衆議院

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第1号 平成23年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成二十三年二月二十三日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      城島 光力君    手塚 仁雄君

      水野 智彦君    村越 祐民君

      小泉進次郎君    山本 幸三君

      阿部 知子君

二月二十四日

 手塚仁雄君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十三年二月二十五日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席分科員

   主査 手塚 仁雄君

      江端 貴子君    緒方林太郎君

      神山 洋介君    小山 展弘君

      杉本かずみ君    浜本  宏君

      松岡 広隆君    水野 智彦君

      村越 祐民君    本村賢太郎君

      山井 和則君    山本 幸三君

      阿部 知子君

   兼務 吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄及び北方対策担当) 枝野 幸男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (公務員制度改革担当)

   (拉致問題担当)     中野 寛成君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (社会保障・税一体改革担当)           与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (「新しい公共」担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙開発担当)     玄葉光一郎君

   内閣官房副長官      藤井 裕久君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   法務副大臣        小川 敏夫君

   国土交通副大臣      三井 辨雄君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   防衛大臣政務官      広田  一君

   衆議院事務総長      鬼塚  誠君

   参議院事務総長      橋本 雅史君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 石川 隆昭君

   裁判官訴追委員会事務局長 杉若 吉彦君

   国立国会図書館長     長尾  真君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   会計検査院長       重松 博之君

   最高裁判所事務総長    山崎 敏充君

   最高裁判所事務総局経理局長            林  道晴君

   政府参考人

   (内閣官房皇室典範改正準備室長)         原  勝則君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  塩川実喜夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長)            小野 正博君

   政府参考人

   (内閣府行政刷新会議事務局次長)         冨永 哲夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   村木 厚子君

   政府参考人

   (内閣府賞勲局長)    阪本 和道君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    佐久間 隆君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (宮内庁書陵部長)    岡  弘文君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  樋口 建史君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            杉山 晋輔君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           朝日  弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           井上 俊之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   金澤 博範君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 鈴木 英夫君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  櫻井 修一君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  城島 光力君     浜本  宏君

  水野 智彦君     石原洋三郎君

  小泉進次郎君     橘 慶一郎君

  山本 幸三君     中谷  元君

  阿部 知子君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     緒方林太郎君

  浜本  宏君     小山 展弘君

  橘 慶一郎君     小泉進次郎君

  中谷  元君     山本 幸三君

  服部 良一君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     松岡 広隆君

  小山 展弘君     本村賢太郎君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  松岡 広隆君     神山 洋介君

  本村賢太郎君     江端 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     井戸まさえ君

  神山 洋介君     杉本かずみ君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     山井 和則君

  杉本かずみ君     水野 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  山井 和則君     城島 光力君

同日

 第八分科員吉井英勝君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

手塚主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成二十三年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成二十三年度における歳出予算要求額は、六十二億九千六百万九千円でありまして、これを前年度当初予算額六十四億七千五百七万三千円と比較いたしますと、一億七千九百六万四千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費五十六億八千三百七十八万四千円、皇族に必要な経費二億八千八百二十二万五千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費七億五千二百三十五万三千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費四十九億三千百四十三万一千円でありまして、前年度当初予算額に比較して一億八千三百八十九万三千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して四百八十二万九千円の増額となっております。これは、文仁親王第一女子眞子内親王の御成年等に伴うものであります。

 以上をもちまして平成二十三年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

手塚主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。鬼塚衆議院事務総長。

鬼塚事務総長 平成二十三年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十三年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、七百四十二億七千百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四十五億五千万円余の減額となっております。

 その概要を御説明申し上げますと、まず、国会の権能行使に必要な経費として四百四十九億七千九百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百七億六千六百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 減少した主なものは、情報システム関係経費及び人件費等でございます。

 次に、衆議院施設整備に必要な経費として十二億八千万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として七十二億三千七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館及び分館等の施設整備費、新議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 減少した主なものは、平成二十二年度の新議員会館完成・引き渡しに伴う経費等でございます。

 次に、国会予備金に必要な経費として、前年度同額の七百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十三年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

手塚主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。橋本参議院事務総長。

橋本参議院事務総長 平成二十三年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十三年度国会所管参議院関係の歳出予算額は、四百五十一億一千万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三十五億四千万円余の減額となっております。

 これは、主に、前年度予算に計上されました通常選挙の実施に伴う改選関係経費、新議員会館整備等事業経費の減額等によるものでございます。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百三十四億一千百万円余、参議院の運営に必要な経費として百六十三億六百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十四億七千六百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として三十九億一千百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、本館その他庁舎の整備等に必要な経費及び新議員会館の整備に係る不動産購入費でございます。

 次に、国会予備金に必要な経費でございまして、前年度と同額の五百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十三年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

手塚主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。長尾国立国会図書館長。

長尾国立国会図書館長 平成二十三年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十三年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、百九十九億七千万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十一億五千万円余の減額となっております。これは、前年度第一次補正予算に計上されました所蔵資料のデジタルアーカイブ整備に関する経費の増額相当分が減少したこと及び国立国会図書館施設費の減額等によるものでございます。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等として九十三億一千二百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費及び情報システム経費等として九十億九千二百万円余を計上いたしております。

 平成二十三年度においては、特に業務・サービスシステムの最適化と図書館サービスの再構築に要する経費に重点を置いて計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千三百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、四億七千二百万円余を計上いたしております。平成二十三年度においては、特に、国際子ども図書館の新館建築工事に要する経費に重点を置いて計上いたしております。

 以上、平成二十三年度国立国会図書館関係の歳出予算につきまして御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

手塚主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。石川裁判官弾劾裁判所事務局長。

石川裁判官弾劾裁判所参事 平成二十三年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十三年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億七百四十六万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四百九十一万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、簡単でございますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

手塚主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。杉若裁判官訴追委員会事務局長。

杉若裁判官訴追委員会参事 平成二十三年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十三年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億二千四百三十九万円余でございまして、これを前年度予算額一億二千七百二十二万円余に比較いたしますと、二百八十二万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、簡単ではございますが、裁判官訴追委員会歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

手塚主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席いただいて結構であります。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。山崎事務総長。

山崎最高裁判所長官代理者 平成二十三年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十三年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百億二千二百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百三十一億七千八百万円と比較いたしますと、差し引き三十一億五千七百万円の減少となっております。

 次に、平成二十三年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官及び書記官の増員等であります。

 司法制度改革が進展し、ほぼすべての施策が実施の段階に入り、裁判所の体制の充実強化が求められている中で、複雑困難化し、かつ、増加している民事訴訟事件及び家庭事件等の適正迅速な処理を図るため、裁判官は、判事四十五人、書記官は、速記官からの振りかえ十五人を含め八十人、合計百二十五人の増加をすることとしております。

 他方、平成二十三年度には六十五人の定員合理化をすることとしておりますので、振りかえ分を除いて差し引き四十五人の純増となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百九十六億一千五百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として五十三億六千九百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件・裁判員制度関係経費として七十三億五千七百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費として六十八億八千九百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の耐震対策等のための経費として百四十七億四千六百万円を計上しております。

 以上が、平成二十三年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

手塚主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。重松会計検査院長。

重松会計検査院長 平成二十三年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成二十三年度予定経費要求額は、百七十億四千九百万円余でありまして、これを前年度予算額百七十六億二千七百万円余に比較いたしますと、五億七千七百万円余の減額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百五十億五千三百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として十九億四千五百万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 次に、会計検査院施設整備に必要な経費として五千万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成二十三年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

手塚主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。枝野内閣官房長官。

枝野国務大臣 平成二十三年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成二十三年度における歳出予算要求額は一千三億二千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額一千三十九億六千百万円と比較しますと、三十六億三千六百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として八百九十億三千三百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億三千三百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百二億五千九百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成二十三年度における歳出予算要求額は一兆一千五百七十八億三千百万円でありまして、これを前年度当初予算額七千二百七十三億九千七百万円に比較いたしますと、四千三百四億三千四百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策、行政刷新、新しい公共、暮らしと社会、国民の安全・安心の確保、地域主権改革・地域活性化、沖縄政策、北方対策等の推進のための経費として八千六百十八億三百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百七億八千六百万円、公正取引委員会には、独占禁止法の厳正・的確な運用、下請法違反行為等の取り締まり強化、グローバル化等経済実態に即応した競争環境の整備等のための経費として八十九億一千五百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千四百五十一億四百万円、金融庁には、金融庁一般行政、投資者等保護、金融機能安定確保等のための経費として二百二十一億八千二百万円、消費者庁には、消費者事故被害の拡大防止、厳正な法執行及び新たな消費者問題への対策等の推進のための経費として九十億四千三百万円を計上いたしております。

 以上をもちまして平成二十三年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

手塚主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。北澤防衛大臣。

北澤国務大臣 平成二十三年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十三年度予算については、平成二十二年十二月十七日に閣議決定された新たな防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画に基づき編成される予算の初年度として、必要な経費を確保しております。具体的には、新たな防衛大綱で決定された動的防衛力を構築するため、警戒監視能力や輸送力などを重点的に整備するなど、真に必要な機能に資源を選択的に集中することで、国民の御理解をいただけるよう予算の作成に努めました。

 平成二十三年度の防衛省所管の歳出予算額は、四兆七千七百五十一億九千七百万円で、前年度の当初予算額に比べますと、百五十億九千六百万円の減となっております。

 新たな継続費の総額は、平成二十三年度潜水艦建造費で五百七十七億三千百万円、また、国庫債務負担行為の限度額は、武器購入、航空機購入、弾薬購入及び武器車両等整備、提供施設整備等で一兆七千百十六億一千八百万円となっております。

 これをもちまして平成二十三年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願いを申し上げます。

手塚主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま北澤防衛大臣から申し出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

手塚主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

手塚主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

手塚主査 国会所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。浜本宏君。

浜本分科員 おはようございます。民主党の浜本宏でございます。

 この分科会に当たりまして質問させていただく時間をいただきましたことを、まず感謝申し上げたいと思います。

 その前に、私は、神戸の出身でございまして、神戸のポートアイランドに住んでおりまして、十六年前にあの阪神・淡路大震災をまともに受けたわけでありますが、その立場から、ニュージーランドで先般起こっております地震の被災に遭われた皆さん方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。また同時に、我が国の国際援助隊が今派遣をされておりますけれども、この皆さんの昼夜を問わない活躍に対して心から敬意を表したいと思います。

 それでは、私は、まず、きょうは国会を中心に、受動喫煙の問題について質問をさせていただきたいと思います。朝から煙たいお話でまことに恐縮でございますけれども、御参列いただいております関係の皆さん、ひとつきょうはよろしくお願いいたします。

 一九六四年といいますと、ちょうど日本で東京オリンピックが開催された年でありますけれども、その一九六四年の一月十一日に、ホワイトハウスの報道官の部屋で、ルーサー・テリーというアメリカの公衆衛生総監が大変な緊張を持って発表をしておられました。それは一月十一日の土曜日の早朝であったと言われております。

 それはどういう報告であったかというと、実は、たばこの害、特に肺がんとの因果関係が科学的にあるんだという発表をするために、ルーサー・テリー公衆衛生総監がわざわざ土曜日を選んだ。それは、その影響がウォール街にも影響するだろうということで土曜日を選んだ。それほどインパクトが大きな記者発表であったと言われております。その公衆衛生総監のレポートが出されたのが一九六四年。

 そして、きょう資料として皆さんのお手元に配付しております、NPO法人日本禁煙学会の出しております「受動喫煙ファクトシート」というのがございますが、これの二十四ページを見ていただきますと、「米国公衆衛生局長官報告(二〇一〇年十二月)」ということで、去年の十二月に三十回目のレポートが出されておるわけでございます。

 最初の一九六四年のレポートでは、直接、いわゆる能動喫煙が害を及ぼすということについてのレポートでございましたけれども、三十回目の昨年のものは、そこにもございますように、「タバコ煙への曝露にそれ以下なら害がないという安全なレベルはない。たまにタバコを吸うだけであろうと、受動喫煙であろうと、いかなるタバコ煙への曝露も有害である。」ということで、受動喫煙の怖さを指摘しておられるわけでございます。

 そういう立場、こういう認識の中で質問をしてまいりたいと思いますけれども、まず国会の関係で、この受動喫煙につきましては、既に多くの皆さんが御存じのように、労働安全衛生法あるいは健康増進法等でこのことが規定をされておるわけでございますが、労働安全衛生法は、御案内のように、国会の職員あるいは一般職の国家公務員、防衛省の職員、裁判所の職員といった方々には適用がないということであります。

 それでは、この国会におけるそういった労働安全衛生の責任者は、労働安全衛生法上では事業者ということになっておりますけれども、これの適用のない国会では一体だれが責任者であるのかというのが私の素朴な疑問であります。ひとつこのことについて質問をさせていただきます。御回答をお願いいたします。

鬼塚事務総長 お答えいたします。

 国会におきましては、議員活動される国会議員、秘書の方々あるいは議院事務局の職務に従事する国会職員のほか、食堂、売店等の営業をされる委託事業者の従業員といったさまざまな方々がいらっしゃいます。

 これを統一的にまとめてだれが責任者という形にはなっておりませんが、例えば、そのうち、国会職員の労働安全衛生につきましては、先ほど先生御指摘になりましたように、労働安全法上の適用はございませんが、一応準用するということで、その趣旨に準じまして、本属長であります、私、事務総長が事務局の責任者ということにはなろうかと思います。

 その他、それぞれの事業体がそれぞれの立場で責任を持たれるということだろうと思います。

浜本分科員 ありがとうございました。

 国会の職員の皆さんに対する労働安全衛生の責任者が事務総長でいらっしゃるということがよくわかりました。

 それでは、事務総長の受動喫煙に対する御認識はどういったものがおありなのか、お聞かせをいただければ幸いです。

鬼塚事務総長 受動喫煙の弊害といいますか、それにつきましてはいろいろと言われてございますので、当然、禁煙化ができればベストだとは思いますが、いろいろな条件、事情等がございまして、一気にそこまでいかないという事情の中で、徐々に徐々にではありますが、禁煙に向かって進んでいくのが望ましい形だろうと思います。

浜本分科員 ありがとうございます。

 それでは、鬼塚事務総長にお尋ねをいたしますが、二〇一〇年二月の受動喫煙に関する厚生労働省の局長通達、それから同年の十二月の厚労省の労働政策審議会の労働安全衛生法改正に関する建議、こういった文書があるわけですけれども、これについては御存じでしょうか。

鬼塚事務総長 若干時間的にはおくれておりますが、通達につきましては、三月二十五日に衆議院として正式に受領いたしております。答申につきましては、正式の受領はございませんが、内容につきましては、把握はさせていただいております。

浜本分科員 ありがとうございます。

 特に、平成二十二年二月二十五日の厚生労働省健康局長「受動喫煙防止対策について」という文書において非常に強調されておることは、受動喫煙による健康への悪影響については科学的に明らかとなっている、そして、原則として官公庁においては全面禁煙であるべきであると。一方で、全面禁煙が極めて困難なところは受動喫煙防止対策を進めることとするという形で、今後の政府の受動喫煙防止対策の基本的な方向性がこの文書で示されておるわけなんですね。

 そういう意味では、国会というところは、健康増進法に言う官公庁、あるいはこの局長通達の中で言う官公庁の中に入らないのか入るのか、そのあたりは、事務総長はどういうふうにお考えになっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

鬼塚事務総長 当然、入るということでございます。

浜本分科員 ありがとうございます。

 そういう意味では、この局長通達に従っていきますと、国会は、健康増進法で言う官公庁の中に該当するわけでありますから、原則全面禁煙であるべきである、こういうことを目指していかないと、まず国会として、立法府として、健康増進法あるいは労働安全衛生法、こういうものを立法している我々のこの国会が、他人には厳しく自分には甘くという状態が果たしていいのか。

 そして、これは議員だけの問題ではなくして、そこに勤めておられるさまざまな皆さんの健康的な面からいくと、この局長通達も言っておりますように、受動喫煙が、つまり、たばこを吸わない人が他人の吸う煙によって大変な、例えば肺がんが出るとか、こういったことが言われておるわけですけれども、そういう被害に遭う危険性が非常に高いということが最近の調査でわかっておるわけでありますから、これを目指した努力をする。

 もちろん、たばこを吸いたいんだという方もいらっしゃる、吸われる方は吸われたらいい。しかしながら、こういう局長通達あるいはその他の法律の関係からいいましても、もはや受動喫煙をこの国会の中で許容することはできないのではないか、こういうふうに思うんですけれども、事務総長、何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

鬼塚事務総長 お答えします。

 理想としてはおっしゃるとおりだろうと思いますが、国会の建物の中でもいろいろと、例えば政党の控室の部分は私どもは直接関知しない部分がございますし、業者とか別途の判断をされるところがございます。一律にこういう方向でということは非常に時間を要する問題ではないかと思いますが、徐々に徐々にながらそちらに向けて努力は重ねてまいりたいと思います。

浜本分科員 ところで、事務総長御自身は喫煙者でいらっしゃるのか、非喫煙者なのか、ちょっとお教えいただければ幸いです。

鬼塚事務総長 幸か不幸か、私は吸いません。

浜本分科員 ありがとうございます。

 ハンス・ケルゼンが、純粋法学の学者でありますけれども、自然が飛躍しないように法も飛躍しないんだという有名な言葉がありますけれども、確かに、一遍にあることがすべて進むということはなかなかあり得ないと思います。

 しかしながら、世の中の受動喫煙に関する動きを見ておりますと、既にこの国会より早く、きょうの私の資料を見ていただきましたらわかりますが、地方の方ですね、例えばこの新聞の「神戸市全庁舎で禁煙」という、今度の五月三十一日は世界禁煙デーでありますけれども、これに当たって、神戸市では全庁舎を受動喫煙を防ぐために禁煙にする。あるいは、もう一つ、こちらの左側の神戸新聞の記事を見ていただきますと、既に都道府県庁舎は兵庫など十七道府県が建物内禁煙にしている。こういう形で、地方の方が既に受動喫煙対策が進んでいってしまっているということであります。

 私も、国会の議員の一人として、非常にこれは残念でございます。もはや、さまざまな要請がある、さまざまな事情があるというその段階は乗り越えていかないと、国会としての議員あるいは職員の皆さん全体としての私たちの責任が大きく問われるのではないか。

 したがって、きょうの資料にありますように、例えば神戸新聞の昨年の五月二十九日、「国会議事堂 時代遅れ」という形で、国会の灰皿とたばこが、煙が出ているこういう写真が報道されております。

 あるいは、ことしも、たしか東京新聞にも、国会は一体何をしているんだ、国会の食堂に行ったら、何と驚くことに分煙さえされていなかったと。普通、民間ではもう完全に禁煙かあるいはすべて分煙はされているというところが、参議院の方は議員食堂は一応分煙はされておりますけれども、それも不完全とは思いますが、衆議院の方は全く分煙がされていない。これは余りにもガラパゴス的な形のものではないのかなという思いがいたしております。

 ぜひ受動喫煙の怖さ、きょうお手元に配付しておりますこのファクトシートを見ていただいても、アスベストよりもはるかに、今、FCTCというたばこ規制枠組み条約の中でも、受動喫煙の怖さ、たばこ煙の中に入っているベンツピレン、これは発がん物質でありますけれども、ベンツピレンなどはがんを引き起こして、さらにそれを育てる、促進をするという、こういう成分まであるものが入っているということが最近の調査でわかってきました。がん関連の物質が約七十種、そして化学物質が四千種類、科学が進んだ、医学が進んだことによって、私たちはこういうことがわかってきておるわけであります。

 こういう危険な状況がわかってきている状況の中で、ぜひこの受動喫煙の怖さというものを、国会における安全衛生の責任者として非常に御配慮いただき、そして重い認識を持っていただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 たばこのにおいがするだけでも、もう既にアスベストの敷地境界基準を百倍超えている。例えば、議員食堂で食事をしておりますと、隣の人が吸っただけでも煙はもうにおってきます。この状態はアスベストの敷地の境界基準をはるかに超えている。

 同じ資料の中に、六ページを見ていただきますと、「アメリカ環境保護庁による屋外大気の質分類」、こういうものがございます。これは、いわゆるPM二・五という、最近名前がよく出てくるわけでありますけれども、微小粉じんと呼ばれるものであります。この微小粉じんというものが我々の受動喫煙の元凶と言われているわけでありますけれども、これが、四ページの一行目から二行目を見ていただいたらわかりますが、心臓病のほかに気管支ぜんそく、肺がん、肺気腫、脳卒中、こういったものを引き起こすということであります。

 したがって、このPM二・五の数値が国会の中では非常に高いのではないか、こういうおそれがございます。

 実は、私は、今このPM二・五をはかる装置、簡単な小さな装置がございまして、私的にはかったことがあります、国会内の。そうすると、この今の基準値の「危険」から「緊急事態」というこういうところに、当時、昨年の衆議院の本会議場の出口のところの空気などは、そういう状況にあったわけであります。

 これは、私が私的に測定したものですから、ぜひ一度正式な測定をしていただきたいと思います。昨年は、衆議院の議院運営委員長以下皆さんの御協力を得て、衆議院本会議場周辺が禁煙になったということは非常に前へ大きく進歩したことだと思いますけれども、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 特に、国会における国会職員以外の一般労働者、つまり、食堂等で働く皆さんは国会職員でございません。したがって、この方々にはいわゆる労働安全衛生法上の適用があるわけでありまして、そういった面から、例えば国会、衆議院でも参議院でも、議食における皆さんは八時間とか五時間とか長時間にわたって受動喫煙をさせられているという状況にあるわけでございます。これは、非常に労働安全衛生法上からも許しがたい状況が起こっている。

 この人たちがなかなかそういうことが言えない、言いにくい。国会で国会議員の方々に、たばこは煙たいです、たばこやめてください、そういうことは言えない、言いにくいと思います。これは、先ほど紹介した厚生労働省の局長通達の中にも、言いにくい立場の人もいらっしゃるだろうから、そういう事業所の人はもっともっと前向きに、早くそういう改善をしていくべきであるということが書かれておるわけであります。

 こういった食堂で働く皆さんへの健康の面からの受動喫煙について、事務総長はどういうふうにお考えになっておられるのか、お尋ねいたします。

鬼塚事務総長 お答えします。

 先ほども申しましたように、最終的にはその事業者自体がやられることだろうと思いますが、ただ、国会の施設をお貸しして、営業するということで、私どもも何らかの形で関与してございますので、側面からでございますが、禁煙に向かって、努力は、私どもとしては応援してまいりたいと思います。

浜本分科員 ありがとうございます。

 今、喫煙者と非喫煙者の我が国の比率は、喫煙者が二〇%、非喫煙者が八〇%というところにまで平均的には来ております。もちろん、四十代から五十代の喫煙者は約四五%前後にありますけれども、全体的な喫煙者は、今、二対八という形で、たばこを吸われない方の方がはるかに多い。しかしながら、吸わないのに、その方々がたばこを吸ったのと同等の被害を受けてしまっているというところに大きな問題がございます。

 ある本の中には、津谷さんという方の書いた本の中に、こういうレポートがございます。それは、夫婦のどちらかがたばこを吸う方で、十時間夫婦が同じ部屋にいるとしたときに、その方が、どちらかが四十本、例えば御主人の方が四十本から五十本たばこを吸われたら、たばこを吸わない奥さんの方は何本吸ったことになるのかという研究調査をされました。何と、たばこを吸わない方が、三十本のたばこを吸ったと同じ成分が血液の中からあるいは尿の中から出てきた、こういう状況であります。

 こういうふうに、受動喫煙の怖さというもの、アスベストで我が国は大きな失敗をしております。アスベストは、一九七〇年代前後に、たしか七二年か七〇年に発がん性があるということがWHOで言われたことであります。このたばこの害についても、一九七〇年の第二十三回の世界保健大会で、発がん性、たばこの危険性、こういうものについて言われたわけであります。同じように一九七〇年代に言われて今日までに至っているわけでありますが、それほど長い間かけてこの問題がネグレクトされてきてしまったというところに、私たちは非常に焦りと、何とかしてやらなければならないという思いがあるわけであります。

 それで、国会におりますと、小中高生、たくさんの子供たちが訪れておるわけですけれども、大体年間にどれぐらいの方々が衆参、国会を訪問されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

鬼塚事務総長 お答えいたします。

 衆参別々に統計をとっておりますが、一応まとめてお答えさせていただきます。

 平成二十二年に国会参観に訪れた小中高の児童生徒数は、衆参合わせまして、小学生約四十三万人、中学生約十八万人、高校生約三万人、計六十四万人でございます。

 なお、通常の参観ルートにつきましては、既に禁煙化し、参観者に対して受動喫煙が生じることがないように措置いたしたところでございます。

浜本分科員 ありがとうございます。

 六十四万人の子供さんたちが国会に来ておられる。非常にたくさん勉強していただいたらいいと思うんです。今、受動喫煙の対策ができているとおっしゃっておられるんですけれども、それはやはり認識の問題かなと。

