衆議院

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第1号 平成14年3月1日(金曜日)

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本分科会は平成十四年二月二十六日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十八日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      野田 聖子君    葉梨 信行君
      細田 博之君    八代 英太君
      赤松 広隆君    城島 正光君
二月二十八日
 八代英太君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十四年三月一日(金曜日)
    午前九時三分開議
 出席分科員
   主査 八代 英太君
      伊藤信太郎君    葉梨 信行君
      細田 博之君
   兼務 山名 靖英君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   総務副大臣        若松 謙維君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  野田 聖子君     伊藤信太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     野田 聖子君
同日
 第六分科員山名靖英君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
 (総務省所管)


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     ――――◇―――――
八代主査 おはようございます。
 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ所属の本務員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られない状況でございます。
 再度事務局をして御出席を要請いたさせますので、若干、少々、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
八代主査 では、速記を起こしてください。
 御出席をただいま要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めたいと思います。
 私が本分科会の主査を務めることになりました八代英太でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 本分科会は、総務省所管につきまして審査を行うことになっております。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算中総務省所管につきまして審査を進めたいと思います。
 政府から説明を聴取いたします。片山総務大臣。
片山国務大臣 平成十四年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。
 一般会計の予算額は、十八兆五千五百二億九千八百万円であります。
 本予算案は、今日の我が国を取り巻く内外の厳しい情勢のもとで、経済社会構造を抜本的に改革し、我が国の持つ潜在力を発揮できる新しい仕組みをつくり上げることが必要とされていることを踏まえ、行政改革の推進、地方分権の推進、IT革命の推進等を重点的に推進するとの考えに基づいて取りまとめたものであります。
 以下の事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。
 よろしくお願い申し上げます。
八代主査 この際、お諮りをいたします。
 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略しまして、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
八代主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
八代主査 以上をもちまして総務省所管につきましての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
八代主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守されまして、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山名靖英君。
山名分科員 公明党の山名靖英でございます。おはようございます。
 大変景気が低迷し、日本の経済が活力を失って、一日も早く総合的なデフレ対策等々重要な課題を抱えている今国会、そして予算委員会の審議、そういった中で、全く直接予算と関係ない問題で野党の諸君が出席を拒否されている、こういう事態について、まず心から残念に思いますし、遺憾に思うところでございます。
 さて、私は、昨日総務委員会におきまして質問をさせていただいたところでございますが、本日は引き続き確認を込めまして、片山総務大臣等にお聞きをしたいと思うところでございます。
 まず、昨日取り上げました外国人配偶者の住民票備考欄記載問題についてでございますが、昨日の質疑の中で若松副大臣から、総務省として文書による適切な対処を図ってまいります、このように大変積極的な御答弁をいただきました。大変喜んでいるところでございます。
 といいますのは、きのうも申し上げましたように、この問題は、日本に来て、そしていろいろな苦労を重ねて、日本人男性と結婚して子供までもうけた、そういう中で、いざ住民票をとってみると、自分の配偶者としての名前が記載されていない、私は一体何なの、こういう疑問といいますか叫びがあったわけであります。これにつきましては、総務省といたしましても本当に的確な判断のもと、「行政の窓」という小冊子に、問答形式で備考欄に記載しても差し支えない、こういうふうにあったところ、これが全国の市町村に十分行き渡っていない。そういう点で、窓口で依然として記載を拒否されている、こういう実態、これをもって昨日の質問をさせていただいたところでございました。
 公明党の地方議会の議員の皆さんが、大変今各議会で、定例会等でこの問題を取り上げておりまして、外国人配偶者の住民票備考欄記載につきまして原則記載が好ましい、こういう総務省見解を紹介しておりますけれども、対応に正直苦慮している市町村が相次いでいるというところでございます。その意味で、再度、文書によってこの記載が適当であるという旨の周知徹底を図っていただこうということになったわけでございます。
