衆議院

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第2号 平成22年2月26日(金曜日)

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二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      谷畑  孝君    山本 幸三君

二月二十六日

 平岡秀夫君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年二月二十六日(金曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 平岡 秀夫君

      小野塚勝俊君    梶原 康弘君

      仁木 博文君    松原  仁君

   兼務 佐藤 茂樹君 兼務 高木美智代君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            福島みずほ君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   環境副大臣        田島 一成君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   国土交通大臣政務官    藤本 祐司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         松谷 春敏君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     仁木 博文君

  梶原 康弘君     向山 好一君

  平岡 秀夫君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     平岡 秀夫君

  仁木 博文君     小野塚勝俊君

  向山 好一君     梶原 康弘君

同日

 第五分科員佐藤茂樹君及び高木美智代君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 〔内閣及び内閣府所管(内閣府本府、警察庁)〕


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     ――――◇―――――

平岡主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中内閣府所管について審査を進めます。

 警察庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)分科員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、自動二輪車の問題を中心に、この分科会で御質問をさせていただきたいと思いますので、中井国家公安委員長を初め御出席の政務三役以上の皆様、ぜひ前向きな御答弁をお願いしたいと思うわけでございます。

 それで、私がなぜ自動二輪車の問題を取り上げるかと申しますと、平成十八年に道路交通法が改正されまして、また、その五カ月後に駐車場法の改正という大きな改正が二つあったわけでございます。その道路交通法で、特に自動二輪車の取り締まりも、駐車監視員制度の導入によって取り締まりが非常に強化される、そういう時代に入ったわけでございますが、取り締まりが強化される一方、なかなか二輪車の駐車場環境の整備というのがおくれているがゆえに、整っていないがゆえに、二輪車の方々が駐車したくても、駐車場不足のために、結局、自動二輪車の所有者というのが大変に戸惑って困っておられる、そういう声をここ数年聞いておりますので、その実態を踏まえて、何とかそういう状況が改善できないものか、そういう問題意識から何点か御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 まず、放置車両確認標章の取りつけ件数、これは、要するに駐車違反だということでつけられた標章の件数で、その実態を見てみますと、私が入手した段階では昨年の秋までの数字が出ているわけでございます。

 実は、このこともあって私の地元の大阪でそういう声が上がってきたんだと思うんですが、大阪が約六万七千件。昨年の一月から九月までなんですけれども、正確に言いますと六万六千七百三十九件。これは、東京の六万一千三百四十六件を抜いて、何と全国ワーストワンなんですね。昨年九月までの段階を見ましたら、全国で二十五万二千五百五十三件のうちの二六・四%も占めているわけでございます。

 そこで、まず一つ目にお聞きしたいのは、今申し上げた私がつかんだ数字というのは昨年の九月までの実態でございますので、九月以降の大阪の実態というのはどうなっているのか、ぜひちょっと国家公安委員長にお尋ねをしたいと思います。

中井国務大臣 佐藤議員とは、細川内閣、羽田内閣、また自由党と、長く御一緒していただいて御交誼をいただきましたが、今回、私ども初の本予算の審議に当たって、不手際なところも多々あったと思うんですが、公明党の皆さんが審議をきちっとやるという姿勢でお臨みいただいたことを、この機会に感謝を申し上げます。これからもひとつ是々非々の中で御鞭撻をこの機会にお願いいたします。

 お話しの件でありますが、平成二十一年全体で申し上げますと、二輪車に対する取りつけ件数は三十三万二千二十三件でございます。大阪が八万四千四百九十、それから警視庁管轄が八万一千八百十六件。そして、車両におきましては二百四十六万二千三百二十七件でございます。約十数%以上が二輪車だ、こういう状況でございます。

 その中で、車両の保有台数というのを調べさせましたところ、全国で自動車と称されるものが七百七十万台、そして二輪車が一千二百万台、うち原付が七百九十万台、こういう件数になっておりまして、件数でいけば六分の一だ、しかし、取りつけられているのは、おっしゃるように二輪車が非常に率が高い、このことを初めて私も承知いたしたところです。

佐藤(茂)分科員 そこで、今、御丁寧に数字を中井国家公安委員長の方から御説明いただきましたけれども、特に私がびっくりしたのは、このために分科会でやっているんですが、地域事情としてびっくりしましたのが、一年間通して見たときに、大阪が二輪車の駐車違反件数というのが八万四千四百九十、警視庁、東京都内、これが八万一千八百十六。結局、一年通しても、昨年は、これは細かく私も調べていませんが、多分、保有台数は東京の方が多いんだと思うんですよ。ところが、駐車違反件数は、結果として大阪の方が多い。

 そういう形、結果として出てきているわけでございますが、大阪の駐車違反件数が多い原因をどのように見ておられるのか、国家公安委員長にお尋ねしたいと思います。

中井国務大臣 済みません、八万四千と申し上げたようですが、八万五千で、まだ千多うございまして、御訂正をお願いいたします。

 東京と大阪、大阪がなぜ多いんだと言われましても、都道府県単位の警察がそれぞれのルールで取り締まっているわけでございますので、一概にはなかなか言えないと思っています。

 ただ、念のために二輪車の駐車場の数を調べますと、大阪市内は百六、東京都下においては二百八十九、かなり開きがございます。収容可能台数は、大阪が千八百八十一、東京が七千百五十、こういう数字が出ているところです。

佐藤(茂)分科員 今、中井国家公安委員長の御答弁の中にも、二輪車の駐車場の状況、これが一つ大きく影響している可能性が十分考えられると思うんです。

 そこで、きょう国交省からも来ていただいておりますので、そのあたりについて、特に、駐車場法が平成十八年十一月に改正されて、同法の適用範囲にも自動二輪車が含まれることになったわけでございますが、そこで、まず率直にお聞きしたいのは、今大阪と東京のお話をちょっといただきましたけれども、現在、全国における自動二輪車の駐車場設置数の状況というのはどのようになっているのか、それは全国の普通車、四輪車の駐車場設置数と比較してどうなのか、まず国交省にお尋ねをしたいと思います。

松谷政府参考人 全国の自動二輪の駐車場の設置状況について申し上げます。

 駐車場の台数を把握するものとして、届け出駐車場、一定規模以上のものなどありますが、そういった把握をしている駐車場の箇所数で申し上げますと、平成十九年の三月末で全国で二百五十カ所、三万六千台、次の年の二十年の三月末が三百五十カ所、三万九千台となっておりまして、対前年三千台の増です。それから、二十一年の三月末で五百九十カ所、四万五千台ということで、対前年六千台の増という状況でございます。

 四輪と比較をいたしますと、保有台数千台当たりに駐車場が何台分あるかという数字で見ますと、四輪の場合が千台中五十三台となっております。それに比較いたしまして、自動二輪の場合には八台でございまして、大体七分の一ぐらいという状況でございます。

 なお、先ほど申し上げましたように、自動二輪の場合には一五%ぐらいずつふえている、四輪の場合には、ふえておりますが、四%ぐらいとなっておりまして、伸び率で見ると四倍ぐらいということで、追いかけているところということですが、依然やはりストックベースでは圧倒的に足りていないというふうに認識をしております。

 以上です。

佐藤(茂)分科員 ありがとうございます。

 そこで、今、国交省から実態はこうなっているんだというお話をいただきましたけれども、今後、この自動二輪車の駐車施設をどのように整備されていく予定なのか、そういう計画についてもお聞かせいただきたいと思います。

松谷政府参考人 自動二輪車の整備の推進をどう図っていくかということでございますが、先ほど委員からお話ありましたように、平成十八年に駐車場法を改正いたしまして、それまで駐車場法がカバーしている自動車の定義の中から除外されておりました自動二輪車を含めることといたしました。それによりまして、駐車場法体系での整備の進め方、具体的には、駐車施設の附置義務を定めること、それから、公共団体が駐車場整備計画をつくって順次その整備を図っていくといったようなことができるようになったということで、体系的に整備をしていくということになりました。

 それから、あわせて同じ年に道路法の施行令も改正いたしまして、道路管理者がみずから自分の道路のところに自動二輪をとめるということは従前からできるようにしておりましたが、道路管理者以外の人、例えば民間事業者でも、道路の空間を占用して、自動二輪の駐車場の施設ができるように対応したところであります。