 本館の傍聴の待合所というんですか、先般行かせていただきました。ドアをあけるなり、たばこのにおいがぷうんと入ってくる。今も申し上げたように、たばこのにおいがするということは、もう既にアスベストの基準値を超える、百倍以上を超えている状態にあります。入り口のところにたとえ機械があっても、今やもうこれは専門家の間では常識ですけれども、あのたばこの煙を吸う機械はたばこの成分、害を全部吸収できるのではないというのは常識であります。その状態が今この下であります。ちょうど私が行ったときには、高校生の集団がだあっと入ってきました。何かたばこのにおいがすると言っている人たちもいました。

 これは、特に子供たちに対する健康という面では、子供の健康は児童の権利宣言その他にも書かれております。最近では、先ほど申し上げたFCTC、たばこ規制枠組み条約の中で、健康権というものが国際法の中でもうたわれるようになってきております。人間は健康であるために最高のレベルの健康の待遇を受けるんだというふうなことが書かれておるわけですけれども、そういう面から、ぜひもう一度この受動喫煙対策を見直ししていただいて、今の状況でいいのかということを御検討いただきたいと思いますが、事務総長、いかがでしょうか。

鬼塚事務総長 方向性としては、先ほど申しましたように、受動喫煙はゼロにするのがいいということでございますので、そちらに向けてさらに努力させていただきます。

浜本分科員 ありがとうございます。

 それで、国会における受動喫煙対策の予算ですが、来年度はどれぐらいの予算、そしてできれば過去にどれぐらいの対策費があったのか、お教えいただきたいと思います。

鬼塚事務総長 お答えいたします。

 平成二十三年度につきましては、喫煙ブースの設置に係る経費として約五百万円、空気清浄機の保守に係る経費として二百万円、計七百万円余を予定いたしております。

 同様にして、過去五年間の対策に用いました経費につきましては、平成十八年度が七百万円余、平成十九年度が七百万円余、平成二十年度が九百万円余、平成二十一年度が五百万円余、平成二十二年度におきましては五百万円余という実態になっております。

浜本分科員 ありがとうございました。

 ことしは七百万円、その前が五百二十万円、大体五百万から七百万円が毎年この対策に使われてきたと。

 これは、分煙する上で、過去にはそれでよかったと思うんですね。しかしながら、これから果たして分煙ということでいいのかどうか。むしろ、このお金は、受動喫煙の怖さに対する国会職員に対する教育とか、そういう形に回された方がいいのではないかなという思いがいたします。今後の受動喫煙対策、労働安全衛生対策の中で、ぜひこういった面に対してお考えをしていただきたい、こう思います。

 それで、国会の方は、今申し上げたように、衆議院の方ですけれども、議員食堂もやはりまだ分煙がされていない、中央食堂の方は、一応分煙はされておりますけれども、空気はその中で流れている、こういう状況であります。ぜひ、そういう点をもう一度再検証していただいて、善処をお願いしたいと思います。

 私たちも、これは何も事務方の皆さん、事務総長初め皆さんの責任だとは思っておりません。私たち議員も、やはり他人に厳しく自分に甘くという状況は絶対に許してはいけないし、私たち自身も、襟を正して、この受動喫煙対策に対して今後もそれぞれの努力をしていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

 それでは、裁判所でございます。裁判所にお聞きをしたいと思います。

 二十三年度予算及び過去五年間の受動喫煙対策は、どういうふうになっておるんでしょうか。

林最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所は施設が非常に多数ありますので、それぞれの庁舎の規模によって違うところもあります。また、大体八割の施設が全面禁煙ということになっておりますので、一応、空間分煙をしている施設の関係の中で最も規模の大きい東京高裁、地裁の庁舎における予算について御説明したいと思いますが、喫煙室内の空気清浄機の設置に、ここ数年の間でありますが、約四百四十万円を支出いたしました。それで、喫煙室の空気環境測定費としては、年間に約三十万から三十八万円を支出している状況であります。

 以上でございます。

浜本分科員 ありがとうございました。

 これも、先ほど国会の関連で申し上げたように、分煙から、やはり庁内、屋内は全面禁煙という方向で対策を考えていかなければいけないのではないか、こう思っております。時間の関係がありますので、そのあたり、よろしくお願いをしたいと思います。

 それから、宮内庁にまずお伺いしたいと思います。

 宮殿に私も行かせていただいて驚いたのは、宮殿の待合所のところが、去年まで、もくもくと煙が出ておったと。天皇陛下のいらっしゃる宮殿を煙で汚すということは、大変私たちも心が痛むところでありますけれども、このあたりの、宮殿、宮内庁における受動喫煙対策、どうお考えなのか、お教えいただきたいと思います。

風岡政府参考人 宮内庁の取り組みというのをちょっと紹介させていただきたいと思います。

 私どもは、宮殿で実施されます儀式、行事の待合所等におきましては、昨年の五月から、灰皿の敷設は行わないということにしたところであります。しかしながら、実際には、お客様の方からお申し出があった場合には灰皿を提供するというような運用をしておりました。

 しかしながら、受動喫煙対策の重要性とか、あるいは、御指摘のように、宮殿という施設の性格というようなことを考えてくると、宮内庁としては、今後は、仮にお客様の方からの灰皿の提供のお申し出があったような場合にも、禁煙に御協力をしていただけるようお願いしていきたい、そういう取り組みをしていきたい、このように考えております。

浜本分科員 ありがとうございます。

 時間の関係がありますが、あと二問、内閣府、きょうお越しをいただいております。

 青少年の喫煙習慣を断つためにどのような取り組みをしておられるのか。基本的にはわかっておりますけれども、特に、これは厚生労働省の方に申し上げたらいいんでしょうけれども、たばこは、今、喫煙習慣は病気であるというふうに言われておりますけれども、これに対する治療に保険が適用されている、しかしながら、青少年にはなかなか適用しにくい。一日のたばこ本数掛ける喫煙年数、それが二百以上でないといけないんです。若い人はそんな何十年も吸っているわけではないわけですから、こういう面では、せっかくの制度がだめになっているということでございます。

 その点、ちょっと何か、元厚生労働省にいらっしゃった村木さん、よろしくお願いいたします。

村木政府参考人 先生御指摘のとおり、未成年者の喫煙は大変体に悪影響があるというふうに私どもも認識しております。

 政府全体で、子ども・若者ビジョンというのをつくっておりますが、その中にも未成年の喫煙対策、例えば、たばこの販売時における年齢の確認でございますとか、それから法令違反の事案についての捜査とか、適正な処分を入れております。政府全体として、各省協力してやっていきたいと思っております。

 保険適用は、直接に私が今の立場で申し上げることはできませんが、全体として未成年者の喫煙防止が進むように、政府全体で協力をしてやっていきたいというふうに思っております。

浜本分科員 ありがとうございました。

 きょうは防衛省の方にも来ていただいておりましたが、時間がございません。政府専用機の中で喫煙が可能だということを私聞いております。航空機は、普通は禁煙が常識であります。どうして政府の専用機でそういうことが許されておるのか、これについては、また別の委員会で質問したいと思います。

 いずれにしても、私たち国会の議員としましても、この問題について今後責任を持って頑張ってまいりますし、どうぞ関係者の皆さんの受動喫煙に対する御理解をよろしくお願いしたいと思います。

 これをもちまして私の質問といたします。ありがとうございました。

手塚主査 これにて浜本宏君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方分科員 民主党・無所属クラブ、緒方林太郎でございます。

 我々平議員はなかなか質問に立つ機会もなくて、もう何カ月ぶりかなと思うぐらいでありますが、光栄な機会でありますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 本日、規制緩和関連で二つということで御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、最近ちょっとだけ話題になり始めている、稼働中の工場を世界遺産に指定する、しないという話でございます。

 この件につきましては、先般、十二月に園田政務官そして蓮舫大臣に地元の北九州市の方に来ていただきまして、新日鉄八幡製鉄所の中の稼働資産について見ていただいたところでございますが、ユネスコの中においては、既に稼働資産で世界遺産になっているものというのがあるんですね。これは別に何もおかしなことでもなくて、最近の世の中のトレンドとして、近代化を形づくってきたものを世界遺産にしていこうということで、これはいいことだと思うんですけれども、日本は、いろいろな法律の枠組みの間に、エアポケットのところにすとんと落ちてしまっていて、なかなか、これがすっと進むような状況にない。

 これは私、日本に特有の、日本だけの事情とは言いませんが、日本に非常に特有の事情だと思いますけれども、その点、林政務官、いかがでございますか。

林大臣政務官 緒方委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 今、委員御指摘の、近代化を形づくってきたものを世界遺産にという御指摘は、まさにそのとおりであるというふうに思っています。

 そうした中で、委員もよく御存じのように、世界遺産の推薦に当たりましては、推薦を行う資産を将来にわたり保護することが、ユネスコの方から、作業指針などを通じて強く求められているという現状もございます。このことから、文化遺産についてはこれまで、文化財保護法によって文化財の指定を行うことで資産の保護を図ってきたところでもございます。

 一方で、稼働中の資産については、企業経営の観点から、所有者の方が将来大幅な施設などの更新を行う可能性もありまして、さらに、ユネスコが定める世界遺産登録による種々の条件を、所有者がしっかりと納得、同意するということも必要になってまいります。

 このような稼働中の資産の特性を踏まえつつ、ユネスコの求めを満たすような資産の保護が可能かどうかについては、文化財保護法以外のほかの法令の活用も含めた最善の方策を、関係省庁としっかりと緊密な連携協力をして、検討してまいりたいというふうに思っています。

緒方分科員 ありがとうございます。

 そのとおりだと思うんですね。文化遺産については基本的に文化財保護法的なもの、そして自然遺産については例えば森林法とか、必ずしも文部科学省所管でない法律であっても、保護を実現した上で、それで世界遺産に申請をしているということでありますが、これから規制緩和ということでこの問題が取り上げられるときに、これは日本に固有の事情であって、別にユネスコが稼働資産を申請してはいけないなんて一言も言っていないわけでありますから、法律まで改正して、新法までつくってとかいろいろな議論があると思うんですけれども、私はそこまでしてやるものじゃなかろうと。

 例えば港湾法とかいろいろな、ありとあらゆる法律のスキームを駆使して、そして、政令レベルでもいろいろなやり方があると思うんです。新法まで制定してやるほどのものじゃない。まさに、規制緩和の範囲内でぜひやっていただきたい。

 法律をつくり始めると、閣法で出そうとすると、お役所で法律をつくって、そして内閣法制局へ上げて、閣議決定して、そして国会に上げて審議をして、つるされたら法律が通らなかったみたいな話もあるわけで、いつになってできるかわからない。

 これは重要な話でありますけれども、これは、いろいろお考えがあると思いますけれども、法律の改正とか新法制定ではなく、現行の法律、そして政令レベルでできるだけ対応できるように御尽力いただけないかなと思うんですが、両政務官、どちらかから御意見を賜れればというふうに思います。

園田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 緒方委員とは、昨年、稼働中の工場を、新日鉄の八幡製鉄所を視察させていただきまして、大変有意義な視察であったというふうに私も感じておるところでございます。

 今、委員御指摘のとおり、私ども、今規制緩和に向けて、内閣府の中における規制・制度改革について、行政刷新会議のもとで設置をされております規制・制度改革に関する分科会において検討を行っているところでございます。そこにおいては、一月の二十六日に分科会において中間取りまとめを行わせていただいたところでございます。

 その中間取りまとめにおきましては、稼働中の産業遺産の世界遺産への登録につきましては、「文化財保護法以外の法令による保全方策について速やかに検討を開始し、できる限り早期に結論を得るべき」というふうにさせていただいたところでございます。

 先ほど、文部科学省の林政務官からも御答弁をいただきましたけれども、そういった意味では、しっかりと連携をとらせていただきながら議論を重ねてまいりたいというふうに思っております。

 まずは、現行法の活用等における保全措置について最大限検討をしながら、必要な措置に全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。

緒方分科員 今、政務官の方から、最大限、現行の法令、現行のシステムの中で何とかこれが実現できるようにと。これはすごく重要な答弁でございまして、本当に、法律をつくるほどのものじゃないんじゃないかというふうに私は思いますし、ユネスコの世界遺産の暫定リストに載ると、載っている期間というのは十年でありまして、法律をつくろうとすると、これから準備してというと、まあ一年ぐらいかかるんじゃないかと。

 重要な時間が一年間費消されていくことというのは本来適当でないと思いますし、スピーディーに、できれば今年度中とか来年度の早い段階でとかいうことを強く願うところでございます。

 ユネスコの資料を見ておりますと、その保護のやり方というのは、もちろん国で、法律レベルでやるとか制度的に保護をするというのと、あと、地方レベルでの保護とかいうことも視野に入っているということが文章からすると読み取れるわけであります。

 もちろん、私は、国の関与が全然なくていいとかいうことを言うつもりは全くないんですけれども、地方それぞれで、もし国の方でどうしてもかゆいところに手が届かないところがあれば条例レベルでやってもいいというような、条例をつくって保護しよう、それを国でさらに補完する形でということも保護のあり方としてあるんじゃないかなと思っております。

 ユネスコがどこまで求めているかというのは、これは実際申請してみて議論してみないとわからないところがあると思いますけれども、今は地方分権の時代でもありますし、国の制度が一番最初にあるということはそうなんですけれども、地方の条例レベルで保護をすることについて、ここも取り込んだ上で、ユネスコが求めるような保護を実現していくということは重要だと私は思いますけれども、林政務官、いかがでございますか。

林大臣政務官 地域主権、地方分権にのっとった、いい御提案をいただいたというふうに思っています。

 ただ一方で、先ほど申し上げましたように、ユネスコの方の基準というのもありまして、一つ御紹介をさせていただきますと、ユネスコの世界遺産条約履行のための作業指針というのがございます。委員よく御存じかと思いますが、この九十六パラグラフの中には、世界遺産資産の保護管理に当たっては、顕著な普遍的価値及び完全性及び、または真正性の登録時の状態が、将来にわたって維持、強化されるように担保することというふうに書かれております。

 実際、登録されてしまったけれどもそれが取り消されたケースというのもあって、一つだけちょっと御紹介させていただければと思うんですが、エルベ渓谷というのがございまして、川ときれいな町並みが評価されて二〇〇四年に登録をされたんだけれども、交通渋滞が発生して、それをなくすために巨大な橋をつくって、景色を壊したということで九年に、だから、わずか五年で世界遺産登録を取り消されてしまったという例もやはりあります。

 そういった意味では、登録に当たっては、国としてもしっかりと責任を持ちながら、やはりその地域にとっても非常に重要な財産となるわけですから、しっかりと責任を果たしていかなくてはいけない。これはやはり使命感だと思うんですね。そうしたことも踏まえて取り組んでいきたいと思っておりますし、規制緩和というお話もありましたが、緩和と、その一方で、しっかりと世界に向けて誇れる保護のあり方というところのバランスをいかに考えるかということなのかなというふうにも考えております。

 そうしたことから、結局、ユネスコが世界遺産の登録は決定するわけでございますので、要件を満たしていくということと、資産が稼働中であるということの両面を踏まえた、バランスのとれた制度設計が可能かどうかということも含めて、関係省庁と、きょうは園田政務官もお見えですけれども、しっかりと連携をとって取り組んでいきたいと思っています。

緒方分科員 ありがとうございます。

 まさにそこでありまして、世界遺産にこういった稼働中の資産、稼働中の産業遺産を登録する際の問題というのが、今動いているものを登録するということの難しさでありまして、余りきつい規制がそこにかかると、うちの地元の八幡製鉄所などというのは、そこでまさに今動いていて、修繕をしている、そして鉄をつくるための工場が本当に今稼働しているわけであります。

 これからの取り組みの中でぜひぜひ御留意をいただきたいというか、規制緩和の中でやっていただきたいと思うのが、現在稼働している工場の、もちろん先ほどユネスコの指針にもあったとおり、完全性とか真正性とか、そういったものを維持することを可能としつつ、しかしその一方で、稼働を害さないというこの微妙なバランスのところ、これを確保できるような制度設計に努めていくということについて、ぜひ、では、これは園田政務官の方から強い決意を伺いたいと思います。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 実は、昨日でございますけれども、ユネスコの委員の方と私もお目にかからせていただく機会がございました。その際に、やはりその委員の方も、八幡製鉄所も含めて山口・九州の産業遺産群をしっかりとごらんになられたということで、大変御評価をいただいているというふうに私は伺わせていただきました。

 その際に大変印象的でありましたのが、まさしく今、緒方委員がおっしゃっていただいたように、これは百年前から続く産業遺産ということで、それがここでとまってしまっては遺産としての意味がないのではないのかという御意見をいただいたところでございます。すなわち、百年前から今日に至るまで、そしてこれから先も、その技術であり、あるいはその産業としての価値を見出しながら使い続けているというところに価値があるんだ、そこにまさしく産業遺産としての価値があるんだという評価をしているんだという御意見をいただきまして、私もなるほどなというふうに大変感銘を受けたところでございます。

 そういった意味では、委員御指摘のとおり、世界遺産への登録申請に際しましては、産業遺産の稼働に支障が生じないような保全措置が必要ではないかというふうに考えておるところでございまして、それを踏まえて検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

緒方分科員 ありがとうございます。

 ユネスコの世界遺産というのは、あるときがっと数がふえていって、今九百二十前後だったというふうに記憶をしていて、日本からもまだ候補で挙がっているものが、平泉であったり、これからさらに、うちの地元が産業遺産群で挙げているものも含めて、ユネスコの方からすると、ちゃんと国内で整理をしろということもきっとあるんだろうと思います。

 先ほどのエルベ渓谷であったり、たしかオマーンの野鳥の公園も最近世界遺産指定を取り消されたということで、世界遺産に対するユネスコ側の目線というのが厳しくなっているんだなということがわかるわけでありますけれども、これは純粋に規制緩和でございまして、この程度のと言うと語弊があるんですけれども、これぐらいのことはすっと物事が進んでいくことを御祈念申し上げまして、この件についてはこれで終えさせていただきたいと思います。

 政務官、ありがとうございました。

 質問を続けたいと思います。

 もう一つ、これも地元の話なんですけれども、スマートコミュニティーの話でございまして、今、経済産業省の御指導のもとに、全国で四つ、横浜、豊田、京都のけいはんな、そして北九州、我が町でございます、ここでスマートコミュニティーの実証実験をやっているわけでございますが、実は、我が町では、ある特定の地域をばかっと切り出す形で、そこでスマートコミュニティー計画、マンションであったり商業施設であったり、そういったものの送電網をスマートな形でやっている。

 これが今非常にスムーズにやれていることの原因というのは、電気を供給している主体が一般電気事業者、うちの地元でいうと九州電力でありますけれども、九州電力ではなくて、新日鉄が特定供給という形でやっているから、電気事業法の規制をそれほど気にすることなくこれがやれているというところがあるわけでありますけれども、これから全国でスマートコミュニティー計画をやっていこうとするときに、いろいろなバラエティーが考えられると思います。

 そのいろいろなバラエティーが考えられるときに、例えばですけれども、きょう経済産業省の方から来ていただいておりますが、一般電気事業者が供給する電力を使ってそのまま特定の地域内に、発電設備などを持たずに一般電気事業者から直接供給する形で、ある地域をばかっと切り出して、スマートコミュニティー計画、その中で自由にというか独自の論理で電気を融通するようなことが可能なんだろうかということを思うわけですね。つまり、特定の地域を一の需要場所とみなした上でということですが、まず二つに分けて質問いたします。

 この特定のコミュニティーの中の電送網が一般電気事業者による整備によるものというケースと、その中が自営線で、コミュニティーの中の送電網についても自分たちで運営する形でやっているものと、それぞれ場合分けをしますけれども、一般電気事業者から直接供給を受ける形で、一コミュニティーが一の需要場所とみなした運営をすることが可能なのかどうか。よろしくお願い申し上げます。

朝日政府参考人 御質問ありがとうございます。ただいまの御質問に対してお答えさせていただきたいと思います。

 一般電気事業者でございますが、需要家による負担の公平性を確保しながら、需給契約の単位を明確化する観点から、供給約款におきまして、独立した建物等を一の需要場所として電気の安定供給を行うこととしてございます。

 御指摘のようなコミュニティー全体への一括供給でございますけれども、低圧需要も含めた送配電網という公共財を一般電気事業者が整備してございます。そういう中で、コミュニティーに対しまして、こうしますと電気料金の安い高圧電気での供給ができることになりますので、なかなか難しい点がございます。また、通常の高圧需要家ですけれども、みずからの敷地内に内線をみずから引いてございます。

 そういった意味で、コミュニティーにおいて一般電気事業者によって送配電網を整備して、一方で、料金については一般需要家から回収することになりますので、そういう意味で、負担の公平性という観点から難しい点があろうかと思ってございます。

緒方分科員 では、コミュニティーの中が自営線であろうとも一般電気事業者による整備の電送網であろうとも、一つのコミュニティーを切り出す形で、そこに一般電気事業者からの送電を一の需要場所としてみなしてやるということは難しいと。

 もう一度確認なんですけれども、そういう難しいという理解でよろしいでしょうか。

朝日政府参考人 ありがとうございます。

 そういう理解でございます。

緒方分科員 多分、そういうお返事になるだろうと思っておりました。

 確かに、一つの地域を全部一の需要場所として、例えば太陽光を入れ風力発電を入れとやっていると、そこから出てくる電力であったり、そこが必要とする電力であったりというものが不安定になるということで、系統安定化のためにお金がかかり、その系統安定化のための費用をそのコミュニティーの外の方が負担をする形になるわけでありますので、ちょっと難しいのかなと思うんですが、これから、全国あちこちで、スマートコミュニティー的なものを特定供給のシステム以外のところでやっていこうとするときには、この問題というのは必ず出てくると思うんですね。必ず出てきます。

 今は、うちの地元のように特定供給であったり、そういうシステムの中でやっているから、何となく実証実験的にやれているけれども、電気事業者の方とお話をしてみますと、あくまでも一般論ですけれども、今、一般電気事業者によって整備されている電送網自体が相当効率的にできているから、その中で何か浮き島のようなものをつくってということ自体が非常に適切じゃないんじゃないかという御指摘をいただいたこともございます。

 それは多分、これまでの世界観の中では、これまでの日本の電力業界の歩みとしては、恐らく、今整備されているものが最適な環境なんだろうというふうに思いますけれども、新しい技術を生み出していこうとするときには、やはり何かスペシャルなものをやっていくということも必要なんだろうと私は思います。そのときに、本当に、特定供給とか特定電気事業者とか、そういった通常の一般電気事業者の枠を超えたところだけを活用してスマートコミュニティーをやるというだけだと、広がりが出てこないと思うんですよね。

 そこを、経産省としてなかなか本音の話はしにくいところだと思いますけれども、審議官、何か言えることがございましたら御答弁いただければと思います。

朝日政府参考人 ありがとうございます。

 先生おっしゃいますとおり、新しい技術が普及する時代におきましては、新しいアプローチを考える必要があろうかと考えてございます。

 ただ、現状における制度の枠組みを大事に、負担の公平性も含めて対応することも必要であるというのが現状だと考えてございます。

緒方分科員 それでは、一般電気事業者の可能性はあきらめて、今度は特定供給において。

 特定供給というのは、自分で発電設備を持っていて、そして自営線で引いてと、もともとであれば、非常に強い資本関係があるとかいうことでスタートして、最近は、組合をつくればその組合との関係の中で、組合に入る限りにおいて特定供給の対象となるということなわけです。

 自営線を使うことなく、これを特定供給と呼ぶのかどうかも私はわかりませんけれども、自営線を使うことなく、ある発電設備から特定の地域について、コミュニティー全体が一般電気事業者による送電網で結ばれていて、それで、特定供給の枠組みをそこに当てはめることによってスマートコミュニティーを実現する、つまり特定供給の、現在本当は自営線でやっているところを自営線でなく、一般電気事業者による電送網の中で、そういう送電を使って特定供給ということをすることが可能なのかということについてですが、審議官、これはいかがでございますか。

朝日政府参考人 ありがとうございます。

 一般電気事業者の電送網を利用して特定供給を行うという仮定かと思います。コミュニティーの内部で発電された変動しやすい電気を、一般電気事業者の電送網を利用して需要家に供給するという状況を考えるわけでございます。

 実態的に、一般電気事業者が、変動により不足する電気のバックアップ機能を担う可能性があろうかと思います。そういった意味で、電気でございますので、瞬時瞬時、需要量と発電量を一致させる必要がございまして、このケースを考えますと、特定供給を行う者ではなくて、バックアップをします一般電気事業者サイドが、需要量と発電量を一致させる責任を担う可能性が非常に強いというふうに考えます。そういった観点から、一般事業者にそのための追加コストが発生するとか、さまざまな論点があろうかと思います。

 そういった意味で、一般事業者に特定供給のための電気託送を義務づけるような形というのは、スマートコミュニティーの実現を図る観点では適切ではないのではないかというふうに考えてございます。

