衆議院

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第2号 平成13年3月2日(金曜日)

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平成十三年三月二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 自見庄三郎君

      池田 行彦君    久間 章生君

      八代 英太君    生方 幸夫君

      加藤 公一君    佐藤 観樹君

      田中 慶秋君    永田 寿康君

   兼務 黄川田 徹君 兼務 塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   総務大臣政務官      滝   実君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (外務省経済局審議官)  本村 芳行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務

   流通審議官)       杉山 秀二君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    羽山 正孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議

   官)           山本繁太郎君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  生方 幸夫君     加藤 公一君

  佐藤 観樹君     田中 慶秋君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 公一君     永田 寿康君

  田中 慶秋君     佐藤 観樹君

同日

 辞任         補欠選任

  永田 寿康君     生方 幸夫君

同日

 第三分科員黄川田徹君及び第六分科員塩川鉄也君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (総務省所管)




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     ――――◇―――――

自見主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤公一君。

加藤(公)分科員 おはようございます。民主党の加藤公一でございます。

 昨年秋の臨時国会におきましては、特別委員会に所属をさせていただきまして、自見委員長のもと、遠藤先生のお隣の席に座らせていただきまして、参議院の選挙制度の件に関しましては片山大臣とちょうちょうはっし議論させていただきまして、大変光栄に存じております。しかし、私個人といたしましては、いまだにあの制度には一つも納得をいたしておりませんで、残念ながら改正はされましたが、今後も、ぜひ皆さんとともに、よりよい選挙制度の実現に向けて議論をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 ただ、本日はそのお話で参ったわけではございませんので、きょうは、ぜひ大臣、副大臣初め諸先生方のお力添えをいただいて、現に今困っていらっしゃる方が世の中に存在をしているわけでございますので、その皆さんに少しでも手助けができればということで、幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 きょうは、選挙の件ではございますけれども、障害者の方に対して現行の選挙制度で本当に問題がないのだろうかという点を少しお話をさせていただきたいと思います。

 ハンディをお持ちの方、個人個人でそれぞれハンディの種類というのも違うわけですけれども、バリアフリーの社会を築く、いわゆるノーマライゼーションを実現するという意味では、余暇活動がどうのとかなんとかいう前に、国として参政権をきちんと保障するということは、何といっても基本中の基本ではないかというふうに思っておりまして、少し各論になりますが、それぞれの障害者の方が今望んでいらっしゃる部分が国として何かバックアップできないかということを議論させていただきたいと思います。

 まず初めに、視覚障害の方がいらっしゃいますが、実はこれは、せんだって、私どもの地元の有権者の方からいただいた声をもとにきょうお話をさせていただくのですが、視覚障害の方が、選挙のときに、一体だれに投票するかを決める段階で、どうも十分に情報が得られないという声がございました。例えば健常者であれば選挙公報でありますとかあるいは法定のビラ、こういったものでかなり詳しい情報を得ることも可能なわけなんですが、残念ながら、視覚障害の方にとりましては、選挙公報や法定ビラが十分に行き届かないという現実がございます。

 いろいろまとめてお話をしますとややこしくなりますので、まず選挙公報に絞ってお話を申し上げますが、視覚障害の方に対して選挙公報の内容をどうやって伝えているかという点について、現状をお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 加藤委員には昨年の臨時国会で、選挙特では大変御指導いただきまして、ありがとうございました。

 今のお話でございますけれども、選挙に関する情報につきましては、特に視覚障害者の方には点字による選挙のお知らせ版、簡単に言えば点字公報、それをつくって配付をいたしております。

加藤(公)分科員 という話は私も実は承ったのですが、これは先ほど申し上げましたように地元の視覚障害の方からお話をいただいて、私も少し調べましたところ、実は、まず一つは点字の公報自体が行き渡っていないという問題と、もう一つは点字を読める方の比率が決して高くない。

 これは正確なデータかどうか、私自身が調べたものですからわからない部分もありますが、視覚障害の方が日本全国で約三十万四千人ほどいらっしゃって、そのうち点字を自由に扱える方というのが二万八千人程度ではないか。これは平成八年のデータで、約九・二%ということでございまして、その九・二%の方々のうちのまた一部にしか点訳された選挙公報が届いていないということを考えますと、日本全体で約三十万人近くの視覚障害の方のほとんどには、正確な候補者の情報というのが伝えられていないのではないかと思います。

 その意味で、点字が読めない方がそれだけ多いということになりますと、これは別の方法を考えなければいけないわけで、例えば選挙公報に記載をされている文章、文言をどなたかがテープに録音をされて、これは恣意的にニュアンスが変わるといけませんから、きちんとそれは担保しなければいけませんけれども、国あるいは自治体としてそれを保証した上で録音をして、そのテープを希望者の方にお届けをするとかいう方法が考えられるのではないかというふうに思っております。

 現実には、これが今ボランティアで行われておりまして、市民運動の方が完全に自前でやっていらっしゃるということも聞いておりますが、こうした活動に対して例えばバックアップをするとか、あるいは国、自治体自身がそういう録音テープを使った選挙公報を視覚障害の方にお届けをする、こうしたことをぜひ実現していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 加藤委員のお話は一つの御提案だと私も思いますが、現行法では、選挙公報を朗読してテープに録音した場合、そのテープは公選法による選挙公報には当たらないのです。だから、もしそういうことをやるのなら法律改正が要るわけですね。

 必ずしも選挙公報というのは全部読めるようになっていませんよね。絵を入れてあったり、もう今はいろいろな選挙公報の記載がありますから、これをテープ化する、録音化するというのは大変困難なので、その辺も検討の余地があると思います。

 いずれにせよ、障害者団体等がテープをとられて、それを各候補者に対して公平公正に扱って配られるなんということは、検討の余地があるんじゃなかろうかと思いますが、適切な御提案をいただきましたので、どういうあれがあるのか、一応検討させていただきたいと思います。

加藤(公)分科員 ありがとうございます。

 確かに、公報自体は今記載が自由にされるようになっておりますので、選挙の種類によっては絵が入っていたり読めないような公報があったりというのはよく私もわかります。ですから、それをそのままというのがもし不可能、難しいということであれば、それ用の原稿を候補者が提出をするようにするとか、あるいは候補者自身がどこかで録音をするとか、こういう方法もぜひお考えをいただきたいなというふうに思っております。ぜひこれは、本当に困っていらっしゃる方がたくさんいるわけなので、至急御検討をいただきたいというふうに思います。

 それからもう一つなんですが、同じように、では録音テープ以外で何か方法がないかということを少し考えてみたのです。

 これはまた別のルールとも絡んでまいりますけれども、インターネットの利用というのは、今後やはり選挙に関して議論しなきゃいけないと思うのです。今現在の技術であっても、インターネットのホームページに記載をされているテキストを音声化するソフトというのはもう市販をされておりますし、一万円を切るくらいの値段で購入をすることができるようになっております。一般に言われているインターネットを選挙に活用しようという議論とはちょっと別の観点ですけれども、これはハンディキャッパーの方にとっては大変大きなツールになるわけですから、インターネットをこういった面から選挙に活用するという意味でぜひ解禁をしていただきたい、こんなふうに思うのですが、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 インターネット利用については、臨時国会の例の特別委員会でも相当の御議論を賜りまして、私もその必要性は大変認識しておりますので、今後どういうあれがあるのか。今のホームページの活用の議論もありましたね。これも今検討してもらっておりますし、なお検討を深めたい、こういうふうに思います。

加藤(公)分科員 ありがとうございます。

 それに関して言いますと、インターネットというのはどこにいても自由に情報が仕入れられるというのが何よりのメリットでありまして、今は視覚障害の方のお話を申し上げましたけれども、例えば寝たきりの方であるとかあるいは重度の身体の障害、車いすを使っても動くのがなかなか厳しいという方々にとっては、選挙のベースになる情報を仕入れるのに大変有効なツールだと思いますので、これはぜひ前向きに御検討をいただきたいな、総務省の官僚の皆さんにもお願いをしておきたいと思います。

 それからあわせて、今選挙公報ということで限って申し上げましたけれども、法定ビラについてもやはり議論しなければいけないと思っております。これは選挙の種類によって今ルールがいろいろと違いますけれども、例えば法定ビラを一つつくってそれを点訳したとしますと、別の法定ビラとして一種類のカウントになってしまうようなルールに今なっていると思うのです。こうなりますと、候補者が進んで点訳をしたビラをつくろうということにどうしてもならない。当然コストも高くかかりますので、ここにはやはり高いハードルがあるわけでございます。

 この点ぜひ、点訳をしたビラについては種類のカウントにしない、あるいは場合によっては、これはなかなか難しい問題もあるかもしれませんけれども、点訳に関しては多少公費で賄うということを考えていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 今の御提案も、それまでにいろいろお話があったことを含めて検討させていただきますが、公費の助成までいくのかどうか、これはなお検討課題にさせていただきます。

加藤(公)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、約三十万人という方が正確な情報を得られずに、言い方は悪いですけれども、参政権の基本中の基本がどうも保障されていないのではないかというふうに思っておりますので、前向きにお願いしたいと思います。

 それから、今視覚障害の方のお話を申し上げましたが、今度は聴覚に障害をお持ちの方に関して少しお話を申し上げたいと思うのです。

 今申し上げた印刷物に関しては耳の不自由な方というのは問題ないのですけれども、例えば街頭演説の場面、個人演説会の場面、それから政見放送などでは、逆に情報が非常に少なくなってしまうわけであります。

 せんだって法改正をいただいて、手話通訳者に対してはその分の費用を払うことができるようになったというのは存じ上げておるのですが、例えば街頭演説の場面に何かモニターを置いてそこに演説の内容を字幕で出すとかいうことになると、これは認められていない。これは、当然のことながらほかの問題と絡めて議論しなければいけませんので、一概に障害をお持ちの方のためだけにモニターを置くことを自由化するというのはなかなか難しいのかもしれませんが、これもひとつ御検討いただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 政見放送の手話放送については、御承知のとおり平成七年の選挙から導入されましたね。それからまた、小選挙区選挙の政見放送に、いわゆる持ち込みビデオ方式が採用されましたので、手話通訳を付することができるようになりまして、私は、逐次前進はしていると思いますけれども、今のお話も承りましたので、十分いろいろ議論させていただきたいと思います。

加藤(公)分科員 ありがとうございます。

 特に今、政見放送のお話まで言っていただきましたので、その件に少し追加をしておきたいと思うのですが、知事選挙あるいは衆参の比例区と選挙区の選挙によってそれぞれビデオを持ち込む形になっていたり、あるいは、カンパケと言ってしまうとちょっと表現が違いますが、その場で直接録画をする方法であったりということによって字幕が出せたり、あるいは手話通訳の方がつけられたり、程度に随分差があるのではないかと思います。

 手話の方に関して言いますと、先ほど申し上げました点字と一緒で、どなたでもできるというものでもないわけなので、できるだけ政見放送については字幕が出せるようにしていただきたいなと思うのですね。

 現行では参議院の選挙区選挙については、たしかスタジオで一発録画だったと思うのですが、そうなりますと、現状では、そのままそれを放送するというルールでは、そこに字幕を入れることができないので、ルールを少し変えていただいて、一発録画でもちろん構わないのですけれども、その話の内容を下にテロップといいますか字幕スーパーで入れていただくという方法にしていただければ、これは技術的には何ら難しい話じゃありませんので、大変役に立つんじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。御検討いただけますでしょうか。

片山国務大臣 今のお話も一つの御提案だと思いますけれども、手話通訳士の資格を持った人が地域的に偏っているようでありまして、これがうまく確保できるかどうか、時間的な制約もあると思いますし、その辺を含めての検討課題だ、こういうふうに思っております。

加藤(公)分科員 今、手話通訳の資格を持っていらっしゃらないとだめだというのはよくわかりますし、地域的な格差というのもよくわかります。そこで手話ではなくて字幕というふうに、特に政見放送については御検討をいただきたいなというふうに思っております。

 大臣も選挙区の方で間もなく大変な勝負だというふうに聞いておりますので、この夏に間に合うかどうかわかりませんけれども、先々ずっとこれは影響を及ぼすことでございますので、字幕に関しては、もう技術的には本当に簡単なことでございますから、ぜひ前向きに御検討いただきたい。費用もそんなにかかる話じゃございませんので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから今度は、参政権といいましても、今のは候補者を選択する情報を得るという部分でございましたが、実際に投票をするという場面で少しお話を申し上げたいと思います。

 これにつきましては、例えば寝たきりの方であるとか、あるいは動けないわけではないけれどもお一人で暮らしていらっしゃる障害者の方であるとか、投票所に足を運ぶのになかなか苦労が多い、難しいという方も大勢いらっしゃるわけであります。そういう方が現在のところでは、施設投票なんかが認められているようなところにいらっしゃる方は問題ないかと思いますし、あるいは場合によっては郵便投票でされている方もあるかとは思うのですが、小さな施設にいらっしゃる方とか、あるいは先ほど申し上げた一人で暮らしていらっしゃってなかなか積極的に動けないという方に関しては、実際に投票するというところに高いハードルがあるように思っております。

 これも費用対効果の問題も考えなければいけないことではあるのですが、ひとつ御提案として、まずは点字による郵便投票というのを認めていただくわけにはいかないだろうかという最初の御提案なんですが、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 これもやり方、経費その他を含めましていろいろな問題があるかと思いますけれども、そういう問題がクリアできるのなら検討の余地があると私は思いますが、これもしっかり、今いろいろ言われましたことを含めて検討させていただきます。

加藤(公)分科員 ありがとうございます。私が勉強した範囲では、点字で投票所で投票するというのは自書と同じ扱いだということですので、郵便投票が自書がオーケーであれば、点字の郵便投票も自書と同じ扱いであればオーケーだというのが筋論かなというふうに思っておりますので、これはぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 それともう一つ。先ほど申し上げましたように、投票所まで行くのがなかなかしんどい。施設によってはその施設内での投票が認められていない小さなところも多いわけでございまして、そういうところにいらっしゃる皆さんに対して、例えば巡回投票という形で、自治体の方から時間を決めてその投票日に回っていただく。簡単に言うと、移動投票所のようなことでございますけれども、それをすることによって、施設に入っていらっしゃる方あるいは寝たきりの方ももっと自分の意思表示をすることができるようになるのではないかというふうに思っておりまして、ひとつ御検討いただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

