衆議院

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第1号 平成13年3月1日(木曜日)

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本分科会は平成十三年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

三月一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      池田 行彦君    久間 章生君

      自見庄三郎君    八代 英太君

      生方 幸夫君    佐藤 観樹君

三月一日

 自見庄三郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十三年三月一日(木曜日)

    午後一時三十分開議

 出席分科員

   主査 自見庄三郎君

      池田 行彦君    久間 章生君

      田中 和徳君    八代 英太君

      生方 幸夫君    大島  敦君

      佐藤 観樹君    島   聡君

      中川 正春君    山花 郁夫君

   兼務 中塚 一宏君 兼務 矢島 恒夫君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   総務大臣政務官      滝   実君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部

   長)           大竹 邦実君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長

   )            鍋倉 真一君

   政府参考人

   (郵政事業庁長官)    足立盛二郎君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  池田 行彦君     田中 和徳君

  生方 幸夫君     大島  敦君

  佐藤 観樹君     島   聡君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     後藤田正純君

  大島  敦君     山口  壯君

  島   聡君     中川 正春君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     池田 行彦君

  中川 正春君     山花 郁夫君

  山口  壯君     井上 和雄君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 和雄君     生方 幸夫君

  山花 郁夫君     筒井 信隆君

同日

 辞任         補欠選任

  筒井 信隆君     佐藤 観樹君

同日

 第六分科員矢島恒夫君及び第七分科員中塚一宏君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (総務省所管)




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     ――――◇―――――

自見主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました自見庄三郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うこととなっております。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。片山総務大臣。

片山国務大臣 平成十三年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計について御説明いたします。

 一般会計の予算額は、十八兆五千三十一億一千二百万円であります。

 本予算案は、今日の我が国を取り巻く内外の厳しい情勢のもとで、社会経済システムの改革を進め、二十一世紀の我が国の新たな発展基盤を整備、構築することが強く求められていることを踏まえ、行政改革の推進、地方分権の推進、情報通信の高度化によるIT社会の構築等を重点的に推進するとの考えに基づいて取りまとめたものでございます。

 具体的な事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

 以上であります。

自見主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

自見主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

自見主査 以上をもちまして総務省所管につきましての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

自見主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島(敦)分科員 民主党の大島でございます。

 昨年の六月の総選挙で初めて国会議員になった者でございまして、民主党の新人議員は四十三人おりまして、入って気づくことが二点あります。一点が、非常に語学のできる方が多い政党だな、もう一点が、パソコンあるいはインターネットに通じた人が非常に多い政党だなと今実感しているところでございます。

 私も、一九八七年に海外駐在から帰国しまして、その当時勤めていた鉄鋼会社で、各自一台パーソナルコンピューターが与えられて、それで業務をやっておりまして、ちょうど今から七年前なんですけれども、インターロップというインターネットの博覧会が日本で初めて行われました。当時、私は、そこを見学に行きまして、多分このインターネットというメディアが将来非常に大きな社会的な影響力を持つなと実感いたしました。

 当時は、まだ今で言うデファクトスタンダードになるかならないかのところでございまして、それから急速に今はデファクトスタンダードになって、大体インターネットというプロトコルが世界スタンダードになっている。これによって、インターネット技術の特許のあり方についても、今までのスタンダードとは違った形のスタンダードに特許形成もなっている。非常に今時代は移り変わっているということを実感しているところでございます。

 その中で、今のIT革命なんですけれども、私はそんなに新しい技術ではないと思っております。

 今のパーソナルコンピューターのグラフィカルユーザーインターフェース、これは一九六三年とか六四年に、もうアメリカのカリフォルニアで一番最初のプレゼンテーションがありました。今と同じようにマウスを使いながら、コンピューター上でクリックすると次の階層に移っていく、全く今と同じようなことというのがもう三十五年くらい前にはでき上がった技術で、御承知のとおりインターネットという技術も、一九六〇年代に、要はアメリカの防衛政策、当時、ソ連からミサイルが飛んできて一点破壊されちゃうとシステムがダウンしてしまう、したがって、分散系にして、できるだけ一点が破壊されてもほかでマネジメントできる、あるいは管理できる、そういうのがスタートだったと思います。

 ですから、今のインターネットの技術というのは、たまたま、ムーアの法則というのがございまして、ICの集積度が十八カ月あるいは二年間で倍々にいっている、その速度が、六〇年代、七〇年代、八〇年代の速さが倍々ですから、ここ十年間に非常に上がってしまった、そういうことによって今のインターネットという革命が行われているのかな。ですから、将来は非常に見通しやすい技術だと思っております。

 そんなところを踏まえながら御質問したいのですけれども、まず大臣にお伺いしたいのは、デジタル化が日本の中でどの程度まで進んでいるのかなというところを、概略でいいのですけれども、お考えを聞かせていただければなと考えております。

小坂副大臣 若干テクニカルな面もございまして、私の方から先に答弁させていただきます。

 大島委員におかれましては、大変に情報通信にお詳しくていらっしゃいまして、今お話を聞かせていただいて、大変なものだなという認識をしたわけでございますが、そういう大島委員には、恐らく今日のデジタル化、地上放送、衛星放送のデジタル化、こういう枠組みはある程度おわかりなんだと思うので、簡略に申し上げたいと思います。

 デジタル化の現状ということを申し上げる場合に、地上放送のデジタル化からまず申し上げますと、デジタル化のメリットを、品質的なあるいは技術的な面からのメリット、それから経済的なメリット、そしてまた周波数のような、言ってみれば周波数有効利用のような国全体としてのメリット、そういった三点から申し上げられると思います。

 まず、品質面といいますか、デジタル化そのものとして、高品質な映像、音声サービスが提供できる、またデータ放送が可能になり、通信網と連携した高度な双方向サービスが可能となる、また安定した移動受信、あるいは話速変換等の高齢者や障害者に優しい、そういうニーズに適合したサービスを提供することができる、こういうことが一つございます。

 それから、電波の有効利用の観点から見ますと、デジタル化のスピードを速めることによって、これは国民全体に今申し上げたようなメリットを享受していただけるので、基本的にはこれを早く進めた方がいいのではないかという姿勢を持って取り組んでいるところでございまして、その中で、家電市場等においては、今後十年間で四十兆円くらいの投資のメリットがあるのではないか、こういうふうにも言われております。また、後ほど御質問があればさらに詳しく申し上げます。

 また、国際的な面におきましても、諸外国、英国、米国、スウェーデン等では既にデジタル化が行われておりまして、放送関係のデジタル化は進んでおりますものですから、そういう中からメリット、デメリットをしっかり見ながら日本においての政策を進めていこうと思っておりますが、これによってあいた周波数の有効利用等を考えますと、今日の我が国の現状は、世界的な流れの中にある、そして必ずしもおくれているとは言えない状況だというふうに私は認識いたしております。

大島(敦)分科員 今のお話の中で、放送と通信という切り分けがあると思います。放送というのは、今の地上波がアナログからデジタルに変わる、BSはもうアナログとデジタルが両方ある。もう一つは、通信という分野があるわけなんです。

 日本のITの基本戦略ですと、早晩、三年後、五年後には各家庭に十メガから百メガくらいの高速な光ファイバー網を整備するということになっておりまして、その値段が三千円から五千円くらいで二十四時間三百六十五日提供できるとすれば、もうテレビとパーソナルコンピューターの切り分けというのが僕はつかなくなると考えております。

 恐らく将来的にはインターネットTV、ですから、今までですと放送局が番組を提供していたのが、個人が番組を提供して、それで課金制度が出てくる。例えば、小坂副大臣も、多分日曜の七時半からテレビを見られて、「報道二〇〇一」から始まってNHKそして田原総一朗と、大体二時間半ぐらいむだな時間を過ごさなくちゃいけない。将来的には、私たちが希望するサービスというのは、あいている時間にパソコンをクリックすると三倍速ぐらいで、三十分ぐらいで情報をもらえればありがたいなというのが今のニーズだと思うんです。ですから、恐らくテレビと通信の切り分けができなくなっていく。

 その中で、今回、地上波をデジタル化することによって、投資金額としては、例えば周波数を変更しますから、一般の家庭のアンテナを取りかえなくちゃいけない、あるいは各放送事業者がつけかえなくちゃいけないということで八百五十二億円、これは国の税金から持っていく。もう一つは、NHKなり民放なりが新たに設備投資しなくちゃいけない。それが大体一兆六百億円なわけです。NHKの投資規模というのが恐らく五千億から六千億円ぐらいで、NHKの一年間の事業費と変わらないぐらいの予算を投入する。このことは、税金は使わないのだけれども、私たちの受信料なり、あるいは民間企業ですから、民放の方もどこかのところにコストアップの分はちゃんと反映させないと元が取れないということになってしまいます。

 ですから、今の大体一兆一千五百億円ぐらいを投資するメリットが本当にあるのかなという思いがあるものですから、その点をお聞かせください。

小坂副大臣 今御指摘のように、いわゆるアナログ周波数からデジタルに切りかえるための受信対策、それから送信側のいろいろな設備、こういう部分で、基本的に受信対策部分、アナログ周波数変更対策費として八百五十二億円とおっしゃいました。これは実は税金ではなくて電波利用料の方から出しております。言ってみれば、国の方に入ったお金から出すことは御指摘のとおりでございます。また、デジタル放送設備に約一兆一千五百億ぐらいかかるだろう、こういう御指摘でございますが、そのとおりでございます。

 この投資メリットが十分回収できるのかという点でございますが、先ほどちょっと申し上げましたが、品質的なメリットは金額にどのように換算していいかというのはありますが、この部分は、利用者が申し上げたような高品質な画像や何かを享受できるわけですので、また双方向のサービスというのはこれをしないとできないものですから、世界の流れの中でやる必要性があるという部分でございます。

 金額的な面で端的に申し上げれば、一般家電メーカーが、今後十年間にIT基盤の形成を通じて約四十兆円に及ぶ端末とか放送機器市場を創設して情報、家電産業の発展に寄与できるだろう、こう言っておりますから、この部分だけをそのまま換算すれば、一兆一千五百億は、十年間で四十兆でございますので、そういう意味では十分見合う数字ではないだろうかと思います。

 また、電波の有効利用という面において、これはいろいろな換算の方法がございますが、この部分でも十分にそのぐらいのメリットはあるだろう、このように考えて推進をいたしているところでございます。

片山国務大臣 今大島委員、いろいろお話がありましたが、私は、デジタル化は世界の趨勢ですし、日本がこれから世界で最も進んだIT国家を目指す以上、デジタル化への努力というのはおろそかにできないと思うんですよ。

 そこで、問題はお金なので、まだその前提のアナ・アナを来年度から五カ年で始めるのですけれども、これは今言いましたように電波料ですから、特定財源ですから、財務省が偉そうなことを言っていますけれども、これはできるだけ引き出して五カ年でやってもらう。それから二〇〇三年、二〇〇六年から基本局とローカル局で入るのですが、私は今は皆やる体制だと思いますよ。ただ、ローカル局は、体力のないところは大変きつかろう、こう思っておりまして、既に非公式なんですけれども、例えば特別の融資制度をつくってくれとか、さすがに助成は言いませんけれども。

 だから、そういうことを含めて、いずれにせよe―Japan戦略の中でアクションプランを来月中につくりますから、その中でどういうふうに方向づけをしながら、もうちょっと先ですから、どういう対応をするかを考えていきたい、こういうふうに思っております。

 これから、言われるとおり通信と放送の融合の時代ですよ。通信は一対一、放送は不特定多数というんですけれども、不特定多数の一対一というのが出てくるのですよ。だから、まさにインターネットテレビなんというのが私は将来は一つの大きな形をとると思いますので、そのときは、そういうもののあり方をどう考えて、規制と言ったらいけませんけれども、どういう育て方をし、コントロールをしていくかということは考えにゃいかぬと思っています。

大島(敦)分科員 今の大臣の御説明、副大臣の御説明なんですけれども、やはり十年後にテレビのチャンネルをひねったときのひねった機械が何であるかというところの私との相違だと思うんです。

 私は、多分e―Japan戦略ですと、全国で三千万世帯に高速ファイバー網が、光ファイバー網が入っていきますから、三千万世帯がインターネットTVにチャンネルをひねるのじゃないのかな。今の液晶画面も、非常に高価なものが二十インチ、三十インチで四、五万でパソコンにつなげれば、そのままの画面が見られる。そうすると、今の放送を見ている人たちというのが一〇〇%だとすれば、十年後には五〇%とか三〇%に減ってしまうのかな。その中で、ここで例えばテレビジョンのデジタル化を図った場合に、ひょっとするとテレビを買わないでパソコンを皆さん買っちゃうのかなとか、そういうことだってあるかと思うんです。

 ですから、政策誘導として、例えば今四十兆円という経済波及効果があると御説明がございました。しかしながら、個人の家庭にとっては新しくテレビを買い直せということになるわけでして、豊かな階層はいいのですけれども、今度は余り豊かじゃない、要は経済的にそこまで出し切れない人たちもいらっしゃるわけでして、アンテナは政府の金でつけかえてくれたのだけれども、なかなか受像機、テレビジョンまではいかないよとか、ユニバーサルサービスという面からも非常に無理があるのではないかなと私は考えておりますけれども、その点はいかがでしょうか。

片山国務大臣 今委員が言われたインターネットテレビというのは私は大分先だと思いますよ、本当にそれは。今、三千万と言われましたけれども、なるほどそれは一つの目標なので、特に超高速のは一千万ですから、高速は三千万ですから、だから委員が言われるようなのはかなり先の時代なので、今のデジタルは、お話がありましたようにこれからずっと安くなりますから、まだ高いですけれども、私なんか行ってみましたら三十万か何かで、それがずっと安くなると、これは日本人というのは新しいもの好きですから、ある意味では爆発的にはやる。委員が言われるのはもうちょっと先のあれで、それはそれでむだな投資ではないという認識を利用者というか国民の皆様は持つのじゃなかろうかと私は思っています。

小坂副大臣 大臣からお答えいただいた分も、そういう流れがあると思います。

 また同時に、委員が御指摘になりましたように、日曜日、二時間半、時間をテレビの前に費やさなくてもできるような状態というのは、もう既に今始まっているわけですね。ビデオの早送りというのもありますけれども、委員が御指摘のインターネットテレビでそういった番組が送り込まれてきて、家庭の中にあるサーバーに蓄積をされて、自分の好きな時間に見ることができる。これはもう既に技術的には開発が済んでおりますし、ことしの春からデジタルテレビが出ておりますが、ことしのうちにはサーバーつきのデジタルテレビというのがかなり家電市場に出てくると思うんですね。そして、来年ぐらいになりますと、インターネット機能を持った家庭のテレビ、大臣がおっしゃったようなパーフェクトなインターネットテレビはもっと先になるかもしれませんが、合体したような形のものは来年にはかなり頻繁に商品化されてくる。

 その辺までいきますと、液晶パネルの単価も、非常にここのところは、昨年からことしまで半額になりましたので、ムーアの法則をお引きになりましたけれども、同じように毎年毎年六カ月で半分になっていくというような形になっていくと思いますので、いろいろな家庭の事情のおありの方も買いやすい価格というのが五年以内に実現してくる、そういうふうに考えておりまして、そういった委員の御指摘の時代はもう少し圧縮されてくるような感覚を私は持っております。

大島(敦)分科員 これは私の考え方なんですけれども、例えば今の地上波をデジタル化するよりも、すべてBSデジタルに変えるという方法も選択肢としてあるのかなと考えております。

 ですから、今、BSもデジタルが始まりましたから、それをすべて民放BSに預けることによって、地上波のキー局は徐々に減らしていくという考え方もあるかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

片山国務大臣 私は、大島委員のお考えはよくわかるのです。よくわかるのですが、それを私は、すぐはそこまでなかなかいかないので、やはり段階を踏んでいくべきで、今としては、NHKや民放と我が省も入って、地上波のデジタル化、それの検討委員会なんかで相当議論していますから、その方が現実的なのかな、こう思っておりますが、委員の言われることもなかなかよくわかりますので、そういうことも含めて検討委員会で十分そしゃくして議論してまいりたい、こう思っております。

大島(敦)分科員 もう一つ、電波の利用料の件なんですけれども、今度は非常に小さな問題になりまして、私が今持っているこの携帯電話の年間の電波の利用料が五百四十円ということなんですけれども、ついでにちょっと伺いたいのですけれども、人工衛星とか放送局の電波の利用料をお聞かせいただければありがたいのです。

小坂副大臣 人工衛星の利用料は二万三千五百六十九円というふうになっておりまして、また放送局の方は二万三千二百七十四円、これが言ってみればデータ量に比例した部分でございます。

 電波利用料は、電波監視などすべての無線局が共通に利用していることによってかかっている経費等の部分、この部分を均等割に負担していただくという形の電波料の部分と、それから総合無線局管理ファイルにいろいろなデータを利用する部分、その部分でデータの量に比例して使用料を払っていただくという形の比例負担部分と二つございます。今申し上げた部分は、そのうちのデータ比例部分の金額でございまして、それに五百三十五円、いわゆる携帯電話の部分と同じ料金なんですが、これがすべてにかかってまいりますので、この部分を足しますと、二万四千百円が人工衛星、放送局が二万三千八百円、こうなるわけでございます。

 また、先ほどの話の続きになりますが、アナログの放送波というのは電波帯域を非常に幅広く占有してしまいますので、これをやめさせるという場合に、放送を途中でやめさせるというわけになかなかいかないわけですね、放送局を減らすといっても。ですので、その辺の問題をあわせて考えながら、デジタル化というのでこちらへ引っ越していただく、そしてより幅狭い帯域で同じサービス、より以上のサービスができるようにして移動していただくということを考えたわけでございます。

大島(敦)分科員 携帯電話の使用料について、今のお話を伺って、携帯電話は今五千万台を超えておりまして、六百円から五百四十円に下がったということなんですけれども、もう少し、例えば百円とか五十円とか、極端に下げても私は問題はないのかなとは思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