 それから、街路事業等の幾つかの補助制度の中で、自動二輪車の整備を道路管理者もしくは民間で行う場合に補助をするという制度がございます。

 ただ、先ほど御指摘ありましたように、圧倒的にまだまだ少ないということでありますので、私どもとしては、新しく自動二輪車の駐車場をつくっていただくということに加えて、今ある四輪用の駐車場の中で空きスペースがあったり、もしくは自転車駐車場、二輪ですので、ここはなじみがいいものですから、自転車駐車場として空きスペースがあるようなところに、改装、改造して自動二輪の駐車スペースを確保していくということについても、公共団体、それから駐車場関係団体に働きかけをしているところでございます。

 いずれにいたしましても、できるだけの多様な施策を組み合わせて、供給促進に積極的に取り組んでまいります。

佐藤(茂)分科員 そこで、今、最初の方にありましたけれども、法改正をして附置義務を定めた、そういうお話でございましたので、自治体の附置義務条例についてどうなっているのかお聞かせをいただければありがたいと思うんですが、具体的な取り組みとして、例えば私の地元の大阪市では、平成二十年五月二十三日に建築物における駐車施設の附置等に関する条例の改正を行いまして、二千平米を超える、そういう建物に対しまして、二輪車の附置義務を付したんですね。これが二十年六月一日から施行されているわけでございます。

 都市部というのは同じような問題をずっと抱えておると思いますので、附置義務条例をつくってきている、そういう都市も幾つかあるというように聞いております。例えば、大阪市以外では仙台市、横浜市、川崎市が既に二輪車の附置義務条例がある、そういうふうに伺っているんですけれども、ほかに全国で何市ぐらいそういう附置義務条例をつくられたところがあると掌握されているのか、まず国交省にお聞きをしたいと思います。

松谷政府参考人 自動二輪の附置義務条例でございますが、現在、五都市ございます。施行順に申し上げますと、一番最初が平成十九年二月に塩竈、それから横浜市が十九年十二月、それから川崎市が二十年の四月、大阪、先ほどお話しされましたように二十年六月、そしてさいたまが二十一年四月でございます。

 仙台の場合には、自動車の方ではなくて自転車の駐車場の附置義務の方で自動二輪も組み合わせるという施策をとっておりますので、ちょっとこれの外になっております。

 ほかに、現在この附置義務の条例化を進めようというところが全国で約十数都市ございまして、例えば京都市とか広島市といったところが積極的に検討を進めていただいているという状況でございます。

佐藤(茂)分科員 それで、附置義務条例を推進していくためにも、私、特に都道府県の公安委員会にも、これは市のことなので県とまた違うかもわかりませんが、ただ、警察は府下というか県下にも影響していきますので、駐車違反、違法駐車を取り締まるということとともに、最初からの問題意識なんですけれども、他方で、駐車できるスペースの確保にも力を注いでいくことをしながら、なおかつ、それだけスペースを確保しているのに違反しておるところをしっかり取り締まる、そういう両面があるべきだと私は思うわけでございます。

 そこで、附置義務の推進にも、公安委員会もやはり各地で自治体と積極的に連携協力していくべきではないのかな、そのように私は考えるんですけれども、国家公安委員長の御見解をお聞きしたいと思います。

中井国務大臣 警察におきましても、かねてから地方自治体と協力して御趣旨のような方向を進めてきたところでございますが、私も、今回こういう数値を初めて調べまして、十分問題点を認識して、各地区の公安委員会との懇談会を今精力的に行っておりますので、その中でも特にお願いをしていきたい。また同時に、各警察に対しましても、公安委員会を通じて働きかけをするようにというお願いをしていきたいと考えています。

佐藤(茂)分科員 それで、駐車監視員制度について次にちょっとお聞きをしたいんですけれども、私の大阪府警本部では、大阪市内に二十七警察署管内のほかに、本年一月から大阪市外の四市七警察署管内、具体的には吹田、豊中、豊中南、布施、堺、北堺、西堺の各警察署においても監視活動を、二輪車に対してというか、駐車監視員制度を開始した、そういう形になっているわけですね。

 まず、駐車監視員制度の概要、目的、仕組み等を簡潔に御説明をいただきたいと思います。

中井国務大臣 これは私よりも佐藤さんなんかの方が、当時政権党であられましたから、御承知かとは思いますが、平成十六年に法案の成立がなされまして、十八年から実施をされました。放置車両の確認及び放置車両確認標章の取りつけ事務を民間に委託をさすことができる。そして、これらの事務を受託した法人が、資格を有する駐車監視員を巡回させ、放置車両の確認、当該車両の使用者が放置違反金の納付を命ぜられることがある旨を告知する標章の取りつけを行わせるものであります。

 簡単に言えばそういうことでいいですか、もう少し言いましょうか。(佐藤(茂)分科員「いや、結構です」と呼ぶ)はい。

佐藤(茂)分科員 そこで、これは今、国家公安委員長から大体の概要を説明していただいたんですけれども、駐車監視員活動ガイドラインに基づいて、警察署長の委託を受けた法人のもとで、具体的に監視員は二人一組になって指定地域を巡回計画書に沿って巡回し、マニュアルに従って駐車違反の車両についてその標章の取りつけをしていく、そういうことをされているんですけれども、ここで警察署長の委託を受ける受託法人というのは具体的にどのような法人を指すのか。また、その受託法人というのは、監視員に対して、具体的に、これは施行されて大分たちますが、どのような教育をされているのか、お聞かせをいただければありがたいと思います。

中井国務大臣 少し御趣旨を外れるかもわかりませんが、この受託法人には、道交法の定めにより、資格を有する駐車監視員に公正、的確に受託事務を行わせる義務が存在をいたします。また、駐車監視員に対する研修を実施する、公正、的確な業務の実施や、トラブル発生時の対処方法についての指導監督などを行うものだと取り決められております。そして、御指摘のように、警察署長の承認を受けて巡回計画をつくり、これに従って巡回をさせて放置車両の確認事務を行う、こういう仕組みになっているところであります。

佐藤(茂)分科員 それで、今言われた公正、的確な業務というところなんですけれども、駐車監視員活動ガイドラインによると、違反駐車実態に即しためり張りをつけた取り締まり、そういうことを行うというようにあるんですけれども、これは単純に、指定区域の駐車、面が引かれるわけですね、線引きが。その中の駐車は全部違反だという趣旨とは若干違うんじゃないのかなと。

 だから、この違反駐車実態に即しためり張りをつけた取り締まりというのはどのようなことをイメージされているのか、お尋ねをしたいと思います。

中井国務大臣 大変難しい判断でありますが、公正、的確ということばかりにこだわりますと、とにかく大変な御非難をいただく場合もある。また、御商売が全くできない、こういう御指摘も既にいただいているわけでございます。

 したがいまして、問屋街であるとか、あるいは商店街であるとか、時間を限って外していくという仕組みの中で御協力をいただいて、荷の揚げおろし等はその時間内に済ませていただくというようなこと。

 あるいは、私が公安委員長になりましてから何件かお問い合わせがございましたが、それは、食堂を街道沿いで経営している、昼飯を食べるのでとめたらやられるから来ないといって、売り上げががた落ちになったというのが何件かございました。これらも、一軒だけのために適正、厳正なあれを曲げるというわけにはいかない。しかし、そこに何軒か食堂があって、お昼たくさんの人が寄ってこられる、町内会もそれを認めて、地元の署に相談していただく、そういうときには署長が適切な判断をする、こういうところを私どもはイメージして今指導をいたしているところであります。

佐藤(茂)分科員 今、中井国家公安委員長の方からも、御自分の聞かれているいろいろな声も踏まえての御答弁をいただきましたけれども、例えば、きょうは自動二輪の問題を扱っていますが、運輸業者なんかからも、この改正が行われてから、今までは一人で行かせていたのを、運転手だけじゃなくて必ずもう一人、人をきちっとつけないとだめになったんだ、そういうような話まで伺っていますので、そこは、そういう業務、仕事のことをなるべく配慮したような取り締まりが必要なのではないかなというように私も思います。

