委員長、それから石原東京都知事、石川千代田区長との三者会談の場におきまして、東京都知事より、議員宿舎建設を認めないという見解が表明されました。

 それを受けまして、つい先日でございますが、二月十七日の議員宿舎に関する議院運営委員会の中のプロジェクトチームにおきまして、宮内庁宿舎跡地での議員宿舎整備を断念するという最終決定がなされたところでございます。

 また、昨年十二月一日に、当該整備事業の契約事業者より契約相手方であります国土交通省に対しまして契約解除の申し出がありまして、契約が解除されたということでございます。それに伴いまして、現在、事業者との間で契約に基づく清算の協議に入っているところでございます。なお、今年度中には事業者との協議も完了するという見通しでございます。

 なお、今後でございますけれども、来年度予算におきましては、議運の御決定によりまして、当然のことながら、整備事業に関する予算の計上は行わないという決定がされております。二十一年度予算への計上は行っておりません。

 なお、今後の整備に関しましては、さらに多岐にわたる視点から検討する必要があるということで、設計検討経費を要求するという御決定がございました。

 また、現在の清水谷議員宿舎につきましては、老朽化が大変著しいということもございまして、当面の措置として、一部漏水箇所等の改修を行うという決定もあわせてございました。

 その御決定に従いまして、新議員宿舎設計検討費として約五百万円を計上いたしております。また、改修経費といたしましては、約九千万円を計上いたしております。

 今後、新議員宿舎の整備に関しましては、議院運営委員会理事会等において御議論、御協議されるものと考えております。

駒崎事務総長 九段議員宿舎についてでございますが、平成二十年、昨年の六月十九日の議院運営委員会理事会におきまして、平成二十年八月末をもって閉鎖する旨、決定いたしました。あわせて、同宿舎は解体することとし、その解体費については、平成二十一年度の本院概算要求に盛り込むこととする旨、決定をいたしました。したがいまして、平成二十一年度の本院予算要求額として、約三億九千万円の解体整備費を計上いたしております。

 今後の九段議員宿舎跡地の利用を含めまして、議員宿舎の取り扱いにつきましては、現在においては結論を得ておりませんが、今後、議院運営委員会等におきまして、御協議いただいた上、決定されるものと考えております。

篠田分科員 ありがとうございます。

 参議院の方は、とりあえずは新しい建築計画といいますか、設計対策費を計上する、今の老朽化した部分を改修する、衆議院においては、解体をするということであります。

 私は、これも議運の先生方に働きかけをしていきますけれども、そもそも寝泊まりするところに衆議院、参議院という区別は要らないと思っていますから、共有化といいますか、衆議院、参議院、別々に建っている議員宿舎すべてを国会議員宿舎として、衆議院議員だろうが参議院議員だろうが、どこでも関係なく入れるようにする。そうすることによって、今抱えているこれら二つの問題、清水谷宿舎、九段宿舎、二つ建てなくて一つで済むというふうに思っていますので、そういったことは国会議員サイド、議運サイドがやることだと思いますが、これについても引き続き働きかけをしていきたいというふうに思っています。

 次に、調査局、調査室の役割についてお尋ねをしたいのですが、国会図書館にも立法考査局という部署があって、いろいろな調査を行っていると承知をしていますが、同様に衆議院、参議院、それぞれ調査局というのがあると思うのですが、そもそも調査局というのは日ごろどういった業務をする部署なのか、このことをまずお聞かせいただきたいと思います。

    〔岸田主査代理退席、主査着席〕

駒崎事務総長 調査局は、国会の立法及び国政調査活動に対しまして、専門的調査機能を発揮し補佐する役割を担っておると承知しております。

 各調査室及び調査員は、委員会等を通じて直接先生方の活動を支え、多様化、高度化する議員のニーズに対して迅速かつ的確に対応するため、専門性の向上等に努めておるところでございます。

篠田分科員 国会にはそれぞれ政党があります、会派があります。その中で、国会議員とのかかわり方なんですけれども、例えば、ある政党の勉強会に、調査室の方に来て説明をしてくださいとか、そういった要請についてはどういった規定があるのか。例えば、国会議員の政策立案について、調査局という部署はどうかかわっていくという考え方をお持ちなのかということをまず聞きたいのです。

 それは、なぜ聞いているかといいますと、ある政党の勉強会について、次期国会の展望と課題についてということで、そこの会議に出ていってしゃべっている調査局の方がいらっしゃる、他方、民主党さんの農水関係の法案の立案をしている方がいらっしゃる、そういう話が聞こえてくるものですから、国会議員の各政党とのかかわり方、どこまでこたえるのが妥当なのか。中で何かその辺の決め事みたいなのがあるのかないのか、そこをお聞かせいただきたい。

 あと、ここの調査室というところも、各役所からいわゆる出向者という方々が来ていると思うのですが、現在何人、各府省の方から国会の調査室に出向をしてきている方がいるのか、この二点についてお聞かせをいただきたいと思います。

駒崎事務総長 国会職員と国会議員との間のかかわり方でございますが、一般的に国会職員法の第十七条というのがございまして、それによりますと、「国会職員は、国会の事務に従事するに当り、公正不偏、誠実にその職務を尽し、以て国民全体に奉仕することを本分とする。」と規定されてございます。特に調査局職員に限った特段の定めはございません。