 そこできょうは、大変しつこいようで恐縮でございますが、大臣の口から、またより具体的に、正式にいつまでにこういった文書をお出しいただき、そして徹底方の指示をしていただけるのか、このことをお尋ねしたいと思います。
 といいますのは、二月、三月というのは入学を控え、あるいは就職を控え、あるいは移転を控えて、こういった住民票を添付しなきゃならない、こういう申請の時期でもございますので、これは早く周知徹底を図っていただかなければ意味をなさない、こういうことでございますので、この点について大臣の御答弁をよろしくお願いいたします。
片山国務大臣 今、山名委員からお話がありましたが、私自身も、これから国際化社会、それでいわゆる混合世帯が増加するという状況をかんがみますと、本人から申し出があれば備考欄に記載することがベターだと思います。
 したがいまして、恐らく昨日若松副大臣か局長かが御答弁したと思いますけれども、できるだけ早急に、三月中に、市町村に対しまして、そういう扱いが望ましいということの文書を出すようにいたします。
山名分科員 三月中ということでございますが、さっき申しましたように、大変そういう申請時の添付書類としての必要性という観点から、もう極力、むしろ三月の中旬ぐらいには徹底をお願いしたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いします。
 次に、きのうの質問の中で、御答弁いただいた問題で、いま一つちょっと理解ができ得なかった問題がございますので、再度きょうは御質問したいと思います。
 それは、地方自治法と住民基本台帳の関係についてでございました。すなわち、住民基本台帳法は地方自治法の趣旨を具体的に法制化したものであって、つまり、住基法の立法趣旨というのは、地方自治法に基づく地方自治制度の一環としての位置づけ、私はこういう認識を持っているんですけれども、この認識は間違いなんでしょうか。地方自治の上から、では、根源的な法律というのはどちらなんでしょうか。この点についてお尋ねをしたいと思います。
芳山政府参考人 ただいま御指摘がありました地方自治法と住民基本台帳法の関係でございます。
 住民基本台帳法が、四十二年に、前住民登録法を受けまして法律が制定をされました。そのときに、住民基本台帳法の附則第七条で地方自治法の一部が改正されまして、地方自治法の規定十三条の二が規定をされました。それで、十三条の二の規定につきましては、「市町村は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。」という規定が盛り込まれたところでございます。
 したがいまして、今委員御指摘のように、住民基本台帳制度は地方自治の一環として位置づけられたと我々も認識をしております。
 ただ、きのうも御指摘がありましたけれども、地方自治法上の住民の解釈でございますけれども、従前から、その住民には自然人及び法人の双方を含むということとあわせて、自然人にあっては国籍のいかんを問わないというのが地方自治法の規定であります。また、住民基本台帳法で言う住民については、法人は含まないで自然人のみでございますし、また、外国人につきましては、法三十九条により除外をされておるというぐあいに相なっております。
 これは、日本人であります者の居住関係の公証と、外国人の居住関係または身分関係の公証というのをどうするかということでございまして、これは今住民基本台帳法三十九条では除外されておりますけれども、別途外国人登録法でもって、身分関係、居住関係は公証するというぐあいになっておると両者の関係は把握しております。
山名分科員 そういうことだと思うんですが、ただ、地方自治法十三条の二にある「別に法律の定めるところにより、」云々、こういうことをうたっておりまして、その「別に法律の定めるところ」というのは、今も御答弁ありましたように、まさに住民基本台帳法、これで公証をする、こういうことになっておるわけですね。ということは、まさに地方自治法を具体的に、手続的に実現したものが住民基本台帳法、こういうことになることを確認させていただいたわけです。
 これは、旧自治省当時に、自治省の行政局振興課が出されました逐条解説にも明確に出されておりまして、地方自治法の一部が改正され、第十三条の二の規定が設けられたわけでありますが、この本法は、本法というのは住民基本法ですが、この地方自治法の規定に基づくものにほかならず、これによって住民基本台帳制度は、地方自治制度の一環として位置づけられているものである、このように書かれておるわけです。
 したがって、根っことなる地方自治法では、「住民の定義を市町村の区域内に住所を有する者」、こういうことで十条一項に規定をしております。また、「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、」云々、こういうふうにうたい、同様に、自治法を具体的に実現する住基台帳法では、その第一条に、この法律は、市町村において、住民の居住関係の公証、選挙人名簿その他住民に関する事務の処理を基礎とするとともに住民の住所に関する届け出の簡素化を図り云々、そして、もって住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする、このようにうたわれているわけでございます。
 先ほど住民等の定義の問題についてお話がございましたが、住民というこの定義、これを地方自治法以外に定めたといいますか、定義づけた、こういう法律なり条文はあるんでしょうか。
芳山政府参考人 今御指摘がありました住民の定義でございますが、地方自治法における定義の規定のほかに、住民ということを明確に位置づけた法律はないものと承知しています。
山名分科員 したがって、地方自治法に基づく住民たる定義、これがいわば法律上の唯一の住民たる定義の根拠法ということでございまして、したがって、国内法上、住民について明確な定義規定というのが実体法として地方自治法に存在しているわけですね、現実問題。これしかないわけです。
 ところが、地方自治法を具体的に実現しようと具体論としてあらわした住基法、ここの第三十九条には、「この法律は、日本の国籍を有しない者その他政令で定める者については、適用しない。」こういうふうに規定をしている。ここのところが私たち、納得、理解できないところでございます。
 この実体法たる地方自治法上で明確に規定されている住民である、日本人を含めて外国人世帯主あるいは外国人配偶者、こういう人たちを住基法上で住民として認めていないわけであります。排除している。日本国籍云々という国籍条項を設けて、住民たる外国人世帯主あるいは外国人配偶者をいわば適用外にしている。これは何に基づいてそういう規定にしたんでしょうか。