 そこで、今まで質問してきた中で私が何を言いたいのかというと、自動二輪車の十分な駐車場が確保されないままで取り締まりの強化がしゃくし定規で進んでいくと、自動二輪車のユーザーというのは困惑してしまう。今度は自動二輪なんかもう乗らぬ方がええで、そういうことになるわけですね。

 そこで、なかなか駐車場の確保がまだまだ進んでいない現状の中で、ある程度の駐車環境が整うまでは何らかの経過措置というのが、やはり取り締まる方についても必要なんじゃないかな、そのように私は言いたいわけでございます。

 例えば、二輪車駐車違反の取り締まりを、今までは指定区域全体という面で取り締まっておりましたけれども、それを暫定的に、主要な幹線道路の線規制というものにある程度その地域の駐車場整備というものが整うまで緩和できないかどうか、そのことについてちょっと御答弁をいただければありがたいと思います。

中井国務大臣 御趣旨はよく理解できるところでございます。しかし、例えば商店街等で取り締まられる二輪車等を見ますと、やはり大きく長いですから、自転車と同じところにとめてあったら、どうしても歩行者の邪魔になるのは目立つからという意味で、御指摘もいただくところでございます。

 したがいまして、先ほどから申し上げましたように、二輪駐車場のないところで二輪駐車の需要の多いところ、地域の商店街なりあるいは自治会なりが御相談をいただければ、お話しのようなところも考慮して頑張っていけるということは、私どもは承知をいたしておきます。どうぞまた地域におかれましても、そういう区域やら地域、あるいはぜひ先生みずからも御連絡をいただければ、このように思います。

 同時に、東京あたりで、少し幹線道路で二輪駐車場をパーキングみたいな形でつくろうかといって実験が始まっているところでございます。ところが、つくったはいいけれども、ここへ乗用車がとまっちゃうというようなことやら、いろいろなことがやはりございまして、試行錯誤の中で一つ一つ前進をさせていきたいと考えています。

佐藤(茂)分科員 今私が聞こうと思ったことを先に国家公安委員長が言われたんですが、東京都が公安委員会で、全国のモデルケースとして、これはまだ試験運用だと思うんですけれども、全国初となる二輪車用のパーキングに取り組み始めておられます。具体的には、昨年の十一月三十日に港区北青山三丁目、いわゆる表参道の地域、ここに、表参道交差点から明治神宮方面に向かう約百六十メートルの区間で、両側部分に三十四台分の二輪車用のパーキングチケット機が設置されたわけでございます。

 私は、警察が主体となって行う二輪車の駐車場所の確保としては、この取り組みというのは画期的なものだ、このように評価したいと思うんですけれども、設置されてまだ三カ月少々だと思うんですが、パーキングを利用されている稼働率というのはどうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。

中井国務大臣 今聞きましたところ、一日十台だそうであります。

佐藤(茂)分科員 だから、今、一日十台というのは余りにも寂しい、三十四台用意しているのに。一つには、原因は、さっきも国家公安委員長が答弁されましたけれども、四輪車が二輪車の駐車場所にハザードランプをつけて停車してしまっている、そういう声も聞きます。さらには、四輪車に比べてバイクは小さいにもかかわらず、駐車料金が三百円で同じく一時間だ、そういう割高感がある、こういうことも既に私の聞いた限りでも声が上がっていまして、アンケートもとられているかと思うんですけれども、せっかく全国のモデルケースとして警視庁さんで実施されているのであれば、この二つの原因なんかに対する対策も随時改善していきながら社会実験をしていくことが今後の稼働率アップにつながるのではないかな、そのように考えますが、公安委員長の御答弁をいただきたいと思います。

中井国務大臣 あそこにパーキングがつくられているというのを聞きましたときに、表参道のあのしゃれた町にそんなに自動二輪で行かれる方がいるのかなという思いはございました。しかし、ああいうところへつくった以上はかなりの需要があったんだろうと思いますが、御指摘のように、自動車が一時停車する、あるいは三百円というのは高いじゃないかというお声やらは承知をいたしております。

 実験でありますから、いろいろなことを考えながら、全国で駐車場を広げていただくモデルとなれるように努力をさせていきます。

佐藤(茂)分科員 私は、自動二輪また原付も含めて、極めて排気量の小さいそういう二輪車というのは、これからの地球環境に配慮した効率的な交通体系の中でも、まだまだこれからも生活の糧としても欠かせないものだと思うんですね。ですから、取り締まりを強化していくという流れになっているわけですから、最初から申し上げておりますように、違反を防ぐ努力の一つとして、二輪車駐車場環境の整備を引き続きぜひ新政権でも御努力していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平岡主査 これにて佐藤茂樹君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平岡主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。仁木博文君。

仁木分科員 私は、民主党・無所属クラブの仁木博文でございます。初めて予算委員会分科会で質問させていただきます。

 さて、昨年の歴史的変革、戦後初の国民の一票によってなされた政権交代、今の政治を変えてほしいという切実な国民の思いをしっかりと受けとめ、真の改革を実行、そして邁進される義務が私たちに課せられたと思っています。

 一方、タンス預金が百兆円というふうに言われる中、年金や医療、介護といった社会保障制度、これは保っていく重要な問題であると思います。

 そして、その費用の増大ということに関しまして、医療費等々は毎年一兆円ずつ少子高齢化のもとで進んでおります。紙ベースや既存の容易に八種類を超える番号制度の管理体制では、より多くのコストを要するとともに、間違いもあったり、スピードの遅さといった効率性に問題点があります。文明の利器として、ITベースの管理体制は避けて通れない問題と思います。

 よく、社会福祉の先駆的お手本として北欧諸国が挙げられますが、人口で申しますと、その最大国スウェーデンでも九百万人、日本の十分の一以下であります。この管理対象人口のスケールが十倍違うということは、人や金といったコストはかなりの違いをもたらすと思います。

 しかるに、日本のこれからを考えるとき、現政権において新しい管理方法、社会保障制度をつくることは意味のあることと思いますが、仙谷大臣の御意見をいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 仁木博文議員から質問をいただきましたので、私の考え方をちょっと述べてみたいと思います。

 この時代を特徴づけるキーワードは、多分、グローバリゼーションとIT革命ということだと思います。そして、このグローバリゼーションとIT革命が進むことで、ある意味で、個々人の意識もあるいは生活スタイルも、どうもアトム化されてしまう、集権的な情報の中でアトム化されてしまう。

 さらに、この進み方によって、従来、家族で負担していたものとか、あるいは地域のコミュニティーで賄っていたものが、市場で、マーケットで調達することが基本になるというのが、いわゆる官から民へという新自由主義の立場でありましょうけれども、これではなかなか、すべての人がひとしく、現代的な権利保障といいましょうか、同じような文明の利益にあずかれないということになってくるわけで、その部分を公共サービスという格好で提供しようじゃないかというのが、ここ百年あるいは百数十年の、先進国と言われるところで行われている公共サービスで、今、仁木議員がおっしゃられたように、何種類もの公共サービスを受ける権利がある。

 ただ、それを相互に支え合う資金拠出の義務もある、こういうことになるんでしょうけれども、やはり、ここから先は、多分この権利性というものを我々が十二分に意識をしたシステムを構築していかなければならない。

 そして、IT革命というのが、おっしゃるように、文明の利器であると同時に、一人一人の人間にとっては傷つける道具にもなる。その辺に配慮しながら、国民が日本という国に住む限りにおいて享受し得る権利を十二分に賄う、そのためにITを使う。そうなると、やはり国民の権利保全のために基本的なインフラとして番号制度というのが必要なんだろうな。こんなふうに考えているところでございます。

仁木分科員 大臣、御深遠な、本当に洞察力のある御回答をありがとうございます。

 そういう中、ことし二月八日に、菅副総理・会長のもと、閣僚級検討会、第一回社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会が開催されました。この会の御意味は、先ほどおっしゃった大臣の御見解とあわせて説明いただけますか。

仙谷国務大臣 おっしゃるとおり、二月八日に、菅副総理を会長といたしまして、私も国家戦略担当大臣として、その一員として配置されたわけでありますが、社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会というのがスタートいたしました。二月二十二日に第二回目の会合を開催したところでございます。