小坂副大臣 先ほど申し上げました、みんなが共通にかかっている費用の部分という中には、携帯電話がより効率的に使えるような周波数の使い方の研究費とか、あるいは携帯電話の使っている周波数帯に妨害が起こるようなことはどういうことが起こるのかとか、そういった研究の費用がかなりかかっているのですね。この部分もありますものですから、そういった共通経費を均等割にして五百三十五円、携帯電話単体でいえば五百四十円という金額で丸くなっていますが、これをいただいているわけなんですね。この部分をもっと安くするということは、すなわち台数がうんとふえて均等割にしたときに局数で割ればもっと安くなる、これはあり得る話なんですね。

 ですから、できる限りそういう方向性を模索しながら行きますが、平成十四年度にはまた料金改定もございます。現在は、この携帯電話は一局当たりの単価としては最も低額になっているわけですね。ですので、これ以上低額化するのはなかなか難しいように思います、その数が一番大きい部分を占めておりますので。ですが、全体的に効率化が図られればそういうことはあり得るということで、そういう委員の御指摘のところを踏まえながら改定に取り組みたい、こう思います。

大島(敦)分科員 お話の方は、地上波をデジタル化することに関してやはりまだこだわりを持っていまして、やはり一兆円という金額と、あと私、民間企業に長くいたものですから、投資対効果というところを非常に気にするわけなんです。

 例えば、今のインターネットにしても、DSLの速度、これが五百Kとか六百Kというのが、昔だったら不可能だったわけですよね。ISDNの六十四Kというのも、七年前ぐらいですと意外と難しい技術なのかなというところが、ソフトの進歩によってその分ができている実態がございまして、今の地上波も、地上波のソフト面での対応によって、意外とその帯域というのは狭められるのじゃないかという思いを持っています。例えば今デジタル化に移行したとして、あいている帯域がございますね。今度その帯域をいろいろなところに使っていくというお話なんですけれども、そのときに、今回この電波利用料として金額を、携帯電話も取られているんですけれども、諸外国の例ですと、あいた帯域を入札にかけて、できるだけ国が多くの金額を集めるという動きもあるんですけれども、それに関してはどのようなお考えでしょうか。

小坂副大臣 オークションというのは欧米で確かに行われております。それに対するメリット、デメリットを今精査しているところでございまして、検討中というのが基本的な姿勢でございます。

 委員御指摘のように、そういった方式も当然考えて有効利用を図らなきゃいけないと思っております。しかし、現在のところ、オークション方式には、手続面で透明性が高くなる、こういう面はあるのでございますが、落札金額が非常に高額になって、その高額の落札料をどこに転嫁するか、利用者に転嫁されては、これは必ずしも利用者のメリットになりませんので、そういった面を検証しなきゃいけない。それから、資金の豊富な人による周波数の独占というものが起こるのではないか、この面もどうやって歯どめをかけるかということを考えなきゃいけません。また、資金を準備できない新規参入者が排除されてしまう、こういうこともございます。

 実際に、米国においては、落札が高額であったために、落札金の不払いが発生して再オークションということになって、電波の利用が安定しないというデメリットが指摘されたり、あるいは、イギリスやドイツの例にありますけれども、落札金額の合計が約三兆八千億円あるいは五兆円に達する、その結果、サービス料金への転嫁が懸念され、あるいは落札企業の債券の格下げが起こっている。すなわち、もう払い切れないだろう、これじゃ経営が行き詰まるだろうということで、そういうふうに見られてしまったり、あるいは電気通信事業全体の株価が、これは将来行き詰まるぞというような予想のもとに下落傾向にあるとか、そういった面も指摘されております。

 その辺をしっかり勉強させていただきまして、投資資金が調達できないような企業が出てきてしまっては困りますので、一定の枠をつくってその中だけでまずやってみたらどうだとか、ともかく携帯電話とかそういう電波需要の非常に高いところに、そういったもので透明性を増しながら、これが一体できるのだろうか、こういうことを今研究させていただいているところでございます。

大島(敦)分科員 最後の質問になるかもしれませんけれども、やはりデジタル化、片山総務大臣は、いや、私のイメージをしている世界は多分十五年後とか二十年後とかということだと思うんですけれども、私、ここ二十年間のパーソナルコンピューターの歴史につき合ってきまして、大体八〇年代の頭にナレッジナビゲーターと言って、そういう考え方が出てきて、要はパーソナルコンピューターの中にすべての情報が入るというようなことがございまして、それが今現実となりつつある。今のパーソナルコンピューターも、恐らくハードディスクの部分をすべてネット上に預けて、キーボードと液晶画面だけになっていくのが多分二、三年後かな。

 その時代を見ると、小坂総務副大臣は厳しい御答弁で、多分私のアイデアに近いのじゃないかなと思うのですけれども、最後に、地上波のデジタル放送は、やはりそこまで自信を持てるかどうかというところをお聞かせいただければ助かります。

片山国務大臣 委員が言われるとおり、このテレコミュニケーションの世界では、日進月歩じゃありませんね、秒進分歩なので、言われるような事態も私は十分予想されると思いますよ。

 ただ、これが今世界の大きな大勢なのと、ずっと関係者の共同検討委員会で議論をして積み重ねた結果ですから、とりあえずアナ・アナをやろう。アナ・アナは、周波数をきちっとして利用の拡大を図る、そういうことでは公的ないいことだと私は思っておりますが、これは来年度からやりますけれども、委員の御指摘のような点を踏まえて、本当に地上波のデジタル化をどうやるか、もう一度恐る恐る、しかしかなり力強く前進する、こういうことで進めていく必要があるのかな、こう思っております。

 今オークションの話がありましたけれども、やはり電波は公共性がありますから、そういうことで極めていろいろな制約というのか、限定というのか、要件の中でのそういう考え方もあるので、そういうことを含めてしっかり検討させていただきますので、引き続いて御議論を賜りますようにお願いいたします。

小坂副大臣 大臣の仰せのとおりでございまして、私も今大島委員が御指摘になりました部分で、地上波のデジタル化というものの必要性は、やはり電波の効率的な利用という点では、これは国民の共有資産でございますので、また有限と言われていますが、技術の進歩によって大分幅は広くなりましたが、それでもやはりまだ有限に近いものでございますので、その有効活用のためにやはりデジタル化を促進すべき。

 そして、委員が御指摘のように、私も三十数年間、コンピューターが会社に入ったときから、そのときはオフィスコンピューターの端末でしたが、ずっとやってまいりました。同じようにデジタル化が市場に与えるインパクトというものを考えてやってまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島(敦)分科員 それでは、ありがとうございました。

自見主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、島聡君。

島分科員 民主党の島聡でございます。

 政府が決めました行政改革大綱で市町村合併推進の方針が固まったのではないかなというふうに私は思います。市町村の数、現在の三分の一以下の約千にすることがこれから目安になっていくのじゃないかというふうに思っていますが、いわゆる一九五五年前後、ちょうど私が五八年、昭和三十三年の生まれでございますが、そのころ行われた昭和の大合併以来の大きな市町村の再編になっていかなくちゃいけないと私は思っています。

 私も議員になる前に松下政経塾におりまして、そこで地域から日本を変える運動というのをやっていました。チとニとカをとりまして「ちにか」といいまして、これはアイヌ語で希望という意味なんだそうでありますが、そういう「ちにか」運動というのをやっていまして、そのときに、全国で当時からもう市町村合併をしようとする人たちが多かったのです。長野県の諏訪と茅野とか、それからつい最近住民発議をしました静岡県の清水と静岡とか、全国九十数カ所のそういう住民発議運動あるいは市町村合併の運動をしている人たちとおつき合いをしてきました。どうも、いろいろな議論がされて推進をするべきだという話があるのですが、なかなかそれが進んでいないのが今の状況であるというふうに思っています。

 私の選挙区は、安城、刈谷、知立、高浜、碧南といいまして、名古屋から新幹線で一駅。この五つの市を足しますと、人口約四十五万の市になります。そこで今、市町村合併の運動が始まろうとしています。この二月十八日にシンポジウムを開きました。

 商工会議所や青年会議所の皆さんが前にもまちづくりフォーラムというのをつくりまして、その市を一つにして碧海市にしようなんという運動があったのですが、報告書を出しただけで終わっています。なかなか進まない。

 その中で、二月十八日に市町村合併のシンポジウムを開きましたら、そこのパネラーの一人、永田敦史さんという若い市会議員なのですけれども、その人が、九月に、予定されている市町村合併特例法の改正を待って、恐らく九月ぐらいには施行されているだろうから、みずから住民発議をするんだということをそのシンポジウムで発表しました。そういう流れの中で、きょう質問をさせていただきたいと思っています。

 まず、いろいろな議論をしますと、一般国民からしますと、市町村の再編とか市町村合併といいましても一体何のメリットがあるのだろうという話をされるわけであります。それは、ミクロのメリットじゃなくて、例えば市がどうなるというのじゃなくて、日本全体がどうなるかということをよく考えるのですね。

 まず一番最初にお聞きしたいのは、日本全体で市町村再編を進めていく、幾つにするかということは決めなくて結構ですが、例えばこれは当然行政改革が進むはずであります。現在、全体で地方財政百八十兆円の借り入れがあるという危機的な状況にあります。これは一つのある民間シンクタンクの出した指標でありますが、例えば今三千二百三十二あるのを二百五十七ぐらいに再編した場合には、七兆九千億円が行政改革効果になるということを明快に出している指標もあります。

 今、国民がそこまで、個々の市のメリットじゃなくて、日本全体でこれを推進していくことによってこういうことができる、行政改革もできる、財政再建もできるというようなことを私は訴える必要があると思いますが、そのような試算をしたことがあるかどうか。もしないとしたら、私はそういうのが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 島委員、なかなか難しいことを言われるのであれなのですが、私は、マクロで見ると、市町村合併というのは、言われるように、一つは確かに行政改革、行政の簡素効率化だと思いますね。それともう一つは、やはり公の仕事はできるだけ国民の身近でやった方がいいんですよ。その方が民主的だし、合理的だし、効率的なんですね。そういう意味で、地方分権を進める上でも市町村合併が必要かな、こういうふうに思っております。

 それで、昭和の大合併は、全国的に一定の規模、水準を想定して大々的にやらせましたから、ある程度メリットの計算ができるのですよね、試算が。今回は、あくまで自主的な合併なんです。

 それで、都道府県に合併のパターンを今つくってもらっておりまして、年度内には恐らく出そろうと思いますけれども、それをもとに合併を進めていこうということですから、やはり一律に規模を想定して試算をしていると、また国は、総務省は合併を押しつけよう、強制するのではないか、そういうことを言う人もおるものですから、今しておりません。

 ただ、個別の例では、もうこれは恐らく島委員御承知でしょうけれども、一月二十一日に田無市と保谷市が、市長さんが決まりましたけれども、西東京市になりましたが、ここの試算では十年間に百九十億円ですね。これは主として人件費、管理費ですよ。だから、それから推計すればある程度は数字は出ると思いますけれども、そういう合併だけではありませんから、ちょっとそれは試算をしておりませんし、試算をするのはいかがかなと今思っております。

島分科員 いわゆる地方交付税のいろいろな算定基準というのは、規模が大きくなれば下がりますから、当然下がっていくというふうに私は思いますが、それも一つ訴え方としては重要なことかなということで御提案を申し上げたいと思います。

 これはもうかなり具体的な話をします。現実に、先ほど申し上げたように、我が地域でも、ケーススタディーとして聞いていただきたいのですが、総論は賛成するのですけれども、いざやろうと思うといろいろな各論が出てきます。各論の一つがやはり税の問題でありまして、二点聞きます。

 一つは、事業所税の問題であります。御存じのように、人口三十万以上の市で政令で指定する市等が課税団体になるわけでありますが、私のところは、五つの市が合併すると今申し上げたように四十五万になる。そうすると、今までは非課税団体だったのですね。私の選挙区は、一部上場企業の本社が七社もあるという選挙区でありますので、結構重要な問題になるわけであります。まず、事業所税について、何か特例的なことを考えるべきであると私は思うんですがというのが一点。

 それから、個人住民税の均等割というのがありますね。これはかなり技術的な問題で恐縮でございますが、人口五万人から五十万未満の市というのは二千五百円。それから、人口五十万以上の市は三千円で、その他の市町村、つまり五万人未満だったら二千円なわけです。わずか五百円なわけですが、これは具体的な話でございますけれども、私のところでも人口五万人未満の市が一つあるんですよ。それが上がると市民の方は五百円高くなるというようなことが、具体的な案として出てくるのです。

 こういうことも含めて、課税の特例をきちんと拡充していくのが市町村合併推進には私は必要だと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

片山国務大臣 なるほど、具体的なお話はよくわかります。いずれも、今度の法律で五年は特例を認めて、今の状況を続けるということにしてもらおう、こう思っております。

島分科員 議論になりますと、そういう極めて具体的なことが議論になっていきますので、それが必要かというふうに思います。今の話も市議会議員と、その方々は前向きにやろうとしていらっしゃった方々です。でも、いざ本当に進めようと思うとそういう議論が出るということなので、ぜひそれはやっていただきたいなと思う次第でございます。

 次に、市町村合併を進めていくための阻害要因というのが幾つかあるんですが、一つは議員定数の減少がある。それからポストの喪失、首長さんも含めてあるという問題があります。一体感が希薄な地域同士一緒になったらどうするのかとか、行政サービスの低下に対してどうするんだとか、いろいろな話が出てきています。それを乗り越えるためにいわゆる住民発議制度というのがあって、そしてまた合併協議会もそれによってつくられるというのがあるわけであります。

 ところが、私の調べでは、合併協議会があるのは、現在、全国で二十件、ひょっとしたらもっと多いかもしれませんが、六十九市町村というような思いでおります。

 これはそのシンポジウムでも出たんですけれども、合併に対する情報が市からは余り出ないというんですね。たしか平成十年の地方制度調査会の市町村の合併に関する答申では、市町村は、地域や行政の置かれている現状や今後の見通しを十分に認識して、地域の将来像を描いて、住民に対して、合併を含め、いかなる方策が望ましいかを主体的に検討しなければならないというのが出ているんですけれども、なかなか住民の方はそういう情報がない。それは決して、例えば首長さんや議会が積極的じゃないということを意味しませんが、どうしてもなかなかやりにくいらしい。そのシンポジウムでは清水市の人がパネラーで来ていまして、合併協議会ができて初めてそういういろいろな情報が市民へ流れて議論になっていったという話をされました。

 それで、今申し上げたいのは、みんなこの合併協議会というのを何か非常に難しく考え過ぎている。私は、これはお見合いの場みたいなものでありまして、一番最初、結婚するかどうかというのは次の話であって、まず知り合わなくちゃいけないから、合併協議会というものの場で一回お見合いをして、どういうふうにするか、そういう話をして初めて住民に伝わるようになると思うんですね。

 だから、合併協議会、今スタートがかなり難しいものですから、それをスタートとしてもう少し気楽にできるような形を私は進めるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

遠藤副大臣 確かに、合併協議会が設置されたところがまだ全国で二十件、六十九市町村と、大変少ないわけですね。その理由は、やはり一つは、住民サイドで市町村合併に対する理解が進んでいないというところがあると思うんですね。

 一つの例としては、昨年、市町村合併をともに考える全国リレーシンポジウムというのがアンケートをしたんですけれども、主なところは三つありまして、住民の意見が行政に反映されなくなるかもしれないとか、住民の一体感と個性を失うかもしれないとか、市役所や町役場が遠くなってしまうかもしれない、そういう懸念があるわけでして、そうした懸念に対してどのように行政側が説明をしているかという点があるんですね。

 市町村合併に対しての認識は、市町村の役場の職員の皆さんは、要するに財政上の理由等もありまして深刻にわかるんですけれども、実際に住民の皆さんが直接、では住民のサービスは今後どうなるんだという点で不安を持っておったりしているわけですね。本当は住民のサービスをさらに強化充実していくために財政を充実していくということなんですけれども、そのPRが大変少ない。

 いろいろな広報活動をやっているんですけれども、報告を聞いてみますと、全国でやっているのはウイークデーばかりで、土日でやったのは、土曜日にやったのが五件にしかすぎないとか、来ているのも大体半数以上、ほとんどの人が職員の皆さんで住民はほとんど来ていないとか、そういうところがありますから、広報活動をしっかりやる。それで、住民の皆さんにしっかり理解をしていただけるように、例えば土日の開会だとか、そういうこともきめ細かくやっていく、こういうことで今度の予算案でも予算を計上させていただきまして、広報活動もしっかりやっていく、こういうことを考えているところでございます。

島分科員 今、全国で二十の合併協議会がありまして、そこで特に若い人たちを中心に私のところによく連絡があります。合併協議会はつくったんだけれども、どうも動きが鈍いんだ。住民発議をしたときには物すごく盛り上がった。ところが、何か合併協議会ができてやっているうちにだんだん盛り上がりが消えつつあるのが怖いという話をされておりました。どうもその方たちが言うには、合併協議会はできたけれども、長くずっとしていくとどうしてもその熱が冷めていって、うがった見方をすると、それを待っているんじゃないかということすら思うと。

 これではせっかくの地方集権でみんな住民が結集したエネルギーというものが消えていくわけでありますので、例えば合併協議会ができたら一定期間内に結論を出すようにするとか、そういう推進するためのことができないものかどうか。私はした方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 言われるとおりなんですね。どうも今の首長さんや議員さんは、昭和の大合併をして何十年もたっていますから、やはり新しい体制の変更にはちょっと憶病なのかなと私も思っております。そこは、二十一世紀の我が地域社会をどうするのか、そういう新しい発想を持ってもらわなきゃいかぬ。都道府県と協力して大いに普及啓蒙をしようと思っております。

 今委員の言われる点はもっともな点があります。ただ、全部の合併協議会にいつまでにどうしろ、これは抵抗がありますからね。住民発議でできた合併協議会については、どういう状況か、一定期間経過後は住民に公表する、こういうことからやっていこうかと考えておりますので、ひとつよろしく御理解をお願いしたいと思います。