芳山政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、住民基本台帳法の趣旨、目的でございますけれども、住民の居住関係の公証ないしは選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするというのが住民基本台帳法の趣旨だろうと思っております。
 それで、先ほど申しましたように、日本人であります者の居住関係の公証については、住民基本台帳法でやるというぐあいになっておりますけれども、今御指摘がありましたように、自治法との関係でいいますと、確かに、住民はすべての外国人も含んだすべての住民というぐあいで、別途法律でその部分は定める、それは住民基本台帳法であるというのは我々もそう理解しております。
 それで、住民基本台帳法の制定に当たって、三十九条で外国人をその場合除外した理由ということでございますけれども、外国人の居住関係ないしは身分関係をどうするか、立法政策の問題として、やはり両者の身分関係なり公証関係の把握の仕方についてはちょっと違った法律体系にするというぐあいに制度上、立法上なっていると思います。
 なぜそうなっているかということでございますけれども、やはり日本国籍を有する者につきましては、当然我が国に居住し生活することが認められる日本国の構成員であるということでございますが、一方、外国籍を有する者につきましては、日本国の主権に基づいて許可を受けて入国する、ないしは在留についても生活するにも同じく許可が要るというようなことでございます。
 そういう立場の違い、日本国籍を有する者と外国籍を有する者との基本的な相違に基づいて、住民基本台帳または戸籍制度に基づいて日本国籍を有する者については把握をする、また外国人については居住関係や身分関係を把握するというぐあいに、立法政策としてやっているものというぐあいに理解をしております。
山名分科員 日本に来ている外国人全般といいますかをフォローする、登録し、そして管理をする、こういう意味での外国人登録法があるわけでありますが、それはそれで、日本の主権、その意味からも許可制にしているといいますか、こういう点は私は一定の理解ができるんですが、今問題にしているのは外国人配偶者なんです。日本人の男性と、少なくとも結婚し、子供を産み、家族を構成し、地域に居住し、そして税金を取られ、日本の社会で本当に、日本の風習や生活にしっかりなじんで、そしてコミュニティーを形成している。これは通常の外国人とはいささか意味合いが私は違うんではないか、こういうふうに思っているんです。
 問題の、この外国人配偶者住民票記載問題は、まさにこの三十九条の国籍条項が大きな壁になっているわけでございまして、今回、備考欄への記載というのは、そういう壁をいわばかなり強い意志で打ち破っていただいたともいうべき画期的なことだと思っているんです。
 そういう点で、行政当局の皆さんの御努力に私は本当にすごい感謝を持っているわけでありますが、いわば日本人の妻であっても外国籍だから外国人登録の中で掌握するしかないんだ、全く別の存在であるんだという、ここのところの感情論ともいうべきこの問題は、やはりこれからも引き続いて出てくると思いますし、もっと、あえて言うなら、なぜ私は備考欄なのということにもこれはなるわけであります。家族として構成しているその一人ですから、夫と同じように、子供と同じように、ちゃんとした欄に載っけてもらいたいという気持ちは、私は当然だと思います。
 少なくとも、大臣もおっしゃったように、国際化社会の中で日本の置かれている立場というのはこれからますます重要になってまいりますし、長年鎖国の中で、日本特有の排他的意識と言えば言い過ぎかわかりませんが、そういったものがやはり根強くある。私は、この法律の法体系、いろいろな歴史的な流れを見ながら、そういったものも若干感じざるを得ないわけであります。
 ともかく、人権国家として日本が、新しい世紀にさらに世界に平和なり人権問題を発信する上からも、私は、この住民基本台帳をこの際改正して、例えば国籍条項で、日本国籍を有しない者は適用しない、こうありますが、ただし外国人配偶者についてはこれを除くとか、こういった形の字句挿入等の改正ができないだろうか、もうそろそろそういう国際化社会の中でそういった配慮も検討に値するんではないか、こういうふうに今後の取り組みに私は大きな期待をかけている一人でございますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 山名委員のお考えもよくわかるんですけれども、本当は帰化して国籍を持ってもらうのが一番いいんですよね。それがいろいろな事情でできない場合のことなんだろうと思いますけれども。
 これは簡単に言うと立法政策ですね。そういう今の自治法に基づく住民基本台帳法が、今は自然人だけで、しかも日本国籍を持つ者だけ、こうしていますから、それをどう広げるかというのは、私は、立法政策でまさに国会が決められることだと思いますので、我が省としても、山名委員の御指摘の点については研究させてもらいます。
 山名委員は大臣政務官で大変お世話になったこともございますので、研究させていただきますが、広くいろいろな人の意見や、市町村の意見も聞いて、その結果どういうことになるかわかりませんが、そういうふうな方向で研究させていただきます。
山名分科員 一点だけ、今の大臣の御答弁、大変感謝しているんですが、おっしゃるように、そんなこと言うんなら帰化したらいいじゃないか、こういう論理が一方で働く。私は、これはやはり一方で余りいいお話じゃないんじゃないか。やはり、それぞれは自分の国で生まれた、その国に対する愛着なり思いというのがあるわけですから、そんなに住民票にきちっと記載してもらうんなら帰化せよ、こういう論理は、私はちょっと乱暴過ぎるんじゃないかなという気はしております。
 いずれにしても、今後の検討課題として、これは大きなテーマだし、難しいと思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、地域コミュニティーに関して。日本に多くの外国人の方が永住等され、また、入国されている、こういう中で、地域社会の中でもっともっとコミュニティーを形成した形の、外国人参加型のそういう地域をつくっていかなきゃならない、また、そういう時代じゃないか、こういう観点からちょっと御質問したいと思うんです。