片山国務大臣 今、加藤委員御提案のようなところまでいけば私は大変行き届くとは思いますけれども、それは、どこまでその移動投票の対象を認めるかという問題、あるいは同じようなことを言いますが経費、お金の問題、それから要員確保の問題、そういうところのいろいろな検討が必要だ、こういうふうに認識しております。

加藤(公)分科員 おっしゃるとおりで、ただでできる話じゃありませんので、特に財政も厳しい中、何でもかんでもやってくださいという話ではもちろんないのです。

 ただ、最初に申し上げましたとおり、ノーマライゼーションを実現しましょうということは、もう既にこれに反対する方はいらっしゃらないと思いますし、バリアフリーの社会をつくろう、ここまでも反対する方はいないと思うのですね。

 ここから先、ではまず最初にどこから手をつけるのかという順番の議論だと思っていまして、その意味では、やはり国民の参政権をきちんと保障するというのが最も重要であり、それが最初に取り組まれるべきじゃないかというふうに思うものですから、確かにコストの問題、あるいは自治体によっては人員の問題なんかは大きいと思うのですが、これはぜひ前向きに御検討いただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 では続いて、別の観点、残りの時間で少しこの障害者の方の問題とは全然別のことをお聞かせいただきたいというふうに思っております。

 これは前々から私も問題意識を持っておりましたが、一票の格差の件でございまして、これは衆参ともに今私は大変大きな問題があるというふうに認識をしているのですけれども、どちらも同じ理屈といいますか、同じ議論をしなきゃいけませんので、ことしせっかく参議院の選挙がありますので、参議院を例にとってお話をしたいと思うのです。

 御存じのとおり、十二月の例の国勢調査の速報値で、現在一票の格差が四・九二倍ということになっております。ざっと五倍の格差があるわけでして、確かに最高裁の判決では違憲ではないということは出ておりますが、しかし、立法府として、違憲じゃないからそのままでいいというものでは決してないと思います。

 確かに、片山大臣の地元まで定数を削減されて、前向きに取り組んでいただいていることは重々承知の上ではありますが、しかし、今の参議院の選挙制度、戦後すぐの段階から、例えばこの東京に関して言えば、定数が同じ、人口は約四倍にふえているという状況を考えますと、これはやはりどこかで抜本的に改正をしなければいけないし、それはできるだけ早い時期にするべきなのじゃないか。

 選挙が終わってゆっくり議論をしているうちに、すぐ三年後にまた参議院の選挙ということになりますと、また改正しにくいということにもなりかねませんので、あえて選挙前ではございますけれども、まずはこの参議院の一票の格差を是正するということについて、大臣の御決意をちょっと伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 今、加藤委員御指摘のように、せんだっての国勢調査で格差が四・九一六倍になっていることは承知いたしておりますが、この前大変お世話になりました参議院の選挙制度の改革の中で、鹿児島と熊本と岡山県が定数を削減いたしまして、三重県と鹿児島県の逆転現象が、場合によっては熊本県もそうかなと私は思っておりましたがそうではございませんでしたが、解消しましたので、一応逆転区はない。それから、最高裁の判決でも、六倍くらいが念頭にあるようですから、約五倍というのも違憲ではない。

 しかし、それでは五倍の格差がそれはそれでいいのかという議論はもちろんありますので、これは少し中長期的に議論させていただかないと、衆議院の定数と並んで参議院の定数がどのくらいがどうか、地域配分がどうか、こういう議論もありますし、あるいは、今度は非拘束になりましたが、全国比例と都道府県選挙区の間の定数配分はどうかとか、こういう大きな議論がありますので、そういう大きな課題の中での議論をさせていただきたいと思いますし、基本的には、選挙制度は国会において各党各会派で十分な御議論を念入りに詰めていただくというのが今までの筋でございますので、その点よろしく逆にお願いいたしたいと思います。

加藤(公)分科員 今、地域のお話もちょっと出ていましたが、参議院については、これは最近の話だと思うのですが、都道府県代表的な色彩があるとか地域代表的なというような話がよくされますけれども、私の知る限り、戦後、参議院の定数を決めたときには、一票の格差がないようにしよう、三年ごとの改選ですから、最低二にしなきゃいけないので底上げをする、これは私より自治省にいらっしゃった片山先生の方がよほど詳しく御存じだと思いますが、そういうことで決められた。

 その当時で一票の格差が約二・五倍程度だったのではないかというふうに思いますので、少なくともやはり最初に決めたところくらいまでは戻しませんと、幾ら地域代表だとか都道府県の代表だとかという理屈をこねても、これは筋が通らないのかなというふうに思っておりまして、もちろん立法府の仕事ではありますけれども、大臣としても、この点は前向きに御検討をいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 それと、同じように、今参議院の一票の格差を申し上げましたけれども、衆議院の方も今度は、これは見直しということに当然なるわけでございます。

 ただ、見直すのはいいのですが、そもそも今の公選法ですと、各都道府県に一ずつ基数を置いているということがございまして、それは理由をつければいろいろあるのは承知をしておりますが、しかし、この衆議院の都道府県に一ずつ基数を置くというのは、有権者の方に非常に説明がしにくい。特に、もっと小学生、中学生にもわかるようなわかりやすい国会を目指そうと思うと、おじさん、何でここに一ずつ置くのというのは、はっきり言って説明がつかないわけですね。

 もちろん、過去の経緯でここに合意を見たということは承知はしておりますが、しかし、今後さらによりよい選挙制度をつくるという意味においては、この都道府県の基数一というのを外して、一票の格差をより縮めていくという努力が欠かせないのじゃないかというふうに思うのですが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。

片山国務大臣 参議院というものをどう考えるか、参議院の選挙制度をどう考えるかということに私は不可分につながっていると思いますが、今我が国の行政単位は都道府県単位であるということ、それから今の参議院は半数改選方式であるということ、そういたしますと、小さな県に、人口に全くスライドしてやりますと、一人とか〇・幾らとか、こういうことになるものですから、それは避けなければいかぬ。やはり日本の均衡ある、いろいろなことの政治への意向の反映なんということを考えますと、一つの県には一回の選挙で一人は出さなければいかぬ。そうすると、二ということになりますね。

 そこで、それは各党のお考えを集約して私は法律でそういうことを書いたと思いますので、衆議院の区画審議会法か何かに書かれているわけでありますから、そこのところも、加藤委員、ひとつ各党各会派で十分御議論を賜って、どうするのか。私は、今の参議院なり参議院の選挙制度を維持する限り、どんな小さな県でもやはり一回の選挙で一人の代表というのはやむを得ないのかな、こう思っておりますが、大いに御議論賜れば幸いだと思います。

加藤(公)分科員 参議院はわかっています。それは〇・幾つになったのが二にするのはいいのですが、衆議院の小選挙区の基数一を外していただきたいということでございます。

片山国務大臣 私は参議院と間違えて、参議院のことばかり今考えておりましたからあれでございますが、衆議院も基本的に、半数改選なんかではありませんけれども、今の小選挙区でございますけれども、それがそういうことで画定された以上、それは基数一はまず与えるということがあのときの一つの考え方だと思いますから、これも同様に大いに各党各会派で御議論賜りたいと思います。

加藤(公)分科員 当時それで妥協したというのは重々承知の上ではありますけれども、やはり小選挙区の制度で一票の格差が大きいというのは大変大きな問題がありまして、民主主義、民主主義といいましても、これは選挙制度が公正であればこそ担保される制度であるということは私が申し上げるまでもございませんので、もちろん国会で議論することではありますけれども、所管の大臣としてぜひ、これは一票の格差があっていいなどということはないわけでございますから、前向きに御検討をいただきたいというふうに思います。

 そろそろ時間になりましたので、ちょっと最後に集約をさせていただきますが、先ほど申し上げましたいわゆる情報のバリアフリーの件でございますけれども、視覚障害の方、それから聴覚障害の方、あるいは寝たきりの方も含めて、障害をお持ちの方の方がかえって私どもよりも選挙あるいは政治に対する関心というのがより高いですし、個別のニーズの大きさも違ってくると思います。その方々の方がニーズが高いというふうに思いますので、そういう方が気軽に、そして難なく投票できる、あるいはそのための情報を得られるというのは、この日本にとっては今非常に重要なテーマじゃないかと思います。

 世界各国に恥ずかしくない選挙制度をつくって、こういう選挙制度で選ばれた国会なんだから、自信を持って議論をしようよと言えるように、ぜひ前向きに御検討をいただきたいというふうに思っております。

 一部、先ほど申し上げましたが、インターネット等の技術に関しては、本当に日進月歩どころのスピードじゃありません。大変なスピードで進んでおりまして、御存じのとおりコストもどんどんと下がっておりますので、ぜひ前向きに御検討いただきたい、お願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

自見主査 これにて加藤公一君の質疑は終了いたしました。

 次に、黄川田徹君。

黄川田分科員 自由党の黄川田徹であります。一回生でありますので、よろしくお願いいたします。片山大臣とは多分四回目だと思います。

 市町村合併の動きが徐々に進みつつあります。最近、東京都では、田無市と保谷市が合併し、西東京市が誕生いたしました。また、埼玉県では、五月に浦和、大宮、与野の三市が合併し、人口百万のさいたま市が発足の予定であります。

 さらに、各都道府県は、市町村合併の具体的な姿を想定した要綱づくりを進めており、今月末には出そろうということになっており、その後の取り組みとして、各都道府県の合併重点支援地域の指定などが考えられているようであります。

 国のみならず地方財政も危機的状況にあります。市町村合併を促進することにより、公共施設を共同利用するなどして経費節減が可能になるとともに、行政サービスが向上するのは明らかであります。また、今日、福祉や介護など、より広域的な行政サービスが新たに求められております。

 しかしながら、あくまでも地域住民の意識を尊重し、焦らずになおかつ慎重に合併は進められなければなりません。地域の将来像をどう描くか、そのためにはどのような自治体をどのようにつくり上げるかのビジョンづくりを地域住民の目線で考える必要があると私は思っております。

 そこで、まず最初に、大臣に市町村合併にかかわる基本的なお考えをお尋ねいたしたいと思います。

片山国務大臣 黄川田委員には、総務委員会を含めまして、いろいろ御質問をいただき御指導をいただいておりますが、御承知のように、地方分権一括推進法が昨年四月から施行されましたし、二十一世紀は地方の時代、その地方の時代の地方は市町村の時代、基礎的な自治体が元気になる、強くなるということが必要だ、私はこういうふうに思っております。

 その市町村の時代にするためには、新しい時代にふさわしい役割を市町村がしっかり担っていけるような規模、能力が必要ではないか。市町村の中には大変、弱小と言ってはいけませんけれども、規模も能力もまだまだ低い、乏しいところもありますので、この際、二十一世紀における地域社会のあり方を考えて、そういう中で市町村が何を果たすか、こういう認識のもとに、その規模、能力の拡充に取り組んでいただきたい、それが私の市町村合併に対する基本的な指針でございまして、都道府県に合併のパターンをつくっていただいておりますから、あれを一つのよりどころに合併を進めていきたい、こういうふうに思っております。

黄川田分科員 行政による行政のための合併ではなく、地域主権の確立が最も重要でありますので、生活者の視点から、住民にとってよりよい仕組みは何なのかを基本として、合併の推進に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、市町村合併の経緯を踏まえつつ、幾つか具体的な問題についてお伺いいたします。

 昭和二十年代の終わりから昭和三十年代初めに大幅に推進されたいわゆる昭和の大合併は、住民意識が現在と大きく異なることがあるものの、また国及び都道府県知事の権限でかなり強力に推進され、新制中学への制度の切りかえ時期と重なるなどの特殊要因があるものの、大きな実績を上げたと言われております。

 そこで、当時と比べ、なかなか進展の遅い現在の市町村合併の相違点、原因はどこにあると考えておられますか。

片山国務大臣 昭和の大合併が行われまして、一応の静止状態というか安定的な状態になりまして、それから何十年かたってまいりましたから、やはり二十一世紀において、地方分権の担い手として何をやるかということについての認識が幾らか薄いのかな、それから今の大変厳しい地方財政、市町村財政に対する認識ももう一つかな、私はこういうふうに思っております。

 そういう状態が続いてきましたから、それを打開するとか新しい体制にチャレンジするとかいうところの御認識が全体に少し乏しいのかな、私はこう思っておりまして、それはよくわかっていただいていると思いますので、都道府県と一緒になって啓蒙にしっかり力を入れたい、こう思っております。

 今の状況は、言われるように、それじゃ全国的に合併をやろうというムードではないと私も思います。

黄川田分科員 次に、現在、平成の大合併を進めるべく、与党も三千二百二十七ある市町村の数を千を目標に市町村合併を進めているようであります。我々自由党は、最終的に三百の自治体を目標にしております。

 そこで、与党の目指す千の自治体で、真の地方分権、健全な地方財政が達成されるとお考えでしょうか。

片山国務大臣 黄川田委員及び自由党の皆様の最終的には三百だ、こういうお考えもよくわかります。広域市町村圏というのを今全国的に展開しておりますが、これを全部足せば恐らく三百か四百ぐらいだろうと思いますね。昔の幕藩体制時代の藩が三百か四百だったですね、三百五十かな。そういう意味では、一つのお考えだと思いますけれども、当面は、そこまでいくことは、今三千何百あるものを三百といったら十分の一にするわけですから、これは大変なことなので、とりあえずは与党三党が言われるように千を念頭に置いて、そういうお考えを踏まえて、都道府県がお出しになった合併のパターンで市町村合併を推進していって、その次の段階でさらにどう考えるかという問題ではなかろうか、こういうふうに思っております。