島分科員 これから先は新聞報道ですので確かかどうかわからないんですが、今住民発議の話をされましたので、新聞報道で私が知った限りでは、住民発議がある、合併協議会が設置されなかった、いわゆる議会の一種の拒否権が発動された、それを乗り越えるために住民投票をすることを可能にするような直接請求の制度もつくろうじゃないかという話がある。その署名数が新聞報道では六分の一と出ています。この六分の一の根拠、直接請求ですから、五十分の一という条例の制定請求、解散、解職請求の三分の一と、その真ん中辺に落とすというわけは何となくわかります。

 ただ、この六分の一、一六・七%というのは結構大変な数かなと思うんです。今まで住民発議は八十八件あったわけです。そのうち、この一六・七%を超えているのは約二十件、三分の一ぐらいであります。かなりこれは高いハードルかなというふうに私は思います。

 現在のいわゆる住民の直接請求の制度、昭和二十一年に地方制度改正があって、第一次改正でもう直接請求というのが出たと聞いておりますが、六分の一というのは今まで一度も出た数字じゃありません。衆議院の審議で、条例、規則制定の直接請求自体は、その前は一定数以上の連署であったのですが、五十分の一になったそうでありますが、そのときに、さすがに五十分の一では煩瑣にたえないから十分の一ぐらいで差し支えないと思うという衆議院の審議があるのです。

 今まで六分の一という数字は余りなかったですから、もし議論をされるなら十分の一ぐらいの方が私はいいと思うんですが、いかがでしょうか。

遠藤副大臣 確かに十分の一ということを考えたことがあるのですね。ただ、法律にいたしますときには、全国の地方団体の皆さんの意見をよく聞いて法律をつくるようにという定めがございましたものですから、全国の町村会の皆さん、町村議会の議長会の皆さんの御意見を賜りまして、十分の一から六分の一に変更いたしたいと思っております。

 これは一回、住民発議で行いましたこの合併協議会の設置を議会が否決した場合に、もう一回、六分の一以上の皆さんが賛成するということによりまして議会が否決したものを設置させる、こういう意味でございます。したがいまして、そういう新しい道を開くという意味でございますから、今はそういう制度はないわけでございまして、ないものをつくるわけでございますから、六分の一で制度をつくりたい、このように考えているわけでございます。

島分科員 いろいろな御意見を収集しながらの話だと思っています。

 運動する人たちに聞きますと、確かにこういう制度があると、一度直接請求で出して、それでいざとなったら住民投票も道が開かれているという形になると、いわゆる議会側の議論も慎重にならざるを得ないだろうということは言っています。ただ、余り基準が高過ぎますと、最初から、五十分の一じゃなくて、六分の一なら六分の一を目指さなくちゃいけないなということも言っています。そこら辺が、逆に、最初から五十分の一だったのが六分の一を目指さないとだめかということが、果たしてどちらに作用するのかということは、少し議論の余地があるのではないかなというふうに私自身は思っている次第であります。

 ちなみに、私のところで運動した人にきのう電話をして聞きましたら、そうすると五万人ぐらいになりますねという話をしていました。四十四、五万で、有権者総数から考えて三十数万あって、六分の一という話になると五万人ぐらいになります。清水、静岡の場合が四万数千集めたそうでありますが、それ以上の数字になる。五万人だけを集めていくボランティアの体制をつくって、そしてさらにそれを運動していくというと、それだけでも相当なものになってしまう。住民運動としては相当大がかりなものになっていきますねという話をしておりました。

 もちろん、それぞれの自分たちの地域、将来にわたってその区画をどうするかということは大きな運動であり、かつ重大な決断でありますけれども、運動する方からすると、これがどちらに動くのか、危惧をしているということはお伝えをしていきたいなと思う次第でございます。

 これも新聞報道によるわけでございますが、都道府県数カ所ごとに合併重点支援地域を設定するという報道がありました。これにつきまして、どのようにお考えでこのような形をとられているのかということについて、お聞かせをいただきたいと思います。

遠藤副大臣 若干経過の方から説明をいたしますが、平成十一年八月に、当時の自治省から市町村の合併推進についての指針を示しまして、各都道府県におきまして市町村の合併の推進についての要綱というものを定めていただこうとしたわけですね。私は徳島県ですけれども、徳島県が一番最初に公表しまして、それからだんだんスタートをいたしまして、現在三十七の都道府県で要綱ができています。恐らく本年度末までにすべての都道府県でそろうと思います。

 今度は、その一方、市町村合併特例法は平成十七年三月までの時限立法でございますから、その間に大方の合併の推進ができればありがたいと思っているわけでございまして、近く総務省といたしまして市町村合併の推進についての指針を各都道府県にお示ししようと思っているわけでございます。

 その中で、ただいまお話があったのでございますが、まだ検討中の話ですけれども、大きな項目といたしましては、まず都道府県に市町村合併支援本部を設置する、それから後、合併重点支援地域を指定したり支援をする仕組みをつくろう、こういうことを考えておるわけでございまして、そうしたものを今検討中でございます。

 そして、今御審議をしていただいております予算の中に、都道府県に対しても、合併を促進するための都道府県の体制整備費補助金というものを新しくつくりました。そして当面、まず全国の都道府県に公平に一千五百万円ずつお渡しいたしまして事務費として使っていただく。それからさらに、ただいま申し上げました合併重点支援地域に係る進捗状況に合わせまして、残りを、一都道府県平均大体五百万円ずつぐらいですけれども、これを傾斜配分させていただきたい、このように考えているところでございます。

島分科員 最後に、政令市の問題についてお尋ねしたいと思います。

 合併をするときの一つの目標としまして、単に量的な発展じゃなくて、権限が移譲される質的な発展をするといいのだという話をよくします。例えば、中核市になるといいんだという話をします。

 今、政令市という制度がありますが、よく百万人ぐらいの都市だと一般常識的に言われていますが、これは政令上はよく御存じのように人口五十万以上の市という形になっています。市町村合併、再編は、地方分権、地方への権限移譲の流れに沿ったものでないといけないと私は思います。例えば五十万で政令市になる、これは本当に政令ですから、大臣一つの決断でできるわけでありますが、その運用は、今だと五十万を超しただけでは直ちに本条の適用があるのじゃなくて、ほかの指定都市と同様にすべての事務をみずから処理する必要が認められるとか、そういう話になっています。

 だけれども、例えば五十万で政令市になるといったら、推進するところは県庁所在地等を中心に結構たくさんありますよ。これは政令で決まっていることでありますから、大臣のリーダーシップでできるわけでありますので、五十万になれば現在の政令市と同じような形にするということを決めていただければ、かなり市町村再編はダイナミックに進むと思うんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 政令市は、今まで、委員御承知のように、政令上は五十万人と書きながら実際は百万人、こういう扱いをしてきたんですね。ところが、少し緩んできまして、近い将来百万になればいい、そういうことで仙台や千葉も認めてきた例があるんですけれども、五十万までおろすということになると、今までの伝統的な、役所のあれからいうと、清水の舞台から飛びおりるぐらいのことになる。しかし、それじゃ何で五十万と書いたかという議論になるんですね。

 ただ、今までの政令市とのバランスもありますし、都道府県のお考えもあります、都道府県の事務は大分政令市へ行きますから。それから、今委員は安城市中心の四市のお話をされましたが、それぞれの地域の事情もありますので、そういうことを含めて、なるほど合併推進の一つのてこになりますから、しっかりと総合的な検討をさせていただきたいと思います。

島分科員 市町村再編というのは、今の地方分権、集権の流れの中で大きなキーワードだと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 ちなみに、私の選挙区と碧海市と一致するんですけれども、人口は伸びていまして、安城市が全国六百六十のうち人口伸び率が三・四%で五十二番目ぐらいなんです。どんどん伸びていますので、このままいくと二〇一〇年には五十万ぐらい超しますから、そういう意味では、それまでにはぜひしていただきまして、何とか実行していきたいと思っている次第でございますので、よろしくお願いします。

 きょうは、どうもありがとうございました。

自見主査 これにて島聡君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)分科員 民主党の中川正春でございます。先ほどの島議員のお話に続きまして、市町村合併、地方分権あるいはまた住民投票についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 まず、市町村合併であります。

 先ほどもいろいろ議論が続いていたようでありますが、ひとつここで、ちょっと根本的なといいますか、そもそも論に戻ってみたいというふうに思うんです。

 私も、もちろん推進する立場で、基礎自治体のあり方というのをもう少し大きくしていく、それによって、効率といいますか行政改革の立場と、人を確保しながら自立した、いわゆる質の高い行政サービスを供給していくという意味での合併に向かう動きというのは、それはそれなりに理解しながらぜひ前向きに進めていきたいというふうに思っております。これについて、改めてそもそも論を求めることはしません。ただ、そのときに、もう少し現実の分析をしてみなきゃいけないんじゃないかという問題意識を持っているんです。

 まず第一は、財源の問題です。

 地元に帰って、特に五千人とか一万人前後の町村に入って改めて説明をすると、結局、例えば交付税一つとってみても、今満たされているんですね、現実問題として。それが合併することによって、トータルで減額されますね。だから、その部分については、十年間なり十五年間なり補てんをしましょう。それはなぜかといったら、減ってくるからそういう措置をしなきゃいけないということですね。減ってくるということは、行政サービスがそれで落ちる、だから今のままの方がいいんだ。

 これは、損するか得するかと住民のサイドから考えたら、国全体とか地域全体とかということじゃなくて住民のサイドから考えると、素直な反応だと思うんですね。小さいところは損するじゃないか、今のままの方がいいじゃないか。かつ、今のままで自立をしていけるような手だてができるとすれば、権限移譲はもっと小さなところまで来て、我々のことは我々でやれる、それが本当の住民サイドに立った分権じゃないか、こうやって私自身が責められるんですよ。

 それに対して、実際にどれぐらい減ってくるのか。ということは、もう一つ言えば、交付税制度の見直しの前提というのがどんなふうになっているか、この辺がしっかり見えてこないと腹の据わった説得はできないということだと思いますね。そこのところの分析もそんな議論も、恐らくまだやっていないんだろうと思う。

 しかし、少なくとも、これからこんな形でそれは示していきますよということを大臣、ぜひこの際に表明をしていただきたいと思うんですよ。そのことも含めて、そもそも論から、ちょっと財源の話からやっていただきたいと思います。

片山国務大臣 今、昭和十七年三月まで合併特例法の期限がありまして、その間に合併してくれたところには、今委員お話しのように、合併算定がえで減るものは十年間減らさないよ。あるいは、合併特例債というものを認めて、それは、本来地方債の対象にならないようなものまでかなりな事業を見てやる。それについては、ちゃんと元利を交付税で見てやるとか、特別の補助金を出すとか、いろいろな優遇を考えていますよ。

 ただ、それは恐らく、今委員が言われるように、合併算定がえなんというのは、考えてみれば減るものをとめるだけじゃないか、現状維持じゃないか、こういう議論は確かにあると思いますね。ただ、そういういわばあめみたいなものをもっとふやすということは、これはまたこれで議論があるんですね。もう一方では、合併しなけりゃむちを当てられるんじゃないか、交付税その他を減額されるんじゃないか、不利になるんじゃないか、こういう議論があるんですよ。そういうことをやるのは、地方自治の上から見ておかしいと。だから、それはそうだと言っているんですよ。

 今度の合併は、昭和の大合併じゃなくて自主的な合併なんだから、自主的な発意で合併してもらうんだから、押しつけや一律や半強制はいたしません、そうは言っているんですが、しかし、そうはいいましても、今まさに委員の御指摘のように、小規模町村でもちゃんと自立できて一通りの仕事ができるような財源保障をしているんですよ。護送船団じゃありませんよ。護送船団じゃないけれども、地方自治の精神からいって、小さなところもちゃんと仕事ができるように、金の面倒を見てやろうということになっている。それは優遇なんですよ。例えば一人当たりの交付税なんかを見ますと、一番少ない方が有利なんですよ。これは一つの考え方だけれども、こういう時代になって、いつまでもその優遇を続けるかどうかはもう一遍見直さにゃいかぬということですよ。

 むちは、そういうものは使わない。しかし、今までのやや過度な優遇については、こういう時代はもう一遍見直すべきだ、こういうことを言っておりまして、小規模な町村まで何にもしなくてもやれてきたというのは、やはり、ちょっと面倒を見過ぎみたいなところがあるいはあるのかもしれませんね。私は、そういう反省の上で、もう一遍今の地方交付税や地方財政措置を考えてみる必要があるんじゃなかろうかと。

 合併については、委員がいろいろ言われましたように、私は、地方分権を進める上で市町村が中心だと思っているんです。地方の時代は市町村の時代、その市町村が今の規模や能力じゃ、これ以上の事務や権限の移譲は無理です。また、税財源を与えるときに、小規模なところまで与えるのかというのは必ず出てくる、中央の省庁では。だから、ある一定の能力や規模は持ってもらいたい。それが市町村のためなんですよ、市町村の高度、多様なサービスを権力を持ってやれることが、まあ権力と言ったらおかしい、権限を持っている。そういう意味では、ぜひ合併は進めようと思っておりますので、ひとつ御協力をよろしくお願いします。

中川(正)分科員 問題は、そこまでは総論でみんなそんなことだなとわかるんですが、じゃ、具体的にどうなんだということが出ていないから問題なんですね。私もそれなりに出してみた、そこがないことには説得力のある話ができないということで。

 それともう一つは、むちの方だけをきかせていくと、これは国が無理やり我々をくっつけようとしているんだ、こんな話に必ずなってくるんです。そこで、今市町村長なんか、特に町村会長なんかは大反対をやっています。それはもう本能的にわかっているし、何が今から始まってくるかということが、これまで恵まれ過ぎていたことも含めてわかっているから、だから反対するわけですね。そこのところの具体策を、やはりここで議論すべきだというふうに思うんですね。

 例えば、それの一つのポイントは、地方交付税制度の総額にして、このままの規模では維持できないよということをはっきりさせるべきだと思うんですよ、今でも無理やり理屈をつけて借金でやっているわけですから。それを減らしてくると同時に、地方財源を移しますよ、こういう話になると、例えば所得税を移すのか、消費税がいいのか、あるいは法人税がいいのか、その議論の中で、いろいろありますが、例えば所得税一〇%ぐらいを移したらどうかというのは、今、東大の神野さんあたりがしきりにシミュレーションもやって、持ってきていますよね。

 そういうようなものを見せていきながら、私もいろいろ出してみたのですが、結論から言えることは、これは全部シミュレーションしていくと、やはり小さな町村はやっていけない、全くやっていけないのですよ。全体の七割から八割を交付税やら補助金やら負担金やらでやっておったところが、それをちょっとでも減らしたら完全にアウトなんですよ。

 ところが、自主財源でシフトさせていくと、核都市、核になってくる都市、特に二十万人以上ぐらいのところは自主財源がふえるのですね。その辺の一番トップランナーというのはもちろん東京都ですが、東京都はもうむちゃくちゃふえちゃうんですが、核都市もやはりふえていく。

 ということは、言いかえれば、これまで国が交付税制度で手厚く見ていたけれども、申しわけないけれどももう国はできないのだ、そうなると、周辺のもう一つ大きな市と一緒になって、運命共同体になって、そこで自立したものをつくり出してもらわないと困るのだ。それに対して、行政サービスは下がることはないのだという仕組み、約束事も含めて、あるいは新しい自治体組織というか、基礎自治体のもう一つ下にある自治組織も含めて提示をしながらシナリオを書くということで納得してもらうということなんだろうと思っておるのですよ。

 そういう具体的な話がないと、これは、このまま総論で話を進めていったら、私でも反対しますよ、何にも見えないのだから。それで、行政サービスが下がることだけはわかっているのだから。幾ら、自立せよ、自分たちでやっていけよと言ったって、これまでがこれまでですから、ここのところはやはりもっと具体的な詰めをしていく必要があるのだろう、このことを一つ申し上げておきたいというふうに思うんです。

 それで、そういうふうな観点に立っていくと、地方分権の推進委員会が解散して、もうこれでいいのだ、総務省に任すのだというような話になっていくのが非常に残念なんですね。これは、本当は自治体のサイドからそんな意識が上がってきて、私のところはこうやっていくよというぐらいの元気があるといいのですが、日本の現状の場合、なかなかそういうふうにはならないということが問題なんだと思うんです。

 そこまで議論をしておっていただければすばらしいと思うんですが、その上に立ってもう一つお尋ねをしたいのですが、そうなると、さっき言った今の基礎自治体、例えば理想的に一番効率のいい人口規模というのは二十万から三十万だと言われていますが、二十万、三十万の規模だけの議論で全体の分権議論を進めていくということはできない。

 これは、どこの国を見てみても、そのもう一つ下にコミュニティーというのがあるのですね。これが、小学校区ぐらいなのか中学校区ぐらいなのかという地域的なコミュニティーと、機能別に組み合わせた、NPOなんかも含めて、何とか協議会とか何とかクラブとか、あるいは官の方から組み立てた何とか組合とか、いろいろあると思うんですよ。そういうのを組み合わせて、日本のこれからのそうした基本的なところのもの、我々も選挙になると、その網の目をくぐりながら選挙をしていくわけで、町内会長さんやなんかで身にしみてわかっておられると思うんですが、今そこが機能していないのですよ。そこがどうも弱くなっている。だから、学校の問題も出てくる、あるいは福祉も、かゆいところに手が届かないということだと思うんです。

 ここの議論をしたいと思うんですね。どうですか。これまで、そうした観点でどこまで詰めていただいていますか。

片山国務大臣 いろいろ各般のことを言われたので、少し整理してお答えせにゃいかぬのかなと思いますが、先ほどの私の答弁で、合併特例法の期限を昭和と言ったようです。よく間違うのですが、平成でございますので、平成十七年三月末と。

 そこで、合併につきましては、中川委員、今各都道府県にそれぞれの県の合併のパターンをつくってもらっているのですよ。例えば三重県なら、どういう組み合わせが一つ試みの案として考えられるか、それを土台にして議論をしてもらいたい。そこは、一応形は見せておるのです。