 先ほど申しましたように、日本で永住されている、そういう外国人の皆さんについては、まさに日本の風習や習慣に溶け込んで、日本人と同じように、この日本に骨を埋めよう、こうされているわけでありまして、それが、先ほどの論議の中で、住民としての認知とか、こういうことは問題があるわけでありますが、各地方公共団体においても、そういう住民票記載云々の問題を、課題を乗り越えて、自分の町に住む外国人の居住について、また役割について、非常に関心を持ち、そして受け入れをしていこう、こういう自治体も今ふえているようでございます。
 外国人住民の皆さんとの共生を可能にするような地域づくり、こういった中で、総務省的にも国際交流協会、こういったところへの支援策というのを、免税措置を含めてあるようでございますが、ただ、国際交流協会というのは、いわゆる留学生等、こういった者がその支援のほとんどの対象でありまして、そこに住む外国人住民というところにまでそういった取り組みが及んでいないのが実態ではないかと思っております。
 そこで、例えば自治体の取り組みとして若干御紹介したいんです。
 これは古いデータでもあるんですが、東京都の港区におきましては、区の基本構想審議会に外国人住民の代表の方を参加するように採用しております。それから、山梨県では、山梨県の長期計画審議会、ここに参画してもらっている。神奈川県では、川崎市ですか、新女性行動策定委員会、あるいは成人式の実行委員会、こういったような企画立案の委員会にも参画してもらっている。横浜市なんかは、市民の意識調査の対象に、あえて外国人の皆さんにも参画してもらおうということを含めて、その調査票を英語、中国語、ハングル語、こういったことでわざわざつくって、そういう意識調査に参画してもらう。そういう工夫をしたり、いろいろな意味で行政への参画、こういったものを通じて、地域のコミュニティーの中で外国人住民の皆さんがいかに市民とタイアップして活動されているか、これを施策として取り組んでいる行政が今ふえておりまして、まことにすばらしく思っております。
 そこで、こういった取り組みの実例をやはり総務省としても一回取りまとめをしていただいて、実例集というような形で全国各都道府県、市町村に、こういったことで地域における外国人住民の皆さんとのタイアップ、新しい町づくりに資するような、こういった一つの流れを積極的につくっていただければ、こういう思いをしているんですが、いかがでしょうか。
若松副大臣 今までの山名議員との議論、また問題点等を私なりに理解いたしますと、私も実はアメリカとイギリスに六年駐在いたしました。そこで感じるのは、やはり日本人というのはどうしても海外に行っても日本人だけで集まってしまうという傾向があるのに対して、いわゆる日本人以外の大方の、それぞれ民族性なりあるんでしょうが、外国人であってもやはり地域に根差すということは、自然の流れでほかの国の方はやられているというふうな認識をいたしました。
 それを、では、今度我が国に持ってまいりますと、やはり、先ほどの国際交流協会等が、私の住んでいる上尾市でも、毎年上尾市に住んでおられる外国人の方を中心とする国際交流フェスティバルが行われますが、そういった活動というのは、非常に地域の、いわゆる日本人の方も大変いろいろな経験ができてすばらしい、こういうような結果を得るところでありまして、そういう意味を考えますと、外国人の方の代表がいわゆる地域のさまざまな行事に参加するというのは大変有意義であろうかと考えております。
 もう一つ、公務員として外国人を任命する、これがどういうことかということでありますが、先ほどの議論のように公権力の行使等の観点からどう考えるかということであります。これは大変重要な問題でありまして、何といっても地方参政権、これをどうするかというそもそもの議論、国会で議論をされておりますが、これが一つ整理されなければならない問題ではないかと考えております。
 いずれにしても、先ほど山名委員の御指摘のあったようなさまざまな工夫というのは、当然各地方公共団体でしっかりとやるべき課題ではないかと考えております。そのためにも、総務省といたしましては、先ほどのいろいろな地方公共団体の国際交流の事例、そういったものを、例えば、これは私の私見でありますが、国際交流協会のホームページに載っけていただいて情報交換をしていただくとか、また、それぞれの地方公共団体の相談に対しては総務省としても積極的に助言をしてまいりたい、そのようにも考えている次第でございます。
山名分科員 ぜひよろしくお願いします。
 もう時間ですので、最後に一点だけ、通告いたしておりますので。
 地域消防団の問題なんですが、今、年々消防団員が減っておりますよね。これは、大変高齢化あるいは過酷な労働条件あるいは通勤等の問題で、なかなか消防団としての役割を果たせない、こういうことで退団が相次いでいるし、またなり手がない。こういう中で、これはかなり前から起きているのは、いわゆる地域住民たる外国人の皆さんへの消防団入団許可の問題、これが一方で出されております。
 まさに地域コミュニティーの中で、地域の持つ災害なりそういった火災等のことについて住んでいる私たちもお手伝いしよう、こういう外国人の方も多いわけでありまして、これが国籍条項等で、公権力の問題等で入団が拒否されている、これが実態でありまして、こういったところへの道ももう一方で開けるような検討をぜひ私はお願いをしたい、こういうふうに思います。
 これは、これからの日本の安心、安全の、社会づくりのためにも、高齢化している日本の実情を考えたときに、まことに有効な問題ではないかと思っておりますので、このことは最後に御要望させていただきまして、きょうの質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
八代主査 御苦労さまでございました。
 これにて山名靖英君の質疑は終了いたしました。
 それでは次に、伊藤信太郎君。
伊藤(信)分科員 自由民主党の伊藤信太郎です。きょうは、質の高い議論ができる環境のようなので、哲学的な話からしたいと思うわけです。
 地方自治の確立、また地方分権ということが言われて久しいわけですけれども、なかなか必ずしも実態が伴わないということはあると思うんですね。その大きな理由として、地方税源というか地方財源がない。かつて福沢諭吉は、経済的独立なくして人格的独立なしというようなことを言ったわけですが、地方自治体においても全くそれが当てはまるんだろうと思うんです。
 地方自治を確立するためには、やはり地方の税源、財源というものが確立することが私は必要だと思うんですけれども、こういうことに関して大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 今伊藤委員から言われました福沢諭吉先生のお言葉のとおりですね。財政的独立なくして人格的独立なし、衣食足りて礼節を知るというんですが、地方団体は、今、御承知のように、大変自主財源が乏しいわけですね。