黄川田分科員 さらに、もう少し将来的な話になりますけれども、市町村合併が進展した後の基礎的地方公共団体のあり方について、どのような展望をお考えでしょうか。

片山国務大臣 市町村合併が進展しました後だと、相当な仕事が私は市町村で処理できるようになると思いますね。そうなると、それじゃ都道府県をどうするのか、今度、中央省庁再編がありましたけれども、あるいは今の国の地方出先機関のあり方をどうするのか、そういう問題に広がっていくのではなかろうかと私は思うんです。

 とりあえずは、その合併した新しい市町村で、住民に身近な、住民に関係あることはほとんどそこで処理してもらう、こういう体制をしっかり確立することが日本の地方自治のためには必要だ、こういうふうに思っております。

黄川田分科員 それでは次に、地方公共団体がその事務の一部を共同して処理するための一部事務組合は、戦前から制度化されておりましたが、昭和二十二年、地方自治法制定に際し継承されました。

 そこで、一部事務組合は現在どのような業務を行い、また全国の総組合数はどう推移してきているのでしょうか。

芳山政府参考人 お答えいたします。

 現在、一部事務組合におきまして処理されている主な事務でございますが、ごみ、し尿処理といった環境衛生に関するものが約三八%で最も多くなっております。続いて、消防、水防といった防災に関するものが一八%、老人福祉、病院といった厚生福祉に関するものが約一四%というぐあいになっております。

 数でございますけれども、昭和四十二年には二千二百二団体でございました。その後ふえまして、昭和四十九年はピークの三千三十九団体、その後減っておりますが、平成十年では二千七百七十団体となっております。

黄川田分科員 また、昭和四十九年に、総合的かつ計画的な広域行政を展開するため、複合的一部事務組合制度が創設されました。

 そこで、複合事務組合は、今までの一部事務組合と制度上どう違うのでしょうか。また、どのような業務を扱い、設置件数の推移はどうでしょうか。

芳山政府参考人 一部事務組合は、複数の事務を扱いますけれども、その構成するすべての団体において共通する事務を扱っております。これに対して、昭和四十九年に創設されました複合的一部事務組合は、その構成する地方団体の事務に関して相互に関連する事務でありますならば、すべての団体が共通でなくてもよいというふうに処理されて、このような共同処理体制になっております。

 なおまた、組織運営につきましても、複合的一部事務組合におきましては、その執行機関について、管理者と構成団体の長によります合議制の理事会をつくることもできる。また、議決の方法でございますけれども、特定の場合には特別の議決によるということもできるような差がございます。

 主の事務でございますけれども、広域行政圏の計画などの地域の計画の策定事務、また、ごみ、し尿、消防等の事務をやっております。

 数でございますが、昭和五十三年には六十二団体でございましたが、その後増加を続けまして、平成十年には三百十四団体と相なっております。

黄川田分科員 さらに、平成六年に、地方公共団体の事務の広域的な連絡調整や総合的、計画的処理のため、複合事務組合に加えて広域連合制度が設けられました。

 そこで、広域連合は、従前の一部事務組合や複合事務組合と制度上どう違うのでしょうか。また、処理業務は主にどのようなものでしょうか。また、設置件数の推移はどう変化しているのでしょうか。特に、介護保険にかかわる事務がここ一年急増していると思いますが、それを扱う広域連合はどの程度を占めているのでしょうか。

芳山政府参考人 広域連合も地方公共団体の組合の一類型でございますけれども、従来の一部事務組合と違いますのは、これを構成する地方団体が処理する事務が、他の団体の処理する事務と同一の種類でない場合でも、広域的に処理することがいいという場合には処理できるように、共同でできるようになっております。

 また、特に違いますのは権限移譲の委任のあり方でございまして、広域連合は国または県から直接委任を受けることができるようになっております。また、直接請求も広域連合では認められております。また、広域連合は、その作成する広域計画の実施に当たって、もとの構成団体の方に勧告をすることもできるようになっていまして、これは一部事務組合ではできないこととなっております。

 今御指摘ありましたように、平成六年に自治法の一部改正で創設されて、現在、全国で六十九の連合ができてございます。

 処理する事務は、介護保険が非常に多うございまして、六十九のうち約九割に当たります六十二の連合ができております。その他、広域市町村計画の策定等に係る事務三十二団体、ごみが二十一団体、し尿処理が十六団体、消防団体が十六団体。また、公立大学の設置、運営とか、埼玉の広域連合は、県と全市町村で人づくりの、職員の研修の広域連合もできております。

黄川田分科員 さまざまお話をいただきましたけれども、この特別地方公共団体の数もたくさんであります。市町村の数に匹敵するものであります。また、市町村行政の広域化の要請に対して、一部事務組合や広域連合などの広域行政に関する制度を活用した特定分野における事務の共同処理が既に広く行われ、それぞれ一応の成果が上がっているものだと思います。

 しかしながら、時には、個々の市町村の首長あるいは議員がそれぞれ充て職みたいな仕組みづくりになっておりますので、責任の所在が不明確になりがちであったり、また関係団体との連絡調整に時間を要し、迅速的確な意思決定ができず、事業実施に支障を来す場合も見受けられるのではないでしょうか。したがって、市町村合併により、単一の地方公共団体が意思決定、事業実施を行うことがより効果的であると私は思っております。

 そこで、一部事務組合、広域連合などが今までうまく機能してきたため、新たに苦労して合併問題に取り組む必要はないのではとのムードを醸成していることにならないか、大臣の御所見をお伺いいたします。

片山国務大臣 特に、介護保険の施行によりまして広域連合が全国的に大変ふえたと思いますし、私の県なんかを見ましても、広域連合で介護保険がうまく処理されている、こういうふうに思います。

 今委員言われるのは、こういう一部事務組合、複合事務組合、広域連合をやることがむしろ市町村合併の阻害要因になる可能性もある、こういう御指摘でございますが、確かにそういう面があると思いますね。今のこういう共同事務処理方式の問題点は、やはり責任が不明確になる。それから、住民と間接になりますから、住民との関係が定かでなくなるなんという難点があるので、それは単一の自治体になるのが一番いいと私は思いますね。

 ただ、こういうことを積み重ねることによって、それじゃ合併しようか、こういうプラスの面も確かにありますので、そのプラスマイナスをよく見ながら、広域共同処理方式の今後については指導してまいりたい、こういうふうに思っております。

黄川田分科員 分権型社会の構築や高度多様化する行政需要に対応するため、合併を通した自治体の自立と行財政基盤の充実強化は避けて通れない流れであると私も認識しておりますが、地方においても、住民の意識の高まりのための啓発への取り組みを、どうか重点的に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、自治体の収入源でもある財産区及び公営競技について、現在の状況をお伺いいたしたいと思います。

 まず、従前から財産区制度が定められておりますが、財産区とはどのような特色を持つ制度でしょうか。また、いつどのような経緯で発足したのでしょうか。財産区の財産にはどのようなものが、またあるのでしょうか。よろしくお願いします。

芳山政府参考人 財産区は、市町村の一部で、財産または公の施設の管理及び処分を行うために設けられた特別地方公共団体でございまして、明治二十一年の市制、町村制の施行時から設けられておる制度でございます。当時の町村合併を円滑に進めるために、住民の利用に供されてきた旧町村の財産について、新町村に受け継ぐことなく旧町村に残すということで設けられました。

 二十二年の自治法制定の際にも同様に財産区制度が設けられましたが、その後、町村合併推進法との絡みで、市町村合併を推進するために、関係市町村間に基本財産の所有の状態が著しい不均衡がある場合、これを統合して新市町村に帰属させようとすることが合併の障害になるということもありまして、町村合併促進法に規定を設けました。また、自治法でも同様に制度を整備したところでございます。

 現在、毎年調査をしてございますけれども、財産区の保有する主なものは、今御指摘ありました山林、またそのほかは原野、宅地、用水池、公民館等々でございます。

黄川田分科員 かつて、山林は地方の自治体の貴重な収益源でありました。今では、間伐やあるいは担い手不足など、本当にお荷物になっているとも言われます。

 そこで、山林の財産区の収支予算は特別会計で扱われますが、特に山林の造林事業の特別会計の収支バランスは、全国的に最近どのようになっておりますでしょうか。赤字が続いているようだと財産区の存在自体が問われることになりますが、いかがでしょうか。

芳山政府参考人 今、お尋ねのものについて資料がございませんけれども、毎年の財産区の状況について調べておりますが、山林経営等についてなかなか厳しい状況があるということは我々も認識しておるわけでございまして、なお調査をしつつ検討してまいりたいと思っております。

黄川田分科員 私の知っている範囲では、どうしても財産区の特別会計が立ち行かないということで、木価の値が全然上がっていないとか、それで一般会計に承継する場合が多いということになっております。林業を取り巻く環境は極めて厳しいというものをまざまざと物語っているところであります。

 次に、地方における競輪、競馬等の公営競技は、景気の変遷とともに、その経営がますます厳しくなっているように私は思っております。

 そこで、公営競技は全国でどのくらいの数があるのでしょうか。また、それを扱う一部事務組合数はどのぐらいでしょうか。あわせて、独自財源確保上、公営競技がこれまで果たしてきた役割、成果はどうでしょうか。また、市町村へ収益金を還元できない組合もあるのではないでしょうか。今の時代にあっての公営競技のあり方について、まとめてお伺いいたします。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 公営競技を実施しておる地方団体、団体の数で申し上げますと四百三十八ございますけれども、中には組合をつくって実施するところもございまして、その組合を一つというふうにカウントいたしますと、主催者の数は百五十二になります。そのうち、一部組合で施行しておるところは五十一というふうに相なります。

 この公営競技は、畜産とか機械工業とかいった関連産業の振興とあわせて、地方団体の収益を上げるということを目的に実施されておるものでございまして、過去、地方財政に大変大きな貢献をしていただいておりまして、例えば平成三年度について申し上げますと、公営競技全体の売上額は約五・五兆円、一般会計への繰り出し額は約三千六百億円というふうになっておりました。しかし、残念ながら、この平成三年度をピークにいたしまして売り上げが年々減少いたしておりまして、平成十一年度で申し上げますと、平成三年度の三分の二程度の売り上げということで約三・七兆円、一般会計への繰り出しは平成三年度の二割程度の七百六十億円というふうに大きな落ち込みを見せております。

 全主催者の半分ぐらいが赤字というふうに御理解いただければよろしいと思いますが、お尋ねの組合営について申しますと、五十一組合のうち二十七団体が赤字ということで、施行団体に収益金を還元できない状況になっております。

 こういうことで、厳しい経営環境にございますので、施行団体に対しましては、経営改善計画の策定を求め、あるいはファンサービスの向上等による売り上げの増加、開催経費の節減等をお願いいたしまして、経営の改善の指導をさせていただいているところでございます。

黄川田分科員 組合によっては過大な投資もあると思いますので、その面も適切な御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。

 終わりに、地方公共団体と郵便局の協力についてお伺いいたします。

 私の住む岩手県は、面積が四国四県に匹敵するほど広く、逆に、人口は約百四十二万人と少ないわけであります。また、少子高齢化による過疎化が進んでいる地域が少なくありません。また、基準財政収入額を基準財政需要額で割った財政力指数は、平成十一年度決算では〇・二九五で、一番下の〇・三未満のEランクに属する、いわゆる三割自治の典型の県であります。

 一方、二万四千七百局もの規模を全国に有する郵便局ネットワークは、過疎化の進展している岩手県のような地方で、より一層その存在と活用が期待されるところであります。実際、住民票の写しの交付請求などを扱うワンストップ行政サービス、あるいは市区町村との防災協定の締結、ひまわりサービスの提供などなど、郵便局は地域住民の生活に密着した活動を展開されていると耳にしております。

 そこで、まず最初に、このような郵便局ネットワークの活用に関する基本方針、特に将来の展望について大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 全国の郵便局ネットワークは、今お話しのように二万四千七百ありまして、明治以来大変な先人の努力で、私は、地域社会にも定着し、地域住民にも非常に愛されて利用されてきた、ある意味では大変な国民の資産だ、こう思いますから、これを今後とも十分活用していきたい、こう思っております。

 今の郵便局は情報、安心、交流の拠点だ、こういうふうに役所の方でも言っておりますので、ぜひ名実ともにそういうことになってもらいたい、こう思っておりますけれども、そういう中で、従来の郵政三事業じゃなくて、今もお話ありましたように、できるだけ市町村行政との連携を深めていただく。総務省は旧郵政省と旧自治省が一緒になっていることでもありますし、そういう意味で、この通常国会で、郵便局が市町村から委託を受けて、例えばよく言われる住民票だとか印鑑証明だとか戸籍抄本だとか謄本だとか、その交付のサービスができるようにする。あるいは、ひまわりサービスを既にトライアルでやっておりますけれども、こういうことをさらに市町村と話し合って、ひとり暮らしの老人等のケアをさらにやる。それから、今道路の損壊等があれば直ちに市町村に通報するようなこともやっておりますから、これもさらに拡充していく。

 そういう意味で、今よりはもっと住民の福祉、地方団体との連携を強めることでやっていただく、こういうように考えておりますし、また、場合によっては地域情報について一定の役割を果たせればいいな、こう思っておりまして、さらに郵便局の活用に基本的には我々努力していきたい、こう思っております。

黄川田分科員 次に、先ほど申し上げましたとおり、岩手県の場合、県土が極めて広域であり、かつ局員が一人だけというような特定郵便局も多いと思います。このような状況でネットワークのサービスがどこまで行えるのでしょうか、お伺いいたします。

小坂副大臣 黄川田委員の岩手県は、私の選挙区であります長野県とも地形的にも非常に似ております。

 郵便局の定員というのは、業務量とか地形とか、そういった状況、地況を勘案しながら配置をされているわけでございます。そういう中で、郵便、貯金、保険のサービスをきちんと提供するという義務がありますので、そういった意味では、人数というのがそのサービスの差になってはいけないわけでございます。