 そこで、財政の方は、委員言われるように、私も少し考えにゃいかぬと思います。ただ、今地方交付税をこういう地方財政が厳しい状況でいじるということは、大変な不安、これはもう合併じゃなくて地方自治制度そのものを揺るがすようなことですから。いずれにせよ、地方交付税制度について、いろいろ委員言われましたけれども、そういうことを含めて、ぜひ見直す必要があるのじゃなかろうか、私はこういうふうに思っておりますので、それはしっかりと委員の御要請を受けとめさせていただきます。

 それから、地方分権推進委員会は、一年延ばしましたので、ことしの六月末に一区切りになりますが、私は、個人の考えですよ、ずっと延ばしていくというのも新鮮味もありませんし、ここはここで一区切りにして、新しい委員会でも検討して立ち上げたらどうだろうか。それは、今の地方分権一括推進法のフォローアップをやるのと、あとは地方税財源の移譲について真剣に議論していただく、そういう中立で権威ある機関を新しく立ち上げたらどうだろう、新しい方がそういう意味ではずっとインパクトがありますから。ただ、それは総務省だけじゃなくて、内閣府やいろいろなところと相談して検討したい、こういうふうに思っております。

 それから、コミュニティーの話がありましたが、なるほど、市町村合併を進めていって市町村の規模を大きくするということは、コミュニティーと市町村行政の中心の役場が離れるということなんですね。だから、コミュニティーをどうするか、コミュニティーについてはいろいろな見方がありますが、一番多数説は小学校区でしょう。ただ、過疎地やなんかはわかりませんよ、今小学校の適齢人口が減っておりますから。

 そこで、やはりコミュニティーというのは自治の基礎ですから要るので、私が言っているのは、総務省は郵政省と自治省が一緒になったのだから、郵便局でワンストップサービスをやってもらったり、地域情報の一つの役割を果たすようにしてもらったり、ひとり暮らしの過疎地域のお年寄りには外勤の郵便局の職員にケアをしてもらうような、郵便局の性格を少し変えて、コミュニティーのセンターみたいな、そこでお互いが交流したり講習を受けたり、いろいろなことをするようにしていったらどうか。

 今、合併で一番大きいのは、役場が遠くなるとか、きめ細かいサービスができないとか、自分のところが場末になるとか、そういう議論ですから、コミュニティーについては、これはこれで真剣に考えにゃいかぬ、こういうように思っておりますし、そういう中で、NPO法人がたくさんふえています。これはみそもくそもあるんです、正直言いますと。くその方はちょっと御勘弁いただいて、みその方のNPOは、これは大いにコミュニティーなり市町村行政の中で頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。

 盛りだくさんのお話がありましたので。以上でございます。

中川(正)分科員 本当にまた改めてやりたいですね。こういう形で一つ一つ詰めていく、民主党としても一つの対案、対案というより、そっちの案が出ていないのだから、民主党の案をしっかり練り上げて提案もさせていただきたいな、こんなふうに思います。

 もう一つ、今度は住民投票に入っていきます。

 さっきもお話がありました。いろいろな圧力に負けて、六分の一まで下げてしまったようでありますが、もう一つ迫力がないのは、これは協議会をつくるための住民投票なんですね。本来、合併するかしないかというのはもう住民に決めさせよう、議会の方がもたもたしているのだったら、直接住民の意図をそこで確認しようというところまで行くと迫力があるんですが、何かこれは、ちょっと住民投票の予行演習をしようじゃないかという程度のことになってしまったので、そこのところが、大臣の本意はどういうことだったのですか。

片山国務大臣 今の地方自治制度は、釈迦に説法ですけれども、議会制民主主義なんですね、間接民主主義をとっているんですね。だから、住民の代表というのは地方議会、これが議決機関で、中央と違いまして地方の場合には大統領制ですから、執行機関である首長さんは直接公選、こういうことなんですね。それで、その間、チェック・アンド・バランスで、抑制と均衡でやってくれ。それは議会が意思決定機関なんです。地方自治法上の位置づけですよ。

 そこで、直接民主主義を部分的に入れるということは、地方議会の議員さんには大変な抵抗があるんだと思いますよ。だから、住民投票がなかなか一般化されないのは、そういう議論もあるんです。そこは、いや、地方自治は違うんだ、こういう位置づけが法律上できるかどうかという議論がある。まだできておりません。だから、どうしても補完的な部分的なことでしか住民投票は導入できないんですね、今の制度の仕組みからいって。

 そこで、例えば合併そのものを住民投票でやるということは、合併するというのはその団体がなくなるかどうかということですから、合併は存立にかかわる基本でしょう、それを議会制民主主義を否定して住民投票で決めてしまうというわけにはとてもいきません。そこで、それじゃどうするかというのは、合併の前提である合併協議会の設置について住民投票で住民の意思を明らかにしようじゃないか、正式に合併するかどうか、本番でそれを参考にしてもらおうじゃないか、こういうところまでなんですね、我々の考えは。

 だから、仕組みをひっくり返すのはいいです。ただ、私は、今の議会制民主主義、間接民主主義の方が、いろいろなプラスマイナスはあるけれども、メリット、デメリットはあるけれども、まだその方がいいかなと思っています。直接民主主義というのは、規模の小さいところで、特定の問題についてだけやるというのはいいですから、だから、今の位置づけは、何度も言いますけれども、リコールだとか特定のものについては住民投票を認めています。

中川(正)分科員 きょう、実は午前中、スイスの地方自治について、直接民主主義と言われていますが、勉強していたんですけれども、さっきの大臣の考え方と全く逆なんですよ、スイスはおもしろいんですよ。

 直接民主主義、住民総会、これは本当にさっきでいうと人口が二万人前後、もっと小さいのが一つの基礎自治体なんですよ、これはそこでの話なんです。そこでの話でも、やはり直接民主主義というか全体のアセンブリーの数が減ってきているらしいのですね、減ってきて間接民主主義になっている。

 ところが、おもしろいのは、さっきの話と全く逆で、間接民主主義になっていくところほど住民投票をうまく活用しているんです。それで、直接民主主義というかアセンブリーでやると、そこに出てくる人たちは人口の五%ぐらいらしいですよ。ところが、住民投票ということになると五〇%、六〇%の投票率になっていく。そんな中で一つ工夫をしているということで、こんなものは当たり前なんだというのが民主主義の発祥といいますか、原点に立ったような考え方なんです。

 私が心配しているのは、統治の立場に立った人たち、皆さん政権にあるのが長いから、これは麻痺しちゃって、住民投票というと迷惑施設の反対運動に結びついてくる、こんなもの町長さんは相手にしていられないよ、恐らくこういうイメージがあるんですね。ところが、それは権限がまだしっかり移っていないからそうなんで、これは権限が移ってきたら、例えば地方の住民税を上げるか上げないかというふうな問題も含めて、あるいは町村合併そのものもそうだと思うんですが、これを間接民主主義でさばいていけるかといったら、それはやはり直接民主主義の方がふさわしいんだろうというふうに思うんですよね。そんな中で説得をしていきながら、納得をさせながら運営をしていくという姿勢がないと、統治の理論だけでは何ともならないということだと思います。

 それともう一つ、これを法律で仕組んでいくときに、これは住民投票をやっていってほしいという団体もよく間違うんですが、国に、こんな日本の一般の住民投票法というのをつくってください、こういう形で持ってくるときに、本当に微に入り細に入り、今度の法律もそういうことなんだろう、公職選挙法に基づいたような形で法律で微に入り細に入りつくっちゃうんですよね。

 ところが、よく考えてみたら、今言われている国のやらなければならない領域と地方のやらなければならない領域からいくと、国は国民投票なんです。だから、国の法律で定めていくのは国民投票なんだ、本当は。住民投票というのは地方自治体マターなんですよ。本来は、住民運動があって、その中で議会が折り合いながらつくっていくというプロセスが大事なんだけれども、日本の場合は議会サイドで、入り口で全部オミットされちゃうんですよね、これまでの実績から見ていると。この合併の問題についてもやはりそういうこと。

 だから、つくるのであればフレームだけつくっておいて、私の頭の中にあるのは、地方自治体でルールづくりをやりなさいよ、それだけでいいんだと思うんです。条例をつくりなさい、条例の中身はそれぞれの地方自治体で議論をしてやっていったらいいじゃないか、その基準は自治体によって違っていていいんじゃないか。だけれども、例えばこれは六分の一と定めていますが、こんなものは六分の一以下にしなければならないというのが正しいんですよ。六分の一を日本一律でやるというのは、これは国の越権行為ですよ。違いますか。

 そういう観点に立ってこの法律を見た場合に、昔の自治省というのはやり過ぎているんですよ、要らぬことまでしている、だから育ってこないんですよということじゃないですか。これは変えませんか。

片山国務大臣 先ほども委員に言いましたように、今の地方自治制度、地方自治法は、住民投票というのは原則として特別の場合にしか認めていないんですよ。だから、そこの根っこの議論をされないと。

 それから、住民投票を条例でやっているところは幾つかありますよ、例えば原子力発電所とかなんとかの問題だとか。しかし、それは何ら法律上の効果はなくて、政治上の効果なんだけれども、ただ、例えば原子力発電所の住民投票なんか見ますと、皆反対ですよ。電気は要るんですよ。電気は要るけれども原子力発電所は困るんですよ。だから、地域エゴイズムでもないんですけれども、日本じゅうがそうなら本当は困るので、そういうことの問題を含めてこれからしっかりと、今の地方自治制度のままがいいのか、あるいはもっと直接民主主義をかませたのがいいのか、これからの議論だ、こういうふうに私は思っております。委員が言われるような、今のままで条例でも何でも住民投票でやられる、こういうわけには今はなかなかいかないですね。

中川(正)分科員 いや、そこも議論を混乱させているんだと思うんですよ。この間の吉野川可動堰でもそうですが、市町村なり県なりというのがやれる部分、その権限の中で住民投票をやる部分と、国の政策に対して住民投票をしてその賛否を明らかにする部分ともちろん法的根拠は違いますよ。

 だから、法的根拠を持たすか持たさないかということもこれは地方自治体が決めたらいい。それと、法的な枠組みがあるわけですから、住民投票をしても、その結果、法的な枠組みの中では法的根拠がないよ、それはそれでいいと思うんですよ。しかし、地方自治体によっては条例の中で、今回このことでやるものについては、例えば独自の財源をそこで求めるというものについてはこれは法的効果を持たすよ、住民投票で決めるんです、やるかやらないか。そうやって決めて住民投票をやったら、それで、その条例の範囲の中で地方自治体で生きるわけですよ。

 そこの話を全部混乱させて、住民投票がまだまだというふうな議論をやっているから、いつまでたってもそれが町長や市長のリコール運動に結びついていって、政治的な混乱があって、人まで刺されたりするんですよ。だから、そこのところを早いところ国の方で整理をしてやる、整理をしてやるというよりも、ちょっと押してやったらいいんですよ。あんたたちつくりなさいよ、それ以上のことを言っちゃだめなんです。そういうぐらいの議論をぜひやってもらいたいというふうに思うんですね。どうですか、一遍頑張ってください。

片山国務大臣 ただいまの中川議員の話は私も聞くべきところがある議論だと思いますが、我が国会で中川議員のような意見が多数を占めて、地方自治法を変えて直接民主主義をうまくかまそう、こういうことになるということもあるかもしれませんので、ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。

中川(正)分科員 またやりましょう。ありがとうございました。

自見主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 次に、山花郁夫君。

山花分科員 民主党の山花郁夫でございます。しばらくの間おつき合いを願いたいと思います。

 御案内のように、昨年の臨時国会で公職選挙法の一部改正ということが行われました。比例代表選出議員について、いわゆる拘束名簿方式から非拘束名簿方式へ改正されたというものであります。私は、概念的にはこれは比例代表の制度だという説明はございますけれども、事実上の全国区の復活に近い、類似したものだと思っております。

 当時、片山虎之助議員が、提案者ということでいろいろ倫理選挙の委員会で御答弁されておりました。私も、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会のメンバーでございましたので、そのときのことなどを覚えております。ただ、残念ながら、私たちはもう少し審議をしたいと思っていたわけでありますけれども、途中で審議が打ち切られて採決ということになりました。当時のメンバーもいらっしゃいますけれども、そのときの委員長がどなたであったかは申し上げませんけれども、そんなこともございまして、そのときにも質問をさせていただきたいと思っていたのですけれども、そういったこともあってできなかったわけであります。

 このたび、片山先生が総務大臣になられたということで、申しおくれましたが、大臣御就任おめでとうございます。せっかくですから、この機会に、大臣としての、立場がお変わりになられたようでありますけれども、御所見等も伺ってみたいと思っております。

 また、これを申しますと違うということでおしかりを受けそうでありますけれども、やはり個人名を書かせるという意味で、候補予定者にとってみれば、事実上全国区とほとんど異ならない、現にもう全国各地、今予定候補者がいろいろなところで、歩き回っているというよりも、走り回っているあるいは飛び回っているというような状況になっているわけであります。

 そこで、この非拘束名簿方式という方式についてなのでありますが、今回のこの方式でありますけれども、諸外国にも類似の例は幾つかあるのでありますけれども、今回ので特徴的なことといえば、個人名を書かせてその個人名を政党に読みかえるという方式がとられているということであろうと思います。幾つかの例がありますけれども、例えばの話、投票用紙に政党名とその中の候補者が書いてあってそれにマークするというような制度ではなくて、自書式であるということが非常に特徴的な制度であると思います。

 また今回、旧全国区と比べてみますと、私たちの評価としては、全国区よりもちょっと顔が見えにくい制度ではないかと思っております。と申しますのも、旧全国区の時代であっても、百人よりもやや上回る程度の候補者が立候補しておりました。その中から一名を選ばせるということになると、当時、タレントしか得票できないであるとか、あるいは非常に大きな団体をバックにつけた人でないと当選しないであるとか、そういうことが言われていたわけであります。

 例えば現在の地方議員の選挙などでも、結局は一名しか選ばない。その中で、自治体によっていろいろありますけれども、四十人から百人ぐらいの候補者が出て選挙を戦うというような形になっております。私も党派に属しておりますから大体関心はないはずがないのでありますけれども、身近な人なんかですと、国政選挙ぐらいであればある程度関心は持つのでありますが、自治体ぐらいの選挙になるとだんだん関心が薄くなっていく。そうした中で何十人もの中から一人を選ぶというのは大変なことであるというような声をよく聞くわけであります。

 ところで、今回の選挙制度によりますと、各政党、供託金の没収などのことを考えますと、本当に四十八人全部そろえるかどうかは話は別ですけれども、理屈の上では、各政党として届けている以上、改選数の四十八名まで名簿に搭載することが可能ということになっております。単純に掛け算をして政党の数を掛けると物すごい数になるのでありますが、ただ、実際はそこまでは行かないと思うわけであります。ところで、これも今なかなか計算が難しいとは存じますけれども、トータルでこの比例区に一体何人程度の候補者が立候補すると見込まれているでしょうか。お聞きしたいと思います。

片山国務大臣 山花委員から冒頭大臣就任の御丁寧なごあいさつをいただき、ありがとうございました。かつてお父上が選挙制度担当大臣でございまして、私はあのとき野党でございましたけれども、お父上と非常に親しく論戦をさせていただいたことを今懐かしく思い出しておりますので、どうぞひとつ頑張っていただきたい、このように思います。

 次の参議院選挙に比例代表でどのくらい候補者が立つだろうかということは、予算上は何か二百五十人と見込んでいるようであります。何で二百五十人かといいますと、比例代表制度導入後の過去六回の選挙の平均候補者数が二百四十八人だそうです。それで二百五十人、こういう計算だと思いますが、これは私個人の意見でありますけれども、私はそんなに多くならないと思います。

山花分科員 最後のところが私はちょっとひっかかった。と申しますのは、私は少しふえるのではないかと思っております。

 その根拠は何かと申しますと、今回の制度によって、多少議論としては荒っぽい言い方かもしれませんけれども、やはり、個人の得票を政党の得票と読むことができる、そうであるとすると候補者をできるだけ多く立てた方が、例えば極端な話、本人とその親族しか票を入れてくれないような人であったとしても立てた方が票はふえる、それは極端な話ですけれども。そうであるとすると、政党として少しでも得票をふやそうとすれば候補者の数ももっとふやすのではないかと思うわけであります。

 そうであるとすると、二百五十よりももう少しふえるのではないかと思うのですが、ここは通告しているところとは話がちょっとずれてきておりますので、なぜ二百五十よりも少し減るのではないかと考えられているのかということについてお願いいたします。

片山国務大臣 ちょっとこれは役所の意見じゃありませんよ、片山個人の意見でありますが、今の制度だと供託金没収が当選人の倍数までだそうですから、例えば、仮に十人当選しますと二十人までは供託金没収はされませんけれども、それ以上は全部供託金没収ですから、その辺はいろいろお考えになると思いますし、個人名ですからだれでも出すということにはなかなかならないと私は思うんです、普通の政党はそれなりの実績や知名度を考えて立てますから。そんなに定数いっぱいの四十八人まではなかなかならないんではなかろうかと私は思っていますが、役所のあれじゃありません。

山花分科員 こればかりはやってみないとちょっとわからないところがあるので、ここで議論しても机の上での話ということになってしまうかと思いますので、これぐらいで終わりにいたします。

 ただ、それにいたしましても、従来の全国区と比べてもやはり倍ぐらいの候補者が立候補するという形が見込まれるわけであります。そこで、全国区の時代とは開票の際の機械なども変わっておりますから一概には言えないと思いますが、それにしても、旧全国区の時代は急いで開票してもかなり時間がかかっておりました。翌日のさらに夕方ぐらいに議席がすべて確定するというような状態であったのではないかと思います。

 今回は、それで当時よりも開票の方法等がある程度スピードアップということが図られているにしても、なお候補者の数が大変多いということになっております。そしてまた、二百人からの候補者がいるわけですから疑問票などについて立会人がチェックしたりであるとか、そういったことで大変時間がかかるのではないかということが想定されます。