緒方分科員 なかなか難しいですね。

 これまで、あるコミュニティーの中で、今の電送網を超える、より高度なマネジメントをすることを可能とするような、つまり、うちの地域でやっているような、うちの地域は特定供給でやっているわけですけれども、それをほかの地域でもやれるようにする方法というのがどれぐらいあるのかなということをいつも思っていて、もし、うちの町でも、今特定供給の制度のもとでやっているものが成功できれば、また別のところでやってみようなんということもないわけではないわけでありまして、そういうときにどういうスキームが考えられるかと。

 例えば、一般電気事業者、我が町でいうと九州電力でありますけれども、そこから直接引き込む形でスマートコミュニティーをやれるかというと、なかなか難しいというお話が今ございました。では、特定供給制度だけれども、そこを緩く考えて、一般電気事業者の電送網を使って、それでスマートコミュニティーを実現する、これもなかなか難しいということになると、幅がだんだん狭くなってくるわけでありますけれども、今、グリーンイノベーションのところで、内閣府の方でも、こういったスマートコミュニティーにつながり得る幾つかのアイデアが、規制緩和の枠組みの中で出てきているというふうに思います。

 その中には、今言ったようなアイデアももしかしたらあるのかもしれませんし、特定供給の一の需要場所のエリア拡大ということもあるんでしょう。そして、今次国会で上がってきている法律、電気事業法の改正等もあると思いますけれども、ありとあらゆるツールを駆使して、せっかく今、より効率的な電気の使い方、これから太陽光も入ってくる、風力も入ってくる、いろいろな形のものが入ってくる、そういったものをうまくマネージしてやっていくためのシステムを、やはり、特別のところで切り出して実験的にやっていくことというのがどんどん可能になっていかないと、技術の高まりというのは難しいんだと思うんですね。

 そういうことが可能になるような規制緩和のパッケージ、メニューというのを、ぜひ内閣府の方で知恵を練って考えていただければと思うわけでありますが、質問時間も減ってまいりましたので、最後、園田政務官に御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 グリーンイノベーションのワーキンググループにおきましても、私が主査という立場で今取り組ませていただいているところでございます。

 委員の御指摘の事項に関しましては、これも先ほどの一月二十六日の分科会の取りまとめ、この中にも、三項目の改革案を御提示させていただいているところでございます。

 一つ目は、特定供給の関係性の緩和につきましては、電気の供給者、需要者の両者が共同で融通設備に投資し、そして電力の売買契約を締結した場合や、あるいは子会社が分社化した場合等については、組合等を設立せずとも、特定供給の関係性を満たすべきであるという意見がまず一つございます。

 それから二点目といたしまして、先ほど自営線のエリア概念の話をしていただきました。特定供給の対象となるエリア概念につきましては、「地域コミュニティを活用した電気の融通を促進させる観点から、「一の需要場所」のエリア概念を拡大すべきである。」ということも御提言をさせていただいております。

 それから三点目でございますが、特定電気事業制度につきましては、「地域エネルギーの効率的な利用に資する一定規模・範囲の特定電気事業者について、一般電気事業者等の複数の電源より、常時電力の供給を受けることが可能となる制度とすべきである。」ということで、その中にもいろいろな制度が考えられるのではないかということで、私どもも、この三点の提言を踏まえて、そして今、経済産業省も含めてさまざまな省庁と協議をさせていただいているところでございます。

 何とか、地域のコミュニティーというところの概念を幅広くとらえさせていただいて、そしてまた、そこから地域活性化に資するような規制緩和へと頑張ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

緒方分科員 本当にありがとうございました。

 最後に、質問の機会を与えていただきまして、手塚主査そして予算委員会理事の皆様方に感謝を申し上げまして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。

手塚主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘君。

小山分科員 園田政務官には、事業仕分けから、またこれらの規制改革まで、多岐にわたる連日の御公務、まことにお疲れさまでございます。心より敬意を表させていただきます。

 本日の質問は、旧政権から続いております規制改革に関する会議体のあり方、臨調政治、審議会政治のシステムに対する質問でございますし、また意見でございます。本当に尊敬する園田政務官への個人的な批判とか質問ではありませんので、ぜひその点はお含みおきの上、御答弁賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 まず、行政刷新会議、規制・制度改革に関する分科会、とりわけ本日は、現行の農林・地域活性化ワーキンググループ、これのメンバーの選定理由についてお伺いしたいと思います。農林・地域活性化ワーキンググループにおいては、このメンバー選定理由につきまして、個々のメンバーが選ばれた理由あるいは一定の選定基準というものがあったのでしょうか。

 これに関連して申し上げますと、この農林・地域活性化ワーキンググループの前身でございます、第四回までの会議体である農業ワーキンググループでは、八田さん、その弟子の安藤さん、それから城所さん、この三人が政策研究大学院大学の関係者である。安藤さんは、この農業ワーキンググループの委員になったときは日本大学の大学院の准教授でありますけれども、八田さんの弟子であります。また、平成二十二年の八月からメンバーが入れかわりましたが、十二月に、急遽、水産の専門家ということでメンバーに加わりました小松正之さん、この方もまた政策研究大学院大学の教授でございます。

 ことしと去年の、農業ワーキンググループのことも含まれますが、この農業ワーキンググループ並びに農林・地域活性化ワーキンググループのメンバー合計二十六名のうち四名が政策研究大学院大学の関係者である。また、学者のメンバーということで考えますと、極めて政策研究大学院大学の関係者の比重が高いということになってしまうかと思います。

 今までも、マニフェストの方向性と全く逆の新自由主義者の方が委員に登用されたりとかいうこともありましたけれども、これは何か、八田さんの関係者あるいは政策研究大学院大学の関係者ばかりが登用されたんじゃないかという疑念もなきにしもあらずなわけですが、これらのことも含めて御答弁いただければと思います。

園田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 日ごろは、小山委員には本当にさまざまな観点で御指摘やら御指導をいただいていることに、心から感謝をまず申し上げたいと存じます。

 今、委員からの御質問にございました、規制・制度改革に関する分科会、及び、私が主査として担当させていただいておりますが、そのワーキンググループにおきましての委員の選定理由はどうだというお話をいただきました。

 これにつきましては、規制・制度改革全般に知見をまず有する者ということ、それから、それぞれの分野の規制、制度に詳しい方及びそれぞれの分野の現場の事情に詳しい方、そういったもろもろの理由の中から政務三役が選定をさせていただきまして、規制・制度改革に関する分科会の設置規定に基づいて、行政刷新会議の議長であります総理大臣が指名をした者で構成をされております。

 今、何名か御指摘をいただいたわけでございますが、学識経験者につきましては政策研究を行っている方も選んでいるという観点でございまして、政策研究大学院大学、そこから選んでいる、必ずしもそういうことではないということでございます。すなわち、政策をきちっとこのワーキンググループの中で議論させていただいて、そして、それに詳しい方、あるいは学識を有する方、知見を有する方、そういった方々から選定をさせていただいているということで、その中に政策研究大学院大学の方が結果として選ばれたということでございます。そのように認識をさせていただいております。

 そしてまた、平成二十二年度後半の農林・地域活性化ワーキンググループにおきましては、農業分野の規制、制度に詳しい方及び現場をよく知っている方などの中から選定をさせていただいておりまして、委員も御承知かもしれませんが、学識経験者、農業ジャーナリスト、実際に農業に携わっていらっしゃる方、そして農業分野に熱心に行政の立場から取り組んでおられる方ということで、地方公共団体の首長の皆様方からも幅広くお願いをさせていただきまして構成をし、そして議論させていただいているということでございます。

小山分科員 国の規制を決める重要な会議でございます。そして、今、園田政務官からお話しいただいたようなことで選定されたということであるかと思いますけれども、特に、こういう会議体で事実誤認等は絶対にあってはならないことであるかと思っております。それゆえにこそ、今まさにお話しになられましたとおり、政策研究の専門家の存在が必要だと思います。

 そして、これについては詳しくは申し上げませんけれども、しかしながら、議事録を読む限りにおきまして、今、農業の関係については園田政務官からお話ございましたが、農業以外の分野のところで、委員の認識に、それも議論をリードする立場の委員の認識に相当重大な誤解や事実誤認が散見をされました。これは、事務局にお伺いをしまして、事務局の方から先日お答えをいただきまして私も理解させていただきましたので、それで結構でございますけれども、こういったこともあるということもぜひ御認識をいただければと思います。

 ところで、今回の農林・地域活性化ワーキンググループにおきましては、かなり協同組合のことが論じられております。協同組合についての専門家というものはいらっしゃるのでしょうか。

園田大臣政務官 このワーキンググループの中におきましては、協同組合を専門に研究している者でありますとか、あるいは協同組合を代表する方というのは入っておりません。

 しかしながら、先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、農業に実際に携わっていらっしゃる方、農業者でありますとか、あるいは現場を取材しているジャーナリスト、そしてまた行政の立場からということで、さまざまな農業協同組合の現状をよく見ている幅広い分野の方々の中からワーキンググループは構成をさせていただいているということでございます。

小山分科員 御答弁ありがとうございます。

 今回の議論の中では、農業協同組合にかかわる、漁業協同組合あるいは森林組合、いろいろな分野の協同組合も議論の対象に、これ自体についてはまだ議論の経過の途中でございますので、本日の質問でお伺いするということは申し上げませんけれども、しかしながら、ぜひ事実誤認がないように、特に専門家の数が農林・地域活性化ということで分野としては非常に広いものですから、そのところにもぜひ御配慮をいただければと思っております。

 そしてまた、十二月二十日の議事録を見ますと、例えば農林・地域活性化ワーキンググループの議論につきまして、十四人中五人が欠席をしております。三分の一以上の委員が欠席というようなことかと思いますけれども、その上、会議のトータルの時間がわずか二時間。その中で、一つの分野について、普通に考えましても十数分から数十分というような時間で議論をされているかと思います。実際に一つの特定の分野についてお伺いしましたところ、大体二十五分ぐらいであったということでございますし、また、議事録を見ますと、特定の委員二名がコメントをしただけでその日は終わっております。

 もちろん、議論はこの日だけではないわけですけれども、このような非常に短い時間で国の重要な規制についての改革が検討されている。また、その規制次第によっては、これは利権があるとかないとかということではなくて、そこで、地元に携わっている人たちにとってはまさに生き死にがかかっているようなことでもあるわけですけれども、こういった非常に短い時間で、また、三分の一以上が欠席するというような中で議論が行われていることについて、政務官の御認識を御答弁いただければと思います。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 委員の御指摘は、これは十二月二十一日かと存じますが……(小山分科員「失礼しました」と呼ぶ)一回の議論が二時間で短いのではないか、あるいはまた、それぞれの項目につきまして、二十五分あるいは十五分等々も含めて短いのではないかという御指摘でございました。

 必ずしも、実は、このワーキンググループの会議だけですべて物事が進んでいるということではございませんで、これは農林と地域活性化という形で分けさせていただいているんですけれども、例えば、農林分野のワーキンググループにかける前に、検討会、勉強会というのをそれぞれ行わせていただいているところでございまして、農林につきましては計七回、それぞれ二時間でございますので、十四時間ですね、目安でございますけれども。それから、水産に関連しても計二回ということで、このワーキンググループ以外のところでもまず検討を行わせていただいて、なおかつ、それ以外にも、各省とのさまざまなやりとりも含めますとさらに長い時間をかけながら、今日まで、この中間とりまとめまで行ってきたということでございますので、その点、恐らくワーキンググループの議事録の中でも、時々、個別検討会ということで、私も本当に委員の皆さん方にお礼を申し上げながら、それぞれ、本当に長い時間、そしてまた真摯な議論を積み重ねていただいているということでございます。

 このため、そういった各分野ごとで個別に研究会を開いて集中的に議論を行ったりしていたところでございますので、その点は御理解をいただければというふうに思っております。

 また、この分科会につきましては、法的な決定権限というものが与えられているわけではございません。あくまでも、この一月二十六日に取りまとめた中間報告は分科会としての提言であるというふうな位置づけ、提案であるという位置づけでございます。したがいまして、この提案を踏まえて、これから政務折衝を踏まえて、さまざまな関係の省庁のところの皆さん方と検討をさせていただきながら、最終的には、そこで調整をさせていただいて合意が得られたものが正式な政府の方針というふうになってまいります。

 そういった意味では、現段階で何か決定がされるということではまずございませんので、また、委員からの御指導、御鞭撻をいただければというふうに思っております。

小山分科員 ありがとうございます。

 次に、農業協同組合のところで主に触れられておりましたけれども、信用事業と農業関係事業ということで分けているというようなことがございましたが、この信用事業のことについて、これは一般論として、私自身の意見も申し上げながら、ぜひ御認識を伺わせていただきたいと思います。

 協同組合の信用事業には、相互金融と呼ばれているものがございます。これは、まさに組合員向けの事業融資でございまして、農協であれば農業者、信金であればもちろん事業者の方、また、漁協ではなくて信漁連であれば漁業者、私もおりました農林中金であれば、農業、漁業、林業家向けの融資が行われております。

 このような相互金融における出資者に対する融資というものは、〇・一%でも金利を上乗せしていこうというような利益追求の金融ではなくて、営利目的の通常の金融ではなくて、最低限のコスト分の金利はお願いしつつも、出資者の方に対して、事業者の方に対して資金を供給すること自体を目的としている、そういう金融でございます。

 手間暇かかりますので、非常にきめ細かい融資でございますから、収益性は決して高くはありません。また、担保がなくても、貸出金が保全を超過するような場合があっても、経営改善計画がしっかりしている、償還確実性があると判断できれば貸し出しを実行して、また、取引先への日常的な接触、管理のもとに、定期的に実績検討を行うような融資を行っております。

 経営改善計画の策定に当たりましては、事業者さんと何回も協議するとともに、時として事業者さんと涙を流しながら、コスト削減、リストラについても話し合ったり、あるいは、財務部門だけじゃなくて、事業者さんの営業や製造の現場まで出向いてコスト分析や定性分析を行う、こういったこともやっております。

 必要資金を融資するとともに、コスト削減等のアドバイスを行ったり、あるいは経営体の経営計画や経営改善計画を立てるというような指導も行う。まさに昨年の財務金融委員会におきまして亀井大臣が言われたところの金融のコンサルタント的機能を発揮しているのが、信金あるいは農協、こういった協同組合の信用事業であるのではないか。私は、こういった相互金融については、少なくとも立派な農業経営支援機能ではないかというふうに考えております。

 担保に頼った融資をしているんじゃないかとかよく言われますけれども、例えば、抵当権つき転貸債権の質入れ方式などのように、債権そのものを質入れしていただくということですから、これは一種ストラクチャードファイナンスの先駆けともいうべきものでありまして、決して土地や物的担保のみに頼った融資というわけではありません。

 そして、まさに、この相互金融こそ協同組合の原点の一つであり、戦前の産業組合や、あるいは日本の協同組合の原点と言われておりますドイツ・ライファイゼンバンクに源流を持つ協同組合の本業であるというふうにも考えておりますが、これについての所見をお伺いさせていただきたいと思います。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 今の御質問にお答えする前に、先ほどの質問の中で、委員がワーキンググループで欠席をされたのではないかということを御指摘いただいておりましたので、そのことだけちょっと付言させていただいてから今の御質問にお答えをしたいと思います。

 確かに、当日は五人の委員の皆さん方が御欠席をされました。しかしながら、付言をさせていただきますと、大変お忙しい委員の皆さん方でもございますので、ワーキンググループの議論としては当日は御欠席されたものであるというふうに思っておりますが、先ほども申し上げましたように、そこに至るまでの間に個別検討会等々でさまざまな御提言をいただいておりましたので、その点、その当日だけの欠席ということに関してどうだということではないということだけ、ちょっと付言をさせていただきたいと存じます。済みません。

 それで、今御指摘をいただきました「農協の信用・共済事業部門からの農業関係事業部門の自立等による農業経営支援機能」というふうに私どもは題させていただいている、表題に載せさせていただいているところでございますので、そのことに関しまして、少し丁寧に御答弁をさせていただきたいと存じます。

 これは、委員のお尋ねの、委員は相互金融というふうにおっしゃっていただいておりますけれども、組合員の預金を原資といたしまして、組合員の農業生産であるとか、あるいは農作物の加工、流通、販売、これに必要な資金を貸し付ける。そして、それと同時に、経営改善指導等の金融コンサルタント、こういったコンサルタント的機能を発揮する融資のように、信用事業の中に農業支援の機能が含まれていること自体、これは私も大変評価をさせていただいている。そしてまた、ワーキンググループの中でも、その点についてはしっかりとまず御評価をさせていただいている。それによって農業経営者の支援をしっかりと行っていただいているという機能、そのことについては評価をさせていただいております。

 そして、そのこと自体をこのワーキンググループの中で問題視ということではなかったものでございますので、その点については申し上げさせていただければというふうに思っております。

 なお、この分科会の中間とりまとめ、この中において、農協の信用・共済事業部門からの農業関係事業部門の自立等による農業経営支援機能強化を提言したものでございますけれども、これは、信用事業とそれから指導事業、これの厳格な区分けを議論したということではございません。また、信用・共済部門と経済部門であるとか、あるいは指導部門の組織分離まで求めたものではないということでございますので、ぜひその点は御理解をいただければと思っております。

小山分科員 それでは、少し質問の観点を変えまして、二〇一二年には、国連の定めた国際協同組合年を迎えます。これに対する政府の対応について、現在検討されているところをお伺いさせていただきたいと思います。

鶴岡政府参考人 二〇〇九年の第六十四回国連総会で採択されました社会開発における協同組合決議におきまして、二〇一二年を国際協同組合年とすることが宣言されました。その宣言の中で、各国に対しまして、この国際年を機に、協同組合の推進と社会経済開発への協同組合の貢献について啓発することが奨励をされております。

 続きまして、二〇一〇年の第六十五回国連総会で採択されました社会開発における協同組合決議におきましては、すべての国連加盟国に対しまして、国際協同組合年の準備などのための国内委員会などの国内メカニズムの設置に向け行動することを検討するよう呼びかけております。

 我が国におきましては、これらの決議を踏まえまして、農協、生協、漁協などで構成されます日本協同組合連絡協議会が、昨年八月に、二〇一二国際協同組合年全国実行委員会を設立いたしまして、この実行委員会が国際協同組合年に向けた活動を行っております。

 政府といたしましては、外務省はこの実行委員会と国連の間の連絡窓口を務めております。国連からの照会、あるいはこの実行委員会の活動などについて国連に対する情報提供などを行うということでございます。

 これまで、この実行委員会と政府の間の関係でございますけれども、二回ほど関係省庁との連絡協議の会を持っております。関係省庁は多岐にわたります。内閣府、金融庁、外務省、厚労省、農水省、水産庁、林野庁といった多岐にわたる関係省庁と二回にわたりまして、昨年でございますけれども、この実行委員会発足前それから発足後にそれぞれ意見交換を行っております。

 このような作業を通じまして、二〇一二年、来年でございますが、この国際協同組合年に向けまして、外務省といたしましては、実行委員会との連携をさらに緊密にしつつ、適切な対応を行ってまいりたいと思っております。

小山分科員 今、新自由主義的な考え方が、まさに、リーマン・ショック以降大変反省を求められているというような状況の中で、協同組合の役割といったものが見直されつつあると思います。我が国が、他のヨーロッパ諸国やあるいはアメリカと比べても協同組合の意義が非常に低められるということがなく、また、適切な協同組合基本法やあるいは協同組合憲章といったものの制定に向けてもぜひ取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。

 次の質問をさせていただきたいと思います。

 私は、一般論として、今後、次のメンバー入れかえの際などについてぜひ提言をさせていただければと思いますのが、特に特定の組織なんかについて検討する場合には、例えば、その組織の代表者であるとか、組織の現状に理解のある学識経験者というものもワーキンググループのメンバーに加えて議論を行っていくべきではないかと考えております。

 一つには現状認識の誤解や誤認を防ぐということもありますし、また、現状に批判的な人だけじゃなくて、現場の代表者あるいは現状に肯定的な委員も加えることで、より公平公正な議論を行うことができるのではないか。また、現場の代表者が加わるということは、これは組織にしても、代表者を出すというのは人質を出すようなものですから、現場も、合意したことには動かざるを得ない、認めざるを得なくなるのではないか。今までの議論というものについては、現場の声、実情といったものは必ずしも伝わらない、そういう思いを現場に与えてしまう、また、議員による政策形成との衝突といったような問題があるようにも思います。

 自民党政権下におきましては、郵政、法務、医療、教育、こういった現場の人間を入れずに、非常にある意味、考え方、方向性として一致した、悪い言い方からすれば偏った委員によって作成された政策提案に沿って多くの規制、制度の変更が行われ、問題も発生しました。抵抗勢力とのレッテルを張って現状の組織や制度を破壊する政治から、むしろ、現場と合意をして一丸となって政策を遂行していく、そういう創造の政治にそろそろ転換すべきときではないかというふうにも考えますが、これについての御所見をお伺いしたいと思います。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 現在の農林・地域活性化ワーキンググループ、これにつきましてのメンバーの皆様方につきましては、先ほども御答弁を申し上げましたけれども、さまざまな形でそれぞれの分野において知見を有していただいている方々であるわけでございます。そういった点も踏まえて、今後もしっかりといろいろな多岐にわたる方々の知見を御指導いただきながら進めていきたいというふうに思っております。

 また、委員御指摘のとおり、今のメンバーにつきましては、ことしの三月で委嘱期間が終了いたします。そういった面におきましては、この四月以降のメンバーの選定につきましては、委員の御指摘も踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。

小山分科員 最後に、常に政権交代が起こり得る時代の審議会あるいは臨調のあり方についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 くしくも、旧規制改革会議の草刈議長が平成二十一年十二月四日発表の「更なる規制改革の推進に向けて」の中で述べておりますけれども、これまでの規制改革会議、いわゆる臨調というものは、族議員とか利権議員の抵抗、関与を排除して、新自由主義的な嫌いはあるものの、客観的な立場から、しがらみにとらわれずに規制、制度を変更、緩和していこう、政策提言していこう、こういうことを目的に開催されてきたと思います。まさに、自民党一党体制で、政権交代が起こり得ない政治状況が前提だったのではないかと思われます。

 しかしながら、政権交代が起こり、前提となる政治状況が大きく変わったのではないかと思われます。例えば、二〇一〇年四月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画は、さきの選挙で業界からほとんど支援を受けなかった農水委員会の議員が、マニフェストに基づいて官僚の作成した文書に一字一句まで筆を入れて、まさに政治主導で作成され、閣議決定されたものでございます。

 しかも、前政権までとは異なる内容の計画が議員主導で作成をされたわけでございますけれども、政策立案についても大きな変化が起きている。しかしながら、規制改革会議の方の会議体は政権交代前とほとんど変わらずにいるやり方をとっているわけですけれども、そろそろこういったものも少し役割が変化してきているのではないか。

 政権交代の背景には、行き過ぎた市場原理主義の是正があった、格差拡大を助長するような政策提案はなされないだろうと、私の銀行員時代からの知人である水産の専門家の佐藤力生氏が論文で書いておりますけれども、そういうような期待をした人もいるわけでございます。規制・制度改革に関する分科会の議論が、マニフェストに基づいて議員が作成する政策と衝突するようなことになると、まさに、権力の二重構造ではなくて、政策立案の二重構造になってしまうのではないか。

 ですので、今後のこの役割や存在意義というものについてもそろそろ見直していく、あるいは議員の政策立案機能と衝突した場合にどういうふうにそれを調整していくかということについて、最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

園田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 まさしく、旧政権下における規制改革会議と、それから私どもの政権の中における規制・制度改革に関する分科会の取り組み、広い意味では行政刷新という形でございますけれども、何が大きく違うのか。これはやはり、政務主導、政務三役が主導的に役割を示すことではないかというふうに考えているところでございます。

 先ほどおっしゃっていただきましたように、この委員の間の何か利害調整的なところと衝突というような印象を持たれたということでございますけれども、そういう意味では、私どもが、政務三役、そしてまた与党、あるいは国会の皆さん方の御意見をしっかりと踏まえながら、まさしく政治主導で政治の閉塞感を取り除いていかなければいけないんだというところの思いというものは、委員と私も同等でございます。

 そういった意味で、旧政権下における会議体というものは民間の有識者のみで構成されていたという点、その点に関しては、私どもの政権下においては、担当大臣以下政務三役が責任を持って推進するような体制、そういったところで政策立案をしっかりと行い、また、各省との調整もその政務三役が主導となって行っていくという体制ができつつ、あるいは行っているんだというところでございますので、ぜひまた委員にも御指摘をさらにいただければというふうに思っております。

小山分科員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきたいと思います。

手塚主査 これにて小山展弘君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、村越主査代理着席〕

村越主査代理 次に、松岡広隆君。

松岡分科員 本日、自殺対策について質問させていただきます民主党衆議院議員の松岡広隆でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、内閣委員会に所属させていただいておりまして、自殺対策プロジェクトチームで事務局次長を仰せつかっております。日本の自殺率が高いことは知っておりましたが、実態を知るにつけ、もっと防ぐことができる死ではないかという思いをしまして、この質問の機会をいただきました。