 特定郵便局の中には、局員が一人だけ、すなわち局長と局員、二人局というようなものもあるわけですね。これは全体で二万四千七百五十三という郵便局の中で二千三百五十ということで、約一割ぐらいあるわけでございます。パーセンテージで正確に申し上げれば九・五%ということになります。

 岩手県の場合は、その比率は若干そういう意味では多いのでございまして、局数が四百四十七ございますが、そのうちの五十が二人局ということになっておりまして、一一・二%という割合になりますから、そういうことでいいますと二人局が多いわけです。しかし、岩手県は非常によくやっていただいておりまして、サービスの面では少ない中でも効率よくこなしていただいている、こう考えております。

黄川田分科員 また、地方公共団体が住民票の写しの交付等特定の事務を郵便局にゆだねる場合、その委託費について地方交付税措置等を考えるつもりはないでしょうか。

遠藤副大臣 住民票の写しの交付にかかわる経費につきましては手数料収入がありますが、それに加えまして、既に地方交付税が当該交付団体に措置されておりまして、その中から郵便局に委託費として支払われるものと理解しております。

 今回の法律によりまして新たに地方財政措置を講ずることは考えておりません。

黄川田分科員 さらに、地方公共団体施設の利用申し込みの取次事務などを郵便局が地方公共団体から業務として受託することは、現行法令上何か問題を生じることはあるのでしょうか。

小坂副大臣 地方公共団体の事務を郵便局で業務として受託するためには、総務省設置法の一部を改正する必要がございます。このために、現在、地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取り扱いに関する法律、そういったような名前のものを今国会に提出させていただくよう準備を進めているところでございます。

黄川田分科員 今後とも、国民の利便に直結するサービスを自治体と連携協力されまして、さらに新たな施策も取り込みまして、開かれた郵便局として住民に親しまれますことを希望いたしまして、質問を終わります。

自見主査 これにて黄川田徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中慶秋君。

田中(慶)分科員 私は民主党の田中慶秋です。

 今回の省庁再編に伴って一月六日から新たにスタートされました一府十二省等について、大臣に所感を冒頭にお伺いしたいと思います。

 行政改革というのは、御承知のように、より簡素でわかりやすい、さらにはスピードがなければいけないわけでありますけれども、今回の省庁再編というのは、ある面では大ぐくりであり、そして護送船団方式とも言われるような状態になっていることも事実であります。こういうことが、少なくとも二十一世紀、スピードが求められている今の時代と、ある面では逆行していないか。むしろ、今求められているのは、護送船団方式よりはモーターボートのように回転の速い、スピードのいい、小回りのきくような行政を求められているわけでありますけれども、現実にはそうではない。

 特に総務省は、三十数万人という職員を抱えながら、そして多岐にわたっての局、部を抱えておるわけでありますし、そして判この数も大変多くなってきている、結論も出にくい、こんなことが言われているわけでありますけれども、このことについて大臣はどのように考えられているのか、所感をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今、田中委員から御指摘ございましたが、今回の中央省庁改革は、とにかく縦割り行政の弊害を除去して総合効果、相乗効果を出す、こういうことが一つのねらいなのと、行政そのものを簡素効率化する、こういう観点から行われたものでございます。

 ただしかし、御指摘のように、例えば私どもの方は三つの省庁が一緒になったわけでありまして、局の数もたくさんございますし、幹部職員の数も多い。だから、こういう中でどうやってスピーディーな意思決定と事務処理をするかというのは私は大変大きな課題だと思います。

 ねらいはいいんですけれども、ねらいどおりの効果が発揮できるかどうか、そこがこれからの私どもの知恵と工夫と努力だ、こう思っておりまして、今総務省の場合には、私のほか副大臣、大臣政務官もおりますし、次官初め次官待遇の審議官もおりますので、そういうところで最高幹部会というんでしょうか、最終的な意思決定機関にしまして、あと省議だとか横断的な旧三省庁の殻を超えたいろいろなコミュニケーションの仕組みをつくっておりまして、今委員が言われる、できるだけスピーディーな、しかもきっちりした総合的な意思決定をしたい。

 今後、我々は頑張りますので、結果を見て、またいろいろ御指導、御論議いただければ大変ありがたい、こういうふうに思っております。

    〔主査退席、久間主査代理着席〕

田中(慶)分科員 大臣にお伺いしますけれども、幹部というのは課長以上ですか、局長以上ですか。

片山国務大臣 これは幹部をどこでどういうふうにとらえるかということなんでしょうけれども、中堅、中間管理者層まで入れますと課長以上でしょうね。

田中(慶)分科員 行政をより効率的に執行するためには、むしろ課長なり課長代理がある面では実権を握っているわけであります。ところが、今回の省庁再編で、大臣は課長の顔をどれだけ覚えているのか。あるいは、課長が一堂に会しての会議が行われない、数が多くて講堂に集まるような状態でできにくい、こういうことを耳にしているわけですけれども、どのような工夫で行政を、今大臣が言われたようなことを執行、徹底できるか、大変私は疑問に思っているんですけれども、その辺はどのような知恵を持って行うか、大臣の考え方を述べてください。

    〔久間主査代理退席、主査着席〕

片山国務大臣 確かに、田中委員言われるように、おまえ、課長の名前と顔が一致しているかというと、なかなかそれは、三百人弱ぐらいおられますから、大体名前と顔が一致しているのは五、六十人ですね。それから、顔を知っているのは、それは半分以上はそうでございます。

 そこで、課長さん方にやはりしっかり働いてもらわなければいけませんので、今縦割りの局ごとのいろいろ会議をやっています。それから、横断的なテーマごとに課長さん方に集まっていただきまして、そこでいろいろな議論をやっておりますから、縦横、斜めというのはまたどういうことかということですが、縦横斜めのそういうコミュニケーションの場をつくっていこう、こういうふうに思っております。

 全部一堂に会するということはなかなかできませんし、ありませんけれども、今言いましたような局ごとにとかテーマごとにとか、そういうことでいろいろ工夫していこう、こういうふうに思っておりますし、我々はいわば政務職でございますけれども、事務職の事務次官以下はまたいろいろな試みをやっておりますから、私は、しばらくすれば、だんだん顔を合わせていれば心が合ってくる、それからだんだん力を合わせようということになってきますので、ぜひそういう意味でも一層努力しよう、こういうふうに思っております。

田中(慶)分科員 今大臣が述べられておりますけれども、問題は、少なくとも今の行政はスリムでスピードが求められているんですよ。ところが、今おっしゃられたような形で、大臣の意思決定なりそれを徹底させるまでに大変な時間を要するような問題が現実に起きているわけです。そういう点では、新しい時代、二十一世紀の時代、逆に今行政が膨大な組織になっている、このことは、やはり行政執行に当たって大臣のより効率的な決断と実行というものが求められるわけですし、リーダーシップが求められているわけであります。

 大臣、例えば地方分権というものが、昨年、分権法に伴って権限がずっと渡されましたね。しかし、財源は渡していませんね。これでは行政がうまく執行できないんですよ。権限も財源もセットで渡すことが分権の基本的な考え方なんです。そうでしょう。そのことは、あなたも政治家ですから、やはり今後、徹底的に権限、財源を渡すことが、これだけ膨大な組織であるものがもう少しスリムになることにつながっていくわけですから、その辺の考え方をお伺いします。

片山国務大臣 委員言われるとおり、今はなかなか総務省というのは巨大な役所ですけれども、私は次第に、これは規制緩和によって官から民へ、それから地方分権によって中央から地方に、そういうことで中央省庁そのものはスリムにしていかなきゃいけません。仕事が減ることによって組織もスリムにする、ポストもスリムにする、これは絶対必要だと思います。

 そこで、今委員が言われた地方に対する税財源の移譲ですけれども、我々は、地方分権一括推進法の施行で権限や事務の移譲は一区切りついたと思っています。しかし、これで完全じゃありません。その次の段階での権限や事務の移譲をまた考えている、こういうことでございますが、とりあえず一区切りである。一区切りであるとしますと、今委員言われましたように、次は税財源の移譲だ。

 ただ、国の財政が、累積の借り入れが五百兆を超えていますね。地方も百八十八兆でございますけれども、そういうことからいいますと、今のこういう景気回復の過程で、国の財政が逼迫している中ではなかなか現実的な議論じゃなかろう。

 だから、景気が落ちついて安定してくれば、ぜひ次は税財源の移譲を本格的に議論していく。国と地方が事務に見合った税財源を分け合うということを次の課題としてぜひやりたい、こう思っておりますので、またひとつよろしくお願いいたしたいと思います。

田中(慶)分科員 そこで、大臣が今未曾有の財政危機だと言われているわけであります。

 かつてアメリカのレーガン大統領が就任されたときには三つ子の赤字だった。そして、あの人は政治家じゃなかったでしょう、俳優だったですね。俳優というのは、やはり国民からいかにアピールして人気を得るかということだと思うんです。ですから、政治に対する、行政に対する国民のニーズというものをみずからそれによってキャッチしちゃうわけです。そして、行ったのは減税と規制緩和、このことによってアメリカの経済は立ち直ったわけであります。

 ところが、日本は、今未曾有の財政危機でありますけれども、減税どころか、あるいは規制緩和も、私から言わせれば一つも手をつけていないと言っても過言でないぐらい手をつけていない。今大臣はこれから規制緩和もしてということでありますけれども、こういうことは現実に、私は今すぐやらなければいけない問題だと思うのです。これだけ借金が膨らんでいる、これは政治の責任ですよ。

 ですから、このことは、規制緩和と同時にこの取り組みというものを早急に行わなければいけないわけでありますけれども、大臣はどう考えておりますか。

片山国務大臣 今言われましたが、確かにアメリカは財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を克服して、黒字が続いて大変な経済繁栄を謳歌したのですが、ちょっと今減速して、ちょっとおかしくなってきました。

 日本の場合にも、それなりの努力はしてきたのです。規制緩和も、委員はそう言われますけれども、かなり規制緩和をしてきたのですよ。それが私は経済に大変いい刺激を与えてきたと思いますが、それでは十分かというと、まだまだ十分ではありません。

 そこで、来年度を初年度とします次の規制緩和三カ年計画をつくろうと思って、総務省が中心で今頑張っておりまして、今月中には、年度内には新しい規制緩和計画をまとめます。それによって、例えばITだとか環境だとか雇用、労働だとか教育だとか、そういう意味での規制緩和をさらに進めていこう、こういうふうに思っております。

 レーガンも減税をやりましたが、我が国も大分やってきたのです。法人税を大幅に減税する、あるいは所得税や住民税を大幅に減税することによって、そういうことで国や地方の税収がかなりトータルとしては減ってきたということはあるのです。それは景気回復のためにやってきたのですけれども、景気の回復がもう一つなものですから、ひとつこれからさらに景気回復のためにいろいろなことを考えて、とにかく来年から再来年ぐらいにかけて景気を本格的に回復して、民需を中心にした自律回復軌道に乗せるということが当面の一番大きな課題だし、これができれば国の財政も地方の財政も楽になってくる。その上で、先ほども言いましたが、税財源の配分をきっちりやる、こういうことではなかろうかと思っております。

田中(慶)分科員 あなたは規制緩和を相当やったと言っておりますけれども、私は全部調べているのですよ。まだまだ全然緒についておりません。それでなおかつ、基本的な発想を変えてください。規制というものを撤廃する。そこに社会的な責任と自己責任と企業責任、この三つの責任を持たせてやることによって規制というものはなくなる。行政もそれだけスリム化になるのです。

 サッチャーはそのことをやったのです。イギリスのエージェンシー方式も含めて、そのことをやったのです。そして、イギリスはある面では再興したわけであります。日本は、口では未曾有の赤字だ、民間がこれだけ厳しい。減税も今やっていないでしょう。ブッシュは今減税をまたやろうとしているわけです。

 今、日本でやらなければいけないのは、この厳しい経済を支える、再興するためには、消費が、六割が景気を左右すると言われているわけであります。その消費が拡大できないでしょう。先行きの見通しが暗い。全部規制に縛られている。大臣、このことをしっかりとやらないと、幾ら口で民需の拡大だと言っても、できませんよ。

 かつて、亡くなった小渕さんは、行政改革を徹底的にやります、十年間で職員を二五%減らしますと公的に約束したのです。経費を三〇%減らします。今具体的にそれが実行に移されていますか。予算のどこを見ても、まだそこまで行っていません。

 僕はきょうは大臣と話をして、全体的な一つの考え方をあなたに進めてもらいたいから、何もいい年して分科会に出て本当はやりたくない。しかし、この全体的な構造、方向性というものが本当に心配だから私は申し上げているのです。副大臣もいらっしゃるけれども、僕はきょうは大臣と話をするために来ているのですから、大臣の考えを述べてください。

片山国務大臣 規制緩和を今まで、我々はかなりやったと思いますが、委員はそこは御認識が違うようですが、いずれにせよ、これは規制緩和をやらないといけません。

 ただ、規制にも社会的規制と経済的規制がありまして、私は、言われるように、経済的規制は場合によっては全部なくしてもいい。しかし、社会的規制は残さないと、別の意味でいろいろな弊害が出ますので、そこのことは考えながら、いずれにせよ、来年度を初年度とします三カ年計画をつくりますから、それが百点ではありませんよ、それをやりながらまた考えていく、絶えざる規制緩和を進めていく、これはひとつぜひそういうふうに考えてやりたい、こう思っております。

 それから、減税をさらにというお話もありましたが、法人税負担あるいは所得税負担は、そういう関係の負担は、グローバルスタンダードというのでしょうか、とにかく欧米並みにしようということでやってきたのですよ。日本は、御承知のように高かったわけですが、かなり下げてきましたけれども、これからどうするかです。ただ、こういう景気のところでまた減税をやりますと、プラスもありますけれども、これはマイナスもありますので、それは政府の税調もありますし、与党の税調もありますから、そういうところでしっかり議論して、どうやっていくかということをちゃんと対応したいと思います。