 ただ、それにしても、これもできるだけ御努力はいただくとして、やってみなければわからないところはあろうかと思いますけれども、ここのところ、国政選挙であっても地方選挙でもそうでありますけれども、おおむね即日開票で、その日のうち、あるいは遅くとも未明くらいまでにはほとんど議席が確定するというのが定着していると思います。これが、例えば定着するのが法律上の要請であるとか、あるいは何がしかの人の権利であるということにはならないとは思いますけれども、さはさりとして、多くの国民の方は、大体翌日には大勢というかほとんど議席が決まっているということについて、期待権というと言い過ぎかもしれませんけれども、期待しているのではないかと思っております。

 そこで、お伺いしたいと思いますけれども、今回のこの法改正によって、言ってみれば非常に候補者もふえる、開票にも恐らく時間がかかるのではないかと思われる、開票作業も煩瑣になるのではないかと想像される中で、即日開票ということは可能だと考えていらっしゃいますでしょうか。

遠藤副大臣 できるだけ即日開票を実現していただきたいということで、都道府県並びに市町村の選挙管理委員会にお願いをしているところでございますが、ことしの一月末の時点で、即日開票は困難あるいはまだ検討中でございますという御返事のあったところは、合わせますと十三都道府県、百八十五市区町村でございまして、ここに該当する有権者の総数は大体三千万人。日本の有権者総数は一億人ですから、約三〇%程度の人数のところが即日開票は難しい、こういうふうな報告を受けております。

山花分科員 なぜこういうことを伺ったかというと、新聞などの報道で、そこかしこから即日開票は難しいという自治体の声が上がっているという話を目にし、また耳にしたものですから伺ったのでありますが、それでは即日開票が、できるだけ頑張っていただく、それにしても難しいということであったとしても、大体どれぐらいの時点で票が確定できると見通していらっしゃいますでしょうか。

 近年、アメリカの大統領選挙などでは随分と時間がかかってということがあったと思いますけれども、まさか我が国であんな、例えば投票箱が三千票分どこかへ行っちゃったとか、海外投票が届かないとか、そういうことはないとは思っておりますが、それにしても一週間先、二週間先なんということはないと思うわけであります。

 そこで、確約願いますという話ではございません、大体めどとしてどれくらいかかると考えておられるのか、伺いたいと思います。

大竹政府参考人 現在の段階では、まだ翌日開票、即日開票を決定していませんので定かに申し上げられないわけでございますけれども、翌日開票があると仮定しました場合におきましても、翌日の夕刻過ぎくらいには大体の大勢は決まる、こういうふうに考えております。

山花分科員 ちょっとごめんなさい、関連してなので、通告をしていることではないのですけれども、ちょっと技術的なことになろうかと存じますが、できるだけ都道府県あるいは市町村に対して即日開票ということを要請するという話でしたが、そういった指示というのはどういった形で、例えば頑張ってくださいと言っても物理的に難しいところもあるわけでありまして、その点のフォローとかはいかがなされているのでしょうか。

大竹政府参考人 去る二月の六日に、全国の都道府県の選挙管理委員会の書記長の方にお集まりいただきまして、私どもの方と意見交換会、会合を持っております。それらの席で私どもの方から強く要請しておるわけでございますけれども、基本的には、各都道府県単位におきまして開票のいろいろな検討委員会をやっていただきまして、模擬投票等を重ねていく、どのような開票方法をとればスピードアップできるのか、そういった検討を進めていただきたいとお願いしてございます。

山花分科員 これはちょっと気になるところなんでありますが、そうであるとすると、今の時点で、即日開票がどれくらい、あるいは翌日開票にしても何時くらいというところが、はっきり申し上げてちょっと確定しづらいところがあるわけであります。

 そこで、選挙にかかる費用なんですけれども、従来の拘束名簿方式に比べて、非拘束名簿方式にすることによってコストがかかるというふうに考えられます。

 と申しますのも、今お話があったように、単純な比較ができるかどうかわかりませんけれども、拘束名簿方式のときであれば、おおむね翌日の未明くらいにはほぼ票が固まっていた。これに対して、頑張ってそこまでできるかどうかということなんでしょうけれども、このたび導入されました非拘束名簿方式では、恐らく開票に従来よりも時間がかかるであろうということが一つ。

 そこが多分一番大きいと思うのですが、選挙の際にかかる費用の項目を見てみますと、人件費のところがかなり多うございます。そうであるとすると、開票時間が延びれば延びるほどお金もかかるし、また、そうではなくて、あとは事務的な話として、候補者が多くなれば掲示板が大きくなったりとか、その他もろもろのところでお金がかかってくるわけであります。

 この点についてですけれども、法案の審議の際に、法案の一番最後のところに、この法律が通ることによる予算の見込みはこれくらいというのがたしかあったはずですが、この点について、試算としては従来の拘束名簿方式に比べ非拘束名簿方式を導入したことによって幾らくらい増加すると見込まれているのか、お聞きいたします。

遠藤副大臣 結論からいいまして、約六十二億円の増加になります。

 内訳を申し上げますと、まず選挙の公営による経費が約三十三億円、それから開票所にかかわる経費の増、これが約二十一億円、このほか、開票速報のオンライン化に要する経費が約五億円、それから制度周知のための啓発推進費の増が約三億円でございます。

山花分科員 今の点についてもう少々伺いたいのですけれども、開票に伴う経費なんですが、先ほど、開票にかかる時間がまだ先が見えていない、しかも、今伺ったところによると、票数にすると三千万人分くらい。投票率によって当然動くと思うのですが、かなりの票数になると思われます。この部分がまだいわば何時の時点で終わるのか、どこの時点で終了するのかということがわからない時点で、どういう形で予算を組まれたのでしょうか。

大竹政府参考人 開票所経費に係ります積算でございますけれども、昨年の法律改正の際に、基準法のこの辺も改正をお願いしたわけでございますけれども、算定といたしましては、開票にかかる人の数、これを従来の五割増しという形で計算してございます。したがいまして、時間といいますよりは人の数を五割ふやすことによりまして開票所の経費をはじくという形にとっております。

山花分科員 もともと私どもはこの選挙制度の改正には余りよい評価をいたしておりませんので、ちょっとこの辺も、この財政の厳しい折に、六十二億も従来に比べてかかるというのはいかがなものかなという思いがいたします。

 さて、今回のこの公職選挙法の改正に当たりまして、法案審議の際にも片山大臣が、当時、答弁者ということで大変強調をされていたことでありますが、いや、あくまでもこれは比例代表の制度であるということをおっしゃっておられました。確かに、比例代表の制度であるということまでは否定いたしませんが、しかし、実態においては、やはり個人の選挙という側面が非常に強くなってくるのではないかと思っております。

 また、講学上比例代表に属するかどうかということとは別に、いわゆる絵にかいたような比例代表制度というのがあって、絵にかいたような選挙区の制度というのがあって、それで、例えば法案の審議をする際に、相手のちょっと灰色っぽいところを黒くしておいてその黒さを批判する、そういうことがこれはちょっとお互いあったような気もしないではないわけでありますが、しかし、要するに、理念的な比例代表というのがあったにしても、その中身においてはかなり個人選挙という側面があったと思います。

 例えばの話、いろいろな、これは学者の分類ですから、それは一つの意見だと言ってしまえばそれまでですが、旧来の中選挙区の制度も、あれは一種の比例代表であるというような分析もあったりとかしたわけであります。そういうふうに、例えば比例代表だからということから、一義的にちょっと答えは出せないのではないかなと思うところが、一カ所、少し気になるところがございます。

 これも当時の委員会の審議では余り議論がされていなかったようなところで、非常に気になっているところがあるので、この機会にちょっと御所見を伺いたいと思うのでありますけれども、この改正法によっても、例えばその個人の候補者の運動員、拡大連座制の規定によれば例えば組織的運動管理者というのがいて、それが一定の選挙犯罪、悪質な公職選挙法違反の事件を起こして有罪が確定したような場合には、連座制の適用がかかってきます。

 従来の拘束名簿方式の比例代表制の場合には、これはあくまでも政党に対して票を入れて、言ってみればもう純粋な比例代表の制度であったわけですから、たとえその候補者に絡む選挙運動員が選挙犯罪を犯した、それもかなり悪質なものであったとしても、それはあくまでも党に入れたものだということになりますから、しかも名簿で順位は決まっていますから、連座制ということはかかってこなかったわけでありますが、今回の公選法によると、個人という面が強調されて、連座制の規定がかかってまいります。

 そうだとすると、講学上は確かに比例代表に分類されるのかもしれませんけれども、かなり個人としての選挙運動があって、しかも、必ずしも敵対的な政党との間に選挙を戦ったというわけでもない関係が出てくる。場合によっては、民主党の中で票の取り合いがあったりとか、あるいは自民党の中で票の取り合いがあったりということも起こってくると考えられます。そうであるとすると、かなりその人の政治的な信条によって選挙運動を展開するという面が出てくるわけであります。

 ところが、今回の改正法と従来と余り変わっていないところを突き合わせてみますと、国会法の百九条の二によりまして、例えばその当選した候補者が、候補者が当選しますから参議院議員となります。なった人がその人の政治的な信条によって党籍を変更した場合には、この場合、その人は退職者となる。要するに、裏を返して言えば、党籍の変更はできないということになるんですが、私は、これはちょっと整合性がないような気がするわけであります。この点について、不適切ではないかと思うのですが、御所見を伺いたいと思います。

 と申しますのも、もしこれで、大臣が大臣として、確かにちょっとおかしいということになれば、改正を検討していただきたいという話になるわけでありますが、御所見をお願いいたします。

片山国務大臣 今回の非拘束比例代表制度は、本当に山花委員には釈迦に説法ですけれども、比例代表制度なんですよ。ただ、比例代表には拘束式と非拘束があって、拘束は順番を党が決めて、非拘束は順番を決めなくて、候補者の一覧表で、あとは個人得票の順で当選する、こういうことなんですね。だから、投票は一回しかやりませんけれども、一つは党を選んでいるんですね。党の名簿をまず選んで、その名簿の中から個人を選んでいる、こういうことなんで、比例代表でありますと、敵対する政党に、このメンバーがこっちに移るということは認められない。そこで、今の国会法の改正で、それはできないことにした。

 ただしかし、二つ目は、党は選ぶんだけれども、党の中の個人もやるわけですから、個人のところに着目しますと、その個人が買収、供応その他の失格するような選挙犯罪を犯した場合には失格してもらう。しかし、党に入れている方は生き残って、票は影響ない、だから繰り上げる、こういうことになるわけであります。

 それはいろいろな議論があるんですよ。あるから、連座の方はちゃんと根拠を置いたんです。今の比例代表の拘束と同じにすべきだという意見もあったんです、あのとき。ただ、これは中で議論しまして、やはり個人が戦う要素も半分ぐらいあるんだから、そこに着目して、選挙犯罪なんかを犯したら、その個人は連座制を適用しよう、個人は失格させよう、しかし党の得票には影響を与えまい、こうしたわけであります。

山花分科員 ちょっとこの辺は見解の違いということになろうかと思います。

 それでは、ただいま、今回のはあくまでも比例代表であって、個人の名前を書いても党に入れたのだというお話がございました。

 冒頭申し上げましたけれども、今回の制度によっても自書式で行われるわけでありまして、投票用紙に政党名が書いてあって、そこの中から、例えばマークシートになっているというものではないわけであります。そうであるとすると、同姓同名の候補者が、例えば自民党にもいる、民主党にもいるということになった場合、片山虎之助などというすてきな名前はなかなかいらっしゃらないと思いますけれども、佐藤何がしというのはかなり自民党さんの中にも民主党の中にもおりますね。佐藤何とかさんとか田中何とかさんというのは結構いらっしゃるわけでありまして、そうであるとすると、同姓同名の人の名前が書かれた場合に、党に入れたんだとおっしゃいますけれども、一体どっちの党に入れたのかわからなくなるケースが出てくるのではないかと思います。

 そこで、ちょっと時間もございませんが、本来であれば、やはり党に入れたというのであれば、ここも従来からの主張を繰り返す話になりますけれども、政党名を書いて、その上で名前も書くという方式にしたらよいのではないかと思っております。

 委員会の審議の中では、いや、それじゃいたずらに混乱がという話がございましたけれども、今の衆議院の選挙においても二回投票を行っていますね。例えば、政党の方では民主党と入れても、いや、福祉のことだったら八代英太と書きたいというような人もいらっしゃるかもしれません。こういうふうなケースもあるわけですから、今国会で我が党は政党名も書くようにという法案を提出する予定でございますけれども、この点について、政党名も書く、その上で名前も書くという制度についての御所見を伺いたいと思います。

片山国務大臣 これは予算委員会で民主党の菅幹事長からも質問がありまして、それは一つの考えだけれども、いろいろな難点を挙げまして、それは我々は適当でないと思う、こういう御答弁をさせていただきましたので、ひとつ御了解賜りたいと思います。

山花分科員 この点については、また委員会などの方で議論をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

自見主査 これにて山花郁夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、矢島恒夫君。

矢島分科員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 大臣、副大臣ともに、総務委員会とこの分科会、またこれが終わりますと総務委員会と、御苦労さまでございます。私は、郵政事業についてお尋ねしたいと思います。

 まず最初に、普通郵便局に寄せられたところの不着とか誤配、そういう苦情受け付け件数、九八、九九年ぐらいで結構ですが、お答えいただけますか。

足立政府参考人 不着、遅延、誤配等を含めまして普通郵便局に寄せられております苦情件数は、平成十年度で約三十七万件、平成十一年度で約四十二万件となっております。

矢島分科員 今お答えいただいたわけですが、いわゆる引受郵便物の総数ということになりますと、九八年度も九九年度もそれほど変化がないわけですね、わずかに〇・八%ぐらいふえておりますけれども。そうすると、全体的にはふえていないんだけれども、今長官がお答えいただいたように、約三十七万から約四十二万ですから一四、五%になりますか、そのぐらいふえているわけですね。

 こういうように、不着とか遅延あるいは誤配達、それぞれによって件数は違うかと思いますけれども、大体増加の傾向にあるという原因、これは事業庁の方はどういうふうに認識していらっしゃいますか。

足立政府参考人 誤配とか不着、遅延等はあってはならないことでありますが、誤配につきましては、やはり、職員の基本的なことでありますけれども、郵便物のあて先を確認すること、これを道順組み立てをする際、そしてまた実際に家庭にお配りする際に十分確認する、そういった基礎的なことに問題があるのではないかというふうに思います。

 また、遅延につきましては、やはり輸送手段が何らかの障害があるということでありますので、交通渋滞によりまして自動車が遅延したり、あるいは飛行機が飛ばなかったりといったようなことなどが原因になろうと思います。

 また、不着につきましては、郵便物を誤配達したまま結局不着というような形になってしまったといったようなことなどが考えられるところでございます。

矢島分科員 私、この原因というものについて、一つには、やはり郵便配達とかそのほかに参加している労働者の数が減っているという問題ですね、人員削減という方向での合理化が進められている。もう一つ、郵便番号七けた化に伴って、いわゆる配達区分を機械処理しているというところにも、なかなかこの区分機そのものあるいは配達区分の機械そのものに正確さというものが要求されるわけですが、大分いろいろと間違った形での区分が影響しているというのではないかとも思うんです。

 同時に、もう一つ非常に重要な問題として、人事交流の影響が出ているんじゃないかと思うんです。

 事業庁の方からいただいた資料によりますと、人事交流の実績一覧表がございますが、北海道から沖縄まで、年度トータルで平成七年度が九千八百三十八人、これは、平成八年、平成九年と年々ふえていっています。平成十一年度には一万五千四百四十八人、約一・六倍配転が行われた、こういう状況にあると思うんです。この人事交流が、苦情件数に見られるようなサービスの低下にも影響を与えているのではないか、このように思うわけです。

 私、配達をしている労働者の人に聞いてみました。やはり、配達地域というのは、熟知するまでにおおよそ七年ぐらいがかかる。なれない地域を配るということになりますと、時間がかかるし、またミスも生まれやすくなるというお話を聞きました。

 私、ここに労働組合が出している機関紙の幾つかを持ってきているんですが、配転によって大変、身体的な病気だとか、その他ぐあいが悪くなるというような事態がいろいろと書かれているわけであります。それだけじゃなくて、とりわけ配転が自殺の引き金になっていると見られるような訴えもこの中にございます。

 そういうことで、総務省の方から、郵政省の職員の在職死亡のうち自殺者がどれだけあるかというのを、資料をいただきました。平成九年度四十四、十年度四十三、十一年度は五十六と、この十一年度、九十九年は大幅にふえておる状況がこの統計から見られます。

 そこで、事業庁長官にお聞きしたいんですけれども、この自殺の原因について調べていらっしゃるんでしょうか。また、それに対してどういう対策をとったかということをお答えいただきたい。

足立政府参考人 職員の自殺というのは、大変痛ましくて残念なことであります。人事管理を預かる者として、大変重く受けとめておるところでございます。

 こういった自殺というものを未然に防止するために、現在、全国十九カ所でございますが、精神衛生相談室を設けておりますし、また、全国十五カ所でございますが、専門のカウンセラーを置きましてカウンセリングルームなどを設置しているところであります。

 従来から健康管理ということには十分注意をしてきているところでありますが、こうした心の健康管理という面につきましても、私ども十分充実を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

矢島分科員 いろいろな対策についてお話しいただきました。原因については、心の管理というお話も出てまいりましたので、そういう方向での原因もいろいろとあるのかなと思いますが、私もいろいろ実情について調べてみました。

 例えば、九八年には五十五歳の集配外務の方が配転後に自殺していらっしゃいます。九九年には、これまた配転後の自殺ですが、四十一歳の集配外務の方、五十二歳の同じく集配関係の方。それから、九九年の自殺者五十六人のうち、配転によると思われるのが十六人いるというような状況も出ておりますし、二〇〇〇年度には、既に四件、つまり四人の方が配転後に自殺されたという状況を私、把握しております。