 本日は、自殺対策担当の蓮舫国務大臣においでいただきまして、ありがとうございます。内閣府の自殺対策のホームページが本日から変わり、蓮舫大臣みずから動画でメッセージを発信していただいていることを拝見させていただきました。

 蓮舫大臣には二人のお子様がいらっしゃると聞いています。ツイッターで、毎朝お弁当をつくられていて、そしてその写真をアップされていることを見させていただきました。彩りのよい、おいしそうなお弁当だなという思いで拝見させていただきました。多忙をきわめる中で、毎朝お弁当をつくってもらう大臣のお子様は幸せだなという思いをいたしました。

 自分もお弁当を母親からつくっていただいたことを思い出しました。学校で嫌なことがあったとき、また、部活の試合で、友人から、先輩から責められたとき、もう嫌だなと思ったときに、母親が持たせてくれたお弁当を食べて、もう一踏ん張りしようじゃないか、そして家に帰ろうと思ったことが何度もあります。弁当には不思議な力があるなと思いました。

 さて、同じ日本に生まれ育った人でも、昨年は三万一千六百五十五人もの人々が、他の選択を見つけられずに死を選ばざるを得なかったという悲しい現実があります。日本においては、十三年にわたって、三万人を超える自殺者がいるのです。それでも、政権交代をした平成二十一年と比べると、三・六%、一千百九十人の減なのです。ましてや、三万二千人を下回るというのは、平成十三年以来、九年ぶりのことでございます。

 努力が足りないから、能力がないから、同じ境遇でも頑張っている人もいる、それなのにおまえはと、自己責任という言葉で切り捨てられた結果、この十年で、県一つがなくなるだけの人々が自死を選ばざるを得なかったと思っております。

 そこで、政府として、自殺対策の決意表明をお聞かせください。日本の自殺率は、G8ではロシアに続いて第二位、アメリカの二倍。毎日九十人の方々が亡くなる日本で、自殺対策は喫緊の課題だと考えます。

 また、二十代、三十代の死因が自死でございます。こちらにグラフを用意しておりますけれども、このグラフは、二十代、三十代の自殺率の推移でございます。平成に入りまして、二十代では一・七倍、三十代で一・六倍と増加しています。同じ二十代の議員として、同世代が抱える深刻な事実だと思っております。

 蓮舫大臣は、お子様を持つ立場として、そして同じ若い世代の大臣として、どのようなお考えを持たれているか、また感じられているか。万が一にもあってはならないことが起きた自死遺族のお気持ちにかわって、お考えをお聞かせください。また、三月の強化月間に挑む大臣の御決意のほどをよろしくお願いいたします。

蓮舫国務大臣 お答えをさせていただきます。

 我が国にとって、自殺対策というのは極めて喫緊の課題だと思っております。一人でも救える命のために国家がやらなければいけないことは、私は全力をかけてさせていただきたい。自殺で亡くなった方の心の本当に深い悩み、あるいは突然失った、残された家族の心の悩み、あるいは亡くなった方を大切に思っていた方たちの心の傷というのは、やはりはかり知れないんだと思っております。

 平成十八年に、議員立法で、全会一致で自殺対策基本法が成立しました。この法案の成立に大変力を注いだ民主党の山本孝史参議院議員、この方は、国会で自分ががんであることを明らかにして、がん対策基本法にも大変な力を注がれました。一人でも救える命のために、先輩の国会議員がつくり上げてきた法律をしっかりと守って、そして、その理念、目的を達成するために、後輩である松岡委員や私たちが取り組んでいくというのは、国会議員として当然の責務だと私は思っております。

 きょうは松岡委員はお誕生日で、それで、衆議院で一番若い議員であられますけれども、同世代の方たち、二十代、三十代で亡くなられる理由に自殺が多いというのは、これはもう決して看過できることではございませんので、ぜひこれまで以上にお力をいただきたい。

 政府として、松岡委員の御指摘、思いは重く受けとめさせていただきながら、三月の自殺対策強化月間に全力で臨むと同時に、強化月間だけで終わるのではない、継続した自殺対策をしっかりとやっていきたいと考えております。

松岡分科員 ありがとうございます。

 山本先生は、私、大学時代にお会いさせていただいていろいろと議論をさせていただいた、そのことをまた思い出させていただきました。

 本日は、予算委員会分科会が多く行われる中で、お忙しい中で御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 では、続きまして、平成二十三年度予算についてでございます。

 二十三年度の自殺対策関連予算案で、平成二十二年度九千七百五十六万一千円から、本年度は二億一千百四万四千円と大幅にふえているのは、自殺対策に対する政府のしっかりとした取り組みの姿勢があらわれているとお伺いをいたします。

 そこで、予算の内容についてお伺いいたします。

 自殺総合対策調査研究等の経費、自殺総合対策理解促進経費及び自殺総合対策人材育成経費が前年度と比べ減額されていることについて、その理由を教えてください。

村木政府参考人 委員からも御指摘をいただきましたとおり、二十三年度の予算案では、全体としまして、内閣府の自殺対策推進室の予算は、政府全体の予算の伸びが大幅に抑制されている中で、対前年度一億一千万、率にしますと一一六・三%増の二億一千万円と大幅な増額を図ったところでございまして、政府全体の自殺対策に強い姿勢で取り組むということを予算上も表明したものでございます。これは、新たに設けられました元気な日本復活特別枠を活用いたしまして、特に月間の広報啓発活動などを強化したものでございます。

 委員御指摘のように、確かに、これまでの通常の経費の中で減額になっているものはございますが、特別枠で大きな予算をいただくために、例えば、終わった研究経費というのは不要になるとか、合理的な節約をして、必要な経費はきちんと確保するけれども、そこで若干の圧縮をしながら大きな新しい予算をいただいたということでございますので、既存の予算でいろいろな事業ができなくなったり、マイナスの影響があるということはないというふうに私ども考えております。

松岡分科員 ありがとうございます。

 元気な日本復活特別枠に対しまして、また後ほど、これに関しても質問をさせていただきます。

 続きまして、自殺対策の戦略づくりでございますけれども、対策を進める中で、実現のための戦略は極めて重要だと思っております。二〇〇七年の自殺対策大綱にも自殺率の削減目標がございます。こちらを人口から計算してみますと、削減目標は二万五千人以下にするということになるんですが、この目標を達成するために、戦略、いわゆるロードマップはありますでしょうか、あるとしたら、どのようなものでしょうか。

 私が思いますのは、大きな目標を達成するためには、小さく腑分け、小さな目標が必要だと思います。例えば、失業者を何%、自営業者を何%、労働者を何%、いつまでに減らすか、そのために失業者支援としてすること、自営業者支援としてすること、労働者支援としてすること、この構築をし直すということが大切じゃないかなという思いをしております。

 この点に関してどのように進められるか、御答弁のほど、お願いを申し上げます。

村木政府参考人 御答弁申し上げます。

 委員から御指摘がありましたとおり、自殺総合対策大綱におきまして、平成二十八年までに、平成十七年の自殺死亡率を二割以上減少させるということが目標とされているところでございます。

 御承知のとおり、自殺は、社会的な要因も含むさまざまな要因が複雑に関係をして引き起こされるものでございます。率直に申し上げれば、経済情勢がちょっと変わっただけで非常に数字が動くものでございます。そういった意味で、その対策は、個人に対する働きかけ、社会に対する働きかけ、その両面から総合的に推進をすべきと思っております。

 その意味では、委員が今言われましたように、例えば、何年までに失業者は何人減らす、自営業者のうちの自殺者は何人減らす、そういう意味での具体的なロードマップをつくるということは大変難しゅうございまして、今政府でやっておりますのは、自殺総合対策大綱、いのちを守る自殺対策緊急プラン等々の計画をつくって、関係省庁で連携して、先ほど蓮舫大臣からも言葉がありましたが、できると思うことを、計画的に、すべて総合的にまずやっていこうということで対策を立ててやっているというのが現状でございます。

 ただ、今後は、警察庁から提供されたデータを分析している内閣府の経済社会総合研究所の分析結果がこれから出てくると思います。ハイリスク群等について有効な対策が立てられるかどうかということで、こういった分析結果もこれからだんだん使えるようになると思いますので、効果的な自殺対策をそういったものも使って推進してまいりたいと考えているところでございます。

松岡分科員 ありがとうございます。ぜひ、関係省庁と計画的に進めていただきますよう、お願いを申し上げます。

 先ほど、警察庁のデータという話がございましたが、警察庁のデータに基づく地域特性の分析が出ております。

 例えば、ある県では五十歳から六十歳の自営業者の自殺が多い、また、ある県では無職で女性の自殺者が多いなど、地域ごとの特性がはっきりと見えてくる部分があるのですが、このデータは大変な思いをして出されたデータだと認識をしております。これをしっかりと活用することが大切ではないかなという思いをしております。これらのデータをそれぞれの自治体にきっちりと知らせ、どのように対策を講じるのか、また、地域の特性を十分に考慮してセーフティーネットを張りめぐらさないといけないと思っております。

 これらの分析データの活用について、お考えはいかがでございますでしょうか。

佐久間政府参考人 ただいま議員御指摘いただきましたように、内閣府の経済社会総合研究所におきましては、地域特性を踏まえた各自治体での対策ということが重要で、そのためには各自治体に情報を提供していくということが大事だというふうに思っております。これまでにも、警察庁、厚生労働省、総務省からデータの提供を、これはかなり詳細、個別のデータでございますが、そのデータの提供を受けて分析を行ってきております。分析結果がある程度まとまったところで順次公にする、いろいろなところに報告させていただくということで進めてきております。

 その中で、さらに、平成二十二年の地域ごとの自殺の動向、これについての詳しい分析を今進めておるわけでございますが、二十二年に亡くなった方のデータが少しずつまだ追加になってきております。そのデータも追加しながらということで作業を今進めておりますが、近々、二十二年分の警察庁のデータが確定するというように伺っております。データの検証などを行った上で、来月、自殺対策強化月間でもございますので、その段階で、検証した上で公表いたしたいというように考えてございます。

松岡分科員 ありがとうございます。来月三月に向けて、しっかりと分析のほど、よろしくお願いを申し上げます。

 分析に関してですけれども、さまざまな分析がある中で、一年を細かく調べてみますと、一日の平均自殺者数は、三月の月曜日や三月一日が自殺者数が最も多く、また、月末月初に多い傾向が明らかになっています。私は、これらの分析結果を踏まえ、具体的な取り組みが必要じゃないかなと思います。

 例えばですけれども、三月一日が一年で最も多い自殺の日でございましたら、その前日に、各省庁や地方自治体に働きかけて、省庁内でも、また対外部であっても、メールを流す際に、冒頭に、三月は自殺対策月間ですとか、命を支えるメッセージをつけてもらうとか、窓口のURLを添付するとか、これはコストも手間もさほどかからずに取り組めることだと思っております。

 今こそ、こういった縦割りの行政の弊害を乗り越えて、民主党政権だからできる柔軟な対応が可能だと思いますが、この点に関して、お考えはいかがでしょうか。

 簡単なことでも、小さなことでも、いかようにも取り組むことができると思いませんか。私が示させていただいていることを一つでも実施していただくことをお約束していただきたいという思いをしておりますが、いかがでございますでしょうか。

村木政府参考人 ありがとうございます。

 御指摘のとおり、自殺は三月が一番多い。それから、日にちでいうと、三月一日というのが一つ大きな日にちでございます。

 三月は自殺対策強化月間ということで、地方自治体、関係団体と連携して啓発活動をするということでございます。

 それから、三月一日が一番多いということで、前日ではなくて、もうホームページのリニューアルもきのうの夜にやりましたので、できるだけ、各省庁、自治体にお願いをして、三月一日の前にスタートできるようにというお願いをしたところでございます。

 きょう、議員から御指摘をいただいた点も含めまして、三月一日に向けて、それから、三月一日以降の広報活動を工夫してやってまいりたいというふうに思います。

松岡分科員 私も、ホームページをけさ確認させていただきました。

 予算説明にもありましたけれども、元気な日本復活特別枠で、ぜひお願いをしたいことがございます。先ほどございましたホームページの件でございます。

 自殺対策のホームページがございます。しかしながら、このページを印刷しても、クリックをして紙に出すとA4から切れてしまうんですね。自殺の一歩手前にいる人がやっとたどり着いた相談窓口の一覧を、ホームページをプリントアウトしたときに、肝心な電話番号が切れてしまう。そのとき、見た人はどう思いますでしょうか。また切り捨てられたな、自分は運が悪いな、などなど考えるきっかけになっては、これはあってはいけないことだと思います。策定する支援策には当事者の目線が必要なときではないでしょうか。

 例えば、もう一つ、内閣府がつくった全国の掲示用のポスターの例がございます。これは私の友人が、小さな字で、悩みがあるなら電話するようにと、こころの健康相談統一ダイヤルと書いている番号を見つけ、勇気を振り絞って、やっと電話をかけたんです。しかしながら、結果は、こちらの地域はつながりませんというアナウンスが流れてしまいました。これは私も確認をさせていただきました。

 統一ダイヤルと書いていても、東京や大阪、どの地域でもつながるようにしないといけない。東京で大阪でつながらないというのは、非常に対応地域が限られてしまうものじゃないかなと思います。ポスターの中には、小さくは書いてはいるんです、対応地域と。しかしながら、電話をかけた人はどういうふうな思いをされますでしょうか。

 今、支援者の立場じゃなく、当事者の視点に立っての転換が必要なときだと思っております。ホームページの件、お考えはいかがでございますでしょうか。莫大な予算が必要なはずもないですし、技術的にもそんなに難しくはないと思います。お考えのほど、どうぞよろしくお願いします。

村木政府参考人 ホームページの件でございます。

 御指摘のとおり、ホームページから必要な情報にたどり着く、その手順をできるだけ短くする、それから、そのページを使いやすくするというのは非常に大事なことだと思っております。まだまだ不十分なところはあろうかと思いますが、昨晩からスタートをした、リニューアルしたページは相当アクセスが速くなっておりますし、それから、使いやすくはなったというふうに思います。ただ、おっしゃるとおり、大変大事な情報でございますので、順次リニューアルを続けて、より使いやすくしていきたいというふうに思っております。使っていただいた方々からの御意見などもできるだけ把握をして、引き続き使いやすいホームページの作成に努めていきたいというふうに考えております。

松岡分科員 ありがとうございます。ぜひそのようにしていただけたらと思います。

 そしてまた、相談窓口や支援施策がだれでもわかるようにしていかないといけないなと思っております。

 ホームページ、統一番号、ゲートキーパー、この三点について質問をさせていただきます。

 生きるために必要な相談窓口や支援策に関する情報が、先ほどホームページの件でも質問させていただいたとおり、当事者にとって探しやすい環境になっていないといけないという現実があります。相談窓口や支援施策の見える化を徹底的に図って解決策を見つけることができるのではないでしょうか。

 民間団体がつくっているホームページがございます。一例を示させていただきますと、「いのちと暮らしの相談ナビ」などはとても利用しやすいなと思っております。これは、私が地方に選挙応援に行くときなどに宿泊先を探すのによく使っているサイトとよく似た使い勝手のよさがあります。自分の住んでいる地域を選ぶ、次に、困っていることをクリックする、そして解決したい問題を選ぶ。どんどん進んでいくと、二十件検索されましたなどと、日本全国の各自治体の支援策がぽんと出てくるわけです。しかも、これはプリントしても途切れないということも拝見させていただきました。このサイトに、各都道府県や市町村にデータを提供するように国が呼びかけ、これらの情報の管理を各自治体にお願いするといったことができないでしょうか。

 そもそも、この程度のものは国がつくるべきだと思います。一部の民間団体が作成するものを使用することができないと言っている間にも、きょうも九十人近い人がみずからの命と向かい合っているわけです。御見解のほど、お願いをいたします。

村木政府参考人 委員御指摘のとおり、相談窓口にできるだけ早くたどり着いていただく工夫というのは非常に大事だというふうに思っております。

 今回リニューアルをしたホームページに、相談窓口の一覧に入る部分がございます。そこは、一つは、各省庁でどんな相談があるかという分野別の窓口、それからもう一つは、都道府県ごとに、自分の住んでいるところで選ぶ窓口というのがあるんですが、もう一つ、先ほど先生がお示しをくださいました民間の団体の相談のサイトにつながる窓口と、三つ窓口を設けております。その意味では、民間でやっておられるサイトも十分に私どもも活用させていただいているということで、こういったことは我々もどんどんやっていきたいというふうに思っております。

 ただ、私どもが地方にも協力しなさいということまで言えるかどうかというのはなかなか難しいところがあるんですが、我々も工夫をして、逆に、国の中、政府内部で相談窓口を集約していく中に自治体の協力をいただく、これは比較的可能性が高いと思いますので、そういうことをまず国がみずからやった上で、そうやって集約したものをうまくいろいろな形で活用できるようにということを少し検討してみたいというふうに思っているところでございます。

松岡分科員 ありがとうございます。

 続いて、統一番号についてでございますけれども、当事者の視点への転換のお願いとして、もう一つございます。

 もうほかに道はないと思い込んだ人が、それでも電話をかけてみよう、そのとき、覚えやすい、そして全国共通の電話番号が必要だと思います。

 私も電話番号を探したんですけれども、ホームページ、ポスター、リーフレットなどでもそれぞれ、またキャンペーンの期間によって、地域によって、書かれている番号が違います。これが、だれでも知っている、例えば一一〇番、一一九番のような全国共通の統一番号があったら、どこからかけても今いる地域での総合窓口につながる。あっちこっちとたらい回しにせず、支援の策を手元に持っていくことができたら、アウトリーチの施策が今こそ必要なときではないかと思います。ぱっと目に入る覚えやすい統一番号をつくることは可能でございますでしょうか。また、問題があるとしたら、それは解決できる問題でありますでしょうか。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 統一番号というのは、ユーザー側から見て大変大事なことだと私どもも思っております。

 まだ発展途上でございますが、今、内閣府において、こころの健康相談統一ダイヤルというものを設置してございます。〇五七〇―〇六四五五六、行おう、守ろうよ心という、心の健康相談ということで、心にかけて番号をつくっております。これに各都道府県の加入をお願いしているところでございます。

 現在の加入府県は十八、それから、三月から新たに四つ、政令指定都市を含んでおりますが、四つの県が加入をしていただけます。それから、これは期限つきでございますが、三月の強化月間中だけということでございますが、四都県、これも政令指定都市を含んでおりますが、これが御参加をいただけることになっております。

 三月、そういう形で御参加をいただけるところもありますので、三月の月間中の統一ダイヤルの実施状況も分析をしまして、未加入の都道府県について、今までもお願いをしてきているわけでございますが、引き続きお願いをしっかりしたいというふうに思っております。

 未加入の理由はいろいろありますけれども、今の自分の自治体でしっかり広報していて、地元には根づいていて、それだけでもう満杯になっているというような御事情とか、それぞれの自治体の御事情があって、なかなか簡単に統一ダイヤルというところまで行き着いていないのですが、やはりユーザー側から見た便宜ということを考えて、加入をしていただきたいというお願いを、私ども、しっかりこれからも続けていきたいというふうに思っております。

松岡分科員 ありがとうございます。

 質問はこれで最後にさせていただきますが、ゲートキーパーについてでございます。

 自殺対策推進室では、「あなたも、“ゲートキーパー”になりませんか。」というキャンペーンがあると伺いますが、これは非常にいい取り組みだなと思っています。地域でのゲートキーパーの講習会が開かれているようですが、平日でも仕事がある日でも出席しやすいよう、国としてできることはないでしょうか。ゲートキーパーという名称と、総合窓口、統一ダイヤルなど、施策が車の両輪のように具体的に認知されるべきだと思います。

 また、さまざまな調査結果から、死の直前に、専門機関だけではなく、例えば、美容師さん、占いの仕事につく人などに相談する人が多いというデータも出ております。どうしたら占い師、美容師などのお仕事をされている方々に知らしめることができるのでしょうか。特に、指導する各関係省庁から見当がつきにくい占い師さんなどにお知らせすることが難しいように思われますが、御見解のほど、お願いをいたします。

村木政府参考人 御指摘いただきましたとおり、ゲートキーパーという考え方は、我々、非常に大事だということで、これから広めていきたいと思っております。自分の周りで自殺を考えている人の異変に気づいて、声をかけ、話を聞き、適切な支援の窓口につなぐという一連のプロセスをやってくださる方をゲートキーパーとしてふやしていきたいというふうに思っているところでございます。実際の相談窓口の整備、それから広報啓発を両輪にしまして、こういったものをしっかり根づいていくようにやっていきたいというふうに思っております。

 御指摘のように、自殺とか心の健康とかの専門家ではなくて、日ごろ接触をする、例えば、美容師、理容師の方ですとか、コンビニの店員さんとか、いろいろな方にこれに参加をいただけるというふうに私どもも思っております。地方でも講習会をかなりやっていただいておりまして、いろいろな人が参加できるように、例えば休日に実施をしたりという工夫もしていただいております。私どもも中央の講習会もやるんですが、これも三月十九日土曜日に開催をするということで、いろいろな方が参加をしやすいようにするということを考えております。

 また、例えば、美容師、理容師さんの協会と連携してそういうことをやっていくというようなことも考えております。そういうことをやっていけば、一番その方々が参加しやすい形になるということでございます。こういったことに協力をしてくださる団体を少しずつふやしていくということでございます。

 占い師の方々とかというのは、私ども、まだどういうルートがあるかというところが見当がついておりませんけれども、さまざまな形で、いろいろな職種の人に参加していただけるように努力をしたいというふうに思っております。

村越主査代理 松岡君、時間ですので、まとめてください。

松岡分科員 はい。

 ありがとうございます。

 今回、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 最後に、一人でも多くの方が自死を思いとどまることができるような施策をぜひつくっていただきたい、それが心からのお願いでございます。

 本日は、質問をさせていただきまして、ありがとうございました。

村越主査代理 これにて松岡広隆君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

村越主査代理 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。本村賢太郎君。

本村分科員 民主党の本村賢太郎でございます。北澤大臣を初め当局の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、冒頭に、現地時間の二月二十二日、ニュージーランドの南島のクライストチャーチ市で起きた地震災害で被災された皆様へのお見舞いと、そして一日も早い救出を、国を挙げての取り組みをお願いしていきたいと思っております。

 北澤防衛大臣の強いリーダーシップによりまして、ニュージーランド国際緊急援助空輸隊が編成をされ、私の地元である相模原市の消防署の高度救助隊の二名も加わった国際緊急援助隊員の皆様が、昼夜問わず、今、活動を続けております。どうぞ、国を挙げた御支援をさらにお願いしていきたいと思っております。

 質問に入らせていただきます。

 このたび、北澤防衛大臣のもと、平成二十三年度の予算編成が行われているわけでありますけれども、厳しい財政状況の中にもかかわらず、八年間続いた防衛予算の減額方向に歯どめをかけていただいたことは、大きく評価をしております。

 また、今回、政治主導という言葉にふさわしく、北澤防衛大臣を中心とした、いわゆる現在の安全保障に対して、現実的な考え方で、政治家同士の真摯な議論によって、防衛大綱と、そして中期防衛力整備計画が作成されました。このことに関しまして、私は、日米同盟の信頼回復の大きなかぎを握る形となっているんじゃないかと思っております。

 その第一点が、自衛隊のあり方について、これまでの、必要最小限の防衛力を国内に均等に配置するいわゆる基礎的防衛力構想から、三十四年ぶりに改定をされ、新たな安全保障戦略である、機動性や即応性を重視した動的防衛力へと発展をされるということは、大変大きく評価をしていきたいと思います。

 さらには、軍事的に台頭する中国の存在を意識した内容となった、東シナ海に面した、手薄だった南西諸島の防衛力を強化する南西シフト、このことによって、日米同盟の強化と中国に対する姿勢があらわれたんじゃないかと私は思っております。

 さらに、我が国と基礎的な価値観や安全保障の多くの利益を共有する韓国、オーストラリア、東南アジア諸国、インドなどとの協力を強化し、日本の安全をより強固なものにされたと思います。

 大臣のもとで、こういった民主党の防衛戦略、私は、まさしく一歩一歩、国防という意味で、国を守る、この立場で前進をしていると思っておりますが、二十三年度予算、さらには防衛大綱に関する大臣の所見をお伺いいたします。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 冒頭、ニュージーランドの地震災害に対する取り組みについて言及をいただきました。

 昨日夕刻、関係閣僚会議を招集されまして、総理の方からも、全力を挙げて取り組むと、強い御意思の発意がございました。それからまた、重ねて、けさ七時から関係閣僚会議が行われまして、それぞれ関係閣僚から、現状、それからまた取り組みについて報告をし、万全を期してまいるという政府としての決意を固めたところであります。御理解をいただいて、ありがとうございました。

 防衛大綱、それから中期防につきましては、御案内のとおり、民主党政権ができて、ちょうど見直しの時期でありましたけれども、新政権としてしっかり取り組みたいということで、一年間の猶予をちょうだいして、その間、予算編成については閣議決定で対応してまいったわけでありますが、昨年末、今お話しになりましたように、新しいものをつくって、民主党政権としての防衛政策がしっかり反映されたというふうに思っております。