 先ほど言われましたように、個人消費がいわば経済需要の中の六割ですから、これに火をつけるということが当面の最大のあれですね。それは言われるように、雇用不安や労働不安が足を引っ張っているのではないか、政局の不透明さが足を引っ張っているのではないか、私も確かにそういう点があると思いますよ。あると思いますから、まあ政局の方はおいておきまして、労働不安や雇用不安の方はできるだけ今最大の策をとるように、政府・与党でも議論を重ねております。

 例えば、将来の社会保障制度をどうするか、一番大きい医療だとか年金だとか、介護はひとまず議論が終わりましたので、それから今雇用対策もいろいろな手をとっておりますから、そういう努力をさらに積み重ねて、個人消費に火がつけば、こういうのが今経済対策の大きなねらいでございますので、さらに頑張っていきたい、こういうふうに思います。

 認識は、余り私は委員とは違っていないと思うのですよ。

田中(慶)分科員 大臣と私の年代は余り変わらないから、恐らくいろいろな考え方もそう変わっていないと思いますけれども、ただ、あなたは、どちらかというと官側の立場で物事を、極端なことを言えば政府側ですから、税を取る側、私たちは納める側で物の発想を考えておりますから、その辺が違うと思うのです。

 大臣、特に今問題なのは、サラリーマンを見てください。この三年、四年、可処分所得は下がっているのですよ。残業どころかベースアップもほとんどない。そしてなおかつ、介護保険料を事実上ことしからして、これは考えてみれば新たな税金ですよ。そればかりではない、医療費は定額から定率方式をとることによって負担増になる。こんなことを考えてみますと、可処分所得そのものがおっこちているのですから、そういう点で、消費の拡大といったところで非常に難しい要素があるわけですね。

 ですから、いろいろな問題を含めて、不安材料を払拭していかなければいけない。そのためには規制、あらゆるものを含めて、特に経済的規制というものはなくさなければいけないわけです。

 今の中で、特殊法人を見てください。減っていませんでしょう。認可法人は今二万六千ですよ。なおかつ、ことしの予算でも、特殊法人、認可法人を合わせると約四兆円の補助金を出しているのですよ。消費税に換算すると、逆算すると、約二%分の補助金を出しているのですよ。こんなものはもうぶった切らなければだめよ。

 特殊法人は、大臣先ほど、考え方は同じだというのならば、ゼロの発想からしなければいけない。役割が終わったものをもう一回ゼロにする。民間企業でやるものは民間にさせる。地方自治体でやるものは地方自治体でやる。どうしても国がやらなければいけないのは、もう一度ゼロからつくり直しをする。このゼロの発想をしない限り、みんなでスクラムを組んで、絶対特殊法人の見直しはできませんよ、私は十年以上この問題に取り組んできているわけですから。

 そして、みんな天下りですよ、これは。役人が、定年制の問題が、それだったら今のピラミッドから円筒形に直せばいい。発想を変えていかなければだめですよ。まして、見てください、特殊法人の幹部職員。本来ならば公務員の給与ベース、ここで終わるんですよ。第二のスタートといったら、普通は、民間企業であるならば、給料はダウンするんですよ。平均して一二〇%上がっているんですよ。どういうことですか。

 これだけ危機の状態を考えているならば、大臣、その発想を私は当然持ってほしい。あなただったら私はできると思うから、きょうこういう質問をしているんです。どうですか。

片山国務大臣 可処分所得が減っているという話がまず最初にございましたが、なるほど、企業の収益は今ふえているんですね、これから少し陰るかもしれませんが。ただ、企業の収益が企業の今までの借入金の返済やあるいは不良債権の処理に行っているんですよ、実際の数字を見ますと。だから、これが企業の社員の皆さんの方に還元が高まれば、その可処分所得がふえてくるということになると思いますけれども、全体としてはまだ今そういう不良債権処理の過程にありますから、そこのところが私は一つあるのかな、これは私の単なる意見でございます。

 そこで、今の特殊法人や公益法人、この見直しのお話がありましたが、そういう今委員が言われたような考えで、我々は特殊法人の全面的な見直しに今取り組んでおります。

 それは今、行政改革担当大臣というのができまして、行政改革担当大臣を中心に私の方も、事務局はほとんど私の方ですから、私の方と連携をして特殊法人の全面的な見直しと、受託公益法人、特に指定されて政府の仕事を受託してやっている公益法人については全面的に見直して、その存廃を含めて六月までに中間的な取りまとめをやろう、こういうことで今一生懸命やっておりますので、その結果をぜひお待ち賜りたい。

 いろいろ今委員が言われましたような実態も、全部じゃありませんが、私もそこそこは知っておりますので、そういうことを踏まえてしっかりとした特殊法人や公益法人の改革をやろう、こういうふうに思っております。

田中(慶)分科員 ぜひ、今の特殊法人や認可法人、公益法人の改正について、ゼロの発想でやってください。そうでないとなかなかできません。私もずっとそのことを調査したりいろいろなことをやって、嫌がらせもさんざんされてきたんです。みんなガードするんです。そうでしょう。人件費一覧表を調べるにしたって、文句を言われるから絶対初めは出しませんよ。そんなことをしてやったわけですが、一冊の本を大臣に差し上げますよ、まとめてありますから。

 そして、今あなたは、民間は少しずつ利益を出していると言う。それはそうかもわかりませんけれども、そうじゃないんですよ。人間を減らしてスリムになっている。そして機械が、どういうことかというと、機械も本当にこの十年間設備投資をしなかった、しかしもうぼろぼろになったから、人間で、マンパワーでできないものですから機械の設備投資をしているんですよ。そんなことが、ある面では収益が上がったということですけれども、そうじゃないんですよ、実態は。私も民間出身ですし、民間の人たちとしょっちゅう会合を持っておりますから、その認識はちょっと変えてほしい。本当ですよ。

 まして、総務省は所管が違いますから言いませんけれども、中小企業の人たちなんというのは、本当に死に物狂いですよ。今、日本で自殺者が三万人いるんですよ。そのうちの一万人が中小企業の経営者ですよ、ほとんどが。だから、政治がしっかりリーダーシップをとってやらないと。そうでしょう。一万人の人が死んでいるんですよ。自分の命と会社と交換してやっているんですよ。それも、どちらかというと、政府系金融機関も含めて、貸し渋りとかいろいろなことに遭いながら、担保を出せと言っても現実に土地が目減りをして出せない、そんなことで企業の負債を自分の命と交換しているんです。そのぐらい厳しい状態なんですよ。だから、私たちは、はっきり申し上げて、行政改革もさることながら、その言葉だけで我々政治家は遊んでいられない。本当に厳しい現場を持っているわけですから、だからこそ政治にリーダーシップを持って大臣に取り組んでもらいたい。

 例えば、認可法人、財団法人もそうであります。KSDだってそうですよ、はっきり申し上げて。あのような形の問題を全国的に整理してごらんなさい。官僚の人たちが、約二万六千、あそこに天下りで行っているんですよ。これが実態なんです。このことにやはりしっかりと対応していかない限り、幾ら行政改革をするとか言ってもなかなか進まないわけですから、そのことについて大臣は肝に銘じて取り組んでほしい。考え方を聞かせてください。

片山国務大臣 委員からいろいろ広範な御指摘がございましたので、しっかりとそれは受けとめさせていただいて、今後の行政改革あるいは今の特殊法人や公益法人の見直しの諸問題に当たらせていただきたい、こういうふうに思います。

    〔主査退席、八代主査代理着席〕

田中(慶)分科員 例えば石油公団もその一つなんですよ。かつて堀内通産大臣が提言をし、そして若干体質改善をされました。しかし、これから、あの特殊法人は本当になくすのかどうか、こういうことも含めてかかっているわけです。

 私は、二十一世紀の日本というものが、やはり市民の立場に立った政治を、そしてそれにどうこたえていくかがこれからの政治だと思うんですよ。今までのしがらみ、大変残念ですけれども、官とのしがらみを断ち切って、新しく日本の、これからの国の再生をするときに、身近でわかりやすい、そしてそれぞれが本当に生きがいを持って対応できるような社会をつくるためには、やはり国民に目を向けていかない限り政治はよくならないと思っております。官の下請をしていたのでは、行政改革をしようとか何々しようと言ったところで一向に始まらないんです。

 大臣、時間ももう余りありませんから、そのことを肝に銘じてやっていただかないと、あなたがリーダーシップをとる、そのことによっていろいろなことが変わるんです。日本を変えることはできるんです、それだけの地位にいるんですから。ですから、あなたがリーダーシップをとってもらいたい。役人がリーダーシップをとるんじゃないんです。そのことについて、あなたの意気込みを聞かせてください。

片山国務大臣 今度の中央省庁再編改革は、今委員が言われたとおりなんですよ。政治主導、政治のリーダーシップ、こういうことですから、言われたことはそれこそ肝に銘じまして、しっかりとリーダーシップを発揮してまいりたい、政治主導で事に当たりたい、こういうように思っております。

田中(慶)分科員 本当に政治主導でやっていただけるように、ところが、一番心配なのは、今の護送船団方式、これだけ大きい世帯になって、そして特に地方支分部局ですか、そういう形で出先をいっぱいつくって、総務省はないですけれども、ほかのところは、経済だとか農水だとかいろいろなところはみんな地方で、そして出先で全部予算の執行までするわけですから、今までよりもっと不透明な部分がたくさん出てきているわけです。あなたのところはそうじゃないでしょうけれども、そういうことを含めて、やはり政治がリーダーシップをとるならば、いま少しそのことも配慮しながら、道州制をとるんであれば別ですけれども、今の日本は道州制じゃありませんので、そのことを含めてやっていただくように要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

八代主査代理 これにて田中慶秋君の質疑は終了いたしました。

 次に、永田寿康君。

永田分科員 本日は、NHKの業務について若干質問をさせていただきたいと思います。

 その冒頭、主査にぜひお願いをしたいのは、衆議院の申し合わせでは、議場内への携帯電話の持ち込みは禁止されております。本件の質問に関しまして、携帯電話の持ち込みを許可していただきたいのですが、よろしゅうございますでしょうか。

八代主査代理 そこから電話をよそへかけるということですか。

永田分科員 いいえ、しません。そういうことじゃなくて……。

八代主査代理 そういうことじゃなくて、それを題材に使うということですか。

永田分科員 はい、そういうことでございます。よろしゅうございますか。

八代主査代理 それはよろしいでしょうね。

永田分科員 まず、最近のIT革命の推進によって大変すばらしい技術がだんだん世に広まっておる。この携帯電話も、大臣もお使いだと思いますが、本当に十年前にはとても想像もつかなかったすばらしい技術であります。この中に私が大変気に入っておる機能がありまして、実はインターネットに類似するような、ある種ホームページにアクセスする、そういうことが可能な機能がこの携帯電話についております。

 この中で私が一番気に入っている番組、NHKのニュースを流している番組がありますけれども、私はこれを一日に最低十回はチェックをします。政治家をやっていると何か事が起こると忙しくなるものですから、本当に世の中が平和であってほしいなと思いながら、毎日十回以上チェックをするのです。この中で、例えばきょう日経平均十時十分の数字は一万二千五百二十四円四十銭、前日比マイナス百五十七円二十六銭、またもや株が下がってしまったといって悲しい思いをしておるわけでございます。

 本日は、NHKが番組の二次利用ということでニュースを携帯電話あるいはインターネットに流しているということについて、大臣、副大臣以下皆さんがどのようにお考えになっているのか、お聞きをいたしたいと思います。

 まず、これはインターネットと、あと携帯電話についているものもインターネットに類似する機能だというふうに私は理解をしておりますが、インターネットというのは果たして通信なのか、それとも放送なのか、これについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 いろいろ今お話がございました。

 私は、インターネットというのは端的に言いまして両方の機能をあわせ持っていると思いますよ。これは我々が少し前まではとにかく想像していないようなネットワークでございまして、これをどういうふうにうまく使っていくかということが、グロスとしての国民経済にも個々のミクロの国民生活にも大変重大な影響がありますので、いろいろ考えて、これの活用をうまく図っていきたい、今は基本的にこう思っております。

永田分科員 もう少しはっきりと御質問をしたいのですけれども、つまりコンピューターを使ったインターネットは、コンピューターさえ持っていれば、電話回線につながっていれば、あるいは光通信回線につながっていれば、だれでも自由に見ることができるという点においては非常に放送に近い機能を持っているとは思うんですが、一方で、電話というのは一対一の情報のやりとりの側面がコンピューターを使ったインターネットよりも強いのではないかというふうに私は思います。

 ですから、コンピューターを使ったものと電話を使ったもの、もちろんコンピューターも電話回線につながってはいるのですが、やはり電話の場合には、どの受信機が、どの電話機が受信をしているということが特定できるという面において、より一層通信の側面が強いのではないかというふうに思いますが、その点については大臣はいかがですか。

小坂副大臣 では、私の方からお答えをさせていただきます。

 インターネットの性格については、技術の進歩によって、通信的な面からより放送的な面へだんだん移行していくのではないかと思われるのですね。それが通信・放送の融合と言われている現象だと思うのでございます。

 委員のおっしゃるように、今電話機という端末でインターネットが見られるようになる。しかし、放送のように、いわゆるプッシュ型といいますか、送り込んでこられるようなものではなくて、こちらからとりにいく、プル型といいますかね、そういう意味ではより通信的な性格がまだ強いわけでございます。

 そういう意味で、インターネットの進展によりまして、将来は一斉放送と同じように送り込まれてくるという性格がより強まってまいりますし、放送と同じようなコンテンツがこのインターネットの回線を通じて提供されるという時代になってまいりますので、それに備えて私どもも対応していかないといけないと思っておりますが、現在のところではそういう認識でございます。

永田分科員 さて、前置きはそれぐらいにして本題に入りたいのですが、昨今、このインターネット技術を活用したNHKの番組の二次利用、二次放送が、新聞協会などから、これはおかしいのではないか、問題がある業務ではないかというふうに言われております。