 現時点におきましては、番号制度に関する関係府省の取り組みや問題意識について、検討会の構成員間で共通の認識を醸成するために、関係府省からの説明をお聞きして意見交換を行っているところでございます。

 今後、一年以内をめどに結論を出す予定でありますけれども、当面の取り組みといたしましては、五月ごろをめどに中間取りまとめをしたい。選択肢を複数整理して、各選択肢におけるコスト、それから導入期間、メリット、デメリットなどを整理したいというふうに考えております。

 国民の皆さん方のいろいろなお声を酌み上げていくために、有識者の方々からヒアリングをしたり、あるいは、やはり先進的な海外の事例を調査するということをやっていきたいというふうに考えておりますので、仁木議員の各般の御協力をお願いできたらと、こういうふうに考えております。

仁木分科員 ありがとうございます。

 昨年十二月二十二日に閣議決定された税制改正大綱におきましても、社会保障制度と税制を一体化し、効率化を進める、また、所得税の公正性を担保するために、正しい所得把握体制の環境整備が必要不可欠であり、そのために社会保障、税共通の番号制度の導入を進めます、また、民主党のマニフェストにありましたように、社会保険庁と国税庁を統合し歳入庁とし、税と保険料を一体的に徴収するとあります。

 また、鳩山政権での「成長を支えるプラットフォーム 科学・技術立国戦略 IT立国・日本」の中でも、行政の効率化を図るため、各種行政手続の電子化、ワンストップ化を進めるとともに、住民票コードとの連携による各種番号の整備、利用に向けた検討を加速するということであります。

 省庁再編、社会保障制度の大胆な改革といった一大事業が予測されるこの取り組みに対しまして、国家戦略局として、先ほどは一年をめどにそういったことを仕上げるということでございましたけれども、戦略局として具体的な工程表はお持ちでしょうか。

仙谷国務大臣 残念ながら、まだ具体的な工程表をつくるところまで行っておりません。

仁木分科員 先ほど大臣もおっしゃられたように、IT化というのは、もろ刃の剣でございます。光と影がございます。納税面では、この制度というのは、国民の負担の公正性、また行政の効率性、また給付つき税額控除といったメリットもありますが、むしろ、このことは、菅副総理が強調されております国民のメリットということに関して、薄い感じがします。大臣の御感想をお願いします。

 そういう意味で、私はむしろ、年金や医療、介護といった社会保障制度の中でメリットを強調していくべきだと思っております。

 この資料は渡していませんが、大臣もこの検討会の中でごらんになった資料だと思います。

 私は、このことを思うに、より、医療、介護のサービス、こういったことに適用範囲が広まることによって、プライバシーの保護も同時に高めていかなければいけないという問題が発生します。そのこともあわせて、御意見のほどをよろしくお願い申し上げます。

仙谷国務大臣 今、税との関係が強調されたり、それから、プライバシーの関係での番号とIT化のかなり深刻な問題が強調されてきたわけであります。

 しかし、先ほどから私が申し上げておりますように、いろいろな公共サービスを、部分的には国あるいは地方公共団体に関与させなければ、我々が生活を営む上でそういう権利としても十二分でないということになるとすれば、そこはやはり、プライバシーの問題に配慮しつつ、この番号制度というものを国民の権利行使の一つのツールとして位置づけなければならないというふうに思います。

 特に、これからの時代を考えますと、今、税の世界で給付つき税額控除というふうなことが言われ始めたのは、まさに社会保障、つまり、医療、介護あるいは失業等々の問題に関しても、そこでセーフティーネットでの救済を受ける権利といいましょうか、公共サービスを受ける権利が完全に保障されるためのツールとしての番号制度ということになるのでありましょう。

 仁木議員が御専門のように、特に医療の世界は、プライバシーが完全に保護をされ、本人の情報をコントロールする権利が保全されるという前提で、これは限りなくIT化されることによって、治療が必要な方々に、あるいは治療が急に必要になった人々に対する治療としても、迅速に対応ができることになるだろうというのは、これはだれが見ても明らかでありますから、そういう部門でこの番号とIT化が進むということは、大変望ましいことだと思います。

 この間十年ぐらい、私もそれほど専門的に調査したことはありませんけれども、先進各国を中心にして、個人情報とIT化、特に国、地方公共団体が番号を通じて国民にサービスを提供するという仕組みを取り入れる、あるいは大々的に展開するときに、先進国はかなり、ほとんどの場合と言ってもいいんだと思うんですが、ITコミッショナーとかいろいろな第三者的な、個人情報の漏えいについての、防止する措置といいましょうか、あるいは防止したときの是正措置とか、そういうものをつくってきているように思います。

 それは、二重、三重で、今の最も新しい制度でやれば、プライバシーの漏えいが起こりにくい制度設計をすることと、それと、第三者的なコミッショナー制度みたいなものを取り入れることによって、つまり、セキュリティー対策といいましょうか、個人情報の保護が正しく行われるようなことを考えて制度設計をしなければいけないというふうに考えているところであります。

仁木分科員 ありがとうございます。私があらかじめ提出しました資料も踏まえて答えていただきました。

 そのこともありましたけれども、改めまして、ちょっと具体例も踏まえまして、メリットの点も強調していきたいと思います。

 ちなみに、きょう、新聞に、富山県南砺市の公立南砺中央病院で、二〇〇六年七月に、七十二歳の女性患者に、そもそも良性の胃潰瘍を胃がんだと誤診しまして手術を行い、胃全摘手術を行ってしまった記事が掲載されております。

 例えば、この間の検査において、胃カメラの過程で複数のドクターが番号制を用いて、先ほど大臣もおっしゃった、リアルタイムで使える仕組みをつくっていれば、こういった誤診に伴う医療費の増大、あるいはそのことによって不幸になる国民が出なかったということも考えられます。まさに、これは今、そういった医療情報あるいは医療技術の基盤があるわけでございまして、制度さえできれば可能な状態でございます。

 また、私は議員になる前から思っておりましたけれども、多くの学会に出まして、各種、前向きや後ろ向きの研究があります。この番号制度の導入によって、治験の推進や、あるいは医薬品や新しい治療法の研究に大いに寄与すると思います。そして、このことは、鳩山総理が言われておりますライフイノベーション、このことにもつながると思います。

 また、きょうお渡ししました資料、これは東京都の奥多摩、これは原始的な形でもございますが、公民館や地域の集会所でITを駆使してやるわけでございますけれども、ここで、患者さんの日々のバイタルサインというか、血圧あるいはいろいろな血液の情報も、これもやはり番号制度があれば情報が共有できる、有効に活用できるという例でございます。

 二枚目の資料でございますけれども、これは、私も勤務しておりました口山・古宮診療所があります徳島県美馬市の、こういった医療情報技術、ITを活用した医療や介護の仕組みでございますけれども、これに関しましても、こういった番号制度がありますと、より活用が高まる、より有効に使えるという例でございます。

 この番号制度というのは、年金の管理にも使えます。年金一元化のもと、職種に関係なく、収入に応じた基礎年金及び所得比例年金の保険料徴収にも活用できますし、また、二〇〇四年に発覚しました五千万件の消えた年金問題がございましたが、国民も自分で、今まで幾ら払って将来幾らもらえるのかといったことに関して、今、年金通帳発行ということも考えておりますが、電子的管理、つまり、この技術を活用したことでやっていけるとも思います。

 また、ほかのいい面としましては、振り込め詐欺やマネーロンダリングの防止、あるいは繰り返される性犯罪や指名手配犯の検挙にも使えると思います。

 また、雇用保険にも使われまして、昨年より試験的に実施されましたハローワークでのワンストップサービスにも応用できると思います。

 こういったメリットがあるわけでございますが、このメリットをより実現させるために、導入の方法についてお聞きします。

 内閣府の資料にありますように、こういった活用範囲を増大することでメリットは増大しますが、先ほどおっしゃられたように、プライバシーの保護の必要性も高まると思います。

 導入過程におきまして、私は、既存の番号と新しい番号を普及していくという方針も出ておりますが、新しい番号で最初からやっていくべきと考えますが、仙谷大臣の御見解はいかがでしょうか。