 それから、特に特徴的なことは、関係閣僚が、十回まではいきませんでしたが、相当の回数を夜分延々と議論する中で、大臣みずからが議論をしながら固めていったという、政治主導の大綱のスタートであったというふうに思います。

 それから、南西諸島に対する対応につきましては、特定の国を想定するものではありませんけれども、アジア周辺の安全保障環境に対応できるように、しかも、今お話しになりましたように、機動性を重視した対応を、これから、防衛省の中につくりました改革委員会の中で、六月をめどに、しっかりしたものをつくり上げたい。さらには、今までなかなか手がつけられなかった人的構成についても、これに切り込んで、若年化を図りながら精強な自衛隊をつくり上げていく。

 いずれにいたしましても、財政事情の厳しい中で、与えられた防衛資源を有効に使って我が国の防衛に資していきたいということで、私は、大変いい大綱ができたし、国民の負託にこたえられるものであったというふうに自負いたしておるところであります。

本村分科員 大臣、御答弁ありがとうございます。今、力強い御答弁をいただき、私も、相模原の自衛官募集相談員を十三年務めておりまして、自衛隊の応援団として、そして国防を守る、また政治家として、大変心強く思いますので、引き続きの御指導をよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入らせていただきます。

 昨年、ちょうど一年前、同じような質問をさせていただきましたが、重複もございますが、確認の意味を含めて質問させていただきます。

 私は、神奈川県相模原市選出でありまして、本市相模原市は、キャンプ座間、そして相模総合補給廠、相模原住宅と、三つの米軍基地がございまして、その三つの基地、ほとんどが相模原市の中心地である市街地に集中をしておりまして、その面積は四百四十六ヘクタールと、大変大きな基地負担をこれまでしてまいりました。

 平成十八年五月一日の日米ロードマップを受けて、平成二十年六月六日には、日米合同委員会におきまして、在日米軍相模総合補給廠の一部返還の合意がなされております。まず、この相模総合補給廠に関して、数点お伺いをさせていただきたいと思います。

 皆様にきょうお配りをしております、この相模総合補給廠の地図を説明しながら質問させてもらいます。

 このJR相模原駅からJR矢部駅まで一・八キロ以上に及ぶ大変広大なこのJR横浜線に面した基地でありまして、だいだい色部分が、いわゆる日米合同委員会で合意をされた家族住宅区及び野積み場の一部返還場所、さらには、鉄道・道路用地の返還二ヘクタール部分でございます。さらには、黄色い部分が、野積み場の約三十五ヘクタール、日米ロードマップで記載をされている部分であります。これらについて、数点お伺いをしてまいります。

 二十二年度予算におきましては、大臣の、そして防衛省の皆様のお力によりまして、補給廠内の野積み場の共同使用部分三十五ヘクタールと、そして補給廠を結ぶいわゆる連絡橋、さらには、この二ヘクタール部分の境界さくの調査設計の予算が組まれておりました。そして、さらには十五ヘクタール部分の、家族住宅、保育園、さらにはコミュニティー支援センター、倉庫等々を含めた移設等々の調査費もついていたわけでございます。

 二十三年度予算は、恐らく、この調査費からさらに展開をされて、連絡橋や、さらには境界さくの工事の進行が前へ前へと行くのではないかと思っております。

 こういった中で、まず、十七ヘクタール部分である家族住宅区及び野積み場の一部返還、いわゆる日米合同委員会の合意部分である十五ヘクタールと、その付随してある鉄道・道路用地の二ヘクタール部分でございます。

 昨年も、御答弁いただく中で、この十五ヘクタール部分の家族住宅、さらには、先ほどお話しした保育園、コミュニティー支援センター、倉庫等々がキャンプ座間や相模原住宅に移設をされる、その移設をされることによって返還が見えてくるだろうというお話もいただいてきたわけでありますけれども、相模総合補給廠の一部返還、いわゆる十七ヘクタール部分について、今後の見通しを大臣にお聞きいたしたいと思います。

北澤国務大臣 本村議員には、基地あるいはまた自衛隊の活動についても積極的に御発言をいただいて、大変感謝をいたしておるところであります。

 そこで、地元のこの問題についてでありますが、もう御案内のように、二十年の六月に合同委員会で合意をいたしたわけでありますが、現在、返還条件でありますところの米軍の家族住宅等の移設工事や、返還に伴い必要となる施設の工事などを鋭意進めておるところでございまして、我々とすれば、最大限、できる限り早期に進めてまいりたい、このように思っております。

本村分科員 わかりました。十五ヘクタールに関して、早期ということでありますが、大臣、市民の強い要望でありまして、日米合同委員会から三年を経ようとしております。昨年は、この二ヘクタール部分の鉄道・道路用地の返還を三、四年後に防衛省の皆さんの御努力によって米軍との調整を進めていただけるというお話もいただいておりますが、この十五ヘクタール部分の返還について、できましたら、この見通し、時期等々を含めて、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

北澤国務大臣 昨年も、三、四年と、こういうふうに申し上げましたから、一年経過したわけですから、二、三年ということを努力目標としてしっかりやってまいりたいというふうに思いますが、これは別に、三、四年というからそこまでかけてやるというのではなくて、さまざまな条件が整えばその範囲内で完了をして返還を早めてまいりたい、このように思っております。

本村分科員 繰り返し繰り返しの質問になりますけれども、この二ヘクター部分に関しては、昨年確かに三、四年ということで、ことし、一年過ぎましたから、二、三年という形で御努力いただいていることは評価をしていきたいと思いますが、それでは、相模原住宅の移設はいつ完了するのか、時期を教えてください。

井上政府参考人 事務的な点も含めて御説明をさせていただきたいというふうに思っております。

 先ほどのお尋ねで、まず二ヘクタールの部分でございますけれども、これは、昨年、私の方から答弁をさせていただいたところでございまして、委員そして大臣からお話しになったように、昨年の段階で三、四年を目途に努力をさせていただくというようなことを申し上げたところでございまして、一年を今経過しておりますので、今後、二、三年を目途に実現できるように努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 今委員お尋ねの、二ヘクタール以外の、全体の十七ヘクタールのうちの十五ヘクタール、この部分については、現在、住宅等があるわけでございまして、この返還をするためには、その住宅、そして学童保育センター、コミュニティー支援施設等の移設ということが必要となってまいるわけでございます。

 予算的には、二十二年度に、まず十ヘクタールの住宅部分の工事の予算を立てておりまして、さらに二十三年度、住宅関係の予算を引き続き立てているわけでございまして、今確たることを申し上げるわけにはまいりませんけれども、全体として、少なくとも数年間の時間をいただければというふうに思っているわけでございます。

 ただ、できる限り早期に事業が進むように最大限努力をさせていただきたいというふうに考えておるところでございますので、御理解を賜ればと思っております。

本村分科員 井上地方協力局長に再度質問させていただきます。

 いわゆる二ヘクタール部分に関しては今御答弁のとおりであると思うんですが、相模原住宅に関して、昨年から私もこのことに随分言及してきたわけでありまして、ぜひとも、数年後と言わずに、具体的な日時をもって御説明をいただきたい。もう一度、質問させていただきます。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 住宅等の移設、これは予算措置も伴ってまいるわけでございまして、今後のそれぞれの年度の国会審議等にもかかわる話だというふうに思っているわけでございます。

 今、数年というふうに申し上げたところでございますけれども、我々としては、できる限りこの返還を早期に進めていきたいというふうに思っているわけでございまして、その中で最大限努力をさせていただく。

 ただ、予算の措置があるわけでございますので、今ここに確約というようなことを申し上げることは困難かというふうに思っておりますけれども、今の委員の御要望、御意見等踏まえまして、可能であれば、三、四年程度の中で実現できるように努力をさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。

    〔村越主査代理退席、主査着席〕

本村分科員 井上地方協力局長から、三、四年程度を目途にこの十五ヘクタールの返還を目指していただけるという大変力強いお話をいただきました。

 相模原住宅の移設が完成すれば、この十五ヘクタール部分に関しても前進するわけでありまして、二ヘクタール部分とあわせて、引き続き大臣を中心に、防衛省の皆様のお力によって米軍との調整を進めていただきたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、この共同使用部分三十五ヘクタール、黄色の部分でございますけれども、こちらに関しては、日米ロードマップに記載をされておりますが、いまだに日米合同委員会で合意がなされておりません。

 昨年は、六月に、私どもの地元の加山市長と、北澤防衛大臣のところに要望にお伺いし、さらには、十月六日、加山市長とワーシンスキー米陸軍司令官のもとで覚書が取り交わされ、そして十二月の二十七日には共同使用申請書を南関東防衛局へ相模原市が提出したと伺っております。

 そして、ちょうど昨日、財務省の方から、いわゆるこの共同使用に関して、都市公園敷地として相模原市に貸し付けるということが財務省で決定したという通知が相模原市にあったということを伺っております。

 本当に、大臣そして防衛省の皆様のお力によって、この共同使用部分に関しても前進をしているわけでありますけれども、大臣、この共同使用部分に関して、これから、地元相模原市としても、都市公園施設、さらにはレクリエーション・スポーツ施設等々、憩いの場として大きく期待をしている地域でもあります。

 この相模総合補給廠の十五ヘクタール部分の共同使用に関して、日米合同委員会の合意時期はいつごろになるのか、お伺いいたします。

井上政府参考人 相模総合補給廠の三十五ヘクタール部分、これは共同使用をするということが決まっているわけでございます。

 今委員の方からお話がございましたけれども、昨年の十月に、地元の相模原市長とそれから現地の陸軍司令官との間で覚書が交わされたわけでございまして、十ヘクタール部分については、スポーツ・レクリエーション地域として市民が優先的に使用する、残り二十五ヘクタールにつきましては、米陸軍が訓練等に使用し、市はイベント等に使用するというような使用形態が、両者で覚書で定められたというところでございます。

 また、それを受けまして、昨年の十二月に、相模原市から南関東防衛局に対しまして、この共同使用に係る申請書が提出をされました。これを受けまして、現在、この三十五ヘクタールの共同使用につきまして、日米合同委員会の合意を得るために日米間の協議に着手をしたというところでございます。

 手順でございますけれども、まず、市からの要望を受けまして、日本側からの共同使用の提案を米側に示すことといたしております。それを踏まえて、米側で検討してまいります。そして、必要があれば米側から一定の条件提示があり得るというふうに考えておりまして、その条件提示を日本側として再度検討し、その調整を経た上で日米合同委員会においての合意という手続になるわけでございまして、これからそういう作業が必要となってくるということがあるわけでございます。

 したがって、米側と、そしてまた地元との調整というようなこともございますので、今、いつの段階で日米合同委員会の合意をとれるということも、申しわけございませんけれども、確定的なことを申し上げることは困難であるわけでございますけれども、私どもといたしましても、この共同使用を進めていきたいと思っておりますので、できる限り早期の合意に向けて最大限努力をさせていただきたいと考えております。

本村分科員 井上局長の御答弁で、できる限りということで、大変期待もしておりますけれども、昨日、財務省からの、いわゆる無償で相模原市に共同使用でお貸しいただけるというお話もございましたので、日米合同委員会の合意が大変期待が持てるところであります。

 再度質問いたします。今二十二年度でありますから、二十三年度にはぜひ合同委員会に上げていただき、方向性を見出していただきたいと思っておりますが、それについて御所見をお伺いします。

井上政府参考人 再度のお尋ねでございますけれども、私どもも何年も時間をかける気はございません。できる限り早くいたしたいというふうに思っておりますので、今委員の方から二十三年度中に何とかすべきではないかというようなお話でございますので、そういうことも踏まえて、できる限り早期に合意がとれるように努力をさせていただきたいと考えております。

本村分科員 次に、キャンプ座間について、ちょっと時間がなくなりましたけれども、数点お伺いをさせていただきます。

 日米ロードマップで、平成二十四年度までに陸上自衛隊中央即応集団司令部が朝霞基地から移転をされるということでありますが、昨年もこの質問をしましたが、まだ規模等々が見えてこないわけであります。

 昨年の、副大臣からの、地元に一日も早く御説明を申し上げるよう努力していきたいというお話から一年がたったわけでありますので、この中央即応集団司令部の規模をまず御質問させていただきます。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 移転する予定とされておりますのは中央即応集団司令部でございますけれども、中央即応集団司令部だけを見ますと、定員は約二百四十名でございます。ただ、実際に部隊を動かすとなると、これに関連するほかの要員というのも若干必要になるというふうに認識をしております。

本村分科員 今、高見澤防衛政策局長からお話がありましたとおり、朝霞基地にいらっしゃる二百四十名程度の自衛官の方々と、プラスアルファ、それに伴う要員の方が来られるということでありまして、新聞等々では、既に、この受け入れ体制、いわゆる庁舎と隊舎、駐車場等々の完成時期が平成二十四年三月ごろを目途にということで、二十三年度あたりを目途に庁舎の方もできるようでありますので、ぜひ速やかに、いわゆる陸上自衛隊即応集団司令部の規模等々がまたわかりましたら、地元市にお伝えいただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 キャンプ座間には、昨年も質問いたしましたが、ヘリポートがございます。このヘリポート、さらにはゴルフ場。

 レクリエーション施設にゴルフ場があるわけでありますが、このレクリエーション施設のゴルフ場からボールの飛び出しが、ここ数年幾つか事故がありまして、昨年も、大臣の英断によって、いわゆるゴルフ場の防球ネットですか、この予算が二十三年度予算でつけられたと思いますけれども、この中身を御説明いただきたいと思います。

井上政府参考人 キャンプ座間のゴルフ場のいわゆるゴルフボールの飛び出しでございますけれども、これは今委員の方からもお話がございましたように、相模原市長から防衛大臣に対しましても安全対策の要請があったわけでございます。

 そうしたことを受けまして、二十三年度予算案におきまして、ゴルフボールの飛び出し防止に係る安全ネットを整備するということといたしまして、調査費、設計費、そして本工事に係る経費といたしまして約二億九千万円、これは契約ベースでございますけれども、予算の計上をさせていただいたということでございます。

 今後、そうしたことを踏まえまして、ゴルフボールの飛び出し防止の徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。

本村分科員 今、井上局長からも御説明がありましたとおり、ぜひ、地域の小学校や中学校それから住宅が大変密集している地域でありますので、防球ネットさく、大変評価をしていきたいと思いますし、一日も早い供用をお願いしていきたいと思います。

 キャンプ座間には、ヘリポートの共同使用という形で、今回、中央即応集団司令部の移設に当たってロードマップにいわゆる共同使用が記載されておりますけれども、ヘリの離発着の想定等はできているでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 中央即応集団に関連する任務遂行のための飛行というのは、年度の状況ですとか、その年にいろいろなことがあったかとか、そういったことで年度で多少変動するところはあるかと思いますけれども、平成二十一年度の離発着回数というのは、今、朝霞駐屯地にありますので、朝霞駐屯地で中央即応集団の任務遂行のための離発着回数ということで申し上げれば、平成二十一年度で約七十回でございます。

本村分科員 朝霞で大体七十回ということでありますので、大体、市民、私たちも想定ができました。ぜひ、引き続き、ヘリに関しても、地域住民は大変騒音、ホバリングによっていろいろな影響も受けておりますので、また状況がわかり次第、地元市に御説明をいただきたいと思っております。

 最後の質問になりますけれども、今回、政府の新成長戦略によって、キャンプ座間内のいわゆる五・四ヘクタール部分の返還に関しまして、財務省が自治体を通じた未利用国有地の又貸しを可能とする適用要件に病院整備を盛り込んだことを高く評価をしていきたいと思っております。

 このキャンプ座間のいわゆる転貸部分、この五・四ヘクタール部分に関して、やはり、日米ロードマップには記載されておりますが、合同委員会でまだ合意がなされていないわけでありまして、こちらにおきましても、座間市の遠藤市長を初め、大変大きな座間市民の期待があります。

 民間病院を誘致したいという市民の大きな願いもあることから、こちらにおいても合同委員会の合意を早期に進めていただきたいと思っておりますが、この合意時期についてお伺いいたします。

井上政府参考人 キャンプ座間の一部の土地の返還でございます。

 まず一・一ヘクタールがあり、そして追加的な土地四・三ヘクタール、合わせて五・四ヘクタールの返還につきまして、ことしの一月に、私、そして座間市長も入ったキャンプ座間に関する協議会第三回代表幹事会におきまして、陸自家族宿舎建設用地も含めました跡地利用構想について合意をいたしたところでございます。それを踏まえまして、返還にかかわる日米合同委員会の合意を得るための日米間の調整に着手をしたところでございます。

 これも先ほどの御答弁と同じになるわけでございますけれども、合同委員会の合意をとるまでに、先ほど申し上げましたように、日本側からの提案、米側における検討、米側からの条件提示、そして日本側における検討、協議、その上で基本合意となるわけでございまして、そういう手続を要するということをぜひ御理解を賜りたいというふうに思っております。

 ただ、今の委員の御意見等を踏まえまして、できる限り早期に合意がなされるよう努力をしていきたいと考えております。

本村分科員 時間になりました。

 きょうは、米軍再編にかかわる来年度予算についてお尋ねをいたしました。盛り込まれた事業は、いずれも、北澤防衛大臣を先頭に防衛省の皆さん、政府の皆さんが米国と粘り強く交渉された成果であり、基地周辺住民が長年訴えてきた悲願でもございます。この予算が成立しなければ大変なことになるわけでありまして、政府には、今以上に、事前に、詳しく、積極的に、予算案の詳細を広く国民に説明していただき、予算成立に向けた国民の理解と支持の獲得に一層努めていただくことをお願いして、きょうの質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

手塚主査 これにて本村賢太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井分科員 日本共産党の吉井英勝です。

 最初に、北澤大臣の方に、二〇一〇年十二月一日の防衛省の防衛生産・技術基盤研究会においてのあいさつの中で、武器輸出三原則の見直しを何としてもなし遂げたいと表明し、さらに、技術向上の中で共同開発ができないと技術基盤が劣化する危険がある、歯どめをかけ、防衛力を守りたいと発言されたと伺っておりますが、これを大臣からまず最初に確認しておきます。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 もう御案内とは思いますが、この防衛生産・技術基盤研究会というのは、産業界や学識経験者などを構成員として防衛生産・技術基盤研究会ということでスタートさせていただいて、白石隆政策研究大学院大学教授を座長として、厳しい財政事情の中での防衛生産、技術基盤の実態を踏まえながら、その維持、育成を図るための方策を検討していただくことを目的としたものでありまして、この第一回の研究会に、今お話しの十二月一日、私も出席させていただいて、ごあいさつをさせていただきました。

 そこで私が発言をした概要について申し上げさせていただきますが、まず、よい装備品を安く買えるように、効率的な装備品の購入等について提言をいただきたいということ。次に、武器輸出三原則の扱いについては、昨年一月、私から問題提起をさせていただきましたということを申し上げました。次に、急速に技術が向上する中で、日本が共同開発に参加できない場合、生産基盤も技術基盤も劣化してしまうおそれがあるということ。それから、我が国が決して戦争を起こすことのない、そういう強い意思表示を与えるための防衛力をしっかりと整備したい。おおよそ、ただいま申し上げた四つを中心にしてお話を申し上げた次第であります。

吉井分科員 ここにも、ネットで、ウィキリークスで読むことができるんです。二〇〇九年九月のアメリカの国務省の在日大使館あての公電の中でのことですけれども、数多くのミサイル防衛能力の売却の可能性を含む、NATO及び欧州の同盟国と将来のミサイル防衛の機会について調査を望む、ぜひとも、日本と協力して共同開発するミサイルSM3ブロック2Aなどをその一部に、そして、将来のグローバルネットワーク化された地域的MD計画の基本設計概念のシステムの一部に含み得るかどうか、要するに、日米共同で戦略的決定を行いたいという指示といいますか、日本向けの話としてあるわけです。

 実は、この考え方というのは、二〇一一年一月十二日の読売新聞社のインタビューで、アメリカのコーエン国防長官が、日本のすばらしい技術を輸出に、特に軍事分野でどう生かすべきかに目を向けてほしい、武器輸出三原則の見直しの緩和は好ましく、アメリカにとっても有益で、私は支持すると述べたということが紹介されておりますし、その後、新しいゲーツ国防長官も、SM3ブロック2Aの第三国への移転を求め、そのために武器輸出三原則との整合性を図るように求めたということがことし一月九日付の読売で紹介されておりましたが、そのちょうど四日後、一月十三日に、北澤防衛大臣とゲーツ国防長官の会談が防衛省内で持たれております。

 北澤大臣より、十二月に閣議決定した新中期防におけるSM3ブロック2Aの扱いについて説明し、生産、配備段階に移行する場合に備え、第三国移転など今後の課題について日米間で検討し、本年中を目途に結論を出すこととしたい旨述べ、ゲーツ長官より、第三国移転は有意義である旨の発言があったと、防衛省の方の発表を見ればそうなっているんですが、この点は、一言簡潔に、北澤大臣に確認だけしておきます。

北澤国務大臣 今の経緯はそのとおりでございます。

吉井分科員 それで、会談後の記者会見の中で、北澤大臣は質問に答えて、このBMDについては、前政権で、生産、配備段階についての移行については武器輸出三原則の例外とするとなっている、これを第三国にどう移転するかということであり、本年中を目途に結論を出すと伝えた、明らかにしたということなんです。

 要するに、今まで、対米技術供与、一つ大きく穴をあけているわけですが、それをさらに第三国に移転するということになりますと武器輸出三原則をなきものにするわけですが、こういう考え方を示したということですね。

北澤国務大臣 これは、今お話のあったように、第三国への配備までを武器輸出三原則の関連で排除しているということでは全くないわけでありまして、既に御案内のように、私とゲーツ国防長官との間で、昨年十二月に閣議決定された新中期防においては、SM3ブロック2Aの生産、配備段階への移行について検討の上、必要な措置を講ずるとしていることをまず申し上げました。その後、第三国移転についても、事前同意の是非を決定する協議体制等を検討することが必要であり、本年中を目途に結論を出したい旨をお伝えいたしたところであります。

吉井分科員 新防衛大綱の中で、直接的表現としては武器輸出三原則見直しというのはないわけですが、ゲーツ国防長官との会談で、武器輸出三原則は見直した方がいい、政府内の合意が得られるよう努力していきたいと約束したというふうに伝えられておりますが、北澤大臣は、アメリカ側にはそういう話をしておられるわけですね。

北澤国務大臣 ゲーツ長官との間ではそういう意味での話ではなくて、武器輸出三原則については、私もたびたび委員会でお話を申し上げておりますように、まず、武器輸出三原則の平和国家としての基本理念はしっかり守っていく、これは内閣の意思でありますから、現内閣もそれを引き継いでおるわけであります。

 そういう中で、大きく世界情勢が変化してくる中で、一国において高度な武器の開発というのは困難になってきたということから、共同研究、共同生産というようなものが主流になってくる中で、我が国の生産基盤あるいは技術基盤の劣化を何とか食いとめなければいかぬ。そういう思いの中で、武器輸出三原則についてもさまざまな検討があってしかるべきではないか、そういう考え方でありますと同時に、もう一つ、武器輸出三原則の中で、例えば、今ハイチに行っておりますような援助行動における機材の提供というようなものについても新たに検討すべきではないか、合理性を追求していくべきではないか、そういう意味での提言を申し上げておるところであります。

吉井分科員 要するに、武器輸出三原則の見直しをするという立場を明らかにして、これはゲーツ国防長官との会談でもその考え方を示しているわけですよ。

 そこで、大臣に伺っておきたいのは、御承知のように、一九八一年の三月二十日衆議院本会議、三十一日参議院本会議で、武器輸出三原則に関する決議というのを国会の意思としてきちんとやっているわけです。これは、理念としてちょっと頭に置いといてやるというふうな話じゃないんですよ。国会決議というのはそういう軽いものじゃないんですね。ですから、この決議をきちんと守る立場に立つのかどうか、ここが今非常に鋭く問われているときだと思うんです。これについての大臣の考えを伺っておきます。

北澤国務大臣 国会決議は、私も長い議員生活の中で、極めて重いものであるというふうに承知はいたしております。五十六年の国会決議というのは衆議院と参議院で行われたわけでありまして、ほぼ同文の決議であったというふうに承知をいたしております。

 そこで、平和国家としての基本理念に基づくものであると同時に、これまでも、この基本理念は守りつつ、内閣官房長官の談話によって、その時々にその内閣がこの武器輸出三原則に穴をあけてきたわけでありますが、私は、そういう、ある意味便宜主義的なことよりも、今新しく、先ほど申し上げたような国際情勢の中で、国会の中でも議論をしていただき、あるいはまた国民的な議論の中で新しい道を模索することも必要ではないかというような意味で提言を申し上げた次第であります。それが、このたびの大綱の中に、検討をするということで表現されておるわけであります。