 まずもってNHKは、放送法ですか、この設立根拠法によって、「協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を」行う、こういうことが規定されております。放送か通信かはっきりしない、要するに、技術の進歩でその中間的な機能、役割を持っておると考えられるインターネット技術を使って番組の二次利用でニュースを流すということは、放送法ですか、設立根拠法の第七条の目的規定を逸脱するものではないかというふうな議論がございますが、それについては大臣、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 これは特に新聞社の関係者を中心に大変議論されてきたことでございますが、今委員言われましたように、現行の放送法第九条第一項で、NHKの本来業務は国内放送、放送及び受信の進歩発展に必要な調査研究、国際放送云々、こうなっていますね。それで、今委員が言われたインターネットによる例の何とかニュース、これは本来業務ではないとは思います。しかし、この同じ放送法の中に、NHKは附帯業務ができると。本来業務に対する附帯業務がある。

 そこで、いろいろな議論があるのですが、総務省の方でも附帯業務の範囲について内閣法制局等ともいろいろ相談をいたしまして、例の「いつでもニュース」が附帯業務として解釈できるかどうか、こういういろいろな相談をしました結果、本来業務と密接な関係があるし、二次利用だし、しかも経費的にもわずかだし、受信料を払っていただく方とのバランスもそれはそれでとれていると考えられるし、附帯業務だろう、附帯業務である、こういう結論になりましたので、附帯業務として総務省としてはNHKのあの放送を認めているわけであります。

永田分科員 まず冒頭、一つお断りをするのを忘れておりました。放送と言論の自由の立場から、NHKに対しては総務省の監督ないしは指導が非常にききにくいということは私も存じております。今までもあるいはこれからも、質問することについては、事業計画、予算に対して総務大臣は一応意見を出せるようにはなっているようなので、そのような意見を含めて、間接的な指導や、要するに本当に意見を言っていくということが大切なのではないか、そういう立場で質問をしておりますので、御理解をいただきたいと思います。

 さて、今大臣から御答弁がありましたとおり、確かに放送法の第九条の頭書きは、「協会は、第七条の目的を達成するため、次の業務を行う。」その第二項の中で「協会は、前項の業務のほか、第七条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。」さらにその二で「前項の業務に附帯する業務を行うこと。」このようになっております。

 私も実は役人の経験がありまして、二年ぐらい前までは運輸省に出向しておって、そこで運輸施設整備事業団という特殊法人を担当しておりました。総資産九兆二千億円というとんでもなく大きい法人だったのですが、そこでも、法人あるいは役所の中から、この法人を使って次のような業務を行わせたいけれどもどうかというふうな質問がたくさんありました。もちろん、本来の業務規定に書いていないものもこれからはやっていきたいという議論があるものですから、それは果たして本来の業務規定を書きかえて新規業務として追加すべきか、ないしは附帯業務として、あるいは付随業務などとして読むことができるのではないかというような議論は中で内々やっておりました。

 しかし、私がその特殊法人を担当しておりました経験からすると、このNHKのニュースの二次利用、インターネットで流すということはやはり附帯業務として読むのはかなり難しいのではないかという印象を受けております。

 なぜかと申しますと、まず第一に、この第九条の第二項というのはいわゆる目的達成業務、法人が目的を達成するための業務を行うことができるという規定なんです。目達業務の附帯業務ですね。言ってみれば、これは本来業務からかなり遠いところにあるものとしてお認めになった、そういう印象を受けるわけですね。

 では、附帯する業務というのは一体どういうようなメルクマール、どういうような基準があるときに附帯業務として認められるかという話をしますと、これはその法人の資産とか施設、そういったものを使って、とりあえずこれぐらいのことはできて、しかも公益性の観点からそこそこ意味があるからちょっとやらせてよ、本来業務と違うのは百も承知だけれどもちょっとやらせてよ、こういうようなことをやるときに附帯業務というものを使うのだというふうに私は実は法制局の先輩に聞いてまいりました。

 であるならば、果たして附帯業務として認めることが正しいことかどうかということを議論しなければならないわけですけれども、附帯業務ならば何でもやっていいかというと、そうじゃないのですね。やはりここでは縛りが入っていまして、第九条第二項では、「第七条の目的を達成するため、」こう書いてあるわけですよ。目達業務の中で附帯業務をしなさいということですから、では、果たしてどういう目的を達成するためにこのインターネットによる二次利用が認められるとお考えになったのか。それは、第七条の目的に立ち返らなければならないと思います。

 この目的規定の中のどこの目的を達成するためにインターネットによるニュースの二次利用を認められたのか、お答えをいただきたいと思います。この質問は、ちなみに通告した質問からかなり掘り込んだ質問も入っていると思いますので、お役所の方でも構いません。大臣、副大臣の答弁にはこだわりません。

小坂副大臣 永田委員は大変研究をされておられますので、大変議論が深まるような気もいたしますけれども、附帯業務というのは、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、明確にこれは附帯業務であると書いてあるわけじゃないものでございますから、委員も御指摘のとおりでございますが、内閣法制局等とも調整をして、これが本当に法律上読めるかどうかということも一応検証しながら、私どももこの範囲を認めてきたわけでございます。

 その中で、今委員が御指摘になりましたように、本来業務との関係でどうだといいますと、このインターネットの放送内容が本来業務である放送と密接な関係があるということは、これはお認めいただけると思うのですね。また、規模が、では本来業務と比してどうだというと、これは業務量とかそういう面から見て非常に軽微であるということでございます。さらに、受信料を財源としていることから、受信料負担の公平性の観点からどうだ、こういう視点もあると思うのですが、こういった観点からでも、費用的にはウエートからすれば非常に軽微である。こういうような観点も踏まえて、そしてなおかつ、放送で流している内容というのが、ニュースを伝えるということはできるだけ早く、幅広く、また見損なった方にもできるだけチャンスを持っていただく、そんなようなこともありますものですから、これは附帯業務の範囲に入るだろう、そういう解釈でございます。

永田分科員 しつこいようで申しわけないのですけれども、確かにインターネットで二次利用をすることが国民の福祉にも非常にいい影響を与え、またNHKの考えているあり方というかNHKの業務のあり方というものに極めて沿ったものであるということは、私も理解をしています。しかし、非常に細かいようなんですが、どう見ても第七条の目的規定のその目的を達するためにという部分が私にはわからないのですね。

 確かに附帯業務かもしれません。しかし、附帯業務というのは、あくまで目達業務の中で附帯業務になっていますから、第七条のどの目的を達成するために発生する附帯業務であるということが明確になっていないとやはり問題なのではないかというふうに思うわけですね。

 もちろん、総務省は、先ほど申した理由でNHKに対して指導監督が非常に弱い力しか持っていないわけですから、直接的な指導はできないかもしれません。しかし、少なくともこの点について明らかに理由を付して指導する、意見書に盛り込んでNHKに対して物を申すということはあってもいいのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 私も七条をつくづく見たのは久しぶりなんですが、七条は、「協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、」そこから例えば国内放送、国際放送となるので、私は、この目的には今のインターネットによります「いつでもニュース」というのは沿っていると思いますよ。少なくとも七条が基本的に考えている目的には沿っているし、先ほど小坂副大臣が言いましたように、本来業務と密接な関連があるし、二次利用だし、経費も僅少で、受信料を払っている人とのバランスもとれる。

 そこで、附帯業務を限定的に考えるか、幾らか緩やかに考えるかというところの議論だろうと私は思いますが、少なくともトータルで考えて、その「いつでもニュース」が大変なデメリットを出している、マイナスをあちこちに与えているということはないと私は思いますね。法制局との解釈でも、これは完全な文理解釈、公正論ですから、その上でもクリアできるなら、私は、七条の目的に沿っている、こういうことで附帯業務にしたわけであります。

永田分科員 大臣の御所見を伺いましたので、次に進みたいと思います。

 さて、先日NHKの職員の方が私の議員会館の部屋にお見えになりまして、平成十三年度の収支予算、事業計画及び資金計画、私たち特殊法人担当者ではいわゆる三点セットと呼ばれる三つの書類を一つにまとめまして御説明をいただきました。大変大きな六千数百億円の年間予算が組まれているというお話ですが、この事業計画のどこを見てもインターネットによる「いつでもニュース」という事業は出てこないのですね。これは事業計画には書かなくてもいいのですか。

片山国務大臣 これは考え方なんですが、今まで事業計画は本来業務中心に記載してきましたので、附帯業務の細部までは記載していないというのが例になっているのですね。現に、NHKがやるいろいろなイベントだとか、例えば放送博物館、そういうものの運営については事業計画に記載されていないのですよ。

 ただ、今委員の言われるような気持ちはわかるので、附帯業務は全部カットしてもいいのか、この辺の議論はあると思いますので、NHKともその辺の記載のあり方については今後よく協議していってもいいと思います。

永田分科員 大変前向きなお話でうれしいと思います。

 というのは、本当に小さいことにこだわっている、これは役人的な細かさだなというふうに見られるかもしれません。しかし、NHKというのは、先ほども申したとおり総務省の監督指導が非常に弱いきき方しかしないところですから、結局そのコントロールはではどうやってやるのかというと、国会でこれを承認するかどうかだというそれだけの話なわけですね。そうすると、国会で承認をされれば、要するにインターネットの「いつでもニュース」のことが書いていなくても、書いていない紙を国会で承認した場合であってもできるんだということになると、では一体何がこれをコントロールするんだ、何がこの事業計画に書かれていない業務をコントロールするんだというと、全く手段がないわけですよ。これではまずいなと思うわけですね。やはり六千数百億円の予算を組んでいる大きな法人ですから、ある程度はみずから厳しくNHKは考えて、それでできるだけ細かく事業計画に書いていく。普通の法人だったら、附帯業務は全部書かない、そういうような法人もあるわけですけれども、みずから厳しくここに盛り込んで国会の承認を受けるということが大切なのではないかと思いますので、ぜひ今後、機会がありましたら、大臣からのNHKへの意見の中に盛り込むことを御検討いただきたいと思います。

 そして、ちょっともとに戻るような気もしますけれども、予算の中に事業収入とありまして、受信料、交付金収入、副次収入、財務収入、雑収入、特別収入というふうにあるわけですが、実は、また「いつでもニュース」の話で申しわけないのですけれども、インターネットの、コンピューターを使って普通にホームページで見ている「いつでもニュース」、これは無料です。しかし、携帯電話でやるものは月に百円取るのですね。この百円取る収入というのは、ここでは一体どこにカウントされるのですか。もしもお役所の方でもおわかりになりましたら、教えてください。

小坂副大臣 サービス料の部分は、インターネットの送出業務そのものはNHKの子会社が行っておりまして、そこが徴収をいたしております。

永田分科員 ということは、連結になっていない予算書の中では恐らくどこにもカウントされていないというふうになっているのだと思います。

 さて、考え方として、番組の二次利用でインターネット技術を利用して電話にニュースを流す場合と、ホームページにニュースを流す場合、料金を取るのと取らないのと差があるのは一体なぜなんですか。

小坂副大臣 ホームページで見る場合とおっしゃっているのは、NHKのホームページに入るのと、iモードというドコモのサービスとして料金を取る場合ということですか。私も定かでないので、ちょっと待っていただけますか。

八代主査代理 きょうはNHKは来ていませんか。(永田分科員「済みません、通告しませんでしたから。間に合わなかったものですから」と呼ぶ)

 片山総務大臣。

片山国務大臣 通告がありませんでしたので、役所の者があれしていますが、ホームページに流す方は、これはNHKがやっているわけですね。今のはiモードの方ですね。携帯電話の方はドコモがやっておりまして、これは営利会社ですから料金を取っている。NHKは御承知のように受信料で賄っている。こういう差だと思います。

 詳しくは調べさせますから。

小坂副大臣 若干の訂正をお願いします。

 ドコモがやっているからということじゃなくて、NHKの子会社がやっているからなんでございますが、質問の通告がなかったものですから、調べまして、個別に委員の方に回答させていただきたいと存じます。

永田分科員 本当に申しわけないです。通告もしていない、ちょっと掘り下げた質問になってしまって、別にきょうは詰め倒そうと思ってやっているわけではないので、そこは柔軟に考えていただきたいと思います。

 でも、料金で思うのは、要するに、NHKの正規の受信料を払っている人がこういうニュースを見る場合には、それはありだと思うのですよ。番組の制作費の一部を持っているという考え方はあると思うのですよ。しかし、そうでない人にもこの便益は漏れ出してしまうわけですよ。果たしてそこの公平、不公平の問題はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

小坂副大臣 受信料を払っている人が受けられるサービスとそうでない人のサービス、これはいろいろな観点があると思うのですね。

 例えば、NHKで国際放送をやっております。国際放送は実際には外国に居住される方が受信されることを目的としておりますが、その方々は受信料を払っていないわけですね。しかし、日本のニュースを海外に伝えていくというNHKの使命の上から、これは七条の目的に合致することとして実施をいたしております。

 そういう範囲から考えると、必ずしも受信料を払っている方が受信されることのみが目的とも言えないわけでございまして、例えば、NHKのラジオ放送の受信料を払っている方が、たまたまいろいろな関係でテレビのNHKの放送を受信されるという場合もあり得るかと思うのですね。そういったこともある程度、本来業務の範囲の中に大まかな意味で含まれていると考えるべきではないかと考えております。

    〔八代主査代理退席、主査着席〕

永田分科員 公平、不公平の問題、小さな問題であるからほうっておいてもいいんだという話は確かにあるのだと思うのです。そんなに大きな問題じゃないだろうということは、公平、不公平の問題については僕は多少あるのだと思うのですね。ただ、それはできるだけ小さくするという努力をしていただきたいと思います。

 その中で、前の前の質問と絡めてお話をしますと、要するに、電話で受信する場合には月に百円取っているのですね。ホームページにアクセスした場合には、事実上限界コストはゼロでやっているわけですよ。ということは、やはり、ホームページにアクセスしてニュースを見た場合であっても料金を取れる、あるいは普通の放送の受信料を払っている契約者しか見られないホームページにしてしまう。技術的には実は可能なんですね、なぜならパスワードを設定するということが非常に簡単にできるものですから。