仙谷国務大臣 既設の年金番号というのはそれなりに国民は持っておるわけですね。それから、使っているかどうか別にして、住民基本台帳の番号というのもあるということでありましょう。それから、勝手に税務署の方が我々のところに番号を振っているということもあるのかもわかりません。

 今まで諸外国でどういうふうにこの番号制度を、特にIT化するときに使うのかということを、これから国民の皆さん方のお声もちゃんと聞いて、ということは、情報公開をして、どういう事例が日本で適用可能かという観点から、モデルを国民の皆さん方に提示しながら議論を進めていくということになろうかと思いますので、私自身は、これがいいとか悪いとかという判断は現時点ではしておりません。

 ただ、この世界も日進月歩で、相当諸外国でもシステムが変わっておって、やはり最先端で使い勝手がよく、国民の権利性も保全できる、あるいはプライバシー保護の観点からもすぐれているというふうな事例がある種出てきておるようでございますので、十二分にその辺は調査をしたいと思っております。

仁木分科員 ありがとうございました。

 先ほど、システムという言葉が出てまいりました。つまり、番号の管理システム、運用システムでございますが、先ほどおっしゃいましたように、IT技術の進歩によりまして、バイオメトリックスといいますか生体認証技術、つまり、本人確認に最新のテクノロジーを使うことも考えられます。例えば、器質的、形状的には、指紋や虹彩、網膜のパターン、あるいは手の静脈パターンや顔のパターンです。また、機能的には、声というか声帯からのこともあります。

 つまり、こういうことも、今アイデアとしては、諸外国では、ICチップとかカードを持参してそういったことを運営していくということもありますけれども、将来的なこういう技術の伝播に伴いまして、一気にそういうことをやっていくという考えもあると思いますが、仙谷大臣、改めましてそのことの御見解をお願いします。

仙谷国務大臣 これは、リテラシーといいますか、利用者側のその点についての意識もないと、ある種の能力と言うと大げさかもわかりませんが、一挙に進まない、本格的な展開にならないのかもわかりませんが、どこかで国民の方々の意識が、これはやはり権利行使なんだ、そのためには非常に有用で利便性の高いツールなんだということをおわかりいただける時代は、もうそこまで来ている。

 つまり、世代的に、このツールに対する感覚というのは、私どもがなぜテレビの画像が映るのかというのを、当初は、少年のころには不思議がりながら見ておったわけですが、このごろはもう、そんなことを考える人はだれもいない。

 要するに、リモートコントロールのあのボタンを押すだけが当たり前の世界になっているように、ITというか、パソコンを初め今の端末に対しても、我々のもう一世代前の方々は、メールを使わない、使えない人がかなり多い。ましてや、携帯メールを使える人というのは、七十以上の方であれば少ないのかもわかりませんね。

 だけれども、我々は端境期のように思いますけれども、仁木議員の世代だと、これは不可欠のツールというよりも、当たり前のツールになっているようにお見受けをいたしますので、もうそういう時代が来ていると私自身は思っております。

 意識さえ変わればこれほど、特に仁木議員の専門の医療分野の中に、ICチップを使って、それこそ、生まれたときからの既往症にしても薬歴にしても全部入っているということになれば、そしてまた、これからは、テーラーメード医療とか、ゲノムを使っての治療とかということになれば、これは個人性が高いわけですから、そのことが予防医学の領域で全部情報として集約されているということになれば、これは医療の世界にとっては大変ないいことだと思いますし、そのことが医療費を下げていくことにも確実につながっていくだろうと確信をしております。

 そういう時代をつくるために、政府も、今までeガバメントとかIT化とか言いながら、ごらんいただいたらわかるように、これがどのような国民の権利享受に資しているのかという観点から、あるいは、行政費用の効率化にいいことになっているのかという観点から考えると、極めて疑問なしとしないという感じを私は持っております。行政内部のというか、行政執行の効率化のためにも本格的なIT戦略というかIT化を進めていく、その相当大きい中核的な課題がこの番号制度であるというふうに認識をしております。

仁木分科員 本当に前向きなすばらしい御見解をいただきまして、ありがとうございました。

 もちろん、このことを進める上で大切なことは国民の世論形成だと思いますが、長年メディアも巻き込み議論となりました、国民総背番号制というのがありました。この名前だけで、国家が国民を監視、管理しているといった印象を持たれて、進みませんでした。

 先ほど来言われておりますデメリットの件も少し考えてみたいと思います。

 個人情報保護法が平成十七年四月一日より施行されまして、以後、同窓会が容易に開けないとか、そういう意味でマイナス面も出ましたが、このことに関しまして、国民の個人情報に関する関心はかなり高まったと思います。つまり、情報は一種お金に近い価値があるというふうな見識も高まったと思います。

 したがって、そういうお金を扱うわけでございますので、この番号制度の個人情報へのアクセスは、行政や医療、介護、年金担当の、国が指定した一部のものに限られるようにしたりとか、あるいは、一種性悪説に立った、もし悪用された場合、あるいは悪用した場合の罰則強化、そしてまた、そういった電子化した行政が行われている場合のサイバーテロ等に対する国家的なリスクマネジメントも必要になると思いますが、いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 そういう安全保障の観点からの綿密な検討も必要だと思いますし、それから、個人情報のレベルでいえば、いつの間にかどこかわけのわからないところからダイレクトメールが送られてくるというのは、私なんかも極めて不気味な感じを持っておりまして、多分これは、どこかの何かの会員になったりした記録、情報が売られていることによるんだろうと。

 あるいは、例えば私の場合ですと、昔の弁護士名簿がどうもどこかへ売られて、それがある種のビジネスの展開でそういう通知が送られてくるんだろうと思ってはおるのでありますが、こういうことが起こったときに、異議を申し立てて、その後はそういうものが一切来ないようにできる、そういう仕組みが必要です。

 特に医療に関する個人情報は、これは本人が同意したときに、その専門家、つまり、ドクターや、あるいは研究者やコメディカルのところにまではその情報が共有されることはあり得る、というよりも、それなくしては治療は成り立ちませんから、そういうことなんでしょうけれども。

 それを扱う人々もそうですし、それから、個人の情報コントロール権が確立する、それを仕組みとしてどうつくっていくのかというのは大変大きい課題で、私は専門家ではないからよくわかりませんけれども、特にITの世界は、ここも追いかけっこのような技術進歩がなされるようでありますから、そのことについても目配りが必要だと思っております。

仁木分科員 ありがとうございます。

 本当に、ITを駆使したすばらしい行政が頭に浮かぶような状況が起こりました。

 さて、この第二回の検討会を経まして、一年をめどに、例えばことし五月までに、導入までの期間、メリット、デメリットなどを整理すると言われていますが、今回、具体的に、この検討会そのものにしっかりと予算をつけて、有識者の参加も加え、諮問委員会あるいはPTへと発展させていただけないでしょうか。このことも、大臣の御意思というか、よろしくお願い申し上げます。

仙谷国務大臣 一番最初に申し上げましたように、グローバリゼーションとIT化だけは、否定しても否定してもこれは否定し切れませんので、これを、国民の福利といいましょうか、権利といいましょうか、そして利便向上のために、そして行政サービスが効率的に行われる、そういう展開になるような我が方のプロジェクトなりタスクフォースなりを立ち上げることを目標にして、つまり、番号制度の問題のみならず、そういう展開にできるように、今の立場でリードしていきたいと思っております。

仁木分科員 ありがとうございます。

 まさにすばらしい御見識と能力を持たれた仙谷大臣のもとで、国家戦略局、これが十分機能しまして、日本の政治が戦略的に生まれ変わることを強く御期待申し上げまして、私、仁木博文の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平岡主査 これにて仁木博文君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平岡主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。高木美智代君。

高木(美)分科員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただき感謝いたします。

 私は、分科会でございますので、地元からの要望、そしてまた、今まで承ってきたお声につきまして質問を進めさせていただきたいと思います。

 本日は、久方ぶりに、私もずっと一貫して取り組んでおりました食育を初め、食をめぐる問題につきまして質問をさせていただきます。少し順番を変えましてさせていただくところがあるかと思いますが、御了承ください。