吉井分科員 国会決議というのは、簡単に穴をあけてどんどん穴を大きくしようという発想自体が間違いなんですよ。

 ですから、宇宙基本法のときもそうだったんです。国会決議があって、平和決議があって、どうしてこれを崩すかということで、いろいろな動きがありました。一つは、新たな国会決議を行うか、それとも政府見解を変えるか。しかし、この見解を変えるというやり方ではもう限界がある、そんな、小さな穴をどんどんあけるというやり方はだめだということと、最後に、結局、新たな法律をつくるほかないということで宇宙基本法に行ったわけですよ。

 私たちは、もちろん、それは間違いだ、国会決議をなきものにすることになるからだめだということで反対したわけですが、やはり国会決議というのは、少しずつ穴をあけて大きくしてというふうなこととか、そういう簡単な扱いをしちゃならないものだということをはっきり据えなきゃいかぬと思うのです。

 それで、昨年十一月十一日に衆議院安保委員会で私が大臣に伺ったときに、武器輸出三原則について、国是であるところまで昇華させるにはまだ至っていないと答弁をされました。

 それで、この昇華というのはどういうことだということが問われてくるわけですが、要するに、武器輸出三原則とは、昇華されていないというのは国是とはなっていないという考え方ですか。

北澤国務大臣 御指摘の、二十二年十一月十一日の安保委員会における吉井議員の質問にお答えをしたわけでありますが、我が国のあり方からすれば、私は、先ほども申し上げましたように、国会決議は極めて重要である、そういうふうには認識をいたしております。一方、武器輸出三原則は、重ねて申し上げますけれども、国際紛争等の助長を回避するとの平和国家としての基本理念に基づくものであって、これまでも、この基本理念を守りつつ、内閣官房長官談話の発出等により例外化の措置を講じてきておる。

 これは、吉井議員が今まさに言われたように、私も、そのやり方は必ずしもいいとは思わないんです。むしろ、国会あるいは国民的な議論の中で、国際情勢の中で、我々が基本理念を守りながら、生産基盤であるとか技術基盤の劣化を何とか防ぎながらやっていく方法はないかというような議論が活発に行われることから解決の道を見出していきたい、そういう思いで、武器輸出三原則などは国是とはなっていないというふうな意味での御答弁を申し上げた次第であります。

吉井分科員 実は、一九九一年四月十日の参議院予算委員会で、中山外務大臣は、武器輸出三原則で国際平和のために一切武器を輸出しない、これが日本の国是であると。それから、一九九二年二月二十七日参議院外務委員会で、渡辺美智雄外務大臣も、非核三原則を持っており、武器輸出をしないという国是を持っておりますと。それから、一九九八年九月十日の衆議院安保委員会での額賀防衛庁長官、この問題は、政府がとってきた国是でありますと。自民党政権時代の大臣は、国会決議に基づいて、武器輸出三原則は国是であると、きちんとその立場は明確にしているわけなんです。

 あと、穴をあけるようなとんでもない間違いを犯しているのは、これはやめさせなきゃいけないわけですけれども、ただ、北澤大臣は、民主党政権になって、武器輸出三原則を国是とするという、今、国是でないというお話ですが、やはり、国会の決議という意思も、それから政府の考え方も変えているのではないかというふうに今の御答弁を聞いていますと思いますが、ここを確認しておきたいと思うんです。

北澤国務大臣 私は、国の防衛というのは極めて重要であるということと、それから、この国が再び戦争をしないということ、この二つは、私にとっては、政治家としては極めて基本的なベースになっておるというつもりで、行動、発言をしてきておるわけであります。

 今、私は、吉井議員とある意味共通しているところがあるのではないかというふうに思っておるんですが、国会決議までをしながら、しかし、その基本的な理念に基づくかどうかということが国会の中で十分議論されないまま官房長官談話で穴をあけてきたという政治手法は、私は必ずしも妥当性がないというふうに思っておりますので、ここのところを時代の変遷の中でどう時代に対応していくことができるのか、しかも基本理念を守りながらということで私なりの発信をいたしておるつもりでございますので、その辺はぜひ御理解をいただきたいと思います。

吉井分科員 昔、「戦争を知らない子供たち」という歌がはやった時代もありましたけれども、北澤さんも私も戦争を知っている時代の人間ですから、二度とそういうことを起こしちゃならないというのは当然のことなんですが、私は、穴をあけるというのはけしからぬ話だと思っているんです。これはやめるべきだ、もとへ戻さなきゃいかぬと思うんです。

 ただ、自民党政権のときでさえ、国会決議にうたう武器輸出三原則は国是であると言ってきたんですよ。国会答弁しているんです。しかし、北澤さんは、国是と昇華されていない、国是でないというお話ですが、私は、これは、やはり国会決議に違反し、国是を投げ捨てて、武器輸出三原則の見直しということで突っ走っていく非常に危険な道だということを言わなきゃならぬと思います。

 次に、少し具体的な話に入っていきます。

 防衛省は衛星通信関連で三百八十七億円計上しておりますが、自衛隊の衛星通信は民間の商用通信衛星を使っております。スーパーバード、スカパーJSATが保有する民間の通信衛星で、中核的技術となるトランスポンダーを積んでいるわけですが、このXバンドの周波数を用いる通信衛星は軍事用ということになりますが、自衛隊は、基幹通信として、気象等の影響を受けにくいXバンドによる通信衛星を一九九〇年から利用しています。

 それで、現在自衛隊が利用しているXバンドのトランスポンダーを搭載したスカパーJSATの通信衛星は三基ですが、軍事用のXバンド中継器を利用、借り上げているのは、これは防衛省だけですね。確認しておきます。

小川(勝)副大臣 お答えいたします。

 御指摘のXバンド中継器でございますけれども、スーパーバード三基に搭載されておりまして、御指摘のとおり、防衛省・自衛隊のみが借り上げて使用いたしております。

吉井分科員 スカパーJSATですが、この三基の通信衛星本体の所有者はスカパーJSAT、民生用の中継器の所有者もスカパーJSAT、ところが、自衛隊が使う軍事用のXバンドトランスポンダーの所有者は、スカパーJSATでなく、株式会社MCCということですね。このMCCというのは、通信の自由化を機に、三菱商事、三菱電機、旧宇宙通信という三菱商事や電機が出資してつくった会社ですが、これによって一九八六年に設立された会社と違いますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 株式会社MCCの設立については、御指摘のとおり、一九八六年九月九日に設立されているというふうに理解しております。

吉井分科員 二〇〇五年度のMCC社の防衛省からの受注額は百十八億三千三百万円で、総収入額は七十四億八千九百万円ですから、総収入額に占める受注額の割合が一五八%という会社ですね。

 このMCC社は、自衛隊が使うXバンドの衛星通信事業を専門に行う軍事専門企業ということになってまいりますが、MCCに対して防衛省が毎年借り上げ料として幾ら払っているのか、防衛省退職者のMCCへの再就職者の数は何人になっているのか、これを伺います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 最も最近の契約に基づきますと、防衛省は、株式会社MCCに対しまして、平成二十一年度、六十六億八千万円を支払っております。

徳地政府参考人 自衛隊員の再就職の状況についてお答えを申し上げます。

 平成十七年から平成二十一年までの五年間に、防衛大臣の承認を得まして株式会社MCCに再就職した隊員は、自衛官五名でございます。

吉井分科員 それは幹部の話なんでしょう。自衛隊OBの方みんなはどうなんだということを聞いているんですよ。

徳地政府参考人 私どもで把握をしておりますのは、防衛大臣の承認を得るということからそこで把握ができるわけでございまして、今申し上げましたように、平成十七年から二十一年までのこの五年間でいいますと、防衛大臣の承認を得たのは、この自衛官の五名のみでございます。

 それから、それぞれの所属長の承認を得た者、これも自衛官として九名おりますが、いずれも幹部自衛官のみでございます。

吉井分科員 それはいわゆる官僚の天下りの話から出ていることを今おっしゃったんですよ。三十二名、OBの方が再就職をしております。

 防衛省から受注金額が多いほど防衛省OBの再就職数が多いという傾向にありますが、MCC社の場合もそうであって、受注額は三十二位といっても、OBの再職数でいえば、より上位の東芝やIHIに匹敵する多さです。社員数七十五名中、約半分が防衛省のOBということになっています。

 二〇〇五年防衛庁離職者審査分科会議事録においても、「防衛庁関与率がほとんど一〇〇%ですからこの会社は防衛庁に専ら依存」と、防衛省みずからこのことを認めているんじゃありませんか。

徳地政府参考人 済みません、ちょっと今議事録は持っておりませんが、再就職予定企業の在職機関への依存度につきましては、その本人以外の者が有する就職予定企業への影響力を不正に利用した再就職を防止するという観点からでございまして、それで、先ほど申し上げました再就職した自衛官につきましては、その離職前五年間におきまして自衛隊の部隊等で在職をしておりまして、私どもの基準にあります在職機関への依存度、これで、各年度とも、基準であります二五%未満、いずれも実際には一%にも満たない非常に小さな額というふうになっております。

吉井分科員 要するに、このMCCの職員の半数は防衛省のOBなんですよ。受注額も、専らここが中心になっているというところなんですね。

 防衛省の方は、来年度予算に、耐用年数が切れる民間通信衛星二基のうちスーパーバードB2、後継一号機としますと、それに搭載するXバンドの購入費として百四十億計上、設計段階から関与して、中継器の製造に着手するというふうになっております。

 このトランスポンダーというのは、通信衛星がその機能を発揮することに欠くことのできない中核部分ですね。通信衛星の核であるトランスポンダーが今度は借り上げから保有へと変わるわけですが、後継一号機というのは、商用衛星、通信衛星の核であるトランスポンダーを自衛隊が所有するということですから、言ってみれば、事実上、自衛隊専用の軍事通信衛星を持つということになるのではありませんか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今後のXバンド衛星についての整備の状況でございますけれども、コストの削減などさまざまな要請もございますので、いろいろな方式を現在検討しているというところでございます。

吉井分科員 いろいろな方式を検討中ということですが、二〇一五年に耐用年数が切れるもう一つの方を後継二号機としますと、これはことし二月十七日の朝雲ニュースでも紹介されておりますが、今国会でのPFI法改正を念頭に、衛星の設計、製造から耐用年数が切れるまで、すべての業務を一つの特定目的会社にゆだねるPFI手法によって運用することとなっていますね。防衛省の説明では、後継二号機本体も、搭載のXバンド中継器も、特定目的会社の保有になるというわけです。後継二号機も、一号機同様、Xバンド以外に民生用の中継器を搭載するのかどうか、ここは不明にしても、PFI方式による自衛隊専用の通信衛星になる可能性は非常に強いというものになります。

 それで、アメリカのイラク戦争の場合を考えても、情報通信というのは最も重要なロジスティックサポートの一つですが、それを民間会社が実施する。これが、MCCがこれから受け持っていく部分なんですよ。つまり、イラクなんかで、アメリカの軍部出身者が設立して、米軍にかわって軍の仕事のかなりの部分を請け負っている民間会社、よくマスコミ等でも戦争株式会社と言われたりしておりますが、防衛大臣、官から民へと言われてきたわけですが、法律が通ったら、PFI方式で防衛省と契約して、社員の半分が自衛隊出身者で、一般競争入札の形をとった事実上の随意契約で通信衛星を設計、製造、運用するMCCというのは、言ってみれば、アメリカの民間軍事会社と同じことになっていくんじゃありませんか。

 私は、米軍と情報を共有する軍事通信衛星の開発、製造、通信網構築は許されないことだと思うんです。しかし、現実はその方向へ向かっております。このMCCというのはミリタリー・コンバット・カンパニーという名前じゃないかと言われたりもしておりますが、やはり、そういう軍事企業へ傾斜していくやり方というものは改めるべきだと思うんです。

 天下り軍事会社を認めたり、アメリカの戦争株式会社のような、PFI方式を導入したり、これを考える、そして、国是を否定して、外国との武器技術共同開発とか、あるいはヨーロッパへ開発したものを売りつける第三国への移転、武器輸出に進もうということを考えるならば、民主党政権になってからの防衛政策というのは、大変危険な、利権に結びついてしまう方向へ行っているということになるじゃないか。私は、防衛大臣としては、やはりそういうことはやっちゃならないと思うんです。

 最後に、このことを大臣に伺っておきます。

北澤国務大臣 今、後段に言われましたような思いを持って我々が行動しているということではないわけであります。この分野については、極めて特殊性が強く、それからまた、企業としてなかなか成り立たないということもありますので、我々とすれば、衛星通信事業に適用することが、どういう方法、道があるのかということを追求していかなきゃならぬという考えのもとにさまざまな検討をいたしておりまするけれども、法整備も含めて今後検討をしてまいりたい、このように思っております。

手塚主査 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時八分開議

手塚主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井上信治君。

 質疑予定者井上信治君の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

手塚主査 速記を起こしてください。

 事務局をして御出席を要請いたさせましたが、井上信治君の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 警察庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉賢也君。

 質疑予定者秋葉賢也君の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

手塚主査 速記を起こしてください。

 事務局をして御出席を要請いたしましたが、秋葉賢也君の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 次に、小野寺五典君。

 質疑予定者小野寺五典君の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

手塚主査 速記を起こしてください。

 事務局をして御出席を要請いたさせましたが、小野寺五典君の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、皇室費について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。古川禎久君。

 質疑予定者古川禎久君の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

手塚主査 速記を起こしてください。

 事務局をして御出席を要請いたさせましたが、古川禎久君の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山分科員 神山洋介でございます。

 この予算委員会第一分科会におきましてお時間をいただきまして、ありがとうございます。また、松本大臣におかれましては、大変お忙しい中お越しをいただきまして、心より感謝を申し上げます。

 さまざまなことが議論をされておりますし、報道もされておって、この国会が本当にこのままでいいのかといういろいろな御意見を、私、地元からもいただいております。だからこそ、生産的なきちんとした議論をこの場でも行わせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 本日は、災害関連についてを中心に質疑をさせていただきたいと思っておりますが、御案内のとおり、ここ連日、災害、これは国内ではありませんが、ニュージーランドにおきまして大きな地震があって、かつ、そこで邦人を含めて多くの被害があり、また、いまだに安否不明の方がたくさんいらっしゃるという状況でございます。

 まずは、このニュージーランドの地震に関して、また、今捜索活動を懸命に行っているところかと思いますが、その捜索状況について、現在の最新の状況をまずはお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

杉山政府参考人 ただいまの委員の御質問にお答えいたします。

 外務省といたしましては、今回のニュージーランドにおける地震発生直後から、現地の在留邦人、邦人の留学生、あるいは邦人の旅行者といった方々の安否の確認を全力で行うとともに、被害を受けた邦人の方及びその御家族の方々への支援に努めてまいりました。

 まず、邦人の救出状況に関してでございますけれども、現時点で私どもが聞いているところによれば、現地時間で二十四日までに、報道されておりますキングス・エデュケーションという語学学校の留学生十三人の救出が確認されたというふうに言われております。また、現在二十六名について引き続き安否を確認中であるというふうに聞いておりますけれども、この数字についても、非常に重要なことですので、きちんと確認をしていかなければいけない。現在、まだ確認中ということでございます。

 また、二十四日現在で、在留邦人に関しましては、クライストチャーチで届け出ベースで二千八百二十名の方がおられるというふうに聞いておりますけれども、そのうち千一名の無事が確認をされていて、世帯数で申し上げれば千五百五十八世帯中の六百五十世帯と連絡がとれている。しかし、なお確認ができていない在留邦人の方がおられるということですので、これは現地で全力を挙げて現在確認をしているところでございます。

 また、邦人の旅行者に関しましても、千三百三十三人のうち、いわゆるツアー会社の旅行で行かれている千百十人については全員の安全が確認されております。しかし、その他、チケットの購入だけで旅行されている方が二百二十三人いるというふうに聞いておりまして、この二百二十三人の方につきましては、全力を挙げて調査をして、現時点で百九十八名の安全が確認をされておりますが、残りの二十五人については、なお引き続き、現地で全力を挙げて安否の確認をしているというところでございます。

 いずれにいたしましても、外務省といたしましては、地震発生直後から、前原大臣を本部長として外務省内に緊急対策本部を設置し、それから現地で、ニュージーランドの三田村大使がまず現地対策本部を立ち上げて、現在、徳永政務官が現地に入っておられますので、徳永政務官を対策本部長として、情報収集及び、先ほど申し上げました邦人救出、安否の確認、被害の状況並びに、現在現地に参っております国際緊急援助隊の救助チームとの協力、あるいはニュージーランド政府との協力といったことに全力を挙げているところでございます。

 ありがとうございます。

神山分科員 ありがとうございました。

 外務省のみならず、政府関係機関、政府を挙げて、今、さまざまな救出活動であり、また安否確認に全力を挙げられていることと思います。また、今もお話ありましたけれども、例えば、各自治体も含めたさまざまな救出、消防のスペシャリストが今現地に入って、昼夜を分かたず活動を続けているという状況だと思います。

 ぜひ、そうした活動に対して、この後も全力でバックアップをいただきたいと思いますし、また、やはり報道等を見ておりましても、何よりも心が痛いのは、家族の方々に対してということであります。いろいろな形で、情報提供ということも含めてでありますが、でき得る限りの便宜の提供であり、さまざまな御配慮をお願いしたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、国内の災害ということに関しまして、若干大臣と質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず一つ、具体的な事例から入りたいと思っております。

 昨年の九月でございました、具体的には九月の八日ということになりますが、私の地元神奈川県西部に山北町というところがありまして、そこが大きな災害に襲われました。

 季節外れの、台風という意味では季節外れではないわけですが、通常台風というのは、フィリピンあたりからずっと太平洋をわっと上がってきて太平洋沿いを回っていくというのが基本的な曲がり方です。御記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、あのときは、一回日本海に抜けて、その後、日本海側から日本をまたぐような形で太平洋側に戻ってきたというようなちょっと珍しい台風の形がありまして、そのときに、私の地元の神奈川県の山北町でありお隣の静岡県の小山町というところの、神奈川県と静岡県の県境のあたりで、これは過去最高という集中豪雨があったということがありました。

 その次の日、私は朝一で現場に向かいました。通常ですと、水があって山があって本当にきれいなところで、夏になればキャンプに訪れる方がたくさんいるような場所なんですが、山肌はあちこちがおっこっちゃっていますし、当然そこで、おっこちた土砂が場合によっては道路をふさいでいたり、または川を埋めていたりとか、しばらく行くとその上に湖があるんですが、湖の湖面も流木でびっしりとなっていてほとんど水面が見えないというような状況もありまして、これは復旧が相当大変だなというふうに思っておりました。

 その際には、例えば短期的な道路混雑、国道がそのとき不通になったというようなときもありましたが、それに対応しては、例えば東名高速道路の無料措置をしていただいたりとか、さまざまな形で対応いただいたということは、地元からも大変感謝の声が上がっているところでございます。

 ただ、やはりそのときも思いましたとおり、今に至っても大きな問題になっているのは、その後の復旧をどうするか。今回の山北町に関しては、農地に関しては局地激甚災害の指定を受けまして、今これからさまざまな復旧活動をしていくということではありますが、では、それだけですべてが完結できるかというとそうではないという状況があります。

 実は、ここに来て一番、いろいろな御相談を受けてはいるんですが、一つこれは大きな問題だなというふうに思っていますのが、流域全体にかかわる話です。

 山北町というのは、実は酒匂川という大きな川があってその上流に位置するところなんですが、そこから当然、被災時に大量の土砂が流れ出て、川を伝ってずっと海まで流れていくわけです。

 それに伴って、当然漁業被害というのが大変深刻になっていて、今そこの河口のところに潜ると、電信柱のような大木が根っこごとぼんぼん沈んじゃっていて、その上に土砂が堆積している。アワビであるとか、サザエもそうですけれども、さまざまな貝の養殖というところにもやはり被害を受けていますし、被害があった直後の話で言えば、この流木の被害で網が大量にやられたなんということもありました。

 もう一つあるのは、その下に取水堰があるわけですが、そこにも大量の土砂が堆積をしていて、本来の取水機能を今、実は果たさなくなってきているので、取水堰をあけて土砂を排出したいという話があるわけです。でも、そこで漁業を営んでいらっしゃる方からすれば、またそれで土砂が出てきたらもっと漁業被害が大きくなるから、それは勘弁してくれという話になる。

 これは短期的に解決する話ばかりではないわけですが、この流域全体にかかわってくる復旧という意味ではやはりかなり大きな課題であろうと思いますし、これはほんの一例であって、全国各地に同じような事例が起きるんじゃないのかなというふうに私は思っております。

 根本的に言えば、これは治山をどうするかであるとか、今言われているような、ダムに頼らない治水をどうするかということも含めてでありますし、実際に水害、大きな豪雨が起きた後に、どうやって、中長期にわたる災害復旧を下流域にわたったところまで配慮しながらやっていくか、大変難しい調整を要すると思います。

 今、この場で、何かぽんと結論が出るという話ではないかとは思いますが、ぜひ大臣の御所見をいただければありがたいと思います。

松本国務大臣 大切な御指摘をありがとうございます。

 私からも、先ほどのお話ではありませんけれども、ニュージーランドの地震につきましては、一人でもとうとい命が救われることを皆さんと一緒に祈りたいというふうに思っております。

 復旧復興について、今かなり幅広の話をされました。私も、実は十六年前の今ごろは、毎日毎日、朝の八時から夕方遅くまで、復旧復興プロジェクトの座長をしておりましたので、阪神・淡路のために三カ月、四カ月、あるいは半年かけて携わってまいりました。そこで思いました経験でいえば、まず教訓に学ぶこと、そしていろいろな学習をしていきながら、とうとい命が失われたわけですから、後の人は、そこからしっかり学んでいかなければならないと思っています。

 ですから、被災地はもとより、周辺住民の状況をしっかり踏まえていきながら、まちづくりをしていかなければならない、あるいは近辺の復興をしていかなければならない。そして、何よりも大切なことは、災害に遭ったわけですから、より強いまちづくり、よりよいまちづくりをするために知恵を出していかなければならないと思っています。

 そういう意味では、十六年前には二週間ぐらいで被災市街地復興特別措置法という法律をつくったんですけれども、今、阪神・淡路の方が言われているのは、結果的に時間はかかったけれども、やはりみんなで住民合意をして話し合ったから今の町があるんだというふうなことをつくづく言われた方がいました。つまり、ある意味では、自分の家が焼けたから、自分の家がなくなったからすぐそこに家を建てるという、いわゆる私権ですからこれは制限できませんけれども、町の人たちが一緒に話し合って、ここに避難地をつくろう、ここに緩衝地帯をつくろう、ここに緑を置こうという住民合意をしていくことが大事だろう。

 そういう意味では、そういうことも含めて、これからは私どもも、ちょっと年数はかかりますけれども、しっかり、これからの復旧復興に向けて知恵を絞っていきたいというふうに思っております。

神山分科員 ありがとうございました。

 一つ一つの事例を言い出せば本当に切りがないわけですし、場合によっては、これは地域差もあろうかと思います。先ほど申し上げたかった趣旨をお酌み取りいただいて今御答弁をいただきましたけれども、一つの被災地が復興を図っていく、復旧をしていく、その影響が、下流域であり、場合によっては海、さまざまなところに影響していくということがすごくいろいろな局面で見られるわけです。やはりそうしたところで、地域全体が一丸となって復興を図っていくということのためには、意思の疎通も含めて、またいろいろな技術を投入していくということも含めて、やっていかなければならないことだと思っておりますので、ぜひ御検討のほどよろしくお願いを申し上げます。

 続いて、災害の話に絡んでではありますが、事この水害にかかわらず、特にやはり地震という話も出てきますし、日本という国はいろいろな意味で、災害に瀕している災害大国であるということが言われております。

 今、大臣のお話にもありましたけれども、やはり大きな転換期は阪神・淡路大震災であったのかなというふうに思うわけです。

 あのときもいろいろな分析が、今に至るまでまだなおされているわけですが、一つ印象的だったのは、地震を含めて、災害でどうやったら命を守ることができるか。さまざまな被害が当然出るわけですが、やはり人間は命が一番大事なわけです。この命をどうやって守るかということを考えたときに、あのときに亡くなった六千余名の方の、どうして亡くなるに至ったのかという中で一番多かった要因は、住宅等がつぶれたことによる圧死であったということは、これはもうかなり知られた事実であろうかと思います。

 あの当時も議論になりましたが、今に至っても大きな課題なのは、実は私は、個人住宅の耐震化の話ではないかなと思っています。

 まずお伺いしたいのは、個人住宅に至るまでに、当然、学校であるとかさまざまな公共施設、この耐震化については、政権交代以後の我々の政権の中でも、かなり力を入れて進めてきたところではないかなというふうに思います。第一にここがあるのはまず大前提ですので、その点についての進捗状況をまずはお伺いさせていただきたいと思います。

松本国務大臣 今お話がありましたように、阪神・淡路はほとんどが圧死だという話でしたし、関東大震災はほとんどが火災による死者であったということで、やはりこれらの経験をしっかり学んでいかなければならないということで、耐震というのは非常に重要な指摘だろう。今度のニュージーランドのクライストチャーチでも同じようなことが言えるのではないかというふうに思っております。