 ですから、受信料を徴収する際、あるいは契約者に対して定期的に、今月はパスワードはこれですよというふうにお知らせをして、それを入力することによって初めてホームページのニュースが見られる、このような技術はいとも簡単に付加することができると思うのです。そのようなことを前向きに御検討いただきたいと思いますが、御意見、いかがでしょうか。

小坂副大臣 パスワードを設定して、そのパスワードを取得するために料金を払った人のみに受信できるような体系をとる、こうなりますと、これはNHKの本来業務との関係を再度考慮しなきゃいけませんので、その点からは現在認めるつもりはないわけでございます。

永田分科員 ただ、携帯電話でやるときは百円取っているわけですよ。子会社がやればできるんじゃないのかな、ホームページの方も。子会社がやって、パスワードを設定させれば、NHK本体がやらなくてもできるのではないのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 そこまでどう考えるかということです。今我々は基本的に、何度も言いますようにNHKは公共放送ですから、なるほど受信料を取った人を主として考えますけれども、しかし取らない人だって、公共性からいって、附帯的なものならそれは見てもらっても一つも構わない、こう思っておりますが、そこで料金の差があるのはどうか、これは一つのお考えですから、そこをどこまでどうやるのか。今副大臣が言いましたように、本来業務との関係を含めて検討はさせていただきます。どう結論が出るかはちょっと保証しがたいですけれども、検討はさせていただきます。

永田分科員 なぜここまで細かい話をしているかというと、実はこの議論は、各マスメディアの関係者からは、強く出しているところも弱く出しているところもありますが、かなり問題になっている。

 私が思うに、公共性、公益性をもとにして特殊法人という立場を持ち、また法的に受信料の強制徴収権を持っている、こういう法人については、業務のあり方で国民から、あるいはほかのマスメディア関係者から議論が起こった場合には、拙速にこういうような業務を始めることを認めるのではなくて、ちゃんと議論をして、場合によっては法改正をして本来業務に盛り込むということまでやって、国民的な議論、納得をしていただいてから進めるべきではなかったのかな。そんなに急いでやらなきゃいけないような話でもないのじゃないかという気が僕はしているものですから、あえて細かいところまで踏み込んでお話をしました。

 このことについては、要するに国民からわかりやすく整理をつけるために、今後も法改正を前向きに検討なさるおつもりはないのかということについてはちょっとお話を伺いたいのです。

小坂副大臣 一つ永田委員に御確認をいただきたいのは、NHKの受信料というものの性格なんですね。これは負担金でございまして、有料放送の料金ではないのですね。ですから、その辺を若干混同されますと、子会社でこれはできるとかできないとかという話になってまいります。

 また、子会社にやらせて料金を取るか取らないか、こういったものも基本的には公共放送事業者としてのNHKの方針でございまして、私どもが、こういうことをやったらどうだ、それについては放送の会社が必要かどうかとか、こちらからサービスをオファーしてそれを勧奨するというような形の関係にはないわけでございますね。

 したがって、受信者あるいは国民の皆さんからこういうサービスをやれということがNHKに要望として出されて、あるいはそういう要求を把握して、そしてNHKがそういったサービスを企画して、それについて監督官庁である総務省に対して見解を求められる、あるいは総務省としてそれに対してどういう取り組みをするか、そこで初めて法律改正議論とかそういった枠組みのものが出てまいります。

 しかしながら、今回の問題は、NHKがインターネットを通じたニュースを実験放送としてしたいというところからスタートいたしまして、それを恒常的に流すという形になる、その段階において私どもは附帯業務として認められるかどうかの判断を下したわけでございますので、その辺のところを御理解いただきたいと思います。

永田分科員 大変丁寧な説明をありがとうございました。

 それでは最後に、もう時間も差し迫ってまいりましたのでお伺いしたいのですが、事ほどさように総務省からのコントロールがききにくい法人であるということがありまして、その中で、やはりコントロールがききにくいということは、先ほど田中委員からも話があったとおり、特殊法人改革の歩みが果たしてどこまでNHKの中で進んでいくのかということに多少不安を覚えるわけでございます。

 実は、総務大臣意見という紙をいただきまして、この中にも、先ほどからの子会社の話も出てきています。あるいは、もちろん未契約世帯解消に向けた特段の取り組みとかコスト削減とかいろいろあるわけですが、やはり大臣が相当な関心を持ってこうした意見を述べられているんだと思います。ここに書いてあることだけだよとおっしゃるんじゃなくて、もう一度、NHKについては、例えば今何か改革が必要だ、あるいはここは変えなきゃいけないということがある、それを御認識なさっているのであれば、大臣はこれからNHKに対してはどのような変革が必要だというふうにお考えになるのか。雑駁ですが。

片山国務大臣 NHKが特殊法人であることは事実です。しかし、これは特殊法人の中でも特殊な特殊法人なんですね。特殊が二乗になる。しかも公共放送で、表現の自由という憲法の基本的なあれにもかかわる法人ですから、この扱いは慎重でなきゃならぬと私は思いますけれども、今回のインターネットの「いつでもニュース」は、附帯業務としてある意味ではぎりぎりのところだろうと私は思いますよ。

 それから、その他のマスコミの関係者のいろいろな反発、御意見、御批判も私は十分承知しておりますから、現在放送政策研究会というのをつくりまして、まだ単なる局長の私的な諮問機関でございますけれども、これからそこで今後のNHKのあり方については十分御議論いただいて、それを受けて我々もしっかりやっていこう。

 言われましたように、一般的な軽い薄い監督権しかありませんけれども、NHKのあり方、国民にも経済にも社会にも、いろいろな意味で大変大きな影響がありますので、そういう意味ではNHKのあり方をしっかりと議論してまいりたい、こういうふうに思っております。

永田分科員 最後に、要望といえば要望なのですが、NHKの子会社あるいは孫会社がNHKから直接のコントロールがきかない、あるいは総務省からのコントロールもきかないという中で、子会社、孫会社を非常に問題のあるつくり方をして、NHKの職員が天下りをしておるとか、ちょっと国民一般から見て、公共性をもとに、あるいは報道、言論の自由をもとに特別な配慮がなされている特殊特殊法人のあり方としては問題なのではないかというような議論も一部にあります。

 ですから、そういったことも、あり方を考える諮問会議みたいなものに丸投げするのではなくて、まさに大臣、副大臣一体となって、政治のリーダーシップを発揮して、みずから問題意識を持って改革に取り組んでいただきたいと思います。私の愛するNHKをよりよいものにするために、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

自見主査 これにて永田寿康君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川(鉄)分科員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、地域の顔ともなっております商店街の問題について、きょうはお聞きしたいと思っております。

 今、商店街は大変深刻な事態に置かれております。中小企業庁の商店街実態調査を見ても、商店街の皆さんの衰退、低迷という実感は合わせると九割を超えると言われております。都市部に住みながら、山間部のような買い物の不便を強いられる現状が広がっているのではないか。

 例えば、群馬県の伊勢崎市というところでは、郊外に大型店が進出をして、それこそ大型店ばかりが十数軒軒を連ねるような地域が生まれて、その一方で、中心商店街には八百屋や魚屋など生鮮品を扱う店がほとんどなくなっています。地元の方は、大型店が乱立している郊外が伊勢崎市で、中心部は伊勢崎村になってしまった、こういうような実感を語っておられました。

 また、東京都の中央区でも、本当に都心ですけれども、近所にお店がないために、奥さんがタクシーで高島屋まで出かけていって歯ブラシとサンマを買ってくる、こんなような状況もあるそうであります。

 また、アイデア商店街として知られている京都の商店街を訪問しましたら、そこの理事長さんが、テレビでうちの商店街の宅配サービスが紹介をされたら、横浜に住むお年寄りから電話があった、足が悪いのに近くにお店がないので、買い物はタクシーで行かないといけない、お宅の方でうちまで宅配してもらえないでしょうか、こういうふうに言われた、この話も紹介されました。

 このパンフレット、中心市街地活性化関係省庁連絡協議会、総務省も加わっておりますこの協議会が出されている「中心市街地活性化のすすめ」の中でも、「中心市街地の衰退・空洞化という問題が深刻化しています。このままでは、近い将来多くの街からその街の「顔」と呼べるような場所が消えてしまいかねません。」このように述べております。ぜひとも、こういう商店街の現状について、大臣の率直な御認識、受けとめをお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 今塩川委員からるるお話がございました。私は岡山県なんですが、出身は笠岡市という西の端の人口六万くらいの小さな市ですけれども、ただ、今全県が選挙区なものですから岡山市に住んでおりますけれども、岡山市や笠岡市を見ましても、本当に中心市街地は衰退しておりますよ。

 これはいろいろな理由があるんですね。昔の商店街と今は変わってきましたのは、消費者のニーズ、認識が変わってきたこと、それから競争が激しくなった、モータリゼーションで駐車場が要る、それから、今お話しのように、郊外に大型店が軒を並べてふえていますよね。それから、一番あれなのは、農林業と似ているのですけれども、後継者がいないんですね。私の知り合いの店でも、後継者不足で店を畳んだしにせがたくさんあるわけであります。

 このままではやはり商店街というのは、ショッピングというのが都市の魅力ですから、恐らく商店街というのはその都市の顔というのか、一つのチャームポイントですから、そういうものが衰退していくということは、都市の個性がなくなるし、地域が元気でなくなる、こういうことにつながると思いまして、大変私自身も心配しております。

塩川(鉄)分科員 大臣にお話しいただきましたように、郊外の大型店の問題、これは、いわば郊外に大型店が進出をすることで中心部から撤退をしているような事例も実際にあります。

 例えば、長野県の長野市のあの善光寺の通りで、そごうが撤退すると同時にダイエーがそこから撤退をして、郊外に大きな新しい店をつくる。そのために、今までダイエーの一階に食料品売り場があったのが、その売り場がなくなってしまって、近くに買い物をするところがなくなってしまった。そのために、あるお年寄りの方などは、それこそリュックサックをしょって、バスに乗って駅の反対側まで買い出しに行く、こういう事態なども生まれているということもお聞きしております。そういう意味でも、この中心市街地の問題についてのきちんとした対策が求められているだろう。

 その点で、平成十年の都市計画法の改正によって弾力化されました特別用途地区、これを大型店対策として都市計画決定をした事例はありますでしょうか。

山本政府参考人 都市・地域整備局でございます。

 御指摘のような目的で、特別用途地区を運用している事例はございません。

塩川(鉄)分科員 大型店規制については、これまでの国会での議論の中でも、立地の可否そのものは都市計画法を初めとするゾーニング規制でやるというお話がありました。

 しかし、ある政令市の幹部の方にお話をお聞きしましたけれども、この改正都市計画法で合意をとるのは大変難しい。特別用途地区を指定するには、その地域の相当程度の合意がないと無理になってくるわけです。地域が狭いと合意をとりやすいわけですけれども、地域外につくられたら無意味となりますし、一方、地域を広くとるとこの合意を得るのが大変だというふうにおっしゃっておりました。また、ある商工会議所の幹部の方は、都市計画の世界というのは五十年、百年の見通しを立てる世界じゃないか、現状では間に合わないんじゃないかというふうにもおっしゃっておられました。

 日商あるいは商振連なども加わっておりますまちづくり推進連絡協議会が作成した冊子「まちづくり条例をつくろう!」の中でも、国も対応に乗り出してはいますが、町は刻一刻と変化し、常に開発の危険性にさらされていることを考えると、国の制度が充実するのを待つ時間はありません、こういう思いでの対応が必要だということを訴えております。こういう切迫した思いがあるわけです。率直に言って、国の制度が間に合っていないんじゃないか。その点で、私は、やはりヨーロッパなどでの事例に学ぶときではないかなと思っています。

 そこで、大型店の出店規制にかかわって、フランスやドイツ、イタリアの規制の実態がどうなっているのかについて御説明をお願いします。

本村政府参考人 お答えいたします。

 フランス、ドイツ、イタリア等におきましては、都市計画の観点あるいは商業規制の観点から、大型店の出店に関する規制が行われていると承知しております。

 フランスにおきましては、昨年、商業・手工業の方向性に関する法律、通称ロワイエ法と呼ばれておりますけれども、その中に大型店の出店に関する規定がございますが、これが商法の方に移されて、これらの規定に基づきまして、売り場面積三百平方メートルを超える店舗の新設等が事前許可の対象とされております。また、売り場面積が六千平方メートルを超える計画の場合には、種々影響がございますので、公聴会の開催等が必要とされております。これらの審査につきましては、その地域の需給関係とか大型店の密集度、商業、手工業者への影響、それから雇用への影響、環境保護等の要素を考慮して行われていると承知しております。

 それから、ドイツでございますが、ドイツにおきましては、連邦建設法及び建設利用令に基づきまして一般的な建築物許可制度がございますから、そのもとで、一定の条件の大型店につきましては、原則として都市の中心部または都市計画で指定された地域にのみ立地が許されていると承知しております。

 それから、最後にイタリアでございますけれども、商業基本法及び小売店舗営業時間法が廃止されまして、九九年四月からは商業規制改革法が施行されております。

塩川(鉄)分科員 ヨーロッパなどでは、地域コミュニティーの核として商店街を守ることが当たり前となっていると思います。

 今お話しいただきましたように、フランスでは、大型店の出店に当たっては公共調査、影響調査ということが義務づけられており、都市圏の均衡や地方への影響、競争の確保、雇用への影響、環境保護、商業施設の近代化、こういう六項目などが調査項目となっているそうです。いわば経済的側面、社会的な側面、国土整備の側面のそれぞれから、しっかりとした対策をとっております。ヨーロッパでは、地域経済の活性化や環境改善の見地から、大型店の進出を規制して、地域商店街の振興に乗り出すという実例がふえています。こういう取り組みに大いに学ぶべきだと思いますけれども、担当の方の御説明をお願いします。