 いつも同じことを言って恐縮なんですが、全体の税は国が六割取って地方が四割で、それから仕事は地方が六割五分やっているんですよね。だから、本来は六割五分の税を与えるべきなんですよ、地方に。自分で取った税で自分が仕事をする、地方も国も。
 ところが、今の税財政の体系は六十対四十になっているので、私はせめて五十対五十と言っているのは、それでも十五足りないんですよ。足りないけれども、税源をもらっても、東京、大阪みたいな経済力のあるところばかり税がふえて、裏日本やそういう経済的に少しおくれているところは税がふえないものですから、どうしても交付税が要るんです。だから、せめて五十対五十、こう言っております。
 やっと経済財政諮問会議の骨太の方針でも書いてもらい、あるいは税調関係でもだんだん書いてもらいまして、国から地方への税源移譲を一つのテーマにしていただけるようになって、それはそれでいいと思いますが、ほっておいたらなかなかこれは進みませんので、今後とも関係者の総意を結集して努力をしていかなければならないのではなかろうか、こういうふうに思っております。
 税の中で、いつも同じことを言うんですが、所得税関係と消費税ですね。所得税は、今、国は所得税で、地方は住民税の格好で取っておりますから、これを、住民税のウエートを高めてもらう、所得税のウエートを少し低めてもらう。消費税は、今四対一で分けておりますから、これも地方の取り分の一の方を上げてもらう。こういうふうに思っておりますが、簡単にいきませんね、こういう状況の中ですから。だから、粘り強く着実に積み上げていって道筋をつけたい、こういうふうに思っております。
伊藤(信)分科員 そこで、税体系全体を考えるときの基本的な価値観といいますか考え方なんですけれども、一つには国税、地方税という分け方もありますが、もう一つには直間といいますか、直接税、間接税、あるいは目的税とあると思うんですね。
 そこで、住民税というくくりで考えた場合、もともと住民税の額の算定根拠というのは哲学的に考えてどのようなものだというふうにお考えですか。現実の算定根拠じゃなくて、本来あるべき算定根拠。
片山国務大臣 地方税は、これも委員に釈迦に説法でしょうが、地方税というのは受益に応じて負担してもらう、会費的な、割り勘的な性格が強いんですね。国税の方は、能力がある者がたくさん出して、税金を納める能力ですよ、税金を納める能力がある人がたくさん出して、ない人は少しでよろしい。だから累進課税になっているんですね。所得の高い人がたくさん税金を納めるようになっている。国税はそういう考え方なんです。
 地方は、やはりみんなが地域社会のメンバーを構成して、地域社会でいろいろな、地域社会のメンバーが地方政府からいろいろな受益を受ける、公共サービスを受ける、それに対する見返りで、受益に応じてお金を出してもらう、均等、住民税というのは基本的にはそういうことでございまして、できるだけ広く薄く出してもらおう、こういう思想なんですね。全体にそうです。
 ただ、全体にそうですが、それじゃ、受益だけで取れるかというと、それは、そうはいきません。だから、国税に比べて地方税の方が受益の割合が高いんだけれども、もちろん能力に応じてというところもあります。少し説明がうまくありませんけれども、そういうふうに御理解いただいたらと思っております。
伊藤(信)分科員 もし大臣がそういうお考えだとすると、住民税の方はそれぞれの地域に住んでいる方に対する公共サービスに対する対価という考え方でまとめられるんだろうと思います。
 そういたしますと、私も海外に住んでいた経験があるわけですけれども、それぞれの住んでいる場所によって、公共サービスの質、量は異なるわけですね。そうしますと、やはりそういう具体的な公共サービスの状況に応じて住民税の算定というのは変えるべきじゃないか、別の言い方をすると選択的税制の導入ということも私は視野に入れるべきじゃないかと考えております。例えば、しょっちゅうごみの収集とかストリートクリーニングのあるようなところの税金は高いわけですね。逆に、安いところは一週間に一度ぐらいしか来ない、こういうこともあるわけですね。
 そういう考え方を、大臣の所管を離れるかもしれませんけれども、そういうことに関しての大臣の考えをお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 本来の地方自治からいうと、そうですね。高いサービスを受けるところは住民税その他少々高くてもそれはそれで納得してもらう、サービスが低いところは低い税金だ、こういうことだろうと思うんですが、なかなか今は、日本のようなこれだけ高密度でコンパクトで交流がある社会は難しいですね。それぞれの住民の皆さん、やはりできるだけ同じ負担で同じサービスを求めるんですよ、日本の国は。
 そこで、今の地方税法は標準的な税率を決めているんですよ。それ以上取りたければ超過的に取りなさいと超過課税というのを認めているんです。それが課税自主権ということです。ところが、実際はほとんどやらないんですよ。みんな標準的な税率で、標準的に取るんですね。取って、それじゃ、高いサービスで道路をつくれ、学校をつくれ、公民館をつくれ、公園をつくれ、こうなるでしょう。そうなると、それは国から補助金をもらおうとか、国から交付税を特別にたくさんもらおうとか、起債を認めてもらおうとか、こういうことでいっているんですね。
 だから、本当に受益と負担が直結すれば、例えば、よそよりももっと道路をちゃんとする、公園を特別につくるというんなら、高い負担を自分らは甘んじて受けますよ、こういうふうに国民の皆さんに考えてもらわなければいかぬのですけれども、今はなかなかそうはなっていないんです。
 ただ、地方分権一括推進法その他がこのところいろいろできまして、できるだけ課税自主権を認めようと。だから、今、法律以外の税をつくろうという動きが全国的に広まっていますよね。東京都の銀行税だとか、それから神奈川県もやりましたし、三重県は産業廃棄物から税金を取るとか、今度は東京都はホテルから取る、これはまだうまくいっていませんけれどもね。こういうふうな課税自主権に基づく法定外普通税や目的税の動きが出ておりまして、私どもの方は、理屈が立つもの、法律に違反でないものはできるだけ認めよう、こういうふうに思っておりますけれども、基本的には、今私が言いましたように、今の地方自治は、標準的な税率を決めて、超過課税はそれぞれが御判断で条例で超過課税を決めていただくのなら取ってよろしい、こういうことにしております。
八代主査 伊藤君、きっかけを、主査とか委員長とか言っていただくと、これは議事録に載せますから。では、どうぞ、委員長とか主査とか。伊藤君と、こうなるんです。
伊藤(信)分科員 はい。