 現在の我が国の学校を初めとする建築物には、まだ耐震性が不十分なものが多数存在します。ちなみに、学校の耐震化率は、平成二十年四月一日時点では六二・三%、昨年の平成二十二年四月一日には七三・三%、公共施設等の耐震化率は、平成十九年度末六二・五%から、平成二十一年度末七〇・九%というふうになっております。

 まだまだやるべきことがたくさんあります。地震に際して国民の命を守るという観点からは、今御指摘の住宅、学校を初めとする公共施設等の耐震化を促進することが極めて重要な課題だというふうに認識をしております。今後とも、関係省庁と連絡を密にしながら、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

神山分科員 ありがとうございました。

 公共施設に関しても、まだまだやるべきことがたくさんあるという御答弁をいただきました。まさしく、おっしゃるとおりでございまして、いざ被災後ということを考えたときに、公共施設が崩落をしてしまっている状態では、その後の応急対処であれ、復旧というところに多大な影響を及ぼすということは知られているとおりですので、そこもやはり進めていかなきゃいけない。

 同時に、先ほども前段でお話を申し上げましたが、個人住宅の耐震化というのはなかなか進まないというふうに言われております。例えばのお話で言えば、建築基準法が昭和五十六年に改定をされて、それ以前のものとそれ以後の建物と、大分その耐震性というところに差があるということは、これは従来からずっと言われているとおりであります。

 自治体によっては、耐震性の度合いに応じて、自治体ごとの耐震補強に対しての助成なり補助をしているという実態はたくさんあるわけですが、そうはいってもなかなか進まない。やはり根っこは、それにかかわる大きなお金であろうというふうに言われています。ただ、では、そのお金を今の財政状況の中で国がどこまで負担できるかと言われれば、これはやはり限界があるというのも実態かと思います。

 さまざまな困難があろうかと思いますが、今々の個人住宅の耐震化をいかに進めていくかという観点について、特にまた来年度予算の中でどういうふうに考えられているかということを、ぜひお伝えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年度時点の住宅の耐震化率は約七九%でございます。昨年六月に閣議決定されました新成長戦略では、平成三十二年の耐震化率を九五%とする目標を設定しております。地震災害から国民の生命財産を守るためにも、これまで各地方公共団体において、耐震改修促進法に基づく耐震改修計画の作成を進めるとともに、公共団体を通じた耐震診断、改修に対する補助といったことを講じてまいりました。

 最近の取り組みを御説明したいと思います。

 まず、今年度の補正予算において、住宅の耐震改修に対する補助、従来の補助に加えて国が三十万円上乗せをする措置を行っております。また、二十三年の税制改正では、住宅の耐震改修に係る費用の一〇%を所得税額から控除する制度がございますけれども、地域要件を撤廃させていただいて、全国に適用するような改善措置を講じております。

 目標の達成に向けまして、公共団体の取り組みと連携し、私どもとしてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

神山分科員 ありがとうございました。

 今、そういった今後の取り組みを御説明いただきました。もちろん、それだけですべてが完結する話では恐らくないかと思いますし、いろいろなアイデアを積み重ねていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 最終的にはそれはお金の話になる場合が多いわけでしょうけれども、それをどうやって、財政を例えば傷めないような形で、でも一方で、これは最終的には国民の生命と財産というところに直結をする話ですので、スピーディーにやらなきゃいけない。ここをやはり何とか両立させていくために、いろいろな意味で知恵を絞っていくということが必要だと思いますので、当然、これは我々政治の側も考えていかなきゃいけない大変重要な課題だと思っていますので、ぜひ今後とも、重要な課題ということで力を入れて対応していただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 今の災害関連の話で、特に阪神・淡路大震災のときが大きな転換点だったというお話を申し上げましたが、そのとき以来今に至るまで、一つ大きな議論であり注目をされてきているのが、いざ被災、災害があった際に、その直後にどう対応するのか。直後の応急的な対応ですね。いわゆる自助、共助、公助と言われるところの自助の部分、ここの部分をどうしていくかというところが大変大事な課題ではないかなというふうに思っております。

 来年度の予算の中身を見ましても、災害ボランティアの広域連携事業ということをまた始められる、今年度もやっていたことを継続してやっていくというお話がございます。この事業は、もちろんさまざまなステップの中の一つだと思いますが、いずれにしても、例えば災害ボランティアであるとか自主防災組織であるとか消防団、いろいろな意味での自治会であり社会福祉協議会であるとか、いろいろな主体がやはり力を結集して、それぞれの地域特性に合わせた形でのいわゆる防災力というものを高めていくということが、先ほどの、いわゆる局面局面での生きる、死ぬに直結をするということは、これはもう立証されている話で、大変重要な話ではないかなというふうに思います。

 その観点で、この災害ボランティア広域連携事業、その事業内容であり、また今後どういう展開を想定されているのかということをまずはお伺いさせていただきたいと思います。

松本国務大臣 私も、二月の五日に新潟県の魚沼の入広瀬という雪深いところに行ってまいりました。そこでも、危険な中、ボランティアの方が雪おろしの作業をされておられましたし、二月の十一日、二度目の新燃に行ってまいりましたけれども、ここでも、灰をおろす作業とかさまざま、ボランティアの方が活動されておりましたことに、この場をかりて改めて敬意を表したい、頭の下がる思いがいたしております。

 先ほど言われましたように、ボランティアの活躍が非常に大きいということで、今、自助、共助ということを言われましたけれども、まさにその点が初動では一番大切だろうというふうに思っております。

 私、河田先生という方の「これからの防災・減災がわかる本」という本を読んだんですけれども、これでびっくりしましたのは、阪神・淡路のときは、瓦れきの下敷きになって約三万五千人の住民が自力で脱出できなくなりました、つまり生き埋めになったのです、生き埋めになった住民のうち約二万七千人が、けがをしなかった近所の人たちなどに初日に助け出されました、まさに、今御指摘のように、初日が大事である。そういう意味では、自助、共助というのが大変重要な課題だというふうに思っております。

 私どもも、今御指摘の防災ボランティア活動の広域連携に関するさまざまな取り組みをしております。具体的には、被災地外からのボランティアの広域的な派遣のための体制や活動内容のあり方、またボランティアの受け入れのための災害ボランティアセンターの設置、それと、運営と支援をする機能のあり方、送り出し側、受け入れ側の間の情報共有のための拠点のあり方などのポイントについて検討を進め、広域連携のためのノウハウを取りまとめて情報を提供していくというふうに考えております。

 いずれにしましても、先ほど言われました消防、自治会、町の近所の人たち、この助け合いが何よりも大切だろう。ですから、自助、共助という意味では、自助が大事だということをこの本に書いてありますけれども、自分が助ける側にいるのか、助けられる側にいるのかで全然人数が違いますから、自分が助けられる側に行けば人を助けることはできませんから、そういう意味では、自主防災組織でありますとか、さまざまそういった点を主眼に置いて、町ぐるみでみんなで避難計画をつくったり、さまざまそういったものを膨らませていく作業を私ども防災としてしっかり取り組んでいきたいと思いますし、先生もこれからまたいろいろな経験を私どもに教えていただきたいと思います。

神山分科員 ありがとうございます。

 時間も限られてまいりましたので、災害関連については若干あとは要望のみ、ちょっと最後にお話をさせていただきたいと思います。

 私も地元で、災害ボランティア団体の一員としてずっと実は活動しております。そのとき、一つやはり課題だねという話によくなるのが、行政との連携をうまくどうするかという部分になります。

 これがすべてではありませんが、一つ申し上げるとすれば、それぞれの自治体ごとにつくっている地域防災計画というものがあります。それぞれ自治体ごとに違いますが、その中に、では災害ボランティアであるとか、ボランティア以外のさまざまな民間のそういう主体、プライベートセクターの役割がどこまで規定されているかというと、やはりそこはまだ緩いのかなというのが私の率直なところです。

 これを国全体のというところにまでどう文言として入れるかというところはさまざま御検討あるかと思いますが、そういった部分での連携がうまくいくように、計画、運用を含めた御対応をこれからもぜひいただければありがたいなというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。

 時間も限られましたので、簡潔に、できればあと二問申し上げたいと思います。

 災害関連とは若干毛色が変わってきますが、一つは、最近よく話に出てくるインテリジェンスの話になります。先日、新しい防衛大綱も出まして、それの中でも、そうした形でのインテリジェンス機能をやはり強化していかなきゃいけないというお話がかなり強調をされていましたし、我々も、民主党内でそれをかなり強く議論してきたという経緯があります。

 一つ、私が最近思っているのが、これは政権交代前ではありますが、官邸における情報機能の強化の方針という、これからの日本の中でのインテリジェンス機能をどうやって強化していくかという、かなりこれは細かい話も含めた部分での検討があって、一回それが出ているわけですが、では一体、今これがどういう状況になっているかなということです。

 きょう、たまたま報道で、これも踏まえてかもしれませんが、これからそういった部分をいろいろな形で詰めていくというような報道もなされておりますが、現状及び今後の方向性をお伺いさせていただきたいと思います。

塩川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、官邸における情報機能の強化の方針、これを受けまして、政府といたしましては、政策部門と情報部門の連携、情報収集、分析体制の強化、また情報保全の徹底などに努めているところであります。

 特に、昨年以降につきましては、情報収集衛星につきまして、レーダー予備機の導入を決定するなど、常時確実な情報収集衛星四基体制の早期構築に向けて取り組み、また情報保全につきまして、政府における情報保全に関する検討委員会を設置して、秘密保全に関する法制のあり方や、特に機密性の高い情報を取り扱う政府機関の情報システムについて、必要と考えられる措置に関する検討を行うなど、施策を推進しているところであります。

 引き続き、この情報機能強化の方針を着実に実施するなどして、政府としての情報機能の強化を図ってまいりたいと考えております。

神山分科員 ありがとうございました。

 この点は、短時間で議論するような話では本当はなくて、いろいろな論点をめぐってやはりやりとりをしていかなきゃいけないと思いますし、ある意味では、どの政党がとかそういう問題じゃなくて、これはやはり国家レベルの大変重要な課題だと思っておりますので、ぜひこれからも御尽力をいただきたいというふうに思います。

 最後に一点だけ、事業仕分けに関連してお伺いをさせていただきます。

 私も、いわゆる仕分け人という形で仕事をさせていただいて、いろいろな現場を見に行きました。さまざまな論点が浮き上がってきたわけですが、一つ、当時思ったのが、横ぐしの案件というのが大変多くあるなというふうに思いました。

 一つ、あのころ思ったのは、さまざまな業務をするに当たって資格が必要、資格をするに当たって試験が必要、その試験を管理するに当たっていろいろな団体ができるというようなことがあって、実はそこに非効率が生まれているんじゃないかという話がありました。

 これと同じような横ぐしの話というのは、例えばほかにも、各省庁ごとに研修の施設を持っているんじゃないか、私が見たのは国土交通省の大学校でありましたけれども、同じような形で各省庁が持っているんじゃないか、それを一本化することができないのか、これはいろいろな考え方があろうかと思います。

 事業仕分けは、我々、ただその場でやっているだけではなくて、実はその後のフォローアップも、再仕分けも含めてきちっとこれまでやってきているという自負も私はありますので、今回の規制仕分けはそういった部分の一環かなというふうに思っておりますが、ぜひ、今後の事業仕分けの中での、これまでのフォローアップも含めた展開について御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

冨永政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、三回にわたりまして事業仕分けを実施してきたわけでございますが、これによりまして、行政の透明性を飛躍的に高めるとともに、大幅な無駄の削減を実現してきたところでございます。

 御指摘ございましたように、いわゆる横ぐしの見直しについてでございますが、御指摘のとおり、私どもも大変重要な点であると認識しております。

 行政刷新会議や予算編成の基本方針におきましても、横断的な事業の見直し方針を決定したところでございます。これらを踏まえまして、事業仕分けの対象とならなかった事業についても横断的な見直しを行っていただき、適切に予算案に反映されたものと認識しておりますが、今後とも、御指摘を踏まえながら、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

 それから、事業仕分けの対象となりました事業につきましては、その評価結果を、予算編成の基本方針等に従いまして同様に予算案に適切に反映させてきたわけでございますが、あわせまして、評価結果の徹底という意味では、予算成立後にそれがどのように執行されていくかということもまた重要であると認識しております。

 さらに、仕分け結果の反映に際して、経過措置を設けたり、あるいは、今後、制度のあり方等について検討を進めていくといった事業もございます。このため、仕分けの場で提起されました問題意識や指摘も踏まえて、当該事業が真に効果的、効率的なものとして執行されているかどうか、継続的に見直しの取り組みが進められているかどうかといった点につきましても、引き続きまして、国丸ごと仕分け、行政事業レビューなどを通じながらフォローアップしてまいりたいと考えております。

神山分科員 ありがとうございました。

 広範な領域において質疑をさせていただきました。

 いずれにしても、この国が置かれたこの状況の中で、どうやって我々がこの先飯を食っていくのかということも含めて、大変重要な課題であろうと思います。もちろん、私も与党の一員としてこれからも全力を尽くしてまいる所存でありますし、松本大臣におかれましては、ぜひともに頑張っていただければと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

手塚主査 これにて神山洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、江端貴子さん。

江端分科員 民主党の江端貴子でございます。

 まず最初に、ニュージーランドで発生いたしました地震の被災者またその御家族の方々にお見舞いを申し上げるとともに、引き続きの迅速な救出作業と安否確認を望みます。

 さて、本日は、予算委員会第一分科会において質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。今回は、新しい公共や地域コミュニティーの活性化の観点から、主に質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、昨年の十二月の私の国政報告会に、内閣府政策統括官で待機児童ゼロ特命チーム事務局長の村木厚子さんをお招きして、待機児童ゼロ特命チームプロジェクトについての御説明をいただきました。残念ながら、実は、当日、村木さんに突然の御公務が入られまして、ビデオメッセージというふうになってしまいましたけれども、本当に大勢の方々にお集まりいただきまして、地元の自治体としても非常に関心の高いプロジェクトでございます。

 私の選挙区は、東京都の豊島区と練馬区の東部でございますが、特に豊島区は、待機児童が二百五十人にも上り、待機児童の解消が喫緊の課題の一つとなっております。しかしながら、豊島区は、池袋を中心とする高層ビルが建ち並ぶ高密度地域で、全国の自治体の中でも人口密度が一番高い地域となっております。

 そういった中で、保育園あるいは認定外の保育施設の設置をするための場所探しは困難をきわめ、今回のプロジェクトも、期待はしているが、保育所の設置要件などを考えると、どこまで実現性があるのかを見きわめたいという声も高くなっております。これにつきまして、どのような展望を持たれているのでしょうか。

 あわせまして、今、保育園の設置基準等の義務づけや枠づけの見直しを求め、例えば、設置基準を参酌すべき基準とされ、地方公共団体が十分参照した結果であれば、地域の実情に応じて国の基準と異なる基準を定めることが許容される、こういった法案を含む地域主権改革推進一括法が進んでいると思います。この関連についてもお伺いしたいと思います。

末松副大臣 お答え申し上げます。

 江端先生のように、豊島区、本当に人口密集地域、そういったところでは、保育所の最低基準を満たすことそのものも難しいというお声は、たくさん届いております。

 先生御指摘の地域主権改革推進法案が成立すれば、人員配置の基準など直接保育の質に大きな影響を与えるもの以外の基準については、地域の実情においていろいろな形で定められるというふうなことになっておりますけれども、まだこの法案が国会で継続審議中ということで、一刻も早い成立が望まれるところでございます。

 先生の御指摘にございました先取りプロジェクトにつきまして、現行制度のもとで、可能な限り保育所の場所を確保する、それを後押しするということでございまして、これを今やっているところでございます。

 具体的に申し上げると、例えば場所の確保で、保育所分園を整備するとか、あるいは家庭的保育の実施、保育ママですね、こういったものの建物を確保しやすいようにするために、例えば賃貸物件、こういったものの整備費を国がより拡大をして補助を厚くしていくとか、あるいは既存のビルの空きスペースなんかを活用できるようにするために基準を緩和するとか、また、保育ママについて場所の賃借料、改修費など補助率を上げていくとか、さらに、土地の確保につきましては、土地借料の補助というものを今度は創設いたしました。さらに、公園用地の活用ができるようにして、こういった基準を緩和していって、そこで役立てていきたいということをやっているところでございます。

江端分科員 今お話がありましたように、地域主権改革推進一括法が通れば、かなりの部分で設置基準がそれぞれの自治体で決められるようになる、または、都市部の一過性の保育ニーズにこたえるために、公園や賃貸物件の活用によって場所確保を容易にできるようになるというふうに聞いて、非常に前向きに進めていただきたいと思うわけです。

 もちろん、預かり保育という中で、子供の安心、安全が最優先されなくてはならないその中で、各自治体がそれぞれの事情で設置基準を考えられるように、ぜひとも地域主権改革推進一括法の早期の成立を私も望みたいと思います。

 また、今回の待機児童解消先取りプロジェクトでは、先ほど副大臣からもお話がありましたように、複数の家庭的保育者、つまり保育ママが同一の場で保育を実施する施策も入っていると伺っております。最大三ユニット、利用人数九人までということですけれども、これも、それぞれ個室が必要なのか、あるいは間仕切り程度でいいのかというようなことも早く方針を決めていただきたいというように思います。

 そして、施設の場所の確保と同時に、今、自治体が御苦労されているのが、いわゆる保育士あるいは保育ママなどの人材育成の問題でございます。この人材育成については、自治体だけではもう手が回らないという状態で、今、NPOあるいは民間団体など幅広い組織が既に活動しているという中で、このプロジェクトではどのような扱いをされていくんでしょうか。

末松副大臣 人材を育てていくことは、本当に重要なことでございます。

 今、保育士の資格を持ちながら保育所で働いておられない、いわゆる潜在保育士の方に対する研修事業を実施しているところでございます。これは、こども安心基金を活用しているわけでございますけれども、ただ、事務負担が大きいということで、実際に広がりが見られない状況ということでございますので、これを何とかしっかりとやっていきたいと思いまして、今、先取りプロジェクトで、自治体やNPOに対しまして、潜在保育士の方の掘り起こしを図るため、再就職支援のための効果的な研修プログラムの作成とか、モデル的な研修及び相談会の実施なんかをやっております。

 こういうことで、保育士の資格は持っていて、まだ埋もれて、潜在的にやっている方で、実際に働いておられない方、こういうもったいない人材でございますから、何とかそこは活用して、復帰していただく、こういうことを今やっております。

江端分科員 これから本当に社会で子供を育てていくという中において、保育をされる方の人材を育成していくということは非常に大きなかぎとなると思いますので、今、潜在保育士ということで、保育士の資格を持ちながら、今はやめていらっしゃる方は再就職されるような仕組みもつくっていくということでございましたけれども、人材育成そのものにももっとNPOなど民間の力をかりていく、そういったところもぜひ頑張って取り組んでいただきたいと思います。

 待機児童の関係の質問はこれで終わりでございますので、もし必要であれば、副大臣、どうぞ御退席ください。

 それでは、今、待機児童ゼロ特命チームのプロジェクトにもNPOがもう既に大分かかわってきているというお話をさせていただきましたけれども、ほかのさまざまな地域活動にNPOが今深くかかわってきております。

 先ほどからお話ししています私の地元豊島区でも、まさに住民自治意識の向上と地域社会の活性化に寄与し中間支援することを目的とする、また、新たな公共の担い手づくりとコミュニティービジネス運営を支援するためにという目的で、平成十七年に、としまNPO推進協議会というNPOの団体をまとめるような協議会が設立されました。現在、四十の団体が所属して、勉強会や研修会の開催、あるいは地域サロンの運営、そしてまた見本市の実施、これは経済産業省などとも組みながらということでございますけれども、さまざまな取り組みを行っております。

 そういった中で、民主党の政権が打ち出しました新しい公共に対する期待も高いわけですが、今後、NPOが活動するためにどのような対策がとられていくのか、まだ具体的によく見えないという声も上がっております。

 そこで、お聞きしたいのですが、NPOの活動を推進するためにどんな取り組みが行われ、今後どういった方向に進んでいくのかを伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 ただいま江端委員からお話がございました民主党政権になってからの新しい公共、これは、大きなことをあえて申し上げれば、新しい民主主義をつくるくらいの、こういう概念だというふうに私自身は思っています。

 つまりは、明治になって、中央集権国家になって、あれから日本人はお上依存になっていった、こういうふうに言われてきたわけでありますけれども、しかし、今の江端委員の御紹介にもありましたように、それぞれが自立をし始めているという中で、これからは、私の言葉で申し上げれば活私豊公、昔、滅私奉公という言葉がありましたけれども、今もありますが、私を滅して公に奉る、これも私は崇高な精神だというふうに思いますけれども、これからは活私豊公でもいいよと。つまりは、みずからの得意分野を最大限活用して、公、社会を豊かにしていく、そういう社会のありようを民主党としては考えていこうということで新しい公共を始めたわけであります。

 今おっしゃったように、なかなか具体化していないんじゃないか、こういうお話でありますが、若干時間はかかりましたが、御存じのように、画期的な制度を今回提案させていただいております。それは、すなわち税制とNPO、特に認定基準の緩和であります。

 練馬とか豊島区とかはもう既に認定NPOがたくさんあります。ただ、それでも全国で認定NPOは百八十強しかありません。つまりは、寄附の優遇税制を受けられる団体がそれしかない。つまり、NPOの最大の問題の一つは何かといったら、やはり資金なんですね。

 そう考えたときに、やはりこういったことをサポートしていく必要があるだろうということで、まず認定基準を緩和いたします。すなわち、三千円の寄附を百人集めたら、それで認定NPOになれる。これは大変大きなことだというふうに思っていまして、認定NPOになる、それで寄附の優遇税制を受ける。そのときに、今までは所得控除しか認めませんでしたけれども、これからは税額控除も認めていこうということで、私は一気に、寄附文化も変われば、認定NPOがふえていくことになるのではないかというふうに思います。

 したがって、市民の皆様がそれぞれ自発的に、役所から言われてということではなくて自発的に、公共的な活動あるいは公益的な活動に共助の精神で入っていって、例えば、豊島区役所がやる仕事、練馬区役所がやる仕事、あるいは東京都がやる仕事、そういった市民サービスを結果としてそういったNPOが事実上担ってしまう。これまた、結果として、それぞれの皆さんの居場所とかきずなとか人に役立つ幸せとか、そういったものがやはり広がっていく、生まれてくる。

 これから人口減少時代を迎える中で、コミュニティーの大切さ、これは都市部だけではなくて、むしろ都市部の方がコミュニティーがあるなんという調査結果も最近出ているくらいでありますけれども、ますます大事な概念になっていくと思いますので、そういったことを進める画期的な第一歩として、今回の提案をぜひ国会で速やかに通していただきますように御協力をお願い申し上げたい。御協力をというより、江端さんの意見なども取り入れてこうしてつくっているわけでございますので、さらなる御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

江端分科員 ありがとうございました。

 今お話がありましたように、NPOに対する税制優遇措置など、あるいはその認可要件を緩めるというようなお話など、さまざまな取り組みが行われていることがわかりました。今後、新しい公共や地域コミュニティーの活性化に向けて、NPOは大きな役割を、そしてますます重要な役割を果たしていくことになると思います。

 先ほどからも言うように、まだちょっとイメージがよくつかめていないというお話がありますけれども、今いろいろと各省庁が出してくるプロジェクトあるいは事業の中でも、NPOをどう活用していくのか、あるいは法制度でNPOのかかわり方がこう変わるというようなことを、もっと事例をどんどんと発信していただければいいのではないかというふうに思っておりますので、私も今、財務金融委員会におりまして、この税制優遇措置の方もしっかりと議論をして、早い成立を望んでいきたいと思います。

玄葉国務大臣 おっしゃることはよくわかりますので、そういったケースをたくさん御紹介できるようにしたいと思いますし、同時に、先取りする形で、これも御存じだと思いますけれども、昨年の補正予算で、これは各都道府県になってしまうのでありますけれども、NPOを支援するためのいわば交付金というものを出すことにしました。まさに、今、執行される寸前だというふうに思います。

 それは、豊島とか練馬とか東京都のような、NPO団体にいわば習熟しているところはいいんですけれども、そうでもない地域も率直に言えばあります。そうなったときに、やはり行政がNPO支援をそれぞれ地域で行っていく。例えば、普通、さあ、NPOをつくりましょうといったときに、では財務諸表をつくれる専門家はいるかとかといったら、なかなかいないじゃないですか。ですから、そういったことをきちっとつくれるように助言していくような体制をその資金できちっとつくってもらうということも、既にこれは実施をし、執行段階に入り始めたということもあわせて申し上げたいと思います。

江端分科員 本当に前向きなお話をありがとうございます。

 本当に、こういった今少子高齢化の中、それからいろいろ家庭のきずなとかが壊れていっている、あるいは社会のきずなが壊れていっているという中で、この新しい公共の概念というのは、まさに地域を活性化づける、そして、本当に一人一人の皆さんの居場所を見つけていくためにも非常に大事な施策だと思いますので、私も議員の一員として、しっかりとこのことを地域にも伝え、そして本当に地域とともにやっていきたいというふうに思います。