 こう見ますと、やはり配転というのが働く人たちにとって相当精神的な、違う職場に行く、先ほど集配の問題で、自分の配達地域が変わるとなかなか大変なんだという状況、これは常識的にもそういうことはわかるわけなんですが、そういうふなれなところの職場へ行ったりあるいは地域へ行ったりして、それが精神的ないろいろな圧力になってきているという点、これも見逃せないことだなと私は思うんです。そういう意味からして、無理な人事交流というものが多くの労働者に仕事を大変にして、同時に遅配や誤配やいろいろありますが、人事交流の問題があるのではないか。

 私、副主査の八代当時の郵政大臣に、この問題について、人事交流の問題で質問したことがあるのです。そのとき、八代郵政大臣の答弁は、これは平成十一年の十一月十七日のことですが、「ベテランがベテランでその地域を担当していくということは大変重要でありますし、せっかく向こう三軒すべてがわかったのに翌年はまた違うところへと、本人が進んでなら話は別ですが。そういうことをいろいろ考えていきますと、まさに人と人との交流の大切さも一方では考えながら、そうしたものに対してますます郵便事業が信頼されるようにどうしたらいいかということも含めて頑張りたい」、こういう答弁をいただいているわけであります。

 そこでお尋ねしたいのですけれども、こういう郵便サービスに対する苦情がふえたり、あるいは労働者の自殺が増加している、その大きな原因の一つとして、やはり人員を削減することによる労働強化だとか、あるいは人事交流という名の強制配置転換、こういうものが考えられると私は思うんです。

 さらに、時間の関係で詳しくは触れられないのですけれども、郵便やゆうパック、ふるさと小包、こういうものなどのノルマの強制、いわゆるノルマ主義というものが挙げられると思うんです。去年の十二月四日の読売新聞ですけれども、この問題を取り上げて、ノルマ主義が背景にある、契約とれないと特訓もあるのだという記事を書いております。私、こういうやり方を進めていきますと、やはり郵便サービスへの国民の信頼、こういうものを掘り崩してしまうし、また、そこに働いている人たちの働きがいを職場から喪失しかねないと思うわけです。

 私、この問題では、郵便事業の民間参入の問題で以前、主査の、当時の自見郵政大臣にも質問して、ユニバーサルサービスの重要性、これが根幹だという答弁をいただいております。

 そこで、最後に大臣にお聞きしたいのですけれども、郵便事業への民間参入というのが小包だとかメール便などで始まっております。しかし、こういう民間事業者というのは採算の合うところに入ってくるわけでして、いわゆるいいとこ取りという状況がある。これと競争するという意味からか、当時の郵政省も、この間、第一種の定形外郵便などの値下げをいろいろ行ってきました。実際にそういう意味では郵便事業は十年、十一年と赤字、累計は黒字ですけれども、赤字となっているわけであります。

 こういう民間参入の中で競争が起こる、値下げが起こる、コスト削減する、コスト削減することによって実際にはサービスの低下というものが生まれてきているのではないか。こういうことがあってはならないと私は思うんです。そこで、このユニバーサルサービスについてどんなふうに大臣はお考えか。

    〔主査退席、八代主査代理着席〕

片山国務大臣 今矢島委員から御指摘のように、ユニバーサルサービスというのは、我々は、絶対これは必要である、しっかりとユニバーサルサービスを確保しなければならない、こう思っておりますし、今民間参入のお話もありましたが、仮に民間参入を今以上に認めるにしても、ユニバーサルサービスが確保できるという前提、経営基盤を揺るがせないという前提、これはしっかり守っていきたいと思っております。

足立政府参考人 いろいろ郵便事業のことにつきまして御指摘をいただきましたが、今回、現在のような状況は人事交流が一つの原因ではないかというお尋ねであると思います。

 ただ、一般論として申し上げますと、現在実施しております人事交流は、例えば郵便の内務でありますと異動先におきましても郵便の内務というように、同じ仕事についていただくというようなことをしております。また、異動先につきましても通勤可能な範囲ということでありまして、人事交流そのものが自殺の原因、あるいは今日の郵便のそういったいろいろな苦情の原因になっているということはないのではないかというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、この郵便事業につきましては、雨の日も風の日も一日も休むことなく配達をするわけでございますので、職員の健康管理、そしてモラルの維持と申しますか、そういったことが非常に大事なことであると思います。そういった点につきましては、なお一層配意をしてまいりたいというふうに思っております。

矢島分科員 長官、配転が原因ではないという長官としての一つの考え方が出てまいりました。

 私は、それも一つ、そればかりだとは言っておりません。やはり本人がなれない職場へ行くということの問題もあるでしょうし、事実、例えばこれは配転された五十五歳の集配の労働者の手記ですけれども、やはりそのことが原因になっている。それから、通勤時間の問題であります。通勤時間が、通勤できる範囲内はどれくらいかという論議がまたあろうかと思います。

 これはやはり自殺された方ですけれども、板橋北郵便局だったのですね。そして、異動がありまして、埼玉県境の板橋区にありますが、地下鉄を乗りかえ、通勤時間は片道約一時間ちょっとかかるというのがありました。これは、今まで全然電車に乗らないでも行けた範囲で勤めていたのが急にということでの変化というのも、やはり起きているのじゃないかな、そんなことも考えられると思います。

 いずれにいたしましても、やはり八代当時の郵政大臣がお答えいただいたように、本人が進んでなら話は別ですが、そういうことをいろいろ考えていくことも必要だ。この辺は、ぜひそういう方向で長官に取り組んでもらいたいし、恐らく片山大臣も八代大臣と変わらないお考えだろうと思いますので、時間の関係もありますので、次の問題に移っていきたいと思います。

 この問題、実は地上波デジタルの問題で、先日、二月二十二日に私は総務委員会で片山大臣にお尋ねしたりしたわけなんですが、二、三確かめておきたいことがありますので、残りの時間、それに使わせていただきたいと思います。

 まず一つは、地上デジタル放送懇談会、答弁は局長の方で結構ですが、あれは一九九八年の十月だったと思いますけれども、その報告書の中に、デジタルテレビの世帯普及率を一つの基準として、その時点の状況を踏まえて決めていく、このことは二十二日にも私、八五%の問題で政府の答弁、野田郵政大臣の答弁などを引用させていただいたわけなんです。

 その後、小坂副大臣から答弁がありまして、転換したんだ、そういう一定の普及率というものを今度は考えないで、何しろ二〇一〇年にアナログ放送を打ち切るんだ、こういう答弁があったんです。もっと答弁は長いですけれども、結論を言えばそういうことです。

 この政策転換は、私は非常に大きな転換だと思うんです。つまり、今までは、視聴者、これは八五%が適当かどうかというのは別として、一定度の普及の段階で考えていこうとしたのを、今度は、希望的観測としてそのころにはいっぱいデジタルテレビも普及しているだろうという予想の上に立って、二〇一〇年という一つの区切りをつけたということになるので、やはりこれは政策の転換だと思います。

 そこで、局長にお聞きしたいのは、九八年十月には地上デジタル放送懇談会の一定の報告書が出ました。今度こういう政策転換をしたわけなので、例えば研究会だとかあるいは懇談会だとか、こういうところの意見を聴取したかどうか、こういう問題なんです。

鍋倉政府参考人 前回、小坂副大臣の方からも御答弁がございましたけれども、先生御承知のとおり、先進諸国におきましてデジタル放送が相次いで始まりまして、デジタル化が一層急速に進展をしているという状況がございます。また、電波の有効利用の観点から、あるいはデジタルテレビ放送受信のメリットの面から申しましても、デジタル放送の導入を早めるということが国民全体の総合的な電波利用のサービスの向上に資するものというふうに考えております。

 先生今お尋ねの、研究会か懇談会という形があったのかということでございますが、そういう形で意見を聞いたという事実はございません。

 ただ、一昨年の九月から、NHKあるいは民放連と一緒になりまして、専門的な知識を有する方々と地上デジタル放送に関する共同検討委員会というものを設けまして、当然私ども旧郵政省、今は総務省でございますが、三者で話し合いというか検討をいたしまして、チャンネルプランですとか、あるいはデジタル放送の実現方策につきまして検討を重ねてまいりました。こうした検討を通じまして、今後十年間でデジタル放送への全面的な移行が十分可能であるという共通の認識に至ったというふうに考えております。

 こういった状況を踏まえまして、アナログ放送の終了時期も含めましてデジタル放送のスケジュールを明確化して、そしてその実現に向けて取り組んでいくということが早期に国民が地上放送のデジタル化のメリットを享受できる最良の、最善の道であるというふうに考えたわけでございます。

矢島分科員 いろいろと余分なことまで、時間がないので、要するに、そういうデジタル放送についての研究会または懇談会というのを開いたか開かないかということだけをお聞きしたかったんです、前の部分は小坂副大臣から十分私は聞いているわけですから。

 それで、意見を聞いている、事業者やその他、NHKそのほかに。これは、視聴者の意見というのはどうなっておりますか。要するに、放送事業者だとかそういう方の意見は聞いたようですが、その辺のことはどうなっていますか。

鍋倉政府参考人 そういう場では聞いておりません。

矢島分科員 そこで、今回、地上波のデジタル化を二〇一〇年までに完了する、今のアナログ放送は二〇一一年に打ち切るということは、いつだれがどこで決めたことなのか、その点だけを。

鍋倉政府参考人 ちょっとまた先生にしかられるかもしれませんが、若干お話をさせていただきますと、今回、電波法の一部改正を国会に提出させていただいておりますが、これは要するに、我が国の周波数事情が極めて逼迫しているということで、デジタルへの移行に先立ってアナログ周波数に変更する、いわゆるアナ・アナ変更というものをする必要があるということで、この法律案の中で、アナ・アナの支援の要件としまして、古い無線システム、つまりアナログのテレビについて、周波数の使用を周波数割り当て計画等の変更の公示の日から十年以内で停止をするということを定めているところでございます。

 この法案は、もう繰り返しになりますから申しませんけれども、先ほど申しましたようなメリットがあるということで、政府としてこれが最良の方法だということで考えましてこの法案を提出させていただいておりまして、この法案の御審議をいただいて御決定いただければというふうに考えております。

片山国務大臣 簡単に答えますけれども、今局長がるる言っておりますが、今回の電波法の改正を国会に出して御審議いただく中で、アナログはもう二〇一〇年に終わらせていただいてデジタルに移行する、こういうことを政府として正式に意思決定したわけであります。その過程ではNHKや民放連と十分協議して、彼らも、事業者だけの立場と、相手があるわけですから、受信者といいますか、そういう人の立場を体しての議論の結果でございますので、ぜひこの電波法の御審議でいろいろ御意見を賜ればありがたいと思います。

矢島分科員 私、幾つか確かめながら、実際には電波法が総務委員会で審議されるときに細かいことについてはお尋ねしたいと思っております。

 そこで、時間がなくなりましたので最後の質問になりますが、二十二日の質問のときにも、いわゆる国民の意見やそのほか聞く場面を、今後秋までの間といいますか、大臣が計画を決定されるまでの間にいろいろとそのチャンスはあるだろうというお話もありましたから、決めちゃってから聞いても問題がありますが、大いにそういう意見を取り入れるという方向は私も可とするものです。だから、できるだけ早くしていただきたいという気持ちはあります。

 それからもう一つ、これも大臣に、これは大臣に質問するというか、大臣のお答えなのであれですが、やはり二月二十二日の質問ですが、二〇一一年にアナログテレビではテレビを見ることができなくなっちゃう、そこで買いかえなきゃならないという問題を私は取り上げました。もちろんもうその時点では、いわゆる買いかえ時期の問題も含めてお答えがありました。私もそのときに、関東とか広域圏についてはそれは一定度時間があるけれども、ほかの地域、二〇〇六年からだといわゆる七年ないし八年に満たないなという意見だけは言っておきました。そのときに大臣は、私の買いかえの強要にならないかという質問に対して、無理な形はいけません、これは町村合併の例を挙げられながらおっしゃいました。

 ただ、私は、どうしてもこれは、買いかえをしなさい、しなければテレビが見えなくなるんですよということをことし宣言するということになることは間違いないと思うんですが、その辺について、大臣、もう一度お願いします。

片山国務大臣 二十二日の総務委員会で申し上げましたように、この点については、今相当周知に努力しておりますが、さらに周知を徹底いたします。それから、委員にお答えしましたように、何らかの形で国民の意見を伺いたい、こう思っております。そういう過程で、買いかえがスムーズにいくように、メーカーの方も含めまして、我々としてもいろいろな方途を考えたい、ぜひそういう努力をさせていただきたいと思います。

矢島分科員 ぜひそういう方向も強めていただくことをお願いし、細かいことについてはまた次の機会にお尋ねしたいと思います。

 終わります。

八代主査代理 これにて矢島恒夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、中塚一宏君。

中塚分科員 自由党の中塚でございます。

 本日は、総務省所管ということで、大変多岐にわたる事項を所管されておられまして、本当に大変なお仕事なんだろうなと思いますし、また私も勉強させていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 株価が大変下がっておりまして、きょうも本当に続落して引けております。二〇〇〇年度の上半期なんかすごく企業収益が改善をしていたことを考えますと、本来は株価がもっと上がってもいいんじゃないのという意見もあるのですが、やはり日本経済あるいは日本財政の持っている潜在的なリスクといいますか、例えば、それが不良債権問題であったり、あるいは国と地方の長期債務残高であったりするんだろうというふうに思っております。

 そこで、来年度の地方財政のこと、そしてまた将来の地方財政のあり方について大臣に伺いたいと思っております。

 来年度から地方交付税の特別会計の方に一般会計からお金を繰り入れる、また地方の方では赤字地方債というのを発行する、こういうふうな改正がなされております。いろいろ考え方はあると思います。財務大臣なんかがおっしゃるのは、だれの借金かわからないような形で交付税特会で借りるよりは、やはりだれが借りているのかはっきりさせた方がいい、そういったことで財政の透明性を上げていった方がいいというふうなお話をおととい伺ったところです。

 去年は交付税特会でたしかじかに借入金を起こされてそういった処理をされたと思うのですが、国の方は、例の交付国債の償還のための財政赤字、公債を発行しなくなったという事情があるわけですけれども、まずは、どうしてことしからそういった赤字地方債というのを発行させることになったのか、そのことについてちょっとお話をいただけますでしょうか。

片山国務大臣 実は、十年度から十二年度までは、地方財政の経常収支に大幅な穴があいたら、交付税特会で借り入れて、その元利償還の返済は国と地方が折半でやりましょう、その借り入れる原資は資金運用部の資金なんですね。それで、十年度から十二年度まで約束してやってきたんです。

 いよいよ十三年度でしょう。そうなると、今度はそれでやってきまして、委員御承知のように、交付税特会に四十兆近い債務がたまってしまう、借金がたまってしまう。それから、資金運用部はなくなりまして、御承知のように、郵貯も簡保も年金も自主運用でしょう。そこで資金調達が大変難しくなる。

 三年度それをやってきまして、その前から実は似たようなことをやってきているのですが、これをやると地方団体が自分の借金となかなか思わないのですよ。特会という、中央で一括で借り入れてくれて、もらうのはキャッシュですから、だから地方財政全体が大変な危機にあるということは一つも、わかっているところはわかっているのでしょうが、わかっていないところはわかっていない。国の方も特会に入れるものですから、この関係、国の財政費としてもはっきりしない。

 こういうことは、やはりこれからは透明性の時代ではっきりした時代ですから、そういう意味では、この際、国は国の責任で交付税特会にキャッシュを入れてもらおう。地方は、足りないものは自力で、自力といってもあれなんですが、赤字地方債を出してもらって、そのかわり、それは交付税の足りない分ですからきちっと計算をして、元利償還は交付税で将来基準財政需要に入れる、こういうことにしよう。こういうことで地方団体の皆さんとも話し合いをさせていただいて、地方団体もいろいろな議論がありましたよ、しかし、最終的には結構です、こういうことになったものですから踏み切らせていただいた次第であります。

中塚分科員 恐らく説得には大変な御苦労をされたのだろうなというふうに思います。というのは、やはり地方自治体の方から見れば、本来は交付税で措置をしてもらえると思っておったものが、急に赤字地方債を発行しなさいということになったわけですね。また、これも十五年までの措置ということで、その後どうするかということについてまだ決まっていないというか決めていないわけですけれども、ひょっとしたら、確かに赤字地方債の元利償還については交付税で面倒を見るということになっていても、また今出している赤字地方債の償還のために赤字地方債を出しなさいと言われるんじゃないのというふうな懸念も持っているところもあるようですね。

 そういったことで、財政の透明性を上げるという意味では結構なことかなと思うのです。ただ、来年度の予算、国と地方の予算という意味におきまして、景気、財政、構造改革の三つに配慮をした予算である、こういうふうに言われておるわけですけれども、そういった意味で、赤字地方債を発行しなさい、発行して、そしてまた十五年より先のことが決まっていない、ひょっとしたら赤字地方債の償還さえまた赤字地方債になるのかなというふうな懸念を地方自治体が持つということになりますと、ますます単独事業というのを行わないようになってしまうのではないか。

 ということになりますと、やはり積極財政、景気にも配慮をした予算ということではあるのですが、本当に積極予算とはいうものの、実は逆になってしまうのではないかなという気がいたしますが、そこのところはいかがでございましょうか。

片山国務大臣 この赤字地方債は、赤字地方債であることはもう否定しませんけれども、ちゃんとした元利償還つきの赤字地方債ですから、いわゆる普通の赤字地方債とはそこが地方団体の受け取り方は違うと思うのですね。

 それから地方単独事業につきましては、地方財政計画上十七兆五千億と明示したということは、それについての財源措置はするという国の約束ですから、我々はぜひ十七兆五千億までやってもらおうと考えておりますが、実は、バブルのときに地方団体はみんなやり過ぎたのですよ。だから、その反動でちょっとその点はシュリンクしているようなところがあると私は思いますけれども、いい地方単独事業をやってもらった方がいいと私は思う、インフラは。