 大臣の御説明は大変わかりやすくて結構だと思いますけれども、そういう新しいといいますか、本来の考え方を、やはり地方自治を確立するために広報、啓蒙していくということも総務省の立場で必要だと私は思うので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、今度、広域行政に絡むところと、今、年金の問題がいろいろ上がっていますけれども、地方議員の年金の問題についてお伺いしたいと思います。
 今、市町村合併をしますと、特例で、町会議員、村会議員がそのまま自動的に市会議員になるということだと。市会議員になりますと、大体標準で三倍ぐらいの給与になるんだろうと思うんです。そうしますと、今度新しく変えようとしている法律では、退職前一年間の標準の月額をベースにするのではなくて、十二年間の平均標準の報酬をベースに年金を計算するということになっているんですね。
 ただ、私の知るところ、多くの合併を前にしている町会議員、村会議員は余りこんなことは知らないという印象を非常に受けているわけですね。ですから、このことに対する周知等がどのようになっているか、お伺いしたいと思います。
若松副大臣 地方議員の年金制度でありますが、これはここ一年半ぐらいでしょうか、地方議会議員年金制度検討会、ここで、有識者とか地方議員の代表、こういった方々が検討してまいりまして、その検討内容というのをこのたび一つにまとめまして、全国議長会を通じて地方議員の先生方に周知徹底をお願いしている、こういう状況であります。
伊藤(信)分科員 それでは、またもう一つ、違ったアジェンダについてお伺いしたい。
 ことしはワールドカップが日韓共同で開かれるということで、日本側の開催地はその準備に追われているわけですけれども、その多くの自治体から、ワールドカップ開催に伴う非常にエキストラな、また予想しない出費というもので困っているという話を聞くわけですね。
 ですから、このワールドカップということは日本の国益にも大変かなう、また、今後いつあるかわからないことですので、緊急的な財政措置がとれないものかどうか。ワールドカップを成功させるということは、今後の日本のいろいろな経済問題あるいは国際関係にとっても重要だと思いますので、総務省として地方自治体を助ける何らかの助成措置がとれないものか、その辺をお伺いしたいと思います。
若松副大臣 実は、私の住んでいる埼玉県も準決勝の予定、開催県でありまして、今委員御指摘のお話は大変重要な問題だと考えております。
 特に、この大会開催地の輸送とか警備計画とか、かなり重要なかつ綿密な対策も必要となるわけでありまして、当然その分地方負担がふえるということで、当然、総務省といたしましても、そういった負担に対しては、何らかのルールに基づいて特別交付税による措置をしっかりやっていこう、こういう理解でおります。
伊藤(信)分科員 少しまたドメインを変えた話をしたいと思うんです。
 総務大臣が考えるところのITというものはどういう概念なのか、そこをまず哲学的な討論としてお伺いしたい。
片山国務大臣 ITというのは、インフォメーションテクノロジーの略ですよね。あれは、日本ではITというのですが、よその国ではICTというんですね。コミュニケーションというのが中に入るんです。だから、その言葉のとおりでいえば情報通信技術ということなんですけれども、日本の場合にはIT社会だとかIT革命だとか言いますよね。
 だから、このインターネット中心の情報通信技術、こういうものを使いまして、やはり産業構造を変える、社会生活のありようを変える、最後は国民の意識を変える、そういうところまでいくのがITだ、私はこう思っているんですね。だから、ITというのは、単なる技術だとか単なるハードなものだとかということではないと思うんですね、もっとソフトな包括的な概念で。
 そこで、IT基本法にいろいろなことが書いてありますよ。
 IT基本法のIT社会の理念として、すべての国民が情報通信技術の恵沢を、恩恵を享受できる社会の実現、これを一つ挙げる。二つ目が、経済構造改革の推進及び産業国際競争力の強化に寄与すること、これを挙げている。三つ目に、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現を挙げている。四つ目に、活力ある地域社会の実現及び住民福祉の向上と。こういうものを目指すものですね、ITは。また、そういうものにうまく利用できる、活用できるようなものでなきゃ、単なるITでは意味がない、私はこういうふうに考えております。
伊藤(信)分科員 大臣のお考えと私の考えとは大変近いと思うのですけれども、私も、パソコンを使えることとか、あるいは光ファイバーやADSLをたくさんすること、それだけがITだとは思わないのですね。最終的に情報を受ける、そしてそれを理解したり感じたりするのは人間ですから、そこを含めた情報技術でないといけないのですね。往々にして、ITの議論をするとどうも理系的な技術論ばかりに偏って、最終的に国民が幸せを感じるためのITというものがどうも捨象されているようなので、総務省としてもそういう包括的な概念でのIT政策をお進めになるということを希望するものであります。
 さて、そのITのことなんですけれども、インターネット、今大変広がっておりますけれども、インターネットのオペレーションソフトがほとんどアメリカ製のものがドミナントになっている。そのことは、いろいろな問題があると私は思うのですね。情報セキュリティーの問題もありますし、それから、もともとアメリカ製でありますから、英語をベースにした情報技術ですので、日本や東洋の文字コードであるとかあるいは思想、そういったものをビットに載せづらいという面もあるわけですね。
 ですから、国策として、果たしてアメリカの本当に少ない会社が独占しているオペレーションソフトをこのまま政府内部でもe―Japan等で使うことはいかがなものかと思うのですけれども、その辺についてお伺いしたいと思います。
佐田副大臣 今委員言われたように、インターネットの関連のオペレーションソフトは、基本的には市場競争の中で普及してきておりまして、業務用ではUNIXやウィンドウズ、個人用ではウィンドウズやマッキントッシュ等が使われているというのが現状であります。外国製のものでありまして、またウィンドウズがかなりの部分を占めておるということは事実でありまして、今伊藤委員が言われたように、セキュリティーをどうしていくのか、また、いろいろな問題が出てきております。プラットホームの問題であるとか、伊藤委員はよく御存じのとおりであると思います。その辺につきましては、情報セキュリティー対策にこれからも総務省としてしっかりと取り組んでいきたい。