 まず最初に、環境省に質問をさせていただきます。本日、田島副大臣にも御出席をいただきました。

 食をめぐる問題につきましては、特に廃棄物の問題、食品リサイクル法は、三年前の十二月でしたか、実質二年前ですが、改正になりまして、容器包装リサイクル法は四年前の六月、また廃棄物処理法は二〇〇八年五月に改正になり、それぞれ効果も上がっていると承知しております。東京では、サーマルリサイクルを導入いたしまして、新しいごみ回収の方式になれたところで、恐らく、宿舎をお持ちの議員の皆様も、そこにおなれになったことではないかと思っております。

 ところが、長年リサイクルに取り組んでこられた方たちから、家庭用生ごみのリサイクルにつきまして、法制化を求めるお声を多くいただいております。

 その理由としましては、ミネラルが含有する多様なミネラルは、焼却残灰といいますか、灰として埋立地に捨てられ、埋立地はミネラルの墓場になってしまっている。農地では微量ミネラルが不足をして、これが今顕在化をしている。

 また、もう一つ、理由としまして、野菜には水分の含有率が高い。ニンジンは九〇%が水分である。これを燃やすには、加熱をして水分を七五%まで飛ばしませんと燃えない。そのためには、当然、エネルギー消費が必要となるわけでございます。

 石川県の小松市というところがありますが、ここでは、食べたスイカの皮を干して、そこからごみ回収に出す。これは、ごみ焼却場で燃やし残しが出てしまうために、昭和五十年当時、市が広報でそれを徹底した。そうすると、焼却場の負担が減るというような話でございます。

 水を切って生ごみを出すとか、また、干して出すというような取り組みは小さなエコに思えますけれども、こうした熱効率、またCO2の排出削減、ひいてはエネルギー消費の削減等を考えますと、身近な大きな取り組みではないかと私は思っております。

 地方自治体では、今、焼却炉の老朽化も進みまして、全国で約千二百あるごみ焼却施設のうちで約三割は築二十年以上、更新期となっておりまして、私は東京ですので、東京の多摩地域では六割がそこに該当しております。しかし一方で、財政難のために対応がおくれております。

 この生ごみのリサイクルにつきまして、現状と課題、また法制化に向けての見解を、田島副大臣に答弁を求めます。

田島副大臣 御質問ありがとうございます。

 今御指摘をいただいております食品リサイクル法、こちらの方は、食品製造業でありますとか食品小売業、また外食産業等の食品関連事業者における再生利用等の促進を目的として、必要な措置を講じてきたところでございます。

 今御指摘いただきました家庭用の生ごみにつきましては、それこそ、個々の家庭から多様な品目が少量ずつ発生をし、また腐敗しやすいという性状を持っているところに加えまして、不特定多数の住民の協力をいただいていくということに大変多くの時間と労力を割かなければならないということを踏まえて、食品関連事業者から排出される廃棄物とは異なる取り扱いをし、発生抑制でありますとか再生利用についての取り組みは義務づけてはまいりませんでした。

 しかしながら、今御懸念いただいたとおり、家庭の生ごみは食品廃棄物全体の約半分を占めておることから、廃棄物等の再生利用を促進していく上では、その発生抑制や再生利用の推進も大変重要だというふうに考えているところでございます。

 これまでは、市町村に対しまして、生ごみの発生抑制を進めていく一般廃棄物処理の有料化の推奨でありますとか、リサイクルを推進していくために標準的な分別収集区分の提示等を行っておりますし、加えて、メタン化施設でありますとか堆肥化施設、また熱回収施設などのリサイクル施設の整備に対して支援を行っているところでございます。

 今後とも、環境省といたしましては、こうした取り組みを通じて、市町村の生ごみのリサイクルが着実に進むよう支援、誘導していきたいというふうに考えておりますが、一方では、私個人がちょっと懸念をしている部分は、都会のいわゆる集合住宅ではディスポーザーが随分普及しておりまして、生ごみの処理にまで到達しないという現状の課題もございます。

 これは所管は国交省の方になりますけれども、こうした問題も懸念を申し上げながら、先生御指摘いただきました家庭の生ごみのリサイクルについても、法制化とまではいきませんけれども、私どもでもしっかりと取り組みを進めていきたいと考えております。

高木(美)分科員 ありがとうございます。

 そこで、田島副大臣、きょう、実は私、環境省のホームページを久々に開かせていただきました。

 実は、前、チーム・マイナス六%というのがありまして、当然、我が家の環境大臣というのも以前からありますけれども、個人で、エコに対して、自分の生活をチェックしながら、そこから家庭のCO2の排出削減に取り組んでいこうという、これは自分で登録をして、そしてカードを自分でプリントアウトして番号も持っている、そういうシステムで、今、それがチャレンジ25、こういう形に、それも検討中のようですけれども。

 私は、むしろ、我が家の環境大臣の中身を見ましても、あなたが家庭でやってほしいこと、そういうような項目の中に、ごみを分別して出しましょうというのはあるのですが、生ごみをきちんと水を切って出しましょうとか、それからまた、できれば大きな生ごみについては干して、乾燥させて出しましょうとか、そういうような国民運動ということがまず必要とも思いますので、家庭のエコの取り組みの中にこうした項目を加えてはいかがかなと提案をさせていただきます。

 どのようにお考えになりますでしょうか。

田島副大臣 ただいま御指摘いただきましたのは、かつてのチーム・マイナス六%から、今回、チャレンジ25と、鳩山総理の御発言に基づいた形で、マイナス二五%を目標に掲げ、新たな国民運動の展開をしていることを御指摘いただいたものと考えております。

 こうした、マイナス二五%と目標は大きく掲げましたが、その取り組みのスタートは、今、高木委員が御指摘いただいているように、家庭から、地域から、職場から、それぞれ小さな温暖化対策の取り組みの積み重ねがすべてゴールに到達するものと考えております。

 そういった中で、各家庭で取り組める、また取り組んでいただきたい、さまざまな温暖化対策に資する、エコとセコは随分誤解もされやすいところではありますけれども、そうした取り組みを、今後とも国民運動のマイナス二五%、チャレンジ25の国民運動の一環として、できる限りきめ細かな対応がとれるように、私どもも引き続き検討を進めて、取り組みを進めたいと思います。

高木(美)分科員 田島副大臣の前向きな御活躍をお祈りいたします。

 それでは、これで環境省に対する質問は終了いたしましたので、御多忙と思いますので、どうぞ御退席いただければと思います。

 続きまして、加工食品の原産地表示につきまして、福島大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 今、外食産業における原産地表示等につきましてはかなり進んでいるということを承知しております。一方で、加工食品、冷凍食品等につきましても、原産地表示を入れてもらいたい、例えば、そこに使ってある原材料がどこの国で生産されたものなのか、そういった情報を求める消費者の声も多く出ております。この辺につきまして、福島大臣、どのように対応されるか、御見解を伺います。

福島国務大臣 御質問ありがとうございます。

 JAS法に基づく加工食品の原料原産地表示については、昨年九月の消費者庁、消費者委員会設立以前においては、平成十三年以降義務づけ対象は順次拡大され、厚生労働省、農林水産省の食品の表示に関する共同会議において、さらなる対象の拡大について検討されてきました。昨年九月以降は、まさに消費者庁が消費者委員会の意見を聞いて表示基準の企画立案を行うところになったところです。

 おっしゃっていただいた外食も含めた原料原産地表示の義務づけについては、消費者委員会において議論いただけるよう、消費者庁として情報の収集、分析を行うこととしております。具体的には、情報の収集の一環として、三月末に原料原産地表示拡大に関して消費者や事業者から広く意見を聞く場を設ける準備を進めております。

 これにつきましては、外食も含めた、それから加工食品なども含めた原料原産地表示については、皆さんの関心のとても高いところであり、三月末に皆さんの意見を聞いた後、これは消費者庁の責任において、拡大をどうしていくかについてきちっと進めていきたいと考えております。

高木(美)分科員 既に東京都では、冷凍食品につきまして、これは原産地表示を義務づけをするという条例を決めております。そこに倣いまして、消費者庁におきましても、前向きな、またスピーディーな検討をお願い申し上げます。