 あのときにやり過ぎたのは、箱物だとかテーマパークだとか、それはそれで必要性は私はわからぬでもないけれども、そういうものをやったのですよ。だから、それはかえって後にランニングコストを生んだりしてマイナスになったので、これからはいい地方単独事業を思い切ってやってもらって、それが社会資本のトータルの整備につながるように、これをやってもらおうと私は思っているのです。

 ただ、それはそれぞれの団体に事情がありますから、十七兆五千億といいましても、大分乖離がありますから、そうなかなか簡単にいきませんけれども、ぜひそれは努力しようと思っていますし、そこまでは我々責任を持って財政措置をしているわけですから、ぜひお願いしようと思っておるのです。

中塚分科員 せっかくですので、いい単独事業というのは例えばどういったものがあるのか、ぜひお聞かせいただけますか。

片山国務大臣 これは私個人の意見ですよ、役所のあれとは違いますけれども、例えば下水道だとか都市計画事業だとか環境関係のいろいろな施設整備だとか、道路で言えば生活道路だとかですね。私は、そういうことを中心にやるべきではないか、こういうふうに思っております。

中塚分科員 地方自体の長期債務残高ということもあると思うのですけれども、国と地方の長期債務残高といっても、結局はほとんどは国の借金になってしまっているのが実情だと思うのです。いずれにしても、国の歳出がどんどんふえていく要因ということになりますと、やはり社会保障とあと地方財政、地方へ出していくお金ということになるのかなという気がいたします。

 結局のところ、地方財政という話になると、まず地財計画ありきになってしまっておりまして、ちゃんと単独事業をやってもらうというふうにおっしゃいましたけれども、歳出保障みたいな形になってしまっていますね。

 いろいろ議論があると思います。補助金が悪いと言う人もいらっしゃいますし、あるいは交付税が悪いというふうにおっしゃる方もいらっしゃいますが、やはり両方とも見直していく必要はあるのだろうと思うのです。そういった地方財政の仕組み自体、そのことについて、これからどういうふうな改革の道筋を考えておられるのかということについてお答えいただけますか。

片山国務大臣 地方分権推進のために地方分権一括推進法ができて、去年の四月から施行になりましたね。それで、権限や事務の移譲あるいは国の関与の縮小は一区切りだと思っているのです。ただ、まだこれで十分じゃありませんよ。さらに次の段階でそういう地方分権の努力はせにゃいかぬと思っています。

 それからもう一つは、地方税財源の国からの移譲というのでしょうか、今の税財源の配分を国と地方の間でもう一度見直さなければいかぬ、こう思っています。ただ、今のような景気の状況で国の財政も逼迫しておりますから、こういう時期には抜本的なことはできませんね。だから落ちついたら、安定したら、ぜひそれをやろう。

 そういう中で今の地方交付税がどうあるのか。御承知のように、国税三税プラス二税の一定割合を地方の一般財源として与えていますね。こういう仕組みがどうか。出口ではもう二十兆近くなっていますからね、入り口では十六兆幾らですけれども。

 それからもう一つ、国庫負担金や補助金をもう一遍見直さなければいけません。御承知のように国庫負担金は割り勘で、これこそインフラのために国と地方は金を持ち出してやっている。補助金というのは、これは奨励的に、国がとにかくやりたいものに補助金を出しますからやってくださいと。こういうものをもう一遍見直さなければいけません。そういう中で、私は、きっちりした地方財政再建のグランドデザインというんでしょうか、そういうことをしっかりとかいていくべきだ、こういうふうに思っております。

中塚分科員 そういうグランドデザインをいつやるかという話で、やはり景気がちゃんと軌道に乗ってからということを今おっしゃいました。確かにそのとおりだとは思いますけれども、今ストック循環ということが言われ始めておりまして、やはり団塊の世代の公務員の方なんかが大量退職を迎える、これが大体七、八年後というふうに言われております。また、高度成長時代につくったインフラなんかもどんどん老朽化をしてくるわけですね。ですから、残された時間もそんなにたくさんあるわけでもありませんし、また我が国自体がやはり高齢化のピークということを迎えていくわけですから、急がなきゃいけないんだろうというふうに思っています。

 それこそ、そのストック循環についてですが、地方団体では退職金の積み立てなんかも大分不足しているように聞いておるんですが、そのことについてはいかがお考えでございましょうか。

片山国務大臣 詳しくは財政局長から答えてもらいますけれども、これは当時の、総務省になる前の自治省がいろいろ考えまして、いろいろな基金をつくったんですよね。例えば、将来地方債が膨らむ、その借金返済のための減債基金ですよ。国にありますよね、国債整理基金特別会計。ああいうものだとか、土地をあれするための土地開発基金だとか、いろいろな地域振興のために基金をつくりましたが、相当これは減っております。これがやはり地方財政の基盤が揺らいでいる一つの証左だ、私はこう思っておりますが、詳しい説明は財政局長からいたします。

中塚分科員 実態の説明であれば、もうそれは結構です。

 そういったことで、すごく地方財政のシステム自体のクレジビリティーといいますか、信用というのが低下をしてきておりまして、二〇〇〇年から時価会計というのが導入をされているわけですね。それで、金融機関なんかは、やはり債権の評価損ということにすごく神経質にならざるを得ない、そういう状況になっておるのが現実です。実際、地方債の引き受けシェアを落としてくれないかというふうに依頼をしてくるような地方銀行もあるという報道もありますし、私もマーケットの関係者、証券会社の人間からそういった話も聞いているところなんですが、それは今すぐどうということはないと思います。きょうも、何か株は下がっているけれども債券相場はすごい高騰をしているようですし、利回りもすごく下がっているというふうに聞いておりますので、今すぐはどうということはないと思うんですが、そういう債券の時価評価ということで、金融機関が地方債の引き受けを渋ってしまう、ポートフォリオで考えると渋っていかざるを得ないというふうな状況についてはどういうふうにお考えでしょうか。

遠藤副大臣 議員は将来のことも御心配されての御質問だと思います。

 お尋ねのように、平成十二年の四月から金融機関におきます時価評価が導入されたわけです。したがいまして、地方の債券もやはり市場の動向に合わせて、市場から乖離しない、そして市場から歓迎される債券を発行していかなければいけない、そうでなければやはり敬遠されるという結果になるわけですね。

 今心配をされることと申しますと、例えば市場の金利が上昇をした場合に、今の地方債は金利が低うございますから、しかも長期のものが多うございますから、そうしたものが敬遠されるのではないかという心配があります。したがいまして、今後地方債の発行を考えるに当たりましては、そうしたことを十分に検討いたしまして、例えば市場公募債を拡大していくとか、あるいは発行ロットを大型化していくとか、あるいは償還年限を多様化して短いものもつくっていくとか、あるいは地方債の流通性を向上していくとか、そうした観点から考えていかなければいけないと思います。

 議員も現在は懸念はないとおっしゃっていましたけれども、確かに平成十三年度の地方債計画でも、市場で調達する民間等資金は六兆七千億円余りを考えているわけですけれども、今のところは債券に対する人気がございまして、こうしたものが現在のところ量的な消化に影響がある、このようには考えておりません。

中塚分科員 資金を手当てすることができなくなる前に、やはり広域化、合併ということを図って、経費の節減であるとか、あるいはさっき大臣がおっしゃいましたけれども、財源の移譲とか、そういったことを考えていかなきゃいかぬのだろうというふうに思っております。

 私どもは、今の市町村を三百にというふうに言っております。その前段階として千にというお話を以前させていただいたこともありますし、今の与党でもそれを目指しておられるというふうに聞いております。総務省としてもいろいろ努力をされているということですけれども、なかなか時間がかかることだとは思いますけれども、やはりはた目から見ていてもなかなかもどかしいなというのが実感です。

 それで、ちょっといろいろ文献なんか見てみたら、以前スウェーデンでは国会決議によって強制合併をさせたという事例があるようで、何か国会決議は二回されたようですが、一回決議しても全然合併が進まなくて、二回目にこの決議は強制力を持つという再度の決議をされて、それで合併をさせたというふうな事例が紹介されている文献を見たことがあるんですが、日本においてはそういった手法、やり方というのは可能なんでしょうか。

遠藤副大臣 スウェーデンでは、まず二千五百あったものを千にしたときは、これは自然発生的といいますか、自主的にやっていただいたんですが、その千を最終的に二百八十にしたときには強制的にやった、こういうふうな事例を聞いております。

 私は先月、一月二十三日から二十六日までオーストラリアに行きましてビクトリア州の視察をしてきたんですけれども、ここは二百二十あったところを、前の首相が法律で全部解散させてしまって、一遍ゼロにしてしまって、そこから七十六だけ認めた、こういうふうに非常に強制的な市町村合併をやったわけですが、これが見事に失敗をいたしまして、その政権が崩壊いたしました。新しく政権が誕生しまして、ブラックスという首相が今いるんですけれども、この人は何と支持率が七〇%で、私はその人に会ってきたんですが、その後どうしていますかと聞きましたら、今度は逆に二百二十の昔あったところに法律で議会を全部復活して、地方の皆さんの意見を聞いてもう一遍やり直しをいたしております、こういうふうに言っておりました。

 したがいまして、これは市町村合併をすることによってスケールメリットがある、そして自治体の財政力が強くなって、その結果住民サービスを強化できるということは考えられるんですけれども、やはりコミュニティーが崩壊するとか役場が遠くなるとか、そういう心配がありまして、それが住民の皆さんの理解と、そして住民の側から起こってきた運動としてやっていかなければ難しい、こういうことを今思っております。

 したがいまして、日本におきましても、三千二百二十六あるものをできれば千ぐらいにしたいという目標を持っているんですけれども、これは強制的にやることは考えておりません。できれば自発的にそうした合併協議会をつくっていただきまして、議論をしていただきまして、下からの盛り上がりと申しますか、住民からの盛り上がりで達成していきたい、このように考えております。

中塚分科員 強制合併をさせた政権が倒れたということであれば、ぜひとも今の政権でやっていただけたらなというふうに私は思っております。

 そのことと、もう一つ、アメリカなんでしょうかね、地方団体の破産を認めるというようなこともあるようで、地方自治体の自立を促す、責任を持ってもらうという意味においては、そういった手法を認めるというのもいいんではないかなと思います。また、破産を認めて、その後、再生型の破産手続になるんでしょうが、更生法みたいな形になるんでしょうけれども、その過程で隣の自治体と合併させるとか、そういった手法についてはいかがでございましょうか。

遠藤副大臣 地方団体の自己責任を明確にするという意味からのお話ではないかと思うんですけれども、ただ問題は、地方団体の債務不履行を前提とした制度というところですね。これは日本ではなかなかとりにくいのではないかと思うんですね。

 といいますのは、日本の地方自治体は国が行政の標準を決めておりまして、そして、例えば義務教育の職員のお給料はこうしなさいとか、あるいは社会保障についてはこうであるべきだとか、公共事業についてはこうだというふうな、国が行政水準を決めたものを地方で実現をしていく、こういうふうな制度になっておりますものですから、地方団体が債務不履行に陥る、そうしたことを前提にした法律をつくるというのはなかなか難しいのではないか、このように思っております。

中塚分科員 そういった国が行政の基準を決めているということが、すごくマターナルというか、過保護にしているのかなという気がいたしておりまして、そういった意味では、それもやめてしまった上で完全に自分の責任をとれるようにしてはどうか、こういうようなことを私は申し上げているわけです。

 それで、ちょっと時間が余りなくなってきたので、実は私、今週の月曜日に政治倫理審査会に傍聴人として出席をいたしまして、額賀代議士の弁明を聞かせていただきました。それで、特にお金の話で五百万、一千万円の話を聞かせていただいたんですけれども、平成十一年末に五百万円のお金を預かったのか、受領をしたのか、そのお金を十二年の五月に返却をした、こういうことでありました。

 これは、政治資金管理団体への寄附ということであれば、当然十二年の一月から三月までの間に収支報告をしなければならないという性格のものであると思うんですが、それはいかがでございましょう。

片山国務大臣 総務省は、既にもう何度も御答弁しておりますけれども、実質的な権限がないんですよね。だから、それぞれ個別の事案については具体の事実に即して判断をされるべきものであると考えておりますが、政治資金規正法の今のお尋ねにつきましては、政治団体の会計責任者は、毎年年末、十二月三十一日現在で、その年におけるすべての収入、支出について必要な事項を記載しまして、あれは三月の終わりまでだったと思いますが、次の年の三月の三十一日までに、自治大臣、自治大臣というか、今は総務大臣ですね、あるいは都道府県の選管に報告する、こういうことになっておりまして、その場合に、寄附収入、寄附金の収入については、年間五万円を超えるものについては、御承知のように、その報告書に記載する、記載しなければならない、こうなっているわけであります。

中塚分科員 ということであるならば、これはもう大臣への質問ではありませんが、そういうことが決まっているのであれば、額賀さんは副長官で大変お忙しくて、それで自分の会計責任者と連絡がとれないというふうなお話をされていたわけでありますけれども、やはりそこは、会計責任者というのは、ちゃんと額賀さんにそのお金を、預かったのかどうかは別にして、こういったお金があるということについてはちゃんと十一年の末までに相談をする必要があったんでしょうし、そして、その上で、十二年の三月三十一日までに報告をちゃんとしなければならなかったんではないかなというふうに私は思っております。

 要は、総務省さんとしては、預かり金というのは政治資金規正法の外の話で、そして、それが預かり金であるのか寄附であるのかというのを調査をする権限がないというか、調査をする立場ではないというふうなことを実はきのうの夜聞かせていただきまして、ああ、なるほどなというふうに思いました。

 そのことと、もう一つ、党費の立てかえということがきのうの村上さんの証人喚問なんかでも出ておりました。それで、ある候補者を当選させるためにある団体が、多数の人を、その本人の承諾なしに、ある党の党員とするために党費を立てかえた場合、これは政治資金規正法上、公職選挙法上、問題はないんでしょうか。

片山国務大臣 額賀さんの場合は、これは一番問題は、預かり金かどうかというところですね。恐らく、渡された方は寄附のつもりはあるいはあったかもしれません。これはわかりませんよ、それだけの知識がこちらはないので。ただ、受け取った方は預かり金だったかもしれませんね。そこが一番の問題で、その事実認定が、寄附であれば、それは報告してもらわなければいけない。預かり金なら政治資金規正法でも枠外でございます。我々の関知するところではない、こういうふうに思っています。

 それから、今の党費の問題は、予算委員会でまた何度も答弁しましたように、党員でない者の名前を使って、党費を無断で、全くのコミュニケーションなく出すということは、これは党費じゃありませんね、党費ではない。それは、立てかえるというのか、党費を払うということはあり得るんですよ。ただ、それは党員になるべき人の了解というか一種のコミュニケーションをして、その人の了解というのか了承というのか、コミュニケーションがあって、それで申し込みをして、党費を出すということは、それはあり得る、私はこういうふうに思います。

 ただ、全くの無断で、ノーコミュニケーションでやるということは、これは党員でもないし、党費でもない、それは申し上げておるわけであります。

中塚分科員 済みません。そうすると、党費でないということになると、どういう扱いになるんでしょうか。それを判断するお立場にもないということでしょうか。

片山国務大臣 判断する立場ではないんですが、そうでなければ、寄附ということなんでしょうね。

中塚分科員 そうしたら、きのうの証人喚問では、党員集めについてよろしく頼むというふうにおっしゃったそうですが、要は、党費立てかえをよろしく頼むと言われたのかどうかわかりませんけれども、ある候補者を当選させるために、さっき申し上げた事例の中で、ある候補者とある団体が意を通じていた場合というのは、これは政治資金規正法上、公職選挙法上、何ら問題はないんでしょうか、どういった問題が出てくるんでしょうか。

片山国務大臣 それは大変事実認定が問題なんです、最終的には。

 そこで、恐らく村上さんの場合を言われていると思いますけれども、それは最終的な事実の解明は、私は司直の手にまたなければ仕方がない。そこなんですよ、問題は。そこがはっきりしない。

中塚分科員 それで、実質的にそれを調査する権限がないというか、そういう立場にないということですよね。

 きのうだかおとといの新聞を見たら、何かそれは政治活動の自由を保障するためにそういった権限が制約をされているというふうな記事を読んだのですけれども、もう最後のお尋ねなんですけれども、党費立てかえをされた人の中には、自由党の支持者もいれば共産党の支持者もいるんですね、実際。そういった方を、ある党の党費立てかえをして党員にしてしまうというのは、これは政治活動の自由を侵害することになるんではないでしょうか。これは、大臣というよりは先生個人のお考えで結構なんですが。

片山国務大臣 政治活動云々は、あれは某新聞が勝手に書いた話です。私は一言も言っていないんですね。その一連の記事の中にありましたね。だから、党員でない人を党員にし党費を払い込むということは、私は何度も言っていますね、これはよくありません。政治資金規正法は全く予想しておりません。

中塚分科員 どうもありがとうございました。

八代主査代理 これにて中塚一宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中和徳君。

田中(和)分科員 どうも皆様御苦労さまでございます。片山大臣また滝大臣政務官、お疲れでございましょうが、よろしくお願いをいたします。

 昨年より、にわかに議論が活発化しておりますIT施策に関して、数点お尋ねをいたします。

 まず初めに、話題になっております電子投票制度についてお聞きします。

 国会でも超党派の電子式投開票システム研究会ができ、会長は我が党の塩川正十郎先生が、また森総理が顧問に就任し、去る昨年十二月二十一日に、総理大臣並びに自治大臣に早期実施を要望いたしました。また、我が自由民主党内でも、自書式と記号式の賛否の議論が続行中でございます。

 昨年の米国大統領選挙は、まさに紙一重の差で勝敗が分かれる歴史的な大接戦になりましたが、パンチカード式の投票用紙をめぐる疑問票の判別結果のニュースが連日報道がなされるなど、我が国でも大変な注目を浴びたところであります。その結果、図らずも、世界では自書式のみならず電子機器を用いた投票制度がスタンダードになりつつあるということが、日本国民の目にも明らかになったのではないかと存じます。それと同時に、人の手作業による投開票制度の公平性への疑義や非効率性が改めて浮き彫りになる結果となったのであります。