 それともう一点は、今の英語の問題。これから電子政府を目指して、または地域イントラネットなどを構築していくわけですけれども、その中で、いろいろな漢字ベースの問題であるとか、この辺も今検討中であります。今後とも御協力をよろしくお願いいたします。
伊藤(信)分科員 ありがとうございます。
 今佐田副大臣がおっしゃられたように、やはり文字コードがユニコードであるということは、私は非常に問題だと思うのです。ですから、それがもし商業ベースで開発できないのなら、やはり国策として、情報セキュリティーあるいはその文化を守るという意味でも開発すべきだというふうに私は考えております。
 さて、またそのインターネットとそれから放送の絡みについてお伺いしたいと思うのですけれども、インターネットは近い将来ブロードバンド化すると思うのですね。ブロードバンド化するといろいろなことが起きますけれども、一番大きいのは動画のやりとりが容易にできるということだと思うのです。
 そういたしますと、今放送という分野で地上波のデジタル化ということを進めているわけですけれども、インターネットで、受信というコンセプトになるかどうかはわかりませんけれども、いわゆる動画を見る、ストアするということは非常に容易になる、しかもデマンドプル側でできると。そういったときに、果たして、いわゆる空中波をデジタル化するために多大なコストや新たな設備、そういったものをかけるのはいかがなものかという議論もあるわけですね。その辺についてどのようなお考えかをお聞きしたいと思います。
佐田副大臣 委員の御指摘、これからいわゆるブロードバンド化になって、要するに通信関係を使うことによって、ただ反面で、地上デジタルの方は二〇一一年にはサイマル放送も終わってすべて地上デジタルになっていく、これは要するに二重の投資になるんじゃないかという御質問じゃないかとお聞きするところなんであります。
 これからのデジタル化のいいところというのは、やはり高品質であるということもありますし、また非常に雇用の創出にもつながってくる。いろいろなそういう利点もあるわけでありますけれども、その中で、今までずっと通信と放送の融合ということが言われてまいりました。その中では、いろいろな意味でハードを共有してやっていくとか、例えば今の衛星関係もそうでありますけれども、通信と放送の融合ではありますけれどもハードの部分では通信でも、例えばCSで、放送もやっている、通信もやっておる、こういうところはあるのです。
 ところが、委員言われるのは、基本的には放送の場合は、これはあまねく広くやる、放送法にのっとって規制を課して良質な番組を放送していくという観点があるわけですね。それともう一点は、通信の場合は、これは逆なんですね、はっきり申し上げまして。電気通信事業法であるとか電波法にのっとってきちっと秘密の保持をしなくちゃいかぬとか、そういう部分もあるわけであります。
 したがって、やはり放送という部分と通信という部分、いろいろなメディアを、多メディアでこれからインタラクティブな、要するに通信と放送との融合を行っていく。そういうことを考えますと、もちろんブロードバンドもこれは進めていかなくちゃいけない、e―Japan構想にもあるようにブロードバンドも進めていく。と同時に、放送においては地上デジタルによってインタラクティブな放送も行っていく、こういうふうに御理解をいただきたい。
 以上です。
伊藤(信)分科員 空中波で流している場合、なかなか真のインタラクティブ性というのは難しいわけですね。つまり、各家庭からアップリンクするわけにいかないものですから、本当のインタラクティブ性をするには、やはり有線でやるか、あるいはもっと低い位置に中継がないとできないと思うのですね。そうすると、空中波でどうやっても本当のインタラクティブ性はないというふうに私は見ているわけです。デジタルになることに対する利便性というのはいろいろありますけれども、その一番大きいところがインタラクティブ性とデマンドプルにしやすいというところだと思うのです。
 副大臣もおっしゃられたように、放送と通信の融合ということが言われて、それは今現実になろうとしているわけですね。ですから、法体系も今までの放送法であるとか通信に関する法というものをもう一度パラダイムシフトして考え直す時期に私は来ているんではないかなと。
 例えば、ブロードバンド時代に同じサーバーコンピューターに百万人がアクセスして動画をとる場合、それが本当に通信と言えるかどうか。それはもう有線放送と余り変わらない、ただビット変換があるだけの差ですから。その辺で、近い将来起きることだと思いますので、ぜひいろいろな可能性を考えて地上波デジタルの件もいろいろ考えてみるということが私は必要だと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。
佐田副大臣 委員の言われることはまさにこれは的中しておりまして、では、例えばこれだけの高額の予算をつけて地上でデジタルを進めるのはどういう意味があるんだ、そこは委員の言われるとおりです。いわゆるインタラクティブな通信を、将来的にいろいろな形でデータを送信したりそういうことをするためにやっているというのは、正しい判断だと私は思っています。
 ただ、これからどういうふうなアプリケーションができて、どういうものがデータ通信で相互通信になってくるかというのは、まだちょっと未開の部分もありまして、そしてまた法体系の問題も今御指摘になりましたようにあるわけでありまして、また一方に、もう委員はよく御存じのとおり、インターネットのブロードバンドの場合、非常に集中した場合に果たしてきちっと情報が伝わるかどうかという技術的な問題もある。こういうことも含めて検討していきたい、こういうふうに思っております。
伊藤(信)分科員 ありがとうございます。
 そしてまた、ちょっとインターネット絡みの別の質問なんですけれども、迷惑メールということは今非常に社会問題となっているんですが、インターネットは、御存じのようにボーダーレスですから、例えば外国にサーバーがあって、そこから発信された場合、もし発信地主義でいくならなかなか取り締まりができないんじゃないかということがあるわけですけれども、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
佐田副大臣 これは、議員立法であるとか、閣法であるとか、こういうことで議論をちょうど今タイムリーにされているところでありまして、委員の御指摘はまさに実質的に疑問に感じるところであります。
 この点につきましては、一般論としましては、発信サーバーが国内にあるか外国にあるかによって国内法の適用の有無が決まるのではなくて、やはり送信者が国内にいるかどうかによって適用が決まるものでありまして、例えば日本から発信しましてサーバーがアメリカにあっても、これは日本の法律が適用される、そういうことが今言われておるわけであります。