 続きまして、きょうは文科省高井政務官にお越しいただきました。食育について、また、子供の食をどう身近に実感をしていくか、こうしたことにつきまして、まず一点質問をさせていただきます。

 子ども農山漁村交流プロジェクト事業、それから農山漁村におけるふるさと生活体験推進校、こうした事業を今まで総務省、それから文科、農水、合同で推進をしてまいりました。これに対して事業仕分けで、国がやることではないとか、予算を三分の一に削減とか、こういう評価結果となりまして、結局、予算も削減をされました。

 もちろん、そこには文科省として努力をされて、新たな事業を立ち上げたというのも承知をしておりますけれども、ただ私は、この事業は、これは減らすものではない、むしろこれはどこまでも拡充をしなければいけない事業で、本来であれば義務教育の間にほとんどのお子さんが何らかの形で経験できる、そこまで拡充してもいいくらいの事業だと実は思っています。

 恐らく今、文科省におきましても、子供の健やかな育ちとか、またコミュニケーション力をいかに高めていくかとか、学力の増進も含めましてさまざま検討されていると思いますけれども、その一番基盤になる、体験をしながら食のことを知っていく、こうした事業は重要であると思っております。

 現実、そういう事業に参加したお子さんたちからは、また、これは教育者また親御さんたちがその変化の様子を見取ったお声でございますが、食に対する考え方に変化が見られる、食べ物への感謝の気持ちが芽生え、学校給食での残菜が減少した、また、温かい出迎えを受け、積極的に人とかかわろうとする態度やコミュニケーション能力の向上が見られた、こういう多くの結果も生まれているところです。

 この事業は拡充すべきと私は考えておりまして、今両親とも大変忙しい、そういう中で、特に都会のお子さんたちにとってみたら、必死で自分の勉強をしながら、その寂しさに耐えながら頑張っていらっしゃる、そのお子さんたちへのこれはむしろプレゼント、何も子ども手当、経済的支援だけではなくて、まさにお子さんに直接体験というすばらしい経験という、その世代しか、またそのときしかできないプレゼントをすることができる、こういうふうに思っております。

 子供に対する自然体験教育、また食育の点からもこれは推進をすべきと考えますが、文科省の見解を伺いたいと思います。

高井大臣政務官 私も、本当に高木委員のおっしゃることはよくわかりまして、そのとおりだと思っています。

 このたび、事業仕分けで国としては行わないという判断が下されまして、我々としましても、これまでの成果を踏まえて、二十二年度予算案においては、全国における体験活動の普及を図るため、学校、家庭、地域の連携協力推進事業の一部として、地方が主体的に行う事業に対して補助をするという形で、予算を少し変えさせていただきました。

 しかし、御指摘あったとおり、私も徳島県という小さな、本当に山間部の生まれでありますが、それでもやはり学校の仲間と一緒に、先生と一緒に体験をしたりするのと自分の家でやるのとはまた違っていて、新たないろいろな学びやいろいろなことが見えてきた、いろいろ思い出すにつけ、そういう経験もありましたし、この事業を大変かつ大事だというふうに思っています。

 しかしながら、一番の問題は、受け入れ先の農山村の家であったり、施設であったり、それから自治体であったり、地域社会であったり、いろいろなところがうちの方、教育委員会と協力をしながら、やはり温かく受け入れられ、しかもそれが負担にならないように、事件、事故も起こらないようにということも、いろいろな配慮が大事だというふうに思っています。

 それに当たって、学校現場、今大変にいろいろなことが忙しくございますので、国が押しつけ的にやるよりも、できるだけ地域が、また学校が、農山村がその意義を理解していただいて、今先生がおっしゃったような意義を認めていただいた上で、主体的に、積極的に取り組んでもらえるように、できれば全国でそういうふうになっていかないかなというふうなことを期待したいと思いますし、我々もそのバックアップとしては一生懸命頑張っていきますので、ぜひ御理解や御支援をいただければありがたいと思います。

高木(美)分科員 私は、ある東京の市を訪問しましたときに、そこのあるPTAの方から、今までそこの市は、小さい、ミニ体験のような形ですけれども、二泊三日で連携をして行っていました。しかし、やはり予算が削減されました。結局、行けなくなりました。バス代だけでも出してくれれば、あとはみんなで何とかなるんです。でも、そのバス代が出ないというふうに市から言われました。それはもちろん、市の財政難等々、今深刻になっておりますので、その状況があるのですが、そこのところは、国が行うべき事業ではないということではなくして、やはり国を挙げてここは支えていこう、地方ができないから国がやる。

 事業仕分けの評価結果についても、一度私も高井政務官に質問させていただいて、政務官は、これは政務三役で最終的には決めることですと。私は立派な答弁だなと思いましたが、予算の裏づけがなければ、どんなに意欲があっても最終的にはそれが出てこない、そういう状況があります。それに対して国として十分な支援をどのようにするか、きめ細やかな対応をさらに求めまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は、食育につきまして、少しお話をさせていただきたいと思います。

 今、食育も、食育基本法、平成十七年に施行になりまして、かなり国民運動となって進んでまいりました。

 実は、私は東京なものですから、少し大臣にも見ていただきたいと思ったんですが、「あらかわ満点メニュー」、こういうメニューを荒川区が策定しております。

 この仕組みは、そもそもの発想は、荒川区民の平均寿命が二十三区中二十二番目で、健康状態も決していいものではない。高齢人口も高い方です。区が行った調査では、朝食を抜いている人が全国の二倍、塩辛いものが好きな人が二人に一人、男性の肥満は全国と比べて多い、こういうデータ結果に基づきまして、生涯健康都市戦略本部というのを区で立ち上げたそうです。介護を受けず自立して暮らせる期間の健康寿命を一年延ばすとか、働き盛り世代の早世を一割減らすとか、そういう数値目標も掲げているのですが、働き盛りの世代は何といっても外食が多い、この外食をまずきちんとケアしようではないかということで、女子栄養大学、香川学長に区が働きかけまして、協力を求めて、共同開発で行いましたということだそうです。

 荒川区が働きかけ、女子栄養大学の生徒さん、また、当然栄養士の資格を持っていらっしゃる方たちが、手を挙げたレストランにお邪魔をしてメニューを点検しながら、ここに書いてありますのは、余談ですが、実は私はこれが好きなメニューなのですが、例えば「満点トマト麺」、ここには、エネルギーが四百十二キロカロリーとか、脂質、炭水化物、食塩相当量、全部細かく書いてあるんです。裏には、こういう方たちにお勧めです、男性には、「夕食が多くなりがちな方にはおすすめのヘルシーメニューです!」とか、とてもきめ細かくお勧めのポイントまで書いてある。

 こういうものを見ますと、これはすごく安心していただきたいなという、ちょっとお店の名前は申し上げませんが、こういうことを各店舗でずっと着実に実施をしております。こういう行政としての取り組みまで高められているということに、私も大変うれしい思いでした。

 もう一方で、食育は、私もかねてから、幼児からの取り組みが大事だと思っております。キッズ・イン・ザ・キッチンという言葉を御存じかどうかわかりませんが、小さなころから台所に入って、親御さんと一緒に包丁を持って一緒につくる、野菜の皮をむくところから自分で料理もする、こういう体験をしながら、それぞれ食に対して自分が意識を持っていく、こういう内容でございます。

 幼稚園、保育所、ここでの取り組みがまず入り口として大事になると思いますが、幼稚園、保育所、それぞれどのように取り組んでいらっしゃるか。きょうは厚労省の山井政務官にもお越しいただきました。文科、厚労、それぞれに答弁をお願いいたします。

山井大臣政務官 高木委員にお答え申し上げます。

 食育は非常に重要であり、とりわけお子さんへの食育は重要であると考えております。

 保育所における食育は、健康な生活の基本として、食を営む力の育成に向け、その基礎を培うために重要であると認識しておりますが、昨年四月に告示化して施行した改定保育所保育指針において、食育の推進のための留意事項を新たに規定をいたしました。

 留意事項としましては、食育の計画を保育の計画に位置づけ、その評価、改善に努めること、子供と調理員のかかわりや食にかかわる保育環境に配慮すること。これらを踏まえ、各保育所において、地域の特性に応じ、創意工夫を生かした取り組みの実践が図られていくものと考えております。