杉山政府参考人 大型店の出店に関します規制につきまして、従来、いわゆる大店法によります店舗面積の調整などを通じた、いわば大型店と中小小売店との商業調整というものが行われてきたわけでございますが、近年の小売業を取り巻きますさまざまな環境変化、例えば、御指摘がございました立地の適否について判断する機能が従来の大店法にはないといったような点を踏まえまして、平成十年の国会におきましていろいろ御審議を賜りました。

 その結果、大店法を廃止いたしまして、いわゆる町づくり三法によって、地域社会との調和のとれた大型店の出店のあり方と地域の振興策、こういった方へ政策の転換が図られたところでございます。具体的には、改正都市計画法を中心としますゾーニング的な手法、あるいは新しい大店立地法によります、大型店の周辺の地域の交通とか環境問題、こういったいわゆる生活環境の問題に対する規制、それから、こういった規制とは別に、中心市街地の活性化を図るためのいろいろな支援策を講ずる、こういうセットにしたわけでございます。

 今委員が御指摘ございましたように、フランスにおきましては、中小小売業への影響等を考慮した大型店出店の許可制というものが採用されておるわけでございますが、他方、イギリスだとかドイツといった国におきましては、我が国と同様に、都市計画の観点からの規制によって大型店の出店の適否を判断するという考え方が採用をされているわけでございます。

 いずれにいたしましても、この町づくり三法というのは、平成十年の国会で十分御審議をいただいて成立をしていただいたわけでございますので、私どもといたしましては、その立法の趣旨を十分踏まえながらその施行に努めていきたいというふうに考えているところでございます。

塩川(鉄)分科員 ドイツのお話もありましたけれども、ドイツのように決めた場所しか建ててはいけないという法体系と、日本のように、一部規制しても、あとは基本的に原則建設可能という仕組みでは大きく違うわけです。

 今、長引く不況の中で商店の皆さんは懸命な努力をされていらっしゃいます。地域の住民の方と一体となって頑張っておりますが、どんなに努力をしても、大型店の一方的な出店や退店が行われればその努力も実らないという状況がある。私は、やはりこの町づくり三法を見直すべきときだと考えます。

 大型店の身勝手を許さないルールを確立するとともに、今商店街活性化のために行うべきことは、地域の共有の財産として商店街の役割を正しく位置づけて、それにふさわしく商店街の経営基盤を効果的に支える支援を強めることだと思います。大臣も後継者不足のことをおっしゃられた。まさにその後継者の方を励ます取り組みが必要ではないか。商店街の自主的な努力を大きく支援する取り組みが求められておりますし、その際に、地元の人の知恵や工夫を最大限生かすことを支援すべきときだと思います。

 そこで、今政府の方で把握されております全国の商店街の数が幾つあるか、御答弁をお願いします。

羽山政府参考人 全国の商店街の数につきましては、法人化された商店街組織といたしましては、平成十二年の三月現在で、商店街振興組合が二千六百三十、事業協同組合が千六百八十二存在いたしております。なお、このほかにも多くの任意の商店街が存在をしておりまして、平成十二年の私どもの商店街実態調査において確認できましたのは、先ほどの法人化されたものを含めまして、一万百六十となっております。

 なお、商店街の定義が異なるという問題はございますけれども、平成九年の商業統計では、全国に一万四千七十の商店街が存在するといったようなデータもございまして、これらのことから、一万数千の商店街が存在するというふうに考えております。

塩川(鉄)分科員 平成十二年の一万の商店街のお話を伺いましたけれども、平成七年の一万八千の数字というのも以前伺いました。これは、担当の方からお話を伺いまして、この一万八千の商店街を本当に一生懸命追いかけて連絡をとって、しかし実際に把握が可能だった数字がこの一万だということも伺いました。ここに今の商店街の現状があらわれているんじゃないか。つまり、連絡をとっても実際に連絡先がつかまらない、そういう実態がつかめないところに今の商店街の置かれている現状がよくあらわれているんじゃないか。中心市街地の空洞化対策も必要ですけれども、それにとどまらず、中心市街地外の周辺の商店街も視野に入れた取り組みが必要なときだと思うんです。

 私は、この間、各地で、いろいろな商店街の取り組みについて商店街の幹部の方や行政の担当者の方からお話を伺いました。高知市の担当者からお話を聞いた中で、大変示唆に富むお話を伺いました。

 中心部以外の周辺商店街への支援として、地域の住民の方と商店街が、ワークショップを通じて、地域密着型商店街づくり事業、こういうのを今年度から実施しているそうであります。どこにでもあるような、万々商店街というのがあるそうですけれども、こういうパンフレットをまとめておりまして、この万々商店街では、市の方の音頭で地域に六千枚のチラシを配る。そうしましたら、そのチラシを見て、この商店街活性化にぜひとも一言述べたい、参加をしたいという方が十五人も地域からいらっしゃったそうなんです。

 こういう十五人の方と商店主の方、それから市の担当者の方が加わって、三つの班をつくって、その三つの班がそれぞれワークショップを開催したそうです。また、地元の小学校五年生から意見を聞く、こんな取り組みもやったそうです。意見の出し方も、商店街のあそこがだめだとかここがだめだとか、こういう話にするんではなくて、ここがどんな商店街だったらいいのか、理想の商店街というのはどういうものか、こういう角度で投げかけて議論をしたそうです。

 それぞれこの三つの班で、ここにまとめられていますように、常に情報を発信している商店街とか、互いの顔を知っている商店街とか、個性的で魅力あるお店や名物のおじちゃん、おばちゃんがいて、訪れる人でにぎわっている商店街とか、こういった報告をまとめて、それを踏まえた商店街活性化事業計画を作成したそうであります。こういう取り組みの予算規模はどのくらいですかとお伺いしましたら、会議の会場費ぐらいですから二万円ぐらいですというふうにおっしゃっておられましたけれども、そういう成果がこれにまとめられているわけです。

 私、ここにやはり地域の住民の方と商店街と行政が一体となって取り組んでいる姿というのが大変よくあらわれているんじゃないか、そこに理想の商店街を目指すという共同した取り組みが力を発揮するんではないかということを感じました。

 また、高知市は、日曜市、街路市で有名であります。この前も、こういう全国朝市サミットというのを開いたそうですけれども、日曜日には六百店も店が軒を連ねるような大規模な街路市が高知市内で行われております。

 私、この街路市の話を伺って思ったのは、もちろん観光資源としてもこの市が大きな役割を果たしていますけれども、経済的にも、地元に住む方がお店を出すことで地元のお客さんから収入を得ることによって、いわば収益の地域還元というのが行われておりますし、また、ここで商売をされている方の七割が女性、また、やはり七割が六十歳以上ということを考えても、地元雇用の確実な確保につながっているということも伺いました。さらに、幾ら年をとっても頑張れるという、いわば生きがい対策にもなっている、こういうことを誇りを持って語っておられました。ここに商店街の、大型店にない、いわば地域共有の財産としての役割が示されているのじゃないかということを感じています。

 東京都でも、都の商工指導所の調査で、元気のある商店街に共通していることは何か、それは、魚屋とか八百屋とか肉屋さんなどの生鮮三品のお店があり、総菜も加えて四品ということもあるそうですけれども、しかも複数のお店が競い合う、これによって商店街が元気だということが明らかとなりました。私ども日本共産党の都議団の提案もあって、生鮮食料品店の空き店舗対策などに取り組んできているそうであります。また、従来の都の業種別の支援事業というのがあらかじめ用意したやり方を押しつけるような格好のメニュー方式だったものを、それぞれの業者団体が提案をする、その中身を尊重するプロポーザル方式に切りかえた、これも大きな力になっているということを伺いました。

 このような、地域で取り組んでいる積極的な支援策を国としても大いに後押しをすべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

羽山政府参考人 商店街の振興につきましては、従来より、厳しい環境下に積極的に対応しようとする商店街の組合などに対しまして、アーケードやカラー舗装などの商店街の施設整備に対する、いわゆるハードに対する補助だけではなくて、商店街が行う空き店舗対策ですとか環境問題、高齢化対応、こういったようなソフトな事業に対する補助といった各般の施策を講じてきているわけでございます。

 今後とも、私どもといたしましては、ハードに対する整備だけではなくて、先生今御指摘のございましたようないろいろなソフト面の事業に関しましても、手厚く補助をして振興を図ってまいりたいと思っているところでございます。

塩川(鉄)分科員 商店街の社会的な役割にふさわしく、国の予算も大幅にふやすことが必要ではないかと考えます。それなのに、例えば商店街の空き店舗対策に今度から三分の一の地元負担が導入されます。伊勢崎のある元気な商店街の理事長さんは、商店街の取り組みで何が一番大事かといえば、とにかく空き店舗を一刻も早く埋めることなんだ、このことを強調されておられました。この補助率のカットは撤回すべきではないでしょうか。

羽山政府参考人 ただいま御指摘のとおり、空き店舗対策に関して支援を行っております商店街等活性化事業につきましては、平成十三年度予算案におきまして新たに受益者負担を求めることとし、国及び都道府県などの補助率は従来の二分の一ずつから三分の一に改定することとしております。これは、事業の対象となります受益者の方々の真剣な取り組みを促し、施策効果をより高めていくことを目的にこういったことを導入するということでございます。

 なお、商店街等活性化事業の実施に当たりましては、その対象を先進的事業に限定してきておりますのを改めまして、商店街の活性化に資するものであれば広く対象とするといったようなことですとか、予算額の大幅な増額を図るといったようなことも盛り込んでおりまして、意欲ある事業者にとりまして少しでも使いやすくなるような工夫をすることとしているところでございます。

塩川(鉄)分科員 ある市の商工担当の方から、補助率をカットして地元負担をふやすというのは地域の実情が本当にわかっているのか疑問だ、もっと地域の実情に合わせたきめ細かい施策をとるべきなのに、それを後退させるというのは逆行しているのじゃないか、こういう声もいただいております。

 そういう意味で、私は、実際の商店街の支援の取り組みをする上で、商店街の活動のいろいろな取り組みのかなめとなっている商店街の事務局、ここへの人件費補助に取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

羽山政府参考人 今先生からも御指摘がございましたとおり、各地の商店街が効果的な活性化を図ってまいりますためには、それぞれの地域におきまして地域の実情に応じた取り組みを先導できる、企画力や指導力のある人材が中心となっていくことが重要であるというふうに私どもとしても認識をしております。このため、中小企業庁といたしましても、商店街におきます事務局機能の強化ですとか、マネジメント能力の向上に向けた取り組みを積極的に支援してきているところでございます。

 平成十三年度予算におきましても、商店街に対する事務局強化アドバイザー派遣事業というものを大幅に拡充いたしまして、現在最長で九十人日であるわけでございますが、これを百九十人日まで派遣することを可能にするといったようなことですとか、商店街に専門家を常駐させて、商店街の経営環境の調査分析や活性化のための事業を行う取り組みに対する支援措置の創設など、施策の充実強化を図っているところでございまして、今後とも積極的な支援を講じてまいりたいと思います。

 なお、百九十人日は、百八十人日まで可能にするようにするの誤りでございます。

塩川(鉄)分科員 日数を延ばして百八十日というお話を伺いましたけれども、日数は延ばしても、一定日数以上はやはり三分の一の自己負担が導入されるということ、ここにも本当に使い勝手のいいものになるのだろうかという思いがします。そもそも、よそからコンサルタントを呼んで花火を打ち上げてもなかなか力にならない。私は、やはりその地域に根づいた人でこそ本当の力になる商店街振興策がとれるのではないか、そこに商店街事務局への人件費補助の値打ちがあるのではないかと思うんです。

 私は、今いろいろな全国の事例を学びながら、地域共有の財産としての商店街の役割は、住みやすい町に本当に欠かせないものだと思います。気軽に歩いて買い物ができるなど地域住民の日常の暮らしを支えている面ですとか、町づくりや子供の教育環境の問題、地域の防災の担い手という地域社会を支える役割も果たしておりますし、商店街が地域経済を支えるという面でも、収益の地域還元や地元雇用の確保などにもつながっております。また、複数の同業の店舗が競い合うことを通じて小売業者間の競争を公正なものにして、商品の適正で安定した供給にも貢献しているのではないかと思うんです。

 このような地域共有の財産としての商店街の振興に大いに力を尽くす、こここそ今の政治が力を入れるべき出発点ではないかと思うんですが、大臣の率直な御感想、御意見をお願いいたします。

片山国務大臣 商店街の振興ということは地域の振興の大きな目玉だ、私はこう思っております。中心市街地につきましては、関係各省の皆さんが来られてるるいろいろな説明をされましたが、今委員の方からいろいろなことを指摘していただいて、やり方で改めるべき点は私は改めて、実情に沿ったような振興策をとる必要があると思います。それから、中心市街地だけじゃないのですね。周辺部というのも必要なんで、周辺部の商店街をどうやってまたちゃんとやっていくかということも大きな課題だ、こう思っております。

 私どもの方では、前から、地方団体が商店街振興のために計画づくりやイベントをするソフト事業、あるいはポケットパーク、多目的広場、街路灯の整備等のハード事業については、地方交付税と地方債を組み合わせた対策をとっておりますので、お申し出があればしっかりしてそういう地方財政措置を導入したい、こう思っておりますが、地方団体が本気で考えて、本気でいろいろなアイデアを出して、本気で取り組んでいただくということがまず必要だ、こう思っております。我々はそれを応援するサポーターですから、一番の地方団体に大いに元気を出していただきたい、こう思っております。

塩川(鉄)分科員 周辺の商店街が、本当にそれを支える取り組みが必要だというふうに思うのです。実際に中小企業庁の調査でも、商店街の定義そのものがどういうものかという点で御議論があるということで、そういう意味でも、改めて商店街というものをしっかりと決めて、実態調査をしていただく必要があるのではないか。ぜひとも大臣の方から関係省庁にも声をかけていただいて、商店街の実態調査をきちっと行う、こういうことにぜひ取り組んでいただきたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。

片山国務大臣 今御提案いただきましたので、関係の省庁とよく相談いたします。

塩川(鉄)分科員 終わります。ありがとうございました。

自見主査 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時三十一分散会




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