 ただ、調査局におきましては、調査員は、各会派の議員からのさまざまな調査依頼がございますので、依頼者の意向に沿った調査を行い、誠実に回答しているということでございます。

 それから、今お話しの、各府省から調査局に出向している方の人数でございますが、各府省からは二十八名ということでございます。

 なお、会計検査院それから裁判所、地方議会及び国立国会図書館からの出向者が六名おりますので、それを含めますと、総勢で三十四名ということでございます。

篠田分科員 ありがとうございます。

 私は、国会改革をいろいろやっていましたら、投書だとかいわゆるメールだとかをいっぱい国会の職員の方からお寄せいただくんですが、そんな中で、民主党の、次期国会の課題についてということで要請があって、これは衆議院の公報にも出ているんですけれども、調査室の方がその会議に出向いて、次期国会の論点及び課題について語っているということ、あるいは、農水調査室の方が民主党提出の農業者戸別所得補償法案の立法作業を手伝っているというようなこともいろいろ情報をいただいているんです。

 こういったことは、果たして調査局として、室として適正なのかという疑問を私は持っていまして、私は、調査局、調査室の機能はあくまでも委員会審議の補佐だと思っています。こういった立法関係は当然法制局、衆議院法制局、参議院法制局があるわけですから、その辺はきちんとしたルールをつくらないとおかしなことになるといいますか、調査局の人が、委員会を補佐する立場でありながら、各政党の、それも法律をつくっているということは、各政党にもそれぞれ政務調査会、政調というのがありますから、そこでやるべきことをなぜ衆議院の職員がやっているのかというようなこと、こういったいろいろな情報もいただいておりますので、ぜひこの辺もきちんと業務内容の精査といいますか整理、仕分けをしていただきたいというふうに思っています。

 最後になりますが、弾劾裁判所についてお尋ねをします。

 昨年十二月二十四日に、七年ぶりに弾劾裁判が開かれたということで、裁判官が女性職員に執拗にメールを送ったということで、弾劾裁判で罷免をされました。

 七年ぶりに行われたということで、過去の裁判事例がこれで十五件ということでありまして、この組織ができてから十五回しか行っていないという言い方もできるわけでありまして、七年前に行われたその前はいつだったかというと、さらに十三年前にさかのぼるということで、最近では十年間に一回しか裁判を行っていないというペースと言ってもいいんじゃないか。要するに、十年間で一日しか裁判を行っていないんじゃないかということであります。

 そんな中、この組織は、今、職員は十一人いると言いました。私は、去年の決算委員会でも聞きましたけれども、どんな業務をしていますかというときに、果たして十一人でやる仕事なのかなというふうに思ったわけであります。

 まず、これをお尋ねしたいんですが、裁判官弾劾裁判所の職員は、それは国家公務員だとは思うんですが、採用は独自で採用しているのか、あるいは衆議院、参議院の採用職員を配置転換という形で充てているのか、そこをまずお尋ねさせてください。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 お答えします。

 その前に、弾劾裁判所職員ですけれども、現在は十二名でございまして、ことしの四月から一名減ということで十一名になるということが現状でございます。

 それから採用の件ですけれども、現在十二名のうち、参議院からの出向者が七名です。それから、最高裁からの出向者が三名。独自採用者が二名ということになっております。

篠田分科員 恐らく、この十一名、十二名の根拠は、裁判をするときにそのぐらいの人が必要だという感覚からきていると私は思うんですが、違うのであれば、それはどういった基準でこの十一名、十二名なのかということをまずは聞かせてください。

 それで、独自職員は二名だということでありますが、私は、裁判を行うときだけ十一名、十二名にすればいいと思っていまして、また、この機関も、平成十九年の決算書を見ますと、超過勤務手当、百七十七円しか残していないわけであります。約三百七十万円の予算を組んで百七十七円しか残していない。この年は一回も裁判を行っていない年でありまして、なぜ裁判を一回も、一日もやらないのにこういった結果になっているのかを含めて、なぜ十一名必要なのかという根拠を、それでは教えてください。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 定員の根拠は、これは弾劾裁判所ができた当初から大体十二名ということで来ておりまして、来年度はようやく一名減になるということで、私としては、はっきりした当初の十二名の根拠というのはちょっと今わからないんですけれども。

 それと、裁判の場合は、十二名でできるかといいますと、実際はできません。この前、去年の暮れにやりましたけれども、大体四、五十人はかかわっておりまして、これは参議院事務局からいろいろお手伝い、支援いただく、あるいは警備関係で十二名でしたか、雇うとかやりまして、実際の裁判を行うとなると今以上の人数が要るということでございます。

篠田分科員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、これで終わりますが、裁判をやるときに四、五十人必要だということはよくわかりました。

 ならば、日ごろの十一名が本当に必要かどうかということは、これは改めて考えなきゃならない問題だと思います。参議院の職員がそちらに来ているのであれば、まさに日常は一人か二人あるいは三人でいいんじゃないか、そして裁判を行うときだけ人を借りてきて配置転換してやればいいじゃないかということ、これはやはりもう一度見直す必要があるということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐田主査 これにて篠田陽介君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十日金曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十六分散会


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