 電子機器を用いた投票システムは、世界じゅう各国が独自の取り組みをしておりますが、我が国において開発が進められているタッチパネル式がその最たるものではないかと私は思います。実際、現在日本で開発した機器は非常に優秀で、アメリカでは一〇%のシェアを占め、イギリス、ベネズエラでも導入や商談が進んでおるようです。既に百二十万台が導入されているインドを筆頭に、ドイツ、オランダ、ベルギー、ブラジル、アルゼンチンと、続々と日本の機器が利用される可能性が高くなっておるわけでございますし、また実際に使っております。

 しかしながら、我が国ではまだ実際の選挙で利用されたことがなく、マシンの面では世界最先端技術の国でありながら、いわば宝の持ちぐされ、こういう状況になっておるのでございます。日本の機器をいち早くグローバルスタンダードにして、重要な輸出商品としてはぐくんでいくことが我が国の経済上も重要だと思いますし、この点、IT革命と騒がれ、我々の経済社会のあらゆる分野での制度の見直しがうたわれる今こそ、電子投票システムへの移行への絶好の好機と考えます。私は賛成の立場であります。

 そこで、お伺いしますが、電子投票システムの導入の是非について、大臣の基本的な認識をお聞かせいただきたいと思います。

 また、主要国における電子投票システムの導入状況はどうなっているのか。さらには、衆議院選挙では平成十二年に七百二十八億円の経費がかかり、参議院選挙では、平成十年五百五十三億円、ことしの次期選挙では六百三十五億円が予算化されておりますが、これらの全国規模の選挙ではどのくらいの人件費がかかり、電子投票制度により経費節減が見込まれるのか、その点もお聞かせをいただければ幸いであります。

片山国務大臣 今、田中委員からるるお話がございました。私も、基本的には、電子投票は、有権者の利便の向上や開票の迅速につながりますから、そういうメリットがあるかな、こう考えております。

 ただ、メリットだけでなくていろいろな問題点もあるんですね。日本はずっと自書でやってきましたからね。タッチパネルでもいいんですが、それじゃ、例えば参議院の比例の候補者が二百何十人や三百人になったときに、どういうあれでやるのか。いろいろな難点もありますので、そういうことを実際、制度化するときには克服しなければならない、こう思っておりますが、地方選挙でやってみたいという希望が二、三あります、トライアルですね。私は、その地方団体にとってはそれがちゃんとした選挙ということになるわけでありますけれども、そういうことについての道を開くことは、これは一つの考え方ではないか、そういうことで今、法案をどうするか検討中でございます。

滝大臣政務官 各国の状況は、ただいま田中委員が仰せのとおり、かなりの国で導入されているわけでございまして、私どもとしては、ベルギー、オランダ、ブラジル、アメリカ合衆国等、具体的なところについて、それなりの情報を得ているような状況でございます。

田中(和)分科員 もうお金のことは、私の方も大体わかっておりますから、申し上げます。

 実は、電子投票システムのメリットについては、もう言うまでもありませんけれども、疑問票だとか無効票がなくなったり、開票時間が短縮できたり、すばらしい効果が挙げられますが、大臣の御懸念の点も、私も承知しておるところでございます。

 先ほど数字的な話もお尋ねしましたが、私も事前に聞いておりますので申し上げますと、国政選挙の全国規模の選挙で、大体約一割が現場の開票所にかかっているんですよ。そのうちの九五%がやはり人件費なんですね。衆議院が平成十二年五十五億円、平成十年の参議院選挙で三十九億円、ことしの参議院選挙では、予想でありますが六十二億円程度になるんじゃないか、こう言われているんですね。行政経費の節約という観点からもいい制度じゃないか、このように思っているんです。

 それからもう一点、私もちょっと心配しておりますのは、ことし七月の参議院選挙では非拘束式名簿制が実施に移されますけれども、疑問票をめぐり混乱が生じ、即日開票はおろか、翌日中にも開票結果が確定しない、こういうことが起こるんじゃないかと危惧しておるんですね。また、その混乱の結果、投票結果に対する信頼も損なわれる。さらには、世界じゅうから、ハイテクの国であるはずの日本が、まさしく嘲笑の的になる、こういうことになったら大変なことだな、こう思っているんです。

 電子投票になれば、国政選挙は別にしても、地方選挙で御要望が出ているから検討はするよ、こういうことでありますけれども、私は、この日本のまさしく国のレベルを問われる参議院選挙でありますから、この対策も十分講じておかなければならないし、どのような内外へのコメントを発するのか。あの天下のアメリカも、先般の大統領選挙は大変でございまして、はっきり言えばみっともない話でありましたから、ぜひひとつ考えておいていただきたいなと思っております。

 それからもう一点、翌日開票となる投票制をとる国は、私が調べた結果では極めてレアケースで、アフリカ大陸の三カ国のみなんですね。国土が広い、しかも道路事情が悪いというようなことがあってそうなっているんでございまして、これもまことに余りいいことではないんです。

 当然、民主主義というのは、これらの制度がうまく機能していかなければならないわけでございますが、一昨年の統一地方選挙の際に、高知市と川口市で、実際の投票所を利用して、試験的に電子投票システムによる模擬投票が行われたということを私も報道で知っております。貴重な先行事例と思いますけれども、その模擬投票の際に、技術的なエラーだとか運用上の問題とかがあったのかどうか、この点、滝先生にお尋ねをいたします。

    〔八代主査代理退席、主査着席〕

滝大臣政務官 おっしゃるように、昨年の地方選挙に、本番の選挙の後で、模擬的に高知市と川口市でそのような投票が行われたことは事実でございます。

 川口市の場合には、昨年の四月でございますけれども、六千人が参加して模擬投票を行った、それから高知市の場合には九千人が参加して模擬投票が行われた、こういうことでございますけれども、特段にトラブルがあったということは聞いておりません。

 しかし、電子投票につきましては、日本としてはやったことがないものですから、本番の際にどのような配慮をしなければならぬかということで、投票の秘密の確保、あるいは事後的に選挙争訟が起こり得ることも考えるわけでございまして、そういったことを考えますと、投票機の信頼性、ただいま田中委員が日本の機械は優秀だということで御指摘ございましたけれども、そんなようなことを考えながら、この問題に検討を加えていく必要がなおあるのだろう、こういうことで対応させていただいているような次第でございます。

田中(和)分科員 今、大臣政務官より御答弁をいただきました。

 ただ、今このことを実行に移すためには、現行法の改正ということが必要なんですね。ことしの十一月に広島県知事選挙が実施されることになっておるようでございますが、広島市が電子投票の実施に向け検討を進め、広島県とも協議をしておられるようなんですね。もし本当に実施を実現すれば、総務省もそれを積極的に後押しをしていくというのであれば、一刻も早く法律を改正して、機器開発の補助事業に取り組んでいる経済産業省とも協力しながら、広島市が用意周到な準備ができるように環境を整えなければならないわけでありますし、当然、総務省がその責任を負うことになると思います。

 世界的にもすごい勢いで普及しつつある制度でございまして、私は、一歩前進をさせる時期じゃないのかな、こう思っております。当然、我が党の中でも、詰めていかなければならない議論があることも承知しております。

 広島市はどのような準備を進めておられるのか。また、総務省では法改正に前向きだと私は聞いておりますけれども、どういう準備、議論が進んでいるのか。法改正の時期等の見込みについても、わかる範囲でなるべく明快にお答えをいただければと思っております。

滝大臣政務官 おっしゃるように、広島市が特に熱心にこの問題に取り組んでおりまして、この秋の県の知事選挙には導入したい、こういうことで御要望があるということは総務省としてもお聞きをいたしているわけでございます。

 先ほど来、総務大臣が基本的な考え方を申し上げましたとおり、できるならばトライアルということで、地方団体がおやりになるところからやっていくのが一つの方法だろうということで考えているわけでございます。そのためには、まず県と市が十分この問題について検討と協議をしていただく必要がある、こういうことでございまして、特に田中委員はこの問題に党の中で取り組んでおられるわけでございますから、ひとつ党の中で鋭意まとめていただければ総務省としても大変ありがたい、こういうふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、選挙の問題は各党各会派の中で具体的な取りまとめができ上がってくることも必要でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

田中(和)分科員 大臣政務官の御答弁ありましたけれども、確かにこれは県知事選挙でありますから、当然のことながら、県の選挙管理委員会あるいは広島市の選挙管理委員会との協議が非常に重要でございますし、そのことを尊重して対処するというのは当然だと思います。

 実は、私もいろいろと調査をいたしましたら、結局、マシンだとかシステムの業者の公募手続、それから機種は受注生産でございまして、最低二カ月程度はかかる。工事、そして技術指導等を考慮すれば、最低でも法律案が四月中に可決成立しなければ間に合わぬというのですよ。当然、これはそういうふうに考えると、余り日数的にないような気もするし、かといってだれかが踏み出さないと、まさしくITの先進国としての我が国の内外に示す姿勢ということからすれば非常に問題があるような気もするわけであります。

 大臣はもう百も承知の議論でございますし、どうですか、ここで一気に、ひとつ広島県とも広島市とも協議して、片山大臣のリーダーシップのもとに一発やってみたらどうですか。

片山国務大臣 大変力強いお言葉を賜りましたが、今言いましたように、広島県知事選挙といいますと広島県の選挙管理委員会が中心になりますから、まず県と市としっかりとすり合わせをしていただいて、そこで合意できれば、今田中委員が言われましたことを含めて、前向きに検討いたしたいと思いますけれども、どうも、いろいろ県の方もお考えになっているようなことを仄聞しますし、その辺の調整をぜひ急いでいただきたい、こういうふうに思います。

田中(和)分科員 私も、広島県の方はまだ考慮中だ、こういうふうに承っているのですよ。市の方は非常に熱心だとも聞いておるのです。いずれにしても、これは双方の合意というのは必要なんですけれども、どこかから始めていかなきゃいけない、いいチャンスだと僕は思うんです。

 そうすると、また今度は、先ほど言ったように、おしりから逆算をすると、法律をつくって通しておかなきゃいかぬ。そういうことで、先ほど言ったように、ぜひひとつ日本のIT時代にふさわしい行政取り組みができるように、片山大臣の御努力を重ねてお願いしておきたいと思っております。

 さて、次の質問に入りますが、IT革命がもたらしたものの中で、私は、身近でなおかつ最大有用なものは電子メールだ、こう思っておるわけでございます。そして、電子メールなどの情報通信技術は、うまく活用すればOA用紙などの紙資源の節約によるコスト削減をもたらして、そのことは同時に、環境保全という観点からも大きな効果が期待をされるわけでございます。

 そのことで、すべての役所についてももちろん例外ではなく、工夫次第で、行政全体で見れば非常に大きな額のコスト削減につながることと思うわけでございます。この点、行政の情報化を推進するとともに、情報通信産業を所管し、また全国の三千以上の自治体と日常的に連絡をとり合っている総務省としては、OA用紙や各種印刷物の節減に大変な御努力、知恵を絞っておられるのじゃないか、こう思っておるのです。

 霞が関の各省庁との連絡や自治体との連絡に当たって、情報技術をどのように活用していこうとしているのか、わかりやすくお尋ねをしておきたいと思います。

滝大臣政務官 行政のOA化と申しますか、ペーパーレス化につきましては、総務省としてはかねてより力を入れて呼びかけをいたしておりまして、おかげさまで現在、霞が関の各省間を結ぶネットワークとしては霞が関WAN、こういうようなシステムを既に立ち上げているわけでございます。この数年間で、ペーパーの量は多少減るというところまでしか行っておりませんけれども、ネットワークによる情報交換というのは大変な分量に現在膨れ上がっているのが実情でございます。

 したがって、このような行政のネットワークを今度は地方団体にまで広げていきたい、こういうことでございまして、平成十五年度には、中央省庁、地方団体問わず、それを結ぶ総合行政ネットワークを完成させたいということで現在やっております。既にその前年の平成十四年度からはそのようなことが多少始まるというところまで現在来ておりまして、情報の共有化あるいはペーパーレス化、これについては少なくとも十五年度には完成させるような、今そういう努力をしている最中でございます。

田中(和)分科員 私の事務所でもいろいろといい機種を導入して、まさしくOA化の推進をしているんですが、結果として印刷物の量が多くなって紙が余計に要る、もったいないから裏ペーパーを使えと私もやかましく言っているのでございますが、役所も似たような状況にあるのかな、こうも心配をしておるわけでございます。

 一方、役所同士の連絡だけではなくて、自治体の現場では、住民に対する広報活動や個別の諸連絡に多額の経費をかけていると思います。全国のすべての自治体を合わせればそれこそ莫大な金額になるのではないかな、こう思っておるわけでございます。

 参考までにお伺いしますけれども、自治体が一年間に使う広報活動の予算や、個別の連絡事務に要する郵便料金や印刷物作成費の郵送経費の総額が、もしわかれば教えていただきたいと思うんです。

 また、プライバシーの確保の点や技術的な問題点、経費上の問題点など課題が多いのは十分承知しておりますけれども、電子政府の推進や地方自治体の行政経費節減策として、行政にかかわる各種情報の送受信用のメールアドレスを国民全員に配付してはどうかと私は常日ごろより考えておるわけでございます。それはともかくとして、国民に情報を提供し、また国民の意見を把握して行政施策に反映していくために、いかに情報技術を効率的に活用していくかが今後ますます重要な行政課題になっていくものと私は思います。

 そこで、お尋ねをしますけれども、国民との間の情報伝達手段として、どのように情報技術を活用していこうとしておられるのか、新しいアイデアにも触れながら、お聞かせをいただければと思います。

滝大臣政務官 二点あったかと思うのでございますけれども、第一点の、広報予算あるいは地方団体から住民あてに発送する郵便料金、そういうようなものがどの程度のものか、こういうことでございますけれども、厳密なデータがなかなかとりにくいわけでございますけれども、少なくとも広報予算というのは相当な金額に上る、こういうことでございます。詳細はなかなか把握しにくいものですから、ちょっと広報関係だけというわけにはまいりません。

 それから、もう一方の郵便料金の方も、なかなか推計しにくいんですけれども、郵政事業庁の方で推算しますと、大体年間郵便料金だけで五百億円は下らない、こういうような一応の推計が成り立っております。郵便料金、例えば別納郵便あるいは後納郵便料金、この集計をいたしますと、大体郵政事業庁で一兆二千億ぐらいあるのでございますけれども、そのうちの四%ぐらいが地方団体関係だろうと営業活動上推計しておりますので、そういったことからすると五百億円を下らない。

 どこまでいくかというのはもうちょっとあると思いますけれども、そんなような状況でございますから、おっしゃるように相当莫大な量、それに広報印刷物を加えますと大変な量になる、こういうことだと思います。

田中(和)分科員 答弁にもありましたように、把握し切れないほど行政の多様化というものもあるし、また一方では、行政サービス、市民へのサービスを考えたときには、いわば積極的にやっていかなければならない部分だったと思うんですね。

 ただ、こういうふうになってみますと、デジタルデバイドの解消ということに国も挙げて力を注いでおるわけでございますが、やはりやれることから一つ一つやり遂げていく、そしてなるべくお年寄りの皆さんだとか、私もそうでありますけれども、機器の利用等について苦手意識のある人たちにもどんどんと身近に使っていただけるようなシステムを導入して、お互いに、行政もひとつ倹約できるものはしていく、そして新しい二十一世紀型の形の政治を目指していく、これは非常に重要だと思うのでございます。

 最後に、大臣にお尋ねをしてまいりますけれども、いわば行政と住民の間の情報伝達のコストを引き下げるという意味では、電子手続システムも積極的に導入を図っていくべき課題だと思っておりますし、そういう御答弁でありますが、その際、自治体の窓口における対人手続の場合よりも手数料を引き下げるという促進策も非常に効果的でありますし、積極的に活用すべきではなかろうかと私は思っております。そういうことで、中高年層を中心に情報技術習得へのインセンティブになるのではないか、こう思っているんです。

 ほかにも手法はさまざまでしょうけれども、電子政府の推進あるいは電子手続システムの利用促進に向けどのような対策を検討しておられるのか、大臣に終わりにお話を聞いて、終わらせていただきたいと思います。

片山国務大臣 今、田中委員からいろいろとお話ございましたが、電子政府の実現はe―Japan戦略の大きなテーマの一つでございまして、とりあえずは国民、企業の皆さんから出す申請や届け出など、約一万件ちょっとあるようでありますけれども、これを平成十五年度までにインターネット等オンラインで行えるようにする、そういうアクションプランをつくらせていただこうかと思っております。

 オンライン化に当たりましては、それぞれのパソコンからインターネットで二十四時間いつでもアクセスできるようにすることと、操作方法をできるだけわかりやすいものにすることと、一つのホームページから各種の手続に簡単にアクセスできるようにすること等を現在考えておりまして、ぜひ利用促進を図ってまいりたいと思います。

 今、田中委員言われた、電子システム利用の場合は手数料をまけろ、一つの御提案でございますが、手数料というのは実費弁償なんですね。実費にかかったものをいただくということでございまして、それじゃ、電子手続を踏んだ人だけまけてそれ以外の人はまけないかというのも、いろいろな均衡の問題もございますし、御提案は念頭に置いて今後いろいろ検討してまいりたいと思います。

田中(和)分科員 大臣、本当にありがとうございました。

 ただ、やはり前に進めていこうという姿勢がないとなかなかできません。片山大臣はそういう意味ではもってこいの大臣でありますから、長期にわたる大臣のポストであるかどうかということはいろいろと、私はわかりませんけれども、とにかく国民は期待をしておるわけでございまして、ぜひひとつ特段のお力添えをお願いしたい。

 滝大臣政務官におかれましても、さすがにベテランの御答弁でございまして、御苦労さまでございました。

 ありがとうございました。終わります。

自見主査 これにて田中和徳君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日金曜日午前九時より開会し、引き続き総務省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会




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