高井大臣政務官 私どもの幼稚園教育要領において、平成二十一年四月から実施されております中で、先生や友達と食べることを楽しむということをまず規定いたしまして、健康な体と心を育てるために、食育を通じた望ましい食習慣の形成が大事でございますので、幼児の食生活の実情に配慮し、和やかな雰囲気の中で教師や他の幼児と食べる喜びや楽しさを味わうこと、それから、いろいろな食べ物への興味や関心を持つようにすることなど、進んで食べようとする気持ちが育つように指導することとしておりまして、また、保育所指針ともいろいろ整合性を、すり合わせながら、私どももその充実に向けて取り組みをしているところでございます。

 私も、このたび御質問いただいて、改めてこの教育要領をよく読んで、自分も子供が七歳と四歳ですが、野菜を食べないとかこぼしたりしているのを余り怒ってばかりいないで、和やかな食卓になるように、また、最近、時々娘の方は手伝いをしてくれるんですが、一緒に台所に立って、猫の手で野菜を切るとかいうことを教えたりもしておりますので、今いただいた御指摘も踏まえて、これからも取り組んでまいりたいと思っています。

高木(美)分科員 私は、もう一つ、大人としてこれをどのようにしていくか、もちろん生活と遊びの中なのですが、五感を通してどのように触発をしていくか、そうした意識を植えつけていくか、こうした観点が大事ではないかと思っております。

 実は、済みません、きょうは見にくくて恐縮なんですが、これはデンマークのポスターなんです。ここに書いてあるのは、あなたの体は食べ物でできている。これは食べ物が競走しているんです。一番トップに立っておりますのは、前方集団、トップは牛乳、ライ麦パン、豆、ニンジン、後方になりますと、ポテトチップとか、アイスクリームなんかも一番後ろで溶けてもうへたばっている。こういうのを見ながら、どの食べ物を食べたら自分の体にいいのか、こういう意識を既に与えている。これはもう一九八〇年代、九〇年代から欧米では当然のことのように行われているものです。

 私は、こうしたことから考えますと、ポスターとかかるたとか、そういう五感を通して訴えるグッズが当然必要かと思いますけれども、こうしたものは各省庁で作成をしているのかどうか、それを伺いたいと思います。文科、厚労、それぞれ短くお願いいたします。

山井大臣政務官 申しわけございませんが、厚生労働省としては、現在、乳幼児の食育のためのポスターやかるたなどのグッズは作成しておりませんが、非常に大事なことなので、具体的には現場で普及促進をしていただきたいと思っております。

高井大臣政務官 私どもは「早寝早起き朝ごはん」国民運動を関係団体と協力して展開しておりますとともに、独立行政法人の日本スポーツ振興センターと協力して、食育及び学校給食に関するリーフレット、こうしたものを作成して、学校関係者や保護者に配布したり、シンポジウム等において配布したりしておるところであります。

高木(美)分科員 そうしますと、文科も厚労も、子供たちにダイレクトに働きかけるものは今のところほとんどないというお話でございます。

 政府の広報宣伝のあり方については、事業仕分けの評価結果は、予算要求の縮減、また、内容や手法について抜本的な見直しを行うという結果でございましたが、当然必要なものは、こうした普及啓発のものは実施すべきと考えますが、福島大臣、答弁を求めます。

福島国務大臣 御質問ありがとうございます。

 高木委員御指摘のとおり、子供たちが豊かな人間性をはぐくめるよう、食育についてわかりやすく広報啓発していくことは本当に重要だと思います。私たちの体は食べ物でできているわけですから、本当に重要だと思います。

 広報啓発の実施については、御指摘のとおり、事業仕分けでいろいろ指摘がありました。ですから、関係省庁とも連携をして、効果的な、あるいは効率的な実施に努めていきたいと考えております。シンポジウムなどの開催もことしも予定されておりますし、効果的な、効率的な、あるいは人の心に届く啓発広報活動をやってまいります。

高木(美)分科員 今の大臣の答弁を伺っていまして、きっとこれは子供にダイレクトに届く、その意識づけ、先ほど「早寝早起き朝ごはん」、こういうしつけという一番のベースであり、学歴よりも食歴とおっしゃる方もいらっしゃいますが、そのくらいに食に対する関心をダイレクトにどう持ってもらうか、与えていくかということは大事だと私は思います。

 恐らく今の大臣の答弁だと、ほとんどできませんねという話ではないかと思いますが、私は、ぜひ大臣が頑張っていただきまして、必要なポスターは、データだけではなくて、お金のない自治体はどんなにいいデータをいただいても印刷するなんということはしません、やはり必要なものは大臣のもとから明確に発信をしていただきまして、食育の推進、子供たちのまず勉強するための、また将来羽ばたくための土台となる体づくり、ここに貢献をしていただきたいと思いますが、大臣、御決意のほどはいかがでしょうか。

福島国務大臣 事業仕分けで指摘されたところなんですが、日本の貴重な予算を有効に使えということだと私は思っております。ですから、きょう委員から御指摘がありましたが、有効というか、子供たちに届く食育、子供だけではありませんが、食育の施策を担当大臣としてやってまいります。

高木(美)分科員 来年にはそうしたポスターが保育所また幼稚園に張られる、これを見ながら子供たちが、ああ、これがこうね、そう言いながら、豆を食べましょう、牛乳を飲みましょう、これをこうしましょう、やはりお菓子は控えなきゃだめよ、そういうことが現場で語られるような、そういうきめ細かな対応をしていただく、そういう食育の段階だと思いますので、ぜひとも大臣、頑張っていただきたいと思いますので、応援いたしますので、よろしくお願いいたします。

 あと、最後に大臣に一つだけ私が申し上げたいのは、先日タイに伺いましたときに、日本の食文化は世界に誇る文化です、タイの方たちも日本食に溶け込んでいますと。今、それだけ世界じゅうの方たちが称賛する日本の食文化、しかし、日本に行ったときに、どこに行けばその食の歴史がわかりますか、食器の歴史がわかりますか、衣装とかわかるんですか、こう私は聞かれまして、返答に困りました。

 日本の食文化を紹介するセンター、本来であれば食の博物館とか、修学旅行の生徒さんもそこを見たら、やはり日本の食はこんなにすごいんだな、こういうことがわかる、また海外のお客様も、そこを見てさらに日本の食文化に対して理解を深める、当然おもてなしの心とか日本の心を広めていく。まさにこれは成長戦略にもつながる内容ではないかと私は思っております。

 大臣、こうしたセンター設置に向けましてどのようにお考えか、見解を伺います。

福島国務大臣 外国人の方たちが日本食に関心を持っていただいたり、日本食のバランスのよい食事に関して関心が高まることは本当に必要だと思っています。また、観光庁の方で、日本への旅行者をふやすために、食ということからいろいろな紹介やキャンペーン、いろいろなことを始めているということも承知をしております。ですから、高木委員おっしゃるとおり、日本食のよさや歴史やいろいろなことを紹介したりアピールしたりということは大変必要だと思っております。

 ただ、きょう御指摘のセンターや施設をつくるということでいいますと、現在、厳しい財政状況の折、今の段階でつくるというのはちょっと正直難しいかなと思いますが、食文化の紹介、日本食の紹介、外国人の皆さんたちへのキャンペーン、これはまた違う形ででもしっかりやっていきたいと考えております。

高木(美)分科員 新たに設置しなくてもあるものを、例えば廃止をする施設とか、そうしたものも含めて、前向きに検討いただければと思います。

 例えば韓国では、そこに行きますと宮廷料理の料理人の方たちが、最高峰の方がそこにいらして、それを味わうこともできる、先ほど申し上げた衣装も、また食器も、その国の文化そのものに触れることができる。こうしたことに日本は余りにお金も使わない、また余りに民間に任せ過ぎるというふうに私は思います。もちろん、さまざまな方たちが努力をしてくださっていますが、やはりこれは国として身を乗り出して、ほかの国が国家戦略としてやっているように、日本の誇る食文化、ここに対して前向きな今後の取り組みを求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平岡主査 これにて高木美智代君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午前十一時三十四分散会


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