 この辺につきましても、これから国際的に議論をしていかなくちゃいけないことであろう。日本だけでそれを議論しても、法律を、法体系をつくっても非常に難しい部分もあろうかと思いますので、国際的にこれは議論をしていかなくちゃいけないことであろう、こういうふうに思っております。
伊藤(信)分科員 次に、電波の割り当ての問題ですけれども、ボーダーレスになったのは資本の方もそうでございまして、電波の割り当てを求めてきた私企業、これの資本を見た場合に、外国資本が過半であるという場合、情報セキュリティーあるいは国策として何らかの規制なり歯どめがかけられないか、この点についてお聞きしたいと思います。
佐田副大臣 今の伊藤委員のお話、本当に私も大変危惧しておりまして、電波というのはこれは非常に公共性が高くて、国民の財産であり、そしてまた希少であるわけでありますから、そういう意味でしっかりと守っていかなくちゃいけない。
 今アメリカであるとかイギリス等で、ドイツもそうですけれども、電波のオークションが行われている。この現状を見たときに、アメリカの場合は、これは完全に外資規制していますから、諸外国から買われるということはまずありませんけれども、ヨーロッパではやっております、イギリスなんかでも。これを見てみますと、委員もう御存じのとおりで、買ったところが、大変な高額なものだから、ほとんど設備投資もできないし、サービスもユーザーにできないということで、それがそのまま、電波が何も使われないままなんてことも結構あるわけであります。
 そういうことを考えますと、日本の場合は、これはあくまでもオークションをやっておりませんし、そしてまた比較的きちっと、必要性であるとか技術基準であるとか、そしてまた電波の割り当てについてはきちっと総務省の方でやっておるというのが現状であります。
 と同時に、通信主権と申しますか、それはやはりその国内国内でしっかりと守っていく基準がありますから、そういう意味では、結論は、繰り返しになりますけれども、日本では要するにそういう電波というものをきちっと総務省の方で管理している、こういうふうになっております。
伊藤(信)分科員 私も、電波をオークションにかけるようなことが将来ともないことを希望いたします。
 さて、次にNHKの関連で御質問をさせていただきたいと思いますけれども、先ほども放送と通信の融合ということが出たわけですけれども、NHKというのは非常に豊かなコンテンツを蓄積して持っているわけですね。ただ一方で、NHKの力というものが余り強過ぎますと、民業といいますか民放を圧迫するということもある。そこで、NHKがインターネットビジネスといいますかインターネット分野に参入することが、いろいろ遠慮されたり規制されたりしていると思うんですけれども、ただ一方で、せっかくインターネットで動画通信ができるブロードバンド時代になった場合に、あれだけの情報資産というものを国民が享受できないということも問題だと思うんですね。ですから、民放を圧迫しないということ、それからNHKの持っている大変な情報資産というものの国民的活用というもののバランス、整合性をどうとられていくか、その辺、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 言われたとおりですね。今、伊藤委員が言われたとおりなので、NHKは本当に、社会的にも意味のあるコンテンツをたくさんストックしていますよ。ただ、これをどんどん出すと、民間放送連盟なんか大変御機嫌が悪いんですね。NHKは受信料収入があるじゃないか、我々は違う、自力で広告だ、ここで余りいろいろなことをやらせるな、NHKは今でもチャンネル五つあるじゃないかと。
 そういうことを言っておりまして、そこで私どもの方で研究会をつくりまして、今、NHKのインターネット利用に関する具体的なルールを定めるためのガイドライン、例えば、二次利用だとか関連情報としての利用はよろしい、それも制作費が十億円までだとか、いろいろなガイドラインをつくっていまして、番組を放送してからホームページで二週間だけはいい。そのガイドラインを一応この研究会が案としてまとめて、今、パブリックコメントにかけているんですよ。恐らく、民放や何か、いろいろな意見が出てくると思いますけれども、それをまた見て考えていきたい。私は、基本的には、あのコンテンツを民放の皆さんも理解できる形での利用というのはあるな、こう思っております。
 それから、今ケーブルテレビが物すごく伸びているんですよ。ケーブルテレビにはNHKは別の形でかなりコンテンツを提供していますね。そういうことも一定のルールをつくってやったらいい、私はこういうふうに思っております。
伊藤(信)分科員 質問時間が終わりましたので、最後の質問を短く。
 これはもう議論沸騰の件でございますけれども、郵政事業への民間参入に関する問題ですけれども、この問題を解決するに当たって、いわゆる市場原理を導入するということとユニバーサルサービスを確保するということの、ある意味では二律背反の命題、これをどのようなバランスでお考えか、大臣の所見を最後にお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 我々の基本的な考え方は、両立させなきゃだめだと、ユニバーサルサービスと競争原理を。
 そこで、郵政につきましては、来年公社化をするということで法案を今検討、取りまとめ中でございますけれども、その法案取りまとめのもとになっているのは公社化研究会の答申なんですね。この中には、民間事業者の参入は、条件つき全面参入、部分参入、段階的参入と三つの案を出してもらっているんです。その中で、研究会としては、条件つき全面参入がよかろうと。その条件つきというのは何だ、ユニバーサルサービスの確保だと。全国画一の料金、一通でも引き受けて一通でも配る、それから今のポストと同じ以上の簡便な差し出し口を確保する。おおよそを言えばそういうことですね。
 そこで、民間に入ってきていただくんですが、いいところだけとる、もうかるところだけとる、効率のいい大都市だけとる、そういう、クリームスキミングというんだそうですが、これはもう絶対排除する。こういう基本的な考え方で今検討いたしておりますので、ひとつよろしくお願いします。
伊藤(信)分科員 ありがとうございました。
 これで質問を終わります。
八代主査 これにて伊藤信太郎君の質疑は終了いたしました。
 この際、本分科会、暫時休憩をいたします。
    午前十時十七分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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