 NPO関連のお話はここまででございますので、玄葉大臣、お忙しい中、御退席いただきまして結構でございます。本当にどうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 先ほどから、新しい公共あるいは地域コミュニティーの重要性というお話をさせていただいているわけですけれども、今、地域コミュニティーの中で活躍している方たちの代表の一人として、町会長の方々がいらっしゃるかと思います。

 町会長の方々というのは、御自身の時間や労力を使うだけではなく、時には金銭的に自腹を切ったり、あるいは自宅を開放したりして、本当に地域の活動に取り組まれてきているわけです。

 そういった中で、この町会長の方々が民生委員あるいは消防団などで活躍をされている場合はそちらでの叙勲があるのだが、町会長をしているというだけでは叙勲がないというようなお声も聞いております。

 私もちょっと調べてみましたら、平成十五年の五月二十日に閣議決定され、そして、さらに平成十八年の十二月二十六日に閣議で改正された勲章の授与基準というのによりますと、職種別、業種別の団体そのほかの公益性を有する各種団体の役員を務め公益に寄与した者の功績の評価に当たっては、総合的に勘案してその叙勲の対象とするというようなことがございます。そして、市町村の区域を活動範囲としている団体のうちその活動が重要であり、かつ、影響が大きいものの長として顕著な功績を上げた者として、いわゆる旭日双光章あるいは旭日単光章が授与されているというようなことが記述としてございました。

 この表現によりますと、特に職種として町会長というような形にはなっていないようなんですけれども、その辺の事情をちょっとお聞かせいただければというふうに思います。

阪本政府参考人 お答えを申し上げます。

 叙勲を含みます栄典制度につきましては、国家または公共に対して功労のある方を幅広く対象としているところでございまして、地方自治の功労のあった方々につきましてもその対象としているところでございます。

 今御指摘の自治会関係者でございますけれども、平成十七年以降、褒章の対象といたしておりまして、これまでに五十名以上の方が藍綬褒章を受章されているところでございます。

 叙勲の対象につきましては、その活動実態、また、あるいは他の分野とのバランスなども含めて検討する必要があるというふうに考えております。

 いずれにしましても、経済社会状況の変化に留意しつつ、今後とも制度の適正な運用に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

江端分科員 今、褒章という制度があるということでお聞きをいたしました。今まで、先ほどのいわゆる勲章の授与基準にもありましたように、叙勲のような仕組みというのは、多分、各省庁あるいはその中の業界といったようなくくりで、そこで顕著な活動をされた方あるいは貢献をされた方を対象にし、言ってみれば、その人生に対して授与するというような形だったのかと思います。

 今後、新しい公共のような概念が進んできますと、そこを横通しで頑張られているような町会長のような方々を表彰する仕組みをつくっていくということも、ある意味一つの大きな励みあるいは活性化につながると思います。そういったことをぜひとも御配慮をお願いしたいということで、本日、私の質問はこれで終わりにさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

手塚主査 これにて江端貴子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

 質疑予定者柿澤未途君の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

手塚主査 速記を起こしてください。

 事務局をして御出席を要請いたさせましたが、柿澤未途君の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

 質疑予定者柴山昌彦君の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

手塚主査 速記を起こしてください。

 事務局をして御出席を要請いたさせましたが、柴山昌彦君の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 次に、阿部知子君。

 質疑予定者阿部知子君の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

手塚主査 速記を起こしてください。

 事務局をして御出席を要請いたさせましたが、阿部知子君の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 金融庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。竹本直一君。

 質疑予定者竹本直一君の御出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

手塚主査 速記を起こしてください。

 事務局をして御出席を要請いたさせましたが、竹本直一君の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

    ―――――――――――――

手塚主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。杉本かずみ君。

杉本分科員 民主党の杉本かずみであります。

 きょうは、お忙しい中、福山官房副長官、そして先輩の手塚代議士、村越代議士、そして同僚の水野代議士、そして事務局の方の委員部の皆さんの御足労、御労苦をかけながら、質問の機会をちょうだいし、本当に光栄に存じます。

 私も、一昨年の八月三十日に当選させていただいて、早いもので一年半なんですが、まだ一年半という中で、非常に政局が不安定になったりしているということを憂えております。しかし、自分の立場はさておきまして、もっと長い目でこの国の政治を考えなきゃいけないのではないかなということの中で、きょうは質問をさせていただきます。

 端的に申し上げて、三点に絞って、三段階にという感じですが、マニフェストというものをどう国の政治で位置づけるか、そしてその中でうたわれていた政治主導といったものをどう現政権の中で進めていっているのか、そしてその中でさらにうたっています国家戦略局あるいは戦略室のあり方みたいな、この三段階について質問をさせていただき、そして最終的には、政治主導にかかわることでの提言というか、私の思いみたいなところを披露させていただければという段取りで進めさせていただきたいと思います。

 それで、まず、マニフェストの修正について。

 私は、一年半たちまして、税収が九兆円足らないといった実態であったり、あるいは税金の無駄遣い、必死に探しに行って、随分見つけていただいて、三兆以上というような数字が出てきておりますが、一方で、どうしても足らないのではないかという議論の中で、財源不足の問題等が出てきております。また一方で、TPPであるとか諸問題が惹起している中で、マニフェストをどうしても修正しなくてはいけないのではないかという議論が出てきています。

 こんな点について、これを政府・与党としてどう考えていくのがこの国の政治のあり方としてあるいは将来の日本の政治としてあったらいいのかという点で、ちょっと意見を述べさせていただき、また官房副長官の御意向を伺えればと思います。

 マニフェスト、私の場合は、今申し上げた状況について、修正の必要性というのは、与党の皆さんだったり政府の皆さん方と共有しているつもりであります。

 しかし、そのマニフェストの心というかスピリッツというか精神性というか、あるいは政権交代をしたところのその心はといった意味では、変えていい部分と変えていけない部分があるというふうにも感じております。具体的な政策あるいは財源論、もろもろの中で変える必要性は感じておりますが、しかし、失っていいものといけないものがあるのではないかなという気がしてなりません。

 そういった意味で、全く原点に戻れとかいう議論があります。確かに、同じことを私は言っているような気がしてならないんですが、原点に戻る必要は感じつつも現実に対応する、この両方をして初めて修正というものが国民の皆様に理解していただけるのではないかなというふうに思っています。

 ちょっとイギリスの代表的な学者の見解を一つ披露させていただき、マニフェストの修正論等について述べさせていただきます。

 フィリップ・ノートンという英国の研究者がいらっしゃいます。

 この人のコメントでありますが、政党のマニフェストは、議会における政府の象徴的立法の基礎を提供する、フラッグシップを提供する、選挙で勝利し政権についた政党は、マニフェストでの約束を果たしてきたという非常によい成績がある。いい成績を上げてそれなりにマニフェストを実行してきているという意味だと思いますが、しかし、政党のマニフェストは、成功を保証するものではない、大臣は、特定の提案の断念を決定することもある、その理由は、時間が足りない、マニフェストで提案したときと事情が変わった、立法化することが難しいといったものである、マニフェストの提案が、政府部内で反対に遭うこともある。

 こういう表現をされて、繰り返しになるかもしれませんが、マニフェストというものは、いわゆる政権をとった政党がしっかりやっていくものであって、それによって国民に評価され、そして英国の場合は、それなりの成果を上げたので、いい成績ということで評価もいただいたりしているということです。しかし、それが金科玉条のごとく、すべて守らなければならないということではないというような解釈をされておられます。

 今まで、我が国の政治というのは、残念ながら、政権公約という言葉が躍る中で、ここの予算委員会の第一委員室でも質疑があって、公約なんて大したことじゃないという言葉もあったやに覚えております。非常にリーダーシップのある総理であっても、そういった言葉が出たことは、私は一有権者として見ておりましたが、非常に残念に思いました。

 そんな中でマニフェストというものが出てきて、どの程度守れるか守れないかがこの国の政治の国民の皆様からの信頼に関係するというふうに思っておりますので、ぜひとも、踏ん張りどころである政権交代後の新政権が、マニフェストをどこまで実行して、それをどこまで説明していくのか、あるいはどこまで変えるということを決めて、それをきちっと説明していくのかということが大事だと思います。

 昨今言われなくなってきたんですけれども、アカウンタビリティーという言葉があったやに思いますが、最近、とんと何か質疑でも出てこなくなって、説明責任どうしたということを、政治とお金の問題では言うのかもしれませんが、事マニフェスト的な部分でのアカウンタビリティーということが言われなくなってきていると思います。

 そんな意味で、修正するしないとかいうことの中でも、そのスピリッツをぜひ大事にしていく必要があるのではないかと私は感じております。

 とうとうと申し上げさせていただいたんですけれども、政権の扇のかなめであり、また黒子的な立場でもある福山官房副長官の、このマニフェストの修正について、特に精神的な部分というか、政権交代の肝というか、そういった部分の修正まであるのかないのか、あるいはどんな方向感なのかというところを政府側のお立場として伺いたいと思います。よろしくお願いします。

福山内閣官房副長官 杉本委員にお答えします。

 四年間の浪人生活を経て初当選をされた杉本委員を本当に歓迎したいと思いますし、一年半の御活躍にも心から敬意を表する次第でございます。また、きょうは本質的なマニフェストの議論をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、今の杉本委員のお話は全く異論がございません。マニフェストは、民主党にとっては非常に大きな肝だというふうに私は思っておりまして、やはり国民の皆さんとの契約だと思っております。

 実は、個人的なことで恐縮ですが、私は、二〇〇三年の菅代表時代、初めてこの国にマニフェストというものが国政選挙で登場したときのマニフェストの作成にもかかわらせていただきました。ですから、今のイギリスのノートンさんのお話も、非常によく理解をしているというか、よく納得をしながら拝聴させていただきました。

 私は、マニフェストの修正というのは、マニフェストをゼロから見直すとか、マニフェストを民主党が否定するとかいうことでは全くないと思います。国民の皆さんにお約束したマニフェストは、四年間の任期の間に最大限の努力をして実現に努めていく、これは民主党としては当たり前のことだと思います。

 二点目は、その中で、国際情勢の変化、経済状況の変化、そして国民生活の変化の状況を見ながら政府として必要なことをやっていく。

 よく言われるように、子ども手当、高校の無償化等がよくよく目立って議論をされますけれども、実は、抽象的に言っていた例えばNPOに対する税制優遇とかは、半分の税額控除ということで具体的に今回決めさせていただきました。マニフェストには載っていませんが、例えば法人税を五%引き下げるとか、中小企業軽減税率を一八から一五にするというのは、我々が国際競争力を大切にすることと地域を大切にするという流れの中で今回の予算に組ませていただきました。

 マニフェストに具体的に数字があったかどうかということは別にして、そのときの経済情勢を含めて、我々としては弾力的に、かつマニフェストの実現に努力をしながら国民生活を守っていくというのが政府のそして政権与党の役割だというふうに私は思っています。

 少し余計なことを申し上げますと、私は、政権交代の選挙があって一年半経過をしたにもかかわらず、民主党のマニフェストには批判の声も含めて議論が続いていること自身、日本の政治文化は非常に変化をしたと思っております。

 過去の話は私は余りしたくありませんが、過去の政権与党の選挙公約に、これほど長年にわたりまして国民が議論をし続けたことがあったでしょうか。それがいい悪いも含めて議論をしたことがあったでしょうか。

 つまり、それだけ選挙における政党の掲げる政策に対する重みが変わったと私は思いますし、それは、次いつになるかわかりませんが、選挙を我々が考えるときに、与野党を超えて、この重たいマニフェストというものについて、現実を直視しながら政権公約というものをつくっていかなければいけないだけでも、私は、日本の政治文化にとっては非常に大きな影響があったというふうに思います。

 最後に、我々のマニフェストの本当に中心的な課題だった政治主導というのは、言葉だけではなく、日々政治家が、政府の中に入っている者も、そして与党として今活動していただいている方々も含めて、常に緊張感を持って官僚と対峙をしていく、そして、中心的には、官邸主導、政務三役主導でしっかりと意思決定にかかわるということは不断の努力が必要だというふうに私は思っていまして、政治主導ということについては、我々が政権を担わせていただく間じゅう、常に頭の中に入れておかなければいけない中心的な理念だというふうに思っております。

杉本分科員 どうもありがとうございました。

 おっしゃっていただいた点で共有させていただいていると思っています。まるっきり変えないということではないんですが、根本的な政権交代の意味であるとか政治主導といったことは、ある意味で、今、党内でも、民主党の中でも議論になっている原点という部分では、みんな仲間が共有させていただいていることではないかなということを感じていますし、私も、両院総会で、参議院選後に、岡田ジャパンに学んでチームワークでいきましょうということを僣越ながら申し上げましたけれども、ぜひそんな形で原点を思い出して、そして一つにまとまっていくということが今国民の皆様のためになることなのではないかなということで、各構成員がいま一度そんなところを思い出す必要があるというふうに感じております。

 それで、副官房長官御存じの二〇〇九年のマニフェスト、二〇一〇年のマニフェストです。

 質問の機会をいただいたので、改めて思い出しながらめくっておりました。正直、二〇〇九年のマニフェストにつきましては飛ぶように売れましたし、私が街頭であるいは車座集会で、皆さん、このマニフェストは四年間引き出しにしまっておいていただきたい、そして四年後に見ていただいて六十点とれていれば私は合格だと思う、それまでとっておいてほしいというお約束をいたしました。

 そして、去年の六月、たしか十七か十八に私のポストに入っていたのが参議院選のマニフェストでありました。結構党内で積み上げの議論をしたという記憶があったんですが、残念ながら、ページをめくってみると、菅さんの強い思いが先に出てしまっていて、マニフェストの検証的な部分では後ろの十九ページ、二十ページに出てきてしまうということで、このマニフェストの方は、残念ながら、街頭で全くとっていただけずに、配ることもちゅうちょしたというのが実態であります。

 この点についても、先ほど申し上げた両院総会で私は少しコメントさせていただいたんですが、この二つのマニフェストは、私は、関連性はあるとはいえ連続性が少し見えにくくなっている、背景として、いろいろな積み上げがあったんですが、少なくとも、有権者の皆様にこれが連続性のあるものとしては見えなかったという感じがしてなりません。

 そんな意味から、二年たったところでマニフェストを見直すという議論が、菅総理もおっしゃっておられます。必要なところは修正をするべきだというふうに私は感じておりますが、連続性のあるものでないと、引き出しにまた入れていただけないという気がしてなりません。

 そんな意味で、先ほども申し上げたアカウンタビリティー、どこをどう変えるんだ、あるいはどういう問題が新しく出てきたんだ、これをきちっと説明して、また引き出しにしまっていただくというような機会も必要ですし、きちっとした連続性のあるものにもう一度戻す必要があるという気がしてなりません。そんな意味から、ぜひとも、重いお立場にいらっしゃる副官房長官も、官邸の中でそんな方向で進めていただければと思っています。

 さて、さらに進めさせていただきますが、原点の二〇〇九年のマニフェスト、五原則と五策というのがありました。

 五原則で、「原則一 官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ。」「原則二 政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ。」「原則三 各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ。」「原則四 タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆(きずな)の社会へ。」「原則五 中央集権から、地域主権へ。」

 これはある意味で、先ほど言ったスピリッツの部分ではないかと思いますので、ぜひ大事にしていただきたいし、原則一の、まさしく政権党が責任を持つ政治家主導の政治、これが我々の原点ではないかと思っておりますので、ここの部分はぜひとも変えないでいただきたいと思います。

 そして、五策の方で、少し飛ばしますが、第二策では、「「閣僚委員会」の活用」と書いてあります。最近、閣僚委員会というのは聞かなくなりました。そして、第三策というところに、「総理直属の「国家戦略局」を設置し、」とうたってあります。

 そこで、質問を申し上げたいのですが、この国家戦略局、今は戦略室だと思いますけれども、継続審議になっているやに認識をしておるんですが、現在の政府側の、政治主導に向けた、国家戦略局への法律の準備だとかあるいはもろもろの準備状況、あるいは、この中で、国会議員を百人送るという、これは議員立法の方で進めていた話があったかと思うんですが、こういった政治主導についての現在の政府の取り組み状況を教えていただければありがたいです。お願いします。

福山内閣官房副長官 これも、いい御質問をいただいてありがとうございます。

 まずは、先ほどの連続性の話でございますが、大変重要なことだと思っております。済みません、お言葉を返すようですが、私は連続性がないとは余り感じておりません。なぜなら、私は参議院選挙を戦ったからです。基本的には、あのマニフェストを実現するんだと言って私は戦わせていただきました。

 一方で、私は、重要なのは、この一年半に実現できたこと、実現をしようと思っていること、それから、残念ながらなかなか厳しい状況だということ、そして、さらに申し上げれば、社会情勢の変化の中で、マニフェスト以外にどうしても政権がやらざるを得ないこと、例えば成長戦略や社会的包摂の問題や、そういった問題について幾つかの検証をした上で、まさに先ほど委員がおっしゃられました説明責任を果たして修正をするというプロセスを踏まないと、それこそ国民の皆さんにおしかりをいただくというふうに思っております。そのことは、ぜひ党の中でしっかりと御議論をいただきたいというふうに思いますし、政府も、そのことに対しては、サポートできることは支援をさせていただければというふうに思います。

 二点目の政治主導については、例えば閣僚委員会でございますが、今回の予算の編成に当たりまして、予算の基本方針は、当然、閣僚委員会で決めさせていただきました。

 実は、けさ、朝の七時から、閣議の前に、中東と北アフリカ情勢について閣僚会議をやらせていただいて、関係閣僚に集まっていただいて情報共有をしました。大変心配をしておりますが、ニュージーランドの地震についても、関係閣僚に対策本部として、きょう朝、集まっていただきました。

 すべて閣議で決めれば、なかなか機動性がとれないような状況のときに、非常にいろいろな課題が出てくる中で、閣僚委員会的なものを活用して政府の中では意思決定をさせていただいているということは、委員にぜひ御理解をいただきたいと思います。

 百人、政治家を政府に入れるという話は、現在七十三名、政務三役を含めて入っております。御指摘のありました政治主導確立法案が通り、また、皆さんに提出をいただいている議員立法が国会で審議をされ、通していただければ、実はこれが八十八人にまでふやせることができて、百人には少し足りませんが、少なくとも、政治がしっかりと政策の端から端までを監視しながら、なおかつ意思決定に関与できるような状況を我々はつくっていきたいというふうに思っておりますし、御指摘の政治主導確立法案におきましては、それぞれの皆さんにお力添えをいただいて、今継続審議になっておりますので、ぜひ通りますように、こちらからもお願いをする次第でございます。

杉本分科員 どうもありがとうございました。

 マニフェスト、ぜひともアカウンタビリティーも発揮していただきたいですし、本当に連続性のあるものをつくらないと、国民の皆様にマニフェストの政治が定着しないと思いますので、私も微力ながら努力いたしますが、ぜひとも大きな力を発揮いただければと思います。

 さて、ちょっと話がさらに突っ込んだ議論というか、実は、この一年半の政治家生活をさせていただく中で、やはり官僚の皆様方の情報力というのは、ある意味で政治家と歴然と違うと言ったら恥ずかしいんですけれども、少なくとも私とは違うという感じがしてなりません。

 その一方で、あの尖閣の問題があったり、あるいは北方領土、去年、私行かせていただいたんですけれども、メドベージェフさんが十一月一日に上陸されたというようなことがある中で、外務省のOBであるとか防衛省のOBであるとか、現職の方々のお話を聞く機会がありました。

 そういった方々のお話を聞く中で、官僚さんは情報力があるんですけれども、どうしても、一種、公正取引委員会の議論ではないんですが、情報独占というのがありまして、そしてそこに甘んじてしまっている結果、日中関係に若干そごが出る、あるいは北方領土問題を含めてロシアの外交ルートが弱まっているというようなことは、外務副大臣でもいらっしゃったお立場からもお感じになっておられるのか、いや、そんなことないよということなのかもしれないんですが。

 私の思いとしては、さきのレアアースの問題もありましたけれども、省庁横断で、外務省、防衛省そして経産省、時によっては農水省とか、関係省庁が入ってくると思うんですが、実質的な事務方のトップクラス、局長さんなのか課長さんなのかわからないんですが、そこの方々がかなり情報交換ができる形で、資源の問題であるとかというのが惹起したときに対応ができるようなシミュレーションを官邸の中でしておいていただく必要がある。もうそれは動き出しているかもしれないんですが、そこのかなめの位置は、実は官房副長官でいらっしゃったり、あるいは官房長官でいらっしゃると思っております。ただ、役所の方々にこっそり聞いてみますと、一つにそれを束ねるような組織というのはなかなかできないので、官邸の中にそういう機能を設ける。

 ただ、それぞれの役所というのは、やはり省益という部分も、正直、現実論としてはあると思いますので、彼らにとって、お役所にとって、その会議に出ていないと情報を失う、メリットを失うというような思いが持てるような実質的なそういう組織ができると、どうしても参加せざるを得なくなるというようなお言葉を聞いたことがあります。

 そんな意味で、もう待ったなしのエネルギー危機が迫っているかもしれないリビア情勢、これは、イエメンから人を送っているサウジが、送られなくなって掘る人間がいなくなるとか、そんなところであったりとか、それを虎視たんたんとねらっているロシアが資源でまたさらに強くなっていくというような、いろいろな可能性が現代の中東情勢を見ていてもあると思いますので、待ったなしで、そういった部分の統合安全保障みたいな部分もぜひお考えいただけないかと思っています。

 ちょっと話がそれてしまったんですが、情報力とか情報収集力といった点で、さっき申し上げたとおり、官僚に余りにも集中してしまっているという意味で、私は、国会の機能の方として情報を収集する力、分析する力を持たなければならないと。これは、政権交代させていただきましたけれども、また民主党が野に下ることもあるかもしれないですし、どういう政党が政権を時々とるかわかりませんが、野党の立場になろうとなるまいと、あるいはどんな国会議員であっても、官僚にすべて情報が集約されているのではなくて、もう一ルート、競合するルートとして、特に外交的な部分かもしれないですし、国々の情報収集という意味かもしれないんですが、専門家集団をつくっていく必要があるのではないかというふうに感じております。

 現在の状況を国会図書館の方々や調査局の方々に伺いましたところ、現在、数でいきますと、実は、人数的には、調査局、衆議院三百八、それから参議院二百五十、これはざっくりした数字です。そして国会図書館に調査及び立法考査局、この立派なペーパーをいつもつくってくださる方々が百七十九。ちょっとデータは古いかもしれないんですが、ざっくり言って七百人ぐらい、人数はいらっしゃいます。

 しかし、この方々は人事異動の中でポストがかわっていく。あるいは専門家集団かといえば、それぞれ優秀な方が採用されて入っているんですが、日本の場合はどちらかというと個人の努力によって勉強を重ねてみたいな方がその調査研究を行っているという状況です。

 片や、国々の中で先進的なのは、御存じかもしれませんが、アメリカでありまして、一九一四年に議会図書館からそういった特別考査部門が生まれ、第二次大戦後の一九四六年に立法府改革法で立法考査局というのが生まれ、さらに最大の変化は、ベトナム戦争によって議会の独立性ということが問われる中で一九七〇年に議会調査局というのができて、こちらが現在、八百名にはいきませんが、七百二十九名、これは二〇〇五年のデータですけれども、専門家集団がいらっしゃいます。PhDを持っていたり、ダブルマスターであったりというような方々が議会直属の、ある意味で行政府と遮断した形での情報収集を行って、米国の連邦議会の議員に情報サービスを提供してくださっているやに聞いております。

 そんな意味から、ちょっと話が長くなって恐縮なんですが、我が国の政治主導を確立するためには、まさしくその情報収集、分析という意味で、国会直属の情報収集、分析力を増す必要があるということで、現在の体制もそれなりのことで頑張っていただいていると思うんです。あるいは、今公務員人件費二割削減だという中で、これ以上予算がないぞという議論もわかるんですけれども、国会議員の機能を高め、国会の機能を高め、一種、行政府の官庁と競合的な情報収集、分析を行っていく。

 そして、残念ながら日程調整で明け暮れてしまう国会ではなくて、本当の議論を呼ぶための国会にしていくためにも、ぜひとも、私の僣越な意見としては、国会自体が、現在の国会図書館の立法考査局、調査の方々の専門性をより高めるとか、あるいは調査局の方々の専門性を高め、博士を持った方を中途で採るとか、あるいは現在の方々に対してもっと海外で駐在をするぐらいになって情報をしっかりとってくるとか、そういった方向感、予算づけもしていただく。

 ある意味で、ちょっと先んじて言い過ぎているかもしれないんですが、政治主導を進めていくためには、そういう方向感を、別に民主党だからということではなくて、与野党共有でそこの部分をぜひとも考えていただきたいし、私自身も考えていきたいと思いますので、勝手なことを申し上げて大変僣越でございますが、ぜひともそんな部分を御参考にしていただければと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうも長々と御清聴ありがとうございました。

手塚主査 これにて杉本かずみ君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後三時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後六時三十分開議

手塚主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後六時三十一分散会


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